平成27年6月定例会 第20回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(渡辺幸貫君) いわて県民クラブの渡辺幸貫であります。
9月を控え、何かと慌ただしい時期に質問の機会をいただきましてありがとうございます。
農業問題について伺います。
岩手の詩人、宮沢賢治と農業のかかわりは、皆さん知ってのとおり、花巻農学校の教師であったことは有名である。しかし、退職後は教え子や農家を集め羅須地人協会を設立、化学肥料の相談に乗ったり、チューリップなど観賞用の花の栽培を試みる。東磐井の石灰を戦前の農業団体である郡農会を初めとした農家に、土壌の酸性度の中和などを説いて歩いた。
岩手の大凶作とそれに伴う家族の離散、人さらいの様子が描かれた童話、グスコーブドリの伝記は、そのシリアスなレポートでもある。
岩手のたび重なる飢饉を目の当たりにした賢治の農法は、大量生産を前提にした化学農法であり、商品作物の実験栽培である。当時は肥やし中心の有機農法しかなかったが、そこからの脱却こそ農業の進歩であった。
世界の人口が70億人に達し、食料需要が急増する中、今はアメリカのモンサント、デュポン、スイスのシンジェンダ、ドイツのバイエルなどが農薬と種子を組み合わせた提案で、農家、穀物メジャーを囲い込む。確かに、農薬の懸念や遺伝子組み換え食料の不安は先進国では取り沙汰されている。しかし、数年前、ベトナム農業などを視察したが、農産物価格の低い後進国は、どんな農薬でも許可されている。しかし、経済団体や政府は、日本の食料は高過ぎると指摘。TPPで譲歩し、岩盤規制の破壊とか言って全中を初めとした農業団体を壊し、農家の有機農法、直接販売、6次産業化など脱農協を指導している。
知事に、諸外国の大量生産との競争と、コスト高、人手のかかる有機栽培奨励の風潮など、足腰の強い農業とは何なのか。過去を振り返り、総体的に捉えて、水田における土地利用型農業の現状と将来について伺いたい。
次に、国は、米偏重農政と批判される中、国家目標の自給率、すなわち、現状の食料消費の自給のシェアの率に加え、輸入が途絶えたときに、国内の農地をフルに使ってどれだけ食料の供給できるかの自給力を新たに公表した。
稲作を守ろうとすれば、えさ米の助成制度が必要となる。野菜や花のように市場性があり、収益性の高い作物を今まで以上につくり、農業の強い部分を伸ばして耕作放棄地を縮小し、単位面積当たりの収量を上げる。農地を有効活用し多様な作物を育てれば、食生活の栄養バランスもよくなる効果も見込めるし、いざというとき、穀物に転換すれば自給力を保てる。借金漬け農業から脱却できると言えます。
園芸技術の習得は難しいし、野菜はスーパーで価格的に最も買いたたかれやすい。言いかえれば不安定で、花は大量輸入に脅かされている。農業の現実を国はいかに把握していないかの証左だと怒りさえ覚える。ただでさえ、高齢化や耕作放棄地で機能せず、混迷する農地中間管理機構の農地移動の現状、財政の不安、TPPの大波の中で、知事は自給力という指標をどう見ているか伺いたい。
次に、国の規制改革会議は、農地中間管理機構による農地の集積、集約化を推進するため、遊休農地等にかかわる課税の強化、軽減について答申した。これは、遊休農地等は、遠隔地などに住む人が相続等で取得し、他用途の宅地や商業地への転用を待っているとの認識のもとに打ち出したものではないか。しかしながら、今回の規制改革会議の答申は、遊休農地等というものの実態を正しく捉えていないのではないか。国が狙いとする農地中間管理事業の推進にはつながらないのではないかと考えるが、県の認識を問う。
次に、総合農協の経営状況と農協の改革について伺います。
農協法改正案が4月3日、国会に提出され、5月14日から審議入りし、9月までの今国会で成立する見通しとのことである。法案の概要は、最近における農業をめぐる諸情勢の変化等に対応して、農業の成長産業化を図るため、農協等についてその目的の明確化、事業の執行体制の強化、株式会社等への組織変更を可能とする規定の整備などである。
現在、地方消滅という大変ショッキングな言葉が大きな注目を浴びている。人口減少は加速しながら、特に地方の中山間地域で深刻さを増している。
安倍首相は、今国会の施政方針演説において、農業は、日本の美しいふるさとを守ってきた、国の基であると宣言。その部分は全く同感であり、本県においても、まさしく農業は基であり、最重要産業である。その一方で、国は、今回の農協改革の中で、准組合員の利用規制のあり方についても見直しの必要があるとして、5年間を使って利用実態等の調査を行った上で決定するとしている。
農協の准組合員の割合は、全国では半分を超えて55%程度、本県では、半分には届いていないものの44%程度となっており、准組合員が増加している状況にある。もし、准組合員の利用規制が行われれば農協の弱体化は確実である。存続できない農協も出てくることでしょう。農協は、ガソリンスタンドや老人福祉施設の運営など、地域を支える社会インフラを担っている。一体、誰が農協にかわって、それも採算ベースに乗りにくい地域でのサービス提供をすることになるのでしょうか。自治体が、税収が減少する中で対応できるのでしょうか。
国の改革は、農業者が大規模化することで農業の産業化が図られればそれで構わない。そのためであれば、農協はなくなっても構わないと言わんばかりの内容となっている。農協組合員の高齢者化、離農が進めば、農家でない後継者は組合員脱退と直結しかねない。組合員出資の資本金は大量返還が強いられます。後継者を放棄した人は、中山間維持などの共同作業には加わらない。大規模な農業者だけで、農業、農村を支えられますか。
国は、地方創生を掲げているが、准組合員による取引規制や信用、共済事業の分離を行おうとする農協改革は農協の弱体化であり、農山村地域における生活基盤の弱体化政策以外の何物でもない。改革によって本県がどうなっていくのか、大変心配であります。
そこで伺いますが、農協の指導監督を行っている県では、県内総合農協の経営状況をどのように分析しているのか、お答えいただきたい。また、農山村地域を弱体化させるような国の農協改革に対して、県はどのような考えでどう対応していくのか伺います。
次に、政府が骨太の方針として、2020年に国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標の達成に向け、際限なく進める社会保障改革と地方財政について伺います。
財政健全化に向け鍵となる医療費は、2013年度の概算医療費は、厚生労働省発表で、前年度2.2%増の39兆3、000億円で、国民所得に対する比率は1割を超えている。75歳以上は年92万7、000円で、74歳以下の4倍、今後高齢者の増加に伴い際限なくふえていく。これは、抗がん剤などの新薬、新型医療器械や手術がふえるなど、医療技術の高度化も影響している。また、都道府県別の医療費に関する厚生労働省の分析では、1人当たり医療費が最も高い高知県と最も低い千葉県では、約1.6倍の差がある。
先日、団塊の世代が全員後期高齢者になる10年後、全国の病床数1割削減と発表された。我が岩手県は、人口減で約3割の削減と報じられた。高齢者の人口がふえているのに病床減とは、岩手の戦後生まれとして、なぜかと叫びたい。
医療費の半分近くは入院費用で、病院のベッド数が西日本で多いことが原因でもある。もともと西日本は大学の医学部が早くから設けられ、医師や医療機関も多い。つまり、軽い症状でも入院治療を進めやすくなっている。ろくに歩けないのに、退院を余儀なくされる我が県の病院とは大違いだ。
そこで、国の方針として、公立、民間の病院経営参入は規制されており、今後は西日本を中心に、医療費が過大な自治体にはベッド数削減を進めるべきだ。
そこで、ふえ続ける高齢者に、東日本のベッド数増加でバランスをとるべきではないでしょうか。個人医院での病棟廃止、我が県立病院でも採算上から病棟廃止するようでは、高齢者はますます不安である。また、我が国は7割が個人病院で、公立病院のほうが廃止しやすいのではないか。この国の動向を県はどう考えておられるか伺いたい。
後期高齢者の1人当たり医療費で最も多いのは福岡県で、全国で2番目に少ない我が岩手県との差は1.6倍だ。岩手は過剰な医療が行われていないと見るべきなのか、医療資源の貧困なのか、あわせて伺います。
厚生労働省の都道府県別生命表によると、本県の平成22年の平均寿命は、男性78.53歳、女性は85.86歳だが、健康寿命は、健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究によると、男性は69.43歳、女性は73.25歳となっている。
昨年3月に策定された第2次健康いわて21プランには、健康寿命の延伸が目標として掲げられているが、そもそも健康寿命とはどのようなもので、延伸することでどのような効果があるのか。健康で長寿であれば、医療費や介護費が抑えられるという考え方もあるようだが、県としての考えを伺う。
次に、介護保険は高齢者急増で財政が厳しくなり、4月から特別養護老人ホームの新規入所者は、原則、要介護3以上の重度者に限定されている。介護度の低い人は在宅でケアを受ける方向だが、安心して在宅介護や看護が得られる体制、つまり、24時間体制はできているのか。特に在宅介護は、新たに医療を受けたい患者がふえても、肝心の事業者参入は、訪問看護ステーションを開業したい看護師がいても、安全を理由に医療提供者の反対があったりで進まず、また、ITが発達しても、自宅での遠隔医療が普及しなかったりである。患者の利便性と安全性は二者択一でなく、時代が変われば患者の需要も変わる。現実を直視してほしい。訪問看護事業所がない自治体も多い。在宅看護の確保について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
病気を抱えながらも、人生の最期の時期を住みなれた自宅で穏やかに過ごしたいのは切実な願いだ。そのためには、近所のかかりつけ医や介護スタッフ、住民ボランティアなどが支える形、つまり、地域包括ケアとそれを担う在宅医療などの体制が全国の自治体に求められているが、県はこの地域包括ケアの推進について、今後どう取り組んでいくのか伺いたい。
厚生労働省が示した新オレンジプランでは、今後、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症となると推計しているが、年々ふえる認知症高齢者をケアする体制はいかがか。このようなケア体制の整備のおくれが、本県の自殺死亡率全国一の要因の一つになっているとも考えられるが、今後、認知症対策にどのように取り組んでいくのか伺いたい。
また、自宅で最期を迎えることをほとんどの高齢者が望むとすれば、胃ろうに代表される過剰な治療や投薬をやめ、穏やかな平穏死の選択も真剣に考えるべきだ。いわゆる医療のとことん直すのか、まあまあ型でいくのか。自殺死亡率一番だからこそ、安心して高齢期を過ごすことができる持続可能な医療を実現するため、人生の最終段階における医療の提供体制をどのように整備していくのか伺いたい。
病院の統廃合、医療の高次化の中で、住民にも、地域の集会所などでの薬の飲み方、脱水症状の対処など、かかりつけ医の大切さ、大病院のかかり方など、県民に啓発していくことも必要と思うが、さらに国が進める医療の場を病院から在宅へシフトさせようとしていく中で、かねて県議会議員の皆さんから指摘のある総合診療医の育成までの県の考えと対処を伺いたい。
また、政府は、ことしから、地方消費税の配分方法を、地域ごとの小売販売額の従事者数などに応じた配分から医療費や人口に重点を置いた分け方に変え、医療、介護支出の多い西日本の取り分がふえるという。取り分が減った県には、国からの地方交付税交付金を上乗せするが、完全には補えないと聞く。我が県は10億円のマイナスであり、医療費抑制に貢献している県の配分が減る今回の配分方法では納得がいかないが、どう考えるか伺いたい。
次に、国民健康保険の財政運営を、国は、2018年から市町村から都道府県に移す意向だ。会社員やその家族が加入する健康保険に比べ、国保の加入者の所得並びに納付率は低く、保険料収入が伸びない。一方で、医療の高度化や高齢化の進展等により保険給付費が増加しており、構造的に国保財政は厳しい。市町村という小さな単位で運営していては破綻してしまう。都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保など、国保運営の中心的な役割を担うこととされているが、国保制度の改革に向けた県の対応について伺う。
昨年成立した医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県が地域医療構想をつくるようになることの意義は大きい。先ほど申し上げた人口減と高齢者の現実、言い直せば、高齢化など人口構造の変化等に伴い、課題の多い本県では、医療提供体制をどう構築していくのか。地域医療構想の策定とその実現に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
また、増田寛也氏が座長を務める日本創成会議が示した東京圏高齢化危機回避戦略に関して伺います。
日本創成会議は、東京圏の高齢者の地方への移住を提案しているが、地方の自治体は高齢者の流入を歓迎しない。例えば、自治体は、介護保険事業の計画で新たな介護施設を設けることには消極的だ。高齢者が大都会から移住すれば、地元に税金を払ってくれないのに、介護保険や国民健康保険などの社会保険に関して地元はその分負担をしなければならないので、正直、迷惑ではないだろうか。さらに言えば、国民健康保険では、国や県は一定割合しか負担してくれない。残りは保険料プラス地元の負担で賄われる。したがって、医療サービスが必要な高齢者がふえれば、地元負担は多くなる。同様の問題を介護保険も抱えている。加えて、高齢者サービス関連産業の雇用者は不足している。私なりに考えると、最大の理由は、地方では、今、職があっても将来なくなる可能性も高いからだ。地方に住む高齢者たちは、遅かれ早かれ亡くなってしまう。そのときには、高齢者サービスの需要は激減する。若者はそのような土地に移住、定住しようとは考えない。
日本創成会議は、東京圏の高齢化問題への対応として、高齢者の地方への移住促進を提案し、国及び地方自治体は、こうした地方移住の希望が実現するように積極的に取り組むべきだとしているが、県として、地方創生を推進する上で、地方が目指すべき姿をどのように考えているのか伺いたい。
次に、国際リニアコライダーについて伺います。
国においては、平成26年5月に、ILCに関する有識者会議を設置して検討を進めており、平成29年度には誘致表明がなされる可能性があり、ILC建設に伴う研究施設の周辺整備について、具体的に調査、検討する時期に来ているのではないでしょうか。周辺整備に当たり、特に重要なのは住環境である。外国人研究者らに居住してもらうには、日本にある住宅をそのまま提供するのではなく、外国の居住実態やノウハウを学び、外国人研究者らの価値観に合致した住環境を整備することである。岩手に外国人研究者とその家族が住み、地元の経済活性化につなげることができなければ、ILCは地元にとって絵に描いた餅でしかない。
住宅や道路などの周辺整備には、最低限どのような施設が必要で、全体費用はどの程度になるのか。また、県や市町村の負担はどのくらいになり、必要な費用をどのように準備するのか等、しっかり検討しなくてはならない。ILCの建設は国が行うとしても、他県の研究施設を見ると、周辺整備については地元負担が生じる。ILCの誘致を希望するのであれば、地元負担を含めて責任を持って対応しなければならない。研究施設周辺の具体的な整備について、県は今後どのように調査、検討していくのか伺います。
次に、空き家対策について伺います。
空き家対策特別措置法は、ことし5月26日から全面施行され、そのまま放置すれば倒壊のおそれがあり、保安上危険となる場合や著しく景観を損なうなどの空き家を市町村が指定し、所有者に除去、修繕指導し、命令に従わない場合は行政代執行による強制的な撤去をすることができることとなった。さらに、同法に基づき、市町村から勧告を受けた住宅が建つ土地の固定資産税は、更地の6分の1に抑える優遇措置もなくなった。
総務省の住宅・土地統計調査によれば、2013年10月時点で全国の空き家は820万戸で、住宅総数の13.5%である。野村総合研究所によれば、2023年には、21%に上昇すると予測している。岩手はどうか。
空き家は外部不経済を伴うと表現するそうだが、犯罪の温床である放火、侵入雑草や植木の繁茂、害虫や害獣の繁殖、道路への倒壊の危険など、巨大ないわばごみである。我が県の場合は、盛岡の中心部等の一部を除けば持ち主は遠くに住む場合が多い。税額が更地と同じになったところで、撤去には費用がかかり放置されるままで、応じてもらえる確率は低くなるのではないか。空き家バンクの施策を通じて減らすと言ったところで、日本の人口が急減する中では、全て措置することは不可能である。
秋田県の大仙市では、13棟の代執行に踏み切ったが、撤去補助金1、400万円のほか、持ち主負担620万円の撤去費用も回収できないそうだ。しかし、空き家が目立つ地区には誰も住みたくない。空き家対策は避けて通れない。県内市町村の取り組みと県の対応をお尋ねします。
あわせて、人口減少に伴う市街地縮減の予測の中で、市街地の空き家を生かしたコンパクトシティーの考えや、民間で一部行われている専門家の見地から、中古住宅の劣化状況等を評価するインスペクション―査定等の普及による中古住宅市場形成は、岩手でも取り入れられるよう指導する考えがあるかどうか伺います。
次に、教育問題について伺います。
財務省は、財政健全化目標を達成するため、歳出抑制の具体策を固めた。公立の小中学校の教職員を69万3、500人から、2024年度までに4万2、000人削減できると試算している。少子化で学級数が減る上、外部人材を活用すれば、現在の教育水準が維持できるとした。また、文部科学省が1956年に定めた小中学校を統廃合する基準は、小学校は1学年2から3学級、中学校は4から6学級を標準とし、通学範囲は、小学校で4キロメートル、中学校で6キロメートルを最高限度とすることが適当とする指針であった。
今回、この基準を厳格化して学校の統廃合を進めれば1割減るとの見方があり、さらに交通環境の変化は著しく、指針を見直して残すべき学校施設を選択すれば中長期的な財政支出を抑制でき、子供の数ほど減っていない教員の人件費の抑制効果もあるという。
背景として、小規模校ではクラスがえができず、人間関係が固定化する、学校行事や部活動に制約がある、教員が少なく指導技術の伝承が難しいなど、問題になっている事柄がある。
お尋ねします。小学校の1学年1学級及び中学校の1学年3学級以下の学校数と全体に占める割合はどうなっているのか。また、統廃合に対する財政支援策も拡充するそうだが、統廃合が進められたらどのような影響があるのか。もし、統廃合ができなかったら、財政支援も減額される不安はないのか。県や市町村は、今後、教員数と統廃合の問題をどう捉えて乗り越えていかれるか、お考えをお尋ねします。
あわせて、2019年度から全国の中学3年生全員に英語の聞く、話す、読む、書くの、4技能を測定する新学力テストを実施すると文部科学省は発表した。実施方法は2017年度に決めるそうだ。また、今年度末までに各都道府県に対し、英語力向上の独自策を求めるという。
さきの私の一般質問で、準1級以上の資格を持つ小中学校教員が極端に少なく驚いたが、2013年6月の閣議決定は、2016年度からは都道府県別に中高生の英検の級の取得状況を公表し、英検準2級から2級以上の割合を2017年度までに50%にする目標とした。さらに目標を上げるために、英語を教える小中高の教員に研修を行い、ALT―外国語指導助手の積極的な登用なども進めるとしているが、現状はどの程度で、どのように克服するおつもりなのか、教育長にお尋ねします。
年をとれば桃源郷が浮かぶ。約1600年前の中国の詩人、陶淵明の描いた理想郷の物語です。
漁師が渓流を船で行くと桃の花が咲く林があって、その先の山の麓の洞窟をくぐると、光あふれる平和でのどかな農村があり、穏やかな人々の息づかいが感じられ、静かに時のとまったような光景にふるさとを重ね安堵する。桃は邪気を払うとされ、不老長寿の植物と親しまれてきた。私たち岩手県人は、桃源郷になり得る土地に住みながら、安らかさから遠ざかる気がしてならない。
お答えによっては再質問するつもりでございますが、以上で御質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 本日の会議時間は議事の都合により、あらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 渡辺幸貫議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、土地利用型農業の現状と将来についてでありますが、米や麦、大豆等の土地利用型農業は、食料供給基地の役割を担う本県農業の大きな柱であり、水田を有効に活用し、農業者の所得を確保するため、これまで、良食味、高品質生産に向けた技術の開発、普及や、農地の利用集積等による経営規模拡大などに取り組み、その振興を図ってきたところであります。その結果、米では、県南のひとめぼれが特Aの食味評価を20回獲得し、1等米比率が毎年全国上位に位置しており、麦、大豆では、大規模な経営体や集落営農組織が全国の共励会等で上位入賞するなど、すぐれた経営事例も出てきております。
一方で、中山間地域等の条件不利地が多く、基盤整備もおくれていることから、生産コストが高く、食の多様化等に伴う米の需要の減少や価格の低下とあわせ農業所得が低迷しています。このため、圃場の大区画化、汎用化など生産基盤の整備や農地の利用集積による担い手の規模拡大、省力化技術の導入などにより生産コストの低減を図るとともに、集落営農組織等の法人化、6次産業化による経営の強化、発展や県産米等のブランド化を進めるなどが重要であります。こうした取り組みを着実に推進することにより、水田の持つ多面的機能を維持、発展しつつ、意欲ある農業者を核として経営の安定を図り、土地利用型農業が持続的に発展するよう努めてまいります。
次に、食料自給力指標についてでありますが、我が国の食料自給率が長期的に低下傾向で推移している中、平成27年3月に閣議決定された新たな食料・農業・農村基本計画において、食料自給率目標が50%から45%に見直されるとともに、我が国の食料の潜在生産能力を評価した食料自給力指標が新たに示されました。
食料自給力指標は、花など非食用作物を栽培している農地等を含め、農業資源を最大限活用した場合に得られる供給可能熱量を示すものであり、米、小麦、大豆を中心に栄養バランスを考慮した食料生産や、供給熱量の高い芋類中心の食料生産など四つのパターンで試算されていますが、現実の食生活とは大きく異なるものもあり、食料安全保障に関する国民の議論を深めていくための一つの指標とされています。
我が国の農林水産業がさまざまな課題に直面している中で、活力を取り戻し、持続的に発展していくためには、農林水産物の安定的な生産に向けた取り組みを推進するとともに、米を初めとする国産農林水産物の需要を喚起し消費の拡大を図るなど、食料自給率を向上させていくことが重要と考えています。
次に、国保制度改革に向けた対応についてでありますが、本年5月29日に、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律が公布され、平成30年度から都道府県が市町村とともに国保の運営を担うこととなりました。財政基盤が脆弱な小規模保険者が多い市町村国保は多様なリスクを抱えており、都道府県が財政運営の責任主体となることでリスクが分散され、急激な保険料上昇が抑えられるなど、財政運営の安定化が期待されています。
制度の詳細につきましては、今後、国と地方3団体で構成される国保基盤強化協議会において協議が行われることとなっておりますことから、県といたしましては、財政基盤の強化や、都道府県と市町村の権限と責任の明確化、国保運営方針策定ガイドラインの早期提示などについて全国知事会等を通じて働きかけていくとともに、県内市町村とも情報共有を図りながら、制度の円滑な実施に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、地域医療構想についてでありますが、高齢化の進展等に伴い医療需要が変化していく中で、地域における効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するために、県では、厚生労働省が示した策定ガイドラインを踏まえつつ、公的医療機関が地域医療に大きな役割を担っている本県の特殊性や、広大な県土を有し、県内各地において高齢化や医療、介護資源の状況が異なることなども考慮して、地域の医療関係団体などの意見を伺いながら、地域医療構想の策定に取り組んでいるところであります。
また、策定後の構想の実現に向けては、二次医療圏を基本とする構想区域ごとに医療関係者等による協議の場を設置して、病床機能の分化、連携等の具体的な方策について協議を行うとともに、地域医療介護総合確保基金を活用して、医療介護従事者の確保と、医療と介護のネットワーク化などに取り組み、人口構造の変化などによる医療需要の変化に対応した医療提供体制の構築に努めてまいります。
次に、高齢者の地方移住についてでありますが、まず、日本創成会議・首都圏問題検討分科会の提言は、基本的に東京圏の高齢化問題を取り上げたものと考えております。また、提言の中で取り上げられている高齢者の地方移住については、高齢者の介護や医療等を支える人材の確保や、地方移住に伴う受け入れ自治体の財政負担など、検討すべき課題が多いものと認識しております。
県としては、高齢者がいつまでも元気で長生きし、その培った豊かな能力や経験を生かして就業や社会活動に参加できるための支援や、安心して住みなれた地域で暮らすことができるよう地域包括ケアの体制づくりなどを進め、高齢者にとってより住みやすい地域をつくり上げることが必要と考えます。
あわせて、若者が希望する仕事の創出や、結婚、妊娠、出産、子育てまでのライフステージに応じた切れ目のない支援など県の総力を挙げたふるさと振興を展開し、子供からお年寄りまで、あらゆる世代が生き生きと暮らす岩手を目指していくことが必要であると考えます。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、遊休農地の課税強化等についてでありますが、国の規制改革会議では、農地の保有コストが低いことから、農地として利用する意思がないにもかかわらず、転用への期待感から農地を保有し続けることが可能であり、農地流動化の促進を阻害しているとして、遊休農地の課税の強化等を答申したところであり、これを受け、政府は、昨日閣議決定した成長戦略に、遊休農地の課税強化等を今年度中に検討するとの内容を盛り込んだところであります。
本県におきましては、耕作放棄地の約8割が中山間地域にあり、小区画や分散、排水不良などの条件不利地が多いと受けとめており、遊休農地への課税強化が農地の集積、集約化につながるかどうか、その制度の詳細が不明な現時点ではなかなか見通すことは困難と考えてございます。
次に、総合農協の経営状況などについてでありますが、県内総合農協の昨年度の経営状況は、米価下落の影響を受けた農家への支援や販売手数料収入の減少など厳しい経営環境にあったものの、7総合農協全てで黒字が確保され、当期剰余金の合計は約28億円となる見込みであります。
また、財務分析の指標である自己資本比率は、総合農協全体で16.9%と、系統の自主基準である8%を大きく上回っていることや、内部留保も近年着実に増加していることなどから、財務の健全性は確保され、堅調な経営が行われているものと認識しております。
農協改革につきましては、現在、全国農業協同組合中央会の一般社団法人化を柱とする農協法改正案が国会で審議されておりますが、法案では、法律施行後5年を目途に必要な措置を講じるとした上で、准組合員の利用規制や信用、共済事業の分離などは見送られており、また、衆議院農林水産委員会において、農協が果たしている役割を十分踏まえるなどの附帯決議も採択されております。
本来、農協は、みずからの手で組織、事業改革を進めていくことが基本であり、農協系統組織においても、今後5年間を自己改革集中期間と位置づけて改革を進めるとしております。
県としては、この改革が、これまで農協が果たしてきた役割を踏まえ、地域の実情にも配慮し進められることが必要と考えており、農家所得の向上と農業、農村の維持、発展に資する形で進められるよう必要な支援を行っていくとともに、国に対しても働きかけを行ってまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、病床数削減に係る動向等についてでありますが、先般、内閣官房の専門調査会が、2025年には全国で約15万床、本県では約4、400床が過剰になるとする必要病床数の推計を公表いたしました。一方、これに係る報道等を受け、厚生労働省から、今回の試算は参考値であることや、現行の医療法では都道府県知事は稼働している病床を削減させる権限を有していないこと、地域医療構想の実現に向けては、医療関係者等による話し合いを通じた医療機関の自主的な取り組みが基本であることなどについて、改めて理解を求める通知があったところです。
県といたしましては、地域医療構想の実現に向けた取り組みは、高齢化の進展などに伴う医療需要の変化に対応した医療提供体制を構築していくことを目的としたものであると考えており、そのような認識のもと、地域医療構想の策定及びその実現に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
また、高齢者の医療費については、医療費水準についてはさまざまな要因が指摘されているため一概には言えませんが、地域差の要因については、厚生労働白書などにおいて、医師数と病床数等の医療提供体制との関連が言及されており、西日本においては医師数や病床数が多い傾向にあることが医療費が高い要因であると分析している報告等もあるものと承知しております。
本県の後期高齢者の医療費は、議員御指摘のとおり、全国の中でも最も低い水準にありますが、高齢者の入院が多い療養病床の病床数が全国の中でも低い水準にあることなども要因の一つであると考えています。
次に、健康寿命についてでありますが、健康寿命の考え方は2000年にWHOが提唱したもので、第2次健康いわて21プランでは、健康上の問題で何らかの制限を受けず日常生活ができる期間と定義しており、健康寿命の延伸は、県民の生活の質の向上や高齢者の社会参加による地域社会の活性化に寄与するものと考えております。また、国が策定した第2次の健康日本21では、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、社会保障負担の軽減も期待できる旨、示されているところです。
次に、在宅看護についてでありますが、介護保険法の指定を受け訪問看護を行っている事業所は、平成27年6月1日現在で県内に84事業所ありますが、圏域別に見ると盛岡圏域が37事業所と全体の約4割を占める一方、沿岸・県北圏域の合計では16事業所と全体の約2割となっています。
平成27年度から平成29年度までの第6期介護保険事業計画期間内におきましては、訪問看護のほか、訪問介護と訪問看護の複合型サービスの需要の増加が見込まれますことから、市町村では、これらのサービス提供体制を整備することとしており、県では、施設整備に対する補助を通じて市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、地域包括ケアの取り組みについてでありますが、地域包括ケアシステムの構築に向けては、切れ目のない在宅医療の提供体制の確保とあわせて、関係機関、団体の参画による在宅医療と介護との連携体制の構築や、市町村における生活支援サービスなど新規事業への円滑な取り組みなどが課題となっております。
県では、在宅医療連携拠点の設置や運営に対する支援や、医療関係者に対する在宅医療の充実に向けた研修の拡充、入退院調整の仕組みづくり、多様な主体による生活支援サービスの充実強化に向けた生活支援コーディネーターの養成などを通じて、地域包括ケアシステム構築の主体となる市町村の取り組みへの支援を進め、地域の実情に応じたシステム構築が図られるよう、関係団体と連携し取り組んでまいります。
次に、認知症対策の取り組みについてでありますが、県では、これまで、認知症サポーター等の養成による認知症の正しい理解の普及、専門医療や質の高い介護サービス提供体制の整備に取り組んできたところですが、鑑別診断を行う認知症サポート医の地域偏在や専門的なケアを担う人材育成などの課題があると認識しております。このため、本年3月に、新オレンジプランを踏まえて策定したいわていきいきプラン2017に基づき、平成29年度までに認知症疾患医療センター3カ所の追加指定を行うことに加え、看護師等医療従事者の対応力向上研修を実施し、認知症の早期対応に取り組むほか、認知症実践者研修等の実施体制を拡充してまいります。
さらには、介護保険制度の改正により、全ての市町村において平成30年4月までに認知症初期集中支援チームの設置及び認知症地域支援推進員の配置が求められておりますことから、サポート医不在市町村の医師を対象とした研修受講への補助や推進員の養成研修を行うなど、市町村の認知症施策に必要な人材の育成に取り組んでいきます。
次に、人生の最終段階における医療の提供体制についてでありますが、人生の最終段階における医療は、医療従事者による適切な情報提供と説明、患者との話し合いを経て、患者本人による決定を基本として進めることが重要であります。そのためには、自宅での穏やかな最期を望む方が、可能な限りその意思に従って療養できる体制を整備することが必要であることから、県としても、在宅医療の提供体制づくりを進めてきたところであり、既に県内に118床を整備されている緩和ケア病棟とあわせて、患者の療養場所の選択の幅は広がってきております。
また、国においては、患者の意思を尊重した医療を提供するための相談体制のあり方についてのモデル事業を実施しており、県内でも県立二戸病院がこの事業に取り組んだところです。今後とも、国の動向も注視しながら、県民が人生の最終段階における医療を安心して受けられるよう、医療従事者の確保、育成など、在宅医療や緩和ケアの提供体制の整備を引き続き進めてまいります。
次に、病院の役割に応じた受診の啓発等についてでありますが、限られた医療資源を有効かつ効率的に活用し、地域においても県民が安心して医療を受けられるようにするため、県では、県民も医療の担い手であるという認識のもと、平成20年に県内の保健医療団体のほか産業界や学校関係団体、行政等が参画した県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議を設立いたしました。設立以来、各保健所による医療に関する講演会や出前講座などにより、大病院と診療所の役割を踏まえた適正受診や、生活習慣病の予防に関する知識などの普及啓発に取り組んできたところです。これらの取り組み等により、医療機関の役割分担に係る県民の認知度は向上しており、引き続き県民総参加型の地域医療体制づくりを進めてまいります。
また、総合診療医の育成についてですが、いわゆるかかりつけ医の機能を担う医療機関においては、幅広い症状や疾病に対応できる総合的な診療能力を備えた医師の役割が重要であると認識しております。このため、県では、地域病院担い手医師育成検討会を設置し、育成の仕組みや育成プログラムの方向性を検討するなど、総合診療医の育成を支援してきました。さらに、中小規模の医療機関での勤務が期待される奨学金養成医師に総合診療能力を身につけてもらうため、昨年度、地域医療に従事する医師などで構成する検討委員会において、総合診療スキル習得研修プログラム作成指針を取りまとめ、今年度から、各臨床研修病院で具体的な研修プログラムの作成を進めることとしております。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) 地方消費税についてでありますが、地方消費税は、税の最終負担者である消費者が消費を行った地域と税収の最終的な帰属地を一致させるために、消費に関連した基準を用いて、各都道府県間で清算を行っているものであります。清算に用いる統計は、法令により最近公表されたものを用いることとされており、今回、これまで算定に用いてきたサービス業基本調査が廃止され、この代替として平成26年2月に公表された平成24年経済センサス活動調査における数値を用いることとされたところであります。この経済センサス活動調査では、調査範囲がこれまでより拡大され、医療分野においてこれまで統計に含まれていなかった消費についても含まれることとなったものであります。
県としては、正確に都道府県別の最終消費額を把握することが大切であり、統計上それができない場合に、消費代替指標として人口基準の比率を高める方向で検討するよう、国に対して要望をしているところであります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) ILC―国際リニアコライダーについてでありますが、本年4月に公表された国の調査結果では、ILCの施設建設費が約1兆1、000億円と見積もられておりますが、その他のキャンパス整備費等については明らかになっていないところであります。
県では、外国人研究者の受け入れ環境やまちづくり、地域の産業振興等を念頭に、平成25年度に、まちづくり、インフラ、子弟の教育など四つの庁内ワーキンググループを設置して調査研究を進めてきたところであり、今年度は具体的な対応策を取りまとめることとしております。
また、ILCを核とした周辺のまちづくりや地域づくりについては、その理念や考え方、方向性を関係者間で共有することが重要であることから、先ほど申し上げたワーキングの検討をベースとしながら、今年度は、岩手県、宮城県、一関市、奥州市、気仙沼市の2県3市の担当者に東北大学の専門家を加え、ILCまちづくり検討会を月1回のペースで開催しており、周辺地域における住環境や交通、産業などの分野ごとの具体的な課題を抽出し、解決に向けた対応策について協議を行っているところです。
県としては、これらの検討とあわせて、東北大学や東北経済連合会等とも引き続き情報を共有して、東北全体のまちづくり構想につなげてまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 空き家対策についてでありますが、総務省の住宅土地統計調査によれば、岩手県における空き家数は7万6、300戸で、住宅総数の13.8%となっており、全国平均を若干上回る率となっています。
今般の特別措置法の施行を受け、市町村においては、今後、同法に基づく空家等対策計画を策定し、危険な空き家等に対する対応を進めていくことになりますが、今年3月の時点で、県内の15市町村が計画を策定する予定があると聞いています。
県では、今月13日に、県及び市町村の担当者を対象として、国土交通省の担当者や専門家を講師とする勉強会を開催する予定であり、今後も市町村への情報提供等に取り組んでまいります。
また、市街地の空き家の有効利用については、今年度から、民間事業者や市町村担当者を対象として、事業の進め方や成功事例などを学ぶための講演会を行っていく予定です。
さらに、中古住宅の市場形成に向けて、国において既存住宅インスペクション・ガイドラインの策定などの取り組みが進められており、県としては、インスペクションの普及に努めるとともに、国や関係業界の動向も注視しながら、必要な対応を行ってまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 学校の統廃合等についてでありますが、本年5月1日現在で、1学年1学級以下の小学校は194校で57.1%、1学年3学級以下の中学校は127校で75.6%となっております。
県教育委員会といたしましては、児童生徒の在籍数が著しく少ない学校については、学校の活性化や教育水準の維持、向上などを図る観点から、学校統廃合も有効な一つの選択肢であると考えております。
しかしながら、本県におきましては、各地域地域の集落が広く点在していることなどの地理的諸条件や、学校が地域コミュニティの中核的な機能を有している場合もあることなどから、市町村教育委員会に対して、学校統廃合の検討に当たっては、保護者や地域の十分な理解と協力のもとに丁寧に進められるよう助言してきているところであり、地域の実情に応じた各市町村の主体的な判断のもとに適切な対応が図られるべきものと考えております。
統廃合に対する財政支援措置等についてでありますが、統廃合をした学校等を対象に、教員の一時的な加配や校舎の改修事業に対する財政支援などが設けられておりますが、一方、統廃合をしない場合の財政支援の打ち切り等の措置はございません。
いずれにいたしましても、一義的には、統廃合は子供たちにとって有益になるということが大事な視点であり、個別の学校の状況等を見きわめながら総合的に検討されることが重要と考えております。
次に、英語力の向上についてでありますが、平成26年度の文部科学省調査の状況を申し上げますと、現在、本県の英語教員のうち、英検準1級以上を取得している教員の割合は、中学校で13.3%、高校で43.0%と全国平均を下回っておりますが、一方、同調査による授業時間の半分以上を英語で行っている教員の割合は、中学校が49.2%、高校が80.3%となっており、全国平均を上回っております。
また、生徒の状況は、本県中学3年生の英語検定3級以上相当の力を有する生徒の割合は38.1%で、全国平均の34.6%を上回っており、高校3年生の英語検定準2級相当の力を有する生徒の割合は31.9%で、全国平均と同程度となっております。
県教育委員会といたしましては、学習指導要領の改訂が見込まれ、英語教育の大きな転換期と言われている平成32年度からの英語教育の見直しに適切に対応できるよう、英語教員の資格取得、外国語指導助手の効果的な配置や活用、新しい英語教育推進の中核となる若手教員やリーダー教員の育成など、英語教員の指導力の向上による授業改善を進め、生徒の英語力の向上に努めてまいります。
〇46番(渡辺幸貫君) まず、遊休農地の課税強化について伺います。
先ほど、耕作地8割は中山間地にあるという話がありました。私は、歩いていて―中山間地域の人というのは高齢者が1人か2人で暮らしています。そしてまた、国民健康保険で暮らしている人が多いのではないかと思いますが、医療費などを払えない人の実情などを聞いていますと、生活保護を受ければいいのに、それすら世間体が悪いから受けたくないという御老人もいらっしゃる。そういうことを考えると、こういう地域で課税強化などを行った場合には、そういう人たちの生活はどうなるのかという危惧を私は持ちます。したがって、農林水産部においては、都会のような感覚で遊休農地の課税強化は絶対反対というようなことも言っていかないと、岩手の実情には合わないのではないかと思います。これが1点。
その次に、後期高齢者の医療費と病床数についてですけれども、高齢者の入院の多い療養病床数が全国の中で最も低い水準にあるのだということでお話がございました。だけれども、岩手県などは病床3割削減だと。こういうことでは、さっき、歩けないのに退院という表現をしましたけれども、それが本当にますます大変になるのではないかと危惧をします。これはむしろふやすべきだとさっき私が言ったんですが、その辺についてどうなのかが一つ。
それと、総務部長が先ほど話された地方消費税の帰属の問題で、人口比率を高めるように政府に働きかけるとおっしゃったけれども、何せ、後期高齢者は、92万円以上の医療費を払っているような状態なので、それが算定されてくると、非常に岩手県には影響が大きいのではないかと思うので、その辺について改めて決意のほどを聞きたいと思います。
最後に、在宅医療を支えるための訪問看護ステーションとか、そういうものを行っている事業所は、盛岡のようなところは全体の4割でたくさんあるかもしれない。ところが、沿岸や県北や全体的には本当に少しだけで、それを担うためには看護師が3人以上とか、県では、施設整備に対する補助を通じて市町村の取り組みを支援するということですけれども、大体看護師さんが住んでいるかどうかもわからないという不安を私は思うんですね。そうすると、さっき桃源郷の話をしましたけれども、いずれ、本当に訪問看護ができるのか、在宅ができるのか危機を感じますので、再度御答弁を願います。
〇農林水産部長(小原敏文君) 遊休農地の課税強化の件でございますけれども、国におきましては、農地流動化のための課税強化といったような報道がなされてございます。本来、税制はいわゆる現況主義と。まさに現況課税が原則でありまして、今回の仕組みが農地の流動化につながるものかどうか、これ自体は、今現在、国の制度設計が固まってございませんので、これについてはまずしっかり見きわめなければならないと思ってございます。その上で、流動化を促進するとした場合に、いわゆる課税強化でございますが、議員が御指摘のとおり、都市地域におきましては、課税強化というのも一つの方策とは考えられますが、それが本県の条件不利地、中山間地域を多く抱える岩手県にとってこれが施策として有効なのかどうか、これは実態を細かく調査しなければなりませんが、いずれ、国については、今後、1年間検討を進めると言っておりますので、その国の検討をにらみながら、県としてもこの地域の実情を国に伝え、この制度が地域に暮らす農家の方々にとって不利にならないように要望してまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 2点お尋ねをいただきました。
病床数の関係でございますが、今策定しております地域医療構想におきましては、2025年の必要病床数を推計で出すことになっておりますが、これは2025年に向けた目指すべき目標として定めるものでありまして、構想策定後は、その区域ごとに医療関係者や市町村等による協議の場を設定して、その実現に向けた話し合いを行い、不足することが予測される医療機関の転換などについて、医療機関の自主的な取り組みを基本に構想の実現を目指すものであります。その目指すべき目標の病床数というものについては、今後10年程度をかけて、地域の実際の病床の状況と構想が定める目指すべき医療提供体制が次第に収れんされていくものと考えておりまして、性急な病床削減を行うものではないと認識しております。
それから、在宅看護の確保についてでありますけれども、議員御指摘のとおり、それを支える看護師については、県内でも医療機関に勤務している看護師、あるいは在宅を担当している看護師を問わず、看護師不足の状況にあることも事実でございます。今後、地域包括ケアなど、在宅を支える医療提供体制を整えていく中で、この地域包括ケアの主体となります市町村といろいろ意見交換をし、そのお考えを聞きながら、県としても一緒に取り組んでいきたいと考えております。
〇総務部長(風早正毅君) 地方消費税は税源の偏在が小さく、安定的な財源として地方にとって重要な財源でございます。
消費税につきましては、お支払いになった税金が消費が行われた最終消費地にきちんと納めていただくということが必要であります。
一方、現行の消費税制度は、最終の小売事業者のみならず、製造業者、卸売業者などの各中間段階でもそれぞれの本店所在地の税務署に申告納付がなされる仕組みとなっております。そのため、県レベルでの地方消費税においては清算が行われるわけですが、この清算については大きく二つの議論があると考えております。
一つは、統計の精緻化の方向であります。今回の改正も統計の調査対象の拡大に伴うものですが、なるべく最新の、そして統計の対象が広いもので清算を行うことが必要であります。ただ、全国の全ての最終消費をこの統計というものだけで行うというのは、どこまで行っても全て捕捉できるというのはなかなか困難がございます。そういう観点に立ちまして、消費の代替指標としての人口の割合、捕捉できない部分については人口の割合を高めていくということが必要だろうと思っております。今回の改正においても、人口の基準の割合が12.5%から15%まで高められております。
今後とも、こうした二つのアプローチによりまして、いずれにしても、県民の皆さんに支払っていただいた税金がきちんと本県の税収になるよう、そういう制度になるように求めてまいりたいと考えております。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時21分 散 会

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