平成31年2月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇知事(達増拓也君) 本日、ここに第16回県議会定例会が開会されるに当たり、今後の県政運営について、私の所信の一端を申し上げます。
2011年3月11日、かけがえのない多くの命が失われた東日本大震災津波の発生から間もなく8年がたとうとしています。また、26名のとうとい命を奪った平成28年台風第10号災害の発生から間もなく2年半がたとうとしています。改めて、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りし、いまだ応急仮設住宅等で不自由な暮らしを余儀なくされている方々を初め、被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
また、昨年は、6月に大阪府北部を震源とする地震が発生して以降、西日本を中心とする平成30年7月豪雨、非常に強い勢力のまま上陸した台風第21号、平成30年北海道胆振東部地震など、日本各地で大きな災害に見舞われた年となりました。改めて、これらの災害で犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表し、また、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
二度と同じ悲しみを繰り返さないという決意のもと、引き続き強靱な県土づくりに徹底して取り組み、安全・安心な地域社会を構築してまいります。
東日本大震災津波の発災以降、復興計画に基づき、被災者一人一人に寄り添った支援を行いながら、一日も早い復興を目指し、取り組んでまいりました。
復興まちづくり事業は、約9割が完了しました。三陸沿岸道路の唐桑高田道路や吉浜釜石道路などが順次開通し、来月には、東北横断自動車道釜石秋田線が全線開通いたします。被災した県立病院や公立学校の校舎は全て復旧し、災害公営住宅は約95%が完成しました。多くの被災事業所が事業を再開し、大型商業施設や共同店舗が開業するなど、新しいまちづくりが進んでいます。
ガントリークレーン整備や外貿定期コンテナ航路の開設など、港湾の機能拡充が進み、取扱貨物量は東日本大震災津波前に比べ増加し、本県初となるフェリー航路も開設されました。
昨年の復興に関する意識調査では、沿岸部において、調査開始以降初めて県全体の復旧、復興について進んでいると感じる方々の割合が最も多くなるなど、復興の実感は着実に広がりつつあります。
一方、依然として2、827人の方々が応急仮設住宅等での生活を余儀なくされています。また、心と体の健康づくりや新たなコミュニティー形成の支援など、安心して心豊かに暮らせる生活環境の整備を進める必要があります。さらに、水産業や商店街の再生、中小企業における事業再開後の販路回復に向けた支援に、引き続き取り組むことが必要です。
県や被災市町村において復興事業を着実に進め、また、将来の適切な維持管理に対応していくためには、技術系を中心とした職員の確保、育成が課題です。さらに、年月の経過とともに記憶の風化が懸念されることから、教訓や復興のプロセスを県民的かつ全国的に共有していくことが必要です。引き続き、被災者一人一人に寄り添った支援を行いながら、ビルド・バック・ベター、三陸のよりよい復興を進めてまいります。
平成28年台風第10号災害による被害は、本県を襲った近年の水害として過去最大のものとなり、東日本大震災津波からの復興に取り組む被災地にさらなる苦しみをもたらしました。発災以降、被災市町村と連携し、県独自の補助金制度や自由度の高い交付金の創設など、スピード感を持ちながら支援に取り組んでまいりました。観光や物産振興分野に続き、生活再建に向けた動きが着実に進んでいます。
被害が最も大きかった岩泉町では、災害公営住宅の整備が進み、春には入居が開始される予定です。また、ほぼ全ての公共土木施設と農林水産関係施設の災害復旧工事に着手し、完成に向け、取り組みを進めています。
一方、被災市町の復旧、復興に要する財源やマンパワーの確保が引き続き課題です。国に対し、被災市町の幅広い財政需要に対する特段の措置を講じるよう働きかけを継続し、また、技術職員の派遣や県内市町村と連携した人材確保を進めていく必要があります。
さらに、県北・沿岸圏域においては、全県に先行して人口減少が進行していることから、復旧、復興の取り組みとあわせ、将来を見据えた地域経済の基盤強化を図ることが必要です。引き続き、被災市町と連携し、力強く復興を推進してまいります。
本年4月30日、天皇陛下の御退位により、平成が終わります。天皇、皇后両陛下には、東日本大震災津波の被災地お見舞いのために御来県いただき、温かいお言葉や励ましのお言葉を賜り、被災者のみならず、県民に大きな勇気を与えていただきました。また、平成9年─1997年の全国豊かな海づくり大会、平成28年─2016年の希望郷いわて国体の開催に際し、御臨席賜り、県内各地で多くの県民と親しく接していただきましたことは、県民にとって忘れることができません。改めて御礼申し上げます。
平成における国際情勢を振り返りますと、東西冷戦終了後も地域紛争が各地で生じ、平和な世界秩序の構築に向けた模索が続いています。世界経済は、グローバル化やイノベーションが進展し、中国やインドを初めとする新興国が急速な経済成長を遂げ、アジアを中心とした繁栄の30年でありました。我が国の貿易構造も変化し、中国を中心とするアジア向け輸出が増加基調をたどり、また、訪日外国人旅行者も大きく増加しました。
国内に目を向けますと、阪神・淡路大震災や東日本大震災津波を初め、自然災害が激化しています。GDPはバブル崩壊後に成長が鈍化し、世界経済の拡大の中で、日本の経済成長率の低さが際立っています。また、国と地方のあり方が大きく見直された時代でもありますが、平成初頭から取り組まれてきた地方分権改革は今なお途上にあり、近年、東京一極集中が加速しています。
一方、地方では、人口減少は進んでいますが、住民の皆さんの工夫と努力により、生活や仕事を向上させる力強い取り組みが進められ、文化芸術やスポーツで地方の力を大いに高めるような地域づくりの発展がありました。
平成から次の元号へと移行する節目に当たり、地方こそ人々の暮らしやなりわいの現場であり、地方において仕事と生活を着実に向上させることこそが国の発展となり、ひいては国際的な問題の解決、そして世界平和につながるということを、私たちは胸に刻むべきではないでしょうか。
平成21年─2009年にいわて県民計画を、平成27年─2015年には岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、オール岩手で施策を推進してまいりました。自動車や半導体関連産業など、ものづくり分野を中心に企業誘致と地場企業振興の両面から取り組み、その結果、北上川流域地域において、東芝メモリ株式会社の新工場建設や株式会社デンソー岩手の大規模増設など、産業の集積が一層加速し、地場企業の新規参入や取引拡大といった好循環が生まれています。また、上海国際博覧会への南部鉄器の出展を契機に、中国を初め、成長するアジア市場において、本県の伝統的工芸品の認知度が向上しています。
いわて花巻空港では、昨年8月に台湾との間で本県初となる国際定期便が就航し、先月には上海便が開設され、外国人旅行者の増加による観光や経済への好影響が見込まれます。昭和後期から取り組まれてきたインフラの整備は、今まさに花開き、軌道に乗る産業振興や観光振興の礎となっています。
県産農林水産物の評価が全国的に高まっており、特に、関係者の長年にわたる地道な研究開発が結実した本県待望の水稲オリジナル新品種、金色の風と銀河のしずくは、全国の消費者から高い支持を得ています。
医療を担う人づくりを進め、人口10万人当たりの病院勤務医師数が増加し、また、地域包括ケアシステム構築に向けた取り組みが進んでいます。さらに、県立療育センターと県立盛岡となん支援学校を開所、開校し、障がいがある児童生徒一人一人に応じた総合的な支援体制を強化しています。
平泉の文化遺産と橋野鉄鉱山が世界遺産に登録されるなど、本県の文化遺産の価値が世界的に認められています。また、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会は、県民の底力とさまざまなつながりの力を結集し、大成功をおさめました。
さらに、文化芸術やスポーツにおいて、本県ゆかりの人々が国内外で活躍しています。特に、平成生まれの岩手の若者たちが輝きを放っており、新元号時代の希望です。
本年5月1日、皇太子殿下の御即位により、新元号が始まります。新元号元年は、本県にとっても、幾つかの重要な点で未来に向かう出発の年となります。
来月23日、釜石-宮古間を含む三陸鉄道リアス線が開通します。県民が待ち望んだこの歴史的な日を契機とし、夏には、三陸地域全体を舞台とする広域的、総合的な防災復興行事三陸防災復興プロジェクト2019を実施します。復興に力強く取り組んでいる地域の姿を発信し、記憶と教訓を伝え、国内外の防災力向上に貢献したいと思います。さらに、本プロジェクトを契機に、防災と復興を核とする持続的な地域振興を推進し、新たな三陸の創造へとつなげてまいります。
9月には、いよいよラグビーワールドカップ2019日本大会が開幕し、本県では、釜石鵜住居復興スタジアムにおいて熱戦が繰り広げられます。万全を期して大会本番を迎えられるよう、釜石市とともに、引き続き機運醸成や受け入れ態勢の整備を進め、全国、そして世界との新たなきずなを生み出す機会となるよう取り組んでまいります。
ILC─国際リニアコライダーの実現に向けた国内での検討がいよいよ大詰めを迎えています。いち早い政府の前向きな意思表示に向けて、これまで積み重ねてきた取り組みの成果を総結集し、必要なことは全てやり切る考えで、関係機関、団体と一致団結して全力で取り組んでまいります。
人口減少を初め、さまざまな地域課題の解決のためには、県内各地域に特徴を生かした取り組みを展開することが重要です。
産業集積が進む北上川流域地域では、新たな雇用創出に対応し、働きやすく暮らしやすい地域を創造していきます。復興により、まちづくりや交通ネットワークが大きく進展した三陸地域では、社会資源を生かした産業振興を進め、持続的に発展する地域を創造していきます。特徴的な地域産業や豊富な再生可能エネルギー資源を有する県北地域では、豊かな資源を生かした地域振興を進め、あらゆる世代が生き生きと暮らす地域を創造してまいります。
現行のいわて県民計画と岩手県東日本大震災津波復興計画は、今年度でともに計画期間が終了します。昨年度来、次期総合計画の策定に向け、県民の皆さんに幅広い参画をいただきながら議論を行ってきました。今般、最終案を取りまとめ、いわて県民計画(2019〜2028)として、今議会において議決をいただくべく、提案をいたしました。新元号とともに、新しいいわて県民計画のもと、岩手の新たな歩みを始めたいと思います。
以下、平成31年度─2019年度の具体的な施策の内容について申し上げます。
初めに、東日本大震災津波からの復興の取り組みです。
まず、安全の確保として、防潮堤等の津波対策施設や水門、陸閘の自動閉鎖システムの整備を進め、多重防災型まちづくりを推進します。また、災害に強いライフラインや、太陽光、水素などを活用した自立・分散型エネルギー供給体制の構築を図ります。
被災地における安全・安心を確保するため、警察官による訪問活動などを通じた事件、事故の未然防止に取り組みます。また、三陸沿岸道路等の延伸に伴い交通量の増加が見込まれることから、高速道路交通警察隊の体制強化や、復興関連事業所等の運転者に対する安全教育を推進します。
原子力発電所事故に起因する放射線に対する県民の不安解消に向け、農林業系副産物の処理加速化に向けた技術的支援や、放射線量、食品の安全性などの情報発信に引き続き取り組みます。あわせて、実態に即した十分な賠償が実現するよう、市町村等と連携し、東京電力ホールディングス株式会社に対する交渉を継続して行います。
復興道路の整備は、かつてないスピードで進められており、来年度には三陸沿岸道路の宮古以南の開通が予定されています。引き続き、災害に強い道路ネットワークの構築に取り組みます。また、港湾の機能強化に向け、国による湾口防波堤の整備とあわせ、港湾施設の整備を進め、さらに、フェリーやコンテナ航路の利用拡大に取り組んでまいります。
次に、暮らしの再建として、一人一人が一日も早く安定した生活に戻ることができるよう、内陸部を含む災害公営住宅の早期完成を目指し、整備を進めます。また、市町村と連携し、持ち家による住宅再建を引き続き支援します。さらに、被災者相談支援センターやいわて内陸避難者支援センターにおける一人一人に寄り添った支援や、再建先でのコミュニティー形成が円滑に進むよう、コーディネーターや支援員の配置、被災者の心の復興を後押しする民間団体の取り組みに対する支援を継続します。
三陸鉄道リアス線の持続的な運営確保を図るため、鉄道事業再構築実施計画に基づき、関係市町村と連携しながら、利用促進を含めた支援を実施します。また、バス路線の維持、確保に向けて、国に対し、被災市町村における復興まちづくりが完了するまでの被災地特例制度の継続や補助対象の拡大を、引き続き働きかけてまいります。
地域の医療機関や社会福祉施設の機能充実を図り、新たなまちづくりにおける質の高い保健、医療、福祉サービスの継続的な提供体制を整備します。また、岩手県こころのケアセンターやいわてこどもケアセンターを拠点とした相談対応や、生活支援相談員の配置による見守り活動など、きめ細かな心と体のケアに取り組みます。
県民の学びの場となる県立野外活動センターの移転復旧を進めます。
また、被災した児童生徒に対するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる心のサポート体制の充実や、いわての学び希望基金等による進学、修学支援を継続します。さらに、いわての復興教育プログラムの見直しによる副読本の改訂など、教科横断的な復興教育を推進してまいります。
次に、なりわいの再生として、基幹産業である水産業の再生に向け、いわて水産アカデミーの開講による地域漁業をリードする人材の確保、育成、高度衛生品質管理体制の構築による水産物の高付加価値化や、漁港施設の防災、減災対策に取り組みます。また、原木シイタケの産地再生を図るため、引き続き出荷制限の解除に向けた取り組みを進めながら、意欲的な生産者の規模拡大に対する支援や新規参入者の確保、育成に取り組みます。
中小企業の本格的な事業再開、経営の安定化を図るため、本設事業所への移転や二重債務問題の解決、販路開拓や売り上げ向上に向けた取り組みを支援します。また、仮設店舗から本設への円滑な移行等により商店街を核とするにぎわいを創出し、さらに、被災地における起業や新事業の展開など、新たなチャレンジを促進します。
三陸DMOセンターを中心に、観光人材の育成や地域資源を生かした観光コンテンツの磨き上げ、高付加価値型、広域周遊滞在型の旅行商品の造成を促進し、観光で稼ぐ三陸のモデルを構築します。また、三陸ジオパークを活用した教育、保護、保全、ジオツーリズムなどの取り組みを通じ、三陸地域の多様な魅力を発信し、国内外との交流の拡大につなげます。
さらに、釜石市根浜海岸、大槌町浪板海岸の砂浜再生など、引き続き、観光資源の再生に取り組みます。
本年4月、県内初となる10万トンを超えるクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセスが宮古港に寄港します。県内港湾へのさらなるクルーズ船寄港拡大に向け、ポートセールスに取り組んでまいります。
東日本大震災津波の記憶の風化を防ぎ、また、被災県として、国内のみならず世界の防災力向上に貢献していくためには、教訓の伝承と復興の姿の発信が重要です。
陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内に、国が整備する追悼・祈念施設や重点道の駅高田松原とあわせ、伝承や防災教育、防災文化継承の拠点となる東日本大震災津波伝承館を整備し、ラグビーワールドカップ2019釜石開催までに開館できるよう準備を進めます。また、いわて震災津波アーカイブ〜希望〜の活用を促進し、さらに、三陸防災復興プロジェクト2019や復興フォーラムの開催などを通して、支援に関する感謝の気持ちや復興の歩みを進める地域の姿を国内外に発信してまいります。
これらの取り組みに当たっては、引き続き東北電力株式会社と連携し、割安な価格での電力供給と、復興とふるさと振興施策への財政支援を一体的に行ういわて復興パワーの仕組みを活用します。
復興とともに、県民のニーズに応えた各分野の政策を展開してまいります。また、政策の推進に当たっては、誰もが社会の中でつながり、支え合うソーシャルインクルージョンの観点に立ち、取り組んでまいります。
少子高齢化がさらに進む中、子供から高齢者まで健やかに生活するためには、ともに支え合いながら、心と体の健康を増進していくことが重要です。
生活習慣病と自殺による全国高位の死亡率の改善は、緊急かつ迅速に解決すべき課題です。岩手県脳卒中予防県民会議の構成団体等と連携した生活習慣病予防や受動喫煙防止に向けた取り組みを推進し、また、検診実施機関が行うマンモグラフィー検診車整備に対する支援などにより、がん検診受診率の向上を図ります。
現在、策定を進めている次期岩手県自殺対策アクションプランに基づき、地域特性に応じた総合的な自殺対策を推進し、一人一人の事情に応じた相談支援体制の充実強化を図ります。
奨学金による医師の養成と適切な配置調整、女性医師が働きやすい環境整備や看護職員の復職支援に取り組みます。また、地域医療構想の実現に向け、医療機関の機能分化と連携体制の構築を推進し、さらに、ICT等の活用による周産期医療機関の連携強化、ドクターヘリ運航体制の円滑化やDMAT隊員等の育成による救急・災害時医療体制の整備に取り組みます。
移転する岩手医科大学附属病院における高度救命救急医療等提供拠点の整備を支援し、あわせて、新病院への交通アクセスの向上を図るため、矢巾スマートインターチェンジからのアクセスの改善や徳田橋のかけかえ整備を進めます。
安心して地域で最期まで暮らし続けられるよう、患者の意思を尊重した医療及びケアを提供するアドバンス・ケア・プランニングの効果的な普及を図ります。
また、今年度内に策定する第3期岩手県地域福祉支援計画に基づく施策を着実に推進し、市町村における地域包括ケアシステム構築の加速化や成年後見制度の利用促進、障がいのある方の住まいや就労の場の整備充実を図ります。さらに、増大する介護、福祉ニーズに対応する人材を確保するため、マッチング支援や修学資金貸付金の利用促進、事業所に対する介護ロボット導入支援に取り組んでまいります。
心に潤いと安らぎを与え、健康を実感できる、文化芸術、スポーツの振興が重要です。
長い歴史を持つ岩手芸術祭の充実や、本県ゆかりの作家を講師とした講演会の実施など、文学の国いわての進展に向けた取り組みや、アール・ブリュット作品の魅力を発信する巡回展などを実施します。また、現在策定を進めている(仮称)岩手県スポーツ推進計画に基づき、スポーツ参画人口の拡大や、盛岡南公園に盛岡市と共同で整備する新野球場などのスポーツ環境の充実、共生社会型スポーツの推進等、スポーツ推進施策を総合的かつ計画的に進めてまいります。
人口減少、少子化社会において、出生率を向上させ、人口の自然減に歯どめをかけるためには、子育て支援の取り組みと家族のつながりが重要です。
結婚、妊娠、出産、子育ての各段階に応じた切れ目のない支援により、家庭や子育てに希望が持て、子供たちが健やかに育つ環境づくりに取り組みます。
“いきいき岩手”結婚サポートセンターを中心とした結婚支援や特定不妊治療費助成の実施、待機児童の解消に向けた保育施設の整備や保育人材の確保、さらに、現物給付による子供の医療費助成の小学生への拡大に取り組みます。
子どもの生活実態調査の結果を踏まえ、新たないわての子どもの貧困対策推進計画を策定し、子供の貧困対策に総合的に取り組み、また、児童福祉司の増員や児童相談所の改修、改築など、児童虐待防止体制を強化します。
障がい児とその家族の多様なニーズに対応した、質の高い療育を県内どの地域でも受けられるよう、関係機関が連携した地域療育ネットワークの構築を支援し、さらに、みたけ学園、みたけの園の新施設となるてしろもりの丘の整備を進めます。
青少年ボランティア活動の促進や若年無業者の自立支援に取り組み、青少年が個性や主体性を発揮し、自立した活動ができる環境づくりを進めます。
また、ワーク・ライフ・バランスの確立に向け、いわて働き方改革推進運動のさらなる展開や、いわて働き方改革アワードなどを通じた普及啓発により、企業の実情に応じた働き方改革を促進します。
さらに、盛岡市と連携し、動物の命を大切にする社会づくりの拠点施設となる動物愛護センターと、野生鳥獣の保護管理施設となる鳥獣保護センターの整備に向けた検討を進めてまいります。
岩手の未来を切り開いていくためには、その原動力となる、将来を担う子供の教育の充実と、さまざまな分野で活躍する人材を育てていくことが重要です。
岩手県総合教育会議を活用し、教育委員会との連携を深め、教育のあるべき姿や課題、現在策定が進められている岩手県教育振興計画に基づく取り組みを共有し、本県教育の振興を図ってまいります。
学校施設への冷房設備やネットワーク基盤の整備など、児童生徒が学びやすい環境づくりを進めます。また、希望する進路の選択肢を拡大し、将来の自己実現を達成できるよう、私立学校の特色ある教育活動を引き続き支援します。さらに、児童生徒がみずからの生き方、あり方を考え、社会人、職業人として自立できるよう、計画的、組織的なキャリア教育を推進します。
人口減少に伴う全国的な人手不足の中、産業集積の進展に伴う急激な新規雇用の増加などにより、各産業を担う人材の確保、育成が急務です。
ものづくり産業人材の需要に対応するため、地域ものづくりネットワークを中心としたものづくり教育や、高レベルの新技術に対応し、地域に普及できる次世代ものづくり技術者の育成を進めます。
農林水産業の持続的発展を図るため、県立農業大学校やいわてアグリフロンティアスクール、いわて林業アカデミー、いわて水産アカデミーにおいて、担い手の育成に取り組みます。
建設業の将来を担う人材を確保するため、建設現場におけるICT技術の導入や、女性も若者も働きやすい職場環境の整備、建設業みらいフォーラムを通じた魅力発信に取り組みます。
グローバル人材を育成するため、学校における外国語教育の充実やイーハトーヴ・キャンプによるコミュニケーション能力の向上、高校生の海外派遣研修に取り組みます。また、学生の海外留学支援や、留学生等と県内企業との交流機会の創出により、地域産業の国際化に貢献する人材の育成を進めます。
希望郷いわて国体、希望郷いわて大会で高められた本県選手の競技力の向上を図り、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会を初め、国内外で活躍するトップアスリートの育成を進めます。また、スポーツの価値を守るため、スポーツ・インテグリティ、すなわち、誠実性、健全性、高潔性の確保に向け、アスリートや指導者に対する教育、支援体制の充実を図ります。
地域を牽引する人材の育成や若者の地元定着など、さまざまな地域課題の解決に向け、いわて未来づくり機構やふるさといわて創造協議会を初めとする産学官連携組織による取り組みを一層推進します。
さらに、全国の多くの自治体でも取り組みが進められているプラチナ社会、すなわち、地域の多様な豊かさやつながりに着目し、地域課題の解決につなげることにより、エコロジーで、老若男女が全員参加し、心もモノも豊かな社会の実現に向け、県立大学を核とし、企業や自治体等が参加するプラットホームの構築や、県北地域におけるモデルプロジェクトの創出に取り組んでまいります。
一人一人が住みなれた地域で暮らし続けるためには、多様な主体の連携により、地域コミュニティーが絶えず活性化していることが重要です。
元気なコミュニティ特選団体の認定や優良事例の普及啓発、地域おこし協力隊員に対する起業支援による地域への定着促進に取り組みます。また、現在策定を進めている岩手県地域公共交通網形成計画に基づき、市町村や交通事業者と連携し、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築を図ります。
依然として、東京一極集中は是正されていません。次期まち・ひと・しごと創生総合戦略策定に向けた動きに対応しながら、国に対し、東京一極集中の是正と地方重視の経済財政政策を実施するよう、強く訴えてまいります。
また、本県への新しい人の流れを生み出すため、情報発信や受け入れ態勢の強化、国の新たな起業、就業支援施策であるわくわく地方生活実現政策パッケージの活用などにより、各段階に応じた総合的な移住、定住施策を展開します。
外国人が暮らしやすい環境をつくるため、市町村や国際交流協会等と連携し、相談、支援体制の充実に取り組みます。また、中国雲南省との友好交流協力協定に基づき、地方政府間交流を起点として、経済、農林業、青少年、教育の各交流を展開し、互恵的で幅広い連携を強化します。
岩手の多様な文化の魅力を発信し、地域活性化につなげるため、ジャポニスム2018を契機とした海外との漫画を通じた交流や、ラグビーワールドカップ2019釜石開催での民俗芸能の紹介などによる文化交流を推進し、交流人口の拡大につなげます。また、復興五輪を掲げる東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会に向け、市町村や関係団体と連携しながら、ホストタウン登録や事前キャンプの誘致、聖火リレーや復興の火の展示など、県民が参画できる多様な機会を創出し、機運醸成を図ります。
スポーツツーリズムの拡充を通じた地域活性化を図るため、豊かな自然を活用したスポーツアクティビティーの普及促進や、スポーツ大会、合宿の誘致、さらには、来年開催されるクライミングアジア選手権盛岡2020に向けた準備を進めてまいります。
一人一人が安全・安心に暮らすためには、災害への備えが十分で、犯罪、交通事故が少ない環境をつくることが重要です。
自助、共助、公助に基づく防災体制づくりに向け、県民一人一人の防災意識の向上、住民同士が助け合える体制の強化、関係機関が連携した防災体制の整備に取り組みます。
また、ラグビーワールドカップ2019釜石開催を万全の態勢で迎えられるよう警備体制を充実し、さらに、緊急対処事態を想定した国民保護共同訓練を実施します。
質の高い交通安全教育や、高齢者が運転免許証を自主返納しやすい環境整備による交通事故抑止対策に取り組みます。また、官民一体となった特殊詐欺被害防止活動や警察航空機への中型ヘリコプターの導入、多機能を備えた通信指令システムの整備による治安基盤の強化を図ります。
市町村の消費生活相談に対する支援や2022年の成年年齢の18歳への引き下げに対応した消費者教育など、消費者行政の充実に引き続き取り組みます。
また、食の安全・安心の確保に向け、全ての食品関係事業者に義務づけられたHACCPに沿った衛生管理への転換が円滑に進むよう、普及活動に取り組んでまいります。
地域経済を活性化し、一人一人が生き生きと働いていくためには、活力ある産業の振興と安定した雇用の確保が重要です。
いわてで働こう推進協議会を核とし、関係機関、団体が一体となって、雇用、労働環境の改善や、就業促進情報誌いわてWalker等を活用した新卒者の県内就職、U・Iターンの促進に取り組みます。
今議会に提案している岩手県中小企業振興第2期基本計画に基づき、中小企業者が行う経営力強化や生産性向上、円滑な事業承継に向けた取り組みの促進など、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進します。
また、現在策定を進めている次期いわて建設業振興中期プランに基づき、社会資本の整備や維持管理、災害時の対応を担う地域の建設企業の経営基盤強化や、技術力向上に向けた取り組みを進めます。
ものづくり企業を中心とする新設、増設事案が円滑に進むよう、設備投資や雇用に対する支援、新たな工業用水施設の整備など、必要な取り組みを着実に進めます。また、本社機能や関連企業の誘致を促進し、一貫生産体制の構築と地域中核企業の一層の拠点化を進めます。さらに、第4次産業革命技術を活用した新製品や新サービスの創出、コンパクト車等のグローバル生産拠点化に向けた、次世代モビリティーの研究開発や事業化を支援してまいります。
食産業振興の協働体制であるFCP岩手ブランチの活動による農商工連携や事業者間連携を促進し、付加価値の高い新事業を創出します。
また、岩手ならではの産業である伝統工芸、漆、アパレルなどの地場産業の一層の振興を図ります。特に、本年11月、本県で開催される第36回伝統的工芸品月間国民会議全国大会を好機と捉え、さらなる魅力発信に取り組みます。さらに、県内事業者の海外展開の促進に向け、EUや中国上海市を初めとする東アジア市場において、岩手の認知度向上を図りながら、事業者のニーズに合わせた伴走支援を強化してまいります。
今議会に提案しているみちのくいわて観光立県第3期基本計画に基づき、東北広域で連携したプロモーションの展開や受け入れ環境の整備による外国人観光客の誘客拡大など、観光振興施策を総合的かつ計画的に推進します。
来月から、いわて幸せ大作戦!!〜美食・絶景・イベント、「黄金の國、いわて。」〜をキャッチコピーとした観光キャンペーンを展開します。また、さらなるインバウンド増加のため、いわて花巻空港への台湾、上海に続く国際定期便の誘致、国内線の路線、便数の維持、拡大に向けた取り組みを進めます。
TPP11や日EU・EPAなど国際貿易環境が変化する中、地域における農林水産業の核となる経営体を育成するため、経営の高度化や生産の効率化、生産基盤の整備による経営体質の強化を図ります。また、関係機関、団体と連携した労働力の確保や、女性の活躍促進に向けた環境整備に取り組みます。
森林環境譲与税を活用し、市町村における森林資源の適切な管理を促進します。
効率的で高収益な農林水産業を実現するため、ICT等の先端技術を活用した良食味米の安定生産や大規模園芸産地の形成に取り組みます。また、農林水産物の高付加価値化と販路拡大を図るため、発信力のある商品開発や、戦略的な輸出促進に取り組みます。さらに、建築物の木造化や内装木質化の促進など、県産木材の利用拡大に向けた取り組みを進めます。
活力ある農山漁村の創造に向け、多様な食文化などの地域資源を活用した農山漁村ビジネスの振興、グリーンツーリズムなどによる交流人口の拡大に取り組んでまいります。
岩手への誇りを育むためには、それぞれの地域の歴史、文化を守り継承していくことが重要です。
一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の早期世界遺産登録と、平泉の文化遺産の拡張登録の実現に向け、関係者と一体となった取り組みを進めます。あわせて、世界文化遺産としての平泉の価値を世界に伝え、資産を後世に継承するための拠点となるガイダンス施設の整備を進めます。さらに、早池峰神楽に続き、昨年、ユネスコ無形文化遺産への登録が決定した吉浜のスネカなど、本県が誇る伝統文化の保存、伝承に向け、地域の方々とともに、魅力の発信に取り組んでまいります。
本県の恵まれた自然環境の豊かさを次世代に引き継いでいくためには、良好な環境の保全や循環型地域社会の形成、地球温暖化対策を進めることが重要です。
自然公園を核とするすぐれた環境の魅力発信や、生物多様性への理解浸透を図るいわてレッドデータブックの改訂に取り組みます。また、海岸漂着物対策を推進するための地域計画を策定し、海岸における良好な景観や環境の保全に取り組みます。さらに、廃棄物の3Rを基調とするライフスタイルの定着を、引き続き促進します。
温暖化防止いわて県民会議を中心とした県民運動を強化し、事業所における省エネルギーの促進や気候変動対策の普及啓発など、温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みを推進します。
森林による二酸化炭素の吸収が図られるよう、適切な森林整備などに取り組み、また、2022年に本県で開催される第73回全国植樹祭に向け、関係団体と連携し、準備を進めます。
さらに、再生可能エネルギーの導入促進に向け、風力や地熱発電、木質バイオマスの利用促進、関連産業への県内企業の参入に向けた取り組みや盛岡市の簗川発電所の建設を進めてまいります。
各分野の政策を力強く推進していくためには、あらゆる社会経済活動の土台となる社会基盤を強化していくことが重要です。
今年度、新たに策定する岩手県科学技術イノベーション指針に基づき、次代の科学技術を担う人材の育成やイノベーションの創出に向けた環境整備に取り組みます。また、釜石市沖の海洋再生可能エネルギー実証フィールドの利活用促進や海洋エネルギー関連産業の創出、洋野町沖の洋上風力発電の実現に向けた取り組みを推進します。
さらに、現在策定を進めている岩手県ICT利活用推進計画に基づき、医療、介護、教育、農林水産業などの各分野におけるICT利活用の取り組みを推進します。
岩手県国土強靱化地域計画に基づく施策の着実な推進にあわせ、国における重要インフラの緊急点検結果を踏まえた緊急対策を実施し、岩手の強靱化を加速させます。
また、洪水、土砂災害の被害軽減に向け、河川改修や簗川ダムの建設、砂防堰堤の整備や農業水利施設の防災機能強化などのハード対策に加え、水位周知河川や洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域の指定、ため池のハザードマップ作成支援などのソフト対策を進め、防災情報の充実強化を図ります。
昨年11月、遠野市と宮古市を結ぶ国道340号立丸峠工区が開通し、急勾配、急カーブが続く交通の難所が解消されました。引き続き、緊急輸送道路の防災機能強化や救急医療機関へのアクセス向上、物流の効率化や観光振興に資する道路整備を推進します。
また、社会資本が機能を発揮し続けるため、岩手県公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画の策定を進め、計画的な予防保全型の維持管理に取り組んでまいります。
多様な主体の連携や協働による地域づくりを進めるためには、さまざまな分野への県民の参画を促進することが重要です。
男女共同参画センターの相談機能の拡充や普及啓発活動の強化により、LGBTの方々を含め、誰もが安心して暮らせる環境づくりに取り組みます。
若者の主体的な活動の活性化に向け、いわて若者会議の開催やいわて若者カフェの運営により、若者の交流、ネットワークづくりを促進します。また、女性がそれぞれのライフステージ、ライフスタイルに対応し、活躍できるよう、いわて女性活躍推進員によるいわて女性活躍企業等認定制度やイクボスの普及、岩手で輝く女性大交流会の開催によるネットワークづくりに取り組みます。さらに、幅広い市民活動や県民運動を促進するため、参加、参画への機運醸成や地域のネットワークづくり、NPOの運営基盤の強化に取り組んでまいります。
第4次産業革命、Society5.0といった言葉に示されるような、生活や生産の現場にイノベーションが浸透する新しい時代の幕開けが指摘されています。そのような新しい時代を切り開いていくためには、長期的な視点に立って、岩手らしさを生かした先導的な取り組みを進めていくことが重要です。
ILC建設を契機とした世界最先端の国際研究拠点の形成支援や、多様な地域資源を活用した持続可能な循環型社会の構築、イノベーションと産業、社会生活分野との融合などの取り組みを戦略的に展開してまいります。
北上川流域地域における第4次産業革命技術の社会実装の促進や、三陸防災復興プロジェクト2019を契機とした三陸地域の多彩な魅力の発信、県北地域の市町村と連携した広域プロジェクト推進体制の整備に取り組みます。
また、地域と多様にかかわる関係人口の創出や、地域コミュニティーへの先端技術の導入と地域運営組織の育成に関する研究、スマート農業、スマート林業技術の導入や漁港等における新たな増養殖モデルの実証に取り組みます。
さらに、医療等のビッグデータの活用による健康づくりの推進に向けた調査研究や、学びに関するデータを活用した学習指導の充実に取り組みます。
文化芸術やスポーツによる特色あるまちづくりを進めるため、官民一体の推進体制である岩手版アーツカウンシルの設立やいわてスポーツ推進プラットフォームの構築に向けた検討を進めます。
また、水素利活用の推進に向けた実証事業導入の検討や、セミナーの開催等による理解促進に取り組んでまいります。
人口減少や少子高齢化が進行する中、持続可能な地域社会を築いていくためには、各圏域の持つ強みを伸ばし、弱みを克服する施策を講じることが重要です。
4広域振興圏の振興を一層進め、それぞれの地域のさまざまな資源や技術、ノウハウ、人材などを最大限に生かした、より広域的な地域づくりを展開します。
また、県北・沿岸振興を重要課題に位置づけ、アパレルや漆、食などの地域特性を生かした産業振興、多様な交通ネットワークや観光資源、再生可能エネルギー資源を生かした取り組みを進め、復興とその先を見据えた地域経済の基盤強化に取り組んでまいります。
政策の実効性を高め、力強く推進していくためには、県民の信頼に応える、より質の高い行政経営を進めることが重要です。
県民、企業、NPO、関係団体、市町村などの多様な主体との連携、協働や、県民参画を推進し、県民本位の行政経営に取り組みます。また、多様な人材の確保や研修の充実により、開かれた県行政を担う職員を育成します。
新たなICTの活用による業務の効率化や、庁内保育所の2021年開所に向けた準備など、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境の整備に取り組みます。
さらに、中長期的な視点を持って不断の改革に取り組み、内部統制の推進によるリスクマネジメントの強化や、あらゆる手法による歳入確保と選択と集中による歳出の重点化を図り、限られた経営資源を有効活用し、県民サービスの質の向上に取り組んでまいります。
昨年8月、釜石鵜住居復興スタジアムのオープニングイベントで、県立釜石高校2年生、洞口留伊さんのキックオフ宣言が多くの人々を感動させました。
未来への船出と題し、東日本大震災津波の経験、復興していく喜びと世界に広がるつながりへの感謝、未来に向かう決意が真っすぐに述べられています。
人々の心をつかむこの宣言を聞いたとき、私は、洞口留伊さん、そして留伊さんに代表される被災者イコール復興者の皆さん、そして岩手県民の皆さんに、幸福になってほしいと強く思いました。また、岩手県が、岩手にかかわる全ての人たちを幸福にできる県にならなければならないと強く感じました。
この年末年始、さまざまなメディアにおいて幸福が取り上げられました。
テレビ番組では、家族との思い出の共有による幸福、共感やネットワークから生まれる幸福、モノからコト、コトからココロにより得られる幸福が紹介されています。
ある新聞の特集記事では、人口減時代の豊かさは、規模ではなく、一人一人が幸福や満足をどう実感できるかではかるべきだという考えが紹介されています。
また、芥川賞作家の若竹千佐子さんは、元日の新聞に、豊かさの先、おら主張するもと題し、私たち一人一人は何をもって幸せを感じるか、これから真剣に考えていかなければならない問題と寄稿しています。
さらに、ある新聞には、平成の次の時代を希望が持てる時代にするにはどうしたらよいかとの問いに対し、ゆとりや心の豊かさを追求できる社会にするが、最も多い回答となっている世論調査結果が掲載されています。
東日本大震災津波を経験し、復興に取り組んできた岩手県民は、幸福について真剣に考え、真剣に取り組んできました。
平泉文化に象徴される、人と人との共生、人と自然との共生の風土、それは縄文時代から培われてきたものであり、本当の幸福を示そうとした宮澤賢治の世界のもとになっているものですが、この共生の風土は、岩手の大地と岩手県民の心に脈々と受け継がれています。
新しい県民計画のもと、岩手から、新しい時代にふさわしい、希望あふれる、人と社会のあり方を実現していこうではありませんか。
ここにおられる議員の皆様並びに県民の皆様の深い御理解とさらなる御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。
ありがとうございました。(拍手)
日程第4 教育委員会教育長の演述
〇議長(佐々木順一君) 次に、日程第4、教育委員会教育長の演述であります。高橋教育長。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 第16回県議会定例会が開会されるに当たり、平成31年度の教育行政推進の基本的な考え方と施策の大要について申し上げます。
東日本大震災津波の発災から間もなく8年を迎えようとしております。昨年12月に陸前高田市立気仙小学校の新校舎が完成し、被災した全ての校舎の改築が完了するなど、復旧、復興に向けた取り組みは着実に進んできておりますが、一方では、児童生徒の心のサポートや社会教育の充実など、今後とも重点的に取り組んでいかなければならない多くの教育課題があります。
教育委員会としては、引き続き、心のサポート体制の充実や被災した児童生徒への就学支援など、児童生徒一人一人に寄り添った支援に取り組むとともに、災害の教訓を次世代へ継承するいわての復興教育の一層の推進や、社会教育施設の復旧、学校、家庭、地域の協働によるコミュニティーの再生などに取り組んでまいります。
本年は、新しい元号にかわる大きな節目の年でありますが、本県教育にとっても、今議会に提案されているいわて県民計画(2019〜2028)や、教育委員会で策定を進めている教育振興計画がスタートする重要な年であります。
教育委員会におきましては、市町村教育委員会等と十分に連携し、この新しい県民計画と教育振興計画のもとに新たな一歩を踏み出し、本県の有する多様な豊かさや人のつながりなどの強みを生かしながら、岩手特有の課題にも向き合い取り組んでいくため、岩手だからこそできる教育、やるべき教育という視点等にも立って、本県の未来を創造していく人づくりに取り組んでまいります。
特に、学校教育においては、人口減少や少子化の進行、第4次産業革命と言われる急速な技術革新など、社会や生活が大きく変化していく中で、時代を超えても変わらない教育の不易と社会の変化に対応する流行を見きわめながら、岩手の子供たちに、ふるさとへの愛着や誇りを育むとともに、確かな学力、豊かな心、健やかな体を総合的に兼ね備え、変容する社会に適応し、社会を創造するための生きる力を育むための教育を進めてまいります。
また、社会教育や家庭教育の推進においては、子育てや家庭教育についての知恵や経験の継承が十分ではなく、子育ての悩みや不安などを身近に相談できる相手がいない保護者が増加するなど、家庭の教育力の低下などが指摘されておりますので、子育てや家庭教育を支援する体制の充実に努めるとともに、人生100年時代や超スマート社会を迎えるに当たり、一人一人の人生が豊かで活気のある地域社会の形成に教育分野から貢献できるよう、生涯にわたって学び続けられる環境づくりにも取り組んでまいります。
以下、教育施策の重点事項について申し述べます。
まず、東日本大震災津波からの教育の復興について申し上げます。
きめ細かな学校教育の実践と教育環境の整備充実、復興を支える人づくりの推進についてであります。
被災した幼児、児童、生徒の心のサポートにつきましては、人間関係や経済的な問題などのさまざまな支援ニーズに対応していくため、引き続きスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを重点的に配置し、きめ細かな対応に取り組んでまいります。
次に、児童生徒の安全で安心な教育環境の確保につきましては、県立高田高校のグラウンドや艇庫等の整備を推進するとともに、市町村立学校附帯施設の復旧支援などに取り組んでまいります。また、いわての学び希望基金を活用し、大震災で親御さんを亡くした遺児、孤児に対する奨学金の給付など、被災児童生徒等の就学を引き続き支援してまいります。
さらに、心のサポートや学習支援等にきめ細かに対応するための教職員の加配や、被災地における学習環境を確保するため、放課後や週末における学習支援などを行う居場所づくりにも取り組んでまいります。
次に、本県独自の教育活動であるいわての復興教育につきましては、復興教育プログラムに基づく教育活動の推進などを通じて復興、発展を支える人材の育成に取り組んでまいりましたが、大震災から8年を迎える中で、記憶の風化への懸念や、さらなる復興教育の充実に期待する声など、さまざまな変化や動きが出てきております。
このようなことを踏まえ、現在、見直しを進めている復興教育プログラムの改訂版に基づき新たな副読本を作成するとともに、その活用対象をこれまでの小中学校に加え、高校や特別支援学校高等部にも拡大し、大震災の経験や教訓を後世に引き継いでいく活動などを一層推進してまいります。また、学校相互の連携や学校と家庭、地域との連携による児童生徒の発達段階に応じた防災教育を推進し、防災、減災に関する知識、技能や、多様な自然災害の発生時に主体的に行動する力の育成にも取り組んでまいります。
文化芸術環境の整備や伝統文化等の保存と継承についてでありますが、復興道路などの整備に伴う埋蔵文化財調査に引き続き取り組むとともに、その出土品等の公開や、被災地の文化財、美術品などの修復、適切な保存管理の支援に取り組んでまいります。また、被災児童生徒の文化芸術活動の大会参加などへの支援にも取り組んでまいります。
社会教育、生涯学習環境の整備についてでありますが、引き続き、被災市町村の公民館、博物館などの社会教育施設の整備や機能の充実などを支援するとともに、地域住民による子供の学習支援を通じた学習環境の充実、学びを通じた地域コミュニティーの再生などにも取り組んでまいります。
スポーツ・レクリエーション環境の整備についてでありますが、県立野外活動センターの移転復旧整備については、管理宿泊棟やグラウンド等の建設工事を推進するとともに、沿岸被災児童生徒の各種大会参加への支援や、自校のグラウンド等での活動が十分に行えない学校に対する練習場所への移動支援などにも継続して取り組んでまいります。
次に、新しい県民計画及び教育振興計画に基づく教育施策の推進について申し上げます。
学校教育では、岩手の子供たちが、地域とともにある学校において、みずから生き生きと学び、夢を持ち、それぞれの人間形成と自己実現に向けて、知、徳、体のバランスのとれた生きる力を身につけていく姿の実現を目指してまいります。
まず、児童生徒の確かな学力の育成についてでありますが、変容する社会の中で、幼児、児童、生徒一人一人が基礎的、基本的な知識、技能の習得を基盤として、これらを活用した課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の能力を育み、主体的に学ぶ態度を総合的に育むためには、学習意欲の向上や学習環境の改善を含めた学びのあり方の一層の充実が重要であります。
このような視点に立って、言語能力、情報活用能力、問題発見、解決能力など、これからの社会で一層必要とされる資質、能力を形成するため、教科横断的な教育活動も重視しながら、問題発見、解決学習の充実などに取り組むとともに、目前に迫った新学習指導要領への円滑な移行や大学入試改革への適切な対応にも努めてまいります。
また、幼保小連携のためのスタートカリキュラムの編成や、ICT等を活用した小、中、高の学力、学習状況に関する連結データの整備、分析の研究に着手し、児童生徒一人一人の実情に応じた指導方法の開発に取り組むとともに、本県教育の総合的な研究や教員の指導力向上などに大きな役割を担っている総合教育センターの機能強化や研修プログラムの充実などに努めてまいります。
次に、児童生徒の豊かな人間性と社会性の育成についてでありますが、本県における自死事案等の発生を直視し、児童生徒一人一人が自他の命を大切にし、他者の人権を尊重する教育を推進するとともに、特別な教科道徳を通じた道徳観の醸成や、教育振興運動と連携した自然体験、奉仕体験等への参加促進、読書活動等の充実による豊かな心の育成などに取り組んでまいります。
次に、児童生徒の健やかな体の育成についてでありますが、児童生徒に運動やスポーツに親しむ習慣や能力を身につけてもらうことにより、生涯にわたって健康な生活を送ることができる基礎を育むため、希望郷いわて元気・体力アップ60運動の推進などにより、幼稚園や小中学校と家庭、地域が連携し、運動習慣の定着を図るための環境づくりに引き続き取り組んでまいります。また、適切な部活動体制の推進に向け、部活動の在り方に関する方針に基づき、部活動休養日の徹底や部活動指導員の配置の充実にも努めてまいります。
部活動は、教育の一環として、社会性の育成や体力の向上など生徒の人格形成に大きな意義のある活動でありますが、一方で、活動の実態によっては、そのあり方にさまざまな弊害も指摘されておりますので、部活動への加入は、生徒の義務的活動ではなく、自主的、自発的活動であるという基本の徹底も図ってまいります。
次に、ともに学び、ともに育つ特別支援教育の推進についてでありますが、特別な支援が必要な幼児、児童、生徒一人一人が、就学前から卒業後までの一貫した支援体制のもと、障がいの有無にかかわらず共に学び、共に育つ教育を享受できる環境が重要でありますので、特別支援学校のハード面の整備に加え、学習指導における個別の指導計画や、学校、家庭、福祉、医療等の関係機関との連携による個別の教育支援計画に基づく総合的なサポート体制の充実を図ってまいります。また、特別支援学校高等部生徒等の実習先や就労先の拡大を図るため、地元企業と連携した技能認定会の実施などにも取り組んでまいります。
昨年1月には、盛岡となん支援学校が移転開校し、この4月には盛岡ひがし支援学校が新たに開校いたしますが、今後とも、特別支援学校の狭隘化等への対応や特別支援学校間相互の連携による教育の充実などにも努めてまいります。
次に、いじめ問題、不登校対策等についてでありますが、いじめや不登校などの生徒指導上の課題に対しては、学校における組織的な対応や関係機関との連携による未然防止と早期発見、迅速かつ適切な対応が重要でありますので、学校いじめ防止基本方針に基づく組織的な指導体制の充実によるいじめ事案への適切な対応に関係機関と連携して取り組むとともに、不登校対策に当たっては、児童生徒に寄り添った教育相談体制の充実などに引き続き取り組んでまいります。また、児童生徒の被害防止や健全育成に向け、教員研修の充実、家庭の理解に基づく情報モラル教育の充実にも取り組んでまいります。
次に、児童生徒の学びの基盤づくりについてでありますが、児童生徒が安全・安心に学べる環境を整え、魅力ある学校づくりを推進していくことは、子供たちの学びを支える重要な基盤となります。
このような視点に立って、家庭や地域との連携による通学時の見守りや、学校施設設備の計画的な老朽化対策等による学校安全に取り組むとともに、近年における災害とも言われるような猛暑の到来を踏まえ、県立学校における冷房設備の整備に計画的かつ重点的に取り組むとともに、老朽化した校舎の大規模改修、指定避難所となっている屋内運動場のトイレの洋式化等も進めてまいります。また、子どもの生活実態調査の結果を踏まえ、関係部局と連携して子供の貧困対策に取り組むとともに、スクールソーシャルワーカー等による相談体制の充実や、小中学校等における就学援助、高校生等奨学給付金の給付などの適切な運用に努めてまいります。
少人数学級の推進につきましては、これまで、小学校1学年から5学年までと中学校の全学年を対象に、段階的に35人以下学級の導入を進めてきたところですが、新年度からは新たに小学校6学年にもその対象を拡大し、小中学校全学年での少人数学級の実現を図ります。
このほか、新たな県立高等学校再編計画に基づく前期プランの推進や後期プランの策定に当たっては、それぞれの地域や産業界等との丁寧な意見交換を通じた連携の強化や合意形成に努めながら取り組むとともに、教職員働き方改革プランの着実な推進や、教職員の服務規律の確保等にも鋭意取り組んでまいります。
次に、地域に貢献する、いわゆるグローカル人材の育成等についてでありますが、近年、スポーツ分野を初め、さまざまな分野において全国や世界を舞台に活躍する本県高校生や出身者がクローズアップされ、岩手の子供たちに、夢を持ち努力することの大切さや、やれば夢が実現できるということを身近に感じさせてくれています。また、県内では、人口減少や本県における産業集積等を背景として、それぞれの地域産業を支える人材を、岩手の教育の中でしっかりと育成してほしいという要請が高まってきていると認識しております。
地域に根差し地域を支えていこうとする人材、広い世界に羽ばたこうとする人材、それぞれの夢の実現を支えていくことが岩手の教育に求められていると思いますので、いわての復興教育の推進や、関係部局、産業界等との連携のもと、各学校におけるキャリア教育の充実などに努めてまいります。また、外国語教育の推進や中国雲南省との教育交流などにより、国際的な視野を広げる人材の育成にも引き続き取り組んでまいります。
社会教育、家庭教育では、教育にかかわる多くの皆様が主体的、相互的に連携し、助け合うことにより、家庭の教育力の向上に努めるとともに、地域課題の解決に向けた取り組みや、文化芸術、スポーツ活動などへの参加を通じて、県民の皆様が生涯を通じて楽しく学び、生き生きと生活していけるような姿を目指してまいります。
まず、学校と家庭、地域との協働の推進についてでありますが、本県の未来を担っていく子供たちを育んでいくためには、地域総ぐるみで子供の育ちと学びを支える仕組みづくりもまた重要でありますので、コミュニティ・スクールの導入などを推進し、学校経営への地域の参画による地域学校協働活動の充実等に取り組んでまいります。また、放課後子ども教室等による居場所づくりや多様な体験活動の充実などにも取り組んでまいります。
次に、安心して子供を産み育てられる環境づくりについてでありますが、3世代世帯の減少等から子育てや家庭教育に悩みを抱える保護者が増加し、子育て世帯を支える支援体制の充実が求められておりますので、子育てサポーターや相談員等の支援体制の充実のほか、子育てや家庭教育に関する学習機会の提供などにも引き続き取り組んでまいります。
次に、生涯を通じて学び続けられる場づくりについてでありますが、人生100年時代の到来等により学びのニーズも多様化する中で、いつでも、誰でも、どこでも生涯にわたって学習を継続できる環境づくりが重要であると考えておりますので、生涯学習推進センターにおける地域づくり、人づくり、家庭教育支援など多様なテーマでの研修会の開催や、生涯学習を支える指導者、ボランティア情報への講師の登録促進などに取り組んでまいります。
次に、郷土芸能や文化財の継承についてでありますが、歴史を経てつないできた本県の多くの郷土芸能や文化財は、人と人とのつながり、地域の魅力や歴史等を理解する貴重な財産であり、次世代への確実な保存、継承が求められておりますので、文化財保護法の改正を踏まえた本県の文化財保存活用大綱の策定に着手するとともに、市町村における文化財保存活用への支援の強化などに努めてまいります。
以上、教育行政の推進に当たっての基本的な考え方と施策の大要について申し上げました。
ここで、1月30日に県民会館大ホールで開催した第1回「いわての復興教育」児童生徒実践発表会において、山田町立船越小学校の児童が行った発表内容の一節を紹介します。
2011年3月11日午後3時26分。私たちが暮らす船越・田の浜地区は、津波により大きな被害を受けました。お父さんは。お母さんは。いつ帰ってくるの。コップから水があふれるように、不安や悲しみは次から次へとあふれていきました。4月下旬にようやく学校生活がスタートしました。久しぶりの友だちや先生との再会は、それまでの悲しみや不安をやわらげてくれました。どんなに苦しいことがあっても、一緒に支えあえる友だちや仲間がいることを。友だちや仲間となら、大変なことも乗り越えて行けることを。一緒なら未来を光輝くものにしていけることを教えてくれます。そして、先輩たちから受け継いだ明日へを大切に歌い継ぎながら、家族とのつながり、地域とのつながり、友だち、仲間とのつながりを大切にすることを忘れず、山田町が、みんなの笑顔で明るく輝く町になるように、これからも私たちができることを、一生懸命頑張っていきます。
さまざまな困難の中、未来に向かって力強く生きていこうとする子供たちの姿に、改めて、岩手の教育界を挙げて子供たちや県民の皆様の信頼に応えていく使命に思いを新たにいたしました。
本格的な人口減少社会の到来や情報化社会の進展など、教育をめぐる環境は大きく変容してきていますが、こうした中において、自分の夢や希望に向かって力強く進んでいこうとしている岩手の子供たちは、岩手の未来、希望であり、岩手の宝です。岩手の子供たちが広い世界の舞台で活躍していくような人材に育っていくことも希望でありますが、岩手の地でこれからの社会を形成し、地域を支えていく人材に成長していく姿、障がいや悩みを抱えながらも一生懸命に学校生活を送り、それぞれの夢や希望の実現に向かっている子供たちの姿もまた岩手の希望です。
さまざまな可能性を持った子供たち一人一人が目を輝かせながら未来に向かって夢や希望を実現していけるよう、県民の皆様とともに岩手の教育界全体で支えていく責任があります。また、生涯を通じた学びにより元気に活躍し続け、年齢を問わず夢と希望を持って暮らすことができるような環境を充実させていくことも、教育の重要な役割であると考えております。
岩手の多様な豊かさとつながりの中での学びと、東日本大震災津波を経験し、世界中の人々からの応援に支えられながら、県民一丸となって復興に取り組んできたさまざまなきずなを力に、本県教育の復興と発展に向けて、教職員とともに全力で取り組んでまいりますので、議員の皆様並びに県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
日程第5 議案第1号平成31年度岩手県一般会計予算から日程第85 報告第2号道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで
〇議長(佐々木順一君) 次に、日程第5、議案第1号から日程第85、報告第2号までを一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。佐藤企画理事兼総務部長。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 本日提案いたしました各案件について説明申し上げます。
議案第1号は、平成31年度岩手県一般会計予算であります。
この平成31年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興や平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むほか、健康づくりや結婚、家庭、子育てに希望を持てる環境づくりなど保健、医療、福祉の充実、自動車、半導体関連産業の集積や県内への就業の促進、農林水産業の生産性向上などによる産業振興、移住、定住の促進などのふるさと振興、社会基盤の整備、強化のほか、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019など、大震災津波の教訓や復興の姿を国内外に発信する取り組みを推進する予算として編成したものであります。
以下、予算の概要について説明申し上げます。
第1条は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ9、355億100万円余とするものであります。これを前年度当初予算と比較しますと、1.9%の減となっております。
次に、歳入の主なものについて説明申し上げます。
第1款県税につきましては1、356億8、400万円を計上しておりますが、これは、法人事業税の増などにより、前年度と比較して30億7、200万円の増となっております。
第5款地方交付税につきましては、国の地方財政対策の内容等を踏まえ2、819億7、200万円余を計上しておりますが、前年度と比較して83億7、100万円余の減となっております。
第9款国庫支出金につきましては1、845億2、300万円余を計上しておりますが、復旧、復興事業の進捗に伴う漁港災害復旧事業の増などにより、前年度と比較して152億円余の増となっております。
第12款繰入金につきましては344億3、000万円余を計上しておりますが、基金からの繰入金が減少することなどにより、前年度と比較して163億900万円余の減となっております。
第14款諸収入につきましては1、411億5、100万円余を計上しておりますが、前年度と比較して92億900万円余の減となっております。
第15款県債につきましては689億2、100万円余を計上しておりますが、前年度と比較して65億3、100万円余の減となっております。
次に、歳出の主なものについて説明申し上げます。
第2款総務費につきましては331億300万円余を計上しておりますが、その主なものは、東日本大震災津波伝承館整備事業費3億6、900万円余、ILC推進事業費1億1、500万円余、三陸防災復興プロジェクト2019開催準備費2億3、500万円余、ラグビーワールドカップ2019開催準備費12億2、100万円余等であります。
第3款民生費につきましては978億1、100万円余を計上しておりますが、その主なものは、国民健康保険特別会計繰出金70億6、600万円余、施設型給付費等負担金64億7、200万円余、地域子ども・子育て支援事業交付金16億900万円余等であります。
第4款衛生費につきましては249億7、600万円余を計上しておりますが、その主なものは、高度救命救急医療等提供拠点整備費補助10億1、800万円余、再生可能エネルギー利用発電設備導入促進資金貸付金15億8、000万円、産業廃棄物処理施設整備事業促進費6億8、400万円余等であります。
第6款農林水産業費につきましては673億1、000万円余を計上しておりますが、その主なものは、次世代革新的技術導入加速化事業費2億2、600万円余、畜産競争力強化整備事業費補助25億7、500万円余、林業成長産業化総合対策事業費7億3、000万円余、さけ、ます増殖費4億900万円余等であります。
第7款商工費につきましては1、234億4、300万円余を計上しておりますが、その主なものは、中小企業東日本大震災復興資金貸付金806億200万円余、特定区域産業活性化奨励事業費補助14億7、400万円余、いわてインバウンド新時代戦略事業費6億8、300万円余等であります。
第8款土木費につきましては1、410億8、600万円余を計上しておりますが、その主なものは、地域連携道路整備事業費235億700万円余、河川災害復旧助成事業費22億6、900万円余、港湾高潮対策事業費17億7、200万円、災害公営住宅整備事業費10億7、100万円余等であります。
第10款教育費につきましては1、504億200万円余を計上しておりますが、その主なものは、児童生徒健全育成推進費3億7、000万円余、校舎建設事業費11億8、000万円余、公立大学法人岩手県立大学運営費交付金38億700万円余、私立学校運営費補助39億4、900万円余等であります。
第11款災害復旧費につきましては794億1、500万円余を計上しておりますが、その主なものは、漁港災害復旧事業費298億9、600万円余、中小企業等復旧・復興支援事業費65億6、000万円余、河川等災害復旧事業費346億3、100万円余、港湾災害復旧事業費13億2、700万円余等であります。
第12款公債費につきましては1、024億6、200万円余を計上しております。
第13款諸支出金につきましては821億9、800万円余を計上しておりますが、その主なものは、公営企業負担金235億7、100万円余、地方消費税清算金212億5、300万円余、地方消費税交付金251億6、400万円余等であります。
第2条債務負担行為は、庁内保育施設整備ほか61件について、債務を負担しようとするものであります。
第3条地方債は、議員会館改修ほか69件について、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法を定めようとするものであります。
第4条一時借入金及び第5条歳出予算の流用は、それぞれ所要の措置を講じようとするものであります。
議案第2号から議案第12号までは、平成31年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算ほか10件の特別会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画に基づき、その所要額を計上したものであります。
議案第13号から議案第15号までは、平成31年度岩手県立病院等事業会計予算ほか2件の公営企業会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画に基づき、収益的収支及び資本的収支の所要額を計上したものであります。
議案第16号から議案第20号までの5件は、建設事業等に要する経費の一部を受益市町村に負担させることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
議案第21号から議案第73号までの53件は条例議案でありますが、これは、東日本大震災津波伝承館条例等の3条例を新たに制定するとともに、国民健康保険広域化等支援基金条例を廃止するほか、農業改良普及センター条例など、49条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。
議案第74号は、権利の放棄に関し議決を求めようとするものであります。
議案第75号は、岩手県立療育センターの指定管理者を指定することに関し議決を求めようとするものであります。
議案第76号は、包括外部監査契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
議案第77号は、いわて県民計画(2019〜2028)の策定に関し議決を求めようとするものであります。
議案第78号は、みちのく岩手観光立県第3期基本計画の策定に関し議決を求めようとするものであります。
議案第79号は、岩手県中小企業振興第2期基本計画の策定に関し議決を求めようとするものであります。
報告第1号は、職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分につきまして、報告第2号は、道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分につきまして、それぞれ報告するものであります。
以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
日程第86 発議案第1号岩手県県産木材等利用促進条例
〇議長(佐々木順一君) 次に、日程第86、発議案第1号岩手県県産木材等利用促進条例を議題といたします。
提出者の説明を求めます。工藤大輔君。
〔47番工藤大輔君登壇〕
〇47番(工藤大輔君) 創成いわての工藤大輔でございます。
私は、各会派共同提案の発議案として、本日提出いたしました発議案第1号岩手県県産木材等利用促進条例について、御賛同いただいた各会派を代表して御説明いたします。
県土の約8割を占める本県の森林は、県木のナンブアカマツを初めとした針葉樹のほか、木炭やシイタケ原木にも利用されるナラなどの広葉樹といった多様な樹種で構成されているのが大きな特徴であります。
この豊かな森林資源を木材としてさまざまな用途に有効利用していくことは、地域の林業及び木材産業の振興や経済の活性化につながるとともに、森林資源の循環を生み出し、適切な森林整備を通じて地球温暖化の防止及び循環型社会の形成にも大きく貢献するものであります。
木材利用を促進し本県の林業及び木材産業を発展させていくためには、地域の森林経営を担う経営体を育成し、豊富な森林資源を生かした生産性と市場性の高い木材産地を形成するとともに、林業及び木材産業の振興を図り、岩手ならではの施策を展開していくことが必要であります。
このことから、本県の豊かな森林資源の重要性を認識するとともに、森林がもたらす多くの恩恵をよりよい形で次の世代に引き継ぐため、行政、森林所有者、関係事業者、関係団体、県民などが協働し、一体となって、県産木材等の幅広い利用を積極的に進めることを目指し、その基本となる事項を定めようとするものであります。
条例案の内容といたしましては、1、県産木材等の利用の促進に関し、基本理念、県の責務、市町村に対する支援並びに森林所有者、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者その他の事業者及び県民の役割について定めること。2、県産木材等の利用の促進に関する計画の策定、県産木材の安定供給の促進、県の建築物等における県産木材等の率先利用など、県産木材等の利用の促進に関する主要な施策を定めること。3、県産木材等の利用を推進するため、推進体制の整備、施策の実施状況の公表及び財政上の措置について定めることなどであります。
次に、条例の施行期日については、平成31年4月1日を予定しております。
以上、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
なお、本条例案の策定に当たり、御意見をいただいた林業及び木材産業における関係団体の皆様、県内の各市町村、御協力いただいた議員各位に対し、改めて感謝と敬意を表しまして、提案理由の説明とさせていただきます。(拍手)
日程第87 発議案第2号国際リニアコライダー(ILC)の実現を求める意見書
〇議長(佐々木順一君) 次に、日程第87、発議案第2号国際リニアコライダー(ILC)の実現を求める意見書を議題といたします。
お諮りいたします。ただいま議題となっております案件は、各交渉団体会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木順一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
これより、発議案第2号国際リニアコライダー(ILC)の実現を求める意見書を採決いたします。
本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木順一君) 起立全員であります。よって、発議案第2号国際リニアコライダー(ILC)の実現を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後2時45分 散 会

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