平成28年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
議案に対する質疑を行います。
議案第1号は、平成28年度岩手県一般会計補正予算であります。総額16億3、898万円余の補正でありますが、一つ、いわて若者ステップアップ支援事業費が229万9、000円余の補正で、総額857万4、000円余となります。被災地域の社会的自立に困難を抱える青少年、いわゆるニート等に対し、自立に向けた支援に要する経費の補正ということですが、今回補正となった理由とこれまでの実績、今年度の事業費が減少している理由を示していただきたい。
二つ、いわて花巻空港利用促進事業費が8、352万円余の補正となっています。国際定期便誘致に向けたトップセールス等に要する経費と受け入れ環境の整備に要する経費となっていますが、これまでのトップセールスの実績と国際定期便の見通し、さらなるトップセールスの必要はどこにあるのか。受け入れ環境整備の中身も含めて示していただきたい。
三つ、復興支援道路等の整備に3億718万円余の補正となっています。復興支援道路の整備状況はどうなっているでしょうか。
議案第2号は、岩手県県税条例等の一部を改正する条例の専決処分の承認を求めるものであります。これは、法人事業税所得割の税率引き下げと外形標準課税を拡大するものであります。平成26年度外形標準課税は8分の2でありましたが、これまでの改正を含めて8分の5に拡大しようとするものであります。外形標準課税は赤字の企業に課税されるとともに、労働者賃金等の付加価値割の税率が引き上げられるのではないでしょうか。
これまでの赤字企業の課税額はどうなっているでしょうか。
外形標準課税の拡大によって、正規から非正規への転換が進められることになるのではないでしょうか。
百害あって一利なしと思いますが、これまでの実績を踏まえて、デメリット、メリットを示していただきたい。
議案第6号岩手県県税条例の一部を改正する条例は、県民税の法人住民税の税率を引き下げ、国税分の地方法人税を地方交付税にするものであります。
平成26年度の改正によって、県税はどれだけ増加したのでしょうか。
今回の改正でさらに県税はどうなるでしょうか。
自動車税については、自動車取得税が廃止され、自動車税に環境性能割が導入されます。自動車を購入しない場合は増税となるのではないでしょうか。
県税収入全体でも減少するのではないでしょうか。
議案第11号は、児童福祉施設の設置及び運営に関する基準を定める条例等の一部を改正するものです。その内容は、深刻な保育所待機児童対策として、国が保育士不足を理由に、朝、夕の保育士配置基準を緩和し、当分の間、幼稚園教諭の免許を有する者等を保育士とみなすというものであります。
4月1日段階の県内の待機児童の実態はどうなっているでしょうか。
盛岡市では、既に特定保育所のあきを待っている児童等が298人となっています。こうした隠れ待機児童の現状はどうなっているでしょうか。
盛岡市では、保育所の入所希望が計画より237人多い6、614人だったとしていますが、全県的にはどうだったのでしょうか。
知事にお聞きします。深刻な待機児童対策の基本は、認可保育所の大幅な増設と保育士の抜本的な待遇改善を図ることだと考えますが、どう受けとめているでしょうか。
姑息な規制緩和では、保育士の待遇改善に逆行するのではないでしょうか。
議案第13号は、県立都市公園条例の一部を改正する条例であります。岩手県立御所湖広域公園の有料公園施設から水泳プールを除こうとするものであります。
水泳プール跡地の利活用は、短期、長期ではどうなっているでしょうか。
議案第14号は、県営住宅等条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例です。県営嬉石第2アパートを設置するものでありますが、マンション形式の集合住宅のようであります。重いドアの改善や間取りの工夫はなされたのでしょうか。
これまでの災害公営住宅の整備状況と空き室の状況はどうなっているでしょうか。その要因を含めて示していただきたい。
内陸部への災害公営住宅の整備について、再調査結果では、443世帯に希望がふえたということですが、早期に被災者が希望する市町村に整備計画を示すべきと思いますが、今後の具体的な見通しを示していただきたい。
議案第16号、議案第25号は、主要地方道重茂半島線赤前地区と里地区の道路改良工事の請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。
重茂半島線の総事業費と工事区間、今回の契約による事業の進捗状況と完成の見通しを示していただきたい。
以上でありますが、答弁次第で再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
待機児童対策についてでありますが、保育の実施主体である市町村においては市町村子ども・子育て支援事業計画を策定し、待機児童の解消等に向けて、保育所の整備や小規模保育事業所の設置などの取り組みを進めています。
県においては、岩手県保育士・保育所支援センターによる保育人材の確保や保育士の賃金改善の支援等を行ってきたところであり、また、国に対し、子ども・子育て支援新制度の量的拡充と質の向上に係る財源の確保について要望を行っております。
今回の条例案による特例の適用によって保育士等の勤務時間のシフトに近接する職種である幼稚園教諭等を配置することにより、保育士等の業務負担の軽減に一定の効果があるものと考えているところであります。
待機児童の解消は、それぞれの地域の実情や利用者の希望に応じた幅広い選択肢の中で対応していくことが重要と認識しているところであり、効果的な事業実施に向けて必要な助言等を行うなど、待機児童の解消に向けた市町村の取り組みを支援してまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) まず、いわて若者ステップアップ支援事業費の今回の補正理由についてでありますが、これまで、全県下でニート対策を進めるため、国による地域若者サポートステーション事業の未実施地域につきまして、県ではいわて若者ステップアップ支援事業を実施し、就労支援等を行ってきたところであります。
今般、国の事業導入が予定されておりました宮古、釜石地域分が不採択となったため、その分を県事業として実施するため増額補正するものでございます。
次に、これまでの実績についてでありますが、本事業では、コミュニケーション能力や職業能力の向上のための支援を実施してきたところであり、平成25年度には22人、平成26年度には28人、平成27年度には29人が就職などの進路決定につながっているところでございます。
次に、今年度の事業費が減少している理由についてでございますが、本事業につきましては、これまで、国の緊急雇用創出基金を活用いたしまして、一定の雇用を図ることを目的といたしまして事業を実施してきたところでございますが、平成27年度末をもって緊急雇用創出事業が終了したことに伴いまして、事業内容を精査し、県単独経費で予算措置したものでございます。
なお、本年度の事業実施に当たっては、福祉的支援と就労支援の双方のノウハウを有する事業者を受託者とするなど、事業の効率化を図りつつ、サービス水準の維持に努めながら、事業を継続してまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(及川隆君) まず、いわて花巻空港利用促進事業についてでありますが、震災後に激減した国際チャーター便の運航拡大に向けて、平成24年度から毎年度台湾でのトップセールスを実施しており、中華航空に対する定期便化の要請、台湾政府機関への働きかけを行ってきました。
こうした取り組みの結果、インバウンドの国際チャーター便は、平成23年度の10便から平成26年度の100便まで大幅に増加し、平成26年度からは、本県初となる台湾との国際定期チャーター便が運航されています。さらに、今年度に入り、中華航空から、来年春からの季節定期便化が提案されるなど、国際定期便就航に向けて大きく前進したと考えています。
この季節定期便化につきましては、今年度の定期チャーター便の実績を踏まえて11月ごろまでに判断したいと示されており、定期便化の実現に向けた要望活動、定期便化となった場合の現地での路線PRなどを行うために、今回の補正予算へ所要の経費を計上したものであります。
また、受け入れ環境整備につきましては、国際チャーター便の運航拡大や国際定期便就航に向け、航空機の汚水処理車の更新、搭乗客の飲料水を補充する給水車等の整備、さらには、国際線のチェックインシステム整備に要する経費であります。
次に、復興支援道路の整備状況についてでありますが、県では、復興実施計画に基づき、復興支援道路14路線35カ所で整備を進めており、平成28年3月末時点の進捗状況としては、全体35カ所のうち、完了したものが15カ所、43%となっています。
次に、御所湖広域公園の水泳プール跡地の利活用についてでありますが、まず、短期的には、希望郷いわて国体のカヌー・スプリント会場の駐車場として利用し、国体を支援することとしています。また、国体後は、当面、イベント混雑時の臨時駐車場として活用する予定としています。将来的な利活用につきましては、地元盛岡市と協議をしながら検討してまいりたいと考えています。
次に、県営嬉石第2アパートの設置等についてでありますが、玄関ドアにつきましては、高齢者の方々の要望に応え、昨年12月以降に発注した団地については開きにくさを解消したタイプのドアを設置しています。また、間取りにつきましては、生活のニーズに合わせた間取り変更ができるように、ダイニングキッチンとそれに隣接する居室を設けるプランとしており、両室を隔てる建具を取り外すことで一体的な利用を可能としています。
災害公営住宅の整備状況についてですが、5月末現在で5、771戸中3、393戸が完成しており、入居戸数は約9割の3、022戸となっています。371戸が空き室となっていますけれども、一度入居して既に退去された方が67戸もあるほか、災害公営住宅の入居か持ち家再建とするかいまだ決めかねている方がいること、応急仮設住宅から災害公営住宅に入居することにより新たに家賃負担が発生することなどが空き室発生の要因と考えています。
内陸部への災害公営住宅につきましては、建設が想定される市に入居希望世帯数等も示しながら、建設の主体、時期、場所、戸数等の協議を行っているところでございます。
次に、主要地方道重茂半島線についてでありますが、現在、宮古市と山田町の全7工区、総延長15.2キロメートルで事業に着手しており、総事業費は約200億円を見込んでいます。今回提案している2工事の契約金額は合計で約17億円、全体事業費の約8%に相当し、これまで発注済みの工事等も含めた契約額ベースでの進捗率は約60%となる見込みです。現在、7工区のうち6工区で改良工事に着手するとともに、主要構造物であるトンネル2カ所、橋梁4カ所の下部工が発注済みとなっており、平成30年度末の路線全体の供用開始を目指し、鋭意工事の進捗を図っているところです。
〇総務部長(風早正毅君) まず、法人事業税の外形標準課税でありますが、今回の改正において、資本金1億円を超えるいわゆる大法人に係る法人事業税について所得割の税率を引き下げる一方、付加価値割は100分の0.72から100分の1.2に、資本割は100分の0.3から100分の0.5にそれぞれ引き上げられたものであります。平成27年度では、外形標準課税の対象である県内大法人約1、600法人のうち、所得割額の生じていない法人は約250法人、外形標準課税額は約4億9、800万円余となっております。
外形標準課税の付加価値割は、報酬、給与額が増加した場合にもそれと同額、単年度損益が減少するため税額は増加しない仕組みとなっており、報酬の多寡や雇用形態に影響を与えるものではございません。さらに、報酬、給与の比率の高い法人に対しては、付加価値割額から一定額を控除するなど、雇用に配慮した措置も設けられております。
外形標準課税は、事業規模や受益に応じて御負担いただくという税負担の公平性や応益性の観点から、安定的な行政サービスの提供に資するものであります。引き続き、偏在性が小さく、安定的な税財源が確保できる地方税体系を確立していくことが必要であると考えております。
次に、法人住民税の交付税原資化による影響についてでありますが、この改正は、地域間の税源の偏在性を是正するため、法人住民税法人税割の税率を引き下げ、当該引き下げ相当分について国税の地方法人税の税率の引き上げを行い、その地方法人税収全額を地方交付税の原資としようとするものであります。平成26年度の改正は法人県民税法人税割の税率を5.8%から4.0%とするものであり、平成28年度当初予算ベースでは、粗い試算になりますが、法人県民税約12億円が国の交付税特別会計に繰り入れられ、地方交付税原資となっているものでございます。今回の改正では、さらに税源の偏在是正を推進するために県民税法人税割の税率を4.0%から1.8%に改正を行うものでございます。
次に、自動車税環境性能割の導入についてであります。
今回の改正は、自動車の取得時に価格に応じて課税している自動車取得税を廃止し、新たに環境影響に配慮した燃費基準を税率区分として自動車税環境性能割を自動車の取得時に課税しようとするものであり、現行の自動車税には変更はございません。この制度の導入は平成29年度からになりますが、国の試算では、全国で自動車取得税が約1、075億円の減、自動車税環境性能割が744億円の増、差し引き331億円の減収としてございます。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 保育所等の待機児童数についてでありますが、厚生労働省が実施した保育所等利用待機児童数調査の速報値では、平成28年4月1日現在の待機児童数は11市町で192人となっており、前年同期と比較して、市町村数は二つの減、人数は64人の増となっています。いわゆる隠れ待機児童については明確に定義されておりませんが、この調査においては、特定の保育所等を希望するなど保護者の私的な理由による方が394人、保護者が求職活動を休止している方が77人、育児休業中のため4月1日以降に利用を希望する方が10人で、これら三つを合計すると481人となっています。
平成27年3月に取りまとめた市町村子ども・子育て支援事業計画における平成28年度の利用見込み計画数は県全体で2万7、713人でしたが、本年4月1日の認可定員数は3万613人となったところであり、これに対する利用申し込み数は2万9、232人となっております。
〇37番(斉藤信君) 保育所待機児童問題について再質問したいと思いますけれども、今度の条例改正の最大の問題は、保育士不足について、当分の間、幼稚園教諭の普通免許状を有する者等を一定の数の範囲内において保育士とみなすことができる、これが一番の問題なんですね。保育士というのは国家資格ですよ。国家資格にもかかわらず資格のない者を保育士としてみなすと。これは保育士の専門性の否定につながりますよ。
実は、岩手県のパブリックコメントはゼロだったと私は聞いているのですけれども、これはやり方が問題だったと思います。盛岡市は、まだ条例は提案されていませんけれども、6月6日までパブリックコメントをやってかなりの数の意見が出され、私もそれを見ました。それを見ますと、朝夕、例えば保育士を2人配置すべきところを1人でいいと。1人は保育士でなくていいということになるのですね。朝というのは子供を預かるとき、そして、夕というのは子供を送るときです。このときが一番難しいのです、子供の状況が。一日の状況の変化を保護者に伝えなければならない。そういうときに国家資格のある保育士が2人から1人になったら、結局は1人の責任が重くなるわけです。これでは保育士の待遇改善につながらない、これが現場の声です。
保育士の不足という問題、これは最大の理由が二つあって、賃金が圧倒的に低い。資格のために保育専門学校を出ても、半分は就職していない。仕事をしても、やっぱりすぐやめざるを得ない。結婚すればますますやめざるを得ない。野党4党が今、国会に共同提案していますけれども、一気に月5万円引き上げるとか抜本的な待遇改善なしに保育士不足は解消されない。
もう一つは、労働条件なのですよ。今の運営基準で見ますと、8時間労働が保障されていないのですね。残業しなければならない、保育園は11時間ですから。そういう形で、賃金も労働時間も保障されていないのが今の基準ですよ。私は、この抜本的改善なしに今の深刻な状況を解決することにはならないと思います。
私は、これは知事にもぜひ理解していただきたいのだけれども、保育所をふやす、とりわけ認可保育所をふやす。もう一つは、やっぱり抜本的に待遇を改善するというこの二つに本格的に着手しない限り、今の待機児童と保育士不足は解決できない。そして逆に今回のような規制緩和をやれば、保育士の専門性を矮小化して、ますます保育士になる人が少なくなる。保育の質を落とすようなことがあってはならない。これは子供たちの命と健康と成長がかかっているんですよ。私はそういう意味で、今度の条例の問題点を今、指摘しましたけれども、知事と部長に、そういう基本的な方向でこの問題は打開すべきではないのか、このことを改めてお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 保育の問題は子育て支援の中でも非常に重要な分野であり、やはり保育所の整備や小規模保育事業所の設置など、そういった部分の充実、また、保育人材の確保、そのための保育士の賃金改善といったところをしっかりやっていかなければならないと考えます。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 国におきましては、待機児童の解消等に向けて、保育の担い手の確保が喫緊の課題だということを踏まえまして、昨年11月に保育士等の確保対策検討会を設置して検討を行ってきたところ、今回、緊急的な対応ということで、これまで実施してきた保育士確保に係る取り組みに加え、より一層の即効的な対応ということでこうした制度を見直したものであります。
この制度によりまして、早番や遅番など職員の勤務時間のシフトについて、近接する職種である幼稚園教諭等の資格者を配置することにより保育士の有資格者の勤務環境の改善につながるものでありますし、また、その配置数は配置基準の3分の1以内とするなど、保育士の有資格者の業務負担の軽減と並んで保育の質の確保にも配慮した基準ということで導入するものでございます。
〇議長(田村誠君) これをもって質疑を終結いたします。
次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第31号まで及び諮問第1号は、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第5回県議会定例会 平成28年7月1日)
総務委員会
1 議案第1号
第1条第1項
第1条第2項第1表中
 歳入 各款
 歳出 第2款
 第9款
第3条
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
5 議案第6号
6 議案第7号
7 議案第8号
8 議案第9号
9 諮問第1号
環境福祉委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第3款
 第4款
2 議案第5号
3 議案第11号
商工文教委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第5款
 第7款
2 議案第23号
農林水産委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第6款
2 議案第10号
3 議案第12号
4 議案第19号
5 議案第20号
6 議案第21号
7 議案第24号
8 議案第29号
9 議案第30号
県土整備委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第8款
第2条
2 議案第13号
3 議案第14号
4 議案第15号
5 議案第16号
6 議案第17号
7 議案第18号
8 議案第22号
9 議案第25号
10 議案第26号
11 議案第27号
12 議案第28号
13 議案第31号
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時38分 散 会

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