平成28年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇21番(城内よしひこ君) 私は、自由民主クラブの城内よしひこです。
まずもって、4月に発生した大地震及びその後の大雨により被災された熊本県、大分県の方々にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方に衷心よりお悔やみを申し上げます。また、避難所でお過ごしの方々におかれましては、暑い夏を迎えられるに当たり、くれぐれも御自愛いただきたいと思います。
それでは、質問に入ります。
初当選して以来7度目の登壇の機会をいただきました。同僚の議員や先輩に対し、感謝を申し上げ質問に入りますが、当局の明快な答弁を期待するところであります。
東日本大震災津波発災から5年3カ月がたちました。6度目の厳しい夏をプレハブの応急仮設住宅で過ごされる方が1万4、000人以上もいる中で、復興のつち音が津々浦々まで響き渡り、しっかりと再建された方々と、そうでない方々と二極化しつつある現状をうかがうにつけ、一日も早い復旧、復興は急務であります。
ことしも、応急仮設住宅の供用期間が1年延長された市町村があると小さく報道に取り上げられました。復興計画のロードマップどおりになかなか進まない中で、本当に1年の延長でその先をお示しすることができるのでしょうか。
県の復興計画は、暮らしの再建、なりわいの再生、安全の確保を3本の柱とし、発災からこの5年、復興を進めてきました。その経緯を知る者として、応援で全国各地から本県に派遣された多くの職員の方や、本県職員を含めたオール岩手の仕事ぶりは高く評価するものであります。ですが、その復興事業は、全てを走り陣立てで進めてきたため、たび重なる設計変更や地権者の問題、急速に発注される膨大な工事量などにより予定どおり進まないことで、被災者が復興を実感できないだけでなく、工事に携わる事業者からも、工事施工の環境が厳しいとの声もあります。これまでの集中復興という大義の中では仕方のないことかもしれません。しかし、震災から5年の今年を県では本格復興完遂年と位置づけていますし、国も、これからの5年の復興・創生期間に移行するといった時期に当たっています。時間がたつがゆえに新たな問題も発生してきているところです。
なりわいの再生については、被災した事業者の約2割の方が廃業を考えていると報道されましたし、私の地元の商工団体からの聞き取りでも同様の数字が挙げられ、その理由については、後継者の問題、人材不足の問題等が挙げられます。製造業においては、一度失った販路が戻らないことや、移転地の造成のおくれによる影響も挙げられました。
暮らしの再建については、災害公営住宅も急ピッチで建設されてきましたが、空き室が出ていることも課題であります。新たな問題として、移転先におけるコミュニティーの形成なども挙げられ、特に、御高齢の方々への対応や交通弱者対策も課題に挙げられます。
安全の確保については、まさに大きな問題で、さきに挙げたたび重なる設計変更など、復旧予定に対してのおくれの要因は枚挙にいとまがありません。この安全の確保のおくれが、被災地のまちづくりのおくれにつながっていると言っても過言ではありません。特に、防潮堤の建設のおくれは、背後地でなりわいを再生させ、本格復旧を目指す方々にボディーブローのようにダメージを与えています。一刻も早い完全復旧を切に願うものであります。
質問の第1点目です。
震災発災から5年3カ月の歳月がたち、まちの状況や被災者の状況とともに意識も変化してきています。その中で、本格復興完遂年をどう次のステージにつなげていくのか、知事の所見を伺います。
住まいの再建に当たって、防災集団移転促進事業により集団移転される選択をされた方々もおります。造成が計画されている集団移転団地では、被災者の事情変更などにより住宅再建をする見込みのない宅地もあると聞いておりますが、その宅地の状況と、今後どういう対応をしていくのかお伺いいたします。
その防災集団移転促進事業において、市町村が浸水した地区の土地を買い取っていますが、この移転元地は公有地と私有地が不規則に混在し、有効活用が阻害されるとともに財産管理上の負担となっています。移転元地の有効活用についてどのように市町村を支援していくのか、国の対応も含めてお伺いいたします。
あわせて、復興工事の工期延長について伺います。
復興工事については、用地取得のおくれや資材の不足により工期が延長されており、工事に携わる業者からは、受注時に想定していた現場経費から増加した分が積算に反映されていない、工事のために配置した技術者が、延期により長期に拘束されるため他の工事に配置することができず、受注機会を逃している等の声があります。工期延長に係るこれらの問題を県はどう把握し、どう対応していくのか伺います。
質問の2点目は、水産振興についてであります。
東日本大震災津波から5年が経過し、水産業全体として見れば、国、県、市町村の支援や漁協等の頑張りで着実に復旧してきておりますが、水産振興においても問題は山積しています。
そこで、今後の水産業の振興を見据えて伺いたいと思います。
サケは本県漁業生産額の4分の1を占め、沿岸漁業の柱であるだけでなく、水産加工業や資材産業を支える最も主要な魚種であり、今後とも、稚魚の生産、放流の継続により資源造成に取り組んでいくことが必要であります。
東日本大震災津波により、サケのふ化場は、沿岸部28カ所のうち21カ所が甚大な被害を受けたところであり、これらは、施設の廃止等の調整を経て20ふ化場が整備され、現在、震災前と同規模の約4億尾の稚魚生産、放流が実施されているところであります。被災したふ化場については、国や県の支援により急ピッチで整備されましたが、一方で、被災しなかったふ化場は、整備後30年以上が経過し、老朽化が進んでいる状況にあります。このような老朽化したふ化場は新たに施設の更新が必要となっているところですが、県は、老朽化したふ化場に対してどのように対応していく考えかお伺いいたします。
次に、今後の漁港、漁場整備について伺います。
東日本大震災津波により壊滅的な被害を受けた漁港、漁場等については、県、市町村など関係各位の懸命な努力により着実に復旧整備が進んできていることは高く評価するところであります。しかしながら、本年1月の爆弾低気圧により、被害額55億円を超える波浪災害が発生したことから、再度、防波堤を復旧せざるを得ない漁港も出てきました。また、地元では、東日本大震災津波発災前から要望していた防波堤の延伸やかさ上げ、岸壁や船揚げ場の整備などが必要との声も上がっています。
津波の被害のなかった都道府県では、国の漁港漁場整備長期計画に基づき計画的に整備してきておりますが、その長期計画は平成28年度終了と聞いています。今後は、単に復旧にとどまらず、未来に向けた創造的復興を目指していくことが必要であり、将来の水産業の発展を見据えながら、作業の効率化や、より安全な就労環境の確保など、漁港、漁場施設の質の向上を図る上でも、計画的に整備を進めていくことが必要不可欠と考えます。県では、今後、漁港、漁場の整備をどのように進めていくのか伺います。
質問の3点目は、道路整備についてであります。
東日本大震災津波を機に本県の道路環境は一変したと言っても過言ではありません。震災前の道路整備については、BバイCを初めとした効率性が重視されがちであったことから、本県のような地方においてはどうしても整備のおくれが目につき、年間予算も800億円程度にとどまるなど厳しい状況であり、地域の声はなかなか伝わらない状況が続いてきました。予算に伴い職員も削減され、県道の維持管理に重きを置かざるを得ない状況でもありました。
そのような中、東日本大震災津波では、県道41号重茂半島線において、発災時、道が寸断され、陸の孤島と化し、甚大な被害を受けたことは周知のところであります。このように、本県の道路網の脆弱さが、初動の救援のおくれやその後の復旧作業への影響など、被災に拍車をかける結果となりました。
このような大変な経験を踏まえ、これまでの物流のための道から、命を守る道路として大きく飛躍しようとしています。復興道路として三陸沿岸道路が、復興支援道路として釜石―花巻間と宮古―盛岡間の国による直轄工事が進められ、県工事として国道340号立丸峠のトンネル化工事が急ピッチで進められています。道はつながってこそ、その役割を果たすことから、その全線開通は、沿線住民の期待はもとより、新たな産業を生み出すチャンスと捉える向きもあり、その早期開通が待たれるところであります。
そのようなやさき、本年4月7日夜遅くに、国道340号宮古市刈屋地区ののり面崩落という災害が発生しました。幸いにも人的被害はなかったものの、岩泉と宮古を結ぶ重要な路線であります。以前は並行してJR岩泉線がありましたが、2014年4月1日をもって廃線となり、まさに一本道となりました。今は狭隘な旧道を迂回する形であり、一日も早い復旧が望まれるところであります。
そこで、国道340号刈屋地区の災害の状況と復旧のめどはどのようになっているのか伺います。
次に、押角峠のトンネル化の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
県は、(仮称)押角トンネルは平成32年度に開通予定と発表しました。押角トンネルは、JR岩泉線の廃止という痛みと引きかえの道路であります。これまで、押角峠は国道340号の中でも最も危険な難所であったことから、沿線の宮古市、岩泉町からも理解を得て鉄路を廃止し、その代替として道路の改良に至ったものであります。
この区間の一日も早い整備は、沿線の交通弱者と言われる方々の悲願でもありますことから、県としての心意気を伺うものであります。また、トンネル化に伴う宮古側、岩泉側の整備計画についてもお示しいただきたいと思います。
〔副議長退席、議長着席〕
質問の4点目は、鉄路の復旧についてであります。
東日本大震災津波により、三陸鉄道とJR山田線、JR大船渡線が被災したことは周知のところであります。
三陸鉄道については、2014年4月6日に全線開通し、全国的にも復興のシンボルとして取り上げられました。
JR大船渡線は、当初、仮復旧ということでのBRTによる復旧だったはずですが、昨年、BRTによる本格復旧の方針を受け入れることになり、仮復旧だったはずではと首をかしげたくなる状況であります。
JR山田線は、発災当時、JR東日本の清野智社長が全線復旧と公表されましたが、二転三転し、最終的には三陸鉄道に移管する形での決着を見たところであります。
発災から5年、ようやく、今年度に入ってから、流失した閉伊川横断橋がかけられました。2018年度末に全線開通の予定と公表されていますが、現状を見ますと、素人目に見て、いささか不安に思うところであります。2019年には釜石市においてラグビーワールドカップの開催も決定しています。その大会を後押しする上でも、関係者の一人として鉄路の早期復旧に期待するところであります。
そこで、JR山田線の現在の状況、完全復旧の見通しについてお伺いいたします。
次に、JR山田線門馬地区の崩落事故についてであります。
2015年12月11日、16人を乗せた宮古発盛岡行きの列車が門馬地区に差しかかったところ崩落が発生し、けが人も出たことを報道で知り、大変驚きました。後日、並行する国道106号を通過した際、現場を見て、JR岩泉線の二の舞にならなければと思ったのは私だけではないと思います。あれから半年がたとうとしています。いまだに現場にはブルーシートで覆われた車両1台が発災時のままあります。
今月、復興に関する意見交換会の場において、岩泉商工会会長は、JRの時刻表から岩泉が消えた、観光する方々の選択から岩泉が消えていくと、JR岩泉線の廃止の経済的な打撃を話されました。このようなことは二度と経験したくないと思い、伺います。JR山田線の復旧はいつごろになるのでしょうか。
次に、台湾鉄路管理局とIGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道との姉妹鉄道協定について伺います。
6月1日、台湾において協定の締結が行われました。その締結文の骨子は、鉄道観光の推進、相互の協力と信頼を礎として3鉄道の友好関係を推進すること、相互の送客と交流などお互いの発展に努めることの3点となっています。
県は、台湾との国際便の交流を進めてきたことは承知していますし、その路線の定期便化は私も重要と考えているものであります。そのような流れの中で、鉄路の交流ということも理解した上で伺うものであります。そもそもの経緯と双方にとっての恩恵はいかなるものか。また、今後、三陸鉄道がJRから移管を受け、運営する山田線はどのような位置づけとなるのかお尋ねします。
質問の5点目は、ふるさと納税についてであります。
地方の税収確保策として2008年度に始まったふるさと納税制度も8年を経過し、特色ある取り組みでその実績を上げる自治体と、そうでない自治体との格差が出始めたように感じています。
近年は、現金書留や口座振り込みによる寄附に加えてポータルサイトを利用したクレジットカードによる収納等を導入し、寄附者の利便性の向上に取り組んだり、魅力ある返礼品の充実などが、その健闘を後押ししているようであります。総務省は、過度な返礼に対して調査を始め、過激とも言えるふるさと納税の獲得合戦に警鐘を鳴らす形となっています。
本県においては、初年度の平成20年度に40件で204万9、000円、震災直後の平成23年度は5、846件で4億4、900万円余と突出して高額でしたが、昨年は1、235件の6、300万円余であり、県内市町村においては、北上市が5億7、000万円余で断トツであります。
全国を見ると、昨年度は、市町村においては、1位は宮崎県都城市で42億3、100万円余であります。都道府県では、1位は佐賀県の5億8、300万円余、2位が鳥取県の3億6、000万円余であり、各自治体で工夫を凝らし、日本中にその魅力をアピールしています。
我が県の周知活動といえば、県人会等への対応、ホームページによる広報、年末年始の盛岡駅構内におけるPR活動、年に3回から4回の首都圏における新聞広告の四つに分類されます。返礼品といえば、知事からのお礼状、ふるさと岩手応援寄付者のあかしで、盛岡市及び東京のアンテナショップで利用できる5%の割引証であります。これだけの返礼で昨年6、300万円余の寄附があったことは、まさに大変岩手を愛してくれる方がいるあかしであります。ですが、我が県ももう一工夫の余地があると考えます。
2019年には釜石においてラグビーワールドカップの開催を控え、ふるさと納税の可能性に挑戦する余地があると思われますが、県当局のふるさと納税の今後の取り組みについて、その見解を伺うものであります。
質問の6点目は、医療、福祉分野の人材不足についてであります。
これまで私は、たびたび看護師不足を訴え、医療資源の確保の充実と対策を当局とやりとりさせていただきました。東日本大震災津波で被災した県立高田病院、大槌病院、山田病院の再建もいよいよであります。今月16日に、本年9月開院予定の県立山田病院の定礎式に参加いたしました。不便を感じてきた高齢者にとって待ちに待った施設です。大槌病院についても本年5月に再開、高田病院については平成29年度完成予定と伺いました。
これまで、県内各地において仕事をされていて、またもとの現場に戻る看護師の方や新たに採用される方々により、以前より充実した地域の医療が提供されるものと私も期待をするところであります。
県立病院では、今年度、退職者補充及び被災病院再建等により170名ほどの看護師の確保の必要が生じたため、新たな採用により対応してこられたことは承知していますが、民間の医院、病院にも影響があるやに聞いております。
人材不足は介護の現場についても同様の状況と言えます。県内の介護事業所においては、経営法人の変更を理由とするものなどを含め、昨年、休止46件、廃止78件の計124件の届け出があったと聞いています。単純に人材不足からの休止、廃止ではないと伺いましたが、それだけ介護現場の環境の厳しさのあらわれであります。
また、保育の現場においても人材不足は深刻と伺いました。待機児童の解消も大きな問題となっている今日、その対策は急務であります。
県は、人口減少に立ち向かうため、ふるさと振興総合戦略を策定しました。看護、介護、保育の人材不足は、いずれの分野でも深刻であります。ふるさと振興総合戦略の目標の実現に当たっては大きな壁となると考えられ、県を挙げて人材確保の取り組みを進めていく必要があると考えますが、知事は現状をどう認識し、今後どのような方針を持って、どのような具体的な対策をお考えかお伺いいたします。
質問の7点目は、特別支援学校についてであります。
県内には障がいのある児童生徒や病弱な生徒が学ぶ環境として、現在13の県立の特別支援学校と1分校があります。このほかにも国立と私立が各1校あります。その中で、幼稚園児が6学級18人、小学生が147学級427人、中学生が118学級391人、高校生が134学級749人学んでいます。また、障がいの状況により訪問教育を受ける生徒も36人おり、専攻科に進まれた生徒も36人います。
卒業後の一般企業への就職状況は、県立特別支援学校で256人中76人、知的障がいのある方は192人中67人と厳しい状況にあります。
近年、障がいのある方に対する社会の理解も少しずつではありますが深まってきており、その結果、乳幼児健診などで、早い段階で子供の特性を発見することができるようになりました。そうした活動のかいあって、特別支援学校に入学を選択する保護者の方々もふえてきております。
県においては、いわて特別支援教育推進プランにより、教育環境の充実や早期からの支援体制の整備、卒業後を見据えた支援の充実などに取り組んでいくこととしています。
子供たちが卒業後働く環境は十分であると言えないことから、引き続き社会や受け入れる側の企業の理解を深める必要があると考えます。送り出す学校側も、社会のニーズに呼応することも必要ではないかと思われます。
質問の一つ目は、特別支援学校を卒業した生徒の就職状況の課題と問題点はどのようになっているか伺います。
特別支援教育を希望される保護者がふえつつある中で、老朽化した施設の点検、整備、改修はもとより、教育環境整備も必要です。特に、県立の特別支援学校は、建設から30年を超えるものが11校もあり、そのような環境の中で現場の先生方の努力は大変であると思われます。
二つ目は、老朽化した施設や児童生徒の増加による教室の不足など、課題に対する整備の状況と今後の計画について伺います。
8点目は、特殊詐欺についてであります。
特殊詐欺は卑劣な犯罪であります。言葉巧みに欺き、特にも70代以上の方々の被害が特筆されます。その手口は年々巧妙化し、被害数は一向に減る様子が見えません。本県における被害状況は、平成27年、認知件数で77件、被害額2億8、637万円であります。ことしは、5月末現在で既に認知件数39件、被害額7、610万円に上ります。警察で知り得た件数だけでこれぐらいですが、中には泣き寝入りする方もいると思われますことから、その被害は相当の額と思われます。
これまで、関係する方々が詐欺を未然に防いだとの報道もされていますが、対策を報道すると詐欺師はその上を行く手口を駆使する、イタチごっこの様相が見えてなりません。
被害に遭われた方は、私はそんなことに引っかからないと思っていたと言っていました。これまでの県、県警の金融機関の協力を得ながらの啓発活動も、いま一度点検をする必要があるのではないでしょうか。
他人事ではない、オール岩手での特殊詐欺防止運動が必要と思われますが、当局のこれまでの対応と今後の対策について伺います。
9点目は、ラグビーワールドカップの開催についてであります。
5月に議会の理解をいただき、イギリスのグロスター市を視察させていただきました。小さな港町で、我が県の開催予定の規模と同規模の会場を視察し、準備に必要なことなどを伺ってきたところであります。現地で調査をして、国体とは違う異文化の方々を受け入れることの大変さを実感したところであります。
2019年はあっという間にやってきます。国体開催の本番を前にワールドカップについて伺うのははばかられますが、ハード面である施設の準備とキャンプの誘致はどのように考えているのか伺います。また、それらをコーディネートする組織はどのように考えているのか、知事に伺います。
以上、壇上からの質問は終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 城内よしひこ議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、本格復興完遂年から次の展開についてでありますが、県の復興計画においては、第3期である平成29年度と30年度の2年間を更なる展開への連結期間と位置づけており、これまでの取り組みを踏まえて、復興をさらなる展開に導く期間にしたいと考えています。
第3期に移行するに当たって、本格復興期間の最終年度である今年度が重要な年であり、本格復興期間を仕上げる1年であると認識しており、第2期復興実施計画に掲げた事業をなし遂げるという強い意思を持って、本格復興の完遂に向けた取り組みを強力に進めてまいります。
さらに、復興計画の最終年度である平成30年度に向けて、いのちを守り、海と大地と共に生きる、ふるさと岩手・三陸の創造を実現するため、市町村とも十分に意見交換をしながら、第3期復興実施計画を策定し、一日も早い復興を目指して全力で取り組んでまいります。
次に、医療、福祉分野の人材確保についてでありますが、第7次看護職員需給見通しによる需要数と比較して就業看護職員数が下回っていること、介護職に係る有効求人倍率が全産業に比べ高いこと、利用児童の受け入れ拡大のために必要となる保育士の不足が生じていることなど、いずれの分野も人材が不足している状況にあります。
加えて、本県の75歳以上人口は2030年まで増加し、医療、福祉、介護の需要の増加が見込まれますことから、医療、福祉サービスを担う人材の確保は重要な課題であります。
県では、これまで、医療、福祉分野の人材の量的確保と資質の向上に重点を置き、修学資金の貸し付けや求職者と求人とのマッチング支援、職場環境や処遇の改善の促進、資格取得の支援やキャリアに応じた各種研修の実施などに取り組んでまいりました。
今後は、医療、福祉分野におけるニーズの増加に対応するため、これまでの取り組みに加えて、昨年10月に開始された看護師等の届け出制度を活用した離職者の再就職の支援、市町村等が行う介護の仕事への理解促進や新人職員の早期離職の防止に向けた取り組みへの支援、今定例会に条例案を提出しています保育の担い手の要件緩和に係る特例的運用などの取り組みによって、医療、福祉分野の人材の確保に努めてまいりたいと思います。
次に、ラグビーワールドカップについてでありますが、釜石市による新スタジアムの建設については、現在、基本設計等について、ラグビーワールドカップ2019組織委員会と連携の上、大会の運営団体であるラグビーワールドカップリミテッドと協議、調整を図っているところです。
県としては、施設整備が着実に進められるよう、市と連携を強化してまいります。
また、キャンプ地の誘致については、先月、組織委員会が公認チームキャンプ地選定プロセスを公表したところであり、8月からは、自治体からの立候補の受け付けが始まる予定です。県内においては、既に立候補を表明している市もあり、チームキャンプを通じた国際交流や交流人口の拡大、地域経済の活性化が期待されますことから、県としても、市町村の誘致に向けた取り組みが広がるよう支援してまいります。
開催準備に向けた組織については、明後日7月2日には、県や釜石市、関係機関、団体等によるラグビーワールドカップ2019釜石開催準備委員会が設立される予定であります。今後、この準備委員会を中心に、交通輸送や配宿など釜石開催に向けた運営計画や実行組織への移行に向けた検討を行い、大会の成功に向けてオール岩手でスクラムを組み、万全の体制で大会を迎えられるようしっかりと取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 国道340号押角峠工区の進捗状況と今後の見通し等についてでありますが、押角峠工区については、議員御指摘のJR岩泉線廃止に伴う代替道路として、既存の鉄道トンネルを活用しながら整備を行うこととし、平成26年度から改築事業に着手したところであり、この秋からは、本格的にトンネル掘削に入る予定としております。
県といたしましては、震災からの復興や県北・沿岸の振興にとって不可欠な路線のトンネルであるとの認識のもと、完成予定時期を平成34年度から平成32年度に2年前倒ししたところであり、一日も早い完成を目指して鋭意取り組んでまいります。
また、押角峠工区の前後の区間につきましても、幅員が狭く、急カーブが連続しておりますことから、整備が必要と認識しており、早期整備に向けた地域の市町村、住民の皆様の思いも伺っておりますことから、今後、必要な調査等を着実に進めながら、どのような手法での整備が可能か検討してまいります。
〔復興局長木村卓也君登壇〕
〇復興局長(木村卓也君) 移転元地の活用についてでありますが、移転元地の活用は、地域のなりわいやにぎわいの再生に資することはもとより、安全、衛生、維持管理、そして土地の有効活用の観点からも重要な課題であると認識しております。
県では、これまで市町村、国等の関係機関により防災集団移転促進事業連絡会議の開催や、市町村との個別の意見交換の実施により情報の共有と課題の把握に努めてまいりました。
移転元地は、それぞれの地域で規模や地理的条件などが大きく異なり、課題もさまざまでございますが、土地の集約化が共通の課題となっております。このことから、土地の集約化を円滑に進めるため、本年3月に土地交換に係る不動産取得税の免税措置を設ける県税条例の改正を行ったところでございます。
また、地域の実情に応じた土地活用ができるように、復興交付金制度の柔軟な運用及び土地集約化のための新たな制度、手法の検討について、国に要望を行っております。
国においても、土地交換に係る登録免許税の免税措置を設けたほか、移転元地の活用計画策定の考え方や活用事例、復興交付金の事業メニューなどを示しているところでございます。
県としては、引き続き市町村の課題把握に努めるとともに、その解決のために、市町村、国と連携し、移転元地の活用を積極的に支援してまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、防災集団移転促進事業についてでありますが、防災集団移転促進事業で完成した団地は、4月末現在で64団地、1、044区画であり、そのうち、現在契約が決まっていない区画数は24区画と聞いております。
これらの区画は、現在、各市町村において住宅再建支援策などを説明しながら移転者の再募集を行うなどの対応をしており、県としても必要な支援を行ってまいります。
次に、復興工事の工期延長についてでありますが、復旧、復興事業等に係る課題につきましては、各地区の建設産業関連団体との懇談会等を通じて把握に努めており、資材が不足したり技術者の確保が困難であったり、また、工期延長に伴い経費がかさむといった状況にあったと承知しております。
これらの課題に対し、県では、実勢を反映した工事価格となるよう、国に準じて、いわゆる復興係数により間接工事費等を割り増しして算定しています。
また、平成26年12月から工事一時中止ガイドラインを運用しており、建設資材及び技能工の不足や用地の確保など、受注者の責めによらない場合において工事を中止する場合は、一時中止に伴う工事現場の維持に要する費用や工事体制の縮小に要する費用、工事再開準備に要する費用などを計上することとしています。
今後とも、受注者と協議の上、現場の実情を踏まえた適切な契約変更が行われるよう努めてまいります。
次に、国道340号刈屋地区の災害の状況についてでありますが、去る4月7日に延長約35メートル、高さ約30メートルにわたってのり面崩落が発生し、現地踏査をしたところ、地すべりの可能性もあることから、詳細な地質やのり面の動き等を把握するため、ボーリング等による観測調査を進めているところです。
また、のり面の崩落の拡大を抑制するため、今月から押さえ盛り土工による応急工事に着手し、7月中の完了を目指して、現地の安全確認をしながら工事を進めているところです。
本格的な復旧に向けては、学識者による指導、助言も踏まえまして対策の範囲や工法について検討を進めており、復旧の時期については現時点では見通せない状況にありますが、当該路線は宮古市と岩泉町を結ぶ重要な路線であることから、早期の復旧に向け取り組んでまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、サケふ化場施設の整備についてでありますが、東日本大震災津波により被災したふ化場の復旧につきましては、平成27年度までに、被災しなかったふ化場も含め20ふ化場に整理統合し、約4億尾の稚魚の生産、放流が可能となったところでございます。
一方で、被災しなかったふ化場につきましては、整備後37年を経過する施設もあり、取水井戸やポンプ、飼育池などの老朽化が進み、更新が必要な状況にございます。
県では、ふ化場の長寿命化等を図るため、平成28年1月に、さけ・ます種苗生産施設整備中期計画を定めたところでございまして、今後、この計画に基づき、国の補助事業を活用しながら施設の改修、更新を促進し、安定した稚魚の生産、放流を継続しサケ資源の造成に努めてまいります。
次に、漁港、漁場整備についてでありますが、東日本大震災津波により被災した県内108漁港のうち、これまでに重茂漁港など84漁港において復旧が完了しておりまして、今年度末までに全漁港の復旧完了を目指しております。
国におきましては、漁港漁場整備長期計画が今年度をもって終期を迎えますことから、水産物の品質、衛生管理対策の推進、漁業地域の防災、減災対策、水産資源の回復、増大などを重点的に行うため、新たな計画を検討中と聞いております。
今後におきましては、国の計画策定の動きを踏まえながら、平成27年2月に策定いたしました岩手県水産基盤整備方針に基づきまして、浮き桟橋等の整備による漁業生産の効率化、就労環境の向上、産地魚市場の品質、衛生管理の高度化、防波堤、岸壁の耐震、耐津波強化による防災、減災対策、アワビ、ウニ増殖場の整備など、水産業の復興に向けた漁港、漁場の整備を計画的に推進してまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) JR山田線宮古−釜石間の復旧についてでありますが、JR東日本では、平成27年10月1日に宮古市内に工事事務所を開設し、復旧工事を本格化させており、現在、津波で流出した閉伊川橋梁、大槌川橋梁の復旧工事や陸中山田駅付近の土木、軌道工事を初め、工事区間の各所において、盛り土、トンネルの修繕やレール、枕木の交換といった工事を順調に進めております。
復旧の見通しにつきましては、JR東日本では、ラグビーワールドカップ開催前の平成30年度末の開業を目指して、復旧工事を進めているところであります。
県といたしましては、確実にこの時期に開業できるよう、引き続き、JR山田線の復旧工事と復興まちづくり事業との調整を行うとともに、三陸鉄道へのJR東日本からの円滑な業務移管について支援してまいります。
次に、JR山田線門馬地区の復旧についてでありますが、JR東日本では、本年3月に、県、東北森林管理局、宮古市などで構成する山田線土砂崩落に関する斜面防災協議会を設置し、事故現場周辺の安全確保や土砂崩落発生防止の対策方法について協議を行ってきたところであります。
5月12日に開催された第4回協議会においては、上部斜面の土砂を撤去の上、斜面の滑りを抑えるための大規模なのり面工事を行う方針が決定され、JR東日本では、撤去した土砂を運搬するための閉伊川への仮設橋梁の設置工事を7月から始める予定としております。
JR東日本によりますと、現在、安全対策工事の詳細設計を行っており、全線復旧の具体的な時期は確定していないとのことですが、幅が60メートル、長さが約90メートルと広範囲にわたるのり面への大規模な工事となることから、復旧までには一定の期間を要するものと考えております。
次に、台湾鉄道とIGR、三陸鉄道との協定についてでありますが、今回の協定は、平成26年からIGRが造成してきた台湾への鉄道旅行商品を契機につながりを得た台湾鉄路管理局との間で、路線の地理的な類似性や歴史的な共通性を踏まえ、協議を進めてきたものであります。
その過程におきまして、台湾鉄路管理局から、三陸鉄道とも協定を締結し復興支援に協力したいとの意向が示されたことから、IGR、三陸鉄道、台湾鉄路管理局の3者で姉妹鉄道協定を締結することになったものであります。
協定は、鉄道観光と友好関係を推進することを目的に、相互の誘客と交流等を通じ双方の発展に努めることなどを主な内容としております。
IGRでは、台湾向けの特色ある観光商品の造成、三陸鉄道では、沿線へのインバウンド誘客の促進などを図っていくとともに、台湾鉄路管理局では、東北の幹線鉄道を担うIGRとの技術交流や三陸鉄道と防災対策面での連携強化を進めていくなど、相互の営業や技術交流、地域間の交流を推進していく予定であり、岩手と台湾の交流拡大と地域の活性化につながっていくことが期待されるものであります。
また、今回の協定は、三陸鉄道全線を対象として会社として締結したものでありますことから、JR東日本から三陸鉄道に移管される山田線についても、南北リアス線と一体となって、この協定の対象路線となるものと認識しており、一体運行のメリットを生かし、観光面などで協定締結の効果がさらに高まるものと考えております。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) ふるさと納税についてでありますが、本県のふるさと岩手応援寄付は、生まれ故郷など応援したい地方自治体を支援するというふるさと納税制度の趣旨を踏まえた取り組みにより、これまで多くの寄附をいただいているところであります。今後も、このような本県を応援したいという方々の気持ちにしっかりと寄り添っていくことが大切と考えております。
そうした中で、より多くの寄附をいただけるよう努めていくことも大切でありまして、引き続き、寄附の呼びかけや寄附金の活用状況の周知などのPR活動の充実に取り組むとともに、多くの方々に共感いただけるような寄附目的の設定や利便性の向上などの検討を進めてまいります。
また、御指摘いただきました釜石市でのラグビーワールドカップ開催についても、昨今のラグビーの盛り上がりを踏まえ、機運醸成が寄附にもつながっていくものと考えられますことから、関係部局等と連携しながらしっかりと取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 特別支援学校卒業生の就職についてでありますが、平成27年度に高等部を卒業した生徒の進路の割合を申し上げますと、一般就労が28.2%、福祉的就労が61.8%、大学等への進学が1.7%、入院、在宅等が8.3%となっており、一般就労の割合は、近年の全国平均とほぼ同水準となっております。
特別支援学校においては、生徒や保護者の意向等を踏まえつつ、卒業後の社会的自立に向け、それぞれの学校での作業学習や、産業界などからの御理解、御協力をいただきながら職場実習の機会の向上などに取り組んできております。障がいの状況等により、保護者等の思いに応えられない厳しい面もありますが、社会的理解を一層いただきながら、一般就労の割合を向上させていくことがまずもって重要であり、また、課題と捉えております。
今後におきましても、生徒一人一人の個性的な長所の増進や社会からのニーズ等を踏まえ能力開発に努め、福祉、労働機関等との連携のもとに、障がい者雇用への理解を促進するための就労サポーター制度の拡大や、本年度から取り組んでいる技能認定制度の構築などに取り組んでまいります。
次に、特別支援学校の整備等についてでありますが、議員御案内のとおり、特別支援学校の児童生徒数は知的障がい児を中心に増加してきており、県教委におきましては、これまでの児童生徒数の増大に伴う校舎の狭隘化や教室不足の解消に向け、分教室の設置、作業棟の増改築等に取り組んできております。
校舎の老朽化に伴う大規模な改修等については、老朽化の度合いや、県立学校全体での財政負担の平準化等も勘案しながら計画的な整備に努めていくことが必要でありますが、当面は、県立療育センターとともに、岩手医科大学近接地に移転する現在の盛岡となん支援学校校舎の新築整備と、現校舎の知的障がい児を対象とする学校への転用、釜石祥雲支援学校の移転整備などに優先的に取り組むことといたしております。
いずれ、特別支援学校の教育環境整備に対しては、関係者の皆様からの切実な要望等がありますので、今後におきましても、施設の維持修繕等に努めながら教育環境の整備、充実に取り組んでまいります。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 特殊詐欺被害防止に関するこれまでの対応、そして今後の対策についてでありますが、県警察といたしましては、特殊詐欺に対する県民の皆様の抵抗力を高め、それを持続させることが重要と考えており、昨年来、特殊詐欺被害防止広報センターからの電話による注意喚起、県担当部局との連携によるケアマネジャー、民生委員などの活動を通じた啓発活動などの事業や、金融機関と連携した預金小切手プランを開始したほか、ことしに入りましてからは、金融機関以外でATMを設置するコンビニエンスストア、量販店などと連携した利用者の皆様に対する注意喚起等の対策を講じてきたところであります。
一方で、議員御指摘のとおり、犯行の手口は年々変化していることから、県民の皆様に、誰もが当事者となり得る可能性があるということを理解していただくために、対策の工夫を地道に続けていく必要があると考えております。
今後は、講じてきた対策の被害防止効果が向上するよう見直しを図りながら、具体的な手口などに関する広報を強化して、県民の抵抗力を高めるための啓発を続けて行うとともに、他の都道府県の効果的な取り組み事例も参考としつつ、新たな施策の立案も推進してまいりたいと考えております。
日程第2 議案第24号大船渡漁港海岸水門高潮対策工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてから日程第9 議案第31号宮古市道沼の浜青の滝線沼の浜地区道路災害復旧(第3工区)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(田村誠君) 次に、日程第2、議案第24号から日程第9、議案第31号までを一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。風早総務部長。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) ただいま議題とされました各案件について御説明を申し上げます。
議案第24号から議案第31号までの8件は、災害復旧工事等に係る請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時11分 散 会

前へ 次へ