平成31年2月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(菅野ひろのり君) 改革岩手の菅野ひろのりでございます。
登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げたいと思います。
通告に従いまして一般質問を始めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
私は釜石が好きだ。私は釜石が好きだ。ラグビーが好きだ。ラグビーが好きだ。今、私がしなければならないことは、あのとき釜石のために支援をしてくれた日本中の、そして世界中の方々に感謝の思いを伝えることだと思う。洞口留伊さんの言葉です。
知事は、知事演述の最後の結びとして、昨年8月、釜石鵜住居復興スタジアムのオープニングイベントで行われた洞口留伊さんの未来への船出と題したキックオフ宣言をお聞きになって、岩手県民の皆さんに幸福になってほしいと強く感じ、岩手にかかわる全ての人たちを幸福にできる県にならなければならないと強く感じたと11行にわたり述べられています。
そこで伺います。知事がキックオフ宣言をお聞きになって受けとめられた気持ちが、現在の幸福度の原点となり、次期総合計画の議論の中心となっています。幸福度を掲げようとする知事の言葉以上に、洞口留伊さんの岩手への願いでもあると私は思っています。
彼女の思いとキックオフ宣言をどのような気持ちでお聞きになり、そして受けとめ、次期総合計画に幸福度を掲げるに至ったのか、当時の思いを振り返りながらお聞かせください。
そして、キックオフ宣言に感銘を受けた現在に至る知事の思いに県民の皆さんは賛同すると思います。大切なのは、この知事の思いを次期総合計画に反映し、どのようにして幸福度の基礎を固め、実感を高められるか、また、急激な人口減少が進む岩手県の10年後の未来を創造し、より具体的に方向づけられるのかが重要です。
知事は、新時代スタートダッシュ予算は幸福度、すなわち幸福を守り育てることを希望郷いわてに加えることで、希望が持つことができる社会をより確かなものにするためとおっしゃっていますが、前身となる希望郷いわての成果をどのように捉え、次期総合計画にどのように踏襲、反映させるのか、幸福度が加わることで県民の幸福はどのようになるのか伺います。
以降は、降壇し、質問させていただきます。
〔4番菅野ひろのり君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 菅野ひろのり議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、次期総合計画についてでありますが、多くの人々が感動した洞口留伊さんのキックオフ宣言は、東日本大震災津波の経験や復興していく喜びと世界中のつながりへの感謝、そして、未来への決意が込められていました。
洞口留伊さんが真っすぐに述べられたこの思いは、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてという、いわて県民計画(2019〜2028)最終案の基本目標に相通ずるものと受けとめました。
東日本大震災津波を経験した岩手県民は、幸福にならなければならないと強く思いますし、また、本当にたくさんの支援を受けて復興に取り組む岩手県は、岩手にかかわる全ての人たちを幸福にできる県にならなければならないと強く感じました。
ことし、ラグビーワールドカップ2019が釜石市で開催され、世界から注目される岩手県において、お互いに幸福を守り育てるという岩手の志を県内外に示し、その志にふさわしい岩手を実現していきたいと考えます。
次に、いわて県民計画の成果と次期総合計画への反映についてでありますが、現行のいわて県民計画では、いっしょに育む希望郷いわての基本目標のもと、実現していきたい岩手の未来として、仕事、暮らし、学び・こころの三つの分野の将来像を示し、その実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
現行の計画に基づくこれまでの取り組みにより、仕事については、自動車産業や半導体関連産業を中心とした産業集積の加速、いわて花巻空港における台北、上海国際定期便の開設、金色の風や銀河のしずくに代表される農林水産物のブランド化の進展、暮らしについては、人口10万人当たりの病院勤務医師数の増加や保育所整備、保育人材の確保、子供の貧困対策などの取り組みの進展、学び・こころについては、平泉と橋野鉄鉱山の世界遺産登録の実現や、文化芸術、スポーツの分野における本県の才能豊かな人材の国内外での活躍など、多くの成果を上げてきたところであります。
また、平成28年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会は、県民の底力とさまざまなつながりの力を結集して大成功をおさめたところであり、いっしょに育む希望郷いわてという現計画の基本目標に、かなりの程度近づくことができたと考えております。
新しいいわて県民計画では、こうした成果を土台に、東日本大震災津波からの復旧、復興の取り組みの中で学び培った経験を生かし、人々の暮らしや仕事を起点とする政策や、多様な主体の参画やつながりを生かした取り組みなどを県政全般に広げていきたいと考え、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを基本目標に掲げているところであります。
この基本目標のもと10の政策分野の取り組みを推進することで、いわて幸福関連指標の向上を図り、ひいては、県民一人一人の幸福度も高めることにつながると考えております。
〇4番(菅野ひろのり君) 先ほど知事が御答弁いただいたように、今回10の政策分野に落とし込んでいるということでございますが、私は、昨年6月定例会で質問させていただきました。その中で、やはりその当初は、幸福度を掲げたことによって、行政がどんなふうにこれをアクションプランに落とし込んで政策評価していくのか、非常に難しい課題だということを一般質問の中でさせていただいたわけでございます。きょうは、その観点で、農業分野について後ほど質問させていただきたいと思っております。
先ほど大震災のことも触れられておりました。そこで質問させていただきたいと思いますが、洞口留伊さんは、このようにも述べられておりました。このスタジアムがつくられたのは私の小学校があった場所。入学するはずだった中学校があった場所。そして、離れ離れになってしまった友達とまた会える大切な場所。
やはり私たち議員は、今回のラグビーワールドカップ釜石開催の成功を、彼女のような思いをしっかりと受けとめながら、議員の一人として後押しをしていかなければいけないと思っておりますし、知事がおっしゃるように、県内外、世界中の皆さんへ感謝をしっかりと届けなければいけないと思っております。
そこで、残り約7カ月と迫りましたラグビーワールドカップ2019、東日本大震災津波の被災地において行われる釜石大会の成功とはどういうものでしょうか。感謝を伝えるとともに、将来に向けてどのような取り組み、成果につながっていくのかお伺いします。
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) ラグビーワールドカップ2019の成功についてでありますが、本大会は、全国や海外から訪れる人々や出場国を初めとする国内外のさまざまな地域との交流が生まれ、発展していく絶好の機会と考えております。
また、これらのさまざまなつながりが、釜石、岩手での開催によって新たに得る、世界が認めるラグビーのまち、地域としての世界的な地位や、ラグビーを初めとするスポーツや文化などの交流による地域活性化への広がり、観光物産資源やおもてなしの力による持続的な交流人口の拡大、さらには、すぐれた産業ポテンシャルを評価されての産業活動の進展や、新たなビジネスの創出などへとつながるさまざまな可能性を有しているものと認識しているところでございます。
こうしたことから、まずは、釜石市としっかりと連携し大会を成功させることが重要であり、この大会が世界中の人々にとって、改めて釜石、岩手を強く記憶する機会となり、将来に向かってつながっていく大切な、特別の場所となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇4番(菅野ひろのり君) そして、この東日本大震災津波から、知事は三陸防災復興プロジェクト2019の開催を進めるに至るわけでございますが、その中で、1月10日に開催された第15回県政調査会、私もそのようには感じましたが、その行事の内容というのでしょうか、通常開催されているようなイベントもあり、内陸とのかかわりが薄いのではないか、また、沿岸へのアクセスの課題等、オール岩手の取り組みとは言えないのではないかというような指摘もあったわけでございます。
中平議員も御質問されておりましたが、改めて伺いますが、三陸防災復興プロジェクト2019が果たす伝承、発信の役割と期待する成果について、知事はどのようにお考えか伺います。
〇知事(達増拓也君) 三陸防災復興プロジェクト2019は、三陸鉄道リアス線の開通、東日本大震災津波伝承館の開館、ラグビーワールドカップ2019の開催など、三陸地域が注目を集める好機を捉えて、今まさに復興に力強く取り組んでいる地域の姿を発信し、風化を防ぐとともに、三陸地域の多様な魅力の発信と交流の活発化により、防災と復興を核とする持続的な地域振興を推進し、新たな三陸の創造へとつなげていきたいと考えております。
このため、県内全市町村や関係団体などで構成されるオール岩手体制の実行委員会で取り組みを進めていますが、シンポジウムや防災復興展示会などを実施し、被災県として教訓や復興のプロセスを日本国内及び世界とも共有し、防災力向上に貢献するとともに、復興の現場からの震災を風化させたくない、復興への関心を風化させたくないという声に応えていきたいと考えております。
〇4番(菅野ひろのり君) その中で、私は内陸の人間でありますが、やはり私の地元市町村には、この三陸防災復興プロジェクト2019に対する認識であったり、行われる内容であったり、その周知、または内陸の人たちがどうかかわっていくのか、ここがまだ浸透し切れていないなと感じています。
一方で、やっぱり内陸の中で言うと、そういった行事を通じて、鹿踊りのような伝統芸能の披露とかといった機会の創出を非常に必要としている中にあって、やはり内陸との結びつきをしっかりとやっていかなければいけないと思っておりますが、今回の三陸防災復興プロジェクト2019は、どのような工夫を取り入れて市町村との連携をより深めていくのか、お伺いしたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 市町村との連携を中心とした取り組みでございますが、三陸防災復興プロジェクト2019におきましては、市町村との連携を図りつつ、三陸地域への関心や認知度を高めながら、交流人口の拡大や地域経済の活性化を目指しておりまして、本プロジェクトの個別事業といたしましては、例えばでございますが、県内市町村の郷土芸能の祭りイベントへの参画や内陸市町村を含む道の駅等の交通拠点をめぐる周遊企画への参画などを進めてまいりたいと考えております。
このほか、内陸市町村におきましても、本プロジェクト関連事業の実施や市の広報誌における本プロジェクトの情報発信の実施など、具体的な取り組みも展開されているところでございます。
今後とも、市町村や関係団体と連携しながら、オール岩手で取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇4番(菅野ひろのり君) 最後にオール岩手でということをおっしゃられておりましたが、やはりその部分の視点をしっかりとやらなければ、ほかの議員の皆さんからも、イベントが一過性のものになってはいけないという御指摘が多々あると思います。先ほど御答弁いただいた中でも、これからどうやって交流人口をつなげていくであるとか、では、一度行った内陸の方々が、継続的にその翌年またはその次の年も相互に行き来しながらどんな関係を築いていけるのか、こういった視点をさらに盛り込む必要があるのではないかと思っておりますので、今後の計画、そして、これからの取り組みを引き続き力を入れてお願いしたいと思います。
そして、今回のいわて県民計画の中で、私も人口減少対策に対する工夫をどのようにしていかなければいけないのかというところに課題意識を持っています。
次期総合計画は、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてのもとで、いわて幸福関連指標を設定して県民の幸福度を高めていこうとするものであり、基本目標から具体的な取り組みまでの政策体系が、私は、より明確になったのではないかと思っております。
また、10の政策分野にさまざまな取り組みが盛り込まれていることで、県民一人一人の幸福に対し、誰ひとり取り残さないといった考え方に沿った計画になっており、その仕上がりを評価させていただきたいと思っております。
一方で、言葉は難しいのですが、10の政策分野に広げて、確かに、必ずどれかに当てはまるという言い方でいいのでしょうか、そういった内容であると思っております。読み込んでいくとそういうことがわかるわけでございますが、県民の皆さんがこれを見たときに、すぐそこにたどり着けるかというのは、非常に難しいのかな、時間がかかるのかなと思っております。
そう考えたときに、計画策定後、例えば、わかりやすいのが、よく日本一というような言葉があるかと思いますが、今回のプロジェクトで言えば、ILCで科学技術立県日本一とか、子育て環境日本一、私なりに言えば、農業人口日本一などのメッセージのもとに、これに関係する考え方や取り組みをまとめ、よりわかりやすく示していく工夫も必要と考えますが、知事のお考えをお伺いします。
〇知事(達増拓也君) いわて県民計画最終案では、幸福の実感に関連する12の領域をもとに、一人一人の暮らしや仕事を起点とする10の政策分野を掲げておりまして、例えば、子育て中の方であれば家族・子育ての分野の中に、また、農業に従事する方であれば仕事・収入の分野の中に、自分や自分に関係する人にかかわりのある施策を見出すことができるような体系としているところであります。
今後、計画の推進に当たりましては、地域社会を構成するあらゆる主体が、それぞれ主体性を持って、ともに支え合いながら、みんなで行動していくことが重要でありますので、県民の皆さんのこの計画に対する理解を広めることが大切であると考えております。
このため、こうした計画の体系の特徴を生かして、県民の方々の理解をさらに深め、計画の推進に参画いただけるよう、引き続き、県民向けのワークショップやフォーラムを開催しますとともに、計画策定後は、県民向けパンフレットや計画の普及版を作成する中で、よりわかりやすく示す工夫も行っていく考えでありまして、発売中の岩手ライフ応援マガジンいわてWalkerの表紙に、住みやすい!働きやすい!岩手が最高!と書いてあるように、岩手が一番であることを積極的に発信してまいります。
〇4番(菅野ひろのり君) その雑誌の中で日本一という発信が伝わるのは非常に重要なことだと思いますし、そのとおり継続してお願いしたいわけですが、やはり少子化対策、人口減少の中で、子供たちや、若い世代の方々が産み育てやすい環境だというのが一番に伝わること、これが岩手県の優しさというのでしょうか、人に対する優しさがあらわれていくと思うのです。
ぜひ、雑誌だけではなく、さまざまな機会や媒体、ウエブもありますし、ツイッターもあると思いますし、知事は非常に発信力が高いと私は思っておりますので、日本一の子育て環境をつくっていくのだということを常々発信していただく中で、そこに子育ての事業もさらにつなげていくことが重要ではないかと私は思っておりますので、その点をお願いしたいと思います。
あわせて、今回、知事は、人口減少対策の1番、岩手で働くというところで、産業集積であったりとか働く環境を整えられてきていると思っております。9月定例会の神崎議員への答弁の中でも、ものづくり産業から県内就職の促進、i-サポの出会いの場の創出、ものづくり産業人材の育成といった点を強みと発言されております。先ほども少し触れましたように、県内で生活して、子供が欲しいけれども、さまざまな理由で産めない方、保育園の課題などがあり、子供をふやせないという方への対策、ここをもっと充実していくべきではないかと私は思っております。
今回、社会増減ゼロ、合計特殊出生率1.45を掲げる知事は、現在の人口減少対策の課題をどのように捉え予算案に盛り込んだのか、どういった人口減少対策に力点を置き取り組むのか伺いたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 人口減少対策関係の予算でございますが、岩手県ふるさと振興総合戦略におきましては、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3本の柱を掲げまして、人口減少対策を総合的に進めているところでございます。
このうち、岩手で働くに関します社会減ゼロにつきましては、東京一極集中の拡大を背景に社会減の減少幅が拡大しておりまして、若年層の転出が続いているところでございます。
こうした中、自動車、半導体関連産業の集積によります雇用の創出や、県全域における高校生の県内就職率の上昇傾向など、若者の地元定着に向けた環境は整いつつあると認識しております。
また、岩手で育てるに関します合計特殊出生率につきましては、未婚化、晩婚化の進行や、子育ての負担、仕事と育児の両立の困難さなどを背景に、ほぼ横ばいで推移し、子供の出生数が長期的に減少傾向にあることから、全国平均を上回る合計特殊出生率や待機児童数ゼロに向けて、安心して子供を産み育てられる環境の整備や、仕事と生活を両立できる環境づくりなどをより一層推進していく必要があると考えております。
こうしたことから、新時代スタートダッシュ予算として編成いたしました平成31年度当初予算案におきましては、新しいいわて県民計画の10の政策分野に基づきまして、若者やU・Iターン希望者の県内就業の促進、働き方改革の促進、また、若者の活躍支援、ものづくり産業や農林水産業などの人材の育成などの取り組みに加えまして、議員も触れられましたが、“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i-サポの運営による結婚支援や、地域で妊産婦を支える体制の構築、保育士の確保と保育所の受け入れ促進、子育てをしながら働きやすい労働環境の整備などの取り組みを通じまして、本県への新たな人の流れの創出と合計特殊出生率の向上を図りまして、人口減少に歯どめをかけていきたいと考えてございます。
〇4番(菅野ひろのり君) その中で、知事は、国による東京一極集中の是正に向けた抜本的な対策は不可欠とし、国の対策の必要性を強調しております。人口減少、合計特殊出生率の話になると、知事はこの国の対策のことを必ず述べられるわけですが、確かに2018年の総務省の住民基本台帳人口移動報告では、東京圏の転入超過数が1万4、338人増加していて東京一極集中が加速していると。
知事がおっしゃるとおりだと思うのですが、先ほど部長も触れられておりましたU・Iターン促進、例えば、各自治体の人口減少対策、これは差別化できるのがU・Iターンの特徴的なものだと思いますが、ちょっとその例についてお伝えしたいのです。
例えば宝島社の住みたい田舎ベストランキングの上位が、1位長野県、2位静岡県、そして3位千葉県。これは子育て世代の動向が順位に影響していると言っています。ふるさと回帰支援センターの2018年移住希望地域ランキング、これも1位長野県、2位静岡県、そして3位が北海道。年間の相談件数も4万件とふえて、セミナーの回数もふえていると。田舎暮らしだけではなく、仕事がしやすい、県庁所在地や中核都市などの地方都市の暮らしのニーズが高まっているとしています。
さらに、戻りますが、千葉県のいすみ市は、市町村ではありますけれども上位に入っていますが、総幸福量の高い地域づくり、知事と同じように幸福に観点を置いています。そして、魅力的なのが、小、中学校の給食では、農薬や化学肥料を使わない有機米を使用する工夫をしている。
やっぱり実施主体の市町村との連携も非常に重要だなということを示していると思いますが、移住、定住対策は自治体の工夫が非常に顕著にあらわれますが、本県の移住対策、定住対策をどのように評価し、今後の取り組みを市町村と連携しながら行っていくのか伺います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 移住定住対策の成果等についてでございますが、県ではこれまで、首都圏での移住相談窓口を設置するとともに、市町村と連携しながら、移住ホームページによる本県の魅力の発信や移住相談会の開催、移住体験ツアーの実施などに取り組みまして、平成29年度には移住者数が1、346人、移住相談件数が3、263件となるなど、一定の成果があったものと考えております。
その一方で、議員も御指摘のとおり、東京圏の転入超過数が拡大し、本県の社会減も拡大していることから、国における東京一極集中の是正に向けた抜本的な対策とあわせまして、県といたしましてもU・Iターンの取り組みを強化する必要があると考えております。このため、県では、岩手の多様なフィールドで働く若者などにスポットを当て、日々の仕事や暮らしぶりを紹介する、これは先ほど知事からも御答弁申し上げましたが、岩手ライフ応援マガジンいわてWalkerを発行し、岩手の魅力の発信を強化しているところでございます。
今後、岩手への新しい人の流れを生み出すため、人口減少対策の10の柱でございます県内就職の促進と移住、定住施策を一体的に推進する庁内の体制を整備いたしますとともに、市町村との連携も強化いたしながら、地域の魅力発信や移住者の受け入れ態勢の整備を図り、総合的な移住、定住施策を積極的に推進していきたいと考えております。
〇4番(菅野ひろのり君) 引き続き、この人口減少対策は最も注力して取り組んでいただきたいと思います。
次に移ります。農業関連プロジェクトと県民計画、関連して農業振興についてお伺いします。
今回、農業関連の質問をする大前提が、今、スマート農業という注目している分野、そして、私たちが直面している農村集落の過疎化というところに焦点を当てて質問したいと思います。
まず、皆さん御存じのとおり、今、県、国で進めているのが規模集積ですが、基盤整備事業等、田園等の規模を広げている広大な平野部と、集積が行いづらい中山間地、この二つがあると思います。前者は、AI等を駆使して非常に効率的で省力的な農業が目指されている。一方で中山間地は耕作放棄地もふえて、小規模農家、家族経営といったところが中心で、農村集落が限界に近づいてきているのではないか。農業と生活が一体となっている地域でございます。
この前提を踏まえて、特に規模集積が進んでいるような平野部、スマート農業についてお伺いしたいのですが、生産性をより追求できる可能性がある規模集積が行われた平野部では、実用化にはもう少し時間がかかるものの、農林水産業高度化推進プロジェクトによって、スマート農業を最大限に活用して、農業人口減少に対応し、さらに収益性の高い農業を目指すのだと思いますが、スマート農業について、どのようなビジョンを持って普及拡大していくのかお伺いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) スマート農業の普及拡大についてでありますが、スマート農業は、農作業の超省力化や飛躍的な生産性向上あるいは軽労働化などが期待され、大規模農家から小規模農家まで、幅広い農業者が希望を持てる魅力ある農業の実現に向けた重要な取り組みと考えております。
一方、急速に高性能化が進むスマート農業機械や設備でございますが、多機能ではございますけれども高額となっておりますので、導入前に必要性、収益性を十分に検討する必要がございます。
このため、県では、いわてスマート農業推進研究会と連携しながら、自動操舵農業機械や農薬散布用ドローンあるいは草刈りロボットなど、平野部のみならず中山間地においても活用可能なスマート農業技術とその費用対効果などについて研究、実証に取り組んでおり、個々の農業者がスマート農業の技術や設備、機械を導入するに当たりましては、農業改良普及センターを中心に、経営規模やニーズに応じた選択ができるよう助言するなどの支援を行っているところであります。
来年度からは、国のスマート農業加速化実証プロジェクトを活用いたしまして、最先端技術の現地実証にも取り組むこととしております。これらの実証成果については、いわてスマート農業推進研究会等を通じ農業者などに広く情報提供するなど、本県農業の実情に即したスマート農業技術の早期普及に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
〇4番(菅野ひろのり君) 先ほど本県の実情に即したということをおっしゃっていましたが、まさにそのとおりだと思います。冒頭お話しさせていただいたように、広大なところ、そして中山間地、ここをどうやって上手にやっていくか。今、スマート農業フェア等をされておりますが、高機能の機械の販売、展示会というような観点にならないようにしなければいけないと思っています。
そして、なぜビジョンをということをお話ししたかというと、勝手に─言葉はあれですが─最先端の機械がひとり歩きするような認識を与えずに、しっかりと県がビジョンを示していく必要があると思うのです。
具体的には、例えば今、農家は、6次産業化─生産、流通、販売、加工、これが全部求められるわけです。そうすると、自動化できるものは機械に任せて、農家の経営は販売戦略や流通、加工、そっちのほうに注力していこうとか、県がIoTを活用することによってどんな農業像を目指すのか、このビジョンをしっかりと共有して目指していかなければいけないと私は思っております。
そして、もう一方の、集積が行いづらい中山間地、ここは農業だけではなく農村社会と一体になっていると私は思っています。そして今回、ああ、すばらしいなと思ったのは、活力ある小集落実現プロジェクトについてでございます。時間の関係上、二つ通告しておりますが、あわせて質問させていただきたいと思います。
今回、若手の県職員で構成されるプロジェクトのアイデアコンテストから出された内容であるということでございますが、このIoTを活用することによってどのように活力ある小集落を実現していくのか。そして、人口減少がどんどん進んでいく中、若手の職員は、限界集落間近な小集落でどんなビジョンを描いて、小集落をどのようにしていこうとしているのか、コンテストから出された意見も踏まえて御教授いただきたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、コンテストで出された若手職員の意見についてでございますが、職員からの提案におきまして、集落のありたい姿といたしまして、集落の生活利便性が向上すること、人と情報の交流する機会が広がり、きずなと生きがいが高まること、それから集落の魅力と雇用が創出され働きがいが高まることが掲げられておりまして、これらの視点は、今回の活力ある小集落実現プロジェクトに取り入れたところでございます。
具体的な内容でございますが、遠隔での健康管理の推進やデマンド交通、アプリによる配車サービス等による通院、買い物などの移動手段の確保など、住民の日常生活の利便性の向上、それから遠隔地から民俗芸能を指導するなど、地域内外の交流の促進に主眼を置いたもの等となっております。
このような取り組みに加えまして、若者を初めとする全ての世代が活躍できる場を創出し、人材や収入を確保する仕組みづくりや、都市部など地域外との多様なつながりを深めながら、住民が主体となった取り組みを促進していくことが将来にわたり持続可能な活力ある地域コミュニティーの実現のためには重要と考えているところでございます。
〇4番(菅野ひろのり君) 先ほど御答弁いただきましたように、つながりというのが農村集落においては一番重要だと思っています。
一方で、先ほど遠隔ということをおっしゃっていました。確かに、IoTのよさというのは、遠隔操作することによって例えば診断などができると。だけれども、そうすることで、逆に人と人が会う機会が少なくなってしまう可能性があると思っております。今、農村集落で大変なのは、農協がなくなって、商店がなくなって、人が集まってくるところがないことです。だとしたら、IoTを使って、遠隔だけではなく、人が集まれる場所を提案していかなければいけないと思っています。
例えば、今、POSレジ化─店員がいないコンビニ経営などにもなり出していますし、POSレジで商品の在庫管理もできています。そして、ドローンで配達もできる。だとしたら、そういう拠点を創造させるようなつながりを持てる人が集まってこられるような提案も含めて─これは空想的なものに近いかもしれないですけれども、そういうものがなければ孤立化は深まっていってしまうし、人が直接会う機会が減ってしまう。
ですから、そういったビジョンをせっかくいろいろお考えになっていると思いますから、これからもより実現できるようにしていただきたいと思います。
先ほど冒頭、大規模農地と、そしてもう一つは中山間地、小規模農地ということをお伝えしましたが、次に、規模拡大と集積の成果と農村社会の衰退についてお伺いしたいと思います。
どういうことかといいますと、例えば私の住んでいる地域は、100ヘクタールで100戸の農家が農業をやっていました。だけれども、規模拡大、そして農業法人ができて、100ヘクタールを1経営体、5人の農業従事者─理事でやっている。生産力は維持される。だけれども、逆に言えば95人の農家は農業をやめている。これが規模集積と農村集落の現状だと思っています。
そこで、県は、規模拡大、集積の成果と農村社会の衰退、その関係性をどのように捉えているのかお伺いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 規模拡大、集積の成果、それから農村社会の衰退についてのお尋ねでございます。
本県農業の持続的発展に向けましては、効率的な営農ができるよう農地の集積等を進め、地域の核となる経営体を育成することが重要であります。
一方で、本県では、中山間地域を中心に小規模、兼業農家など、多くの農家が生産活動に携わりながら地域社会そのものを支えているという実態にありますことから、多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活発化を通じまして、活力ある農業・農村を実現していくことが求められていると認識しております。
このため、県では、地域農業マスタープランの作成に向けた地域での話し合いの中で、担い手への農地集積やコミュニティーの維持に加えまして、農地の出し手が引き続き地域で活躍するための、例えば地域特産物の生産、産直販売あるいは農産物加工等の取り組みの方向性などについて検討していただいているところであります。
県といたしましては、今後も、地域の話し合いに基づき、農地の集積を進めながら地域コミュニティーが維持できるよう取り組んでまいります。
〇4番(菅野ひろのり君) 先ほど部長がおっしゃった多様な農家というのが非常に重要だと思っています。私からすれば、その多様というのは、規模の条件に関係なく農業ができるような環境を築いていかなければいけないと思っています。
先ほどお話しさせていただいた5人の農家、1経営体が生産し、95軒の農家はやめていくという実情の中で、いわて県民計画の幸福関連指標に戻りたいと思いますが、今回、関連指標の仕事・収入で、農業関係のものは、農業経営体1経営体当たりの農業産出額を簡単に言うと年間10万円ずつ2.5%上げていくというものです。先ほどの私の例からすると、1経営体の法人、これは、部長が計画を立てられているように産出額は上がりますよね。だって、100ヘクタールを1経営体でやるわけですから。だけれども、95戸の農家の方々は幸せですか。私は、地域に人が残って農業ができる環境、これこそが重要だと。つまりは、農家に人がいなければいけない。だとすると、この指標だけではなく、農業人口をいかに維持していくか、これを数値目標に加えなければいけなかったのではないかと私は思っています。
部長の所見をお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 先ほど申し上げましたけれども、本県の8割が中山間地域でございまして、急勾配あるいは農地の分散、小規模圃場など不利な生産条件の中で、小規模農家あるいは兼業農家など多くの農家が生産活動に携わっておりまして、こうした多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活性化、活発化を通じまして活力ある農業、農村を実現することが重要であると認識しております。
このため、県では、中山間地域等直接支払制度を活用しながら小規模農家の農業生産活動を支援するとともに、県単独事業による大区画にこだわらない区画拡大や暗渠排水等のきめ細かな基盤整備や施設設備の導入に加えまして、生産物の高付加価値化に向けた地域特産物の産地化あるいは6次産業化の推進などに取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、今後とも、小規模農家など生産者の一人一人が生き生きと働き、暮らすことのできる農業、農村の実現に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
次に、指標のお話がございましたけれども、政策推進プラン4の仕事・収入でございます。36の経営体の育成から、39、一人一人に合った暮らし方ができる農山漁村づくりまでを位置づけまして、今後取り組みを進めていくということにしております。
指標につきましては、やはり仕事・収入という観点からは、農業生産額あるいは産出額をベースにした指標が適当と考えまして今の指標を設定しているものでございます。
〇4番(菅野ひろのり君) 私も農業法人の一人にはなっていますけれども、地域の課題は全然解決していないと思っています。これを続けていくと……。別に集積が悪いということを言っているのではないのです。農業と農村は一体になっている。その仕組みをしっかりと理解して、そこに人を残す方法をとっていかなければ限界集落というのはどんどん進んでいく。実態的に数字もそういうふうに出ていますよね。私は、だからそこに着目していただきたいと思っています。
では、具体的にどうしていくのか。国内の事例、この1期4年、見させていただきましたが、やっぱり日本全国中央集権国家の中、独自のというのは難しいのだなと思っています。
その中で、山田正彦元農林水産大臣にこんな御紹介をいただきました。韓国の全国農業協同組合中央会の会長の談話でございますが、要約しますと、農家はトラクター等の債務に苦しんでいた。やっぱり農業をすると農業機械が非常に高価で負担になる。中央会と農協で拠出して農機具を購入して、農家に無償で利用できるようにした。そして、韓国は今でも食料自給率は49.8%あるけれども、2022年までに60%を目標とする。さらに、2021年から韓国ソウルの小、中学校、高校ではオーガニックの無償給食が実施されると。すごくこれは付加価値のあることだし、農家に優しい政策だなと私は感じました。
そこで、生産費の低減に向けた、特に小規模農家への対策について、本県ではどんなことをやっていただいているのか、その必要性の認識、今後の取り組みを伺いたいと思います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 先ほど御答弁させていただいた中で特に中山間地域での取り組みを紹介させていただきました。中に重複する部分もございますけれども、お話し申し上げます。
やはり中山間地域等直接支払制度がございますので、それを活用しながら小規模農家の生産活動を支援いたしますし、あるいは、コストダウンに向けました基盤整備につきましても、県単独事業で立ち上げた、小規模な農家でも使える、国庫には当てはまらないような場面でも使っていただける、使いやすい、そういった取り組み、事業を立ち上げさせていただいているところでございます。
こういった取り組みを通じまして、今後におきましても、小規模農家など生産者の一人一人が生き生きと働き、暮らすことのできる農業、農村の実現に取り組んでまいります。
〇4番(菅野ひろのり君) 活力ある中山間地域基盤整備事業のことをおっしゃっていると思うのですが、確かに、そういった充実した、小規模農家に向けた優しい施策もあります。こういうものはぜひ継続していただきたいと思いますが、財源が厳しい本県の農業政策、これはやっぱり国の事業をもとにしながらつくっていかなければいけない。その大前提は十分理解しております。
一方で、きのう高田議員も取り上げられましたが、国連の小農宣言、そして家族農業の10年。私は、この宣言は非常に重要だと受けています。小農宣言は食の権利、種子の権利を明記していますし、家族農業の10年は、家族農業が持つ文化、伝統の継承、環境、生物多様性の保存、経営の持続力を評価しているもの。これは本当にすばらしい、岩手にも重要なテーマだと思っています。
そこで伺います。国連の小農宣言を受け、岩手の独自の農業を追求していくという視点から、岩手は農業独立宣言を行って、農村集落と家族、小規模、兼業農家、家族経営の価値を認め、食の安全・安心生産、これを盛り込んではどうでしょうか。そこに事業をひもづけていく。さらに加えれば、宮沢賢治が示すような農業の世界観を盛り込んでいくと、岩手らしいさらに崇高な独立宣言になるのではないかと思っています。知事の所見をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手の農業は、厳しい自然と共生しながら、地域の立地条件や資源などを生かし、先人の英知と努力によって特色のある産地を形成し、受け継がれ発展してきました。また、農村という生産と生活の場を通じて多彩な文化や風土が育まれ、まさに岩手ならではの農業が築かれてきました。
そのような先人の努力と思いを受け継いで、新しい時代の岩手の農業を主体的に発展させていくことが重要であり、農家の所得を高め、若者等が農業で働きたい、岩手に根をおろし、暮らしていきたいと思うことのできる農業、農村をつくっていきたいと考えます。
このため、いわて県民計画最終案におきましては、生産者一人一人が生き生きと働き、暮らすことができる農業、農村の実現に向け、地域農業の核となる経営体の育成や、生産性、市場性の高い産地づくり、活力ある農山漁村づくりなどに積極的に取り組んでいくこととしております。
〇4番(菅野ひろのり君) 知事、独立宣言を出されてみませんか。どうでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 農業独立宣言ということでありますけれども、大変いい志だと思いますし、そのような主体性を持って岩手の農業に取り組んでまいりたいと思います。
〇4番(菅野ひろのり君) 知事、ありがとうございました。
もう少し深めたいところですが、次もありますので、次は主要農作物種子法についてお伺いしたいと思います。
種子法ですが、今まで3度取り上げてまいりました。今回4度目でございます。関係している部局の方、課の方には感謝を申し上げたいと思います。
まず、今回の論点は三つあると思っています。一つ目は、将来にわたって農業の根幹である種子を守れるのか。二つ目は、県民の理解が得られているのか。三つ目は、情報開示に本当に対応できるのか。この三つでございます。
その前に種子法について部長に確認したいのですが、今回の種子法は、主要農作物と言われる稲、麦、大豆の三つの種子の生産、普及を各都道府県に義務づけた法律が廃止になった。都道府県は奨励品種の選定をしなさい、圃場の指定をしなさい、その審査をしなさいというのが種子法でございました。これを、県の対応としては、種苗法を根拠としながら内部要綱で対応できるというお考えだと認識しておりますが、その考えで合っていますでしょうか、確認をお願いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 現在そのように考えております。
〇4番(菅野ひろのり君) いわて県民クラブの千葉絢子議員がこのような意見をされたときがありました。いつでも県が変更可能な基本要綱とでは将来にわたっての重みが違うわけで、議会の承認が必要な条例とすることで制度として恒久化を図る必要があると。私も全く同感でございます。
今回、内部要綱で定めるということは、これは、その時の方々、決裁者の方によって変えることもできるものだと思っておりますが、これはなぜ内部要綱で十分なのでしょうか。その考えをお聞きしたいと思います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 種子法は廃止されました。その後、県におきましては、引き続き県が種子の生産、供給に関して責任を持とうということで、その方針を固め、さまざまな場面で関係の方々に説明をさせていただいたところでございます。
その中で、さまざまな規程方式がある中で要綱というものを選んだということでございますが、他県の状況等も鑑みました。それから、いろいろな御意見を伺う中で、要綱ということでお示しした際に、そうした関係の方々からはそれでよかろうという御賛同の声も頂戴したことから、先般、要綱を制定させていただき、種子の生産、販売を引き続き県が担っていくということで決めさせていただいたものでございます。
〇4番(菅野ひろのり君) 私は農家の側面も持っておりますが、よかろうとは思っていないです。
組織の話でありますが、例えば、これは事前に確認したのですけれども、職員の方がその部署、担当課にとどまるのはどのくらいかということを調べようと思ったのですが、正式なものはありませんでした。ちなみに、農林水産部の担当課だとどのくらいの期間で異動があるものですか、お聞きしたいと思います。部長の感覚でも経験でもいいです。お願いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 一概には申し上げにくいところでございますし、例えば技術職員であって研究職に携わる職員あるいは事務系の職員、それぞれ大体平均での異動年度は異なるものと考えております。ただ、一般的には、事務職員であれば短い方で2年、多い方では4年、5年ということでございましょうし、技術職の場合には非常に専門性が高うございますので、例えば10年とか、そういうスパンで一つの仕事に携わる場合もあるものと承知しております。
〇4番(菅野ひろのり君) 四、五年ということなのかなと思いますが、種子の生産は、生産者に届くまでやっぱり4年はかかると。そして、恒久的に種子を守っていかなければいけないとなると、異動が伴う職場環境で、種子を組織のルールにかかわらず守っていく、さらに議会の承認が必要な条例でしっかりと守っていくことが私は一番恒久的にできるものだと思っています。
2点目でございますが、では、県民の理解が本当に得られているのか。先ほど部長がおっしゃったように内部要綱で十分対応できますよとしたとして、では、それは県民の方は理解がしっかりできていますか。さっき関係の方からよかろうということでございましたが、この種子法について、平成29年2月定例会の自由民主クラブの高橋孝眞議員を皮切りに、合計8名の議員の方が質問されています。改革岩手の高橋元議員、佐藤ケイ子議員、社民党の木村幸弘議員、共産党の斉藤信議員、いわて県民クラブの工藤勝博議員、千葉絢子議員、そして私でございます。ほぼ全ての会派の方からこういった質問が出されている。そして県政調査会、ことし平成31年1月には山田正彦元農林水産大臣にお越しいただき、種子法廃止とこれからの日本の農業について御講演いただきました。そして一般傍聴では、異例と聞いていますが、市町村議会議員、全農、生協、執行部の皆さん等が参加され、関心が非常に高いものと感じました。過去には市町村から意見書も出されています。今議会では請願も出されております。
そして、どれくらい県民の目に触れる機会があったのかというと、岩手日報では、種子法の記事というのは1度。これは短信と言われるそうですが、小さい記事、出来事を伝えるようなもので、種子法の危険性や課題について報道されたものはありませんでした。これは理解が得られていないのではなく、県民の目に触れていないのだと私は思っているのです。
そこで伺いますが、種子法廃止に伴う不安が払拭され、種子の生産、供給に関する旨が周知され、一定の理解が得られたものと言えますでしょうか。その後の経過も踏まえ、認識をお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 先ほど御答弁の中で種子法の廃止後の県の方針などについては申し上げましたので、その後の動き等についてお話しさせていただきます。
要綱等の制定をさせていただいて、従来どおり優良な種子を生産、供給する体制の維持については公表させていただき、また、改めて、県の要綱についてホームページ等で公表させていただきました。さらには、平成30年4月には生産者や関係団体を中心といたしました説明会を開催いたしまして、従来どおり県が原種の生産、供給あるいは種苗の生産基準に係る検査も含めまして行うことを説明してまいりました。
その後に関しましても、生産者を中心といたしまして、例えばJAの種子生産部会あるいは稲作研修会等の場を活用いたしまして、県の取り組み内容等について繰り返し丁寧に説明をしてまいりました。生産者の方々からは、種子法廃止後も県が責任を持って種子生産を実施することがわかり、安心したという声も寄せられておりまして、そういったことを勘案いたしますと、一定の理解が得られているものと認識しているところでございます。
〇4番(菅野ひろのり君) では、質問を変えまして金色の風を具体例としてお聞きしたいのですが、農業競争力強化支援法第8条第4項には、都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間業者への提供を促進することとありますが、例えば、民間の業者から金色の風の情報提供を求められた場合、県は何の根拠を持って提供しないと拒否できるのでしょうか、伺います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 議員からお話ございましたとおり、農業競争力強化支援法にそういった旨の規定がございます。これは国法でございますので、法律の解釈につきましては専属的に国─省庁が持っておりますので、国に対して問い合わせ、確認をさせていただきました。その結果、知見と申しますのは、種苗そのものに限らずに、育種手法、遺伝子情報等の総合的な情報を指すというもので、提供の可否については県の判断によるものとのことでございました。
なお、金色の風を例示でお示しいただきましたが、金色の風などの県が開発した品種につきましては、別途、種苗法に基づく品種登録を行っております。そうしますと、県が有する育成者としての権利は同法で保護されまして、このことにより、民間の種子生産会社は、県が許諾を与えない限りは種苗生産等は行えません。これに違反した場合には、種苗法に基づく罰則が科されるものでございます。
〇4番(菅野ひろのり君) 先ほど部長の御答弁だと、県の判断ということを国がおっしゃったということと理解しましたが、法には提供を促進することとありますね。だとすると、その担当者というのでしょうか、その方の解釈によって変わりますよね。残っているのはこの法なのですから。だから、私は、それに対抗する条例をしっかり残しておかなければいけないと考えているのです。
そして、もう一つでございます。今回、種子法の話をすると、基本的には一定の理解が得られた、内部要綱で対応できるという答弁が続くわけでございますが、平成30年9月定例会の高橋元議員の条例化すべきとの問いで、初めて答弁が変わるわけでございます。このように変わります。ほかの道県では、条例を制定する、あるいは制定に向けた検討を開始するなどの動きもあるところでございます。条例の制定については、今後、行政法学研究者などの専門家の見解等もいただきながら研究をしてまいりたい。研究をしてまいりたいと初めて前進するわけでございます。
この答弁の変化にはどのような考えの変更があったのか、また、専門家の見解等もいただきながら研究している内容、その進捗と成果をお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(上田幹也君) 私が研究をすると御答弁申し上げました経緯についてでございます。
現在、本県では、要綱等に基づきまして種子の生産、供給に関与しております。一方で、他の道県を見ますと、条例を制定する、あるいは制定に向けた検討を開始するなどの動きがございます。また、それぞれの県で条例制定の目的や規定の範囲が異なっておりまして、その考え方について、やはり整理、研究が必要ということから、研究をするという答弁をさせていただいたところでございます。
次に、専門家の御意見もということでお話を申し上げました。専門の方々、これは首都圏の大学の教官である研究者の方々でございますが、廃止された法律の規定により生じていた効果について、条例を制定し、所定の規定を設けることにより、これと同等の、あるいは同値の効果を生じさせようとする場合において、行政法学的観点から検討する事項はないかというお尋ねをさせていただきました。
御意見は頂戴いたしております。現在、その意見を参考に研究を行っているところでございますが、専門家の方々に御意見を頂戴する際に、これは内部の検討の参考にするために御意見をいただきたいというお話をさせていただきましたところ、その内容については外部に明らかにしないでほしいと。あくまでも個人的見解を申し上げるものだからということで、そのお約束のもとで御意見等を頂戴したものでございます。大変恐縮でございますが、その内容につきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。御了解いただければと思います。
〇4番(菅野ひろのり君) 本当に残念です。そこを聞きたかったです。どんな見解があったのか。
やはり、これは専門家の方々の意見も聞きながら、国が廃止したものに対して、県が条例を制定してぶつかるというのですかね。ただ、今、種子をしっかり守らなければいけないという中にあって、県が今研究をされている。だとしたら、それをしっかり時期を決めて、いつまでに、どうするのだという方向性を決めて示していただかないと、今までの答弁を繰り返し繰り返しでは前進にならない。しっかりとこれは県も議会も一緒になって考えていって決めなければいけないことですから、出すことができないと言われたらそれまででございますが、部長に、しっかりと条例に対して研究をしていただいて、前向きに進めるようにお願いしたいと思います。
そして、最後になりますが、他県では条例制定済みのところもあります。私が一番特徴的だと思ったのが、長野県と、今検討段階ではありますが北海道。今回は長野県の例を御紹介したいと思います。
これは、主要農産物種子法、冒頭お話ししたように、種子の奨励であるとか圃場の指定など8条のみから成るものでありましたが、長野県は違うのです。稲、麦、大豆のほかに、自分たちの主力であるそばを加えている。そして、信州の伝統野菜と将来に向けて種子生産を継続する必要性のある在来種を入れている。三つ目、その技術を後世へ継承するのだということが盛り込まれていて、機械等の老朽化への必要な施策も講じるよと。さらに、技術指導の支援、種子生産者の確保。こういうものを入れているのですね。今までの種子法とは全然違う、農家の、長野県の農業、そして、その種を守るための理念条例というのでしょうか、そういったものになっている。
農業者の、生産者の不安を恒久的に払拭するこういった条例が私は必要だと思うのです。部長に改めてお聞きしますが、種子法廃止に伴い条例を制定すべきではないでしょうか。お考えをお伺いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 他県の検討状況など大変貴重な御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。
引き続き、県において、この種子生産への関与をどのようにしていくか、そして、その場合の根拠規範の形式はどれがふさわしいか、さらに研究してまいりたいと存じます。
〇4番(菅野ひろのり君) ありがとうございました。
知事にもお伺いしたいと思います。なぜここまで私が種子法にこだわるかというと、農業生産、そして種子の将来にという観点ではございますが、山田元農林水産大臣が県政調査会に来られたときに、なかなか難しいのですが、こういうこともおっしゃられておりました。種子法廃止はTPP協定とセットである。種子、農薬、遺伝子組み換え、これがセットなのだと。ほかには、TPP協定書の中には、規制改革会議に付託し、同規制改革会議の提言に従う。その中には、種子法、農業競争力強化支援法、水道の民営化、官民連携推進法、カルタヘナ法の改正、漁業法の改正、卸売市場法の改正、こういったものが盛り込まれているということです。
なかなかこれは私たちには実態がどうかというのは難しいところでございますが、知事は外交官の経験もございます。こういったTPPの動きも踏まえて、不安のある点があるのであれば、やっぱりこれを守っていく、そして、議会の承認が必要な条例にしていくことが私は必要だと思いますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 日本に住む人たちが、その勤勉さや、また、さまざまな工夫によって蓄積してきた財産、お金であったり、また、農業に関するノウハウ、知的財産、そして、農業以外の分野でもあらゆる分野において蓄積してきたもの、公共の水道もそうだと思います。そういったものについて広く開放することで、国際的に活躍するマネーでありますとか、農業、種子でありますとか、さまざまなノウハウ、また水道もそうですが、そういった多国籍企業でありますとか大規模な企業でありますとかといったところにゆだねていこうという考え方や、その考え方に基づくさまざまな立法でありますとか行政でありますとか、そういったものが広く日本国民に対して不安を及ぼしているのはそのとおりだと思いますし、岩手県内にそういう声があり、種子法廃止に関してもそういう不安の声があるというのは、そのとおりだと思います。
今、県では、要綱等を制定することによって、この種子の生産、供給体制、種子法が廃止になる前と同様の生産と供給の体制を維持、継続しているわけであります。そのやり方については、生産者や生産関係団体からはよしとしていただいているところではありますが、他方、議会で繰り返し取り上げられていることもあります。
先ほど部長が答弁しているように、県内部、執行部としては、県における種子生産への関与のあり方について、どのような根拠規範の形式がふさわしいかの研究をしているところでありまして、まずはその研究をさせていただきたいところではありますけれども、議員の問題意識については、きょうも強く受けとめたいと思います。
〇4番(菅野ひろのり君) 引き続き種子に関する条例制定については、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
次の質問に入ります。雇用確保、外国人労働者の受け入れ態勢について質問したいと思います。
これは先日高橋孝眞議員も取り上げられておりましたので簡潔に質問したいと思いますが、新聞にも報道がありました全国自治体アンケート、人材不足の外国人労働者の受け入れ拡大、本県33市町村のうち、賛成、どちらかといえば賛成が23市町村と好評であるという報道がありました。私も、地元の介護施設を5軒ほどではありましたが回らせていただいて、意見交換をさせていただきました。その内容は、全部の施設が人材不足で非常に困っておりました。
外国人介護人材の必要性をどのように認識して、確保に向けた取り組みを行うのか、また、その人材定着には生活支援が必要だと思います。外国人への定住支援対策はどのように行うのか、伺いたいと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 外国人介護人材の確保についてでありますが、少子高齢化の進行に伴い、介護需要が増加し、また、生産年齢人口の減少が見込まれる中にありまして、外国人の方々についても介護人材として有望な存在であると認識しています。
県としては、県内でも外国人受け入れへの関心が高まっていることを踏まえ、来年度、外国人介護人材に関する理解促進を図るセミナーを開催するため、所要の経費を当初予算案に盛り込んだところでありまして、受け入れに係る諸制度や先進的な取り組み事例の紹介などにより、受け入れ拡大に向けた機運の醸成を図ることとしています。
また、生活支援策としては、既に市町村や国際交流協会等の関係団体と連携し、日本語学習の支援や多言語による生活情報の提供に取り組んでいるほか、今年度からは、新たに各地域で外国人支援を担う人材の育成にも取り組むなど、外国人にとって暮らしやすい環境づくりを推進しているところであります。
今後におきましては、新たな在留資格、特定技能の創設などによりまして、介護分野でも外国人の受け入れの増加が見込まれることから、先行して受け入れを行っている事業者を初め、市町村や関係団体等の意見も伺いながら、介護分野に特有の課題やニーズを把握し、必要な支援策を検討してまいります。
〇4番(菅野ひろのり君) その外国人の方々が暮らす中で、やはり一番不安なのは、私たちも海外に行ったときそうだと思いますけれども、病気になったときどうしようということが非常に重要な問題だと思っております。
その中で、医療通訳について質問させていただきたいと思うのですが、外国人の方々が病院等にいらっしゃったとき、今、過去の県の答弁を見ますと、翻訳アプリの活用をしたり、先ほど言ったような研修会等で対応をされているわけでございます。
医療通訳を奥州市の国際交流協会で先進的にされておりますけれども、なぜ医療通訳が必要かというと、やはり文化の違いがあるので言葉だけではわからない。例えば、なぜ問診が必要なのか、なぜここでレントゲンを撮らなければいけないのか、通訳ではわかるけれども、その実態が実感として外国人の方はわからない。だから医療通訳が必要なのだ。医療通訳はコミュニティー通訳とも呼ばれているようでございます。
ここで伺いますが、医療通訳の必要性をどのように考えられているのか、そして、今回の問題の中では、医療通訳は完全無償ボランティアなわけでございます。仕事を休んでそのボランティアに出なければいけない。県は、医療通訳の身分を保証するための十分な助成を行って、岩手県版医療通訳の体制をつくって人材育成を行っていくべきだと考えますが、県のお考えを伺います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 医療通訳の体制づくり等の御質問でございますけれども、本県におきましては、岩手県国際交流協会や各地域の国際交流協会におきまして、外国人が医療機関を受診する際にさまざまな支援を行っているほか、議員からも御紹介ございましたけれども、奥州市の国際交流協会におきましては、県立病院等と連携をし、病院からの要請に応じて医療通訳ボランティアを派遣していると承知しております。
国におけます外国人材の受け入れ拡大やILCの誘致実現等によりまして、今後、本県で生活する外国人の方々がますます増加することが見込まれるところでございますので、外国人にも暮らしやすい環境づくりのため、安心して医療機関を受診できる環境を整備することが重要と認識しております。
県では、今年度、新たに医療ガイドブックの作成に取り組んでいるほか、市町村や医療機関等を対象とした外国人の医療対応に係る研修会を開催しているところでございます。
医療通訳につきましては、全国でもさまざまな取り組みが行われておりますが、費用負担のあり方を初め、人材の確保、専門性の担保、訴訟への対応など、解決すべき課題が多くあるということでございまして、医療関係者と問題意識を共有していきたいと考えておりますほか、他県での先進事例を参考にしながら、本県の実態に即した対応のあり方を精査していく必要があると考えております。
また、国におきましては、今般、外国人材の受け入れに向けた総合的対応策を策定し、医療通訳の養成促進を初め、電話通訳及び多言語翻訳システムの利用促進、外国人患者受け入れに関するマニュアルづくりと外国人に対する医療サービスの提供環境の整備促進に取り組むこととされたところでございますので、この動きも注視をしつつ、国の動きに呼応しながら、県としても外国人が安心して医療機関を受診できる体制づくりを進めてまいります。
〇4番(菅野ひろのり君) 同じような内容を医療局長にもお伺いしたいのですが、例えば、私が外国に行って、もうすごくおなかが痛くなった。そのときに、アプリを渡されて、おなかが痛い状況でアプリで通訳をして状況をわかってもらう、これはなかなか難しいと私は思っているのです。やっぱりそこに人が通うところがあるから、患者も安心できるし、しっかりと伝えることができると思っています。
先ほどは政策地域部長からの御答弁でございましたが、やはり県立病院であったりはそういった体制を築いていかなければいけないのではないかと思っています。医療局長の御認識をお伺いしたいと思います。
〇医療局長(大槻英毅君) 過去にもこの問題につきましては御答弁申し上げたことがございますが、現在、勉強の途中というところもございまして、各病院では、特に先ほど申し上げました奥州市との関係で言いますと、胆沢病院では、こういった医療通訳といいますか外国語に関する勉強会もやっております。
それから、今お話がございました翻訳アプリを渡されてという部分もございますが、とりあえず、どういった言語についてまず対応すればいいのかという部分がございまして、各病院では、英語については医師、それから看護師等につきましては、海外での勤務経験のある看護師あるいは医師もございますので、ある程度対応可能かと思っておりますが、それ以外の言語については、まだまだ翻訳アプリ等の力をかりなければならないところもあるかということでございます。
現在、県医師会から推薦がございました翻訳アプリがございまして、これについての対応は実験的に行っているところでございますが、何分これについての対応をした実績がないという状況もございまして、今検討の途中ということになっております。
〇4番(菅野ひろのり君) 検討中ということでございますが、ぜひ速度を上げて検討いただきたいと思っています。といいますのは、先ほどは政策地域部長が、他県の例を見ながらみたいなことも答弁いただいたと思うのですが、これを先進的にやっているところが神戸市。何でかというと、阪神・淡路大震災の影響があった直後に始めた。外国の方が非常に困ったから。
私たちも、インバウンドをやって、一生懸命台湾から来ていただく、また、ラグビーワールドカップがあって海外から来ていただいて、その方々が長期滞在されると言われている中にあって、これをいつやるのでしょうか。今、インバウンドをやっている中、非常に重要な時期だと思っております。
冒頭、県民計画の中でラグビーワールドカップのことをお聞きしました。同じように、今回、ラグビーワールドカップ釜石開催、これは外国人の方が来られましたらどのように対応しますか。県の考えをお伺いしたいと思います。
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) ラグビーワールドカップ2019釜石開催における医療面での外国人への対応についてということでございますが、大会本番時には、海外から多くの観客等が本県を訪れることが見込まれるため、釜石開催実行委員会では、警備、消防、医療救護専門部会において、外国人への適時、的確な医療救護が行われるよう調整を現在進めているところでございます。
現段階で考えております対応の主なものは、スタジアムや入場ゲート付近、ファンゾーンを設置する釜石市民ホールに、それぞれ救護所を設置し、通訳ボランティア等の配置、多言語による問診票や翻訳アプリなどの多重的な活用を図るほか、救急対応については、119番通話での多言語による3者間通話システムや多言語音声翻訳アプリ救急ボイストラの活用、また、病院や薬局等については、多言語問診票や電話による医療通訳を行う機関の周知を図るなど、さまざまな場面を想定しながら対策を講じることとしておりまして、万全な態勢が図られるよう、議員の御意見も参考とさせていただきながら、引き続き国際交流及び医療関係団体等と連携し、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇4番(菅野ひろのり君) 参考にしていただけるということですので、具体的にもう少し言いたいと思いますが、奥州市では、医療通訳として派遣された方は無償のボランティアなので、当然日給はお支払いできず、交通費を1日1、000円お支払いしていると。
ラグビーワールドカップ釜石開催で派遣したとき無償でやってもらうのは、特殊な能力、技術でありますから、例えばそこを県が補助しながら、県立病院とのタイアップというのでしょうか、一緒にやっていく。何で県立病院かというと、やっぱり訴訟リスクがあるので病院賠償責任保険に加入しているところでなければいけない。しっかりと県立病院とタイアップしながら、釜石市と連携して医療通訳を派遣していくことで、きっと安心して外国の方も観戦いただけるし、私たちも十分な態勢ができる。それが被災県である私たちが神戸市にならってやれることではないかと思っております。
もう一度見解をお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) 外国人への医療救護の対応につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、医療関係機関や国際交流関係機関等と一緒になって対応策を今検討しているところでございまして、その専門部会で、さまざまな観点からその対応について検討しておりますので、その検討を進めていきたいと思っております。
〇4番(菅野ひろのり君) きょうは農業分野を中心にさまざまな質問をさせていただきました。水道法、そして水素についても通告させていただきましたが、時間となりましたので終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時29分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時48分再開
〇議長(佐々木順一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。木村幸弘君。
〔25番木村幸弘君登壇〕(拍手)

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