令和2年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(岩渕誠君) 希望いわての岩渕誠です。
 4年間、議場外から議会と県政を眺めてまいりましたが、大変貴重な時間であり、勉強させていただきました。この間、支えていただきました方々、そして、登壇の機会を与えていただきました全ての皆様に感謝し、質問いたします。
 最初に、新年度の県予算案と県財政の見通しについてお尋ねします。
 令和2年度岩手県一般会計当初予算案は総額9、323億円余と、復興の進捗に伴って震災対応分は5年連続で減少する一方、通常分は、公共事業費の増加などにより3年ぶりの増となりました。
 本県の財政は、増田県政時代、国の景気対策に呼応した大型財政出動、県立大学開学や新幹線延伸などの相次ぐ大型プロジェクトへの支出のほか、総額200億円に上ったいわゆる知事枠予算の計上や全体の政策効果を無視した部局枠優先の予算編成など財政規律の緩みもあり、県の財政は危機的な状況に陥ったと認識しています。社会資本整備などで県民の財産となったものもありますが、結果的には県の借金残高は膨らみ、スタート時には予算規模と公債費残高がともに7、000億円規模であったものの、3期12年にわたった増田県政の最後には、臨時財政対策債を除いた実質的公債費残高は1兆2、000億円台に膨らんで、予算規模の1.7倍に達しました。
 財源対策の3基金も1、500億円台から280億円に減少するなど、達増県政のスタート時は、膨らむ借金と底をついた貯金の中、震災対応や人口減少対策などに財政出動しなければならない状況でした。また、借金払いの割合は、毎年度の予算に対し通常ベースで15%から20%となるなど、大変窮屈な財政運営を余儀なくされてきました。
 新年度予算案を見ていきますと、臨時財政対策債を除いた実質的な公債費残高は7、300億円台まで圧縮。達増県政下では4、700億円余の削減を達成したほか、単年度での公債費も970億円と21年ぶりに1、000億円を切るところまで来ました。公債費のみに着目して財政健全性を評価する限界も認識していますが、このことは大いに評価すべきものと考えます。
 知事は、現在の県の財政健全度と今後の見通しについてどのように認識しているかお尋ねします。
 財政の基本は、入るを量りて出るを制すであり、入りを量る、つまり税収の面では懸念もあります。県税収入全体では、震災前の水準より決算ベースで見て2割以上の税収増となっていますが、ここに来て、県税の3分の1を占める法人二税と軽油引取税の落ち込みが目立ってきています。今年度の決算見込みでは、当初予算より60億円のマイナス見通しで、本県において、復興需要の縮小と景況の後退が税収面では明確に出てきていると考えています。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大や米中貿易戦争による世界経済の後退懸念、消費増税による消費の落ち込み、沿岸漁業の不振に伴う地域経済への影響など、今後さらに懸念材料もある一方で、自動車、半導体、そして第4次産業革命に関連した投資も見込まれるなど、対応策次第では、税収の下振れを最小限に抑えることも可能だと見ています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 現在の景気動向をどう分析し、今後の税収の見通しと対策についても、あわせて県の考えをお聞きいたします。
 財政健全化の一方で、この間、大きく削減されてきたのが社会資本整備に関連する予算です。ピークとなった平成9年度に比べて、平成28年度では2割を切るところまで規模は縮小しました。大型プロジェクトがめじろ押しだった時代と比較するのは酷ですが、それにしても、やはり過去の財政運営のつけ回し、我慢が目立ちます。
 このところの回復基調もあり新年度予算案では4分の1程度の水準となっていますが、今後の社会資本整備に対する財政出動について、県の考えをお聞かせください。
 私は、東日本大震災津波の復興事業により県土の縦軸を中心とした整備が進む一方、県北部や県南部の沿岸と内陸を結ぶ路線など、いわゆる横軸の整備のほか、過疎地帯におけるより日常生活に密着した社会資本整備はおくれも目立つだけに、計画的な対応は必要と考えています。
 その際、従来重視されてきた費用便益比、いわゆるBバイCについて、現在の基準ではどうしても人口密集地に偏りが出がちとなるため、BバイCの中身を見直すことも必要であると考えており、この点についても御所見を伺います。
 次に、間もなく発生から9年を迎える東日本大震災津波からの復興について伺います。
 新年度予算案では、全員の住宅再建と仮設住宅からの退去を目指し、仮設住宅の解体費などに68億5、580万円を計上しています。しかしながら、その先行きは不透明で、今なお建設資金などの問題から住宅再建に踏み出せずにいる被災者もいます。先月末現在、応急仮設住宅で暮らす被災者は374世帯、このうち期限を過ぎて暮らすのは60世帯、204世帯は今年度末までが退去期限となっています。時間が進めば進むほど課題や事情は多様化し、また深くもなっており、ひとりも取り残さない復興の実現は正念場であると認識しています。
 国は、震災発生10年を区切りに、そろりそろりとかかわりを少なくしたいとの思惑も見え隠れしますが、県としてこの問題にどう取り組んでいくおつもりなのか。住宅再建と仮設住宅からの退去について、現状認識と今後の具体的な対策をお聞かせください。
 新年度は、震災発生から10年に向かう節目となります。安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生という3原則に基づいて復興を進めてきましたが、これを引き続き推進することとあわせ、経験から教訓を学び、その教訓を生かすことが私たちには求められています。
 さまざまな分野でそれぞれの教訓がありますが、現状でそれが共有されているかどうか心もとないところもあります。教訓は、多くの人が共有してこそ次に生かすことができます。災害そのものに対する備えはどうだったのか。国連の定義を引用すれば、自然現象を大災害へと拡大させた要因はどこにあり、どう改善されたのか。今なお残る課題は何かをもう一度見直す必要があると考えます。
 震災直後の行政の対応にしても、捜索、救助、医療的支援、ライフラインの確保、物資の輸送、避難所運営など、厳しい経験をした人たちが既に現場を去り、未経験の職員が配置されています。民間との協働においても、相互の信頼関係や機材の進化を踏まえた体制の強化や、有事を見越した日ごろからの危機意識や行動共有体制を再構築すべきだという声も聞かれています。
 また、復興断面においても政策効果や制度についての検証が必要です。東日本大震災津波伝承館などネットワーク構築による情報発信の整備に加え、新年度は三陸TSUNAMI会議の開催も予定されています。
 もう一度申し上げますが、教訓は共有され、伝わり、そして生かされなければなりません。これは、震災と復興を現段階で総括することでもあります。県として、その必要性をどう認識し、今後どう取り組んでいかれるおつもりかお伺いいたします。
 登壇しての質問の最後に、第4次産業革命に対する県の取り組みについてお聞きします。
 新年度予算案並びに知事演述では、ソサエティー5.0について初めて特出しの形で触れられました。2020年代は進行中の第4次産業革命の果実を日常レベルにおいて大きく実感する時代だと認識しています。AI、IoT、ICTなどは、さらに私たちの暮らしに深く入り込んで、あらゆる分野で社会の劇的な変化が予想されている中、これらへの対応を意識し、新年度予算案でも、ふるさと振興部、商工労働観光部、農林水産部、教育委員会、そして盛岡と県南の広域振興局に幅広く主な関連予算が計上されました。
 第4次産業革命のもたらす技術革新のうち、今最も熱い視線が注がれているのが5Gです。この春からは首都圏で実用化され、2023年ごろには地方においても本格化するとされていますが、地域課題への解決に向けてどのように活用していくおつもりか、サービス開始までのタイムラグを埋める方策やローカル5Gの検討も含め、県の具体的な取り組みをお示しください。
 ところで、第4次産業革命に対応したものとして、昨年策定された岩手県ICT利活用推進計画があります。ただし、これはツールとしての利活用を促進する観点が強く、ソサエティー5.0に対応した岩手県として目指すべき、生かすべき、あるいは取り組むべき総合的な戦略としては捉えられていないのではないかと思います。
 私は、やはり総合的な構想や戦略を策定すべきと考えますが、県の認識はいかがでしょうか、伺います。
   〔19番岩渕誠君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩渕誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県の財政健全度と今後の見通しについてでありますが、本県財政は、過去の国の経済対策に呼応した公共投資や積極的な公共施設の整備等に起因する多額の県債残高を抱え、公債費負担が高い水準にあり、平成24年度決算で実質公債費比率が18%を超えたことから、公債費負担適正化計画を策定して、事業の効率化、重点化に配慮しつつ、新規の県債発行を抑制するなど、財政の健全化に取り組んでまいりました。
 これにより実質公債費比率、将来負担比率の健全化判断比率についても近年は低下を続けており、今後も当面は低下していく見通しであることから、健全化が一定程度進んでいるものと認識しておりますが、いまだ全国に比べ高い水準にあり、引き続き、その推移について注視してまいります。
 次に、東日本大震災津波の教訓の共有と伝承についてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)の復興推進の基本方向において、未来のための伝承・発信を新たな柱として掲げ、取り組みを進めております。
 東日本大震災津波からの復旧、復興の取り組みを記録し、未曾有の大規模災害の事実やこれまでの経験を踏まえた教訓を確実に後世に伝えていくことは、次の災害に備えるためにも極めて重要であると認識しておりまして、昨年9月に震災津波学習拠点東日本大震災津波伝承館を整備し、震災の事実や教訓を発信してまいりました。
 これに加え、今年度、震災発生時の対応や復旧、復興の取り組み、教訓、さらには一丸となって取り組んできた市町村や関係団体等の取り組みを東日本大震災津波からの復興―岩手からの提言―として取りまとめ、これを県の組織内で確実に継承しながら、将来の災害の発生に備えることとしております。
 また、この提言集や、いわて震災津波アーカイブなどの情報を国内外に発信することが、それぞれの地域の防災力向上にもつながるものと考えております。
 さらに、令和2年度においては、被災県として、国内のみならず世界の防災力向上に貢献するため、東日本大震災津波伝承館とインドネシアのアチェ津波博物館、ハワイの太平洋津波博物館との連携による三陸TSUNAMI会議を開催し、本県の取り組みや教訓、学術的な研究成果等を共有しながら、津波の教訓や復興の姿を広く発信していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、税収の見通し等についてでありますが、現在の景気動向につきまして、直近の2月に県が公表した最近の景況によりますと、個人消費は、消費税引き上げ後の駆け込み需要の反動減などにより弱い動き、建設投資は、住宅投資が高水準で推移しているものの、公共投資は、復興需要の縮小に伴い減少傾向、生産活動は、総じて回復の動きが続いているものの、一部に弱い動き等が見られる状況でありまして、県内景気は、一部に弱い動きが見られるものの、緩やかな回復傾向が続いているところでございます。
 一方で税収の状況を見ますと、令和元年度の決算見込みは、企業収益の減退による法人二税の減収、復興需要の減少による軽油引取税の減収などによりまして、当初予算額に対し県税全体で64億円余下回る見込みでございます。
 また、令和2年度当初予算につきましては、将来的な収益環境を予測することは難しいところでございますが、企業収益の減退傾向による法人二税の減収が見込まれるものの、消費税率の引き上げ等によりまして、県税全体では令和元年度決算見込み額を22億円余上回るものと見込んでおります。
 税源の涵養のためには産業全体の底上げが重要と考えておりまして、いわて県民計画(2019〜2028)に基づく施策を着実に推進し、本県の地域経済の持続的な成長を図ってまいります。
 次に、公共事業評価における費用便益比についてでありますが、公共事業の実施に当たりましては、事業の効率性のみならず、地域の状況等を考慮しながら、その妥当性について評価を行うことが必要であります。
 そのため、公共事業評価では、事業地区ごとに費用便益比、いわゆるBバイCで把握する効率性のほか、必要性、重要性、緊急性、熟度などを総合的に勘案して評価を行っております。
 また、費用便益比については、事業の性質に応じて評点基準を変えているものがあるほか、所得水準等の地域差を考慮して補正を行った修正費用便益比を評価の参考にするなどいたしまして、地域の実情を勘案して評価を行っているところでございます。
 次に、地域課題解決に向けた5Gの活用についてでありますが、広大な県土を有する本県におきましては、5Gの効果的な活用、実装は、時間や地域の制約を超え、社会や産業の発展につながる可能性を秘めておりまして、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる新しい時代を切り拓くプロジェクトの強力な推進力となると考えております。
 県といたしましては、5Gの整備促進に向けて、国における5Gの全国への早期展開方針と呼応し、都市部と地方の格差が生じないよう、通信事業者に働きかけを行うとともに、国の開発実証の活用を念頭に、ローカル5G等を活用いたしました中山間地域における地域課題解決モデルの構築に向けて取り組んでまいります。
 具体的には、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げました学びの改革プロジェクトとも連携しつつ、教育をテーマとして、事業者や大学などの関係機関とともに共同事業体を形成した上で、ローカル5G等を活用して、遠隔による学習や交流といった新たな学びの場を創造できるよう、開発実証の採択に向けて今後検討してまいります。
 次に、ソサエティー5.0に対応した総合的な構想等の策定についてでございますが、県の最上位の計画でありますいわて県民計画(2019〜2028)の長期ビジョンにおきましては、10の政策分野の一つである社会基盤、それから、新しい時代を切り拓くプロジェクトにおきまして、IoT、ビッグデータ、AIなどのICTの利活用、5G等のICTインフラの整備を推進することとしております。
 また、現在策定中の第2期岩手県ふるさと振興総合戦略におきましては、新たにソサエティー5.0の実現に向けた技術の活用を掲げまして、13の戦略と分野横断の四つの戦略に基づく施策におきまして、5G等の新技術を積極的に活用することとしております。
 さらに、これらの総合的、長期的な計画や戦略を具体的に実施する計画として岩手県ICT利活用推進計画を位置づけ、ICT利活用を着実に推進することとしております。
 今後におきましても、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期岩手県ふるさと振興総合戦略、ICT利活用推進計画に基づいて、岩手県の将来像をしっかりと見据えながら、ソサエティー5.0の実現に向け、ICT利活用に係る施策を着実に推進してまいります。
   〔総務部長八重樫幸治君登壇〕
〇総務部長(八重樫幸治君) 今後の社会資本整備に対する財政出動についてでありますが、これまで、県財政の健全化を進めるとともに、東日本大震災津波や台風災害からの復旧、復興など、優先的、集中的に取り組むべき課題に対しては十分な予算を措置して対応するなど、県としての取り組みを進めてきたところであります。
 令和2年度当初予算案については、震災対応予算が徐々に減少する中で、通常分の社会資本整備を計画的に進めていくこととして、公共事業費について2年連続でプラスシーリングを設定し、令和元年度当初予算比で7.6%、37億円余増の約535億円を計上しています。
 今後の公共投資については、毎年度の予算編成の中で検討していくこととなりますが、国庫補助事業の積極的な獲得や有利な起債、低利資金の活用など、後年度負担の軽減も同時に図り、引き続き財政運営の健全化に努めながら、県民の安全・安心を支え、産業や観光振興の基盤となる社会資本の整備を着実に推進してまいります。
   〔復興局長大槻英毅君登壇〕
〇復興局長(大槻英毅君) 応急仮設住宅から恒久的住宅への移行についてでございますが、本年1月末現在、応急仮設住宅に入居中の374世帯は、ほとんどの世帯が既に再建方法と退去時期を決めているところでございまして、来年度中には恒久的住宅に移行できる見通しでございます。
 移行に当たりましては、例えば住宅建築工事のおくれなど、やむを得ない事情のある世帯につきましては、退去時期等を柔軟に対応していきたいと考えてございます。
 一方で、再建方法や退去時期をいまだ決めかねている世帯も一部ございますが、こうした世帯は、経済的問題や健康問題などのさまざまな課題を抱え、さらに、これらの課題が複雑化する傾向にございますことから、県では、いわて内陸避難者支援センターが中心となりまして、市町村や関係機関と連携し、課題に応じた支援策を調整しながら恒久的住宅への移行を進めてきたところでございます。
 今後、こうした世帯への支援をさらに強めるために、移行後の安定した生活を見据えた必要な支援が提供できますよう、市町村の保健福祉部門等との連携をより密に図りながら、協力して支援を行い、応急仮設住宅にお住まいの全ての方々の一日も早い恒久的住宅への移行に向け、被災者一人一人に丁寧に寄り添った支援を最後まで実施してまいりたいと思っております。
〇19番(岩渕誠君) 何点か御意見、御指摘を申し上げたいと思います。
 まず、財政再建の関係は、一つの目安は、予算規模と公債費残高が見合いになるようなところが一つの着地点なのかなという、当面の目標としてはあるかと思います。今後、公債費も900億円台で推移することが見込まれておりますので、幾分厳しいとはいえ、均衡した状況に行くのかと思っております。ただ、その中で、やはりおくれてきたところへの投資というものは、ぜひ行っていただきたいと思います。
 特にBバイCについて、修正BバイCとかいろいろな話が出ましたが、熟度とか緊急性、いろいろあるのですけれども、最終的に、費用便益比のほうが優先されるきらいがありますので、それを言っていると、これだけ広い県土で社会資本整備が進まないことになりますので、もう一工夫をお願いしたいと思います。
 東日本大震災津波からの教訓ということになるわけでありますけれども、やはり県でつくったものがどれだけ広まっているのか、そして、どれだけ得心をしているのか、ここが本当に教訓としてみんな共有できるかどうかにかかっていると思います。三陸TSUNAMI会議を通じて世界に広げるという意味でも、ぜひ原点に返って取り組んでいただきたいと思います。
 世界への発信という観点で言いますと、今、国連防災機関のトップは、日本人女性初の国連事務総長特別代表であります水鳥真美さんであります。この方は、外務省で知事の先輩にも当たると思います。そういったところも、ぜひ人脈をお使いになって広めていただきたいものだと思います。
 残念ながら、私、第2期ふるさと振興総合戦略の部分については、政策地域部長と認識にちょっと差があったと思っています。計画そのものは、まずプランをしっかり立ててというのが今までの行政計画でありますけれども、このデジタル、第4次産業革命については、今動いていることであります。逆に言うと、なかなかプランを立てづらいというのは確かにそうなのですけれども、例えば観察をして、わかって、決めて、やるという、いわゆるOODAループですね。物事が速く動いているときには、そういう手法を使ってでも、この第4次産業革命への対応は早くしていかないと、これは大きな格差になりますので、計画とか方針の立て方についても工夫をしていただきたいと思います。
 それでは質問を続けます。今、第4次産業革命の話がありましたが、現状において、岩手県は情報通信基盤の整備が大きな課題になっています。超高速ブロードバンドの整備率のうち、光ケーブルは全国平均よりも3%ほど低いということになっています。私の地元でも、50世帯、30世帯という集落でも整備がなされていない状況がありまして、若者の世代から不満が出ています。
 さらに、産業系でも未整備のところがあります。例えば合併して同じ市域になったとしても、整備は旧自治体の枠で進められています。一関市境の他の旧町村の世帯は、わずか100メートル延ばせば接続されるのですが、一旦、旧自治体の接続ポイントまで行ってから整備されるので、旧自治体の地図のまま通信業者はやっているという実態であります。こういうものが格差になっていると、これからの時代は本当に取り返しのつかない格差になると思うのですが、もちろん人口減少にも即、直結する問題であります。
 県として、まず情報通信インフラのおくれをどうするのか、対応策とあわせてお聞きしたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 情報通信インフラの整備についてでございますが、光ファイバー等の超高速ブロードバンド環境については日常生活に欠かせない通信インフラでございまして、県としては、これまでも市町村における国の補助制度等の活用を支援することによりまして光ファイバーの整備を促進してきたところでございます。
 また、国におきましては、昨年6月に策定いたしましたICTインフラ地域展開マスタープランにおいて、光ファイバーの未整備世帯について、2017年度末の98万世帯から2023年度末までに約18万世帯に減少させるとされたところでございます。
 県といたしましては、引き続き市町村の支援を行いつつ、このような国の動向等も踏まえ、通信事業者等への整備促進の一層の働きかけを行うとともに、光ファイバーは高速大容量を特性とする5Gの前提の基盤となることから、5Gに係る新しい産学官の枠組みによる諸施策を着実に推進することで、本県における情報通信技術の活用や実装の場を広げ、光ファイバーを初めとする情報通信基盤の整備を促進してまいりたいと考えております。
〇19番(岩渕誠君) ぜひこれは喫緊の課題として捉えて進めていただきたいと思います。
 次に、地域医療と感染症対策について伺います。
 最初に、新型コロナウイルス感染症の関係で非常に切迫した状況の中、多くの質問をしますことを御容赦いただきたいと思いますし、御対応いただいていることに感謝申し上げたいと思います。
 衣食足りて礼節を知るという言葉がありますが、私は、現代における衣というのは医療体制や福祉の充実であって、食というのは仕事であると思っておりますので、そういう観点でお尋ねしたいと思います。
 まず、平成21年度にスタートした県立病院等の経営計画から10年がたちました。医師不足が非常に深刻でありまして、医療崩壊寸前というところまで追い詰められた中で、診療センターの無床化を柱とした改革でありました。住民の皆様にも御負担をいただかなければならない、痛みを伴う、血を流す改革でありました。その改革の成果をどう捉えているのでしょうか。
 私もこの問題についてはいろいろと思うところがございますし、反省すべき点がいろいろございます。こういった中で、改革をしてもなお課題として残ったものはどういうものか、これをまずお伺いしたいと思います。
〇医療局長(熊谷泰樹君) 県立病院改革の成果と課題についてでございますが、県立病院におきましては、地域診療センター化など、平成16年度から平成20年度までの県立病院改革プランが終了いたしました平成21年度以降、二つの経営計画を策定いたしまして、医師不足等、限られた医療資源の中で、県民に良質な医療を提供するため、基幹病院に医師等を重点的に配置しながら圏域内の地域病院への応援体制を強化するなど、県立病院間のネットワークを活用した円滑な医療体制を構築し、県民への良質な医療の提供に努めてきたところでございます。
 また、市町村で構築を進めております地域包括ケアシステムの一翼を担うため、地域病院を中心に地域包括ケア病床を導入するなど、地域の医療ニーズを踏まえ病床機能を見直しするほか、専門資格職員の養成などの人材育成にも努めてきたところでございます。
 一方、医師確保に向けた取り組みを進めてきたものの、医師の絶対数の不足や地域偏在、診療科偏在は解消していないなど、依然として厳しい状況が続いております。これに加え医師の働き方改革への対応も求められるなど、医師不足の解消と医師の負担軽減に向けた取り組みが課題となっております。
 また、患者数の減少などにより経営環境が厳しい病院につきましても、福祉、介護施設の役割分担と連携を進めながら、地域における医療提供体制を維持し、公的医療機関の役割を果たしていく必要があると考えております。
 これらの課題の解決に向け、本年度を初年度とする経営計画に掲げる取り組みを着実に推進することにより安定的な経営基盤を確立し、県民への良質な医療の持続的な提供に努めてまいります。
〇19番(岩渕誠君) いろいろ成果もあったと思いますけれども、やはり医師不足の問題は依然として課題であるということだと思います。
 そうした中、先般、達増知事の呼びかけで、6県の知事が発起人となって地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会を発足されました。政権与党自民党の議員連盟から要請される形で知事がその趣旨と取り組みについて説明したとお聞きしておりまして、実効性のある医師不足と偏在対策の実施について、今後も関係者に対して働きかけていくものと理解しています。
 岩手県では既に地域医療基本法などの提言などで地域医療に対して国の責任を明確にするように迫っているわけでありますけれども、都道府県を超えた医師の派遣調整に必要な支援については、いまだ国の具体的な取り組みはない状況であります。さらに、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針2018では、これだけ医師が不足している中で、国は医学部定員を将来減らすということまで言っているわけです。しかも、将来推計でいうと、それによって医師不足となる地域があるということまで言っているわけです。これは全く真逆の取り組みだと思っております。
 地域医療について切実な地方の声を反映させることがますます必要になってきていると思いますけれども、知事の会を通じてこのような問題にどう取り組んでいくおつもりなのか伺います。
〇知事(達増拓也君) 医師の不足や地域間の偏在を根本的に解消し、住民がその居住する地域で必要なときに適切な医療を受けられる体制を構築するためには、国を挙げて実効性のある施策に取り組む必要があります。
 このため、医師少数県を中心に、同様の課題に直面する県が、これまでそれぞれに行ってきた取り組みを共有して統一的な動きとし、強力にアピールすることにより国に働きかけを行う考えであります。
 今月6日に、自由民主党の医師養成の過程から医師の偏在是正を求める議員連盟からの求めに応じて、知事の会の発起人を代表して、都道府県を超えた医師の派遣調整や医学部定員増の恒久化など、国が主体的かつ具体的に関与した仕組みの必要性について、本県の事例も紹介しながら地方の声を訴えたところであります。
 6月には、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会で、各都道府県で今年度中に策定する医師確保計画も踏まえながら具体的な提言をまとめ、国に働きかけを行うとともに、今後、機運醸成や関係者への理解促進も図りながら、あらゆる機会を通じて訴えていく考えであります。
〇19番(岩渕誠君) ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 国の地域医療に対する認識で、やはり私、指摘せざるを得ないのが地域医療構想による病院の再編問題であります。非常にこれは批判も強かったわけであります。特にも、地域医療の最先端で国内のモデルともなってきました―私の地元でもありますけれども―一関市国民健康保険藤沢病院までもが対象にされるなど、非常に地域医療を顧みない、でたらめな内容であったと思います。市民の皆さんの怒りが非常に大きく湧いているわけであります。
 県では、この再編統合の対象とされた医療機関の大半では既に一定程度の見直しが行われていて、直ちに大幅な見直しが求められるものではないとしていますけれども、既に地域医療構想調整会議が各地で開かれていまして、再検証もほぼ終わっております。改めて県の考えをお示しいただきたいと思います。
 あわせて、問題なのは、この再編対象病院の中には盛岡市立病院と奥州市総合水沢病院、県立一戸病院が含まれていることです。私がなぜこれを問題にしているかというと、この3病院は、まさに今、新型コロナウイルス感染症の関係でいうと感染症指定医療機関に位置づけられているわけであります。この3病院が何かあったときには対処する病床を持っている医療機関ということであります。
 こういった点からも、国がなすべきことは地域医療の縮小ではなく、緊急的な課題にも対応できる地域医療の充実だと私は思うのですが、このこととあわせて認識を伺います。
〇知事(達増拓也君) 議員御指摘の一関市国民健康保険藤沢病院など、今回、公表された医療機関は、救急医療や僻地医療を初めとした、民間では提供が困難な不採算部門の医療など、地域において必要な役割を担っています。こういった医療機関が再検証の対象とされたことは、公表された医療機関が機械的に再編統合されるという住民の不安を招きかねず、地域の個別事情も反映されていないものと考えております。
 現在、各地域の地域医療構想調整会議で協議を行っているところでありますが、地域包括ケア病床を導入するなど、対象とされた医療機関の大半において既に病床機能の転換や見直しが進められており、その方向性について調整会議において合意を得ている段階であります。
 こうした病院は、議員御指摘の感染症医療を含め、それぞれの地域の中で重要な役割を果たしており、今後もそういった機能を充実していくことが必要であります。
 そのためには、まず、医師の不足や地域間の偏在を根本的に解消する必要があり、地域医療基本法制定の提言とあわせて、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会において、他県や関係団体等と連携し、国に対し実効性のある施策の実施を強く働きかけてまいります。
〇19番(岩渕誠君) せっかく今、奨学金制度とか、令和2年度からの東北大学医学部の岩手県地域枠の設定とか、大分、医師の確保については御努力をされているわけですが、いわゆる国の骨太の方針2018なんかはそれに冷や水をぶっかけるようなものですから、これはぜひ思いとどまっていただくように取り組みをしていただきたいと思います。
 さて、新型コロナウイルス感染症について伺います。
 これは最近クローズアップされているのですけれども、日本における大規模検疫の最初のものは、1895年、日清戦争の帰還兵に対する検疫だったと言われております。戦地で蔓延していたコレラ菌を国内に持ち込ませないために広島で23万人余りの帰還兵に実施した検疫だったと言われていますけれども、この最前線で指揮をとったのは我が郷土の偉人であります後藤新平でありました。この検疫は成功して国内への流行は抑えられたということで、世界的にも大きな評価を受けたそうであります。
 しかし、翻って現在の状況を見ますと、既に対策の局面は変わっていると言わざるを得ません。先ほど政府の基本方針が出されましたが、感染者が出ることを前提にした対策に移っており、流行拡大を抑え、感染した場合でも適切な治療が実施され、重症者を防ぐという段階にあると思います。
 これは、岩手県において万全でしょうか。現在、県内の感染症指定医療機関のうち、新型コロナウイルス感染症に対応可能な感染症病床は、一種と合わせて9機関の38床となっています。質、量ともに十分な対応は可能でしょうか。中には医師が8人というところもあるわけです。
 また、こうした指定医療機関というのは医療圏ごとに置かれる原則でありますけれども、医療圏の変更や病院の建てかえに伴って、釜石医療圏には指定医療機関はありません。どのような対応を想定しているのかお示しいただきたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 感染症指定医療機関の状況についてでありますが、感染症病床の配置につきましては基本的に医療圏の人口に応じて国が設定している基準を勘案して行っているものであり、今般の新型コロナウイルス感染症に係る対応についても、県内において患者が発生した場合には、今般、各医療機関に設置した帰国者・接触者外来から感染症指定医療機関へ円滑につなぐ体制を整えているところであります。
 一方、国内において感染経路の特定が困難な感染事例の判明が相次いでいることから、県内において患者が発生し、拡大する事態への移行も想定し、新型インフルエンザ患者入院医療機関や感染症指定医療機関の感染症病床以外の病床への搬送等の対応も含め、準備を進めているところでございます。
 また、釜石医療圏については、東日本大震災津波による大槌病院の被災以来、感染症指定医療機関を指定していないところでございます。当面、隣接する気仙医療圏の県立大船渡病院において対応することとしておりますが、復興道路の整備に伴いましてアクセス時間が大幅に短縮しており、同様に隣接する県立遠野病院との連携も含めまして、緊急的な対応も十分可能ではないかと判断しているところでございます。
〇19番(岩渕誠君) 釜石圏の問題については、ぜひ十分な対応をとっていただきたいと思います。
 私、前段で、大切な答弁があったと思っております。9機関38床以外への搬送というお話がありました。私もここが懸念するところであります。感染症病棟というのは、ウイルス感染を防ぐための減圧室というのが一般的であります。本当に一般病棟で対応が可能なのかどうか。この対応を誤ると院内感染ということにもつながるだけに、慎重かつ万全の準備をとる必要があるわけであります。これは本当に県内で対応が可能なのか。あるいは、対応を可能とするための整備の予定はあるのか、これをお聞きしたいと思います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 県としては、先ほど御答弁したとおり、県内において患者が発生した場合、拡大する事態に移行した場合は、一般病床も含めた対応を検討しているところでございます。
 一般論でございますが、新型コロナウイルス感染症につきましては、飛沫感染、接触感染と捉えております。これは、インフルエンザや市中肺炎、一般的に行われている細菌性ウイルス肺炎の対応と医療的な対応としては変わらないものと理解しているところでございます。
 こうした中、議員から先ほど御紹介がありましたが、本日午後、政府から新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が示されました。この中で、医療提供体制として、今後の対応でありますが、地域で患者数が大幅にふえた状況では、外来での対応については、一般の医療機関で診療時間や動線を区分する等の感染対策を講じた上で新型コロナウイルスへの感染を疑う患者を受け入れること、また、入院体制でありますが、患者のさらなる増加や新型コロナウイルス感染症の特徴を踏まえた病床や人工呼吸器等の確保、地域の医療機関の役割分担、例えば集中治療を要する重症者を優先的に受け入れる医療機関等、適切な入院医療の提供体制を整備するなどが示されたところでございます。本県もその内容を踏まえて、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会から助言を得ながら本県の医療体制整備を進めていく考えでございます。
〇19番(岩渕誠君) 今、大変重要なことをおっしゃられたと思っています。最終的には指定医療機関のところでの対応だけれども、広がった場合にまずはピークカットをするということと、やはり万が一に備えて、一般の医療機関に対してどのような情報提供と体制を後方支援するのかということだと思うのです。
 既に民間医療機関では、先ほども議論がありましたけれども、マスク、アルコールの関係が足りないということも言われておりますが、確保は十分なのでしょうか。
 それから、県の備蓄状況です。官民問わずそういうことを進めるのであれば、医療機関への放出なども検討すべきだと思うのですが、いかがですか。
〇保健福祉部長(野原勝君) 県では、県内の感染症指定医療機関に対し、マスク等の確保状況について聞き取りをしております。現時点ではまだ県内での発生はございませんので、確保されている状況とは聞いておりますが、やはり今後、国内外の流行が拡大した場合に対して備えておく必要があると認識しています。
 県としては、今後の状況を踏まえまして、必要な機関に必要な数量のマスクや消毒液を届けられるように流通調整を実施するとともに、必要に応じ県の在庫を供出し医療体制の維持に努めるとともに、国に対しては引き続き十分な供給について求めたいと考えております。
〇19番(岩渕誠君) ぜひ対応をお願いしたいと思います。
 次に、働き方改革と少子化対策につながる妊娠支援の重要性について伺います。
 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の中でも、岩手で育てるは、引き続き大きな柱として位置づけられており、議会初日の知事演述の中でも、結婚したい、子供を産みたい、育てたいという希望に応える取り組みや、子育てと仕事の両立支援など、子育てに優しい環境をつくりますと述べています。
 足元の男性岩手県職員の状況を見ていきますと、育児休業、育児のための部分休業、それから育児短時間勤務、配偶者出産休暇、育児参加のための休暇というものが制度化されているそうでありますけれども、トータルで見ると9割の取得率があると伺いました。ただ、大半を占めているのは出産時の付添いとその直後の休暇であり、育児参加のための休暇も半数程度にとどまっております。
 女性の育児休業は平成30年度に100%となりましたが、男性の育児休業となると、知事部局及び企業局等で4.7%、これに医療局、教育委員会、警察本部を合わせると1.3%にとどまっています。この現状に対する認識と、今後の県における育児支援等の進め方についてお示しください。
〇総務部長(八重樫幸治君) 県ではこれまで、次世代育成支援のための特定事業主行動計画に基づき、職員向け制度説明会の開催による子育て支援制度の周知、育児支援計画シートを活用した所属長との面談による育児休業等の取得奨励、配偶者出産休暇や育児参加休暇等の子育て支援制度の充実など、男性職員に対する育児支援に取り組んできたところでありますが、本県の男性職員の育児休業取得率は全国に比べ低い数値となっており、改善しなければならないと考えています。
 今年度実施した職員アンケートでは、男性職員が育児休業を取得しない理由として、自分以外に面倒を見てくれる人がいる、休むと職場に迷惑をかけるといった意見が多く出されていることから、より一層、育児休業等の取得奨励や子育て支援制度の周知、育児休業取得に対する不安解消に取り組む必要があります。
 このため、今後におきましては、子供が産まれた職員への知事メッセージの発信、育児休業取得を前提とした出生前の所属長面談の実施、育児休業取得者に個別相談できるメンター制度の導入など新たな取り組みを実施し、仕事と生活の調和がとれた職場環境づくりに取り組んでまいります。
〇19番(岩渕誠君) いずれこの問題については、やっぱり県が見本を示さないといけないと思います。実は、子育て環境については、官民格差というのが出ています。県内企業で、育児休業に関して制度化されているのは大体9割です。女性でも取得率は84.3%、男性では2.7%にとどまっています。各種子育て支援に対する制度の導入状況を見ても、県のように細かくあるわけではありません。イクボス宣言をする経営者も少なくないのですが、実効性を上げるために県としてはどのように取り組んでいくおつもりか伺います。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 企業における子育て支援の促進についてでありますけれども、県では、仕事と子育ての両立支援などに取り組むいわて子育てにやさしい企業等認証制度につきまして、企業訪問等も行いながら認証企業の拡大に取り組んでおります。1月末時点で認証企業は108社となっています。
 あわせまして、議員から御紹介のありましたイクボス宣言でありますけれども、いわて女性活躍推進員による企業訪問等によりまして働きかけているところであります。1月末時点で119の企業、団体でイクボス宣言が行われております。
 また、男性の育児休業取得促進などに取り組む企業を支援する国の両立支援等助成金の活用を推奨しておりまして、県内企業における活用が進んできておりますほか、県単独の補助制度も設けておりまして、子育て支援を初めとした企業の働き方改革の取り組みを支援しているところでございます。
 さらに、いわて働き方改革推進運動を全県的に展開いたしまして、優良な取り組み事例をいわて働き方改革アワードにおいて表彰いたしまして、広く情報発信、普及啓発に努めているところでございます。
 今後におきましても、企業みずからの魅力、価値を高めるものとして、これら子育て支援の取り組みが一層進むように、引き続きこれらの取り組みを促進してまいります。
〇19番(岩渕誠君) いろいろ分析はあると思いますけれども、大きな問題は、育児休業を取得した場合の収入の問題というものも少なからずあると思います。国のほうで、その補償の分を8割に上げたいというような意向もあると伺っております。岩手県の場合はもともと賃金が高くないという中でありますので、そういった部分についてもぜひしっかりと実態を踏まえて政策提言をしていただきたいと思います。
 さて、子供を産み育てるという分野において、エアポケットになっているのが生殖補助医療など、いわゆる不妊治療、すなわち妊娠支援に対するものではないでしょうか。周産期医療や子育て支援に関しては大きな政策の柱としてとられることが普通のこととなっていますけれども、妊娠支援については、プライバシーや非常にデリケートな問題を含むこともあり、扱い自体が小さなものになっているのが現状ではないかと考えております。
 しかし実際には、子供を望んでいる方は本当に数多くいらっしゃいます。結婚年齢が上がるにつれ、妊娠支援の現場には多くの人たちが詰めかけています。実は、こうした治療を世界一受けているのが日本だというデータもあります。
 厚生労働省などの2015年の調査によれば、生殖補助医療を受けて誕生した子供は全体の20人に1人、いわゆる不妊治療を行ったことがある夫婦は5.5組に1組と言われております。NPOの調査によれば、悩みを抱いたことがあるというのは3組に1組という状況なそうであります。
 妊娠支援を取り巻く課題は、費用がかかることと社会の理解の二つだと考えております。金銭面では、新年度でも1億円を超える関連予算を計上しておりますし、これまで大体550件か600件ぐらいの間で特定不妊治療を助成されているということであります。大分拡充されてきたという感じは持っているのですが、やはり社会の理解ということについてはまだまだ課題があると思っています。
 平成29年度に厚生労働省が実施した調査によれば、不妊治療と仕事の両立について、両立できずに仕事をやめた、または治療をやめた、両立できずに雇用形態を変えたという人は全体の3分の1以上に上りました。また、両立をしている人の中でも、両立が難しいと感じる内容は、精神面の負担、通院が多い、通院と指定された日に仕事を休めないという答えが多く、中には職場のサポートが得られないというものもありました。
 また、不妊治療の実態を知っていると答えた人は全体の23%、知っている割合が最も高い35歳から39歳までの世代でも3割です。年齢が高くなるにつれて知らないという人がふえまして、50歳から59歳まででは85%が知らないという結果でありました。
 県の平成29年度の採用者のうち、女性の割合は45.6%と全国一高くなっており、平成30年度も46.2%と伸びています。県庁内部を見ても、これは県として喫緊の課題になると考えております。こうした実態をどのように受けとめているのか、また、県として実態把握に努める考えはないか伺います。
〇保健福祉部長(野原勝君) 不妊治療についてでございます。
 県では、特定不妊治療に対する治療費助成のほか、治療に関する普及啓発、不妊専門相談センターによる相談支援を行っており、助成件数は横ばいで推移しているが、治療を必要としている方が安心して治療を受けられる環境を整備していく必要があると認識しています。
 議員御紹介の主に働きながら不妊治療を受けている方を対象とした厚生労働省の調査では、仕事との両立が難しい理由として、治療に係る費用面というよりも、周囲の理解を含め、精神面の負担が大きいということが示されております。
 一方で、平成29年度に盛岡市が行った、就労の有無にかかわらず、体外受精などの特定不妊治療費助成を受けている方を対象とした調査では、治療に係る課題として経済的な負担を感じている方が最も多かったと聞いています。
 このように、治療の状況や就労状況などで求められる支援が異なることが考えられることから、県としては、より効果的に施策を進める上で、本県の不妊治療に関する支援ニーズや社会の認知度等を把握することが必要と考えており、他県の例なども参考にしながら、その手法について検討してまいります。
〇19番(岩渕誠君) これは理解を進める上での前提となりますので、ぜひお願いしたいと思います。これも全国調査で、今御紹介いただいた厚生労働省の調査の中に出てきますけれども、不妊治療と仕事の両立に関して従業員や管理職への普及啓発を行っている企業は2%、それから、不妊治療を行っている従業員を対象として相談や面談の機会を設けている企業は14%、こういうことであります。やはり理解をしていただかなければいけないのだと思っています。
 生殖医療等に望みを持って受診されている方は実際多いのですけれども、子供の誕生を期待しながらも、その前に死というものに出会ってしまうケースが実は少なくありません。クリニックなどに行きますと、1度でうまくいくケースはないですよ。何回かやってうまくいけばいいですよという説明をする医師もいるのですけれども、それは医療側の話であって、やはり受診をしている皆さんからすれば、自分の体を痛めた代償が死ということであったときの衝撃は、はかり知れないわけです。ただでさえ理解の進まないこの社会環境の中で治療を進めている方が多く、また、誰にも言えない苦しみ、悲しみというのがいっぱいあるわけであります。こういった現状を放置してはいけないのだと私は思います。
 三重県では、県と経営者側、労働者側が一体になって、この問題について協定を取り交わして、社会の理解と仕組みづくりに向けた取り組みもスタートしていると伺っております。私は、岩手県でもぜひ取り組んでいただきたいと思うのですが、お考えをお示しいただきたい。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員御紹介の三重県の取り組みにつきましては、不妊治療と仕事の両立を推進する機運の醸成や治療を受けやすい環境づくりを図るため、行政と経営者、労働者、医療関係者が一体となって、正しい知識の普及啓発や職場での理解促進などを進めているものと承知しています。
 本県では、仕事と不妊治療を両立しやすい職場環境づくりを進めるためのリーフレットを企業に配布しているほか、いわて子育てにやさしい企業等認証制度において、不妊治療に関する休暇制度等の措置の項目を追加するなど、企業の理解促進に取り組んでいるところでありますが、企業を含めた社会の理解を一層促進していくことが必要と考えています。
 県では、県内企業や経済団体等の参画を得て、岩手県健康経営実践支援会議やいわてで働こう推進協議会などの取り組みを行っておりまして、こうしたさまざまな場を活用して意見交換を行うなど、協定の締結も含め、より効果的な取り組みのあり方について検討してまいります。
〇19番(岩渕誠君) この問題を抱えている人というのは、いわゆるサイレントマジョリティーだと思います。声を上げたくても上げられないという中で、いろいろな誤解も生じるわけでありますけれども、そういったところを包摂して、どうすれば一番いいのかということは真剣に考えていただきたいと思います。
 きょうは質問項目の中にあえて妊娠支援という言葉を使いました。一般には不妊治療と呼ばれるものであります。どうしてもいろいろな文書には出てきますが、この否定の接頭語を使った不妊という言葉も、行政の用語や私たちの日常では使ってしまうのですけれども、やはり今のこの置かれた状況を見ると、この不妊という言葉自体を行政側から少し変えていく必要もあるのだろうと思っています。
 これは言葉の問題ではなくて、問題に対する哲学の問題だと思います。社会の理解を進めるためには、こうした言葉の問題をどうするかというのは必要なことだと思いますけれども、これは検討に値するのではないかと思っているのですが、県の認識を伺います。
〇知事(達増拓也君) 県では、子供を産み育てたいと望む県民を支援していく上で、不妊治療に係る社会の理解の促進が重要と考えており、市民公開講座の開催やいわて子育てにやさしい企業等認証制度を通じた企業の理解促進などに取り組んでいるところであります。
 不妊という言葉は、関係する法令や国の事業名のほか、公益社団法人日本産科婦人科学会等でも使用されるなど、広く一般的に用いられているものであることから、県でも事業や施策の中で用いているところでありますが、当事者の方々や医療関係者を初め、県民にも、議員御指摘のような消極的な印象を含め、さまざまな受けとめがあると考えられますことから、まずは、県内の専門医や関係者で構成する岩手県不妊治療協議会等を通じて、御意見を伺っていきたいと思います。
〇19番(岩渕誠君) 何度も申しますけれども、これは哲学の問題でありますし、言葉を変えることで意識が変わる、社会が変わる。これは小さいことかもしれませんけれども、やはり置かれたサイレントマジョリティーがこれをどう受けとめるかという問題として、ぜひ捉えていただきたいとお願いしたいと思います。
 次に、農業、産業振興についてお尋ねいたします。
 私も農業者の一人でありますから、生産から流通、スマート農業などについてお聞きしたいことが山ほどありますけれども、きょうは、農業問題の基本でもあります生産基盤、農地の問題に絞ってお伺いしたいと思います。
 岩手県における農地問題の最大の課題の一つが、中山間地の農地をどう維持していくかということにあると私は認識しています。
 御案内のとおり、岩手県の中山間地帯は、県土面積、耕地面積、農業生産額の8割を占めています。しかし、その水田整備率は低く、平場に比べて16ポイント低い47.8%になっていますけれども、この整備を誰が担うかというのが課題だと思っています。
 さきの決算特別委員会で指摘したように、県内の中山間地帯の耕地面積のうち、土地改良区に入っている面積の割合は43%にすぎません。しかし、事業費のベースで見ると、土地改良区に入っている農地の事業には7割から8割が投入され、土地改良区外の中山間農地は2割から3割にとどまります。
 今、耕作放棄地、荒廃農地拡大の危機に瀕しているのは、まさにこの土地改良区外にある中山間地の条件不利な農地であります。このことによって農業生産は停滞し、また、多面的機能は低下、何よりも離農を契機として、人口減少と限界集落の加速度を上げることにつながっています。
 この農地を誰が守るのか、もしくは農地からの転換をして別の管理を進めるのか、基本的な方針を伺います。また、現実に即して、県としては、これら農地を土地改良区に編入してそこで整備を進めようとしているのか、方針を伺います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 中山間地域における農地の維持についてでありますが、農地は、農業生産にとってなくてはならない資源でありまして、また、国土の保全や水源の涵養、良好な景観の形成など多面的な機能を有することから、その機能が十分に発揮されるよう適切に管理し、有効に活用していくことが重要であります。
 このため、現在、地域の話し合いによりまして、地域の農地を誰が担っていくかなど、将来の農地の管理や利用のあり方を明確化する地域農業マスタープランの実質化の取り組みを進めているところでありまして、その検討の中で、地域の農地の利用の方向性について議論を深めていただきたいと考えております。
 また、土地改良区でございますが、これは一定の区域におきまして、農業生産基盤の整備等を行う土地改良事業の実施等に向け、土地改良法に基づき農業者がみずから設立する組織でありまして、農地、農業用水の保全管理や圃場整備事業の実施において中心的な役割を担う組織であります。
 土地改良区への編入でございますが、これらの土地改良区が設立されていない地域において、土地改良事業の実施を契機に近隣土地改良区への編入が行われてまいりました。編入に当たりましては、編入を希望する農業者と受け入れ側の土地改良区が、地域の農業の将来像を見据えて、農地、農業用水の整備や保全管理のあり方などについて話し合いを積み重ね、合意し、そして編入が実現するものであります。
 県では、土地改良区への編入を行おうとする場合には、これまでの編入事例などの情報を提供させていただくほか、必要な説明、助言を行っていく考えであります。
〇19番(岩渕誠君) 今いろいろ御答弁がありましたけれども、現実はそうじゃないですよ。土地改良区も、中山間地の土地改良は平場に比べてコストがかかる。費用と管理のコストに難色を示すというのが本音であると思います。平場の整備コストは1反歩当たり210万円に対して、中山間地になると260万円かかるというのが岩手県の平均であります。
 そして、そのことによって今何が起きているかというと、私の地元でもありましたが、例えば50ヘクタールぐらいの農地がまとまってあるのだけれども、これは土地改良区に入っていないので、ぜひ入れてくれということをお願いするのですね。そうすると、問題になってくるのは入会金の問題です。これは今までなかったのだけれども、入ると言ったら、その規約をつくってしまったと。それが1反歩当たり3万円の加入料です、こういう話になります。これは、やっぱり受けとめるほうからすると、それは入ってくれるなということなのかなというようなことで、じゃ、誰がこの農地を守るのだと。入りたくても入れないというような現状が実際にあるかと思います。
 県では、活力ある中山間地域基盤整備事業を導入するなどして、こういった土地改良区外でも整備を進められる制度をつくりましたが、結果としては、どうもそういったところは救われていないのが実態だと思います。
 私は、土地改良区外でも中山間地の整備が進むのであればやむを得ない部分があると一定の理解をしていますし、今、県の土地改良の予算の85%は中山間の整備になっていますから、これは評価をしています。しかし、荒廃の危機にあるところに緊急に手を入れる必要があると考えています。
 新年度から活力ある中山間地域基盤整備事業は、いきいき農村基盤整備事業と名前を変えて存続すると伺っています。以前から指摘していますけれども、事業実施主体の要件を緩和して、多面的機能支払交付金の活動組織など、これは非常に地域に密着していますから、ここに拡大できれば、こうした危機にある中山間地帯の基盤整備を進めることができると思いますけれども、県の方針を伺います。
〇農林水産部長(上田幹也君) いきいき農村基盤整備事業についてでありますが、議員から御指摘がございましたけれども、これまで実施しておりました活力ある中山間地域基盤整備事業では、事業実施主体として市町村、土地改良区、農業法人等を対象といたしまして、一関市ほか18市町村55地区で、水田の区画拡大や暗渠排水等の農地の簡易な基盤整備を実施してきたところであります。
 この後継事業といたしまして、令和2年度当初予算案に盛り込んでおります、議員からお話のございましたいきいき農村基盤整備事業では、耕作放棄防止対策、農業用用排水施設整備なども対象とするなど事業内容を見直していくほか、多様な実施主体が本事業を活用できるよう、多面的機能支払交付金の活動組織も新たに追加しようとしているところであります。
 本県では、本事業の積極的な活用を促しながら、地域の立地条件やニーズに対応したきめ細かな基盤整備に取り組めるよう支援をしてまいります。
〇19番(岩渕誠君) 大変ありがたい答弁だと思っております。この問題についてはぜひそのようにということを言ってきましたので、前向きな答弁だと思っております。
 ただ、制度はつくったけれども、使う人がいないということではいけません。実際には、本当に使いたいという人が多分これは出てくると思います。この組織に対しての広報、まず市町村を通してということになると思いますけれども、ぜひこれを進めて、この基盤事業で整備を進めていただきたいと思います。
 次に、日本型直接支払制度の課題についてお尋ねします。
 今年度から、日本型直接支払制度のうち長寿命化に係る多面的機能支払いについて、工事の上限額を設定し、1件当たり200万円未満としました。これは国の方針です。この長寿命化にかかわる支払いは、今でも交付金が必要額の7割程度の交付にとどまっておりまして批判が強いのでありますが、これにさらに上限を設けて整備の制限を行うことは、現場で不満を招いております。
 国の方針で他の補助金との整合性の観点から見直しが進められたと伺っていますけれども、現場からは、ほかの補助金を申請しても、いつ予算が来るかわからないのだから、交付されている直接支払金を活用して一日も早く基盤整備を進めようとしていたのに、国のこういう考え方は現場のことを全く知らないやり方で、これでは整備が終わるころには誰も農業をする人はいなくなるだろうという声も聞かれております。これは、まさに私も同感であります。
 県として、こうした実態についてどのような考えを持っているのか、また、国に対して実態に即した制度の見直しを求める必要があると思いますが、いかがでしょうか。
〇農林水産部長(上田幹也君) 日本型直接支払制度の課題等についての御指摘でございました。国では、平成30年11月の第三者委員会におきまして、施設の長寿命化の活動については、地域が日常的な管理を行う農地周りの末端施設の補修、更新等を実施するものであって、大規模な施設を対象とする他事業との役割分担を明確にすべきであるものという意見が出されたと聞いております。
 国では、この意見を踏まえながら、今年度から、この活動の対象を、議員御指摘のとおり、原則として工事1件当たり200万円未満と定めたところでありまして、県では、国が定めるこの原則に沿って、200万円以上の事業については、他事業を選択することを基本としているところであります。
 一方、200万円の上限額の設定につきましては、現地の活動組織等から戸惑いの声が寄せられておりまして、県では引き続き、国への要望活動や国との意見交換の場を活用いたしまして、地域の実態を伝えてまいりたいと考えております。
〇19番(岩渕誠君) 実は、今言っているこの交付金を200万円以上で使える方法が二つあります。一つは、長寿命化整備計画書というものをつくって、市町村の認定を受けることでありますが、岩手県はまだないとお聞きしております。それから、都道府県の裁量で上限額を引き上げることも可能となっております。
 参考までに申し上げますと、1、000万円未満に設定しているものが二つ、800万円が二つ、500万円、あと400万円ということで、全国で9件あるわけです。こういったことも、最後は検討すべきだと思っているのですが、いかがですか。
〇議長(関根敏伸君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) ただいまのお尋ねでございますが、全国を見ますと、県が定める基本方針で、例えば上限額を200万円ではなく、独自に設定している都道府県があると承知しておりまして、ただいまの議員からの御指摘ですと九つございます。ただ、この都道府県におけます具体的な内容については把握しておりません。
 県においての上限額の引き上げにつきましては、市町村土地改良区に対しまして、これまで説明会を開いてまいりましたけれども、その中で、県独自の設定をすることが可能であるという説明をしてまいりました。
 これに対しまして、現時点で市町村からは御相談あるいはお尋ね等はございませんけれども、引き続き、こういった相談がありましたら、それに応じてまいりたいと考えておりますし、それから、こういった上限額のあり方につきましては、引き続き研究をしてまいりたいと考えております。
〇19番(岩渕誠君) 前向きに研究をお願いします。延長戦は予算委員会でやりましょう。
 産業対策についてお尋ねします。
 自動車、半導体関連を中心に、企業は依然として県内への旺盛な進出意欲を持っていると伺っております。一方で、県が明らかにしたように、県南の工業団地は9割が埋まって、新たな団地造成が課題となっています。
 今後の工業団地の造成について見通しをお示しください。また、第4次産業革命が進む中、ローカル5Gなど付加価値をつけた工業団地づくり、これからの時代のキーテクノロジーを見据えた企業誘致の考えについてお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 今後の工業団地の造成の見通し等についてでありますが、県南地域を中心とした企業の旺盛な投資動向は当面続くものと見込まれ、大規模立地等に対応する用地の必要性が高まっていると認識しております。
 現在、盛岡市、遠野市及び平泉町におきまして、全体で約42ヘクタールの工業団地整備事業が進められておりますほか、他の市町におきましても産業用地の整備に向けた計画が決定されているものが約52ヘクタールとなっておりまして、さらに複数箇所において検討がなされております。
 県といたしましては、自治振興基金の活用など財政的な支援の体制を整備するなどし、新たな工業団地の整備主体となる市町村の意向を踏まえまして、連携して対応しているところでございます。
 次に、付加価値をつけた工業団地につきましては、ものづくり企業における生産性や技術力の向上につながるインフラの整備など、産業界の技術動向や企業ニーズの把握に努めながら、事業主体となる市町村と計画の立案段階から連携し、その整備のあり方について検討してまいります。
 次に、キーテクノロジーを見据えた企業誘致についてですが、本県はこれまで、世界最先端の技術を持つ企業の誘致にも取り組んできたところでありまして、第4次産業革命の基軸でありますIoT、AIなどの先進的なテクノロジーを有する企業の集積も進んでいるところであります。県といたしましては、産業の高度化、高付加価値化、生活環境の充実を実現するため、これらキーテクノロジーを持つ企業の業容拡大や新規の立地は重要と考えておりまして、引き続き積極的に取り組んでまいります。
〇19番(岩渕誠君) 自治振興基金を活用した、いわゆる遠野方式と言われる工業団地造成のやり方は大変有効だと思いますので、ぜひ、引き続きその問題に取り組んでいただきたいと思いますし、企業誘致はタイミングであります。ここ一、二年が勝負だと思います。ぜひ市町村にも働きかけを強めていただきたいと思います。
 最後に、治水対策について伺います。
 北上川下流に建設が進められております一関遊水地は、戦後のアイオン、カスリン台風を契機に計画され、昭和47年に事業着手、総工費2、700億円に及ぶ事業であります。平成29年度末の進捗率は75%と、なお続く工事の完了は、地域の住民にとって悲願であります。
 ようやく地役権についての説明も開始されるなど、ゴールもおぼろげに見え始めていますが、実はこの工事の完成によって、下流部は水位の上昇も見込まれ、遊水地完成前の対応が求められています。
 遊水地より下流に当たる北上川狭隘部では、依然として整備や移転事業が残されている地域があり、また、支流に当たる県の管理河川の治水対策も急務となっております。
 そこでお尋ねいたしますけれども、金流川、黄海川など関連する河川の治水対策について、今後の見通しを伺います。また、遊水地完成を見据えて、一関市弥栄地区や川崎町、花泉町等、下流部における内水被害などに対する治水対策の再点検の必要性もあると思いますけれども、県としてはどのように対応するおつもりなのかお示しいただきたいと思います。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 治水対策についてでありますが、金流川については、昨年12月の住民説明会で、右岸側については、既存堤防のかさ上げを基本として一連の区間に堤防を新設し、左岸側については、洪水時にも浸水しない高さの管理用通路を設けるなどの治水対策案について御理解をいただいたところであり、今後、詳細設計や用地調査等を進め、早期に工事着手ができるよう取り組んでまいります。
 国が管理する黄海川の北上川合流部については、黄海地区住民自治協議会から水門の整備について要望がなされていると承知しておりますが、国からは、近年洪水による家屋の浸水被害箇所の治水対策を優先的に進めており、限られた予算の中では早期の水門整備は難しいが、一関遊水地の早期整備や樹木伐採、堆積土砂撤去などに取り組んでいると伺っています。
 黄海川の県管理区間については、現況流下能力について調査を実施しているところでありますが、その調査結果を踏まえ、事業導入の可能性も検討していくとともに、浸水被害の軽減のため、河道掘削や立ち木伐採等について計画的に実施してまいります。
 また、一関遊水地の小堤整備により、これまで農地にあふれていた中小規模の洪水があふれにくくなるということで、一関遊水地下流部への水位上昇という影響が考えられるわけでありますが、北上川本川やそれに合流する支川での内水影響等については、国とも連携しながら確認等を行っていきたいと考えております。
〇19番(岩渕誠君) いずれ、利益を享受する一方で、まだまだ懸念しなければならないということが治水対策の中にはあるわけであります。国が責任を放棄して県に押しつけたという区間もあるのですけれども、それは今対応していただいておりますが、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
 きょうは県政全般にわたって質問をさせていただきました。前向きなものが多かったかと思いますけれども、ぜひ実現に至りますようさらに御努力をお願いしまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって岩渕誠君の一般質問を終わります。
   
日程第2 議案第52号令和元年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第36 議案第86号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(関根敏伸君) 次に、日程第2、議案第52号から日程第36、議案第86号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。八重樫総務部長。
   〔総務部長八重樫幸治君登壇〕
〇総務部長(八重樫幸治君) ただいま議題とされました各案件について説明申し上げます。
 議案第52号は、令和元年度岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。
 これは、国の補正予算に対応して災害復旧や防災・減災、国土強靱化などの予算を措置したほか、県税等歳入の最終見込みや事業費の確定に伴う所要の整理等を実施するものであり、総額73億8、700万円余の減額補正をするものであります。
 補正の主なものは、特定被災地域復興支援緊急交付金7、400万円、盛岡南公園球技場照明設備整備費補助3、700万円余、自然公園施設整備事業費7、700万円余、経営体育成基盤整備事業費63億600万円余、道路環境改善事業費24億2、100万円余、直轄道路事業費負担金95億7、500万円余、基幹河川改修事業費16億5、400万円余、県立学校ICT機器整備事業費14億2、700万円余等であります。
 次に、繰越明許費の追加は、庁内保育施設整備ほか193事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の追加及び変更は、空港整備事業ほか8件を新たに追加するとともに、13件について期間及び限度額を変更しようとするものであります。
 また、地方債の追加及び変更は、県民会館施設整備ほか3件を新たに追加するとともに、17件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第53号から議案第66号までの14件は、令和元年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計ほか10特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業費の執行見込みに基づき所要額を補正しようとするものであります。
 議案第67号から議案第70号までの4件は、建設事業等に要する経費の一部負担及び一部負担の変更に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第71号から議案第83号までの13件は、災害復旧工事などの請負契約4件及び変更請負契約9件の締結に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第84号は、調停の申立てに関し議決を求めようとするものであります。
 議案第85号及び議案第86号の2件は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めようとするものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
   
〇議長(関根敏伸君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時8分 散 会

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