平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇33番(岩崎友一君) 自由民主クラブの岩崎友一でございます。
来月3月11日、東日本大震災津波発災から5年を迎えます。これまで、住民との合意形成や用地の取得に多くの時間が費やされてきましたが、ことしは、多くの地域で土地区画整理や防災集団移転促進事業も大きく前進することなどから、私自身、昨年までの不安とは違い、発災後初めて期待を持って迎えることのできた新年でありました。
一方、今なお2万1、464人もの方々が応急仮設住宅、みなし仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされていること、水門や防潮堤の整備が大幅におくれていることなどにより各市町村のまちづくりに大きな影響が出ていること、既に住まいを確保された方とそうでない方々との間に二極化が生じてきていることなど、現実もしっかりと受けとめなければなりません。
そういった被災地の現状も踏まえて、きょうは、復興、そして地方創生を中心に取り上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
初めに、東日本大震災津波からの復旧、復興について質問いたします。
国では、この3月で発災から5年間の集中復興期間が終わり、今後の5年間を復興・創生期間とし、課題先進地である被災地において、被災地の自立につながり、地方創生のモデルとなるような復興を目指すとしています。県でも本格復興期間の最終年を迎えることから、この5年を一つの区切りとして総括をしなければならないと思います。
先日25日に公表された社会資本の復旧・復興ロードマップでは、水門工事など一部の事業に復興計画の最終年である平成30年度よりおくれる見通しが示されたわけでありますが、まずは、策定当時の復興計画と比較し、計画どおり進んだ事業、計画よりおくれた事業はどのようになっているのか、また、水門工事など一部の事業が復興計画の最終年内に終わらない見通しとなっていることについての見解を伺います。
今定例会開会日の知事演述の中には、昨年同様、復興のおくれについて全く言及がありませんでした。昨年、その点について私も含め多くの議員が指摘したところでありますが、現実逃避することなく復興のおくれについても言及し、しっかりと向き合うことが知事の言う被災地、被災者に寄り添うということではないでしょうか。知事は復興がおくれていると思っていないのかどうかも含めて、復興のおくれについてことしも言及しなかった理由を改めて伺います。
発災後、県では、国から震災特別交付税210億円、クウェートからの寄附金84億円、寄附金6億円をもとに合計300億円の基金を設置し、復興事業を進めてきました。来年度も、市町村と共同で補助をする被災者住宅再建支援事業の継続、昨年10月に延長を決めた国民健康保険等の一部負担金免除などなどあると思いますが、来年度、基金から充当される事業予算はどのようになっているのか伺います。
また、今年度末までで約180億円が活用される見込みとなっており、今年度のように50億円規模で活用されるとなれば、再来年で基金が枯渇してしまうことが予想されます。現在の面的整備の状況から見ると、再来年度中に持ち家再建が終わらない方々もいることなどから、その後も支援が必要となると想定されますが、財源確保の方策も含めて知事の見解を伺います。
次に、総合戦略について伺います。
総務省がことし1月末に公表した2015年の人口移動報告を見ると、東京圏転入が11万人超過する一方、本県からの転出超過が4、122人となっており、日本で一番出生率の低い東京圏に過度に人口が集中することが日本の人口減少に大きく影響しているものと考えられています。
こういった傾向が続く中、平成26年12月に政府はまち・ひと・しごと創生長期ビジョンとまち・ひと・しごと創生総合戦略を示し、長期ビジョンにおいては、人口減少問題の克服と成長力の確保を掲げ、人口減少の歯どめや東京一極集中の是正に取り組むこととしています。また、まち・ひと・しごと創生法において全国の自治体に総合戦略の策定を求めるに当たり、地方が自立につながるようみずからが考え、責任を持って戦略を推進することや、国の役割として、情報支援、人的支援、財政支援を切れ目なく展開することとしております。
県は、昨年10月に岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、県内市町村においても来月3月末までに全市町村で策定される予定となっております。県の総合戦略では、岩手県の人口減少の要因についての分析を踏まえ、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱を基本目標に据えてふるさと振興を進めていくこととしております。市町村においても各地域の特徴を生かした戦略が策定されていると思いますが、しっかりと成果を上げるためには、総合戦略の施策推進について県と市町村の連携が不可欠ではないかと考えますが、知事の認識を伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
我が国全体で人口減少が進む状況の中にあって、自治体間で限られたパイを奪い合うのではなく、中長期的な視点で、各地域の長所を生かし、短所を補い合いながら取り組むことが重要であり、そのような観点から、広域市町村による総合戦略の策定が必要であると思います。
先般、ふるさと創生・人口減少調査特別委員会で滝沢市、矢巾町を視察する機会がありましたが、近隣市町村との広域連携の重要性を改めて強く感じる機会でもありました。まち・ひと・しごと創生法では広域での戦略策定は求められておりませんが、定住自立圏にとどまることなく、例えば県内の広域振興局単位で策定するなど、県が音頭を取って国のモデルケースとなるような独自の取り組みを展開していくことが必要ではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
壇上からの質問は以上です。
〔33番岩崎友一君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復旧、復興の進捗についてでありますが、震災の5カ月後に策定した第1期復興実施計画のその後の進捗を見ますと、災害廃棄物の処理や三陸鉄道の全線復旧の終了など、本格的復興に向けた復興基盤の構築が進められ、全体として約8割の指標においておおむね目標を達成いたしましたが、一方で、防潮堤など海岸保全施設の復旧、整備や災害公営住宅の整備などにおいておくれが生じたところであります。
河川等災害復旧事業の水門工事などでは、完成時期が復興基本計画の最終年度である平成30年度を超える見込みとなっている箇所もありますが、これらは、現場での地盤調査の結果、当初想定していなかった地下水の対策が必要になるといったこともありまして、施工条件の変化による工法変更や関係機関との工程調整などによる見直しが行われたために完成年度を変更せざるを得なかったものであります。
復興事業を進めるに当たりましては、他の事業との調整、資材の高騰、沿岸地域の企業の深刻な人手不足など、復興基本計画策定時には必ずしも予測していなかった課題も発生しているわけでありますが、引き続き市町村や国などとも連携を図りながら、一日も早い復興の完成に向けて取り組んでまいります。
次に、復興の現状認識についてでありますが、復興計画に掲げる取り組みは、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生それぞれについて着実に進んでいる一方で、被災された多くの方々がいまだ応急仮設住宅等での生活を余儀なくされているなど、復興はいまだ道半ばであると認識しております。
先般の私の演述におきましては平成28年度の主要な取り組みなどについて申し述べたところでありますが、復旧、復興の具体的な進捗状況や見通しにつきましては、社会資本の復旧・復興ロードマップなどにより被災者の皆さんに丁寧にお伝えするとともに、復興を進める上での課題や今後の方向性については、いわて復興レポートとして毎年度明らかにしているところであります。今後におきましても、被災地イコール復興地、被災者イコール復興者の皆さんに寄り添い、復興に携わる全ての人々とともに一日も早い復興の完成を目指して全力で取り組んでまいります。
次に、復興基金についてでありますが、これまでに復興基金として約725億円を積み立てておりまして、そのうち約425億円を市町村に交付し、残りの約300億円が県の活用分になっています。平成28年度の当初予算においては、県として、住宅再建費用の一部助成などの約37億円を初め、中小企業の事業再開に向けた支援、医療や福祉サービスの利用者への支援などの幅広い取り組みに総額で約54億円を活用する予定であり、平成28年度末の残高は約67億円と見込んでおります。今後におきましても、被災地域の状況とニーズを的確に把握しながら、毎年度の予算編成作業の中で復興基金の活用についても検討していくこととなります。今後とも、被災者の暮らしの再建やなりわいの再生がおくれることがないよう、引き続き、国に対して必要な財源措置について強く要望してまいります。
次に、総合戦略の連動性についてでありますが、まち・ひと・しごと創生法により市町村の総合戦略につきましては、国及び県の総合戦略を勘案することとされておりますので、県としては、総合戦略の骨子案や素案の公表など、各段階において市町村と内容の共有を図り、また、県・市町村人口問題連絡会議を初め、広域振興局ごとに説明会を開催して、県の考え方について市町村に対して説明を行ってまいりました。さらに、そうした場でいただいた意見も踏まえて最終的に県の総合戦略をまとめたものでありまして、市町村と連携を図りながらオール岩手で取り組む総合戦略が策定できたものと考えております。
総合戦略に掲げる施策の推進に当たりましては、地域の特性を生かした取り組みを行う市町村との連携が不可欠でありますので、引き続き幅広く意見交換を行い、また、一人一人のニーズに応じた移住、定住の促進施策、出会い、結婚、妊娠、出産、子育てまでのライフステージに応じた支援施策など、県、市町村の総合戦略で掲げる施策が効果的に発揮されるように十分に連携を図りながら取り組んでまいります。
次に、総合戦略の広域性についてでありますが、市町村が総合戦略を策定するに当たりましては、経済面、文化面、地理的な側面から結びつきの強い市町村との連携も念頭に置いて施策を盛り込んでいくことが重要であります。総合戦略を策定済みの県内市町村の状況を見ますと、例えば一関市においては、平泉町と連携した日本版DMOによる地域づくり事業に取り組んでいるとなっておりますし、また、盛岡圏域の市町におきましては、盛岡広域連携中枢都市圏構想において検討されている産業振興施策などを総合戦略に盛り込んでいます。そのほかにも、多くの市町村で広域連携による交流人口の拡大などの取り組みが総合戦略に盛り込まれていまして、このような取り組みの積み重ねが、近隣市町村の連携の一層の強化と地域一体となった人口減少問題の克服につながるものと考えます。
また、県では、先般、いわて県民計画第3期アクションプランを策定いたしましたが、広域振興局が策定した地域編において、今回、新たにふるさと振興に向けた取り組みを掲げておりまして、圏域ごとに、市町村の総合戦略の取り組みと一体となって、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つを施策推進目標とした広域的な事業を展開してまいります。
〇33番(岩崎友一君) 知事の演述の件で、復興のおくれに言及がなかったことについて改めて聞きますけれども、今、完成が平成30年度以降に延びる水門、防潮堤事業もあると御答弁いただきましたが、知事自身は、やはり復興は計画よりおくれているという認識でよろしいですか。
〇知事(達増拓也君) 予定よりも早く進んでいるところもありますし、また、遅くなっているところもあります。場所によっては地域の復興がほとんど完了しているところもあれば、まだ数年かかるところもありますので、一概に岩手県の復興がおくれているというような表現についてはちょっと抵抗を感じるところでありますけれども、これは、復興のロードマップの変更プロセスにおいて県民の皆さんにもお示ししておりますように、さまざまな要因で幾つかの事業でおくれが生じているということはそのとおりでありまして、そういったことに関しては、関係者の皆さん初め、広く情報を共有しながら対応していかなければならないと考えております。
〇33番(岩崎友一君) 私は、復興がおくれているのが悪いと思っていなくて、実際、そのおくれの理由についても、先ほど御答弁いただきましたとおり、私も、地元の釜石市、大槌町に関しては年末に全ての水門、防潮堤を見させていただいて、具体的に何が理由でおくれているかという説明もいただいています。そういう中で、本当におくれを取り戻すために、水門工事一つにしても、現場では知恵を絞って、少しでも早める努力をされているという説明もいただいています。知事から今、一部においておくれている認識があるという言葉を聞きましたけれども、特に甚大な被害を受けた県南部地域の被災者の方々は、やはりおくれているという認識があるんですね。ですから、今回の知事演述にはそういったことに触れられていなかったんですが、やはりしっかりと現状……。進んでいる地域もある、ただ、おくれている地域があるというのもしっかりと知事として、情報発信をする場の一つが知事演述でもありますので、そういった現実もしっかりと入れていっていただきたいと思いますので、来年はぜひその辺も含めてつくっていただきたいと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 県民の皆さんにアンケート、意識調査を行った結果、復興がおくれているという回答については、これは減少しているんですけれども、まだ一定程度そういう思いが県民の中にあるということについては大事にしていかなければならないと思っております。
一方、復興がおくれているというときに、そのかなりの部分が市町村の事業でもあるというところもありまして、そういったところを一くくりにして、知事として、復興がおくれているという言い方で、市町村の努力も何か知事が批判するような形になってはならないと思いまして、そこは、よくよく県として、復興の進捗状況に関する情報を県民と共有するに当たっては、やはりどういう事業がどういう理由で進んだりおくれたりしているのかということをより正確に共有していく必要があると考えております。
〇33番(岩崎友一君) 知事がいつも言っていますように、復興は国、県、市町村が連携してしっかりやっていくという中で、別に知事が復興がおくれていると言うことが市町村に責任を押しつけているような形にはならないと思うのです。ですから、特に気にせずに、しっかりと現実を受けとめて発信していただければと思います。国ももちろん事業をしていますが、県や市町村が悪いとも言いませんし、復興のおくれは、やはり国の責任でもあるし県の責任でもあるし市町村の責任でもあります。みんなでやはり責任をとっていく必要もあると思いますので、そういった中で、より連携をして復興を進めていっていただきたいと思います。
時間もないので、次に参ります。
復興の関係で続けて質問しますが、移転元地の利活用について御質問をさせていただきます。
防災集団移転促進事業については、平成28年度末には約8割が完成する見込みとなっておりますが、この事業により市町村が買い取った災害危険区域内にある土地は、公有地と民有地が混在し、なかなか集約化が進まず、利活用が難しい状況にあります。防集事業が実施された沿岸7市町村72地区において、土地利用計画が決まったのは、昨年10月末現在で20地区にとどまっている状況であります。
これまで集約化のネックとなってきたのは、土地交換に係る税制の問題であります。今般、国では、集約化を促進するため、公有地と民有地の土地交換に伴う登録免許税を5年間免除する支援措置を発表したところであり、県でも、本日、この後、不動産取得税の免除措置に係る議案の提案が予定されております。
こうした進捗が見られる一方で、市町村の利用計画に基づく事業実施に係る財源の確保が依然として問題となっているところであります。移転元地の利活用につきましては、現段階において一番の悩みであると言っていらっしゃる市町村もあるようでありますけれども、県としてどのような支援が考えられ、今後どのように市町村を支援していくのかお伺いします。
〇復興局長(中村一郎君) これまで市町村ヒアリング等を通じまして把握いたしました移転元地の利活用に当たっての主な課題につきましては、移転元地の集約化とその土地を活用して行う事業の財源確保、これが大きな課題であると考えております。
移転元地の集約化につきましては、本日、追加提案させていただきます県税条例の一部改正によりまして土地交換に伴う不動産取得税の免除を新たに行う予定のほか、これまで、土地交換等に関係する留意点等を取りまとめまして市町村に提供するなど、支援に取り組んでまいったところでございます。
また、事業の財源確保につきましては、先進事例における移転元地に係る復興交付金の効果促進事業の事例集を市町村に配付いたしまして参考にしてもらうなど、復興交付金の活用支援に取り組んでおります。引き続き市町村の課題把握に努めますとともに、市町村、国との連携を図りながら、移転元地の活用を積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇33番(岩崎友一君) もともと、当時、災害危険区域を設定するときの設定の仕方が市町村によって異なったこともありまして、市町村によってこれからの跡地の利活用もそれぞれまた違っているかと思いますけれども、これが解決すればさらにもう一歩復興を前進させられるというような市町村もございますので、その辺、きめ細やかに情報収集をしていただいて支援をしていただければと思います。
次に、被災市町村の財政支援についてお伺いします。
10月1日の国勢調査による速報値では、沿岸12市町村の人口は25万1、325人であり、5年前の前回調査に比較して2万2、761人、8.3%の減少となったところであります。特にも甚大な被害を受けた大槌町では23.2%、陸前高田市では15.2%、山田町では15.0%の減少となりました。5年という中での人口の急激かつ大幅な減少は、被災市町村の将来へ多くの不安を与えるものであります。
そのような人口減少、そして金銭的、年齢的な理由で仮設店舗から本設することなく廃業してしまう事業者が少なくないこと、持ち家の減少などを考えると、自治体の歳入の柱である個人住民税、法人住民税、固定資産税全てにおいて減収が予想されるところでありますが、県の認識と支援についてお伺いいたします。
〇政策地域部長(大平尚君) 被災市町村への財政支援についてでありますが、沿岸市町村における平成26年度の税収は、平成22年度と比較して3.9%増と、おおむね震災前の状況まで回復しているところであります。
主なものといたしましては、個人住民税は、人口減少が著しい一部の市町村を除き個人所得が増加していることから7.6%の増、法人住民税は、建設業を中心とした復興関連企業の事業収益が大幅に増加していることなどから96.1%増と震災前を大きく上回っております。一方で、固定資産税は、津波浸水区域の土地や家屋について減免措置を講じていることなどから、15.0%減と震災前を下回っております。
今後、持ち家の再建による固定資産税の増収などは見込まれるものの、人口の減少や復興事業の進捗に伴い企業収益の減少も見込まれることから、市町村の税収の減少が予想されます。このことから、復興後を見据えた沿岸地域の産業振興にもしっかりと取り組んでまいります。
また、被災市町村の一般財源の大宗を占める普通交付税につきましては、平成28年度の算定から平成27年国勢調査人口を用いることとなりますが、東日本大震災津波の被災地域におきましては、交付税の算定に用いる人口を5年間かけて段階的に平成27年国勢調査人口まで減少させていくという、いわゆる激変緩和の措置が適用されます。その措置は、人口減少率を最大で10%にとどめるという措置でございます。
今後も、被災市町村の財政運営に支障が生じないよう、普通交付税の算定方式を初め、必要に応じて本県の実情を国に対して伝えるなど、適切に対応してまいります。さらに、被災市町村に対して、行財政コンサルティング等あらゆる機会を通じて中期財政見通しの策定をサポートするなど、歳入の減少も見据えた適正な財政運営が図られるよう支援してまいります。
〇33番(岩崎友一君) 今、法人税なり個人住民税が上がっているのは一時的な話であります。普通交付税の算定云々というのは国との関係でありますが、県として、産業等々も含めて、被災市町村のために何かこういったものに取り組んでいくというもので、やはり税収が下がるのを前提に議論をするのではなく、税収をしっかり確保できるために何が必要かという視点で考えていただきたいと思うのですが、そういった視点で考えた場合にどういったことが考えられるのか、その辺をお伺いできればと思います。
〇復興局長(中村一郎君) 復興計画の中で、三つの大きな原則の一つになりわいの再生ということで今、取り組みを進めてございますが、沿岸地域におきましては、水産業がやはり基幹的な産業の一つでございます。これを何とか早期に回復させるようにという取り組みを進めてございますし、先ほど知事からも御答弁申し上げましたが、現在、三陸の沿岸道路を初め、かなり基盤整備が急ピッチで進められてございますが、こういったものを完成後にいかに効果的に活用して三陸地域の振興につなげていくのかといったようなこともあわせて取り組みを進めていく必要があると思っておりまして、それを、物流でありますとか沿岸の企業誘致、また、観光等に効果的につなげていくといったような取り組みについても、今後その具体化を図ってまいりたいと考えております。
〇33番(岩崎友一君) 今後、見込まれるのは確かに税収減だと思います。その中で中期財政見通しとは何だという実務的な手続で必要かもしれないのですが、一方で、やはりそういったマイナスのことではなくて、これから総合戦略の具体的な取り組みも進んでいくわけでありますので、何とか、人口減少の歯どめもそうですけれども、沿岸地域だったり県北地域だったり、岩手県でもこういった苦しい地域がしっかりと発展できるよう、県としても積極的に支援をしていただきたいと思います。
これらの個人住民税、法人住民税、固定資産税の中でも一番大きなウエートを占めるのが固定資産税でありまして、税収に占める割合は約4割であります。
私はこの間、自分の家を持つ、再建するということについて二つの意味があると申し上げてきました。一つは、たとえ小さな家であろうとも、庭に花や木を植えて育てることができることや、お盆やお正月には家族や親戚が集って、笑顔や笑い声が生まれる安らぎの場所であること、そしてもう一つは、市町村の固定資産税の確保という観点からであります。
これまでも何度も取り上げてまいりましたけれども、持ち家再建のための補助金の増額について、県ではこれまで消極的な姿勢を示してきましたが、現段階でどのように考えているのかお伺いします。
〇復興局長(中村一郎君) 持ち家によります住宅再建につきましては、復興に弾みをつけるという意味合いもございまして、県では、これまで、国に対しまして、繰り返し被災者生活再建支援金の増額を要望してまいったところでありますけれども、依然として、国におきましては慎重な姿勢を示してございます。
一方で、県独自でのさらなる支援の拡充を行うということにつきましては、議員から先ほど御指摘のあった復興基金の状況など厳しい財政状況等を勘案いたしますと、現時点では極めて難しいものと考えてございます。
国では、資材高騰等の物価上昇等に対しまして、災害公営住宅の建設費を含む公共事業費等につきましては引き上げを行ってございます。同様に、被災者の住宅の再建支援につきましても、同じような取り扱いを行うべきであると我々としては考えておりまして、引き続き、被災者生活再建支援金の増額などにつきまして、国に強く要望してまいりたいと考えております。
〇33番(岩崎友一君) 何か、私もちょっと盲点というか気がつかなかったんですが、とにかく建てるときに建設単価が高いというのを物すごく聞いていまして、私もそう思ったんですが、もう家を建てた方々からも、建てたはいいけれども、やっぱりその負担がその後の生活に影響してくるということもあります。県の工事単価請負金額の平均を見ますと、平成27年7月、岩手県は一応、坪単価56.7万円となっておりますが、実際は、やはり坪70万円、80万円で建てられている方も多いと。
この点も言ってきたのですが、何とか頑張って建てましたと。ただ、やはり建てた後に、どんどんふだんの生活に響いてくるという声も多々聞いてございますので、そういった認識も持っていただきながら、何とか持ち家再建、少しでも多くの方が再建できるようにお願いしたいと思います。
この持ち家再建の意味で、固定資産税の確保ということもお話をしましたが、もう一つ、固定資産税に絡んで質問ですが、市町村で建設する災害公営住宅のうち、戸建てや長屋方式のものなど一部については、建設から5年を経過すれば買い取ることができるとなっております。
しかし、そもそも高齢、経済的事情などから持ち家再建を諦めて災害公営住宅への入居を決めた方々も多く、また、全く金銭的支援がない現在の状況では、買い取り希望者も限られるのではないかと思います。
そこで、現段階での買い取りの見込みをどのように把握しているのか、そしてまた、買い取り時の金銭面も含めた支援について、県としてどのように考えているのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 災害公営住宅の払い下げについてでありますが、東日本大震災津波からの復興のために整備された災害公営住宅につきましては、木造の場合は、管理開始から5年を経過すると入居者に時価で払い下げることができ、木造戸建てタイプの災害公営住宅を建設している一部の市町村では、将来的に入居者からの希望があれば払い下げる予定があるものと聞いております。
県内では、平成30年度に払い下げが可能となる災害公営住宅があります。
現在、国において払い下げの具体的な事務処理の方法等について取りまとめを行っているところであり、今後、関係市町村にそれらの情報を提供していく予定です。
災害公営住宅の払い下げを受けようとする入居者に対する金銭面の支援につきましては、生活再建住宅支援事業等の払い下げ時点で利用可能な補助金を活用することが可能となっております。
〇33番(岩崎友一君) 過去に、今言ったように持ち家再建を何とかしてほしいということで、いろいろ国の復興庁ともお話しさせていただいて、この払い下げをすれば、結果として自分の所有になって、固定資産税も入るじゃないですかという話をされていたのですが、今の段階では誰も、買い取る人は本当に少ないと思いますよという話をさせていただきました。
これからどれだけのニーズが出てくるのかわかりませんけれども、先ほど私が申し上げました家を持つということについての二つの意味は、すごく大事なことだと思いますので、しっかりと県も国のほうといろいろと連携をしていただいて、この持ち家再建につながるように取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、災害公営住宅の共益費の考え方についてお伺いいたします。
災害公営住宅は、県、市町村の計画に対して、今年度までで約6割が完成し、来年度には約9割の完成が見込まれております。
県で建設、管理している災害公営住宅の共益費については、建物全体に係る共益費を入居している住戸数で割り直し算定されているかと思いますが、入居率の低いところでは1戸当たりの共益費が高くなっていることが、入居された方々の経済的負担になっているというお話を聞きます。
この間、意向調査を重ねながら災害公営住宅の整備も進められてきましたが、時間の経過とともに意向の変わる住民も多く、結果として、現在、空き住戸が出てしまっている災害公営住宅があるという状況であると思います。
しかしながら、空き住戸分について、入居している住民がその負担をするのではなくて、市町村と連携していただいて、空き住戸が埋まるまでの間の措置を検討していただきたいと思いますけれども、県の考えについてお伺いいたします。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 災害公営住宅の共益費の考え方についてでありますが、災害公営住宅を含む県営住宅においては、入居者が共用する廊下等の照明やエレベーターの電気料金など、利用者である入居者が、これを共同して負担することとしております。
団地内で使用した電気等の料金をその団地の入居者が負担していただくことは、住戸内で使用した電気等の料金をそれぞれの住戸の入居者が負担していただくことと同様、使った方が使った方の中で支払っていただくという考え方であります。
また、民間の集合住宅においても、共用部分に発生する諸費用につきましては、通常、入居者が負担していることから、県営住宅においても、共益費として入居者の負担としているものでございます。
また、災害公営住宅に限定して支援措置をするべきではないかとの御意見もいただいているところですが、低所得者が入居している一般の県営住宅との公平性の観点から、難しいと考えております。
県としましては、災害公営住宅の空き室ができるだけ少なくなるよう、今後も完成前の内覧会の開催や入居相談を実施するなど、市町村と協力しながら災害公営住宅の入居の促進に取り組んでまいります。
〇33番(岩崎友一君) 今、御説明いただきまして、公平性の観点という点からいけば、実際は県でその分を負担するというのはなかなか厳しいのかもしれませんが、市町村も、恐らくそういった話を聞いているかと思いますので、市町村とも連携していただいて、例えば、住民の方々の大きな問題であるのであれば、その市町村独自の支援も考えられるかと思いますので、その辺は、管理者の県と市町村でしっかりと連携をとって、埋める努力もそうですけれども、何とか入居者にその間の負担がかからないような措置についても、市町村としっかりと連携していっていただきたいと思います。
次に、(仮称)いわて内陸避難者支援センターについてお尋ねいたします。
応急仮設住宅、みなし仮設住宅の入居期間については、災害公営住宅や土地区画整理事業等の整備状況を踏まえ、7市町村においては6年目まで延長されております。
こうした中、県では地元から離れた内陸や県外に居住する方については、被災市町村ではマンパワーと予算が不足していること、意向調査がおくれると、恒久住宅への移行支援もおくれ、みなし仮設住宅から退去できない方々がふえることなどから、平成28年度予算において、国の被災者支援総合交付金を財源として、内陸避難者等の恒久住宅への移行を支援するための(仮称)いわて内陸被災者支援センターの新設を盛り込んでおります。
そこで伺いますが、支援に当たり、できる限りふるさとに戻っていただくという県のこれまでの基本的な考え方は踏襲されているものなのか、あわせて設置場所、時期、支援の内容についてお伺いいたします。
〇復興局長(中村一郎君) 内陸に避難されている方の住宅再建に係る意向調査につきましては、被災元の沿岸市町村が行うのは実際上難しいことから、県が設置予定の内陸避難者支援センターにおきまして、市町村にかわって調査を行いますとともに、避難されている方の住宅再建に係る相談にも対応しようとしております。
相談に当たりましては、基本的には、できるだけふるさとにお戻りいただくことが望ましいという考え方で対応することとしておりますけれども、一方におきまして、相談者の意向や事情等にも十分に配慮する必要があるとも考えてございます。
なお、センターの運営につきましてはNPO等への委託を予定しており、設置時期につきましては、委託先選定の手続を経た上で、新年度の早い時期を予定してございます。また、設置場所につきましても、内陸避難者の最も多い盛岡市を候補に考えております。
〇33番(岩崎友一君) 実は物すごく難しい問題だと思っていまして、これは、内陸部に建設を考えている災害公営住宅も同じような考え方になるかと思うのですが、こちらのみなし仮設に入居されている方々の中にも、高齢等の理由で、地元、ふるさとにはもう帰れないと。ただ、そのみなし仮設では、みんなそれぞればらばらに入っていますから、コミュニティーが全く形成できないという理由から、災害公営住宅みたいなものは建てられないものかというのは、私もお話をいただいておりました。
ただ、何とか地元に戻ってほしいという思いの中で、この5年間、私も過ごしてきまして、どう整理すればいいのかというのがなかなか難しいのですが、みなし仮設住宅にいる方々でも、もう既にこっちに残ると決めている方々もいれば、悩んでいる方々もいる。悩んでいる方々の中にも、被災地の状況、それぞれの被災市町村の復興の状況をどれだけ把握しているかというと、やっぱり情報がまだ不足している部分もあるかと思います。
そういった意味でも、今回の支援センターができて、役割を果たしていかなければならないと思うのですが、やはり悩んでいる方々には、基本的に、もといたふるさとに戻ってもらうというような形で、復興状況の進捗についての説明であったり、そういったものは丁寧にやっていただいて、一人でも多く帰っていただくと。ただ、もう既にこちらに残ると決めた方々には、例えば恒久住宅への移行であったり、そういった支援をするというような整理がよろしいかと思うんですが、そんな感じでよろしいですか、どうなんでしょうか。
〇復興局長(中村一郎君) ただいま議員からお話がございましたように、基本的にはお戻りいただく意向がある方、ないしは迷われている方については、被災元の市町村の公営住宅の整備状況であったり、そういった情報提供は丁寧にさせていただくと。ただ、以前、県で調査させていただいて、一定数の方は、もう既にいろいろな御事情で内陸にとどまらざるを得ないというようにお答えされている方もいらっしゃいますので、その方につきましては、その方が今後どういった暮らしを望まれているのかといったようなこともお伺いしながら、今、県で検討を進めております内陸部への災害公営住宅その他につきましても、丁寧に相談に乗ってまいりたいと考えております。
〇33番(岩崎友一君) わかりました。では、次に行きます。
次に、行方不明者の捜索状況と方針について、警察本部長にお伺いしたいと思います。
東日本大震災津波発災直後の救助活動、そして、現在も毎月11日の月命日を中心に集中捜索を継続して行っていただいている警察、海上保安部を初めとした皆さんに、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。
しかしながら、残念なことに、ことし1月末現在、県内で1、124名の方が、今なお行方不明という状況であります。
昨年は、行方不明者の御家族など関係者からの要望によって、7月1日と翌2日、釜石市の片岸地区において、これまで捜索できなかった場所の集中捜索が行われました。そして、ことしの3月には、陸前高田市の住民の方々の要望が実り、釜石海上保安部による広田湾の潜水捜索も行われる予定になっているかと思います。
発災から5年、今も帰りを待ち、何らかの手がかりを求め続ける家族の思いは強く、今も、あの日から時間がとまったままという方も少なくありません。私自身、一日も早く、一人でも多く御家族のもとに戻っていただきたいという思いも変わりありません。
先日、警察庁の金高雅仁長官が陸前高田市を訪れ、殉職された警察官への献花をした際、今後も捜索を続けていく旨の発言をされていたかと思いますが、県警察の捜索活動の状況と今後の活動方針についてお伺いいたします。
また、これまで発見された御遺体のうち、1月末現在で59名の方が身元不明となっております。身元照合についての取り組み状況についてもあわせてお伺いいたします。
〇警察本部長(堀誠司君) 初めに、これまでの捜索活動の状況について申し上げます。
発災年である平成23年におきましては、他都道府県警察からの応援をいただきながら、ほぼ連日の捜索活動を行ってまいりました。また、平成24年以降は、各月命日を中心とした沿岸警察署単位の捜索活動、そして、節目となる3月と9月には、本部職員及び内陸部警察署員を動員した集中捜索を継続して行っており、昨年は延べ63回、約1、100人を動員いたしました。残念ながら、行方不明者御本人につきましては、平成24年12月を最後に、また、行方不明者に関連する所持品などにつきましては、平成26年9月を最後に、それぞれ発見には至っておりません。
次に、今後の捜索活動の方針でございますが、防潮堤工事に伴う排水作業などで新たに捜索可能となる場所が生じていることなどを踏まえまして、これまでの手段や方法を見直すなどしながら、行方不明者御本人はもとより、所持品など、よすがとなるものであっても発見したいとの思いを持ちまして、各月命日を中心とした沿岸警察署単位の捜索活動及び3月と9月の集中捜索を引き続き実施することとしております。
次に、身元不明御遺体の身元確認に向けた取り組み状況についてであります。
震災に関連いたしまして発見いたしました御遺体につきましては、昨年末までに4、672体の検視を実施しており、うち、身元が判明していない御遺体は59体でございます。
県警察では、身元を確認するために、行方不明者の御家族あるいは親族の方々から提供していただいたDNA型資料の鑑定あるいは歯科カルテの照合、さらには、似顔絵や御遺体の特徴、所持品などの情報公開といった活動を進めているところであり、昨年中は5名の方の身元を判明させております。
さらに、沿岸部を中心に行方不明者を捜していらっしゃる御家族などにお集まりいただき、行方不明者の情報収集、そして、身元不明者の情報提供を行う活動も行っております。
今後もこれらの活動を継続しながら、一人でも多く、一日でも早く御遺体をお引き渡しできるよう、身元確認に努めてまいります。
〇33番(岩崎友一君) 去年捜索が行われた釜石市片岸地区は、もともと沼だったんですね。発災後、なかなか捜索ができずに、この復興の進捗とともに捜索ができる形になったということです。そういった箇所もこれから出てくるかと思いますので、やっぱりその辺、しっかりと洗い直していただいて、結構地元の方が、当時あそこに車が落ちたとか、人がたまって流されたとかという情報を持っていたりしますので、5年ということもありますので、改めて、そういう洗い直しも含めて捜索をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇警察本部長(堀誠司君) これまでも、捜索を行うに当たりましては、さまざまな行方不明者の御家族の御要望があれば、その都度、対応してまいった経緯がございます。今後も、そのような御要望があれば、真摯に対応してまいりたいと思います。
また、そのような情報がもしございましたら、御提供いただければと考えております。よろしくお願いいたします。
〇33番(岩崎友一君) では、よろしくお願いします。
復興の最後に、土坂峠のトンネル化について質問いたします。
大槌町金沢から宮古市小国を結ぶ土坂峠、宮古市小国から遠野市土淵町恩徳を結ぶ立丸峠、東日本大震災津波発災時、甚大な被害を受けた中、大槌町の男性は、唯一通行可能だったこの二つの峠を通って、遠野市に救助と支援を求めました。
これまでも取り上げてきたとおり、土坂峠、立丸峠ともに、道路幅が狭く、急カーブや急勾配が連続する交通の難所となっており、冬季には降雪も多く、安全で円滑な通行の支障となっております。
実際、震災の発災は3月。遠野市から大槌町、山田町への自衛隊や警察等による救援活動、救援物資の輸送ルートとして、被災地の生命線として重要な役割を果たしてきたところでありますが、その活動は困難をきわめました。
そういったことを踏まえ、現在、立丸峠はトンネル化の整備が進められ、来年度、小峠トンネルが供用開始、平成30年度内に全線供用が予定されております。
一方、土坂峠は応急処置的なのり面防災対策が行われているものの、住民の悲願であるトンネル整備には着手されておりません。
発災時、同様の役割を果たし、盛岡市から大槌町、釜石市鵜住居、山田町船越への最短ルートである土坂峠のトンネル化は、防災面に限らず、今後の産業、観光振興を図る上でも必ず必要な道路であります。
地元では立丸峠の次は土坂峠だという期待も多いところですが、土坂峠のトンネル化の予定についてお伺いします。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 土坂峠のトンネル化についてでありますが、県では、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、復興計画において、国道340号を復興支援道路、大槌小国線を復興関連道路として位置づけ、交通隘路の解消を図っております。
国道340号は、比較的交通量が多く、幹線道路ネットワークを構成し、広域の交通を担う路線であることから、現在、立丸峠のトンネル化を含む整備を進めているところです。
大槌小国線の土坂峠のトンネル化につきましては、長大なトンネルを含む大規模な事業が見込まれることから、今後の交通量の推移や公共事業予算の動向、現在整備が進められている復興道路等による将来の道路ネットワーク状況を考慮しながら、総合的に判断してまいります。
〇33番(岩崎友一君) 私も何度取り上げたかもう覚えていないんですが、毎回、その交通量の推移という答弁があります。きのう、中平議員が平庭峠のトンネル化のお話も質問で取り上げましたが、多分これは、交通量の推移を見ながらというBバイCで行くと、恐らく県北沿岸は道路ができないと思うんですよ。その辺、どんなものでしょうか。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 道路事業に限らず、公共事業につきましては、着手に当たって、整備効果等を検討しながら事業評価を行っております。災害復旧事業以外はこのプロセスを経て検討しているわけでございますが、道路事業につきましては、貨幣換算が難しいような経済効果、例えば防災面とか、あるいは多様な地域振興面とかといった面も多く含まれておりますので、交通量とかBバイCとか、機械的になることなく、全体として総合的な評価をしていきたいと思ってございます。
当該路線の検討に当たっても、その点は十分考慮しながら判断してまいりたいと考えてございます。
〇33番(岩崎友一君) 多分、今定例会中でも笹ノ田峠のトンネル化の話も出るかと思うのですが、やはりこの道路整備に当たりましては、単体ではなくて、今、部長からも答弁がありましたが、しっかり県として、産業であったり、観光であったり、医療であったり、教育であったり、そういった政策全て含めて戦略的な中で道路整備というものも検討されていくべきものであると思います。なかなかそういった戦略性というかが見えないわけでありますが、しっかりとそういった県全体の全ての政策の中で道路整備も考えていっていただきたいと思うのですが、知事の御見解をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 近年、また、現在の地方財政を取り巻く状況の中で、この岩手において考えた場合に、公共インフラ整備に関しては、どうしても維持管理に軸を置いたような方向に向かっていくということが現実的な傾向としてあるわけでありますけれども、失われた10年、20年という日本の経済状況、そして、今もこれだけ金融緩和をして、円がだぶつき、そして、世界中のマーケットが円、日本政府に対してお金を貸したがっている、イコール、それは国債を買いたがっている。マイナス金利にも同調し国債の金利ももうマイナスになるくらい日本政府にお金を貸したがっているわけでありますから、この際、日本政府は、国債を活用し、お金を借りて、日本全国、この失われた10年、20年ということを解消し、また、まち・ひと・しごと創生、地方創生ということを本当に実のあるものにする、実体経済を活発にして国土強靱化も果たしていくということであれば、そういう国における思い切った公共事業予算の変革ということが今望まれているんだと思います。
そういったことは、このまち・ひと・しごと創生の関係でも、そのような地方がよくなるような思い切った経済財政政策ということを県からも求めているわけでありますけれども、そういったことを国に求めてまいりたいと思います。
〇33番(岩崎友一君) 多分私の質問と違う答弁が返ってきたかと思うのですが、私が言いたかったのは、もう一度質問しますけれども、道路整備、道路行政が単体で動くことなく、産業だったり、観光だったり、医療だったり、教育、そういった総合的な県の戦略の中で、やっぱり道路の必要性もしっかりと決めながら整備していくべきではないかと思うのですが、知事はどう思われるでしょうか。
〇知事(達増拓也君) そこは、先ほど担当部長から、今後の交通量の推移や、また、公共事業予算の推移、そして、現在整備が進められている復興道路等による将来の道路ネットワーク状況を考慮しながら総合的に判断していくと述べているわけでありまして、そういった医療でありますとか産業でありますとか、さまざまな要素も入れて総合的に判断していくということですけれども、その中において、公共事業予算の動向というのは特に重要な要素であるということです。
〇33番(岩崎友一君) わかりました。ただ、交通量の推移が先にきますと、やはり逆で、その制約の中でトンネルを通すことによって交通量もふえるという考え方もありまして、交通量が少ないからつくらないというのがどうしても建設基準になってくるのであれば、それは非常に厳しいと思います。
国の財政に関しては、県の財政も厳しいのは百も承知でございますけれども、ちゃんと県全体の戦略の中で、しっかりと道路整備というものを位置づけて整備を進めていっていただきたいと思います。これは平庭峠、土坂峠、笹ノ田峠も一緒でございます。
次に、総合戦略に係る新型交付金は時間がないので飛ばして、次に、子ども・子育て支援について取り上げたいと思います。
待機児童の解消対策についてお伺いします。
昨年10月1日時点の県内の待機児童数は732人と、ことし4月時点の128人に比べて604人増加しております。また、過去5年間を見ても、10月時点の待機児童数が4月時点より200人から600人程度増加しており、年度途中に生まれた子供を預けたくても預けることができないという状況であります。これは、待機児童が発生している市町村の保育所では、年度当初に既に定員いっぱいまで児童を受け入れていることから年度途中の入所が困難となることによるものですが、私は、年初のみではなく、年度途中でも子供を安心して預けられる環境の整備により、母親の就業機会の確保、ストレスの軽減を図る必要がある旨、これまで申し上げてきました。
そういった中、国では消費税増税分を社会保障費に充てるという財源の根拠も示し、昨年4月から子ども・子育て支援新制度をスタートさせました。新制度では、認定こども園、幼稚園、保育所、地域型保育の量的拡充や、3歳児の職員配置の改善や職員給与の改善など質の向上を図るものであり、待機児童の解消に向けて大きく期待するものです。
一義的には市町村の管轄かと思いますが、県として新制度をどのように捉えているのか、また、県として待機児童の解消に向けてどのようにかかわっていくのかお伺いします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 子ども・子育て支援新制度に対する見解と待機児童の解消対策の2点のお尋ねと思います。
子ども・子育て支援新制度は、消費税率の引き上げなどにより新たな財源を確保し、全ての子供、子育て家庭を対象に、幼児教育、保育、地域の子ども・子育て支援の量的拡充と質的改善を図ることを目的として実施されたものであり、待機児童の解消を初め、子育て支援施策を進める上で有効な制度であると考えております。
この制度が導入されることを踏まえ、市町村におきましては、待機児童の解消等を進めるため、昨年度、平成27年度から平成31年度までの5年間の保育ニーズ等を踏まえた市町村子ども・子育て支援事業計画を策定し、計画的な施設整備などを実施しているところです。
県におきましては、市町村等が実施する施設整備に対して、国の補助制度を活用した財政支援などを実施しております。また、保育士確保の支援に努めているほか、効果的な事業実施に向け必要な助言等を行っているところでありまして、今後とも、こうした取り組みを通じて、待機児童の解消に向け、国と一体となって保育の実施主体である市町村を支援してまいります。
〇33番(岩崎友一君) スタートしてまだ1年たっていない状況でありますので現段階での評価というのは難しいと思いますけれども、私も、待機児童の解消、盛岡市が一番多いわけでありますけれども、やはり子供をふやしていくという中において、一番大事なのはこの待機児童を解消していくことだと思っておりますので、市町村の計画に対してどのようになっているのかというのは県でもしっかりと管理していくと思うのですが、ぜひきめ細やかな対応をお願いいたします。
次に、県では、平成25年10月に岩手県保育士・保育所支援センターを設置し、保育士資格を有しているものの、保育所に勤務していない潜在保育士の再就職への情報提供、保育所と潜在保育士とのマッチング支援等を行い、保育士確保に努めてまいりました。
これまで、支援センターの事業を通じて、平成25年度には11件、平成26年度には60件、平成27年度には1月末現在で76件と、順調にマッチング実績を伸ばしてきたところであります。しかしながら、マッチング率は33%、また、沿岸・県北部の保育園等から求人が少ないことなどから、センターの周知も含めてさらなる取り組みの強化が求められると思います。毎日のように待機児童が発生している状況を踏まえると、現在、1名で運営しているセンターの体制に不足が生じないよう対応していくことが必要と考えます。
また、保育士の確保を含め、待機児童の増加に歯どめをかけ、就業や病気、家庭の都合等で子供を預ける必要がある家庭の希望をかなえることが、今後の出生数の増加など、少子化対策に大きく寄与するものと考えますが、県の子育て支援についての知事の所感をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 保育士確保を含めた子育て支援施策についてでありますが、本県では、県民が安心して子供を産み育てることができる環境の整備を図り、一人一人の子供を健やかに育むことができる社会の実現に寄与することを目的として、昨年4月、いわての子どもを健やかに育む条例を施行いたしました。この条例の基本計画でありますいわて子どもプランでは、若者が家庭や子育てに希望を持てる環境の整備や、待機児童の解消を初めとする子育て家庭への支援などを施策の基本方向として掲げております。
御提言のあった保育士・保育所支援センターにおきましては、保育士の確保に向けて効果的なマッチングに取り組んでいるところでありまして、その事業内容や体制につきましては、市町村や保育所、潜在保育士のニーズを踏まえた上で、県子ども・子育て会議など、関係者の意見も幅広く取り入れながら検討し、効果的な事業の展開に努めてまいります。
今後とも、こうした取り組みに加えまして、子ども・子育て支援の充実に向けて、保育所の計画的な整備や、子ども・子育て支援新制度による保育士の処遇改善などの施策について、市町村や関係団体と連携を図りながら、地域が一体となった子育てに優しい環境づくりに取り組んでまいります。
〇33番(岩崎友一君) 全体に関してはそのとおりしっかりお願いしたいと思うのですが、私は、保育士・保育所支援センターをぜひ有効に活用していただきたいと思います。実績が伸びているのはいいことなのですが、センターの業務内容を見ますと、保育士、保育所への相談支援、新人保育士研修、潜在保育士研修、保育所の巡回訪問、保育の職場見学会、同行見学の実施、就職相談会への参加と。やっている内容は本当にいいと思うんですが、さすがに1人はいかがかなと―今、1人なんですが。マッチングも、盛岡市を中心にマッチング率が高いんですけれども、一関市あたりでも、42人の求人があったのにマッチングはゼロなんですね。ですから、やっぱりもっと人をふやしてマッチングの機会をふやし、よりセンターの支援内容に関して充実させていただきたいと思うのですが、その増員も含めていかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 効果的なマッチングを進めるためには、より多くの求人、求職情報の収集が必要でありますので、沿岸市町村の要望も踏まえて、今年度、新たに職員による保育所の訪問やマッチング事例のホームページへの掲載などの取り組みを開始したところであります。
保育士・保育所支援センターの体制につきましては、保育所や潜在保育士の皆さんのニーズ、そして、マッチングの成果を十分に踏まえた上で、必要に応じて検討していくべきものと考えております。
〇33番(岩崎友一君) 私が言いましたように、やっぱり必要だと思うのです。全県を1人で見るというのは実際物すごく大変だと思うのです。知事も選挙で回っていますから県土の広さはわかっていると思うのですが。やはりセンターの充実が必要だと思いますので、1人だとなかなか……。さらなるマッチング率の向上だったり、今、知事から答弁がありましたように、これから沿岸部の保育所を回るとなれば、それを1人で全部やるわけです。なかなか厳しいと思いますので、ぜひ増員に向けて前向きに御検討いただきたいと思います。
次に行きます。
これまで国は、地方自治体が現物給付により医療費助成を実施した場合、医療機関の窓口における患者の自己負担が軽減されることから、一般的に患者数が増加することが見込まれ、これに伴う医療費の増加分は各自治体が負担すべきとして、市町村国保に対する国庫負担金を減額しております。しかし、償還払い方式の場合、患者が医療機関に一旦医療費の自己負担全額の支払いを要するため、適正な医療を受ける機会を逸してしまうことも懸念され、県ではことし8月から未就学児と妊産婦を対象に現物給付方式に移行することとしているところでありますけれども、現物給付方式を採用した場合の市町村国保に対する国庫負担金の減額措置はどの程度なのかお伺いします。
そしてまた、この減額措置に関しては、やはり国も現在子育てに力を入れているということもありまして、見直しが必要と思います。現在、国においてはその減額の見直しが行われているということでありますけれども、国の検討状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 子供の医療費助成についてでありますが、本県が本年8月から実施する現物給付は、子供、重度心身障がい者及びひとり親家庭の未就学児並びに妊産婦を対象としており、県の制度改正に伴う市町村国保に対する国庫負担金の減額措置は、粗い試算ではありますが、年額約1億円と見込んでいます。
なお、県単独で実施している全ての医療費助成事業を現物給付とした場合は、全体で年額約7億2、000万円と見込んでおります。
国におきましては、昨年9月、有識者で構成する子どもの医療制度の在り方等に関する検討会を設置し、子育て支援や地方創生の観点から、子供の医療のかかり方や医療提供体制のほか、国民健康保険の国庫負担金の減額措置のあり方などについて検討しているところです。この検討会はこれまで4回開催され、構成員や有識者からのヒアリング等を踏まえ、昨日開催された4回目の検討会においてこれまでの議論の整理が行われたところです。一部報道では、国が減額措置を一部廃止する方向で検討に入ったとありましたが、昨日の検討会で国が明言したものではないとのことであり、県では、引き続き情報収集に努めながら、全国知事会等を通じて国への働きかけを行っていく考えです。
〇33番(岩崎友一君) 了解しました。ぜひこれが見直しされればいいと思っております。
次に、地域医療について取り上げます。
震災により沿岸地域の医療機関は甚大な被害を受けましたが、本年2月1日現在、震災前の90%を超える311カ所で診療が行われるまでに回復しております。沿岸地域の被災した三つの県立病院は、大槌病院がことし5月、山田病院がことしの秋、高田病院については平成29年度に開院する予定であり、私も今月15日には大槌病院の定礎式に出席してまいりました。
大槌、山田病院では、開院後、入院診療を再開することから、医師、看護師の確保が大きな課題になってくると思います。これら3病院における医師と看護師の確保の見通しについてお伺いいたします。
〇医療局長(八重樫幸治君) 県立大槌、山田、高田病院の医師、看護師の確保についてでありますが、大槌病院及び山田病院の医師については、現在の常勤医師及び関係大学からの医師派遣や即戦力医師の招聘、基幹病院からの診療応援などにより、当直体制を含め、必要な診療体制を確保できる見通しであります。また、平成29年度の開院を予定している高田病院については、現状の診療体制を基本としつつ、さらなる医師確保に向けて、引き続き関係大学への医師派遣要請や即戦力医師の招聘に取り組んでいきます。
看護師については、岩手県立病院等の経営計画において、再建後の入院機能の再開等に合わせ、大槌、山田病院とも正規職員、臨時職員合わせて32名程度を配置する計画としており、このうち正規職員は職員採用試験において必要数を確保したところであり、あわせて、現在勤務する臨時職員を引き続き任用することなどにより、来年度の開院時期には計画どおり措置できる見込みとなっています。
また、高田病院については、来年度の職員採用選考試験により必要となる人員を確保していく考えであり、具体的な配置につきましては、県立病院全体の職員の配置がえの中で対応してまいります。
〇33番(岩崎友一君) 医師も看護師も本当に不足していて、いろいろ調整も大変かと思いますけれども、開院した後、しっかりと円滑に運営するために、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
次に、医師養成の今後の見通しと配置の考え方についてお伺いいたします。
2008年度に定員を拡充した医師養成奨学金については、2016年度には養成した医師13人が県内の公的基幹病院で義務履行を開始するとのことであり、医師確保に向けて明るい話題と捉えております。
しかし、13人の配属先は、内陸部が10人、県北に2人、沿岸には1人の予定となっております。奨学金医師の配属先については、今年度、県、県医療局、岩手医大、県国保連の4者により配置調整会議が設置されておりますが、医師養成奨学金による医師養成の今後の見通し、配置の考え方についてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 奨学金養成医師の今後の見通しと配置の考え方についてでありますが、関係する4者で締結した奨学金養成医師の配置調整に係る協定に基づき、質の高い地域医療の確保に寄与することを基本理念として、その実現のため、中小規模の医療機関の診療もカバーできるスキルを持ち、継続して岩手県の地域医療の核となる医師を養成し、配置することとしています。
養成医師の配置に当たっては、基本方針を定め、公的医療機関を基幹病院とその他中小医療機関に分け、それぞれ一定期間勤務することとし、最初の2年間を基幹病院で勤務し、その後の義務履行では、沿岸部等の医師不足の深刻な地域に配慮しつつ、中小を含む医療機関にも配置することとしております。これらの養成医師の配置により、平成40年ごろに、昨年、本県が実施した調査による公的医療機関の必要医師数298人を満たす見込みであり、将来的には医師不足の解消に向かっていく見通しです。
一方、この4月から養成医師の義務履行が始まりますが、キャリアアップのための大学院入学などの義務履行の猶予なども見込みながら配置を進める必要がありますことから、当面の間は厳しい状況が続くものと考えております。
〇33番(岩崎友一君) 今回の13人の配属先、内陸部10人、県北2人、沿岸1人という配置に関して、私、聞き逃したかもしれませが、これに関してはどういった考えのもとに配置になったんでしょうか。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 今回の配置先につきましては、それぞれの医師の目指す、専攻する診療科の関係、それから、それぞれの病院における必要医師の状況等をいろいろ勘案した上で配置先を決めたところでございます。
なお、13人の配属となっておりますが、2月4日に開催した地域医療対策協議会の時点では未定の方が3名おりまして、現在、その3名の方についても、その配置先について調整を進めているところでございます。
〇33番(岩崎友一君) 了解しました。
次に、そういった奨学金を利用した医師は、6年間から9年間、公的医療機関で勤務することにより奨学金の返還を免除されることとなっております。しかし、慢性的な医師不足解消のためには、義務履行終了後も引き続き県内に残っていただくことが必要であると思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 養成医師の県内定着に向けた取り組みについてでありますが、養成医師の配置ルールの策定に当たっては、義務履行の終了後も引き続き県内の地域医療に貢献することを重要な視点として検討を進め、昨年策定した配置調整の基本方針の中で、専攻する診療科等を踏まえ、義務履行後の医師としての方向性を考慮した配置を認めることを盛り込んだところです。
この基本方針を踏まえ、これまで、養成医師の育成支援を行う医師支援調整監が養成医師と面談を重ね、円滑な義務履行やその後の県内定着に向けた助言を行ってきたほか、地域医療への意識の醸成を図ることを目的にセミナー等を開催し、養成医師に対し、地域医療の状況や県民の期待について伝えてきたところです。今後も、医師支援調整監によるキャリア形成支援を行うとともに、これまでの奨学金制度や自治医科大学などで養成した医師の本県でのキャリア形成の事例なども示し、全国有数の県立病院ネットワークを持つ本県の特徴を生かした養成医師の県内定着に取り組んでまいります。
〇33番(岩崎友一君) 了解しました。よろしくお願いします。
最後に、サケ資源の確保についてお伺いいたします。
東日本大震災津波によりサケのふ化施設が甚大な被害を受け、稚魚の放流を十分行うことができなかったことから、4年魚として回帰する一昨年以降、サケの水揚げの減少を懸念していたところであります。平成27年度の1月末現在の水揚げ量は8、382トン、金額では約51億円でありましたが、沿岸南部地域では例年の水揚げを大きく下回る状況となり、来年度以降にも引き続き不安を残す状況となっております。
サケふ化場については、今年度全ての施設について復旧したと聞いておりますが、今後、サケ資源回復に向けて、必要な稚魚生産のための種卵確保の取り組み、稚魚放流に向けての取り組みについてお伺いいたします。
そしてまた、ことしの採卵状況から4年後の回帰率にも不安を残すものでありますけれども、そういった中、長期的な支援が必要と考えますが、県の見解について伺います。
〇農林水産部長(小原敏文君) サケ資源の確保についてでありますが、県では、サケの資源回復に向け、確実に種卵を確保するため、これまで、漁業関係団体と連携し、河川に遡上した親魚については採卵適期まで蓄養した上で採卵するとともに、ふ化場間の連携による種卵の移出入調整や、定置網で漁獲したサケの親魚としての利用などに取り組んでまいりました。今年度は、サケの回帰尾数が大きく減少し、採卵用の親魚が不足しましたことから、種卵確保は約4億4、000万粒と計画の95%にとどまっておりますが、県では、目標としております4億尾の稚魚放流に向け、ふ化場に対し、種卵と稚魚の飼育管理の徹底を指導しているところであります。
県では、今後もこれらの取り組みを継続することとしておりますが、一方で、種苗放流に係る国の支援制度は平成28年度までとされておりますことから、引き続き国に対し支援の継続を強く働きかけ、サケの資源造成に取り組んでまいります。
〇33番(岩崎友一君) 終わります。
〇副議長(工藤大輔君) 以上をもって岩崎友一君の一般質問を終わります。(拍手)
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時57分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時18分 再開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。郷右近浩君。
〔30番郷右近浩君登壇〕(拍手)

前へ 次へ