平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(高橋孝眞君) 議案第37号に関し質疑をいたします。
今般の議案は、株式会社東芝の社内カンパニーの会社分割に関する吸収分割契約に伴い、東芝電機サービスから請負工事の事業承継申請書が出されたことに端を発するものであります。
この議案は当初契約を変更するものでありますが、私どもは、当初契約の時点から、東芝の工事施工能力や企業としての資質に疑問を感じ、東芝が契約締結の相手方としてふさわしいのかということを再三にわたり指摘してまいりました。また、現在に至っても、東芝は、監査法人から決算の適正な意見を受けていない状況であります。
この工事は、東日本大震災津波を教訓に、今後の災害から県民の命と財産を守ることを第一の目的に行われているものであり、県議会としても一刻も早い完成を望むものでありますが、当初の計画に対する現在の工事の進捗状況、計画どおり進んでいるのかどうかお示しを願います。
また、今回の東芝の分社化によって、工事の進捗に影響は生じないのか、今後生じるおそれがないのかも、あわせてお示しを願います。
次に、県が請負工事の承継を承諾すると判断するに至った経緯について伺います。
さきに開かれた提出予定議案説明会において、東芝側から事業承継申請書が県に提出されたのは6月13日であったと答弁がありました。ゆえに、10日前議会運営委員会の際の議案等説明会に間に合わなかったとも説明がありました。
東芝は、4月24日に公的に分社化をプレスリリースし、5月30日には、実際に吸収分割契約を締結しているわけであります。工事の事業承継にはさまざまな手続が必要であり、県としても、審査期間を十分に確保するため、また、議会の審議日程を十分に確保する上でも、東芝に対し、早期に手続を行うよう促すべきだったと考えますが、いかがでしょうか。
6月22日の議案説明会までの間、土日を除けば7日間と短い期間で承諾が適当と判断し、議案が提案されているわけですが、大変大きな工事であり、この短い期間で、承継会社が大工事を遂行することが可能であり、事業承継が適当と判断するのに十分な審査が行われたのか、いささか疑問に思います。
県は、どのような内容について審査を行い、事業承継が適当と判断したのか具体的にお示ししていただきたい。また、審査の過程で疑義が生じた項目はなかったのか、あわせて伺います。
次に、工事完了後の維持管理について伺います。
今回、県が整備を進めている水門、陸閘は、自動操作システムを備えたものであり、国が示すガイドラインでも最高ランクのシステムとして高度な技術を要するものと察します。県は、今後、構築したシステムを長期にわたり維持管理していかなければなりませんが、今回の事態は、今後の維持管理に支障を来すのではないかと危惧いたします。
東芝という会社から東芝電機サービスに移行したとしても、維持管理に支障が出ないのか、県としてどのように考えているか伺います。
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、工事の進捗への影響についてでありますが、工事の進捗状況につきましては、自動閉鎖システムの根幹となる統制局、制御所及び子局にかかわるプログラムが完成しておりまして、4月27日には、合足農地海岸において試験運用を開始するなど、計画どおりに進捗が図られているところでございます。
機器の製作及び現地での据えつけにつきましては、水門・陸閘整備工事の進捗にあわせて順次進めておりまして、7月末より合足農地海岸に加え、高浜海岸、神林海岸での運用を開始し、平成30年4月には、全体約220基の3割に当たる約65基の運用を開始する予定としております。
分社化による工事の進捗への影響につきましては、当該工事にかかわる工場等の設備、従業員、技術者及び技術に係る知的財産権等が東芝電機サービス株式会社へきちんと承継されることから、工事の遅延等は生じないものと考えてございます。
次に、事業承継の申請書類の提出についてでございますけれども、株式会社東芝では、4月24日に分社化の方針を公表しまして、この方針に基づく吸収分割契約の内容を5月30日に公表したところです。
その公表により、株式会社東芝から東芝電機サービス株式会社への具体的な承継の内容が明らかになりましたことから、県では、直ちに、承継人が当該工事を施工する能力を有するかどうかを判断するためにどのような書類が必要かにつきまして国に確認しまして、6月9日に受注者へ工事請負契約承継承諾依頼書及び添付が必要な書類の提出を指示したところです。
受注者からは、6月13日に書類の提出がございまして、県において必要な審査を行った結果、議案の御説明が6月23日になったものでございます。
次に、事業承継が適当と判断した根拠についてでございますけれども、株式会社東芝より提出があった書類の審査のほか、ヒアリングを実施いたしまして、承継人が株式会社東芝と同様に、当該工事を施工する能力を有するものと判断したところです。
具体的には、吸収分割契約書等によりまして、株式会社東芝の社内カンパニーであり、当該工事全般を担当しているインフラシステムソリューション社から、ソフト開発、機器製作等に係る工場等の設備、技術者を含む従業員約6、500人及び当該工事を履行するために必要な知的財産権など、当該工事の設計、製作、据えつけに係る体制が継承されること、また、建設業許可書から、承継人が電気通信工事業の資格を有することなどを確認したほか、ヒアリングにより、プロポーザル公告における参加資格要件を満足することを確認したところでございまして、審査の過程で疑義が生じた項目はございません。
次に、工事完了後の維持管理についてでございますが、承継人である東芝電機サービス株式会社には、現在の株式会社東芝が保有している体制が継承されることから、当該システムについてのメンテナンス能力は有するものと考えております。
なお、保守業務につきましては別途発注されることとなりますが、具体的な発注方法等については、今後検討してまいります。
〇24番(高橋孝眞君) 答弁ありがとうございます。
今回の東芝の分社化を受け、県では、事業承継を承諾するための手続や議会への提案など非常な手間が発生しているわけでありますけれども、こうした事態を生じさせたことについて、知事はどのように受けとめているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 東芝分社化に対する受けとめということでございますけれども、東芝電機サービス株式会社は、当該工事を施工する能力を有していることを確認しており、県としては、今後、当該工事が適切に履行されるよう施工管理に努めてまいります。
〇議長(田村誠君) 次に、斉藤信君。

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