平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
日本共産党を代表して、発議案第1号安全保障関連法案の廃案を求める意見書に対して、賛成討論を行います。
安倍政権が国会に提出した国際平和支援法及び平和安全法制整備法は、平和安全とは名ばかりであって、海外で戦争をする国づくりを進める戦争法案そのものであります。戦争法案には三つの問題があり、安全保障関連法案は、憲法に違反する法案であることは明らかであります。
第1に、海外派兵の恒久法の新設、周辺事態法改正によって、アメリカが、世界のどこであれ、アフガン戦争やイラク戦争のような戦争に乗り出した際に、自衛隊が、これまで行けなかった戦闘地域とされる場所まで行って、弾薬補給、武器の輸送などの軍事支援を行うことができるということであります。その結果、相手から攻撃され、殺し殺されることになります。
安倍総理自身も国会の中で、戦闘現場になる可能性はある、身を守るため、任務を遂行するために武器の使用はあり得ると認めました。自衛隊が、戦後初めて殺し殺される戦地に踏み込むことは明らかであります。
武力行使と一体でないから憲法違反ではないと主張されますが、後方支援とは日本独特の造語であって、国際的には兵たん活動であります。武力行使と一体であり、軍事攻撃の目標とされることは、国際的には常識であります。
第2に、PKO法改正では、国連が統括しない国際治安支援維持活動にも自衛隊を参加させ、形式上停戦合意がされているが、戦乱が続いている地域に、自衛隊を派兵して治安維持活動に取り組むことを可能にしていることであります。
これが可能となれば、アフガニスタンで展開した国際治安支援部隊、いわゆるISAFのような活動に自衛隊を参加させることが可能となります。ISAFは、米国主導の対テロ掃討作戦と混然一体となり3、500人が戦死いたしました。殺し殺される戦争に参加することになり、武力行使を禁じた憲法9条に反することは明らかであります。
第3に、武力攻撃事態法などの改正によって、日本がどこからも攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動して、米国の戦争に自衛隊が参加し、海外での武力行使を行うことができるのであります。
これまで歴代政権は、日本への侵略行為、いわゆる武力の行使があった場合に、必要最小限の自衛の措置として武力の行使ができる、これが歴代政権の憲法解釈であり、集団的自衛権そのものは認めてきませんでした。しかし、日本がどこからも攻撃をされていないにもかかわらず、集団的自衛権を発動して、地球の裏側まで行って活動する、これは憲法違反であることは明白であります。
与党、自公政権は、武力行使の新3要件は非常に厳格な要件で、自国防衛を大前提にした要件だとしております。しかし、新3要件、すなわち、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が覆される明白な危険、こうした曖昧な要件を満たすかどうかは、時の政権の裁量に任されており、無制限に広がる危険があります。
アメリカが先制攻撃を行った場合には、安倍総理は国会の中で、総合的、客観的に判断すると発動を否定していませんでした。国連に加盟してから今日まで、アメリカによる国際法上違法な侵略戦争であったベトナム戦争、アフガン戦争、またイラク戦争など、大義のない戦争に一度も反対してこなかったのが我が国であります。日本が、アメリカの要請で集団的自衛権を発動することは明らかではないでしょうか。
6月4日の憲法調査会では、自民党推薦の憲法学者が、従来の政府見解の基本的論理の枠内で説明がつかないなどと発言するなど、全ての憲法学者が違憲立法であることを表明いたしました。
また、6月22日の衆議院安全法制特別委員会の参考人質疑でも、元内閣法制局長官が、法案提出は法的安定性を大きく揺り動かすものと、違憲立法だという発言を行い、廃案を求めたのであります。
地方公聴会でも同じような趣旨の発言が行われるなど、違憲立法であることは明らかであり、この戦争法案は、憲法に基づく立憲主義に反することは明らかであります。
今、この戦争法案は、審議をすればするほど国民の反対の声が広がっています。世論調査でも法案反対が6割、政府の説明が不十分との声が8割にも達しています。中でも、戦争法案は違憲だとする回答は、6月末に発表された世論調査でも、共同通信56.7%、日経56%、産経57%と過半数を超えるなど、反対の声が広がっております。主権者は国民であり、国民の多数が反対することを数の力でごり押しするということは、国民主権に反するものであります。
自公政権は、戦後最長の会期を延長し、この国会での強行採決を狙っています。しかし、どんなに会期を延長しても、違憲であることには変わりありません。まかり間違って与党の皆さんが数の暴力でこれを通すなどということは、絶対あってはなりません。
憲法9条は、310万人に上る犠牲となったさきの戦争の反省の上につくられました。以来70年間、一人の戦死者もつくらなかった、この大きな力になっているのが憲法9条ではないでしょうか。
紛争地域などで活動する海外ボランティア団体の皆さんは、日本が戦争しない国として大きな信頼があるから活動できるんだ、こう言って戦争法案に反対しています。この枠組みを外してしまえば、世界の民衆の目は大きく変わっていくのではないでしょうか。若者が今、戦場で活動し、世界で活躍している日本人を含めて、日本全体がテロにおびえるような国にしてはなりません。
与党推進勢力の皆さんは、安全保障環境の激変に対応するために必要なんだとしていますけれども、具体的な立法事実が今までに示されておりません。北朝鮮や中国との問題でも、軍事的な対応が突出し過ぎて、外交戦略がありません。軍事的な圧力で他国を封じるというのではなくて、あらゆる紛争課題を平和的な話し合いで解決する、こうした理念を掲げて各国と条約を結んでいる東南アジア友好条約に学んで、この地域、北東アジアにも広げる、9条を持つ日本でこそこうした外交努力をすべきであります。
過去の戦争を間違った戦争とは言えない歴史観を持つ安倍総理、そして、戦争法を批判するマスコミに、懲らしめてやる、つぶせなどとメディアの報道の自由に対する乱暴きわまる暴言を繰り返す自民党の国会議員。こういう人たちに、日本を戦争ができる国につくり変える戦争法案を出す資格はありません。
戦争法案の違憲性や国民世論から見ても、戦争法案は廃案、撤回するしかありません。
以上の理由から、安全保障関連法案の廃案を求める意見書に賛成するものであります。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 以上で通告による討論は終わりました。
これをもって討論を終結いたします。
これより、発議案第1号安全保障関連法案の廃案を求める意見書を採決いたします。
本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(千葉伝君) 起立多数であります。よって、発議案第1号安全保障関連法案の廃案を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
日程第38 発議案第2号労働者派遣法等の改正による規制緩和を行わないことを求める意見書及び日程第39 発議案第3号計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書
〇議長(千葉伝君) 次に、日程第38、発議案第2号及び日程第39、発議案第3号を一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。高橋商工文教委員長。
〔商工文教委員長高橋元君登壇〕
〇商工文教委員長(高橋元君) 発議案第2号及び発議案第3号につきまして、商工文教委員会提案でありますので、委員長であります私から、提案理由の説明を行います。
まず、発議案第2号労働者派遣法等の改正による規制緩和を行わないことを求める意見書でありますが、本発議案は、今期定例会において、請願陳情受理番号第153号雇用の安定と均等待遇確保を求める請願、請願陳情受理番号第154号労働者派遣法改正案の廃案を求める請願及び請願陳情受理番号第155号労働者派遣法改悪に反対し、正規雇用を増やすことを求める請願が、商工文教委員会に付託され、採択と決定したことに伴い、意見書を提案するものであります。
その趣旨を御説明いたしますと、政府は、今通常国会で、過去二度の国会で廃案となった労働者派遣法等の改正案の成立を目指しており、平成27年6月19日に、この法案が衆議院を通過したところであります。
労働者派遣制度の世界的な基準は、派遣労働は臨時的・一時的業務に限るとともに、同一労働・同一賃金の均等待遇とすべきというものでありますが、今回の労働者派遣法改正案は、政令で定める26業務を除き、原則1年、最長3年という派遣の期間制限を設けている現行法を改め、同一の派遣先が派遣期間3年を超える派遣労働者を受け入れることが可能となる制度を新たに設けるほか、派遣先の事業所による派遣労働者に対する雇用契約の申し込み義務を廃止するものであるため、雇用が不安定で低賃金の派遣労働者のさらなる増加や、派遣労働者が正規雇用を望んでも、いつまでも派遣労働者のままに置かれること等が危惧されます。
また、労働基準法等の改正案は、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする高度プロフェッショナル制度の導入や裁量労働制の拡大を図ろうとするものであり、過重労働に起因する過労死が社会問題となっている中、労働時間等の規定が適用されないこととなる労働者の過重労働が懸念されます。
以上のことから、本意見書案においては、労働者派遣法、労働基準法等の改正による労働者派遣制度や一部の労働者を労働時間規制の適用除外とするなどの規制緩和は行わず、廃案とすることなど、3項目の実現を国に要望しようとするものであります。
次に、発議案第3号計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書でありますが、本発議案は、今期定例会において、請願陳情受理番号第156号少人数学級の推進などの定数改善と義務教育費国庫負担制度2分の1復元を図るための請願が、商工文教委員会に付託され、採択と決定したことに伴い、意見書を提案するものであります。
その趣旨を御説明いたしますと、日本は、他のOECD加盟国に比べて、1学級当たりの児童生徒数や教員1人当たりの児童生徒数が多くなっておりますが、教職員定数改善計画の期間終了後9年もの間、国の教職員定数改善計画が策定されない状況が続いております。
このため、子供を取り巻く諸課題の解決に向け、自治体が見通しを持って安定的に教職員を配置し、少人数教育の推進など一人一人の子供たちへのきめ細かな対応や、学びの質を高める教育環境を実現できるよう、国庫負担に裏づけされた計画的な教職員定数改善が必要であります。
また、子供たちが全国どこに住んでいても、均等に一定水準の教育を受けられることが憲法の精神でありますが、教育予算については、三位一体改革により、義務教育費国庫負担制度の国負担割合が2分の1から3分の1に引き下げられ、自治体財政を圧迫していることなどから、その拡充が必要であります。
以上のことから、本意見書案においては、子供たちの教育環境改善のために、計画的な教職員定数改善を推進することなど、2項目の実現を国に要望しようとするものであります。
以上をもって提案理由の説明を終わります。議員各位の御理解と御賛同を賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております発議案第2号及び発議案第3号は、委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたします。
これより討論に入るのでありますが、討論の通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
これより、発議案第2号及び発議案第3号を一括して採決いたします。
各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(千葉伝君) 起立多数であります。よって、発議案第2号及び発議案第3号は、原案のとおり可決されました。
日程第40 発議案第4号東日本大震災津波の被災者の医療費窓口負担、介護保険サービス利用者負担等の免除の継続を求める意見書から日程第45 発議案第9号環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の交渉状況に関する情報開示を求める意見書まで
〇議長(千葉伝君) 次に、日程第40、発議案第4号から日程第45、発議案第9号までを一括議題といたします。
お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各交渉団体会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(千葉伝君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
これより、発議案第4号から発議案第9号までを一括して採決いたします。
各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(千葉伝君) 起立全員であります。よって、発議案第4号から発議案第9号までは、原案のとおり可決されました。
日程第46 議員派遣の件
〇議長(千葉伝君) 次に、日程第46、議員派遣の件を議題といたします。
〔参照〕
議事日程第5号中 日程第46 議員派遣の件の議員派遣一覧
派遣の目的 派遣場所 期 間 派遣議員
第71回三陸沿岸国道並びに鉄道完遂促進協議会 宮城県
石巻市
平成27年7月16日 岩 崎 友 一 議員
郷右近   浩 議員
場 内 愛 彦 議員
伊 藤 勢 至 議員
小 野   共 議員

〇議長(千葉伝君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました1件についてでありますが、会議規則第116条第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(千葉伝君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
議長のあいさつ
〇議長(千葉伝君) 今期定例会を閉じるに当たり、一言御挨拶申し上げます。
平成23年3月11日に発生し、多くのとうとい命と財産を奪った東日本大震災津波から間もなく4年4カ月が過ぎようとしております。
お亡くなりになられました方々と、その御家族、関係者に対しまして、改めまして衷心よりお悔やみを申し上げます。
また、いまだ応急仮設住宅で不自由な暮らしを余儀なくされている多くの方々を初め、被害を受けた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
そして、発災以来、国内外の皆様から多くの温かい御支援をいただいておりますことに、心より感謝申し上げます。
私ども議員一同は、平成23年9月に県民の皆様の信託を受けて岩手県議会に議席を得て以来、早くも4年の歳月が流れ、今ここに任期最後となる定例会を閉じようとしておりますことは、まことに感慨無量なるものがあります。
本県議会では、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けて、改選後、速やかに東日本大震災津波復興特別委員会を設置するなど、あらゆる機会を通じて、今後の復興の取り組みの方向性について議論を交わすとともに、暮らしの再建やなりわいの再生の現状について、積極的に現地調査に出向き、それらの結果を踏まえて県や国、県外の自治体に対し要請を重ねてまいりました。
特に任期後半では、ピークを迎える復興事業の着実な推進を図るため、県民の声を聞きながら、真に実感できる復興を目指して、議員一同、全力で取り組んでまいりましたところ、三陸鉄道の全線再開、県立高田高等学校の再建を初め、復興まちづくりは本格化の段階を迎えつつあります。
しかしながら、今なお2万5、000人を超える方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされるなど、震災の爪跡は余りにも深く、復興はいまだ途上と言わざるを得ません。
今後も引き続き、被災者の生活の再建と県土の復興に向け、県当局及び議会が全精力を挙げて取り組む必要があります。
この4年間を顧みますと、県民一丸となって震災からの復興に取り組んでまいりましたが、3年連続の決算不認定の要因となった花泉地域診療センターの民間移管問題や、緊急雇用創出事業をめぐる問題も相次ぎました。
他方、復興の先にある岩手の新たな未来像を描き実現するため、来年、完全国体として開催される希望郷いわて国体・希望郷いわて大会に向けた諸準備や、国際リニアコライダーの誘致実現に向け、県議会国際リニアコライダー建設実現議員連盟を設置するなどの取り組みを進めてまいりました。
さらには、関係各位の御尽力によりまして、本県では、平成23年の平泉の文化遺産に続き、7月5日に釜石市の橋野高炉跡を含む明治日本の産業革命遺産が、ユネスコ世界文化遺産に登録されることが決定したほか、ラグビーワールドカップ2019が釜石市で開催されることが決定し、多くの県民に誇りと勇気を与えていただきました。
また、県議会におきましては、地方議会の役割と責任の重要性が増す中、岩手県議会基本条例にのっとり、知事と議会が対等で切磋琢磨の関係にある二元代表制のもと、県民を代表する合議制の機関として、県民の負託に的確に応えるため、平成25年に岩手県口腔の健康づくり推進条例、平成26年に岩手県がん対策推進条例、平成27年に食と農林水産業の振興に関する条例の3件の政策的条例を制定するなど、議会の政策立案、政策提言活動を活発に行い、不断の議会改革に取り組んでまいりました。
ここに改めて、議員各位の御精励に対し、敬意を表するとともに、執行部の方々はもとより、県民の皆様方からの多くの御協力に対し、深く感謝を申し上げます。
今、地方をめぐる情勢は、人口減少問題、地域医療の確保、自然災害への対応など、依然として多くの課題が山積しております。
私どもは、県勢の発展と住民福祉の向上を願い、4年間にわたって熱い議論を交わしたこの議場に別れを告げようとしておりますが、これらの諸課題の解決と、潤いに満ちた豊かなふるさとの創造に向け、引き続き渾身の努力を傾注してまいりますことを、ここにともに誓い合いたいと思います。
終わりに臨み、今期をもって御勇退なされる議員各位におかれましては、今日までの本県の発展と住民福祉の向上のために御尽力賜りましたことに対し、深甚なる敬意を表し、心から厚く御礼を申し上げます。
また、来るべき選挙に重ねて立候補される議員各位におかれましては、どうかくれぐれも御自愛の上、御健闘され、再び本議場でお会いできますことを心から祈念申し上げます。
一昨年の9月定例会におきまして、不肖私が議長に選任されて以来、先輩正副議長の御指導と議員各位の格別の御鞭撻に支えられ、また、達増知事を初め執行部の皆様の御協力により、大宮副議長ともども議会運営の重責を果たさせていただきました。
地方議会の一代表として、このような充実した活動を行う機会を与えていただきましたことに対しまして、心から御礼申し上げます。
まことにありがとうございました。(拍手)
閉 会
〇議長(千葉伝君) これをもって本日の会議を閉じ、第20回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
午後3時52分 閉 会

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