平成31年2月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
まず最初に、東日本大震災津波からの復興の課題について質問いたします。
東日本大震災津波から間もなく8年が経過しようとしています。いまだに応急仮設住宅等には1、301戸、2、827人が避難生活を余儀なくされています。岩手大学社会学研究室が行った大槌町の応急仮設住宅入居者の調査では、暮らしが厳しいとの回答が50.5%、尋ねてきた人がいないが17.9%となっています。一方、災害公営住宅では4、937戸、8、822人が入居しておりますが、政令月収が8万円以下の国の家賃低減制度の対象は74.8%で、低所得者が多数を占め、生活苦が進行しています。高齢者の独居世帯が4割、高齢者のいる世帯は7割弱を占めており、部屋から出なくなったなど、孤立化、孤独化が一層進行しています。
こうした中で、孤独死は年々増加をし、昨年は前年の2倍となる21人、うち災害公営住宅では18人にもなっています。これまでの延長線上ではなく、抜本的な対策をとらなければ、1、000人を超える孤独死を出した阪神・淡路大震災の教訓が生かされません。孤独死をなくす県の対応策を示してください。
災害公営住宅入居者から、ひとりで部屋にいると牢屋のようだ。楽しいことなんてない。仮設住宅に戻りたい。こんな悲痛な声が寄せられました。災害公営住宅におけるコミュニティー支援の強化は重要な課題であります。被災地のコミュニティー支援を行ってきた岩手大学の船戸特任助教は、現場の努力だけではコミュニティー形成は困難であると指摘しています。
そこで伺います。第1に、自治会の担い手不足と高齢化の中で、継続的な取り組みを支援する支援員の配置が必要と考えますが、いかがでしょうか。
第2に、要支援者については生活相談員の見守りが行われていますが、月に1度であり、地域のコミュニティーでの見守りがどうしても必要であります。どこに誰が入居しているのか、あるいは敬老会の案内もできないとの声が自治会役員から出ています。知事は、これまで、自治会が名簿を整備していくことは、コミュニティー形成や避難行動上有効だと述べてきました。現在、県営災害公営住宅の24団地中3団地しか、名簿が整備されていません。これまでどんな支援を行ってきたのでしょうか。
いわてこどもケアセンターの活動は、年々増加しています。いわてこどもケアセンターが開設された平成25年度から年々増加し、平成29年度は7、663件、今年度は12月現在で5、924件と、昨年を超える受診件数となっています。新しい患者は、ここ数年300人を超え、その6割は、震災後に生まれた未就学児及び小学生となっています。親の生活苦やストレスが子供に影響していると指摘されています。同時に、岩手県が継続実施している医療費の免除措置が受診しやすくする重要な役割を果たしていると思いますが、いかがでしょうか。
被災事業所の88.3%が事業再開をしたものの、県の被災事業者復興状況調査では、売り上げが震災前と同程度または上回っているが33%にとどまっています。現在の課題は、材料調達67.7%、雇用確保が40.9%、業績悪化は38.7%となっています。
水産加工業は、大不漁と原材料の高騰でダブルパンチであります。販路の回復や新たな販路開拓が思うように進んでいません。原材料調達や新たな販路開拓など従来にない対策が必要ですが、県のこれまでの対応と今後の対応策について示してください。
今後の売り上げの見通しについては、卸売、小売業では、震災前と同程度または上回るが26.9%、飲食、サービス業では42.4%であります。グループ補助金に係る高度化スキーム貸付金返済の据え置き期間が経過した事業所も出ており、返済猶予など金融支援、本設再開への支援、仮設施設の継続支援など、きめ細かな支援が必要であります。今後の県の取り組みを示してください。
被害の大きかった被災地では、まちづくりのおくれから、国の復興・創生期間内にグループ補助金で事業再建できない事業者も見込まれます。グループ補助金などの国の動向と、そして県の対応策を示してください。
第2に、災害の危険から県民の命を守る防災対策について質問をいたします。
昨年は全国各地で災害が発生し、救われる命を失うという災害が各地で起きました。豪雨災害では、浸水区域と指定された地域でも犠牲者が出ており、また、避難しなかった人、できなかった人がいました。東日本大震災津波の教訓を踏まえ、確実に避難行動を行い、犠牲者をつくらないことが大事であります。
2016年の台風第10号による岩泉町の高齢者施設での死亡事故を受けて、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域の施設について、避難確保計画策定と訓練実施が義務化となりました。策定した施設は2019年2月現在では、1、174施設中598施設となっております。なかなか進まない要因及び県の対応策を示してください。
東日本大震災津波では、犠牲者の6割が65歳以上となり、障がい者の死亡率は被災住民の2倍となりました。こうした教訓を踏まえ、市町村では避難行動支援者名簿を策定し、その名簿を避難支援関係者に提供し、さらに地域の実情を踏まえて、個別支援計画を策定することが適切であるとされました。2018年5月現在の要支援者名簿は8万1、423人、個別計画策定は1万6、788人と、策定率はわずか20.6%にとどまっています。
県内では、二戸市など4市町が100%となっています。個人情報保護審議会での同意を得て名簿を提出しており、長野県茅野市では、災害に強い支え合いのまちづくり条例を策定して名簿を提供しています。個人情報保護を盾にしないで、全国の取り組みを踏まえ対応すべきですが、いかがでしょうか。
東日本大震災津波での震災関連死は467人となりました。避難所でのプライバシーのない雑魚寝、防寒対策も十分ではない応急仮設住宅、ストレスも多く、感染症も発生するなど、避難所の備えが脆弱だったからであります。
避難所・避難生活学会では、トイレ、食事、ベッドを改善すれば、被災者の失望感や疲労感を減らして、復興への意欲や日常生活を取り戻すことができると指摘しています。
アメリカの疾病管理予防センターが作成した災害時避難所環境アセスメントコアを参考に、避難所の改善を求めています。災害救助法の見直し、あるいは避難所のあり方を抜本的に改善するよう国に求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、高過ぎる国民健康保険税について質問をいたします。
県内各地で高過ぎる国保税に悲鳴が上がっております。県内の滞納世帯は1万5、687世帯、実に24%にもなっております。払える国保制度にすることは喫緊の課題であります。
そこで、4点質問をいたします。
第1に、1兆円の公費投入を求める問題であります。
年収400万円の4人家族のモデル世帯での国保税が20万736円に対して、盛岡市の国保税は40万円と2倍の開きであります。事業主負担がなく、加入者の43%が、無職など低所得者が加入する制度でありながら、国庫支出金を削減し続けてきたことが原因となっています。
全国知事会では、国保の構造問題を解決するために、1兆円の公費投入を求めています。国の対応はどうなっているのか、国に強力に求めていくべきでありますが、県の今後の取り組みについても示してください。
第2に、応益負担制度の問題であります。
協会けんぽの被用者の保険料は、収入に保険料を掛けて計算をしますから、家族の人数が保険料に影響することはありません。国保は、子供の多い世帯ほど保険料が高く、子育て支援にも逆行するとの批判が広がり、2015年、国と地方との協議で政府は検討に合意をいたしました。その後どんな検討がされているのでしょうか。
宮古市は、新年度から、ゼロ歳児から18歳までの均等割を廃止する方針であります。全国知事会でも見直しを求めており、県内の自治体にも広がるよう県も具体的な支援を行うべきですが、いかがでしょうか。
第3に、法定外繰り入れにかかわる問題であります。
広域化となった2年目の国保税は、激変緩和の縮減措置がとられるものの、多くの自治体で引き上げも予想されます。そもそも、高くて払えないことから、県内でも14市町村で一般会計からの繰り入れが行われています。
県は、決算補填を目的とした法定外繰り入れは解消に努める必要があるとの国保運営方針を掲げ、市町村に対しても、法定外繰り入れは新年度からできないとの指導、助言が行われています。地方自治の原則を否定するような国保運営方針を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
第4に、滞納者に対するペナルティー問題であります。
県内の短期被保険者証、資格証明書の交付は、本年2月1日現在、短期被保険者証が5、115世帯、資格証明書は133世帯、短期被保険者証の未交付者は1、364人となっています。平成29年における差し押さえは3、815件、金額で12億4、000万円となっており、高くて払えないのに保険証を未交付としたら、病院窓口での負担は10割になってしまいます。幸福を総合計画に掲げるのであれは、こうした人権侵害というべき未交付は直ちにやめるべきであります。盛岡市は、原則交付であります。滞納は生活状況のシグナルと捉え、滞納者の生活実態をよく聞いて親身に対応する相談、就労活動に転換すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、児童虐待と子供の貧困対策について質問いたします。
暴力を訴えるSOSを発信していながら、命を救えなかった千葉県野田市の虐待死事件、今、全国各地で多くの子供が虐待被害に遭い、小さな命が奪われる現実は余りにも深刻であります。
本県でも、昨年4月に北上市で、当時1歳9カ月の幼児が低栄養、脱水症状による全身機能障害で亡くなるという痛ましい事件が起きました。岩手県社会福祉審議会児童福祉専門分科会措置部会は、今月、児童虐待による死亡事例検証報告書を出されました。
そこで、3点質問いたします。
第1に、市が通告から48時間以内の家庭環境を把握できず、その後も把握されないまま事件が起きてしまいました。これをどう県は受けとめ、改善しようとしているのでしょうか。
第2に、今度の事件の背景には貧困問題があります。市営住宅の家賃、ガス、水道料金を滞納し、ライフラインがとまっていました。1年6カ月健診が未受診であり、また、保護者に会えない状況が続いていました。子供の異変に気づく、命の危険を感じる機会が何度もありました。公共料金を滞納するなどしたら、生活困窮のシグナルだと関係機関が連携していたら防げたのではないかと感じていますけれども、今後の連携のあり方についても伺います。
第3に、今回の事件の背景には、児童虐待に対応する体制の問題があります。市の非常勤職員の家庭児童相談員が対応し、他の事業と兼務で取り組まれていました。勤務時間だけで対応できない柔軟な業務も必要です。専門知識そして経験を有する専任の正規職員の養成を行い、長期に継続して配置されるよう市町村を支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
今回の報告書では、要保護児童対策地域協議会では情報共有されたが、具体の検討に至らなかったと指摘をされています。要保護児童対策地域協議会の会議では、報告件数が多く情報が不足していれば、具体の検討にならない現状があります。職員の専門性を向上させ、ケース会議や要保護児童対策地域協議会での機能強化が必要ですが、今後どう取り組まれるのでしょうか。
〔副議長退席、議長着席〕
昨年の児童相談所の相談件数は1、088件と、過去最高となりました。児童虐待防止法が制定された2000年の111件から9.8倍に激増しています。ところが、対応に当たる児童福祉司の配置は、11人から37人と3.4倍の増であり、とても追いついていません。児童福祉司は、子供の保護や家族へのケアなど、専門性と豊富な経験が欠かせません。家族とのあつれきや仕事内容からも、ストレスを抱える職員も少なくありません。
県の児童相談所では、児童福祉司1人当たり70人のケースを対応していますが、国の基準である40ケースにするためには、どれだけの増員が必要でしょうか。
児童虐待の背景には、子供の貧困問題があります。県は、今年度、子どもの生活実態調査を行いました。その実態調査の内容はどうなっているでしょうか。岩手における子供の貧困率を明らかにして、具体的な目標を持って取り組むべきであります。同時に、次期総合計画が幸福度をキーワードにするのであれば、子供の貧困問題の解決を明確に掲げた計画にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、長期化するひきこもりの実態と対策について伺います。
県が今年度実施したひきこもり実態調査では、ひきこもり状態の年代は50代以上が36.5%、ひきこもり期間は10年以上が37%、現在受けている支援が不明が44.4%、何も受けていないが28.5%となりました。今回の実態調査から当事者の高齢化と長期化が進行し、そして、支援を受けられずにいるということが明らかになりました。
先日、一関市でひきこもり問題の学習会に参加したとき、当時者から、これから介護の世話になる、自分の死後、息子がどうなってしまうのか、今後の生活と親亡き後の不安が訴えられました。親とともに、社会から孤立して困窮する例が増加をすることになりかねません。
そこで、まず第1に、ひきこもりの実態把握について質問いたします。
今回の調査では、民生委員が日ごろの活動を通じて把握している範囲での回答を求めたものであり、回答率82.5%、ひきこもりの数は1、616人となりました。内閣府が行った調査では54万人で、県内では4、600人と推計されます。秋田県藤里町では、民生委員が全戸訪問して実態調査を行い、18歳から55歳までの町民のうち8.7%、113人となりました。113人の一人一人に、ニーズの掘り起こし支援を行っています。本県でも、さらに踏み込んだ実態把握をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
第2に、一人一人のニーズを掘り起こした支援であります。今度の調査からも当時者が自発的に相談するケースは少なく、家族だけで悩みを抱え、深刻化してしまう実態にあります。ひきこもり支援窓口の周知あるいは訪問事業を行ってニーズに合った支援を行うべきですが、どう取り組まれているのでしょうか。
ひきこもりが始まる年齢は14歳から23歳までが一番多く、それは高校、大学の入学や卒業、進路のつなぎのときにひきこもりや不登校になっているのが初発の段階と言われております。
貧困と格差の広がりの中で、家庭環境の悪化、雇用、労働環境の困難化なども背景にあります。ひきこもり者や親の高齢化、長期化もあり、相談も難しいケースがあります。それだけに、支援する相談員の専門的知識を持つ人材の確保が必要であります。相談の体制と人材育成にどのように取り組まれているのでしょうか。
次に、教育の諸問題について伺います。
新年度には小学校6年生で35人学級が始まり、これで小学校、中学校全ての学年で35人学級が実現されます。児童生徒に接する時間を十分確保し、教職員の多忙化解消の核心は少人数学級の推進であり、今回の対応を評価するものであります。この間の35人学級の成果について、どのように受けとめているのでしょうか。
第2に、教職員の働き方改革について質問いたします。
教職員の時間外勤務は、県立高校では、月80時間を超える教職員は、平成29年度実績で12.4%、市町村立学校については、平成28年の全国調査によれば、小学校では33.5%、中学校では57.7%となっています。この異常な忙しさというのは、教職員の健康を脅かすとともに、子供の教育にも深刻な影響を与えています。勤務実態を把握するために、今年度はタイムカードが導入されました。勤務実態はどのようになっているでしょうか。
県教育委員会は、昨年6月、長時間労働を是正するために、岩手県教職員働き方改革プランを作成いたしました。しかし、なぜ限界に達するような長時間労働をつくってしまったのか、その原因の解明もありません。異常な長時間労働を生み出したのは、1日4コマ、週24コマを前提とした定数配置が、学校5日制になっても教員増なしで変わらなかったということ、そして、いじめや不登校、貧困と格差が広がる中で、保護者との関係も複雑さを増し、また、学力テストや行政研修の増加、学校評価など多くの施策を学校に押しつけてきました。公立学校教育職員の給与等に関する特別措置法で残業代ゼロとされ、長時間労働が野放しにされました。そもそも、教育現場でこんな働き方となったのはなぜなのか。どのように分析しているのでしょうか、教育長の見解を伺います。
業務の改善では、学校で一番肝心の授業準備と子供たちと向き合う時間を最大限確保すべきという点で取り組むべきであります。
全国学力テスト、県の学習定着度状況調査は、学校現場では負担となっています。県独自の学力調査については、今年度は長野県、神奈川県など6県が廃止及び休止となっています。岩手県も見直すべきですが、いかがでしょうか。また、標準授業時間数を上回っている実態についても伺います。
第3に、特別な支援を必要とする児童生徒への支援についてであります。
一関市内の特別支援学級在籍児童生徒は全児童生徒の3.8%と、全国を上回るペースで増加しており、児童生徒数が減少しているにもかかわらず、市教育委員会が行った学校アンケートでは、市内の小中学校で11.3%と、特別な支援が必要と思われる児童生徒の率も増加しています。県内の状況はどのようになっているのでしょうか。
一関市では、46人の学校サポーターを配置して子供一人一人の支援計画を作成して支援が行われています。しかし、学校サポーターの各学校からの要望は563人となっており、県としても特別な支援を必要とする児童生徒への支援が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
特別支援学校に在籍する生徒の高校進学はどのようになっているのか、希望する高校に進学できているのかどうか、これについても伺います。
次に、第1次産業の振興について伺います。
岩手県の販売農家戸数は、平成17年から平成27年の10年間で2万2、076戸、毎年約2、000戸が減少しています。その結果、農村から働き手が流出し、学校の統廃合、郵便局、農協などのインフラが崩壊し、助け合って暮らしてきた農村文化が音を立てて崩れています。TPP11発効により、参加国からの1月の牛肉輸入量は前年同月を約6割上回り、日欧EPAによる豚肉、牛肉、ワインやチーズなどの輸入増もこれから始まります。欧州委員会では、輸出が948億円増加すると影響試算をしています。自由貿易を進め、規模拡大や競争力強化に傾斜した農政のあり方というのは修正すべきであります。日米FTA交渉の中止など、自由貿易のあり方を見直し、食料主権の確立を国に求めていくべきですが、いかがでしょうか。
国連が呼びかけた家族農業10年が始まります。これは、家族農業、小規模農業の再評価と尊重が世界の大きなうねりになっていることを示すものであります。家族農業がなぜ再評価されていると思うのか、岩手県の農業振興を進める上でどのように位置づけておられるのでしょうか。
家族農業10年と今回の総合計画が重なります。次期総合計画に家族農業の役割を明記し、岩手の家族農業振興に取り組むべきですが、いかがでしょうか。
中山間地域では、耕作放棄地の増加が深刻であります。中山間地域等直接支払制度も共同活動への支援が年々減少し、産地をどう再生し維持していくのかが課題となっています。茨城県常陸大宮地域農業改良普及センターでは、多品目の枝物による産地づくりが行われています。年金プラスアルファを提唱し、定年退職者を中心に個別巡回で新規栽培者109人を勧誘し、栽培面積46ヘクタールまで広がって、26ヘクタールの耕作放棄地の解消につながりました。大規模経営だけではなく、中小農家を含めた多様な農家に行き届く支援でなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、安倍政権が進める消費税大増税計画について質問いたします。
消費税10%増税をすることに対して、増税に賛成の方を含め、こんな情勢のもとで強行していいのか、こういう苦言の声が出ています。家計消費は8%増税前と比べ、年25万円、実質賃金も18万円も落ち込み、GDPベースで見ても、実質家計消費は3兆円も落ち込んでいます。安倍総理が増税延期を決めた2016年6月時点と比べても、GDPでは年率換算でプラス1.6%、今回はマイナス2.5%となります。個人消費も、設備投資も、輸出も総崩れしており、世界経済の不透明感は増税前より高まっています。政府は、あくまでも所得環境は改善しているなどと言って10%増税にしがみついています。知事は、今日の実体経済をどのように見ているのでしょうか。
先週、私は、陸前高田市の商工会役員の方々と懇談をいたしました。複雑な軽減税率で事業者は大混乱に陥る。復興、なりわい、生活の再建はまだこれからなのに、今何なのかという思いだ、こう語ってくれました。被災者が復興に懸命に取り組んでいるときに、重くのしかかり、暮らしも経済も壊してしまうものではないでしょうか。今の状況の中で増税すべきではないと考えますが、知事の認識を伺います。
今増税するなら、逆進的な税制ではなくて、アベノミクスでもうけを上げた富裕層の方々への増税ではないでしょうか。株のもうけに欧米並みに課税し、大企業に中小企業並みの税負担を求めれば10%増税分の税収が確保できます。10%増税中止を強く求め質問を終わります。
答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、孤独死への対策についてでありますが、平成30年12月末現在で、東日本大震災津波に係る応急仮設住宅と災害公営住宅において、ひとり暮らしで亡くなられた後に発見されたいわゆる孤独死は80人となっており、被災者が地域で孤立を深めることのないよう、きめ細かな対応が必要と考えております。
県では、岩手県社会福祉協議会と連携して配置した生活支援相談員が、市町村が配置する支援員等と連携しながら、被災者への個別支援や、住民相互に支え合うコミュニティー形成等の地域支援の両面に取り組んでいるところであります。
来年度におきましても、生活支援相談員を継続して配置しますほか、今年度試行的に実施したコミュニティ食堂のさらなる展開を図るなど、被災者に寄り添った中長期的な見守り体制を充実し、地域で暮らす人々が相互に支え合うことができる新しい福祉コミュニティーの形成支援に努めてまいります。
次に、いわてこどもケアセンターの受診者の増加についてでありますが、被災地の子供たちは、震災そのものによるストレスに加え、その後の転居など環境の変化や被災生活の長期化に伴うストレスを受けています。そうした中で、いわてこどもケアセンターの受診体制が整備され、センターが広く認知されたこと等を要因として、受診件数が増加しているものと捉えています。
県といたしましては、復興の進捗に対応した心のケア対策は、中長期的な取り組みが必要と認識しております。議員御指摘の被災者の医療費一部負担金の免除につきましては、その生活実態に配慮し、必要な医療を受ける機会を確保する観点から、継続して実施しているものでありますが、心のケアが必要な子供たちを含め、被災者の受療機会の確保や健康の維持増進等にも寄与しているものと考えております。
市町村の医療費一部負担金免除に対する県の財政支援につきましては、現在、平成31年末までとしているところでありますが、以降の実施については、復興事業の進捗状況や被災者の状況の推移、市町村の意向等を十分に考慮した上で判断したいと考えます。
次に、今日の実体経済についてでありますが、2月21日公表の月例経済報告によれば、企業の設備投資は増加しており、個人消費は持ち直している。また、雇用情勢は着実に改善していることなどから、我が国の経済は緩やかに回復しているとされています。
一方、先行きについては、通商問題の動向が世界経済に与える影響など、海外経済の不確実性に留意する必要があるとされています。
また、県が2月8日に公表した最近の景況では、全国と同様に、県内経済は緩やかな回復が続いていると判断したところでありますが、一方で、今後、復興需要の減少傾向が続いていくことが見込まれる中で、経済を安定的に成長させていくことが重要と考えております。
次に、消費税増税についてでありますが、国の平成31年度予算案においては、国、地方合わせて、消費税率を10%に引き上げるに当たって、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調に影響を及ぼさないよう全力で対応することとしており、国会でも議論がなされると思われます。
消費税率の引き上げについては、経済的に弱い立場にある方々や、我が国の経済を支える多数の中小企業に負担を強いることになるため、国民生活に多大な影響を及ぼすことが懸念され、特に本県の場合、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害の被災地への影響も大きく、被災者の暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなることが懸念されます。
県といたしましては、経済的に弱い立場にある方々が困窮することがないよう、また、地域に根差した産業に十分配慮して、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招くことがないよう、引き続き、国に対応を求めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) コミュニティー形成を支援する支援員の配置についてでありますが、被災者の方々が、新たな居住環境で孤立することのないよう、沿岸等の10市町村において、コミュニティー形成に係る支援員を配置しております。
県におきましても、県営災害公営住宅における自治会運営のサポート等を行うコミュニティ形成支援員を配置しているほか、被災地コミュニティ支援コーディネート事業により、市町村へのコミュニティー形成に係るノウハウの提供や、コミュニティー形成に携わる人材の育成の支援を行っているところです。
来年度においても、国の被災者支援総合交付金を活用して、市町村において支援員を継続して配置する予定と聞いており、県でも、コミュニティ形成支援員の配置や、被災地コミュニティ支援コーディネート事業を継続して実施することとし、そのための経費を来年度当初予算案に計上したところでありまして、コミュニティー形成が円滑に進むよう、引き続き市町村における取り組みを支援してまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) コミュニティー支援の強化についてでありますが、県では、県営災害公営住宅の自治会に対しては、要請があった場合には、高齢者の世帯数や空き住戸などに関する情報を提供するほか、個々の入居者の情報については、入居者の同意を得た上で提供することとしています。
また、コミュニティ形成支援事業によるコミュニティ形成支援員とともに各自治会に出向き、役員との意見交換を実施する中で、自治会の名簿作成の意向について伺っています。
現在のところ、自治会からは、入居者の同意が必要となるような情報の提供依頼はいただいていないところでありますが、引き続き、さまざまな機会を捉え、また、市町村や関係機関とも連携しながら、コミュニティーの円滑な形成や運営に向けて支援してまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、水産加工業の振興についてでありますが、県では、加工原料の安定確保のため、水揚げ状況などの情報提供や、主要魚種以外の原料に変更を検討する場合の事業者への助言のほか、市町村や漁協と連携し、サバ、イワシを漁獲するまき網漁船などの地元魚市場への誘致に取り組んでおります。
また、地域水産物の高付加価値化及び販路開拓に向け、高度衛生品質管理地域づくりなどを進めており、全国的に高い評価を頂戴しております。
さらに、全国有数のマダラの水揚げがある宮古市では、地域を挙げてマダラのブランド化を推進し、地元の加工業者によるマダラ加工品が消費者からの好評を得て売り上げを伸ばしているなど、県としても高く評価しているところであります。
今後は、引き続き、これらの取り組みを進めるとともに、通電加熱技術などの新しい加工技術の開発、普及、水産加工コンクールや展示商談会への出展支援を行うなど、本県水産加工業の一層の振興に取り組み、消費者から選ばれる産地づくりを推進してまいります。
次に、自由貿易のあり方についてでありますが、昨年12月にTPP11が、今月には日EU・EPAが発効し、輸出拡大が期待される一方で、その後、牛肉の輸入量が増加したとの報道があるなど、本県の基幹産業である農林水産業に影響を及ぼすことが懸念されております。
加えて、昨年9月には、日米首脳会談において、日米物品貿易協定の交渉を開始することが合意されたところであり、今後、交渉の結果によりましては、農林水産業への影響がさらに拡大することが懸念されております。
このため、県では、国に対し、農林水産業等に及ぼす影響などについての十分な情報提供を行い、国民的議論を尽くすことや、地域産業が持続的に発展できる貿易ルールの確立に向け万全な対応をとることなどについて、機会あるごとに要望してきたところであります。
今後も、農林水産業者が安心して経営を継続できるように、国の責任において万全の対策を講じるよう求めていくとともに、国の動向を注視しながら、必要な対応を検討してまいります。
次に、家族農業の10年についてでありますが、国連が家族農業の10年を定めたのは、食料生産や生物多様性の保全などにおいて、家族農業の果たす役割の重要性が改めて評価されたことによると承知しております。
また、本県の農業経営を見ますと、経営体の97%が家族経営体であり、家族経営体は、本県の農業生産や農業、農村の多面的機能維持などに重要な役割を果たしております。
いわて県民計画最終案においては、政策項目の経営体の育成に、多くの小規模、家族経営を中心とする集落営農組織等の経営規模の拡大や生産活動の効率化を盛り込むとともに、活力ある農山漁村づくりに、小規模、家族経営などの地域を支える多様な生産者の地域の農業、農村を維持する取り組みなどを盛り込んだところであり、県といたしましては、今後とも、本県の農業、農村を支える家族農業の取り組みを支援してまいります。
次に、多様な農家に行き届く支援についてでありますが、本県の中山間地域においては、不利な生産条件のもとで、小規模農家、兼業農家など、多くの農家が生産活動に携わっており、こうした多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活性化、活発化を通じて、活力ある農業、農村を実現していくことが重要であります。
このため、県では、中山間地域等直接支払制度等により、農業生産活動などを支援するとともに、地域コミュニティーを支える人材の育成や小規模な区画の拡大や暗渠排水等の生産基盤の整備などに取り組んでいるところであります。
県としては、今後とも、小規模農家など生産者の一人一人が生き生きと働き、暮らすことのできる農業、農村の実現に向け取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、グループ補助金に係る県の支援等についてでありますが、いわゆる高度化スキーム貸し付けにつきましては、県は、貸し付けを行っている公益財団法人いわて産業振興センターと連携し、貸付先の業況を確認しておりまして、これまでに15者21件について、最終償還期限の延長や毎回の返済額の低減といった条件変更を行っており、引き続き、事業者の事情に応じて柔軟に対応してまいります。
本設再開への支援につきましては、県では、グループ補助金により、これまで191グループ、1、525事業者に対して890億円を交付決定し、被災事業者の早期事業再開に大きな役割を果たしてきたものと認識しております。
グループへの参加が困難な事業者には、市町村と連携した中小企業被災資産復旧事業費補助金によりまして、その復旧を支援しているところであります。
また、仮設施設を譲り受けて営業継続を希望する商業者につきましては、これまで19事業者に対し、市町村から施設が譲渡されているところでありまして、今後におきましても、市町村と連携して事業者の本設再開を支援してまいります。
次に、仮設施設で事業を継続している方への支援につきましては、平成30年12月末現在、仮設施設で事業を継続している商業者は210者となっておりますが、仮設施設の撤去等費用の助成期限の延長が平成31年度の国の当初予算案に盛り込まれ、これによりまして、市町村が定めた退去期限までに本設移行ができない事業者であっても、その事情に応じて、退去期限の延長等、市町村において弾力的な運用が可能となっております。
県といたしましては、引き続き、市町村や金融機関と連携を密にし、円滑な本設移行に向けて、グループ補助金等の活用や金融支援を行ってまいります。
次に、グループ補助金に係る国の動向等についてでありますが、国におきましては、平成31年度当初予算案に75億8、000万円のグループ補助金に係る予算を計上するとともに、土地区画整理事業等の公共事業のため移転した事業者が、もとの場所に戻って事業再開する場合の再交付申請の要件を緩和することとしておりまして、県におきましては、本議会に提案している平成31年度当初予算案に65億6、000万円余を計上しているところであります。
県といたしましては、2020年度以降のグループ補助金の継続や、複数年度にわたる事業実施のために必要な措置について、国に要望してまいりますほか、商工指導団体とも連携し、グループ補助金の申請に向けた周知や相談など、引き続き、本設再開に向け、被災された事業者のニーズに応じたきめ細かい支援に努めてまいります。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 要配慮者利用施設の避難確保計画についてでありますが、策定がおくれている要因としては、計画策定の主体となる施設管理者の制度に対する理解や計画の具体的な作成方法、関連する防災気象情報等の知識が、必ずしも十分ではなかったものと考えられるところです。
このため、県では、今年度、盛岡地方気象台などの協力も得まして、講習会を開催し、周知に努めたほか、市町村へ直接働きかけを行うとともに、市町村が行う講習会等へ県から講師を派遣するなど、計画策定の支援に努めたところです。
こうした取り組みにより、昨年4月1日現在の避難確保計画を策定した施設数は196施設、16.7%から、本年2月までには598施設、50.9%まで進んだところです。
今後におきましても、計画策定がおくれている市町村の支援ニーズを把握するとともに、関係機関と連携して助言等を行うなど、計画策定に向け、一層の支援に努めてまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、避難行動要支援者名簿の提供についてでありますが、本県においては、29市町村で、平常時からの対策として、消防機関や民生委員など避難支援等関係者への要支援者名簿の提供が行われていますが、要支援者が自身の情報を周囲に知られたくない等の理由により提供の同意が得られないことから、その数は要支援者の約4割にとどまっている状況にあります。
一方で、県内にも、個人情報保護条例に基づき、公益上の必要性があると認めることにより、本人の同意の有無にかかわらず名簿情報を提供する取り組みを行っている自治体もあるところです。
県としては、災害時において実効性のある避難支援が行われることが重要であると考えており、今後も研修会等において、議員御紹介の茅野市を初め、先進的な取り組み事例を紹介するなど、市町村の支援を行い、地域の実情に応じた避難行動要支援者の避難支援の充実に取り組んでいきます。
次に、避難所のあり方についてでありますが、平成28年に、内閣府において、避難所のトイレや食事、寝床などの質の向上のためのポイントを示した避難所運営ガイドライン等が作成され、良好な生活環境の確保を推進しているところであります。
県では、これらを参考に、市町村避難所運営マニュアル作成モデルを作成し、その普及を市町村に働きかけており、平成31年1月現在、20市町村が策定しているところであります。
県としては、研修会等を通じ、これらマニュアル等の普及を図り、市町村の取り組みを促進することとしていますが、国に対しては、災害救助法に災害派遣福祉チームや感染症対策を位置づけることなどを要望しているところであり、今後、必要に応じ、避難所の改善についての要望も検討してまいります。
次に、国民健康保険の構造的問題への対応についてでありますが、今般の国保制度改革においては、国による毎年約3、400億円の財政支援の拡充が図られることとなったものの、必ずしも構造的な課題の解決に結びついていないものと考えています。
県としては、これまでも国に対して、国庫負担率の引き上げなどさまざまな財政措置の方策を講じ、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう要望してきたところであり、今後も、制度の安定的運営が図られるよう、他の都道府県と連携しながら、財政措置の拡充について国に働きかけてまいります。
次に、応益負担制度の見直しに係る国との検討状況についてでありますが、国と地方との協議の場である国保基盤強化協議会が平成27年2月に取りまとめた国民健康保険の見直しにおいて、地方が提案した子どもに係る均等割保険料の軽減措置の導入については、現行制度の趣旨や国保財政に与える影響等を考慮しながら、引き続き議論していくこととするとされているところであります。
その後も、全国知事会において、子どもに係る均等割保険料の軽減措置の導入に関する要望を継続して行っているところでありますが、これまでの間、主として国保制度改革に伴う国の財政措置の拡充等の議論が優先してなされてきた経緯もあり、具体的な議論には至っておりません。
県としては、引き続き、全国知事会を通じて軽減措置の導入について要望を行うとともに、制度移行が円滑に進んだ状況なども踏まえ、国に具体的な議論を求めていきたいと考えています。
次に、子育て支援策としての応益負担制度の見直しについてでありますが、国保税の標準課税総額に対する均等割、平等割等の標準割合については、地方税法で定められており、県では、これに基づき市町村納付金の算定を行っているところであります。
一方で、被保険者に対する保険税については市町村の判断により算定することができるものでありますが、今般の宮古市の応益負担の見直しに当たっては、国保税収入の減に相当する一般会計からの繰り出しを行うものと聞いています。
本来、子供の均等割軽減措置等は、個別の市町村が財源負担を行いながら導入するものではなく、また、各自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で子育て世代の負担解消が行われるべきものであることから、全国知事会を通じて国に要望を行っているところであり、引き続き国に求めていきたいと考えています。
次に、法定外繰り入れについてでありますが、平成29年11月に策定した岩手県国民健康保険運営方針においては、健全な国保財政の確保の観点から、決算補填を目的とした法定外の一般会計繰り入れは解消に努める必要があるとしているところであり、市町村の実態を踏まえ、単年度での赤字の解消が困難と認められる場合には、県は、当該市町村が計画で定める目標年次までの赤字の解消、削減に向け、指導、助言を行うこととしています。
一方で、市町村においては、それぞれ運営上の課題があることから、その判断により法定外繰り入れを行うことも可能と考えており、県では、一律に法定外繰り入れを認めないとする指導、助言は行っていません。
また、今般の国保制度改革で算定方式が変更となったことに伴う保険税負担の激変緩和が行われている間においては、改革施行前後における被保険者の負担の変化にも十分配慮した対応が必要であり、市町村に対しては、こうしたことも踏まえた適切な対応を促していきます。
次に、滞納者への対応についてでありますが、滞納処分や短期被保険者証等の交付は、税負担に関する公平性等を確保するため、担税能力がありながら納付していただけない方に対する手段として一定の効果があるものと考えており、市町村において十分な調査を行った上で実施されています。
短期被保険者証等については、いずれの市町村も交付を原則としており、未交付については、滞納者が納付相談に来ていただけないことなどから、結果的に発生しているもので、県としては、できるだけ速やかに手元に届けるよう助言を行っています。
滞納の要因は、失業や疾病などによる経済的困窮である場合など、真に納付が困難な場合もあることから、分割納付や徴収猶予等の対応のほか、生活困窮者の自立支援を担当する部署と連携した支援などにより、滞納者に寄り添ったきめ細やかな対応を行うよう、市町村に対して要請を行っているところであり、県内市町村においても実施している滞納者の生活再建の視点も踏まえた対応についても、共有を図りながら、適切な対応を促していきます。
次に、児童虐待への対応についてでありますが、検証報告書では、子どもの安全確保を最優先にした対応の徹底など、六つの提言をいただいたところであり、議員御指摘の安全確認については、市町村や児童相談所に対し、通告早期の段階での保護者への面接やチェックリスト等を活用した積極的な情報収集が求められたところであります。
今後、県では、ネグレクトに該当する場合のリスクを適切に判断できるよう、一時保護の必要性等緊急性を判断するためのアセスメントシートの見直しや、保育施設を対象とした研修の実施など、再発防止に取り組んでまいります。
次に、関係機関の連携についてでありますが、検証報告書の提言には、関係機関による連携強化として児童に関連する部署との連携が盛り込まれており、公共料金の滞納等、虐待のリスク要因を発見した場合は、虐待対応部署に連絡できるよう、関係職員への啓発、仕組みづくりを検討する必要があるとされたところであります。
県としては、各事業者団体に対し、気になる子供がいる家庭がある場合の取り扱いについて通知するとともに、市町村に対し、母子保健担当部署や福祉事務所、教育委員会といった庁内関係部署との連携を促していきます。
次に、市町村の体制強化についてでありますが、検証報告書の提言には、市町村における相談支援体制の強化及び専門性の向上が盛り込まれており、市町村の体制強化として、専門知識と経験を有する専任の正規職員の養成に計画的に取り組むとともに、長期に継続して配置されるような人事についても考慮すべきこと、各市町村において、子ども家庭総合支援拠点の設置、強化の取り組みを推進すべきことが示されているところであります。
県としては、市町村に対し、研修を通じて市町村職員の専門性の向上を図り、人材育成を含めた体制強化を働きかけるとともに、国の補助事業を活用した子ども家庭総合支援拠点の設置を促すなど、今後とも市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、市町村要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協の機能強化についてでありますが、検証報告書には、六つの提言のうちの一つとして、要対協の機能強化が盛り込まれ、個別ケース検討会議、実務者会議の活性化、市町村要対協を効果的に機能させるための組織体制づくり、要対協調整担当者の知識、スキルの向上の必要性が示されたところであります。
県では、2月8日付で、市町村にこれらの取り組みを促す通知を行ったところであり、今後、担当者会議を開催し、市町村に周知徹底を図りながら、個別ケース検討会の開催等、市町村要対協の機能強化を促していきます。
また、引き続き、市町村要対協の調整担当者への研修を通じて、知識、スキルの向上を支援していくほか、児童相談所職員が要対協の運営についてもきめ細かに助言、指導を行うなど、会議の活性化等機能強化に取り組んでまいります。
次に、児童福祉司の増員についてでありますが、国が昨年12月に公表した児童虐待防止対策体制総合強化プランでは、児童福祉司1人当たりの業務量が40ケース相当となるよう、平成31年4月時点で、児童相談所管轄区域人口4万人に1人以上となる児童福祉司配置基準を、2022年度までに3万人に1人以上に引き上げることとされています。このプランに基づき、単純に計算すると、本県では、全体で44人の児童福祉司の配置が必要となります。
次に、子どもの生活実態調査の内容についてでありますが、県では、今年度、県内の小学5年生、中学2年生とその保護者全てを対象とし、世帯の就業、収入の状況や、生活状況等を把握するための生活実態調査、就学援助制度利用世帯等の保護者全てを対象とし、困窮世帯の生活実態や公的支援の認知度、利用度、利用意向等、支援ニーズを明らかにするための就学援助制度利用世帯等調査等を実施したところであります。
子どもの生活実態調査の回答率は88.5%で、就学援助制度利用世帯等調査の回答率は69.0%と、他県で実施した調査に比べて高い回答率となっていますが、現在、設問別の単純集計がおおむね終了した段階であり、今後、世帯類型別や所得階層別等のクロス集計などを行っていくこととしています。
次に、次期総合計画についてでありますが、子供の貧困率は、厚生労働省が国民生活基礎調査において3年に1度調査を行っているものであり、都道府県別数値は公表されていないところであります。このため、貧困率そのものをいわて幸福関連指標とはしていませんが、貧困の世代間連鎖を断ち切り、子供たちが自分の将来に希望が持てる社会を実現するため、子供の貧困対策は重要であると認識しておりまして、県では、いわての子どもの貧困対策推進計画を策定し、保健福祉部門はもとより、各部局が連携して取り組んでいるところであります。
いわて県民計画最終案においても、生まれ育った環境に左右されることなく子供たちが成長していけるよう、子供の貧困対策や児童虐待の防止対策などにより、子供が健やかに成長できる環境を整備することとしています。
次に、ひきこもりの実態把握についてでありますが、ひきこもり当事者や御家族への直接の調査は対象者の選定が困難であることから、今回の調査は、他県の実態調査の先行事例や有識者の御意見を踏まえ、住民の身近な相談相手として活動し、地域の実情に詳しい民生委員、児童委員に対するアンケート調査としたものであります。
今回、民生委員、児童委員の御協力により、全県的な人数や、本人、家族からの支援ニーズなどの貴重なデータが把握できたと考えており、この調査結果をもとに、市町村や関係機関、団体と連携しながら相談支援の充実強化を図り、支援につなげてまいります。
次に、ニーズに合った支援についてでありますが、県では、岩手県精神保健福祉センター内に設置している岩手県ひきこもり支援センター及び各保健所において、ひきこもりに関する相談支援等を行っており、県ホームページやリーフレット、市町村広報誌への掲載等により周知をしているところであります。
また、相談の内容により訪問支援が有効であると考えられる場合は、保健所や市町村等が対応しており、保健所では、平成29年度は、20人に対し延べ83回の訪問支援を行ったところであります。
今回実施した実態調査では、何も支援を受けていない、あるいは支援を受けているか不明という方が多く見られたことから、専門相談や市町村巡回相談を強化し、ひきこもり当事者及び家族等の個々の状況やニーズに合わせた相談支援を充実するとともに、早期の支援につながるよう、一般住民や民生委員等を対象とした研修会の実施、ガイドブックを活用した支援者による啓発活動等に取り組んでまいります。
次に、相談体制と人材育成についてでありますが、県では、ひきこもり支援センターに専門相談員2名を配置するとともに、各保健所において相談対応に当たっているほか、支援者向けの研修や技術支援、関係者研修等により、地域でひきこもり支援に対応できる人材の育成に取り組んでいるところであります。
今回の調査結果から、ひきこもり当事者の高齢化、ひきこもり期間の長期化が見られ、相談支援の内容も年々難しくなることが想定されることから、より高度な支援を行う支援者を養成するため、国が主催する研修への派遣等を拡大するなど、人材育成事業の充実により、相談支援体制の強化を図ってまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) まず、35人学級の成果についてでありますが、これまで段階的に導入を図ってきたその成果といたしましては、児童生徒の授業中の発言や体験の機会が増加し、児童生徒の主体的な学びを展開しやすくなっているということなどの学力面での効果や、教師の目が行き届き、安全管理やトラブルの未然防止などの生徒指導上の効果等について、学校現場から評価されております。
今後、この少人数学級を安定的に継続していくためには、国による抜本的な定数改善が不可欠と考えておりますので、加配定数の充実とあわせ、少人数学級の基礎定数化等を国に対し引き続き強く要望してまいります。
次に、タイムカードにより把握した勤務実態についてでありますが、県立学校におけるタイムカードは昨年8月から導入したところであり、年間を通じた全体的な把握はできておりませんが、本年度、第3四半期に限った状況について申し上げますと、1人当たりの月平均時間は40.1時間となっております。
勤務時間把握の方法を自己申告からタイムカードに変更したことから、前年同期との単純な比較は難しい面もありますが、いずれ、この実態等を分析して、対策を講じながら、働き方改革プランの実現に向け、鋭意取り組んでまいります。
次に、長時間勤務の要因についてでありますが、平成31年1月の中央教育審議会の答申においては、勤務の長時間化の主な要因として、若手教員の増加、総授業時間数の増加、部活動指導時間の増加などが挙げられておりますが、県教育委員会で昨年8月に実施した勤務負担に関する教職員へのアンケート調査の結果では、時間外勤務の大きな要因として、部活動や行政、関係団体の関係事務、保護者、地域等への対応などを挙げる回答が特に多くなっております。
これらの結果等を総合的に勘案いたしますと、いじめや不登校など教育課題の多様化や、学校や教員の役割の高まりに加え、時代の変化に対応するための教育課程の見直しなどが主たる要因と分析いたしております。
次に、学力調査についてでありますが、県学習定着度状況調査は、本県の児童生徒の学習上の課題を踏まえ、身につけるべき学力を具体的な問題の形で示しており、調査の有効な活用によって教員の授業改善を推進し、児童生徒の学習状況の調査や学習意欲の向上、確かな学力の定着を目指して行ってきております。しかしながら、一方では、その実施により、教職員の過度な負担につながっているとの意見があることも承知しておりますし、新学習指導要領への移行による教科時間数の増加等の動きもありますので、県教育委員会といたしましては、他県の状況も参考にしつつ、教職員の働き方改革の観点も踏まえるとともに、市町村教育委員会の意見等もお聞きしながら、調査内容や実施方法のあり方など、今後の方向性等について検討していきたいと考えております。
また、授業時間数については、平成27年度における国の調査によれば、標準授業時間数を上回る県内の小中学校の割合は全国の状況より高い傾向にあり、児童生徒の実態に応じた学習の充実を図ってきていることなどがその要因と捉えておりますが、新学習指導要領の実施を踏まえつつ、教員の負担も考慮しながら、適切な教育課程の実施について市町村教育委員会との連携のもとに取り組んでまいります。
次に、特別な支援を必要とする児童生徒の状況についてでありますが、直近のデータである平成26年11月時点の状況について申し上げますと、本県小中学校の通常の学級に在籍している特別な支援が必要とされる児童生徒数はおよそ5.7%となっておりますが、本年度において県内小中学校に設置されている特別支援学級に在籍している児童生徒数は、802教室に約2、300人となっております。
次に、特別な支援を必要とする児童生徒への支援についてでありますが、小中学校では、通常の学級、特別支援学級、通級による指導のそれぞれの学びの場において、児童生徒の障がいの状態や特性、発達段階等を適切に把握し、一人一人の教育的ニーズに応じた支援を行っていくことが大切であり、県教育委員会では、これまで、特別支援教育支援員の適切な配置を市町村に要請するとともに、小中学校の特別支援教育支援員の研修等も行いながら、特別支援教育に携わる教職員の資質向上を図ってきております。
また、小中学校での授業の補助や学校生活の支援を行うボランティアの養成なども推進してきておりますが、今後におきましても、市町村教育委員会とともに、教職員の専門性の向上や学校と地域等の連携も図りながら、児童生徒一人一人に応じた支援の充実に努めてまいります。
次に、特別支援学級在籍生徒の高校進学についてでありますが、直近の3年間における県内中学校の特別支援学級に在籍する中学生の高校進学率について申し上げますと、平成27年度は31.6%、平成28年度は37.0%、平成29年度は46.3%と年々増加してきておりますが、県教育委員会におきましては、特別支援学校の教員が中学校を訪問し進路指導に関する助言等の支援を行ったり、また、高等学校では、高校入試の際に、障がい等の状況に応じて、拡大鏡の使用や別室受検などの合理的配慮を実施したりするなど、希望する進路実現への支援を行ってきております。
今後とも、さまざまな学びの場の充実を図るとともに、市町村教育委員会等と連携を図り、生徒が適切な進路選択を行えるよう取り組んでまいります。
〇13番(高田一郎君) それでは再質問いたします。
まず、国民健康保険の問題についてお聞きしたいと思います。
3、400億円の財政支援では、国保の構造的問題が解決できないということで、国に対して引き続き要請していくということであります。結局、この問題が解決しないと本当の意味で構造的な問題が解決できないので、これはやっぱり知事が先頭に立って、全国知事会の力を結集してしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そこで、宮古市の子供の均等割の廃止については、大変住民から歓迎されておりますし、恐らく全国初ではないかと思います。全国から大変注目されていると聞いています。一般会計からの繰り入れで、システム改修を含めて1、800万円程度の予算措置だとお伺いいたしました。これは一般会計からの繰り入れなのですね。県は、国保の運営方針で、一般会計からの繰り入れは、解消に努めるということであります。
私は、国保の運営というのは、住民自治と住民福祉の立場でこの問題を解決すべきだと思いますし、それはやっぱり、市町村の判断を最優先にすべきだと思います。部長の答弁は、市町村は、繰り入れは可能だと言いながら、国保運営方針では、解消に努めるという矛盾に満ちた内容になっています。だから、今現場では、来年度から繰り入れはもうできないのだと、そういうことが起きているのです。ここをはっきり整理して、県としては、市町村が繰り入れすることは可能なのだと。そして、国保運営方針を見直すという立場に立って、市町村に対する指導、支援をしていただきたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
短期被保険者証の未交付、資格証明書の発行の問題について伺います。
私はこの問題で、運用を間違ってしまえば命にかかわる危険があると思います。全国各地で通院できずに手おくれになる、そういう事態も全国各地で起きています。
その点でお聞きしたいのは、113件の資格証明書の発行です。これは、いわゆる担税能力がありながら納付していないという、いわゆる悪質扱いなのですね。しかし、本当にそうなのか。国保の運営は、今後県と市町村が一体となってやるわけですから、県がこの状況をしっかり把握する必要があるのではないかと思いますが、この点をお聞きしたいと思います。
短期被保険者証の未交付1、346件、これはとめ置きです。本来、発行しなければならないにもかかわらず、とめ置きになっている。これは私は直ちに解消すべきだと思います。
東京都足立区では、このような対応をしています。
滞納している人は、ほかにも生活困難があるとして、つなぐシートをつくって、生活実態、困り事を整理して、他の部局と連携して解決に当たっています。だから、短期被保険者証の未交付はなしだと言っているのです。これでさまざま解決しているのです。だから私は寄り添った対応をすべきだと思います。指導、支援をしているということを言っていますけれども、そういう立場で未交付は、とめ置きはもうしないと。直ちになくしていくという足立区の経験に学んで、また、12月議会では滋賀県野洲市の取り組みも斉藤議員が紹介しましたけれども、こういう立場で対応していくべきだと私は思います。一歩間違えば、運用次第では、命にかかわる問題につながってくると思いますので、こういう立場で対応すべきだと思います。
次に、児童福祉司の増員問題についてお聞きいたします。
私が質問したのは、1人40ケースでやった場合には、どれだけの児童福祉司を増員しなければならないのかということをお聞きしたのです。
私は、一関児童相談所にお邪魔して、相談の実態を伺ってきました。このままのペースでいけば、今年度700件の相談になると。そのうち児童虐待の相談は38%。5年前は19%だったというのです。相談もふえているけれども、児童虐待の相談が物すごくふえていて、そして一時保護を担当する専任の職員がいなくて、児童福祉司が兼任しているというのです。1人40ケースというのは、最低基準だということで増員計画をつくっていくべきだと私は思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
そして、一時保護の専任職員がいないというのは、一関児童相談所だけなのでしょうか。児童相談所運営方針というのがあります。この運営方針からしても、専任というのが原則ではないかと私は思います。兼任というのは問題がないのか、この点についても伺います。
そして、一関児童相談所の改築はどうなっているのか。新年度予算では宮古児童相談所の改築が予算措置をされました。新年度、一関児童相談所は2人の児童福祉司が増員になりますけれども、事務所のスペースがありません。一時保護もみんな受け入れられなくて、里親とかあるいは児童養護施設に委託しているのです。子供の生活する十分なスペースもない状況でありますから、しっかりとした改築計画をつくっていくべきではないかと思うのですけれども、一関児童相談所の改築計画についてどういう状況になっているのか、全くないのか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、宮古市におきまして国民健康保険税の応益負担の見直しを行ったという件でございます。
均等割減免自治体というのは、全国で9市において実施していることを確認しております。ただ、先ほども申し上げましたが、全国どこの地域でも同等な水準で子育て世代の負担解消が行われるよう、国において議論されるべき問題でもありますので、県としては、今後も、先ほど申し上げた3、400億円をさらに財政措置をしていただくこととあわせまして、子供の均等割の減免等についても、全国知事会と連携しながら国に対応を要望していきたいと考えております。
それから、宮古市の均等割の減免については、一般会計からの繰り入れで行われているわけでございますけれども、一般会計からの繰り出し、法定外繰り入れにつきましては市町村で判断いただくことでありまして、できるだけ国保財政の健全な確保をお願いしたいという旨の厚生労働省保険局長の答弁があるわけでありますけれども、市町村の判断によって法定外繰り入れを行うことができるものと考えているのは、先ほど御答弁したとおりであります。ただ、健全な国保財政を確保する必要があることについては、これは県、市町村とも共通の認識を持っているものでありますので、赤字補填分について計画的な解消に努める必要があると考えているものでございます。
次に、国保についての短期被保険者証の関係でございます。
いわゆる短期被保険者証の未交付、とめ置きの関係でございますけれども、県としては、短期被保険者証の未交付の状態が速やかに解消されるよう、つまり、窓口においてとめ置きを放置せずに、電話連絡や家庭訪問等で接触を試みて、できるだけ速やかに手元に届けるように市町村に対し通知を行っているところでありまして、今後も市町村に対してそうした必要な助言等を行っていきますし、113件の発行の状況についての実態の把握に努めてまいります。
東京都足立区の取り組みを御紹介いただきました。県内市町村におきましても、一関市でありますとか北上市、大船渡市におきまして、まさに滞納者の生活再建の視点も踏まえた対応、関係部局と一緒になった対応を行っておりますので、そうした適切な対応を促していきたいと考えております。
次に、児童福祉司の増員についての御質問をいただきました。
先ほど申し上げたとおり、児童福祉司1人当たりの業務量は40ケース相当となるようにということでありまして、本県の現在の児童相談所の児童福祉司が担当しているケース数は、平均すると53ケース程度でありますので、全体で44人の児童福祉司の配置が必要となるというのは先ほど御答弁申し上げたとおりでありまして、現在、平成30年度では、37名である児童福祉司を、平成31年度には5名増員いたしまして42名の配置とする計画としております。
一時保護の専任職員がいない、兼任となっているというところにつきましては、そこの解消に努めて、まさに専門の職員の確保に努めていきたいと考えております。
次に、一関児童相談所の改築について御質問をいただきました。
一関児童相談所の一時保護所は個室が1部屋ありますけれども、ほかに男女別の居室が各1部屋のみであって、不十分な状況であるということは認識しております。来年度、宮古児童相談所の改築の実施設計等を行いますけれども、宮古児童相談所は東日本大震災津波で建物に亀裂が入るなど被害を受けておりまして、これは早急な建てかえが必要であります。一関児童相談所の改築につきましても、いつ行うか、めどを立てた上で計画的な整備に努めていきたいと考えているところでございます。
〇13番(高田一郎君) 国保の一般会計の繰り入れ問題については、繰り入れはもう市町村の判断で可能だと言いながら、国保運営方針では、繰り入れは解消に努めるという矛盾に満ちた中身になっているのです。ここはもっとわかりやすく整理をして、繰り入れは市町村の判断で可能なのだと、国保運営方針を見直すべきだと改めて思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
短期被保険者証未交付については命にかかわる問題でありますから、交付したからと言って解決する問題ではないのです。全国の経験に学んで対応していくべきだと、改めてお願いしたいと思います。
それでもう一つ、ひきこもりの問題については、改めて実態把握をしてほしいというお話をしました。実は県内でも洋野町がやっているのです。部長御存じですか。
なぜ始めたかというと、2年前、地域包括支援センターの職員が、介護認定された高齢者がなかなかサービスを受けてくれないと。訪問したら、ひきこもりになっている子供がいて、自分が亡くなった後、生活が大変になると言って、サービスを受けるのをためらって貯蓄をしていたと。これは大変だということで、地域包括支援センター挙げて、ローラー作戦をして調査をしたというのです。秋田県藤里町でも出現率8.7%です。これをやっている自治体もあるわけですから、こういった経験を広げて、県がやったからそれで終わりというのではなくて、市町村にもそういう対応をしてもらうように働きかけていくべきではないかと改めて思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
この問題というのは、調査はまずやるということが大事です。もう一つは、訪問調査です。そしてニーズを聞いて必要な支援をすると。あるいは居場所づくりが大事だということも指摘をされています。これは昨年12月県議会で、請願採択した中身でもあるのですね。県は、まだ待ちの姿勢です。相談に来たら支援をする、相談に乗ってあげるという、こういう姿勢です。訪問支援、居場所の設置、これも私は大事じゃないかと思うのですけれども、今後の検討課題にすべき課題だと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
最後に、教育長に教育の問題について伺います。
標準授業時間数の実態について答弁をいただきました。私も資料をいただきましたけれども、現在、標準授業時間数は、小学校では980時間になっています。これの100時間を上回っている学校が県内では44%、中学校では12.6%にもなっています。子供のため、教育のため、学力向上のためと言って、次々といろんな仕事をお願いしてきた現状がここにあるのではないかと思います。やっぱり、業務量の改善の視点は何かと言えば、授業にしっかりと準備できる時間を保障すること、子供としっかりと向き合う時間をつくること、それを最優先にして業務の見直しというものをやるべきだと私は思うのですけれども、この点についてもどうなのか。余りにも標準授業時間数を大幅に上回るようなこの実態というものは解決していくべきだし、1月の中央教育審議会の答申でも、体制をきちんと組まない、教職員をふやさない中で標準授業時間を大幅に上回る、これは改善しなければならないと指摘されています。
この点について改善する必要があるのではないかと思いますけれども、改めてお聞きしたいと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 国民健康保険の法定外繰り入れについてであります。
一般会計からの法定外繰り入れには、単年度の決算補填のため、あるいは市町村の保健事業に充てるために行っている、あるいは先ほどの宮古市のような例もあると思います。国保運営方針で定めているのは、決算補填を目的とした、つまり赤字補填を目的とした法定外繰り入れを段階的に解消していく必要があるとしておるものでありまして、そうした赤字補填分については、計画的な解消に努める必要があると県と市町村共通の認識を持っているものでございます。
短期被保険者証についての御質問がございました。議員からお話のありましたとおり、まさに被保険者の必要な医療を受ける機会を制限することのないよう、市町村に対して、滞納者個々の事情に十分に配慮したきめ細やかな対応をするよう要請してまいります。
引きこもりについて、訪問支援あるいは居場所の設置等を行う必要があるということでありまして、まさに今回、実態調査を行いましたので、関係機関や団体と共有して、福祉であったり、教育であったり、就労等、各種支援を組み合わせてサポートが行われるよう連携して包括的な支援に取り組むところでございますし、市町村とこのデータについて共有しますので、戸別訪問等の支援が必要な場合は、県と市町村で連携しながらそうした支援に努めてまいります。
居場所の支援につきましても、どういったものが必要であるか等について研究していきたいと考えております。
〇教育長(高橋嘉行君) 先ほど、働き方改革の関係で県学習定着度状況調査のあり方について答弁させていただきましたけれども、御案内のとおり、授業時間数、標準時間数との関係についても、これらも含めて学校が行っている業務全体を見直していくことが、学習指導要領の改訂に伴って必要になってくると思います。
ただ、一方で、それを実現していくためには、市町村教育委員会との十分な合意形成の上で進めることが大事だと思っておりますので、ただいまいただいた御意見等も踏まえさせていただきながら、検討させていただきたいと思います。
〇13番(高田一郎君) 引きこもり問題については、相談所を設けても直接来ないのが実態ですよね。だから、やっぱり実態を把握して、訪問支援をして直接支援に結びつけることが非常に大事ですので、これはぜひやっていただきたい。
それで、今、県内でも訪問支援を行っている民間団体があるのですね。私は、その人の講演を聞く機会がありましたけれども、訪問支援を行っても、結局、交通費なんかもらえないのだと。私たちは募金で、みんなに訴えて活動資金を蓄えてやっているのだという話をされました。
県が今すぐ訪問支援ができないというのだったら、県内でもいろいろやっているこういう民間団体があります。そういったところに具体的な財政支援はできないものかということを一つお伺いしたいと思います。
それで、私は知事にも最後、せっかくですからお聞きしたいと思います。
先週、私は東日本大震災津波の被災地の大船渡市、陸前高田市に行ってきました。自治体の首長やさまざまな団体から言われたのは、復興期間が終わった後の財政支援は本当にどうなってしまうのだろうか、これが共通していました。
そしてもう一つは、今、復興の総仕上げの時期だと言われているけれども、やっぱりきちんと東日本大震災津波からのこの間の総括をして、後に続く災害に備えてほしいのだという話をされました。なぜこんなに犠牲者がいっぱい出たのか。孤独死、震災関連死。そして、土地利用計画も、なかなかうまくできなくて難儀している、法改正も必要ではないか、こういう話をされました。きちんと総括をしない中でこの復興期間を終わっていいのかと。国会は、この間ずっと復興特別委員会が一切開かれていないと聞いて、私も大変びっくりしました。国会自身が風化しているという思いであります。
今、こういった被害の本当に大きい自治体の首長、関係者の皆さんが、そういう思いでいるということに対して、知事はどのような思いでいるのか、もしコメントがありましたら答弁いただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) いわゆる復興期間というものは、特別会計をつくったり、復興庁をつくったりする際に、便宜上定められたものであり、復興事業あるいは復興の取り組みというものは、復興の必要性に応じて行われるべきものであると考えます。
岩手におきましても、市町村単位で見ても、既に、いわば復興を卒業したような市町村もあれば、まだまだ真っ最中という市町村もあるわけでありますので、日本全体で見ても、ある日数でもう復興はこれで終わりとはならないのが復興の本質と考えます。
総仕上げという言葉についても同様でありまして、市町村によっても違いますし、また、そもそも、私も何度も繰り返していますが、一人一人の復興を見ていかなければならないわけですから、一人一人について、必要に応じて、必要な復興の事業や施策を続けていく必要があると考えております。そういう意味で、必要である限りは、この財政をしっかり確保するということは、今までもですし、また、引き続き国に対して求めていきたいと考えます。
そして、さまざまな被害の様態の原因究明等、総括という言葉もありますけれども、県としては、東日本大震災津波とその後の復興に関する伝承と発信ということを、来年度から新たな計画のもとで力を入れて進めていこうという中で、何を伝承していくか、何を発信していくかということについて、県としての東日本大震災津波の内容、また、その後の復興の内容については、工夫していかなければならないと考えております。
また、究極的には、個人個人、一人一人に、あのときああしておけばよかった、また、こうしておくべきことをきちんと後の世代に伝えようということがあるのだと思いますし、また、市町村ごとにもさまざま、それぞれの自治体が、考えながら、あるいは悩みながらこの総括ということに取り組んでいると思いますので、県としても、そういった市町村が行ういわゆる総括に対しても、可能な支援はしていきたいと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 引きこもりの関係で、議員御指摘のとおり、引きこもりは、その介入の機会を捉えることは極めて困難性があるわけですけれども、相談があった方について、丁寧にその課題を聞きながら、時間をかけて継続的な支援を行って、就労に至った例などもありますので、相談支援については、その関係機関と連携して引き続き取り組んでいきたいと思います。
県内に民間団体等で引きこもりの支援を行っている団体が9団体ほどあると把握しております。NPO法人等ですけれども、それらの民間団体は、当事者や家族への個別相談であったり居場所の運営だったり、あと、2団体においては、訪問相談活動を実施している団体がありますので、そうした民間の支援団体とも情報共有を図って、活動をサポートしていきたいと考えております。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時18分 散 会

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