平成28年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇15番(佐々木努君) いわて県民クラブの佐々木努です。
このたび、1年ぶり6度目の登壇をさせていただくことになりました。改選後、最初の一般質問でありますので、冒頭、2期目に臨むに当たっての政治姿勢と県政課題に取り組む所信の一端を述べさせていただきます。
平成23年9月、私は民主党所属の議員として県議会の場に足を踏み入れました。当時、民主党会派は23人の最大会派であり、議会の仕組みもわからない新人の私は、たくさんのベテラン議員の中で、身のすくむような思いで日々を過ごしていました。それから10カ月後、小沢一郎衆議院議員ら52名の衆参議員が離党し、民主党が分裂。当然ながら県議会民主党会派も分裂ということになり、私はそのまま民主党に残留し活動を続けることになりました。
しかしながら、政策や国政選挙において、党本部の言いなりにならざるを得ない状況に疑問を感じた私は、無所属で活動したいという思いを強くし、会派分裂から半年後の平成25年3月、党を離れ、けじめとして会派も抜け、無所属議員となりました。しかし、それは決して1人になりたかったわけではなく、いつかまた志を同じくする仲間と会派を結成するまでの準備期間にしようと思ってのことでありました。
そして、そのときは思いのほか早く訪れました。平成25年9月、民主党会派を離脱した方々、地域政党いわての方々、そして私の10人は、真の県民党的立場の会派をつくろうという思いを持って、いわて県民クラブを立ち上げたのです。以降、大切な仲間を失う悲しみはありましたが、昨年9月の改選で新たな仲間を加え、本日まで変わることのない理念を抱きながら活動を続けています。
政党に属さないで岩手を変えることができるのかと言われたこともありますが、属することで活動の範囲が狭まるなど、足かせとなることも多く、政党間の争いで県議会を混乱させてしまったという自分自身の反省にも立ち、自分の役割は、支援してくださった多くの県民の方々の思いを県政、国政に伝えることだという思いをより強くしています。
今後も、真の県民党として県政課題への取り組みを第一に、県民目線に立った活動を続けていきたいと思っています。
まさかこんな時代になるとは思いませんでした。高度成長期を経て、世界屈指の経済大国となった日本は、本当に豊かな国になりました。しかし、バブルの崩壊、リーマンショックで大打撃を受けた我が国は、気がつけば世界一の借金大国になっていました。それでも借金を重ね、豊かさを維持しようとする我が国は、本当に豊かな国なのか疑問を感じることがあります。この借金を誰が返すのでしょうか。そもそも返せる額なのでしょうか。このツケが未来を生きる人たちを苦しめないか心配でなりません。
豊かさは、日本を世界一の長寿国に押し上げました。平均寿命は毎年のように伸び続けています。長生きできる国が悪い国であろうはずがありませんが、一方で、医療や介護などの社会保障費が増大し、国の財政を圧迫しているのも事実です。高齢者がふえ、介護施設や介護人材の不足は深刻です。団塊の世代が後期高齢者となる2025年はすぐそこに来ていますが、今の介護システムをそれまで維持できているでしょうか。
岩手は脳卒中の死亡率がワーストワン、自殺死亡率も、やっと最下位から抜け出したばかりで、心身ともに健康な県とは言えません。県民一人一人の生活習慣を変えるのは容易なことではありませんが、官民一体となった県民運動的な取り組みの強化が不可欠です。こんな不名誉な状況をいつまでも続けるわけにはいきません。
医師不足も岩手の大きな課題です。特にも県立病院の医師不足や偏在化は進み、中でも産科医、小児科医の不足は深刻です。医師が安心して働ける環境の整備が急務であり、医師の負担を軽減できるよう、医療の分化と地域医療連携の強化に取り組まなくてはなりません。
5年前、東日本大震災津波の発生によって我が県は未曾有の被害を受けました。津波で肉親を亡くされ、財産を失った方々の生活は一変し、人生も大きく変わりました。今もなお、多くの方々が応急仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされている中、県は、平成31年に三陸復興博覧会を開催するそうですが、それまでに沿岸被災地の復興は終わっているのでしょうか。震災の風化は足元から始まっているような気がします。
ことし4月、熊本県でも大きな地震が発生しました。南海トラフ地震や首都直下型地震も、いつ起きてもおかしくないと言われている中、備えが万全とはとても思えません。
災害は地震だけではありません。昨年9月の茨城県常総市の豪雨、先日の九州の豪雨災害を見るまでもなく、地球温暖化による異常気象が原因と思われる災害は年々増加し、いつ、どこで大きな災害が発生するかわかりません。環境問題と防災。同時に、そして真剣に考えなくてはなりません。
福島第一原子力発電所の事故は、放射能の恐ろしさを我々人類に教えました。それにもかかわらず、全国にある原子力発電所では、運転再開の準備が着々と進められています。国は、原発を将来的に廃炉にする方向ですが、その将来とはいつなのか。福島第一原発の廃炉のめどすら立たないのに、48基の廃炉など可能なのでしょうか。
国が核廃棄物処分場の検討に入りましたが、受け入れに進んで手を上げる自治体が果たしてあるでしょうか。我々は、とてつもなく重過ぎる課題を背負うことになりました。
日本中で子供の数が減っています。少子化による消費の減退と地域の活力低下は、我が県をじわり、じわりとむしばんでいます。少子化の要因が未婚化、晩婚化であるならば、結婚できる環境を整えなければなりません。そして、女性に子供を産んでほしいのなら、社会全体で女性の活躍を支援しなくてはなりません。女性の活躍こそ岩手を救う鍵になるような気がしています。
この国の未来を背負う子供たちには、健やかにたくましく育ってほしい。そんな願いもむなしく、全国でいじめを原因とした痛ましい事件が多発しています。我が県でも、滝沢市と矢巾町の中学生が、いじめが原因で自殺するという事件が2年続けて発生しました。なぜ、いじめはなくならないのか、なぜ、いじめで死を選ばなくてはならないのか。いじめは永遠になくならないと思いますが、せめて大切な命が消えることのないよう、諦めずに撲滅を訴え続けていかなければなりません。
子供たちのさまざまな問題は、学校の教育環境に起因しているところもあるように感じます。教える先生に余裕がなければ、いい教育はできません。教員の多忙化が叫ばれる中、教員の労働環境にも目を向けなければならないと思っています。
親が子の命を奪う。全国で毎年50人を超える子供が、親などの虐待で命を失っています。一体何が原因なのでしょうか。虐待死は本当に防げないのでしょうか。地域のきずなの回復が虐待防止の大きな力になるように思います。
子供の6人に1人は貧困だと言われています。親の貧困は子供の将来に深くかかわるというデータがあり、負の連鎖から子供たちを救わなければなりません。格差社会が広がる中、子供を守るための官民の取り組みが急務です。
子供たちへの通信機器の普及は、恐ろしいほどの速さで進みました。県内の小学生のスマートフォンなどの所持率は46%、中学生は68%、高校生に至っては98%とほぼ全員が所持しています。こんな社会を30年前に予見できたでしょうか。今、あの小さな機器が、子供たちにさまざまな影響を与えています。秩序を失ったスマホ社会の進行をとめるすべは本当にないのでしょうか。あっても、大人たちが見て見ぬふりをしているだけではないでしょうか。
農業が大ピンチです。農業離れが進み、耕作放棄地がふえています。TPPが追い打ちをかけると言われていますが、そもそもの原因は、日本人が米を食べなくなったこと、そして、安い外国産のものを食べるようになったからです。農業を守れ、食を守れと言っても、消費者がついてこない。需給のバランスが崩れた農業を立て直すのは容易ではありません。しかし、岩手の基幹産業は農業です。農業が潰れたら岩手は終わりです。今こそ、県は農業に力を入れるべきです。
岩手からの人口流出がとまりません。若者にどうやったら岩手に残ってもらえるのか、どうやったら帰ってきてもらえるのか。特にも、子供を産んでくれる若い女性に去られたら岩手はおしまいです。もはや教育の力をかりるしか手段はないように思います。
全国的に待機児童問題が取り上げられています。私もそうであったように、子供はじじ、ばばが見るものと思っていましたが、世の中は大きく変わってしまいました。保育園落ちた日本死ねのブログは、世論を大きく動かしましたが、保育士不足が深刻化する中、新たな施設の整備が本当にいいのか悩ましいところです。
県と市町村の関係はどうあるべきなのでしょうか。DIOジャパン問題は、県と市町村の関係に大きな亀裂を生じさせました。私自身、いまだに県の対応への疑念は残っていますが、何よりも一日も早い信頼回復を望みます。
課題ばかりの我が県ですが、唯一、希望の光となるのがILCの誘致です。岩手の将来のため、未来の子供たちのために、県民一丸となって誘致に取り組んでいかなければなりません。反与党を公然と訴える知事に、その思いは本当におありでしょうか。
次から次へと頭をよぎるさまざまな課題に、時には絶望感さえ覚えることもありますが、自分にも何かできるのではないか、そんなことを思いながらこれまで取り組んできました。しかし、何の力にもなれず、多くの課題が5年前よりも悪い状況になっています。私の力ではどうすることもできないと知った今、仲間の力をおかりし、議員各位、県の職員の方々、県民の皆さんと力を合わせて解決に向けて取り組んでいく、そういう4年間にしたいと思っています。
前ふりが長くなりました。今述べた課題の中から数項目質問をさせていただきます。
初めに、ふるさと振興について伺います。
我が県は、平成9年以降人口減少が続いており、経済規模の縮小や地域力の低下によって年々活力を失ってきています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、この傾向がこのまま続けば、岩手の人口は2040年に94万人にまで減少するとのことであり、そうなれば、岩手の活力はさらに低下し、今の地域社会が維持できないおそれも出てくると指摘されています。そういう意味では、岩手にとって一番の驚異は人口減少であり、人口減少に歯どめをかけることこそが、岩手が生き残る唯一の手段だと思っています。
県では、この人口減少に歯どめをかけ、活力ある岩手を実現するために、昨年10月、まち・ひと・しごと創生法に基づいて、岩手県人口ビジョンと今後5年間の施策をまとめた岩手県ふるさと振興総合戦略を策定しました。この戦略は、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱と商工業・観光産業振興、仕事創出や子育て支援など10のプロジェクトで構成されており、それぞれに施策と業績評価指標が掲げられています。
そこで伺いますが、岩手で最も重要なこのふるさと振興をこの5年間、県としてどのような覚悟を持って進めていかれるのか、ふるさと振興にかける知事の決意をお聞きします。
壇上での質問は以上です。以下の質問は質問席で行います。
〔15番佐々木努君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木努議員の御質問にお答え申し上げます。
ふるさと振興にかける決意でありますが、人口減少は喫緊の課題であり、その根底にある住みにくさ、学びにくさ、働きにくさ、結婚しにくさなどの生きにくさを生きやすさに転換し、多くの人々が、住みたい、働きたい、帰りたいと思える岩手をつくっていかなければなりません。東日本大震災津波からの復興と同様に、ふるさとを消滅させないということが、私の決意であります。
このため、県では、有識者の方々等から御意見を伺いながら、昨年10月、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定いたしました。岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱に基づいて、ものづくり産業や観光業、農林水産業の振興、若者の就業、創業の支援、ライフステージに応じた子育て支援など、岩手への新たな人の流れを生み出すふるさと振興を、施策を総動員して展開してまいります。
また、ふるさと振興は、本県をあらゆる人々にとって希望を持って生きていくことができる場にするための、人々の暮らし方や働き方、また、結婚や子育てのあり方など、従来の社会、経済、行政のさまざまな仕組みを改革していく取り組みであり、その推進に当たっては、県民、企業、NPO、関係団体、市町村などが一体となった県民総参加により、総力を挙げて取り組んでまいります。
〇15番(佐々木努君) 決意はよくわかりました。あとは、いかに実行されるかということになるんだと思いますが、戦略の柱の一つ、岩手で働くは、文字どおり、若者の県外への流出を防ぎながら、県外からも若者の移住を進め、人口の減少を食いとめようとするものです。それには、やはり大都市に負けない、岩手らしい、魅力のある仕事の場をつくり出していくということ、これが非常に重要なことであります。
ことし2月に若者、女性の県内就業と創業支援の充実を図る目的でいわてで働こう推進協議会が組織されたわけです。先般、協議会の事業として、いわてで働こう推進大会も開催され、その場で、いわてで働こう宣言も行われています。
しかしながら、協議会としての具体的な動き、取り組みがなければ、この協議会はただの情報交換の場でしかなくなってしまって、名前だけ、あるいはかけ声倒れになってしまうのではないかと、私は危惧をしているわけであります。
改めて、この協議会が何の目的でつくられたのか、今後どのような役割を担っていくのか、県民にわかりやすく説明いただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 本県を初め地方からの人口流出が続き、東京一極集中が加速化している状況において、県内の中小企業、関係団体からも、人材不足が経営の重要課題となっているという声を多く聞いているところでありまして、岩手県ふるさと振興総合戦略の三つの施策推進目標の一つであります人口の社会減ゼロを目指して、岩手で働くということに力を入れて取り組んでいく必要があると認識しております。
このような中で、県内産業の発展を支える若者や女性が、やりがいを感じ、生活を支える所得が得られる仕事を創出し、岩手への新たな人の流れをつくり出していくためには、産業界、教育機関、行政等が連携して、オール岩手の体制で取り組みを進めることが重要であるという関係者の総意のもと、ことし2月に、いわてで働こう推進協議会が設立されました。
この協議会は、国が進める地方の人材還流施策や働き方改革に関する会議体の整備に呼応するものでもあり、岩手労働局の参画を得て、しっかり連携して取り組んでいくこととしております。
協議会では、若者や女性等のU・Iターンを含めた県内就業の促進のために、何をしなければならないのかなどについての協議、情報共有、啓発等を行うこととしており、その上で、各構成団体が相互に理解を深め、岩手で働くことの実現に向けた主体的な取り組みを展開していくこととしております。
〇15番(佐々木努君) わかりました。ただ、この協議会のさまざまな活動を進めていく上で、やはりある程度の指標、こういうところまで持っていきたいという指標が、私は必要なのではないかと思います。ただ何々をやろう、何々をやろうということだけでは、私は実績につながっていかないのだと思いますが、この協議会は具体的な目標を持たないものなのか。例えば、高卒の県内就職率を5年後には何%まで持っていきましょうというような、そういう具体的な目標をみんなで共有できる、共有するというものも私はあっていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) ただいまの御質問にお答えします。
協議会におきましては、これまで構成する各団体の事務局長や実務レベルのさまざまな方々と盛んに議論を重ねてきたところでございまして、先般の協議会本体及び大会におきましても、県民運動的なこの協議会として、目指す姿としましては、社会減ゼロを目指していこうということでは一致しております。
一方、そのための具体的な取り組み目標について、これも、先ほど申し上げましたように盛んに議論を重ねてきているところでございますが、構成団体それぞれにおいて、当面あるいは中長期的に見据えている課題が一様ではございませんので、取り組み目標について、まだまだ検討の余地があるということで、検討過程に今あるという状況にございます。
今後におきましても、実務レベルの協議を重ねながら、どういった取り組み目標を設定していくのがいいのか、あるいは各構成団体、各分野ごとに、それぞれの行動目標なり取り組み目標なりを設定するのかといったものも含めて早々に議論していこうと思っていますし、構成団体が一致して課題認識を持っております。
このプロセス自体も、県民にとって非常に意味のある検討過程として共有できるものと思いますので、その検討状況についても協議会活動の一環として、県民にも時宜を得て、お知らせしていきたいと考えております。
〇15番(佐々木努君) 今もこの岩手で働くの政策推進目標は社会減ゼロという話がありましたが、おととしは2、975人、去年は4、096人の転出超過で、転出超過がまた加速し出してきたという状況です。これをゼロにするというのは本当に厳しい目標だと思いますけれども、知事は先日、県南広域振興局主催の県南広域圏首長懇談会に出席した際に、人口流出をストップさせるための緊急施策を発動させるようなことも国に要望したいと話されていたということでありますが、具体的にどのような緊急施策を国に求めていこうとされているのか伺います。
〇知事(達増拓也君) 平成27年国勢調査人口速報によりますと、東京圏の人口は全国の4分の1以上を占め、5年間で51万人増加しています。岩手県からの人口流出の改善には、県の取り組みだけではなく、国が東京一極集中の是正を強力に推し進めることが不可欠と考えております。
このため、今月実施しました平成29年度政府予算編成に当たっての提言、要望においては、これまでの震災分に加えて、新たに地方創生分を取りまとめて、関係各大臣などに対して、本県の実情を訴えるとともに、地方重視の経済財政政策の実施や奨学金を活用した大学生等の地方定着、子供医療費助成の全国一律化などの具体的施策を求めたところであります。
さらに、東京一極集中の是正などについては、全国知事会、また、私も加盟している日本創生のための将来世代応援知事同盟において、それぞれ議論の上、提言を行っていく予定であります。
〇15番(佐々木努君) 緊急施策というのは、そのことなわけですね。それが緊急施策ですね。わかりました。
岩手には仕事がないから若い人はみんな出ていってしまうというような話をよく聞くわけでありますけれども、実際にやってみれば魅力を感じてもらえる仕事というのは、岩手にはたくさんあると思うのです。農業や林業などに都会の方々は魅力を感じるわけですから、岩手の子供たちにも魅力を感じてもらえるのではないかと私は思うわけです。農業、林業にかかわらず、さまざまな仕事を中学生、高校生に体験させる、そして、魅力を感じてもらって、それを最終的に地元への定着、担い手不足の解消につなげていくという取り組みがこれから必要になってくるんだと思いますが、現状で、中学校、高校での体験学習はどのように行われているのか伺います。
〇教育長(高橋嘉行君) 児童生徒の豊かな人間性を育むために、学習指導要領では、さまざまな体験活動に積極的に取り組むこととされておりまして、本県におきましては、全ての公立中学校が体験活動に取り組んでおり、地元企業等での職場体験や農作物等の栽培、植林等を行っております。
また、本県にはそのような場はたくさんあると思っております。具体例といたしましては、住田町の各学校では、森林環境学習の中で間伐作業や製材作業等を体験したり、大船渡市の末崎中学校では、養殖ワカメの生産から販売まで一連の作業を体験しているなど、地域特性を生かしたさまざまな取り組みがあり、岩手の産業への理解や勤労観、職業観などを育成する貴重な機会となっております。
高等学校でも、多くの高校がインターンシップなどに取り組んでおりまして、特に農林業に関連したものといたしましては、畜産農家の御協力のもとに、最先端の飼育管理技術の体験学習を行っている農業高校での事例や実習林等での林業体験学習など、さまざまな取り組み事例がございます。
こうした取り組みや地元産業界からの御協力などもございまして、近年、県内就職の割合が6割を超える水準まで高まってきておりますので、県教育委員会といたしましては、今後も産業界や関係機関等との連携を一層深めながら、生徒が地元の産業に魅力を感じられるような職場体験等に、各学校が取り組めるよう対応してまいります。
〇15番(佐々木努君) やはり岩手に残ってもらうためには、そういう事業を積極的にやっていくことが必要だと思います。もちろん数学とか英語とかもやらなければならないのですけれども、将来的なことを考えれば、子供にいろいろな仕事があるということを教えることは、私は大事な授業の一つだと思います。
今、産業界の協力をいただきながらという話がありましたが、私は、教育現場ももう少し考え方を変えてほしいというところがあって、実は広域振興局のある担当の方が、何とか担い手を確保したいということで高校に体験授業をやらせてもらえないかという話をされたのですが、門前払いだったということがありました。やはり現場で積極的にそういうものを受け入れる、あるいは県当局から教育委員会に申し入れる、教育委員会でも連携を図りながらそういうものをもう少しふやしていくということをぜひやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、戦略の二つ目の柱、岩手で育てるについてですが、この取り組み施策の推進目標は、合計特殊出生率を1.45以上にするということです。正直、私はこの数字を見て自分の目を疑いました。2014年は1.44、それに対して5年後の目標が1.45。以上とはついていますけれども、こんな低い指標を掲げて、本当に県では少子化に取り組む気持ちがあるのかと私は非常に疑問を感じています。
現実的に、毎年のように子供を産める女性は少なくなっているわけです。合計特殊出生率を計算するための分母がどんどん少なくなっている中で、現状維持に近い数字を目標にするというのは、つまり子供をふやさなくてもいいということを意味しているのだと私は思いますが、なぜこのような数字になったのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 昨年10月に策定した岩手県人口ビジョンでは、ふるさと振興を進めることにより、出生率の向上と社会減ゼロを実現し、2040年に100万人程度の人口を確保するという人口の展望を示したところでありまして、その際、岩手県の合計特殊出生率は2030年に1.8、2040年に2.07となることを想定しています。
こうした展望を踏まえて、総合戦略においては、結婚や出産は個人の決定に基づくものであるということを基本にしながら、社会全体で子育てを支援することにより出生率の向上を目指すという基本目標を掲げて、その指標として、2019年の合計特殊出生率を、現状値を上回るという意味で、1.45以上としたところであります。
〇15番(佐々木努君) 私には意味が全然わからないんですけれども、現実に岩手の合計特殊出生率は2015年は1.50になっています。そういう中で、現状をちょっとでも上回ればいいという指標の立て方というのは、私は消極的過ぎるのではないかと思います。これはやる気を疑われると思います。もう決まった数字ですから、これ以上は言いませんけれども、ぜひ、目標数値を達成すればそれでいいという考えは絶対に持たずに、もっと強い思いを持って、私は取り組んでいただきたいと思います。
次に、具体的な少子化対策について伺っていきたいと思います。
初めに結婚支援についてお伺いいたします。
結婚支援の重要性、そして県にもっと頑張ってほしいということで、5年前の当選直後の一般質問から、結婚支援、結婚支援センターの設置について取り上げさせていただきました。その結果、昨年10月にi−サポが誕生したわけでありまして、私にとっても非常にうれしいことでありました。理解をいただき、設置してもらったことに対しまして、知事初め皆様に心より感謝を申し上げたいと思います。
そのi−サポでありますけれども、設置から9カ月が経過したわけでありますが、現在、会員数、お見合い件数、成婚数などはどのようになっているのかお伺いします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) “いきいき岩手”結婚サポートセンター─i−サポの実績についてでありますが、平成27年度においては、半年間で目標の250人を上回る460人の入会登録があったところです。直近の日曜日、6月26日現在のデータでは697人の入会登録があり、お見合いを199件実施し、このうち交際まで発展した会員が97組、成婚が1組となっております。
〇15番(佐々木努君) 会員も順調にふえているということで、あとはどう成婚につなげていくかということでありますけれども、この事業を成功させるには、一にも二にも周知だと私は思っています。私が地元の若い方にこの話をしても、みんな知らなかったという話をされるわけで、私の周知不足も悪いのだと思いますが、この事業の周知についてどのように行っているのか、あるいは企業に対してどのような周知と働きかけを行っているのか、その辺のところをお聞かせください。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 事業の周知についてでありますが、まずは、県民等に対する周知については、県、市町村等の広報紙やホームページ、テレビ、ラジオ、情報誌などを活用して実施してきました。
また、企業に対する周知、協力については、これまで、公益財団法人いわて産業振興センターのメーリングリストの活用、岩手県商工会議所連合会や岩手県商工会連合会等を通じた会員企業への働きかけ、企業訪問などを行い、会員登録の促進に努めてきたところです。
今後も、入会案内用動画の制作やi−サポ見学会、結婚支援フォーラムなどを開催し広く周知を図るとともに、各種団体と連携しながら企業等にも働きかけてまいります。
〇15番(佐々木努君) よろしくお願いします。
それから、センターの設置場所についてもお伺いします。
昨年10月に設置されたのは盛岡と沿岸の宮古の2カ所であります。この広い岩手において2カ所というのは、私は、どう考えても少な過ぎると思うわけでありまして、私の住む地域の方々からも、盛岡はちょっと遠過ぎる、どうして県南に設置できないのだろうという話が数多く聞かれるわけであります。実際に地域別の登録者数はどのようになっていますか。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 地域別の登録状況についてでありますが、先ほど申し上げた直近の6月26日現在の会員数697人の内訳は、県央広域振興圏が349人、県南広域振興圏が145人、沿岸広域振興圏が154人、県北広域振興圏が39人、県外が10人となっています。
〇15番(佐々木努君) やはりそのとおりでありまして、盛岡周辺あるいは宮古周辺の方々が大部分を占めているということです。盛岡のセンター、宮古のセンターみたいな形に今はなってしまっているわけでありますが、会員登録で地域に偏りが出れば、効果的な事業というのは展開できないと私は思っています。このことについては、昨年2月の予算特別委員会でも指摘させていただき、ぜひ、県南、県北の広域振興局管内にも設置してほしいということを要望させていただいたわけでありますが、改めて、残りの2カ所の広域振興局管内に設置する考えはないのか、お伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 県南、県北広域振興局管内への設置についてでありますが、昨年10月のi−サポ開設以来、盛岡市と宮古市の2カ所を拠点として、まずは会員同士のマッチング事業を円滑に行うことを最優先に運営してまいりました。
本年1月からは、内陸地域に比べセンターまでの移動に時間を要する沿岸地域の利便性を高めるため、会員登録、お相手検索などを行う出張サービス「おでかけi−サポ」を釜石市と久慈市において試行的に実施し、4月からは本格的に毎月1回ずつ実施しております。これまで、釜石市と久慈市を合わせて8回実施し、延べ20人が利用するなど、一定の効果があるものと認識しています。
結婚を望む多くの県民の方々に利用していただくためには、こうした「おでかけi−サポ」の拡大のほか、御提言のあったセンターの増設などが考えられます。その実現に向けては、財源の確保やセンタースタッフの確保、養成などの課題もありますことから、構成団体の意見や県民等のニーズを踏まえながら検討を進めていきたいと考えております。
〇15番(佐々木努君) 今月初旬にいばらき出会いサポートセンターに行って、私もいろいろアドバイスをいただいてきたのですが、茨城県は、面積は岩手県の3分の1ですけれども、5カ所のセンターがあります。そのセンターの方からも、2カ所はちょっと少ないでしょうという話をいただきました。ぜひ、早急に検討を進めてほしいと私は思っています。
せっかくですので、もう一つ要望したいと思いますが、今、i−サポの会費は2年で1万円ということでありますが、茨城県は3年で1万500円。なぜ3年かというと、会員になってから成婚に至るまでの期間のほぼ8割は1年から3年の間だということであって、やはり3年必要だという考え方から、3年ということにしたそうですので、ぜひ、岩手でも御検討をお願いします。
次に、未婚化、晩婚化対策として教育長にお伺いしたいと思います。
今、若い方々の中に結婚したくない人がふえていると聞いております。また、結婚は30歳を過ぎてからでいいという方も多いと聞いています。結果、これが未婚化、晩婚化につながっていくわけであります。そして、結婚はしたかったけれども、気がついたら婚期を逃してしまった、最終的に生涯未婚になってしまったという方もたくさんいらっしゃるわけです。私は、ライフプラン、つまり人生設計を意識できていなかったということもその要因の一つではないかと思います。例えば、何歳で結婚して、何歳までに子供をつくる、何人つくって、何歳で子育てを終えるとか、そういうことを若いうちからイメージしていくことも結婚につながっていくのではないかと思うわけです。
そういう意味から、私は、人生設計、ライフプランニングというのはこれから非常に大事になってくると思っていますし、ぜひ、県にも積極的に取り組んでほしいと思うのですが、教育委員会として、ライフプランニングについて特別な取り組みをされているのかどうかお伺いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 議員御案内のとおり、若い人たちの未婚化、晩婚化などのこのような社会の動きに対しまして、生徒が将来向き合うライフステージ上の課題を解決していくこと、その能力を育んでいくことなどのためには、このライフプランニングは極めて重要だと思っております。
本県におきましては、ライフプランニングをキャリア教育に位置づけておりまして、本県が独自に定めたいわてキャリア教育指針に基づき、各県立高等学校がキャリア教育全体計画を策定し、各教科の授業や総合的な学習の時間、特別活動におきまして、将来の社会人、職業人として自立して生きるために必要な総合生活力と、主体的に人生計画を立て進路を選択し決定する人生設計力の育成に努めております。
特に家庭科におきましては、男女が協力して家庭生活を築いていく意識と責任を持ち、主体的に生きる力を育成するため、家族や生活の営みを、人の一生とのかかわりの中で総合的に捉える学習を進めております。
〇15番(佐々木努君) 岐阜県では平成26年から、やはりこのライフプランニングは非常に大事だということで、県が、各ライフステージに関する知識、情報を盛り込んだ冊子をつくって、高校の授業で使ってもらっているという取り組みをされています。
岩手でもぜひそういう取り組みをしてほしいし、私は、ライフプランニング、人生設計というものをもっと打ち出していいと思うのです。キャリア教育といっても私もよく理解できませんし、子供も理解できないと思うのです。人生設計ということをはっきりと打ち出して、そういうものに対しての授業を行うのだという、もっと積極的な取り組みをぜひ行ってほしいのですが、いかがでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) ライフプランニングの位置づけについては先ほど申し上げたとおりでございますので、当面はその教育をしっかり進めていきたいと思っております。
このライフプランニングの具体的な教育活動に当たりましては、国が作成した副教材でございますとか、それぞれ学校ごとに選択したさまざまな副教材なども活用しながら、生徒一人一人が主体的に就職、結婚、出産などの人生計画を立てて、自分の進むべき道を選択し決定する能力、すなわち人生設計力をきちんと育んでいくことを、今後とも力を入れていきたいと思っております。
〇15番(佐々木努君) 次に、子供の医療費助成について伺います。
今、全国的に子供の医療費助成の拡充が進んでいるわけでありますが、これが直接少子化の歯どめになるかどうかは別としましても、子育て世帯にとっては非常にありがたいことでありますし、特にも多子世帯の方々にとっては貴重な支援になると思っています。
子供の医療費助成については、知事もよく申されていますが、国の統一的な制度で行うのが本来のあるべき姿だということでありますけれども、国もなかなか動かない現状であれば、やはり自治体が国に先駆けて進めていくということは非常に大事なことだと私は思います。
岩手でも昨年8月から小学校卒業の入院まで助成対象を拡大されまして、一定の評価はしているわけでありますが、私は、せめて義務教育が終わるまで医療費無料化は行っていくべきだと思っています。中学校卒業の通院まで助成対象を拡充すべきではないかと思うわけですが、そのお考えはないか伺います。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 子供の医療費助成についてでありますが、県では、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、厳しい財政状況にはありますが、議員から御案内がありましたとおり、市町村等と協議の上、昨年8月から助成対象を小学校卒業の入院まで拡大したところです。
総合的な子育て支援については、岩手県ふるさと振興総合戦略を展開していく上で重要な施策でありますが、子供の医療費助成は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきであり、これまで、県の政府予算提言、要望において全国一律の制度を創設するよう要望し、また、全国知事会からも同様の要請を行っております。
本年6月2日に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいては、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会での取りまとめを踏まえ、国民健康保険の減額調整措置について見直しを含め検討し、年末までに結論を得るとされたところであり、先般実施した平成29年度政府予算提言、要望において、全国一律の制度の創設を改めて要望したところです。
中学校卒業の通院まで拡充する場合、年間約4億8、000万円と多額の財源を確保する必要があり、本県では、県立病院等事業会計負担金が多額になっているという事情もあることから、今後、国の動向を注視しながら、県の医療、福祉政策全体の中で総合的に検討する必要があると考えております。
〇15番(佐々木努君) これは必ず財源の話になってくるわけですけれども、私は、財源がなければ、財源をつくる努力をすべきではないかと思っておりまして、おととしの9月定例会の一般質問で、医療費助成などさまざまな子育て支援に使うための少子化対策県民税の導入をぜひ考えてほしいと提案をさせていただきました。
子育て支援の重要性が、今、非常に叫ばれているわけですが、改めて、そういう医療費助成等々にも使えるような子育て支援を目的とした新たな県民税、そして、その県民税の効果的な活用のための子育て基金を、ぜひ創設すべきではないかと思いますが、取り組むお考えはないかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 少子化対策県民税等についてでありますが、国では、子育て支援施策を推進するため、子ども・子育て支援新制度の本格実施に係る財源として、消費税率の引き上げに伴う増収分の一部を充てているほか、平成27年度補正予算で、結婚支援や、結婚から妊娠、出産、子育てまでの温かい社会づくり、機運の醸成の取り組みを行うための地域少子化対策重点推進交付金などを創設したところです。
県におきましては、ふるさと振興総合戦略の基本目標の一つである、社会全体で子育てを支援し出生率の向上を目指す施策を進めるため、これらの財源を活用して、子ども・子育て支援新制度への対応やi−サポの見学会、結婚を後押しするためのスキルアップ講座の開催などの結婚支援に取り組むこととしております。
御提言のあった子育て基金の創設のための県民税の超過課税につきましては、納税者に対して通常以上の負担を求めるものであり、受益と負担の関係等について県民の皆様の十分な理解を得る必要がありますことから、慎重に対応すべきと考えております。
〇15番(佐々木努君) 前回と全く同じ答弁でありましたので少し残念ではあります。前にもこれはお話ししたのですが、いわての森林づくり県民税は県民1人年額1、000円の納税でありまして、平成26年度の税収は7億3、200万円です。7億円あれば、医療費助成だけではなく、さまざまな子育て支援に使えると私は思っていて、もう少し多く集めれば、例えば給食費の助成とか、保育料の助成とか、そういうものにだって使える可能性が広がっていくのだと思います。別に低所得の方から集めろということではないわけでありまして、森林税と同じ仕組みをつくればいいと私は思うわけであります。森林を守るために集める税金があって、子供を守るために集める税金がないというのも、少子化に挑む県としては何となく消極的過ぎると思います。これはぜひ積極的に検討していただきたいと、要望にとどめておきます。
次に、女性の活躍支援についてお伺いいたします。
ことしの4月、女性活躍推進法が施行されました。これは、生産年齢人口の減少に伴う労働力不足を女性の力で補おうとするものでありまして、国は、女性の活躍を成長戦略の柱の一つとしてはっきりと位置づけました。
女性の地位向上のための取り組みにつきましては、1986年施行の男女雇用機会均等法、そして1999年施行の男女共同参画社会基本法と続いてきたわけですけれども、今回の女性活躍推進法は、301人以上の企業に対する女性登用などの目標数値設定の義務づけ、そして女性の活躍支援の積極度で企業を四つに分類するなど、これまでの対策から一歩も二歩も踏み込んだものであって、国もいよいよ本気になったのかと私自身は思っています。
しかしながら、女性の活躍を進めるためには、ジェンダーギャップ、男女格差という大きな壁を乗り越えなくてはなりません。世界経済フォーラムが発表した2015年度のジェンダーギャップ指数によりますと、日本は145カ国中101位で、男女平等にはほど遠い数字になっています。
現実に私の周りにも、女性は家を守るものだとか、子供を産み育てるのが仕事だなどという男性上位の考え方が依然として根強く残っていますし、会社など職場にも、女性はどうせ子供を産んだらやめるだろうとか、女性だから厳しい仕事を与えられないとか、そういうパターナリズムがいまだに蔓延していまして、これらが女性の意欲を減退させ、女性の登用を阻害している要因となっているということも指摘されています。
そのような意識が社会にあり続ける限り、女性の本当の意味での活躍は見込めないと私は思います。そして、そのような環境に不安や不満を感じれば出産をためらうことにもつながってしまって、結局は少子化はますます進んでいくのだと思います。今、我々がやらなければならないのは、女性に対する偏見を捨て、女性が安心して仕事と子育てを両立できる環境を一日も早く整えることだと思います。
県としては、ことし3月にいわて男女共同参画プランを全面改定して、女性の活躍支援を柱の一つに位置づけました。これは、女性の活躍支援を進めようとする県の強い意思表示と受け取れるわけでありますけれども、県はどのような決意を持って女性の活躍支援に取り組まれるのか伺います。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 女性活躍支援への決意についてでございますが、本県にとって喫緊の課題であります復興とふるさと振興を進めるためには、女性の活躍がこれまで以上に重要となりますことから、女性の活躍支援を新たにいわて男女共同参画プランの柱として位置づけたところでございます。
昨年、県が行った意識調査におきましても、男女の不平等感や性別による固定的な役割分担意識が根強く残っているところでございます。女性が持てる力を存分に発揮し、みずからの希望に応じて活躍するためには、男女共同参画の視点に立ったさらなる意識改革と慣行の見直し、男性による育児や介護、地域活動への積極的な参加が必要と認識しているところでございます。
このため、県といたしましては、県民の皆さん、市町村、事業者、関係団体等と連携を図りながら、女性が個性と能力に応じて活躍し、男性も女性も全ての人にとって働きやすく暮らしやすい社会となるよう、関係部局とともに各般の取り組みを積極的に進めてまいります。
〇15番(佐々木努君) まず、女性の活躍を進めるためには県が模範にならなければならないと私は思っています。
それで、県職員の女性登用についても、もっと考えていかなければならないと私は思うわけでありまして、2016年度、今年度の総括課長級以上の女性管理職はわずか3.9%です。職位別に見ますと、部長がゼロ、副部長が1人、総括課長が18人、担当課長でも42人で、これは全体の11.3%です。女性の登用が全く進んでいない状況です。
2015年度における内閣府が調査した女性職員の課長相当職以上の登用状況調査によりますと、全国でこの登用率は42番目、東北でも5番目と低い水準です。東京都は18.5%、鳥取県は14.6%ですから、岩手の3.9%とはかなりかけ離れている。我が県は女性職員の登用率が非常に低い県と言わざるを得ません。なぜこのような数値になっているのか、このような状況が続いているのか、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
〇総務部長(風早正毅君) 県職員の女性登用についてでありますが、現状におきましては、総括課長級以上に昇任する年齢層における女性職員の割合が少ないことから、その登用率が低くなっております。これは、過去において採用者に占める女性の割合が少なかったことなどがその要因と考えております。
近年は、採用者に占める女性の割合が増加しているほか、育児休業等の制度が整備されるなど環境も変化しております。管理職に占める女性職員の割合自体は年々増加しているところであります。
〇15番(佐々木努君) 今もお話がありましたが、年々、女性職員がふえているということであります。現在の県職員の男女比は、男性が76.1%、女性が23.9%ということのようで、4人に1人が女性です。女性職員の割合も昔に比べれば随分とふえてきたということであります。今年度採用した職員も157人のうち女性は50人で、約3割が女性。平成21年度と平成23年度は約半数が女性ということで、ここ10年間で採用した職員の約4割は女性になっています。
それから、新聞で見たのですけれども、ことしの県職員採用1種試験の申し込みにおきましても女性が過去最多の35.8%ということで、最近は女性が男性よりも合格の比率が高いということでありますから、また、どんどん女性がふえていく、これはすごくいいことだと私も思っています。
ただ、そうなれば、将来的に、例えば、今、20代の方々が50代になる30年後には4割が女性ということになりますから、必然的に女性の管理職をふやさざるを得なくなるといいますか、ふやしていかなければならないと思います。そのことを見据えた人材育成をこれから頑張ってしていかなければならないと思うわけです。
先日、知事は、いわて男女共同参画フェスティバルの席上でイクボス宣言をされまして、女性が持てる力を存分に発揮できる環境をつくり上げると声高らかに宣言されました。私も目の前にいて聞いておりましたけれども、宣言したからには積極的に進めてほしいと思うのですが、県の女性職員が持てる力を存分に発揮できる環境をどのようにしてつくり上げていくのか、取り組まれるのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 職員に占める女性の割合が若年層、中堅層を中心に増加しておりまして、女性職員が県政のあらゆる分野で活躍できるように、人材育成や職場環境の整備等に取り組んでいく必要があると認識しております。
県では、ことし3月、女性活躍推進のための特定事業主行動計画を策定いたしました。職員育成や能力向上の観点を重視した人事配置のほか、外部の長期研修等への派遣、キャリアデザインやリーダー育成のための女性職員を対象とした県独自の研修の実施など、この計画に掲げる取り組みの推進を通じて、女性職員のキャリア形成に向けた意識の醸成や人材育成に取り組んでまいります。
〇15番(佐々木努君) 来年の私の一般質問の際は、この執行部席に女性が数名はいらっしゃることを期待したいと思っています。
次に、職員の育児休業についてもお伺いしますが、ちょっと時間がありませんので。
今の県職員の取得率は男女合わせて対象者の32%で、男性職員の取得率はわずか1.3%ということです。三重県ですと、知事が率先して育児休暇をとられたりしているせいか、16%の男性職員が取得しているということです。三重県のようになるのは、なかなか難しいとは思うのですけれども、女性の活躍の視点からも、男性職員が積極的に取得できる環境の整備をどのように進めていかれるのかだけ伺います。
〇総務部長(風早正毅君) 職員の育児休業についてでありますが、本年6月から、男女を問わず、子供が誕生予定の職員が、育児休業等の取得時期など、本人の育児に関する希望や配慮してほしいことなどを育児支援計画シートとして書面にし、誕生前と誕生後の2回、所属長と面談する制度を整備いたしました。
所属長との面談を通じ、育児休業等の積極的な取得を奨励するとともに、育児休業等の取得時期、期間等を把握した上で、職員の希望を踏まえた職場環境の整備を図ることとしております。
また、職員からは、子育て期間中の職員の業務をカバーできる人員体制や育児休業中の職員の代替職員の配置等を望む意見があることから、現在、期限付臨時職員の配置を図っているところでありますが、これに加え、将来的に正職員の配置についても今後検討していくこととし、本年3月に策定しました女性活躍推進のための特定事業主行動計画にも明記したところであります。
〇15番(佐々木努君) 積極的に取得できるような取り組みをぜひ進めていただきたいと思います。
もう一つ、県庁内保育所の設置についても質問を予定していました。これは、我が会派でも、宮城県の県庁内保育所に行っていろいろ勉強させていただきまして、ぜひ岩手県庁内にもつくってほしいという思いでの質問でしたが、ちょっと時間がありませんので、このことにつきましては、私の後に質問する高橋但馬議員が同じ内容を質問されるということですので、飛ばしたいと思います。
県職員のことをお聞きいたしましたので、次は岩手県全体としての女性の活躍支援について伺います。
先日、いわて女性の活躍促進連携会議が開催されました。この組織は、女性の活躍推進によって復興の加速化を進め、地域経済の活性化に寄与することを目的に平成26年に設置されたものであります。私もこれは非常に大事な取り組みだと思いまして、ずっと注目してきました。
ところが、平成26年度、これは設立総会を含め2回、それから、昨年度は1回しかこの会議が開かれていません。こんな大事な課題を協議する場が、初年度はたった2回、去年は1回しか開かれていません。しかも、会議録を見ますと、県の事業の説明あるいはさまざまな女性の活躍支援に係る計画の説明、そういうものが中心で、中身がほとんどないようなものでありまして、この組織の取り組みが一体女性の活躍支援にどうつながっていくのか、私には全然見えてきませんでした。
知事は、女性の活躍、若者の支援ということを一生懸命言っているわけでありますが、肝心の民間とのさまざまなディスカッションの場というものが、わずか年に1回あるいは2回しか行われていないのでは、本当にかけ声だけではないかと思われても、私は仕方がないと思います。
改めて、この連携会議の役割と設置の意義についてお伺いします。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) いわて女性の活躍促進連携会議についてでございますが、同会議は、女性の活躍を推進するためには、企業等における女性の活躍の機運醸成を図ることが重要であることから、官民挙げて、女性のキャリアアップ、長時間労働の抑制やワーク・ライフ・バランスを推進するために設置したところでございます。
また、同会議では、構成団体による担当者会議を随時開催しておりまして、各企業の実情に合わせて効果的な取り組みを進めるための具体的検討を行い、例えば、女性の先輩社会人の実際の体験を若い女性が聞き、それぞれのキャリアデザインの参考とする女性のロールモデル提供事業、男性経営者の意識改革を進める経営者セミナーでありますとかワーク・ライフ・バランスセミナーなどを実施してきたところでございます。
これによりまして、女性活躍に向けた情報共有が図られ、企業等の経営者が女性の活躍に向けた取り組みを進めるなど、官民を通じ、経営者や男性管理職の意識改革が徐々に進んでいるものと認識しているところでございます。
〇15番(佐々木努君) 今、頑張っているということをおっしゃっていますが、私にはそういう取り組みが全然見えてこないといいますか、ぜひ、せっかくの連携会議ですから、もっともっと回数を重ね、あるいは今、何が問題になっているのかということを、じっくり話し合いを持っていただきたいと思います。
働く女性の6割は、今、最初の出産で仕事をやめてしまうというデータがあるのは御存じでしょうか。それだけ女性の置かれている立場は非常に厳しいのです。女性の活躍というのは、何も登用すればいいということだけではなくて、若い女性の方々が、安心して結婚して、妊娠して、出産をする、そして子育てができる、そういう環境を整えていくのが、私は本当の意味での女性の活躍支援だと思うわけであります。
これは私ごとで恐縮なのですが、私の娘も来月出産をすることになりました。私もじいさんになるわけですけれども、娘は、大学を出まして、資格を取りまして、その資格を生かせる仕事についたわけです。一生懸命娘なりに頑張って、やっと信用を得て、それなりのポストをいただいて、さあ頑張ろうという矢先の妊娠、そして出産でありまして、私は娘に泣かれたのです。ここで自分が職場を離れたら、首になるのではないか、もう戻れないのではないかと泣かれるわけです。
私の妻は公務員で、身分を保障されていますからそういう心配はなかったのですけれども、民間に勤める方々は、いつ、出産で首を切られるかわからない、そういうリスクを負いながら出産をしなければならないわけです。そのことを県はしっかりと理解をして、民間に訴えていくことが、県としての一番大事な仕事なのではないかと。
連携会議にも、そういうことの共有をぜひお願いしたいわけです。形だけの協議会ではなく実のあるものにしていきたい。県が率先して、そういうものをみんなでやっていきましょうということを、各種団体にお願いする、あるいはやってもらう、そういう協議会にしてほしいと思うのですが、そのことも含めて、県全体の女性登用、女性の活躍支援に対しての知事の思い、お考えがあれば、お伺いします。
〇知事(達増拓也君) この間のいわて女性の活躍促進連携会議には私も出たのですけれども、関係団体もきちんと代理を含め出席してくれていますし、また、団体からどういう活動をしているかという発表もありまして、民間での取り組みも、かなり進んできていると思っております。
また、このいわて女性の活躍促進連携会議は、同じような会議体を女性活躍推進法に基づいてつくれということが法律で去年決まったわけでありますけれども、その法律ができる前から岩手は既に取り組んでおりますので、この一日の長を生かしながら、さらに取り組みを進めていきたいと思います。
〇15番(佐々木努君) 本当に1回か2回の会議で終わらせるような問題ではないと私は思います。知事がもっと積極的に、何だ、やらないのかみたいなことを言うべきじゃないですか。私は、過去3回開催された会議録を見て、正直、非常にがっかりしました。そのことはお伝えしておきたいと思いますし、知事は一生懸命、女性の活躍支援をうたっているわけでありますから、これからもっともっと積極的にかかわっていただきたいと思います。
昨年の県議会議員選挙で女性候補者が大躍進されて、この議場にもたくさんの女性の議員が来ているわけでありまして、これは、社会が女性の活躍を望んでいる、そのあらわれだと思います。女性は非常に誠実でありますし、前向きであります。そういう方々に、これまでの政治を変えてほしい、変えてくれるんだと皆さんは期待しているわけでありまして、私もその一人であります。これからは、本当に女性の力なくして岩手の発展はないと思います。そのために、今回、女性の活躍支援を取り上げたわけでありますが、これからの県の取り組みについて、引き続き注視をしていきたいと思います。
次に、TPPと農業振興についてお伺いいたします。
農業生産額は年々減少しているわけでありますけれども、農業の衰退、これは非常に顕著であります。これは冒頭にも申し上げましたが、人口減少や日本人の食生活の変化、安い輸入農産物の増加が主な要因であります。特に、日本人の主食である米の消費量が年々減少しておりまして、その結果、後継者不足や耕作放棄地の増加といった、まさに解決の糸口が見えないような問題に発展しております。
そのような中で、農業、農村を大きく変えてしまうのではないかと言われておりますTPP─環太平洋経済連携協定が昨年10月、関係各国間で大筋合意して、あとは各国それぞれの議会での批准を待つのみということになりました。
このTPPについては、我が県の農業にも大きなダメージを与える危険性が指摘されておりまして、我々いわて県民クラブも、一貫して反対の姿勢をとってまいりました。しかしながら、輸出産業などTPPを大きなチャンスとして歓迎する分野もありまして、一概に反対ばかりを唱え、後ろ向きの議論ばかりしていることは、逆に農業の衰退に拍車をかけるおそれもあるのではないかと私は危惧しております。
国は、昨年度の補正でTPP関連予算3、122億円を措置しまして、岩手県においても、平成27年度2月補正と今年度当初予算を合わせて約65億円の予算措置をしております。TPPを見据えた取り組みは、今もう既に始まっております。
そのようにTPPに向けて動き出している今、県としてTPPにどのような立場で臨んでいこうとしているのか、改めてお伺いします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) TPPへの対応についてでありますが、TPP協定は、本県の基幹産業でございます農林水産業を初め、県民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されておりまして、県民の皆さんからは、影響を不安視する声が聞かれているところでございます。
このため、県では、6月7日に国に対し、TPP協定に関する合意内容や農林水産業等に及ぼす影響について、十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くすこと、総合的なTPP関連政策大綱に示された対策の早期具体化と必要な予算を確保することなどを要望したところでございます。
今後は、国において本年秋を目途に取りまとめることとしております農林水産業の成長産業化を一層進めるために、必要な戦略等の検討状況などを注視し、必要な分析や対策の検討を行うとともに、農林漁業者が安心して経営を継続できるよう、国に対して万全な対応を強く求めてまいります。
〇15番(佐々木努君) 岩手は圃場整備率が全国で一番低い県だということであります。そういう中で、今、県内各所で圃場整備が進められておりますし、計画地域もたくさんあると聞いています。
私は、反対という姿勢は今も変わっていませんけれども、今回のTPPを機に、圃場整備も含めた農業基盤の整備を全面的に進めるための要望をしっかりと国に上げる取り組みを強化すべきではないかと思っています。いつも後ろ向きの発言だけでは農業が全然前に進んでいかないと思いますので、ぜひそういう取り組みもしていってほしいと思います。
それから、TPPがどうこう言う前に、農業振興に対するこれまでの県の取り組みが十分であったか、あるいは効率的かつ効果的に行われてきたのかということも、このTPPを機に、いま一度振り返ってみる必要があると私は思います。そして、岩手の発展のために、農業を産業の中にどう位置づけていくか、どのように振興を図っていくかをしっかりと考える時期に来ているのではないかと思います。
これまで、TPP問題の発生以来、その賛否だけが議場の中で議論されたりしてきているわけでありまして、肝心の岩手の農業をどうしていくのか、どのように振興を図っていくのかという議論が、私は、正直おろそかになってきたと思っています。そのことと、TPPに対する県の後ろ向きの発言がこれまでずっと続いてきました。これが多くの若い農業者の意欲を失わせてきたということ、これも県にはしっかりとわかっておいてほしいと思います。
TPPの批准が近づいている今、たとえTPPに参加したとしても、TPPに負けない岩手の農業を必ずつくり上げるという知事の農業者に対してのメッセージが、今必要だと私は思いますが、知事として、農業者に対するメッセージを発信するお考えはないかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県としてTPPの問題点を指摘し、さらなる国民的議論を政府にも迫るという姿勢は、岩手の農業者、農業団体の皆さんと一緒にやっていることでありまして、これは、今でも続けなければならないと思っております。
このTPP云々にかかわらず、岩手の農業については、宝物の宝石のような産物をつくるあらゆる分野、お米から、畜産から、園芸から、そういう農家の皆さんの努力は、これはもう全国有数、世界に通用するものであります。
他方、そういった手間暇かけて、丹精込めてやる農業と同時に、酪農用の牛肉をそれなりの値段で売るでありますとか、ブランド米ではないようなお米であっても、それなりの値段で売るということも必要でありますので、この点については、やはりTPPの問題性を指摘し続けなければならないと考えております。
岩手県として農業を今後どのように進めていくかという農業政策の現状については、担当部長から答弁させます。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 県民に対するメッセージについてでございますが、農林水産業を取り巻く情勢につきましては、担い手の減少、高齢化の進行、生産物価格の低迷による所得の減少など、さまざまな課題が生じておりますが、本県の農林水産業は、地域経済を支える基幹産業でございまして、TPP協定にかかわらず、将来にわたり持続的に発展していくことが重要でございます。
このため、県では、いわて県民計画第3期アクションプランに基づきまして、地域農業の核となる経営体の育成や生産性、市場性の高い産地づくり、6次産業化、輸出の促進、さらには、地域コミュニティー機能の発揮等による地域資源の維持や都市住民との交流促進など、生産者の収益アップと農山漁村の活性化に向けた取り組みを力強く進めてまいります。
こうした取り組みによりまして、生産者が豊かさを実感し、意欲と希望を持って生産活動にいそしむことができる強い農林水産業と、豊かな自然と共生し農山漁村で生き生きと暮らすことができる活力ある農山漁村を車の両輪としてつくり上げてまいります。
〇15番(佐々木努君) 私の質問の意図が伝わらなかったと思います。知事として、いろいろ、がんばろう宣言とかイクボス宣言などもされていますけれども、県の農業者に対して、そういうものをしっかりやってほしいという意味での質問でした。御検討いただければと思います。
次に、DIOジャパン関連のコールセンターの破綻問題について伺います。
この一連の問題については、もう長い間、議会でも議論をさせていただきました。先般、最後まで補助金返還を拒んでいた3市が、6月定例会で返還のための予算措置をして、いよいよ返還されることになったわけですが、知事に、返還になったことに対する所感をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県では、関係市町に対して、会計検査院から不当と指摘された金額については、関係法令等に従って、補助金返還に向けた予算措置について検討を求めてまいりました。
花巻市、奥州市、一関市の3市、そしてその各議会においては、しっかりと検討、議論されて、県が要請してきたことについて対応する旨の判断がなされたものと受けとめております。
〇15番(佐々木努君) これまで、複数の市町村が、県の責任を主張して補助金返還を拒んだことはなかったと私は認識していまして、これは前代未聞の異常事態だと思いますが、何が原因で関係市町は補助金返還を拒んだと知事は理解されていますか。
〇知事(達増拓也君) 各市町においては、事業の受託者であるDIOジャパン関連子会社が破産したことによって、市町の負担によって補助金返還を行うこととなるため、さまざまな検討、議論がなされてきたものであると認識しております。
そうした経過を経て、最終的には各市町において、事業の実施主体として責任を果たす義務があると判断して、補助金返還のための予算を措置されたところであり、関係法令等に基づいた対応がなされたものと考えております。
〇15番(佐々木努君) 今のこの一般質問を関係市町の方も見ていらっしゃるのです。知事は、では、何のためにあそこで謝罪をしたのですか。誰に、何のために謝罪をしたのですか。改めてそれは問われますよ。何で我々がここまでこの問題を深く掘り下げて、県にもっとしっかりやってほしいと言っているのか、知事は全然理解されていない。首長が、県に盾突くと言ったら変ですけれども、補助金返還をしませんよということが、これまでありましたか。それだけ県の対応に不満を持っているわけであります。
市町村の職員も公務員ですから、補助金返還をしなくてはならないというのはわかっていて、あえてこのような行動をとって、最後まで抵抗した理由は、県の対応のまずさだと私は思うわけです。しっかりそこを反省しない限り、また絶対これは再発しますよ。県のそのような、どうせ市町村が補助金返還すればいいのだとか、自分たちはきちんと監視をすればいいだけだという、そんな認識では、市町村はとてもこれから事業をやっていられませんよ。私は、やっぱりその辺の認識は改めていただきたいと思います。
時間がないし、私ももうこの問題を取り上げるのはやめたいのですよ。本当にやめたいのですけれども、やめられないのですね。また機会があったらぜひ取り上げさせていただきます。これで終わりには絶対にしません。
最後に、私が最もやりたくない質問をさせていただきます。
知事は、県民党の旗を掲げて昨年の知事選、無競争で当選されました。知事は、当選の大きな要因を野党の結集だと語っているわけでありまして、事あるごとに県民党をアピールしています。
そういう中で、今、参議院議員選挙が行われているわけでありますけれども、多くの市町村長が中立を保つ中、県民の代表と言える知事が、野党統一の候補の支援を明確にし、反与党を県民に訴えている、その意図は一体何ですか。
〇知事(達増拓也君) 今回の参院選での岩手選挙区における候補者支援については、まずは人物本位、能力本位で対応しているところであります。
昨年の知事選で私を支援してくださった団体や個人が、おおよそ、そのままの形で今回の参院選で私が支援している候補を支援しているという形にはなっておりますけれども、私としましては、あらゆる団体や個人にこの当該候補者を支援していただきたいと考えております。ある特定の政党に反対することを県民に訴えているわけではありません。
〇15番(佐々木努君) いや、現実に訴えていらっしゃることです。知事の行動は、現実にそれを訴えていらっしゃるということですね。知事のこの野党共闘の行動、そして、今回の選挙で知事の思惑どおりに野党統一候補の方が勝利した場合、岩手にどのような利益がもたらされますか。私は、利益はもたらされないと思っています。
知事のこのような行動が、私は岩手の不利益につながっていると思います。知事は県民の代表ですからね、政党の代表でも何の代表でもない。そういう方が、反与党を訴え、それから野党の応援をするということが、私は絶対にあってはならないことだと思います。もしそれをしたいのであれば国会議員に戻ってください。最後にそれをお聞きして質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) この選挙にまつわる利益ということでありますけれども、正当な選挙が行われ、有権者の民意によって当選者が決定すれば、誰が当選しようと、それは、その選挙区にとって民主主義的なプロセスを経て、ともに力を合わせて未来を切り開いたということで、そういう意味での利益が岩手県にもあると思います。
〇議長(田村誠君) 以上をもって佐々木努君の一般質問を終わります。(拍手)
〇議長(田村誠君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時30分 休 憩
午後2時43分再開
〇議長(田村誠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。高橋但馬君。
〔28番高橋但馬君登壇〕(拍手)

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