平成29年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(高橋孝眞君) 自由民主クラブの高橋孝眞でございます。
平成29年9月定例会の一般質問に登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。
通告に従い順次質問をさせていただきます。知事並びに関係部長等の誠意ある御答弁をお願いいたします。
初めに、農業振興について伺います。
全国和牛能力共進会が宮城県で9月7日から5日間開催され、私も同僚議員とともに出品者の激励を含め応援に参加いたしました。総合優勝を目指し、生産者、関係者一丸となって取り組んでいただいたところであり、残念ながら目標達成には至りませんでしたが、一定の成果があったものと評価しております。
5年前の長崎大会では、優等賞を獲得した牛が15頭で総合5位の成績、今大会も優等賞13頭と、参加県の入賞数に応じた総得点を競う出品団体表彰には入りませんでしたが、僅差の成績であり、確実に改良が進んでいるものと感じ、出品者を初め関係機関、団体の皆様の努力に感謝を申し上げる次第です。特にも、第1区若雄の部で県種山畜産研究室の県種雄牛が優等賞3席を獲得し、今後の改良が大いに期待されるところと考えております。
共進会の目的は、牛の能力を最大限に発揮し、生産者が利益の出る改良とならなければなりません。肉牛の部で鹿児島県2頭の出品牛は、24カ月未満で枝肉重量約500キログラム、BMSナンバー12と、最優秀枝肉賞と優秀枝肉賞を獲得しています。まさにもうかる畜産経営へとつながります。
そこで伺いますが、まず、県として、今回の大会をどのように評価しているのかお伺いいたします。
また、5年後の鹿児島県開催に向けては、よりよい肉牛生産を目指し、外部からの牛の導入も図りながら、さらに改良に取り組んでいく必要があると思いますが、種牛の部の対応と肥育技術の確立が重要な肉牛の部について、今後、県としてどのように取り組んでいく考えなのかお伺いいたします。
平成25年12月に国が米政策を見直したことにより、平成30年産からは行政による生産数量目標の配分に頼らず、生産者や集荷業者団体が中心となって需要に応じた生産に取り組む必要性から、県では、平成27年から3カ年にわたるいわての美味しいお米生産・販売戦略を策定し、仕向け先用途別のニーズに対応した良食味米の安定生産として昨年は銀河のしずくを市場デビューさせ、日本穀物検定協会から食味ランキングで特A評価を受けております。ことしは金色の風が市場デビューと、ツートップのフラッグシップ米ブランド化戦略をとり、市場からの評価も高く、大いに期待されるところです。
また、農林水産省の調査によると、昨年産水稲の高温耐性品種の作付面積が9万1、400ヘクタールに達し、主食用米作付の6.6%を占め、今後、国として、高温でも収量、品質低下を防げる耐性品種が、温暖化が進む今後の安定生産に必要とし、平成32年度までに作付面積割合を10%までふやす計画とのことであります。千葉県はふさこがねとふさおとめを育成し、同県の作付の1割を占め、東北では山形県育成のつや姫が1万3、980ヘクタール作付とのことであります。
こうした中で、農林水産省の試算によると、中食や外食などに向くお米、業務用が130万トン不足し、家庭用米は供給が需要を130万トン上回っており、家庭用米と業務用米の需要と供給のミスマッチの解消が必要と考えますが、来年度から始まる次期県産米生産・販売戦略の考え方についてお示し願います。あわせて、生産者の利益を考えると業務用米として収穫量の多い品種開発が必要と思いますが、県の取り組みについてお伺いいたします。
平成19年度に導入された品目横断的経営安定対策への加入を機に、本県においても多くの集落営農組織が設立され、本年2月議会においては157組織が法人化したと聞いております。しかし、法人となる計画を有している423組織の半分にも至っていません。
集落営農組織では、設立時のリーダーも年齢を重ねてきていますし、後継者不足も考えられるところであり、単独の集落では法人化するのが困難な地域もあると聞いています。法人化できない組織への対応が必要と考えますが、県では集落営農組織の法人化に向けた課題をどのように捉え、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
平成26年度から担い手への農地集積、集約化の対策として取り組まれている農地中間管理事業について、国では、この事業を活用し、平成35年度までの10年間に全農地の8割を担い手に集積する高い目標を設定しておりますが、中山間地域の多い本県にとってハードルは高いものと認識しております。
そこで、県ではこれまでの実績と目標達成に向けた課題をどう捉え、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
また、集落営農や担い手への農地集積が進められる中、規模拡大を志向する農業者にとって、育苗作業を省略できる直まき栽培は、農作業の平準化を図るためにも重要な取り組みであります。生産コストの低減技術である直まき栽培の課題をどう捉え、今後どのように取り組んでいく考えか、あわせてお伺いいたします。
中山間地域では担い手不足、高齢化の進展が著しく、このままでは農地の維持、生産活動の継続、地域資源の継承が困難な状況にあります。県内の荒廃農地の面積については、担い手とのマッチングなどの取り組みにより年々減少してきているものの、現在も約5、700ヘクタールとなっております。
このような中、奥州市江刺区においては、綿羊を放し飼いし雑草防除を行い農地の管理を行うとともに生産された羊肉を販売し、新たな収入源とする取り組みが行われております。省力的な農地管理、耕作放棄地対策等に資するものであり、一石二鳥、いや、それ以上の効果も期待できるものと考えますが、県として、この綿羊を活用した地域の取り組みをどう評価し、今後、県全体に普及していく考えなのかお伺いいたします。
2020年の東京オリンピック、パラリンピックでの選手や関係者への提供食材として、大会組織委員会は農産物の調達基準の概要を示しております。それによりますと、食材の安全の確保、周辺環境や生態系と調和のとれた農業生産活動の確保、作業者の労働安全の確保の要件を満たしたもの、いわゆる生産者が栽培から出荷までに守るべきルールとして、安全な農産物の供給、環境の保全、働く人の安全の三つの項目をチェックし、記録を残しておくとなっています。
具体的項目として、農薬を使うときは使用基準を守る、農薬の保管倉庫には鍵をかける、使った機械は洗うなどがあり、グローバルGAP、JGAPを取得した国産品を優先的に選ぶよう求めております。東京オリンピックでは約1カ月の大会期間中に約1、500万食を提供すると言われており、日本の食文化を発信し、今後の農畜産物の輸出拡大を図る絶好の機会でもあります。
そこで伺いますが、岩手の食材を世界にPRする絶好の機会を逸することなく、十分に食材を提供できる体制が必要と考えますが、GAP普及の取り組み状況と、GAPの取り組みにより生産された食材の供給先へのアプローチ等をどのように対応されているのか、課題を含めてお示し願います。
次に、東芝メモリの新工場建設について伺います。
去る9月6日に、東芝は、同社の子会社である東芝メモリの北上市へのフラッシュメモリの新工場建設の決定を発表しました。リーマンショック後の景気低迷を受けて一旦計画が延期され、待ちに待った約10年でありましたが、巨額の投資や雇用の創出が見込まれ、本県の地域経済への大きな効果が期待されるところであります。同社の発表では、平成30年の着工を目指すとのことであり、新工場建設に向けた準備は待ったなしの感があります。
この新工場建設を機に、県内中小企業との取引、協業等を一層拡大していくためには、これら中小企業に対する相談機能など県の支援体制の整備が重要と考えます。本県では、平成26年6月によろず支援拠点を開設し、いわて産業振興センターがその機能を担っておりますが、盛岡市の1カ所だけでは十分とは言えない状況にあります。
本年2月の一般質問でお聞きした際は、平成29年度に向けてさらなる増員等の調整を進めているとのことでありましたが、新工場建設を機に、半導体関連産業の集積促進を図るためには、県南地区における経営相談機能の強化に向けサテライトの設置が必要と考えますが、改めて知事に御所見をお伺いいたします。
新工場建設に向けては、半導体関連産業を支える高度技術者を初めとする人材の確保、育成が極めて重要な課題であります。現在の人手不足の時代にあっては、長期的な視点で、工業高校や産業技術短期大学校等での教育、地元である北上コンピュータ・アカデミー等の専門学校の活用も含め、各段階での体系的な教育が求められると考えます。新工場建設に向けて、これらのものづくり人材の確保、育成にどのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いいたします。
新工場建設に当たっては、関連して国道4号の道路整備も重要になってくると考えております。御承知のとおり、北上工業団地入口以北の区間については、奥州市や金ケ崎町を含む各工業団地から北へ向かう物流ルートであり、花巻市方面から広域医療の基幹病院である県立中部病院へのメーンルートともなっております。しかしながら、北上工業団地入口から花巻東バイパスの南まではいまだに2車線区間であるため、渋滞が激しい区間となっております。
今回の新工場建設の決定を機に、国道4号の当該区間の早期の4車線化が必要と考えますが、県の御所見をお伺いします。
次に、県の対外戦略について伺います。
2019年のラグビーワールドカップ日本大会の釜石市での開催、2020年の東京オリンピック、パラリンピック競技大会の開催、さらにはILCの誘致実現が期待されるなど、岩手と世界がつながる大きな機会を迎えようとしております。
こうした状況変化を踏まえ、県では、海外との互恵的、多面的な交流を進めながら、成長が見込まれる海外市場において、より多くの外貨を獲得し、ふるさと振興を図っていくため、海外展開に係る基本方針として、本年3月にいわて国際戦略ビジョンを策定しております。このビジョンを推進するためには部局横断的な取り組みが重要であり、その司令塔として本年4月に国際室が設置されたものと理解しておりますが、当初、県が思い描いたような動きができているのか、屋上屋を架すことになってはならないと考えますが、現状について知事の御所見をお伺いいたします。
県産品の販路拡大や観光振興、定住交流等の施策を有機的に連携させ、部局横断的な取り組みを総合的に展開するための実働部隊であるいわてまるごと売込み隊については、先ほど申し上げた国際室に加え新設の文化スポーツ部の3課を追加するなど、組織体制の見直しが図られたところです。こうした体制の強化を受けて実績を上げていくことが求められますが、今年度の上半期が終了した現時点までの取り組み状況と成果についてお示し願います。
いわてまるごと売込み隊の取り組みの中でも大きな期待が寄せられる県産農林水産物の輸出について伺います。
日本貿易振興機構─ジェトロ─盛岡貿易情報センターから先月発表された2016年岩手の貿易によると、本県の農林水産物、食品の輸出額は、水産物の不漁の影響を受けたこともあり、前年比0.4%減となりましたが、農林産物については同30.8%と大きく伸びたところです。その中で、台湾は本県からのチャーター便が運航されるなど、本県を訪れる外国人旅行客数が最も多い友好的な国であり、県産農林水産物をもっと輸出することができるのではないかと期待されるところです。県では、台湾・香港交流促進ワーキンググループを設置し、チャーター便や定期便の就航を見据え、県産品の販路拡大や誘客拡大等の方策を検討していると伺っております。
先般、7年ぶりに台湾への県産リンゴの輸出が再開されたところであり、また、牛肉についても、本年9月に16年ぶりに日本産牛肉の輸出が解禁されたと承知しております。今が県産農林水産物を台湾へ輸出するチャンスと考えますが、輸出拡大に向けた県としての今後の取り組みについてお伺いいたします。
次に、安全・安心な地域づくりについて、まず、自殺対策について伺います。
厚生労働省人口動態統計によると、本県の人口10万人当たりの自殺死亡率については、平成15年の37.8をピークに、直近である平成28年は、9月15日に発表された確定数によると22.9と、ピーク時の半分近くに減少しております。この間、久慈モデルの普及、展開など、県、市町村、関係機関が一体となった取り組みに敬意を表する次第です。しかしながら、平成28年においても全国順位では高いほうから2位となっている状況であり、数字上は他県においても同様に自殺対策が進んでいるという結果となっております。この高いほうから2位という現状について、県ではどのように捉えているか、現状認識をお伺いいたします。
現在の県の自殺対策アクションプランの計画期間は平成30年度までとなっており、今後、平成31年度からの次期アクションプランの策定に向け検討が進められているものと存じます。次期アクションプランの検討に当たっては、平成28年度に改正された自殺対策基本法への対応や、男性では働き盛り世代である40歳代の勤務問題、女性では30歳代以降の健康問題が原因として割合が高い中で、重点化した取り組みが求められるものと考えます。
そこで伺いますが、次期アクションプランについて、現時点でどのような方向性を考えられるのか。久慈方式がモデルと言われる中で、さらに一歩踏み込んだ取り組みも必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
社会福祉法の一部改正についてですが、今回の改正により、社会福祉法人の評議員会は、従来の諮問機関から理事や監事の選任、解任を含めた法人経営にかかわる重要事項を決定する議決機関として位置づけられました。また、社会福祉法人の公益性、非営利性を踏まえ、法人の本旨から導かれる本来の役割を明確化するため、地域における公益的な取り組みの実施に関する責務規定が創設されました。これは、地域における多様化する福祉ニーズに対応して、在宅の単身高齢者や障がい者への見守り、生活困窮世帯の子供に対する学習支援などを行う取り組みであり、大変重要な点が法人の責務として設けられました。しかしながら、これらの福祉サービスは無料または低額の料金で提供することが要件の一つとされており、前向きに地域における公益的な取り組みを実施しようとする法人は、このサービスをいかに安定的に継続して提供できるかどうかについて腐心しています。
そこで伺いますが、法改正の趣旨である社会福祉法人の地域社会への貢献の実現に向けて、県としてどう取り組んでいくのか、今後どのように取り組もうとしているかお伺いいたします。
次に、県出資等法人への県のかかわり方について伺います。
県が出資等をしている法人の運営状況や課題、今後取り組むべき点などに関しては、運営評価制度に基づき、毎年度、法人と県のそれぞれにおいて評価を行っており、その結果については岩手県出資等法人運営評価レポートに取りまとめて公表しているところです。
県出資等法人が赤字となり、それが累積して解散となった場合、誰が責任をとることになるのでしょうか。特に県が出資金額の過半を占める法人の場合は、そのような事態となった場合、県の責任はどうなるのでしょうか、お伺いいたします。
県出資等法人について、赤字が累積して解散するなどという事態が生じることはあってはならないわけで、そうした事態が生じることのないよう、県民からしっかりとチェックを受けるため積極的に情報公開を行う必要があると考えるものであり、当該法人について関連する事業がある場合は、関連事業別に収支を公表することが求められると考えます。県が出資金額の過半を占める法人については、県が当該法人の重要事項の決定に参画できる立場であり、なおのこと関連事業別の収支の公表を行う必要があると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
最後に、県の公共投資のあり方について伺います。
震災前の平成22年度に1、095億円程度あった投資的経費は、平成29年度当初予算で778億円と7割程度まで減少しており、震災からの復旧、復興が本県の最優先課題であり、県の職員体制的にも通常分に当たる人員が十分に確保できない現状においては、このような対応もやむを得ないものと認識しております。また、この間、実質公債費比率が18%を超えたことを受け、平成25年度に公債費負担適正化計画を策定し、県債の発行額を一定規模に抑制してきたところです。今般、昨年度の決算を受けて公表された県の実質公債費比率は19.5%となり、さらに当初の計画を2年前倒しし、平成30年度には18%を下回るという見通しもあわせて示されております。
平成29年度当初予算は震災後初めて1兆円を切る規模となっており、復興事業は今後縮小していくことが明らかであり、また、そうでなくてはなりません。これまで県内経済を支えてきた復興需要が一段落し、公債費負担適正化計画を完了する平成31年度は、まさに新たな総合計画が動き出すことが予定されています。そのときに素早く動き出すことができるように今からその準備を進めておくことが必要であり、その準備の一つとしては、国土調査を市町村と連携して迅速に進めていくことなどが考えられます。県として、今後の公共投資をどのように考え準備していくお考えなのか、次期総合計画に盛り込んでいくことが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
以上をもって質問を終わります。答弁次第で再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋孝眞議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、中小企業に対する県の支援体制についてでありますが、国の委託事業を利用して展開しているよろず支援拠点は、販売戦略や新商品開発等の専門的なスキルを有する複数のスタッフが連携して、中小企業者が抱えるさまざまな経営課題に対し、相談受け付けから課題分析、解決策の提案、そして実行までワンストップで支援しております。また、移動相談会を県南地区を初め県内各地でほぼ毎週実施してきており、さらに今年度、全国初の取り組みとしてWeb会議システムを活用した遠隔相談を大船渡地区で開始するなど、相談、指導機能の充実に努めているところであります。平成26年6月の開設以来の相談件数は東北6県で最も多い1万6、000件余となり、相談者満足度調査でも全国平均を上回る高い満足度となるなど、着実に成果を上げているものと考えております。
サテライトの設置に関しましては、このワンストップでの課題解決機能を発揮するための専門スタッフの拡充が不可欠でありますことから、引き続き、事業主体である国に対して対応を要請してまいります。
次に、いわて国際戦略ビジョンの推進に当たっての国際室の役割についてでありますが、グローバル化の進展により、岩手と世界が直接結びつき、本県産業の振興が期待される中、県産品の販路開拓や外国人観光客の誘客拡大、海外とのネットワーク強化などのさまざまな分野にわたる取り組みを一体的、戦略的に進めていくために国際室を設置するとともに、関係室課に国際監を兼務配置したところであります。
本年度におきましては、新たに国際室の主導のもと関係部局が連携し、国際戦略ビジョンの重点地域の一つである台湾、香港からのさらなる誘客等に向けた方策の検討を進めていますほか、県内の関係企業や団体等と情報共有を行いながらオール岩手の取り組みを推進しているところであります。
また、国際戦略ビジョンを着実に進めていくためには、誘客拡大や販路開拓といった経済分野のみならず、人的交流や学術、文化交流など、多面的かつ互恵的な交流を促進することが重要であり、その担い手となるグローバル人材の育成も行っているところであります。
こうした取り組みにより、台湾からのチャーター便の大幅な増加が見込まれていることや、県内企業、団体の支援による大学生の海外留学など一定の成果が生じており、引き続き、海外とのネットワークを活用した効果的なプロモーションの展開や世界と岩手をつなぐ人材の育成など、部局横断の取り組みを積極的に推進してまいります。
次に、県の公共投資のあり方についてでありますが、県による公共投資は、県民の安全・安心な暮らしを守り、地域の産業や経済を支える上で重要な役割を担っており、いわて県民計画では、七つの政策の柱の一つに社会資本・公共交通・情報基盤の整備を掲げ、厳しい財政状況の中、選択と集中を図りながら必要な社会資本整備を着実に進めております。
一方、老朽化対策に係る今後の維持補修費の増加や将来の人口減少など、さまざまな要素を総合的に勘案しながら公共投資の必要性を判断していくことが求められるものと認識しております。
次期総合計画の方向性については、こうしたことを念頭に置きながら、今後、総合計画審議会において議論されるものでありますが、全国的に多発している豪雨災害などの自然災害を踏まえた県民の安全・安心な暮らしの確保や、物流の効率化による産業振興やインバウンド対策等の観光振興、農山漁村の生産基盤と生活基盤の整備などのさまざまな政策の方向性を十分踏まえて今後の公共投資のあり方を検討してまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔企画理事岩間隆君登壇〕
〇企画理事(岩間隆君) いわてまるごと売込み隊の取り組み状況と成果についてでありますが、今年度は、組織体制の見直しとあわせて総括課長級職員によるチームリーダー会議と担当職員によるチーム員会議に分けて会議を開催し、きめ細かな情報共有や緊密な連携を図りながら重層的な売り込み活動を推進しているところであります。
お尋ねのありました今年度上半期の取り組み状況につきまして幾つか例を申し上げますと、知事、副知事による国内外での積極的なトップセールス、7月に本県で開催された全国知事会議における復興の歩みや食、文化等の魅力発信、いわて花巻空港に就航しておりますフジドリームエアラインズのゴールドの機体を統一イメージである「黄金の國、いわて。」号と命名した共同キャンペーン、サッカーやバスケットボール、ラグビーのトップスポーツチームと連携した試合会場でのチラシ、パンフレットの配布やPRブースの設置、企業訪問時におけます金色の風のサンプル米やチラシの配布など、あらゆる機会を捉えて岩手の売り込み活動を総合的に推進してきたところであります。
こうした取り組みなどによりまして、今年度上半期の誘致企業の工場等の増設件数が既に昨年度の年間件数を上回ったほか、先ほど知事から御答弁申し上げましたが、台湾からのチャーター便が年度として過去最高の146便となる見込みであるなど、一定の成果もあらわれており、今後も、売込み隊が連携しながら部局横断的な取り組みを積極的に推進してまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、全国和牛能力共進会の評価についてでありますが、本県の成績は、第1区の若雄の部において全国3位となる優等賞3席を獲得するなど、五つの出品区で優等賞を獲得したほか、復興特別区で、盛岡農業高校が全国6位となる優良賞を、和牛審査競技会女性の部で、牛飼い女子活動もしている奥州市の岩渕恵美さんが全国3位となる優秀賞を獲得したところであります。また、今大会に向けては、生産者や関係者が一丸となって候補牛の育成や調教技術の強化などに日夜全力で取り組んできたところであり、チーム岩手として、本県の和牛の能力を最大限に高めていこうとする意識や目標を共有し、団結して取り組むことができたことが出品者個々の成績とともに大きな成果であると考えております。
一方、総合順位においては、前回大会を下回り、6位以内の入賞に至らなかったことは大きな課題であり、要因を徹底的に分析し、次回大会につなげてまいります。
次に、今後の取り組みについてでありますが、本県が種牛の部で上位入賞ができなかったことは、上位入賞県から牛の大きさなどにおいてさらにすぐれた牛が出品されたことなどによるものと考えられます。このため、本県がこれまで以上にすぐれた候補牛を生産していくため、よりよい種雄牛や母牛の選定はもとより、飼養管理技術の検証や改善のほか、上位入賞県からの繁殖雌牛の導入などについても検討してまいります。
また、肉牛の部では、前回大会に比べ、枝肉重量やA5等級割合も向上するなど本県の肥育技術は格段に高まったものの、上位入賞に向けては肥育技術のさらなる向上が必要でありますことから、今回、すぐれた成績をおさめた本県生産者の取り組みを参考にしたマニュアルの作成やマニュアルに基づく肥育試験の実施のほか、上位入賞県での取り組みなどについても研究を進めてまいります。
次回鹿児島大会までは約1、800日しか残されておりません。候補牛の生産に向け、今回の結果等を踏まえ、生産者や関係団体と緊密に連携しながら、いわて牛の評価向上、上位入賞を目指し、計画的かつ戦略的に取り組んでまいります。
次に、平成30年度以降の県産米生産販売戦略についてでありますが、国民1人当たりの主食用米の消費量は減少を続けており、今後も人口減少等により米市場の縮小が見込まれる中、中食、外食などの業務用米の割合は今後も高まっていくものと考えられます。このため、業務用米については、直播栽培の導入等による生産コストの低減に加え、実需者との結びつきの強化など、安定的な販売先の確保に取り組んできたところであります。その結果、平成28年産米の複数年契約の契約率が全国一となったほか、事前契約も大幅に拡大しております。
業務用米の需要に応えていくためには、実需者のニーズに対応した品種配置や生産コスト低減技術の導入に加え、良食味で多収の品種開発などに取り組むことが重要であります。現在、これらを内容とする次期生産販売戦略の検討を進めているところであり、できるだけ早期に公表したいと考えております。
今後におきましても、実需者の要望を踏まえ、安定的な取引の拡大に向けて、関係団体等との連携をより一層強化しながら取り組みを進めてまいります。
次に、集落営農組織の法人化についてでありますが、これまで、県では、法人化を目指す組織に対し、税務等の経営ノウハウ習得のための講座の開催や高収益作物の導入を含めた経営計画の作成と実践の支援に加え、経営を効率化する観点から、複数の組織を一つの法人に統合する誘導も行ってきたところであります。こうした取り組みにより、法人化した組織数は平成24年度から平成28年度までの5年間で57組織から167組織へと約3倍に増加しているところであります。
一方、平成27年度に県が実施したアンケート調査では、法人化のめどが立っていない組織からは法人運営の人材確保や収益性の確保などが課題に挙げられたところであります。このため、県では、市町村等と連携し、組織リーダーを育成するための講座や県内外の先進事例についての研修を実施するとともに、野菜などの園芸品目や省力機械の導入などについて取り組んできたところであり、今後におきましても、こうした支援を通じて組織の経営力の向上を図りながら法人化を促進してまいります。
次に、農地中間管理事業についてでありますが、本事業が開始された平成26年度から平成28年度までの3年間の実績は、農地中間管理機構の転貸面積が1万497ヘクタールで全国2位、新規集積面積が4、886ヘクタールで全国1位となっております。
課題といたしましては、借り受け希望面積に対応した新たな農地の出し手の確保や、中山間地域などの条件不利地において受け手となる担い手の確保が挙げられます。このため、県では、農地中間管理機構や市町村と連携し、農地の所有者への十分な制度周知により農地の貸し出しを促すとともに、中山間地域などの条件不利地において、担い手が借り受けしやすくなるよう、農地の排水機能を高める簡易な圃場整備の支援などに取り組んでいるところであります。
今後におきましては、農地中間管理機構の農地コーディネーターと市町村農業委員会の農地利用最適化推進委員が一体となった農地のマッチング活動の強化や、圃場整備を契機とした集落の話し合いの一層の推進により担い手への農地集積に積極的に取り組んでまいります。
次に、直播栽培の推進についてでありますが、県では、大幅な労働費の低減が期待できますことから、これまで直播栽培の展示圃の設置や研修会の開催、播種機の導入支援等により普及拡大を図ってきており、北上川下流域を中心に面積が年々増加し、平成29年は10年前の約9倍の1、309ヘクタールまで拡大しております。
一方、直播栽培は、雑草の抑制が難しい、倒伏しやすいなどにより収量が安定しないという課題がありますことから、除草剤の効果的な使用法の指導や倒伏しにくい品種の開発、直播専用肥料の改良などを進めているところであります。こうした取り組みにより直播栽培の収量の安定化を進めるとともに、比較的取り組みやすいコスト低減技術であります面積当たりの植えつけ株数を減らす疎植栽倍の普及などとあわせ、一層の生産コストの低減に取り組んでまいります。
次に、綿羊を活用した地域の取り組みについてでありますが、綿羊は、農地の維持保全や鳥獣被害の防止に有効であるほか、国産ラム肉は、近年、首都圏のレストランで人気が高まっております。また、県内において、草刈りを目的とした綿羊導入の先駆けであり、平成27年度にいわて中山間賞を受賞した奥州市江刺区の梁川ひつじ飼育者の会からは、綿羊の活用は転作田の管理や荒廃農地の再生に有効であり、また、生産したラム肉も高い需要があると聞いており、こうした取り組みは中山間地の活性化に有望と考えております。このため、県としましては、県南地域で取り組みを進めている綿羊を活用した農地管理の取り組みの成果を踏まえながら、生産の普及拡大を支援するとともに、県内外のレストランに対して県産ラム肉のおいしさを積極的にPRし、販路を拡大してまいります。
次に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会での県産食材の提供についてでありますが、GAP普及の取り組み状況につきましては、県では、大会の食材調達基準の一つである国のガイドラインに準拠した岩手県版GAPの普及を図るため、本年6月、生産者や関係団体が一丸となってGAPの取り組みを推進するいわての農業オリンピアン応援宣言を行い、機運の醸成を図ってきたところであります。この県版GAPは、指導者の育成を図りながら、本年9月に県による確認制度の運用を開始し、全国に先駆けて米部門で第1号登録を行ったところであります。
また、食材の供給先へのアプローチにつきましては、県、関係団体をメンバーとする東京オリ・パラ県産農林水産物等利活用促進連絡会議を設置し、大会への県産食材の提供に関する情報収集を行うとともに、課題と対応策について検討を進めているところであります。
現在、大会において飲食を提供することが予想されます候補事業者に対し、この事業者が運営する社員食堂での県産食材を使ったメニューを提供するいわてフェアの開催を初め、さまざまな働きかけを行っているところであります。今後におきましても、これらの取り組みを強化することにより、県版GAP登録の拡大や候補事業者との取引拡大を推進し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会への県産食材の供給を確実に進めてまいります。
次に、台湾への県産農林水産物の輸出についてでありますが、台湾へ向けたリンゴの輸出については、台湾の検疫強化や原発事故による風評被害により、平成23年度から輸出の休止を余儀なくされてきたところであります。昨年度、台湾の流通関係者を招聘した県内商談会におきまして台湾の商社から県内のJAに対し強い輸出の要望があったことから、その再開に向け、農薬残留検査を強化するなど、台湾の検疫をクリアできるよう準備を進め、今般、7年ぶりに輸出が再開したところであります。
本年9月には、現地の高級百貨店で岩手県産リンゴフェアを開催し、流通関係者や消費者からトップクラスの品質や食味であるとの高い評価をいただいたところであります。さらに、この11月には多数の現地百貨店や高級スーパーで販売を拡大するほか、台湾のテレビショッピングでも取り扱いを開始する予定であります。また、本年9月22日付で台湾において日本産牛肉の輸入が解禁されたことから、県としましても、JAなどの関係団体と連携し、いわて牛を初め、安全・安心で、品質やおいしさにすぐれております県産農林水産物の輸出拡大に積極的に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 東芝メモリの新工場建設に係る人材の確保、育成についてでありますが、現時点においては東芝メモリ新工場における計画が明らかにされておりませんが、今後、相当規模の雇用が生まれることが想定されますことから、これまで取り組んできた小学校から高等教育機関までの各段階に応じたキャリア教育や各種就職支援などにより、必要な人材の確保について県としてもしっかりと対応してまいります。
また、半導体関連分野における人材の確保、育成につきましては、これまで、産業界や教育機関及び行政等で組織しているいわて半導体関連産業促進協議会において、企業による出前講座や県内学生の企業見学会等といった企業を知る機会の充実、企業の技術者を対象とした講座や勉強会の開催によるスキルアップなどに取り組んできているところでありまして、高い評価を得ていることから、今後におきましても、このような関係機関が一体となった取り組みを一層強化することにより、半導体関連分野における人材の確保、育成を図ってまいります。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) 国道4号の整備についてでありますが、今般、東芝メモリの新工場建設が決定した北上市を含む県南地域は自動車関連産業など東北最大級の産業集積地であり、立地企業の安定的な活動や生産性の向上を支えるために、国道4号の整備が極めて重要であると認識しております。
国では現在、水沢東バイパスや北上拡幅などの事業を進めており、さらには、今年度から新規に金ケ崎地区での4車線化に着手し、国道4号の渋滞緩和や通勤、物流交通の信頼性の向上に取り組んでいるところです。
県としても、これまでも国道4号の整備を国に要望してきておりますが、引き続き、事業中区間の整備の促進、また、議員御指摘の北上工業団地以北の区間など、残る2車線区間の早期事業化につきまして、ことし2月に設立されました国道4号岩手県南地域拡幅整備促進期成同盟会など地域の関係者とも密接に連携しながら、国に対して強く要望してまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、自殺死亡率に関する現状認識についてでありますが、本県においては、平成19年度から自殺対策アクションプランを策定し、包括的な自殺対策プログラム久慈モデルの確立と普及などを推進してきた結果、自殺者数は全国平均を大きく上回るペースで減少しており、自殺死亡率についても、平成15年に12.3ポイントあった全国平均との差が平成28年には6.1ポイントと着実に縮小してきています。しかしながら、いまだ年間300人近い方が自殺で亡くなり、自殺死亡率が依然として高位にあることから、自殺予防対策は喫緊の課題であると捉えており、その要因等を分析しながら、引き続き自殺予防の取り組みを推進していく必要があると考えています。
次に、次期自殺対策アクションプランの内容についてでありますが、県では、現行のアクションプランにおいて、久慈モデルの推進に加え、自殺の実態や要因の分析に基づき、事業所訪問による働き盛り世代へのメンタルヘルス対策の要請や、介護予防事業と連携した高齢者支援など、本県におけるハイリスク層に対する取り組みを実施しているところであります。
本年7月に国が策定した自殺総合対策大綱では、新たに子供や若者、勤務問題、妊産婦等の自殺対策が重点施策に加えられたことから、平成30年度に策定を予定している次期アクションプランにおいて、本県の実態を踏まえ、新たな取り組みも検討しながら重点的な対策を進めていきます。
また、改正自殺対策基本法により市町村に自殺対策計画の策定が義務づけられ、今後、市町村の取り組みが強化されることから、県としても、圏域ごとのアクションプランの策定や地域自殺対策強化交付金等を活用した助成などを通じて地域の取り組みを支援していくことを県のプランに明確に位置づけたいと考えております。
次に、社会福祉法の一部改正への対応についてでありますが、社会福祉法の平成28年改正により、社会福祉法人は、公的な助成が行われている高い公益性を有する特別な法人として、地域における公益的な取り組みを実施する責務が規定され、地域社会へ積極的に貢献していく役割が明確化されました。
これまでも、県内の社会福祉法人においては、それぞれの法人の経営方針や地域の福祉ニーズに応じ、岩手県社会福祉協議会等と連携して、生活困窮者への食糧支援を行う取り組みや、東日本大震災津波被災者への配食サービスや安否確認等を行う取り組みなど、さまざまな事情から支援を必要とする地域の人たちに対し、無料または低額な料金で福祉サービスを提供する取り組みが実施されてきています。
今回の法改正における地域における公益的な取り組みを社会福祉法人が行うに当たっては、本来の社会福祉事業の適切な実施に影響が及ばないように実施することとされており、県としては、各法人の取り組みに関する情報提供や助言に努めてきました。
今後においても、関係機関と連携し、各法人がみずからの判断で行う公益的な取り組みとして、地域の福祉ニーズに対応した多様なサービスが充実していくよう適切な助言を行うなど支援に努めてまいります。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) 県出資等法人に対する県のかかわり方についてでありますが、県出資等法人は、みずからの責任で事業を遂行する、県から独立した事業体であることから、仮に県出資等法人の経営が悪化し解散となるような場合は、法人の責任に帰するものであります。
県としては、そうした事態に陥らないよう、県出資等法人指導監督要綱に基づいて、各部局において所管する法人の運営状況等の把握に努め、必要な指導及び助言を行っているところです。また、毎年度実施している県出資等法人運営評価制度により、法人の運営状況や課題、今後取り組むべき点などについて、法人において1次評価を、各所管部局において2次評価を行い、その結果等をもとに、統括部署である総務部において総合評価を行い、法人運営の改善に継続的に取り組むよう促しているところであります。
次に、県出資等法人の関連事業の収支の公表についてでありますが、県出資等法人は、地方自治法に基づき経営状況を県議会に報告するとともに、情報公開条例第41条第1項において、その保有する情報の公開に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされております。
県では、この規定に基づき出資法人の保有する情報の公表に関する要綱を定めており、出資法人は、この要綱により、定款、役員名簿、事業報告書、貸借対照表、損益計算書等を公表しており、出資法人として有する公益性、説明責任への一定の責務を果たしているものと捉えております。
なお、この要綱で定める以外の事項については、各法人の判断により自主的に公表されるものと考えております。
〇24番(高橋孝眞君) 答弁ありがとうございました。
最初に、県出資等法人の件ですが、具体的に言いますと、会社法法人で県が過半の出資をしているのは、IGRいわて銀河鉄道株式会社の54.1%と1社だけであります。同様の鉄道事業をしている三陸鉄道株式会社の出資割合が48%と半数に至っておりませんが、同社は関連事業の事業別収支の公表を行っております。運営評価レポートでは、情報公開として、県民の理解と信頼確保の観点から、県出資等法人は公共的性格を有しているものであり、県民にわかりやすく、迅速、公平、正確に情報公開し、法人の経営に対する県民によるチェックの機能を果たすべきであるとしております。また、行政改革推進法や第三セクター等の経営健全化に関する指針においても、みずから積極的かつわかりやすい情報公開を行うこととされております。しかしながら、IGRいわて銀河鉄道株式会社は事業別収支の公表は行っておりません。一方で、同じ鉄道事業を行っている三陸鉄道株式会社は事業別収支の公表をしております。これでは行政として県出資法人に対しての統一性がないことになります。ましてや、IGRは県の出資が50%を超えている県出資等法人であります。会社で言いますと連結子会社でもあります。県が出資する法人が関連する事業を展開して運営しているのであれば、運営している全ての法人に対し関連事業別収支の提供と公開を当然に求めていくべきものと考えるところであります。今後の検討をお願いしておきます。
また、平成30年度以降の県産米生産・販売戦略についてでありますが、農家、生産者にとって今後どのように取り組んでいくか。当面は、来年何を作付するか、どのようにして所得を確保するか、将来の方向性が見えないとなかなか厳しいものがあります。
一例を挙げますと、米の作付では、良質米にするのか、業務用米にするのか、飼料米に取り組むのか、種もみの確保から考えなければいけないわけであります。できるだけ早く今後の戦略を示し、混乱のないようお願いいたします。
集落営農組織の法人化についてでありますが、法人化できない集落営農組織同士の結びつきを行っているという答弁がありましたが、耕作面積が拡大することによって組織で働く人の年間就労が可能になり、法人化することができるのではないかとさらに思うわけであります。また、内陸と沿岸を結びつけることも考えてもよいのではないかと思っています。雪の多い内陸から、冬期間、雪の少ない沿岸に出向いて作業等に当たる。もう少し広く法人化の指導を考えてもよいではないかと思うわけであります。そのためには、組織を担える、特に経営力のある人材の育成が必要と思いますが、どのようにこの点を考えるか、再度お伺いいたします。
台湾への輸出拡大に向けてでありますが、食肉処理施設として、県内の岩手畜産流通センターが、香港初め10カ国に輸出しております。今回、台湾に輸出するに当たっては食肉処理施設としての認定が必要になると思います。施設認定は大丈夫なのかについてお伺いいたします。また、頑張っている生産者のためにも、いわて牛の販売拡大に向け、今後どのようにいわて牛の輸出拡大を図っていくのか、具体的な取り組みについてお伺いいたします。
東芝メモリについてでありますが、最近の報道では、2019年の建屋完成後に設備投資を開始し、最短で2022年に投資を完了する方針とのことですが、稼働の開始等具体的にどうか、知る範囲で教えてください。
また、国道4号の整備の件ですが、整備に当たっては、都市計画決定の必要があると思います。仮に今から始めると、どのような手順によるのかお伺いいたします。また、東芝メモリの本格稼働までに国道4号の4車線化が間に合うのかどうか、間に合わせようとする考えがあるのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、法人化に向けて経営力のある人材の養成についてでございますけれども、県ではこれまで、組織の発展段階に応じましてリーダー等の経営ノウハウ習得のための講座開設、将来の生産、販売計画などを盛り込んだ経営ビジョンの作成支援、園芸作物の導入、6次産業化に取り組むための研修会の開催などさまざまな取り組みを実施してきたところであります。こういった取り組みをさらに充実、継続していきたいと考えております。
また、そういった地域の人材を養成するためには市町村、JA等の支援も不可欠でございます。市町村など関係機関、団体職員の指導能力の向上を図るという面も必要でございますので、法人化の支援、手法等に関する研修会を開催いたしまして、市町村、JA等の能力の向上にも努めているところであります。こういったこともまた引き続き実施していき、経営力のある人材養成を進めてまいりたいと思います。
次に、食肉処理施設の対応についてでございますが、台湾政府当局が9月22日に公表いたしました台湾輸出認定食肉処理施設は日本国内に29施設ございまして、その中に岩手畜産流通センターが含まれているところであります。
センターにおきましては、台湾への牛肉輸出に向けた具体的な手続について、不明な部分を県食肉衛生検査所と連携いたしまして厚生労働省に確認を行うなど、その準備に万全を期していると伺っております。
次に、いわて牛の輸出拡大に向けた具体的な取り組みについてでございますが、台湾への輸出を効果的に進めるためには、現地の商社などとの結びつきを強化いたしまして、その販路を活用することが重要と考えております。
台湾におきましては、リンゴ輸出により現地商社との輸出ルートが既に構築されておりまして、同社から牛肉の取り扱いも要望されておりますことから、この商社を窓口に、台湾の百貨店、日本食レストラン等に対しましていわて牛を積極的にPRし、輸出拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 東芝メモリ新工場の稼働開始時期等についてでありますが、東芝メモリ新工場の具体的な事業計画につきましては現時点では明らかにされていないため、その詳細については承知していないところでございます。
今後、東芝メモリと調整を進めながら、地元自治体を初め関係機関等と密接に連携しまして、新工場の円滑な稼働に向けてしっかりと対応してまいります。
〇県土整備部長(中野穣治君) 国道4号の都市計画決定の手順についてでございますけれども、国管理国道の都市計画決定につきましては、道路管理者である国から協議の申し出が必要となります。県としては、その協議の申し出を受けて手続を行うことになります。
都市計画法上の具体の手続としては、住民説明会、都市計画案の公告、縦覧、都市計画審議会への諮問等がございますが、昨年度、新規事業化された金ケ崎地区の拡幅の事業の例では、国による協議の申し出から都市計画決定までに約8カ月を要したところでございます。県としては、国から協議の申し出がございましたら、速やかに対応してまいりたいと思っております。
それから、事業の整備スケジュールについてでございますが、議員御指摘の区間については、国による早期の事業化をしていただくための取り組みがまずは重要になってこようかと考えております。今年度、新規事業化いたしました金ケ崎地区の拡幅におきましても、実現までに時間はかかりましたが、周辺に立地する企業の皆様を初めとする地元の関係者の熱意、また、要望の中で企業の生産活動に資する事業であるということを粘り強く訴えた結果、最終的にこれが実を結んだものと考えております。議員御指摘の北上工業団地以北の区間の事業についても、地元の促進期成同盟会や立地企業とタッグを組んで、しっかりと国に対して要望してまいりたいと考えております。
〇24番(高橋孝眞君) 県の出資等法人の件ですが、確認ですけれども、検討するということでよろしいのでしょうかお伺いをいたして、終わります。
〇総務部長(佐藤博君) 指導監督要綱及び運営評価制度等の趣旨を踏まえまして、政策地域部と協議してまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木順一君) 次に、小野共君。
〔29番小野共君登壇〕(拍手)

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