令和2年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(木村幸弘君) 社会民主党の木村幸弘です。通告に従い一般質問を行います。
 第1に、県南広域振興圏の振興について伺います。
 いわて県民計画(2019〜2028)地域振興プランのうち県南広域振興圏における振興施策について、プランが目指す姿と具体的な振興について、まず、策定の趣旨で、地域が置かれている状況や地域資源の特性をしっかりと捉えて、圏域の強みを伸ばし、弱みを克服する施策を講じると述べられています。
 そこで、改めて県南広域振興圏の強みや弱みに対する認識について伺いたいと思います。
 そして、目指す姿で、人とのつながり、県南圏域の産業集積や農林業、多様な地域資源を生かしながら、暮らしと産業が調和し、世界に向け岩手の未来を切り拓く地域と述べられています。
 これらの県南広域振興圏の県全体とのかかわりにおいて、その役割と期待について四つの振興施策の基本方向、すなわち、多様な交流が生まれ、一人一人が生涯を通じて健やかにいきいきと暮らせる地域、世界に誇れる産業の集積を進め、岩手で育った人材が地元で働き定着する地域、世界遺産平泉の文化遺産をはじめ多彩な魅力の発信により多く人々が訪れる地域、米、園芸、畜産や林業などの多様な経営体が収益性の高い農林業を実践する地域について、具体の各重点指標と重点施策項目を見た場合に、他の広域振興圏との比較による違いや特徴的な目標に対する県としての考え方について伺います。
 さらに、それぞれの構成市町による広域行政圏の連携軸があり、こうした広域行政圏の活動と県南広域振興局及び県全体の連携、支援の取り組みについても、より具体的な振興策を推し進める上で認識を強める必要があると考えます。
 そこで、県南広域振興圏及び県政全体の振興を図るための取り組みに当たって、県南広域振興圏でもその特性を見ると、二つの広域行政圏に区分けして見ることができると私は思っています。花巻市、北上市、遠野市、西和賀町の3市1町で構成される岩手中部地域と、奥州市、一関市、金ケ崎町、平泉町の2市2町の胆江両磐地域があります。
 県南広域振興圏の持つ県政全体に対する総合的なポテンシャルを主要統計のデータ上から見ても、人口、産業別就業者数、1人当たり市町村民所得、農業、工業、商業もトータルバランスにおいて満遍なく各エリアが有機的に振興発展していくことが期待される地域であり、そのことが今後の県政運営全体の発展の主導的存在の鍵となっていると思っております。
 つまり、目指す姿に示された県南広域振興圏の産業、農林業の集積と資源活用とあわせ、商工業、観光振興など総合的なポテンシャルの高いこのエリアの振興発展こそ、今後の県政と復興のその先を見据えた発展の牽引的役割を果たすエリアであると理解しており、このエリアの当面の振興こそが、次のステップとして期待される、つまり目指す姿で述べられている、世界に向け岩手の未来を切り拓くとされる国際リニアコライダー―ILCを含む本県及び県南広域振興圏の発展につながるものであると思いますが、知事の所見を伺います。
 その上で、先ほど申し上げた県南広域振興圏の二つのエリアの振興発展を図るときに、その展開のあり方としてその工程を段階的に考えると、岩手中部地域と胆江両磐地域の振興プロセスについて、ILCの実現を見据えた中長期的な施策を進めるために、岩手中部地域の振興と胆江両磐地域の振興は、有機的に連動性を持って政策展開を図る必要があります。したがって、現在岩手中部圏地域において取り組まれ、あるいは計画を進めている自動車、半導体関連などの産業集積や社会インフラの整備、まちづくりと暮らしの振興策等について、本県の国土利用計画と各当該自治体の連携により、県政として一層の後押しが必要であると考えますが、県としての方針を伺います。
 第2に、地方再犯防止推進計画について伺います。
 2016年12月、国は、重大犯罪事件が立て続けに発生する中で、出所者等の再犯防止が政府全体の課題であるという認識のもと、犯罪対策閣僚会議において、2012年7月、再犯防止に向けた総合対策、14年、犯罪に戻らない・戻させない宣言、16年7月、薬物依存者、高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策を決定しました。
 そして、2016年12月、再犯の防止等の推進に関する法律を成立、施行いたしました。この法律では、都道府県及び市町村についても、地域の状況に応じた再犯防止策を策定し、実施する責務を規定し、翌年2017年には、国として再犯防止推進計画を策定して、国民が犯罪による被害を受けることを防止し、安全で安心して暮らせる社会の実現を図るため、5年間の期間で政府が取り組む再犯防止に関する施策を初めて盛り込む計画となりました。
 再犯の防止等の推進に関する法律の基本理念である犯罪をした者等の多くが定職、住居を確保できず、社会復帰が困難なことを踏まえて、犯罪をした者が社会で孤立することなく、国民の理解と協力を得て再び社会を構成する一員となることを支援し、矯正施設に収容されている間のみならず、社会復帰後も途切れることなく、必要な指導及び支援を受けられるようにすること。そして、被害者等の心情を理解することと、みずから犯罪の責任等を自覚し、社会復帰のために努力することが、再犯の防止等に重要であるとしています。
 この理念のもとに、再犯の防止等の推進に関する法律第4条第2項で、地方公共団体は、再犯の防止等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の状況に応じた施策を策定、実施する責務を明記。第8条において、都道府県及び市町村は、再発防止推進計画を勘案して、地方再犯防止推進計画を定める努力義務が定められました。
 そこで、まず知事に伺います。知事は、昨年の岩手県保護司会連絡会が発行する平成31年1月1日付更生保護いわて第164号に寄稿され、知事の所感と本県の取り組み状況について、犯罪や非行のない明るい社会の実現を目指してと題して紹介されました。改めて、この所感を踏まえて、再犯の防止等の推進に関する法律制定の意義とともに本県としての再犯防止に向けた知事の所見を伺います。
 次に、具体的な取り組みについてですが、再犯の防止等の推進に関する法律によって定めた地方再犯防止推進計画策定について、地方が策定する意義として、一つは、計画が広く広報され、策定に向けた関係機関の協議を通じて更生保護の現状や課題が共有されるなど、地域で更生保護に関する理解が深まること。二つには、安全・安心な地域づくりという共通目的を持って、行政計画として明確に位置づけられ、保護司会、更生保護女性の会、協力事業主会と県及び市町村の関係が強化されるということ。三つには、自治体の各部署の業務と更生保護の関係性と連携が具体化され、これまでかかわりの薄かった部署との新たな連携が図られ、県及び市町村との連携内容の充実、具体化につながるということが上げられています。
 一方、本県における近年の刑法犯検挙者の推移を見ると、年々減少傾向となっており、そのうち再犯者数についても同様に減少を続け、平成30年においては、刑法犯検挙者1、193名のうち再犯者は549名で、再犯者率は46%と、全国平均の48.8%を2.8ポイント下回っている状況ですが、再犯者率については、5年前の平成25年との比較では1.1ポイントの増となっています。
 こうした状況を踏まえて、県として、知事の寄稿された所感でも述べられている、罪を犯した人の立ち直りを支援する体制の構築に向けて、地域再犯防止推進モデル事業においては、矯正施設入所者の支援ニーズ調査等を実施し、支援策の有効性を確認するためのモデル的な支援の実施、そして、支援策の検証と地方再犯防止推進計画の策定へとつなげていくことが求められています。
 地方再犯防止推進計画の策定状況については、昨年10月1日現在で47都道府県中、策定済みが17団体、予定が30団体であり、東北では、本年3月ごろに宮城県、秋田県の2団体、本県を含む4団体は来年3月ごろとのことであります。
 そこで、本県における地域再犯防止推進モデル事業と地方再犯防止推進計画策定の取り組み状況について伺います。
 さらに、現在、県として取り組まれております矯正施設退所後、高齢や障がいなどのために自立した生活を営むことが困難な方々に対して、福祉サービスの利用支援等を行う岩手県地域生活定着支援センターを設置し、岩手県社会福祉事業団に委託して、これらの方々の社会復帰を支援する取り組みを進めていますが、その取り組み状況と課題などについてどう把握されているのか伺います。
 第3に、移住支援対策について伺います。
 国において、今年度、過度の東京一極集中の是正と地方の担い手不足対策のため、まち・ひと・しごと創生基本方針2018に掲げる施策、わくわく地方生活実現政策パッケージとして、U・I・Jターンによる起業、就業者を6年間で6万人創出、女性、高齢者等の活躍による新規就業者の掘り起こしを6年間で24万人創出するなどの地方創生推進交付金を活用したU・I・Jターンによる起業、就業者の創出事業を行うとし、県でも次の事業を実施しています。
 一つ目は移住支援事業で、東京23区の在住者または東京圏在住で東京23区への通勤者に対し、本県への移住を後押しするため、県が採用支援対象と認定した企業に入社し、一定期間就業した際に、単身移住者に60万円、世帯移住者に100万円を支給するというもの。
 二つ目は、マッチング支援事業として、移住による就業等を促進するため、東京圏の移住希望者に対し、本県の中小企業等の魅力を効果的に情報発信するため、移住支援金対象法人の求人情報や既存のU・Iターンシステムの求人情報に加えて、全国区の大手求人サイトと連携した新たなマッチングサイトを開設、運営するというもので、サイト開設のほか、採用向上セミナーの開催やチラシの作成、配布、県及び市町村広報媒体の活用が取り組まれています。
 さらに、起業支援事業として、社会的事業者の起業を後押しするため最大200万円の支援、新規就業支援事業として、職についていない女性、高齢者等を対象とした新規就業につなげることを目的とした包括的な取り組みについて、初年度は沿岸地域を対象として実施しております。
 本事業は、ふるさと振興総合戦略の施策として、ふるさと移住・定住促進プロジェクトの主要な事業として期待され、戦略の成果と課題において移住、定住者は増加傾向との評価がある一方で、施策推進目標である社会減ゼロについては、社会減が拡大傾向であるとして、2018年にマイナス5、215人となり、2019年でマイナス4、370人となっています。
 施策推進目標は達成していないという厳しい情勢のもとで、これらの事業の具体的な成果について、今年度100人の移住という目標を掲げている移住支援事業の実績を伺うとともに、課題についても示していただき、今後の取り組み方針と本事業について、来年度以降、当初の予定として年間140人程度の利用を見込んでいましたが、新年度予算を含めた考え方についてお伺いいたします。
 この事業は市町村の事業としても大変重要でありますが、十分に理解を図り連携がとられているのかについても、あわせて伺います。
 本県のものづくり産業を中心とする人材確保対策の観点から取り組まれている、いわて産業人材奨学金返還支援制度についても、令和元年度までの3年間で150名を支援することとしていますが、その実績と支援対象者に対する補助金額について伺うとともに、本事業の課題と今後の方針についても示してください。
 第4に、1月15日に公表された県立二戸病院で発生した医療事故について伺います。
 この公表内容を見ますと、2015年3月に受診されていた60代男性のCT検査の画像診断報告書に腎細胞がんの疑いがあるとの所見が記載されていたにもかかわらず、精査されることなく診断と治療が1年5カ月近くおくれ、死亡に至るという、あってはならない事故でありました。
 また、医療局側から、翌16日の新聞報道を踏まえて議会に対する説明が急遽行われ、その説明によると、公表に至る経緯において、昨年12月に御遺族側との間で示談金の支払いとあわせ、ホームページ上での謝罪と事案の概要を公表することで示談が成立していたとのことでした。
 しかし、この事案について1月15日、御遺族側より、遺族の思いが報道機関に配布されたことで死亡医療事故の問題が広く県民の知るところとなったわけで、こうした重大事案の再発防止対策などの取り組みと、公表のあり方も含めて、医療局の医療事故に対する基本的な姿勢についても問われていると思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 県立病院の開設者である知事の所感をお伺いいたします。そして、あわせて県立病院の管理者である医療局長に、このことに対するお考えを伺います。
 また、知事におかれましては、この医療事故の公表と報道を受けて、まずは1月16日の記者会見での質疑応答を見ますと、医療事故の公表を再発防止の観点からもしっかりとやるべきとして御遺族への謝罪が述べられていましたが、医療局における医療事故の対外発表のあり方などについては、医療局にどんどん言ってもらえばいいと述べられていました。また、再発防止策として、システム改修への全県的な対策の問いに対しても、医療局の経営判断を尊重すると述べられていました。
 この質疑応答を拝聴し、私としては、開設者である知事としての、このような事故は二度と起こさないように医療局と一緒になって取り組んでいくという積極的な姿勢と決意を示していただきたいと考えています。
 そして、1月24日の記者会見では、21日には、御遺族から知事に対して再発防止に向けた要望が出されたとのことですが、どのような対応となっているのでしょうか。もし既に書簡で御遺族に返事をしているとすれば、いつ、どのようにされたのか、また、その内容についてもお示しください。
 さて、医療局では再発防止策を2月5日に改めて公表されました。そこで、この再発防止策について具体的に伺います。
 一つは、画像診断報告システムについて、既読機能を設定するなどのシステム改修を当該病院のほか全県立病院において新年度中に稼働できるようにするということで、ぜひ早期の改修に努めるよう要望をいたします。
 二つに、今後の取り組みとして、いわゆるソフト面の対策ですが、関係者間の連携強化を充実することについてその徹底を図るとのことですが、その中で、今回の事故事例の原因の一つとして、当該病院側からは、担当医が非常勤の応援医師であったことや、呼吸器内科医として他診療科の臓器に関する内容であったため見落としにつながったとのことでもあり、こうした病院医療機能体制の医師配置事情が一つの原因になっているとすれば、病院の体制と担当医師の専門外情報にも的確に対応できる対策を求めなければなりません。
 そして、画像診断医と検査依頼医のみの関係だけではなく、担当する看護師あるいは医療クラークなども含めて診断情報の共有化を意識し、患者の診断結果に対するチェック体制をチームとして確立することや、遺族の要請にもありますが、患者に対する画像診断書の報告書を提供できるようにすることについても伺いたいと思います。
 さらに、画像診断医の体制についても、この際、検査精度を高め的確な判断と検査依頼医など担当医師へシステムによる機械的な伝達だけではなくて、意見や意思のやりとりを図る取り組みが重要であると思います。
 その場合に、現在の画像診断医の体制が十分なのかという点で、今日では、画像データも診断機器の発達によって膨大なデータが短時間で提供される中で、診断に係る負担もふえていると承知しております。
 県立病院としての画像診断に係る体制のあり方についても、診断医の負担軽減と効率化を図るための機能集約化や診断専門医の体制確保に向けた人材の確保、休業、休職中の有資格者による在宅診断委託や民間診断委託事業者の活用など、全国の取り組み事例を踏まえての考え方についても伺います。
 また、こうした医療事故の発生において、県立病院における対応ばかりでなく、県内の医療保健施策を協議、検討する機関等において、関係内部における閉鎖的な対応とせず、医療事故に対し、客観的に問題を共有し、必要に応じて適切な審査と対策に全県的な観点から取り組むことができる体制について検討すべきだと思いますが、お伺いいたします。
 最後に、がん対策について伺います。
 一つ目は、第3次岩手県がん対策推進計画において、県民の視点に立ったがん対策の実施に新たに盛り込まれた小児、AYA世代の対策について伺います。
 昨年10月18日、国立がん研究センターと国立成育医療研究センターが、対策のおくれが指摘されている小児や15歳から39歳の思春期、若年成人、いわゆるAYA世代のがん患者のうち、20歳から39歳の患者の約8割を女性が占めていたとする調査結果を発表しました。
 その主な原因は、乳がんや子宮頸がんの増加によるものと考えられています。特にこの世代は就職、結婚など年齢や性別に応じた支援体制の充実が求められています。
 第3次岩手県がん対策推進計画においては、現状と課題認識として、小児、AYA世代のがんは、成人のがんと異なり幅広い年齢に発症し、希少で多種多様ながん種から成っているほか、成長発達過程において、乳幼児から小児、思春期、若年成人世代といったライフステージの中で発症しているとされています。そして、具体的な本県の上皮内がんを除いた若年者のがん罹患状況の年齢別の実態は、2016年時点で、全部位の患者の計がゼロ歳から14歳で20名、15歳から19歳で16名、20歳から24歳で14名であり、うち小児は、白血病による疾患割合が高いとされています。
 そこで、改めて、第3次岩手県がん対策推進計画に基づき県として具体的にどのような対策が講じられているのか伺います。特に、AYA世代に対する教育、就労等の支援に当たっての県としての方針を示してください。
 加えて、若い世代ががん治療を行う際に切実な問題となっているのが、妊孕性温存という、将来子供を持てる可能性をどう残すかということについて、治療における公的医療保険が適用されず、その経済的負担の大きさから諦めてしまう例もあるなど、具体的な支援策が必要となっています。
 そこで、こうした妊孕性温存治療費負担について、治療費を補助している自治体の取り組みが年々増加しており、全国で12府県が取り組まれています。本県としても具体的な検討が必要であると思いますが、所見について伺います。
 次に、がん診療連携拠点病院の指定動向について伺います。
 今年度開催されました第25回岩手県がん対策推進協議会の協議事項に取り上げられました、本県におけるがん診療連携拠点病院の指定要件に関する対応について、2018年7月の国の指針の見直しにより、特にがん医療圏として、本県の場合は、そのまま九つの二次医療圏が該当する地域がん診療連携拠点病院となっている県立病院に対し、診療機能において指定要件への対応が求められています。
 一つは、集学的治療、緩和ケア提供体制、標準的治療の提供。二つは、がん患者の身体的苦痛、精神心理的苦痛、社会的問題へのスクリーニングができる体制整備。三つは、医師からの診断結果や病状の説明時の体制整備として、看護師や医療心理に携わる者等の同席。四つは、キャンサーボード設置。五つは、AYA世代のがん患者について、治療、就学、就労、生殖機能等に関し対応できる医療機関や相談支援センターに紹介等、全部で8要件があります。
 さらに、診療従事者として、専任の常勤放射線診断医、常勤放射線治療医、常勤病理診断医のいずれも1名以上の配置などとなっています。ただし、病院に従事する医師が医療圏でおおむね300人を下回る場合は、2022年3月31日まで必須要件とはしないけれども、原則常勤の放射線治療医と病理診断医の各1名以上配置の要件を満たすこととなっています。
 そのほか、医療施設、診療実績等九つの指定要件があるわけですが、本来の指定期間4年間で2023年3月末までの期間が、既指定病院を対象とする経過措置項目が未充足のために、県立胆沢病院を除き指定期間が1年に短縮され、残る県立中央病院を初めとする八つの県立病院の更新手続が必要であることが示されたわけです。
 協議会では、こうした状況を踏まえて、次回更新手続までに可能な限り充足できるよう医療局と情報共有を図り、各病院が、がん診療連携拠点病院として指定が更新できるよう手続を進めるとしていましたが、その結果について伺います。
 そして、充足が難しい病院については、経過措置指定に類型される特例型の指定を受けて、要件充足に努めることや、もう一つの考え方として提起されている近隣の拠点病院とのグループ化を図り、地域がん診療病院の指定を受けるといった対応の検討が必要となるとしていますが、これらの考え方についてもあわせてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終了させていただきたいと思います。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県南広域振興圏の振興についてでありますが、県南広域振興圏は、いわて県民計画(2019〜2028)において、人とのつながり、産業集積や農林業、多様な地域資源を生かしながら、暮らしと産業が調和し、世界に向け岩手の未来を切り拓く地域を目指す姿とし、さまざまな施策を展開することとしています。
 具体的には、産業集積の一層の推進や産業人材の確保、平泉の世界遺産や食文化などを生かした観光の振興、多様な経営体による収益性の高い農林業の展開などを推進してまいります。また、北上川流域全体の産業の高度化や生活環境の充実を目指す北上川バレープロジェクトや、ILCプロジェクトの推進により、県南圏域の持つポテンシャルや特性を生かした地域振興を進め、その成果を他地域に波及させることにより、県民全体の暮らしがより豊かになることを目指し取り組んでまいります。
 次に、再犯の防止等の推進に関する法律制定の意義などについてでありますが、県民の幸福を守り育てていく上で、犯罪や非行のない明るい社会づくりは極めて重要であり、たとえ罪を犯しても、誰ひとり取り残さず、地域社会で孤立することなく、再び社会を構成する一員となることができるよう取り組むことが必要と考えます。
 再犯の防止等の推進に関する法律の制定により、福祉的な支援が必要な方を対象として、地方公共団体が国や民間団体等と緊密に連携し、総合的かつ計画的に再犯防止施策を推進することとなったものであり、本県においても、平成30年度から、効果的な再犯防止施策を検討する地域再犯防止推進モデル事業に取り組んでまいりました。
 令和2年度においては、これまでの取り組みを踏まえ、県の再犯防止推進計画を策定するほか、罪を犯し、貧困などの生きづらさを抱える人を地域で支える更生保護団体に対する補助を拡充し、その活動の促進を図ることとしています。
 岩手の先人、宮沢賢治の世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ないという言葉に代表される、他人とのかかわりやつながりを大切にする本県の強みを生かし、県民や関係機関、団体等と一体となって、罪を犯した人の社会復帰支援に取り組み、事故や犯罪が少なく、安全、安心に暮らせるまちづくりを進めてまいります。
 次に、医療事故に関する所感についてでありますが、今回の県立二戸病院における画像診断報告の見落とし事案が発生したことについては、私も申しわけなく思っております。今回の事案を踏まえて、医療局では、再発防止に向けて、画像診断報告書等の見落とし防止のためのシステム改修を進めるほか、今後、組織的な伝達体制や確認体制が図られるよう検討を始めていると報告を受けています。
 また、患者や御家族への対応や公表のあり方についてもあわせて検討していくとしており、医療局における適切な対応を期待いたします。
 次に、御遺族からの要望への対応についてでありますが、御遺族が求めている再発防止策については、県立二戸病院において再発防止に向けたシステム改修を実施したこと、全県立病院においても、同様のシステムを令和2年度の早期に稼働できるよう改修を進めていること、今後、組織的な伝達体制や確認体制の構築等を早急に検討し、医療安全対策を充実する取り組みを進めていくことなどを医療局において公表したところであり、私からは、対外的な知事書簡を預かる秘書課総括課長を通じて、2月5日にその旨を御遺族の代理人弁護士に書簡によりお知らせしたところであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、県南広域振興圏の強み、弱みについてでありますが、県南広域振興圏は、ものづくり産業や農林業等が発展するとともに、充実した文化、スポーツ施設や豊富な観光資源など、暮らしと産業が調和した地域と認識しております。
 具体的には、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積が進み、ものづくり関連分野の製造品出荷額が県全体の約8割のシェアを占めるなど、本県ものづくり産業の牽引役を担っております。
 また、平泉の世界遺産や食文化など、多様な地域資源を有する地域であり、観光入り込み客数は県全体の約4割と、県内の4広域圏の中で最多となっており、本県の観光の中心的役割を担っております。
 さらに、農業におきましては、整備された農地を生かした水田農業や園芸経営などの規模拡大が進んでおり、農業産出額が4広域圏の中で最大となっているほか、林業においては、大型合板工場などの木材の大口需要先が整備されているなど、農林業においても特徴的な地域となっております。
 一方で、自動車、半導体関連の活況や企業立地、業容拡大等が進む中、平成28年5月以降、県南圏域の有効求人倍率は1倍を超えており、多くの業種で人手不足となっているほか、産業集積に伴う新たな雇用の増加などによる人口の社会増により、住宅確保などの生活環境整備や交通インフラを含むまちづくり等が課題となっているところでございます。
 次に、他広域振興圏と比較した特徴的な目標の考え方についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)における県南広域振興圏の振興施策について、他の広域振興圏と比較し特徴的なものとして、暮らし、ものづくり産業、観光、農林業の四つの基本方向を定めているところであります。このうち、特徴的な指標を挙げますと、ものづくり産業分野において、製造品出荷額に加え、他の圏域では掲げていない東北地域ものづくり関連分野の製造品出荷額における県南地域のシェアという重点指標を掲げております。また、施策項目については、ILCの実現などによる国際化を見据え、一人一人が生き生きと生活できるコミュニティーづくりを掲げております。
 こうした特徴的な指標を通じ、自動車、半導体関連産業の集積の状況を把握しさらなる施策展開につなげるとともに、ILCの実現を見据えた生活環境の整備等を推進してまいります。
 次に、花巻市及び北上市とその周辺地域の振興についてでありますが、現在、北上市北部におきまして、大手半導体企業の大規模投資が行われておりまして、これに伴い、北上市及び花巻市とその周辺地域においても、関連企業の進出や賃貸住宅等、不動産投資が積極的に行われているところであります。
 また、花巻市及び北上市を含む県南地域は、国土利用計画岩手県計画におきましても、本県最大の工業集積を世界的視野で進めるため、自動車、半導体関連産業等の産業立地基盤の整備を促進するとしておりまして、産業振興と居住環境、交通インフラの整備などのまちづくりは、一体となって取り組む必要があると認識をしております。
 県としては、産業集積を促進するため、県と地元市町村が一体となってさまざまな支援を実施しておりますほか、まちづくりにつきましては、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる北上川バレープロジェクトの取り組みの一つといたしまして、県、地元市、有識者等を交えた研究会において、産業用地のあり方や居住環境の確保、交通インフラの整備等について広域的な検討を行っているところでございます。
 引き続き、市町村や多様な主体との連携、協働により、世界に誇れる産業の集積や快適に暮らすことができる生活環境の形成を図るための施策をより一層推進してまいります。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、再犯防止に関する取り組み状況についてでありますが、本県では、先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、平成30年度から国のモデル事業を実施し、令和2年度に本県の地域再犯防止推進計画を策定することとしております。
 昨年度は、東北管内の刑務所等の協力を得ながら、刑期を満了する予定の者のうち、本県への帰住を希望する42人を対象として、退所後の生活についての支援ニーズ調査を行ったところです。今年度は、その調査結果などを踏まえ、保護観察所等と調整し、刑務所からの満期釈放者や起訴猶予者などから、障がい福祉サービス等の利用や居住先の調整など、福祉的な支援を必要とする者23人を対象として支援計画を策定し、更生に向けて支援するモデル的な取り組みを行っております。あわせて、昨年12月に、司法、更生保護、保健医療福祉の関係機関、団体等で構成する岩手県再犯防止推進連絡協議会を設置し、各団体等の取り組み状況と相互の役割についての理解を深めながら、地域再犯防止推進計画策定に向けたスケジュールなどについて意見交換をしているところであります。
 来年度は、岩手県再犯防止推進連絡協議会等において、モデル支援の効果検証や本県の状況に応じた具体的な施策を議論し、他県の取り組みも参考としながら地域再犯防止推進計画を策定し、就労、住居の確保のための取り組みや、保健医療福祉サービスの利用の促進のための取り組みなどの施策を盛り込んでいく考えであります。
 次に、岩手県地域生活定着支援センターの取り組み状況と課題についてでありますが、岩手県地域生活定着支援センターでは、盛岡保護観察所などの刑事司法関連機関や各地域の福祉関係者等と連携し、刑務所からの満期釈放者に対して、福祉施設への入所や生活保護申請、障害者手帳取得などの支援を行うほか、入所を受け入れた福祉施設への助言、地域で生活する退所者本人やその家族などへの相談支援を行っています。
 主な課題としては、特に親族や医療機関から、受け入れについての理解が得られないため、住まいの確保や精神的な疾患が疑われる場合などにおける受診先の確保が困難であることが挙げられています。この課題への対応などを目的として、平成29年度に、司法、医療、福祉、行政などの関係機関、団体等による岩手県地域生活定着支援センターの運営協議会を設置し、毎月開催する専門部会で支援事例の共有を図るほか、今年度は、支援関係者を対象とした研修会を開催するなど、一層の理解の促進に取り組んでいるところです。
 今後とも、運営協議会や来年度策定する地域再犯防止推進計画の施策の検討などを通じて、引き続き支援に向けた理解の促進に取り組んでまいります。
 次に、医療事故に関する全県的な再発防止の取り組みについてでありますが、医療事故への対応に関しては、平成27年の医療法改正により国の医療事故調査制度が整備され、各医療機関においては、診療や治療に関連して予期せず患者が死亡等した場合には、日本医療安全調査機構に報告することが義務づけられており、国全体で医療事故情報の収集と分析を行い、再発防止につなげる仕組みがとられています。また、各病院等の管理者は医療安全管理体制を整備し、医療事故が発生した場合には、国の事故調査制度への対応も含め、院内に設置する安全管理委員会において原因を調査し、必要な対策を講じることが法令で定められています。
 本県では、医療法に基づき、保健所が定期的に実施する立入検査において各病院等の医療安全管理体制等について検査し、必要な改善指導等を行っているところであり、県立二戸病院に対しても、現地の保健所が速やかに対応したところであります。
 こうした法令等に基づく対応のほか、医療事故の再発防止には、平時から医療安全に関する情報や事例を関係者間で共有し、連携して対策に取り組むことが重要であると考えています。このため、県では、全国的な医療事故情報の周知のほか、二次医療圏ごとに保健所が開催している地域医療安全研修会において、医師や医療従事者を対象に講習会などを行っており、引き続き、県内の各医療機関や関係団体等と必要な情報共有と事故の防止に向けた意識啓発を図り、医療安全の確保を推進してまいります。
 次に、小児と思春期、若年成人、いわゆるAYA世代のがん対策についてでありますが、この年代のがんは患者数が少なく、疾病構造も多様であり、診療や相談支援の経験が蓄積されにくいと言われており、また、教育、就労等の課題も抱えることから、長期的な幅広い支援体制が求められています。
 第3次岩手県がん対策推進計画では、がん診療連携拠点病院と小児がん連携病院との連携促進、若年者への特別支援教育、就労支援機関との連携による相談支援の充実などに取り組むこととしています。今般、岩手医科大学附属病院及び岩手県立中部病院が、東北ブロックの小児がん拠点病院である東北大学病院から小児がん連携病院として新たに指定されたところであり、今後、東北大学病院からの支援を受け、県内のがん診療連携拠点病院と連携し、就学、就労等の状況や心理社会的状況に応じた医療や相談支援を提供していくこととなりました。
 教育の支援については、県教育委員会において、いわて特別支援教育推進プランに基づき、長期入院している児童生徒を特別支援学校の教員が訪問し教育に当たっているところであり、令和2年度からは、さらに高校生への取り組みを強化するため、通信制課程への一時的な転入学制度を設け、通信制高校と転入学前の在籍校が連携して学習支援に当たることとしております。
 就労の支援については、がん診療連携拠点病院とハローワークが連携し相談支援体制を構築しているほか、企業の労務担当者や医療機関の相談支援従事者等を対象とする治療と仕事の両立支援セミナーを開催するなど支援制度の情報発信を行っており、今後も関係機関と連携し、がん患者の就労に係る理解や環境づくりを促進してまいります。
 次に、妊孕性温存治療費補助についてでありますが、県では、20歳から40歳未満のがん患者について、療養生活における医療費助成や介護保険の法令に基づいた支援制度がないことが課題と認識しており、国に対し、がん患者が住みなれた社会で療養生活を送ることができるよう、これらの世代の患者に対する支援制度の創設を要望しているところです。
 妊孕性温存については、若年のがん患者の治療中や治療後における生活の質の維持、向上を図る上で重要なことと考えており、県としては、県内の実態や他県の取り組み事例について精査するとともに、患者団体や医療関係者等との意見交換を行うなど、その支援のあり方について検討してまいります。
 次に、がん診療連携拠点病院の指定動向についてでありますが、県内10カ所のがん診療連携拠点病院のうち、平成31年4月から1年間の指定とされていた8病院については、去る2月19日に開催された国のがん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会における審査の結果、7病院が令和2年4月1日から3年間、要件が一部未充足の1病院が当面1年間として、指定更新される見込みとなったところです。
 一方、今回指定が更新される病院については、整備指針のうち、放射線や病理診断等の専門医に係る配置要件の経過措置が令和4年3月末に終了し常勤配置が求められることから、県としては、まずは経過措置終了後のがん診療連携拠点病院としての体制維持に向け、専門医要件の充足を図りながら、岩手県がん診療連携協議会等の場において課題を共有し、県内の各医療圏におけるがん医療提供体制を引き続き確保するための方策について議論を重ねてまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、移住支援事業の実績等についてでありますが、本県では、現時点で申請の実績はなく、年度内の申請見込みは4件となっており、また、本事業を実施する42道府県の昨年12月末時点での申請実績は26件、年度内の申請見込みは123件と、全国的に制度の活用が進んでいない状況にあります。その主な要因が、対象者を連続して5年以上、東京23区内に居住または通勤していた者に限定していることにあると考えられましたことから、国に対して要件の緩和を強く求めてきたところでありまして、昨年12月に、居住、通勤期間の要件等の一部が緩和されたところであります。また、一定の基準を満たした登録法人に就職することも要件となっており、制度の活用を促進するには、この登録法人をふやしていくことが重要であります。
 1月末時点の本県の登録法人は129社で、その内訳は、建設業が37社、製造業が24社、医療、福祉が16社などとなっており、今後とも、説明会の開催や各種広報媒体を活用した周知などにより登録を促進してまいります。
 令和2年度当初予算案に盛り込んでいる地方創生移住支援事業におきましては、国の要件の一部緩和や情報発信及びマッチング機能を拡充した新たなマッチングサイトを本年3月から運用することを踏まえまして、70件を目標として掲げ、国に対しさらなる要件の緩和を求めながら、次年度以降、段階的に件数の増加を図ることとしているところであります。
 本事業につきましては、制度の活用促進や返還事案などが生じた場合の市町村負担のあり方などの課題もありますことから、制度の運用面も含め、連絡会議等で情報交換を行っており、今後とも市町村との連携、調整に努めながら、一体となって推進してまいります。
 次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度についてでありますが、県では、ものづくり企業等の技術力や開発力の向上等を担う高度技術人材の確保、定着を推進するため、平成29年度にいわて産業人材奨学金返還支援制度を創設し、これまでの3年間で155人を支援対象者として認定し、その支援額は約1億7、400万円を予定しているところであります。
 この制度は、支援対象者や就職先企業から高い評価をいただいており、継続実施についても要望を受けているところでありますが、ものづくり分野のみならず、他の産業分野においても学卒者等のニーズが高まっていること、また、ものづくり企業等においても、理工系学位取得者以外の人材ニーズもあることなど、制度の見直しも必要と認識しているところであります。
 県といたしましては、制度創設時からの社会、経済状況の変化を踏まえ、支援対象分野や支援対象者の要件など必要な見直しを行い、本県産業を支える人材の確保に引き続き活用してまいります。
   〔医療局長熊谷泰樹君登壇〕
〇医療局長(熊谷泰樹君) 県立二戸病院で発生いたしました事案につきまして、改めておわびを申し上げます。
 まず、医療事故に対する考えについてでありますが、医療の安全を確保するためには、県立病院全体で安全管理体制を整備するとともに、各病院において、組織的な医療事故の防止対策や人材育成等を総合的に推進していく必要があると認識しております。
 今回の事案を踏まえ、画像診断報告書等の見落としを防止するため、報告書の未読、既読管理が行えるよう、既にシステム改修等の対応を始めているところであり、令和2年度の早期に稼働できるよう進めてまいります。また、画像診断の結果、緊急度の高い所見の場合、画像読影医から検査依頼医への連絡が漏れなく伝達される仕組みづくりや、患者への説明方法の工夫など、令和元年12月11日付画像診断報告書等の確認不足に対する医療安全対策の取組についての厚生労働省通知等に沿って、組織的な伝達体制や確認体制の構築等が図られるよう、県立病院の医師や看護師など、多職種で構成する医療安全推進委員会で検討を開始したところであります。
 医療事故の公表のあり方についても、他の医療機関における取り扱いも参考にしながら、医療安全推進委員会で議論を進めてまいります。
 次に、再発防止策についてでありますが、画像診断報告システムについては、現在、画像診断報告書等の見落とし防止のため、報告書の未読、既読管理を行えるよう、3月末を目途にシステム改修等の対応を進めており、準備が整った病院から順次運用を開始する予定としております。
 次に、ソフト面の対策につきましては、令和元年12月11日厚生労働省通知、画像診断報告書等の確認不足に対する医療安全対策の取組について等に沿って、組織的な伝達体制や確認体制の構築等を早急に進めていく考えであります。加えて、今回の事案を踏まえた改善点の洗い出しを行い、よりよい安全管理体制の構築に向けた検討を医療安全推進委員会で開始したところであります。
 県立病院としての画像診断に係る体制のあり方についてでございますが、議員御指摘のとおり、全ての県立病院に画像診断医を配置できていない状況でございます。このことから、画像診断医が配置されている他の県立病院、大学病院及び民間診断委託事業者へCT、MRI、病理などのデジタル画像を送信し、診断依頼するシステムを運用し対応しているところでございます。
 全ての県立病院に画像診断医を配置することは難しい状況にありますことから、現在運用しておりますシステムの運用の取り組みを進めますほか、診断医の負担軽減と効率化を図るため、全国の取り組み事例等をベンチマーキングするなど、引き続き研究をしてまいりたいと考えております。
〇25番(木村幸弘君) それでは再質問をさせていただきますけれども、最初に、再犯防止対策について伺いたいと思います。
 知事から、現在の取り組み状況を踏まえて、今後の再犯防止に向けてのさまざまな課題をしっかりと受けとめた取り組みを推進していくという大変積極的な所感を述べていただいたことは、感謝申し上げたいと思います。
 そこで、地域再犯防止推進モデル事業に取り組む中で、先ほど保健福祉部長からも御答弁をいただいたわけでありますが、今後に向けて、具体的に出所者等に対して、孤立を生まない形で住居環境あるいは就労を、どのように確保していくかということが常に課題であり、大きなテーマであると認識しております。福祉的なサービスやケアについての取り組みが行われているわけですが、やはり居住、就労対策を本当にしっかりと、どのような形でつなげていくのかということを考えたときに、他県の事例で申しわけないのですが、非常に先進的な取り組み事例がありましたので、ぜひ今後、岩手県としても考えていく必要があるのではないかという意味で御紹介します。
 これは奈良県の取り組みでありますが、全国の都道府県で初めて、平成25年から保護観察対象者を県の臨時職員として採用し、半年間の雇用期間の中で社会復帰に必要なプログラムを策定、実施するとともに、民間事業者において職場体験研修などを実施させて、民間企業への最終的な就職促進を図りながら職場定着へと向けていくという取り組みがあります。その結果、これまでに具体的に7名の方々が就労あるいは進学という形で成果を上げてきているということも事例として上がってきているわけであります。
 こうした取り組みをすることによって、県が主体的にさまざまな関係団体と連携し、なおかつ、県民に対する理解と協力を促すためのシンポジウムを開催するとか、いろいろな形で周知を図りながら、しっかりと社会でこれを見守り、支えていく対応がなされておりました。
 私は、改めてそういう意味で、これから、今年度をかけてこれまでの地域再犯防止モデル事業の経過あるいは実績を踏まえながら、具体の取り組みとして、就労や居住の確保に向けての対応なども計画の中に盛り込んでいきたいというお話もいただきました。そういう意味では、このような県としての就労につながるような積極的な姿勢というものが、協力事業主会などを含めて取り組む際に非常に効果が大きいのではないかと期待するのですが、その点についての考え方について、御答弁をいただきたいと思います。
 2点目は移住、定住対策の関係ですが、非常に鳴り物入りというか、ある意味で、お金をしっかりとお渡しする形の中で、本県にUターン、Iターン、Jターンしてもらうということで、昨年度、担当部署においても非常に力こぶを入れていた施策ではなかったのかなと思ったのですけれども、結果を聞いて大変びっくりであります。いずれにしても、当初の100名の目標に対して、先ほどの御答弁を聞くと、わずか4名という実績にとどまっていると。
 いろいろと制度的な課題についてもお話がありましたが、それにつけても、全国的な事例も非常に低調であったということですから、こうした移住支援のための取り組みが、本当に効果的にしっかりと成果が上がるような形にしていかなければ、全く物にならない政策になってしまうわけであります。
 そういった点で、ぜひ今後の対応についても、新年度に向けては70名の目標を掲げているということでありますけれども、その70名をどうやってしっかりと導いていくかということについて、その考え方をお聞かせいただければと思います。
 もう一つ、いわて産業人材奨学金返還支援制度、これは大変好評だったということであります。過日、読売新聞でも、いわゆる奨学金の返済を肩代わりする各自治体の動きということで、非常に活発になってきているということが報じられておりました。
 本県は、先ほどの御答弁のとおり、この事業によって3年間で155人の実績があり、これから他の分野も含めてニーズを広げながら取り組んでいきたいというお話でしたけれども、他県の例を見ると、報道の記事の中の情報で、おととい出たばかりの報道でしたから調べるいとまもなかったのですが、例えば、秋田県は非常に活発に取り組みが行われていて、2018年の1年間で516人がこの制度を利用したということが出ています。それから、兵庫県で474人、鳥取県が3年間で267人で、他県もこうした非常に積極的な取り組みの結果を出してきているということもあります。
 そうした意味で、他県の場合には、ものづくりだけなのか、先ほど部長が答弁したとおり、他分野も含めて幅広くさらなる制度の充実を図りながら取り組んでいるのか、ちょっとわかりませんが、いずれにしても、ぜひ新年度の中でも取り組みの充実強化を図っていくべきだろうと思います。
 それから、もう一点確認したいのは、この中で、先ほど本県は155人の認定者があるということでしたが、私が最初の質問準備のためにいただいた資料の中では146人だったのですけれども、その内訳が、岩手県が115人、そして県外と言われる部分で31人でありました。そのうち県外というものも、実は北海道から青森県、秋田県、宮城県、山形県、福島県ということで、北海道、東北だけの部分です。いわゆる東京圏を含めた人数がこの中ではなかったということです。
 やはりUターン、Iターン等にこの部分も積極的に政策として取り組んでいくということであれば、なぜ東京圏からのそういった人数というか出身者が認定されていないのかということを含めて、それが地域限定という形での制度設計なのか、あるいは東京圏を含めたことでやっているけれども、そこに載ってこないのか、そうしたところについて改めて確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 再犯防止に係る取り組みについて、議員から奈良県の先進的な事例を御紹介いただきました。奈良県では、民間事業者の方々に、刑務所出所者等の雇用に対する理解を得るとともに、その自主的な取り組みを促すために、県が率先して保護観察対象者の雇用に取り組み、刑務所出所者等の雇用促進に努めていると聞いており、全国の都道府県では初めてとなる先進的な取り組み事例として承知しているところでございます。
 本県では、刑務所出所者等を雇用いただく協力雇用主は533社に参画いただいておりまして、一定程度確保されていると考えているところではございますが、今後、こうした奈良県の取り組み事例なども参考とし、また、現在行っております地域再犯防止モデル事業につきましても内容を検証し、本県の状況に応じた支援策を検討してまいります。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、移住支援事業の関係で再質問を頂戴いたしましたけれども、目標に遠く及ばない実績になっているわけでありますが、この主な要因といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、要件が非常に厳しいということがあります。これは、制度が創設された当初からそういったことは認識しておりまして、春の政府に対する要望の際にも、要件を緩和してほしいということは強く申し上げてきたところであります。一部要件が緩和された状況になっておりますけれども、さらに要件を緩和していただく必要があると考えておりますので、ここは引き続き国にも要望しながら、国のスキームを活用した支援金でありますので、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、奨学金の関係でありますけれども、これは各県、分野に関してはさまざまバリエーションがございます。本県の場合は高度技術人材ということで、特に集積が進んでいるものづくり関連、それからIT関連の企業人材を求めるということで当初制度を設計いたしまして、3年間運用してまいりました。目標150人としていたところに、ほぼ目標どおりといいますか、目標を少し超える155人の実績ということでございます。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、対象となる分野の拡大ですとか、支給対象者の要件の緩和といったことについての要望が、これは企業からもございますし、実際にこの奨学金制度を活用している方々からも一部いただいておりますので、そういう方向で今検討を進めているところでございます。
 この奨学金の支援対象になった方々のうち県外の人材が少ないのではないかという御指摘でありますけれども、県内人材に特に重きを置いているとかということは全くありませんで、広く募集しております。U・Iターンのマッチングサイトなどもありますので、そういったものを活用しながら、また、東京圏にU・J・Iターンの相談員等もおりますので、しっかりと情報発信をしながら募集してまいりたいと思います。
〇25番(木村幸弘君) わかりました。
 最後ですけれども、医療事故の再発防止対策の関係です。
 本当に死亡に至るということは大変重大だと思っていますので、そういう意味でしっかりと万全を期してほしいと思っております。
 特に、患者の立場に立ったときに、その診断結果が正しく伝達されない、あるいは医療側で情報がきちんと共有されないというのは本当にあってはならないことです。患者側にすると、家族もですが、初めてがんという診断結果を受けたときには、恐らく医者からの説明も全く頭に入らないというのが正直なところだと思います。どのような説明を聞いても、その場では、もう混乱してしまって、後から確認するためには少し時間を要する。
 そういう意味では、やはりドクター、医療側が、あるいはともにその診断に立ち会っていただいている看護師であるとか、場合によっては医療クラークも含めて、そういった方々が適切にどう伝えていたか、伝わっていただろうかということも含めた、患者の立場に立ったきちんとした対処をするべきだと思います。そうしてきているとは思うのですけれども、そういった中で、より一層、今回の事例を踏まえて、しっかりと取り組んでいただくことを要望したいと思います。
 あと、再犯防止の関係で、知事には更生保護の広報誌に寄稿いただいたわけですけれども、先ほど部長からも答弁いただきましたが、いずれ知事もこの中で、本当に罪を犯した人でも、これを償って、社会とつながりを持って再チャレンジできる仕組みがあってこそ、成熟した社会と言えるということを述べられておりました。
 そういう意味では、再チャレンジするという部分が、まさに就労や、あるいは住居をしっかりと確保しながら、孤立化させずに、社会全体で再犯に向かっていかないように見守り支えていくことが大変重要だと思っていますので、その点について、ぜひ再犯防止推進計画の中にその考え方がしっかりと盛り込まれるように、最後に知事の決意をいただいて終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まさに令和2年度におきまして県の再犯防止推進計画を策定いたしますので、議員御指摘のとおり、地域社会において再チャレンジをできる環境をつくっていく、そういう内容の再犯防止推進計画にしていきたいと思います。
   
日程第2 議案第87号職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例
〇議長(関根敏伸君) 次に、日程第2、議案第87号職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。八重樫総務部長。
   〔総務部長八重樫幸治君登壇〕
〇総務部長(八重樫幸治君) ただいま議題とされました案件について説明申し上げます。
 議案第87号は、令和2年4月1日から会計年度任用職員制度が創設されることに伴い、職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正しようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
   
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時44分 散 会

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