平成29年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(城内よしひこ君) 私は、自由民主クラブの城内よしひこです。当選以来、9度目の登壇の機会をいただき、感謝いたします。
まずもって、先月18日未明に本県に最接近した台風18号により被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧を願うものであります。
東日本大震災津波発災より6年6カ月が経過し、いまだに9、640人の方が応急仮設住宅で、じきに訪れる厳しい冬を迎えようとしています。また、昨年8月30日に本県を直撃した台風第10号は、久慈市、岩泉町、宮古市を中心に県内各地に甚大な被害をもたらし、今まさに震災から立ち上がろうとする我が県に大きなダメージを与えました。その被害額は1、428億円余に及び、多くのとうとい命まで奪ってしまいました。激甚災害に指定はされたものの、東日本大震災津波と二重に被災された方もたくさんおられ、その復旧、復興も急がなくてはなりません。
我が自由民主クラブは、8月末に県内市町村にお伺いし、その要望を預かってきたところであります。その中で、特に被災地から挙げられたのは、東日本大震災からの復旧工事のおくれと新たな問題が生じてきていることについてでした。我が県の復興計画による復興期間は、残すところあと1年半となりました。被災市町村においても復興計画の仕上げの段階に入ってきたところでありますが、県工事のおくれも市町村の進捗に影響があると言われています。工事のスピード感ある展開を希望するものであります。
質問の第1点目は、東日本大震災津波からの復旧、復興についてであります。
震災の風化が危惧されています。全国的にも、東日本大震災津波からの復旧、復興は既に終わり、東京2020オリンピック・パラリンピックなど、次のステップに目を向けている感もあります。マスコミでも、3月11日に特集を組んでの報道となってきています。
そのような中にあって、全国知事会議が東日本大震災津波の被災地である我が県で、ことし7月26日から3日間開催されました。まずは、復旧、復興への御支援に対して感謝するところであります。47都道府県の知事の皆さんが一堂に会し、各県の知事の目を通して被災地を見て、感じて、そして現状を知っていただく絶好の機会であったと思われます。風化させてはいけない東日本大震災津波について、達増知事は、開催県知事として何を伝え、何を訴えたのか、開催に当たっての成果について伺います。
次に、土地の活用について伺います。
防災集団移転促進事業移転元地の利活用に向けた支援策についてであります。
この事業の要件において買い取りできる土地が限定されたことなどから、移転元地では公有地と民有地が混在している状況が顕在化しています。今後、市町村に維持管理の負担が重くのしかかってくると懸念されるところであります。将来的に土地の利活用をする上でも土地の集約は必要であり、これに係る経費の軽減策も講じ、復興・創生期間内に各地域の実情に応じた基盤整備の実現が必要と考えるところであります。
このようなことから、移転元地に係る復興交付金制度の柔軟な運用や移転元地の集約のための新たな制度が必要と考えますが、該当する土地はどれぐらいあるのか、また、県では、復興交付金の柔軟な運用や集約のための新たな制度はどのようなものが有効と考え、どう対応していくのか伺います。
前段で述べましたとおり、いまだに多くの方が応急仮設住宅での生活を余儀なくされています。この方々の一日も早い自立再建を望むものであります。しかしながら、6年6カ月もたつ中で、御高齢の方など、厳しい経済状況の方がいらっしゃいます。国民健康保険等の一部負担金免除は、生命線とも言える支援策であります。この制度もことし12月までとされていますが、被災者の置かれた現状を考えますと、このさらなる延長が必要であることはもちろん、これまでのように1年ごとの延長ではなく、私は中長期的な展望が必要と考えますが、知事の方針を改めてお伺いいたします。
次に、JR山田線の復旧と三陸鉄道への移管について伺います。
JR山田線の復旧工事については、JR独自の復旧工事であって、県でもなかなか情報が得にくいことは承知しておりますが、被災沿岸部において、その復旧はまさに復興の象徴とも言えます。特にも、ラグビーワールドカップ2019の開催地である釜石鵜住居地区の会場に隣接するであろう駅の復旧の計画はどのようになっているのか伺います。また、大会時の来場者数をどのように見込み、増便などの対応をしていくのかについて伺います。
次に、宮古市ではJR山田線に二つの新駅の設置計画がありますが、その進捗状況と県の支援策について伺います。また、宮古市以外の市町村の新駅設置の予定も含め伺います。あわせて、三陸鉄道への経営移管準備の状況はどのように進行しているのか伺います。
質問の第2点目は、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興の進捗状況についてであります。
あれから1年がたちましたが、いまだに復旧は道半ばであります。私が利用する国道106号も仮復旧のままであります。平成28年台風第10号では、特に久慈市、岩泉町、宮古市に甚大な被害がありました。同地域は東日本大震災津波の被害にも遭い、その復旧工事のさなかの出来事であります。改めて、平成28年台風第10号災害から1年がたつ今日までの取り組みの評価と、今後どう進めていくのか知事にお伺いいたします。
東日本大震災津波の復旧工事もおくれぎみであることはこれまでも指摘してきたところであります。資材不足、人材不足と、その要因は明白であります。復旧工事の発注状況はどのようになっているのでしょうか。また、入札の不調も多いと聞いていますが、その状況はどう推移しているのでしょうか。今後、工事が本格化する中で、その原因をどう捉え、どのように対応していくのか伺います。
災害復旧については、予算措置の期限が3年であることから、期限内に終了できない工事も予測されますが、繰り越し、事故繰り越しはないようにすべきと考えます。県及び市町村においては技術職不足が課題となっており、他自治体に応援職員を要請するなどして対応していますが、業務のアウトソーシングなど、解決策はないのか伺います。また、早急な復旧の実現のために、市町村や業界団体との連携を一層進める必要があると考えますが、これまでの状況と今後の取り組みについて伺うものであります。
質問の第3点目は、水産業の振興についてであります。
我が県の沿岸部の主要な産業である水産業は、裾野の広い産業であります。震災後、なりわいの再生がスピード感を持って行われ、冷蔵庫から加工施設まで復旧が進んできたところであります。ですが、肝心の魚が足りない状況が起こっています。特にも、主要魚種であるサケ、イカ、サンマの不漁は深刻であります。第11回被災事業所復興状況調査においても、水産加工業の72.3%が現在の課題として原材料価格の高騰や調達困難を挙げています。今後の漁獲の見通しと、水産加工業に与える影響と対策について伺います。
あわせて、県で推進しているサクラマスの増殖事業は、漁業関係者はもとより、加工業者にとっても期待感は大であります。これまで、サケの漁期が終わるとタラ、毛ガニとシフトしていきますが、その先、春から夏までの間があくと言われてきました。切れ目のない漁獲を願う者として、サクラマスの増殖事業の今後の見通しを伺います。
次に、高波に対する漁港整備についてであります。
地球温暖化に伴う気候変動により大型台風や爆弾低気圧がたびたび発生し、風水害の頻発化、激甚化が生じています。昨年の台風第10号は、観測史上初めて東北太平洋側から本県に直接上陸し、甚大な被害をもたらしました。近年頻発する大型台風や爆弾低気圧によって本県沖でも高波が発生しているようで、漁業者からこれまでにない高波が何度も襲来してきていると聞きます。そのため、外洋に面した漁港では、波が防波堤を大きく越えてくるため安全に漁船を係留できず、そのたびに漁船を陸揚げするなど、非効率な漁業活動を余儀なくされております。漁船を安全に岸壁に係留できることが漁港整備の大きな役割と考えますが、今後、このような高波対策として漁港整備をどのように行うか伺うものであります。
次に、全国漁港漁場大会について伺います。
水産物は、まずもって漁港に水揚げされ、魚市場での荷さばき、そして水産加工場で付加価値を向上させて物流させていく道をたどります。魚介類を水揚げする水産物流の一丁目一番地である漁港については、県、市町村の努力により、おおむね全ての漁港が着実に復旧していることは周知のところであります。一方で、国においては、本年、水産基本計画や新たな漁港漁場整備長期計画を策定し、水産業の情勢の変化や基本的な考え方を決定したところであります。
このような中、今月末に全国漁港漁場大会が岩手県盛岡市で開催されると聞いております。全国の水産関係団体が一堂に会することとなると思いますので、県として、東日本大震災津波からの復旧に係る御支援、御声援に感謝する絶好の機会であるとともに、全国の皆様に沿岸地域を視察して防災、減災について考えていただく非常に有意義な大会になると私は考えています。そこで、この大会に対する県の取り組みについて伺うものであります。
質問の第4点目は、道路等の維持管理についてであります。
前段でも取り上げたとおり、近年、特にも大きな自然災害が多発しています。そのような中にあって、高度成長期に整備されたさまざまなインフラは老朽化が顕在化しており、点検、管理、補修等を施さなければ天災のみならず人災による被害を出しかねない状況にあり、現状整備されている社会資本のストックマネジメントを推進していく必要性を強く感じるところであります。
平成24年の中央自動車道笹子トンネル天板の崩落という忌まわしい事故で9名のとうとい人命が奪われました。横浜地方裁判所は、老朽化した設備の適切な点検を怠り、防げる事故を回避できなかったと判決を下し、中日本高速道路に4億4、000万円の損害賠償を支払うよう命じています。
そのような事故後、道路法の一部改正が行われ、これに伴う政省令の公布を受け、法に基づいた5年ごとの近接目視点検が義務づけられ、平成26年7月より橋梁、トンネル等の点検が始まったと聞きました。そして、平成28年10月に舗装、平成29年3月には小規模附属物についての点検要領が策定されていますが、これらは、地方公共団体に対しては技術的助言としているところです。全国のニュースでも、照明灯や標識やカーブミラーが強風や劣化によって倒れ、通行人等に衝突してけがをするといった事故も多発しているようであります。ふだん利用している生活道路においても、常に危険が潜んでいるということになります。特に岩手県においては、長い冬期間に凍結抑制剤を大量に散布することから、附属物の腐食も進んでいるのではないかと懸念されるところであります。異常気象が頻繁に発生する中にあって、インフラ倒壊等による二次災害が発生することも予想されます。岩手県民はもとより、本県の道路を利用される全ての方の安全を守るための点検、管理、補修は今後ますます重要と思われます。
そこで質問に入ります。県で管理する道路や道路附属物等の点検状況と今後の点検計画はどのようになっているのでしょうか。道路標識等の小規模附属物については管理本数についても伺います。あわせて、県は、市町村が管理するこれらの管理の実態を把握しているでしょうか。
〔副議長退席、議長着席〕
安全確保のため、法定の点検がなされないものについても管理者による点検が確実になされる仕組みが必要と考えますが、検討されているのか伺います。
公安委員会管理分の道路標識及び信号機についても、同様に管理本数、点検状況や今後の点検計画、点検のルール化などに向けた検討状況について伺います。
質問の5点目は、ヘルプマークについてであります。
岩手県においては、東日本大震災津波後、平成25年に障がいがある方たちへの災害対応のてびきを策定し、県内の障害者手帳保持者約7万人に配付しています。この小冊子にはおねがいカードが添付されており、あらかじめ緊急連絡先や必要な支援内容などを記入することで、困ったとき、周囲に支援を求めるためのカードであります。
我が県では、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会が開催され、県民に大きな遺産である勇気と感動を与えてくれました。特にも障がい者の方々のはつらつとしたパフォーマンスに多くの感動をもらい、これからの岩手の交流人口の拡大の可能性についても気づかせてくれました。
我が県においては、ラグビーワールドカップ2019が開催されます。国内外から多くの方々を迎えるに当たっての提案ですが、ヘルプマークを導入してはいかがでしょうか。ヘルプマークは、障がい者や配慮を必要としていることが外見からはわからない方が援助を得やすくなるよう、東京都で平成24年に作成されました。本県のおねがいカードと同様の趣旨と考えます。同マークは、現在、東京都を初め、大阪府、神奈川県など9都道府県、民間企業などにより全国的に広く取り組みが進められ、平成29年7月に日本工業規格に登録されました。ヘルプマークは、今後、全国的な広がりが期待できることから、交流人口の拡大を目指す我が県においても、全国的に理解が進むヘルプマークを導入して普及を進め、皆が配慮の必要な方の手助けができ、配慮の必要な方も過ごしやすい、人に優しいまちづくりをするべきと考えますが、県の前向きな答弁をお伺いいたします。
質問の第6点目は、農業振興についてであります。
まずもって、第11回全国和牛能力共進会に出品された方々と、この大会に向けて長きにわたって準備をされた関係者の皆様の御労苦に敬意を表する次第であります。
去る9月7日から11日まで、全国各地から腕に自信のある牛飼いが一堂に会し、その技術と成果を競う大会が宮城県で開催され、岩手県議会畜産議員クラブも、1年も前からその応援を多くの議員で行おうと士気を高めてきたところであります。前回の5年前の長崎県開催の際は視察できなかったものの好成績とあって、今回は、畜産県岩手の実力が発揮される絶好の機会であると、出品者現地激励会に達増知事も参加されるほどの盛り上がりでありました。この大会は、次の5年、10年先の日本における和牛の方向性を示す大会であると感じたところであります。
牛飼いにとって、5年はあっという間だという関係者の言葉がとても印象的であります。その言葉の意味は、生き物を扱う大変さとおもしろさ、そして、やりがいがあるのだということであります。結果は思い描いたものではありませんでしたが、次の大会を担うであろう本県の多くの若者が出品者の中にいたことに、岩手のチャレンジは続くものと確信した次第であります。5年後は鹿児島県開催であります。また次の大会に向け、関係各位の一層の御健闘を期待する次第であります。
質問の1点目は、今回の全国和牛能力共進会の経験が我が県の繁殖肥育農家に与える影響と、今後の課題について伺います。また、次の鹿児島大会に向けた指導体制をどのように考えているか伺います。
次に、沿岸の農業について伺います。
本県沿岸部は、前は海、後ろは山という苛酷な地形であり、本県の内陸部のような広大な農地の確保は難しい状況にあることは周知のところであります。かつては雨よけホウレンソウや三陸なばなの生産も盛んに行われていた地域もあり、最近は新たな品目導入の取り組みも見受けられています。
担い手の状況を見ると、高齢化が進み、後継者もない農業者がふえています。沿岸部の新規就農者は、過去3年間の平均で41人となっています。こうした状況を踏まえ、今後どのように沿岸の農業振興に取り組んでいくか考えをお伺いします。
このような中にあって、昨年、台風第10号災害により貴重な農地が被害に遭ったところであります。その復旧状況と、新年度の作付に向けた見通しについて伺います。また、台風災害に際し、県で行った農業機械等の復旧支援策の実施状況について伺います。
質問の第7点目は、宮古─室蘭間のフェリー就航についてであります。
いよいよ待ちに待った本県初のフェリー定期航路が来年6月から開設されます。1日1往復、片道10時間で、既に運賃等も発表されております。室蘭港は、かつてはフェリー港であり、その復活を市を挙げて大歓迎しています。もちろん宮古市においてもその期待感は大きいものがありますし、県としても、初の定期航路に期待を持って対応していただいたところです。
先日、総務委員会の現地調査で宮古港を視察してまいりました。工事は始まったばかりで、津波避難ビル機能を備えたターミナルビルの予想図を見ながら説明を受けてきたところです。現場は、藤原埠頭に防潮堤前出しによる工事の真っ最中で、水門、陸閘もまだ取りつけられない状況であり、まさに走り陣立ての様相であります。開業に間に合うのでしょうか、少し心配になったところであります。
宮古─室蘭間のフェリーの就航は、三陸道の一貫経営や三陸復興道路とともに、新たな交通インフラとして三陸に新しい風を運んでくれるものと期待しています。
そこで、フェリーの就航が三陸の総合振興に与える効果について知事の御所見と、このチャンスを逃さないための県の取り組みについて伺います。
次に、施設整備と運用面について伺います。
この事業を持続させるためには、旅客と貨物の確保が必要です。県ではこれらをどのように試算しているのでしょうか。また、これに対応する利用者の駐車場、貨物車の荷台部分であるシャーシの置き場所の確保や整備はどうするのでしょうか。あわせて、フェリーターミナルの運営主体と運営方法についても伺います。
質問の第8点目は、有害鳥獣対策についてであります。
本年は、県内各地の熊の目撃情報が新聞に掲載されるほど人里近くまで熊が出没しています。熊による平成28年度の農作物の被害額は3、400万円を超えています。また、鹿被害についても依然として農作物において2億円を超す被害が続き、林業の被害も平成28年度は700万円近くとなっています。イノシシも北上して増殖し、県南で駆除され始めました。人里近くにこのような鳥獣が頻繁にあらわれることは、危険であることは言うまでもなく、農林業を支える方々にとっては大きな痛手であります。これまでも一般質問等で県に提案も含め議論を交わしてきたところでありますが、本県の農林業の持続のためにも、鳥獣被害を最小限に抑える県の取り組みについて伺います。
農林業の被害のみならず、農林業を支える方々なども熊の被害におびえています。農家の方々からは、人に危害が加えられてからでないと駆除できないのかという声が上がっています。人的被害が発生する前の対策が必要と考えますが、その対策についてどう考えているのか伺います。また、熊、鹿、イノシシ等の適正な捕獲についてどう考えているのか伺います。
岩手県猟友会等の協力のもと、近年、年間1万頭からの鹿の駆除が行われており、駆除された鹿等を有効に活用する動きが全国的に出てきたところであります。我が県は、いまだに一部で放射性物質の問題があるため鹿肉の出荷制限が解除されない状況が続いていますが、広い県土において、部分解除も含めその解除の見通しを伺います。
このような全国的動きの中で、現状の処理の方法を考えると、本県に鹿肉処理施設の設置は必要と考えますが、県の考えを伺います。
次に、担い手の育成についてであります。
県内には1、675人の猟友会の会員がおり、平均年齢は65歳を超えています。御多分に漏れず担い手の育成が課題となっています。青年層は仕事を持ちながらの活動であり、仕事と猟の両立をさせることの難しさがあると聞いており、講習会等の柔軟な開催を求める声があります。駆除については、猟友会等の協力なしでは先が見えないことから、担い手の育成の支援も必要と考えますが、県の見解を伺います。
以上で壇上からの質問は終わりますが、答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 城内よしひこ議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、全国知事会議についてでありますが、被災地で初めて開催されることから、復興支援に対する感謝と被災地の現状を伝えるとともに、職員派遣などの支援の継続を訴えることを基本姿勢として会議に臨んだところであります。
具体的には、会場内において、写真、動画等による復興の現状や応援職員の活躍の紹介、被災3県による復興物産展の実施などにより、これまでの復興の歩みをお伝えいたしました。さらに、各知事が応援職員と懇談する場や、被災地を直接視察する機会を設けたことによって、復興の成果と残された課題について認識を深めていただいたと考えております。
また、全国知事会議の議題としても、復興をなし遂げ、災害の教訓を継承し、災害に負けない千年国家を創り上げることを誓う岩手宣言が満場一致で採択され、岩手の地から全国に発信されたところでありまして、岩手県の復興にとっても大きな力になったと考えております。
今回の全国知事会議を通じて、改めて復興への関心を全国的に高め、継続的な支援について理解を深めていただいたと考えておりまして、全国との強いきずなを生かしながら復興を力強く進めてまいります。
次に、国民健康保険等の一部負担金免除についてでありますが、先般、市町村等の意向を確認したところであり、いまだ多くの被災者の方々が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされている状況の中、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要があることから、平成30年1月から12月までの1年間、現行の財政支援を延長したいと考えております。
財政支援の継続につきましては、災害公営住宅の整備状況、応急仮設住宅入所者の状況など被災地の生活環境や、被災者の受療状況等を総合的に勘案しつつ、市町村の意向を踏まえて毎年度判断してきたところでありまして、今後におきましても、復興事業の進捗状況や被災者の状況の推移、市町村の意向等を十分に考慮した上で判断していく必要があると認識しております。
次に、平成28年台風第10号災害発災から1年間の取り組みの評価についてでありますが、県では、発災直後から、被災者の生活再建のために、国の制度の対象とならない被災世帯に対し、市町村と連携して県独自の支援金を支給するとともに、なりわいの再生のために、サケ・マスふ化場の再開支援や県独自の交付金による商工観光事業者の再建支援を実施するなど、スピード感を持ちながら、できる限りの対応を行ってきたところであります。
この結果、ことし3月には被災地の復旧、復興の象徴となる龍泉洞が再開され、今月には岩泉ヨーグルトの販売が再開されるなど、復旧、復興に向けた動きが確実に進められていると認識しております。
また、道路、河川等の災害復旧工事の箇所数が多い中、順次着工しておりますほか、河川改修事業においては、地域住民の意見を取り入れながら改修計画を策定するなど、被災地の実情に沿った取り組みが進められています。
一方で、被災市町村においては、東日本大震災津波からの復旧工事を抱える中で、特に技術系を中心に職員のマンパワーの確保が課題となっていますほか、災害公営住宅の建設など被災世帯の住宅再建が本格化しますことから、引き続き被災市町村と緊密に連携し、現地の課題を的確に把握しながら、一日も早い復旧、復興に向けて取り組んでまいります。
次に、フェリー就航が三陸の総合振興に与える影響についてでありますが、宮古─室蘭間フェリーの就航は、復興道路や三陸鉄道と連動し、三陸地域のポテンシャルを大きく高めるもので、観光や産業の振興に大きなメリットがあると考えております。
観光面では、地域間の新たな観光需要に加え、国内観光客や、インバウンド観光が盛んな北海道からの外国人観光客の周遊など、新たな観光需要を創出するチャンスになると考えています。
また、産業面では、昨年から室蘭市の企業と宮古・下閉伊地域の企業の交流が始まっており、今後、交流と連携の拡大を図ることで、本県と北海道の経済交流が活発化することを期待しております。
県といたしましては、宮古港フェリー利用促進協議会を通じた航路の周知や物流促進等に取り組むとともに、三陸DMOセンターを中心とした観光客の受け入れ態勢の整備や、沿岸広域振興局と連携協定を締結した北海道胆振総合振興局との交流事業を推進するなど、三陸振興に最大限生かせるよう取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) 移転元地の活用についてでありますが、防災集団移転促進事業の買い取り対象となっている移転元地は本年8月末現在で348ヘクタールであり、このうち55%の元地についていまだ事業化に至らない状況であると市町村から聞いております。
これまで、移転元地に係る復興交付金の活用については、土地利用計画に係る一定程度の具体性や事業規模の精査を求められており、事業化が難航している事例も見受けられるところです。
県では、今後の利活用に備えるための土地の集約や整地についても復興交付金の対象とすることや、地域住民の合意を得て策定した土地利用計画について、住民の意見を十分尊重した事業規模とするといった復興交付金制度の見直しが、移転元地の利活用の推進に有効であると考えており、本年6月に国に対して要望を行うとともに、7月と9月には復興庁岩手復興局の職員に対する現地での説明や意見交換を実施いたしました。
また、市町村との個別の意見交換等により情報の共有と課題の把握を行っているところであり、今後とも、被災市町村のまちづくりが円滑に進むよう、市町村、国と連携し、移転元地の活用を積極的に支援してまいります。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 鵜住居地区の駅の復旧とラグビーワールドカップ2019への対応についてでございますが、鵜住居地区の駅の復旧につきましては、原形復旧に加えましてバリアフリーに配慮した連絡通路を新設する計画とされておりまして、平成30年度末に予定している三陸鉄道への移管、開業に向けてJRが計画的に工事を進めているところでございます。
これにあわせまして、釜石市におきましては、同地区の復興まちづくりの中核施設と位置づけている駅に隣接する形で、海産物等の直売施設や飲食施設等を備えた観光交流施設を整備することとしております。
また、ラグビーワールドカップ2019の来場者につきましては、試合当日は、スタジアムが満席となる約1万6、000人の観客に加えまして大会関係者やスタッフなど多くの来場を見込んでおります。円滑な交通輸送を確保するため、定時性が高く観客の輸送に大きな役割を果たすことが期待されている三陸鉄道の参画を得ながら、現在、釜石開催実行委員会の専門部会で検討を進めているところでございます。
次に、新駅の設置と三陸鉄道への経営移管についてでございますが、宮古市におきましては、駅を中心としたまちづくりを進めておりまして、JR山田線沿線の八木沢地区、払川地区の2カ所に新駅を設置することが計画されております。平成30年度末に予定している三陸鉄道への移管、開業に向けまして、現在、三陸鉄道が実施設計を行っておりまして、来年度には工事に着手する予定と聞いております。
県では、これまで、新駅設置に係る需要予測調査や新駅設置事例、財源などに関する助言のほか、国庫補助に関する国への要望など必要な支援を行ってきたところでございます。
なお、新駅設置の計画につきましては、現時点では宮古市以外には承知しておりません。
また、三陸鉄道への経営移管準備につきましては要員の確保が最重要の課題でありまして、新たに必要な40名程度の確保に向けまして三陸鉄道では自社採用を計画的に進めているほか、平成27年7月に締結した協定に基づきまして、JR東日本と人的支援に関する調整を進めております。
これ以外の主な課題といたしましては、新たに必要となる車両8両の確保や、JR東日本から沿線市町への鉄道資産の譲渡、移管協力金の提供などがございますけれども、いずれの課題につきましても、沿線市町と連携しながら、JR東日本などと計画的に調整を進めておりまして、引き続き、平成30年度末の移管、開業に万全を期してまいりたいと考えております。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) 平成28年台風第10号災害からの復旧工事の進捗についてでありますが、公共土木施設に係る災害復旧工事の発注状況については、8月末時点で、県所管施設で195カ所、33%、市町村所管施設で595カ所、46%、県と市町村を合わせて790カ所、42%が契約済みとなっております。
入札不調の状況については、8月末までに県と市町村を合わせて被災箇所ベースで895カ所の入札を行い、181カ所分が不調となりましたが、このうち76カ所分は再公告等により契約できているところです。
入札不調発生の主な要因は、被災地域での技術者、労働者不足と考えておりまして、この対策として、複数箇所を集約する発注ロットのさらなる拡大や技術者配置要件の緩和など、震災対応の特例制度が適用できることの周知徹底、また、被災地域以外からの工事への参画を促すため、労働者宿舎の建設費用の追加計上ができる措置も新たに講じているところです。
次に、早急な復旧の実現についてでありますが、県及び市町村においては、技術職員の不足に対応するため、これまでも、コンストラクションマネジメントいわゆるCMや、積算、監督補助などの発注者支援業務を、民間企業や公益財団法人岩手県土木技術振興協会へ委託するアウトソーシングを実施しております。
しかしながら、こうしたアウトソーシングに係る費用についても市町村にとっては大きな負担となりますことから、これまで測量設計業務等の一部の業務に限られておりました国からの財政措置を災害復旧業務全体に拡充することについて国に要望しております。
また、市町村や業界団体との連携については、県と市町村の間で、円滑な施工確保に向けた発注計画の調整を行っているほか、地域ごとの施工確保対策連絡調整会議においては、業界団体も交え、発注計画の情報共有や資材の需給調整などを行っております。
今後も、地域ごとの課題を的確に把握し臨機に対応するため、発注者間の調整や業界団体との情報共有の頻度を高めて復旧工事の円滑な施工を確保し、復旧におくれを生じさせないように取り組んでまいります。
次に、道路等の点検についてでありますが、まず、道路法に基づく点検は、橋梁、トンネル、シェッド、大型カルバート、横断歩道橋、門型標識が対象となっており、平成30年度までの5カ年で完了させます。
既にシェッドの点検については終え、今年度は大型カルバートほか、平成30年度には橋梁、トンネルの点検を完了させ、今後も法令に基づき計画的に点検を実施してまいります。また、小規模附属物として標識2万4、417基、道路照明灯6、955基を管理しており、週に1回から2回の頻度で実施しております道路パトロールの一環として変状の有無を点検するとともに、平成25年度からは国道などの重要な路線にある附属物については個々に近接目視による点検も行っております。
今後とも、引き続き、国が定めた要領に基づき計画的に点検を行い、適切な道路管理に努めてまいります。
市町村が管理する施設につきましては、国、県、市町村等で構成する岩手県道路メンテナンス会議において、道路法に基づく対象施設の管理状況と今後の点検計画を把握しており、平成30年度の点検完了に向け、おおむね順調に進んでいると認識しております。
今後とも、小規模附属物を含め施設の点検が着実に実施されるよう、メンテナンス会議を通じ、市町村職員を対象とした点検要領の周知や現地研修会を行うなど、市町村の支援にも努めてまいります。
次に、宮古─室蘭間のフェリー就航に係る施設整備と運営についてでありますが、旅客数と貨物量については、年間の需要を、旅客は2万人、乗用車は1万台、貨物車は2万8、000台と見込んでいるところです。
利用者の駐車場等については、フェリー運航会社と需要見込み等を踏まえた協議を行いまして、ターミナルビル周辺の舗装済みのエリアに、乗用車、トラック、トレーラーなどの車種ごとに必要と見込まれる台数分を確保することとしております。
また、フェリーターミナルの運営につきましては、現在、宮古市やフェリー運航会社と鋭意協議を行っております。運営主体や方法については、施設の適切な維持管理はもとより、地域振興の拠点としてターミナルが有効活用されることにも配慮しながら、早期に具体化してまいりたいと考えてございます。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、主要魚種の不漁の影響等についてでありますが、今後の漁獲の見通しは、県や国の研究機関によれば、秋サケの今年度の回帰量は約1万1、000トンと震災前の4割程度、スルメイカ及びサンマの三陸沖への来遊量は、スルメイカが不漁であった昨年並み、サンマが昨年を下回るとされており、いずれも震災前に比べ低水準となる見込みであります。
また、これら主要魚種を加工原料とする水産加工業者は、地元魚市場以外からの原料調達を余儀なくされております。
このため、県では、加工原料の安定確保のため、水揚げ状況などの情報提供や主要魚種以外の原料に変更を検討する事業者への助言、遠隔地から原料を調達する場合のかかり増し経費に対する補助制度の活用など、必要な支援を行っているところであります。
加えて、近年はサバ、イワシの水揚げが好調でありますことから、今後は、市町村や漁協と連携して、これらの魚種を漁獲するまき網漁船などを地元魚市場に誘致することなどによりまして、代替原料の確保に努めてまいります。
次に、サクラマスの増殖事業についてでありますが、サクラマスは、水揚げの少ない春先に漁獲され、市場ではその希少性や食味への評価が高く、高級魚として高値で取引されておりますことから、県では、サケに続く新たな魚種として有望と考えており、また、漁業関係団体からも資源造成を強く要望されているところであります。
現在、内水面水産技術センターでは、標識放流調査による回帰率向上と、遡上親魚から採卵した稚魚の量産化への技術開発に取り組んでおり、これらの技術を県内のふ化場に普及し、回帰率の高い種苗を大量に放流することで資源の増大を図ってまいります。
今後とも、県内ふ化場と連携しながら、サクラマスの資源造成に積極的に取り組むことにより水揚げの増加につなげ、漁業者及び加工業者の収入安定を図ってまいります。
次に、高波に対する漁港整備についてでありますが、昨年1月の急速に発達した低気圧や8月の台風第10号など、近年異常な高波が頻発し、防波堤の倒壊、漁船の損傷、転覆等により漁業活動に支障が生じておりますことから、その対策が必要であると認識しております。
このため、平成29年度は重茂漁港など9漁港において、漁船の安全係留や荷さばき所など水産関係施設の被害防止に向けて、防波堤や護岸のかさ上げ、消波ブロックの増設等の整備を進めているところであります。
今後は、近年頻発する高波による被災状況等を踏まえ、設計に用いる波高を見直しするとともに、引き続き漁業関係団体や関係市町村と協議、調整しながら、順次、防波堤等の改良強化を図り、安全な漁港づくりに取り組んでまいります。
次に、全国漁港漁場大会についてでありますが、全国漁港漁場大会は、漁港、漁場、漁村、海岸整備に係る施策の推進を図ることを目的に公益社団法人全国漁港漁場協会が主催し、昭和24年度から各都道府県で開催されてきており、全国の水産関係者約1、500人が参加する漁港漁場関係で最大の大会であります。
県としましても、東日本大震災津波からの復旧、復興に御支援いただいた全国の方々に対する感謝の気持ちをお伝えするとともに、現在の復興状況を見ていただくよい機会でありますことから、大会の後援や運営経費の助成のほか、大会運営スタッフとして職員が協力することとしております。
関係する市町村や漁協におきましても、視察先での説明や地元特産品の提供など、本県水産業のPRも兼ねて大会運営に協力すると聞いており、本大会の成功に向け、主催者や市町村、漁協などと緊密に連携しながら、一丸となって取り組んでまいります。
次に、全国和牛能力共進会についてでありますが、生産者に与える影響と今後の課題については、今大会に参加した農大生からは、技術を高めていくため今後九州で研修したい、また、選手団長で参加した生産者からは、次回大会での上位入賞に向け再度チャレンジしたい、さらに、出品を逃した地域からは、次は必ず参加を果たし上位入賞をなし遂げたいなどの声が上がっておりまして、今大会は、よりすぐれた牛をつくりたいという生産者や地域の意欲の喚起につながったものと捉えているところであります。
県といたしましては、このような生産者の意欲を十分受けとめ、よりよい牛づくりにつなげていくことが重要であると考えております。
指導体制につきましては、今大会に当たり、県、農業団体で組織する対策協議会において、全県を挙げて候補牛の計画的な生産や調教技術の強化などの指導を実施したほか、地域におきましては、関係機関で構成するサポートチームにより、飼養管理など候補牛の能力向上のための支援をしてきたところであります。
次回大会に向けては、関係機関の緊密な連携がこれまで以上に必要なことから、現在の対策協議会を基本に、今大会の検証も踏まえ取り組みの強化を図りますとともに、生産者から高い評価を得たサポートチームの活動の充実を図り、今後も生産者を継続して支援してまいります。
次に、沿岸の農業の振興についてでありますが、沿岸地域では、急勾配、農地分散など不利な生産条件の中で、地域を担う担い手のほか、小規模・兼業農家など多くの農家が生産活動に携わっている現状にあり、こうした多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活発化を通じて、活力ある農業、農村を実現していくことが重要であると考えます。
このため、県では、新規就農者から中心的担い手までの経営発展段階に応じた研修の実施等により、意欲ある担い手を継続的に確保、育成するとともに、地域農業マスタープラン実践支援事業や、いわて農業農村コミュニティ活性化支援事業等を活用し、夏季冷涼、冬季温暖な立地条件を生かしたブロッコリーなど新たな園芸品目の導入支援や、園芸団地の整備に加え、実需者と結びついた酒米など特色ある米づくり、地域の特色ある農畜産物の加工、直売等による6次産業化などを支援してきたところであります。
今後におきましても、小規模農家、兼業農家も参画した産地づくりや地域特産品の高付加価値化の取り組みなどを継続し、農業者の所得向上と農業、農村の活性化に向け取り組んでまいります。
次に、平成28年台風第10号災害による被害からの復旧についてでありますが、農地の復旧状況につきましては、沿岸部の復旧対象農地202ヘクタールのうち、現時点で55ヘクタールが復旧しており、残りの147ヘクタールについては、他事業との調整が必要な9ヘクタールを除き、新年度の作付時期までに復旧する見込みであります。
農業機械の再導入や、園芸用ハウス、畜舎等の農業施設の再建につきましては、宮古市や岩泉町など沿岸6市町村の271経営体について被災農業者緊急支援事業により支援を行っており、今年度中に全ての復旧対象が事業完了する見込みであります。
また、中古の農業機械の再導入等を強く希望した宮古市の新規就農の3経営体に対しましては、岩手県農業公社が平成28年台風第10号対策として創設した被災地経営再開支援事業により導入を支援したところであります。
引き続き、被災農業者の早期の営農再開に取り組むとともに、単なる復旧にとどまらず、地域の担い手が将来にわたって意欲と希望を持って経営発展できるよう支援を強化してまいります。
次に、鳥獣被害対策についてでありますが、野生鳥獣による農林業被害を防止するためには、ニホンジカやイノシシなどの個体数を適正に管理するとともに、野生鳥獣から集落や農作物及び造林木を守り、寄せつけない対策が必要であります。
このため、県では、市町村で策定しております鳥獣被害防止計画に基づき、猟銃、箱わなによる有害捕獲や、本県で開発した積雪に強い恒久電気柵の普及、さらに造林木を守るための防護柵の整備や忌避剤の散布などに取り組んでいるところであります。
また、研修会等を通じて野生鳥獣を人里に寄せつけない対策の普及に取り組んできた結果、先般、盛岡市猪去地区が国の鳥獣被害対策優良活動表彰を受賞するなど、住民が主体となって行う被害防止活動も広がってきております。
さらに、有害鳥獣の緊急捕獲などを行う鳥獣被害対策実施隊の設置を市町村に働きかけ、現在、31市町村で設置済みであり、本年度中にさらに1市町村ふえ、計32市町村まで設置が進む見込みであります。
こうした取り組みにより、野生鳥獣による農林業被害額は平成25年度以降減少傾向にありまして、今後におきましても、必要な予算を確保し、市町村や関係機関等と連携しながら、鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでまいります。
次に、鹿肉処理施設の設置についてでありますが、県では、捕獲した鹿肉の活用は、野生鳥獣による被害防止対策のほか、地域資源の活用にもつながるものと考えております。
国におきましては、捕獲した鳥獣の出口対策として、鹿肉などをジビエに活用する取り組みを推進し、食肉処理施設の整備や商品開発などを支援しているところであります。
しかしながら、本県におきましては、鹿肉などについて、国から県全域を対象とした出荷制限を指示されておりますことから、その活用に向けては出荷制限の解除が必要になっているところであります。
このため、県としましては、出荷制限の解除後を見据え、現在、鹿被害の多い市町村等を対象に、国の支援策の紹介など事業の掘り起しを行っており、今後、鹿肉を活用した起業を検討している方に対し、食肉処理施設の整備支援策、鹿肉の安定供給、品質管理、販路確保等について十分説明するなど理解醸成に努め、その取り組みを支援してまいります。
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) ヘルプマークについてでありますが、県では平成8年4月にひとにやさしいまちづくり条例を施行し、全ての人が個人として尊重され、みずからの意思で自由に行動でき、社会参加の機会が確保される社会の実現を目指して、安全に安心して利用できる施設整備や、人を思いやることのできる心の醸成などを進めてきたところであります。
こうした取り組みの一つとして、障がい者等が災害時や日常生活で困ったときに、周囲に理解や支援を求めるためのおねがいカードを岩手県社会福祉協議会と共同で作成し、身体障害者手帳等をお持ちの方に配付してきたほか、障がい者や難病患者、妊産婦など個々の状況に応じて利用されているハート・プラスマーク等各種マークについても普及啓発に努めてきました。
ヘルプマークについては、今般、日本工業規格に援助や配慮を必要としている方が身につけることで、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることができるマークとして登録されたところであり、今後、ラグビーワールドカップ2019等の開催を控え、本県への来県者の増加が見込まれることから、ヘルプマークについて、県ホームページや広報誌へ掲載することにより県民への周知を図っていきます。
また、援助や配慮を必要とする方々が身につけている各種マークとあわせてヘルプマークを紹介し、障がいのある人もない人も共に支え合うひとにやさしいまちづくりの実現を目指して意識啓発に努めてまいります。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) まず、熊による人的被害の防止対策等についてでありますが、ツキノワグマにつきましては、被害に遭わないよう、春先からテレビ、ラジオ等の広報やリーフレットの配布により、山に入る際の注意喚起や廃棄果樹等の適正な管理について、県民の皆様に呼びかけているところであります。
また、農林業関係者と連携した里山の環境整備による出没の抑制に取り組むとともに、市町村への捕獲許可権限の移譲を進めるなど、人身被害の防止と適正な捕獲に努めているところでございます。
ニホンジカにつきましては、平成35年までに個体数を半減させることを目標に、毎年度、約1万頭の捕獲に取り組んでおり、近年は農業被害額が減少傾向にあります。
イノシシにつきましても、生息域が拡大してきていることから、積極的な捕獲に取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、引き続き、被害防止のための普及啓発や捕獲技術の向上など、市町村や猟友会等と連携し、人身被害の防止や農林業被害の軽減に努めてまいります。
次に、鹿肉出荷制限の解除についてでありますが、現在、熊、鹿、ヤマドリにつきまして、本県の全域を対象に出荷制限が指示されており、出荷制限の解除には、県内全市町村において、1市町村当たり3カ所以上、直近1カ月以内の検査結果が全て基準値以下であることが条件とされております。これまでの検査結果などから、現状では全県での解除は困難な状況であると認識しております。このため、広大な県土を有する本県におきましては野生鳥獣肉の放射性物質検査で基準値以下となっているところも見られますことから、検査結果を踏まえ、実態に即した現実的な解除要件の見直しについて、引き続き全国知事会などと連携して国に要望してまいります。
次に、担い手の育成についてでありますが、県では、狩猟者の減少に歯どめをかけるため、広く県民を対象とした狩猟の担い手研修会や捕獲技術の向上等のための研修会を県内各地で開催するとともに、狩猟免許試験の予備講習会を年3回開催するなど、狩猟者の確保と育成に取り組んでいるところであります。また、狩猟者の利便性を考慮し、免許の更新手続を土日に実施するとともに、有害鳥獣捕獲に従事する場合の狩猟税の減免措置を講ずるなど、狩猟者が継続して捕獲に取り組めるよう努めているところでございます。
この結果、狩猟免許の所持者数は平成24年度の2、498人から平成28年度は2、995人と増加するとともに、新規の狩猟免許取得者における40歳未満の割合が40%を超えている状況となっております。今後とも、猟友会等と連携して狩猟者の確保、育成に取り組んでまいります。
〔警察本部長友井昌宏君登壇〕
〇警察本部長(友井昌宏君) 公安委員会で管理する道路標識及び信号機の維持管理についてお答えいたします。
公安委員会が設置、管理する道路標識及び信号機については、県警察におきまして交通安全施設管理要綱を制定し、適正な維持管理に努めております。
初めに、これら道路標識等の管理本数につきましては、平成28年度末時点では標識柱2万9、003本、標識板8万4、880枚となっており、信号機につきましては、信号柱9、463本、信号灯器1万9、970灯となっており、それぞれデータベース化し、管理しております。
次に、点検状況につきましては、さきの要綱に基づき、日常の警察活動を通じて行う常時点検、交通安全施設の保守に関して行う保守点検、落雷、台風、豪雪等が発生した際に行う特別点検の3通りの点検をそれぞれ実施しております。このうち保守点検は業者委託しての点検でありまして、信号機と大型の道路標識については毎年1回、その他の道路標識については、地域によって頻度は異なりますが、最長でも4年に1回、点検を実施しております。
最後に、今後の点検計画、点検のルール化等につきましては、現行の規定に基づく維持管理を適正に推進していくとともに、道路標識等の耐用年数による劣化はもとより、議員御指摘の設置環境等による腐食等、個々の実態を的確に把握して安全の確保に努めてまいります。
〇21番(城内よしひこ君) それぞれの答弁、ありがとうございます。
答弁の中で道路等の維持管理についてでありますが、今、警察本部長から答弁があったのが私は丁寧な維持管理のあり方であろうと思います。先ほどの県土整備部からの御答弁によると、管理本数が明確ではない。もしかしたら管理台帳を作成していないのではないか。私は本質問の中でもそういう趣旨の質問をしていますが、そういったことについて今どのような現状になっているのか。今後、管理していく上では、しっかりとその台帳等を作成しながら点検、保守を進めていくべきではないかと思います。
ヘルプマークについてですが、ラグビーワールドカップ等も含めて、また、障がいを持った方もそうでない方も、我が県にたくさんの方に来ていただく上では全国共通のものが目指すべき方向ではないかと私は思います。ということで、全国的に普及が進められているヘルプマークも、迎え入れる側の我が県の方々もその認識がないとなかなか難しいと思いますので、ぜひ、この導入も含めてですが、ヘルプマークがあるということを県民の皆さんにもしっかりと周知徹底をしていかないといけないのではないかと思いますので、その点は今後もしっかりと進めていっていただければと思いますし、その取り組みもお伺いしたいと思います。
農業の振興についてでありますが、沿岸部の農業については、なかなか担い手の方がいない。内陸部に比べて少ない状況であります。沿岸部の農業をしっかりと支えていく上でも、農地の集積はやはり必要ではないかと思っています。私の知っている山田地区の方もいろいろな方々から農地を受託しているんですが、偏在していて大変効率が悪いと聞いています。そういう方々の思いがあると、今後もやる気がある方々を支援すると言っていますけれども、支援策の県のスピードが岩手県が抱える農業者の高齢化のスピードに追いついていけない、そういう状況が私は今後発生してくると思いますので、ぜひしっかりとした政策を進めていってほしいと思いますが、その辺の答弁をお願いします。
〇県土整備部長(中野穣治君) 道路施設、特に附属物の維持管理の強化でございます。
先ほど答弁の中で申し上げましたとおり、数につきましては、標識2万4、417基、道路照明灯6、955基ということですので、これは把握しているところでございます。
一方で管理の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には週に1回か2回、車で道路パトロールをしていく中で現状を確認している状況でございまして、個々の施設の近接目視については一部の重要な国道等の路線に限っております。近接目視を行った施設については、個票をつくって、データベースでもって管理しているところでございます。
今後の点検において、重要路線のみならず、こういった小規模附属物についても個々点検していく中でデータベースを整備して管理してまいりたいと思ってございます。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) ヘルプマークについてでありますが、県では、ひとにやさしい駐車場の案内表示や利用証にヘルプマークも表示するなど活用を進めるほか、人に優しいまちづくりに関するセミナーや各種会議等を通じて、関係機関、団体等への周知を図るとともに、これまで本県で普及に努めてきましたおねがいカードとヘルプマークの併用ができるよう、関係団体と協議し、県内での普及啓発に努めることとしております。
援助や配慮を必要としている本県への来県者や県民の方々が不都合を感じることのないよう、議員の御提言も踏まえて、ヘルプマーク等の普及や援助、配慮を必要とする方々に対する県民の理解の醸成に努めてまいります。
〇農林水産部長(紺野由夫君) これまで、県におきましては、東日本大震災津波を契機といたしまして、沿岸地域におきましても圃場の改良整備等に取り組むとともに、市町村等と連携し、農地の所有者への農地中間管理事業制度の周知を丁寧に行いながら、新たな農地の貸し出しを促すなど、担い手が借り受けやすくなるよう農地集積の支援に取り組んできたところであります。この結果、平成26年度から平成28年度までの3年間で借り受け面積が10ヘクタール以上の経営体が16経営体になるなど、沿岸地域においても経営の規模拡大が着実に進んでいるところであります。
しかしながら、一方、農地の偏在等もありまして、なかなか進んでいない地域もあるというのは認識してございます。このため、今後におきましては、計画的な圃場整備の実施とあわせまして、農地中間管理事業の活用に向けた集落等の話し合いを一層進めるとともに、農地中間管理機構の農地コーディネーターと市町村農業委員会の農地利用最適化推進委員が一体となった農地のマッチング活動の強化によりまして、担い手への農地集積、集約に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
日程第4 議案第37号平成29年度岩手県一般会計補正予算(第3号)
〇議長(佐々木順一君) 次に、日程第4、議案第37号平成29年度岩手県一般会計補正予算(第3号)を議題といたします。
提出者の説明を求めます。佐藤総務部長。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) ただいま議題とされました案件について説明申し上げます。
議案第37号平成29年度岩手県一般会計補正予算(第3号)であります。
平成29年9月28日の衆議院の解散に伴い、同年10月22日に投開票予定の衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査を執行する経費が早急に必要になりましたことから、当該経費に係る予算を計上し、総額8億8、800万円余の増額補正を行おうとするものであります。
以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木順一君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております議案第37号平成29年度岩手県一般会計補正予算(第3号)は、総務委員会に付託いたします。
日程第5 議案第38号監査委員の選任に関し同意を求めることについて
〇議長(佐々木順一君) 次に、日程第5、議案第38号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
提出者の説明を求めます。千葉副知事。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
議案第38号は、監査委員のうち、議員のうちから選任されておりました高橋元氏及び嵯峨壱朗氏から辞職の申し出がありましたので、その後任として、小野共氏及び千葉伝氏を選任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
よろしく御審議の上、原案に御同意くださいますようお願いいたします。
〇議長(佐々木順一君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木順一君) 御異議なしと認めます。よって、これより、議案第38号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
ただいま議題となっております議案第38号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木順一君) 御異議なしと認めます。よって、議案第38号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時13分 散 会

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