平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(菅野ひろのり君) 改革岩手の菅野ひろのりです。
1年9カ月ぶりの登壇となります。機会を与えていただきました会派の先輩、同僚議員の皆様、そして会派を超え日ごろより御助言くださる地元議員の先輩方に感謝を申し上げ、質問に入ります。
初めに、国際リニアコライダーの誘致実現に向けた取り組みについて伺います。
達増知事は、平成30年度の予算編成に向けての政府への要望項目の中で、ILCについて資金の分担等の速やかな国際調整を行うことなどを盛り込み、早期決定を要望されたところです。
昨年、盛岡市で開催されたリニアコライダーワークショップ2016では、初期投資を抑えて段階的にILCを整備することが研究者間で大筋合意なされました。加速器の初期整備延長の短縮によるコスト削減への検討が進んでおり、初期計画では31キロメートルだったものが20キロメートルから23キロメートル間で調整され、約1.1兆円と想定されていた建設コストも約40%削減できるのではとの推測もあります。また、国の有識者会議では、四つ目の作業部会、体制及びマネジメントの在り方検証作業部会がつくられ、誘致決定までいよいよ最終段階に入ってきたのではと期待されるところです。
また、建設予定地の一角である奥州市議会でも、地元議員の一般質問の中でILC誘致活動への取り組みに対する質問もあり、奥州市の機運醸成の高まりの実感と加速器の整備延長を将来的には拡張いただきたい点など、誘致の実現に向け活発な意見、質疑が出されました。
8月にはICFA(国際将来加速器委員会)の国際会議でコスト削減の承認も期待されるところですが、県として、誘致実現に向けどのようにかかわっていくのか、関係省庁への要望の手応えを踏まえ、知事に今後の意気込みをお尋ねいたします。
次に、農業規制改革と農業振興について伺います。特にも農村社会で生活する方々を思い、農業の成長と農村社会の維持について質問いたします。
政府は、農業競争力強化プログラムをもとに、高齢化、後継者不足を解消するため、規模の集約と拡大、6次産業化の推進などにより農業の維持、強化を図ることとしていますが、本県の8割は中山間地域で、耕作条件が厳しい山間地域が多くあります。
平成28年度の食料・農業・農村白書の概要によると、中山間地域の人口は1割にすぎないものの、耕作地面積と農業産出額はそれぞれ4割を占め、食料生産の場として、また、農業、農村の有する多面的機能の維持、発揮等の面で重要な役割がある。また、高齢化の進行が平地に比べて速いという課題が挙げられています。
本県では、多くの小規模農家、すなわち兼業農家、家族経営の方々が地域の農業を支え、農地を保全し、農業成長に貢献し、農村社会から生まれるさまざまな生活や文化、伝統芸能など、現代社会も恩恵を受ける資産を生み出してきました。
農村地域の人口減少がさらに加速すれば農地の保全も困難になり、効率が上がらない条件不利地は集約されずに耕作放棄地、遊休地の増加につながり、使われていない土地は課税が強化され、農村集落には厳しい現実です。国が示す農業の成長と反比例し、農村社会は衰退するものではと危惧します。
本県農業の実情を知事はどのように受けとめ、農業の成長と農村社会の維持をどのように考えているか伺います。
次に、種子法廃止に伴う影響について伺います。
第193回の通常国会で、稲、麦、大豆の種子生産を都道府県に義務づける主要農産物種子法の廃止が可決されました。種子法廃止で都道府県の種子生産が後退することへの懸念があることを踏まえ、政府に対して、都道府県の種子生産の予算確保や外資による種子独占の防止に努めることなどを求める附帯決議が採択されました。
政府は、種子法に基づき都道府県がみずから開発した品種を優先的に奨励品種に指定し、公費を使って生産、普及させており、民間の種子生産への参入を阻害しているとして廃止しました。
本県農業にとって、今後も安定的な予算確保を行い、岩手県の気候、土壌等に適合した種子の開発や普及、検査が行われ、安全な作物の種子がこれからも農家に安価に提供されることが重要だと考えます。
都道府県に義務づけられてきた種子行政。今後、根拠法を失うことになりますが、種子法廃止の影響をどう捉えているのか、種子生産に伴う県予算の状況はどうなっているのか、種子の品質や優良品種の普及体制の維持にどう取り組んでいくのかを伺います。
次に、収入保険制度について伺います。
収入保険制度が来年度より開始されます。農業経営の新たなる安全網とするこの制度は、自然災害や農産物の価格低下により、収入が過去5年間の平均収入額を基準に9割を下回ったときに保険金で補填する仕組みです。懸念されるのは、加入要件が青色申告者を対象としている中、青色申告を行っている農業者が少ない点です。日本全体での青色申告の実施者数は全国126万戸の販売農家のうち44万人程度、35%です。岩手県では、正確な数字はないとしながらも、25%程度と推測されるといいます。
例えば、本県の水稲農家の作付面積は0.5ヘクタール未満の経営体が35.8%と小規模農家が多く、農業収入に依存する割合が低いため保険に加入しないことが懸念されます。特にも近年の岩手県は、平成28年台風第10号被害等の自然災害が発生し、甚大な被害を受けており、無保険の状態で被災した場合に事業再開のめどが立たず、離農するケースも心配されます。無保険加入者が増加しないよう十分な手だてを行い、また、加入を希望する農家には確実に本制度に誘導しなければならないと考えますが、本県農業者の実態に照らし合わせ、収入保険制度に対する本県の評価と課題、農業者に対する影響をどのように考えているか伺います。
次に、新農政への取り組みについて伺います。
まず、スマート農業の推進です。
本県の農業の現場では担い手の高齢化が進み、労働力不足が深刻となっています。また、熟練した農業者の知識や栽培技術を若い就農者に継承していくことも重要な課題です。
こうした課題の克服に向けて、今、注目を浴びているのがスマート農業と呼ばれる新しい農業技術です。情報通信技術やロボット技術、さらにはGPS衛星の利用など、他産業からの技術移転も重なり、農業の現場に急速な浸透を見せています。スマート農業の推進に当たっての課題や留意点をどう捉え、どのように普及を図っていくのか伺います。
次に、GAPの推進についてです。
GAPは、持続的な農業生産活動を行う上で必要な点検項目に沿って農業生産活動の各工程を正確に実施、記録、点検及び評価し、改善活動につなげる取り組みであり、農業生産工程管理とも呼ばれています。
国は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせ、オリンピック選手村への食材調達の条件としてGAP認証の取得を求めています。
県では、GAPへの取り組みのメリットをどう捉え、東京オリンピック・パラリンピックへの食材供給に向けて今後どのように進めていく考えか伺います。
次に、生産調整見直しに伴う稲作振興について伺います。
平成30年度からの生産調整見直しに伴い稲作政策の転換期を迎えます。岩手県農業再生協議会では、平成29年5月29日に、岩手県における需要に応じた米生産の推進に関する要領、水田農業の推進方針を公表しました。主食用米は地域条件に適した品種の作付強化と品質向上、飼料用米は県北地域に適した新品種導入を進めるというものです。年間消費量が8万トン減少し、米の作付も減少が想像される中、稲作生産を支える上で重要なのは、水田有効利用という観点から、農業再生協議会が示した需要に応じたというワードと、水田をどのように活用していくかという2点です。
本県は、銀河のしずく、金色の風の2大ブランドを核に生産、販売に注力していく方針ですが、平成28年産の特Aブランド米も全国44銘柄と産地間競争が激化し、他県でも複数年契約や加工用米の取り組みを同様に行っています。
その中、全国の全農組織の対応として目を引くのが全農ひろしまで、2018年度から米全量買い取りを開始します。全農ひろしまは、国に生産調整がなくなれば、全体需給の不安定化や県産米の価格の低下を招きかねず、生産減少がさらに加速すると懸念し、全量買い取りで全農がリスクを負ってでも農家所得を確保し、生産減に歯どめをかけるといいます。
そこで、3点伺います。
1点目です。岩手県農業再生協議会では、米政策の見直しへの対応として需要に応じた米生産の推進に取り組むとしていますが、さらに消費者のニーズをどのように捉え、需要拡大に取り組んでいく考えか、あわせて、全量買い取りを決めた他県の例もありますが、本県の米販売における対応策を伺います。
2点目。本県の強みは畜産と稲作生産が高い点であり、県内での飼料用米の需要と供給がマッチするのではないかと考えますが、飼料用米の生産と活用の課題をどのように認識しているか伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
3点目。米政策の転換に伴う農家への影響をどのように捉え、所得向上につなげていくか伺います。
次に、畜産振興と酪農基盤強化対策について伺います。
まず、肉用牛ですが、本年は宮城県にて5年に1度の全国大会、第11回全国和牛能力共進会が開催されます。紺野農林水産部長は、岩手県畜産協会発行の機関紙、岩手の畜産にて総合優勝を掲げ、また、平成29年度当初予算にも和牛オリンピック総合優勝チャレンジ事業費を計上し、県を挙げて注力しているところです。
さらに本県は、畜産の競争力を高めるため、畜産クラスター事業にて大規模農家を中心に補助を行っていますが、本県肉用牛の飼養状況を見ますと、肉用牛の約3割の飼養頭数を抱える県南地域の一関市、奥州市、その中で約2、500頭飼養する奥州市江刺区の1戸当たりの飼養頭数は5.6頭と小規模農家が中心であり、家族複合経営が産地を支えているのが実態です。
また、本県の肉用牛振興を語る上で外せないのが付加価値の高いブランド牛の存在。代表格である前沢牛は地理的表示保護制度─GIに登録され、日本を代表する和牛ブランドとして保護され、肉用牛生産者の意欲を高めているところではありますが、上場頭数確保が課題となっています。
酪農の状況はどうでしょうか。
本県は飼養戸数約1、000戸と北海道に次ぐ酪農県ですが、肉用牛同様に飼養頭数減少と労働負担軽減、就農支援が課題とされ、特にも乳用後継牛の確保が課題の一つとして挙げられます。乳用牛に黒毛和種の種をつける割合が増加し、乳用後継牛の減少と価格高騰も考えられ、酪農生産基盤の弱体化が懸念されています。
では、岩手にとっての酪農生産基盤とはどのようなものが考えられるか。その一つであります八幡平市の岩手山麓ディリーサポートでは、飼養規模12頭から65頭の酪農家11戸が、県の事業を活用し、自給粗飼料生産施設を建設。酪農家のメリットは、一定した栄養価の飼料を安定供給され、若手作業員を常勤雇用したため牧草などの粗飼料生産の負担がなくなり、飼養管理に集中できることです。さらに、仮に離農者が出ても、粗飼料が安定的に供給されているため、牧草などの粗飼料生産をすることなく、離農農場を活用し新規就農者を迎え入れることも可能です。堆肥も農地に還元し、牧草地の活用、保全を行い、なりわいは水田との複合家族経営を実践している、まさに本県の土地条件と県の事業を有効活用した岩手の循環農法を実践されているものと思います。
私は、設備投資負担が高い酪農では、大規模化を推進し過度な負担を農家に与えるのではなく、適正規模かつ既存施設の活用や、土地や気候、生活圏に適合した政策を提言しながら酪農家の支援を進めることが、岩手の酪農を持続的に支え発展させることだと考えています。
そこで伺います。
1点目。畜産課最大の予算を計上している畜産クラスター事業について、本県の成果と課題をどのように捉えているかお示しください。
2点目。肉用牛繁殖農家について、家族経営、中小規模農家の経営実態をどのように把握し課題を捉えているのか、支援対策をどのように行っているのでしょうか。肉用牛繁殖経営基盤の維持のため、小規模農家を含めた幅広い対応を行う考えがないか伺います。あわせて、将来に向けた肉用牛のブランド価値の維持、向上に向けどのような対策が必要だと考え県として支援していくのか、考え方について伺います。
3点目。頭数減少が懸念され、生産基盤弱体化が推測される中、乳用後継牛の確保に向けた取り組みをどのように行い、本県の特徴を捉えた酪農振興をどのように取り組む考えか伺います。
次に、松くい虫被害対策と被害木処理の推進について伺います。
本県はアカマツ伐採施業指針を用いて被害拡大防止に努めてきたところですが、被害蔓延地域においては、伐採を優先すべく、6月から9月までの伐採制限を解除してほしいという声が出始めています。
被害木の対策としては、花巻に建設されました株式会社花巻バイオマスエナジー、花巻バイオチップ株式会社で松くい虫被害木の燃焼実験が行われ、被害木の有効活用の検証が進められています。
現在、被害が蔓延している地域では被害木の伐採は進んでおらず、道路沿いには、松くい虫被害により枯死し、数年が経過したような被害木も目につき、その伐採は所有者の責任のもとに行われるため、価値の低い松くい虫被害木は放置されるケースが目立ちます。倒木の危険性を指摘する声が聞こえてきます。
そこで伺いますが、アカマツ伐採施業指針の効果をどのように捉えているのでしょうか。また、被害が蔓延している地域での伐採期間を緩和する考えはないでしょうか。あわせて、倒木の危険性のある道路沿いなどの被害木の処理や利用をどのように進めていくか伺います。
次に、エネルギー政策について伺います。
平成29年5月、エネルギーを考える議員連盟にて女川原発、新仙台火力発電所、東北電力の中央給電指令所を視察、調査に伺わせていただきました。初めて見る原子力発電所。説明では、津波は発電所の敷地13.8メートルを乗り越えず、とめる、冷やす、閉じ込めるが正常に機能。発災後は最多で364名の地域住民の方々の避難受け入れを行い、現在もさらなる安全対策に取り組み中とのことでした。素直に科学技術の結集の様子に感動さえ覚えましたが、一方で、厳重過ぎる警備と施設であることに恐怖感も抱きました。また、故郷を奪われた方々を思い、誰もいなくなった福島県の立入禁止区域を見たとき、私は、どのようにエネルギー政策を考えるだろうか、自問自答しました。
国は、エネルギー基本計画をもとに2030年度までのエネルギー構造を見直し、徹底した省エネの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の効率化等を進めつつ、原発依存度を可能な限り低減するという基本的な考えを示しました。
岩手県では、平成32年度の再生可能エネルギーによる電力自給率を35%と定めていますが、特にも岩手県における再生可能エネルギーの特徴は、風力発電、地熱発電ともに全国2位のポテンシャルの高さです。そして、この資源が枯渇する心配がなく、環境への負荷が少ないエネルギーは誰もが必要不可欠と認めるところだろうと思います。
一方で、エネルギー効率では、日照時間や風力等の自然状況に左右されることから、バックアップ電源の確保が電気の安定供給には必要不可欠であり、環境面では、火力発電等が主に利用されているので、CO2排出量が多いデメリットもあります。
そして、固定価格買取制度─FIT法に基づく経済産業省公表単価では、平成24年度の標準家庭の月額負担額が66円だったのに対し、平成29年度には792円と約12倍と示されていますが、高額な買い取り価格が設定された太陽光発電の導入比率が政府の見通しよりも高くなるとの予測もあり、月額賦課金も約1、300円と、平成29年度の想定額792円と比較して大幅に上昇が見込まれます。電気は生活必需品であることから、賦課金の上昇は低所得層への負担がより大きくなり、逆進性が高く、また、国際競争にさらされている産業界、特に中小企業への打撃もはかり知れないことも事実だろうと言われます。
平成30年度政府予算提言、要望書においても再生可能エネルギー導入促進に向けた措置を求めたところでもありますが、原子力政策と今後の再生可能エネルギー普及に対する知事の考えを伺います。
次に、地域医療と認知症対策について伺います。
初めに、地域医療構想に係る認識と公立病院建設における県の役割と責任について伺います。
本県の県立病院の建設後の経過年数は、岩手県公共施設等総合管理計画によりますと、建設後50年以上経過している施設は、30年後にはその割合が約56%に増加することが見込まれ、老朽化、長寿命対策等の必要性が挙げられています。同様の状況から、震度6程度の災害時に倒壊するおそれがあると指摘された奥州市総合水沢病院では、建てかえ建設が奥州市総合計画に盛り込まれたところです。
新公立病院改革ガイドラインでは、都道府県の役割強化が示されていますが、奥州市の示す奥州市立病院・診療所改革プランと、岩手県が地域医療構想で示す病床数の整合性がとられていないことが指摘されています。
具体的には、岩手県地域医療構想によると、平成37年の胆江管内の急性期必要病床数は357床とされていますが、平成26年の許可病床は825床であり、差し引き468床削減が必要だという考えを示されています。
一方、岩手県立胆沢病院の平成27年7月1日時点の急性期一般病床数は337床で、岩手県地域医療構想が示す数値とほぼ同等の病床数。なお、奥州市総合水沢病院の許可病床数は145床であり、奥州市立病院・診療所改革プランでは、建てかえが予定される奥州市立病院の主な医療機能を急性期医療から回復期医療としています。すなわち急性期は減少しないと推測されます。
そこで伺いますが、地域医療構想と改革プランの整合性がとられていないとの指摘があることに対しどのように考え、地域医療構想が示す胆江医療圏の病床機能と必要病床数の実現に向けてどのように取り組んでいくのでしょうか。あわせて、公立病院建設における県としての役割と責任をどのように果たしていくのか伺います。
次に、認知症の行方不明者増加に伴う対策について伺います。
岩手県の認知症高齢者数は、平成27年には4万4、199人、平成28年には4万5、429人と増加しています。近年、認知症が原因で行方がわからなくなった方も増加傾向であり、平成27年には59名、平成28年には85名と増加。平成28年度、発見まで要した日数は、2日から7日までは30人で、7日を超える方もおり、特に冬場は凍死などの危険性、心配もされます。
介護者の方がずっと寄り添い、見てあげなければならない状況、時間的制約や精神的負担、不安を思うと、私たちができることは、認知症への理解を深め、地域住民の方々も一緒になって早期発見する体制づくりが重要になってくるのだろうと私は思います。また、全国ニュースで中学生が認知症女性を発見する報道がありましたが、認知症の方を地域で支え合う仕組みづくり、特にも地域密着で生活している小学生や中学生等に対して、認知症サポーター同様の教育や働きかけも重要なのではないかと思っています。
地域での見守り体制をどのように構築し、行方不明者の早期発見にどのように対処していくお考えでしょうか。あわせて、児童生徒に対する認知症の正しい理解の普及、啓発への取り組みについて伺います。
最後に、復興支援道路開通に伴う一般道への影響と対策について伺います。
復興道路を核とした道路施策の取組方針の中では、国が重点整備を進めている復興道路の整備効果を広く県内全域に波及させるため道路整備を行い、国や市町村が管理する道路と一体となって各種道路施策に取り組むことにより、整備効果の波及がさらに広がっていくことが示されています。
例えば東北横断自動車道遠野-宮守間開通後は、高速バスの移動時間短縮やコンビニチェーンの食品輸送範囲が拡大した点、釜石港の取り扱いコンテナが平成24年度以降に2.5倍、釜石港利用企業数も約2.2倍に増加しました。
一方で、高規格道路開通によってインターチェンジ付近の一般道路の交通量が同様に増加しています。平成27年の全国道路・街路交通情勢調査によると、江刺田瀬インターチェンジ付近の一般県道玉里梁川線の交通量の変化では、平成22年度には1、231台あった交通量が、平成27年には2、106台と約900台近く大幅に増加。県道沿いには1キロメートルほどで200軒ほどの民家が左右に建ち並び、子供たちの通学路でもあり、幅員が狭く、歩行者を巻き込んだ事故が大変危惧されている箇所でもあります。
また、2019年にはラグビーワールドカップの釜石市での開催も控え、さらに交通量増加が予想されます。選手団や観客の皆さんにもスムーズかつ快適な移動から復興を実感いただく一方で、周辺自治体への安全、騒音等への影響も鑑みながら、引き続き復興支援道路の整備に努めていただきたいと考えますが、復興支援道路整備に伴う近隣自治体への影響をどのように把握、分析され、今後対応していく考えか、玉里梁川線の対応状況も踏まえ、伺います。
以上をもちまして一般質問を終わらせていただきますが、答弁の内容によりましては再質問をさせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 菅野ひろのり議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、国際リニアコライダーの誘致実現に向けた取り組みについてでありますが、県においては、東日本大震災津波復興計画にILCの実現を盛り込み、発災直後から国に対する要望活動を行ってきたほか、復興構想会議や復興推進委員会等の場でも、ILCの実現について、随時、発言してまいりました。先般の政府予算提言、要望におきましても、地元国会議員にも同行いただくなど、ILC実現に向けて、オール岩手で取り組んでいるところであります。
国のILCに関する有識者会議におきましては、研究の意義や技術、人材育成などの課題の検討が終わり、現在、四つ目となる体制とマネジメントに関する作業部会で報告書の取りまとめ段階となっています。
また、ILCの実現に最大の課題となっている建設コストの大幅削減のため、ILCの全長を20キロメートルからスタートさせて、その後、段階的に拡張するステージングによる計画が8月の国際会議で承認される見通しとなるなど、ILC実現に向けて、極めて重要な段階を迎えていると認識しております。
このようなことを踏まえ、県としては、ILC受け入れ課題を検討する東北ILC準備室の活動に積極的に関与し、国に対し、東北の準備状況や経済波及効果を示し要望を行うなど、超党派国会議員連盟や東北ILC推進協議会など関係団体とも密接に連携しながら、ILC実現に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、農業の成長と農村社会の維持についてでありますが、本県の農業は、地域経済を支える基幹産業の一つとして、持続的な発展を図っていくことが重要であります。
また、本県では、産地の核となる担い手を中心とし、小規模、兼業農家など、多くの農家が生産活動に携わりながら、地域社会そのものを支えているという実態にありますことから、こうした多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活発化を通じて、活力ある農業、農村を実現していくことが重要であります。
このため、県では、いわて県民計画第3期アクションプランに基づき、地域農業の核となる経営体の育成や、生産性、市場性の高い産地づくり、高付加価値化などを柱として、農業者の収益アップと農業、農村の活性化に向けた取り組みを進めております。
今後におきましても、農業経営の発展を目指す農家や、地域づくりに取り組む小規模、兼業農家がともに豊かさを実感できる農業、農村の実現に向けて、地域に根差した農業施策に積極的に取り組んでまいります。
次に、エネルギー政策についてでありますが、原子力発電所の事故以降、国民の間で原子力の安全性に対する信頼が大きく揺らぎ、エネルギーに対する問題意識や再生可能エネルギー導入への意欲が高まっている一方、再エネ賦課金による家庭や事業者の負担増という状況の変化も見られるものと認識しております。
東日本大震災津波を経験した本県といたしましては、災害にも強い自立・分散型エネルギー供給体制の整備や、エネルギーの地産地消による地域経済への波及効果等を考慮すると、再生可能エネルギーの導入は推進していかなければならないと考えております。
今後においては、再生可能エネルギーによる電力自給率を平成32年度までに倍増する目標に向けて、引き続き、大規模風力発電の導入促進や地熱発電、温泉熱利用等に取り組むほか、風力発電関連産業との連携や水素の利活用策についての調査研究など、地域に根差した再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、主要農作物種子法廃止に伴う影響についてでありますが、これまで、県は、原種、原原種の生産や奨励品種の決定試験、種子生産圃場の指定、生産圃場、生産物の審査、種子生産に係る指導などの業務について、毎年、約2、000万円の予算を措置してきたところであります。
今般、これらの業務が種子法を廃止する法律が成立したことにより、法的根拠が喪失することから、粗悪な種子の流通や種子供給量の不足などが懸念されております。このため、本県農業の重要作物である稲、麦、大豆の種子生産に関するガイドラインの制定や、県が行う種子の生産、普及に対する地方交付税措置の継続を国に対して要望してきたところであります。国は、都道府県中心の種子生産を継続できるよう、都道府県の役割や種子の品質等に関する基準を種苗法の関連通知で明らかにするとしておりますことから、県でも、こうした国の動向も見据え、引き続き、必要な予算を確保しながら、優良な種子を安定的に生産、供給する体制を維持してまいります。
次に、収入保険制度に対する評価と課題、影響についてでありますが、収入保険制度は、自然災害に加え価格低下等、農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償の対象とし、農業収入全体を見て総合的に対応できる制度であり、収入の著しい変動が経営に及ぼす影響を緩和するための保険制度として、農業経営の安定に資するものと認識しております。
収入保険制度への加入は、収入を正確に把握するため、青色申告を行っている農業者に限定されますが、簡易な方式も含め、青色申告の実績が1年あれば加入できるとされたほか、農業者がそれぞれの経営形態に応じて、現行の農業共済制度等と選択して加入できるとされたところであります。
県といたしましては、関係機関と連携して、制度の周知や青色申告に関する普及指導を推進し、農業者がそれぞれの経営形態に応じて収入保険制度や農業共済制度等のいずれかを適切に選択できるよう、国等から示される情報をきめ細かに提供しながら加入促進を図っていくとともに、農業経営を支えるセーフティーネット機能がさらに万全なものとなるよう、引き続き国に要望してまいります。
次に、スマート農業の推進についてでありますが、スマート農業は、ドローンによる農薬散布、GPSによる自動運転、作物の能力を最大限に発揮させる自動環境制御などの先端技術を活用した新たな農業であり、担い手の減少や高齢化が進行する中、労力軽減、規模拡大、生産性の飛躍的向上など、担い手が希望を持てる魅力ある農業の実現に向けて重要な取り組みであります。しかし、本県では、スマート農業を体験する機会が少なく、また、急速に高性能化が進む機械や設備は多機能かつ高額となっておりますことから、導入前に必要性、収益性を十分に検討する機会が必要であります。このため、農業者がスマート農業に関する最新技術を実際に体験するとともに、個々の農業経営に適合した機械や設備の導入について検討する契機となるよう、本年8月、いわてスマート農業祭を開催することとしております。
また、県では、これを機会に、いわてスマート農業推進研究会を設立し、農業者のニーズ、企業のノウハウ、研究機関の基礎技術などをマッチングするなど、本県に適したスマート農業技術の開発と実証展示などによる早期の普及を図ってまいります。
次に、農業生産工程管理の推進についてでありますが、いわゆるGAPは、みずからの農業生産活動を正確に実施、記録、点検及び評価することにより経営改善を図る取り組みであり、これにより、食品の安全や品質等が確保され、消費者からの信頼を得られるものであります。
これまで、県では、平成20年度に、食品安全や環境保全などの基本事項を盛り込んだ県版GAPを策定し、その普及、定着を図ってきたところであります。こうした中、東京オリンピック・パラリンピックでの農産物調達基準は、グローバルGAPなどのほか、国のガイドラインに準拠したGAPで、第三者による確認を受けたものとされたところであります。このため、県では、本年2月に県版GAPを一部改定し、国のガイドラインに準拠させるとともに、今般、第三者確認を県が実施することといたしました。
今後、GAP指導者の育成、増員や、タブレット端末を活用した指導業務を行うとともに、関係機関、団体と連携しながら、レベルアップした県版GAPを急速に普及、拡大し、東京オリンピック・パラリンピックへの県産農産物の供給を確実に進めてまいりたいと考えております。
次に、米の販売に向けた取り組みについてでありますが、消費者は、食味がすぐれた米を求める一方、一定の品質と値ごろ感のある米のニーズもあり、食の外部化の進展に伴い、こうした米の割合は増加していくものと考えております。
県では、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、新品種については、全国トップクラスの品質と食味を実現するとともに、知事によるデビューイベントなどの効果的なプロモーションを展開し、その結果、銀河のしずくは2年連続の特A評価、金色の風は特A相当との評価をいただくなど、全国的に評価が高まっております。
また、消費者と産地との交流会などによる安定的な販売先の確保に取り組み、その結果、複数年契約の契約率が全国一となるほか、事前契約も大幅に拡大しております。
全農岩手県本部では、平成29年産の銀河のしずく、金色の風を全量買い取りとするほか、買い取りする品種の拡大についても検討していると聞いております。
今後は、これまでの取り組みに加え、関係団体等との連携を強化しながら、大消費地でのテレビCMや大手家電メーカーとのコラボレーションなど、販売促進活動を広く展開することにより評価を一層高め、引き続き、米生産者の所得向上に力強く取り組んでまいります。
次に、飼料用米の生産と活用についてでありますが、県では、国の交付金などを最大限に活用した飼料用米の生産拡大に向けて、これまで、畜産経営体や飼料メーカーとのマッチングや、単収向上に向けた専用品種の導入拡大、作付の団地化、保管施設の整備支援などに取り組んできたところであります。この結果、平成28年産の飼料用米の作付面積は4、682ヘクタールと、平成26年産の2.3倍に増加しております。
また、国産飼料である飼料用米を活用して肉質の差別化を図ることにより、鶏肉や豚肉の高付加価値化につなげようとする畜産物のブランド化の取り組みも広がっております。
今後は、来年から新たに供給を開始する飼料用多収品種岩手122号の導入による単収向上を進めるとともに、引き続き、市町村や農業団体と連携しながら、畜産経営体等とのマッチングを進め、安定的な供給を支援してまいります。
次に、米政策転換に伴う農家への影響と所得向上についてでありますが、国による米の生産数量目標の配分や、目標に従って生産した農業者に対して交付される米の直接支払交付金が廃止される平成30年産以降において十分な対応が行われなければ、米の生産量が需要量を超え、全国的に米価が下落し、農業経営に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。このため、先般、関係機関、団体や県で構成する岩手県農業再生協議会において、流通業者や担い手農家などからの意見も踏まえ、今後5カ年の水田農業の推進方針の策定や、毎年各地域において具体的な生産計画を作成することなどを内容とする対応方針を決定したところであります。
今後、この方針に基づき、県農業再生協議会と地域農業再生協議会が密接に連携して需要に応じた米生産を進めるとともに、飼料用米や大豆への転換、地域の特性を生かした高収益作物の生産拡大を促進するなど、農業者の所得向上に取り組んでまいります。
次に、畜産クラスター事業の成果と課題についてでありますが、この事業は、地域ぐるみで畜産の競争力強化や収益性向上を目指す畜産クラスター計画に位置づけられた中心的経営体に対し、牛舎等の整備を支援するものであります。本県におきましては、これまで、事業費ベースで60億円余の施設整備を推進してきており、このうち、酪農、肉用牛では約25億円、2、500頭分の牛舎を整備するなど着実に経営規模の拡大が進んでおり、また、一部の経営体では、既存施設の有効活用と事業費の抑制をするため、現在使用している牛舎の改修、増築なども行っているところであります。
県内の畜産農家からは、来年度以降で50億円余の施設整備を希望されているため、6月に実施した平成30年度政府予算提言、要望において、国に対し、畜産クラスター事業の継続と十分な予算の措置を要望したところであります。
今後におきましても、県内の畜産農家が希望する事業が実施できるよう、引き続き、国への働きかけを行ってまいります。
次に、肉用牛繁殖農家への対策についてでありますが、本県の肉用牛繁殖経営は1戸当たりの飼養頭数が11頭と、全国平均の19頭に比べ小規模であり、また、生産者の約9割が20頭未満の飼養規模となっておりますことから、規模拡大等による経営体質の強化が必要であります。
また、生産者の約6割が60歳以上となる中、新規就農者はこの5年間で約70名となっておりますが、さらなる担い手の確保、育成が必要となっております。このため、経営体質の強化に向け、低コスト牛舎の整備や優良繁殖雌牛の導入支援に加え、繁殖雌牛を預託するキャトルセンターの整備などを進めるとともに、肉用牛サポートチームにより、分娩間隔の短縮などの取り組みを支援しております。
また、担い手の確保、育成に向け、新規就農者などの個別巡回指導のほか、若手生産者のネットワーク化や、飼養管理技術向上のための研修会などを開催しております。
今後におきましても、肉用牛繁殖経営の中心である小規模、家族経営の生産者を含め、規模拡大等を志向する生産者の取り組み支援や担い手の確保、育成を進め、繁殖経営の体質強化により、肉用牛の生産拡大につなげてまいります。
次に、肉用牛のブランド価値の維持、向上についてでありますが、前沢牛などの地域のブランド牛は、産地の生産者や団体が主体となって長年ブランドとして育んできたものの、肥育農家の減少等により、その出荷頭数は減少しているところであります。
こうした中、将来に向けて、県産和牛のブランド価値を高めるためには、出荷頭数の確保や品質の向上に向けた対策を推進するとともに、消費者や流通関係者に対し、関係機関、団体が一丸となり、いわて牛を統一ブランドとした効果的なプロモーションを展開することが必要と考えております。
県といたしましては、畜産クラスター事業等を活用した牛舎整備などにより、引き続き、肥育牛の増頭を支援するとともに、県や市町村、関係団体等で構成するいわて牛普及推進協議会を中心に、県内外でのいわて牛フェアや、首都圏のシェフ、バイヤーを対象にした産地招聘とセミナーの開催に取り組んでいるところであります。
さらに、市場関係者を招いて開催するいわて牛の集いにおける知事トップセールスの実施などにより、いわて牛の品質の高さを強くアピールしながら、県産肉用牛のブランド力を高めてまいります。
次に、酪農振興対策についてでありますが、本県の酪農は、飼養頭数や産出額において全国トップクラスであるものの、経営規模が小さく生産コストも高いことから、一層の経営体質の強化に向け、規模拡大や生産性の向上が必要であります。このため、規模拡大を志向する生産者の牛舎等の整備に加え、本県の強みである豊富な自給飼料の積極的な利用や、飼料の収穫、供給を行うコントラクターやTMRセンターの育成、強化を進めるとともに、乳牛の能力を最大限に発揮させるための牛群検定の活用や、雌子牛を効率的に生産していくための性判別した精液や受精卵の活用等による後継牛確保の取り組みを支援しているところであります。
こうした取り組みによりまして、酪農家1戸当たりの飼養頭数は44頭と5年前に比べ約2割増加し、また、牛群検定農家における1頭当たりの乳量は、年、約9、500キログラムと約500キログラム増加しており、今後におきましても、経営規模の拡大と生産性の向上を図り、本県が全国有数の酪農主産地として持続的に発展していくよう、取り組んでまいります。
次に、アカマツ伐採施業指針の効果と伐採期間の緩和についてでありますが、松くい虫の被害地域及びその周辺地域では、松を枯らす線虫を媒介するカミキリが伐採木に産卵して感染源となりますことから、アカマツ伐採施業指針では、被害の激甚化や未被害地域への拡大を防止することを目的として、カミキリの活動期間である6月から9月までの間、伐採の自粛を求めているところであります。
本県では、昭和54年に一関市で初めて被害が確認されましたが、伐採施業指針の徹底によりまして、現在でも内陸部は盛岡市、沿岸部では大船渡市が北限となっており、多くのアカマツ資源を有する県北・沿岸地域への被害の北上阻止に効果を上げてきたものと考えております。
全国的にアカマツ資源の枯渇が懸念される中、本県の質、量ともに豊富なアカマツ資源は貴重であり、被害地域においてもいまだ多く残っている健全木を守っていくため、引き続き、伐採施業指針に定める伐採期間の厳守について、関係者の理解と協力を求めてまいります。
次に、被害木の取り扱いについてでありますが、枯死して数年が経過し、既にカミキリが羽化、脱出した被害木、いわゆる枯死経過木は新たな感染減とはならず、原則として、枯死経過木の所有者に処理をしていただくべきものと承知しております。
一方、それ以外の森林の枯死経過木は、事故防止や景観保全のため市町村が事業主体となり、県民税事業であるアカマツ林の広葉樹林化促進事業により、森林所有者の負担を伴わずに処理しているところであります。
伐採された枯死経過木の中には燃料として利用可能なものがあり、花巻市のバイオマス発電施設では、本年10月からの枯死経過木の受け入れに向けて準備を進めております。
こうした状況を踏まえ、県では、これまで基準がなかった枯死経過木の利用に向けて、現在、仮称ではありますけれども、松くい虫被害地域でのアカマツ材利用ガイドラインの作成を進めており、関係者の意見も踏まえながら、枯死経過木の有効利用と松くい虫防除とが両立した新たな松くい虫対策に取り組んでまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、胆江医療圏の病床機能と必要病床数の実現についてでありますが、地域医療構想は病床の削減を目的としたものではなく、将来の医療需要に応じたあるべき医療提供体制の構築に取り組むためのものであり、奥州市の改革プランについては、圏域の中核病院である県立胆沢病院との役割分担と連携を推進すること、回復期機能の提供方法を検討することや在宅医療提供体制の構築をすることなどの方向性が示されていることから、県としては、一定程度、地域医療構想の内容を踏まえたものであると認識しています。
一方、奥州市においては、奥州市総合水沢病院の建てかえについて、基本構想、基本計画の策定を進めているところと承知していますが、今後、その詳細を検討していくと聞いており、奥州市との情報共有や連携を図るとともに、県が主催する地域医療構想調整会議を通じ、奥州市総合水沢病院を含む医療機関の具体的な役割分担を初めとする将来のあるべき医療提供体制について検討を進め、その実現に向けて取り組んでまいります。
次に、公立病院建設における県の役割と責任についてでありますが、県では、公立病院を運営する市町村において策定される病院建設の基本構想、基本計画の内容について、新公立病院改革ガイドラインを踏まえ、病院の機能、近隣病院との役割分担や収支見通しなどについて、市町村財政を所管する政策地域部と連携しながら、必要な助言を行ってきたところであります。
また、公立病院の建設は地域の医療提供体制に大きな影響を与えることから、計画の内容については、設置主体の市町村と県のみならず、地域の医療関係者などの合意も得ながら進める必要があることから、県が設置する地域医療構想調整会議において協議を行っていく考えであります。
次に、認知症の行方不明者増加に伴う対策についてでありますが、行方不明者を早期に発見する上で地域での見守り活動が果たす役割は大きく、地域住民や公共交通機関などの連携のもと、既に県内21市町村で徘徊・見守りSOSネットワークが構築されているほか、徘回模擬訓練の実施など、見守り体制の構築に向けて地域でさまざまな取り組みが進められているところです。
県では、こうした取り組みが各地域で一層推進されるよう、県内外の先進事例等の情報を市町村等に提供するとともに、市町村に配置され地域の実情に応じた認知症施策を推進する認知症地域支援推進員の養成を図っていくこととしています。
また、認知症の正しい理解の普及啓発に向けては、平成28年度末までに認知症サポーターを13万2、699人養成しており、これに加えて、本県独自の取り組みとして、小中学校の児童生徒を対象に孫世代のための認知症講座が開催されており、これまで延べ401校、2万6、959人が受講しているところであります。
今後も、幅広い世代の方々に正しい知識を持っていただき、理解を深めていただくことにより、認知症の方を地域で支え合う機運を高めていきます。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) 復興支援道路開通に伴う一般道への影響と対策についてでありますが、東北横断自動車道釜石秋田線については平成30年度の全線開通が予定されており、現在でも開通を見越した企業の新規立地や事業拡大などの動きも見られるところですが、全線開通に伴い、こうした動きが一層進展し、釜石道のインターチェンジへのアクセス道路の交通量のさらなる増加も見込まれるところです。
江刺田瀬インターチェンジにアクセスする一般県道玉里梁川線については、人家が連担する区間、幅員が狭い区間、通学路でありながら歩道が設置されていない区間などがありますことから、今後の交通量の変化が沿道の環境や交通安全に及ぼす影響を見きわめながら対策の必要性を精査し、どのような対策や整備が可能かについて検討してまいります。
〇5番(菅野ひろのり君) 御答弁ありがとうございました。特にも紺野農林水産部長、また、担当課の皆様には、多々答弁を調整いただきましてありがとうございました。
そこで、大きく2点ほど再質問をさせていただきたいと思います。まず、GAPの推進について伺います。
この生産工程管理ということでございますけれども、一つは、東京オリンピックの旗が振られているわけですけれども、根本的に農業に対する生産工程管理というのはこれからも必要でありますが、今、現場の農業者が懸念しているのが、一つは費用。取得、更新に関して、個人は15万円ぐらいですが、団体に関すると60万円、70万円という非常に高額で、それが毎年かかるということで、大きな負担となっています。
そこでお伺いするのですが、県版GAPを短期間で普及拡大させていく上で確認手続に非常に負担がかかるわけですけれども、県では、この経費についてどう支援していこうと考えているのか。また、これは個人だけではなく、県は、法人経営やそういったところにも注力を拡大しているわけですけれども、生産部会等の団体でもしっかりとそういった確認ができるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
2点目でございます。稲作の生産調整見直しについてですが、所得向上に取り組んでいくということでしたが、そのとおりだと思います。県農業再生協議会も数値目標を示してということで、実態的には市町村単位の地域農業再生協議会が数量目標を定めるのかどうか、これから検討しながら、それぞれで行っていくことなのだろうと思っています。
しかしながら、米の直接支払交付金の1ヘクタールあたり7万5、000円がなくなって、現実的に需給調整の中で農業者がお米づくりをしていくと。その価格形成というのは、需給に応じたお米の単価、もう一つは水田活用の直接支払交付金、そして産地交付金の三つになる。その中で農家が調整できるものというのは一つもないんです。実際的に、今、自主流通米が多くなっているだろうと。国も、経営感覚を持ってと言いますけれども、実態的にはそういった価格の状況になっていないとなったときに、県が目標を示すだけで農業者の所得をしっかりと守っていけると言えるのでしょうか。私はそこに非常に疑問を感じております。これは、県だけではなく、国とこれからの稲作生産におけるそういった農政について幅広く議論していかなければいけないと思っていますが、私は、これは農家に対して丸投げをしてしまうような状況で、所得が非常に不安定になると危惧しております。その点、十分な対策なのかどうか、もう一度、部長の認識をお伺いしたいと思います。
最後でございます。地域医療構想についてお伺いしたいと思います。ここは事前に通告していませんでしたが、確認をさせていただきたいんですけれども、先ほどいただいた御答弁は、病院建設については市町村単位でしっかり話し合っていくのだと。それに基づいて県は方向性を示すというような内容だったのではないかと思っています。特にも地域医療構想調整会議の場の中でいろいろな方々の意見を聞いていくということなのだろうと思いますが、前回、私もこの会議に参加させていただいたときに、では、その会議の実態はどうだったかというと、各病院の院長の方々から、急性期や回復期の基準が曖昧で、どういったものがそれに当たるのかというような疑問が呈されたような会議であって、実際にその地域での医療資源または病床数がどの程度本当に必要なのかという深まった議論ではなかったと思っています。それがそのときだけだったらいいのかもしれませんけれども、では、実態としてこれは誰がハンドリングしながら地域の医療というものを担保していくのだろうか、そこに責任があるのだろうかと、私は非常に疑問といいますか、不安を感じております。
もう一度、そのところの認識、どのように整理すればいいのか、部長にお聞きしたいと思います。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、GAPの推進についてでありますけれども、岩手県版GAPの確認手続につきましては、県が普及指導とあわせて実施することとしております。したがいまして、県版GAPの確認に係る費用につきましては、生産者等の経費負担は発生しないものでございます。
また、GAPの取り組みにつきましては、農業者みずからの経営改善を図るものでありますことから、個人や法人経営体のみならず、生産部会等の団体も含め、より多くの農業者が取り組めるよう普及していく考えであります。なお、生産部会等の団体の確認については、一部の部会構成員を抽出して行うこととしております。
次に、生産調整の見直しについてでありますけれども、米政策の見直しへの対応方針につきましては、生産者の意向ですとか地域農業再生協議会などの意見も踏まえて決定したものでございます。この方針に基づき、各地域において需要に応じた米生産にしっかりと取り組んでいただけるものと考えております。
仮になのですが、主食用米の作付予定面積が生産目安を上回る地域が生じた場合につきましては、飼料用米への転換を誘導することなどを考えております。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 地域医療構想についてのお尋ねをいただきました。個々の病院が将来どのような機能を持って地域医療に貢献していくかというのは、一義的には開設者であります管理者が判断していくことであろうと思っています。これは、県立病院の場合でも同じでございまして、県立病院がどのような機能を持って地域医療に貢献していくかということは、県立病院の改革プランの中で議論されるものと考えております。
地域医療構想調整会議の中で、地域の関係者が構想区域にわたる将来の医療提供体制を構築していただくための課題や方向性を共有して議論をしていくというところが重要になってくるわけですけれども、議員御指摘のとおり、例えば現在の胆江医療圏で申し上げますと、県立胆沢病院であっても、急性期のみならず回復期を担う部分もありますし、奥州市総合水沢病院でも同じように急性期から回復期─ただ、今、病床機能報告の中で、急性期ということで報告をしているので、なかなかそこの議論が難しいという部分があります。実際には回復期も担っているんだけれども、報告としては、今、急性期病院ということで報告がなされていますから、今回、奥州市総合水沢病院などの機能について、基本構想なりを踏まえた報告が行われることによって、地域医療構想調整会議の中で、その地域の実情に応じた公立病院のあり方というものが議論されることになると考えているところでございます。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時1分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(1名)
40  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時23分 再 開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木茂光君。
〔23番佐々木茂光君登壇〕(拍手)

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