平成16年9月定例会 第9回岩手県議会定例会 会議録

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〇1番(亀卦川富夫君) 政和会の亀卦川富夫でございます。
 さきに通告しております項目につき、御質問申し上げます。
 まず、知事の時代観、認識からお伺いいたします。
 世界は、米ソ対立の冷戦構造の終息を告げて以来、大変動の時代を迎えました。世界情勢は東西対立から南北問題に移り、民族及び地域紛争がおびただしく、その政治・経済の構図から、我が国も単純な機構に組み入れた形で世界を語ることは、困難な状況にあります。
 今日の日本は、明治維新、戦後に続く第3の変革期と言われております。その時代の変化の例えは、明治維新は、散切頭をたたいてみれば文明開化の音がするであり、敗戦と戦後処理の時代は、映画、青い山脈の主題歌にある、古い上衣よさようならなど、苦しくとも前途に希望が持てる、国民が展望を実感できる変化の方向でした。しかし、現在は続発するテロを初めとする世界的な状況はもとより、日本においても、新しい時代を画する明るい例えがありません。情報化社会、ボーダレスとも言われる国際化など多様性のためとも言えますが、地方経済の衰退、常識では考えられない凶悪犯罪の続発など、むしろ、閉塞感に覆われているのが実情と思われてなりません。
 財政悪化や少子高齢化などを乗り越えて、国民、県民が幸せを実感できる社会をどのような形で築くことができるのか、政治が問われているところだと思いますが、知事はどのような御認識をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
 時代の変化に合わせた社会のあり方として、地方分権があると思います。明治維新は中央集権革命であり、平成維新とも呼ばれる今日の変革は、地方分権革命とも位置づける識者もおります。岩手県のかじ取りを担う知事の御所見をお伺いいたします。
 さて、国の進める三位一体の改革は、財源移譲がないままであった地方分権の推進に対し、一定の方向を示したものであり、苦しくとも乗り越えなければならない時代の趨勢であると認識いたしておりますが、さきに小泉総理から全国知事会に投げかけられた3兆円の税源移譲の具体化に当たって、全国知事会など地方6団体は、国庫補助負担金などに関する改革案を提出、新たな局面を迎えました。
 その中で、最大の争点になった教育費をめぐる論議は、今後の地方財政はもとより、地方分権の本質を国民がどのように理解し、どのような社会を築いていくのかが問われる本質的な一つの例示でありました。知事も賛成の立場で、一般財源化し、自治体も責任を分かち合うことが必要と述べておられます。しかし、周知のように、補助金削減と税源移譲に大きな差額があります。また、補助金の内容を見れば、数字合わせの具になっていないか、十分議論しなければならないものがあります。また、本県のように、財政力の脆弱な地域では、交付税制度による調整の見込みがあるのかあるいはないのか、大きな問題が存在しております。それらを含め、三位一体改革と岩手のあり方について、知事の県民に対する説明をまずお伺いいたします。
 また、国の制度がまだ完全に変わっていないので仮定のことになりましょうが、何らかの明確な姿、形がなければ、不安先行と言わざるを得ません。そこで、本県でのシミュレーションが必要であります。税源移譲がなされた場合、県民の負担する税金は現在とどのように変わるのか。納税者が理解できるよう、具体的にお示しください。その時点で国庫補助金はどうなるのか、そして、地方の脆弱な分を補う本来の地方交付金の根拠はどうなるのか。地方の自由度拡大につれ、逆に財政が現状より厳しくなるとも予想されます。その場合、どこに財源を求めればいいのかなど、わかりやすく御説明をお願いいたします。
 また、市町村は合併で大きなうねりの中におりますが、県はどのような三位一体改革後の姿を描き、市町村とともに改革に対処していくのか。また、これまで市町村へどのような情報伝達、あるいは意見交換などがあったのかお伺いいたします。
 さて、問題は岩手県の自立であります。地方分権の理想は高く夢は大きいのでありますが、自立のために地域経済の確立は欠くべからざる政策であります。しかし、国際的な経済の仕組みの中で地域間競争を勝ち抜いていかねばならず、容易ならざるものがあると思います。
 エンスイはキンカを救わずという古事があります。エンスイは遠い水、キンカは近い火と書きます。遠水は近火を救わず。これは、古代中国に魯という国があり、隣の斉という強国に脅かされていたため、息子たちを晋あるいは楚という別の国に仕官させ、いざというとき、それらの国々の救援を仰ごうとしたのでありますが、そのとき、その考えをいさめる人物がおりました。曰く、火を失して水を海より取らば、海水多しといえども火は滅えず、遠水は近火を救わざるなり。すなわち、遠くの海から水を引いてくるなら、海の水がどんなに多くても火は消せない。つまり、遠くの水は近くの火事には役に立たない、そんな古事であります。中国の古典、韓非子の説林篇にある寓話から来たものであります。
 例えて言えば、火は財政難、水を海よりは、県においては国、市町村では県からの支援とも言えましょう。いつ、どこに、どのような形で来るのか不明なままで、財源を求めても必要な時期には間に合わない、そんな現実が見えてまいります。遠水は近火を救わず。これは、国を守るということでありますが、我が地域社会あるいは財政を守ることにも通じるようであります。
 三位一体の権限、財源移譲は当然必要ですが、国の改革だけでは、分権時代の財政確立の本質的な改善には直結しないと思います。独自の経済基盤を形成しなければ、将来的な県勢発展は見込めないと存じます。
 知事は、地方分権の積極論者でありますが、岩手県自体を考えても、いわゆる自己決定、自己責任という自立の方法論が確立していないことが根本にあると思いますが、いかがでしょうか。
 問題は、人口が少なく、財源に恵まれない地方が、果たして自立できるか否かが重要なポイントになります。地方分権のあり方次第では、大都市圏のみが有利になるとの指摘もあります。我が国の現状は、地方と都市の格差が広がり、商工業から雇用までの広範にわたり地方経済は衰退し、再生は困難をきわめております。土地の価格などを見ても明らかであります。
 国は、構造改革特区などの施策を進めておりますが、根本から地方を救う方法になるのでしょうか。経済・産業基盤をどのように構築するのか、ボトムアップの方法があるのか、どうすれば展望が開けるのか、岩手の実情を踏まえ、知事のビジョンと具体的な方策をお伺いいたします。
 次に、かかる観点からお伺いいたしますが、去る9月2日、北海道・北東北3県による知事サミットが開催されました。その成果及び協力・連携できる産業の創出、推進のあり方はどうなっているのか。北東北のグランドデザインの中間報告をもとに、見通しをお示しいただきたいと存じます。
 中間報告で新しい局面を迎えたものの、一方では、道州制などの自治体の制度の論議は後退しました。本来、グランドデザインは基本的な足並みがそろった状態において、その施策や可能性が打ち出されなければならず、温度差があるならばその成果が不安視されますが、いかがですか。
 さて、広域の連携に関しての問題点は、北東北3県に限定してしまってよいのかどうかであります。知事の構想の視野をさらに拡大し、宮城県や東北6県を考える必要もあるのではと思いますが、御所見をお聞かせください。
 4月に仙台市で行われた三位一体改革推進列島縦断シンポジウムに、増田知事は宮城県の浅野史郎知事とともにパネラーとして出席されました。その発言の中で、浅野知事が増田知事に対し、北上川兄弟だと、2度も呼びかけておられたことが印象的でありました。これまで、東北一円の将来構想を描いたものに、西澤潤一先生などが提唱された東北インテリジェント・コスモス構想があります。構想に基づく政策など、既に進捗していると思いますが、このルートからの将来性も求められてよいのかと存じます。インテリジェント・コスモス構想と岩手のかかわりの現状はどうなっているのか、また、今後の推進の見込みをお伺いいたします。あわせて、道州制の必要性、枠組みのあり方などさまざまな論議がありますが、増田知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、産業振興についてお伺いいたします。
 自立する地域社会にとって、経済基盤の確立、産業育成・振興は喫緊の課題であります。殖産興業という言葉がありますが、古い言葉でむしろありましたとでも言うべきかもしれませんが、私は岩手にとって進めなければならない政策の表現であると考えます。殖産興業ということに対する知事の御認識をお聞かせください。その上で、産業振興の現状と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 県は、誇れるいわて40の政策の推進を掲げ、地域産業活性化を大幅に強化し、新産業創出・育成や中小企業経営革新プロジェクトを立ち上げるとしておりますが、この時点での進捗状況と効果はいかがでしょうか。
 今年度の予算で、岩手県工業技術集積支援センターが開設されました。花巻、北上、水沢、江刺、金ケ崎を圏域に、自動車産業を中心とし、関連産業の育成、集積を図り、あわせて地場産業の育成をねらいとするものでありますが、どのような状況でありますか。また、この地区は北上川テクノポリス圏域として多くの施策が講じられてまいりましたが、地場産業を初めこれまでの実績をどう評価しておられますか。また、今後の政策展開をお知らせください。
 農業振興についてお伺いいたします。
 県は40の政策の中で、地産地消を推進しておりますが、現状はいかがですか。自己評価と今後の進め方をお示しください。
 地産地消も重要ですが、我が国の食料自給率アップも大切です。農業県として発展するには、農業収入の確保は当然であります。そのためには、農産物の生産性の向上とともに、販路の拡大が求められます。最も効果的に物流し、価格に反映させるための施策が必要です。そのためには、都市と農村との交流が大切です。農業の持つ多面性とその有効な機能を指摘する識者は多くおります。観光への効果も大きいと思います。恵まれた環境、しかも、さらに安心・安全の岩手という事実こそ、販路拡大の決め手となるでしょう。既に多くの試みがなされているとは存じますが、改めて販路拡大の方策をお尋ねいたします。
 8月に水沢市で、県と岩手大学の主催による岩手農業トップスクール公開講座、水田農業改革研修会が開催されました。基調講演した東北大学大学院の工藤昭彦教授は、行政は担い手を確保するよりも、担い手が勝負できる土俵や環境を整備することが大切と、問題点を示唆されました。また、同教授は、農産物の海外輸出の可能性にも触れ、中国のお金持ちの人たちは、みんな日本の野菜を食べると長生きすると思っているそうですと続けております。これは、日本の農産物は安心・安全であるとの評価によるものですが、問題は、日本の農業が分散生産のため、海外の巨大な需要にどう供給するかであります。広大な県土を有する岩手県では、世界貿易機関や自由貿易協定からの市場開放圧力との整合性を図りながら、積極的に海外にも目を向ける必要があるのではないでしょうか。すぐには解決できない課題もあるでしょうが、農業県としての自立、発展の面からも、夢のある、思い切った、発想豊かな施策をお聞きしたいと存じます。
 次に商業でありますが、その中で厳しいのがシャッター通りとも言われる地盤沈下した商店街です。郊外型大型店の出店攻勢が相次ぎ、一般商店街はさまざまな試みをやってみても、大資本の洪水のような宣伝量に工夫やアイデアも焼け石に水。まさに青息吐息の状況と言っても過言ではなく、商工会議所なども知恵を絞って消費者の誘導に躍起となっておりますが、根本的に解決し得ないのが現状であります。
 一方では、キーテナントとして商業ビルに大型店を入れたのはいいが、売り上げ減少が明らかになった途端に撤退する。個店は、その時点までじわじわと影響を受け、大型店の撤退と同時に、商店街はどうにもならなくなるのであります。そして、大型店の撤退した商業施設の空き店舗対策はままならないのであります。水沢市の中心市街地の現状はその一例でありますが、知事はこの実態と対策についてどのような御認識をお持ちですか、お伺いいたします。
 また、商業のみならず、地方小都市の根本的課題として、市街地の空洞化が大きな問題になっております。その対応として、中心市街地に、従来の商業だけでなく、福祉、医療、教育、文化等と多彩な機能を導入することによって空洞化を解決、新たな市街地形成の構想策定が論議されております。しかし、現実は、盛岡市はともかく、地方小都市は公立病院、ハローワークなど、公共施設を初め主な集客施設は郊外型がほとんどではないでしょうか。まさに公共施設の点在を進めてきたのがこれまでの姿であります。
 このたび岩手県では、都市計画マスタープランを策定いたしました。その中心的思想として、今後のまちづくりの基本に、コンパクトシティーの考え方を打ち出しました。これは、まちの発展の阻害要因となっている中心市街地の空洞化を考慮し、市街地に視点を当てたものと考えられますが、そのねらいと今後の進め方についてお尋ねいたします。
 さて、これまで地方分権時代の岩手の自立という観点から、産業振興について現状認識を述べ質問をしてまいりましたが、産業振興にとって今や不可欠な情報、知的産業との連携・連結が今後の課題であります。即時に情報交換し、なお、それが実質的なビジネスとなり、商、工、農などでの活用が可能になるユビキタス社会と称される情報化社会の到来も、予測される段階を迎えていると言われております。このような時代に、どう準備し構築していくのか、現状認識と今後のあり方をお示し願いたいと存じます。
 次に、少子化対策についてお伺いします。
 急速に進む少子・高齢化は、やがて人口減少社会を迎えます。少子化、高齢化、人口減少、この三つは避けて通れない国、地方共通の大きな政策課題であります。
 国際通貨基金IMFは、高齢化に伴う労働力人口の比率低下による世界経済に与える影響分析で、少子・高齢化が急速に進む日本が長期的に最も厳しく、成長率の低下とともに将来の経常収支が赤字に転落し、年金制度や医療保険制度を初めとする財政を悪化させると指摘する報告書を発表しております。国内では、地方分権の進む中、自治体間の競争とも言える経済力の格差や各自治体の施策次第では、人口の移動も考えられます。
 さきに県がまとめた男女がともに支える社会に関する意識調査の結果を見れば、社会的にも経済的にも、出産と育児が普通に行われるような抜本的な施策が望まれます。一方、これまでの対策に欠けていた子供を持つことを幸せだと感じることのできる価値観や社会のあり方に目を向けた施策が望ましいという指摘もあります。施策の方向には、人口減少にいかに歯どめをかけるのかと、人口減少した社会への対応をいかにするか、この二つがあります。岩手県においても、経済、福祉、医療、教育など、各分野で多くの課題があると思いますが、今後の取り組み方をお伺いいたします。
 また、国内の自治体では、組織改革による子供専門の部局を新設、さまざまな部署に散らばっていた子育て支援や青少年育成、児童虐待などの施策を統合し、強力に少子化対策を講ずる動きが出始めました。本県においても、事の重大さに改めて機構改革による組織横断的な、市町村を含めた全県的対応が望まれると存じますが、知事の御認識と今後の対応についてお伺いいたします。
 次に、高校再編についてお伺いいたします。
 現在、再編計画の説明会を各地で開催しております。私が気になったのは、ブロック内での数合わせによる結果での統合計画ではないかということであります。杞憂に終われば幸いですが、その観点から具体的にお尋ねいたします。
 それは、胆江ブロックの水沢工業、水沢商業及び胆沢高校の統合であります。3校を統合し、普通科と専門学科の併設校とする内容で、そのうち、水沢工業は、現在4学科4学級を一挙に2学級に減らし、統合を図るものであります。しかし、水沢工業は、入学志願時において定員割れはほとんどない現状であり、就職や進学状況は、卒業前に100%が進路決定する高校であります。そして、計画策定の参考にした中学生・保護者の進路希望調査の結果から見ても、統合の対象になるものではありません。計画によれば、工業に関する専門高校は胆江管内から姿を消すことになります。商工会議所など地元関係機関は強い危機感を持ち、管内の市町村議会は相次いで、水沢工業高校の単独存続を求める意見書を提出しております。県内の専門高校として存続する盛岡工業など5校とどこが違うのでしょうか、教えていただきます。
 また、その県内5校のうちには、現在の4学級を3学級に、定員も160名から120名に減らしても存続する工業高校もあります。また、統合計画では、水沢商業の3学科と胆沢高校の2学級は現状どおりで、工業のみが4科4学級を2学級にするという統合は、いかなる現状分析からそうなるのでしょうか。この差はどこから生ずるのでしょうか。胆江地区の数合わせの結果と言われてもやむを得ないものではありませんか。
 さらに、先ほど以来お尋ねしている岩手の自立、産業基盤の大きな分野を担っている北上川流域の工業地域の一環をなす江刺、金ケ崎の工業団地を有する地域であり、むしろ時代の先を行く、より進化した、充実した、地域に根差した工業高校として整備することこそ、県のとる政策ではありませんか。かつて、岩手の総合政策を担ってきた佐藤勝教育長は、どのように考えておられますか。
 私は、今後、教育界だけではなく幅広い地元関係者と十分協議をし、改めて計画を立てられるよう願い、今後のあり方をお尋ねいたします。
 次に、岩手競馬組合の経営革新についてお伺いいたします。
 このたび、岩手県競馬組合改革案の基本方針が発表されました。具体的な内容は今後の作業にかかっておりますが、経営革新には、来年1月施行の改正競馬法をどれだけ活用できるかが大きな課題であります。私は、岩手競馬再生は国の法改正をもとに、経営機構の転換など仕組みの革新を図り、再構築することによるものでなければならないと考えております。そのような観点から、以下お尋ねいたします。
 第1点は、国の法改正により、開催権は競馬組合が持ち、直接事務は開催日時や使用する競馬場などの根幹事務に限定、競馬事業実施は、私人、すなわち公益法人及び民間企業への委託が可能となりました。実質民営化であります。この点が改革の一番大きいポイントですが、改革案ではその点がまだはっきり見えません。今回の改革案はその第一歩なのか、これから策定されるアクションプランで明らかになるのか。知事は、仕組みの革新についてどのような御見解で対応されるのか、お尋ねいたします。
 第2点は、改革案では、かねてその是正が望まれていた単年度主義の官庁会計から企業会計制度への移行が図られることになりました。官から民への流れの一つと思います。そのような方向性の中で、資本収支の改善が再生スキームとして大切な視点であります。岩手競馬の経営上、盛岡新競馬場オーロパーク建設費の償還が大きな問題です。法改正による実質民営化の経営では、民間企業の参画、すなわち投資による固定資産への対応が可能となります。これからの取り組みの中での重要な課題でありますが、その見通しはお持ちですか、お伺いします。
 第3点は、地方競馬の連携事業の推進であります。法改正による支援策は、複数主催者の連携を想定しております。それぞれの個性、特徴を生かした再生のイメージを構想し、補助金の導入などが可能な計画の早期策定が必要です。佐賀・荒尾競馬などを想定した連携が進められておりますが、岩手競馬が相手にとって魅力ある存在かどうかが問われます。これにこたえる自信があるか、岩手の特性などを踏まえお伺いいたします。
 第4点目は、収益の源を何に求めるかであります。
 言うまでもなく、馬を中心とした競馬商品とでも言うべき魅力あるレースであります。その充実強化が必要です。しかし、売上減少によりコストを削減、コストを削減することによって競馬商品の魅力が低下、そして売り上げが減少していくという悪循環スパイラルに陥っているのが現状ではないでしょうか。
 増収・振興策が示されましたが、競馬の基本である馬資源などの強化策はどうなっておりますか。コスト削減と混同してはいけないと思いますが、確認の上、対策をお伺いいたします。
 第5点は、競馬関係者とのきずなであります。すなわち、騎手、調教師、厩務員、馬主といった事業の現場に携わる関係者との意思疎通がなくして改革の実は上がりません。これまでは役所のシステムの中で上意下達の関係であったと思います。改革に当たっては、この点に十分留意し、日常的な意見交換など、関係者一丸となった取り組みを期待しますが、今後の経営姿勢をお尋ねいたします。
 以上をもって登壇しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 亀卦川富夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方分権について、いわゆる時代の見方ということをお尋ねでございます。
 議員の方から、今、情報化やボーダレスとも言える国際化のお話があったわけでございますが、私は、こうしたグローバル化の時代の中で、ローカルの価値がこれからますます高まっていく時代、このように考えております。岩手は、大変豊かな自然に恵まれ、時間、そして空間が非常にゆったりと流れている、そういう中で多くの地域資源を有しております。また、人々の間には、結いの精神というのがしっかりと根づいているという、いわば、これからの時代に合った非常に価値の高い地域である、こういうふうにとらえております。
 この岩手の地には、まだまだ価値あるものが埋もれたり眠ったりしているということがございますので、それぞれ各地域に生活する人々が、改めて地域にある資源となり得るものを見つめ直し、それを再発見し、活用していく取り組みを進めることによって、岩手らしい岩手オリジナルな自然、農林水産物、工芸品、伝統芸能、歴史文化、遺跡などを打ち出すことができる、このように考えておりますし、そうした岩手らしさを観光や産業につなげていくことが、地域の活性化や経済的な自立に結びついていくことになる、このように考えております。
 次に、地方分権に関する所見でありますけれども、私は、地方分権は次の5点が実現されることであると思っております。一つは自己決定・自己責任の原則、二つ目が近接性及び補完性の原理、3点目は国と地方との水平対等関係、4番目が課税自主権、そして5番目が住民参加、この5点が実現されることが、まさしく地方分権が成り立ち、そして地域が自立していくことにつながる、このように考えております。
 それから、三位一体改革につきまして幾つか御懸念の御質問がございました。数字合わせになっているのではないか、あるいは、財政力の脆弱な地域において、果たしてこの改革を進めることがどうかということでのお話でございましたけれども、まず、この三位一体改革の考え方については、この議会でも以前から申し上げているところでございますが、今回のこの補助金の廃止リスト、6団体でまとめたもの、政府の方から3兆円程度の税源移譲という枠をはめられておりますので、1期目においては、その全体像を1期目からつかむというのはなかなか難しいと思っております。2期目も含めた全体の改革ということで考えていかなければならないわけでございまして、昨年の秋に9兆円ほどの補助金廃止リストを提案したわけでございますが、その全体をどのような順番で廃止をしていくか、このようにしてこれをとらえていくべきと思います。
 また、地域間のこの税源の偏在の問題については、当然のことながら、それを是正する措置、そして、最後は財政力の格差を調整する措置をしっかりと組み立てていくということが必要でございまして、これをやはり責任を持って果たしていくのは、この三位一体改革を推進していく政府が、そのことをしっかり念頭に置いて進めていくべきと、このように考えております。
 それから、今回の税源移譲がなされた場合に、県民の負担する税金等がどのように変わるか、こういう御質問でございました。まず、1期目におきまして、所得税から個人住民税の税源移譲について改革案に入っておりますが、これにつきましては、単に国税と地方税との交換があるだけでございますので、租税負担率には全体では変化が生じません。県民の負担は、もちろんこれまでと同じということになるものでございます。
 そして、この補助金が廃止されましても、移譲される税源等を財源として、必要な事業は自治体の責任において継続して実施をされるわけでございまして、この具体的な税源の移譲や地方交付税の確保を含めたしっかりした措置がなされることが大前提になっている、こういうことでございます。
 この三位一体改革の市町村との関係がお尋ねございましたけれども、これは、特にも住民に身近な市町村の機能強化を進める大きな契機にしていかなければならないと考えておりまして、これを三位一体改革で国から地方にいろいろな仕事が移るとき、それを県にとどめるのではなくて、市町村にそれを確実に移譲していく。今現在、市町村合併が一方で進められておりますが、その中で、市町村への権限、財源、そして必要な場合には人材の移譲を強力に進めていきたい、このように考えております。
 市町村への説明でございますが、8月に改革案がまとまった直後に、市長会、町村会の方に説明をしたわけでございます。そして意見交換を行いましたが、さらに、きょうから10月でございますが、今月、10月に予定しております県と市町村との意見交換会においても、現状をお話しして意見交換をしたい、このように考えております。
 それから、岩手県の自立について、こうした分権社会が進んでいく中でどのように図っていくのかということですが、まず、財政を強固にすることが最優先でございますので、地方みずからが自前の産業を育てて、自前の税収を確保する、いわゆる税源を涵養していくということがまず第一にあるかと思います。その上で、地方への税源移譲を進める。そして、我々が課税自主権を強化して、課税自主権により税収を獲得していく。
 これは何度も申し上げておりますが、そうは言っても、税源移譲によって生ずる地域間格差の問題について、いわば交付税等も含めた財源調整機能により、そうしたものを最後は解消した上で、それぞれの地域の自立につなげていく、このような観点が必要かと思います。
 そして、これは常に、いつの時代でもそうでございますが、例えば、本県で行っておりますような行財政構造改革プログラムなどに基づいて、組織体制や事務事業の徹底した見直しによるさらなる歳入確保と歳出削減策についても努力していく必要があると思います。このことは、県内の市町村においても同じことであろうと思います。
 それから、経済・産業基盤の構築についてでございますが、これにつきましては、地域の産業、技術、人材など、地域が持つさまざまな資源を強め、有効に活用していく。そして、原料生産から加工、流通販売に至る経済・産業活動の地域内循環を一層高めていくことが重要でございます。やはり、ここが本筋でございまして、これに精力を費やす必要があると思います。
 構造改革特区や地域再生の制度もございますが、それは、それ自体として一定の効果がありますので、取り組んでまいりますけれども、しかし、やはり本当の意味で地域経済を自立させていくためには、先ほど申し上げましたような本筋のことをしっかりと取り組んでいく、こういう観点は必要かと思います。
 北海道・東北知事サミットについてでございますが、これは9月2日に行われたわけでございますが、そこでは、次世代を担う産業人の人材育成など、地域再生に向けた人づくりをこれから4道県でテーマとして進めていこうということが話し合われました。
 その結果として、北東北の各試験研究機関のネットワークを構築して、研究職員の人事交流を検討したり、それから、地域に根差した熟練技術・技能者などの共同認定、共同のデザイン研修など企業人材の育成支援体制を整備したり、あるいは北東北3県の大学間の単位互換制度の導入や産学官連携を推進する、こんなことを合意事項として決めたわけでございます。
 これからは、こうした取り組みを着実に進めて、自立した地域を目指していきたいと考えております。
 この北東北3県の関係については、今、グランドデザインを作成しているわけでございますが、これについては中間報告の段階でございます。これを来年のサミットまでには最終的な取りまとめを行っていきたい、そして、さらに広域連携を一層推進していきたいと考えております。
 この、いわゆる道州制を初めとした自治の制度でございますが、これについては、私、たびたび担当のところ、それから議会などで申し上げておりますが、やはり制度論を先行させるということではなくて、実績を確実に積み上げていくということが重要であろうかと思います。そして、さらにそうした実績の積み上げの上で、今後のふさわしい制度を考えていくべきでありますが、その際には、国と地方の機能や役割分担ということがしっかりと見直される、こういう必要がございますので、これには時間をかけて十分な議論をしていく必要があると思います。
 それから、北東北3県を宮城や、あるいは東北6県との連携に広げていくべきではないかという話で、私は、この北東北3県だけにとらわれる必要はないという考えを持っておりますが、この北東北3県が今まで積み重ねてきた実績やつながりは、大変重要であると思います。したがって、引き続き3県の連携を進めるとともに、今お話にありましたような宮城県との連携や、あるいはそうした実績を積み上げることによって、さらにはその連携の取り組みを東北全体に進めていくべき、このように考えます。
 それから、道州制についてでございますが、これは、市町村合併が進んでいった場合、都道府県の規模や機能が果たして今のままでいいのだろうかという問題意識は持っております。
 経済社会活動が大変広域化、国際化していく中で、国の権限をもっと住民に身近な自治体に移すべきではないか。それから、市町村に多くの権限を移譲していくわけでございますが、そうした際に、国の圧力を遮断するような役割のところも必要ではないか、さまざまな問題意識がございます。そうしたこと踏まえて、都道府県のあるべき姿についても議論を進める時期に来ていると思いますが、これについて、全国知事会でもそういう組織がございますし、28次地方制度調査会の中でも今議論が始まったところでございますので、そうした動きも見ていきたい。いずれにしても、その議論の前提は、やはり国と地方の機能や役割分担をしっかりと見直す、こういう視点が必要かと考えております。
 県内でも、北東北パートナーシップ岩手フォーラムという組織がスタートいたしましたので、やはり県民の議論を幅広く行う中で、こうした議論を考えていきたいと思います。
 次に、殖産興業ということで何点かお尋ねございましたけれども、本県が有しております産業技術や産業集積、それから、地域地域で特色のある農林水産資源など、そうしたものを生かした産業の振興ということが重要でございます。
 明治以降、お話のように殖産興業、いわばキャッチアップ型の産業政策が我が国で執り行われておりましたが、私は、これを本県に当てはめてみれば、地域資源を生かした、創意工夫による岩手発の産業を創出する、こういう政策となるのではないかと思います。これが、これからの岩手の進むべき道ということで、地場の産業の高付加価値化や独自の技術の創造、それから、すぐれた製品づくり、そういうことを通じて、競争力の高い地域産業を育てていくことが必要と考えております。
 それから、商店街の地盤沈下の関係でございますが、県内の商店街、商業環境の急激な変化や長引く景気低迷の影響もあって、空き店舗も依然として増加をしている大変厳しい状況にあると認識しております。
 一方で、この商店街でございますが、単に商業機能を担うだけではなくて、住民同士の交流の場、それから安心して時間を過ごせるコミュニティー空間としての機能、また、高齢化社会の中で、高齢者にとっての身近な買い物場所として、いわば生活者に優しい、生活者本位のまちづくりを進める上で大きな役割を担っていると認識をしています。
 県内でも、東和町の土澤商店街や、それから盛岡市の大通商店街におけるさまざまな取り組み、前者は生ごみのリサイクル事業をやっていたり、後者の方では地域通貨の取り組みなどがありますが、なかなかこうした商業者のみならず、地域住民、NPOなど、多様な担い手と協働した特色のある取り組みが行われている例も出てきております。全国の商店街活性化の成功例を見ても、こうした協働の取り組みが、これからの生活者本位の商店街づくりに大切な視点である、このように考えております。
 こうしたことから、県では、いわゆるTMOや地域住民・NPOなどとの協働による商店街活性化に向けた取り組みを重点的に支援し、そして、大型店の撤退に伴う空き店舗対策などの課題についても、商業者の主体的な取り組みを支援していきたいと考えています。
 それから、少子化対策でございますが、世界的に見ますと、出生率がだんだん下がってきた後、上昇に転じた幾つかの国の経験を見てみますと、仕事と子育ての両立が可能となるような環境整備が進めば、出生率が回復する可能性がある、そんなことを示唆していると思います。
 そこで、本県でも、いわて子どもプランを策定して少子化対策を進めてまいりましたが、次世代法が成立したこともございますし、地方公共団体、そして事業主に行動計画の策定が義務づけられておりますので、本年度末までに、現在のいわて子どもプランの見直しを行うこととしております。
 また、この推進体制でございますが、庁内の横断的な推進体制として、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策推進会議を設置しております。また、専管組織もつくってございますが、さまざまな課題が多数ございます。そうしたこともございますので、こうした庁内組織のあり方については、今後の検討課題と考えております。
 最後に、岩手競馬について何点かお尋ねございましたが、この岩手競馬の再生に向けまして、先般改正された競馬法で、議員、今お尋ねございましたとおり、競馬の実施に関する事務の委託先として私人が追加をされたわけでございます。
 この法改正の内容を最大限取り入れた場合、競馬主催者は、制度上可能なすべての業務を民間に委託することによって、主催者自身はその組織をスリム化できる一方、民間の資本力やアイデアなどを生かした競馬開催が可能になっていくわけでございます。
 本県の競馬組合の改革は、こうした法改正の趣旨を生かして、民間の活力を最大限競馬事業に取り入れて増収・振興策を考えることとしてございまして、その具体的な内容については、アクションプランで明らかにしてまいりたいと考えております。
 それから、岩手競馬にとりましては、競馬組合はもとより、馬主、調教師、騎手、厩務員、その他すべての関係者・関係団体が一体となって、こうした改革案の精神を共有しながら改革へ努力していかなければならないと考えております。
 組合では、今年度の7月と9月に調騎会や馬主会との意見交換を行っているわけでございますが、今後において、定期的な話し合いを行う協議会を設置して、関係者一体となって岩手競馬の魅力向上に取り組んでまいりたい、このように考えております。
 その他のお尋ねは、関係部長より答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、東北インテリジェント・コスモス構想についてでありますが、岩手県ではこれまで、東北インテリジェント・コスモス構想推進協議会など、本構想推進のため設置されました団体に対し、負担金、出資、出捐などを行ってまいったほか、本県における構想実現のため、東北インテリジェント・コスモス構想推進岩手県協議会を独自に設置し、研究開発の推進、新産業の創出に取り組んでまいりました。
 これまでの主な成果としては、インテリジェント・コスモス研究機構から出資などの支援を受けて、沿岸部でマツカワ、チョウザメ類の種苗生産、販売などが行われておりますほか、岩手大学における自然CGのコンテンツ製作技術など、本県の独創的な研究シーズに対する助成金の交付や産学官関連の講演、セミナーなど、各種事業への支援なども行っております。
 この構想につきましては、平成15年7月に構想推進活動見直しに関する計画を策定し、今後の構想の最重点課題を東北地域における地域内発型の新産業創出・育成を中心とした産業振興としたところでありますが、県におきましても、これを受けまして、夢県土いわて戦略的研究推進事業や戦略的技術開発支援事業などの内発型の科学技術施策、産業施策を推進してきたところであり、北東北エリアはもとより、酸化亜鉛やテラヘルツ分野等における東北大学との産学官連携なども視野に入れながら、今後とも新産業の創出に取り組み、インテリジェント・コスモス構想の実現を図ることとしております。
 次に、新産業創出・育成プロジェクト及び中小企業経営革新プロジェクトについてでありますが、まず、新産業創出・育成プロジェクトについては、大学の知的資源を活用した先端的技術開発や高度な技術分野での起業支援、成長発展可能性のある企業とその商品の事業化支援を行っているほか、地域の資源を生かすコミュニティ・ビジネスの振興などに取り組んでおります。その効果としては、大学発ベンチャー企業8社が創業し、先端的分野の事業化を目指していること、精密金型や健康食品などを商品開発した企業の事業化支援を行い市場化を達成したこと、コミュニティ・ビジネスにつきましては、介護福祉、障害福祉や農家レストランなど、地域の課題をテーマに、女性や高齢者など潜在的な人材の事業意欲を高め、また、初期経費を助成することなどにより、新たに22の事業の立ち上げを支援したことなどであります。
 中小企業経営革新プロジェクトについては、中小企業経営革新支援法による国の支援制度に加え、平成16年度、今年度からは、法が求める要件を緩和いたしました県独自の基準による県版経営革新を推進するため、県単融資制度である経営革新支援資金による支援制度を創設したところであり、いわゆる国の法承認の経営革新計画については、目標件数120件に対し97件の承認を達成したところであります。
 引き続き、いわて産業振興センター、県内7カ所に設置した地域中小企業支援センター及び中小企業団体中央会等の支援機関と連携を図りながら、経営革新制度の利用勧奨に努め、中小企業の経営革新への取り組みを一層支援してまいりたいと考えております。
 次に、工業技術集積支援センターの活動状況についてでありますが、北上川流域に電機機械・機械金属を初めとする多くの企業が集積していること、また、すそ野の広い自動車組み立て工場が東北以北で唯一立地していることが、本県の製造業の大きな強みとして挙げられるところでございます。
 本年4月に設置しましたこの集積支援センターは、こうした本県の強みを生かすため、これらの企業間のマッチングを支援し、多様で厚みのある産業構造の構築を図ることを目的として設置したものであります。
 現在、いわて産業振興センター等の関係機関とともに、自動車産業と電機機械産業等との受発注企業間のコーディネートや企業における工程改善の支援を行っているほか、自動車関連産業の新たな誘致に向け積極的に取り組んでいるところであります。
 その活動の結果、新たに自動車産業へ参入することとなった企業も数えられるところまでになってきており、今後とも、県内企業の自動車産業への参入と新たな企業の誘致に向けまして、一層活動を強化してまいりたいと考えております。
 次に、テクノポリス圏域の産業施策の実績評価と今後の施策展開についてでありますが、当該圏域における具体的な施策展開を図るために策定いたしましたテクノポリス計画など三つの計画がございますが、これらの着実な推進によりまして、本圏域には、電機機械産業を中心に東北地域でも有数の産業集積が図られてきたものと認識しており、その結果として、本圏域の工業出荷額は、全国や他の産業集積地域の平均を大幅に上回るような伸びを達成することができたものと評価しているところであります。
 今後の施策展開につきましては、これまでの施策展開の成果でもある東北地域有数の産業集積や全国的にも先進的な産学官連携を生かして、精密金型加工や新素材加工技術など、本県が優位性を持つ先進的な、または独自の基盤技術力の育成、強化、東北・北海道では唯一の自動車組み立て工場が立地しているなどの地域の優位性を生かした産業の振興、大学等の知的資源の活用や、いわてインキュべーションファンドなどによる投資・株式公開支援など、新産業創出・ベンチャー企業育成による産業集積の活性化などを一層推進し、本県における多様で厚みのある産業構造の構築を図ってまいりたいと考えております。
 次に、情報・知的産業との連携・連結についてでありますが、本県においてもユビキタス社会の象徴的なツールであるインターネットや携帯電話の普及を背景に、だれもがどこでも情報通信を自由にできる時代へ向かっているものと認識しております。
 既に県内の事業所においては、インターネットを活用し、新鮮な食材の紹介・受注から代金回収までをシステム化している事例や、住宅の設計・見積もりから施工管理まで、顧客に直接情報提供する事例など、さまざまなサービスへの取り組みがふえております。今後、さらに多様な産業分野において、情報通信技術を活用した新たなビジネスが展開されるものと期待しております。
 このため、県におきましては、中学、高校など、情報教育を通じた人材の育成や高速通信回線や携帯電話通話エリアの拡大による情報通信インフラの整備、県、市町村など地方自治体間の信頼性、利便性の高い情報ネットワークの構築を推進しているほか、いわゆるユビキタス社会の到来に対応した本県産業の振興を図るため、セキュリティー対策を含めた情報技術活用のための研修や情報技術を活用した民間事業者による生産流通システムの普及、大学との共同研究による新たな通信技術の開発などに取り組んでいるところであります。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) まず、農業振興についてであります。
 地産地消の推進についてのお尋ねでありますが、地産地消の推進につきましては、平成13年度から県民運動として取り組んできた結果、昨年度のアンケートによりますと、県民の約7割が地産地消を認知しているほか、学校給食における県産食材の利用割合は、平成11年度の30%から平成14年度には47.6%と大きく増加しております。
 さらには、地元産原料を利用した加工品開発や地産地消レストラン開設など、生産された素材に付加価値をつけていくさまざまな活動が展開されております。
 今後は、こうした取り組みをさらに加速化させていくとともに、観光施設や飲食業などでの地元産食材の利用拡大などにも取り組み、地域資源を活用した、岩手らしさを具現した産業へと高めていきたいと考えております。
 次に、販路拡大方策についてであります。
 農産物の販路拡大のためには、岩手のファン層を掘り起こし、拡大していくことが重要であります。そのため、産直施設や農業体験施設、農家レストランなどにおける交流を通して、直接本県の農産物に触れる機会の充実に努め、販路の拡大を推進しております。
 今後におきましては、本県農産物の安全・安心というイメージを、他と明確に差別化できるブランドへと高めるとともに、県の内外から評価を得ております素材をそうしたブランドにふさわしい商品へと磨き上げ、それを販路拡大へとつなげていく、そうした取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、農産物の海外輸出についてでありますが、近年、経済成長が著しい中国を初めとした東アジアを視野に入れたとき、本県産の安全・安心な農産物は、質の高い農産物や食品として、消費者に十分受け入れられるものと考えております。そのためには、本県の安全・安心な農産物は、国内では十分通用し得ても、海外ではまだまだ訴求力が不足していることから、ブランド力をさらに高めることが必要になってまいります。一方、巨大な需要にどのように供給するかという問題に対応するためには、例えば、北東北3県が連携して食料供給基地を形成していくということも考えられるところであります。
 このように、積極的に海外に目を向けますと、いろいろな可能性だけでなく、課題が見えてくるところであります。しかし、当面は、このような展望のもとに、千里の道も一歩からという気持ちで、リンゴやリンドウの輸出など実現できることから着実に取り組み、その成果を将来につなげていく取り組みを優先させ、産業振興へとつなげていきたいと考えております。
 次に、岩手県競馬組合の地方債の償還対策についてであります。
 地方債の償還対策としては、議員御提言の資産の流動化対策も一つの有効な手法として検討いたしましたが、現在の組合経営の実情から見て、民間の理解、参画が得られるかといった問題点も洗い出されたことから、引き続き研究課題としていくこととしたものであります。
 今後の改革案におきましては、21億円のコスト削減による改善に加え、事業連携や民間委託の推進、増収・振興策への取り組みにより、地方債の償還が可能となるような事業基盤の確立を先行させてまいりたいと考えております。
 次に、事業連携についてでありますが、岩手競馬は、かつてメイセイオペラやトウホウエンペラーを輩出したことでもわかるとおり、地方競馬の中では育成、調教技術が高く、さらに全国の地方競馬唯一の芝コースを有し、多様なレース編成を行っているとともに、多面的にレース映像を放映するなど、地方競馬ではレースの質やファンサービス面で高い水準にあることから、連携先にとって期待に十分こたえられるものと考えております。仮に佐賀・荒尾競馬との連携を想定した場合、両競馬は通年で開催しており、冬期間の競技開催ができない本県とは補完しあえる関係であるとともに、現在使用しているコンピューターが更新時期を迎え、共同化によるコスト削減が可能であるなど、連携のメリットが大きいと考えております。いずれ、どこと連携するのか、どのような連携の取り組みを進めるのかといった具体的な内容につきましては、アクションプランに盛り込んでまいりたいと考えております。
 次に、馬資源の強化についてであります。
 魅力あるレースづくりのためには、馬資源の確保・強化が重要であることは、かつて岩手競馬から輩出したメイセイオペラや北海道のコスモバルクの実績を見てもわかるとおりであり、十分に認識しているところであります。しかし、言うまでもなく、現在の岩手競馬を取り巻く環境は大変厳しいわけでありまして、関係する機関・団体等が痛みを分かち合いながら、一体となって改革を進めることが必要であると考えております。増収・振興策の一つの柱である、魅力あるレースの提供のため、馬資源の強化をどのように図るかは大きな課題であり、今後、アクションプランを策定していく中で、十分検討してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 商業街の地盤沈下と市街地の空洞化の御質問から、コンパクトシティーのねらいと今後の進め方についてでありますが、県では、本年5月に、コンパクトなまちづくりを今後の都市計画の基本理念の一つとしました岩手県都市計画マスタープランを策定いたしました。そのねらいといたしましては、都市をコンパクトにし、既存施設の有効活用や中心部にさまざまな機能を集めることによって、中心市街地の活性化を図るほか、市街地の無秩序な拡大を抑えることによる都市近郊の緑地や農地の保全、あるいは職場が近くなることによる交通渋滞の緩和、車を利用されない高齢者の皆様にも、優しいまちの実現を目指すものでございます。
 今後の進め方としましては、現在取り組んでおりますマスタープランの周知浸透、まちづくりに重要な役割を担う市町村職員の人材育成のためのいわて都市政策研究会の開催、中心市街地ににぎわいを取り戻すために、NPO等と協働して行っております社会実験など、さまざまな取り組みを継続して実施するとともに、その結果を検証し、より効果的な取り組みとなるように努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 高校再編についてでありますが、まず水沢工業、水沢商業、胆沢高校を統合して工業科、商業科、普通科の併設校とすることについてでありますが、この併設校では、他の学科の学習内容を選択して学ぶことが可能となり、選択の幅が広がることから、生徒の進路希望の多様化や学習ニーズの多様化に一層対応することができます。それぞれの学科は単独の普通高校、単独の専門高校と同じ学科であり、他校と異なるものではありませんが、工業の専門高校で学ぶ場合と比べて大きく異なる点は、専門高校の学科の場合が工業という大枠の中で設置されており、工業を中心に学ぶことになりますが、併設校においては、専門教育のほかに、他の専門教育や普通教育を加味させることが可能となります。それにより、資格取得はもちろんのこと、大学などへの進学指導も強化できるという特色を打ち出すことが可能になると考えております。さらに、3校が統合されることにより7学校規模のより活力のある学校に生まれ変わることから、生徒の希望に応じた多様な教育活動が展開され、部活動や生徒会活動も一層活発化するものと考えております。
 また、他地域との比較について論じておられるわけでございますが、それぞれの地域の既存の学校数、学級数、学科の状況、今後のその地域の中学校卒業予定者数の動向など、これらを見通した結果、あるいは施設整備に要する経費などにより、地域ごとの計画にそれぞれ差異が生じてくるものと考えております。
 次に、工業系の4学科4学級を2学級とすることについてでありますが、専門高校や専門学科は、全県的な視点と産業振興の観点から学科を配置し、通学区域を定めずに志願者を募集しております。特にも、県南部は併設校を含めて工業学科を持つ学校が4校設置されております。入学する生徒も他地区の学校を含め広く学校を選択し、各学科の特色を理解して志願している状況にあります。
 こうした中にあって、新しい併設校における工業教育は、これまでの伝統を継承しながらより特色を持たせ、これからの産業界が求める一層高度で専門性の高い教育内容とすることによって、その要請にこたえてまいりたいと考えております。
 次に、地域に根差した工業高校についてでありますが、地域の特性に配慮しながら、産業界のニーズにおこたえするということができるように、特色のある学習内容が提供可能な学校、学科の設置が必要と考えており、専門性を高め、同時に多様な分野も学ぶことで応用力を培い、地域の産業振興に貢献できる人材の育成に資する学習環境として整備してまいりたいと考えております。
 次に、今後の進め方についてでありますが、計画案の公表後、再度のパブリックコメントや、既に県内全域の11会場での説明会を開催しております。今後も、要請のある地域や団体等に対して個別に説明をするため伺う予定でありますし、また、これらの機会を通じて計画案に対する県民の理解を深め、寄せられた意見などを勘案しながら、予定どおり年内には後期計画として策定してまいりたいと考えております。

〇1番(亀卦川富夫君) 一定の御答弁をいただきありがとうございます。再質問をさせていただきます。
 まず第1点は、地方分権、三位一体改革に関しまして、増田知事は、非常に改革派としての評価が高いのではないかと、大いにこれは岩手県としても頑張っていただきたいわけでありますが、その足元の岩手県、これをまずしっかり固めてそれでやっていかなければならないと、このように思うわけであります。
 その中で、一つは、先ほど以来お話ししておりますが、この三位一体改革ということが正しく我々が理解をして、知事、頑張れと、こういうことにならなければならないと思うわけでありますが、確かに、国税が地方税にかわるとイコールだから問題がないんだと、こういうことは現段階では言えると思いますが、担税力といいますか、経済基盤の確立というのが何としてもなければ、やはり不安というものはぬぐい去れないものがあります。この辺、まずしっかりした内容で進むためにもシミュレーション――制度が変わっておりませんからできないにしても、三位一体改革の真髄を増田知事はよくよくわかっているわけでありますが、シミュレーションはできると思うんです。そういったものを県民に伝えることによって理解を得、足元をしっかり固めることができるのではないか。
 もう一つは、経済基盤の整備でありまして、先ほど以来いろいろお聞きしておりますと、期待の持てるものもかなりあります。そういったことを十分しっかりやっていく、それによって全国的に知事が活躍する、評価が高くなると、このようなことではないかと。ぜひ足元をしっかり固めるためにも、シミュレーションあるいは経済基盤整備についての決意をお伺いいたします。
 それから競馬でございますが、この11月に発表するというアクションプランの中で検討するという答弁が大部分だったと思います。そこで、これは確認しておきますが、民間委託という言葉、これは従来、下請的な感覚の民間委託だったと思うんですが、ここで、法改正で言う委託というものは民間企業の経営参画ができると、こういう観点だと思いますので、まずこの辺を一つ確認して、そうしますと、ただいますぐにはできなくても、そういう経営参画の中で民間の経済力といいますか、投資、そういったものを仰いで、例えば大問題になっております償還、こういったものも資本の移動ということで可能性は出てくると思うんです。そういう意味で、民間委託という本質をひとつしっかり持っていただきたい、その辺をお聞きしたいと思います。
 さて、高校再編でございます。非常に佐藤教育長の答弁はきれいな言葉で飾られて、内容は全くないのではないですか。私は具体的に胆江地区ということでお聞きしました。これは全県的にあるのかもしれませんが、胆江地区の水沢工業をケースにしてお聞きします。
 一つは、先ほど以来の岩手県知事あるいは商工労働観光部長、こういった人たちのこれからの地域の自立、岩手の自立の中で、特に北上川流域などに対する非常に期待、熱い思いがあると思う。数合わせのように考えれば、確かにこの圏域では黒沢尻工業高校とかそういうものがありますね。したがって、そういう広いもので生徒はそこに通えばいいんだと、そういうものからいくと水沢工業は併設校で構わないと、こういう論旨ですね。ところが、併設校というのはそうじゃないんだと、立派な学校なんだと。工業科も立派だと。これから頑張れると。しかし、時代はもっともっと充実しなければならないときに、四つの科目を二つの学科に直してそれで工業高校が立派になると、あるいは工業科がすぐれた学科として生徒に十分期待に沿えるものだと。これ、どこからこういうものが出るのか、私、不思議でしようがない。これはあり得ない。
 それから、恐らくこれは地元といいますか、説明会はあったとしても、本当にこういったものを真剣に取り組んで地元の教育界のみならず、これは経済界、行政を含めて真剣に検討し、そこからこういうことでやりますよというものを県に示すと、こういう方法じゃないかと思う。これ、逆になっているんじゃないですか。
 それで私、手元に取り寄せましたが、この県立高等学校整備計画後期計画案について、地元でどういうふうなやりとりがあったかというと、説明会を行ったということだけですね。これ発表になる前、本年に入って2月4日、水沢公民館、後期マスタープラン地区説明会、一般の方。4月22日、合同庁舎、これは私も参加しましたが、意見を聞く会。これは首長、県議、こういった立場、教育長とか。それから6月9日、同じく地区合同庁舎で意見を聞く会、この3回です。ここではいずれも水沢工業高校はこうなりますという話はひとつも出ていない。そして夏になっていきなり併設校でございますと、こういうことでは地元は納得しないのは、これは常識的な話ではないでしょうか。したがって、胆江管内の市議会あるいは町議会、村議会、相次いで意見書を提出しています。中身は私が言ったのと全く一緒です。これから地区の方々の意見をよく聞くということですが、最後に、本年にはまとめたいと。簡単に言えば説明してそれで終わりという今までのやり方を踏襲するだけではありませんか。この辺お聞きしておきます。

〇知事(増田寛也君) 私の方から三位一体改革の関係をお答え申し上げますが、個人の、その人、当人にとってみれば負担はもちろん変わらないわけで、従前どおりの税金をお支払いいただいて、その相手先が国税の方へ行くのか直接地方団体の方に入るか、この違いだけになるわけですが、今お話がありましたとおり、税源が、人口が少ないとそういう人たちの数が少ないということにつながっていきます。これから国と地方の協議機関の場が開かれるわけですが、そこで具体的なまた話が、今までより前の情報がいろいろ入ってくると思いますので、私どもの方でもどういう影響が出てくるかというのを、さまざま比較検討する上での情報もその中に含まれていると思います。幅広くそうしたことを行った上で、よく地域への影響、そしてそれを地域にとっていい方向に持っていくためにはどのように動いていけばいいのか、それにまた努力をしていきたいと思います。
 それから、当然のことながら経済基盤整備をというか、経済基盤を強固にしていくということは常に不可欠のことでありますので、これには全力を挙げていきたいと思います。
 第2点目、岩手競馬の関係でございますが、これはお話しのとおり、従前の仕組みによる民間委託というよりもはるかに民間自体の裁量権の幅が大きくなる、そういう民間の参画の仕方が可能だということでありますので、より民間のノウハウの活用が得られやすくなると考えております。そこを手がかりにして、できるだけ多くの民間を呼び込むような形で再生につなげていきたいと、こういう考え方で改革案ができ上がっております。これから相手との交渉をいろいろしていくわけでございますが、幅広く民間の協力が得られるように努力していきたいと思います。

〇教育長(佐藤勝君) 議員からお話がありましたこの案をつくるまでの地域との打ち合わせ、あるいは説明会、あるいは意見を聞く会の経過のお話がございましたが、マスタープランというものを、基本的な方向性、基本的な考え方を1月にお示しして、そして案をつくるについてのいろいろお知恵をお借りしたい、あるいは地域の実態の声を聞きたいということで、ほぼ半年かけまして各地域に行って、今お話がありましたようにこちらから説明をしたり、あるいは地域の方々の御意見を伺ったり、それから同時に、地域の市町村長さんや教育長さん、それから県議会の議員の皆様方にもお越しいただいて意見を伺ったということで、今回8月に案を策定しました。もちろん、案を策定する以前のお話でございますから、水沢工業が水沢商業と胆沢高校が一緒になってよりよい教育環境にするという、そういう形ではお示しはしませんでしたけれども、では、この地域の子供たちのために教育環境をどうしたらいいでしょうかということで、私も集まった皆さんに働きかけをし、同時に御意見を伺ったわけでありますが、そういう声を聞きながら、今、案をまとめて、今度はそのつくった案を説明し、これでどうだろうかと。それでまた、地域の皆さんから御意見を伺ったり、あるいは県がまとめ上げた案のその内容について御理解いただくように、あるいはその理由とするところをいろいろ御説明申し上げているということで、何とかこの1月以降、年内には案をまとめて本計画をつくりたいという議会にもお約束しておりますので、そういうスケジュールを変えずに、何とかまた地域の皆さんの声を聞きながらまとめ上げたいと、こういうことで進めていきたいということでございます。

〇1番(亀卦川富夫君) ますますわからなくなってまいりました。
 まず一つは、そうしますと、地域の声を聞いたという中に、地域の方々から水沢工業、商業、こういったものは併設校にした方がいいんだと、こういう声があったというふうに聞こえますが、まずその点を確認します。
 それから、先ほど触れました地域の問題、地域といっても岩手県のこういう地域にはこういうもの、こういう地域にはこういうものと、こういうことだろうと思うんですね。ですから、先ほど黒沢尻工業の例を挙げましたが、黒沢尻工業に行けばいいんだと。したがって、水沢工業はなくしていいんだと、こう私は最初聞いたんですね。併設校というのはそういうことでしょう。差がないんですから。差がないというか、差が多過ぎるわけでございますから、四つを二つに減らすくらいのことですから、多分そういう意味だろうと思います。こういうふうな声が果たして、地域に行ったときにいいというような話はあり得る話ではないんで、今の教育長のお話は、そういった声を聞いてマスタープランとして出しましたと、こう聞こえるわけですが、ここをまず確認しておきます。
 それから、何よりも基準ですね。統合のための基準。水沢工業はこの基準に当てはまらないじゃないですか。まずここをお聞きしたいと思います。

〇教育長(佐藤勝君) 今幾つかありましたが、まず基準という、私ども高等学校の適正配置ということにつきましては、今の子供たちの志望動向であるとか、あるいはもちろん将来の子供の数の減少傾向等を先ににらんでどうするかということを考えているわけでありますが、この基準というのは、マスタープランに基本的な方向として、でき得るならば、今の子供たちの教育環境の中で、いろいろ教育的な観点からある程度の集団が必要ではないかということでお示しして2学級はどうだろうかと、2学級の定員を割るようなところはできればもっと近傍の学校とあわせることができないかどうか、そういう意味の基準ということで、要は、原点に立ち返っての高等学校のありようを今回計画に盛り込もうということでありますので、そういう意味では、逆に言えば聖域がないといいますか、すべて学科の状況も、あるいは学級数の増減も、あるいは学校の統合も、すべて見直しの対象にして臨んだということがあります。
 それから、声がなかったかどうかというお話がございましたが、これは議員も御出席いただいたわけですが、やはりあの胆江地域に新しいタイプの学校が必要である、これは今、江刺地区に総合学科高校があるけれども、これは総合的ないわば専門高校というのができないか、あるいは専門性をもっと高めるような、もっと幅のあるような学校ができないか、そういう声はあの場の中でも出てきた、これはたしか亀卦川議員もおられたと思いますが、そういう声も出てきたということで、当然、これはだからこうだとか、あるいは、だから今度はあれだという、そういうことではなくて、そういう声ももちろんありましたし、それから、あの地域の、これは工業高校のお話が先ほど出ておりますけれども、北上川流域に集積する本県の工業地域、これは胆江地区それから北上地区があります。そこには盛岡工業から黒沢尻工業、そして水沢工業、一関工業、ここには工業系の学校が、もちろん花北青雲もあります。これはどういう学科を、全部重複するような学科ではなくて、それぞれの学科、いろいろ地域の産業と組み合わせするような学科構成にして、子供たちがそこを選べるようにすると、こういう形をとるのがいいのではないかということで、もちろん水沢にありましてはものづくりが基調となっている、それこそ貴重な工業があるんだと、これを忘れずに置いてくれと、こういう声も確かにありましたし、そういうことを反映して我々としては案としてお示ししたということになります。そういう意味では声を聞いたと。これは今そういうことで、県としての私どもの案をお示ししたわけでありますから、今度はそれを練ってどういうふうにするか、それは本計画まで時間がございますから議論しながら、我々としてももう一辺本物を、最終的なものを示したいと思っております。


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