平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号2003年度岩手県一般会計決算に反対の討論を行います。
 反対する第1の理由は、県財政の危機的状況がさらに深刻化していることであります。
 県債残高は478億円余、3.5%増加して1兆4、297億円余となりました。これは、県民1人当たり102万円、4人家族なら408万円になる異常なものであります。重大なことは、増田県政の9年間で8、358億円の借金をふやしたことであります。これは借金総額の58%であります。県監査委員の意見書でも、財政の硬直化が一層進行し、危機的状況となっていると指摘しています。県財政の破綻を招いた増田知事の責任は重大であります。
 反対する第2の理由は、県財政の破綻が霞が関スタンダードの安易な受け入れなど、中央志向、身の丈を超えた規模で社会資本整備を続けてきたこととみずから明らかにしながら、むだと浪費、不要不急の大型開発はそのまま推進し、行財政構造改革プログラムの名のもとに乳幼児医療費助成など県単独医療費助成を改悪し、県民への負担増を押しつける、県民に犠牲を押しつける県政となっていることであります。
 乳幼児医療費の自己負担額は東北では一番重くなりました。児童虐待の相談件数が200件に達するなど急増し、2人の乳児が虐待で死亡する事件が起きているにもかかわらず、児童虐待に対応する児童福祉司は13人で、今年度交付税措置の21人と比べ8人も少ないという異常な事態であります。今議会で増員を検討するという部長答弁がありましたが、直ちに改善すべきであります。
 知事が公約した特養ホーム入所待機者の解消は、昨年度末で1、973人が待機となり、ことしの9月には1、991人となっています。解消するどころか増加しているのが実態であります。介護保険の居宅サービスでも、限度額比で見ると39.1%と低い水準にとどまっています。県民の医療・福祉、暮らしを犠牲にする県政と言わなければなりません。
 反対する第3の理由は、334億円の津付ダム事業や540億円の簗川ダム事業、港湾整備事業や花巻空港整備事業など、むだと浪費と言うべき大型開発を推進していることであります。
 津付ダム事業は、大規模事業評価専門委員会の再評価で、要検討(見直し継続)とした県の評価は妥当と認められるとして、基本高水流量の妥当性の検証や付替道路の地質調査、超過洪水対策、地元住民に計画の内容をさらに十分説明し、理解を得ることなど、厳しい五つの条件をつけました。私は公開質問状を出して、首藤伸夫専門委員長にその内容と真意を問いましたが、その答えは、答申の内容と精神をまとめて言うならば、石川参与の判断と意見を生かし、流域住民の参加のもとに検討を加えることを必要とする。それが実行されているかを毎年1度はチェックさせてもらうということに尽きます、こういう回答でした。これは、事実上再検討と言うべきものであります。県が誠実にこの答申の内容と精神を踏まえて取り組まれるよう求めるものであります。
 簗川ダム事業も矛盾が拡大しています。農業用水の利水参加が撤回されました。盛岡市の利水は、県の試算で4万4、000トンも余っているとされながら、これまでの負担金に相当する4、300トンばかりの利水参加を続けるということであります。むだな計画がさらにむだを呼ぶということであります。必要のない利水参加で約3億円のむだ遣いを行うこととなってしまいます。治水上でも、河川単独案の精査を含め、ダムの必要性は再検討すべきであります。津付ダムも簗川ダムもイラクと同じだという声が聞こえます。どちらも大儀がなくなっているという意味であります。
 花巻空港整備事業は、321億円の事業費で、昨年度244億円、進捗率76%、今年度末では267億円、進捗率83%の状況となっています。来年3月から2、500メートル滑走路がスタートしますが、昨年度の利用者数は48万6、223人で、前年比3万4、589人の減少となっています。今年度は11月末で33万6、000人余で3.3%の減少です。利用者がどんどん減少する中で321億円の事業が本当に必要なものだったのか、厳しく問われるのであります。
 県道花巻大曲線笹峠地区の工事は、奥羽山脈を横断する山岳道路工事であります。これまで約9キロメートルの工事に10年間で9億5、000万円も投入しています。しかし、道路は幅4メートルで曲がりくねっており、山を崩して道路をつくる工事となっています。環境・地質調査でも、地すべりの危険と貴重な動植物の生息が指摘されており、むだと浪費の典型的な事業であります。環境破壊の危険も高いのであります。既に107号線と高速道路が整備されており、中止を含め、根本的に再検討すべきであります。深刻な財政危機のもとで、むだと浪費の大型開発は徹底して見直すべきであります。
 反対する第4の理由は、地域産業、地域経済振興を軽視するものとなっていることであります。
 農林水産業の52.4%が公共土木事業となっており、生産者が強く求めている価格補償は決算額のわずか0.2%にすぎません。県内事業所の98.7%、従業員数の85.4%を占める中小企業対策は539億円で決算額の6.5%、その9割が融資であります。
 イオングループを初め、大型店の無秩序な出店が横行していますが、大型店の出店を商調法の活用など、あらゆる手だてを考え規制し、まちづくりと地元商店街の振興に本格的に取り組むべきであります。
 反対する第5の理由は、教育の問題であります。
 30人学級の実現を求める県民の願いは12万人を超える署名に示されました。ことしさらに4万3、000人の署名が加わりました。県議会も全会一致で請願を採択しました。にもかかわらず、増田県政は、30人学級・少人数学級の実現に背を向け、23校での試行を実施しただけにとどまりました。来年度小学校低学年で試行をふやしたいとの答弁がありましたが、全面的な実施を強く求めるものであります。
 高校再編計画では、1学年80人未満の高校は統廃合し、分校の設置も認めないとする、地域から県立高校をなくす最悪の計画を明らかにしました。県内各地から、かつてない大きな怒りと反対運動の広がりの中で、県教育委員会は計画の策定を来年に延ばす意向を示しましたが、地元の高校、地域になくてはならない高校の存続を基本に計画を見直すべきであります。
 認定第11号は、港湾整備事業特別会計決算であります。歳入では、使用料の収入がわずか2億2、100万円余で、県からの繰入金は17億8、420万円余、県債が7億700万円余となっており、歳出では、事業費が7億1、600万円、公債費が20億3、097万円余となっています。見通しのない事業に県費を投入し、借金返済に追われているというのが現状であり、反対するものであります。
 以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号及び認定第11号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、認定第1号及び認定第11号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第10号まで及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第10号まで及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
日程第38 議案第22号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第38、議案第22号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕

〇副知事(竹内重徳君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第22号は、収用委員会の委員であります安達孝一氏及び渡邉朝子氏、同じく予備委員であります長澤由喜子氏の任期が12月24日で満了となりますので、安達孝一氏を再任し、新たに伊藤今子氏を委員に、斎藤千加子氏を予備委員に任命するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議題は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、これより、議案第22号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第22号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第22号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
日程第39 発議案第2号岩手県議会委員会条例の一部を改正する条例から日程第50 発議案第13号WTO・FTA交渉に関する意見書まで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第39、発議案第2号から日程第50、発議案第13号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第9号北朝鮮に対する経済制裁等を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、発議案第9号北朝鮮に対する経済制裁等を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第2号から発議案第8号まで及び発議案第10号から発議案第13号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第8号まで及び発議案第10号から発議案第13号までは、原案のとおり可決されました。
   
日程第51 発議案第14号イラクからの自衛隊の撤退と国連を主体とした復興支援を求める意見書

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第51、発議案第14号イラクからの自衛隊の撤退と国連を主体とした復興支援を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。木戸口英司君。
   〔4番木戸口英司君登壇〕

〇4番(木戸口英司君) 民主・県民会議の木戸口英司でございます。
 発議案第14号イラクからの自衛隊の撤退と国連を主体とした復興支援を求める意見書につきまして提案理由の説明を行います。
 12月9日、政府は、臨時閣議でイラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊活動の基本計画を変更し、14日で期限切れとなる自衛隊派遣期間を1年延長することを決定いたしました。防衛庁長官、与党幹部による短時間のセレモニー的現地視察を受けての決定は、国会が閉会した後であり、真に国民への説明が十分になされたとは到底言えるものではありません。この政府の対応とイラクの現状に、全国世論調査で61%の国民が派遣延長に反対していることは当然と言えます。
 イラク特措法では、自衛隊の活動は非戦闘地域であること、自衛隊の安全確保に配慮することとしています。しかし、イラクの現地情勢は、治安好転の見通しは立っておらず、来年1月の国民議会選挙から12月の正式政権の発足へと重要な政治日程を控え、一層厳しくなることが予想されます。米軍によるファルージャの掃討作戦で多くの市民の犠牲が出たことで反米感情が高まり、サマワ近郊でも地元住民と武装グループによる銃撃戦が発生、自衛隊駐留地周辺に迫撃砲の着弾が散発している。治安の極度の悪化から撤退を決めた国も少なくなく、サマワの治安を担ってきたオランダ軍が撤退を予定しているというのが現実です。政府が言う非戦闘地域という概念は、日本政府だけで通用する言葉遊びにすぎません。政府は、基本計画に諸事情を見きわめ必要に応じ適切な措置を講ずるとの文言を加え、臨機応変な対処を改めて打ち出しましたが、自衛隊の派遣延長ありきの現状認識と対米関係偏重の政治判断が続けられる限り、不測の事態が生じた場合、政府に臨機応変な対応が果たして可能であるのか疑問であります。そもそも米国によるイラク戦争に大義がなかったことは明白であり、その大義のもと進められた自衛隊派遣の前提とされた非戦闘地域が今のイラクのどこに存在するのか、憲法で禁ずる海外での武力行使との一体化が生じ得る可能性も否定できません。
 我が国がイラク復興支援に積極的に取り組むことは当然の責務であります。今求められているのは、米英軍による占領行政にかわり、国連主体の復興支援を確立すること、その上でイラク国民に速やかに主権移譲がなされることであり、我が国は、この究極の目的実現に向け、外交努力を強化していくことこそ重要と考えます。よって、イラクに展開する自衛隊を撤退させるとともに、真に国際社会が参加する国連主体の人道復興支援を進めるよう強く求めるものであります。
 皆様方の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第14号イラクからの自衛隊の撤退と国連を主体とした復興支援を求める意見書は、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第14号イラクからの自衛隊の撤退と国連を主体とした復興支援を求める意見書は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第14号イラクからの自衛隊の撤退と国連を主体とした復興支援を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、発議案第14号イラクからの自衛隊の撤退と国連を主体とした復興支援を求める意見書は、原案のとおり可決されました。(拍手)
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第10回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後2時45分 閉 会


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