平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(渡辺幸貫君) いわて県民クラブの渡辺幸貫です。会派を代表して質問いたします。
まず、地方版総合戦略と人口ビジョンについて伺います。
人口の将来展望は二つの要素で決まる。一つは人口の自然増減、左右するのは合計特殊出生率であり、もう一つは人口の社会増減を左右する流出入である。政府は地方創生をうたい、自治体に5カ年計画の地方版総合戦略と人口ビジョンの策定を求めている。各自治体が人口展望の前提としている出生率は、おおむね2030年ごろに1.8、2040年ごろには2.07とし、また、多くの自治体は2040年ごろまでには社会増減をゼロにするとしているそうだ。
我が県も2040年に人口103万人を人口ビジョンに掲げた。四、五年後に就職や進学などによる転出超過ゼロ、出生率、ものづくり産業の振興、県民所得、1次産業の振興など、岩手で働く、育てる、暮らす、総合戦略として本年度策定中のいわて県民計画第3期アクションプランに盛り込み、国にも財源確保を求めていくそうだ。
しかし、国立社会保障・人口問題研究所の推計より10万1、000人増だ。岩手県の人口が自然減も社会減もストップする。信じられるだろうか。総務省の昨年の人口移動報告によると、東京圏が11万9、000人転入超で、他はほとんどが転出だ。岩手は、他の東北5県同様、4、122人の転出超過で、ゼロ目標は楽観的な前提ではないか。日本の全自治体はほとんど夢物語を見ているに等しい。これは、2014年12月に策定された国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンの前提を使っているのだそうだ。これなら、どこかの機関で一律の計算をしても同じで、自治体が膨大なエネルギーを費やしてつくるまでもなかった。
地方創生は長期戦だ。夢を描きたければ、将来の成長基盤を整える現実的な計画でありたい。もし計画どおり成長できない地方都市があれば、後年度負担が一層増し、若年者により多くの負担が強いられる。県内の市町村でも策定、発表されているが、沿岸部では東日本大震災津波からのふるさと回帰を期待して受け皿を整えているようだが、被災者アンケートで地元帰還は2割を切り、心とは別に現状の居住地にとどまる意向が示されている。
人口減少地域は生活が不便になり、ますます人口が減る。必要なのは、それでも福祉が損なわれないようにすることであり、早目の厳しい将来展望を示し、人々の自発的な移動を通じたコンパクトな地域構造をつくらなければ成り立たない。県及び県内市町村の人口ビジョンはどのようになっているか伺いたい。
次に、岩手県公共施設等総合管理計画について伺います。
人口減少や地方消滅が進む今後は、道路、橋、公共施設の維持、更新の選別基準にも長期的な視点が必要になる。日本が本格的にこれらを整備してから、現在では急速に老朽化が顕在化し始めている。人口が減少すれば、そのままの整備では、利用度からいっても無駄になるし、維持管理の重荷になる。自民党が防災、減災目的の国土強靭化を掲げているが、公共事業の削減と道路財源の一般財源化で、公共事業予算はピークの15兆円規模だった1998年の半分以下だ。今後も社会保障費がふえる中では強靭化の予算確保は難しい。先ごろの中央自動車道笹子トンネル崩落事故判決は、その損害賠償を認めた。本県の保有するインフラは、整備から50年以上は、橋が2015年の25%から30年後80%へ、港湾が10%から88%に進み、県立病院等を除く県庁舎、学校、警察署、体育館、博物館等々県有公共施設も20年後に51%、30年後には72%となる。現状のままでも膨大な維持管理費は必要だ。
そこで、公共施設等の現状について伺います。
県も今年度中に公共施設等総合管理計画を策定され、長寿命化や修繕、規模、配置見直しなどを行い、財政負担が集中しないよう平準化し、維持管理に努めると言っておられるが、現状ではどう分析されているかお聞きしたい。
同様に、国は、市町村でも公共施設等総合管理計画を2016年度末までに策定するよう促しているが、県内では、まだ盛岡市を初め数自治体の策定のようだ。策定経費への特別交付税措置や、施設撤去費用の75%に特別地方債を充てるなど支援策もあるが、進みぐあいをお尋ねします。
次に、財政負担の軽減、平準化について伺います。
地方消滅、人口減少社会に立ち、平準化負担の財政運営では、少ない人口となる後年度の負担が大きく、重過ぎる。1人当たりの財政負担が今後もふえない方策が求められると思うが、その配慮はどう予測されておられるか伺います。
次に、都市計画について伺います。
各市町村とも、昔の大きく発展する将来像をもとに作成されたままになっているのではないか。都市部の用途地域については、地方の人口減少の現実とは乖離し過ぎているのではないか。開発の時代が終わり、消滅がささやかれる今、国土利用は変わるべきだ。改めて、人口減少時代の都市計画の縮小見直しで、都市機能の集約を初めとした区域設定により田園環境との調和を図らないと、地方創生そのものが無秩序になると危惧するが、県の人口減少時代の都市計画におけるお考えをお聞きしたい。
次に、幸福に関する指標の導入について伺います。
第3期アクションプランの策定趣旨は、人口減少対策に取り組むふるさと振興総合戦略と復興の一体的な推進である。産業、雇用、福祉、子育て、貧困、教育、環境などに総合的に取り組むという。さらに、物質的な尺度ではない新指標、幸福に関する指標の導入をうたっている。国、県の借金に市町村の負債も、納税者年代に限って考えれば、衣食足りて礼節を知るごとく、急激な円高、世界的不況の足音のもと、先が見通しにくくなる中で、なぜ幸福指標の導入かといぶかると思います。元祖とも言えるブータンでも、秘境の窓が開かれて経済的な豊かさに幸福度は左右される考えに変わったと言われているが、なるほどと言える広い見識をお伺いします。
次に、認知症高齢者への対応について伺います。
認知症は誰もがかかわる可能性のある身近な病気であり、昨年1月に策定された認知症施策推進総合戦略―新オレンジプランでは、我が国の認知症高齢者は2025年には約700万人となり、65歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれている。
一方、本県の認知症高齢者は、平成27年3月末現在で4万4、000人となっており、いわていきいきプランによると、平成37年には約5万6、000人になると見込まれている。
県では、認知症対策等総合支援事業費を計上し、認知症対策に取り組んでおりますが、市町村が地域包括ケアシステムの構築を進めていく中で、こうした認知症高齢者の増加に対しどのように取り組んでいくか伺います。
また、認知症対策においては、早期診断、早期対応が重要と考えますが、鑑別診断には、専門の医師のほかMRIなどの高額な医療機器が必要になる。民間の診療所では、高額な医療機器を導入して早期鑑別診断に対応していくことは難しいと考えられるが、県では、早期鑑別診断に必要な認知症医療の提供体制をどのように構築していくか伺います。
次に、国際観光の振興について伺います。
海外から日本を訪れた旅行者と海外に出かけた日本人旅行者のお金の出入りの旅行収支は、中国人旅行者の爆買いもあり1兆1、217億円の黒字で、53年ぶりの黒字という。輸出から輸入を差し引いた貿易収支が6、434億円の赤字で、貿易立国の姿は既に揺らいでいる。国全体の稼ぎである経常収支9、607億円は、やっと18カ月の連続黒字で確保された。
驚くべきスピードでふえている訪日外国人は、昨年2、000万人と日本政府観光局が先月発表し、その旅行消費3兆4、771億円は電子部品の輸出に匹敵する規模という。中国からの旅行者数は前年比2倍の500万人、韓国は45%増の400万人、台湾は30%増の367万人で、アメリカからは103万人だそうだ。東北を訪れるのはその2%に過ぎない。
我が岩手が期待を寄せる台湾からの誘客も、平成24年の1万9、640人の宿泊者は平成26年には4万5、560人とふえたが、ゴールデンルートと呼ばれる東京、大阪、京都のホテル不足の状況には遠く及ばない。世界の旅行に伴う支出は世界のGDPの9%も占めているのだから、平成26年に世界観光機関が発表した国際観光客到着数の国別順位22位の日本はまだ始まったばかりだ。観光は、高齢化が進む我が国では新しい稼ぎ頭だ。欧米人の旅する日数は、外国訪問の場合、1カ月ぐらいがごく普通の感覚だ。
日本のよい点はおもてなしや時間の正確な交通機関、治安のよさで、訪日客をふやすためには外国語表示をふやすことだとよく聞く。本当に日本のおもてなしはいいのだろうか。例えば日本で宿泊するとしよう。温泉のイメージでは畳の部屋、トイレは共同、全員が裸になる大浴場、休むときは仲居さんが敷いてくれた薄いマットレスにシーツだけが新しい。寝ると畳をじかに感ずるかたさ。これで日本のよさを感じて旅が続けられるだろうか。
これから地方に来る外国人は日本観光のリピーターだ。中国、台湾の外国旅行をするような富裕層も、欧米人同様、日本の豊かな旅を求めているのではないか。外国人が観光情報を得るWi-Fi環境の整備はこれからで、仙台市が周遊バスなどに始めるというように、岩手ではどの程度整っているのだろうか。我が県、市町村は工業団地の誘致には随分投資をしたが、その熱心さを旅館の洋式リニューアルにも向け、文化財のような町並みも、ヨーロッパでは焦土と化した旧市街も復元したように、皆で大切にすべきだ。
日本は海に囲まれているのに、世界的に有名なビーチリゾートもない。日本は、観光立国の4条件、気候、自然、文化、食事がそろう珍しい国だ。ある外国人が言っていた。とある施設で織田信長について説明する英語のパネルがあったが、初めての旅行客には理解ができない内容だったそうだ。つまり日本人向けの案内の英訳にすぎなかったのだ。
これからはリピーターが日本各地を訪ねる時代だ。フランスでは、海外旅行の経験を積んだ旅行者がパリから地方へ向かうためのフランスの最も美しい村協会のガイド書がある。フランスの最も美しい村協会認定の基準は厳しく、歴史的遺産の重要性、村のたたずまい等、12ほどの細かい基準がある。私も数年前に1週間ほどドライブしてみたが、ホテルや食事を提供するレストランはミシュランガイドブックに掲載され、また、ワインや村のたたずまいはヨーロッパの歴史の重みを感じさせるに十分でした。
日本のおもてなしは情緒的な側面が出過ぎて問題を覆い隠しているのではないだろうか。行政も民間も訪問者の視点に立った本質的な観光立国論を議論すべきと思うが、知事のお考えをお聞かせください。
次に、農業問題について伺います。
最初に、農地中間管理事業について伺います。
安倍政権の農政における目玉事業として農地中間管理機構制度が創設された。農地中間管理機構は、担い手への農地集積、集約化により、農地の有効利用や農業経営の効率化を進める中核的な事業体として位置づけられ、県では、平成35年度には農地面積の8割を担い手に集積するという目標を掲げている。
国では、奨励策として、経営転換協力金のほか、耕作者集積協力金や地域集積協力金の交付制度を創設している。さらに、今後は耕作放棄地の固定資産税課税負担を1.8倍に重くし、農地の集積を進めて企業参入を促そうとしている。意欲ある担い手への集積、集約化は重要であり、本県では、平成26年度の機構を通じた貸付面積が北海道に次いで2番目となるなど、集積は進んだと言えるが、その約80%は農業生産基盤整備地区となっており、農地集積には圃場整備との連携が不可欠で、実態は、農地中間管理機構ではなく土地改良区が担っているのではないか。
そして、現地に目を向けてみると、農地を受けた農業法人では、66歳を超えるような地域の人々が協力し合って耕しているのが実態である。さらに、今後、農地中間管理機構を活用した貸借により農地の集積が進んだとしても、高齢化等で離農する農業者がますます増加することになり、貸付期間の満了する10年後には、農地の受け手も高齢化等により不足するほか、農地の相続が複雑化し権利設定も困難になると想定され、問題が先送りされることにすぎないのではないか。
中山間地を抱える中で、農地の8割を担い手に集積するという高い目標の達成は難しいと考えるが、県ではどのように担い手への農地集積に取り組んでいくか伺う。
〔副議長退席、議長着席〕
また、平成28年の国の農地中間管理事業関連予算の概算決定額154億円のうち、農家への直接支援は約38%、農家以外の農業委員会などの関連予算は約62%であり、農家以外の予算手当ての色彩が強いことに疑問を感じるが、県はどう考えるか伺いたい。
次に、昨年10月、TPPの大筋合意となった今後の米政策について伺います。
輸入枠拡大については、実輸入を上回る政府備蓄米買い上げで市場影響を避けるとの方針を打ち出すと同時に、国家備蓄を5年から3年に改めて、不足の際は鮮度の高い備蓄米を供給するという。
一方、トヨタの関連会社は、コシヒカリの1.3倍から1.5倍の多収性で、業務用としての食味を十分に備えたしきゆたかという新品種の直まき栽培を始め、栽培技術を、トヨタ自動車が開発したIT管理ツールも活用して効率的な生産方法を追求しているそうだ。アメリカ産の輸入価格は60キログラム当たり8、400円前後なので、既に対抗できているのかもしれない。ある米卸は、少ししか食べない分、高くてもおいしい高級米と、56%と外食等の使用比率の高まっている業務用の多収穫米の二極化がますます進むと言っていた。
また、政府筋からは輸出に目を向けるべきとの指摘、すなわち攻撃は最大の防御との考えだが、高品質米の品質をよくする一方、業務用米でも輸入品に対抗する努力は必要不可欠だ。同時に、ジャポニカ米コシヒカリ等は既に海外で栽培され、現地生産と対抗しなければならない。世界の米市場では粘らない米を好む文化が主流だ。日本の米は世界一の思い込みは危険である。これからの水田農業のビジョンをめぐっては、減反廃止と米輸出による展望は難しい。
国民1人当たりの米消費減退と急激な人口減少の中、2年後には生産者及び生産者団体が主体的に生産調整をして取り組めとの政府の方針は、農協潰しの小泉進次郎自民党農林部会長の発言など、実態をどれだけ御存じかと疑いたいと同時に、財政依存の猫の目農政の典型である餌米生産の推進はどこまで続くか疑わしい。将来展望に立った米の二極化を乗り切る岩手の米政策をお聞きしたい。
最後に、知事の政治姿勢について伺います。
1955年の保守合同で成立した自民党は、55年体制と呼ばれたときより還暦を迎えた。今日までそのほとんどの政治を担ってきた。この中で共通の目的は地元への利益誘導が政治であり、発想の基本は全国津々浦々までみんな等しく豊かになる思想であった。しかし、今日、国と地方を合わせて1、000兆円を超える借金を抱え、これから人口が減っていく中で、いかにして社会の活力を維持していくかが求められる。この課題は、単に自民党のみでなく国民全体への課題だ。
もはや以前のような利益誘導政治はできない。どんなにつらくても、利益の分配から不利益、負担の分配へと政治の軸を変えていくしかない。今までの日本の政治は子や孫の資産の先食いだったのだから。しかし、現状では既得権益の保護の発想は変わらないが、知事のそこを乗り越えていく覚悟のほどをお聞きしたい。
先ごろ、鈴木県立大学学長が基礎物理学ブレークスルー賞に輝いた。素粒子分野の受賞で、小柴さん、梶田隆章さんのノーベル賞同様、ILCにつながる朗報に県民として心からお祝いを申し上げます。
同様にニュートリノの研究者でノーベル賞目前、7年前に66歳で亡くなられた、鬼軍曹こと戸塚洋二さんのがんの闘病ドキュメンタリーを見ました。スーパーカミオカンデで観測機器の多くが壊れる事故が起き、先行きが危ぶまれる中で、不屈の精神で乗り越えたリーダーである。そのとき同時に転移していくおのれ自身のがんと6年にわたり闘い、自身の病状を、研究者としてレントゲン写真や投薬の効果を数値化して、医者も驚く解析を、意識がもうろうとなる死の1週間前まで見続け、死後の世界が無であるか問い続けたという。本人は、研究者としての人生だから、そうしないと気が済まないと言ったという。
私は、田舎政治家の一人として長年禄をはんできました。日本人を形づくった名こそ惜しけれとの武士道の精神は公の意識を育むのだが、もう一度かみしめたい。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 渡辺幸貫議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、県内の人口ビジョンについてでありますが、国は、国及び地方が直面する地方創生、人口減少克服という構造的課題に対して、国、地方が総力を挙げて取り組むための指針となる、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンを策定し、東京圏の人口転入超過10万人の解消や若い世代の希望の実現というものを政策の基本目標に掲げています。
こうした国の動きを受けて、県においても、社会減ゼロ、出生率向上を目指す人口ビジョンを策定したところでありまして、既に策定を終えた県内市町村においても、目標年次等に差異は見られますものの、おおむね国や県のビジョンを勘案した人口目標を掲げています。
東京圏との関係で岩手県が転入超過となった平成7年におきましては、岩手県の人口が社会減ゼロに近づいておりまして、国の基本目標が達成された場合、岩手県の社会減ゼロも不可能ではありません。
地方の人口減少が日本消滅に至るのではないかという危機が指摘される中、今求められるのは、国及び地方が、その総力を挙げて人口減少克服に取り組むことであり、地方創生なくして日本の創生はないということだと思います。
社会減や出生率について上昇が図られた場合でありましても、今後、一定期間の人口減少は避けられず、安定人口や人口増に至るには長期に時間がかかることも予測しているところでありますので、こうした現実も踏まえて、国、市町村と一体となって持続可能な地域づくりに取り組んでまいります。
次に、公共施設等の現状についてでありますが、県では、庁舎や県民利用施設、学校施設など約6、000棟の公共施設、道路や港湾を初めとするインフラ施設など多数の施設を保有していますが、その多くが高度成長期から昭和50年代を中心に整備されており、今後、大規模修繕や更新の時期を迎える状況にあります。
現在保有する公共施設等を全て維持すると仮定して、今後30年間に要する経費を試算しましたところ、公共施設で約7、070億円となり、年平均では約236億円と、過去5年間の平均投資額約92億円の約2.6倍の経費を要するものと試算されました。同様にインフラ施設では約1兆5、112億円、年平均では約504億円となり、過去5年間の平均投資額約341億円の約1.5倍と、今後多額の経費が必要になるものと見込んでおります。
次に、県内市町村の計画策定状況についてでありますが、市町村においても、公共施設等の全体を把握して、長期的視点に立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うことは重要でありまして、国からの要請も受けて、県内の全市町村が計画の策定に取り組んでいるところであります。既に盛岡市及び久慈市が計画を策定しており、本年度中に両市を含め9市町村が策定を終えるほか、その他の市町村においても来年度中に策定する予定と聞いているところであります。
次に、財政負担の軽減、平準化についてでありますが、今後、老朽化の進展に伴って多くの施設が大規模改修や更新の時期を迎え、維持管理に多額の経費が必要となりますことから、一層厳しい財政状況が見込まれます。
このため、長期的視点に立った計画的な施設の維持管理や長寿命化によるコスト縮減、適正な施設規模や配置、機能など人口動態等に対応した公共施設等のあり方を検討し、国や市町村との連携を図りながら、財政負担の軽減や平準化に取り組んでまいります。
次に、都市計画についてでありますが、県では、人口減少社会においても、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保するため、岩手県都市計画マスタープランにおいて、広域的な見地から都市計画の目標や土地利用の方針などを定めており、これに基づいて個別の都市計画が決定されているところです。
また、都市機能を集約した持続可能なまちづくりを進めるため、県では、市町村とともに都市政策に関するワーキンググループを設置して調査研究を行っているところであり、今度とも、国の助言を受けながら市町村のまちづくりを支援してまいります。
次に、幸福に関する指標の導入についてでありますが、希望郷いわての実現をより確かなものとするためには、物質的な豊かさに加えて、岩手ならではの生き方や豊かさといったことに着目した政策の展開が必要であると考え、幸福に関する指標を導入していくことを考えております。
幸福については、内閣府の幸福度に関する研究会報告書においても、経済社会状況のほか、健康、つながりなどの関係性、持続可能性が構成要素とされております。
こうした考え方などに基づき、仕事などの経済的要素に加えて、健康や家族、社会とのつながりなど、岩手ならではの指標を導入して、どのような地域を目指すかを考える機会とするとともに、施策の優先度や具体的な展開に生かしていきたいと考えております。
今後、県民の皆さんや有識者の御意見も伺いながら、試行的に幸福に関する指標の導入と評価等への活用を行って、次期総合計画での本格導入に向けて検討を進めてまいります。
次に、認知症高齢者への対応についてでありますが、これまで、県では、いわていきいきプランに基づいて、認知症の正しい知識の普及、認知症ケアを担う人材の養成などに努めてまいりました。
認知症サポーターの県民に占める割合は、昨年12月末で8.6%と全国第5位となるなど、認知症に対する県民の理解は着実に進んできていると認識しております。
今後とも、認知症に関する県民への啓発に努めるとともに、地域包括ケアシステムの構築に向けて、認知症サポート医不在市町村の解消などによる初期集中支援チームの設置促進や、相談支援を担う地域支援推進員の養成に取り組みますほか、認知症グループホームなどの介護基盤整備を支援してまいります。
次に、認知症医療の提供体制についてでありますが、これまで、県では、認知症サポート医やかかりつけ医の養成に取り組んできたところであり、昨年4月のサポート医数は53名と、東北で最も多くなっております。
鑑別診断や専門医療相談を担う認知症疾患医療センターにつきましては、岩手医科大学附属病院を全県域を対象とする基幹型のセンターとして、全国第1号で、平成22年4月に指定いたしました。また、昨年1月には、沿岸部の民間医療機関1カ所を地域型のセンターとして指定したところであります。さらに、県南部及び県北部の医療機関各1カ所を地域型のセンターとして指定する方向で、現在、国との協議を進めております。
今後とも、検査体制が整ったセンターとサポート医やかかりつけ医との連携を進めますほか、歯科医師や薬剤師など医療従事者の認知症対応力の向上を図り、各地域の医療提供体制を強化してまいります。
次に、国際観光の振興についてでありますが、より多くの外国人観光客の皆さんを本県に呼び込むためのプロモーションの強化のみならず、訪れる外国人観光客の視点に立ち、そのさまざまなニーズに対応して、満足していただけるような受け入れ態勢の充実が極めて重要と認識しております。このため、県では、外国人観光客のニーズの高い無料公衆無線LANや多言語表示などの整備支援、外国人受け入れマニュアルの制作や受け入れセミナーの開催などに取り組んでいるところであります。さらに、先月には、香港において、訪日団体旅行の取り扱いが最も多い旅行会社の経営者を本県に招請し、海外の旅行業関係者としては初めてとなりますいわて親善大使に委嘱し、本県の観光関係者に対して、外国人観光客向けサービスのポイントなどについて、具体的に教示してもらったところであります。
今後におきましても、2019年のラグビーワールドカップや翌年の東京オリンピック・パラリンピックの開催などを見据えて、外国人観光客のさまざまなニーズの把握に努め、東北への外国人観光客の誘致拡大によって観光復興を推進することを目的として、国において予算化を予定している新たな支援策も活用しながら、市町村や関係団体、観光事業者などと一体となりまして、受け入れ態勢の一層の充実を進めてまいります。
次に、農地中間管理事業についてでありますが、県では、農地の有効利用や農業経営の効率化に向けて、農地中間管理機構の農地コーディネーターを県内各地域に配置するなど、地域に密着した活動を進めてきました結果、機構による平成27年度の農地の貸し付け面積は、目標である3、600ヘクタールを既に上回り、これまで着実に進んできているところであります。
一方、農地の出し手の確保や、中山間地域等の条件不利地における受け手の確保が課題となっておりまして、機構や市町村等関係機関と連携して、十分な制度周知等によって貸し出しを促すとともに、急勾配、農地分散など、中山間地域特有の条件を勘案したきめ細かな基盤整備などに取り組んでまいります。
また、平成35年度の最終目標の達成に向けましては、地域農業マスタープランの見直しと基盤整備の一層の推進が必要であり、地域の話し合いを促進しながら必要な予算の確保に努めるなど、担い手への農地の集積を加速化してまいります。
次に、農地中間管理事業関連予算についてでありますが、平成28年度の国の予算案では、機構集積協力金など機構が行う農地の集積、集約化に要する経費は、前年度の実績に基づいて措置されたため減少しておりますが、一方で、農業委員会が行う農地の集積、集約化に要する経費は、農地利用最適化推進委員が新たに配置されますことから、充実が図られたところであります。
県では、今後も、農地の出し手に対する支援など必要な予算の確保に努めて、より一層、農地の集積、集約化を図ってまいります。
次に、米政策についてでありますが、国民1人当たりの主食用米の消費量は、昭和37年をピークに減少を続けており、今後も、高齢化や人口減少によって米市場はさらに縮小することが見込まれています。また、外食や中食など食の外部化は一層進み、業務用の割合は今後も増加していくものと見込まれています。
このような中で、米は本県農業の大きな柱でありますことから、県では、平成27年2月、いわての美味しいお米生産・販売戦略を策定して、生産者が主体となった売れる米づくりに加え、需要拡大に向けた取り組みを展開しております。
県オリジナル新品種については、先般策定したいわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づいて、国内トップレベルの品質と食味を確保するとともに、認知度を高めるネーミングの発表や効果的なプロモーションの展開によって、高価格での取引実現に向けて、販路拡大などに強力に取り組んでまいります。
また、業務用米につきましては、直播栽培や疎植栽培の導入等による生産コストの低減に加えて、実需者との結びつきを強化することによって、安定的な販売先の確保に取り組んでまいります。
こうした取り組みによって、全国の消費者や実需者から、長く愛され続けるお米の産地として、地位が強固なものとなるよう努めてまいります。
次に、私の政治姿勢についてでありますが、国の借金は国債保有者の資産でもあり、我が国の借金の多さという問題は、世代間の富の移転の問題というよりも、同時代における持てる者と持たざる者との間の格差の問題であると考えます。
日本国民が年間500兆円規模の富を生み出し続けることは当面持続すると考えられますが、その富の分配のあり方を真剣に考えて、国民が全体として力を発揮できるような所得の分配を実現していくということが政治の使命であると考えます。
〇議長(田村誠君) 次に、中平均君。
〔35番中平均君登壇〕(拍手)

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