平成30年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 1 号)
平成30年3月5日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 大 友 宏 司
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
企画理事 岩 間   隆
企画理事 大 平   尚

秘書広報室長 保   和 衛
秘書広報室副室長兼首席調査監 上和野 里 美

総務部長 佐 藤   博
総務部副部長兼
総務室長 高 橋 勝 重
人事課総括課長 佐 藤 一 男
財政課総括課長 小 原   勝
税務課総括課長 横 道 栄 雄

政策地域部長 藤 田 康 幸
政策地域部副部長兼政策推進室長
兼主席ふるさと
振興監 南   敏 幸
政策地域部副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 鈴 木   敦
政策監兼
ふるさと振興監 小 野   博
市町村課総括課長 臼 井 智 彦

文化スポーツ
企画室企画課長 畠 山   剛


環境生活企画室
企画課長 黒 田   農

保健福祉企画室
企画課長 中 野 文 男

商工企画室
企画課長 阿 部   博

農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也

県土整備企画室
企画課長 嵯 峨 俊 幸

復興局長 佐々木   信
復興局副局長 内 宮 明 俊

教育企画室
企画課長 鈴 木   優
〇大友議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
工藤勝子委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま御紹介のありました工藤勝子であります。よろしく御協力をお願いいたします。
それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
阿部盛重委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別委員長に高橋元君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました高橋元君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました高橋元君が予算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました高橋元君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
高橋委員長、委員長席にお着き願います。
〔予算特別委員長高橋元君委員長席に着く〕
〇高橋元委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました高橋元でございます。
御推挙をいただき、大変光栄に存じる次第でございます。委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。
引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別副委員長に田村勝則君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました田村勝則君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました田村勝則君が予算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されました田村勝則君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
田村勝則副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇田村勝則副委員長 ただいまは副委員長に選任をいただきまして、まことにありがとうございます。
感謝の気持ちを込めつつ、委員長を補佐し、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇高橋元委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案36件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から9日まで及び12日から15日までは、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案36件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、15日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会での意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、8日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより議事に入ります。
議案第1号から議案第20号まで、議案第28号から議案第31号まで、議案第35号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第49号、議案第51号から議案第53号まで、議案第55号及び議案第56号の以上36件を一括議題といたします。
総務部長に総括説明を求めます。
〇佐藤総務部長 平成30年度当初予算の概要等につきまして、総括的に説明申し上げます。
この平成30年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、ふるさと振興を着実に推進し、県民の明日への一歩と共に進む予算として編成したものであります。
最終年度であるいわて県民計画及び岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げる取り組みを着実に推進するため、産業振興や出産、子育て支援、働き方改革や若者、女性の活躍支援などの取り組みを推進するとともに、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック、パラリンピックを通じた交流人口の拡大の取り組みも進めてまいります。
なお、中期財政見通しや公債費負担適正化計画を踏まえ、財政健全化にも配慮したものとしているところであります。
それでは、予算の概要について説明申し上げます。
お手元の議案その1の1ページをお開き願います。議案第1号平成30年度岩手県一般会計予算であります。
第1条は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ9、533億4、825万7、000円と定めるものでありますが、これを前年度当初予算と比較しますと2.7%の減となるものです。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
次に、歳入について御説明いたします。便宜、予算に関する説明書、厚い冊子でありますが、この1ページをお開き願います。
一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに、10財産収入から14諸収入までであり、その総額は3、938億9、600万円余で、前年度当初予算と比べると4.6%の減となっています。これは、主に基金からの繰入金や諸収入の減少などによるものであります。
また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は5、594億5、100万円余で、前年度当初予算と比べて1.3%の減となっておりますが、これは、主に地方交付税や国庫支出金の減少などによるものであります。
この結果、歳入に占める自主財源の割合は41.3%、依存財源の割合は58.7%と、自主財源の割合が昨年度から0.8ポイント減少しております。
次に、歳入の内容について説明申し上げます。4ページをお開き願います。
まず、1款県税1項県民税は426億6、800万円で、前年度比1.6%の増となっておりますが、これは、1目の個人県民税について、給与所得を中心とした個人所得の伸びによる増収が見込まれるものであります。
2項事業税は276億3、900万円で、1.9%の減となっておりますが、これは、2目の法人事業税について、税率改正の影響の平年度化に伴い減少が見込まれるものであります。
次に、6ページの3項地方消費税は210億6、100万円、0.8%の減を見込んでおります。
4項不動産取得税は22億1、900万円で、10.6%の減と見込んでおります。
8ページの5項県たばこ税は14億100万円で、7.3%の減、6項ゴルフ場利用税は2億8、100万円で、2.8%の減と見込んでおります。
10ページの7項自動車取得税は19億7、500万円で、23.4%の増、8項軽油引取税は175億4、400万円で、0.7%の減と見込んでおります。
次に、12ページの9項自動車税は177億1、600万円で、0.3%の増と見込んでおります。
10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、700万円を計上しております。
次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により、1、200万円で20%の減と見込んでおります。
12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案して7、900万円を計上しております。
以上、県税の合計額は1、326億1、200万円で、前年度当初予算に比べ1億2、300万円、0.1%の減となるものであります。
次に、16ページの2款地方消費税清算金は485億6、200万円で、8.9%の増となっております。
17ページの3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は199億9、200万円、18ページの2項地方揮発油譲与税は33億900万円、19ページの3項石油ガス譲与税は1億6、800万円、20ページの4項地方道路譲与税は100万円、21ページの5項航空機燃料譲与税は3、400万円をそれぞれ計上しております。
22ページの4款地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための特例交付金でございまして、4億1、700万円余を見込んでおります。
次に、23ページの5款地方交付税は、国の地方財政対策の内容や震災からの復旧復興事業費等を総合的に勘案して推計を行いまして、2、903億4、400万円余と、前年度当初予算に比べて53億3、700万円余、1.8%の減で計上しております。
24ページの6款交通安全対策特別交付金は、4億800万円余を見込んでおります。
次に、25ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、3億2、900万円余、26ページから27ページまでの2項負担金は、民生費などの受益者負担金、市町村負担金等を計上しており、18億5、900万円余となっております。
28ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、29ページの4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、30ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、9目教育使用料では、県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は、31ページの計欄60億2、400万円余で、前年度に比べ0.3%の減となっております。
次に、32ページから36ページまでの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料のうち、33ページの屠畜検査に係る手数料、35ページの7目土木手数料の建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許に係る手数料などでありまして、合計は、36ページ、計欄の20億5、800万円余で、2.3%の減となっております。
次に、37ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、2目民生費負担金では、38ページの生活保護や災害救助など、39ページの6目教育費負担金では、小中学校教職員の人件費に係るものや県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金など、7目災害復旧費負担金では、漁港災害復旧事業、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、40ページの計欄796億4、900万円余で、震災復興事業の進捗などにより、前年度より5.6%の減となっております。
次に、41ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、53ページまで進んでいただきまして、880億1、100万円余で、1.1%の増となっております。
次に、54ページの3項委託金でありますが、その総額は、56ページまで進んでいただきまして、16億6、100万円余で、19.5%の増となっております。
57ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は1億7、300万円余を計上、58ページから59ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでありまして、10億8、500万円余を計上しております。
60ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など9、100万円余を見込んでおります。
次に、61ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は5億9、300万円余であります。
62ページ、2項基金繰入金は、東日本大震災復興交付金基金などの基金を活用するため、501億4、700万円余を計上しております。
63ページの13款繰越金は、整理科目であります。
64ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は1億9、600万円余を計上しております。
65ページの2項預金利子は1、300万円余を計上しており、66ページ、3項公営企業貸付金元利収入は113億円余を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金であります。
67ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、合計額は68ページの計欄1、247億2、100万円余となっております。
69ページ、5項受託事業収入は、次の70ページの計欄のとおり総額で42億4、300万円余となっております。
次に、71ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収益36億4、400万円余となっております。
72ページの7項利子割精算金収入は、整理科目であります。
73ページ、8項雑入の総額は、76ページまで進んでいただきまして、62億4、100万円余と見込んでおります。
次に、77ページ、15款県債でありますが、その総額は、80ページの計欄のとおり754億5、300万円余であり、前年度に比較して12億3、900万円余、1.7%の増となっております。
この結果、県債の現在高見込みでありますが、一旦、298ページまで進んでいただきまして、前年度末現在高見込額が平成29年度末、右端の当該年度末現在高見込額が平成30年度末となりますが、299ページの上から5行目の計欄をごらんいただきまして、左から3列目の平成29年度末は1兆3、045億8、200万円余、平成30年度末では、計欄の右端になりますが、1兆2、822億2、500万円余の残高になると見込んでおります。
また、299ページの中ほどの表に県債管理基金への積立金を記載しており、これを調整した実質的な県債の現在高見込額につきましては、一番下の表の計欄、左から3列目の平成29年度末は1兆2、995億1、700万円余、平成30年度末では、計欄の右端になりますが、1兆2、763億2、000万円余の残高になると見込んでおります。
以上で歳入についての説明を終わります。
次に、歳出についてでありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に説明申し上げます。
款別歳出については説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて申し上げます。
お手元の予算に関する資料で説明いたします。予算に関する資料の3ページをお開き願います。第2表平成30年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
平成30年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、4ページに参りまして、7災害復旧事業費につきましては8.0%の減となっておりますが、これは、主に河川等災害復旧事業や漁港災害復旧事業等の減によるものであります。5ページに参りまして、8公債費は9.3%の減、9積立金は、国民健康保険財政安定化基金積立金の皆減等により、45.4%の減、10出資金は、食肉処理施設への出資5億7、000万円余の増等により、151.4%の増、12繰出金は、国民健康保険特別会計への繰出金72億円余の増等により、128.1%の増となっております。
平成30年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりです。特別会計につきましては、所管部局において説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇高橋元委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない委員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、改革岩手が54分、次に、自由民主クラブが39分、次に、いわて県民クラブが21分、次に、創成いわてが21分、次に、日本共産党が15分、次に、社民党が12分、次に、会派に所属しない委員は、公明党小野寺好委員、無所属樋下正信委員、無所属吉田敬子委員、無所属臼澤勉委員の順に、それぞれ9分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
なお、総括質疑は、本日及び明日に予定されておりますが、明日は、総括質疑終了後、議会、総務部関係の審査も予定されておりますので、議事の進行に御協力をお願いいたします。
また、本日の総括質疑は、世話人会による協議により、午後5時前に質疑に入った会派等の質疑が終了するまで議事を継続することといたしたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。
これより総括質疑に入ります。名須川晋委員。
〔名須川晋委員質問者席に着く〕
〇名須川晋委員 改革岩手の名須川晋でございます。
会派を代表いたしまして、前段が私、後段が伊藤勢至委員ということで総括質疑を行います。これまでの代表質問、一般質問と重複する部分もございますが、御答弁をよろしくお願いいたします。
まず初めに、最近は、岩手県人が非常にスポーツ、文化の面で活躍されております。平昌で行われました冬季オリンピックが、2月25日に閉幕いたしております。日本は冬季オリンピックで最多のメダルを獲得し、大きな手応えを感じる大会となりました。惜しくもメダルは逃しておりますけれども、スキージャンプの小林兄弟やスノーボードの岩渕麗楽選手など、本県関係の5選手の奮闘も岩手県や日本中を沸かせたものと思います。4年後の北京冬季オリンピックでのさらなる飛躍を期待するものであります。
そして、4日後の3月9日でございますが、パラリンピックが開幕し、アルペンスキーの狩野亮選手やクロスカントリー、バイアスロンの阿部友里香選手など、本県関係の選手の活躍が期待されるところでございます。
オリンピックでの本県選手の活躍に対する所感とねぎらいの言葉をいただくとともに、パラリンピックに出場する本県にゆかりのある5選手に対する期待とエール、励ましの言葉を頂戴いたしたいと思います。
〇達増知事 まず、平昌オリンピックについてでありますけれども、岩手ゆかりの選手が5人出場したということで、オリンピック期間中、毎日のようにテレビ、新聞あるいはパブリックビューイングなどで岩手ゆかりの選手の応援をすることができたことは、これまでなかったことだと思います。本県ゆかりの選手がすばらしい活躍を見せてくれたことは大変誇らしく、そのような活躍をしてくれたことに御礼を申し上げたいと思います。
これは、県民の応援や岩手全体のスポーツ力の高まりを背景に、選手一人一人のたゆまぬ努力と練習の成果がオリンピックという舞台で実を結んだものと理解しておりまして、県民に大きな喜びと感動を与えてくれ、また、スポーツに取り組む少年少女を初めとする県民に大きな励みとなったと思います。
そして4日後にはパラリンピックが開幕しますが、こちらも岩手ゆかりの選手が5人というのは今までなかったことであり、希望郷いわて大会のレガシーもあって、県民の関心も高いと思います。選手の皆さんには、岩手の誇りを胸に、実力を存分に発揮して大いに活躍されることを期待します。
〇名須川晋委員 あわせまして、第73回冬季国体の総括についてお伺いいたします。
オリンピックの熱気に隠れて余り目立たなかったと思いますけれども、1月28日から2月1日まではスケート競技会が山梨県と神奈川県で開催されました。2月25日から28日まではスキー競技が新潟県で開催されておりますけれども、その総括についても伺いたいと思います。
〇達増知事 2月28日に終了した冬季大会の天皇杯順位は第10位、皇后杯順位は第9位でありました。天皇杯第10位は、現行の得点方式に変更された平成15年以降では、一昨年、昨年の第4位という順位に次いで3番目となる優秀な成績であり、福井県で開催される本国体に向けて弾みをつけてくれたと思います。これは、希望郷いわて国体のレガシーが継承され、競技団体がこれまで積み上げてきた選手強化のノウハウや指導力などが十分に生かされた結果と評価しております。
引き続き、福井国体に向けて、東北トップレベルの競技力のさらなる向上に全力を挙げて取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 次に、文学の面でございますけれども、第157回芥川賞において盛岡市在住の沼田真祐さんの影裏、第158回では遠野市出身の若竹千佐子さんのおらおらでひとりいぐもと、2回連続して本県にゆかりのある作家が芥川賞を受賞されております。また、同じく第158回直木賞では、門井慶喜さんが宮沢賢治の父政次郎を描いた銀河鉄道の父で受賞し、本県に関係ある人材や題材によって受賞ラッシュとなっております。
その素地は一体何だと考えられるか、そして、単に最近の岩手はすごいと浮かれているだけではなく、この状況を今後にどう生かしていくのかお伺いいたします。
〇達増知事 本県には、豊かな自然と、縄文時代から平泉時代を経て、近世、近代に至る厚い歴史の層があり、その中から民俗芸能やさまざまな物語も生まれ、啄木、賢治に代表される文学の国いわてと呼ばれるような文学の花が咲き誇っていると思います。
こうした土壌のもとで、沼田真祐さんや若竹千佐子さん、また、門井慶喜さんの芥川賞や直木賞受賞作品を初めとする多くのすぐれた文学作品が生まれており、高校生の活躍も目覚ましいものがあると受けとめております。
県では、これまで、岩手県芸術選奨によるすぐれた創作活動の顕彰、岩手芸術祭を通じた文学の発表機会の提供などに取り組んでまいりましたが、沼田さんや若竹さん、門井さんの受賞を機に、県民の文学に対する関心や創作活動への意欲がさらに高まるよう、来年度において本県ゆかりの作家による講演会等を実施することとしておりまして、引き続き、文学の国いわてにふさわしい文化芸術の振興に取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 最近はこういう朗報が舞い込んでくる機会が多くなったと感じているところでございますので、ぜひとも、こういう機会をふやしていくような取り組みを県でも進めていただくようにお願いいたします。
それでは、平成30年度予算編成に当たっての財政状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
まず、国の地方財政計画についてでございますけれども、去る2月6日、平成30年度の地方財政計画が閣議決定されました。地方の基金残高の増加を背景に、政府の経済財政諮問会議ではあたかも地方財政に余裕があるかのような議論が進められ、地方財源の確保が不安視される中、結果としては、骨太の方針2015で示された方針に基づき、地方一般財源総額は前年度を上回る62.1兆円が確保されました。しかしながら、現時点では、平成31年度以降の中長期的な地方財源のフレームについては示されておらず、今後、国において議論が深められていく過程で改めて地方財政に厳しい意見が出ることも予想されます。
東日本大震災津波からの復興の真っただ中で過去最大の台風被害からの復旧、復興をなし遂げ、人口減少という現在進行中の危機に対し、ふるさと振興総合戦略を旗印にさまざまな施策を展開しなくてはならない本県の厳しい状況を踏まえれば、国の地方財政計画の動向は本県の財政運営に大きな影響を与えるものと考えます。
知事は、平成30年度の地方財政計画をどのように評価しておりますでしょうか。また、本県の財源確保に向けて、今後どのように取り組むのかあわせて伺います。
〇達増知事 平成30年度地方財政計画においては、まち・ひと・しごと創生事業費1兆円が引き続き措置されるなど、地方の一般財源総額は前年度並みの水準が確保されており、地方に一定の配慮がなされたものと考えております。また、東日本大震災津波への対応としては震災復興特別交付税4、200億円余が別枠で確保されたところであり、被災地で震災復興に最優先で取り組むための財源が措置されたものと認識しております。
来年度策定する次期総合計画を見据え、持続可能な財政構造を構築していくためには、地方創生推進交付金などの国庫財源や地方一般財源総額が適切に確保される必要があります。
今後、国において地方財政の中長期の一般財源確保のあり方について議論されていくと聞いていますが、基金残高の増加のみを理由として地方財源を削減しないこと、安定的な地方税体系を構築すること、地方交付税法定率を引き上げることなどの議論を注視し、全国知事会等と連携しながら、地方一般財源総額が確保されるように本県の実情等を訴えてまいりたいと思います。
〇名須川晋委員 次に、公債費負担適正化計画についてお伺いいたします。
本県は、平成24年度決算で実質公債費比率が18%を超えたことから、平成32年度までの8年間を期間とする公債費負担適正化計画を策定し、公債費負担の適正な管理に向けて今まさに取り組んでいるところと認識しております。平成28年度決算に基づく実質公債費比率で18%を超過しているのは、北海道、大阪府、そして本県の3道府県のみであり、過去に経済対策などを目的とした建設事業に充当した県債の償還が、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害からの復旧、復興を初め、ふるさと振興の取り組み等、喫緊の課題に直面する現在の県財政を圧迫している構図が明らかとなっております。平成31年度からスタートする次期総合計画を踏まえた中長期的な視点に立った財政運営の必要性については、さきの我が会派の郷右近浩議員の代表質問に対して知事から答弁があったところでございますが、県財政を圧迫するこの公債費の低減を図ることなしには、岩手の課題を解決していく財源を確保しながら中長期的な財政運営を行っていくのは困難と考えます。
これらの課題に取り組むための財源確保はもちろん、県財政の弾力性を担保する財源対策基金の確保のためにも、公債費負担、実質公債費比率の縮小を早期に進めなければならないと考えますが、どのように取り組むか考えを伺います。
〇佐藤総務部長 公債費負担適正化計画についてでございますが、平成25年度の計画策定以降、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組む中で、臨時財政対策債や平成28年台風第10号災害の災害復旧事業債などを除く県が管理可能な県債の発行については、平成25年度発行規模の355億円程度に維持、抑制しているところでございます。平成30年度当初予算案の発行規模は334億円と、21億円下回っているところです。
県債発行の抑制とプライマリーバランスの黒字の継続によりまして、平成25年度末県債残高1兆4、265億円と比較しまして、先ほど説明しましたが、平成30年度末残高見込みは1兆2、763億円と約1、500億円減少する見込みであり、公債費は減少傾向にあると見ております。
こうした状況から、昨年9月に更新しました岩手県公債費負担適正化計画においては、仮に現在の低金利環境や本県の標準財政規模が維持される前提で推計すれば、当初の計画を2年前倒しして、平成30年度決算において実質公債費比率が18%を下回ると見込んでいます。
今後も、次期総合計画の策定を見据え、県債発行規模に留意しながら、低利での調達に努め、公債費負担の適正化に取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 それでは、中期財政見通しについてお伺いいたします。
県財政を取り巻く状況変化などを踏まえた中長期的な視点に立った財政運営の必要性から、県では、平成26年9月に震災後初めてとなる中期財政見通しを公表し、平成28年度以降は毎年度更新することとしております。昨年9月に公表された中期財政見通しでは、震災分を除く通常分の予算で平成29年度から平成31年度までに毎年度133億円から156億円の収支ギャップが生じ、平成31年度末には財源対策基金の残高が164億円程度とされております。中期財政見通しでは平成30年度当初予算で141億円の収支ギャップを見込んでおりましたが、実際の予算編成での収支ギャップ及び年度末財源対策基金の状況についてお伺いいたします。
あわせて、財源対策基金残高の水準は、今後の財政運営に十分な水準と言えるのかどうか、その認識についてお伺いいたします。
〇佐藤総務部長 昨年9月に公表しました中期財政見通しは、震災対応分を除く通常分の予算について、その時点での地方財政制度等を踏まえ機械的に試算したものでございます。委員御指摘のとおり、141億円の収支ギャップを見込んでいたところです。
当初予算編成におきましては、それぞれの分野で必要な施策を実施するため、国庫財源の活用を初め、あらゆる手法による財源確保と、事業効果や効率性を踏まえた事務事業1件ごとの精査により施策の一層の選択と集中を進めたことで、財源対策3基金からの取り崩しは中期財政見通しとほぼ同程度の146億円となったものです。結果、平成30年度末の財源対策基金残高を232億円と見込んでおり、今後とも、国庫財源の有効活用、あるいは効果的、効率的な予算執行に努めまして財源対策基金残高の確保を図ってまいります。
〇名須川晋委員 次に、包括外部監査の結果報告書についてお伺いいたします。
今年度の包括外部監査は、県税、使用料及び手数料のほか、算定、徴収に係る財務事務の執行管理についテをテーマに実施し、先般、包括外部監査の結果について議会に報告されたところでございます。報告書においてはさまざまな指摘や意見がなされていますが、この監査の結果をどのように捉え、どのように対応していくのかお伺いいたします。
〇佐藤総務部長 今回の包括外部監査では、県税、使用料及び手数料を所管する本庁、出先機関の各公所を監査対象として実施されました。監査の結果、指摘が16件、意見が35件あったところでございます。
今回の監査で指摘された事項等につきましては、公認会計士としての専門的な知見や第三者の視点から幅広く詳細に監査いただいたところでありまして、事務手続を点検する上で貴重な機会が得られたと認識しております。
指摘や意見を受けた所管部局におきましては、今月中旬までに措置計画を策定し、今後、当該計画に基づき、是正措置を講じながら適切な事務処理が行われるよう対応してまいります。
さらに、いただいた指摘等につきましては、監査対象とならなかった部局等においても留意すべき事項が含まれていることから、全庁で共有し事務処理の改善に努めてまいります。
〇名須川晋委員 全国知事会議において岩手宣言が発信されております。これについてお伺いいたします。
昨年7月、2日間にわたりまして本県で開催されました全国知事会議において、あらゆる災害に負けない千年国家を創り上げるとうたわれた岩手宣言が採択されました。知事がリーダーシップを発揮され、被災地だからこそ発信できるこの岩手宣言の理念は今後の各都道府県の行政運営にどう浸透していくのか、まずお伺いいたします。
〇達増知事 全国知事会での岩手宣言は、全国的に災害が多発している中、復旧、復興の経験や災害の教訓を生かしながら、全国において、あらゆる災害に負けない、しなやかで回復力のある国家、千年国家をつくり上げることを宣言したものであり、昨年の全国知事会議の場で、私がその内容を読み上げて満場一致で採択されました。
この宣言では、一人ひとりの住民が幸福を実感できる真の復興(復幸)が訪れるよう、復興庁の被災県への移転を含め具体的に行動すること、学校、家庭、地域、自治体等が一体となった防災教育を充実し、災害の教訓を次世代に継承していくこと、想定外をなくし、体系的に対応する事前復興のシナリオを用意して万一に備えること、防災予算を拡充することなどについて、国、地方が総力を挙げて取り組むべきことがうたわれています。
こうしたことの実現を目指して国、地方が一体となって取り組んでいくことにより、東日本大震災津波を風化させず、被災地を全ての都道府県が支え続け、あらゆる災害に負けない千年国家をつくり上げることが期待されます。
〇名須川晋委員 それでは、岩手宣言の内容実現に向けた具体的な取り組みについてお伺いいたします。
まず、復興庁の被災県への移転という文言が盛り込まれております。岩手県として、あるいは全国知事会として、これまでどのように国に対して働きかけてきたのか、また、今後どのように国に対して具体的な働きかけを行っていくのかお伺いいたします。
〇佐々木復興局長 復興庁の被災県への移転についてでありますが、吉野復興大臣が国会や記者会見において復興庁廃止後の後継組織に言及したことを受けて、全国知事会議において採択した岩手宣言の中に、東日本大震災からの真の復興をなし遂げるまで、被災地に寄り添い、支え続けるための具体的な行動の一つとして復興庁の被災県への移転が盛り込まれたものであります。これまでのところ、全国知事会として岩手宣言等を含む会議で決定した提言、要望を取りまとめ、国に対して情報提供したものと伺っています。
復興庁におきましては、復興庁廃止後の後継組織に関し福島県の市町村に対するヒアリングを始めており、そうした状況も注視しながら対応を検討していくものと考えております。
〇名須川晋委員 ぜひとも取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、地域ぐるみの共助の体制についてということで、これもまた岩手宣言に盛り込まれているわけでございますが、半公半民の地域における防災まちづくりのリーダー設置の制度化などによる地域ぐるみの共助の体制を築き上げるため、岩手県としてどのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。
〇佐藤総務部長 地域ぐるみの共助の体制についてでございますが、岩手宣言では、防災まちづくりリーダーの設置の制度化などによる地域ぐるみの共助の体制づくりを目指すこととしておりまして、この防災まちづくりリーダーは、京都府において、仕事を持ちながら地域資源の掘り起こしや地域の情報発信などを行うまちの公共員を参考にしているものと伺っております。このまちの公共員のように、地域に住むリーダーが地域住民と協力して地域の特性を生かした防災まちづくりを進めることは極めて重要であると考えているところでございまして、本県といたしましては、共助を担う消防団や自主防災組織のリーダーが防災まちづくりの役割も果たせるよう、市町村とともにリーダーの発掘や養成を進めていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 また、仮称でございますが、防災庁の創設について、岩手県として、あるいは全国知事会としてこれまでどのように国に対して働きかけてきたのか、また、今後どのように国に対して具体的に働きかけを行っていくのかお伺いいたします。
〇佐藤総務部長 全国知事会では、災害への備えから、復旧、復興までを担う専門組織の設置が必要であるとして、国に対して昨年8月に要望を行ったほか、11月24日に開催されました全国知事会議において、防災・減災対策の充実を求める緊急決議にも改めて盛り込まれたところです。
県といたしましては、引き続き、全国知事会とともに岩手宣言の実現に向け積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇名須川晋委員 最近は、災害が、一体どこで起きるか、いつ起きるかわからないという認識が日本全国に浸透してきているものと思います。そうした意味でも、この岩手宣言が防災庁が創設される一つのきっかけになるとすれば、その宣言というのは非常に重みがあると思いますので、ぜひともその創設に向けて、全国知事会が一つになって取り組みを進めていただきたいと思います。
それでは、まち・ひと・しごと創生総合戦略についてお伺いいたします。
この総合戦略は、昨年12月に改訂されております。地方、東京圏の転出入均衡という基本目標を初めとする各基本目標の達成を目指して、4年目のことしは、ライフステージに応じた地方創生の充実強化に取り組むとして、キラリと光る地方大学づくり、企業の本社機能の移転促進、空き店舗等遊休資産の活用、民間主体のまちづくり活動の推進、地方生活の魅力の発信、体験などを挙げております。
5年目となる2019年度は、総点検を経て第2期総合戦略へ進むとのことであります。この取り組み方針を踏まえて、本県では新年度どのように施策に反映させていくのかお伺いいたします。
〇達増知事 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版では、ライフステージに応じた政策メニューの充実、強化に取り組むこととされています。
具体的には、キラリと光る地方大学づくりとして、国の平成30年度予算案に地方大学・地域産業創生事業100億円が新たに計上され、企業の本社機能の移転促進のための税制改正や、空き店舗等遊休資産の活用や民間主体のまちづくり活動の推進のための法律改正、地方生活の魅力の発信、体験のための制度創設に向けた検討などの動きがあります。
これらはいずれも現時点では事業や制度の内容が確定していない状況ではありますが、県としては、こうした国の新たな動きに呼応し、市町村や大学を初めとする関係機関と情報共有を図りながら、その活用に向けて検討してまいります。
〇名須川晋委員 それでは、スポーツ振興について若干深掘りをさせていただきたいと思いますけれども、トップアスリートの育成支援についてでございます。
最近、オリンピック、パラリンピックに限らず、競歩では高橋英輝選手、プロ野球では菊池雄星選手、メジャーリーグでは大谷翔平選手と、日本に、世界に羽ばたいていくアスリートがふえております。昨日は、スポーツクライミング日本選手権リード競技大会で伊藤ふたば選手が3位という好成績を挙げてくれました。各競技団体や県、県内各自治体あるいは民間企業等の取り組みなど、官民一体での選手の育成支援が功を奏し、成果をあらわしてきたものと思います。
県では、平成30年度当初予算案に、国際大会で活躍するトップアスリートの育成強化のため、技術向上に欠かせない海外遠征費の支援や競技団体への助成事業などを盛り込んでおりますが、これまでの本県の取り組みについて分析を行い、今後の選手の育成強化に反映させることが非常に大事であると考えることから、その取り組みについてお伺いいたします。
〇達増知事 オリンピックや国際大会などを舞台に活躍する選手を育成するためには、その成長過程のそれぞれの段階に応じた適切で効果的な支援が必要です。県では、選手の育成や競技力の向上にすぐれたノウハウと高い実績を持ち、オリンピックで活躍できる選手を育て上げることが期待される競技団体に対し、重点的に活動費を支援する事業を当初予算案に盛り込みました。
また、日本代表に選出されるためには、さまざまな国際大会を転戦し、海外での実績を積むことが必要であり、その遠征費等は多額となりますが、基本的に選手みずからが負担せざるを得ない状況にあります。このため、日本代表に選出され十分な支援が受けられるまでの間、オリンピック等の国際大会で表彰台を狙うレベルの若手トップ選手を対象に、遠征費等に対して支援する事業を当初予算案に盛り込んだところであります。
今、そういう具体的なお話をさせていただきましたけれども、ちょっと順番は前後いたしますが、総論的な話を加えさせていただきますと、県では、これまで、国内外で活躍する本県選手に対し、大会参加費等への支援を行うほか、岩手県体育協会や各競技団体と一丸となって選手の競技力強化に意欲的に取り組み、一昨年の希望郷いわて国体では天皇杯、皇后杯順位でともに第2位の成績を上げました。
また、スーパーキッズ事業の取り組みにより、運動能力にすぐれた小中学生の個々の適性を見きわめて、平昌オリンピックで入賞を果たしたスキージャンプの小林陵侑選手などのように、将来の可能性に応じた競技種目の選択につなげてきたところであります。
さらに、近年、ワールドカップなどの国際大会において、本県の中学生や高校生が目覚ましい活躍を見せていますが、多くの選手は、競技団体において、県と連携しながら、早い年代から将来性のあるタレントを発掘し、成長過程に応じたサポートのもとで、その才能を開花させたものであります。
今後とも、県体育協会を初め関係競技団体との連携を図りながら、オリンピックや国際大会などを舞台に活躍する選手の育成に取り組んでまいりますが、その具体的な取り組みの内容につきましては、さきに述べさせていただいたとおりでございます。
〇名須川晋委員 この前のオリンピックで活躍された選手も海外で鍛錬をしてきたということで、冬季オリンピックはもっと雪の多い地域とか、そういう本場で選手が鍛錬というか、練習を積んでくることで成長していくということがクローズアップされた大会だったと思いますので、ぜひとも、県、自治体や民間企業等々のサポートも加えながら、そういう優秀な選手を海外で育成させていくシステムもつくっていただきたいと思います。これは、行政だけではなくて、やはり民間の力が必要だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
障がい者スポーツの選手強化についてお伺いいたします。
平成29年度いわて障がい者スポーツ強化指定選手として陸上競技や水泳競技選手等13名を指定し、選手とその介助者に対して遠征に要する経費を助成することとしております。スポーツ行政の一元化はこれまでたびたび議会で指摘してきた課題でありましたが、所管の移管によって可能となった成果であり、大変評価すべきことと考えます。
金銭的負担の軽減のほかコーチング技術の向上、練習環境や補装具の充実等、障がい者スポーツの課題を解消する取り組みは、本県も、遅まきながらではありますが、やっとスタート台に立ったと言えます。
今後、どう全国レベルの選手を育成し、先進地との格差を埋め、パラリンピックに出場可能な選手を育成していくのか、道筋をお知らせください。
〇達増知事 障がい者スポーツの選手強化についてでありますが、県では、今年度から強化選手13名を指定し、選手等の遠征費等に対し支援するとともに、専門的な知識の習得やトレーニング等の実技を行う研修会を実施するなど取り組みを進めてまいりました。
このような取り組みを通じて、強化指定選手3名が、今月9日から開催される平昌2018パラリンピック冬季競技大会の日本代表として選出されたところであり、大いに活躍が期待されます。
来年度においては、海外遠征を行う選手等に対する支援上限額を引き上げるほか補装具を支援対象に加えるなど、支援の一層の拡充、強化に取り組むこととし、このための事業費を当初予算案に盛り込みました。
東京2020パラリンピックを見据え、今後とも、岩手県障がい者スポーツ協会と連携しながら、障がい者アスリートの競技力向上に全力を挙げて取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 文化スポーツ部ができて、保健福祉部から障がい者スポーツの分野が移管されたということで、流れが明らかに変わってきたと感じているところでございます。
補装具の支援もあるということでございます。県内にはそういう優秀な義肢製作の会社も多数ありますので、そういうところの助けをかりながらといいますか、産業育成の観点からも取り組んでいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
障がい者スポーツ協会の設立についてお伺いいたします。
一関市において、2月14日、一関市障がい者スポーツ協会が設立されました。今後、各自治体で設立が求められるものと思いますが、現在の各自治体の動きはどうなっているのか。また、自治体単独ではなくとも広域単位でも設立を促す必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 障がい者スポーツ協会の設立についてでありますが、委員御指摘のとおり、先月、一関市障がい者スポーツ協会が設立されたところでありますが、これは、市町村を単位とする協会としては本県初となるものであります。
また、県内における取り組みについては、設立に向けた動きのある自治体もありますが、設立準備組織の立ち上げまでには至っていないと聞いております。
障がい者スポーツは、社会参加に向けた機運、意欲の高まりなどにより、一層の充実、取り組みの拡大が求められており、地域における障がい者スポーツ推進の中核を担う協会が県内各地に設立されることは大変望ましいことと考えます。
また、委員御指摘の市町村の枠を超えた広域単位での協会については、運営体制の強化が図られ、幅広くかつ充実した活動が可能となるなど、事業のより効率的な展開が期待される重要な取り組みと考えます。
今後とも、協会の設立に向けた取り組みに対しては、市町村や岩手県障がい者スポーツ協会などの関係機関、広域振興局としっかり連携し、情報提供や助言等の支援を行ってまいります。
〇名須川晋委員 超人スポーツということで、知事肝いりの政策でございますが、これは来年度も進められるということでございます。これもまた、文化スポーツ部としての特色があらわれた行政の広がりかと期待するところでございますが、この超人スポーツにおいて、3年目となる新年度はどのように展開されていくのか。これについてお伺いいたします。
〇達増知事 県では、昨年度から岩手発・超人スポーツを推進しているところであり、岩手の地から誰もが生き生きとスポーツに取り組む地域社会のモデルを新しい文化として提示するとともに、テクノロジーや文化の振興、福祉の向上などに地方から貢献することを目指しています。
この取り組みによって、スポーツを切り口に力を合わせて新しいものをつくり上げるプロセスを通じて豊かな創造性が引き出され、創造人材の育成に効果があったと受けとめております。
平成30年度においては、岩手発・超人スポーツの取り組みをさらに推進するため、競技の考案を岩手大学と連携して進めることとしており、学生だけではなく、興味関心を持っていただける県内企業も巻き込んだ展開を図りたいと考えております。
また、一般社団法人超人スポーツ協会では、2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けて、本年度においても、国のスポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト・新たなスポーツの開発に採択され、引き続きオリンピックとパラリンピックの垣根を取り払う新しいスポーツの展開を図っており、県としても同協会と連携し、また、将来に向けた事業化の展開も見据えつつ、岩手発の超人スポーツの取り組みをさらに推進してまいります。
〇名須川晋委員 期待しています。
次に、本県へのインバウンドの取り組みについてでございます。
いわて花巻空港へのチャーター便運航の拡大などにより、台湾を中心に本県への外国人宿泊者数が年々増加しているものと感じております。最近、盛岡市内でも外国人の方をよく見かけるようになりました。県内のスキー場に行き、県内の観光地をめぐり、イオンでもよく見かけるのですけれども、買い物などというツアーコースが設定されていると伺っております。
本県のインバウンドの現状と今後の見通しについて、まずお伺いいたします。
〇岩間企画理事 本県のインバウンドの現状と今後の見通しについてでございますけれども、平成29年の本県の外国人宿泊者数は、これは国の統計調査の速報値でございますが、約19万3、000人泊と過去最高を更新しておりまして、前年と比べて46.2%ふえて、大幅に増加しているところでございます。
市場別、国別に見ますと、台湾が11万3、300人泊で全体の半数以上を占めておりまして、前年と比較して74.9%増、続まして中国が2万1、180人泊、62.2%増、香港が1万3、940人泊、60.4%増と、いずれも大幅に増加しております。
また、いわて花巻空港への国際チャーター便の運航でございますが、今年度、過去最高の164便が見込まれ、今後も国際チャーター便の運航拡大や本県初となる国際定期便の実現に取り組むこととしておりまして、いわて花巻空港をゲートウエーとした、県内をより広く周遊し、より長く滞在する旅行商品の造成促進によって、観光消費の拡大が期待されるところでございます。
このため、まちの景観や文化に触れるまち歩きなど、多様な観光コンテンツを組み合わせた旅行商品の造成促進や、増加が見込まれる個人旅行客をターゲットといたしました、SNSの活用によるグルメ情報などきめ細かな情報発信に取り組むとともに、多言語表示など受け入れ環境の充実を図りながら、宿泊や食事、買い物、体験等による消費行動を促進して、観光消費の拡大につなげてまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 平成28年度と比べても相当の人数がこの岩手にお越しになっているということで、いわゆるゴールデンルートをめぐる方々が、こちらの東北のほうにもやっと目を向けつつあるのかなという、そのトリクルダウンがやっとこちらにもやってきたのかという感じでございます。
それを踏まえた上で、民泊新法の施行に係る対応についてお伺いいたします。
まず最初に、分譲マンションなどの対応についてでございますが、住宅宿泊事業法いわゆる民泊新法がことし6月に施行されることにより、民泊が解禁となります。既存宿泊施設への影響や、騒音、ごみ処理問題などによる近隣住民とのトラブルといった課題もある中、さまざまな検討を経ての解禁であり、年間180日までという制約があるものの、民泊に対しお墨つきが与えられた格好となります。
近隣住民とのトラブルという点では、分譲マンションなどの建物で区分所有されている場合の対応はどのようになるのかお示し願います。
〇千葉副知事 民泊に関します分譲マンションなどにおける対応についてでございますけれども、国におきましては、分譲マンションにおける住宅宿泊事業をめぐるトラブルの防止のためには、住宅宿泊事業に基づく民泊の可否について、あらかじめマンション管理組合におきまして、住宅宿泊事業を許容するか否かを管理規約上明確にしておくことが望ましいとしております。
したがいまして、国におきましては、マンション管理規約のひな形でございますマンション標準管理規約の改正を行いまして、住宅宿泊事業に使用することを可能とする場合と、禁止する場合の双方の規定例を示しているところでございます。
県におきましては、岩手県マンション管理士会等に対しまして、今回の標準管理規約の改正について、当該団体が主催しておりますセミナー等で各管理組合にお知らせしていただくよう要請しておりまして、今後とも関連団体と連携しながら、トラブルの防止のため周知に取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 都道府県は、条例制定によって180日という期間を制限することができるとされており、ゼロ日規制というのはできないそうでございますけれども、地域のさまざまな声や、市町村、市町村議会からの意見聴取を実施することがガイドラインに定められております。
本県の対応は現在どのように進められているのか、条例の県議会上程までのスケジュール等の見通しを含め、お示しください。
〇千葉副知事 住宅宿泊事業法施行条例に関する県の対応についてでございますけれども、住宅宿泊事業法第18条におきましては、都道府県は、住宅宿泊事業に起因する騒音等による生活環境の悪化を防止するため、必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができると定めているところでございます。
県におきましては、これまで、関係部局からなる住宅宿泊事業法対応検討会を立ち上げ庁内での検討を進めておりますほか、学識経験者、旅館ホテル業界、観光業界、不動産業界の関係団体、農家民宿の推進協議会、市町村からなる有識者会議を設置し、条例制定の可否も含めて御意見を伺い、また、市町村からも意見聴取をしたところでございます。
これらの意見等を踏まえまして住宅宿泊事業法施行条例案をまとめ、本年1月にパブリックコメントを実施しているところでございます。
今後、このパブリックコメントでのさまざまな意見を整理いたしまして、また、他県における議論の状況も踏まえながら、条例の制定時期も含め、総合的に検討していきたいと考えております。
〇名須川晋委員 上程まで総合的に検討していくということでございます。実際、6月施行ということでございますので、6月か9月ぐらいになるのかと思いますが、その辺のめどをお示しいただければと思います。
〇千葉副知事 ただいま御答弁申し上げたところでございますが、パブリックコメント等におきましてさまざまな御意見も頂戴したところでございます。したがいまして、特に規制の対応等につきまして、どのような形でなされるべきかについて、いろいろとさらに議論を深める必要があるのではないかと考えております。いずれ、法の施行時期も近づいておりますので、今、委員からお話がございましたように、できるだけ速やかに検討は進めていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 観光振興への民泊制度の活用についてお伺いいたします。
世界最大級の民泊予約サイトAirbnbにおける本県内の物件登録状況を見ると、民家からシェアハウス、コンドミニアムホテルまでが並べて掲載されており、インバウンドはもちろん、日本人にとっても、旅行で泊まるのはホテルや温泉、旅館だけといった概念が大きく変わろうとしております。特にFIT-個人旅行において長期間の日本滞在となる場合は民家、奮発してたまにはいいところに宿泊したいときは温泉やホテルというめり張りを持った使い分けがなされるものではないかと考えるところでございます。
さまざまな議論や課題があった民泊でありますけれども、よくも悪くも住宅宿泊事業法がことし6月に施行されることにより、年間180日までではありますが、民泊にお墨つきが与えられた格好となります。
法律的にも認められ解禁が決定した以上、県としても既存の宿泊事業者の一層の発展策を進めるとともに、インバウンドの増加対策に注力しながら、うまく活用していく必要があると考えます。
首都圏では空き家や空きマンション、地方では文化財級の施設あるいは古民家をリノベーションしながら、地域の風景を残して外部から客を誘致して採算に乗せ、それら文化財級の施設や古民家等の維持をしていくという観点から、既に民間事業者も動いている状況にあると伺っております。
また、三菱東京UFJ銀行や積水ハウス、日本航空など60社が、4月に古民家再生や旅館再建など観光支援に特化した共同ファンドを立ち上げると発表しました。規模は国内最大の250億円ということで、ホテルや旅館の老朽化に伴う建てかえや改装のほか、古民家再生などによる民泊案件も投資の対象となりそうとのことでありますが、リノベーションによる地域の遊休資産の活用を進めていくことは、人口減少時代の新しい地域活性化事業と捉えるべきであります。
こうした中、民間を含めて観光関連産業支援ファンドの活用が必要と考えますが、本県の状況を伺います。また、民泊の立ち位置を観光振興の施策に反映させるべきと考えますが、県の御所見を伺います。
〇岩間企画理事 観光振興等への民泊制度の活用についてでございますが、まず、観光関連産業支援ファンドにつきましては、委員御指摘のとおり、全都道府県を対象といたします(仮称)ALL-JAPAN観光立国ファンドの組成に向けまして、県内の金融機関が出資をするという報道がなされたところでございます。県内における観光関連産業の支援に特化したファンドにつきましては、現時点では承知しておりません。
また、民泊の観光振興施策への反映についてでありますが、民泊を地域の観光振興や地域活性化につなげていくためには、これまでの旅館、ホテルでの宿泊にはない体験、交流型観光のニーズの掘り起こしでありますとか、宿泊施設が少ないために通過型観光地となっております地域での滞在型観光の促進など、新たな観光需要を喚起していくことが必要と認識しております。
このため、地域ならではの魅力ある観光地をつくり上げていく中で、どのように民泊を生かしていくのか、地域が主体となって検討、実施していくことが重要と考えておりまして、観光地づくりの主体となることが期待されております市町村の地域DMOの整備を支援しているところでございます。
今後におきましても、地域における取り組み状況や民泊の実施状況等を踏まえながら、新たな観光需要の喚起につながる取り組みを進めていく考えであります。
〇名須川晋委員 既存のホテル、温泉への大きな影響が予想されるわけでございますが、その分、パイを大きくする、広げるということであれば、チャーター便で来る場合、団体のお客さんはホテル、温泉、個人のお客さんは民泊というすみ分けがなされるのかという感じもするわけでございまして、お互いがウイン・ウインとなるように、まずは旅行客の方をふやす施策が大事なのかと思っておりますので、その辺をよろしくお願いいたします。
その上で、リノベーションまちづくりについて伺うわけでございます。リノベーションまちづくりは、先進的に取り組んでいる自治体もあれば、そうではない地域もあるのが現状ですが、県内各地に波及させていくための新年度のリノベーションまちづくり施策はどのようになっているかお伺いいたします。
〇千葉副知事 リノベーションまちづくりに係る取り組みでございますけれども、県におきましては、これまで、空き家対策の取り組みの一つとしてリノベーションまちづくりを担う人材育成に取り組んできたところでございまして、徐々にリノベーションまちづくりの考え方が県内に浸透してきております。市町村におきましても、花巻市や二戸市で空きビルの活用等によるまちづくりの取り組みが行われるなど、県内各地での実際の動きにつながってきていると考えております。
県におきましては、平成30年度に県内各地のこのような取り組みの事例集を作成いたしますとともに、その実践者による講演会を開催するなど、具体的な活動に至っていない民間事業者等に対する支援を行いますとともに、実践者間でのさらなる連携を働きかけていくこととしております。
また、空き家を効果的に活用し、リノベーションまちづくりを進めていくため、不動産所有者に対し、相続登記や日常的な管理の重要性を、ホームページ等を含めさまざまな形で周知いたしますとともに、関係団体にワンストップの相談窓口を設けまして、地域に眠っております空き家の流通等を促進してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 2月15日、2週間ほど前になりますが、農村民泊セミナーということで、県南広域振興局が、農泊等推進事業によりセミナーを開催しています。農村民泊の好機、民泊新法から広がる可能性ということで、講師の方をお呼びしておりました。県も、農村民泊、民泊新法から広がっていくということを認識されているという事業を開催されたようでございます。これは、県南広域振興局といちのせきニューツーリズム協議会というところが主催しております。そういうグリーンツーリズムの一環として民泊というものを、これまでももちろんやっておりましたけれども、民泊新法と絡めてますます進めていただければ地域活性化にもつながるものと思いますし、リノベーションまちづくりについても、そういった形で県土整備部のほうでも民泊の活用というものも考慮した施策になるように要望いたしたいと思います。
既存の宿泊施設業者、これから民泊をされる方が、くれぐれもお互いが利益となるような政策を進めていただきたいと思います。
緊急雇用創出事業臨時特例基金事業についてお伺いいたします。
震災後の平成23年から、一連の緊急雇用創出事業によって、県内、特に沿岸被災地においては多くの事業者の事業継続に大いに資するものになったことは間違いないところであります。本定例会に上程された一般会計補正予算において、事業復興型雇用創出事業費補助が2億4、000万円ほどの減、事業復興型雇用確保事業費補助においては720万円の減となっておりますが、今年度の事業実績について伺います。
その上で、人材確保が厳しい状況で新規の助成対象労働者を見込むことができるのか、助成対象労働者を確保するため条件の見直しが必要ではないかと考えますが、それらを踏まえた新年度の事業見通しについてお伺いいたします。
〇千葉副知事 緊急雇用創出事業臨時特例基金事業の事業実績と今後の見通し等についてでございますけれども、現在、基金事業といたしましては、事業復興型雇用創出事業と事業復興型雇用確保事業の2事業を実施しているところでございます。
まず、平成29年度の事業実績につきましては、事業復興型雇用創出事業は、新規申請が平成28年度で終了しておりますことから、雇い入れ費助成の継続分として、841事業所、1、974人の助成決定を行っているところでございます。
また、今年度、新たに創設されました事業復興型雇用確保事業は、雇い入れ費助成として、36事業所、102人、住宅支援費助成としては4事業所から申請がございまして、現在、決定手続を進めているところでございます。
また、来年度の事業見通しについてでございますけれども、事業復興型雇用創出事業は、雇い入れ費助成の継続分として、84事業所、250人を見込んでおります。また、2年目となります事業復興型雇用確保事業は、雇い入れ費助成として、新規分と継続分を合わせて206事業所、677人、住宅支援費助成として11事業所を見込んで、当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
県といたしましては、この基金事業が沿岸被災地の産業と雇用の復興を図る上で重要な事業と考えておりまして、事業所に積極的に活用いただくため、市町村あるいは関係機関、団体の協力を得ながら、現在、きめ細かく周知を積み重ねているところでございます。
なお、条件の見直しについてでございますが、例えば雇い入れ費助成では、震災当時に本県、宮城県、福島県に勤務または居住していたことが助成対象労働者の要件とされておりまして、それ以外の労働者の雇い入れは対象とならないことなど、人材確保を進める面で事業を活用しにくい現状がございますので、宮城県や福島県とも連携しながら、国に対して、要件緩和等について要望を続けているところでございます。
今後も、沿岸地域のまちづくりの進捗と相まって事業の活用が見込まれますことから、積極的な活用促進について努めてまいりたいと思っております。
〇名須川晋委員 今後の基金活用方策についてお伺いいたします。
平成30年度当初予算案の事業復興型雇用支援事業費は5億3、000万円余で、平成30年度当初予算編成後の緊急雇用創出事業臨時特例基金の残高見込みは78億8、000万円余になります。事業復興型雇用支援事業費は最長で平成33年度まで延長できる見込みですが、平成30年度当初予算計上額並みの5億円規模で平成33年度まで事業を継続実施した場合でも、事業終了後の平成33年度末の基金残高は約63億円余と見込まれます。
この使い切れない基金をそのまま国に返還するのではなく、平成34年度以降も被災地の産業振興と雇用促進のために活用できるように、制度を見直して事業推進すべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。
〇千葉副知事 今後の基金の活用方策についてでございますけれども、基金事業につきましては、国の緊急雇用創出事業臨時特例基金交付金交付要綱によりまして交付の対象事業が定められ、実施する事業の内容や終了時期につきましては、国から示される実施要領に基づいて実施しているところでございます。
このため、先ほどの繰り返しにもなりますが、県では、宮城県や福島県と連携いたしまして、被災地の実情に沿った、より活用しやすい事業となるよう、対象者の拡大に向けた要件緩和や事業期間の延長等について、国に要望を行ってきているところでございます。
これらの取り組みにより、平成29年度におきましては、先ほど申し上げました事業復興型雇用確保事業が前事業の後継事業として創設されまして、人材確保に対応するため新たに住宅支援費助成が盛り込まれるなど、制度の見直しも行われたところでございます。
今後におきましても、事業の継続とさらなる要件緩和が必要であると考えておりまして、国に対しましては、制度の見直しに向けた働きかけを継続いたしますとともに、県といたしましても、この基金事業のさらなる活用促進策を研究しながら、基金の有効活用について取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 復興需要が徐々に減少していくわけで、あるいは人口減少という波にもまれていく中で、この一連の事業というものは、被災地の商業者にとっては、額的にはそうでもないかもしれませんが、これで何とか黒字になっている企業もやはりあると思いますので、ぜひとも平成33年度以降もこの事業を継続させるなり、あるいはこの資金を国に返すのではなく、岩手県として、また新たな事業として活用できるような企画を検討しながら、被災地の復興に資するような施策を進めていただくように要望いたします。
それでは、事業承継についてお伺いいたします。
昨年の12月定例会の一般質問で、私が、岩手県事業引継ぎ支援センターのマッチングの実績について質問した際の答弁で、成約件数が開設からの3年間で5件にとどまっているとお伺いいたしました。事業承継については、岩手県事業承継ネットワークや各地商工会議所や商工会、県内金融機関等で取り組まれておりますが、残念ながら顕著な実績があらわれていないものと思われます。目標を設定し、体制の見直しと強化を進めていくべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇千葉副知事 事業承継の取り組み体制の強化についてでございますが、本県におきましては、盛岡商工会議所が平成27年7月に岩手県事業引継ぎ支援センターを開設し、事業承継に関する取り組みを進めておりまして、県も連携して取り組んできたところでございます。
今年度におきましては、盛岡商工会議所が国の委託事業を活用いたしまして、県を初め県内の商工指導団体や金融機関、税理士会、弁護士会等と連携して、事業承継を支援するネットワークを構築したところでございます。国が示しております目標値500件を上回る700件以上の事業承継診断を実施するとともに、県内3カ所で支援機関向けセミナーも開催し、商工指導団体や金融機関の職員も170名以上が受講するなど、まずは県内の支援体制を強化するための取り組みを進めてきたところでございます。
このような取り組みもありまして、事業引継ぎ支援センターへの相談につきましては件数もふえていると承知しておりまして、相談内容も、事業承継に関する一般的な問い合わせから、譲り渡しや引き受けに関する具体的な相談に質的に変わってきたと伺っております。したがいまして、今後、マッチング件数の増加につながることを私どもとしても期待しているところでございます。
新年度におきましては、この事業承継支援の取り組みをさらに強化したいと考えておりまして、その関係経費を当初予算案に盛り込んでいるところでございます。具体的には、今申し上げましたネットワーク組織で、県も含めまして、商工指導団体や金融機関と連携しながら、事業承継診断の取り組みをより一層進めますとともに、事業承継に問題を抱えております経営者に対しましては、税理士等の専門家を派遣して、事業承継計画の策定を支援してまいります。また、これらの取り組みを着実に進めるために、ネットワーク組織の事務局に専任スタッフを配置いたしまして、各支援機関との連携体制を強化してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 取り組みはわかるのですけれども、実際の成約件数を上げていくため新年度さらなる体制を築くということでございますが、何とかしていかなければいけないということで、皆さんで認識を深めて取り組んでいただきたいと思います。
次に、県内中小零細企業の事業承継についてということで、県内のあくまで自動車産業を例に取り上げますと、事業承継がうまくいかないと、そのサプライチェーンが寸断される可能性があると考えております。岩手県自動車関連産業振興アクションプランにおける戦略3、人材育成・定着の項目に、県内自動車産業に携わる会社の事業承継についての取り組みは記載されておりません。事業承継がうまくいかないと、自動車産業に携わる県内の中小零細企業は将来的に根こそぎなくなってしまうおそれがあるのではないかと考えられます。後継者の有無を把握し、いない場合はM&Aによる事業を継続させるといった観点も次期プランに反映して盛り込む必要があるのではないかと考えますが、県の御所見を伺います。
これは、自動車産業に限ったことではないと思いますけれども、やはり一段と深めた取り組みを進めていくべきだと考えますが、御所見を伺います。
〇千葉副知事 県内の中小零細企業の事業承継についてということでございますけれども、県におきましては、自動車関連産業も含めまして、県内の中小企業が持続的な発展を遂げられるよう、経営革新、経営力向上の支援事業や、いわゆる伴走型支援によります経営相談指導、雇用拡大に向けたさまざまな取り組みや働き方改革の推進など、多面的な支援を展開しております。事業承継につきましても、業種を問わず大きな課題と認識しておりまして、先ほど御答弁申し上げましたが、さまざまな取り組みを強化しているところでございます。
自動車関連産業につきましても、これまで、M&Aを含め既に十数社の事業承継を支援してきたところでございます。例えば、女性後継者などで構成するモノづくりなでしこiwateのメンバー企業への人材育成や取引拡大などの支援を行いました結果、業容の拡大とともに円滑な事業承継につながるなど、成功を上げてきたところでございます。
県といたしましては、自動車関連産業を含め、これまでも事業承継を支援してきたところでございまして、これらのノウハウを関係機関を含めて蓄積し、県内の中小企業の持続的な発展に向けて、その取り組みを強化していきたいと考えております。
なお、委員から自動車関連産業振興アクションプランを例としての御提案がございましたが、事業承継は、自動車産業のみならず、県内中小企業全般にわたる喫緊の課題でありますことから、まずは当該プランの上位計画で、来年度改定を予定しております岩手県中小企業振興基本計画におきまして、どのような位置づけで取り組みを考えるべきか研究してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 よろしくお願いいたします。
次に、気候変動適応対策についてでございます。
本県では、岩手県地球温暖化対策実行計画の改訂が平成28年3月に行われておりますが、改訂では適応策の検討の方向性を盛り込み、気候変動への適応策の推進を図るため、年度ごとに本県の適応策の取り組み方針を定めることとし、平成29年3月に、平成29年度岩手県気候変動適応策取組方針が策定されております。
国では、気候変動への適応を推進するため、政府による気候変動適応計画の策定、環境大臣による気候変動影響評価の実施、国立研究開発法人国立環境研究所による気候変動への適応を推進するための業務の実施、地域気候変動適応センターによる気候変動への適応に関する情報の収集及び提供等の措置を講ずるものとして、気候変動適応法案が今国会に提出されております。
都道府県及び市町村は、地域気候変動適応計画策定の努力義務を負い、地域において適応の情報収集、提供等を行う拠点、地域気候変動適応センター機能を担う体制を確保、広域協議会を組織し、国と地方公共団体等が連携して地域における適応策を推進していくということも法案に盛り込まれておりますが、これらの内容と県の適応の取り組み方針、これらの整合性についてどのようになるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 気候変動適応対策についてでございますけれども、本県におきましても、近年、夏日等の年間日数の増加や局地的な大雨等の異常気象などの事象があらわれ始めておりまして、気候変動への適応の取り組みが必要であるという認識のもと、今、委員からも一部御紹介がございましたが、平成28年3月の岩手県地球温暖化対策実行計画の改訂におきまして、新たに適応策推進の方向につきまして明記いたしますとともに、今年度から適応策を具体的に定めました岩手県気候変動適応策取組方針を策定いたしまして、横断的な取り組みを進めているところでございます。
現在、国会で審議中の気候変動適応法案におきましては、地方公共団体に、気候変動適応に関する施策の推進、地域気候変動適応計画の策定、地域気候変動適応センターの体制整備、国等との気候変動適応広域協議会の組織化等、おおむね四つのものが求められていると考えております。
このうち、気候変動適応に関する施策推進につきましては、先ほども申し上げました県の取組方針に基づきますこれまでの取り組みは、この法案の求めるものと軌を一にするものと認識しております。
また、地域気候変動適応計画の策定や地域気候変動適応センターの体制整備につきましては、今後、政省令や関係通知が発出されると聞いておりまして、これらを踏まえた上で検討していきたいと考えております。
また、地域気候変動適応広域協議会につきましては、現在、環境省の地方環境事務所が事務局となり、全国6カ所に設置されております地域協議会が法定の広域協議会に移行されるとの説明も国から受けているところでございます。
引き続き、この法案の審議状況や関連する国の施策等の情報収集に努めながら、県としての対応について検討を進めていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 県の行政組織についてお伺いいたします。
県職員の採用状況についてですが、北海道の職員採用において、内定辞退者が2013年度19%、2014年度37.0%、2015年度58.8%、2016年度62.9%と右肩上がりになっているとのことであります。今年度も140人の採用に対し391人に最終合格を出したとのことでございます。その背景には地元志向の強まりとともに、最も広い面積ゆえ、異動の際に大きな負担がかかるということから、市町村とてんびんにかけているという実態があるようでございます。
本県も北海道と同様に広大な県土を有し、同様の状況が想像できます。人手不足が進む中、中途採用者も含めた優秀な人材の奪い合いをしているのは岩手県も例外ではありません。これまでの職員採用の状況について伺います。また、今後、人材確保にどのように対応するのか、あわせて伺います。
〇佐藤総務部長 県職員の採用状況についてでありますが、人事委員会によりますと、平成28年度は、採用予定数200人に対して247人が合格、185人の採用となっていますが、合格者のうち辞退した者は56人で、その割合は22.7%となっています。
また、平成29年度は、2月1日現在でございますが、採用予定数208人に対して268人が合格、203人の採用が見込まれておりますが、合格者のうち辞退した者は65人で、その割合は24.3%となっております。
ここ数年、新規採用数の大幅な拡大を図っているところでありますが、県内及び県外の大学や学生父母会に出向きまして県職員の業務内容の説明を行っているほか、内定者を対象としたガイダンス、職場実習の取り組み等を通じまして、やりがいや魅力をアピールしているところです。
さらに、今年度に続きまして来年度におきましても職員の特別募集の実施を予定し、早期の採用に向けて、現在、人事委員会と協議を行っているところであり、これらの人材確保に向けた取り組みを継続しながら職員体制の充実に努めてまいります。
〇名須川晋委員 ちょっと前後しますが、組織体制ということで、文化スポーツ部創設1年の成果と課題についてお伺いいたします。
文化、スポーツ分野が知事部局に一元化されたことで施策に大きな変化が見られ、アール・ブリュットや障がい者スポーツ分野にも予算が割り当てられ、これまで日の当たらなかった分野に大きな変化が見られます。文化スポーツ部創設1年をどのように総括するのか伺います。また、今後の重点課題等についてもあわせて伺います。
〇千葉副知事 文化スポーツ部創設1年の成果と課題等でございますけれども、文化スポーツ部におきましては、岩手県文化・スポーツ振興戦略に基づく各種施策を着実に推進いたしますとともに、昨年6月に設置いたしました岩手県文化・スポーツ事業推進本部を中心に、観光施策、障がい者施策等と連携した部局横断的な取り組みも積極的に進めてきたところでございます。
まず、文化分野につきましては、世界遺産平泉の拡張登録に向けた取り組みを進めましたほか、部局横断的な取り組みとして、世界遺産を周遊するバスツアーへの支援なども行ったところでございます。岩手芸術祭の開催に合わせまして芸術体験イベントなども実施いたしましたほか、いわてアール・ブリュット巡回展を県内4カ所で開催し、障がい者の文化芸術活動に対する県民の理解を深めるとともに、障がいのある作家の創作意欲の醸成を図ったところでございます。
スポーツ分野におきましては、ラグビーワールドカップ2019釜石開催に向けた準備を進めますとともに、部局横断的な取り組みといたしましては、海外のメディアや旅行会社を招いた現地視察ツアーを実施したところでございます。また、県内トップスポーツチームと連携し、県内各地でスポーツ教室も実施いたしました。また、競技力向上にも取り組みまして、先ほど知事から一部答弁申し上げましたが、新たに障がい者トップアスリート13名を強化選手に指定し、遠征費等への支援を行い、3人の平昌パラリンピックへの出場が決まったところでございます。
さらに、いわてスポーツコミッションを設立いたしまして、スポーツクライミング第1回コンバインドジャパンカップや、クライミング・アジア選手権2020の誘致を実現したところでもございます。
来年度におきましては、新たに(仮称)スポーツ推進計画を策定することといたしまして、中期的な取り組み方向を定めることとしております。また、国の法改正を踏まえまして文化芸術振興基本条例を見直し、文化芸術施策と各政策分野における関連施策との連携などについて盛り込む検討を行う必要があるものと考えております。
先ほど、平成30年度の内容につきましては一部知事からも答弁申し上げましたが、本県ゆかりの作家によります講演会の開催、あるいはオリンピック等国際大会で表彰台を狙えるレベルの若手トップ選手や、オリンピックで活躍できる選手を育てることが期待される競技団体に対して重点的な支援を行う事業を平成30年度当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
引き続き、さまざまな形で文化、スポーツの推進を図っていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 次に、空港課の廃止と交通政策室の設置についてお伺いいたします。
平成30年度の知事部局行政組織改革において、文化スポーツ部にラグビーワールドカップ2019推進室を設置し、17人体制で推進するとのことです。政策地域部には(仮称)三陸防災復興博推進課を設置し、9人体制で推進、また、交通政策室を設置し、交通政策を総合的に企画、推進するために、県土整備部から移管する空港利用促進業務と鉄道及びバス等の地域公共交通業務を一体的に推進するとして、19人体制とされたとのことです。
空港課を廃止するということで、これからインバウンド誘致をさらに推し進めていこうという政策環境下で、岩手の空の玄関口である空港課を廃止し、空港という名前を消滅させるのは矛盾しているのではないかと思います。一連の空港整備が一通り終了したとはいえ、なかなか納得しがたい問題と考えます。
交通政策の中で空港活用を推進するというのは、対外的にも非常に弱いものを感じるものであります。空港課を廃止し交通政策室を設置した県の考え方について伺います。また、19人という体制の事務分掌の詳細についてもあわせて伺います。
〇藤田政策地域部長 空港課の廃止と交通政策室の設置についてでございますけれども、空港の活用につきましては、今後、台湾との国際チャーター便の増加や定期便化など航空路線の拡充を見据えまして、インバウンドを含む交流人口の拡大を図っていくことが重要と考えております。このため、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック、パラリンピックを契機に、新幹線の駅やいわて花巻空港などの本県へのゲートウエーと地域公共交通との連携の強化に取り組むため、交通に係る業務を一体的に推進することを目的としまして、交通政策室を設置することとしているところでございます。
交通政策室の体制といたしましては、新たに副部長級の室長を専任で配置することとしておりまして、その上で、空港利用促進に関しましては、総括課長級の空港振興課長に加えまして国際線誘致を担当する特命課長を新たに配置し、体制を強化することとしております。また、地域公共交通に関しましても、総括課長級の地域交通課長に加えまして公共交通再編業務に対応する特命課長を新たに配置し、体制を強化することとしております。
また、県土整備部におきましては、県土整備企画室に新たに総括課長級の空港管理課長を配置いたしまして、引き続き空港の整備や維持管理業務を所管することとしております。国際線誘致に伴う受け入れ態勢の整備などの面で、空港の利用促進について連携して取り組んでまいりたいと考えております。
組織名から空港という言葉はなくなりますけれども、本県初の国際定期便の就航に向けて大きく前進している今、このような体制強化を図ることによりまして、観光振興や国際戦略ビジョンに基づく取り組みとの連携を密にしながら、国際定期便の早期実現を含め、空港の利用促進と県内交通の利便性の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 組織強化ということかもしれませんが、私も若干インターネットで調べました。北海道は総合政策部航空局航空課、青森県は県土整備部港湾空港課、秋田県は建設部港湾空港課、宮城県は土木部空港臨空地域課、山形県は県土整備部空港港湾課、福島県は観光交流局空港交流課ということです。平成29年度の体制ですが、それぞれ空港というものがあるということでございまして、岩手県だけ、新年度は政策地域部交通政策室ということで、非常に弱いなと考えております。空港管理と空港振興は表裏一体ではないかと考えるものであります。
例えば6月22日に宮古-室蘭フェリーが開設されますが、その振興はどこになるのですか。交通政策室と港湾課のどちらでしょうか。
〇藤田政策地域部長 港湾課になります。
〇名須川晋委員 なぜでしょうか。
〇藤田政策地域部長 宮古-室蘭フェリーにつきましては、ことし6月の就航開始に向けまして、港湾整備と一体となった準備が進められておりますことから、今回の組織改編におきましては、空港との関係での一体化の検討というのは行われておりませんけれども、今後、二次交通の利便性の向上に向けまして連携を図って取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 連携を図るのであれば、県土整備部空港課でも従前と同じことかと思いますが、恨み節はここで終わりにいたします。
〇高橋元委員長 名須川委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
名須川委員、御了承願います。
午後0時1分 休 憩
午後1時3分再開
〇高橋元委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇名須川晋委員 午前に引き続きましてよろしくお願いいたします。
国内、国際のハブ空港としての羽田空港の役割は年々高まっております。こうした中での県の羽田便の再開への取り組み状況について伺います。
〇千葉副知事 羽田便再開の取り組みについてでございますけれども、県並びに岩手県空港利用促進協議会におきましては、毎年、上期と下期のダイヤ改正の時期に合わせまして航空会社に対して航空路線の維持拡充についての要望を行っておりまして、その中で羽田線の開設についても要望しているところでございます。
いわて花巻空港では、現在、1日12往復の定期便が運航されておりまして、利用者の利便性は向上してきておりますが、羽田線の開設につきましては、航空会社より、新幹線との競合あるいは羽田空港の発着枠の問題などから難しいという見解が示されているところでございます。
羽田線は、国内外とのアクセス向上あるいはインバウンド誘客の観点から重要な路線になると考えておりますので、羽田線の開設につきましては、今後とも引き続き要望を継続し、利便性の向上に努めていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 よろしくお願いします。
FDA就航都市若手経営者サミットについて伺います。
フジドリームエアラインでつながる就航都市、青森、花巻、山形、新潟、高知、北九州、福岡、熊本、出雲、名古屋の10都市の商工会議所青年部の所属する若手経営者が一堂に会し、地域の現状と将来について熱く語り、就航都市間の経済交流、観光連携などを推進するためのネットワークを構築するため、FDA社の重役を迎え、FDA就航都市若手経営者サミットを開催しております。第1回、第2回は愛知県春日井市で、第3回目のことしは山形県で、第4回目となるサミットが平成31年度、花巻市にて開催されます。ほかの民間レベルでもファンクラブが存在し、搭乗率アップ等、活性化に努められておりますが、こうした商工会議所青年部の自主的な活動を県として支援していくことも観光振興やFDAの運航拡大などを進めていく上で大切な視点と考えます。例えば、このサミットをいわて花巻空港スカイフェスタのイベントの一つとして開催することも考えられますが、所感を伺います。
〇岩間企画理事 FDA就航都市若手経営者サミットについてでございますけれども、県では、岩手県空港利用促進協議会を初めとして、県内各商工団体等と連携し、いわて花巻空港の利用促進に取り組んでまいりました。
若手経営者、後継者により構成される商工会議所青年部は、研修会の開催や部員の交流等によりまして日ごろから経営者としての資質向上に取り組まれ、本県の商工業の振興、中小企業の経営力向上に対して重要な役割を果たすとともに、各種イベントの展開など、その行動力を生かして地域の活性化にも貢献されておりまして、県といたしましても、商工会議所への助成等を通じてその活動を支援してきているところでございます。そうした中にありまして、FDAサミットの花巻開催はこれら活動の成果と認識しておりまして、ネットワークを形成して、空港の利用促進による交流拡大という意味におきましても意義のあるものと考えてございます。
FDAの空路を基盤とする本サミットは、空港、航空をテーマとしたいわて花巻空港スカイフェスタとの親和性も高いと考えられますことから、それぞれの開催時期等の調整もあろうとは思いますが、両イベントの連携につきましては前向きに検討させていただければと考えております。
〇名須川晋委員 海外事務所の活用について伺います。
本県と雲南省は平成25年11月13日に友好交流協力協定を締結し、協定に基づき、各種交流事業を実施されているところであります。こうした中で、本県と雲南省との円滑な連携、調整ができる体制を確立するため本年4月に雲南省に事務所を設置することとされましたが、改めて、岩手県雲南事務所の開設の目的と概要、今後の雲南省との交流について伺います。
〇岩間企画理事 岩手県雲南事務所の役割についてでございますが、雲南省と本県との交流は、平成25年の友好交流協力協定締結以降、農業や青少年交流など幅広い分野での連携、交流に拡大してきておりまして、今後一層の交流の深まりが見込まれるところであります。
岩手県雲南事務所は、東南アジア、南アジアへのゲートウエーとして成長著しい雲南省の地理的特性を踏まえまして、本県と雲南省との交流全般に係る連絡調整、相談対応や現地訪問時のアテンドなど、県内関係者への円滑な支援及び観光、文化の情報発信を担うことを目的として、ことし4月、雲南省昆明市に設置しようとするものであり、その体制は、所長及び所員の計2名を予定しております。
今後に向けましては、岩手県雲南事務所を窓口とし、青少年訪問団の相互派遣、中国-南アジア博覧会への出展、農業シンポジウムの開催などを通じた幅広い分野の交流をさらに進めていく考えでございます。
〇名須川晋委員 本県の海外事務所は、大連経済事務所、雲南事務所、ソウル事務所となるわけですが、これらの海外事務所のネットワークを活用して、上海、北京、広州、雲南、香港などへの海外戦略に相乗的な効果を発揮することが必要であると考えますが、県は海外事務所をどのように活用していくお考えか伺います。
〇岩間企画理事 海外事務所の活用についてでありますが、国際戦略ビジョンを進める上で海外事務所の活用は重要な視点でありまして、県としては、継続して高い経済成長が見込まれます東アジアにおいて、平成14年に設置したソウル事務所、及び平成17年に設置いたしました大連経済事務所を活動拠点として、県産品の販路拡大や観光誘客等に取り組んでいるところであります。
中国におきましては、大連を起点にして、上海、北京、広州等へと活動範囲を広げ、ネットワークを構築してきた中で、平成22年の上海万博を機に交流が始まりました雲南省とは地方政府間交流にとどまらない幅広い交流へと拡大してきたところであります。
こうしたことから、今般、ただいま申し上げたとおり新たに雲南事務所を設置し、今後さらに拡大が見込まれる交流に対応しようとするものであり、既に設置しております大連経済事務所との連携によりまして、成長が続く中国での販路拡大や観光誘客を一層強化していく考えであります。
また、ソウル事務所につきましては、平成29年4月から本県職員が所長に就任しておりますこともあり、これまでの活動を通じて培ってまいりました人的ネットワークを生かしながら、震災により落ち込みました観光客の誘致や、近年、取扱量が増加しております日本酒を中心とした県産品の販路の拡大に積極的に取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 よろしくお願いいたします。
農業振興についてお伺いいたします。
スマート農業の推進について、県では、スマート農業の本県への普及を図るため、昨年8月にいわてスマート農業推進研究会を設立したところであり、農業者、民間企業、研究者などが一体となった本研究会の取り組みによるスマート農業の普及が期待されるところです。本県のスマート農業を推進していくためのいわてスマート農業推進研究会の取り組み状況についてまずお伺いいたします。
〇千葉副知事 いわてスマート農業推進研究会の取り組みについてでございますけれども、県では、農作業の超省力化や飛躍的な生産性向上、軽労働化などの実現に向け、スマート農業を推進しているところでございます。急速に高性能化が進んでいます機械や設備は多機能かつ高額となっておりますことから、技術導入に当たりましては、必要性あるいは収益性を十分に検討する必要もございます。
このため、県におきましては、農業者のスマート農業への理解醸成や、本県の実情に即した技術開発などを進めるため、平成29年8月にいわてスマート農業推進研究会を設立いたしました。現在の会員数は、農業者、研究者、企業など約450名となっており、非常にスマート農業への関心が高まっているものと考えております。
この研究会におきましては、GPSやドローンなど八つの分科会を設けまして、メーリングリストやポータルサイトによる情報共有に取り組みますとともに、スマート園芸展等を開催するなど、農業者への理解促進に努めております。また、県内外の企業等66社の御協賛により、広く県民を対象といたしましたいわてスマート農業祭を開催し、約2万人の来場者が最新のスマート農業機械や技術を体験したところでもございます。
今後は、この研究会の活動を一層強化し、農業者の経営規模やニーズに即応した技術開発あるいは現地実証など、スマート農業の確立と早期普及に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
〇名須川晋委員 スマート農業のモデル実証の推進についてでございます。
花巻市で、RTK-GPSという最新の設備を取り入れまして、市内4カ所にそういうGPS機器を置きまして、情報通信技術を活用した農業経営支援に取り組んでいるところでございます。
そこで、各自治体あるいは広域振興局単位でこうしたモデル実証を進めていくべきと考えますが、県の御所見を伺います。過日の農林水産委員会でも問題にされたところでありますが、平場や中山間地あるいは県北、県南地域はスマート農業の活用の仕方も変わってくると思いますので、そうした意味でもそれぞれの地域の実情に応じたモデル実証を進めていくべきと考えますが、いかがでございましょうか。
〇千葉副知事 スマート農業のモデル実証の推進についてでございますけれども、現在、県内におきましては、委員から御紹介のございました花巻市の取り組みに加えまして、国の研究機関による二戸市でのロボット草刈り機、岩手大学による陸前高田市での次世代養液土耕システムなど、研究機関や大学、地方自治体等が県内各地でモデル実証に取り組んでいるところでございます。
県におきましては、農業研究センターが一関市等で施設野菜の単収を飛躍的に向上させる高度環境制御システムのモデル実証に取り組んでおりますほか、各地域で取り組まれたモデル実証の成果を、いわてスマート農業推進研究会やポータルサイトを通じて農業者や企業などに幅広く提供しております。
今後におきましては、こうした取り組みに加えまして、さらには、御指摘にもございましたが、県内各地、その地域に応じた対応も十分視野に入れながら、農業者の経営規模やニーズに即した技術開発、現地実証等を進めまして、農業者、行政、研究者、関係機関が一丸となってスマート農業の普及を図っていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 次に、GAPについて、県のこれまでの取り組み状況と、今後のGAPの取り組み拡大や認証取得をどのように進めていくのか伺います。
また、農業大学校でも教育に取り入れるべきと考えますが、県の御所見を伺います。
〇千葉副知事 いわゆるGAPの推進についてでございますけれども、GAPは、みずからの農業生産活動を正確に実施、記録、点検及び評価することにより、経営改善を図っていく取り組みでございます。これによりまして、食品の安全や品質等が確保され、消費者からの信頼がより高まるものと考えております。
県におきましては、これまで農業普及員をGAP指導者として71名養成するとともに、費用負担なしに県版GAPの登録ができる制度の創設、認証GAP取得のためのコンサルタント派遣など、GAPの普及拡大に向けた取り組みを推進しているところでございます。その結果、昨年9月には全国初となります県版GAPの登録が行われ、これに続く動きが県内各地で見られておりますほか、輸出にも対応できる国際水準GAPの登録を目指す農業者もふえてきております。
今後は、こうした取り組みを進めますとともに、今、委員からお話がございましたが、農業大学校のカリキュラムにGAP教育を加えるなど、GAPのより一層の普及、定着を図ってまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 関連して、岩手県版GAPを進めようとされておりますが、数値目標については設定されているのでしょうか。まずはGAPを取得するベースとなるのがこの岩手県版だと思いますけれども、ぜひとも普及のための数値目標を設定するべきと考えますが、いかがでございましょうか。
それと、農業大学校ではGAPは取得しているのか。青森県の五所川原農林高校ではリンゴと米でグローバルGAPを取得しておりますが、県内の農業高校についてもGAPの取得について取り組むべきではないかと考えますが、この点についても伺います。
〇千葉副知事 まず、岩手県版GAPの目標設定についてでございますけれども、県では、より多くの農業者にこのGAPに取り組んでもらうことを目標に活動しておりまして、現時点ではまだ岩手県版GAPの確認登録あるいは認証GAPについての数値目標は設定していないところでございます。
農業大学校につきましては、現時点ではGAP認証を取得しておりませんが、教員がGAP研修を受講するなど、認証を目指した取り組みを進めております。また、先ほどの繰り返しになりますが、平成30年度からカリキュラムにGAP教育を加え、次世代担い手に対する実践力を養いたいと考えております。
最後に、県内の農業高校についての状況でございますが、現時点でGAP認証を取得している高校はございませんが、今、委員からも御紹介がございましたが、現在、他県の認証取得校へ教員を派遣し調査を行っておりますほか、教員に対する研修を開催するなど、GAP教育の開始を検討している状況でございます。
〇名須川晋委員 日本穀物検定協会が2月28日に発表した2017年産米の食味ランキングにおいて、本県が全国に誇る高級米として誕生した水稲オリジナル品種の金色の風、銀河のしずく、また、県南ひとめぼれがAと評価されました。昨年は低温、日照不足であったとはいえこのような評価は全く予想しておらず、私たちも、そして最も生産者の方々が大変残念に感じているものと思います。
原因は何だと考えられているのでしょうか。2年連続の事態はあり得ず、どう改善していくのか、いわてオリジナル品種ブランド化戦略実践本部の本部長である知事に伺います。特に、来年度はオリジナル品種の作付面積が増加しますが、過大な計画とならないか、細やかに目の行き届く生産が行えるのか伺います。
〇達増知事 食味ランキングを実施している日本穀物検定協会は今回の評価の理由について明らかにしていませんが、お米に対する深い見識を持つお米マイスターなどからは高い評価をいただいており、今回の食味ランキングは、評価の一つと認識しております。
平成30年産米の生産に向けては、金色の風、銀河のしずくについては、県及び地域に設置している栽培研究会の活動を強化して、ひとめぼれ等については、県の栽培管理指導方針に基づいて各JAが行う食味向上の取り組みを支援しますとともに、新たに、リモートセンシング技術の活用等による品質管理体制の構築や、高精度食味分析器を活用したたんぱく質含有率などの分析、栽培管理へのフィードバックなど、高品質、良食味米の安定生産に向けて指導を強化してまいります。
金色の風、銀河のしずくの作付面積については、生産を担うJA等からの要望や、流通を担う米卸売業者等の意見も踏まえて設定したものでありまして、関係機関、団体が一丸となって、全国最高水準の品質と食味の実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
子育て環境の充実について、代表質問でも話題になりましたが、いわて子育てにやさしい企業等の認証状況について、従来のインセンティブでは、対象となる企業が少なく、企業にとって公平でない部分もあり、これらの優遇制度を見直し、さらなる取得企業数の増加に向けて新たに制度の周知と拡充が必要ではないかと考えますが、県の御所見を伺います。
〇千葉副知事 いわて子育てにやさしい企業等の認証状況についてでございますけれども、公益財団法人いきいき岩手支援財団が実施しております子育てにやさしい職場環境づくり助成金につきましては、昨年7月から、いわて子育てにやさしい企業等認証を受けた場合、最大30万円まで助成できるよう制度の見直しを行ったところでございます。
認証企業数につきましては、制度見直し前の昨年6月末時点では43社でございましたが、優遇措置を拡充いたしました7月以降は20社増加し、現時点で63社となっているところでございます。
また、7月以降に認証した企業のうち12社が助成金の交付を受けておりますことから、委員御指摘のとおり、優遇措置の拡充が認証企業の増加に一定の効果があったものと考えておりまして、今後さらに拡充していく必要があると考えております。
このため、来年度は、これまでの取り組みに加えまして、民間金融機関と連携した優遇措置の実施に向けた検討を進めておりますほか、新たに配置を予定しております女性活躍に関する働きかけや助言を行います、女性活躍推進員などと連携し周知を図るなど、認証企業の拡大に向け取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 もっと言いたいところがありますが、時間がないので、次にまいります。
県庁内保育施設についてのワーキンググループを発展させた、副部長級の職員から成る検討委員会で検討が進められているものと思いますが、状況を伺います。
〇佐藤総務部長 平成28年度からワーキンググループを設置して検討を進めてまいりました。また、庁内保育施設に関する職員ニーズの調査も実施してきたところでございます。その結果、約7割から庁内保育施設が必要との回答がございました。また、この調査では、県庁または盛岡合庁に設置した場合は、乳幼児がいる、または出産を予定している247世帯のうち約3割の84世帯が預けると回答しております。また、この預けると回答した84世帯のうち45世帯は、県庁、盛岡合庁への通勤時間が片道30分以内に居住しているということで、一定のニーズがあると捉えております。
今年度は副部長級の職員で構成する検討委員会を設置しておりまして、また、若手職員からも意見を聞くなどして庁内保育施設のあり方等について検討を進めているところでございますし、あわせて、庁内に保育施設を設置している他都県を訪問調査しております。引き続き、調査結果等、あるいは他県の調査等も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 前向きにひとつよろしくお願いいたします。
最後、動物愛護についてですが、最新の犬、猫等の殺処分数とその割合についてのデータ。そして、殺処分ゼロに向けての本県での一層の取り組みが必要であると思いますが、その対応について伺います。
あわせて、動物愛護センターの早期整備を大いに期待するものでありますが、検討状況について伺います。
〇千葉副知事 まず、殺処分ゼロに向けた取り組みについてでございますが、平成28年度の犬の保護数は317頭でございまして、そのうち45頭、14%が殺処分となっております。また、猫の保護数は828頭であり、所有者不明のいわゆる捨て猫が多いことから、426頭、51%が殺処分となっております。平成26年3月に策定いたしました第2次岩手県動物愛護管理推進計画の基準年である平成24年度に比べますと、殺処分数は、犬では84%、猫では78%それぞれ減少してきております。
殺処分ゼロに向けた取り組みにつきましては、これまで、保健所等において、飼い主に対し終生の飼養及び適切な繁殖制限措置の実施を指導してきたところであります。また、犬、猫が迷子とならないよう、鑑札、名札、マイクロチップ等の装着の呼びかけや、保護中の動物の県ホームページへの掲載などにより、飼い主への返還率は向上してきているところでございます。
さらに、飼い主がいない犬、猫につきましては、新しい飼い主への譲渡を推進するため、動物愛護団体等と連携し、譲渡希望者の登録や県ホームページでの情報提供を行う譲渡事業も実施しているところでございます。
平成30年度におきましては、これまでの取り組みに加えまして、一般県民に対する動物愛護思想や適正飼養への関心と理解をより深める観点から、新たに動物愛護を考えるシンポジウムやポスターコンクールを行うこととしており、開催経費等を当初予算案に盛り込んだところでございまして、引き続き、今後とも人と動物が共生する社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
次に、動物愛護センターの整備についてでございますけれども、県では、今申し上げました第2次岩手県動物愛護管理推進計画を策定し、県民の動物愛護思想の高揚、動物の所有者による適正飼養の推進、譲渡等による生存機会の拡大などを通じまして人と動物が共生する社会の実現に向けた取り組みを進めております。特に、東日本大震災津波以降、災害時の動物救護や一時預かりの取り組みが県民にも周知され、また、民間における譲渡会の開催等により譲渡数も伸びていることなど、動物愛護に関する県民の関心が高まってきておりまして、動物愛護施策の推進が重要と考えております。
このような状況を踏まえまして、動物愛護の教育や普及啓発の拠点施設となる動物愛護センターの設置について検討を進めることとし、昨年、学識経験者や動物愛護団体などで構成する岩手県動物愛護推進協議会においてセンターのあり方について御検討いただき、11月には提言書が県に提出されたところでございます。
この提言書におきましては、動物愛護センターを設置することが必要であること、担うべき機能としては、動物愛護思想の普及、適正飼育及び飼い主のいない猫対策の推進、生存の機会の拡大、人獣共通感染症対策・調査研究及び災害発生時の動物救護の五つの機能を備えることが望ましいこと、設置に当たっては盛岡市との共同設置が望ましいことなどの提言がございました。
この提言書を踏まえまして、昨年11月に県におきまして動物愛護センターの設置検討について盛岡市に申し入れをし、昨年12月には双方の担当部長から成ります動物愛護センター整備検討委員会が設置されたところでございまして、現在、盛岡市と共同でセンターを設置する方向で検討を進めております。
〇名須川晋委員 私の分の質疑は終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
〇高橋元委員長 次に、伊藤勢至委員。
〔伊藤勢至委員質問者席に着く〕
〇伊藤勢至委員 改革岩手の伊藤勢至です。
名須川委員の残余の時間をいただいて質問いたします。
高橋委員長にお願いがあります。本県の主要魚種である秋サケについての質問を予定しておりますが、その資料を当委員会の皆様に配付したい旨、委員長に申し入れいたしておりましたが、お認めいただけましたら、今、配付をお願いしたいのでありますが、いかがでしょうか。〔参照〕
配布資料
〇高橋元委員長 ただいま伊藤委員から質疑に関する資料の配付について申し出がありましたので、当職においてこれを認めることとし、事務局をして配付させますので、御了承願います。
〔資料配付〕
〇伊藤勢至委員 それでは、最初に、国道340号宮古-岩泉間の整備について、確認の意味も含めて質問いたします。
去る2月22日の郷右近議員の代表質問に対して、国道340号について知事から力強い前向きな答弁をいただきましたが、これは、未改良として残っているこの区間を押角峠工区と同じ2車線の規格でルートや構造、優先区間の検討など必要な調査を進めるものと受け取っていいのでしょうか。
国道340号の立丸峠においては、県北・沿岸の長年の悲願でありました2本のトンネルが完成することとなり、花巻空港-宮古市間が約20分短縮され、さらに大型観光バスの通行が可能となります。こうした道路整備の流れに沿って押角トンネル前後の区間の整備も推進し、岩泉町から普代村の間にほぼ完成しているしもへいグリーンロードにつなげることにより北部三陸復興国立公園をめぐる新たな観光ルートが確立でき、国内外からの観光客の誘客が促進されるものでありますので、県北・沿岸振興本部長である副知事に改めてお伺いいたします。
〇千葉副知事 国道340号宮古-岩泉間の整備についてでございますが、国道340号は、沿線地域の安全・安心な暮らしを支えるとともに、三陸ジオパークや豊富な食材など地域資源を活用した産業振興、整備が進む復興道路や本年6月に就航いたします宮古-室蘭フェリー定期航路と一体となった広域観光の推進等、県北・沿岸圏域の振興を支える重要な基幹道路の一つと認識しております。
このうち、宮古-岩泉間につきましては、御案内のとおり、JR岩泉線廃止に伴う代替路線でございます。今月末貫通予定の押角トンネルを含む押角峠工区は2020年度の開通を目指しておりますが、その前後区間が未改良となっており、昨年11月には、沿線住民の方々約1、000人が参加して整備促進のための決起大会が開催されたことも承知しております。
この前後区間を押角峠工区と同様の規格である2車線でつなげていくことが防災や救急医療、物流等の面において、また、委員からお話ございましたが、広域観光の面においてネットワークとしての効果を発揮することから、整備が必要な区間と強く認識しておりまして、事業化を見据えながら、ルートや構造、優先区間の検討など必要な調査を進めてまいります。
〇伊藤勢至委員 次に、本県のサケの漁獲量の回復に向けた取り組みについて伺います。
東日本大震災津波により漁業施設は甚大な被害を受けましたが、そこは浜っ子の心意気で、もとどおり以上に復旧するぞ、サケさえとれれば何ぼ借り入れしてもすぐに返してみせるとの思いで復旧に取り組んできました。しかし、残念ながら、今のところスルメイカ、サンマ、サケが不漁でありまして、加工から流通まで含めて、水産業界全体に影響を及ぼしております。
そういう中で、本県の郷土紙として冠たる新聞にサケの乱という記事が掲載されました。この豊かな情報収集力と分析力に敬意を表するものであります。
ただ、私は素人でありますが、欠けている視点があるのではないかと思いました。それは、海の食物連鎖の頂点に位置する鯨についての考察がないことであります。かつて日本は、古くから鯨とともにあったと言っても過言ではありませんが、1988年-昭和63年4月以降、商業捕鯨が停止となり、細々と調査捕鯨を行っている状態です。このことによって鯨の頭数が相当ふえているのではないかと考えられます。
皆様に配付いたしましたカラーの資料をごらんください。平成14年に山口県下関市でIWC-国際捕鯨委員会の総会が開催され、私も傍聴してまいりましたが、そのときの報告では、鯨は相当数ふえているという科学的情報があり、当時実施していた鯨類捕獲調査では、捕獲した鯨の胃袋からカタクチイワシ、スルメイカ、サンマ、スケトウダラなどがびっしり出てきた状況が写真に残っております。私は、このころからサケの稚魚も多くは鯨に捕食されているのではないかと考えており、これも不漁の原因ではないかと思っております。
この写真についてでありますが、私が当時関係者からいただいた写真はもうちょっと判が大きかったものでありますが、胃袋に焦点を当てたいために私がカットしたもので、こういう状況になりました。一番上の写真の黒っぽいのが二つ見えますが、これが甲板に引き上げた際の調査員の足であります。そして、一番下の写真でありますが、この左手に何やら黒っぽいのが写っておりますが、これが手袋をかけた人間の手であります。そういうところとこの大きさを比較していただければいいと思います。
一口に鯨と申しましても、最大の鯨シロナガスクジラは体長が25メートルから30メートル、体重が100トンから150トン、そしてニタリクジラ、ミンククジラは一番小さいほうに分類されておりまして、体長が10メートル弱、体重が5トンから8トン、こういう中に入っているわけであります。そういうミンククジラ、ニタリクジラが生息する海域を一緒にめぐっているのがスルメイカであったりサンマであったりしているわけでありまして、回遊してくるサケも同じコースを通っているわけであります。したがいまして、鯨にサケが絶対に食われているという証拠もないのですが、食われていないという証拠もないと思います。サケは金をかけて増殖しているもので、鯨に捕食されているとすれば大変な損害であり、種苗放流後はその生存を海洋環境に委ねるということでは、サケの回帰率の回復は難しいのではないかと思います。
そこで、鯨の捕食についての調査研究を行い、サケ資源の回復に係る対策を講じるべきと考えますが、県としてはどのようにお考えでしょうか。
〇千葉副知事 鯨によるサケの捕食の可能性についてでございますが、本年度の本県サケの漁獲量は震災以前に比べ約3割となっておりまして、漁獲不振の原因は、ふ化場の被災により、稚魚の放流数が少なかったことから、回帰主群の4年魚、5年魚の漁獲数が減少したほか、全国的にも漁獲量の減少が見られたことから、広く北洋海域で稚魚が減少した可能性が考えられるところでございます。
国におきましては平成6年から北西太平洋海域での鯨類捕獲調査を行っておりまして、今、委員から御紹介もございましたが、鯨がオキアミ類、カタクチイワシ、サンマ、サバ、スケトウダラ、スルメイカ等を餌にしていることは明らかになっておりますが、現時点においてサケを捕食している事実は確認されていないと伺っているところでございます。
この調査は、サケの回遊経路となっております北洋海域全域を対象とされておりませんので、鯨による捕食につきましてはいまだ解明されていない部分が多いことから、より広い海域での調査が必要だと認識しております。
一方、北洋海域は、他国の管理海域で相手国との入域調整を要することや、荒天に耐え得る大型の調査船が必要でありますことから、県による調査はなかなか難しいものがあると考えております。鯨による捕食の実態調査の実施につきましては国のほうにぜひお願いしたいと考えておりまして、要望をさせていただきたいと思っております。
県におきましては、サケ資源の回復に向けまして、県でできる限りの取り組みは進めていきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 ただいま説明をいたしましたカラーの資料の裏に当時提出いたしました意見書を載せておりますが、今、国会議員団の中に商業捕鯨を再開させようという動きもあるようでありますので、今、こういう意見書を国に上げることも有効だと考えているところであります。
最後に、今後の県政運営について伺います。
我々岩手県人は、これまでの歴史の中で、中央に対して5連敗だとおっしゃる方々がおります。アテルイが坂上田村麻呂に敗れ、安倍一族が源頼義に滅ぼされ、藤原三代が源頼朝に滅ぼされ、豊臣秀吉に九戸政実が敗れ、さらに戊辰戦争では賊軍の汚名まで着せられて敗れ、東北岩手は5連敗ということであります。
しかし、今、本県は、ラグビーワールドカップ2019釜石開催の誘致に成功し、さらに、ことしは東北全体の先頭に立ち、国際プロジェクトILCの誘致をかち取ることにより、2連勝できるところに来ました。さらに3勝目を目指し、県では、次の10年の岩手県政の道しるべとなる次期総合計画の策定に着手したところであります。達増知事には、岩手県の歴史を5勝5敗、もしくは6勝5敗としていただくまで県政のかじ取りを担っていただきたいと思いますが、知事の考えをお伺いして終わります。
〇達増知事 委員から御紹介があった先人たちは、岩手に暮らす人々の命と自由と幸福を守るために戦ったものであり、戦争が紛争の決着をつける時代であったがゆえに、衆寡敵せず、兵力の差によって敗れたものと理解しておりまして、戦争によらずに平和的に問題を解決する民主主義の時代であれば敗れることはなかったのではないかと考えております。岩手にはそれだけの志と力があり、今は曲がりなりにも民主主義の時代でありますので、岩手県民がその力を結集すれば、さまざまな勝利を重ねていくことができると信じます。
現在、県では、次期総合計画の策定を進めているところでありますが、次の10年の間に、県民の生命、自由、幸福を守るという意味で、多くの勝利を重ねることができるような計画をつくり上げたいと考えております。そのためにも、次期総合計画は、県民の、県民による、県民のための計画であるべきと考えておりまして、オール岩手での計画づくりに全力を挙げる覚悟であり、その計画が力強く実行に移されるよう努めてまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 終わります。(拍手)
〇高橋元委員長 次に、高橋孝眞委員。
〔高橋孝眞委員質問者席に着く〕
〇高橋孝眞委員 自由民主クラブの高橋孝眞です。
会派を代表し、平成30年度当初予算について順次質問をいたしてまいります。
東日本大震災津波からの復旧や復興に当たる震災対応事業は、前年度比194億円の減、平成29年度当初予算においても前年度比962億円の減と、2年で1、000億円を超える減額となりました。県内経済は、復興需要の増もありこれまで成長を続けてきましたが、復興事業の進捗につれ、今後も大幅な予算減額が見込まれます。知事は、地方創生の実現には国による地方重視の経済財政政策の実施が必要であると常々説いておりますが、復興需要の反動が来る岩手県においては、他県にも増して経済を活性化する予算編成が一層必要と考えます。
震災対応の減少も踏まえ、知事は平成30年度当初予算をどのように編成したのか、まずはお伺いいたします。
〇達増知事 平成30年度当初予算は、次期総合計画の策定も見据え、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧、復興を最優先に、ふるさと振興総合戦略を強力に推進する予算として編成したものであります。
通常分の予算は、商工業、農林水産業の振興や企業誘致による地域経済の活性化に向けた取り組み、出産、子育て支援、ふるさとの未来を担う人材育成や若者の地元定着の取り組みなど、それぞれ必要な分野に必要な施策を盛り込んだところであります。また、震災対応分のハード事業については復旧、復興の進捗に伴い減少となりましたが、通常分の公共事業費では前年度を13.5%上回る574億円を確保しました。これに加え、さきに議決いただきました平成29年度岩手県一般会計補正予算(第6号)においても、国の補正予算を活用し276億円の公共事業費等を措置したところであり、当初予算のソフト、ハード事業とあわせ、一体的に県内経済の活性化を推進していく考えであります。
〇高橋孝眞委員 次に、県の公共事業は、県民生活の基盤を支えるとともに、地域経済の下支えとして重要な役割を担っております。平成30年度当初予算における県の公共事業は、震災対応事業が1、147億円と、通常分の事業の約2倍の額が措置されている状況です。今後、震災需要が一段落することは明らかであり、また、一日も早い復興をなし遂げるため、復興事業は早々に縮小していくことが望ましいことは言うまでもありませんが、地域の建設業者はその大きな変動に強い影響を受けてしまうことも懸念されます。建設業者は、今年度の大雪などを見ても除雪の実動部隊として地域に欠かせない存在であり、公共事業の担い手として、今後も社会基盤の整備を担っていくものと考えます。
そこで伺いますが、県として、これからの建設業者に期待すること、また、震災需要の縮小を踏まえ、今後の公共事業のあり方をどのように考えているのか伺います。
〇達増知事 地域の建設業は、社会資本の整備や維持管理の担い手であり、また、災害等の緊急時に即応できる必要不可欠な存在でもあり、地域に欠かせない重要な役割を担っていく産業であると認識しております。
平成30年度には次期建設業振興プランを策定することとしており、復興の先を見据え、建設企業の経営改善や人材育成への支援策など、公共事業の担い手である建設業の振興施策を盛り込んでいきたいと考えております。
また、県内の公共事業予算は、復興事業の進捗に伴って減少していくものと見込まれますが、安全、安心な暮らしを守り、地域の産業振興に資する社会資本の整備やその維持管理など、県民の幸福を下支えするため、地域の建設業の果たす役割は引き続き非常に大きいものと認識しております。このことから、今後の公共事業については、大震災前の事業規模も参考にしながら、国土強靭化や社会資本の適切な維持管理等の観点を踏まえ、総合的に検討してまいります。
〇高橋孝眞委員 よろしくお願いしたいと思います。
次に、県職員の確保について伺います。
名須川委員から先ほど質問もありましたけれども、昨年4月1日現在の県職員の状況は、定数4、371人に対し、欠員数は123人でした。年度中の特別募集の実施なども行っているようですが、今年2月時点の欠員数もいまだ121人と、100人規模で必要な人員が足りていないという状況が続いています。県はこうした事態をどのように認識しているのでしょうか。現在、幸福をキーワードに次期総合計画策定に向けた議論が行われていますが、計画を策定しても、それを実行する人員がいなければ計画は絵に描いた餅に終わってしまいます。
直近、平成29年12月時点の県内有効求人倍率は1.45倍、12月の新規求人倍率は2.07倍と圧倒的な売り手市場の中、かつて安定を理由に人気職であったと思われる県職員も、昨年の職員採用では1種から3種合わせて試験合格者の採用辞退率が22.7%となるなど、新採用職員の確保も厳しくなっている状況です。次期総合計画を実効性のあるものとするためにも県職員の確保は必須と考えますが、県はどのようにして職員確保を図っていくのかお示し願います。
〇佐藤総務部長 ことし2月1日現在の欠員数は委員御指摘のとおり121人となっておりますが、昨年度までと比較しますと一定程度の減少が進んでおりまして、来年度も減少を見込んでいるところでございます。引き続き人員の確保策に取り組んでいくことが重要であると認識しております。
具体的な職員の確保に向けては、先ほど名須川委員にも御答弁申し上げましたが、新規職員採用数の大幅な拡大、それから任期付職員や再任用職員の採用、都道府県等からの応援職員の受け入れ、任期付職員経験者の任期の定めのない職員への採用を進めてまいりたいと考えております。また、今年度に続きまして、来年度におきましても職員の特別募集の実施を予定しております。早期の採用に向けて、現在、人事委員会と協議を行っているところでございます。こういった取り組みを進めまして、職員体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 それでは、知事としてはこの欠員状態をどう認識しておられるかお伺いします。
また、岩手県ふるさと振興総合戦略など県民計画に影響が出ないのか、平成30年度の事業執行にも問題がないのか。もし問題があるとすれば、どのような点に問題があるのかについてお聞かせ願えればと思います。
〇達増知事 数字等の実態については、今、総務部長から答弁があったとおりでありますけれども、やはり欠員があるのはよくない状態でありますので、欠員解消の方向に向かって努めてまいりたいと思います。
現在、日本全体が人手不足時代の中、岩手において民間の分野で人がどんどん雇われて活躍していくのは好ましいことでありますから、そういう形で岩手の民間力が高まっていく傾向があるとすれば、次期総合計画の中にはそれを前提とした方向での計画づくりが行われていくと思いますけれども、本会議一般質問での総務部長答弁にもありましたように、国家公務員や市町村公務員との兼ね合いで県のほうの辞退が出ているところもありますので、その辺は、県としての職場の魅力を改めてアピールしながら、そしてまた、働きがいのあるような次期総合計画をつくってまいりたいと思います。
事業執行に対する影響でございますけれども、先ほど総務部長答弁にあったように、やはり今後におきましても人員の確保は重要でございまして、採用試験受験者の確保、強化に努めてまいりたいと思います。
〇高橋孝眞委員 事業執行に影響が出ているのかどうかについて聞いたのですけれども、はっきり影響が出ているかどうかわからないような言い方ですが、先日、商工文教委員会で職員の欠員状況について質問いたしました。文化スポーツ部の欠員は年間を通して1名、商工労働観光部の欠員は年度当初4名で、現在4名の欠員との回答をいただいたところであります。そのような欠員の状況でも時間外勤務が増加したわけでもなく、どちらも事業執行に問題がなかったとの回答でございました。職員の人員配置の見直しを行ってもよいのではないかと思うわけでありますし、もしそうなのだとすれば全体定数の見直しも行っていいのではないかと思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇佐藤総務部長 数字的なところをまず御答弁させていただきますが、先ほど、ことし2月1日現在の欠員の状況を121名とお話ししました。そして、今、委員から文化スポーツ部、商工労働観光部のお話がございましたが、全庁的な状況を見ますと、総務部として数値を把握しておりますが、121人のうち県土整備部が34人、農林水産部が30人、しかも本庁と出先で見ますと、出先の数が多くなっております。そういった意味で、事業の執行等に影響が出ないかというお尋ねがございましたが、こういった定数等における欠員数は、やはり依然として発生しているということもございます。
あと、この内訳の技術者と事務のバランス等を見ますと、事務系が70人ほど、技術系が50人程度というような状況がございます。そういった意味で、先ほど申し上げましたとおり人員確保については重要であると認識しておりまして、欠員の解消に向けましていろいろな手だてを講じてまいります。引き続き、今年度に続き来年度も特別募集を行うというようなことで欠員の数を極力少なくしてまいりたいと思いますし、事業執行の面でおくれのないように、いろいろ措置をしてまいりたいと思います。
また、年度途中に新たな行政需要が発生した場合には、直ちに措置をしております。例えば東芝対応でも増員を図るなど、そういった対応もしております。そういった意味で、臨機応変といいますか、弾力的に対応しながら県の施策推進に必要な体制構築に努めているところでございます。
〇高橋孝眞委員 職員確保は本当に大事なことであると思います。辞退者の傾向を見ますと、辞退率が平均22.7%と言いましたけれども、採用職種では、平成29年度は1種で15.8%、2種で34.3%、3種が33%となっています。平成28年度もほぼ同じような傾向でございまして、辞退の理由等については、先ほど言われましたとおり、転勤等の関係で嫌われるというようなお話もそのとおり伺っておりますが、辞退率の多い2種、3種は広域振興局管内での勤務とするとか、地域限定での職員を採用することも私は検討に値するのではないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
〇佐藤総務部長 辞退率のお話がございました。平成28年度の状況、今、委員御指摘のとおり22.7%となっておりますし、平成29年度もそれを若干上回る数字となっております。知事部局採用予定者の状況、いわゆる辞退者のところを分析しますと、他の公務員になるということでの辞退が7割から9割近くとなっており、これが実態でございます。
今、御指摘いただいた2種、3種の採用状況を見ますと、2種、3種の辞退率が30%を超える水準ということもございます。そういった内容等も分析しておりますので、その対応等については引き続き調査研究してまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 ぜひ検討していったほうがよろしいのではないかと思います。
次に、第1次産業の振興について伺います。
知事は、次期総合計画の県民フォーラムで、東京大学の小宮山元総長が提唱するプラチナ社会構想について紹介し、その前提として、自然との共生のもとで住民が稼いで食べることができることが大切であり、基本は第1次産業にあるという趣旨に賛同されておりました。また、林業、再生可能エネルギーに力を入れるべきとの言葉も引用され、自給自足できる社会の構築が幸福につながるとも紹介されておりました。基本は第1次産業にあるというプラチナ社会構想について紹介し、この構想を計画に丸ごと取り込んでもいいと知事が引用されたことは、農林水産業に携わる者として非常に心強いものであったと思うわけですが、こうした知事の思いは、平成30年度当初予算案にどのように反映されたのかお伺いいたします。
〇達増知事 第1次産業の振興について、平成30年度当初予算案への反映についてでありますが、復興計画に基づく漁業と流通、加工業の一体的な再生や、県民計画に基づく地域の核となる経営体の確保、育成、地域特性を生かした生産性、市場性の高い産地づくり、高付加価値化などを柱とし、農林漁業者の収益アップと農山漁村の活性化に向けた取り組みを進めようということで、平成30年度当初予算案におきましては、こうした取り組みに加えて、新たに、国の米政策の見直しに対応した水田等での高収益野菜の作付拡大、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会の関連施設における県産材の利用を契機とした需要拡大、漁業の中核となる担い手を育成する(仮称)いわて水産アカデミーの開講準備など、地域の特色や強みを生かした収益性の高い本県農林水産業の実現に向け、将来を見据えた施策を積極的に盛り込んだところであります。
〇高橋孝眞委員 知事がフォーラムで述べられたように、農業は、住民が地域で稼ぎ、生活できる産業であります。これからの地域社会を維持していく上で不可欠な産業でもあると考えております。そのためにも、農業を稼げる産業にすることが重要であり、全方位に中程度に取り組むのではなく、戦略的に注力すべき分野に重点投資をしていくことが必要と考えます。県は、農業分野においてどのように所得向上を図っていくのかお伺いいたします。
〇達増知事 県では、農業の持続的な発展に向け、これまで、第3期アクションプランに基づきながら、地域農業の核となる担い手の育成に加えて、生産基盤の強化や6次産業化などに取り組んでまいりました。その結果、平成27年の農林業センサスでは、販売額3、000万円以上の経営体が827となり、10年前に比べて47経営体増加しています。
今後、さらなる農家所得の向上に向けては、金色の風、銀河のしずく、冬恋を初めとする県オリジナル農産物のブランド確立に加え、需要拡大が見込まれる加工、業務用野菜や肉用牛の生産体制の強化などが必要であります。
このため、平成30年度当初予算案に新たに、水田等において高収益な野菜の作付を拡大するいわて型野菜トップモデル産地創造事業、ゲノム解析により産肉能力の高い牛を早期に選別するいわて牛産地育成革新技術導入事業などの園芸、畜産振興の強化策を盛り込んだところでありまして、こうした施策を関係機関、団体が一体となって推進し、農業者が意欲と希望を持てる農業の実現に取り組んでまいりたいと思います。
〇高橋孝眞委員 今、いろいろな作物といいますか、品目を話されているわけでありますけれども、私は、重点投資が必要ではないかと思うわけであります。青森県はリンゴ、秋田県は枝豆というように、代表品種を育ててきております。本県も、農業研究センター等の持つ財産と知恵を生かして集中的に投資して、岩手県と言えばこうだというものを育てていくべきではないかと私は思いますが、具体的に何を稼ぐ力といいますか、育てていこうとしているのか、どの品目を取り上げようとしているのかについて再度お伺いしたいと思います。
〇達増知事 県では、これまで、岩手の多彩な気象や変化に富んだ地形などを生かした地域の創意工夫を凝らした取り組みを尊重し、米、畜産、園芸のバランスのとれた産地づくりを推進してきたところであります。
この結果、まず、米については、金色の風、銀河のしずくがデビューし、実需者、消費者からも高い評価を得ることができておりますので、今後は、この2品種を核に県産米全体の評価向上を図っていきたいと考えておりますし、畜産につきましても、東京食肉市場において高い評価をいわて牛が得ていますので、このいわて牛に加え岩手短角牛や、また酪農においても生産拡大を図ってまいりたいと考えております。
さらにまた、園芸につきましても、今後、タマネギやキャベツなどの需要拡大も見込まれ、加工、業務用野菜の生産強化を図ることで生産者の所得向上を図ることが期待できますので、こうした取り組みも進めてまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 畜産についてはまた後で話をすることにして、先ほど、いわて型野菜トップモデル産地創造事業の取り組みをするという意味合いについてもお話がございましたけれども、この事業そのものにつきましては、集落営農組織として取り組みを進めていくというような部分も見られるわけであります。現在の集落営農組織は水田主体の営農形態でありまして、春から秋にかけての作業はあるわけですけれども、冬の作業というものがないわけでありまして、私は、その冬の作物を育てていかなければいけないのではないか。年間就労できるような仕組みをつくっていかないと、年間を通した収益の向上というのはあり得ないのではないかと私は思うわけであります。
そのような意味合いからすると、先ほど言ったように、キャベツなりジャガイモなりタマネギが、本当に二、三年後に代表選手と言えるのかどうかと思うわけですけれども、代表選手にこれらを育てていくということなのでしょうか。
〇達増知事 園芸につきましては、今、思い出すままに申し上げますけれども、キャベツやレタスとか寒締めホウレンソウでありますとか、その地域に合ったものを、地域の生産者の方々が工夫を凝らし、また宣伝もうまく行って定評を得て所得につながっている部分がございまして、例えば、そういうものを全てタマネギに変えていくということはなかなか考えにくいのかと思います。もちろん、気候変動ということもありますし、その土地に合った作物というのは永久不変ではないでありましょうから、環境によっては、例えば二子いもを岩手全体でたくさんつくることができるようになるのであれば、それが岩手を代表する作物になり得るというのは論理的にはあり得るのでしょうけれども、その辺の判断でありますとかは、やはりその地域地域の生産者の皆さんと県とふだんから情報を共有し、方向性をすり合わせながら決めていくのがいいのではないかと思っております。
〇高橋孝眞委員 もう一つ、先ほど質問に至りませんでしたけれども、周年で栽培できる、就労できる、そういう栽培体系というものは考えなかったのかについてもお伺いします。
〇達増知事 いわて型野菜トップモデル産地創造事業は、高性能機械の導入やパイプハウスの団地的整備、ICTの活用などにより、高収益野菜を通年で生産できる体制を目指すものでございます。
〇高橋孝眞委員 施設園芸ですから通年でやれるというのはそのとおりでありますけれども、岩手の気象状況を考えますと、施設園芸を冬場にやるというのは非常に難しい部分もあります。そういう意味では、別の品目で、もう一度、知恵を生かして考えていただければと思います。次に行きたいと思います。
農業を社会の基本にしていくには、それに携わる人間がそこに存在することが当然必要です。しかしながら、県の農業就業人口は、平成22年に8万9、000人であったものが平成27年には7万人にまで縮小し、率にして21%も減少しています。さらに、就業者のうち、50歳未満の働き盛りの割合は10%にも満たず、65歳以上の高齢者が66%以上を占め、平均年齢は実に67.4歳と高齢化しているのが実態です。
県内の中山間地域は、高齢農業者が少ない人数で田畑や草地を維持して成り立っていますが、この人たちの体が動かなくなり、農業を離れてしまうと、一気に農地や草地は荒れ、地域の維持が難しくなるのは明らかではないでしょうか。5年間で2万人近く農業就業者が減少している数字を踏まえ、その影響を県はどのように捉え、それについてどのように認識しているのかお伺いいたします。
〇達増知事 高齢化の進展などにより農業就業人口の減少が続く中、本県の農業は大規模な経営体が生産の中心になりつつあり、こうした動きを加速化させるためには、経営の規模拡大や多角化を目指す農業者を育成することが重要と考えます。
このため、県では、岩手大学と連携したいわてアグリフロンティアスクールによる経営感覚、企業家マインドを持った農業者の育成に加え、農地中間管理事業による農地の集積、集約化や、いわて地域農業マスタープラン実践支援事業等による農業機械、施設の整備等を支援してまいりました。
こうした取り組みを通じて、平成27年の1戸当たりの経営耕地面積は平均で2.7ヘクタールとなり、10年前に比べて約1.4倍に拡大するなど、経営体の生産基盤が着実に整うとともに、地域の実情を踏まえた小規模、兼業農家も参画した集落営農が展開されてきています。
今後も、農業経営の発展を目指す農家や地域づくりに取り組む小規模、兼業農家がともに豊かさを実感できる農業、農村の実現に向けて、地域に根差した農業施策に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
〇高橋孝眞委員 わかりました。
県では、平成28年にいわて農業農村活性化推進ビジョンを策定し、多様なスタイルで生き生きと暮らせる中山間地域の実現を10年後の目指す姿として掲げています。ビジョンでは、農家レストランの運営や地場産米を使った米粉パンの製造など先進事例が紹介されていますが、県として、こうした事例をどのように広めていく考えか伺います。
中山間地域は既に高齢者が多くなり、自発的な取り組みを期待することは厳しい状況も想定されます。行政が積極的に地域に入ってさまざまな仕掛けを行っていくことも必要と考えますが、知事の考えをお伺いします。
〇達増知事 本県の中山間地域は、農林水産業の生産活動はもとより、県土の保全や自然環境の維持などの多面的機能を有しています。多様な生産者の参画により、地域の産業やコミュニティーが維持、発展していくことが重要であります。
このため、県では、農業を核とした中山間地域活性化の推進方向を示すいわて農業農村活性化推進ビジョンに基づいて、豊かな自然や食などの地域資源を生かした都市住民との交流や、地域の特色ある農畜産物の加工、直売等による6次産業化など多様な取り組みを支援しております。
また、こうした取り組みを拡大するため、県内各地に設置した支援チームが市町村等と連携し、集落の方々が主役となり、創意工夫を凝らした取り組みを支援することにより、多様なスタイルで生き生きと暮らせる中山間地域の実現を図ってまいります。
〇高橋孝眞委員 もう一点ですけれども、農業の後継者問題は5年前、10年前から絶えず言われ続けていますが、先ほど申し上げましたとおり、従事者の平均年齢は67.4歳と高齢化しており、あと5年もすると、農業、地域社会が本当に成り立たなくなってしまうと危惧しております。
県は、どのように若い就農者の確保、育成を図っていく考えか伺います。
〇千葉副知事 若い新規就農者の確保、育成についてでございますが、本県農業、農村を持続的に発展させていくためには、農業に意欲を持って取り組み、地域をリードする若い新規就農者を確保、育成していくことが重要でございます。
このため、県におきましては、新規就農者の確保に向け、県内外における就農相談会や農大生を対象とした農業法人等による会社説明会の開催に加えまして研修受け入れのあっせん、短期農業体験の実施などに取り組みますとともに、新規就農者に対し、年間最大150万円を交付する農業次世代人材投資事業の活用による就農後の経営の安定化や、経営の発展に必要な機械、施設整備等の支援を行っているところでございます。
今年度は、これまでの取り組みに加えまして、新規就農者の経営発展段階に応じた農業大学校での体系的な研修の実施や、新規就農総合対策事業による雇用就農者の定着率向上に向けた交流会の開催なども行ってきたところでございまして、引き続き、本県の農業を牽引し、地域経済社会を支える農業後継者の確保、育成に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 中山間地の維持、後継者の確保については、今、答弁いただきまして、多様な取り組みをしてきているし、これからもしていくのだということで、それはそれで私はお願いをしたいと思うわけであります。
北上市で昨年行われました農業委員会主催の農業者等との意見交換会で、農地を集約しても働き手がいない、国では大規模農業を進めているが、中山間地域での大規模化は難しい、法人化したが高齢化は深刻である、法人化し基盤整備をする予定であるが、整備が終わるころには担い手がいなくなっているかもしれないとの不安があるというような声が多く上がってきておりますし、また、私の同級生は和牛繁殖経営に従事しておりますけれども、後継者がいないので、いつかは廃業しなければならないと話しております。現在、小区画の農地を周りから借りて、粗飼料の確保なり、北上山系開発をして整備した草地を利用していますけれども、利用する人もいなくなり、荒れ果ててしまうのではと心配になるわけであります。
このような声に、また地域に、知事はどのように応えていこうとしているかお伺いいたします。
〇達増知事 岩手の若い農業生産者の皆さんと、東京のレストランで、岩手の素材を使った料理を東京、首都圏のオピニオンリーダー的な皆さんに食べていただきながら、また、若い皆さんからアピールをしていくというようなことをやりますと、最終的に付加価値の高い、そういう意味で商品性の高い作物をつくっていくことが収入にもなり、かつやりがいにもなっていくということを感じます。
就農相談会、短期農業体験研修、農業法人等による会社説明会の取り組み、新規就農ポータルサイトでの情報、新規就農者の支援など、後継者型の就農から、農業を全くやったことがないような若い人の就農まで幅広く確保、育成策を展開し、高収益で誇りを持つことができる農業の生産ということを、県として実現を図ってまいりたいと思います。
〇高橋孝眞委員 回答をいただいたような気がしないのですけれども、私は、先ほど言ったように、これから中山間地域は大変になるのではないかということについて、知事は、中山間地域や後継者問題について今の対策で十分と考えているのでしょうか、このことに再度答えていただければと思います。
〇達増知事 後継者問題という点については、先ほどの若い農業者の関係が答えでありますけれども、また、中山間地域におきましても、付加価値の高い、そういう意味で商品性の高い作物をさらに低コストでつくっていくということが基本と考えておりまして、そのための経営また集落営農、そうした経営面の支援も県として力を入れていきたいと考えます。
〇高橋孝眞委員 集落営農なりについても力を入れていくということですが、集落営農だって、法人化されているのは少ないわけでありまして、そういう法人化されていないものをどうするのかと何年も言ってきましたけれども、10年たってもいまだ法人化されていない。そういう地域が本当に中山間地域では多いわけでありまして、そういう地域に寄り添っていきますよと片っ方で言っているわけですけれども、実際、何年たっても寄り添っていないのではないですかと私は言いたいところであります。若い人たちに対しても、もっと高収益な部分を提案する。そして、年間を通して、仕事ができるような、仕組みを提案して、そこで仕事をして生活していただく。そうしないと、岩手の人口は減ってしまうのではないかと思うわけでありまして、その点についても、考えていると言うばかりではなくて、行動に、次は計画にさらに生かしていただければと思うところであります。
次に畜産についてでありまして、昨年、宮城県で開催された全国和牛能力共進会では、残念ながら岩手県からの上位入賞はかないませんでした。昨年の9月定例会においては個別には一定の成果もあったとの報告もあったところですが、次の共進会を見据え、どのように対応していく考えか伺います。
共進会の中核である総合評価群は、種牛、肉牛とも24カ月齢未満の牛が評価対象とされますが、例えば肉牛の部では、24カ月齢の状態では上位県と勝負できる体重にまで育っていないのではないかと思います。県の改良増殖計画では、肥育牛について、長期肥育は生産性の低下が懸念されることから、肥育開始月齢と出荷月齢の早期化により経営収支の改善を推進すると書かれています。
短期間で出荷できる牛をつくり、経営を安定させることは急務でありますが、全国に比べ、今般の肉牛の部の取り組みは大きくおくれている状況であります。このままでは全国との差は開くばかりではないでしょうか。県では、この結果をどのように分析しているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 全国和牛能力共進会の振り返りについてでございますけれども、今回の大会では、残念ながら目標とする順位を獲得できなかったところでございますけれども、その要因を徹底分析しまして、次回大会での上位入賞に向け、関係者一丸となって取り組んでいくことが重要であると考えております。
上位入賞を果たせなかった要因でございますけれども、本県の牛は上位入賞牛に比べ体全体の大きさなどが不足していたことや、上位入賞県では、本県以上に種雄牛を限定し、よりすぐれた候補牛を生産したことなどが考えられるところでございます。
また、総合評価群の肉牛の部において、本県は、出品牛全てがA5等級に格付されるなど上位県と遜色のない成績をおさめ、前回大会に比べ肥育技術は飛躍的に向上したものの、上位県の枝肉重量を見ますと、本県の出品牛より平均で約50キログラム大きい県もあり、さらなる肥育技術の向上や、より能力の高い種雄牛の造成が必要と考えております。
このため、次回大会への取り組み体制の強化に向け、畜産課に和牛改良推進を担当する特命課長を配置するとともに、県、関係団体で組織するワーキングチームにおいて、今回の分析を踏まえながら具体的な出品戦略を策定し、関係者が一丸となりまして出品候補牛の計画的生産や育成管理の強化などに取り組んでいきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 いずれ、最終的には販売をしてもうけなければいけませんので、利益が幾らになるか、そのためには、現状から見ますと重量が大きいほうがいいということはそのとおりであります。A5評価で小さかったらどうしようもないと私は思っておりまして、担当者が増員されたということですから、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
先ほどもお話がありましたけれども、ゲノム解析を導入する予算が今回盛り込まれたという話が知事からありました。県内の繁殖牛、雄の子牛についてもゲノム情報による能力評価を行い、優良牛を種雄牛造成に利用することで、高い能力を持つ種雄牛を早期につくり出すことを実証する事業とのことであります。科学の力で競争力のある牛を育てていくことは重要であり、新たな手法に取り組まれようとすることは高く評価いたしますが、次回の鹿児島大会までに残された期間は限られています。次の共進会までにどのような段階を踏み、成果を出すという明確な目標を設定してこの取り組みを始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 今後の対策についてでございますけれども、本県が全国有数の肉用牛生産地として評価を高めていくためには、枝肉重量あるいは脂肪交雑などの産肉能力にすぐれた本県独自の種雄牛を造成していくことが重要であり、基本だと思っております。
この種雄牛を早期に造成していくためには、候補となる雄子牛を生産する雌牛の産肉能力を早い段階で正確に把握する必要があることから、産肉能力の把握に有効なゲノム解析技術を導入しまして、優秀な種雄牛の早期造成に向け、先ほど来お話が出ておりますいわて牛産地育成革新技術導入事業を当初予算案に盛り込んだところでございます。
いずれ、次の鹿児島大会に向けましては、枝肉重量や脂肪交雑などの産肉能力の把握に活用できるゲノム解析技術の特性を生かし、まずは枝肉で審査する肉用の部を対象に、より上位入賞が期待できる能力の高い候補牛の効率的な生産につなげていく必要があると考えておりまして、先ほども御答弁させていただきましたが、関係者でワーキングチームをつくってさまざまな目標設定を行い、向上させていきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 ゲノム解析をして取り組んでいくということはそのとおりでありますけれども、先日、日本農業新聞に鳥取県の和牛改良の取り組みが紹介されておりました。4億9、000万円かけてゲノム評価機器の導入をするとありまして、BMS(牛脂肪交雑基準)ナンバーや枝肉重量、うまみの関係でのオレイン酸を追求するという取り組みをしていくとのことであります。
オレイン酸につきましては次回の共進会でも評価に取り入れるのではないかと言われているわけでございまして、そういう意味合いでも、他の県と同じことをしてもだめでありますので、もう一段高い目標を掲げて取り組むべきではないかと私は思うわけですけれども、その点、どのようにお考えでしょうか。
〇千葉副知事 今、御紹介のありました先進的な取り組みは、そういう情報を把握しながら、確かに追いつくだけでは、いつまでも追いかけるという話でございますので、どういう形で優位性を持っていくか、何が岩手県において優位性を持てるかということも考えながら、そういう分野では少なくとも他の都道府県を抜けるようなことも情報分析しながら進めていく必要があると思っております。他県がどういうところに取り組むか、あるいは次の共進会でどういうところが審査ポイントになるのか、そういうところも含めて十分考えながら、次の大会を目指して検討し、進めていきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 次の共進会についてはもう時間がないわけでありますから、速やかに検討して、何としてもいわて牛の評価を高める、チャンピオンを取る、そういう目標を掲げてほしいと思うわけであります。
県の推進目標の全体を見ましても、例えば昨年9月に発行されました平成28年度主要施策の成果に関する説明書によっても、具体的な推進方策指標の達成状況の7割以上が目標に対し100%以上達成されたとなっております。平成28年度中に既に達成した目標を掲げたままで、平成29年度、平成30年度に政策を実施しようとしても、意欲的な事業の実施は難しいのではないかと思うわけであります。目標を上方修正するなど、常に高い目標を持って事業を実施していく必要があると思うのですが、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 アクションプランに掲げる指標の目標値についてでありますが、この指標の目標設定に当たっては、過去の実績値や将来推計値、分野別の計画や国の設定している基準、全国平均値やベンチマークとなる都道府県の水準といったものを踏まえて、目指すべき最終年度の目標を設定し、各年度の目標を立てて評価を実施しているところであります。
第3期アクションプランの最終年度、平成30年度の目標値を上回った累計指標につきましては、中間年となる今年度に目標値の上方修正を行って、その結果を政策評価結果等の政策等への反映状況報告書に掲載し、本定例会で県議会に報告したところであります。
次期総合計画の策定に当たりましても、社会経済情勢の変化や全国等との比較を踏まえた適切な目標値を設定するよう努めてまいります。
〇高橋孝眞委員 他県と比較してこうだとか、そういうことではなくて、岩手県はこうだ、こういう目標を持っていくのだと設定して取り組むべきだし、過去達成できたところはもっと高い目標でもって事業執行していくべきだと私は思うわけであります。知事は目標設定をどのように決めているのか、目標設定に関してどのようにかかわっているのかについて伺いたいと思います。
〇達増知事 先ほど述べたように、参考になるようなさまざまな数値を踏まえて、目指すべき最終年度の目標を設定して、各年度の目標を立てて評価を実施しているわけでありますけれども、ちょっと記憶のままに話しますけれども、県の幹部会議において了承を得た上で議会に提出するようにしておりまして、その中で要所要所に私も決定過程に参加しているところであります。
〇高橋孝眞委員 私は、知事はどういう目標を設定しているのかという意味で聞いたわけでありまして、この取り組み、この施策は最終目標は私としてはこうなのだ、ここを目指せよというようなことは言わないのかという意味です。おくれている部分はなぜおくれているか、だったらそれを改善しろよと言わなければ、指示しなければ、取り組み自体はなかなか前に進まないし、高い目標にはならない、岩手県はおくれてしまうのではないかと思うわけであります。
会社で言いますと、赤字であれば、必ずことしは黒字にしろ、1円でも利益を出せという指示をするわけでありますし、前年対比10%利益を上げろと社長としては檄を飛ばすわけです。
知事だって、そういうような指示をするべきではないかと思うわけですけれども、知事、どうなのでしょうか。
〇達増知事 指標の目標値を決める前提、前段階においても、関係の皆さんとのふだんの情報共有や方向性の共有を踏まえ、最終的に県として取りまとめておりまして、例えば農業の分野であれば生産者また生産団体、そういった関係者の皆さんと思いをともにしながら、県としても目標を立てていくことが必要と考えております。
私が、これは低過ぎるとか言って高くしたというような例もありますけれども、基本的には県の意思決定というのは、イコール県民としての意思決定でもありますので、関係者と情報を共有し、方向性をそろえながら決めていきたいと思います。
〇高橋孝眞委員 会社の社長であれば、そんな話はしないのではないかと思うのです。もっときっちりとこれをやれというような指示を明確にしないと、職員はついてこないわけでありますから、ぜひやってくださいという言い方もないのですけれども、おかしいのではないかということで指摘をして、次に行きたいと思います。
米の関係でありますが、先ほど、名須川委員からもお話がありまして、銀河のしずく、金色の風は特A評価を受けられなかったということであります。先ほどちょっと聞き漏らしたような気もいたしますが、現時点で、特Aを取得できなかった要因は県としてはどのように考えているか、再度お伺いしたいと思います。
〇達増知事 食味ランキングを実施している日本穀物検定協会は、今回の評価の理由について明らかにしていないところでありまして、今回の岩手のお米については、お米マイスターなどからは高い評価をいただいておりますので、今回の食味ランキングは評価の一つと認識しているところであります。
〇高橋孝眞委員 どこに原因があったと考えられるかについてお伺いしたいと思います。
〇達増知事 県のほうでも、生産者、生産団体等と連携しながらさまざま-ちょっと記憶のままに話をさせていただきますけれども、たんぱく質の含有量でありますとか、そういったチェックをする中で、今の段階では、協会自体も理由ということを明らかにしていないところであり、私といたしましては、先ほど述べたようなお答えになります。
〇千葉副知事 今回のランキングにつきましては、今、非常に全国的な話題になっております。それは、新潟県のコシヒカリも特AからAになったということで、また、他県の基幹的なブランド米も結構ランクを落とされたということがございまして、この理由は何でだろうということで、実は、正直言って私どももまだ状況を把握できておりません。
一説によりますと、8月上旬の天候不順等も考えられるのではないかというお話もございますが、そういう正式なコメントはございませんので、先ほどから、協会のほうでは明らかにされておりませんという御答弁に終始させていただいているところでございます。いずれ、この状況については、できる限り把握しなければならないものと考えております。
〇高橋孝眞委員 米そのものは自然相手でありますし、農家は自然相手で作付しているわけです。よくわからないということではなくて、農家のほうは多分わかっていると思うのです。ですから、農家から直接聞いたりして、分析を早期にやって次の対応をしていく必要があるのだと私は思うわけであります。
今回の金色の風、銀河のしずくでありますけれども、これは、当初取り組みましたときは、米どころの岩手県の認知度を上げ、県産米全体の価格の上昇につなげる好循環を生み出していくのだと私は思っていましたし、そのように考えて取り組んできたのだと思います。
そこで伺いますけれども、これらフラッグシップ米の登場は、ひとめぼれ、どんぴしゃり、いわてっこなど他の県産米にどういう影響を与えたかお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 フラッグシップ米が県産米全体に与えた影響についてでございますが、県におきましては、平成27年2月に策定いたしましたいわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、県オリジナル品種の早期ブランド化に向けた取り組みを展開してきました。
その結果、御案内のとおりでございますが、銀河のしずくは米のヒット甲子園2016で大賞を受賞し、金色の風は、お米に対する深い見識を持っておりますお米マイスターの方々などから高い評価も頂戴しております。また、県外の大手米卸業者からは、県オリジナル品種が二つも加わり、高価格帯から業務用仕向けのお米がそろう産地として高く評価できるという評価も頂戴しておりまして、県オリジナル品種のデビューは、県産米全体に対する評価向上に好影響を与えているものと考えております。
いずれ、今後におきましても、新たな生産・販売戦略に基づきまして、マスメディア等を活用したプロモーション、大消費地でのトップセールスなどによりまして、県産米に対する消費者、実需者の評価を一層高め、県産米全体について高評価をいただくことで、今後の生産者の所得向上につなげていきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 新たな米戦略の取り組みについて期待をしたいと思いますが、先ほども言いましたとおり、知事自身が積極的に、こうやれというような指示をもうちょっとやっていただかないと、余り期待できないのではないかと思いますので、お願いいたして、次に行きます。
県民所得の向上についてお伺いいたします。
知事演述で知事は、国民所得に対する県民所得水準の乖離について、およそ9割まで縮小し、雇用環境は正社員の有効求人倍率が上昇していると述べています。東日本大震災津波以前5年間の国民所得に対する県民所得は82%前後の推移であったのに対し、平成26年は94.7%となっています。東日本大震災津波がなければ実現できなかった数字にも思えるのですが、知事自身、どのように分析されているのか伺います。
また、ふるさと振興総合戦略を踏まえ、さらに取り組みを強化するとのことですが、平成30年度当初予算にどのように反映されているのかについても伺います。
〇達増知事 平成26年度の県民所得は3兆4、882億円であり、東日本大震災津波の前の平成22年度と比べ4、736億円、率にして15.7%の増加となっています。また、平成26年度の県内総生産は4兆6、470億円であり、平成22年度と比べて5、935億円、14.6%の増加となっています。
その内訳を見ますと、建設業が4、310億円、138.1%の増加、運輸業が364億円、20.2%の増加となっておりまして、復興需要が県内経済に寄与している度合いは相対的に大きいものがございますが、製造業、サービス業、卸売・小売業もそれぞれ平成22年度より増加していますことから、復興需要に加えて、県内経済全般の回復基調を背景として県民所得が増加しているものと考えております。
こうした状況を踏まえますと、本県の産業全般にわたって、AIやIoT等も活用した生産性の向上や、商品、サービスの高付加価値化、海外も含めたマーケットの拡大などに取り組むとともに、三陸地域では、今後予定されている宮古-室蘭間のフェリー航路開設や三陸鉄道の一貫経営、ラグビーワールドカップ2019の釜石開催など、国内外から大きな注目を集めるチャンスを捉えた取り組みを推進することも重要であると考えております。
平成30年度当初予算案におきましては、第4次産業革命技術等を活用した新製品、サービス等を県立大学等と連携しながら開発するものづくり革新の取り組みの支援や、本県の中核産業である自動車、半導体関連産業の一層の集積促進と人材の確保、定着、三陸DMOセンター等との連携による三陸の地域資源を生かした観光振興などに取り組むこととしています。
〇高橋孝眞委員 一昨年から昨年にかけて、株式会社デンソー岩手や東芝メモリ株式会社の大規模立地が決まり、県内経済の活性化、雇用の増大が期待されています。
そこで伺いますが、今回のデンソー岩手、東芝メモリの大型立地に伴う経済効果や雇用効果、ひいては県民所得向上への寄与について、県ではどのように試算しているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 デンソー岩手あるいは東芝メモリの誘致効果についてでございますが、経済波及効果につきましては、工場建設など設備投資に伴うものと、もう一つ、生産活動に伴うものがございまして、このうち、生産活動に伴うものの試算に当たりましては売上高が必要となりますが、いずれの企業においても今後の売上高は明らかにされておりませんので、この分については試算はちょっと困難な状況でございます。
そこで、設備投資に伴うものについてのみ岩手県産業連関表を用いて試算いたしますと、デンソー岩手につきましては、投資額として明らかにされております約100億円の設備投資に伴う経済波及効果は約86億円となりますが、東芝メモリにつきましては、その投資規模が明らかにされておりませんことから、試算は困難な状況にございます。
雇用につきましては、デンソー岩手は約400人、東芝メモリにつきましては、雇用計画はまだ明らかにされておりませんが、新聞報道等では約1、000人の雇用と報じられております。
県民所得向上への寄与につきましては、平成26年工業統計調査による誘致企業の従業者1人当たり年間平均現金給与総額が約386万円でございまして、これにデンソー岩手及び東芝メモリの先ほど申し上げた人数を合わせた1、400人を単純に掛け合わせますと約54億円となり、県民所得の向上にも寄与するものと考えております。
〇高橋孝眞委員 当初予算案に、ものづくり人材の育成事業の充実とあわせ、来年度から北上市内にものづくり産業を支える専担組織を設置する経費が盛り込まれました。企業が期待する十分な相談、支援体制がとられることを期待するものでありますが、専担組織を設置する意義、組織の人員体制、配置する人員のスキル等についてお示し願います。
〇千葉副知事 専担組織についてでございますが、昨年、デンソー岩手や東芝メモリが新工場の建設を決定し、これら企業が大型の雇用を生み出すことに加えまして、地場企業におきましても新たな取引、雇用が創出されるなど、本県経済のさらなる活性化が期待されているところでございます。
一方、現在、地域産業全体として人材の確保が課題となってまいりますので、県では、新年度から各広域振興局の産業振興体制を強化するため経営企画部に産業振興室を設置するとともに、新たにものづくり自動車産業振興室内に専担組織を設置し、関係職員を北上市に駐在させることで、産業人材の育成、確保、定着に取り組んでいくこととしております。
組織の人員体制でございますが、総括課長級の産業集積推進課長、担当課長級の就業支援担当課長、室員3名の計5名体制でございまして、産業振興や雇用対策などに精通し、企業との信頼関係を築ける職員を配置して、円滑かつ効果的な支援が行えるような体制を構築してまいります。
なお、駐在場所は北上産業業務団地内の北上オフィスプラザを予定しておりまして、現在入居しております北上市産業支援センターなどと連携することで相乗効果を図っていきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 以前から私は経済産業省が整備を進めるよろず支援拠点のサテライトを県南地区に設けることを提案してまいりました。今般の専担組織にサテライト機能を加えれば、組織の効果がさらに高まると考えますが、所感を伺います。
〇千葉副知事 中小企業者のさまざまな経営課題に対応するため、いわて産業振興センターが国の委託事業を利用して展開しております岩手県よろず支援拠点は、平成26年6月の開設以来の相談件数が東北6県で最も多い1万8、000件余となっておりまして、相談者満足度調査でも全国平均を上回る状況でございます。着実に成果が上がってきているのではないかと考えております。
また、よろず支援拠点のある盛岡地区以外の事業者も気軽に相談できるよう県内各地で移動相談会を開催しております。特に北上地区におきましては、県及び北上市産業支援センターと連携いたしまして、平成29年度はほぼ毎週のように開催してきており、事実上のサテライト展開になっているものと承知しております。
ただ、このような展開を北上地区のみならず県内各地で実施するためには相応の体制を確保する必要がございますので、引き続き、予算及びスタッフの拡充について、いわて産業振興センターとともに、事業主体でございます国に要請したいと考えております。
いずれ、先ほど申し上げました専担組織は北上オフィスプラザ内に置くこととしておりますので、よろず支援拠点事業と拠点を同じくすることにより、さまざまな面でワンストップでの支援機能が高まるものと考えております。
〇高橋孝眞委員 いずれ、よろず支援拠点は国の費用で実施できるわけでありますし、北上の専担組織は県の費用として実施するということになるわけでありますので、国のほうにさらに強く要望していただければと思います。
次に、久慈市冷凍水産加工業協同組合でありますけれども、震災関連補助金であります水産業共同利用施設復旧支援事業を活用し、補助目的外の施設を整備した久慈市の大原商店は、債権者である久慈市冷凍水産加工業協同組合から会社更生法の適用を申し立てられ、東京地方裁判所から更生手続の開始決定を受けたとの新聞報道が先月23日にありました。報道によれば、債権の届け出期間は3月9日までとし、管財人が7月31日までに更生計画案を東京地裁に提出する予定とのことです。
県は、補助事業者である久慈市冷凍水産加工業協同組合に対し、補助金相当額2億2、400万円の返還を請求しており、平成27年には久慈市冷凍水産加工業協同組合からの申請に基づき、最大10年間の履行期間を承認しています。
このたびの更生手続の開始決定により県の債権回収にどのような影響が生じるのか、また、県は今後どのように対応していくのかお聞きいたします。
〇千葉副知事 久慈市冷凍水産加工業協同組合についてでございますけれども、大原商店は、久慈市冷凍水産加工業協同組合を初めとする債権者に対しまして、一部を除き、債務の弁済をしないことから、久慈市冷凍水産加工業協同組合がみずからの債権回収のためやむなく法的手続に至ったものと承知しております。
久慈市冷凍水産加工業協同組合は、今回の手続によりまして、大原商店を再建することにより債権を回収し、県に補助金を返還することとしております。
更生手続は、裁判所の管理下で債務者の事業を再建し、債権者に債務を弁済するための法的手続でございまして、このたびの開始決定は更生手続が前進していることのあらわれであり、債権の回収につながるものと考えております。
県といたしましては、久慈市とともに東京地裁による会社更生手続の経過を見守るとともに、補助金が返還されるよう、引き続き久慈市冷凍水産加工業協同組合を指導してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員長 高橋孝眞委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
高橋孝眞委員、御了承願います。
午後2時57分 休 憩
午後3時18分再開
〇高橋元委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇高橋孝眞委員 久慈市冷凍水産加工業協同組合の関係につきましては先ほど回答をいただきましたけれども、この件につきましては、国の補助事業でありますから、今後国への補助金返還が出てくるものと思います。久慈市冷凍水産加工業協同組合から返還されないということは県が一旦立てかえるということになるわけでありますけれども、過去の森のトレー生産協同組合のようにならないようにしっかりと対応していただきたいと思います。魚類のレンダリング事業でありますから、事業が継続できないことになりますと県内の水産加工業に大きな影響が出てくるものと思います。久慈市冷凍水産加工業協同組合に対し、会社更生手続のもと大原商店が再建されるように十分な支援態勢をとっていただきますように要望して次に行きます。
時間がありませんので、少し飛ばしまして、県の出資法人のあり方についてお伺いいたします。
出資法人の情報開示についてでありますけれども、1月に県議会の出資法人等調査特別委員会に総務省公営企業経営室から松田理事官をお招きし、第三セクターの現状と改革への取り組みと題する講演をいただきました。その中で、第三セクターの情報公開についても議論がなされ、50%を超える県の出資法人について、一概には申し上げられないがとの前置きではありましたものの、情報公開をしていくほうが望ましいとの見解が示されました。県では、総務省の見解も踏まえ、県出資法人の情報公開についてどのように指導していく方針か伺います。
〇佐藤総務部長 県出資法人は、地方自治法に基づき、経営状況を県議会に報告するとともに、情報公開条例第41条第1項におきまして、その保有する情報の公開に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされております。県ではこの規定に基づきまして、出資法人のより一層の情報公開を促進するため、出資法人の保有する情報の公表に関する要綱を定めております。出資法人はこの要綱に規定する資料を公表しておりまして、出資法人としての公益性、説明責任への一定の責務は果たしているものと捉えております。
なお、出資法人の諸活動に関する情報につきましては、県民への説明の責務の観点から可能な限り公開されることが望ましいと考えるところでございますが、この要綱で定める以外の事項につきましては、各法人の判断により自主的に公表されるべきものと考えております。
〇高橋孝眞委員 具体的に言いますとIGRいわて銀河鉄道株式会社でありますけれども、県が50%以上出資する第三セクターであります。事実上経営権を握っている非常に関与度の高い法人であります。岩手県の公会計決算においてもIGRの決算は連結対象とされることから、IGRの経営状況が県の連結決算に直接影響を及ぼすことになります。県の連結決算の内訳は県民の知る権利の対象となることは当然であり、その詳細を明らかにするのは県の責務と考えますが、いかがでしょうか。県は、県民の知る権利に応え、IGRに対し経営状況の詳細を公開するよう求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県では、財務状況を総合的かつ長期的に把握し、より明確なコスト意識を持って行財政運営を行っていくこと、また、県民にわかりやすい財務情報を提供することを目的として、県が25%以上出資している法人等を行政サービス実施主体とみなして連結財務書類を公表しています。この連結財務書類の一部を構成しているIGRの経営情報については、県や沿線市町などから出資を受け、県民の足を守る鉄道事業を担っているIGRの公益性を踏まえ、地方自治法に基づく経営状況の県議会への報告や、出資法人の保有する情報の公表に関する要綱に基づく貸借対照表や損益計算書などの公表を行うとともに、会社法に基づく決算書類の公表を行っております。
なお、IGRの経営状況の詳細につきましては、IGRの公益性を踏まえ、IGRの経営情報については法令等に基づいて公開しているところでありますが、一方で、IGRは営利法人である株式会社であるため、営業の自由、すなわち自律的な経営や競争上の地位などを尊重する必要があると考えており、関連事業などは他の事業者との競合性が強い分野でありますので、その部門別収支などは、基本的には、企業情報として公開についての判断はIGRに委ねられるものと考えております。
〇高橋孝眞委員 三陸鉄道株式会社は公開しているわけでございます。そういう意味合いで、私は公表を求めるべきではないかと思います。
それから、情報公開条例の第7条の(3)、アで、公にすることにより、当該法人等が当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものは非開示でよいということにはなっております。IGRの競争相手はどこにあるのでしょうか。どのように考えているか、正当な利益を害するおそれはどこにあるのかを示していただきたいと思います。
〇藤田政策地域部長 委員御指摘のとおり、県の情報公開条例におきましては、法人に関する情報でありましても、公にすることによりまして、当該法人の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあるものにつきましては非開示事由に該当するものとして定められております。IGRは、関連事業として旅行業あるいは飲食店、コンビニエンスストアの経営などもやっておりまして、これらについては他の事業者も多く存在するところでございますので、そこは競争上の地位として、やはり守られるべき権利というのはあると考えております。
〇高橋孝眞委員 守られるべきであるといいましても、では、それは誰が整理するかということになるわけでありまして、その部分について、赤字であったらどうするのか、どうして赤字なのかということだって開示していいと思うのです。
部門別収支を開示することについてはどうかということでありまして、競争があるのだったら、相手のほうがいいとしたら、相手に譲ってIGRは撤退すればいいのではないかと考えるわけですが、どうなんですか。
〇藤田政策地域部長 まず、ただいまの御質問につきまして、経営上の赤字云々につきましては取締役会でも議論されておりまして、関連事業のあり方も含めまして、現在、次の中期経営計画の中で本業である鉄道事業との関係においてどうやっていくかについて突っ込んだ議論が行われているところでございます。
一方で、経営としてどうやっていくかということとは別に、情報としてどこまで開示するかはまた別の問題だと考えております。先ほども申し上げましたとおり、情報の公開のあり方につきましては、県の情報公開条例なども参考にして、どこまで県が積極的に開示を促していくかについては判断していくべきものと考えており、関連事業につきましては、先ほど申し上げましたとおり、競合する事業者がございますので、そういった意味でも競争上の地位というのはその限りにおいてあるのではないかと考えております。
〇高橋孝眞委員 県が競争しなければいけないような事業を公会計で連結決算の対象にするというのはおかしいわけです。出資比率が50%を超えているわけですから、必ず公開しろと言えばいいだけの話です。そういう人を社長にしておくことはおかしい話だと私は前にもお話ししておりましたけれども、知事はIGRの取締役会長でありますから、社長に対して、部門別収支を公開しろと、情報公開しなさいと言えばそれで済むわけでありますが、知事にはそういう考えはないのですか。
〇達増知事 鉄道事業というのは、京浜急行株式会社や阪急電鉄株式会社のような純粋な民間企業から、第三セクター企業、また、公営企業体をつくってそこがやるというやり方もあるでしょうし、また、今も幾つかの例はあると記憶しておりますけれども、純粋に県なら県営、市なら市営の交通事業のやり方もあり、それぞれが経営の自由度と公の縛りの兼ね合いの中でそれぞれの経営体に応じたやり方をやっているわけであります。IGRいわて銀河鉄道については、やはり取締役会によるガバナンス、また総会による意思決定といった企業的手法を用いていますので、そういったガバナンスを通じて経営の適正さが確保されることが基本と考えております。
〇高橋孝眞委員 知事は50%の筆頭株主です。赤字ということは、県の財産が毀損されるかもしれない事態なわけです。そういう意味合いでは、全部の部門別収支を公開して、この事業はこうしたほうがいいだろうと整理していくべきです。
出資法人等調査特別委員会で、私どもは、神戸市の第三セクターの取り組みについて昨年調査をいたしました。その際、外郭団体に関する特別委員会を設けて、1団体ずつ全部調査しているのです。そういうことをやっぱり岩手県も考えるべきであるし、当然やるべきだと思いますので、知事は指導力を発揮してやっていただきたいと思います。
次に行きたいと思います。こればかりやっていると時間がかかりますので。
次に、ILCです。IGRからILCに行きます。
ILCの誘致は、夏から行われる欧州での議論がその実現を左右すると言われております。県は当初予算案に1億円の経費を盛り込み、受け入れ態勢の検討に取り組むとしていますが、今までの予算と何が違うのでしょうか。県ではILCの誘致を10年以上前から訴えており、毎年度の予算で広報と受け入れ態勢の検討を行っています。夏の議論を先導する上でも、県として外国人研究者の居住地区やインターナショナルスクールの建設地区を対外的に公表していくなど、具体的な動きを見せて訴えていくべきものと考えますが、いかがでしょうか。
〇大平企画理事 2点のお尋ねについてお答えいたします。
まず、平成30年度当初予算案について申し上げます。
県では、これまで、本県を中心とする北上山地の基礎的な自然環境調査や地質調査を行うとともに、地域の社会基盤の分析を行い、国内外の研究者等に提供してまいりました。また、平成25年からは、庁内ワーキンググループを設置し、ILCの受け入れに係る課題の抽出からその対策について検討を行ってまいりました。このような取り組みを経て、平成30年度当初予算案には、これまでの取り組みに加えて、全国的な理解と支援を広げるための首都圏等でのPR活動の強化、教育、医療などの分野における外国人ニーズ調査と具体の対応策の取りまとめ、加速器モジュール実機展示の常設や試作開発等の促進、ILCモデル校の拡充などを盛り込んでおります。
2点目の具体の動きについてでありますが、平成28年度には、本県が主導的にかかわり、鈴木厚人県立大学長をトップとする東北ILC準備室が設置され、東北としての発展の方向性を議論し、近々東北マスタープランとして取りまとめられることとなっております。
このプランでは、ILCを中心とするコアゾーンを設定した上で、建設期、運用期、成熟期の段階に応じて居住エリアが拡大し、産業が発展していくことを展望することとしております。ヨーロッパにおける次期素粒子物理の5カ年計画の策定作業がことし秋ごろから開始されますが、昨年11月にフランスで開催されたLCWS2017において鈴木県立大学長等が東北の取り組みや準備状況を講演し、高い評価をいただいたところであります。このような一連の取り組みを国にも示しながら、国の決断を後押しするとともに、関係市や関係団体等と密接に連携し、ILCの受け入れ準備を着実に進めてまいります。
〇高橋孝眞委員 ILCは国会内でも取り上げられることが少なく、活発な議論がなされていると言えないのが現状ではないでしょうか。政府筋からは、決定がおくれるのではないかという声も聞こえてまいります。県ではさまざまなネットワークや情報網から情報を集め、分析を進めていると推測しますが、知事は、ILC誘致実現の可能性について現状をどのように認識しているのか伺います。
また、知事は、ILCが実現しなかった場合は今の政府に原因があるという趣旨の発言をしたと聞き及んでいますが、そうした発言は事実であったのか伺います。
昨年の12月定例会では、政府への要望について、自民党からの声があれば自民党と一緒になって行うことも構わないという趣旨の話をされました。ILCのような大規模プロジェクトは県と政府の緊密な連携があって初めて実現が可能になると考えますが、これまでの政府との交渉状況についてあわせて伺います。
〇達増知事 私は、ILCは実現しなければならないものと考えておりまして、ILCが実現しなかった場合はというような発言をするはずがないのですね。一体誰がそういうことを言っているのかがわかれば何かまた別の説明ができるかもしれませんけれども、基本的に私はILCが実現しなかった場合ということは念頭に置いておりません。
国においては、平成26年度にILCに関する有識者会議を設置し、これまでに一定の取りまとめが行われています。昨年11月に、世界の研究者組織がILC初期整備延長を20キロメートルとして建設コストを4割削減する計画の見直しを行ったことから、有識者会議の作業部会では改めて検証を行っています。その後、日本学術会議において審議され、文部科学省としての検証は区切りを迎えることとなる見込みであります。
また、ILC計画が世界の協力のもとで実現されるためには、ことしの秋ごろから行われるヨーロッパにおける2020年からの素粒子物理学の5カ年計画に反映されることが必要と言われていることなどから、超党派の国会議員連盟では、去る1月に訪欧し、具体の協議に向け尽力されています。このような状況から、ことしはILC実現に向け極めて重要な年であり、実現の機は熟しつつあると認識しております。
政府への働きかけについては、県ではこれまで、政府の日本誘致の後押しをするため、建設候補地としての熱意を伝えるとともに、東北ILC準備室など関係機関とも密接に連携し、研究施設や海外の研究者等の受け入れ環境づくりの準備も進め、取り組み状況も説明しているところであります。
〇高橋孝眞委員 政府とはどうやって……。回答がどうだったのかよくわからなかったのですけれども、先日、一般質問の中の答弁で本県選出の鈴木大臣に要望したと聞いたわけでありますけれども、鈴木大臣は国際研究所建設議員連盟の副会長でありますが、政府という立場ですと東京オリンピック、パラリンピック競技大会担当大臣であります。私ども自由民主クラブで昨年暮れにILCの担当官庁である文部科学省に出向き、林大臣に直接早期の誘致決定を要請したところでございます。その際、先ほど言われましたとおり31キロメートルから20キロメートルに見直しされたことを話されまして、現在、文部科学省として当初計画との比較検討をしているという話をされました。私は、知事も担当省庁である文部科学省に出向き、担当大臣である林大臣に直接要請すべきと考えるものですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 政府への働きかけのタイミングについては、鈴木俊一大臣とも何度も直接打ち合わせをしながら、岩手県から行くのであれば、民間を代表する谷村邦久商工会議所連合会会長、そして県立大学鈴木学長と合わせて4人で行くことがよかろうということで、去年から日程調整をさまざまする中、解散と衆議院議員選挙もあったりしてなかなか文部科学大臣との面会時間がとれなかったのですけれども、政務三役という形で面会時間をとることができたので、先ごろ私も直接要望することができたところでございます。
与党と政府の関係もさまざまございましょうから、今後も鈴木大臣にはいろいろ御指導をいただきながら、私からの政府への働きかけをしっかりやっていきたいと思います。
〇高橋孝眞委員 盛り上げるということにつきましては、もっともっと行動することが必要だと思います。1度行ったからいいのだということではなく、林大臣に直接会うというのであれば必ず会えるように、そういう仕組みをつくって直接要望して、100%可能であると信じているのであればそういうふうにやっていただきたいし、そうしなければ100%実現しないのではないかというように思いますので、ぜひそういう取り組みをしていただきたいし、私どもも一緒になって-要請があればということになりますけれども-行動していきたいと思いますので、お願い申し上げます。
次に、鳥獣対策についてでありますが、農林水産省の調査によりますと、平成28年度における岩手県の野生鳥獣による農作物の被害は3億9、787万円、内訳では、鹿による被害が2億1、978万円と突出しております。また、イノシシによる被害は605万円と、鹿に比べるとまだ少額ではありますが、前年度から3倍以上の伸びとなっており、今後、被害額がふえ続けることを懸念しております。
県では、鹿、イノシシの生息状況をどのように把握しているのか伺います。
また、これら鳥獣からの農業被害についてどのような対策を講じているのか伺います。
〇千葉副知事 まず、鹿及びイノシシの生息把握についてでございますが、本県の鹿の個体数は、環境省が公表しております個体数推定調査の結果によりますと、平成24年度末で約4万頭とされており、その生息域はほぼ全県に拡大しているところでございます。このため、県におきましては、環境省の個体数推定結果やこれまでの知見により、鹿の繁殖率が25%前後とされておりますことから、平成35年度までに個体数を半減させることを目標に、年間1万頭以上の捕獲に取り組んでいるところでございます。
また、イノシシにつきましては、同調査によりますと、平成24年度末で岩手県、宮城県及び福島県の個体数は約10万5、000頭と推定されております。本県のイノシシにつきましては、平成23年度に一関市で捕獲されて以来徐々に生息域が拡大していることから、可能な限り捕獲に取り組んでいるところでございます。
次に、農業被害対策についてでございますが、野生鳥獣による農作物の被害を防止するためには、ニホンジカやイノシシなどの個体数を適正に管理するとともに、野生鳥獣から集落や農作物を守り、寄せつけない対策が必要でございます。
このため、県におきましては、市町村や猟友会などで構成する地域協議会が行う有害捕獲等に対する補助や、本県で開発した積雪に強い恒久電気柵の普及などに取り組んでいるところでございます。また、研修会等を通じて、里山周辺の除間伐や雑草の刈り払いなど、野生鳥獣を人里に寄せつけない対策や、住民にも参加いただいております捕獲活動の普及に取り組んでおります。その結果、今般、国の鳥獣被害対策優良活動表彰を受けました遠野市ニホンジカ捕獲応援隊を初め、県内各地で猟友会と住民が一体となった形での被害防止活動が広がってきております。
さらに、有害鳥獣の緊急捕獲などを担う鳥獣被害対策実施隊の設置を市町村に働きかけておりまして、これまでに設置を予定している32市町村中、31市町村が設置しており、残る1町もことし4月1日に設置することと聞いております。
このような取り組みによりまして、野生鳥獣によります農作物被害額は平成25年以降減少傾向にあり、今後におきましても、必要な予算を計上し、市町村や関係団体と連携しながら鳥獣被害防止対策の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 鹿も大変問題でありますが、イノシシも大変問題でありまして、人に向かってくる、そういう凶暴性があります。そういう意味合いでもイノシシ対策をきっちりと対応していくことが必要であると思います。鹿については、年間1万頭以上を目標に捕獲を進めており、平成30年度も1億1、000万円余の予算が盛り込まれております。引き続き取り組みの強化を進めていただきたいところですが、その際、課題となるのは、狩猟免許の所持者をどう確保していくかということだと思います。
平成元年に5、384人いた狩猟免許所持者は平成28年には2、995人と44%も減少しています。県の免許取得促進の取り組みもあり、過去5年間で狩猟免許所持者数が500人ふえておりますが、一方でふえているのはわな猟の免許取得者のほうで、銃免許の取得者はなかなかふえていない状況です。抜本的な捕獲対策としては銃免許の取得の増加が欠かせないと考えますが、今後どのようにして取得者を確保していくか、県の考えをお示し願います。
〇千葉副知事 狩猟免許の取得促進についてでございますけれども、県におきましては、鹿の個体数を半減させるため、銃やわなにより、目標としております年間1万頭以上の捕獲をまずはおおむね達成してきておりますが、今後、継続して捕獲していくためには、わな猟も含めて多くの担い手の確保が必要と考えております。
このため、県におきましては、県民の狩猟への興味や関心を高めるため、狩猟の担い手研修会等を開催しておりますが、特に銃による狩猟の担い手を確保する観点から、猟銃の取り扱いの体験や射撃の実演見学等を行っているほか、狩猟免許試験の受講者を対象として、狩猟に必要な法令等に関する知識や猟銃の技能を取得する予備講習会を開催しているところでございます。この結果、狩猟免許所持者数は、先ほど委員からも御紹介がございましたけれども、平成24年度の2、495人から平成28年度は2、995人まで増加してきたところでございます。
また、委員御懸念の第一種銃猟の狩猟免許につきましては、新規取得者数が平成24年度の46人から平成28年度は98人と増加してきておりますので、県としましては、引き続き猟友会等と連携しながら担い手の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 時間がなくなりましたので、最後にしたいと思います。
今いろいろ聞いてきたわけでありますけれども、平成30年度当初予算案は、県民の明日への一歩と共に歩む予算として編成されました。知事は、平成19年の就任以来、当初予算を10回ほど編成してきています。今さらながらとの思いがいたします。今まではどのような思いの予算の考え方だったのでしょうか。明日への一歩予算は、どのような考えからのキャッチフレーズなのかお伺いいたします。
〇達増知事 予算のキャッチフレーズについては、各年度における予算の特徴等を県民の皆さんにわかりやすくお知らせする観点から決めてきたところでありますが、例えば、東日本大震災津波の発生以降は、復旧、復興に最優先で取り組むことが基本でありますことから、復旧、復興の進捗を踏まえて予算のキャッチフレーズを考えてまいりました。
平成30年度当初予算案は、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組むことは変わりませんが、次期総合計画の策定も見据えながら、東日本大震災津波からの復興に加え、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興も最優先に、また、ふるさと振興総合戦略を強力に推進する予算として編成したところでありまして、こうした中、被災地における被災者イコール復興者の皆さんも、いよいよ恒久的な住宅での生活を始める人たちもいらっしゃいますし、一方では、8年目に入るけれども、いまだ応急仮設住宅での生活を強いられ、そういう中での一日一日の一歩一歩を踏みしめていかなければならない方々もいらっしゃいます。また、東日本大震災津波からの復旧、復興は果たしたにもかかわらず、平成28年台風第10号災害を受け、もう一度最初から復旧、復興の一歩を進めていくという方々もいらっしゃいます。そういうさまざまな明日への一歩というイメージを県民みんなで共有し、また、大谷翔平君や平昌オリンピック、パラリンピックで活躍する若い人たちのような力強い、未来に進んでいく若者たちを応援、励ますようなイメージもあわせて県民の明日への一歩と共に進む予算としたところであります。
〇高橋孝眞委員 今の回答を聞きますと、今までは希望のない予算だったような気がして、どうも明日への一歩というのは実感が湧かないわけでありますけれども、実質公債費比率を見ましても、平成30年度で18%を割ることになります。平成31年度から自由ということになるのですけれども、予算編成上から見ますと平成32年度からということになります。そういう意味合いでは、平成32年度が私は過去を清算しての明日の一歩予算になるのかなと感じておったものでありますけれども、知事の所感を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
〇達増知事 平成32年度の予算については、その予算の決定に責任を持つ人のもとで、また県民の知恵を集めながら決めていけばいいのではないかと思います。
〇高橋孝眞委員 終わります。(拍手)
〇高橋元委員長 次に、飯澤匡委員。
〔飯澤匡委員質問者席に着く〕(拍手)
〇飯澤匡委員 いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
時間が限られていますので前置きの振りは省略させていただきますので、その点御了承をいただきたいと思います。
私は、今回、数字や細かい施策の内容については余り聞かないで、方向性を問う質問に終始しておりますので、私もなるべく原稿を見ないで話しますから、ふだん庁議でやっているような話をここでしていただければよろしいので、その点御留意して答弁をいただければ幸いです。
まず最初に、私は以前に副知事体制について提案をさせていただいた関係から、新しい副知事の提案予定について数点伺います。
まず、なぜこの時期に2人体制とすることにしたのか、もう御説明されていると思いますけれども、改めてお伺いします。
それから、役割分担について。以前、上野副知事と現、千葉副知事との役割分担はありましたけれども、どういう分担にする予定なのか、その点もお知らせ願います。
〇達増知事 副知事の2人体制についてでありますが、来年度に策定する次期総合計画を着実に推進していくための体制が必要と考えております。さらに、ものづくり産業の集積や高度化の促進などにも取り組んでいくこととしており、トップセールスの充実も必要と考えております。これらの県政課題に着実に対応していくため、トップマネジメント体制の一層の強化を図っていく必要があり、副知事2人の体制とすることとしたものであります。
副知事の役割分担についてでありますが、2名の副知事が連携しつつ、ともに県政全般を見てもらうということを基本に考えておりますが、これまでの副知事2人体制の際の分担も参考としながら考えていきたいと思います。
〇飯澤匡委員 三つ目の質問もありますが、それは後段で聞きます。
それでは、平成30年度当初予算案について数点伺います。
今まで質疑がございました。今回、当初予算のポイントということで、これをもとに質問させていただきますが、いろいろと県民計画の最終地点や国のまち・ひと・しごと創生法に基づくふるさと振興総合戦略に当てはめた事業がクリアに入っているのですけれども、その中で、まず第1に大きな観点から質問しますが、私は、2020年代というのは、かなり大きな社会の変革を生むだろうと思っています。ことしは2018年ですから、それに対する助走として、今回の予算編成についてどのような認識を持って予算を編成し、また、事業化したのか、この点についてまず最初にお伺いします。
〇達増知事 確かに人口減少に伴う労働力不足や復興需要の縮小に伴う地域経済への影響なども懸念されておりますし、また、IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどのいわゆる第4次産業革命技術も出てきております。こうした第4次産業革命技術により人手不足を補って、地域経済を牽引する自動車や半導体関連産業を初めとする幅広い産業分野の生産性の向上を図っていくことが重要と考えます。
また、岩手県においては、沿岸部における地域経済の持続的な振興が重要で、宮古-室蘭間のフェリー航路開設や、三陸鉄道の久慈-盛間の一貫経営、復興道路の完成などによる新たな交通ネットワークを生かした取り組み、そして、いわて国際戦略ビジョンにあるような海外市場への展開、外国人観光客の誘客拡大の取り組みが重要と考えます。
そうしたことから、平成30年度当初予算案では、三次元造形技術や第4次産業革命技術を活用した企業のものづくり革新の取り組みに対する支援、自動車、半導体関連産業の一層の集積促進と人材の確保、定着、ICT等を活用したスマート農業の取り組みやゲノム解析等の導入によるいわて牛の産地力強化、三陸DMOセンター等との連携による三陸の地域資源を生かした観光振興、海外市場の特性に応じた戦略的な売り込みや県産品の販路開拓と観光誘客の連携などを盛り込んだところであります。
〇飯澤匡委員 中身は非常にすらーっと言っているのですけれども、問題は、その力点をどこに置くかということですよね。
今回、戦略的に取り組む重要施策について、この点に着目しました。被災地について、知事も共同インタビューなどで、被災地の復興というのは、復興需要は大分先が見えてきたので、経済も発展しなければならないというようなコメントもされています。そこで、被災地に限らず、まず第1に、経済発展策、戦略に取り組む重要事項とここに4点書いてあります。その中で、経済発展策についてどの点に一番留意されたのかお伺いします。
そして、これが一番大事だと思うのです。先ほどの高橋孝眞委員への答弁で県民にわかりやすい予算だと言いましたけれども、どこを見れば県民に一目瞭然、わかりやすく合点のいくものになっているか、その点についてお知らせ願います。
〇達増知事 基本的には、復興の現場で恒久住宅への第一歩を踏み出す方々、逆に、応急仮設住宅の中でのさらなる1年の一日一日を一歩一歩踏みしめていかなければならない方、水産業の分野でなりわいの再生を果たそうとする方々、商工業、観光それぞれでなりわいの再生を果たそうとされる方々それぞれが、今回の県の平成30年度当初予算案の中で自分に直接かかわる事業や予算を見つけることができると思っております。
そういう中で、岩手全体、また多くの県民にかかわる部分といたしましては、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック、パラリンピックの開催に向けた取り組みなどの文化、スポーツを振興する取り組み、海外市場への販路拡大や外国人観光客の誘客促進など国際戦略を加速する取り組み、若者、女性の活躍を一層推進する取り組み、ILCを初めとした科学技術振興を図る取り組みを戦略的に取り組む重要施策と位置づけて、関連する事業を盛り込んだところであります。
また、地域経済の振興、いわゆる経済発展策という御質問でありましたけれども、地域経済の振興に向けましては、岩手の産業全般にわたって、AIやIoT等も活用した生産性の向上や商品、サービスの高付加価値化、海外も含めたマーケットの拡大などに取り組み、三陸地域では、宮古-室蘭間のフェリー航路開設や三陸鉄道の一貫経営、そしてラグビーワールドカップ2019の釜石開催などの機会を捉えた取り組みを推進してまいります。
具体的には、戦略的に取り組む重要施策に掲げた科学技術振興を図る取り組みとして、県立大学等と連携しながら、第4次産業革命技術等を活用した新製品、サービス等を開発する企業のものづくり革新の取り組みの支援や、国際戦略の展開として、県産品の販路拡大を図るための戦略的、総合的な対外売り込み活動の実施やいわて花巻空港の活用、外航クルーズ船の誘致による外国人観光客の受け入れ態勢の充実強化などを盛り込んだところであります。
〇飯澤匡委員 ちょっと細かい点を聞きます。
やはり効果的な予算をつくっていかなければならないと思うのですが、知事はずっと若者活躍支援について事業をやってこられました。これまでの事業についてどのような総括をされてきたのかお伺いします。
あわせて、いわて若者文化祭について、負担金という形で支出するわけでありますが、これは支出するだけで人材投資と言えるのかどうか、その点も含めてお伺いします。
〇千葉副知事 まず、若者活躍支援についてでございますけれども、県におきましては、東日本大震災津波の発災前から、就職支援、担い手育成など若者に関する施策を実施してきておりまして、例えば、各産業分野での県内就職の定着、あるいは農林水産業の担い手の確保、あるいは建設業のイメージアップなどさまざまな取り組みを行ってきたところでございます。現在、復興を進めていく中で、地域において多くの若者が活躍しているという状況がありましたことから、さらに岩手の未来を創造していくためには若者の継続した力が不可欠という考えのもと、平成26年2月にいわて若者活躍支援宣言を行い、さらに若者の活躍を後押しするさまざまな施策を進めてきたところでございます。
当該宣言に先行して、平成25年度からは、多様な分野で活動している若者が議論を交わし、新たな活動につなげる場としてのいわて若者会議を県内各地あるいは首都圏で開催するとともに、平成26年度からは、若者が取り組むさまざまな活動の成果を発表し、交流する機会としていわて若者文化祭を開催しております。これらの取り組みによりまして、若者同士の交流あるいはネットワークづくり等さまざまな形で県内外に発信できているのではないかと思っております。
また、復興や地域づくりに取り組む若者団体を対象に、その構想を実現する取り組みに資金面で支援してきたところでございます。
また、地域振興や産業振興の分野では、例えばですが、県北地域のアパレル産業振興のため北いわて学生デザインファッションショーを開催するとともに、建設業界における女性の担い手確保に向けたけんせつ小町部会の活動支援、あるいはものづくり産業を担う若者を対象としたいわて産業人材奨学金返還支援制度の創設など、若者が活躍できるように多面的な形で支援させていただいております。
いずれ、今後とも、引き続きこのような取り組みを重層的に展開し、また、市町村の取り組み、あるいは団体の取り組み等も絶えず変わってまいりますので、県の関与の手法等もそれに合わせて見直しながら、さまざまな形で若者の活躍を支援してまいりたいと考えております。
次に、いわて若者文化祭についてでございますけれども、今一部申し上げましたが、いわて若者文化祭につきましては、地域活性化の担い手として期待される若者の活動を後押しし、また、学校、職場、地域の枠を超えたつながりを生んで、若者活躍のネットワークづくり等につながるものとして考えているところでございます。
これまで、宇野常寛氏や大友啓史監督など全国的に著名な文化人と知事との対談もその中に盛り込みまして、例えばでございますが、超人スポーツ-先ほどちょっと質疑もございましたが-とか、あるいは映像メディアに関心のある若者との間で、全国的な動向、課題などについて理解を深める機会として提供したところでございます。また、ブース発表の場では、パソコンやインターネットなどのデジタルコンテンツを活用するなど、被災地からも多くのグループが参加しておりますので、被災地を支援し、復興に役立つようなさまざまな発表も行われております。また、さまざまなパフォーマンスも実際にやっているところでございます。
このような取り組みが、復興やふるさと振興に向けて若者の活躍につながるようにしていきたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 この点についてはきょうは掘りませんが、いずれ我が会派でも問題意識を持ってやっています。運営主体の関係人から、このようなお金の使い方で果たして効果的かどうかという疑問が寄せられているということだけ申し上げておきます。
次に、ILC実現に向けた取り組みについてです。
ここに書いてある戦略的に取り組む重要施策の推進の中に、先ほど知事からも答弁がありましたが、確かにプロジェクト研究調査事業費ということで1億500万円という形でありますが、戦略的に取り組むという中に一言もILCという文字が出ていないのです。戦略的に取り組むのでしょう、これは。これはどういう意図でILCと入れていないのか、また、知事は、岩手の使命だと先ほどもまた答弁がありましたように、実現に向けて頑張る、これは大変結構なことだと思うし、私たちもそう思っています。しかし、この戦略的に取り組むその事業にILCという言葉が入っていないということは、県庁の職員に対しても県民に対しても非常にわかりづらいと思うのですが、なぜそういうことになったのか。あえてそういうことにしたのかどうか、その意図についてお知らせ願います。
〇達増知事 プロジェクト研究調査事業費がILCに係る事業名であり、また予算項目でございます。同じ事業は東日本大震災津波からの復興のほうにも盛り込まれ、そちらのほうは小見出しとしてILCの名前が出ているのですけれども、戦略的に取り組む重点施策のほうではそういった小見出しを立てなかったがゆえにプロジェクト研究調査事業費という事業名だけとなっておりますが、それがまさにこのILCに係る事業でありまして、県といたしましても、平成30年度はILC実現に向けた取り組みを重要施策として掲げ、科学技術振興を図る取り組みの中でもリーディングプロジェクトとして考えているところであります。
〇飯澤匡委員 迫力として、不退転の決意でやるという知事のお話でした、これまでの答弁で。大事な時期ですよね、平成30年度というのは。ILC実現に向けて本当に正念場と言われている。私だったら、この5番の頭にヘッドラインで書きます。ILC実現に対して一生懸命県は取り組むという大きな見出しを掲げて重要戦略の一つにばーんと上げる。それが県民に対してわかりやすい県の政策実行の魂や情報発信じゃないですか。
今は恐らく県庁内の議論でそういうことになっていると思うのですけれども、私は、いつまでも三陸創造プロジェクトに入れた範疇の中で進めていく……。そして、機を見るに敏という言葉がありますけれども、ことしこそやらなければだめじゃないですか、ILCについて一生懸命やるというのは。なぜ戦略的なところに書いていないのか、そこの意図をもう一回答えてください。なぜ入れなかったのか。私ならヘッドラインで入れます、私が知事だったら。
〇達増知事 わざと入れなかったわけではございませんので、入れなかったことについての理由というのはございません。
〇飯澤匡委員 県民に対してそれで説明ができますか。それが県民に対する機運の醸成や県の取り組み姿勢を示す一番のものじゃないですか。たった今、前の質問者への答弁の中で、県民に寄り添って県民にわかりやすい予算にしたいと言っていたじゃないですか。全くわかりにくいと思います、私は。
結論が出ないので次の質問に行きますが、先ほども質問がありましたけれども、欧州訪問デレゲーションの成果については、鈴木厚人県立大学学長も参加されたので、ある程度の感触というのは知事も御存じと思います。ですから、この際、しっかりと……。ただ単に要請活動だけではなく、いろいろなドアをつくって要請活動をしていかなければならない。ところが、全然見えないわけです。見えてこない、我々も、そして他県の様子も。岩手県はどうなっているのでしょうという声が出てくるのです、残念なことに。ですから、今回は絶対にILCを実現するためにやる、そういうものが必要だったと思います。
こういう形で非常に私は残念であって、文部科学省は今、機能不全に陥っていて、情報によりますと、民間企業と研究者とのコラボレーションによって新たな機構を立ち上げて推進していこうという話もありますけれども、その話について何か情報をキャッチしていますか。
〇大平企画理事 そのような話は私のところには……。仄聞というか、動きとしてあるようだという話しか聞いておりません。具体的なことは聞いておりません。
〇飯澤匡委員 だから、そういうところなんですよ。しっかりコミットして、私の耳に入っていることが仄聞した情報として入っているということですけれども、そういうところからドアを開いてしっかりと連携していくことが絶対必要だと思います。
もう一点質問しますが、一般質問でも、ILC実現後の青写真、どういう社会をつくるのかについて、知事は東北ILC準備室の動向を見ながらと。どういう社会、そしてまた、実現後、産業との連携でどういう形で地域振興を図っていくか、知事自身の言葉で語ったのを聞いたことがないので、この際、どういう思いを持っておられるか、自分自身のお考えで結構ですから。これは実現云々にかかわらず、自分自身がどういう社会になるのかを見据えて、県民に対してこういう考えだということを示していただければ結構です。
〇達増知事 本会議一般質問の際の答弁は、結構時間をかけて県組織の衆知を集めて文を練り上げて答弁したものでありますので、ぜひそれを尊重していただきたいところでありますけれども、要は、岩手の地質的な条件、太古、南太平洋で形成された古生代からの地層が、日本列島ができるときにちょうど合わさって北上山地南部となって世界有数の安定した花崗岩盤になっている。これをぜひ人類全体の進歩と発展に役立てたいということで、ILC建設は岩手の使命と考えておりますし、そうした人類全体、世界全体への岩手の貢献という取り組みは、東日本大震災津波とその後の復興でお世話になったことへの恩返しにもなりますし、そこで岩手県民の力を結集することで、復興の力にもなり、地域振興の力にもなる。また、世界に開かれた復興を進めてきたわけでありますけれども、ILCはさらにまた世界中から研究者やその家族がやってきて、ともに暮らしながら研究を行っていく。その効果は、多文化共生、若者の数学、科学への興味を高める。そして、経済的な効果に至っては、ILCというのは産業技術の塊のような施設でありますから、その波及的効果は非常に大きいものがあると理解しています。
〇飯澤匡委員 恐らくこれからもいろいろな研究者との会議に知事も出ることがあると思うのですが、それではかなり私は弱いと思います。やはり21世紀の環境の世紀にふさわしいまちづくりをする、例えば吉岡先生が、グリーンILC-鈴木学長もおっしゃっていますけれども-を目指してどういう岩手県らしさを発揮するかもっと具体的に説明して、岩手県ならこうしますとプレゼンテーションをするつもりでお話しする。それがすなわち岩手県の特性、それが強みということだと思うのです。もう少し情報発信力を強化していただいてお願いしたいと思うわけです。
もう一つ、私は、1月末に沖縄科学技術大学院大学を視察しました。これはILCのモデルとなるような研究の集中地点で、60%以上が外国人の学生、それから7割以上が外国人の教授陣、要するに研究職のためにつくった大学院大学でありますが、これは内閣府がほとんどの予算を出して-文部科学省は関係ないのです-ということで、前、KEKにいた広報担当の先生も、非常に大学としては理想的な形だと。それに伴って、要するにメーンキャンパスにも非常に酷似した立地ですから、これはILCのお手本になると思って視察したわけです。当局も視察したようですが、残念なことに、立地をした恩納村については一言もそのレポートに書いていない。
恩納村のレポートの中にこういう問題提起があります。一つは、県と国と共同していろいろ経済波及効果を狙ってきたけれども、なかなか思うようにいかない。やはり国自体が96%予算を持っているので、国主導でやってしまっているということです。例えば、キャンパス外の住居にしても思うように進んでいない。それから、経済二次波及効果も進んでいない。要するに、これは国や県との協議会があって、それで進めていくと言うのですが、これは既に進んでしまってからでは遅いという感触を私は得ました。
ですから、岩手県はこういう研究機関を立地をするのだと、研究者のため、学生のため、そして技術を供与する企業のために具体的にこういうことを用意するということをあらかじめ青写真としてしっかり描いて、東北ILC準備室だけに頼るのではなくて、そういうことをすべきだと思うのですが、その点について何か所感があればお願いします。
〇達増知事 国の有識者会議では生活環境要件や社会基盤要件を示したところであり、これについては岩手県も積極的に参画し、東北ILC準備室において東北のマスタープランの策定を進めているところであります。
このプランでは、ILCを中心とするコアゾーンを設定した上で、建設期、運用期、成熟期の段階に応じて居住エリアが拡大し、産業が発展していくことを展望することとしています。
この東北のマスタープランを踏まえて、これまで県で検討してきた教育や医療、生活支援など課題対応策とあわせて、県といたしましても関係市や関係団体と連携しながら、県としての振興策も取りまとめながら、ILCの受け入れ準備を着実に進めていく考えであります。
〇飯澤匡委員 戦略性のにおいがちょっと感じられないんですけれども、皆さんどうですか。私は全然感じません。
それで、一つ紹介したいのは、やることをしっかり連動して、それぞれの発信者や実行者がその連動をよく理解して互いの動きを認識し、必要な行動をとっていくかどうか、これはある新聞社の方の意見です。面倒くさいと思わないで、あらゆる資源を使って進めていただきたい。私もぜひ進めていただきたいという立場であります。
次の質問に入ります。政府は、洋上風力発電の普及に向け、2030年までに全国5カ所に促進区域を設け、今国会に提出する新法案の成立後に選定に入るとし、青森県、秋田県、長崎県の3県の沖合が有力視されているところであります。
最長30年間にわたって認定業者が事業を続けられる環境を整え、再生可能エネルギーの柱として市場を育成するものであると。これは大変優位性のある促進区域の設定だと思うのですが、県は、これまで、この国の動きをどうキャッチして活動してきたのか、岩手県はどうコミットするのか、その点についてお知らせ願います。
〇達増知事 国では、長期にわたり海域を占用する海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用を促進するために、促進区域の指定などについて定めた法案を今国会に提出する予定でありますが、これは、一般海域での海洋再生可能エネルギーの活用に当たってのルールを定めるもので、本県が平成25年度から国に要望していたものが一定の形になったものであります。
県としては、この法案を所管する内閣府に対して、法案の検討状況や今後の見通しなどについて情報収集を行っていますが、内閣府では、2030年度を目標として、年1カ所のペースで全国5カ所の促進区域の指定を想定しており、現在のところは具体的な予定はないということであります。
この法案においては、促進区域を指定するに当たっては漁業に支障を及ぼさないことが見込まれることなどが条件とされていますので、県としては、引き続き、漁業者等との合意形成に努めながら、発電の規模や計画等を取りまとめていく考えであります。
今後とも、国と情報交換を行いながら、三陸の貴重な資源である海洋再生可能エネルギーの利活用に積極的に取り組んでまいります。
〇飯澤匡委員 これは積極的にやっていただきたいと思うわけです。系統的な再生可能エネルギーは岩手県の政策の柱の一つになると思いますので、これを逃してはいかぬと思います。
次に、被災地の復興策とスポーツ施策の戦略的な展開についてお伺いします。
何回も出しますけれども、ここに、スポーツ関係の施策が入っていますが、どうも、観光との連動性について事業が見えてこないわけです。これはなぜそうなのか。一般質問の中でもハクセル美穂子議員が聞きましたが、文化、スポーツという枠をただ決めただけでは、どうもアカデミックな部分に収れんされてしまって、被災地の交流人口を活発にして産業を興すということは、今、一番の県の重要施策ではないでしょうか。ラグビーワールドカップについても、もっと観光施策と連動させるということはこの事業計画に出てこなければならない。よく読まないと、よく聞かないと出てこないというのは、やっぱり問題だと思うのですが、その点についてはどのように留意されたのかお伺いします。
〇千葉副知事 観光施策との連携についてでございますけれども、文化、スポーツにつきましては、幅広い分野に効果を及ぼす多面的な価値を持っており、観光産業の振興など経済的な力も生み出す大きな可能性を有しております。
本県は、二つの世界遺産や御所野遺跡を初め、古くから伝わる伝統芸能など文化的資源、あるいはスポーツに適した自然環境、高規格スポーツ施設などのさまざまなスポーツ資源にも恵まれており、文化スポーツ部といたしましては、これらのさまざまな資源を観光産業の振興につなげる役目も担っているところでございます。
このことを踏まえまして、知事を本部長として、各部局長を構成員とする文化・スポーツ事業推進本部を設置し、部局横断的な連携体制を整備したところでございます。
また、この1年の取り組みですが、先ほど名須川委員にも御答弁したところでございますが、両部局の連携によりまして、平泉、橋野の世界遺産と御所野遺跡を周遊するバスツアーへの支援や、橋野鉄鉱山を中心とした沿岸地域を周遊するモニターツアーの実施などにもことし取り組んでまいりました。また、先月には、ラグビーワールドカップ2019釜石開催を契機とした海外からの誘客拡大に向け、釜石で試合を行うフィジーを初めとした海外メディアあるいは旅行会社を招いての現地視察ツアーなども実施しております。
また、今後におきましても、いわてスポーツコミッションにおいて、スポーツイベントや大会、合宿の誘致に取り組むに当たり、本県の多様なスポーツ資源に加え、温泉、宿泊施設など観光資源を含めた岩手の魅力を総合的にアピールして、誘致の推進や誘客拡大につなげていきたいと考えております。
これもちょっと繰り返しになって恐縮でございますけれども、来年度におきましては、新たに(仮称)スポーツ推進計画を策定し、中期的な施策方向を定めることとしているほか、国の法改正を踏まえて文化芸術振興基本条例を見直すこととしておりまして、文化、スポーツ施策と観光施策等との連携についての検討を進める必要があるものと考えております。
〇飯澤匡委員 ちょっとは前に進んでいるというのは理解しました。
スポーツ庁の政策で、スポーツと他産業の融合、拡大など、スポーツを我が国の成長産業へと転換すると。スポーツ合宿の誘致、スポーツを核とした地域活性化に向けた取り組みを推進し、もっと観光施策と連動しろということなのですよね。
今回の部局設置については、観光施策が脱落しているから、それをもう一回考え直せということで、その条例案には私は反対しましたけれども、いまだにそう思っています。
文化、スポーツ部門を観光部門と同一計画で所掌している他府県の状況は、東北では秋田県の観光文化スポーツ部、山形県は観光文化スポーツ部、東北以外は、静岡県、大阪府、山口県、佐賀県、大分県、沖縄県でこのような事例があります。
ビジネスチャンスを生み出すというのは、今、副知事から連携会議とありましたけれども、用意ドンで集まって、さあ会議をしましょう、どうしましょうかというのではだめなんですよ。仕事というのは、やっぱりお互いの関連している部分が相乗効果を生むために、その部署にあるスポーツのイベントに、じゃ、観光の部分も呼んで、ここの部分もこんなチャンスがあるから、もっとこういう仕掛けをやったらどうかと、不断にそういう会議をするという環境が必要だと私は思うわけです。
ですから、文化スポーツ部については、今からでも遅くないので、来年度はもう間に合わないから、ぜひともいろいろ研究していただいて、ラグビーワールドカップは2019年ですから、機能的に動けるような組織改編、観光部門というのをもう少し引き上げて戦略的に行う必要があると思うのです。
それから、復興庁の復興関連事業については、ことしは東北全体で51億円、来年度は56億円の予算要求をしています。衆議院ではもう可決されましたが、どういう状況になるかまだわかりませんけれども、いわゆるビジネスモデルを創出するというのが目的となっています。今年度、そういう意味では、どういうところに、お金をどれぐらいいただいてやるという気構えなのか。これは質問に入っていませんから具体的に答えなくていいので、どういう思いでやるかという、その決意だけお伺いします。
〇千葉副知事 まず1点目でございます。文化スポーツ部として設置したことについてでございますけれども、今、委員からお話がございましたように、文化、スポーツ、観光分野を一元的に所管している専担組織を持っているのが他県においてあることも承知しております。
本県におきましては、文化スポーツ部をつくる際にさまざまな面から検討いたしましたが、観光分野につきましては、旅行商品の企画、造成に当たり、宿泊施設や飲食店、旅行会社等との連携に加え、経営面での支援や指導なども必要であること、農林水産業や地域づくり等の分野とも関連が深いことなどから、商工労働観光部において引き続き所掌することとしたところでございます。
また、引き続き、私どもは観光関係団体とも意見交換もしておりますが、本県の文化、スポーツ資源は観光コンテンツとして大変魅力的であるという声がある一方で、観光は、交通、宿泊、飲食、お土産品など関連する産業の裾野が広く、経済波及効果、雇用創出効果も極めて大きい分野であることから、商工労働観光部において担っていただきたいという声も伺っているところであり、県内でもさまざまな御意見があるものと承知しているところでございます。
後半部分でビジネスモデルの話がございました。これからラグビーワールドカップ2019もございます。さまざまなそういう大規模イベント、県内の内陸部でもアジアレベルのイベントの誘致の話もございます。それについて、スポーツ分野、文化分野と観光分野で、どういう形でそういうモデル事業みたいなものが仕組めるかどうかは、当然、十分検討しなければならないものと考えております。これは部の中にある、部の中にないということにかかわらず、こういう検討はする必要があるものと考えております。
〇飯澤匡委員 副知事は随分強弁を張ったようですけれども、それは余り説得力がないです。文化、スポーツと観光の連携は、ラグビーワールドカップだけではなくて、いろいろな部分であるので、行政組織なんて、やるようにやればできるのだから、商工労働観光部の観光のところは、その部署ということで分けてやればいいだけの話であって、もう少し工夫が必要だと思います。
それから、三陸防災復興博(仮称)について、私は、一発でやるのではなくて、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック、パラリンピックと、これは年次ごとに一つ一つ、地域性の特性を生かしてやったほうがもっと効果が出ると思います。
今まで戦略的な予算のことについて聞きましたが、私の感想から言うと、ラグビーで言うと、非常にパックが甘い。私や軽石委員とか名須川委員がスクラム前列に組んでいたとしても、パックが甘いとトライを取れないんですよ。だから、組織のパックをもっと強くしていかないと、そういうところがよく見えないので、ILCにしても、洋上風力発電にしても、県庁自体の結束力というか、そういうものが見えないのが非常に残念です。しっかりやっていただきたいと思います。
時間がないので、最後は次期総合計画について。
県では、次期総合計画策定に当たり有識者で構成する岩手の幸福に関する指標研究会を設置し、経済的要素に加え、岩手の風土や文化、暮らしなどの施策の展開に向けて幸福に関する指標の検討が行われています。
私は、幸福のパラドックスに着目することには一定の理解を示しますが、役所が個人の幸せを規定することはおこがましい話ではないかと考えます。
そこで4点伺います。
これからの議会の策定の関与について、どういうような予定であるのか。これは、来年の2月には議決をしなければなりませんから、その点についてまずお伺いします。
〇達増知事 次期総合計画の策定に当たっては、そのプロセスの節目ごとに検討状況等を議会へ情報提供し、議会の御意見を十分に踏まえながら策定を進めてまいります。
具体的には、総合計画審議会からの中間答申を踏まえて本年6月に策定する計画の素案や、パブリックコメントや県内各地での説明会における御意見を踏まえて9月に策定する計画の案の公表に合わせ、計画の内容や県民から寄せられた意見等をお示ししたいと考えています。
また、次期総合計画の長期ビジョンは、県行政の基本方向を定める計画でありますことから、県行政に関する基本的な計画の議決に関する条例に基づき、総合計画審議会からの最終答申を踏まえて11月に策定する計画の最終案を12月議会で報告した上で、平成31年2月議会に提案したいと考えております。
〇飯澤匡委員 幸福に関する指標について、12の領域を満たす、保障するのが行政の役目と知事は言っていますが、客観的指標は今日まで行政が改善を行ってきた行政目標と余り変わったものがありません。そこにあえて幸福の物差しを置く根拠というのはどういうことなのか。協調的幸福感、ソーシャルキャピタル、どうも言葉遊びに興じているような感じがしますけれども、これは県民に受け入れられて、本当に次期の総合計画だと言えるような感触を今持っているでしょうか。
〇達増知事 岩手の幸福に関する指標研究会の最終報告書では、県民意識調査で得られた主観的幸福感を中心として、幸福に関連する領域を仕事や健康、子育てや教育などの12の領域に整理して、領域ごとの実感や関連する客観的指標などからなる指標体系を幸福に関する指標としてまとめていただきました。
この12の領域について、健康と余暇、家族と子育て、教育、居住環境とコミュニティ、安全、仕事と収入、歴史・文化、自然環境の8分野と、これらの分野を下支えする共通的土台としての社会基盤を加えた8プラス1の分野に整理して、総合計画審議会で御議論いただいているところでありますが、幅広い政策領域をそれぞれ高めていく上で、幸福という視点から全体をまとめていくことは、政策推進上、効果的であるという印象を持っています。
研究会のアドバイザーとして御協力いただいた京都大学の広井教授からも、幸福度という横断的な視点を導入することは、政策を総合化することに通じるというお話をいただいています。
また、研究会報告書では、人とのつながりが豊かな地域は幸福感が高い傾向にあるという先行事例を参考に、岩手県の協調的幸福感等についても調査した結果、岩手県のソーシャルキャピタルは全国より高い傾向にあり、また、協調的幸福感は主観的幸福感との相関が大きく、直接関連するとの分析がなされています。岩手として、こうした特徴を大事にしていくことは意義があるものと考えます。
県としては、報告書の内容を参考にしつつ、県民や各種団体、市町村などの御意見を広く伺いながら、総合計画審議会の御議論を踏まえ、次期総合計画における幸福の指標について検討してまいります。
〇飯澤匡委員 先ほど、平成32年度の予算はしかるべき人が編成すればいいというお話がありましたが、計画期限は10年です。そうすると、私のようにビジネスを中心にした考え-私は、被災地のより的確な実行計画を5年スパンぐらいで仕上げるのが明確な政策目標だと思うわけですが、目に見える創造的復興とは、そっちのほうが優先度が上ではないかと思います。
幸せになるのじゃなくて幸せに気づくのだよというような言葉があります。そういうことをぜひとも勘案していただきたい、このことを申し上げて、終わります。(拍手)
〇高橋元委員長 次に、中平均委員。
〔中平均委員質問者席に着く〕(拍手)
〇中平均委員 創成いわての中平でございます。
会派を代表しての総括質疑をさせていただきます。
最初に、平成30年度当初予算案の特色についてお伺いいたします。
今までの質疑でもございましたが、明日への一歩予算と位置づけ予算編成されておりますが、これに対する知事の思いと予算の特色等について、改めてお伺いいたします。
〇達増知事 平成30年度当初予算案は、次期総合計画の策定も見据えながら、第3期復興実施計画に基づく東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧、復興を最優先に、ふるさと振興総合戦略を強力に推進する予算として編成しました。
復興については、三つの原則に基づき、被災者イコール復興者一人一人の復興を見守りながら、三陸のよりよい復興の実現を目指す三陸復興、創造に取り組んでまいります。
また、復興道路やフェリー航路など新たな交通ネットワークを活用した産業振興や交流促進、ジオパークを活用した地域振興や交流人口の拡大、ILCの実現を初めとする科学振興施策などの三陸創造プロジェクトを進めてまいります。
総合戦略の計画期間の後半に入るふるさと振興については、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱に基づく取り組みを、市町村等と連携しながら強力に推進してまいります。
具体的には、自動車や半導体関連産業などの産業振興、出産、子育て支援、働き方改革や若者、女性の活躍支援などの取り組みを進めますほか、ラグビーワールドカップ2019などを見据えて、スポーツを通じた交流人口の拡大等を推進してまいります。
これら各般の施策によって、県民の明日への一歩と共に進む取り組みを推進してまいりたいと思います。
〇中平均委員 昨年12月定例会の一般質問では、私のほうからは平成30年度の重点取り組み政策をどのようにするかいう質問をさせてもらっておりました。それを受けてというわけではないのでしょうが、今、その時の答弁実績を見ながら答弁を聞いていたのですけれども、そういったところかと思っております。
それで、まず、財政のほうに関してですが、歳入予算の確保についてお伺いします。
平成30年度当初予算編成に係る副知事名通知によると、予算編成に当たってはあらゆる手段による歳入確保を行う、政策評価結果による事業効果、効率性を検証し、歳出を徹底して見直すこととされています。
歳入予算の前年度比較を見てみますと、諸収入はマイナス4.6%、72.6億円の減、地方交付税はマイナス1.8%、約53.4億円の減となるなど、全体で2.7%、約263.8億円の減となっています。
震災事業の進捗等に伴う減と見込まれますが、通常予算として積極的な歳入確保策をどのように行っているのかお伺いいたします。
〇佐藤総務部長 当初予算の編成におきましては、地方交付税や臨時財政対策債の減少が見込まれる中、地方創生推進交付金を初めとした国庫財源の有効活用を図ったほか、企業局の震災復興・ふるさと振興パワー積立金から1億3、000万円の繰入金を計上したところでございます。
また、未利用資産の売却や県有施設における自動販売機設置に係る公募などにより4億4、000万円余の税外収入を確保するほか、受益者負担の適正化の観点から、運転免許関係事務手数料など使用料、手数料等の改定により1、900万円の増収を図るなど、歳入確保策を講じたところです。
引き続き、県税徴収の強化や未利用資産の売却、ふるさと岩手応援寄付などあらゆる手法により歳入確保を図るとともに、国に対しましては、偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系の構築や、地方交付税を初めとする地方一般財源総額の確保を求めながら、安定的な財源の確保に努めてまいります。
〇中平均委員 税外収入が4億円ということで、未利用資産の売却等はいずれ先が見えてきてしまうところもあると思います。また、これから先、売れなくなってしまう未利用資産もあると思いますので、今、部長から話があった安定的な財源の確保ということを強く進めていかなければならないと思うのですが、来年度、安定的な税収を確保していくために、どういった国に対する要望活動とか全国知事会での活動をしていかれるのか、知事にお伺いします。
〇達増知事 やはり地方一般財源総額の確保ということがテーマになるわけでありますけれども、その中で、基金残高の問題で、地方自治体には基金に残高があるから一般財源を減らしていいのではないかというような議論がありますので、そこにきちんと反論していくところが、全国知事会的にも、また岩手としてもポイントになると考えております。
〇中平均委員 次に、政策評価結果の反映についてお伺いいたします。
政策評価結果等の政策等への反映状況報告書を読ませていただきました。事業ごとに廃止や休止、縮減となっておりますけれども、よくよく見ると、他事業に統合であるとか、結果として事業継続という形も見受けられますが、政策評価結果はどのように当初予算に反映されているのか、具体的な例示を挙げてお示し願います。
〇藤田政策地域部長 政策評価結果等の反映についてでございますけれども、今年度の評価結果をもとに、縮減または廃止、休止とした事業は38事業ある一方で、平成30年度当初予算案において新たに創設した事業は78事業ございます。また、事業内容の充実などにより拡充した事業は80事業ございます。そして、廃止または休止とした事業の中には、評価結果を踏まえて事業内容を大きく見直した上で、新たに事業を立ち上げるものもございます。
例えば、廃止、休止と整理している三陸海洋エネルギー研究開発促進事業費につきましては、研究開発において当初の目的を達成したため廃止するとともに、次の段階として、関連産業の創出に向けた研究開発への支援を実施するため、海洋エネルギー関連産業創出促進事業費を新たに立ち上げることとしているところでございます。
〇中平均委員 先ほど来の議論にもあったのですけれども、指標をどのように設定していくのか、目標値をどこに置くのか、これは議会のたびに議論になるところです。やはり使いやすいところを使っているのじゃないかという意見、また、どうしても長いスパンでやっているため、政策評価の目標値がなかなか現実に即していかないという意見、そういった点を実態に合わせてフレキシブルにやっていくべきじゃないかという意見はいつも出ています。こういったところをどうしていくかというところが一番問われているのだと思います。この点を一つお聞きしたいと思います。
今、具体の事例で言ってもらいましたが、あえてここで出してくれとは言いませんけれども、今のは、政策の目的が次の段階に行ったから、これは廃止でなくて次の段階に行くのだということですが、正直な話、県の事業の中で、これは政策的にも、効果的にもうまくいかないので今回切りかえたというものも、いろいろな評価結果を見ていくとあるのではないかと思うのです。実際、今この場でということは難しいかとは思うのですけれども、そういった点を踏まえてフレキシブルな対応をどうやっていくのだということになると思うのですが、その点をお伺いします。
〇藤田政策地域部長 まず、指標等の関係についてでございますけれども、現状では、指標や目標値の設定に当たりましては、過去の実績値や将来推計値あるいは分野別の計画や国の設定している基準、全国平均値やベンチマークとなる都道府県の水準などを踏まえ、目指すべき最終年度の目標値を設定した上で、各年度の目標値も立てて評価を実施しているところでございます。
指標の実績値が最終年度の目標値を既に上回った累計指標につきましては、第3期アクションプランの中間年となる今年度に目標値の上方修正を行うとともに、その内容を政策評価結果等の政策等への反映状況報告書に掲載し、本定例会で県議会に報告しているところでございます。
次期総合計画の策定に当たりましては、総合計画審議会での御議論などを踏まえ、実態に即した適切な目標値を設定するよう努めていくとともに、設定した指標につきましては、社会経済情勢の変化等に対応し、必要に応じて内容を見直すなど、弾力的に対応してまいりたいと考えております。
また、先ほどの事業の縮小あるいは廃止といった点の御指摘でございますけれども、その評価の中で、これまでやってきた内容について、さらに改善すべき点があるのではないかとか、そういった分析した内容を踏まえて、一旦廃止した上で大きく見直すといったものも中にはあろうかと思っております。
〇中平均委員 あとは、あえて一つ言うのであれば、政策評価で例えば廃止、統合となった中で、今回、国の予算が途切れてしまったので、どうしても廃止せざるを得なかったとか、統合せざるを得なかったというものも、あるのじゃないかと思って見ているので、そういった点の表現の仕方というのもやはり考えていくべきではないかと思います。その点は提案しておきます。
次に、最近、いろいろな資料でよく見るのですが、地域循環構造をつくっていこうと。域外から稼いできて、そのお金が地域で使われる。それで再構築していくことによって成長していきましょうと。ある意味もっともな話で、大分前から各議員、また県のほうでも話していたことが、今、いろいろな文書で出てくるようになってまいりました。
グローバル化がこれだけ進んでいく中で、地域をどう捉えるかにもよるのですが、地域外からのお金、いわゆる観光であったり、例えば県とか国が出す公共事業等を循環する構造をどうつくっていくかということが必要だと思うのですけれども、この点についてどう考えているのかお伺いします。
〇藤田政策地域部長 地域循環の構築についてでございますけれども、地域循環型の経済基盤を構築していくためには、製造業や農林水産業、観光業などの県外から安定的に外貨を獲得する域外市場産業を強化するとともに、得られた所得を生産、流通、販売、消費を通じて県内で循環させることにより、商業やサービス業、建設業など域内市場産業の振興を図り、地域経済を安定的、持続的に成長させていくことが必要と考えております。
具体的には、地域経済を牽引する自動車、半導体関連産業の一層の集積促進と人材の確保、定着に取り組むとともに、地域の特性や資源を生かした産業を振興して、販路開拓や外国人を含む観光客の誘客拡大などに取り組むことが重要であると考えております。
このため、農林水産業における6次産業化による高付加価値商品の生産、販売や、農林水産物のブランド化の推進、復興道路やフェリー航路など新たな交通ネットワークの展開や、三陸の地域資源を生かした観光振興などに積極的に取り組むとともに、地場企業の技術高度化や新技術開発等の取り組みを支援し、地域経済に好循環をもたらす地域クラスター形成の促進や、生産者と消費者の結びつきを深める地産地消などに取り組み、地域循環の構築を推進してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 ずっと言われてきていることで、これをどうやっていくかということが大きく問われてくることだと思いますので、まず、そこを何とかやっていかなければならないのだろうということです。
そういった中で公共事業の話をしますと、復興需要が徐々に落ちついてきている中で、いろいろな入札を見ていると、低入札であったり、5者未満の入札等が見られるようになってきている。今のルールであれば、5者未満であれば低入札の失格基準がないため、結局、今言った地域循環という形ではなくなっていますが、本会議での答弁にもありましたけれども、これからますます工事量が減少していく、復興需要が沿岸地域、被災地の経済に大きく寄与しているという状況を考えていくと、ここのところで、入札制度であり、県、国の発注する公共事業、これは自治体、市町村もそうですけれども、これをある程度地域で回す、それは競争性の中でということでありますが、そういった中でやっていかなければならない。やはり見直すべき時期も来ているのではないか思うのですが、この点をお伺いします。
〇佐藤総務部長 入札参加者が5者未満の場合は、失格基準価格の算定に用いる対象者数が少なくなるということで、適切な基準が設定できません。そういったことで、工事費内訳書の直接工事費あるいは一般管理費等の費目ごとに、一定基準を下回る場合に失格とする数値的判断による失格基準によって判定しているところでございます。
今、委員から御指摘がありましたとおり、これまでも、県内企業で施工可能と認められる工事は県内企業への発注を基本としておりますが、現在、復旧、復興工事の円滑な施工を推進するために、地域要件の緩和等さまざまな特例措置を講じて入札を執行しているところでございまして、今後、復興工事の進捗状況あるいは入札動向を注視しながら、特例措置の見直しにあわせ、入札制度の全般的な見直しについて、業界団体の要望、御意見等も伺いながら検討していく必要があると認識しております。
〇中平均委員 実態に即したといいますか、他県の動向等を見ても、岩手県が特殊なのか、東北のほかの県が特殊なのか、ちょっと私もわかりかねるところはありますが、さまざまな検討をしながら入札制度の改善というものにも随時取り組んでいっていただきたいということを申し添えます。
順番を逆にして、最初に県産米のほうを質問させていただきたいと思います。
先ほど来の質疑でもございましたが、県産米は今回は日本穀物検定協会の特Aを取れず、魚沼産のコシヒカリも取れなかったということでありますが、この点について、取れなかった理由等々をどう捉えているのかをまずお伺いします。
〇達増知事 食味ランキングを実施している日本穀物検定協会は今回の評価の理由については明らかにしていませんが、お米に対する深い見識を持つお米マイスターなどからは高い評価をいただいており、今回の食味ランキングは評価の一つと認識しております。
〇中平均委員 繰り返しの質問になってしまって恐縮でございます。日本穀物検定協会にサンプルを送っているかと思うのですが、これはどのような選定方法になっているのでしょうか。そして、当然、岩手県として各品種のサンプルを送っているかと思うのですが、それに対して、自分たちの評価といいますか、そういった点をどのように考えていたのかをお知らせください。
〇千葉副知事 サンプルの選定等でございますけれども、食味ランキングの対象となるサンプルの選定は、日本穀物検定協会の食味試験実施要領で、品種ごとに、地区内の代表的産地で生産され、かつ品種の特徴が明確なものを選定することとされております。このため、各品種の代表的産地から複数のサンプルを収集しまして、食味計による分析も行い、あわせて各関係機関、団体で食味感応試験を実施した上で選定したものでございます。
したがいまして、私どもといたしましては、それなりのものをサンプルとして送ったつもりでございます。
〇中平均委員 その中で、今回、特Aを取れなかった理由というところです。サンプルで出す以上、今、副知事から説明があったように、代表的な産地で、きちんとしたものを当然選定したということだと思うのです。これは、恐らく全国各地の産地も同じことだと思います。
そういった中で、岩手県が連続して特Aを取ってきたものが、今回は取れなかったという理由をどういうところに捉えているのかをお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 先ほどの高橋委員への御答弁とも重複しますけれども、日本穀物検定協会からは、今回の評価結果について特に説明はされていないところでございます。
これも繰り返しになりますが、今回の評価で特Aを取れなかったということにつきましては、新潟県魚沼産のコシヒカリとか他県のトップブランドの品種も取れなかったところが結構ございまして、今、全国的に報道もされており、その原因についてもいろいろなことが飛び交っておりますが、一つの理由としては、しかるべき時期の天候不順等も影響しているのではないかというようなお話もされているところでございます。ただ、それについては日本穀物検定協会では特に明言しておりませんので、私どもといたしましては明確なお答えがしかねる状況でございます。
〇中平均委員 あくまで、たくさんある評価基準の一つであるとは思うのですが、次回、平成30年産米は特Aを取ろうと思っていくものなのか。そうであれば、どういう取り組みを行っていくのか、その点をお伺いします。
〇千葉副知事 次期取得に向けた取り組みについてでございますけれども、平成30年産米の生産に向け、金色の風、銀河のしずくにつきましては、県及び地域に設置しております栽培研究会の活動を強化し、また、ひとめぼれ等につきましては、県の栽培管理指導方針に基づき各JAが行う食味向上の取り組みを支援するとともに、新たにリモートセンシング技術の活用等による品質管理体制の構築や、高精度食味分析器を活用したたんぱく質含有率などの分析、栽培管理へのフィードバックなど、高品質、良食味米の安定生産に向けて指導を強化していきたいと考えております。
〇中平均委員 今の高精度食味分析器というのは平成30年度予算でやるということなのでしょうか。そこを確認させてください。
米に関して、特Aを取れなかったことが販売戦略にどう影響があると見込んでいるのでしょうか。たくさんある評価基準ではあると思うのですが、歴代は取ってきて、しかも、先ほどの議論にもありましたが、フラッグシップ米なわけです。それが取れなかった。県北の久慈とか、二戸は違うのかな、ちょっと詳しくなくて恐縮なのですが、正直、私の住んでいる地域というのはフラッグシップ米は生産できない地域なわけです。特Aを取って、フラッグシップ米が全体を牽引していって、岩手県全体の米の単価を上げていこうということでやってきたと私は今まで説明を受けていたのです。そういった中で、今回、特Aを取れなかったのは、県南の産地だけでなくて、岩手県全体、特に県北、沿岸部の米作にも大きな影響を及ぼしてくるのだろうと思います。そういった点を踏まえて、知事は、たくさんある評価の中の一つだということで、そういう答弁もわかるのですけれども、それに対する販売戦略に今回どう影響があるのだろうと。平成29年産米はもう売ってしまっているのでしょうけれども、平成30年産米に向けての販売戦略というものへの影響をどう捉えていて、それを踏まえた上での販売戦略をどう考えているのかという点をお伺いします。
〇千葉副知事 まず、先ほど申し上げましたリモートセンシング等の活用によります品質管理体制の構築等につきましては、平成30年度の予算に盛り込ませていただいているところでございます。
販売戦略への影響についてでございますけれども、これも先ほどの答弁と若干重複いたしますが、全国の米卸業者の方々からは、そういうフラッグシップ米をつくり、業務用仕向けのお米もあるということで、幅広いメニューを岩手県が産地として持つということは、さまざまな面で売りやすいという評価も頂戴しているところでございます。
いずれ、販売戦略への影響につきましては、全農岩手県本部によりますと、平成29年産米は県外の米卸業者からの評価は非常に高くて取引も順調に進みまして、今回の食味ランキングの結果による影響は現時点で見られていないと伺っております。
また、県内の米卸業者によりますと、金色の風を初めとする県産米の評価は高く、例年よりも販売が進んでいるとも聞いております。
ちょっと個人的な話でございますが、きのう、私は公務で埼玉のイオンモール与野に行ってトップセールスを行ってまいりましたが、両ブランドにつきましては埼玉の方々からは非常に高い評価を頂戴しているということを聞いて、大変うれしく思った次第でございます。
今後におきましては、平成30年度からの3年間を期間とする新たないわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づき、これまでもやってまいりましたが、マスメディアを活用したプロモーション、大消費地でのトップセールス、卓越した栽培技術を持つ生産者による消費者へのPRなど、さらに県産米に対する消費者、実需者の評価を一層高めることが重要でございまして、このことが結果的に高価格での取引を実現し、このブランド米だけではございませんが、米生産者全体の所得の向上に寄与しているものと考えております。
〇中平均委員 影響がなく、そして高い評価をいただいているということなので、それを継続して行くように、何といっても、テレビコマーシャルでは宇宙一の米でしたか、その名に恥じないようにやっていってもらいたいということを申し上げます。
次に、県北・沿岸振興についてお伺いします。
平成30年度予算案の三陸総合振興推進費ということで、三陸防災復興博(仮称)の予算でございますが、前回の一般質問でも聞いておりましたが、今の段階で、開催期間、開催内容はどういったことを想定しているのか、また、準備の状況、正式名称の決定時期をあわせてお伺いします。
〇藤田政策地域部長 三陸総合振興推進費についてでございますけれども、三陸地域における広域的、総合的な防災復興行事の実施に向け、昨年11月に設立した三陸防災復興博(仮称)準備委員会で基本構想を決定したところでございます。現在、この基本構想に基づき、沿岸の市町村を初めとした準備委員会の委員等の御意見を伺いながら、防災や復興をテーマとしたシンポジウムの開催や、三陸の豊かな資源を生かした新たな魅力を発信するために、三陸鉄道の車両や駅を活用した企画などのほか、復興の先を見据えた地域振興にもつなげていくために、三陸ならではの体験旅行プログラムや、豊かな食材を活用した特産品を開発することなど具体の企画内容の検討を進めており、今月予定している準備委員会及び実行委員会で基本計画を策定することとしているところでございます。
また、名称や会期につきましても沿岸の市町村の御意見を伺っているところでございまして、今月予定している準備委員会及び実行委員会において決定する予定としているところでございます。
〇中平均委員 時期等を含めてさまざまな議論があるのは皆様御承知のことだと思いますので、被災地という点を踏まえて準備を進めていっていただきたい。
地域から、これをやっていこうと沸き上がってきた事業ではないと言えばちょっと言い過ぎでしょうか、そういった中でこれをやるということは、以前からの説明のとおり、ラグビーワールドカップまた宮古-室蘭間のフェリー航路に合わせてやっていくというところもあると聞いていますので、そうであればこそ、やはりまだ復興途上というところで、地域もまだまだ大変なところもあります。そういったことを踏まえながら、丁寧な対応をしていっていただきたい。
次に、三陸ジオパーク活用強化事業についてですが、昨年10月に再認定審査が行われ、結果、条件つきの再認定となっています。この再認定になったことについての県の認識とその対応について、どのように予算反映させたのかという点をまずお伺いいたします。
〇藤田政策地域部長 三陸ジオパークの関係でございますけれども、審査を行った日本ジオパーク委員会からは、ジオパーク活動の推進体制の強化に関する課題を中心に、関係機関等との情報共有や連携、ジオパークの理解や活用に関する課題の指摘があったところでございまして、三陸ジオパークを構成する3県16市町村にわたる広大なエリアを統括的に管理運営する体制を構築し、その役割をしっかり果たしていくことが求められていると認識しております。
こうしたことから、県といたしましては、来年度、環境生活部にジオパークの専担組織を新設するとともに、三陸ジオパーク推進協議会の現地事務局の体制も拡充するなど、県と協議会の推進体制を強化していくこととしているところでございます。
また、協議会の構成団体である沿岸市町村におきましては、ジオパークの地域への浸透と活用を推進する地域協議会等の設置も検討されておりまして、関係市町村との連携強化にも取り組んでまいりたいと考えております。
平成30年度当初予算案におきましては、三陸ジオパーク推進協議会による課題解決の取り組みや、三陸地域の新たな交通ネットワークの進展を好機と捉えたジオパークの活用等に必要な新たな予算を計上したところでございまして、2年後の再認定審査に万全を期してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 万全を期していただきたいという点と、また、各地域の資源と連携、連動していかなければならないのだろうと思います。みちのく潮風トレイルとか地域資源、久慈であれば久慈琥珀であり、また各種の地層等のいわゆるジオポイントを含めて、沿岸部は鉱山跡であったり、さまざま資源等があります。そういった点を連携させていきながら、この地域のジオパークというものを生かしていく。三陸鉄道も一貫経営になって、2年後のラグビーワールドカップ、また三陸防災復興博(仮称)もやるということであれば、そこに合わせて、ここはきちんとブラッシュアップをしていくべきだろうと思います。その点をお示し願いたいと思います。
また、バーチャルリアリティーの事業費も計上されていますので、あえて聞くのですが、いろいろなところでバーチャルリアリティーの事業をやっているのを見ますと、最初につくるときはみんな気合いが入ってつくるのですね、いろいろな施設とか自治体でも。ただ、結局更新されていない。そうすると、1回見ると、もう2回目は見ない。2回、3回は行ってまで見ないというところが結構あるというのが実感であります。
また、こういうものはどうしても更新の経費が非常にかかるということもあります。こういった点を踏まえて、どういった内容のものをつくって更新していくのか。そして、リピーターをこれでふやしていかなければならないわけです。そういった点をどう考えているのかもお示しください。
〇藤田政策地域部長 まず、地域資源との連動についてでございますけれども、三陸ジオパークの理解と活用を一層推進するためには、三陸復興国立公園とより一体的に取り組みを進めていくことが有効であると考えております。
このため、平成30年度当初予算案に計上している三陸ジオパーク活用強化事業では、ジオパークやみちのく潮風トレイル、三陸鉄道などの地域資源の活用をテーマに、旅行商品の造成等による国内外からの誘客や、ジオパークの拠点施設となっている久慈琥珀博物館や道の駅などでのインフォメーション機能の強化など、来訪者が広大なエリアを周遊しやすい環境の整備にも取り組んでまいりたいと考えております。
また、バーチャルリアリティー事業費についてでございますけれども、三陸ジオパークやみちのく潮風トレイルの魅力を効果的に発信するため、VR(バーチャルリアリティー)技術を活用して、トレッキングやサッパ船などのアクティビティー体験の魅力を体感できる映像を作成し、インターネットや商談会等を通じた国内外への発信、あるいは三陸周遊の拠点となる施設等への来訪者に対するガイダンスにも活用できるよう整備を行うこととしております。
映像ソフトの制作につきましては、沿岸市町村等の御意見も踏まえながら、久慈琥珀などのジオサイトとみちのく潮風トレイルの見どころを中心に選定した上で、地域のガイド団体等による解説も加えながら、360度見渡せるVR映像を現地で撮影しまして、一つ、数分程度のインバウンド対応のコンテンツに仕上げることを計画しているところでございます。
VR動画につきましては、その後の更新といったことも念頭に置きながら、比較的低コストで制作が可能なものを考えておりまして、更新につきましては、三陸ジオパーク推進協議会とも連携しながら、必要に応じ段階的に進めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 今の答弁と関連してくるのですが、次に復興ツーリズムということで聞きます。
まず、目標とする企業数をどう捉えているかということをお伺いいたします。
〇岩間企画理事 企業研修旅行の誘致に関してでございますけれども、企業研修旅行の入り込み数につきましては全国的な統一基準によります統計データがございませんので、本県では、行政、交通事業者等で構成しますいわて復興ツーリズム推進協議会と、三陸鉄道が実施いたします被災地フロントライン研修における受け入れ実績によって入り込みを把握しております。
目標の前に実績を申し上げますが、本年度は、平成30年1月時点で45団体、1、111人と、昨年度の実績48団体、765人を上回っておりまして、来年度も本年度を上回る入り込みを目指してまいりたいと考えております。
今後も、企業等におきまして、防災、減災に関する研修ニーズが増してくることが想定されますので、首都圏等における誘致説明会の開催や研修担当者の招請、県外事務所と連携しての企業に対するPR等により、さらなる誘致拡大を目指してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 これは、ふやしていってというところだと思うのです。教育旅行についても、これから人口減少また生徒数の減少という中で、ほかの地域もどんどん誘致しているということで、では、これから岩手県はここをどうやっていくのかという点もお伺いします。
今の民間企業の件に関して、先ほどの質問で言った地域循環ということを考えていけば、内陸の自治体の皆様であるとか、岩手県の研修であるとか、そういったところも被災地のほうの研修を組み込んでいただきながら、より理解していただくといった点も必要なのではないかと思うのですが、その点をあわせて2点お伺いします。
〇岩間企画理事 まず、教育旅行誘致に係る今後の見通しについてでございますが、委員御指摘のとおり、人口減少、少子化の影響がございまして、例えば全国で申しますと、中学校の生徒数は昭和61年度の610万6、000人から年々減少を続けておりまして、平成28年度は340万6、000人と、昭和61年度の56%の水準にまで落ち込んでいるという状況でございます。
本県への教育旅行の受け入れ生徒数につきましても、平成元年の約50万人回をピークに減少しておりまして、近年はおよそ20万人回程度で推移しております。全国的な少子化の傾向は、こうした教育旅行の誘致にも多少なりとも影響していると認識しております。
こうした中で、東日本大震災津波発災後におきましては、震災学習を柱とした沿岸地域での教育旅行の誘致拡大に重点的に取り組んでおり、平成28年の沿岸市町村への教育旅行の入り込みは、学校数が383校と平成22年の3.1倍、生徒数が2万1、996人と、同じく震災前の平成22年の1.5倍に増加しております。
今後も、宮古-室蘭間フェリー航路の就航がございますし、復興道路の整備が進んでまいります。こうした新たな交通ネットワーク等も生かしながら、沿岸地域を初め本県への教育旅行の誘致拡大を目指していく考えであります。
2点目の、企業の研修を進めると同時に、県内の内陸から沿岸への誘客を進めるという御指摘がございました。県外の企業あるいは学校の誘致だけではなくて、域内、県内での内陸から沿岸への誘客、回遊もこれから進めていきたいと考えております。今後、具体的な検討を進めてまいりたいと思います。
〇中平均委員 今後の具体的な検討を期待いたしますといいますか、前から、域内というのはどこまでとるかということもいろいろ質問等でも言っていますので、県内の循環というものも示していかないと、インバウンドをとるのも大切ですけれども、県内の人たちが、例えば久慈に興味がなくて来ないところに県外の人が、外国からの観光客が来るのですかという話になりかねないので、ここは、例えば盛岡で降りた人、花巻空港で降りた人が、今から沿岸に行きたいのだけれども、どういうところなのかというときに、あそこはこういうところがあるとみんながある程度言えるようになるとか、1回行ったことがあるけれども、いいところだよと言ってもらえるようになるとか、そのためには来てもらっていなければどうにもならないというところもありますので、その点を含めて具体的なものをこれから期待いたしますので、よろしくお願いいたします。
時間が少ないので、ちょっと飛ばしていきます。
水産業について、(仮称)いわて水産アカデミーを進めることになったとお伺いしておりまして、まず最初に、事業創設に至った経緯、それから現状と課題もわかっているのですが、あえてお伺いします。
〇千葉副知事 いわての水産業次世代人材確保育成事業費創設の経緯等でございますけれども、県では、漁業担い手の確保、育成の取り組みを進めるため、岩手県漁業担い手育成ビジョンを策定し、漁業担い手対策の推進母体となる市町村就業者育成協議会の設立や、漁業就業フェアへの参加、新規漁業就業者への現場での実務研修等を実施したところでございます。こうした取り組みによりまして、新規漁業就業者数は、平成26年度から平成28年度までの3年間の目標数135人に対して156人となっており、また、漁家子弟以外の新規漁業就業者の参入割合は、震災前の約3割から5割に増加しているところでございます。
一方、漁業就業者数は、国の漁業センサスによりますと、震災前の平成20年から平成25年までの5カ年間で9、948人から6、289人と3、659人の減、約6割まで減少するとともに、60歳以上の構成比が53%と高齢化が進行しており、本県漁業の現場で活躍できる人材のさらなる確保、育成が必要となってきたところでございます。
このため、県におきましては、漁業の基本的知識や技術の習得を初め、ICT等の先端技術を駆使した高度な経営手法の習得を支援し、将来の本県漁業の中核を担う人材を養成する機関として、仮称でございますが、いわて水産アカデミーを設置することとしたところでございます。
〇中平均委員 これから検討していくということでございますが、この検討内容にぜひ加えていただきたいのは、農業であれば年間150万円が5年間続く支援制度などがありますが、そういった支援制度、就業準備資金制度をどのように考えているのかという点。
また、漁業の種類にはさまざまありますけれども、希望する種類を見据えた研修内容をどういうふうにしていくのか。
さらに、経営の講座内容や販路開拓についても重要と考えますが、そういった点を含めてお示し願います。
〇千葉副知事 担い手育成に係る支援制度、研修内容等についてでございますが、アカデミーの研修生に対する支援制度につきましては、漁業者等の安定的な確保と育成を図るため、漁業就業前の若者に対し、資金を交付する国の制度を活用しまして、1人当たり年額150万円を上限に給付することを検討しております。
研修の内容につきましては、漁業経営に必要な複式簿記やパソコンの活用、税制の仕組みなどの漁業経営や水産技術の概要、6次産業化の取り組み、企業との連携などの販路開拓についてのカリキュラムを検討しているところでございます。
また、現場での実務研修につきましては、定置網漁業や漁船漁業、養殖業など全ての漁業種類を体験した上で、研修生が希望する漁業の指導者から研修を受けられるようなシステムを検討しております。
今後、県、市町村、関係団体等を構成員とする運営協議会を設置するとともに、研修生や漁業指導者等の意向も反映させながら、アカデミーの円滑な運営、研修内容の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 時間が少ないので、水産業の残りの質問は別にします。
地域間連携ということで、全県的に見れば、各地域、圏域をつなぐ幹線道路、また、各圏域内においては各集落をつなぐ道路の整備が必要です。災害時に孤立する地域を発生させないということは7年前の大震災でつくづく痛感したわけでございますが、そういった中で、国道281号の平庭峠の抜本的な改良についての考え方を、また今回も伺わせていただきます。
〇千葉副知事 国道281号平庭峠の整備についてでございますけれども、国道281号は、久慈-盛岡間の交流、連携や県北地域の振興に欠くことのできない重要な路線でございまして、復興財源を活用し、現在、3地区で改築事業を進めてきたところでございまして、このうち久慈市案内地区は昨年11月に開通したところでございます。
また、平成28年の台風第10号においては14日間の通行どめとなり、救援活動や地域の日常生活にも支障を来したことから、改良区間以外についてものり面などの防災対策や局部的な改良整備に取り組んでおりまして、路線全体として、災害時でも機能する信頼性の高い道路の確保に努めてまいりたいと考えております。
なお、平庭峠の抜本的な改良につきましては、長大なトンネルを含む大規模な事業が見込まれることから、今後の交通量の推移や公共事業予算の動向なども見きわめながら総合的に判断していく必要があるものと考えております。
〇中平均委員 先週の金曜日、高速道路が全部とまるということで、非常に大変な道路状況になっていました。また、きょうの天候でも恐らくそうなのだろうと思います。そういった点を踏まえて、この国道281号だけではないのは各委員からの話でもわかっておりますし、そういったところをトータル的に見ながら計画的な改良を進めていっていただきたいということを申し上げて次に行きます。
地域医療についてですが、データヘルス分析研究推進費が平成30年度当初予算案に入っております。この予算の内容と運用時期、今後の利活用の方向性を示していただくとともに、これを積極的に使っていくことによって医療費の適正化や予防医療につながっていくものと考えますが、この点については知事の所見を伺います。
〇千葉副知事 まず、私からデータヘルス分析研究推進費の平成30年度当初予算案の内容について御説明申し上げますが、現在、国におきましては、超高齢社会に直面する中で、健康寿命の延伸や社会保障制度の持続可能性を確保することなどの課題への対応としまして、健康、医療、介護のビッグデータを有効活用し、過去の健診情報や治療履歴等のデータ共有が可能となる医療等IDの導入による全国的な保健医療情報ネットワークの整備についての検討が行われているところでございます。
本県におきましては、全国有数の規模を誇る県立病院ネットワークを有するとともに、健診データが県内健診機関に集約的に保有されていることから、医療や健診のデータ利活用については取り組みを進めやすい環境にございます。本事業は、こうした本県の優位性を生かし、国の施策と整合を図りながら、本県が抱える健康課題の解決に資するデータの分析や活用を図るものでございまして、平成30年度におきましては、県内の有識者の協力をいただいて、健診機関等と連携し、研究の基本構想や分析システムの基本的な方向性について検討を行うとともに、異なるID等で管理されている保健医療データの連結手法などの課題を整理し、実際の健診や電子カルテ等を用いた分析手法などの調査研究を実施することとしております。
今後におきましては、この調査研究で得られた成果を生活習慣病予防や重症化予防の健康施策の立案に活用できるよう、国が2020年度から予定している保健医療情報ネットワークの本格稼動に先駆けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇達増知事 データヘルス分析研究推進事業の積極的な施策展開についてでありますが、個人の医療や健診等のデータを分析し活用することによって、個々の患者や健診受診者の状態を踏まえた、健康管理に必要な情報に基づいた受診勧奨や保健指導等を行うこと等が可能になり、県民が自分の健康状態にこれまで以上に関心を持ち、行動変容が促進されるほか、医療機関ではより患者に適した治療に結びつくことも期待され、生活習慣病の発症予防や重症化予防にもつながると考えられます。
また、中長期的には、県民の健康寿命の延伸、生活習慣病による死亡率の低下などにつながっていくものと考えられ、その結果として、医療費の適正化にも資する可能性があるものと期待しております。
〇中平均委員 やはり医療費を抑えていくことが結果的に支出の削減につながっていくものと思いますので、進めていっていただきたいと思います。
安全・安心な周産期医療ということで、今回の事業費で新生児ヘリコプター搬送体制整備事業が県単独の新規事業で盛り込んでありまして、やはり岩手県の医師不足の状況、また、さまざま努力をしておりますけれども、なかなかすぐに医師の数や診療科の偏在が克服できないということで、この予算をつけて何とか充実させていこうという岩手県の意気込みを感じます。
この事業の具体的な内容と、それを含めて、産科医確保、また、安全・安心な周産期医療の確保に向けた今後の取り組みをどう考えているのかお伺いします。
〇千葉副知事 周産期医療の確保についてでございますが、本県におきましては、年間30名程度の新生児が総合周産期母子医療センターに搬送されており、広大な県土を有し、救急医療機関への搬送に時間を要する地域を多く抱えている本県におきましては、新生児の搬送体制の確保が課題であると認識しているところでございます。
このため、県におきましては、緊急手術を要する新生児等について、遠隔地から高度医療の提供が可能な医療機関への救急搬送体制を確保するため、ドクターヘリの運航主体である岩手医科大学附属病院に専用の保育器や人工呼吸器等の医療機器を整備することとしており、当初予算案に盛り込んだところでございます。
加えて、総合周産期母子医療センターのスタッフの増員による救急搬送コーディネート体制の強化、救命救急士等を対象とした新生児蘇生法及び母体救命研修の実施、分娩取扱施設の再開等に対する支援の拡充などに要する経費もあわせて盛り込んでおり、周産期医療体制のさらなる充実を図りたいと考えております。
なお、現在、整備を進めている県立病院のヘリポートは平成30年度までに整備を完了する予定であり、これにより九つの県立基幹病院等の全てにヘリポートが確保されることになることから、ドクターヘリによる救命救急体制の一層の強化が図られるものと考えております。
また、周産期医療を担う医師の確保に向け、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘に引き続き取り組むほか、産科等を専攻した奨学金養成医師につきましては、地域周産期母子医療センターでの勤務に専念することで義務履行とキャリア形成の両立を可能とする特例措置を来年度から設けることとしたところでございます。
現在策定中の次期県保健医療計画におきましては、産科医等の確保及び救急搬送体制の強化を重点施策の一つとして掲げるとともに、新たに、市町村、産科医療機関と連携した産後うつや精神疾患を合併した妊産婦への対応や、地域で妊産婦を支える取り組みを促進していくことなどとしておりまして、県では、これらの取り組みを総合的に推進しながら周産期医療体制の構築に努めていきたいと考えております。
〇中平均委員 産科に限らず、各診療科、医療資源の厳しさということは重々承知しております。その中で、いかに県民の安全・安心を守っていくかということに今後も御努力をいただきたいということです。
今度は大学の関係ですけれども、知事答弁をお願いしていたものです。人口の社会減対策ということで、先週の一般質問においても、岩手大学、盛岡大学、富士大学と県内に大学が各種ありますが、根底には大学には自律的な判断でやってもらっているという答弁がありました。そのとおりではあるのですけれども、人口減少の中で、県として、高校卒業後の大学、専門学校等の高等教育をどう考えていくのかということをやっていかなければならない。先週の質問の中でも、教員の定員が減るとか採用できないというところが出てくる中で、そこを総合的に県がリーダーシップをとって調整していきながら、岩手県としてどのような人材を県内で育成していくのかというところをやっていくべきだと思うのですが、その点をお伺いいたします。
〇達増知事 高等教育機関の運営が基本的には高等教育機関の自律的な判断により行われるものという前提はございますけれども、県といたしましては、岩手大学や県立大学などの高等教育機関や、市町村、経済、産業団体と連携しながらふるさと振興の取り組みについても推進しているところであり、次期総合計画においても、引き続き、高等教育機関との連携による地域課題の解決に向けた取り組み等を長期ビジョンの中に位置づけ、アクションプランに具体的な取り組みを盛り込む方向で検討してまいります。
また、いわて未来づくり機構という枠組みで、岩手大学、県立大学両大学の学長と経済界の代表と私とでグランドテーブルメンバーになり、岩手における人材育成については、いわば常に情報の共有や方向性のすり合わせを行っているところでもございます。また、必要に応じて具体的なプロジェクトに共同で取り組むこととしておりまして、そういった連携について、県としても司令塔の一つの役割を果たしながら、県内の高等教育機関がそれぞれの建学の精神に基づき、自由な大学の自治を進めながらも、岩手県に対して地域貢献がしっかりできるように、県としても努めていきたいと思います。
〇中平均委員 今の件については、長野県のように組織再編して新たな課をつくってやっているところもあるので、その点を踏まえてお願いします。
最後に、ソフトパワー戦略ということで、これは平成30年度の事業費として2、081万円を計上し、そして継続してきておりますけれども、交流人口の拡大にどうやって結びつけようとしているのかという点。
また、これは知事の肝いりの事業だと思うのですが、漫画、アニメ等を活用したということでありますが、やはりきちんとこういう成果があって、これを続けていくのだということが当然あるとは思うのですけれども、その点を踏まえて最後にお知らせください。
〇達増知事 ソフトパワー戦略の中でのいわてマンガプロジェクトによる交流人口の拡大についての御質問と理解してお答え申し上げますが、いわてマンガプロジェクトでは、コミックいわてシリーズの発行、コミックいわてWEBの運営、いわてマンガ大賞コンテストの実施、漫画、アニメを活用した地域振興セミナーの開催などに取り組んでおり、ターゲットとなる年齢層は特に限定せず、漫画というツールを通して岩手の魅力を国内外に広く情報発信しております。
コミックいわてシリーズとコミックいわてWEBには、伝統芸能、工芸、食文化などの岩手の魅力を素材とした漫画作品を掲載していますほか、さらに本年度からは、各作品に関連する観光情報を紹介する岩手さ恋のページも設け、観光ガイドブックのように活用していただけるようにしてあります。また、文学や映画、ドラマ、漫画、アニメ等の舞台となった場所やゆかりの土地をファンが訪れる聖地巡礼の受け入れ態勢の整備やファン向けイベントの開催支援、本県ゆかりの作品の原画展の開催などの取り組みを進めていくこととしております。これらの取り組みによって岩手に興味を持っていただき、岩手に足を運んでもらい、岩手の魅力に触れていただくなど、交流人口の拡大につなげてまいりたいと思います。
漫画、アニメを活用した地域振興セミナーの実施でございますけれども、これは、漫画、アニメ等の舞台となった場所やゆかりの土地をファンが訪れる聖地巡礼について行っているものでありまして、聖地巡礼について、受け入れ側の意識醸成のための情報提供を目的として平成28年度から実施しております。現在、多くのアニメファンが軽米町などを訪れていますが、昨年8月、一般社団法人アニメツーリズム協会が選定した全世界のアニメファンが選んだ訪れてみたい日本のアニメ聖地88が発表され、花巻市の宮沢賢治童話村が選定されたことから、本県へのいわゆる聖地巡礼の動きにもプラスになると考えております。
コミックいわて外国語翻訳冊子は、コミックいわてシリーズの中から伝統芸能などを素材としている作品を厳選して作成し、来年度、フランスで開催されるジャポニスム2018などで配布することとしております。
コミックいわてWEBへの本年度のアクセス数は1月末時点で約30万件と既に昨年度の件数に迫っており、漫画を通じて岩手に心を寄せる方々が着実にふえてきていると実感しております。
今後とも、多くの方々に岩手のファンになっていただくよう、岩手の魅力発信にしっかり取り組んでまいります。
〇中平均委員 終わります。(拍手)
〇高橋元委員長 お諮りいたします。続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時39分 散 会

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