平成16年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成16年12月6日(月)

1開会 午前10時5分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
 事務局長 武 田 牧 雄
 議事課長 平 澤 石 郎
 議事課長補佐 八重樫 典 彦
 主任主査 千 田 利 之
 主査 小 船   進
 主査 福 田 清 喜
 主査 佐々木 ユ カ
 主査 嵯 峨 俊 幸

1説明員
 知事 増 田 寛 也
 副知事 竹 内 重 徳
 出納長 橋 田 純 一
 総合政策室長 照 井   崇
 首席政策監 相 澤   徹
 参事兼政策推進課 総括課長 廣 田   淳
 政策担当課長 深 澤 忠 雄
 経営評価課 総括課長 大 矢 正 昭
 政策評価担当課長 菅 原 伸 夫
 
 地域振興部長 山 口 和 彦
 地域企画室長 法 貴   敬
 市町村課総括課長 野 本 祐 二
 
 総務部長 時 澤   忠
 総務室長 圃 田 清 昭
 予算調製課 総括課長 菅 野 洋 樹
 
 副出納長兼 出納局長 千 葉 英 寛
 総務課総括課長 坂 林 則 夫
 出納課総括課長 高 橋 民 夫
 
 監査委員 一 戸 克 夫
 監査委員 谷 地 信 子
 監査委員事務局長 土 井   進
 総務課長 八重樫   良
 監査課長 渡 邉 和 男

〇武田議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、藤原泰次郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 藤原泰次郎委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員藤原泰次郎君委員長席に着く〕

〇藤原泰次郎年長委員 ただいま紹介されました藤原泰次郎であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により委員長の互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に川村農夫君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した川村農夫君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました川村農夫君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました川村農夫君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 川村委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長川村農夫君委員長席に着く〕

〇川村農夫委員長 ただいま委員各位の御推挙によりまして、決算特別委員長に御指名いただきまして大変光栄に存じておる次第であります。
 委員各位の御協力によって責務を全うしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続きまして副委員長の互選を行いたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇川村農夫委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇川村農夫委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇川村農夫委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に柳村岩見君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した柳村岩見君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇川村農夫委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました柳村岩見君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました柳村岩見君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 柳村副委員長、ごあいさつをお願いいたします。

〇柳村岩見副委員長 ただいま委員各位の御推挙により、決算特別副委員長に御指名いただき大変光栄に存じている次第であります。
 委員長を補佐し、委員会を円滑に運営できるよう皆様の御協力をお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手)

〇川村農夫委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算12件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から12月10日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、12月10日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇川村農夫委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。認定第1号平成15年度岩手県一般会計歳入歳出決算から認定第12号平成15年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計決算までの12件を一括議題といたします。
 これより出納長に決算の総括説明を求めます。

〇橋田出納長 これから御説明申し上げます。よろしくお願い申し上げます。
 平成15年度歳入歳出決算の概要について御説明を申し上げます。
 岩手県総合計画に掲げる施策の基本方向に基づいて編成された平成15年度一般会計歳入歳出予算は、当初予算が義務的経費を中心として骨格予算となりました。8、170億2、760万円余が措置されたものであります。この当初予算に、6月補正予算以降において、新規または政策的経費が追加された一方、県人事委員会勧告に基づく人件費の減額や中小企業向け制度融資に係る貸付金の減少などによりまして、差し引き29億6、818万円余の減額補正が行われております。さらに、前年度からの繰越額577億1、762万円余を加えた結果、予算現額は8、717億7、704万円余となり、前年度に比べますと838億8、644万円余、8.8%の減となったものであります。
 それでは、恐れ入りますが、お手元に配付いたしております歳入歳出決算書の2ページ及び3ページをお開き願います。まず、歳入についてでありますが、収入済額が8、484億6、679万円余で、前年度と比べますと637億9、083万円余、7.0%減少し、収入済額の割合は、予算現額に対して97.3%、調定額に対して99.5%となりました。
 なお、収入未済額は42億6、824万円余で、前年度に比べまして15億4、904万円余増加をいたしましたが、この収入未済額の主なものは県税であります。
 次に、4ページ、5ページの歳出についてであります。支出済額は8、315億1、335万円余で、前年度に比べますと643億1、902万円余、7.2%減少し、予算現額に対する支出済額の割合は95.4%となりました。
 また、翌年度繰越額は380億5、807万円余で、前年度に比べまして196億5、955万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費及び農林水産業費であります。
 なお、不用額は22億561万円余で、前年度に比べまして9、209万円余増加いたしました。
 次に、お手元の歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書を御用意いただきまして、363ページを御用意いただきたいと思います。お手元の調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は8、484億6、679万円余、歳出総額は8、315億1、335万円余であり、歳入歳出差引額は169億5、343万円余となったものであります。また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越されるべき財源144億9、378万円余を差し引いた実質収支額は24億5、965万円余の黒字となりました。
 次に、また恐れ入りますが、お手元の歳入歳出決算説明書を御用意いただきまして、1ページをごらんいただきたいと存じます。5点について御説明申し上げます。一般会計の決算の特色でございます。
 第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、地方交付税、繰入金、国庫支出金などの減少により、前年度を637億9、083万円余、7.0%下回り、歳出におきましては、土木費、農林水産業費、民生費などの減少により前年度を643億1、902万円余、7.2%下回ったものであります。
 第2には、実質収支が黒字となったことであります。厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出のより効率的な執行に努めた結果、実質収支は24億5、965万円余の黒字となりました。なお、前年度の実質収支との差額である単年度収支は3億2、003万円余となり、2年ぶりに増加に転じております。
 第3には、自主財源、依存財源ともに減少したことであります。県債管理基金などからの繰入金が前年度に比べ178億4、867万円余、54.6%減少したことなどによりまして、自主財源が前年度に比べ371億3、781万円余、12.1%減少いたしました。また、国の地方財政計画において、規模の抑制が行われたことなどによりまして、地方交付税が前年度に比べ222億7、217万円余、8.1%減少いたしております。この結果、依存財源が前年度に比べ266億5、301万円余、4.4%減少いたしております。
 第4には、県債の発行額が過去最高となったことであります。県債は、公共事業の縮減などにより発行が抑制されましたが、その一方で、地方交付税の振替として発行された臨時財政対策債の増加などによりまして1、657億7、464万円余となり、前年度に比べ70億9、722万円余、4.5%増加し、過去最高となりました。
 第5には、投資的経費が減少したことであります。道路改築事業などの減少に伴い普通建設事業費が減少したことなどによりまして、投資的経費は前年度に比べ657億5、301万円余、22.5%減少いたしました。なお、義務的経費は、県債の元利償還に係る公債費が増加したことなどによりまして、前年度に比べ7億8、179万円余、0.2%増加いたしております。
 以上、一般会計決算の特色を御説明申し上げました。
 次に、母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の決算内容について御説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の歳入歳出決算書の20ページから25ページをごらんいただきたいと存じます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入合計額は、25ページに記載されておりますとおり355億570万円余でございます。収入未済額は15億9、664万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などであります。
 また、歳出につきましては、26ページから29ページに記載されておりますとおり、歳出合計額が300億3、197万円余で、各会計とも実質収支は黒字となりました。
 以上、決算概要を御説明申し上げました。お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料といたしまして歳入歳出決算説明書をお配りいたしておりますので、御参照いただきたいと存じます。
 なお、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれの担当の部局長から御説明を申し上げることとなってございます。
 また、監査委員からの御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでありますが、もとより会計事務の適正な執行につきましては、今後とも、各部局への指導、適切な出納審査を行うなど、万全を期してまいりたいと存じております。
 よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げまして説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

〇川村農夫委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、従来の代表質疑、自由質疑の区別を廃止し、今回から、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分し、一括して総括質疑として行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず民主・県民会議が35分、次に、自由民主クラブが32分、次に、政和会が15分、次に、社会民主党が10分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員の順に、それぞれ6分となっております。
 次に、このほかに議会運営委員会で決定された事項を申し上げます。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができます。この場合におきましては、会派として続けて行うこと。
 なお、これまで、会派に所属する議員で代表質疑で質疑をした委員以外の委員は自由質疑を行うことができましたが、今回から、会派等に配分された時間内での質疑方法になったことに伴い、これを認めないこと。
 会派間の質疑時間の調整は認めないこと。
 また、今期定例会から、決算特別委員会の総括質疑においては、委員長席前に質問席を設け、ここで行うこととされておりますので、御了承願います。
 これより総括質疑に入ります。工藤大輔委員。
   〔工藤大輔委員質問者席に着く〕(拍手)

〇工藤大輔委員 民主・県民会議の工藤大輔でございます。
 会派を代表し、平成15年度決算について総括的に質問をいたします。
 質問に入るに先立ち、知事に所感をお伺いします。知事は議会の要請にこたえられ、さきの予算特別委員会の総括質疑に初めて出席をすることとなりました。重要な予算審議の場で提案者である知事から直接考えを聞き議論をするということは、大変意義深いものでありました。そして、今回初めて決算特別委員会に出席をされることにより、予算から決算、そして予算へと一連の流れが整いましたが、知事は両特別委員会に出席されることについて、どのような所感を持っているのでしょうか。

〇増田知事 まず、前回予算特別委員会の方に私出席をさせていただきましたが、もとより、議会と執行部は車の両輪と例えられますけれども、その中で緊張感あふれる審議、そして政策論議が必要だと思っておりますが、私も予算特別委員会に出席をいたしまして、いろいろと説明する機会を与えていただきまして大変意義深かったと、大変勉強させていただいたと思っております。
 そして、予算と決算は、今、委員からお話しございましたとおり、同等の重みを持つものでございまして、私どもも決算でいろいろと御指摘いただいた事項を、次のまた予算に反映をさせていくということが必要でございますので、今回決算特別委員会の方に出席をさせていただくということは、これから私もさまざまこの場で御指摘をいただくことになると思いますけれども、そうしたものを次の予算に反映させていく上で大変重要な御指摘と思いますので、意義深いものと考えているところでございます。

〇工藤大輔委員 これまでどうしても知事から、直接御本人から言葉を聞かなければわからないといったことも、これまで幾多かあり、知事を呼べというふうな形でこの場でもあったわけですが、そういったことは恐らく減少の方向に向かっていき、知事の考えていることが直接伝わるような形で今後進めていけばよいなと思いますし、また、この決算の結果を、より翌年度予算に反映させてまいらなければならないことから、決算の時期を見直す要請が議会からも出ております。適切な時期の開催を要望したいと思います。
 それでは、順次質問に入ります。
 平成15年度の財政運営は、財政状況が厳しい中にあって、政策評価の徹底や政策形成・予算編成システムを本格的に導入し、プライマリーバランスの均衡を図るために県債発行を抑制し、県債を財源とする普通建設事業を大幅に削減するなど、歳入に見合った歳出規模となるよう歳出の抑制に努めてきたところでもございます。その結果、6月現計予算額は8、308億2、000万円となり、前年対比372億200万円、これは率にして4.3%下回ることとなり、2年連続の超緊縮型、減少率は昨年度同様過去最大を記録しました。その要因として、15年度は、主要な財源である県税、地方交付税、国庫支出金がいずれも前年度を下回る一方、公債費が増加したこと等が挙げられますが、15年度の決算をどのように分析し評価しているのでしょうか。

〇時澤総務部長 まず、15年度決算の分析でございます。15年度決算を14年度と比較分析をしてみますと、まず歳入におきまして県税収入が減っておりますほか、地方財政計画の規模の抑制によりまして地方交付税も大幅に減少しているということで、トータル7%の減少となっております。一方、歳出は、公共事業の投資規模の適正化に向けた見直しや経常経費の削減に努めておりまして、この結果、前年度に比べて7.2%の減となっております。
 この評価でございますが、厳しい歳入見通しや国の構造改革の動向を踏まえまして、歳入に見合った歳出規模となるように一層の重点化、効率化を図りまして歳出規模が抑制されたものと考えております。収支の面で見てみますと、実質収支が黒字、単年度収支も前年度からの赤字が黒字に転じておりますが、厳しい財政状況の中で、適切な財政運営が図られたものと考えております。財務関係の指標を見てみますと、公債費平準化のための借換債の発行をいたしましたので、県債の元利償還に充てます一般財源が減少しましたことによりまして、経常収支比率、公債費比率は低下をしておりますが、義務的経費比率の上昇、そして地方債残高の増加ということもありまして、財政の硬直化が進行していると考えております。東北他県とも同様の傾向が見られますけれども、公債費比率を見てみますと、これは東北でも下位レベルにあると、本県の財政状況は非常に厳しい状況にあると認識しておりまして、今後とも財政構造の健全化に向けて、一層の取り組みを行っていく必要があると考えております。

〇工藤大輔委員 非常に厳しい財政の中にあっても、知事の目指す方向に沿って今後とも進んでまいらなければならないところでございますが、平成15年度は、当初予算編成後に統一地方選があったことから、知事のマニフェストを踏まえ、6月補正予算が編成され、マニフェストはその後40の政策にまとめられました。その6月補正予算の額は137億9、200万円となっており、近年では最も少ない補正予算規模であったわけですが、マニフェストの達成に向け十分な施策が盛り込まれたと言えるのでしょうか。ローカルマニフェストの評価についてもあわせてお示し願いたいと思います。

〇増田知事 昨年――15年度の6月補正予算でございますけれども、その中ではできるだけ政策的な予算を盛り込もうということで、約28億円の予算をその中で盛り込んだところでございます。今、委員からお話しございましたとおり、骨格予算でございましたのでそういう額を盛り込んだわけでございますが、実は当初予算の中にも政策的な経費、それからその後9月補正予算の方でも議会でお認めをいただきまして、40の政策を実行するに必要な予算をお認めいただきました。その分をあわせますと43億円の予算を全体として措置を行いまして、この額をもちまして15年度――初年度の40の政策を実行するための予算を措置した。初年度につきましては、こういった予算をお認めいただきましたので、着実にスタートを切ることができたと考えております。私の方は統一選挙で、4年間で政策的な予算につきましては、一般財源200億円でこれを実現しますと申し上げまして、1年当たりですと平均すると50億円ほどでございますが、初年度は今申し上げましたように43億円ということでございますけれども、初年度は着実にスタートを切ることができたと考えております。
 その評価でございますが、これにつきましては、15年度の実績についてこの8月にその評価を公表したところでございます。全体としてはややおくれているという評価になりまして、青森県境の産廃の不法投棄事案の解決初め、その中で進捗がおくれているものもございました。これにつきましては、必ずしも満足できるものとは考えておりません。今後、今年度のそうした分野への進捗もさらに徹底をいたしまして、引き続きこうした、今の全体としてややおくれているという評価を少しでも取り戻すべく、全職員でしっかりと目標を見据えて、厳しい姿勢で達成に向けて努力していきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 マニフェストは県民との約束でございます。どうかその実現に向け、鋭意今後とも努力されますよう御要望申し上げます。
 次に、平成15年度当初予算編成段階から導入した政策形成・予算編成システムは本県独自のものであり、各部局の自主性を高め、責任の明確化や政策形成過程の透明性の確保を目的としたものとして本格的に実施をされました。このシステムに基づく政策形成プロジェクトの構成事業は、従来のような総務部における予算調整を経ず、政策評価・推進会議により事業採択が決まり予算計上されましたが、個々の事業を実施してみて何か問題点は生じていないのでしょうか、事業が適正に執行されたのでしょうかお伺いします。

〇時澤総務部長 平成15年度当初予算から政策形成・予算編成システムが導入されております。さらに、本年度からは各部局が自己決定、自己責任の考え方のもとで主体的に予算調整を行う新しい予算編成システムが本格的に実施されているところでございまして、これによりまして、従来からの監査委員の監査あるいは事務事業評価、こういったチェックに加えまして予算執行状況調査というものを実施しております。今年度は、昨年度――15年度予算のうち政策形成プロジェクト構成事業を中心に、各部局おおむね4から6の事業、抽出で選定をして調査実施をしたところであります。
 この調査は、事業費の積算の妥当性の検証あるいは事業実施のスケジュール、契約方法は妥当か、こういった観点によりまして調査、検証を実施したところであります。部局点検の結果、契約方法につきましては、競争入札や企画コンペの導入によります競争原理の確保によりまして、おおむね適正に執行されていると考えておりますが、事業費積算や実施スケジュールにつきまして、一部問題があるのではないかと分析をしております。例えば、2月補正での多額の減額あるいは決算での不用の発生ということで、計画段階での事業費の積算、事業規模の適正化に努める必要があるものがございます。また、事業実施時期が遅いということで、事業効果の早期発現の観点から改善を要するものも見られたところであります。また、部局点検を踏まえてさらに総務部で検証した結果、さらにその事業実施後のフォローが不十分であるとかいうものも見られましたところで、より効率的な予算執行、効率的な事業実施の観点から、一層の改善を図っていく必要があると認識しております。
 この結果を踏まえまして、今後の政策形成プロジェクトの構成事業につきましては、各部局におきましても、企画・立案の段階で事業内容のやはり精査をしていただく必要がある。さらに、執行段階でも適切な事業執行を行いまして、より一層こういったことに努めていく必要があるということで努力していきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 まず、初めてというか、昨年度に続き始まったばかりの予算編成システムですので、これは完成度を高めるように今後一層努力されますことを要望いたします。
 次に、政策評価結果等について何点かお伺いさせてもらいます。
 政策評価結果についてですが、総合計画の着実な進展に向け15年度分の政策評価結果における五つの社会、17の施策ごとの進捗状況が公表されましたが、県政は知事の考えている方向に沿って順調に進んでいるのでしょうか。特にも、進捗がおくれている分野の要因と改善への見通しについてお伺いします。
 事務事業評価についてですが、15年度の事務事業評価は、対象となる674事業についてゼロベースで聖域なく見直すこと、行財政構造改革プログラムを踏まえて見直すこと、総合計画や40の政策への貢献度を踏まえて見直すこと、施策重点化の方向に沿って見直すことなどの留意点を挙げ、事業の必要性、事業の有効性、事業の効率性について部局で評価を実施しましたが、結果をどのように見ているのでしょうか。また、その後行われました2次評価で、部局の評価と意見が分かれたものについて何が要因だったのでしょうか。
 また、地方振興局単位での評価についてもお伺いしますが、年々限られた予算の中で総合計画実現に向け40の政策と行財政構造改革プログラムに取り組んでいく上で、大切なのはその後の県民の姿がどうなっているかでございます。総合計画や40の政策による評価は県全体としてのものでありますが、県民一人一人にとってみれば、今住んでいる地域が、自分が、また家族がどのようになるかが問題であります。それを判断するためには、地域における産業出荷額、雇用や所得、教育環境と水準、医療・福祉の質と量など、地方振興局単位でより一層判断をしなければならない基準があるのではないでしょうか。その数値をもとに体系的に政策に結びつけられれば、地域の特徴が生かされ、長年言われてきました格差の是正に結びつくと思いますがいかがでしょうか。

〇増田知事 全体的な評価について私の方から申し上げたいと思いますが、総合計画について15年度に政策評価を行いましたところ、到達度の高いという指標の割合は前年度より2ポイント増加して29%、それから到達度が中以上のおおむね順調という指標が55%となっている一方で、到達度が低いという指標の割合が45%となっているわけでございます。五つの社会はそこで掲げておりますが、その中で依然として厳しい状況にあるのは、第3社会の産業経済社会、この分野が依然として厳しい状況でございます。そのほかおおむね順調となっておりまして、現時点で全体として言いますと――現時点というのは15年度までということですが、15年度まではおおむね私が考えている方向で進んでいるととらえておりますが、その後、我々が総合計画策定時に想定し得なかった財政状況の急激な悪化ということがございます。また、社会経済情勢が大きく変化をしているということを考え合わせますと、中間年次である来年度、すなわち17年度には、必ずしも総合計画に掲げた目標に到達できないものも出てくると考えておりますので、特に今後は重点化というものをさらに図っていかなければならないと考えております。
 農林水産業や商工業など、この産業経済社会が今申し上げましたように到達度が大変低いわけでございまして、このために、この分野に相当てこ入れをしていく、そして国際競争力も高めていくことが必要だと思っておりますので、自動車関連産業を中心としたものづくり産業、それから新たな市場の開拓に向けた農林水産業の一層の促進といった、いわゆる政策形成プロジェクトを中心とした、より効果的な事業展開や工夫を行って、この総合計画の指標の低い分野の当初目標の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。

〇照井総合政策室長 私からは事務事業評価と地方振興局単位の評価につきましてお答えいたします。
 まず、部局が行った事務事業評価結果でございますけれども、事務事業評価は、厳しい財政環境の中にございまして、事務事業を不断に見直して、限られた財源の効果的、効率的な活用を図ることを目的として平成9年度から実施してきているところでございますが、平成15年度の分の評価は、政策評価条例に基づきまして初めて実施したところでございます。その結果、評価対象の全674事業のうち、廃止または休止としたものが55事業で、全体の8.2%、一部見直しまたは要検討としたものが124事業で、全体の18.4%と、それぞれ前年度をわずかながら上回っておりまして、各部局においては、成果重視の視点に立って評価が行われたものと考えております。
 また、各部局の自己評価と当総合政策室の2次評価で意見が分かれた要因でございますが、県では新しい予算編成システムの導入によりまして、予算の調整権限が各部局に移管されましたが、さらに事業の成果を的確に検証し、より効果的、効率的な推進を図っていくため、当総合政策室では、政策形成プロジェクトを構成する事業や、予算額が1、000万円以上の事業のうち、事業目標の到達度が特に低いものなど34事業を対象といたしまして、政策評価専門委員会の御意見を踏まえて、事業の必要性、有効性、効率性などの観点から2次評価を実施したところでございます。
 このうち、部局の自己評価と当室の2次評価の評価結果が異なるものが13事業ございますが、これらにつきましては、事業継続の必要性は認められるものの、事業の具体的な成果でありますとか課題をより的確に把握する必要があるということ、あるいは利用者のニーズをしっかりと踏まえて効果的な事業内容や手法を検討する必要があるということ、さらには、事業の効果を適切にあらわした目標を設定する必要があることなどの意見を付したところでございます。各部局におきましては、政策評価専門委員会や当室の意見も踏まえながら、来年度に向けまして、現在事業の内容や手法などにつきまして見直しを進めているところでございます。
 次に、地方振興局単位での評価についてでございますが、政策評価においては、地域の実情を的確に反映させるということが重要であると考えております。そこで、7、000人を対象といたしました県民満足度の調査結果や、医療、雇用などのように県民に身近な分野の主な調査統計データにつきましては、地方振興局別にその状況を明らかにして、地域間で大きく異なる特徴的な状況が見られる場合には、その状況を踏まえて評価を行っているところでございます。
 一方、地方振興局におきましては、各広域生活圏ごとに策定した総合計画の地域計画につきまして進行管理を行うとともに、新たな地域振興施策へ反映させることなどを目的として施策評価に取り組んでおります。この施策評価に当たりましては、地域振興部が策定したガイドラインを基本としながら、各地方振興局が地域の特性を生かした独自の評価指標を設定しているほか、住民アンケートでありますとか地域懇談会の開催などによりまして住民意識を把握してその評価に反映させるなど、それぞれ独自の取り組みを行っているところでございます。
 今後におきましては、政策評価の各分野ごとの評価におきまして、この総合計画に掲げる主要な指標や各種の統計指標のうち、各地方振興局別に測定可能なデータを活用いたしまして各地域の状況をさらに的確に把握するとともに、各地方振興局が行う施策評価などを通じて把握した地域の課題や今後の取組方向を取り入れるなど、より一層地域の実情を反映した政策評価となるように努めてまいりたいと考えております。

〇工藤大輔委員 地方振興局の件なんですけれども、しっかりこれは目に見える形で、また、それぞれの数値を共有し合って政策にしっかりと結びつけていかれますように要望を申し上げます。
 次に、行財政構造改革プログラムについてお伺いします。
 県財政の悪化から、行財政基盤を整え、計画達成に向け行財政構造改革プログラムを昨年10月に策定しましたが、これを実行しても150億円の財源不足が生じるとの予測でございました。非常に厳しいメニューをそろえて実施した初年度である15年度のプログラム全般の取組状況はいかがだったのでしょうか。
 また、地方財政をめぐる昨今の情勢の変化に対応して、このプログラム自体の見直しも必要と考えますが、今後どのように対応をしていくのでしょうか。
 基金についてもお伺いします。中期財政見通しの本年7月試算によりますと、財源不足額が526億円から746億円まで拡大することが見込まれています。その対策の一つとして基金の効果的な活用を挙げておりますが、主要3基金及びその他の特定目的基金について、今後どのように活用していくのかお伺いします。

〇照井総合政策室長 私からは行革プログラムの取組状況と見直しにつきましてお答え申し上げます。
 この行革プログラムにおきましては、平成15年度から18年度までの4年間におきまして、厳しい財政状況を克服して安定した行財政基盤のもとで、より質の高い行政サービスを提供できる自治体に変わっていくため、県の行財政すべての分野におきまして、一切の聖域を設けずに見直しを行い、改革の具体的な取組内容とその目標、そして工程表を示しておりますが、平成15年度におきましては、まず早急に取りかかるべき事項は直ちに実行に移したほか、そのほかの事項もすべて俎上にのせて具体的な検討に着手したところでございます。
 その主な具体的な取り組みといたしまして、まず心の豊かさ、ゆとりを実感し、安心して暮らせる地域社会づくりの関係では、特に重点的、優先的に取り組むべき分野を40の政策として掲げまして、4年間で一般財源200億円の政策推進枠を確保し、平成15年度は、いわて新産業創出・育成プロジェクトや学力向上プロジェクトなど43件、約43億円、これは事業ベースで見ますと約83億円になります。これを予算措置して、その推進に努めたところでございます。
 次に、官と民、県と市町村との適切な役割分担と官民協働化の取り組みの関係では、民間でできることは民間に、を原則に、観光宣伝業務を県観光協会へ移管しましたほか、新たに設置した総務事務センターの事務でありますとか、あるいは産業廃棄物の実態調査業務などの外部委託を進めたところでございます。
 また、安定した行財政基盤の構築と質の高い行政サービスを提供できる行政経営体の転換への取組関係では、組織・職員体制のスリム化として、知事部局職員や学校配置職員など292人を純減いたしましたほか、総人件費の抑制関係では約58億円、補助負担金制度の見直しでは約10億円などの削減を行ったところでございます。
 次に、このプログラムの見直しでございますけれども、このプログラムは、いわば進化する改革として毎年度必要な見直しを行っていくことにいたしてございます。現在、歳入歳出あるいは組織や職員体制、さらには、事務事業のあり方などの重要項目につきまして徹底的な見直しを進めているところでございます。その見直しの結果につきましては、来年度の当初予算案とあわせて公表いたしたいと考えております。

〇時澤総務部長 基金につきまして私の方からお答えさせていただきます。
 平成15年度末におけます財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金、いわゆる主要3基金の残高でありますが、これは約675億円、平成18年度末の残高見込み502億円と現在推計をしております。また、主要3基金以外の特定目的基金の平成15年度末残高は約578億円となっております。
 この基金の活用の考え方でありますが、現在の歳入歳出ギャップの拡大は、これは行財政構造改革プログラム策定時の想定を超えました地方財政計画の規模の抑制が前倒しで行われたことが大きな要因でありますけれども、そうした状況におきましても、持続可能な行財政構造への転換を目指すという財政運営の基本的な考え方は堅持をしたいということで、基金の取り崩しによらないという方針のもとで、まずもって主要3基金の取り崩し以外によるその歳入の確保、あるいはその歳出の削減努力に全力を傾けるとしております。
 このため、主要3基金につきましては、平成18年度までの間に、昨年の行財政構造改革プログラム策定時に見込んでおりました15年度末残高であります432億円――この432億円を下回らないことを基本といたしまして、主要3基金のさらなる取り崩しは、したがいまして、先ほど502億円程度18年度末と見込んでおると申し上げましたが、その差額であります70億円程度ということで、必要最小限にとめたいということで、当初想定をしたレベルの残高を確保してまいる考えであります。
 一方、主要3基金以外の特定目的基金につきましては、これは歳入確保の観点から、個々の基金ごとに今後の活用見込み額を精査いたしまして、当該基金の設置目的を損なわない範囲で、当面活用する見込みのない部分についてこれを一般会計に繰り入れたいということで検討しております。具体的には、地域振興基金、自治振興基金あるいは土地開発基金につきまして取り崩しあるいは繰り入れということで現在検討を進めているところでございます。

〇工藤大輔委員 どれだけコスト削減をしても、また、事業の内容を見直して不足額を減らしていくように頑張っても、県税収入の減少や交付税等の減額により新たに多額の不足額が生じてしまいます。このままでは予算編成すら本当に厳しい状況となりますが、三位一体の改革のおくれや県の予算執行は県民生活に直結をするため、国に対して改革の実効性をしっかりと問うとともに、財源確保について鋭意努力をされますよう要望申し上げます。
 次に、知事にちょっと1点お伺いしますが、知事はこの三位一体の改革についてで、以前本会議において、この地方案が実現をしなければ、発言またはこの6団体の意見を撤回すると答弁をされましたが、この発言はまだ生きているのでしょうか。
 続けて、県税の決算についてお伺いしますが、税目ごとの決算状況はどのようになっているのでしょうか。ここ数年の推移から判断して、その増減の要因をどのように把握しているのでしょうか。収入未済額はどのようになっているのか。行財政構造改革プログラムに基づく滞納整理の推進にどのように取り組んでいくのでしょうかお伺いします。

〇増田知事 三位一体改革の関係でございますが、地方案が受け入れられなければ6団体全体として撤回もあり得るということを、その最後の過程で6団体代表がお話をしたということがございます。結果として、先般出ましたあの地方案で、本会議で申し上げましたように、不承不承、受け入れたということですが、問題の交付税――交付税についてはまだ決着がついていなくて、これから暮れにかけてということで、一応安定的な財政運営に必要な額は確保すると文言では書いてありますが、具体的な数字はまだ決まっていないということがございます。
 実はそれについては明日、総務大臣と地方6団体の代表が会って、それで6団体からさらに強くこの問題について、確保を総務大臣に要請をするということになっております。そのときには6団体の代表は相当の覚悟を持ってそのことを申し入れるということになっておりまして、どういう発言になりますか。きのう実はその打ち合わせが東京でございましたので、何人かの知事と知事会長に私の方からも申し上げておきましたが、この問題が一番今回の改革の最後の仕上げの大事なところであるので、表現し得る限りやはり強い態度で総務大臣に地方の思いを申し上げてくださいということを言っておきました。恐らくあしたの知事会長初め、6団体が総務大臣に何を言ったかは、すぐその直後に明らかになると思いますけれども、それだけの強い覚悟で臨んでもらえると思いますが、したがって、気持ちとしては前段のところまでは不承不承、受け入れたということにはなっておりますけれども、一番最後の肝心なところについては、まだまだ我々の方で強い態度を言っていく必要があると思いますし、あしたもそういうことで臨んでいただけると思いますので、最後まで、12月に入っておりますが、予算の編成のときまで私どもは6団体一致結束して、一番とり得る強い態度で臨んでいくべきでありますし、6団体代表もその意を受けてそういった行動をしていただけると考えております。

〇時澤総務部長 まず、県税の決算状況でございます。
 平成15年度の県税収入決算額1、092億2、300万円余でございます。前年度に比べまして0.4%の減、額で言いますと4億7、600万円余の減となっております。主な税目でございますが、基幹税目であります法人2税は前年度より12.4%増加をしておりますが、個人県民税で5.7%の減、地方消費税で2.6%の減、軽油引取税で2.9%の減となっております。
 増減要因につきましては、これは、景気が一段と悪化した13年度からほとんどの税目で前年度を下回って推移してきたところでありますが、15年度の法人2税におきましては、電気通信、輸送用機械等を中心とした製造業の回復によりまして、また、運輸通信、サービス業を中心とした非製造業におきましても回復傾向が見えたことから12.4%の増となったと考えております。一方、個人県民税、地方消費税、軽油引取税等大半の税目におきましては、個人所得の減少、消費の低迷、物流の低迷によります軽油需要の落ち込み等によりまして前年度を下回っている状況というふうに把握をしております。
 次に、収入未済額の状況でございます。
 平成15年度の県税決算におけます収入未済額の状況でございますが、これは22億4、800万円ということで、前年度に比べまして2、700万円の減ということで、収入率は若干逆に伸びているということでございます。特に市町村が賦課徴収しております個人県民税を除きました県税の収入未済額は10億8、700万円で、前年度より7、600万円の減となっておりまして、収入率は98.79%、0.08ポイントでございますが増加をしておりまして、歳入確保に向けた取り組みの効果があらわれていると考えております。
 この県税収入未済額の縮減につきましては、県行財政構造改革プログラムの中でも喫緊の課題と位置づけておりまして、目標収入率、これは18年度で99%でございますが、この目標を設定して現在取り組んでおります。収入未済額の半分を超えます個人県民税につきましては、市町村に対しまして、共同での納付催告あるいは滞納者への訪問、あるいは徴収引き継ぎによります県の直接徴収の実施によります徴収支援策を講ずるとともに、先般新たに、県と市町村の合同によります監督研修でございますが、徴収事務のマネジメント研修というものを実施して、さらに取り組みを加速させたいと考えております。
 また、収入未済額の約2割を占めます自動車税につきましては、滞納の初期段階におけます税務職員全員が滞納整理に当たりますいわゆる初動集中整理が大事でございますので、これに取り組んでおります。また、県内一斉の土曜日、日曜日におけます納付窓口の開設をいたしますなど、多様な取り組みを行っているところであります。特に、納付に誠意のない滞納者に対しましては、納期内に納付した県民との公平性の確保を図るために、厳正な態度で早期の差し押さえを執行することとしておりまして、現在、滞納件数の多い盛岡地方振興局への徴収対策特命課長を配置したり、迅速な滞納整理を支援するための電算システムの導入をやっておりまして、執行体制を強化しながら、さらに収入の確保に努めていきたいと考えているところでございます。

〇工藤大輔委員 ただいま知事から真の改革の方向への力強い答弁をもらったと思います。ただ、各県、各団体多いわけでございます。知事の思いと行動がぼやけることがないように、それらの団体をしっかりとまとめられ、また、的確な判断をされますよう要望申し上げます。
 次に、公共事業費についてお伺いします。
 国直轄事業を除く公共事業費は、15年度6月現計予算が1、254億300万円で前年度比17.6%の減少、16年度の当初予算では1、008億2、000万円で14年度比33.8%の減となりました。知事は14年度と比較して2年間で30%の公共事業を削減すると明言され予算執行に当たりましたが、単独事業及び補助事業だけで見ると3.8%オーバーしています。これは国直轄事業が伸びを示したためであり、その分、県が主体的に判断して実施できる単独事業や補助事業が減ることとなりましたが、この結果をどのようにとらえているのでしょうか。
 続けて、地域間のアンバランスについてお伺いします。
 国直轄事業を除く公共事業費の地方振興局ごとの増減率を見ると、平成14年度から2カ年のうち北上地方振興局の51.0%減を筆頭に久慈地方振興局の47.6%の減、水沢地方振興局の41.0%の減、実に12地方振興局中7地方振興局で30%以上の減少率でございましたが、このことについてどのような見解を持っているのでしょうか。今後公共事業費のボリュームが平準化されていくに当たり、増減率の地域間のアンバランスも是正すべきと思いますが、どのように考えているでしょうか。

〇竹内副知事 県におきましては、行財政構造改革プログラムに基づきまして、県全体の公共事業費の大幅な削減を行っておりまして、政策評価などに基づいて必要な事業の選択と集中に努めておりますが、国の直轄事業費はほとんど縮減しておりません。これが地方財政にとって大きな負担となってきております。地方分権の推進に伴って、国の行う事業は本来国の財源で賄われるべきでありまして、今回の三位一体改革に当たりましても、地方は国に対して直轄事業負担金の撤廃を求めてきたところでありまして、今後とも、この運動を強化していくことが重要であると考えております。
 当面は、制度上の制約もございますので、県内の社会資本の全体的な整備を進めるため、基幹的な事業を実施する国直轄事業と、県民生活に密着する県事業とのバランスを考慮しながら取り組むこととしておりまして、今後とも、直轄事業連絡会議という連絡調整をする会議がございますが、この場を通じて国と密接に協議を行いまして、直轄事業が県の財政負担を念頭に置いた適切な事業費となるように努めてまいりたいと考えております。
 それから、公共事業費の増減率のアンバランスについてでございますが、公共事業費全体を縮減している中にありまして、投資効果が最大限発揮されるよう継続箇所を重点的に整備することとしておりまして、それから、新規箇所の採択に当たっては、公共事業評価をもとに必要性を勘案して箇所を厳選し、緊急性の高いものから優先的に予算措置を行ってきたところでございます。こうした重点化の結果、継続事業の完了と新規事業の採択との兼ね合いなどで、事業費が他と比べて減少となった地域も生じているところでございます。
 今後の社会資本整備に当たりましては、全国一律の基準の見直しによる、いわゆるローカルスタンダードを導入するなど、地域における事業の実施のあり方を不断に吟味いたしますとともに、事業の完了した地区におきましては、今後、維持管理費予算などの占める割合が増大していくことなども考えられますことから、こうしたことも勘案しながら、地域ごとの事業費配分につきましては、その状況について慎重に検討してまいりたいと考えております。

〇工藤大輔委員 地域にとってみれば、30%減をするといえばうちらの地域も30%だろうと想定するわけですが、実際にこれだけの開きがあるということは地域では余り考えていなかったのかと考えます。どうかその辺のことについて、慎重に今後御判断をされますよう要望申し上げます。
 また、この公共事業費は、来年度さらに一般財源ベースで5%削減の方向にあるようですが、合併市町村が建設計画を立てて事業を進めるに当たり、どのような影響が出てくるでしょうか。また、今後、合併市町村の公共事業が優先され、既存自治体が割を食うことにはならないでしょうかお伺いします。

〇山口地域振興部長 合併市町村建設計画への影響でございます。
 合併を目指している市町村に対して、関係市町村が新たなまちづくりを目指して、住民と十分に議論を尽くし策定する新市建設計画が実効あるものとなるよう、市町村の意向をできる限り尊重し、計画に盛り込まれた事業については実施できるよう、関係部局と連携を図りながら全庁挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

〇竹内副知事 ただいま地域振興部長がお答えしたとおり、合併市町村の建設計画に盛り込まれた公共事業につきましては、大変厳しい財政環境の中にありましても可能な限り支援していくこととしておりまして、合併市町村の機能が円滑に発揮されるための基盤が形づくられるまでの間におきましてはこれが優先的に行われることになりますが、県といたしましては、地域において必要な公共事業につきましては、県内全域の視点から、その必要性、重要性、緊急性などを的確に判断して取り組んでいくべきものと考えております。

〇工藤大輔委員 そのような方向でよろしくお願いしたいと思います。
 そういった中、きょうの朝、大変ショッキングな話題が新聞紙上に躍ったわけでございます。まず、知事にお伺いしたいと思いますが、知事は、これまでも両磐地域の合併については異例とも言える発言を数回繰り返し、合併した方がいいんだというふうに言ってきたと思いますが、今回の結果についてどのような思いを持っているのでしょうか。
 また、地域振興部長、今後、建設計画がどんどん出てくると思います。当然市町村合併をするに当たって県との協議が必要なわけでございますが、この建設計画によって合併ができる、できなくなったとか、いろいろそういったことが今回の両磐の事例を見て、戦々恐々というか心配をするような声も聞かれておるところでもございます。今後どのように対応されていくのか、再度お伺いしたいと思います。

〇増田知事 両磐の合併でございますけれども、昨日、関係者が集まって協議をしましたけれども、もう一度振り出しに戻すという結論になったようでございます。このことについて、私は率直に大変残念であるという思いがしておりますが、この間、特に一関市長さんが合併に向けて大変努力してこられたということ、それから、関係者も皆さん方それぞれの立場で努力してこられたということに対して最大限の敬意を表したいと思います。
 けさほど一関市長さんともお話をいたしましたけれども、今まで真摯に協議をしてきましたその内容については決してむだにしたくないし、むだにはならないというお話をしておりました。ほかの地域の首長さん方も、いろいろと思いのすれ違いはあるけれども、協議をしてきたその内容についてはできるだけ今後に生かしていきたいというお話をしておりましたので、あした協議会があって、正式に法定協議会としては今の形は解散ということになるかもしれませんけれども、直ちにその次をどうするかをまた議論していかなければならないと思います。また市町村長さん方のお考えを十分にお聞きし、意を体して、そして期限内にどういう枠組みでこれから進めていけるのか、私どももよくお話し合いをした上で、地元の市町村の思いというのは最大限に支援していきたいと考えております。

〇山口地域振興部長 今、全部で10協議会ありますが、これにつきましては、県の地方振興局、それから県の市町村課から委員として出ておりまして、その協議についてはいろいろと学識的な観点から指導しているところでございますが、いずれ建設計画によりましてそのようなことのないように、建設計画が実効あるものとなるようにこちらの方は努めてまいりたいと考えております。それによってだめになるようなことではなく、盛り込まれた事業が実施できるように関係部局と連携をとってまいりたいと思っております。

〇工藤大輔委員 私も今回、朝、新聞を見たときに本当に驚いたところであり、また、非常に残念な思いをしました。南の方の方々はその中身について知っていると思いますが、北の方の人たちとか沿岸の方は、その事情がわからなくて、新聞だけ見ると名前で合併を決めるのかという思いを持つ方もあるわけでございます。そういった中、今回、実施した議論、また、将来に向けての方向性を確認し合ったこと等を決してむだにすることがないように、県においてもしっかりとサポートされますように要望を申し上げたいと思います。
 次に、市町村の決算状況についてお伺いします。
 自立を目指した地方分権型の社会の到来には、基礎的自治体である市町村財政の健全化は必要不可欠となります。しかし、県と同様に市町村も厳しい行財政運営を余儀なくされたところであり、県内市町村の15年度の決算状況をどのように把握しているのでしょうか。地域別に見て特色があるのでしょうか。また、決算状況から、県内市町村の財政運営上の課題はどのようなものなのでしょうかお伺いしたいと思います。
 また、市町村に関係しまして、市町村要望についての取組状況でございますが、市町村が自立に向かって歩んでいくためには、それぞれ抱えている大きな懸案を解消することが求められています。県では、毎年統一要望という形で地域の抱える重要案件を聞いておりますが、達成に向けどのような取り組みをしているのでしょうか。要望された件数のうち、事業着手をどのぐらい行っているのでしょうかお伺いします。

〇山口地域振興部長 まず、市町村の15年度決算の状況でございます。
 決算規模は、普通建設事業費や災害復旧事業費の減少、人件費の削減により、歳出ベースで6、183億円と、14年度に比べまして260億円余りの減でございます。伸び率では、歳入で4.3%の減、歳出で4%の減となっております。総体としまして市町村の財政の硬直化が一層進んでおりまして、経常収支比率が90%を超える市町村が14年度決算の4団体から15年度では7団体へと増加したのを初め、その他の財政指標も一様に悪化するなど、極めて厳しい財政状況が示された決算となっております。
 それから、地域別の特色でございます。主要財政指標であります経常収支比率、起債制限比率、公債費負担比率の三つについて県内9広域生活圏別に市町村平均値で見ますと、3指標とも県平均を下回り比較的良好なのは、盛岡、岩手中部、胆江の3生活圏で、残る6生活圏は、いずれかの指標が県平均を上回る、上回るということは悪いということでございますが、上回っております。
 それから、財政運営上の課題と県としての今後の対応についてでございますが、課題としましては、歳入では景気低迷による市町村税や地方交付税の減、歳出にあっては公債費の増嵩が見込まれ、財政の硬直化が引き続き懸念されるところであります。市町村に対しましては、税収の確保や受益者負担の適正化等財源の確保に努める一方、各種施策の優先順位についての厳しい選択を行い、限られた財源の重点配分と経費支出の効率化に徹するなど、行財政運営に関する従来の考え方や手法を抜本的に転換するように助言するなど、財政健全化への取り組みを引き続き支援していきたいと考えております。

〇照井総合政策室長 市町村からの要望につきましてお答えいたします。
 市町村からの要望につきましては、地方振興局が市町村と地域課題を共有しながら、そしてまた、地方振興局で完結できないものにつきましては本庁と密接な連携を図りながら、可能な限り県政に反映するように努めているところでございます。
 今年度の市町村からの統一要望件数は全部で914件ございました。昨年度に比べますと69件減少いたしてございます。これは、国、地方に共通した厳しい財政環境などを踏まえまして、要望項目の一層の重点化が図られたことによるものと考えております。
 要望内容の特徴といたしましては、道路や港湾などの交通ネットワークの整備でありますとか、河川、砂防事業など安全な暮らしの実現のための社会資本の整備に関するものが最も多く、全体の約53%を占めております。
 この市町村要望への取組状況でございますけれども、要望の趣旨に沿って措置したものが165件で約18%、事業化や制度化に向けた検討の着手などを含めまして実現に向けて努力しているものが367件、約40%ございます。これらをあわせますと532件、約58%という状況です。一方、当面は実現できないものが356件、約39%、実現が極めて困難なものが26件、約3%となってございます。近年、財政環境の悪化から、特に最も要望の多い社会資本の整備につきましては、継続事業の完成を優先させまして、新規着手を抑制せざるを得ない状況が続いておりますことから、要望の趣旨に沿って措置したものと、それから実現に向けて努力しているものをあわせた割合は低下してきている状況にございます。県、市町村を通じた厳しい財政環境はここ当分続くものと考えられますので、県におきましては、公共事業評価などにより事業の優先度を的確に評価しながら、要望の実現に向けて取り組んでいくことにいたしてございます。

〇工藤大輔委員 今、市町村財政が厳しく、また、事業をやるにしても本当に財源がないという中、取り組みたいのにできないということをいろいろ市町村長さんから話を聞くところでもございます。何とか住民の生活がさらに向上の方向に結びつきますように、県のサポートを要望いたします。
 競馬の件についてお伺いしたいと思います。
 決算書の中に本来であれば競馬からの売上金の一部が自治体側の方に入ってくるような形で書いてあってもいいんですが、今回は記載がございませんでした。非常に残念な思いでいるわけでございます。また、一般質問におきましてもさまざまな議論がなされたわけであり、県の競馬はどのようになっていったらいいのか今後議論をしていかなければなりませんが、直接知事からこの件に関して話をお伺いする機会というのはきょうで最後かと思います。
 私が感じましたのは、先週、資料をちょうだいしたんですが、あの膨大な資料をこの段階でいただいても、なかなか判断に苦しんだり、精査するのに多大な時間を要するわけでございます。どうしてもっと早く、例えば赤字になった段階でこのような調査ができなかったのでしょうか。また、資料の中身を見ると、本当にあの計画が実効性があるのかどうか疑問に思うところもございました。知事は、議場において、大丈夫です、その方向に向かって頑張ってまいりますから50億円の予算をという形で答弁されました。その実効性について、再度、実現可能かどうかお伺いしたいと思います。

〇増田知事 今、二つございました。
 まず、こうした競馬組合の状況について、調査をした上で再建計画をもっと早く立てられなかったかどうかというお話だろうと思いますが、先般、各議員に県としての調査をお配りしたわけでございますけれども、財政競馬という競馬の今まで行っておりました趣旨は、ほぼおしまいにきているのではないか。他の競馬開催の様子等も見ますと、やはり財政競馬としてこれからやっていくのは、冷静に考えますと大変難しい時期に来ていると思います。これから私どもがつくりました計画を間違いなく実行していくわけでありますが、競馬組合を存続させて実行させていけるそのかぎは、今回の競馬法改正で大幅に、従来認められていなかった民間の力というものをこの競馬の中に入れることができるチャンスが来年の1月以降広がっていく、そこに可能性を持たなければいけないと思っております。2年、3年前の段階でありますと、そうした競馬法改正の動きがまだ議論されておりませんで、方向性もまだ見えていなかったということがございます。今回やっと昨年からその動きが出てまいりまして、ことしの3月、4月だったかと思いますが、国会で議論の上で初めて競馬法改正という動きにつながりました。ようやくその細部も明らかになって、来年からそうしたことができる、これに私どもは競馬再生のかぎを見出しているわけであります。したがって、そういう動きが見えてきたこの時期に、今現在の競馬組合の債務の状況なり組合の置かれている状況を今時点でもう一度すべて洗い直して再建計画に反映させていきたい、そういう思いで調査なども行ったものでございます。
 そういうことでございますので、これからの競馬のあり方というのは、大きく私どもも見方を変えて、可能な限り民間の力を入れる。それは、お金だけではなく、執行体制も含めて大幅に民間の力を活用して競馬再生の道をそこに見つけていく、そういう将来展望を持たなければいけないと思いますので、その考え方、理念というものを再建計画の中にすべて可能な限り取り込んだ。今の段階で、競馬法改正を受けて、取り込める手段は再建計画の中に一つ残らず取り込んだ。それを具体化させていくための方策は、さらに知恵を出せばこれからまた出てくると思いますし、民間への多方面、各企業への働きかけもこれからもっと積極的にやっていきますが、そうした材料はすべてあの計画の中に盛り込んだと考えております。
 本会議で各議員からさまざまな厳しい御指摘をいただきました。特に再建計画の将来の売り上げの見通しなどについては大変厳しい御指摘をいただきましたけれども、そうした御指摘も、すべて競馬再生に向けて、もっと確実性を高めてぜひそれに結びつけろという御趣旨でのお話だと思いますので、けさほども組合の柴田副管理者を呼びましたけれども、そうした質疑のお話を受けて、より具体的に多くの民間活力の導入策を工夫してあの中に入れていきたい。そして、今、あそこに盛り込んでおります競馬再建の計画は必ず実現できる。これは、本会議で再三申し上げたとおりでございます。すべて盛り込める要素は盛り込んでおりますので、私の全責任においてその再建を成し遂げる、こういう決意でございます。この思いを組合の全職員が共有した上で計画の実行に努力していきたい。私は先頭に立ってそれを努力していきたいと考えております。

〇工藤大輔委員 ちょっと苦しい答弁でもあったかなというふうにも聞き取れます。確かに競馬法の改正を目前に控えてのことで、どうなるかわからないということもあったのは事実だったと思いますが、やはり常日ごろ事業を見直したり経費節減に進んでいくということは、これまで増田知事が大いに取り組んできたことではなかったのでしょうか。今回の競馬組合の件、そして、今、県の方でやっている行財政構造改革プログラムのやり方等を見ても、私には同じ人がトップとしてやっているとはどうも感じられないんです。県の方には厳しく、競馬組合の方には少し甘いような、どちらかというと任せているという感を持ってしまうところでもございます。
 また知事は、これまで行政品質向上運動とか、さまざまな形で職員の意識改革に努められました。また、常日ごろ説明責任が必要だと言いながら職務に当たってまいりましたが、今回のこの資料の提出のおくれや議会への対応、また、前の議会のふれあいランドの件を見ても、どうも職員の人たちに意識改革をと言っている割には、全く正反対のことを先般の議会、また今議会において知事並びに執行部の方々がされているんじゃないのかという思いを持っています。どうか今後このようなことがないように、しっかりと説明責任を果たし、ともに建設的な議論を進めながら、県行政、また競馬の件にも関してですが進んでいくように、まずは資料等をもらったり説明をしてもらわないとどうにもなりません。こちらの方は判断をしかねてしまいます。ですから、その基礎的な部分にしっかりと対応されますように要望を申し上げたいと思います。
 数点飛びまして農業問題についてお伺いしますが、県の農業は、これまで食料供給基地を目指すという大きな目標を掲げて諸施策を展開してまいりました。そのためには、食料自給率の向上を図ることが大前提となります。担い手の育成、転作作物の導入促進、産地化、ブランド化など現在抱える課題を解決し、効率的、効果的農業を実行するには適地適作の推進が必要であると思いますが、地域の特徴を生かした作目の再編やマーケットから求められる本県の農業、岩手の農業の確立に向けどのように取り組んできたのでしょうか。
 また、BSE発生から食の安全・安心に対する意識の高まりの中、牛肉トレーサビリティー法による開示情報に加え、県独自でオプション情報を開示できるシステムを構築したり、農協等が取り組む米や青果物等のトレーサビリティーシステムに補助をするなど先進的な取り組みを行ってまいりました。他県の取り組みも強化されている中、このトレーサビリティーシステムに係る現状と課題についてどのように把握しているのかお伺いします。

〇竹内副知事 本県の農業振興に当たりましては、高品質で安全・安心な農産物の生産に努め、岩手ならではの個性ある特産物の生産を進めていくことが重要と考えておりまして、このためには、適地適作を基本としながら、作物再編や雑穀などの地域特産物の産地化、減農薬栽培の普及などを積極的に進めることが重要であると考えております。
 こうした考えのもと、米づくりにつきましては、県内の良質米生産地帯における作付割合を高めるため生産目標数量の市町村間調整を支援してまいりましたほか、米以外の作物についても、夏季冷涼な気象を生かした園芸作物の拡大に向け、県内各地においてハウス団地の整備を促進してきたところでございます。また、特産物の生産を拡大するため、県中南部の水田におきまして、健康食として見直されている雑穀の大規模栽培や加工原料として用いられる黒大豆の団地生産などを推進してきたほか、農薬や化学肥料の使用を通常の50%以下に控えた、いわゆる減農薬の特別栽培農産物の生産実証圃を県下各地に設置するなど、きめ細かな栽培技術指導を展開してきたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、胆江地域におきましては全国的に評価の高いひとめぼれの作付が拡大されますとともに、久慈地域ではホウレンソウの販売実績が3年連続して10億円を超えたところでございます。また、花巻地域におきましては、ここ数年で雑穀や納豆原料用の黒大豆の作付面積がいずれも200ヘクタールを超えるに至っておりまして、さらには、県下の特別栽培農産物の作付面積は、平成16年度は前年度の7倍のおおよそ6、400ヘクタールに拡大されるなど、大きな成果を上げているところでございます。
 今後におきましても、消費者ニーズが形成するマーケットの動向を的確にとらえ、食の安全・安心を基本に作物再編の取り組みをさらに強化し、我が国の総合食料供給基地としての地位を確固たるものにしてまいりたいと考えております。
 それから、トレーサビリティーでございますが、現在、本県で導入されている品目は、県内の農協や漁協、流通販売業者等の積極的な取り組みによりまして、牛肉を初め、米やキュウリ、レタス、リンゴ、シイタケ、ワカメなど20品目まで拡大してきております。このトレーサビリティーシステムは、消費者の食に対する信頼を確保する上で極めて有効な手段でありますことからさらに普及拡大していく必要がありますが、牛肉以外の品目につきましては、流通形態が多様化しておりまして生産から販売までの情報ネットワークの形成が大変難しいこと、開示する生産履歴情報の内容や伝達方法が標準化されていないこと、システムの導入に多額の初期投資が必要になること、こういった課題を抱えております。このため、伝達方法の標準化につきましては、国に対して食品全般のトレーサビリティーの情報の伝達・開示に関する標準化モデルの開発を提案しておりますし、このほか、トレーサビリティーシステムのネットワーク形成につきましては、既に流通経路が固定している契約取引品目から先行してシステム導入を促進しておりまして、また、初期投資につきましては、導入経費に対する補助を行うなどいろいろな取り組みによりましてこのシステムの導入拡大を図っております。今後とも、食の安全・安心に対する消費者の要請にこたえてまいる考えでございます。

〇工藤大輔委員 副知事の答弁を聞くとわかる思いもしますが、一般質問における佐々木順一議員の質問に対する答弁で――これは部長答弁だったわけですが――、目標を品目別、地域別に割り当てることも一つの方向だと。むしろ大事なのは消費者ニーズに的確に対応し、地域地域において特色のある生産条件や資源を最大に生かし、みずからが農業生産を高めていく努力が必要と考えておる。だから地域で生産されたものが地域内で利用される仕組みを進めることが重要だということ、また、地産地消運動による地域内生産・地域内消費の取り組みを積極的に進めているという答弁でした。どうもこれを聞くと地域内の自給自足の生活かという思いがして、また、適地適作という理念がここから離れているんじゃないかという感を持ちました。また、これまで私は、地産地消というものは、県内でつくったものを県内で売って消費する、そして全国に発信するというような形で進んでいると思いますが、この答弁を聞くと、今度は反対により細かい方向に行っているような気がします。これで果たして所得が伸びるのか、担い手の育成が果たされるのかどうか、これを考えるとどっちが正しいのかなという思いがしたところでもございます。副知事の方が正しいのかと思いますが、再度、簡潔で結構ですので御答弁願います。

〇竹内副知事 どちらが正しいかということではなく、基本的なスタンスは今申し上げたようなスタンスであります。ただ、いろいろ意欲を持って実際御自分なりのやり方で地域の農業に取り組んでいる方々もたくさんございます。そういった人たちの意欲、それからパワーはやはり非常に貴重なものですので大事にしていかなければなりませんし、いいものをたくさん消費してもらうためには、やはり生産した地域がそれをみずから消費していくことも非常に大事なことでありますので、地産地消ということはやはり消費拡大のベースになるのではないかと考えております。

〇工藤大輔委員 確かに地域で意欲を持って取り組まれている方がいて、それは当然大切にしてまいらなければなりません。また一方では、効率的、そしてまた安定的な農業を展開しながら、力強い岩手の農業に展開していくということも必要な考えではないかと思います。そのための適地適作であり作目再編等でもございますので、どうか前向きにもっと推進されるように検討されますことを要望申し上げます。
 続きまして、公共事業に係る組織の一元化についてお伺いしたいと思います。
 縦割り行政の弊害を打破し、効果的で効率的な行政運営を進めるため、汚水処理分野の組織体制の一元化を初め、道路、海岸、治山、砂防の4分野において、組織や事務事業のあり方について鋭意検討をしてきていると聞いていますが、どのようにまとまったのでしょうか。このまとまった方は簡潔でも結構です。来年度の取り組みとあわせて考えを示してもらいたいと思います。

〇増田知事 公共事業の組織については、例えば下水道と農業集落排水が、実際につくるのは同じようなものなんですが、部局がそれぞれ異なって、非常に県民から見るとわかりづらい。市町村から見てもわかりづらいし、やりにくいというお話が聞こえてきています。それから、県道と農道などでもやはり同じような声が聞こえてくるということがございまして、こうしたものについて、より効率的な体制を構築しなければいけないという考え方で、今、内部で検討をしているところでございます。
 市町村からのお話もよくお伺いしたり、今やっている関係部局間の連携をよりこれから統合することによって支障があるかどうかといったことも洗い出しながら検討を進めてきたんですが、来年度については、そういった検討結果を踏まえて、いわゆる汚水処理――これは下水道と農業集落排水や漁業集落排水などですが――について、それから道路について――これは一般の道路とか農道とか林道でございますが――、それから海岸整備についても所管省庁ごとに予算などが分かれていますが、汚水処理と道路整備と海岸、この三つの分野においては実施するセクションを一元化する方向で、今、具体的な組織体制について内部で調整を行っているところでございます。

〇工藤大輔委員 もう少し答弁をもらえるのかと思いましたが、わかりました。来年度、検討され、適切に実行されますようによろしくお願いします。
 それでは、知事の教育観についてお伺いしたいと思います。
 高校の進学率は現在98.4%に達しており、義務教育と言っても過言ではない状況にございます。ということになると、高校教育は、中学校や自治体と一層連携をとり、地域と深いつながりを持ちながら推進すべきとも考えるところでございます。学校教育の基本は、個性を生かしながら、みずから学ぼうとする自学の精神を醸成させ、互いを尊重し合う人間性をはぐくみ、他県や他国の情勢を見きわめながら、社会で通用する環境を整えることにあるのではないでしょうか。また、地域の産業と連動した職業教育も地域振興や産業育成に欠かすことのできない重要な要素であり、即戦力となる人材を地域では求めています。本県の子供たちがこの地で成長するに当たって、教育理念や教育環境のあり方など、知事の教育観についてお示し願いたいと思います。
 また、教育委員会が進めている後期県立高等学校新整備計画については、議会や各地域でさまざまな議論がなされているところでもございますが、県内の小規模校や専門高校の今後のあり方について、知事はどのように考えているのでしょうかお伺いします。

〇増田知事 まず、私の教育観を問われたわけでございますけれども、私は、教育の根幹というのは、次代を担う人づくりだと思うわけです。そして、そうした次代を担う若い人たちに、この岩手に生まれ育ったということに対して誇りや自信をぜひ持っていただきたい。それから、どんな環境や状況にあっても、強い信念と気概を持って、自分の目指すところの実現に向けて粘り強くチャレンジしてもらいたい。そうした自立の精神を持った若い人をはぐくむことが教育だと思います。現実の社会を見ておりますと、そうした若い人たちがこの岩手の地から巣立っていっていると思いますけれども、しかしその中で、日本全体を見ますと、そうした若い人たちが、特にボランティアなど社会に貢献しようとする意識だとか、家族、親を敬うとか、そういった意識にともすれば欠けることがありはしないか。そういった意識を教育の中で大事にはぐくんでいくことも教育の大きな役割だと思いますので、私は、冒頭申し上げましたような自立の精神を持った人をはぐくむ中で、今、申し上げましたような社会に貢献しようとする意識や家族への愛情などといったこともその中に包み込みながら、岩手らしい教育をしていくことが次代に対する我々の責務だと考えております。
 もう1問、小規模校や専門高校のあり方についてお尋ねがございました。県内にも小規模校がございますが、小規模校には小規模校のよさがあると理解しておりますけれども、生徒一人一人が切磋琢磨して、発達段階にふさわしい魅力と活力のある教育環境を整備することも大変大事でございます。小規模校について、そういう考え方で整備を考えていくべきと思います。
 それから専門高校、これは工業高校や農業高校であったり商業高校であったりさまざまなものがございますが、こうした専門高校は、社会に出ますと、今、科学技術が急速に進展していますし、産業界からもやはり多様なニーズが寄せられているわけでございますので、そうした専門高校で、それにふさわしい高度で専門的な知識を養っていくことが大事だと思います。それは、社会の発展、岩手県の発展にとっても必要なことだと思います。
 今後は、こうした専門高校についても、今言ったようなその置かれている状況を踏まえて、集約化や重点化を図って、そして学科の配置の工夫などもしていく必要があると思いますし、何よりも地域産業との連携をより深めていくことが大事かと思います。そして、岩手県を支える地域産業の発展に一層寄与できる人材の育成を可能とするような整備を専門高校について行っていくことが大事だと考えております。

〇工藤大輔委員 将来の本県を支える重要な人材を育てるための教育であり、また高校再編の整備計画でもございます。慎重に地域の意見を聞きながら、将来において適切な判断をされますように要望を申し上げます。
 知事は、選挙後の一番最初の議会の冒頭で新渡戸稲造博士の言葉を用いて将来の本県のあり方を説かれました。その言葉に現在も何ら変わることはないと思いますが、環境は非常に厳しさが進行している状況でもございます。強い気持ち、そして強いリーダーシップを持って、今後、県政に当たられますよう御要望を申し上げ、残時間につきましては新居田委員の方から質問をしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

〇川村農夫委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時47分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇柳村岩見副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 総括質疑を続行いたします。新居田弘文委員。
   〔新居田弘文委員質問者席に着く〕

〇新居田弘文委員 民主・県民会議の新居田弘文でございます。午前の工藤大輔委員に引き続きまして質問させていただきます。
 知事は昨年、3期目のスタートに当たり、6月議会において、今後4年間の県政への取り組みと15年度の県政運営の考え方について、知事演述として述べられております。私は決算審査に当たり、この方針がどのような結果に、あるいはどのような実績になってあらわれたかについて数点質問させていただきます。
 まず、最初に市町村合併の取り組みについてです。
 知事は、所信表明の前段で、地方が真に自立するため、三位一体改革の必要性を強調し、さらに市町村合併の必要性を述べております。三位一体関係につきましては既に一般質問での中で議論されておりますので、重複を避けまして市町村合併について伺います。
 知事は、基礎的自治体の行財政基盤を確立するため、地域の主体性を尊重しながらも市町村合併の必要性を述べております。過日、県内新聞によりますと、15年度の県内58市町村の普通会計決算の状況が掲載され、市町村財政は悪化の一途をたどっており、このままでは予算が組めないと嘆いていると報じられております。知事は市町村合併の必要性を強調しながら、どのように指導してきたのか。市町村の財政力を維持するためにも、県が主体的に市町村合併を推進すべきとしていますが、余りその動きを感じられません。岩手県は合併の進度が全国でも最下位と聞いております。知事は、地域の皆さんが主体的に取り組むものであると機会あるごとに述べておりますが、それでいいのでしょうか。今後の取り組みはどのように進めるのか。また、法定期限内に合併申請が見込まれるのはどの地区か、具体的にお示しをいただきたいと思います。
 次に、合併市町村自立支援交付金について伺います。
 県は、15年度に合併市町村自立支援交付金制度を創設し、6月補正で3億円を計上しましたが、年度中の市町村合併がなかったことから、13年度に合併した大船渡市への1億円の交付のみとなっております。交付金の趣旨は、合併市町村のまちづくりに使うとのことであり、自由度が高く、使い勝手がよい方がいいのでございますが、単なる財源補てんになってはいけないと思います。実績をどのようにとらえているのか。また、今後市町村合併の推進力になればいいが、成果と今後の対応についてお伺いいたします。
 次は、新しい税制度、森林環境税の創設について伺います。
 知事は、今後4年間の県政運営の基本方針と重点施策について触れ、任期4年間を自立を進める期間として、県民一人一人が自立し、それが県全体の活力となる地域づくりを目指すとし、真に自立した地域社会を形成する前提として、県の行財政について触れ、一切の聖域を設けず新しい視点に立った行財政構造改革を進めると述べております。その中で、県の安定的な財政基盤の強化といった面も含めて、新しい税制度の創設を打ち出しております。景気が十分に回復しない中で、政府は定率減税の見直し・廃止を検討していると報じられ、医療費負担や年金掛金の増額に続き、国民負担が大幅に増額されようとしております。こうした状況の中で、県も新税の創設を打ち出しておりますが、今検討している内容についてお示しをいただきたいと思います。また、これは県民の理解が十分得られるかがかぎであると思いますが、今後どのように進めるのか、あわせてお聞きいたします。
 まず、3点についてお伺いします。

〇増田知事 私の方に市町村合併と、それから新しい森林の税制度と二つお尋ねがございましたので、その点について私の方からお答え申し上げます。
 まず、市町村合併でございますけれども、この市町村合併についての考え方ですけれども、これは昨年合併についての市町村長さん方の意向調査を実施いたしまして、それを踏まえて私も市町村長さん方にお会いをした際、それからあと市町村長さん方と県とのさまざまな問題についての意見交換会等がございますので、そうした場において、この合併問題について地域でしっかりと議論していただきたいということを申し上げてまいりました。そして、具体的には各地方振興局を中心として、合併をした場合の財政のモデルなど、さまざまな情報を各市町村の方に提供してきたところでございます。
 それから、制度としては、この合併に対しての財政支援措置として、国からさまざまなものがございますけれども、中心としては合併特例債ですが、そのほか県として合併市町村自立支援交付金制度を創設し、それから合併が成った市町村には県から大幅な権限移譲をする仕組みもつくりまして、この支援の制度としてさまざまな枠組みをつくったところでございます。
 今回のいわゆる平成の合併と言われるものは自主的な合併が基本ということでございますので、従来から地域での話をしっかりとしていただいた上で、その上で県が合併について支援をしていくという立場で県の支援をしてきたわけでありますけれども、あと合併特例法の期限までの申請期間が4カ月を切っているということでありますので、各地域の協議会から具体的な建設計画が上がってきているものもございますし、今それを、計画をつくっているところもございますが、上がってきているものは早急にこちらで審査をする、それから今協議中のものについては県でもさまざまなお手伝いをして、早く申請が上がってくるようにということで取り組んでいるところでございます。
 法定協議会の具体的な地区数ということですけれども、現在、法定協議会としては10組織設置をされて動いておりますが、一つ両磐地域のものはきのうの結果がございますので、ここはなかなか今の形では難しいということですが、またその後の体制については地元の方でいろいろと御議論があろうかと思います。それをしっかり支援していきたいと思っています。それが合併に向けての対応でございます。
 もう一点、森林整備についてお尋ねがございましたけれども、森林については林業としての活動が今非常に停滞をしている。そして、森林の整備ということがそのことを通じて非常に今停滞をしてきているという認識を持っております。ただ、この森林は県民共通の財産でございまして、本県の豊かな森林環境、保全をして森林の持つさまざまな働きを将来にわたって維持増進していくための新たなやはり仕組みが必要ではないか。こういう問題認識を持っております。森林の果たしているさまざまな機能というのは、これは将来にわたって、より生かしていくべきものだということでございますので、この森林整備の新たな仕組みを有識者の皆様方に検討していただきたいということで、ことしの2月に、いわての森林づくり検討委員会を設置して、そこで今日まで議論をしてきていただいております。
 9月に中間報告を取りまとめて公表したわけですが、その中間報告の中では、この森林を県民の公共的な財産としてとらえて、受益と負担の原則に立って、県民全体で新たな森林整備を行う必要があるということ。それから、安定的な財源を確保するため、新しい税制度の導入を図って、そして適切な負担ということをお願いしたらどうか。こういうことがその中間報告の中に盛り込まれておりますので、この点について今継続してさらにその場で、検討委員会の場で検討していただいております。
 我々もその中間報告を受けて県庁の中で今検討しているところでございます。この最終報告を近々出していただきたいということで今考えておりますが、県の方ではこうした中間報告を受けて、その考え方について県民の皆さんから幅広く意見を聞きながら、この森林整備の施策や税率、具体的な税制度の導入ということを提言受けていますが、具体的な税率などについて県の考え方を取りまめる必要があるということで、今月中、近々アンケート調査を実施して、それで県民の皆さん方の御意向を把握したいと思っております。
 いずれにしても、今、委員御指摘のとおりに、新たな負担を導入するにつきましては、何よりも県民の理解が不可欠でございますので、まずこの森林整備の必要性といったところから始めて、この問題についての十分な理解、そして機運の醸成に努めていきたいと考えております。

〇山口地域振興部長 合併市町村の自立支援交付金についてのお尋ねでございます。
 合併市町村の自立支援交付金は、合併市町村が自立に向けた新たな行政課題等に先導的に対応するために必要な取り組みに対しまして交付するものでございます。平成15年度は、大船渡市が実施しました電子自治体構築事業に対しまして1億円を交付したところでございます。この事業は、合併後における地域の早期一体化を図るために、地域情報化の推進と行政への市民参画を促すことを目的に実施されたものでございます。具体的には、地域情報化計画調査事業、職員の情報化リーダー研修、必要なシステムの導入を行ったものでございまして、交付金の目的に沿った活用が行われたものと考えております。
 それから、このように合併市町村自立支援交付金の交付によりまして、大船渡市の自立に向けた取り組みを支援できたと考えておりまして、今後とも、合併を実現した市町村が交付金の対象事業に有効に活用して、地域の自立が図られるよう支援してまいりたいと考えております。

〇新居田弘文委員 次に、プライマリーバランスについて伺います。
 平成18年度にいわゆる均衡を図るということで所信表明の中で述べておりますが、その後、県の行財政構造改革プログラムの策定後における2004年度の地方交付税の大幅な削減、あるいはこのたび国が示した三位一体改革の全体像に基づく地方へのしわ寄せの懸念など、そういう中で18年度のプライマリーバランスの均衡の達成が可能かどうか、その見通しについて伺います。
 5点目ですが、市町村への権限移譲についてお伺いします。
 県では、県、市町村、民間の役割分担を見直し、市町村への権限移譲、民間への業務委託に積極的に取り組むとしておりますが、実際15年度に市町村に移譲された権限あるいは本年度に入ってからの推移、あるいは今後進めようとしているものはどのようなものがあるのか、それから、これに対して市町村からの要望などについてお伺いいたします。

〇時澤総務部長 プライマリーバランスの見通しでございます。
 昨年策定いたしました行財政構造改革プログラムの策定時から、昨年の地方財政対策で交付税が大幅に減額されましたので、大幅に財源不足が拡大をしているところでございます。この財源不足の解消を図るため、追加での地方債を発行するということも検討しているわけでございますが、一方で、財政運営におきましては投資的経費の規模の適正化を図り、県債発行を抑制する方針を立てておりますので、仮に先ほど申し上げました財源対策として県債を追加発行する場合でも、各年度の予算編成において、この県債の追加発行に安易に依存することなく、プライマリーバランスの均衡に留意しながら、その発行額を決めていく予定でおります。
 したがいまして、現時点での試算ではありますが、18年度のプライマリーバランスの均衡は達成できる見通しであります。ただ、今後の地方財政対策の状況によりましては、交付税を大幅に減額するために交付税の一般財源を地方債、借金に切りかえるということも考えられないわけではございません。そのような場合には地方債の依存が高まり、プライマリーバランスの均衡が達成できなくなるという可能性もございますので、今後の地方財政対策に当たりましては、きちんと所要一般財源が安定的に確保されると、そして将来的に安定的な財政運営ができるように、安易に地方債による財源対策が拡大することのないよう私どもも監視するとともに、そういう申し入れもしていきたいと考えております。

〇照井総合政策室長 私からは市町村への権限移譲についてお答えいたします。
 平成15年度に市町村に移譲したものは、七つの法律、条例に基づく許可や届け出の受理など31事務ございます。その内容でございますが、全部の市町村に移譲したものといたしましては、農地の権利移動の許可、それから公的個人認証サービスの提供に係る電子証明書の発行手数料の徴収がございます。また、一部の市町村に移譲したものといたしましては、産業廃棄物処理施設の立入検査、合併処理浄化槽の設置等の届け出、建設資材廃棄物の処理方法の届け出、それからツキノワグマの捕獲等の許可等でございます。さらに、権限、それに人材、予算を一括して移譲したものといたしましては、道路維持管理事務がございます。これは岩泉町と田野畑村に移譲してございます。
 次に、本年度に移譲したものといたしましては、二つの法律に基づく届け出の受理など16事務がございます。その内容ですが、一部の市町村に移譲いたしましたものとして、工場立地法に基づく特定工場の新設等の届け出の受理等、それからツキノワグマの捕獲等の許可等がございます。
 次に、市町村からの要望の内容でございますが、市町村にはこれまで181事務を移譲してございますけれども、最も要望が強かったのはツキノワグマの捕獲等の許可に関する事務でございます。これは、ツキノワグマが出現して人身に対する危害が切迫している場合に、その捕獲につきましては地方振興局の許可が必要でございますが、人命にかかわるということで、市町村の判断により迅速に対応できるようにしてほしいというものでございます。次に多いのが産業廃棄物処理施設の立入検査でございます。これは住民から市町村に情報が寄せられましても、立入検査などの権限が県にあるために市町村が迅速に対応することができないということで、市町村と共同して産業廃棄物の不適正処理の監視を行うことができるようにしてほしいというものでございます。平成17年度に向けた権限移譲の要望につきましては、現在、各市町村に対してその意向を伺っているところでございます。その意向を十分踏まえまして今後移譲を進めていきたいと考えております。

〇新居田弘文委員 次に、ローカルスタンダードについてお伺いします。
 これまで国が定めた法律とか補助基準によりまして、全国一律の規格、基準により進めてきた社会資本の整備は、過大な投資や整備期間の長期化、時代のニーズに合った効果的な事業導入が図られにくいなど指摘されております。地域の実情に応じた基準による社会資本の整備を進めることは、これらの課題を解決し得る有効な手段と思います。県ではローカルスタンダードの導入に係るスキームの検討やガイドラインの作成に係る基本理念を15年6月に策定しましたが、これを今後公共事業にどのように生かしていくのか、あるいは今考えている内容についてお伺いをいたします。

〇竹内副知事 本県のローカルスタンダードは、地域の実情に応じた柔軟な規格、基準による社会資本整備を地域の合意を得ながら進めることを基本理念といたしておりまして、これを実行することによりまして、公共事業のコスト縮減や整備効果の早期発現が図られるものでございます。現在、主要地方道江刺室根線、大東町大中斉地区と言いますが、こういったところで部分的な改良による曲線半径の小さいカーブの解消や退避所の設置など、効果的に組み合わせたいわゆる1.5車線的道路整備事業を地域の合意のもとで進めております。こういった公共土木施設整備を進めることによって、従前よりももう少し効率的な整備が進んでいくと考えております。

〇新居田弘文委員 時間ですので、これで質問を終わります。

〇柳村岩見副委員長 次に、樋下正信委員。
   〔樋下正信委員質問者席に着く〕(拍手)

〇樋下正信委員 自由民主クラブの樋下正信でございます。会派を代表して総括質疑を行いたいと思います。
 最初に、平成15年度歳入歳出決算の状況について知事にお伺いします。
 平成15年度の財政運営は、2年連続で財政規模が縮小したほか、歳入においては、地方交付税及び国庫支出金が国の構造改革等の影響により前年度を大きく下回った。また、歳出においては、投資的経費の抑制により土木費や農林水産業費が大幅に減少したものの、新たに交通基盤等の整備に際して発行した県債の元利償還が始まったことなどにより公債費はなお増加しており、依然として厳しい財政状況となっている。
 そこで、お伺いしますが、県当局は平成15年度歳入歳出決算についてどのように分析しているのか。午前中の工藤大輔委員と一部重複する部分もありますが、この辺のところにつきましてよろしくお願い申し上げます。

〇増田知事 15年度決算の評価ですけれども、厳しい歳入の見通しや、それから国の構造改革の動向を踏まえて、歳入に見合った歳出規模となるように事業の一層の重点化、効率化を図りまして歳出規模が抑制されたものでございます。収支の面では実質収支が黒字でございまして、単年度収支も前年度は赤字でございましたが、15年度は黒字に転じておりまして、厳しい財政状況の中ではありますが、適切な財政運営が図られたものと認識をしております。経常収支比率やそれから公債費比率は低下をしているわけでございますが、義務的経費比率が上昇したり、それから地方債の残高の増加など財政の硬直化が進行しておりますので、財政状況は非常に厳しいと認識をしております。15年度決算の様子も踏まえながら、今後とも財政構造の健全化に向けて一層の取り組みを行っていく考え方でございます。

〇時澤総務部長 分析について私の方からお答えをさせていただきます。
 ただいま知事が申し上げましたように、非常に厳しい状況であると認識しております。まず、数点主な指標について申し上げたいと思いますが、一般財源比率というものは2.3ポイント増加をしておりまして、46.6%となっております。これは地方交付税が減少したものの、その歳入総額の方も減少しましたので、そちらの方の減少もありまして相対的に比率が低下しているということでございます。それから、自主財源比率は1.3ポイント減少して32.4%、これは県税が増加したものの繰入金が減少したことから比率が低下しておる。それから、公債費比率でございますが2.9ポイント減少しております。公債費比率は低くなって20.6%となっておりますが、これは県債を財源として整備した施設の耐用年数との整合性を図るために、平準化の措置として借換債を発行いたしました。この借換債の効果によりまして、公債費に充当した一般財源が減少して、その結果によって公債費比率が減少したということでございます。経常収支比率も4.0ポイント減少して89.1%となっております。これは公債費に充てる経常経費充当一般財源が減少したのに対しまして、一般財源として扱います臨時財政対策債――交付税のかわりでございますが――これが増加したということでございます。
 したがいまして、例えば公債費比率が低下したということ自体は借換債の反射的な効果でございますので、決してその財政状況がよくなったから公債費比率が低下したと見るということは、我々は危険ではないかということで、数字の面からも正しく認識していく必要があると考えております。例えば、これを東北で比較してみますと、公債費比率は先ほど言いましたように下がりましたが、したがいまして、東北各県で見ますと順位を一つ上げて5位となっておりますし、経常収支比率でも順位を三つ上げて第3位となっておりますが、やはりこれも要因を正しく分析した上で判断しなければならない。そういった意味におきまして依然として厳しい状況にあるという認識でございまして、さらに一層の健全化に努めてまいらなければならないと分析をしているところでございます。

〇樋下正信委員 大変厳しいということでございます。本当に県内の企業も今大変な状況にあるわけでございますけれども、何とか県の方といたしましても県のいろんな形での、厳しい中ではあるわけでございますけれども、反映をしていただくようにぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、盲・聾・養護学校の状況についてお伺いしたいと思います。
 先週の一般質問でも千葉康一郎議員も取り上げておりましたが、私は若干細かくなりますけれども5点ほど聞きたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、最初にスクールバスについてでございますけれども、県の教育委員会では、平成15年12月に岩手県特別支援教育推進プランを策定し、岩手県におけるこれからの特別支援教育の方向性や盲学校、聾学校、養護学校の教育諸条件の改善等について明らかにしているわけでございますけれども、そこでお伺いしますが、盲・聾・養護学校における通学バスの運行状況はどうなっているのか。通学のためのスクールバスの運行が要請されているのにもかかわらず、配置されている学校が限られているのではないか。整備に当たっての基本方針があれば、あわせてお伺いしたいと思います。
 次に、松園養護学校高等部についてでございますけれども、松園養護学校には現在高等部が設置されておりません。中学部を卒業後、病気治療を継続しながら高等部の教育を希望する生徒の中で、希望がかなわない生徒が増加していると聞いておりますが、このような状況から、引き続き同校内で高等部の教育を受けられるような体制の整備や施策の実施が望まれるが、その方向性についてお伺いします。
 3点目でございますけれども、一関、前沢養護学校の定員についてでありますが、一関養護学校には、青山養護学校高等部一関分教室がありますが、同分教室にはあすなろ療育園に入所している児童生徒を対象とする特別学級しかありません。また、前沢養護学校は、平成7年の現校舎新築時の児童生徒数は24学級131名だったが、児童生徒の増加により平成15年5月1日現在、39学級178名、当初の約1.4倍の児童生徒が在籍しております。このような状況をどのようにとらえているか、また、その改善方策についてお伺いします。
 次に、4点目でございますけれども、職員の適正配置についてでございます。盲学校の児童生徒数は、平成15年5月1日現在で45名であるのに対して、教職員の数は75名となっております。職員の適正配置という観点から問題はないか、見解をお伺いします。
 5点目でございますけれども、教員の特殊免許保有向上についてでございます。盲・聾・養護学校に在籍する児童生徒の障害の多様化等に的確に対応するためには、担当教員が特殊教諭免許を保有していることが求められております。必ずしもこの免許の保有者が配置されている状況にはないという状況であるようでございますけれども、特殊免許の保有率の現状とその向上策についてお伺いします。

〇竹内副知事 スクールバスの配置と運行状況についてでございますが、盲・聾・養護学校におけるスクールバスにつきましては、学校行事や郊外学習など、教育活動への活用を主な目的として配備を進めまして、これまで17本分校中10校に配備をいたしております。このうち、通学用の運行の需要の大きい4校につきましては、通学バスとしても活用しているものでございます。今後の通学バスの運行についてですが、特別支援教育推進プランに示されておりますように、アンケート調査によりますとスクールバスによる通学への希望が大変高くなっておりますので、児童生徒の障害の状況や各学校の実情、保護者の要望など、通学バスに関する需要の状況を十分に踏まえまして、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
 それから、松園養護学校内で高等教育を行うための体制整備についてですが、松園養護学校につきましては、現有の敷地・校舎のままでは十分な教室や施設を確保できませんので、直ちに高等部を設置することはちょっと難しい状況でございますが、高等部設置のニーズが高いことは十分に認識いたしておりまして、平成16年度からは、青山養護学校高等部の訪問教育学級を松園養護学校内に配置いたしまして、同校中学部を卒業した障害の重い生徒が、引き続き校内で週5回の高等部訪問教育を受けることができるようにしたところでございます。今後、松園養護学校の高等部設置のあり方につきましては、先ほど申し上げましたように、現有の敷地・校舎のままではちょっと難しい面がありますので、これは全県的な盲・聾・養護学校の整備充実とあわせて検討してまいりたいと考えております。
 それから、青山養護学校一関分教室についてでございますが、自宅通学生の高等部進学希望に対応するために、今年度から高等学校に準じた教育課程を有する通常学級を設置いたしまして、さらに平成17年度――来年度からこの分教室を一関養護学校高等部に昇格させることとしたところでございます。
 次に、前沢養護学校につきましては、当初は、隣接するたばしね学園に併設する養護学校として開設したものでございましたが、その後、胆江地区のほか、両磐地区を含む広い地域から大変多くの児童生徒が就学するようになりまして、教室不足等の課題が顕著になってきているものでございます。この教育条件改善に関する検討を今進めておりますが、県教育委員会では昨年策定いたしました特別支援教育推進プランに基づきまして、ことしの6月、県立盲・聾・養護学校の再編整備に関する検討委員会を設置しておりまして、今後の盲・聾・養護学校のあり方や適正配置に係る総合的な検討を開始しているところでございます。今後、前沢養護学校を含む胆江・両磐地域の養護学校等のあり方及び適正配置についても、この中であわせて検討してまいりたいと考えております。
 それから、教職員の配置につきましてですが、これは公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等をもとに配置をいたしております。本県の盲学校には、幼稚部、小学部、中学部、高等部、専攻科が設置されておりまして、4歳の幼児から中途失明の成人までの45名の多様な児童生徒が、将来の生活自立に向けて学んでおります。点字等を用いた教材等が多いために、聾学校や養護学校よりもさらに少人数できめ細かに指導を行っております。また、35名が寄宿舎で生活しておりますが、全盲の児童生徒もおりまして、寄宿舎指導員につきましても特別な配慮を行っております。これらのことから、盲学校には、教諭・養護教諭で42名、それから寄宿舎指導員14名等合計75名を配置しているところでございますが、生徒の実態から適正な配置であると認識をいたしております。職員の配置につきましては、毎年度見直しを行っておりまして、今後とも適正配置に努めてまいる考えでございます。
 それから、特殊教育免許の保有状況につきましてお尋ねがございました。これにつきましては、平成15年度では、盲学校で18.9%、聾学校で41.1%、養護学校で77.8%になっております。全国平均と比べますと、盲学校が1.8%ちょっと下回っておりますが、聾学校は7.9%、それから養護学校は21.9%と大変大きく上回っている状況になっております。生徒の障害の重度、重複化の進行への対応や、今後盲・聾・養護学校が地域の特別支援センターとしてその機能を発揮していくためには、御指摘がございましたように、担当教員の専門性を高めることが大変重要であると認識をいたしております。
 こうしたことから、県では、これまで夏休みを活用いたしまして単位認定講習会を実施いたしまして、特に盲・聾免許の保有率の向上を図ってきたところでございます。今後も単位認定講習会を継続的に実施いたしますとともに、通信教育等による単位認定講習会も活用しながら、免許保有率の向上に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

〇樋下正信委員 さまざまな要望があると思いますし、私のところにも今質問したようなお話がありましたので、ぜひ的確に対応していただくようにお願いしたいと思います。
 続きまして、県警ヘリコプターの使用についてでございますけれども、新潟中越地震の例を申し上げるまでもないわけでございますけれども、災害時における県警ヘリコプターの救助活動に占める割合は、非常に重要かつ大きなものがあると思います。県の防災ヘリとの連携により迅速な対応が求められるわけでございますが、平成15年の県警ヘリコプターの使用実績、災害救助等の出動回数はどうなっているのか。
 また、平成14年度に盛岡東署を整備した際に、その屋上にヘリポートを整備しているが、整備後に救助者を高次救急センター等へ搬送した実績はどの程度あるのか、また、搬送時間短縮等にも効果が見られたのか。このヘリポートは冬期間の使用にも耐えられるものなのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。

〇竹内副知事 県警ヘリは、一般警ら活動――パトロールですね――それから、山岳や海上における行方不明者や遭難者の捜索、救助、それから、これは車両との連係活動になりますが、逃走車の追跡、ひき逃げ事件捜査、緊急配備、それから各種広報活動など大変多岐にわたる警察業務活動を行っておりますほか、先ほどお話のございました救急搬送等の救急医療の支援活動も行っております。このヘリコプターの使用実績ですが、平成15年中の総出動回数及び航行時間につきましては、243回で310時間20分となっております。また、災害救助等の救難救助活動は、51回で69時間50分となっておりまして、このうち救急搬送が2回になっております。
 盛岡東署の屋上へリポートは、この県警ヘリ以外のヘリコプターの使用も含めまして、平成15年中において19回救急搬送に使用されておりまして、救急医療に貢献しているところでございます。搬送時間の短縮でございますが、ヘリによる搬送は県内におきましては最長でも片道30分以内の搬送が可能になっておりまして、従来であれば盛岡の場合は雫石の河川敷に一たん着陸をいたしまして、そこから救急車で救急センターまで搬送していたという事例が大変多かったのですが、これと比べますと飛躍的に搬送時間の短縮化が図られているものと考えております。
 それから、へリポートの冬期間の使用についてですが、開設当初は、屋上中央部に着陸帯という丸い部分があるんですけれども、ここに融雪装置を設置しておりましたが、気象状況によってはそれの周辺にある脱落防止帯とかいったところにも着雪、着氷などによって、場合によっては緊急時に十分な対応ができないような状況もありましたことから、ことし約3、200万円の予算を計上いたしまして、屋上全面、これは面積1、025平方メートルぐらいになっております。これにつきまして融雪装置の機能強化を図っておりまして、ことし年内中の完成を見込んでおります。これによりまして本年の冬季の完全使用が可能になるものと見込んでおります。

〇樋下正信委員 ぜひ有効活用をしていただきたいと思います。
 次に、県の競馬組合についてでございますけれども、これもまた午前中から工藤大輔委員からも質疑があったところでございますけれども、私からも、ちょっと詳細になりますけれどもお伺いしたいと思います。
 県の競馬組合は、平成12年度より赤字に転じ、平成15年度決算においては104億円余の累積赤字を抱えるに至ったということでございます。平成15年度の時点でも、岩手県競馬組合への支援策等が構成団体である岩手県等においても検討されたほか、競馬組合自身の経営改善策も実行計画が出てきているわけでございますけれども、それによりますと組織の大幅な縮減や競馬開催経費の削減などさまざまなコスト削減策が並んで――並んでいるというか、ありますけれども、その削減の中で、具体的に給与関係は実際どうなっているのかということでございます。管理者、副管理者の給与の形態はどのようなもので、ここ数年間の比較とか、幾ら額が削減されているのか、逆にふえている場合もあるかもしれませんけれども、具体的な数値でその辺のところを教えていただきたいと思います。

〇増田知事 コスト削減の中での給与関係ですけれども、今回の実行計画の中では、例の競馬組合と振興公社を一元化するということで、職員数で40名、給与費で2億円の削減をその中に盛り込んでおります。なお、給与関係について、既に従来から期末、それから勤勉手当の削減といったものは昨年度、今年度もそれぞれ20%とか30%とか行っているところでございます。
 それから、管理者、副管理者の給与形態ですけれども、こちらは特別職報酬ということで支払っておりまして、ここ数年の報酬額の見直しの状況でございますが、まず管理者については、平成14年度までが58万円が年額でございます。それを平成15年度に20%削減して46万4、000円に削減、それから16年度から無報酬ということになっております。それから、副管理者は、非常勤と常勤と両方おりまして、副管理者、非常勤の者が2名おります。こちらは平成14年度までが年額23万円、それから15年度はこれも20%削減いたしまして18万4、000円に削減、そして16年度から無報酬ということになっております。副管理者で常勤の者でございますが、平成13年度までは月額70万円だったのですが、14年度に56万円に削減しております。それから、15年度に44万8、000円に削減、これはそれぞれ20%ずつ削減ということで、14年度が56万円、15年度が44万8、000円、そして平成16年度が31万4、000円と――これは30%削減ですが――いうことになっているところでございます。

〇樋下正信委員 これも先ほどお話があったんですけれども、今回の最終本会議ですか、賛否というか、とらなければならないと思いますけれども、いずれこれから委員会などでも議論される場面が出てくると思いますけれども、ぜひ資料提供とかさまざまな形での、お互いに出し合いながら結果を出さなければならないのかなと考えております。
 続きまして、雇用創出の実績についてでございますけれども、知事は、平成15年3月に発表したマニフェスト、私の政策の中で、雇用対策を任期中の緊急優先課題の一つとして掲げ、前期2年間で最優先で取り組むとしている。岩手県総合雇用対策、平成14年度から18年度の5カ年によれば、雇用創出目標として、臨時応急の雇用を含めて3万600人、このうち情報通信、産業支援・流通、介護・福祉、医療・保健、環境・住宅、教育、生活支援などのサービス関連分野において1万5、000人の常用雇用を創出するとあります。雇用創出目標に対する平成15年までの実績はどうなっているのか。また、本県の雇用情勢を踏まえて、雇用の創出に努めていることには賛同するものでございますが、問題はその中身であって、県の施策が新たな雇用や常用雇用対策に結びついたと言えるのか。前に一般質問か何かでパート的なものとか臨時的なものは達成されているというようなお話もありましたけれども、その辺を常用雇用対策にどの程度結びついているのか、具体的にお示しをお願いしたいと思います。

〇増田知事 雇用の関係でございますけれども、これについての15年度までの雇用創出の実績を申し上げますと、雇用創出計画全体では、15年度までに1万7、407名の雇用が発生しております。これは目標数としては18年度までの目標で3万600人と言っているものに対して、15年度までに1万7、407人、達成率が56%ということです。その内訳ですが、これは三つに分かれておりまして、一つは、臨時緊急的な措置としての基金事業、これが約7、100人です。目標が9、600人に対して達成率74%。それから、二つ目が、県が行う産業支援などによる雇用創出で、これで約5、500人の雇用、これは目標が1万1、500人ですから達成率が48%。それから、三つ目が、国の雇用助成金を活用した雇用創出で、これは4、700人の雇用、目標が9、500人ですので達成率ちょうど50%ということでございます。それで、サービス関連産業分野での雇用創出は、15年度までに約6、000人という雇用創出になっています。これは目標が1万5、000人ですので達成率が40%になっています。
 今、委員御質問ございました、その中でとりわけ大事な常用雇用、これは国の場合には4カ月以上ということを言っているようですが、これでは短いので私ども県では期間の定めのない雇用を常用という形で整理しておりますが、その常用雇用について見ますと、15年度までに全体で約1万500人の常用雇用の創出ということになっています。これも臨時緊急的な措置としての基金事業では258人ですが、基金事業、これは国の基金や県基金がございますが、これは本当に臨時緊急的な措置ということで、短期間でもとにかく仕事を提供しようという趣旨になっていますので、これは非常に常用雇用率は低いということでございます。こういった基金事業は確かに目先の問題としては有効ではございましたけれども、制度としてはこれが雇用環境回復にはなかなか結びつきにくかったと分析をしております。
 15年度事業にはそういうことではなくて、特に常用雇用を中心に雇用創出を図っていこうということで、その中で成果が出てまいりましたのは産業振興施策で、これは目標1、000人立てておりましたが、実績1、439人、いわてインキュベーションファンドの組成によるベンチャー企業を育成したり、コミュニティビジネス育成支援事業などですが、そうしたものによって雇用に結びつけております。それから、企業誘致も目標460人でしたが、実績602人ということで、これも目標より多くこれは成果を出すことができました。また、福祉関連分野で老人福祉施設費に県の方で補助を出して施設を拡充してございますが、そういったことによる雇用。それから、介護保険関係での要員の充実といったことで、これは目標が350人でございましたが実績が610人ということで、こうした15年度に行いました事業については確実に常用雇用に結びついたという実績になってございます。産業支援や福祉関連など、県の施策で、雇用創出で目標を大きく上回る実績を示したものがございますので、今後、今年度、それから来年度以降こうした分野での雇用創出に特に力を入れて努力をしていきたいと考えております。

〇樋下正信委員 さらなる御努力をお願いしたいと思います。
 続きまして、観光振興の対策についてでございますけれども、一つ目は、ホテルの使用状況についてでございます。観光産業は21世紀の本県のリーディング産業の一つであり、本県への観光客の誘致拡大は、はかり知れない経済波及効果を与えるものと考えるものでございます。平成14年12月の東北新幹線盛岡以北の開業は、本県の観光振興を図る上で好機であったと思うが、例えば盛岡広域観光を考えた場合、盛岡市内のホテルの稼働率はどのような状況であったかお伺いします。
 もう一つでございますけれども、観光振興を図る上で行政の役割についてお伺いするわけでございますけれども、盛岡市のすぐそこの石割桜の観光シーズンにおいては、大型バスの駐車場などが不足し、県議会のそこの前の駐車場なども観光バスの駐車場に使われているようなところも見受けられるわけでございますけれども、例えば岩手公園の地下駐車場の地上の公園部分を大型バスの駐車場として整備することなど、また、この周辺には岩手公園を初め、岩手銀行中ノ橋支店やござ九、中津川、また、ちょっと足を延ばせば盛岡八幡宮とか、さまざまな散策コースなり観光に適している部分があると考えるものでございます。こういった観光政策を行政側が行ってはいかがかということでございますし、また、そのためには県が盛岡市などと協議する必要があると思いますが、その辺のところについての御見解をお示し願いたいと思います。

〇竹内副知事 盛岡市内のホテルの稼働率、宿泊者数についてでございますが、これは県におきましては調査を行っておりませんので、盛岡市において主なホテル、旅館等の稼働率――これは宿泊定員に対する宿泊実人員という数字なんですが――これを調査・推計をいたしております。これによりますと、平成14年は44.6%、平成15年は44.7%の稼働率になっております。なお、平成15年の本県内の宿泊客数は545万6、000人回となっておりまして、15年は大変冷夏でありましたこと、そういったことが要因で、前年度――平成14年度に比べると1.4%減少いたしております。これに対して先ほど申し上げましたように盛岡市の稼働率は0.1%伸びておりますので、これはやはりはやて効果などもありまして、盛岡市の稼働率は堅調に推移しているのではないかと考えております。
 それから、観光に対する行政の役割というお話でございました。盛岡市におきましては、観光振興を図るために、国、県の補助を受けまして、平成11年から14年度にかけて快適観光空間整備事業というのを実施いたしておりまして、もりおか啄木・賢治青春館、こういった観光施設や歴史・文化・自然を楽しめる散策ルートを中津川周辺などに整備をいたしまして、都心循環バス等を活用した歩いて楽しむまちづくりを今進めているところでございます。
 新たな大型バスの駐車場の整備についてでございますが、御提言の岩手公園地下駐車場の地上部分につきましては、一帯が市内中心部唯一の芝生公園として盛岡市民に親しまれている公園になっております。こうしたことから、この位置を駐車場に利用転換することにつきましては、公園管理者でもある盛岡市の判断が必要になると考えております。盛岡市中心部の観光用大型バスの駐車場整備につきましては、これは市全体の都市政策上の課題や、あるいは都市交通上の課題などを含めまして、観光上の視点のみでない総合的政策課題になるものと考えております。今後とも盛岡市から働きかけがあれば、都市政策上の問題や観光振興上の課題などについて話し合いの機会を持ってまいりたいと考えております。

〇樋下正信委員 私、前にもしゃべったことがあるかもしれませんけれども、例えばあそこの公園がだめであれば中津川にガラスで駐車場をつくるのも一つの方法ではないかなと、そうしたらサケの俎上が見えなくなるのではないかという話もありましたけれども、ガラスだったら見えるんじゃないかという議論をしたことがありますけれども、ぜひこの駐車場、何とかしないと本当に盛岡市に来る観光者はどんどん減っていくのではないかと考えるものでございます。
 次に、岩手県の東京事務所についてでございます。先月29日にも東京事務所の方に会派の方でお邪魔したわけでございますけれども、1点目は、公用車の使用状況についてでございますけれども、岩手県東京事務所の公用車の配置、使用状況はどうなっているかということでございます。単独事務所を持つ本県と異なり――要するによその県ですね――都道府県会館に入居している他の都道府県の中には、公用車を配置しないでタクシーなどの借り上げによっているところもあると思われます。本県においても効率的な運用に努めるべきと考えますがいかがでしょうか。
 続きまして、東京事務所の職員の配置についてはどうなっているのか。各省庁等との連絡・調整機能も縮小の方向にあると思いますが、他県と比較して本県の配置が適正な規模になっているか、その辺をお伺いしたいと思います。

〇時澤総務部長 東京事務所の公用車の配置でございます。
 現在、公用車1台ありまして、運転技士1名によりまして、知事、議長、県三役等の都内業務に運用しております。昨年度の年間運行日数は252日、走行距離数は3、711キロとなってございます。
 委員御指摘のとおり、ハイヤー等の借り上げによって対応している県もございます。東京都を除きます46道府県のうち、公用車を持っていない道府県は青森など12県ございます。東京事務所の業務の役割というのも年々変化してきておりまして、公用車の運用につきましてもそれに応じて見直しをしております。平成7年度には運転技士4名、公用車4台体制でございましたが、退職者不補充等によって削減を進め、14年から現体制になっております。今後、現在の運転技士が退職した後につきましては借り上げにより対応する方向で現在検討しているところでございます。
 それから、職員の配置でございます。
 先ほど申し上げましたように、東京事務所の業務につきましても、さまざま環境の変化により見直しをしております。総務行政関係の職員で申し上げますと、この職員体制は、ピーク時は昭和50年で25名おりましたが、現在は14名ということで、ピーク時に比べれば11名減少してきております。ただ、東北6県の総務行政関係の職員数を見てみますと平均で11.5名ということで、それを上回っている状況にあるわけでございまして、現在、業務の見直しでありますとか改善を進めまして、平成18年度までに2名をさらに削減して12名体制とする方向で計画しているところでございます。

〇樋下正信委員 続きまして、知事もおっしゃっていますけれども、環境首都いわてということで下水道処理人口の普及率についてでございますけれども、下水道は公共用水域の水質保全を図るとともに、水洗化による快適で衛生的な暮らしを支える活力ある地域づくりを進める上で極めて重要な社会資本であり、その整備に対する県民の要請は強くなってきております――これは前からですけれども。
 そこでお伺いしますが、現在、全国での普及率――これは通告してなかったんですけれども――の順位は何番目になっているのか、また、この普及率の平均等を比較すれば、今とダブるんですけれども、大きくおくれている本県の状況をどのようにとらえているのか、また、公共下水道と農業集落排水――これも先ほど知事から答弁あったんですけれども――の接続による経費の節減など効率的な整備の成果と今後の取り組みについてお伺いします。

〇竹内副知事 本県の現状と認識についてですが、平成15年度末の下水道処理人口普及率は全国平均で66.7%、これに対して本県は42.6%になっておりまして、依然として低い水準にあります。建設費や維持管理費のコスト縮減に努めながら引き続き整備促進を図っていく必要があると考えております。この42.6%というのは、全国水準で見ますと37位(後刻訂正)になっております。
 それから、これまでの整備の成果についてですが、効率的な整備を図るため、平成14年度から公共下水道と農業集落排水施設との接続を東和町と大迫町において実施いたしておりまして、その結果、処理場の共同化によりまして、東和町では建設費で約2億5、000万円、大迫町では約8、000万円の経費節減が図られたという成果を得ておりまして、これらの成果を踏まえまして、花巻市においても今年度から同様の取り組みを進めているところでございます。
 今後は、公共下水道や農業集落排水事業、漁業集落環境整備事業、合併処理浄化槽整備事業の計画調整を進めまして、汚水処理全体がより効率的、効果的に進められるよう関係市町村と緊密な連携をいたしまして、下水道の処理人口普及率の向上に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

〇樋下正信委員 下から10番目ですか。42.6%ということで、まだ半分もいっていないということでございますので、ぜひさらなる横断的連携をとりながら向上をお願いしたいと思います。
 続きまして、花巻空港の利活用方策についてでございますけれども、現在、工事が行われております15年度までに用地造成工事をおおむね完成し、平成17年度の供用開始に向け事業の進捗が図られているところでございます。
 そこでお伺いしますが、花巻空港の利用促進策としての国際チャーター便の運航実績はどうなっているのか。また、ソウル便が就航している青森、秋田との連携のための話し合い、例えば花巻空港は上海便の運航を検討する、また、よその都市との運航を検討するというような話し合いは持たれているのか。また、利用者の利便を考慮し、供用開始の1年前――早目にということでございますけれども――、運航の計画スケジュールを公表し、多くの企業に社員旅行とか年間行事の中に入れていただけるようなソフト面での工夫が必要と考えますが、その辺いかがでしょうか。

〇竹内副知事 国際チャーター便の運航実績についてでございますが、平成13年度は67便、14年度は60便、15年度はイラク戦争やSARSの影響もありまして運航数が47便に減少いたしましたが、今年度は11月までに74便と好調に推移いたしております。今後は、1月から2月に台湾、カンボジア、タイ、3月には滑走路延長を記念したハワイへのチャーター便など、まだ今年度中に計15便が予定されておりまして、年間で合計89便となる見込みです。
 国際定期便に向けた青森、秋田県との連携のための話し合いについてですが、平成14年度から北東北の3県担当者会議を開催いたしまして、空港を活用した連携策等の調査、協議を行っておりまして、本県におきましては、当面、国際チャーター便の運航を促進していくことが望ましいと考えております。国際定期便を持っております青森、秋田県とは、観光周遊ルートなどにおいて本県の観光資源を活用しながら岩手への海外からの観光客の呼び込みを図るなど、3県が連携いたしまして観光客の入込数の増大を図っていきたいと考えております。
 それから、ソフト面での工夫ですが、航空機の運航計画につきましては航空会社や旅行代理店等で策定されておりまして、具体的なスケジュールは運航の数カ月前にならないと公表されないのが実態でございますが、今後とも、できるだけ早く公表するように要請してまいりたいと考えております。
 それから、岩手県空港利用促進協議会では、ことしの10月に、ソフト対策として愛称の制定など空港利用促進のための新たな10の取り組みを策定したところでございまして、県といたしましても、協議会とともにその取り組みを積極的に推進してまいります。
 それから、先ほどの下水道の普及率の順位なんですが、おわびして訂正いたしますが、全国第35位でございます。37位ではなくて、2位上がりました。

〇樋下正信委員 空港は本当に厳しくとらえて、いろいろな形でやっていかないと大変だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 どうなんでしょう、中型機であればロサンゼルスあたりまでは飛んでいくんでしょうか。ロサンゼルスには日系人が盛岡の人口より多い30万人以上が住んでいるようですし、例えばそういうところと行き来ができれば大変いいんじゃないかと思います。
 続きまして、老人福祉施設の設置状況についてでございます。
 すべての人々が、健やかで、どこに住んでも安心して暮らせる社会先進県の実現のために老人福祉施設の整備が欠かせないと認識します。介護老人福祉施設を増設するとともに、入所サービスの方針の見直しなどにより、重度層の施設入所待機者――希望者ということだと思いますけれども――を平成14年度より50%減少させるというのが知事の公約の一つになっていますが、平成15年度の実績はどうなっているのか、施設整備の状況とあわせてお示し願います。

〇竹内副知事 介護老人福祉施設の増設についてでございますが、平成15年度の介護老人福祉施設――特別養護老人ホームですけれども――の増床を開設ベースで見てみますと285床となっております。平成15年度の特別養護老人ホームの整備につきましては、14年度に策定したいわていきいきプラン2008で定めた計画目標であります5、414床に対して5、363床、整備率は99.1%となっておりまして、順調に推移しております。
 重度層の入所希望者ですが、平成15年3月末の特別養護老人ホーム入所希望者の中で重度層の方の数は1、013人でしたが、平成16年3月末では1、154人となっておりまして、13.9%増加いたしております。これは、高齢者の増加、要介護認定者の増加等によりまして、特別養護老人ホームに入所を希望する方が施設整備のペースを超えて増加しているからと考えられます。
 今後とも、計画に沿って平成15年度から19年度までに特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、痴呆性高齢者グループホームあわせて2、000床の増床を図りますとともに、在宅介護を推進することによりまして入所希望者の減少に努めてまいりたいと考えております。
 なお、昨年4月1日からすべての特別養護老人ホームにおきまして介護度や家庭環境等の入所に関する規程を策定いたしまして、入所の必要性の高い方が優先的に入所できるようになったと承知いたしております。

〇樋下正信委員 最後でございますけれども、ふれあいランド岩手についてでございます。
 さきの新聞に職員の処分について載ったわけでございます。平成15年3月27日に訴訟提起されたふれあいランド岩手の用地訴訟については、これまでの県の対応問題、特にも契約締結後の対応について、その解決に向けた取り組みが十分でなかったことが問題点として挙げられております。さきの盛岡地裁の判決を受けて、県は、関係した職員の処分を発表しました。しかしながらその内容は、責任の所在を明らかにしたとは言いがたいものであったと認識しております。職員個人に対する損害賠償も含めて検討されるべきものと考えますが、いかがでしょうか。
 次に二つ目でございますけれども、知事の責任説明についてでございます。
 知事は、9月定例県議会において、組織の最高責任を負う立場としての責任についても明らかにしたいと答弁しておりますが、いまだに明らかになっていない。明確な説明をお願い申します。

〇増田知事 ふれあいランドの関係でございます。
 これにつきましては、事案の問題点としては、契約締結時の不適当な代替地あっせんや事務手続の不備などの職員の行為と、それから代替地の取得を委任した県土地開発公社の対応上の問題、それから契約締結後の対応について、その解決に向けた取り組みが組織全体の対応として不十分であった、この二つが挙げられると思います。
 こうしたことについて検証いたしまして、先般11月25日付で、これまで担当してきた職員に対しまして――計10名でございますが――減給を含む処分を行ったところでございます。今、委員からお話がございました職員に対する求償の関係について改めて検討してみましたが、今回県が敗訴いたしましたのは、契約締結上の注意義務違反を問われたわけでありますけれども、これについて検証をさらにしてみましたけれども、個々の職員を特定して求償を行わなければならないほどの故意または重大な過失があったとは認められませんで、求償の際の要件に故意または重大な過失ということが必要とされるわけですが、これについて検討を行いましたけれども、そこまでの点が認められないということで求償を行わなかったものでございます。
 それから、この問題についての私の責任についてでございますけれども、解決まで長時間を要しておりまして、県民に多大な御迷惑をおかけすることになりました。改めておわびを申し上げますとともに、県政の最高責任者としての責任を感じているわけでございます。こうした問題が二度と発生しないように適正な業務執行体制の確立に努める必要があると考えておりまして、現在、県土地開発公社も含めて、県の組織としての再発防止に向けた再検証を関係者に今行わせております。組織を挙げてこうしたことが二度と発生しないような再検証を行わせておりますので、これを終えました上で私の責任を明らかにしていきたいと考えております。

〇樋下正信委員 以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

〇柳村岩見副委員長 次に、佐藤正春委員。
   〔佐藤正春委員質問者席に着く〕

〇佐藤正春委員 知事、ただいまから始めます。11分27秒です、いいですか。
 さきの本会議での佐々木俊夫議員の質問、約2億円近い県民の税金を使って宣伝したがんばらない宣言は、一体何だったのですか。外人記者の見たギブアップ宣言で、一巻の終わりでございます。
 そこで私は伺いたいんですが、県民の要望が一番多いのは、集会所――公民館なんですよ。1カ所大体2、000万円から2、300万円でできるんです。そうすると、2億円というと10カ所できるんです。4年ですから、1年に5、000万円使ったんです、あなたは、宣伝費に。5、000万円なら、2カ所ずつ公民館ができるんです。どうでしょうか、素朴な質問ですが、あなたの場合は、県民のための公民館を優先すべきだと私は思うんですが、振り返ってみてどうですか、この点について。
 次に、中央公論11月号150ページに、マニフェストの元祖と自称するところの北川正恭氏が増田知事のマニフェスト選挙を褒め上げて、苦い公約(公共事業費30%の削減)を出して90%の得票率で当選できたのは、政策型の選挙の結果ではないか、こう言っているんです、あの本の中で。岩手の選挙事情を知らない人とはいえまことに笑止千万でございますが、知事が当選後に初登庁したとき、公共事業担当の部長からマニフェストは三つの方法で実現できると言われたそうですが、だれに言われたんですか、どんな方法ですか、ひとつ教えていただきたい。
 また、マニフェストで県民と約束したために役人の行動様式も変わった、こうあなたはおっしゃっているんです。それは、スキャンダルが多くなったということなんですか。随分多いですよ、スキャンダルが。どういう意味なんですか、知事の見解をひとつ伺っておきます。
 去る10月26日公表された平成15年度の政治資金収支報告書によると、増田ひろや後援会連合会は、2、064万円の収入がございます。この金の大部分は、この6月までにエロ幹事長として有名な高塚猛氏が知事の名前を利用して利権絡みで集めた金である、こう言われているんです。そうじゃないですか。私は、平成15年7月3日の本会議において、知事初め、余りちやほやされて図に乗る高塚氏の行動について、あれはインチキものだと、こう言ったんです、本会議で。聞いているでしょう。あれはインチキものだよと警告を発しております。またその以前には、例の佐藤という商工労働観光部長とバリ島に行って、だれの金だか何か知らないけれども遊んできた。こういうけしからぬことをやっているよと、これも注意しておった。にもかかわらず、知事は答弁の中で、それぞれ個人の判断で加入し、幹事長という役職もはっきりと峻別されている、こう答えています。今さら恥ずかしいですね、知事。自分の幹事長ですよ。
 後援会の支出の中身を見ると、驚くなかれ、人件費、備品、事務所費だけで1、342万5、000円も使っている。無風選挙と言われる中でこんなに後援会の金を使うものでしょうか。こんなでたらめは知事自身は御存じですか。大分やられたなと思っているでしょう、今。
 この男は、去る10月25日、天下に恥をさらしたセクハラで福岡県警に逮捕されております。余罪もあるらしい。この際、投書も来ておりますが――私に投書が来ているんです――、岩手でのセクハラ被害者もぜひ堂々と申し述べていただきたい。マスコミの人、ひとつ書いてくださいよ。投書では、おれの言うことは知事は全部聞くというので、知事の報復を恐れているようでございます。こんな男に幹事長を任せ、言いなりになって県政をねじ曲げたことに知事は責任を感じませんか。感じるでしょうな。
 また、いわてグラフは知事のPR雑誌のようですが、ここでセクハラ被害者は投書するように知事自身が呼びかけるつもりはございませんか。知事の見解を伺います、まず第1点。

〇増田知事 3点お話がございましたので、お答え申し上げます。
 まず、がんばらない宣言の関係でございますが、今、公民館の建設費と、それから、その宣言の宣伝に要したお金との比較がございましたが、宣伝広告を県として行う、そのことは私はやはり必要であろうと。その内容についての御議論はいろいろあると思いますけれども、当然必要な広告宣伝費を県の予算の中に計上することは必要であろう。ただ、時代の大きな流れがございまして、今、財政が非常に厳しいので、そうした広告費等についてもやはり削減はやむを得ないと思っておりますが、必要なものはそこに計上することは必要であると。内容については、その内容と宣伝効果について十分に吟味をする必要があるだろうと思います。
 それから、北川正恭氏の中央公論掲載の論文について幾つかお尋ねがございましたが、三つの方法でマニフェストは実現できるということについてお尋ねがございました。これについては、昨年私が選挙に当選して後日登庁した際に、県土整備部長から私が掲げたマニフェストの公共事業3割削減につきまして一層の事業の選択と集中を図っていく必要があるという話がございまして、具体的には、新規箇所の採択については事業効果の非常に高い箇所を厳選するということ、それから、継続箇所のうち、事業効果が比較的低い箇所は一時休工をするということ、それから、継続箇所のうち、完了が遅延しても重大な影響が生じない箇所は事業期間を延伸する、そういった主に三つのやり方があるという話を部長の方からも受けました。そういったことなどについては北川正恭氏にも私、後日話をしたことがありますので、恐らくそういったことがあって、今回の中央公論ではマニフェストは三つの方法で実現できるというような表現になったのではないかと思っております。
 それから、行動様式について変化があるということでございますけれども、従来は、ともしますとボトムアップ方式で県の政策決定というのが行われてきました。これはこれでやり方として必要なものがありますけれども、大きな政策転換といったような場合には、こうした政策決定方式ですと職員が極めて慎重に対応しがちということもありますし、その政策の変更の結果責任は当然トップが問われるわけでございますが、そうした大きな目標を提示して、それをトップが責任を持って実行する。職員は、実行するに当たってのさまざまな実行方法についていろいろ知恵を出すということがトップ――知事と職員の役割と責任の分担の明確化につながるものと思っておりまして、こうした上でマニフェストが職員の行動様式に変化をもたらしていると考えております。
 それから、最後の私の後援会の関係でございますが、知事の後援会の収支報告で、今のお話の中では、人件費と備品と事務所費で額が非常に大きく使われているというお話でございました。後援会連合会――これは正確には後援会連合会ですが――、こちらの収支ですけれども……(佐藤正春委員「そのことは聞いてないよ、知事、よく見てみなさい。質問してませんよ、使われていると言っているだけで。聞かれたことを答えてくださいよ」と呼ぶ)
 失礼いたしました。
 後援会の方で額が非常に多く使われているということで、これは幹事長に問題があったのではないかといようなお話と、それから、刑事事件で今、被疑者として拘留を多分されていると思いますので、そのことについていわてグラフで呼びかけをする必要があるのではないかということでございます。
 このことにつきましては、私は、こうした方が幹事長の過去幹部であったということはそのとおりでございますけれども、県政の執行につきましては、そうした後援会の活動ですとか、後援会加入の個人の判断が県政の上に影響を及ぼすということのないように、今までもはっきりとそういう影響を排除して実施してまいりましたので、そうしたことはないと考えているところでございます。
 なお、刑事事件を引き起こしたということで、今、委員のところに投書も来ているというお話でございましたけれども、いわてグラフでそうしたことについて被害者が名乗り出ていろいろ状況を話すように呼びかけをしたらどうかというお話がございましたけれども、このいわてグラフは県政の推進についての広報誌でありますので、こうした問題について記載するのはなじまないと考えているところでございます。

〇佐藤正春委員 知事はまじめだからまともに答えているんだけれども、まず第1番に、がんばる宣言……(「がんばらないだ」と呼ぶ者あり)、がんばらない宣言、頑張っているのは私の方で、がんばらない宣言は、どうですか、この前の佐々木俊夫議員の質問のとき、今後はやめると言ったんでしょう。今の答弁のように本当に宣伝が必要なら、なぜ続けないの。
 それから、私は優先順位を聞いている。公民館の方を県民は欲しがっているんだから、優先順位はどっちですかと聞いている。これは答えがない。
 それから、時間が余りないからあれだけれども、知事になってからスキャンダルが多いよ、このごろ、庁内でも何でも。これはどこに原因があるかということ。
 それから、今の高塚の話じゃないけれども、ああいう者を身近に置いて、私への投書は、知事はおれの言うことは聞くんだ、だからおっかないという投書が来ているんですよ。随分いるらしい、人に聞いてみたら。同僚議員に聞いても、あれは前からだと、こう言っている。岩手県の人は我慢強いから黙っているけれども、随分あるんじゃないかと言っている。これはやっぱり責任があるよ、知事、あなたの幹事長だからね。いいですか。

〇増田知事 まず、がんばらない宣言の方ですけれども、一応考え方としては、今まで多額の宣伝費を使ってきたのは事実でございますが、もうそうしたお金を使わずともさまざまな取材に来ておりますので、もうああした宣言は自立をして、自力で飛び立てるところまで来た、こういうことで、貴重な税金を使う必要はもうない、こういう認識でございます。今申し上げました最小限のものは計上しなければいけないと思いますが、それはまた違う県政の広告に使う、今、こういうことを考えております。
 それから高塚前幹事長、春にやめましたので……(佐藤正春委員「高塚でいいんだ、呼び捨てで、あんなの」と呼ぶ)、この高塚氏についてでございますけれども、確かにああした事件で被疑者として疑われているということは大変残念であります。それは、おっしゃるように外形的にやはり知事の後援会の幹部というふうに見られているということもありますから大変残念なことでございますが……(佐藤正春委員「責任あるでしょう」と呼ぶ)、これまでもこうした後援会の活動については、はっきりと峻別をして区別をしてきておりますので、私自身は、後援会の中にそういう者がいたということを大変残念に思いますけれども、県政執行、その他も含めて誤解のないように今までもしてきたつもりでありますし、今後も一層そういった行動に気をつけていきたい。これは私も、多くの県民の皆様方に決して誤解を受けるようなことはなかったと申し上げておきたいと思います。

〇佐藤正春委員 知事は、森のトレー疑惑の私の質問に対して、トリニティの契約は全く問題がなかったとは言いがたいと断言しております。また、県でトレー組合から金を回収して返還すると答えております。このことは岩手県議会だよりにも出ております。
 そこで伺いますが、専門業者である庄内鉄工とトラブルが生じ連携関係が解消になったと答弁しておりますが、その理由を明確にお示しください。県も庄内鉄工を推していたはずでございます。
 県は、指導監督、必要な検証を行わなかった責任がある、組合、県、久慈市、国にも責任があると答弁しておりますが、それぞれどのような責任なんですか。また、真犯人はだれですか。知事自身の見解を伺っておきます。
 3、知事は、トリニティとの裁判に勝って補助金を回収したいと答弁していますが、岡野氏は遠からず組合を解散し、みずからも自己破産します。破産法第69条第1項は、破産管財人が訴訟を受け継ぐことができるとあります。受けるのではございません。この10年裁判を破産管財人が受けないときはどうするのですか。
 また、裁判費用を県で1、200万円補正計上しておりますが、残金はございません。次に追加予算措置しても、議会は承認しません。だれが金なしで裁判を続けるのですか。知事は、来年度予算に裁判費用を計上するつもりですか。
 4、知事は、問題解決のめどがついたら任期中に責任を明確にしたいと答弁しておりますが、任期中どころか、泥沼にはまるだけです。めどなどつきませんよ。重ねて申し上げます。食い逃げですか、お答えください。

〇増田知事 森のトレー事案について何点かお話ございましたので申し上げますが、まず、業者の関係ですけれども、庄内鉄工とトラブルが生じて、そして連携関係が解消になったということですけれども、この連携関係が解消になった理由について調べますと、これは、木製トレーの生産コストを確定する上で必要な、トレーの縁をカットする刃があるんですが、この刃の耐久性の保証についてまず初めに論議がございました。そして、そこが発端で組合と庄内鉄工との関係が悪化した。そして、それが両者の連携関係の解消にまでつながったということで、これは、トレー組合の岡野専務から振興局職員が確認いたしました。その後、振興局職員において岡野専務から同様の回答を確認しております。それから、ことし1月の県議会の連合審査の参考人質疑でもトレー組合の岡野専務が同様の内容を述べておりましたので、庄内鉄工との連携関係の解消はそのことが事実であろうと考えております。
 それから、組合、県、久慈市、国といろいろ関係者がおります。それぞれどういう責任か、真犯人はだれなのかという私の見解を問われたわけですが、まず県の責任ですけれども、これは、組合の事業執行を適切に指導監督して事業の目的を達成させることができなかった、このことに尽きると思います。国と市の責任でございますが、これも、重さの軽重はございますけれども、県と同様に、組合の事業遂行を適切に指導監督して事業の目的を達成させることができなかった、こうしたことが国、市の責任であろうと思います。それから組合の責任ですけれども、これは、事業主体として補助金の給付を受けておきながら、事業の目的を達成することなく事業を破綻に至らしめたので、これが組合の責任のすべてであろうと思います。
 では、一体真犯人はだれなのかということでございますが、これは、それぞれ今申し上げましたように、県、国、市、組合ということで責任を有しておりますけれども、事業主体である組合に対して欠陥のある製造ラインを供給したトリニティ工業社の責任がまず第一に問われるべき、ここが一番重い責任を持っているわけでございまして、このトリニティ工業社の責任につきまして、これを訴訟――県は支援という立場ですが――の場で明確にしていきたいと考えております。
 それから、この訴訟の場での裁判について幾つか費用関係も含めてお尋ねがございましたけれども、組合の方で解散して自己破産するというようなお話がございましたが、私ども組合と接触をしているわけですが、組合には訴訟が終結するまで全力を挙げて取り組んでいただけるものと私どもはとらえております。万一訴訟の途中で組合が破産をして解散するといったような場合、これは仮にの場合で想定をしておかなければなりませんが、そうした場合でも、県ではあくまで破産管財人が訴訟を受け継ぐように取り計らっていきたいと考えております。
 それから費用の関係ですけれども、この訴訟の目的は、県の目的遂行のために実施していることでございますので、訴訟費用の負担の考え方としては、訴訟遂行上必要な経費についてその都度予算計上、こういう考え方でおります。17年度について、まだ裁判の様子がよく見えませんけれども、今想定してございますのは、論点の整理ということをずっとやっておりますので、特に17年度当初で特別の訴訟費用を計上する必要は今のところないと考えておりますけれども……(佐藤正春委員「金がないよ、裁判の」と呼ぶ)、また訴訟遂行上必要な場合があれば、その都度予算計上してお願いしていきたいと考えております。
 最後に知事の責任ということでございますが、これについては何度か申し上げておりますが、久慈市と連携して損害賠償訴訟の勝訴に向けて全力を傾注することが私の責任だと。これに今すべてをかけておりますので、私自身の責任については、この対応をしっかりと行う。任期中にこの問題についての責任を明確化すると言っておりますので、それについてはしかるべき時期に明確にしていきたいというのが私の考え方でございます。

〇佐藤正春委員 知事、随分自信を持って裁判に勝つ勝つと言うけれども、勝てないですよ、これは。だって知事、あなたはいつまでやるか知らないけれども、任期中にこの裁判は終わらないですよ。終わらないときはどうなるんですか、これを聞いておきたい。終わらないときは、ほかに行ってもこの裁判を続けるんですか。その金はどうなんですか。だれがやるんですか。
 それが1点と、もう一つは、今、責任論が出たんですが、責任論の中で、いわばトリニティがふぐあいのものを売ったのが責任だと、こう言っているんですよ。いいですか。このやりとりの中で、庄内を推したのは県ですよ。組合がトリニティと取引した中で不正なことはたくさんあるんですよ。これは農林水産部であとは聞くんですが、そうなってくると、一体果たしてトリニティが本当に悪人なのかどうかという問題が出てくるんだ、今度は。そんなものをやって勝てるわけないじゃないですか。ですから、そこらをよく検証しないと、あなたが一生懸命勝つまでやると言ったって、勝つまで頑張ってやりますと言ったって、勝てない裁判なんかやったってしようがないでしょう。その点についてひとつここで言明してください。在任中にこれを決着するんですか。やめてからもずっとやるんですか、どうなんですか。そうなってくると私は、今おっしゃるように組合にもそれなりの責任があるんですが、組合に対する検証というものをもっとしっかりしなければいけないと思うんだ。ここらあたりを含めて、知事の責任、今おっしゃるように、やめても責任をとるのか、任期中にとるのか、いつまでやるのか、明確にお答えください。

〇増田知事 まず、全体の検証ですとか、それから内容の責任の所在の明確化、それからさまざまな関係者のかかわり方、これは常に明らかにする努力を続けていかなければならないと思っておりますので、今後も、庄内鉄工との関係がどうであったのか、トリニティ工業にかわった経緯がどうだったか、可能な限り明らかにする努力を我々もしていきたいと思っております。
 それから責任の問題、それから裁判の期間の問題で、なかなか私の立場で裁判期間について申し上げるわけにいきませんが、今、論点整理をしておりますが、訴訟対応として、私どもも裁判所の審理に極力協力をして、速やかな裁判に向けて努力をしていきたいと思います。
 私の責任の話がございましたが、これについては、やはり在任中に明確にすることが必要だろうと思いますので、任期の間に、この裁判の遂行の様子も見ながら責任の明確化をしていきたいと考えております。

〇佐藤正春委員 話が違うんですが、午前中、例の両磐の枠組みが崩れたということで工藤委員から質問があったんですが、どうですか、市長と話をして新しい枠組みを考えるのか。何か今までの経験を生かしながらやりたいというんですが、知事としてどういう指導をするんですか。例えば今、4、5の枠組みは残っているんですよ。そういうものを含めて、間に合うんですか、間に合わないんですか。来年度の国の期間中に間に合うかどうか、それも含めて、これからの指導のあり方について伺っておきます。

〇増田知事 両磐の合併についてですけれども、きのうああした様子でございましたので、関係する市町村長さん等、またどういうお考えでいるかを改めてよく把握していかなければならないと思っておりますが、今、委員がお話しになったように、法定協議会は休止中ですけれども、まだ解散せずに四つの法定協議会、それから5市町村の場合の法定協議会は残っております。したがって、そうした法定協議会の場を生かすのかどうか、それも含めてまた市長さんにもよく御相談をして今後について判断をしていきたい。きょうお伺いしたところでは、関係する町村の方の様子、どういうお考えかもまだ整理がついていないということでして、正直私もそれぞれの皆さん方がどういう考え方でいるのかまだ把握し切れておりませんので、この場でどういう枠組みかというのはちょっと申し上げられない段階でございまして、これから丁寧に市町村長さん方のお話を聞いた上で、せっかくここまで積み上げてきた枠組みでございますから、そこで積み上げてきたものを生かせるものはできるだけ生かすということで、また来年の期限までに新たに申請できるように私の方でも努力をしていきたいと考えております。

〇佐藤正春委員 最後ですが、午前中に工藤委員から市名で問題になったんじゃないかと北の人は心配しているということですが、市名だけじゃないんです、これは。私、地元ですから。いろいろな問題を含んでおりまして、決してそういうことはないということだけはこの際申し上げておきます。

〇柳村岩見副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時51分 休 憩

午後3時14分 再 開

〇川村農夫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 総括質疑を続行いたします。柳村典秀委員。
   〔柳村典秀委員質問者席に着く〕(拍手)

〇柳村典秀委員 政和会の柳村典秀です。早速質問させていただきます。
 まず、40の政策についてお伺いします。
 平成15年度における40の政策の評価によりますと、総合評価で目標達成状況から判断すると、全体としてややおくれているとなっています。特に七つの重点施策である環境首都を目指す環境先進県とバリアのないユニバーサル社会先進県は、このまま推移すれば平成18年度の最終年度には目標を達成できない懸念があると指摘されています。
 また、40の政策の予算措置状況を見ますと、政策推進枠ベースで15年度が25億8、900万円、16年度が30億3、200万円、一方、政策推進枠全体としては、15年度が43億2、800万円、16年度が47億7、600万円となっています。この政策推進枠は4年間で200億円確保するものだったのですが、来年度予算でどの程度見込んでいるのでしょうか。40の政策でおくれている分野への重点配分はお考えでしょうか。また、最終年度までに200億円の措置は達成できるでしょうかお尋ねいたします。
 次に、総合計画の進捗状況と見直しについてお伺いします。
 まず、進捗状況ですが、今回示された総合計画実施状況報告書によれば、主な指標209のうち、45%に当たる93指標で1年以上おくれているとなっているのに、五つの社会ごとの進捗状況は、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会が厳しいというものを除き、ほかはすべておおむね順調になっています。総合計画の進捗状況はおくれていると思うのですが、なぜこのような評価結果になるのでしょうか。また、指標をもとにした評価方法だけでは不十分だし、そもそも指標の設定にも問題があると思うのですが、いかがお考えでしょうかお尋ねいたします。
 次に、見直しについてですが、総合計画の主要な指標は、平成11年の策定時209であったものが、翌年度から毎年見直しが行われ、これまでに33の指標が新たに設定、または修正され、現在221になっています。この中には見通しの変更による下方修正も五つほど含まれています。指標は将来の社会を示す目安となるものですが、このように毎年見直しが行われていたのでは、総合計画策定時の将来像と現在ではかなり違ったものになっています。また、社会情勢も大きく変化しており、時代に合った総合計画にするためには、積極的に計画の変更、見直しをするべきと考えますが、いかがお考えでしょうかお尋ねいたします。

〇増田知事 まず、40の政策の関係についてお答え申し上げますが、これは昨年の選挙のときに特に重点的にこれから取り組む分野について、4年間で一般財源200億円の枠を確保する。それが政策推進枠ということで確保されているものでございますが、これについては来年度予算についてもあらかじめ一般財源50億円について優先的に確保しておりますので、その額をもって実施をしていきたい。今月の中旬に政策評価・推進会議という庁内の会議を開いて、そこで各部局の要求について発表させてその上で、具体的に決めるのは年明けてからになりますが、その中で優先的に実施をする50億円の内容を決めていきたいと思います。
 今まで、15年度はこの200億円の枠に対しておよそ43億円、それから今年度――16年度は48億円ほど措置しておりまして、来年度は50億円措置していますが、その中で実施状況について評価をしてみると、次の七つについてやはりおくれているという評価が出ています。観光振興、それから産廃の不法投棄事案やCOの削減の関係、それから伝統芸能を初め、文化の発信のところ、それから男女共同参画など、それから高齢者が元気で暮らせる地域社会の実現、それから自立できる農林水産業、そしてIT関連の技術を生かした企業の育成や誘致、こうしたところにおくれが見られているということがございますので、17年度、それから18年度に向けてこうした分野については特に力を入れていかなければならないと考えております。
 そうするためには、17、18年度についてやはり予算枠としてもこの政策推進枠をきちっと確保しておく必要がありますので、今17年度については50億円優先的に確保してあるということを申し上げましたけれども、18年度におきましてもこうした優先的な確保の考え方を同じように行いまして、そして18年度までの40の政策の目標実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。

〇照井総合政策室長 私からは総合計画の進捗状況と見直しにつきましてお答え申し上げます。
 まず、総合計画の進捗状況でございますけれども、これにつきましては毎年度の政策評価におきまして、主要な指標をもとに検証しているところでございます。さきに実施しました平成15年度分の政策評価結果をこの主要な指標で五つの社会ごとに見た場合には、産業経済社会につきましては到達度が低い、低の割合が59%ということでございましたので、厳しいという評価をいたしてございますが、他の四つの社会、環境共生社会、快適安心社会、交流連携社会、個性参画社会、これらにつきましてはいずれも到達度が中以上の指標の割合が60%以上となっているということから、おおむね順調と評価いたしたものでございます。国の調査が毎年度実施されないことなどの事情から、測定できなかった12指標を除いた209の指標中、到達度の低い指標は全体で93指標ございますけれども、そのうちこの産業経済社会の指標が49指標ということで、53%の大きな割合を占めております。このために厳しいと評価しているこの産業経済社会の指標の動向が、主要な指標全体の動向に大きな影響を与えているものでございます。
 また、この政策評価については、総合計画の推進により、県民の暮らしや豊かさがどれだけ向上したのかという施策の成果を重視する考え方に立ちまして、客観的で県民から見てわかりやすい目標である主要な指標の到達度を基本としながら、さらに7、000人の県民を対象といたしました意識調査による県民の満足度を加味するなど、県民の意向をより反映した客観性の高いものとなるよう、毎年度評価方法を工夫、改善しながら取り組んでいるところでございます。
 この主要な指標につきましては、今申し上げましたように毎年度見直しを行っているところでございますが、分野によってはこの指標が設定されておらず、評価がいわばできないというような分野がございます。また、設定した指標の中にも、必ずしもその分野の目指す姿を的確にあらわしているとは言えないのではないかという御意見もございますことから、現在、指標の見直し作業を進めておりまして、より適切な指標となるよう改善を図ってまいりたいと考えております。
 次に、総合計画の見直しについてでございます。
 総合計画の基本構想、基本計画のうち、自立、参画、創造により夢県土いわてを実現するというこの基本理念と基本目標、そして本県の目指す将来像を実現する上での施策体系、すなわち五つの社会、17の施策、そして78の分野でございますが、これらにつきましては、本県が目指す地域づくりの普遍的な基本指針、総合的な施策体系でございますので、これらにつきましては、現時点では特に見直しの必要はないものと考えております。
 しかし、基本構想に掲げました主要な指標――ただいま御説明申し上げました主要な指標につきましては、必ずしもその分野の目指す姿を的確にあらわしているものとは言えないのではないかというような御意見もありますことから、現在、その体系的な整理も含めまして見直しを行っているところでございます。また、総合計画策定時に想定し得なかった財政事情の急激な悪化でありますとか社会経済情勢の大きな変化に対しましては、今後の本県の財政をめぐる動向などをしっかりと踏まえまして対応していく必要があるものと考えております。
 今回の三位一体改革に関する国の全体像におきまして、平成17年度、18年度は、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保するとされましたことや、本県におきましては、行財政構造改革プログラムに基づきまして、平成18年度まではこの行財政構造改革に全力で取り組むことといたしておりますことなどを総合的に勘案すれば、県行政は平成18年度までが一つの区切りになると考えられますので、平成18年度まではこの誇れる岩手40の政策により対応していきたいと考えております。
 また、今後、国の中期地方財政ビジョンの策定などによりまして、平成19年度以降の財政見通しが明らかになって、地方交付税の動向も予見可能になるものと考えられますので、19年度以降の施策につきましては、この中期地方財政ビジョンや社会経済情勢の動向などをしっかりと踏まえながら、新しい政策推進プランを策定して、そのプランに基づいて施策展開を図っていきたいと考えております。

〇柳村典秀委員 いま一点答弁漏れがあると思うのです。というのは、最終年度までに200億円の措置が達成できるかという話については触れられていなかったと思っているんですけれども、来年50億円ということですと、そうすると平成18年度においては59億円余り措置しないと達成できないということに結果的にはなるんですけれども、それはそういうことで59億円、200億円に達するまでやるということなのか、あるいはやっぱり今の状況において難しいという話になってくるのか、その点を再度お聞きします。
 あと、以前、知事はマニフェストを県の施策として数値化したものが40の政策ということで、総合計画の中で一連の流れに沿ったものという話をしていました。しかし、総合計画の策定時になかった問題に対応するための新たな政策が出てきたこと、行政システムの進化に位置づけられた行財政構造改革プログラムの影響による総合計画の進捗のおくれなどから、40の政策が出たことによって総合計画とはまた別な流れが出てきたのではないかと私は考えているわけです。そして、先ほども、後期実施計画は18年度からなわけですけれども、その40の政策によって18年度までそれで対応していくというような話になって、位置づけとすれば40の政策の方が非常に強い意味を持つと私は受けとめているんですが、その点いかがなのか。そして、19年度以降については新たな政策システムといいますか、そういった政策形成を行うという話ですけれども、ということは、それは今の知事の任期中、18年度中に行うということなのか、19年度に統一地方選が予定されているわけですが、そことの絡みからしてどういう状況になるのかをお聞きいたします。

〇増田知事 まず、200億円、全体の達成の問題ですけれども、平成18年度にどの程度予算で措置できるかがまだ少し見通しがつかないということがあります。今お話しあったように初年度、2年目、50億円しっかりと、その50億円丸々措置していませんので、少し少なくなっていますので、全体200億円ということになりますと、今お話しあったように18年度は50億円以上のものを措置しなければいけないんですが、そこのところは、17年度は50億円でいこうと思っているんですが、18年度の予算、もう少し様子を見てみないとわからない。そこの40の政策の数値目標の方の達成の方を重視しておりますので、もし仮に事業の実施を効率よくやって少し額を節約できるのであれば、目標が達成されていればそれはそれで私はいいのではないかと思いますけれども、しかし、できるだけ200億円の枠をとって重点配分をすると言っていますので、その額はできるだけ確保したいと、今そう思っております。もう少し先になってから18年度どの程度のものが措置できるか様子が見えてくると思っております。
 それから、40の政策と総合計画の関係ですが、総合計画策定時に想定していない問題あるいは産廃の不法投棄のようなものは緊急性があるもので大事なものですから40の政策に入れておりますが、あとは大体理念から、その考え方から総合計画を踏まえて40の政策をつくってありますので、総合計画で広範囲の分野でさまざまな目標を掲げておりますが、その中で特に今の財政状況を見ながら重点的に実施できるものを大体40の政策に移しかえているということなので、総合計画と40の政策が別の流れというよりは、さらに総合計画のうちのエッセンスを重点化するものとして示したものが40の政策ととらえております。もちろんそれにプラス新たな緊急的に対応する必要性の高いものを入れたものが40の政策と考えておりますので、この18年度までは財源的な見通しが間もなくつきますから、その上で40の政策をしっかりと実施をしていく。
 19年以降については、本会議等でも、あるいは今の総合政策室長も申し上げましたけれども、ちょうど一つの18年と19年の間が区切りになっておりまして、財源的にも中期財政ビジョンなどが、恐らく18年の末になると思いますけれども、今まで単年度ごとですぐ翌年しかわからなかった交付税等の大体の見通しなどもその際に、多分3年ぐらいの見通しがこれから新たにビジョンをつくるということで示されると思いますから、その財源的なところも踏まえて計画をつくった方が、はるかにしっかりとしたものができると思っておりますので、19年以降のものについてはその時期にと思っていますが、これは具体的につくるとすれば、ちょうど統一選挙等もございますので、19年に入って新しい知事がそこの掲げた政策も踏まえてつくるということになると思います。今の総合計画自体が11年からの計画ですが、できた時期は11年の夏以降となっていまして、初年度の半ばごろにでき上がった計画ということもありますし、19年以降のものについてはそこの財政見通し等も踏まえてつくっていくべきものと考えておりますし、やはり施策の優先順位というものもございますので、主要な政策推進プランというものをその時期につくって、その上で財政の裏打ち状況もよく勘案しながら、19年以降の新しい計画をつくっていくという手順になるものと思います。

〇柳村典秀委員 続けて次に進ませていただきます。行財政構造改革プログラムについてお伺いします。
 まず、職員給与の減額措置についてですが、昨年10月に発表されたプログラムでは、県職員がみずからの痛みを県民に先駆けて共有しなければならないとして、16年1月から15カ月間の給与カットが打ち出されました。しかし、16年度予算編成後の2月には歳入歳出ギャップがさらに拡大、そして7月の試算では最低526億円から最大764億円と広がっています。この不足額に対して新たな対応策が必要になりますが、このことで県民に与える痛みはさらに増大すると思います。このような状況で県職員の給与をもとに戻すのは、県民感情としても納得できないのではないでしょうか。このことについてどのようにお考えでしょうか。2年間延長した場合、どの程度の削減額になるのでしょうか。また、今回発表された人員削減策を含めた人件費抑制の効果はどの程度見込まれるのでしょうかお尋ねいたします。
 次に、財源確保策についてお伺いします。
 昨年10月のプログラム策定時には、県有未利用地売却分30億円、電気事業会計からの支援分15億円を見込み、本年7月に示された追加策では、未利用地処分の追加に30億円、資産株の売却処分に30億円、さらには、他会計資金の活用となっています。
 そこで、お伺いしますが、未利用地の売却処分が計画どおりできなかった場合の対応策はどうするのでしょうか。また、資産株は、いつ、どのような方法で処分を行うのでしょうか。現在の配当金の受取額は幾らでしょうか。電気事業会計で所有する西口複合施設の土地ほか約14億円の取得はどうするのでしょうか。この土地の譲渡が決着していない状態で追加支援は可能でしょうかお尋ねいたします。
 次に、審議会等の設置・運営に関する指針に関連して何点かお伺いします。
 この指針は、県が審議会の設置・統廃合、委員の選任、会議の運営・公開に関することなどについて定めたものであります。総合計画審議会は、この指針に基づき本年3月に委員数を45名から20名に大幅に削減し、改選されました。この改選に当たって、委員構成が見直しされ、市町村長が2人から3人、市町村議会議長が2人からゼロ、学識経験者が41人から17人と大幅に変更されています。条例によれば、委員は45人以内をもって組織し、市町村長、市町村議会議長、学識経験者、関係行政機関の職員から知事が任命するとなっています。以前はこの中に県議会議員も入っていましたが、引き揚げと同時に条例が改正になりました。今回、委員数、組織構成が大幅に変更されたのに条例を改正しないのはおかしいと思うのですが、いかがお考えでしょうかお尋ねいたします。
 次に、審議会等における女性委員の登用についてお伺いします。
 指針でも平成17年度までに33%、平成22年度までに50%に高めるとなっています。平成15年度中に改選があった審議会等は27ありますが、女性委員の割合は25.3%、その結果、全体の審議会等の女性委員の割合は、15年3月31日で29.8%であったものが、16年4月1日で28.8%と1%低下しています。特に総合計画審議会、商工観光審議会の低下が目立つのですが、なぜこういう結果になったのでしょうか。また、国の目標が12年度末で20%、17年度末で30%となっていますが、これに比較しても県の目標が高過ぎるのではないでしょうかお尋ねいたします。

〇時澤総務部長 まず、職員給与の関係でございます。
 職員の給与につきましては、地方公務員法に定める給与決定の原則にのっとりまして、労働基本権の代償措置として人事委員会勧告に基づいて改定をしております。昨年度は、差し迫った財政危機に対応するために、あくまでこれは期限を区切った例外的な措置として、16年1月から17年3月までの間の給与減額措置を実施したわけでございます。一方、17年度予算につきましては、やはり交付税の減額をめぐる議論等が依然としてなされておりまして、地方財政をめぐる環境は依然として厳しいものがあると認識しておりまして、私どもも予算編成に苦慮している中でございます。したがいまして、いろんな歳入歳出面での工夫をしていかなければならないと考えておりまして、特にも総人件費の抑制、ここについてもいろいろ考えていかなければならないと思っております。
 お尋ねのありました、まず給与減額の効果でございますが、今の減額措置の効果、年間で23億円、15カ月の実施で約28億円の節減効果でございますので、これを仮に延長した場合には、人員構成の変化で変動はありますが、年間22億円程度の節減効果と見込んでおります。なお、人件費につきましては、この給与の減額にあわせまして、退職手当の引き下げや定数の削減というものに取り組んでおりまして、平成15年度の当初予算を基準とした場合には、平成18年度までに歳出ベースで累計450億円を節減することができるという見通しでございます。今回も寒冷地手当の引き下げ等も条例としてお願いをしております。さらなる定数の縮減等に取り組みまして総人件費の抑制を図りながら、県民の理解を得られるようなものにしてまいりたいと考えております。
 次に、県有未利用地等の処分でございます。
 昨年9月に公募抽選売却を導入いたしまして、本年度から一般競争入札において予定価格の事前公表による最低売却価格入札、こういったことも実施をしております。また、売却促進の策といたしまして、一般競争入札に付して入札者がなかった物件につきましては、不動産業者に対して媒介を依頼することを行うなどを考えております。関係団体にも協力要請をしたところでありますし、また、県民ニーズに即応した処分、利活用を促進する観点から、現在未利用あるいは今後未利用となる見込みの県有財産――土地・建物――を県民に広く公表いたしまして処分や利活用、そしてアイデア募集に取り組んでいきたいと考えておりまして、そういったことによりましてプログラム策定時の30億円に加えて、最大で30億円の資産の増収策を見込んでおります。土地需要の低迷とか、非常に厳しいとは感じておりますけれども、全庁的な連携のもとに地道に継続した取り組みに努めてまいりたいと考えております。
 それから、資産株の売却でございます。売却方法といたしましては、公募による売り出し、市場での売却、相対での売却といったことが考えられますが、具体的な方法につきましては、現在売却の時期を含めて検討中でありまして、経済情勢、株価の動向を見ながら対処していくことといたしております。現在の配当金の受取額でございますが、昨年度の実績で両行あわせまして3、287万円余となっております。
 電気事業会計からの支援でございますが、同会計で保有しております盛岡駅西口複合施設用地を将来的に一般会計で取得する方法で検討しておりまして、これを含めまして、今後の事業会計における剰余金の見通しとその使途等について精査し、可能な限りその活用を図っていくこととしております。
 今まで申し上げました財源確保対策につきましては、あくまで現時点で対応可能と考えられる方策とその目標額でございますので、今後の情勢変化により増減が生ずると見込まれますが、その場合でありましても、行財政構造改革プログラムに基づく各種の歳入確保、歳出削減、これの取り組みの中で財源不足の解消をきちんと図ってまいりたいと考えております。

〇照井総合政策室長 私からは総合計画審議会条例の改正につきましてお答えいたします。
 総合計画審議会は、県政の総合的な計画の策定と推進に関する重要事項を調査審議いただく場でございますけれども、総合計画策定後は、主に総合計画の進捗状況の管理でありますとか、あるいは社会経済情勢の変化などを踏まえた御提言をいただいているところでございます。しかし、この審議会は委員45名以内をもって構成されているために、委員全員の発言の機会がなかなかとれないとか、あるいは審議会が形骸化しているなどといった御意見がありましたことから、審議会の活性化を図るとともに、より機動的、弾力的に運営するために、委員の皆様の御理解をいただきまして、審議会等の設置・運営に関する指針に沿って、委員の改選を機に20名体制といたしたところでございます。
 総合計画の策定に際しましては、これまでは県政全般にわたって各界各層幅広い分野の皆様方から御審議をいただくために、相応の体制により運営する必要があったものと考えておりますけれども、現在は、県行政に関する基本的な計画の議決に関する条例によりまして、総合計画の策定、変更などにつきましては、県民の代表である県議会において御審議をいただくこととなったこと、また、パブリックコメント制度の導入によりまして計画立案の過程でその内容を公表し、県民の皆さんから広く意見をいただくことができるようになったこと、さらには、政策等の評価に関する条例に基づきまして、政策評価システムがしっかりと構築されたことにより、県民の御意見やニーズを踏まえた施策立案を行うことができるようになったこと、こうしたことを総合的に勘案すれば、現在の委員定数を必要とする事情は薄れてきたものと考えられますので、ただいまのその審議会等の設置・運営に関する指針に沿いまして、総合計画審議会条例の見直しをしたいと考えております。

〇竹内副知事 審議会等における女性委員の登用についてでございますが、今お話を申し上げましたように、審議会の統廃合、委員総数の変更など、現在審議会の見直しを進めているところでございますが、委員から御指摘がございましたように、総合計画審議会は委員数を43人から20人に、それから商工観光審議会の方は二つの審議会を統廃合いたしまして、これも38人から20人に見直しをしております。いずれの審議会も幅広い分野からバランスのとれた委員構成、公募制の選任などに配慮をいたしておりますが、学識経験の委員数を大幅に縮減したことによって、結果的に女性委員の割合が減少したものでございます。
 本県の女性委員の目標設定に当たりましては、男女共同参画社会の実現のため、分野にかかわらず人口の半分を占める女性が、政策方針決定過程に参画していくことが重要であるという認識のもとに、県の総合計画において50%としております。国では、御案内のように平成17年度の目標を30%としておりましたが、本県の目標、17年度33%となっておりますので、当面この目標達成のためにこの審議会委員の充て職の見直し、それから団体代表者に限らない幅広い人選、それから公募制の導入、女性人材リストの充実などを行いまして、これに対する進行管理を確実にしながら、今後とも女性委員の登用を推進してまいりたいと考えております。

〇柳村典秀委員 その女性委員の登用ですけれども、話を聞くと、例えば公募制を導入していると、公募で募集した結果、男性しか応募しないというような話もあるそうです。そうすればおのずとその登用率は低下すると、だから過度に、例えば50%という目標が果たして妥当なのかということもあると思うのですね。そこら辺も踏まえてやっぱりやっていかないと、効率のいい審議会をつくろうとしている目的とはまた別に、女性を登用しなければならないということに縛られ過ぎて、かえって当初の目的とは違ったような方向になるかもしれないということを危惧するわけです。その点についてどう考えるか、まずお聞かせいただきたいと思います。
 それと、7月に中期財政見通しが示されました。新たに10月に出された構造改革プランを実行してなお不足するということから、今後新たな対応策を策定するということですけれども、やっぱり以前つくったものをちゃんと検証しないと、そちらの方がどうなっているのかわからないのに新たなものをつくるというのは、私はいかがなものかと思うのです。そういった意味から実施状況を明らかにすべきと思うのですがいかがでしょう。

〇竹内副知事 女性委員の関係ですが、女性委員の選考をちょっと難しくしておりますのは、充て職がありまして、これが非常に女性の方が少ないという問題があります。それから、団体の代表者とか、そういう人たちにお願いを今までしてきていたのですが、それもなかなか女性を選考するのに大変難しい状況になっております。ですから、そういう阻害要因といいますか、あくまでも委員がおっしゃるとおり審議会は目的のために健全に運営される必要はありますが、やはり女性を登用するというのが、これはまた大変非常に大事な話だと思っておりますので、その辺の構造を改善しながら、先ほどちょっと申し上げました、当面平成17年の33%という目標、これに向けて全力を挙げてちょっと頑張りたいと思っております。

〇照井総合政策室長 昨年10月の行革プログラムの策定後に、国におきまして地方財政計画の規模の抑制が前倒しで行われまして、地方交付税などの大幅な削減というのはこのプログラム策定時の想定をはるかに超えるものであったということから、改めて人件費でありますとか公債費などを精査しまして、その見通しを去る7月に明らかにしたところでございます。現在この見通しを踏まえまして、行財政のすべての分野についてさらなる徹底した見直しを進めているところでございます。その見直しに際しましては、ただいま委員から御指摘をいただいた点も含めまして、これまでの取り組みに問題がなかったのかどうか、もし問題があるとすればその原因は何なのか、背景は何なのか、さらには、今後の課題はどういったものがあるか、こういったことをやはりしっかりと評価、検証したいと考えております。この検証結果と、さらなる取り組みの内容につきましては、来年度の当初予算とあわせまして公表したいと考えております。

〇柳村典秀委員 次に進みます。県営内丸駐車場についてお伺いします。
 この駐車場は昭和45年10月に開業し、平成15年9月まで33年間にわたって営業してきました。初めのころは黒字が出ていてよかったのですが、昭和58年に土木技術振興協会に委託されてから赤字傾向が顕著になり、21年間で2億570万円の赤字、つまり1年間で約1、000万円の赤字を出していることになります。この駐車場はことしの4月から平面駐車場として営業を再開し、今のところ順調に推移しており、今年度は約700万円程度の黒字が見込まれています。今まで赤字になっていた原因に県職員と同じ給与体系のため人件費がかかり過ぎる、また、立体駐車場のためメンテナンスが高騰してきたなど幾つか要因がありますが、それにしても民間では考えられないことであり、なぜこのような状態を放置してきたのでしょうかお尋ねいたします。
 次に、先ほど新居田委員も質問されましたが、森林環境税についてお伺いします。
 本県における平成15年度の間伐事業に要した費用は、国、県あわせて約18億8、500万円で、このうち約5億4、000万円が県費になっています。最近、新聞に、切れど進まぬ間伐材の活用という報道がありました。木材価格の低迷が原因で利用率が約42%にとどまっているため、切った木の多くは山中に放置されているという内容です。県は9月にいわて地球環境の森づくりビジョンを策定し、その中で地球温暖化防止対策のための森林整備の必要性をうたっています。しかし、森林の受益者を県民だけに限定し、国より高い二酸化炭素排出量8%削減の目標を設定したことを理由に森林環境税を導入するのは納得できません。県民は既に森林整備に多額の税金を負担していますし、国は都道府県ごとに目標値を設定して実現を迫っているわけではありません。
 環境省は平成18年1月からの実施を目指して、環境税の具体案を発表しました。この中には森林整備に使える環境譲与税が盛り込まれています。県民にとって二重負担となる森林環境税の導入は慎重にしていただきたいと思うのですが、高知県と同様の課税をしたとして、どの程度の削減効果があるのでしょうか。また、県民に対しての理解をどのようにして深めていくおつもりでしょうかお尋ねいたします。

〇増田知事 私の方から森林整備についてのお尋ねの方を御答弁申し上げます。
 本県の森林でございますが、これについては先ほど新居田委員のときにも申し上げたのですけれども、水資源の涵養ですとか災害の防止などさまざまな働きをしておりまして、いわば公益的な機能、多面的な機能をそこで果たしているととらえております。近年、木材価格が大変低迷しているといったようなことで、手入れの行き届いていない森林が増加をしてきておりますので、そういった多面的な機能、公益的な機能の働きが損なわれて、県民生活に重大な影響を及ぼすことが懸念をされている。現実に土砂災害等も以前よりもこうしたことによって多く発生をしているとも言われておりますし、県民生活に今後このまま放置しておきますと見過ごすことのできない影響がさらに出てくるのではないかというとらえ方をしております。
 そこで、有識者の皆さん方にお集まりをいただきまして御意見を聞くという場をことしの2月にいわての森林づくり検討委員会という形で設置をいたしまして、9月に中間報告を取りまとめいただきました。なお、この9月に中間報告という形で取りまとめをいただきましたこの関係は、先ほど委員がお話しございましたいわて地球環境の森林づくりビジョンとは別のものでございまして、こちらのいわての森林づくり検討委員会の報告というのは、具体的にこの岩手の森林の二酸化炭素の吸収という一面だけでとらえるのではなくて、先ほど言いましたような多面的、公益的機能、幅広い森林の働きを維持、発揮させるためにどのようにしていったらいいのかということで、その中の一つの手段として新しい税制度の導入ということをその中でうたっております。
 中間報告では、森林を県民の公共的な財産としてとらえて、受益と負担の原則に立って、県民全体で新たな森林整備を行うこととして、安定的な財源を確保するための新しい税制度の導入を図るべきと、こういう問題提起をその中間報告で行っているわけでございます。国で今検討している環境税は、あれは京都議定書の目標達成に向けて考えられているもので、その税収をCOの削減のために取り組む事業者への支援や吸収源となる森林整備など、広く地球温暖化防止対策に活用する目的で、目的をかなり限定しているわけでございますが、今回のこの中間報告の内容はそれとは別の観点から考えられているものでございまして、まだこれは中間報告でございますので、これからさらに県民の皆様方の御意見を十分に聞く必要がございますので、今月にアンケート調査を行って県民の意向の把握をしていきたいと考えております。
 今この中間報告による税が導入された場合の課税効果ということにつきましては、新たな税制度を財源として荒れた森林を整備することは、COの削減効果をもたらすということで意義のあることとは思っておりますけれども、まだ仕組みといったことができ上がっておりませんので、むしろこれから御意見をお聞きした上で、例えばこれまでの税制や国で検討している、先ほど申し上げました環境税との違いについて説明会などを通じて県民の皆様方に十分説明をいたした上で、御理解を得ていきたいと考えております。

〇竹内副知事 昭和45年に整備した旧内丸駐車場の件でございますが、昭和60年以降赤字経営をずっとやってきたということで、その原因でございますけれども、経費面で言いますと、機械の老朽化に伴いまして修繕費がだんだん大きくなってきたということと、それから昭和45年当時のものでございますので、設備が相当古くて運営するのに相当な人手がかかる設備になっております。これは改善しようということでいろいろ検討したのですが、これにも相当時間を要したために、操作人員の縮減が一気に進められなかったこと、そういったことがありまして、さらに収入面では、内丸地区に民間駐車場が相当ふえまして利用者が余り伸びなかったというのが要因になっております。こういった事態に対応するために、正職員の数を、当初7人いたのですが、これを2人に減らすなど、一応人件費の抑制とかあるいは昼間の定期駐車の利用拡大によって収入増に努めたのですが、赤字状態の解消には至らなかった。
 この赤字をどうしようかということにつきましては、かなり早くから、平成3年ごろからずっと検討してきたのですが、この駐車場、内丸地区の駐車需要に対応するということで都市計画決定をいたしまして、都市計画事業として設置した施設でございまして、これは平成10年ごろの調査によりましても、駐車需要予測値があの地域にはまだ相当潜在するということで、経営上の観点からのみ廃止するという決断がなかなかできなかったというような経緯がございます。平成14年度にこの施設整備、相当老朽化がひどくなってまいりましたので、旧内丸駐車場を解体するという方針を決めたところでございます。

〇柳村典秀委員 最後になりますけれども、先ほどの森林環境税、40の政策では平成17年度に導入というような話になっていました。ただ、まだ県民の理解というかそういったことからすれば、もう少し導入については慎重にというか、お願いしたいと思うのですけれども、それについて計画どおりやられるのかどうかという点。
 それともう一点。土木技術振興協会の関係は、副知事は以前理事長でそちらにおられたということなわけです。その際に、退職された2人の職員が早期退職だったために費用が余計かかって260万円が協会の持ち出しだという話があって、県にお願いしたといういきさつもあったようですが、今、副知事になられてこの件についてどういうふうに考えられるかという点ですね。実費弁償方式ということですから、かかった費用はすべて県が持たなければならないということから、理事長時代にお願いしたと思うのですけれども、今、副知事になられてこの件はどうお考えになりますか、お願いします。

〇増田知事 森林環境税の関係はまだ中間報告の段階で、その最終報告の中で一定の方向性が示されるということでございますので、そこで具体的な使途ですとか、それから仕組みといったものを最終報告の内容を見て、そして今度は県の内部でさらに検討していきたい。先般の国の税制改正の様子を見ておりますと、環境税についてはどうも経済界の反対で導入は先延ばしになっているようでございますが、そういった国全体の環境税制の行方などもよく見据えていかなければなりませんので、いずれにしても県民の皆さん方がこうした受益と負担についてどう御理解されるのかということが大事でございますから、今月行いますアンケートなどもよく結果を分析した上で判断をしていきたいと思っております。

〇竹内副知事 実費弁償方式のお尋ねでございました。2人を、私、土木技術振興協会に勤務しておったころに退職してもらったということなんですが、実費弁済方式とは言いながら、県でその実費で弁済する状況にはいろいろな状況があると考えておりまして、特にここの土木技術振興協会における人員の場合には、最終的には駐車場勤務をやったのですが、その前には普通の土木技術振興協会の一般業務もやっていた時期がありまして、これは土木技術振興協会で退職した人間が、ここの事例の場合は一義的に駐車場を廃止したことによって、それだけの理由で退職をしていただいたというふうにはなかなか理解しにくいという点もありまして、これは土木技術振興協会という団体の都合による退職という状況も中にあるということでございまして、早期退職ですからいわゆる勧奨の割り増し分については、本来、土木技術振興協会の職員に退職していただく事情のある土木技術振興協会で持ってもらおうではないかという考え方で、こういう結果になったものと承知しております。こういう事態はそれぞれケース・バイ・ケースであり得るのではないかと考えております。(「理事長時代に県にお願いしたわけでしょう、そのことについて」と呼ぶ)それはお願いしたんですが……(「立場が変われば変わるということですか」)いえいえ、そうじゃないです。そのときに県と話し合ってそういう説明を受けております。それで、向こうの立場として一応了承したという形になっております。

〇川村農夫委員長 次に、小原宣良委員。
   〔小原宣良委員質問者席に着く〕(拍手)

〇小原宣良委員 社会民主党の小原宣良でございます。
 初めに、財政問題についてお伺いをいたします。
 平成15年度一般会計歳入決算を見ますと、地方交付税が対前年度比でマイナス約223億円、県債は総額約1、657億円で対前年度比約70億円の増となっております。うち臨時財政対策債が約521億円です。この臨時財政対策債は、通常収支の地方財源不足対策として交付税特別会計が借り入れをいたしまして、交付税総額に加算してきたものを平成15年度からこの借入金を廃止し、そのかわりに臨時財政対策債の増発で補てんしたものであります。これは後年度に100%が基準財政需要額に算入されるので、地方に新たな負担は生じないと説明されてきたものです。しかし、地方交付税は基準財政収入額と基準財政需要額の差し引きで交付されるため、基準財政収入額の上昇や基準財政需要額算定上の各費目の増減によっては、地方交付税は変動します。そのため、本来、地方交付税で交付されるべき額がそのまま保証されるかどうかは甚だ疑問のあるところです。
 そこで、お伺いいたします。これまでも県債発行に当たっては、後年度に国が基準財政需要額算入をもって負担を保証するとしてきたものが多くあったと思われますが、これらがしっかりと返済額に対応する額として交付がなされているものか、毎年度で確認ができているものかお伺いいたします。
 国においては、この赤字地方債である臨時財政対策債発行を平成16年度以降においても3年間程度延長するとしているようでありますが、この臨時財政対策債の活用に対してどのような見解をお持ちか伺います。
 なお、平成15年度における県内市町村の臨時財政対策債の発行状況についてもお知らせをいただきたいと思います。

〇時澤総務部長 まず、公債費に係る基準財政需要額の算入状況でございます。
 県債発行に当たりまして、国が後年度基準財政需要額に算入すると約束しておりますもののうち、方式が二つございまして公債費方式と事業費補正方式というのがございます。この二つの方式で申し上げますと、平成16年度の交付税ベースで確認をしておりますが、まず公債費方式で、本県試算額約473億円に対しまして、交付税算入額462億円となっております。また、事業費補正におきましては、本県試算額約324億円に対しまして、約312億円が算入されておりまして、おおむねルールどおりに算入されているのではないかと考えております。このような算入額の確認は毎年度きちんと行っているところでございます。
 それから、臨時財政対策債に関しましてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、臨時財政対策債は、交付税の代替措置として、とりあえず地方債を発行しておいてほしいと、そしてその後、後年度基準財政需要額で100%算入するということで、実質的に地方の負担増はないとされているものでございますが、しかしながら、あくまで地方債は地方債でありますので、それが例えばプライマリーバランスの均衡上マイナスに作用するということもありますので、やはり県債残高の増加と将来の公債費の増嵩につながるということは事実でありますので、できるだけ臨時財政対策債の発行を抑制していく必要がある、このように考えております。
 そのためには、やはり今の交付税制度をどう考えていくのかということもございます。交付税をかなりむだ遣いがされているからといっていろんな議論がありますが、やはりその交付税というのがどういう形できちんと措置され、どういう位置づけにあるのか、こういうことをきちんと議論をして、国、地方を通じての歳出の合理化ということもやらなければなりませんけれども、そういったことを国と地方が納得したような形でやっていく制度が必要ではないかと考えておりますし、さらに、交付税法におきましては財源不足が大幅に続く場合には、地方行財政制度の改正か交付税率の変更ということがうたわれておりますので、基本的なことを考えていった場合に交付税率の法定率の再セットによります中長期的な地方財源の安定化といったことも考えていく必要があるのではないかと考えております。

〇山口地域振興部長 臨時財政対策債の市町村の発行状況についてでございます。
 15年度における発行状況は、58市町村すべてで発行しておりまして、発行額は358億1、700万円となっております。

〇小原宣良委員 ただいまの点についてはわかりました。いずれ先ほどの知事の答弁にもございましたけれども、これから地方団体と国との関係で地方交付税のありようというのが大きな問題になるということでありますから、あわせて、しっかりと確認をしておるということでございますけれども、この交付税は透明性、そしてまた、わかりやすさという点で求められている課題でもあると思いますので、ぜひしっかりとこれは対応をいただきたいと思います。
 次に、消防防災・救急体制の充実方策についてお伺いをいたします。
 まずもって、新潟県中越地震によって被災された皆様に、改めてお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を願うものでございます。県からも物的、人的支援が素早く行われ、現在も継続されておりますことに敬意を表します。この際、県を初め、県内市町村の支援状況についてお知らせをいただきたいと思います。
 さて、現在、消防防災・救急救命業務は、市町村消防の原則にのっとって運営されておりまして、今後においても市町村消防の原則を基本的に維持していくべきものと考えます。同時に、新潟県中越地震に見られるように、大規模で専門性、公益性を有する消防業務については、市町村消防を補完するため、国や都道府県の役割分担の明確化や充実が必要となっております。国の消防審議会は、平成14年12月に国・地方の適切な役割分担による消防防災・救急体制の充実方策に関する答申を行いました。これを受けて平成15年度において所要の整備に着手されたと伺っておりますが、どのような整備内容となっているのか。本県の整備状況とあわせてお伺いをいたします。
 また、救急救命士の処置範囲の拡大についてでありますが、これは医師の具体的な指示なしでの除細動――電気ショックですね――それと医師の具体的指示のもとでの気管内挿管等、いわゆるメディカルコントロール体制の構築でありまして、現在これらの体制整備が求められているところです。救急救命士の病院研修は、就業前研修は1人当たり160時間、再教育として2年間で128時間の病院実習が義務づけられておりまして、これら実習の受け入れ体制整備も重要な課題であります。
 県においては、市町村消防における救急救命士の数及び研修の実情をどう把握され、研修支援に当たっているのかお伺いいたします。

〇時澤総務部長 まず、新潟県中越地震への支援状況でございます。
 大規模災害時の北海道・東北8道県相互応援に関する協定によりまして、避難所の管理運営に従事するため、職員を9日間、26名派遣しております。また、食料支援としまして、4日間でおにぎり2万個を輸送しております。また、新潟県、国からの要請がございましたので、健康相談、心のケアを行うために保健師7人を派遣しました。また、医療救援活動で医師1名、看護師2名によります医療救護チーム・心のケア活動チームを28日間、122名を派遣しておりますほか、土木関係の技術職員を63名派遣し、さらに簡易トイレ1、000個を輸送ということでございます。そのほか、自主的な支援も行っておりまして、情報収集のため、新潟県災害対策本部に20日間、12人の職員を派遣しましたほか、給水支援としまして、給水車5台、支援要員12人、そして食料支援としまして、リンゴ、牛乳、クロワッサン、ミネラルウオーター、そういったものを輸送しております。また、各市町村を窓口として住民の方から提供いただいたものもございますので、こちらの方も輸送しております。市町村におきましても同様の対応をしておりまして、例えば、下水管渠の応急目視調査、建物の危険判定・家屋調査、避難所の支援要員として、29の市町村から156人の職員を派遣しております。また、22の市町村で、毛布、ストーブ、組み立てトイレ、食料、飲料水、そういったものの物資支援を行ったところでございます。

〇竹内副知事 平成14年12月の消防審議会の答申の主なものでございますが、市町村消防の体制強化として、市町村消防における自主性の強化、地域における消防・防災体制の充実、高度救急救命体制の充実などが挙げられておりまして、また、市町村消防を補完する消防防災体制等の整備・拡充策として、大規模・特殊災害に対する緊急対応体制の拡充、専門性・広域性を有する業務に関する国、都道府県の役割強化などが示されております。
 この答申を受けまして、国では、消防組織法及び消防法のほか関係政省令の改正を行ったところでございまして、消防組織法の改正では、これまで消防庁長官が定める要綱で運用されておりました、都道府県や市町村の消防職員によって構成される緊急消防援助隊が法律上の位置づけとなっております。それから、従来、市町村の業務であったヘリコプターによる消火・救急救助業務につきましても都道府県の業務の一つとして法律上位置づけられております。これによりまして平成16年2月に総務大臣が緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等に係る基本的計画を策定いたしまして、この計画に基づいて、平成16年4月に消防庁長官が部隊登録を行っております。本県におきましても、緊急消防援助隊として、消火部隊、救助部隊、救急部隊、航空部隊など31隊が登録されまして、法律施行前の部隊の20隊に対して11隊が増加するなど、規模を拡大したことによって本県における援助体制も強化されております。
 この政省令の改正関係では、除細動や気管挿管など救急救命士の処置範囲の拡大が図られましたことから、本県におきましても、これらに的確に対応するため、消防機関、医療機関などと連携いたしましてメディカルコントロール体制の確立に努めているところでございます。
 救急救命士についてでございますが、ことしの4月1日現在における本県の救急救命士数は、13消防本部で205名おりまして、前年より24名増加しております。
 救急救命士の研修につきましては、国家資格を取得した後、就業前研修――先ほどお話ございました160時間の研修――につきましては、各病院の協力によりまして全消防本部で必要とされる時間を実施いたしております。それから、就業後に行う2年間で128時間やる研修ですけれども、これは13消防本部中、1消防本部が病院側の業務の都合によりまして必要とされる時間数が実施されておりませんが、残りの12の消防本部では、必要とされる時間を規定どおり実施いたしております。このほか、気管挿管など救急救命士の処置範囲の拡大が制度的に進められておりまして、現在、県の消防学校におきまして気管挿管教育――62時間――が行われておりまして、今後、病院での実習――大体30症例やることになっておりますが――が行われる予定になっております。
 救急業務のレベル向上を図るため、県におきましては、平成14年12月に医療機関、消防機関、県の関係部局で構成する岩手県救急業務高度化推進協議会を設立いたしまして、救急救命士の業務範囲の拡大への対応などメディカルコントロール体制の構築に努めております。また、県内11地域におきまして地域メディカルコントロール協議会が設立されておりまして、救急救命士に対する指示体制や救急隊員に対する指導・助言、それから救急活動の事後検証等について検証プログラムの作成や研修病院の選定などの調整が行われておりまして、県といたしましても委員としてこれに参画いたしまして、指導・助言などを行っております。
 今後とも、消防機関、医療機関など関係機関と連携いたしまして、救急現場や搬送途上における傷病者の救命効果の向上を図るため、救急業務の高度化を積極的に推進していくことといたしております。

〇小原宣良委員 次に、農山漁村関連施策についてお伺いいたします。
 平成14年度までとされておりました国の農山漁村地域活性化事業のうち、ふるさと農道緊急整備事業は、事業期間を平成19年度まで延長した上で、平成15年度の地方単独事業費を1、570億円程度として引き続き実施するとしてきました。県として、この事業にどう取り組まれてきたのかお伺いいたします。

〇竹内副知事 ふるさと農道緊急整備事業は、農業・農村の振興と定住環境の改善を目指して農道網の整備を図るものでございまして、本県では、過疎地域などを中心に、平成5年度の事業創設以降、県営事業として92地区に着手いたしまして、平成14年度までに68地区、総延長144キロの整備が完了いたしております。この結果、例えば安代町の下兄川地区では、農地と集落間を結びますとともに、学校、病院などの基幹的公共施設とのアクセス強化を図る路線としても機能しておりまして、農村の活性化に貢献してまいりました。また、西和賀地区の沢内村新町蘭東地区におきましては、和賀川の左右岸を結ぶ道路として、17年度の完成を目指して、現在、整備中でございます。
 制度延長がなされた平成15年度以降は、平成14年度までに採択した継続24地区の早期完了を目指して取り組んでおりまして、平成16年度までに8地区が完了する予定となっております。今後とも、コスト縮減や部分供用開始などをにらんだ事業管理を行うことによりまして、効率的、効果的な整備に努めまして、制度終期であります平成19年度までの全地区完了に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

〇小原宣良委員 次に、緑の雇用担い手育成対策でありますが、これは、森林を支える山村地域において、その基幹的産業である林業、木材産業が担い手不足などから活力を失いつつあること、また、このままでは、森林の有する多面的機能の維持・向上や地球温暖化防止対策にも大きな影響を及ぼすことが懸念されることから、国においては、平成13年度から始めた緊急雇用対策により参入した新たな森林作業従事者等を定着させるため、実地研修等を実施するとしてきたものであります。一方、増田知事は、緑の雇用推進県連合共同政策提言により、国に緑の雇用担い手育成事業の拡充を求めてきました。
 そこでお伺いいたしますが、県が行ってきた緊急雇用対策と、これと連動して行われている岩手県森林組合連合会等が国の資金を受けて実施してきた緑の雇用担い手育成対策の事業実績をお知らせ願います。また、先ほど述べました共同政策提言はどのように生かされてきたのか知事にお伺いいたします。

〇増田知事 共同政策提言の関係について私の方から申し上げたいと思いますが、今、委員からお話ございました緑の雇用推進県連合は、昨年の5月、本県や和歌山県など森林の資源を多く有しております8県で結成されたものでございまして、森林の持っております公益的な機能に着目して、森林の環境整備対策を講ずることを目的としてさまざま国に対して提言をしてきたわけでございます。その中で、林業への就業を希望する者を地域に定着させていくことが大変重要でありますので、森林施業についての高度な技術研修の実施や雇用の場の確保に重きを置きまして、森林従事者の技術向上を支援する緑の雇用担い手育成対策事業の制度化を強く働きかけてまいりました。そのほか、地球温暖化防止環境林整備事業の創設ですとか、Iターンのための住宅の設置、中山間地域の定住条件の整備など総合的な対策の実現を国に提言したんですが、この中で、今申し上げました緑の雇用担い手育成対策事業につきましては、平成15年までは補正予算で暫定的に繰り越して運用するという不安定な制度として実施されてきたんですが、我々の提言を重く受けとめていただいたと我々は理解しておりますけれども、16年度から制度としてきちっとできて予算措置された、それから、農林水産業への新規就業希望者を支援するための地方財政措置もこのことによって拡充されましたので、こうした提言を受けた結果、緑の雇用の実現に向けて一歩進んだものと認識しているところでございます。

〇竹内副知事 緊急雇用対策と緑の雇用担い手育成対策事業の実績でございますが、平成15年度におきましては、緊急地域雇用創出特別基金事業で、林業関係で雇用した新規就労者は211名ございます。緑の雇用担い手育成対策事業につきましては、緊急地域雇用創出特別基金事業で雇用した人たちをメーンといたしまして、60人が緑の雇用担い手育成対策事業の緑の研修生として15事業体に所属しながら延べ220日間の研修に参加いたしております。ことしの5月に調査したところによりますと、15年度の研修生は、この60人中53人が本格雇用までつながったことを確認していたしております。平成16年度も、同様に緊急地域雇用創出特別基金事業の雇用を経た74人が緑の研修生として15事業体に所属しながら集合研修、OJT研修などを受講しております。このように、緑の雇用事業は、地域における雇用の創出、森林整備の担い手育成に一定の効果を上げつつあると考えてございます。

〇小原宣良委員 次に、農業協同組合の合併問題についてお伺いいたします。
 農協の合併は、昭和36年に農協合併助成法が施行されて以来、本格的に進んでまいりました。平成5年に全国に約3、000あった農協は、平成15年には約1、000となったようであります。これは、合併によって経営効率化を図るとともに、健全性に迫られた、こういう背景があったものと思います。また最近では、来年4月に迫ったペイオフの全面解禁への対応として農協の健全経営が求められていることも合併促進の大きな要因となっているものと思います。
 さて、本県においても、健全経営を目指すための農協合併が重要な課題となっております。こうした中にあって、和賀中央農協と北上市農協との合併がタイムスケジュールに乗って進められているやさき、ことしになってから和賀中央農協が11億円を超える不良債権を抱えていることが明らかとなりました。ことし行われた県の常例検査によるものでありますが、なぜ昨年の検査においてこの事態を把握できなかったのか伺います。もし合併後にこうした事態が判明したならば、北上市農協を含め大変な事態に陥ったと思われますが、どうでしょうか。もちろん、この問題解決の第一義的責任は農協系統が負うべきであります。しかし、本県産業の基幹をなす農業振興にかかわる問題だけに、県の指導監督の責任は重大であると考えますが、この事態を知事はどう受けとめているでしょうか。
 さらに申し上げれば、県は、農業団体にとどまらず、農業者に対しても責任ある立場にあります。今後、和賀中央農協事件――あえて事件と申し上げますが――にどう対応されるお考えか知事にお伺いいたします。

〇増田知事 まず、和賀中央農協関係の、昨年、県で行いました検査でございますけれども、この農協検査は、組合経営の健全性を確保するため、業務運営の適法性などに重点を置いて実施してきております。前回、実施した検査において――前回というのは平成15年1月から2月にかけて行った検査でございますが――農協法や検査マニュアルに基づき、所定の検査を行ったところでございます。これでは今回の事件はわからなかったんですが、今回、ことしの6月から7月に県が行った検査でさまざまなものを指摘したわけですけれども、そこで指摘したような不適切な融資の大半――今から検証してみますと7割ほどですが――は前回検査の対象期間後に融資されているということがございまして、前回の検査では上がってまいりませんでした。それから、15年1月、2月に行ったときに検査の対象になっていた一部融資についてもその時点では債務返済の延滞がございませんで、融資担保などについても形式上は所定の要件を満たしていたといったことがございました。したがって、昨年1月、2月に実施いたしました前回の検査で和賀中央農協の今回の事件を指摘することは困難であったと考えております。
 しかし、現実にことしの検査で不適切な融資がさまざま発覚したということがございますので、これは、今回の反省も踏まえなければいけない。今回の反省というのは、県外融資については事業実態の把握や融資担保の慎重な検証がやはり必要だということがわかりましたので、今回の反省も踏まえて、検査方法などの一層の改善を加えて、そして今後、より厳格な検査の実施に努めていきたい、今、このように考えております。
 それから、県の指導監督の責任ですけれども、今回の事態は、まず、農協経営に携わっている者が、法令等の遵守や内部管理体制を確立する義務を適切に果たさなかったことに根本的な原因があると考えております。和賀中央農協に対しては、内部監査の実施や法令等遵守体制の早急な確立を前回の検査でも指摘しております。そういったものが不十分でございましたので我々の方で指摘しておりましたが、そうした指摘にもかかわらず、その後、措置が十分に行われず今回の事態が発生したということで、まことに遺憾なことであると思っております。
 県では、今後このような事態が再発しないように、ことし9月に県内のすべての総合農協に対して早急に法令等遵守体制の確立等について指導したところでございますし、今後とも、常例検査などのあらゆる機会をとらえて、透明性の高い農協経営が確立されるよう指導監督に万全を期していきたいと思います。
 和賀中央農協の今後の対応ですけれども、来年4月のペイオフ全面解禁など農協をめぐる経営環境が非常に厳しいもとで、地域農業振興の中核を担うことができる自立した農協として再構築する必要があると考えております。今、北上市農協との間で鋭意協議が進められているわけですけれども、その上での合併の実現によって経営基盤の強化を図ることが重要でございますので、やはり両農協の組合の話し合いを基本としながら、和賀中央農協に対しては、徹底した自助努力、それから農協系統組織の最大限の支援が今回の問題には不可欠だと考えております。
 今、地元北上市とも連携を図りながら、引き続き県の組織を挙げた和賀中央農協に対しての濃密な指導を行っていますし、合併協議会等における指導・助言なども行っております。きょうもまた合併協議会が地元で開かれているとお聞きしております。内容はまだ把握してございませんが、そうしたところでの指導・助言を通じて農協系統組織の主体的な取り組みを促進するとともに、合併後の農協の経営改善のためには地域農業の振興に向けた取り組みを積極的に支援していかなければならないと思いますので、そうした現実の地域農業の振興に向けた取り組みについて県として最大限の支援をするということでございます。
 この合併協議会は、御承知のとおり地方振興局長がオブザーバーで参加しておりますので、きょうの話し合いの状況については地方振興局長からよく聞いて、今後、北上市農協との合併が早期に円滑に実現されるように努力していきたいと考えております。

〇小原宣良委員 御説明ありましたように、来年4月からペイオフ解禁ということです。これは8%達成という部分が条件にもなっておりますけれども、いずれにしても来年の9月1日が合併期限という形での確認があるいはなされるかもしれませんけれども、両農協といいましょうか、農家がしっかりと自立できる体制をぜひとってほしいと思います。
 要望で終わります。

〇川村農夫委員長 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕(拍手)

〇小野寺好委員 公明党の小野寺好であります。
 最初に、県財政について伺います。
 将来にわたって良好な行政サービスを提供していくには財政が健全でなければなりませんが、普通会計の県債の推移を見ますと、15年度は前年同様公債費を200億円ほど上回る借金体質そのもので、県債残高は1兆4、297億円に膨れ上がってしまいました。この中には交付税措置などがある優良起債もあるといいますが、財調や返済基金はさほどの額でもありませんので、非常に心配であります。借り入れが返済額以上になってしまうような傾向がなぜ改まらないのでしょうか。国の経済対策に呼応してきたとか、地方交付税が減額されたからだなどという安易な、人のせいにする答弁でなく、責任感に立った御答弁をお聞きしたいと思います。
 また、昨年の決算特別委員会でも行政のスリム化を図るべき旨指摘いたしましたが、どのように改善されましたかお伺いいたします。

〇時澤総務部長 まず、県債発行についてでございます。
 県債発行額が公債費を上回って推移している要因でございますが、主に、平成13年度までは、各年度に講じられました経済対策等によりまして多額の建設地方債を発行してきたことによるものでございます。一方、平成14年度以降は、公共事業費の縮減に取り組んだことから建設地方債発行額は公債費を下回る水準となっておりますが、地方交付税の振りかえとして発行されます臨時財政対策債が大幅に増加したことによりまして県債発行額がトータルとしまして公債費を上回っているものでございます。この県債発行額と公債費とのギャップは年々縮小してきているところでありますが、今後とも、持続可能な行財政構造への転換を目指しまして、行財政構造改革プログラムに基づき、投資的経費の規模の適正化によります県債発行額の抑制を図ることといたしております。16年度当初予算におきましては、現在、建設地方債発行額は前年度決算額より20.7%の減としているところでございます。
 次に、行政のスリム化でございます。
 平成15年度当初におきましては、新たに発生した業務への対応としまして、まず、岩手・青森県境産業廃棄物不法投棄への対応あるいは技能五輪開催準備への対応、また、食の安全・安心業務を消費者視点から集中して推進するため、食の安全安心推進監、また、行政を経営品質的な側面から見直すため行政経営推進監を設置したことによります新たな増がございます。一方、事務事業の見直しにつきましては、地方振興局の出納事務を見直しまして、出納監を廃止しました。また、単独の出先機関でありました農村整備事務所を地方振興局に編入いたしまして振興局農政部農村整備室を設置したほか、自治研修所を廃止し、人事課に統合しております。これらの結果、増減差し引きによりまして、平成15年度当初15人の職員を削減しております。
 一方、平成15年度におきましては、御案内のとおり行財政構造改革プログラムの策定に着手したところでございます。この平成15年度内におきまして、すべての事業につきましていろいろな観点から見直しを行いました。それにあわせて、よりスリムで効率的な組織・職員体制を構築するため、例えば次長あるいは課長補佐を廃止するフラット化や少人数の係制を廃止するグループ制の導入についての検討を行いまして、こうした取り組みによりまして平成16年度当初は106人の職員削減を行ったところでございます。

〇小野寺好委員 次に、県出資等法人について伺います。
 県が出資している法人等のうち、出資割合が50%を超えるものについては、事業運営から職員の不祥事に至るまで県の責任が特に大きいと思われます。このうち財政については、県の財政が逼迫していますので、県が出資している法人等の破綻によって県が共倒れにならないように注意を払わなければなりません。例えば、県が55%の責任を負う県競馬組合は、地方財政に寄与するという目的を外れ、104億円の累積赤字で資金繰りが苦しくなり、年度途中で県に50億円の運転資金の融資を願い出てきております。同様の事態がほかにも出てきては大変でありますが、現在の県から出資法人等への貸し付け、運営費補助等の実態及び累積欠損金の状況を伺います。具体例として、林業公社、肉牛生産公社、住宅供給公社、土地開発公社等の状況はいかがでしょうか。
 また、天下り人事は経営が甘くなる一因にもなると思われますが、最近の状況はいかがでしょうか。6年前の私の一般質問に対して、126法人に県派遣職員148人、県からの役員129人、天下り役人44人との御答弁をお聞きしましたが、現状はいかがでしょうかお尋ねいたします。

〇時澤総務部長 まず、県の財政支援でございます。
 出資割合が50%を超える法人のうち、県の一般会計から15年度に貸し付けを行った法人は6法人、貸付総額59億1、000万円余、補助金の支出を行った法人は14団体、補助金総額は55億4、700万円余でございます。これにはIGRいわて銀河鉄道の事業用資産の取得に係る補助も含まれておりますので、これを除くと21億100万円余となります。このうち累積欠損金を有している法人が4法人ございまして、15年度末現在で総額20億8、200万円余となっております。
 次に、具体的にお尋ねのあった法人の状況でありますが、岩手県林業公社につきましては、貸付金が12億3、300万円余、補助金が3億3、900万円余、累積欠損金はございません。岩手県肉牛生産公社につきましては、貸付金が9億8、100万円余、補助金が1、300万円余、累積欠損金は14億800万円余となっております。岩手県住宅供給公社につきましては、県からの貸付金はなく、補助金が1、100万円余(後刻訂正)のみであります。累積欠損金はございません。岩手県土地開発公社につきましては、貸付金及び補助金とも支出はありませんで、累積欠損金もない状況になっております。
 役員就任等の状況でございます。まず、県職員の県出資法人等における役員の就任状況でありますが、16年6月末現在で48法人、延べ92人となっております。この県出資等法人は、県の施策との一体性あるいは整合性を保ちつつ運営される必要があるということで、県幹部職員が、非常勤の役員としまして、必要と認められる範囲で、本来の職務遂行に支障を来さない限度において就任しているところでございますが、今後、県出資法人等の執行責任を明確化する観点から、県幹部職員が法人等の長を非常勤として務めるのではなく、例えば常勤の役員が在職している法人にありましては当該常勤役員が長を務める、こういったことなど執行責任の明確化を図る観点で見直しを進めていきたいと考えております。
 次に、県退職者の出資法人等における役員の就任状況でございますが、同じく平成16年6月末現在で38法人、延べ75人となっております。
 この県出資法人等におきまして、その役職にふさわしい人材の育成が十分に図られていない等の事情から団体からの推薦要請に基づいて適任者の推薦を行ってきた経緯がございますが、平成16年1月からはこの取り扱いを見直しいたしまして、県に推薦要請があった場合には、原則として当該団体の設置目的でありますとか事業内容を勘案しまして、岩手県退職予定者人材バンク――これは退職予定者のリストみたいなものでありますが――の登録者から情報を提供することとしているものでございます。

〇小野寺好委員 次に、県有林事業特別会計について伺います。
 歳入は一般会計や基金からの繰入金等による収入で、歳出は多額の借入金の償還に苦しみながらも県行造林などを行っているという非常に悲惨な内容であります。資料によりますと、累積している負債は495億円という気の遠くなる金額になっております。県財政自体が苦しくなっている中、これからの歳入見通しはいかがでしょうか。また、返済していけるのか、このようなことを続けていてもいいのかお伺いいたします。

〇竹内副知事 県有林事業は長期間にわたって多額の森林造成資金が必要でありますことから、昭和47年度以降、特別会計事業として農林漁業金融公庫資金を活用してまいりました。
 造成森林が伐期になるまでの施業に必要な経費に充てる借入金の増大に対しまして、近年は、木材価格の低迷などによりまして将来の収支見通しが大変不透明になったことから平成12年度をもって森林の新規造成を中止いたしますとともに、下刈りや枝打ちの作業を減じたり、除伐、間伐の効率化を図るなど森林施業の見直しによる事業費の節減を図りまして借入金の圧縮に努めてきたところでございます。この結果、借入残高は、平成12年度の502億円をピークに、以後減少に転じております。
 この借入金につきましては、長伐期施業に転換することによりまして木材の伐採収入の増大を図るなど、県有林経営の収益性の向上を図りながら計画的に返済に努めてまいる考えでございます。また、長伐期施業による収益が後年度になりますことから、借入金の圧縮や低利の借りかえ資金等によって利息の軽減を図るなど、一般会計からの持ち出しを現在の水準以上にふやさない措置を講じまして、こういった取り組みを通して累積している借入金を確実に解消していきますとともに、造成森林の適正な管理に努めまして、県有林事業特別会計の健全化に最大限の努力を払ってまいる考えでございます。

〇小野寺好委員 次に、IGRいわて銀河鉄道について伺います。
 これは、東北新幹線盛岡以北と引きかえに工藤元知事の時代に経営分離に合意し、収益が上がらないことを覚悟で引き受けたものであります。盛岡以北の利用者に不自由させない約束だったと聞いていますが、在来線盛岡以南の利用者に比べて負担増を強いる結果となり、住民に不満が出ていますが、どのようにお考えでしょうか。
 15年度決算で、通学定期運賃激変緩和措置や経営安定化基金造成にいかほどの成果を上げたか伺います。
 JRのときと比べて営業件数や利用状況はどうでしょうか。通学定期運賃に住民は納得しているか、また、15年度は新駅設計費に対する補助を行ったとしていますが、その内容及び予定どおり17年12月に新駅が供用になるかどうか見通しをお尋ねいたします。

〇山口地域振興部長 IGRいわて銀河鉄道についてのお尋ねでございます。
 最初に、激変緩和措置等の効果についてでございますが、盛岡以北の利用者への約束の趣旨は、地域住民の利便性が損なわれることのないよう、会社の健全な経営と将来にわたる列車運行を確保することによりまして、IGRいわて銀河鉄道の運賃水準は、このためやむを得ずJR運賃より高く設定されたものでございます。基金の活用による激変緩和措置は、会社の経営努力を超える運賃の抑制について、県と沿線市町村とが税負担によりまして補完しているものでございます。地域住民の利便性を保持するための対策でございます。
 通学定期運賃激変緩和措置の成果でございますが、平成15年度の通学定期による輸送人員は延べ246万1、500人余、1日平均で6、725人となっております。これは、経営計画において見込んでいた需要5、994人と比べまして12.2%上回っており、この激変緩和措置の効果であると考えております。
 それから、経営安定化基金造成の成果でございますが、いわて銀河鉄道経営安定化基金は、県と沿線市町村が平成15年度から19年度までの5年間で11億円を造成し、これにより開業後10年間の経営安定化に資するものでありますけれども、平成15年度の積み立てとして、県と市町村で合計2億2、000万円を造成したところでございます。一方、平成15年度には、通学定期運賃の激変緩和の経費として基金を1億1、100万円余取り崩しまして、それを財源としてIGRいわて銀河鉄道株式会社に経営安定化対策費補助金を交付したところでございまして、これによって激変緩和措置がなされたところでございます。
 次に、利用状況でございますが、IGRいわて銀河鉄道の平成15年度の営業係数は104.9となっております。JRが運営していたときと比較してとのお尋ねでございますけれども、現在のいわて銀河鉄道線の区間に限ってのJRの営業係数は公表されておりません。これについての比較は困難でございます。
 1日平均輸送人員については、IGRいわて銀河鉄道の平成15年度の実績は、定期、定期外をあわせて1万3、677人となっております。JRのときと比べまして9.1%の減少となっておりますが、経営計画ではこの減少率を13.6%と見込んだものであり、その減少率と比べると4.5ポイント上回っている状況でございます。
 通学定期運賃の住民への周知でございますが、IGRいわて銀河鉄道の運賃水準の設定に当たっては、本県における第三セクター鉄道の先例であります三陸鉄道の運賃を上限とした上で、会社の経営見通しを考慮して引き下げが図られた経緯がございます。その結果、通学定期運賃については、会社の長期収支が成り立つ上で必要な水準としてJR対比1.99倍と設定されたものでありますが、特に家計に急激な負担増となることから、激変緩和措置として、開業時から平成17年3月まで1.35倍の水準に抑制しているものでございます。さらに再度の激変緩和措置として、来年の4月から2年間、1.65倍の水準に抑制することが県と沿線市町村とで組織しているいわて銀河鉄道利用促進協議会において、再三にわたる協議の上、決定されたところでございます。
 このいわて銀河鉄道利用促進協議会は公開で開催されたほか、激変緩和措置の内容については、IGRいわて銀河鉄道株式会社において、駅張り、車内づり、ホームページ等で利用者への周知に努めているところでございまして、これまでこの内容について若干の問い合わせはあるものの、おおむね御了承いただいたものと考えております。

〇川村農夫委員長 総務部長から、先ほどの答弁の件で発言を求められておりますので、これを許します。

〇時澤総務部長 先ほど出資等法人の関係につきまして、住宅供給公社に対します補助金を私、1、100万円と答弁いたしましたけれども、補助金額100万円でございますので、おわびして訂正させていただきたいと思います。

〇小野寺好委員 最後に、地元経済の活性化に即効的な役割を果たせるのが観光産業であると思います。特に、本県の観光資源や特産品と結びつけたいわて4王国の支援推進事業は、地元の皆さんとの呼吸が合うものと大いに期待しておりましたし、好評であったと聞いております。この事業のこれまでの成果、改善を試みた今後の展望、県の支援方針を伺います。
 また、隣県との北東北国際観光テーマ地区推進協議会は広域観光の推進に大きな役割を果たすものと期待を寄せてまいりましたが、これまでの成果と、国の外国人観光客誘致との連動についてお伺いいたします。

〇竹内副知事 魚彩王国を初めとするいわて4王国は、地域特性を生かした体験型の新しい旅を推進することを目的に、平成7年度から平成9年度にかけてそれぞれの実行委員会が設立されまして、平成9年度から平成14年度までの6年間、県の支援事業になっております新しい旅推進事業によってさまざまな旅行商品を展開いたしまして、観光素材の発掘、広域観光ルートの設定、新たな旅行商品の提案を行ってまいりました。その結果、市町村の枠を超えた王国エリアの地域特性を生かした広域的な観光の推進が図られまして、事業期間中の6年間で、いわて4王国の旅行商品による集客数は6万6、589人となっております。平成15年度につきましても、ゆったり・ぬくもり岩手の旅推進事業の中で引き続きいわて4王国の支援を行ってまいりましたが、この結果、これまで観光資源とされなかった雑穀やもち料理など地域固有の食文化の旅行商品化や炭焼きなど新たな体験素材を地域からの提案により旅行商品化したことによって誘客の増大が図られましたほか、冬期間の観光客誘致を図りまして、観光の通年化に貢献するなどの成果を得ているところでございます。
 今後、これらの事業の成果はゆったり・ぬくもり岩手の旅推進事業に引継ぎ、歴史、文化、農林水産業、温泉、伝統食等岩手らしさを生かしたゆったり・ぬくもりを感じるような旅の提案を図っているところでございまして、いわて4王国のそれぞれの実行委員会の取り組みにつきましても、こうした岩手ならではの旅の商品化に伴う宣伝や受け入れ態勢の整備について支援することといたしております。今後とも、いわて4王国などの広域観光組織と連携いたしまして、観光客の満足度を高めるような観光地づくりや旅行商品化を促進してまいります。
 それから、北東北国際観光テーマ地区推進協議会についてでございますが、岩手、青森、秋田の北東北3県は、国際観光の推進を図るため、平成11年度に北東北国際観光テーマ地区推進協議会を設置いたしまして、外国人観光客に対応できる観光案内所職員の育成等の受け入れ態勢整備事業、外国語パンフレットの作成やホームページの運営、国際観光展への参加、台湾及び韓国の旅行エージェントやマスコミの招聘等の海外宣伝事業、広告宣伝支援等の旅行商品化促進事業の三つの事業を柱に北東北への外国人観光客の誘致に努めてまいりました。こうした取り組みの結果、平成15年の本県の外国人観光客入込数は5万9、374人回で、協議会発足時の平成11年と比較いたしまして約40%の増加を見ております。
 また、外国人観光客誘致策との連動についてでございますが、現在、政府は、外国人旅行者訪日促進戦略の一環といたしましてビジット・ジャパン・キャンペーンを展開しております。北東北国際観光テーマ地区推進協議会は、このキャンペーンと連動いたしまして、ようこそジャパン東北事業として、本県内で、台湾、韓国、中国、香港、アメリカから旅行エージェントやマスコミ関係者等を招聘いたしまして10月28日に国際シンポジウムを実施いたしましたほか、中国広域観光宣伝事業、韓国及び台湾の旅行エージェント・マスコミ招聘事業等の地方連携事業を実施いたしております。今後も、国で実施しております外国人誘致策と連携しながら、海外における岩手、北東北の知名度の向上、外国人観光客の来訪の促進を図っていくことといたしております。

〇川村農夫委員長 先ほど答弁漏れがありましたので、地域振興部長の答弁を求めます。

〇山口地域振興部長 大変申しわけございません。答弁漏れがございました。
 新駅設置についてでございます。
 新駅の設置に係る設計費補助等の内容でございます。IGRいわて銀河鉄道株式会社が事業主体となって取り進めておりますプラットホーム、跨線橋、電力設備、信号通信設備、傾斜路やエレベーターといったバリアフリー設備等の鉄道施設の詳細設計費を対象としまして平成15年度に予算を計上したものでございます。平成15年度には、事業認可に係る国土交通省との事前協議に時間を要したことなどから予算の一部を本年度に繰り越して執行したものでありますけれども、現時点ではこの設計事業が完了しておりまして、滝沢村巣子新駅と盛岡市青山新駅の詳細設計費4、931万円余を対象として、県は、定額の2、562万円余をIGRいわて銀河鉄道株式会社に補助したものでございます。
 新駅開設の見通しでございますけれども、巣子新駅については、駅の着工にも必要な駅周辺整備事業の用地買収に係る補正予算案が滝沢村議会の9月定例会で否決されたところでありまして、滝沢村としては、事業費の削減を図った上で、補正予算案を再度提案する意向であると聞いております。大幅な着工のおくれは、工期の短縮に努めても開業のおくれにつながるおそれがあることから、目標としております平成17年12月の供用は予断を許さない状況となっていると認識しております。
 次に、青山新駅についてでございますが、青山新駅については、詳細設計完了後、IGRいわて銀河鉄道株式会社において工事の発注事務が取り進められ、建設に着手しておりまして、工事通路の設置等から順次着工していく計画となっております。

〇小野寺好委員 せっかく御答弁をいただきましたので、IGRの関係で、特に巣子についてさまざま報道されておりますけれども、県はどの程度関与というか指導的な立場を発揮するのか、この点お聞きして終わりにしたいと思います。

〇山口地域振興部長 現在、滝沢村議会の方で、この間3日に全員協議会をやって説明したようでございますが、詳細についてはまだ不明でございます。今はまだ村議会の方で検討されていると聞いております。

〇小野寺好委員 県は黙って見ている、そういった解釈でしょうか。

〇山口地域振興部長 実は、駅ではなく、その周辺のまちづくり事業というところで周辺の整備の土地が中心なものですから、私らは黙って見ているというか、できるだけ早く解決してほしいと考えているところでございます。

〇川村農夫委員長 次に、阿部富雄委員。
   〔阿部富雄委員質問者席に着く〕(拍手)

〇阿部富雄委員 地方振興局の見直しについてお聞きいたします。
 地方振興局の見直しについては、本年12月中に局再編と広域生活圏の枠組みの設定など基本的方向をまとめるとしています。広域生活圏の新たな設定、それに伴う地方振興局の配置をどのように検討されているのかお聞きします。
 また、現在の地方振興局をどのように評価しているのか、どのような課題があり、どう改善しようとしているのかお聞きします。
 私は、現在の地方振興局は、縦割りの弊害を脱することができず、地域や市町村の振興、発展のための施策や事業実施、調整の余地がなく、設置目的の機能を果たしているとは思えません。局長は、事業の内容を熟知することに限られ、知事の代理あいさつ要員に終始していることに疑問を感じています。地方振興局に本庁の権限を委譲すれば問題が解決するということではなく、今のままでの地方振興局への権限委譲は、地方振興局を第二県庁に置きかえるにすぎません。地方振興局の見直しは、県と市町村のあるべき姿から行われるべきであり、できる限り住民に身近な事務は市町村に、県は、広域的に取り組むべき施策や地域間の調整、法手続などに特化する決意のもとに進めるべきです。そのため、県行政の縦割りをできる限り排すること、地方振興局に財政権限を大幅に与え、地域振興施策や緊急施策などに柔軟に対応できるようにすべきであります。そして、県の権限、財政、人材をできる限り市町村に移譲、派遣、出向させることとし、その数値目標を定め、実効性を確保すべきですが、どのように考えるのかお聞きします。

〇増田知事 今、広域生活圏と地方振興局の配置、機能の考え方についていろいろ御意見がございました。私も、今、委員がお話しになったように、これから生活圏、特に地方振興局のあり方として、その方向で整備していかなければいけないのではないかと思っております。
 まず、広域圏の方から申し上げますと、現在の広域圏は御案内のとおり昭和44年に設定されていますけれども、その後、生活の広域化が非常に進んできておりますし、随分状況が変わってきております。ITなどの技術の進歩といったこともございます。それから、地方分権や市町村合併の進展もこの間ございましたし、一方で、人口減少とその偏在も大きな課題になっております。したがいまして、今後、将来に向けて安定して持続可能な地域社会を形成・維持していくために、県としてどのような規模で行政を展開すべきか、そして、その最もふさわしい形はどうあるべきか、こういう考え方で、今、中で検討しております。まだ検討途上でございますけれども、今年度中に考えをまとめて、新年度には新しい広域圏の案を公表して、今度は県民の皆様方から御意見をいただく、そちらの手続に入っていきたいと考えております。
 地方振興局の配置については、これはまず広域圏の検討が先だということで、それを終えた上でどのような配置がふさわしいのかあわせて考えていきたいということで、この点についてはもう少し手前の段階でございます。
 ただ、地方振興局については、これまでの地方振興局のあり方の評価を行っておりまして、これは昭和61年にスタートして、その後さまざまな出先機関を統合して機能強化に努めてきたんですが、地域のことはできるだけ地域で完結できるようにという考え方のもとに、地域活性化事業調整費や市町村総合補助金を充実するなどして地方振興局に力を与えて市町村の補完・支援に努めてきた、こういうことでございます。
 それから、中の組織もフラット化してできるだけスピーディーに事務処理が効率的に行われるようにしたわけでございますが、局長が地方振興局の中で強いリーダーシップを発揮して、縦割りの弊害を排除して施策を推進できるようにさまざまないわゆる道具を局長に持ってもらって体制づくりに努めてきたところであって、今、委員の方から、まだ縦割りにとらわれ、十分にその機能が出ていないというお話もございましたけれども、これからのあり方として、そういったことが行われないように、局長のもとで効果をより発揮できる体制にしていく必要があると考えております。
 その地方振興局の再編ですけれども、この再編を進めるに当たっては、いわゆる地方自治の原則の中の近接性・補完性の原理を基本に据えて、今、地方振興局が担っています行政サービスの総合センターとしての機能、それは地方振興局ですからあくまでも県の機能としてとらえているわけですけれども、それをより市町村に担っていただく方向で市町村に移していきたい。地方振興局は、市町村を超えた、より広域的な地域振興施策の戦略拠点としての機能を発揮できるような、そういう方向で取りまとめていきたいと考えております。ですから、当然、地方振興局のあり方、そして再編を考えていく上では、まず、国や県、市町村の役割分担やその望ましいあり方について十分な議論を将来をしっかり見据えながら行うことが大事でありますので、その議論をこれからしっかり行って、その上でさらに、今度は県の中で本庁と地方振興局のあり方を十分に検討していきたい。いずれにしても、地方振興局というのは地域に非常に近いわけでありますので、今、委員からもお話がありましたが、本庁の権限や人員、それから予算は大幅に地方振興局の方に移して、名実ともに地域経営の戦略拠点としての機能が十二分に発揮されるようにしていきたい、こういう考え方でおります。
 中で今、作業をやっておりますけれども、地方振興局を確立していく上でも、やはり市町村への権限移譲はそれの前段として行っていく必要がありますので、やはり市町村の方に対しての権限、人材、それから予算を一括して移譲する取り組み、今、一部、専門的な知識や技術を有する職員などについて人材を移したりもしていますけれども、そちらについてもあわせてしっかりと行って、そして、その分については市町村の規模などに応じた具体的な目標を定めて着実に進めていきたいと考えております。

〇阿部富雄委員 次に、東北各県との連携についてお伺いいたします。
 東北各県との連携について、中村知事は、北海道・東北の8道県が連携し高速交通網の整備など、東京から東北を経て北海道に至る第二国土軸形成を推進してきました。工藤知事は、東北7県の産学官が一致協力して、学術、技術、情報の集積と機能を高め、東北を独創的な研究開発の国際拠点として整備する東北インテリジェント・コスモス構想を推進してきました。2人の知事は、東北は一体という信念を貫き、本県の地域特性を的確に把握し、時代の潮流を適切にとらえ、最先端地域戦略を追求してきました。こうした連携は普遍のものと思います。増田知事は北東北3県の魅力を高める、それが宮城県や東北全体との連携を強めることにつながるとの持論を説いています。歴代の知事が築き上げてきた東北各県との連携を大きく後退させているように思えてなりません。歴代知事が進めてきた東北各県との連携をどのように評価しているのでしょうか、知事の所感をお聞きします。
 グローバル化が叫ばれ、国内外との交流拠点の形成が求められている中で、空港、港湾などの広域連携課題は、北東北3県の連携だけでは対応できない状況にあると思います。こうした連携にはどう対応されていくのかお聞きします。
 道州制を先取りしてきた増田知事は、必然性を見失い北東北3県の連携に特化してしまうように思えてなりません。知事の進める北東北3県の連携の魅力を高めた後の、宮城県や東北全体との連携について、いつの時点で日程にのせることができるのでしょうか。具体的に構想を持ち合わせているのであれば、そのプロセスを示していただきたいと思います。
 知事が進めてきたこれまでの北東北3県連携の評価はどう行われ、それが県民にどのように有益な形であらわれているのかお聞きします。
 また、北東北3県のグランドデザインを平成17年度の知事サミットを目途に最終報告を取りまとめるとしていますが、グランドデザインは県民にどのような利益をもたらすのか、具体的に示していただきたいと思います。

〇増田知事 まず、歴代の知事、特に中村知事、それから工藤知事のときに東北全体の連携を進めるということで、さまざまな取り組みを先輩の皆さん方が行ってまいりました。中村知事のときに、調べますと、北海道東北知事会自体がまだないときに、中村知事時代にこういったものがつくられて、そして東北インテリジェント・コスモス構想を策定するためのさまざまな準備をそこの場でされた。
 それから、工藤知事になりまして、そうした東北インテリジェント・コスモス構想、さらには、ほくとう日本のほくとう銀河プランといったものがつくられているということで、具体的にそうしたものにして新国土軸としてほくとう国土軸、それから日本海側の方は日本海国土軸ですが、そうしたものが位置づけられるということで、恐らくこの時代は高速交通体系をまずその中で基幹的な部分に整備をしていくことが広い東北、さらには北海道も含めてそれぞれの地域を、連携を深めるやはり一番大事な骨格であろうということで、そうしたこともあわせて行いながら、東北各県の連携、協調がより一層緊密になるように、それぞれ御尽力をしてこられたものと思っておりまして、そうしたお二方の知事の御努力の上でこうした東北地域というものを、現実に、より緊密な連携ができ上がったものと高く評価をしているところでございます。
 空港と、それから港湾などの広域連携課題は、これは北東北3県という枠組みだけでは難しいわけでございまして、東北全体の中で全体を視野に入れて、特にこれから社会資本、空港、港湾のみならず大きな社会資本の整備の方向性を出していく必要があるだろうと私も思います。かなりの部分はもう既に先輩方の御努力ででき上がってきているものもございますが、まだまだ残されているものも多くございますので、そうしたものについては特に東北全体を視野に入れた整備の必要があるだろうということで、これは東北地方整備局、昔の東北地方建設局、それから東北運輸局などでございますが、その機能をあわせた東北地方整備局などに大分働きかけをいたしまして、国土交通大臣が仙台に来て東北の知事が全部集まって、現在のそうした社会資本の状況、それから10年後にはこれをどのようにしていくかということを、会議を持ちまして、そこでみんな一堂に会して協議をするような場も、国土交通省になりましてから2度ほど設けたことがございます。かなり私もそういった社会資本整備について、東北全体の将来の姿というものをつくる必要があるだろうということを局長の方に申し上げました。そうした場を設けてお互いの意識を共有化する努力もしたこともございます。
 そうしたことで、東北地方整備局、それから運輸局でも東北全体を視野に入れた取り組みということに、より力を入れるということを話しておりますので、この今、委員がお話しございました空港とか港湾などについては今後も東北全体の中でこの整備をとらえていく必要があるだろうと考えております。
 それから、北東北3県連携の後で東北全体の連携にいつの時点で移っていくのかということですが、まず東北全体の連携は常にどの時代においてもやはり必要なことでありまして、東北全体を一つの大きなブロックとしてそこの力を強めていくということは、今までもずっとやってきたことでありますし、これからも必ずやっていかなければならない。そういう大きな土俵でとらえていかなければならないと思います。その中で、総論はそういうことでみんな思っていることだろうと思うのですが、具体的に東北全体で共同の事業、県同士の県境を越えた事業ということになかなか結びついていないのもやはり一方で現実の事実でございます。
 県同士の具体的な連携の事業というのはできるだけ多く形として見せていくことが必要だろうということで、北東北でのさまざまな連携事業を進めてまいりましたけれども、そうした具体的な連携事業については、環境や観光や、それから今は税ですね――産廃税とか――それから資金調達、北東北3県の共同債の発行といったようなことで、これも今後資金調達などもそれぞれの県の格付等も含めると非常に重要なことだと思うのですが、どうも発行コストの関係でいうとロットの問題が出てまいりますが、できるだけ大きくした方がいいということでさまざまな取り組みを、項目としては100項目以上やってきましたので、それぞれの事業については着実に効果があり、県民に対してもその効果は還元されていると思っています。そうしたことを実施してきたことが、宮城県の方でも大分評価をしていただきまして、産業廃棄物税条例には宮城県の方も後で参画をして、来年の1月からは共同条例になるといったようなこともございますので、これからそうした東北全体で取り組む課題についてもよく中で相談をして、具体的にみんなで取り組んでいきたい。
 ちょうどことしの3月に仙台市で、これも新潟県も含めてでございますが、東北7県の知事とそれから仙台市長、全員出席して、これから、同じ東北でも中国の東北地方とが経済協力や、あるいは競争というのが大変大事になるので、向こうの3省の省長初め、主要な市長などが来て経済の関係の会議を開きましたけれども、やはりあの地域の力に打ち勝っていくためには東北全体で当たっていく必要がありますので、そういった場も通じて、我々の方でも協力の意識が大分醸成をされてきまして、そういったことを確実に行っておりますと、東北全体でやはりより連携を深めて具体の事業をこれこれやっていこうということにつながってくると思いますので、これからも県境を越えた連携事業の具体例をさまざま出していけば、東北全体としてより具体的に行動することも目に見えて、具体的な日程も我々自身として持つことにつながっていくのではないかと思っております。
 今、北東北の3県のグランドデザインづくり、これは来年の秋までにまとめるつもりでございますが、これはその中でやはり東北全体の中では北東北3県のそれぞれの役割分担というのをもう一度見直すことがその3県の中でも大事だろうし、それから最小の経費で最大の効果を上げると、そしてフルセット主義を見直すといったようなことによって、より地域の競争力も増すと思いますし、そんなこともございまして、今3県のグランデデザインづくりというのをやっておりますけれども、これはこれで意味のあることであると思いますが、東北全体としてのやはり連携というものに皆我々が、知事同士が目を向けて、そして具体的に取り組むようにこれからもなお努力をしていきたいと考えております。

〇阿部富雄委員 次に、仙台空港、仙台港活用での連携についてお伺いいたします。
 仙台空港は5路線の国際旅客定期便が就航、3、000メートル滑走路の完成により、ソウルへの国際貨物定期便が就航しています。また、仙台塩釜港・仙台港区は東北唯一の特定重要港湾として国際海上コンテナターミナルの整備拡充が進められており、国内と海外との結節点になっています。仙台空港の県外利用者は6割、そのほとんどが東北各県の利用者であり、岩手県の利用者は14.3%となっています。また、東北の輸出入貨物の7割は東京、横浜港経由に依存しており、中国との関係を深める上で、東北の港湾機能を充実させることが求められています。県が設置している海外事務所、シンガポール、ソウル、大連を活用した物流、観光のため、東北の空港、港湾の機能充実は不可欠です。
 宮城県は、JR名取駅から仙台空港に至る延長7.1キロメートルについて、JR仙台駅と仙台空港駅間を乗りかえなしで運行する仙台空港アクセス鉄道を平成18年に開業すべく準備を進めています。宮城県は、山形県、岩手県にアクセス鉄道への出資要請を行っていますが、宮城県は金額よりも3県の連携の形にしたいと考えているので検討願いたいとしています。山形県は、本年8月に5、000万円の出資を決定し、来年度予算化すると聞いております。これまでの県の対応は、広域連携の必要性は認めるが第三セクターへの出資は大義名分が必要、仙台空港は東北全体の拠点的役割を果たすべき役割を持っているので、東北全体で議論すべきとしていますが、今日までの対応、今後どのように取り組んでいくのかお聞きします。

〇増田知事 今、仙台空港とそれから仙台港の関係ございましたが、まず仙台港については、これは東北地方整備局でつくりました東北港湾ビジョン、これでも北米との輸出入を中心に考えているところでございますので、本県でもそちらの方の荷については仙台塩釜港との連携を図っていきたい。うちの港から船で向こうに持っていく、あるいは向こうからのものをうちへ持っていくという沿岸部の航路の設定も考えられますので、それからまた別のところに行くといったようなことが考えられます。そういったことをこれから考えていきたいと思います。
 それから、仙台空港でございますが、仙台空港については宮城県から、13年にこの鉄道についての事業概要の説明がございまして、その後、具体的な話は向こうの方からアクセス鉄道の着工については報告がございましたけれども、費用負担とかそういったことについてはそのままになって現在に至っているという経緯をたどっております。この仙台空港の役割なんですが、これは私も東北全体の拠点的な役割を担っていると、そういう役割を持っていると認識をしております。特に海外の国際的な遠距離のものについては、仙台空港がそうした部分の機能を今後も担っていくものだろうと考えているのですが、東北全体で仙台空港を見てみますと、まだ各県が仙台空港についてそのような拠点的な役割ということをそれぞれ認識は持ちつつも、いろいろ温度差があるのも事実でございまして、一番距離の遠い青森県はやはり青森空港、3、000メートルの長い滑走路を整備してそこを中心に考えていきたいという考えをお持ちでございますし、それから福島県は福島県で、福島の方にも空港ございまして、あそこも海外便を持っておりますし、あそこの充実を図っていきたいという思いもございます。
 我が県の花巻空港も今回2、500メートルに延びますし、花巻空港との競合の関係もこの部分は出てくると思いますが、ただ、花巻の場合にはかなり、ハワイまでは十分射程距離へ入りますし、アメリカでも西海岸ぐらいまでは延びると思いますが、さらにそれ以遠、アメリカの東海岸やあるいはヨーロッパの方の大半の方についてはまだ遠くて、そういったものは東北でどこかに集約する、花巻空港は今回延ばして、それで東南アジアとかそういうところとうまく役割分担ができると思いますので、私は、せっかく今回整備をいたしました花巻空港も、韓国や中国などについては本当に我々の庭のようなところですから、日常茶飯事、常にいい路線を出していく。それから、それより遠いところについては仙台空港とも機能分担をしながらそちらの方も使うといったことで、花巻空港も仙台空港もそれぞれの機能分担の上で繁栄していくような、そういう道を考えていくべきだと思っておりますが、まだその仙台空港の位置づけというのは東北全体として見ると、かなりやはり集まっていろいろ議論すると温度差があるのは事実でございます。
 ですから、一方で財政厳しい中で花巻空港を整備して多額の投資もし、まずその利活用の方に今度は重点を移して、貴重なお金を費やしていかなければならないと思っておりますので、恐らく県民の皆さん方のお考えとしても、鉄道の方の整備についてお金を使うというのはなかなか御理解をいただけないのではないかと思っておりますので、今、宮城県の方にいろいろお話を聞いてみますと、鉄道の整備の方は地元での負担の考え方というのが大体でき上がって、あと予定どおりの期間の中にできるだけ早く鉄道整備をしていきたいというお考えで進んでいるようでございますので、私としては鉄道の方についての負担は私どもはしないで、鉄道もその後の利用促進について、営業的な面もございますが、いろいろございます。うまく機能分担をして、成田に行って乗るよりはるかに楽でもございますし、東北全体としてそれぞれの空港を大事にしていくという視点を持つことが必要ではないかと考えております。

〇川村農夫委員長 これをもって総括質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時に開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時31分 散 会


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