平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(佐々木茂光君) 自由民主クラブの佐々木茂光でございます。
平成29年6月定例会の一般質問を行います。
登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。
この3月、東日本大震災津波で犠牲になられた方々の7回忌の法要が各地で行われました。回忌の営みは故人のありし日をしのぶ催しであると同時に、生かされし者が、先人に対し感謝の気持ちと、生かされている今を徳として伝える大切な時間であると言われております。犠牲者の中には、津波にのまれ、帰る家を失い、いまだ帰れないでいる行方不明の方々もおります。改めて、東日本大震災津波で犠牲になられた多くの皆様方に心から哀悼の意を捧げるものであります。
また、昨年の台風第10号の甚大な被害により亡くなられた皆様にもお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
それでは、通告に従い順次質問をさせていただきます。知事並びに関係部局長の誠意ある御答弁をお願いいたします。
初めに、東日本大震災津波からの復興についてお伺いいたします。
東日本大震災津波の発災から6年が経過いたしました。今もなお1万1、000人もの方々が応急仮設住宅での生活を余儀なくされております。
ことし1月に県が実施した復興に関する意識調査では、県全体の復旧、復興の実感について、おくれている、またはややおくれていると回答した方が42.4%で、前年度より4ポイントほど改善したものの、4割以上の方々がいまだおくれていると評価しております。さらに、平成29年第1回いわて復興ウォッチャー調査では、地域経済の回復に関する実感について、回復した、またはやや回復したと回答した方が53.6%で、前回の昨年7月調査と比較し3.4ポイント下回っております。
被災地では、ハードの整備は進んできておりますが、全ての工事が完了するまでにはなお時間を要する状況であります。また、災害公営住宅の建設も進んでおりますが、恒久的な住宅への移行は緒についたばかりであります。陸前高田市では、市内中心部に大型商業施設アバッセたかたが開業し、まちづくりが始まりましたが、周辺戸建て店舗の再建はこれからであり、課題は山積している状況にあります。
このような中で、県では、昨年の本格復興完遂年から、復興基本計画の最後の2年間である平成29年度と平成30年度をさらなる展開への連結期間と位置づけ、一日も早い恒久的な住宅への移行、漁業と流通業、加工業の一体的な再生、新たなまちづくりと連動した商業機能の回復等を進めていくこととしております。
第3期復興実施計画の初年度である平成29年度に入り、はや3カ月が経過いたしましたが、改めて第3期復興実施計画にかける知事の決意をお伺いいたします。
被災地では、計画された災害公営住宅の建設が進み、また、防災集団移転等の完成から、それぞれに応急仮設住宅からの引っ越しが進んでおります。現在、応急仮設住宅には、みなし仮設住宅等を含め5、217戸、1万1、080人余りの方々がいまだに暮らしていると聞いておりますが、ここに暮らす方々の将来はどのようになるのでしょうか。いつ仮設住宅から出られるのか。それによって、既に始まっている応急仮設住宅の集約化計画の見直しはどうなっていくのか、市町村との連携状況を含めお伺いいたします。
沿岸6市町の応急仮設住宅の供与期間については、自宅の再建先は決まっているが、災害公営住宅や面的整備の工期等の関係で退去が間に合わないという特定の事情のある方に限定して、現行の7年間から8年間に延長する特定延長が導入されたところであります。これに伴い、応急仮設住宅、みなし仮設住宅の入居者に対して、一日も早い恒久住宅への移行のために、県ではどのように支援をしていくのかお伺いいたします。
平成29年4月現在の沿岸部の人口は、震災前と比較して2万7、932人、10.2%の減少となり、内陸部の減少率3.8%を大きく上回っており、被災地は人口減少問題と震災復興の二重の課題に取り組んでおります。
陸前高田市においても、震災前の人口約2万3、000人が約1万9、000人にまで減少しており、今後、地域に人を呼び戻し、とどめ、そこで仕事をし、生活ができるような復興後の姿、ビジョンが見えない限り、この傾向は容易にはとめられないものと考えております。
沿岸地域においての人口減少問題は、まさに復興と表裏一体の課題でありますが、現状をどのように捉え、今後どのような対策を講じようとしているのかお伺いいたします。
陸前高田市では、震災で壊滅的な被害を受けた中心市街地において大規模なかさ上げ工事を進めております。この間、酒造メーカーなど他の地域での再建を果たしている企業も少なくありません。
こうした中、かさ上げ工事も今年度中に完了する見込みとなり、先ほど述べたとおり、その中核となるアバッセたかたも開業したところでありますが、地元では、周辺の宅地を含めて空き地が目立つのではないかという懸念があると聞いております。
今後、新たなまちづくりを進めていくためには、企業の再建を進め、雇用を創出していくことが重要となりますが、昔から地域に根差していた企業にはぜひとも地元に戻ってきてほしいと願うところであり、そうした企業の方々も工場や店舗を市内に再建したいとの思いを強く持っているところでもあります。
このような企業に対し、県として、経営が成り立つような販路拡大や新たな商品開発に向けた支援などを、規制の緩和を含め幅広く行っていくべきと考えます。また、酒造メーカーにおいては製造免許の制限といった課題もあるとのことでありますが、このような状況にある企業に対して、県はどのような支援体制をとっていかれるのか、御所見をお伺いするものであります。
平成31年度までの3年間で県が発注する公共施設整備及び公共工事における木材利用量の目標を1万5、600立方メートルとしております。県産材の利用促進は地域の産業振興につながる重要な取り組みと考えますが、今後、行動計画の目標達成に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
また、資源の循環的、効率的な利用を進め、環境への負荷の小さい社会を築いていく上で、木質バイオマスの利用促進は木材の消費につながる重要な手法の一つであります。県内では合板工場やバイオマス発電所が相次いで稼働しておりますが、県の木質バイオマスの取り組み状況はどうなっているのかお伺いいたします。
本県の山林は、戦後植林した杉やカラマツなどの豊かな針葉樹が利用期を迎える中で、人手や資金の不足により、伐採後の山林が再植林されずに荒れるケースがふえております。特に、木を切って搬出、加工し、その一方で植林もする現場で働く担い手の育成が急務であります。
県内の林業就業者は平成27年度末で1、924人、前年度から113人減少しております。また、60歳以上の割合が42%を占め、30歳以下は22%にとどまっており、就業者の減少とともに高齢化が課題となっております。
こうした中で、県では、今年度、東北では秋田県、山形県に続き3番目となるいわて林業アカデミーを開講しました。この取り組みに大きな期待がかかるわけでありますが、このいわて林業アカデミーの開講に県はどのような期待を込めているのか、また、林業に若者の就労を促すため、今後どのように取り組んでいこうとしているのかお伺いいたします。
次に、水産業の振興について、まず、漁業の担い手確保対策についてお伺いいたします。
本県漁業就業者数は昭和50年代に2万人を超えておりましたが、東日本大震災津波後の平成25年には約6、300人と、この35年間で3割になるまで減少しております。また、漁業就業者の高齢化も進行し、このままでは平成30年には5、000人を下回るとの予想が出されており、今後の沿岸地域の振興に向けて、漁業の担い手及び新規漁業就業者の確保が大きな課題となっております。
県では、平成28年3月に漁業担い手育成ビジョンを策定し、長期的な視点で、漁業の担い手確保、育成に取り組むこととしておりますが、これまでどのような取り組みをしてきたのか、これによる新規漁業者の就業状況はどのようになっているのかお伺いいたします。また、漁業担い手及び新規漁業就業者の確保に向け、今後どのように進めていくのか、あわせてお伺いいたします。
震災により壊滅的な被害を受けた漁港については、県、市町村など関係各位の懸命の御努力により着実に復旧整備が進み、被災した108漁港について、おおむね全ての漁港の復旧が完了してきております。と同時に、近年、沖もののサケ、イカ、サンマ等の水揚げ不漁が続いております。これからは、水産業の復興に向け、漁業生産の効率化や省力化などの基盤整備を計画的かつ着実に進めることが肝要であります。特にも漁港設備の充実が求められており、収穫したワカメ、昆布、カキ、ホタテガイ、ホヤなどの養殖生産物の陸揚げのためのクレーン等の設置や、高齢漁業者の漁船への乗り降りのための浮き桟橋等の設置など、これからの漁業を支える担い手への支援のほか、高齢化する漁業者のためにも漁業作業のさらなる省力化を図り、効率的な漁業生産が可能な整備を進めていく必要があると考えますが、県の取り組みについてお伺いいたします。
東日本大震災津波で被災した漁港周辺は住宅地や商店街などが形成されて、地域経済の中心的な役割を果たしてきたところが多く、まさに活力の源でありました。しかし、現在、復旧、復興に向けて、国、県、市町村の連携のもと、整備が進められております。
例えば、既に復活した漁港内の用地等は漁業活動のための漁具の倉庫などに利用されております。津波を防ぐ防潮堤の後背地や地先については、今後、まちづくり計画が進展していくものと考えられます。将来、後背地や地先の有効活用を図っていかなければならないと思うのであります。
そこでお伺いいたします。にぎわいのある、そして地域の活性化に資する地域づくりに向けて、例えば、現在あき状態となっている被災した防潮堤の後背地に産直施設や交流施設を建設し、いわゆる海の駅やフィッシャーマンズワーフのようなものを核としたまちづくりを進めていくことを県として支援していくことも必要ではないかと考えますが、御見解をお伺いいたします。
次に、地域の医療と福祉についてお伺いいたします。
震災により被災した県立病院のうち、昨年度までに県立大槌病院及び県立山田病院は開院し、今年度はいよいよ県立高田病院の再建が予定されております。
県立高田病院は、震災前から気仙地域の在宅医療や、医療と福祉の連携に積極的に取り組むなど、医療はもとより住民の健康サポートにも大きな役割を果たしております。昨年度の一般質問でもお聞きいたしましたが、新病院の再開を間近に控え、医師及び看護師の配置見通しはどうなっているのか、改めてお伺いいたします。
沿岸被災地では、高齢化の進展や、震災等に伴う生活環境の変化による精神的、肉体的ストレスなどさまざまな問題を抱える中で、気仙地域における医療資源は、やはり内陸部と比較して脆弱であると言わざるを得ません。
〔副議長退席、議長着席〕
こうした中、県では、在宅医療に取り組む医師を支援するための病診連携など、在宅医療提供体制の確保、充実を目指し、在宅医療支援センターを立ち上げ、今年度は胆江地区をモデルに取り組む予定だと聞いております。
気仙地域においても、こうした取り組みを含めて、特色ある医療を展開していく必要があると考えますが、どのように医療提供体制を整備していくのか、御所見をお伺いするものであります。
次に、国民健康保険制度の改革についてお伺いいたします。
国民健康保険制度については、平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体となりますが、先日、県では、市町村別の標準保険料率の試算を公表いたしました。1人当たりの年額は県平均で11万3、937円、平成27年度に比べ6、781円増加となりますが、陸前高田市では14万5、858円、平成27年度に比べた増加率が県内最高の42.3%となっております。
平成30年度からの新たな国民健康保険制度の財政運営に当たっては、国の財政支援が当然ながら必要と考えますが、これまで国に対してどのような要望を行ってきたのか。そして、今後、各市町村の財政負担の軽減に向け、国への要望を含め、どのように取り組むのかお伺いいたします。
復興途上にある被災地においては、心身の負担増に伴う医療機関の受診回数の増加や、土地売却等に伴う一時的な所得の増加など、医療に関して特殊な事情を抱えており、一律な適用は混乱を招くのではないかと危惧しております。激変緩和措置を含め被災地への配慮が必要と考えますが、県の御所見をお伺いするものであります。
次に、沿岸地域の道路整備等についてお伺いいたします。
内陸部と沿岸部を結ぶ横軸の道路整備は、物流網の確保、観光振興等の観点から特に重要な意味を持つと考えており、震災時には、こうした横軸の道路が物資や人員の輸送に大きく貢献したことは御案内のとおりであります。
気仙地域においては、国道107号、340号、343号及び397号がありますが、特に陸前高田市と一関市を結ぶ国道343号については、地元からは新笹ノ田トンネルの早期整備への要望として9万人を上回る署名を集め、ILCの候補地という意味でも、その期待が非常に大きいものと認識しております。気仙地域の復興に向け、この新笹ノ田トンネルの整備を含めて、内陸部と沿岸部を結ぶ横軸道路の早期整備が望まれますが、御所見をお伺いいたします。
河川、道路等の災害復旧については原形復旧を基本とすることと心得ておりますが、頻発する豪雨災害によりかつて被災し、復旧した箇所で同じような被害を受けているところも多く見られます。そのような河川、道路等は、これまでの原形復旧という考え方から、少しでも災害に強くしていくという復旧の仕方にし、しっかりとした対策を講じるべきと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
地域の建設業は、インフラの整備や維持管理、さらには災害時における緊急対策や復旧工事などの担い手であるとともに、雇用の確保や資機材調達などを通じた地域経済への貢献など、地域に欠かすことのできない重要な産業であります。現在は沿岸地域の復興道路を初めとする復旧、復興工事などに全力を挙げて取り組んでいただいているところであります。復興のその先を見据えたとき、現在の公共事業の予算規模が確実に縮小することが見込まれるなど、建設業にとって厳しい局面に直面することが予測されております。
地域の建設業の振興や地域経済にも配慮した公共事業予算の確保が必要と考えますが、今後の見通しについてお伺いいたします。
このような中、国土交通省においては、建設業における将来の労働力不足の懸念などを背景に、建設現場の生産性を向上させることで、建設業者の経営環境を改善することに加え、建設現場で働く方々の賃金水準の向上を図るとともに、安定した休暇の取得や安全な建設現場を実現することを目指すi-Constructionの取り組みを始めております。
本県においても、国土交通省の施策に呼応しi-Constructionの取り組みを進め、将来おける地域の建設業の健全かつ安定的な経営環境の維持、改善を促進していくことが必要と考えますが、県の取り組みと今後の方針についてお伺いいたします。
最後に、高田松原津波復興祈念公園及び周辺施設の整備についてお伺いいたします。
高田松原津波復興祈念公園内には、現時点で、旧道の駅高田松原(タピック45)、旧気仙中学校、旧下宿定住促進住宅、奇跡の一本松と陸前高田ユースホステルが震災遺構として保存される予定と聞いております。被災地において、これほどの遺構が残される場所はなく、東日本大震災津波の被災地を代表する復興祈念公園として、まさに震災の記憶と教訓を後世に伝承するため、大きな役割を果たすものと考えております。
この復興祈念公園については、国、県、市が管理するエリアに分かれますが、奇跡の一本松は国が維持管理を行い、その他の遺構は県が管理するエリアに存置されることから、県が安全対策等の管理を行うことになっていると伺っております。
この間、国、県、市においては、可能な限り被災時のそのままの姿を、経過していく様子と合わせて見ていただくことを基本とするとの見解を示されており、基本的には、遺構はフェンスなどで囲み安全対策を行い、人が内部に入れるようにすることは想定していないと伺っております。一方で、当地域の来訪者からは、旧気仙中学校や定住促進住宅の遺構に入ってみたいとの要望も受けているとのことであります。
復興祈念公園内の震災遺構の保存、管理と活用については、県はどのように考えているのかお伺いいたします。
県が進めている海岸砂浜再生事業については、平成27年度から平成28年度にかけて、養浜の本格施工に向けた試験施工が行われたところであります。試験施工の延長は約200メートルで、平成28年2月に現地着手し、平成28年8月に完了しております。全体計画から見ればまだまだごく一部でありますが、砂浜の風景が復活することになります。
この砂浜再生事業に対する住民の関心も非常に高いものがありますが、高田松原が以前のようなにぎわいの創出ができるよう、県では、今後、この砂浜再生事業にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
以上をもって質問を終わらせていただきます。答弁次第では再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木茂光議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、第3期復興実施計画にかける決意についてでありますが、第3期に入り、4月に陸前高田市や大船渡市で大型商業施設が開業し、6月には陸前高田市で全ての災害公営住宅が完成したところであり、応急仮設住宅等の入居者数は、県全体で、3月末の約1万2、500人から5月末は約1万1、000人に減ったところであります。また、岩手大学と立教大学が共同で設置する陸前高田グローバルキャンパスが4月に開所するなど、復興の先を見据えた地域振興の取り組みも見られるところであります。
このように、第3期復興実施計画では、復興事業の総仕上げを視野に引き続き事業を進めていくとともに、応急仮設住宅での生活の長期化や生活環境の変化などに伴う心と体の健康問題に対応するなど、被災者一人一人の復興を見守り、寄り添った支援を行いながら、三陸のよりよい復興の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、林業の担い手の育成についてでありますが、いわて林業アカデミーは、将来的に県内事業体の中核を担う人材を養成するため設置したところでありまして、修了生が森林県岩手の林業や地域を牽引する人材となるように、産学官が一丸となってその育成に努めております。
若者に林業への就労を促すためには、就業者が安心して働くことができる環境の整備と、就職先としての認知度向上を含めた林業のイメージアップが重要であります。このため、環境の整備については、森林経営実践力アップ研修により、経営者の意識改革や林業事業体の経営力の向上を支援するとともに、林業関係団体と連携して、社会保険や退職金共済への加入、適切な能力評価と能力に応じた昇進や昇給など、他産業と遜色ない就労条件の改善を進めてまいります。
林業のイメージアップにつきましては、いわて林業アカデミーの研修状況をフェイスブックで紹介するほか、関係機関と連携して森の仕事ガイダンス、現場見学会、就業支援講習を実施するなど、自然の中でやりがいを持って働くことのできる林業の魅力を広く発信してまいります。
次に、漁業の担い手確保対策についてでありますが、県では、漁業担い手の確保、育成の取り組みを進めるため岩手県漁業担い手育成ビジョンを策定し、施策の展開方向として、地域漁業を担う多様な担い手の育成と漁業就業希望者の受け入れ体制の整備を位置づけました。
担い手育成の取り組みとしては、漁業経営力向上研修や漁協青年部、女性部による農村ビジネス創出のための起業化研修、震災以降の漁業生産活動を担う共同生産方式の導入、拡大などを実施しています。
また、受け入れ体制整備の取り組みとしては、漁業担い手対策の推進母体となる市町村就業者育成協議会を7市町村で設立しましたほか、漁業就業フェアへの参加、熟練漁業者による技術習得研修、住居あっせんなどを実施しています。
こうした取り組みにより、新規就業者数は、平成28年度の目標数50人に対し57人となっており、また、漁家子弟以外の新規就業者の参入割合は、震災前3割程度であったものが約5割と増加しています。
今後、このビジョンの基本理念であるひとが創る地域漁業、ひとを創る地域漁業の実現に向けて、関係機関、団体と連携しながら、漁業の担い手確保・育成対策を力強く推進してまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) まず、応急仮設住宅の状況についてでありますが、災害公営住宅は、平成29年度末で約9割が完成する見込みであるほか、防災集団移転促進事業や土地区画整理事業などの面整備事業についても、平成29年度末で約8割の宅地が供給される見込みとなっており、恒久住宅が確保され次第、応急仮設住宅から移っていただくことになります。
恒久住宅への移行に伴う応急仮設住宅の集約については、応急仮設住宅を管理している市町村において集約化計画を策定済みでありますが、面整備の進捗状況等を踏まえ、必要に応じ計画の見直しを行っているところです。
県におきましても、集約化計画の策定及び見直しに当たっては、住民に丁寧に説明しながら進めるよう、また、集約先のコミュニティー再構築にも配慮するよう依頼するなど、市町村と連携して進めております。
次に、恒久住宅への移行支援についてでありますが、県では、市町村と連携し、被災者の方々の住宅再建の意向把握や支援に努めてきたところでありますが、応急仮設住宅の供用期間に係る特定延長の導入により、平成30年、春から夏にかけて応急仮設住宅からの退去期限を迎える被災者が増加することが見込まれています。
こうしたことも踏まえ、一人一人に丁寧に寄り添った支援を強化するため、今年度、沿岸4地区の被災者相談支援センターで行っている専門家相談等について、ファイナンシャルプランナーによる訪問型の相談を新たに実施するとともに、いわて内陸避難者支援センターの相談員を7名から9名に増員したところです。
被災者の方々が一日も早く恒久的な住宅で新たな生活を送ることができるよう、引き続き、伴走型の支援を進めていきます。
次に、海岸保全施設整備後のまちづくり支援についてでありますが、地域のまちづくりは、住民に最も身近な行政を行う市町村が進めるものであり、復興まちづくりにおいても、被災市町村が主体となって取り組んでいるところです。県では、市町村の現状や課題の把握を行うとともに、まちづくりアドバイザーを派遣するなど、地域のまちづくりを支援しております。
また、復興交付金効果促進事業について、活用事例の紹介や復興庁のヒアリングへの同席による助言など、市町村での交付金活用が円滑に進むよう支援しているところです。
今後とも、各地域の実情等を踏まえ、市町村が目指すまちづくりへの支援を行ってまいります。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 沿岸被災地の人口減少についてでありますが、沿岸被災地は、震災の影響等もありまして、内陸部に比べても急速に人口減少が進んでおりますことから、人口減少対策の基盤となるなりわいの再生をしっかりと進めることに加えまして、交流人口の拡大による新たな需要の創出等によりまして、地域への新たな人の流れを生み出すふるさと振興に一層注力していくことが重要と考えております。
具体的には、復興道路や宮古-室蘭間の定期フェリー航路、釜石港外貿ダイレクト航路の開設などの新たな交通インフラの活用と、国内外から大きな注目を集めるラグビーワールドカップ2019や、仮称ではありますが、三陸防災復興博といった大型イベントを機に、国内外からの交流人口の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
特に、三陸防災復興博につきましては、これを機に、復興の先を見据えた三陸地域の振興にもつながるよう、三陸ならではの体験旅行プログラムや豊かな食材を活用した特産品の開発などにも取り組んでまいりたいと考えております。
こうした取り組みは、沿岸地域の市町村や民間企業、団体との連携が不可欠でありますことから、十分な意思疎通を図りながら、今後とも、復興の先を見据えた沿岸被災地の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、被災企業の支援についてでありますが、沿岸被災地の企業の再建状況は、全体ではほぼ震災前の状況に復旧している割合が5割を超える状況となっている中、今後本格的なまちづくりが進む陸前高田市にあっては、いまだ低位にとどまっている状況にあります。
このような中、陸前高田市においては、今後、復興のまちづくりの基本となるまちなか再生計画などに基づき、中心市街地等への企業集積や活性化についての取り組みが展開されるところでありますが、県といたしましては、市の取り組みの実現に向け、市が構想、推進する地域企業の持続的で健全な経営展開のため、商工指導団体等と連携し総合的に支援してまいる考えであります。
次に、酒造メーカーに係る製造免許の件についてでありますが、さまざまな厳しい制限要件が付されていると伺っておりますが、今後、陸前高田市等と協議しながら課題を精査し、その解決に向けて支援していく考えでございます。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、県産材の利用促進についてでありますが、県におきましては、さらなる県産材利用に取り組むため、第5期行動計画におきまして、従来の木材利用量の目標に加え、県が整備する低層の公共施設の木造化率100%を新たな推進目標に掲げたところであります。これらの目標の達成に向け、木造建築の低コスト化に関する情報共有や国の木造化、木質化に関する支援制度を活用するほか、木造公共施設の県産材活用事例を紹介することなどにより、県立学校等の公共施設や県営建設工事への木材利用を推進してまいります。
また、副知事を本部長とする岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部会議におきまして、毎年度、公共施設、公共工事における木材利用状況の進行管理を徹底していくなど、第5期行動計画の確実な実行に向けて全庁を挙げて取り組みを推進してまいります。
次に、木質バイオマスの取り組み状況についてでありますが、県内では、複数の木質バイオマス発電施設の本格稼働により木質燃料の需要が急増しており、県では、こうした需要に対応するため、高性能林業機械の導入などによる素材生産量の拡大に取り組むとともに、燃料用丸太のストックヤード整備やチップ製造機等の導入など、木質バイオマス燃料の安定供給体制の整備を支援しております。
また、木質バイオマスの利用促進に向けては、産業分野等への木質バイオマスボイラーの導入支援や、木質バイオマスコーディネーターによる事業者等への技術指導、普及啓発を目的としたセミナーの開催などに取り組んでいるところであります。
今後におきましても、木質バイオマスがさまざまな分野において熱供給等のエネルギー源として利用され、地域の森林資源の循環利用や林業振興につながるよう、積極的に取り組んでまいります。
次に、漁業作業の省力化についてでありますが、ワカメやカキなど、養殖生産物の岸壁への陸揚げ作業は漁業者にとって多大な労力を要するものであり、高齢化する漁業者にも配慮した施設の整備が必要と認識しております。
これまで、漁業作業の省力化を図るため、漁業協同組合等では国庫補助事業を活用し、養殖生産物の陸揚げを容易にするクレーンについて、事業計画のある283基全ての整備が完了しております。
また、県では、干潮時においても、水産物の陸揚げや漁船への乗りおりが容易に行えるよう、潮位の変化に合わせて上下する浮き桟橋を3漁港で整備したところであります。
今後も、漁協などの要望を踏まえながら、浮き桟橋やクレーンを初め、漁業作業の省力化、効率的な漁業生産に向けた施設の整備が計画的に進むよう取り組んでまいります。
〔医療局長大槻英毅君登壇〕
〇医療局長(大槻英毅君) 県立高田病院の再建についてでありますが、県立高田病院につきましては、平成28年10月に建設工事に着手し、今年度内の開院に向けまして、引き続き、地元陸前高田市と緊密に連携しながら取り組みを進めているところです。
お尋ねのございました医師及び看護師の配置見通しについてでございますが、医師につきましては、現在、昨年同期に比べ1名多い7名が常勤医師として勤務しております。このほか、関係大学や基幹病院等からの診療応援によりまして、新病院開設後も現在の診療体制を確保したいと考えておりますが、さらなる医師確保に向けて、引き続き、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘に取り組んでいきます。
また、看護師につきましては、現在の仮設病院における看護体制を新病院においても継続することとしており、必要な看護師は既に配置しているところでございます。
このほか、新病院の年度内の開設に向けまして、薬剤師、臨床検査技師、リハビリテーション技師等、他の職種も現在の職員数を基本に、必要な診療体制の整備に努めてまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、気仙地域の医療体制についてでありますが、地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅医療等の体制整備を進めていくことが必要でありますが、本県では、医療、介護の資源に地域差があり、限られた医療資源のもとでその整備を図る必要があります。そのため、これまで、県では、気仙地域においては、陸前高田市が設置した在宅医療連携拠点の運営に対する補助や、医療、介護サービスの連携強化に資する情報ネットワーク未来かなえネットの構築、運営に対する支援などに取り組んできたところであります。
また、今年度、県医師会が新たに設置した在宅医療支援センターとの一体的な取り組みを通じ、専門人材の養成を図るほか、胆江地域をモデル地域として、在宅医療を行う医師を支援するための仕組みづくりに取り組むこととしています。
今後、このモデル事業の成果や課題を踏まえて他圏域にも展開するなど、全県的な在宅医療等の体制整備に向けた取り組みを進めていきます。
次に、国民健康保険制度改革に係る国への要望等の対応についてでありますが、今般の制度改革において、毎年約3、400億円の財政措置の拡充により市町村の財政負担の軽減が図られることとなっていますが、一方で、今後も医療費の増嵩が見込まれることから、県としては、国の財政責任のもと、将来にわたる持続可能な制度の確立や保険料の平準化等に向けて、さらなる財政措置が必要と考えています。
先般実施した平成30年度政府予算提言、要望において、国庫負担率の引き上げなどさまざまな財政支援の方策を講じ、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう要望したところであり、全国知事会からも同様の要請を行っているところであります。
今後においても、市町村の財政負担の軽減が図られるよう、財政措置の拡充について国に働きかけていく考えであります。
次に、被災地への配慮についてでありますが、納付金は、医療費水準や所得水準に応じて各市町村に割り振るため、医療費水準や所得水準が高い市町村においては、標準保険料率が高くなる傾向にあります。
また、今回の試算については、平成30年度以降の公費のあり方が示されていないため、国、県の特別調整交付金は、平成27年度または平成28年度の実績を反映したことから、東日本大震災津波に係る国の特別調整交付金が減少していることなども影響し、被災市町村の増加割合が高くなったものと考えております。
今後、国が夏ごろに示す予定としている平成30年度以降の公費の考え方などを踏まえて、平成30年度の納付金、標準保険料率を算定することとしており、その状況を踏まえながら、どのような激変緩和措置を講じることができるのかについて、市町村と協議してまいります。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、内陸部と沿岸部を結ぶ道路の整備についてでありますが、国道107号、340号、343号及び397号といった気仙地区と内陸部を結ぶ道路、これは被災地域の早期復興を支援するとともに、安全・安心な暮らしを支え、産業振興にも資する重要な路線であると認識しております。
県では、これらの道路を復興支援道路に位置づけ、現在、国道107号の梁川口内工区、国道343号の渋民工区の整備を進めており、また、国道397号では、分限城赤金工区を昨年度供用するとともに、高屋敷工区については、今年度内の供用を目指して整備を進めております。
笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することにつきましては、県の公共事業評価を経ることや安定的な事業予算の確保が課題となり、ILCの実現へ向けた進展もにらみながら、所要の検討を行っていく必要があると考えております。
次に、災害復旧のあり方についてですが、災害復旧工事の実施に当たっては、被災原因を明らかにした上で、形状や材質、構造などの質的な改良も含め、適切な工法により、再び被災しないような施設として復旧することとしております。
例えば、昨年、台風第10号により被災した国道106号の復旧の例では、洪水の強い流れにより川底が深くえぐられ、護岸が被災した箇所について護岸の基礎を従前より深くしたり、川底がより安定するように対策工を行うなどし、災害に強い構造としております。
次に、公共事業の今後の見通しについてであります。
県内の総生産における建設業の占める割合は、震災前の平成22年度は7.5%であったものが、平成26年度は16.0%と倍増しており、復興事業が地域の経済を大きく下支えしている面もあると認識しております。また、復興事業において大きな役割を担っている地域の建設業は、昨年の台風第10号災害における応急復旧対応など、県民の安全で安心な暮らしの守り手としても欠かせない存在であります。
県内の公共事業の量は復興の進展に伴い減少していくものと見込まれますが、今後とも、産業振興に資する社会資本の整備や、災害に強い県土づくりに向けた防災、減災対策に対する地域の期待、また、社会資本の適切な維持管理や老朽化対策に対する社会的要請は大きいものと認識しているところです。
このことから、復興後においても地域の建設業が持続的に発展するとともに地域の経済を支え、県民の安全・安心な暮らしを守り続けることができるよう、社会資本の整備や維持管理に必要な予算の安定的な確保に努めてまいります。
次に、i-Constructionに対する県の取り組み状況と今後の方針についてでありますが、社会資本の整備や維持管理の担い手である地域の建設業が将来にわたり持続していくためには、建設現場の生産性の向上が重要であり、本県においてもi-Constructionの取り組みを推進しております。
具体的には、ドローンやGPS衛星等を利用した測量、ICT対応建設機械による施工を行うICT活用工事を試行しており、今年度は10件程度の実施を目標としております。ドローンを活用した3D測量と設計は、昨年、台風第10号災害における岩泉町での道路復旧においても導入されたところです。また、建設企業への普及啓発や県と市町村の職員の意識高揚を図るため、講習会や説明会、現場見学会等を継続的に開催しているところです。
i-Constructionの普及に向けては、受注者側の意識も高め、受発注者協働で課題を解決していく必要があると考えており、今後も国の動向を参考にしながら取り組みを拡大してまいります。
次に、震災遺構の保存、管理と活用についてでありますが、高田松原津波復興祈念公園内の震災遺構については、被害の程度や破壊力の大きさなど津波の脅威を後世に伝える貴重な資料であり、昨年9月に取りまとめた公園全体の基本設計においては、遺構の周囲に安全対策を講じた上で外部から見学を行う、いわゆる見守り遺構として活用することとしているところです。
震災遺構への来訪者の方の立ち入りについては、建築基準法等の関係法令に基づき来訪者の安全を確保することが必要となります。今後、遺構の所有者である陸前高田市と協議の上、それぞれの遺構の具体的な保存、管理と活用のあり方について検討してまいります。
次に、砂浜再生についてでありますが、高田地区海岸の砂浜再生事業は、東日本大震災津波による津波や地盤沈下の影響で消失した白砂青松の名勝高田松原の砂浜の回復に向け養浜工を実施するものです。
平成27年から200メートルの区間において試験施工を実施したところですが、試験施工によるモニタリングの結果、おおむね計画どおり砂が維持されていることなどが確認されたことから、試験施工区間を含む1、000メートルの区間において本格施工に着手することとし、現在、入札手続を進めているところです。
なお、工事の完了は平成30年度末を見込んでおりますが、その後のモニタリングにより砂の定着度合いや利用に際しての安全性を確認した上で、砂浜を開放したいと考えております。今後も、高田松原津波復興祈念公園や重点道の駅高田松原等の整備とともに、観光交流やにぎわいの再生に資するよう砂浜再生事業に取り組んでまいります。
〇23番(佐々木茂光君) 御答弁いただきましてありがとうございます。
今、復興が半ば終わったという空気も県内を含めて多少感じるところもありまして、先ほどの知事の答弁も、まだ復興途上だという意識が少しずつなくなっているのではないかということをすごく感じて実はお話を聞いていたのですけれども、去年は復興完遂、そしてことしは、それをさらに連結して発展的なものにしていくために計画に盛り込んでいくということで今年度も動いているわけであります。そもそもおくれていたものの原因を含めて、その辺の検証がきっちり行われた中で、平成29年、平成30年の計画に、それをどのように反映していくのかというところを、知事の強いメッセージを込めて、御答弁をいただきたいと思います。
また、そういう話を引き合いに出してどうのこうのというのではないのだけれども、その言葉を選んだ時点で、まさに復興は完遂に向けて動き出したわけです。その年が過ぎました、まだやるべきことが残っています、さあ、これをどうしましょうかということの中で出てきたものを、そのままスライドするような形で引っ張っていく感じに私は受けとめているし、あらかたの人たちも、そういう受けとめをされている方が多いのではないかと思います。見てのとおり、被災地の状況は、その現場によって、その状況がそれぞれ違うだろうし、また、それに取り組む中から新たな課題が出てくるのは承知しているかと思うのですが、そういった課題を含めて、今度の計画の中にそれをどのような形で盛り込んでいくのかということをまず聞きたいと思います。
何点か聞くわけでありますけれども、人口減少対策というのをこれまでも進めてきたのは承知するところでありますが、実際、人口を取り戻すというのは、これはどこの被災市町村の方々も言われるのですが、もう手いっぱいやっているということなのです、いろいろ対策として。結局、外部の人たちとの交流を含め、そういった中から定住する人たちを探すというか、そういう人たちに御協力をもらうなりということで、その場だけの問題では解決できなくなっていると思うのです。だから、知事にもそういった意味での強いメッセージをいただきたいと思うし、そういったところの認識、知事の考えもその中で聞きたいと思います。
それから、さっき、医療、福祉に触れたのですけれども、震災からもう6年、7年を迎えるわけであります。震災以降、高齢化も随分進んでいるし、医療機関にかかわる方々も随分多くはなっているのですが、そもそもそれを守るべき医療関係の人材が不足していたり、福祉関係に従事する方々が少ないということもあって、そういった現状の認識がされないで、この6年間、7年間は過ごしてきているような気がするのです。
6年前に言った話も同じ、今言った話も同じ。私が言うのは、内陸と被災地とのかかわりの格差というものが、それ以上に広がってきているのをすごく感じるもので、そういった発言をするわけでありますけれども、現状をどのように捉えているのか。また、それらを埋める手だてを特効薬的なもので打ち込んでいかないと、内陸部の方々の医療財源を極力沿岸部に回す機会を多くとるとか、そういったもっとわかるような取り組みをしていかないと、本当にそういう抱えている問題は解消されないと思うところであります。
あわせて、今度は復興道路です。先ほど来、笹ノ田トンネルの話も出ておりますが、かねてから私は内陸部から沿岸部に行ける道路─何回も言うようですが、1時間半で仙台に行く時代がもう2年、3年で来てしまうのです。きょうも陸前高田市から来てもらっていますけれども、2時間半ないと県都盛岡に来れない。そういったところを早く解決する道を探るべきと思うのです。
先ほど部長のほうからもいろいろ話があるけれども、陸前高田市のみならず、被災地には何もないということです。何もないからこそ、道路を整備して、内陸からの人の出入り、道路ができることによって出ていく人もいるけれども、来る人もある。特に陸前高田市には、今度は国営の復興祈念公園ができるということもあわせて、周遊するためのアクセスの状態をよくする。それから、観光を含めて交流人口─各被災地の自治体の首長の方々も言うとおり、今の手だてでは人口減少というのはとめることはできないというような状況ということは、ほかから来る人たちを招き入れることによって、いかにして経済を回していくかということにあるようでございますので、そういったところを含めて、とにかく急いだ形で道路網の整備はしっかりと取り組んでいかなければならないと思います。
国道343号の問題について後手後手になっているのは、何でもそうだけれども、やはりよくないと思うのです。だから、今、ILCに関係する方々の御意見の中にも、最終的にはそこに行こうというところまで半ばまとまっているのであれば、まず、県がみずから手を挙げて、その環境を先んじて手を打つのも、それが説得力のある進め方ではないかと思います。相手の出るのを待っているというのはやはりだめです。本気になって考えるのなら、くいの1本でも打ったらどうですか。大東のほうに1本、陸前高田のほうに1本、そういったものによって相手を説得することも非常に大きなことではないかと思います。
公共事業評価、財源の確保とか、それはいろいろあろうと思います。だけども、やはり動きをとるということを現実に示していくべきだと思うのですが、その辺は県土整備部長といっても、くいを打つのは知事ですから、そういった考えにのっとって行動を起こしていかないと、世の中に対しては示すことはできないのではないかと思います。
そういったところを含めて、何点か質問いたしました。よろしくお願いいたします。
〇知事(達増拓也君) 本格復興期間のおくれた事業について、第3期復興実施計画の策定に当たりまして、本格復興期間中、進捗状況がおくれとなった事業を、要因を分析しつつ、特に実質的なおくれに分類された事業については、所要の見直しを行った上で、今の第3期復興実施計画に反映させています。
例を挙げますと、災害公営住宅整備、また県立病院整備数、復興支援道路の整備完了箇所数、保健センターの再建支援施設、海岸堤防完成延長、市町村施設数、防潮堤等完成延長、警察宿舎の再建戸数といった部分の実質的おくれの部分を、今の第3期復興実施計画の中に盛り込んでいるところであります。
また、昨年の台風第10号で二重に被害を受けた施設等の早期復旧など新たに発生した課題、また、市町村が行う復興まちづくり事業の推進や災害公営住宅等での新たなコミュニティーの形成など、今、被災地が直面している課題に関する県の取り組みについても計画に盛り込んだところであります。
それから、人口減少との関係でメッセージということでありますけれども、今、人手不足問題で、漁業資源を初め地域資源を活用した水産加工のような産業、また、これから大きな可能性のある観光関連の産業なども働き手が足りないような状況でありますし、介護など、新しいまちづくりの中で、経済、産業関係だけではなく社会的な分野の働き場もそうでありまして、ぜひ、こういったところで地元に残る、地元に帰る、また、岩手と縁がない人たちでも岩手にやってくるということをメッセージとして呼びかけていきたいと思います。そして、そういう人たちが、働くだけではなくて、きちんと生活し、家庭を設け、そして出産、子育てもしていくことができるような体制というものも、県、市町村が力を合わせて保障していきたいと思っておりますので、これもメッセージとしたいと思います。
それから、医療の関係は担当部長から。
そして、道路についてでございますけれども、これは、先ほど担当部長から答弁差し上げましたように、笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することについては、一つは県の公共事業評価を経ること、もう一つ、安定的な事業予算の確保が課題という中、ILCの実現に向けた進展もにらみながら、所要の検討を行っていく必要があると考えているところであります。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 地域医療を守るべき医療人材や看護人材が不足しているとの御指摘であります。
医療、介護の資源に地域差があるという認識は持ち合わせておりまして、それを埋めるための具体的な方策ということでありますけれども、地道に即戦力の医師の招聘に当たる、あるいは地域枠の奨学生がいるわけですけれども、その方々に地域医療マインドを持っていただくというようなことを通じて人材確保に努めていくということですし、あるいは地域の医療を支えたいという意欲を持った方々がいらっしゃいますので、そうした看護師等についてもUターンの促進を図るため、県立病院の沿岸採用枠をつくるなどして人材確保に努めているところでございます。
そうした中で、医療、介護連携の強化につきましては、先ほど御答弁申し上げました未来かなえネットが気仙地域の一つの強みでありますので、その利用拡大を通じて気仙地域の医療機関や介護施設等の連携を図ることによりまして、気仙地区における医療、介護連携の取り組みを支援していきたいと考えているところでございます。
〇23番(佐々木茂光君) 今度は後ろのほうからお話ししますけれども、未来かなえネットは、確かに県内でも比較的早い時期から取り組んで、皆さんからもいろいろ御協力をいただいて今も運営されているのですが、例えば、今、県立病院でもそうなのですけれども、入院の期間が短くなったというところもあって、早々にそこを出されるということが─ちょっと言葉がいいのかどうかは別にしても、そうすると、地元でそういった人たちの見守りを含めて往診したり診療したりというようなことを、そういったところで情報を共有して進めていこうということが一つの取り組みであったと思うのですが、また、それぞれ医者が足りない、看護師も足りない、そういう人材が足りないということを、それぞれお互いにカバーしながらやっていきましょうということで動き出したわけでありますけれども、今現在の状況というのを聞くと、本当に人がいない。せっかく施設があっても、受け入れるところがあっても、そこに来てもらっても、それを見守ることができない状況まで追い込まれているということを、未来かねえネットにかかわっている方々が、何とかこの辺の人材的のものでもう少し埋め合わせができれば、そこそこ確保になれば、もっとスムーズに回るのだがなというようなお話を実はしている方もおりまして、そういったところもしっかりと膝詰めしながら、お互いの情報を共有できるように、できない部分をどこでカバーするのかというところまで詰めるような話し合いをしていただければと思います。現場にいる人たちも、そこまでは話をしないで、しようがないという思いでやっている方々も多いかと思うので、その辺は、どう見たって沿岸部は医師も看護師も関係者は少ないわけでありますから、そういったところを踏まえて相談なり対策をとっていただければと思います。
さっき知事に、くいを打ったらと言ったのは、もうここまでILCの話が来ているということなのです。それを知事はどういうふうに受けとめているのかと思うのです。大船渡市から物資の搬入をするという、半ばそういう考えも示されている中で、今から公共事業評価というのも、それは一緒に進めてきたのではなかったのですか。だから、ここまで話を詰めて、ここまで話が見えてきていて、ここで岩手県はやる気を示す一歩だと思うのです。だからこそ、くいの1本、2本打ってみせたらいいんです、ここに私たちはこういうものをつくるのですよと。だからこそ、何とかILCも岩手県にぜひ誘致をお願いしたいという説得力になるじゃないですか。自分たちの考えだけを伝えて、物なんかでき上がらないと思います。しっかり目に見えるものも示しながら、誘致に向けて一生懸命やるのが本来のあり方ではないかと思いますが、その思いを一つ聞きたいと思います。
それから、復興にかかわることなのですが、予算でもそうなのですが、時間の経過とともに復興からいろいろな問題、課題が出てくるわけです。それも復興計画の中に盛り込んでいくと、復興というのは、いつまでたっても復興で行くような形になります。台風による激甚災害的なものも、半ば復興の中にそういった災害がかぶってしまっているから、その区別をしない限り、一つのくくりになってしまうと、いつまでたっても復興というのは終わらないでいくと思うのです。例えば事業を進める上でも、きちんとこれは復興の部分、これは災害の復旧の部分としっかり予算立てから分けていかないと、いつまでたってもそれで行くと思うのです。その新たな課題も復興の中に入れてしまうようではだめだと思うのです。そうなる前にきちっと解決するものはする、終わらせるものは終わらせるという考えで取り組んでいかないと、私は、いつまでたっても、被災地の方々が、ああ、復興が終わったという実感を持つにはほど遠くなると思うのです。そういったところを含めて、もう少し知事にも強いメッセージを聞かせていただきたいと思います。
時間も56秒になりましたので、これで質問を終わりますけれども、知事からはそういった思いを聞かせていただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) ILCの誘致と、それに関連するさまざまなインフラ整備については、よくよく研究者の皆さんの作業ペースと、そして国との平仄を合わせていくことが大事だと思っておりますので、そういうふうに進めていきたいと思っております。
それから、新しい課題を復興の中に入れていくと復興事業がふえていくのではないかというような質問だったと思うのですけれども、突き詰めていくと、1人1復興、被災された方々一人一人が生活の再建やなりわいの再生、また安全の確保、そして学びが必要な子供たちがきちんと学ぶことができるといったようなことについて、それを確保していくことが復興だと思っておりますので、新しい何か状況の変化等で追加的に復興事業が必要になる場合は、それは追加していっていいのでないかと考えております。
復興については、一日も早く終わらせなければならないというところもあるわけですけれども、一方で、拙速になって、あたかも既にもう終わったかのようにして、まだ終わってない部分が放置されることのないようにということも重要と考えておりますので、最初の答弁にもあったように、被災された方々一人一人にきちんと寄り添っていくような復興を進めていきたいと考えております。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 入院しても早々に退院させられるというお話がございました。気仙地域では、中核病院である県立大船渡病院が急性期医療を担っていまして、県立高田病院等が急性期後の患者を受け持っているわけですけれども、訪問診療等在宅医療を行うにも、医療資源、医師の人材の資源がないのではないかというお話もございました。陸前高田市の在宅医療を支える会の取り組みなどによって、そういう在宅医療が支えられているということは承知しておりますけれども、まさに訪問診療ができない部分などにつきましては、訪問看護であったり訪問リハビリなど、そうした地域にある資源のもとでどのような取り組みができるか、地域と考えながら取り組んでいきたいと考えているものでございます。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時44分 散 会

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