平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子です。
本定例会において一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
東日本大震災津波の発生から6年3カ月が経過いたしました。昨年は台風第10号により甚大な被害が発生いたしました。改めて犠牲になられました皆様方に哀悼の意を表し、心からお見舞い申し上げます。
初めに、知事就任10年の総括と今後の県政運営についてお伺いいたします。
平成19年4月に達増知事が誕生し、県政を担ってから丸10年を迎えました。県政を担ってから、県民の圧倒的な支持を受け、若さと行動力、さらには、国会議員を務められた経験から国政への強いつながりなど、県民の期待は大きかったと思っております。増田前知事が夢県土いわてを掲げて各種の施策を推進してきた岩手を、人口流出や県民所得の低迷、雇用不足、地域医療の崩壊等の危機から希望郷いわてに変えていくとし、産業振興などの政策を打ち出し、10年が経過いたしました。
知事は、本年2月の定例会において、10年間の県政運営の評価について、本県のすぐれた地域資源を活用した産業振興や、地域の個性や特色を生かした地域振興に取り組んできたところであり、その結果、県民所得については国民所得との乖離が縮小し、有効求人倍率の改善が図られるなど、これまでの取り組みの成果があらわれてきていると答弁されております。
国民所得との乖離の縮小について、全国を100とした水準で見ると、知事就任時の平成19年度は81.1、平成22年度は82.3、平成26年度は94.7と、乖離は縮小しています。しかし、これは、東日本大震災津波に係る災害復旧事業や災害公営住宅建設など復興需要による公共投資の増大が県内経済に大きく寄与しているものと考えられます。復興需要が一段落した後、この水準がどのようになっていくのか大変気になるところでもあります。
10年一区切りとか10年一昔と言いますが、改めて、知事就任からの10年で危機から希望につながってきた成果をどのように捉え、また、今も危機と捉えている課題について、残り2年の任期でどのように希望に変えていこうとされているのか知事にお伺いいたします。
広域振興局の体制についてお伺いいたします。
平成18年度に、これまでの12振興局体制から現在の4広域振興局体制への移行に先駆ける形で県南広域振興局が設置されました。当初は、第2の県庁を設置するくらいの熱意を示し、他の3広域振興局のモデルになるとの位置づけであったと思います。
県南広域振興局については、これまでの6地方振興局の集約によって県民サービスの低下も問題となり、また、市町村との連携や情報の共有も薄くなったと言われたこともありました。また、この間、平成の大合併や地方分権の推進による市町村の権限拡大などが進められたほか、東日本大震災津波からの復旧、復興、ふるさと振興総合戦略の推進など、基礎自治体である市町村が果たすべき役割はさらに大きくなっております。
こうしたことから、県には市町村への支援の充実や連携強化が求められ、広域振興局と本庁の権限の見直しや各地域の特性に応じた体制となるよう、4広域振興局体制についての検証と見直しが必要と考えます。改めて、広域振興局体制の10年を振り返っての成果と課題をどのように捉え、今後の体制のあり方にどのようなお考えを持っているのか知事にお伺いいたします。
市町村要望についてお伺いします。
知事は、市町村要望について、本年2月定例会において、広域振興局は、市町村長とのコミュニケーションを重視し、地元のニーズの把握に努めており、要望の内容を十分理解し、そしゃくできる立場にあり、特に重要な項目については、広域振興局長から直接報告をもらう場を設け、本庁の関係部局長等を含めて課題を把握し、共有しており、現在の一連の仕組みは十分機能していると認識していると答弁されております。しかし、要望を行っている市町村長の中には、スピード感を持って知事まで伝わらなくなったとし、直接知事に伝えたいとの思いを持っている方もいると聞いております。地元の広域振興局長が日常的に市町村長とコミュニケーションをとり、ニーズを把握し、知事が定期的にその報告を受けることは当然のことであります。
また、知事は、県と市町村との信頼関係を極めて重要であるとも述べられております。そうだとするならば、広域振興局長からの報告を受けながらも、知事みずからが市町村長からの要望を受け、意見交換をする場が必要と考えますが、いかがでしょうか、お伺いします。
次に、東日本大震災津波からの復興についてお伺いします。
知事も県議会議員も、あと3カ月で現在の任期を折り返す3年目に入ろうとしております。今の県政の最大の課題は東日本大震災津波からの復興の完遂であり、残り2年の任期は復興の総仕上げの年になると思います。被災地においては、まちづくりや道路、防潮堤などの工事は進捗していくと思いますが、応急仮設住宅で生活されている皆様も、心の復興、そして希望郷いわての夢や幸福感を実感しながら暮らし続けられる社会を願っているところであります。
応急仮設住宅には、住宅建築の見通しが立たないことや、災害公営住宅などへの転居に伴う諸経費負担が難しいことなどから、応急仮設住宅がある限りはここに住み続けたいと言う方もいらっしゃいます。災害公営住宅や高台団地の整備が進む中で、いまだ応急仮設住宅での生活を余儀なくされている方々はさまざまな課題や不安を抱えていると思われますが、こうした方々が安心して恒久的な住宅に早期に移行できるよう、今後どのような支援をされていこうとしているのか知事にお伺いします。
東日本大震災津波から6年3カ月が経過する中で、最近ではマスコミでも震災に関する報道が少なくなってきており、多くの犠牲をもたらしたあの震災の記憶がこのままますます風化してしまうのではないかと大変危惧しております。
県では、東日本大震災津波の記憶と教訓を継承していくため、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内に震災津波伝承施設を整備することにしておりますが、震災の風化を防止するためには、施設を整備するだけではなく、全国に復興等に関する情報を積極的に発信していくことも極めて重要であります。県では、震災の風化を防止するため、どのように情報発信に取り組んでいくのかお伺いいたします。
この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
〔44番工藤勝子君質問席に移動〕
〇副議長(工藤大輔君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、知事就任10年の総括についてでありますが、知事に就任した平成19年以来、人口の社会減の拡大や国民所得に対する県民所得の水準の乖離、厳しい雇用環境、地域医療の確保といった岩手が直面する危機を希望に変えていくため、いわて希望創造プランやいわて県民計画を策定し、県政の諸課題に取り組んでまいりました。
〔副議長退席、議長着席〕
また、東日本大震災津波という未曾有の大災害に対し、地元の底力とさまざまなつながりの力を結集し、市町村、県、国が一体となって、被災地や被災者に寄り添う復興に全力を挙げて取り組んでまいりました。その結果、人口の社会減については、知事就任当時6、000人台で推移したものが3、000人台に縮小し、国民所得に対する県民所得の乖離もおよそ9割まで縮小、雇用環境については正社員の有効求人倍率が上昇し、地域医療については人口当たりの病院勤務医師数が増加するなど、これまでの取り組みの成果があらわれてきたと認識しております。
一方、復興については県政の最重要課題として引き続き力を入れていく必要がありますほか、本県の人口の社会減への対応も重要な課題となっています。このため、第3期復興実施計画に基づく復興の着実な推進や、第3期アクションプランに掲げた地域の資源を活用した安定的で持続的な産業振興、地域の個性や特色を生かした地域振興に今後も引き続き取り組んでまいります。
次に、広域振興局の体制についてでありますが、現在の広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼とし、一層の地域ニーズに即した施策展開が可能となるよう、市町村優先の行政システムのもとで、市町村への支援や広域的、専門的なサービスの提供などを行うことを目的に設置したものであります。
産業振興の面では、広域振興局長のリーダーシップのもと、商工、観光、食産業等の分野において広域的な連携組織を新たに構築し、ビジネスマッチングの促進や産業人材の育成、広域的なイベントの開催など、地域の特性やニーズを踏まえた広域的な施策を展開しているところです。また、東日本大震災津波や台風第10号災害の対応では、四つの広域振興局にまとめたスケールメリットを生かして、内陸部の広域振興局から沿岸部の市町村等へ迅速な人的支援や物資の供給を行うなど、機動的な災害支援業務の展開が図られました。
一方、これまでの広域振興局事業や運営について、市町村長や住民からは、本局と各行政センターとの間でしっかり情報共有することや、市町村の地域課題を一層把握することが必要であるなどの御意見をいただいております。こうした御意見を踏まえて、局長のトップマネジメントを強化するために副局長を設置しましたほか、それぞれの圏域が有する資源や特色を生かした取り組みを展開しており、現在の体制が定着しているものと考えていますが、今後も、復興の推移や、圏域を取り巻く社会経済情勢、地域課題を踏まえて必要に応じて検討してまいります。
次に、市町村要望についてでありますが、基本的には、地域の実情を把握している広域振興局長が要望を受け、全庁的に市町村の課題を共有し、翌年度の予算編成に向けて具体の対応を検討することとしていますが、県と市町村との信頼関係は極めて重要と考え、これまでも、県政懇談会等で出かけた際には可能な限り現地の市町村長とお会いするなど、市町村長との意見交換の場を設けてきたところであります。また、個別の重要な市町村の案件によっては、市町村長と直接協議したり市町村長と一緒に国に要望に出向いたりもしております。
今後とも、市町村との連携を重視した県政を推進してまいります。
次に、恒久住宅への早期移行についてでありますが、被災された方々が抱える課題はそれぞれ異なりますことから、一人一人に丁寧に寄り添いながら、一日も早く安心して暮らせるよう支援することが重要であります。このため、県では、市町村と連携し、被災者の方々の住宅再建のための意向把握や支援に努めてきたところであり、本年度、沿岸4地区の被災者相談支援センターで行っています専門家相談等を拡充するとともに、いわて内陸避難者支援センターの体制を強化したところであります。
今後も、安心して心豊かに暮らせる生活環境の実現を目指し、被災者に寄り添った伴走型の支援を進めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては復興局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) 震災の風化防止についてでありますが、東日本大震災津波の記憶を風化させず、被災された方のふるさとへの思いや未曾有の大災害から得た経験を次世代に継承し、その教訓を防災文化として将来に生かすことが重要と考えています。
このことから、議員から御紹介のありました震災津波伝承施設の整備に加え、引き続き、復興情報発信事業として、県内ではいわて三陸復興フォーラムやいわて復興未来塾を開催するほか、県外においても県外フォーラムや東京都内での被災4県連携復興フォーラムを開催いたします。あわせて、復興状況の今を伝えるいわて復興だよりを継続して発行するとともに、これまでの復興の取り組みをまとめたいわて復興の歩みを更新し、本県で本年7月に開催される全国知事会議において配付するなど、多角的な情報発信を行ってまいります。
また、昨年度末に公開したいわて震災津波アーカイブ〜希望〜については、資料の蓄積に努めながら、自治体等における防災活動や教育現場での防災教育などで利活用を促していきます。
これらの取り組みを通じて、東日本大震災津波の記憶や教訓、復興の状況等について情報発信を行い、風化防止に努めてまいります。
〇44番(工藤勝子君) 御答弁、大変ありがとうございました。
県民所得の向上、それから有効求人倍率の改善についてでありますけれども、私は、国や県の経済対策よりも、逆にこれは復興需要があって伸びたのではないかというように捉えているわけでありますけれども、知事はこの復興需要をどのように認識されていらっしゃいますでしょうかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 復興需要につきましては、震災直後、復興についてさまざまな考え方、さまざまな意見が出る中で、県としていち早く復興道路の整備や、また、災害公営住宅を県も主体となって必要数を整備するといったことを早い段階で決定し、そうした大型の建設事業についても復興需要の中で積極的に取り組んだことが復興需要に結びついていると考えております。
〇44番(工藤勝子君) 今は国民所得との乖離が縮まってきております。私は、これはやはり今までの復興公共工事が大量にあって県民所得も向上し、雇用の有効求人倍率もふえたと思っています。しかし、あと2年か3年すれば復興は終了するわけです。そうなったときの岩手のこれからの経済、そして県民所得がどうなるのかということを予想しながら次の対策を立てていかなければならないのではないかと思っているんですけれども、その考えはどうでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 10年前のさまざまな危機というのは関連しておりまして、特に所得の低迷というものが年間6、000人を超えるような人口流出にもつながっていました。それは、同時に雇用の低迷ということもあったからであります。今、岩手としては、まず人口流出に歯どめをかけ、削減していく。岩手で働き、岩手で暮らし、岩手で育てるというこのふるさと振興総合戦略の中で満足できる所得が得られるような仕事について、岩手で働き、生活し、そして育てるというところに焦点を当てながら、幸い有効求人倍率は1を上回っているわけでありますけれども、それでもまだ人口流出があるということは、より生産性を高めて、より高い所得が得られるような、経済、産業の構造改革が必要と思っております。
さきにも山本地方創生担当大臣とも地方の所得を高めていくというところで意見の一致を見たところで、国とも連携しながらしっかり取り組んでいきたいと思います。
〇44番(工藤勝子君) 政権が交代して、すごく大きな経済対策を打ち出しました。しかし、私は、岩手県に国の経済対策が浸透したとは思っていないんです。だけれども、震災復興が終わった後、今後、国の経済対策をもっと進めていかなければ岩手県も経済が振興していかないのではないかと捉えているわけでありまして、知事は国の経済対策を今後どのように進めていったらいいと考えていますか。
〇知事(達増拓也君) 国の経済対策があればさまざま岩手にとってもいいというのはそのとおりでありまして、いわゆる地方創生に関しても、私も過去、バブル崩壊対策やリーマンショック対策のときの緊急経済対策のような国の経済対策が岩手の景気も回復させ、また、人口流出を削減するような方向にも働いたということを申し上げてはいるんですけれども、ただ、国の地方創生の基本方針の中では、そういった経済対策として行われた公共事業や地方交付税をふやすことは基本的に行わないことになっておりまして、その中でいかに地方の所得をふやしていくかということ、そういう前提で山本大臣とも意見交換させていただいたわけですけれども、そういった国の方針とも呼応しながらきちんと対応してまいりたいと思います。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ次期総合計画において、岩手の経済の振興に対してしっかりといろいろ明記して対策を取り上げていくべきだと考えているところであります。
次に、復興局長に聞きたいと思っております。
数値が古いんですけれども、平成29年2月現在、4、971世帯1万3、126人がいまだに応急仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされている現状があります。これにはやはり、ひとり暮らし、高齢者世帯、また母子、片親世帯がなかなか相談にも行けない、そういう方々もいらっしゃると思っておりますけれども、相談体制や窓口の充実についてどのように支援していくのかお伺いいたします。
〇復興局長(佐々木信君) 恒久住宅への早期移行に係る窓口、相談の充実についてでありますが、先ほど知事から答弁申し上げた内容について具体的に申し上げます。
沿岸4地区に被災者相談支援センターがございますが、ここで行っている専門家あるいは相談員による相談につきましては、これまではセンターに来ていただいてそこで相談を受けるということでやってまいりましたが、本年度から、御希望がある場合は相談員あるいはファイナンシャルプランナーが出向いて相談を受けるという訪問型の相談も始めたところであります。それから、いわて内陸被災避難者支援センターの体制につきましては、平成28年度は7名体制で行っておりましたが、今年度は2名ふやして9名体制で相談を受けることとしており、その強化を図ったところであります。
〇44番(工藤勝子君) 応急仮設住宅の集約化も今後必要ではないかと思っているところであります。結局、災害公営住宅や高台団地の整備が進んできますと応急仮設住宅の空き室が多くなってくるのではないかと思っております。コミュニティーや見守り活動、安全性の確保の観点からも、今後、集約化をどのように進めていこうとしているのか、かなり難しい問題と思っていますが、取り組み方針を伺いたいと思います。
〇復興局長(佐々木信君) 応急仮設住宅の集約につきましては、応急仮設住宅を管理する市町村において集約化計画を策定して進めております。面的整備の状況ですとか災害公営住宅の整備状況を踏まえて、必要に応じてその見直しを行っているところであり、県としては、市町村に対しまして、住民に丁寧に説明しながら進めるよう、それから、集約先のコミュニティー再構築にも配慮して進めるよう県からも依頼しているところであります。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ被災地、そして被災された方々に寄り添って─寄り添ってという言葉をよく使っておりますけれども、ぜひ丁寧にお願いしたいと思っております。
次に、県立高等学校再編計画についてお伺いいたします。
教育は百年の計とか教育は人なりとも言われます。将来の国や地域をつくるための子供たちの教育は県政課題の中でも大変重要であり、教育関係者の果たす役割は大きいものと思っております。少子化が進む中で岩手の将来を担う人材を育成していくためには、明確な構想と教育理念を知事みずからが示し、それにふさわしい財源の確保も大変重要と考えております。
まず、教育にかける知事の思いをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 教育にかける思いということでございまして、人を育む教育は社会形成の礎であり、また、県勢発展のかなめは人、人をつくる岩手という理念のもと、教育の推進に当たっては、学校教育を初めとして、社会人教育も含め、県民個々のライフステージに応じたさまざまな学びの機会を提供していくことが重要と考えております。
特に学校教育につきましては、岩手の子供たちが急速に進む情報化やグローバル化など変容するこれからの社会をつくり、また、生き抜いていくために、子供たち一人一人が確かな学力、豊かな心、健やかな体という知、徳、体をバランスよく身につけてもらうことが大切と考えております。こうした考えのもと、総合教育会議の場なども活用しながら教育委員会等との連携を進め、この岩手の地で、岩手の地域、そして日本の次代を担う人材を育んでいきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 過疎地域等における高校教育の方針等についてお尋ねいたします。
人口減少の影響は、教育の現場にも押し寄せてきていると思っております。市町村合併による広域化の影響もさることながら、児童生徒の減少が長期的に継続しており、特に、盛岡市を中心とする県央部以外の市町村で小学校、中学校の統合再編が進行しております。
県立高校においても、少子化の影響により、今回の高校再編計画においてさらなる統合再編が予定されております。高校の配置の基本的な考え方として、望ましい学校規模を1学年4から6学級程度とし、最低の規模を1学年2学級とする方針を立て、平成32年度には、久慈、宮古、遠野地区において統合を行い、現在の全日制課程63校を60校にすると発表しております。高校教育の学びを保証し、教育の質を高め、集団生活を通して社会性や協調性を育むことや、クラブ活動など生徒の多様な希望に応えていくためには一定の規模が必要なことは理解いたします。
しかし、地域によって教育の格差があってはならず、子供たちの少ない地域においても教育の質の確保と必要な高校教育を提供する機会の保障が重要と考えております。
そこで、これからの過疎地域における高校教育の方針について教育長にお尋ねいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 高校教育の目的は、知、徳、体を備えた調和のとれた人間形成や、自立した社会人としての基礎的な資質を有する生徒を育てることにありますし、また、生徒減少が進む地域、それ以外の地域の隔てなく、ふるさとを守る人材を本県の高校教育で育んでいくことが重要であると考えております。
過疎地域等にある小規模校では、高校標準法上、教員の配置には制約はありますが、本県におきましては、生徒の進路希望にきめ細かく対応するため、選択科目や学校設定科目の開設、習熟度別、進路志望別にクラスを編制した指導を行うなど、生徒の学力向上と進路目標の実現につながる教育の推進に努めてきており、また、それぞれの地域の理解と御協力をいただきながら、伝統芸能や地域産業をテーマとした課外活動の取り組み等も行ってきております。
今後におきましても、近隣の高校との連携などこれまでの取り組みに加え、ICTの活用による遠隔授業の導入に向けた研究に取り組むなど、小規模校の教育の質の確保も含めた高校教育の充実に努めてまいる考えであります。
〇44番(工藤勝子君) 過疎地域においては、学校規模においても柔軟な対応を今後進めていかなければならないのではないかと思っております。可能な限り子供たちの要望に応えていくことも必要ですし、自由な学びの選択を確保するためには、高校再編計画で示している学校の最低規模の特例よりもさらに柔軟な対応が必要ではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 県教育委員会におきましては、平成26年5月に外部有識者により構成する県立高等学校教育の在り方検討委員会を立ち上げ、生徒減少と学校の小規模化が進む中で高校教育の学びのあり方等について検討いただき、その報告を踏まえ、平成27年4月に、今後の高等学校教育の基本的方向の改訂を行うとともに、この方向と、県内各地での多くの県民の皆様との意見交換等を踏まえ、昨年3月に新たな高校再編計画を策定したことは御案内のとおりであります。
新たな再編計画における学校規模につきましては、1学年の学級数を、議員御案内のとおり、原則的には4から6学級程度を基本といたしております。一方、将来見込まれる生徒数に加え、地理的な諸条件や人口減少社会への対応、地域の実情等を考慮し、さらには小規模校の存続についても多くの御意見等をいただきましたことから、最低規模を1学年2学級以上が望ましいとしつつも、近隣に他の高校がなく、他地域への通学が困難な地域においては1学級校も特例校として残すこととし、教育の機会の保障と教育の質の確保との調和に努めたところであります。
今後、小中学生の減少によりさらに学校の小規模化が進むことが見込まれますが、再編計画の推進に当たりましては、県内各地のふるさと振興の動向の把握や、市町村等との丁寧な意見交換等に努めながら進めていきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 専門高校のあり方についてもお伺いしたいと思っております。
現在、高校生の進路は、大学、専門学校への進学のほか、農林水産業、商業、工業の専門高校を卒業して、地元の農林水産業や企業の即戦力として活躍している子供たちも多くおります。しかし、本県において、専門高校の縮小、再編が加速化しているように思います。また、専門高校のあり方については、地域の産業等を踏まえる必要があるとも考えております。
地域の農林水産業、商工業の担い手として、地域が必要とする人材を育成する視点から、今後の県の専門高校のあり方についての方針をお伺いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 専門高校におきましては、専門分野の知識と技術を確実に習得し、地域産業を支え、さらには岩手の復興などにも寄与する担い手を育成することなどが重要であると認識いたしております。
現在、県内の専門高校では、専門分野ごとの技能、技術の習得や資格取得などに加えまして、インターンシップ等の体験的な学習を通して地域と職業への理解を一層深める活動や、地元で生産される食材、農水産物の未利用資源を、食品メーカーや生産者組合等と連携して新しい商品を開発、販売する等の実践的な取り組みも行われており、地域の魅力発信にもつながる活動などにも取り組んでおります。
再編計画におきましては、専門高校や専門学科の学科改編等に当たって、原則として各地域においてその機能を維持することとしており、今後におきましても、地域の産業構造や人材のニーズ、産業振興の方向性等を踏まえ、各学科の教育課程の工夫も図りながら、地域産業を支える人材の育成に取り組んでまいります。
〇44番(工藤勝子君) 今後も生徒数は減少していくだろうと思っております。
そういう中で、今誕生したゼロ歳児からの入学から高校卒業までの生徒数は大体把握できるのだろうと思います。首都圏のほうから移住してきている方々もありますけれども、絶対数が減っていくことは確実であります。
県のほうでは在り方検討会を設置して検討しているわけですけれども、私から見れば、普通高校に何かの専門高校をくっつけて何とかその規模を維持するような形として、今後そういう方向に進んでいくのではないかと危惧しているわけでありますが、そうではなくて、やはり専門高校をその学区内においてしっかりと設置できる方針を打ち立ててほしいと思っております。ですから、在り方検討会もさることながら、将来、少子化を踏まえて、高校の過疎地における教育のあり方を検討する専門部会を設けるような考えはないでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) ただいまお話のありました多様な人材の受け入れを目指した検討会を先般設置したということでございますけれども、まさに今の高校入学者は小中学生から年度進行で上がってまいりますので、自然増に努めることは岩手にとって極めて重要でございますけれども、県外からの受け入れ等も含めてやっていくというようなことが極めて大事だということで、これはまさに過疎地域の重要なテーマも含めて御検討いただくということにしているものでございます。
今後、検討委員会の中でさまざま御議論をいただくことといたしておりますので、それらの検討等も含めまして、県教育委員会として真摯に検討していきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ、過疎地における高等学校のあり方というものをしっかり検討していただきたいと思っています。それは市町村も望んでいることではないかと思っております。
そこで、市町村との連携についてお伺いしたいと思います。
県は、高校再編計画において、基本的な考え方として、県、市町村が重点的に取り組んでいるふるさと振興に係る総合戦略の推進等を踏まえる必要もあるとしております。地域に根差した産業や地域づくりを担う人材の育成の場として、県立高校は、ふるさと振興を推進する市町村にとっても重要な位置づけにあると思っております。
高校再編計画の推進に当たり、市町村との連携を、今もとっていると思いますけれども、今後どのように行うのか、お考えをお示し願いたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 県立高校が地域と結びついて支えられながら地域に貢献することは極めて大事なことと認識いたしておりまして、郷土を愛し、地域に根差した産業や地域づくりを先導し、10年後、20年後の岩手の復興、発展を支え、ふるさとの未来を担う人材を育成することを方向性として、今般の再編計画を策定したところでございます。
再編計画の推進に当たりましては、現在、統合形態も含めた今後の学校のあり方や具体的な学科改編のあり方、地域と高校の連携等について、市町村や学校関係者等との意見交換の場を設け、再編により、子供たちにとってよりよい教育環境を整えていくことを重視した合意形成に努めているところでございます。
今後におきましても、各自治体のふるさと振興に向けた取り組み等を踏まえ、地域や学校関係者等と丁寧に意見交換を行い、連携しながら、次代を担う自立した社会人としての基礎的な資質を有する人材の育成、ふるさとを担う人材の育成を目指してまいります。
〇44番(工藤勝子君) 遠野地区の2校存続についてもお伺いしたいと思っております。
私の地元でもあります遠野高校、遠野緑峰高校が前期高校再編計画に入っております。遠野市としても、現在の生徒数の現状を打開していくために、高校魅力化アクションプラン─市内2校存続を目指して─を策定し、地元に残って活躍する人材の育成を最重要課題と捉えて、懸命な努力と支援を行っているところであります。多くの市民の方も行動を起こし、存続を求める署名活動も進めております。遠野市としても、高校再編を考える市民会議と一体となって、遠野ならではの独自性のある、また、魅力ある高校教育を提案していく予定でありますので、県教委のさらなる御指導を仰ぎたいと思っております。
遠野地区の2校の存続について、希望の持てる所感をいただきたいと思いますが、教育長のお考えをお示し願います。
〇教育長(高橋嘉行君) 新たな再編計画の策定に当たりましては、少子化により本県高校への入学生徒数が減少する中で、生徒にとってよりよい教育環境を整備していくため、望ましい学校規模の確保による教育の質の保証と、本県の地理的諸条件等を踏まえた教育の機会の保障を大きな柱としたことは御案内のとおりでございます。
県教育委員会といたしましては、再編計画に基づく見直しを着実に推進していくことが重要と考えておりますけれども、その際、各地域におけるふるさと振興に向けた取り組みの推移や、入学者の状況等も十分見きわめた上で計画を推進していくことといたしておりまして、現在、市町村等との丁寧な意見交換等に努めているところでございます。
遠野高校と遠野緑峰高校の統合につきましても、入試における定員充足状況や、遠野市におけるふるさと振興に向けた取り組みの動向等を見きわめさせていただくとともに、遠野市や両校とのできる限りの意見交換、情報共有等を行いながら、適切に対応していきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 質問通告にはありませんでしたけれども、遠野緑峰高校生の活躍というものは目を見張るものがあると思っています。全国プロジェクト大会の最優秀賞や優秀賞、そしていろいろなことで情報発信をされているところであります。一つ一つ紹介するわけにはいきませんけれども、少人数でも独立している高校だからこそ、子供たちは胸を張って、目を輝かせていろいろな研究や勉学に励むことができると、私はそのように思っております。ましてや、地域の課題に子供たちは目を向けて、遠野市の産業振興に少しでも役立てたという形で取り組んでいるものもあるわけであります。
生徒からのアンケートもとっております。この満足度に対しては、9割を超える子供たちが遠野緑峰高等学校に入学してよかったと答えているところであります。
教育長の遠野緑峰高校の評価についてお願いしたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 遠野緑峰高校は、議員からただいま御紹介がありましたけれども、農業クラブの文部科学大臣賞全国1位という実績もあります。地域産業を振興させていきたいというようなことで、個性的な取り組みをやっている活動もありますし、その農業クラブだけではなくて、遠野緑峰高校の生徒たちは本当に一生懸命自分たちを磨こうという活動をしておりますし、教職員もいい学校をつくっていこうということで、教職員と生徒、地域が一体となって盛り上げていただいていると思っております。私も、何度となく遠野緑峰高校には顔を出させていただいておりますけれども、その活躍、生徒たちが生き生きと学んでいるという姿は極めて印象的でございます。
ただ、一方で、先ほども申し上げたような状況にもございますので、それらも含めて総合的なあり方ということで、再編計画の前期プランを策定いたしました。その実施に当たりまして、遠野市長、市議会議長、PTAの代表の皆さんと私も直接話し合いをさせていただきまして、公表した案を修正したというような経緯もございます。そしてまた、それに対して一定の評価を頂戴したというようなこと等を含めまして、まず、今の教育をしっかりする。そして、将来的なことは、また、先ほど申し上げたような状況の中で検討していきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 先ほども御答弁がありましたけれども、県立高校の県外からの入学の受け入れ、学区のあり方は、先ほどありました検討委員会が立ち上がっているところであります。検討会議が開催されておりますが、県外からの入学の課題をどう捉えていらっしゃいますでしょうか、お聞きいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 現在、県外からの入学の受け入れにつきましては一家転住を原則といたしております。これは、発達段階にある子供たちが、それを見守る成人がいない中で、一人で生活するというのはなかなか大変だというようなこと等もありまして、県外からの受け入れはかなりハードルを高くしているところでございますけれども、県内には、市町村と連携しながら積極的に受け入れるということで、県教育委員会としてその一家転住の緩和をした事例もございます。
県外からの受け入れということに対しては、地方創生、ふるさと振興を進めていく上で、今の時代は、県外から積極的に受け入れるという考え方を持っていいのではないかと思っております。それも含めて検討委員会の中で検討していただくということにしております。
さまざまな問題、評価することはたくさんございますので、その辺の意見交換を十分しながら、いい方向性を見出していきたいと思っております。
〇44番(工藤勝子君) 少人数学級の導入ということも考えられると思っていますけれども、教職員定数の改善の要望についてお伺いしたいと思っています。
高校における少人数学級の導入につきましては、いわゆる標準法に基づきまして高校の教職員定数が募集の定員をもとに算定されております。その教職員定数に対して地方交付税により財源措置がされており、1学級の募集定員を減らす場合は国からの交付税の収入が減額となることが課題となっておるところであります。
しかし、地域に生まれて地域で育ち、地域を担う人材をその地域で育成する教育環境をつくるためには、少人数学級の導入も必要となってくると思っております。地域の実情に応じた少人数学級の導入ができるよう、教職員定数の改善について国に要望する必要があると思いますが、これまで国に対してどのような要望活動をされたのかお伺いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) いわゆる標準法における少人数学級は、平成23年度に小学校1年生において基礎定数化されましたが、それ以降はその拡大が見送られ、本県におきましては、加配定数を活用して小学校2年生から4年生までと中学校全学年に順次導入してまいりました。
子供たちの発達段階を考慮いたしますと、まずもって、義務教育における安定的な少人数学級の導入に優先的に取り組むことが必要と考えておりまして、これまで国に対し、教職員定数改善計画の早期策定による抜本的な定数改善を強く要望してきたところでございます。高等学校につきましても、教職員定数の全体的な充実を要望してきているところでございます。
〇44番(工藤勝子君) 教育委員会として、文部科学省に要望していくことは大変重要でもありますし、今後もそうしていただきたいと思っております。
ちょっと知事に振りたいと思います。
文部科学省に対して、岩手の過疎地域の教育に対して、こういう少人数学級のための財源の確保について要望をするというような機会はないでしょうか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 今、教育長が述べたように、高等学校についても教職員定数の全体的な充実を要望してきているわけでありますけれども、本県の高校は小規模校を中心に相対的に定員割れの状況にあり、生徒の多様な進路選択の実現を図るため、習熟度別クラスの編制や進路希望別コース編制等の方策を講じていると。
その中で、少人数学級のあり方については、教育委員会において、議員御提言の趣旨も踏まえて、今後、国への要望のあり方等をも含め研究していくことを期待します。
〇44番(工藤勝子君) 私は、知事みずからが、岩手の教育、人づくりを考えたときに、やはり文部科学省に足を運んで、財源の確保なり、そういう要望もしてほしいと願っておりますので、ぜひ行動を起こしてほしいと思っております。
ふるさと振興についてもお伺いいたします。
社会減ゼロの取り組みについてでございますけれども、平成27年10月に策定された岩手県ふるさと振興総合戦略では、県外への転出超過を解消し、平成32年には社会減ゼロにするという目標を立てられました。これまでも一般質問で取り上げられ、御答弁をいただいておりますが、年度別の計画や具体策に乏しく、このままでは平成32年の社会減ゼロの達成は難しいと思って私は捉えております。社会減ゼロのかけ声だけで終わらないようにするために、本県への新しい人の流れを生み出していくための具体策等もお伺いしたいと思います。
〇政策地域部長(藤田康幸君) 社会減ゼロへの取り組みについてでございますけれども、平成28年の本県の社会減は3、708人となっておりまして、こちらは、年齢階級別に見ますと、15歳から19歳の転出超過が1、644人、20歳から24歳の転出超過が2、007人となっておりまして、これを足しますと3、651人ということで、15歳から24歳の転出超過がほとんどを占めているといった状況になっており、進学、就職期の転出が顕著でありますことから、若者の県内就職の促進に向けた施策の拡充を図っていくことが大変重要であると考えております。
こうしたことから、平成29年度におきましては、長時間労働の是正や正規雇用の拡大など雇用の質の向上に向けたいわて働き方改革推進運動の展開ですとか、奨学金返還支援制度を活用した大学生等の県内への還流、定着、首都圏の大学生等を対象としたインターンシップの本格実施、市町村の空き家活用事業支援等による移住、定住対策の拡充、若者と県内企業等との大規模交流会の開催による産業活動や社会活動の情報発信などによりまして、本県への新しい人の流れの創出に取り組んでいるところでございます。
また、社会減ゼロの目標達成に向けましては、東京圏の転入超過が依然として11万人超となっている現状がございまして、こうしたことから、県の取り組みに加えまして、国による東京一極集中の是正に向けた抜本的な対策が不可欠と考えておりまして、国に対して、地方重視の経済財政政策を実施するよう、引き続き強く求めてまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) ただいまも東京への一極集中ということが話されました。知事もよく、東京への一極集中が加速化することによってさらに地方の人口が減少し、地方の疲弊が深刻化していく中で、東京一極集中の是正や機能の分散が必要だと述べられております。
しかし、この岩手に置きかえて考えてみたときに、県営施設においても、さまざまな都市機能においても、人口などを見てみても、一貫して中央部、盛岡に集中していると、私はそのように思っております。
そこで、岩手県におけるこうした盛岡市を中心とする県中央部への一極集中、これ以外の地域との格差をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇政策地域部長(藤田康幸君) 盛岡を中心とする県央部への一極集中についてでございますけれども、平成27年10月から平成28年9月までの間の県内での人口移動の状況は、県央圏域と県南圏域が転入超過となっておりまして、その一方で沿岸圏域と県北圏域は転出超過となっております。
こうしたことから、第3期復興実施計画を着実に推進することはもとより、各圏域の特性や地域資源を生かした産業振興や地域振興を推進するため、ふるさと振興や第3期アクションプラン地域編に基づく取り組みを一層強力に進めていくことが重要と考えております。各広域振興局がそれぞれの判断で実施できる予算等も活用しながら、現場主義に立脚した施策を展開しているところでございます。
さらには、今後の復興道路等の整備や、宮古-室蘭間の定期フェリー航路開設などの交通ネットワークの向上を地域外との交流の活性化に生かすとともに、ILCの実現や海洋エネルギー研究拠点の構築など、中長期的な取り組みもあわせて県全体の発展につなげてまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ、県北・沿岸の振興に取り組んでほしいと思っております。
そういう中において、2019年には釜石市と岩手県がラグビーワールドカップ2019の開催都市となっています。
こうした県内の地域格差の是正への県の姿勢を示す一環として、建設が予定されている釜石鵜住居復興スタジアムを思い切って県営施設として建設するといったことは考えられないでしょうか。それが不可能ならば、県営施設として、釜石市と一体となって活用、運営管理、メンテナンスを行うことは考えられないでしょうか、知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 釜石鵜住居復興スタジアムについてでありますが、平成27年10月28日、釜石市と岩手県が締結したラグビーワールドカップ2019開催基本契約に係る釜石市と岩手県の義務の分担に関する協定書により、試合開催会場の提供は、釜石市がその義務を負うこととされています。
また、本施設は、ラグビーワールドカップの開催のためだけではなく、スポーツ活動、文化活動など広く市民のための公の施設として釜石市が整備するものであり、県営施設として建設または管理運営することはございませんが、施設の活用については、県としても、沿岸地域の振興や広域的な文化、スポーツの振興の観点から、釜石市を初め関係団体等との連携を図りながら、しっかり検討を進めてまいりたいと思います。
〇44番(工藤勝子君) 私は、この施設は国際大会が開催できる夢の施設でもあると思っております。沿岸振興を図るならば、協定はあるかもしれませんけれども、県がもう少し釜石を支援していくということが大事ではないかと考えているわけでもあります。知事はよくオール岩手と言います。この施設もオール岩手であってほしいと私は思っているんです。そうじゃないと、この施設が宝の持ち腐れになるような可能性を秘めているような気がしてならないのです。スポーツ振興のため、文化スポーツ部もできました。ですから、そういうものをコーディネートするのも文化スポーツ部の役割だと思っているんですけれども、もっと県が、オール岩手として市町村も巻き込んで、この施設を有効活用するため、県が先頭になってこの施設に対する支援策を私は絶対打ち出すべきだと思っておりますが、もう一度知事に確認いたします。
〇知事(達増拓也君) 先ほども申し上げましたが、この施設の活用については、県といたしましても、沿岸地域の振興や広域的な文化、スポーツの振興の観点から、釜石市、また関係団体等との連携を図りながらしっかりと検討を進めてまいります。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ見直しを図っても私はいいのではないかと思っています。やはり格差をなくすということは岩手県の最大の課題であります。沿岸地域には県営の体育施設はありません。一つぐらいあっても私はいいのではないかと思っているところであります。ぜひもう一度考え直していただきたいと心からお願い申し上げます。
釜石市で発生した林野火災についてお伺いいたします。
5月8日に釜石市において林野火災が発生いたしました。乾燥注意報が出され、さらに強い風が吹くという火災の発生しやすい春の特徴的な気象状況の中での林野火災でありました。消防団による地上からの消火活動、青森県、秋田県の応援による防災ヘリでの消火活動や自衛隊の大型ヘリによる懸命な働きによって、5月15日に釜石市から鎮圧宣言が出されました。この林野火災による焼損面積は約413ヘクタール、被害額は約7億4、500万円に及びました。
現場を調査してみました。今回、火災の被害に遭った林野の多くは民有地であり、樹齢50年から70年の杉林や松林が焼失するという大変大きな被害となりました。植林から長い年月をかけて、刈り払い、間伐、枝打ちなどの手入れを進めてこられた山主の方々の胸のうちを思うとき、言葉もありませんでした。
一度失った貴重な森の財源を取り戻すには、長い年月と財源が必要となります。林野に再び緑を取り戻すためには原状回復に向けた手厚い支援が必要ですが、どのように支援されるのかお伺いいたします。あわせて、現場の被害木の有効的な活用方法についてもお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 県におきましては、復旧対策の主体となる釜石市や釜石地方森林組合と連携し、火災跡地の現地調査を行っております。また、復旧に向けた林地再生対策協議会の設立や、被災者の意向を把握するための説明会等の開催を支援するなど、被災地と一体となって取り組んできたところであります。
協議会におきましては、7月末を目途に復旧計画を作成することとしております。県では、森林整備事業等予算の優先配分や必要な技術的支援などを通じて、この計画に基づきます被害木の伐採、搬出、作業道の改良、計画的な復旧造林の実施が円滑に進むよう支援してまいります。
被害木につきましては、現在、釜石地方森林組合が被災者の収入につながるよう、被災した立木をサンプルとして伐採し、建築用材としての販路を開拓しているほか、くい材などの土木工事資材やバイオマス発電用の燃料としての利用を進めるよう取り組みを行っているところであります。
〇44番(工藤勝子君) ぜひこの復旧に向けて全力を尽くしていただきたい、そのように思っているところであります。
そしてまた、山主の人たちとの協議も今後進めていかなければならないと思っていますし、面積が面積でありますので、国からの補助を受けるにしても、例えば、2年計画の中で植林とその整備が一体となっている補助もあるようでありますので、いろいろなものを活用しながらやってほしいと思っております。
そこで、春先には県内においても非常に林野や原野火災が発生していることから、特にも春の山菜とりなどで入山する人たちへのマナーの呼びかけを強化するべきだと思っているところであります。今後の対策についてもお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 県におきましては、関係機関、団体で構成いたします岩手県山火事防止対策推進協議会を毎年開催いたしまして、山火事の危険期であります3月1日から5月31日までを山火事防止運動月間と定めまして、入山者へのチラシ配布による注意喚起やラジオ、テレビ等を活用した広報活動、消防機関への初期消火資機材の配備など、広く山火事防止対策に取り組んできたところであります。
また、森林の周囲1キロメートルの範囲での火入れにつきましては市町村長の許可が必要でございまして、改めてその制度の周知徹底を行いますとともに、山火事の危険期における入山制限など、さまざまな山火事防止の取り組みにつきましてもその検討を市町村に働きかけてまいります。
また、県におきましても、これまで発生した山火事のデータをもとにしまして新たにマップを作成し、ホームページで公表するなど、入山者を含め、広く県民に対してさらなる注意喚起が図られるよう取り組みを強化してまいります。
〇44番(工藤勝子君) やはり、山に入るところというのは決まっているわけであります。地域の人たちもここから入るということがわかっているわけでありまして、そういうところに、呼びかけも大事ですけれども、新たに看板みたいなものを設置することも大事ではないかと。目につくところにそういう看板の設置などは考えられないでしょうか。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 今までもそういう取り組みをやっているところもあるのでありますが、徹底されないところもございますし、また、無視して入る方もいらっしゃるというようなことも聞いておりますので、それらを含めて、今後どのような取り組みが効果的なのかを含めまして市町村とともに検討いたしまして対策を考えていきたいと思ってございます。
〇44番(工藤勝子君) 次に、農業振興についてお伺いいたします。
本県は、広大な面積と地域特有の自然環境に恵まれており、日本の食料供給基地を目指し、農業振興についてしっかりとした方向性を示すことができれば農業生産額、農業所得の向上は夢でないと、私はそのように思っています。現に水稲農家においては、銀河のしずく、金色の風、県南のひとめぼれが食味ランキング特Aに推奨されたことによって、作付規模の拡大もあって、農家の人たちは今、活力が生まれてきていると認識しております。また、畜産においても、全国和牛共進会の宮城県開催も目前に迫っておりますし、日本一を目指して大きな期待が寄せられております。近年は、和牛繁殖農家でも、子牛価格の高値から、次なる担い手も私の地域でも育ってきております。
農業振興には、光の当たる部分と、さらには中山間の過疎地域における、高齢化とともに耕作放棄地が拡大し、さらに、野生鳥獣、特にニホンジカの被害によって農地を放棄せざるを得ない陰の部分を見逃すことはできないと思っております。本県の中山間地域の農業の現状をどのように捉え、耕作放棄地の拡大、いわゆる陰の部分の対策をどのように進めようとしているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 本県の中山間地域につきましては、急勾配、農地分散など不利な生産条件の中で、小規模、兼業農家など、多くの農家が生産活動に携わっている現状にございます。こうした多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活発化を通じまして、活力ある農業・農村を実現していくことが重要と考えております。
このため、県では、大区画にこだわらない区画形状や排水対策などのきめ細やかな基盤整備を進めますとともに、地域の話し合いに基づく集落営農組織の法人化や新たな園芸品目の導入、加工品の製造販売などの取り組みを支援してきたところであります。また、耕作放棄地につきましては、土壌改良や果樹の苗木定植などを支援いたしまして、過去8年間で約250ヘクタールの農地の再生が進められてきたところでもあります。
今後とも、地域みずからの話し合いによりまして、地域農業の将来像を描きました地域農業マスタープランなどを基本に据えまして、小規模農家、兼業農家も参加した産地づくりや、地域の多彩な資源を活用した6次産業化などの取り組みを促進してまいります。
〇44番(工藤勝子君) ぜひもう一度山間部に行って今の被害の状況を部長に見ていただきたい。いいところだけを見るのではなく、非常に危機的な状況になっているところもたくさんありますので、ぜひそういう現場も確認しながら見ていただきたい、そのように思っております。
地域農業を担う若者がIターン、Uターンをしながら、そして営農に携わっている様子も見られるようになりました。しかし、農業は、移り変わる天候や環境の変化、土壌や肥料、農薬管理など、多くの技術が必要となります。新規で就農する若者が将来にわたって地域農業を支える人材となるための長短期研修が必要と考えております。
そこで、県立農業大学校を活用しながら研修生として学ぶ機会、このことも一つの支援策と考えておりますが、現在の取り組み状況をお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 新規就農者の地域への定着を図るためには早期の経営安定が重要でありますことから、新規就農者が農業技術や経営手法を学べる場の整備が必要でございます。このため、本年度から農業大学校における新規就農者の研修体系を大幅に見直しております。就農前に農業の基礎知識を学ぶ入門コースを設置いたしますとともに、就農後に1年を通じて農業技術や経営手法を学ぶ基礎コース、農閑期に基礎的経営知識を学ぶ冬期集中コース、自己の経営実績を検証し、さらなる経営発展を目指す応用コースを設置するなど、新規就農者の発展段階に応じた研修を体系的に整備したところであります。
今後も、農業を取り巻く社会経済環境の変化や新規就農者のニーズ等を踏まえまして、研修内容の充実強化を図りながら、より多くの新規就農者が地域の農業を支える人材として活躍できますよう積極的に支援してまいります。
〇44番(工藤勝子君) 県立農業大学校は、入学した生徒もさることながら、ただいまお話しされましたように、担い手となる、また、Iターン、Uターンしてきた若者が農業をするために研修する場所としては私は最適地だと思っております。そして、その若者が希望するニーズ、パソコンの活用も含めた、経営学も含めて多様なニーズに応えられる環境が整っている大学校だと認識しているところでありまして、積極的にこの活用に向けた情報発信をお願いしたいと思っておりますけれども、もう一度今後の情報発信についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 議員おっしゃるとおり、非常に農業大学校は研修の設備も充実しておりますし、研修には最適の場だと思ってございます。そうしたことから、研修内容も大幅に見直して充実させたこともございますので、広く使っていただくようにもっともっと情報発信していただきまして、研修を受けていただくように努めてまいりたいと思ってございます。
〇44番(工藤勝子君) 農業協同組合についてでありますが、私が住む遠野市の青笹という地域にも支所があったわけでありますが、JAが広域合併し、次から次へと大きくなっていきました。営農指導体制の弱体化につながったと思っております。農家の人たちも、JAの指導がなくなったことから、JA離れも進んできたのではないかと私は思っております。農業指導のプロパーとして、また、農村生活女性活躍支援のプロパーとして、農業普及員の拡充を何回も議会で訴えてまいりました。しかし、増員どころか、削減される状況にあると思っております。今、農業は大きな転換期を迎えていると思っております。そういうことからも、改めて本県における普及指導体制の強化についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 本県の農業・農村の振興を図っていくためには、現場で直接農業者に接しまして、農業技術、経営管理などを指導する農業普及員の役割が重要でありまして、農業者の期待も大きいものと認識しております。
県では、これまで、地域農業の特性に応じて農業普及員を配置いたしますとともに、プロジェクトチームの編成などによる重要課題の解決ですとか、市町村や農協と連携した地域協働による産地づくりなどに取り組んできたところでございます。
一方、グローバル化を見据えて、農業の競争力を一層強化していくために、経営の規模拡大、多角化、高度化、さらにはICT等を取り入れたスマート農業、GAPの普及拡大など、新たなニーズへの対応が求められております。
このため、今後につきましては、GAP指導等に必要なスキルの習得など、農業者の高度で多様なニーズに対応できる農業普及員の確保、育成を図りながら、意欲ある農業者の経営発展に向けた指導体制を強化してまいります。
また、本年度、普及のあり方につきまして、今後どのような体制なりどのような研修がいいのかということも含めまして、広く普及のあり方につきまして検討に着手したところでございますので、今後、そういった場を通じまして検討を進めたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 農業普及員の増員ということは、人事案件でもあるわけであります。これは、どこがどのように見直していくのかというようなこともあると思うんですけれども、私は、今の農業、岩手県の農業振興を考えたとき、この農業普及員体制の強化については、人事案件でありますので副知事にお伺いしたいと思います。副知事は、この農業普及員の増員についてどのような考えを持っていますか。これまでどおり、やはり一般職と同じように削減しようとしているのかお伺いいたします。
〇副知事(千葉茂樹君) 農業普及員の定数、体制についてのお尋ねだと思います。
現状について申し上げますと、現在、平成29年度は203名の農業普及員を9農業改良普及センター及び4普及サブセンターに配置しておりますが、この203名という数字は平成24年度から維持しているという状況でございます。それ以前におきましては、集中改革プログラムというのがございまして、その前の段階から定数縮減を図ってきたところでございますが、その時点におきましても、農林水産部全体の定数縮減目標に対しまして、農業改良普及センターの縮減率は相当抑えてきたという現状もございます。
現在の話に戻りますが、現在、県職員の定数につきましては、かねがね御指摘いただいておりますが、欠員問題も生じてきているところでございます。いずれ、現在、約4、000人体制というのは非常にぎりぎりのラインの体制の中で仕事をしているという認識を持っておりますので、これから復興の先を見据えた後の平常時の県の職員定数をどの程度に持っていくのかという議論をきちんとしていく必要があろうかと思っております。なかなか財政事情もございますので、人件費もかかりますのでいろいろな難しい問題もございますが、きちんとその辺のところを、定数のあり方について議論していく必要があろうかと思います。その際に、こういう専門職については、きのうもいろいろと専門職の議論がございましたが、そういう専門職のあり方について、農業普及員についてもその中で議論していく必要があるものと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 千葉副知事におわび申し上げます。急に振ってしまいましたので、大変おわび申し上げたいと思っていますけれども、明快な御答弁をいただきましてありがとうございました。
今、団塊の世代が多く退職する時代に入ってきております。退職後に地域づくりの役員を担うなど活躍する人もおりますが、新たに農業に力を入れて、地域の農地を守りながら所得を上げている人もおります。地域においては、60代は若者であります。70代、80代が現役で働いている農業者も多くいるわけであります。地域農業に力を注ぐパワーを持っているこうした退職後に農業に取り組む方々に対し、県としてどのような支援を行おうとしているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 県におきましては、認定農業者や地域農業マスタープランで明確化されました中心経営体など、地域農業の維持発展に積極的に取り組む農業者を、年齢を問わず担い手に位置づけております。特に、退職後の就農者につきましては、これまでの異業種での経験やノウハウを発揮いただきまして、地域農業の担い手として、その活性化に貢献していただけるものと考えております。
このため、県ではこれまで、就農相談会の開催、農業体験の実施、生産技術の習得や機械、施設の導入などの支援によりまして、退職後の就農者の確保、育成に取り組んできたところであります。
今後は、こうした取り組みに加えまして、農業大学校が開催いたします、先ほど申し上げたような基礎的な経営知識などを学ぶ研修ですとか、経営感覚、企業家マインドを持った農業者を育成する岩手大学と連携いたしましたいわてアグリフロンティアスクールの受講を促進するなど、退職後の就農者が地域の農業を支える人材として活躍できるように支援してまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) ぜひよろしくお願いしたいと思っております。地域においては、例えば退職した方もそうですけれども、60代になって、例えばもう1棟ハウスがあったらもう少し頑張られるという人もあるわけであります。そういう人たちに対して、若者もさることながら、こういう人たちがまだ元気を出し、福祉対策にもなり、健康増進にもなりますので、ぜひそういう人たちへの支援も考えていただければと思っております。
次に、女性リーダーの育成についてお伺いしたいと思っております。
かつて本県では、女性海外研修を初め、青年の船や婦人の船を実施し、県内のリーダー養成に力を入れてまいりました。私も、女性海外研修員としてドイツ、フランスに県から2分の1の支援をいただいて行ってまいりました。第1回婦人の船にも乗船して参加した経験もあります。今でもそのとき一緒に参加した人たちとの交流を持っておりますし、いろいろ海外研修に行った人、婦人の船に乗船した人、それぞれの地域や職場で責任のある立場として、地域のリーダーとして活躍されている人たちが非常に多くいらっしゃいます。現在は、情報通信技術の発展と普及によって、国内外はもとより、海外の情報もパソコンなどを通じて容易に得られるようになってきておりますが、国内外のすぐれた事例に直接触れることや、参加によって得られる人的なネットワークなど、事業を通して得られるものはたくさんあるのではないかと思っております。
女性リーダーを育成するために、国内外の先進地に派遣する事業をもう一度立ち上げる必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 女性リーダーの育成についてでありますが、復興とふるさと振興を進めるためには、これまで以上に女性の活躍が必要であります。したがいまして、継続的に女性リーダーを育成していくことが重要であると認識しているところでございます。
県では、地域の中核となる女性リーダーの育成を目指し、昭和54年度から国内外への派遣や男女共同参画サポーター養成講座を実施いたしまして、これまで延べ8、500人の女性リーダーを養成したところでございます。さらに、平成26年度からは、さまざまな分野において女性リーダーの層をより一層厚くしていくという観点から、国に先駆けましていわて女性の活躍促進連携会議を官民一体となって設置いたしまして、先輩女性管理職の体験談を聞くロールモデル研修会や女性キャリアアップセミナーの開催などによりまして、働き方改革とも連携しながら実践的な女性リーダーのスキルアップを図っているところでございます。
今後におきましても、同会議に設置されております子育て、農林水産分野などの各分野の部会の取り組みなどを通じまして、企業や団体の現場の実情に即した女性リーダーの育成に努めてまいりたいと考えております。
また、御提言のありました女性リーダーの派遣事業につきましては、現在、交流が進んでおります中国雲南省から女性同士の交流拡大の申し出などもございますので、こうした一連の国際交流事業の中での対応も検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇44番(工藤勝子君) 岩手県は、東日本大震災津波からの復興を優先させるため、いろいろ人を育てるソフト事業というのは予算を切らざるを得なかった、私はそのように認識しております。ただ、今後、復興も進んで、新たな財源確保をしながら人を育てる、知事の言うソフトパワー戦略をぜひ次の総合計画の中にしっかり組み込んでほしい、そのように思っております。人はパソコンやITで育たない、私はそのように思っております。やはり人と人とが向き合って、そして会話をしながら、研修を積みながらさまざまな交流をしていくことによって女性が育ち、若者も育っていく、私はそういう認識でおります。
私も農業普及員の方に育てられましたし、いろいろと地域の人たちに育てられて今ここに立つことができる、そのように思っております。私は、次に続く女性の議員もたくさんおりますが、そういう人たちや農業委員を初めといたしまして、地域を引っ張れる女性リーダーというものを真につくるべきだと思っております。ですから、海外に派遣したりする事業は非常に私は重要になってくるのだろうと思っております。
ここで、もう一度知事に伺います。このソフトパワー戦略を使っての女性なり若者の将来に向けた育成についての思いをお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) 海外派遣については、先ほど担当部長から答弁ありましたように、最近は市町村や民間団体あるいは学校等での事業がどんどんふえてきていることもあり県の事業は少な目ではありますけれども、その中でも、高校生の海外派遣でありますとか交流事業の中での女性をテーマにしたものとかがありますので、そういったところにしっかり対応していきたいと思います。また、海外派遣以外については、むしろ男女共同参画でありますとか働き方改革、子育て支援、そういったテーマごとに、女性の会議、また、牛飼い女子会のようなものでありますとか、そういったところに最近は力を入れ、そういう女性のネットワーキングの中でリーダーシップを養っていただいたり、また、問題解決をしていただいたりというふうに思っております。
若者という切り口からは、男女一緒にいわて若者会議、いわて若者文化祭のような新機軸のイベントをみずから企画もしていただきながらやっていただいておりまして、次期総合計画においては、県民の皆さんのお知恵もいただきながら、より女性がリーダーとして活躍できるような岩手を目指していくことができるのではないかと期待しております。
〇44番(工藤勝子君) 御答弁ありがとうございました。
以上をもちまして私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 以上をもって工藤勝子さんの一般質問を終わります。
日程第3 議案第37号水門・陸閘自動閉鎖システム(衛星通信系)整備工事の請負契約の締結に関する議決の変更に関し議決を求めることについて及び日程第4 議案第38号北上川上流流域下水道北上浄化センター受変電設備更新工事の請負契約の締結に関する議決の変更に関し議決を求めることについて
〇議長(田村誠君) 次に、日程第3、議案第37号及び日程第4、議案第38号を一括議題といたします。
各案件に関し、委員長の報告を求めます。中平県土整備委員長。
〔県土整備委員長中平均君登壇〕

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