平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(佐々木朋和君) 民主党の佐々木朋和でございます。
4度目の登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様方に感謝を申し上げます。
重複する部分もありますが、一般質問最終日のトップバッターとして元気よく務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、人口減少問題、地方創生について伺います。
今、地域が直面している最大の課題である人口減少問題について、国ではその原因を、出生率が低い首都圏へ若者が流出し、結果、地方での人口減少が地域経済を縮小させ、地域経済の縮小がさらに人口減少を加速させるという負のスパイラルに陥っていることにあると分析し、その対策として、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立を目指す、まち・ひと・しごと創生総合戦略を打ち出しました。県には、これが中央からの押しつけとならないよう、岩手の特性を考慮した地方版総合戦略を策定することが求められております。
国は、地域経済分析システムを開発し、将来にわたる人口動態はもとより、地域経済循環や農業、医療福祉など地方版総合戦略策定に必要となる分野についても機能を追加していくこととしており、それを民間が活用することで、雇用の創出や収益増につながることが期待されています。
例えば、観光客の動向をもとにした観光圏域の設定、医師などの負担を軽減するための患者の動向をもとにした二次医療圏の見直し、農業者の生産性向上のための気候や出荷データの配信など、多分野にまたがった活用が期待されておりますが、県では、このビックデータをどのように活用していくのか伺います。
また、その前提としてICT環境の整備が必要となります。企業誘致を行う自治体などでも高速インターネットへの対応を積極的にPRしている例もあり、例えば千葉県では、企業立地の紹介サイトにおいて、工業用水や電力と同様に高速インターネット対応についても対応状況を公表し、企業のニーズに対応した工業団地や産業用地などの提供に努めています。また、ICTインフラの整備は、女性の活躍を促す、多様で柔軟な働き方であるテレワークへの対応にも有効となります。
国では、地方創生の目玉として、企業の本社機能の地方移転やサテライトオフィスの誘致について優遇措置を打ち出しておりますが、本県としても、他県に負けないように、どのような取り組みを行っていくのか伺います。
今後、有効な人口減少対策を行っていくには縦割りの排除が必要となります。移住者への対応には、雇用、教育、住宅、福祉など各分野にまたがるワンストップ窓口が必要ですし、結婚、妊娠、出産から子育てまでの切れ目のない支援や、まちづくりの観点からの中山間地域の小さな拠点の考え方、道の駅の地域機能の強化においても同じことが言えます。
また、住民の負担軽減も必要です。現在、人口減少が進む地域社会では、1人が何役も地域の役回りをこなしています。週末は地域の行事や学校の行事、防災訓練などの従来からの行事のほかに、最近は地域おこしイベントなども入ってきています。地域に活気があることはよいことですが、負担が上回れば、かえって若者の地域活動離れにつながります。
一関市大東町曽慶で行われた新春講演会で、地域の伝統的な行事と防災訓練を一緒に行う先進事例が紹介されました。2度集まるところを1度集まって一緒に行う、これだけで地域住民の負担は軽減されます。例えば、地域包括ケアの構築と地域防災力の維持はこれからのまちづくりの2大テーマだと思われますが、これらの取り組みを地域の行事やまちづくりの中に取り込み、一括して行うことが活用事例として考えられます。
県では、地域における人口減少対策として、縦割りの解消や地域コミュニティが受け皿となるようなさまざまな行事、活動を行うに当たっての地域の負担軽減について、市町村に対してどのように促していくのか伺います。
さきの東日本大震災津波復興特別委員会で講演された岩手大学農学部の広田純一先生は、人口減少の原因を、一つに、中学校、高校の卒業時の人口流出とUターンの少なさ、第2に、出生率の低さの2点を挙げ、それが繰り返されてきたことだと分析しておられました。中学校、高校卒業時の人口流出を防ぐには、高校においては、地域にとって必要な人材を育成するための地域の企業と連携したキャリア教育の推進と小規模校の維持、小中学校においては、郷土理解学習や体験学習を通して郷土愛を育む、地域と協働した岩手型コミュニティスクールの取り組みが求められております。
しかし、一方で、子供たちは勉強と部活動で手いっぱいという状況にあり、教員の皆さんについても同様だと思われます。
長野県では、中学校の部活動を調査し、長時間の部活動や朝練習が、けがや卒業後の運動離れの原因になっているという治験を得て、朝練習や長時間の部活動を禁止し、一方で、より高いレベルを目指す生徒には、地域の競技団体と連携して部活動とは違う練習の機会を与え、部活動についても短時間で効果が出るような練習方法の改善のために、指導者が学ぶ機会を提供しているとのことでした。部活動の時間短縮は教員の負担軽減にもつながりますし、また、学校とは別に地域の中でスポーツをする経験は、将来、地域のスポーツ文化を担う人材の育成にもつながります。また、少ない時間でトレーニング効果を上げる指導法の追求は、運動機会が制限されている本県被災地の子供たちにとってこそ必要なことです。
本県においても運動部活動のあり方を検討する必要があると思われますが、御所見を伺います。また、キャリア教育や郷土理解学習の推進のためにどのようにして時間を確保するのか、あわせて伺います。
また、部活動については、総合型地域スポーツクラブとのかかわり合いでも課題があります。少子化が進む中、部活動で希望のスポーツができず、スポーツをするために転校する場合もあると聞いております。先進地では部活動と総合型クラブの連携が進んでいて、学校で希望の部活動がなくても、総合型クラブで行うスポーツを部活動として認定し、大会出場にも不自由なく参加できると聞いています。
一方、本県においては、総合型クラブの育成及び部活動との連携がまだ不十分と思われます。県は、この課題をどのように認識し、解決策を打っていくのか伺います。
まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、国は、地方大学等創生5カ年戦略のもと、地方大学強化プラン、地元学生定着促進プラン、地域人材育成プランの3プランを推進するとしております。この中には、地方大学への進学や地元企業への就職を推進する地方創生枠奨学金制度もあり、県立大学には本県の将来を担う県出身者の育成という役割とともに、これからは全国から若者を集め、本県に就職する人材を育成する役割も負う、魅力ある学びやへと進化することが求められておりますが、県立大学の役割について御所見を伺います。
また、高等専門学校、専門高校も含め、地域産業の振興を担う人材の育成、機能強化の戦略についてもお伺いいたします。
若者のU・I・Jターンを推進するためには、地方においてやりがいのある高付加価値産業の創出が重要であると言われております。地方創生では、そのための政策パッケージとして、新事業、新産業と雇用を生み出す地域イノベーションの推進を掲げ、地域クラスター政策の反省点を踏まえて、産業界、大学、研究機関と橋渡し研究機関の役割分担、地域外との連携、クロスアポイントメント制度による人材及び技術の流動化の三つの取り組みを進めるとしております。
ILC誘致を目指す本県においては、ILCの研究者または関連産業に携わる仕事が子供たちの憧れとなりつつあり、まさにやりがいのある高付加価値産業と言えます。ILCの誘致については来年度に中間報告がなされるとしております。正式決定前であっても、東北に目をやれば先端加速器施設の整備計画が複数あり、地方創生のこのタイミングで、東北全体で加速器関連産業または先端技術産業の集積を目指して同一歩調をとっていくことが、ILC誘致に向けて東北の連帯を示し、全国へアピールする大きな力となると思われますが、御所見を伺います。
一方、県では6次産業化の一層の推進を掲げております。国でも、2020年までに1.9兆円から10兆円産業にすべく、ふるさと名物の開発に力を入れる方針でありますが、全国的に見ても6次産業化の成功例は数えるほどしかありません。これまで、県でも他県の成功例の講演などを通じて県内生産者に情報発信してきましたが、農業は気候や市場までの距離など地域によって事情がばらばらで、県内生産者が参考とできる取り組みが少なかったのではないかと思われます。
一関市では、現在、6次産業化の地域内成功例をつくるべく、中央からバイヤーを呼んで、時には厳しい意見も飛び交う中で、やる気のある生産者をピックアップして商品のブラッシュアップに取り組み、同地域の生産者がトレースできるようなモデルケースをつくろうとしております。
これまで、県においても6次産業化のモデル事業体の育成に取り組んできたと思いますが、6次産業化の成功に向け、県内生産者の参考となるよう、モデル事例の情報発信を工夫する必要があると思われますが、御所見を伺います。
本県へのU・I・Jターンの促進や流出の防止には労働環境の整備も必要です。ベストセラーとなっている藻谷浩介さんの里山資本主義において、都会より収入が少なくても、里山の恩恵にあずかりながら可能な範囲で自給自足の生活を行うことで、心豊かに生活を送るライフスタイルの提案をしております。これは都会の方が岩手に抱くイメージそのものであり、このような生活に憧れ、岩手に移住する方もいるのではないかと思います。
しかし、このようなライフスタイルを継続していくためには自給自足を行う時間の確保が必要であり、長時間労働では不可能ですし、長時間労働をしなければ生活費を賄えないような最低賃金でも成立いたしません。岩手が岩手らしいライフスタイルを提案していくには労働環境の整備が必要不可欠であります。
県においては、産学官金労による雇用政策と一体となった産業政策を検討、立案する場を設けるなど、労働環境の改善に取り組むべきと思いますが、御所見を伺います。
都会からの新しい人の流れをつくるには、岩手に興味を向ける、かかわりをつくるフックが必要です。1度来ていただいた方にリピーターになっていただく、岩手のファンになっていただく、住みたいにつながる。そういった意味で、観光振興には単なる産業振興という意味合い以上に地方創生につながる移住施策としての意味合いがあります。また、本県が、京都や沖縄、北海道などのような超有名な観光県でないことに鑑みれば、岩手出身者や縁者などのかかわり合いのある人が減れば観光の入り込み客数は確実に減り、人口減少問題は観光産業にとっても死活問題であると言えます。本県では日本一のおもてなしを標榜しておりますが、その具体性や方向性が私からはまだ見えてこないと感じております。
そこで提案ですが、観光で訪れた方が移住にまでつながる県日本一、これを岩手が考えるおもてなし日本一の果実であるとして目標にしてはどうかと考えます。
一方、全国的な観光の目玉として、今月14日予定の金沢への北陸新幹線開通が挙げられます。本県と同程度となる東京から2時間半で古都金沢に行ける魅力は、首都圏からのお客様が多い本県にとって大きな脅威です。宮城県、福島県では、宿泊、交通費の半額補助を打ち出し、本県でも、いわてに泊まろう誘客促進事業を立ち上げておりますが、これに対応していくためにも、各県と連携した効果的な事業の推進が望まれます。
地方創生においても、海外観光客に向けて、東京周辺のいわゆるゴールデンルートに匹敵する広域観光周遊ルートの造成を打ち出しておりますが、本県も、本県内に捉われず、東北ゴールデンルートの形成など東北各県と連携した取り組みを強化していくべきと考えますが、御所見を伺います。
また、移住施策についても、東北内で唯一流入人口が流出人口を上回る宮城県を含め、東北全域でブランド化を図っていくべきと思いますが、御所見を伺います。
さきに述べた広田純一先生は、地域の人口減少によるマンパワー不足の解消と、U・I・Jターンへの取り組みとして拡大コミュニティの構想を掲げております。例えば、地域のお祭りの維持がマンパワー不足と高齢化で難しくなってきたとします。そこに、首都圏に住む地域出身者やお祭りのファンを仲間に引き入れて、役を持たせてマンパワーの解消につなげる、地域に深くかかわることで移住につなげるというものです。そのようなつながりを構築していくためには、首都圏のふるさと会などを中心に地域出身者のネットワークを構築していくことが重要ですが、現在は各自治体のふるさと会も高齢化が進み、機能が弱くなっていると聞きます。
私は、県としても、地域出身者に対するふるさとの情報提供や、ふるさと会が若い世代も巻き込んで再構築されるような支援策を講ずるべきと思いますが、御所見を伺います。
また、地域の縁者のいかんにかかわらず、ファンの開拓にはふるさと納税の活用が有効と考えます。自治体の施策を前面に打ち出し、賛同を得て、実際にその取り組みを見るために訪れていただくような仕組みをつくるなど、さまざまな取り組みを行うことにより、岩手に来ていただいた方や岩手のファンになっていただいた方にふるさと納税をしていただくことが考えられます。
先ごろ発表された平成27年度税制改革大綱において、ふるさと納税の特例控除額を拡大するとともに、申告手続を簡素化するなど制度の拡充が図られているところであります。現在、岩手県にも復興支援のために多くの方々から御協力をいただいていると聞き及んでおりますが、このような現状を踏まえて、岩手県ではふるさと納税の獲得のためどのような取り組みを行っていく予定でしょうか、御所見を伺います。
さきにも述べましたが、地域包括ケアの構築、地域医療をどのように守っていくかは、まちづくりにとって大きな課題であります。
先日行われた両磐保健医療圏の地域医療を守る懇談会では、県立病院の医師などの不足に加え地域の民間病院も医師の高齢化が進み、介護現場の人材不足はいまだ解消されず、家庭においても核家族化や少子化、高齢化が進んでいます。平成28年度より、奨学金制度を活用した医師の方々が地域医療の現場に投入されることは心強いと感じているところでありますが、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築が急務となっております。
医療資源の偏在地においては医師1人にかかる負担が大きくなり、結果、離職につながり、さらに医療資源が乏しくなるという負のスパイラルをどう断ち切るかが大きな課題です。まずは全県的なコンビニ受診などの医師負担軽減のためのマナーの告知や、そのようなメッセージを寸劇を用いてわかりやすく伝える、私の地元の千厩病院を守り隊―朝顔の種のような市民による取り組みを県下へ波及させる必要があると思われます。
また、県外医師の招聘には、そのお子さんが医学部を目指せる環境の整備が必須であるとの意見をいただきました。それが県内の医学部志望者増にもつながっていくと思います。また、県立病院だけではなく、民間医師の高齢化対策も含めた医師招聘への支援策も必要です。さらに、研修医制度で勤務する医師に対して、住民とのかかわりを持ち、将来また帰ってきてくれるよう、地域に溶け込んでもらえるような工夫も必要であります。このように、地域医療の再構築には、教育から市民運動まで一体となった医師確保施策が必要と思われますが、御所見を伺います。
スポーツ振興等調査特別委員会の視察で長野県を訪問した際、広域圏ごとに設置された公設民営の障がい者スポーツクラブを見学してまいりました。利用者の4割が障がい者、6割は一般の方ということで、健常者のスポーツ振興、多くのスポーツ関係者の雇用創出にも一役買っており、県民の健康づくり、介護予防を担う主体の充実を感じました。
国では、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中でヘルスケア産業の創出を掲げており、ITを利用した地域住民の医療、介護、健康に関する情報の共有、活用に向けた取り組みを推進するとしております。このような産業を活用しながら、健康寿命の増進や、ひいては医療費の削減につながる取り組みを進めていくべきであると思いますが、御所見を伺います。
次に、放射線対策について伺います。
本県における原木シイタケの生産はいまだ福島第一原発事故に伴う放射線の影響下にあり、出荷制限や、出荷を再開した地域においても自伐の原木を使用できず、域外から仕入れたり、厳格な生産工程を強いられたりと苦しい現状にあり、結果、かかり増し経費が発生しています。産地再生には多くの生産者に生産を再開していただくことが必要であり、地域から出荷制限解除者が出ていくことが次の再生産者を生むよい流れになっていくことを期待しているところでありますが、再生産を促すには、生産者の不安を払拭する再生産支援策が必要と思われます。
生産者には、大きく分けて、初期投資の不安、事業が軌道に乗るまでの不安、原木確保の不安があると思われます。
初期投資の不安については、来年度予算には、ことし同様、施設整備や原木購入の2分の1補助などが盛り込まれており、心強く思いますが、手出しの経費があり、大きな負担です。また、落葉層の除去をこれから行っていく生産者にも支援が行き届くのか不安に感じています。将来的には、初期投資をしても産業として成り立っていく経営モデルを示していくことも必要でしょう。
事業が軌道に乗るまでの不安については、原木シイタケは、毎年植菌する原木をふやしていきながら、採算のとれる事業規模を目指していくわけですが、それまで国や県の支援が続いていくのか、最近、さらに審査が厳しくなったと言われている東電の賠償についても、再開まで期間があいた生産者であってもしっかりと措置されていくのか、その情報提供も必要と思われます。また、思うように植菌ができなかった生産者のために、減産賠償についても情報発信をしていくべきです。
原木確保の不安についてですが、全国的な原木不足の中、県内には他県への原木販売ルートもできており、暖かい気候の地域の生産者に、岩手の生産者より先に原木を購入されてしまうという現象も起きております。伐採業者への県内供給優遇策や他県と連携した原木流通ルートの確保など、今後、生産者がふえても安心して原木の確保ができるような施策を講じていく必要があると思われます。
以上の不安を払拭するべく、県ではどのような施策を行っていくのか伺います。
一関地域においては放射性廃棄物の処理が大きな課題となっております。特にも、焼却処分できない廃棄物については、一時保管に対する県の支援をいただいているものの、処理方法を含めた最終処分の方針が決まっておりません。事態が長期化するということは、それだけ住民の負担、自治体の負担が大きくなり、両者の溝も大きくなりかねません。県には、処理の方法が決まっていないものについては方針を定めるように、また、新たな安全で安心な処理方法を示すように強く国に働きかけるとともに、県としても地域住民の不安を解決するための取り組みを行うべきと思いますが、御所見を伺います。
次に、新笹ノ田トンネルについて伺います。
国道343号、一関市大東町大原地区と陸前高田市矢作地区を結ぶ新笹ノ田トンネルについては、これまでも県議会で、飯澤匡議員、佐々木茂光議員からも取り上げられており、冬期の路面凍結の危険性や、陸前高田市を初め気仙地域の震災復興や観光振興、国際リニアコライダー計画誘致にとって必要不可欠な整備であることが指摘されております。この件について、県は、昨年12月に、一関、大船渡、陸前高田、住田の4市町と四つの商工団体から要望を受けて、一関市民、陸前高田市民合わせて約9万人の署名を受け取ったとお聞きしております。これは、このトンネルの整備について、行政や団体だけでなく、そこに住まう生活者、市民一人一人にとって切実な願いであるとのあらわれであります。県には、その要望にどのように応え、今後どのように対応していくのか、県議会の場で、署名をいただいた方々へ説明する意味も込めて示すべきと思いますが、御所見を伺います。
最後に、県の役割についてお伺いします。
昨年の地方議員研修会において、県の役割は、市町村と国とのパイプ役、他県との連携、市町村の能力やマンパワーが不足している部分への支援の三つであるとの講義を受けてまいりました。今回、私の質問の中でも、多くの分野で他県との連携について指摘させていただきましたが、市町村とのかかわり合いでは、近年、山田町の大雪りばぁねっと問題やDIOジャパン問題などでクローズアップされてきたところであります。
県は、県の役割をどのように定義し、今後、震災復興、人口減少問題に取り組んでいくのか、御所見を伺います。
以上で質問を終わりとさせていただきますが、場合によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、ビッグデータの活用についてでありますが、国においては、企業間取引、人の流れ、人口動態等の地域経済にかかわるさまざまなビッグデータを収集し、総合的に地域経済を分析するシステムを開発して、本年4月から運用を始める予定と聞いています。
このシステムは、都道府県及び市町村にも開放されることになっていまして、人口の現状や産業構造、また、県内企業の取引状況の把握などにより、本県においても産業振興や地域活性化施策への活用が想定されます。現時点では詳細が明らかになっていませんが、今後、県が策定する人口ビジョンや総合戦略の策定などに有用なシステムとなることを期待しています。
次に、岩手県ならではの企業誘致の取り組みについてでありますが、岩手県では、これまで、企業誘致や地場企業の増設を促進するため、平成18年に特定区域における産業の活性化に関する条例を制定して、県税の減免や大型補助などによる総合的な支援を進めるとともに、ワンストップサービスやきめ細かなフォローアップなどに努めてきた結果、経済産業省が実施した企業立地満足度調査において全国トップクラスの評価をいただいているところであります。
人口減少問題が全国的にクローズアップされている中、国では、地方創生を図るため、企業の本社機能やサテライトオフィスの移転促進などを進めることとしており、地方においては、若者の雇用の場の確保や人口流出の抑制などのほか、地域内外から企業、人、ビジネスなどを呼び込むことが大いに期待されるところです。
本県においては、これまでの取り組みに加えて、地域に応じた立地環境の整備や県内企業への新たな事業の誘致、企業ニーズを踏まえた優遇制度の強化など、市町村と連携してさまざまな手法を講じながら、岩手ならではの特色を生かした企業誘致を積極的に推進してまいります。
次に、県の役割についてでありますが、県は、広域自治体として、広域的な課題や複数市町村をまたぐ事項などについての調整や事務の実施のほか、市町村行政を支援する役割を担っていると認識しております。こうした分担を踏まえ、これまでも産業、観光の振興や保健医療体制の整備、道路ネットワークの構築などの広域的な施策や市町村の広域連携の支援などに取り組んできたところであります。
震災を契機に、災害廃棄物の処理や農地の災害復旧、埋蔵文化財の調査など、これまでの枠組みを超えた市町村支援を行い、県からこれまで182人の職員を被災市町村に派遣してまいりました。復興計画につきましても、県が市町村に先駆けて策定し、被災地の復興モデルを示すなど、市町村のまちづくりにも深くかかわりながら先導的な役割を果たしてまいりました。また、復興まちづくりの課題となっていた用地取得迅速化のための制度創設を国に訴え、法改正を実現するなど、国と市町村をつなぐ新しい役割も提示してきたところであります。本格復興の邁進や総合的な人口減少対策の展開を図っていく上でも、市町村は県の重要なパートナーであり、県としても、その時々の状況に応じた適時適切な支援を機動的に行ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長齋藤淳夫君登壇〕
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) まず、縦割り重複の解消、住民の負担軽減についてであります。
人口減少、少子高齢化の進行により、地域活動の後継者が不足し、役員の多忙化や自治会活動の負担が大きくなるといった地域がふえていくものと認識しております。一方、県内の一部の地域では、地域出身者が参加しやすい時期に地区のお祭りを開催したり、地区の伝統芸能の発表会に消防団員による防火訓練を同じ日に実施するなど、住民の負担軽減を進めている地域もあります。
県では、市町村や地域団体に対しまして、地域づくりフォーラムやセミナーの開催等を通じ、こうした先導的な取り組みを行っている地域コミュニティの紹介や、地域活動をリードする専門家の助言などの機会を設けるなど、地域活動の負担軽減につながるような取り組みに努めてきました。
今後とも、市町村に対しまして、効果を上げている活動事例を積極的に紹介し、情報共有を図るとともに、地域課題を解決するモデル的な活動を支援することにより地域活動の負担が軽減される取り組みを促してまいります。
次に、ILCについてでありますが、県では、これまで、加速器関連産業に係る企業の参入可能性調査や企業向けセミナーなどを行っており、県内企業と高エネルギー加速器研究機構―KEKとの研究開発に向けた動きも見えてきたところであります。今後は、産学官の交流、連携機会の創出等を行ういわて加速器関連産業研究会の設立や、意欲ある企業への研究開発に対する補助を行うこととしております。
一方、東北経済連合会ビジネスセンターにおいても、昨年9月、東北各県及び新潟県のコーディネーターなどが参加するチームを組織し、東北全体の加速器関連産業の戦略ビジョンの策定や、研究機関と企業とのマッチング活動などの取り組みを開始したところであります。
県といたしましては、今後とも、こうした動きと連携しながら、東北が一体となって加速器関連産業の集積に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、他県と連携した移住施策についてであります。
平成27年度の新たな広域的な取り組みとして、今回初めて、北東北3県の共催により、この7月に東京で合同移住相談会を開催することとしております。来場した移住希望者の声をお聞きするなど、その実施結果を見ながら、今後の移住促進に向けて、東北各県との連携につきましても検討してまいりたいと考えております。
次に、拡大コミュニティについてでありますが、首都圏などに居住する地域出身者が、祭りなどの地域行事をきっかけとして帰省し、地元とのつながりを保つことは、伝統文化の保存、継承のほか、地域コミュニティの活性化のために有効な手法の一つであると認識しております。こうした取り組みの一例としまして、西和賀町では、首都圏在住の出身者に対して地域広報誌を送付したところ、地区の祭りへの参加者数が増加し、地元のつながりが深まるといった成果が出ている事例もございます。
これまで、県においては、各地のふるさと会やいわて復興応援団に登録いただいた方々に対して、パンフレットやメールマガジン等を活用して本県の観光や復興に関する情報を提供してきております。今後は、新たに若者が地域文化を伝承するなどの活動に対してモデル的に支援策を講ずることとしておりまして、こうした施策の展開を図りながら地域コミュニティの活動支援を進めてまいります。
〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、岩手県立大学の役割についてでありますが、県立大学は、実学実践の教育研究を通して地域の中核人材育成と地域の活力創出に貢献する大学を目指し、4学部と2短期大学部がそれぞれの特色や個性を持って成長し、学際的に連携する総合大学であります。
公立大学は、設置団体の政策目的のもと、高等教育機関として地域のニーズに応じた人材を育成しております。岩手県立大学におきましても、基盤教育や専門教育のほか、復興支援活動や本年度から取り組みを始めた地域創造学習プログラム等を通じて、岩手を知り、岩手を学び、そして岩手の未来を創造していく地域の中核人材の育成に取り組んでまいりました。人口減少が進む中、地域から要望されて設置した県立大学が雇用創出や若者定着に果たす役割は大きいと考えており、今後、さらに設置者である県や地元産業界等と積極的に連携しながら、本県のあすを担う人材育成に取り組んでいただきたいと考えております。
次に、ふるさと納税についてでありますが、本県では、平成20年度税制改正による導入以後、8億円余のふるさと岩手応援寄付をいただいており、平成25年度は2、004件、金額で1億1、468万円余の寄附をいただいています。寄附の多くは、いわての学び希望基金として、被災した児童生徒の皆様の就学支援などや震災からの復旧など震災復興支援となっているほか、希望郷いわて国体などの目的でも寄附をいただいているところであります。
議員御指摘のように、岩手のファンの開拓や岩手への訪問の拡大は、ふるさと岩手応援寄付の拡大につながるとともに、ひいては平成28年度開催予定の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の機運の醸成、開催支援にも効果が期待されるところであります。
こうしたことから、県といたしましては、首都圏における岩手の魅力の積極的な情報発信や、岩手においでになった方々に岩手のファンになっていただけるよう、地域資源を生かした観光振興や交流の促進、さらには、新たな三陸ブランドの形成に努めてまいります。
また、平成27年度税制改正において、ふるさと納税の控除限度額の引き上げや申告手続の簡素化などが図られますことから、ふるさと納税制度の趣旨を踏まえつつ、活用状況の公表などの積極的な広報に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、地域産業の振興を担う人材育成についてでありますが、県では、いわて県民計画に基づき、産業創造県いわての実現を図るため、ものづくり産業人材や高度技術者の育成を推進することとしております。
このため、産業界からの要望や企業訪問等を通じて把握したニーズに基づき、小・中・高生から大学、高等専門学校、企業に至るまで、各ステージに対応した人材育成の取り組みについて、産学官が一体となって総合的に実施することとしております。
具体的には、地域のものづくりネットワークと連携して、小中学生に対する工場見学会や中学生に対する出前授業等を通じて地域のものづくり産業に対する理解を促進するとともに、高等教育機関と連携しながら、幅広い工学的知識と現場知識を融合できる技術者など、企業から必要とされる人材の育成に取り組んでおります。
今後におきましても、産学官が一体となって、地域産業の振興を担う人材育成機能の強化を図ってまいります。
次に、労働環境の整備についてでありますが、本県に移住しようとする方々にとっては、自然環境や生活環境とともに、就労面での適切な処遇や仕事と生活の調和が確保されているなど、雇用、労働環境が整備されていることも重要であると認識しております。
このため、県といたしましては、国と連携しながら、県内企業等に対し賃金や労働条件の改善を働きかけるとともに、セミナーの開催などによりワーク・ライフ・バランスの重要性についても周知しているところです。今後もこうした取り組みを通じて、本県の雇用、労働環境の向上を図ってまいります。
また、雇用政策と一体となった産業政策につきましては、岩手県商工観光審議会や関係団体との懇談会等を通じて御意見を伺い、移住促進に向けた取り組み等を検討してまいりたいと考えております。
次に、他県と連携した観光施策についてでありますが、新幹線など高速交通体系の整備等により全国的に地域間の誘客競争が厳しさを増していることから、東北各県が連携した取り組みが重要であると認識しております。
このため、東北の自治体と民間企業により、平成19年6月に設立された東北観光推進機構と連携し、国内外でプロモーション活動等を展開してきたところです。さらに、東北観光推進機構では、東北ブランドの確立に向けて、東北の強みとなるテーマや観光資源を組み合わせたモデルルートの構築を進めることとしております。
県といたしましては、こうした取り組みを通じて、広域観光ルートとして定番化が図られるよう、今後とも東北観光推進機構との連携を強化し、東北全域への誘客の拡大に取り組んでまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、6次産業化の推進についてでありますが、県では、平成21年度から延べ148事業体に対し、地域特性を生かした新商品の開発や販路拡大など、モデル的な取り組みへの支援を行ってきたところであります。6次産業化の成功に向けては、意欲ある生産者や事業体において、他の事業体のモデル的な取り組みを参考としながら、商品開発や販売等のノウハウを蓄積し、取り組みに生かすことが重要と考えております。
このため、県では、各種研修や交流会等の機会を通じ、さまざまなモデル的な取り組み事例の周知を図ってきたところであります。今後は、さらに加工、販売などの類型ごとに成功ポイントなどを整理し、それをその生産者や事業体が有効かつ容易に活用できるよう事例集として取りまとめるほか、ホームページで公開するなど、効果的かつ丁寧な情報発信に取り組んでまいります。
次に、原木シイタケについてでありますが、本県の原木シイタケの産地再生を図るためには、生産者が安心して再生産に向けた取り組みや生産活動ができるよう、継続的な支援が必要と考えております。
このため、県では、生産者の初期投資の軽減を図るため、落葉層の除去等によるほだ場の環境整備や新たなほだ木造成に対する支援、放射性物質の影響を受けにくい簡易ハウスの導入などに取り組むとともに、生産者の事業継続のため、必要とする資金の無利子貸し付けや生産工程の管理の徹底を図ってきたところであります。また、東京電力に対しましては、生産の継続に必要な賠償を速やかに行うよう交渉を進めてきたところであり、これまで、高騰した原木価格のかかり増し費用や風評被害による市場価格の下落分等について賠償が認められてきております。
原木の確保につきましては、平成24年8月にしいたけ原木供給連絡会議を設置し、素材生産業者、市町村有林への働きかけや他県からの原木供給などに取り組むとともに、県内向けに原木を供給する事業者等に対しましては、資金の低利貸し付けや無償での原木の放射性物質検査の実施などに取り組んできたところであります。こうした制度や取り組みにつきましては、生産者説明会や巡回指導など、あらゆる機会を捉え周知を図ってきたところでありますが、今後とも国に対し支援の継続を要望しますとともに、関係機関等と連携し、生産者が希望と意欲を持って産地の再生に取り組むことができるよう、引き続き支援してまいります。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、地域医療の再構築に向けた医師の確保についてでありますが、県では、医師の確保と県内への定着を図るため、医師確保対策アクションプランを策定し、医師のライフステージに応じた五つの視点により総合的な取り組みを推進しております。
五つの視点のうち、育てるの視点では、奨学金制度による医師の養成、知ってもらうの視点では、研修医確保のため、いわてイーハトーヴ臨床研修病院群12病院による全国の医学生に対する合同説明会の開催、残ってもらう、住んでもらうの視点では、勤務医の勤務環境の改善や即戦力医師の県外からの招聘、働きかけるの視点では、病状や地域の医療環境に応じた適切な受診などを啓発する地域医療を支える県民総参加による運動の展開などに取り組んでいるところです。
議員御指摘のとおり、増大する在宅医療ニーズへの対応や、地域特性に応じた地域包括ケアシステムの構築など、新たな課題に対応する地域医療の再構築のためには、各地域において充実した医療体制を支える医師の確保が重要であると認識しております。
今後も、中高生を対象とした医療職進路選択セミナーによる動機づけや産業界への働きかけにも取り組みながら、住民等による地域医療を支える運動を展開するなど、教育や県民運動を含め、さまざまな視点から総合的な医師確保対策を推進していきます。
次に、ヘルスケア産業による健康増進についてでありますが、2014年に改訂された日本再興戦略では、健康管理や健康促進などを目的とする健康産業の活性化と質の高いヘルスケアサービスの提供を目指すこととされており、まち・ひと・しごと創生総合戦略では、主な施策としてヘルスケア産業の創出を掲げております。
本県におけるヘルスケア産業の状況は、体によい健康食を提供するドクターズレストランや、医療と連携して運動指導を行うフィットネスクラブ、温泉、食事、運動などを組み合わせた健康増進施設などがあります。県としては、健康寿命の延伸を図るため、寝たきりなど健康寿命への影響が大きい脳卒中の予防について、岩手県脳卒中予防県民会議に参画している団体と連携して取り組みを進めているところであり、今後、ヘルスケア産業の事業者の参加を得て取り組みを充実させてまいります。
〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 焼却処理ができない廃棄物の最終処理についてでありますが、道路側溝汚泥については、平成25年度に奥州市で2カ所、平成26年度は一関市で1カ所で一時保管場所が整備され、一時保管が行われたところであります。しかし、一時保管や処理に対する住民理解の醸成に多くの日数を要していることや、国から処理基準が示されていないことなどが課題となっており、処理が長期化している状況にあります。
県としましては、これまでも国に対して処理基準の早期提示や住民理解が得られる安全・安心な処理方法の提示を要望してきたところであります。また、放射性物質への不安解消のため、県内各地で放射性物質のリスクコミュニケーションを実施してきたところであります。
今後とも、早期処理に向けて、市町村の要望に沿った支援を国に対し要望していくとともに、地域住民の不安の解消のため、住民説明会への県職員の派遣など技術的な支援等を継続してまいります。
〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 新笹ノ田トンネルについてでありますが、国道343号につきましては、東日本大震災津波において内陸部と気仙地区をつなぐ道路として大きな役割を果たしたことから、復興実施計画において復興支援道路に位置づけ、重点的に整備を進めているところでございます。
笹ノ田峠につきましては、急勾配、急カーブが連続し、交通の難所となっていたことから、昭和49年から平成元年にかけてループ橋を含む延長約6.5キロメートルについて総事業費約69億円を投入し整備したところであり、一定程度の道路サービスを確保しているものと考えております。一方で、今回の9万人を上回る署名により示された新笹ノ田トンネルの整備に対する地元の期待は大変大きなものがあると受けとめております。
今後の対応についてでありますが、笹ノ田峠のさらなる整備については、大規模な事業となることが見込まれることから、現在、かつてないスピードで進められている復興道路等の整備により形成される高速交通ネットワークでの物流の変化や、ILCの立地構想による計画の進展に応じて必要な検討をしていきたいと考えております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 運動部活動のあり方等についてでありますが、県教育委員会におきましては、適切かつ効果的な運動部活動を推進することが重要であるとの認識から、長時間練習が常態化することのないよう、また、適切な休養日の設定や活動時間に十分配慮することなどについて、各県立学校及び市町村教育委員会に指導、要請を行ってきております。
そのための支援策といたしまして、各学校の運動部活動の中核的な役割を担う教員を対象にした運動部活動マネジメントの研修や、種目ごとの顧問教員を対象にした運動指導メニュー、実践事例の研修などを実施してきております。また、各学校に対して、各競技団体から推薦された地域スポーツ指導者やアスレティックトレーナーを派遣することにより、専門的な指導方法やスポーツ医・科学の視点を取り入れたトレーニング方法の普及にも取り組んできております。
今後におきましても、関係機関と連携を図りながら、各学校において一層の効果的、効率的な運動部活動が展開され、生徒たちがキャリア教育や地域理解などに触れる時間が確保できるよう取り組んでまいります。
次に、部活動と総合型地域スポーツクラブの連携についてでありますが、本県ではこれまで、多種目、多世代、多志向といった住民の多様性に応じたスポーツ機会を提供するため総合型地域スポーツクラブの育成に重点的に取り組んできており、現在は、25市町村において53団体が活動しているところです。少子化の影響などにより、学校に入部したい運動部がない生徒たちにとって、総合型クラブにおいて希望するスポーツ活動に取り組める環境があることは、身近にスポーツに親しむことや、生涯にわたってスポーツを楽しむ資質、能力を身につける上でも重要であると認識いたしております。
本県におきましては、総合型クラブが地域にある学校と連携し、クラブが有する人材や場を提供しながら運動部活動を支援している事例がございますし、より高いレベルを求める生徒に対し、総合型クラブが競技のトップアスリートを定期的に招聘し、練習機会を提供することなどにより、トップスポーツとの好循環を生み出す取り組みもございます。
今後におきましても、生徒の多様なニーズに対応するため、総合型クラブと学校、地域の連携が一層図られるよう、総合型クラブの育成やスポーツ環境の整備に努めてまいります。
〇10番(佐々木朋和君) 御答弁ありがとうございました。何点か再質問をさせていただきたいと思います。
まず、住民の負担軽減についてでありますけれども、言及させていただいたのは、地方財政が逼迫する中、地方創生あるいは協働のまちづくりのもと、地域包括ケアや介護予防、防災に至るまであらゆる場面で行政から地域住民へと負担が移行しているのではないかと懸念したからであります。
人口減少、高齢化が進む中では、行政にかわって地域住民を助けたり、また、主体となれる団体や人材の育成策が重要だと思われます。その方策の一つに地域おこし協力隊の活動が挙げられます。都市地域から過疎地域などに地域おこし協力隊員が一定期間地域に移住して地域協力活動を行う事業ですが、隊員の4割が女性、8割が20代から30代、任期終了後、6割が同じ地域に定住するというデータもあり、地域にとって大きな助け、刺激になると同時に、移住交流施策としても意義があります。
政府は、平成28年度までに全国で978名という現在の隊員を3、000名に拡大するという目標も立てておりますが、本県では余り活用が活発ではないと考えております。県内の派遣の現状と、他県と比較して少ない理由、課題解決方法をお示しいただきたいと思います。
次に、6次産業化の推進についてお伺いしたいと思います。
先ほどは、モデルケースの効果的な情報発信について言及いただきましてありがとうございました。この6次産業化の振興には、一歩先を行く、また、新たな切り口からの商品開発、販路確保策が必要だと考えております。消費者庁は、地域における消費者志向ブランドの育成のための施策として、事業者が法令を遵守しつつ、食品の持つ保健機能といった長所を効果的にPRできるような環境を整備するとしております。平たく言えば、今後、食品に、お腹の調子を整えますなどの表記ができるようになります。消費者の信頼の高い岩手の農林水産物、加工物について、さらに新たな機能性表示制度を使いこなして、消費者志向ブランドを育成すれば、新たな商品、販路拡大につながると思われます。
しかし、それには事業者の知識向上、また、官民による検査機関や表示の指導など環境の整備も必要です。新機能性表示制度についてどのように認識しておられるのかお伺いしたいと思います。
最後に、原木シイタケ関連についてお伺いしたいと思います。
原木シイタケの生産の場であるほだ場には、いまだに一時保管された汚染ほだ木や除染された落葉層が山積みにされ、生産者の負担となっておりますし、再生産へ向けての心理的なハードルにもなっております。ほだ木の長期化対策や落葉層の最終処分方法について、どのような状況になっているのかお伺いしたいと思います。
また、出荷制限解除となった原木シイタケ生産が、風評被害や再度の出荷制限にならないように、農家が行う生産管理の定期的なチェック、再度、汚染シイタケが産直などの市場に出回らないようなチェックも必要と思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 地域おこし協力隊についてのお尋ねでございます。
本県における地域おこし協力隊制度の活用状況でございますが、平成24年度には2市町で4人、平成26年度は6市町村で14人と拡大してきております。これらは東京都を初め他県等から移住してきた若者たちが、地域の観光振興や伝統文化の保全、農林水産業の支援活動などに積極的に取り組んでいただいているところであります。
制度の導入に当たりましては、受け入れ先となる地域が期待する活動と、隊員本人の希望する活動とのマッチングが最も重要であると考えております。
本県において少ない理由ということでございますが、平成25年度の数字を見ますと、青森県が6名、宮城県が5名という状況でございまして、本県も7名で、震災により他県から多くの職員が沿岸に行っている中、ほかから人を呼ぶということに対して少しおくてだったのかなと、これは勝手な推測でございますが、そういうことで導入についてはスタートが少しおくれた面があるかと思いますが、今、周知に努めております。
平成27年度からは、新たに、この制度を活用いたしまして配置人数を大幅にふやす市町村も出てきております。今後とも、市町村に対しましてこの制度の有効活用を促しまして、県内外で成果を上げている活動事例の情報共有を図りまして、制度終了後の定住への誘導も視野に置いた取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、新機能性表示への対応についてでありますが、現在、消費者庁におきまして食品の新たな機能性表示制度が検討されており、今現在、公表されております食品表示基準案によりますと、機能性表示食品の区分が新たに設けられまして、消費者庁への届け出によりまして、食品の成分により健康の増進等が期待できる旨を表示することが可能となると承知してございます。
この制度によりまして、議員からお話がありましたとおり、商品の効用をアピールすることが非常にしやすくなるということもございますので、消費者ニーズに応え、付加価値を高める商品開発につながることが期待されると認識しております。
今後、この食品表示基準や機能性表示食品の取り扱いなどが明らかになりますことから、その内容を踏まえまして周知を図るなど、関係機関等と連携して必要な対応を図っていきたいと考えております。
次に、保管されている原木、落葉層の処理の見通しなどについてでございますけれども、ほだ木の処理につきましては、今年度、全て除去は100%完了見込みでございますが、一方、落葉層につきましては、今年度の完了を目指しておりましたけれども、今現在の進捗率は92%という状況になってございます。
ほだ場から除去された落葉層の取り扱いにつきましては、管理基準やその処理方針が国から示されておりませんので、国に対して引き続き要望しますとともに、管理基準等が示された場合には、これに従いまして適切に対応していきたいと考えております。
また、安全なシイタケを生産するための生産管理体制のチェックという御質問でございましたけれども、県ではこれまで、生産者が安全なシイタケを生産し続けることができるよう生産者説明会や技術研修会の開催、さらには普及指導員等の巡回指導におきまして、生産者の栽培管理の取り組みやチェックシートの記入状況等の確認をしてきております。
また、みずから原木を伐採して生産しております、いわゆる自伐生産者に対しましては、使用前の原木や生産途中のほだ木、発生したシイタケの3段階で放射性物質濃度の検査を行うなど、徹底した安全の確認を行っております。今後も、これらを継続することによって安全の確保に努めてまいります。
〇議長(千葉伝君) 次に、小野寺好君。
〔48番小野寺好君登壇〕(拍手)

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