平成31年2月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(佐々木朋和君) 改革岩手の佐々木朋和です。
10年に一度の総合計画を審議する重要な本議会において、一般質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員に感謝申し上げ、通告に従い質問させていただきます。
策定中の次期総合計画には、誰も経験したことのない未曾有の大震災からの復興をなし遂げ、復興後の新しい三陸を創造すること、被災地を初め、全県下で進む誰も経験したことのない人口減少社会において、歯どめをかけつつ、持続可能な岩手を創造することが求められています。
計画には、的確な現状分析をもとに、課題、課題を解決に導くアイデア、プロセスを示すとともに、いまだかつて経験したことのない課題に直面する県民の不安を取り除き、これなら行けると思わせる哲学やメッセージ性も重要と思われます。県民の皆様にその工夫と熱意が届くような答弁を期待いたします。
最初に、産業振興と雇用対策について伺います。
復興後の新しい三陸を創造し、人口減少に歯どめをかける一丁目一番地は産業振興と雇用対策です。
経済活動別県内総生産全体では、震災前の平成22年が4兆5億円に対し、平成28年が4兆6、743億円と増加傾向にあるものの、その牽引役は建設業であり、建設業による県内総生産は、平成22年に3、040億円であったものが、平成28年には6、848億円と約3、800億円増加しています。
次期総合計画では、産業分野は仕事・収入に整理されており、復興後予想される建設需要の落ち込みをどのようにカバーしていくのか、どの業種が岩手県の経済の牽引役となっていくのか、その発信が見えにくくなっているように思われます。
県は、復興後の本県経済の状況をどのように分析し、対応していくのか、その青写真を含め、知事に伺います。
次に、復興後の建設業振興について伺います。
現在策定中であるいわて建設業振興中期プラン(案)においても、建設投資額が平成27年度の1兆3、466億円をピークに、平成29年度は1兆2、047億円に減少していることを踏まえ、復旧、復興事業のさらなる進捗に伴い、建設投資額は減少すると分析しています。
一方、地域の建設業の役割はますます増大しており、たび重なる災害リスクへの対応や国道、県道の草刈り、雪かきなど、地域の守り手として不可欠な存在であります。それを受け、県は、復興後も一定規模の事業量の確保が必要としていますが、岩手県中期財政見通しは厳しく、財源を効果的に活用していく必要があると考えます。
県は、復興後どのように公共事業の事業量を確保していくつもりなのか、また、そのような時代の変化に対応するため、建設業者にどのような取り組みを促していくのか、あわせて伺います。
次に、中小企業振興策について伺います。
県は、岩手県中小企業振興第2期基本計画(案)の中で、目指す姿として、企業の魅力向上、働きやすい環境、利用の促進を掲げ、新たに、地域の経済を地域で回すことにより、持続可能で活力ある循環型の地域経済を掲げました。
循環型経済の実現には発達するインターネットショッピングなどの課題があると思いますが、県はどのように認識しているのでしょうか。また、電子化による地域通貨が再評価されていますが、調査、研究対象としていることはあるのか伺います。
次に、新卒者の県内就職率の向上と定着について伺います。
次期総合計画の目指す姿指標で、高卒者の県内就職率を2017年の65.8%から2019年に84.5%に上げることを目標としていますが、全国的な人手不足の中、これまでの取り組みの継続では、目標の実現は難しいのではないでしょうか。
県議会人口減少対策調査特別委員会の視察で訪れた福井大学においては、地方銀行OBが就職指導に当たり、学生への指導のみならず、企業への計画的な新卒採用やプレゼンテーションの指導なども行っていました。この事例は大学でありますが、高校現場におけるマッチングにも、そのような視点は重要であると考えます。
県は、県内就職率の向上に向けどのような対策をとっていこうとしているのか、あわせて高卒者、大卒者の3年離職率の低下に向けた取り組みもお示し願います。
知事は、知事演述の中で、自動車産業や半導体関連産業など、ものづくり分野を中心に、企業誘致と地場企業振興の両面から取り組み、その結果、北上川流域地域において、東芝メモリ株式会社の新工場建設や株式会社デンソー岩手の大規模建設など、産業集積が一層加速し、地場産業の新規参入や取引拡大といった好循環が生まれていると述べられました。評価するものの、一方、一関市においては、北上製紙株式会社やNECプラットフォームズ株式会社の事業閉鎖が相次ぐなど、県北・沿岸、また同じ県南地域であっても、地域によって事情の相違があります。
現在の目まぐるしい経済状況下においては、誘致企業の撤退への対応も考えなければなりません。地元就職を希望した県民が、企業の事業撤退に伴い望まない転勤を避けられるように、宮城県においては、国が実施している労働移動支援助成金に加え再就職促進奨励金を設けていますが、本県の取り組みについて伺います。
地域に人材を残しながら、また、その人の自己実現に資するためには、地域に多様な雇用の場がなければなりません。とはいえ、難しい場合には、その地域に住みながら通勤可能な道路の整備に尽力すべきであると考えます。
そのためには、本県を縦断する国道4号の4車線化の推進と代替道路の整備促進を図るべきと考えますが、県の考えをお伺いします。
また、沿岸と内陸を結ぶ横軸道路の整備も重要であり、とりわけ国道343号新笹ノ田トンネルの整備について、どのような認識を持っているのか伺います。
次に、農林水産業の振興について伺います。
次期総合計画アクションプランにおいて、農林水産業は、一人一人の生活に着目したコンセプトから、これまで指標化されていた農業産出額、林業産出額、漁業産出額は参考指標として提示されるのみで、かわって1経営体当たりの農業産出額の目的等が示されています。
1経営体当たりの生産額、収入は重要であり、目標値の立て方には賛同しますが、県として、人口減少局面にあるからこそ、新規参入者をどのくらいふやし、経営体を育成し、大規模化、高付加価値化をどの程度進め、最終的に農林水産県岩手としてどの程度の総生産額を確保しようとしているのか示すべきと思いますが、知事の所見を伺います。
県は、第1期アクションプランにおいて、新規就農者を2022年まで年間260人確保する計画であり、国も2023年までに40歳以下の農業従事者を40万人に拡大する方針を示しています。
しかし、新規就農者の準備期間や経営開始時の収入を支える農業次世代人材投資事業は、親元就農者にとって使いづらい制度となっています。平成31年度当初予算案においては、年齢等の要件の緩和が見られた一方、青年等就農計画等により、新規参入者と同等の経営リスクを負って、経営発展に資する新しい取り組みを行い経営を開始することが、引き続き要件となっています。
人口減少が進み、農業従事者の減少、高齢化も進む中、一人一人の生産者への農地集積、規模拡大が農業総生産額の維持に資する取り組みでありますが、親元就農者がこの制度の支援を受けるためには、新規作目や新技術の導入、新たな販路の開拓などの取り組みが求められています。
県として、国に対し、就農後の継続可能性が高い親元就農者に対して要件を緩和するよう強く求めるべきと思いますが、所見を伺います。あわせて、県としての支援策についても伺います。
県は、知事演述で触れられたとおり、いわて林業アカデミーやいわて水産アカデミーを開講され、第1次産業の担い手育成に取り組んでいます。農業分野においても、岩手県立農業大学校に加え、経営感覚、企業家マインドを持って経営革新、地域農業の確立に取り組む先進的な農業経営者の養成を目指し、いわてアグリフロンティアスクールを開講しています。
岩手県議会農林水産委員会で視察に訪れた奈良県では、平成28年4月から、農業大学校をなら食と農の魅力創造国際大学校としてリニューアルし、フードクリエイティブ学科、アグリマネジメント学科を設けました。フードクリエイティブ学科では、オーナーシェフとなる人材の育成をコンセプトに、食と農、経営に精通した人材の育成を、ミシュラン一つ星シェフが監修する備えつけのオーベルジュを活用して行われており、将来的にはアグリマネジメント学科卒業生との交流を通して、食と農の人材の交流により、ふるさと振興を視野に入れた取り組みを行っています。
一関市は、平成28年に農林水産省の選定する食と農の景勝地に認定され、現在、食と農をテーマにした観光誘客に取り組んでいますが、シェフや調理人、農業関係者、観光関係者の連携は、それぞれ異なる文化を持っており、連携には一定の時間がかかるというのが率直な感想であります。
岩手において、今後さらに岩手の食材を対外的にアピールし、ふるさと振興に取り組んでいくのであれば、奈良県の先進地にならい、食と農、さらには観光と、複合的な専門分野に精通した人材を育成し、ともに学ぶ場の提供が不可欠と思われます。県が考える農業大学校のあり方について伺います。
いわて水産アカデミー、いわて林業アカデミー、いわてアグリフロンティアスクールと第1次産業の担い手育成施設がクローズアップされている反面、県立の職業能力開発施設はどうなっているのでしょうか。いわて水産アカデミーなどは、名前から若者に受け入れられやすいようなイメージ戦略がとられている一方、県立職業能力開発施設は、産業技術短期大学校、高等技術専門校と、名前からして前時代的な印象を受けます。
私の地元にある千厩高等技術専門校は、自動車整備士資格を取れる学校として地域に認知され、就職先も引く手あまたで、学校としても地域活動への協力も熱心で、地域では優秀な子たちが通う学校として有名であります。その反面、入学希望者が伸び悩んでおり、校舎、宿舎の老朽化とも無関係ではないと思われます。今後、IoT化が進む自動車業界において、新しい教育機材の導入についても必要であります。
県は、県立職業能力開発施設のリニューアル、イメージアップ戦略についてどのように考えているのか伺います。
農業分野の話題に戻ります。
県では、2022年10月6日から10日まで鹿児島県で開催される第12回全国和牛能力共進会に向けた取り組みをアクションプランにおいて示しており、平成29年に開催された宮城県大会の結果や生産者の意向を踏まえての早い動き出しと評価しています。
アクションプランによると、本年度は宮城県大会の分析から、戦略を策定し、県内生産者を訪問し、意見交換を行い、出品対策委員会を設置し、現在は、種雄牛を中央で1種類、県南で2種類に絞るまでに至っていると認識しています。
特色ある産地形成には種雄牛の育成とともに、導入促進に向け導入補助なども期待されます。また、宮城県大会では、最新技術の導入県が躍進を果たしています。これらの点も踏まえ今後の支援策を伺います。
次に、観光振興について伺います。
みちのく岩手観光立県第3期基本計画(案)において、指標に観光消費額を据えるなど、国内的には人口減少が進む中、入り込み客数にとらわれずに、観光消費額総額や観光消費額単価に目標を置いたことは共感が持てます。
全国的なトレンドから、人口減少が進む国内を何とか現状維持し、いかにインバウンド誘客を図るかがポイントになると考えますが、岩手県に目をやると、インバウンド客数は増加しているものの、国内観光客数については、各種データにおいて必ずしも横ばいから微増を維持していません。県は、こうした現状をどのように分析し、国内旅行対策につなげていくのかを伺います。
インバウンド誘客を進める上で、花巻空港初となる台湾との定期便化や世界有数の旅客数を誇る中国東方航空の上海定期便化は大きな追い風となりました。上海便は、現在、冬期間の運行の発表にとどまりますが、春以降の継続に期待がかかります。
上海は、中国国内各地、世界とつながるハブ空港で、本県のみならず東北全域へのインバウンド誘客効果が期待され、懸念となるアウトバウンド効果も、花巻空港から行く香港、マカオ、上海5日間や上海経由で行くバンコク旅行などの企画商品が販売されるなど、継続、拡充に期待が持たれます。
〔副議長退席、議長着席〕
花巻空港は、東北地方の中央に位置し、旅行商品がつくりやすい空港として旅行関係者からも評価されています。国も2030年までに外国人旅行客を6、000万人にふやす予定で、ビザの発行も積極的に行う方針と聞いていますが、主な国際空港に空の空きがなく、地方空港に定期便のチャンスが回ってくるとの分析もあります。
このような状況を追い風に、仙台空港、新千歳空港との間の北東北の中心空港として花巻空港を育てていくチャンスと思いますが、今後の花巻空港の利用促進策について伺います。
また、今後、定期便の増便や路線拡大となれば、現在の水曜日、土曜日以外の就航が考えられ、CIQ(税関、出入国管理、検疫所)の体制確保やチェックインカウンター、ラウンジ、待合室、スポットの整備など、受け入れ態勢の強化も必要になってくると思われますが、どのように取り組むのか、あわせて伺います。
次に、教育施策について伺います。
新高等学校学習指導要領を踏まえ、ソサエティー5.0を地域から分厚く支える人材育成に向けた改革を推進するため、高等学校が自治体、高等教育機関、産業界などと協働してコンソーシアムを構築し、地域課題解決などの探究的な学びを実現する取り組みを推進することで、地域振興の核としての高等学校の機能強化を図るため、文部科学省は、地域との協働による高等学校教育改革推進事業を予算化しています。
国は、指定校としてプロフェッショナル型、地域魅力型、グローカル型、計50校を選定する予定でありますが、本県での検討状況はどうなっているのか伺います。
私は、地域との協働による高等学校教育改革推進事業が、県立高校と市町村の連携強化を深め、中高一貫教育校の設置、特別支援学校分教室の設置についての追い風になることを期待しています。
県は、今後の中高一貫教育校についてどのように考えているのでしょうか。一関一高及び附属中学校について、県は、中高における特色ある教育とともに進路実現の向上も図られていると成果を認めています。特に医学部への合格者の向上が見られ、中高一貫教育校の水平展開は、将来的な医師の偏在化の解消にも資するものと考えます。
また、人口減少に苦しむ自治体からは、地域の担い手育成のため、中山間地ならではの中高一貫教育校の設置を求める声も多いと聞いております。県の所見を伺います。
特別支援学校の分教室設置は、市町村立小中学校の空き教室を利用する形で設置されてきました。一関市千厩町で行われた講演会において、一関清明支援学校千厩分教室の取り組みが紹介され、一関清明支援学校と千厩小学校の児童がともに学び、育つインクルーシブ教育の成果や、卒業後の地域での生活支援維持を目的に行われる買い物実習等の成果が紹介されました。
特に印象的だったのが、小学校、中学校でともに学んだそれぞれの卒業生たちが、ともに成人式に出ている写真です。一関清明支援学校の卒業生の親御さんの、子供を一人では成人式に出せなかったが、友達がそばにいるから安心して式に参加させられたとの談話がありました。交流籍の活用だけでは得られない価値だと思います。
市町村の協力体制や特別支援学校としての運営面など課題もありますが、小中学校での特別な支援を有する子供たちの増加も踏まえれば、乗り越えるべき壁とも思われます。岩手型インクルーシブ教育として進めるべきと思いますが、今後の特別支援学校分教室の設置方針について伺います。
次に、東日本大震災津波からの復興について伺います。
2月11日、岩手、宮城両県の大規模災害公営住宅の自治会交流会が陸前高田市で行われました。担い手不足や関心の低さなどの課題を挙げ、具体策を出し合ったとのことです。
岩手県議会東日本大震災津波復興特別委員会においても、岩手大学の船戸特任助教から御教授をいただきましたが、現在は、被災地、復興公営住宅において顕在化している状況ですが、人口減少が進む県内集落に近い将来迫り来る大きな課題であると言えます。
県では、次期総合計画において居住環境、コミュニティーを重視することを掲げています。今般、いわての復興教育プログラムの改訂を行っていますが、ボランティアや地域とのかかわり合いの根幹となる住民自治の意識づけが希薄なのではないかと感じました。
子供たちへの教育が親に伝わり、広がりを見せる事例もあります。復興教育プログラムに住民自治の教育を入れ込み、被災地、そして全県域での学習を進めるべきと思いますが、所見を伺います。
2月14日、盛岡市で行われた東日本原木しいたけ協会の総会に参加してきました。各県から報告を聞きましたが、宮城県から、ほだ場の除染を行うにも、東京電力の賠償までの資金が手元になく断念せざるを得ない事例が紹介され、岩手県独自のつなぎ融資制度と県庁職員が一生懸命生産者に寄り添う姿を称賛されました。発災以来8年間の御努力に心から感謝し、今後の継続した取り組みをお願いいたします。
また、総会の際には、私から知事演述要旨にある原木シイタケの産地再生を図るため、引き続き、出荷制限の解除に向けた取り組みを進めながら、意欲的な生産者の規模拡大に対する支援や新規参入者の確保、育成に取り組みますという原木シイタケ再生産に係る部分を紹介しました。
本年度は、規模拡大、新規参入者への支援策について、生産者と懇談を交えながら検討してきたと認識していますが、次年度の取り組みについて伺います。
次に、河川の改修について伺います。
国や県は、平成27年5月の水防法改正により、想定最大規模の洪水浸水想定区域図を公開していますが、注意喚起やソフト面の取り組みのみで、例えば、年超過確率10分の1─10年に一度の降雨に伴う洪水により、砂鉄川、曽慶川、猿沢川が氾濫した場合のシミュレーション予想が公表されていますが、ハード面の整備は伴わず住民に不安の声があります。
県は、一定規模の洪水に対しては、河川改修等により生命、財産を守り、それらを上回る洪水に対しては、人命を守ることを最優先として、避難対策を講じるなど、ハード、ソフト両面の対策を組み合わせた総合的な治水対策を進めていると認識しています。
近年、集中豪雨等による水害が頻発しており、想定し得る最大規模の降雨を対象とした洪水浸水想定区域図の作成などのソフト施策は引き続き必要であるものの、近年の気象状況も踏まえ、前述のとおりの計画規模でのシミュレーションによる浸水区域を解消するよう、ハード対策として着実な河川改修の実施も重要であると考えますが、所見を伺います。
次に、ILCの誘致実現について伺います。
いよいよ国際推進組織が期限と定める3月7日が近づいてきました。さまざまな団体による政府への働きかけが継続して行われていることや、地元の一関市では、民間主体の推進組織が設立されるなど、地元の受け入れ準備は着々と進んでいると感じています。
今は、政府による前向きな意思表示を期待するところですが、課題は、3月7日以降の取り組みであると考えます。政府によるEOI(国際協議開始の意思表明)が出た後に、県を初め、受け入れ地域としてどのような取り組みを行っていくのか、現時点での県の考えを伺います。
最後に、次期総合計画について伺います。
知事は、過去の私の一般質問で、人口減少対策で最も大切な政策はの問いに、産業振興、雇用対策だと御答弁されたと記憶しております。冒頭申し上げましたが、震災復興と人口減少、ふるさと振興が大きな政策課題として挙げられる次期総合計画において、知事があえて、仕事・収入ではなく、健康・余暇、家族・子育てを前に持ってきた真意は、都会では味わえないライフスタイルを岩手から発信していきたいとの思いがあると推察します。
私も議員になって間もなく8年が過ぎようとしています。この間、地域を支える多くの方と懇談する機会を得、自分の財産となっており、今もその皆様の顔を思い浮かべながら質問させていただいております。
震災後、ボランティアとして陸前高田市に来て、移住した若者は、NPO活動をしながら、繁忙期はワカメとりを行う半漁半Xを実践しています。
これから必要とされるDMOによる体験型プログラムは、年中通しての雇用は難しいですが、働きながらシーズンのみの副業としては成り立ちます。教師の働き方改革の一環として配置された部活動の適正化を支える部活動指導員、放課後児童クラブの指導員もなり手の確保に苦慮していますが、仕事の都合がつけば後輩を指導したい、子供と接したいとの思いの方は多くいらっしゃいます。
そのほか、岩手にとどまった県民には、仕事で自己実現を果たした人とともに、消防団活動や自治会活動、中山間での兼業農家など、仕事と地域や自分なりの生きがいとの両立で自己実現を果たした人も多くいらっしゃいます。
働き方改革というと子育てや介護との両立が頭に浮かびますが、人材不足の中、仕事以外での自己実現の機会を保証しながら、それぞれのライフスタイルに合わせて正社員として仕事をすることを認め合う。その活動が岩手の魅力、岩手らしさにつながっていく。また、そのライフスタイルが共感を呼び、地域に残る人材がふえていく。移住がふえる。そのようなサイクルを回すことができたらと次期総合計画を読んで感じました。
確かに、幸福はそれぞれの価値観であって、他人や県に押しつけられるものではありません。しかし、東京一極集中に改善が見られない今、岩手県が県民や岩手に移住してみたいと思っている全国民に、その価値観を強烈に発信しなければ、現状は変わりません。
知事は、次期総合計画によって、県内外にどのようなライフスタイルを発信しようとしているのか伺います。
結びに、人口減少対策は、ライフステージに合わせた切れ目のない支援が重要です。しかし、限られた財源の中で全てに手当てしようとすれば、必然その厚みは失われます。やはり、県民に県としての工夫と熱意が伝わるような象徴的な施策が次期総合計画には必要です。議論を通してそのような施策が明確化することを期待して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復興後の本県経済についてでありますが、本県の平成28年度の経済成長率は、復興需要の減少を背景に建設業がマイナスに転じる一方、製造業や農林水産業等がプラスに寄与し、ほぼ前年度並みとなっていますが、復興需要の減少傾向が続いていくことが見込まれる中で、本県経済を安定的に成長させていくことが重要であります。このため、いわて県民計画最終案では、復興需要の減少を見据えつつ、産業全体の底上げを図ることを目指し、国際競争力の高いものづくり産業、地域の特性や資源を最大限に生かした農林水産業や観光産業など、いわゆる域外市場産業について地元調達や付加価値を高めながら強化するとともに、商業やサービス業を通じて、地域内経済循環を拡大していく総合的な産業政策を展開することを掲げています。
また、ものづくり産業等の集積を生かした産業の高度化や生活環境の充実を図る北上川バレープロジェクト、復興の取り組みにより進展したまちづくりや交通ネットワークを地域産業の振興に生かす三陸防災復興ゾーンプロジェクト、北岩手の豊かな地域資源を高度に活用し、産業の創出と社会の革新を一体的に推進する北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトに取り組み、それぞれのゾーンの発展の姿を実現することで、本県の経済成長にもつながるものと考えます。
次に、農林水産業の指標についてでありますが、いわて県民計画最終案における一人一人の幸福を守り育てるという基本目標の考え方に基づき、仕事・収入分野では、安心して働きながら仕事のやりがいを実感でき、必要な収入や所得が得られていると実感できる岩手の実現に向けた取り組みを展開することとしておりまして、農林水産業の生産活動が個々の生産者の所得にどう結びついていくかが重要との視点から、政策推進プラン案では、農業、林業、漁業のそれぞれについて、1経営体あるいは就業者1人当たりの産出額をいわて幸福関連指標として設定しております。
また、新規就業者の確保や経営体の育成、大規模化、県産農林水産物の高付加価値化などの具体の取り組みについては、それぞれ具体的推進方策指標を設定して進捗を管理していくこととしており、農林漁業の総産出額については参考指標として掲げております。
これらの指標の目標達成に向け、1、経営規模の拡大や新規就業者の確保、若者や女性が能力を発揮できる環境の整備などによる意欲と能力のある経営体の育成、2、大規模園芸産地の育成や革新的な技術の開発と普及、生産基盤の着実な整備などによる収益力の高い食料・木材供給基地づくり、3、6次産業化による特産品開発や戦略的な輸出促進など、県産農林水産物の高付加価値化と販路の拡大などに取り組んでまいります。
次に、次期総合計画についてでありますが、いわて県民計画最終案では、物質的な豊かさに加え、経済的な尺度でははかることのできない心の豊かさや地域や人のつながりなどを重視し、お互いに幸福を守り育てることを基本目標に掲げ、一人一人の暮らしや仕事を起点とする政策を組み立てているところです。
今後、この計画最終案に掲げる取り組みを進め、県民一人一人の幸福度を高める社会づくりを進めていくとともに、議員御指摘のとおり、そうした取り組みを県内外に発信することで、岩手への新しい人の流れを生み出していくことが重要と考えております。
このため、例えば、本日発行しますいわてWalkerでは、岩手ライフ応援マガジンとして、森や海など岩手の多様なフィールドで働く若者などにスポットを当て、日々の仕事や暮らしぶりを紹介する内容としており、広く首都圏等で販売するとともに、県内の高校を卒業して進学する方々などに無料で配布することとしています。
このいわてWalkerに盛り込まれているような農林水産業や製造業、福祉、伝統工芸など、さまざまな分野において働くことができ、食やレジャー、祭りや郷土芸能など、地域や人のつながりの中で心の豊かさを感じながら日々の暮らしを送ることができる岩手の魅力を、さまざまな媒体を通じて発信していく考えであります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔企画理事大平尚君登壇〕
〇企画理事(大平尚君) ILCの誘致についてでありますが、国においては、いわゆるEOIと言われるILC日本誘致に関心があるとの意思表示を示した後、推進体制や経費分担に係る国際的な協議を開始することになるものと考えております。
ILC計画に携わる世界の研究者においても、ILC国際研究所の設立や、ILC建設に向け、研究所のあり方を初め、具体的な研究施設の仕様や建設候補地の地形に合わせたトンネルや実験施設にかかわる詳細な設計に取り組むことが想定され、県といたしましては、こうした研究者の詳細設計に向けた取り組み等を積極的に支援してまいります。
また、県、関係市等との推進体制を整備し、オール岩手、東北の取り組みとして、国際研究拠点にふさわしい教育や医療、保健、まちづくりなど、受け入れ態勢の整備を進めていきます。さらに、このような地元の取り組み状況を国際的にもアピールしていく考えです。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、復興後の建設業振興についてでありますが、地域の建設業は、社会資本の整備や維持管理の担い手であるほか、災害等の緊急時に即応できる必要不可欠な存在として、地域に欠かせない重要な産業であると認識しています。そのため、復興の先を見据えた建設業の振興を図るため、安定的な経営環境の確立、技術力や生産性の向上、働き方改革の実現や担い手の確保、育成、及び災害対応や維持管理体制の確保等の施策を、現在策定中の次期いわて建設業振興中期プランに盛り込み、建設業団体とともに取り組んでいく考えであります。
公共事業の事業量については、復興事業の進捗に伴い、震災分は減少していくことが見込まれますが、地域の建設業が継続してその役割を果たしていくためにも、将来にわたって一定規模を確保していく必要があると考えているところであります。
平成31年度当初予算の編成に当たっては、予算要求、調整基準において、公共事業費を前年度に対して1.05倍としたところでありますが、予算案においては、震災や平成28年台風第10号対応分を除いた通常分の公共事業費を国の公共事業予算の伸びも勘案しまして、平成30年度当初予算に対して約9%の増額としたところでありまして、引き続き、国の補助事業の活用などにより、必要な事業量の確保に努めてまいります。
次に、国道4号の4車線化についてでありますが、現在、国においては、金ケ崎拡幅や北上拡幅、一関地区事故対策などの事業により4車線化を進めているところです。県では、これまでも、国道4号の事業中区間の早期完成や、北上-花巻間など未着手区間の早期4車線化を要望しているところでありまして、引き続き、整備促進が図られるよう国に強く働きかけてまいります。
また、国道4号の代替道路についてですが、県南地区において、国道4号の西側地域を経由して宮城県栗原市から北上市に至るルートを(仮称)栗原北上線として県道昇格するよう、地元から要望をいただいているところでございます。このうち、奥州市前沢から北上市までの区間については一定の整備がなされており、現在、一般県道前沢北上線として県が維持管理を行っているところです。
奥州市前沢から南の区間については、現在、平泉町及び一関市において、それぞれ道路整備が進められていると承知しておりまして、これらの整備が着実に進捗するよう、必要な予算の確保について、県としても継続して国に働きかけてまいります。
次に、国道343号新笹ノ田トンネルについてでありますが、国道343号は、県南部の沿岸と内陸部を結ぶ基幹道路の一つであり、県民の安全・安心な暮らしを支えるとともに、産業や観光振興に資する重要な路線と認識しています。東日本大震災津波以降は、復興支援道路と位置づけ整備を推進しているところであり、現在は、一関市渋民工区において、2020年度の開通を目指してトンネルを含むバイパス整備を進めています。
笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することについては、多額の事業費が必要と見込まれることから、安定的な事業予算の確保が課題となるとともに、事業効果などを確認することが必要と考えています。来月9日には、東北横断自動車道釜石秋田線が全線開通するなど、県内の幹線道路ネットワークの姿が大きく変わっていきますことから、今後の交通の状況も見きわめながら、整備の必要性について検討していきたいと考えています。
次に、花巻空港の国際線受け入れに係る環境整備についてでありますが、現在は、CIQ機関において、東北管内を初めとした出先機関からの応援などにより、人員体制を整えて対応しているところですが、今後さらなる国際便の増便に対しましても、迅速かつ円滑な出入国管理が図られるよう、引き続き、国に対しCIQ体制の充実強化を要望していきます。
また、設備等の受け入れ態勢の強化については、岩手県空港ターミナルビル株式会社が実施する給油態勢の強化を図るオイルタンクの移設、増設、保安検査の高度化、円滑化のためのボディースキャナーの導入に係る補助のほか、同一時間帯での旅客乗降等に対応するステップカーの導入に係る経費を、平成31年度当初予算案に計上しているところでございます。このほか、空港のさらなる機能強化や利便性向上が必要となる場合は、航空事業者や関係機関等と連携しながら、適切な対応について検討してまいります。
次に、河川の改修についてでありますが、平成29年度末の県管理河川における整備率は48.9%であり、今後も、緊急性、重要性等を踏まえながら、河道拡幅や築堤等の河川改修を着実に進めていく必要があると認識しています。
現在、県では、近年洪水により被害実績がある区間、資産の集中している箇所などを優先し、一関市の砂鉄川など24河川、27カ所において河川改修を進めています。
また、河道掘削や立ち木伐採についても計画的に進めているところでありますが、今年度から、国が進めることとした防災・減災、国土強靱化のための緊急対策によりまして、国費の充当が可能となっていますことから、平成31年度当初予算案においては、河道掘削等についても国費を活用し、事業規模を拡大して進捗を図ることとしています。
今後とも、近年、激甚化、頻発化している豪雨災害の状況を踏まえ、水害に対する防災、減災対策に必要な財政措置について、引き続き国に対して要望していくとともに、自然災害から県民の暮らしを守るため、河川改修や河道掘削など、治水対策について着実に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、中小企業振興策についてでありますが、今議会に提案しております岩手県中小企業振興第2期基本計画案では、県内中小企業の事業活動が活発に展開され、資金、商品、サービスなど地域の経済を地域で回すことにより、持続可能で活力ある循環型の地域経済の振興を目指すこととしております。
この実現に向けまして、商業、サービス事業者などが、インターネットを通じた購買や県境を越えた商圏の拡大などの市場の変化を踏まえつつ、多様な消費者ニーズを的確に捉え、付加価値の高い商品やサービスの創出などに取り組み、個店や商店街の魅力を向上させ、地域内での消費を促進していくことが重要と考えております。
地域通貨につきましては、特定の地域で使われるポイントや電子マネー等による決済手段として消費の促進の観点から有効であり、県内におきましては、盛岡地域で電子マネーつきポイントカードが導入されているほか、一関、平泉地域におきまして、一般社団法人世界遺産平泉・一関DMOなどが各商店街のポイントカードを統合、電子化し、導入に向けた調査研究をしているところであります。
県といたしましては、循環型経済の実現に向け、市町村や商工指導団体等と連携をして、電子化による地域通貨などを含め、中小企業者が行う付加価値の高い商品、サービスの提供や商店街のにぎわい創出、魅力創造に向けた取り組みなどを支援し、県内での消費を促進してまいります。
次に、新卒者の県内就職率の向上と定着についてでありますが、県内就職率の向上に向けては、企業が生産性の向上と働き方改革の推進等により自社の魅力や価値を高めるとともに、企業ガイダンスや工場見学、インターンシップなどを通じて、生徒や保護者等に県内企業の魅力を伝えることが重要と考えております。このため、平成31年度は、生徒と企業の出会いの取り組みを拡充するとともに、地域の企業を熟知する就業支援員を一定期間、主要な専門高校に配置し、教員と一体となって地元企業を中心とした就職支援を行います。
また、今年度作成いたしました県内ものづくり産業等で活躍する若手人材を紹介する動画を活用し、生徒たちの県内企業の理解を促進してまいります。
さらに、生徒や保護者等の企業理解を深める取り組みが継続的に展開されるよう、キャリア教育の取り組み事例の共有や、情報交換を行うフォーラムを開催いたします。
次に、早期離職の防止につきましては、高校生を対象といたします高校生と若手社員等の交流会、主に大学生を対象といたしますCOCプラス事業のふるさと発見!大交流会や内定者研修などを通じまして、若者の仕事に対する認識と実際の業務内容等とのミスマッチ解消に取り組んでいるところでありまして、企業に対しましては、就業支援員による新卒者との面談や若手社員、経営者おのおのを対象としたセミナーを開催するとともに、平成31年度は、いわて働き方改革アワードにおきまして人材確保・定着部門を新たに設けまして、企業の人材育成、定着の取り組みを促すこととしております。
こうした取り組みを積み重ねていくことで、県内企業の魅力や価値の向上と、若者と企業との相互理解を促進し、新卒者が県内に就職し、職場に定着していくという大きな流れをつくってまいります。
次に、誘致企業の撤退に伴う再就職支援についてでありますが、誘致企業の撤退等により離職者が発生する場合は、撤退企業による再就職支援に加えまして、地域のハローワークが中心となり離職者対策本部を設置し、国の労働移動支援助成金の活用も図りながら、早期の再就職を支援しているところであります。県といたしましても、この対策本部に参画し、地域ジョブカフェ等による相談対応や離職者向けの職業訓練事業、離職者対策資金貸付制度による生活支援などによりまして、離職者を支援しているところであります。
なお、北上製紙株式会社及びNECプラットフォームズ株式会社の離職者につきましては、再就職先の企業への助成金であります国の労働移動支援助成金の適用対象とされておりまして、現在の雇用情勢におきましては、本助成金の活用や離職者対策本部等による各種支援を通じまして、適切に対応できると考えているところであります。
今後とも、関係機関と緊密に連携を図りながら、再就職等に係るきめ細かな支援を行うなどして、従業員の暮らしを守ることを最優先に、撤退による影響が最小限にとどまるよう取り組んでまいります。
次に、職業能力開発施設についてでありますが、施設の老朽化対策等については、平成28年度からの5年間を計画期間といたします第10次岩手県職業能力開発計画におきまして、経年劣化した施設の計画的な改修や大規模災害に対応した防災対策、訓練環境の整備等を盛り込みまして、宮古高等技術専門校の耐震改修工事や千厩高等技術専門校の屋根塗装工事など、校舎や宿舎等の維持修繕を計画的に実施してきたところでありまして、今後とも、施設の計画的な維持修繕に努めてまいります。
また、入校者確保に向けたイメージアップにつきましては、現在、ものづくり体験教室を活用した地域への情報発信や、いわて若者文化祭へのブース出展を通じた若者へのPR、技能大会等で学生が入賞した際などのプレスリリースなどに取り組んでいるところでありますが、さらには、学校名の愛称やキャッチフレーズの活用なども考えられますことから、地域からの要望等も伺いながら研究してまいります。
次に、国内旅行対策についてでありますが、国内観光客につきましては、全国的な人口減少によりまして入り込み客数のいわゆる右肩上がりの増加は期待できないと捉えておりまして、観光客一人一人の観光消費の拡大を図っていくことが重要と認識しております。このため、県では、観光コーディネーターの派遣やプランナーの養成研修などによりまして、地域が主体となって行う体験プログラムや早朝・ナイト観光のコンテンツづくりを支援いたしますとともに、例えば、寝台特急カシオペアと体験メニューを組み合わせたモニターツアーの実施や、宿泊を組み込んだ県内周遊バスツアーの催行支援などによりまして、周遊滞在型や高付加価値型の旅行商品の造成、販売の促進に取り組んできたところであります。
こうした取り組みによりまして、平成30年1月から6月までの県内の国内観光客の観光消費額は879億円と、前年同期比で約10%の増加となっているところであります。
さらに、本年3月から11月までは、いわて幸せ大作戦をキャッチコピーとする観光キャンペーンを展開することとしておりまして、三陸防災復興プロジェクト2019など、期間中に開催される大型イベントとの連動も図りながら、三陸鉄道リアス線の開業を契機とした沿岸を南北に縦断する宿泊旅行や、プレミアムな食や宿、体験メニュー、早朝・ナイト観光のコンテンツを組み合わせた旅行商品の造成、販売を促進するなど、一層の観光消費の拡大に向け取り組んでまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、農業の担い手対策についてでありますが、本県農業、農村を持続的に発展させるためには、農業に意欲を持って取り組み、地域をリードする若い新規就農者を確保、育成していくことが重要であり、県では、就農後の経営の安定化に向け、農業次世代人材投資事業などによる支援を行っております。
親元就農者がこの事業を活用する場合には、親の経営とは異なる部門を開始するなどの条件が課されておりますが、国への要望の結果、平成29年度から要件が緩和され、同一作目の規模拡大でございましても、新しい販路の開拓や、新技術導入などの取り組みを行うことで交付の対象となり、これまでに213人の親元就農者がこの事業を活用しております。
さらに、平成31年度からは、年齢要件と農地要件が緩和される予定であり、これまで以上に親元就農者が活用しやすくなることから、一層の活用を促していくとともに、親元就農における現場の課題等を見きわめながら、必要に応じ、国に対し要件緩和を働きかけてまいります。
また、親元就農者は、親から引き継いだ経営を発展させていくことが重要であることから、県では、経営発展段階に応じた、農業大学校での体験的な研修に加え、経営発展に必要な機械設備整備や、岩手大学等と連携したいわてアグリフロンティアスクールによる企業家マインドの醸成などの支援を行っているところであり、今後も本県農業を牽引し、地域経済社会を支える担い手の育成に取り組んでまいります。
次に、農業大学校のあり方についてでありますが、農業大学校では、地域農業の発展を担うリーダーとなる青年農業者を育成するため、農業の専門科目の講義と実習、先進的な農業経営体との実務研修など、理論と技術を一体的に学ぶ教育を実践しており、今年度からは、経営規模の拡大やスマート農業の進展に対応し、新たにGAPなど、安全で高品質な農産物の生産管理手法の講座を開設したほか、環境制御型園芸ハウスを整備し、最新の高度な生産技術の実習を取り入れているところであります。
また、農産物の生産管理技術の習得にとどまらず、農産加工や流通、販売のカリキュラムなど、食と農への理解を深めるための講座や実習も充実させてきております。
今後とも、農業を取り巻く情勢の変化等を見据え、教育環境の一層の充実を図るなど、農業大学校の卒業生が、将来、6次産業化や農商工連携などの知識や技術も兼ね備え、本県の農業を牽引する人材として活躍するよう積極的に取り組んでまいります。
次に、第12回全国和牛能力共進会に向けた支援策についてでありますが、昨年7月に、県、関係団体で組織する出品対策委員会において、次期全国和牛能力共進会での上位入賞に向けた第12回全国和牛能力共進会総合戦略を策定し、これに基づき、その取り組みを進めているところであります。
今年度は、出品候補牛を生産する繁殖雌牛の受胎率向上に向けまして、これを指導する県や関係団体の職員を対象に飼養管理技術の研修会を開催したほか、高能力な出品候補牛の生産に向けまして、約750頭の繁殖雌牛の毛根を採取いたしまして、ゲノム解析を行っているところであります。
今後は、出品候補牛の生産に向けまして、優秀な種雄牛と選抜した優良な繁殖雌牛との計画交配を行うとともに、誕生した候補牛は、ゲノム解析技術を活用して選抜し、高い技術や経験を有する肥育農家のもとで飼養管理していくほか、関係機関などで構成する肉用牛サポートチームなどが中心となり、候補牛の飼養管理指導や超音波診断装置による定期的な肉質管理を行うなど、次期全国和牛能力共進会での上位入賞に向けて、生産者や関係団体と緊密に連携しながら、計画的に取り組みを進めてまいります。
次に、平成31年度の原木シイタケ被害対策についてでありますが、県では、原木シイタケ産地の再生に向けて、地域の中核となる生産者との意見交換を行ったところでありますが、生産者の方々からは、生産の効率化や規模拡大に必要な施設整備への支援、産地維持に必要な新規参入者の確保、安全な原木の安定供給、そして消費拡大に向けた消費者への一層の情報発信など、多岐にわたる御意見を頂戴したところであります。
こうした生産者の意見を踏まえ、平成31年度におきましては、生産規模の拡大を促進するため、県単独の新規事業として、必要な施設等の整備を支援する原木しいたけ生産拡大支援事業を今当初予算案に盛り込んだところであります。
また、この新規事業のほか、引き続き、新規参入者のほだ木造成支援や国庫補助事業を活用した原木購入支援などに取り組み、産地再生に向けて頑張る生産者と地域をしっかり支援してまいります。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) いわて花巻空港の利用促進策についてでありますが、県では、国際定期便の維持、拡大に向けまして、インバウンド、アウトバウンドそれぞれの安定的な需要確保が重要なものと考えております。
まず、インバウンド対策につきましては、台湾台北線におきます東北観光推進機構など東北各県とも連携しながら、現地での旅行博覧会やメディア関係者を対象にした視察事業等を通じまして、岩手や東北の魅力を発信してきたところでございます。
また、アウトバウンド対策といたしましては、県内から直行便で海外旅行ができる利便性につきましてPRをしながら、パスポート取得費用の助成や県内企業等と現地企業等による交流事業への支援を行うなど、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
今後、こうした取り組みを一層充実させながら、いわて花巻空港が、議員御指摘のとおり、東北の中心に位置する優位性に加え、花巻-上海線につきましては、北東北唯一の定期便路線である強みを生かし、東北各県とも連携しながら、旅行会社に対し東北周遊ツアーの造成を働きかけるとともに、岩手県民を初めとした東北の方々に向けて、中国国内各地や世界各地への旅行のしやすさなどをPRし、いわて花巻空港を拠点に、観光や経済、文化等の幅広い交流が展開されるよう、さらなる利用促進に努めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) まず、高等学校教育改革推進事業の検討状況についてでありますが、少子高齢化が進行している中で、高等学校には、生徒一人一人の人格形成や目標の実現に加えて、岩手のそれぞれの地域の発展に貢献し、ふるさとの新たな価値を創造していく人材を育んでいくという大きな役割があり、高校の魅力化をより一層図る観点からも、地域と学校との協働は極めて重要であると認識いたしております。
県立高校におきましては、総合的な学習の時間や課題研究などを活用して、地元自治体や産業界との協働による地域課題を解決する探究活動に取り組んできており、このような取り組みを一層深化、発展させるため、国の新規事業である地域との協働による高等学校教育改革推進事業の本県への導入を目指して、二つの市町の県立高校をその候補として、採択に向けた準備を進めているところでございます。
次に、中高一貫教育校についてでありますが、一関一高附属中学校は、医師不足など本県の抱える課題への対応や、社会の進歩と発展に貢献する次世代のリーダーを育成することなどを基本理念として平成21年度に設置したものでありますが、生徒たちは、思いを共有した生徒集団の中での学校生活や中高合同による学校行事などを通して、人格形成に励み、学力の向上や大学進学実績などで成果を上げてきております。
本県における併設型中高一貫教育校の今後のあり方については、一関一高附属中学校の第1期生が4年制大学の卒業を迎えることや、医学部など6年制の大学に進学した生徒もいること等から、その進路実績等も見きわめながら、今後の方向性を検討する必要があると考えております。
一方、中山間地域における中高一貫教育については、軽米町及び葛巻町で連携型の中高一貫教育に取り組んでおりますが、連携校においては、中高6年間を見通した計画的、継続的な学習指導や進路指導等を行い、相互の教育活動の充実に努めているところであり、学力の定着や高校生の地元定着などに成果が上がっております。
中山間地域における中高一貫教育校の設置については、県と市町村の役割や連携のあり方等も含め、生徒数の減少が急激に進行する中で慎重な検討が必要であると考えておりますので、まずは、これまでの連携型中高一貫教育の成果を生かし、中高の連携強化や地域との協働による学校の魅力づくりなどに努めていきたいと考えております。
次に、特別支援学校分教室の設置についてでありますが、本県の特別支援学校におきましては、子供たちが居住する地域で、共に学び、共に育つ教育を推進するため、北上市、一関市、遠野市、二戸市において、地元自治体の御理解と御協力をいただきながら、小中学校の校舎内に特別支援学校の分教室を設置しており、分教室の子供たちは、通学負担の軽減が図られ、また、両校の子供たちにとっては、同じ校舎で学習や行事を進めることで仲間意識が向上するなど、インクルーシブ教育としての成果も評価されております。
一方では、特別支援教育の一層の充実を図るため、分教室から新たな特別支援学校への移行などの要請もありますので、今後の分教室のあり方につきましては、インクルーシブ教育の理念を尊重しつつ、児童生徒数の動向や地域の実情、要望等を踏まえながら、特別支援学校の全体的な配置のあり方等も含め総合的に検討してまいります。
次に、いわての復興教育プログラムについてでありますが、いわての復興教育プログラムは復興教育を推進する指針として策定したものでありますが、本県の学校教育においては、教科や総合的な学習の時間などの教育活動とプログラムを通じて育んでいく、いきる、かかわる、そなえるの三つの教育的価値を結びつけて、学習の幅を広げながら、学習活動の充実に努めてきております。
各学校においては、児童生徒に対して、地域の一員であることの自覚を一層育んでいくため、地域や人とのかかわりを重視して、きずなの大切さや社会参画に関する学習にも取り組んでおり、住民自治については、社会科や公民科等での学習とあわせて、復興教育における実践的な活動の充実も図りながら、主体的にまちづくりなどへ参画する意識の向上などにも取り組んできております。
教育委員会におきましては、現在、いわての復興教育プログラムの改訂を進め、新年度においては新たな副読本の作成も行うこととしておりますが、その検討プロセスにおいては、議員御提言の趣旨も参考とさせていただきながら、岩手の子供たちみずからが、これからの社会をつくっていくという意欲や、ふるさと振興への参画意識を一層育んでいけるよう、それぞれの地域の主体として、求められる資質や能力の育成に取り組んでまいります。
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇17番(佐々木朋和君) 何点か御質問をさせていただきたいと思います。
まず、新卒者の県内就職率の向上についてということで、ただいま、平成31年度は、専門高校へ地域の地場の企業のわかる人材を一定期間配置するというお答えをいただきまして、大変よい取り組みだなと思っているところでありますが、数値として65.8%から84.5%へジャンプアップしようということでありますから、これは成果を見ながら、やはり普通高校へも拡充をしていくべきではないかと思うのですが、今後の方向性について伺いたいと思います。
また、知事にお伺いしたいと思いますけれども、知事には、冒頭で、今後の復興後の岩手を支える産業は三つ、ものづくり、農林水産業、そして観光業だということでお答えがありました。
そのうちの第1次産業、農林水産業であります。私も1経営体に着目をし、やはりほかの分野と遜色なく第1次産業の担い手が収入を得ていくことは大事だと思っておりまして、その目標値として1経営体の産出額等を加えることは大変いいことだと思っておりますが、一方で、裾野の広い産業でありますし、また、担い手にとっても、岩手の第1次産業がどれほどの規模で維持されているかというのは、スケールメリットもあるわけですから、そこはしっかりと示していただきたいという思いも、地元に帰るとお聞きしているところでございます。
人口減少下ですから、多く、どんどん右肩上がりに上がっていくことは難しいかもしれませんが、やはり10年後まで今の状況は維持していくのだとか、そういった力強いメッセージを発するべきと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
そして、同じく農林業のところで、全国和牛能力共進会に関連した取り組みについて、大変先進的な取り組みをしていただいておると評価しているところでございますが、一方、宮城県では、前回大会に備えて全県の統一ブランド、仙台牛を打ち出して躍進につなげました。いろいろな議論があるかもしれませんが、本県の統一ブランドに向けた考え方について伺いたいと思います。
そして、観光振興について伺いたいと思います。
先ほど答弁の中で体験型メニューというお話もありましたし、モニターツアーを企画してという話もございましたが、地域資源を磨き、隠された地域の名所や人を観光コンテンツとして活用する取り組みは、古くから行われており、商品の立ち上げやモニターツアーの設定までは行うものの、定着に至る商品はごくわずかという現状も事実であると認識しております。
その中で、現在、県が策定中のみちのく岩手観光立県第3期基本計画案にも記載されている県の満足度アンケートでは、体験プログラム、またイベントなどへの参加、地域として稼ぐ観光の推進、裾野の広い観光産業の確立に向けて、各地で立ち上がっている、または立ち上がりつつあるDMOにおける体験メニューの開発や、それを担う人材の育成に取り組むとともに、開発されたメニューにより、しっかりと地域が稼げるような取り組みに成長させていくべきと思いますが、県ではどのような支援に取り組んでいくのか伺いたいと思います。
そして、教育に関連して伺いたいと思います。
中高一貫教育校の一関一高附属中学校の結果を見てということですが、今、人口減少が進む中、また、地域にはリーダーが求められている中にあって、医学部への合格率が上がっているとのことです。それをまた、卒業して、お医者さんになるかどうかまで見きわめてから結論を出すというのは、いささか遅きに失するのではないかと思います。
今の岩手県の状況を見れば、やはり成果があるものは水平展開していく、こういったことを高橋教育長には、この場での議論は最後になるかもしれませんので、ぜひとも力強い御答弁をいただきたいと思いますし、もう一点、先ほど言った地域との連携について、地域との協働による高等学校教育改革推進事業に関連して、そのモデル校にならなかったとしても、これからさらに探究的な学びによって培われる能力は、今後導入される大学入試共通テストにおいても重視されると言われておりますので、指定校とならなかった高等学校においても地域との協働を進めるべきと思いますが、所見を伺いたいと思います。
もう一点だけ。次期総合計画についての、知事に最後、御答弁をいただきました部分であります。私も自分の一般質問で手いっぱいで、いわてWalkerを見ないでこの場に来てしまったのを今、後悔しているわけでありますけれども、やはり今回のいわて県民計画については、私は、目に見えるような形で、これが10年後の岩手だというようなことを、目に見えるものではないから、県民としては理解するのがなかなか難しい部分があると思うのです。
ですので、外に情報発信していくのはすばらしい取り組みだと思いますが、また、さらに、県民の皆さんが10年後、このアクションプランを達成したときに、自分の人生がどう変わるのか、自分の生活がどう変わるのか、これをわかりやすく県民に伝えることが、県民みんなでこの次期総合計画アクションプランをやっていこうという機運醸成にもつながると思います。
そういった意味で、私は、ライフスタイルということで、さまざまな地域で頑張っている県民の皆さんの姿、または、こうしたいなという思いを伝えたつもりであります。ぜひともそういった姿を知事にはもう一段わかりやすくお伝えいただきたいと思いますが、御所見をいただいて、終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、農林水産業の指標についてでありますけれども、農林漁業の総産出額を目標に掲げてやっていこうとしますと、昨今はやりの新自由主義的なやり方などでは、生産性の低い生産者の皆さんには市場から退出していただいて、生産性の高い、その場合になると、もう企業とか外国あるいは国際的な総合穀物商社とかに集約して、そういうところだけがいろいろなマネーを投資し、そして、世界市場に通用するような─というのは、遺伝子組み換え作物とか、そういうものをどんどん大量に生産していけば、総産出額は上がると思うのです。
しかし、やはり岩手における農林水産業のあり方は、まず、今、農林水産業に従事している人たちの所得、収入を少しでも上げていくということ、そして、そういう人たちと一緒に農林水産業をやっていきたい、岩手に根差して、岩手で生活して、そして岩手で家族をつくったり、子育てなどもしたりしながら暮らしていきたいという人たちに農林水産業に従事していただき、そして、そういう新規参入の人たちの所得や収入も上げていきたいということを目標にしたほうがいいのではないかという発想で、そういう指標の選び方をしているところであります。
そして、いわて県民計画全体につきましても、県民の皆さんには、まず読んでいただきたいと思っております。そして、自分に関係のありそうなところから読んでいただけば、自分にかかわる、例えば子育てや介護で悩んでいるような方々であれば、子育て支援、介護支援、どういう施策がこれから展開されていくのか。そうすると、自分の家で子供を何人育てて、学校に進学させ云々かんぬん、そして介護、親の世話もきちんとやりながら、この岩手の中で、そして次の世代につないでいくことができます。
一人一人、将来、プロ野球選手になりたいような子供であれば、文化・スポーツ振興のあたりを読んでいただければ、そういう施策を通じて、自分も大リーグに行って活躍できるかもしれない、そういう願いを持つことができます。将来、大リーグに行けるかもしれないということを全ての県民に上から押しつける、140万、120万県民の幸せは大リーグに行くことだということを上から押しつけるわけにはいかないのですけれども、ただ、それができる人はいるし、それをしたいと思う県民がそれを実現できるようにすることは大事だと思うのです。
ですから、これが県民の幸福だとか、これが全ての県民共通の10年後の姿だとかということは、抽象的には県民計画の最初のほうに書かれてはいるのですけれども、よく読んで、自分にかかわるところを一人一人の県民が読んでいただくと、それぞれ自分の幸せを守り、また、自分や、あとは自分のかかわる人たちの幸せを高めるような、そういうものを少なからず見つけられるような計画にはなっていると思うので、それをどんどん見つけて、そして、施策の推進とともに、自分の生活とか仕事とか学びとかを進めてもらえれば、10年後にそれぞれの人の目指す姿に到達する計画になっていると考えております。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 県内就職率の向上に向けた取り組みの中で、就業支援員の学校への配置の関係のお尋ねがございました。現在39人の就業支援員が、広域振興局に籍を置きまして、学校を訪問して、生徒と面談をするということをやっておりますけれども、新年度は、主要な専門高校にも配置をして、学校の就職担当の先生とのつながりをもっと密接にしながら県内就職を働きかけていく、こういう取り組みでありますので、その状況も見ながら、普通高校に配置するのがいいかどうかというあたりも、その先の課題として検討してみたいと思います。
なお、普通高校を中心に、高校生と県内若手社員の交流会を先ほど紹介いたしましたけれども、これは普通高校対象にやっておりまして、新年度は、進学校を中心に実施したいと思っております。これは、高校卒業後直ちにということではなくて、進学をした後、県内に戻ってきてくれるというところを狙いとして、そういった取り組みも普通高校で実施しようとしているところであります。
それから、DMOにおける体験メニューの開発等への支援の関係でありますけれども、これまで、DMO活動の先進事例を学ぶ研修会ですとか、あるいは観光コーディネーターの派遣、プランナーの養成といったことを通じまして、地域が主体となった体験メニューの開発を支援してまいりました。
こうした取り組みによりまして、地域DMO等におきましては、地域資源を生かした体験メニューの開発など、観光地経営の視点に立った取り組みが徐々に浸透してきていると受けとめております。ことし3月から展開する観光キャンペーンにおきましても、これら開発された体験メニュー等を国内外に発信して、稼ぐ商品として売り込んでいきたいと考えているところであります。
今後におきましては、地域資源を生かした魅力的な観光地づくりを担う中核人材を養成する研修会も新たに開催したいと考えております。地域が主体となった体験メニュー等の開発を支援いたしますとともに、こうした体験メニューを組み込んだ旅行商品の造成、販売を促進して、観光で稼ぐといった地域づくりを推進してまいります。
〇農林水産部長(上田幹也君) 本県肉牛の統一ブランドについてのお尋ねでございました。
例示でお示しいただいた仙台牛でございますが、これは宮城県の各地域の銘柄がございましたけれども、仙台牛に統合したというものでございます。これによりまして出荷頭数が安定的に確保されまして、実需者あるいは市場から信頼、評価を得ていると聞いております。
本県では、現在、農業関係団体と連携しながら、統一ブランド、いわて牛としての出荷頭数の確保に向けて取り組みを進めているところでございます。
今後も、いわて牛の集いがございますけれども、そういった機会を通じまして、いわて牛の品質のよさを強くアピールしながら、ブランド力を高めまして、県産肉用牛の有利販売につなげていきたいと考えております。
〇教育長(高橋嘉行君) 質問を二ついただきました。一つ目は、中高一貫校の水平展開ということでございますけれども、先ほどの答弁でも申し上げましたが、中高一貫校につきましては、本県のさまざまな課題、これは医師不足、当時、10年前でございましたけれども、地域偏在でありますとか絶対的な医師不足ということが顕在化していた中で、これを前に進めるためには、大きな決断の中で中高一貫校に踏み出した経緯があります。これは、いわば県としての大事業でございます。
そういう中で、一関一高附属中学校の卒業生が、医学部、それから、それ以外の進路等にも行っておりますけれども、その成果をやはりしっかり見きわめる必要があると考えております。
それから、あとは、医師不足等につきましては、一関一高だけではなくて、本県の進学校全体で医師の人材育成は取り組まなければならないということで、大学進学ネットワーク事業の中で、各学校単位ではなくて、岩手県の高校全体でそういう講習等も開催しながら、生徒の学力向上を推進してきていたところでございます。
それから、ウインターセッションとか、大学での、例えば岩手医科大学の学長、教授陣から、医師のすばらしさというものを実際に話し合ってもらうというようなことで、医師を志す人材育成の事業等にも取り組んでいるところでございます。
いずれ、この中高一貫校の設置につきましては、他の地域からも要望が強いことは十分認識しておりますし、具体的にそういう要望もいただいておりますけれども、まずは実績を、それが岩手として大きな決断をした中で、その成果が上がっているかということをしっかり見きわめて、今後の方向性を考えていくことが重要だと思っておりますので、そのような答弁をさせていただいたところでございます。
それから、高等学校教育改革推進事業の指定校以外の取り組みでございます。
この事業において重視されている地域等との協働による探究的な学びの充実につきましては、社会が多様化する中で、生徒に、郷土への誇りや愛着を醸成し、地域の将来を担う当事者としての意識を育成するとともに、思考力、判断力、表現力などの未来社会を切り開いていくために必要な資質、能力を多面的に育んでいく観点などから、全ての学校で取り組んでいくことが重要と思っております。
先ほど、2校について今準備を進めているということを申し上げましたけれども、その指定校とならない高校も含めて、全ての高校に対して、この事業の成果でありますとか、現在取り組んでいる探究活動の効果的な実践事例の紹介なども行いながら、学校と地域の連携による教育活動の充実を図っていきたいと考えております。
日程第2 議案第80号平成30年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第36 議案第114号一般国道342号白崖地区道路改良(第1工区)工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木順一君) 次に、日程第2、議案第80号から日程第36、議案第114号までを一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。佐藤企画理事兼総務部長。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) ただいま議題とされました各案件について説明申し上げます。
議案第80号は、平成30年度岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。
これは、国の補正予算に対応して災害復旧や防災、減災事業などの予算を措置したほか、県税等歳入の最終見込みや事業費の確定に伴う所要の整理などを行うものであり、総額92億9、100万円余の減額補正を行うものであります。
補正の主なものは、いわてスポーツクライミング拠点形成推進事業費3億8、300万円余、保育士修学資金貸付等事業費補助9、700万円余、経営体育成基盤整備事業費56億9、100万円余、ヘルスケア産業集積拠点整備費補助13億5、000万円、道路環境改善事業費37億2、200万円余、地域連携道路整備事業費17億4、700万円余、基幹河川改修事業費13億4、300万円余、施設整備費、これは、児童生徒等の熱中症対策のための空調設備、エアコンの整備に要する軽費等に係る補正でありますが、10億7、800万円余等であります。
次に、繰越明許費の追加は、庁内保育施設整備ほか183事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
次に、債務負担行為の追加及び変更は、食肉衛生検査所施設整備ほか11件を新たに追加するとともに、19件について期間及び限度額を変更しようとするものであります。
また、地方債の追加及び変更は、庁内保育施設整備ほか5件を新たに追加するとともに、20件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
議案第81号から議案第94号までは、平成30年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計ほか10特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業費の執行見込みに基づき所要額を補正しようとするものであります。
議案第95号から議案第98号までの4件は、建設事業等に要する経費の一部負担及び一部負担の変更に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
議案第99号から議案第109号まで及び議案第114号の12件は、災害復旧工事などの請負契約7件及び変更請負契約5件の締結に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
議案第110号から議案第113号までの4件は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めようとするものであります。
以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時10分 散 会

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