令和2年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(高橋はじめ君) 希望いわての高橋はじめでございます。
 新任期最初の登壇でございますので、一言御挨拶を申し述べさせていただきます。
 議員として新たに4年の任期を賜りまして、心から感謝とお礼を申し上げる次第であります。また、御支援をいただきました有権者の皆様、県民の皆様の御負託に応えるよう、そしてまた、県民生活の向上、県勢の発展に向けて取り組んでまいりたい、このように思っております。議員各位、そして知事を初め執行部の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 質問に先立ち、東日本大震災津波、平成28年台風第10号、令和元年台風第19号など、相次ぐ自然災害で亡くなられました方々の御冥福を改めてお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様に心よりお見舞いを申し上げ、一日も早く安寧の生活を取り戻していただきますよう御祈念申し上げます。
 通告に基づき、順次質問いたします。
 最初に、現在、検討中の岩手県人口ビジョンについて伺います。
 県では、2015年に岩手県人口ビジョンを策定し、あわせて岩手県ふるさと振興総合戦略を策定して人口減少対策に総合的に取り組んでまいりました。5年経過する本年、ビジョン改定に当たり、2015年以降の動向を踏まえ、改めて人口の現状等を分析し、今後の展望を示すとのことでありますが、本県の人口の現状、人口減少に伴う課題、改定版人口ビジョンの将来人口の展望について知事に伺います。
 人口減少の本質は、新しい生命の誕生が激減していることだと思われます。その要因として、一つには、出産適齢期と言われる年代の女性が減少し続けていること、二つには、合計特殊出生率が2未満であること、三つには、未婚者が多いことが考えられます。社会増に期待することもできますが、年々少なくなるパイを本県はもとより全国各地で奪い合うことだけで、本質的な解決とはなっていません。合計特殊出生率は2以上に改善されたとしても、そもそも未来の母親になる女児が減少している現状にあります。新しい生命の誕生に向けたこれまでの取り組み、課題について伺います。
 国立社会保障・人口問題研究所、いわゆる社人研が平成30年に公表した日本の地域別将来推計人口によると、本県の総人口は2040年に95万8、000人、2015年比でマイナス25.1%になると推計されております。県内33市町村全てで減少するとされ、1桁台のマイナスが滝沢市、矢巾町の2市町、以下、10%台が盛岡市、北上市の2市、20%台が一関市、奥州市など6市町、30%台が宮古市、大船渡市など9市町、40%台が八幡平市など12市町村、そして50%台が葛巻町、西和賀町の2町となっています。2015年からの5年間の推移は社人研の推計どおりで、このまま人口減少が進むとすれば2040年の本県はどのような社会となっているのか、県勢の予測される未来図について伺います。
 人口減少に伴い、地域の社会システムにさまざまな影響が及び、県政全般にわたっても同様に問題、課題が起きてくることが予測されます。人口減少がもたらす縮小社会に向けて、総括的に問題、課題を検討し、適切な対応策を企画立案するとともに、市町村を初め、県内各種団体へのアドバイス、アプローチを行う必要があると考えられます。
 県においては、例えば、縮小社会を想定した構想を検討する委員会や、人口減少対策を担当する部署を設置するなど、人口減少対策の推進を一層強化し、岩手の未来への責任を果たしていくべきと考えますが、所感を伺います。
 次に、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略について伺います。
 社人研の将来人口推計では、現状のまま推移すると20年後の2040年には県内の多くの市町村において2割以上の人口減少となり、県全体で約25%の人口減少となるとの予測が示されていますが、人口減少に歯どめをかけるため、県では岩手県ふるさと振興総合戦略を2015年に策定し、5年目を迎えているところであります。この間の取り組みの成果と人口減少対策に対する評価について知事に伺います。
 県内各市町村においても市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、同様の取り組みをしております。市町村の指針となる岩手県ふるさと振興総合戦略、そして各市町村では地域に密着した総合戦略を策定し、取り組みを推進しておりますが、県は市町村とどのように連携、協働し、取り組みを進めていくのか伺います。
 これまでの岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3本柱に岩手とつながるを加えて4本柱とし、あわせて、岩手の地域性や優位性等を生かした分野横断の四つの戦略を盛り込んだ第2期岩手県ふるさと振興総合戦略が年度末に策定されることとなっております。2015年策定の岩手県ふるさと振興総合戦略の成果と課題を踏まえて第2期総合戦略が策定されるものと思いますが、その特徴、重点戦略、期待する成果について知事に伺います。
 人口減少がもたらす縮小社会は、企業、事業所にとどまらず、福祉施設や病院、教員、公安、自治体などあらゆる職種で人手不足を招きます。2018年7月にまとめられた自治体戦略2040構想研究会第2次報告においては、自治体の経営資源が制約される中、法令に基づく公共サービスを的確に実施するためには、AIやロボティクス、ブロックチェーンなどの破壊的技術を積極的に活用して自動化、省力化を図り、より少ない職員で効率的に事務を処理する体制の構築が欠かせないとしております。本報告では、労働力の供給制約など、2040年ごろにかけて迫りくる内政上の危機を乗り越える方策の一つとしてスマート自治体への転換を挙げ、AIなどの技術を使いこなすスマート自治体、自治体業務の標準化、共通化が必要との提言をしております。
 広い県土を有し、加速度的に人口減少が進む本県において、県と市町村はスマート自治体への転換に早期に取り組むべきと思うところであります。県においてスマート自治体への転換を推進するため、AIやロボティクス等の活用を促す取り組みを強化していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、教育の充実について伺います。
 初めに、GIGAスクール構想への取り組みについて伺います。
 本県の高校における遠隔授業の推進に当たり、昨年末の12月24日、文部科学省の遠隔授業に関する取り組みについての調査研究に行った際、担当者からGIGAスクール構想について伺いました。概略は、ソサエティー5.0時代を生きる子供たちにとって教育におけるICTを基盤とした先端技術等の効果的な活用が求められ、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018〜2022年度)を策定し取り組んできたが、加速化のため、コンピューターや大型提示装置などICT機器の整備、超高速インターネット及び無線LAN接続、統合型校務支援システムなど、全国一律にICT環境を整備するとのことで、ホットで力強い内容でありました。
 国では、令和元年度においてGIGAスクール構想を実現するとし、急ではありましたが、2、318億円の補正予算が組まれ、今国会で議決されました。このような流れの中、12月23日に都道府県教育委員会担当者が招集され、その概要について説明がなされたとのことでありました。
 事業の概要は、一つに、校内通信ネットワークの整備で、希望する全ての小学校、中学校、高校、特別支援学校等における高速大容量の通信ネットワーク校内LAN整備と、小学校、中学校、特別支援学校への電源キャビネット整備。二つには、児童生徒1人1台端末の整備で、小学校、中学校、特別支援学校等の児童生徒が使用するPC端末を整備するとのことであります。本県新年度予算にはこの文部科学省方針に基づき予算編成を行ったと承知しておりますが、GIGAスクール構想のメニューを網羅する予算なのか、具体に何をどのように整備するのか、市町村の取り組み状況を含め、その計画を伺います。
 教職員のICT教育への対応について伺います。GIGAスクール構想では、令和2年度中にネットワーク環境を公立高校の全校で、公立の小学校と中学校の約8割で整備し、小学校5年生以上の3クラスに1クラス分の端末整備を進めるとのことであります。これらICT教育の環境整備とともに、ICT活用指導力等の向上が教師に求められています。構想の中で、学校や教育委員会の参考となる教育の情報化に関する手引が作成され、教師の研修や教員の養成、採用等が示されるとのことでありますが、走り陣立ての様相の中、県教委は教職員のICT教育への対応についてどのように検討されているのか伺います。
 また、国において、全国の自治体における学校のICT環境整備の加速とその効果的な活用を一層促進するため、都道府県ごとにエリアをカバーするスタッフ―ICT活用教育アドバイザーを配置し、教職員研修講師、指導面、技術面助言、遠隔教育実施のサポート等を行うとのことで、ぜひその活用を推奨するとのことでありました。県教委として大いに活用すべきと思いますが、所見を伺います。
 遠隔授業の本格導入についてであります。
 平成28年度、平成29年度の2カ年において西和賀高校と岩泉高校間で課外授業の実証調査を行い、平成30年度に検証、総括を行い、平成31年度に2回目の遠隔授業の実証調査に取り組み、七つの学校を三つのグループに分けて実証調査を行ったと承知しております。
 昨年の9月定例会後の11月に黒沢尻北高校を訪問し、西和賀高校との実証調査の内容について伺いました。両校間の事業内容は、大規模校と小規模校の連携、いわて進学支援ネットワーク事業との連携、複数校への配信の3点が特徴とのことでした。しかし、課外授業の配信を7月に1度実施したが、ネットワークシステムの問題か、映像が途中で映らなくなり声だけの授業となったとのことであり、また、いわて進学支援ネットワーク事業については話が出ていないとのことでありました。改めて、これまで行ってきた実証調査の成果と課題について伺います。
 ソサエティー5.0の時代に求められる資質、能力を育成するため、令和2年度において先端技術導入実証研究事業が行われます。GIGAスクール構想でICT教育環境が劇的に整備されることから、より一層遠隔教育の充実が図られるものと期待しているところであります。
 北海道を初め、静岡県や高知県で中山間地の小規模校における遠隔授業、徳島県では小規模校の多様な学習を可能にする遠隔授業等、全国各地で遠隔授業、遠隔教育の実証研究が進められております。四国4県に匹敵する県土にあって、地域的に統廃合がかなわない高校が存在します。そのような高校において、教育の質を落とさず希望する進路へ送り出していくためには遠隔授業、遠隔教育は不可欠であると考えますが、遠隔授業推進についての考えを改めて伺います。
 次に、農業振興について伺います。
 国内の農産品、加工品の消費が減少する中、TPP11や日本・EU経済連携協定、日米貿易協定などグローバル経済の中でのコスト競争は激しさを増し、中山間地域等直接支払制度は創設されたものの、廃止された戸別所得補償と比べ制度上厳しいものがあり、農家支援策は脆弱で、日本農業は危機に瀕していると、私も含め農業関係者一同思うところであります。
 本県の農業は、農家の高齢化や担い手不足が深刻で、中山間地域を中心に集落の消滅が起き始めております。規模拡大や競争力強化は必要ですが、大規模農家だけでは、農村や集落を維持することも守ることもできません。中小規模の家族経営を含めて、多様な担い手が共存できる農業、農村をどう実現していくのか県政に求められていると思っております。
 今、団塊ジュニアと言われる年代の担い手が中心となって岩手の農業を支えていますが、そこに多くの高齢離農者から農地や農作業の委託が集中し、農作業集中による休日の返上など、心身ともに疲弊しているのが現状ではないかと農業を営む一人として肌で感じております。
 農業のスマート化は、ICTやロボット技術などの先端技術により農作業の姿を変えるものと言われております。スマート農業の本質は、農家の経験と勘に依存した従来農業から、データに基づいた農業への転換と農作業の省力化であると言われております。若い担い手をサポートし、新規就農者を呼び込むためにも、つらく厳しい農業ではなく、リモコンや遠隔操作などを農作業に活用し、ゲーム感覚で農作業ができるというイメージも備わるスマート農業の導入は急務であります。本県におけるスマート農業の取り組みを県としてどのように進めてきたのか、企業や研究機関を交えた産学官の取り組みはどのようなものとなっているのか伺います。
 先月に北海道でのスマート農業の取り組みを調査、研修してきましたが、北海道における自動操舵のトラクター導入は、平成30年10月時点でGPSガイダンスシステム1万1、530台で全国の79%に相当し、自動操舵装置は6、120台で、全国の91%に相当するとのことでした。農業用ドローンは登録機数が1、349機、2年で8倍に増加、オペレーター数は4、323名で、こちらは2年で約49倍にふえたとのことであります。北海道では道内5地区で実証コンソーシアムが展開中であり、多くの農業者が技術実証を見学する機会に恵まれていることが導入実績としてあらわれていると思われました。
 本県では、県央、県南を中心に技術実証が行われていますが、次年度予算に新規で北いわてスマート農業プラットフォーム創造事業が計上され、岩手県農業研究センター県北農業研究所を拠点に、農業者、研究機関、大学等によるプラットフォームを構築し、環境制御や自動走行農機に関する技術実証などを実施するとの内容であります。本県は北海道に次ぐ広い県土であり、水田中心の県南、畑作中心の県北というように、地域特性に応じた技術実証を行うべきと思いますが、所見を伺います。
 また、スマート農業機械の導入促進には、見て、さわって、実践してというのが最もわかりやすいと思います。ドローンは県内各地で養成所ができオペレーターが増加してきていますが、ICTなどが搭載された最新スマート農業機械は、若い人にこそ習得を進めてもらいたいと思うところであります。県立農業大学校は先進農業を学ぶ場であり、その技術を地域に広めるためにも、スマート農業が実践できる農業機械を導入し、若い農業者を養成する取り組みも大事だと思いますが、所見を伺います。
 農地の利用促進と土地改良事業についてであります。
 人口1億2、000万人の食料生産と生活所得を得るため、幼いころよく出かけた原野や山間地が開墾され、広大な農地が誕生しました。しかし、現在は人口減少と高齢化、そして食の多様化に伴い米消費量は減少し続けており、米販売価格がほぼ半減したことに伴う所得の減少、高額な農機具の更新ができないことや、高齢による離農などにより未耕作農地が増加してきております。多額な資金を投入して開墾した農地でありますが、現状に即し、将来を見据え、山間地の奥地や排水環境の悪い農地は多用途に変更するか、周囲と調和する形で自然に戻すことも視野に入れ、耕作適地に労力と資金を集中すべきと思うところであります。農地の利用促進を地域で検討した上で区画の見直しや変更を行い、スマート農業仕様に土地改良をすべきと思いますが、所見を伺います。
 次に、がん対策について伺います。
 1981年の調査以来、日本人の死因の第1位である死の病、がん。欧米ではがん患者が以前より減少していると言われておりますが、我が国では2人に1人はがんに罹患し、がん患者の約3人に1人ががんで亡くなっている現状にあります。
 本県におけるがんによる死亡者数は、直近の2015年4、404人、前年比97人増、2016年4、521人、前年比117人増、2017年4、621人、前年比100人増と3年続けて前年比100人前後の増加であり、2000年の死亡者数3、591人に比較して1、030人増とがんによる死亡者数の増加が続いており、近い将来、年に5、000人を超えることも想定されるところであります。
 このような中、本県においては政策的議員提案条例として岩手県がん対策推進条例が制定され、条例に基づくがん撲滅に向けた取り組み、活動を毎年進めてこられたと思いますが、その成果と課題、今後の取り組み方針について知事に伺います。
 がんの治療は、がん患者の症状や状態を考慮しながら、がんの3大療法と言われる手術療法、放射線療法、薬物療法を組み合わせた治療を行い、がんの克服や生活の質の向上を目指すとされております。
 がん細胞の塊を物理的に切り取る手術療法、高いエネルギーを持つ放射線を当ててがん細胞を壊す放射線療法は、がんのある場所に対して局所的に行う治療法とされております。
 一方、薬を飲んだり点滴したりする薬物療法は全身に対して行う治療法で、がん細胞は発生した場所から広がり、血液によって運ばれ他の場所で大きくなることがあるとされ、全身治療である薬物療法は移動したがん細胞に対する効果も期待されており、この薬物療法の進歩により、がん治療の考え方が変わってきているとのことであります。しかしながら、がん細胞に対して厳しい薬物は副作用も強く、薬物療法は寿命を縮めているのではないかと指摘する文献も世に出回っております。そこで、がん治療における部位別の5年生存率の推移はどのようになっているのか伺います。
 がんの医療体制は、施設や設備の充実だけでなく、マンパワーの確保が重要となっております。がん治療に専門にかかわる医師や看護師、認定医、認定看護師の体制はどのようになっているのか、がん診療連携拠点病院の基準に見合った配置となっているのか伺います。
 がん患者への負担が少なく、大きな治療効果があるとされる免疫療法及びゲノム医療が注目されております。
 免疫療法は、外的な力を利用してがんを治療するのではなく、自己の免疫力を利用してがんを治療するため、年齢や体力の問題がなく、体に優しい治療法とのことであり、3大療法との組み合わせにより、相乗効果と3大療法の副作用の軽減が期待できる治療法として注目を集めております。
 一方、個人のゲノム情報に基づいたがんゲノム医療の発展は目覚ましく、がん治療においても大きな力を発揮すると期待されております。がんゲノム医療では、がん遺伝子パネル検査によって明らかになる患者のがん遺伝子の情報に基づいて、一人一人にふさわしいがんの治療が行われるとのことであります。より多くの患者ががんを克服できるよう、全国でがんゲノム医療の体制づくりが進んでおり、その中心となるのが全国に11カ所あるがんゲノム医療中核拠点病院と34カ所あるがんゲノム医療拠点病院、161カ所あるがんゲノム医療連携病院で、がん遺伝子パネル検査の結果に基づいた、一人一人に合った治療を提供できるようになるとのことであります。ゲノム医療について、本県の取り組みはどうなっているのか、あわせて最新のがん治療に対する所見について伺います。
 次に、交通安全施設について伺います。
 県内市町村から交通安全施設、信号機の設置要望を受けることがあります。信号機設置に至る流れについては幾度となく伺っておりますが、管轄する警察署を通じて要望のあった箇所について交通量等の調査を行い、警察本部や公安委員会の交通安全上必要な箇所との判断で設置に至っているとのことであります。
 県警察本部に過去5年間の信号機上申数と設置実績を尋ねたところ、設置上申数203カ所に対する設置数は55カ所、設置率27.1%、おおむね毎年12カ所前後とのことであり、未設置となったところにつきましては、他の安全対策を講じているとのことでありました。
 ある市の関係者から、限られた予算の中で信号機を整備しているのであれば、危険回避のため当市で負担するので早急に設置できないかとの話があり、県警察本部や警察庁担当官に問い合わせをしましたが、法律上問題ありとのことでありました。
 ある町からは、大規模な医療施設が移転となり、周辺の交通環境が大きく変わった。新規の信号機や歩行者信号機、右折信号機の設置を要望しているとの話も賜っております。それぞれの現地を通行してみましたが、地元でない立場から見ても、確かにその必要性を感じるところであります。
 交通量と周辺環境を判断しての設置判断ということや車両の停止による追突事故防止など考慮すべき判断基準もわからないわけではありませんが……
〇議長(関根敏伸君) 高橋はじめ君に申し上げます。申し合わせの時間が超過いたしております。議事進行に御協力願います。
〇32番(高橋はじめ君)(続) はい。ということで、それぞれの検討経過について伺います。
 以上。以下割愛させていただきますが、県警察本部の大幅な予算増額を求めて私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋はじめ議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県の人口の現状等についてでありますが、本県の人口は、自然減と社会減が相まって1997年以降減少が続いており、2019年は123万人となっています。
 人口減少に伴う課題については、生産年齢人口の減少による労働力不足や生産量の低下、高齢化に伴う医療、福祉、介護の需要増加とこれらの分野での人材不足、児童生徒の減少による学校教育や地域の文化継承への影響など、さまざまな分野での影響が懸念されます。
 本県の将来人口の展望については、現在改訂を行っている岩手県人口ビジョンにおいて、2024年までに社会増減がゼロになるとともに、2040年までに合計特殊出生率が人口置換水準である2.07まで向上することにより、2040年に100万人程度の人口の確保を目指すこととしております。
 次に、これまでのふるさと振興総合戦略の取り組みの成果と評価についてでありますが、現行の岩手県ふるさと振興総合戦略に基づく施策の展開により、岩手で働くでは、自動車、半導体関連産業の集積による雇用の創出や県全域における高校生の県内就職率の上昇、移住、定住者の増加、岩手で育てるでは、地域で妊産婦を支える体制の構築、保育所整備や保育人材の確保、子育てしながら働きやすい労働環境の整備、岩手で暮らすでは、人口10万人当たりの病院勤務医師数の増加、ものづくり産業人材の育成、公共交通の利用促進など、各分野において一定の成果があらわれてきています。
 一方で、人口の自然増減については、日本全体の傾向と同様に減少傾向が続くとともに、社会増減については、令和元年にマイナス4、370人と3年ぶりに縮小したものの、依然としてその減少数は大きい状況にあります。
 これを踏まえ、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略では、引き続き、岩手の魅力を高め、岩手への新たな人の流れを生み出す施策を展開するとともに、岩手との交流やつながりを拡大する新たな施策を加え、より一層力強くふるさと振興を推進してまいります。
 次に、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の特徴、重点戦略等についてでありますが、第2期戦略は、いわて県民計画(2019〜2028)の人口減少対策に関係する分野を推進する戦略として策定しようとするものであります。
 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略では、持続可能な開発目標―SDGsや新たな科学技術により経済発展と社会的課題の解決を図るソサエティー5.0の実現を盛り込むとともに、現行の3本の柱に、新たに4本目の柱として、岩手でつながるを加え、13の戦略と分野横断の四つの戦略から構成することとしています。
 これらの施策の推進により、ものづくり産業や農林水産業の振興による産業全体の底上げ、移住、定住の推進、結婚支援や子育てにやさしい環境づくり、医療、福祉など豊かなふるさとを支える基盤の強化、関係人口や交流人口の拡大を図ってまいります。
 次に、がん対策についてでありますが、県ではこれまで、3次にわたり岩手県がん対策推進計画を策定し、がん予防の推進、医療の充実、患者等への相談支援体制の充実など、がん対策推進条例に掲げられている基本的施策を推進してまいりました。
 これにより、検診の受診率が全国平均より高い水準で推移しているほか、がん診療連携拠点病院の整備による医療の均てん化、拠点病院とハローワークの連携による相談支援体制の構築など、着実に進展が見られる一方で、がんに関する理解の促進やライフステージに応じた対策など、第3次計画に新たに盛り込まれたがんとの共生の一層の推進が必要であると認識しております。
 県としては、引き続き、がん検診の受診環境整備や拠点病院の診療体制整備などに取り組むほか、令和2年度当初予算案に骨髄バンクのドナー登録等の促進や医療用ウイッグの購入費への補助に要する経費を盛り込み、県民への啓発やがん患者の社会生活への支援を行うなど、がんとの共生に向けた取り組みも強化することとしています。
 今後とも、第3次岩手県がん対策推進計画において目標とする、がん患者を含めた県民が、がんを知り、がんの克服を目指すことの実現に向け、県民、市町村、医療機関、関係団体等が一体となり県民の視点に立ったがん対策を推進してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、少子化対策についてでありますが、出生数を増加させるためには、さまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、安心して子供を産み育てられる環境づくりが重要と考えています。
 このため県では、岩手県ふるさと振興総合戦略に基づき、結婚サポートセンターによる結婚支援、特定不妊治療費の助成、周産期医療体制の整備などの出会い、結婚、妊娠、出産に対する支援や子育て支援に取り組んできたところでありますが、平成30年の合計特殊出生率は1.41と低い水準となっており、未婚化、晩婚化の進行や子育てや教育に係る経済的な負担、育児に対する心理的、肉体的負担などにより子供を持つことをちゅうちょしていることや、個人の価値観の変化など、さまざまな要素が影響していると考えられます。
 県では、現在、次期ふるさと振興総合戦略を策定しているところでありますが、令和2年度においては、当初予算案に出会いの機会の創出、拡大や結婚サポートセンターの機能の拡充、妊産婦の移動等に係る支援、現物給付による子供の医療費助成の対象拡大などを盛り込んだところであり、安心して子供を産み育てられる環境の整備に努め、出生率の向上につながるよう取り組みを一層推進してまいります。
 次に、本県のがん治療における5年相対生存率についてでありますが、国立がん研究センターが公表している2008、2009、2カ年のデータと最新の2010、2011、2カ年のデータを比較いたしますと、胃がんが70.7%から73.4%、大腸がんが68.0%から68.7%、肝がんは34.5%で変わらず、肺がんは33.2%から35.7%、乳がんが90.2%から90.6%となっており、いずれもおおむね横ばいかやや上昇で推移をしております。
 次に、がん医療に携わる専門医師等の確保についてでありますが、がん診療連携拠点病院の人員配置基準については、国の整備指針において、手術、放射線や薬物などの専門的な知識及び技能を有する医師や看護師、薬剤師等を1名以上配置することとされておりますが、本県の拠点病院では、医師配置要件の経過措置適用病院も含め、現時点では基準を満たしております。
 認定医については、拠点病院の指定要件とはなっておりませんが、例えば、日本がん治療認定医機構のがん治療認定医105名、日本外科学会の外科専門医110名が各拠点病院において従事しております。
 また、認定看護師については、同様に、日本看護協会のがん化学療法看護認定看護師や緩和ケア認定看護師など延べ80名が従事しています。
 県としては、今後も関係学会が実施する緩和ケア研修への医師派遣や、認定看護師育成支援事業による高度な技術を有する認定看護師の養成支援などにより、拠点病院の体制強化に努めてまいります。
 次に、ゲノム医療の取り組みについてでありますが、がんゲノム医療は、議員御紹介のように先進的な医療技術であり、一人一人の体質や病状に合わせたがん医療を実現する上で期待が大きいと考えており、県としても、昨年11月、岩手県がん診療連携協議会等との共催により、がんゲノム医療をテーマとした岩手県がんフォーラムを開催するなど、まずは科学的根拠に基づく正しい知識の普及に取り組んでおります。
 県内の医療提供体制としては、平成30年10月に岩手医科大学附属病院が、がんゲノム医療連携病院として国の指定を受け、東北ブロックのがんゲノム医療中核拠点病院である東北大学病院と連携した取り組みが進められているところです。
 ゲノム医療は、がんの治療において有力な選択肢の一つであり、県内において適切な治療が行われるよう、県としても、岩手医大とがん診療連携拠点病院の連携を促進してまいります。
   〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、2040年の県政展望についてでありますが、議員御指摘のとおり、国立社会保障・人口問題研究所、いわゆる社人研の平成30年日本の地域別将来推計人口によりますと、岩手県の人口は、2040年に96万人程度になるものと見込まれているところでございます。
 社人研の推計どおり人口が減少した場合には、各地域におけるさまざまな需要の減少をもたらし、地域内からの各種サービス産業の撤退や減少などにつながり、こうした生活利便性の低下が、さらなる人口減少のきっかけとなって、地域の社会システムの維持、存続に大きな影響を与えると考えられます。
 このような社人研の人口推計や将来見通しを回避し、持続可能な社会の構築に向け、現在策定を進めております第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に基づく施策を着実に推進し、岩手県人口ビジョンに掲げる2040年に100万人程度の人口を確保するとの展望の実現を図り、若い世代や子供、高齢者まで、あらゆる世代が生きがいを持ち、豊かに暮らす岩手を目指していきたいと考えております。
 次に、人口減少対策を推進する組織体制についてでありますが、人口減少対策を推進するため、県では、国に先立ち、平成26年に知事を本部長とする岩手県人口問題対策本部を立ち上げるとともに、平成27年から、各部局や広域振興局にふるさと振興監を配置するなど、県の総力を挙げた体制を構築しております。
 また、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の策定に向けましては、各分野の有識者や市町村長で構成する岩手県総合計画審議会においてさまざまな提言をいただきましたほか、県政に関する県と市町村との意見交換会や県市町村連携推進会議等におきまして、市町村との情報共有や意見交換を行ってきたところでございます。
 さらに、来年度からは、本庁部局の再編により設置いたしますふるさと振興部におきまして、人口減少や少子高齢化に対応した持続可能な地域社会の構築に向けて、三つのゾーンプロジェクトを初めとする地域振興施策を力強く展開していきます。
 議員の御指摘の趣旨等も踏まえながら、今後とも、人口減少対策に重点的、戦略的に取り組んでまいります。
 次に、市町村との連携、協働についてでありますが、人口減少対策の着実な推進のため、現在策定を進めております第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に加え、市町村が策定中の次期まち・ひと・しごと創生総合戦略のもと、県と市町村が連携、協働して取り組むことが重要と認識しております。
 このため県においては、人口減少対策を含めた県政の重要課題について、毎年度、知事と市町村長との意見交換や、より実務的な観点で、副市町村長と県の各部局長との意見交換を実施してきたところでございます。
 さらに、広域連携の観点も含め、広域振興局ごとに県・市町村地方創生推進連絡会議を開催し、次期戦略の策定支援等を行っているところです。
 このほか、岩手県立大学と連携し、市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略の見直し等について助言を行うなどの支援をしております。
 引き続き、これらの連携の枠組みを生かしながら、市町村の人口ビジョンやまち・ひと・しごと創生総合戦略の取り組み状況を把握しつつ、県及び市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略で掲げる施策が効果的に推進されるよう、県と市町村の連携、協働を強化してまいります。
 次に、スマート自治体への取り組みについてでありますが、県におきましては、いわて県民計画(2019〜2028)において、県民の信頼に応える、より質の高い行政経営を進めていくこととしておりまして、効率的で柔軟な働き方の推進や県民サービスの質の向上につながる提供システムを充実するため、AIを初めとするICTを活用することとしております。
 これを踏まえ、スマート自治体の実現に向けた取り組みを推進するため、これまで電子申請・届出システムの運用による行政手続の電子化、AIを活用した会議録作成システムの導入やロボットによる業務の自動化、いわゆるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の検証運用などの新たなICT活用等を行ってきたところでございます。
 今後も、庁内関係室課で構成するデジタル化対応調査研究ワーキンググループにおきまして、行政事務の標準化、共通化や電子化を検討し、スマート自治体の実現に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
 また、市町村に対する支援といたしまして、来年度、電子申請やAI、RPA導入に関する勉強会を開催するなど、市町村のスマート自治体への転換に向けた取り組みも推進してまいります。
   〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、スマート農業への取り組みについてでありますが、スマート農業は、農作業の超省力化や飛躍的な生産性向上、軽労働化などが期待され、大規模農家から小規模農家まで幅広い農業者が希望を持てる魅力ある農業の実現に向けた重要な取り組みであります。
 このため県では、平成29年8月にいわてスマート農業推進研究会を設立し、約470人の会員のもとで、農業者ニーズ、企業のノウハウ、研究機関の基礎技術をマッチングするなど、本県の農業者の幅広いニーズに応える技術開発や実証研究等に取り組むとともに、約2万5、000人の参加を得て開催した、いわてスマート農業祭での最新かつ多様な技術の展示や地域で開催される研修会などを通じて、スマート農業に対する理解醸成を図ってきたところであります。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)に農林水産業高度化推進プロジェクトを掲げ、生産活動の省力化、効率化や飛躍的な生産性、収益力の向上を図ることとしており、現在、土地利用型野菜でのトラクターの自動操舵など、先進技術の現地実証や施設野菜の単収を飛躍的に向上させる高度環境制御技術等の導入支援など、スマート農業技術の普及に取り組んでいるところであります。
 今後とも、生産者、民間企業、研究機関、団体等と緊密に連携し、スマート農業の早期の普及に積極的に取り組んでまいります。
 次に、地域特性に応じた取り組みについてでありますが、スマート農業技術の効果を最大限に発揮するためには、作目や地域特性に応じた最適な技術を導入することが重要であり、そのためには、農業者が数多くの技術に触れる機会を設けることが必要であります。
 このため県では、県南から県央の先進的な経営体と連携し、大規模水田における自動操舵農機やドローン、収量コンバインの技術実証や施設野菜における高度環境制御システムの技術実証、露地野菜における自動操舵農機やドローン、アシストスーツの技術実証などの現場を公開しており、このような機会を通じて、スマート農業に対する関心が高まるよう取り組んできたところであります。
 また、来年度からは、県北地域等へのスマート農業技術の導入を促進するため、県農業研究センター県北農業研究所において、冷涼な気候に対応したハウスの環境制御や傾斜地における自動操舵農機に関する技術の実証などを実施することとしております。
 これらの実証成果については、いわてスマート農業推進研究会を通じ、農業者の方々に広く情報提供するなど、本県農業の実情に即したスマート農業技術の早期普及に向け積極的に取り組んでまいります。
 次に、スマート農業機械の導入による農業者育成についてでありますが、農業大学校では、地域農業の発展を担うリーダーとなる青年農業者を育成するため、最新の理論と技術を一体的に学ぶ教育を実践したところでありますが、近年のロボット技術やICT等の先端技術を活用したスマート農業の進展に的確に対応し、昨年度、スマート農業に関するカリキュラムを開設したところであります。
 昨年度には、二酸化炭素、温度、湿度等の複合制御が可能な環境制御型園芸ハウスを整備し、高い収量を確保できるトマトの栽培技術等の実習を開始し、今年度には、自動操舵トラクター、食味収量コンバイン、乾燥調製施設等を導入し、これらを一貫して活用する水田におけるスマート農業技術の実習も開始したところであります。
 さらに、一般の農業者向けの研修も実施しており、今後とも、学生はもとより、意欲ある農業者がスマート農業に関する知識、技術をしっかりと習得できるよう積極的に取り組みを進めてまいります。
 次に、農地の利用方針と土地改良事業についてでありますが、地域の農業振興の方向性を検討する上では、地域の農地を将来にわたり、誰が、どのように利用していくのか、合意形成を図っていくことが重要であります。
 県では、農地中間管理制度の見直しに伴い、地域の話し合いにより、将来の農地の集積、集約化の方向を明確にいたします地域農業マスタープランの実質化の取り組みを進めているところであり、その検討の中で、地域の農地の利用の方向性について議論を深めていただきたいと考えております。
 また、土地改良事業について、水田の大区画化などの基盤整備を推進することは、スマート農業の導入など収益性の高い農業の実現に向けて極めて重要な取り組みであり、地域においては、基盤整備を契機として、自動操舵トラクターの導入などが着実に進んでおります。
 今後とも、いわてスマート農業推進研究会が中心になって進める農作業の省力化等につながる技術の開発、普及の取り組みとも連携しながら、スマート農業技術の効果がより発揮されるよう必要な基盤整備に取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、GIGAスクール構想への取り組みについてでありますが、国では、学校教育の情報化を推進するため、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画を策定し、平成30年度から令和4年度まで、単年度1、805億円の地方財政措置を講じることとされております。
 県教育委員会では、令和2年度当初予算案において、県立高校及び一関一高附属中学校20校に先行的に大型提示装置や実物投影機等のICT機器を整備する事業を新たに盛り込んだところです。
 また、国の令和元年度補正予算案により、GIGAスクール構想の実現に向けた措置として、校内LAN整備や児童生徒の1人1台パソコンの整備に係る新たな国庫補助制度が措置されたことから、令和元年度2月補正予算案において、県立学校に無線LAN環境を整備する事業を盛り込んだところです。
 なお、市町村教育委員会においてもこれらの国庫補助制度等の活用に向けた検討を進めており、県教育委員会では、情報提供や助言等を行っているところです。
 引き続き、本県学校教育全体のICT環境の整備に向け、市町村教育委員会と連携し取り組んでまいります。
 次に、教職員のICT教育への対応についてでありますが、ICT機器を活用した授業改善を推進していくためには、教員のICT活用指導力の向上が重要であり、これまでも、総合教育センターにおいて教員の情報教育研修等を行ってきたところです。
 令和2年度においては、ICT機器を活用した授業改善に向けて、小中学校各2校、県立高校3校の合計7校を指定校とした大学等との連携による実証研究等に取り組むこととしており、授業での効果的な活用事例の普及や教員研修の充実など、この研究成果等も踏まえながら、ICT活用指導力の向上に向けた取り組みをさらに推進していく考えです。
 次に、ICT活用教育アドバイザーの活用についてでありますが、国では、ICT環境の整備を図ろうとする地方自治体のニーズに応じてアドバイザーを派遣し、ICTを効果的に活用した授業の導入や、ICT活用指導力向上のための研修手法などについて助言を行うICT活用教育アドバイザー派遣事業が実施されているところです。
 県教育委員会では、この事業を活用していくため、令和2年度当初予算案に市町村等へアドバイザーを派遣する経費を盛り込んだところであり、こうした国の事業を活用しながら本県学校教育全体の充実に取り組んでまいります。
 次に、県立高校の遠隔教育における成果と課題についてでありますが、今年度は、実施校を2校から7校に拡大し、大規模校と小規模校の連携では黒沢尻北高校と西和賀高校、小規模校同士の連携では宮古北高校と岩泉高校、小規模校3校の連携では軽米高校、伊保内高校、大野高校においてそれぞれ調査研究を行ったところです。
 なお、当初予定していた黒沢尻北高校から6校への進学支援事業の講座等の同時配信については、高等学校のネットワーク回線の状況から円滑な通信が難しかったため、来年度に延期したところです。
 今年度の成果としては、各校において国語、数学、英語の課外授業を行い、小規模校における学習機会の充実が図られたことが挙げられます。一方で、ネットワーク環境の整備や、配信先の生徒に配慮した授業法の構築等が課題となっています。
 次に、遠隔教育の推進についてでありますが、議員御指摘のとおり、広大な県土を有する本県においては、遠隔教育は小規模校の教育の質の向上に有用な一方策であると考えており、令和2年度当初予算案においては、県立高等学校のネットワーク回線の増強やプロジェクター等の整備を盛り込むとともに、令和元年度2月補正予算案では無線LAN環境の整備を盛り込み、遠隔教育の実施に適した通信環境を整えていくこととしています。
 今後、小規模校において効率的に運用していく方法の確立や、配信に適した授業方法の研究、研修を進め、他県の活用事例も参考にしながら現在の7校での実施を継続し、全県的な展開も視野に一層推進してまいります。
   〔警察本部長島村英君登壇〕
〇警察本部長(島村英君) 交通安全施設予算の増額についてでありますが、信号機を初めとする交通安全施設は、交通の安全と円滑を確保する上で必要かつ重要なものであります。
 令和2年度は、速度規制標識の設置や交通管制システムの更新に例年以上の事業費が必要であったことから大幅に増額した事業費を予算案に計上したところであり、今後とも必要な事業費を適正に計上してまいりたいと考えております。
〇32番(高橋はじめ君) 警察本部では必要な予算を今後とも計上していきたいということでございました。
 時間が足りなくて紹介できなかったのですが、信号制御機の更新基準を超過したものが2割ほど現在存在している。それから、信号灯機のLED化も半分ほど残っているということ。それから、私の住んでいる地域でも見受けられますが、あちこちの市街地の交通標識も色あせている―停止という標識が見えなかったりする。そんなこともあって、限られた予算の中でいろいろ検討しながら、工夫しながらもやっているということは十分理解しております。そういう中で、折に触れて予算を増額してもらえるような取り組みを今後ぜひお願いしたいと思っております。当局にも予算の確保をぜひお願いしたいと思っております。
 人口減少についてお尋ねしたいのですが、社会減に対する取り組みについては、特に進学や就職による県外流出を防いでいかなければならない。18歳から22歳あたりのところが非常にカーブとして下がっております。流出しているということで、この進学のところを何とかできないものかという思いをしています。県立大学を拡充するとか、今、首都大学のスクーリング等があるのですけれども、サテライト化して首都圏に行かなくても岩手で学べるような体制を考えられないのか―遠隔授業を含めて。そういったことを含めて、若い世代が県外に出ないよう、進学による県外流出を防いでいかなければならないのではないかという思いをしておりました。その辺について何か所見があればお伺いしたいと思います。
 自然減に対してですが、これまで、結婚サポート、出産、子育てサポート、教育や医療関係の支援といったことに取り組んでおられます。しかしながら出生率がなかなか改善しないということで、出生率を2以上にしていく。2でも、全体に若い世代の人口が減ってきている中での2ですから、総体的に歯どめがかかるのかかからないのかというと、やっぱりかからないのです。3人ぐらいでないと私は歯どめがかからないと思いますし、増加にも転じていけないと思っております。
 そうしたことから、出生率をどう高めていくのかについて、先ほども若い女性の意識はこういうふうに考えられるのではないかということでの回答でありましたけれども、ぜひ若い女性の方々の思いとか、子供を2人、3人もうけたいんだけれどもこういう障害がある、実際そういった生の声を聞いて、それに対して、経済的な問題であれば経済的な支援の仕組みをつくっていかなければならないし、さまざまな対応策を検討しなければならない。若い世代、若い母親がどう思っているのか、そのことを的確に捉えて対策を練っていかないとこの自然減というのはとどまらないであろうと。
 また、未婚の解消も大変重要でありますけれども、そのことをぜひ考えていただきたい。
 家庭は社会の最初の組織でありますので、この家庭の重要性とか、家庭の中における、将来お父さんになる人、お母さんになる人の役割とか、あるいは祖父母になった場合、年齢を重ねた場合、それぞれの立場の役割とかいろいろあるわけであります。3世代同居の場合はそれらが生活の中で自然と学ぶことができたわけですが、今の核家族化の中では家族、家庭についてのそういう体験も少ないし、あるいはどうあるべきかということもどのような検討をされているのか。学校の教育現場でも、子供たちがどう思っているのかを含めて、将来の日本という国を維持していくために、若い世代は自分の将来にかかわる問題なので、そのところを話題にしてもらう、そういう機会、時間もつくるべきではないかと思っています。少子化社会の問題点などを話し合う場とか、家庭についての学習といったものについて、学校、教育現場ではどのような取り組みをされているのかお伺いしたいと思います。
 それから、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略についてでありますが、金曜日の会派の代表質問における郷右近議員への回答の中で、市町村との連携の強化の中で、西和賀町、岩泉町、普代村に職員を派遣するということでありました。私は、早くからこういう取り組みをしてもらうのは非常にありがたいし、適切な取り組みと思っております。
 どのような立場の方を派遣していくのか。あるいは、令和2年度は3市町村ですが、それ以外の市町村でもやはり必要だということで要請があればそれに応じていくのかどうか、その辺のこれからの考えをお伺いしたい。
 それから、がん対策についてですが、先ほどもさまざまな取り組みをしてこられたと。その中で、生存率が横ばいという話もありました。できれば、さまざまな治療、最新医療を行っていただいておりますので、どんどん高まっていくことが望ましいのではないかと思っております。
 放射線治療においては、最近、新聞記事で見たのですけれども、エックス線の照射であればがん細胞の前と後ろの正常な細胞にも影響を与えるということで、今は陽子線や重粒子線による治療も放射線治療の中で取り組まれておるわけであります。ただ、高額な医療機器ということもありますし、治療費も高額だと。静岡に行ったときには1回の治療で300万円ぐらいかかるという話も聞きました。でも、治療の効果があるということであれば、その面での取り組み、一部は保険の適用対象になってくるということもあるし、民間のがん保険で先進医療として保険金も出てくるということも考えますと、放射線治療の分野でも1歩、2歩先を進めていただければいいのかなと。
 県立中央病院に温熱療法の器械があって、私も以前行って話を聞いたことがあるのですが、その活用の話も余り聞いたことがないということで、あるものはぜひ有効に活用してもらいたいと思っております。
 いずれ、がんの治療で余り苦しまないように、そして完治するような取り組みを1歩、2歩前に進めていただきたいと思っております。その辺について取り組みを伺いたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 再質問をいただきました。
 まず、私から社会減に係る取り組みということで、議員御指摘のとおり進学や就職で県外へ転出していく若年層が多いということで、これは統計データでも明らかになっておりますので、我々もしっかり対策を進めていかないといけないと考えております。
 議員から御提言のありました県立大学での学部増設等についてでございますけれども、現時点ではこれについては検討していないところでありますが、一方で、文部科学省から現在、導入を呼びかけられております地域連携プラットフォームというものがございます。これについては、大学あるいは高等教育機関のみならず、県あるいは産業界等が一体となって恒常的な議論の場―プラットフォームをつくるということで、その中で現状認識や社会減も含めた人口減等の地域課題の認識を共有して、その解決策を検討するべきだと。あるいは地域社会におけるあるべき大学等の姿を明確にすべきだということも来ております。あるいは、サテライトキャンパス、サテライト授業はいかがかというような御指摘もいただきましたけれども、そういった点も含めて、大学間の役割分担やあり方、あるいは他県の大学との連携といったことも含めて研究、検討をしてまいりたいと考えております。
 もう一点、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の関係で、西和賀町、岩泉町、普代村への職員派遣の考え方でございますが、これについては、市町村が単独では困難な課題解決、あるいは地域特性を踏まえた施策の推進に向けて地域の実情に応じたきめ細かな支援に取り組んでいくということで、来年度からこういった派遣の仕組みを推進していきたいと考えております。
 現時点では、大変申しわけございませんが、その詳細を調整中でございまして、派遣先の町村の考え方もしっかりとお聞きして、今後、詳細を詰めていきたいと考えております。
 そのほか、3町村以外の市町村からの要請があった場合につきましては、その要請の内容、あるいは地域の課題等も丁寧にお聞きして、どのような対応が可能かどうか検討していきたいと考えております。
〇保健福祉部長(野原勝君) 議員から自然減の対策についてと、がん対策について御質問をいただきました。
 まず、自然減対策でございます。
 若い女性の意識調査という指摘がございました。県で行ったものはないのですが、いわゆる社人研で行った調査によりますと、理想の子供数を持たない理由として、子育てや教育に係る経済的な負担、育児に対する心理的、肉体的負担などにより子供を持つことをちゅうちょしていること、個人の価値観の変化などが挙げられているところでございますが、県としても、県内の若い世代、お母さん方のニーズを今後さまざまな機会を捉えて把握に努めてまいりたいと考えております。
 今、岩手県では第2期ふるさと振興総合戦略を策定しているわけでございますけれども、この政策推進目標として、結婚や出産は個人の決定に基づくものであることを基本としつつも、若い世代の就労、出会い、結婚、妊娠、出産、子育ての願いに応え、取り組みを進めることにしております。
 議員から出生率3以上を目指す取り組みという話もございました。先ほど御答弁申し上げました来年度の取り組みに加えまして、第3子以降の子がいる世帯を対象とした県営施設利用料の無償化を行います子育て応援パスポート事業につきましても当初予算案に盛り込んだところでございます。
 また、議員から若い世代向けの取り組みという指摘もいただきました。若い世代向けといたしまして、妊娠や不妊に対する正しい知識の普及を図ります普及啓発冊子の取り組みなども来年度新規事業として盛り込んだところでございます。こうしたさまざまな取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。
 そして、がん対策についてでございます。
 本県のがんの死亡数を減らすためにも、さまざまな先進的な医療の導入を進めなくてはならないと認識しております。
 議員から御紹介がありました陽子線、重粒子線につきましてはまだ本県では提供されていないところでございますが、この施設整備に当たりましては、課題として、整備コストが非常に多額であること、限られたがん種についてのみの保険適用でありますので、議員から御紹介ありましたように非常にお金がかかってしまうという面もまだあること、さらに、医学物理士などの専門人材の確保が必要であるといったことも指摘されております。
 県としては、まず、県内医療関係団体の意見なども伺いながら、国や他県の動向も踏まえ研究していく課題であるとは認識しておりますが、現在あるさまざまな県内の医療機関で提供している医療機器について充実を図ってまいりたいと考えております。
〇教育長(佐藤博君) 教育の場において人口減少についてどう取り組んでいるか、それから、少子化社会の問題点などを話し合う場はあるのかというお尋ねでございます。
 人口減少、少子化等の課題につきましては、学校現場では、特に身近なところで児童生徒が主体的に学ぶことが大事だと考えているところです。
 各学校におきましては、総合的な探究の時間等で、生徒が地元、地域が抱える課題等を見つけ、そして情報収集、分析をしながら、解決に向けて取り組むような学習活動を行っているところです。また、公民の授業におきましては、少子化問題などの地域課題を取り扱う場面があり、そのような中で話し合い活動を行っているところです。また、家庭科あるいは保健体育の教科の中には、結婚、出産、子育てといった人生の見通しについても、補助教材等も活用しながら全ての生徒が学習をしているという状況にございます。
 引き続き、児童生徒が地域の課題解決を図る学習を推進していきたいと考えております。
〇議長(関根敏伸君) 次に、佐々木宣和君。
   〔21番佐々木宣和君登壇〕(拍手)

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