平成19年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成19年10月15日(月)
1開会  午前10時4分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長   藤 原 健 一
  議事調査課長 切 金   精
  議事担当課長 保 原 良 和
  主任主査   菊 池 達 也
  主査     鈴 木 文 彦
  主査     石木田 浩 美
  主査     佐々木 ユ カ
  主査     菊 池 芳 彦
  主査     渡 辺 謙 一
1説明員
  知事     達 増 拓 也
  副知事    竹 内 重 徳 
  出納長    上 村 俊 一
  企画理事   酒 井 俊 巳
  総合政策室長 勝 部   修
  首席政策監  千 葉 茂 樹
  政策推進課
  総括課長   小田島 智 弥
  政策担当課長 岩 間   隆
  経営評価課
  総括課長   高 橋 嘉 行
  政策評価担当課長 保   和 衛

  地域振興部長 藤 尾 善 一
  地域企画室長 望 月 正 彦
  地域振興支援室長 鈴 木 健 夫
  市町村課総括課長 浦 上 哲 朗

  総務部長   川 窪 俊 広
  総務室長   瀬 川   純
  予算調製課
  総括課長   中 村 一 郎

  副出納長兼
  出納局長   平 澤 石 郎
  管理担当課長 小 守 武 義

  監査委員   菊 池 武 利
  監査委員   谷 地 信 子
  監査委員事務局長 小 川 明 彦
  総括監査監  門 口 正 雄
〇藤原議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 委員出席中、菊池勲委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 菊池勲委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員菊池勲君委員長席に着く〕
〇菊池勲年長委員 ただいま紹介されました菊池勲であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に新居田弘文君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した新居田弘文君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました新居田弘文君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました新居田弘文君が委員会室におりますので、本席から当選の告知をいたします。
 新居田委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長新居田弘文君委員長席に着く〕
〇新居田弘文委員長 ただいま、委員各位の御推挙により、決算特別委員長に指名いただいて、大変光栄に存じておる次第でございます。
 委員各位の御協力によって責務を全うしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて、副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に嵯峨壱朗君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した嵯峨壱朗君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました嵯峨壱朗君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました嵯峨壱朗君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 嵯峨副委員長、ごあいさつをお願いいたします。
〇嵯峨壱朗副委員長 ただいま、委員各位の御推挙により、決算特別副委員長に御指名いただき、大変光栄に存じている次第でございます。
 委員長を補佐し、委員会を円滑に運営できるよう、皆様の御協力を心からお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。(拍手)
〇新居田弘文委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算14件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から19日まで、22日及び23日の7日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算14件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月23日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇新居田弘文委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成18年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第14号平成18年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算までの14件を一括議題といたします。
 これより、出納長に決算の総括説明を求めます。
〇上村出納長 それでは、平成18年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしております。
 決算の概況につきましては、便宜、歳入歳出決算説明書等に基づき御説明させていただきます。
 それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。
 1ページの1に決算の状況が書いてありますけれども、岩手県総合計画に掲げる施策の基本的方向に基づき編成されました平成18年度一般会計歳入歳出予算は、当初予算が7、398億6、229万円で、前年度の当初予算に比べまして273億272万円、3.6%の減となりました。また、9月補正予算以降におきまして、災害復旧費や岩手競馬再生推進基金繰出金など335億8、921万円の増額補正が行われました。これに、前年度からの繰越額240億4、497万円余を加えた結果、予算現額は7、974億9、647万円となり、前年度に比べますと153億4、726万円、2.0%の増となったものであります。
 次に、歳入についてでありますけれども、説明書の40ページ及び41ページをお開きください。まず、収入済額は7、766億2、956万円余で、前年度に比べますと83億1、972万円余、1.1%増加し、予算現額に対して97.4%、調定額に対して99.0%となりました。
 また、収入未済額は72億6、694万円余で、前年度に比べまして14億2、215万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは諸収入であります。
 次に、歳出でありますけれども、説明書の48ページ、49ページをお開き願います。支出済額は7、674億6、903万円余で、前年度に比べますと115億6、918万円余、1.5%増加し、予算現額に対する支出済額の割合は96.2%となりました。また、翌年度繰越額は269億9、665万円余で、前年度に比べまして29億5、168万円余増加いたしましたが、この繰越額の主なものは、災害復旧費、土木費及び農林水産業費であります。
 なお、不用額は30億3、077万円余で、前年度に比べまして8億2、639万円余増加いたしました。
 次に、実質収支の状況についてでありますけれども、本説明書の38ページ、39ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入総額は7、766億2、956万円余で、歳出総額は7、674億6、903万円余であり、歳入歳出差引額は91億6、052万円余となったものであります。また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越すべき財源63億3、910万円余を差し引いた実質収支額は28億2、141万円余の黒字となりました。
 次に、一般会計の決算の特色についてでございますが、恐れ入りますけれども、この説明書の1ページにお戻りください。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1に、決算の規模が前年度を上回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、繰入金、地方譲与税、県税などの増加により、前年度を83億1、972万円、1.1%上回り、歳出におきましては、農林水産業費、公債費、民生費などの増加により、前年度を115億6、919万円、1.5%上回ったものであります。
 第2に、基金からの繰入金が増加したことであります。一部不足する財源確保のため、県債管理基金等からの繰り入れを行ったことなどにより、繰入金は462億3、388万円となり、前年度に比べ291億7、373万円、171.0%増加しております。
 第3に、県税収入が増加したことであります。県税は、法人県民税、法人事業税及び個人県民税等の増加などにより、前年度に比べ55億8、092万円、5.1%増加し、平成12年度以来の伸びとなっております。
 第4には、義務的経費、投資的経費がともに減少したことであります。義務的経費は、人件費、扶助費が減少したことなどにより、前年度に比べ29億1、016万円、0.8%減少しております。また、投資的経費は、盛岡駅西口複合施設整備事業の終了等に伴い普通建設事業費が減少したことなどにより、前年度に比べ170億1、231万円、10.6%減少しております。一方、その他の経費は、基金等への繰出金が大幅に増加したことなどから、前年度に比べ314億9、166万円、14.1%増加しております。
 第5に、県債発行額、県債残高がともに減少したことであります。県債発行額は、借換債や地方財政の財源不足対策として発行される臨時財政対策債の減などにより、前年度に比べ91億90万円、6.7%減少しております。また、県債の発行額が県債償還に充てられる公債費の元金償還額を下回ったことから、県債残高は前年度に比べ89億4、199万円、0.6%減少しております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、母子寡婦福祉資金特別会計など10会計の決算について御説明申し上げます。特別会計歳入歳出決算総括表により御説明申し上げますので、今度は、岩手県歳入歳出決算書のほうをお開き願います。その20ページです。
 母子寡婦福祉資金特別会計など10会計の歳入合計額は、23ページに記載されておりますとおり299億5、987万円余であり、収入未済額は18億6、618万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などであります。
 また、歳出合計額は、26ページに記載されておりますとおり256億2、204万円余であり、実質収支は、各会計とも黒字となりました。
 以上で決算の概要説明を終わります。
 なお、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。また、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでありますけれども、会計事務の適正な執行につきましては、今後とも、各部局への指導や適切な出納審査を行うなど、万全を期してまいりたいと思っております。
 よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
〇新居田弘文委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が35分、次に、自由民主クラブが29分、次に、政和・社民クラブが21分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員、無所属及川あつし委員の順に、それぞれ6分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること。この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 これより総括質疑に入ります。民主・県民会議、関根敏伸委員。
   〔関根敏伸委員質問者席に着く〕
〇関根敏伸委員 民主・県民会議の関根敏伸でございます。
 決算委員会におきまして初めての総括質疑をさせていただきます。財政面を中心に質問をさせていただきたいと思っておりますが、平成18年度決算を通じまして、将来に向けた建設的な方向性が見出せますことを期待いたしまして、順次、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、達増知事にお伺いいたします。
 知事は、言うまでもなく4期衆議院議員をお務めになられ、4月の統一地方選挙におきまして、県民の圧倒的な支持をもって岩手の新しいリーダーに就任されたわけであります。いわば国会議員として10年間余り、郷土岩手を、ある意味、外からの視点でとらえられていたというふうに感じておるわけでありますが、今回知事に就任をされ、初めての決算を迎えることとなったわけでありますが、改めて、執行者として、中から見た岩手県あるいは岩手県庁をどのようにごらんになっておられるのでしょうか、知事の所感をお聞かせいただきたいと思います。
 また、あわせまして6月と今回の9月、2度の補正予算を組まれたわけでありますが、政策的予算編成に当たって特に留意された点はどのようなものだったでしょうか。平成18年度決算では、プライマリーバランスは黒字となっているわけでありますが、今後、その均衡の維持と県政の重点課題の解決、この両立に向けたお考えをお聞かせいただきたいと思っております。
〇達増知事 4月30日に岩手県知事に就任いたしまして、今月が終われば知事に就任してから丸々6カ月たつことになりますが、私は、知事就任直後から、県内全市町村長の皆さんとの意見交換や県政懇談会など、さまざまな場面で県民の皆さんの声を広くお聞きする機会を設けてまいりました。
 そうした機会を通じて感じますのは、岩手県の大きな課題である雇用、医師不足の問題などについて、これは国政に携わっていたときにも認識はしておりましたけれども、知事として、現場に立ち、現実を見たとき、問題の大きさをじかに感じ、思っていた以上に深刻な危機であると改めて認識したところでございます。
 また、平成18年度決算や補正予算の編成等を通じまして、この岩手の財政状況は、多額の財源不足が見込まれる一方で、基金残高も減少してきており、厳しさを増していると認識しております。
 私は、こうした現実をしっかり受けとめ、さまざまな角度から検証するとともに、行財政改革を進め、その中で政策の一層の選択と集中を徹底しながら、解決に向けたより効果の高い政策を着実に推進していくことにより、危機を希望に変えていくことができると確信しております。
 そのためには、県としては、県民や企業、NPO、さらには市町村などと目指す姿を共有しながら、県民一人一人が確かな希望を抱ける県土づくりに向け、その組織力を最大限に発揮し、しっかりとかじ取りしていくことが重要であると考えております。
 また、知事といたしましては、ふるさと岩手の地で働くことができるということ、それがこんなに喜び大きいものであるということは、これは予想以上でございました。また、岩手県人、これは県出身者、県在住者、両方の意味でありますけれども、一緒に働く人がみんな岩手の人だということが、これほどいいことかということも、事前に予想していた以上でございまして、一生懸命働いてまいりたいと思っております。
 次に、補正予算編成に関してでありますけれども、当初予算の肉づけといたしまして、6月補正予算や、また今回の9月補正予算を行ったわけでありますけれども、危機を希望に変えていくため、私が選挙のときに訴えましたマニフェストをベースとした二つの戦略と6本の政策の柱を重点的に予算化することといたしまして、厳しい財政環境の中にあっても、プライマリーバランスの均衡に配慮しつつ、必要性・緊急性の高い事業を積極的に予算計上するよう努めたところでございます。
 今後の財政運営に当たりましても、プライマリーバランスの均衡を基本としながら、中長期的に県債残高の縮小に取り組む一方、事務事業の総点検等により、歳出の徹底した見直しを行うとともに、予算編成方法の見直しなども通じて、限られた財源を新しい地域経営の計画に沿って、より優先度の高い政策に集中させ、県民が直面する課題の解決に取り組んでまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございました。改めて危機を希望に変えるという強い決意をお聞かせいただきました。岩手県庁の組織力並びにオール県民力をぜひ駆使していただきまして、岩手県政の推進に当たっていただきたい、このように思うわけであります。
 それでは、具体的な決算内容についてお伺いいたします。
 平成18年度決算の概要は、歳入が7、766億円余、歳出が7、674億円余となり、繰り越しを差し引いた実質収支は28億円余の黒字となっております。歳出規模につきましては前年度を115億円余上回る規模となっているようでありますが、その中身は、競馬組合に対します融資のための基金繰入金の増加などによるものであり、実態は依然として縮小傾向が続いているわけであります。また、義務的経費の割合が48%と、硬直化に歯どめがかかっていない状況にあると見受けられます。
 まず、県としては、平成18年度決算全般についてどのような評価をされているのかお聞きいたします。
 また、財政の縮小傾向、硬直化の流れに対する歯どめ策はあるのか、今後の見通しとあわせてお聞かせ願います。
 続けてまいりたいと思います。
 本年6月に公布されました地方公共団体の財政の健全化に関する法律によりまして、これまで実質1種類のみの財政健全化の判断指標が4種類となりました。詳細については、今後の国の動向を見てからということになろうかと思いますが、実質公債費比率を初め、実質赤字比率、連結実質赤字比率、将来負担比率などの指標を使って、一般会計だけではなくて、公営企業会計、一部事務組合、広域連合、第三セクターなどを連結して、自治体の総合的な財務体質を早期かつ正確にとらえようとするものと理解しております。
 これらの指標は平成19年度決算から公表が義務づけられることとなりますが、この制度導入によります本県の財政運営への影響をどのように見ておられるのでしょうか。本県における課題とあわせましてお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 まず私から、財政の縮小傾向、硬直化の流れに関してお答えいたします。
 本県の財政規模の縮小については、公共事業の減少や少子化や定数削減などに伴う人件費の減少などに加え、地方交付税総額が大きく削減された影響などにより、その縮小傾向が続いております。
 また、過去に国の要請に沿って行ってきた経済対策などに伴い発行した県債の償還が年々増加してきており、また、今後も当分の間、高い水準で推移する見込みでありまして、財政の硬直化も進んでおります。
 今後の見通しについてでありますが、国の平成20年度の概算要求を見ますと、公共事業の3%削減を初め、歳出を抑制する方向が見られ、また、交付税や臨時財政対策債もさらに減少することが見込まれているなど、地方財政を取り巻く状況は非常に厳しいものがあります。
 また、本県の財政収支は、平成20年度以降、単年度で約200億円から300億円の財源不足が見込まれております。こうしたことから、当面財政規模の縮小傾向や硬直的な財政状況が続かざるを得ないと想定されます。
 このため、県としても、事務事業をゼロベースで総点検することや、あらゆる角度からの歳入確保策を講じることなど、収支不足対策に全力を尽くしてまいりますが、国に対しても、地方が自立的な財政運営を行えるよう地方税財政制度の改革、とりわけ地方交付税の充実確保と財源調整機能の強化、地方税の偏在是正などについて、早急に実現するよう強く働きかけてまいりたいと思います。
〇川窪総務部長 決算内容の評価の部分についてでございますが、御指摘のように、平成18年度決算につきましては、競馬基金関係の予算を除きますと、前年度に比較して161億円余の歳出規模の縮小という数字になっております。
 また、収支面でも、実質収支が引き続き黒字とはなっておりますが、その内訳を見ますと、競馬関係を除きましても142億円の基金の取り崩しによる収支対策を行っているということで、引き続き基金の取り崩しに頼る財政構造になっていると評価できると考えております。
 プライマリーバランスが初めて黒字となり、県債残高が減少に向かってはいるものの、残高がまだ多額に上り、そのせいで引き続き多額の公債費が見込まれるということで、財政の硬直化も進みつつあるということでございます。
 総じて申し上げれば、構造的な厳しさが一層増してきておりまして、極めて厳しい財政状況があらわれた決算になっているという認識でございます。
 次に、財政指標等についてでございますが、地方財政健全化法におきましての四つの判断指標が、どのようなレベルになった場合に早期健全化、あるいは再生段階に当たるのかといった基準がまだ示されていないということもございますので、現時点での本県への影響は、まだ見込みがたいところでございますけれども、やはり地方債残高が多いということ、また公債費負担が重く続くという見込みであること、それから、病院事業会計を含めまして、特別会計のほうでもいろいろ将来に向けて気になる点があるというようなことを含めまして、中長期的な視点から財政の健全化に取り組むべく、こうした指標の動向に十分留意してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございました。
 続いてお聞きいたします。県のバランスシートの状況についてお聞きいたします。
 現在の公企業会計は、いわゆる単式簿記、現金主義を原則としているわけであります。しかし、資産やコストの状況に対する情報が欠如することや財務状況のわかりづらさから、住民に対する説明責任が十分行われにくいこと、予算に対する執行や施行に重点が置かれ、検証、評価、見直し、いわゆるPDCAサイクルが働きにくいこと、これらの理由によりまして、国によりますガイドラインが示され、バランスシートや行政コスト計算書などを作成する自治体が出始めております。
 また、県でも平成15年度よりバランスシートを作成し、公表しているわけであります。その中身を見てみますと、いわゆる過去に整備いたしました道路あるいは橋梁、公共施設等の社会資本が、減価償却によって年々減少しております。また一方、負債の増加という傾向が続いておりまして、資産は3兆円を切り、負債比率が53%、このようになっております。この状況に対する県の認識を、まずお伺いいたします。
 次に、行政コストの状況についてお伺いいたします。
 行政コストは、自治体側から見れば、県職員の事務的なサービス、扶助費などという資産に計上されないソフト面での経費であります。また一方、住民から見れば、受益の額ということになろうかと思っております。
 この行政コストも年々減少傾向にあるようですが、この現状に対する県の認識をお伺いいたします。また、両者あわせた岩手県としての特徴的な傾向は何なのか、あわせてお聞かせください。
 そして、言うまでもないわけでありますが、バランスシート自体、これはつくることが目的ではありません。これをいかに読み、よりよい施策に反映させていくのか、このための判断指標としての手段として使われるべきものであります。そういった意味において、県は、今後これをどう有効に活用し、説明責任を果たそうとお考えなのか。また、このバランスシートにより読み取れる今後の県としての政策や施策の方向性をいかにとらえているのか、お聞かせ願いたいと思います。
〇勝部総合政策室長 バランスシートの現状に対する認識についてでございますが、本県におきましては、平成15年度分からバランスシート、それから行政コスト計算書を作成、公表しております。平成16年度分からは、これに連結バランスシートについても加えまして、作成、公表してきているところでございますが、これまでのバランスシートから見た認識といたしましては、平成14年度までのいわゆる総合計画の前半期においては、国の経済対策に呼応して、全国と比較して立ちおくれております本県の社会資本整備を重点的に進めたことによる県債残高の増大、それから、これにより負債が増加した一方で、高速交通網や物流などのネットワークインフラの整備が図られたところでもあります。
 また、平成15年度以降の後半期におきましては、社会経済情勢の変化や本県の厳しい財政状況を踏まえつつ、それまで整備を進めてまいりました社会資本を活用しながら、産業振興を中心としたソフト面の施策を展開するとともに、行財政構造改革プログラムに基づいて投資的経費を抑制したこともあって、総体として有形固定資産が減少したものと認識しているところでございます。
 次に、行政コストの現状に対する認識についてでございますが、行財政構造改革プログラムに基づく職員数の削減等により人的コストが大幅に減少したことなどから、行政コスト全体が減少したところでありまして、行政サービスの質の維持・向上に向けた取り組みとして、NPO等との官民協働や事務事業の見直し・効率化などを推進してきたところであります。
 また、バランスシート、行政コストの両者をあわせた本県の特徴といたしましては、広い県土を有する一方で、人口密度が低いという状況にありますことから、他県に比べまして県民1人当たりの負債及び行政コストが、それぞれ大きくなっている傾向と認識しているところでございます。
 次に、バランスシートの活用による説明責任についてでございますが、このバランスシートの公表によりまして、県民にわかりやすい財政情報の提供に努めてきているところでありますが、国におきましては、新たな地方公会計改革の取り組みとして、現在、公表しているバランスシート、それから行政コスト計算書に加えまして、純資産変動計算書、それから資金収支計算書についても作成、公表を求めてきているところでございます。本県としても、これら合計四つの財務諸表を平成20年度決算を目途に作成、公表することにより、財政運営の一層の透明性を高めていきたいと考えているところでございます。
 また、バランスシートから読み取れる今後の政策、施策の方向性については、各年度のデータを比較いたしますと、民生費と衛生費の占める割合が増加傾向にあります。今後においても、県民の安心な暮らしを守るセーフティネットの充実は極めて重要でございますから、産業振興とあわせまして、優先的・重点的な施策の展開を図っていく必要があると考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございました。新たな改革の指標がこれから示されるということでもあります。今申し上げましたが、やはり、よりわかりやすい資料づくり等によりまして、県民とともに県政の方向性をはかる手段といたしまして、これらの一層の改革、前向きな取り組みをお願いしたいと思っております。
 次に、行財政構造改革関連について、順次お聞きいたします。
 平成15年度から4年にわたって実施されました行財政構造改革プログラムは、膨れる県債残高と伸びない県税収入、三位一体改革の中で不透明な地方交付税や国庫支出金の行方の中にあって、いわば県にとりましても、県民にとりましても大変大きな痛みが伴う改革であった、このように思っております。
 先ごろこの改革の総括が発表されておりましたが、この総括に対する知事の所感をお聞かせいただきたいと思います。
 また、それを受けまして新たに策定が予定されております新改革案、岩手県集中改革プログラム、これは仮称のようでありますが、これをどのような視点で策定しようとしているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇達増知事 行財政構造改革プログラムの総括に対する所感についてでありますが、ことし2月に公表された岩手県行財政構造改革プログラムの4年間の総括においては、地方交付税の大幅な削減に対応し、当初計画を上回る歳出削減等に取り組んだ結果、平成18年度当初予算で初めてプライマリーバランスの均衡を実現したこと、さらに、民間移管や外部委託の推進、指定管理者制度の導入など、官民協働の取り組みを推進してきたこと、市町村への権限移譲や地方振興局の再編などにより、地域における業務完結性の向上などを推進してきたものと承知しております。
 しかしながら、財政面に関しては、この間の社会経済情勢の急速な変化や国の経済対策に呼応した社会資本整備に係る公債費の増加、加えて近年の地方交付税の大幅な削減などにより、本県の財政状況は一層厳しさを増しており、引き続き持続可能な行財政構造の構築のための取り組みを進めていく必要があると認識しております。
 そして、岩手県集中改革プログラム策定の視点についてでありますが、三つの視点を掲げております。一つ目としては、真に地域に必要なことは、地域みずからが決定し、行政のみならず、県民、企業、NPOなど地域の総力を結集して取り組むことができる分権型社会にふさわしい分権型の行政システムの確立を目指すこと、二つ目としては、財源不足など厳しい行財政環境が見込まれる状況においても、将来にわたり安定的なサービスの提供が可能となるような持続可能な行財政構造の構築を目指すこと、三つ目としては、県民本位の視点で業務の構築や事務事業の見直しを進め、県民ニーズを的確にサービスに反映していく、より質の高い県民本位のサービスの提供を目指すこと、これらの三つの視点を改革に取り組む基本的な視点として掲げ、さらなる改革を推進することとしております。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございます。
 続けてお聞きいたします。
 現在の見通しによりますと、来年度から平成22年度まで、制度上可能な県債発行を行ってもなお、毎年200億円から300億円の歳入不足が予測される、このように発表されておりますが、歳入確保策についてお伺いいたします。
 まず、県税の見込みであります。平成18年度は法人県民税、法人事業税、個人県民税などの増加によりまして前年度比55億円余の増、率にして5.1%の伸びとなり、総額1、146億円余となっておりますが、今後の県税の見通しについてお聞きいたします。
 また、東北の秋田、宮城などにおきましては、県独自の施策に対応するための新たな目的税の創設をめぐって大きな議論を呼んでいるようであります。秋田県では、少子化対策や子育て、教育支援を主な目的としているようでありますし、宮城県では、産業振興や将来に予測される地震対策などを主な目的としております。これらにつきましては、いずれも岩手県の重点施策とも共通するものがある、このように見ているわけであります。秋田県では、12月議会に向けた準備を進めていると聞いております。宮城県では、御承知のとおり、先週12日に、附帯意見つきでみやぎ発展税として議決されたようであります。うわさされております自動車関連企業などの誘致に本格的に取り組む準備をしているのかな、このように見受けられるわけであります。
 そこでお聞きしたいと思います。県では、これに先駆ける形で、平成18年に県内の森林環境保全を主な目的といたしまして、いわての森林づくり県民税をつくり、現在2年目にかかっているわけでありますが、この税による現在の事業の状況と県民評価をどのように認識されているのか、お聞かせいただきます。
 また、あわせて、厳しい財政事情等を共通の課題としております地方にとりまして、その自立と重点課題解決に向けた財源の確保という観点から、知事の新税に対する考え方をお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 新税に関する考え方でございますが、いわゆる地方税における独自課税については、地方税法に定める法定外目的税や超過課税として、地域が抱える特定課題に独自に取り組むため、全国的にもさまざまな検討が行われており、本県でも、いわての森林づくり県民税及び産業廃棄物税を導入しているところでございます。
 本格的な地方分権時代を迎え、県民が主権者として受益と負担のあり方を判断していくことは重要な論点の一つであり、地方税における独自課税も一つの選択肢として、今後も各自治体において、議論や検討が行われていくものと認識いたします。
 本県では、現時点ではさらなる独自課税については具体的な検討を行っているものはございませんが、新税に限らず、受益と負担のあり方についての検討は、幅広く進めてまいりたいと考えております。
〇竹内副知事 私からは、森林づくり県民税につきましてお答え申し上げます。
 この森林づくり県民税による事業の現在の状況についてでありますが、いわて環境の森整備事業につきましては、今年度は、計画面積1、500ヘクタールに対して、9月末現在で約750ヘクタールの事業対象森林を確保しております。
 それから、地域の森林整備活動を公募、支援する県民参加の森林づくり促進事業につきましては、今年度は15団体の計画に対して、9月末現在で19団体の事業採択をしております。
 次に、この本税に対する県民の評価についてでございますが、今年度の県民参加の森林づくり促進事業の応募件数、これは、昨年度の15件に対して20件に達しております。事業に対する県民の理解が着実に深まってきているのではないかと認識しております。
 それから、外部有識者等で構成する事業評価委員会からも、所有者が放置している森林の整備に十分効果があること、県民に森林の価値を理解していただく意味で非常に重要であるといった評価をいただいておりまして、その一方で、いわて環境の森整備事業を推進する上で、この事業に市町村を参画させるべきではないか、そういった制度の改善意見、あるいは森林環境学習への支援、広報の充実など、内容のさらなる拡充を図るべきだといった意見をちょうだいしているところでございます。
 今後におきましては、事業評価委員からの意見や県民アンケートなどを通じまして、広く県民の皆様の御意見を伺いながら施策の充実を図り、本県の森林環境の保全に努めてまいりたいと考えております。
〇川窪総務部長 県税収入の見込みに関してでございますけれども、平成18年度決算を今御説明してございますが、その次の平成19年度の県税予算額につきましては、現時点で1、294億円余を見込んでおりまして、これは平成18年度決算見込みに対し148億円余の増となっておりますが、内容的には、個人住民税の税源移譲が実施されるということに伴う制度改正影響というものでございまして、個人県民税を除きますと、対前年伸び率は0.3%程度と見込んでいるところでございます。
 平成20年度以降について申し上げますと、法人二税につきましては、景気の動向にも左右されますため予測が難しいのでございますけれども、できるだけ県内経済の活性化等を通じて、増収につながるように努めていきたいと考えております。
 また、個人県民税におきましては、平成20年度以降は特段の大きな増収等につながる制度改正影響が見当たらないということもございますので、おおむね横ばいでの推移が予想されるのではないかと思っております。
 一方、自動車税と軽油引取税、この2税が岩手では実は大きな税収を占めてございますが、これらの税収が、近年減少傾向が続いているところでございまして、こうしたことを総合的に考えますと、平成20年度以降については、まとまった税収の大幅な伸びを見込むことは難しいのではないかと思いますけれども、少しでも税収の伸びが確保できるような財政運営、また経済運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございました。県税の見込みが本年度で0.3%程度の増の見込み、平成20年以降、やはりなかなか予測が難しいという状況のようであります。
 また、先ほど森林づくり県民税の評価についてお伺いいたしましたし、新税に対しての知事のお考えもお聞かせいただきました。やはり県税の伸びが厳しい中で、新税の評価をしっかりと踏まえながら、今後さまざまな事業に対応するための税のあり方、受益と負担のあり方等、慎重に議論されていただきたいこと、心から望みたいと考えております。
 若干質問を省略いたしまして、次に移りたいと思います。
 行財政構造の徹底した簡素化、効率化を図り、歳出を削減しながら、より高い行政サービスを提供する、こういった難問を解決するためには、経営資源の集中投下により、短期間での効果発現を繰り返していくことが必要と思われます。
 そこでお伺いいたします。政策や予算を選択して集中させる際の基準となるものは何になるのか、お示しいただきたいと思います。
 また、さらに、ここ数年進めてまいりました政策評価を将来に向けてどう修正し、進化させようとしているのか、お聞かせいただきます。
 関連して、予算編成システムについてお聞きいたします。
 県では、2004年から従来の総務部主体の予算編成方式を改め、現場主義に基づく自己責任、自己決定の考え方で部局主体の予算編成システムを採用してまいりましたが、来年度に向けてこの方式の見直しを進めていると聞いております。
 知事の重点政策を推進するための予算特別枠を含め、前知事のもとで進められてきたこの方式をどう評価し、どのような方向に改めようとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 予算編成システムについてでございますが、これまでの予算編成システムについては、各部局の責任を重視し、現場を尊重する、各部局の政策競争のもとで、政策課題の解決に向けて全庁的視点で調整する、こうした考え方は重要なものであり、今後も生かしていくべきと考えております。
 一方で、これまでのシステムについては、財源が縮小する中で、各部局に削減率を提示しての一律削減や部局枠配分方式と全庁調整枠の併存では、全庁的な施策の優先度に応じた予算配分が困難ではないか、また、各部局枠の事業が一律削減に陥っているのではないかといった課題があると認識しております。
 そこで、来年度の予算編成においては、政策的経費については、一律削減や部局予算枠を原則廃止し、政策の重点化を確保する仕組みとしたいと考えており、まずその前段階として、すべての事業について、事務事業の総点検を実施し、既存事業をゼロベースで見直した上で、新しい地域経営の計画に沿った予算要求を出してもらい、知事自身が、政策的経費の全体に目を通して、その調整、決定について判断しながら、全庁的な視点で、政策の優先度等に応じて財源の範囲内で事業を採択していく仕組みとするとしたところでございます。
〇勝部総合政策室長 政策や予算を選択して集中させる際の基準についてでございますが、本県が、厳しい雇用情勢や医療資源の地域偏在、さらには財政状況の逼迫など、さまざまな課題に直面していることを踏まえまして、現在策定を進めております新しい地域経営の計画において、県民の所得と雇用、安心な暮らしを守るということを重点目標として掲げているところでございます。
 この重点目標を達成していくためには、特に、県民所得の向上や雇用環境の改善、地域医療の確保に向けた政策については、重点的・優先的に進めることとしているところでございます。
 また、予算編成に当たっては、重点目標の達成に向けた政策の展開とその効果がきちんと発揮されるよう、実施していく事業の戦略性や有効性、必要性、さらには緊急性などをしっかりと見きわめながら、選択と集中を徹底していく考えでございます。
 次に、政策評価についてでございますが、平成15年度に政策等の評価に関する条例が制定され、この4年間、外部委員により構成される政策評価委員会などの御意見をいただきながら、客観性を確保しながら、より完成度の高い評価となるよう改善に努めてきたところであります。
 現在の政策評価は、総合計画に掲げる228の主要な指標の達成状況を明らかにするなど、翌年度以降の施策の重点化を図るための重要な役割を担っているところでありますが、今後は、県民満足度を高めていくため、政策の質の向上を図るという、より政策形成機能を重視したものにしていくことが、地方分権時代にあっては特に必要になってくると考えているところでございます。
 そのため、これまでの進行管理型評価から進化させまして、政策目標の達成のために今実施している取り組みが本当に効果があるのか、県民の満足度を高めているのかという視点から分析・検証する機能を高めていくことが必要と考えております。
 今後、現在素案をお示ししております新しい地域経営の計画の着実な推進に資するものとなるよう、実施時期や手法、あるいは事務事業評価との関連などについて見直しを行ってまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございました。先ほどの県税収入の予測とも関連するわけでありますが、本当に歳入確保がなかなか難しいという中にあって、やはり選択と集中という考え方をしっかりと根づかせていくための政策評価のあり方、予算編成システムのあり方、本当に大きなものになるのではないかと考えております。
 今の御答弁ですと、客観性を維持しながら完成度の高いものに政策評価を高めていく、効果、県民満足度をしっかりと検証できるようなシステムにしていく、このような御答弁でありました。予算を配分するに当たりましては、今言ったような客観性の高いよるべき基準とあわせて、やはりリーダーであります知事の政治的、政策的な判断の余地を残したもの、この両立をしっかりと盛り込んだような新しい予算編成システムにしていただきますことを御期待申し上げたいと思っております。
 行財政改革の一環といたしまして、官から民、小さな政府という国の流れに呼応する形で指定管理者制度などの導入が図られてまいりまして、民間力、地域力を生かした取り組みがされております。
 そこでお聞きいたしますが、これらの導入によりまして、行政サービスの質や県民満足などが維持されているのでしょうか。また、指定管理者制度の効果、問題点をどのように認識されているのか、お聞かせいただきます。
 また、新しい地域経営計画の素案では、市場化テストについても触れておられます。市場化テスト制度は、公共サービスの実施主体をめぐって官民が競争入札を行い、落札したところが実施する制度となっており、ハローワークや行刑施設警備などがモデル事業として取り上げられ、昨年、公共サービス改革法が成立し、本格実施を迎えるものと理解しておりますが、今後、岩手型市場化テストの導入に向けての考え方と具体的な方向性についてお聞かせください。
〇川窪総務部長 まず、指定管理者制度についてでございますが、指定管理者制度を導入した後の具体的な動きといたしまして、一つは、接遇サービスの向上、新たなサービスを提供したというような施設が30施設ございます。また、開館日の増加や開館時間の延長などの形で利便性の向上を図った施設が22ございます。また、利用料金等の引き下げを行った施設も3施設出てきているというところでございます。
 また、県側の経費削減効果といたしましては、制度導入後の平成18年度の当初契約額と比較いたしまして、単年度で2億8、000万円程度の削減効果額が出てきつつあるという状況にございます。
 今後、制度を導入した49施設中の40の施設におきまして、平成20年度末で一たん指定期間が満了するということがございますので、各施設の所管課におきまして、利用者の満足度やさまざまな御意見等のモニタリングを通じまして、課題の評価・検証を行い、次の指定管理者選定に向けた準備を行っていきたいと考えているところでございます。
〇勝部総合政策室長 岩手型の市場化テストの導入に向けた考え方と具体的な方向性についてでございますが、岩手県集中改革プログラムの素案において、官と民の役割分担をより明確化するとともに、公共サービスの多様な提供主体─民間セクター、NPO、地域住民などでございますが─との協働や連携につきましても、アウトソーシングなどをさらに進めまして、より一層の官と民との協働を深めていくこととしており、その一環として岩手型の市場化テスト導入の検討を進めようとしているものでございます。
 このような観点から、市場化テスト法の基本理念となっております、サービスの不断の見直しを行い、民間事業者の創意と工夫を反映させることにより、より良質かつ低廉な公共サービスを実現する、こういう基本理念を踏まえつつ、本県に合った形での市場化テスト方式のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 具体的な方向性といたしましては、対象となる事務事業や施設等を選定いたしまして、官民競争入札などを行うモデル事業の実施を試行的に行う、あるいは、現在行っている事務事業の総点検の結果をもとに、県の事務事業の内容と標準的な人件費を含めたトータルでのコストを公開いたしまして、民間からの創意工夫等を前提とした提案公募型の協働・アウトソーシングの仕組みなどについても検討してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございました。
 行政改革の本質とは、民でできることは民に任せつつ、限られた財源を有効に活用しながら、政府や行政がやるべきことは、やはり必要最低限のセーフティネットをしっかり準備すること、このように考えております。そういう意味におきまして、行財政構造改革プログラムの遂行と並行する形で、県内の医療や福祉、衣、食、住、教育などの面で、ここ数年間のいわばセーフティネットの維持がどのように図られてきたと県は認識されておられるのか、お聞きいたします。
 また、県民総参加の中で、よりよい地域経営に向けては、当然、県議会としての役割も今まで以上に重要かつ責任を伴ったものになると自覚しているわけであります。県議会では今、新しい県議会の基本条例の策定に向けまして取り組みを始めておりますが、今後、厳しい経営環境の中で、よりよい岩手づくり、希望王国岩手に向けて、県議会が果たしていかなければならない役割や、将来的な議会や議員の権能強化について、知事はどのようなお考えをお持ちでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
〇達増知事 県議会の役割等についてでございますが、首長と議会は住民の直接選挙によって選出され、それぞれが民意を代表する二元代表制として、地方行政における車の両輪のような役割があるものと認識いたします。そのために、両者がバランスのとれた権限と責任のもと、厳しくも協調しながら政策的な議論を進め、県民の負託にこたえていくことが重要であると考えております。そうした中で、岩手県議会は、政務調査費の透明性の確保や議員提案条例の制定など、全国的に見ても、最も積極的に改革に取り組んでいる議会であると認識をしております。
 これからの地方議会は、県民の意見の反映や調整を行う機能、議事機関としての機能、執行機関に対する監視機能、政策立案機能など、真の分権時代に対応した権能の一層の充実強化が求められると同時に、昨年の地方自治法改正に盛り込まれなかった議長への予算執行権の付与など、議会の権限強化につながるよう、今後の法改正に期待しているところでございます。
〇竹内副知事 セーフティネットの維持についてでございますが、このセーフティネットの維持につきましても、これにつながる取り組みは、委員から御指摘のあったとおり、民でできることは民にゆだねるというのが基本であると認識しております。そうした中で、例えば、特に行政の役割が大きいものとして医療分野がございますが、これにつきましては、医師確保対策アクションプランの着実な推進によりまして、全国から集まった臨床研修医の8割が本県にとどまるようになったほか、県外在住の医師の招聘活動などによりまして、これは依然として厳しい状況ではございますが、医師確保に向けた成果が徐々にあらわれてきているところでございます。
 また、教育の分野では、小学校1年生の35人学級の実現や、授業を補助するすこやかサポート非常勤講師の配置など、少人数教育を充実してまいりましたほか、学習定着度状況調査の実施などによりまして、教員の指導力の向上や学力の向上に向けた環境を整えてきたところでございます。
 一方、民間との協働の視点を踏まえた取り組みといたしましては、例えば福祉分野では、結いの精神などを生かしたご近所介護ステーションやモデル介護支援ハウスの設置など、地域住民やNPO、民間団体によるさまざまな取り組みの中で、高齢者や障害者の地域での生活を支援する仕組みづくりを進めてまいりました。
 それから、総合的な雇用対策への取り組み、この雇用対策は衣食住の基礎になる非常に重要な分野でございますが、これも当初の目標を上回る雇用創出を達成するとともに、ジョブカフェいわての設置など、民間企業との協働によって若年者の就業を支援する取り組みを進めまして、雇用の創出に努めてきたところでございます。
 先般公表いたしました新しい地域経営計画におきましても、県民の安全な暮らしを守ることを重点目標として掲げておりまして、セーフティネットの維持に向けた取り組みにつきましては、今後とも行革プログラムの推進とあわせまして、官民の協働あるいは適切な役割分担によって着実に実施してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 それでは、続きまして、県内の市町村の状況についてお伺いをいたします。
 さきにも触れましたとおり、地方公共団体財政健全化法によりまして、来年度から四つの指標の公表がなされ、その比率が一定比率以上になった場合には、財政の早期健全化、または再生に向けた手続が行われることとなります。これらの指標のうち、実質公債費比率につきましては、地方債の同意許可基準の指標といたしまして、既に17年度決算から公表されているところであります。県内には、実質公債費比率が18%を超え、地方債の発行に県知事の許可が必要とされる自治体が15市町村と前年よりふえ、いわば財政悪化に陥っている市町村割合がふえていることになろうかと思いますが、平成18年度の県内市町村の決算の総括と、その評価に対する県の認識をお聞かせください。
 また、あわせて、市町村財政の健全化に向けた県としての支援体制はどのようになっているのか、お示しをいただきたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 県内市町村の平成18年度決算についてでございますが、歳入規模は5、864億円で、対前年度比107億円、1.8%の減となっております。一方、歳出規模は5、717億円でございまして、前年度比151億円、2.6%の減となってございます。この結果、実質収支は全団体で黒字となったものの、基金の取り崩し額などを除いたいわゆる実質単年度収支では18市町村が赤字となりまして、17年度は17市町村でございましたので1団体ふえたということでございますが、そういう状況の中で、18年度末の基金残高は740億円、10年前、平成8年度になるわけですけれども、その3分の2の水準にまで落ち込むなど、依然として基金の取り崩しに頼る厳しい財政運営が続いているものと認識しております。
 財政指標の面では、財政構造の弾力性を示す経常収支比率でございますけれども、前年度0.6ポイント上回る89.8%、それから、実質公債費比率も前年度を0.7ポイント上回る17.8%に悪化するなど、市町村財政の硬直化が一層進んでいるものと考えております。
 それから、各市町村では行財政改革に一生懸命取り組んでおるわけでございますけれども、いわゆるプライマリーバランス、これは3年連続で黒字を維持しまして、この結果、地方債残高は対前年度比で103億円、1.3%減の7、960億円に減少するなど、改善の兆しも見られるところでございます。
 県としての今後の支援体制でございますけれども、県としては、昨年度から市町村が抱える行財政運営上の課題につきまして、共同で解決方策を明らかにしていくといったようなことを目的といたしましたいわて市町村行財政ドックに取り組んでいるところでございまして、この取り組みの中で、できるだけ具体的な処方せんを提示することによりまして、持続可能な行財政運営が確保されるよう、支援してまいりたいと考えております。
 なお、今年度から県北・沿岸振興枠5億円を新設し、融資枠を20億円に拡充した自治振興基金による低利融資、あるいはまた、サマージャンボ宝くじ交付金の活用による市町村振興助成金と県の市町村総合補助金との抱き合わせによる情報通信基盤整備等への助成など、これら財政支援を行ってきているところでございます。
〇関根敏伸委員 まさに市町村が悪戦苦闘しながら行財政改革に取り組んでいるのかなと、こういった姿が浮かぶような評価でございました。実質単年度収支が赤字になっている団体がふえている。ただ、一方、プライマリーバランスの黒字化を維持する状況がふえていると、こういった中にありまして、やはり県の果たす役割というのは大変大きなものがあろうかと考えております。
 今、お話がありました市町村行財政ドックですか、これ、ぜひ具体的な形でお示しをいただく中で、苦しんでおります市町村に対しましてのさまざまな支援をお願いしたいと思うわけであります。
 続けてお伺いをいたします。
 県内市町村では、平成17年度に国から示されました行政改革の推進のための指針に基づきまして、平成21年度まで事務事業の再編整理・統合や民間委託の推進、定数管理の適正化などの具体的な改革に取り組んでいるわけであります。この集中改革プランへの取り組み状況について、どのように県は把握されておられるのでしょうか。経費削減など、具体的な取り組み状況をお聞かせいただきたいと思います。
 そして、あわせまして、いわゆる第1次合併期限内に合併した市町村と合併をしなかった市町村などを比較した場合、特徴的なものは見受けられるのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 市町村の集中改革プランの具体的な取り組み状況についてでございますが、現在、全市町村で策定しておるわけでございますが、まず、職員数につきましては、5年間で1、555人、10.1%の削減、それから、経費節減等による財政効果額としては、5年間で862億円と見込んでおるところでございます。
 18年度までの取り組み状況を見ますと、職員数につきましては911人の減ということで、進捗率が58.6%、それから、経費節減等につきましては278億円の圧縮額ということで、進捗率は32.2%となってございまして、各市町村とも、計画期間内の目標達成に向けて一生懸命取り組んできている状況でございます。
 それから、合併市町12団体、それから非合併市町村23団体とあるわけでございますけれども、これらを比較いたしますと、職員数につきましては、18年度までの実績におきましては、合併市町においては548人の減ということで進捗率が56.3%、それから、非合併市町村におきましては363人の減、進捗率は62.5%ということで、どちらも計画的に削減が進んでおります。
 それから、経費節減の実績でございますが、合併市町も非合併市町村も計画に対して100%以上の進捗率を達成しておりますが、その取り組みの方法には若干差が見られるところでございまして、例えば民間委託の取り組みというのがあるわけでございますが、18年度では合併市町では63.3%と進んでおる一方で、非合併市町村は8%しか進んでいないという状況。それから、削減額に占める人件費の削減の割合は、非合併市町村におきましては、合併市町村を約10ポイントほど上回る36.6%となっておるところでございます。
 それから、投資的経費の面では、合併市町村はこの4年間で23.8%の削減を進めてきておりますけれども、非合併市町村はその倍の48.8%の削減を進めているということでございまして、非合併市町村は厳しい財政状況の中で人件費削減あるいは投資的経費の大幅な削減をせざるを得ないと、そういう傾向があらわれているものと認識いたしておるところでございます。
〇関根敏伸委員 合併市町村、非合併市町村、それぞれの努力の跡が見受けられると考えております。特徴的なものというのはもう少し傾向的に出るのかなと思いましたが、そのような判断上、なかなか下せない状況かなと思って聞いておったわけですが、市町村関係の最後になりますが、これは一般質問でもたびたび取り上げられたわけであります。今のような市町村の状況等々を踏まえまして、市町村合併に向けた県の考え方を、私からも聞かせていただきたいと思っております。
 知事は、答弁の中で、いわゆるよい合併に触れられまして、低いコストで良質な行政サービスが実現できることと、これはよい合併の要件としてとらえております。よい合併は、県としてももっと推進したいという基本的な考え方と理解をしておりますが、改めて、合併推進審議会に諮問された意味合いと審議会に期待をしておりますこと、そして、年度内の審議会の答申を受けた後の県としての動き方についてお聞かせをいただきたいと思います。
〇達増知事 合併新法の期限まで残り2年半となりまして、各市町村では、将来のまちづくりについて、今、まさに真剣に議論していただく時期に来ていると認識しております。そこで、広く住民に議論をしていただくための材料を提供し、地域における議論を喚起するために、二つの項目について市町村合併推進審議会に調査審議を諮問いたしました。
 項目の一つ目は、合併市町村における合併効果の検証についてでありまして、新たな市町村合併を推進する意味からも合併効果を検証し、課題があれば、今後合併を考えている市町村の参考にするため、調査審議していただくものであります。
 二つ目は、合併協議会設置の勧告のあり方についてであり、勧告は、地域の議論を喚起するための制度でありますが、そのあり方については幅広い意見を聞いて考えるべきでありますことから、審議会に諮問したものであります。
 なお、合併協議会設置の勧告については、合併そのものの勧告ではなく、合併すること自体の当否を含めて、合併についての諸課題を協議する合併協議会の設置の勧告であること、そして、今回の諮問は勧告をすることが前提ではなく、勧告をすべきかすべきでないかも含めて、そのあり方を諮問したものでございます。
 審議会においては、市町村の考え方を十分に踏まえた上で全県的な視点で調査審議していただきたいと考えておりますが、審議会における議論をきっかけに、地域においてさまざまな形で合併議論が高まっていくことを期待しております。答申をいただいた後については、その結果を市町村、県民と共有するとともに、よい合併が進むよう、県としても取り組んでまいりたいと思います。
〇関根敏伸委員 残された時間、まさに22年3月まで、21年度中の合併完了が合併新法のぎりぎりの期間かなと思っております。基本的には、自治体財政の基盤強化をして、合併する、しないにかかわらず、安定した行財政のもとで住民サービスを維持できればよいことだと思いますが、このような状況の中で、やはり効率的な行政サービスの実現のための合併の推進というのは、これ一つの方向性かと思っております。限られた時間の中で、自治体の主体性と住民感情に十分配慮されながら、審議会の答申を受けた県の動き方に期待を申し上げたいと思っております。
 続きまして質問をいたします。
 知事は、希望王国岩手づくりの実現に向けまして、二つの戦略として、岩手ソフトパワー戦略と新地域主義戦略を掲げられました。そこで、その一つの柱であります新地域主義戦略についてお聞きをいたします。
 この考え方は、大きく県内の4広域圏とそこに存在をいたします地域コミュニティ、この二つを地域経営の主体に据えようとするものであります。
 そこで、まず、平成17年度に、さまざまな議論の中で、他圏域に先駆ける形で構築をされました県南広域振興局体制を現在どのように評価をされ、問題点、課題をどう整理されておられますでしょうか、お聞かせをいただきます。その上で、他の広域圏に明確な顔、特徴を持たせていくために、どのような方策をとろうとされておられるのでしょうか。
 また、地域コミュニティへの支援を、今後、どのような形で展開されようとしているのか。市町村への分権の推進との関係、さらに、広域化と細分化という、一見、相反するような考え方に、矛盾や課題は存在していないのでしょうか、御見解をお聞かせいただきます。
〇達増知事 新地域主義戦略についてでありますが、まず、県南広域振興局体制についてであります。
 成果といたしましては、第1に、広域振興局ならではの特性を生かすための局独自の経営戦略会議や地域協働委員会制度などにより、広域行政の戦略的な組織運営が一体的かつ効率的になされていること、二つ目、管内9市町村に対し、移譲目標を大きく上回る1、739事務を移譲するとともに、奥州市、西和賀町などに対し、計7名のポイント式一括移譲による職員派遣を実現するなど、市町村優先の行政システムの確立に向けた県南局一体としての取り組みが進められていること、三つ目、各産業分野別からなる産業振興戦略の迅速な策定と、地域の多様な主体との協働連携に基づく県南広域ものづくり戦略会議など、七つの広域的なネットワーク等による積極的な地域経営が進められていること、四つ目、廃棄物処理や社会福祉にかかわる事務などの面で、本庁から37の業務が移譲されたことにより、業務の完結性が向上したことなどが挙げられます。
 一方で、課題としては、一つ、管理運営面での円滑化、効率化、二つ目、本局と総合支局等との役割分担の明確化、三つ目、管内市町とのコミュニケーションの一層の充実、四つ目、広域局としてあるべき今後の組織、人事、予算等の諸制度の検討などが指摘されておりまして、現在、この課題の解決に向けた取り組みを行っているところでございます。
 そして、その他の広域振興圏に明確な顔、特徴を持たせていくための方策についてでございますが、圏域ごとの強み、弱みをしっかりと把握した上で、それぞれの特色を生かすという視点に立ち、固有の地域資源や人材を活用し、地域産業経済基盤の確立に向けた取り組みを進めていくことが必要と認識しております。
 新しい地域経営の計画の中でも、それぞれの広域振興圏の将来像をイメージとして掲げているところでございます。
 具体的な方策といたしましては、まず、各圏域がそれぞれの特色を生かし、地域のあるべき将来像を目指していくために、市町村、地域住民、NPOなど、地域社会の総力を結集する地域経営という考え方に立った仕組みを構築していくこと、その場合において、地域経営の重要なパートナーである市町村との適切な役割分担のもと、実効ある広域行政を展開するため、まずもって、市町村の行財政基盤の強化が不可欠であることから市町村合併の推進や権限移譲などに取り組むこと、さらに、県においては、広域圏全体を俯瞰しながら、現場主義に立脚した完結性の高い広域行政を推進できるための予算を初めとした主要な業務に関する権限を有する広域振興局体制の整備を進めることなどが必要と考えております。
〇藤尾地域振興部長 地域コミュニティは、相互扶助等多面的な機能、役割を担っている住民自治の基礎であるということで、地域づくり活動の主体でもあるということから、地方分権が進展したりあるいはまた広域行政が展開するもとでは、ますますその維持、再生ということが重要な課題になっているということで、県としては、市町村と協力し支援していくこととしております。
 市町村は、これまで、基礎自治体として全般にわたって地域コミュニティの支援に取り組んできているところでございますが、県としては、コミュニティの維持、再生には、地域住民が安心して暮らせるまずは経済基盤が必要だという考え方に立ちまして、新しい地域経営計画に基づきまして、農林水産業を初めとした地域ぐるみの産業振興を図ってまいる考えであります。
 また、これまで、市町村からは地域の活動に手助けをしてくれる人材の派遣、地域を牽引するリーダー育成、地域活性化に熱心に取り組むコミュニティについての情報発信等について、ぜひとも県にやってほしいという要望が寄せられたところでございます。そのため、県といたしましては、人材育成のための草の根コミュニティ大学を開催し、地域の魅力を引き出し、活性化を実践する地域リーダーを養成することとしております。あわせて、地域の活性化のために、自主的に取り組む団体を元気なコミュニティ100選として選定し、他の模範となる事例を県内外に広く情報発信を行って、地域の活性化につなげていきたいと考えております。
 地域コミュニティに対する施策につきましては、今後におきましても、地域コミュニティを元気にすることが市町村及び県全体の元気につながるという認識のもとで、市町村との適切な役割分担のもとで連携しながら、その対策に取り組んでいく考えでございます。
〇関根敏伸委員 それでは、続けてまいりたいと思います。続いて、県民所得の状況についてお伺いをいたします。
 県内県民所得は、平成17年度では、県民1人当たり236万3、000円と、ここ10年間の推移を見ますと、平成12年度をピークに年々減少傾向にあります。また、全国平均との比較も82.1%と、所得面での格差が広がっている実態が明らかになっております。県では、この現状に対してどのような認識をお持ちか、お伺いをいたします。
 あわせて、県民所得の向上策について、具体の数値目標と工程表はどのようにお考えになっているのか。また、産業別の県内総生産目標や、いわゆる企業所得と雇用者報酬などの県民所得の分配見込み、これをどのように考えておられるのか、お聞かせをいただきます。
〇達増知事 県民所得の状況について、まず現状についてでありますが、企業の経常利益については、さきに財務省が公表した年次別法人企業統計調査によれば、我が国の金融・保険業を除いた営利法人の平成18年度の経常利益は54兆3、786億円、対前年度比5.2%の増であり、過去最高を記録したところであります。これに対し、平成17年度の1人当たり国民所得、県民所得でございますが、国民所得は287万8、000円と、対前年度比1.3%の増であるのに対し、岩手県民所得は236万3、000円と、対前年度比0.3%の減と下げどまっていない状況でございます。こうしたことにより、国民所得を100とした場合の岩手県民所得については、平成12年度の89.0から、平成17年度には82.1の水準まで低下しているところであります。
 企業収益と企業所得や雇用者報酬などの総和で求められる県民所得とは単純に関連づけることはできないものではございますけれども、全国ベースでの民間企業全体の業績の伸びの割に国民所得は平成12年度の水準まで回復しておらず、依然、国民の生活は低迷しており、特に本県を含む地方において、その県民所得の水準は深刻であると認識しているところでございます。
 県民所得の向上策についてでありますが、県民所得の低迷については、岩手県が直面する危機の一つであると認識しておりまして、素案として公表した新しい地域経営の計画において、県民所得の向上を重点目標の一つとして掲げました。この目標実現のため、地域に根差し世界に挑む産業の育成や、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立を政策の柱とし、今後4年間に重点的、優先的に取り組むこととしておりますが、具体の工程については、パブリックコメントや各種団体との意見交換などを踏まえながら検討していくものでございます。
 また、県民所得の向上の目標値についてでございますが、これは、さまざまな政策課題が横断的にかかわっているマクロ的な目標であること、国の経済財政政策や地域産業政策などの外的要因が目標値に及ぼす影響が大きいことなどから、素案の段階では具体的な数値目標は定めませんでした。
 一方、県民所得の数値目標について設定したほうがよりわかりやすいとの意見もありますことから、成案化に向けた作業の中で、どのように取り扱っていくのかについてさらに検討してまいりたいと考えております。
 県内総生産目標や県民所得の分配の見込みについてでございますが、産業別の県内総生産の目標や県民所得の分配の見込みについても、ただいま申し上げた理由から、新しい地域経営の計画においては数値目標を設定しておりませんが、ものづくり関連分野における製造品出荷額や農林水産業の産出額など、県民所得の向上に密接に関連する分野について、各政策項目の中で数値目標を設定しております。
 県内総生産の向上のためには、産業全体への牽引が期待される製造業などの第2次産業、県内総生産の中で高いシェアを占める第3次産業の生産額の底上げを図っていくほか、本県の基幹産業である第1次産業の生産性を高めていく必要があると考えております。このため、ものづくり産業の集積促進、食産業や観光産業の振興のほか、農林水産業の産地形成や販路拡大について、今後とも重点的、優先的に取り組んでまいりたいと思います。
 こうした取り組みにより、県内総生産の向上が図られ、結果として、企業所得や雇用者報酬が増加し、県民所得全体が向上していくことが期待されるところでございます。
〇関根敏伸委員 さらなる具体の検討作業をよろしくお願いをしたいと思っております。
 新聞報道によりますと、日本で一番家計の豊かな県は富山県であるそうであります。富山の県民所得は302万円とのことでありますが、家計の平均月収やお小遣いは日本一と、このような報道が載っておりましたが、この背景にありますのは、化学系や金属加工系の企業が集積をしていること、あわせて、農林水産業が融和をしていること、そして、働くことをいとわない県民性と、それを支える日本型家族制度─働くことを家族で支える制度であると、このようなことが書いてあったと認識をしております。ぜひ、知事の目指します県民性と、家族社会での支え合いによります県民所得の向上、豊かな家計、この実現に向けて御努力をいただきたいと思っております。
 引き続き、人口減少問題についてお尋ねをいたします。
 県内の人口の社会的減少は、昨年で6、188人となっております。減少傾向が顕著になっておるわけでありますが、知事は、人口の社会減に歯どめをかけることを、新地域計画の重点目標の一つに掲げております。まず、この現状への認識と原因、背景をどのようにとらえておられるのでしょうか。また、具体的な目標と方策についてはいかにお考えか、お聞かせをいただきます。
〇達増知事 人口の社会減についてでありますが、本県の人口移動を見ますと、県外への転出者がほぼ横ばいで推移している中、県内への転入者の減少が続いていることによって社会減が拡大する傾向にあり、とりわけ、20歳から24歳までの若年層においてその傾向が顕著となっております。このことは、進学等により、首都圏などへ転出した若者が、県内に雇用の場が十分に確保されていないために県内に戻ってきていないといった経済的な要因が大きく影響しているものと考えられます。こうした傾向が続くことは、高齢化の進行に拍車をかけ、経済規模の縮小や社会保障面での負担の増加に加え、中山間地域を中心として地域コミュニティの維持が困難となるなど、憂慮すべき状況であると認識しております。
 このような認識のもと、産業振興施策による雇用創出数を初めとした具体的な目標数値を掲げた上で、新たな雇用の場の創出に向けた取り組みを強力に推進するとともに、安全・安心な生活の確保のためのセーフティネットをしっかりと構築することで、人口の社会減に歯どめをかけていきたいと考えております。
 なお、重点目標の具体的な目標数値の設定については、成案化に向けた作業の中でどのように取り扱っていくのか、さらに検討してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 今の答弁にもありましたが、経済的要因が非常に大きなものであるということでございまして、雇用環境の悪化というものにも触れられております。県内の雇用状況についてお聞かせをいただきたいわけでありますが、県では昨年度いっぱいで総合雇用対策局を廃止し、商工労働観光部内に雇用対策のための人員を配置し、新たな次の展開の雇用対策を進めることになったわけであります。
 県では、雇用対策局が一定の役割を果たし終えたとの判断に基づき、それまでの雇用創出に軸足を置いた取り組みから、現在は雇用環境の改善、雇用の質の改善を図るといったことを目標として雇用行政に取り組まれていると認識をしておりますが、こうした雇用行政のあり方をどのようにとらえておられますでしょうか。そしてまた、まだまだ低い沿岸・県北の有効求人倍率の増加への取り組みと、正社員増加に向けた取り組みをどう進めようとしているのか、今後の見通しとあわせてお示しをいただきます。
〇竹内副知事 雇用行政のあり方についてでございますが、本県の雇用対策につきましては、当時大変厳しくなっていた雇用の情勢を反映いたしまして、平成15年に総合雇用対策局を設置いたしまして、緊急的な雇用対策として、量的充実を主眼に置いた各種の雇用対策を実施してまいりました。その結果、3万6、000人という雇用創出目標を達成いたしまして、有効求人倍率も当時と比べ回復をいたしております。しかしながら、この間、雇用の質という面ではいわゆる非正規雇用、派遣、請負、パート労働者といった低賃金の雇用者が増大する傾向が見られております。こうした状況の中で、御案内のように、平成19年度から商工労働観光部内に雇用対策担当チーム、これは8人で構成をしておりますが、これを設置いたしまして、産業振興と一体となった雇用の創出とあわせて、正規雇用の増加などの質的な改善に取り組んでいくこととしたところでございます。このほか、若年者の就業や障害者の雇用などについても、支援を強化していくことといたしております。
 雇用行政につきましては、その時々の社会経済情勢に対応して、その重点とする取り組み事項や対応組織を柔軟に見直しながら実施していくべきものと考えておりまして、今後においても、そういった考えに立って雇用対策に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、県北・沿岸圏域の雇用対策についてでございますが、これは、昨年11月に策定した県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向に基づきまして、この中にも盛り込んでいる産業振興施策をしっかりと推進することで、雇用を創出してまいりたいと考えております。
 こうした産業振興施策を確実に雇用に結びつけていくため、雇用情勢の厳しい地域に対する国の支援措置や、県北・沿岸圏域向けの県の融資制度を事業主に周知することによって、雇用の増加を強力に支援してまいりたいと考えております。
 中でも、雇用情勢の厳しい県北地域につきましては、ことしの9月から地域雇用開発促進員を配置したところでありまして、県の産業振興センターの県北・沿岸チームと連携をしながら、産業振興施策と雇用対策の一体的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 なお、現在策定中の新しい地域経営の計画におきましては、県北・沿岸地域の求人不足数は、平成18年度は約4、200人だったわけですけれども、これを平成22年度には3、000人までに縮小させるとともに、産業振興施策により、この地域において、平成19年度からの4年間で1、200人以上の雇用を創出するなどの具体的な目標を掲げておりまして、その実現に向けて取り組んでまいります。
 それから、正規雇用の拡大につきましては、各広域振興局に配置している地域雇用相談員の事業所への個別訪問、シンポジウムやフォーラムの開催などによりまして、企業の理解が得られるよう働きかけているところでございます。
 こうした取り組みに加えまして、本年8月には、岩手県雇用対策推進会議を設置いたしましたが、この中で、商工関係団体などの構成メンバーが主体的に正規雇用の創出に向けて取り組んでいただけるよう、話し合いを進めているところでございます。
 また、ことし5月に改正された短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律におきましては、賃金などの待遇面で、差別禁止の対象となるパート労働者の範囲が限定的で実効性が薄いことから、これら全国知事会を通じまして、法的な整備など、必要な取り組みを国に対して要請しているところでございます。
〇関根敏伸委員 まだまだ県内の雇用環境は厳しいものと認識しております。また、あわせて、県内の雇用の多くの部分を占めております地場の中小・零細企業、この経営改善と一体となった推進、取り組みをお願いしたいと思っておりますし、また、県南の一部の地域では、若年者の雇用確保に向けて沿岸・県北へのキャラバンを開始している、このような事例もあると聞いております。地域事情を踏まえた県内一律ではない雇用行政等にも、意を傾けていただきたいと思っております。
 それでは、続きまして社会資本整備の関係について質問をいたします。
 硬直化する財政状況の中にあって、投資的経費、殊にも社会資本整備を進めるための公共事業量の減少が顕著であります。知事は、6月の補正予算を組むに当たりまして、プライマリーバランスの維持を堅持しつつ、発行可能な県債による政策的予算を組み立てられましたのは、この現状に対する配慮でもあったかと認識をしております。ただ、やはり6月現計での公共事業予算は総額951億円でありまして、前年に比較をし102億円、9.7%の減となっております。一方、県内市町村の県に対する要望事項の傾向を見ますと、依然として道路整備などの社会資本の充実を求める声が支配的であると考えております。
 そこでお伺いをするわけでありますが、知事は、地方における公共事業の役割をどのようにとらえておられるのでしょうか。また、増田前知事のもとで進められましたローカルスタンダード基準による道路等の整備について、どのように評価をし、どう進められようとしているのか、お聞きをいたします。
 また、現在、公共事業評価の見直しが進んでいると聞いております。どのような観点から見直しを進めようとしているのでしょうか。
 今後の重点政策との関連性や地域格差を反映した地域修正係数の適用の見直し、これも検討に加わっていると聞いておりますが、具体的にお聞かせをいただきます。そして、これらの見直しによって、事業決定の方向性が今後どのように変わってくるのか、あわせてお示しをいただきたいと思います。
〇達増知事 公共事業の役割についてでありますが、社会資本整備のための公共事業は、県民の安全・安心な暮らしを守り、地域の産業経済活動を支える上で重要な役割を果たしているものと認識しています。また、公共事業による経済効果は、建設業界だけではなく、多くの分野に波及するものであり、雇用の場の確保など、地域経済に及ぼす影響は大きいものと理解をしております。
〇竹内副知事 ローカルスタンダードによる道路の整備についてでございますが、1.5車線的道路整備は、比較的交通量の少ない地域において、2車線にこだわらないで地域の実情に合った道路の整備を、これは地域の皆様方の合意を得て進めようとするもので、1車線改良や急カーブの是正、待避所の設置などを効果的に組み合わせて実施することによりまして、少ない費用で早期に効果を発現しようとするものでございます。県では、平成16年3月に、地域の実情に応じた道づくりの考え方・進め方というのを策定いたしまして、この16年度から1.5車線的道路整備に取り組んでいるところでございます。
 平成16年度に着手した県道江刺室根線の一関市大中斉地区、これは18年度で完了いたしております。それから、19年度には、宮古市の末前地区ほか2地区が完了予定でございます。いずれの地区も、事業着手から3年または4年で、延長2キロメートル区間の隘路を解消いたしまして、少ない費用で早期に整備効果が発現できますことから、比較的交通量の少ない地域におきましては有効な整備手法であると評価しているところでございますので、今後につきましても、地域の実情や利用実態に応じて、地元との合意形成を図りながら1.5車線的道路整備を進めてまいりたいと考えております。
 それから、公共事業評価についてでございますが、この公共事業評価、各事業ごとに必要性、重要性、緊急性、効率性、熟度の5項目の評価項目を点数化したものと、それから、自然環境への対応を合わせた総合評価を行っているものでございます。今回の見直しは、評価項目の中の各種の指標の見直しを行っているものでございまして、対象とする事業は、道路改良事業とそれから街路事業ということになっております。
 道路改築事業につきましては、県の重点施策である製造業や農林水産業等の産業振興の支援、あるいは地域の生活に密着した学校や病院へのアクセス向上などの生活支援、それから、急カーブや急勾配などの道路構造の問題の解消に関する視点、こういった点を重視いたしまして、これらを新たに評価指標に加えるものでございます。
 街路事業につきましては、公共交通の支援や歩行者、自転車交通の安全性の確保等に関する視点を重視しておりまして、これを新たに評価指標に加えるものでありますが、これは主に都市部のDID地区で行われる事業でありますことから、地域修正係数は評価指標には加えていないものでございます。
 この見直しの中では、地域修正係数というものを適用しておりますが、この修正係数は、従来、過疎市町村だけに適用することとしておりました。ところが、先般の市町村合併によりまして、新たに八幡平市、一関市、遠野市、宮古市が過疎地域に指定されました結果、旧市町村単位でカウントいたしますと、過疎市町村が24から30にふえたにもかかわらず、県北・沿岸地域においては野田村や普代村、陸前高田市等が過疎対象外になるなど、地域修正係数適用上のアンバランスを生じることになったことから、今回この係数を見直して、全市町村に適用することとしたものでございます。
 申し上げましたように、産業振興支援や道路構造の問題の解消等を評価指標に位置づけたこと、また、地域修正をすべての市町村に適用することによりまして、事業採択に当たっては、それぞれの地区の必要性、県の重要施策との関連性、重要性及び効率性がより的確に評価され、産業振興や生活支援に資する道路整備が一層推進されるものと考えておりまして、中長期的に見ますと、整備のおくれている県北・沿岸地域については、従前より事業展開が手厚くなると見込んでおります。
〇関根敏伸委員 続きまして、産業振興施策関連についてお伺いをいたします。
 県では、平成18年度に策定をいたしました産業成長戦略によりまして、自動車、半導体、電子部品関連の製造出荷額を、10年後には現在の2割、3、200億円増を目標に、多方面からさまざまな取り組みを実施されております。そのような中にありまして、本年、北上川流域の5市4町で構成をいたします北上川流域産業活性化協議会が、企業立地促進法に基づき作成をいたしました基本計画が国の同意を得ることになりましたことは、さらなる弾みがつくものと大変うれしく思っております。
 今後は、国からの支援とともに、県や市町村にとりましても、空港、道路などのインフラ整備や技術開発支援などに、一層の取り組みが必要になってくるものと思っております。
 そして、この大切なインフラ整備の中には、県や関係機関が中心となって今まで取り組んでまいりました内陸税関基地、いわゆるインランド・デポの設置や、CO2の排出削減にも大きな貢献をすると思われますJR北上操車場跡地を利用した物流集積基地の設置、この実現が大きな課題になってくると思われます。県としても、今まで大きな御努力をいただいておりますことに心から敬意を表しますが、改めて県といたしまして、これらの施設に対します今までの取り組みをどのように把握し、実現に向けた課題をどう整理しておられるのか、お聞きをいたします。
 殊にも、インランド・デポにつきましては、関係機関と企業の理解の中で昨年度の北上市におけます輸出の取扱実績が4、800件、165億円と、当初設置の目安でありましたハードルを大きく超えている実績を積み重ねております。県としても、この機をとらえまして関係機関、殊にも国の財務省あるいは国土交通省などに一層の働きかけをしていく時期とも考えますが、お考えと、この見通しについてお聞かせをいただきます。
〇竹内副知事 インランド・デポについてでございますけれども、内陸税関いわゆるインランド・デポは、国際化に対応した新たな物流体制の整備を図る上で重要な機能の一つでございます。その設置に向けて、これまでは、北上商工会議所が中心となった北上インランド・デポ設置促進協議会によりまして、輸出企業を対象とするアンケート調査やセミナーの開催を行っておりますし、それから、企業訪問による需要開拓を、これも相当一生懸命やってきたわけでございますが、今年度におきましては、この促進協議会の中に戦略戦術会議を設けるなど、内陸通関実績の拡大に向けた取り組みの強化を進めているところでございます。
 こうした中で、北上市における通関実績は、委員御指摘のように確かに量は年々増加しているんですけれども、国関係機関では保税蔵置場における電子申請制度などの導入によりまして、輸出通関手続の簡素化が図られて、既に企業の利便性が向上されていることから、現在ぐらいの量ですと、税関職員の新たな設置は余り必要としないという認識があると聞いております。また、輸出量のみではなく、輸入量の増加も必要になっております。
 県といたしましては、北上インランド・デポ設置促進協議会への参加を通じまして、インランド・デポ設置のメリットの周知を図りまして、利用企業、通関件数、数量の増加を目指しますとともに、ジェトロとのタイアップによるセミナーの開催などによりまして、県内中小企業の海外取引展開の支援や活動の広域化等を進めながら、企業の内陸通関の利用拡大を図りまして、課題の解決に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 それから、北上操車場跡地を活用した物流集積基地の設置でございますが、JR北上操車場跡地を利用した物流集積基地につきましては、昨年、県南地域の企業300社を対象に実施したアンケート調査などを踏まえまして、これまで北上市やJR貨物、自動車関連企業と新たな貨物駅の設置に向けた意見交換を行ってきたところでございます。JR貨物の見解では、現在のところ、新駅の設置は採算性の面から難しい状況にありまして、今後、さらなる取扱貨物の需要の掘り起しが課題と聞いているところでございます。
 県といたしましては、北上貨物駅は、北上地区のみならず、県南広域の産業振興に寄与する物流拠点となるものと期待されておりますことから、地元自治体及び各企業等と連携しながら、JR貨物に対し、今後とも新駅設置について働きかけてまいる考えでございます。
 それから、インランド・デポ設置の関係機関への働きかけについてでございますが、これは、これまで函館税関からいろいろな情報提供や設置に向けた課題についてアドバイスを受けてきたところでありますので、近年の輸出入の実績を踏まえまして、引き続き函館税関への働きかけを行うことが重要だと考えております。
 それから、これまでの活動に加えまして、北上地域に限らないで、近隣市町村へ活動範囲を広域化することによりまして、利用企業、通関件数、数量の増加を図りますとともに、秋田県との物流面での将来的な連携も視野に入れながら、特に若干足りないと言われている輸入量、これをふやしまして、輸出入量の均衡を目指して、一層努力してまいりたいと考えております。
〇新居田弘文委員長 関根委員の質疑の途中でございますが、この際、昼食のため午後1時まで休憩をいたします。
   午前11時57分 休憩
午後1時3分 再開
〇新居田弘文委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇関根敏伸委員 午前中に引き続きまして質問をさせていただきます。
 まず、午前中、産業振興関連に関しまして、インランド・デポと北上のJR操車場跡地を利用した施設への設置促進、この見通し、課題についてお聞きしたところでございます。改めてではございますが、県当局も本当に大きな、必要な施設という認識のもとで御努力いただいておりますことには、心から感謝申し上げたいと思っております。
 御答弁にもありましたとおり、設置に向けての協議会等々が努力を重ねまして、本当に課題解決、一つずつクリアしてきた中で、なかなかこの設置のハードルがどんどん高くなる、あるいはどういったものをクリアしていけば具体的な設置に結びつくのかということがなかなか不明確である、これが恐らく現状ではないかと考えております。
 インランド・デポ設置促進協議会の中でも、そういった中でやや手詰まり感というものが出ているのも現状であるわけでございまして、何とぞ、先ほどの活性化の協議会が国の認定を受けたことを契機といたしまして、さらに県としてのさまざまな御指導、御努力をよろしくお願いしたい、このように申し上げて終わりたいと思っております。
 それでは、続きまして、県立病院等事業会計決算の状況につきましてお伺いいたします。決算、財政的な部分を中心にお聞きさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 平成18年度の決算概要は、最終的に、差し引き損益が9億7、000万円の赤字となっておりまして、累積欠損金も127億円余ということになっております。この背景にありますのは、今さらではございますが、医師の退職等によります診療体制の脆弱化、あるいは平均在院日数の減少、診療報酬の改定や薬価の見直しなど、病院経営そのものを取り巻く環境が大変厳しい、こういった事実があることはよく承知しております。総務省といたしましても、全国の自治体病院の3分の2で約1、600億円の経常損失が出ている現状を踏まえ、数値目標を定めた改革プランの策定に乗り出す方針を示しているようであります。
 しかしながら、やはり民間病院との比較での1病床当たりの高コスト体質が指摘されておりますし、また、一般会計から病院会計への繰り出しが、結果として自治体の財政状況を圧迫しているということになるのだとすれば、経営改善の実現を急がなければならないのは、これは当然のことであります。
 そこでお伺いいたします。地域医療の確保とあわせまして経営改革によります県立病院事業の継続性と安定性、これは、ぜひとも両立していかなければならない課題であるという認識の上に立ちまして、まとめてお聞きしたいと思います。
 まず、一般会計からの繰入金の状況はどうなっているのでしょうか。そのことによります県の財政指標等に与える影響をどのように把握しておられるのか。まず、1点目でございます。
 それから、2点目でございますが、医療局という、いわば地方公営企業法適用による運営メリット、改めてこれをどのようにとらえて今後の経営方針をつくっていこうとされているのでしょうか。経営黒字化、経営の安定化に向けた見通しとあわせましてお伺いいたしたいと思います。
 それから、3点目であります。県民は、地域医療の充実を望んでいます。ただ、一方では、軽度の症状でも地域の中核的病院を受診する、このような傾向が見られるようであります。地域医療の充実を図るという観点から、現在の医師の過酷な勤務状況や経営実態などを十分公開するとともに、多くの中核的病院を有する県立病院にありましては、開業医との連携や機能分担をより一層促進していく必要があると考えるものでありますが、取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
 そして、最後になりますが、現在、医療局では約1、387億円の企業債残高を有していると承知しております。この企業債の発行に際しましては、例えば高度医療機器の導入などを図る際など、先ほど申し上げましたが、地域医療の充実を求める県民の理解をより深める、このような観点から、例えば今、県が推進しておりますが、住民参加型の公募債、いわゆるミニ公募債などの導入を検討してみてはいかがかと考えておりますが、その取り組みの実現性についていかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
〇竹内副知事 2点目以降についてお答えいたします。
 地方公営企業法適用による運営のメリットについてでございますが、まず、その第1は、契約事務の体系化など、事業経営のスピード化であります。次には、予算、人事などの弾力的な執行といった業務の弾力化、さらには、費用対効果を常に意識した経営などの徹底した効率化といったことが図られていることだと認識いたしております。
 次に、黒字経営化への見通しと今後の経営方針についてでございますが、病院経営を取り巻く環境は、今後も診療報酬の大幅な引き上げは期待できないことから、厳しい状況が続くものと考えております。今後とも、現在の病院改革基本プランに盛り込んだ改革を着実に実行いたしますとともに、患者数の減少に対応したさらなる病床規模の適正化、そして医師確保につながる医師の勤務環境の改善、各病院の役割に応じた適正な収益の確保と運営経費の抑制、そういったことに取り組みまして、経営黒字化に向けた努力を、これは徹底していかなければならないと考えております。
 また、現在策定を進めております新しい医療計画との整合性を図りながら、新たな病院経営計画を策定いたしまして、さらなる改革を続けてまいる考えでございます。
 次に、県立病院に関する情報公開と病院連携についてでございますが、開業医との連携や機能分担につきましては、これは、限りある医療資源のもとで地域医療を確保していくためには、これまで以上に開業医や地域の病院とのさらなる連携を図っていく必要があると考えております。
 こうした中で、本年7月、県立中央病院を地域医療支援病院として承認しておりまして、紹介や逆紹介の推進、医療機器の共同利用など、開業医との連携や機能分担を強力に推進しているところでございます。
 それから、県立病院の情報公開についてですが、受診の現状や経営収支の状況、医師不足の状況や勤務医が置かれている過酷な勤務実態、こういったことについて、県立病院運営協議会や市町村の広報紙、県のホームページなど、より多くの広報媒体を通じて、住民の方々の御理解をいただけるよう今後ともさらに努力してまいりたいと考えております。
 住民参加型公募債による企業債の発行についてでございますが、この発行は、地域住民が資金提供者となることによりまして、病院事業への理解や事業参画意識が高まるようなメリットが考えられます。また、地方債の個人消化や資金調達方法の多様化を図る観点からの効果も見込まれると考えます。
 その一方で、住民参加型公募債の発行条件は、一般的に5年償還となっておりまして、償還期間が短くなることから、元利償還の平準化を図ることが難しくなること、償還方法が満期一括を原則とされておりまして、償還時に公債費が増大すること、引受金融機関への手数料や募集に係る経費が発生することなどもございますことから、これらのメリット・デメリットを十分に考慮しながら対応していくことが必要であると考えております。
〇川窪総務部長 1点目の繰入金と財政指標の関係でございますが、平成18年度におきましては、一般会計から病院事業会計に175億円という多額の繰り出しを行っております。
 平成18年度におきましては、主要3基金の残高は減少いたしましたけれども、逆にいいますと、その基金取り崩しを行った結果ということになりますが、この病院事業への繰出金を支出した後におきましても、一般会計の決算収支が黒字となってございますので、平成18年度について言えば、各種財政指標にこの繰出金の財政負担が反映されるというような結果には至っていないところでございますけれども、今後、仮にでございますが、基金が枯渇して、一般会計の収支不足が解消し切れなくなるというような事態が起きましたときには、決算上の赤字が発生いたしまして、実質赤字比率という比率が生じてくるということになります。
 そういった場合の赤字は、もちろん県立病院のみの問題ではございませんけれども、そうした問題の要因の一つとなる可能性がないわけではないということが言えるかと思います。
〇関根敏伸委員 ありがとうございました。
 今後とも、ぜひ経営健全化に向けた多方面からの取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、災害関連についてお伺いいたします。
 まずは、冒頭、先般の台風9号並びに9月17日を中心とした大雨によって被害をこうむられた方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。また、県当局も、その復旧に向け鋭意御努力されておりますことに敬意を表します。今後とも、激甚災害指定に向けた国への働きかけや被災農家などへの支援策、県独自での対応策など、あらゆる角度からのお取り組みをお願い申し上げます。
 そこでお伺いいたします。まず、土木施設と農林水産施設別の災害復旧費並びに農林水産物や生産施設に対する災害対策経費はどうなっておりますでしょうか。それぞれここ数年の傾向についてお知らせください。
 また、近年、地球温暖化の影響とも思われる予測を超えた大雨などが地球規模で発生しております。緊急の災害に対応するための財源として見たとき、県の現在の基金残高の現状をどのように認識されているのかお聞かせください。
 最後に、災害を受けた方々の住宅、生活環境支援のあり方についてでありますが、県議会でも昨年3月、被災者生活再建支援法の見直しを求める意見書を国に提出しております。現在、国会におきまして与野党とも前向きの議論が交わされる予定と期待しておりますが、この法律には、支給要件の基準などさまざまな縛り等々があると理解しております。また、災害救助法などにおいても見直しが必要と考えておりますが、国に対する見直しの方向性をいかに考えているのか、また県独自の見舞金制度などの整備に対しての充実の方向性につきまして、お聞かせいただきたいと思います。
〇竹内副知事 災害復旧費の推移についてでございますが、ここ3年間の決算額の推移を見ますと、前年度からの繰越額を含む普通会計ベースで、平成16年度は56億円、このうち農林水産施設が8億円、土木施設が47億円になっております。平成17年度は44億円、うち農林水産施設が6億円、土木施設が38億円。平成18年度は41億円でございまして、うち農林水産施設が3億円、土木施設が37億円となっておりまして、ここ数年は40億円から50億円台で推移しております。
 それから、農林水産物や生産施設に対する災害対策経費の推移でございますが、災害時の緊急薬剤散布や作物の植え直しに対して県が助成を行う農作物災害復旧対策事業に係る経費につきましては、毎年度、当初予算に計上して災害の発生に機動的に対応することとしておりまして、その決算額は、平成15年度は低温、日照不足等による被害に対して600万円、平成16年度は大きな被害がございませんでゼロ、平成17年度は豪雪被害に対する100万円、平成18年度は、6月の降ひょう被害に対する100万円となっております。
 このほか、平成18年には台風12号及び低気圧被害がありまして、定置網が被災した漁業者、漁協等に対して、定置網復旧支援資金を、これは県単でございますが10億9、000万円余融資したところでございます。
 それから、災害被災者生活支援に関するお尋ねでございますが、被災者の生活を十分に支援するためには、現行の被災者生活再建支援制度、この制度の拡充に向けた見直しが必要であると考えております。
 全国知事会におきましては、本年8月に国に対して、新たに住宅再建費の支給や支給要件緩和等を内容とする被災者生活再建支援制度の見直しに関する緊急要望を行ったところでございます。
 多くの被災者の居住安定のために、住宅の建築や補修などの住宅再建の費用が支給対象となることは、自力再建への意欲を引き出し、地域コミュニティを維持する観点からも極めて重要でありますことから、今後とも、国会の審議を注視しつつ、知事会要望の実現に努めてまいりたいと考えております。
 それから、見舞金制度でございますが、県では、災害が発生した場合、被災世帯数が少ないなど、被災者生活再建支援法の適用対象とならなかった市町村が、支援法に準じて独自に支援金を支給した場合、その都度、交付要領を定めまして、その経費の全額を補助いたしております。
 このほか、見舞金としては、災害救助法及び災害弔慰金の支給等に関する法律の適用基準に満たない場合でも、被災世帯数が基準の半数以上に及んだ災害の被災者に対しまして、市町村が見舞金を支給した場合、その額を県が交付しておりまして、今後とも、これら制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
〇川窪総務部長 災害と基金残高との関係でございますけれども、最近、平成に入って以降の本県の災害復旧費の状況を見ますと、一番多かった年で214億円という年がございました。そのほかの年におきましては、100億円台のこともあれば、数十億円台ということもございました。
 それらの財源につきましては、災害復旧費の場合は特にでございますが、国庫補助金や災害復旧事業債などを活用しておりまして、その結果として、一般財源の所要額としては、平成に入って以降を見ますと、一番多かった年で13億円強という数字が結果としては出ております。
 ただ、これから生じる災害がどのような規模になるのか、また、その場合に災害の復旧費以外にどのような財政需要が当面必要となるかというようなこともございますので、そういった金額のみでなく、できるだけ基金の規模としては、一般論としては多いに越したことがないということでございますけれども、ただ、一方で財源不足対応等の必要もございますので、今の時点でどれだけの基金の規模が明確に災害のために必要かということを申し上げるのは難しいのでございますが、いざというときのために、できる限り基金を残しておきたいということと、いざというときには、さまざまな財源の手当て策を活用しながら、所要財源を確保していきたいという考えを持っているところでございます。
〇新居田弘文委員長 次に、平沼健委員。
   〔平沼健委員質問者席に着く〕
〇平沼健委員 自由民主クラブの平沼健でございます。
 平成18年度決算、あるいは決算を踏まえた今後の施策の展開について、そしてまた、岩手が進むべき姿を念頭に置きながら、順次、総括的に質問をさせていただきます。
 また、さきの関根委員の質疑と若干重複する部分もあろうかと思いますが、あらかじめ御容赦のほどをよろしくお願い申し上げます。
 まず、地方分権改革と振興局体制について伺います。
 地方分権改革は、平成7年の地方分権推進法の制定以来、平成12年の地方分権一括法施行や平成15年からの三位一体改革などにより進められてきました。
 その結果、岩手県では、合併旧法下における市町村合併により、59市町村が35市町村に再編されたところであります。一方、県は、市町村の行財政基盤の強化を図る目的で、権限移譲を行うとともに、県南は広域振興局体制に移行しました。
 そこでお尋ねいたします。これまで九つの広域生活圏であったものを平成18年4月より四つの広域圏、県北、県央、県南、沿岸としたことについて、新知事である達増知事も追認したことになりますが、その判断はいかなるお考えによるものか、まずお伺いいたします。
〇達増知事 4広域圏についての考え方でありますけれども、人口減少、経済のグローバル化などの経済・社会環境の変化の中で、本県においても、それぞれの地域が独自性を高め、自立した特色ある地域として発展する必要があると考えております。
 そのためには、まず、市町村がその行財政基盤を強化し、住民に身近な行政サービスは市町村が担うということとともに、県は、市町村との適切な役割分担の中で、産業振興を中心とする分野について、広域的、専門的な役割を果たすことが求められていると思います。
 広域圏は、こうした県の広域行政の新たな枠組みを産業の類似性や隣県との経済関係を視野に設定したものと認識しておりまして、私としても、この広域振興圏については、地域の競争力や自立性を高める上で最適な枠組みと考えているところでございます。
〇平沼健委員 そこで、現在、県南は県南広域振興局、総合支局、そしてまた行政センターと分割されておりますが、住民側から見た場合、本当に住民の希望する体制とこの体制が言えるのかどうか、それが一つ。
 私は、将来の姿というのは、逆に本庁を強化してすべての振興局を廃止する、そして本庁と市町村を直結するための、これがそういうような形の一つの通過点なのかなという気もしないわけではないんですが、残りの三つの広域圏にも、それぞれ広域振興局あるいは総合支局、行政センターを配して屋上屋化というものを進めようとしているのか、ひとつお伺いいたします。
 続けます。岩手県が提示した合併に関する構想対象市町村の組み合わせで、今後、合併が進めば、現在の35市町村が最終的には14の市町村になります。
 また、将来の姿として道州制が盛んに論じられておりますが、将来の行政を考えたとき、現在の本庁が、いわば岩手地方振興局に位置づけられるということにもなろうかと考えるわけであります。
 将来の行政形態を考えれば、本庁を強化し、現在の地方振興局を廃止し、住民に一番近い市町村に権限と財源と人を移譲し、特色のある地域づくりをさせることが、本来の地方分権のあるべき姿ではないかと考えますが、あわせて御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 本庁強化、振興局廃止等に関してでございますけれども、分権型社会において、自己決定・自己責任による真に自立した地方自治を確立するためには、委員御指摘のとおり、基礎自治体である市町村の充実強化により、各地域の個性を生かし、特色ある地域づくりを進める必要があると考えております。
 その上で、県としては、市町村との適切な役割分担の中で、県は、産業振興を中心に、市町村では解決できない広域的、専門的な課題の解決に取り組むことにより、広域自治体としての責任を果たすことができると考えております。
 さらには、県の重要課題であります県北・沿岸振興の観点から、地域の特性を生かした広域的な産業振興の実効性を確保していくためにも、広域振興局体制が有効であると考えております。
 こうしたことから、できるだけ早期に一広域振興圏一広域振興局体制の整備を進め、それぞれの圏域をフロンティアとして、地域の経済基盤の確立に向け取り組んでまいりたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 県南広域振興局の体制等について御答弁申し上げます。
 県南広域振興局の体制につきましては、合併等に伴う市町の業務体制の効率化の進展などを踏まえながら、県から市町村への権限移譲を進めることによって、基礎自治体である市や町の行財政基盤の強化が図られるまでの間の過渡的なものでございまして、最終的には、広域振興局本局と行政センターから成る体制を目指しているところでございます。
 また、先ほど知事から四つの広域振興圏の考え方で示したとおり、地域の競争力や自立性を高める上で、広域行政の枠組みや4広域振興圏が最適と考えているものでございまして、できるだけ早期に広域振興局体制に移行して、そして業務の完結性を高め、機動的、多様な振興策を展開できるようにしたいと考えてございます。
 なお、残る三つの広域圏における広域振興局体制のあり方につきましては、県南広域振興局体制の成果と課題をしっかりと検証しながら、市町村や県民の方々の意向を十分に踏まえて検討していきたいと考えております。
〇平沼健委員 ありがとうございます。答弁にもありましたとおり、ぜひ、各地域の住民の意向を踏まえて進めていただければと思っております。
 この項の最後で、これまでに旧合併特例法のもとで合併して、やっと体制を整えつつある新しい市町村が、さらに新しい枠組みを示されても、これまでの評価も確実になされていない状況で、すぐにそれに対応できるかどうか疑問です。この次なる合併に対して、県としてどのように支援し、対処していくつもりなのか伺います。
 また、地域住民は、合併すればすべてが現在よりよくなる、すなわちサービスは向上し、負担は下がるというイメージを抱いているのではないでしょうか。
 私見ではありますけれども、合併には、現在の行政サービスの低下をできるだけ防ぎ、負担の増嵩を抑えるための合併もあるわけで、そのところを県民に理解してもらう努力が県としても必要ではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 合併市町においては、合併から2年前後を経過し、新市町のまちづくりに向けて全力を注がれていると認識しております。
 そうした中でも新たな合併に向けた動きも見られ、県としても、よい合併に向けた協議が円滑に行われるよう、市町村総合補助金の特別枠による優先支援、合併協議会に対する人的派遣、新市基本計画策定のための重点的支援など、市町村合併支援プランに基づき、最大限の支援をしてまいりたいと思います。
 次に、合併時における行政サービスの考え方についてでありますが、合併前の市町村間では、住民サービスの水準が異なっていることが多く、その水準は、合併前の市町村の間で話し合って決めていただくのが基本でございますが、特に、合併を契機に一部地域のサービスが全域に広がるなど、周辺の町村部にとっては、行政サービスの充実に取り組まれていると理解しておりまして、例えば、宮古市において、保育料を3旧市町村で一番安い旧新里村の水準に引き下げたこと、遠野市において、ケーブルテレビを旧宮守村に拡張したことなどが挙げられると思います。
 ただし、委員御指摘のとおり、住民には、合併ですべてのサービスがアップするかのような過剰な期待感もあると思われ、一部のサービスについては、受益と負担の適正化の観点からの見直しも当然にあると思います。
 また、合併しなければサービス水準が下がる、あるいは住民負担がふえる見込みであったものが、合併したことでサービス水準を維持できている、または住民負担の増加を抑えている例もあり、表にあらわれにくいのですけれども、合併の効果の一つと考えております。
〇平沼健委員 ありがとうございます。
 続いて、また市町村についてお尋ねいたします。
 市町村の集中改革プランについて伺います。
 県内市町村が2005年から2009年度の期間を設定して集中改革プランに取り組んでおります。2006年度までの2年間で、県内全体での経費節減による財政効果実績は277億5、100万円で、計画値、これは2009年度末なんですが、861億6、900万円に対して32.2%の進捗率、2005年から2006年度達成率が117%で35市町村中31市町村で目標を達成し、おおむね順調のようでありますが、その手法は、人件費削減や未利用財産売却及び投資的経費の削減で対応されている事実があります。
 行政コストを削減することは非常に大切なことでありますが、投資的経費を大幅に毎年削減することは、建設業者等を弱体化させることのみならず、地域の自治体への税収が低下し、ますます悪循環に陥っていくばかりではないかと憂慮されますが、県として、この集中改革プランの後半3年間をどのように指導し、支援していくのかお伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 市町村の集中改革プランに対する支援の考え方でございますけれども、地方分権改革に対応した行政システムの確立、少子・高齢化社会における質の高い住民サービスの提供、さらには、確かな地域経済基盤の構築を推進していくということのためには、将来に向かって持続可能な行財政運営が前提となります。そのための手段の一つとして、この集中改革プランに基づく行財政改革を積極的に推進していくということが重要であるわけでございます。
 各市町村におきましても、そのような重要性を十分に認識しているところでございまして、投資的経費の見直しも含めまして行財政改革にどのように取り組んでいくかということにつきましては、各市町村が、主体的かつ自主的に考えて取り組んでいくべきものでございます。
 また、地方公共団体の財政健全化法の施行に伴いまして、市町村では徹底した情報公開の推進によって、その透明度を高めていくといったようなことが求められてございます。
 このため、県としては、今後ともこの計画の着実な実行ができますように、いわて市町村行財政ドックに取り組みますとともに、各市町村の集中改革プランの取り組み状況についてフォローアップを行って、それから、比較可能な団体同士の比較可能な形での情報といったようなものを提供するなど、引き続き重要な助言に努めていきたいと考えております。
 なお、投資的経費の見直しによる経費の削減を集中改革プランに掲げておりますのは12市町村でございますけれども、大規模建設事業等につきましては、中長期的な観点から計画的な整備が図られるよう助言しているところでございます。
〇平沼健委員 ありがとうございます。
 次に、大きなくくりで3番目でございます、県北・沿岸振興についてお尋ねいたします。
 平成18年から四つの広域振興圏を設定しました。中でも、県政の最重要課題である県北・沿岸圏域の振興に特に力を入れるために、副知事を本部長とする県北・沿岸振興本部を立ち上げ、各市町村や産業関係者との意見交換を重ね、また、県議会県北・沿岸振興議員連盟の提言等をもとに、昨年11月、基本方向を策定し、圏域内それぞれの産業戦略を明らかにし、取り組み工程表をもとに取り組んでいるところでございます。
 また、今年度に入って、その実績・結果を4月12日及び7月18日付で詳細に分析し、事業概要、今後の取り組みを工程表として発表されました。
 しかしながら、各事業の大半は、従来から県の各部局の事業として位置づけられ、毎年目先を変えて実施されてきた事業が、県北・沿岸振興本部へ集約したように感じられるのですが、いかがでしょうか。
 続けます。また、この事業内容は、県内各市町村が従来から、県の支援を受けて実施してきているものや事業補助してきたもの、あるいは市町村の事業に県がただ単に参加したものが多く見られます。したがって、県民、特に県北・沿岸住民には、県が声高に大きく唱えている県北・沿岸振興という実態が見えず、肌で感じられなく、言葉だけがひとり歩きしているようにしか思われませんが、御所見をお伺いいたします。
〇竹内副知事 昨年度策定いたしました県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向は、これは、なぜこれまでの県北・沿岸振興の取り組みが成果を得られなかったのかを徹底的に検証しながら、また、地域での意見交換等で寄せられた意見を十分に尊重して策定を行ったものであります。
 そうした経過を経て、地域産業を支える農林水産業の振興を土台としつつ、食産業、ものづくり産業及び総合産業としての観光を取り組みの柱として、これまでにない分野を越えた総合的な産業戦略を組み立てたものでございます。
 これまでは各分野で個別に展開していた取り組みが主であったわけですが、例えば、農業の産地形成を食産業クラスターの構築につなげ、さらには観光資源としても活用するなど、それぞれの取り組みを相互に有機的に関連させながら最大の効果を発揮できるように、地域と協働しながら取り組むこととしておりまして、加えて、明らかな成果を得るため、各取り組みごとに工程表を策定、公表いたしまして、その実現に全力を傾けようとするものでございます。
 このように、今回の県北・沿岸振興は、従来とは異なる総合的かつ戦略的な取り組みであると考えております。
 次に、事業の内容についてでございますが、基本方向の取り組み工程表における事業は、市町村長との個別の意見交換を踏まえて取りまとめまして、県北・沿岸振興のために、県と市町村、そして地域の産業関係者等が協働して、緊急かつ重点的に実施していこうとするものでございます。
 産業振興は、県だけ、あるいは市町村だけでは達成できるものではなく、県、市町村、そして民間事業者などの各主体が、それぞれの役割分担を明確にして取り組むことが必要でありますことから、取り組み工程表に基づいて、事業主体やサポーターなどを明確にして、各地域に設置した地域産業戦略会議で進行管理を行っているところでございます。
 これからも、県北・沿岸振興の成果を実感していただけるよう、地域の方々と協働して、より一層取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇平沼健委員 ありがとうございます。
 この県北・沿岸、続いて二つ連続してお尋ねいたします。
 県北・沿岸振興は、過去数次にわたりさまざまな計画が策定されましたが、結果に結びつかない状態だったと思います。各市町村それぞれが、自分の地域の課題は十分認識し、これまでにも繰り返し訴えてきております。しかしながら、それが進まなかったのは、財源問題の解決ができないからなのです。
 今回こそ、県北・沿岸振興対策には、県南・県央部の県民の皆様の御理解をいただき、特別枠としての財源を手当てし、県北・沿岸各市町村のそれぞれに優先課題から取り組ませることが必要だと考えますが、御所見を伺います。
 続けます。幸いにも知事は、予算編成の基本方針としている部局枠予算編成方式を2008年度当初予算編成から廃止し、今後は、全庁的な視点で優先順位をつけ、予算配分を知事が最終判断する方式へ転換することになりました。
 県北・沿岸振興本部が、これまでに各市町村から聞き取り調査した多くの要望項目の中で共通した優先課題は、道路整備等の公共事業への期待感であります。
 知事が市町村に足を運び地域要望を受けたわけですが、同様に、道路整備問題が、特に県北・沿岸市町村の最優先課題だったと思いますが、いかがでしょうか。
 県の公共事業のここ10年間の推移を見ますと、平成10年度3、180億円だったものが、年々減り続け、平成18年度は1、080億円と3分の1に減少しておりますが、真に県北・沿岸振興を最優先課題としてとらえている知事には、英断を持って毎年の公共事業費の中の5ないし10%、平成18年度で見ますと50億円から100億円を特別枠として財源確保し、県民が肌で感じる県北・沿岸振興策とすべきと考えますが、御所見を伺います。
〇達増知事 県北・沿岸振興、公共事業費等の特別枠についてでございますが、まず、私は、知事就任後、市町村長の皆さん方との意見交換をということで、まず真っ先に宮古にお邪魔いたしまして、県北・沿岸圏域の市町村長の皆さんとの意見交換を行ったところでありまして、また、7月から9月にかけ、市町村要望ということで、現地に出向いて要望を承ったところでございます。
 寄せられた主な意見、要望としては、企業誘致支援、営農指導体制の強化とともに、産業振興に係る道路・港湾のインフラ整備などがあったところでございます。
 県北・沿岸圏域においては、高速交通ネットワークがまだまだ未完成であり、これが物流機能の面で弱点になっていることは確かであると認識しております。
 そのために、一定の財源を特別枠として確保するというよりも、三陸縦貫自動車道や宮古盛岡横断道路の整備など、産業の根幹にかかわる主要な道路については、今後の予算編成に当たって、県北・沿岸振興に資する事業の推進という視点を十分に踏まえて、重点化を図ってまいりたいと思います。
〇竹内副知事 県北・沿岸振興に関する市町村への財政面での支援策のお尋ねでございましたが、御案内のように、本県の行財政を取り巻く環境は大変厳しい状況でございまして、人材も含めた限られた経営資源の中で、政策の一層の選択と集中を徹底する必要があるものと認識いたしております。
 そうした中で、県北・沿岸圏域の市町村に対する財政面での特別な支援策として、一つは、市町村総合補助金におけるハード事業に対する補助率のかさ上げ、それから自治振興基金における市町村への特別貸付枠の創設などを措置して、市町村支援を強化いたしております。
 また、民間事業者への支援策としても、県北・沿岸地域中小企業振興特別資金貸付金制度を創設したほか、県北沿岸地域起業化支援事業費の計上などを行っているところでございます。
 このような施策を通じて、今後も県北・沿岸圏域に対する財政面での必要な手当てを展開してまいりたいと考えております。
〇平沼健委員 ありがとうございます。今後の予算編成に大いに期待させていただきます。
 次に、4番目として、新しい地域経営計画についてお尋ねいたします。
 現在、本県では、平成11年度から平成22年度までを計画期間とする岩手県総合計画に沿って政策が推進されております。しかし、この間、雇用情勢や医療の地域偏在、医師不足問題、人口減少等、地域経済や県民生活を取り巻く環境も大きく変化したこと、達増知事による新体制となったことなどもあり、今般、最終年度の平成22年度までの4年間を、新しい地域経営計画として示されたところです。その基本的な考え方は、県民の所得と雇用、安心な暮らしを守るとし、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出の歯どめ、地域医療の確保を重点目標としております。
 都会と地方の所得格差が拡大し、雇用環境にも地域により大きな格差があり、仕事を求めて特に若者の転出がふえ続け、医師の偏在による地域医療にも大きな問題が生じている現在、この新しい地域経営計画を推し進めることが県土の均衡ある発展と県民の幸せになるものと思いますが、この計画は、社会情勢の変化もさることながら、前期計画の実績等をどのように踏まえ、反映させようとしているのか、お伺いいたします。
〇勝部総合政策室長 岩手県総合計画の前期計画につきましては、自立・参画・創造を理念とする総合計画基本構想の実効性を確保するために、五つの社会、17の施策のもとに343の主要な事業を体系的に位置づけて取り組んできたものでございます。
 その結果、新幹線や高速道路などの高速交通網の着実な整備による交流の促進、自動車関連産業の集積など、ものづくりの分野におきまして成果が見られたものの、一方で、医師の地域偏在とか特定診療科の医師不足の深刻化の問題のほか、県北・沿岸圏域にあっては、有効求人倍率の低迷が続きまして、働く場の確保が深刻な課題となっており、産業振興による地域経済の活性化が必要なことなど、残された課題もあると認識しているところでございます。
 こうした前期計画の実績や課題とともに、ただいま委員御指摘の社会経済情勢の変化なども十分に踏まえまして、県民の所得や雇用、安心な暮らしを守るという重点目標を実現するため、今般お示しした新しい地域経営の計画におきまして、今後4年間で重点的・優先的に取り組む項目を盛り込んでいるものでございます。
〇平沼健委員 ありがとうございます。ちょっと質問が多いものですから先を急がせてください。
 5番目として、財政問題について伺います。
 現在、国と地方合わせて750兆円を超える長期公債残高を抱えていると言われております。
 本県では、平成15年に岩手県行財政構造改革プログラムを策定し改革を進めてきましたが、地方交付税の大幅な削減や経済対策に伴う県債発行等の償還が今後も続くことから、平成20年度以降も、各年度200ないし300億円の歳入・歳出ギャップが想定されております。
 さらには、岩手競馬への貸し付けにより主要3基金も大きく減少しており、今後ますます歳入確保、歳出削減策を確実に実行していく必要があります。
 平成18年度一般会計決算の歳入について見ていきますと、県税が50億円程度ふえ、自主財源比率が38.9%と低いながらも、平成17年度比プラス3.8%となっております。
 そこでお伺いいたしますが、国の三位一体改革による各都道府県の歳入の地域間格差はどのように変化しているのか。
 また、2番目に、地方交付税改革がなされて3年目でございますけれども、県内各市町村への影響についてお伺いいたします。
〇川窪総務部長 三位一体改革におきましては、地方と都市部との地域間格差が大きく拡大するというような結果が出ていると感じております。
 具体的には、国から地方への補助金が4.7兆円減少した一方で、国から地方への税源移譲が3兆円行われておりますが、これに加えまして、交付税と臨時財政対策債を合わせて5.1兆円縮小しているという部分が非常に大きな影響を与えております。
 また、一方で、近年、法人関係税などを中心に地方税収が増加しているということもございまして、結果といたしまして、歳入に占める地方税の割合が小さくて交付税への依存度が高い地方部におきまして、大幅な財源の縮小が生じているという反面で、地方税中心の歳入構造となっている地域、中でも不交付団体におきましては、交付税削減の影響を受けずに、地方税収の増加による財源の拡大というものが見られておりますので、その結果として、地方の財政力格差が大きく拡大してきているという状況がございます。
 こういった事情をもう少し具体的に数字で検証したいという作業を今進めておりまして、またそういった数字が出ましたら、これを踏まえて国へさらに働きかけをしてまいりたいと考えているところでございます。
〇藤尾地域振興部長 地方交付税改革の県内市町村への影響でございますけれども、県内市町村の平成16年度から18年度までの3カ年の地方交付税、これは臨時財政対策債も含みますが、その状況を見ますと、3年連続で減少しておりまして、3カ年で247億円、10.6%の減となっております。
 県内市町村は、交付税への依存度の高い財政構造といったようなことでございますので、歳出面への影響を見ますと、人件費は45億円、3.9%の減となっているものの、社会保障関係費である扶助費は83億円、15.1%の増、地方債の元利償還金である公債費は4億円、0.4%の増となっておりますが、毎年度、義務的に支払わなければならない経費が、平成14年度以降5年連続で増加しております。
 このため基金残高が平成16年度から18年度までの3カ年で210億円減少するなど、少ない財源を基金で補っているといったような傾向がございまして、基金の取り崩しに頼らざるを得ない硬直化した厳しい財政運営が続いておるというところでございます。
〇平沼健委員 ありがとうございます。
 この財政問題の最後に、歳出についてお尋ねいたします。
 投資的経費が年々縮小しております。これは、財政規模を縮減せざるを得ない実態ではやむを得ないのかもしれませんが、政策投資がますます行えなくなるわけであり、知事がこれから実行しようとしている政策に支障を来すのではないでしょうか。
 歳出コストを下げて、その分政策投資へ回すことも大切であると考えるものですが、この財政規模が縮小していく中での政策的事業の見通しについて、今後の対応をお伺いいたします。
〇勝部総合政策室長 財政規模が縮小していく中での政策的事業の見通しについてでございますが、現在、策定作業中の新しい地域経営計画は、産業振興や医療・福祉の充実など31の政策項目を掲げまして、重点的・優先的に取り組むこととしているところでございますが、この計画の裏づけとなる財源の確保に当たりましては、行財政環境が今後、より一層厳しさを増していくという状況を踏まえまして、行財政資源の選択と集中を強力に進めることが不可欠でございますことから、すべての事務事業についてゼロベースから総点検を行い、徹底した歳出の見直しによるコスト削減を初め、歳入確保の強化や予算編成方法の見直しなどにより、行財政資源の選択と集中を図って、政策の実効性を高めていきたいと考えているところでございます。
〇平沼健委員 わかりました。
 次に、県税について通告しておりましたけれども、これは関根議員と重複いたしましたので質問を取りやめます。
 次は、県及び県内市町村の実質公債費比率について若干伺います。
 財政健全度を示す指標の一つであります実質公債費比率について、平成18年度決算における本県の数字が15.1%となっておりますが、まず、この全国レベルで見た場合の状況と今後の見通しをお伺いいたします。
 続けます。また同様に、市町村においては地方債発行に知事の許可が必要となる実質公債費比率18%以上は、前年同期から4市がふえ15市町村となっています。また、17%台の市町村が9市町村もあることからも、市町村財政は非常に厳しいことがうかがわれます。
 市町村合併により旧市町村の債務を継承したり、下水道事業等の借入金返済に充てる一般会計からの繰出金の増嵩等が原因とされていますが、実質公債費比率が18%以上になると、今後7年間で比率を下げるよう公債費負担適正化計画の策定が義務づけられるようですが、市町村財政の厳しい中、今後、岩手県としてどのような指導をされていくのか、あわせてお伺いいたします。
〇川窪総務部長 まず、県分でございますが、近年、どこの都道府県も大変財政的には厳しい状況でございますが、本県の実質公債費比率は平成18年度決算で15.1%でございましたが、先般、総務省から公表されました全国平均値が14.7%でございまして、それを本県は上回る水準と今なっております。
 また、今後の見通しにつきましては、分母となる標準財政規模の動向にもよりますので明確な見通しは難しゅうございますけれども、プライマリーバランスに留意しながら県債残高の中長期的な縮小を図ること、また償還期間を制度上可能な範囲で長期化することなどの取り組みを通じまして公債費負担を平準化していくことに努めまして、この実質公債費比率が大きく上昇するようなことがないように財政運営を行っていきたいと考えているところでございます。
〇藤尾地域振興部長 県内市町村の実質公債費比率についてでありますけれども、平成19年度の県内市町村の実質公債費比率につきましては、これは、平成16年度から18年度の3カ年の平均になるわけでございますが、県内市町村の平均は前年度を0.7ポイント上回っておりまして17.8%となりますなど、昨年度に比較して悪化しているところでございます。
 実質公債費比率が18%を超える団体、委員御指摘のおり15市町村ございますけれども、地方債の許可申請に当たって、国の地方債同意等基準に基づき、公債費負担適正化計画を策定し、実質公債費比率の適正化を計画的に図ることとされているところでございます。
 該当する市町村は、新規の地方債発行額をその年度の地方債元金償還額以内とするプライマリーバランスの黒字化を図ることなどを内容とする計画を策定し、今後、その計画に基づいた取り組みを進めていくということでございます。
 県としては、そのような市町村の自主的な取り組みを尊重すると同時に、高金利の地方債の公債費負担を軽減するため、今年度、国におきまして臨時特例措置として認められている公的資金補償金免除繰上償還の制度、これは5%を超える過去に発行した高金利の起債の借りかえによって金利負担を軽減するという内容のものでございますけれども、この制度の積極的な活用を推進するなど、将来的な公債費負担の軽減に努められるよう、地方債の協議等を通じて適正な助言を行ってまいりたいと考えてございます。
〇平沼健委員 ありがとうございます。確かに、各市町村、高金利の借入というものが多いようでございます。どうかよろしくお願いいたします。
 次は、医師確保対策と岩手医科大学への支援についてお尋ねいたします。
 岩手県に限らず、全国、特に地方圏では医師不足が大きな社会問題となっております。産科、小児科の医師不足が顕著ですが、他の専門診療科も同様で、医師が不在となり地域医療が崩壊したという報道が、連日のように新聞紙上をにぎわせております。
 県内の県立病院も、医師不足への対応として、基幹病院を指定し、基幹病院に医師を集中することにより地域住民の生命を守る体制に転換しました。しかし、この基幹病院でさえ、専門医師の不在により多くの診療科が休診している現状があります。この県立病院の医師補充のために、知事を初め、多くの関係部署が大変な努力をされておりますが、解決策が見えてまいりません。
 今後、医師の補充をどのようにしようとしているのか、短期、長期に分けての施策を伺います。
〇達増知事 県立病院の医師の補充策についてでございますが、全国的な医師不足の中、医師の派遣を受けている関係大学でも医師が不足し、県立病院の医師確保は非常に厳しくなっておりますことから、まず、短期的な対策といたしましては、全国からの医師招聘活動をより強化するため、平成18年9月に医師確保対策室を設置し、全国の大学医局や県ゆかりの医師と面談を重ねるなどして、県内の公的病院の医師確保に努めております。
 また、勤務医の労働環境の悪化が医師が退職する要因となっているとの指摘もあることから、医療クラーク、これは、医師の指示のもとで、庶務的な業務を担当する人でありますが、この医療クラークの配置などによる医師の勤務環境の改善、医師の複数配置による一人診療科の解消、女性医師の増加に応じた勤務環境の改善などの措置を講ずることとしております。
 なお、平成16年度からの医師卒後臨床研修の必修化に伴い、11の県立病院が臨床研修病院として指定を受け、研修医の受け入れを行っております。あわせて、指導医講習会による指導医のスキルアップのほか、後期研修体制を整えるなどして、魅力ある臨床研修病院となるよう努めております。
 次に、中長期的な対策といたしましては、平成18年からドクターバンクを設置し、本県出身者の県人会や首都圏の医科大学等で年間5名程度のバンク登録医師の募集を行っております。
 また、従前から医学生に対する奨学資金の貸し付けを行っているほか、平成14年度からの6カ年事業として、岩手医科大学に本県出身者の枠を設けて本県出身の医師の養成を行い、県立病院に勤務する医師を養成しております。
 なお、当面の医師の地域偏在への対応については、センター病院及び広域基幹病院に医師を集約するなどして充実強化を図り、これらの病院から地域の病院へ診療応援を行うことにより、現状の診療機能をできる限り維持するように努めてまいりたいと思います。
 さらには、現在、大船渡及び宮古病院に国の緊急・臨時的医師派遣を受けているところでありまして、今後とも、真に実効性のある医師確保策について、全国知事会の活動などを通じ、国に強力に要請を行ってまいりたいと思います。
〇平沼健委員 ありがとうございます。
 関連して、今の日本の医師不足は、絶対的不足と地域間、診療科間及び勤務医と開業医間の偏在の相対的不足があると考えております。
 現在、県では保健福祉部と医療局の連携により医師確保対策室が設置され、担当者の御努力により数名の医師を確保できたことは、一定の成果だと評価しております。
 また、国においては、平成20年度から、本県を含む医師不足地域10県の医学部定員を10名ふやすこととしたほか、新たに、全都道府県を対象に、緊急・臨時的に5名の医師養成数の増を容認する方針を表明しております。
 いずれの施策にも期待するものが大でありますが、学生が卒業するのに最低6年はかかることを思えば、これとて効果があらわれるのは10年後からということになります。即効性のある施策としては、岩手県の医療、県民の生命は自県で守るという信念のもと、県内唯一の医科大学である岩手医大に対しさらに頼ることが、県民医療を守るための絶対的な方策であると考えます。これまで、岩手医大への補助は、保健福祉部所管の県費ベースで、平成17年度2億8、500万円、平成18年度2億7、500万円でありました。これを少なくとも10億円程度の補助に増額し、知事あるいは知事部局が、県立病院間の医師の人事を行える体制をつくることが必要ではないでしょうか。そうするためには、保健福祉部と医療局を統合して知事部局とし、そのトップが岩手医大に対し、金も出すが口も出すという体制に変革することが必要ではないでしょうか。岩手県民は、岩手医大に頼らざるを得ないことは明らかですから、このような施策がぜひ必要と考えるものですが、御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 岩手医科大学との連携、また、同大学に対する支援についてでございますが、県としては、岩手医科大学は医師養成機関として、また、本県の地域医療を支える中核的かつ高度な機能を有する医療機関として重要と考えております。このため、これまでも教育機能や医療施設整備の充実のため県として支援を行ってきたところであり、今後とも、これまでと同様、一定の支援に努めてまいりたいと思います。
 岩手医科大学については、県立病院の医師のうち、同大学医局出身者が約5割近くを占めるなど、本県の地域医療に果たす役割は非常に大きいものと認識しており、今後とも、地域医療の確保のために、岩手医科大学との緊密な連携を図ってまいりたいと思います。
 もう一つ御質問の中で、保健福祉部と医療局を統合して知事部局としということで、この知事部局と医療局の統合についてでございますが、知事部局の保健福祉部は、県の保健・医療・福祉施策の企画・実行部門の役割を、また、医療局は、地方公営企業として県立病院の経営を担っており、その役割や機能はおのずから異なっておりますが、いずれも知事である私がそれぞれのトップとなっており、本県の保健・医療・福祉の向上のため、両部局の連携による取り組みの一層の強化を図ってまいりたいと思います。
 なお、保健福祉部は、医療法上の医療機関の開設許可や病院等に対する医療監視の事務も所管しており、みずから、直接、病院の経営を行うことがなじまない面もございます。保健・医療・福祉の連携を進めることの重要性は今後一層増大すると考えられますが、この連携には、保健福祉部と医療局という県組織のみの連携ではなく、医療機関、病院、開業医、地域医師会、看護協会、看護事業者など、多くの機関・団体などが参画する必要があり、当然、岩手医科大学との連携も不可欠でございます。全県的な視点と保健医療圏ごとの視点の双方から大きな連携の仕組みをつくり上げる必要があり、このような仕組みづくりにおいて、県立病院にも中核的な役割を果たすことが期待されていると考えているところでございます。
〇平沼健委員 ただいまの御答弁の中で、保健福祉部と医療局の統合というか、そういうような質問をさせてもらいました。ただいま知事からもそういう回答がございましたが、県民のほうから見れば、医療や介護を初めとした県の保健福祉施策と県立病院の運営というのは、もう、一体なんですね。そういうような意味から、連携というか、医療局と保健福祉部の合体というものをお尋ねしたわけでございます。それはわかりました。
 次に、この財源にも関連することなんですが、岩手県立大学への交付金と今後のあり方についてお尋ねいたします。
 岩手県立大学へは、平成10年度から平成16年度までは、直営経費として、毎年六十数億円を運営費として支出してきました。平成17年からは独立行政法人化に伴い、交付金として、年45億円あるいは46億円交付しております。
 県立大学は、今回、盛岡短期大学部を4年制に移行し、国際的な視野を持った人材を育成する学部を設置する方向のようですが、将来、さらなる少子化、岩手県財政の窮状、県立大学としての将来像を考えれば、当然、短大を廃止し全体を縮小していかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 岩手県立大学は、県民の進学ニーズに的確にこたえる高等教育を提供するために設立しているものであり、将来の県立大学のあり方については、県立大学がさまざまな課題を検討することは重要でございますが、新学部の設置などに関する事項は、県が議会の議決を経て、6年間の中期目標の中で定めるものでございます。県立大学における検討は、県としての判断材料や検討の素材を提供していただく位置づけのものであり、現時点で県立大学が行っている検討は、県として将来に向けた検討を今後行っていくとした場合の、その前段階のものと理解をしております。
 そこで、盛岡短期大学部のあり方についてでございますが、県立の短期大学に進学を希望する県民のニーズをよく把握し、その将来の動向を見きわめることが検討のスタート地点だと考えております。
 盛岡短期大学部の現状を見ますと、志願者数が依然として多数存在すること、平成19年度の志願倍率は3.4倍でございまして、全国の公立短大の平均2.8倍と比較しても、高い水準にございます。また、最終学歴としている割合が高いこと、平成19年3月卒業者のうち、4年制大学への編入学者の割合は約2割にとどまり、卒業生の8割が盛岡短期大学部を最終学歴としていること、こうしたことから、現時点では県民のニーズはあるものと認識をしておりまして、当面、廃止は考えておりません。
 岩手県においては、県民の進学ニーズにこたえる高等教育機関が不足しておりまして、若者の県外流出の一因ともなっていることなどから、県立大学は、当面、現行の規模で運営していくことを想定しておりますが、経営の効率化を図る観点から、平成17年度から法人化するとともに、県からの運営費交付金についても県立大学に経営努力をしていただくことを織り込み、毎年、1.5%ずつ削減しているところでございまして、この交付金の範囲内で教育の質の向上に努めていただきたいと考えております。
〇平沼健委員 次に、岩手競馬について若干お尋ねいたします。
 岩手競馬再生のため、これまで幾度となく経費削減が唱えられ、見直しを図ってこられたところであります。まだ経費を削減できるところがあるのでしょうか。売り上げが落ちたから二度、三度とコストを下げるという手法は、経営上、間違っていると考えます。通常、民間企業であれば、もう、これ以上ないというところまで経費を見直した上で再建計画を立てるものでありますが、今までの見直しが甘かったということなのでしょうか。また、損益分岐点をどのように設定しているのか、お伺いいたします。
〇達増知事 岩手競馬についてでございますが、平成19年度以降、競馬組合の事業運営に当たっては、年度を通じての収支均衡が事業継続の条件となりますことから、新計画のルールに沿って年度途中にも収支状況を検討し、販売実績が計画額を下回った場合には計画を見直し、売り上げに応じたコスト調整を実施しているものでございます。しかしながら、発売の減少傾向に歯どめがかからず、今年度、年度途中で2回のコスト調整を実施したということは、当初の売り上げ見通しが甘かったと言わざるを得ないものと認識しております。
 競馬組合は、現在、馬インフルエンザの影響なども含め、売り上げが低調に推移する中で、競馬関係者や取引先の理解と協力を得ながらコストを調整し、収支均衡が実現できるよう取り組んでいるところでございます。
 なお、損益分岐点については、総費用に占める固定費の割合が低いほど、また、固定費の金額が小さいほど損益分岐点が下がります。すなわち、売り上げが減少しても収支均衡が保てることとなりますので、競馬組合は、コスト調整を通じて、その損益分岐点の引き下げに取り組んでいるというところでございます。
 岩手競馬の存続のためには、今年度の収支を均衡させるためのコスト調整を何としても実現しなければならないと考えておりますが、未来永劫、単純なコスト削減により収支均衡を図るという手法には一定の限界があると考えられますことから、持続可能な岩手競馬を確立するため、コスト削減と並行して、売り上げの確保・増加策や、また、抜本的な経営改革の方策についても取り組んでいくこととしております。
 いずれにいたしましても、コスト管理については、今後ともこれを徹底していくことが、より望ましい収支構造に転換していくことにつながっていくものと考えております。
〇平沼健委員 今、知事の御答弁の中で、売り上げ想定が甘かった、確かにそのとおりだと思います。ただ、私はそれ以上に、スタート時点でのコスト、経費の見方が甘いというか、ぬるいというか、やっぱりそれがこういう結果になってきていると思っております。これについては御答弁は要りません。ただ、収支均衡を図れるように、ぜひ、ひとつよろしくお願いしたいと思っております。
 次に、森のトレー問題について若干お尋ねいたします。
 これはさきの一般質問で佐々木博議員が質問しましたけれども、私も同じ思いで再度質問いたします。
 未返還国庫補助金に対する延滞金については、林野庁と前知事との合意で、最大限の努力をすれば延滞金についてできる限りの対応をするとの、林野庁の回答をもらっているとのことでありますが、1日当たり約25万円の延滞金が発生し、雪だるま式にふえ続けている現状にかんがみ、新知事として、改めて林野庁と協議をするなどのお考えはないのか、お伺いいたします。
〇達増知事 森のトレー問題に関しまして、国庫補助金返還金に対する延滞金については、平成15年11月に、前知事と林野庁長官との協議において、林野庁長官から、県が補助金の一部返還及び補助金の回収に最大限の努力をすれば、延滞金の免除について、林野庁としてもできる限りの対応を行うとの考え方が示されたところであります。この考え方を受けて、県としては、返還努力の一つとして、県と久慈市がとり得る最大限度のものとして、ぎりぎりの判断で、補助金の3分の1の額を組合からの回収を待たずに先行返還し、さらに補助金の回収のための最大限の努力として、トレー組合が行う損害賠償請求訴訟を久慈市とともに支援しているところであります。
 こうした本県の取り組みに対し、林野庁から、平成16年1月に、補助金返還のために岩手県のとった措置等に関する報告を定期的に行うようにと文書で指示がありましたが、これは、前知事と林野庁の最高責任者である長官との合意があったからこそのものであり、県は、毎月、補助金回収に関する取り組み状況を報告するとともに、裁判や県議会での審議の状況についてなども、適時、林野庁に報告しているところでございます。これに対して、林野庁からは、県の取り組みや県議会での答弁内容に関して特段の異論はなく、現在も林野庁の考え方は変わっていないものと考えております。
 このようなことから、当面、私自身が改めて林野庁と協議する予定はございませんが、今後とも、事務レベルでの十分な意思疎通を図りながら、現在の枠組みで訴訟に全力で取り組み、返還金の回収に努力してまいりたいと思います。
〇平沼健委員 これは、現在、林野庁長官もおりませんし、前知事も、今知事ではございませんので、お2人が話したということが文書にもございませんので、非常に難しい問題になってきていると思っております。ぜひ、うまくいくといったら変ですけれども、平にというか、うまくいくような形で対応していただければと思っております。
 最後に、達増知事の政治姿勢について伺います。
 平成18年度決算を踏まえ、県民が岩手の将来を託す今後の県政のかじ取り役としての知事に対し、県政運営の姿勢という観点から何点かお聞きいたします。
 達増知事は、これまで衆議院議員として、4期、国政に参画されました。その間、議員の立場で岩手県の県政をごらんになっておられたわけですが、このたび、実際に岩手県知事として岩手県行政の執行者となり5カ月半経過いたしましたが、立場が大きく変化したことに対し、これまでの心情の変化、あるいは考え方の変化があれば感想をお聞かせください。
〇達増知事 私は、衆議院議員当時、全国民の代表として、今の日本で何が一番問題なのかを常に考えて行動してまいりました。その中で、地方切り捨て、格差拡大の進行が最大の問題ととらえてきたところでございます。
 本来の構造改革は、内需拡大型の経済構造を実現し、国民の消費を拡大させ地方が豊かになることであったはずでありますが、これまでは、単に国の赤字を減らすことに主眼が置かれ、その結果、暮らしや地域が厳しい現状に置かれていると認識しておりまして、真の改革を早急に実現しなければならないと考えてきたところでございました。知事に就任をさせていただきまして、まさに日本最大の問題であり、また、岩手が直面する問題に直接取り組むこととなったわけでございまして、真の改革実現に向け、それを願う多くの県民とともに取り組むことができることに、大きなやりがいを感じているところでございます。
 衆議院議員から知事になりまして考え方に変化はございませんが、心情的には、同じふるさと岩手の皆さんと一緒に同じ方向に向かって働くことができることに、衆議院議員時代以上の喜びを感じているところでございます。
〇平沼健委員 知事は、当選後も特定の政党に属し、県政執行と政治活動は両立すると述べていますが、その考え方が多くの県民に理解されていると思っているのでしょうか、お伺いいたします。
 続けます。
 達増知事は6月4日の定例記者会見で、国民生活を向上するための政策を実行していく政府を実現するような大きな政治の変化が求められている。政権交代すれば一発でOKだと思うし、夏の参議院議員選挙では、それに近いことが起きるのが望ましいと語り、また、衆議院岩手1区補選で応援に立つことを表明し、行政として原理原則を守れば、政治はかなり自由にやらせてもらっていいと思うと発言しております。その一方では、県議会には、執行部として不偏不党、公正中立で臨みたいと述べていますが、知事のお考えに矛盾を感じているのは私一人だけでしょうか。
 一人の人間が、行政執行で公正中立、不偏不党と言いながら、党籍を持ち政治活動を行うことに対し、ある面では、個人の信念で立派だと評価する県民も存在するかもしれませんが、知事が最も重視する県民本位、県民利益を考えるべきではないでしょうか。お互いに選挙は勝つために戦うのは当然ですが、戦った後は岩手県全体のためを考えて行動、コメントすべきではないでしょうか。県民全部が民主党でも自民党でもないわけであり、ましてや、県民本位という考え方を最重視している知事であればあるほど、中央政府とのねじれをわざわざ自分からつくり出す必要性があるのでしょうか。再度、知事の考え方をお伺いいたします。
〇達増知事 県政執行と政治活動の両立についてでございますが、知事というものは、行政の長として、行政の執行の際には公正中立、不偏不党でなければならないと考えており、それを貫いていれば、政治活動を含め、あとは自由に行うという考えは私の政治家としての信念でございます。
 一方、政治には意見の対立や論争がつきものであり、私は、自分に対する批判をきちんと受けとめていくためにも、みずからの政治スタンスを明らかにし、意見の対立や論争等の葛藤を乗り越えて、県民の皆さんが民主的な意思決定をすることができるように努めてまいりたいと考えております。その政治姿勢については、県民の理解を得られると考えており、理解が得られるよう、県民に対し、直接かつ積極的に語りかけてまいりたいと考えております。
 党籍を持ちながらの政治活動についてでございますが、党籍を持ちながら政治活動を行うことについて、県民本位、県民利益を考えるべきとの御質問でございましたが、その御質問の前提には、知事が民主党色を帯びていると今の日本政府が不利な扱いをしてくるのではないかという懸念があるのかと推測するところでございますが、もし、日本政府が行政の執行に当たって政治的に偏り不公正であるとしたら、民主主義の原則に反し、日本国憲法の理念にも反することでございますので、主権者たる国民としては、そのような政府を正すことに努めなければならないと考えます。
 しかしながら、知事就任以来、これまで菅総務大臣、増田総務大臣、舛添厚生労働大臣それぞれに面会し、医師不足問題を初め、本県の抱える課題について率直に意見交換するなど、行政の執行者として、ねじれることなく一緒に仕事ができていると感じております。それは、政党支持を異にする宮城県知事とも同様でございまして、幾度となく両県の連携について建設的に意見を交わしてきているところであり、これまでの行政執行においては、国との関係においても他県との関係においてもうまくいっていると認識しており、御懸念には及ばないものと考えているところでございます。
〇平沼健委員 わかりました。知事を初め、執行部の皆さん方には大変御丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。私の質問はこれで終わらせていただきます。
 また、残りの時間は菊池勲委員に譲りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございます。
〇新居田弘文委員長 次に、菊池勲委員。
   〔菊池勲委員質問席に着く〕
〇菊池勲委員 初めてここに出てきたわけでありまして、前の委員会と審査の方式が変わったので、国会並みの形なものだから、一度ここに立ってみたいと思っておった。平沼委員から4分30秒ほど残していただきまして、達増知事に直接お話をしたいことがあったので、先ほどの平沼委員の答弁でも、大方尽くされていると思っては聞いておったが、知事、副知事の答弁、県北・沿岸振興に対して、1点だけひとつお伺いしたいと思って来ました。
 まず、県北・沿岸振興というのは、私は平成3年に世話になってからずっと機会あるごとに、県北・沿岸の議員さん方からのお話はいつの委員会でも、いつの本会議でも出ておった。なるほどと思って、私はどんなものかと思って、県議会議員になって県内をあちこち歩いて見せてもらったんだけれども、私は北上でありますから、北上だけよくなればいいとは思ってはおりませんけれども、県北・沿岸に行ってみて、なるほど、これのことを皆さんが言っているのかなと思ってずっと考えてきました。
 ことしも、私ども、自由民主党岩手県連、自由民主クラブの方々が御一緒になって、知事も歩いた関係市町村、県内の市町村、全部一回りさせていただきました。
 県北に行ったらある首長さんのお話─私らの町は、3年ほど前までは町民で税金を滞納する人が1人もなかったと。ここまではすばらしいなと思った。残念ながら、ここ二、三年ごろから、滞納者がふえてきまして大変困っていましたと。私の政治力が足りないのは、それはそのとおりだと思うけれども、そればかりではないという話をして、先ほど質問があったとおり公共事業費がどんどんと減ってきて、今では3分の1ぐらいになってしまったということの意味で、なぜふえたかと町民にアンケートをとって調査したところが、おじいさん、おばあさんでしょうね、多分、お父さん、お母さんでしょうか、年齢的には。建設業界のお仕事に働いて、そこから賃金をもらって、それで払ったとはちょっと言葉が適当ではないかもしれないけれども、それで税金を納めておったのが、残念ながら、仕事場がなくなって滞納になってしまっているという話を聞いて、公共事業が減るのは財政上厳しいからそのとおりでいいと思うけれども、何となく寂しいなと思って聞きました。
 それで、平沼委員が、県北・沿岸振興は、当局もその組織をつくって、竹内副知事が先頭になって組織をつくった。それを追いかけるようにして、我々県議会の仲間も議員クラブをつくった。そしてさまざまな事業を調べさせてもらったら、確かに副知事の答弁のとおり、さまざまな手当てをしてある。残念ながら、手当ての金額が、財政の金額が、丸が二つぐらい足りないかと思う。これでは県北・沿岸振興という名前はつくっても、中央と戦いをして一緒に走ったとするならば、幾ら頑張っても、追いつくどころか離されるだけだと私は思ったんで─先ほど平沼委員から知事に質問しておった。できるならば特別枠というような、これ私どもがつくった話であるけれども、県北・沿岸振興に対して大きな額をぽんとそこに置いて、そして地域の方々と相談をしながら、もちろん知事、副知事に監督、支援をしてもらうわけですけれども、そんな手法でもとらなければ、私は格差是正はおろか、県北・沿岸振興という言葉はどう見ても、いい言葉だけれども肉がないと。
 先般、私どもの議員総会の席で、私どもの会派から行っている岩手県議会の副議長である佐々木大和議員が、早坂トンネルの開通式の翌日の議員総会で、議員の方々にお礼を言ってくれた。見事なお礼だった。聞いている私も、当の本人以上に心が熱くなるような思いをした記憶があった。あのトンネルが、県北・沿岸にどんな方法を展開しているかと思うと、このままの状態では─トンネルは通った。だけれども、効果はそうはないんだと私は思った。ですから、私は今ここに立ってきたの。
 知事、うちの平沼委員が質問したとおり、特別枠として、財政が厳しいんだけれども、そこはあなたの腕次第で、50億円から100億円の範囲の中でつくれる時代が、近い将来には来ないでしょうか。私は来てほしいと思ってここに立ったの。あなたの答弁をお願いします。
〇達増知事 県南の選挙区選出でありながら、あえて県北・沿岸振興について御質問を取り上げられ、その県議会議員としての県北・沿岸振興に対する思い、非常に大きなものを重く受けとめさせていただきました。
 私も県北・沿岸振興、岩手にとって本当に大きな課題であると思いますし、一方で、古くて新しい問題ではあるんですが、日本全体として右肩上がりの成長をしているときの格差というものは、いつか必ず後から追いついていけるというような、一種希望を伴う格差でございましたが、今の格差は、日本全体が低迷あるいは右肩下がりになるような中で、一部だけ上昇するような形での格差でありまして、先に行けば行くほどその差が広がっていく、希望につながらない格差という非常に質の違う格差というものが、特に県北・沿岸が直面していると考えております。したがいまして、あらゆる地域資源を結集した取り組み、今までやったことがないようなこともどんどんやっていくような、そうした取り組みが必要と考えておりまして、6月補正予算においても、県北・沿岸圏域の産業振興に資する事業に重点的に配慮したところでございます。
 公共事業関係につきましては、三陸縦貫自動車道や宮古盛岡横断道路の整備など、産業の根幹にかかわる主要な道路については、しっかりと整備の促進を図ってまいりたいと思います。そのためには、あらかじめ予算上の特別枠を設けるというよりも、今後の予算編成に当たり、真に必要な社会資本整備については、県北・沿岸振興に資する事業の推進という視点を十分に踏まえて重点化を図ってまいりたいと思いまして、結論として特別枠は設けないという答えではあるんですけれども、特別枠を設けるべきだという気持ちを十分に体して、予算の重点化を図ってまいりたいと思います。
〇新居田弘文委員長 次に、田村誠委員。
   〔田村誠委員質問席に着く〕
〇田村誠委員 政和・社民クラブの田村誠でございます。
 まず、最初に、さきの統一地方選挙において、県民の大きな期待と支持を得て、見事当選の栄誉に浴されましたことに心からお祝いを申し上げます。大変多難なときに御苦労されると思いますが、達増知事の若さと行動力で県民の希望を現実のものとされ、県民がひとしく安心して暮らせる王国岩手を築いていただきますよう、大いに期待をしながら、以下、平成18年度決算に対し総括質疑を行います。
 平成18年度は、増田知事の知事選不出馬が表明され、知事の任期最終年度として、いわば増田県政の決算とも言える年度でもあります。増田県政では、地域の自立に向けた産業の振興、環境首都いわての創造や、三位一体改革を初めとする地方分権社会への道筋をつけたという評価がある反面において、県債残高が増大し、さらには、岩手県競馬組合の存続や肉牛生産公社の清算など、これまで表面化していなかった出資法人の課題解決のおくれなどが指摘をされており、評価がさまざま別れているところでありますが、達増知事は、率直に言って増田県政12年をどのように評価しておられるのか、まずお伺いをいたします。
〇達増知事 増田県政の評価についてでございますが、まず、前半は、安全で快適な県民生活の実現と産業振興のための基盤づくりを視野に入れ、全国と比較して立ちおくれていた社会資本の整備を重点的に進めるとともに、後半においては、こうした社会資本を活用したソフト面の施策に積極的に取り組み、自動車関連産業の集積を初めとした地域産業の強化、ご近所介護ステーションといった地域力を生かした福祉分野の取り組みなど、民間の活力や地域の潜在力を引き出すことに力を注いだものと認識しております。また、地方分権改革や県民の県政への参画等も積極的に推進するなど、厳しい財政環境の中、いわゆる改革派知事として高い手腕を発揮されたものと評価をしております。
 私は、しかしながら、これまでのいわゆる市場原理主義優先の経済財政政策などによってもたらされた中央と地方との経済的格差の拡大を最大の問題ととらえておりまして、この問題にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。こうした地方切り捨て、格差拡大の問題について、国に対し、もっと強く地方の声を伝え行動していくということが、増田前知事の時代からも必要であったと考えております。
〇田村誠委員 私は、これまでも、均衡ある県土の発展という立場でそれぞれ県議会に2期8年間、そして3期目に入らせていただいているわけですが、先ほど平沼委員あるいは菊池勲委員のほうからも大変ありがたいお話をいただいたわけでありますが、今後の均衡ある県土発展という立場で、次の質問に移らせていただきます。
 国勢調査が行われ、総合計画の下位予測よりも下回る人口減少が進み、県内人口は138万5、041人と、前回調査を3万人余りも減少し、本格的人口減少社会に突入をしております。県北・沿岸地域は約30%、12万人が減少、高齢化率も24%から39%まで上昇すると推計されており、このままの推移が続くならば、地域を維持していくことすら難しい地域となっていくことが明らかであります。今こそ、県北・沿岸振興を進めていかなければ、知事が掲げる希望王国岩手の実現も、おぼつかないものになるのではないでしょうか。県は、これらに対応すべく、18年度に県南広域振興局を設置し、県内陸部の産業振興を広く沿岸地域に波及させるとともに、県北・沿岸振興本部の立ち上げなどを行っているところでありますが、県北・沿岸地域と内陸部との格差の実態をどうとらえているでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
〇達増知事 平成16年度の1人当たり市町村民所得を見ますと、県平均を100とすると、県央圏域が115.3、県南圏域が98.0であるのに対し、沿岸圏域は85.6、県北圏域では77.5であり、県北・沿岸圏域の低迷が明らかでございます。また、直近8月の有効求人倍率を見ても、県南・県央圏域ではおおむね県平均並みの0.77であるのに対し、県北・沿岸圏域ではすべて県平均を下回り、久慈地域、二戸地域では、0.5をわずかに上回る程度でございます。私は、こうした実態を見るにつけ、県南・県央圏域と県北・沿岸圏域との格差は顕著であると認識しており、県北・沿岸振興の取り組みが必要であるとの思いを強くしております。
〇田村誠委員 まさに、私も2期8年間県議会に参加をさせていただいて、均衡ある県土の発展を提唱しながらも、その成果がなかなか─成果といいますか、格差が広がりつつあるということを認識いたしております。ぜひ頑張っていただいて、この格差解消に知事も衆議院議員の時代に感じたという思いがあるようでございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それから、次の地域資源の多様な活用等につきましては、先ほど平沼委員とダブっておりますので、この件については割愛をさせていただきますが、いずれ、県北・沿岸の振興を図る上では、どうしても地域資源を生かした多様な活用というものが大変大事だと思いますので、ぜひこれについても、なお一層、具体的に成果があるように取り組んでいただければよろしいと思う次第であります。
 次に移らせていただきます。
 次に、内陸部の生産性向上の波及効果を沿岸部にももたらすためには、人的交流を進めるとともに、企業が集積する内陸部と効率的な物流ネットワークを構築していくことが必要であり、地域振興の核となる港湾の整備と道路整備を一体的に進めていく必要があります。公共事業の拡大が困難な状況のもとでも、沿岸地域等の産業振興のかぎとなる港湾整備と道路整備は優先的に行っていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、平成17年度の港湾の取扱貨物量を見ると、大船渡港湾を除く他の重要港湾は減少し、本県港湾の取扱貨物量は平成14年から再び減少傾向にあり、定期航路の開設など、その利活用対策を進めていく必要があります。県は、港湾の利活用についてどのように進めていくお考えか、お伺いをいたします。
〇竹内副知事 港湾整備と道路整備等についてでございますが、昨年の11月に策定した県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向の中では、両圏域における社会資本整備の目指すところとして、高速交通網の整備の促進を図るとともに、今後は、産業振興に必要な港湾の有効活用のための取り組みを強化することといたしております。また、県におきましては、今後の社会資本整備について重点的に取り組む分野の中に、県北・沿岸振興及び産業の振興を支援する交通ネットワークの構築を位置づけておりまして、その取り組みを進める上で、港湾整備及び道路整備は大変重要であると認識しております。
 沿岸地域等における今後の社会資本の整備につきましては、そうした認識のもとに、当該地域の実情を十分踏まえつつ、戦略的かつ集中的な投資によって一層の重点化を図りながら、必要な整備を着実に進めてまいりたいと考えております。
 次に、港湾の利活用についてでありますが、本県港湾の取扱貨物量、委員御指摘のように平成14年から減少傾向となりまして、平成17年は県全体で611万トンとなっております。
 港湾の整備は、従来、港湾直背後の臨海型企業の原材料や製品の移出入を主目的として行ってまいりましたが、現在は、大規模な生産拠点は内陸部に構築されてきております。この内陸部の企業を発着地とする貨物の輸送手段は、現在、トラックや県外の港湾利用、これが中心となっているのが現状でありますことから、これまでの港湾直背後への貨物を中心とした利用形態から、県内の産業全体を見据えた港湾利用への転換を進めていくことが重要な視点となっております。
 こうした中、大船渡港におきましては、ことしの4月に外貿コンテナ定期航路が開設されまして、4月22日から週1便が定期運航されているところであります。大船渡港における平成19年度上半期のコンテナ貨物取扱量、これは開設直後の5月は57コンテナであったものが、9月には月間最高の278コンテナとなるなど、順調な伸びを示しております。
 また、釜石港における今年度上半期の完成自動車の積み出し台数は8、886台となっておりまして、昨年度の上半期7、198台と比較して20%の増と堅調に推移しているほか、内航フィーダー船の定期航路の開設に向けた取り組みもなされております。
 県といたしましては、これまでも地元自治体と連携して、各港の特徴を生かしたポートセールスに取り組んできたところでありますが、今後は、県内の企業はもとより、首都圏の荷主、船会社に対して各港の特性をPRいたしまして、新たな貨物の掘り起こしに努め、貨物定期航路の取扱貨物の集積・拡充を図りますとともに、新規の定期航路の開設に努めるなど、港湾のさらなる利活用を進めてまいりたいと考えております。
〇田村誠委員 いずれ、沿岸地域にとりまして、あのすばらしい港湾の利活用が今後の地域発展の大きな原動力になることは言うまでもないわけでございまして、ぜひ県の御支援をいただきながら、港湾利活用の促進と、それを図るための社会資本整備に対して特段の御理解、御支援を賜りたいと私からも申し上げておきたいと思います。
 次に、水産振興についてお伺いをさせていただきます。
 私は、これまでも、浜がよければおかがいいという考え方で、水産振興を必ずと言ってもいいほど取り上げてまいりました。沿岸振興の重要課題である水産振興の実情は、近年の回帰率が低下をしたサケの漁獲金額の減少などの影響により、県内のつくり育てる漁業の生産額が、平成12年の269億円から17年の214億円へと低下し、高次加工の減少と輸出向けの低次加工、いわゆる冷凍水産物の増加などにより、高次水産加工製品の生産額が、平成12年の697億円から567億円、平成17年度567億円へ低下するなど大変厳しい状況にあり、沿岸の発展の原動力としてこれまでも強く言われてきたものの、水産振興の施策の成果は上がっていないのではないかと考えております。
 水産業の生産額が低迷する要因をどのようにとらえているか、また、水産振興のベクトルを上向きにする方策をどのように考えておられるのか。特に、加工技術の高度化のための水産業界の体質強化や研究開発への取り組み、あるいは消費者ニーズに即した商品開発について、さらには海外輸出戦略を含めた販路拡大、食育推進としての地元食材の提供等についての取り組みをお伺いいたします。
〇竹内副知事 水産業が低迷しておりますことは、御指摘のとおりでございます。
 要因についてでございますが、これは漁業就業者の減少とそれから高齢化の進展、これに加えまして、先ほどお話のございましたサケの回帰率の低迷といった要因から、漁業生産量が減少していると考えております。加えて、価格面でも輸入水産物の増加などがございまして、魚価が非常に低迷しているということもございまして、いわゆる生産額そのものも減少傾向に推移しております。
 それから、水産加工面の伸び悩みも、これは漁協と水産加工業者の連携がちょっと弱いと、不十分であって、高次加工品の生産が伸び悩んでいると、これが大きな要因ではないかと考えております。
 こうしたことから、県といたしましては、担い手の確保育成による漁業生産の拡大とそれから水産物の高付加価値化、さらに販路拡大を図ることを重要な課題であると認識しているところでございまして、このため、漁協が取り組む地域営漁計画の策定にあわせまして、協業化の推進や経営規模の拡大など漁場の生産性を高めて、意欲ある担い手がより積極的な事業展開のできる環境を整えますとともに、採卵時期や放流時期の調整など増殖事業の改善によるサケの回帰率の向上、あるいは輸出需要が拡大しているナマコの増養殖技術の開発などに取り組み、地域漁業を牽引していく中核的な経営体、これを中心とした漁業生産の拡大を図ることを目指しているところでございます。それから、ウニの衛生的なむき身加工体制の確立など、漁協と水産加工業者の連携を強化することや、イサダの食用化に向けた産学官の連携による新商品の開発促進、ワカメの契約栽培の促進などに取り組みながら、前浜資源の高付加価値化を促進しているところでございます。
 このほか、販路拡大が大変重要でございますが、ことしから首都圏のバイヤーなどで構成する食のプロフェッショナルチームを設置いたしまして、量販店や外食産業への直接取引の拡大を支援するとともに、バイヤーなどを県内に招聘して、知事出席のもとに産地交流会などを開催するなど、水産物の販路拡大を支援しているところでございます。
 また、海外に向けた戦略につきましては、経済成長が著しい中国を初め、東南アジアも視野に入れながら、今年度から新たに商社等の専門家を輸出コーディネーターに委嘱いたしまして、きめ細やかな市場調査を実施するとともに、輸出先のニーズにマッチした新商品開発に取り組み、新たな海外市場を開拓しているところでございます。
 それから、県内の学校での鮭の日給食の実施などによりまして水産物の利用拡大を図りますとともに、首都圏の食育モデル校において出前授業を実施するなど、県産水産物に対する認知度向上に取り組んでいるところでございます。
〇田村誠委員 水産の問題につきましては、また部局審査等のほうでも質問したいと思いますけれども、いずれ、担い手対策をいろいろやっていく上で最も大事なのは漁家の所得を確保してやること、あるいは販路などをきちっとしてやることによって、所得がきちっとしていくことがまさに大事なことだろうと思いますので、ぜひ特段の御支援をお願い申し上げる次第であります。
 そうした水産振興を図っていく上で、漁協の経営というものがあるわけでありますが、本県の漁協経営は、黒字部門である定置漁業の収益で購買等の他事業の赤字を補てんする構造にあり、このため、好不漁の影響を受けやすく、定置事業が不振になれば漁協の事業利益は赤字になる傾向が強くなってきており、18年度には、アキサケの水揚げ金額が好調で96億円に達し、漁協経営に好影響を与えたものの、10月の低気圧災害で定置網に甚大な被害があり、漁協の定置網復旧支援資金借入額は約9億1、000万円に上っており、今後、順次返済をしていく必要があり、依然として12漁協が繰越欠損金を抱えるなど厳しい経営状況が続いております。漁協の体質強化対策として合併が考えられておりますが、漁協の体質強化をどのように図っていくお考えなのかお伺いをいたしますし、引き続き農山漁村の持つ恵まれた自然環境の保全を図り、活力と潤いあふれる農山漁村をつくるよう進めていくために、生活雑排水による海の汚染を防ぐためにも、下水道の整備を進めていくことが必要と考えております。
 主要施策の成果に関する説明書によれば、汚水処理施設整備の進展がおくれ、当初目標に対しては未達成となっておりますが、漁業集落排水施設整備の今後の見通しはどのようになっているか、お伺いをいたします。
〇竹内副知事 漁業協同組合の体質強化についてですが、漁協系統では、将来にわたって組合員の負託にこたえることのできる組織体制を構築するため、ことしの3月、岩手県漁協組織強化計画の見直しを行いまして、平成19年度から21年度までの3年間を集中取り組み期間として、黒字体質の漁協経営と拠点漁協の先行合併に全力で取り組んでいるところでございます。県といたしましては、このような漁協系統の主体的な取り組みを支援するため、多額の繰越損失金を有する漁協への利子補給を行いますとともに、漁協の赤字部門の収支改善や経営不振の要因分析等を行うなど、定期的な現地指導を実施しておりますほか、漁協の黒字体質への転換を図るため、漁協系統が設置している経営指導委員会に参画いたしまして、財務改善を指導しているところでございます。
 また、漁協合併の実現に向けて関係市町村と連携を図りながら、各地区における協議が円滑に進むように指導助言を行い、漁協系統の主体的な取り組みを支援しているところでございまして、当面は、県内27漁協について11の拠点漁協への集約化を目指しております。このうち、7地区においては、合併協議会を設置して協議を進めているところでございます。
 今後とも、漁協が本県の水産振興の中核的な役割を担っていけるよう、財務改善と漁協合併を促進し、漁協の体質強化に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、漁業集落排水施設整備についてでございますが、これは、平成13年度に策定した岩手県水産基盤整備基本計画に基づいて漁業集落排水施設の整備に取り組んでまいりました結果、その整備率は、平成13年度の21%から平成18年度の42%に倍増いたしております。しかしながら、平成18年度の県全体の汚水処理の整備率、これ67%になっておりますけれども、これに比べますと、漁業集落は依然として低い水準になっております。
 地方自治体の財政状況、大変厳しい中ではございますが、今後とも、事業主体である市町村との連携や公共下水道、あるいは合併浄化槽など関連事業との調整を図りながら、平成23年度の整備目標を63%に設定しておりますが、これの達成に向けまして事業の重点化、効率化に努め、漁業集落排水施設の整備を促進してまいる考えでございます。
〇新居田弘文委員長 田村委員の質疑の途中ですが、この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩をいたします。
   午後2時56分 休憩
午後3時13分 再開
〇新居田弘文委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇田村誠委員 ただいま漁協の体質強化、あるいは漁業集落排水施設整備事業等についてお伺いしたわけでありますが、漁業振興の最も大事なのは、やはり漁協の体質がいかに今後強化されていくか、その漁協の合併が進まない要因の一つとして、やはり負債を抱えている漁協等々があると聞いてございます。この漁協体質の強化のために、ぜひ県も大いに支援していただきますようにお願い申し上げる次第であります。
 それから、汚水処理のほうに関しましても、今それぞれ漁民の方々がみずから蓄えをしながら、この事業の早期着工に期待しておる、それは、やはり前浜の漁場を守るためには、水質の浄化が最も大事だということを漁民の方々も思っておりますので、ひとつよろしく御支援を賜りますようにお願いし、次の質問に移らせていただきます。
 次に、県北・沿岸地域の産業振興策として、企業誘致及び雇用対策についてお伺いいたします。
 県北・沿岸地域の産業構造を変革し、若者が定着し、地域の活性化を図る上でも、企業誘致は有効な施策であると考えておりますが、条件不利地域であるがゆえに企業誘致が進まず、内陸部との所得格差の大きな要因にもなっております。
 このような状況において、県は、企業誘致組織として県北・沿岸チームを設置し、積極的に取り組んでいるところではありますが、その成果はどのようになっているでしょうか。また、今後この地域の企業誘致をどのように進めていくお考えか、お伺いいたします。
 あわせて、本県の雇用情勢は、本年8月の有効求人倍率が0.74と引き続き改善傾向にはありますが、地域別の有効求人倍率は、先ほど知事のほうからもお話がございましたとおり、北上地域において1.37倍となっているのに対し、久慈地域が0.53倍、二戸地区が0.52倍となっているなど、県北・沿岸圏域において大変厳しく、県内においても大きな格差が生じており、雇用が不足している県北・沿岸地域での雇用を創出していくことが喫緊の課題となっております。
 人口減少の一因である社会減は、雇用の場を確保することなしには歯どめがかからず、地域の衰退にもつながっていくものと考えておりますが、先ほど一定の説明はいただきましたけれども、改めて、この圏域の雇用をどのように確保し雇用の格差解消に向けていくのかお伺いいたします。
〇竹内副知事 県北・沿岸地域の企業誘致についてでございますが、昨年9月、企業立地推進課の職員3名を増員いたしまして、先ほどお話のございました県北・沿岸チームを設置いたしまして体制を強化したところでございます。
 その成果として、平成18年度には、この地域に6件の新規立地を実現いたしております。今年度は、9月末時点で2件の立地が決定しているところでございます。
 また、この地域におきましては、久慈地域の造船、二戸地域の健康食品製造、宮古地域のコネクタ製造、釜石地域の空気圧機器製造など、地域の核となる企業の立地が着実に進んでいるところでもございます。
 今後におきましては、人的・経済的な交流が強い八戸圏へのアプローチや農林水産物資源を生かした食品関連企業の誘致に力を入れるほか、港湾活用企業やコネクタ関連企業など、既に立地している企業のさらなる増設を視野に入れながら、昨年度制定した特定区域における産業の活性化に関する条例に基づく支援措置、あるいは企業立地促進奨励事業費補助などの優遇措置を活用しながら、企業誘致を進めてまいる考えでございます。
 それから、雇用対策についてですが、これは、県北・沿岸圏域に係る産業振興の基本方向や新しい地域経営の計画に盛り込んでおります企業誘致、あるいは既存企業の事業拡大、地域資源型産業の育成など、産業振興施策を着実に推進して、県北・沿岸圏域の雇用を創出していかなければならないと考えております。
 県では、昨年8月に改正された地域雇用開発促進法に基づきまして、雇用情勢の厳しい県北・沿岸圏域の地域雇用開発計画を策定いたしまして、去る10月1日に厚生労働大臣から同意を得たところでございます。この同意によりまして、県北・沿岸圏域にあっては、工場や施設などを整備して雇用をふやす事業主には、地域雇用開発助成金が受けられるようになったことから、こうした国の支援措置を事業主に周知して、活用を促すことによって、雇用の増加につなげていきたいと考えております。
 雇用情勢の厳しい久慈及び二戸地域につきましては、ことしの6月補正予算で新たに地方振興局に地域雇用開発促進員を配置してチームを設置したところでありまして、県の産業振興支援センターの企業支援チームと連携しながら、産業振興施策と雇用対策の一体的な取り組みを進めることによって、雇用をつくり出していく考えでございます。
 なお、県北・沿岸圏域における雇用創出につきましては、新しい地域経営計画の中に、4年間で正規雇用を県北400人、沿岸800人創出するという具体的な目標を掲げまして、その達成に向けて取り組むことといたしております。
〇田村誠委員 これまで私は、均衡ある県土の発展あるいは水産振興というものを問いただしてまいりまして、御答弁をいただいてきたわけでありますけれども、達増知事も、実は今度の統一選挙で当選されて、即、大変お忙しいところ、県北・沿岸地域に出向いていただいて、関係者との懇談をしていただきました。あるいはまた、この決算特別委員会でも、平沼先輩や菊池先輩もこの県北・沿岸について、大変重要だということで取り上げていただきました。知事も、格差解消というものに対して最重点課題として取り組んでいくということを申し添えていただきました。
 この前、ある地域ではございますが、仕事が突然切られて、その社長が自殺をした、それくらい、あるいは沿岸地域の場合は大変な雇用の不足、こういう現状にあるわけであります。岩手県がひとしくこれから安心して暮らせる、知事の言う希望王国岩手を築いていくために、この問題について、改めて、私は知事の決意のほどをお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。
〇達増知事 希望王国岩手という言葉を引いて御質問をいただきました。実は、この希望王国岩手の希望という言葉を特に大事にしたいと思っておりますのは、それが格差ということの対極にある言葉と考えているからであります。
 最近の新しい格差の問題は、教育の分野でまず指摘され、その中で、これは、そもそも希望を持てる人、持てない人に分かれていく希望格差にまでもう日本の格差は来ているという有識者の指摘もあり、今の新しい格差の一つの特徴として、そういう希望格差という側面があることを指摘できると思うんですけれども、そうしたことをこの岩手からなくしていきたいという思いから、希望という言葉を冠した希望王国岩手をスローガンとしております。
 これを実現するには、県北・沿岸が今のこの格差問題から脱却できなければ、希望王国岩手の実現はないわけでありまして、そういう意味で、県北・沿岸振興というものに積極的に取り組んで、全体としての希望王国岩手の実現を目指してまいりたいと思います。
〇田村誠委員 ありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。次に、障害者の支援についてお伺いいたします。
 障害児を抱える親の心配は、将来、この子が自立して生活できるものなのか、また、施設介護は受けられるものなのかなどの不安があり、障害者の数が年々増加傾向にある中で、障害者自身の高齢化が進み、一方、介護者についても、高齢化と介護力の低下が進んでおります。また、障害児や障害の疑いのある幼児を抱える保護者の心の不安や、地域での孤立などのストレスが問題となっております。
 私は、介護者の負担軽減を目指し、障害者の年齢や障害の種類、程度に合わせた在宅福祉サービスの充実を図っていくとともに、障害者の早期発見・早期治療を可能にする療育相談、検診、保育の一環した療育システムを構築していくことが必要であるとともに、障害者の自立意識の高まりに伴い、障害者の社会的自立を支援する施策を充実していくことが必要であると考えておりますが、県は、障害者の自立支援に向けた取り組みをどのように進めていくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、高齢化が進み、要介護高齢者が増加する中で、増田知事が掲げた40の政策では、平成14年度に比較して重度層の施設入所待機者を50%減らすことを目標としておりますが、その実態は、待機者が逆に増加し、何カ月待ちの状況にあると言われております。入所施設の設置は、市町村の責務とはいえ、国のガイドラインによる規制があり、また介護保険財政の事情から容易に増加できず、高齢者の増加に応じて待機者が増加することが予測されます。
 今後、この待機者の対策も含めて、高齢者の介護保険施設をどのように整備していくお考えなのか、お伺いいたします。
 関連して、高齢化が進む中で、全国的には介護を支える人材は大きく不足していると言われております。高齢者介護事業に対する需要は高まっておりますが、それに対して、安心して良質な介護を介護保険施設は提供し続けることができるかといった不安材料が存在しております。
 高齢化社会を支えていく人材確保の面からも、介護労働に当たる人たちの労働実態を調査し、労働環境を改善していく必要があると思いますが、本県での雇用実態はどのようになっているか、お伺いいたします。
〇達増知事 まず、障害者の自立支援についてでありますが、障害者に対する支援の基本的な考え方としましては、障害福祉は、従来の施設保護中心から、地域でその人らしい暮らしを実現するための支援へと大きく変化しており、障害者の地域での自立を実現するための仕組みづくりが求められているところでございます。
 県では、本年3月、障害者プランの見直しを行い、障害者の地域での自立を目指すため、第1に、施設・病院で生活している障害者のうち、希望する方の地域への移行を実現。第2に、重い障害があっても安心・安全な暮らしを実現。第3に、障害者の地域生活を支える相談支援等の体制整備。第4に、障害者の就業・就労支援体制の整備。これらを重点施策として計画に位置づけたところであります。
 主な取り組みといたしましては、第1に、障害者本人の希望や特性に応じた住まいや日中活動の場の確保、ホームヘルプサービス等の在宅福祉サービスの拡充。第2に、それら地域生活に必要なサービスを組み合わせ提供するための仕組みとして、市町村や圏域ごとに地域自立支援協議会を整備。第3に、障害の早期発見・早期療育のシステムの構築の拠点として、県立療育センターを再編整備し、相談や診療機能を充実。第4に、工賃倍増5カ年計画の策定や就労支援ネットワークの構築等による就労支援の充実。こうした障害者の自立支援に向けた取り組みについて、県障害者自立支援協議会における協議を通じ、市町村や事業者などと連携しながら着実に進めてまいりたいと考えます。
 次に、高齢者介護についてでございますが、まず、高齢者介護施設の整備についてでございます。介護保険施設等の整備については、平成18年度から平成20年度までの第3期介護保険事業支援計画期間において、特別養護老人ホーム等の介護保険施設469床、認知症グループホーム等居住系施設559床、計1、028床を整備いたします。
 うち、特別養護老人ホームについては420床を計画し、平成19年9月までに284床を整備しています。
 特別養護老人ホームの入所待機者についてでございますが、平成19年3月末現在で6、492人、うち要介護3以上の重度層の待機者は4、638人となっています。
 また、在宅における入所待機者は2、172人で、うち重度層の待機者は1、302人となっています。
 介護保険施設については、市町村とも連携しながら、引き続き計画的に整備を推進してまいりますが、あわせて、高齢者が要介護状態になっても、できる限り住みなれた地域で生活できるよう、第1に、全市町村に設置されている地域包括支援センターを核として、医療、介護、住まい、見守り等の多様なサービスの有機的な連携を図り、効果的・効率的にサービスを提供する体制の確立。第2に、地域で安心して療養生活を送ることができるよう、退院時等における医療と介護の連携などの在宅医療の充実。第3に、デイサービスと短期宿泊サービスなどを組み合わせ、各人の状態に応じて在宅での自立した生活ができるよう支援する小規模多機能型の地域に密着したサービスの充実。第4に、バリアフリー等住宅環境の改善や高齢者専用住宅など、多様なニーズに対応した住まいの充実。第5に、地域における見守り等によるひとり暮らし高齢者の安否確認などの生活支援サービスの充実など、高齢者の状態に応じた保健・医療・福祉の各サービスが、連携して効果的に提供される仕組みを構築していくことが重要と考えております。
 このような考え方をもとに、県では、本年11月ごろまでに地域ケア体制整備構想を策定することとしております。
 次に、介護労働に当たる人材の雇用実態についてでございますが、財団法人介護労働安定センターが実施した昨年8月1日時点における介護労働者の就業実態と就業意識調査によりますと、本県の介護労働に当たっている人の平均年齢は40.3歳、平均賃金は月18万円、他事業所での勤務も含めた通算の従事年数は6.6年、正社員比率は66.3%、平均労働時間は週39.9時間でございます。
 仕事を選んだ理由は、1、生活の維持、2、資格・技能を生かすため、3、これからの時代に必要といった回答が高く、また、半数以上が、働き続けることができる限り働きたいと考えています。
 一方で、賃金が低い、休暇・休憩がとりにくい、業務に対する社会的評価が低いといった不満や健康面や体力での不安を抱えています。
 介護労働者の処遇水準については、介護報酬額と密接に連動しているところでありまして、介護報酬については、国が設定しているもので、介護業務に求められる専門性をしっかり担うことができる人材を確保するという観点から、その水準については、国において検討されるべきものであります。
 県では、国に対し、介護報酬の見直しに当たっては、適正な分析評価を行い、良質なサービスを提供できる水準とするよう改善を求める要望を継続して行っているところでございます。
〇田村誠委員 ありがとうございました。
 私も、8年前の選挙のときも歩きました。今度も歩いてみました。8年前に歩いていってお会いできたお年寄りが、この8年の間に、出てくるのに、そのときは元気ではいと出てきたのが、今回は3分かからないと出てこられない。いわゆる高齢化がかなり進んでいるのが沿岸の実態であります。そして、お互いが支え合って生きている、介護をし合っている状況なわけですので、ぜひ、こうした施設の整備とか、それから利用しやすい環境というものを一日も早くつくっていただきたいと思う次第であります。
 それで、次に移らせていただきますが、次に、食鳥産業についてお伺いいたします。
 本県のブロイラー出荷羽数は、鹿児島県、宮崎県に次いで全国第3位であり、全国シェアでは15%を占め、久慈、二戸、東磐井、気仙の中山間地域における重要な産業として位置づけられ、雇用の確保にも大きく寄与しております。しかしながら、バイオエタノールの需要拡大に伴い、配合飼料の価格が高騰し、ブロイラー生産費が増加する一方で、食肉価格が低迷し、厳しい経営環境にさらされております。
 そこでお伺いいたしますが、価格の安定対策、支援の継続や食肉増産、販路拡大への取り組みはどのようになっているかお伺いいたします。
〇竹内副知事 ブロイラーの価格安定対策についてでございますが、本県の食鳥産業は農業産出額の約16%を占めておりまして、加工・運輸部門も含めて、雇用を初め、地域経済を支える産業として重要な役割を果たしておりますことから、平成11年度から県単独で、ブロイラー農家の経営安定を目的とするブロイラー価格安定対策事業を実施してきたところでございます。
 県といたしましては、これまでもこの価格安定対策に加えて、鶏ふん処理施設整備への助成、さらには高病原性鳥インフルエンザ対策など、鶏肉の生産拡大のため、さまざまな支援を行ってきたところでありまして、その結果として、本年の出荷羽数は年々増加いたしております。
 今後も、食鳥産業の振興について、価格安定対策の予算確保に努めるなど、一層力を入れてまいりたいと考えております。
 それから、販路の拡大でございますが、首都圏で開催している岩手フェアにおいて、外食産業等へのPRを強化いたしますとともに、量販店バイヤーとの商談会、いわゆるマッチングフェアでございますが、これを開催して、販路拡大を支援してきたところでございます。
 今後におきましては、こうした取り組みに加え、高級地鶏肉へのニーズの高まりに対応するため、畜産研究所が保有する本県固有の地鶏を活用した新たな地鶏肉ブランドの開発支援なども行い、安全・安心でより品質の高い消費者に信頼される食鳥産業の振興に努めてまいりたいと考えております。
〇田村誠委員 ありがとうございました。この食鳥産業、まだ若い方々にもっともっと食べていただけるような、そういう地産地消という立場からもぜひ御支援をお願いいたしますし、価格安定については、みずからも団体を組んでそれなりの負担をしながら皆さんで努力しているわけですが、それだけではなかなか賄えない状況にありますので、ぜひ県のほうも継続して支援をしていただきますようにお願いいたしたいと思います。
 最後になりますけれども、医師不足と地域医療確保についてお伺いいたします。
 本県の医師数は、人口10万人に対し179.1人となり、全国に比較して低位にありますが、県内の状況を見ると、盛岡圏域のみが200人を超え、沿岸地域は100人をわずかに超える状況になっております。地域偏在が顕著であります。
 知事は、新しい地域医療計画において地域医療の確保を掲げておりますが、その基本となる医師の地域偏在の解消を抜本的に改善する必要があるのではないでしょうか。救急医療のかなめとも言える循環器科医師の不足により、県立大船渡病院は救命救急センターの機能が低下し、他の病院への患者の転送を余儀なくされており、地域住民の不安は筆舌に尽くしがたいものがあります。
 知事は、地域医療の格差をどのように解消していくお考えなのか、また、救命救急センターの機能をどのように維持していこうとしているのか、お伺いいたします。
〇達増知事 地域医療の格差の解消についてでございますが、県民が安心して地域で生活するためには、良質な医療サービスが受けられる体制を確保することが重要であり、医師確保対策が最優先の課題であると認識しております。
 医師不足は、国による医師養成数の抑制策が要因の一つとなっていることから、まずは、国において、抑制策の転換や医師の地域偏在解消策など、地域の実情を踏まえた抜本的対策を講ずることが必要と考えます。
 県としても、医師確保対策アクションプランに基づく取り組みや医師確保対策室による即戦力医師の招聘、岩手医科大学医学部の定員増への対応など積極的に推進しているところであり、今後においては、医師のキャリア形成にこたえる医療環境の整備や、病院勤務医の負担軽減に向けた開業医との連携の推進等にも取り組む必要があると考えております。
 こうした取り組みにより医師の絶対数をふやしながら、医師不足地域の拠点病院や小規模な医療機関等への医師の計画的な配置・派遣調整を進めるなどして、県民が必要な医療を適切に受けることができる体制を構築してまいりたいと思います。
 救命救急センター機能の維持についてでございますが、重症及び複数の診療科領域にわたる重篤救急患者の医療に24時間体制で対応している救命救急センターの役割は、県民の生活を守る上で極めて重要であると認識いたします。
 県立大船渡病院の救命救急センターについては、現在、循環器科医師が不足している状況にありますが、他の病院からの診療応援などにより診療機能の確保に努めるとともに、常勤医師の確保に向けて、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘等に引き続き粘り強く取り組んでまいりたいと思います。
〇田村誠委員 どうもありがとうございました。今まで私が質問した項目は、主に県北・沿岸あるいは医師、最近の岩手県における地域の方々が大変大きな不安を抱きながら生活している、私は、大変喫緊の大きな課題だろうと思っております。ぜひ、これらについて特段の取り組みをなお一層強力に進めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
〇新居田弘文委員長 次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 それでは、知事に、まず雇用の問題についてお聞きいたします。
 知事は、県内の雇用の危機的状況について具体的にどう把握され、認識されているでしょうか。完全失業者、失業率、非正規雇用の現状、派遣・請負と偽装請負、日雇い請負の実態や有効求人倍率の中身、ワーキングプアの実態などについて示していただきたい。
〇達増知事 まず、完全失業者と失業率についでありますが、平成17年の国勢調査結果によると、本県における完全失業者数は4万5、662人、完全失業率は6.2%となっており、平成12年調査と比較すると、完全失業者数で1万4、927人、完全失業率で2.2ポイント増加しています。しかしながら、総務省の労働力調査によると、完全失業率は、平成14年の5.3%をピークに、平成18年は4.3%と改善の傾向にあります。
 非正規雇用の現状でありますが、総務省の平成14年の就業構造基本調査によると、本県における非正規雇用者数は15万4、700人で、全就業者に占める割合は27.5%となっており、平成9年調査と比較すると、雇用者数で3万2、700人増加し、割合では6.9ポイント上昇しています。
 派遣・請負と偽装請負についてでありますが、岩手労働局の労働者派遣事業許可・届出状況によると、県内の派遣事業所数は本年9月1日現在、273事業所となっています。また、岩手労働局の労働者派遣事業報告書集計結果によると、派遣労働者数は、平成17年度で7、988人となっています。
 偽装請負については、岩手労働局によると、今年度、製造業1社に対し改善指導を行ったと聞いています。
 日雇い派遣の実態でありますが、岩手労働局によると、県内における日雇い派遣については、把握していないということでございます。
 有効求人倍率の中身でございますが、本県の平成18年度における有効求人倍率は0.78倍と、前年度より0.15ポイント増加しています。また、平成18年度における正社員有効求人倍率は0.35倍となっております。
 ワーキングプアの実態でございますが、ワーキングプアや生活保護基準以下の世帯や人員については、調査された統計はございませんので実態の把握は困難でありますが、年収200万円未満の世帯・人員について申し上げれば、平成14年の就業構造基本調査までさかのぼらなければなりませんが、有業者のいる年収200万円未満の世帯は4万300世帯で総世帯数の10.2%、また、年収200万円未満の有業者数は25万7、100人で有業者総数の35.9%となっています。
〇斉藤信委員 今、失業率について国勢調査と労働力調査をやりましたけれども、平成17年はどうなっていますか。
〇達増知事 平成17年の国勢調査結果によりますと、岩手県における完全失業率は6.2%。先ほどの答弁では、総務省労働力調査の完全失業率は平成14年分、平成18年分しか申し上げなかったんですけれども、平成17年年の労働力調査結果の完全失業率は4.7%でございます。
〇斉藤信委員 ここは大事なところなんですよ。国勢調査で6.2%の失業率で労働力調査で見ると4.7%。労働力調査で改善しているといっても、いわば全体の調査は国勢調査なんですよ。だから私は、ここを重く受けとめなければだめだと言っているんです。この違いを知事は認識していますか。
〇達増知事 調べ方にもよると思うんですけれども、国勢調査の場合は、1世帯1世帯調べているわけでありまして、その結果は非常に重要な数字だと思います。
〇斉藤信委員 派遣は7、988人という話がありました。日雇い派遣というのは、基本的には登録派遣なんですね。登録型派遣は幾らになっていますか。
〇達増知事 お許しをいただければ、今ちょっと手元に数字がございませんので、岩手労働局のほうに照会したいと思います。
〇斉藤信委員 登録型派遣というのは、いわゆる登録していて、あしたの仕事を携帯で連絡されるシステムなんですよ。これが、いわゆる圧倒的には日雇い派遣なんです。本来許されないもので、厚生労働省もこれはハローワークで扱わないと最近通知を出した。大事な問題ですよ。
 それで私は、増田前知事が、改善の兆しが見られる、量的に改善しているとして雇用対策局を廃止しましたが、全国的には3人に1人、若者の2人に1人が非正規雇用であります。私は、労働情勢というのは一層深刻になっていると受けとめていますが、達増知事は、県内の雇用実態について、改善しているととらえていますか、深刻な事態ととらえていますか。
〇達増知事 本県の雇用情勢については、総合雇用対策局を設置した当時と比べ、有効求人倍率が0.4倍台から平成18年度で0.78倍まで回復するなど、一定の改善をしたものと認識はしておりますが、しかし、全国の有効求人倍率との格差が依然として生じているほか、県北・沿岸圏域の有効求人倍率が低迷、また非正規雇用の増加に伴い、委員御指摘のとおり、雇用の質の低下ということがあると懸念しているところであります。
 私は、県民の所得と雇用、安心な暮らしを守ることが今後の県政において最も重要な課題であると認識しておりまして、現在策定中の新しい地域経営の計画においても、雇用環境の改善を重点目標に挙げていかなければならないと考えております。
〇斉藤信委員 少し増田知事とはニュアンスが違うのではないかと、この点は若干評価したい。
 私は、誘致企業における雇用拡大というのは大変大事だと思っていますが、関東自動車の正規雇用拡大はどうなっているでしょうか。非正規雇用の比率はどうなっているでしょうか。誘致企業による雇用拡大の全体の実績を正規・非正規で示していただきたい。
〇達増知事 関東自動車工業岩手工場の社員数は平成19年8月末現在約2、900名、うち正規社員は約1、490名と聞いています。県では、これまで期間社員の正規社員への登用を強力に要請してきたところでありますが、同社の期間社員から正規社員への登用については、平成18年度は46人の登用となっており、現在の同社の正規雇用の比率は52%となっています。
 なお、同社では、平成19年度は正規社員に50人登用する予定と聞いています。
 次に、誘致企業の新規雇用者数については、平成17年度に立地した企業の雇用計画によれば約1、000人、平成18年度は、非公表のSMC株式会社を除き約600人、平成19年度は現時点で約600人となっています。
〇斉藤信委員 関東自動車も徐々に改善されていますが、正規雇用の比率は52%ですよ。半分がまだ残念ながら非正規、岩手県を代表する誘致企業でね。私は、もっと抜本的な改善が求められていると思います。
 SMCは非公表だと言いましたが、私たち議会で調査をして、そのときには1、664人中903人がパート労働者、これは54.2%でした。世界に冠たるSMCで、私は、地域に大きな役割を果たしているけれども、これは、これから工場拡大する上で、この労働条件の改善、正規の拡大は急務だと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 やはり非正規雇用というのはいろいろ問題があると思っておりまして、県としても、今までも期間社員の正規社員への登用を強力に要請してきたところでありますが、私としても、さらにこの点は強調してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 それで、岩手県の雇用対策なんですけれども、産業政策と結びつけて雇用対策に取り組むとなっているんですね。雇用対策局を廃止して労政能力開発課の1部門ですよ。産業政策と結びつけてこれまでどういった成果が上がったか、示していただきたい。
〇達増知事 今の体制になってから質の向上というところに軸足を置いた雇用対策に取り組み始めたところであり、今年8月に商工関係団体や岩手労働局などの関係機関をメンバーとする岩手県雇用対策推進会議を立ち上げて、こうした関係団体の主体的な取り組みも含めて、実効ある雇用対策を広く展開していくよう意見交換を始めたところでございます。
 また、県庁内部におきましても、商工労働観光部を中心に、庁内各部がしっかり連携して取り組むように進めているところでございます。
〇斉藤信委員 雇用対策局を廃止するときにまとめたものがあって、3万8、149人の雇用拡大─これ、中身はわかりませんよ─産業振興による雇用拡大6、664人と報告されているんです。17.4%ですよ。企業誘致だけで見たら3、894人ですよ。だから、これだけでは雇用対策のほんの一部にしかならないのです。だから私は、全部局が知恵と総力を結集して取り組むような体制にしなければ、雇用の危機という知事の認識は果たせないと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 雇用対策に対して県組織全体を挙げて取り組んでいかなければならないと私も考えております。
〇斉藤信委員 そういう答弁でしたから、ぜひ体制の強化をお願いしたい。
 次に、市町村合併についてお聞きします。
 知事は今度の議会で、よい合併、悪い合併と。これ、具体的には何ですか。
〇達増知事 一般質問に対する答弁でも、よい合併、悪い合併ということを御説明いたしましたけれども、要は、住民が満足できるかどうかということでありまして、そういう意味では、ある客観的な基準があるというよりは、やはり住民自治の発露として、自治体というもののあり方を自由に決定する中で、時代の経済社会環境等の中で住民が満足できるような合併というものが、よい合併と考えております。
〇斉藤信委員 旧法による合併では、住民が住民投票を求めながら議会が否決したケースが多かったんです。住民のそういう意思をとらえないで短期間に合併したケースが多かったが、これは悪い合併ですか。
〇達増知事 地方公共団体それぞれの中で、住民自治を実現するに当たって、間接代表制である議会をどう活用していくのか、また、直接民主主義的な要素である直接投票をどう取り入れていくか、それは、それぞれの地方公共団体の中で、住民自治と団体自治の兼ね合いの中で実現されていくべきことと考えます。
〇斉藤信委員 私は、悪い合併が多かったと思います。
 それで、達増知事は全国に先がけて、知事の勧告のあり方を含めて市町村合併推進審議会に諮問しました。合併したばかりの多くの自治体は、その合併後の調整に追われているのが実態であります。審議会による聞き取り調査の状況を含めて、異常な合併推進を進めている知事の考え方はいかがなものか示していただきたい。
〇達増知事 今回の審議会への諮問でございますけれども、これは、合併市町村における合併効果の検証と、また合併協議会設置の勧告のあり方について調査審議を諮問したところでありまして、これは、広く住民に議論していただくための材料を提供し、地域における議論を喚起し、県が一方的に押しつけるような形ではなく、地域の中から沸き上がるような形で物事を決していただきたいという趣旨で諮問したところでございます。
〇斉藤信委員 合併推進審議会の聞き取り調査では、雫石町も滝沢村も紫波町も、合併する気はない、自立を選択したんだと。そういうところに合併審議会が行って、知事に勧告をされたらどうしますか、こんな聞き取りがありますか。
〇達増知事 合併協議会設置の勧告のあり方については、知事がその勧告をすべきかどうかということについても審議会に諮問しているところでございまして、勧告ありきの考え方でこの合併に臨んでいるわけではございません。
〇斉藤信委員 合併する意思のない市町村に対しては勧告しませんね。
〇達増知事 今、市町村合併推進審議会にいろいろ調査審議していただいているところですので、まず、その結果を待ちたいと思います。
〇斉藤信委員 これは知事の姿勢が問われているんですよ。合併する意思のないところにも勧告の可能性があるんですか。
〇達増知事 こうしたことについては、合併新法では既に、いわばはっきり読み取れるようなことが書かれているわけでありますけれども、しかし、運用には慎重でなければならないと考えているので、まずは市町村合併推進審議会に諮問したところでございます。
〇斉藤信委員 じゃ、最後に競馬問題について。
 新しい競馬組合改革計画に基づく取り組みはどうなっているか。330億円の税金を投入したが、私は、事実上計画は破綻したのではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 新しい岩手県競馬組合改革計画に基づく年度を通じての収支均衡を目指して、今経営がなされているわけでありますけれども、この年度途中であっても、販売実績が計画額を下回っている場合には、売上見込みを見直し、そして競馬関係者や取引先の理解と協力を得ながら、売り上げに応じたコスト調整を実施し、収支均衡が実現できるよう取り組んでいくというこのシステムは、今うまく機能していると思っております。
 既に2回にわたるコスト調整を行い、また、今さらなるコスト調整で関係者と協議・相談しているところでありますけれども、そうしたコスト削減に加えまして、岩手競馬のイメージアップを図る岩手競馬ルネッサンスプランの実施や新たな全国交流競走の実施などにより、売上確保・増加策にも取り組み、収支均衡を実現して、持続可能な岩手競馬が確立できるよう最善を尽くしてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 日本ユニシスが競馬組合の実態調査を行っていますが、その調査の内容はどういうものか、だれが、どういう目的で無償で行っているのか、なぜ知事は調査を受け入れたのか、示していただきたい。
〇達増知事 日本ユニシスの調査についてでございますが、日本ユニシスの調査研究部門である産業機構研究所では、地域産業の再生をテーマとして地方競馬再生研究会を設置し、地方競馬の再生を目的とした独自の調査研究活動に取り組んでいる、その中で、今回の調査は、その一環として競馬組合に協力要請があったものでございます。
 この調査の内容は、地方競馬事業の再生の研究に必要な組合の財務状況や開催業務の内容、外部委託の内容など、事業運営全般にわたるものであり、その調査費用は、日本ユニシス側が負担するものであります。
 競馬組合としては、持続可能な岩手競馬のあり方を考えていくため、多くの方々からさまざまな意見をいただくことは好ましいと考えておりまして、調査結果の提供を受けることを条件に、日本ユニシス側の協力要請に応じたものと承知しております。
 知事といたしましても、岩手県競馬組合は、地方公共団体の一部事務組合でありますから、その財務内容、経営内容等についての情報そのものも公のものでありますので、これは、興味・関心があり、特に競馬再生というテーマで前向きな形での調査研究というようなことについては、どのような方々に対してもオープンに対応することが好ましいと考えております。
〇斉藤信委員 日本ユニシスの競馬調査の実績はどうなっていますか。
〇達増知事 岩手競馬に対する調査の実績ということでは、まだ調査の結果は私の耳には入ってきておりません。(斉藤信委員「委員長、私はそういうことを聞いたのではない。全国でどういう調査をしているかを聞いたんです」と呼ぶ)
 日本ユニシスの岩手競馬以外の調査研究については、過去に1個例があると聞いております。
〇斉藤信委員 実績も不確か、そしてこの調査の目的は民間委託化だと言うんですよ。こんなものをただで受け入れていいんですか。
〇達増知事 先ほども述べましたけれども、危機を希望に変えるという課題に岩手競馬は直面しているわけでありますけれども、これがうまくいくようにしなければならないわけでありますが、それができれば、そのことは広くこうした行政改革等に関心のある人たちの財産になることだと思っておりまして、その途中のプロセスに参画したいということであれば、これは、今回初めてそういう調査研究したいという方々であっても、そうした方々に開放されることが好ましいと考えております。
〇斉藤信委員 この調査は、ことしの9月から来年3月までですよ。これだったら、12月までに存廃を決めるときに報告書が出てこないじゃないですか。よこしまな調査だったらどうするんですか。
〇達増知事 岩手競馬再生の本流と申しましょうか、これは、いわゆる新計画に基づく年度途中のコスト調整も行う、今のやり方でコスト調整をきちんとやって、収支均衡、赤字を出さないようにして存続させていくということが基本でありまして、これは、今年度についても、そして来年度についても、その方針でやっていくことが基本でございます。
 一方、県といたしましても奥州市、盛岡市と一緒に中長期的観点からの抜本改革を検討するプロジェクトチームを立ち上げましたし、また、愛馬の会を初めとする民間の関心のある団体・個人の皆様の中でも、今の競馬組合のあり方とは違う経営のあり方について、さまざま検討がなされていると承知しておりまして、そうしたいろいろな可能性の検討ということは、いろいろな人たち、企業も含めて、どんどんやっていただくことが好ましいと思っております。
〇斉藤信委員 プロジェクトチームは、いつまでに何をどう検討するんですか。
〇達増知事 プロジェクトチームは、まずは監視委員会の答申に基づきまして、先ほども申し上げました中長期的観点からの抜本的改革の検討の方向性について、論点の整理等を行うことが目的でありますが、これを年度内に行おうということが目標でございます。
〇斉藤信委員 12月までに存廃を決めるときに、年度内に調査したってだめでしょう。
〇達増知事 12月をめどに存廃の判断、これは、存廃の判断というよりは、存続し続けるということの確認と私は考えておりまして、要は赤字にならなければ存続できるといいますか、赤字にしないようにして存続させなければならない。今の法律や条例に基づいて競馬を運営していくことが、管理者の責任でもあり、構成団体としてもそういう意向でありますので、そのためには、今の新計画の枠組みのもとで収支均衡を図るということで、さまざまな今の枠組みの中でのコスト削減のためのいろいろなアイデア、また売上増のアイデア、これは、今の新計画の枠組みの中で、今の競馬組合、そして競馬議会、また今の構成団体が関係者と一緒に考えていくことであります。
 プロジェクトチームがやっていたり、あるいは関心ある民間の団体・企業・個人の方々がいろいろ考えてくださっているのは、新計画ではもたないのではないかというような問題意識、あるいはその新計画以上にうまくいくやり方があるのではないかといった問題意識からの作業であると思うんですが、それらは、何もこの12月が締め切りではございませんで、今の新計画のスキームのもとで今年度をクリアし、来年度もきちんとやっていければ、それ以外の何か結論を出さなければならない締め切りというものは、当面ないわけであります。
 しかし、今のスキームは、もっといいやり方があるのではないかというような問題意識を強くお持ちの向きの方々は、早くそうした具体的な案を出したいという動きもあるということでありますけれども、それらは並行して行われていけばいいと考えております。
〇斉藤信委員 今の枠組みだったら、ことしもっても来年の見通しは立ちませんよ。12月までに責任を持って存廃を決めるべきですよ。どうですか。
〇達増知事 まず、今年度は今のスキームのもとでコスト削減をきちんきちんとやって、単年度黒字を確かなものにしていきたいと思っておりますし、来年度については、来年度黒字が可能なような予算を競馬組合と競馬議会が一緒につくっていくということでありますので、構成団体の長としては、そうした取り組みがうまくいくように一緒にやっていきたいと思っております。
〇新居田弘文委員長 斉藤委員に申し上げます。
 先ほど質問ありました労働者の登録派遣等に関する質問に対しての答弁保留がございますので、答弁させます。
〇達増知事 登録型の労働者は、岩手労働局の調査によると、平成17年で5、663人となっております。
〇新居田弘文委員長 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党、小野寺好であります。
 平成18年度一般会計歳出決算7、675億円の20.8%が公債費で、身近な民生費はわずか7.0%、しかも平成18年度末普通会計県債残高が1兆4、439億円余と、なかなか借金生活から抜け出せないでおります。負債の中には、国が交付税措置してくれるものもありますが、窮屈な財政であることに変わりなく、特にも、年間の支払い利息が約247億円であることについて、むなしささえ感じます。
 平成18年度決算を踏まえて、県政を預かることになった新知事の、このような財政構造に対する所見と今後の方針を伺います。
〇達増知事 本県の財政構造は、近年の地方交付税の削減や多額の起債残高に伴い公債費が高水準で推移することなどにより、多額の財源不足が生じる状態となっており、その一方で、基金残高が縮小してきていることや都市部との財政格差が大きく拡大していることなどから、全国的に見ても特に厳しい状況にあると認識いたします。
 御指摘の県債残高や県債の支払い金利については、プライマリーバランスの均衡に留意しながら、中長期的な取り組みとして、県債残高の縮小やそれに伴う金利負担の軽減を図っていきたいと考えておりますが、当面は、公債費負担は高水準で推移することを前提とした財政運営を行わざるを得ないと認識しております。
 今後の方針でございますが、本県の財政構造を改善するためには、格差是正につながる地方税財政制度の改革、特に地方交付税の充実確保と財源調整機能の強化が必要であり、この点国に強く働きかけてまいりたいと考えておりますが、こうした制度改正の実現を図ることも含めて、歳入歳出両面から、あらゆる対策を講じて財源不足への対応を行いながら、新しい地域経営の計画に沿って重点的、効率的に施策展開を行い、危機を希望に変える県政運営を行ってまいりたいと思います。
〇小野寺好委員 平成18年度予算を議決する際、県財政の硬直化が進んでいるが、行財政改革に取り組み、魅力ある地域社会の形成に努力されることを期待する旨、県議会は附帯意見をつけました。同時に、県競馬組合に対する貸付金に関し、18年度第1・四半期を目途に新たな計画策定を求めました。しかし、昨年6月県議会で前知事は、あくまでも目途ということで6月末まで策定ということではない、いずれ、実行計画の見直し案はできるだけ早い時期に策定したいとの答弁でありました。健全化への対応がおくれ、結果として、18年度の発売金額は326億円の見込みに対し283億円にとどまり、この年の年間の赤字は約20億円余となりました。
 経営難の競馬組合に対し、3月の臨時県議会では、賛否相半ばするも、一転して、県は岩手競馬再生推進基金277億5、000万円を創設することとなり、構成団体から競馬組合への330億円の融資で競馬事業は継続しております。しかしながら、19年度は、年間の折り返しとなる60日間で約120億円の売り上げにとどまっており、7日間の追加開催をしても目標に届きそうにない現状にあります。融資を受けた競馬組合は、構成団体に返済していくことができるのか、組合から返済を受けることができそうにない奥州市、盛岡市は、県に立てかえてもらった分を返済していくことになりますが、両市ではどのような影響が出るか伺います。
〇達増知事 競馬組合から構成団体への融資の返済については、競馬組合が、販売拡大やコスト削減などの収支構造を改善するための取り組みを進めた場合であっても、まとまった額の元金を定期的に返済していくような安定的な利益を確保することは、当面難しいと見込まれることから、競馬組合の新計画におきましては、元金は、競馬組合の各年度の事業収支に1億円以上の黒字が生じた年度に一定の基準に従って返済し、利息は、その年度の事業に要する経費として約定どおりに支払うというルールを明文化しております。したがいまして、まず利息については、これは既に経費として予算化済みであり、事業収益の中から、県、両市に合わせて約1億円を支払うこととしており、これを支払った上で収支均衡を達成することが、今年度もそれ以降も存続条件となります。一方、元金については、発売額が低調に推移しておりますことから、今年度末において、元金を返済できるような収支状況となることは困難と見込まれます。今後とも、引き続き収支構造の改善に取り組み、収支状況に応じて少しずつでも返済できるよう、努力してまいりたいと思います。
 次に、奥州市、盛岡市への影響についてでありますが、両市から県への元金の返済は、19年度以降、毎年度にそれぞれ2億2、500万円を返済するとともに、競馬組合から両市に元金が返済された場合には、その元金の一定割合を県への元金返済に充てることとしており、両市は、競馬組合からの元金返済がない場合でも、毎年度、一定額を県に返済するルールでございます。このルールは、両市とも十分に協議し決定されたものであり、両市とも厳しい財政事情にはありますが、県への返済額については、ルールに従ってなされるものと理解しております。両市においては、県への返済も含めて財政を見通しており、これによって、行政運営に大きな支障が生じることは避けられるものと考えております。
〇小野寺好委員 本県の平成18年の出生者数は1万457人で、死亡のほうが多く約4、000人の自然減、県外転出が転入を約6、000人上回る社会減で、合わせて約1万人の人口減、高齢化率は25.1%で、ついに4人に1人が高齢者。数字から見た場合、本県の活力は徐々になえてきております。こうした中、行政の効率化などを目的に平成の大合併が進められ、平成18年4月からは23減の35市町村でスタートしております。財政上の優遇措置があったとはいえ、合併しても広い土地にまばらな人口という状況には変わりなく、行政サービスの住民1人当たりに要する費用は改善されません。生活に便利な内陸部への人口移動、山村漁村の高齢化、困難をきわめる集落の維持といった問題にどのような対策を講じたか。また、5、000人に満たない村が4カ所ありますが、小規模自治体の将来をどうするか、平成の大合併の検証と知事の今後の方針を伺います。
 あわせて、盛岡広域においては、さらに50万人規模を目指そうとする構想もありますが、これに対する御所見はいかがでしょうか。
 また、都市部の中においても、人口密度を高めて都市機能の効率をよくしようとするコンパクトシティーへの誘導もあります。特に、高齢者を郊外から中心市街地に集め、郊外のあいた戸建てを子育て世代に貸与するという考えに対する知事の所見を伺います。
〇達増知事 人口流出や高齢化等で集落の維持が困難な山村漁村地域への対策については、これまで、過疎計画や山村振興計画等に基づき、その活性化を図るべく、市町村とともに、産業振興や生活環境整備などに取り組んできたところであります。また、地域の特性や資源を発掘し、育てる地域づくりとしていわて地元学を提唱し、実践者の養成や指導者の派遣、マニュアルの作成、情報発信などを行い、県内のそこにしかない文化や資源を地域で育て、地域活性化や産業振興につなげる活動を実施してまいりました。さらには、グリーンツーリズム等による都市との交流の促進、新規就農者の拡大等も視野に入れた農村生活体験機会の充実、担い手育成などを目的としたさまざまな施策を講じてきたところであります。今年度においては、これらに加え、地域づくりの主体である町内会や自治会などの地域コミュニティの強化、あるいは維持、再生が必要であるとの考え方に立ち、草の根コミュニティ再生支援事業を行っており、その中では地域における課題等を調査し、その結果をもとに、今後、県内各地でコミュニティ主導の地域の特性、資源を生かした地域づくりができるような体制づくりも支援してまいります。
 小規模自治体の将来と平成の大合併の検証についてでありますが、これからの市町村は、住民に最も身近な基礎自治体として、教育や福祉、まちづくりなどの行政サービスをきめ細かく総合的に提供する役割を担っていくべきものと認識しておりますが、今後、こうした役割を小規模町村が担うことは、人口減少や少子高齢化が進む中で、自主財源に乏しい財政体質や、一人で何十役もこなしている職員体制のもとでは、相当な困難を伴うものであることは否定し得ない事実でございます。
 合併の効果の検証については、市町村合併推進審議会に諮問しているところであり、審議会での議論を待ちたいと考えますが、小規模町村においても、住民自治の基礎となる草の根の地域を守っていくために行財政基盤の強化が必要であり、将来にわたって、より少ないコストで必要な住民サービスを提供できるよう、合併推進構想を一つのたたき台として、将来のまちづくりについて、今まさに真剣に議論をしていただきたいと考えております。
 盛岡広域の50万都市構想に対する所見でございますが、盛岡市を中心とする県央広域圏は、高度医療施設や教養文化施設などの高次の都市機能とともに、大学、試験研究機関などの学術研究機能が集積し、加えて、近年は盛岡駅西口開発、盛岡南新都市開発等による新しいまちづくりなどにより、食、住、遊、学近接の魅力ある都市圏が形成されつつあります。
 今後においては、新たに策定する新しい地域経営の計画に基づき、これら機能集積を生かした企業誘致、産学官連携による新技術の開発によるものづくり産業の創出や、IT産業、地場産業の振興などに取り組むこととしております。こうした取り組みにより、当該圏域の多様な機能のさらなる充実を図り、圏域の人口集積を誘導しながら、50万人都市構想については、昨年4月に策定した合併推進構想なども念頭に置きつつ、盛岡市と関係市町村を支援していく考えでございます。
 高齢者の住宅住みかえについてでございますが、高齢者が郊外から中心市街地に居住するという考え方は、都市の中心部にさまざまな機能が集積されていることから、高齢者にとって暮らしやすく、コンパクトなまちづくりにつながっていくものであると認識いたします。県としては、平成19年3月に策定した岩手県住生活基本計画において、高齢者の住宅を子育て世帯等に賃貸する仕組みの必要性を位置づけたところであり、団地の活性化等の観点からも有効と考えております。
 高齢者の所有する戸建て住宅等を借り上げ子育て世帯へ賃貸することについては、国の支援を受けて移住・住みかえ支援機構がモデル的に首都圏の1都4県において実施しているところであり、これまで14県の成約があり、平成19年度中にも全国展開ができるような体制づくりに取り組む予定と聞いております。
 国においては、このような取り組みを充実していくために、新たに住みかえ先住宅の取得支援策も検討中ということであり、本県においても、これらの情報を参考に、国のスキームを活用しながら、住みかえ支援について検討してまいりたいと思います。
〇小野寺好委員 国政との連携を強化するため、かつては副知事を国から受け入れていましたが、今でも国から県への出向職員がおります。また、県から公益法人等への派遣、秋田や青森との相互交流派遣、県から市町村への業務移管等を理由とする出向、逆に、研修などを目的とした市町村からの派遣等々さまざまあります。派遣職員の中には、私は出向で来ているのでよくわかりませんと、つれない返事をする方もいます。部外者にはわかりにくく感じられる職員交流ですが、18年度の職員交流の実績と効果を伺います。また、盛岡の中核市移行に伴う派遣要請等も含めた今後の方針を伺います。
〇達増知事 平成18年度の職員交流の実績についてでありますが、国との交流については、県から国へ8名、国から県へ11名の交流実績でございます。都道府県との交流については、青森県及び秋田県との3県交流で、本県から青森県へ6名、秋田県へ7名の計13名、青森県から本県へ7名、秋田県から本県へ6名の計13名の交流実績でございます。市町村との交流については、県から13の市町村へ34名、11の市町村から県へ28名の交流実績でございます。そして、公益法人等への職員派遣については、公立大学法人岩手県立大学を初めとする23の公益法人等に、183名の派遣実績となっているところでございます。
 この職員交流の効果についてでありますが、国、県及び市町村との職員交流については、異なる経験や視点を持つ職員が相互に触発され、双方の職員の資質向上につながるとともに、相互理解の進展や情報交流の円滑化等により、国、県及び市町村の一層の連携、協力の強化が図られてきているところであります。
 公益法人等への職員派遣については、県の事務事業と密接な関連を有する公益法人等に対し職員を派遣することにより、当該公益法人の業務の円滑な実施を確保し、地域の振興や県民生活の向上、県行政の推進に貢献しているところでございます。
〇小野寺好委員 共通する政策課題に対応していくことを目的に、秋田、青森と連携をとってきておりますが、地理的な隔たりだけではなく、考え方においても県境産廃や並行在来線問題など、埋めることのできない溝があるのではないかと思います。北東北3県連携のこれまでの成果と新知事の今後の方針、道州制についての所見を伺います。
〇達増知事 北東北3県連携についてのお答えの前に、職員交流について、盛岡市の中核市移行に伴う派遣も含めた今後のあり方についてでございますけれども、先ほど申し上げたような効果が期待できる職員交流については、今後とも積極的に進めてまいりたいと考えておりまして、盛岡市の中核市移行に伴う職員の派遣については、盛岡市と十分に協議し、その意向も踏まえ、円滑な中核市移行が図られるよう支援してまいりたいと思います。
 北東北3県連携のこれまでの成果と今後の方針でありますが、北東北3県では、平成9年度から開催している知事サミットの合意事項を中心に、北東北みらい債の共同発行、産業廃棄物税に関する条例の制定、北東北3県のアンテナショップや共同事業所の設置など、全国に先駆けた多くの連携事業を実施してまいりました。連携を行う上で、個々にはさまざまな課題や困難はあると考えられますが、こうした取り組みは、スケールメリットの発揮や広域的課題解決への対応などの効果を生んだほか、とうほく自動車産業集積連携会議や東北観光推進機構の設立など、東北全体における広域連携につながる基礎として大きな役割を果たしてきたものと考えており、今後も、こうした広域連携を一層進めていくことが必要であると認識しております。
 一方、道州制については、現在の議論が、道州が果たすべき役割が明確とならないまま制度論などが先行していることから、今後は、県民の暮らしや仕事をよりよくするために必要な連携や、道州制のメリットとされている広域的な産業政策などについて、関係する県や経済界などとも連携をしながら、行うべきことを着実に進めていくことが必要であると考えております。
〇新居田弘文委員長 次に、阿部富雄委員。
   〔阿部富雄委員質問席に着く〕
〇阿部富雄委員 早速質問に入らせていただきます。
 行財政構造改革プログラムは、平成15年から4年間に1、750億円の財源不足が見込まれることから、職員定数を10%削減、県単独の補助金、各種団体への加入負担金について見直し60億円の削減、公共事業は、平成14年度当初予算に比べて、平成16年度までに段階的に30%を削減するなどを取り組むとしてきました。行財政構造改革プログラムの取り組みは、県民生活にどのような影響を与えたのか。また、今後、集中改革プログラムの推進に当たり、県民生活への影響を最小限にとどめるため、対応策や支援策を講じながら進めることが必要であるが、どのように推進していくのか、お聞きいたします。
〇達増知事 まず、歳出削減による県民生活への影響についてでありますが、平成15年度から18年度までの4年間でおよそ1、669億円、1年当たりでは約417億円の歳出削減が行われました。この経費削減額が経済に与えた影響を産業連関表を用いて試算いたしますと、単年度では、その約1.62倍に相当するマイナス約675億円、4年間で約2、698億円の経済的な影響が見込まれるところでございます。これは、平成17年度の本県の名目GDP─県内総生産4兆5、954億円の1.5%に相当するものと試算しておりまして、県内経済を初め、県民生活の面でも一定のマイナスの影響を与えたと認識いたします。
 次に、今後の方策でありますが、本県の財政状況は、今後においても多額の歳入歳出ギャップが見込まれることから、歳出抑制は避けられないと認識しておりますが、具体的な検討に当たっては、単なる歳出削減のための一律的な廃止や削減とならないよう、事務事業の総点検等に基づき行財政資源の選択と集中に鋭意努め、重点的、優先的な政策の展開を図っていくとともに、格差是正に直結する地方税財政制度の改革、とりわけ、地方交付税の充実確保などを国に強く働きかけるなど、できる限り、県民生活の低下を招かせないような方途を講じてまいりたいと思います。
〇阿部富雄委員 ただいまの答弁で、県民総生産の1.5%マイナスに匹敵するということでありますが、県民生活への具体的な影響を見ますと、例えば小規模作業所への補助金の削減は、弱い立場の人たちに大きなしわ寄せとなっていまして、施設の運営を一層厳しくしたり、自立や就労の機会を遠のかせてしまいました。さらに、公共事業の削減では、国の経済対策の始まる以前、平成3年度の1、640億円の水準に戻すことを目安に投資規模の適正化を図るとして、平成14年度は1、830億円から平成18年度1、053億円と大幅な減少となっております。この結果、建設業の倒産が顕著になっているわけであります。公共事業に過度に依存しない建設業の構造改革を推進する、そういう支援が後手に回ったと思うわけであります。
 集中改革プログラムの推進に当たっては、事務事業をゼロベースから見直してやるとしておりますけれども、県民生活への影響を最小限に食いとめるため、対応策や支援策を具体的に講じるということが必要だと思いますが、どのように考えているのかお尋ねいたします。
〇達増知事 地方財政がこのようにどんどん縮小傾向にあるというのは、大変異常なことであります。戦後、日本が経験したことはございませんし、戦前においてもなかったのではないかと思います。要は、近代日本が経験したことがないようなことでありますが、江戸時代には、江戸城修理の負荷を、各地方、藩にやらせたりとか、そういう地方の財政を殊さら弱らせるような策を、江戸幕府のころにはとられたりもしていたわけでありますが、明治維新以降、基本的に、中央は、やはり地方が豊かにならなければ日本全体も豊かにならないという一大基本方針で日本近代は進んできたわけでありますけれども、それがここ数年、大きな政策転換が国全体として行われているということだと思います。したがいまして、まずは国の政策の転換を求めていくということを本気でやっていかなければならないということで、地方交付税の充実確保を初めとする地方税財政制度の改革を強く国に求めていくわけでありますけれども、国において、そうした政策転換が行われない限りは、県の歳入が減っていく傾向は食いとめられませんので、財政規模が小さくなる中で、いかに県民経済をよくしていくかという、今までなかった工夫をしていかなければならないと考えております。そうした中で、事業の執行で、財政出動で直接経済を発展させていくということのほかに、知恵とアイデア、マッチングやネットワーキング、そうしたことで県内経済を活性化していくような、そうした施策に県の施策も軸足をシフトしていく必要があると考えております。
 仙台に支店があるようなメガバンクからは、岩手にどんどん営業マンが入ってきて、優良中小企業に対してどんどん金を借りてくれという営業がかかっていると聞いておりますし、ゆうちょ銀行ができて、これも大きな資産をどんどん貸していかなければならない。また、地場の地銀、信金は、岩手の人や企業にお金を貸すのは私たちの仕事だということで、これも積極的にお金を貸していこうという、そういった意味では、公の財政出動が減少する一方では、民間にはそういった資金の供給というものはかなり可能性があるわけでありまして、その資金が岩手県内を大きく回っていくような工夫を、県が市町村や諸団体、企業個人と一緒につくっていくという、新しい挑戦を今度の新しい地域経営の計画の中で進めてまいりたいと考えております。
〇阿部富雄委員 マクロ的な考え方はわかりましたけれども、ぜひ、プログラムを進めるに当たっては、ミクロ的な部分もきちっととらえてやっていただきたいと思います。
 次に、雇用環境の改善では、産業振興による雇用創出を5、000人として、雇用の場の創出を新しい地域経営計画に盛り込んでいる産業施策の推進によるとしています。産業振興施策は、ものづくり産業の推進、食産業の展開、地域回遊交流型観光の推進、東アジアを初めとした海外市場への展開を行うとしていますから、施策ごとの雇用創出目標を明示して取り組むわけですが、対応をお聞きします。
 また、産業振興施策だけではなく、環境福祉、知事が進めようとしている文化、芸術など、あらゆる分野を網羅した総合的な雇用対策を策定し、部局横断的に取り組むことも必要です。各部局に目標を示させ、具体的に取り組むべきですが、対応についてお聞きします。
 また、公正な雇用の確保では、企業への正規雇用拡大の働きかけ、支援、国への法制度の改正、指導強化の要請などを行うとしていますが、実効性を高めるため、具体の取り組みはどのように行っていくのか、お聞きいたします。
〇達増知事 新しい地域経営の計画において設定した産業振興施策による雇用創出目標については、県の施策、事業を通じて創出される正規雇用数を目標として設定しております。
 施策ごとの雇用創出目標の明示については、新しい地域経営の計画に基づく施策や事業をもとに、具体的目標を明示して取り組んでまいりたいと思います。
 総合的な雇用対策の策定についてでありますが、さきの総合雇用対策においては、雇用創出目標として3万6、000人という数字を設定して取り組み、目標を達成したところでありますが、一方で、雇用情勢の実態とかけ離れている正規・非正規といった雇用の質が反映されていないという指摘もありました。このため、新しい地域経営の計画においては、雇用統計と連動する指標として求人不足数、雇用の質が反映される指標として正規雇用求人不足数を新たに目標として設定いたしました。この求人不足数は、産業振興施策はもちろん、環境、福祉、文化、芸術など、あらゆる分野における雇用創出が最終的に反映される指標と考えております。
 雇用の拡大については、民間の企業活動の活性化が一番重要でありますので、今回の指標設定に当たっては特に産業振興施策に重点を絞り、かつ、県の施策、事業を通じて創出される正規雇用数を目標として設定したところでありまして、今後の雇用対策については、商工労働観光部を中心に、庁内各部がしっかりと連携して取り組むよう進めさせてまいりたいと思います。
 公正な雇用の確保の具体的取り組みについてでございますが、県としては、量的な面とあわせ、質的な面の対策として、正規雇用の拡大を雇用対策上の重要な課題ととらえ、重点的に取り組んでまいります。具体的には、産業関係団体等への要請活動やシンポジウム、フォーラムの開催等事業所への働きかけを強化するとともに、正規雇用のみを対象とした就職面接会を開催するなど、県内事業所における正規雇用の拡大を支援してまいります。
 また、法制度上の課題から、非正規雇用が増加している側面があることから、正規雇用と非正規雇用の処遇の格差是正や労働者派遣の規制強化に向けた法改正等について国に要請してまいります。
〇阿部富雄委員 次に、集中改革プログラムでは、各年度、200から300億円程度の歳入歳出のギャップが生じる見通しとなっているとしています。財政見通しができない中で、新しい地域経営の計画を策定することができるのでしょうか。どういう根拠に基づき計画を策定しようとしているのか、お聞きします。
 県は、平成17年10月に、あらあらの数字ではあるが、平成19年度から22年度までの4年間で2、354億円が不足するという見通しを立て、その後、平成18年8月時点では2、579億円が不足するとしていました。計画に要する財源をどう見込み、制度上可能とされる県債の追加発行額、それに伴う計画期間の財源不足はどの程度か、不足額をどのように捻出するのかお聞きします。
〇達増知事 本県の財政状況は、平成20年度以降も多額の財源不足が見込まれる一方で、基金残高が減少するなど、これまで以上に厳しくなると認識しており、また、国の予算や地方税財政制度改革の動向などを含め、将来の見通しが不透明な状況にあるところでございます。今般策定を進めている新しい地域経営の計画に掲げる政策の具体的な予算化に当たっては、各年度の予算編成の中で、確保できる財源の状況を踏まえながら決定していくこととなるものでありまして、初年度の事業費やその後の事業規模のイメージなどは、平成20年度予算の編成作業を通じて、順次固めていきたいと考えております。
 また、この計画は、今後4年間に重点的、優先的に推進すべき政策を盛り込んだものであり、持続可能な行財政構造を構築することを目的とした岩手県集中改革プログラムと一体的に策定することにより、その実効性を高めていくこととしており、今後、可能な限り必要な財源の確保に努め、県民、企業、NPO、市町村などの総力を結集しながら、その目標の実現に向けて取り組んでいく考えでございます。
 今後の財政見通しについてでありますが、平成19年度以降の財政見通しについては、年間600億円から700億円規模の財源不足が発生するという見込みを立てていたところであり、現時点でもその見込みには大きな変化はないと考えておりますが、制度上、追加発行が可能な県債を最大限見込むと400億円前後が想定されますので、その他の対策を講じなければならない収支不足は、200億円から300億円程度になると考えているものであります。
 平成20年度も含め、今後の交付税や地方税制度の先行きが見通しがたいことや、本県の財政収支は、国レベルでの制度改正に大きく左右されることなどから、現時点では詳細な年度ごとの収支見通しを作成することは難しいですが、20年度の予算編成の作業とあわせて、具体的な収支不足の対応策や22年度までの財政見通しを取りまとめてまいりたいと思います。
 このため、当初予算編成に向け、地方交付税の充実確保と財源調整機能の強化など、地方税財政制度改正の実現を図ることも含め、歳入歳出両面からあらゆる対策を講じながら財源の確保に努め、限られた財源の中で政策のなお一層の選択と集中に取り組み、新しい地域経営の計画の推進に当たる必要があると認識しているところでございます。
〇阿部富雄委員 財源見通しを予算編成の中で明らかにしていくんだということですけれども、今つくっている計画と財源が伴わないという形であれば、本当につくる意味があるかということが私は出てくると思うんですよね。そういうものを県民に示しているわけですから、財源と政策はきちっと整合させるということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 現在のところは、今まで申し上げていた年間600億円から700億円規模の財源不足が発生という見込み、このままでございまして、ただし、制度上、追加発行が可能な県債が最大限400億円前後想定されますので、それを引きますと、年間200億円から300億円程度の財源不足ということになります。
 この新しい地域経営計画、今後の4年計画につきましては、従来の総合計画の中の後期実施計画に想定されるような体裁に比べますとかなり戦略的な構造になっておりまして、国の動きの不透明さを踏まえながらも、ソフトパワー戦略、新地域主義戦略といった岩手の県民の生活そして経済、これをしっかり守っていくための地域経営計画でございまして、この4年間の200億円から300億円程度の財源不足というのを前提にしながら、まずはこの4年計画をスタートさせていく必要があると考えております。そして、年度ごと、具体的な事業に幾らかけていくかという段階で、より細かい数字が確認できると考えておりまして、そうした今後の財政運営ということで御理解をいただきたいと思います。
〇阿部富雄委員 そこで、年間200億円から300億円の財源不足、この不足額をどうするかということになりますと、恐らく集中改革プログラムの中で捻出をしていくということが大半だろうと思うんですね。ところが、集中改革プログラムを見ますと、理念だとか基本方針は示していますけれども、具体的な施策だとか工程表は何一つ示されていないんですね。県民にどのような負担や変化が伴うのか、受益と負担を明確にした具体の施策や工程表を示して、県民に理解を得ながら策定をすべきでありますけれども、どう考えているのかお尋ねいたします。
〇達増知事 第一に、私は、国が地方交付税をこれからもどんどん減らし、いわば地方切り捨て的な、格差拡大的な、そういう財政政策を今後続けることを、それにあわせて岩手県の財政規模を計画的に縮小しながら、一種県の店じまいのようなことを計画的にやっていくことは好ましくないと思っております。確実に県の仕事を減らしていくというような計画は、それは立てようと思えば立てられるかもしれないんですけれども、考えなければならないのは、プライマリーバランスの均衡という目標を持ちながら、柔軟に出動できる財政はできる限る出動して、県民経済を下支えしていくということではないかと思っております。そういう意味で、その年その年どれだけのことができるかということを、今の段階からかちっとした4カ年事業計画のようなことで示すことは難しいと考えておりますけれども、今必要なのは、こうした国の方針に基づいて、地方切り捨て、格差拡大的な施策が全国的に進む中で、その中で、ただそれに引きずられて県民の経済の水準を下げ、県民の生活の水準を下げ、県内の格差を拡大していくということをとらず、その反対、とにかく、ありとあらゆる知恵と力を結集して、そうした動きに呼応しながら、少しでも県民の経済を下支えし県民の生活をよくしていく、そういう4カ年計画というものをできだけ早く策定していくことが、危機を希望に変えていくことの一歩ではないかと考えております。
〇阿部富雄委員 理念や基本方針だけを示して具体のことは県が勝手に決める。これでは、今度の計画をつくる、オール岩手でやるという意味がないのではないですか。県民にどれだけの負担が伴うかということを明らかにするべきだと私は思うんです。ぜひ、その辺御答弁いただきたいと思いますし、最後は、総合政策室のあり方についてお尋ねをいたします。
 総合政策室は、企画政策立案あるいは政策評価などで一定の役割を果たしてきた時期があったと思います。今日では、各部局に企画室、企画担当課長が配置され、それぞれが企画あるいは政策立案、それから事務事業の評価も行えるようになりました。まさに、自己完結型で行政運営ができると思っております。また、全県までには及びませんけれども、地域経営も県南広域振興局の発足で可能になってきていると思います。こういうことを見ますと、企画政策立案が二重、三重構造になっている。部局間の調整というのは私は庁議でできると思いますから、総合政策室を廃止し、総合政策室に集中している頭脳集団を現場に配置することによって、県民に密着した施策展開が可能と思いますけれども、新しい地域計画を策定する知事の決意をお尋ねいたします。
〇達増知事 新しい地域経営の計画のこの素案については、具体的な取り組み内容やスケジュールを盛り込む工程表については、成案策定時に明らかにすべく検討を進めているところでありまして、現在、パブリックコメントのほか、地域説明会などにおいて県民の皆様から御意見を伺っているところでもあり、今後ちょうだいした御意見を尊重するとともに、国の地方財政制度の改革に向けた検討の動向なども踏まえつつ、プログラム骨子に、改革による県民の受益と負担の関係についてもできるだけ明らかとなるよう、具体的な内容を示した工程表を加えて成案にしていきたいと考えております。その工程表を加えた成案についても、これは改めて県民の皆様の御意見をお聞きするなどして、理解を深めていきたいと考えております。
 次に、総合政策室のあり方についてでございますけれども、平成20年度以降の組織改正の論点の一つであると考えておりまして、現行体制のメリットや課題を踏まえながら、新しい地域経営の計画に掲げる施策を着実に推進していく上で望ましい体制はいかにあるべきかという観点から、十分に検討してまいりたいと思います。
〇新居田弘文委員長 次に、及川あつし委員。
   〔及川あつし委員質問席に着く〕
〇及川あつし委員 きょうは6分間時間をいただきましたので、質問させていただきたいと思います。
 まずもって、知事に就任されて5カ月半ですか、たっております。今まで申し上げる機会がございませんでしたので、まずは知事御就任に賀詞を申し上げたいと思う次第でございます。
 私にとりましては大変複雑な思いでもございますが、4年間、ぜひ、県勢発展に寄与されるように御期待申し上げたいと思う次第であります。
 さて、きょうは決算審議でございますので、いろいろ考えた結果、教育施策というものに視点を当てながら、知事にお伺いをしたいわけであります。
 けさほどちょっとバリウムを飲みまして、体調が非常に思わしくありませんが、二日酔いよりはましでありますので、頑張って質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 なぜ教育施策に絞ったかといいますと、私、平成17年9月11日の選挙以来、政治的に蟄居幽閉生活をしておりまして、食いぶちに教育というものを得ましていろいろ現場にいたわけであります。その意味で、私自身の選挙でも教育というものを掲げまして戦ったわけでありますが、いみじくも、知事のマニフェストを見ましたら、その6本柱、民主党のすばらしい、県議団の皆さんもつくったんだと思いますが、6本柱の第1点に教育というものを掲げております。そうした意味において、きょうは決算でお伺いをするところであります。
 まず第1に、平成18年度決算認定に当たって、知事は、このマニフェストというものをつくったときに、岩手県の教育問題、どのような問題意識からつくったんでしょうか。岩手の教育の現状についてどのように評価し、どのような問題があると認識されているのか、まず第1点お伺いしたいと思います。
〇達増知事 私は、教育を受ける権利は、21世紀において最も重要な権利と考えておりまして、県民総参加でこれを保障しなければならないものと認識しております。このような観点から、これまでの岩手の教育関係者の努力の積み重ねを基盤としながら、県民総参加の教育立県という基本理念をすべての県民と共有していく考えであります。
 このような考え方を踏まえた上で、教育の現状を見てまいりますと、全国的な経済情勢の悪化や、やはり全国的な社会の混乱などを背景として、全国においていじめや不登校の深刻化、子供たちの学習意欲の低下などの諸問題が顕在化しており、学校教育がその打開策を見出しかねている現状にあると考えております。こうした全国的な傾向は本県においても見られるところでございまして、しかしながら、岩手県においては、こういう困難に直面している学校を地域や家庭が支えていこうという動きも多く、全県的な視点でこうした動きをさらに強化していくことが必要と考えております。また、家庭の状況や心身の発達などさまざまな違いのある子供たちを受けとめて、一人一人の違いに応じた教育をしっかり進めていく体制にはまだ不十分なところがあると考えており、子供たち一人一人の知、徳、体をバランスよくはぐくむためのきめ細かな体制の整備などが課題になっていると認識しております。
〇及川あつし委員 知事、ぜひ自分の言葉でお答えをいただきたいと思います。もちろん、自分の言葉でも答えられていると思いますけれども、もう少し生きた言葉で、県民の皆さんにわかるような御答弁をいただきたいと思います。
 2点目でありますが、知事は11点、教育問題でマニフェストに掲げております。今示された現状と、このマニフェストがどのように関係して今後施策が展開されていくのでしょうか、その考え方についてお示しをいただきたいと思います。
〇達増知事 自分の言葉で、その場でしゃべろうとすると絶句することが多くなり、御迷惑をかけて申しわけないのでメモを用意してきているんでございますけれども、マニフェストにも盛り込んだことでありますけれども、知事と教育委員会、学校現場が連携して、本県の教育が抱える諸問題に適切に対応していく必要があると考えておりまして、そうしたことを教育委員との定期協議や教職員との対話ということで実際の活動に取り入れております。また、マニフェストで掲げましたコミュニティ・スクールの推進ということについても、これをいわて型コミュニティ・スクール構想といたしまして、政策に取り入れているところであります。また、英語力強化、学力向上対策強化、キャリア教育重視、特別支援教育の充実といったこれらもマニフェストに盛り込んだ内容でありますが、これも施策の中に盛り込んで展開してまいりたいと思います。
〇及川あつし委員 ぜひ、改めて申し上げますけれども、知事自身の言葉で政策方向が定まっていくわけでありますので、御自身のつくったマニフェストですから、ぜひ県民の皆さんにわかる言葉で説明していただきたいと思います。
 今、2点お尋ねした中で、いわて型コミュニティ・スクールというのが出てまいりました。このマニフェストにも入っておりますが、これまでの議会審議でも今の説明を聞いても、私自身は一体何をするつもりなのかというものが見えてこないんですね。知事が県民の皆さんにお約束したこの義務教育へのコミュニティ・スクール制導入というのは、一体どういうことですか、御説明お願いします。
〇達増知事 全国的に教育の危機ということが叫ばれ、安倍晋三内閣においても教育再生会議ですか、そうした緊急的な組織がつくられて、教育改革について国政の最優先課題のような形で議論されたところでございます。この教育の危機と呼ばれることの背景には、やはり経済社会情勢の大きな変化、特にここ数年の経済の低迷、また、今までなかったような犯罪、その背景には、今までなかったようなIT技術の浸透等もあるわけでありますけれども、そうした今までなかったような犯罪が起きるようなそういう社会の混乱、そうした学校を取り巻く環境悪化というものが教育の危機の根本にあると私は考えております。したがいまして、その教育現場を周りの地域がしっかり支えていかなければならない。その地域の中には、生徒がいて父兄がいて、そして、それ以外の地域コミュニティもあるわけでありますけれども、そうした学校、家庭、地域が一緒になって、子供の学ぶ権利を保障していく体制をつくろうというのが、このいわて型コミュニティ・スクール構想の原点でございます。
 そうした考え方に基づいて、基本的には、その学校学校の校長先生が中心になりまして、これは学校によっていろいろあっていいと思います。その総合学習の時間にどんどん地域の人も参加するでありますとか、あるいは行事に地域の郷土芸能をどんどん取り入れる、クラブ活動などにも取り入れるでありますとか、そうした特色ある地域との連携の仕方をそれぞれの学校がつくり育てていくということが、いわて型コミュニティ・スクールでございます。
〇及川あつし委員 後で議事録を精査して理解を深めたいと思っております。
 具体の11項目いろいろありますけれども、時間がございますので、ちょっと何点かに絞ってお聞きしたいと思います。
 今、若干知事から答弁ありましたけれども、マニフェストの中で、いわゆる教育委員会と定期協議をするとか、教職員の皆さんと随時対話をするというようなことが述べられております。どういうことかなということで私なりに調べてみましたけれども、島根とか岐阜で平成15年からもやっているんだなということも調べさせていただきましたけれども、お約束したこの随時対話、定期協議はどのようになっていますか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、これも答弁で若干ありましたけれども、今、知事はいわて型コミュニティ・スクールの問題について全般のお話をされたわけでございますけれども、具体的に学力向上について、また、英語力の強化ということについても何か思い入れがあるんだろうということで私は類推いたしておりますが、書かれております。この点についてはどのようにお考えですか、2点お伺いしたいと思います。
〇達増知事 まず、教育委員との定期協議については、これまで6月と8月に2回、懇談の機会を持ちました。1回目の協議では、教育全般に関する私の思いをお伝えし、各委員からも率直な意見等をお聞きすることができました。第2回目の協議では、学力の向上をテーマに、幅広い議論を行ったところでございます。また、教職員との対話については、県立不来方高校と奥州市立水沢中学校をそれぞれ訪問し、出前授業を行った後に教職員との懇談の機会を持ちました。さらに、今週中には県立大学での講義も予定しております。
 生徒の家庭学習が不足している実態でありますとか、進路指導に当たっての苦労でありますとか、部活動の指導にかける熱意など、学校現場の実情を教職員の皆さんから直接伺ったところでありまして、今後も、できる限り機会をつくって学校訪問を行っていきたいと考えております。
 次に、学力向上、英語力強化についてでありますけれども、私は特に思い入れで政策を決めるというよりは、今の岩手に何が必要かという観点から、この学力向上策、英語力強化策もマニフェストに盛り込み、そして今県の政策に取り込んでいるんでありますけれども、まず、学力向上への取り組みは、学校内部にとどまるものではなく、学校と家庭そして地域との協働によってこそ、打開策を見出していけるものと考えておりまして、今年度から取り組んでいるまなびフェストについては、学校と児童生徒、家庭が学力などの達成目標を共有して相互が努力する取り組みでありますが、このような中で、教員の意欲が高まりわかりやすい授業への改善や学校内部での教員の育成が進んでいくものと考えます。
 私は、このような学校と家庭、地域との協働によって学校の総合力を強化し、義務教育における学力向上を推進していく方針であり、これがいわて型コミュニティ・スクールということでもございます。
 高等学校においては、生徒一人一人の未来像を確立し、学びの意欲を喚起させるという観点で、キャリア教育を重視していきたいと考えております。
 また、大学等への進学を希望する生徒には、それを実現できる学力を身につけさせるため、教科の指導能力に秀でたスーパーティーチャーを交えた授業研究などによる教員の授業力強化、さらには、高校間の垣根を越えた進学のための合同講座の推進などに取り組んでまいりたいと思います。
 また、就職を希望する生徒には、産業界などの外部の人材を活用した専門的分野の知識や技能を身につけさせるような指導の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 英語力強化についてでありますが、英語力を向上させるということは、単に英語そのものを身につけることだけではなく、外国の文化に目を向け、視野を広げ、日本の文化、歴史等を見詰め直す契機となり、真の意味での国際感覚を身につけることにもつながると考えております。この英語力強化のためには、何よりも教員の授業力強化が最優先課題でありまして、英語の指導力にすぐれた教員である指導主事が計画的に学校を訪問し、一人一人の教員の授業に立ち会い、直接指導し、授業力の強化を着実に実現していく取り組みを進めてまいります。
 また、英語は、中学校、高等学校の段階的かつ系統立てた指導が重要と考えておりまして、特にも、高校入学時に英語の授業が生徒のつまづきとならないよう、中学校、高等学校の英語教員が互いの授業を参観し、それを踏まえた研究会を持つなど、お互いの授業内容を十分に理解し合える取り組みを全県的に展開してまいりたいと思います。
〇及川あつし委員 知事、きょう質問に臨むに当たって、私、いませんでしたこの4年間の、今お尋ねした項目の議事録、全部読ませていただきました。今出た答弁は、ほとんどその答弁と同じでありまして、達増知事になって一体何がどうなるのかなと期待を持って聞いているわけでございますが、なかなかそこが引き出せないという残念な思いでありますので、ぜひ、今後、さらに力を発揮していただきたいと思うわけであります。
 今、知事が、学力向上については、現状の問題意識から、そうした点について触れたということはそのとおりであろうかと思います。岩手の子供の学力、非常に厳しい状況にあるというのは御案内のとおりでありまして、ぜひ具体の成果が上がるように、今後提言もしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 あと、時間37秒でありますが2点。
 これも、これまでの議会の質疑でいろいろ出ておりますが、これからの教育施策を考えていった場合に、この岩手県庁の部局の担当のあり方もいよいよ見直すべき時期が来ているんじゃないかなと、私自身はそのような認識を持っております。
 具体に言いますと2点です。
 1点目は、公立、私立学校の担当の一元化を図るべきだと思っております。また、幼稚園と保育所の所管の一元化も図るべきだと思っておりますが、その御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
〇達増知事 公立、私立学校の担当の一元化についてでございますけれども、私立学校については、私人の寄附財産等による設立、運営を原則とし、建学の精神、独自の校風が尊重されるといった公立学校にはない特性を有しており、この特性に配慮し、その自主性を尊重する観点から、その所管については、私立学校法等の関係法令の規定により、教育委員会ではなく都道府県知事が所管することとされており、本県においても総務部において所管しているところであります。
 教育委員会に補助執行させることについては、私立学校法等の趣旨や公立学校との競合、競争の観点、さらには、私学関係者の意向等を踏まえながら慎重に検討すべきもの考えます。しかしながら、私立学校と公立学校とが公教育におけるそれぞれの役割を果たしながら、あすの岩手を担う人材を育成することが肝要と考えており、今後も、教員研修等さまざまな場面において、教育委員会との連携強化に努めてまいりたいと思います。
 次に、幼稚園と保育所の所管の一元化についてでありますが、本県においては、公立幼稚園は教育委員会が所管し、市町村立幼稚園の指導などを行っております。私立幼稚園については、私立学校法等により、知事が所管し総務部が担当しております。そして保育所については、知事が所管し保健福祉部が担当をしております。
 補助執行による一元化については、教育機関としての幼稚園、児童福祉法に基づく福祉施設としての保育所、そして幼保一元化としての認定こども園、それぞれのあり方に関する関係者の意向に十分留意しながら、慎重に検討すべきと考えております。
 県としては、教育委員会、総務部及び保健福祉部の三者により、認定こども園を中心とした幼保一元化の推進検討会を定期的に開催してきており、今後も関係部局間の緊密な連携を図っていきたいと考えております。
〇新居田弘文委員長 これをもって総括質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時12分 散会

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