平成28年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(小野共君) 改革岩手の小野共です。
本日の一般質問の機会を与えていただきました先輩議員及び同僚議員に感謝いたします。
冒頭、8月の台風被害により亡くなられた方々にお悔やみを申し上げ、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
通告に従い、順次質問いたします。
高レベル放射性廃棄物最終処分場の本県へのかかわりについて伺います。
平成12年に成立した特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律により、現在、原子力発電により発生する高レベル放射性廃棄物は地下300メートルより深い地層に処分するというのが、放射性廃棄物の処理の国の方針となっております。つまり廃棄物は地層処分が国の方針です。
平成24年9月、大阪府堺市で開催された日本地質学会で高橋正樹日本大学教授が私案として、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分地の立地について、国内で3地域の地層が最も安定しているという見解を発表しました。国内の3地域とは、周知のとおり、北海道根釧海岸地域、福島県阿武隈高原海岸北部地域、そして本県、北上山地の海岸地域です。
平成14年以降、原子力発電環境整備機構―NUMO―が処分場選定のため、調査を受け入れる自治体を公募してきました。調査を受け入れた自治体には、文献調査の段階で国から年間10億円の交付金が支払われ、次の段階である概要調査に進むと年間20億円が交付されるという仕組みでありました。しかし、この制度で国内で手を挙げたのは、周知のとおり、高知県の東洋町しかなく、これも、町長がリコールされ、新町長が就任の日に調査受け入れの撤回を国に申し入れたという経過になっております。
この状態を受け、昨年、平成27年5月、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針が改定されました。それまでのNUMO主体の公募方式を取りやめ、今後は、公募ではなく、国が前面に立ち処分場選定に取り組むことにしたということです。国の方針の転換です。
政府は、高レベル放射性廃棄物最終処分場の候補地を科学的有望地という名前にし、日本地図を、適性がある地域と、より適性の高い地域に色分けし、今月12月にこの科学的有望地を公表する方針です。
昨年末の共同通信の調査によると、最終処分地の候補地に選ばれた場合の対応として、47都道府県中、本県を含む21道府県が既に拒否の姿勢を鮮明にしたということです。
ここで念頭に置いておかなくてはいけないのは、放射性廃棄物の最終処分の国の方針が地層処分である以上、先ほど述べた日本地質学会発表の本県を含む3地域は、科学的有望地のより適性の高い地域に区分されて公表されるだろうということです。
ことし春には、経済産業省の作業部会が、日本列島の海岸線15キロメートル以内の沿岸部の海底地下に放射性廃棄物を埋め立てることも選択肢の一つであるとする報告書をまとめております。確かに、陸上の処分候補地は、住民、地権者を含む自治体の強い反対が予想され、海底地下につくる処分場は、より現実的な選択のように見えます。実際にフィンランドではオルキルオトという島に最終処分場の建設が進んでおります。これが世界で初の最終処分場です。
しかし、日本国内でも、海岸海底地下の処分場は漁業者の強い反対があるでしょうし、そもそも処分場施設自体が建設時や津波の際の水圧に耐えられるかなどの問題もあります。さまざまな条件の現状で、原発が立地しない本県で過剰に反応することが、果たして県の利益になるかどうかは極度にデリケートな問題であります。しかし、事は本県の将来10万年を左右する問題です。したたかに、そして慎重に万全を期して情報を収集し、対策を考えておく必要があります。
判断は、市町村単体の枠を越えております。処分場立地は、明らかに単体の市町村だけの利益、不利益ではなく、複数市町村にまたがる広域的なものとなります。県の役割は当然大きなものであります。
知事に伺います。今月、岩手県北上山地海岸地域が科学的有望地として公表された場合の県の対応、そしてその根拠を聞かせてください。
2点目。平成14年以降10年間、NUMOが全国で受け入れ自治体を公募しました。この間の県の対応はどのようなものであったのか聞かせてください。あわせて、平成24年の日本地質学会で処分場適地として本県北上山地海岸地域が公表されてからの対応も聞かせてください。
3点目。現在、経済産業省の作業部会で議論されております海岸海底地層に最終処分場をつくることの安全性をどのように認識しているのか聞かせてください。
4点目。原発を稼働させる以上、使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物は必ず発生します。我々も電気を使い生活する以上、発生する廃棄物について全く関係ないとは言えません。しかし、処分場の場所を決める上で、沖縄の米軍基地のように、どこかの都道府県に負担が集中するというような事態は避けなくてはいけません。根本的に国の進める核燃料サイクルと、これに付随する高レベル放射性廃棄物の処分について、県の認識を伺います。
次に、医療機器関連産業の育成と医工連携について伺います。
平成21年度から平成30年度までの岩手県総合計画であるいわて県民計画に、医療機器関連産業を自動車、半導体に次ぐ新たな中核産業にする趣旨の記載があります。これを受け、商工労働観光部では平成22年から5カ年計画の医療機器関連産業の振興計画をつくり、これに続き昨年には、平成27年が初年度となる2期目の計画が完成しております。この第2期計画の冒頭にも、やはり、いわて県民計画の方針どおり医療機器関連産業を自動車、半導体に次ぐ岩手の第3の柱にする趣旨の記述があります。
しかし、自動車、半導体、医療機器それぞれの業界の現在の状況を比べた場合、まず、県内に半導体関連の事業所が117事業所ある一方で、医療機器関連産業の事業所は6事業所であります。半導体関連産業の県内従業員数が9、539人に対し、医療機器関連産業の従業員数は470人、自動車関連産業の製造品出荷額が5、600億円弱に対し、医療機器関連産業の出荷額は197億円であります。従業員数では実に20倍、製造品出荷額では実に28倍もの差があるのが実態で、これでは、現時点で医療機器関連産業が自動車、半導体に次ぐ岩手の第3の柱であるとは、とても言うことができる状況ではございません。
そもそも、現状で医療機器産業を岩手第3の基幹産業に育てるために行政にできることは何なのでしょうか。そして、行政がやるべきことは何なのでしょうか。
医療機器関連産業を県の新たな中核産業にするという方針について質問いたします。その産業の従業員数、事業者数、出荷額、まずこの3点が、その産業が中核産業かどうかを判断する要素であります。県では、医療機器関連産業を中核産業としていくため、これら3要素の現状の認識、今後の取り組みを聞かせてください。
2点目。あわせてこれまでの県の取り組み、成果と問題点を聞かせてください。
3点目。第2期の岩手県医療機器関連産業創出戦略の中で岩手の強みと弱みを分析し、明らかにしております。分析によると、岩手の弱みは、現場の病院及び製造業者からのニーズの把握不足、そして両者間の連携不足です。いわゆる医工連携がうまくいっていないということです。そもそも現場で何を欲しているかがわからず、欲しいものがわからないからつくれないという状況です。医療機器関連産業を成長させなくてはいけないのであれば、やらなくてはいけないことの第一は、まず現場の声を把握すること、そして医療現場の需要と製造業者の供給をマッチさせること、いわゆる医工連携を進めることにあります。県にこれができないのであれば、外部委託してもやらなくてはいけません。
そこで質問いたします。医療現場のニーズの把握は現在どのようになっているのか。製造メーカーの要求を県ではどのように把握しているのか聞かせてください。
次に、漁業者の担い手の育成について伺います。
平成20年、震災前に9、948人いた本県の漁業就業者は平成25年に6、289人となり、昭和の後期以降、毎年400人のペースで減少してきました。今後も減少が継続するとすれば、平成30年には県内の漁業者は5、000人を割り込み、平成35年には県内の漁業者は計算上3、000人ほどになることが予想されます。実に平成20年の3分の1程度の数です。
周知のとおり、本県沿岸部には収入の多くを養殖漁業に依存する漁村が点在しており、減少が続けば、これら小規模の集落は地域として成り立たなくなることが懸念されます。震災による避難が、結果として沿岸市町村から内陸市町村への人の流れをつくり、漁村集落からまちの中心部への住民の移動を加速しました。漁業者数の減少に歯どめをかけること、そして漁業の担い手を育成することは、沿岸自治体の人口減少対策の一つとなっております。
この3月に策定した岩手県漁業担い手育成ビジョンでは、この4年間の基本目標として年間販売額が1、000万円以上の経営体をふやすこととしており、漁業で働く人をふやすための最大の推進力が所得の高さであることは、間違いなくそのとおりであります。
しかし、漁村で漁業に携わる人をふやすためには、所得だけでなく、交通、住居、学校、病院、子育て環境などさまざまな条件と施策が必要となります。漁村に限らず、その市町村または都道府県において、その施策の集合体がよくなければ人口はふえません。人口の増減は、施策の結果としての一つの社会現象であり、目的ではありません。人口を増加させたかったら、自治体の施策を磨くしかありません。その意味で、岩手県漁業担い手育成ビジョンは、いわて県民計画と東日本大震災津波復興計画のサブ計画として位置づけられるべきものなのです。
そこで質問いたします。漁業者にとって生活する上で最大の不安の一つは、年間及び月々の収入が安定しないことです。養殖漁業者にとって、水揚げ収入のほとんどがその時々の入札の価格に大きく左右されます。自然災害の発生時にはなおさらです。その月々によって収入に大きな差があり、去年とことしの収入にも大きな差が出ることもまれではありません。この状況では、計画性を持って育児をし、子供を育て学校に入れ、自分たちの老後を心配するというようなことを考えるのはかなり難しい状況です。腕のよい漁師の方々は自分たちで収入を上げていきます。しかし、収入の不安定さは、沿岸のかなりの割合の漁業家の方々が不安に思っていることです。これを議論せず、担い手の育成を考えるのは難しいことだと思います。県の見解を聞かせてください。
2点目。沿岸部の養殖漁業家は、その湾の地形、水温、海水の流れなどを考慮し、ワカメ、昆布、ホタテ、カキ、ウニ、アワビなどを組み合わせ漁業を営んでおります。それぞれの湾の大きさが決まっている以上、海藻や貝の餌となるプランクトン、酸素、有機物の量も決まっております。つまり湾内でとれる海藻と貝類の量には限界があるということです。
先ほど指摘したとおり、平成20年に1万人弱いた漁業家が震災で6、300人ほどまで減少しました。漁業家が1万人いた平成20年の水揚げと現在の6、300人の水揚げを同じにすることができれば、確かに1漁業家当たりの収入はふえることになります。
沿岸部で高収入を誇る漁村では、その家の漁業を長男だけに継がせ、次男、三男には漁業をさせないという慣習がある地域もあります。この慣習は、その湾内でとれる最大の水揚げ量に鑑み、漁業家を現状からふやさず、その地域の現在の漁業家全員が高い収入を得続けるための地域の知恵であります。
現在の6、300人の漁業家数が適正規模だと言うつもりは毛頭ありません。ただ、漁村の全ての漁業家が高い収入を得続けるために、今後、漁業家がただふえ続けていくことが必ずしもよい結果につながるとは限らないということを、担い手育成を考える上で県は念頭に置いておかなくてはいけません。パイの大きさが決まっている以上、食べる人数がふえれば、当然、1人が食べる量は減るということです。
具体的に漁業振興とは、漁業家自体をふやすことなのか、それとも漁業家の所得をふやすことなのか、震災を機に我々は大きな漁業振興施策の選択を迫られております。県の基本的な認識を伺います。
3点目。担い手育成ビジョンでは1、000万円の収入を得る漁業家をふやすという目的を掲げております。それならば、まずやるべきことは、湾内の漁業家が果たして何世帯のときに世帯当たりの収入が1、000万円を超えるのかというシミュレーションです。これも見解を伺います。
4点目。県の言う担い手をふやすためには、まず漁業者が減らない工夫をすべきです。漁業者の高齢化の問題点は、高齢化が進み若い担い手がいなくなり、漁村が過疎化することであり、漁業者の平均年齢が上がること自体は問題ではありません。むしろ、高齢の漁業者が元気でいつまでも働けること自体はいいことです。
先ほど申し上げたとおり、震災を機に漁村集落からまちの西側に避難、移住した多くの漁業者がおります。漁村を離れた漁業者の漁業権について、現在、水産庁では、一時的に避難している漁業者が漁場から離れても操業を認めるよう各漁協に通知しております。震災から5年がたち、そろそろ本格的に漁業権の地理的範囲を考える時期に来ております。震災前の漁業権のルールを当てはめれば、漁村を離れた漁業者には漁業権がなくなります。
漁業は一体誰のものなのか。漁村に住む人のものか、それとも漁業をなりわいとしたい人たちのものなのか。漁業権の拡大は、漁業の今後と、沿岸被災地の今後のまちづくりを考える上で避けては通れない根本的な議論であります。
漁業権については、それぞれの漁協が中心となり組合員の考えを聞いて決めるというのはわかります。漁協の考え方はそれとして、県の漁業権の地理的範囲の拡大について基本的な考えを聞かせてください。
次に、岩手県立釜石祥雲支援学校の移転新築について伺います。
この学校は、校名変更前の釜石養護学校時代、新築移転を求める会を発足させ、平成12年、今から16年前の県議会12月定例会に新築移転を求める請願を提出し、採択されました。
当時も今も釜石祥雲支援学校のグラウンドはテニスコート1面分ぐらいの広さしかなく、これでは子供たちが安全に活動できず、加えて、体育館もありません。校舎内には実習室もなく、家庭科室、図工室、音楽室などの特別教室も狭く、設備不十分の状態となっております。
このため、現在、支援学校高等部の生徒は支援学校を出て、県立釜石高校の校舎内の一角で授業を受けております。支援学校の保護者が中心となり、岩手県立釜石祥雲支援学校の校舎等に関して環境整備を求める会を立ち上げ、小学部から高等部までの子供たちが一緒に安心して学べる場の確保を求め、学校の新築を希望しております。
2年前、平成26年7月に、この会が、釜石祥雲支援学校の移転新築を求める県内1万5、635名の署名を集め、県議会に、岩手県立釜石祥雲支援学校の校舎等に関して環境整備を求めることに関する請願を提出し、これが県議会で採択されました。平成12年、今から16年前の採択とあわせ、同じ請願が2度目の採択となりました。この後、教育委員会には検討協議会を立ち上げていただき、平成26年9月の第1回会議を皮切りに、保護者、先生、関係者とともに、この10月まで5回の話し合いをしていただきました。
そこで質問いたします。この整備検討協議会の検討内容、進捗状況、課題、釜石祥雲支援学校移転新築の方向性を聞かせてください。
次に、主要地方道釜石遠野線の整備について伺います。
釜石市は、交通網の脆弱さから、陸の孤島と呼ばれた時代がありました。歴史的に、沿岸の自治体にとっては県都盛岡との時間距離の短縮が自治体発展の基礎でありました。今でこそ釜石は、東北横断自動車道釜石秋田線や国道283号の改良整備などにより、内陸部との交通環境がかなり改善しておりますが、もう一つの内陸部への主要な交通路である主要地方道釜石遠野線は急峻な地形にあり、狭隘で曲りくねった路線となっており、釜石市からも継続的に、産業経済の発展に欠かすことのできない路線として、笛吹峠付近の抜本的改良整備を要望しております。
昨年度の県土整備委員会においては、同僚議員からの質問に対し、橋野鉄鉱山がユネスコ世界文化遺産への登録が決定したことに関連し、主要地方道釜石遠野線の局部改良なども視野に入れた調査へ着手を検討すると答弁されております。
申すまでもなく、遠野から橋野鉄鉱山までの最短のルートは釜石遠野線であり、世界遺産への観光ルートとして、そして釜石市北部の住民の内陸への最短ルートとして、この道路を整備する必要があります。
そこで質問いたします。主要地方道釜石遠野線の改良について、その検討状況と今後の方針について聞かせてください。
2点目。この8月の台風第10号により主要地方道釜石遠野線も多くの箇所で被災し、結果として、この道路は笛吹峠で現在通行どめとなっております。現在、釜石市の栗橋地区及び鵜住居地区等の住民が内陸部に向かうためには市を大きく迂回しなくてはならず、早期の全線復旧が必要です。現在、被災した主要地方道釜石遠野線の本復旧に向け災害復旧事業が進められているところでありますが、今後の復旧の予定と開通の時期についてお伺いいたします。
次に、ラグビーワールドカップ2019岩手県釜石市開催の準備状況を伺います。
この7月2日、ラグビーワールドカップ日本大会の成功を目指し、県内の官民関係団体が一丸となり開催準備に取り組んでいくため、ラグビーワールドカップ2019釜石開催準備委員会が設立されました。7月15日には、国内12の開催自治体が相互に連携協力することにより大会準備を円滑に進めるため、岩手県、釜石市を含む大会開催12自治体によるラグビーワールドカップ2019開催自治体協議会も設立され、開催に向けた組織体制は全国的に着々と進んでおります。
この状況の中、8月から始まったラグビーワールドカップの公認キャンプ地の募集に、県内では盛岡市、北上市、宮古市、八幡平市が誘致の意向を示し、ラグビーワールドカップの翌年に開催される2020東京オリンピックの国内選手のキャンプ地誘致を連動して考える自治体も出てきております。県内の復興事業がいよいよ大詰めに入りつつある中で、ポスト復興を見据えた取り組みが既に始まっております。
そこで質問いたします。現時点で既に明らかになっている大会開催時の大きな課題の一つは、外国人を含む大量の観客、旅行客への対応です。宿泊施設と旅行客の輸送について、現時点での対応方針を伺います。
2点目。大会運営組織が岩手県と釜石市を含む12の大会グラウンドに施設設備の拡充を求めております。鵜住居復興スタジアムでこれらの指摘を全て事業化した場合、従来の建設費より7億円から8億円増額となるという試算を釜石市が発表しました。少なくとも平成30年にはグラウンドが完成していなくてはならず、結果として、来年の早い段階にはグラウンド建設に着工している必要があります。運営組織の指摘に対し早々に対応を決めなくてはいけません。県の対応方針について伺います。
震災から5年9カ月がたちました。あれから広島豪雨災害、関東・東北豪雨災害、熊本地震、そして今回の岩手・北海道豪雨災害と、全国で人が亡くなる自然災害が多発しております。5年前の震災直後から津波てんでんこの言葉の意味が議論されておりますが、この言葉の意味は、とにかく逃げろということです。
あれから6年、被災地の住民はいまだ悩み続けています。今後の生活再建はもちろん、被災地の住民にとって絶えず心から離れないのは、なぜ自分が生きたのかということです。防潮堤の高さ、防波堤の高さ、盛り土の高さなど、自然災害に対するさまざまな人間の知恵が形になりつつありますが、被災地の人間は、自然の力の前に本質的にこれらが全く当てにならないことを知っております。命が助かるためには逃げることしかないことを三陸沿岸の住民は親から、地域から教えられてきました。生きるためには逃げるしかないこと、逃げることが生きることなのだと、世界中の人間の中で三陸沿岸の住民ほど知っている人たちがいないにもかかわらず、それでも災害時に逃げないから、逃げられないから、だから逃げることは難しいのです。だから、津波てんでんこの言葉が三陸住民に言い伝えられているのです。
津波てんでんこの意味が、被災地だけでなく、被災地から遠い場所で、被災していない人たちによってもさまざま議論され、解釈されております。特に被災地で命の現場に立ち会った多くの方々は、この言葉の本当の意味と自分の生きる理由を考え、悩み続けております。
知事に伺います。知事は、津波てんでんこの意味をどのように解釈しているのか聞かせてください。これを考えず被災地に寄り添うことはできません。知事の言葉で、逃げることの意味、そしてどのように逃げるのかを聞かせてください。
2点目。8月の台風災害により県内で20人の方が亡くなりました。5年前の震災で我々が誓ったこと、それは、今後、災害で絶対に死者を出さないことだったはずです。災害で死傷者を出さないために、災害に対する防御施設をつくるのは当然です。そのほかに、今後の災害に備え、今後行政のやるべきこと、住民のやるべきことを聞かせてください。知事の思いと哲学を県民に響くように聞かせてください。
以上で壇上からの質問は終わります。答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野共議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、高レベル放射性廃棄物最終処分場についてでありますが、県では、これまでさまざまな機会を通じて高レベル放射性廃棄物最終処分場の受け入れについて明確に拒否してきており、今後もこの姿勢は変わらないものであります。
科学的有望地については、現在、国が提示に向けた検討を行っており、その提示内容は、火山や活断層などの自然科学的観点に係る既存のデータを重ね合わせ、適性が低い地域、適性がある地域、適性が高い地域に区分した全国地図を示すことと聞いております。原子力発電環境整備機構によれば、この段階では適性が低い地域を排除する意味合いとのことで、適性がある地域は比較的広範囲に示されると言われており、特定の地域がピンポイントで候補地として絞り込まれるものではないと考えております。
県としては、当面は、科学的有望地の提示及び特定放射性廃棄物最終処分法に基づく調査の動向を注視していく必要があると考えていますが、今後も最終処分場を受け入れる考えはないという姿勢で臨みたいと思います。
次に、高レベル放射性廃棄物の処分に対する県の考えについてでありますが、原発事故以降、国民の間で原子力の安全性に対する信頼が大きく揺らぎ、エネルギーに対する国民の問題意識の変化を踏まえたエネルギー政策が求められていると考えています。
高レベル放射性廃棄物の地層処分については、日本学術会議が万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界があると指摘しており、国の有識者によるワーキングにおいても、千年単位は可能だが、万年以上の超長期になると自然に委ねるしかないとの意見や、未知の断層を見逃す可能性もあるとの意見など、慎重な意見も出されていると承知しております。こうした指摘や意見に答えるのは国の責務であり、核燃料サイクルと高レベル放射性廃棄物の処分についても、国の責任において国民的議論を行いながら検討していくべきものと考えます。
次に、逃げることの意味についてでありますが、津波てんでんこは、過去何度も甚大な津波被害を受けてきた三陸地方だからこそ生まれてきた言葉で、強い地震を感じたら、あるいは津波警報等が発表されたら、各自がとるものもとりあえず、てんでんばらばらに高台に逃げることで結果として全員が助かるという意味が込められており、津波時の避難のあり方を端的にあらわしていると考えています。
逃げることは、自分の命はもちろん家族の命を守ることでもあり、そのためには、日ごろから家族で話し合い、災害時には一人一人が安全な場所に避難することや、一人一人の想定される避難場所、連絡方法等を確認しておくことで、お互いの信頼のもと、安心して避難できるものと考えています。
次に、今後の災害への備えについてでありますが、県民の生命、身体、財産を災害から守るため、住民みずからの身をみずからが守る自助、地域の安全を地域が守る共助、行政による公助のその相互連携のもとに、いざというとき迅速かつ的確な対応ができるよう、地域防災力の強化を図っていくことが重要であります。
その中で、住民には、自分たちが暮らす地域の災害リスクの確認、食料備蓄、住宅の耐震化、防災訓練や自主防災組織活動への参加など、日ごろから災害への備えを行うよう努めていただきたいと考えています。また、市町村は、基礎的な自治体として、消防団の充実、自主防災組織の育成強化を一層推進していくとともに、住民に対する防災意識の啓発、高揚、避難環境の整備などに取り組む必要があります。
県では、県全体の広域的な視点により、広域的な防災体制の整備の推進、航空消防防災体制の強化などを図るとともに、市町村や住民等が行う地域防災力向上への取り組みを支援するなど、今後発生する災害に備えてまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) まず、最終処分場の公募が開始された平成14年以降の県の対応についてでありますが、これまで、県議会での答弁や知事定例記者会見、報道機関からのアンケートでの回答など、さまざまな機会を通じて一貫して受け入れないとの姿勢を明確に表明しているところであり、この方針は変わらないものであります。
また、平成24年の日本地質学会で、日本大学の高橋正樹教授が北上山地海岸地域を含めた3地域が適地との見解を発表されておられますが、これは、当該学者の個人的見解であると認識しております。
なお、日本地質学会では、地層処分に関して、高橋教授を含む複数の研究者の連名で学会としての見解を公表しております。その中では、現状は地層処分が国民の信頼性を得られる状況には至っておらず、また、学会としても検討に積極的に協力していく必要があるとしており、同学会としても、東日本大震災規模のインパクトによって高まった安全性に対する懸念が解消される必要があるとの見解を示しております。
次に、最終処分場の安全性に対する認識についてでありますが、まず、最終処分場の地上施設につきましては、11月に開催された国の有識者によるワーキングにおきまして、津波が到達しない程度の標高の高いところに設置する方向が示されたところであります。
また、沿岸海底下に最終処分場をつくることにつきましては、考慮すべき事項として、何万年単位という超長期における海水面の高さの変動や塩水の影響、侵食の影響や地下水に対する建設、操業時の安全性などが挙げられているところでございます。沿岸海底下を含めた地層処分の安全性に関しましては日本学術会議も多くの問題点を指摘しているところでありまして、高レベル放射性廃棄物の処分については、国におきまして責任を持って検討していくべきものと考えております。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、医療機器関連産業を中核産業としていくための考え方についてでありますが、この産業分野は、法規制を初め、製品への高い信頼性、厳格な生産体制などが求められる分野でございまして、御案内のとおり、容易には参入しがたい分野ではあるものの、景気の動向に左右されにくく、高齢化社会の進展などにより今後も成長が見込まれるなど、基盤となる技術が自動車、半導体関連産業と共通する部分が多い分野であることなどもあり、新たな中核産業として振興することをいわて県民計画に位置づけ、取り組みを進めているところでございます。
具体的には、産学官で構成するいわて医療機器事業化研究会を組織し、法規制の理解促進や産学官による連携、交流などを図るとともに、医療機器の試作開発や展示会への出展などを支援し、地場企業の参入促進や取引拡大に努めているところでございます。
この分野に係る事業者数などの規模は、いわゆるものづくり産業全体から見ますと1%程度となっているところでありますが、例えば、岩手大学の嚥下(飲み込み)リハビリ支援装置の研究開発や、新たな製品開発を進めるため、独自技術を有する中小企業がグループを形成するなどの動きがあり、引き続き、産学官連携や企業間連携の取り組みを支援するなどにより医療機器関連産業の振興に努めていきたいと考えております。
次に、医療機器関連産業に関する県の取り組み、成果等についてでありますが、県では、平成22年度から医療機器等の開発につなげるため、延べ24社に対する支援を実施してきているほか、平成24年度から昨年度まで、国の資金を活用し、岩手医科大学が中心となって産学官連携により実施する高度医療機器等の開発を支援してきているところでございます。また、医療機器メーカーとの取引拡大を図るため、医療機器等展示会やマッチング商談会への県内企業の出展などを支援してきているところでございます。
現段階での主な成果といたしましては、法律に基づく医療機器製造業登録企業が17社となるなど着実に増加してきているとともに、本県オリジナルのコバルト合金を活用した脊椎内固定器具が本年8月に国の製造販売承認を受けるなど、医療機器等の開発や製品化が進展してきているところでございます。
一方、医療機器分野への参入には、製品等に係る法規制などへの対応はもとより、機器の高度化の進行に対応した幅広い技術の集結や、試作から評価、製品化までを一貫して支援していく必要などがあり、さらには、医療現場や医療機器メーカーのニーズと県内ものづくり企業とのマッチングの一層の強化などが課題となってきております。このため、今後においては、いわて医療機器事業化研究会を母体に、産学官連携による開発コンソーシアムの形成や、開発の初期段階から製品化までを支援する指導体制の整備などに取り組むとともに、医療現場等におけるニーズと県内ものづくり企業の技術や製品とのコーディネートなどの取り組みを一層強化してまいります。
次に、医療現場等のニーズの把握についてでございますが、県では、医療現場や医療機器メーカーのニーズと県内ものづくり企業とのマッチングやコーディネートを促進するため、昨年度―平成27年度から民間での開発経験を有する医療機器の専門家として、いわて産業振興センターに医療機器事業化コーディネーターを配置しております。医療現場等のニーズ把握については、このコーディネーターが主に岩手医科大学や医療機関などを訪問しニーズを収集するとともに、県内医療機器関連企業や首都圏の医療機器メーカーなども訪問し、情報を収集しているところでございます。これらの収集されたニーズに対応し、医療機関とものづくり企業との連携をコーディネートしてきたところ、製品化に結びつく事例も出てきており、このような医工連携による製品開発などを今後も精力的に進めてまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、漁業者の安定的な収入の確保についてでありますが、漁業の生産は、自然環境の条件に左右され変動が大きいことから、県では、つくり育てる漁業の推進が重要と考え、サケ、アワビ、ウニなどの栽培漁業やワカメ、カキなどの養殖業に積極的に取り組んできたところであります。その結果、つくり育てる漁業の生産額は本県沿岸漁業の約7割を占めるまでに至っております。特に、沿岸漁業者の多くが従事する養殖業については、生産量の維持、増大と収入の向上を図るため、意欲と能力のある漁業者の経営規模拡大や作業の機械化、共同作業体制の構築によるコストの低減、さらには、直接販売や加工品開発などによる6次産業化の取り組みを進めてきたところであります。
県といたしましては、今後、東京築地市場で評価の高いエゾイシカゲガイやシングルシード方式によるマガキの新たな養殖技術の普及を図るほか、企業との連携による養殖生産物や加工品の販路拡大、さらにブランド化による高付加価値化の取り組みを促進し、漁家収入の安定化や所得向上に取り組んでまいります。
次に、漁業振興の基本的な認識についてでありますが、東日本大震災津波後の本県の養殖施設台数は1万7、000台となっておりますが、震災前は2万4、000台であったことから、将来的な施設整備の余地があるものと認識しております。一方、漁業者1人当たりの施設台数は、ワカメは震災前7.5台であったものが現在は7.8台に、カキは5.1台から6.5台に増加しておりますことから、経営規模は拡大しているところであります。
このような状況において、県といたしましては、意欲ある漁業者の保有施設台数の拡大により養殖業の収益の向上を促進するとともに、新たな担い手の確保、育成を進め、養殖生産量の維持、増大に取り組み、本県漁業の振興に努めてまいります。
次に、担い手確保に係るシミュレーションについてでありますが、県では、本年3月に策定した岩手県漁業担い手ビジョンにおいて、年間の漁業販売額が1、000万円以上の中核的漁業経営体の育成目標を平成30年度に500経営体としております。中核的漁業経営体の目標販売額を1、000万円に設定したのは、必要経費を差し引いた経営体の所得が都市部の他産業と同程度であること、漁村地域において家族を養い、安心して生活を営めること、地域漁業の経営モデルとして模範的役割が期待できることなどの理由からであります。
県といたしましては、目標を達成するため、今年度、経営規模の拡大に要する費用や付加価値向上の取り組みなども考慮した経営モデルを作成し、今後、中核的漁業経営体を目指す経営体に対し経営指導などを行い、育成に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、漁業権の地理的範囲の拡大についてでありますが、漁業者が養殖業や採介藻漁業を営むためには、漁協の漁業権行使規則に定める地区内に住んでいることが必要であります。一方、東日本大震災津波の発災に伴い、被災漁業者が規則に定める地区を離れ、仮設住宅等での生活を余儀なくされたことから、国は平成25年度に特別措置を講じ、これらの漁業者が被災前に利用してきた漁場において引き続き養殖業などを営むことができることとしております。
県といたしましては、漁協や漁業者の意向を確認しながら、漁業権の切りかえが行われる平成30年度以降においても特別措置が継続されるよう国へ要望してまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、主要地方道釜石遠野線の整備方針についてでありますが、県では、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、復興計画において釜石遠野線を復興関連道路として位置づけ、釜石市剣地区等で整備を進めてきたところであります。笛吹峠付近については、幅員が狭く、急カーブが連続しており、また、橋野鉄鉱山の世界遺産登録等により交通量が増加していることから、改善に向けて整備が必要な区間と認識しているところです。
抜本的な改良整備については、多額の事業費が見込まれるなど早期の整備が難しいことから、現在、車両のすれ違いが困難な状況を緩和するため、局部的な拡幅やカーブの緩和、待避所の設置等について調査し、検討しているところであり、これらの事業化に向けて取り組んでまいります。
次に、主要地方道釜石遠野線の復旧予定についてでありますが、台風第10号による釜石遠野線の被災箇所は、釜石市19カ所、遠野市9カ所の計28カ所に及んでいます。現在、日常生活の確保、被害拡大防止の観点から緊急を要する箇所については災害査定前に復旧工事に着手しているところであり、その他の箇所についても順次工事を発注していくこととしています。
なお、復旧箇所が多く、また、幅員が狭いなど作業条件が厳しいことから復旧には一定の期間を要するものと想定していますが、平成29年度内の全線開通を目標に進めていきたいと考えています。利用者の皆様には御不便をおかけすることとなりますが、可能な限り早期の復旧を目指してまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) ラグビーワールドカップ開催時の宿泊施設と交通輸送の確保についてでありますが、ラグビーワールドカップ2019釜石開催時には国内外から多くの観戦客や観光客が来県することが予想され、観戦客等の宿泊施設と輸送手段の確保は極めて大きな課題であると認識しております。釜石市が整備するスタジアムが約1万6、000人の収容規模であるのに対して、現在の釜石市内の宿泊収容人員は約1、200人にとどまることから、大会開催時には、三陸沿岸道路や横断道、鉄道など整備が見込まれる交通インフラの活用、さらには大型客船の誘致も見据えながら、内陸部のみならず隣接県なども含めた広域エリアでの宿泊、輸送体制を整える必要があります。
今後、ラグビーワールドカップ2019組織委員会と連携の上、宿泊や移動の予測を踏まえた交通輸送計画を策定することとしており、計画策定に向けて、ラグビーワールドカップ2019釜石開催準備委員会や来年4月の移行を見込む実行委員会において、交通輸送事業者や宿泊施設等の関係者と連携し、万全な受け入れ態勢の整備に向けて取り組みを進めていきます。
次に、大会運営組織の指摘への対応についてでありますが、釜石市の新スタジアムに係る当初の整備計画について、ことし4月に行われた大会運営主体であるラグビーワールドカップリミテッドによるヒアリング以降、屋根の拡大や座席の個席化など7項目の見直しを求められたものです。現在、釜石市では、整備計画の見直しによる事業費の増額を可能な限り抑制するため、運営主体のリミテッドと交渉しながら計画を精査しており、来年1月を目途に、リミテッドの承認を得てスタジアムの整備計画をまとめる予定です。その後、来年4月にスタジアムの建設に着工し、大会前年の平成30年9月に完成する見込みとなっております。
県では、スタジアムの整備計画の完成に向けて、引き続き市と連携し、整備費の抑制に努めながらスタジアムの円滑な整備に向けて取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 県立釜石祥雲支援学校の移転新築についてでありますが、県教育委員会においては、これまで、同校の現状と県議会における請願採択の経緯等を十分に踏まえながら、その教育環境の改善に向けて、保護者代表や地元釜石市等で構成する検討協議会において移転候補地の絞り込みや学校のあり方などを中心に協議を行ってきたところであります。特に移転候補地については、当初、保護者側の意向や用地取得の制約等から意見の集約が困難な状況にありましたが、これまでの実質的な協議を通じて、県有地である旧釜石商業高等学校跡地を第一の候補とすることで関係者の一定の理解が得られたところであります。
今後におきましては、児童生徒の送迎手段の確保や、下校後における福祉サービス事業所との連携のあり方などについて、保護者の皆様や関係者の皆様との話し合いのもとに丁寧な対応を図るとともに、当該移転候補地は、御案内のとおり、現在、応急仮設住宅用地として使用されておりますので、その解消の見通し等を見きわめながら、できるだけ早期に着手できるよう努めてまいります。
〇29番(小野共君) 再質問させていただきます。
大分、質問に対する答弁がかみ合わなかったという気がいたしております。
最初に、高レベル放射性廃棄物の最終処分場についてお伺いします。
冒頭でも述べましたとおり、原発が立地していない当県におきまして、過剰に反応することが当県の利益になるかどうか、これは本当にかなりデリケートな問題だと思います。ただ、私がきょう質問した意味は、何が起こっても、例えば今月、最終処分場の候補地が、先ほどの答弁の中にありましたし、私も述べましたとおり、適性がある地域あるいはより適性の高い地域という形で公表されるわけですが、そのとき、全く知らなかった、情報を全くとれていなかったということのないように、それから今後、政府なり国のさまざまな対応が決まってくるのでしょうけれども、その中で準備をきっちりして、国とも連携をとりながら情報を収集してほしいという意味であります。全く準備をしていないで、公表されてマスコミ報道で知ったということのないよう、完全に、何が起こっても、事は10万年先の県の将来を左右する施策でありますから、きっちりと準備をしていただきたいという趣旨できょうは質問させていただきました。
先々週、11月27日日曜日、どうする核のゴミ!全国交流集会という催し物がサンビルでありました。主催が原発問題住民運動全国連絡センターということでありました。272人―これは一部マスコミの報道でありますが―出席したということであります。日本学術会議の東京工業大学の今田先生―皆さんも御存じのとおりでありますように、高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会の委員長を務めた方でいらっしゃいます―も基調講演をされたという話でありました。主催者の筆頭代表委員という方が、この11月27日日曜日に、最終処分の候補地での開催は意義深いと発言されております。今月―12月の政府の方針を待たずに、最終処分の候補地での開催は意義深いと発言されたということであります。
当日配られた資料を手に入れました。岩手県は、高レベル放射性廃棄物最終処分地の候補地との記載が確かにあります。何も国の方針が公表されていないのに、こういう資料が出てきているし、主催者のほうで発表されているということであります。まず、これに対する所感を聞かせていただきたいと思います。
そしてもう一点、準備だけはきっちりやっていってほしいと再三申し上げておりますが、県では、11月27日の日曜日の全国交流集会に環境生活部からどなたか行ったかどうか聞かせていただきたいと思います。
次に医療機器関連産業の育成と医工連携についてお聞きしたいのですが、岩手県医療機器産業創出戦略の第2期計画を読ませていただきました。県の強みと弱みをよく分析されておったのだろうと思いますが、弱みのところに、医工連携がうまくいっていないとあります。突き詰めていけば、医療現場のニーズが十分に把握し切れていない、医療関係機器の製造業者のニーズあるいは不安を把握し切れていないということが書かれておりました。私は、そのとおりなのだろうと思います。
現場と話をさせていただきました。県立病院の医療関係者の方々と話をさせていただきますと、やはりそういう話がありました。かなりきつい話をすれば、医療機器関連産業を本当に基幹産業にするのだろうかという話がありましたし、先ほど部長の答弁にもありましたとおり、釜石にも医療機器関連産業のメーカーもございますが、余りうまく連携がとれていないという話がありました。いわて産業振興センターのほうが医工連携の情報把握に努めているということでございましたが、恐らくこれがうまくいってないから、第2期計画にも岩手の弱みとして記載されたのだろうと私は思います。今後の取り組みについて、部長からの答弁をお聞きいたしたいと思います。
次に漁業者の担い手育成の話であります。先ほども申し述べましたとおり、湾内でとれる漁獲、水揚げ高が決まっている以上、単にと言えば乱暴ですが、漁業者の数がただふえていくということが、果たしていい結果につながるのだろうかということを疑問に思っておりました。年間の漁業販売額が1、000万円以上の中核の漁業家をふやすというのは、そのとおりだと思うんですが、その最終の目的が漁業者をふやすことにあるわけです。漁業者をふやすということは、パイが決まっている以上、ふえればふえるほど1人当たりの取り分は減っていくというところもきっちりとしんしゃくしておかなくてはいけないのだろうと思います。だから、先ほど私は、果たして漁業者をふやすことが目的なのだろうか、それとも漁業家の所得をふやすことが目的なのだろうかと質問で申し上げました。そこをきっちりと考えていくことで、今後、施策をさらにいいものに磨いていけるようになるのだろうと思います。この点を1点お伺いしたいのと、あと、漁業権の地理的範囲の拡大の話であります。
先ほど答弁でありましたとおり、ここ何年か、平成30年の漁業権の更新時期に備えて、今の被災地の被災者の方々の生活基盤の確立という意味で、漁業権の地理的範囲の拡大ということをやるという水産庁の方針でありました。そのとおりだと思うんです。
その後の被災地のまちづくりをどのように考えていくかという話なのだろうと思います。県でも、平成52年までの人口ビジョンの中で100万人を維持するという方向を数値目標として挙げておりますが、恐らく、人口減少のスピードというのは、沿岸被災地はかなり激しいものになるのだろうと思います。特に漁村が大きな影響を受ける。その中で、今までは2分とか3分で軽トラックに乗って前浜まで行けたものが、15分あるいは20分、国道45号をまたいででも漁村に行って漁師をやりますよという人たちがいる、20年後というのはそういう時代なのだろうと私は思うんです。その中で、基本的な今の認識はどうですかという質問をさせていただきました。その漁業権の話も聞かせていただきたいと思います。
次に釜石祥雲支援学校の新築についてお伺いします。
教育長の答弁は、旧釜石商業高校の跡地に早期に着手するということでございました。ありがとうございます。今後のあらあらのスケジュールみたいなものが現時点でわかっていたら、それを明らかにしていただきたいと思います。
次に主要地方道釜石遠野線の笛吹峠の現道の拡幅についても確認させていただきたいのですが、拡幅の方向でよろしいのかということと、平成29年度内に全面通行どめを解除するということでありましたが、全面通行どめ解除の復旧工事と同時に、拡幅の工事も一緒にできないものかお伺いします。
とりあえず何点か質問いたしました。答弁をお願いします。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) まず、全国交流集会での発言についてのお尋ねでございます。
一部の報道で報じられているということは承知しておりますけれども、残念ながら、私どもの職員は出席しておりませんので、どのような趣旨の発言であったのかということについては詳細は不明でございます。国が定める候補地の選定につきましては、今後、科学的有望地の提示の後、特定放射性廃棄物最終処分法に基づく調査として、文献調査、概要調査、精密調査の3段階の調査を経て選定されることとされておりまして、現段階では科学的有望地の提示も行われていない状況であります。
今後、このような法に定められました手続に従って調査を行い、候補地が絞り込まれていくものと認識しておりますが、いずれ、地層処分の安全性に関する課題などについては、県民に対して丁寧に説明していくとともに、最終処分場を受け入れる考えはないということについて、さまざまな機会を通じて明確にしていきたいと考えております。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 医療機器関連産業の今後の振興についてお答えいたします。
この産業分野は、先ほども御答弁申し上げましたとおり、非常にハードルの高い分野ではございますが、その先には市場の可能性が非常に大きく広がる分野でもございますし、県内の企業におかれても、関連する技術を有している企業が相当数あるということで、この裾野の広い産業界に、いい成長分野が開けるということを期待して計画等に位置づけて取り組んできているところでございます。まさに、自動車、半導体関連産業に続く三つ目の峰を産業構造上つくっていこうということで、本県地域産業全体が持続的に成長、発展していけるための取り組みを展開しているところでございます。
これまで産学官連携、企業間連携などいろいろ県としてもコーディネートしながら取り組んできた結果、議員も先ほどおっしゃいましたが、釜石ではコバルトの医療系活用のために長い間にわたってさまざまな御苦労をいただきまして、今般、ようやく製品化につながってきているということもございますし、企業も、少しずつですが、この厳しい業界の中に飛び込んでいこうと参入に向けた取り組みを進め、少しずつふえてきている状況でもございます。
医工連携の高まりは、これからいよいよ本格化してくるのではないかと私は期待しております。そのためにコーディネーターも配置しておりまして、医療現場と企業をマッチングし、次の展開を誘導していくようにこれからも努めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 漁業の担い手の関係でございますけれども、まず、漁家の所得を向上させるということを主眼に置かなければいけないと思ってございます。
ただ、所得向上のためには産地としての生産物の生産量を確保するということも一方で必要でございますし、また、生産量を確保して市場への大きな影響力を持つということも必要であると考えてございます。その生産量を維持するためにも漁家数を維持するということが必要でございますので、その所得アップと漁家の確保というものの両面を一体として漁業振興を図っていくべきものと考えてございます。
次に、漁業権の地理的範囲のお尋ねでございますが、確かに、コミュニティーの維持、まちづくりにも漁業者の位置づけというのは非常に重要な視点だとは思ってございます。当面でありますけれども、現在続いております特別措置の継続に努めるということはそのとおりでございますけれども、将来的には、漁業権の地理的範囲の拡大については、先ほど申し上げました漁村コミュニティー維持の観点からも議論していくべき課題だと考えております。今後、国の考え方をしっかりと踏まえ、漁協、組合員の意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(及川隆君) 主要地方道釜石遠野線の工事について現在検討している内容でありますけれども、大型車が容易に通行できない箇所や乗用車同士のすれ違いが困難な箇所など緊急性の高い区間について、局部的な拡幅や見通しがよくなるように、そして走行性を高めるような内容で検討しているものでございます。
災害復旧とあわせて拡幅ができないかというようなお話でございますけれども、まずは全線の開通を目指して復旧作業を進めていきたいと考えてございます。今後、局部的な改良等が予想される箇所につきましては、手戻りがないように災害復旧工事を行いまして、その後、計画的な改良を行っていきたいと考えてございます。
〇教育長(高橋嘉行君) 県立釜石祥雲支援学校の移転改築の関係でございます。
釜石祥雲支援学校については、校舎の狭隘化により劣悪な条件にあるということは我々としても十分認識いたしておりまして、そういう中で平成26年に釜石高校に高等部を設置いたしました。これはインクルーシブ教育を推進するというような観点もございましたけれども、そういう中で、これまでの運営によってどういう定着状況となっているのか、それから改築との関係で、高等部をどうするのか、保護者からは一体的に整備してほしいという要請もありますけれども、そのあたりも十分に調整する必要があると思っております。
それから、先ほども申し上げた足の確保ですとか福祉事業所との関係もございますけれども、そのあたりを来年度にかけて詰めていきたいと思っています。
旧釜石商業高校跡地が市の応急仮設団地の集約化計画の集約地になっておりますが、これの解消する時期が平成30年度あたりかと思っておりますので、そのあたりまでには基本設計、実施設計をそれと連動させた形で終了したいと思っています。
工事の着手の時期ですけれども、平成31年度、平成32年度あたりというようなことで、現在、スケジュールを想定しているところでございます。
〇議長(田村誠君) 次に、城内よしひこ君。
〔21番城内よしひこ君登壇〕(拍手)

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