令和元年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(小野共君) いわて新政会の小野共です。
 まず、本日の一般質問の機会を与えていただきました先輩議員、同僚議員に感謝いたします。
 まず10月の台風第19号被害により亡くなられた方々にお悔やみを申し上げ、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
 通告に従い質問いたします。まず、地域医療について伺います。
 国は、国内の団塊の世代と呼ばれる方々全員が75歳以上になる2025年までに、国内の病院に対し、効率的な運営を求める地域医療構想の実現を求めております。全国に125万床ある病院のベッドを119万床まで削減するというものであり、政府の社会保障制度改革推進本部は、このとおりに病床数を削減できれば、医療費を3兆円削減できるとしております。
 県では2016年、平成28年に岩手県地域医療構想をまとめました。岩手県においては、団塊の世代全員が75歳以上になる2025年に県内で必要なベッド数を1万676床と推計し、これに対し2014年の県内のベッド数は1万3、859床であり、数だけから言えば、岩手県では3、000床余りのベッドを減らさなくてはいけないということになります。ベッドの削減に加え、急性期や慢性期のベッドを減らし、かわりに回復期のベッドをふやすというのが、当時、岩手県がつくった地域医療構想の趣旨であると理解しております。
 質問いたします。地域医療構想策定から4年近くがたちました。これまでの取り組みの結果を聞かせてください。県内の病床数は平成26年の1万3、859床からどれほど減少したのか、急性期や慢性期の病床はどれほど回復期の病床に転換されたのか聞かせてください。
 この9月に、厚生労働省は、国内で再編、統合の必要性について特に議論する必要がある424の病院を公表し、県内では10の病院がそれと指摘されました。厚生労働省は、指摘した各病院に対し、来年9月までに対応方針を報告するよう求める方針です。国が、地域医療構想の実現が進まないことにいら立ち、地方に対し一歩踏み込んできたと報道するマスコミもありました。県は、地域医療構想策定時、この構想はベッドの削減ありきではないとの主張を繰り返しておりましたが、国は、ベッドの削減を求めていたことが明らかになってきました。
 質問いたします。まず、県は、厚生労働省の県内10病院に対するこの指摘を果たして合理性のあるものと考えているのか、県の認識を伺います。そして、この国の指摘に対し、来年9月までに対応方針を報告する方針が示されておりますが、それを議論する主体、対応方針決定までの今後のスケジュールを聞かせてください。
 国は、過剰病床の削減と病床の転換が医療費の削減につながると考えているようです。全く基本的なことを伺うのですが、国のこの主張が本当に妥当なものなのか、県の認識を聞かせてください。わかるようでわからないこの主張が、地域医療構想と国の言う病院の効率化が進まない恐らく最大の要因の一つであると私は思っております。県の具体的な見解を聞かせてください。
 先日、全国的に大学の医学部の地域枠の定員が埋まらないとのマスコミ報道があり、こうした状況を踏まえ、全国の大学が、令和2年度の医学部定員の計画を策定した結果、全国の医学部定員が90人減る結果になったとのことでした。岩手県の事情を言えば、厚生労働省が公表した医師偏在指標では、岩手県は全国で最も医師不足が深刻な県とされており、現在、県が策定中の医師確保計画の素案においては、今後134人の医師確保を目指すとしております。岩手県における今後の医学部の地域枠の減少に対しては、極力慎重になるべきだと思います。
 質問いたします。医師不足が深刻な本県での臨時定員増である地域枠の継続は不可欠であると考えますが、来年度の岩手医科大学の定員増の見通しはどうなっているのか。また、東北大学にも本県地域枠が新設されると伺っておりますが、今後の地域枠制度の見通し状況とあわせて聞かせてください。
 先日のマスコミ報道で、東北大学が県立中部病院への産科医の派遣を中止するとの報道がありました。県立病院の診療科の増強または閉鎖は、実質的に、岩手医科大学と東北大学の医師派遣の方針に強く影響されております。岩手県立病院の運営には大学の医局の協力が欠かせない状態であると同時に、県と医療局は、県立病院の運営を主体的にコントロールできていない状態であると言えるのだと思います。現在も今後も、岩手県医療局勤務の医師を果たしてどれだけ多くできるのかが、県の重要な仕事の一つになるのだと思います。
 質問いたします。現在、県立病院勤務の医師は何人いて、そのうち大学派遣ではない県の医療局勤務の医師は何人いるのか、その人数と割合を聞かせてください。
 医学部は学費が高いとのイメージがあります。岩手医科大学の学費は、6年間で3、400万円かかるそうです。3、400万円です。一方で、国立大学の医学部の授業料は6年間で約350万円だそうです。県は医学生に対しさまざまな奨学金制度を設けておりますが、医師養成の恐らく最大の課題の一つが、医学部の学費の高さなのだろうと思います。
 質問いたします。県の医学生奨学金制度は、医師養成を目的として十分に機能しているのか、県の見解を聞かせてください。
 次に、本県水産業について伺います。
 10月の台風第19号は、本県漁業に甚大な被害を及ぼしました。水産施設の破損、サケ、マスふ化場の損壊、養殖ロープの切断、カキ、ホタテの落下被害等々、被害額は11月22日現在で漁港施設等を含め約27億円となっており、この被害額はさらにふえる可能性があります。東日本大震災津波以降、異常と表現されるサケ、サンマ、ウニ、ホタテ、スルメイカの大不漁の後のこの台風被害は、漁民に経済的だけでなく、精神的にも大きなダメージを与えております。
 秋サケ定置網の不漁だけでなく、アワビ、ウニの不漁、近年多発しているホタテの貝毒による漁協への手数料の大幅な減少は、漁協の経営をも圧迫しております。
 地球温暖化に伴う定期的な大規模台風の襲来により、水産関係施設は、今後も、直しては壊されるの繰り返しになるのは間違いないと見るべきです。直して、壊れて、その財源を国に陳情に行くということを繰り返すのではなく、一度直したら、しばらく壊れない施設をつくるべきだというのは、県の皆さんもわかり過ぎるぐらいわかっていることだと思います。
 質問いたします。災害復旧における原形復旧という国の基本的な考え方は、現代型の大規模な災害への対応としては合わず、長期的には逆にコストが高くつくものとなっております。なぜなら、言うまでもなく、何度も壊されるからです。災害復旧に対する県の考えを伺います。
 県議会でも多くの議員が指摘しておりますとおり、岩手の漁業、水産業の何か新しい形を探すべき時期に確実に来ております。水産技術センター、内水面水産技術センター、釜石市には岩手大学の水産システム学のコースもあります。知恵をかりながら、お金になる、希望の持てる漁業の形を漁民に見せ、提案する時期に来ているのだと思います。これだったらいいかもというような希望の持てる何らかの漁業、水産業です。サクラマスでもいい、高水温に耐えられる強い稚魚でもいいのです。とにかく今の沿岸の漁家、漁民に希望が欲しいのです。今のままだと、漁業と漁協の経営が悪化していくのをただただ見ているだけのような状況です。
 質問いたします。県の認識と最近の県の研究機関の成果を聞かせてください。
 次に、外国人との共生について、県の基本的な認識を伺います。
 ことし6月末現在、何らかの在留資格を持ち岩手県に住む外国人の方は7、591人いらっしゃいます。東日本大震災津波の影響で、一時、岩手県に住む外国人の数は減ったものの、その後、増加傾向が続いており、その数は、この6月に過去最高を更新しております。岩手県在住の外国人のうち、就労ビザを持ち、いわゆる労働者として滞在する外国人の方々は、平成30年10月末現在で4、509人となっており、こちらも増加傾向が続いております。
 近年、国内では少子高齢化の流れの中で労働力の不足が大きな社会問題となっており、これは日本経済だけでなく、社会にもさまざまなふぐあいを生じさせております。今の人口構造を見れば、今後、国内において労働力不足がさらに顕著になるのは明らかです。これまで働いていなかった方々、女性、高齢者あるいは外国人に対する社会の需要は高まり、政府も国を挙げて労働力の確保に努める施策を展開しております。
 介護、建設業、製造業、加工業、サービス業等々、一般的にその労働のきつさに比べ特に賃金が低いと考えられている職種は、労働力不足が顕著で、日本人だけでは経済活動として成り立たなくなりつつあります。本県も、短期的な課題は課題として、長期的な視点で、積極的に言葉と文化の異なる外国人とともに暮らしていくことを県の施策の大前提として本気で考える時期に来ているのだと思います。
 質問いたします。まず、外国人との共生についての県の基本的な認識、共生に伴う課題に関する県の認識を聞かせてください。
 政府は、この4月に出入国管理法(出入国管理及び難民認定法)を改正し、国内の労働力不足を外国人により補うことに大きくかじを切りました。労働力不足が特に顕著な先ほど述べた介護、建設、製造を筆頭に14分野を対象にして、在留資格を新たに定め、労働者としての外国人を受け入れる準備を始めました。ことしを含む今後5年間で国内に34万5、000人の外国人の受け入れを想定し、初年度であることしは4万7、550人の外国人の入国を見込んでおります。
 しかし、実際は、この9月末現在、この特定技能と呼ばれる新たな資格による在留者が全国でたった219人しかおらず、東北では岩手県を含めこの特定技能により在留する外国人はいまだいない状況となっております。今度の改正出入国管理法による特定技能は、職種が同じであれば転職は自由となっており、つまり特定技能の取得者が、賃金の高い都会に集中し、地方には来ないという状況が想定されております。
 質問いたします。出入国管理法が改正されてから7カ月がたちましたが、県内はおろか東北全体でも特定技能による外国人の受け入れはいまだない状態です。この状況と原因をどう認識、分析し、今後どのように対応する方針なのか聞かせてください。
 2点目、特定技能による在留者が、賃金の高い都会へ集中するのを防ぐため、県ではどのような取り組みが有効であると考えているのか聞かせてください。
 現在、岩手県が抱える喫緊の課題は課題として、外国人との共生は、長期的な岩手県の課題として考えておかなくてはいけない課題であることは間違いありません。現在、ヨーロッパで起きているような移民、難民の大量移入に伴う社会不安、言語、文化の違いから来るあつれき、さまざまな要因が絡んだ治安の悪化、貧困の拡大など、もとからその国に住む人と外国人との間でさまざまな対立やふぐあい、社会不安のようなことも、今後、日本において起きる可能性は十分あるのだと思います。
 一方、国内においても、技能実習生制度に始まり、EPA、TPP、今回の出入国管理法改正、そして、現在の在留外国人の数を見れば、外国人の受け入れは避けては通れないと認識すべきだと思います。結果、それに対し十分に準備をしておかなくてはいけないということなのだと思います。
 外国籍ではあるが在留資格を持つ外国人をどこまで日本人と同様に扱うのかは、現在、国内さまざまな場所で議論されております。岩手県においても当然考えておくべき課題であるのは間違いありません。人道的、倫理的に考える必要は認めるものの、限られた予算の中で、日本国籍を持つ人と持たない人に全く同じ行政サービスを提供することも、なかなか難しいのかもしれません。知事の基本的な認識を伺います。
 2点目、教育委員会に質問いたします。
 先日のマスコミ報道によれば、学校に通っていない外国籍の子供が全国に約2万人いるとの報道がありました。また、先日公表された文部科学省の調査結果によれば、外国籍の子供で、就学しているかいないかを県内市町村の教育委員会が確認できない児童生徒が、県内に6人いるとのことでした。国内において、外国籍の方には就学義務はないといえど、県及び市町村の教育委員会は、この外国籍の未就学児童及び生徒の扱いを人道的、倫理的な観点からも考えておくべきなのだと思います。
 外国人の子弟に対する教育について、県教育委員会の基本的な認識を聞かせてください。
 次に、大学入学共通テストについて伺います。
 この11月1日、政府は、大学入学共通テストへの英語の民間試験の導入について見送ることを発表しました。文部科学大臣は記者会見で、生徒の間にある経済と地域の格差を解決することができなかったことを今回の見送りの主な理由に挙げました。新試験は、今の中学1年生が受験者となる2024年度に導入する予定とし、試験の内容はこの1年をかけて検討するとのことです。使える英語を身につけるというのが国の方針である以上、大学の授業で使う、使わないにかかわらず、話す、聞く、書く、読むの4技能を大学入学共通テストに組み入れてしまうのも方向性とすれば間違ってはいないのだと思います。2024年度の新試験導入までに十分に議論、準備し、万全な体制をとり、十分な周知を図ってほしいと思います。
 先日、2019年度の全国学力調査の結果が公表されました。国語では、岩手県の小学6年生、中学3年生の成績がともに全国9位でありましたが、中学3年生の数学では、47都道府県中、岩手県は46位、中学3年生の英語が44位という結果でした。加えて、岩手の大学入試センター試験の成績も思わしくないと聞いております。
 子供の学力レベルが、小学校の段階から親の所得レベルと明確な相関関係を持つことはよく知られております。岩手県は、全国と比較して平均所得も低く、大学の進学率も全国的に下位であることを見れば、岩手県においても、この所得と学業成績の相関関係の存在が証明されております。青臭いことを言えば、学校は富を持つ者と持たざる者を再生産するだけの機関ではないはずです。中央とのさまざまな格差、県内にあるさまざまな格差を根本的に自力で解消する最も効果的かつ唯一の方法が、私は教育にあると信じております。
 質問いたします。県では、この岩手県の状況を客観的に分析し、今回の民間試験導入のときのような経済格差、地域格差が発生することのないよう、岩手県の高校生、受験者にとって少しも不利になることのないよう、5年後のあるべき試験を考え政府に積極的に提言すべきであると思います。
 私は、大学入学試験とは、本来、その受験生が大学教育に耐え得るだけの知識と論理的思考力を持っているかどうかをはかるためのものであると思っています。
 質問いたします。県教育委員会では、大学入学試験とは、本来、受験生の何をはかるものであると考えているのか、そして、そのための望ましい新試験とはどのようなものであるべきと考えているのか聞かせてください。
 大学入学共通テストに導入予定の国語と数学の記述式にも、延期を求める声が上がっております。特に国語の記述式は、採点者によって採点の際の評価が違うと大きく批判されております。確かに、大学入試センター試験の受験者は全国に50万人以上おり、これら受験者の記述式の答案を、果たしてどこまで短期間で公平に評価、採点できるのかは、大きな問題であることは間違いありません。
 質問いたします。県教育委員会は、国語と数学の記述式の問題に関し、どのような認識でいるのか。評価と採点の客観性と公平性を犠牲にしても、マークシートではなく記述式の試験をする理由は果たしてどのようなものなのか、認識を聞かせてください。
 最後に、ラグビーワールドカップ2019について伺います。
 11月2日をもって、44日間にわたり国民に多くの感動を与えてくれたラグビーワールドカップ2019日本大会が終了しました。何も決まっていないかなり早い段階から、釜石を応援していただいた県議会復興スクラム議員連盟の役員の皆様、全ての議員の皆様に心から感謝をいたします。そして、達増知事を初めとする県の皆様にも感謝をいたします。県との共同立候補なしには、岩手・釜石会場の開催地決定はあり得ませんでした。スタジアムの費用負担から運営に至るまで、県の協力なしに釜石会場の成功はあり得ませんでした。本当にありがとうございました。
 そして、国を初め、ラグビー関係者の皆様、ボランティア活動してくれた皆様、県民の皆様、全国から応援をいただいた全ての皆様、そして、何よりも釜石鵜住居復興スタジアムで全力でプレーいただいたフィジーとウルグアイの選手と関係者の皆様、プレーがかなわなかったカナダとナミビアの選手と関係者の皆様に心から感謝をいたします。
 終わってみれば、観客動員数170万人、テレビの最高視聴率53.7%で、ワールドラグビーのボーモント会長は、日本大会は、過去最も偉大なラグビーワールドカップであったと高く評価しているそうです。
 釜石会場では、10月13日のカナダ、ナミビア戦こそ中止になったものの、9月の試合には1万4、025人が入場し、釜石市のファンゾーンには5、000人のお客さんが押し寄せ、400人を超えるボランティアが県内各地で活動してくれました。これら釜石市と岩手県の活動が認められ、決勝戦の翌日には、釜石市が、ラグビーの持つ価値を復興を通して社会に広めたとして、ワールドラグビーからキャラクター賞をいただきました。
 苦しくても、つらくとも前に進むのだというラグビーの精神。10月13日のカナダ、ナミビア戦は中止になりましたが、カナダの選手たちは、困っている人たちを放ってはおけないと、釜石市内で、スコップを持ち泥上げのボランティアをしてくれました。ナミビアの選手たちは、宮古市で住民との交流会に参加してくれました。世界の人々は、大会を通して、本当に大切なものは何かを考えさせられました。ワールドラグビーが日本国内の開催自治体、そして、その近隣自治体の活躍を高く評価しているとおり、岩手は、今回のラグビーワールドカップですばらしい役割を果たしたのだと思います。
 質問いたします。44日間のラグビーワールドカップは岩手と釜石に何をもたらしたのか、そして、どんなレガシーを残したと県では考えているのか聞かせてください。
 2点目、10月に釜石鵜住居復興スタジアムの今後の運営体制について具体的な協議が始まりました。釜石市は、スタジアムの運営を基本的に市の直営ではなく外部委託を考えております。しかし、現時点で釜石鵜住居復興スタジアムが有効活用される見通しは全く立っておりません。
 質問いたします。釜石市では2021年4月からスタジアムの運営を外部に委託することを考えておりますが、県では、どのような運営体制が望ましいと考えているのか、そして、県の協力体制とはどのようなものになっていくのか聞かせてください。
 3点目、岩手・釜石がワールドカップの会場に選ばれたことにより、岩手・釜石の名前は全国に広がりました。ラグビーがお金を生み、かなりの集客能力を持つことも明らかになりました。岩手の広告媒体としてもかなりの働きをしたとも思います。岩手をラグビーの聖地あるいはラグビー王国と称するマスコミも多数ありました。
 関係者の間では、ラグビーのプロ化の話も進んでおります。ラクビーを通してビジネスの観点から岩手の発展を考えることも必要なのだと思います。県では、ラグビーを通した岩手の発展をどのように考えているのか聞かせてください。
 この9月20日に、地球温暖化対策を訴え、日本、欧米を含む世界150カ国以上で数百万人の若者が一斉の抗議行動をしたとのマスコミ報道がありました。世界のふがいない大人たちに対し、スウェーデンの16歳の少女が勇気を持って行動したのが始まりでありました。何かを変えられる力を持った大人たちに対し、今やるべきことを勇気を持ってやってほしい、現状をありのまま捉え、今やるべきことを正しくやってほしいと。グレタ・トゥーンベリさんの世界の大人たちに対するメッセージであります。
 今、大人の責任ある判断と行動が問われているのだと思います。果たして我が国、そして岩手は、100年後も安心して住み続けることができる地域なのかと。経済発展もいいでしょう。ただ、客観的に世界を眺め、些細なことにこだわらず、よりグローバルな視点で、そしてより長期的な視点で、世界の中で果たすべき日本の役割を考え、日本の中で果たすべき岩手の役割を考え、後世に恥じない責任ある判断、行動をし、でき得る最高の状態のふるさとを後世に渡すこと、我々大人のできることはそれほど多くはないのかもしれませんが、これこそが、この時代に生きる我々大人の最大の使命であると思うのです。
 壇上からの質問は終わります。不明な点があれば自席から再質問を行います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野共議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地域医療についてでありますが、厚生労働白書などにおいて、医師数と病床数等の医療提供体制と医療費との関連が言及されており、国の財政制度審議会や経済財政諮問会議においては、人口当たりの病床数と入院医療費との間に強い相関関係があることを理由に、医療費の適正化には病床数の適正化が必要であるという考えが示されていると承知しております。
 県といたしましては、医療費に与える影響についてはさまざまな要因が指摘されているため一概には言えず、むしろ、医師不足の本県にあっては、医師をしっかり確保し、県民が必要な医療を適切に受けられることが重要であると考えております。このため、県では、高齢化の進展などに伴う医療需要の変化に対応し、将来にわたって質の高い医療を効率的に提供していく観点から引き続き医師の確保に取り組むとともに、病床機能の分化、連携の推進などを通じて、地域医療構想の実現を目指してまいります。
 次に、外国人との共生に係る県の基本的な認識についてですが、技能実習生を初めとする外国人県民等が増加する中、国籍や民族などの異なる人々が文化的な違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、ともに生きていくことは大切であり、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、海外の多様な文化を理解し、ともに生活できる地域づくりを推進することとしております。
 外国人県民等が本県で生活するに当たっては、日本語学習など言葉の壁の解消、医療機関受診時や災害発生時を初め生活上の不便の解消、外国人県民等と日本人県民相互の文化や習慣などの多様性の理解促進といったことが課題となっています。このため、県では、いわて県民計画(2019〜2028)や、その下位計画である岩手県多文化共生推進プランに基づき、日本語の習得支援、外国人相談体制の充実、在住外国人との交流会の実施等を推進しています。
 県では、現在、今年度末で計画期間が終了する岩手県多文化共生推進プランにかわる新たなプランの策定を進めているところであり、この新たなプラン等に基づき、引き続き多文化共生社会の実現に向け、市町村や国際交流協会など、さまざまな主体と一体となって取り組んでまいりたいと思います。
 次に、在留資格を持つ外国人に関する認識についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)では、県民一人一人がお互いに支え合いながら、幸福を追求していくことができる地域社会を理念として掲げており、この理念を実現していくためには、在留外国人を初めとする外国人県民等にとっても暮らしやすい環境を整えていく必要があります。また、日本人、外国人を問わず、全ての県民が安心・安全にお互いを尊重し合いながら暮らすためには、国籍や民族などが違うことを理由に不当な扱いを受けたり、権利を侵害されたりすることがないような社会が必要であります。したがって、県としては、国籍や民族等の違いにかかわらず、全ての県民が互いの文化的背景や考え方を理解し、地域社会を支える主体としてともに生きる、多文化共生社会の実現に取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) まず、地域医療構想の取り組みについてでありますが、地域医療構想は、病床の削減を目的とするものではなく、高齢化の進展などに伴う医療需要の変化に対応した将来のあるべき医療提供体制の構築を目的としたものであり、その実現に向けて、県内九つの圏域に設置した地域医療構想調整会議において、2025年を見据えた各医療機関の担うべき役割や機能ごとの病床数等について協議を行い、地域で不足が見込まれる回復期の病床機能への転換などを進めているところであります。
 医療需要の変化に対応した病床機能の見直しの取り組みにより、平成26年度と平成29年度を比較すると、高度急性期及び急性期病床が434床、慢性期病床が330床減少したことに対して、回復期病床は476床増加したところです。その結果、全体の病床数については、1万3、859床から休止している病床などを除いた、平成26年度の1万3、573床から288床減少し、平成29年度には1万3、285床となったところであります。
 次に、今回の国による病院名の公表についてでありますが、平成29年度の診療実績データを用いて機械的な分析をもとに行われており、最新の診療実績が反映されていないことや、分析対象が、がんや脳卒中など一部の診療領域に限定され、一つの病棟で幅広い医療ニーズに対応している地域の中小病院の機能が適切に評価されていないことなど、その内容には課題が多いものと考えております。
 また、本県では、公表された10病院のうち8病院において、平成29年度以降、一定程度、病床機能の転換や病床数の見直しが実施または検討されており、再検証の要請がそのまま病院機能の大幅な見直しにつながるものではないと認識しています。
 再検証のスケジュールについては、国の地域医療構想ワーキンググループにおいて、2020年9月末までに合意を得るという方向性が示されておりますが、全国知事会からの地域医療確保に向けた今後の進め方に関する意見なども踏まえ、現在も国において検討が行われているところであります。
 県といたしましては、地域医療構想調整会議で、毎年度、将来のあるべき医療提供体制について協議をしているところであり、その中で国の検討状況や要請内容を踏まえながら、地域の実情に即して議論を進めていく考えであります。
 次に、医学部定員と地域枠制度の見通しについてでありますが、岩手医科大学医学部の入学定員は現在130名でありますが、このうち、今年度までの期限とされていた地域枠の28名分の臨時定員については国から2年間の継続が認められ、現行の入学定員の維持が決定したところであります。
 この岩手医科大学の地域枠の継続に当たっては、現行の県出身者枠15名に加えて、本県出身者が優先的に入学できる東北出身者枠8名を新設するなど、奨学金養成医師の地域定着をより確実なものとするための必要な見直しを行ったところであります。また、東北大学医学部に2名分の本県地域枠が新設されることとなり、来年度は、岩手医科大学と合わせて30名分の地域枠が確保されたところであります。
 令和4年度以降における地域枠の継続について、国は現時点で明確な方針を示しておりませんが、医師の絶対数を確保する上で地域枠による医師養成が最も効果的であることから、国に対し、臨時定員増を恒久的な措置とするよう、引き続き強く働きかけてまいります。
 次に、医学生奨学金制度についてでありますが、県では、平成20年度からの岩手医科大学の定員増により、大学が設置した地域枠に対応して、県内の一般的な家庭からも安心して進学できるよう、国立大学と同等の学費負担となる奨学金制度を設けて、医師養成と修学支援に一体的に取り組んでまいりました。この奨学金の貸与を受けた医学生や養成医師からは、この制度があることで医学部に進学することができた、家計に大きな負担をかけないで医師になることができたという声が多く寄せられており、医師を目指す本県の高校生が、地元の大学で学び、地域で活躍する医師となることの後押しとなっているとともに、医師不足である本県の医師確保に大きな役割を果たしているものと認識しております。
   〔医療局長熊谷泰樹君登壇〕
〇医療局長(熊谷泰樹君) 県立病院における医師の状況についてでございますが、本年11月1日現在で、県立病院に勤務する常勤医師数は583名となっており、このうち大学の教室に所属している医師、いわゆる医局派遣の医師でございますが440名、その割合は75.5%となっております。
 お尋ねの大学の教室に所属していない医師は143名、24.5%となっております。
 今後も、関係大学との良好な協力関係を維持しながら、派遣医師の継続的な確保に努めますとともに、即戦力医師の招聘活動を強化しながら、県立病院の医師の確保に努めてまいります。
   〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、水産関係施設の災害復旧についてでありますが、水産業は沿岸地域の基幹産業であり、それを支える漁港やサケ・マスふ化場などの生産基盤の復旧に当たりましては、将来予想される自然災害を見据え、これに的確に対応できるよう整備することが重要であります。
 災害復旧は、原形復旧が原則でございます。ただし、漁港関係施設につきましては、重ねての災害を受け、また、被災の状況が甚大である場合などにおきましては改良復旧が可能であり、これまで防波堤の拡幅等を実施してきたところであります。
 一方、サケ・マスふ化場等の共同利用施設につきましては、原則、原形復旧のみが認められていることから、現在、既存の補助制度の弾力的な運用により、機能強化も可能となるよう国と調整をしているところであります。
 今後とも、水産関係施設の機能強化に向けた検討を進めるとともに、国に対して必要な要望を行うなど、災害に強い生産基盤の整備に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、希望の持てる水産業についてでありますが、主力魚種の不漁が続き、漁業者の減少や高齢化が進む中、収益力の高い水産業を実現するため、生産技術の高度化や水産資源の造成等に取り組むことが重要であります。
 漁船漁業では、国の水産資源管理と連動してサンマやスルメイカ等の資源回復に取り組むほか、新たに、資源量が増加しているマイワシの小型漁船による試験操業に着手したところであります。
 また、栽培漁業では、岩手大学等と連携し、遺伝子情報等を活用した高水温に強いサケ稚魚の生産技術の開発や、市場性の高いサクラマス資源の増産に取り組むとともに、アワビ、ウニの増産に向けて、餌となる昆布の造成などのいそ焼け対策を進めているところであります。
 さらに、養殖業では、ワカメの増産に向け、水温変化に強い大型の人工種苗の開発やICT技術等を用いたサケ、マス類の海面養殖などに取り組んでいるところであります。
 今後とも、あらゆる取り組みを推進し、次世代を担う若者が希望を持って就業し、活躍できる収益力の高い水産業の実現に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、新たな在留資格による外国人労働者の受け入れ状況についてでありますが、法務省によりますと、全国的に受け入れが低調である背景といたしまして、特定技能の資格取得に必要な試験が実施されていない分野や国があること、送り出し国における送り出し手続が整備中であること、制度が複雑で申請手続がわかりづらいなどの声があることとされています。東北地域において受け入れが進まない原因も、おおむねこうしたところにあると理解しております。
 今後、国では、試験実施分野や試験実施国の拡大に加え、さらなる説明会の開催など制度周知に取り組んでいくとしているところでありまして、県といたしましても、こうした国の取り組みと連携し、事業主に対して必要な情報の提供や助言等を行いますとともに、本年7月に設置したいわて外国人県民相談・支援センターをワンストップ窓口として、外国人労働者が生活する上でのさまざまな相談に関係機関と連携して対応するなどし、外国人労働者の円滑な受け入れや定着を図ってまいります。
 次に、都会への集中を防ぐ取り組みについてでありますが、国では、本年6月の外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において、特定技能外国人が大都市圏等の特定の地域に集中して就労することを防ぐため、地方で就労することのメリットの周知や、技能実習実施地域での就労を促進するための企業と外国人材とのマッチングを行う仕組みの検討などの取り組みを進めることとしているところであります。
 また、県では、雇用の安定に資する住宅確保の支援を初めとする外国人労働者が働きやすい環境の整備や、外国人労働者を大都市や特定の地域に集中させないための施策の実施について、本年6月に国に対して要望したところであります。
 県では、外国人労働者についても、地域の日本人と同様の条件で働き、地域で暮らしていける環境を整えることが最も重要と考えており、企業による主体的な取り組みを地域や行政が支援し、このような環境を整えていくことにより、外国人労働者の受け入れが進んでいく流れができるものと考えております。このため、県としては、今後も引き続き国に対して提言、要望を行うとともに、岩手県国際交流協会を初め関係機関と連携を図りながら、外国人が安心して働き、暮らすことができる環境整備に取り組んでまいります。
   〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) まず、ラグビーワールドカップが岩手・釜石にもたらしたものについてでありますが、東日本大震災津波の被災地で唯一開催された岩手・釜石開催では、地元中学生による復興支援への感謝を伝えるメッセージフラッグの掲出や、釜石市内全小中学生によるありがとうの手紙の合唱などにより世界中に感動を与え、また、公認キャンプ地では、小中学生とのラクビー交流や高校生との書道体験を通じた交流など、岩手の子供たちにとって貴重な経験となったところであります。
 また、スタジアムはもとより、ファンゾーンや県内各地でのパブリックビューイングにも国内外から多くの観戦客が訪れ、地元食材を活用した岩手の味覚や地酒などを初めとするおもてなしを通じ大いに盛り上がったところであり、ふだん触れ合うことのないような海外の方々との新たな絆が生まれるとともに、地域振興にも効果があったものと受けとめております。
 加えて、オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ世界最大級の国際的スポーツイベントであるラグビーワールドカップの開催に携わった経験は、県ラグビーフットボール協会やラクビー関係者のみならず、釜石市や各国代表チームの受け入れを行った公認キャンプ地の関係者、ボランティアの皆さんなどにとっても今後の大きな財産になるとともに、岩手・釜石が、国際的なスポーツ大会や合宿の受け入れ先などとして、国内外に大きくアピールできたものと受けとめているところであります。
 次に、釜石鵜住居復興スタジアムの運営体制についてでありますが、先般、釜石市が立ち上げて検討に着手した釜石鵜住居復興スタジアム運営委員会に県はオブザーバーとして参画しているところであります。その第1回会議においては、現在、釜石市が策定を進めているスタジアム運営計画案について協議し、今後、スタジアムの運営主体を釜石市から民間主導に、時期は令和3年4月の移行を目指して検討していると承知しております。
 県としては、このスタジアムが釜石市民のみならず、県民にとっても、ラグビーなどのスポーツを初め、教育、文化、観光などさまざまな分野での積極的な活用が図られることが重要であると考えており、そのため、釜石市を初めとする関係者との協議にしっかりと参画してまいりたいと考えております。
 次に、ラグビーを通じた岩手の発展についてでありますが、今般の日本大会そして岩手・釜石開催を契機とし、ラグビーに対する県民の関心は非常に高まってきており、長年にわたりラクビーが地域の誇りであり、身近なものである本県にとっては大変喜ばしいことであるとともに、するスポーツとしてのラグビーのみならず見て楽しむラグビーに、ラグビーにかかわるなどの多面的な価値が見出されるよい機会となったことから、さまざまな民間の取り組みも期待できる状況になってきているものと受けとめているところであります。
 一方、例えば、県内高校のラグビー部員数を見ると、平成11年には25校、932人であったものが、平成30年度には20校、565人と大きく減少している状況もあり、まずは県民が愛するスポーツとして、いわゆるラグビー人口が着実にふえていくよう取り組んでいくことも重要であると考えているところであります。このため、ラグビーワールドカップを記念したメモリアルイベントの開催や、世界から注目を集めた釜石鵜住居復興スタジアムを活用した大会や合宿の誘致、さらには、さまざまな体験会や交流会の開催を初め、子供から大人まで、ラグビーに親しむ機会を提供する取り組みの展開について、県ラグビーフットボール協会やいわてスポーツコミッションなどの関係団体とよく相談し、中長期的な視点から検討していくことが必要と考えております。
   〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、外国人子弟に対する教育についてでありますが、外国人児童生徒が、一人一人の日本語の能力に応じた支援を受け、学習や生活の基盤をつくっていくことができるよう、学びの場を提供することが重要であると認識しているところです。また、外国人児童生徒の受け入れを通じて、子供たちの国際理解及び異文化理解が促進されることは意義深いものと考えます。県教育委員会では、個々のニーズに対応するための教員加配や、日本語指導に関する教員研修会等に取り組んでいるところです。
 今後も、関係機関や市町村教育委員会と連携を図り、外国籍の子供の就学状況を把握しながら、児童生徒の学習の保障に向け取り組んでまいります。
 次に、大学入学試験の新しい試験のあり方についてでありますが、大学入学試験は、大学教育を受けるために必要な能力や高等学校段階における学習の達成の程度を評価するものであり、新たに導入される大学入学共通テストにおいては、知識、技能を十分有しているかの評価も行いつつ、思考力、判断力、表現力を中心に評価を行うものであると承知しています。
 大学入学試験においては、こうした学力が適切に評価されることが重要であると認識しており、今後、国の動向を注視しながら情報を収集するとともに、本県の生徒が円滑に対応できるように、知識、技能や思考力、判断力、表現力の総合的な育成に引き続き取り組んでまいります。
 次に、記述式試験に対する認識についてでありますが、記述式試験は、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力、判断力、表現力を評価する目的で導入されるものと承知しています。しかし、その導入に当たっては、採点の公平性や正確性等について不安の声もあることから、国では、採点の質を高めるとともに、短期間での大規模採点に必要な体制の充実について検討されているところです。
 入試における公平性等の確保は不可欠である一方で、記述式試験等により評価されることとなる思考力、判断力、表現力の育成は重要であると認識しており、県教育委員会としては、国の動向を注視しつつ、探究的な学びを深めるなど引き続き授業改善に努め、本県の生徒が新たな試験に円滑に対応できるように取り組んでまいります。
〇29番(小野共君) 答弁ありがとうございました。何点か質問させていただきたいと思います。
 地域医療構想の話でありました、今回の国の424の病院の廃止、統合の話ですが、県内10病院の廃止、統合の話であります。地域医療構想の流れと連携して考えていく必要があるのだろうと思っております。平成26年から平成29年までの先ほどの答弁の中で、288床がこの4年間での病床の削減という話がありました。部長の答弁の中で、地域医療構想はベッドの削減を目的とするものではないという話がありました。
 私は県の見解を改めてお伺いしたいのですが、今回の全国424と県内10の病院の廃止、統合の話の中で、国は、果たして財務省あるいは厚生労働省を含め、医療費の削減のために病院あるいはベッドを削減する必要があると考えているのか。県は、病床の削減ありきではないというのが見解ですね。そうすると、国は、医療費の削減のために病床あるいは病院の削減を求めているのかいないのか、それを県がどう考えているのかをお聞きしたいと思います。
 あともう一点、先ほど壇上から申し上げましたとおり、医学部の学費の話であります。いただいた資料によりますと、岩手医科大学の6年間の学費が3、400万円、国立大学が6年間で350万円ということであります。高校生、受験生が医学部を目指すときにさまざまな要因があるのだろうと思います。どこの大学に行くのか、どこの大学を、どんな条件で臨むのか、行くのかといった要因、条件はいろいろあるのだろうと思います。その中で、学費というのもやっぱり一つの条件であると思いますし、あと、そのほかの条件というのはどのようなものがあるのかといったことを少し聞かせていただきたいと思います。
 あと最後に、もう一点、文化スポーツ部長にお伺いしたいのですが、今回のラグビーワールドカップ2019は、にわかファンと言われるような人たちを、どれだけ多く大会なりそのイベントに巻き込んで、グラウンドなりに連れてこさせ、ファンゾーンに行かせ、テレビで見させ、あるいはグッズを買ってもらったかというようなことが、大きな成功の要因になっているのだろうと思います。
 来年7月に東京2020オリンピックが始まります。宮城県利府町の宮城スタジアムですか、サッカーの試合が、予選を含め10試合行われるといったような話を聞いております。さっきのにわかファンというか、多くの関係人をできるだけ興味づけて、巻き込んでイベントをやるのだといったような考え方にすると、今回のラグビーワールドカップは、子供たちの巻き込み方もすごく上手だったと思って私は見ています。マスコットキッズでありますとか、ボールキッズ、あるいはフラッグベアラーといって、グラウンドで代表チームの国の旗を持って立っている子供たちもいるのです。これが全部募集をしたのですが、子供たちがこれをやりたいとなると、親も一生懸命になってやるのです。済みません、私もその一人でありました。一生懸命やりました。すごく興味があって。やっぱり子供たちを巻き込むと、親もくっついてくるのですね。
 話を戻しますと、東京2020オリンピックの来年7月のサッカー会場、宮城県利府町の宮城スタジアムで10試合と。岩手のサッカー少年とかスポーツ少年を何とか巻き込んで、何か機会を与えてくれるというような働きかけなりがあってもいいのかなという気がしているのです。いかに子供たちを巻き込んでオリンピックを成功させるのかと。
 確かに今、復興ありがとうホストタウンということで、来年の東京2020オリンピックに向けて県内に11市町村あると。市町村は市町村として、やっぱりまだまだ、子供たちを巻き込んで何か考えられることってないのかなと。
 済みません、この三つについてお伺いします。
〇保健福祉部長(野原勝君) まず最初に、一つ目の御質問ですが、国では、いわゆる病床削減や病院の再編、統合によって医療費の削減を求めている、それに対する、県はどう思っているのかという点でございます。
 国の見解といたしましては、先ほど知事から申し上げましたとおり、財政制度審議会、経済財政諮問会議、いわゆる財政的な運営の視点での会議では、医療費の適正化には病床数の適正化が必要であるという視点で議論されていると認識しております。
 一方でまた、厚生労働省は、医療機関の機能の転換、いわゆる効率的な医療を提供していこうという観点での議論。厚生労働省医政局の見解としては、今回の公表に当たっても、あくまでも一定の条件を設定して、急性期機能等に関する医療機能について分析し、各医療機関が担う急性期機能や、そのために必要な病床数等について再検証を要請するもの。必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではなく、病院が将来担うべき役割や、それに必要なダウンサイジング、機能分化等の方向性を機械的に決めるものでもないことといった通知を出しております。したがいまして、国としても、さまざまな見方での議論が今行われている。
 県といたしましても、今回、再検証の公表がなされましたけれども、今後、2025年に向けて効率的で質の高い医療提供体制を議論していく中での一つの議論の捉え方、物差しであると解釈しておりまして、そうしたことも参考にしながら、先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、医師の確保に取り組むとともに、病床機能の分化、連携の推進などを通じて、地域医療構想の実現を目指して進めてまいりたいと考えております。
 2点目でございます。医学部進学者が進学先を選ぶ理由でございますが、現状でございますが、県内高校出身者が進学する大学医学部は、年度によって変動はございますが、岩手医科大学が5割程度、国公立大学が4割程度で、残りが県外の私立大学となっております。
 このように、県の奨学金制度を活用できることもあって、また、地元でもある岩手医科大学に進学する学生が最も多い反面、県外の大学医学部への進学者も相当数おり、進学先の選択に当たっては、議員からも御指摘あったとおり、やはり学費という部分はもちろん大きい部分があると思いますが、そのほかにも、大学の所在地や校風のほか、教育の特色や入試内容など、さまざまな要素を踏まえまして、高校の進路指導や保護者、知人などからの助言なども参考にして決定しているものと考えております。
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) 岩手の子供たちがかかわる取り組みについてでありますが、釜石での9月25日の試合には、釜石開催実行委員会が、釜石市内の全小中学生2、200人を招待しました。中止となった10月13日には、沿岸市町村の小学6年生約600人を招待する予定であったところでもあります。
 また、出場国の選手とのラグビー交流にあわせて、学校では、事前に出場国の文化や食、挨拶、言葉などを学ぶ機会を設けたほか、釜石での試合当日は、先ほど御答弁申し上げたようなことや、議員御紹介いただいたさまざまな取り組みが展開されたところであります。そして、選手とともに入場する、議員御指摘のマスコットキッズなどの取り組みもありました。
 復興五輪における子供たちのかかわりにつきましては、オリンピアン、パラリンピアンを学校に招いていろいろ交流する取り組みを平成28年度から行っているほか、300人を超える県内小、中、高校生の観戦招待を計画しているところであります。加えて、議員御指摘がございましたが、宮城県でのサッカーの試合におきましては、選手入場をエスコートすることが計画されていまして、そこに本県の子供たちも参加できるよう、今、働きかけを行っているところであります。
 今後も、さまざまな形で子供たちが大会にかかわっていくよう、関係者と連携して対応していきたいと思っております。
〇議長(関根敏伸君) 次に、千葉秀幸君。
   〔5番千葉秀幸君登壇〕(拍手)

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