平成28年9月定例会 決算特別委員会会議録

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決算特別委員会会議記録
(第1号)
平成28年11月14日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 大 友 宏 司
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 田 内 慎 也
主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
企画理事 杉 村   孝
会計管理者 佐 藤   博
会計指導監 清 水 雅 典

秘書広報室長 保   和 衛
秘書広報室
副室長兼
首席調査監 高 橋 勝 重

総務部長 風 早 正 毅
理事兼総務部
副部長兼総務室長 大 槻 英 毅
財政課総括課長 小 原   勝

政策地域部長 大 平   尚
理事兼政策地域部
副部長兼
地域振興室長兼
台風災害復旧復興
推進室長 宮 野 孝 志
政策地域部副部長
兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 南   敏 幸

環境生活企画室
企画課長 黒 田   農

保健福祉企画室
企画課長 小 川   修

商工企画室
企画課長 鈴 木 俊 昭

農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光

県土整備企画室
企画課長 小 原 由 香

復興局長 木 村 卓 也
復興局副局長 内 宮 明 俊

国体・障がい者
スポーツ大会局
副局長兼
総務課総括課長 小 友 善 衛

経営管理課
総括課長 永 井 榮 一

教育企画室
特命参事兼
企画課長 菊 池 正 勝

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 菊 池   寛
監査第一課
総括課長 小 倉   茂
監査第二課
総括課長 村 上 博 和
〇大友議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
工藤勝子委員、委員長席に御着席をお願いします。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 工藤勝子であります。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
木村幸弘委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
決算特別委員長に軽石義則君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名した軽石義則君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました軽石義則君が決算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました軽石義則君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
軽石義則委員長、委員長席にお着き願います。どうぞよろしくお願いいたします。
〔決算特別委員長軽石義則君委員長席に着く〕
〇軽石義則委員長 ただいま委員各位の御推挙により決算特別委員長に御指名いただきまして、大変光栄に存じている次第でございます。
委員各位の御協力によりまして責務を全うしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
決算特別副委員長に中平均君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名した中平均君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました中平均君が決算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されました中平均君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
中平均副委員長、御挨拶を願います。
〇中平均副委員長 ただいま副委員長に選出いただきました中平でございます。どうもありがとうございます。
軽石委員長を補佐いたしまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思っておりますので、委員各位の御協力をよろしくお願いいたします。(拍手)
〇軽石義則委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案2件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から18日まで、21日、22日及び24日の7日間は、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め質疑を行うこととし、決算15件及び議案2件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、11月24日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会の意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、7日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第15号まで、並びに議案第28号及び議案第29号の以上17件を一括議題といたします。
これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇佐藤会計管理者 平成27年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
お手元に平成27年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料といたしまして歳入歳出決算説明書をお配りしております。
決算の概況につきましては、便宜、この平成27年度歳入歳出決算説明書に基づき御説明させていただきます。
それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。第1平成27年度歳入歳出決算の概況、1決算の状況についてであります。
東日本大震災津波からの復旧、復興に係る取り組みを重点的に進めるとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進するために編成された平成27年度歳入歳出予算に係る決算の状況は、次のとおりであります。
まず、平成27年度一般会計当初予算は、本格復興邁進予算として1兆1、111億9、037万円が措置され、前年度の当初予算に比べまして944億4、073万円、9.3%の増となっております。
また、この当初予算に、その後の補正予算におきまして、東日本大震災津波関係事業費の確定などにより248億9、426万円の減額補正が行われたところでございます。これに前年度からの繰越額2、048億5、037万円を加えた最終予算額は1兆2、911億4、648万円となり、前年度に比べますと543億4、915万円、4.4%の増となっております。
次に、この予算に対する決算についてであります。
まず、歳入につきまして御説明いたします。決算説明書の46ページ及び47ページをお開き願います。第2表一般会計歳入決算状況の表の一番下の合計欄をごらん願います。
平成27年度の収入済額(A)は1兆1、477億9、697万円余で、前年度と比べますと、表の右側の比較増減額(A)−(B)の欄でございますが、602億1、903万円余、5.5%増加し、収入率は、予算現額に対して88.9%、調定額に対して97.8%となっております。
なお、収入未済額につきましては、46ページ右端の欄でございますが、240億8、380万円余で、前年度に比べまして12億4、149万円の減であり、この収入未済額の主なものは諸収入でございます。
次に、歳出についてでありますが、少し飛びまして、54ページ及び55ページをお開き願います。第7表一般会計歳出決算状況の表の一番下の合計欄をごらん願います。
平成27年度の支出済額(A)は1兆365億2、852万円余で、前年度に比べまして535億5、096万円余、5.4%増加し、執行率は、予算現額に対して80.3%となっております。また、翌年度繰越額は2、135億4、227万円余で、前年度に比べまして86億9、190万円余の増加であり、この繰越額の主なものは災害復旧費や土木費であります。
なお、不用額は410億7、568万円余で、前年度に比べまして78億9、371万円余減少しております。
次に、実質収支の状況についてでありますが、少し戻っていただきまして、44ページ及び45ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入総額は1兆1、477億9、697万円余、歳出総額は1兆365億2、852万円余であり、歳入歳出差引額は1、112億6、844万円余となっております。
また、歳入歳出差引額(A)から翌年度へ繰り越すべき財源(B)858億5、277万円を差し引いた実質収支額(C)は254億1、567万円余の黒字となっております。
次に、一般会計の決算の特色についてでありますが、再度、1ページをお開き願います。中段、2の決算の特色をごらん願います。
一般会計の決算の特色といたしましては、第1に、決算規模が前年度を上回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、県税、地方消費税清算金、震災復興特別交付税の増に伴う地方交付税等の増加により、前年度を602億1、903万円、5.5%増加し、歳出におきましては、復興道路や災害公営住宅の整備等復旧復興事業費の増による土木費のほか、諸支出金、労働費等の増加により、前年度を535億5、096万円、5.4%の増となっております。
第2に、自主財源が増加したことであります。自主財源は、地方消費税清算金が増加したほか、県税、繰越金等の増加により、前年度に比べ353億3、426万円、7%増加し、5、420億474万円となっております。
この結果、歳入総額に占める自主財源の構成割合は、前年度に比べ0.6ポイント増加し、47.2%となっております。
第3に、県税収入が増加したことであります。県税は、税率改正による地方消費税の増、復興需要や企業業績の伸び等に伴う法人事業税の増等により、前年度に比べ124億5、449万円、10.8%増加し、1、279億270万円となっております。
第4に、投資的経費が増加したことであります。投資的経費は、災害復旧事業費が減少したものの、災害公営住宅整備事業費や地域連携道路整備事業費等の増に伴い、普通建設事業費が313億8、162万円、20.3%増加したことにより、前年度に比べ188億6、842万円、7%増加し、2、866億8、861万円となっております。
この結果、歳出総額に占める投資的経費の構成割合は、前年度に比べ0.4ポイント増加し、27.7%となっております。
第5に、県債残高が減少したことであります。県債残高は、県債発行額が県債償還に充てられる公債費の元金償還分を下回ったことから、前年度に比べ405億802万円、2.9%減少し、1兆3、436億7、643万円となっております。
以上、一般会計の特色を申し上げました。
次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。少し飛びまして、35ページをお開き願います。第3特別会計の決算状況をごらん願います。特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
母子父子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入総額は2、442億9、144万円余であり、前年度に比べまして288億9、610万円余の減となっており、その主なものは、公債管理特別会計の減などであります。また、歳出総額は2、382億9、105万円余であり、前年度に比べまして286億3、238万円余の減となっており、その主なものは、歳入同様、公債管理特別会計の減などであります。
なお、実質収支は、各会計とも黒字または収支均衡となっております。
なお、農業改良資金等特別会計は平成28年4月1日に廃止され、貸付金の償還事務等は平成28年度から一般会計において処理することとなっております。
以上で決算の概要説明とさせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、後日、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでございます。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。
〇軽石義則委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、改革岩手が37分、次に、自由民主クラブが31分、次に、いわて県民クラブが17分、次に、創成いわてが15分、次に、日本共産党が11分、次に、社民党が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員、無所属臼澤勉委員の順に、それぞれ7分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途とすることにしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
これより総括質疑に入ります。郷右近浩委員。
〔郷右近浩委員質問者席に着く〕
〇郷右近浩委員 改革岩手の郷右近浩でございます。会派を代表して、平成27年度決算について質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
県では、平成27年度を本格復興邁進年と位置づけ、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けた事業を最優先に、一日も早い復興に向けて取り組まれてきたとともに、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の先駆けとなる冬季大会の開催にも県を挙げて取り組まれてきたものと思っております。加えて、過日、成功裏に終了いたしました本大会に向けた準備経費なども含まれていると認識しております。
そこでお伺いしますが、平成27年度決算に係る監査審査意見において、健全かつ計画的な財政運営のもとに、希望郷いわて実現のための施策が積極的に展開されるよう強く望む旨ありますが、知事は、こうした意見や今般の岩手国体、大会の成功を受け、県政運営上、どのような所感を持っておられるかお聞きいたします。
〇達増知事 平成27年度は、本格復興邁進予算として、財政健全化にも配慮しながら、東日本大震災津波からの復興を最優先に、復興計画と軌を一にしたいわて県民計画の着実な推進や、ふるさとを消滅させないための人口減少対策の積極的な展開を図り、希望郷いわての実現を目指してきたところであります。また、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の開催を間近に控え、両大会の準備を初め選手強化や競技力向上、サポートボランティア養成など、選手、関係者、地域の方々が一体となったオール岩手の土台づくりに注力したところであります。
こうした土台づくりは、今般の本県選手団の躍動する姿や、全国の方々から高い評価を得た県民のおもてなしなど両大会の成功に結びつくものであったと考えておりまして、このたびの成功は、岩手県民が自信や誇り、そして希望を持つことにつながったところであり、こうした成果を県政に生かしていくことによって、名実ともに全国に認知された希望郷いわてとして、復興とふるさと振興をより強力に推進していく考えであります。
〇郷右近浩委員 国体については、また後ほどお聞きしてまいりますけれども、まず最初に、そうしたことで岩手に課せられた課題の中での復興という部分もございますし、県政全般の部分でまたお聞きしてまいります。
いわて復興レポート2016での県民の復興に対する実感の回答といたしまして、依然としておくれているとの回答が多い一方、進んでいるとの回答が増加しており、その差は縮小していると記述されております。しかし、差は縮小しても、おくれているとの回答が依然多いという事実の解消こそが、県が最優先で取り組まなければならないことであり、また、復興を担う人材の確保など体制面の強化や財源の確保、限られた財源の重点的かつ効果的な活用や、適時適切な行財政運営及び中長期的な健全かつ計画的な財政運営、留意、改善を要する事項など、復興、財政運営、適正な事務執行など、平成26年度決算の審査意見書と同様の意見を付された平成27年度決算のそれぞれの点の反省点を踏まえながら進めていかなくてはならないものと思います。
一方で、過去の県立大学の開学や県民情報交流センター─アイーナの建設、県立美術館など公共施設の積極的な整備により抱えた多額の県債残高により、平成24年度決算で実質公債費比率が18.6%となったことから、平成32年度までに18%未満にすることを目指して、公債費負担適正化計画を平成25年9月に策定して取り組んでまいりました。
今年度の計画見直しにより、平成27年度決算で実質公債費比率が20.5%とピークを迎えるところを、計画の2年前倒しで平成30年度での達成の見込みとなったことは、償還が低利となったことのみならず、歳出面の見直しの徹底や公共事業の現行水準の維持、抑制、補助金や負担金の見直しや未利用資産の売却などに取り組んできたことの成果が出てきたものと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 平成27年度決算を踏まえまして、今回、公債費負担適正化計画の見直しを行いましたところ、仮に現在の低金利や標準財政規模が維持されるとすれば、当初の計画を2年前倒しして、平成30年度決算において実質公債費比率が18%を下回る見通しとなったところであります。
これは、平成25年度に公債費負担適正化計画を策定後、東日本大震災津波からの復旧、復興や、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功に向けて県の総力を挙げて取り組む中で、事業の効率化、重点化に配慮することで新規の県債発行を抑制したほか、税等の収入未済金の徴収強化を初め未利用資産の売却などによる歳入確保に努めるなど、歳入歳出の徹底した見直しを図ってきたこと等によるものであります。
金融市場環境や地方財政計画の動向によっては、今後、計画達成期間が後倒しとなることも想定されますことから、引き続き調達コストの低減に努めますとともに、新規発行の抑制を図ることで財政の健全化を進めてまいります。
〇郷右近浩委員 今回、このような形で前倒しとなった背景には、さまざまな要因があり、県が取り組んできたことだけではないと。社会的な部分の中で、税収であったり、自主財源の確保であったり、そうしたものを進めてきた中で、それが、この後どのようになっていくかまだわからない部分は多々あるということだと思いますので、そうしたことにも注意しながら、さらに進めていっていただきたいと思います。
そうした中で、これから平成29年度の当初予算編成に入っていくものと思いますけれども、震災からの復興がおくれている実感の解消であったり、さらには実質公債費比率のさらなる適正化、そして、台風第10号被害からの復旧、復興など差し迫った課題の中で、知事はどういった思いを予算編成に反映していくお考えかお伺いいたします。
〇達増知事 厳しい財政状況の中ではありますが、東日本大震災からの復旧、復興に係る事業については引き続き最優先で取り組むとともに、いわて県民計画第3期アクションプランを着実に推進する予算として編成する必要があります。
復興については、現在、第3期復興実施計画の方向性でお示ししています参画、交流、連携の視点等を踏まえつつ現在の課題をしっかりと分析し、被災者イコール復興者の視点で、安全の確保や暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に掲げる施策について、事業の具体化を図ってまいります。
第3期アクションプランについては、岩手県ふるさと振興総合戦略を着実に推進するとともに、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功を踏まえた文化、スポーツ施策の展開や、海外市場における県産品の販路拡大や外国人観光客の誘客拡大など、新たに策定する国際戦略の方向性を踏まえた取り組み、若者、女性の活躍の一層の推進や、ILCを初めとした科学技術の振興など、将来的な岩手の豊かさ、つながり、人を育む施策の具体化を図ってまいります。
また、東日本大震災の被災地で発生した台風第10号災害からの復旧、復興など、岩手県が直面する新たな課題についても丁寧に向き合って、県民みんなが希望を持てる予算編成を進めてまいります。
〇郷右近浩委員 今回の台風第10号の被害に対する対応というか、そうした面につきましては県としてきちんと対処していただいているとは思っております。しかしながら、生活の現場を早期に復旧していただきますようよろしくお願いしたいと思います。
そこでなのですけれども、復興の実感というのは、それぞれ皆様方がさまざまな形で受けとめていくものだと私自身も思っております。
その中でも、過日、地元紙に、5年7カ月以上使えなかった校庭の使用を再開した大船渡市の小学校の記事が、子供たちの躍動が伝わる写真とともに、笑顔校庭いっぱいとの見出しで出ておりました。その記事を見て、長期化する応急仮設住宅で暮らしている方々の生活を早期に改善しなくてはならないとともに、子供たちのためにも、いまだ学校の校庭にある応急仮設住宅を早く解消していかなくてはならないという思いを新たにしたところでございます。
県では、平成27年度末で56%の災害公営住宅の整備率を平成28年度末には81%にすると示しております。現時点における応急仮設住宅の供与期間は、野田村が平成29年3月から7月ごろまで、宮古市は平成29年3月から8月まで、まちづくりのおくれなどやむを得ない事情のある方のみ平成30年3月末まで、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市は平成30年3月から8月ごろまでとなっております。
供与期間の期日を控え、今後整備していくものや、これまで整備した災害公営住宅の空き室など、立地やコミュニティー、家賃、持ち家再建の方の宅地整備などのさまざまな問題があることは理解しておりますが、少しでも早く、平成29年度中には全ての応急仮設住宅を解消していかなくてはならないと私は考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
〇達増知事 災害公営住宅は、平成28年度末で約8割、平成29年度末で約9割が完成する見込みでありますほか、防災集団移転促進事業や土地区画整理事業などの面整備事業では、宅地供給予定の全ての区画で着工され、平成29年度末で約8割の宅地が供給される見込みとなっており、恒久住宅が確保され次第、応急仮設住宅から移っていただくこととなります。
一方で、これら住宅関連事業の完成時期が平成30年度以降となる箇所もありますが、被災者の皆さんが一日も早く恒久住宅に移ることができるよう、市町村と連携しながら全力を挙げて取り組んでまいります。
〇郷右近浩委員 そこで、阪神・淡路大震災におきましては、兵庫県では応急仮設住宅を5年で解消しているとのことでありますが、生活再建の方法を決めかねる方も多く、返還に応じない方に対し、最終的には法的措置がとられた例もあったと聞いております。
応急仮設住宅から恒久住宅への移行を進めるためには、住宅再建の意向を決めかねている方が決められるよう支援するとともに、再建の意向と災害公営住宅や供給される宅地との需給バランスを考慮しながら、計画的に、丁寧に進める必要があると考えますが、実態はどのようになっているのかお伺いいたします。
〇木村復興局長 県では、住宅再建の意向を決めかねている方に対しまして、沿岸4地区の被災者相談支援センターに配置しております相談員による相談に加えまして、ファイナンシャルプランナーなどの専門家を派遣して相談に応じているほか、ことし5月にはいわて内陸避難者支援センターを設置いたしまして、内陸や県外に避難している方の相談支援を行っているところであります。今後とも、応急仮設住宅にお住いの方が一日も早く恒久住宅に移行できるよう、引き続き被災者一人一人に寄り添った支援をしてまいります。
また、再建意向と災害公営住宅等との需給バランスにつきましては、災害公営住宅の整備戸数等について、これまでも市町村と随時協議をしながら進めてきており、今後の意向調査の結果も踏まえた上で、引き続き市町村と協議を進めまして、必要な住宅が確保されるよう対応していきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 先ほど、兵庫県の例を出させていただきましたけれども、その兵庫県の法的措置というのは本当に最後の最後であって、ましてや、この岩手で本来はそうしたことがあってはならないという思いであります。そのためにもこれからの時間、きちんと地域の方々と向き合いながら丁寧に進めていっていただきたい。
さらには、小学校のグラウンドをこれから随時どんどん返還していくような形になっていくと思います。その場合、市町村立の学校関係につきましては、今度は運動用具の備品といったものを購入していかなくてはいけないという部分も出てくると思います。そうしたものにもぜひ県として丁寧に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、災害対策に関係してお伺いさせていただきます。
質問に先立ちまして、8月30日、岩手を襲った台風第10号によりお亡くなりになられた方々に改めてお悔やみを申し上げますともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
今回の台風第10号につきましては、太平洋から岩手県に上陸するというこれまでなかったルートを通ることにより、大きな被害を発生させました。近年の災害は、想定外の規模のものや観測史上初といったものが多くなっており、我が岩手県においても、岩手・宮城内陸地震、そして東日本大震災津波を初め、各地で豪雨による被害が出ております。また、近年のゲリラ豪雨については、都会のみならず岩手県においても、都市部の排水機能の脆弱性や山林の治水能力を超える雨量により被害が甚大なものになっており、今後、さらなる河川の管理が必要と考えます。
そこでお伺いいたしますが、県の平成27年度の河川管理の実績を示してください。また、その中で、これまでにも県議会から指摘のあった河川内の立ち木の伐採や河道掘削についてどのように行ってきたのかお示しください。あわせて、この9月定例会に補正予算で19億4、651万円余が、国庫補助にならない県管理河川の河道掘削等の河川改修に要する経費として計上されておりますが、補正前の治水整備事業費12億9、322万円余と合わせて、どこをどのぐらい対応していくのかお示しください。
〇千葉副知事 河川管理についてでございますけれども、平成27年度の河川管理につきましては、県が管理しております全312河川の巡視や水門管理に加えまして、必要な箇所につきましては、立ち木伐採や河道掘削、草刈り等を実施してきたところでございます。
具体的に申し上げますと、河川内の立ち木の伐採や河道掘削につきましては、平成25年の豪雨によります堆積土や流木被害を踏まえて策定いたしました年次計画に基づきまして、緊急性の高い箇所から実施してきたところでございまして、立ち木伐採として約11万6、000平方メートル、河道掘削として約16万2、000立方メートルを処理したところでございます。
また、治水施設整備事業の補正前の予算につきましては、奥州市の岩堰川や西和賀町の和賀川など24河川24カ所を対象に、近年、洪水により被害実績がある区間や資産の集中している箇所において河川改修を実施しているものでございます。
加えまして、今回の補正予算につきましては、台風第10号により家屋や事業所の浸水被害が発生した久慈市の久慈川、岩泉町の小本川、大槌町の大槌川など17河川27カ所を対象に河川改修を実施することとしております。したがいまして、今年度におきましては、一部重複箇所があるため、これらを考慮いたしますと、全県で38河川50カ所の河川改修を実施するものとしております。
〇郷右近浩委員 年次計画を立てて、この間やってきていただいているということであります。ただ、その管理の手法の部分なのですけれども、これまで県におきましては、道路や橋梁、さらには公共施設についてアセットマネジメントの考え方を導入し、施設の維持、修繕を計画的に進めてきたことは承知しております。また、今、年次計画を立ててということではありますが、河川管理の県全体としてのアセットマネジメントはなかったように私は記憶しているわけでありますけれども、この広い県土の総延長2、831キロメートルにも及ぶ県管理の河川を管理するため、立ち木の伐採や河道掘削など、今後、河川内の管理につきましても、このようなアセットマネジメントの考え方をきちんとつくり、取り入れまして、計画的に進めていくべきと考えておりますが、県の考えをお伺いいたします。
〇千葉副知事 河川管理の手法についてでございますけれども、河川内の立ち木の伐採や河道掘削につきましては、ただいま御答弁申し上げましたとおり、年次計画を策定し、実施しているところでございます。
河川管理を効果的、効率的に行うためには、定期的な河川巡視に加えまして洪水後の河川巡視、さらには住民からの情報等を参考にしながら河川状況の把握を行い、それをもとに適切な立ち木伐採や河道掘削の時期と砂利採取業者による採取時期を定めますとともに、状況の変化に応じて、年次計画については、随時その内容の見直しを行ってきているところでございます。
委員から御提言のございましたアセットマネジメントの考え方につきましては、日常的なマネジメント、管理的なマネジメント、経営的なマネジメントということでさまざまな段階がございますが、この考え方は河川管理においても重要であると考えておりますので、中長期的な視点に立ちまして、なお一層、効率的な維持管理ができるよう計画的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
〇郷右近浩委員 今後、さらに計画的にといいましても、河川は、そのとおり急に暴れ出す川があったりします。非常に難しいということはわかりますけれども、ぜひとも、そうした計画を修正しながら、またさらに進めていっていただければと思います。
そこで、河川内の立ち木の管理手法についてなのですが、先般、国土交通省岩手河川国道事務所が、河川区域内に生い茂っている樹木につきまして、公募により、希望する企業、団体、個人に伐採してもらい、その伐採した樹木を持ち帰って利用してもらうことにより、伐採費用や樹木の処分費の削減と伐採木の有効利用を図る取り組みを行っております。
これまでも、伐採については国土交通省のほうではやってきたものではありますけれども、今回は伐採木の販売を自由としたことで、個人、企業を含む4名の方々が伐採を行っており、作業していただいている方々は、家や店のまきストーブのまきにする方や製紙業者に販売するとの方もいて、山で切り出し作業をするよりもずっと安全で、道路からも近いので便利であるなどと好評であるとのことであります。
私は、県管理の河川においてもこのような手法も取り入れ、コストの縮減を図りながら河川環境の整備を進めれば、より多くの場所を整備することができるものと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇千葉副知事 河川環境の整備についてでございますけれども、現在、県管理河川における立ち木伐採につきましては、河川管理者が行いますほか、市町村を通して地元自治会に委託している場合や、住民等の伐採希望により実施している場合と、さまざまな手法で対応を行っているところでございます。
今後におきましては、委員から御紹介がございましたような国が行っております公募による樹木伐採の取り組みにつきましても、コスト縮減等の一つの手法として大いに参考になりますことから、県としても活用を検討したいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 河川内の管理につきましては、決められた予算の中で、これまでなかなか思うように進まなかったというところもあると思います。災害があったり、何か問題があったときに、場当たり的にやってきた部分、さらにはそこからの計画ということで進めてきた部分であると思っておりますので、限られた予算を有効に使うという意味でも、さまざまな方策を考えたり、また取り入れながら進めていっていただければと思います。
次に、岩手国体関連についてお伺いいたします。
改めて、平成27年度末からの完全国体を、県民の思い、力を結集し、すばらしい結果で終えることができましたことについて、知事の御所感をお伺いいたします。
〇達増知事 県民の熱い声援を受けながら、岩手県選手団は天皇杯、皇后杯ともに第2位という栄誉をかち取ることができ、県民全ての輝かしい成果として誇らしく感じているところであります。
総合開会式などでは、被災3県合同合唱団による合唱、都道府県応援団や復興支援感謝団による応援や歓迎、県内各地でのおもてなしの取り組みは、全国の方々から高い評価を得たところであります。
広げよう感動。伝えよう感謝。のスローガンのもとに開催した今回の国体は、スポーツの感動を岩手から全国に広げ、感謝の気持ちを伝えることができ、成功裏に終えることができたと考えております。
こうしたことは、県民が力を合わせて岩手のスポーツの力を最高度に高め、開閉会式や文化プログラム事業で岩手の文化を花開かせ、準備段階も含め多くの県民の皆さんにさまざまな形で参加いただくなど、まさにオール岩手の力を結集したことでなし遂げた大きな成果にほかならないと考えております。
〇郷右近浩委員 今回の国体でありますけれども、私も、地元を含めさまざまな競技会場に応援に伺わせていただきましたが、それぞれの会場において、各競技団体の方々や、県、市町村職員の方々を初め多くのボランティアの方々が一緒になって運営しており、日本中から来た選手、観戦に来場された方々に対して、岩手県民らしいおもてなしの心が見えるすばらしい大会になったと思っております。関係した皆様におかれましては、本当に御苦労さまでございました。
さて、そこで、国体関連についてお聞きしてまいりますが、これまで県内では岩手国体に向けて競技力の向上のため力を注いできており、平成27年度においても、第71回国民体育大会選手強化事業費に4億3、700万円余、競技力向上対策事業費1億1、900万円余、スポーツ健康科学サポート推進事業費1、900万円余を充てておりますが、平成20年度より行ってきたこれらの施策の成果を知事はどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 希望郷いわて国体の選手強化に当たりましては、組織の拡充、強化、指導体制の確立、選手の育成、強化、医・科学サポート体制の拡充を国体選手強化の4本柱として取り組んでまいりました。
その成果としては、東日本大震災津波の発災により、平成23年度からの強化予算を抑制せざるを得なかったことや十分な強化期間が確保できなかったという状況の中、平成27年度からの予算の拡充を踏まえ、各競技団体などが強化事業に意欲的に取り組み、天皇杯、皇后杯順位ともに第2位を獲得し、第71回国民体育大会強化委員会の目標とした天皇杯順位8位以内の入賞をすばらしい成績でなし遂げることができました。
また、これまでの強化事業を通じて、各競技団体において選手強化に向けたノウハウの蓄積や指導者の育成が図られましたことに加え、チーム岩手として力を結集して取り組んだ経験なども大きな成果であると捉えております。
県といたしましては、来年以降の国体などにおいても、これらのレガシーを十分に生かしていく考えであります。
〇郷右近浩委員 今、国体強化の4本柱ということで御答弁がありました。その中で、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業においては、昨年の国体、そして今国体においても、自転車競技やカヌー競技等において修了生が活躍し、これまで行ってきた成果が出てきたものと思いますし、昨年からは募集対象を小学4年生からと拡大し、5年間という育成期間となっている中、目標は2020東京オリンピック出場という子供たちもいると伺っておりますが、このスーパーキッズ事業やスポーツ医・科学事業の取り組みを、これから県はどのようにしていくお考えかお伺いいたします。
〇達増知事 希望郷いわて国体におきましては、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業の修了生から入賞者10名を輩出いたしました。これは、アスレティックトレーナーによるトレーニング指導やコンディショニングのサポートなど、スポーツ医・科学事業との緊密な連携、協力のもとになし遂げられたものでありまして、あわせて、修了生の中からは、スキー競技や陸上競技などにおいて国際大会で活躍している選手や、各年代の日本代表候補に選抜される選手も出始めています。
このスーパーキッズ事業に対しては、参加した子供たちや保護者を初め競技団体など多くの皆様から高い評価をいただいておりますので、今後におきましては、スポーツ関係者等との連携のもと、スポーツ医・科学理論に基づくサポートなど事業内容の一層の充実を図り、この岩手の地から全国の舞台やオリンピック等の国際舞台で活躍するトップアスリートの輩出を目指してまいります。
〇郷右近浩委員 知事は、本年2月定例会一般質問で、この希望郷いわて国体、希望郷いわて大会で得る財産は何かという私の質問に対して、スポーツ医・科学も取り入れた競技力の向上、スポーツへの関心の高まりと県民の健康増進、文化プログラムや国体・大会プラスの取り組みなどによる地方文化芸術の振興や地域振興、岩手の魅力の発信や、岩手ならではのおもてなしによる岩手ファンやリピーターの増加、競技会場や宿泊施設のバリアフリー化によるユニバーサルデザインの進展などが挙げられます。こうしたこととあわせ、両大会を経験することで生まれる自信や地域への誇りなど、県民意識の高まりが岩手の未来をつくる財産となると考えておりますとの答弁をされておりましたが、しっかりとした財産をつくることができたとお考えか、御所感をお伺いいたします。
〇達増知事 今回の国体、大会では、県民の熱い声援を力に本県選手団はすばらしい成績をおさめることができ、また、伝統芸能を初めとする岩手の文化芸術、開閉会式会場や各会場での心のこもった応援やおもてなしは、岩手のよさとして全国の方々から高い評価をいただくなど、さまざまな財産が得られたところであります。
さらには、競技力の向上や、スポーツが生み出す感動を直に感じたことによるスポーツへの関心の一層の高まり、伝統芸能や障がい者アートを初めとした岩手の文化芸術に対する評価の高まり、大会運営や選手団サポートなど多くのボランティアの参加によるボランティア意識の一層の高揚、障がいのある人もない人もともに支え合う共生社会への意識の高まりなども挙げられるところであります。
東日本大震災津波からの復興や台風第10号の復旧に全力で取り組む中、オール岩手で両大会を成功に導くことができましたことは、県民が自信や誇り、そして希望を持つことにつながったところでもあり、こうしたことが未来に引き継ぐべき財産としてしっかりと残されたと考えているところであります。
〇郷右近浩委員 本当に大きな財産を得たものと思います。この財産を大切にしながら、また、これからの岩手のために生かしていっていただければと思います。
次に、岩手の米戦略についてお伺いいたします。
日本穀物検定協会が行った2015年産米の食味ランキングにおいて、参考品種として出品され、本県オリジナル品種初の特Aの評価を受けた銀河のしずくでありますが、ことしの秋に市場デビューし、高い評価を受けていると聞いております。確かな栽培技術に裏打ちされた極めて高品質の米であるのはもちろん、平成27年4月にモデル圃場を設置するとともに栽培研究会を設立し、産地計画や作付農家の選定、栽培説明会を行うとともに、品質目標を達成した銀河のしずくの出荷と、栽培技術向上のため作付対象JAへ食味計の導入を支援するなど、ブランド化、そして名称、ロゴをつくるに当たってのイメージ戦略、平成27年11月からは、米卸売業者やお米マイスター等へサンプル米を提供しての評価と取引の意向把握、お米マイスター全国ネットワーク研修会での銀河のしずくのプレゼンテーションの実施など、開発にかかわってきた県の生産、流通関係者の取り組みが実を結んだ結果であると思っております。本当にお疲れさまでした。
さて、その銀河のしずくの現在の評価、そして販売状況はどのようになっているのかお伺いいたします。また、今後、量産体制を整え取引を拡大していくわけでありますが、今後の作付面積や、徹底していかなければならない品質管理をどのようにしていくのかお示しいただきたいと思います。
〇杉村企画理事 銀河のしずくの評価等についてでありますが、銀河のしずくは、県内では10月4日、県外では10月7日から販売を開始いたしましたが、お買い求めいただきました消費者の皆様からは、食味や品質に対し大変高い評価をいただいております。
また、首都圏の有名米穀専門店では特Aコシヒカリを上回る価格で取引されており、販売開始から一月で既に全体の約4割が販売され、年内には完売が見込まれるなど、評価は確実に高まっているものと感じております。
銀河のしずくの生産、販売の拡大に向けましては、高い品質や食味を維持、安定させ、日本穀物検定協会が実施しております米の食味ランキングで特A評価を定着させることなどにより、米卸売業者、小売店、消費者等の信頼をかち取ることが何よりも重要であると考えております。
このため、本年2月に策定いたしましたいわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、品質管理につきましては、作付農家の選定基準を満たす生産者を登録し、栽培マニュアルの厳守を徹底するなど、品質目標を達成した米だけを出荷する体制を強化するとともに、作付面積につきましては、地域ごとに設置する栽培研究会の活動などを通じ、今後、作付農家をさらにふやし、ことしの146ヘクタールを、平成29年には1、000ヘクタール、平成32年には1万ヘクタールまで拡大することとしております。
〇郷右近浩委員 これから拡大はもちろんしていくというわけであります。お聞きしたかったところの一番の部分は、やはりどんどん拡大していくときに、そのときの品質管理ということは、本当にこれまでよりもさらに気を使わなければいけないところでしょうし、これまでの取り組み以上のものを求められてくると思っております。そうしたものをきちんとやっていきながら、ブランドというものを、そうした意味ではまだ1年、生まれたばかりのブランドでございますので、きちんと育てていっていただきたいと思います。
そして、今後、岩手県におきましては、平成29年秋に岩手118号をデビューさせるわけでありますけれども、1年の差があるとはいえ、同時期に2種類のオリジナル品種の米を出すことに対しまして市場がどのような反応を示すか、個人的には物すごく不安を感じるものであります。両方とも中途半端になるというか、そうしたことはもちろん決してないようにと思っているわけでありますけれども、岩手118号につきましては、どのようにデビューさせ、そして、二つのブランド米を売り出していくお考えなのかお伺いいたします。
〇杉村企画理事 二つのブランド米についてでありますけれども、国内最高水準の品質と食味を備えました岩手118号につきましては、来年秋のデビューに向けまして、12月に東京銀座におきまして、名称、ロゴマーク発表会を開催し、来年1月には、盛岡市内のホテルにおきまして、生産販売関係者が一堂に会してのキックオフイベントを開催するほか、来年秋には、首都圏において販売開始イベントを開催し、実需者等の注目度や消費者の認知度を高め、全国5位以内の相対取引価格を目指し取り組んでいくこととしております。
一方、ことしデビューいたしました銀河のしずくでございますが、これにつきましては、白くて軽やかな食感のお米を求める消費者を主なターゲットとしておりまして、マスメディア等を活用した情報発信を強化しながら、洗練されたおしゃれなお米というブランドイメージを定着させ、引き続き、大消費地の米穀専門店やお米にこだわる飲食店等の開拓、拡大に取り組んでまいります。
今後、岩手118号と銀河のしずくの販売に当たりましては、それぞれ別々の個性、特徴がございますので、これらに応じました販売ターゲット等のすみ分けを図りまして、その魅力を広くアピールしながら、一体的にブランド化に取り組んでまいります。
〇郷右近浩委員 どうもそこの差異というかがちょっとわからないような部分もありますけれども、しかしながら、これは、同時期になったとはいえ、この二つの米は、本当に両方ともすばらしい特性を持って、もちろん販売ターゲットというか、そうしたところもこのように変えていくわけでありますので、ぜひ、きちんと取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、介護の現状についてお伺いいたします。
この間、国は、ふえ続ける介護保険の費用の抑制のため、平成27年度の介護報酬改定において介護報酬を全体で2.27%引き下げるとともに、平成27年4月から特別養護老人ホームの入所条件を原則要介護3以上の高齢者とし、在宅介護を進めるべく要介護度1、2の方々の入所を原則できなくしたことで、認知症や家族による支援が困難な場合など特別な事情がなければ、要介護度が低い高齢者は入所が難しい状況になっております。
また、特別養護老人ホームについては、これまでも高齢化に伴って伸び続けるニーズに施設整備が追いつかず、入所を申し込んでも入れない多くの待機者が入所待ちをしている状況が続いております。
県はこれまで、消費税増税分をもとにした地域医療介護総合確保基金等を使い施設整備を進めておりますが、県内においての入所申込者は4、406人で、うち1、410人が自宅で入所待ちの状況であり、このうち早期入所が必要な方が893人に上るとのことであります。
そこで、県は、施設整備についてどのように考えているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 特別養護老人ホームの整備についてでございますけれども、市町村におきましては、中長期的な人口動態やサービス受給の見込み、入所待機者の状況等を踏まえまして介護保険事業計画を策定しておりますけれども、現行の第6期計画におきましては、施設サービスや居住系サービスなどの各種介護サービス量の増加が見込まれますことから、これに対応すべく特別養護老人ホーム991床の開設のほか、介護老人保健施設293床、認知症グループホーム347床の開設が見込まれているところでございます。
委員から御指摘のございました早期に入所が必要と判断されます在宅の待機者893人の方々への対応について申し上げますと、今年度から平成29年度末までに新たに特別養護老人ホーム計画のうちの771床の開設が見込まれておりまして、また、同時期に認知症グループホーム333床の新規開設も見込まれておりますことから、これらを合わせて、一定の対応が可能になるのではないかと考えているところでございます。
いずれ、県におきましては、今後とも、市町村が計画に基づいて行います各種介護サービスの基盤整備に対し補助を行うなど、サービス提供体制の強化を支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 第6次計画の平成29年度末には、そうしたことで、今の待機者に対してある程度の受け皿を準備することができるとお聞かせいただいたものと思いますが、私自身も、基本的にはさらなる施設を整備していただきたいと思いますし、そうしたことで、みんなが入れるような環境をつくっていただきたいと思っているものであります。
しかしながら、現状でも、介護職員の不足から、定員どおりに入所者を受け入れることができない施設が出てきており、施設を整備するためにも、介護人材の育成と、そのための介護職員の待遇改善が必要だと考えるところでございます。
介護の現場に人が来ない、このようなことが言われるようになって10年近いでしょうか。介護職の不人気は、介護福祉士の養成校にもあらわれており、年々加速する志願者の定員割れに、養成校の福祉コースが存続の危機と言われております。
本年の県内介護福祉士養成校の卒業生は4校合わせて150名ほどで、来年3月の卒業生は100名ほどと聞いております。そうした中において、県が、卒業後、県内で5年間働くと返済が免除になる奨学金を創設して、県内での就業者の確保対策を図っていることは評価するものでありますが、最近では、県内市町村がそれぞれ独自の奨学金制度を始め、県内においても囲い込みが始まっております。
単純に今の特養の施設基準の利用者3名に対して介護者1名、いわゆる3対1という基準に照らせば、早期入所が必要な方893名の受け皿をつくるのに300名ほどの介護職員が必要で、介護の仕事を志し、県内の養成校に入る方が年100人を下回る現状では、全ての卒業生が県内事業所に就業しても受け皿の環境ができるのに3年以上かかる計算になり、志を持って介護職を目指した方々の低賃金、重労働の今の環境を変え、魅力のあるものにし、介護を仕事とする人材をふやしていかない限り、待機者は解消しないものと考えます。
国では、平成27年度の介護報酬改定で介護職員処遇改善加算を拡充し、従来からの職員1人当たり月額1万5、000円相当の加算に加え、新たに1万2、000円相当の加算を新設するとともに、平成28年8月に閣議決定した未来への投資を実現する経済対策により、平成29年度から月額平均1万円相当の改善をすることとしておりますが、それでもまだまだ十分とは言えず、ましてや介護報酬が下がったことで、本来職員の病欠や妊娠等に備えて法律で決められた基準以上の余剰人員を確保することや、ふえ続ける事務量に対応する事務職、介護職以外の職員を育てようとしてきた事業所、昇給のある正社員比率の高いまじめな事業所ほど、施設の運営も大変になってきている現状であります。
また、この平成29年度からの月1万円相当と言われる加算を受けるためには、施設に対して、介護職員がキャリアアップするための講習会等への出席を義務づけるのではないかとも言われ、ただでさえ人手が少なく、やり繰りが大変な環境が、さらに大変な状況になるのではないかと危惧しております。
県は、介護職員の人材不足をどのように考えているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 介護職員の人材不足についてでございますけれども、本年8月の県内の有効求人倍率は、全産業の1.24倍に対しまして、介護職では2.14倍となっており、人材不足が極めて顕著な状況にありますことから、委員御指摘のように、介護サービス提供体制を確保していくためにも、人材確保対策にこれまで以上に積極的に取り組んでいく必要があるものと考えております。
介護人材を確保し、定着させていくためには、幅広い年齢層からの新規参入の促進とともに、現在勤務している職員の方々の賃金や労働条件等の処遇改善が必要と考えているところでございます。
このため県におきましては、新規参入の促進につきましては、県内各地に介護人材キャリア支援員7人を配置いたしまして、介護人材の新規参入や潜在的有資格者の掘り起こし、求人、求職のマッチング支援などを行っておりますほか、介護の仕事のイメージアップを図るために、昨年度、介護の仕事の魅力を発信するテレビ番組の制作、放映も行いましたが、今年度も、これに加えましてフリーペーパーの作成等も行うことといたしております。
あわせて、県の財政支援のもと、先ほど御紹介がございましたが、岩手県社会福祉協議会で実施しております介護福祉士等修学資金の貸付制度の中に、今年度から、離職した介護人材を対象といたします再就職準備金を創設することとし、現在準備を進めており、近日募集を開始する予定といたしております。
また、介護職員の処遇改善につきましては、昨年4月の介護報酬改定において処遇改善加算が拡充されたところでございまして、県では、労働環境整備・改善セミナーを開催しまして、加算の活用を働きかけてきているところでございます。
このような取り組みなどによりまして、本年10月時点の処遇改善加算届け出率は88.8%と前年同期よりも2.8ポイント上昇しておりまして、県内での加算取得が進んでいるところでございますが、介護労働を取り巻く厳しい環境に鑑みまして、介護従事者に対する一層の処遇改善を図るため、県では、適切な水準の介護報酬を設定するよう国に対して要望しているところでございます。
加えまして、この介護人材不足への対応は、県のみならず、事業者、関係機関、団体、市町村等それぞれの取り組みが重要でありますことから、県におきましては、地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、介護の仕事への理解を促進する事業や介護従事者のキャリアアップ研修等の実施に対して補助を行うことにより、関係団体や市町村の主体的な取り組みも支援しているところでございまして、今後とも、関係団体等と連携して介護人材の確保に取り組んでまいります。
〇郷右近浩委員 本当にこの介護の現場に人が来ない、と言われるようになって10年という話をしましたけれども、それまでは、介護職というものが新しい産業のように一時期華々しくもてはやされた時期があって、さまざまな学生なども、養成校のほうに進んだりということで、介護の現場がこれからさらに広がっていくというか、お互いにとっていいものになっていくようなイメージがあったわけでありますけれども、その部分が現在は、本当に行きたくない職場というか、逆に言うと、もう高校の先生等でも、もしかすると余り勧めないような職種になっているのではないかと思います。
しかしながら、今お話があったように、以前に介護職という形で働いていた方で、今、休まれている方が、新たな今回の県が進めるような形の中で、また現場のほうに出てきていただくと。そのためには、もちろん魅力をつくっていかなければいけないということでありますので、どうか、さらによろしくお願いいたしたいと思います。
そして、介護保険料について今度はお伺いしたいと思うのですが、介護保険料につきましては、市町村ごとに定められているわけでありますけれども、施設をつくって、利用者がふえれば、介護保険料の増加につながると、当たり前の話であります。それで、この部分についてですが、現在、県内で一番高い保険料は盛岡市の月6、174円で、一番低い遠野市の月4、995円と比較すると月額1、179円、年額にすると1万4、200円ほどの差が生じております。
私もさらなる施設整備を願うと先ほど話をしたわけでありますけれども、しかしながら、現在の介護保険の費用負担方式では、施設をつくって、利用者がふえれば、介護保険料の増加につながるなどの課題があることから、県は、国に対して、介護保険料や介護報酬のあり方に関して抜本的な見直しを求めていくべきと考えますが、県の考えをお伺いいたします。
〇千葉副知事 介護保険料等のあり方についてでございますけれども、高齢化の進展に伴います介護サービス受給者の増加や、あるいは介護基盤整備の進展によりまして、介護給付費全体が増大し、地方公共団体の介護保険財政を圧迫することが極めて憂慮されているところでございます。保険料の上昇抑制や保険者における給付費負担増大への対応が必要であると考えているところでございます。
したがいまして、県では、国に対しまして、これまでも保険料の上昇抑制のための支援策並びに公費負担割合の見直しを要望しているところでございまして、今後とも、引き続き国への働きかけを強めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 よろしくお願いいたします。
今回、介護報酬改定の方向の一つとしまして、認知症に対する施策というものが新たに拡充されております。この認知症施策についてお伺いしていくわけでありますけれども、中重度の要介護者や認知症高齢者になったとしても、住みなれた地域で自分らしい生活を続けられるようにする地域包括ケアシステムの基本的な考え方を実現するため、引き続き在宅生活を支援するためのサービスを図るとしております。
平成27年1月に策定された認知症施策推進総合戦略は、新オレンジプランと呼ばれるものでありますけれども、我が国の認知症高齢者は2025年には約700万人となり、65歳以上の高齢者の約5人に1人が達すると言われており、認知症は、誰もがかかり得る身近な病気であると言えます。
本県の認知症高齢者は、平成28年3月末現在で約4万5、000人となっており、いわていきいきプランによると、平成37年には約5万6、000人になると見込まれております。
県では、本年4月に2カ所の認知症疾患医療センターを設置しておりますが、今後、認知症の方の在宅生活を支えるため、どのようなことに取り組んでいかれるお考えか、お伺いいたします。
〇千葉副知事 認知症の方の在宅生活を支えていくためには、認知症を早期に発見し、早期に適切な医療や介護サービス等につなげる仕組みづくり、あるいは住民組織や関係機関等の連携によります地域の見守り体制の構築が重要であると考えております。
このため、県におきましては、認知症の方の診療に習熟し、かかりつけ医への助言等の支援や、専門医療機関や地域包括支援センター等との連携の推進役となります認知症サポート医を養成し、サポート医と医療、介護の専門職が連携いたしまして、認知症の方やその御家族への初期対応を担う認知症初期集中支援チームの市町村への設置を促進しているところでございます。
また、市町村に配置され、医療や介護などの関係機関の連携体制づくりや住民への相談支援等を担います認知症地域支援推進員の養成を進めておりますほか、徘回する認知症高齢者を早期に発見し保護するため、関係機関、組織等で構成いたしますSOSネットワークが構築できるよう、市町村に働きかけているところでございます。
これらに加えまして、本年4月には、委員からも御紹介がございましたけれども、認知症疾患医療センターを2カ所追加指定いたしまして、計4カ所とし、医療相談や鑑別診断などに対応できる専門医療提供体制の充実を図りましたほか、医療従事者と地域包括支援センター等との連携による早期発見、早期対応に向けた仕組みづくりを進めるため、医療従事者向けの認知症対応力向上研修を拡充しているところでございます。
県では、引き続き、認知症の方の在宅生活を支えるために必要な医療や介護等の人材の養成を図り、市町村の取り組みを支援いたしますとともに、地域の実情に応じた認知症対応型通所介護などの専門的介護サービスの確保につきましても、積極的な対応がなされるよう助言していきたいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 認知症に対する施策については、国でも今回、平成27年度改定からさらに力を入れるといったような形でやっていただいておりますので、ぜひ国と一緒になりながら、県としての意見であったりをさらに言っていただきながら進めていっていただきたいと思います。
ただ、反面、私自身がちょっと残念なのは、要介護度1、2の方々が、なかなか施設に、特養であったりに入れなくなったと。要介護1、2は在宅でといった国の方向性であるにもかかわらず、認知症のほうは、そうしたことで、さまざまこういうことをやっていこうということでいろいろなものが出てきております。しかしながら、それ以外の方々に関しては、国のほうでまだはっきりとした方針ができていないと。要介護1、2の受け皿をどこにするのだといったようなものが出ていない。
また、この認知症の部分についても、私個人としては、施設入所がどうしても必要な方々については、ぜひとも受け入れるような、特養であったりそうしたものは門を閉ざさないようにすべきであると思うわけでありますけれども、そうした全体像の中で、もちろん認知症の部分についても、これからもさらに考えていっていただければと思うところでございます。
次に、欧州市場への展開についてお伺いさせていただきます。
経済活動のグローバル化がますます進展する中、県産品の海外への販路拡大について、これまで県では、多くの人口を有し、経済発展により購買力の高まる中国を初めとした東アジア諸国を重点地域として取り組み、上海万博への出展を契機とした南部鉄器等県産品の輸出拡大など、精力的なトップセールスの成果が上がっているものと承知しているところであります。
さらに、県では、県産品の販路拡大のみならず、インバウンドの促進も見据えて、平成27年度にミラノ国際博覧会に出展するなど欧州市場での展開も進めているとのことで、さらなるビジネスチャンスの拡大を期待しているところであります。
そこでお伺いいたしますが、県では、ミラノ国際博覧会を初めとして欧州市場における販路拡大等に向けた情報発信を進めていることと思いますが、これまでの欧州展開の状況についてお伺いいたします。
〇杉村企画理事 これまでの欧州での展開の状況についてでありますが、欧州市場は、和食文化等の日本の伝統文化に対する関心も高く、有望な市場であると認識しているところであります。
県では、平成26年度にコルマール旅行博覧会、平成27年度にはミラノ国際博覧会及びミラノ酒フェスティバルに出展いたしまして、知事によるトップセールス等により、県産品や観光情報などの岩手の魅力を強力に情報発信するとともに、現地のキーパーソンや関係機関等とのネットワークを構築してきたところであります。
〇郷右近浩委員 さらに今年度につきましては、地元紙によりますと、イタリアのミラノ酒フェスティバルへの出展や、最近では、岩手の酒と器、フランスでPRとの見出しで、フランスのコルマール市で開催される国際旅行博への出展などが紙面を飾っているところであります。その実施状況についてお伺いいたします。
〇杉村企画理事 昨年度までの出展を踏まえました今年度の出展の実施状況についてでありますが、10月9日から10日にかけて、欧州における県産日本酒の販路拡大を図るため、イタリアミラノ市で開催されたミラノ酒フェスティバルに出展いたしました。
来場者へのアンケート調査によりますと、県産日本酒の評価はかなり高く、イタリア人の味覚にも十分通用するとの感触を得たところです。
また、仕入れの可能性については、ぜひ仕入れたいとの回答が多くあり、今後のプロモーション及び価格次第では、取引につながる可能性が十分あるとの感触も得たところです。
また、11月11日から13日には、フランスコルマール市で開催されたコルマール旅行博覧会に、県内四つの酒蔵、漆職人とともに出展し、県産日本酒と漆器の認知度向上やインバウンドの促進に向けた情報発信を展開したところです。
なお、コルマール旅行博覧会への出展に当たりましては、日本とフランスのアルザス地域圏を中心とした欧州との経済、学術及び文化交流を推進しておりますアルザス欧州日本学研究所の全面的な協力をいただいたところであり、今後の展開に向けて、研究所と県及び出展者との意見交換の機会も設けることとしております。
〇郷右近浩委員 今回のコルマールの件でございますけれども、この分につきましては、岩手県単独での出品ということであります。そこでですけれども、欧州市場への展開について成果を上げていくためには、単発ではなくて継続性を持った取り組みが必要であると考えるところでありますが、今後の進め方についての御所見をお伺いいたします。
〇杉村企画理事 今後の展開についてでありますが、今後は、これまでの取り組みで構築してきた欧州でのネットワークを最大限に活用し、県産品の販路開拓につなげていくとともに、県産品をフックとしたインバウンド促進など、交流人口の拡大や経済交流の進展につなげていきたいと考えております。
また、事業展開に当たりましては、それぞれの出展の効果を検証していくとともに、アルザス欧州日本学研究所等の関係機関との連携をさらに深めていくことにより、いわてブランドの確立に向けた取り組みを継続してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
そこでですが、知事におかれましては、平成19年知事就任直後から、県産品の販路拡大、観光客の誘致などを目指し岩手を丸ごと売り込んでいく、本県経済の活性化を図るには海外との経済交流が重要と話し、国内外にて岩手の農水産物、県産品のPRや販路拡大、また現地ニーズに対応したビジネスマッチングの支援に努めてこられております。
平成27年度には六つの国、地域において、八つの商談会、フェアに出展、参加するなど、自身のトップセールスを含め精力的に展開されてまいりましたが、今後、さらに岩手を売り込んでいっていただきたいと私は考えるものでありますが、知事の考えをお伺いいたします。
〇達増知事 今後は、成長が見込まれる海外市場において、海外からの誘客を拡大するとともに、県産品の販路を拡大して、より多くの外貨を獲得していくことが重要であると認識しております。
昨年4月、いわてまるごと売込み推進本部を設置して、対外的売り込み活動に係る施策情報を共有するとともに、部局横断的な取り組みを戦略的、総合的に推進し、相乗効果が発揮されるよう取り組んでいるところであります。
これまで、アジア地域や欧州、米国において、万国博覧会や各種商談会、フェア等に参加し、本県が全国に誇る豊かな自然や歴史文化、特色ある伝統工芸や食文化など、本県の多彩な魅力を直接現地の方々にPRしてきたところであります。
トップセールスは、各分野のキーパーソンに効果的に本県を売り込むことができるとともに、現地の生きた情報を得る貴重な機会でもあると感じております。
現在、欧州市場も含めた海外展開に関する国際戦略を検討中でありまして、今後は、市場の特性に応じて戦略的に各種プロモーションを展開し、特に重要な市場については、積極的にトップセールスを展開していきたいと思います。
〇郷右近浩委員 これでまたヨーロッパにさらに食い込んでいくというか、そうした中にありまして、なかなか遠い場所であり大変な部分でもあるかと思いますが、ぜひ今後とも進めていっていただければと思うところでございます。
次に、ILCの推進についてお伺いしてまいりたいと思います。
県では、平成25年8月の国内候補地の北上サイト一本化決定を受け、平成26年度から科学ILC推進室を設置し、関係者と連携しながらILCの実現に向け積極的に取り組んできていると認識しております。
世界の研究者を初め、国や自治体、各団体などがさまざまな活動を行っている中で、まずは国の動きについてお伺いいたします。
〇達増知事 国においては、平成25年5月に日本学術会議に審議依頼をして、同年9月に回答を受け、平成26年5月に有識者会議を設置してILCについて具体の議論を開始しました。
同会議には、素粒子原子核物理作業部会と技術設計報告書検証作業部会の二つの部会を設けて、素粒子の部会では8回、技術の部会では6回の会議を経て、平成27年6月に中間取りまとめを行いました。
そして、同年11月には、三つ目となります人材の確保・育成方策検証作業部会を設けて議論を進め、平成28年7月には人材部会の取りまとめも行いました。
このようなことから、国として検討すべきおおむねの方向性が見えてきたと考えているところであります。
〇郷右近浩委員 今、知事からお話があったとおり、平成27年度は国が有識者会議を設置して2年度目となって、そして、6月25日の第4回会議では、中間取りまとめとして三つの提言を出しております。その内容につきまして要約いたしますと、一つ目は、国際協力を進めること、二つ目は、CERNでの2017年末までの研究を見きわめること、三つ目は、国民や他の研究者の理解を得ることと言えると思います。
この内容は国の基本的な考えにも通じるものと考えられますが、県は、この提言をどのように受けとめ、対応を進めてきたかお伺いいたします。
〇達増知事 国の有識者会議の提言は、有識者会議として一定の取りまとめを行ったものであり、国として議論が着実に進んでいるものと考えております。
提言は文部科学省に対して行われたもので、その内容も、我が国がこれまで経験したことのない大型の国際プロジェクトとして検討すべき事項が整理されたものと認識しています。
県においても、本提言に沿った国等への要望を行っているとともに、関係団体と提言の趣旨を共有し、連携した取り組みを進めているところです。
具体的には、国際協力については、超党派の国会議員で構成される議員連盟が先導的に活動する中、本年2月の訪米に際して、岩手県立大学学長や地元経済界の代表が参加し、本県の熱意を直接伝えたところであります。
2017年末と初めて年限が示されたことから、平成27年度には、東北として準備を進める母体としての東北ILC準備室や、本県の活動拠点となる岩手ILC連携室の設置のための調整を進め、本年6月にそれぞれスタートしたところであります。
さらに、国民理解の増進にも努めることについては、首都圏イベントでのILCのPRなど、本県としても提言に沿った取り組みを行ったところであります。
〇郷右近浩委員 私も年限を区切られたと理解しております。ただ、逆に言うと、2017年末までは余り積極的なものが出てこないのかというような思いも持っているところでございます。
ただ、とはいえ、やはりきちんと建設候補地として準備は進めていかなくてはならない。それも含めてきちんと要素としてつくり上げていかなければいけないと思っているわけでありますが、そこで、建設候補地の岩手としての取り組みについてお伺いしてまいりますが、ILCの実現のためには、県民を挙げて取り組むための普及啓発、多くの外国人を受け入れるための医療や学校などの環境整備、素粒子物理学の研究成果の産業化への取り組みなど、さまざまな準備が必要と考えます。
そうした中、平成27年度は、県立大学の学長に高エネルギー加速器研究機構の機構長であった鈴木厚人氏を迎え、庁内に設置した四つのワーキンググループ、医療、子弟の教育、まちづくり・インフラ、産業においては、受け入れの課題の抽出を行ったと聞いております。
早急に取り組むべきこと、中長期で検討すべきことなど時間軸も考えた対応が必要と考えますが、こうした状況を踏まえ、平成27年度は特に何に重点的に取り組み、今後どのような展開を考えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 平成27年度は、先ほど申し上げましたように、東北としての体制整備に向けた取り組みを進めましたほか、庁内ワーキンググループにおいて、外国人の受け入れに当たっての課題抽出等を行いました。
その中で、自動車、半導体など、ものづくり産業の集積を生かした取り組みとして、加速器関連産業が新たな産業の柱となるよう、いわて加速器関連産業研究会を立ち上げたところであります。
また、海外への情報発信を行うために、インターネットを活用した海外向け情報紙THE KITAKAMI TIMESを創刊し、現在まで毎月発行しております。
さらに、これまで行ってきた北上サイトの地質調査結果も、国際設計の議論に具体的に反映されたところであります。
今後は、これまでの本県の取り組みを生かしながら、東北ILC準備室の活動に積極的にかかわり、本県と東北の方向性を一にしてILC実現を目指してまいります。
〇郷右近浩委員 CERNでの2017年末までの研究を見きわめること、ここの部分については、本当にさまざまな思いを持って提言を拝見させていただいたものでありますけれども、平成25年5月に、文部科学省からILC計画の学術的意義や課題等について審議を依頼した日本学術会議が、2から3年かけて集中的な調査、検討を進めることとの提言を受け、平成26年5月に有識者会議が設置されてから既に2年半がたちました。
ILCの実現は、言うまでもなく岩手の未来を築くものでありますので、岩手の未来に期待して私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、高橋孝眞委員。
〔高橋孝眞委員質問者席に着く〕(拍手)
〇高橋孝眞委員 自由民主クラブの高橋孝眞です。
冒頭、このたびの台風第10号によりお亡くなりになられました皆様にお悔やみ申し上げますとともに、被災されました皆様にお見舞いを申し上げます。
県においては、先般成立した補正予算を速やかに執行し、一日も早い被災地の復興に尽力されるようお願い申し上げます。
では、会派を代表して、平成27年度決算等について、順次質問をしてまいります。
まず、幸福度について伺います。
県では、さきに策定した第3期アクションプランの冒頭において、県民の幸福を追求する自治体として、岩手ならではの豊かさに着目し、これまでの政策評価に新たな視点として幸福に関する指標を導入していくための研究、試行に取り組むとしており、現在、岩手の幸福に関する指標研究会の中間報告がなされています。
これに先立って行われた平成28年県の施策に関する県民意識調査では、主観的幸福感に関する調査が初めて行われたところですが、この調査によりますと、県民の主観的な幸福感について、幸福だと感じている人の割合が50.5%と半数を超える一方、18.2%の方が幸福だと感じていないとの結果があらわれています。
主観的幸福感は、その時々の個人の健康状態や家族関係によるところも大きいものでありますが、この調査結果に対する知事の所感をお伺いします。
また、幸福を判断する際に重視した項目について、年代別では、20代で自由時間や余暇を、30代、40代では家計状況を重視し、50代以上では健康状況を重視しているとの結果が報告されています。この結果をどのように分析しているのか、あわせてお伺いいたします。
〇達増知事 今回の幸福に対する調査は、幸福の研究に当たって現状を把握、分析するために行ったものでありますが、御指摘の主観的幸福感については、例えば、仕事や家族など、どのような領域が主観的幸福感と相関があるのか、また、幸福だと感じていない方やどちらでもないといった方が重視した項目は何かといったことを分析することによって、施策の展開に活用していくことが重要と考えております。
また、幸福を判断する際に重視した項目については、御指摘のとおり、年代や性別等によって重視した項目が異なっておりまして、幸福に関する指標の設定に当たって、そのような差異を考慮することが重要であると考えております。
なお、平成29年県民意識調査において同様の調査を行うことで、今回の結果との比較、分析を行いたいと考えておりまして、県として、幸福に関する指標が県民の実感を踏まえたものとなるよう、引き続き対応していきたいと思います。
〇高橋孝眞委員 今の回答ですと、幸福だと感じている人の割合が50.5%、感じていない人18.2%については、知事はどのように考えておりますか。
〇達増知事 今回、初めて幸福に関する調査を行ったわけでありますけれども、この幸福だと感じている方の割合が50.5%という数字に比較しまして、生活全般に満足だと感じている方の割合が29.6%でありまして、主観的幸福感のほうが生活満足度より相対的に高いということが明らかになったものだと思っております。
また、収入、健康、家族などの領域別実感と主観的幸福感、生活満足度それぞれの相関を比較しますと、生活満足度のほうは収入との相関が高い一方で、主観的幸福感は、収入との相関よりも、家族や健康等の非経済的要素との相関が高い傾向があるということも明らかになりました。新たに主観的幸福感を測定する意義があるものと考えられます。
いずれにしても、主観的幸福感については、その内容等を分析することによって、施策の展開に活用していくことが重要と考えています。
〇高橋孝眞委員 私は、50.5%の割合について、県民は大分幸福だと感じているのかなと思うのか思わないのかを聞きたかったわけでありますけれども、次に行きます。
幸福度と同時に行われている県民意識調査では、安定した就職環境の項目が、ニーズ度、満足度が低い項目ともトップとなっています。先ほどの幸福感に関する調査でも、30代、40代で家計の状況を重視するという結果が出ており、労働や子育てにおいて、今の岩手やこれからの岩手を担う世代の率直な意見と見ることができるのではないでしょうか。
この調査結果から、県民の満足度、幸福度を高めるために、まずは生活の基盤となる就業が安定していることが重要と考えますが、こうした結果について、県ではどのように捉えているかお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 平成28年の調査結果では、30代、40代の方々の9割近くが、安定した就労環境に重要性を感じており、こうした結果は、委員御指摘の幸福度調査における30代、40代の家計状況の重視が1位であることとも深く関係しているものと考えております。
また、安定した就労環境の満足度につきましては、年々改善しているものの、30代から60代まで幅広い年代で1割を切っており、ここ数年を見た場合でも、同様の結果となっております。
これら重要度から満足度を差し引いたニーズ度についても、県民意識調査の調査項目を現在の七つの政策を基本にした平成22年度以来最もニーズ度が高い項目として推移しており、以前から重要な政策課題として捉え、毎年の政策評価レポートでも県民意識調査結果に言及しているところであります。
このようなことから、ものづくり産業の集積促進や観光業、農林水産業などの振興による雇用の場の確保など、これまでの取り組みに加えまして、第3期アクションプランについては、雇用に関する課題が、求人不足から人手不足と転換する中、雇用の質の向上を目指すよう見直すとともに、ふるさと振興総合戦略についても、三つの柱の一つとして岩手で働くを掲げ、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事の創出に取り組んでいるところであります。
〇高橋孝眞委員 私もそのとおりだと思います。
県民の幸福度や満足度を高めるための県の政策手段の一つが、昨年策定したいわて県民計画第3期アクションプランと考えます。アクションプランでは42の施策目標別に、それぞれみんなで目指す姿指標を設定しているわけですが、産業、雇用については、ものづくり産業や食料品、製造品出荷額などを目指す姿指標とし、その達成ために、自動車や半導体に関する地場企業の関連取引成約件数や農商工連携の支援件数など、53の推進方策指標が掲げられています。
先般配付された平成27年度主要施策の成果に関する説明書によれば、産業、雇用分野に関し、この推進方策指標では、93%がおおむね達成でAと評価しているにもかかわらず、目指す姿指標では、おくれが3割で達成度Dとなっています。推進方策がおおむね達成しているにもかかわらず、目指す姿が達成されていない実態をどのように捉えているのでしょうか、お伺いします。
〇大平政策地域部長 目指す姿と推進方策に係る評価結果の乖離についてでありますが、具体的推進方策指標は、県が主体となって取り組む具体的推進方策の成果指標であります。一方、目指す姿指標は、県はもとより、県民、NPO、市町村及び企業などが一丸となって取り組むことを前提とした成果指標でございます。このため、県のみの取り組みでは目標達成が困難なものや効果の発現までに時間を要する施策につきましては、具体的推進方策指標は評価が高くなる傾向にある一方、目指す姿の評価が相対的に低くなる場合がございます。
なお、今定例会に報告した主要施策の成果に関する説明書につきましては、指標に基づく達成度をまとめたものでありますが、12月県議会定例会におきましては、これに加えまして、社会経済状況の変化や県以外の実施主体の取り組み状況なども加味した総合的な評価を行い、政策評価レポートとして御報告することとしております。
〇高橋孝眞委員 今のような回答ですと、県は一生懸命やっているけれども、ほかの人、NPOの人たちが全然やっていないよというような言い方になるわけですけれども、そういう思いで政策を実施していることについては大変問題があると思うのですが、知事は、この点についてどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 施策の推進状況について数字で把握していくということが、事務の執行の役に立つわけでありますけれども、その評価のあり方については、やはり工夫を重ねて、実態をしっかり把握しながら、また、いい成果を出していくように工夫していく必要があると思います。
〇高橋孝眞委員 そのとおり、常に工夫をしながら対応していかなければいけないのだと私も思います。
国では、昨今、政策の達成度を図るため、重要業績評価指標─KPIを設定し、毎年度検証を行いながら事業を進めていくとしており、県でも以前からPDCAサイクルを推進し先ほどのような評価を行ってきておりますが、推進方策と目指す姿の関係についても不断の見直しを行いながら、目標達成に向けよりふさわしい方策を探っていくべきと考えますが、御見解をお伺いします。
〇大平政策地域部長 推進方策の見直しについてでありますが、県では、いわて県民計画の第2期アクションプランの取り組みの成果を検証し、明らかになった課題や本県を取り巻く社会経済情勢の変化などに対応するため、昨年2月(後刻「本年2月」と訂正)、第3期アクションプランを策定したところであります。
その検討に当たりましては、長期ビジョンの実現に向け、42の政策項目ごとに第3期におけるみんなで目指す姿を掲げるとともに、政策体系などを十分考慮し、主な取り組み内容と具体的な推進方策を設定したところであります。
アクションプランにつきましては、毎年度行う政策評価におきまして、課題や今後の方向性を明らかにしており、それらを踏まえ、具体的な取り組みを見直し、毎年の政策評価レポートで公表しているところでございます。
〇高橋孝眞委員 今のような回答だけでは、本当にアクションプランといいますか計画が達成されるのか心配なわけでありますけれども、いずれPKIを実施していますということですが、これでは目指す姿は達成されないのではないかと思うわけです。
一般的に、企業は、売り上げを伸ばし利益を確保する、売り上げが伸びなければ経費を削減するなど、利益を達成するために常に修正して仕事をしております。当たり前のことだと思っております。
見直しに問題があるのではないかと思うわけですが、また、県の推進方策の目標値が低いのではないでしょうか。生ぬるいのではないでしょうか。政策方針を新たな視点で取り入れて遮二無二やれというか必ず目指す姿に近づけなければいけない、そういう努力が見えない。これではアクションプランの達成も現状では無理ではないか。全ての項目で評価Aに向けて全力で取り組むべきと考えますけれども、知事、いかがでしょうか。
〇達増知事 県民生活、また県民経済、それを県民の皆さんが希望を持ってこの岩手で暮らし、岩手で働いていただけるように持っていくことが大事でありますので、そのために、この評価の仕組みも工夫を重ねていきたいと思います。
〇軽石義則委員長 高橋孝眞委員の質疑の途中ではありますけれども、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
高橋孝眞委員、御了解をお願いします。
午前11時55分 休 憩
午後1時2分 再 開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇大平政策地域部長 先ほどの高橋孝眞委員への答弁の中で、正しくは、本年2月、第3期アクションプランを策定したと申し上げるべきところを、昨年2月と御答弁申し上げました。おわびして訂正いたします。
〇軽石義則委員長 質疑を続行いたします。
〇高橋孝眞委員 先ほどの回答ではなかなか理解しにくい部分もありましたけれども、次に進めたいと思います。
昨年まとめた岩手県ふるさと振興総合戦略においても所得の向上や仕事の創出を目標に打ち出しており、目指す姿達成に向け、さらなる施策の展開を望みます。
産業、雇用分野の充実には企業活動が果たす役割が非常に大きいのではないでしょうか。企業の生産活動を支援することも一つの産業振興施策と考えます。
例えば宮城県では、企業に提供する工業用水道の契約水量について、経営に支障のない場合は一部減量に対応していると聞いています。
岩手県も豊富な工業用水道を有しており、契約内容を柔軟に見直すなど、既存企業の生産性向上や新規企業の立地に積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 工業用水道を活用した企業支援についてでございますけれども、工業用水道につきましては、これまで、入畑ダムの水源転用によります未売水の一部解消を図りましたほか、省エネ機器の導入による動力費の縮減や企業債の借りかえによる支払い利息の軽減など、さまざまなコスト軽減に努めておりますけれども、大口ユーザーの撤退や企業の節水志向などにより料金収入が減少するなど、経営環境は厳しい状況が続いております。
このような中、企業局におきましては、リーマンショックに対する緊急的な措置として、平成21年度及び平成22年度の2カ年にわたりまして料金の10%減免を行いましたほか、平成23年度からは、契約水量に応じて料金を徴収する責任水量制から、基本料金単価を引き下げ、使用水量を加味して料金を徴収する二部料金制に移行し、ユーザーの負担軽減に努めてきたところでございます。
現在、本県の工業用水道事業は供給開始後40年近くが経過いたしまして、施設の老朽化対策を進めていく必要がございます。その費用の負担軽減を図るため、補助金の拡充や、地方交付税等で措置されております一般会計からの繰り出し基準の拡充などを国に要望しながら配管等の更新を計画的に進めるとともに、事業運営の効率化やコスト削減などにも引き続き取り組んでいるところでございます。
委員から御提案のございました企業支援策につきましては、今申し上げましたような施設の老朽化等の課題を抱えております現下の経営環境では、直ちに実現することは容易な状況ではないと考えているところでございますけれども、引き続き、企業の立地や既存ユーザーの契約水量の増量などを働きかけまして、増収に転じた時点で、実現に向けて検討してまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 ただ、あらゆる面でコスト削減に皆さん取り組んでいるわけでありまして、そういう意味合いでは、企業局側もさらに取り組んでいく必要があると思うわけであります。
この件につきましては、商業、工業の支援ということでありますけれども、商工労働観光部だけということではなくて、また企業局というだけでなくて、農林水産部なり部局を越えて取り組まなければいけない問題だと思います。そうしなければ、企業も、国内で事業をする、雇用を継続することができなくなる、そのことまで考えていかなければいけないと思いますが、目指す姿達成のためにも、ぜひこれらを考えていただきたいと思います。
もう一点、企業への支援でありますけれども、ワンストップ総合支援拠点の県全域への拡大についてお伺いします。
経済産業省では、中小企業の経営相談窓口として、平成26年度から全国都道府県によろず支援拠点の整備を進めており、本県では、いわて産業振興センターがその機能を果たしています。
この支援拠点は各都道府県1カ所とされておりますが、東北では青森県が青森市に本拠地を持つことに加え八戸市にサテライト体制を整備しているのを初め、秋田県で本拠地の秋田市のほか2カ所のサテライト、その他の県においても少なくとも本拠地に加え1カ所のサテライトを構えており、東北で本拠地1カ所にとどまっているのは本県だけとなっています。
県土が広大な岩手県において、経営相談の窓口が盛岡市に1カ所では、その機能が十分発揮されないと考えます。工業集積が進む県南地区にサテライトが必要と考えますが、いかがでしょうか。国への働きかけも含め、県の見解をお願いいたします。
〇千葉副知事 よろず支援拠点についてでございますけれども、販売戦略や新商品開発等の専門的スキルを有するスタッフが、中小企業者からの売り上げ、販路拡大、経営改善などさまざまな経営課題に対しましてワンストップの相談窓口で助言、指導を行っているところでございます。
委員からお話がございましたサテライトにつきましても、東北6県のうち、遠隔地での相談対応のため常設しておりますのが、現在、山形県及び福島県でございまして、ほかにも、その移動相談会を充実させることでサテライトと位置づけている県があるということでございます。
岩手県の支援拠点につきましては、国の委託を受けて、いわて産業振興センター内に設置されておりまして、現在、8名の専門スタッフが在籍し、迅速かつ効果的に課題を解決するため、商工団体や金融機関などの支援機関と緊密に連携した対応を行っております。広い県土をカバーするため、県南地域を初め県内各地に出向いて経営相談に応ずる移動相談会を毎月七、八カ所で実施し、拠点から遠隔地にございます事業者の経営相談にも対応しているところでございます。
このような取り組みによりまして、平成26年6月の開設以来、本県の相談対応件数は東北6県のうち最も多い1万1、000件余となっており、着実に成果を上げてきているものと考えております。御提言のありましたサテライトの設置につきましては、県南の自治体からも要望をいただいているところでございまして、県としても、ものづくり産業が集積しております県南地域において経営相談機能強化を図ることは極めて重要なことと認識しているところでございます。
しかしながら、現在、こうした相談、指導機能を発揮するためには高度な専門スキルを有するマンパワーの拡充が必要でありますことから、現在、よろず支援拠点におきまして、地域の人材の掘り起こしやコーディネーターの公募等、人材の確保、充実にも取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、こうした人材確保、充実の進捗状況を勘案しつつ、国に対して、県南地域における経営相談機能の強化への支援について要請してまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋孝眞委員 岩手県中小企業振興基本計画によると、平成24年現在、県内企業3万8、779社の内訳は、小規模企業が87.2%、中小企業が12.6%となっており、中小企業の合計で3万8、711社、県内企業の実に99.8%を中小企業が占めております。
中小企業で働く従業者総数は29万1、444人となっており、単純に割り返すと、1社当たり平均7.5人程度の従業員数となっております。実際には少ない人数でぎりぎりの運営がなされている企業が少なくありません。こうした中小企業は、経営や資金繰りなどに関する専門的な知識を有する社員を抱えることが難しいのが現状であり、行政の側面支援が必要なのではないでしょうか。
中小企業の振興は岩手県の産業振興の根幹をなすものであり、中小企業の支援を担う人材の確保を含め、県独自の取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 中小企業の経営等に対する支援についてでございますけれども、県では、中小企業振興施策を総合的、計画的に推進するために、本年3月に岩手県中小企業振興基本計画を策定いたしまして、中小企業の経営力の向上に向けた取り組みを支援しているところでございます。
この中で経営に関する相談、指導、研修等に係る体制の整備等についても推進することとしておりまして、先ほど、御答弁申し上げましたよろず支援拠点のほか、県といたしましても、商工団体と連携いたしながら、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
具体的には、商工団体が行う経営相談に対応する指導員の人件費に対する補助を初め、企業経営に必要な専門知識に関する若手経営者向けのセミナーや、経営革新計画の策定に取り組む企業の支援活動に対して補助を行っておりますほか、指導員の資質向上を図る研修への支援も行っております。
また、東日本大震災津波により被災した企業の事業再開や販路拡大等に向けまして、より充実した相談体制が求められておりますことから、被災地の商工会議所や商工会に対し必要な人材の確保に対する補助を行いまして、相談体制整備の支援を行っているところでございます。
さらに、先般、台風第10号により被災した企業に対しましても同様の支援を行うために必要な予算を今定例会に御提案申し上げまして、先日、議決をいただいたところでございます。
さらに申し上げますと、現在、岩手県商工会議所連合会あるいは岩手県商工会連合会からは、先ほど申し上げました補助対象職員の人件費の確保、支援事業費の拡充等に向けた要望を頂戴しておりまして、県といたしましては、来年度予算編成の過程において検討してまいりたいと考えているところでございます。
引き続きこれらの取り組みを進めまして、県内中小企業の事業活動が活発に展開され、持続可能で活力ある地域経済の振興を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋孝眞委員 サテライトについてでありますけれども、先ほどのよろず支援拠点のサテライト体制も全額国の予算で措置されております。県の財政に負担をかけない事業でありまして、なぜ、岩手県が国に要望しているにもかかわらず、国は岩手県にサテライト設置を認めないのか教えていただきたいと思います。
〇千葉副知事 先ほど御答弁申し上げたところと若干重複することをお許し願いたいのですが、サテライトを置くとなりますと、それなりにその地域に専門的なスキルを有するスタッフを相当数配置する必要がございます。現在、盛岡で一極的にやっているわけでございますが、それを分散するということでは、その機能が向上いたしませんので、今、その人材育成を進めているところでございまして、その人材育成をある程度見定めながら、あわせて県南地域へのサテライトについても要望してまいるというような二段構えでやっておりますので、そのタイミングを見ながら積極的に要望していくということを考えているところでございます。
〇高橋孝眞委員 先ほど、県の独自の取り組みもいろいろしているということでありますから、私は、国のよろず支援拠点としての事業でサテライト設置をすればいいのではないかと思うわけであります。
人材不足について言いますと、県の職員のOBの方々に、再雇用ではありませんけれども、お願いをするとかも一つの方法ではないのでしょうか。サテライトにはフルセットで設置するということではなくてもいいと思います。人材も、その道のエキスパートでなくても、相談し合いながら一緒に行動していく、考えていく、そういうことから人を育てていく、そのこともあっていいのではないかと私は思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
〇千葉副知事 今、委員から御提言を頂戴いたしましたように、県南地域にはものづくり産業が集積しておりますし、さらに、その取り組みを一層強化していく必要がありますので、今いただきました御意見等も踏まえながら検討し、前向きに対応していきたいと考えているところでございます。
〇高橋孝眞委員 よろしくお願いしたいと思います。特に、1人当たりの県民所得向上を目標に掲げているわけです。平成25年、平成26年とも全国所得水準の94%台となっているわけでありますけれども、これは、大震災による復旧、復興事業によるところが大きいと思っております。この工事がなくなると、震災前の水準の81%ないしは82%に落ちるのではないかと思うわけでありまして、そのためにも産業の育成が重要だと思います。よろず支援等を含めながら、目指す姿を達成するためには、そういう努力をひとつしていただきたいと思いますが、再度お願いいたします。
〇千葉副知事 ただいま、県民所得の今後の推移についてもいろいろとお話を頂戴したところでございます。私どももそのような状況が想定されるということは避けていかなければならないと思っておりますので、できるだけ国民所得に対する県民所得を高い比率─今、90%を超えているわけでございますが、できるだけそこをキープするように努めていかなければならないと思っておりますので、冒頭申しましたが、中小企業振興条例も定め、その中で計画も定め、今現在、そういう中で取り組みを進めておりますので、当然のことでございますが、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 では、よろしくお願い申し上げたいと思います。
通告しておりました安全・安心な地域づくりにつきましては、時間の関係もありますので、後に回させていただきます。
決算についてであります。平成27年度決算が報告され、あわせて公債費負担適正化計画が改訂されましたが、公債発行の抑制や昨今の金利情勢の恩恵を受け、適正化計画は2年前倒しで平成30年度には達成見込みとの報告がありました。
岩手県は、東日本大震災を初め平成25年の大雨災害、今回の台風第10号災害とたび重なる自然災害に見舞われておりますが、こうした災害の被害を最小限に食いとめていくためにも、河川や防潮堤など社会インフラの整備を計画的に進めていくことが必要と考えます。
公債費負担適正化計画の遂行期間中は、社会資本の整備についてもある程度抑制せざるを得ない面があったと思いますが、平成30年からスタートするであろう次期県民計画においては、これまでの災害の経験を踏まえ、必要な公共投資について戦略的に盛り込んでいく必要があると考えますが、見解をお伺いします。
〇達増知事 県による公共投資については、施設の整備や維持補修、計画調査など多岐にわたって経済効果や雇用の場を生み出しますほか、県民の安全・安心な暮らしを守り、地域の産業や経済を支える上で重要な役割を担っています。
このため、いわて県民計画では、七つの政策の柱の一つに、岩手を支える基盤として社会資本、公共交通、情報基盤の整備を掲げ、厳しい財政環境の中、選択と集中を図りながら必要な社会資本整備を着実に進めております。また、復興基本計画では、津波により再び人命が失われることのないよう安全の確保を掲げ、多重防災型まちづくりや災害に強い交通ネットワーク構築を進めているところであります。
一方、これまで整備してきた社会資本について、老朽化対策に係る維持補修費が今後増加していく見込みであり、また、震災分を除く施設の整備や更新について、将来の人口減少等も踏まえながら、その必要性を判断していくことが求められるものであります。
こうしたことも念頭に、たび重なる自然災害を踏まえた県民の安全・安心な暮らしの確保や、グローバル化の進展に伴う物流広域化や増加が見込まれる外国人観光客への対応など、本県の産業、観光振興、農山漁村における望ましい生産基盤や生活基盤など、次期総合計画の策定において検討されるさまざまな政策の方向性を踏まえながら、これらの実現や基盤を整えるための公共投資の姿が明らかになってくるものと考えております。
〇高橋孝眞委員 今のとおりだと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
県には、中長期的な視点に立って公共投資計画を策定していただきたいと考えますが、もう一つは、自然災害は県の計画を待ってはくれません。また、社会資本の整備は長い時間を要することでもあります。
災害対策には、発生を未然に防ぐ社会資本の整備と、現在の環境の中で人的、物的被害を最小限に抑えることの両方の対策が必要と考えます。雨量計の設置箇所の拡充や情報連絡体制の充実、今行っている対策の見直しなど、すぐにでもできることがあると考えますが、災害に対する県の対策について、短期、中長期的にどのように取り組んでいくのか、方針をお示し願います。
〇風早総務部長 県では、地域防災力の強化に向け、県民がみずからの身をみずからが守る意識の醸成、地域の安全を地域が守る体制の整備、そして実効的な防災体制の整備に取り組んでおります。
具体的には、学校や住民に対する防災教育などによる正しい防災知識の普及や、県民参加型の総合防災訓練などによる災害時の応急対応力の強化、自主防災組織の組織化の促進や消防団員の教育訓練、県や市町村職員の災害対応能力の向上に向けた訓練や、大規模災害時に備えた広域防災拠点への備蓄物資の配備などを進めております。また、災害に強い道路網の整備や施設の耐震化、水害や土砂災害を防ぐための河川改修や砂防事業、津波、高潮災害を防ぐための海岸保全施設の整備などに計画的に取り組んでおります。
これらの取り組みは、中長期的な取り組みが必要なものが多いですが、岩手県防災会議幹事会議に設置しました三つの分科会において、避難勧告等の発令態勢や情報伝達のあり方、社会福祉施設などの防災体制、河川、土砂災害から住民を守る方策などについて検討をすることとしており、情報連絡体制や観測体制などを含めまして、その検討結果については、来年3月に開催予定の岩手県防災会議での審議を通して地域防災計画に反映させるなど、短期で対応可能なものについても早急に改善をしてまいります。
〇高橋孝眞委員 よろしくお願いしたいと思います。
震災事業の進捗についてお伺いします。
平成27年度決算では、繰越明許費と事故繰越を合わせ、全体で2、000億円を超える巨額の繰り越しが発生しており、その多くは、漁港災害復旧事業や道路整備事業など震災からの復旧、復興の事業が占めております。
繰り越しの原因でありますが、繰り越しは事業のおくれとなり、ひいては震災からの復興のおくれにもつながるものであり、望ましいものではないと考えますが、震災事業で繰り越しが多額に発生する原因はどこにあるのでしょうか、具体的にお示し願います。
〇木村復興局長 繰り越しの原因でございますが、漁港施設と防潮堤、宅地整備と災害公営住宅など事業区域や整備時期が関連する事業間の調整のほか、地中障害物や軟弱地盤への対応など、現地精査により必要となった設計や工法の検討に日数を要したことなどが主な原因でございます。
〇高橋孝眞委員 それでは、不用額についてでありますけれども、事業を繰り越して完了しているもののほか、中には事業が完了せず不用額となっている事業も多いと聞きます。平成27年度決算における主な震災事業の不用額とその原因についてお示し願います。
また、事業が完了しなかったことにより、不用額となった事業のうち、平成28年度に再予算化された事業の数と事業費はどの程度になっているかお示し願います。
〇木村復興局長 平成27年度決算における主な震災事業の不用額とその原因ということでございます。
一般会計不用額410億円余のうち、震災関連分の主なものは、防潮堤工事などの漁港災害復旧事業費で約118億円、地域連携道路整備事業費で約23億円、災害公営住宅整備事業費で約30億円などとなっているところでございます。
入札における執行残を除く不用額の原因といたしましては、防潮堤や道路工事などにおいて、工程調整、工法変更などにより事業の一部で対象工事などの年度内完成が見込めなくなったことや、災害公営住宅の住民意向による建設戸数の見直しによりまして事業規模を縮小したことなどにより、不用額が生じたものなどでございます。
また、不用額となった事業で、平成28年度に再予算化がなされた事業についてでございますが、事業とすれば、漁港災害復旧事業1件におきまして、工程調整等で年度内の完成ができなかった未施工部分の工事など、約113億円を平成28年度に再予算化して事業を進めているところでございます。
〇高橋孝眞委員 毎年度多額の繰り越しを発生させ、さらには不用額を出し、翌年度には再予算化ということを繰り返しているわけでありますが、県が定めた8年間の復興計画は残り2年半となっております。復興計画の期間中にめどをつけられるのか懸念するものであります。県の復興計画期間である平成30年度までに完了しない事業があるのでしょうか。あるとすれば、どのような事業が完了しないのか伺います。
県の復興計画期間中に完了しない事業があった場合でも、遅くとも復興財源が用意される平成32年度までに、大規模な復旧、復興事業はめどをつける必要があると考えますが、道路や防潮堤など多額の予算を必要とする復旧、復興事業の進捗状況と事業の完了見通しをお示し願います。
〇木村復興局長 平成30年度までに完了しない事業についてでございますが、先般公表いたしました社会資本の復旧・復興ロードマップでは、国の直轄事業を除く県及び市町村事業727カ所のうち、全体の1.9%に相当します14カ所が県の復興計画期間を超えて平成31年度以降の完成見込みとなっております。その内訳でございますが、海岸保全施設が7カ所、復興道路等が6カ所、災害公営住宅が1カ所となっております。
次に、平成32年度までの復興事業の進捗状況と完了見通しということでございます。国の復興・創生期間内の平成32年度までにはほとんどの箇所が完成する見込みでございますが、5カ所─全体の0.7%に相当しますが─が完成時期未定ということになっております。この事業につきましても、平成32年度までの完成を目指して取り組んでいるところでございます。
〇高橋孝眞委員 8年間の復興計画期間中に完了しない事業があるということでありますけれども、そういうことは、復興がおくれていると解釈してよろしいのでしょうか、お伺いします。
〇木村復興局長 本来であれば、復興計画期間内の平成30年度までに全部終了するということでこれまでも取り組んできたわけですが、結果として、14カ所が平成30年度を超えてしまうということでございます。その全体の1.9%という数字をどう評価するかということはいろいろあろうかとは思いますが、復興については、事業の完了に向けまして少しでも早く完成できるように、平成30年度に少しでも早く100%に近づけるように努力してまいりたいと考えてございます。
〇高橋孝眞委員 そのとおりだとは思います。完了するように努力しますというのは、それでよろしいんですけれども、復興がおくれているか、おくれていないかということに対しては、復興がおくれているということでよろしいのかということを聞いておりますので、よろしくお願いします。
〇木村復興局長 平成30年度までに全体の社会資本が完了しない見込みだということについては、非常に申しわけないと思っております。
おくれている、おくれていないということにつきましては、どういうものをもっておくれているか、完了しないということについては、そのとおりの見込みでございますので、いずれ、先ほども御答弁申し上げましたとおり、できるだけ100%に近づけるように工事を進めていきたいということでございます。
〇高橋孝眞委員 復興のロードマップを見ますと、完全におくれているわけです。おくれている事業として、当初の完成予定は計画期間内だ、平成30年度だと言いながらも、閉伊川の水門工事は平成32年度の完成です。大槌川の防潮堤水門工事は平成31年度、小鎚川の防潮堤水門工事は平成31年度で、水門・陸閘自動閉鎖システム整備工事も平成30年度までという契約なのですけれども、これでは平成30年度にできるわけがありませんで、平成32年度までかかるということになると思います。
こういうことからいきまして、復興は完全におくれているのだという認識でこれからの仕事をしていかなければいけないのだと私は思うわけですけれども、再度お伺いします。
〇木村復興局長 今、委員御指摘のとおり、事業がそれぞれ当初の予定よりも完成時期がおくれるということでございますので、もちろんそういうおくれを取り戻すという認識のもとで、鋭意工事を進めていきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 知事にお伺いします。知事は、復興の進捗状況の報告を逐一受けていると思いますけれども、復興のおくれが一番気になるところだと思うわけであります。知事は常に、答えは現場にありと話しております。知事はどの程度の頻度で現場に足を運びながら、おくれている事業での課題解決に向けて指示されているのかお伺いいたします。
〇達増知事 知事、副知事、あるいはそれに準ずる者として、毎週誰かは被災地、復興地に入るようにということを目安に日程を組んでいるところであります。当然、議会中でありますとか、あるいは国体、障がい者スポーツ大会でありますとか、毎週必ずそのようにはなっていないのですけれども、目安としてはそういう思いで取り組んでおります。
〇高橋孝眞委員 それでは、知事自身は現場にどの程度入っているのか、訪ねているのか、それについてお聞きします。
〇達増知事 大ざっぱに言うと、大体2週間に1回ぐらいになりましょうか。
〇高橋孝眞委員 2週間に1回ということであれば、相当足を運んでいるということになると思います。そうすれば、もっと復興が進んでいるのではないかと個人的には思うわけであります。
知事は、前の予算審議の際に、平成28年度は第2期の本格復興期間の最終年度として次の期間につなげる重要な年であり、実施計画に掲げた事業を確実になし遂げるという強い意志を込めて、本年を本格復興完遂年と位置づけたところであります、このように回答しておりますけれども、復興のおくれがあることを踏まえ、現時点で本格復興完遂年の位置づけといいますか、ここにギャップがあると私は感じるわけでありますけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 先ほどの答弁にありましたように、全体箇所の1.9%である14カ所が県の復興計画期間を超えて平成31年度以降の完成見込みというのは、これは、当然、これでいいというわけにはいかないものだと思います。本格復興完遂年、本格復興期間3年間の最終年として、本格復興期間の事業をきちっとやり遂げるということをその名前にしているわけでありますけれども、年度で言えば、まだ半分ぐらいございますので、事業が少しでも早く進むようしっかりと取り組んでいきたいと思います。
〇高橋孝眞委員 事業のおくれがあって、少しでも取り組んでいきたいということは、完遂をしないということに最終的になってしまうわけでありますので、そのようなことのないように、ひとつお願いしたいと思います。
土地収用制度の活用についてでありますけれども、国は、東日本大震災の被災地において、土地収用手続の迅速化を図るため、平成26年、法改正を実現しました。この法改正は、岩手県からも要望を行っており、被災地の声が国を動かした一例ともなっておるわけですが、この制度をもっと積極的に活用し、復旧、復興を前に進めるべきと考えますが、本県において法改正後の制度を活用した件数と、活用が進んでいないとすれば、その原因はどこにあると認識しているかお伺いいたします。
〇木村復興局長 法改正後の収用特例制度の活用についてでございますが、これまで、これらの特例制度を活用いたしまして、県及び市町村を合わせまして7件において収用裁決まで至ったところでございます。現在、さらに3件について収用の手続を進めております。なお、このほかにも特例制度を活用して土地収用の手続を開始した6件において任意解決に至るなど、その副次的効果もあらわれているところでございます。
法改正前の収用裁決は、県と市町村事業を合わせまして年間1件程度ということでしたが、法改正後の2年余りで、特例制度の手続開始後に任意解決したものを含めますと、13件が解決に至っているということでございますので、特例制度の活用は図られてきているのではないかと考えております。
県では、庁内の部局横断組織でございます用地取得特例制度活用会議を設置いたしまして、県事業の推進のほか、市町村事業に対する裁決申請のための実務支援を行っているところでございます。引き続き震災事業の迅速な用地取得に努めてまいります。
〇高橋孝眞委員 復興がおくれている事業そのものも、こういう用地交渉の問題もあったわけでありますし、あるわけでありますので、もっと積極的に収用制度を活用するべきであるし、すべきであったと私は思います。
次に、県の債権管理についてお伺いします。
今年4月、企業局から、相去太陽光発電所の売電先であった日本ロジテック協同組合が破産申請を行い、売電料金の未納金が1、483万円余り発生しているとの報告がありました。企業局では、平成27年度決算において売電債権について貸倒引当金を計上し、損失に備えているわけでありますが、日本ロジテック協同組合については債権者集会の開催など破産手続が進められています。
県は、未納金の回収に向けどのように行動しているのか伺います。また、回収見込みはどの程度あるのか伺います。
〇千葉副知事 日本ロジテック協同組合に係ります未納金の回収に向けた取り組み及び回収見込みについてでございますけれども、日本ロジテック協同組合が事業撤退を表明した以降、企業局では、組合を訪問し、未納金の支払いを強く要請しましたほか、県顧問弁護士等と協議し、裁判所に対し仮差し押さえや支払い督促の申し立てを行うとともに、損害保険会社に対しまして履行保証保険金を請求するなど、債権回収に努めてきたところでございます。
その後、同組合では本年4月15日に破産申請を行い、即日、破産法に基づく破産手続の開始が決定となりましたことから、仮差し押さえや支払い督促の効力は失効したところでございますが、履行保証保険金348万円につきましては保険会社から入金となっております。
また、破産手続に従いまして、5月19日に破産管財人に対し、延滞利息を含めた未収金から保険金を控除いたしました1、143万円余について債権届出書を提出したところでございます。
債権回収の見通しについてでございますが、9月26日に開催された債権者集会において、破産管財人から、現時点では同組合の資産と負債は未確定の状況にあり、引き続き調査を行う必要があるが、配当は一定程度あり得るとの説明があったことから、今後とも、債権者集会等を通じ同組合の資産や負債の状況を把握し、法的手続にのっとり債権の回収に努めてまいります。
〇高橋孝眞委員 できるだけ多く回収するようにお願いを申し上げたいと思います。
売電事業は企業活動であることから、100%損失を発生させないとすることは避けられないことでありますが、公営企業である以上、細心の注意をもって事業に取り組むべきことは言うまでもありません。
知事は、今回の事案をどのように受けとめているのでしょうか伺います。また、今回のような事案を未然に防ぐため、どのような対策を講じていこうとしているのか、あわせて伺います。
〇達増知事 企業局の売電料金が未納となったまま破産手続に至ったことは遺憾でありますが、現在、破産管財人により日本ロジテック協同組合の資産と負債について調査が行われており、法的手続にのっとって債権の回収に努めてまいります。
また、電力システム改革の進展に伴って小売電気事業者の参入が増加しており、売電先の選定及び債権管理に当たっては、料金の回収リスクを意識した対策が一層重要であると考えております。このため、本県としては、平成28年度の入札に当たって、契約保証金の引き上げや契約解除要件の明確化などの見直しを行いました。
電力の供給は公共的なサービスであり、国においてもしっかりと対策を講じていただく必要がありますことから、本年4月及び5月に、全国26都道府県市で構成する公営電気事業経営者会議を通じて、小売電気事業者の登録に当たっては、経営状況を十分審査することなどについて要望を行ったところであります。
今後においては、国や他県の取り組みを踏まえながら、さらに入札方法や契約条項等について検討を進め、回収リスクの未然防止に努めてまいります。
〇高橋孝眞委員 契約の相手先を調査せずに、他の自治体も一緒にやっているからということで今回、契約の内容も吟味しないで、売電料金が単に高いからということで契約したのではないかと思います。ここに問題があったと思います。相手先を調査しないということは、さきに市町村に負担をさせたDIOジャパンないしは大雪りばぁねっとも同様と思います。二度とこのようなことが起こらないようにしていただきたいと思いますが、所感があればお伺いします。
〇達増知事 日本ロジテック協同組合は、入札当時、新電力業界では電力販売量が国内9位の大手業者であり、相応の実績もあったほか国に届け出た電気事業者であり、岩手県内にも電力の供給実績があることを確認した上で契約したところであります。
今回の事案は、売り上げが急速に拡大したことに伴い運転資金が不足し、資金繰りが悪化したことなどにより事業撤退に至ったものであり、48の自治体において同様の未納が発生しており、本県のみならず全国的な問題であると認識しております。
個別の自治体が事業者の適格性を判断するのは難しいと考えており、公営電気事業者の総意として、小売電気事業者の登録に当たっては、経営状況等を十分に審査することなどについて国に対し要望しているところであります。
〇高橋孝眞委員 国に対し要望する、どこどこがいいからこうやりますよというのはやはりおかしいのではないか。みずからが調査して取り組むべきであると思います。
次に、県産米の戦略的な販売促進についてお伺いします。
銀河のしずく、岩手118号の販売戦略でありますけれども、県産米のブランドの構築には、戦略的な販売手法の確立とその継続的な取り組みが重要と考えますが、県は、県産米のブランド化について関係団体とどのように連携し、取り組んで行くのかお伺いいたします。
〇杉村企画理事 全国のお米産地から食味レベルの高い新品種がデビューする中、銀河のしずく、岩手118号のブランドを確立するためには、消費者や実需者の認知度を高め、信頼をかち取ることが何よりも重要であります。
このため、平成27年6月には、知事を本部長とし、県内外の消費者や米卸売業者、有識者等で構成するいわてオリジナル品種ブランド化戦略実践本部を設立し、平成28年2月に策定いたしましたいわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づき、ブランド化の取り組みを進めてまいりました。
具体的には、銀河のしずくでは、特A評価を取得できる栽培の徹底や、ロゴマーク入りののぼりなどPR資材の作成、配付に加え、テレビCMやホームページなどでのきめ細やかな情報発信に取り組んだところであり、また、岩手118号では、全国最高水準の品質と食味を実現できる栽培マニュアルを作成するほか、12月には東京都内で名称、ロゴマーク発表会を開催するとともに、来年1月には生産販売キックオフイベントの開催を予定しております。
今後におきましても、実践本部を中心に、特A評価を取得するための徹底した品質管理や、マスメディア等を活用した効果的なプロモーション活動の展開に加え、首都圏の百貨店や米穀専門店等へのトップセールスなど、新品種の早期ブランド化に向け取り組みを強化してまいります。
〇高橋孝眞委員 よろしくお願いしたいと思います。
米には、銀河のしずくのように食卓をターゲットとしたものと、レストランやコンビニなど外食産業をターゲットとしたものの大きく2種類がありますが、岩手県の稲作全体を考えた場合、どちらか一方の種類の生産に偏ることなく、多角的に米を生産していくことが安定的な農家経営には必要と考えます。
主食用米については、銀河のしずく等の積極的な生産、販売の取り組みが図られており、一層の取り組みの推進を望むものでありますが、もう一方の柱となる業務用米について、現在の生産、販売に関する取り組み状況をお伺いいたします。
〇千葉副知事 業務用米の生産、販売についてでございますけれども、国民1人当たりの主食用米の消費量は昭和37年をピークに減少を続けており、今後も高齢化や人口減少によりまして米市場の縮小が見込まれる中、外食や中食など食の外部化は一層進み、業務用米の割合は今後も高まっていくものと考えております。
そのため、県におきましては、昨年2月に策定いたしましたいわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、業務用米につきましては、地域の特性を生かした品種の適正配置や多収技術の普及による収穫量の増大、直播栽培の導入等による生産コストの低減に加えまして、実需者との結びつきの強化等による安定的な販売先の確保などに取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、全国の消費者や実需者から長く愛され続けるお米の産地としての評価が一層高まるよう、力強く取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
次に、中期財政見通しについて伺います。
県は、平成30年度までの中期財政見通しを示しましたが、見通しによると、公債費は縮小する一方、高齢化に伴う自然増等によって社会保障関係経費は増加し、毎年度、151億円から205億円の収支ギャップが生じると見込まれています。こうした収支ギャップ解消のため、毎年度、財源対策基金から多額の取り崩しを見込まざるを得ないなど、大変厳しい財政状況となっております。
このような状況の中、台風第10号災害が発生し、災害対応のための702億円余の災害復旧事業を初め1、112億円の巨額の補正予算が組まれました。今般の台風災害は岩手県の大雨災害として過去最大規模であり、それに対応する最大規模の予算編成ももっともと考えますが、今回の災害対応予算の中期財政見通しに与える影響はどの程度と見込んでいるのでしょうかお伺いいたします。
〇風早総務部長 復旧、復興に要する経費につきましては、基本的に災害復旧に関する制度を最大限に活用するものでございますが、現時点では、県債236億円を発行するほか、必要となる一般財源を58億円と見込んでおります。発行する県債の大半は後年度の償還への手厚い交付税措置が見込まれるものでございますが、一部交付税措置がないものも含まれ、一般財源については財政調整基金16億円の取り崩し等により対応したことから、中期財政見通しに一定の影響を与えることが見込まれます。
その具体的な影響額については、今後の国の財政措置の詳細や事業の実績を踏まえて精査を行いますが、東日本大震災津波の被災施設が重ねて被害を受けていることもあり、国に対しては、台風第10号からの復旧、復興に要する経費に対する特段の財政措置を要望しているところでございます。
〇高橋孝眞委員 確認ですけれども、平成30年度で実質公債費比率は18%を割るということでよろしいのでしょうか。
また、今回の災害の発生によって、今後の県単独事業が減少するのではないかと心配するのですけれども、どうでしょうかお伺いいたします。
〇風早総務部長 まず、1点目の公債費負担適正化計画との関係でございますが、これにつきましては、ただいま御答弁申し上げたような内容の県債の発行がございますが、かなりの部分が後年度の償還に当たりまして交付税措置が手厚く見込まれるものが多いということ、また、償還の時期等の関係から、基本的には、先日お示しした内容に現時点では大きな変更はないかと考えております。
ただ、これは、先ほど知事からも御答弁申し上げましたが、公債費の関係におきましては、標準財政規模が一体どの程度になるのか、また、市場の金利の動向がどうなるのかというところは、今後も引き続き不安定要素としてあろうと考えてございます。
それから、2点目の御質問でございますが、災害復旧が与える影響は、今申し上げたとおり、限定的ながらございます。しかしながら、災害対応は必ず行わなければならないものでございます。これまでも、歳入確保、事業の集中と選択により財源を確保してまいりました。引き続き、国への要望等を含めまして一般財源の確保に努力し、必要な事業に影響が出ないように努力をしてまいります。
〇高橋孝眞委員 よろしくお願いしたいと思います。
中期財政見通しの更新についてお伺いいたします。
今回報告されている決算では多額の繰り越しや不用額が発生しているほか、今回の台風第10号災害など不意の自然災害に対応するための予算執行など、県の財政状況は常に変化しています。
今回の中期財政見通しは、平成26年に公表以来、2年ぶりに公表されたわけですが、今回の見通しも出しっ放しにせず、適切に更新し、より確かな財政状況のもと、財政運営を行っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇風早総務部長 中期財政見通しの更新についてでございます。平成26年9月に今年度までの中期財政見通しを策定しておりましたことから、今回、新たに平成30年度までの見通しとして改訂を行いました。
今回の見通しは、国の経済財政運営と改革の基本方針2015における経済・財政再生計画におきまして、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2018年度までにおいて、2015年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされたことを受け、一定の前提条件を設定しまして機械的に試算したものでございますが、委員御指摘のとおり、今般の台風第10号を初めとした自然災害への対応など、本県財政を取り巻く状況変化を踏まえた上で、中期的な視点に立った財政運営が必要でありますので、今後、当面の期間は、毎年度、この中期財政見通しを更新していくこととしたいと思います。
〇高橋孝眞委員 よろしくお願いしたいと思います。
国の大規模な金融政策の影響のもと、10年国債はマイナス金利となるなど、日本はかつてない金利環境となっています。
県の公債費のうち、利払い額は平成27年度決算で150億円と決して小さい額ではありません。金利負担抑制の観点から、目下の市況環境を生かさない手はないと考えますが、県債の借り入れに関しどのような工夫を行い、金利負担の軽減に努めているのかお伺いします。
〇風早総務部長 昨今の金利情勢を踏まえました県負担の低減についてでございます。
昨今の金利情勢により調達金利が低下しておりますほか、公債費負担適正化計画の実行による県債発行の抑制により、本県の公債費における利払いにつきましては、平成25年度189億円、平成26年度171億円、平成27年度は151億円と着実に低下し、今般、現時点での公債費負担適正化計画の達成期限を2年前倒しで達成できる見通しを公表させていただいたところでございます。
引き続き、低金利での調達のため一部に見積もり合わせを取り入れ、借入先や投資家の多様化を図るほか、金融市場の動向について積極的な情報収集を行い、借り入れ時期を工夫するとともに、償還年限の長い超長期債を発行するなど償還年限の多様化も図りながら、将来の金利変動に備えた借り入れに努めてまいります。
〇高橋孝眞委員 本県は、東日本大震災からの本格復興を今まさに推進中であります。地方創生や国土強靭化など取り組まなければならない課題が山積しています。
歳入歳出の収支ギャップは150億円以上と大きく、解消は容易ではないと考えますが、今回の厳しい中期財政見通しを踏まえ、知事はどのような財政運営をしていくのか、考えをお伺いします。
〇達増知事 多額の収支ギャップが見込まれる厳しい財政状況においても、東日本大震災津波からの復旧、復興については決しておくらせてはならず、また、財源が限られる中にあっても、ふるさと振興に向けた施策を着実に推進する必要がございます。
具体的には、毎年度の予算編成過程において検討していくこととなりますが、歳入面では、国の地方創生推進交付金等を有効活用しますほか、税等の収入未済金の徴収強化、未利用資産の売却など、あらゆる手法によって歳入の確保に努めるとともに、国に対し、地方一般財源総額の確保等について引き続き要望してまいります。
また、歳出面では、事業効果や効率性等を踏まえて事務事業を1件ごとに精査して、一層の選択と集中を図ることによって、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努めるなど、収支ギャップの解消と安定的な財政運営の実現に向け、あらゆる取り組みを行ってまいります。
〇高橋孝眞委員 次に、地方創生への取り組みについてお伺いします。
県は、昨年10月、まち・ひと・しごと創生法に基づき、地方創生の総合戦略、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定しました。総合戦略では、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱ごとに、社会減ゼロや合計特殊出生率の向上、県民所得水準の向上など施策推進目標を立てていますが、その目標達成に向け、高卒者の県内就職率や観光宿泊者数など167のKPIを設定し、地方創生の取り組みを推進しています。
平成27年度は総合戦略の初年度に当たるわけですが、県が設定したKPIについてはどのように検証を行い、その結果を来年度の予算編成に向けどのように生かしていくのか、考えをお伺いします。
〇大平政策地域部長 岩手県ふるさと振興総合戦略におきましては、岩手県人口ビジョンを踏まえ、人口減少の要因となっている若年層の県外転出や出生率の低迷等を克服するため、委員御指摘のとおり、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱のもとで、施策推進目標と重要業績評価指標であるKPIを設定しております。
総合戦略は、県政全般を対象とするいわて県民計画第3期アクションプランにおける地方創生関連分野を展開するための戦略でありまして、第3期アクションプランに基本的には包含されてございます。
このため、KPIの設定に当たっては、第3期アクションプランの各指標と整合性を図り、設定しているところであり、ふるさと振興総合戦略のKPIについても政策評価システムと一体的に効果検証を行い、マネジメントサイクルによって、事業の追加や実施方法の見直しを行っていくこととしております。現在、平成27年度における達成状況の取りまとめを行っております。
また、平成29年度の予算編成に当たりましては、総合戦略を踏まえた仕事の創出、出産、子育て支援を初めとしたふるさと振興の展開を重点事項の一つと位置づけ、必要な予算額を確保することにより、検証結果を各事業に反映させ、総合戦略の着実な推進を図ってまいります。
〇高橋孝眞委員 次に、国勢調査結果の評価についてお伺いします。
10月26日、平成27年国勢調査の人口等基本集計が公表され、日本の人口は、大正9年の調査開始以来初めて減少となり、日本は本格的な人口減少時代に突入しました。
都道府県別に見ると、岩手県の人口減少率は前回調査時から縮小したものの、人口減少率は下から数えて7番目と、依然として全国でも高い人口減少率となっています。
県として、今般の国勢調査の結果をどのように分析し、評価しているのかお伺いします。
〇大平政策地域部長 平成27年国勢調査によりますと、本県の人口は127万9、594人であり、前回の平成22年国勢調査と比べ約5万人、3.8%の減少となったところであります。これは、東日本大震災津波の影響に加え、県内における少子高齢化の進行に起因する自然減と、3大都市圏で唯一人口が増加し続けている東京圏等、県外への転出による社会減が相まって人口減少につながっているものと考えております。
沿岸の人口を見ますと、前回の国勢調査と比べまして、内陸の人口が2.6%の減少であったのに対し、震災の影響もありますが、沿岸部の人口は8.3%の減少となっております。
沿岸部の市町村別に見ますと、震災で特に甚大な被害を受けました陸前高田市、大槌町、山田町において減少率が大きく、宮古市等の隣接する市町では減少率がやや緩和しており、復興が進む中、内陸や周辺へ人口移動が生じているものとも考えられます。
一方、沿岸における20歳から34歳までの若者の人口は、減少とはなったものの、減少率が前回5年間の19.0%から13.2%に縮小するなどの動きも見られております。
今後、就業状況等の基本集計、世帯構造等基本集計など、あるいは従業地、通学地による人口、就業状態等の集計などが分析されて出てまいりますので、それらをさらに分析して対策を講じていきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 日本全体が人口減少局面に入った一方、全国では8都県で逆に人口が増加するなど、日本全体の人口構成はますますいびつになっています。
こうした事態が続けば、岩手県はもとより、日本全体が活力を失い、世界での競争力を失ってしまうことになりかねません。
美しい農村や豊かな農林水産物、世界に誇る伝統芸能や文化など、日本の原風景はあまねく地方にあり、地方が輝いてこその一億総活躍社会と考えるものでありますが、地方創生を強力に実行する知事の決意を伺います。
〇達増知事 地方創生は目の前にある喫緊の課題であるという認識のもと、人口減少を引き起こすさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、人口減少に歯どめをかけ、岩手への新たな人の流れを生み出すことを目指して、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定いたしました。
国においても、東京一極集中の是正等に向け、まち・ひと・しごと創生総合戦略を定めたところでありますが、東京圏への転入超過が4年連続で増加し、東京圏の人口が全国の4分の1以上を占めるなど、東京一極集中が加速しているところであります。
一億総活躍社会の実現には地方創生が欠かせないものであり、東京一極集中の是正と地方を重視した経済財政政策を実施するよう、国に強く訴えてまいります。
県といたしましては、ふるさとを消滅させないという決意のもと、総合戦略に掲げる岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱に基づいて、あらゆる施策を総動員して、ふるさと振興に取り組んでまいります。
〇高橋孝眞委員 知事には、地方創生の岩手県ふるさと振興総合戦略を完遂し、岩手で働いてよかった、岩手で生まれてよかった、岩手で暮らしてよかったと言われる岩手にし、県民の幸福度を高めていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、飯澤匡委員。
〔飯澤匡委員質問者席に着く〕(拍手)
〇飯澤匡委員 いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
まず冒頭に、さきの台風第10号でお亡くなりになりました皆様、また、今、不自由な生活をなさっている方々に心からお見舞い申し上げたいと思います。
それともう一つ、このたびの岩手国体並びに全国障害者スポーツ大会岩手大会の成功を私は心からお喜びを申し上げたいと思います。震災復興のさなかに、予算確保が不自由な状態にもかかわらず、選手団はよくぞ頑張ってくれたと賛辞を贈りたいと思います。大会運営にかかわった全ての関係者にも心から感謝を申し上げたいと思います。
また、知事もおっしゃったように、岩手県民がもてなした温かい心は、他県の多くの選手団に伝わったのではないかと私も思いますし、まさに岩手県民の潜在力を発揮した大会だったとも言えると思います。県民も自信と誇りを得たのではないかと思料されますし、ぜひ、この力を将来の県政の発展に結びつけていただきたい、このように切に思います。
通告に従い質問に入りますが、今回、全体を貫いているテーマは、本県の客観的評価に基づく県政の信頼性への認識、政策立案機能について県政の重要課題に照らして行うものでございます。全ての質問に関連性があるので、答弁によっては順番が変わりますので、御注意いただきたいと思います。
いわて県民クラブは、県政に対して是々非々の立場で、二元代表制の趣旨に即した、行政の足らざるところは厳しく指摘し、それだけでなく、政策提案していく姿勢であることをここで改めて申し上げておきます。
それでは、質問に入ります。最初に、震災対応予算に係る決算についてお伺いします。
県では、平成27年度を本格復興邁進年と位置づけ、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けた事業を最優先に取り組んできたところであります。
私はここで震災対応予算に限ってお伺いするものでありますが、まず第1点目、震災対応予算は、国からの復興交付金等によるものがほとんどであるが、歳入の確保について、平成26年度決算に係る議会附帯意見を踏まえて、震災対応のために予算確保にどのように努めてきたのかお伺いします。
〇風早総務部長 歳入確保についてでありますが、平成26年度決算におきましては、国との連携による一層の財源の確保や、あらゆる角度からの歳入確保に全力を傾け、徹底した歳出の見直し、より効果的な事業の選択など、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努められたい旨の意見を付された上で認定をいただいたところでございます。
東日本大震災津波からの一日も早い復旧、復興をなし遂げるためにも、あらゆる手段による歳入確保の取り組みは不可欠でありますことから、県では、附帯意見も踏まえ、震災により創設された復興交付金や震災復興特別交付税を初め、平成28年度から新たに創設されました被災者支援総合交付金や東北観光復興対策交付金など国の財源措置を活用するほか、復興基金やいわての学び希望基金の有効活用、東京電力からの賠償金の確実な請求など、あらゆる角度からの歳入確保に努めてまいりました。
〇飯澤匡委員 歳入については大変な御努力をされたと私も認識しております。
それで、2点目、歳出について伺うのですが、これは、やはり被災県としての対比をするために宮城県との比較を調べてみました。歳出バランスについては、同じ被災県である宮城県とは、人的被害、おおよそですけれども、本県との比較で約1.5倍ということを鑑みながらその対比をいたしますと、当該決算でも、その予算規模、決算規模についても同じような傾向がうかがえます。
ところが、歳出バランスを見ると、本県の場合、商工費と土木費が合わせて45%と突出しております。対して宮城県は非常にバランスがよくとれていると見られるわけですが、このバランスの不均衡をどのように県では分析をしているのかお尋ねします。
〇風早総務部長 委員御指摘の決算統計に基づく目的別歳出のバランスについてでございます。
決算統計の目的別歳出について、単年度の割合だけで比較するのはなかなか困難な面もございますが、平成27年度決算における復旧、復興事業分において、土木費の本県の割合が高くなっておりますのは、復興道路や復興支援道路、災害公営住宅などの事業の本格化に伴う決算額が多額に上ったことによるものであります。
また、災害復旧費は災害廃棄物処理の完了等により減少したものの、漁業用施設災害復旧事業や河川等災害復旧事業に依然として多額の決算額を計上しておりますことから、高い割合を占めているものと考えられます。
商工費につきましては、被災中小企業者の設備資金や運転資金を貸し付ける中小企業東日本大震災復興資金貸付金を増額したことにより、高い割合を占めているものでございます。
〇飯澤匡委員 私の質問の趣旨は、土木費も商工費も同じぐらいの、1.5倍ぐらいなんですね。おおよそですね。ただ、宮城県の場合は、それに比してバランスがとれているというのは、一つ例を言いますと、岩手県では、いわての学び希望基金というものがありますが、宮城県の場合は、これに類似する支援のための基金として、みやぎこども育英基金というものがあります。その中には、岩手県ではない里親支援や不登校対策なども盛り込んでいると。要するに、復興交付金をかなり有効に使っているということが見えるわけですが、これは県の事情これおのおのありで、その点、私も承知をしておりますけれども、やはり政策の具体的な事業化という部分についてはもう少し努力が必要だったのではないかと思いますが、ここら辺の歳出の問題意識についてはどのような評価でございますか、お知らせ願います。
〇風早総務部長 復旧、復興事業に関する目的別分類につきましては、自治体ごとにどういった分類をするかについて異なる部分もございまして、分野別のバランスについて比較することは困難でございますが、本県におきましては、復興交付金ですとか震災復興特別交付税など、国からの支援を受けて造成しました地域医療再生等臨時特例基金、さらには再生可能エネルギー設備導入等推進基金など、各種基金を有効に活用しながら復興の取り組みを進めているところでございます。
特に割合が大きく異なる部分でございます災害復旧関係、民生費の関係で申し上げますと、本県では、災害復旧関係費が非常に高くなっておりますが、これは、災害廃棄物処理に要する経費につきまして、本県におきましては、民生費ではなく災害復旧費に計上しているといった違いもあるところでございます。
〇飯澤匡委員 了解しました。いずれにせよ、いろいろ研究をして、私がこの問題をなぜ取り上げたかというと、必要以外というのは言い方はちょっと失敬かもしれませんが、県費を押し縮めることのないように、有効な財源は使うということの、もっとその点は注力していただきたいという意味でございました。
二つ目、順番を変えてILCの実現に向けた取り組みについて伺います。
私が、達増県政で最も評価している点は、鈴木厚人先生の登用であります。リニアコライダー・コラボレーションが立地を承認した北上サイトは動かないと思いますけれども、全く油断はできません。それで、県は東北ILC準備室や岩手県ILC連携室を軸に実現に向けた取り組みをしてきていると承知していますが、課題と思われる点について、以下、質問します。
最初に、通告していなかったのですが、米国の政権交代が、科学予算の確保のためにどのような影響が出ると思われるか、分析がされているのであればお知らせ願いたいと思います。
〇大平政策地域部長 現在のところまだ情報がございませんので、大統領がどうなったかによってどうなるかということについては、まだ申し述べることはございません。
ただ、一方、議会のほうも構成が変わりましたので、議会もかなり力が強いのがアメリカの政治の進め方でございますので、そちらのほうとあわせて注視してまいりたいと思います。
議員連盟のほうで米国議会とのパイプがございますので、そちらのほうなどから情報収集に努めたいと思います。
〇飯澤匡委員 県レベルではどうしようもないのですけれども、かつてクリントン政権になったときに、アメリカで予定していたSSCという大型コライダーの建設が計画されたにもかかわらず、宇宙予算との関係で削られてしまったという事例もありますので、これは、やっぱりアメリカの動向をしっかりつかんでおかなければならないと思います。
それで、これからの体制ですね、県庁の体制。知事に伺いますが、対外的に人事がILCの実現に向けて十分に機能しているか、そして、ミッションに基づいた対応がなされているのか、課題認識を伺います。
〇達増知事 ILC推進に向けて、知事、副知事を初め、政策地域部長、科学ILC推進室長、首席ILC推進監である県南広域振興局副局長が、それぞれの役割に応じて対外的な折衝等も含めて対応してきているところであります。
こうした体制において、北上サイトの地質調査結果をILC国際推進組織が行う設計に反映させていますほか、2県3市による広域的な連携のもと、本県が主導的な役割を担って、東北地域が一体となった東北ILC準備室が本年6月に設置されるなど、一定の成果を上げており、今後とも、国の動向等を踏まえながら、必要に応じて体制の充実に努めてまいります。
〇飯澤匡委員 ちなみに、知事は、文部科学大臣、下村大臣、馳大臣、松野大臣に、ILCの実現に向けて直接要請を何回ぐらい行ったのでしょうか、お伺いします。
〇達増知事 正確な数字をぱっと思い出せないのですけれども、機会を捉えてILCについても意見交換等を行っているところであります。
具体的な数字を申し上げますと、ILCに関して5回、その他関連して計7回、直接、文部科学大臣にお会いしています。
〇飯澤匡委員 知事の多い少ないというのは、ここの場面では議論しません。
本県にとってグランドデザイン、今、東北ILC準備室で進めていますが、これは将来の県の姿、産業基盤や社会基盤に大きくかかわってきます。さきの一般質問の部長答弁では、東北マスタープランに岩手県の考え方を入れ込むというような、私は消極的な対応と感じるものがあり、ちょっと落胆いたしました。
宮城県には東北放射光の実現という大きな課題もあり、現時点では宮城県自体はなかなか動けない状況にもありますし、私は、積極的に本県の有利性を発揮した独自案をもっと主張すべきではないかと思いますが、現状とこれからの方針について伺います。
〇達増知事 冒頭、御案内いただいた鈴木厚人岩手県立大学学長が、この東北ILC準備室の中で重要な役割を果たしていますので、県としても足並みをそろえながら取り組んでまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 その中で、鈴木厚人先生は、総体的なバランスをとったりコーディネーター的な役割を担っているほうが多いと思うのですが、非公式にメーンキャンパスの位置を岩手県はどうするんだというような話も出ているやに聞いています。まだそういうものはなかなか難しいとは思うんですが、私が言いたいのは、事態はもう刻々と動いていると。その中で即決を求められる、そういう場面も出てくると思います。
私は、知事は対外的に即決できるポストを即刻つくって人材登用すべきと思いますが、少なくとも副知事級の人材を登用した体制の強化が喫緊の課題と考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 人材登用についてでありますが、国や国際機関への要望や働きかけなど、これまでも対外的な関係において必要な場合には、知事や副知事が直接対応しているところでありまして、また、臨機応変の決定ですか、そういったことに対しても、副知事を含めた幹部職員の選任に当たっては、適材適所の考え方により適時適切に行ってまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 適時適切というのは、この場面において私は当たらないと思いますね。岩手県が将来、これから50年、100年という、県南地区、特に岩手県、東北が大きく変わる可能性を秘めた一つのチャンスでありますから、ここはもっと積極的に、研究者の方々、いろいろな新しい情報が入ってくる。そこで岩手県どうするんだという場面になって、後でそういうぼやきの発言が出ないような形にすべきだと思うんですが、再度答弁を求めたいと思います。
〇達増知事 重要な局面であるからこそ、やはり適材適所、適時適切ということで人材登用に当たりたいと思います。
〇飯澤匡委員 宮城県はいろいろなファシリティーが随分そろっているので、ここはしっかり攻めていかなければだめだと思います。
ちょっと時間がないので次の質問に入りますけれども、あと当該自治体、一関市や奥州市、これもワーキンググループの傘下に入って東北ILC準備室の中でもいろいろ役目を負っているのですが、なかなか情報も来ないし、なかなか役目も出てこないと非常に不安に陥っているわけですね。その状況についてはどのように把握していますか。
〇大平政策地域部長 東北ILC準備室では、先ほどのマスタープラン作成に着手しておりまして、この中では鈴木厚人先生が、コーディネーターというよりも、司令塔となって具体的な指示をそれぞれの役割分担により各所属に持たせた上で行っております。
その中で、やはり非常に微妙な問題もございますし、外に出していい情報、中だけで抑えるべき情報があることから、もしかしてそのようなお話になっているのかと思います。
〇飯澤匡委員 何か県庁の動きがなかなか見えないのは残念でありますけれども、やはりこれは戦略的に、アクセス道路を含めていろいろ提案をしていくということが必要な局面ではないかと思います。
関連して、やはりILCにとって一番有効な国道343号新笹ノ田トンネルの建設に向けた取り組み状況と今後の実現に向けた方針を示していただきたいと思います。
〇達増知事 新笹ノ田トンネルについてでありますが、新たなトンネルの整備については、多額の事業費を要することが見込まれますことから、より慎重な判断が必要であると考えているところであります。
整備に当たりましては、事業予算を確保するとともに、県の公共事業評価制度に基づいた必要性、重要性、緊急性などの評価を経なければなりませんが、現在進められている復興道路の整備に伴い形成される道路ネットワークによる物流の変化やILCの立地構想実現に向けた進捗もにらみながら、今後、必要に応じ所要の検討を行ってまいります。
〇飯澤匡委員 じゃ、この問題はまた継続してシリーズ一番手でやっていきますので、よろしくお願いします。
それでは、県と市町村の諸問題についてお伺いします。
四つの広域振興局体制に入って7年目に入っています。この間、平成の合併から10年、基礎自治体としての基礎が固まったと見える一方、人口減少が進み、それに対応するため地域内分権についても果敢に挑戦する姿も散見されますが、実態は極めて厳しいと思います。被災自治体では、震災を経て自治体間の格差の拡大も進んでいます。
このような背景から、県では、広域振興局の役割について今後どのような対応をされる方針なのか伺います。
また、あわせて聞きます。広域振興局は産業振興の戦略基地の役目を担うことを目標として再編されたものでありますが、果たしてその役目を果たしているのかどうか、自己評価を問います。
〇達増知事 広域振興局の役割についてでありますが、人口減少が進む中で、合併から10年を経て、合併をした自治体では、行財政基盤の強化に伴うインフラ整備や専門組織、職員の配置などが可能になっていますが、合併しない自治体においても、人口ビジョン、そして地方版総合戦略を策定して、活力ある地域社会の実現を目指しているところであります。
広域振興局といたしましては、これまでも市町村における広域連携の取り組みを支援するため、連携中枢都市圏や定住自立圏の形成に向けた懇談会、個別市町村の勉強会などに参画し、意見交換や情報共有を行っているところでありまして、今後も、自治体間連携の重要性が増すことが想定されますので、合併した自治体、また合併しない自治体、市町村と広域振興局との連携を密にして市町村を支援してまいりたいと思います。
〇大平政策地域部長 広域振興局が産業振興の戦略基地になっているかということでありますが、広域振興局は、御案内のように、産業振興による地域経済の活性化を主眼として、効率的かつ効果的な施策を展開できる体制として整備したものであります。
広域振興局は、地域課題に即した、より実効性の高い施策に対応できるようにするため、局長独自の判断で対処できる地域経営推進費や、戦略性が高く圏域全体の振興を図る事業について局長が直接予算要求できる広域振興事業の予算を措置するとともに、ものづくりやIT、食産業に係るコーディネーター、地域の高校生の就職等を支援する就業支援員を配置するなど、各圏域で地域のニーズに対応できる体制を整備しております。
このような体制のもと、産業振興による地域経済の活性化に向けましては、盛岡広域振興局におきましてはIT産業の振興、県南広域振興局におきましては自動車産業を中心としたものづくり産業の振興、沿岸広域振興局におきましては水産加工業の生産性向上のためのカイゼンの導入支援、県北広域振興局におきましてはアパレル産業の振興など、圏域ごと特色ある取り組みが進められております。
このように、広域振興局は、単独の市町村では取り組むことが難しい広域的な産業振興について、それぞれの地域の特性を生かした戦略的な取り組みを展開しており、各圏域の産業振興の拠点として役割を果たしていると考えております。
〇飯澤匡委員 随分胸を張っておっしゃっているのですけれども、この間の復興局の審査の中で、なりわいの再生では、土地の取得以外の項目は全て前回より悪くなっているというアンケート結果です。これは、恐らく戦略的な将来を見通した産業のあり方ということがなかなか見えてこないので、そのようなアンケート結果にもなると私は思うわけですが、もう少し実際の中身を吟味してやらないとだめではないかと思うんですね。いかがですか。ちょっと今のはかなり自画自賛的な答弁だと思うんですが。
〇大平政策地域部長 具体的な成果を申し上げますと、盛岡広域振興局では、IT産業の振興を目的にIT連携コーディネーターを設置し、さらに本庁と連携しソフトウエア開発企業とのビジネスマッチング交流会を開催した結果、ソフトウエア関連取引が目標を上回る13件の成約となっております。
県南広域振興局では、自動車関連のサプライチェーンの構築を進め、セミナーや企業見学会等の実施により新たな取引企業が7社増加。
県北広域振興局では、縫製工場と首都圏発注企業との取引活性化を狙いとしたアパレル企業ビジネスマッチングフォーラムを東京で開催し、41社の参加があり、商談が進んでおります。
さらに、沿岸広域振興局では、水産加工業等の労働生産性を高めることを目指し、カイゼンの手法を波及させる取り組みを進め、勤務環境の改善、所得の向上などにも取り組む企業が出てくるなど、具体的な成果が出てきていると認識しております。
〇飯澤匡委員 それって既存でやってきたもの、ずっとやってきたものの積み重ねでやっているわけでしょう。
ちょっと質問しますけれども、県は、次期総合計画に復興の取り組みを盛り込む方針を示して、特に三陸創造プロジェクトについては、具現化などを視野に、それらを包含し未来のあるべき姿を実現するとなっています。これは既に遅いのではないかと私は思うわけですね。産業基盤の再生と創造には、私たちはエネルギーの地産地消を目指した大胆な柱立てをすべきだと提案してまいりましたが、県では、個別的な洋上風力発電や木質バイオマス発電をやっていますが、なかなか系統立てた県の施策となっていないと私は思います。
これは連携が図られていない、すなわち被災地自治体にもその実感があらわれていないし、なりわいの再生の担い手である業者の方々も、なかなかそれを実感していないというのが、このアンケート結果に出ているのではないか。これこそ私は広域振興局の仕事、もっともっと先を見てやるべきだと思います。
先ほど例で示したエネルギーの関係ですけれども、もう既に次の地震を見越して、鳥取県などではローカルエナジーという会社を設立して、自分たちの地域で地産地消するモデルをつくっている。これこそ岩手県でやるべき仕事じゃないですか。私はそう思うのですが、どのように思いますか。
〇大平政策地域部長 沿岸地域のエネルギーにつきましては、先ほどお話がございました洋上風力あるいは波力のような新しいエネルギーについての研究をしております。
また、釜石市におきましては、海外の企業が太陽光パネルなどで進出してまいりましたので、これから新しい動きも加速するものと考えております。
三陸沿岸では、エネルギーに限らず、今度、復興道路の整備などにより縦軸あるいは宮古−室蘭間のフェリー航路の開設、釜石の外国ダイレクト航路の開設など新しい動きも見えておりますので、インフラ整備がこれからは飛躍的に進むと考えてございます。
そのような基盤の整備も見据えながら、三陸創造プロジェクトの展開を図ってまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 個別課題をつなぎ合わせてもだめだと思うんです。では、どうするか、物流の問題にしたってそうです。私もこの間言いましたけれども、もっともっと宮古のフェリーと、それから釜石のガントリークレーンというのは関連性があるべきで、もう少し荷物を拡大するためにはどういう手を打たなければならないかということが抜け落ちているんですよ。ですから、もっとそれは研究していただきたいと思うし、原点に返って、まだまだ広域振興局の大きな眼目である目的を果たし切っていないと私は思っていますので、もう一回洗い直していただきたいと思います。
次の質問に入ります。県の市町村要望への対応について、知事自身は課題認識をどのように捉えているかお伺いします。
〇達増知事 市町村からの要望については、広域振興局体制が整備された平成22年度から、日常的に地域の実情やニーズを把握している広域振興局長が市町村からの要望書を受理する形とし、各市町村の意向を踏まえ、迅速かつ柔軟に要望を受ける場を設定しているところであります。
また、平成26年度以降、知事が広域振興局長から直接、市町村からの要望に係る報告を受ける機会を設け、本庁関係部局長等を同席させて地域課題を共有しているところであります。このような仕組み等を通じて、本庁と広域振興局が一体となって、可能な限り市町村の要望項目を県政に反映させるよう努めております。
今後も引き続き、広域振興局が地域課題の一層の把握に努めながら、市町村の要望に対応してまいります。
〇飯澤匡委員 私の認識は全く別なんですね。この8年間、全く同じ形式で行っています。形式は形式で、これも問題だと思うのですが、この間、一関市の要望では、ある特定課題について、全くできないという言いわけだけを並べて、市町村側は非常に憤慨をしたという事例がありました。
私は、本来、知事がおっしゃるように、現場をよく知っている方々が寄り添って、共通認識を持って進めようとする、そういう気持ちをやはり酌み取らなければならないだろうと思います。この間の要望会は、まさに本庁の下請的な答弁のあり方でありました。
私は、今のやり方をこのまま続けていったのであれば、やはり市町村との信頼関係もだんだん薄くなっていくんだろうと思うんですが、これに対して、そういう事実を踏まえて知事はどう思いますか。
〇達増知事 私が知事になった最初のころは、私が市町村に出向いて、直接そこで要望を聞き、また、そこで一定程度返事をするというやり方だったんですけれども、本庁で用意された答弁を持っていって、私も見ていて、どうも紋切り型に断るものが多いなと感じていたところ、移動の車で同行する当時の振興局のトップの人たちは、いや、そうですよね、もう少し言い方がありますよねみたいなことを言ってくれて、やはり知事査定というものが年を明けてからになりますので、早い段階で知事が紋切り型に断るような要望の聞き方はまずかろう、まずは、地元のことがよくわかっている広域振興局長に対応してもらい、それをまたさらに本庁、必要に応じては私との間でもんでいくのがいいだろうと思ってやっているところでありますが、御指摘のような印象を受けるようなことがあるようであれば、そこは要努力かなと思います。
〇飯澤匡委員 知事は、かつて、トップリーダーの役目として群れのリーダーと。危険を察知すると。群れのリーダーは、危険を察知したら、事前にそれを、危険から守るための行動を起こすと。
私は、県内の自治体の悩み、それから要望を肌で感じることは大変大事なことだと思います。どうも私が思っているものと知事が感じている要望会の格差が激しくて、逆にショックを受けたわけですが、これもしっかり見直していただきたいと思います。
もう一つ、苦言を呈するようですが、自治体との連携において、私が自治体の首長に聞いたお話を紹介します。陸前高田市の災害公営住宅の空室を、県は、知的障がい者のグループホームとして同市の社会福祉法人に貸し出すことが、9月14日付の地元紙に掲載されました。被災された知的障がい者11人が共同生活を送る予定で、災害公営住宅をグループホームに使うのは全国初と見られ、非常に画期的なことです。
ところが、このことを陸前高田市はリリースするまで全然知らなかったというんですよ。だから、そこら辺のつなぎが、県との信頼関係、いいことをやろうと思っているのに、こういうことをやられると、どうなんですかねというような話を聞くんですよ。いかがですか。そういう情報をいち早く県は耳に入れなければならないと思うんですが、そういう体制がとれていないのではないでしょうか。いかがですか。
〇達増知事 詳しく、誰がそう言っているのかという情報を私は入手していないのですけれども、例えば市長がそう言ったのであれば、やはり復興の現場で頑張っている市長にそういう思いをさせるのはよくないので、県として配慮していく必要があると思います。
〇飯澤匡委員 これに限らず、こういう事例というのは私もたくさん聞いています。これは広域振興局と自治体との距離、また本庁との距離、ますます敷居が高くなって、そして、奥座敷がもっとどんどん奥に行っているんですよ。こういうものは本当に多少どころじゃない問題だと思います。
最後に聞きますが、プロジェクトN、この政策形成過程と県施策としての妥当性を問います。
〇達増知事 東日本大震災津波からの復旧、復興に邁進する中、平成25年に放送されたテレビドラマあまちゃんから、岩手県民は多くの感動と元気をいただいたと思います。
ことし8月8日、そのあまちゃん主演ののんさんこと、本名、能年玲奈さんが来県された際、岩手の役に立ちたいという気持ちを持たれているということをお聞きしました。
久慈地方産業まつりや、さきのニッポンめんサミットにおいて、のんさんのゲスト出演がありました。また、県事業であるいわて若者文化祭2016においても、のんさんのゲスト出演をお願いし、それぞれ事業効果が高まったと考えております。
こうした取り組みの総称としてプロジェクトNという言葉を使うこともございますけれども、実際、実質的には、イベントの開催等を内容とする各部局の事業において、個々の施策の趣旨や目的、期待される効果等に照らして、妥当性を判断しながら参加を依頼していくものでございます。
〇飯澤匡委員 Nとは何を指すんですか。
〇達増知事 このプロジェクトNというのは、コードネーム、暗号名でございますので、Nが何を意味するかについての答弁は控えさせていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 小泉今日子が来たらKになるんですかね。教えてください。
〇達増知事 そのときに考えたいと思います。
〇飯澤匡委員 いずれ誤解を招く首長がいます。岩手県はもっと震災復興をまじめにやってくれという話です。そのことを最後に申し上げて終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、五日市王委員。
〔五日市王委員質問者席に着く〕(拍手)
〇五日市王委員 創成いわての五日市王でございます。
会派を代表して、平成27年度決算について総括質疑を行います。
さきの台風第10号でお亡くなりになられた方々へ謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
まずは、この災害についてお伺いいたします。
8月30日に観測史上初となる東北地方太平洋岸へ上陸した台風第10号は、県内各地に甚大かつ記録的な被害をもたらしました。東日本大震災の教訓が生かされた点、生かされなかった点をどのように捉えているのか、あわせて今回の台風災害の教訓をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 台風災害の教訓についてでありますが、県では、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、職員を被災市町村へ早急に派遣し、また、広域防災拠点に備蓄していた物資を迅速に届けましたほか、被災市町村においては、県が構築した被災者台帳システムを活用して円滑な罹災証明の発行を行ったところであります。
一方、今回の台風災害においては、河川の急激な氾濫により被害が拡大し、避難勧告等の発令が必ずしも住民や社会福祉施設等の避難行動につながらなかった面があったところであります。
このため、今回の台風災害で得られた教訓、さらには、近年多発するゲリラ豪雨などを踏まえて、新たな風水害に対応した防災体制の整備を推進していくため、岩手県防災会議幹事会議に三つの分科会を設置し、現在の防災体制の課題や対応策などについて検討することとしたところであります。
〇五日市王委員 今、広域防災拠点のお話もありましたが、平成25年度に広域防災拠点配置計画を策定し、広域災害時における後方支援のあり方や支援物資の備蓄などの準備を進めてまいりましたが、この成果についてもお伺いいたします。
〇風早総務部長 後方支援の成果についてでありますが、県では、平成26年3月に、東日本大震災津波での教訓を踏まえ、大規模災害時において物資の受け入れ、集配、備蓄機能、後方支援機能などを備えた広域防災拠点となる施設やその運用などを盛り込みました岩手県広域防災拠点配置計画を策定したところであります。
その後、平成26年度から5カ年の計画で、県内5カ所の広域防災拠点に食料、生活必需品等の備蓄を始めたところであり、今回の台風災害においては、備蓄をしておりましたアルファ米、飲料水、毛布、携帯トイレなどを被災市町村に発災後迅速に提供できたところでございます。
〇五日市王委員 震災の教訓が生かされていたと評価をいたしたいと思います。
自主防災組織と防災士についてお伺いいたします。
地域防災のかなめである自主防災組織の組織率は、平成27年度目標値85.0%に対し、実績値は85.3%でA評価となっております。課題として、特に県北地域の組織率が低いことが挙げられますが、改善されたのかどうかお伺いいたします。
〇風早総務部長 県北地域における自主防災組織の組織率についてでございますが、平成27年4月1日現在で、県北地域の中でも100%、98%と高い市町村がある一方、50%に満たない市町村もあるところであります。
また、平成26年度から平成27年度への組織率の伸びは、二戸市が3.4%、久慈市で3.2%など高い伸びがあったものの、県全体の平均組織率83.8%と比べますと、いまだ大きな差がある状況にございます。
こうした状況を踏まえまして、県では、これまでも個別に市町村を訪問し組織結成の働きかけを行ってきたほか、地域で開催する防災関連研修会へ地域防災サポーターを派遣するなど、県北地域における自主防災組織の結成を促進してまいりました。
今後におきましても、引き続き、市町村訪問による組織結成の働きかけを行いますほか、今年度は、新たに県北地域を会場にした防災講演会を開催するなどして、住民の自助、共助の意識を高め、組織率の底上げを図ってまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 今、答弁があったように、県全体の組織率、これはかなり全国平均を下回っていたのですが、震災後には全国平均を追い越して、いい感じで伸びておりますが、御案内のとおり、全体が83.8%に対して、軽米、九戸、一戸がまだ50%にも達していないという状況でございますので、ぜひとも、先ほど言われたように、組織率を高めていただくような取り組みをお願いしたいと思います。
防災士についてお伺いいたします。
地域防災を担う防災士の数は、震災のあった平成23年3月末で482人だったものが、平成28年3月末では1、306人と年々ふえ続けておりますが、市町村によって大きなばらつきがございます。一番多い宮古市で360人、一番少ない普代村で1人となっております。
今後は、防災に関する十分な知識や技能を持ち、地域防災力の向上のために活動する防災士の必要性はさらに増していくものと思いますが、防災士の養成、確保に向け、県としてどのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。
〇風早総務部長 防災士は、防災に関します一定の知識、技能を習得し、高い知識を持っており、特定非営利法人日本防災士機構が認証する民間資格であります。
県としては、防災士の方々に住民への防災知識の普及や自主防災組織の活性化などの役割を期待しているところであり、県内の防災士20名を地域防災サポーターに登録し、地域で開催します防災関連研修会に派遣を行ったり、自主防災組織リーダー研修会の講師をお願いしております。
今後におきましても、まずは防災士の地域防災サポーターへの登録を促進するなど、地域主体の取り組みを支援する人材として活用を図ってまいります。
〇五日市王委員 一番少ない普代村で1人と言いましたが、1桁の人数というのが13市町村ぐらいあるんですね。これは、本会議とかでもいろいろ議論になっておりますとおり、防災関係で、例えば情報を共有するための情報提供のあり方とか、いろいろなことを担っていただく、しかも消防団の数も、なかなか確保も難しいという状況ですので、ぜひとも、これはふやしていくようにお願いしたいと思います。
ただ、課題として、防災士になるための費用ですか、これは市町村でも全額負担したりとか─全額なのか一部なのかちょっとあれですが、負担したりという取り組みをしているところもあるようでございますので、ぜひとも、県としてもいろいろな意味でバックアップをしていただければと思います。
それでは、平成27年度当初予算は本格復興邁進予算と名づけ、震災からの復旧、復興に邁進するとともに、通常分では、子ども、子育て支援、若者、女性の活躍、地域や産業の振興など、人口減少対策を積極的に推進したと思いますが、これらの取り組みの総括的な評価について知事にお伺いいたします。
〇達増知事 震災分では、復興道路の整備や復興まちづくりなど安全の確保や、災害公営住宅の整備など暮らしの再建、被災事業所の事業再開支援などなりわいの再生に関する取り組みを進め、県の第2期復興実施計画に掲げる延べ344指標について、平成27年度の計画に対する進捗率が95%以上の指標が約7割となっているところであります。
その一方で、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされていますほか、先般公表した社会資本の復旧・復興ロードマップでは、防潮堤など海岸保全施設等において完成時期の延伸も生じており、被災者や地域によってさまざまな復興の進捗となっている現状を踏まえながら、これまで以上にオール岩手の力とさまざまなつながりの力を合わせ、一日も早い復興を目指して全力で取り組んでいく考えであります。
また、通常分では、平成27年度当初予算に、ふるさと振興総合戦略の策定を見据えて人口減少対策の展開を盛り込んでおり、社会減を食いとめる施策では、県内企業の海外展開の支援による商工業の振興や6次産業化の推進による農林水産業の強化、自然減を食いとめる施策では、結婚サポートセンターの設置などライフステージに応じた支援、ふるさとを支える基盤強化では、若者や女性の活躍支援を通じた魅力ある地域づくりなど、総合戦略の先駆けとして、さまざまな取り組みを進めてきたところであります。
このような中、平成27年の人口統計では、東京圏への一極集中の加速化などを背景に社会減が前年よりマイナス幅が拡大しましたが、出生数は8年ぶりに対前年比0.2%の増となりましたことから、引き続き、ふるさと振興を強力に推進していく必要があるものと認識しております。
〇軽石義則委員長 五日市王委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたしますので、五日市委員、御了承をお願いします。
午後2時56分 休 憩
午後3時17分 再 開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇五日市王委員 それでは、地方創生についてお伺いいたします。
平成27年度は、人口ビジョンやふるさと総合戦略の策定など、日本国中が地方創生にかじを切った年でした。
この目的達成のための国の交付金である地域消費喚起・生活支援型と地方創生先行型の平成27年度本県交付額は20事業、約31億円でした。これらの事業の総括的な成果と今後の課題についてお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 地方創生のための交付金事業の成果と課題についてでありますが、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金につきましては、目的といたしまして、地域の消費を喚起すること、仕事づくりなど地方の活性化を促すことでございまして、国の平成26年度経済対策補正で創設され、本県では、平成26年度2月補正で予算措置し、平成27年度に繰り越して執行しているところであります。
当該交付金のうち、地域消費喚起・生活支援型につきましては、アンテナシッョップやインターネット等により県産品の割引販売等を行い、推計で約10億円の新たな消費喚起につながるなど、交付金の狙いに沿った効果が得られたものと考えております。
一方、地方創生先行型につきましては、県内ものづくり産業の強化に資する設備投資等への補助や、U・Iターンの促進やプロフェッショナル人材の確保、若者の県内定着支援等を通じた東京圏等からの新たな人の流れの創出など、本県の産業振興や定住、交流、人材確保といったふるさと振興総合戦略に掲げる岩手で働くにつながる取り組みが進められたものと考えております。
地方創生のための交付金につきましては、その後、国の平成27年度経済対策補正で創設されました地方創生加速化交付金、平成28年度に制度化された地方創生推進交付金と変遷しており、その都度、補助率や要件、上限額などが変わるなどの国の制度的な課題もあり、全国知事会などを通じて、地方にとって使い勝手のいい、自由度の高い交付金とするよう求めております。
また、交付金を活用しての本県の今後の課題といたしましては、社会減のマイナス幅の拡大などもあることから、引き続き国の交付金を最大限活用しながら、ふるさと振興を強力に推進してまいります。
〇五日市王委員 地方創生の言葉とともに、東京一極集中の是正という言葉も踊った年でしたが、各省庁や民間企業本社等の地方移転などの政策はかけ声倒れで、ほとんど進んでいないのが現状であります。それどころか、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催の決定により、東京一極集中の流れに逆戻りした感があります。
国では、平成27年度に地方に本社機能を移転する場合の税制優遇制度を導入し、誘致を促しておりましたが、東京一極集中是正に向けた次の一手を知事はどのように考えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 国では、まち・ひと・しごと創生総合戦略において東京一極集中の是正等を掲げていますが、東京圏への転入超過が4年連続で増加するなど、東京一極集中は加速しているところであります。
県では、岩手県ふるさと振興総合戦略に基づいて、雇用の受け皿となる地域産業の振興に向けた競争力の高いものづくり産業の振興や新たな産業の創出、やりがいがあり、安定して働くことができる雇用、労働環境の整備の促進など、人口流出を食いとめるための取り組みを行っているところであります。
人口の社会増減は、国の経済財政政策や経済状況の影響を強く受けることが明らかであり、東京一極集中の是正に当たっては、地方の取り組みとあわせて、国家戦略として国が十分な予算を確保し、主体的に政策を展開していくことが不可欠であります。
国においては、地域産業のイノベーション創出や農林水産業の成長産業化など、地方の実情を十分に踏まえた地方重視の経済財政政策を実施するよう、全国知事会などとも連動しながら強く訴えてまいります。
〇五日市王委員 本県にゆかりのある山折哲雄さんが、東京一極集中にメスを入れるために東北遷都構想というものを発表しております。福島に、いわゆるアメリカで言うとワシントンD.C.のようなものをつくって、東京はニューヨークでいいんだというような提案をしているわけでございます。
この間放送されたNHKスペシャルでも、政治形態は全く別なんですが、中国もやはり大都市部に農民の方がいわゆる出稼ぎに行っていたんですが、それを全部締め出して、地方の中小都市のほうに振り向ける政策─ほとんどこれは強制みたいなのですが、そういった政策をとっておりました。
何が言いたいかというと、私は、そのぐらいある程度国策で大きなことをやっていかないと、この問題は、今の小手先と言ったらあれですが、そういうことで解決できるのかなということを非常に危惧しております。いずれ、そういった大胆な政策もぜひ御提案をしていきながら、東京一極集中是正に取り組んでいただきたいと思います。コメントは求めません。
次に、2020年東京オリンピック・パラリンピックの関係で、開催までの4年間に行われる文化プログラムについてお伺いいたします。
オリンピック・パラリンピックの文化プログラムはIOCの承認を得るとどこでも開催でき、2012年ロンドン大会では、英国全土の1、000カ所以上でコンサートや美術作品の展示が行われ、全体で約4、340万人が参加、約200億円の事業に取り組んだとのことであります。
東京大会までには129の自治体が参加意欲を示しており、県内では二戸市の漆文化の発信が検討されているようですが、復興のシンボルとして開催される東京大会ゆえに、被災地である本県からも積極的に参加すべきと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムに係る県の取り組みについてでありますが、公式文化プログラムは、自治体や非営利団体がオリンピック・パラリンピックとつながりを持ち、日本の文化の魅力を世界に発信できる取り組みであり、本県としては既にプログラムの実施主体として認証を受けております。今後、アール・ブリュットや若者文化、伝統芸能などさまざまな取り組みが公式文化プログラムとして位置づけられるよう、本制度の積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。
市町村分における取り組みにつきましては、現在、組織委員会において認証制度を準備しているところでございまして、制度の運用開始を見据え、今月から来月にかけて全ての市町村を対象とした説明会を開催いたしまして、制度の趣旨等の周知を行い、積極的な活用を働きかけてまいります。
県におきましては、東京オリンピック・パラリンピックにおける取り組みを先取りした形で、岩手国体、岩手大会におきましては、文化プログラムや国体・大会プラスの取り組みにより、多くの県民が岩手国体、大会を盛り上げたところであります。
そうした実績を踏まえ、東日本大震災津波の被災県として復興五輪に一人でも多くの県民が参画し、世界に向けた復興の姿の発信につながるよう、引き続き、公式文化プログラムの認証制度の活用による東京オリンピック・パラリンピックの機運醸成に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 今、答弁でもございましたけれども、本県でも岩手国体開催に合わせて文化プログラムが開催されました。
そこでなんですが、ラグビーワールドカップ2019日本大会の釜石開催に向けても、文化プログラムと同じような取り組みを県独自で行うことも必要と思いますが、見解をお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 ラグビーワールドカップ2019における文化プログラムについてでありますが、現在、本県及び釜石市を含む全国12開催地19自治体が、ラグビーワールドカップ2019組織委員会とともに大会準備に取り組んでいるところであります。大会を成功させるためには、官民関係団体はもとより、一人でも多くの県民、市民が大会にかかわり、機運を盛り上げていくことが大切であると考えております。
一方で、同大会には東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムの認証制度に該当する仕組みがございません。組織委員会では、大会名称等の商標や知的財産の使用に関する厳格なマーケティングルールを持っておりまして、このもとで、開催自治体以外の第三者がラグビーワールドカップと関連性のある催事、イベントを行うことを制限している実情にございます。
このため、県としては、今般の国体・大会プラスの取り組みの成果を踏まえ、同様の取り組みが大会の機運醸成に有効と考えられることから、こうした手法を活用した多様な機運醸成の可能性について、他の開催自治体とも連携し情報交換を行いながら、組織委員会と相談して検討を進めてまいります。
〇五日市王委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
それで、オリンピックの話をしましたが、一つ心配なことがございます。IOCではたばこのない五輪を掲げておりまして、今、2019年あるいは2020年に向けて受動喫煙防止法制定の機運が大変盛り上がってまいりました。厚生労働省案では、今は分煙となっているんですが、完全禁煙あるいは罰則規定を設けるとか、かなり強硬な案になっているようでございます。本県はたばこの産地でもありますし、二戸市はたばこ生産額日本一の市でもあります。その辺はぜひ御考慮をいただきながら、事あるごとにさまざまな発言を期待したいと思いますので、よろしくお願いいたします。(「煙に巻かれないように」と呼ぶ者あり)では、煙に巻かれないように、知事、いかがでしょうか。
〇達増知事 岩手県では、たばこ耕作者の方々が一生懸命生産に励んでいらっしゃるのはそのとおりでありますので、そういった皆さんの思いも酌み取りながら取り組んでいきたいと思います。
〇五日市王委員 輸出の質問は飛ばしまして、県北・沿岸振興についてお伺いいたします。
県北・沿岸振興に関連して幾つか質問いたします。
初めに、平成27年度の県北・沿岸振興の取り組みの総体的な評価について、県北・沿岸振興本部長である副知事にお伺いいたします。
〇千葉副知事 県北・沿岸振興の評価についてでございますけれども、県におきましては、県北・沿岸振興本部におきまして、平成27年度の重点的な取り組み方針といたしまして、若者、女性の活躍支援、地域資源を活用した産業振興、広域観光や復興等のさまざまなつながりを生かした交流人口の拡大を掲げ、全庁的な取り組みを行ったところでございます。
若者、女性の活躍支援につきましては、北いわて学生デザインファッションショーの開催等によりアパレル産業の振興を図りましたほか、被災地における魅力ある産業の創出を図るため、若者、女性を中心として起業に向けた講座の開講や初期費用への補助を行い、平成27年度は16件の起業につながったところでございます。
地域資源を生かした産業振興につきましては、県北地域において、地方創生・地域産業緊急重点強化支援事業等の支援により、健康食品や鶏肉の食品製造企業、電気機械製造企業の生産設備の増強を図りましたほか、水産加工業の販路拡大に向けた専門家の派遣による商品開発あるいはカイゼンの指導などにより、企業の生産性向上を促進したところでございます。なお、産業振興の基盤となります企業誘致につきましては、県北・沿岸地域で2件にとどまったところでございます。
また、交流人口の拡大に向けましては、県北地域の重要な資源でございます天台寺の保存改修への支援を行いましたほか、三陸ジオパークガイドの育成による受け入れ態勢の整備や、震災学習を中心とした積極的な教育旅行の誘致を行いました結果、三陸沿岸地域における教育旅行の学校数、生徒児童数が震災前を大きく上回って増加してきているところでございます。
三陸沿岸地域におきましては、橋野鉄鉱山の世界遺産登録やラグビーワールドカップ2019釜石開催の決定など国内外からの注目を集める好機を迎えておりますほか、復興道路の整備による交通ネットワークの向上や三陸鉄道の久慈−盛間の一貫経営などが予定されておりますことから、こうした状況の変化を踏まえつつ、さらには、県北地域における御所野遺跡や九戸政実公などの歴史文化的な資源を生かした情報発信や誘客の促進など、引き続き、地域の特性を生かした県北・沿岸振興に取り組んでいきたいと考えております。
〇五日市王委員 風力発電について、まとめてお伺いしますので、お願いします。
企業局による高森高原の風力発電事業に続き、県北地域では続々と風力発電への参入が計画されております。平成27年度の高森高原風力発電所の進捗状況と、県の風力発電導入構想の進捗状況についてお示し願います。また、県境を含めた県全体の風力発電導入状況についてもお示し願います。
さらに、規模拡大に伴う課題として、送電網の増強が挙げられますが、解決策をお示し願います。
〇千葉副知事 まず、高森高原風力発電所の進捗状況と風力発電導入構想の進捗状況についてでございますが、高森高原風力発電所につきましては、環境影響評価法の手続及び固定価格買取制度に基づく設備認定を完了した後、風車発電機及び蓄電池の製作据えつけ工事に着手し、本年4月から現地で風車の基礎工事を開始する運びになっておりまして、平成29年11月の運転開始に向けて工事を進めているところでございます。
風力発電導入構想につきましては、大規模な風力発電の導入可能性が高い地域として選定した県北の三つの地域において、稲庭高原周辺地域に今年度新たに1事業者が加わり、合計3事業者、折爪岳北側地区及び山形基幹牧場周辺地区ではそれぞれ1事業者が環境影響評価法の手続を進めております。
現在、5事業者のうち1事業者は、法定の4段階の手続のうち、第3段階の環境アセスメントの結果について意見を聞く準備書手続に移行しているところであり、2事業者は、第2段階として環境アセスメントの項目や方法について検討する方法書手続を進めていると伺っております。
県といたしましては、周辺環境への影響にも配慮しつつ、これらの開発計画が適切に実現されるよう、昨年7月に設置いたしました県と関係市町村で構成いたしております風力発電導入構想連絡会において、それぞれの地域の実情に応じた個別課題の調整を行うなど、風力発電の導入が円滑に進められるよう取り組んでまいります。
次に、県全体の風力発電導入状況についてでございますが、県内の風力発電の導入量は、平成27年度末で5事業者が稼働しており、約67メガワットとなっております。
今後については、環境影響評価法の手続を進めております各事業者の計画どおり導入されたと仮定いたしますと、全県で約1、600メガワット、このうち風力発電導入構想で示した県北の三つのエリアでは約600メガワットとなっており、相当量の導入が計画されているところでございます。
次に、送電網の増強についてでございますが、本県を含む東北北部におきましては、もともと電力インフラが脆弱であったところに、再生可能エネルギー発電設備の急激な導入が進みましたことから、送電線の容量が逼迫しているところでございます。
この状況に対応するため、送電線の大規模な増強が必要となり、10月13日から、北東北3県を中心といたします東北北部エリアを対象に、送電線増強に要する工事費を再生可能エネルギーを導入しようとする発電事業者が共同負担する新たな募集手続が開始されたところでございます。この手続により、さらなる再生可能エネルギー発電設備の導入が期待されるものの、工事エリアが広範囲に及ぶため送電線増強工事の完了までに時間を要することも見込まれるところでございます。
したがいまして、県といたしましては、募集手続を早期に完了するよう国に要望を行っているところでございます。
〇五日市王委員 今、計画されているところが全部実現すれば、全体で1、600メガワット、県北でも600メガワットとかなりの量だと思うのですが、例えばこれらの部品でありますとかメンテナンスなど、いわゆる関連する企業の立地といったものは見込めないものでしょうか。
〇千葉副知事 風力発電関連の企業立地についてでございますが、風力発電につきましては、県北地域を中心に今後導入が進む見込みであり、これに伴いましてメンテナンスを行う企業の立地や地場企業の参入が期待されることから、県としても調査、研究を進めているところでございます。
また、昨今の風車落下事故を受けまして、平成29年度から風力発電設備の定期検査制度が施行される予定であり、今後、メンテナンス業務の需要が大きく高まるものと考えております。
風力発電総設備容量では、全国で青森県が1位、秋田県が3位と先行しておりますが、このうち青森県では、定期検査制度の施行を見据えて地場企業によるメンテナンス業務への参入の動きが広がってきていると伺っております。
一方、部品製造関連企業につきましては、風力発電に係る主要な完成品メーカーがございませんことから、東北地方への展開が進んでいないところでございます。
県といたしましては、風力発電事業の進捗を見ながら、メンテナンスに係る関連企業の誘致や地場企業の参入の可能性などについて、引き続き積極的に研究したいと考えております。
〇五日市王委員 今のはあれですか、事故対策についてもお伺いしたかったんですが、そちらも……。
〇千葉副知事 そうです。
〇五日市王委員(続) いずれ、ふえていることによって、設備の点検不備や落雷などによる部品の落下事故などがふえているようですが、事故防止対策についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 風力発電設備の事故防止対策についてでございますが、東北電力管内で発生した風力発電設備の過去10カ年の事故件数を見ますと若干減少傾向にございまして、近年は、湿気等による発電機の故障などを原因として、年間10件程度で推移しているところでございます。
風力発電設備の安全規制につきましては、従来は国において電気事業法に基づき工事段階で使用前安全管理検査等を行ってきたところでございますけれども、全国的な風車の落下事故などを背景に、平成27年度に電気事業法が改正されまして、平成29年度からは、運転中においても定期的に安全管理検査が行われることとなったところでございます。
県といたしましては、風力発電が安全に行われるよう市町村と情報共有を図りますとともに、事業者に対しまして必要に応じて申し入れを行ってまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 では、世界遺産登録についてお伺いいたします。
世界遺産登録を目指している北海道・北東北の縄文遺跡群は、2013年以降、ユネスコへの推薦が見送られてまいりました。まことに残念であります。
現在は、2017年度の推薦を目指し奮闘中で、先日も三村青森県知事を本部長とする登録推進本部が文化庁長官に要望を行いました。本県からも同行したことと思いますが、その手応えについてお伺いいたします。
〇達増知事 一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群については、本年7月、国の文化審議会から、構成資産の変更や史跡の追加指定を行ったこと等によって保存管理面での取り組みが評価されましたが、一方で、縄文文化の価値のわかりやすい表現や、資産全体の価値と個々の構成資産との関係の合理的な説明など解決すべき課題が示され、御案内のとおり、本年度のユネスコへの推薦を見送られたところであります。
今月1日に文部科学省及び文化庁に対し関係道県などで行った要望活動におきましては、松野文部科学大臣からは課題解決のため協力する意向が、また、宮田文化庁長官からは課題解決に向けた取り組みへの期待感が示されたところであります。
縄文遺跡群の世界遺産登録については、なお解決すべき課題が多くございますが、御所野遺跡の持つ普遍的価値の重要性や、登録に対する県北地域を初め県民の大きな期待があると承知しておりますので、来年度のユネスコへの推薦の実現に向けて、青森県など関係自治体と連携しながら推薦書案の改定に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 文部科学大臣及び文化庁長官への要望を11月1日に実施されているわけですが、これには知事は御同行なされたのでしょうか。
〇達増知事 要望活動が行われた11月1日は、当初、秋の園遊会に出席予定でありましたが、三笠宮殿下が薨去なされたことにより園遊会が中止になり、この日は予定を変更して、県庁内において、県市長会からの平成29年度予算編成に関する提言活動を受けることにしたほか、また、県議会一般質問の答弁検討を行うこととしたものであります。
なお、本年4月26日に関係自治体等で行った国への要望活動においては私も出席し、馳文部科学大臣と宮田文化庁長官に対して縄文遺跡群の世界遺産登録実現の要望を行ったところであります。
今後におきましても、国への要望活動を含め、縄文遺跡群の世界遺産登録の実現に向けて、関係自治体とともに積極的に取り組んでまいりたいと思います。
〇五日市王委員 ということで、11月1日には御同行なされなかったということでございます。青森県からは三村知事御本人、北海道からも高橋知事が出席されているようでございますので、ぜひとも、行けるときがあれば、きちんと行っていただきたいと思いますし、この件につきましては、我が会派の工藤誠委員からも、後日、お話があると存じますので、よろしくお願いいたします。
そして、これは前にも質問したのですが、縄文遺跡群を応援、PRするため、青い森鉄道は、平成27年7月から翌年3月までの期間、縄文遺跡群ラッピング列車を走らせております。本県にも一部乗り入れをしていることから、目にした方もあるかと思いますが、本県でもIGRへ導入するなど、PR策を強化すべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
〇達増知事 県におきましては、これまで、一戸町と連携し、県民を対象とした縄文文化フォーラムを平成23年度から毎年度開催するとともに、県内の学校を対象とした世界遺産に関する出前授業の中で縄文遺跡群を取り上げて、その概要と構成資産の持つ貴重な価値の理解の浸透などに取り組んできているところであります。
また、県外の方々への理解の促進を図るため、来年1月には縄文遺跡群の価値をテーマとした国際フォーラムを4道県合同で東京都において開催することとしております。
今後におきましても、関係自治体との連携や他自治体における取り組みなども参考としながら、縄文遺跡群の世界遺産登録に向けて、本県独自のPRの強化などを含め、より一層の機運醸成に努めてまいります。
〇五日市王委員 観光客誘客やインバウンド受け入れ態勢の強化策として、関東圏ではスイカ、関西圏ではイコカなどのIC乗車券が広く普及しておりますが、県内での普及は進んでおりません。路線バスやタクシーはもちろんのこと、IGRや三陸鉄道等、IC乗車券での利用可能な環境整備を進める必要があると思いますが、現状と今後の取り組みについてお伺いして、終わりたいと思います。
〇大平政策地域部長 IC乗車券の導入についてでありますが、IC乗車券は、鉄道、バス等への乗車や乗りかえの負担が軽減されることに加えて、多くは買い物等における電子決済機能を有していることなど、利便性の高さから大都市圏を中心に広く普及しております。
県内では、JR大船渡線BRTにおいて専用のIC乗車券が導入されておりますが、その他の地域ではいまだ導入が進んでいないところであります。
県内の交通事業者においても、利用者サービスの向上や運行業務の効率化等の観点から、IC乗車券導入の必要性については認識しておりますが、導入に当たっては、県内交通事業者間での相互利用のあり方、全国的な交通系ICカードとの連携などのほか、システムの導入や運用に多額の費用を要することなどから、課題も多いと考えているところであります。
県といたしましては、IC乗車券の導入は、利用者の利便性の向上につながるとともに利用促進や旅客動向の把握など交通事業者の経営強化にも資するものと考えており、将来的なIC乗車券の導入に向けた県内交通事業者の動きを支援してまいりたいと考えております。
現在、交通事業者に具体の動きはございませんが、今後検討がなされる場合には、IC乗車券を導入した地域の先行事例の研修会、あるいは補助金等外部資金の導入について情報提供を行い、交通事業者の検討を後押ししてまいります。
〇五日市王委員 終わります。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、高田一郎委員。
〔高田一郎委員質問者席に着く〕
〇高田一郎委員 日本共産党の高田一郎でございます。
まず最初に、介護保険制度についてお聞きいたします。
昨年、介護報酬が大きく引き下げられました。県内の事業所での減収の影響はどうなっているのか、また、これに伴う廃止や休止となっている事業所数はどうなっているか示してください。
〇千葉副知事 介護報酬引き下げの影響等についてでございますが、昨年、全国老人福祉施設協会が行いました調査によりますと、報酬改定前後の平成27年3月と4月の比較では、特別養護老人ホーム1施設当たり月額約54万円の減収となっており、また、県と介護保険施設の事業者団体との意見交換におきましても、事業者団体から、法人形態や運営規模にかかわらず、一様に厳しくなったという声を聞いているところでございます。
また、平成27年4月から平成28年3月までの1年間に、県内で廃止、休止を届け出た介護事業所124カ所のうち、経営法人主体の変更など事務手続的な廃止を除く実質的な廃止、休止事業者は86カ所となっております。
その理由として明確に介護報酬引き下げを挙げたものはございませんでしたが、多くの事業所では経営悪化や介護人材不足を理由に挙げておりまして、その背景としては引き下げの影響もあったのではないかと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 一層厳しくなったという話でありますが、私も、この間、幾つかの社会福祉法人を調査いたしました。前年比1、500万円のマイナスで、単年度でも赤字になったという法人もありました。また、一関市立藤沢病院事業会計の介護事業だけとってみても800万円のマイナスとなって、実際何が起きたかといいますと、退職する看護師とか介護士を、正規だったものから非正規で採用しているという実態があります。
県として、法人の事業運営、施設運営について、現場でどう影響があらわれているのかということを具体的に実態を把握する必要があるのではないかと私は思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
〇千葉副知事 報酬改定の影響に関する具体的な実態、影響をどう把握するかということについてでございますが、そのような具体的な調査につきましては、現在、国におきましては、3年ごとに行われております介護事業経営実態調査や、毎年度行われております介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査などが行われているところでございまして、これらの調査は対象を抽出して実施する標本調査ではございますが、県としても、今後、対象となった施設から調査への回答を任意で提出していただくなどして、県内の傾向を把握できないか研究したいと考えております。
〇高田一郎委員 昨年の9月議会でも私は同じ問題を質問したのですけれども、実態把握について方法を考えたいと述べておりました。実際、現場で何が起きているのかということを具体的につかんで、必要な対策を国に求めていくということが大事になりますので、ここは引き続き実態をしっかりと把握していただきたいと思います。
いずれ、事業所運営の経営が厳しさを増す中で、施設整備もしっかり行っていかなければいけないと思います。
そこで、午前中の質疑でもありましたけれども、介護保険事業計画第6期計画の達成が本当に可能なのかどうか、進捗状況についても具体的にお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 介護保険事業計画第6期計画の進捗状況につきましては、計画初年度でございます平成27年度末には、特別養護老人ホーム8、207床、介護老人保健施設6、038床、認知症グループホーム2、325床が開設されておりまして、平成27年度の計画目標量と比較いたしますと、特別養護老人ホームと認知症グループホームはともに1.0%下回っておりますが、介護老人保健施設は計画を1.4%上回っておりまして、おおむね計画どおりに推移しているのではないかと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 午前中も同じような質問がありましたけれども、副知事は、平成29年度末には一定の対応が可能だという答弁でありました。結局、第6期計画が達成しても、実際、待機者は解消しないというのが実態です。そして、私は第5期計画も調べてみましたけれども、特養ホームにおいても304床達成できませんでした。介護老人保健施設もそうです。グループホームについても達成ができなかったのであります。介護保険料を払っても必要なサービスが受けられない、絶対こんな制度であってはならないと私は思います。
私は、最近建設された県南の特養ホームを視察してきました。50床の特養ホームでありましたけれども、総事業費が12億円、これに対して補助金はわずか2億円でありました。しかも、介護士が不足して満床でスタートすることができなかったということで、社会福祉法人など介護事業者が二重の困難を抱えているのではないかと思っています。
それで、かつては特養ホームの施設整備には4分の3の補助がありましたけれども、実際、今は5分の1、6分の1になっています。私は、現在の支援制度、補助制度では、特別養護老人ホームを初めとした介護施設というのはなかなか整備が進まないのではないかと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇千葉副知事 現在の補助制度、支援制度の課題についてでございますが、県では、介護保険施設の整備を進めるため、法人等に対します補助制度を創設しておりまして、現在の補助単価は、特別養護老人ホームを例にとらせていただきますと、定員29人以下の施設につきましては1床当たり427万円、定員30名以上につきましては1床当たり350万円となっております。
具体的には、定員29名以下の地域密着型特別養護老人ホーム等地域密着型サービスの整備に対する補助につきましては、国が示した基準単価の上限額を採用し、順次単価を引き上げてきたところでございます。
また、定員30人以上の特別養護老人ホームの施設整備に対する補助につきましては、かつての国庫補助金等の一般財源化に伴い、平成18年度以降、県単独補助として行っておりますが、現在、本県が設定しております単価は、他県の調査ではございますが、回答がありました38道府県のうち上から4番目となっているところでございます。
施設整備に関しまして、市町村からは、介護保険事業計画に基づいて行う公募に対して、介護人材不足などの理由により事業者が対応できない状況にあるというお話もお伺いしておりまして、補助制度以外の問題もあるのではないかと考えているところでございますけれども、今後とも、事業者の方々のお話を聞きながら、また、他の都道府県の状況も確認しつつ、必要に応じ補助制度の見直しも行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 私も全国の状況を調べてみましたけれども、確かに岩手は低いほうではない。上位になっているのはわかります。しかし、最近、独立行政法人福祉医療機構が調べた調査を見ました。震災以降の建設単価が被災3県は物すごく上がっている。1平方メートル当たり20万9、000円から26万9、000円になっているという状況です。今何が起きているか。盛岡市内では入札不調になるという事例も起きております。予定価格と最低入札価格が2億円の乖離があるということで、入札が不調になるという状況です。しかし、震災前から岩手の補助金というのは変わっていないという状況でありますので、副知事から答弁がありましたように、見直しを検討したいというお話でありますけれども、ぜひ早急に検討して対応していただきたいと、これは要望にとどめておきたいと思います。
次に、認定された高齢者の23.8%に当たる要支援1、2の通所介護や訪問介護の生活援助は、来年4月から保険給付から外れて市町村の事業に移行しようとしておりますが、この間の介護予防の事業の成果と役割、どういう大きな役割を果たしてきたのか、県としての評価についてまずお伺いいたします。
〇千葉副知事 介護予防・日常生活支援総合事業は、現行の訪問介護、通所介護相当のサービスに加え、多様な訪問型、通所型サービスやその他の生活支援サービスを充実することにより、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援を目指すものと考えております。
本県では、これまで9市町村が総合事業に移行しておりまして、その他の市町村は、今、委員からお話がございましたが、来年4月からの移行に向けて準備を進めているところでございます。
総合事業のメニューのうち、現行の介護予防訪問介護、通所介護に相当するサービスにつきましては、各市町村とも実施または実施予定でありますが、例えば、既に移行いたしました住田町では、現行相当のサービスに加えまして、その他の生活支援サービスとして、新たに栄養改善を目的とした配食サービスを開始しておりますほか、今後、実施予定の市町村も含め、来年4月からは、18市町村で多様な訪問型、通所型サービスやその他の生活支援サービスが実施される見込みと考えております。
〇高田一郎委員 今、副知事が述べられたように、介護度の重度化にならないよう本当に重要な役割をこの制度は果たしていると思います。しかし、今、市町村事業となることによって、事業者が参入をためらう事態になっているのではないかと思います。
一関地区広域行政組合が実施した事業者へのアンケート調査を拝見いたしました。ここでは、参入可能が通所で37.0%、訪問で46.4%。これは、少なくない自治体が現行の7割から8割の単価で検討しているということからであります。現在の単価が本当に4月以降維持されるのか。ほぼ維持されるというのが一般質問での答弁でありましたけれども、改めて確認のためにお聞きしたいと思います。
〇千葉副知事 地域支援事業の単価についてでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたところでございますが、本県では、各市町村におきまして現行の介護予防訪問介護、通所介護に相当するサービスを実施または実施する予定でございますけれども、その単価につきましては、ほぼ現行の水準に設定されることとなっております。
委員からただいま御紹介のありました一関地区広域行政組合によります事業者アンケートにつきましては本年8月に行われたもので、調査内容は、現行相当のサービスについてではなく、多様な訪問型、通所型サービスの緩和した基準によるサービスについて、現行単価の7割の単価を示した上で、介護サービス事業者に対して参入できるか否かお尋ねしたものと承知しております。
国におきましては、本年10月に、緩和した基準によるサービスなどの多様なサービス単価については、サービス内容や時間、基準等を踏まえ、ふさわしい単価を定めることが必要であるとの注意喚起の通知を発出し、これを受け、県におきましては各市町村に周知したところでございまして、今後とも、通知に沿った取り扱いが行われるよう、必要に応じて助言をしてまいります。
〇高田一郎委員 単価をほぼ同じにするという話でありますけれども、実際は7割ぐらいの単価で、さまざまな加算措置をやれば何とか現行の単価に近づくということですから、市町村は非常に難儀しています。ぜひ、この辺の実態も調査して、また、国の通知もしっかりと周知して、現行制度を絶対後退させないという立場で支援をお願いしたいと思います。ここは要望です、時間がありませんので。
次に、地域医療構想についてお伺いいたします。
ここ10年間で必要病床数を3、164床削減して在宅医療を推進するという大変な努力の内容になっています。この地域医療構想における必要病床数というのはどのような考えで定められているものか、これについて伺います。
〇達増知事 地域医療構想における必要病床数についてでありますが、今後、高齢化の進展等に伴う医療需要の変化に対応するため、急性期の医療から在宅医療に至るまで切れ目のない良質な医療提供体制の構築が求められていることから、将来の目指すべき医療提供体制を定める地域医療構想を策定したところであります。
必要病床数は、医療法を初めとする関係法令に従って、将来の人口推計や平成25年度の入院医療の実績等をもとに平成37年の医療需要を算定したものでありまして、今ある病床を、この必要病床数まで直ちに減らすというものではなく、将来の医療需要に応じた地域における必要な医療提供体制の整備などを検討するための方向性を示すものであります。
〇高田一郎委員 目指すべき将来の方向性であって、直ちに削減するのではないという知事からの答弁がありました。
今、県と二次医療圏ごとに設置されております地域医療構想調整会議は、地域医療構想の達成を進めるための必要な事項について協議する場だと説明されています。調整会議の性格あるいは所掌事務というのは一体何なのでしょうか。
〇達増知事 地域医療構想調整会議は、医療法に基づいて、県、市町村、医療関係者等が地域医療構想の実現に取り組むための協議を行う場として設置しているものであります。
県内九つの構想区域ごとに設置する調整会議においては、区域内の医療機関の病床機能報告制度による情報等を共有した上で、病床機能の分化と連携に向けて各医療機関が担うべき病床機能などについて協議を行うものです。
また、全県レベルで設置する岩手県地域医療構想調整会議においては、県全体の取り組み状況の把握や必要に応じた構想区域間の病床機能の連携に係る調整等を行うものであります。
〇高田一郎委員 それで、私が住む両磐医療圏では、急性期は515床、慢性期は57床が過剰で、回復期は116床不足ということで、全体で380床、31%の過剰地域となっております。しかし、ここ10年間をとってみても、人口は減らない、高齢者人口はむしろ増加するという見込みであります。そして、ここ数年、在宅医療を担う医師が減少しているという実態にもあります。医療現場からも、独居老人が増加して、在宅医療が困難だという声も現場から出ている、そういう不安の声が出ている状況です。
この地域医療構想というのは、地域医療の実態から少し乖離しているのではないかという思いをしております。地域の実情に基づいて県民が納得できるようにすべきだと私は思いますけれども、この調整会議において、今後、変更、見直しというのはあり得るのでしょうか。
〇達増知事 地域医療構想で定める必要病床数は平成37年の医療需要を算定したものであり、関係法令に従い、平成37年における推計人口や平成25年度における入院医療のレセプトデータなどを用いるとともに、慢性期病床の需要の一部を在宅医療等に移行する前提で推計しているものです。
この構想の実現に向けて、地域医療構想調整会議の協議を踏まえて、地域の実情に応じて病床機能の分化と連携や在宅医療等の体制整備に取り組んでいくわけでありますが、地域医療構想の見直しについては、次期保健医療計画及び次期介護保険事業支援計画の策定の際、両計画の整合を図っていく必要がありますことから、地域の医療提供体制に係る情勢や国の動向を踏まえて、その必要性についても検討していくこととしております。
〇高田一郎委員 地域医療構想の具体的な数字というのは、今後のさまざまな検討を経て見直しもあり得るということで理解していいのでしょうか。
もう一つなのですけれども、地域医療介護総合確保基金については午前中にも議論がありました。この基金の性格を見ますと、地域医療構想を達成するための医療施設の整備などに対応する、地域医療構想を達成するための整備基金だとなっております。これは、病床規制のための病床転換を促す、この基金で、ベッドを削減する、誘導するということなのではないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
〇達増知事 例えば必要病床数については、10年かけて将来のあるべき医療提供体制の構築に取り組むための方向性を示したものでありますので、構想区域間の入院患者の流入や流出が大きく変化することが見込まれる場合など、今後の医療計画の見直しの際、岩手県地域医療構想調整会議において、その変更の必要性について検討することも想定しております。
また、病床転換の促進ということについてでありますけれども、地域医療構想は、病床の削減を目的とするものではなく、高齢化の進展などに伴う医療需要の変化に対応した将来のあるべき医療提供体制の構築を目的としたものであります。
地域医療構想の実現に向けては、病床機能の分化と連携を進める必要がありますことから、医療機関が地域医療構想調整会議における協議等を踏まえ、将来、地域で不足する病床機能への転換などに自主的に取り組む場合においては、地域医療介護総合確保基金を活用した補助よる支援を行うこととしているところであります。
〇高田一郎委員 在宅医療の体制整備、中でもそれを担う医師確保が前提であって、それが具体的に示されない限り、ベッドの削減というのはあってはならないと思いますので、地域の実態に即して対応していただきたいと思います。
次に、新笹の田トンネルの整備についてお伺いいたします。
先ほどの飯澤委員の質問もお聞きしましたけれども、施設の整備費が多額になると。慎重な判断が必要で、必要性、重要性について検討していくという答弁でありました。これは、私は、2年、3年間ぐらいの答弁書を見ましたけれども、2年、3年、全然変わっていないんです。
そこで、整備に向けたこれまでの検討状況というのは具体的にどうなっているのでしょうか。私は、必要性、重要性のあるトンネルだと思いますけれども、この必要性、重要性について知事はどのような認識なのか、その辺についてもお伺いいたします。
〇達増知事 笹の田トンネルについては、新たなトンネルの整備については多額の事業費を要することが見込まれることから、より慎重な判断が必要であると考えているところであります。
整備に当たっては、事業予算を確保するとともに、県の公共事業評価制度に基づいた必要性、重要性、緊急性などの評価を経なければなりませんが、現在進められている復興道路の整備に伴い形成される道路ネットワークによる物流の変化やILCの立地構想実現に向けた進捗もにらみながら、今後、必要に応じて所要の検討を行ってまいります。
また、整備に当たっては、公共事業予算の動向、県の公共事業評価、復興道路整備後の物流の変化、ILCの立地構想の進捗状況など、さまざまな要素を総合的に判断していく必要がありますが、その中でも公共事業予算の動向が特に重要な要素であると考えております。
なお、公共事業予算確保を目指し、道路利用者や県民と道路整備の重要性や緊急性を共有することを目的とした大会を10月に開催したところでありまして、この中で、産業の生産性向上や県民の安全・安心を確保するための新たな道路整備への投資が可能となるよう予算を大幅に拡大することを決議して、市町村長や関係団体とともに国に要望したところであります。今後とも、道路整備に必要となる予算枠の拡大に向けて、機会あるごとに国に対し働きかけてまいります。
〇高田一郎委員 数年前から必要性、重要性の検討をしていきたいというお話でありましたけれども、この間の必要性、重要性に対する検討状況というのはどうなっているんですか。
〇達増知事 国道343号は、内陸部と気仙地区を結ぶ幹線道路であり、産業振興や観光振興などに大きな役割を果たしています。
東日本大震災津波の発災時には、内陸部からの救援ルートとしての役割を果たしたことから、県では、復興計画において同道路を復興支援道路に位置づけて、一関市渋民工区、一ノ通工区において精力的に整備を進めているところであります。
公共事業評価では事業別に評価する項目として設定しており、必要性としては、幅員狭小や急カーブ、渋滞などが解消されること、重要性としては、広域的なネットワークとしての位置づけや地域振興へ寄与すること、緊急性としては、関連事業があることや防災危険箇所が解消されることなどを指標として評価しております。
〇高田一郎委員 今、陸前高田市とJRの間では、地域交通網についてのさまざまな協議をしているようであります。実はJRから、この協議の中でJR一関駅までのBRTを提案している、しかし、実際に委託をしている県交通に聞いたら、笹の田トンネルの通行は難しいと拒否されたという話でありました。トンネルが実現すればBRTが実現できるということで、陸前高田市からも相当に強い要望があるとお聞きしておりました。
私は、最後に知事にお聞きしたいのは、三陸沿岸道路が完成すれば、三陸地域の交流人口が仙台圏に取り込まれるのではないと思うのですが、いかがでしょうか。やはり戦略的な取り組みを持って対応していくべきだと思いますが、これを聞いて、私の質問を終わります。
〇達増知事 三陸沿岸道路完成後の影響についてでありますが、三陸沿岸道路の整備により、時間距離の短縮など交通環境が大きく向上することから、水産物等の販路拡大や物流の活性化、三陸沿岸周遊の利便性が高まることによる観光客の増加や旅行消費の拡大などが期待されます。
このような広域的なアクセスの向上による効果は、既に宮古−室蘭間の定期フェリー航路や釜石港の国際コンテナの定期航路の開設が発表されるなど、物流におけるダイナミックな展開や企業集積の促進につながっているところであります。
また、交流人口の面においても、人の流れの変化や活発化によるプラスの効果を生かしていく必要があり、このことは、首都圏や、またインバウンドを含めた仙台圏からの誘客の拡大を図るチャンスと捉えております。
県においては、復興道路の整備や今後の三陸鉄道の一貫経営などの環境の変化を踏まえて、復興のその先を見据えた総合的な三陸振興の推進体制の整備の一環として、本年4月に、公益社団法人さんりく基金を母体にして三陸DMOセンターを設置したところであり、観光客の流れなどの具体的なデータに基づく戦略を練りながら、地域と一体となって三陸地域の交流人口の拡大に取り組んでまいります。
〇軽石義則委員長 次に、小西和子委員。
〔小西和子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小西和子委員 社民党の小西和子でございます。
最初に、将来の県財政の見通しについて伺います。
平成27年度の決算を見て心配になるのは、将来の見通しです。公債費の決算額は約1、290億円、平成27年度末の県債残高は前年度から405億円減少したものの約1兆3、400億円に上る一方、財政調整基金などの財源対策基金の残高は57億円減少し約570億円となっております。
過去の大型公共投資に伴う償還は平成26年度をピークに減少に転じていますが、公債費は依然として高い水準が続いています。この先の県財政が心配だとの県民の不安な声も聞こえてきます。
平成28年9月に公表された岩手県中期財政見通しによりますと、平成30年度末には財源対策基金残高は160億円にまで減少する見通しであり、近年の当初予算編成における収支ギャップを考慮すると、平成31年度の予算編成に大きな不安を残す内容となっています。
現在、東日本大震災からの本格復興の真っただ中にありますが、次世代を担う若者や女性の活躍推進、子育て支援などの取り組みを一層強化し、地方創生の取り組みを加速する必要が高まる中、平成31年度は、次期県民計画のスタートとなる年度でもあります。必要とされる事業が山積する中、どのように県民の不安を解消する安定的な財政運営を行っていく考えか、知事に伺います。
〇達増知事 今回の試算によりますと、公債費が低減する一方で、社会保障関係費の自然増などにより多額の収支ギャップが生じており、平成30年度末での財源対策基金残高を160億円程度と見込んでいるところであります。
こうした厳しい財政状況下においても、東日本大震災津波からの復旧、復興については決しておくらせてはならず、また、平成31年度からスタートする次期長期計画のもとで、必要とされる事業を確実に実施していく必要があります。
そのためにも、歳出の徹底した見直しと、あらゆる手法による歳入の確保に努め、国に対しては、地方創生の取り組みを一層力強く進めるために、地方創生推進交付金の拡充や地方一般財源総額の確保等について、全国知事会等と連携しながら引き続き要望するとともに、岩手県ふるさと振興総合戦略の展開による産業振興や仕事の創出などによる税源涵養も図りながら、平成31年度以降も安定的な財政運営が可能となるよう努めてまいります。
〇小西和子委員 そういうことでしたら、県民の不安を払拭するよう情報発信をお願いいたします。
国は、地方交付税の基準財政需要額算定に係るトップランナー方式を平成28年度からの実施としておりますけれども、予算特別委員会の総括質疑では、詳細が示されていないため本県影響額の算出は困難との御答弁をいただいております。
改めまして、トップランナー方式による本県への影響について伺います。
〇風早総務部長 トップランナー方式の影響についてでありますが、この方式は、昨年6月の国の骨太の方針において、地方団体の歳出の効率化を推進する観点から、歳出効率化に向けた業務改革で他団体のモデルとなるようなものを地方交付税の算定に反映することとされたものであります。
今年度の普通交付税算定におきましては、学校用務員事務、道路維持補修、清掃、庁舎清掃、庶務事務等の業務が対象となりまして、本県算定額への影響は3億5、000万円程度の減額と試算されますが、地方創生取り組み経費や社会保障の充実分に係る措置並びに国勢調査人口の急減に伴う激変緩和措置が講じられたことなどによりまして、本県の普通交付税額は、昨年度比48億円増の2、192億円余りと決定したところであります。
トップランナー方式は、段階的に導入が進められることとされておりますが、面積や人口密度など地域の実情に配慮し、地方交付税の財源保障機能に影響を与えることがないよう、引き続き、地方6団体とともに提言等を行ってまいります。
〇小西和子委員 トップランナー方式は、国主導で地方の合理化を推し進めようとするものであり、交付税を人質とし、抵抗できないまま地方自治が脅かされるおそれがあります。国の一方的な交付税算定方針に対し歯どめをかけるため、地方が了解していない制度に対しては反対の方向を示すべきと考えます。
次に、東日本大震災津波復旧、復興について伺います。
東日本大震災津波の発災から5年8カ月が経過していますが、住まいを一つの例としましても、自力再建された方、災害公営住宅に入居された方、応急仮設住宅団地に居住し続けている方など多岐に及んでいます。被災者一人一人の生活再建、憲法の保障する生存権、幸福追求権の保障を実行するために、これからも全力で取り組んでいかなければならないと感じております。
第2期復興実施計画に係る復旧、復興事業の進捗について、その成果をどのように評価しているのか、知事に伺います。また、第2期復興実施計画の事業に対して、おおむね着実に進んでいるとのことですが、具体的な到達目標と見通し、さらには、今年度策定を予定する第3期計画にどのように反映させるのか伺います。
〇達増知事 第2期復興実施計画期間である本格復興期間におきましては、災害廃棄物処理分等を除く実質的な事業費ベースで、第1期の基盤復興期間を上回る過去最大の予算規模で事業を進めております。
復興計画で掲げた三つの原則のうち、安全の確保については、復興道路が新規事業化された全ての区間で着手し、約4割が供用済み、土地区画整理事業等市町村の面整備事業では、宅地供給予定の全ての区画で着工され、平成28年度末で5割を超える宅地の供給見込みとなっております。
暮らしの再建については、災害公営住宅の約7割が完成し、平成28年度末で約8割の完成見込みとなっており、市町村立小中学校においても、平成28年度末で約9割の完成見込みとなっています。
なりわいの再生については、一部再開を含め約8割の被災事業所で事業が再開されたほか、商店街や商業機能の再生が本格化しています。
また、県の第2期復興実施計画に掲げる延べ344指標については、平成27年度の計画に対する進捗率が95%以上の指標が約7割となっています。
一方、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされていますほか、先般公表した社会資本の復旧・復興ロードマップでは、防潮堤など海岸保全施設等において完成時期の延伸も生じています。
復興の進捗は、地域や被災者によってさまざまではありますが、第3期復興実施計画では、第2期の取り組みを踏まえて、海岸保全施設の早期完成、恒久的な住宅への移行や新たなコミュニティー形成、人手不足への対応や販路の回復など、各分野における課題解決に取り組んで、一日も早い復興を目指して全力で取り組んでまいります。
〇小西和子委員 今後の具体的施策に当たっては、特に人口減少問題、雇用対策は大変重要な課題と考えます。実態に即した、県民との乖離を埋めていくような手だてを要望いたします。
第2期復興実施計画では、参画、つながり、持続性を重視する視点として本格復興に取り組んできたところですが、その進捗状況について伺います。特に参画については、次世代を担う若者や女性を初めとした地域住民による復興の計画、活躍できる地域づくりの推進を掲げてきたところであり、その成果について具体的に伺います。
〇木村復興局長 第2期復興実施計画の三つの視点についての進捗状況ということでございます。
まず、参画についてでございます。復興を進めていくためには、若者、女性を初めとした地域住民の幅広い参画が重要でありますことから、平成26年4月に、女性の意見や視点を幅広く取り入れるため、県の復興委員会のもとに専門的に調査、審議を行う女性参画推進専門委員会を設置し、同年10月には、本委員会に女性参画による被災地のなりわいの再生について検証、議論を行うためのワーキンググループを設置し、平成28年3月に調査報告を取りまとめたところでございます。
この調査報告書も踏まえまして、若者や女性の被災地での新たなビジネスの立ち上げを総合的に支援するさんりくチャレンジ推進事業を新設したほか、復興支援員や地域おこし協力隊の活動を支援する多様な主体の連携による地域コミュニティ支援事業、若者グループが企画、実行する取り組みへの支援を行ういわて若者活躍支援事業などを実施し、若者や女性などが復興に参画する機会の創出と拡大が図られてきているところでございます。
次に、つながりでございますが、多様な発想や知恵を生かした復興の取り組みを進めていくためには、復興を契機に生まれたつながりやきずなをさらに広げ、強化していくことが重要であります。例えば、いわて三陸復興のかけ橋推進事業では、復興支援マッチングや復興支援ネットワークの構築によりまして、首都圏の企業と共同した商品開発や人材育成の取り組みが進んでおりますなど、県内外の多様な主体とのつながりを生かした取り組みが沿岸各地で生まれてきているところでございます。
次に、持続性でございますが、三陸地域の持続的で安定的な社会経済基盤を再構築するためには、三陸地域の地域資源を発掘、磨き上げ、活用していくことが重要でございます。
例えば、海洋エネルギー研究拠点構築事業では、海洋エネルギーに関する研究開発プロジェクトの創出支援に取り組み、平成27年4月に釜石市沖が海洋再生エネルギー実証フィールドとして国から選定されるなど、国際海洋研究拠点の構築に向けた足がかりができたところでございます。
このように三つの視点を重視した取り組みにつきましては、一定の成果を上げているものと認識しているところでございますが、また、一方で、新たな交通ネットワークを活用した交流、連携の強化などの課題もあると認識しております。これらの成果と課題を、現在策定中の第3期復興実施計画に反映させていきたいと考えております。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
平成27年の試算では、平成28年度から平成32年度までの復興事業費を約2.2兆円と見込んでいる中、平成27年度の決算を見ますと、歳入予算に占める自主財源比率は47.2%、ここ数年40%台後半となっており、復興事業の着実な推進には、国庫支出金などの財源確保が特に必要なものと見込まれます。
復興予算の確保について、これまでの取り組み状況と今後の対応を伺います。
〇木村復興局長 復興に必要な予算の確実な措置ということでございます。
県では、平成27年度で国の集中復興期間が終了するに当たりまして、毎年度実施しております政府予算要望に加えて、沿岸市町村復興期成同盟会や市長会、町村会などの被災市町村及び被災4県と合同で要望を実施するなど、復興交付金や震災復興特別交付税などの特例的な財政措置の継続について、強く要望をしたところでございます。
その結果、昨年6月に平成28年度以降の財源フレームが閣議決定され、必要と見込まれる財源─本県におきましては2.2兆円のうち国費対象額の1.5兆円ということでございますが─がおおむね確保されるとともに、災害復旧、インフラ整備、まちづくり、心のケアなど、主要な復興事業のほぼ全てが引き続き復興特別会計で実施されることとなったところでございます。
今後におきましては、この財源フレームに基づきまして、復興に必要な予算が確実に措置されるよう国に対し引き続き要望いたしますとともに、市町村、国とも連携しながら、復興がおくれることのないようにしっかり取り組んでまいります。
〇小西和子委員 必要な予算の確実な措置についてお願いいたします。
今年度は約140人の欠員の中、国体対応、台風災害対応を迫られ、職場からは悲鳴が上がっている状況です。台風災害の対応のため国体への動員者の変更などもあり、国体局は寝ずの作業に追われたと聞いております。当面、国体終了に伴い、国体局職員が職場に戻ることで一定の欠員解消となると現場では期待していますが、一方で、新たな文化スポーツ部の設置により、人員が戻らないのではとの不安の声も聞こえます。
人員確保について、まず欠員の解消が大前提であります。方策を伺います。
〇風早総務部長 復興のための人材の確保についてでありますが、東日本大震災津波からの本格復興を着実に進めていくため、任期付職員や再任用職員の採用、他都道府県等からの応援職員の受け入れなどを推進し、マンパワーの確保を図ってきたところであります。
今年度においては、任期付職員の採用試験に加えまして、任期付職員経験者の採用選考を新たに実施するとともに、全国知事会を通じまして、都道府県への人的支援継続の要請、幹部職員による応援職員派遣元都道府県等への継続要請など、有為で即戦力となる人材の確保に取り組んでおります。
また、新規採用職員採用数については、震災発生以降、大幅な拡大を進めており、来年度に向けましても、一定規模の採用者数の確保に向けて事務を進めているところであり、引き続き、こうしたさまざまな方策による人員確保に取り組み、欠員の解消に努めてまいります。
〇小西和子委員 平成28年度の被災地復興のための人材の確保を見ますと、派遣要請数647人に対し、職員確保数508人、不足数が139人となっています。これがそのまま欠員数となっています。他県でも災害が多発していることから、今後、派遣要請に応える自治体が減少することが危惧されます。
私も、部長がお話をしたように、新採用職員数の大幅な拡大なくして欠員数の解消は見込めないと考えますけれども、何人ぐらい見込んでいるのかお伺いいたします。
〇風早総務部長 人材の確保につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、さまざまな方策で一生懸命対応していく必要があると考えております。
応援職員についても、先ほど申し上げましたとおり、知事会の場で知事から文書も出していただきまして、ともすると5年以上が経過いたしまして風化ということも、ないとは信じたいのですが、だんだんとそういう傾向もある中、改めてそういったお願いをしているところでございます。
今お尋ねの新規採用職員の採用の状況につきましては、平成22年度、これは震災前ですが、このときに60人弱だった新規採用職員につきまして、平成28年度、今年度は166人にまでふやしております。来年度につきましては、さまざまな状況等を勘案しまして、採用数については今後検討を進めていきたいと考えてございます。
〇小西和子委員 欠員解消を最大の課題として取り組んでいただきたいと思います。
それでは次に、台風第10号の被災による救護施設の今後の見込みについてお伺いいたします。
お亡くなりになられました皆様方にお悔やみを申し上げますとともに、被災されました皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。
県立社会福祉施設については、社会福祉法人岩手県社会福祉事業団に運営を移管し、施設、建物については同事業団に貸与しているところですが、昨年度の岩手県社会福祉事業団自立化支援事業費の決算は3億700万円となっており、その移管された施設の一部に、今回の台風第10号により被災を受けた宮古市の救護施設松山荘があります。
救護施設は、生活保護法第38条の規定により、身体上または精神上著しい障がいがあるために、日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させ、生活扶助を行う目的の施設であります。
松山荘では、最大1メートル程度の床上浸水の被害となり、設備の故障などにより入所者が生活を送ることが困難になり、花巻市の松風園に移送されました。しかし、居室に空きがないことから、一部の方は体育館での生活を余儀なくされていると聞いております。これから冬を迎えるに当たり、入所者の方々、また対応のため宮古市と花巻市を往復する職員の方々の健康面などが心配されます。
松山荘の施設再開のめどについて伺います。
〇千葉副知事 松山荘の施設再開のめどについてでございますが、岩手県社会福祉事業団が運営しております松山荘では、台風第10号による床上浸水により、浄化槽、ボイラー等が使用不能となりましたほか、床下の土砂撤去並びに床板及び居室の扉等建具の修繕が必要になるなど、施設が使用できない状況となりましたことから、被災後体調を崩され入院した方等18名を除く80名の入所者が、松風園等内陸部にございます事業団の施設へ9月7日に避難し、他の施設から応援を受けながら入所者の支援を行ったところでございます。
10月末現在、松山荘入所者98名のうち15名が入院を継続しており、障がいの程度が重い方等46名については避難先施設の居室で生活しておりますが、利用可能な居室が不足しておりますことから、障がいの程度が比較的軽い37名につきましては、松風園の体育館において避難生活を送っているところでございます。
松山荘の施設建物は県が事業団に貸与しておりまして、県において早期復旧を目指して工事の契約手続を進めておりましたが、契約手続の途中において契約予定の施工業者が急遽辞退し、改めて施工業者を選定することとなったため、着工は今月下旬となる見込みとなっており、工期が75日程度必要とされますことから、施設再開のめどは来年2月の予定となっております。
これから冬を迎えるに当たりまして、松山荘入所者の避難生活の長期化が避けられないことから、県と事業団が連携いたしまして、現在、体育館で避難生活を送っている方が他施設の居室で生活できるよう速やかに対応しますとともに、防寒対策に配慮した生活環境の改善を図り、特に健康面の管理については万全を期していかなければならないと考えております。
また、委員からお話がございましたが、宮古市等に住居を有し単身赴任等となっております事業団職員につきましても、その勤務環境の改善に努めることとしたいと考えております。
今回の台風被害を契機に、事業団では、松山荘を初め全ての施設について、水害時避難計画を策定し、避難移動模擬訓練を実施するなど防災対策の徹底を図ったところでございます。
また、今回の台風によりまして宮古市松山地区においては、長沢川の越水等により、家屋や事業所のほか、松山荘、宮古警察署、宮古高等技術専門校などの公共施設を含め多くの浸水被害が生じたところでございます。県では、今回規模の洪水が堤防からあふれることがないよう、河道内の立ち木伐採や河道掘削、築堤による抜本的な治水対策を行い、浸水被害の防止を図っていくこととしております。
なお、あふれた区間につきましては、次の洪水に備え、土のう積みなどの応急対策を完了しております。
現在、早期の事業導入に向けた調査設計や国との協議などを進めており、今年度中に着工し、平成30年度末の完成を目指してまいります。
〇小西和子委員 入所者の方々は、体育館で段ボールベッドに横になっていると聞いております。健康面が大変心配であります。そして、職員の方々も長距離を往復するような勤務環境であります。一日も早い施設再開を要望して、終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、小野寺好委員。
〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党の小野寺好です。
先月、横浜市港南区で通学路を集団登校していた子供の列に87歳の高齢者が運転する軽トラックが突入し、小学1年生が亡くなったほか、多数がけがを負いました。朝、行ってらっしゃいと送り出した親御さんの悲嘆はいかほどか、言葉もありません。この高齢ドライバーは、前の日に自宅を出てから、どこをどう走ったかわからないということで唖然とします。
ほかにも、連日、高齢者の重大事故が報道されております。判断力を失った高齢者等が、走る凶器となる車を操作していても、私どもは全く無警戒とならざるを得ません。こうした悪意を持たない危険者から身を守るにはどうしたらよいか、その対策を講じなければなりません。
高齢者事故に関する報道によれば、一般道や高速道路の進入禁止等の交通標識の見落としによる逆走、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる暴走等々、高齢者が運転を控えるべきだったと思われる事故が多数見られます。
そこで、高齢者の車を運転しない生活についてですが、免許証返納に向かわせる効果的誘引要素があるかどうか伺います。
農山漁村部では、コミュニティーバス、オンデマンドタクシーあるいは有償ボランティア送迎が運行されている地域もありますが、万一の事故の場合の補償、道路運送法上の問題等については、どのように対処するのか伺います。
県都盛岡の場合、電車、バス、タクシー等、公共交通機関に恵まれていますが、それでも、もみじマークをつけた高齢ドライバーの車が結構多くなっています。このうち公共交通手段として有効なバスについて、道路整備が進んでいる盛岡市では、中心部における朝夕のバスレーン及びバス優先信号がありますが、これらが有効に機能しているかどうか伺います。
〇大平政策地域部長 私からは、高齢者の免許証返納のための効果的な取り組みについて御答弁申し上げます。
公共交通が行き届かない農山漁村部などにおいては、自家用車が唯一の交通手段であることが多く、免許証返納を誘引するために公共交通の果たす役割は大きいものと認識しております。
特に高齢者に対応したドア・ツー・ドアのデマンド交通など、地域のニーズに対応した安全、安心な輸送サービスを提供することが、効果的な誘引につながるものと考えます。
バス、タクシー事業者や市町村による事業用運送のほかに、NPO法人等が自家用自動車で運送する交通空白地有償運送などがございますが、その場合においても、道路運送法上、必要な免許、資格を持った運転手による運行や運行管理責任者等を置くなどのほか、万一の事故に備え、自賠責保険に加え、対人、対物の任意保険への加入も義務づけるなど、安全運行の確保がなされているものと承知しております。
また、交通空白地有償運送などの導入に当たっても、道路運送法上、利用者、民間事業者、関係団体など、多様な関係者で構成されます地域公共交通会議等により、安全性の確保、運行の形態や経路、サービス水準などについて、関係者間の十分な合意形成を図る必要がございます。
県におきましては、この会議への参画と助言、交通施策に関する有識者の派遣などを通じて、道路運送法上の手続による安全確保や地域の十分な合意形成を図ってまいります。
〇千葉副知事 バスレーン等の機能について、私からお答え申し上げたいと思います。
いわゆるバスレーンの交通規制は、盛岡市内で優先通行帯1区間、専用通行帯3区間を指定し、朝夕の時間帯規制を実施しております。また、路線バス優先の信号制御を行います公共車両優先システムは、松園バスターミナルから盛岡バスセンター区域までの区間に整備し、朝の時間帯に運用しているところでございます。
バスレーン、バス優先信号とも、交通混雑の著しい朝夕の時間帯における所要時間が短縮されるなど、路線バスの利便性向上に一定の効果を上げているものと考えております。
〇小野寺好委員 交通事故や道路工事等で幹線道路が大渋滞した場合、情報がないと、待てばいいのか、別ルートに移ればいいのか判断できません。このため、近年は道路渋滞情報をカーナビに送るための設備整備がなされていますが、県内の整備状況と今後の計画を伺います。
また、交差点における信号機ですけれども、大規模停電が発生しても作動し続ける信号機の設置箇所数はふえているかどうか、さらに、LEDへの変換状況、効果はいかがでしょうか。
平成23年9月定例会で自動起動型発動発電機は盛岡市など県内14カ所の重要交差点に整備しているが、さらに追加していくとの答弁をいただきましたが、これまでの整備状況と今後の方針を伺います。
〇千葉副知事 まず、道路渋滞情報設備の整備状況についてでございますけれども、警察本部交通管制センターでは、車両感知器と光ビーコンで収集いたしました道路交通情報をVICSセンター─一般財団法人道路交通情報通信システムセンターでございますけれども─と連携し、光ビーコンを介してカーナビに渋滞情報等を提供しております。
本年3月末現在で、車両感知器は547カ所に1、928基、光ビーコンは154カ所に546基を整備しており、今後、交通環境の変化等に応じた増設、光ビーコンの高性能化に向けた更新整備などにより、交通情報提供の高度化に対応してまいります。
次に、停電時に対応しました信号機の設置等についてでございますが、停電による信号機の滅灯対策といたしまして、平成7年度に初めて整備いたしました自動起動型発動発電機は、東日本大震災津波を機に、平成23年度46基を増強整備し、その後も計画的に整備を進めまして、ことしの3月末現在では63カ所となっております。
岩手県国土強靱化地域計画では、平成32年度までに76カ所とする計画であり、今後、内陸部を含め重要な交差点の信号機に整備していく方針でございます。
また、信号灯器のLED化につきましては、これも本年3月末現在で、車両用灯器全1万1、437灯中5、556灯、歩行者用灯器全8、398灯中3、901灯を整備済みでございまして、現在、整備率が47.7%となっております。今年度も車両用灯器78灯、歩行者用灯器72灯のLED化を予定しているところでございます。
LED灯器は、視認性にすぐれておりますほか、白熱電球に比べ消費電力が格段に少なくランニングコストが節減され、地球温暖化防止にも寄与することから、今後とも整備を促進してまいります。
〇小野寺好委員 公共工事の関係について伺います。
公共事業の執行については、財政法の単年度主義により、3月に国や地方公共団体の予算が成立しても、国の補助を受ける場合の箇所づけ等もあり、夏から秋にかけて発注、着工、年が明けてから検査、引き渡しというのが結構多いと聞きます。特に公共工事を主とする建設業者にとっては、年度初めは余り従業員を必要とせず、むしろ後半に多数必要となり、この間の雇用調整が難しくなります。
国としても平準化を図らなければならないと考えているようで、今後に対策を講じていくと報道されているようですが、本県の現状をお伺いいたします。
〇達増知事 県では、これまで、公共事業の執行は地域経済に与える影響が大きいことから、計画的な発注とその施工時期の平準化に努めていたところであります。また、東日本大震災津波発災以降は、被災地の早期復興を目指し、できるだけ早く発注するよう取り組んできたところであります。
国では、平成26年の公共工事の品質確保の促進に関する法律の改正を契機に、より一層の施工時期の平準化に取り組んでおり、建設現場の生産性向上や雇用環境改善の観点から、地方公共団体に対しても積極的に取り組むよう要請があったところであります。
県としては、地域の安全で安心な暮らしの守り手となる建設企業の持続的な発展のためにも、平準化の取り組みは重要であると考えており、平準化を目的とした債務負担行為を活用した工事の発注等に取り組んでいるところであり、今後は、これをさらに拡大してまいります。
〇小野寺好委員 県工事の総合評価落札方式におけるいわゆるダンピング対策について伺います。
公共工事については、入札希望者間では、正当な競争が行われ、適切な利益がもたらされ、完成品については確実に品質のよさが確保される必要があります。しかしながら、自由競争の原則のもとに放置しておいた場合、資本と技術力にすぐれた中央の大手企業の席巻するところとなり、県内業者は放逐されるにひとしくなることが懸念されます。
かつて不況が続き、公共工事が往時の半分になったとき、県土整備部は建設業者に対し、農業等異業種への転換を奨励しました。しかし、多くは、人員を整理し、機材を手放して耐えてきました。そのさなかに東日本大震災が発生しました。このとき、さまざまに困難をきわめながらも、建設業者は道路開削等復旧に尽力され、大変頼りになりました。
今、こうした県内業者が、ダンピングを意に介しない県外業者の進出により存亡の危機に立たされていると聞いております。県外業者は、失格価格を想定しつつ、大幅な低入札を行う一方、県内業者は、失格価格以下では応札できないため、5者以上の競争になればいいと期待するだけだと言います。
このことから、応札5者未満でも過度な低入札行為を防ぐため失格基準価格が機能するよう考えるべきではないかと思われますが、平成27年度までの実績を伺います。
〇風早総務部長 総合評価落札方式は、経済性に配慮しつつ、価格以外の技術力、施工能力、地域貢献活動等、多様な要素を考慮し、価格及び品質が総合的にすぐれた者を契約の相手方とする入札方式であり、本県では平成23年度から本格実施を行っております。
導入前後で比較しますと、価格評価点のみ1位で落札した割合は、平成22年度に45.8%だったのに対し、平成24年度以降は20%台後半で推移しており、公共工事の質を高め、総合的なコストの縮減などが図られてきております。
一方、平成27年度における低入札価格調査の状況は、調査基準価格未満での入札、すなわち低入札となった工事は367件、33.8%であり、そのうち応札者が5者未満のものが76件でありました。
応札者が5者未満と5者以上の場合の平均の落札率は、一部専門業種で差があったものの、全体としては5者未満の場合では86.6%、5者以上の場合では87.3%と同水準であり、入札者数による大きな差は見られないと認識しております。
本県の低入札対策では、応札者が5者未満の場合には、失格基準価格ではなく、工事費内訳書の費目の計上金額によって、一定基準に該当すると失格となる数値的判断基準による判定を行っております。さらには、本年6月に調査基準価格の引き上げを行っていることから、今後も入札の動向を注視しつつ、引き続きダンピング対策に適切に対応してまいります。
〇小野寺好委員 最後に、看護師養成について伺います。
県立大学にも看護学部を設け看護師養成に努めてきたものの、かねてから県内就職者が少ないと言われてきましたが、近年の状況はいかがでしょうか。
就職先を拘束することは基本的人権にもかかわり微妙な問題でありますが、県立大学が養成した看護師を大都市に送り続けている実態を知事はどのように考えているか伺います。
来年4月から岩手医大に定員90人、岩手保健医療大学に定員80人の新たな看護学部1年生が誕生する予定と聞いております。将来、県内の医療機関で就業していただけるよう支援すべき方法の一つとして、県の看護職員修学資金貸付制度がありますが、来年は、これに応募する方が一気にふえるのではないかと想定されます。
看護職員修学資金のこれまでの実績と来年の見通しを伺います。
〇達増知事 県立大学看護学部の就職状況等についてでありますが、県立大学は、実学実践の教育、研究を通して地域に貢献する大学を目指しており、現在策定中の第3期中期目標においても、地域の未来を担う人材を育成し、地域の活力創出に貢献することを基本姿勢として検討を進めているところであります。
これまで県立大学では、看護学部の学生に対して、県内各地の病院の看護部長や学部卒業生を講師とするセミナーの開催、1年生を対象とした病院見学や看護体験の実施、県主催の看護現場体験研修への参加促進などを通し、県内の病院の実情や魅力を伝える取り組みに力を入れてきたところであります。
このような取り組みにより、卒業生の県内就職率は、平成25年度が41.4%、平成26年度が44.0%、平成27年度は51.7%となり、初めて5割を超えたところであります。
今後とも、県立大学と意見交換を行うなど連携を密にしながら、学生の県内定着に取り組んでいく考えであります。
〇千葉副知事 看護職員修学資金の実績と来年度の見通しについてでございますけれども、看護職員修学資金につきましては、第7次看護職員需給見通しの策定とあわせ、看護職員の県内就業率の向上に向けまして、新規貸付枠の拡大や返還免除となる医療機関等の要件の緩和などに取り組んできたところでございます。新規貸付者は、平成20年度が25名であったものが、今年度は126名となっております。
御指摘のとおり、看護系大学の新設によりまして、これまで県外大学に進学していた学生が、県内の大学に進学されることも期待されるところでございます。
一方で、看護職員修学資金につきましては、これまでも県内出身者が県外の看護系大学に進学した場合であっても貸付対象としておりまして、また、平成28年度の実績では、県外も含めた大学入学者の貸付決定者は126名中10名で、その割合は7.9%にとどまっております。3年課程の養成所入学者に比べて極めて少ない状況にございますので、現時点では、看護学部の県内新設に伴う修学資金の新規需要については、明確に見込めないところでございます。
開学後におきましては、修学資金応募者の状況等について、関係大学と意見交換を行うなど動向の把握に努めていきたいと考えております。
高齢化の進展や医療の高度化等により今後も看護職員の需要が増大することが見込まれますことから、来年度は、これまで拡大した貸付枠を継続する方向で検討しておりまして、引き続き、修学資金を活用した看護職員の県内定着に取り組んでまいります。
なお、現在、国におきまして、医療従事者の需給に関する検討会が設置されております。看護職員も含めた今後の需給見通しに関する議論がなされておりまして、これを踏まえまして、来年度、本県の次期看護職員需給見通しを策定する予定としております。
今後の修学資金の貸付枠につきましては、この需給見通しを踏まえて検討していくことになるものと考えております。
〇小野寺好委員 来年度についてはよろしくお願いいたします。
以上、終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 お諮りいたします。午後5時も過ぎましたので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時4分散会

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