平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(関根敏伸君) 改革岩手の関根敏伸でございます。
一般質問の機会をいただきましたことに心から感謝申し上げ、震災からの復興、ふるさと振興総合戦略の推進、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会への取り組みを中心に、順次質問をいたします。
初めに、東日本大震災津波からの復興について伺います。
3月を迎えると震災から丸5年が経過いたします。改めて、震災でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
知事は、本格復興期間の最終年度であることしを本格復興完遂年と位置づけ、目に見える復興を進めるための本格復興完遂予算を提案されております。
一方、国では、今までの集中復興期間から、新年度からの今後5年間を新たな復興・創生期間と位置づけ、先ごろの復興推進委員会において、今後の復興基本方針骨子案を示したところであり、被災自治体との意見交換などを経て3月中に基本方針を閣議決定する予定とされております。
国は、復興の現状認識として、産業、なりわいの再生も着実に進展し、国が定めた10年間の復興期間の総仕上げに向け、復興は新しいステージに入るとしております。確かに、復興は、被災地の必死の取り組みの中で着実に一歩ずつ進んでおります。しかし、国がそう宣言することによる被災地の受けとめ方は、複雑なものと思われます。また、自立の名のもとに地方負担が生じることになったのは、御承知のとおりであります。沿岸首長からは、被災地の状況の捉え方を疑問視する声や、総仕上げという表現は、国としてある程度の区切りをつけたいという思いがにじんだ表現と捉える声も聞こえてまいります。
そこでお伺いいたしますが、知事は、国の復興の現状に対する認識と、それを踏まえた基本方針をどのように評価しているのでしょうか。地方創生のモデルとなるような復興、人口減少や高齢化といった国の言う課題先進地である東北の創造的な復興が、実現できるような国の取り組みが担保されている内容なのでしょうか。県が本格復興完遂年への取り組みを進め、その後の2年間の持続可能な新しい三陸の創造を推進していく上で、納得できる内容かお聞きいたします。
昨年12月、県外では震災復興がどのように受けとめられているのかを肌で感じてみたく、静岡市で行われたいわて三陸復興フォーラムに参加いたしました。
達増知事と川勝平太静岡県知事らによる鼎談やパネルディスカッションが行われ、県外でも多くの方々が震災の復興状況に関心を持っていただいていることに、やや安堵の気持ちを覚えました。
一方、コーディネーターを務められた前県立大学准教授でもある静岡大学の牛山素行教授が、国民の震災への思いは、5年で10分の1に、10年で100分の1となっていき、風化は確実に進んでいくとの警鐘を鳴らされました。先ごろ県議会で講演をいただいた戸羽太陸前高田市長も、この5年目で震災は再度大きく取り上げられるだろうが、その次の10年はない。被災者の復興へ向けた気持ちに今後は大きな格差が広がっていくと、風化が進むことへの危機感を訴えております。
先月の総理の施政方針演説の中で、震災復興に関し、幾つかの被災地の例を引き合いに出しながら、今後も復興への熱意を全力で応援してまいりますとしておりましたが、第2次安倍内閣のうち最長と言われる施政方針演説の中での占める割合を考えると、震災復興を日本の再生と位置づけた発災当初の国の姿勢からは、そのトーンは明らかに低下しているとの印象を受けます。
年々進む風化を少しでも食いとめていくことは、被災者の気持ちの後押しにつながります。国民の皆さんの復興への思いと災害への備えを再構築することにもなり、何より復興事業に向かう国の政策が後退することの歯どめ、国を動かす制度や法整備などを含めた復興施策の実現にもつながってまいります。
県は、新年度に、いわて情報発信強化事業や復興情報発信事業など、部局をまたいだ事業を予算計上しておりますが、具体的な事業内容と目的も含め、5年の節目を迎えることし以降、震災の風化防止のための取り組みをどのように進めようとしているのかお聞かせください。
先日、常任委員会調査において釜石こころのケアセンターを訪問した際、副センター長からも同様の指摘を受けてまいりました。震災から5年を迎え、被災者のストレスが継続的に長期化している中、ちょっとしたきっかけによりストレスが大きく加速してしまいかねない点を懸念しておりました。沿岸被災地は国民健康保険加入者の割合が多く、県が継続支援している医療費の免除措置を大変歓迎していると同時に、事業の継続性を相当心配しているとされております。これらの事業によって、被災者は、自分たちの状況を理解してもらっていると判断し、これからの復興に立ち向かう気力が増し、それらが途絶えたときに、心と体の健康格差が大きく広がっていくとも言われております。
こころのケア事業については、現在、全額国費の負担の中で復興期間の平成30年度までは事業継続が見込まれておりますが、国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険、障害福祉サービスの一部負担金の免除措置については、一部国からの補助が打ち切られる中、県が負担を決断しながら継続している事業であり、岩手ならではの被災者に寄り添った特徴的な事業であると敬意を表します。年間5億円の県単独負担をしながらの事業継続は、県財政の状況を踏まえたとき、簡単な判断は困難とは存じますが、国民健康保険等の一部負担金免除が途絶えたとき、被災者の受診抑制につながるとすれば、それは即、被災者の心と体の健康維持を妨げることに直結してまいります。
単年度ごとの事業継続判断ではなく、長期安定的な事業継続を望む医療関係者、被災者の思いを受けとめながら、事業の方向性をしっかり伝えることが必要かと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
地方創生のモデルとなり、東北の新たな創造につながる可能性となり得る二つの点について伺います。
1点目は、ILC誘致への取り組みについてであります。
ILCをめぐる動きは、超党派の国会議員で構成される建設推進議員連盟が渡米し、1兆円とも言われる巨額建設費負担を主要国が協調して分担していくための土壌づくりを始める一方、12月にはリニアコライダーの国際会議が盛岡市で開かれる予定になっているなど、さまざまな動きが見え始めております。
このたび、岩手県国際リニアコライダー推進協議会のイノベーション・経済効果調査委員会の委員長となった鈴木厚人県立大学学長は、国民的理解を深めるためにも、ILCの社会的貢献効果を示すとともに、誘致のマイナス面とその対策を一体的に示すことが必要との抱負を述べられているとされております。現在までさまざまな啓蒙活動等を実施する中、ILCに対する一定の理解が深まったことはそのとおりであると考えますが、さらなる理解の広がりと深まりを高めていく必要性も私なりに感じているところでもあります。
ILC施設の安全性への理解、研究を終えた後の施設利用や地下利用の方向性、誘致が決定した後の日本の負担と同時に地元負担の可能性の有無など、冷静な判断基準を求める声も聞こえ始めているのも事実であります。国民的理解の一層の醸成とあわせた広がりある取り組みが必要な時期とも考えます。
県は、今年度を含めたILC誘致実現に向けた取り組みの一層の深まりと、前進に向けた行程をどのように描いているのかお聞かせください。
岩手における創造的復興の象徴となり得る2点目は、復興道路、復興支援道路の開通による高規格道路ネットワークの完成であります。
工事の進捗に応じて、復興道路等の開通が順次見込まれており、完成すると、仙台-八戸間がおよそ現在の8時間から3時間短縮されて5時間に、宮古-八戸間も2時間短縮になると試算されております。また、横軸の盛岡-宮古間もおよそ25分短縮され1時間15分に、花巻-釜石間も20分短縮され1時間5分での移動が可能になります。加えて、3月には新幹線の函館延伸も間近に控え、岩手の物流や観光をにらんだ環境は、青森、秋田、宮城、そして北海道までを含んで大きく変化することになります。
この岩手県にとってまさに悲願とも言える復興道路、復興支援道路の整備後の変化を踏まえた総合的な地域活性化の方策について検討を行う必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
次に、岩手県人口ビジョンとふるさと振興総合戦略に関し、何点かお聞きいたします。
昨年実施された国勢調査の速報によりますと、前回調査より岩手県全体では5年間で人口減少が約5万人となっており、中でも被災自治体の減少率が大きくなっている現実があります。また、東北全体においても、人口は900万人を割り込み、減少率は過去最大の3.8%となっております。
一方、総務省が公表した人口移動報告によりますと、東京圏では転入者が転出者を上回る転入超過が11万人余りとなり、前年より9、900人余り増加、20年間連続での転入超過となっております。
国のまち・ひと・しごと総合戦略では、東京の一極集中を是正し、地方への人の流れを変えるとしておりますが、昨年の省庁移転にかかわる県内からの5機関の提案全てが認められなかったことに加え、首都圏、大企業重視の国の経済政策の転換が見通せない中、この現実を踏まえると、その行く末と課題解決への道のりは平坦なものではないと予想されます。
岩手においては、震災以前から人口減少を県政課題の大きな柱と捉え具体的な取り組みを進めてまいりました。しかし、ここ数年は人口の社会的減少率が縮小しておりましたが、直近の2年間は、また人口の社会的減少がふえ始めております。
一方、沿岸被災地の20歳から24歳代の若年層の人口に増加の兆しが見え始めていることは、今後の人口減少対策を考える上で示唆的な現象ではないかとも思われます。
そこでお伺いしますが、今まで進めてきた県の人口減少対策をどのように検証しているのでしょうか。その上で、ふるさと振興総合戦略において、県内の内陸、沿岸等における震災前と震災後の年齢階層別の人口の状況変化などをどのように分析し、2020年の人口の社会減ゼロを実現しようとしているのかお伺いいたします。
県は、政策目標の一つとして、人口の社会減ゼロとあわせ県民所得の対全国比との縮小を掲げております。しかし、私自身の率直な感想として、県民所得の全国との乖離の縮小を目標立てにすることが、今後の若者の定着や移住、定住を見据えたとき、岩手の魅力発信につながるとは考えにくいとも感じます。岩手に住みたい、働きたい、帰りたいと言う人々の願いに応えられる豊かなふるさと岩手をつくり上げるという政策推進目標とは、ややずれがあり、ストレートに響かないとも思うものであります。
かつて前知事のもとで岩手のがんばらない宣言が出され、賛否両論、議会でも議論されたことが思い出されますが、よきにつけあしきにつけ、全国に向けたインパクトがあったことは認めなくてはならないと思います。県では、地域医療を守るためや自殺対策を推進するため、県民総参加の組織を立ち上げ、大きな県民運動を盛り上げてきた経緯があります。
そこで、知事に伺いますが、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、この三つの政策推進目標をわかりやすく伝えられるようなキャッチフレーズを模索し、大きな県民運動として盛り上げる必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
福井県では、福井で暮らすことのメリットを数値化した上でアピールするための、ふくい暮らしライフデザイン設計書を策定し、若者たちのUターンやI・Jターンに結びつけようとしております。育児女性の就業率、正規就業者割合、持ち家率、平均通勤時間などとあわせ、中学、高校の平均教育費や住宅費などの要因で福井と東京を比較した上で、一定の条件のもとで60歳まで暮らした場合の家計の収入と支出の収支差は、福井のほうが東京で暮らすより約3、000万円上回ると試算しております。
岩手においても、県民所得水準を上げる努力をすることはもちろん必要であり、政策目標の一つとすることに異論はありませんが、キャッチフレーズとあわせ、例えば住宅や教育、医療、介護など、暮らしに密接にかかわる分野での岩手で暮らしていく上で総体的な豊かさに結びつく収入と支出の差である可処分所得に着目して数値目標や政策の方向性を定めることも、より説得力が増すのではないかと考えるものでありますが、県のお考えをお聞かせください。
まち・ひと・しごと総合戦略においては、世代間の助け合いを目的とした三世代同居・近居の促進が盛り込まれており、昨年10月、北海道東北地方知事会での地方創生の推進に関する決議においても、国に対し、三世代同居や近居への支援などの創設に取り組み、地方が独自に行う取り組みに対しても強く支援していくことを決議しております。
3世代同居率が全国一の山形県では、地方創生戦略を進めるための柱の一つに三世代同居・近居の促進を掲げ、若い世代の出産や子育ての希望につなげたいとしており、多世代で暮らすことをアピールするためのソフト事業や住宅の新築、リフォーム時への補助金、利子補給などの住宅政策面での後押しを進めております。
少子化対策上からも、同居している夫婦の出生率が高い傾向にあることが示されており、家計面での光熱費や土地代等の節約効果とともに、同居、近居における祖父母による孫等への支出も高くなるとのデータも示され、眠っている高齢者の預金が支出に回るという経済活性化効果も期待できるとの報告もあります。全国的にも、不動産取得税の減免措置、公営住宅での入居枠の設定、自治体が保有する土地の分譲価格の減免など、さまざまな取り組み事例が見られるようになっております。
全国でも7番目に3世代同居率が高い岩手にあって、その環境をより整えることは、県の政策目標の一つである合計特殊出生率を上げる上でも有効であり、岩手で育てる、岩手で暮らすという政策の推進のエンジン役となり得るものと考えますが、県の3世代同居、近居政策に対する考え方と取り組みの方向性についてお聞かせください。
県では、昨年つくられた中小企業振興条例に基づく基本的な計画として、岩手県中小企業振興基本計画案を策定し、今定例会に提案されております。その方向性には目指す三つの姿が掲げられておりますが、県内での生産年齢人口が構造的に減っていく中、今後ますます厳しくなる中小企業の人材確保や後継者確保による事業継続の観点からも、中小企業の労働生産性向上による質の高い雇用を創出する方向性は、避けて通れないものと理解いたします。
かつての雇用不足から人手不足の現状に直面している今、今までの中小企業保護政策を見直し、その政策を大転換すべしとの厳しい指摘をする識者もあり、当事者である経営者側の覚悟はもちろん、県としても、生産性向上に向けた本気の対策とともに、過去の施策の延長線上ではない対策が求められると考えます。
ふるさと振興総合戦略の実現に欠かすことのできない中小企業の労働生産性の向上のための目標設定の考え方と、実現に向けた取り組みの具体策をお示しください。
現在の喫緊の課題である県内の人材不足に対応するためには、地域間の人材調整の取り組みも必要と考えます。県内四つの広域振興圏のうち、三つは有効求人倍率が1倍を超えておりますが、県北広域振興圏ではいまだ0.9倍台という状況であり、また、管内それぞれの求人と求職の状況も、地域性をあらわし、広域振興圏ごとにその環境が異なっていると思われます。県内での就職を求める貴重な人材を県外に流出させることなく、県内広域での雇用をマッチングさせる仕組みをつくることは、喫緊の人材不足への対応と雇用のミスマッチによる早期離職の防止にもつながるものと思われます。
人材不足対策のための県内広域での雇用のマッチングの取り組みについて、県の考え方をお示しください。
また、県は、今月9日、達増知事を会長とし、行政、教育機関、経済団体等で構成する、いわてで働こう推進協議会を立ち上げましたが、この協議会は、今後の県のふるさと振興総合戦略の目標達成に向け、どのような役割を担うものなのでしょうか。具体的な協議会の目的と狙いとするところをお示しください。
次に、ふるさと振興総合戦略の実現に向けた市町村との関係、財源の見通しについて伺います。
県のふるさと振興総合戦略を確実に実現していく上で、市町村との連携は欠くことのできないものと思われます。
県が掲げた基本的な三つの政策に対する市町村とのすり合わせや理解は十分とられているのでしょうか。また、県は、市町村それぞれの地方創生戦略に対して、どのような支援を行っていくのかお聞かせください。
ふるさと振興に係る事業が本格的にスタートを切る新年度には、関連する320事業、1、900億円の予算が計上されております。
国は、まち・ひと・しごと総合戦略にかかわる各種交付金を創設し、平成27年度補正で1、000億円、新年度でも同額の予算を計上しており、先駆的な事業を対象にしながら地方創生の戦略を推進するとしております。しかしながら、事業認定と交付に係る審査基準、補助対象外の地方負担分に係る交付税措置のあり方や長期安定的な財源見通しなど、不明確な部分が多々あることも事実であり、今後5年間のふるさと振興総合戦略を着実に進めていくことができるのか、不透明な印象を受けるものでもあります。
県は、ふるさと振興総合戦略の5年間の必要事業費をどの程度見込んでいるのでしょうか。長期的な財源見通しと県負担等にかかわり県財政への影響は生じてこないのでしょうか。国が地方創生のモデルとなる復興を目指すとしている中、県を初め県内市町村に対する特別な支援策等は盛り込まれているのでしょうか。以上、お伺いいたします。
次に、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の取り組みについて伺います。
いよいよ希望郷いわて国体・いわて大会が始まりました。1月にはスケート、アイスホッケー競技大会、そして、今月にはスキー競技会がそれぞれ開催され、県勢は天皇杯順位4位と、秋の本国体に向けて好スタートを切ることができました。
私も両競技会の開会式、閉会式に参加し、大きな感動を覚え、秋の国体本大会、全国障害者スポーツ大会に向けて、県民の意識も今後さらに大きなものになっていくものと期待しているところであります。
発災後、大きな議論の中で開催誘致を決定することになった経緯や、人口減少対策に向けた取り組みが全国一斉に始まるこの時期に、被災地で初めてとなる岩手で両大会を開催することの意義と意味は、改めて大変大きなものがあると思います。
岩手経済研究所によりますと、本大会、冬季大会、障がい者スポーツ大会で予想される来場者数100万人をもとに県内への経済波及効果を試算すると、その効果は450億円とされており、新しい国体像に示された地域コミュニティーの再生や経済活動の活性化という面でも大きな意味を持つものと思われ、多面的な意味合いを含んだ今国体を、ぜひとも成功に結びつけてもらいたいと切に願うものであります。
まず、前段として冬季国体が終了いたしましたが、競技成績と大会運営を通じての知事の所感をお伺いいたします。
また、県では、今国体を復興のシンボルとなる国体、また、岩手の魅力を全国に発信する国体とも位置づけているほか、新年度も国体・大会プラスとしてさまざまな取り組みを予定しております。
冬季国体の終了を受け、県では、岩手の魅力を発信する国体、復興の後押しとなる国体と位置づけた大会の成功に向けて、残された半年で国体・大会プラスにどう取り組んでいくのかお聞かせ願います。
岩手では初めての開催となる全国障害者スポーツ大会の開催は、県の障がい者施策等の推進の大きなきっかけにもなるものと考えております。そのためには、ボランティアの確保とともに、大会の応援等へ多くの県民の参加を促し、健常者と障がい者の接点を持ち、理解の醸成を図り、また、障がい者を、さまざまな競技への参加を促すことによって、その自立促進に結びつけ、あわせて競技会場関連施設のユニバーサル化などによるバリアフリーのまちづくりを推進、促進することなど、さまざまな取り組みが考えられると思います。
県は、希望郷いわて大会の開催により、障がい者施策の推進をどのように図ろうとしているのでしょうか。これまでの具体的な取り組みとあわせてお聞かせください。
質問の最後に、県の新年度の組織体制について1点お伺いいたします。
県では新年度、本格復興の完遂や国体・大会の成功、そして、いわて県民計画の推進を図るための体制強化として、組織、職員体制の見直しを計画し、このたび、その概要が示されました。いわて県民計画の推進に向けたアパレル産業振興や三陸地域の総合振興、児童虐待相談への対応、台湾定期便就航に係る準備などについては、その目的、方向性に一定の理解をしております。
しかしながら、ものづくり産業振興体制強化に向けた、ものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課を統合して設置を予定している、ものづくり自動車産業振興室の設置方向については、やや唐突感が否めないものであります。
岩手のものづくりの中心は自動車であり、今後もさらにその集約を進める政策の方向性は十二分に理解しているつもりではありますが、改めて、統合による体制強化の目的、目指す方向性、本年度と現状の人員体制や所管事務などとの差異をお示しください。
以上で一般質問を終わりますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、国の復興の現状に対する認識についてでありますが、地域によって復興の進捗が異なっている状況の中で、現在示されている国の復興の基本方針の骨子案におきましては、新たなステージということが強調されておりまして、これまでの取り組みの継続性が危惧されたことから、1月に行われました復興庁と県、市町村との意見交換におきまして、これまでと同様の切れ目のない対応を行うように要望したところであります。
また、ILCの実現や海洋研究の展開、あるいはラグビーワールドカップ2019の成功に向けた支援など、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域を目指す取り組みについても盛り込むように、あわせて要望したところであります。
一方、各分野における今後の取り組みの記載を見ますと、住宅再建や心身の健康、コミュニティー再建の取り組みについては継続して実施していくこと、また、復旧、復興工事は着実に進め完了させるということが盛り込まれております。一定の評価をしつつも、被災地の実態に即してその内容をより充実させることが重要でありますことから、今後も、本県としての意見を国に伝え、新しい基本方針に反映するよう取り組んでまいりたいと思います。
次に、国民健康保険等の一部負担金免除についてでありますが、県では、多くの被災者の方々が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされて健康面や経済面の不安を抱えている中で、医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要があるということで、市町村と連携して県内統一した免除措置を講じるための財政支援を実施してまいりました。
これまで、財政支援を継続するに当たっては、災害公営住宅の整備状況など被災地の生活環境や被災者の受療状況等を総合的に勘案しつつ、市町村の意向を踏まえて、毎年度判断してきたところであります。今後におきましても、復興事業の進捗状況や被災者の状況の推移、市町村の意向等を十分に考慮した上で判断していく必要があると考えております。
次に、復興道路等の整備後の変化を踏まえた地域活性化の方策についてでありますが、復興道路を初めとする交通ネットワークの整備によって、時間距離の短縮など交通環境が大きく向上しますことから、水産物等の販路拡大、物流の活性化、沿岸周遊の利便性が高まることによる観光客の増加などが期待されております。また、広域的なアクセスの向上によって、宮古-室蘭間の定期フェリー航路、釜石港の国際コンテナの定期航路の開設が計画されるなど、既に物流におけるダイナミックな展開や企業集積の促進につながっております。これらのことは、三陸地域のみならず、内陸部を含めた県全体の振興に大きく寄与するものであります。
このような認識のもと、県では、本年度、三陸地域の将来を展望し、持続的な発展を図っていくための復興・振興方策に関する調査を実施しまして、物流拠点の形成や三陸ブランドの構築、食と観光による交流人口の拡大などについて検討を行いました。それとともに、三陸総合振興準備室を設置いたしまして、復興後を見据えた三陸地域の総合的な振興を担う新たな推進体制の整備に向けた検討を進めているところであります。これらの検討に当たりましては、北海道新幹線の開業、今後の三陸鉄道の一貫経営、二つの世界遺産を活用した誘客の拡大なども見据えまして、内陸と沿岸、さらには東北、北海道との交流・連携の強化によって本県の一体的な振興が図られるよう取り組んでまいります。
次に、ふるさと振興に関するキャッチフレーズによる県民運動についてでありますが、総合戦略に掲げた三つの施策推進目標につきましては、県が所管する審議会や各種会議の場を初め、ふるさと振興を実践する方々で構成されたふるさと振興有識者会議など、外部からも幅広い御意見をいただきながら設定いたしました。その過程において、これらの目標を端的にあらわしたほうがより県民と共有が図られるという提案があり、施策推進目標に、それぞれ岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすというタイトルを付したという経緯がございます。
また、県民運動関係のものといたしましては、この総合戦略に掲げた施策を進めるに当たって、全県的な移住推進体制の整備を図るいわて定住・交流促進連絡協議会の組織体制を拡充し、若者や女性の県内就職等を促進するいわてで働こう推進協議会や、県内学卒者の地元定着等を推進するふるさといわて創造協議会を設立するなど、全県的な協働の体制を整えてきたところであります。
今後におきましても、総合戦略に掲げた取り組みが広く周知されるように、キャッチフレーズも含め、県民の盛り上がりが図られるように工夫して、県民総参加でふるさと振興を推進してまいります。
次に、国体冬季大会の所感についてでありますが、まず、競技成績では、優勝したスケート競技ショートトラックの村竹啓恒選手、スキー競技スペシャルジャンプの永井健弘選手やコンバインドの三ケ田泰良選手を初めとする県勢の活躍によって、天皇杯順位は昨年の14位から4位へ、皇后杯順位は10位から8位へと大きく飛躍し、県民に感動と希望を与えてくれました。こうした成果は、地元の期待に応えたいという選手、指導者の熱い思いやたゆまぬ努力、そして、それらを後押しする県民の皆さんの力強い応援によって生み出されたものであります。
一方、大会運営につきましては、式典、輸送、交通、宿泊などのほか、とりわけ天候不順という困難な状況の中で、スキー競技会場のコース整備に当たった競技役員や自衛隊の皆さんの尽力によって、競技運営面も含め、大きなトラブルもなく無事終了できたということは何よりであったと考えております。
また、大会期間を通じ、児童生徒を含む県民の大声援やボランティアによるお振る舞いなどのおもてなし、各地域での創意工夫を凝らした歓迎の取り組みなど、大会は大変盛り上がりを見せました。こうした成果を、残り7カ月となりました秋の本大会、全国障害者スポーツ大会にしっかりつなげていくために、選手強化、大会運営両面にわたって、関係者が一丸となって県民と力を合わせながらオール岩手で取り組んでまいります。
次に、国体・大会プラスの取り組みについてでありますが、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の盛り上がりを県内のあらゆる地域に浸透させ、多くの方々に参画していただくことなどを目的に、国体・大会プラスの取り組みとして、これまで、冬季国体の開催に合わせて芸術文化と国体の融合をテーマにまるごと芸術体験フェスタを開催しましたほか、国体、大会や岩手の魅力を発信するビデオCMの公募や応援、おもてなしメニュー提供の店の登録等の取り組みを行っているところです。
来年度におきましては、これらの取り組みに加えて、開催の盛り上がりを全県で共有し、県民の参画を促すための県内各地における国体、大会の開会式のパブリックビューイングや、障がい者の芸術作品の紹介、展示等の催しを行います。また、いわて若者文化祭やいわて教育の日のつどいを国体、大会のプレイベントと位置づけて、新たにスポーツとテクノロジーの融合による新しいスポーツ等の内容を加えて開催することとしております。
また、国体、大会を機に本県を訪れた方々に本県の魅力を十分に味わっていただくための、県内各地の食や名所の情報を取りまとめた情報誌等の作成支援などを行い、県民や地域のさらなる盛り上がりを図っていくこととしております。
その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) 東日本大震災津波の風化防止の取り組みについてでありますが、東日本大震災津波から5年を迎え、いまだ途上にある復興に対する御理解と御支援をいただくため、引き続き国内外の皆様に情報発信していくことは極めて重要なことと考えております。
このため、平成28年度におきましても、県内では、有識者や復興の現場で活躍をしている方を招いてのいわて三陸復興フォーラムやいわて復興未来塾などを引き続き開催するほか、県外におきましても、東京などで復興フォーラムを開くこととしております。また、復興の状況をタイムリーに伝えるいわて復興だよりを月2回発行するとともに、復興にひたむきに取り組む姿を取り上げたポスターや動画、県内全戸配布のいわてグラフや県政テレビ番組なども活用し、復興について多角的な情報発信を行ってまいります。
国におきましても、震災5周年を契機とした各種復興イベントや伊勢志摩サミット関連会合での情報発信などを予定しており、本県としても、こうした機会を捉え、復興状況について国内外にしっかり伝えてまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) ILC誘致実現に向けた取り組みと工程についてでありますが、ILCの実現に向けては、ILCの研究内容や建設実現により想定されるさまざまな効果を周知するとともに、県民の方々から寄せられる疑問についても丁寧にお答えするなど、県民の皆様に御理解をいただくことが重要と考えます。
このため、これまで、県内を中心とする後援会や出前授業の実施、首都圏でのイベント開催、パンフレットやホームページなどにより周知活動を行ってまいりました。
海外に向けての情報発信については、今年度、ホームページ上にILC実現に向けた取り組みと地域の紹介を行う英語広報誌THE KITAKAMI TIMESを創刊したところであります。また、今年12月に盛岡で開催予定のILCの国際的な会議の場を活用し、自然や文化、観光や企業の技術力など、岩手の魅力とポテンシャルの高さを発信していくこととしております。
今後の一、二年は、政府の誘致表明に向けて重要な時期となることから、東北ILC推進協議会など関係団体と連携し、積極的に要望活動を行うとともに、普及活動の拡充によりILCの意義などを発信し、国民の関心を高め、政府のILC誘致の決断を促してまいりたいと考えております。
次に、県の人口減少の検証と分析についてでありますが、人口減少問題は以前から重要な政策課題であり、これまでも、ものづくり産業の集積促進や観光業、農林水産業などの振興による雇用の場の確保、定住、交流の促進などの取り組みを進め、人口の社会減の縮小が図られるなど、一定の成果があったところであります。
こうした取り組みなどもあり、東日本大震災前の2005年から2010年の5年間における人口の社会減は、推計値でありますが、年平均で内陸部が約3、200人、沿岸部が約2、200人でありましたが、震災後の2014年においては、内陸部が約2、000人、沿岸部が約1、100人と、いずれも改善傾向にあります。
年齢階層別では、最も人口移動が多い10代で内陸、沿岸ともに社会減が縮小しているのに対し、20代では内陸の社会減が年600人から1、600人程度に拡大しているのが特徴と言えるかと思います。
この要因を見ると、まず10代では、新規高校卒業者に対する県内の求人数が2010年3月に2、172人であったのに対し、2014年は4、052人と倍増し、高校生の地元就職率も64%と震災前に比べ約10ポイント上昇していること、一方、20代では、新規大学卒業者への求人が、地元大学からのヒアリングでは、近年、県内企業からの求人はそれまでと変わらず一定であるのに対し、県外企業からの求人が急増しており、首都圏を初め県外企業の吸引力が高まっていることが考えられます。
県としては、東京圏の人口転入超過10万人の解消を目指す国の総合戦略に呼応し、人口の社会減ゼロを目標に掲げ、高卒者や県内学卒者の県内就職率の向上を県総合戦略に盛り込んだものであります。
高卒者の県内就職を高めるインターンシップの推進や企業と高校生のマッチングを進めるとともに、大学資源を活用した産学官連携による新産業の創出や創業支援などによる雇用の場の創出、県内企業の求人情報発信の支援などを推進し、若者の地元定着を進めてまいりたいと考えております。
次に、可処分所得に着目した数値目標についてでありますが、本県の県民所得水準は平成20年度以降6年連続で上昇しているところでありますが、国民所得と比較し、依然として乖離があることから、今後も県民所得の向上に向けて引き続き取り組んでいく必要があります。
一方、議員御指摘のとおり、可処分所得や家計収支など、実際の生活コストを岩手と東京で比較し、岩手での暮らしやすさを見える化していく取り組みは、実際に移住を検討する方々にとっては有益なものと考えます。
今般、こうした観点も踏まえ、家賃、生活費などの物価水準に関する東京都内との比較に加え、通勤、通学時間、住環境、文化、体育施設数など、本県での暮らしの豊かさをまとめ、岩手の暮らしを紹介するパンフレットを作成したところであります。これを、首都圏を初め広く県外の方々に岩手の魅力を発信してまいります。
今後も、こうした観点から、例えば、岩手での生涯を通じた暮らしやすさなど、より訴求力の高くアピールできる内容について、他県の例も参考に検討を行い、効果的な情報発信について工夫してまいります。
次に、ふるさと振興総合戦略の実現に向けた市町村との連携等についてでありますが、県の総合戦略の策定に当たっては、県・市町村人口問題連絡会議を中心に、県内全市町村との意見交換を重ね、県の考え方について共有を図ってまいりました。また、広域振興局に市町村の窓口となるふるさと振興監を配置し、個別の相談に対応してきたほか、県の総合戦略について、広域振興局ごとに意見交換を行い、いただいた意見を反映してまいりました。さらに、広域振興局職員が市町村の総合戦略策定のための有識者会議委員となり、県の総合的な見解を述べるなど、県、市町村が連携を図りながら策定できたものと考えております。
県の総合戦略に掲げた取り組みの推進に当たっては、地域づくりを主体的に担う市町村との連携が重要なことから、引き続き、幅広い意見交換や国の動向等に関する情報共有を図っていくとともに、県人口ビジョンで掲げた県内での独創的な地域おこしや6次産業化の実例を踏まえた小さな地域の小さな取り組みの推進や、地域に根差す価値を生かした産業での地域経済の振興などの基本姿勢に基づき、市町村との連携を図ってまいります。
次に、総合戦略に係る財源確保の見通しについてでありますが、5年間の必要事業費については毎年度の予算編成作業を通じ積み上げていくことから、現時点で明確に示すことは困難であると考えます。
平成28年度には、復興関連や貸付金も含め約1、900億円の関係事業を盛り込んでおりますが、今後においても、復興事業の進捗に応じた震災対応予算の縮小はあるものの、産業振興や移住、定住の促進、子育て世代のライフステージに応じた支援など、相当規模の予算を確保していくことが必要となります。
こうした総合戦略の推進に当たっては、既存の国庫補助金などをフルに活用するとともに、一般財源総額や地方創生のための新型交付金など、地方にとって必要な財源が安定的に確保されることが不可欠であります。今般の地方創生推進交付金創設に伴い生じる地方負担についても、適切な地方財政措置を講じるとされているところでありますが、こうした措置も含め、県、市町村が安定的に事業を実施できる財源の確保について、引き続き、全国知事会と連携し、国に対し強く求めてまいります。
なお、被災地においては、復興事業の推進が地方創生、人口減少対策を進めることにほかならず、復興計画に基づく事業を着実に進めるとともに、平成28年度に国が措置した東北地方の観光復興対策の交付金など、新たな財源も十分に活用しながら地方創生を進めてまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、3世代同居、近居施策に対する考え方と取り組みについてでありますが、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、子ども・子育て支援の充実のため、3世代同居、近居の希望の実現に対する支援等に取り組む必要性が掲げられております。これを受け、厚生労働省は、平成27年3月にまち・ひと・しごと創生サポートプランを策定し、その中で、三世代同居・近居支援も含めた実効ある取り組みを通じて子育て支援の充実を促すことの重要性や、そうした先駆的な取り組みについて全国的に周知、展開していくことの必要性を掲げたところです。
厚生労働省におけるその具体の方向性はまだ示されておりませんが、全国の出生動向基本調査によれば、母親と同居や近居の夫婦はそれ以外の夫婦よりも子供の数が多いという結果が出ており、三世代同居・近居支援は出生数を向上させるための取り組みの一つとも考えられます。
県としては、国の施策の方向性や他県の取り組み等の情報収集に努め、関係部局が連携を図りながら、その取り組みの優位性について多角的な視点から検討していきたいと考えています。
なお、今年度の国の補正予算においては、国土交通省で地域型住宅グリーン化事業を拡充し、3世代同居対応住宅のうち一定の要件を満たす住宅の建設に対し支援する新たな施策を打ち出しており、県では、建築関係者に対して制度の周知を図っていくこととしております。
次に、希望郷いわて大会を通じた障がい者施策の推進についてでありますが、県ではこれまで、大会運営や選手の介助等の支援を行う約5、000人のボランティアの養成や、障がい者支援のポイントを解説するDVDの作成、競技会場への仮設スロープ等によるバリアフリー化を進め、障がいについての県民の理解を促進してまいりました。また、関係機関と連携しながら、本県選手の強化練習参加の支援や障がい者スポーツ指導員養成研修の実施等、競技力向上に取り組み、障がい者スポーツの普及と社会参加を推進してきたところです。
大会後は、ボランティア参加者に対し社会福祉協議会ボランティアセンターへの登録など地域での活動への参加を促し、また、DVD等を活用した普及啓発により県民の障がい者に対する理解を一層深めてまいります。
また、障がい者スポーツの振興については、本大会を契機とした障がい者スポーツ協会等の設立を望む意見があることから、障がい者団体等による組織の設立やその活動の支援に取り組んでいきます。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、労働生産性の向上のための目標設定の考え方と取り組みについてでありますが、本定例会に提案しております岩手県中小企業振興基本計画におきましては、中小企業が目指す姿として、企業の魅力向上及び働きやすい環境の整備を掲げているところです。この目指す姿を実現していくためには、企業の労働生産性の向上や商品等の高付加価値化が重要であると認識しており、目指す姿の達成度をはかるための指標として、農林水産業を除く産業分野における就業者1人当たりの県内総生産を設定しているところです。
具体的には、ものづくり産業を中心に進めてきましたカイゼンなどの取り組みを水産加工業や観光業を初めさまざまな業種に普及展開しているところであり、加えて、長時間労働の抑制等を図る働き方改革の取り組みなどを通じ、企業の労働生産性向上を支援してまいります。さらには、経営革新に取り組む企業の計画策定や事業実施を引き続き支援することにより、高付加価値化を進め、労働生産性の向上にもつなげてまいります。
次に、県内広域での雇用のマッチングの取り組みについてでありますが、県では、各地域で開催している就職面接会に加えて、全県を対象として、ふるさといわて定住財団と連携して就職ガイダンスや就職面接会を年7回開催しており、また、県内の産業団体や大学等においても全県を対象とした就職面接会等を開催し、広く県内企業への関心が高まるよう、広域でのマッチングに努めているところです。
就職面接会等においては、求人企業の参加は多数ある一方で、就職希望者の参加が少ないことが課題となっていることから、県では、就職面接会等の開催情報について、県の就職情報サイトを初め、テレビやラジオ等を活用して周知を図り、参加促進に努めているところです。
また、この就職情報サイトでは、県内企業を知ってもらう取り組みとして、採用情報やインターンシップの受け入れ、会社の日常の様子や職場からのメッセージなどさまざまな企業情報を盛り込んでいるところですが、さらに、今般設立しましたいわてで働こう推進協議会において、各構成団体の就職関連情報の一元的な発信に取り組むことにより、広域的なマッチングを一層強化していく考えであります。
次に、いわてで働こう推進協議会についてでありますが、今般設立したいわてで働こう推進協議会は、本県の産業振興と人口減少の歯どめに資することを目的とし、産業界や金融機関、教育機関などと連携して、オール岩手の体制で、若者や女性等のU・Iターンを含めた県内就業の促進や、働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発事業等を行うこととしております。
協議会の取り組みを通じまして、本県のふるさと振興総合戦略に掲げる三つの施策推進目標の一つでございます人口の社会減ゼロの達成に向けまして、若者や女性等がやりがいを感じ、生活を支える所得が得られる仕事を創出し、岩手への新たな人の流れを生み出してまいります。
次に、ものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課の統合再編についてでありますが、自動車関連産業を初めとする本県ものづくり産業等のさらなる振興を図るため、これまで、ものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課の双方で担ってまいりました企業誘致活動や誘致企業のフォローアップを、より一体的に取り組んでいこうとするものでございます。
また、誘致企業と地場企業との連携、協業や競争力の高い産業集積を進める取り組みなどを、これまで以上に強力に推進していくこととしているものです。
さらには、労働力の確保や後継者の育成が大きな課題となっており、誘致企業、地場企業の別を問わず、ものづくり人材の育成に向けた取り組みを効果的に進めていく考えです。
なお、分掌事務に変更はないものであり、組織定数については、現在の両課合わせて28名から29名とし、新たに副部長級の室長を配置する予定でございます。
〇32番(関根敏伸君) 御丁寧に御答弁いただきまして大変ありがとうございました。せっかくの機会でありますので、何点か再質問させていただきたいと思います。
まず、ILCについてお伺いさせていただきます。
県民理解あるいは国民的理解の一層の醸成を図るという方向性は、全くそのとおりだろうと思っておりますし、今までも、その点については着々と進められてきたんだろうと思っております。それとあわせて、政治判断がまだできていないという状況の中で、やはり、ことし盛岡市で開かれる予定のこの国際会議をいかに活用するかということが、私は非常に重要なポイントなんだろうと考えております。
ほとんどの研究者の方々が集われると報道等では書かれております。研究者の方々の理解は恐らく十二分に進んでいるんだろうと思いますので、やはり、この研究者の方々が盛岡市で集うことによって、今まで、県民でも安全性等に関して若干の疑問を持っている方々がいらっしゃると思いますし、国民の方でILCを御存じの方というのは、恐らく非常に少ないのではないかと思います。今度は、いかに国民的な理解を広めていくか、県民に対しては、さらに深い理解をしていただけるか、こういう取り組みが一つだと思いますし、やはり政府関係者が、この国際会議を契機に、さらに理解を深めて政府決定まで持っていく時間的なことも含めまして、いかにスピード感を持った対応をしていかなくてはならないという思いを持っていただけるかということが、非常に大事なポイントになるのではないかと思っております。
そういった意味で、この国際会議を契機にした具体的なこの三つ、対県民、国民、政府、研究者も含めてですけれども、この国際会議を通じた一層の深まりと広がりに対して、もう少し突っ込んだお考えを御答弁いただければと思うところであります。
それから、2点目は組織のことでございます。
目指す方向性は理解するのですけれども、果たして、ものづくり自動車産業振興課と一体となった、企業立地推進課というものの冠がとれることによるプラス・マイナスということを若干危惧している部分もあるわけです。
かつて県では、この自動車産業の振興を図るためのアクションプランをつくるに際して、当初、工場に近いところにあった窓口を一本化するということで県庁に現在の課をつくられて、窓口を一本化することによって業務のワンストップ化を図るのだ、意思決定を迅速化するのだ、こういう目的で今の課がつくられたと承知しておりますし、私は、その方向性はそうなんだろうなと思って、そのときには理解をしたつもりなのです。
ただ、今回やはりちょっと、この企業立地推進課の冠が外れることで、さまざまな企業立地の県の方向性というものが見えづらくなってしまうのではないかと、外部の企業からそう見られる可能性はないのかという危惧もあるところなのです。なぜ、今までどおりで悪いのかという点で、なぜ一本化してさらに進むのかということが、やはり見えづらい。場合によっては、このものづくり自動車産業振興課を室に上げることは、それはいいと思うのです。ただ、企業立地推進課をそのまま置くという方向だって、なくはないのではないかという気がしているわけです。
企業立地は新しい時期を迎えているのかもしれませんけれども、殊に沿岸、県北等々で、まだまだ企業立地を必要としている地域もあると思います。また、ものづくりだけではなくて、例えば1次産業を中心とした企業立地、水産業とか農業とか林業とかを合わせた企業立地であるとか、DIOジャパンなどでいろいろありましたけれども、女性の方々が働ける企業に来ていただけるとか、そういう方向性をさらに展開していく上で、自動車産業ものづくり室が企業立地を担いますよということを対外的にアピールするときに、いろいろなマイナス面も想定されるのではないかと、私は若干その辺を危惧しております。そうではないという明快な御答弁がいただければありがたいと思うところであります。
それから、ふるさと振興に関していろいろ言わせていただきました。知事からは、キャッチフレーズ等については、今後も県民的な協働の体制をさらにつくり上げて検討していくという前向きな御答弁をいただきました。大変ありがとうございます。
あと、可処分所得に着目した点については、今いろいろ作業が進められているということで大変安心いたしましたし、3世代同居や近居施策に対しても、研究、検討されていくということでありました。
私なりに勝手なことを申し上げさせていただいたわけでありますけれども、いかに岩手の魅力を発信するか、逆に、岩手の現状の中で、岩手の弱みというものもしっかりと認識して、弱みをカバーしながら、強みをよりアピールできるかということにかかってくるんだろうと思っております。
そういった意味では、いろいろ県のほうでは御検討されていると思いますが、経済産業省で、さまざまな地方創生に向けた見える化というもののソフトをつくられたと承知しております。それを見せていただくと、岩手は、支出面では非常にコストが低く暮らせるというメリットがありますが、やはり、残念ながら企業等の賃金が安いことで、収入と支出の差の部分に関しては若干弱いという点がはっきり示されております。逆に、交通の面、医療、介護とか、いろいろなものを含めた暮らしやすさという、ライフスタイルも含めたそういったものを指標化した上では非常に総合力が強い、こういったプラス面もはっきり示されているわけです。
その辺についてさらに詳細に詰めながら、見える化を図っていくことで、いろいろなものも準備されているようですけれども、福井で示されたような例がいいのかどうかわかりませんが、やっぱりもっと若い人たち、岩手を一旦離れた方々、一旦就職される方々、あるいは岩手に今、縁もゆかりもないのだけれども、田舎での暮らしを望まれる方々に、しっかりとしたアピールをしていく。3世代同居、近居も含めて、岩手の総合力でここをしっかりと前進させていくんだという必要があると思います。
そういう前向きな御答弁はいただいたわけでありますけれども、改めて、その辺の考え方について知事から御所見をいただければありがたいと思います。
〇知事(達増拓也君) ふるさと振興について、岩手の弱いところは補って、そして、強いところをどんどんPRしながら、県民的にも盛り上げて、岩手に残る、岩手に帰ってくる、また、岩手にやってくるというような人の流れをつくっていかなければと思います。
都会のほうでは田園回帰、特に若い層を中心に、地方で生活したい、東日本大震災や、特に、都会のほうからすると、東京電力福島原発の事故を経験し、いざというとき、周りに食料の生産の場があるか、周りにエネルギーの生産の場があるか、そういうことが非常に大事だということが真剣に考えられた。
そういう意味では、岩手は食とエネルギーに関してはふんだんにある、賦存する県でもありますので、総合的に考えて、新しい時代のいわゆる地方創生の中では優位にあると考えております。この優位にある岩手の条件をきちんと掘り起こして、都会の人たちのニーズにもうまく合わせていくような工夫をしていけば、岩手の未来は希望が持てると思っておりますので、そのように頑張ってまいりたいと思います。
〇政策地域部長(大平尚君) ILC国際会議を活用した情報発信ということでございますが、このILCワークショップというものは、これまでも国内あるいは海外でも開催されてはおりますが、このような地方で開催される、あるいは建設候補地周辺で開催されるということは初めてであります。250人程度の規模と聞いてございまして、その半分が外国人の研究者ではないかと。
具体的な国際会議の内容についてはこれから詰めていくということで、県のアピールの場あるいは地元のアピールの場というものがまだ具体的には決まっておりませんが、意見交換の中では、やっぱり現地というか建設候補地を見ていただこうという話もございますし、あるいは県民向けの講演会などもやっていただこうという話も出てございます。
今回、先ほど申しましたように、建設候補地を見ていただくなど、そういう動きがあれば、報道の方にはかなりアピールできると思いますので、そのような機会を通じて国民的なアピールができればと思ってございます。
あと、この会議にかかわらず、素粒子物理の会議に政府関係者とか国会議員の方、議員連盟の方々も来たこともございますので、できればそういう要人の方に現地に来ていただいて、その会議の場で御挨拶なりいただくのも非常に有効だと思いますので、会議の関係者の方々に県の考え方もお伝えして、できることは実現していきたいと考えてございます。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) ものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課の統合によって、特に企業誘致の部分について弱くなるのではないかという御懸念の御質問と思います。
実態を申し上げますと、現在、自動車関連企業の誘致に関しては、ものづくり自動車産業振興課が担当、そして、自動車関連企業以外の企業誘致については、企業立地推進課というすみ分けをしてございました。
ただ、企業の誘致案件あるいは工場の増設の案件などが、自動車関連、非自動車関連、進みぐあいがそれぞれでございまして、場合によりまして、例えばものづくり自動車産業振興課の仕事が立て込んだ場合に、企業立地推進課に応援を求めているというような状況もございます。そこのところは、これまでも両課の連携をうまく図りまして対応してきたつもりでございますが、そういった両課の連携をより一層高める上で、一つの室にまとめ上げたほうが、企業誘致全体として効果が上がるのではないかという考えを持っているところでございます。
なお、企業立地という名前が組織名から消えることによって支障はないのかということにつきましては、今度の新しい室には、企業立地推進担当課長というものを配置いたしまして、企業誘致業務の所管を明確にしておりますことから、対外的な支障は余り生じないものと考えてございます。
なお、企業等に対しましては、ホームページなどを初め、さまざまな機会を通じて、新しくできました室が企業誘致業務を所管しているということをきちんとお知らせしてまいりたいと思います。
〇議長(田村誠君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時18分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時33分 再開
〇議長(田村誠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。岩崎友一君。
〔33番岩崎友一君登壇〕(拍手)

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