平成29年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(千葉絢子君) いわて県民クラブの千葉絢子です。
本定例会において一般質問の機会を与えていただき、皆様に感謝いたします。
それでは、通告に従い質問いたします。
初めに、県では近年、若者と女性の活躍を推進する取り組みに力を入れていますが、まずは、若者の活躍支援について伺います。
県では、震災をきっかけにした岩手の若者たちによるNPOやボランティア活動の盛り上がりを受け、地域に貢献する人材を育成するため若者活躍支援に力を入れるという方針を示しています。これを受けて、県では、知事の肝いりで平成25年度からいわて若者会議、平成26年度からいわて若者文化祭の開催や、いわて若者ポータルサイトコネクサスの開設などの取り組みを行っています。
このうち5年目を迎えたいわて若者会議は、選ばれた数人の若者が、まちづくりや地域産業の活性化などについて、その取り組みを紹介し、知事と意見交換をするというものです。しかし、9月に行われた会議では、会場になっている盛岡市内のホールは収容人数100人程度、当日の資料配布は200部程度だったと伺いました。この会議の予算は、盛岡市での全体会議、県北、沿岸、そして首都圏の4会場等の開催費でおよそ400万円ということですが、誰に向けて、どのような目的で開かれ、そして、どんな成果を上げているのか、我々には見えてこないというのが実感です。
また、いわて若者文化祭は、音楽ステージやダンス、各種の展示発表など、若者の文化活動の発信の場として、当初3年計画で企画され、初年度は800万円の予算を計上しスタートしました。しかし、当初の3年を過ぎたことしも開催は継続となり、今年度の予算は、初年度より2割ふえておよそ1、000万円に上っています。
内容については、盛岡市近郊の若者の歌やダンスなどのステージ発表が多く、去年は70団体が出演、出展し、4、400人の来場者があった中で、パフォーマンス部門で優勝したのは、いわゆるヲタ芸だったと伺っております。現在のこうした取り組みでは、若者の流出をとどめ地域に貢献する人材を育成するという本来の目的を果たしていないと感じます。
これらの事業を初めとする県の若者活躍支援施策が、具体的にどのような成果を上げていると評価しているのか、知事に伺います。
また、これらの取り組みについては、発信力のある限られた参加者にのみ利益が還元され、ほかの何万人という若者については、何の恩恵も受けられていないのが現在のやり方のように感じます。
知事は、県の事業に予算を計上する際には、選択と集中という言葉をよくお使いになりますが、これらの事業は、県が若者支援施策の目玉に挙げるほど県内全域の若者に波及しているとは考えられません。県民にきちんと伝わっているのでしょうか。
県の若者支援施策をさらに多くの若者が恩恵を受けられるようにすべきと考えますが、知事としてどのように考えていらっしゃるのか伺います。
一方、いわて若者文化祭の実行委員会には学生も含まれて企画をしているようですが、あらかじめ、およそ1、000万円もの予算を県が持つというお膳立てのもとでは、若者自身が、お金を集めることの大変さ、ネットワークの築き方を知らぬまま社会に出ていってしまうのではないか、それはかえって若者の自立を妨げることにならないかと不安に感じています。
また、いしがきミュージックフェスティバルを初め、学園祭などは、主催する企業や大学、各種学校、それから団体が、協賛金を募って同様のイベントを同規模で開催しております。若者支援の形として、その費用のほとんどを県が負担するイベントである必要性は感じられません。
今、若者支援のために予算を割くべきは、こうしたメディア受けするようなパフォーマンスの支援ではなく、将来の岩手のために貢献できる人材づくりのために本当に効果のある投資なのではないでしょうか。こうしたイベント中心の支援策は、2020年の社会減ゼロを目標に掲げている割には、危機感が感じられません。
知事は、このような支援策で本当によいとお考えなのか伺います。
この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
〔3番千葉絢子君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉絢子議員の御質問にお答え申し上げます。
若者活躍支援の成果についてでありますが、復興を進めていく中、地域で活躍している若者に接し、岩手の未来を創造していくためには、若者の継続的な力が不可欠であるとの考えから、若者の活躍を後押しする施策を進めてきたところであります。
これまで、いわて若者会議では、地域で活躍する若者同士のネットワークづくりを図り、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすに関連したさまざまな意見交換を行ってきたところであります。また、いわて若者文化祭では、多様な文化芸術に積極的に取り組み、新しいことに挑戦する若者の姿を県内外に発信してきたところであります。
これらの参加者からは、岩手を盛り上げる志ある皆さんと意見を交わせたことは有意義だった、自分たちの個性が出せるすてきな機会だった、今後も続けてほしいなど、さまざまな意見も寄せられており、地域、学校、職場を超えた新たな若者のつながりが生まれてきたものと考えております。
今後におきましても、内容の充実を図りながら、これらの取り組みを継続し、復興とふるさと振興につなげていきたいと考えます。
次に、県内全域の若者への波及についてでありますが、県ではこれまで、若者の主体的な活動を促しながら、交流のきっかけづくりとして、いわて若者会議やいわて若者文化祭などを開催しており、これらのイベントにおいては、地域での開催や出演者の各地への派遣のほか、SNSやウエブサイトでの動画配信を積極的に行うなど、多くの若者に伝わるよう取り組んできたところであります。
また、アパレルなど各産業分野の若者の活動を支援する取り組みも進めていますほか、若者の県内定着を図る観点から、ものづくり産業を担う若者を対象としたいわて産業人材奨学金返還支援制度を設けたところであり、今後もこれらの取り組みを重層的に展開し、さまざまな分野や地域で若者が活躍できるよう支援していきたいと考えます。
次に、今後の若者活躍支援のあり方についてでありますが、これまでのいわて若者会議、いわて若者文化祭の取り組みなどにより、若者の交流やネットワーク形成が着実に進んでおり、例えば、7月に平泉町で、地域の若者がみずから企画し、伝統芸能やダンスなどを発表したまつりフェスが開催されたほか、8月には、滝沢市内で大学生が交流する学生フェスや、また、9月には、北上市内で大学生のアカペラバンド等の音楽祭が開催されるなど、県内各地で若者の主体的な動きが広がってきています。
このような動きがより活発になっていくことが大切であると考えておりまして、県としては、若者が集い、これからの岩手について研究や提言を行うなど、岩手における経済的、社会的な生産性向上につながるようなイノベーティブな場が必要と考え、いわて若者会議でも同様な提案がありましたことから、7月にいわて若者カフェを開設したところであります。
こうした取り組みとあわせて、県の総合計画審議会に若者部会などを設置することとしておりまして、今後も、岩手の未来を担う若者の意見を積極的に取り入れて、若者の活躍を後押しする施策の充実を図ってまいります。
〇3番(千葉絢子君) 基本的なお考えを伺いましたが、私は、感想や理念ではなく、この若者活躍支援施策の人材育成の観点からの成果をお伺いしております。いま一度御答弁をお願いいたします。
〇知事(達増拓也君) 若者、女性活躍支援の事業はいろいろございますけれども、経済的、社会的生産性の向上という観点からは、若者文化祭の企画、またコネクサスという若者サイトの立ち上げと運営、そして、それらに集まった団体相互のボランティアと社会系の団体相互の交流や情報交換などによりますそれぞれの生産性向上があったと思いますし、大学生の工学系、ものづくり系といった分野では、経済的な生産性向上にも役立ったのではないかと思います。
〇3番(千葉絢子君) 私は、きちんと知事から御答弁をいただきたいので、本質問につきましては、あらかじめ提出をして御検討をいただいているわけです。前回の一般質問でも私は苦い思い出がございますので、そこはしっかりお尋ねしたいところです。
私は私の言葉で質問させていただきたいと思います。本当は政策の議論がしたいという思いでおりますので、知事、そして執行部の皆さんにおかれましても、誠実な御答弁をお願いしたいと思います。
今は県側、そして来場者の方の感想、それから、成果として考えているものをお話しいただいたと思います。私は、このいわて若者会議は、若者の流出をとどめ、地域に貢献する人材を育成するという本来の目的があると思っております。ただ、参加したいわて若者会議のメンバーからも、この施策の方向性について実は疑問の声が上がっております。といいますのは、自分の発表は一体誰のためになっているのか。当日は200部の資料をお渡ししたと伺っておりますが、実際の来場は100人未満だったと聞いております。そして、自分の発表が誰のためになっているのか、この会議によって何が生まれるのか、いま一つ実感が湧かなかったと言っていました。
この若者会議では、知事が若者と意見交換をされていますけれども、知事の県政運営の中で、この若者会議はどのような位置づけになっているのか、また、こうした参加した若者の声に今後どのように応えるか、また、具体的にどんな成果につながっているとお感じか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) まず、若者の人材育成という観点からしますと、いわて林業アカデミーでありますとか、農業大学校でありますとか、また、ものづくり系でも、工業高校の強化でありますとか、人材育成というところに視点を置きますと、さまざまな事業がいろいろあるわけです。ものづくり系の新しい奨学金であるいわて人材奨学金返還支援制度というものもそうなのですけれども、いわて若者会議について質問が集中していましたので、いわて若者会議については、そういう個別の教育訓練というよりは、もう少し広いビジョンや情報の共有というところが大事かと思っております。
そうした中で、ことしやった会議、この前やった会議では、あいている店舗を活用したいわゆるリノベーションというものが全国的に注目されていて、岩手でもさまざまな事例があるのですが、リノベーションのやり方について改めてかなり丁寧な報告があって、これはかなり参考になるものとなったのではないかと思います。私自身にも参考になりました。それから、釜援隊に参加している方の釜援隊に参加した経緯、そして、外国企業も呼んで林業振興しているような事例の報告も大きく役に立つものだったのではないかと思います。
また、いわて若者カフェの実施のように、若者会議の中で出た提案をもとに県として事業化しているものもあります。超人スポーツを去年、国体・大会プラスで実施したことは、若者文化祭での有識者の提案をベースにしているのですけれども、そういったことがございます。
〇3番(千葉絢子君) 今お話のありましたいわて若者カフェは、本当は9月から具体的な事業がスタートする予定でしたが、今10月に入りまして、まだその具体的な姿が見えてこないというところもあります。人材を育成するという観点から、若者の発表にとどまるのではなく、その対象を誰にするか。例えば中学生、高校生、それから大学生の皆さんに聞いていただいて、これから社会に出ていった後にどのようにネットワークをつくり、事業を立ち上げていくか、そういった参考にしてもらうなどの、やはりその対象を明らかにすることも、この若者支援策、お互いが刺激をし合うという観点で大切になってくるのではないかと思います。
ただ、いわて若者会議につきまして、知事は、盛岡会場以外には、沿岸、そして県北、それから首都圏のほうには足を運んでいらっしゃらないということをお伺いしております。実際、盛岡以外の若者の声はどのようにして知事に届いているのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 報告書の形で読ませていただいております。
〇3番(千葉絢子君) 具体的に施策の参考になったような若者からの声というのは、どういったものがありますか。
〇知事(達増拓也君) いわて若者カフェについては事前の質問通告がなかったと記憶しておりまして、今、思い出して答弁させていただいておりますけれども、やはり岩手から東京に出て活躍している若い人は多いわけですが、その人たちが岩手に関して東京で集まれる場をつくることで、今の岩手とつながり、むしろIターン、Uターンが盛んになって、東京のほうでそういう岩手関連イベントをやる事務局員を東京で集めるのに人が足りないようになってきているということが、そういった岩手に関する若者イベントを東京でやる意義だと思います。たしか県の30万円を上限とした若者を対象とした助成制度でそういった活動を支援しているのですけれども、そういった事業はやはり有効だと感じました。
〇3番(千葉絢子君) 私も学生時代4年間東京におりました。それで、就職するかどうかというところで、地元か東京かと悩んだこともあるのですけれども、そのときに私が地元に帰ってくるきっかけになったのが、ふるさといわて定住財団から送られてきた岩手の企業で働く若い社員の体験談のようものでして、それを読んで、あっ、ふるさとに帰るのもいいなと思いました。
Uターンを推進するためにも、進学とか就職のタイミングで出ていった方を呼び戻すためにも、ぜひコネクションというか、関係が途切れないようなきめ細かい連絡をしていただけたらありがたいと思っております。
私は、本当の若者支援は、若者の就職環境を改善することだと思います。これは賃金の面でもそうですけれども、それから、先ほど、ものづくりとか工学系の学生に対する言及はありました。けれども、本当に働く場所を求めているのは大卒の文系女子なのですね。そういった方々の職場環境を整えることなのだと思っております。そういった支援は、若者、女性が、社会で競争力を持ち、身を立てていく力のある若者を生み出していくための教育、それから、産業界の若手の人材育成に対する投資などであるべきだと私は思っております。これは理系に限りません。
自力で起業できる若者は本当にわずかなんですね。多くの場合は、私のように、学校を卒業して、就職して、地域社会の一員としてこの世の中を支えていくのです。それが大多数だと思っております。親たちが苦労して学費をつないで育てた若者を、我々社会がお預かりして、将来の岩手のかじ取りをしてもらう人材に育てていくための若者支援であるべきだと私は思うわけです。
メディアが飛びつきやすい、わかりやすい、そういった県政の宣伝広告のために、若者とか女性とかという言葉を安易に使ってほしくないと私は思います。本当に実効性のある政策を打ち出していただく施策であってほしいと思います。
県内に戻りたくても就職先がなくて困っている文系の大卒女子ですとか、養育費も手にできずに女手一つで朝から晩まで仕事をかけ持ちして子供を育てているお母さんに支援の手を差し伸べる施策であってほしいと願っております。それは10年間、3人の子供を育てながら職場環境の改善を願い続けてきた一人の女性労働者であった私の願いでもあります。
ということで、次に、女性活躍支援について伺いたいと思います。
現在、県が取り組んでいる女性の活躍推進策は、女性の就労形態や待遇改善など、女性が岩手で働く上での動機にかかわるこれらの諸問題を取り上げる機運に欠けると感じざるを得ないということは、2月定例会の際もこの場で指摘をいたしました。その結果、県では、この春から順次、さまざまな分野で活躍する女性をそれぞれ、防災部会、子育て支援部会、女性の就業促進部会、けんせつ小町部会、農山漁村で輝く女性部会と五つのグループに分けて支援をしてくださっていること、本当にありがたいと思い、感謝しております。
ただ、本来、一億総活躍社会、女性の活躍支援というのは、いわゆる普通の女性たちに光を当てる考えのもとに始まったのだと私は理解しています。県内を見れば、中小企業に勤務している女性労働者や女性のひとり親家庭など、日々の生活に追われる普通の女性のほうが圧倒的に多いはずなんですね。そうした女性が活躍するためには、職場の環境改善、また、性別役割分担意識の改革のためにどんな方策が必要なのか調査、研究することが、少子化や人口流出に歯どめをかけるために本当に有効な施策を生み出す第一歩だと考えています。
岩手県でも、就職や進学をきっかけに県外へ流出していく若者や女性をとどめようと、いわてで働こう推進協議会を立ち上げ、課題研究をしていると思いますが、去年6月のいわてで働こう宣言から1年が経過しております。女性が活躍するための職場環境改善については、これまでどのような成果が出ていると評価しているか、知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) いわてで働こう推進協議会では、仕事と生活の両立や女性の活躍促進につながる働き方改革の推進と処遇改善の推進を特に注力する取り組みとして掲げております。全県的ないわて働き方改革推進運動を展開する中で、いわて働き方改革アワード受賞事例など、企業のすぐれた取り組みについて広く県民に情報提供し、同様の取り組みが広まるよう努めております。
この運動への参加企業は昨年度から着実にふえてきており、その中には、女性も含めた全社員が働きやすくなるための制度検討を行うプロジェクトチームを立ち上げた例でありますとか、育児休業からの復帰支援や女性職員のキャリア形成に取り組む例などが出てきております。
また、厚生労働省が、すぐれた子育てサポート企業として認定するくるみん認定、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業として認定するえるぼし認定、県のいわて子育てにやさしい企業等認証等に認定されている企業もふえてきているところであります。
また、県では10月1日から、県内企業における女性活躍の一層の促進を図るため、中小企業も取り組みやすい、いわて女性活躍企業認定制度を新たに始めました。
今後におきましては、いわて女性の活躍促進連携会議の取り組みも踏まえながら、女性が活躍する職場環境づくりを、引き続きしっかりと推進してまいりたいと思います。
〇3番(千葉絢子君) 一つ御紹介したいことがあります。青森県では、企業の従業員が在職中に持つ子供の数を調べる企業子宝率の調査を始めました。子育てしやすい職場環境整備を促進し、若者や女性の県内での就職や定着につなげていくのが狙いです。調査結果は来年2月に公表され、企業子宝率の高い事業所の取り組みを紹介し、子育てと仕事を両立しやすい職場づくりの普及を図り、若者と女性の県内での就職、定着につなげたいと青森県では考えているようです。
岩手県でも、子育てしやすい職場環境を整備する上で、その促進を図るために、企業や事業所で具体的な行動に今すぐにでも移るべきでありまして、このような調査に岩手県でも取り組むことを私は提案したいと思います。
本県における企業子宝率の調査について、いわてで働こう推進協議会の中で議論するなど検討を進める必要があると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 企業子宝率についての御提案についてでございますが、女性が働きやすい職場環境を実現するためには、企業等において、子育て支援やワーク・ライフ・バランス推進への意識を高めていただくことが必要でありまして、その取り組みを推進する上で、県内企業や従業員の実態を把握することが重要であると考えております。
このため県では、県内事業所の労働条件等や長時間労働の是正等の働き方改革、子育て、介護支援の取り組み状況等を把握するため、県内企業に対し、ワーク・ライフ・バランスに係る調査を実施し、現在、分析しているところでございます。
今後、県内企業の職場環境等の実態を把握し、今後の方向性を見出していくために有用な調査手法につきましては、青森県を初め他県の取り組み状況を参考としながら、いわてで働こう推進協議会の場で情報共有の上、構成団体の御意見も伺いながら検討を進めていきたいと考えております。
〇3番(千葉絢子君) 仕事を続けながら子供が持てるかどうか、その一番の決め手は、自分が子育てをしながら働ける職場環境であるかどうかなんですね。つまりは、経営者の考え方がどうかというところなんです。
盛岡市にシリウスという住宅メーカーがありまして、この会社は、第2子誕生で50万円、第3子誕生で100万円をそれぞれ社員に給付いたしまして、社員が子供を産み育てやすい環境をつくっています。この効果で、この5年の間に社員の子供が25人誕生したそうです。
また、ひとり親家庭の子供などを対象に、今後は無料の英語塾などを敷地内にあるモデルハウスに開設すると伺っております。
けれども、シリウスは県が認定する子育てにやさしい企業にはなっていません。認定されたとしても、現在の県の優遇措置では対象になるわけではありませんが、こうした独自の取り組みで、自身の事業所のみならず、周辺のひとり親家庭の子供たちにも手を差し伸べる必要があると考えている企業が出てきているほど、少子化の現状と将来に危機感を持っている経営者が出ているということを、皆さんに知っていただきたいと思います。
県の女性活躍支援の施策には、もう少し切迫感といいますか危機感といいますか、それが足りないのではないかと思うんですね。あっという間に10年、20年たってしまいます。私も入社してから16年たちました。その間に何か改善したかというと、実際、余りその実感をできない方が多いのではないかと、私はかつての職場環境を振り返っても感じるわけであります。2020年には、女性の半数が50歳以上になると言われています。現実に、子供を産める人の数が減っていく、その事実を考えると、悠長に構えている時間はないと私は思います。
知事は、少子化に歯どめをかけるための方策の一つとして、男性、女性ともにワーク・ライフ・バランスを確立し、子供を産み育てる機運を盛り上げようと去年6月にイクボス宣言をしまして、ことし1月18日には、民間の34社が賛同してイクボス共同宣言を行いました。この中で、知事は、女性が持てる力を存分に発揮し、みずからの希望に応じて活躍するとともに、男性も、育児や介護、地域活動に積極的に参画するよう、全県的な機運の醸成に取り組むと宣言しています。
知事は、イクボス宣言の後、県職員の中での機運の醸成にどのように取り組まれてきたのか。また、おっしゃったとおり、全県的な機運の醸成のため共同宣言を行った34社、または経済団体などと意見交換などをなさったのか伺います。
〇知事(達増拓也君) 昨年6月のイクボス宣言後、まず職員に対しましては、庁議や職員への訓示などの際にワーク・ライフ・バランスの重要性を伝え、各部局長などの管理職がイクボス宣言を行っておりますとともに、今年度から、新たに、各所属の年間の業務方針に働き方改革に関する事項を盛り込むこととしましたほか、管理職の職場のマネジメントについて部下職員が評価を行う管理職マネジメントレポートにおいて、職員の働き方に関する項目を追加して取り組みの浸透に努めております。また、各部局でも、働き方を見直す自主的な取り組みが行われるなど、庁内に広く機運が高まっているものと認識しております。
一方、経済団体等に対しましては、過日、私も出席して開催したいわて女性の活躍促進連携会議において、女性の就業促進、農山漁村、建設業分野など五つの部会から、イクボスの趣旨や働き方改革などの取り組みについて報告があり、活発な意見交換を行ったところであります。
今後も、イクボスの考え方を普及させ、広く県内に働き方改革を進め、誰もが持てる力を存分に発揮して、みずからの希望に応じて活躍することができる社会の実現を目指していきたいと考えます。
〇3番(千葉絢子君) 今、県の中での波及効果、それから経済団体の方と意見交換をしたと伺いました。知事は、御自身がイクボス宣言をしたことが、県内の民間企業にはどのような効果をもたらしているとお考えか。実際に、これら34社では、今年度から具体的にどのような改善が図られているのか。また、今後のさらなる取り組み、拡大の必要性についての認識もお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) イクボス宣言以降、例えば、岩手県男女共同参画センターが実施したイクボスやワーク・ライフ・バランスをテーマにした出前講座への企業、団体からの要請回数が増加したほか、県内の首長や行政機関においてイクボス宣言が行われるなど、広がりを見せております。
また、県が行ったイクボス共同宣言をした企業への訪問調査によりますと、管理職に対するイクボス研修の実施、職場の業務改善による働き方改革の実践、プロジェクトチームによる女性活躍推進に向けた取り組みや子育て支援制度の利用が進むなど、働き方改革や女性の活躍推進の取り組みが具体化してきていると認識しております。
今後も、イクボス宣言を行った将来世代応援知事同盟の知事とも連携をして、地方から女性が活躍できる社会の実現を目指すとともに、県内企業に対しては、いわて働き方改革推進運動、子育てにやさしい企業等認証制度や、ことし10月に創設した県独自のいわて女性活躍企業認定制度などによって、国とも連携しながら、県内市町村や企業等へのイクボスの普及拡大を図ってまいります。
〇3番(千葉絢子君) 大事なのは、宣言をした後の具体的な行動であり、本気でイクボスを県内全域に浸透させたいとお思いであるならば、知事が例えば出前授業などをなさって、イクボス宣言の意義と具体的な要望を、県内の経済団体や企業などに働きかけていくような実効性のある方法をとらなければ、これもいわて若者会議、いわて若者文化祭同様、開催をしていますと、そういうアリバイのようなもので、パフォーマンスで終わってしまうのではないかということに私は懸念をしております。ただ呼びかけただけでは取り組んだことにはならないと思うのですが、今後、そういった知事御自身が出かけていくような形での機運の醸成の可能性はあるんでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 管理職に対するイクボス研修の実施などは、やはりイクボスに関して国の動向でありますとかさまざま制度的な、専門的なこともあるので専門家の派遣のような形になっているわけでありますけれども、私としても、さまざま県の経済界のトップの皆さんと交流する場がありますので、そういった機会に、イクボスについてのアピールをさらに強化していきたいと思います。
〇3番(千葉絢子君) 実際に我々との会話の中で、県職員の皆さんは、こうおっしゃるんです。県には強制力はありませんので、我々は理念それから政策の普及啓発しかできませんと。しかし、職員の皆さんは、御自身に任された仕事が何らかの理由で進まない、あるいは進んでいないと我々に指摘をされることについては、快く思っていないのではないかなと思います。それが、知事が目玉として掲げている肝いりの若者女性支援という政策であるならば、知事もみずから動いてくださらなくては、職員の皆さんにも示しがつかないのではないかと私は感じます。
知事は、私たちと同様、選挙で選ばれた政治家でいらっしゃいます。我々と同じように、選挙の際は、県内を走り回って御自身の声を届けてきたはずです。それは、知事となった今も、御自身が思ったことを実現したいと考えられたときには、みずから足を運んでお願いに回るべきではないかと私は感じております。それは、知事を信じて希望を託した有権者の皆さん、それから、知事のお気持ちに添いたいと願う県職員の皆さんに対しての誠意だと私は思っております。
知事は以前より、知事の仕事は知ることだとおっしゃっています。みずからが必要だと信じる施策を本当に実現したいのであれば、多くの県民の声をお聞きになり、何が障壁になっているのか、御自身の目と耳で確かめていただきたいと私は願っております。
本当の意味でのイクボスがふえることは、男性も女性もワーク・ライフ・バランスを両立でき、子供を産み育てることを社会全体で応援していく意識改革に必ずつながりますし、私もこの岩手を働きながら子育てしやすい県にしたいものだと心から願っております。
ぜひ、実現のために、会社の本音、また、現場で働く女性たちの本音も聞いてほしいと願っているのですが、そういう調査、また、企業を訪問してのお願いや面談のチャンスを知事御自身に設けていただくわけにはいかないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 知事が県内あちこちを回り、また、県民の皆さんと直接会うことは私も大事だと思っております。東日本大震災津波からの復興、加えて、昨年の台風第10号災害からの復旧、復興というのが県政の大きなテーマとしてあり、そこにいわゆる地方創生、ふるさと振興、ILC─国際リニアコライダーの実現、そして、若者女性活躍支援といったようなテーマで最近は各地を歩いているのでありますが、そういった機会にも、イクボスの要素である育児が必要な場合には育児休暇をとるでありますとか、介護が必要なときには介護休暇をとるでありますとか、そういった育児や介護を社会的にも充実させていかなければならないという要素も、なるべく盛り込むことができるときには盛り込むようにやってきたつもりではありますけれども、イクボスは非常に大事なテーマでありますので、今後さらに力を入れていきたいと思います。
〇3番(千葉絢子君) ぜひ、普通の働いているお母さんたちの声にも耳を傾けていただければと思います。
次に、政策評価指標のあり方について伺います。
私は2月定例会の一般質問と3月の予算特別委員会におきましても、岩手県の総合計画であるいわて県民計画における政策評価指標の設定のあり方について質問をいたしました。
雇用、労働環境の整備の中で、女性、離職者等への就業支援の推進方策の中に、女性の職業訓練受講者数と障がい者の訓練受講者数を組み合わせた指標が年度目標を達成したからこの取り組みは順調であるという評価につながるのはおかしいということについて、答弁は、これまで継続して取り組んでいる事業の実績を指標とし、判断しているとのことでした。何度答弁を読み返しましても、また、政策評価レポートを見返しても、やはりこれはおかしいと言わざるを得ません。
離職者の職業訓練の実績において、その75%を女性が占めることをもって、県内全体の女性の就業にどの程度の成果をもたらしたと評価しているのでしょうか。また、政策評価としてこの指標が本当に適当なのか、改めて認識を伺います。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 女性の就業支援に関する指標についてでありますが、まず、女性の職業訓練の成果につきましては、政策評価レポートで具体的な推進方策指標とした離職者等を対象とした職業訓練における女性の受講者数の達成度がBとなっていることに加えまして、職業訓練を受けた女性の就職率が平成25年度には74%余りであったところ、平成27年度には83%余りと高くなってきていることから、訓練により知識や技能を習得して、希望に沿った就職を実現しようとする女性の就業に一定の成果があったものと認識しているところでございます。
今後も、岩手労働局やハローワーク等の関係機関と連携を密にして、女性の訓練ニーズを的確に捉え、女性の就業を支援してまいります。
また、政策評価の指標についてでございますが、具体的な推進方策、女性・離職者等への就業支援の指標としては、これまで継続して取り組んできている事業の実績である女性の訓練受講者数と障がい者の訓練受講者数が評価に当たって適当と判断し設定してきているものでありますが、今般作成いたしました平成28年度主要施策の成果に関する説明書においては、この指標を補完する参考データといたしまして、先ほど申し上げました離職者等を対象とした職業訓練を受けた女性の就職率を掲載したところでございまして、今後も、参考データを示しながら、わかりやすい説明に努めていこうとしております。
〇3番(千葉絢子君) 私も拝見いたしまして、そういった数字を参考データとして載せていただいたことは、本当にありがたいと思っております。ただ、その就職率というのは必ずしも正規雇用ではないと。短期雇用であったり、非正規雇用も含まれての就職率と理解をしておりますので、やはり実態に沿った数字を指標に掲げていくのは、次の総合計画づくりにおいても大事な観点であるかと思っております。
ただ、そもそも離職をする女性というのは、例えば夫の転勤ですとか、出産、育児または介護によるものが大多数を占めているのは明らかなんですね。そうした人たちが仕事に再び出られないのは、スキルがないからというのは理由ではないんです。育児、介護の大半は女性がするものだという固定観念があるからにほかなりません。その働き続けられない理由は何か。その原因を探り、そこを改善していけるような指標にしなければ、本当の意味での政策的な効果はあらわれてこないというふうに思っております。
では、次の質問です。ことし3月の予算特別委員会で指摘した事項についてです。
平成27年度ものづくり産業に関する指標では、具体的な方策は達成度がオールAでした。一方で、その積み重ねである目指す姿の達成度はD。外的な要因で達成できなかったけれども、県の取り組みは満点だという理論に、私は現在でも納得はしておりません。
この県民計画は、県、市町村及び民間の3者がともに達成していくための羅針盤であると私は考えます。目指す姿については、簡単に変えるべきではないと私も考えておりますけれども、既に達成してしまった県の取り組み目標である具体的な方策のうち、社会情勢の変化やニーズの変化が出てきたものについては数による活動指標ではなく、さらに上方の、満足度を重視した成果指標に変えるなど、次なる目標設定が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇政策地域部長(藤田康幸君) 成果指標の見直しについてでございますけれども、計画最終年度となります平成30年度の目標値を既に達成した指標につきましては、本定例会で提出した平成28年度主要施策の成果に関する説明書におきまして、目標の達成度だけではなく、今後の取り組みの方向性について説明を追加しているところでございます。
指標の設定に当たりましては、これまでも、会議の開催回数等のアウトプットだけではなく、取り組みの成果となるアウトカムを把握できるよう取り組んでいるところでございまして、また、例年12月定例会で提出している政策評価レポートでは、9月定例会で報告している指標の達成度に加えまして、県民意識調査で把握された政策に対する重要度や満足度、あるいは重要度から満足度を差し引いたニーズ度も参考にしながら、総合的に評価しているところでございます。
社会情勢の変化やニーズの変化に対応した生活指標の設定につきましては、次期総合計画の策定過程においても検討してまいりたいと考えております。
〇3番(千葉絢子君) 次期総合計画は、それ以降の、今後10年、岩手県民がどのように生きていくべきか、そしてどのようなグランドデザインを県が描いているかという参考になる部分でありますので、ぜひ丹念につくっていただければと思います。
次に、不登校を含む特別な支援を要する子供の教育について伺います。
平成27年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、全国の不登校の生徒の数は、小中学校でおよそ12万6、000人、そして高校では、不登校と中途退学する生徒がそれぞれ5万人ずついることがわかっています。このうち、岩手県内の国公立及び私立学校の不登校の児童生徒数は、小中学校で1、024人、高校では501人となっていて、合わせて1、500人以上の子供たちが学校での居場所を失い、学習の機会を逃しております。また、高校を中途退学する生徒は492人に上っているということがわかっております。特に中学生の不登校になりますと、学習のおくれにより高校への進学に支障を来します。大変大きな懸念と課題があると思っております。また、高校へ進学しても、義務教育期間に受けられていた手厚い支援や相談対応が受けられなくなることが問題となっております。
県内には、小中学生を対象にした24の適応指導教室がありますが、特定非営利活動法人盛岡ユースセンターによりますと、その利用率は1割程度にとどまっていて、利用できる環境にない、あるいは適応できない子供たちは、学びの喪失期間が原因で、将来の社会的自立が困難になるケースが多いのが現状です。
私は、2月の一般質問でもこの不登校の問題を取り上げ、県としても、早期にフリースクールとの情報共有ができる仕組みづくりについて、質問、提言をいたしました。教育長からは、連携の強化に努めるとの答弁をいただきましたが、今年度はどのような取り組みになっているのか伺います。
〇教育長(高橋嘉行君) 不登校対策につきましては、不登校にある児童生徒の実情を共有しながら、関係機関等の多くの力を結集して、保護者の理解のもとに、児童生徒を支えながら学校生活を送る環境をつくって、学校復帰に向けた取り組みを行うことが重要であると考えております。
県教育委員会におきましては、スクールカウンセラーの配置等による教育相談体制の充実を図るとともに、市町村教育委員会におきましては、学校における個別の支援に加えて学校外に適応指導教室等を設置し、不登校児童生徒を取り巻く環境の改善を図って学校復帰に向けた取り組みを推進してきております。
一方、不登校問題の解決のためには、学校の努力とあわせて、御案内のフリースクールなどの民間団体や福祉関係機関等との連携による取り組みもまた重要でございますので、教育委員会がその連携の役割を担うなどの取り組みを進めているところでございます。
今後におきましても、不登校児童生徒への支援をより充実させるとともに、フリースクールなど関係機関等との連携を促進していきたいと考えております。
〇3番(千葉絢子君) 不登校の児童生徒が1、500人以上、それから中途退学する高校生がおよそ500人いる現状を見れば、何らかのネットワークづくりをして、まずは子供と保護者の置かれている現状と、中学卒業後の進路に悩む保護者の声に耳を傾ける機会を設けることが私は必要と考えますが、今後の支援のあり方についてはどのようにお考えか伺います。
〇教育長(高橋嘉行君) 不登校の児童生徒は、社会生活への不安や将来の進路などさまざまな悩みを抱えておりまして、生徒それから保護者に寄り添った丁寧な対応をすることが大事であるということでありますとか、学校とフリースクールなどを含む民間団体との連携の強化が必要であるということで先ほど御答弁させていただきました。
国におきましては、現在、フリースクールを含めた民間団体の取り組みを支援するための仕組み等に関する調査研究が進められておりますので、県教委といたしましては、このような動向をも注視しながら、議員御提言の趣旨等も踏まえまして、適切な連携のあり方等を研究していきたいと考えております。
〇3番(千葉絢子君) 来年の3月に中学校を卒業する不登校の子供のいるお母さんから悲痛な声を聞きました。
現在は盛岡市内のフリースクールに通わせて、出席日数は学校長から認められているのですが、進路につきましては、本来の担任から行くところがないと言われた。中学校は卒業できるけれども、子供の今後を、親としてどのように導いていったらいいのかわからないという声でした。フリースクールという居場所をもってこの中学生の女の子は自信を取り戻し、ようやくお母さんに抱きつくなど、甘えられるようになったということなんですね。けれども、卒業後にはまた引きこもってしまうのかと、そういった不安の声でありました。
不登校はどこの家にも、そして、どの子供にも起こり得ることだと私は考えております。どうか、行き場をなくしている1、500人の子供たちに目を向けていただきまして、こういった子供たちも、将来の夢や希望を持てるよう育てていく方法を御一緒に考えていただければと思っております。
北海道には、町立の北海道日高高等学校というところがありまして、ここは授業が午後5時から始まる定時制なんですね。この学校は、少人数クラスによるきめ細かな指導により、学習ニーズや学習段階に合わせた進路指導も手厚く行われていて、大学、短大、専門学校への進学実績もあります。さらに、日中はスキーアスリートコースとキャリアデザインコースに分かれて、将来的にスキーのインストラクターや福祉関係の仕事、あるいはカメラマンといった仕事につくことを目指し、町が指定する日高町産業学習に取り組むことを条件として、この単位取得により、3年間で卒業が可能になるという学校なんですね。県内からも毎年1人から2人、関東や関西からも毎年進学する子供たちがいます。昭和27年の創立だということです。
県内でも、今回の9月補正事業で、高等学校における特別支援教育推進拠点校整備に関する調査研究をするようですので、少子化に伴った次の段階の高校再編などの議論において、例えば存続が危ぶまれている高校で全域から子供たちを受け入れ、廃止を防ぐなど、そういった議論もあっていいかと思いますが、その際に、北海道の日高町で取り組んでいるこうした制度も参考にして、不登校などに悩む子供たちの受け入れ先というものも考えていただくのはいかがかということを御提案したいと思います。
次に、義務教育課程における特別支援学級の指導方針について伺います。
県教委によりますと、県内の小学校の特別支援学級は、ことし5月1日現在で519学級あり、特別支援教育の免許を持った教員は666人で、特別支援学級を150ほど上回る免許保有教員がおります。それにもかかわらず、特別支援学級に配置されているのは、免許保有教員の30%程度だと聞きました。一方、中学校では、257学級ありまして、それに対する免許保有教員は128人です。学級数の半分程度しか確保されておらず、特別支援学級の児童生徒数の増加に間に合っていない印象を受けました。
小学校で免許保有教員を優先的に特別支援学級に配置できない理由と、中学校における免許保有教員の確保対策について伺います。
また、各学校に配置されている特別支援教育コーディネーターはどのような役割を担っているのか、主なものについてお聞きします。
〇教育長(高橋嘉行君) まず、免許保有教員の配置の関係についてでございます。
本県では、特別支援学校の教員の採用に当たりましては、教科免許などの基礎免許に加えまして、特別支援教育の免許を有することを特別支援学校では要件といたしております。一方で、小中学校は、普通教育であるということに加えまして、受験者を広く確保する観点などから、その免許の有無は必須の条件とはいたしておりませんが、中には、特別支援教育の免許を有する者も一定数おります。
特別支援学級の担任の配置に当たりましては、免許保有の有無に加え、これまでの指導経験や指導実績、さらには人材育成の観点などを含め、総合的な判断のもとに具体的な人事配置を行っているところでございます。適任者を配置しているということでございます。
特別な支援を要する子供、その保護者に寄り添った指導を行うに当たっては、専門的な知見や指導経験などを共有することが大事でございますので、総合教育センターにおける研修の充実や特別支援学校の特別支援教育コーディネーター等による担当教員への助言、援助を含めまして、学校におけるサポート体制の充実を図りながら、保護者の期待にも一層応えていけるような体制の構築に努めていきたいと考えております。
それから、特別支援教育コーディネーターについてでございますけれども、この職務につきましては、平成19年度から障がいのある児童生徒に対する教育の一層の充実を図るため、小中学校、高等学校、特別支援学校の全ての学校において、教員の校務分掌としてその役割を位置づけております。
小中学校におけるコーディネーターは、対象児童生徒への支援方法の検討などを行う校内委員会や校内研修の企画、運営、関係機関との連絡、調整、保護者からの相談窓口となるなどの役割を担っております。
また、特別支援学校のコーディネーターについては、この役割に加えまして、地域の小中学校等における特別支援教育の充実に向けて助言するなどの役割も担っているところでございます。
〇3番(千葉絢子君) 関係機関との連携も、この特別支援教育コーディネーターはなさるというような御答弁でありました。現場では実際は違うようです。
先日、複数の地域の小学校で、特別支援学級に在席または通級する子供のお母さんたちと座談会をいたしました。きょうは、そのお母さんたちも多数、傍聴に来てくれていますので、私はこの方々がいるところでその声をお伝えしたいと思います。
ある子供は、音や光に敏感で、たくさんの人の中に行くと平常心を保てない。また、ある子供は、自分の熱中していること、取り組んでいることの中に別の情報が入ってくるとパニックになってしまう。それが知識や資格を持っていない担任には理解できず、子供を叱る、そして子供が反発して物を壊すなど、暴力的な行動に出てしまうんだそうです。
その子供たちに対して学校がどう対処しているかというと、とにかく、病院で処方されている向精神薬を飲ませて登校させてほしいと、それを担任が言うんですって。しかし、薬によっては副作用で吐き気が出たり、活発度が低くなり表情が乏しくなったり、反対に過敏になり攻撃性が高まったり、親としてはなるべく子供には薬を服用させたくない、その薬の数を減らしたいというのが本心です。家庭では落ちついて生活でき、資格と実績のある担任のもとでは、かつては薬を減らして生活することができたのに、知識と理解のない担任のもとでは親のせいにされ、余りのつらさに、家族で向精神薬を処方され服用している家庭もあるというのが現実です。また、対処に困った担任に頻繁に学校に呼び出されるようでは、保護者は仕事もままなりません。それは特別児童扶養手当を支給されているから、働かずに全力で子供を療育しろということかと、思い詰めているお母さんもいました。
また、診断を受けるにも時間がかかり過ぎます。療育センターは、盛岡近郊の子供たちでは予約が半年待ちと言われています。いわてこどもケアセンターも2カ月待ち。これが沿岸になると、1年待ちというのもざらだといいます。その間、この親子はともに悩み、耐え、そして涙するしか方法がないんです。
こうした状況を改善するため、適切に指導できる体制をつくるべきではないかと思うんですが、こうした保護者の声をお聞きになって、教育長、どのようにお感じになるでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 障がいをお持ちになって、そして特別な支援、サポートが必要だという多くの子供さんがいるということについては、これは十分承知しているつもりでございます。それで、具体的な対応については、これは一つのやり方ということではなくて、議員もおっしゃいましたけれども、関係機関等との十分な連携のもとに対応していくことが必要だと思っております。
具体的な対応としては、これは医療的なケアを受けるということも一つのやり方でありましょうし、ただ、一方でそれが全てではないと思っております。何よりも学校教育においては、子供たち一人一人に寄り添った教育をしていくと。そのためには、保護者の皆さんとの十分な意思疎通を図っていくことが大事だと思っておりまして、ただいまいただいた紹介等も十分頭に入れさせていただきながら、市町村教委との連携のもとに、できる限りの努力をしていきたいと思っております。
〇3番(千葉絢子君) 各学校に配置されている特別支援教育コーディネーターが、例えば医療機関、それから福祉など関係支援機関等との連携の役割をもう少し担ってくださるなど、支援を充実して、苦しんでいる子供と保護者にもっと寄り添っていただけるようにお願いしたいと思います。どうか数千人いると思われるその子供と保護者に寄り添った支援のあり方を考えていただきたいと思っております。
次に、県のオリジナルブランド米の広告と販売戦略について伺います。
県では、去年の秋に銀河のしずく、そして、ことしはいよいよ金色の風を岩手の2大ブランド米として市場にデビューさせます。全国に100を超えるブランド米がひしめき、特A評価も40銘柄を超えるようになった今、私は、生産後進地である岩手から、これら二枚看板を成功させる鍵は、一気に全国区の知名度を獲得する仕掛けが必要だと考えまして、副知事並びに農林水産部長にも、3月から4月上旬にかけてあるアイデアを御提案いたしました。
私のアイデアを御紹介いたしますと、北海道産米がマツコ・デラックス、それから鈴木亮平など知名度の高い広告塔を起用してくるならば、岩手も相当インパクトのあるアイコンを起用しなくてはいけないと申し上げました。
その一つの方法が歌舞伎座とのコラボレーションであります。歌舞伎座には年間100万人以上が全国から観劇に訪れ、そのメーンの客層は女性です。歌舞伎座で提供される高級弁当に、パッケージにロゴ入りで銀河のしずくを使ってもらってはいかがかと。そして、歌舞伎座の正面にあるいわて銀河プラザや銀座三越で銀河のしずくを買ってもらい、SNSでの投稿などを通じてファン層をまず全国に広げること。
さらには、復興支援で岩手でも数多くの舞台を上演している成田屋のスポンサーになってはいかがか。つまり、去年、乳がんの無料検診を30歳以上に10歳引き下げることを求める意見書を、全国で初めて岩手県議会が提出いたしました。この御縁から、乳がんに苦しむ小林麻央、市川海老蔵夫妻に、銀河のしずくを提供してはいかがでしょうかと。さらに、高級弁当からは100円程度を、松竹を通じていわての学び希望基金に寄附する仕組みにしてはいかがでしょうかと。
もし、この取り組みが在京メディアに取り上げられ、フォロワーが300万人を超える市川海老蔵夫妻のブログにでも取り上げられたとしたら、銀河のしずくは一躍全国区となり、その顧客を足がかりとした金色の風の販路確保にもつながっていくのではないか。
また、そのほかにも、生産者の旅行先に歌舞伎座を組み入れ、歌舞伎座の年間通しての観客確保にも貢献できれば、売り手も買い手も、そして松竹もよしの三方よしではないかと御提案いたしました。松竹には、私が前に勤めておりました会社の後輩が、この春から広報に転職いたしましたので、おつなぎできますということも申し上げました。
新米の時期がやってまいりましたが、私が提案したような視点での戦略についてはどのように検討されているのか、オリジナルブランド米を全国に売り出すための広告と販売戦略について伺います。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 全国の米産地から食味レベルの高い新品種がデビューする中、銀河のしずく、金色の風のブランドを確立するためには、全国の消費者や実需者の認知度を高め、信頼をかち取ることが何よりも重要であると考えております。
このため、昨年度は、いわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、全国トップクラスの品質と食味を実現するとともに、効果的なプロモーションを展開した結果、銀河のしずくは、米のヒット甲子園2016におきまして日本一となる大賞を受賞、また、金色の風は、販売前にもかかわらず、お米に対する深い見識を持つ五ツ星お米マイスターなどから高い評価を得たところであります。
今後におきましては、全国的な認知度をさらに高めるため、銀河のしずくにおきましては、県内外でのインパクトのあるテレビCMの放映に加えまして、関西の有名百貨店での販売のほか、都内での東京2020オリンピック・パラリンピック関連イベントでの積極的なPRの展開を予定しております。
また、金色の風におきましては、大手家電メーカーや航空会社と連携し全国的なPRを展開するとともに、銀座でのデビューイベントの開催や、歌舞伎座の観客が多く立ち寄るいわて銀河プラザでの高級弁当などの販売、さらには、豪華リゾート列車トランスイート四季島での提供など、関係機関、団体が一丸となってオリジナル品種のブランドの確立に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
なお、歌舞伎座とのコラボレーションにつきましては、いわて銀河プラザや全農岩手県本部等と連携いたしまして、歌舞伎座で販売される高級弁当への銀河のしずくの採用を働きかけたところでありますが、弁当の原料仕入れ先への販売ルートの確保に時間を要するということから、現時点では採用されていない状況にございます。今後におきましても、関係団体等との連携のもと、採用に向けて強力に働きかけてまいります。
〇3番(千葉絢子君) ぜひ、この取り組みが功を奏して、最終的には、大前提である農家の所得向上を達成できるようにと願っております。
ただ、この銀河のしずく、金色の風には、私は、岩手の米農家の浮沈がかかっていると申しても過言ではないと思っております。先日、愛媛国体に派遣されて行ってまいりました折、JALの機内雑誌を拝見しました。その際、スカイワードの今月号に見開き2ページで青森の青天の霹靂の全面広告が載っていたのですね。さらに、花巻空港を発つときに横のFDAの機体を見ましたら、機体の後部の左側側面に青森米青天の霹靂というロゴがプリントされておりました。本当は、きょうそのスカイワードを持ってきていましたので、こちらで皆さんにお見せしたかったのですが、現在の議場のルールでは、中に資料を持ち込めないということでごらんいただけませんが、きょう持ってきておりますので、後ほどお渡しできればと思っております。
そういった全国を飛び回る、また、花巻に乗り入れている飛行機にも青森米の広告が載っているというのは、やはり私としては出おくれた感がありまして、そういった戦略をどこの都道府県も虎視たんたんと狙っている、そこは危機感を持って対応していただきたいと思っています。
そして、あれほど県とJAが、一部を除いて全量買い取りにこだわり、ブランド米の品質を保つために気を使った銀河のしずくですが、新米の刈り取りが始まっている今も、盛岡市のJR岩手飯岡駅前のAコープを初めといたしまして、県内各地のスーパーで、去年完売したとおっしゃっていたはずの平成28年産銀河のしずくが、値引きされて販売されているのは御存じでしょうか。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず初めの航空会社への広告ということについてでありますが、岩手県におきましては、昨年度、JALと連携いたしまして、羽田空港、成田空港の国際線ラウンジや国内線ファーストクラスの機内食として、銀河のしずくを提供させていただいたところであります。また、今年度につきましては、FDA─富士ドリームエアラインの機内誌に、金色の風の広告記事を10月下旬から掲載するということで予定しております。
あと、二つ目の銀河のしずくが安売りされているということにつきましてですが、お店によっては、大量に仕入れたところもあろうかと思います。ただ、銀河のしずくにつきましては、平成28年産につきましては、全量、全農岩手県本部が買い取りをしておりまして、生産者に対しましては、しっかりと買い取ったお金が支払われているということでございます。
また、小売価格については、こういう新米が出るシーズンですので、やはり各小売店におきまして、在庫を一掃したいということで、多少値引きして売られている実態もあろうかと思います。これにつきましては、各小売店の価格設定の問題でもありますので、そういう実態だということだと思います。
〇3番(千葉絢子君) 食べ物を生産するというのは、本来、最もとうとく、育てる、そして収穫する楽しみを伴うものだと私は考えております。その仕事に従事されている人たちの意欲を失わせないために、やはり本気で農業を支援して農家の所得をふやすこと、それが、ひいては災害に強い岩手県をつくるのだということを、私は震災のときの報道、そして、あのときの県内の流通、そして食料状況を見ても、そこは確信しているところです。
まず、売れる米づくりを提唱したのであれば、きちんと売る。その方策をしっかり考えて、農家の方の満足度を高めることが、私は、今後の農家の戸数の維持ということを考える上でも重要だと思っておりますので、ぜひ、そこは引き続き一生懸命取り組んでいただくようお願いしたいと思います。
次に、県では、現在のいわて県民計画第3期アクションプランの後、平成31年度から始まる次期総合計画の策定に着手しています。次期計画は、釜石市を会場の一つとして開催されるラグビーワールドカップ2019を初め、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなど、日本が国際的なスポットライトを浴びるまたとない機会であります。
一方、それ以降の岩手のビジョンにつきましては、産業、観光戦略ともに不透明であり、岩手の行く末が見えないとの声も聞こえております。
いわて国際戦略ビジョンにおいて、観光収入を上げるための方策については、視点が特定の国のインバウンドのみとなっていることが、いささか不十分であると私は考えております。
海外でテロが相次いでいる中、私は、今後、国内観光の需要も高まりを見せると予想しておりまして、例えば県内に住む我々子供のいる世帯は、春、夏、冬の長期休暇のときにどこで過ごすかということに、私は大変興味を持っているんですね。
岩手県内でファミリーが休暇に過ごせる場所といえば、小岩井農場、三陸、そして、いわて子どもの森などが挙げられますが、冬の期間はほとんど県内には子連れで出かけるところがありません。また、小学生ぐらいまでの子供のいる家庭では、多くの場合、1年に1回程度、10万円から20万円程度の予算で宿泊を伴う旅行をし、隣県の水族館、動物園を初め、南東北の温泉リゾートや首都圏のテーマパーク、あるいは中部、関西圏へと出ていきます。
このように1回の家族旅行で少なくとも10万円から20万円のお金が他県へ流出している、いわば岩手の逸失利益について、これを幾らかでも県内で回せるようになれば、もっと地域経済が潤うと考えます。
ファミリーの県内での観光消費を促すため、県内におけるファミリー向けの観光資源を充実させることが必要と考えますが、本県におけるファミリー向けの観光資源の現状と充実についてのお考えをお聞かせください。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) ファミリー向けの魅力ある観光資源についてでありますが、まず、本県の現状については、例えば、平泉は歴史、文化、景観、そして食など丸ごと、いわばテーマパーク化したゾーンとして捉えております。ほかにも県内にはたくさんの例がありまして、例えば県央地区では小岩井農場や安比高原、県南地区ではえさし藤原の郷や猊鼻渓の舟下り、県北地域では御所野縄文公園や、先ほどお話がありました県立児童館いわて子どもの森、沿岸地域では北山崎や浄土ケ浜でのサッパ船クルーズ、そして龍泉洞など、これら、いわばキーコンテンツを核とするゾーンが、数多く地域ごとに形成されていると認識しております。
次に、観光資源の充実についてですが、今申し上げましたようなゾーンを捉えますと、本県は、自然資源に恵まれ、また、歴史文化や食の宝庫でもあるということで、これらコンテンツをしっかりと磨き上げて、魅力あるコンテンツづくりと構成によって、県内各地において総合的な観光レジャーゾーンが形成されていく可能性があると捉えております。
このようなことから、地域の創意工夫によって四季折々の魅力を磨き上げ、リピーターを獲得できるその地域ならではの観光地づくりを、市町村やDMOなど関係団体と連携して推進していきたいと考えております。
〇3番(千葉絢子君) 私は、この春休みを利用いたしまして、子供たち3人を東京豊洲のキッザニアに連れてまいりました。ここは、食品や住宅、病院や航空会社など60社余りの企業が出展しており、ものづくりやサービス、接客など、子供向けにアレンジされたさまざまな仕事を、子供たちが親の手をかりずに体験することで施設内で使える通貨を稼ぎ、サービスを利用したらお金を払うなど、職業と消費の体験ができる施設です。全国から、ファミリーのほか、修学旅行など多くの来場者があり、常に予約でいっぱいです。
キッザニアは全国に2カ所ありまして、キッザニア東京は年間86万人、キッザニア甲子園は73万人で、およそ160万人がこの二つの施設を年間で利用しているということなんですね。
東京大学大学院教育学研究科の牧野篤教授によりますと、ここでの研究調査により、子供たちは働くということに目覚め、自分のいいところや悪いところを含め、みずからの価値や存在意義を確信できる自己肯定感を高めているということがわかったそうです。
こうした民間企業の集まる施設を岩手県の中心部に誘致すれば、テーマパークなどに比べて、冬場の天候悪化も心配することなく、花巻空港を経由して関西、九州、北海道方面から宿泊を伴うファミリー層の集客もできるほか、東北各地からの教育旅行なども誘致でき、周辺の宿泊施設を初め、県内に年間を通して安定した経済効果を見込めるのではないかと感じた次第です。
さらに、この施設内に染色、漆芸、盛岡セイコー工業や南部鉄器工房など地元の産業の出展も促すことにより、全国の子供たちに岩手の産業を紹介、興味を持ってもらい、後継として岩手に住むことも長期的には期待できるのではないかと大きな期待が生まれるわけです。
また、県が100%施設の建設費などを負担する必要もなく、企業が出展しやすい環境や条件を整備し、実現した暁には、ファミリー層を含む旅行者にとって、岩手は、先ほど商工労働観光部長がおっしゃいました自然、食べ物、そして温泉もトータルで満喫できる満足度の高い観光地になるのではないかと感じます。
県では、これまでの業務に縛られて新しいプロジェクトに着手できないような組織風土になっていないかと、私は次期総合計画を考えたときに感じたわけでありますけれども、次期総合計画の策定と推進に当たって、例えば知事、それから副知事の下に新しい発想をしてトータルで旬のものを使いながらグランドデザインできるようなプロジェクトチームをつくるとともに、機動力が高く旬を逃さずに動ける体制をつくってはいかがかと思いますが、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 次期総合計画の策定と推進に当たりましては、各政策分野の方向性や具体的な取り組み内容の検討などについて全庁的な体制で取り組みながら、県民、各種団体、市町村など、さまざまな主体からの意見等も踏まえて、そして、総合計画審議会を中心に、活発な議論をいただきたいと考えております。
県庁組織といたしましては、各部局にまたがるワーキンググループによる議論や職員を対象としたアイデアコンテストを行いたいと思っております。また、県から全国的に活躍する有識者の意見をインタビューするなども行って、政策横断的で機動的な手法も取り入れながら計画づくりを進めていきたいと思います。
〇3番(千葉絢子君) ぜひ、組織の見直し、これまでの業務を見直す改善を効果的に作用させて、新しいことにチャレンジできる魅力ある岩手県をつくっていっていただきたいと思っております。
次に、文化芸術振興について伺います。
私は6月に東京の上野公園内にあります博物館、科学館、美術館などを1日かけて拝観してまいりました。その際の展示会はそれぞれ、茶の湯展、大英自然史博物館展、ブリューゲルのバベルの塔展などで、国宝の曜変天目茶碗、日本初公開の始祖鳥の化石、また、誰もが知っている名画などが公開されていまして、見る施設、見る展示会全て長蛇の列ができていたのはもちろん、その客層は、中高年のみならず、親子連れや10代後半、また20代前半と見られる若いカップルなどが大勢訪れていたのに驚いたものでした。
翻って、我が岩手の県立博物館や県立美術館の利用状況は、岩手県立博物館では、ここ3年の間に微増しているものの、昨年度の入館者は4万5、000人でした。対して、秋田県立博物館はといいますと10万7、000人、宮城県の東北歴史博物館は14万5、000人と、岩手よりプラス10万人と、圧倒的な入館者数です。
美術館はどうかといいますと、昨年は5万8、000人でした。秋田県は、二つの県立美術館を合わせて13万6、000人余り、宮城県美術館に至っては33万人と、その差は歴然としています。
岩手県立美術館は、平成12年に総工費、美術品購入費合わせて100億円を超える費用を投じてつくられました。開館記念に開かれたモネ展は、会期中に6万5、000人、震災後に開かれた伊藤若冲の作品を展示したプライスコレクション展、これは単独で7万人をそれぞれ記録しています。
しかし、その後は通年で入館者が6万人前後となっていますが、この入館者数の少なさについて、どのように原因を分析していますか。
〇教育長(高橋嘉行君) 県立美術館、県立博物館におきましては、より多くの県民の皆様方に利用いただくために、常設展と企画展の充実に努めながらその魅力の向上に取り組んできておりますが、入館者の状況につきましては、議員御案内のとおりでございます。
その要因といたしましては、一つには、県立美術館については、ここ数年における企画展の展示内容が、専門的見地からの美術的価値や斬新性を重視してきたことが挙げられると思いますし、それから、博物館におきましては、特に企画展の内容が調査研究成果の公開の色彩が強い傾向にあったことなどが、その主な要因であるのではないかと捉えております。
加えて、それぞれの企画展のよさや価値を広く伝えるべきタイムリーな広報活動のあり方についても、一層の工夫が必要であると認識いたしております。
〇3番(千葉絢子君) 我々が美術館に足を運ぶ動機はというと、やはり魅力的な展示会があるかどうかだと思うんですね。秋田県立美術館は、先日訪れた際には、世界的に人気のある絵本作家エロール・ル・カインの原画展など企画展も充実しておりました。また、あそこは藤田嗣治、世界のフジタと言われる画家にゆかりの深いところでありますので、縦4メートル近く、横は20メートルに及ぶ大壁画、秋田の行事という作品ですけれども、それが一つの呼び物になっているというところがあります。
また、横手市にある秋田県立近代美術館には、国立西洋美術館の所蔵作品からルノワールなど名立たる作品が巡回してきているんですね。
さらに、宮城県美術館はどうかというと、平成26年には手塚治虫、またゴッホとミレー、篠山紀信、この三つの作品展だけでトータル12万人を記録しております。また、平成27年にはピカソ展、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品展、地中海の黄金秘宝展など、平成28年にはぐりとぐら展、ポーラ美術館コレクション、ルノワール展などで33万人を動員したということなんですね。
こうした美術展などは女性雑誌の付録に、ことし注目の美術展というようなことで特集されておりまして、その雑誌を手にした女性が、各地を旅行していくときの大きなチェックポイントになるというところは明らかであります。
なぜ岩手にはこうした名立たる美術展がやってこないんでしょうか。企画展などはどんな基準で選んでいるのか。近県のみならず全国から集客が見込めるような企画展の招致など、今後の美術館や博物館の充実をどのように図っていく方針かお伺いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 美術館の入館者をふやしていくということで、これは県内の県民の皆さんももちろんそうですけれども、県外からの誘客ということも極めて大きな視点ではないかと思っております。
先ほどお話にもございましたけれども、モネ展でありますとか若冲展は、多くの皆様の御来場をいただきました。それぞれ美術館、博物館ともに、その大きな、そしてまた、皆様の関心を呼ぶような企画展を求めていると考えております。ただ、これを継続的に毎年やるというのは、なかなか無理がございますので、大きな節目等を捉えながら、また、本県でそういうものができないかどうか、今後検討してみたいと考えております。
〇3番(千葉絢子君) 世界には国籍を超えて共通の話題にすることのできる、そして、知っておくべき名画、知っておくべき美術品が多数ありまして、それは、ある意味で共通理解の持てる素養の一つなんですね。
私が4特別委員会で視察した神奈川県の国際小学校では、英語の授業による語学力のほかに、知っておくべき文化的知識として、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロなど、月変わりで有名な画家の作品を展示し、図書館にある関連書籍に導くよう、廊下に道しるべをつけて書架に向かわせるなどの工夫を凝らし、国籍を超えた共通の話題にできる素養を身につけさせる教育をしておりました。
岩手県の小中学校においても、情緒豊かな子供たちを育み、また、素養を高めていくため、子供たちがすぐれた文化芸術に触れる機会の充実が私は必要だと思っております。
美術館や博物館は、旅をする上での大きなチェックポイントになるということは先ほど申し上げました。しかし、県立博物館は盛岡市の郊外にぽつんとあり、子供たちも観光客も気軽に行けませんという声を聞きます。秋田では、駅や観光地の近くに美術館や博物館を配置し、観光客が回りやすいまちづくりをしているように感じました。
先日の東北6県、北海道の議員研究交流大会におきまして、秋田のわらび座の山川龍巳社長より、今後は文化が観光、経済を牽引するという講演を聞きました。我が岩手県でも、文化的感度を高くして、文化によって観光と経済を活性化させていくことにも期待を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時29分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時50分再開
〇議長(佐々木順一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木朋和君。
〔17番佐々木朋和君登壇〕(拍手)

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