平成27年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇4番(ハクセル美穂子君) いわて県民クラブ、ハクセル美穂子でございます。
このたび、初めて県議会での一般質問の機会をいただきました。私にこの機会を与えてくださった県民の皆様、そして先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。
それでは、質問を始めます。
まず初めに、子育て支援環境の整備について質問いたします。
岩手県内の企業総数は、平成24年で3万8、779社、うち、常時雇用する従業員数が20人以下の小規模企業が3万3、837社、企業総数の87.3%を占めており、県内の企業の多くが20人以下の企業ということです。
日本における急速な少子化の進行、並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化を踏まえて制定された次世代育成支援対策推進法に基づき、従業員の仕事と子育ての両立を図るために策定するとされている一般事業主行動計画は、従業員数が101人以上の企業には策定を義務づけ、100人以下の企業には努力義務が課せられています。平成27年10月現在、県内の行動計画策定企業数は661社、これは、県内企業のたったの1.7%にすぎません。策定が努力義務である100人以下の企業の中で計画を策定した企業は3万8、711社中わずか219社であり、このことは、次世代育成支援対策推進法が施行されてから8年という月日がたっているにもかかわらず、岩手県内では、大企業以外にこの法律が全く機能していないことを示しています。計画認定企業に対する税制優遇措置はありますが、中小企業にとってはメリットを感じられない優遇措置であり、県内企業の子育て支援策を考えますと、経営体力の弱い小規模企業にとっては、育休や時短勤務ができるようにかわりの人員を確保するための支援など、実際にかかる経費的な部分に何らかの支援が行われなければ、いわての子どもを健やかに育む条例に基づく子育てに優しい環境づくりの実現は絵そらごとになってしまい、ますます人口減少が進む結果を生むと考えられます。
私は、県は、岩手ならではの子育て支援を推進するために、経営体力の弱い中小企業においても行動計画を策定できるよう県独自の支援を進めるべきと考えますが、現状の認識と今後の取り組みについて知事のお考えをお伺いいたします。
次に、予防接種機関の地域格差について質問いたします。
近年、地域医療の格差はますます進み、予防接種できる小児科専門医も地域偏在するようになっています。その反面、乳幼児の定期予防接種数はふえ続け、生後2カ月から週刻みで予防接種を受けなければならない現状であります。そのような状況の中、現在の予防接種行政は、市町村が取り組む事務として、市町村がそれぞれ独自の施策で対応しているところであります。しかし、市町村によって小児科専門医数や他市町村の医療機関での接種に関する対応において、利便性など地域格差が顕著に見受けられるといった現状です。
本来、予防接種は、日本国で産まれ育つ子供が誰でも平等にその機会を確保されるべきものであります。また、こういった小さな利便性の格差が都市部への人口流出を促す要因の一つでもあると考えられます。地域で産み育てる環境を整えるためにも、今後は、県が中心となり、俯瞰的に県内の小児を対象とした医療機関の調査分析を進め、広域的に利用できる予防接種票の取り組みなど、子供の予防接種に係る医療機関の体制を積極的に構築していくべきと考えますが、このことについて、県の方針と今後の取り組みをお伺いいたします。
次に、病児保育所事業について質問いたします。
政府が提唱する女性活躍、子育て支援のためにも、働く親に対する支援の一環として欠かせられない施策の一つが病児保育事業であります。平成26年度実績で、県内の病児保育所総数は44カ所。病児保育所には、病児対応型、病後児対応型、体調不良児対応型の三つの運営方法がありますが、そのうち、病児対応型が10カ所、病後児対応型が7カ所、体調不良児対応型が27カ所という状況であります。岩手県の現状を見ますと、病児、病後児対応型施設がそれぞれ7市町村で、体調不良児対応型が8市町村での実施であり、特に急に保育園で保育中に発熱した児童を保護者が引き取りに来る時間まで看護する体調不良児対応型の潜在的なニーズは多いと考えられるのに、設置している8市町村のうち7市町村が国道4号沿いの市町であり、県北、沿岸では久慈市の1施設のみという現状です。このことについて県はどのようにお考えか、お伺いいたします。
また、病児保育事業の運営費に対する補助金は、消費税税率の引き上げに伴い、今年度から新制度としてスタートした子ども・子育て支援交付金になりました。新制度では、病児、病後児対応型については、地域の保育園等への情報提供や巡回など地域全体の保育の質の向上につながる機能を評価し、基本分の補助に加えて改善分として基本分の同額が加算されました。また、体調不良児対応型では、これまで看護師等2名以上の配置を、1名以上の配置で実施できるよう基準が緩和されました。子ども・子育て支援交付金の交付要綱では、病児、病後児保育事業の利用者数に基づき事業所が設置されている市町村から運営費交付金が交付され、その負担割合は、国3分の1、県3分の1、市町村3分の1であります。新制度により、単価改善や看護師等の配置基準が緩和されたことは、病児保育所が従来より設置しやすくなるものと期待できますが、新制度により今年度どの程度病児保育所が増加したのでしょうか。また、今後の設置見通しはどうなっているのかお伺いいたします。
現在の病児保育所の設置状況は、さきに述べたとおり、病児、病後児対応型施設がそれぞれ7市町村、体調不良児対応型が8市町村で、病児保育所の総数が44施設のみであり、設置している地域も偏在している状況にあります。
病児保育所の設置は、保育所と同様に市町村が地域のニーズを踏まえて検討されていることと思いますが、病児保育所の必要数や、体調不良児対応型から病児、病後児対応型までのスムーズな保育連携が可能な育児環境の整備は、県が取り組む今後の人口減少対策のかなめの一つでもあると考えます。
平成27年度から子ども・子育て支援交付金の新しい制度が始まっています。今が病児保育所の整備を推進させる大きなチャンスと考えます。県は、日本一子育てしやすい岩手を実現するためにも、市町村と連携し、県内における市町村ごとの設置状況及び広域圏ごとの設置状況、市町村計画の進捗状況の俯瞰的な調査分析を進め、育児環境の整備を担う市町村に対し、県内の制度優良活用事例の紹介や制度の効果的な取り組み手法などの指導体制を強化し、県が県内の子育て環境整備をリードしていくべきと考えます。このことについて県のお考えをお伺いいたします。
これまでも県は人口減少、少子化対策に取り組んでこられました。また、昨今では、人口減少に伴う労働力の減少を補うために、女性の力を活用する取り組みが進められています。そして、女性の活躍を促すためには、結婚、出産、子育てで離職を余儀なくされる女性の労働環境を改善することが急務であるという考えから、さまざまな子育て支援への取り組みが始まっています。岩手県は、平成27年2月定例県議会においていわての子どもを健やかに育む条例を制定し、いわて子どもプランを平成27年3月に策定して、県を挙げてこの課題解決に取り組もうとしているところです。今後、産み育てやすい岩手の実現のために、子育て支援に対する知事の意気込みをお伺いいたします。
次に、農産物の輸出拡大について質問いたします。
政府は、11月25日に総合的なTPP関連政策大綱の決定を発表いたしました。その中にも、新輸出大国を目指す取り組みとして、農林水産物、食品輸出の戦略的推進を図ることや、農政新時代として、高品質な我が国の農林水産物の輸出等、需要フロンティアの開拓が盛り込まれています。特にも、平成32年の農林水産物、食品の輸出額1兆円目標の前倒し達成を目指す目標が掲げられております。
このような国の動きに対応するため、山形県や青森県では輸出対象国の調査分析と輸出目標など県としての戦略を立て、積極的に農林水産物の輸出に取り組み、成果を上げています。2014年産の青森県産リンゴの輸出量は3トンを超え、109億円超の輸出金額に達しています。山形県ではサクランボで輸出拡大を狙っており、収穫ロボットの開発など生産面の充実を進めるのみならず、大口輸出以外の販売チャネルである国際宅配制度の構築に向けて、宅配事業者と連携した試験輸出などにも取り組んでいます。
また、TPP合意によって取り払われるのはあくまでも関税に関する部分であり、農産物の輸出に関する各国の検疫基準が免除されるものではありません。したがって、TPPに合意する、しないにかかわらず、検疫の国別の調査分析、各国の農産物ニーズの把握と、それを踏まえた県産品の総合的な輸出戦略の構築は急務と考えます。特にも、南部鉄器や県産の日本酒、工芸品の輸出とタイアップした戦略、二つの世界遺産をメーンにした観光プロモーションと組み合わせた和食文化の海外展開戦略など、さまざまな取り組みを可能とする資源の宝庫である岩手県をより効果的に海外にアピールし、輸出促進を図るためには、県が中心となり、一体的に取り組んでいかなければならないと考えます。現在の取り組み状況と、今後の戦略を含めた方針を知事にお伺いいたします。
次に、新規就農者の確保と育成について質問いたします。
日本農業の高齢化問題は年々深刻化し、日本の農業者人口の約6割が65歳以上であり、35歳未満の働き盛りはわずか5%という現実に直面しています。岩手県も例外ではなく、このことは以前から非常に大きな課題として認識されています。そして、これから10年、20年後、現在、担い手として農業を牽引している60代の農業者の多くが高齢のために離農され、農業者人口が急速に減少すると想定されています。今後も、岩手県の広大な農地を適正に管理、運用し、農林水産業の振興を図るためには、新規就農者を受け入れ、その中から新たな担い手農家を育てる取り組みをさらに強化していかなければならないと考えます。
本県における新規就農者数は、平成20年度以降毎年200人以上を確保し、平成26年度は過去2番目に多い246人、うち、40歳未満の青年就農者は194人で平成以降最多となったとのことですが、こうした新規就農者の増加には、国が平成24年度に創設した青年就農給付金制度が一定の効果を上げているものと思います。
一方、新規就農者の確保、育成には、就農を志す方々に対しての就農相談の段階から、就農を開始して早期に安定した所得を確保するまで、一連の支援が重要であると考えます。そこで、これまでの青年就農給付金の実績と、新規就農者の確保、育成に係る支援状況についてお伺いいたします。
また、今後、より多くの新規就農者を確保するためには、自営就農のほかに雇用就農が有効であると考えられますが、そのためには、雇用就農の受け皿となる大規模農業経営体の育成が重要です。大規模農業経営体を育成するためには、従来の営農指導に加え、農業経営体の経営力強化に対する支援や販路拡大のためのノウハウやマッチングに関する支援の拡大が必要と考えますが、農業改良普及センターの取り組み状況をお伺いいたします。
次に、国際観光について質問いたします。
年間4万人ほどの岩手県民が海外へ旅行するような時代になっております。県民が海外に行く場合、主に新幹線で成田空港へ向かい、そこから海外へ旅する方法が主流でありますが、岩手県は、今、国際線に対応できるよう花巻空港の増改築工事を行っております。この花巻空港と台湾桃園国際空港との間で、平成26年度に初めて日本人と台湾人が混乗する双方向型の国際定期チャーター便が70便運航されました。県は台湾との国際定期便運航を目標にしているとお聞きしましたが、台湾桃園国際空港との国際定期便運航により岩手県にどのようなメリットが生まれるのか、県内の経済波及効果や輸出促進への効果等についてお伺いいたします。
岩手県内への海外からの観光客の動向は、東南アジア、台湾など温暖な地域からの観光客が多いように見受けられます。これは、岩手県の気候がこの地域の人々にとって日常から離れた魅力的なものと受けとめられるからであると思います。現在は春と秋が国際観光のハイシーズンとされていますが、今後さらに冬シーズンの魅力を伝えていくことも重要と考えます。いわて雪まつりとタイアップしたチャーター便の運航など、冬シーズンの魅力を知事にトップセールスしていただき、今後の海外観光戦略に活用するべきと考えます。これは、地元の町からも要望が挙げられていることではありますが、知事のお考えをお伺いいたします。
また、現在はアジアからの観光客のニーズが多いのですが、欧米からの観光客の取り込みも必要と考えます。現在、岩手県は、ILCの実現に向けての取り組みを強化、推進していますが、ILC関連研究者などが来県された際に岩手の観光の魅力を堪能していただくためにも、欧米諸国の旅行者のニーズ把握と観光戦略の構築を推進していかなければならないと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
次に、英語教育について質問いたします。
先日、教員養成大学において、英語指導能力の強化を図るためのコアカリキュラムを作成するとの報道がありました。文部科学省は、次期学習指導要領で、5年後の2020年には小学校5、6年生から英語を教科にするとしています。生徒の英語力向上の方策を考える際に教員自身の英語力を向上させる議論をよく耳にしますが、小学校での英語教育においては、教員自身の英語力よりも、教員一人一人が持っている指導ノウハウを生かして英語指導を進めること、特にも、外国語指導助手、いわゆるALTを活用したチームティーチングでの指導力の向上が大切であると考えます。
これまでも県はさまざまな文部科学省の英語必修化に関する事業に取り組んできました。その経験を生かし、より実効性のある現実的な県独自の英語指導計画を構築し、それに即した研修、研さんを図ることで、担任教員は、日本語が母国語であるが英語を学ぶ姿勢を教えるモデルを目指すべきと考えますが、小学校での英語の教科化に向けた教員研修の状況についてお伺いいたします。
また、小・中・高校と一貫した英語力向上のための指導計画や達成目標が設定されていないため、中学校においては、小学校で学んだものを1年生で繰り返し学ぶなど、重複して効率の悪い学習をしている状況が見られます。高校においては、受験勉強の対策のために読解と記述に重点を置いた指導になっており、英語を使って話す訓練が極端に少ないため、コミュニケーション能力を含めた英語力の総合的な向上に結びついていないと考えますが、小・中・高校の接続に配慮した英語科指導について県の取り組みをお伺いいたします。
児童生徒の英語力の向上のためには、学習指導要領をベースにしながらも、県の統一的な指導指針、計画を教育委員会が策定するとともに、PDCAサイクルを活用し、計画を改良しながら実効性のある教科指導に取り組むべきと考えますが、英語教育に対する県教育委員会の今後の具体的な取り組み方針をお伺いいたします。
次に、高校再編について質問いたします。
県立高校の再編については、平成27年4月の今後の高等学校教育の基本的方向の改訂後、5月から11月まで、今後の県立高校に関する地域検討会議、意見交換会、さらには要望した地域に出向いての出前説明会まで、さまざまな機会を捉えて各地域に出向いて意見交換を実施してきたところと伺っています。これまでどのような意見が出され、また、県教育委員会としてそれらの意見をどのように評価しているのかお伺いいたします。
私も意見交換会に参加して県教育委員会の説明を聞いており、校舎制の導入などさまざまな学校のあり方が検討されているようですが、やはり、現在定員割れをしている都市周辺部の高校が統合の対象とされているように感じました。ただ単に定員割れだけを基準に高校を統廃合していくのではなく、一部の市に集中している高校生を周辺地域の高校へ分散させる取り組みをするべきと考えます。例えば、都市部の高校のクラス数を減らすと同時に、周辺の高校に特別コースを設置してさまざまなレベルの学生の受け入れを行い、あわせて、地域の伝統文化を伝承する生徒に対しては独自授業を展開するなど、県として独創的な取り組みが必要と考えます。中高一貫校の教育を導入するといった方法も考えられますし、兵庫県立舞子高校のように、環境防災科を設立し、地域社会を支える人材を地方が独自に育てる教育に取り組み、成果を上げているという前例もあります。地域検討会議でのさまざまな意見を踏まえることはもちろん、多様な高校のあり方を加味して再編を進めることが求められていると考えますが、県教育委員会として再編計画の方向性をどのように検討しているのかお伺いいたします。
次に、スポーツ振興について質問いたします。
子供の体力の低下は年々深刻化しており、特にも全く運動しない子供と運動をする子供との二分化が進み、岩手県内の小学5年生では、1週間にゼロから60分体を動かすと答えた児童が男子で5.7%、女子で12.4%です。ゲームやメディアに子供の遊びがシフトしてしまっていることも大きな要因と考えられますが、小中学校での運動不足の解消は、将来の病気予防のための健康な体と習慣づくりでもあり、非常に重要な課題であると考えます。
このことを踏まえて、本年、県は、希望郷いわて元気・体力アップ60運動を展開し、1日に60分以上運動しようという啓発活動を開始しました。この60運動の取り組み状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
そして、岩手にも地域で活躍するプロスポーツチームがふえてきました。プロという舞台でトップアスリートとして活躍している選手との触れ合いを通してスポーツに興味を持たせるなど、地元プロスポーツチームと連携してその取り組みの活性化を図っていくべきと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
また、地域でスポーツ少年団など児童の運動を支える組織の指導者に対する最新コンディショニングトレーニング研修などの面でも、プロスポーツ選手についているトレーナーから教えを請うなど、生涯役立つ体づくりの教育の推進を図ることが大切と考えますが、その点についてお考えをお伺いいたします。
最後に、DIOジャパンについて質問いたします。
今般、県は、DIOジャパン緊急雇用創出事業の会計検査結果と厚生労働省の調査結果の公表を受けました。このことについて、今後の県の方針と市町村に対する対応についてお伺いいたします。
以上で私の質問を終わります。答弁によっては再質問をいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) ハクセル美穂子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、中小企業における一般事業主行動計画の策定についてでありますが、本県では、義務づけとされている従業員101人以上の事業主では全事業主が策定済みであり、また、努力義務とされている従業員100人以下では219事業主が策定しています。全ての人が働きたいと思える岩手を実現するためには、事業主の計画策定をさらに促すなど、仕事と家庭の両立の取り組みを促進することが重要であり、本年4月に施行したいわての子どもを健やかに育む条例においても、事業主の役割として、労働者が安心して子供を産み育てることができるようにするために必要な雇用環境の整備を行うことを定めたところであります。
一般事業主行動計画の策定を促進するため、国では、税制優遇措置に加えて、仕事と家庭の両立支援に取り組む中小企業事業主等に対する助成制度を設けています。県においても、岩手労働局と連携しながら、セミナーの開催等により国の助成制度の利用促進を含む普及啓発を行うとともに、国に対し、助成制度や税制優遇措置の拡大についての要望も行っているところであります。
また、県独自に、一般事業主行動計画の策定を要件としたいわて子育てにやさしい企業等認証、表彰を実施していますほか、公益財団法人いきいき岩手支援財団が計画策定事業所を対象に子育てにやさしい職場環境づくり助成事業を実施しており、今後とも、こうした取り組みの周知に努め、その活用促進を通じて中小企業の一般事業主行動計画の策定を促してまいります。
次に、子育て支援に対する所感についてでありますが、国においては、本年3月、少子化社会対策大綱を閣議決定し、長期展望に立って子供への資源配分を大胆に拡充し、継続的かつ総合的な対策を推進することとしており、本年4月から子ども・子育て支援新制度を本格施行するなど、子育て支援を初めとする少子化対策に集中して取り組む姿勢を示しています。
少子化、子育て支援は、将来に関する問題であると同時に、今、目の前にある重要な課題であり、県においても、本年4月にいわての子どもを健やかに育む条例を施行し、条例に定める基本計画であるいわて子どもプランに基づいて、県民、企業、NPO、行政など、地域社会を構成するあらゆる主体の理解と参画を得て、子供や子育て家庭への支援に取り組むこととしております。
また、本年10月に策定した岩手県ふるさと振興総合戦略にも、基本目標の一つとして、社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指すことを掲げたところでありまして、希望郷いわての実現に向けて、家庭や子育てに希望を持ち安心して子供を生み育てられる環境の整備を図り、一人一人の子供を健やかに育むことができる社会の実現を目指してまいります。
次に、農産物の輸出拡大についてでありますが、少子高齢化等により国内市場が縮小する中で、農産物の輸出による新たな販路の拡大は生産者の所得向上などにつながる重要な取り組みであります。
県では、平成19年度に立ち上げた、関係団体、企業とで構成するいわて農林水産物輸出促進協議会を主体として、経済成長が著しいアジア地域等をターゲットに、米、牛肉等を重点品目に掲げて、日系量販店での販売促進活動等を通じ輸出拡大に向けて取り組んでまいりました。
この結果、平成26年度の本県での農産物の輸出額は約6億2、000万円となり、震災前の平成22年度と比較して、牛肉は13倍の約1億1、000万円、米は2.2倍の約6、000万円に拡大するなど、順調に伸びているところであります。
また、今年度は、農産物を含む県産品の販路拡大等に向け、部局横断的な取り組みを戦略的かつ総合的に推進するいわてまるごと売込み推進本部を設置し、ミラノ博では、南部鉄器等の展示とともにいわて前沢牛のPRを、台湾や香港でのイベントでは、県内の観光地の紹介とともに県産ひとめぼれのPRを行うなど、知事等が先頭に立って岩手の魅力を丸ごと売り込んできたところであります。
今後、さらなる輸出の拡大に向けては、実需者や消費者から高い信頼と評価をかち取っていくことが重要であり、国内他産地との競争の激化が見込まれる中、海外における県産農産物等の定着と拡大に向けて、いわてまるごと売込み推進本部において海外展開への戦略を検討し、農産物の輸出拡大に取り組んでまいります。
次に、冬シーズンにおける海外観光戦略についてでありますが、本県の外国人観光客の入り込みは春と秋に集中していますことから、今後一層の誘客を図るためには、冬季の入り込みを増加させることが重要と考えております。
このため、先月、台北市で開催された台北国際旅行博において本県の冬の観光を中心にPRを行い、直接、台湾の皆さんに本県への来訪を呼びかけてきたところであり、また、中華航空のトップの方にお会いして、花巻空港への定期便就航と、これに向けた来年度冬のチャーター便運航について要請してきたところであります。
このほか、県では、2022年に冬季オリンピックが開催される中国や、日本とは季節が逆となるオーストラリアにおいて冬季観光プロモーションを実施するなど、冬季誘客の取り組みを進めております。
このような取り組みにおいて、いわて雪まつりは、雪と親しむことができる冬の重要な観光資源と位置づけておりまして、海外の旅行会社やメディアを招待し雪まつりを視察していただくなど、そのPRを強化しているところであります。
今後も、海外での知名度をさらに高め、スキーなど冬ならではのレジャーと組み合わせて売り込むなど、一層の誘客強化を図ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、予防接種機関の地域格差についてでありますが、多くの予防接種を担う小児科医は、人口10万人当たり全国平均99人に対し本県では88人となっており、小児科医が不在の市町村もあるなど、地域的に偏在が見られる状況です。
また、近年、小児の肺炎球菌ワクチンや水痘ワクチンなどが定期予防接種に追加されたことにより、保護者の負担や市町村及び医療機関の業務量も増加しており、予防接種体制の充実が求められていると認識しております。
予防接種法上、定期の予防接種の実施主体は市町村であり、本県では、各市町村が郡市医師会等との連携のもとに、その体制を構築しています。
県では、平成13年度より予防接種センターを設置し、医師や市町村からの相談応需や医療従事者向けの研修等を実施するとともに、緊急時におけるワクチンの円滑な供給の確保及び連絡調整等を通じて、本県の予防接種医療機関体制の充実に努めてきました。また、広域接種体制の整備については、これまでも市町村に対して助言してきたところであり、一部の市町村においては、近隣市町村の医療機関での予防接種を可能とし、その手続の簡素化も図っておりますが、こうした広域的な対応については市町村によりばらつきがある状況です。
県といたしましては、今後も、市町村や県医師会等関係団体を通じて予防接種に係る課題の把握に努めながら、広域的な予防接種も含めて、より円滑な実施体制の構築が図られるよう支援してまいります。
次に、病児保育事業における県北・沿岸地区の状況についてでありますが、体調不良児型の病児保育事業の実施に当たっては看護師等の配置が要件とされており、その確保が必要であることなどから、市町村によっては拡充を図ることが困難な状況もあると理解しております。
子ども・子育て支援新制度において、体調不良児対応型については、議員御指摘のとおり、今年度から補助単価が改善されたことや、看護師等の配置基準が2名以上から1名以上へ緩和されたこと、また、保育所に加え認定こども園等が実施施設として拡大されたことなどから、平成26年度と比べ全体で6カ所の増となる見込みであり、そのうち県北・沿岸地区では1カ所の増となっています。
次に、病児保育事業実施施設の今後の設置見通しについてでありますが、今年度の実施施設は、病児対応型が7市町10カ所、病後児対応型が8市町11カ所、体調不良児対応型が10市町33カ所で、合計すると、県内市町村の約6割に当たる20市町の54カ所で実施されており、前年度と比べ3市町10カ所の増となっています。
今後の見通しについては、平成31年度までに約7割に当たる23市町において実施を計画しており、中には、今年度4カ所増とするなど積極的に取り組んでいる市もあります。
なお、市町村によっては、子ども・子育て支援事業計画において、病児保育事業の今後の見込み数を利用人数で見込んでいるところもあり、県全体の実施施設の見込み数は把握していないものであります。
県といたしましては、市町村が、子ども・子育て支援事業計画に基づき地域のニーズに対応した病児保育事業を実施できるよう、引き続き、必要な情報提供や財政支援を行ってまいります。
次に、子育て環境整備における県の役割についてでありますが、市町村においては、子ども・子育て支援新制度の実施主体として、保育所や学校関係者、児童委員など地域で子育て支援にかかわる方から構成される子ども・子育て会議の意見を踏まえながら、5年を計画期間とした市町村子ども・子育て支援事業計画を策定しているところです。この計画に基づく施策の実施状況については、毎年度、子ども・子育て会議などにおいて、その内容について点検、評価し、その結果を公表するとともに、その後の施策に反映することとされております。
県といたしましても、こうした市町村の点検、評価の結果を踏まえながら、未実施市町村に対する取り組み事例の情報提供や広域調整が困難なケースへの助言を行うなどにより、市町村が地域の子育て家庭のニーズに応え、病児保育事業を初めとした新制度の効果的な展開が図られるよう、市町村の取り組みを支援してまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、新規就農者への支援状況についてでありますが、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図ることを目的に、平成24年度に創設された青年就農給付金は年々受給者が増加してきておりまして、平成26年度までの3年間で、就農前の研修に専念できるよう支援する準備型が延べ114名、就農後の最大5年間を支援する経営開始型が延べ659名、合わせて773名に対し約9億8、000万円を支給しております。また、新規就農者への支援につきましては、確保対策として、県内外における就農相談会の開催や短期受け入れ研修の実施、研修受け入れ先のあっせんなどに取り組むとともに、育成対策として、生産技術の習得や、機械、施設の導入、販売戦略を含めた経営計画の作成などへの支援に取り組んでいるところであります。
今後とも、引き続き、新規就農者が早期に安定した所得を確保し、地域の担い手として定着できるよう支援してまいります。
次に、農業改良普及センターの取り組み状況についてでありますが、本県農業の持続的な発展を図るためには、地域農業を支え、産地の核となる経営体の育成が重要であります。
このため、農業改良普及センターでは、意欲ある経営体に対し、経営の規模拡大や多角化、法人化等を内容とする経営ビジョンの策定や、その実現に向けた農地集積や農業機械、施設の整備、財務、労務管理能力の習得等を支援しております。また、農産加工など新たなビジネス展開については、県が設置している食のプロフェッショナルチーム等のアドバイザーと連携し、商品開発、販路開拓等を支援するなど、雇用就農の確保にもつながる経営体の育成に取り組んでおります。
今後とも、各分野の専門家と連携しながら、意欲ある経営体の経営発展を支援してまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 国際定期便運航による効果についてでありますが、定期便化が実現すれば、台湾人観光客の誘客が促進されるとともに古くからつながりのある本県と台湾との経済、文化、人的交流などが促進され、地域経済の活性化が大いに期待されます。また、アジア有数のハブ空港である台湾桃園国際空港を経由して東アジアを初めとする世界各地域を結ぶ多様な路線が確保されることから、本県の国際化の推進にも資するものと考えています。
この定期便化による本県への経済波及効果については、昨年9月に一般財団法人岩手経済研究所が行った試算によりますと、年間約3億7、300万円と見込まれています。また、県では、海外に進出しようとする企業への支援を行っているところであり、定期便化により県内企業の台湾への事業展開がさらに拡大することも期待されるところです。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、欧米諸国に対する海外観光戦略についてでありますが、本県の外国人観光客は台湾を初めアジアからの入り込みが約8割を占めていますが、今後さらなる拡大を図るためには、欧米を初め他の国々からの誘客も重要と認識しています。
このことから、ヨーロッパにおいてはコルマール旅行博やミラノ万博、さらにはミラノ酒フェスティバルに出展し、本県の観光を積極的にPRするとともに、アメリカについては、東京都と連携し、アメリカのメディアを招待するなど、大都会東京と平泉などの本県の特色ある観光地の組み合わせによるプロモーションを展開しているところです。また、欧米からの観光客は個人旅行が多いという特徴を踏まえ、個人でも快適に移動、宿泊ができるよう、無料公衆無線LANや多言語表示、海外カード決済など、宿泊、観光施設の受け入れ態勢の整備を支援しているところです。
今後においても、ラグビーワールドカップや東京オリンピック、パラリンピックの開催も視野に入れ、プロモーション活動と受け入れ態勢の両面で充実を図り、欧米からの誘客拡大に一層取り組んでまいります。
次に、DIOジャパンについてでありますが、DIOジャパン緊急雇用創出事業については、先般、会計検査院及び厚生労働省から調査結果の公表があったところです。
県では、会計検査院に対して、関係市町と連携して事業対象経費の考え方等について説明を行い、返還となった場合には多額の財政負担となる可能性がありましたいわゆる1年リースについて本県の考え方が認められましたが、一部において対象経費と認められなかったものもあったところです。
このため、県では、厚生労働省との間で、不適正な支出とされた事項についての厚生労働省の考えを改めて確認するとともに、受託者であるDIOジャパン関連コールセンターから立地市町が債権回収できない状況となっていることを受けた対応方法について協議を行ったところです。
現在、その協議結果について、関係市町との共有を進めるとともに、今後の対応について、現在、関係市町において検討がなされているところであり、関係市町の意向等を確認しながら、県としての対応について検討を進めていきたいと考えております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 小学校英語の教科化に向けた教員研修についてでありますが、県教育委員会におきましては、学習指導要領の改訂により、小学校5、6年生に外国語活動が導入された平成23年度に向け、数年間をかけて国際理解活動や教育事務所単位での全校を対象とした悉皆研修などを進めてまいりましたが、現在は、総合教育センターで行う初任者研修などの基本研修や地区ごとの研修、公開授業の実施等を通じて小学校教員の英語の指導力向上に取り組んできております。
本年度からは、次期学習指導要領における小学校への英語科の導入を視野に、4年間の新たな研修計画に基づく取り組みを初め、前半の2年間は現在の外国語活動の指導の充実を図る研修を、後半の2年間は外国語活動を踏まえた英語科の指導を学ぶ研修などを通じて、さらなる指導力の向上を図ることとしているところであります。
今後におきましては、議員御提言の趣旨をも踏まえ、これまでのキャリアで培った教員一人一人の持つ能力やALTの一層の活用という視点も含め、教員の英語指導技術の向上に努めてまいります。
次に、英語教育の小・中・高の接続についてでありますが、県教育委員会におきましては、これまで、小学校と中学校、中学校と高校の連携を本県英語科指導の重点に掲げ、指導主事の学校訪問指導を行うとともに、小中合同、中高合同の研修会を開催し、お互いの授業を見て学び合うなど、小・中・高の連携強化に努めてまいりました。
また、平成26年度からは、紫波町内の学校を研究モデル校に指定し、先行的に小・中・高の接続を重視した指導のあり方を研究し、一貫した学習到達目標の設定や、小学校の学習内容を生かした中学校での授業、中学校の学習定着を踏まえた高等学校での授業のあり方など、各校種間の効果的な接続を図る指導改善に取り組んできておりますが、今後におきましては、その成果などをも普及させ、英語教育の充実を進めていきたいと考えております。
次に、英語教育の今後の取り組み方針についてありますが、今後におきましては、これまで本県で取り組んできた英語の学習到達目標を明らかにするCAN-DOリストの活用や、学校訪問指導などを通じて明らかになった成果、課題などを踏まえ、本年度中に本県における英語教育改善プランを策定するとともに、諸調査の結果を踏まえた課題の克服に向け、PDCAサイクルを生かした指導改善研修会の実施などを通じて、英語教育の充実と教員の指導力の向上に努めてまいります。
次に、高校再編にかかわる地域検討会議等についてでありますが、本年5月から11月下旬まで、県内9ブロックでの地域検討会議と意見交換会に加え、地域からの要望を受けての出前説明会を合わせて53回開催し、延べ1、000人を超える皆様の御出席をいただき、地域の皆様からの意見を丁寧に伺ってきたところです。
そうした意見交換の中で、主に、地域における高校の存在は非常に大きく、小規模校を含めた地域の高校の存続が必要であるというような意見や、地域と連携した魅力ある学校づくりが重要である、県全体の生徒数が大きく減少してきている中で一定の統合はやむを得ないが、その場合でもブロック内での生徒の選択肢を確保してほしいといったような多くの御意見をいただいてきております。
県教育委員会といたしましては、さまざまな御意見をいただいた中で、高校の存続についてより多くの意見があったことを重く受けとめており、一定の学校規模を確保することにより教育の質を保証することは重要な視点ですが、一方、教育の機会の保障の観点もまた大事であると考えており、このような考えを重視することを柱に再編計画案の策定に取り組んでおります。
再編計画の方向性についてでありますが、新たな高等学校再編計画案の策定に向けては、地域と連携した魅力ある学校づくりや、生徒数の減少に対応するための望ましい学校規模の確保と適切な配置、広大な県土等の地理的条件を考慮した教育の機会の保障等を計画の方向性として検討しており、生徒にとってよりよい教育環境を整備していくことで、次代を担う自立した社会人としての資質を有する人材の育成、ふるさとを守っていく人材の育成を目指してまいります。
今般の高校再編に当たりましては、これまでいただいた御意見等にも十分配慮する必要があると考えており、近隣高校への通学が極端に困難な地域の高校などについては、特例として、1学級であっても一定の生徒数を維持できる限りは存続させていくことも含め、全県において教育の機会が保障されるよう、高校の配置やそのあり方について、現在、具体的な検討を進めております。
次に、希望郷いわて元気・体力アップ60運動の取り組みについてでありますが、児童生徒の運動時間については、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を見ますと、全国と同様に、運動の習慣が定着している児童生徒と、そうでない児童生徒の二極化傾向が明らかとなっておりますので、児童生徒の運動習慣の改善を図るため、学校、家庭、地域における運動環境の整備が求められていると考えております。
このため、本年度新たに運動時間の目安を1日60分以上とする希望郷いわて元気・体力アップ60運動を展開し、各学校へのポスターの配付や県政広報紙、県政テレビ番組を活用した周知活動を実施してきております。また、小学校の全児童に取り組み状況を記録するチャレンジカードを配付し、児童の運動意欲を喚起するとともに、この運動の趣旨について、家庭や地域に対しても理解の促進を図ってきております。
各学校では、体力調査の結果を保護者に配付し、保護者との情報共有を図るとともに、徒歩通学の奨励や生徒会活動、長期休業を活用した取り組みなど、学校の実情に応じたさまざまな取り組みが実施されてきております。
今後におきましても、これらの学校の取り組みがさらに推進されるよう、家庭や地域と連携し、運動を進めてまいります。
次に、プロスポーツと連携した取り組みについてでありますが、現在、本県のプロスポーツチームである岩手ビッグブルズとグルージャ盛岡においては、スポーツ少年団や中学校の運動部を対象に、選手やチームスタッフによるクリニックと技術指導を行っているほか、県内の小学校でスポーツ教室を実施し、子供たちにスポーツの楽しさや運動に興味を持たせる活動を進めていただいております。また、岩手ビッグブルズに所属するアスレチックトレーナーによる指導者を対象としたコンディショニング指導やトレーニング指導、テーピング講習等も実施されており、スポーツ選手の体力向上、傷害予防等に資する取り組みが行われております。
このようなプロスポーツチームによる取り組みは、プロスポーツ選手との交流を通じて、子供たちに将来への夢と希望を与えるとともに指導者の資質向上に貢献し、本県のスポーツ振興に貢献していただいているものと考えております。
今後におきましても、各チームが実施する講習会等の回数や参加者数が拡大し、さまざまな取り組みの活性化につながるようチームや競技団体等と連携を深め、生涯にわたり役立つ体づくりの推進にもつなげてまいりたいと考えております。
〇4番(ハクセル美穂子君) 再質問をしたいと思います。
中小企業における子育て支援に関してですが、これまでも、20人以下の企業に対しての支援という部分について考えてきたというようなことで、いろいろやっていらっしゃるという答弁をいただいたのですけれども、子育てにやさしい企業の認定も、認定される数をただふやしていくだけではなくて、認定されるその企業にとってのメリット、企業側から考えたときのそういう部分の支援がちょっと足りないような気がしておりますが、今後、子育てにやさしい企業認定された企業に対しての県独自の支援とか、そういったものは考えていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
それから、農産物の輸出拡大についてですが、ミラノ博に行かれたりとか、いろいろものづくりのほうとも連携しているんですけれども、具体的な調査分析というのが今まだ少ないような感じがします。
例えば、岩手県では輸出額が6億円ということですけれども、青森県ではもう既にリンゴが109億円超輸出されているという状況もありますし、そういう取り組みの中には、例えば、日本では大玉が売れるけれども小玉は売れない。その小玉が実はイギリスでは高値で売れるとか、そういった市場調査なども進めてやっていらっしゃる。そういうところについては岩手県では何か取り組みをやっていらっしゃるのか、その部分についてお聞きしたいと思います。
高校再編についてですけれども、私の最初の質問にもありましたが、兵庫県の舞子高校というところは偏差値が47ぐらいで、灘高校のように超優秀な生徒が来るというようなところではなく、普通のごく一般的な子供が通う高校で、その高校生活の中で、自衛隊とかレスキュー隊の方とか、実際に現場で働いていらっしゃる方と会うような授業を通して地域を担う子供たちを育てるというような取り組みをしています。
都市周辺部の高校に関しても、岩手県では、そういった取り組みも加味しながら、数だけの再編ではなく、どういうふうに子供たちを育てていくのかという観点をもうちょっと県として表に出した高校再編をやっていただきたいと思うんですが、その点についてもう一度教育長にお伺いしたいと思います。
最後に、DIOジャパンですが、私の調査によりますと、今月初めに、県が事業実施市町に対して、会計検査院が不適当な支出と指摘した額を県の基金に積み戻してほしいという旨の話をされたと聞いていますが、それが事実かどうかお聞きしたいと思います。
それから、去年12月の決算特別委員会において当時の担当部長からは、しっかりと自覚を持った上で、市町に返還というような問題が生じないような方策について検討を進めてまいりたいと思っているという答弁をされました。事業実施市町はその答弁を信じてこれまで対応に追われてきたんですけれども、今回の県の対応は市町の思いを踏みにじるもので、県の責任を追及してきた私たち議会としても納得がいくものではないというような声もあります。そのことについて知事の所感をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県から市町に対して伝えた内容については、部長のほうから正確に、厚生労働省とのやりとりの内容を市町に伝えたということだと思いますので、私の後、正確に答弁させたいと思います。
額を減らすということにつきましては、先ほどの部長答弁にもありましたように、1年リース問題がアウトになれば非常に大きな額の返還を迫られたのですが、それについては返還しなくていいということになったということではあったんですけれども、厚生労働省のほうで県の主張を認めずに、返還が一部行われることになったということについては残念に思います。
〇保健福祉部長(佐々木信君) いわて子育てにやさしい企業の認証についてであります。
認証を受けた際のメリットとして、現在は、県の中小企業向けの融資制度、いわゆる県単融資制度において保証料率の引き下げの対象になること、それから、県が発注する特定の施策に係る物品納入や印刷物の製作業において契約の優先発注の対象となること、それから、職業安定所の求人登録票にこの旨を表示できることなどがあります。現在、多くの企業で人材確保に苦労している中にあって、人を集める一つの魅力になるものと考えております。
〇農林水産部長(小原敏文君) 輸出におけます市場調査の件でございますけれども、県では、まず輸出国のバイヤーを招聘しまして、その方からのニーズの把握、さらには、県の輸出コーディネーターやサポーター、このような人的ネットワークを使って現地のニーズを把握してございます。
先ほど例がございました、海外では小玉リンゴの需要があるということは、まさにそのとおりでございまして、ただ、その輸出の拡大に向けては、県内の生産側との調整がございます。国内の需給バランスとの調整をしながら、相手国のニーズに従った戦略というものを現在組み立てて輸出拡大に向けて取り組んでいるところでございます。
〇教育長(高橋嘉行君) 先ほど、兵庫県の舞子高校の事例について御紹介をいただきました。本県の小規模校などにおきましても、地域の人材を活用することについては、地域の産業界の皆様とか地域の生活者の皆様からいろいろなお話をお聞きしながらキャリア教育を推進してきているということもございますし、それから、特に小規模校等においては、進学を目指す子供たち、一方、就職を目指す子供たち、それから特別な支援を必要とする子供たちなど多様な子供たちが混在しておりまして、それに丁寧に対応するために小規模教育の推進等も行ってきております。
先ほど議員から御提案があった内容等も含めまして、今後とも学校教育の充実に向けて取り組んでいきたいというように考えております。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) 12月2日に開催いたしました県と関係市町との連絡会議の内容でございますが、まず、県のほうから厚生労働省との協議結果を御説明いたしました。
その主な内容でありますが、これは厚生労働省の見解を伝えたということでありますが、厚生労働省としては、所有権移転特約つきリース契約、USBこん包作業従事、他企業での研修等については、会計検査院との調整を図りながら、厚生労働省として全国的に統一した考え方で不適正と判断したものであり、調査結果が変わるものでないことをお伝えしました。また、立地市町が債権回収できない状況になっておりますが、国庫への返還に関して特別な扱いをすることはできないこと。これは、過去にも受託者が破産した事例はあったが、国の交付要綱、県の補助金交付規則、要領等に従って市町村が返還していること。DIOジャパン関連コールセンターの事案についても、委託事業の事業主体である市町村が返還すべきものと考えること。これが厚生労働省の見解でありますが、最後に、会計検査院から、不当な支出として指摘された経費については早期に基金に積み戻すことなどが示されたということをお伝えいたしました。
その上で、こういった状況を踏まえて、各市町におきまして、今後どのように対応されるのか検討していただきたいということをお願いしたところでございまして、特に返還を要請したという事実はございません。

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