平成29年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(佐々木朋和君) 改革岩手の佐々木朋和です。
通算7回目の登壇の機会を与えていただいた先輩、同僚議員に感謝申し上げ、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
県は、岩手県人口ビジョンで、2040年及びその先の将来人口を展望し、平成27年度に、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの施策推進目標と総合戦略の展開を盛り込んだ、平成31年度までの岩手県ふるさと振興総合戦略を策定いたしました。県議会においても、平成27年9月に、ふるさと創生・人口減少調査特別委員会を設置し、この2年間、調査をしてまいりました。
人口減少対策は、移住・定住施策から結婚支援、子育て支援まで多岐にわたりますが、その一丁目一番地は産業振興、労働環境の整備であり、雇用の受け皿となる魅力ある企業づくりや創業支援、新たな企業誘致を行うなど多様な職種の仕事の創出に加え、雇用の質の向上、若者の職場定着に向けた取り組みが必要であること、高校や大学などを卒業する若年層の地元定着を促進するため、小学校段階から成長に応じて地域の魅力や仕事場に触れる機会をふやす取り組みが必要であること、さらに、若者が企業を知り、企業が若者を知るための若者と企業との出会いの充実強化が重要であり、地元就業と職場定着に向けた産学官の連携による地元就業促進体制の構築が必要であることを委員間で共有したところであります。
県においても、その重要性は認識しており、平成29年度には、ものづくり分野における高付加価値製品の開発や生産性の向上による企業の魅力と質の向上、首都圏の大学生を対象とするインターンシップの本格実施、起業志向する学生向けの実務教育など、ふるさとの未来を担う人づくりの推進などに取り組んでおりますが、次期総合計画の策定に当たっては、本県の産業振興、雇用の創出において体系的な施策を打ち出し、岩手の若者が、岩手で働くことにわくわく感を感じるような希望を与えることも、重要な政治の役目と思われます。そこで、産業の振興と魅力ある雇用の創出について伺います。
本気で新産業創出、起業家の育成を目指すのであれば、起業のための実務教育、創生期の支援のみならず、ベンチャー企業の存立の分岐点と言われる創業5年間の支援や上場支援、また、上場した会社が新たなベンチャー企業を支援する仕組みを備えたインキュベーション施設の整備を産学官金が連携して行うべきで、これはILC誘致の波及効果を高めることにもつながります。御所見を伺います。
本県は、平成27年に中小企業振興条例を策定し、中小企業向けの施策を体系化した岩手県中小企業振興基本計画を策定し、平成28年度から計画推進に取り組んでいます。
平成29年3月に発表された平成27年度中小企業の振興に関する施策の実施状況を見ると、おおむねA判定が並ぶものの、県内高卒者、学卒者の県内就職率、卸売、小売業における就業者の1人当たりの県内総生産、もりづくり関連分野の製造出荷額等、気になる分野でD判定が目につき、中小企業振興条例制定先進地で進めている伴走型支援についても、商工会、商工会議所経営指導員、中小企業団体中央会指導員による巡回指導等実施企業、組合数がC判定となっています。県は、この結果をどのように分析し、今後の中小企業振興につなげていくのか伺います。
また、先進地では、行政が内部で部署異動も制限をして中小企業振興専門官を育て、直接伴走型支援を行っているケースもあります。各広域振興局にそのような機能を強化していくことも考えられますが、御所見を伺います。
キャリア教育においては、市町村、県教育委員会が連携し、各ステージにおけるキャリア教育を計画的に行うとともに、新卒者と地元企業のマッチングを積極的に行うことが重要と思われます。本県の高校生は、地元就職志向があっても、地元に本社を置く企業名を知らないというデータもあります。
ふるさと創生・人口減少対策調査特別委員会において訪れた福井大学では、就職担当に地元地方銀行出身者を充て、地元企業とのパイプを生かしながら学生への地元就職の可能性を示すとともに、企業側の採用力の強化にも努めておりました。
私は、本県大学においても、もっと言えば高等学校においても、地元企業に明るい人材を就職担当に置きマッチングを進めるべきと思いますが、県は本県の新卒者、高卒者の地元就職支援についてどのような具体策を行っていくのか伺います。
また、本年2月に提出されたいわてで働こう推進ミーティングの報告書において、社会人になり数年間を育成、キャリア模索期とすれば、早期離職は必要な現象と捉えると指摘していますが、県はこの現象をどのように捉え、新卒者の早期離職に対しどのように対応していくのか伺います。
岩手県復興実施計画は、第3期が平成30年度をもって終了し、平成31年度から始まる次期総合計画に集約されますが、引き続き、震災復興が県政における最重要課題であるとの認識のもと、復興後を見据えた地域振興、人口減少対策を総合的に取り組んでいくことが求められます。
先日、県政調査会で、震災遺構の保存活用と震災の記憶の伝承についてと題し、公益社団法人中越防災安全推進機構業務執行理事稲垣文彦様の講演を伺いました。
2007年新潟中越沖地震から10年になりますが、この10年を機に、中越メモリアル回廊の運営によって、震災復興から防災、あるいは防災をテーマとした交流人口の増加へ事業をシフトし、震災を機に地域とつながりを持った定住者の雇用の創出、継続にこれから取り組んでいくということでありました。
本県においても、震災を機に被災地につながりを持った若者は、人口減少が加速する被災地において、復興後の地域振興の担い手としても期待をするところでありますが、いわて復興応援隊など、震災を機に移住してきた方々の定住促進策を伺います。
平成28年11月に発行されたいわての学び希望基金活用状況報告によると、平成28年9月30日現在で、寄附件数は1万8、328件、85億5、578万円の寄附金が集まり、94名の孤児、489名の遺児の奨学金の給付に使われ、まさに全国の皆様の善意が子供たちの希望の光となっております。
一方、遺児、孤児が社会に巣立つまでを支える必要額を超える寄附が確保できたことから、県は、被災高校生の教科書購入費や部活動支援にも活用先を拡大したところでありましたが、私は、数十億円に及ぶ寄附金の使い道について、復興局が音頭をとって各部局をまとめ、しっかりと方向を定めるべきと指摘してまいりました。
平成30年度は、震災の年に誕生したお子さんが小学校に上がる時期を迎える年となります。被災されたお子さんの家庭環境を問わず、修学の機会を得られるよう、奨学金の金額や対象の拡充等について全庁的にしっかりと検討し実現すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
原木シイタケの再生産については、9月22日、5市町、12人の生産者が新たに出荷可能となり、これで出荷可能となった生産者は計12市町、183人となりましたが、いまだ127人が解除を希望しており、生産者の懸命の努力が続いています。今後、産地再生には新規参入者を含めた多くの生産者が再生産に手を挙げることが求められますが、以下、2点がネックとなっていると思われます。
原木シイタケは、植菌して約5年間、シイタケを収穫し採算をとることから、初期投資に負担のかかる作物であり、被災した生産者は、東京電力の賠償金を初期投資費用として原木購入費に充てている実態があります。県はそれに対応するため、請求から賠償されるまでの間を埋めるつなぎ融資制度を創設しましたが、認められるのは、賠償請求を行い東電と賠償の約束が交わされたものに限られています。
県からいただいた東電への請求、支払い状況資料では、請求に対しての支払いは97%と高いものになっていますが、個人の請求、各団体の請求それぞれに進捗はまちまちで、中には、交渉が難航したり事務手続に手間取り、請求すらできていない賠償事案もあると認識しています。
〔議長退席、副議長着席〕
県は、本県の原木シイタケ生産者の東電への損害賠償請求の実態をどのように把握しているのか、また、その実態に合わせたつなぎ融資などの支援策も制度変更していくべきと思いますが、御所見を伺います。
もう一つの課題が原木の高騰です。原木の高騰分のかかり増し経費は、現在、東電からの賠償と国からの2分の1補助で担保されていますが、原木の高騰を抑えない限り、新規参入者は見込めません。東電の賠償、国の支援の継続に不安を感じる生産者も多く、対応が必要であります。
原木の高騰あるいは時期を逸した搬入の原因の一つに、切り出し手の不足も挙げられます。安全な原木林のある地域に、原発事故の被災地のシイタケ生産者が切り手となって出張する原木切り出し隊の結成等検討するべきと思いますが、御所見を伺います。
県は、次期総合計画において、幸福をキーワードに、仕事や子育て、コミュニティーなど、人々が幸福と感じる要素を踏まえて本県の将来像を描くとしています。私は、人が幸福を感じるためには、現在の幸福だけではなく、将来への不安の払拭を行っていくことが重要であり、そのためには、ライフステージに合わせた切れ目のない支援が重要と考えます。県では、これまで、被災者イコール復興者に寄り添い、復興局をつくり、行政の部署ごとの垣根を越えて被災者イコール復興者に政策パッケージを提供してまいりました。次期総合計画では、その経験を生かし、行政側が県民に歩み寄り、将来不安を払拭するような切れ目のない政策パッケージを県民に見える形で提示していただきたいと思います。
県では、就労、出会い、結婚、出産まるごと支援プロジェクトを展開していますが、県民に対して政策パッケージとして伝わっているのでしょうか。遠野市が行い全県展開を提唱する岩手版ネウボラのように、ここに来れば何でも相談できるという、見える形での拠点も必要でしょう。また、障がい者教育についても、いかに教育環境を整備しても、障がい者雇用の不安を払拭しない限り、先行きの不安を払拭できないのではないでしょうか。
以上のことは一例でありますが、このような将来不安の払拭は、従来の県民計画、アクションプランの個別施策のABC判定からは見えない部分であり、幸福度という主観を次期総合計画に反映させるということは、政策と政策のつながりを重視した新たな目標設定、検証方法も必要になってくると思います。
知事は、基本原則として、幸福ということにこだわりながら、東日本大震災津波からの復興を進めてきた実績もあります。これを県政全体に広げていくことで、復興で培ってきた取り組みをオール岩手に拡大し、それを総合計画に生かしていくとおっしゃっていますが、これはどのようなことを想定しているのか伺います。
また、このように行政の縦割りを排し、政策と政策につながりを持って県民に示していくためには、行政と県民をつなぐ主体の一つであるNPOの育成も重要です。沿岸被災地には、震災を機に多くのNPOなどの団体が生まれ、あるいはつながりを持ちましたが、県内全体を見れば少ないとの印象があります。
環境福祉委員会で視察した八戸市のNPO法人はちのへ未来ネットが運営するこどもはっちは、まさに妊娠、出産、産後ケア、子育て支援まで何でも相談できる拠点であり、そこでお世話になった子供が高校生ボランティアとしてかかわっており、将来はその子供たちが成人したら結婚支援をし、今度は、親としてこどもはっちにかかわっていくというサイクルをつくりたいと代表の方は話されていました。
行政では部署異動があり、人と人とのつながりが重要視される施策の展開には限界もあります。県民にライフステージに合わせた切れ目のない支援を展開していくには、このように10年、20年スパンでその人とかかわり、サービスを提供していく存在が必要と思われます。県は、今後、NPOの育成に積極的に取り組んでいくべきと思いますが、御所見を伺います。
現在、ICTやIoT、AIが各産業を劇的に変える第4次産業革命期にあると言われています。本県の産業振興を進める上でも、また、行政の効率化の上でも、ICT、IoT及びAIに特化した人材の育成や民間からの出向者の受け入れも必要なのではないでしょうか。特にも、観光分野では、これから紙媒体からICT、SNSを活用した情報提供の転換、ビッグデータ、マーケティングの活用が急務でありますし、教育や医療でのICTの活用、スマート農業の推進、防災や鳥獣被害対策の現場でのドローンの活用も進められています。
県においては、これらの状況を踏まえ、今後、ICT、IoT及びAIの技術をどのように行政の現場で生かそうとしているのか、また、専門家の登用など、どのように考えているのか伺います。
全国各地での再生可能エネルギーの利用が広がる中、メガソーラーなどをめぐって住民からの苦情やトラブルが顕在化してきたとの報道がありました。朝日新聞、一橋大学などによる自治体アンケートでは、景観や太陽光パネルからの反射光による光害などが住民からの苦情の上位に挙げられており、本県においてはどのような状態であるのか懸念されます。
県では、再生可能エネルギーの導入を目標値を決め積極的に推進してきましたが、4月の改正法で事業計画認定に関係法令や条例の遵守が義務づけられ、適正な事業の実施を促す仕組みが用意されたことにも鑑みれば、推進とともに、住民の理解が得られるような環境や景観に配慮した事業規制にも取り組むべきと思いますが、県の所感を伺います。
去る8月20日から26日まで、県議会の視察団としてスイスのジュネーブのCERN、近隣2市、ドイツのDESYという研究所に視察に行ってまいりました。詳細の報告については、後日、議員の皆様に報告書を議員団として提出させていただきますが、よいことだけではなく、懸念材料も含め、現地でしか聞けないことを聞くことができ、大変有意義な視察でありました。議員、県民皆様に心から感謝を申し上げます。
CERNは開始から60年がたちますが、次々に新たな研究施設を建設し広がりを見せ、経済的にも発展しています。一方、それは、研究所があるということが一因ではありますが、同時に、産業振興施策の成果であって、ILCが来れば全てバラ色だという風潮に一石を投じる発言でもありました。
また、隣接地のうちの一つの市の筆頭副市長はCERNの研究者出身であり、もう一つの市の議員には、中国系の研究者の議員がいるとのことでした。ILCが誘致され、まちづくりをするということはまさにこのようなことであり、関係自治体が研究者のための施策を行うというのではなく、外国の方が主権者として自治体にくみされ、ともにまちづくりを行っていくことなのだと実感をさせられました。
ほかにも、トンネルの掘削ズリの処理や環境面などさまざまな不安材料もありますが、県は、県民に向け、このような不安材料についても堂々と提示し、議論をし、納得を深めていくことが大切だと思います。県の所感を伺います。
また、研究者が岩手県南に住まうことを想定し、国際都市の形成に向けた取り組みを加速させるべきであります。本県のインバウンド対策にもつながる取り組みであり、誘致決定を待たずに、県南を特区としてさまざまな社会実験を敢行するべきと思いますが、御所見を伺います。
希望郷いわて国体・希望郷いわて大会は、男女総合成績2位、金メダル55個を含む139個のメダルを獲得し、競技成績としてすばらしい成果を残しました。また、開会式、閉会式においてはすばらしい岩手の伝統文化を披露することもでき、岩手の魅力と復興する岩手の姿を全国へ大いにアピールする機会となりました。また、ことしの冬季国体の成績も男女総合4位、女子総合3位という結果で、選手強化のレガシーが継承されていると感じますし、盛岡のテニスのデビスカップ誘致など、競技関係者とのつながりを生かした大会誘致にもそれが感じられます。
一方で、スポーツツーリズムとしての希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の地元岩手への経済効果の検証は十分になされているのでしょうか。選手や関係者、観客輸送のため、岩手県内はもとより、近隣県からもバスが集められ、国体期間中のバスツアーの計画、実施が困難となったマイナス面もあったと聞きますが、集められたバスは有効に使われたのでしょうか。
また、宿泊予約についても、押さえていた部屋が大幅にキャンセルになるようなことがあれば、その検証も必要でしょうし、イベント運営会社への委託や宿泊予約の旅行会社を、大手ではなく地元業者を使った場合にもたらされる経済効果はどうだったのかの検討も必要と思われます。また、国体に来た選手、関係者、観客が、県内の観光施設や温泉などにどのぐらい立ち寄っていったかもデータとしてまとめるべきです。
今後、本県において、多くのスポーツイベントを誘致し、交流人口の増加や地域振興につなげていくためには、スポーツ関係者とともに観光関係者の協力を得ることが重要であり、県は、この成功に慢心することなく、関係団体や関係者とのヒアリングを重ね、スポーツツーリズムとしての国体をきちんと総括し、いわてスポーツコミッションの設立やラグビーワールドカップなどにつなげていくべきと思いますが、スポーツツーリズムとしての総括の状況とその内容をお示しください。
本年6月にアイーナで行われたいわてICTフェアにおいて、観客が観戦をしながら、端末から解説やさまざまなデータを入手しながらスポーツ観戦ができるスマートスタジアムの取り組みが紹介されておりました。今後、スポーツツーリズムを進めていくのに有用と思いますが、スペース、電力、空調という課題もあり、ICTに対応した設備を配置するにも機材を置くスペースがなかったり、設備を動かし、それを冷やすための電力と空調の新設という問題もあり、今後整備される施設においては、そこも考慮したつくりにする必要があるとの話でした。また、観戦のための設備設置は公共施設において目的外とされ、手続に手間を要するともお聞きをしました。ワールドカップに伴うスタジアムの建設も含め、県営施設のスマートスタジアムへの対応も検討するべきと思いますが、御所見を伺います。
マラソンによる観光振興を目指す自治体の首長らは、8月31日、全国御当地マラソン協議会を発足し、観光庁も後押しするなど、現在、国を挙げてスポーツ、文化を題材とした交流人口の増加に取り組んでいます。
一方、お祭りやスポーツイベントによる道路使用は、各県でそれぞれ定めるところ、その許可は、管轄警察署と主催者側との話し合いによって警察署長が行っていると認識しています。しかし、これから各地域のお祭りやマラソン、自転車競技など、公道を使用するイベントを観光資源としていくに当たり、年によって対応が違う、あるいは他県に比して規制が強過ぎるというのであれば、安定的なイベント運営と交流人口の増加という観点からの他県との競争に支障を来しかねません。
県警では、現在のスポーツ、文化ツーリズムの要請をどのように認識し、どのように対応していくのか、御所見を伺います。
いわて復興ウオッチャー調査における安全なまちづくりの達成度は、いまだ5割ほどにとどまっております。この原因として、社会基盤の整備におくれが生じていることも挙げられますが、昨年の台風第10号のような頻発する異常気象の影響も大いに考えられます。
私の地元である砂鉄川も4年前、大雨による洪水に見舞われ、多くの家で床上浸水などの被害が出ました。そのとき、河道掘削や雑木の処理、堤防のかさ上げ強化などを行っていただき、大変ありがたかったです。しかし、松川上流部の河道掘削は残したまま、気がつけば4年、河道掘削した箇所も掘削前の景色に年々近づいていっており、住民から不安の声も上がっております。これは、明らかに、河川の維持管理費と河道掘削や立ち木の伐採をしなければいけない箇所数とのつり合いがとれていないということであり、抜本的な予算の組み替えなど対応しなければ、県民が安心して生活をしていく基盤が失われてしまいます。
このような住民の不安を払拭するため、河川の維持管理をより効果的、効率的に推進する必要があると考えますが、県の御所見を伺います。
また、各地で実施されている住民協働による草刈りは、河川の管理に大いに貢献しており、県はこのような住民協働を各地域へ拡大させていく方針とお聞きしました。地域では、環境美化活動としての草刈りを継続していくことが必要と考えているものの、高齢化もあり、負担が大きくなっているとの不安の声もあります。
地域の住民の力が今後も必要である中で、住民協働による草刈りを継続して実施していくため、作業の負担軽減に努めていくべきと思いますが、御所見を伺います。
昨年は、岩手県内で死者、行方不明者23人という犠牲を出した台風第10号被害が発災しました。また、ことし7月には秋田や九州北部の大雨被害が発生し、これらの被害では、荒廃した山からの流木が橋桁にひっかかり、土石流が周辺集落を襲ったということがありました。こうした災害を防ぐ上で、洪水緩和の機能をする森林を適切に整備することが重要と考えます。
県では、いわての森林づくり県民税を創設し、森林の持つ公益的な機能の維持増進に努めていますが、災害防止につながる適切な森林管理整備に向け、これまでどう取り組み、今後の対応をどのように考えているのか伺います。
以上で質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、いわての学び希望基金についてでありますが、この基金は、東日本大震災津波により著しい被害を受けた子供たちに対する修学の支援や教育の充実等のため、平成23年6月に設置したものであり、これまで国内外から多くの御寄附をいただいています。
基金の活用については、平成25年度に奨学金の給付額を増額するとともに、部活動への支援を初め対象事業を追加するなど、子供たちの学びの環境の充実を図ってきたところであります。
今後とも、子供たちを取り巻く環境の変化や被災地のニーズに対応し、子供たちの健やかな成長が図られるよう、奨学金の拡充を含めたさらなる基金の活用策について、引き続き、検討を進めてまいります。
次に、復興の取り組みを踏まえた計画策定についてでありますが、本県では、東日本大震災津波からの復興に向けて、復興の基本方針を貫く二つの原則の一つとして、一人一人の幸福追求権の保障を掲げ、国の制度では補い切れない住宅再建支援を市町村と連携して実施しましたほか、水産業の早期再生に向けた漁業協同組合による漁船等の一括購入、共同利用システム構築など、従来の枠にとらわれず、被災者イコール復興者一人一人に寄り添いながら復興を進めてまいりました。
県政全般につきましても、このように県民一人一人に寄り添う姿勢が重要であり、次期総合計画においては、幸福をキーワードに、岩手が持つ多様な豊かさやつながりなどにも着目しながら策定を進めていきたいと考えております。
具体的な内容については、今後、総合計画審議会において議論することになりますが、岩手の幸福に関する指標研究会報告書で示されました仕事や健康、子育てや教育など、幸福に関連する12の領域に沿って施策を掘り起こし、次期総合計画に位置づけていく方向で検討を進めてまいります。
また、次期総合計画の推進に当たりましては、復興の取り組みを通して培ってきた地元の底力やさまざまなつながりの力も生かしながら、県政を推進してまいりたいと思います。
次に、スポーツツーリズムとしての希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の総括についてでありますが、両大会には、全国から多くの選手、役員などをお迎えし、延べ約17万人の宿泊、飲食や、お土産品等の購入、わんこ広場での県産品の販売等、一定の経済効果がもたらされ、また、高規格な競技施設において円滑な大会運営が行われたほか、安全・安心で高品質な県産食材をふんだんに使った食事、岩手ならではの温かなおもてなしなど、オール岩手の取り組みが、全国の方々から高い評価を受け、県民が自信と誇り、そして希望を持つことにつながったと考えております。
以上のような本県の取り組みは、国内、国外の競技関係者から高い評価を得ることとなり、ことし、東アジアU-22ハンドボール選手権が花巻市で、カヌージャパンカップが奥州市で開催されたほか、来年、テニスの国際対抗戦デビスカップの盛岡市開催が実現することとなりました。
このように、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会は、選手、役員や観覧者の消費支出などの直接的な経済効果をもたらすとともに、全国大会や国際大会の誘致につながる大きな契機となるなど、スポーツツーリズムの推進や地域振興に重要な役割を果たしたと考えます。
今月には、いわてスポーツコミッションを設立し、県内へのスポーツ合宿や大会の誘致等に取り組むこととしており、また、2年後にはラグビーワールドカップ釜石が開催されます。
今後におきましても、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を通じて得た成果や経験などのレガシーを継承し、大会の誘致や質の高い運営などにしっかりと取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔企画理事大平尚君登壇〕
〇企画理事(大平尚君) ILC─国際リニアコライダーについてでありますが、県では、これまでに講演会やホームページ等を通じてILCの意義や内容について説明し、県民の皆様からいただいた質問にもお答えしながら取り組みを進めているところであります。
工事で発生するトンネル掘削ズリについては、平成25年に行われたILCの国内候補地の立地評価の際には、掘削ズリのうち良質なものについては、トンネル内の建設やILC関連施設コンクリート骨材や盛り土などとして現地で活用し、余剰分については、仮置き場に運搬の上、他の建設工事等に活用することを想定した計画を提出したところでありますが、今後、ILCの計画の設計に応じて、さらに具体の検討を進め、適切に対応してまいります。
また、県では、これまでILCトンネル周辺の環境アセスメントの基礎データとなる鳥類や植生などの確認を行ってまいりましたが、現在、東北ILC準備室では、県も協力し、Q&A集のパンフレット発行の準備を進めており、今後とも、さまざまな機会を通じて不安や疑問にお答えし、地域の皆様の十分な理解を得られるよう取り組んでまいります。
次に、国際都市形成に向けた取り組みについてでありますが、県では、外国人研究者等が快適に生活できる環境づくりに向け、医療、教育等の受け入れ環境整備についての検討を行っているほか、外国人研究者との意見交換やアンケート調査などを実施して、課題の把握とその対策等について検討を深めているところです。その中では、漢字への対応や医療機関での多言語対応の重要性などについて意見が寄せられたところです。
加えて、本県が参画している東北ILC準備室では、外国人高度人材等の受け入れに関する規制緩和などを含めた国家戦略特区構想をテーマとして検討を進めております。
また、まちづくりに向けては、クラウド技術を活用した多言語対応システムの活用や自動運転とシェアリングエコノミーの連携など、社会実験も含めた未来型のまちづくりを、関係自治体等とも連携し検討を進めているところです。
今後も、世界のモデルともなる国際研究都市の形成を目指し、特区制度の活用も含め、前例にとらわれず幅広い観点から取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、産業の創出、起業家育成についてでありますが、県では、学生ベンチャーや、いわゆる社内ベンチャーをも含めたさまざまな新規創業者の活躍が、地域産業の活力ある展開の維持、増進、新産業創出に極めて重要であると考えており、各般にわたる施策を進めてきているところであります。
まず、起業の準備から創業段階におきましては、商工団体と連携した創業スクール等により経営ノウハウの習得などを支援しております。
次に、資金面については、各成長ステージに応じた大小さまざまな補助事業のほか、創業期を対象とした融資制度を設け資金繰りを支援しております。
また、施設面については市町村と連携し対応してきており、起業化支援センターや貸し工場、貸しオフィス等については市町村主体で整備し、県は、最近の例では、岩手県工業技術センターへの開放型ラボや大型電波暗室の設置など、ベンチャー企業の研究開発、技術高度化等の支援拠点の機能強化を進めているところであります。
加えて、産学官金連携によるいわて起業化サポーティングネットワーク会議を設置しておりまして、各主体の創意工夫による取り組みを進めており、その中で、地元民間によるベンチャーキャピタルの開始などの動きが出てきており、今後一層、民間活力の展開が加速されていくことを期待しております。
このようなベンチャー企業育成の取り組みをさらに強化していくことで、ILCや第4次産業革命に対応した新産業の創出につなげていきたいと考えております。
次に、中小企業の振興についてでありますが、まず、平成27年度中小企業の振興に関する施策の実施状況については、全45指標のうち、達成度AまたはBの指標が8割を超えており、中小企業振興基本計画に基づく施策の実施状況は、おおむね達成されているものと捉えております。
次に、議員から御指摘のあった達成度がCまたはDであった指標についてですが、まず、県内高卒者、学卒者の県内就職率につきましては、平成28年度におきましては、いわてで働こう推進協議会等の積極的な活動によりまして、県内高卒者の県内就職率は、速報値で66.3%と前年を2.2%上回って、目標値を達成する見込みとなっております。
また、商工会、商工会議所経営指導員、中小企業団体中央会指導員による巡回指導等実施企業・組合数については、震災復興に取り組む事業者に対して、継続的に同一企業に何度も指導を行っていることによりまして、巡回先の延べ件数では目標値の約3倍である3万6、000件を超えたところでございますが、指標としております企業、組合の訪問実数は伸び悩んだものであります。
さらに、卸売・小売業における就業者の一人当たりの県内総生産やものづくり関連分野の製造品出荷額については、前年に当たる平成26年の消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動などから、目標を下回ったものと受けとめております。
県といたしましては、今後とも、中小企業者、行政、関係団体等と一体となりまして、一層の生産性向上や人材の確保、育成等、中小企業の振興に関する施策を総合的、計画的に推進し、中小企業者の持続的な事業展開を支援してまいります。
次に、伴走型の産業支援の強化についてでありますが、県では、中小企業者の持続的発展を図るため、市町村、商工指導団体、金融機関等と密接な連携のもとに中小企業施策を推進しておりまして、中小企業者の経営課題解決に向け、継続的にサポートする体制の充実を図ってきております。
中でも、商工会議所、商工会は、平成26年の小規模事業者支援法の改正において伴走型支援の主体として位置づけられました。地域の中小企業に寄り添いながら、事業計画の策定からその着実な実施まで切れ目のない支援を実施しております。
県としましては、中小企業者支援について、高い知見と指導実績を有する商工会議所、商工会など商工指導団体が、機能を十分発揮できるよう緊密に連携するとともに各種支援策を講じておりまして、金融機関や他の支援機関との連携においても、適切な機能分担を図りながら、より厚みを持たせた中小企業支援を展開していく考えでございます。
次に、新卒者、高卒者の地元就職支援についてでありますが、まず、御指摘の福井県と同様、本県におきましても、県内大学等が連携し、学卒者の地元定着率の向上などを推進するCOCプラス事業等によりまして、地元の産業、経済に精通した専門職員の配置や専門組織の設置など、学生と県内企業とのマッチングを精力的に進めているところでございます。
また、県内各地域には、地元の企業に詳しい39人の就業支援員を配置いたしまして、高校生に対し、県内就職に向けて積極的に企業とのマッチングを展開しているところでございます。
また、昨年度からは、いわてで働こう推進協議会を核としまして、情報発信の強化を初め、さまざまな取り組みを行っているところでありまして、加えて、高卒者の県内就職率の向上を図るため、7月には、教育関係機関や経済団体等による高卒者の県内就職ワーキンググループを設置いたしまして、現状分析や調査等を行った上で、今後の取り組みについて検討していくこととしておるところでございまして、これらの施策を総合的に推進していくことによりまして、新卒者等の県内就職の促進に取り組んでまいります。
次に、早期離職対策についてでありますが、昨年度実施したいわてで働こう推進ミーティングでは、入社数年を研修期間とする正社員雇用や同業種の企業による一人前養成組織など、採用する企業側に対する早期離職防止のためのさまざまなアイデアが出されたところでありまして、これらは、これまでの枠組みにとらわれない新しい概念であり、メッセージとして受けとめておりまして、これらのアイデアやメッセージなどを企業側に伝えることによって、今後の早期離職防止策を講じていく手がかりになっていくのではないかと考えているところでございます。
このような思いもありまして、今年度は、これらのアイデアをもとに、サービス業と情報通信業を例とし、企業や行政、学校関係者等による議論を行っておりまして、その結果については、いわてで働こう推進協議会や各構成団体において共有し、どのような活用方法があるのか引き続き検討していくこととしております。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) いわて復興応援隊の地元定着についてでございますけれども、県では、国の復興支援員制度を活用し、被災者の見守りや地域振興の支援などを行ういわて復興応援隊を県内外から広く募集し、これまで、沿岸市町村を中心に47名の隊員を配置してきたところでございます。
復興応援隊は貴重な人材であるため、隊員の任期終了後の地元定着も見据えながら、活動のスキルアップや地域おこし協力隊を含めたネットワークづくりのための研修会の開催、起業の支援制度や各種セミナーなどの情報提供、あるいは個々の隊員のニーズに応じたフォローアップなどを行っているところでございます。
その結果、これまでに退職した隊員26名のうち約7割が県内に定住しているほか、本年8月には、復興応援隊を中心とした有志が、三陸地域のまちづくりのためのNPO法人を立ち上げるなど、活動の裾野が広がっておりまして、今後も、本県につながりを持った方の地元定着につながるよう、市町村や関係団体等と連携しながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ICTの行政での活用等についてでございますけれども、第4次産業革命の波と言われているIoTやAI等は、その技術進歩が著しく、産業発展等に大きく資するものでありまして、また、人口減少社会における労働力不足を補う上でも極めて重要なものと認識しております。
県では、これまでもICTを活用した医療情報連携や教育現場における情報化、GIS情報やロボット等を活用した農業分野での生産性の向上等の取り組みを進めているところでございます。
県としては、県民サービスの向上に向けた行政手続のオンライン化のほか、農林水産業や医療介護、防災、教育分野、産業振興など、各政策分野におけるさまざまな地域課題の解決に向けた重要なツールとして、本県の地域特性を踏まえたICT等の利活用を全庁的に一層推進していく考えでございます。
このため、部局横断的な検討会議を立ち上げまして、次期総合計画の策定と歩調を合わせながら、ICT等の利活用に関する計画の策定作業を進めているところでございますけれども、専門家の登用などにつきましては、国の人材派遣制度を活用しながら、計画策定の中で検討してまいりたいと考えております。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、原木シイタケ生産者への支援策についてでありますが、県では、東京電力へ損害賠償請求を行っている各協議会から、請求や賠償の状況を定期的にお聞きするとともに、請求がおくれている事項がある場合には、課題等の解決に向けて助言を行うなど、必要な支援を行っているところであります。
一方、東京電力に対しても、対応状況を随時確認し、迅速な支払いを求めてきたところでありますが、課題となっていた原木購入のかかり増し経費については、支払いに向けた調整が進んできたことを確認しており、引き続き、速やかに賠償金が支払われるよう強く求めてまいります。
また、生産者の資金繰りを支援する原木しいたけ経営緊急支援資金につきましては、生産者の要望や関係者の意見を踏まえ、賠償請求額全額が貸付対象となるよう、現在、貸付規則の改正手続を進めているところであり、生産者が安心して再生産に取り組んでいただけるよう、引き続き支援を行ってまいります。
次に、原木の高騰への対応についてでありますが、本県のシイタケ生産者が使用するコナラ原木の需給が全国的に逼迫する中、これまで県では、関係団体等で構成するしいたけ原木供給連絡会議を設置し、素材生産業者や他県等へ原木供給の働きかけを行うなど、関係者の協力のもとに、希望する全ての生産者に原木を確実に供給できるよう需給調整を行ってきたところであります。
原木切り出し隊につきましては、伐採可能な森林の確保や森林所有者との合意形成、また、活動が個別に展開された場合の全体の供給バランスへの影響などについて、連絡会議や素材生産者等の意見などを聞きながら検討する必要があると考えております。
このため、県としては、引き続き関係者と連携し、原木確保のための効果的な手段について検討を進め、植菌時期に対応した適期納入など、シイタケ生産者の意向に配慮した原木供給に努めてまいります。
次に、災害防止に向けた森林整備についてでありますが、県では、豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくため、平成18年度にいわての森林づくり県民税を創設し、手入れのおくれた森林を公益的機能の高い森林へ誘導する、いわて環境の森整備事業を実施してきたところであります。
この事業は、公益上重要で緊急に整備が必要な森林を針葉樹と広葉樹の入りまじった針広混交林へ誘導する強度間伐を実施するものであり、森林の持つ土砂流出防止や水源涵養などの機能向上につながるものと考えております。
平成28年度までに約1万5、000ヘクタールの森林整備を行ってきたところでありますが、今後とも、本事業が災害防止につながることを普及啓発しながら、着実に事業を推進してまいります。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) まず、NPOの育成についてでありますが、NPOは、福祉、教育、文化など社会の多様化したニーズに応える大切な役割を果たしており、特にも東日本大震災津波以降は、復興支援活動や地域コミュニティーの支援などの担い手としても重要であると認識しております。
県では、平成26年度に造成したいわて社会貢献・復興活動支援基金を活用し、行政だけではサービス提供が困難なさまざまな分野での復興支援活動や社会貢献活動を実施するNPO等への活動費の助成を行うとともに、経理指導や会計講座等による組織運営基盤強化の取り組みのほか、寄附募集セミナーや企業とのマッチング交流会、創業セミナーの開催等による事業型NPOの育成など、継続的な支援に取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、NPOが地域で期待される役割を十分に果たせるよう、その育成と持続的な活動に向けた支援を引き続き実施してまいります。
次に、再生可能エネルギーについてでありますが、県内における導入状況は、太陽光やバイオマス発電を中心に順調に進んでいるところであります。現時点で、発電施設の立地による環境等への直接的な影響があるとのお話は聞いておりませんが、他県での事例等については承知しているところでございます。
こうした中、改正FIT法におきましては、事業計画の認定に当たり、自治体や地域住民への説明や事業廃止時の設備の廃棄などについて、新たに制度が盛り込まれたところでございます。
また、県といたしましても、自然環境や景観に配慮した太陽光発電事業等の導入の観点から、国に対し、地域の意見を聞く仕組みや事業後の太陽光パネル等の確実な処分の仕組みの導入など、制度改善を要望しているところでございます。
今後におきましても、引き続き国に対し要望するとともに、防災上の観点や自然景観への影響なども考慮しながら、環境と調和した再生可能エネルギーの適正な立地のあり方につきまして、市町村や有識者の御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) スマートスタジアムについてでありますが、これは、電気通信事業者がJリーグ等と連携し、スタジアムなどにおいて、Wi-Fi機能を生かし、試合の詳細な映像や他会場の試合状況をスマートフォンで入手できるなど、映像情報サービスを提供する取り組みであり、昨年11月にスポーツ庁が策定いたしましたスタジアム・アリーナ改革指針に掲げるスタジアムにおけるスポーツの価値の最大化の方向性に沿ったものであります。
また、この指針によれば、このように新たな観戦スタイルを提供することに加え、スタジアム近隣の商店街と連携しまして、店舗の割引サービスあるいは地図情報等を提供することにより、観客を店舗に誘導するなど、スタジアムを核とした地域振興の効果も期待できるとされております。
一方で、このシステムの導入には相当な経費負担が見込まれるなどの課題もありまして、今後、スポーツ施設の整備に向けた検討に当たりましては、スマートスタジアムを初めとするICTの活用事例等を参考にしながら、その導入、活用のあり方について研究してまいりたいと存じます。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) 河川の維持管理についてでありますが、昨年の台風第10号の出水によりまして、多くの河川で土砂の堆積が進んだことから、県では、河道掘削及び立ち木伐採の年次計画を見直したところであります。
計画を実施するに当たっては、全体の事業量が大きくなることから、予算の確保に努めますとともに、限られた予算の中での効果的かつ効率的な実施が必要となると考えております。
具体的には、市町村の要望も踏まえながら、近年浸水実績のある箇所や資産の集中箇所など、緊急性があり事業効果の高いところから実施していくとともに、民間事業者による砂利採取の活用や掘削土砂の有効活用などによりまして、コストの縮減にも努めてまいります。
次に、地域住民との協働による維持管理についてでありますが、住民協働による草刈りなどのボランティア活動は、良好な河川環境の維持向上を図る上で重要な役割を担っていると認識しておりまして、県では、これまで、住民によるボランティア活動を支援する制度を設け、活動に必要な用具の支給や保険料の負担などの支援をしてございます。これに加え、例えば、草刈り後の収集、運搬、処分や、草刈り作業に支障となる立ち木の伐採などを県が行うなど、地域の方々の作業負担の軽減にも取り組んでおります。
今後も活動を継続していただけるよう、住民の方々から、負担となっている具体的な内容などを伺いながら、地域ごとの事情に応じた支援に努め、住民協働を推進してまいりたいと考えております。
〔警察本部長友井昌宏君登壇〕
〇警察本部長(友井昌宏君) スポーツイベント等での道路使用についてでありますが、初めに、スポーツツーリズムについては、岩手県文化・スポーツ振興戦略において、スポーツイベントの開催により、県内外の人々との交流拡大や地域の活性化を図ることとされており、文化ツーリズムについても同様の効果が期待できるものと認識しております。
次に、スポーツ、文化ツーリズムへの県警察の対応について、スポーツイベント等での道路使用に関しお答えいたします。
道路使用の許可基準は、道路交通法第77条の規定により全国で統一をされ、道路使用行為の種類に応じた判断基準により、管轄警察署長が個別具体的な交通実態に応じて許可することとなっております。
地域活性化等に資するという社会的な意義があり、地域住民、道路利用者等の合意に基づいて行われるイベント等への対応につきましては、関係者への必要な助言、情報提供等を行うとともに、関係機関、団体と連携をしながら、道路使用許可制度の弾力的な運用に配意しつつ、道路利活用が安全、円滑に行えるよう努めてまいります。
〇17番(佐々木朋和君) 御答弁ありがとうございました。再質問を数点させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
まず、新卒者、高卒者の地元就職支援についてでございます。丁寧な答弁をいただきましてありがとうございます。
その中で、私が質問の中で紹介をさせていただいた福井大学の例のみそは、学生たちに地域の企業のことを知ってもらう、また、マッチングをしていくということと同時に、企業側の採用力の強化にもつなげるような取り組みをしているということだと思います。やはり、子供たち、若者が、地域の企業を知るということ、また、マッチングをさせるということが第一歩なんですけれども、一方で、企業の都会に負けないような企業体としての成長、もっと言えば、採用力、人を雇用するときのアピールの仕方、あとはそういったところの機能も指導していかなければいけないんだろうと思っております。そこを大学の就職部がやっているというのがすばらしいところでありまして、ぜひともここの点について、企業側の採用力の強化というところをどのように考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
次に、いわて学び希望基金には、知事から前向きな答弁をいただき、ありがとうございます。
そこで、復興局長にお聞きしたいと思うんですけれども、私が質問の中で指摘させていただきました、震災のときにお子様がお腹にいた、もしくは生まれた子供たちが小学校に上がるということは、イコール、それだけ支援をするべき子供たちの総数というのが見えてきたということだと思うんですね。ですので、私は来年度に向けて、今こそ支援の拡充というところを大きな方針として出していただきたいと、こういった意味での質問でございましたが、来年度の予算に向けてどういった具体的な検討をされているのか、これについてもう一度、答弁をいただければと思います。
次に、最後になりますけれども、河川の維持管理について県土整備部長にお聞きをしたいと思うんですけれども、御答弁の中で、民間の採掘業者の方にもとっていただくことを推進したいということをおっしゃっておりましたが、現状としては、山を切り出して砂利をとってくるのと河川からとるのでは金額的に大きな差があり、やはり今主流としては山を切り出してとっているのが多いのではないかと思うんです。一方では、そこで、金額的にはそうであっても、河川の砂利を民間の方にとっていただくということは、治水にもつながるという意味合いを持てば、公共事業等でそういうことを優先させるような取り組みをしないと、いかに奨励をすると言っても、なかなか砂利採取というのは進んでいかないのではないかと思います。そういった意味も含めて、では、民間の砂利採取を進めていくということにあっては、県としても、その点については公共事業の発注などでそういったインセンティブをつけていくことなども考えていらっしゃるのか、この点について伺いたいと思います。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 企業側のいわゆる採用力の強化についての御質問でありました。
私どもも、企業側の採用力強化は非常に重要な意味合いを持つものだということで、これまでも、企業側のいわゆる人事担当者あるいはマネジメントクラスの方々向けに、さまざまなセミナー等を展開してきているところでございます。
議員御指摘の企業に精通し、なおかつ企業側を変えていく力を持ったマンパワーといいますか、いわゆる専門員の導入につきましてもこれから検討していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) いわての学び希望基金のさらなる活用に向けた現在の検討状況でありますが、今年度、関係部局をメンバーとするワーキンググループ的な調整会議を設置し、検討を進めているところであります。
来年度に向けた具体的な方向性につきましては、来年度の予算編成過程の中で詰めていくことになろうかと思います。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) 河道の掘削における民間事業者の活用ということについてでございますけれども、まず、河川の維持管理についてコストがかかるということについての効率化、コスト縮減について積極的に民間の事業者のお力をお借りしたいということについては、そういう方向で前向きに検討してまいりたいと思っております。
一方で、公共事業で使われる砂利を河川から掘削の砂利を優先するということにつきましては、使われる先での砂利の品質であったりあるいは運搬の距離、こういったものがかかわってくると思いますので、そういったバランスの中で、使えるものについては積極的に使ってまいりたいと思いますが、河川からとれたものを優先するというようなところは一概にはなかなか言えないのかと思ってございます。
〇17番(佐々木朋和君) 民間の砂利採取を進めていくために、公共事業でのインセンティブをつけることの質問に対する答弁では、どういったことをイメージしているのか私にはわかりませんでしたけれども、その点についてもう一度お話をお聞きしたいと思います。
あと、文化、スポーツについて、国体の総括という面でも再質問させていただきたいと思います。
知事からは、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会のレガシーとしていろいろな大会の誘致につながったということで、大変私もすばらしいと思っております。これから大事なのは、地域が潤ったという実感だと思うんです。私はそういった意味で、そこに、行政の思いと民間業者の思いに差があったら、それは継続していかないと。だんだんスポーツツーリズムを続けていくうちに民間が疲弊していくということでは、私はだめだなと思っているわけでありまして、その点について、私は、成功だという自信をレガシーとしてつなぐということもある一方で、やっぱりよりよく進められるために、今ある課題をしっかりと県民で共有して次につなげていくということも大事だと思っております。そういった意味で、文化スポーツ部長にお聞きをしたいと思いますが、そういった詳細部分について、今、県のほうで業者からヒアリングもしているのもあるかもしれませんし、取りまとめているのもあるのかもしれません。そういったものについてお聞かせをいただきたいと思います。
〇県土整備部長(中野穣治君) 河川からの砂利採取、民間事業者からの砂利採取、これは奨励していき、積極的に活用していきたいと思っております。一方で、公共事業で使われる砂利について、どこからとれたものを指定するかということについは、これは業者側のいろんな事情もありますし、そこを指定するという方向にはなかなかできないと思っていますが、いずれにしても、河川での砂利採取に要するコストも含めて、奨励することによって使われていくように考えていきたいと考えております。
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) 希望郷いわて国体、希望郷いわて大会についてのさまざまな意味での総括あるいは課題等の生かし方ということの質問かと存じます。
県では、両大会終了後、事業者や業界団体へのヒアリング等を行いました。しかしながら、その際には、公表はしないという約束でもって応じていただいたという経緯があります。大変恐縮でございますが、具体的な内容について触れることについては差し控えさせていただきたいと思いますので、御了解をいただきたいと思います。
その範囲の中で二つだけお話をさせていただきたいと思います。
まず宿泊面ですが、こういったスポーツ大会、特にトーナメントを前提としている競技大会におきましては、勝ち進むことを前提に宿泊を確保させていただいております。そうなりますと、敗戦となりますと、予定した期日よりも早目に引き揚げるということはどうしても起こり得るものであります。このことについては、協力をいただいた業者やホテルとかには十分御理解の上、お引き受けいただいたということではありますが、そこでは宿泊の穴があいた結果にはなったという例は聞いております。これについては、こういった大会があった際には、十分に御説明をして御納得、御理解をいただいた上で、そういう取り組みを進めてまいりたいと思います。
それから二つ目ですが、こういった大きな大会を進めるためには、例えばイベントの開催に関する業務委託とかを当然やられる。この場合には、今回の国体に関しましてはプロポーザル方式でやらせていただきました。その中では、中央の業者に加えて、必ず地元の業者もJVを組んでプロポーザルに臨んでいただきたいということで条件に付させていただきました。そういったことで、必ず地元の業者にもかかわっていただくという仕組みでやらせていただいております。
これからの展開につきましても、そういったことをぜひ参考にし、ほかに工夫の余地とかあるかもしれませんので、検討させていただいた上で臨んでまいりたいと存じます。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時3分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時24分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。千田美津子さん。
〔1番千田美津子君登壇〕(拍手)

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