平成28年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇12番(工藤誠君) 創成いわての工藤誠でございます。
2度目の一般質問の機会をいただきました先輩議員、同僚議員に感謝申し上げます。
今回も県北振興を中心とした各分野について質問をさせていただきますので、よろしく御答弁のほどお願い申し上げます。
まず初めに、8月の台風第10号によってお亡くなりになられました方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われました皆様には、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
応急仮設住宅や避難所で生活されている皆様、寒さが一段と厳しくなってまいりました。お体に気をつけてお過ごしください。そして、一刻も早い復興を願っております。
それでは、質問に入ります。
初めに、縄文遺跡群の世界遺産登録について伺います。
国内最大のスポーツの大会である国体と全国障害者スポーツ大会は、大成功のうちに終わりました。それでは、次に県は何を重要課題として取り組むべきかということであります。東日本大震災や台風災害からの復興は引き続き最優先で進めていくことはもちろんでありますが、私は、数ある県政の重要課題の中でも、一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録について取り組むべきと確信しているところであります。
この縄文遺跡群は、平成21年に世界遺産暫定リストに登載されて以来、4度目の挑戦となる平成28年度も国内推薦が見送りとなりました。極めて残念であります。知事は、昨年の3期目就任の演述の中で、縄文から平泉を経て近代に至る歴史を振り返ると、日本の歴史における岩手の役割に深く感じ入りますと述べられ、橋野鉄鉱山の価値や大島高任氏の功績に触れられました。
まさに私もそのように感じますが、若干つけ加えるならば、知事も御存じと思いますが、平泉の世界文化遺産登録に大きな役割を果たされた故大矢邦宣先生は、私が住む町の御出身でございますが、生前、地元関係者に、平泉の自立と共生の理念や浄土思想は、縄文文化の影響を強く受けている。全く無縁なものではない。その根底には縄文文化があるのだということを述べられていたことをお聞きしました。
また、詩人で童話作家の宮沢賢治の星にまつわる独特の宇宙観、そして、自然や動物との共生などの考え方には、縄文文化の強い影響を受けているという見解を述べている方もおられます。
そのようなことから考えますと、縄文遺跡群の世界文化遺産登録が実現してこそ、岩手の大きな流れの源が明確となり、平泉、橋野鉄鉱山、そして現代に続くものと考えております。また、県が取り組んでいるふるさと振興の推進や知事が提唱している幸福度の実現にも、必ずや貢献するものであると考えています。
そこで今回は、ぜひとも知事にお伺いしたいと思います。知事は、縄文遺跡群世界遺産登録推進本部の副本部長でありますし、総合教育会議においては招集者であり、教育委員会の業務全般もしっかりと把握されているお立場でもあります。さらには、平泉や橋野鉄鉱山を世界遺産登録に導いたお一人でもありますので、今この時期になってという感はありますが、来年度の5度目の挑戦がまさに正念場であるという強い思いから、ぜひとも知事の御見解をお聞かせください。
まず、この縄文遺跡群の価値はどこにあると考えているのか。また、縄文遺跡群の世界文化遺産登録の意義をどう考えているのか伺います。
次に、縄文遺跡群が世界文化遺産登録になった場合、岩手県唯一の構成資産である御所野遺跡が、県北振興や岩手県全体の地域振興及び観光振興に果たす役割をどのように捉えておられるのか。また、三つの世界遺産を持つことになる岩手県の魅力を全国や世界に向けてどのように発信をされていかれるかについても伺います。
11月1日の文部科学大臣及び文化庁長官に対する、国会議員で組織されております「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」世界遺産登録推進議員連盟の会長等と4道県そろっての要望に、知事は、公務及び議会対応で出席できなかったとのことでありました。返す返すも残念でなりません。今後は、可能な限り国への要望活動にもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
また、新聞報道によれば、12月7日に国会議員による世界遺産登録推進議員連盟の総会が開催されたとのことであります。席上、鈴木俊一会長は、議連の活動を幅広くし、現地視察をしながら機運を盛り上げたい、来年度が勝負であり、一緒に頑張っていきたいと挨拶したとのことであります。
知事には、この議連の国会議員の方々が御所野遺跡を訪れることになった際には、ぜひとも現地においでいただき、しっかりと知事の思い、県民の思いを伝えていただきたいと思います。
さて、11月22日に開催された世界遺産サミットや12月18日に開催される縄文世界遺産登録推進国内フォーラム等、ことしも世界遺産や登録推進に向けたイベントがありますが、3道県の取り組み運動としては、北海道における略称北の縄文道民会議や青森県の縄文遺跡群世界遺産を目指す会が組織され、道県民や経済団体、民間会社等が一体となって世界遺産登録を目指し、各種イベントの開催や遺跡をめぐるツアー等を実施しています。秋田県も、民間組織はないものの、県内全中学生に縄文遺跡のクリアファイルを配布したほか、県内遺跡のスタンプラリーを実施して機運の醸成を図っています。
そのような中で、岩手県においては、御所野遺跡の地元一戸町では、世界遺産登録推進協議会が組織され、世界遺産の普及活動として講演会や研修会を開催しているほか、商工会が中心となり、中心商店街に世界遺産を目指そうというフラッグの設置、夏には灯籠の設置によるPR、さらに、町としては、町内を運行するバスのラッピングやIGR一戸駅を縄文時代の雰囲気を感じさせるように改修するための経費の補助等、官民挙げて機運醸成の盛り上げを図っているところでありますが、県全体の盛り上がりという点では、いま一つ高まっていないように感じています。
知事は、この世界遺産登録について、これまで以上に、御自身が先頭に立ち県民運動として進めていく考えがあるのか伺います。
次に、文化スポーツ部の設置について伺います。
県は、文化とスポーツ振興に関する事務事業を担う専担組織として、平成29年度に文化スポーツ部を知事部局に設置するための岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例案を今定例会に提案されております。
知事は、文化スポーツ部を設置することの意義、目的をどのようにお考えになっているのか、そして、なぜこの時期なのか、この部の設置によって、県民にどのような効果をもたらすとお考えになっているのか伺います。
次に、具体的な内容について伺います。どのような業務を一元化しようとされているのか、部内の具体的な組織内容と規模、人員体制については、現時点でどういう状況を想定しているのか伺います。
文化財保護に関する業務は、引き続き教育委員会が所管するということでありますが、まず考えられるのは、世界遺産の利活用と文化財としての保存管理は、明確に分けて考えられるものではないと思われます。文化スポーツ部と教育委員会の連携をいかに図っていくのか、その考え方を伺います。
また、現在は平泉と橋野鉄鉱山が世界遺産として登録されていますが、具体的な組織体制として、部の中に世界遺産を有効に活用して地域振興や観光振興に結びつける業務を担う部署、例えば、世界遺産室というものを設置される計画はあるのかどうかについて伺います。
今回の業務の移管に当たっては、生涯スポーツ分野は文化スポーツ部に移管することになっていますが、生涯学習分野は、引き続き教育委員会が所管することになっています。生涯学習分野は、青少年から高齢者の方々まで、生涯にわたって、学校教育、社会教育のみならず、文化活動、スポーツ活動などを含めたいろいろな学びの場や機会を提供するものです。県内では、盛岡市など6市が先行して文化スポーツ部門を市長部局に移管し、花巻市や北上市など、その多くが生涯学習分野も担当しています。
県においても、この機会に生涯学習分野を知事部局に移管するべきではないかと考えますが、どのような議論がなされ、どのような理由から引き続き生涯学習分野を教育委員会が所管することになったのか伺います。
次に、県北振興について伺います。
まず最初に伺いたいのは、平成29年度の予算編成についてであります。
副知事依命通知の中では、県北・沿岸圏域の地域資源を活用した産業振興や広域観光を通じた交流人口の拡大など、地域の振興を図る取り組みの推進と記されておりました。
私は、県北・沿岸振興に対して、各部局等がしっかり事業を組み、予算的にも配慮すべきであるという意味だと捉えております。そのことは県北に住む議員の一人としては、大変心強いことであると受けとめております。
そこで、県北・沿岸振興本部の本部長である副知事に伺います。この対応は平成28年度からということでありますので、今後も継続を望むものでありますが、まずは、平成28年度において、県北振興のためにどういう事業にどの程度の予算措置が配慮されたのか、具体例を示してお答えいただきたいと思います。
さらに、平成29年度予算編成に向けて、各部局等からの予算要求が既に出そろっていると思いますが、その中で、平成29年度は、どの分野にどういう目標設定をされて、どのような効果の発現を期待して予算措置をされる考えであるのか伺います。
これまで、県北振興について質問をすれば、必ず、ブロイラー産業やアパレル産業の振興を初め、地域資源を生かした産業振興を図っていくという答弁でありました。
ブロイラー産業は、まさに畜産業の中で大きな部分を占め、岩手県を代表する産業となっておりますし、さらに、今後も成長が見込まれます。県においても、これまでさまざまな支援をされてきたものと考えられます。その結果として、産出額全国第3位という大きな産業として成長してきました。
さらにこの産業が発展していくためには、何が課題であると把握されているのか、その課題解決に向けて、どのようなさらなる支援が必要と考えておられるか伺います。
アパレル産業については、北いわてアパレル産業振興会が組織され、県北地域に集積している縫製業のイメージアップと取引拡大、次代の人材育成等を目的に、学生デザインファッションショーの開催や北いわてブランド製品の製作等に取り組んでいます。
また、県は、その取り組みを後押しすべく、学校法人文化学園と連携協定を結び、ファッションによる地域活性化や人材育成に取り組んでいます。それらの取り組みが評価され、6月27日には第38回繊研賞、これは繊研新聞社が主催しているものでありますが、この特別賞を同振興会と県が受賞しました。
さらに、本年5月には、北いわて仕立て屋女子会が設立され、会員企業から9名の女性従業員が、視察や女子会オリジナル服の製作に向けた研修等を積み、来年2月の第4回北いわて学生デザインファッションショーで、その取り組みを発表する予定となっています。
このような取り組みに、県は、さらにどういう支援を行い、大きな地域産業、そして、県を代表する産業として発展させていく考えか伺います。
一方、新たな動きとして、10月6日には、南部せんべいの老舗企業、小松製菓が、新工場兼店舗、北のチョコレート工場ツードアをオープンさせました。南部せんべいとチョコレートを融合させた製品は以前からもありましたが、生産工場、そしてカフェを併設した販売店舗を構えるのは、県内では珍しいのではないかと思います。
私は、このような動きの中で、県北という、これまでのイメージの中では、ファッションとか南部せんべいという地元のソウルフードとも言えるものとチョコレートの組み合わせという発想は、誰もが想像し得なかったものではないかと思っております。しかし、関係者の努力で新たな産業や新商品の開発が展開されていくことは、非常にうれしく、頼もしい限りであります。
そこで伺いたいのは、県北振興においては、従来からの産業は当然支援していくべきと考えますが、今後においては、新たな発想に基づき産業振興を推進していくべきではないかと考えております。そのことによって、地元の若者が地元に就職できる一助となります。
産業振興と若者の雇用の確保のために、地元企業の設備投資や新商品開発、起業しやすい環境整備をするための財政支援等について、どのような考えを持っているか伺います。
次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度について伺います。
県は今定例会に、平成28年度一般会計補正予算(第3号)の中で、いわて産業人材奨学金返還支援基金出捐金1億円を計上しています。この内容は、ものづくり産業等の持続的発展に不可欠な人材の確保及び定着を図るため、県内の事業所に就業する大学生等の奨学金返還の助成に要する経費について、公益財団法人いわて産業振興センターに設置する基金へ出捐しようとするものであります。
具体的には、日本学生支援機構から奨学金を借りた大学生、大学院生、高等専門学校の在学生等が、就職後、県内に在住し、ものづくり企業に8年以上就業することを条件に奨学金の返還金の一部を助成するものであり、対象分野は、自動車、半導体、医療・福祉機器、航空機、ロボット、加速器関連、環境・エネルギー、ソフトウエア開発を想定しているとのことであります。
目標としては、県と企業、団体で2億円の取り崩し基金を造成するということであり、ものづくり産業における人材確保と奨学金の返還を助成することにおいては、評価できるものであります。
そこで伺いたいのは、産業人材の確保、定着に向けた取り組みでは、県南地域が中心となり、県北・沿岸地域などはその効果は小さいと想定されますが、知事は、この事業についてどのような効果を期待し制度を創設したのか、その考えを伺います。
対象企業とは制度導入に向けて事前に意見交換等を行っていると思いますが、対象企業は何社程度あるものか、また、対象企業から1億円を確保できる見通しについて、どのような感触を持っているのか伺います。
奨学金返還の助成率は2分の1または3分の1となっておりますが、全額免除とすることも考えられるのではないでしょうか。募集人数は毎年度50人程度で、期間は平成29年度から平成31年度までの3年間となっていますが、募集人数が少ないように思われますし、期間も3年間では実効性が薄いのではないかと考えられます。
募集人数の拡大や期間の延長など、制度の拡充を検討する考えはあるのかどうか伺います。
次に、道路整備事業について伺います。
まず、県道を初め市町村道の整備については、国の社会資本整備総合交付金等を利用して進めているわけでありますが、ここ3年程度の状況を聞きますと、要望額の半分程度しか認められていないということであります。その結果、当初計画した道路整備が予定どおり進まない状況にあります。この交付金は、国から約65%の交付を受けられるものであり、事業を進めるために、市町村も県も非常に期待の大きいものであります。
なぜ、このように当初要望額に対して大幅に減額となっているのかについて、国はどういう説明をしているのか、また、県としては、このような状況を踏まえ、どういう形で国に改善要望をしていくのかについて、対応策を伺います。
次に、一戸都市計画道路上野西法寺線について伺います。
この都市計画道路の延長は約2、200メートルとなっておりますが、これまでに第2期分までの1、066メートルの工事が終わっており、約5割の進捗率となっています。早期の着工を望んでおりました第3期工事については、第2期工事終了後7年が経過しても着工されていないという状況が続いておりましたが、ようやく9月16日に第3期工区に係る住民説明会が開催され、大まかな路線形が示されました。また、同月27日には、都市計画道路の変更に関する説明会も開催されました。そして、今年度において、この区間における詳細設計も実施されていることも明らかにされました。地域住民は、この説明会を工事着工が迫っていると確信して受けとめております。
改めて申し上げるまでもなく、この道路は、国道4号バイパスから馬淵川を越えてIGRの線路と交差し、一戸町役場や旧浄法寺町に通ずる一戸町の基幹路線であります。
先般の台風第10号による大雨では、災害警戒本部が設置されている町役場のある地区と町の中心商店街を結ぶ県道、町道の一部が浸水し、一時通行できなくなるという事態が発生したことから、さらに早期整備の必要性が出てまいりました。
この路線の早期完成は、町の産業の活性化や防災機能の強化、通勤通学の利便性の向上など、多くの課題解消につながる町民の悲願でもあります。第1期工事が着工されたのが平成9年度でありました。それから間もなく20年がたちます。まずは第3期工区の着工が目標であります。
第3期工区の着工時期と平成29年度予算にどのような措置をされる考えか、明確な答弁をお願いします。
また、心配されているのは工事年数であります。第3期工区は、予定では延長約580メートルの工事に8年から10年程度かかると見込まれています。家屋等の移転に時間を要することは理解できるわけでありますが、工事延長に対して工事年数が極めて長いと思われます。工事期間の短縮についてどのような対応策を講ずるのか、あわせて伺います。
次に、農業農村整備事業について伺います。
現在、二戸地区では圃場整備事業が2地区、県営畑地帯総合整備事業が4地区で実施されております。いずれも早期の完成を目指しているわけでありますが、懸念されているのは事業費の確保であります。これも、ここ3年の動きを見ておりますと、国費の配分は、県の当初予算に対して極めて少ないものであります。圃場整備事業では、県の当初予算の4割程度しか配分されていない。これでは事業が進まない。結果として、完成年度がおくれていくという結果になっています。幸い国の補正予算が毎年措置されておりますことから、追加の予算が配分されており、何とかそれで事業が進んでいるというのが現状ではないでしょうか。それでも完成時期が2年から3年程度おくれるということであります。
先ほど申し上げた圃場整備事業の2地区は、大規模な整備面積ではありません。合わせて150ヘクタールほどであります。早急に整備を行い、集落営農の基盤をしっかりとつくっていくべきであります。
さらに、県北には、小規模ながらも次の圃場整備事業の新規採択を待っている地区もありますことからも、現在実施している地区の早期の完成が待たれております。
また、県営畑地帯総合整備、いわゆる畑総事業においても同様のことが見られています。この畑総事業は、大志田ダムからの農業用水を一戸町と二戸市で畑地かんがいとして利用するものであります。その効果がしっかりと出てきており、平成27年度は、県内一のレタス産地である一戸町奥中山地区では、久しぶりに生産額10億円を達成することができました。畑総事業による個別給水栓や共同給水栓の利用が増加した結果であり、事業効果が確実に出てきているものと受けとめております。
二戸地域が主産地の高級ブランド冬恋に代表されるリンゴ生産にも、かんがいによる品質向上や防霜効果等で大きく貢献しております。
畑総事業は、平成23年度に完成した馬淵川沿岸地区国営土地改良事業の効果を早く発現させるための事業であります。野菜や果樹の生産基盤をしっかりと構築するためにも、国の補正予算頼みではなく、当初から十分な予算配分を行い、早期の事業完成を急ぐべきではないかと考えます。
二戸地区におけるこれら事業の進捗状況と、今後の予算確保の見通しについて明確な答弁を求めます。
前段で申し上げましたが、岩手県民が一体となって成功に導いた国体関連行事は終わりました。しかしながら、間もなく、東日本大震災発災から6回目の年越しを迎えようとしております。東日本大震災からの復興はいまだ道半ばであり、台風第10号からの復興は始まったばかりであります。災害からの復興や今後の県政課題の解決に当たっても、執行部と県議会の連携はもとより、県民の御理解と御協力が何よりも重要であります。改めて、そのことを互いに認識するとともに、来年は、県民にとりましてさらによき年となりますよう期待して、私の一般質問を終わります。
なお、答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤誠議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、縄文遺跡群の価値についてでありますが、縄文文化は、狩猟、採集、漁労を基盤として、高度な精神文化を発達させた世界に誇り得る先史文化で、弥生時代前の1万年以上にわたり、縄文人が、その間の気象条件などの環境変化に巧みに適応するとともに、水産資源、森林資源など、四季折々の豊富な食料資源を持続的に維持、管理しながら利用し、人類史にとって大きな画期である定住を達成したことに最大の価値があると認識しております。
また、縄文時代の集落には集団間の争いに関する痕跡がなく、協調的な社会が形成され、その間、縄文土器や土偶などの審美性豊かなものづくりの技能、技術が発達したことなども大きな特徴であります。
このようなことから、縄文文化は、平泉の文化遺産の平和の理念や、橋野鉄鉱山のものづくりの技術などへと続く本県の歴史の底流をなす重要な文化であり、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に登録されることで縄文文化の価値が世界に認められるとともに、将来にわたって、保存、活用されるということに大きな意義があると考えております。
次に、御所野遺跡が果たす役割についてでありますが、北海道・北東北の縄文遺跡群の登録は、構成資産を有する4道県にまたがる広域的な観光ルートの形成につながるものであり、県内においても、構成資産となる御所野遺跡が県北地域の観光振興の起爆剤となることが期待されますほか、平泉や橋野鉄鉱山と連携した観光商品の造成や観光キャンペーンの展開など、三つの世界遺産を有する強みや魅力の発信などにより、県内全域の交流人口の拡大に寄与するものと考えます。
これまで、県では、本県世界遺産の価値の発信を強化するため世界遺産事業推進本部を設置して、全庁一体となった取り組みを推進してまいりました。
こうした取り組みに加えて、今年度は、先月、本県で開催した第3回世界遺産サミットや縄文遺跡群の世界遺産登録に向け、来月開催する国際フォーラム、海外の旅行博などにおいて、二つの世界遺産とあわせた御所野遺跡の情報発信の強化に努めているところであります。
今後も、複数の世界遺産を持つ優位性を生かして、本県の魅力を積極的に国内外に向けてアピールしてまいります。
次に、世界遺産登録の機運醸成に向けた県民運動についてでありますが、県においては、これまで、一戸町などと連携して、平成23年度から毎年度、県民を対象とした縄文文化フォーラムを盛岡市などで開催するとともに、県内全域の学校を対象とした世界遺産に関する出前授業の中で縄文遺跡群を取り上げて、その概要と価値の理解の浸透などに取り組んできております。
また、先ほど申し上げた世界遺産サミットでは、縄文遺跡群の登録に向けた取り組みの紹介やパネル展示により、全国の参加者に対してその価値を発信いたしました。
さらに、現在策定している文化・スポーツ振興戦略におきましても、縄文遺跡群の価値の発信を位置づけているところでありまして、今後、関係自治体との連携の強化や、他自治体における取り組みなども参考としながら、本県独自のPR強化などを含め、より一層の県民機運の醸成に努めてまいります。
次に、文化スポーツ部の設置目的や効果についてでありますが、いわて県民計画第3期アクションプランやふるさと振興総合戦略を推進していく上で、文化、スポーツを核とした諸施策を効果的、戦略的に展開するため知事部局に事務を一元化するものであり、障がい者芸術の活動支援やスポーツツーリズムの振興など、文化、スポーツに関する施策の充実はもとより、県民の健康づくり支援や観光振興施策との連携による取り組みなどを推進していくこととしています。
また、設置の時期についてでありますが、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を通じて醸成された県民の文化、スポーツに対する関心の高まりや参画意識を次の世代に引き継いでいく必要があること、また、ラグビーワールドカップ2019や東京オリンピック・パラリンピックの開催、平泉の文化遺産の拡張登録や北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録等の取り組みにより、岩手の文化やスポーツに新たな発展が期待されていることから、今回、文化スポーツ部を設置しようとするものであります。
現在策定を進めている文化・スポーツ振興戦略に基づく施策を推進することによりまして、文化やスポーツが持つ多面的価値を社会的、経済的な力に発展させ、県民一人一人の個性と創造性が輝き、住みたい、訪れたいと感じる地域づくりを進めてまいります。
次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度創設の狙いについてでありますが、県では、いわて県民計画及び岩手県ふるさと振興総合戦略に基づいて、自動車、半導体関連産業の一層の集積促進と競争力強化、県内各地域のものづくり企業の成長支援及び新産業の創出などを推進しているところです。
本県製造業の現状は、従業者1人当たりの製造品出荷額や付加価値額が全国的には低位にありますことから、ものづくりに大きな変革をもたらすIoTの進展や、設計開発及び生産技術面等でのものづくり革新の動きに対する県内企業の的確な対応を支援し、地域産業の高度化を図っていく必要があります。
そのようなことから、中小企業団体等からの産業人材確保への支援についての要望も踏まえて、地方経済の牽引役となる産業や、戦略的に振興する産業にかかわる人材確保を支援する国のスキームを活用して、本制度を創設しようとするものであります。
本制度によって、県内各地域のものづくり企業が必要とする高度技術人材等の確保を促進し、ものづくり革新や新分野開拓、さらには、企業間連携などの動きを全県的に展開することにより本県産業の持続的発展を図っていくとともに、大学生等の地元定着及び県内への還流を促進していくこととしております。
その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 県北振興に関する予算措置についてでございますけれども、県では、部局横断的な組織といたしまして、私を本部長といたします県北・沿岸振興本部を設置し県北・沿岸振興の重点的な取り組みを展開しておりまして、予算編成におきましても、全庁的な取り組みを強化するため、各部局に対しまして、県北・沿岸圏域における地域振興の取り組みを推進するよう指示しているところでございます。
まず、平成28年度におきましては、当本部におきまして、県北圏域の施策展開の方向性といたしまして四つの柱、具体的には、地域の特徴的な産業の振興、観光の振興、若者・女性の活躍支援、農産物のブランド化の取り組みを掲げ、重点的に推進しているところでございます。
具体例で申し上げますと、地域の特徴的な産業の振興といたしましては、県北地域重点活性化事業費約800万円、北いわて産業振興事業費約1、400万円を予算措置いたしまして、食産業やアパレル産業の育成など、地域資源を生かした産業振興を推進しておりますほか、観光の振興といたしましては、北海道新幹線の開業を踏まえた八戸圏域等との連携や、あまちゃん等の知名度の高い観光資源の活用などにより誘客の拡大を図ります北いわて広域観光推進事業費約600万円、三陸観光復興支援事業費約2、700万円を措置しているところでございます。また、若者・女性の活躍支援といたしましては、若者の地元就職、定着の促進や、若者、女性の魅力ある地域づくりを支援する北いわて若者・女性活躍支援事業費約500万円を措置いたしましたほか、農産物のブランド化におきましては、カシオペア果物振興プロジェクト事業費約900万円を措置いたしまして、先日、知事が首都圏におきまして、二戸地域の高級リンゴ冬恋のトップセールスを行い、生産者の販売促進活動を支援するなど、ブランド果物の評価向上、販路拡大を促進しているところでございます。
次に、平成29年度当初予算の編成につきましては、これから各部局等の予算要求を取りまとめ、精査していくということになりますけれども、ただいま申し上げた平成28年度事業のこれまでの実績等を踏まえながら、さらなる県北振興の展開を図っていく必要があるものと考えております。
平成29年度の施策展開の方向性につきましては、今後、組み立てていくものでございますから、本年度の柱立てに沿って申し上げますと、地域の特徴的な産業の振興につきましては、漆の生産から製品づくりまでの総合的な推進体制の整備や情報発信の強化などによります漆振興の重点化、観光の振興では、御所野縄文公園などにおきます体験交流プログラムメニューの充実、情報発信の強化、若者・女性の活躍支援では、北いわて仕立て屋女子会を中心にアパレル産業の魅力の発信や縫製技術を活用した体験交流事業の展開、農産物のブランド化では、大都市圏の仲卸、小売店舗等を対象としたブランド果物PR強化などについて、現在、議論を行っているところでございます。
県北地域の振興に向けましては、このように、すぐれた地域資源を生かした産業振興や高付加価値化を図る取り組みを積み重ねていくことが重要であると考えておりまして、引き続き、関係市町村等との連携を強化しながら、地域と一体となった県北振興施策が展開できるよう努めてまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) まず、文化スポーツ部に一元化する業務についてでありますが、文化芸術分野では、文化施設、岩手芸術祭、若者文化支援、障がい者文化芸術、世界遺産の登録や理念普及等の事務を一元化するほか、障がい者芸術の理解増進や活動支援、伝統文化の活用による地域活性化の推進などの取り組みを強化することとしております。
スポーツ分野では、体育施設、生涯スポーツ、競技スポーツ、プロスポーツ支援、ラグビーワールドカップ2019の開催準備、東京オリンピック・パラリンピック、スポーツツーリズム、障がい者スポーツ等の事務を一元化するほか、スポーツツーリズムの振興を通じた地域活性化の推進やプロスポーツとの協働、障がい者を含めたトップアスリートの育成や活動支援などの取り組みを強化することとしております。
次に、文化スポーツ部の組織、職員体制についてでありますが、文化芸術振興を担う部署やスポーツ振興を担う部署、ラグビーワールドカップ2019の準備業務を担う部署を置く方向で検討しており、部の企画調整機能を担う企画室も含め、職員体制は50名から70名前後と見込んでおります。
組織、職員体制の詳細については、現在、鋭意検討中でございます。
次に、世界遺産業務に係る文化スポーツ部と教育委員会の連携についてでありますが、世界遺産登録については、当該文化財の保護、保存とともに、登録後の観光資源としての利活用による誘客拡大など、地域振興につなげていくことが重要であります。
世界遺産の価値や理念など、地域の宝である文化財の魅力を内外に発信、普及し、地域づくりに生かしていくため、地方教育行政の組織及び運営に関する法律において教育委員会において行うこととされている文化財の保護に係る業務を除き、知事部局において一体的に所掌することとしたところであります。
一方、世界遺産を地域づくりに効果的に活用していく上では、文化財に対する十分な知識や理解も必要となることから、教育委員会の文化財の専門職員を文化スポーツ部に併任させるなどにより、引き続き教育委員会との連携を図ってまいります。
次に、世界遺産業務に係る組織体制についてでありますが、世界遺産に係る業務は、登録後の観光資源としての利活用による誘客拡大など地域振興に生かしていくため、文化財の保護に係る業務を除き、文化スポーツ部に一元化することとしております。ただし、北海道・北東北の縄文遺跡群については、現在、教育委員会において、来年度、平成29年度の審査に向けて推薦書の作成準備等を行っているところであり、縄文遺跡群の世界遺産登録に関する事務は、引き続き教育委員会で対応してまいります。
文化スポーツ部では、平泉の世界遺産拡張登録や縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた機運醸成に取り組み、平泉の文化遺産、橋野鉄鉱山、縄文遺跡群の価値や理念を県内外に広く発信、普及するとともに、各部局との連携により、地域づくりや観光振興施策等とも連動した活用策を検討、実施してまいります。
文化スポーツ部の組織、職員体制については、検討調整中でございますが、これら世界遺産に係る業務は、文化芸術を担う部署の中で一体的に所掌する方向で検討しております。
次に、生涯学習業務についてでありますが、生涯学習に係る業務は、現在、教育委員会事務局の生涯学習文化課で所掌しておりますが、社会教育や家庭教育の振興と一体的に所掌し、教育職である社会教育主事を配置しているところであります。
生涯学習とは、学校教育のほか、社会教育や家庭教育における学習や個人的な学習も含め、人々が生涯に行うあらゆる学習について学習者の視点から捉えた概念でありますが、学校教育との連携のもと、社会教育や家庭教育振興施策と一体的に推進することとし、引き続き教育委員会に存置することとしたところであります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、ブロイラー産業の振興についてでありますが、本県のブロイラー産業は、出荷羽数や産出額で全国第3位に位置し、生産、加工、流通などにおいて9、000人以上の雇用を創出するなど、地域経済を支える重要な産業と考えております。
国内における鶏肉の需要が消費者の健康志向などを背景に増加する中、生産農家の経営安定を図りながら、生産拡大に向けた一層の生産の効率化や、生産性を阻害する家畜伝染病の発生予防が課題と考えております。
このため、県では、本県独自に鶏肉価格が基準を下回った場合に差額を補填する価格安定対策を実施するとともに、鶏舎や国内最大の処理能力を有する食鳥処理施設の整備などへの支援や、飼養衛生管理基準の遵守、家畜伝染病の監視、通報体制の強化を進めていくこととしております。
さらに、10月29日の岩手とり肉の日における学校給食での鶏肉提供、県北地域のとり合戦秋の陣イベントなど、鶏肉の消費拡大に向けた取り組みも支援しており、本県が国内有数のブロイラー産地として発展していくよう、引き続き取り組んでまいります。
次に、農業農村整備事業についてでありますが、平成28年度当初割り当てまでの進捗率は、圃場整備事業の継続2地区が事業費ベースで40%であり、また、畑地帯総合整備事業においては、継続3地区が事業費ベースで89%となっているほか、今年度採択された1地区は、来年度の本格着工に向け測量設計等を実施しております。
こうした中、事業の一層の推進を図るため、先般の9月補正予算において、圃場整備事業では7億円を上乗せし、総額8億9、000万円を、畑地帯総合整備事業では3億3、000万円を上乗せし、総額約4億2、000万円をそれぞれ確保したところであります。
これらの事業は、生産コストの低減や高収益作物の導入といった農業競争力の強化はもとより、農業経営の安定による後継者の確保や、若い農業者の定住促進にも効果を発揮するなど、県北地域の振興に欠くことができない事業でありますことから、今後とも、早期完了に向け、当該事業の必要性を国へ強く要望し、予算の確保に努めてまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、アパレル産業の振興についてでありますが、県北地域においては、これまでの産学連携の取り組みを通じ、いわゆる製作現場から大手ブランドなど発注元に対する技術提案やパリコレ出展衣装の受託生産を行うなど、国内屈指の技術力の集積が認められてきているところでございます。また、いわゆる女子会の活動などを通じた企業間のノウハウ共有や若手従業員の育成、さらには、デザインを通じた若者の関心の喚起など、岩手オリジナルの取り組みは、我が国のアパレル業界では高い評価を得ているところでございます。
このように、定評ある繊細な仕上げやすぐれた縫製技術を有する県内アパレル産業を頼りとしている大手ブランドも多いことから、さらなる高度化と取引拡大を図っていくため、文化学園との連携による現代の名工が持つ縫製技能の取得支援や、首都圏での商談会を通じたメーカー等とのマッチング促進のほか、いわてまるごと売込み隊ユニフォームや、現在製作を進めております農業青年ユニフォームを通じた情報発信など、岩手ならではの取り組みを一層強化し、本県アパレル産業の振興を引き続き進めていく考えでございます。
次に、県北振興における財政支援等についてでございますが、産業振興を図るためには、企業誘致のみならず、地場企業の業容拡大に向けた支援も重要でありますことから、県では、平成27年度から、地方創生・地域産業緊急重点強化支援事業などを創設いたしまして、新分野への進出や、生産性の向上などを目的とした設備投資に対する支援を行ってきておりまして、県北地域におきましても、二戸市や一戸町の企業において、この事業を活用されて設備導入を図っている事例もございます。また、いわて希望ファンドやいわて農商工連携ファンドによって新商品開発等に対する支援も展開しておりまして、今後も地元市町村等と連携し、意欲ある企業を積極的に支援し、県北地域の産業振興に注力してまいります。
起業を目指す方々に対しましては、相談指導体制の整備、若者などの起業マインドを高める取り組みが特に重要と考えておりまして、創業セミナーの開催や、創業体験の場の提供、大学生向けの起業関係の講座開催等に取り組む支援機関に対する支援などを行っておりまして、引き続き、国、市町村、商工会、商工団体等と連携しながら、効果的に施策を展開し、起業環境の充実に向けて取り組んでまいります。
次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度の対象企業についてでございますが、平成26年経済センサスによりますと、対象分野としている企業数は700社程度となりますが、このうち、実際に大卒者等を受け入れる環境となっている企業は、現段階においては、相当程度限定されるであろうという感触を得ているところでございます。本制度が契機となりまして、大卒者等を積極的に受け入れる動きが広がっていくことを大いに期待しているところであります。
次に、寄附金の見通しについてでありますが、現段階では、明確な見通しは持ち合わせておりませんが、対象分野に属する企業についてはもちろんのこと、ものづくり産業の成長が県経済全体に及ぼす波及効果も踏まえ、対象分野に該当しない企業も含め、産業界全体に対しても幅広く出捐を呼びかけ、基金規模の拡大に努めてまいります。
次に、制度の拡充の検討についてでありますが、まず、募集人数につきましては、対象分野に該当する県内主要企業の大卒者等採用計画人数と、県内大学等卒業生の実際の就職者数との差を埋める形で算定した数値でありますが、これは、あくまでも基金規模算定のための一つの目安として用いた数値でございます。
また、本制度の対象分野につきましては、岩手県ふるさと振興総合戦略において、戦略的に振興することとしておる産業分野としておりまして、その事業期間につきましても、当面のところ、総合戦略の目標終期である平成31年度までの3年間としたところでございます。
なお、募集人数の拡大や期間の延長など制度の拡充につきましては、当面2億円規模の基金を造成し事業展開してまいりますが、高度技術人材に対する需要の動向や応募の状況、さらには、産業界からの基金への出捐の状況などを勘案し、検討してまいりたいと考えております。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、社会資本整備総合交付金等の交付額についてでありますが、近年、国では、厳しい財政状況にありながらも、社会資本整備総合交付金については前年度並みの予算を計上しているところであり、また、限りある財源を効率的、効果的に配分するため、ストック効果を高めるアクセス道路の整備などに重点的に配分することとしていると承知しています。しかし、たび重なる自然災害や加速化するインフラの老朽化に備えるため、社会資本整備総合交付金などの予算額に対して要望額が大きくなっていることから、全国的にも配分額は要望額に対して少なく、十分な予算が措置されていない状況です。
本県では、地方創生の基盤となる社会資本の整備や災害に強い道路ネットワークの構築に向けてスピード感を持って取り組んでいく必要があるため、社会資本整備総合交付金などについて、国において、予算の総枠を拡大した上で必要な予算を確実に措置するよう、引き続き要望してまいります。
次に、一戸都市計画道路上野西法寺線の着工時期等についてでありますが、県では、平成21年度から地元との意見交換や鉄道事業者との協議等を重ねながら調査検討を行い、現在、都市計画変更手続を進めているところです。
県としても、上野西法寺線の重要性については認識しており、今年度、都市計画道路整備事業として事前評価を行ったところであり、現在、平成29年度の事業着手を目指し、当初予算の協議を行っているところです。
次に、工事期間の短縮についてでありますが、計画区間は町中心部に位置しており、用地買収や建物移転が必要となるほか、鉄道踏切工事もあり、鉄道事業者との事業調整に一定の期間を要するものと見込んでいますが、引き続き、一戸町と連携しながら丁寧な地元説明に努めるなど、事業期間の短縮が図られるよう取り組んでまいります。
〇12番(工藤誠君) 御答弁ありがとうございました。
それでは、2点について再質問をさせていただきます。
まず、1点目でございますが、縄文遺跡群の世界遺産登録について、ただいま知事から種々お話をいただきました。今回の質問の意図としては、この運動に地元住民はもとより、県内、全国から多くの方々が応援していただいている中で、4度も国内推薦が見送りになっており、いつまで待てばいいのかという雰囲気が出てきていることがあります。
しかし、何とか次は登録にと希望を持って地道に運動を継続して頑張っていただいている方がたくさんおります。そういう地元住民や支援者に対して、知事御自身から、自分が先頭に立ってしっかりと取り組むので大丈夫だ、頑張ろうという心強いメッセージを発していただきたいのが願いであります。知事が心強い取り組みのメッセージを発することによって、この運動にかかわっている多くの方々が勇気づけられ、さらに前を向いて頑張ることができると思っております。改めて、知事の思いを県民に対してしっかり述べていただきたい。再度、来年度5度目の挑戦に向けての決意をお伺いいたします。
2点目でございますが、県北振興についてでございます。
県北・沿岸振興なくして岩手の発展はないということは、何度もお聞きしました。県北・沿岸振興本部を設置して10年が過ぎましたが、今後、人口減少が県平均よりも早く進むことが予測されていることを踏まえれば、これまでの対応が果たして十分であったかという疑問があります。地元に働く場所がなければ若い人は残らない、地元で暮らせない、地元で結婚や子育てもできない、当たり前のことであります。
副知事は、県北・沿岸振興本部の本部長として地域の実態を把握されていると思います。特にも企業誘致については、平成10年度に二戸市に岩手県土地開発公社が約28億円、これには二戸市が施行した関連道路の整備費を含んでおりますけれども、これだけのお金をかけて造成した二戸地区拠点工業団地の分譲率が、間もなく20年を迎えようとしている現在においても37.1%、4割にも満たないというこの現状をどう受けとめておられますか。
また、企業誘致の平成27年度実績については、県北地区以外が、新増設合わせて26社、県北地区は3社、平成28年度は、これまでに県北地区以外では新増設21社、県北地区はゼロという状況であります。これでは、本気で企業誘致や雇用の場の確保に取り組んでいるということが言えるのでしょうか。
真剣に取り組む姿勢と新たな発展の方向性をしっかりと示すべきと考えますが、改めて副知事のお考えを伺い、私の質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群については、ことし7月、国の文化審議会から構成資産の変更や史跡の追加指定を行ったことなどについて、保存、管理面の取り組みが評価されたところであります。一方、縄文文化の価値のわかりやすい表現や、また、資産全体の価値と個々の構成資産との関係の合理的な説明などの解決すべき課題が示されました。
今、その示された課題の解決に向けて、専門家との意見交換や、また、文化庁との協議を行いながら、縄文遺跡群の顕著な普遍的価値というものについて、各構成資産との関連性を明確にあらわすとともに、わかりやすい表現で、そして、国際的な視点からも理解されるように、推薦書案の改定作業を集中的に行っております。
縄文遺跡群の世界遺産登録については、なお解決すべき課題がありますけれども、御所野遺跡の持つ価値の重要性や、県北地域を初め登録に対する県民の大きな期待がありますので、青森県など関係自治体と連携しながら、来年度のユネスコへの推薦の実現に向けて取り組んでまいります。
〇副知事(千葉茂樹君) まず、二戸地区拠点工業団地の分譲状況等についてでありますが、二戸地区拠点工業団地は、県北、特に二戸地域の産業振興を図る上で、まさに拠点として整備した工業団地であり、これまで6社が進出いたしましたが、議員御指摘のとおり、分譲率を面積で見ますと4割弱となっているところであり、企業誘致の取り組みの一層の強化が必要であると考えているところであります。
当団地への企業誘致につきましては、事業主体であります岩手県土地開発公社、二戸市及び県が連携いたしまして企業訪問を行っておりますほか、段階的な価格の見直しや立地促進のためのより支援内容が強化された補助制度の創設など、インセンティブの強化なども重ねながら分譲促進に努めてきたところでございます。
現在、複数の企業が当団地への進出を検討しているところであり、立地が進むよう折衝を継続し強化してまいりたいと考えております。
県といたしましては、今後におきましても、県土地開発公社や二戸市などとより一層連携し、県北地域、ひいては当団地への企業誘致に注力してまいりたいと考えております。
次に、県北地域の企業誘致及び雇用の確保等についてでございますけれども、企業誘致を促進し雇用の確保を図るためには、これまで取り組んでまいりました地域の特性を生かした産業振興や、アパレルに代表されます地域主体の取り組みをさらに強化していく必要があるものと考えております。
また、今後の方向性でございますが、県北地域は、盛岡地域及び八戸地域を初めとする青森県県境地域との連携を強化していく地域として考えられます。盛岡地域につきましては、県内一の消費地として、農産物等の販路拡大等に取り組んでいく必要があるものと考えております。
一方、例えば八戸地域については、消費と生産の二面性を有している地域でございますので、企業連携など産業振興を図る上で、同地域との結びつきを強めていく必要があるものと考えております。これまでも青森県県境地域から本県に企業立地した実績もありますことから、さらなる企業立地や既立地企業の業容拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
県といたしましては、これら企業誘致や地場企業の業容拡大並びにポイントとなる雇用確保につきまして、地元市町村と十分連携を図りながら、引き続き全力で取り組んでまいります。
〇議長(田村誠君) 次に、渡辺幸貫君。
〔40番渡辺幸貫君登壇〕(拍手)

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