平成29年9月定例会 決算特別委員会会議録

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決算特別委員会会議記録
(第 7 号)
平成29年10月19日(木)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
農林水産部長 紺 野 由 夫
理事 鈴 木 浩 之
副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 隆 浩
農政担当技監兼
県産米戦略室長 小 岩 一 幸
林務担当技監 阿 部 義 樹
水産担当技監
兼水産振興課
総括課長 伊 藤 克 宏
漁港担当技監 志 田   悟
競馬改革推進室長 佐 藤   学
理事心得 及 川   忠
参事兼団体指導課
総括課長 及 川 健 一
参事兼流通課
総括課長兼
県産米販売推進監 伊 藤   仁
農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也
農林水産企画室
管理課長 小 島   純
指導検査課長 関 口   等
農業振興課
総括課長 中 南   博
担い手対策課長 中 村 英 明
農業普及技術課
総括課長 菊 池 政 洋
農村計画課
総括課長 多 田   繁
企画調査課長 村 瀬 勝 洋
農村建設課
総括課長 千 葉   匡
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 菊 池 徹 哉
水田農業課長 松 岡 憲 史
畜産課総括課長 藤 代 克 彦
振興・衛生課長 菊 池 伸 也
林業振興課
総括課長 大 畑 光 宏
森林整備課
総括課長 佐々木 誠 一
整備課長 及 川 竜 一
森林保全課
総括課長 漆 原 隆 一
漁業調整課長 中 井 一 広
漁港漁村課
総括課長 阿 部 幸 樹
漁港課長 佐々木   剛
競馬改革推進監 菊 池 信 幸
競馬改革推進室
特命参事 滝 山 秀 樹
県産米戦略監 小 原   繁

会計管理者 新 屋 浩 二
会計指導監 清 水 雅 典

監査委員 吉 田 政 司
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也
監査第二課
総括課長 村 上 博 和

財政課総括課長 小 原   勝
〇佐々木朋和委員長 これより本日の会議を開きます。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで並びに議案第35号及び議案第36号の以上16件を一括議題といたします。
本日は、農林水産部関係について18人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇紺野農林水産部長 平成28年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
初めに、農林水産部所管の事務事業に係る主な取り組み、成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げます。
平成28年度は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け、第2期復興実施計画の最終年として、一日も早くもとの生活に戻ることを願う被災者の皆様の思いに応えるため、なりわいの再生に向けた事業を実施したところであります。
また、昨年8月の台風第10号被害からの復旧、復興に向け、被害状況に応じた各種支援策を講じ、生産者の早期経営再開を支援したところであります。
さらに、本県農林水産業の持続的な発展に向け、いわて県民計画に基づき、復興の取り組みと軌を一にした強い農林水産業と活力ある農山漁村の確立に取り組んだところであります。
次に、具体的な取り組みと成果につきまして御説明申し上げます。
まず、東日本大震災津波からの復旧、復興については、水産業関係では、漁船や養殖施設の整備数が第2期復興実施計画のほぼ目標どおりの進捗となったほか、被災した108の漁港については、県管理31漁港の全てで復旧が完了し、市町村管理漁港も合わせ、計103漁港の復旧が完了したところであります。
農業関係では、被災した農地は第2期復興実施計画の目標の約9割まで復旧したほか、林業関係では、被災した海岸防災林のうち、12地区で植生基盤の造成や植栽を実施し、5地区で工事が完了したところであります。
さらに、原木シイタケの生産再開に向け、ほだ木の処理や落葉層除去等のほだ場環境の整備などに取り組み、平成28年度末までに12市町、171名の生産者が出荷再開可能となったところであります。
次に、台風第10号からの復旧、復興については、農業者の早期営農再開に向け、生乳加工施設や農業機械等の再整備への支援のほか、さけ・ますふ化場は、東日本大震災津波と二重で被害を受けたところでもありますことから、施設の機能強化も図りながら、稚魚生産の再開に向けた復旧整備の支援に取り組んだところであります。
次に、いわて県民計画に掲げた取り組みのうち、農林水産業の未来を拓く経営体の育成については、地域の中核となる経営体の育成に取り組み、農地中間管理事業や圃場整備事業の活用等により認定農業者等への農地集積面積が拡大したほか、地域牽引型林業経営体数や新規漁業就業者数等が増加したところであります。
消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立については、本格的に作付を開始した県オリジナル水稲新品種銀河のしずくは全国トップクラスの品質と食味を実現するとともに、効果的なプロモーション活動を展開した結果、米のヒット甲子園2016において日本一となる大賞を受賞するなど、全国的に高い評価をいただいているほか、林業関係では、高性能林業機械の導入等による素材生産体制の強化に取り組み、県産材供給量等が増加したところであります。
農林水産物の高付加価値化と販路の拡大については、アドバイザーによる商品開発等に関する支援などにより、6次産業化による販売額が増加しており、県産農林水産物の輸出は、県内事業者と海外実需者とのマッチング支援や、東南アジア市場における新規市場開拓等を行い、知事によるトップセールスを機に米やリンゴがベトナムへ初めて輸出されるなど、海外への販路拡大に積極的に取り組んだところであります。
いわての魅力あふれる農山漁村の確立については、平成28年2月に策定したいわて農業農村活性化推進ビジョンに基づき県内9地区で地域ビジョンを作成し、そのビジョンの実践に向けた交流活動や加工品開発等への支援、地域活性化の牽引役となるリーダーの育成に取り組んだところであります。
次に、今後の取り組み方針についてでありますが、まず、東日本大震災津波からの復旧、復興については、今年度が初年度となる第3期復興実施計画に基づき、引き続き、海岸保全施設等の復旧、整備を進めるとともに、復興の先を見据えた地域漁業を担う経営体の育成や水産物の高付加価値化等に取り組むほか、原木シイタケの産地再生や風評被害対策に取り組んでまいります。
また、台風第10号災害については、被害を受けた農地や林道等の早期の復旧、整備を進めるとともに、さけ・ますふ化場の生産再開に向けて取り組んでまいります。
さらに、強い農林水産業と活力ある農山漁村を確立するため、地域農業を牽引するリーディング経営体の育成や、本年4月に開講したいわて林業アカデミーなどにより意欲ある担い手の確保、育成に取り組むほか、本年デビューした金色の風の積極的なプロモーション活動の展開などによる県オリジナル水稲新品種のブランド確立やスマート農業の推進、GAPの取り組み促進等による生産性、市場性の高い産地づくりを進めるとともに、6次産業化の取り組み拡大による農林水産物の高付加価値化や海外市場への販路拡大、さらには地域資源を活用した農山漁村の活性化などに取り組んでまいります。
以上、当部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明を申し上げたところであります。
続きまして、当部関係の平成28年度の決算について御説明申し上げます。
まず、一般会計歳出決算についてでありますが、平成28年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページの11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費のうち当部が所管するもの、並びに3項農林水産施設災害復旧費、そして、12款公債費のうち当部が所管するものを合わせまして2、168億5、753万円余であります。これに対する支出済額は985億3、116万円余となり、前年度に比較して、金額で55億9、620万円余、率にして5.4%の減となっております。
また、翌年度繰越額は、東日本大震災津波被害からの復旧、復興に向けた事業などについて、計画調整に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の726億7、909万円余、及び工法の見直しにより工事が遅延したことなどによる事故繰越の290億7、641万円余を合わせまして1、017億5、550万円余となっております。
なお、不用額は当部全体で165億7、086万円余であり、その主な要因は、東日本大震災津波からの復旧、復興事業における他事業との調整や計画の見直しであります。
次に、歳出決算の内容につきましては、便宜、お手元に配付しております平成28年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただき、予算科目ごとに主な内容について簡潔に御説明申し上げますので、御了承をお願いいたします。
歳入歳出決算事項別明細書の242ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費であります。2目農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金などの制度資金の貸し付けを行う金融機関に対する利子補給、及び農業経営改善促進資金の貸し付けに要した経費であります。244ページをお開き願います。3目農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費であります。4目農業振興費の主なものは、機構集積協力金交付事業の取り組みへの補助や、中山間地域等直接支払交付金の交付に要した経費であります。246ページをお開き願います。5目農作物対策費の主なものは、鳥獣被害防止対策や園芸栽培施設及び水稲の乾燥調製施設などの整備への補助に要した経費であります。248ページをお開き願います。6目畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営に要した経費及びリンドウやリンゴの優良オリジナル品種の開発に要した経費であります。7目植物防疫費の主なものは、生産者及び農薬販売業者に対する病害虫の防除や農薬の安全使用の指導に要した経費であります。250ページをお開き願います。8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に要した経費であります。10目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。252ページをお開き願います。11目農業大学校費は、同校の管理運営に要した経費であります。
次に、2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。254ページをお開き願います。2目畜産振興費の主なものは、放射性物質の被害対策及び家畜飼養管理施設などの整備への補助に要した経費であります。256ページをお開き願います。3目草地対策費は、畜産生産基盤などの整備に要した経費であります。4目家畜保健衛生費の主なものは、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染性疾病の検査、予防に要した経費及び県南家畜保冷保管施設の整備に要した経費であります。258ページをお開き願います。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
3項農地費であります。1目農地総務費の主なものは、農地関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。2目土地改良費のうち当部関係は、圃場整備や農業水利施設の補修、更新、農道の整備など、農業の生産基盤と農村の生活環境の総合的な整備及び地域共同による農地、農業用水等の地域資源の質的向上を図る活動への交付金の交付に要した経費であります。262ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、沿岸地域における農地の生産性及び収益性を高める整備や、海岸保全施設などの防災施設の整備に要した経費であります。4目農地調整費の主なものは、農地中間管理機構の業務への補助に要した経費であります。
264ページをお開き願います。次に、4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費などの管理運営や県有林事業特別会計への繰出金であります。266ページをお開き願います。2目林業振興指導費の主なものは、いわての森林づくり県民税を財源としたいわての森林づくり基金への積み立てや、間伐、木材の加工、流通施設の整備及び高性能林業機械の導入などへの補助に要した経費であります。268ページをお開き願います。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除に要した経費であります。4目造林費は、植栽や間伐など森林の整備への補助に要した経費であります。270ページをお開き願います。5目林道費は、林道の整備に要した経費であります。6目治山費は、治山や地すべりの防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。272ページをお開き願います。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。
274ページをお開き願います。次に、5項水産業費であります。1目水産業総務費の主なものは、水産関係職員の人件費などの管理運営や水産科学館の管理運営に要した経費であります。2目水産業振興費の主なものは、サケ稚魚などの放流支援やアワビなどの放流種苗生産など、栽培漁業の推進に要した経費であります。276ページをお開き願います。3目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合などの検査、指導監督や、漁業近代化資金などの貸し付けを行う金融機関に対する利子補給に要した経費であります。4目漁業調整委員会費及び278ページに参りまして5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会などの開催や漁業調整に要した経費であります。6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や密漁等の取り締まりに要した経費であります。280ページをお開き願います。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であります。282ページをお開き願います。9目漁港管理費は、県管理漁港施設の管理運営に要した経費であります。10目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、漁村環境の整備などを重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要した経費であります。
次に、大きく飛びまして、350ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費であります。2目庁公舎等災害復旧費のうち、当部関係は、昨年の台風第10号により被災した農業研究センター種山畜産研究室及び水産技術センター施設の復旧に要した経費であります。
次に、3項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、震災及び台風第10号により被災した農地、農業用施設、海岸保全施設の復旧に要した経費であります。352ページをお開き願います。2目林道災害復旧費は、台風第10号により被災した林道の復旧に要した経費であります。3目治山災害復旧費は、震災及び台風第10号により被災した治山施設の復旧に要した経費であります。354ページをお開き願います。4目水産業用施設等災害復旧費は、震災及び台風第10号により被災したさけ・ます種苗生産施設及び水産業共同利用施設などの復旧への補助に要した経費であります。5目漁業用施設災害復旧費は、震災により被災した漁場施設の復旧の補助に要した経費であります。6目漁港災害復旧費は、震災等により被災した漁港及び海岸保全施設の復旧に要した経費であります。
次に、少し飛びまして、362ページをお開き願います。12款公債費1項公債費であります。1目元金のうち、当部の決算額は2、425万2、000円で、就農支援資金の国への約定償還分であります。
以上で一般会計の歳出決算の説明を終わります。
続きまして、特別会計の歳入歳出決算について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成28年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、30ページをお開き願います。
県有林事業特別会計の歳入及び歳出の予算現額は37億8、614万円余であります。これに対する収入済額は36億9、409万円余で、一般会計からの繰入金などであります。次に、支出済額は35億3、643万円余で、県行造林、模範木、公営林の維持管理、保育などに要した経費であります。
なお、翌年度繰越額は、計画調整に不測の日数を要したことにより、繰越明許費2億214万円であります。
32ページをお開き願います。林業・木材産業資金特別会計の歳入及び歳出の予算現額は12億5、000万円余であります。これに対する収入済額は12億5、307万円余で、前年度からの繰越金や貸付金の償還金などであります。次に、支出済額は7億6、792万円余で、木材事業者等が生産、流通の合理化や経営改善を図るための低利の運転資金の融通に要した経費であります。
34ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の歳入及び歳出の予算現額は9億4、710万円であります。これに対する収入済額は9億4、619万円余で、前年度からの繰越金や貸付金の償還金などであります。次に、支出済額は19万円余で、沿岸漁業改善資金の回収に要した経費であります。
以上で特別会計の歳入歳出決算についての説明を終わります。
よろしく御審議賜りますようお願いを申し上げます。
〇佐々木朋和委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇佐藤ケイ子委員 通告はしていませんけれども、きょうの姿を見て、皆さんおそろいで黄色いネクタイをしてきている、その意気込みはどういうことなのかと思って見ましたけれども、意図をお知らせください。
〇紺野農林水産部長 先ごろ本格デビューを果たしました金色の風、また、昨年デビューいたしました銀河のしずく、この米をいろいろな場でPRさせていただきたい、我々の意気込みを皆さんにお伝えしたいという意図のもとに、こういうネクタイでそろえてきょうは参ったところであります。そういうことで頑張らせていただきます。(拍手)
〇佐藤ケイ子委員 よろしくお願いします。
それで、私は地産地消の推進のことについてお伺いしたいわけですけれども、主要施策の成果に関する説明書によりますと、地産地消促進計画策定市町村をもって達成度がAということになっているわけです。では、本当に市町村が地産地消の具体的な計画を立てているのかと思って見ていますと、地産地消促進計画を立てているのは紫波町です。あとは、例えばきたかみ農業ビジョンなどというのは農業政策の関係で、その中にちょっと地産地消の部分がある。ほとんどのところは食育推進計画の中に地産地消に取り組みましましょうという部分があって、それをもって市町村計画を地産地消の推進だと言うにはちょっと観点が違うと思って見ました。
それで、実際に地産地消を進めている事業がたくさんあるわけです。その中で、地産地消のレストラン認定とか地産地消の弁当の認定、地産地消の給食を実施している事業所の認定とか、さまざまな取り組みをしていらっしゃるようなのですけれども、その成果と課題について、御認識をまず伺いたいと思います。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 地産地消の成果と課題でありますが、現在、いわて地産地消レストランが33件、いわて地産地消弁当が31件、いわて地産地消給食実施事業所が81件認定されているところであり、特に県産食材の積極的な利用に取り組むいわて地産地消給食実施事業所におきましては、昨年度9件、本年度6件、新たに登録していただいたところであります。
課題ですが、給食施設に対するアンケート調査によりますと、岩手県の場合、野菜類を初めといたしまして、どうしても年間を通じての県産食材を確保できない、簡便に料理できる加工品が少ないなどが挙げられておりますことから、県内の加工業者等とも連携いたしまして、県産食材の一層の利用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 そういう取り組みもしているようなのですけれども、やはり私はPRも不足しているのではないかと思っております。充実していただくようにお願いしたいと思っております。
給食施設についてですが、事業者が社員食堂とかさまざまな形で地産地消の取り組みをしているようです。2年に1回、利用実態調査をしているようですけれども、平成28年度調査が平成29年11月ごろに公表予定ということでしたが、その利用状況は増加傾向にあるのか、それとも減少傾向にあるのかお伺いしたいと思います。
特に学校給食では、県産食材の利用率の目標を立てている市町村もありますけれども、立てていない市町村もありまして、課題も多いと思っていますが、お伺いしたいと思います。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 平成29年度(後刻「28年度」と訂正)の調査結果でありますが、今月中に公表が可能な状況でありまして、その速報値ですが、県産食材の利用率は58.6%と、2年前に比べまして17.2ポイント増加しております。ただし、今回から対象品目に牛乳を加えましたので、牛乳を除いた利用率は48.9%ということで、7.5ポイント増加しているところであります。
〇佐藤ケイ子委員 各事業所でもそうやって取り組んでいただいておりますけれども、先ほどあった答弁の中に、年間を通じての県産食材の確保が難しいという中で、加工という部分があります。学校給食なども、短時間で調理をするには半加工食品を望んでいますが、そうした意味では、野菜のカットセンターをつくっていただいて、年間を通した食材提供をしなければなかなか進まないのだというお話を聞いております。そうしたカットセンター整備などの取り組みはどのようになっているのでしょうか。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 先ほどの調査結果によりましても、加工品の利用率は53.5%ということで、6.7%増加しておりまして、品目別の中で最も加工品の伸び率が高いという状況です。
加工品につきましては、給食だけではなくてさまざまな業務用でも非常に需要が高く、整備が進んでいるものと認識しております。
〇佐藤ケイ子委員 学校給食で地元食材の日というものを年間1回とか2回とか、その市町村によって違ってもよいのですけれども、農林水産部から強く教育委員会に申し入れていただけないかと思っております。市町村教育委員会も取り組んではいますけれども、どうも、その取り組みに濃淡があるように思っております。その回数をふやしてほしいとか、利用率をふやしてほしいということを農林水産部から市町村にも要請していただきたいと思っております。
次は6次産業化と地産地消の関係で、事業計画の認定状況なのですけれども、いわゆる六次産業化・地産地消法に基づく事業計画で、例えば県内に50ぐらいの事業者があります。何々農産とか、何々ミルク工房とか、産業公社とか、地産地消に取り組む事業者としてあるわけですけれども、平成26年2月現在の資料がホームページに載せてありましたが、その後の推進というのはどうなっているのでしょうか。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 私は、先ほど、アンケート調査を平成29年度結果と申しましたが、平成28年度の調査結果を今月中に公表するというものでございます。
いわゆる六次産業化・地産地消法に基づく事業計画の認定状況でございます。平成26年2月現在で45事業者が認定されております。その後、8事業者が新たに認定、2事業者が認定の取り消しとなりまして、現在、51事業者が認定されているところであります。
〇佐藤ケイ子委員 これも、ぜひ、各事業者にさらに認定を受けてもらうような拡大の取り組みをしていただきたいと思います。
次の質問ですけれども、女性農業者の状況についてお伺いいたします。
先日、農林水産省経営局就農・女性課長の講演を聞く機会がたまたまございまして、さまざまな農業女子プロジェクトに取り組んでいるという中で、今後の農業を担う鍵は、女性の意欲と能力を引き出せる環境をつくれるかということでありました。鍵を握るのが法人化ということもあるし、他産業との連携もあるし、女性の活躍だというのがこの間の講演の内容でございました。
とてもユニークな方のお話でして、ほかの産業から農林水産省に入って農業女子プロジェクトをやって、軽トラックも女性に使いやすいものとか、かわいいものとか、ピンクの軽トラックをつくったら、女性が使っているのではなくておじいちゃんたちが喜んで使っているとか、おもしろい話がたくさんありました。下着も、農作業に適している下着はどうかというので、有名な下着メーカーと組んだり、おもしろい活動をたくさんやっているとのことでした。農業女子プロジェクトの話の中で、岩手県から参加している方も数名いらっしゃるということで、とても有望な方々だと。岩手県の女性農業士で、優秀な方々が参加しているというお話も伺ったところでした。
それで、女性参画の状況なのですけれども、制度が改正になって農業委員の選出方法も変わったわけですが、その農林水産省の課長によると、岩手県の農業委員における女性の占める割合は全国一だという資料を持っていましたけれども、その後もちょっと数字が動いたのかもしれませんが、それはどういう状況なのか。それから、農協の役員の女性の割合はまだまだ全然低いということですけれども、その状況はどうなっているのか。
農業グループで活動している女性の方々が、結局は地域を担っているわけですけれども、生活研究グループとかJAの女性部の会員数はどうなっているか。昨年もお聞きしましたけれども、昨年よりもかなり減少しているのではないかと心配しています。それから、食の匠の新規の認定はどうなっているのかお伺いいたします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 女性参画の状況についてでありますが、県では、農山漁村における男女共同参画社会の形成、農林漁業の振興と活力ある農山漁村の実現に向け、女性の主体的な取り組みを支援しているところであります。
その結果、平成28年度における女性の農業委員の数は94名と全体の14.1%を占めておりまして、これは全国一となっております。また、平成28年度における女性の農協役員は18名で、全体の8.4%となっております。
平成28年度の生活研究グループの会員数は85グループ513名で、これは前年度と比べまして、グループ数が二つ減少、人数が25名ほど減少しているという状況になっております。また、JA女性部の会員数は7農協で1万3、411人となっておりますが、これは前年度に比べまして650名ほど増加しております。
なお、食の匠につきましては、平成28年度に8人を新規認定しておりまして、制度が創設された平成8年度から平成28年度までで259の個人及び組織を認定しているところであります。
〇佐藤ケイ子委員 生活研究グループの方々が実際はいろいろな食材の加工を開発したり、母ちゃん市や産直にさまざまなものを出しておりまして、この方々の活動が停滞すると地産地消というものにも影響してくると思っております。
農業をやっている女性の方々はすごく元気なんです。うちの地元のほうでは毎週日曜日にショッピングセンターで母ちゃん市をやるのですけれども、そうすると、木曜日、金曜日は提供する材料をそろえるためにすごく頑張って元気になって、土日に張り切って売って、すごく元気です。月曜日はぐったりしておりますけれども。そういう方々が地域を支えていると思っておりますので、農業普及員の方々も応援していただければと思っております。
次に、国の女性活躍推進という事業が、メニューとしては地域農業活性化にチャレンジする女性への支援とか、企画、立案段階から女性の参画を促進する事業とか、女性リーダーとなり得る人材の育成とか、さまざまな事業があるのですけれども、本県の取り組みはどのようになっておりますでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 女性の活躍推進に向けました国庫事業の活用状況でございますが、今、委員から御説明がありました三つの事業に分けて御説明したいと思います。
まず、地域農業の活性化などにチャレンジする女性への支援では、機械とか施設を導入する、いわゆるハード事業として経営体育成支援事業などがあり、平成29年度には農業経営の省力化や高度化に取り組む女性農業者による農業機械の導入事例が3件ありました。
また、ソフト事業として6次産業化支援対策などがあり、商品開発や販路開拓のための専門家の派遣や、観光客の受け入れ態勢強化に向けた研修会の開催など、女性の視点を生かした6次産業化やグリーンツーリズムの取り組みを支援しているところであります。
次に、企画、立案段階からの女性の参画促進につきましては、人・農地プランの検討を支援するソフト事業として人・農地問題解決加速化支援事業がありまして、人・農地プラン検討メンバーへの女性の参画が位置づけられていることから、各地域でこうしたプランの検討を通じて女性参画が進んでおります。
最後に、女性リーダーとなり得る人材の育成では、全国段階で実施されておりますが、先ほど説明がありました農業女子プロジェクトに本県からは6名が参加しておりまして、新たなネットワークづくりが構築されているほか、全国段階での各種研修会へも本県から女性が選抜されて参加している状況にあります。
本県では、こういった国の事業を活用しながら、女性の活躍に向けた支援を続けていきたいと思っております。
〇佐藤ケイ子委員 地域を活性化させるためにやはり農業は大事です。そこに住んでいる女性たちがどれだけ頑張れるかというのも、これからの岩手の農業にかかってくるのではないかと思っております。さまざまな形で応援するとか、PRするとか、頑張っている女性たちの姿をお示ししてくださるようにお願いしたいと思います。
〇柳村岩見委員 いわて地域農業マスタープラン実践支援事業についてお尋ねいたします。
この事業は2億円強の予算、決算ということで、県単事業で、各地域で大変要望の多い事業ということですが、何年にもわたってこの事業の予算枠の拡大の要望をする地域があります。これは地域の話し合いによって作成された地域農業マスタープランに沿ってやることですけれども、そういう話し合いの段階とか、例年の実績とかこれまでの傾向というのが予算になかなか反映されていかないということを感じております。そういう要望をする地域が例年あります。ところが、岩手県はどこもそうかというと、そうでもない。特徴的にそういう地域があるのです。
計画の作成段階、例年の実績とかをにらみ合わせたときに、予算に結果的にでこぼこが生じますが、それに対応することはできませんか。
〇中南農業振興課総括課長 いわて地域農業マスタープラン実践支援事業の予算の配分の考え方についてでありますが、平成28年度につきましては、各市町村からの要望に基づきまして、県北・沿岸地域には若干重点化を図ることとしておりますが、そうした調整をした上で、盛岡地域と県南地域には9、100万円余、県北・沿岸地域には1億1、100万円余、合計2億2、000万円余(後刻「2億200万円余」と訂正)の予算の配分をしております。
要望については、市町村から幾らという要望がありますので、それに沿ってこちらのほうとしては配分して、その活用については、広域振興局と市町村で調整して使っていただくこととしております。
〇柳村岩見委員 答弁は大変きれいなのですが、現実は、マスタープランの計画を地域で立てる際の結果として、この事業の上限金額幾ら、事業費の何ぼ、何十%と決められております。それが、そこに到達しない。ある予算をいわゆるみんなで分けるということが生ずるので、その地域はこの予算を拡充してくださいと要望してくると思うのです。
そこで、農業にも、残念ながら、やる気のある方と、そうでもない方とがおられて、やる気のある人にちょっと待ってくださいという話をすると、この反動が恐ろしい。すっかりやる気がなくなる。これは恐ろしい話でして、お金の使い道、使い方、タイミングというのは非常に奥が深い話で、欲しいときに使う。はっきりしている。そういうことをここで申し上げたい。
農業の伸び代とは、結局そういうところですから、地域では、農事組合法人とか協同組合ではなくて、いわゆる農家の中にもメガ農家が存在して、その方々に追いつきたいと思っている人たちがおられて、やる気満々という地域もあるのです。そういうことは大事じゃないですか。そこにすっと手を差し伸べる。理屈はいろいろある。県単事業だとか、資金の限度とか、お金を上げるような話だから。他業種にそんなものがありますかという話ですけれども、今の日本の農業、岩手の農業はそういう大変なときですが、今の予算の拡充はありませんか。
〇中南農業振興課総括課長 先ほどの予算の合計額を2億2、000万円余と答弁したところでありますが、2
億200万円余でございます。失礼いたしました。
この事業については、委員おっしゃるとおり、要望も多く、かつては必ずしもその要望に応えられるほど予算が確保できなかったこともありました。今も必ずしも十分ということではありませんけれども、かつては5割を切るような充足率のときもありましたが、平成28年度以降は65%から70%近く確保できておりますし、国の事業等も活用できる要望については、それも活用しながら、何とか要望に応えられるようにしております。
そして、市町村の現場からの強い要望もありますので、平成29年度の予算については、平成28年度から1、000万円増ということで、2億1、400万円余の予算の確保もさせていただきました。今後も、市町村からの要望に可能な限り応えられるよう引き続き予算の確保に努め、効果的な事業の実施を図っていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、農業次世代人材投資資金についてですが、これは簡単に言うと親元就農です。親元就農ということは、新規就農に比べると、通常、非常に安易に考えられております。いわゆる親が住んでいる家があるでしょう、親が乗っていたトラクターがあるでしょう、稲作なら田んぼがあるでしょう、だったら簡単でしょうというような捉え方をずっとされてきました。
ところが、今の親元就農は、同じ系統の就農ですら難しい時代に入ってきております。例えば、いわゆる系統が変わらないと、この資金が出にくい。稲作を親がやっていますが、畑作をやりますとか、野菜をやりますとかと変わればいいんです。ところが、親元就農というのは、住む人とか農業事業に対する人がふえるということは、実は所得が膨れないと、入った人も取り分がないというジレンマにこの事業はなっております。
そこで、親元就農で同系統の農業を営む場合に、その資金の運用拡大をしてくれないかという声が大きいのですけれども、このことについての認識はいかがですか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業次世代人材投資資金でありますが、この事業は、平成24年度に創設されました青年就農給付金事業が平成29年度に名前が変わったものであります。その内容は、次世代を担う新規参入者などが経営リスクを負って経営開始する際に、市町村が、その就農計画を認定した場合に資金を交付するというものであります。
親元就農の場合、新規作目の導入など、新規参入者と同等の経営リスクを負う就農計画が必要とされておりますが、幾つかの経営の場合は、そういったことが困難であるということから、同じ作目であっても規模拡大そのものが経営リスクがあるのだということを認められるよう国に要望してきたところであります。
その結果、規模拡大とあわせ新しい販路の開拓や新技術の導入による省力、低コスト化など、継承する経営の発展に向けた前向きな取り組みを行うことで、資金交付の対象となったところです。
親元就農者につきましては、地域農業を支え、地域のリーダーとなる重要な担い手であることから、引き続き、継承した経営の発展に向け、経営計画の作成や計画達成に向けた支援を実施してまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 一つ目の質問あるいはこの項の質問を含めて、いわゆる農業の全体的な底上げが図られれば、それは一番いい。そこにも願いはありますけれども、資金や支援というのは、結局、やる気のある人を支援していく方法しかありません。恐らく、日本の農業、岩手の農業は、そういったお金の使い方、支援の仕方について、残念ながらそういうことになるのだと思います。
県とか市町村とか国とかと区別いたしませんけれども、護送船団方式の事業あるいは政策というのを行政は得意なそうです。ところが、やる気のある人を選んで、あるいはそういう人を力強く支援していくということが行政というのは大変下手だと、やっている人みずからそう言います。そこのところを打破したいのです。そういうことを乗り越えて岩手の農業を強くしていきたい。部長に一言お願いして、終わります。
〇紺野農林水産部長 委員御指摘のとおり、今後の厳しい農業情勢の中では、担い手をどなたにしていくのかということが課題になってこようかと思います。そうした意味で、資金なり支援をどの担い手に重点的に配分していくかということは常々考えていかなければいけないと思っております。
一方で、農業に携わる方が地域での役割も十分担っていただいているというところもあり、そういった面にも十分意を配しながら対応していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今回の質問はちょっとむちゃな提案も含んでおるのですけれども、反論は覚悟の上で、ちょっとお話をさせていただきながら質問したいと思います。
この間の、宮城県での全国和牛能力共進会は本当にお疲れさまでございました。恐らく、私の次の委員から詳しくその質問があるかと思いますので、私は、次世代の畜産家の育成ということと、今、AI等、日々技術革新が進んでいる中で、こちらの対応もしっかりしていかなければならないという点を踏まえながら、現状の課題をちょっと述べさせていただいて、質問したいと思います。
今、岩手県では種雄牛の造成については種山の研究施設を中心にやっているわけですが、今日まで一定の成果は上がっていると理解しています。今回の全共でも評価された部分があったとありました。
しかし、ほかの面といいますか、負の部分を見ますと、私も視察させていただきましたが、ちょっと時代おくれのところもあるのではないかと。これからの時代を見据えた場合に、果たして今の状況でいいのかと。これは人材育成という部分も含めてです。
まず一つの課題としては、県有種雄牛のシェアが子牛市場で10%程度にとどまっている。これは県も一生懸命やっていますが、畜産家のほうでも、やはり商売にかかってきますから、その点についてはなかなか厳しい点があるのではないかと。
まず最初に質問しますが、これは通告はしてませんが、今までの経過はいいですし、どういう成果が上がってきたかということもおっしゃらなくて結構ですから、これから、種山牧野、種山の研究施設をどうやって生かしていくのか、その点のビジョン等があればお知らせをいただきたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 種山畜産研究室のこれからということでありますが、委員御指摘のとおり、種山畜産研究室では県有種雄牛を造成するということを主目的として業務を行っております。過去におきましては、5年ぐらい前ですけれども、菊福秀という全国的にも非常に評価をいただいた雄牛がおりまして、これについては、先ほど委員の御指摘の中でありました子牛市場の中でのシェアでも44%ぐらいと、高いシェアを誇っていたところですが、最近、そういった県有種雄牛もなかなか使いづらい、あるいは地域ニーズに合ったものがなかなか見つからないということで、10%台に落ちてきているところであります。
このことにつきましては、基本的にはいい種牛をつくっていくことが、肉牛の産地として特徴を出して、より付加価値をつけた子牛販売、あるいは牛肉販売につながるものと考えてございますので、種山畜産研究室では、そういったよりよい種雄牛づくりを、スピードを速めて、最新技術を導入しながら能力の高いものをつくっていくことに取り組んでいきたいと考えているところであります。
〇飯澤匡委員 そのとおりなんですね。それはそれで機能は強化すべきだと思います。しかし、もう一方では、若いこれからの就農者にも現場のスピード感やリアルな動きを体感させながら勉強を通じてやってはいかがかと。岩手県立農業大学校について、今、肉牛を専攻する学科があるのですが、この肉牛改良機能強化を一部種山で持っているものを生かしながらといいますか、全量を動かすというのは難しいと思いますけれども、その中でいろいろできないかという意見が畜産家の中でもありますし、人材育成の点で少しおくれているのではないかという問題意識が私もあります。したがって、今の県立農業大学校には200ヘクタールという農地もありますし、一部敷地に肥育畜舎の建物の増築も可能だと。今の施設については以前から議論がありますけれども、なかなか古くて、農業大学校で学ぶといっても、実際に現場に飛び込んでいって今のスピード観がある、ただいま課長がおっしゃったようなそういうものに、なかなかギャップについていけないというものもあると思うのです。
それからもう一つ、この農業大学校は、これから教授陣であるとかいろんな人材を投資することによって、学びながら種牛を造成することは、すごくハードルが高いと思うんですが、次世代の若い人たちに道を託すという意味からも私は大いに意義があるのではないかと思っているわけです。その点について、今の農業大学校の現状と、これからの人材育成について県はいかに考えているか示していただきたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 農業大学校の肉畜経営科にについてでありますが、肉牛の関係ですけれども、低コストで高品質な肉牛生産を目指して、繁殖から肥育までの一貫した生産技術を学ぶ教育理念のもとに学習をしているところであります。
委員から御指摘のありました、種牛づくりについてでありますが、現時点での家畜改良は、例えば、種雄牛の選抜手法といったようなものを理論として勉強する。それ以外に、種山畜産研究室の取り組みなどを視察に行ったりして、実践的に研修に取り組んでございます。
あと、御指摘にあったような種雄牛づくりをカリキュラムに含めるということについては、学生が、現場に即した実践的な技術を学ぶことができると考えるところですけれども、一方、雄牛というのは気性が荒くて飼養管理する上で非常に危険も多くて、専門的な知識、経験も必要でありますので、農業大学校は、畜産を学ぶ学生以外に、米や園芸などを学ぶ学生、あるいは研修のために来訪される生産者の方も多くありますので、防疫上の観点からもなかなか雄牛を飼養するというのは難しいと考えているところであります。
ただ、そういった中で、どういうことができるかといいますと、雌牛で、例えば雄牛を選抜する際には後代検定というやり方で、候補の雄牛の子牛をつくって、その子牛を肥育して調査し、その雄牛がいいかどうかを判定するというやり方をしていますので、雌牛の管理についてできるかどうかというのを検討できないかと考えているところであります。
〇飯澤匡委員 今、課長がおっしゃられたことを今から言おうと思ったのですが、いずれ、ゲノム評価が、今市場のほうにもかなり認定されて評価をされてきているところであります。この部分については非常に急速な科学技術の進歩が見込まれていますので、こういう部分もぜひともカリキュラムの中に入れて、現場で動くものを体感させていくと。
もう一つ、何度も申し上げますが、やはり人材の育成というのをしっかり考えていかなければならないと私は思うわけであります。
もう一つ、ちょっと話は切りかわりますけれども、現状の課題となるのは、今まで、農協であるとか全農岩手県本部に協力要請をしてきて、岩手県の主体性がなかなかとれてこなかったと。恐らく反論はあると思うのですけれども、その情報についても農協がしっかりと握っている部分がある。これはこれでいい部分があるのですが、岩手県として人材育成も図っていくという観点においては、なかなか現場と次世代の畜産家の人材育成というのは、いろんな意味で余りにも組織が、母体が大き過ぎて、マシンが大き過ぎて難しい部分もあるのではないかと思っております。
農業大学校は非常にアクセスもいいので、これからいろんな人材を集めていくのにも、さまざまな改革、また、いろんなことを県当局にも考えていただきたいと思うわけです。
これから、次の鹿児島の全国和牛能力共進会に向けてのいろんな取り組みがあるわけですが、どうも今回の全国和牛能力共進会を私も初めて見まして、岩手県はどこで勝負をするのかというのをちょっと考えさせられた部分もあります。畜産家の営農、経営を、しっかりやっていくような方策も一つの選択肢として考えていくべきではないか。そういう考え方で進んでいる若手営農者もおります。そこら辺が今岐路に立っているのではないかと思うわけでありまして、そういう観点から今回の質問をさせていただきました。
この間、別の会合で部長には、もう次の共進会はすっ飛ばして北海道の共進会を目指して地固めをしっかりすべきだという話もしましたけれども、きょうの質問を捉まえて部長のお考えというのを最後にお聞きして終わりにします。
〇紺野農林水産部長 農業における人材の育成、また、雄牛等の飼い方等、産地力の強化といった面につきましては非常に重要な観点と認識しております。これからの人材育成につきましては、先ほど御提言のあったゲノム評価等の手法等も取り入れていかなくてはいけないと重々承知しております。
次の全国和牛能力共進会に向けましては、きょう、カウントダウンしますと1、812日しか残されておりませんので、私どもとすれば、北海道というよりも、次の5年後に向けて今回の不十分な部分を分析しております。それをしっかりと踏まえて、次なる鹿児島においては今回の失地挽回、雪辱を期すために全力を尽くしてまいりたいと。
詳細については今いろいろと検討しておりますので、そういう意気込みをきょうは申し上げておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇菅野ひろのり委員 先ほどの飯澤委員の質疑、本当に感激しました。その中で1点質問したいと思うのですが、先ほど課長から、いい種牛をつくることが岩手の付加価値だという点、そして、岩手の種雄牛が44%から10%に落ちたということ。やはり畜産家の方からよく言われるのが、いわて牛というのは何なんだと、どういう特徴と魅力があるんだということをよく言われるわけです。その種雄牛10%というのがあらわれていることだろうなと思っているのですが、その中でさきの一般質問で全国和牛能力共進会の成果というか、どう総括されているか。今後の取り組みに対しても、今回体が小さかったところが、評価が悪かった一要因でもあるというところで、県外からそういう雄牛、種牛を導入してくるのが一つの方向性というか、そのような類の答弁があったと思うのですが、そうすると、岩手の牛というのがどんどん他県の血が混ざっていってしまって、結局、野球に例えると、4番打者が不足していたら海外から取り入れていこうという考えと同じようになっていってしまう。そこで、先ほどおっしゃっていたように、雄牛をしっかりとつくっていくことが一つと、もう一点が、雌牛をしっかりと残すような方法、対策を考えていただきたいと思っています。
今高値であり、大事な雌であっても農家は手放してしまう。そして価格が下落してしまうと、もう高齢化も進んでいますから農業をやめようと、農家をやめようとなってしまうので、その点についても非常に重要な対策だと思っていますが、県の考えをお聞きしたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 いわて牛の魅力といいますか、どういったのがいわて牛かということでありますが、岩手県の肉牛の産地を見ますと、盛岡以北が、どちらかというと体が大きくなる系統の牛をこれまで飼ってきたという歴史、それから、花巻以南の地域については、どちらかというと肉がいいような牛、体は小さいけれども肉が非常にすばらしいという牛を飼ってきたという歴史があります。それで、岩手県の中では、当然体の大きくなるところについては肉がよくなるような遺伝子を組み込んで牛をつくっていく、南の地域については肉がいいので、そこに対して体が大きくなるような遺伝子を組み込んでつくっていくというのが岩手の牛の改良の方向性だろうと考えています。
こういった中で、雄牛については、基本的には岩手県から作出していくもの、外から導入するものではなくて岩手県の中からつくっていくべきものと考えていますので、外部から導入していくという考えは持っておりません。
ただ、雌牛のほうについては、やはり岩手県内の雌牛だけで交配していくと血液が濃くなるといったような状況も出てきますので、一部不足する部分については、例えば九州のほうからそういった牛も導入して、血液を薄めて、岩手の牛で不足している分を補いながら雌牛をよくして、その中から岩手のオリジナルの雄牛をつくっていく、こういう形で進めていきたいと考えているところであります。
〇菅野ひろのり委員 先ほど北海道の全国和牛能力共進会を目指したほうがいいのではないかという意見もありました。私も目指す視点を長期的なビジョンを決めていただいて、その中で次の全国和牛能力共進会はどういったところをカバーしていくのか、さらにその上で岩手の牛づくりをどうしていくのかというビジョンを掲げて、農家にも伝わるような施策を進めていただきたいと思います。
〇阿部盛重委員 私から大きく1点伺います。
平成4年にひとめぼれが発売されまして、昨年の銀河のしずくのデビューに続き、約10年の歳月をかけて昨年まで研究されていたお米の質問になります。
いわて農林水産物フロンティア開拓事業費についてであります。
平成28年度からの継続事業ですので、銀河のしずくと金色の風の販売戦略、栽培地域の拡大についてお聞きします。
県最高級のお米金色の風が8日に県内デビューされて、16日に東京、大阪で全国的にデビューをされたということであります。2年連続で県独自米が発売されるのは全国でも異例で注目を集めている現状です。
そこでお伺いいたします。金色の風は今期約500トンの収穫を見込んで6割が県内で、4割が県外で発売する計画ですが、銀河のしずくと金色の風の2種類はどのような違いを出して販売戦略をお考えか、また、定着しているひとめぼれとのすみ分けはどのようにされるのか、お聞きいたします。
〇小原県産米戦略監 金色の風と銀河のしずくの販売戦略についてでありますけれども、全国の米産地から食味レベルの高い新品種が続々とデビューする中、金色の風、銀河のしずくのブランド確立につきましては、消費者や実需者の認知度を高めて信頼をかち取ることが何よりも大切と考えております。このため、現在、平成28年2月に策定いたしましたいわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、そのブランド化の取り組みを進めているところであります。
これまでの取り組みで、具体的には、銀河のしずくでは特A評価を取得できる栽培方法の徹底とか、あるいはPR資材の作成、配布に加えまして、お米に対する深い見識を持つ五つ星お米マイスターと連携したPR、そしてテレビCM、ホームページなどでの情報発信に取り組んでおります。
また、金色の風につきましては、全国最高水準の品質と食味を実現する、そういったフラッグシップ米としてその内容を実現する栽培の徹底、そして名称、ロゴマークの発表会、生産販売キックオフイベントの開催などに加えまして、ことしの10月には、先ほど委員から御紹介のありました県内外でのトップセールス、デビューイベントやテレビCMなど、認知度向上に向けた取り組みを展開しております。
銀河のしずくにおきましては、さわやかで、口に含んでも軽やかな味わいというところが一つ特徴でございまして、広く皆様方に愛されるお米ということがコンセプトとなっております。
また、金色の風につきましては、甘味が強く、非常に芳純な味わいが特徴になろうかと思いますので、そういった二つの品種の特徴を捉まえながらPRを図ってまいりたいと思いますし、ひとめぼれにつきましては、本県を代表する主力品種であります。これにつきましても、あわせて認知度を高めながら、ブランドの確立に取り組んでまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 種類によって販売先等を変えていくというところもあるわけですね。
また、商品をふるさと納税の返礼品に使いたいというお話もあるようですが、そのあたりは、各自治体とのお話はどのような推移で進まれておりますでしょうか。
〇小原県産米戦略監 ふるさと納税の返礼品についてでありますけれども、先般、金色の風を作付しております市町に、ふるさと納税の返礼品について確認をさせていただきましたところ、奥州市、金ケ崎町においては採用する意向と伺っております。また、一関市、平泉町におきましても、採用に向けて検討を始めているということで、現在、関係団体との調整を図っていると伺っております。
なお、銀河のしずくにつきましても、花巻市、北上市そして八幡平市、雫石町、それぞれの産地で採用する意向ということもあわせて聞いております。
〇阿部盛重委員 もう1点なんですが、支援団体のJA、調理師会等、及びジェトロとの関係なのですが、今どのような推移で販売戦略を組まれていくものでしょうか。
〇小原県産米戦略監 オリジナル品種の知名度といいますか定着におきましては、生産と販売が一体となった取り組みが重要と考えております。生産につきましては、JAが中心となりまして栽培研究会等々の設置、運営等をやっていただいておりますし、その生産されたものの流通につきましては、農業団体と県との共同でPRをすることに取り組ませていただいております。
いずれ、それぞれの関係機関の強みといいますか役割をあわせながら、共同してこの定着に努めてまいります。
〇阿部盛重委員 次に、栽培地域の拡大についてお伺いいたします。
ことしは、奥州、一関、平泉、金ケ崎の4市町の約100ヘクタールで栽培して、収量が約500トンを見込んでおりますけれども、今後は栽培適地の拡充はお考えなのか、それに伴い、収量はどうお考えなのかお伺いいたします。
〇小原県産米戦略監 平成29年度につきましては、今委員がおっしゃったとおりの実績です。平成30年産につきましては、引き続き、県南地区の栽培適地において作付をすることといたしまして、生産を担うJAからの要望とか、あるいは流通を担う米卸などの意見も踏まえまして、現在、作付面積を拡大する方向で検討を進めさせていただいております。
〇阿部盛重委員 土から、水から、気温から、いろいろと欠かせないものがたくさんあると思うのですけれども、ほかの地域でもつくりたいというお話もないわけではないのですけれども、そのあたり、適地といいますか、適さない地域もあるということでの認識でよろしいのでしょうか。
〇小原県産米戦略監 この金色の風の栽培適地についてでありますけれども、金色の風はフラッグシップ米としての位置づけで、米の食味ランキングで特A評価を22回取得するなど、良食味米を作出する地帯として評価の高い県南地区のうち、全国最高水準の品質と食味を実現するために、食味を大きく左右する出穂以降の積算気温を安定して確保できる標高120メートル以下の地帯を栽培適地とさせていただいているところであります。
〇阿部盛重委員 いずれ、ブランド米競争が加熱しておる現状ですので、県内の消費者の皆さんも銀河のしずくにも期待はされておりますけれども、それ以上に金色の風に期待を寄せておりますので、今後、販売のほうも対応しながらよろしくお願いいたします。
〇高橋孝眞委員 二、三質問しますけれども、県産米販売戦略からですが、現在の計画は今年度で終了という3カ年計画であります。一般質問でも質問しましたけれども、農家として来年度の作付栽培計画に当たっては、今ごろはもう示さなければ農家としても大変なところであります。来年度の種もみの確保なり、肥料を農協から共同購入をするということを考えても、生産費を少しでも下げるためにも早く示してほしいと思うところでありますが、県として、いつごろ、次期3カ年計画を示すのかお伺いをいたします。遅いと考えますけれども、どういう考えからなのかもあわせてお願いいたします。
〇小原県産米戦略監 次期県産米生産販売戦略の公表時期についてでありますけれども、県では、農業団体と連携し、平成27年2月に策定いたしましたいわての美味しいお米生産・販売戦略に基づきまして、県オリジナル新品種の早期ブランド化と、新品種を核とした県産米の評価向上に向けた取り組みのほか、直播栽培の導入などの生産コストの低減に加えまして、実需者との結びつきの強化など、安定的な販売先の確保に取り組んでおります。
次期戦略につきましては、これまでの取り組みを基本といたしまして、地域の特徴を生かすとともに、実需者のニーズにも対応できる品種配置や生産コスト低減技術の導入に加え、良食味で多収の品種開発などの取り組みを盛り込むこととしております。
現在、関係団体との最終的な調整を行っておりまして、各地域協議会においては、12月から平成30年産の主食用米の生産目安の算定作業が行われるということも踏まえまして、できるだけ早く公表したいと考えております。
〇高橋孝眞委員 もう少し先という回答になるのですけれども、そうしますと、農家から見ますと、来年度には間に合わないわけです。平成30年度の計画ですと言っても、平成31年度以降の計画になってしまうわけですが、そういう考え方で今は進めているということでよろしいのでしょうか。
実はこの計画は、来年度の計画を示すのであれば6月ころ、そういう意味合いでは4月から始まって3月までというよりは、7月から始まって6月までという計画をしないと、麦なんかの播種そのものについてはもう終わっているわけですけれども、麦なんかは収穫年カウントですよ。実際はみずからが生産調整をするといいますか、作付の面積を決めていくということから考えるとおかしい言い方でありますけれども、転作のカウント等については収穫年扱いなわけです。そういう意味合いを考えても早く示すべきだと思いますので、農業団体と検討してということですが、そういう点を含めて検討していただければと思います。
次ですけれども、業務用米としての良質かつ多収の品種開発が重要であるとの回答をいただいておりますが、市場に投入するのは何年ごろを予定して現在開発されているかについてお願いをいたします。
〇小原県産米戦略監 業務用に向いた良質で多収品種の開発とその導入についてでありますが、現在、業務用などへの対応も視野に入れた主食用品種の開発を進めております。有望と考えられる2系統を選抜し、本年度は現地試験を行っている状況です。今後、この現地試験の結果を踏まえまして、次期戦略期間中に品種登録について検討することとしておりまして、順調にいきますと、平成32年以降に一般栽培が可能となる見込みであります。
〇高橋孝眞委員 平成32年というのは相当長いと思いまして、それでは間に合うのかどうか。所得を上げるという考え方から見ますと、もっともっと早く整理をして、前々から言ってきているわけでありますので、開発のスピードというものはもう少し早目、早目に対応していただければと思います。
集落営農組織の法人化の関係ですけれども、経営を効率化するためにも法人組織の統合を誘導してきたという回答でありました。それでは、法人組織の統合が何件実現したのかについてお伺いをいたします。
〇中村担い手対策課長 集落営農法人の統合につきましては、18営農組合から七つの法人をつくっておりまして、設立している地域としましては、一番多いのが北上市、次いで一関市、花巻市等、幾つかの市町村で設立されております。
〇高橋孝眞委員 ちょっと意味がわからなかったのですけれども、統合した組織というのは何件あるか。何組織が幾らに統合したのかという意味ですけれども、今の回答なんですか。
〇中村担い手対策課長 各地で集落営農組織が18組合ありまして、例えば北上市であれば四つの組合が一緒になりまして一つの法人を設立したという形になっておりまして、18の組合それぞれ四つないし二つの組合等が一緒になりまして、県下で七つの法人が設立されている状況であります。
〇高橋孝眞委員 わかりました。それでは、平成24年度からの5年間で、法人化されてきた組織ですけれども57組織から167組織の3倍となったということですが、現在でも法人化できていない集落営農組織はどのくらいあるのかと、現在でも法人化できないでいる組織の課題と今後の対応をお願いいたします。
できていない組織そのものについては、これから時間をかければ法人化が可能なのかどうかについてもあわせてお願いをいたします。
〇中村担い手対策課長 集落営農組織の法人化についてでありますが、これまで、県では、各地域において集落の合意形成に向けて、その発展段階に応じて、財務、税務、労務等の経営管理に関する集合研修の開催や個別相談等を進めてまいりました。そういう中で、現在、法人化を目指している組織につきましては246営農組合があります。これらの組合等につきましても、こうした取り組みによりまして、平成29年3月末には167法人でしたが、ことしに入りまして、9月末ではさらに15法人が増加しまして、現在182法人となっております。
法人化していない組織におきましても、今後とも、このような指導を行いながら、組織リーダー等の育成に向けた研修会の実施、野菜などの園芸品目、省力機械の導入、このような細かな支援を続けながら、組織の経営力の向上を図りながら、法人化に向けて進めていきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 そうすると、残りの246の組織は、今後、法人化を100%できるという見込みで今進めているということでよろしいのでしょうか。
〇中村担い手対策課長 法人化ができていない組織の課題につきましては、法人化に向けての法人運営の人材確保や、従業員に給料支払いができるような収益性の確保などの課題があります。このような課題の解決に向けましては、組織の合意形成を進めることが非常に重要だと考えております。
県では、先進事例や法人化のメリットに関する研修の実施、機械所有や今後の経営等に関する構成員の意向調査の実施、話し合いの場の設定等、あるいは組織の課題抽出と経営ビジョンの作成などの支援を進めながら、できる限り急ぎながら、数多くの組織が法人化されるように支援していきたいと考えております。
〇中南農業振興課総括課長 法人化に今至っていない組織数ということでありますが、先ほど182というのは法人化になった、法人の数が182でございまして、まだ法人化に至っていない組織は今現在246の組織数でございます。これの法人化を進めていきたいと考えてございます。
〇高橋孝眞委員 そうすると、考えてみると10年以上も法人化を進めてきているわけです。10年たっても法人化ができないところは、これから法人化をしようとしてもできないのではないかと私は思うわけです。そういう意味合いでは、また別個な仕組みをつくらなければいけないのではないか。先ほど言っていましたように、統合させることも一つあると思いますし、周りの法人化をしているところに吸収させるといいますか、そういう誘導の仕方をしない限りは、その組織だけではもう限界があるのではないか。ただ、先ほど自信があるようなお話をしておりましたので、それに期待するしかないのかもしれませんが、いずれ、そういう仕組みをもっともっと考えていく必要があるのだと思いますので、いずれ検討していただきたいと思います。
〇中南農業振興課総括課長 法人化のお話をもう少しさせていただきたいのですが、今246の組織が法人化計画を持っていながらまだ法人化になっていないということで、確かにその組織は10年以上前から法人化を目指して計画は持っているんですが、まだ実現に至っていないというところもあります。我々も、今ある法人化計画をそのままただ単に計画に沿って進めるということではなくて、組織の実態というものがやはりありますので、必要に応じてその計画の見直し等も行いますし、先ほど委員からお話のありましたほかの法人への合流ですとか、ほかの組織と一緒になって法人化を目指す、あるいは地域の担い手が中心となる法人経営体のほうに集積をするとか、さまざまなことがあると思いますので、そういうところもよく意見を聞きながら取り組みを進めていきたいと思っております。
〇高橋孝眞委員 期待をしておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
全国和牛能力共進会も一般質問で質問しましたけれども、先ほど飯澤委員からもお話がありましたが、回答の中で、本県の肥育技術は格段に高まったものの、上位入賞に向けて肥育技術の向上が必要であるとの回答をいただきました。では、平成28年3月に、岩手県で家畜及び鳥の改良増殖計画を策定して取り組んでいるところでありますけれども、この中でいきますと、肥育の関係でありますが、平成25年で、肥育終了時の月齢数ですが30.3カ月齢、枝肉重量488キログラム、目標が平成37年度で月齢が27カ月齢で473キログラムと、こういう目標を掲げて進めてきております。この目標そのものが私は低いのではないか、もう一度見直すべきではないかと思うわけです。
今回の共進会でも、年齢については24カ月齢未満でありますし、大体上位入賞したのは枝肉重量500キログラムを超えているわけです。そういう中で、平成37年を目標にこのままやるということは私はおかしいのではないか。もう少しスピード感を強めてやっていくという意味合いの中では、この計画を見直していかないと鹿児島県での大会はなかなか難しいし、その次の北海道の大会も難しいのではないかと思うわけですけれども、どのように考えているかについてお願いをいたします。
〇藤代畜産課総括課長 県の家畜改良計画の中の肥育期間の目標について見直しをすべきではないかというお話でありますが、一つは、全国和牛能力共進会の肥育牛の取り扱いですが、出品月齢が24カ月齢未満という規定がありまして、この中で出品するということになっておりますので、通常9カ月齢で肥育のほうに導入する牛を、5カ月なり6カ月ということで導入月齢を早めた上で飼料給与のやり方を変えながら肥育して対応していくというのがやり方でありまして、県の家畜改良目標については、一般の肥育農家の方がやれるだろうという技術を目指して設定しているものでありまして、このことにつきましては、一つは、国の家畜改良増殖目標におきまして、3カ月以上の期間短縮を10年後には目指すということを踏まえて、本県でも現行の3カ月を短縮した27カ月齢と設定したところですが、一般の農家の方が広くやっていくためには、そういった飼料給与の技術、全国和牛能力共進会で培った技術を広めていかなければいけませんので、県の畜産研究室で、そういった飼料給与技術開発を行って27カ月齢で肥育ができるという実証試験、その結果について、現在、生産者、関係者の方への普及に努めているところであります。
また、県産牛肉を取り扱う卸売業者では、若い牛肉だと枝肉重量はできても味や風味が落ちるので、やっぱり30カ月齢の牛が欲しいという声もいただいておりまして、肥育期間の短縮というのは、こういった卸売業者の要望といいますか、ニーズも27カ月齢あるいはもっと若い牛でも大丈夫ということに理解をいただきながら対応していかないとなかなか進まないところもありますので、生産、流通両面で取り組みを進めて、肥育期間の短縮というものに取り組んでいきたいと考えているところです。
〇高橋孝眞委員 いずれ、買っていただかなければ畜産経営としてはもうからないわけでありますし、利益が出ないわけです。それはそのとおりなのですけれども、今の改良そのものから見ると、もう他県ではどんどん進んでいるわけです。国が3カ月と示しているというか、10年後には目指そうと言っても、現実にはもっともっと進んでおります。そういう意味合いでの利益が出るような畜産経営を目指すということから見ると、そのことに捉われずに、岩手県として大胆にやっていかないと改良が全然進まないのではないかと思うのです。消費者といいますか、購買する肉屋の方から見ましても、それはそのとおりなのかもしれませんが、それに合うような、24カ月齢でも肉屋の方に求められるような肉をつくればいいわけですから、そういう技術を我々は目指していく、そういうことでいかないと常に負けてしまうのではないかと思いますので、この点については今後検討していただければと思っております。
〇工藤勝博委員 まず、主要農作物の採種事業についてお伺いいたします。
毎年新品種が開発されておりますけれども、その実績と普及推進に当たっての取り組みをお聞きします。
〇小原県産米戦略監 新品種開発の実績と推進方針ということでありますけれども、県では、平成2年から水稲の品種開発に取り組んでおりまして、これまでに主食用うるち米、モチ米、酒米そして飼料用米など、計19品種を開発いたしまして、このうち12品種を県が奨励する品種としております。現在、主食用うるち米で奨励あるいは準奨励品種に採用しております9品種のうち、県のオリジナル品種は5品種となっております。
また、品種開発につきましては、拡大する業務仕向けに対応した良食味で多収な品種や、県北地域に適した良食味の品種の開発を進めてきておりまして、有望と考えられる良食味で多収な2系統、そして県北向け良食味米1系統を選抜いたしまして、本年は現地試験を行っている状況であります。
今後におきましても、生産者、実需者の皆様方の御要望に応えられる品種開発に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 水稲の部分ではオリジナル品種も5品種ということで現在も作付されているわけですけれども、実際流通段階の部分を見ますと、金色の風、銀河のしずくを除いて考えますと、今まではあきたこまち、ひとめぼれなんですね。もともと宮城県でつくった品種と秋田県でつくった品種が主力品種となっておりました。そういう中で新しい品種ができたということは評価できると思います。
そういう中で、県北地域にも良食味米の品種を開発しているということを伺いましたけれども、次の質問ともかぶりますけれども、水稲の品種の作付、適地適作ということがこれから最も求められるんだろうと思います。特にも、金色の風も含めて、先ほども答弁がありましたが標高が120メートルとかという範囲は、実際生産する段階になると、山登りするんですね。知らず、知らずに50メートル、100メートルと、高いところまで作付が進みます。それらをどう防ぐといいますか、天候にもよるのですけれども、年によっても、いい年もあるだろうと思いますけれども、適地とすれば、範囲をある程度かたく限定しないと、せっかくの評価をいただきながら流通段階でばらつきが出てくると、これは先々大変評価を落とすということになると思いますけれども、その適地適作の指導はどういう形で進めていくのか、まずお伺いします。
〇小原県産米戦略監 水稲の適地適作の指導についてでありますが、県では、地域の気象条件に適した品種の作付と品種特性を踏まえた適正な栽培管理により、高品質、良食味米の安定生産を目的といたしまして、平成24年2月に水稲品種選定と栽培管理指導の方針というものを策定いたしまして、適切な栽培管理と適地適作を推進しております。
また、この方針に基づきまして、県内の全てのJAが産地計画書を作成し、品質食味向上に係るモデル圃場を設置いたしまして、得られた品質、食味、そして単収の成績をもとに品種配置が適正であるか再検討し、改善を翌年の作付計画に反映させることとして、品種の適正配置による品質向上に取り組んでいるところであります。
こうした取り組みによりまして、全国トップクラスの一等米比率あるいは米の食味ランキングにおいて、県南地区ひとめぼれが22回の特A評価を獲得するなど、良食味米産地としての評価向上が図られておりまして、今後におきましても、この適地適作の取り組みを一層徹底していくと考えております。
〇工藤勝博委員 農家によっては無理してでもつくりたいということもあると思うのです。実際、八幡平市でもひとめぼれをつくっている農家がふえてきたのです。従来はあきたこまちでも標高二百二、三十メートルのところではだめだというので、どんどん山登りをする。そしてまた、ひとめぼれをつくっている生産者もふえてきています。実際、今度は販売する段階になると、価格があきたこまちより逆に安いということがあるのが現状なのです。これから銀河のしずくでも金色の風でも、それらを防ぐ手だてをしっかりやっていただきたいと思います。
それから、米卸の要望なんですけれども、岩手の米は、確かに良食味の部分もいいよと。でも、これから安定して販売できるのは業務用米だということで、大変いわてっこを評価していることを聞いております。県北のある程度標高が高い部分での作付の品種、良食味米もいいだろうと思いますけれども、業務用米に向いた品種開発も積極的に進め、また、一方では飼料用米もありますけれども、そして農家所得を高めるという工夫、農家所得に結びつくような品種をこれからつくり出していくほうが賢明ではないかと思いますし、当分、米穀卸の要望に応えるためにも、今あるいわてっこをもっともっと推進するほうが私は賢明ではないかと思いますけれども、その辺の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 本県産米の生産販売戦略の中でも、一つの柱として位置づけておりますけれども、適地で、その地域に合った品種を選定しつつ、やはり売り先の要望に応えていかなければならないと、そのような考えのもと、今戦略を最終調整させいただいているところであります。
委員のほうからお話がございましたいわてっこにつきましては、全農岩手県本部から聞いているところによりますと、非常に卸売業者からの評判がよくて、きちっと量をそろえて契約をしたいというお話を頂戴しているところであります。適地適作といったようなことを大前提に置きまして、そういった地域で作付の計画に結びつくような情報を提供させていただきながら、適地適作を指導してまいりたいと思います。
〇工藤勝博委員 今のいわてっことかあきたこまち、ひとめぼれの平成29年度の概算払いですけれども、30キログラムで200円しか違わないです。いわてっこは、あきたこまちに比べて単収1俵から2俵、余計にとれるのです。そうなると、明らかに農家にすれば所得がふえるということになるので、無理してあきたこまちをつくらないでいわてっこをどんどんつくって業務用に回したほうがいいということを、現場の農業改良普及センターの指導員の皆さんからもそれらを進めていただきたいと思います。
採種に関してもう1点、種子法の廃止が来年の4月からとなるわけですけれども、長い歴史の中でこの種子法ができて、それぞれの主要の農作物、米、麦、大豆と、各県が育種したものをその地域に合った奨励品種として推進するとなるわけですけれども、それが廃止になると、今までいろんな質疑の中でもありましたが、県は従来どおり取り組むという答弁がありましたけれども、これはしっかりとした体制で、従来にも増して採種、品種開発も含めて取り組みをお願いしたいと思います。
というのも、秋田県でもう既に民間の品種を県の奨励品種にしようという話もあるそうです。ということになると、もう大手のメジャーの農薬出資会社がそれに取ってかわって、種を支配するという時代が来るのではないかという心配があります。そういうことには絶対ならないように、岩手県独自の、この気候風土に合った品種は絶対岩手県でつくるという強い姿勢で取り組んでいただきたいと思います。
宮城県でもJA全農みやぎ、あとJA宮城中央会が宮城県議会にそういう趣旨のもとで要請もしているということであります。多分、岩手県でも、直接要請がなくても県の姿勢としてそういうことを強く打ち出してもらって、岩手の農業全般の採種といいますか、種子生産は守るということを改めてお伺いしたいと思います。
〇松岡水田農業課長 主要農作物種子法の廃止への対応についてでありますけれども、県では、水田農業の振興上、優良種子の安定生産は重要であると考えております。これまで、国に対して、本県農業の重要作物である稲、麦、大豆の種子生産に関するガイドラインの制定や、県が行う種子の生産、普及に対する地方交付税措置の継続などを要望してきたところであります。
国は、種子法廃止後も、これまでと同様の種子生産を継続できるよう、これまで種子法に基づき定めていた種子生産の基準を種苗法─これは品種登録の制度や種苗の表示などを定めた法律ですけれど─この種苗法の基準として新たに定めたところであります。
また、種子法で定めていた都道府県の役割、それから県では種苗センターがあります。こういった種子協会の位置づけといったものにつきましても、この種苗法の種子生産ガイドラインで今後定めると聞いているところでございます。
県では、こうした国の動向も踏まえながら、引き続き優良な種子を安定的に生産、供給する体制を維持してまいりたいと思います。
〇工藤勝博委員 種苗法にかわるということですけれども、これは本当に大事なことだと思います。例えば、水稲では余りないのだろう思いますけれども、登録していればよそではつくられないとか、花とか野菜は特にあるのですけれども、それらも種子法にのっとって商標登録というか種苗登録するという方法はこれからどうお考えになるでしょうか。
〇松岡水田農業課長 種苗法は今もありまして、新しい品種をつくってその育成者の保護などを定めた法律です。ですから、県が育成した品種につきましては、これまでも種苗法に基づいて品種登録をして、育成者として県の権利をしっかりと守ってきたというところですので、今後も引き続き育成者の権利を守り、しっかりと農家の方々に使っていただけるようにしてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員長 工藤勝博委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
工藤委員、御了承願います。
午後0時0分 休 憩
午後1時2分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇工藤勝博委員 二つ目の質問をさせていただきます。
家畜改良増殖対策事業ということでありますが、一般質問、そしてまた、先ほど来、全国和牛能力共進会宮城大会を含めて質問がありました。その中で、県有種雄牛の育成ということで種山牧場の話もありましたけれども、評価と反省点があればお聞きしたいと思います。
〇菊池振興・衛生課長 県有種雄牛の造成と全国和牛能力共進会宮城大会の評価についてであります。
本県では、昭和62年から黒毛和種の種雄牛造成に取り組んでまいりました。代表的な種雄牛といたしましては、平成9年に開催されました全国和牛能力共進会岩手大会で内閣総理大臣賞を獲得いたしました第5夏藤や、平成22年度全国肉用牛枝肉共励会で名誉賞を獲得いたしました菊福秀など、これまでに58頭の種雄牛を造成してまいりました。最近では、枝肉重量の評価で山根雲が、また、バラの厚さの評価では春北平がそれぞれ全国和牛登録協会からの公表成績で第1位となるなど、県有種雄牛の能力の高さが証明されております。
また、全国和牛能力共進会宮城大会での評価につきましては、第1区の若雄の部において全国3位となる優等賞3席を獲得するなど、五つの出品区で優等賞を獲得したものの、総合順位におきましては前回大会を下回り、6位以内の入賞には至りませんでした。
この要因につきましては、種牛の部では、本県の出品牛は、上位入賞した鹿児島県や宮崎県の牛と比べ体全体の大きさなどが不足していたほか、群出品の区では、群全体のそろいを示す斉一性が上位の牛に比べ不足していたと考えております。
今後におきましては、本県の牛が上位入賞牛に比べ劣っていた要因をさらに分析いたしまして、また、九州などの上位入賞県の取り組みも参考にしながら、よりよい牛づくりにつなげてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 出品された皆さんにとっては、5年に1回の共進会ですので、誇りが高いと思いますけれども、この共進会に参加した中で、後々評価されると思うのですけれども、先ほど飯澤委員からも話がありましたが、岩手県の種雄牛が活用されているのは県内で十数%ということも含めて、これからの県の畜産でも和牛、肉用牛に関しての大きな基礎となる種牛をどう増殖していくかということが問われていくと思います。
岩手県には県有牛のほかに家畜改良事業団の牛もあるわけですけれども、それらも含めて、畜産経営の基本となる繁殖の部分をこれからどう推進していくのかということが問われると思うのですけれども、その辺は、県有牛と絡めてどう判断されているでしょうか。
〇菊池振興・衛生課長 県有種雄牛の凍結精液の利用につきましては、最も高かった平成23年度は44%でありましたが、それ以降、家畜改良事業団であるとか、北海道あるいは九州地方の民間種雄牛が入ってきまして、20%を切るような状況になっております。いずれ、これにつきましては、利用率の向上に向けて、特にも家畜人工受精師の方々に対するPRの強化であるとか、新たに基幹種雄牛となりました若い種雄牛の成績の収集であるとか、生産者の方々に対して、そういったものを早期に、いいものだという形の情報を提供しながら、利用率の向上を高めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 今回の全国和牛能力共進会宮城大会は、和牛登録協会では、今までの脂肪の量より質、サシの形状を重視したということが言われています。審査の段階では、牛脂肪交雑基準は上位3段階では得点差を設けなかったという中で、まろやかさとかうまみを重視したオレイン酸の脂肪の質の評価をしているということですけれども、大会ごとにそういう大きな評価の基準が大分変ってきているのだろうと思います。次の鹿児島大会、あるいは10年後の北海道大会に向けては県有牛の選抜をどのようになされるのか、もし、現時点で目標があればお聞きしたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 今回の全国和牛能力共進会宮城大会につきましては、例えば岩手県ですと、種牛では山根雲、肉では花安勝という牛で臨みました。花安勝については、本当にトップと遜色ないような成績をおさめたのですけれども、脂肪交雑の部分で若干ばらつきがあったということで、基準の点数で比べると5位なのですけれども、最終的な評価では9位という形になりましたので、その種雄牛の能力が決して低いということではなくて、本当にトップと僅差の牛だと自負しております。そういったことを基本に牛は改良していきたいと思います。
また、今の牛肉が4等級、5等級と言われる上物率が約8割を占めるという中で、牛肉の評価をどうやってさらに高めていくかという意味で、前回あたりから、そういったオレイン酸評価というものが入ってきました。ただ、このオレイン酸というのは遺伝的要素も強いものですから、今度は、種牛をつくっていく中で、そういったオレイン酸の遺伝というものを分析して、どの遺伝子がそれにかかわるか、そして、オレイン酸率を高めるような要素も含めて種牛づくりを進めていかなければいけないと考えているところであります。
〇工藤勝博委員 ここ数年、子牛がかなり高値になっていますけれども、岩手県内でも、去年から鹿児島県から大量に素牛の雌牛を導入しております。そうした優良な繁殖牛の導入とあわせて、県有の種牛の凍結精液をどう使うか。また、農家によっては、先ほどお話がありました家畜改良事業団あるいは民間の1本10万円もするような高価な精液を使っているという事例もあります。
それらを含めて、さらに質の高い牛の生産に結びつけていくためには、今後の指導の方針といいますか、どのような取り組みをなされるのかお聞きしたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 県の種雄牛をつくっていく際には、県内に母牛が約3万3、000頭ぐらいいますが、その中で、優秀な牛200頭を選びまして基礎雌牛としまして、その基礎雌牛に対しまして、次の種牛の候補となるような牛を交配していただいて子牛をつくって、その雄のいいものを選んでいくというやり方をしていますので、そういった他県から買ってきた牛も含めて、もし、上位の200頭と比べていいものがいれば、そこに組み入れて、その中でいい雄を交配して県の種牛をつくっていきたい、そういう取り組みをしていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 全国和牛能力共進会も含めて、畜産農家の意識が高まったと思うのです。それらも含めて、これからの肉用牛の生産基地としてどのように生産を拡大していくか。
生産者が一番望んでいるのは、いかにして農家所得を高めるかにあると思うのです。それらコストの削減あるいは流通のあり方、合理化等も含めて、まとめてお聞きいたしたいと思います。
〇菊池振興・衛生課長 肉用牛の生産基地としての取り組みについてでありますが、本県の肉用牛につきましては、飼養頭数や産出額は全国のトップクラスにあるものの、経営規模が小さくて生産コストも高いことから、一層の経営体質の強化に向けた規模拡大あるいは生産性の向上が課題と考えております。
このため、生産基盤の強化に向けまして、昨年度は家畜導入事業などによりまして優良な繁殖牛約700頭の導入支援を行いました。あわせて、畜産クラスター事業などによりまして、これまで約1、700頭分の繁殖牛舎を整備したほか、キャトルセンターなどの整備を進めております。このような取り組みによりまして、本県の肉用牛の飼養頭数は昨年に比べまして2、000頭ほど増加したところであります。
また、コスト低減に向けましては、牛の導入あるいは施設整備による経営規模の拡大の支援とともに、県あるいは農協等で肉用牛のサポートチームを県内に10カ所組織しております。こういったサポートチームがモデル対象農家を定期的に巡回いたしまして、低コストに向けた指導を行っており、昨年度は指導対象農家の平均の分娩間隔が44日間短縮するなどの成果が上がっておるところであります。
このような取り組みによって、経営規模の拡大または生産性向上などの取り組みを推進しながら、本県の肉用牛の生産基盤を強化してまいります。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 食肉流通のコスト削減に向けましては、県産肉用牛の出荷頭数の増加を促すとともに食肉処理施設の処理能力を強化することが重要と考えております。
岩手畜産流通センターにおきましては、現在、HACCPに対応いたしました施設整備を進めているところでありまして、加工処理能力の向上、部分肉処理の拡大等によりまして、処理コスト、流通コストの低減を目指しているところでありますので、県といたしましても、こうした食肉の処理、流通コストの低減に向けまして支援してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 最後です。ここ二、三年の子牛高でありますが、繁殖農家は大変潤っているだろうと思いますけれども、逆に肥育農家はこれから大変だという声も出てきました。それらも含めて、畜産振興をどのような形でさらに進め、次の全国和牛能力共進会鹿児島大会にはぜひともまた岩手の底力を発揮するような取り組みを期待したいと思います。あわせて、畜産振興をどうするかということを最後にお聞きして、終わります。
〇藤代畜産課総括課長 まず、全国和牛能力共進会関係ですけれども、今回の成績が振るわなかった要因は先ほど答弁申し上げたところです。全体の総括ではそういうことなのですが、個々に見ますと、それぞれの出品区によって問題があります。遺伝的に体型的なつくりが悪いとか飼養管理の問題、あるいは出品テクニックとして、見せる場面できちんといい状態にもってくるといったテクニックで若干上位に及ばなかったというところもありますので、そういったことについてきちんと検証して、あるいは上位の県も参考にさせていただきながら、5年間、先は決まっていますので、今何をやれるかという工程を組み立てて、そこはしっかり取り組んでいきたいと思います。
また、肉用牛振興につきましては、先ほども申し上げましたとおり、牛の頭数については、家畜の導入や施設整備により若干ふえてきております。こういった伸びていくものをそのまま加速化できるように、引き続き応援したいと思います。
また、肥育につきましては、おっしゃるとおり、子牛高の部分がこれから出荷になるということで、非常に利幅が狭まっているというようなところもあります。これについては、かねてから肥育農家の方に一貫経営を勧めており、繁殖と肥育を一貫して経営される農家の方もふえてきておりますので、これも同じように施設整備あるいは牛の導入ということが基本になりますけれども、肥育農家の方についても、そういった形でコスト低減に向けた取り組みなど、あるいは先ほども申し上げました肥育期間を短縮することで資本回転率もよくなってきますので、そういったことをあわせて進めながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 関連。工藤委員の質問に関連して、午前中にも種雄牛づくりの話が議論されておりますが、私もこの間の全国和牛能力共進会にも応援に行ってきたわけであります。関連ですから簡単に言いますが、取り組みの方法、やり方の部分についてお聞きしたいと思います。
先ほども話があったとおり、最近では質、量の兼ね合いで、岩手県は昔からどちらを重視していくかということで、県南では質を中心にという話が出ました。要するに両方兼ね備えたものをつくっていかないと、ほかの県になかなか対抗していけない。かなりいいものはできていると、私もそう思っています。種山で種雄牛づくりを県が一生懸命頑張っていることも承知しております。ただ、1頭の優秀な種牛をつくるにはかなり時間もかかるということで、もちろんそれに必要な牛の頭数等々をそろえていかなければならないということだと思っています。
5年後の鹿児島あるいは10年後の北海道の話があります。それに向けてこれから種牛づくりを進めていくということを考えれば、九州の鹿児島県、宮崎県には基礎的な頭数が本県の倍以上当然いると。そういった中から基礎雌牛、また種牛づくりを進めてきているということで、よほど頑張っていかなければ、5年後あたりでも追いつくということはかなり厳しいところもあるという見方をしております。したがって、今、県の取り組みで種山での種雄牛づくりの話がずっと議論されています。
ところで、岩手県の和牛も含めて牛づくりをしていくことは、雄も雌もですが、県プラス民間というのか、全農、JAを含めて、そういった取り組みの中で生産者の指導なり種牛づくりというものを進めてきていると理解しております。
聞きたいのは、例えば県と全農で種牛づくりをどういう方向でとか、そういったことのやりとり、協議とか会議とか、そういうことは十分やられていて、よし、こういうことで行きましょうという格好になっているかどうか、そこを確認したいと思います。
〇菊池振興・衛生課長 県の種雄牛の改良方針につきましては、県の定める岩手県家畜及び鶏改良増殖計画に基づいて、増体及び脂肪交雑の育種価のほか、父牛の系統の希少性あるいは本牛の体型等を考慮して選抜しております。こういう中身につきましては、毎年度、全農と和牛の改良に係る打ち合わせを行っておりますので、その中で選抜方法等についての意見交換を行いながら進めております。
今回の全国和牛能力共進会の結果も踏まえまして、工程表をつくりながら、さらに長期的にどのように進めていくかという部分につきましても、全農と協議しながら進めてまいりたいと考えております。
〇藤代畜産課総括課長 若干補足させていただきます。
先ほど、委員から鹿児島県、宮崎県のお話がございました。母牛の頭数については、鹿児島県、宮崎県は岩手県の3倍、4倍という規模でありますので、そういった数からいくとなかなか厳しいのではないかというのは御指摘のとおりだと思いますが、一方、今回の全国和牛能力共進会、あるいは過去3回の全国和牛能力共進会で第3位に大分県が入っています。大分県は母牛の数が岩手県の約半分の県ですので、決して岩手県がやれないわけではないと考えております。そういった岩手県よりも少ない県でどう取り組んでいるかということも参考にさせていただきながら、鹿児島県、宮崎県は非常にレベルが高いですけれども、何とか追いつけるように頑張っていきたいと思っています。
〇千葉伝委員 いずれ、その取り組みとして、県のみならず、これからの和牛づくりはオール岩手で、いわゆるこれまで町の名前とか市の名前に牛をつけて、江刺牛等々いろいろとやってきたのが、今は岩手というのを前面に出してやっているということで、これを進めていくという部分では、オール岩手のやり方、方針をしっかりと持ってやっていく必要があろうと思います。
先ほど、菊池課長からお話がありました。組織的な対応の中で、全農とそこは十分話をされて、よし、これで頑張っていこうということでやっていただければという要望でありますけれども、たまに、相手の県ではなくて、俺はこういう考え方だということで、ちょっと対立的な部分も時々ありやの話も聞こえてくるところでありますので、そこをしっかりと会議等々で、お互いにこういう方向で行こうというのをがんがんやって、そして同じ方向にもっていけるような体制で臨んでいただきたいと思っておりますが、部長、一言お願いします。
〇紺野農林水産部長 岩手県の牛の生産につきましては、全体としてしっかりと一つの方向を向いて取り組んでいくというのが何よりも重要ではないかと思っております。従来ですと、同じベクトルに進んでいなかったところもあるのかと認識しておりますので、そこは次の全国和牛能力共進会に向けてもう一度分析し直して、同じ方向でいい牛をしっかりとつくっていくという考えのもとに進んでいきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 皆さん、お米のネクタイをつけているということで、お米の質問を1点したいと思います。
端的にお聞きしますが、10アール当たり7、500円の直接支払交付金は平成30年度からなくなりますけれども、全国の影響は714億円ということですが、本県の影響はどの程度と推測されていますでしょうか。あわせて、今後、県の対応をどのようにしていくのか、まず伺います。
〇松岡水田農業課長 米の直接支払交付金の廃止の影響でありますが、平成28年度におきましては本県への交付額は30億2、000万円となっておりまして、交付件数では3万1、904件となっております。県では、国に対しまして、交付金の廃止後においても水田農業の担い手の経営安定に向けた支援を充実するよう要望してきておりまして、引き続き必要な対応を求めてまいりたいと思います。
また、需要に応じたお米の生産をしっかり進めるとともに、大豆への転換や高収益作物の生産拡大を促進するなど、農業者の所得向上に向けて取り組んでまいりたいと考えているところであります。
〇菅野ひろのり委員 今回の直接支払交付金がなくなっての課題というのは、需要に応じた米生産ということが非常に大切なのだと思っています。
先ほど来からありますように、県では、県北を中心に銀河のしずく、県南を中心に金色の風と進めているわけですけれども、これは、例えば需要に応じたという場合、極端な例ですが、金色の風が仮に売れませんでしたとなると、県南の稲作生産というのは縮小する可能性があるとも私は捉えてしまうのですけれども、実態的には生産者の方々が好きでつくっているというよりも、農協の御指導のもと稲作生産をしている点があると思うのです。何を言いたいかというと、需要に応じたと言いながらも、県や農協がしっかりと方針を示しながらつくっていかないと、現場は混乱が起きてしまうと考えているのですけれども、その辺は県としてはどのように考えているか伺いたいと思います。
〇松岡水田農業課長 県は、県の農業再生協議会におきまして今後5カ年の水田農業の推進方針を定めたところであります。これを受けて、各市町村単位に大体ある地域農業再生協議会におきまして水田農業の推進方針を定めております。来週までに全ての市町村といいますか、地域農業再生協議会で定めるということを聞いております。
こういったことで議論が進められておりますので、それぞれの地域の推進方針におきまして需要に応じた生産が進められるものと考えております。
〇菅野ひろのり委員 現時点でも、今年度も主食用米の生産目標に対して3、000ヘクタールほど作付面積が既に不足していると。どちらかというと、米をつくりたくてどんどんつくっているというよりも、足りない状況だと。この背景にあるのが、高齢者の離農であったり転作ということが既に発生しているということであります。
転作についてお伺いしたいのですけれども、今後、転作が拡大していく。需要に応じたという中で、大豆であったり、ホールクロップであったりとか飼料用米へと変わっていくと思うのですが、例えば大豆の生産をしていく場合に、今度は大豆のカントリーエレベーター、収集センターが必要だと。これは非常に高額になっていきます。そうなると、地域の農協で抱えるには、それだけの規模の農家が一斉にある程度の規模を確保してやっていかなければいけないと思ったときに、先ほどから言っていますように、基本的には生産者の方が何をつくるかという考えのもとであると思うのですが、それだけの生産体制、転作の体制を築いていくには、県や農協が、例えばですけれども、この地域は大豆を強化してつくっていくとか、この地域はホールクロップというような、県の農業再編ではないですけれども、ある程度そういったビジョンを示していくのが近い将来必要になってくるのではないかと思っていますが、どのように考えているかお聞きしたいと思います。
〇松岡水田農業課長 先ほども申し上げました地域ごとの農業再生協議会におきまして、今後5カ年の水田農業の推進方針を定めております。その中では、それぞれの地域の立地条件、圃場の条件ですとか担い手の状況、あるいは生産者の意向とかさまざまなことを勘案しながら、作物を選びながら転作を進めていくものと考えております。ですから、その地域の協議といったものに基づいて産地が形成されていけば大変よろしいと考えているところであります。
〇菅野ひろのり委員 懸念しているのが、条件が厳しい農家だと思っているのです。先ほども工藤委員から適地適作という話もありました。つくりたくても、条件、土地や気候、風土に合ったものしかつくれないわけですから、ある程度それを加味しながらやっていかなければいけないと。さらに、今後、米生産が衰退したり、例えば転作によって新たな農家負担が当然生じてくるわけですから、それに対しても県は準備をしていかなければいけないと思っていますが、その点はどのような対応、どのような考えでしょうか。
〇菊池農産園芸課総括課長 転作の推進については、近年需要が増加しているタマネギやキャベツなどの加工、業務用野菜を初め、農家所得の向上が期待できる園芸品目の導入、作付拡大を積極的に進めております。こうした生産拡大に必要な機械、施設の導入に対しては、国の補助事業等を活用しながら、引き続き必要な支援を行ってまいります。
〇菅野ひろのり委員 なかなか難しい御答弁だなと思いながらも、やはり米農家の現状は非常に厳しいと思っています。作況指数もことしはやや良ということではありましたが、実際に収獲やカントリーエレベーターに行ってみると、実際よりも米はとれていないという現状だと思いますし、今後の需要と供給といっても、農家は農協の御指導のもと、やっているところが非常に多いわけでありますから、その点を加味していただいて、今後の5カ年の計画を含めて、農家に合わせた対応策を考えていただきたいと思います。
〇川村伸浩委員 私からは農福連携についてお伺いしたいと思います。保健福祉部で取り上げるテーマなのかとは思いましたが、これからの農福連携を進めていく上で農業サイドのお話をお伺いしたいということで、あえて取り上げさせていただきました。
農業の関係では、高齢化あるいは担い手不足ということでの労働者不足、労働力不足というものが言われております。そういった中にあって、国では1億総参加社会ということで、多くの国民がかかわりながら日本を支えていくんだという方向のもとに、農業あるいは福祉の分野で農福連携が言われております。
今の岩手県での農福連携への取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。事業者であったり、あるいは個人であったり、あるいは社会福祉法人等々あるかと思います。また、それに携わっている障がい者あるいは高齢者の人数等もわかればお教えいただきたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農福連携についてでありますが、農福連携は、農業の労働力不足解消の一助となるとともに、障がい者の就労機会を農業分野でふやしてその自立を助けるなど、農業分野、福祉分野双方にメリットが見込める取り組みと考えております。
平成28年度、本県で農業に取り組んだ就労継続支援事業所は198事業所中約3割の61事業所となっております。また、平成27年度に国が公表しましたアンケート調査結果によりますと、回答のあった全国867の農業法人のうち、障がい者を雇用しているという法人は96法人で、約1割となっております。
その中で働く具体的な人数等々についてはまだ把握しておりません。
〇川村伸浩委員 非常に多くの事業所で取り組んでいると思いました。直接労働者あるいは作業者という目線もありますが、障がい者が農業を通じて、自然であったり、あるいは地域の社会でコミュニケーションをとりながら作業をやっていくというプラスアルファの部分が非常に大きいのではないかと思っておりまして、それを進めていく上でも、事業所あるいは会社と、障がいを持たれている方々のマッチングが非常に重要になってくるのではないかと思っております。
そういったところの対応、対策について取り組まれていることがありましたら、お伺いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農福連携の推進に向けましては、農業者側で抱く障がい者受け入れへの不安解消、そして、福祉施設において農業や農作業に対する知識や理解を深めていくことが大切だと考えております。
このため、県では、福祉施設の指導員や利用者の方に対して、農業や農作業に関する知識や理解を深めてもらうよう、農作業体験会の開催や県内で行っております優良就労事例の紹介を行うとともに、農業分野と福祉分野の関係機関によるネットワークづくりを進めておりまして、障がい者が農業にスムーズに就労できるようマッチングを図って、農福連携の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇川村伸浩委員 ネットワークなり体験会なりということでありますが、窓口を一本化するといいますか、そして需要と供給、その場所に声をかけるとすぐ対応してもらえる、あるいは困ったことがあれば相談できるような体制づくりは農業サイドだけでなく福祉サイドも一緒になってやっていくべきだと思っておりまして、そういったところを踏まえながら、今後の県の対応についてお伺いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 現在、全国的にもこういった農福連携の取り組みが注目されてきておりまして、国からも各種事業メニューが提供されてきております。
本県におきましても、福祉サイドがこういった事業に手を挙げながら、農業との関係を近づける取り組みをしております。具体的には、例えば福祉サイドで、福祉と農業のコーディネートをするための農業の専門家を雇いながら関係を近づけていくということがことしから取り組まれておりますので、そういったことを活性化しながら、それぞれの希望に応じたマッチングであったり就労機会の提供が進むように、これからますます頑張っていきたいと思っております。
〇川村伸浩委員 2点目ですが、別な観点からの農業の雇用の関係についてであります。
農の雇用事業という事業がございます。スタートが何年だったかちょっと私は忘れたのですが、実績を踏まえて、この事業については、本当に農業に対する意欲があったり、あるいは将来自立した農業経営をやっていきたい、あるいは経営者といいますか、法人サイドにすると雇用をふやす場になっているということでは、これからの農業を支えていく人たちを育てていく事業だろうと思っております。
現在の農の雇用事業で、岩手県での受け入れの事業者数なり研修生の実数についてお伺いいたします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農の雇用事業についてでありますが、農業分野での雇用の拡大に向けては、この事業の活用が有効であることから、これまで農業法人や、あるいはそういったところで働きたいという就農希望者に対して、各種広報媒体を通じて事業の周知を行ってまいりました。
この結果、本県における研修生の雇用は、この事業が創設された平成20年度から平成28年度までの9年間で延べ437名でありまして、平成27年度は68人、平成28年度は95人、また、受け入れ経営体については、平成27年度は44経営体、平成28年度は52経営体とそれぞれ増加傾向となっております。
〇川村伸浩委員 非常にいい数字を聞けたと思っております。いわゆる受け入れ側も非常に意欲があるし、それに手を挙げる研修生もふえているということでは、非常にいい傾向だと思っております。
先ほどの農福連携もそうなのですが、これから岩手の1次産業を支えていくという意味では、法人経営あるいは個人経営でも労働力というものが非常にキーポイントになってまいります。稲作とか小麦等の雑穀等々についてはかなり機械化が進んでおりますが、園芸あるいは果樹等々の作物についてはかなり人手がかかる。その中でも、きっちりとした能力が発揮できる部門というものがあって、それを支えていくものが必要になってくるのだろうと思っております。
この事業は国の事業でありますので、いつまで続くかちょっとわからない状況ではありますけれども、いずれ、岩手県とすれば、どんどんPRをしていただいて、この受け入れ、あるいは研修生をふやしていっていただきたいわけでありますけれども、今後について、どういった取り組みをしていくのかお伺いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農の雇用事業につきましては、先ほど御説明したとおり、働く側、雇う側が伸びてきているわけですが、一方で課題もあります。一番の課題は、働いたところでずっと定着してほしいということで、定着率が課題と認識しておりまして、県では、岩手県農業会議と連携しながら、雇用者側の労務管理のノウハウ等を習得するための研修会などを開催しておりまして、その結果、平成28年度の調査では、雇用就農者の過去5年間の平均の定着率が72%ということで、これは昨年度の調査よりも7ポイント上昇してきており、そういった研修の効果があらわれてきていると思っております。
今後は、定着率のさらなる向上と雇用就農の拡大に向けまして、関係機関、団体と連携しながら、そこで働いている若い人と自営で農業に携わっている方々との交流機会などもふやしながら、より多くの雇用就農者が地域の担い手として定着するように支援してまいりたいと考えております。
〇川村伸浩委員 定着率というものが非常に重要になってくるわけでして、どうしても農業をやりたい、自然に囲まれて栽培したものを収獲しながら生活ができると憧れで来て、実際に農業に携わってみたら、いい面もあるけれども、かなりきつい部分もあるというのを感じて、リタイアといいますか、また離れる方もあるのだろうと思います。
そういった意味でも、定着率が上がってきているということでありますけれども、事前にそういったところもきっちりとできるだけ伝わるようなPRもこれから必要なのではないかと思うところであります。
いずれ、農福連携、農の雇用事業等々を取り組まれておりまして、農業をこれから支えていく方々をふやしていくという部分では非常に重要な事業だと思っております。
生産技術も非常に大切なわけでありますけれども、農業というのは、働く人がいて初めて成り立つ産業なのかと改めて感じるところでありまして、そういった部分で県のこれからの取り組みについて部長のお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
〇紺野農林水産部長 雇用就農者についてでありますが、農業法人の経営発展に必要な人材ということとともに、将来独立した後、農業経営者になるということも一方で期待されている方々でありますので、農業の担い手の育成の観点からも、関係機関、団体等と連携して、いろいろな事業を活用しながら人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最初に、東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害からの農業、農地の復旧状況、そして作付の状況をお聞きいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 まず、東日本大震災津波からの農地の復旧状況についてでございますが、沿岸部では、復旧対象農地面積561ヘクタールのうち、平成29年4月末までに504ヘクタールの復旧が完了しております。今後、復旧を見込む57ヘクタールのうち、今年度中に7ヘクタールを復旧するとともに、陸前高田市の高田沖地区28ヘクタールの工事に着手することとしております。残る22ヘクタールですけれども、市のまちづくり計画と調整をしておりまして、平成29年度中に復旧対象農地を確定し、高田沖地区の復旧とあわせ、平成31年春の営農再開を目指したいと考えております。
また、平成29年度の作付状況でありますけれども、現在調査中ですが、昨年度の実績では、復旧した482ヘクタールの約9割となる452ヘクタールで、水稲、麦、飼料作物等が作付されております。
続きまして、平成28年台風第10号による農地、農業施設の復旧状況についてでありますが、復旧対象農地221ヘクタールのうち、平成29年9月末までに138ヘクタールの復旧が完了しております。今後、復旧を見込みます83ヘクタールのうち、他事業との調整が必要な10ヘクタールを除く73ヘクタールについては、平成30年の春までに復旧する見込みであります。
また、作付状況ですけれども、復旧した138ヘクタールの約9割となる124ヘクタールで、水稲、麦、飼料作物等が作付されております。残る1割の農地につきましては、今後復旧される農地も含めまして、来春には作付が再開されるものと考えております。
〇斉藤信委員 次に、米政策の見直しの実態と対応についてお聞きいたします。
平成28年産米の生産費と相対取引価格はどうだったでしょうか。どれだけの農家がどれだけの赤字になったのか示してください。
〇松岡水田農業課長 まず、米の生産費でありますけれども、平成28年産米の自己資本利子、自作地地代を含む全算入生産費は、60キログラム当たり、作付規模別に、0.5ヘクタールから1ヘクタールでは2万253円、1ヘクタールから2ヘクタールでは1万6、290円、2ヘクタールから3ヘクタールでは1万3、805円、3ヘクタールから5ヘクタールでは1万3、368円、5ヘクタールから10ヘクタールでは1万1、241円、10ヘクタールから15ヘクタールでは1万1、271円、15ヘクタール以上は1万901円となっております。
また、平成28年産の本県主力のひとめぼれの出回りからことし8月までの相対取引価格でありますけれども、60キログラム当たり1万3、836円となっております。
こうしたことから、2ヘクタール以上の規模で価格が生産費を上回るということになりまして、2ヘクタール以上の経営体数の割合は14%、作付面積の割合では58%となっております。一方で、2ヘクタール未満の経営体数は86%、作付面積の割合では42%となっております。
〇斉藤信委員 結局、農家の経営体で見ますと、今の生産費だと86%が赤字だと。私は、これは大変な事態だと思います。
それで、平成29年産米については、私は、県南、県北幅広く農家の声を聞きましたけれども、ことしは青米が多いと。1反歩あたり1俵以上、青米になるのではないかという声が共通していましたが、実態はどう把握していますか。
〇小原県産米戦略監 平成29年産米の青米の発生状況についてでありますけれども、平成29年産水稲の農産物検査結果につきましては10月25日に公表予定でありまして、現在、正確な数字は持ち合わせておりません。また、1等米と判断されない、いわゆる落等の原因といたしましては、整粒不足や充実度の不足などが挙げられまして、青未熟粒につきましては詳細なデータは公表されないと承知しております。
なお、JA等の農産物検査機関に聞き取りをしたところ、昨年同期と比較しまして、青米がやや多いという情報を得ているところであります。
〇斉藤信委員 曖昧な答弁でしたね。残念でした。
私は農協関係者から聞いたのです。県南、県北共通して1俵以上は確実で、ひどいところは2俵ぐらい青米になるのではないかと。私は、これは大変な減収になると思うのです。今でさえ86%の農家が赤字で、青米がこういう形で発生したら、本当に成り立たない。来年やめるのじゃないかという危機感を農協関係者は持っていますので、しっかり対応していただきたい。
それで、直接支払交付金が昨年度は30億2、000万円交付されましたが、これが来年度から廃止となれば、農家の赤字はさらに一層深刻になる。20ヘクタール規模の大規模農家、100ヘクタール規模の集落営農の場合、どのぐらいの減収になりますか。
〇松岡水田農業課長 米の直接支払交付金の廃止に伴う減収でありますけれども、経営面積20ヘクタール規模の場合では150万円の減少、100ヘクタール規模の経営体では750万円の減少と試算されます。
〇斉藤信委員 今、86%の農家が赤字の中で、直接支払交付金は、実は平成25年まではこの倍だったんです。1万5、000円だったんです。だから、岩手県では60億円以上の交付があった。それが半分になって、さらにこれがなくなる。こんな農家潰しの政策はないと思います。
先ほど、集落営農の法人化がなぜ進まないかという質問がありましたけれども、100ヘクタール規模でやっていて750万円減収になったら、法人化どころじゃないのですよ。自民党の失政そのものですよ。
そういう点で、今、農家の経営が成り立つということを最優先にした農政を実現しないと、本当に農家をやめざるを得ない、そういうところに追い詰められるのではないかと私は思いますが、この点についてどうですか。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 ただいまの御意見に対する私どもの考えですけれども、現状におきましては、今、御答弁申し上げたとおりでありますけれども、先ほど来申しているとおり、私どもはことしの5月に、今後5カ年の水田農業の推進方策を策定しておりまして、この中で、田んぼを使ってどうやって農家の収入を上げていくかということで、基本的な考えを取りまとめております。
それを受けまして、各地域農業再生協議会が、田んぼの状況ですとか、担い手の状況ですとか、そういう地域に合った、最もその地域にふさわしい田んぼを使った所得向上のやり方につきまして、これから皆さんといろいろ意見を交わしながら進めていきたいということで考えておりまして、いずれ、そのような方針に基づきまして、農家が今後も米を中心とした水田農業を展開していけるような形で取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それで、農家切り捨て、農家潰しの農政そのものが、今、根本的に転換を求められていると私は思いますが、生産調整の廃止の対応として、今お話があったように、県は農業再生協議会を立ち上げて水田農業の推進方針を5月に決めました。私もじっくり見ました。しかし、一方で農家の所得を減らしながら、今の状況でやりましょうという方針なのです。
それで、県農業再生協議会はどういう形で来年度の作付面積の指標を示すのか、地域農業再生協議会はどういう形で生産者向けの作付目標を示すのか、どうですか。
〇松岡水田農業課長 県農業再生協議会では、今後、国が示します来年産の米の需給見通しをもとに、平成30年産の米の県全体及び市町村別の生産目安を12月末までに算定し決定いたしまして、地域農業再生協議会に情報提供することとしております。
また、これを受けて各地域農業再生協議会では、平成30年産米の作付面積を来年3月末までに取りまとめていただきまして、そういうことで各地域で作付計画をつくっていくということにしております。
それから、各地域農業再生協議会が生産者へ生産の目安をお示しするか、しないかにつきましては、各地域農業再生協議会に判断は委ねているところでありますけれども、多くの地域農業再生協議会では、生産者ごとの作付の目安をお示しする方向で検討していると聞いております。
〇斉藤信委員 それで、岩手県は比較的しっかりと対応はしていると私は思うのだけれども、ただ、全農に預ける米は生産量の半分なのです。そして、4分の1は農家が個別に取引している、4分の1は自家販売と。比較的規模の大きい農家は自主的な取引をしているわけですから、ここの理解を、もしくは農業再生協議会の参加をどうかち取るかということが鍵になると思うのだけれども、この対策はどうですか。
〇松岡水田農業課長 先ほど申しました水田農業の推進方針の策定に当たりましては、系統組織のみならず系統外の集荷団体や直接お米を販売している大規模な生産者の方々にも御参加いただいて、その御意見を踏まえながら方針を策定したところであります。
意見交換をした中では、そういった系統外の集荷業者の方、あるいは大規模な生産者の方々も一緒にやっていこうという御意見を頂戴しているところでありますので、そういった方々と連携をとりながら、今後もしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 国は全体としての指標は示すということですけれども、私は、国が主食である米の生産に責任を持つという政治に戻さないとだめだと。私は、これは指摘だけにしておきます。
次に、日欧EPA大筋合意の影響と対応についてお聞きいたします。
日欧EPA大筋合意の内容と予想される具体的な影響について、県はどのように把握していますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 日欧EPA大枠合意の内容についてでありますが、大枠合意の内容につきましては、品目によりまして関税の撤廃や関税引き下げの割合、あるいはそれに至るまでの期間等がさまざまな状況になっております。
例えばチーズ等の乳製品、ソフト系のチーズでありますが、関税割り当て枠を設定いたしまして、枠内税率を段階的に引き下げながら、16年目に撤廃するような内容となっております。また、豚肉におきましては、価格が高い部位と安い部位を分けて、10年目に関税の撤廃あるいは引き下げを設定するような内容となっております。
影響についてでありますが、本県におきましては、安価な乳製品の輸入量が増加した場合に、北海道産の加工原料乳が飲用向けに供給されることによって、本県酪農への影響、あるいは輸入品と競合する県産材製品等への影響などが懸念されているところであります。
一方で、国におきましては、本年秋をめどに取りまとめる国内対策を踏まえ影響分析を公表する考えとしておりまして、その詳細が不明な現段階におきましては、本県の具体的な影響を推しはかることは困難と考えております。
〇斉藤信委員 日欧EPAというのはTPPを上回ると言われているんですよ。TPPを上回るですよ。
ところが、今答弁があったように、影響分析は、大筋合意したにもかかわらず何も示さないと。こんな無責任な話はないと思いますよ、TPPであれだけ大問題になったのに。
いいですか。相手のEUは、きちんと試算を出していて、最大1.3兆円。日本への食肉、乳製品、加工食品の輸出が拡大すると。1兆3、000億円ですよ。TPPのときは、アメリカの政府系機関の影響試算で4、000億円輸出をふやせるという試算でした。それと比べても、日欧EPAというのは大変な規模なんですよ。それを全くの秘密交渉で、影響試算も示さない。私は本当にこれは知事を挙げて抗議の声を上げないとだめだと、こういう交渉は許されないと思うけれども、部長、EUの試算をわかっていますね。どう受けとめていますか。
〇紺野農林水産部長 影響でありますけれども、本県の基幹産業であります農林水産業を初め、県民生活、経済活動にわたる幅広い分野において大きな影響を及ぼす懸念があると承知しております。引き続き、これまでも国に対して万全の対応を求めてきたところでありますが、今後におきましても、情報の速やかな公開、また、対応について引き続き要望していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 少し淡白な答弁でしたね。本当にこれも怒りを込めて対応しないと大変な時代ですよ。私は自民党政府に農業を語る資格はないと。本当にひどいものですよ。このTPPが頓挫したにもかかわらず、それを上回る日欧EPAを全く秘密交渉で、影響試算も示さないと。TPPのときにはごまかしの影響試算をやったんですよ。影響があるにもかかわらず、ないという試算を出しました。今回はその試算も出さないのだから。
そこで、例えば酪農への影響が大きいですね。乳製品が輸入されると、北海道産が岩手の酪農にも影響を与えて、私は岩手の酪農は持ちこたえられないぐらいの影響を受けると思いますよ。
もう一つ、ワインも輸入なんですね。これは関税撤廃ですよ。今、岩手県はワインで地域づくりをやろうとやっているでしょう。本場のワインがどんどん関税なしで入ってきたら、とんでもない話ですよ。もう地方創生とか地域振興なんて語る資格がないようような中身だと思いますけれども、どう受けとめていますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 ワインにつきましては関税撤廃がありまして、低価格な輸入品の増加による国産市場への影響などが懸念されておりますが、一方で、国産のワイン等による差別化という話もありまして、今後、どのような影響があるかという段階につきましては、国においての詳細な分析がない現段階では、具体的な影響を推しはかることは困難かと思っております。
〇斉藤信委員 本当に甘い発想。もっと真剣に岩手の酪農、ワインを守るのだという気構えであなた方対応しないとだめですよ。現場の農家はがっくりきますよ、今の答弁聞いたら。第三者みたいな話をしていたらだめですよ、当事者なんだから。私は、日欧EPAは絶対やめさせなくちゃならんということを強調しておきます。
最後です。主要農作物種子法が廃止をされました。なぜ廃止されたのか、その具体的な影響と対策はどうなっていますか。
〇松岡水田農業課長 まず、主要農作物種子法廃止の理由についてでありますけれども、国の資料によりますと、種子法に基づいて普及すべき優良な品種を奨励品種として指定するための試験を都道府県が実施し、稲の奨励品種では、全国で合わせまして444品種が指定されておりますけれども、この中に、民間企業が育成した品種が指定されていないという状況であります。
一方、民間企業が開発した稲のハイブリット品種で奨励品種には指定されていないものの、農家に対して米の販売先を紹介しながら種子を供給しているという事例があると。こうしたことから、民間活力を最大限に活用した種子の開発、供給体制を構築するため、民間の品種開発意欲を阻害している種子法を廃止するものとされております。
影響と対策でありますが、種子法の廃止によって、これまで都道府県に義務づけられておりました原種の生産や種子生産圃場の審査等の業務が行われなくなることにより、発芽率の低い種子などの粗悪な種子の流通のほか、原種量が不足することによる種子の生産、供給量の不足などが全国的に懸念されているところです。このような懸念を払拭するため、国は、種子法廃止後においても種子の品質が維持されるよう、種子法にこれまで定めていた種子生産の基準を種苗法の基準として新たに定めたところであります。さらに、これまで種子法で定めていた都道府県の役割や種子の安定供給を行ってきた種子協会の位置づけについても、新たに種苗法のガイドラインに定める予定と聞いております。
こうした国の動向も踏まえながら、県では、今後も、優良な種子を安定的に生産、供給する体制を維持していくこととしております。
〇斉藤信委員 この種子法の廃止というのはなぜやられたか。いいですか。岩手県がかかわっているのに、岩手県は意見を求められなかったでしょう。これは規制改革推進会議で、民間委員、財界の意見によって、突然、種子法の廃止が出されたんですよ。私はこんなばかな話はないと思いますよ。この種子というのはまさに農業の土台、根本ですよ。そしてこの種子を商売にしているのが、いわゆる多国籍企業モンサントなどですよ。これに種子まで売り渡す。だからまともな調査もしないで意見も聞かないで、これが一方的にやった。安倍政権流の暴走、農業破壊と私は言わなくちゃならない。
稲、麦、大豆、この優良な種子を県が開発して、だから銀河のしずくとか金色の風、こうやって皆さん頑張ってやっているわけでしょう。その土台を崩すようなこういうことは私は許しちゃならんと思うのです。この悪法の撤廃と、そして県の研究機関の取り組み、そしてこれがなくなったら民間の種子というのは何十倍の値段がするんです。とても農家が買えない。それでやめざるを得ないという事態に実際なりますからね。私はそういう意味で、この種子法廃止の撤回と、岩手県の試験研究の財源が切られたらだめなんですよ、何ぼいいこと言ったって。来年度からばさっと予算が切られたらやれなくなってしまう。絶対そういうことがないように、最後に部長に聞いて私の質問は終わります。
〇紺野農林水産部長 産地間競争が厳しい中で、特にも稲、麦、大豆の優良種子の安定供給につきましては、本県農業にとって大変重要なものであると認識しております。
今後につきましても農業者に不利益が生じないよう、優良な種子を県が安定的に生産供給する体制をしっかりと堅持してまいります。
〇千田美津子委員 私は3点お聞きをいたします。
まず最初に経営体の育成なのですが、午前中に法人化した集落営農組織等の議論がありましたので、これは割愛いたします。
それで、地域農業の核となる経営体の育成に関して主要施策の成果に関する説明書を見ますと、当初8事業で127億円が予算化されていましたが、決算額が54%の68億円どまりとなっておりますので、この理由についてお聞きをいたしたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 地域農業の核となる経営体の育成に係る決算額についてでありますけれども、予算額に対し決算額が54%にとどまっている主な要因は、平成28年度の国の経済対策等に対応し、補正予算において措置をお認めいただきました経営体育成基盤整備事業費を平成29年度に繰り越したことによるものであります。
なお、この繰り越した予算につきましては、今年度中に着実に執行してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 了解をいたしました。ぜひ平成29年度で確実に執行されるようにお願いをしたいと思います。
それで二つ目なのですが、県内の耕作放棄地の現状についてお聞きをしたいと思います。
今、県民計画でも、生産性、市場性の高い産地づくりのための生産基盤整備の推進として荒廃農地を減らす目標が示されております。今、県内の耕作放棄地の現状はどうなっているか。
それから、県民計画では、平成30年度目標として4、950ヘクタールにするという設定をされていますが、これらについては達成できる見込みにあるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
〇中南農業振興課総括課長 耕作放棄地に関する御質問でありましたが、荒廃農地の今後解消できる対象面積ですけれども、これについては農林水産省が、荒廃農地の発生・解消状況に関する調査要領というものを定めていまして、これに基づいて、毎年、市町村それから農業委員会が現地調査を行っていまして、その結果を取りまとめて国が公表することとなっております。
県では、荒廃農地の解消に向けて、これまで、国の交付金を活用して農地の再生を進めたり、それから、区画の拡大とか排水機能を高める簡易な圃場整備の支援などにも取り組んでまいりました。
こうした取り組みの結果、本県の荒廃農地の面積ですが、平成25年の5、981ヘクタールから平成27年には5、758ヘクタールに減少しております。今後、目標が達成されるかどうかというのは先の話でありますが、その後もこういった取り組みが進んでおりますので大体目標が達成できることを目指して取り組んでいきたいと思っております。
具体的には、今後においても、農地のマッチング活動の強化とか、それから集落の話し合いでの取り組みといったものも重要だと思いますので、そういうことを進めながら、担い手への農地の集積と耕作放棄地対策というものに取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 平成27年度までの資料しか出ていませんが、解消というか目標値を達成するのではないかと私も見ておりますが、この間、県内の各市町村で、耕作放棄地を減らすという取り組みを頑張っていると思います。その積み上げでこういう実績になってきていると思いますが、もしわかればですが、県内の取り組みで、確実に実績を上げている、そしてユニークな取り組みとか、そういうのがもしわかれば教えていただきたいと思います。
それからもう一点は、放棄地をなくすと同時に、新たな耕作放棄地をつくらないということが一番私は大事だと思いますが、そういった点からすれば、農政がそういうことに寄り添う、そういう方向の農政にしていかなければならないということだと思います。さっきの斉藤委員に対する答弁の中で、2ヘクタール以上しか採算が合わないと。そうなれば、例えば奥州市の平均耕作地は1.5ヘクタールをちょっと割っているような状況の中で、みんな赤字経営でやっている人たちが大半になっているのです。ですから耕作放棄地、組織化、集団化もそうですが、やめるかなというのがかなり聞こえてきていまして、そういう方々に本当にどうしていくか、そういう農政でなければならないと思うのですが、この点何かあればお聞きをしたいと思います。
〇中南農業振興課総括課長 まず、荒廃農地の解消に向けた特徴的な取り組みということで、二、三御紹介したいと思いますけれども、例えば奥州市のある法人の取り組みとして、使われていない田んぼについて再生の取り組みをして花卉の栽培を始めているところもありますし、それから岩手町では、畜産農家の方が、畑を2ヘクタール規模をまとめて再生しデントコーンの栽培をしている例。それから、紫波町では、畑の規模としては35アール程度なのですけれども、そこに醸造用ブドウを作付して、新たにワイン製造までを視野に入れた取り組みといったものも行われております。
こういった取り組みが大体8年間で、200ヘクタール以上取り組んでいるということでありますので、今後ともこの取り組みを進めていきたいと思っております。
それから、再生のほかに発生の防止については、特に中山間地等でも多いわけですが、中山間地の直接支払制度も使って農地を維持する活動のほかに、実際、農業生産活動に取り組んでいる例などもあります。また、基本的に農業委員会で農地のパトロールなども定期的に行っております。
こういった取り組みを支援していきながら、農地の維持と活用に努めていって、そして、担い手に集積、集約し、営農に努めていきたいと思っております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。
それでは3点目ですが、基盤整備事業に関連して何点かお聞きをしたいと思います。
農業政策は、本当にどんどん変わってきて悪くなっているわけですけれども、耕作条件を整備するために農家は本当に努力を重ねております。ただ、これからのために基盤整備をやろうとした方々もたくさんいるわけですけれども、それに対する予算の充当が十分ではないと私は聞いているのですけれども、その現状についてお聞きをしたいと思います。
〇村瀬企画調査課長 基盤整備に係る予算の現状についてでありますが、この基盤整備を実施するための農業農村整備事業における国庫補助事業の平成29年度当初国費配分は33億6、700万円で、対前年比にしまして105
%となっております。これは、国の当初予算の伸び率105%と同程度の伸び率で予算を確保しているというところであります。
また、直近の今年度、平成29年度9月現計におきましては、国の追加配分を受けまして37億5、500万円となりまして、対前年比は、先ほど申し上げました105%から117%となる額まで増額しているところであります。しかしながら、先ほど委員がおっしゃられましたように、まだまだこれで十分だという認識は持っておりませんので、引き続き、農業農村整備事業の成果などを国に強く訴えながら、事業の推進に必要な予算の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇千田美津子委員 対前年比が伸びているというのはわかりました。ただ、なぜこうなるかといいますと、食料については国が責任を持たないという現状の中で、農家が、国が進めている圃場整備をやらなければならないという地域が広がっているわけです。ですから、そういう農家の要望に対してどうなのかなと考えたときに、決して十分ではないということを指摘したかったので、ぜひ今後においてもそういう取り組みをしていただきたいと思いますが、その点もう一度お聞きをしたいと思います。
〇村瀬企画調査課長 先ほど委員がおっしゃられましたように、基盤整備に取り組む農家の皆様方からもっと早く事業を推進してほしい、新しく事業をしたいという要望の声が、私どものもとにもしっかりと届いておりまして、その要望に我々しっかりと全力で応えていく必要があると考えております。そのような中で、これまで国への要望を強く行っておりまして、先ほど申し上げましたように、予算の増額を求めているところであります。
繰り返しになりますが、これで十分だとは全く認識しておりませんので、引き続きしっかりと農業農村整備事業を行って、高い効果が出ている事例は岩手県内に多くありますので、そういった効果、成果をしっかりと国に丁寧に説明しながら、予算のさらなる確保に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは二つ目、多面的機能支払交付金についてお聞きをしたいと思います。
農地維持支払交付金の平成28年度の実績と平成29年度の見通し、それとあわせて、共同活動の資源向上支払い、長寿命化の現状についてもお聞きをしたいと思いますし、環境保全型農業直接支払交付金のここ3年間ほどの実績についてもお聞きをしたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 多面的機能支払交付金についてでありますが、まず、農地維持支払いの平成28年度実績は、交付面積約7万4、000ヘクタール、交付金額21億円余りと、要望に対して全額の配分となっておりまして、平成29年度につきましては、交付面積約7万5、000ヘクタール、交付金額が21億2、000万円余りと、要望に対して全額の配分となる見通しであります。
次に、資源向上支払いのうち共同活動についてでありますけれども、平成28年度実績につきましては、交付面積約6万5、000ヘクタール、交付金額11億2、000万円余りと、要望に対して全額の配分となっております。平成29年度は、交付面積約6万7、000ヘクタール、交付金額11億4、000万円余りと、要望に対して全額の配分となる見通しです。
続きまして、資源向上支払いのうち施設の長寿命化でありますけれども、平成28年度実績につきましては、交付面積約5万7、000ヘクタール、交付金額19億4、000万円余りと、要望に対して84%の配分となっております。平成29年度は、交付面積約5万7、000ヘクタール、交付金額20億5、000万円余りと、要望に対して87%の配分となる見通しです。
〇菊池農業普及技術課総括課長 環境保全型農業直接支払交付金について御説明いたします。
この事業は化学肥料や化学合成農薬の削減の取り組みに加えて、地球温暖化防止や生物多様性保全に取り組む営農活動を支援するものでありまして、この3年間の本県での取り組みの推移でありますが、面積から申し上げますと、岩手県での面積が、平成26年が2、336ヘクタール、平成27年が5、239ヘクタール、平成28年が4、982ヘクタールとなっております。
交付金のほうですが、国の交付金と県の交付金を合わせた額で、平成26年度が、四捨五入しまして8、700万円、平成27年度が1億8、700万円、平成28年度が1億4、700万円となっております。
平成27年度から平成28年度にかけまして減少していますけれども、これは全国的にこの取り組みが進み国の予算を超過したということで、希望する額が来なかったということになっております。
〇千田美津子委員 多面的機能支払いのほうは、農地維持支払いと共同活動については要望に対して100%ということで、これは了解をいたしました。ただ、この間も指摘をしてきましたが、長寿命化の要望がふえていることに対して平成28年度が要望に対して84%にとどまったと、それから新年度が87%に、3%引き上がるわけですが、これについて農家を歩いてみましても、これがなぜ希望どおりいかないのかと、そういう不満が寄せられるわけですけれども、この点について、平成28年度、平成29年度は言われたとおりなのですが、その前はどのくらいになっていたか、それがわかれば教えていただきたいと思います。
それから、環境保全型の支払交付金の減った理由はわかりました。そうすると、平成29年度も、本当は希望が多くなっているのではないかと思うのですが、この見込みはどのようになっているかお聞きをしたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 平成27年度の長寿命化の配分につきましては、要望額に対して78%(後刻「74%」と訂正)でありました。国の予算につきましては、対前年100%ということで伸びがありません。一方で、地域のほうではこの活動に対して非常に期待を持っておりまして、予算も必要だということでありますので、県としても国に対して機会あるごとに強く予算の拡大を要望しております。引き続き、予算の拡大を国に対して要望して、満額配分になるように働きかけていきたいと考えております。
〇菊池農業普及技術課総括課長 この環境保全型農業の推進につきましては、安全・安心な農産物の生産や環境と共生する産地づくりなど、本県農業の信頼性向上にもつながる非常に大切な取り組みだと思っております。
平成29年度の計画面積なのですけれども、昨年は4、982ヘクタールに対しまして、5、000ヘクタールほどの取り組みの希望があります。したがいまして、この必要な予算を国のほうに措置してもらえるよう、今後、働きかけていきたいと思っております。
〇千田美津子委員 了解しましたが、答弁があったように、長寿命化については地域でいろいろ話し合って、こういう方向でということで確認し合ったことが達成できないというのは非常に大変なことなので、ぜひ農家のやる気を損なわないような状況をつくり出して、引き続き取り組みをお願いしたいと思います。
それでは最後の質問になりますけれども、国土調査事業についてお聞きをしたいと思います。
さまざまな圃場整備等も進みまして、この国土調査についての必要な予算が本当に確保できているのかという疑問がありますので、どういう状況になっているかについてお聞きをしたいと思います。
〇多田農村計画課総括課長 国土調査事業予算についてでありますが、御案内のとおり、この事業は市町村が事業主体となって、国が2分の1、県が4分の1の補助をして実施しているものであります。
平成28年度の市町村への国費の配分につきましては、市町村の要望額を基本に県予算に計上しますとともに、国に同額を要望したところでありますが、全国的に要望額が大幅に増加し、国が実施地区の工程等に応じた国費を配分するといった調整方法となりましたことから、全国各県と同様、本県への配分も要望を下回ったところであります。
〇千田美津子委員 資料等をいただいておりますけれども、平成28年度の充当率が63.4%、今年度の充当率は53%でよかったでしょうか。そうなると、さまざまな事業に支障が出るわけであります。ですから、農家の所得向上のためにも、さまざまな事業を国が推進しておきながら、こういう必要な部分については要望がふえたからといってカットするというか、そういう結果になっているわけですので、そういうことであってはならないと思います。
それで最後に、部長に、県内の農家はさまざま努力をしていると思います。荒廃農地をつくらないために、地域で集まってさまざまな事業を検討してきているわけですが、いざやろうというときに事業費が配分にならないとか、そういう状況が出ています。これでは農家はたまったものではないと思いますので、そういった点、農家を本当に守る県の姿勢についてお聞きをしたいと思います。
〇紺野農林水産部長 農業生産者、農家につきましては、非常に私どもも、岩手県の基幹産業だという認識のもと、私が農林水産部長になりましてから、今まで以上に数多く国へ要望に行っているところであります。必要な予算につきましては、今後も足を運んでお願いをして、予算確保に努めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 それでは私から、まず担い手の確保、育成対策に関しての決算についてお伺いいたします。
まず、認定農業者それから新規就農者の確保、育成対策、目標に対して順調に伸びているのかどうか、現状と課題認識についてお伺いいたします。
〇中村担い手対策課長 認定農業者及び新規就農者の確保、育成対策についてでありますが、まず最初に新規就農者ですが、平成28年度の新規就農者数は、前年度から25人増の233人となっており、毎年度200人を超える状況で推移していますが、年間の目標は260人としていることから、県内外における就農相談会の開催や短期農業体験の実施に加え、農業法人と雇用就農希望者とのマッチングの充実を図るなど、さらなる確保に取り組んでまいります。
また、認定農業者については、市町村基本構想に定める目指すべき所得の達成率を目標としており、平成28年度の達成率は約7、000経営体のうち32%と、目標の26%を上回っている状況であります。
今後とも、市町村等と連携し、認定農業者の所得目標が達成されるよう、経営計画の策定支援、農地の集積、集約化や機械、施設の整備支援など、経営改善の支援に取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 私も過去にリーディング経営体の質問等もさせていただいておりましたが、まず、この認定農業者、そもそも私の理解では、各地域の中心となる経営体、まさに地域を引っ張っていく経営体、農業者の方々だと認識しておりますが、認定農業者の方々と意見交換やお話をする中では、昨今のゲタ・ナラシ対策の資格取得等で認定農業者となられるようなこともあって、農業法人との重複であったり兼業農家等の資格取得等、全国的にもさまざまな問題が挙げられているところであります。
そういったところで、県内の認定農業者の方々の優良事例といいますか、認定農業者の育成による成果と効果といったものはどういう評価になっているのか、お伺いいたします。
〇中村担い手対策課長 認定農業者対策の成果についてでありますが、県では、認定農業者の経営改善に向け、経営力向上のための研修会を開催するとともに、農地集積や農業機械、施設の整備を支援しております。また、経営規模拡大や多角化を目指す農業者に対しては、岩手大学等と連携したいわてアグリフロンティアスクールによるマーケティングやビジネススキルの習得など、経営発展に向けた支援を行っております。
こうした支援によりまして、水稲に加え、大規模に土地利用型野菜を導入し、野菜の加工品を産直や学校給食へ供給している経営体や、障がい者等の雇用により大規模に施設野菜を導入し、量販店の販売先をみずから確保して周年で安定供給する経営体など、県内各地におきまして経営感覚、企業家マインドを持った農業者が育成されております。また、販売額3、000万円以上のリーディング経営体数については、平成27年度には827経営体と、この10年間で47経営体増加するなど、経営規模の拡大も着実に進んでおります。
今後もこうした取り組みにより、リーディング経営体などの若い農業者の目標となる力強い担い手を育成してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 ぜひ農業の改革の先頭に立って、地域、農家の方々を引っ張って、先頭に立ってリードしていっていただきたいとの願いから聞かせていただいております。
それから、先ほど千田美津子委員からも御質問がありました。私も県内いろいろ歩かせていただいて、特にも中山間地域の農地等を眺めながら、農家の方といろいろお話をさせていただく中で、耕作放棄地の話であったり、あるいは農地の使い手が見つからなくて、市町村のほうで、誰でもいいからこれを引き取ってもらえないかとか、処分してほしいという要望も実は出ております。何でこういう状況になっているのかと思うと、例えば農地中間管理機構に貸したり借りたりということが制度としてあっても、条件的になかなか厳しいところが現状としてあるということであります。そういった中で、簡易型の圃場整備の実施とか、借りやすい対策なんかも必要になってくるのかと思うのですけれども、中山間地の条件不利地の耕作放棄地対策はどのように今取り組まれているのか、お伺いいたします。
〇中南農業振興課総括課長 条件不利地の耕作放棄地の対策ということでありますが、先ほどもお話をしましたが、対策としては、発生を防止するということと再生をしていく、さらには担い手への集積をしていくということになるわけなのですが、発生防止対策については、先ほどお話をしましたが、中山間地域等直接支払交付金を使って維持とか生産活動への支援。具体的に、ある生産法人の方が、ソバ畑に再生利用しながら維持をして次の生産に向かっている例などもありまして、そういうような支援ですとか、それから、農業委員のパトロールなどで防止に取り組んできたところであります。
再生については、国の交付金を使って、借り受ける方が刈り払い作業とか土壌改良などを行って栽培を行う取り組みがありますし、それから、委員御指摘のとおり、簡易な基盤整備というものも現場では求められておりまして、その担い手が借り受けしやすくなるような区画の拡大とか排水対策といったものも行う簡易な圃場整備の支援などにも取り組んできております。こうした取り組みの結果、荒廃農地の面積が、平成25年の5、981ヘクタールから平成27年は5、758ヘクタールと、223ヘクタール減少してきております。
今後においては、これらの取り組みに加えて、なかなか中山間地は難しいところもありますが、中間管理機構のコーディネーターと市町村農業委員会の推進委員が一体となったマッチング活動の強化をしていくとか、それから、集落の話し合い等によって、こういったことの取り組みを進めて、担い手への農地集積と耕作放棄地対策に取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 農業普及員の方々であったり農協の方々、さまざまなそういう団体の方々とも連携しながら、そういうつなぐ役といいますか、マッチングに努めていっていただければと思います。
それから、親元就農の絡みで、午前中に柳村岩見委員からも御指摘がありました。私は担い手育成確保対策で、実はこの親元就農の支援といいますか取り組み、ここが私は基本とすべきところではないのかという思いを持っております。今、新規就農者の支援に対してはさまざま国や自治体の支援策がありますが、親元就農をする後継者の方々というのは個々で就労研修をしなければならなくて、親元就農者が1年間営農研修できるような施設環境が私は必要になってくると思うところであります。そこら辺の支援策は県としてどのように考えているのか、お伺いいたします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 先ほど農業次世代人材投資資金についてはお話をさせていただきましたので、それ以外の支援策ということで回答させていただきたいと思います。
まず、新規就農者、親元就農者を含めて早期に経営確立できるように、今年度から農業大学校におきまして、新規就農者研修の体制を大幅に見直しました。農閑期に基礎的経営知識を学ぶ冬期集中コースや、さらなる経営発展を目指すより高度な応用コースなどを設定いたしまして、早期に新規就農者の経営確立ができるように支援を行っているところであります。
またさらに、先ほど長期研修という話がありましたけれども、各農業改良普及センターなどで県外研修を含めて先進農家との研修受け入れのあっせんも行っておりますので、農家後継者等を含めて、希望する研修先を紹介しながら、より早くそういった技術が身につくような支援をしているところでありまして、これは続けていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 お父さん、お母さんの背中を見ながら、小さいときから農業の魅力だとかよさを、あるいは厳しさもわかっている後継者の方々が、私は次の岩手の農業を引っ張っていくまさに中核を担う存在なのかなと思っておりますので、親元就農のところにもさらなる対策を講じていただければと思います。
次に、農林水産物の輸出力強化対策についてお伺いいたします。
国では、平成31年までに1兆円を達成するという目標を持って今さまざまな取り組みをしてございます。県でも、平成26年の19億円に対して27億円まで持っていこうということでさまざま取り組みをされていると認識しておりますが、この輸出を振興する上での食物検疫だとか、衛生基準に適合する生産加工集荷拠点の整備状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 県内における輸出向けの施設の整備状況についてでありますけれども、まず、牛肉の輸出は、岩手畜産流通センターにおきましては、HACCPに対応いたしました牛肉処理施設を平成20年度に整備いたしまして、現在、9カ国及び2地域の輸出認定がなされているところであります。
米輸出でありますが、今年度はアメリカへの米輸出の規制が強化されたことに伴いまして、純情米いわての精米施設がHACCP認証を東北で初めて本年度取得したところであります。
また、アメリカ向けの水産物の輸出については、水産のHACCP認定が求められております。県内におきましては、この認定を取得した水産加工場が10施設を数えているところであります。
それから、リンゴの輸出につきましては、台湾、ベトナムへの輸出については施設登録と現地査察が求められておりまして、この輸出登録の選果場は県内で4カ所となっているところであります。
〇臼澤勉委員 国内対策も重要ですが、これから新たなマーケットを、海外あるいは身近なアジアとかの市場開拓は必要だということで今までもいろいろ御質問させていただいておりました。そういう中で、今お話があったようなハードのところとかをしっかりと今から準備して整備しておかなければ、例えて言えば、翼のない飛行機に乗っているような状況にあると思いますので、輸出を促進していく上で、翼をしっかりと広げて整備していっていただきたい。
今現在、岩手畜産流通センターで豚処理施設整備が、100億円の事業規模で建設中です。全農等関係団体のほか、県及び全市町村に対して28億円の増資要望も出ていると伺っておりますけれども、これまでの進捗状況と課題をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 岩手畜産流通センターの豚処理施設の整備でありますけれども、昨年度末に、国の交付金の導入支援を県としても行ったところでありまして、その交付金を用いまして、現在実施設計を行っているところであります。
また、事業計画及び資金計画につきましては、これまで出資株主に対しまして説明を行ってきております。特に、市町村に対しましては、昨年10月から3回説明会を開催しておりますし、現在、個別に説明に伺っているところであります。
〇臼澤勉委員 こういったハード整備のほかに、私はソフト対策ということで、例えばHACCP対応をする管理運営の人材育成であったり、輸出サポート体制が重要になってくると思いますが、課題もさまざまあろうかとは思いますけれども、県の今後の取り組みをどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 HACCPの対応における人材育成と輸出サポートでありますが、特にも岩手畜産流通センターのHACCP対応につきましては、定期的な工程管理の見直し、それからHACCP責任者の知識の高度化が非常に重要でありますことから、隣接する岩手県食肉衛生検査所が定期的に研修会を開催するなど、人材育成を支援しているところであります。
また、輸出手続の円滑化に向けても、同じく同検査所の職員が輸出証明書の発行事務それから衛生検査に対応しておりますとともに、輸出先の確保が求められておりますので、私どもといたしましても、海外のバイヤー招聘それから商談会等を通じまして、輸出業者との連携を強化しながら、輸出の拡大を支援しているところであります。
〇臼澤勉委員 ハード、ソフト対策を今からしっかりと万全な態勢を整えて取り組んでいただきたいと思います。
最後に、部長に意気込みといいますかちょっとお伺いしたいんですが、海外事務所もさまざまあります。現在も大連やソウルにあります。シンガポール事務所は閉じておりますが、ただ、私もいろいろと今考えると、ああいうシンガポールの拠点というのも今後重要になってくるのかなと思うのですが、部長、今後どのように輸出拡大に向けて、岩手として他県に負けないように取り組んでいく御覚悟なのか、お伺いいたします。
〇紺野農林水産部長 輸出に向けましての県内のHACCP対応ですが、海外輸出に向けての施設整備、また、それを支えるソフト面での人的な支援、そしてさらには海外におきまして岩手県の農林水産物のPRを徹底いたしまして、知っていただくということが大事かなと思っております。ここにつきましても、私どものほうも海外でのフェアですとか商談会、いろいろ開催しておりますので、引き続き、輸出促進に向けましてその対応を進めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉農村建設課総括課長 先ほど千田美津子委員の御質問に、平成27年度の長寿命化の要望に対する充当率を78%と答弁をいたしましたけれども、正しくは74%でございます。訂正しておわび申し上げます。
〇ハクセル美穂子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇ハクセル美穂子副委員長 質疑がないようでありますので、第1部農業関係の質疑をこれで終わります。
この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時55分 休 憩
午後3時18分再開
〇佐々木朋和委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、第2部林業水産業関係についての質疑はありませんか。
〇阿部盛重委員 私からは、平成28年度から、施設の整備からカリキュラム、募集などの事業が引き続き継続事業となっているいわての次世代林業・木材産業育成対策事業費の林業アカデミーについてお伺いいたします。
昨年の8月23日、テレビの県政番組いわて!わんこ広報室にて研修生募集が始まりまして、担い手対策を含め、ことしの4月11日に15名が第1回いわて林業アカデミー開講式に出席されておられます。研修期間が1年間、1、500時間で、森林法から林業経営、測量、機械の使い方などを学ぶわけですけれども、研修の成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇佐々木森林整備課総括課長 研修の成果と今後の取り組みについてでありますが、上半期の研修では、造林、育林技術や林業経営などの講義に加え、植栽や下刈り、チェンソーを用いた伐木造材、測量などの実習を行ってきたところであります。また、林業への就業に必要な労働安全衛生法に基づく資格を研修生15名全員が8月までに取得したところであります。
10月からは、現場で必要とされる技能の向上を図るため、地形に合った実践的な作業道の開設や高性能林業機械を使った搬出、間伐実習、林業機械等の習熟訓練を繰り返し行うとともに林業の現場で働くイメージをつかむため就業体験を実施することとしております。
〇阿部盛重委員 インターンシップでの経験も始まっているかと思うのですけれども、研修生の習熟関係は今どういう感じで推移されているのでしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 研修生の習熟度合いは、技術的にも、みずからチェンソーの大会に出るためのいろいろな練習などにも一生懸命取り組んで、若いため習熟度合いも高いところです。これから実際に就職した後に、ますます腕を上げていくことになるかと思います。
〇阿部盛重委員 わかりました。大いに期待しております。
次に、技術指導などを行うサポートチームの方々の役割についてお伺いいたします。
〇佐々木森林整備課総括課長 サポートチームの役割についてでありますが、サポートチームは林業関係団体や林業事業体、機械メーカー等の企業で構成されております。その役割は、アカデミーの講師や就業体験での研修生の受け入れ等となっております。
また、サポートチームは、林業に関する知識、技術の講義はもとより、現場経験豊富な技術者ならではの実践的な技術を伝授するなど、研修生のモチベーションの向上につながっております。
〇阿部盛重委員 研修生の皆さんも半年経過されておりまして、いろいろと思うこともたくさんあるかと思うのですけれども、林業技術センターの職員とかサポートチームとのコミュニケーションは、今、どういう形でとられているものでしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 林業技術センターは、サポートチーム構成員の強みを生かしながら、主に講師の依頼ですとか実習地の確保、また、これから始まってきますが、研修生の就業体験、インターンシップが希望どおりできるように調整機能を果たしていくことになります。
〇阿部盛重委員 最後に、平成30年度の募集が開始されておられると思うのですけれども、現在の状況はいかがなものでしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 平成30年度の募集状況についてでありますが、募集定員15名のうち、高校卒業見込み者を対象とした推薦選考により5名を選考したところであります。
現在、10月27日を期限とする一般選考で10名程度の募集を行っているところであり、岩手県林業労働対策基金やジョブカフェいわてなどの関係団体等に働きかけるなど、研修生の確保に努めております。
〇阿部盛重委員 2期生ということになりますと、どうしても1期生の方々を十分に見ていくと思いますので、まず、現状の15名の方々の成長をよろしく御指導いただければと思います。
〇岩崎友一委員 水産業振興費に関連しましてお尋ねしたいと思います。
あの東日本大震災津波から6年7カ月が経過しまして、沿岸部では、漁港の整備には本当に御尽力をいただきまして、宮城県と比べてもかなり早く整備、復旧が進んだと思っております。
ただ、震災から浜の魚の調子が非常に悪いといいますか、いいニュースがなかなかないわけであります。ことしも夏はウニもぱっとしませんでしたし、今、サンマも、細いというか、身も少なく、脂も少ないような状況だと思うのですけれども、ことしの県内のサンマ、イカ、サケの水揚げ状況はどのようになっているのか、これは全国な状況も含めてお示しいただきたいと思います。
サケに関しましては、昨年は、北のほうは悪いなりにも一定程度漁獲があったと思うのですが、南のほうが大不漁でありまして、各市町村で鮭まつりなども中止ということで、地域経済にも大きな打撃があったわけでありますが、ことしのサケがどのようになっているのか、県内の地域別の状況、今後の見通しも含めてお示しいただきたいと思います。
〇中井漁業調整課長 本県の主要魚種の漁獲状況についてでありますが、まず、県内のサンマについては、10月10日現在、漁獲量4、135トンで、震災前同期比24
%、前年同期比47%、また、水揚げ金額は13億円で、震災前同期比73%、前年同期比60%となっております。全国の漁獲量は9月末現在で1万9、040トン、前年同期比45%となっております。
次に、県内のスルメイカについては、10月10日現在、漁獲量2、061トンで、震災前同期比21%、前年同期比68%、また、水揚げ金額は11億円で、震災前同期比66
%、前年同期比84%となっております。全国の漁獲量は、9月末現在で1万9、337トン、前年同期比72%となっております。
次に、県内の秋サケについては、10月10日現在、漁獲量755トンで、震災前同期比85%、前年同期比180
%、また、水揚げ金額は6億1、000万円で、震災前同期比205%、前年同期比231%となっております。全国の漁獲量は9月末現在で2万5、030トン、前年同期比61%となっているところであります。
また、県内のサケの地域別の状況でありますが、大槌以南の県南部の秋サケの漁獲量は、10月10日現在、61トンとなっておりまして、前年同期比398%となっているところであります。
今後の見通しにつきまして、サケにつきましては、現在のところ、漁獲数量は震災前の50%を超えておりまして、県水産技術センターの秋サケ回帰予報よりもやや高めに推移しているわけでありますけれども、最盛期は11月下旬から12月上旬と見られておりますので、今後も注視していきたいと考えております。
また、イカの見通しでありますが、国の研究機関によりますと、三陸海域に来遊する量は、不漁であった前年並みと見られているところであります。
最後にサンマの見通しでありますけれども、三陸海域に漁場が南下しているものの、来遊量につきましては前年を下回る見込みとされているところであります。
〇岩崎友一委員 サケは昨年がひど過ぎたのもありますが、ことしは少し期待できるかなと。イカ、サンマはどうにもならないというか、相当ひどいような感じかと思うのです。私たちも、ことし、水産振興議員懇談会で函館に行かせてもらって、全国の不漁の原因等々も聞かせていただいた部分もあるのですけれども、サンマ、イカに関しては、さらに長期的な部分で漁獲高がどうなっていくかというのは、現段階でわかるような何かがあればお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。通告していなかったから、もし、わかる部分があれば。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サンマあるいはイカの今後の見通しということでありますけれども、サンマについては、国の試験研究機関の予測では前年を下回っていくということで、数量的には予報が出ませんので、どのぐらいまで行くかというのは我々もなかなか答えにくいところですけれども、いずれ、前年より下回ると。
スルメイカにつきましては前年並みという予測が出ておりますので、前年の水揚げ量は、9月までですけれども、約2万7、000トンですから、大体そのような推移で漁獲されることになろうかと思います。
〇岩崎友一委員 サンマ、イカが与える影響というのは水産加工の業界にも及んできているわけでありまして、私の地元でも、イカもとれない、サンマもとれないという悲痛な声を聞かせていただくのですが、こればかりは私もどうにもできないわけであります。今、イカ、サンマの原材料が不漁という状況において、県としてどのように捉えているのか、その対応なども含めてお示し願えればと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工会社の原材料確保の状況と県の対応ということでありますが、近年は、本県の主要魚種でありますサケ、サンマ、イカは、先ほど申しましたとおり不漁です。これらを加工原料とする水産加工会社は、地元の魚市場以外から原材料の確保を余儀なくされているような状況であります。
県では、加工原料の安定確保のため、水揚げ状況などの情報提供や、主要魚種以外の原料に変更を検討する事業者への助言、あるいは遠隔地から原料を調達する場合のかかり増し経費に対する補助制度の活用など、必要な支援を行っているところであります。
加えて、近年はサバやイワシの水揚げが好調です。今後は、市町村や漁協と連携しまして、これらの魚種を漁獲する主にまき網漁船が地元の魚市場に水揚げするよう誘致することなど、代替原料の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇岩崎友一委員 今の答弁にありましたまき網の関係ですが、私も、先般、ニュースを見ていて、今のお話を聞いたところでありますけれども、まき網漁船の誘致に関しましては、これまでも、多分、県でも全くやっていないというか、やっていた部分もあるかと思うのですが、これまでの誘致の状況と、今後の方向性についてお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まき網漁船の誘致の現在の状況、今後の状況ということでありますけれども、今年度は、久慈地域におきまして、県と市町村と漁協が連携しまして、既に誘致活動を行っております。その結果、これまで、久慈市の魚市場に、7月中旬と10月上旬の2回にわたりまして、福島県のまき網漁船がイワシ約190トンを水揚げしたところであります。
今後は、他の地域においても、魚市場関係者等と連携しまして、このような誘致活動を展開し、水揚げを拡大していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 まき網漁船の誘致は、メーンがイワシ、サバを加工するということになるかと思うのですけれども、せっかく市場に揚げるのであれば、低次加工ではなくて高次加工というのですか、しっかり加工品として付加価値をつけて製品にしたほうがよろしいかと思うのですが、そのようにする場合には、例えば既存のラインではなくて新たな設備投資も必要になってくるのではないかと思うわけでありますけれども、その辺はいかがなものなのでしょうか。
また、そうなった場合、県としてどのように対応していくのか。例えば補助のメニューだったり、その辺もあるのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 イワシ、サバ等を加工する場合の新しい設備投資ということで、県として補助等があるかということですけれども、これまでに主にサケ、サンマ、イカ等を原料としてきた水産加工業者が、サバ、イワシ等を代替原料として加工する場合には、委員がおっしゃるとおり、加工の製造ラインの見直しが必要となるような事業者もあると考えております。
このような加工ラインの見直しに伴う新たな機器整備を必要とする加工業者には、国の水産加工業等販路回復取組支援事業を活用しまして、機器整備費用の助成などを行ってまいりたいと思っております。
〇岩崎友一委員 今、漁業も含めて水産業の置かれている環境というものは非常に厳しい。不漁で魚が全然とれないという状況もありますし、また、国レベルになりますと、水産資源の管理という部分もありますので、これからも本当に厳しい状況が続くのかと思うのであります。ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、震災の被災地といいますか、岩手県の沿岸部から漁業、水産加工業を取ってしまえば、何もなくなるとは言いませんけれども、本当に寂しいまちになってしまいますので、その辺は、厳しい状況だけれども、知恵も出していただきながら岩手の水産業の振興のために頑張っていっていただきたいと思います。部長、もし何かありましたらお伺いして、終わります。
〇紺野農林水産部長 本県の水産加工業は、沿岸の復興に当たって大変重要な産業であります。このため、私どもといたしましても、漁協や市町村と連携を密にしながら、まき網漁船の誘致ですとか、また、使える事業についてはしっかりと使っていただけるように周知徹底を図りながら、水産加工業が維持できるように、さらにしっかりと取り組みを進めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 私は、質問1点であります。
その質問に入る前に、原木しいたけ経営緊急支援資金貸付規則の一部を改正する規則が県報に出まして、生産者の方にとっても、今回はかなり使いやすい形になったのではないかと思います。これまでの御努力に大変感謝を申し上げたいと思います。
私の質問は、国産漆の増強施策について伺います。
文化庁が文化財の修繕には原則として国産を使用するよう通知、また、2018年度から国宝などの修繕の全工程を国産漆限定とする方針を打ち出しています。ただ、この見込みでは、生産量が今の生産量では追いつかない。これはテレビなどでも報道があったところでありまして、あわせて、今、浄法寺で生産している生産量は低迷の下降線の状況だということであります。
先般、新聞報道で、文化庁が経済産業省に依頼して、外郭団体である伝統的工芸品産業振興協会が日本全国の全体量ニーズの把握調査を行うと。本当に腰を入れて需要見込みを把握するという状況にも入ってきたと。要するに、国産のほとんど、70%強を浄法寺で生産しているわけですから、大変な状況になってくるのだろうと。
ただ、浄法寺では実質1人のみが生産、供給していると報道されていますが、その後、浄法寺でもいろいろな動きがあるように聞いております。まず、その現況についてお知らせいただきたいと思います。
〇大畑林業振興課総括課長 新たな漆林の造成に当たりましては、今、漆苗木の確保が課題となっているところであります。委員から御指摘がありましたとおり、現在、1名の方が苗木生産を行っているところでありまして、この苗木生産の技術を継承していくために、県では、今、苗木生産マニュアルの作成を行っているところであります。
また、県内外から需要が高まっている苗木供給でありますけれども、二戸市と連携して、浄安森林組合と苗木生産について協議を進めてきたところであります。今般、森林組合が苗木生産に取り組んでいただけることになりましたので、引き続き、供給体制の強化に連携して取り組んでまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 生産量見込みが足りないということは、逼迫して大変なのですが、ある意味、岩手県の産地というのは非常に注目されて、これを逆手にとるというか、しっかり対応していくことが、岩手は山林地が多いですから、いろいろな意味でチャンスが出てくるのではないかという観点で質問させていただきます。
実は、今、総括課長から答弁があったように、森林組合で対応していただけるということですが、これを増産するに当たっては、県内の種苗業者もかぶれの問題等で余り積極的にはなっていない。量をとるには10年以上育てて1本から200グラムで、あわせて後継者不足だということであります。
それで、今、民間で動きがありまして、かつて東磐井の大東町でも、浄法寺とも連携をとり合って漆の木を植えた時期もあったのです。そこで供給していたという事例もあるのですが、さらに、新たに浄法寺以外でもできないかという動きが盛んになってきている。その背景には、冒頭申し上げた、要するに需要の量が足りないということがその理由にあるわけです。
そこで、私が着目したのは、地域振興とあわせて漆産地のモデルケースをつくると。これは、農林水産部だけではなくて政策地域部も、または広域振興局も絡んでこれから展開する必要があると思うのです。
実は、新技術ができてきて、五、六年ぐらいの漆の木でも破砕して─今、手作業で漆をかいてとっているわけですが、それはそれで、浄法寺はそれでやってもらわないと困るわけです。そういう部分で付加価値がついているわけですから。ただ、全体量を確保するという意味では、新しい技術を発揮して量を確保する。それで、岩手でそういう量が出るということであれば、地域の産業とも結びつくし、特に高齢者の多い、また、漆の木の扱いに関して熟知した人たちがやるということは大変結構なことになるのではないかと思うのですが、その点に関してどのような所感をお持ちかお知らせ願います。
〇大畑林業振興課総括課長 かつて漆生産が行われた地域におきまして、近年の国産漆への需要の高まりといったところを契機にして、新技術の開発に取り組む民間企業と連携して、地域の方々が主役というか、主体となって漆産地の再生に取り組むということにつきましては、二戸市浄法寺地域に次ぐ産地形成につながりますので、本県漆産業全体の振興にとっても非常によいことかと思っております。
また、こうした地域の方々が主体となって取り組むということにつきましては、ふるさと振興にも寄与するものかと思っておりますので、取り組みの具体化に向けまして、地域等の意向も踏まえて対応してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 政府系の財団であるとか、いろいろな基金等の活用によって実際動いているプロジェクトがあるわけです。民間企業の方が動き出しています。これは、岩手県だけでなくて宮城県あたりも視野に入れてやろうという考えを私も聞いております。
漆の木を破砕する衝撃破砕技術というのは沖縄工業高等専門学校が持っている技術らしくて、実際に大東町にもいらして、これぐらいの漆の木で大丈夫かという確認の作業もされたと聞いています。
こうした技術もどんどん進展していく中で、私が期待するのは、先ほど申し上げましたように地域振興です。里山のビジネスとして、そんなに大きくもうけるということではないのですが、地元の高齢者の方々もこういう事業にかかわりながら地域振興に資するような形になるというのは非常に理想的な形だと思うわけです。
したがって、今後、民間活動の動きがある中で、より具体的に林業をつかさどる皆さん方に、まず、いろいろな形で何とか御理解をいただきたいということと、地域振興の部分において、何らかの活動資金というものが出てきた場合には、そういうことも部局横断的に考えられないものかということでありますが、私以上に情報は行っていると思いますので、その点に対して何か御意見があればお願いします。
〇大畑林業振興課総括課長 地域の方々が民間企業と連携して取り組む構想といいますか、そういった内容については、私も先般お話をお伺いさせていただいたところであります。
委員から御紹介がありましたとおり、民間企業では、さまざまな助成金を活用して技術開発を進めていくと。将来的には、そういった技術や地域資源であるものを活用したりして6次産業化まで結びつけていきたいという構想を描いていると聞いております。
こうした取り組みに対しては、農林水産部だけで対応できるかどうかというところはありますけれども、さまざまなお話や情報をいただきながら、部局横断的な対応が必要と考えられる場合については、庁内で関係部局と情報を共有しながら対応していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 最後になりますが、中山間地で、このような事例で、新しい取り組みということでなくて、従来やっていたものをさらに再生産に生かすということは、地域の歴史、文化に照らしても非常にいいことだと私は思っておりますので、何とか御理解を得ながら、岩手県は、そういう意味で里山を生かした漆産地ということでは、温暖な地域が結構いいらしいので、浄法寺または東磐井というのは北と南で大変有望だという話も聞いていますから、何とか、そういう意味で御理解を得ながら、後押しをよろしくお願いしたいと思います。
〇城内よしひこ委員 私からもお伺いしたいところですが、平成28年台風第10号の被害によるふ化場の復旧状況と、来年度に向けた再開ができるのか。あわせて、親魚というのですか、卵の確保の状況はどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケふ化場の平成28年台風第10号の被害の復旧状況等でございますけれども、昨年の台風第10号で、漁協のふ化場19施設のうち9施設で被害を受けております。このうち、釜石市の鵜住居ふ化場など6施設では既に昨年から稼働しているところであります。被害が甚大だった野田村の下安家ふ化場など3施設では、機能強化を図り、今年度からの稚魚生産に向けまして、現在、復旧整備を行っているところであります。
復旧中の3施設のうち、下安家ふ化場では、一部完成した部分を供用し、既に稚魚生産を開始しているところです。また、岩泉町の小本ふ化場及び宮古市の松山ふ化場では、土砂の撤去等に時間を要したため当初の予定より竣工がおくれていますが、稚魚の育成までを近隣ふ化場で行いまして、施設完成後に稚魚を新しい施設に収容し、放流することによりまして、竣工のおくれによる種苗生産への影響は生じないものと見込んでおります。
サケの資源造成には計画的な稚魚放流が重要でありますので、県では、今後も漁業関係団体と連携しまして、ふ化場間の協力を得ながら、震災前と同水準の4
億尾の稚魚放流に積極的に取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 栽培漁業の先駆けであります。ぜひこれはしっかりとやっていただきたいし、特にもサケの不漁というのは、先ほど来お話に出ていますけれども、親魚の卵の確保、稚魚の造成というのは大事な仕事でありますので、よろしくお願いします。
次に、秋サケの漁についてでありますが、平成28年度とことしの状況は先ほどお伺いしましたので、これから後の見通しについてお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 先ほど、サケの今年度の状況をお答えしたところであります。繰り返しますと、今年度の10月10日現在では、漁獲量が755トンで、対前年同期比180%、水揚げ金額は6億1、000万円で、対前年同期比231%と、昨年度に比べて今年度の水揚げは、今のところ好調に推移しているということであります。
ただし、県水産技術センターのことしの秋サケの回帰予報によりますと、今年度の回帰数量は約1万1、000トンということで、この数字は震災前に比べますと4割程度の数値になりますので、まだまだ震災前の漁獲量までは回復しないと思っております。いずれ、ある程度上がってきていますので、今後、このまま順調に推移していけばいいという期待を持っておりますし、我々がやるのは、将来的にもあわせて卵をしっかり確保していく、これを続けていくということが、後々のサケの水揚げに影響してきますので、4億尾の稚魚放流を確実に実施していきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 サケのことしの水揚げ金額を今聞いたわけなのですけれども、水産業加工は裾野の広い産業であります。その中で、生産者は確かにその量がとれてくれればいいわけでありますけれども、加工業者の方々が、今、実は値段が高くて大変だということであります。そういったことも今後懸念されますので、ぜひ、4億尾の稚魚の放流事業ができるようにしていただきたいと思っております。特にも、昨年の数字というのは、多分、東日本大震災津波の影響で一番底だったのではないかと思ったりもしているわけでありますけれども、安定した漁があることが前浜が元気であるあかしであると私は思っています。冷蔵庫をお持ちの業者も、震災からの復旧で立派にはしたものの、入れるものがなくて大変だという話もあります。しっかり蔵が埋まるぐらいの量がとれるような形をとってほしいと思います。
先ほど、魚種の転換という話もありましたけれども、実は岩手缶詰もアメリカ向けのHACCPを取ってしまったために、なかなか魚種の転換が難しいということでありましたので、ぜひ、そういうことにも丁寧な対応をしながら、魚種の転換等も図ってほしいと思います。
次に移ります。マグロについてお伺いしますが、資源保護のためにクロマグロ─沿岸ではメジと言うのですけれども、メジマグロは、30キログラム以下の小さいものは定置網に入っても放流する、再放流するということをやってきたわけでありますが、そのことによって、夏場に向けた漁がこれまでになく減ったという話を聞いたのですけれども、その辺の影響はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇中井漁業調整課長 クロマグロの小型魚の放流についてでありますが、クロマグロの資源管理は、毎年、7月1日から翌年の6月30日までが管理期間となっておりまして、本県では、ことし、30キログラム未満の小型魚の漁獲枠が67.16トンと設定されておりますが、7月上旬、定置網に大量入網がありまして漁獲枠を超えたため、その後は全ての定置網で小型魚の全数放流に取り組んでいるところであります。
本年7月からは、管理野帳によりましてその放流状況を記録しております。7月から9月までに定置網から放流されましたクロマグロの小型魚は、推定ですけれども約105トン、金額にすると約7、000万円と見込まれていますので、この分がマイナスになったと考えられます。
〇城内よしひこ委員 定置網は待っていてとるという漁であります。そういう中で、これまでいろいろな魚が入ってくる。潮の流れも影響があるでしょうし、サンマは船でとるわけですから、先ほど来の主要魚種であるサバとかイワシが入ってこないとなかなか難しいということであります。そういう中で、春先は、結構いい値で売れるマグロだったわけでありますので、これは資源保護等の観点から言うといたし方ない部分でありますが、ぜひ、そういうことも何らかの支援策も含めて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇中井漁業調整課長 定置網漁業の経営に対する減収補填対策としましては漁業収入安定対策事業がありまして、クロマグロの漁獲が多くて休漁等の資源管理に取り組む定置網17カ統につきましては、これを活用しているという状況にあります。
〇城内よしひこ委員 次に、林業に移ります。ナラ枯れと松くい虫の状況についてお伺いしたいと思いますが、これまで内陸部または県南で松くい虫が大変だということでありました。この松くい虫も沿岸部にも結構増殖してきておるわけであります。沿岸部の白砂青松浄土ヶ浜はいろいろな観光の目玉でもあるわけでありますが、そういった状況はどうなのか。あわせて、ナラ枯れも結構北進してきておるようでありますが、その状況をどのように把握しているのか。そして、今後の課題と対応策についてお伺いしたいと思います。
〇及川整備課長 まず初めに松くい虫についてでありますが、平成28年度の松くい虫の被害量につきましては約3万2、000立方メートルで、前年度に比べて7%の減少となっております。被害の北限は、沿岸部では大船渡市、内陸部では八幡平市となっておりましたが、今年度に入り一戸町で新たに被害が確認されております。
松くい虫につきましての課題でありますけれども、被害が北上の傾向にありますことから、被害の先端地域での拡大防止、被害の蔓延地域では松林を松以外の樹種に転換を促進していくことが課題となっております。
松くい虫の取り組み状況でありますけれども、県といたしましては、未被害地域への被害の拡大を防ぐため、伐倒燻蒸や焼却等の被害木の駆除を約5、800立方メートル、また、毛越寺などの重要な松林を守るため薬剤散布を68ヘクタール実施するとともに、重要な松の幹に薬剤を注入する樹幹注入を1、146本実施しているところでございます。
次に、ナラ枯れ被害につきましては、平成28年度は新たに6市町で被害が確認され、被害市町村数は9市町になっております。内陸部では西和賀町、沿岸部では宮古市を北限に被害が拡大する傾向にあります。
県といたしましては、被害が判別しやすくなる9月をナラ枯れの被害調査強化月間として、ヘリコプターによる空中探査や地上調査を集中的に実施し被害の早期発見に努めるとともに、新たに被害が発生した市町を重点的に伐倒燻蒸、立ち木燻蒸等の被害木駆除を実施したところであります。
ナラ枯れ被害の課題につきましては、被害が拡大傾向にありますことから、被害木の駆除に加えまして、被害地周辺の広葉樹林については、予防を目的とした伐採を促進する必要があると考えております。
〇城内よしひこ委員 岩手県は森林県でありますので、ぜひ、こういったことについてはしっかりと対策を打ってほしいし、また、一旦起きてしまうと、防ぐというのはなかなか難しい状況にあるわけであります。また、切った木については、バイオマス発電等に利用はしているのでしょうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
〇及川整備課長 被害木の利用についてでありますけれども、アカマツにつきましては、現在、県南のバイオマス工場で燃料としての利用を進めるということで取り組んでおります。今月から被害材を含めた松材の利用を進めるということにしております。
ナラ林につきましては、北上市にあります製紙工場等で製紙用チップの原料として使用することが可能でありますので、今後は、先ほど、課題として予防を目的とした伐採を促進するというお話をしておりますけれども、伐採を進めて、そういう利用に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 せっかく東京オリンピックで県産材が使われるということで、大変喜んでおるのですけれども、一方でこういう課題があるということで、しっかりとその対策をとってほしいと思います。
最後に、部長にお伺いしますけれども、私は前段で海のことを聞きました。最近、総合的に言うと不漁ぎみだということであります。ましてや山のほうもこういうふうに荒れている。大概の年だと、おかが悪い年は海はよかったり、海が悪い年はおかがよかったりするものなのですけれども、海もおかも悪いという年は、なかなか私も経験上そうはない。森は海の恋人という言葉がありますけれども、海をよくするためにも、森林県である岩手の山を守るということはとても大事だと私は思っています。そういった関連性があるものと思って私はお伺いしています。その辺のつながりも含めて、この取り組みをしっかりとしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇紺野農林水産部長 大変難しい御質問であります。やはり山と海とは相関関係があると私も認識しております。このため、本県は森林県でもありますし、また、海の恩恵にもあずかっている県でありますので、そのバランスをうまくとりながら事業を進めていくということが双方にとっての一番のメリットかと思っております。
我が農林水産部は三つの分野を束ねておりますので、ここは林も水も、また農も、いずれにしても水が介在している産業でありますので、水がなければ農もできませんし、また、海のほうも前浜がいい水質でもって漁獲できないということにつながりますので、その辺はしっかりと3分野で対応し、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、岩手の漁業、水産業の復興状況についてお聞きします。
産地魚市場の昨年度の水揚げ量、水揚げ額は、震災前と比べてどういう状況になっているか示してください。
〇中井漁業調整課長 まず、市場全体ですが、水揚げ量8万8、000トン、震災前対比で51%、金額では202億円で87%となっております。そのうち主要魚種のサケにつきましては、水揚げ量が8、000トンで36%、金額では58億円で74%、サンマが水揚げ量2万2、000トンで42%、金額では40億円で109%、スルメイカが水揚げ量が4、100トンで22%、金額では26億円で76%となっております。
〇斉藤信委員 水揚げ量全体で震災前の51%、生産金額は87%ということで、6年7カ月が経過した中では大変厳しい現状で、とりわけ昨年、ことしと主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカが大不漁と言ってもいい状況にあることが、本当に復興に打撃と影響を与えているという感じがしております。
それで、養殖の関係もお聞きしたいのですけれども、ワカメ、昆布、ホタテ、アワビ、ウニの昨年度の生産量、生産金額、震災前の比較を示してください。
〇中井漁業調整課長 養殖生産物についてでありますが、昨年度の生産量と震災前の比較となりますが、ワカメが水揚げ量1万5、000トンで68%、金額では37億円で88%、昆布が水揚げ量5、000トンで47%、金額では8億円で56%、ホタテガイが水揚げ量3、500トンで56%、金額では18億円で104%となりました。
また、採介藻についてでありますが、アワビが水揚げ量209トンで61%、金額が15億円で67%、ウニが水揚げ量97トンで80%、金額が8億円で105%となっております。
〇斉藤信委員 養殖も採介藻も、主力のワカメで生産量が68%、昆布が47%、ホタテが56%ということで、これまた大変厳しい状況にあると思います。これは通告しておりませんでしたけれども、漁業就業者、経営体でもいいのですけれども、これの推移はどうなっているでしょうか。
あわせて、平成28年3月に策定した漁業担い手育成ビジョンに基づく取り組みはどうなっているかを示していただけますか。
〇中井漁業調整課長 本県の漁業就業者でありますけれども、漁業センサスの値となりますので平成25年になりますけれども、6、289人となっております。また、経営体数では3、770経営体となりまして、減少しているという状況にあります。
また、岩手県漁業担い手育成ビジョンにつきましては平成28年3月に策定したところであります。その中では、地域漁業を担う多様な担い手の育成ということと、漁業就業希望者の受入体制の整備という2本立てで取り組みをしているところであります。
担い手の育成につきましては、具体的には中核的漁業経営体の育成ということで、漁業経営の経営力向上の研修ですとか小規模な経営体の生産の効率化、若者、女性の活躍促進などに向けて支援をしております。
また、漁業就業希望者の受入体制の整備につきましては、漁業担い手対策の推進母体となります就業者育成協議会の設立ということで、現在、沿岸市町村のうち7市町村で設立しているところであります。また、次世代を担う就業希望者の確保、就業情報の発信、共有などをして取り組みを進めているところであります。
〇斉藤信委員 漁業センサスの値の回答でしたから、たしか、5年前と比べると3割減ぐらいだったと認識しております。
岩手県漁業担い手育成ビジョンはいろいろなメニューはあるのだけれども、真水がないと。具体的な財政的支援というものが弱いということを私はこれまで指摘しておりましたが、国の支援が細くなってそのままになっているのではないかと思いますが、それに変わりありませんか。
〇中井漁業調整課長 担い手育成の事業につきましては長期研修という国の事業があります。震災後につきましては漁業復興担い手確保支援事業というものがありまして、長期研修に係る受け入れをする漁業者に対する支援というものを行ってきたところであります。その後、この事業につきましては、平成27年度までの募集で終了しておりまして、現在は新規漁業就業者総合支援事業ということで、これは全国対象の事業でありますけれども、そちらを活用して研修の支援をしているところであります。
〇斉藤信委員 国も復興途上の割には途中でやめてしまって、結局、枠が狭まって今は行われていると。約3割の漁業就業者、経営体が減少している中で、担い手確保というものに本気で取り組まなければならないと私は思います。市町村では独自に財政支援もして担い手確保の取り組みをやっているところが少なくないので、私は、その点は県としてしっかりと対応すべきだと。これは指摘だけにとどめておきます。
次に、水産加工業者の状況についてお聞きします。水産加工業者の再建の状況、そして製造出荷量と出荷額はどうなっているか、震災前と比べて示してください。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工業者の再建の状況と生産量、生産額についてでありますが、県の復興局が平成29年8月に実施した被災事業所復興状況調査によりますと、水産加工業では被災事業所の88%が事業を再開し、68%の事業所がほぼ震災前の状況に復旧したと回答しております。
また、生産量につきましては、国の調査によりますと、平成27年の実績で約9万9、000トンと、震災前に比べまして83%となっております。
生産額につきましては、これも国の調査でありますが、平成26年の実績で621億円と、震災前比で86%となっております。
〇斉藤信委員 製造出荷量と出荷額は平成27年、平成26年のデータですから、その後に大不漁が起きているので、私は、かえって現状は厳しくなっているのではないかと。
私は、8月の末に大船渡の主要な水産加工会社を訪問して現状を聞いてきました。あの時点でも前年に確保した冷凍サンマでしのいでいると。それも大体9月では底がつきそうだと。しかし、新たな水揚げがないという状況でした。今、本当に大変な状況ではないのかと。
それで、一定の規模の水産加工会社でしたから、原料は輸入しているのが半分、もしくはそれ以上だと。そうしないと通年で商売ができないということでした。
それで、お聞きしたいのだけれども、県内の水産加工会社の輸入魚種、輸入量というのはわかるでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 県内の加工業の輸入量ですが、業者に対してどのぐらい入っているかという統計は、残念ながら私は見たことがありません。(斉藤信委員「県内は、業者ではなくて。」と呼ぶ)県内全体の加工業者に対する輸入量の統計はなかったかと思います。
〇斉藤信委員 それで、先ほどの答弁の中で、いわば岩手県では水揚げが激減しているので、外から買ったときには運送費に対する補助があると。これは大体どういうところでの買い付けが実際の補助の対象になっているのですか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 距離的な制約はございませんので、例えば北海道に買い付けに行って、その分の運賃等のかかり増し経費が補助の対象になります。
〇斉藤信委員 いずれにしても、漁業も水産加工業も6年目、7年目を迎えて、復興の途上で新たな困難に直面していると。そういうことで、水産加工業では、被災事業所の88%が事業を再建しているということは私はすばらしいと思うけれども、しかし、68%の事業所が震災前の状況に復旧したとなっていましたが、私はこのデータはもっと落ち込んでいるのではないかと思います。そして、5年経過すると借金返済の時期なのです。そういう二重の困難を抱えているので、しっかり状況を把握して、あらゆる支援策を講じるようにしていただきたいのですが、いかがですか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 確かに委員おっしゃるとおり、原料がなかなか確保できないという状況の中で、加工業者の冷蔵庫もあいているという話は私も聞いております。先ほども岩崎委員の質問に答えさせていただきましたが、原料では、今一番、イワシ、サバが潤沢にとれております。まずは、これを本県の魚市場にまき網漁船を誘致して水揚げをしてもらうと。
かつてはイワシがすごくとれた年がありまして、そのときは、岩手県の水揚げでも10万トン以上あったかと思います。それを処理する能力がありましたので、今とれている魚種を誘致してくるということが必要かと思っております。それにつきましては、先ほども申し上げましたが、国の事業で水産加工業等販路回復取組支援事業というのがありまして、これは機器整備のほかに、新商品を開発するためのマーケティングの調査費、あるいは商談会やフェア等の旅費も補助の対象となる事業がありますので、こういう事業を活用しまして水産加工業の振興を進めてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 今、国の補助事業があるのだという説明でしたが、この実績はどうですか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 この事業は平成27年度に創設されていまして、県内の31加工業者がこれまで利用しております。
〇斉藤信委員 では、最後の質問に入ります。小型漁船漁業の経営実態と、サケ資源の公平配分を求める裁判についてお聞きしますが、小型漁船漁業の実態と経営状況はどう把握しているでしょうか。
〇中井漁業調整課長 まず、小型漁船の漁業者数につきましては、漁業センサスの値になりますけれども、無動力船と20トン未満の動力船の経営体数で、震災前の平成20年度の2、519経営体に対しまして、平成25年度は2、125経営体と、平成20年度対比で84%となっております。
また、小型漁船漁業者の経営状況につきましては、本県単独の統計データというものはなく、国による本県を含めた被災地域の漁船漁業経営体の経営状況調査におきましては、震災前の平成22年度の漁業所得水準を100とした場合、平成27年度は84という値が公表されています。
〇斉藤信委員 小型漁船漁業者というのは経営体では一番多くを占めるわけで、この方たちの経営を守ってこそ、岩手の沿岸漁業の振興があると、私はそう思います。そして、今言われたように、大不漁の中で、こういう方たちの経営を守っていく対策、支援策をどう考えていますか。
〇中井漁業調整課長 このように水揚げが少ない中で厳しい状況が続いておりますので、漁船漁業の不漁対策といたしましては、漁場探索のための漁海況情報等を迅速に提供をしていくことと、また、資源管理を徹底して、資源を継続して活用していくということ、また、国の資源管理、漁業経営安定対策制度、漁業セーフティネット構築事業による漁業共済などからの減収補填などで漁船漁業の不漁対策に対応してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 少し答弁に具体性がなかったという感じがしますけれども、ぜひ、実態も声も聞いて、しっかり対応していただきたい。
それで、サケ資源の公平配分を求める裁判が行われておりますが、原告、県双方の主張、論点はどうなっているか、今後の裁判の見通しを示してください。
〇中井漁業調整課長 サケの刺し網に係る裁判の状況についてでありますが、これまで9回の口頭弁論が行われまして、裁判では、不許可処分の理由の適法性と刺し網によるサケ採捕禁止の合理性が主な争点となっているところであります。
今後の見通しでありますが、次は12月1日に第10回の口頭弁論の予定となっておりまして、この時点で新たな証拠等の提出がなければ結審となる見込みと聞いているところであります。
〇小西和子委員 私は1点のみ、いわての森林づくり県民税事業についてお伺いいたします。
いわて県民計画実施状況報告書の65ページにもありますけれども、まず、11年前から10年間、この税を活用した針広混交林に誘導する間伐を計画どおり実施してまいりましたが、依然として緊急に整備が必要な森林が約1万ヘクタール存在すると見込まれております。このまま整備を行わなければ森林の公益的機能の発揮に支障を来し、ひいては県民の生活にも影響を及ぼすことが危惧されます。このことから、緊急に整備が必要な森林を解消するための取り組みを引き続き行っていく必要があることから、昨年度から3期目に入ったと認識しております。
昨年度のいわて環境の森整備事業が目標を大幅に下回りました。要因は、事業実施主体側の人員不足でありました。報告書の65ページにもありますように、復興工事や平成28年台風第10号災害の復旧作業に伴う伐採作業員の不足が要因であったと捉えております。
今年度の計画が1、500ヘクタールになっておりますけれども、進捗状況と目標達成のための取り組みをまずお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 まず、今年度の進捗状況でありますが、9月末現在で、約500ヘクタールの施工地を確保しているところであります。
次に、施工地確保に向けた取り組みでありますけれども、昨年度に引き続き、県内5カ所で地域説明会を開催いたしまして、森林組合等に対して施工地確保の働きかけを行うとともに、森林組合間での労務調整についても要請をしたところであります。
加えて、今年度でありますけれども、国有林主体に森林整備作業を行っている事業体がありますので、その事業体に、ぜひこの事業に参画をいただきたいということで事業実施を働きかけているところであります。こういった新たな担い手の掘り起しにも努めているところでありますので、引き続き、施工地確保に向けて取り組みを強化してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 現時点で500ヘクタールというのは、昨年度よりはいい状況ですね。昨年度は目標値の半分くらいだったと記憶しております。さまざまな取り組みを行っているというお話がありました。その中で、施工地確保のため市町村の広報に、森林所有者向けの広報の掲載を依頼していると以前にお答えしていただきました。そのときは、10カ所ぐらいから問い合わせがあるという答弁でしたけれども、効果は上がっているでしょうか、実績をお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 昨年度から市町村広報誌を活用しまして、いわて環境の森整備事業の広報を行っているところであります。これまでに広域振興局等に対して森林所有者等からの問い合わせが、昨年度からこれまでで、15件ありました。このうち、実際に施工地の確保に結びついた事例が少なくとも2件はあったと承知しております。
それから、効果という部分でありますけれども、森林所有者が目にする機会も多いということでありますので、市町村広報誌を活用したPRは有効な手段の一つと思っております。引き続き、市町村の御協力をいただきながら、問い合わせが確実に事業実施に結びつくよう取り組んでいきたいと考えております。
〇小西和子委員 創設されてから12年目になりますね。12年目ですので、事業を行いやすいところはもう大抵やっているわけですね。だから、これから施工地を確保というのは大変だろうと思いますけれども、今後もよろしくお願いいたします。
次に、いわての森林づくり県民税の認知度についてですけれども、報告書の65ページにもありますけれども、認知度を上げるというのは本当に大変なことだと思うのです。ただ、この制度というのは県民の理解と協力の上で成り立つ制度であります。個人は年間1、000円、法人は、資本金の額に応じて年間2、000円から8、000円ということで協力をしていただいておりますので、そこで、今年度新たに森林公園などへのPR案内板の整備とか、それから各種イベントにおいては本県の森林、林業のキャラクターであるカンバツ君の着ぐるみを活用するなど、認知向上に努めていきたいということでありましたけれども、効果はいかがでしょうか。あわせて、ほかの取り組みについてもお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 ことし9月に奥州市で開催をいたしましたいわての森林の感謝祭におきまして、カンバツ君等を活用した広報を実施いたしました。それから、今年度は新たに森林整備に取り組むボランティア団体等にこの税を活用いただくという形ののぼり旗を貸与いたしまして、広報に御協力いただくという取り組みも行っております。引き続き、さまざまな場でこの税の広報に取り組んでいきたいと考えております。
それから、こうした取り組みに対しましては、一部の参加団体等からはイベント参加者へのPRに効果的だという御意見も頂戴しておりますので、一定の効果はあるのかと考えております。引き続き、森林公園へのPR案内板の整備も含めまして、工夫しながら効果的な広報に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 事業評価委員会では、担当の方々が大変熱心であると高い評価をしておりますし、たしか37都道府県でも同じようなことをやっているのですね。ほかの県からも、これだけきちっとやっているところはないという発言もいただいているところでありますけれども、さらによりよい事業とするための決意を阿部林務担当技監にお伺いして終わります。
〇阿部林務担当技監 このいわての森林づくり県民税は、平成18年に創設させていただきました。岩手の良好な森林環境を次の世代に引き継いでいくために、森林環境施策をやっていくという形で進めさせていただきました。長年やってきたため、一部マンネリ化してきた部分もありますが、森林環境を守っていくということは、次の子供たちにしっかりと、本当に岩手に生まれてよかったなということを思っていただくためにも必要なことだと思います。
ぜひ、我々森林、林業環境を担当している部門として、しっかりとこの対策を講じながら、次の時代にすばらしい森林環境を引き継いでまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 私からは、原発事故に伴う原木シイタケ関係の賠償請求についてお伺いいたします。
先般、今月初めに、会派を超えた委員方と原木シイタケの生産者、そして、今訴訟を担当されている弁護士等にお話を聞く機会をいただきました。そこら辺のお話を踏まえて質問させていただきたいと思います。
まず初めに、平成28年度までの原発事故に伴う原木シイタケ関係の損害賠償支払い状況はどのようになっているのか。また、全ての損害が請求されているのかどうか、お伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 東京電力への賠償請求額につきましては、平成28年度末現在で約50億6、744万円となっております。これに対する支払い額は49億3、698万円、支払い率97.4%となっております。
それからまた、賠償項目ごとの請求状況であります。原木調達ができずに植菌ができなかったことによる逸失利益、いわゆる植菌断念分と、それから原木の価格高騰分である原木かかり増しにつきましては、平成26年植菌分から支払いが滞っているほか、一部におきまして請求がおくれている状況であります。
〇臼澤勉委員 県からいただいた資料によると、支払い率につきましてはJAグループの協議会では96%、それから信用組合系のほうでは99.4%ということで、全体としては請求額に対して96.9%という数値にはなっていると伺っておりますが、ただ、この請求額の分母が、全てのものが請求されていなければ、この支払い率というのも実態が伴っていないという問題認識を持っております。
それで、ただいま植菌断念分に係る損害について、平成25年植菌断念分までしか支払い済みとなっていないということでしたけれども、平成26年以降の分についても支払われる見込みはあるのかどうか、お伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 植菌断念分に係る平成26年以降の支払いについてでありますが、県内の各損害賠償対策協議会と東京電力との間で、先般、賠償の考え方につきまして合意をしたと確認しております。
今後、各協議会からの請求、それから東京電力からの支払いが順次進んでいくものと考えております。
〇臼澤勉委員 私が先般いろいろ聞いた話では、東京電力では、平成26年以降の分については、原木の需給状況が回復しているということで、植菌断念に係る損害は認められないと主張されているというお話も伺っておりましたが、今の答弁ですと、そういうことではないということでよろしいんでしょうか。
〇大畑林業振興課総括課長 そのとおりということになります。
〇臼澤勉委員 それでは次に、原木かかり増しに係る損害についてお伺いいたしますが、JAグループの協議会のほうは平成26年の植菌分、それから信用組合系の協議会のほうは平成25年の植菌分までということで、請求そのものがほかの損害項目に比べておくれている状況になっておりますけれども、この辺の理由はどういうことでおくれているのかお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 原木かかり増しに係るおくれの理由についてでありますが、東日本大震災津波前に、みずから原木林を伐採し原木を調達していた生産者に対して、東京電力は、伐採予定の原木林が指標値を超過して使用できない状況を証明するようにということを求めておりました。これに対して生産者は、なかなか出荷制限地域の原木林を使うということはできないということで、原木検査を行っていないという状況がありまして、証明資料の提出ができずにいたということからおくれが生じていたものであります。この状況を打開するため、県では、生産者に求めた証明資料のかわりに、県が保有する各地域の原木検査データがありますので、そのデータを東京電力に提供したところです。それを踏まえて、本年7月に賠償枠組みの合意に至ったということでありまして、原木かかり増しに係る賠償につきましても、順次、請求と支払いが進んでいくと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、そこら辺をしっかりと御指導といいますか、取り組みをしていただきたいと思います。
現在も原木が高騰しているということで、生産者のほうからは、借り入れて原木を仕入れる場合が多いということで聞いておりまして、万が一にも、このかかり増し請求が例えば突然なくなるとか、そういうことになると借入金の返済にも支障が出るということも聞いておりました。また、各協議会のほうからも、請求に対してどの分が支払われてきているのか不明な部分もあるという声もあるものですから、生産者の方々に明確に、見えるような形での対応を御指導していただくようにお願いいたします。
次にお伺いいたしますが、組織的に損害請求を行う場合に、請求内容に争いがない請求者と争いがある請求者が出てくることが予想されるわけですが、そして、争いがある請求者の存在によって全体の賠償請求が停止することも考えられますが、そういった場合に、争いがある請求者については裁判外紛争解決手続(ADR)の活用というものも今後考えていかなければいけないのかなと。要は、賠償手続の早期化を図っていく必要があろうかと思うのですが、そこら辺に対する御所見をお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 損害賠償対策協議会による団体賠償請求に合意した内容に納得できない生産者の方々がいる場合ということでありますけれども、個人賠償請求という形でADRを活用するというのも一つの解決方法と思っております。これまでのところ、県内の各協議会の賠償請求においてADRを活用したという事例は聞いておりませんけれども、いずれ、引き続き、各協議会の取り組み状況あるいは協議状況を定期的に把握しながら、もし賠償の枠組みに異論等のある生産者がいる場合には、個別にその状況を確認して対応していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 この前の話し合いの中で、近々、東京電力への直接請求が終了する可能性があるというお話も聞いたのですが、そういった場合の対応策はどのように考えられるのかお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 平成28年12月に東京電力から、平成29年1月以降の賠償案について、県でも説明を受けております。その際、東京電力からは、損害のある限り賠償するという方針に変更はないという旨を確認しております。万が一にも、東京電力が賠償請求の終了を表明するという事態が生じた場合についてですけれども、各損害賠償対策協議会あるいは他県等の関係自治体とも連携をいたしまして、損害が発生する限り賠償に応じるよう東京電力に求めていくということ、それから、国に対しても東京電力に対して強く指導していただくようにお願いをしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひよろしく、対応をお願いしたいと思います。
次に、原木シイタケの振興策に移りたいと思いますが、生産者によって差があるものの、多くの生産者は、事故前と比べて、原発事故が原因での追加的な費用がかかっているのが実態です。ただ、その多くは賠償されていないという現状にありまして、今後の岩手県の原木シイタケ振興を考えた場合に、そういった部分に係る施策というか支援策というものも私は必要ではないかと思います。例えば、信用組合とかJAのほうでも代替して事務的な処理とかも行っている部分もありますけれども、事務的な助成等の考え方も含めて何らかの対応の考えがあるのかどうか、検討されているのかどうかお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 県では、賠償対策協議会にアドバイザーとして参画をいたしまして助言等を行うとともに、もし懸案事項等がある場合には、県として東京電力と直接交渉をするということで、協議会による賠償請求が円滑に進むよう支援をしてきたところであります。
今、委員からお話のありました協議会に対するさらなる支援という部分につきましては、各協議会の意見等も伺いながら検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 現在の賠償スキームでは、規模拡大したり、就農の後継者の方とかが新規就農する場合に、賠償請求の対象になりにくいような構造になっているかと思います。何らかの手を打たない限りは、岩手の原木シイタケの産地が縮小していく、縮小せざるを得ないと思うのであります。
御案内のとおり、岩手県はまさに森林王国、原木シイタケを含めたシイタケの王国でありますが、今後、衰退しないようにこのような規模拡大に関する支援を行ってはどうかと思うのですけれども、御所見をお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 県におきましては、現在、国庫補助制度を活用いたしまして原木等の生産資材、それから簡易ハウス、そういったものの整備の支援をしております。また、新規参入者に対しては、市町村と連携をいたしまして、種駒の購入支援も行っております。ただ、規模拡大に向けては、委員御指摘のとおり、原木価格の高騰、かかり増し経費への対応が課題と思っております。また、新規参入者、生産者をふやしていくという部分につきましても、生産者それから集出荷団体、そういったところと連携して技術習得を支援していくような、地域ぐるみでの取り組みが必要かと考えております。
引き続き生産者あるいは関係団体からも御意見を伺いながら、関係者が一体となって生産拡大に取り組んでいけるよう、支援あるいは検討を進めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 現状は、私が聞いている限りでは、県内の生産者が4割近く減っているのかなと。台帳で把握されている方々が1、600名ぐらい、今は1、000名を切って900名近く、あるいは植菌の本数についても、東日本大震災津波前だと256万本、これが140万本ぐらいに、たしか4割くらい減っているやに聞いております。ぜひ、そこら辺の支援策というものはしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
最後に、今回、原木シイタケの経営緊急支援資金の規則等を改正される動きもあるやに聞いておりますが、生産者の方々は、先ほども飯澤委員からお話がありましたけれども、賠償請求の支払いがあったとしても、被害が生じてから半年あるいは1年以上おくれるため資金繰りに困っているという声があります。県としての対応を改めてお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 県におきましては、委員御指摘のとおり、東京電力から賠償金が支払われるまでの間、集出荷団体を通じまして無利子の原木しいたけ経営緊急支援資金の貸し付けを行っているところであります。この融資制度は、これまで賠償請求額の全額に対応できないという課題がありました。そういった生産者からの強い要望を踏まえまして全額融資できますよう、上限額の見直しを含めまして10月17日に制度改正を行ったところであります。引き続き、融資制度それから国庫補助制度を活用しながら、生産者が安心して再生産に取り組んでいただけるよう支援してまいりたいと考えでおります。
〇臼澤勉委員 今答弁がありましたとおり、ぜひ生産者の方々が安心して再生産に取り組めるよう、しっかりと同じ方向を向いて取り組んでいただければと思います。
〇佐々木朋和委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 通告をしておりませんでしたが、沿岸の人間として、サケの問題について1点確認をさせていただきたいと思います。
先ほど伊藤水産振興課総括課長から、おかげさまで今のところイワシとサバが大漁の方向にあるので、それで何とか乗り切りたいという答弁がありました。それはいいことだと思いますが、では、これがずっと続くかというと、これも全く読み切れないところであると思うのです。そうすると、本県沿岸の有力魚種としてのサケの取り扱いについては、今後も不断の努力を重ねながらもとに戻していくということは絶対必要なことだと思います。
昨年の暮れからことしの正月にかけて、私は初めて聞きましたが、宮古市内でサケの盗難が発生をしているようであります。各家々が軒下につるしていますので、直射日光を避けて北とか西の方向に20本から30本つるしているのですが、それがごっそり盗まれたという話でありますが、これまで聞いたことがない話であります。したがって、それは、盗んだ人が食べたいのか、それだけ供給量がないために、高く売れるので売っているのかどうかわかりませんが、今後なければいいと思って実は危惧をしているところであります。
そして答弁の中で、東日本大震災津波前の量に比べて80%に回復したとか90%に回復したという話をされていますけれども、平成8年の岩手県最大漁獲量7万3、000トンを絶対頭から離してはいけないと思うのです。平成8年をピークに長期低落傾向にありまして、そして平成23年の東日本大震災津波では、言ってみれば、7センチメートルまで育っていた稚魚を放流直前に全部持っていかれちゃったということですから、4年後は恐らくゼロであろうと。そういうところからのスタートだと思うんですが、イワシ、サバがリリーフだとしても、基本のサケの取り組みというのを今後も継続していかなければいけないと思いますが、その点について改めてお伺いをします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの増殖についてでありますが、東日本大震災津波で多くのふ化場が被災しまして、この影響によりまして種苗の放流数が減少していると。実はこれをまだ引きずっておりまして、ことし来る主群、4歳魚、5歳魚ですけれども、これが平成24年、平成25年の放流でまだ4億尾に達していない。3億1、000万尾あるいは平成25年は3億9、000万尾ぐらいだったかと思いますが、まだ4億尾に達していない主群が帰ってくるとしておりまして、水産技術センターの予報も低目の予報になっているということであります。
過去に、確かに7万トンという水揚げがありました。我々もそこまでいくかどうかはなかなか難しいところもあるかとは思いますが、3万トンぐらいまででも何とかふやしていきたいという希望は持っております。そのためには、計画的な稚魚の放流、これが非常に大事だと思っておりますので、東日本大震災津波後、漁業団体と連携しまして、定置網で漁獲したサケを親魚に使うとか、川でなかなか上がらなかった分は定置網で、海でとれたものを使いつつ、何とか計画数量を確保するような努力をしておりますし、今後もそのような努力を関係団体、漁業団体と一緒になりながら進めてまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 大事なことでありますので、ぜひ東日本大震災津波前のレベルということではなくて、平成8年の一番のピークを目指してやってほしいと思っております。
それで、平成8年以降、海の状況が相当変わってきている部分があると思うのです。これまでやってきた同じやり方で、親魚を河口でとって、雄サケの精子を振りまいてそして畜養の池に持っていってふ化させると、このやり方はいいんだと思うのですが、それしかないのかもしれませんが、海の状況が相当変わってきているので、海の状況を調査研究することが必要ではないかとこれまでも言ってまいりましたし、2回ほどどこかの大学に頼んで調査をして、中間報告もいただきました。
一つは、サケには耳があって、その耳には耳紋という紋があって、すごいですねという話。あるいはサケは川に入ってくる前に、もう湾内で餌をとるんですね、捕食をしますね。─何言っているんだと。俺たちはなぜサケが帰ってこないかを調べてほしいんだと。耳があるとか、湾内に入ったら餌を食うとか、そんな話ではないぞと。それは研究を頼むほうに問題があるのじゃないのかと。つまり、三陸沿岸に放された稚魚が、津軽海峡を通って、オホーツク海に行ってベーリング、カムチャッカ、それからアリューシャンそして千島列島と戻ってくるわけです。その中で、では、どこの海で何センチメートルまで成長したかとか、そういう調査研究をするべきだと。しかも、これには岩手県だけの予算では難しいでしょうから、最終的には国にも支援をもらって、青森、岩手、秋田、新潟まで含めて、そういうところでやったらいいのじゃないですかということも言ってきたわけですが、近畿大学の近大マグロというのは有名ですけれども、近畿大学はウナギがどこで産卵というか子供を産んでいるのかというのを調べて、沖縄よりもっと南の海で産んでいるということを確認、突きとめたのは、多分、近畿大学だと思うのですが、そういう実技に詳しいような大学に海の状況、もちろん潮流のこともあるでしょうけれども、そういうことをやっていかなければ、ふ化放流をして、何万粒、何千万粒放流をしてあとは神頼みということでは、さっぱり改良になっていかないのではないか、そのように思います。したがいまして、これまでもやられているとは思うんですが、この期間に思い切って、これまでやってきたことを見直して、そしてまた歩を進めるということがあってもいいのではないかと思います。
私は平成7年に議員になってこの場に来たわけでありますが、そのころから提言させてもらってきましたが、一度自然放流に戻すべきではないかということを言ってきました。当時、サケの大家の方が、私のところに説明に来ました。岩手県がやっているふ化放流事業は最高ですと説明に来たのですが、俺はそれを聞きたくて来たのじゃないと。そしたらその人は、チリに招かれて、サケのふ化養殖を2年間指導してきたみたいです。それで日本に帰ってきて、読売新聞にでかでかとその方の記事が載っていました。その中に、サケは自然放流に限るとちゃんと載っていたんです。何をチリで指導してきたかわかりませんけれども、そういう中にあって、自然放流という部分を一回取り戻すことが弱肉強食、あるいは優勝劣敗、あるいは食物連鎖、そういう中に打ちかてるサケをつくれるのではないかと思うのです。
かつて、釜石でマツカワというヒラメ、カレイの種類を養殖しましたね。なぜ失敗したかというと、人間が餌を与えるから、人間のような大きなのが来ると餌をくれるものだと思って寄っていくと。そういうのを海に放すと、天敵が来ても自分が食われるものと思わないで、尾を振って寄っていくというのです。全部食われるわけです。だから、サケも今は自動で給餌というんですか、餌をやるようになって、人影を見せないようになっていますけれども、そういうところからもう一度見直して、今までやってきたことがいいということではなくて、どこか新しい技術があるのかもしれませんので、そういうことを取り込んだ上でぜひ対応していただくのが農林水産部の責任であり、役目ではないかと思いますので、感想があったら伺って終わります。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、委員が先ほどおっしゃいました調査に関することを先に申し述べさせていただきたいと思うのですけれども、確かにサケが回遊している状況がどうなっているのか、それを調査すべきではないかというのは古くから言われていることでありまして、最近は、岩手県あるいは青森県、北海道の県の調査船が協力しまして、北海道以南の太平洋については、ある程度広域的に稚魚がどのようになっているかという調査をしております。それから、北海道を過ぎてベーリング公海というところがありますが、そこでの生態等については国の調査船が参りまして、サケを採捕して、どのような状態になっているかという調査が始まっておりますので、これにつきましては、時間と年数がかかると思いますので、今すぐこうだという答えが出るかどうかわかりませんが、そのような調査が始まっているということはお伝えしておきたいと思っております。
それから、自然放流でありますが、人工と自然放流の違いは、要するに、卵の生きていく率、卵が有効に活用される率が違うということで、天然で採卵した卵の稚魚になる確率は実は非常に低いのです。人工でやったほうがかなり高いのです。サケが潤沢にとれるのであれば、自然放流等の試験もしてみることはあるのかもしれませんが、残念ながら、現在は川にもなかなか4億尾の生産をするための親を確保するのが非常に大変な状況ですので、やっぱり確率の高い人工の採卵で、人工で稚魚をつくって放流していくと、まずはここをしっかりやって4億尾の放流数を確保してまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
農林水産部の皆さんはお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時4分 散 会

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