平成27年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
議案第1号、議案第5号、議案第7号から議案第9号、議案第14号、議案第19号から議案第26号について質問いたします。
議案第1号は、2015年度岩手県一般会計補正予算(第3号)であります。総額4億7、200万円余の補正であります。この中に被災地福祉灯油等特別助成事業費補助として5、037万円余が新規で計上されています。被災者の生活苦が深刻になっている中で、5年連続の実施となることは重要なことであります。福祉灯油等を含めた昨年度の県内市町村の実績と、今年度の実施予定はどうなっているでしょうか。
議案第5号は、いわての森林づくり県民税条例の一部を改正する条例であります。これは、いわての森林づくり県民税いわゆる超過課税を2020年度まで5年間延長しようとするものであります。これまでの税収総額、これまでのいわて環境の森整備事業確保面積の実績、必要な整備面積に対する比率とその経済効果はどうなっているでしょうか。今後5年間の整備計画はどうなっているでしょうか。
議案第7号から議案第9号は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法の実施に伴う条例の改正であります。
マイナンバー制度は、国民に対する十分な説明も準備もなく進められています。最大の問題は、個人情報が漏えいする危険に対して万全の対策がないことであります。既に住民に番号を通知するカードの郵送が始まっていますが、配達の間違いなどの事故が続出しています。12月1日現在、岩手日報の調査では、マイナンバー通知カードが県内自治体に返還された数は、県内全体で3万2、543通、盛岡市で1万755通、全体の8%、大槌町では780通、14%など、全県で6%が返還されているとしています。さらに、市町村に保管されているものが県内全体で2万3、814通、盛岡市では9、568通など、少なくない県民に届けられていない実態が報道されています。
県は、この実態と原因をどう把握しているでしょうか、今後の見通しを含めて示していただきたい。
全国では、自治体の窓口でマイナンバーを間違って発行したケースや第三者に渡った事例も起きています。マイナンバーの仕組み自体が、ちょっとした操作ミスによって容易に他人に番号が知らされるリスクと一体であることを浮き彫りにしています。
県として、来年1月1日からの実施の中止、延期を求めるとともに、マイナンバー制度の凍結、中止を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
議案第14号は、災害公営住宅(釜石市片岸地区)の新築工事の請負契約に関し議決を求めるものであります。
契約金額5億1、246万円で、請負率は95.31%であります。17戸の建設戸数でありますから、1戸当たり3、014万円となります。高過ぎるのではないでしょうか。
プロポーザルによる随意契約となっていますが、この方式はなぜ採用されたのでしょうか。これまでの災害公営住宅の建設費はどうなっているでしょうか。
議案第19号から議案第26号は、県有施設の指定管理者を指定することに関し議決を求めるものであります。
指定管理者制度の最大の問題は、競争により委託費が毎回削減され、そこで働く職員、労働者にしわ寄せがされていることであります。
今回提案されている8施設の正規職員数、非正規職員数とその比率、賃金水準はどうなっているでしょうか。委託費はどう推移しているでしょうか。
今回の指定管理に当たって、事実上、1事業者しか応募しない事例はどうなっているでしょうか。
指定管理者制度によって何が改善され、何が改善されずにいるのか示していただきたい。
2月定例会で、県が締結する契約に関する条例が制定されました。これは、適正な労働条件の確保を目的、理念としたものであります。岩手県が実施する事業で非正規労働者、低賃金労働者を大量につくる指定管理者制度は根本的に検証し、見直すべきではないでしょうか。
以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 福祉灯油についてでありますが、昨年度、被災地福祉灯油等特別助成事業費補助を実施した沿岸12市町村では、1万7、198世帯に対し1億1、113万7、000円を助成し、うち県の補助額は4、299万1、000円となっております。
また、内陸部の市町村における単独事業の実施状況は、低所得世帯を対象に、灯油購入費の助成や使途を限定しない商品券の交付を実施した市町村が3町村、東日本大震災津波の被災者を対象とした被災者支援灯油を実施した市町村が6市町となっています。
今年度の被災地福祉灯油等特別助成事業費補助については、11月末時点で沿岸12市町村全てにおいて実施予定と聞いており、助成対象世帯は2万149世帯、県の補助額は5、037万1、000円を見込んでおります。
また、内陸部の市町村による単独事業は、低所得世帯を対象とした福祉灯油等の助成を実施する予定の市町村が2町村、被災者を対象とした被災者支援灯油の実施予定あるいは検討中の市町村が5市町と聞いています。
〇農林水産部長(小原敏文君) いわての森林づくり県民税についてでありますが、この税は、多様な公益的機能を有する森林環境を保全し、良好な状態で次の世代に引き継ぐことを目的に、平成18年度に創設したものであり、これまで10年間の税収見込み額は約72億円となっております。
公益的機能の高い森林へ誘導するための間伐を行ういわて環境の森整備事業の確保面積は、今年度末までに約1万5、500ヘクタールを見込んでおり、公益上重要で緊急に整備が必要な森林約2万6、000ヘクタールのうち、約60%となっております。
事業効果でございますが、平成25年度までの実績は、水源涵養機能の向上など約400億円と試算され、加えて、間伐を行うことによる雇用の創出などの経済効果があったものと捉えております。
今後、第2期が終了する今年度末におきましても整備が必要な森林が約1万ヘクタール残ると見込まれますことから、早期解消に向け整備を進めていく考えでございます。
〇政策地域部長(大平尚君) マイナンバーの通知カードについてでありますが、通知カードにつきましては、県内ではおおむね11月までに住民の方々に市町村から送付されたところでありまして、県では、12月4日時点の送付状況について調査を行っております。現在、結果を取りまとめ中でありますが、その速報値を申し上げますと、配達される市町村に返還されたものは54万7、792通中3万7、046通で、返還率では約6.8%となっております。
これを見ますと、沿岸部の市町村の返還率が高い傾向にありますことから、応急仮設住宅にお住まいの方で住民票を移していない被災者の方々、あるいは住民票を移さずに転居された方々なども一定数いるものと考えてございます。このほか、不在で受け取ることができず、郵便局で保管期間が経過した方々の通知カードが返還されている例もあると承知してございます。
全市町村の調査結果は、再送付等の状況も含め12月14日までに取りまとめ、総務省に報告することとしております。市町村においては、返還された通知カードは、窓口での交付や、居住地を確認の上、再送付の作業を行っているところであり、受け取りが今後増加していくものと見込まれます。
国、県におきましては、通知カードの返還状況及び再送付等の状況について、当面の間、2週間に1回調査を行い、今後も状況把握に努めてまいります。
次に、マイナンバー制度の実施についてでありますが、マイナンバー制度におきましては、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づき、平成28年1月1日から法に規定された事務において個人番号の利用を開始することとなっております。マイナンバー制度の実施に当たっては、個人情報等の流出、漏えいはあってはならないことであり、県としては、マイナンバー制度に関するシステムの整備、改修に当たっては個人情報の安全が保たれるよう確認をしながら作業を進めているほか、情報セキュリティーの管理体制の明確化など、情報セキュリティー対策の厳格化に取り組んでおります。
マイナンバー制度では、行政手続における所得証明書の添付書類の省略など住民の利便性向上の効果も期待されているものでありますので、個人情報の保護に取り組みながら、制度の運用開始に向けて準備を進めてまいります。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 災害公営住宅についてでありますが、1戸当たりの建設費については、人件費や資材価格の動向を反映して全体的に上昇傾向にあるほか、特にこの片岸地区については、戸数が17戸と少ないこと、1階部分を物置や自転車置き場としたピロティー形式としたことなどにより1戸当たり単価が高目となっているものです。
プロポーザルによる設計施工一括選定方式については設計と施工の受注者を一括して選定する方式で、施工者の選定に要する期間が2カ月程度短縮されること、設計期間中に労働者や資材の調達など施工準備が可能となることにより工期の短縮が期待できることなどの理由から、平成24年度以降、特段の理由がある場合を除いて採用してきた方式です。
また、これまでの災害公営住宅の建設費につきましては、県が整備した鉄筋コンクリート造の災害公営住宅では、外溝工事及び造成工事を除いた建物本体工事価格で算定しますと、1戸当たりでは、平成24年度発注分は約1、420万円、平成25年度発注分は約1、920万円、平成26年度発注分は約1、960万円、平成27年度発注分は約2、300万円、これまでの平均では約1、910万円となっております。
〇総務部長(風早正毅君) 指定管理者制度についてであります。
まず、指定管理者の職員数についてでありますが、今回、提案8施設の指定管理予定者からの提出があった配置計画によりますと、職員数の合計は158名、そのうち雇用期間の定めのないいわゆる正規職員は60名、有期採用職員は98名の計画となっており、正規職員の占める割合は約4割となっております。
職員の配置については、基本的には各施設ともそれぞれの機能、性質、設置目的に応じ、運営に必要な職員を確保しているものと理解しております。
賃金水準についてでありますが、各個人の給与に係る資料まで提出を求めてはおりませんが、指定管理者制度においても、指定管理者が労働法令等関係法令を遵守することは当然求められているところであり、各所属部局において、事業完了後の事業報告や実地調査等により、その状況について適宜確認を行っております。
指定管理料の推移についてでありますが、今回提案8施設のここ3カ年の年総額では、平成25年度は6億5、706万円、平成26年度は6億8、400万円、平成27年度は6億8、871万円となっております。
今回の応募状況についてでありますが、全施設において1事業者からの応募となっております。
次に、指定管理者制度導入による改善内容についてでありますが、指定管理者による自主事業等の開催や開館時間の延長による施設利用の促進など、利用者のニーズに応じたサービスの向上が図られております。
制度導入時は応募する者が複数あったところでありますが、近年は応募者が1者となる傾向もあることから、募集内容の見直しなどにより多くの団体の応募による競争性を高め、さらなる施設の利用促進と行政サービスの向上を図ってまいります。
次に、指定管理者制度の運用についてでありますが、これまでも労働法令の遵守や適正な雇用、労働条件の確保が図られるよう指導を行ってきたところでありますが、今般、県が締結する契約に関する条例においても、賃金及び社会保険に関する法令遵守が位置づけられたところであり、条例の趣旨も踏まえ、引き続き、各所属において、事業完了後の事業報告や実地調査等により、その状況について適宜確認を行うよう指導してまいります。
〇37番(斉藤信君) では、再質問いたします。
マイナンバー制度の通知の問題ですけれども、私が指摘したより返還が多かったと。3万7、046通です。これは1世帯で通知されていますから、人数でいったら倍以上なんです。そうすると、7万人以上に届かないということなんです。本会議の答弁で見ると、おおむね順調に進んでいるという認識は、私は正確ではないと思います。極めて重大。届かないと、戻ったものは役場で発行なんです。そのときには証明書が必要で、私は、この発行は郵便配達よりも大変だと思います。
そもそも、無理をして準備不足でこういうことをやって、既にもう2、000億円ぐらいの金を使っているんです。国民にはほとんど利益はないです。何でこんなことをやるのか。マイナンバー利権です、数兆円規模での。汚職、腐敗で摘発もされました。そして、個人情報が漏れる危険性がある。私は、こんなものを1月1日で強行実施するというのは、今の実態から見ても、せめて延期を求める必要があるんじゃないか。そして、その状況を見ながら、中止、凍結ということも視野に入れて対応することが必要だと思いますが、改めてお聞きいたします。
災害公営住宅なんですけれども、17戸だから高いという話じゃないと思うんです。プロポーザルをやって、そして1戸当たり3、000万円。早くやればいいというのも大事だけれども、適切な単価というのも、プロポーザルのようなことをやって、何でこう高くなるのか。私は、そのことがよくわかりません。この間の平均でいうと1、900万円だというのでしょう、最近上がっているけれども、やっぱり乖離があります。プロポーザルの効果というのが工期短縮以外にあるのか。
三つ目は指定管理者制度でありますけれども、私が指摘したように、最大の問題は非正規労働者をふやしているということなんです。例えば、県立総合防災センターの委託は、正規職員が1人で、これは445万円ということになっているんですけれども、平庭高原自然交流館は、正規職員9人で、人件費総額210万円です。こんなことがあるのでしょうか。正規職員9人に対して人件費が210万円。いわて県民情報交流センターは、結グループが取っていますけれども、総括責任者は年間720万円、副責任者は620万円なんです。レギュラースタッフは8人いますけれども、1人当たり325万円、一番多い19人いる補助スタッフは1人当たり87万8、000円です。3分の2の補助スタッフは100万円行かないんです。こういう形で、岩手県が制定した県が締結する契約に関する条例の精神にも反するのではないか。
そして、答弁にもあったように、全て1事業者しか応募しなかったというのでしょう。指定管理者制度というのは、この間やってきて、行き詰っていることから、今、総点検をして、新たに制定された条例の精神も踏まえて、今後のあり方を考える必要があるのではないかと思いますが、改めてお聞きいたします。
〇政策地域部長(大平尚君) マイナンバー制度は、国民の給付の負担の公平性、明確性を確保し、国民の利便性のさらなる向上を図るとともに、行政の効率化、スリム化に資することを目的として導入するものでありまして、個人番号の利用は平成28年1月1日から、さらに国や地方公共団体との連携は平成29年7月からということであります。本会議で答弁申し上げたのは、システム全体のお話を申し上げたものであります。
今回届いていない事例というものがありますが、これにつきましては、先ほども答弁申し上げましたように、再送付等がさらに進むと思われますので、これらについては、さらに返還率はどんどん減っていくものと思われます。ただ、確実に届くということが重要でありますので、これについては、国、県において2週間に一遍調査を行いまして、きちんと届くかどうか、その辺については留意してまいりたいと思います。
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 片岸地区の災害公営住宅の設計施工一括選定方式でございますが、今回、プロポーザルに対しましては4グループが応募しておりまして、最終的に採用した参加者につきましては、見積価格として一番低い額を提案したグループでございます。
それから、実際の契約額でございますけれども、提案に基づいて設計した中身につきまして、県のほうで積算を行いまして、それ以下の額で契約することとなっておりますので、現時点で、この設計内容で発注するに当たっては適正な価格になっていると承知してございます。
〇総務部長(風早正毅君) 指定管理者についてであります。正規職員の占める割合等につきましては、それぞれの公の施設の性質ですとか対応、または受託団体の指定管理の受託内容、形態等によってそれぞれ異なり、それぞれの機能、性質、設置目的等に応じ、運営に必要な職員を確保されているものと理解しております。
各所管部局においては、雇用条件等、給与の支給実態等の確認について適切に指導するよう、本年2月に改めて周知を図ったところでございます。
また、応募者の減少傾向につきましては、多くの団体の応募による競争性を高め、さらなる施設の利用促進、行政サービスの向上が必要と考えておりまして、募集内容の見直しなどに取り組んでいく必要があると考えております。
〇37番(斉藤信君) 指定管理者について、一つだけ指摘しておきますけれども、県立総合防災センターですが、パート2人、週40時間というんです。こんなものがありますか。あなた方のチェックが行き届いていないんじゃないですか。週40時間といったらフルタイムです。こんな事業計画が出ているんです。私は、もう少し労働者の条件というのはしっかりあなた方がチェックしてやっていく必要があると思うけれども、改めて部長にお聞きします。
〇総務部長(風早正毅君) 改めて申し上げますと、それぞれの施設には、それぞれ管理いただいているところにおいて、機能、性質、設置目的等に応じ必要な職員、それから、どういう配置計画にするかというのは検討の上、なされているものと理解しております。
〇議長(田村誠君) これをもって質疑を終結いたします。
次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第34号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第3回県議会定例会 平成27年12月8日)
総務委員会
1 議案第1号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款
   第3条第3表中
    1追加中 1
   第4条
2 議案第4号
3 議案第5号
4 議案第6号
5 議案第7号
6 議案第8号
7 議案第9号
8 議案第15号
9 議案第19号
10 議案第20号
11 議案第21号
12 議案第27号
環境福祉委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款
       第4款
   第3条第3表中
    1追加中 2
2 議案第3号
3 議案第22号
4 議案第23号
商工文教委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第10款
   第2条第2表中
    第10款
   第3条第3表中
    1追加中 3、5
2 議案第10号
3 議案第12号
4 議案第18号
5 議案第24号
6 議案第25号
7 議案第26号
8 議案第28号
9 議案第29号
農林水産委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
       第11款第3項
   第2条第2表中
    第6款
2 議案第16号
3 議案第34号
県土整備委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第11款第5項
   第2条第2表中
    第8款
    第11款
   第3条第3表中
    1追加中 4
    2変更
2 議案第2号
3 議案第11号
4 議案第13号
5 議案第14号
6 議案第17号
7 議案第30号
8 議案第31号
9 議案第32号
10 議案第33号
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時39分 散 会

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