平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(久保孝喜君) 社民党の久保孝喜でございます。
今任期最後となる予算議会に登壇できたことを感謝申し上げ、実りある議論となることを願うばかりであります。
最初に、今議会冒頭に行われた知事の所信表明演述についてお伺いいたします。
正直に感想を申し上げれば、私は、大変驚き、ある意味びっくりさせられました。ささやかな歴史ではありますが、私の20年に満たない議員生活の中で、ここまで徹底された自画自賛、成果、実績のオンパレードの演述は初めてであります。私の認識の中での所信表明演述とは、過ぐる年度の成果と課題を丁寧に県民に提示し、提案予算における重点と方向性へのアプローチに理解を求めつつ、県政トップとしての決意や、その理念を明確にする極めて重大な意味合いがあると考えるのであります。
知事のそれは、全く別物でございました。残念ながら、今回もまた一方的な成果、実績を羅列し、課題や問題点、克服すべき点などには深く言及することもなく、したがって、トップとしての謙虚な反省や不十分さへの弁明すらなく、岩手県政の集中点がどこにあるかの訴えも希薄でございました。改選を意識した選挙演説とでも言うべき内容に終始したと断ぜざるを得ません。
こうした実績の羅列や成果をうたい上げる姿勢は、厳しい被災地の現況、懸命な営みへのある種の傲慢さにも通じ、深刻な問題の所在を曖昧にするばかりか、県政の方向をミスリードすることにもなりかねないと思わずにいられません。県職員の誰もが一生懸命に取り組んでいることを疑う何物もないのは自明のこととして、トップとしての姿勢、振る舞いの問題として、極めて遺憾な態度と受けとめざるを得ません。
〔副議長退席、議長着席〕
行政は、法と計画に基づく真摯な営みであると思います。予算が投下された事業における問題点や課題の存在は、当然ながら常に目の前に繰り返し立ちあらわれます。そのとき、計画の達成や事業の終了を成果に読みかえてよしとしてしまう、そんなことがあってはならないと思います。
一定の時期に一定の進捗があり、事業が滞りなくまずは完了したとしても、それは新たなスタートにしかすぎません。不断に将来につなぐ課題を洗い出し、原因と背景に関しての不十分さに謙虚な反省の姿勢を示すとともに、これからの決意や展望を語る、そうできるかどうかは、まさにガバナンスのありようとして問われることになるものだと思います。
知事の所信表明には、そうした姿勢が全く読み取れませんでした。昨日の岩崎議員とのやりとりを聞いてなお、そう思わずにいられません。トップとしての感性に欠ける態度と言わざるを得ないことを指摘したいと思います。
その上で、まずお伺いいたします。復興の現状において、高らかに成果をうたう知事のスタンスと直近のいわて復興ウォッチャー調査のずれをどう説明し、対応するのか、その認識を伺います。
また、4年間の成果をこれでもかとうたいながら、復興の成否に関して大きな課題でもあるJR線の復旧問題や緊急雇用創出事業の不適正な経過や現実に一切触れない理由は何か、根拠ある説明を伺いたいと思います。見解をお示しください。
次に、人口減少問題における県政課題についてお伺いいたします。
物議を醸した増田レポートの自治体消滅論は、ショックドクトリンとしての効果効能に限定的であると思います。そこに提起された新たな地方の姿は、安倍政権の地方創生のかけ声に通じるものとして、ひとり歩きをし始めた感がございます。
東京一極集中の国土デザインを推し進め、地方の人、もの、金を収奪してきたこれまでの構造、しかも、極めて明確な政治の意思によってつくられてきたその構造への反省もほとんど語られることはありません。結果的に、地方に無数のミニ東京をつくりかねない現在の方向性は、極めて危険だと言わなくてはなりません。新たな地方の新たな格差を生み出しかねない危険性は、被災県岩手だからこそ警鐘を鳴らすべきと思いますが、いかがでしょうか。
したがって、そうした思惑めいた背景を持って語られる消滅論なるものに、私は、いささかも賛成したくはありません。消滅という言葉が持つ脅迫的でセンセーショナルな表現は、評論や報道活動としての意味は認めても、行政のただ中で、ましてや自治体施策の副題などに使っていい言葉とは到底思えないのであります。その言葉に振り回される姿に、本気の地域づくりなどできようがないとさえ私は思います。
知事は、一人一人の暮らしやなりわい、故郷への思いに寄り添って人口減少に取り組むと語りました。その寄り添いに消滅という言葉が必要なんでしょうか、ふさわしい表現なのでしょうか、甚だ疑問でございます。
地方自治体、わけても小規模自治体は、何年も前からその人口減少を予見し、もがき続けてきました。明るい将来への糸口をつかもうにも、大きな政治のうねりの中で翻弄されてきたのです。県政もまた同様だったと思います。
そして今、にわかに地方創生。地方は新たにつくり直さなくてはならないほどの惨状なのでしょうか。だとすれば、それは誰がそうしたのでしょうか。あるいは、創生という言葉と消滅という言葉は、我々が知らないずっと奥底で手を握り、ほくそ笑んでいるのではとさえ私には思えてなりません。
そんな状況の中で、被災県岩手までもが、取ってつけたような消滅論を振りかざした対応に躍起となるのは、いかにも噴飯物と言わざるを得ません。まずは、その点において、人口減少に立ち向かうスタート地点を間違っていないかとの感慨を持つのでございます。
知事は、これまでの任期中、人口問題に対する私初め議会での質問に対して、社会増減の差が縮小傾向にあることを盛んに答えてきた経過があります。私どもが、それは間違ったメッセージになると警告してきたにもかかわらずです。社会増減が国の経済政策や財政政策にリンクしていることは自明のことであり、ひとり県施策だけで効果を上げ得ないことは、最近の人口減少の議論が如実に示しているところです。ここにおいても、知事は、真摯な反省をすべきと申し上げたいと思います。
人口問題に対応する自治体施策の要諦が、社会増減のそれより、第一義的に自然増減へのアプローチが必要との見方は、既に常識的に定着しています。その上で、やれることは何でもやるとの言葉どおりの総合的で戦略的な対策が求められております。
県は、市町村との議論経過もあり、新年度において国が求める地方版総合戦略、地方人口ビジョンを策定するとしています。まさに市町村との連携、協働の実が発揮されなければならず、広域自治体としての県行政の責務は、一層重要さを増しているわけでございます。
そこでお伺いいたします。人口減少の要因に正面から取り組むとの知事演述は、復興の課題においては、今後どのような展開と結果を想定しているのかお示しください。本格復興邁進予算のその先で、被災地の人口を切り口とした将来像をどう描くのか、ぜひお聞きしたいと思います。
次に、昨年11月に提出した県の政府要望の趣旨と背景をお示しいただきたいと思います。また、岩手県人口問題対策本部が今月発表した報告案に県民総参加の取り組みがうたわれていますが、その具体的方針をお示しいただきたいと思います。
以上、演壇からの質問といたします。以後の一問一答も、よろしくお願い申し上げます。
〔23番久保孝喜君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 久保孝喜議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復興の現状認識についてでありますが、私の演述では、これまでの4年間の復旧、復興の取り組みや本格復興邁進のための課題、平成27年度の主要な取り組みなどについて申し上げたところですが、いわて復興ウォッチャー調査の結果などを見ますと、復興計画に掲げる取り組みは着実に進んでいる一方で、応急仮設住宅等での生活が長期化する中、災害公営住宅の整備や復興まちづくり事業などが、被災者の方々にとって、復興を実感できるという程度までは進捗していないという状況にあると認識しております。
また、復旧、復興の進捗状況や見通しにつきましては、社会資本の復旧・復興ロードマップなどによって被災者の皆さんに丁寧にお伝えするとともに、復興を進める上での課題や今後の方向性については、いわて復興レポートとして明らかにしているところであります。
今後におきましても、被災地すなわち復興地、被災者すなわち復興者の皆さんに寄り添い、被災者の方々が一日も早く復興の歩みを実感できるように、復興に携わる全ての人々とともに本格復興に邁進してまいりたいと思います。
次に、JR線の復旧等についてでありますが、今回の知事演述は、東日本大震災津波からの本格復興に邁進するため、復旧、復興の現状と平成27年度に向けた取り組みの方針を示したものでありますが、その中で、鉄道については、沿線住民の貴重な生活の足との認識のもと、県としても、その復旧を重要な課題と位置づけこれまで取り組んできたものでありまして、昨年4月に全線復旧した三陸鉄道の現状とともに、被災地の復旧、復興を果たす上で重要なJR線の一日も早い運行再開を働きかけていくことも申し上げたところであります。
また、緊急雇用事業についてでありますが、これまでも議会への答弁や説明など、御理解を得られるよう対応してきたところであり、今後も真摯に対応してまいります。
次に、人口減少問題における課題についてでありますが、県では、東日本大震災津波の被災地においては、復興事業を迅速に進めることこそが人口流出対策であるという認識のもと、これまで、多重防災型まちづくりの推進や災害公営住宅の早期整備、漁業と流通加工業の一体的な再生などに全力で取り組んでまいりました。
現地では、幅広い業種で労働力の確保が課題となっているほか、まちづくりに伴う地域コミュニティの継続の問題等、復興のステージの進展に伴う課題も浮かび上がっています。
このため、新年度予算やさきに提案した補正予算におきまして、水産加工業者が新たに人材を確保するための受け入れ環境の整備や住宅再建に向けた相談体制や支援体制の拡充、集落再生のモデル支援など、ソフト面の支援も一層充実させているところであります。
ハード、ソフト一体となった被災された方々一人一人に寄り添う復旧、復興によって、多くの方がふるさとで働き、暮らすことができる環境の整備に万全を尽くしてまいりたいと思います。
次に、政府要望についてでありますが、昨年行った政府要望は、政府が検討を進めていた人口ビジョンや総合戦略の策定に当たり、人口減少問題に対する抜本的な取り組みを盛り込んでもらうため行ったものであります。要望は、まず、全般的事項として、当時、いまだその実施が未確定だった使途の自由度の高い交付金等の創設を冒頭に掲げるとともに、地方の人口の社会増減に強い影響を与える地方重視の経済財政政策の実施を要望しました。
また、個別事項として、地域少子化対策強化交付金の恒久化や高等教育機関の地方分散等、自然減、社会減対策15項目について要望を行ったところであります。
そして、県民総参加の取り組みについてでありますが、人口問題に関する報告(案)においては、人口減少対策の進め方として、民間事業者や関係団体等に協力を要請する事項を掲げています。具体的には、商工団体に対し、安定的な雇用の確保や新規学卒者に対する説明の機会の確保、女性の活躍推進の取り組みなど、会員団体、企業に対する理解促進への協力を要請することを初め、民間事業者等、生産者、農業、林業、水産業団体等、教育機関、関係団体やNPO等に対しまして協力要請する事項を取りまとめておりまして、さまざまな団体との連携、協働のもと、一体となった取り組みを進めてまいります。
さらに、県民一人一人が地域に関する理解を深め、ふるさとが抱える課題をみずからの問題として考えていただき、人口問題の周知を図ってまいります。
〇23番(久保孝喜君) まず、知事演述についてからお伺いしたいわけですが、ちょっと予定を変更してお聞きしますので、よろしくお願いしたいと思います。
昨日の岩崎議員とのやりとりを聞いて、冒頭申し上げたように、大変私は、ある意味ショックでございました。知事が言うとおり、知事演述の中に盛り込んでいいかの判断というのはまた別にあると仮にしたとしても、知事が日ごろから言っているように、被災者の一人一人に寄り添う復興が目標なんだ、こう言っている限りにおいては、このいわて復興ウォッチャー調査というものは、まさに被災者の一人一人の積み上げの結果、出てきている数字あるいは現実ですね。そこに触れずに、知事の言うところの一人一人に向き合うという復興は、果たして本当にできるのかなとも思うわけですが、その点について、まずは見解をお願いします。
〇知事(達増拓也君) いわて復興ウォッチャー調査など、被災地の皆さんの現状についてさまざま調査する中で、自由記載欄もございまして、それを読みますと、かなりお一人お一人違った状況の中で、違った思いで、まだ進捗していないという、同じまだ進捗していないに丸をつけていても、それはさまざま理由がありまして、例えば、今も宮古市では、防潮堤の高さと、それよりは国道をかさ上げしたほうがいいのではないかというような議論を住民の皆さんでやっている、そういうことがおくれの原因になっているわけでありますけれども、ただ、それを、おくれはよくないと言ってやめてしまうわけにはいかないわけであります。
それから、ほかにも、入札不調というものがおくれにつながり、それが、いわて復興ウォッチャー調査の問題にも出ているんですけれども、この入札不調の問題についても、やはり高騰する人件費や資材、それを当初の予定の安いままで無理やり仕事をしてもらうわけにはいかないわけでありまして、そこは公契約条例の問題でも言われているように、それなりのきちっとした価格で、つまり入札をやり直していかなければならないとか、いろいろ、さまざま問題はあります。
ですから、そういったそれぞれの問題をひっくるめて、ばさっと切るような演述というのは、なかなか考えつかなかったところであります。
一方で、震災から丸4年たつ今の状況というのは、まさに復興の正念場であります。復興の事業がピークを迎える、量的にこれをきちっとやらないと、復興全体がもう途中で終わってしまうようなことになってしまう。また、もう発災から4年もたっている仮設住宅生活の長期化、ここをきちんと支えていかなければならない。先に行けば行くほど、この仮設住宅生活の長期化というのは、生活環境としては悪くなっていくわけでありますから、そういった中で、被災者の皆さんに希望を持っていただくということを私は最大の重点として、あのような知事演述を、その考え方に賛同する県職員とともにつくったところであります。
〇23番(久保孝喜君) そういう認識があるのであればあるほど、トップとして、いや、県の行政は計画を含めてここまでやってきました。しかし、現実にそう思われている皆さんがいるということについて、これは、やっぱり不明をおわびすると。しかし、このおくれは、やがてこういう形で解消されて、皆さんの望む、あるいは県が望んでいる計画にこういうふうに到達するのだと言えばいいだけの話なわけでしょう。そこを省いてしまうから、受けようによっては、全くその問題を避けている、こういう指摘が岩崎議員からもあったわけですよ。
そこをやっぱりきちんと考える上で、本当にそういう認識があるのかということで、一つの例で言うと、きのうたまたま会派に1部ずつ、これは、かつて全議員に配付されていたものなんですが、知事が講演した講演録ですね。平成26年11月28日、本格復興と地方創生という副題がついた。この中でも知事は、復興についての概略的な、概括的な総括をしています。ところが、この講演、恐らく多分この量ですから1時間とか1時間半ぐらいの講演だったと思うんですが、その中にも、被災者がどう思っているかという記述、つまりウォッチャー調査などで出ている、おくれていると感じている被災者がいるという現実については、1行も、一言も触れていない。本当に認識があるのかということで言えば、そういうふうに見られてしまうわけですよ。私は、その不明を恥じなければいけないと思うのですね。
これは、恐らく何回やりとりしても同じことの繰り返しになるんだろうと思いますから、この部分では指摘をしておきたいと思いますが、知事から何か特に反論したいということであれば、どうぞ。
〇知事(達増拓也君) 応急仮設住宅等にお住まいの方々だけで3万人近くいらっしゃるわけで、その方々一人一人に異なる思いがある。そこに県職員、また市町村職員やさまざまな団体、NPOやボランティアの方々も一緒になって取り組む中で、それぞれが直面しているこのいわて復興ウォッチャー調査に出てくるような悩み、苦しみ、思いというものを個々にきちんと解決していくということに、今、私たちは取り組んでいます。県議会議員の皆さんも、それぞれの地元、内陸議員の皆さんも、さまざまなつながりの中で、そうしたことをやってくださっていると思います。
ですから、そういう一人一人への思いを解決していくためには、やはりそういう個別の対応をきちっと丁寧にしていくことが必要であり、そういうものを全てひっくるめて、今、被災地には、全体として、一人一人の苦しみを一言で言葉にするというのが、なかなか思いつかないところがございます。
〇23番(久保孝喜君) 一連のこのやりとりは、ややむなしさもあるわけですが、しかし、知事は県政のトップで、しかも今、正念場を迎えている復興のさなかでありますし、そういう意味では、きのうのやりとりも含めて、やっぱり知事のそういう認識がきちんと伝わるように、私は、どういう場面であっても言わなければならない一つの前提だと思うんですよ。
復興事業がどれだけ進捗したかというよりも、そこに住んでいる今の被災者の方がどう思っているのか、どう感じているのか、そこを常に意識するという意味では、触れて当たり前、触れないほうがおかしいということを皆さん言っているわけで、私もそう思うわけですね。この講演、1時間、1時間半の中でも一切触れていないということも含めて、本当に認識があるのかということを疑わざるを得ないと私は思っております。
この問題は、次の課題でも触れますので、次に移らせていただきたいんですが、ただ、一言だけ言わせてもらえば、県庁内部で積み上げた演述であるということなどからしても、それぞれの部局が、この問題、課題があるぞということは恐らく感じていらっしゃると思うんですが、それが演述という形では一切出てこないということも含めて、私は、何かこの達増県政が、そんたく行政の中にはまり込んでしまっているのではないかということさえ思ってしまうわけでして、ぜひ、そういうことのないようにしていただきたいということを申し上げたいと思います。
次に、人口減少問題に移りたいと思います。
復興の課題への対応については、人口の切り口についてのビジョンというか方向性はなかなか示してもらえませんでしたが、この政府要望、昨年11月の段階で、11月26日、人口減少問題対策に関する岩手県からの要望・提言、実にこれは、ある意味タイムリーだったと思いますし、それなりの議論の結果、出された要望だったろうと思いますが、この要望の中に人口減少問題の一つの大きな柱であるはずの労働法制や雇用の問題が一切記述されていないということについて、どうしてなんだろうなと私は思うわけです。
これほど地域経済あるいは全国的に経済が疲弊しているという中にあって、一番の問題は、非正規雇用の問題を中心とした労働環境、雇用環境あるいは就労状況といいますか、そういう構造、就労構造なんかの問題が一番大きいと。きのうの新聞でも、ある新聞が、子供の貧困状態を長年にわたって調査している団体の、被災地の非正規雇用の比率がかなり大きくなっているという調査結果が報道されておりました。
事ほどさように、復興の問題にも、あるいは人口減少の問題にも、雇用環境や労働法制というのは、これは県ができるわけではないので、国に対してきちんと県の姿勢なりメッセージを出すというのは当たり前のことだと私は思うんですが、なぜなかったのか、まずそこをお示しいただきたい。
〇知事(達増拓也君) 人口の社会減をとめていく、人口の流出をとめていくという観点からも、この若者の雇用環境というのは大変重要だと思っておりまして、人口減少問題の中で、やはり社会減というのは非常に重要で、県としても、国と一緒にそこに取り組んでいかなければならないと考えております。
特に、被災地においては御指摘のような問題がありますので、岩手労働局と県が協力しまして、被災地における労働環境の改善について既にさまざま働きかけをしているところでありますけれども、その岩手労働局を通じて、今月、改めて厚生労働大臣に対し要望を行ったところであり、今後も必要な要望を行ってまいります。
〇23番(久保孝喜君) 私の質問は、なぜ11月段階でなかったのかという質問なので、その点についてお答えいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 先ほど答弁いたしましたように、政府においても、まち・ひと・しごと創生本部の体制が立ち上がり、人口ビジョンや総合戦略を策定するという段階にあって、まず、使途の自由度の高い交付金等の創設という喫緊の課題を冒頭に掲げ、また、地方の人口の社会増減に強い影響を与える地方重視の経済財政政策の実施、これは、去年、岩手県の人口流出が数年ぶりに悪化する、また、全国的にも、消費税増税の影響もあって、地方経済が都会の経済に対し相対的に悪化するというような、これまた喫緊の課題についてまず求める、そういう組み立ての政府要望にしたところであります。
〇23番(久保孝喜君) 全く答えにならないと私は思いますよ。完全にその分野の要望が抜けていたと。期せずして、私がこの問題で事前の調査をした翌々日に、政府に対して個別の課題についての雇用問題関連の要望書が出たというのも何かの縁だろうと思いますが、そこで、具体的にお尋ねしたいわけですが、その前に、先般出されたこの人口問題に関する報告(案)についても、概要のこのペーパーがありますが、この中にも雇用の問題は全く触れられていません。ですから、知事がどのように答弁しようとも、この人口問題に関して言えば、雇用の問題はかなり大きな要素ではないというふうにしか読み取れません、このペーパーに限って言えば。これは既に出されて、配付されているものですが、この中にも全くないんですよ。就業構造がどれだけ人口減少の問題とリンクしているかというのは、今さら私が言うまでもないことですし、知事もおっしゃいました。
特にも、その中で一番問題なのが、若年勤労者層と言われる階層の人口流出の問題です。この若年勤労者層に係る本県の人口動態に係る特徴についてどのように認識され、課題があるのかお示しいただきたいと思います。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 本県の若年層の人口移動の特徴と課題でございます。
本県の人口の社会減は、18歳そして22歳前後で特に大きくなっております。
まず、18歳時における社会減は、進学や就職に伴うものと考えられておりまして、昨年は、男性が509人、女性が373人と、男性の社会減が女性を100人以上上回っている状況でございます。一方、22歳時を見ますと、主に就職に伴う社会減と考えられておりまして、女性が266人、男性が132人と、女性の社会減が逆に男性を100人以上上回っている状況でございます。
これは、高校卒業者の希望する進学先や若者の希望に沿う就職先、特に大学卒業時の女性の就職先が地元に少ないといったことなどが原因と考えられておりまして、魅力ある企業づくりや創業、企業の情報発信力の強化などの支援が必要と考えているところでございます。
〇23番(久保孝喜君) さまざまな都道府県のランキングというものがネットを見ると山ほど出てくるわけなのですが、そういう中にあって、岩手県の就業構造あるいは雇用の環境という点で見てみると、県内の1人当たりの年間総労働時間は全国2番目に高いです。山形県がトップで、その次が岩手県。年間1、908時間という数字が出ておりますが、岩手労働局が発表しているさまざまな統計数値の中でも、それを裏づけるものがいっぱい出てくるわけです。こうした就労構造があり、なおかつ、先ほど申し上げた非正規労働者がどんどんふえているという環境が、若者の、それでなくても小さい労働市場をますます小さくしてしまっているということからしても、これは、国も含めて―国が主たる対策を講じなければいけないわけですが、私は、そういう認識というものを持たなければいけないと思いますし、そこにアプローチする手だてというものをしっかりと方向性を出さなければならないと思うんですが、その点についてはどのようにお感じになっているでしょうか。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 皆さんにも配付しております人口問題に関する報告の本体の方でございます。私どもも、そうした現状を非常に深刻に受けとめております。お手元になければちょっと恐縮でございますけれども、その中で、72ページ、総合的な人口減少対策の展開第4章の中に、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出し、人口の社会減を食いとめる施策ということで、今おっしゃるような、御指摘をいただいた就職における若者の県外転出を食いとめるということで、何としても雇用の拡大を図る、それから、県外企業と給与水準の格差の縮小を実現する、あるいは本社部門や研究開発部門の拡充など学生の求職ニーズに応える、こうしたことを現状の課題として取り上げておりまして、こうした課題の解消に今後取り組むと捉えているところでございます。
〇23番(久保孝喜君) 非正規の問題で言うと、例えば毎月発表される直近の有効求人倍率に関連した統計数値があるわけですが、その中での就業する際の正社員構成比というものがどんどん低くなってきたと。これは、年を追って言うと、かつては70%を超えていたものが、今は60%そこそこの値になっているわけです。統計局が毎月出している統計数値にも、ここに一番直近の分があるのですが、その中でも大変低い数字が示されております。いずれにしても、こうした雇用環境、就業構造というものをきちんと腹に据えてかからないと、単なる人口減少の上っ面をなぞっても、なかなか本質的な解決にはならないというのは、私から言うまでもないことだろうと思います。
そこで、一つの実例を示したいわけですが、先般、人口減少・少子化対策調査特別委員会で北陸の石川県、富山県を視察してまいりました。言わずと知れた福井県を含めた北陸3県は全国の住みよさランキングでも上位ですし、さまざまな就業構造でも模範とすべき県なわけですが、その中で、特にも我々の調査に対して富山県の担当者が示してくれた話の中に、若者の正規雇用者の割合がうちの県は一番高いんですと。全国第1位ですと。その数値を聞いて驚きました。富山県の場合は72.9%。この富山県は、今、110万人ぐらいの人口を切ってしまっておりますけれども、例の増田レポートの消滅可能性都市と言われるターゲットにされたのが、15市町村ある中で幾つあるかと。岩手県は33市町村のうちの27市町村ですか、そういうふうに指定されてしまいましたけれども、富山県は15市町村のうちわずか5市町村なんです。人口減少の問題でも、住みよさのランキングの問題でも、そして就業構造の問題でも、ある意味では、今の都道府県、岩手のような県にあっては、この富山県モデルみたいなところをきちんと目標として掲げながらやらないといけないのではないかという思いを強くしたんですが、その点に関して何か考えがあれば、どうぞお示しをいただきたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) ただいま、議員から富山県の雇用環境について御紹介がありました。本県との違いという点についてでございますけれども、平成24年の就業構造基本調査によりますと、15歳から34歳までの若年者の正規雇用割合は、本県の63.2%に対しまして富山県は72.9%となっているところでございます。富山県の平成25年度の有効求人倍率を見てみますと、全国でも上位の1.21倍となっておりまして、好調な雇用環境にあることが、富山県において若年者の正規雇用割合が高いことに影響しているものと認識しております。
また、新潟県の分析でございますけれども、各都道府県の正規雇用割合の実態について、第3次産業就業者の割合が高いほど正規雇用割合は逆に低くなる傾向があると分析しております。富山県におきましては、アルミ等の金属製品あるいは電気機械、化学、医薬品産業等の製造業の生産活動が活発でございまして、本県と比較いたしまして第2次産業の就業者比率が高くなっております。このことが若年者の正規雇用割合が高くなっている一つの要因ではないかと推測されるところでございます。
〇23番(久保孝喜君) それぞれ問題意識をしっかりと、例えば人口減少の対策にしても、焦点を絞って向き合っていくということが必要なんだろうと私は思います。だからこそ、冒頭申し上げたように、政府要望の中にないなどということはあってはならないし、それは担当部局としては恥ずかしいことだというふうにさえ私は思うわけです。
先ほど紹介した知事の講演録の中にも、人口減少と雇用の問題をわざわざ図表を使って説明しているんです。いわく、人口が転出超過となっている団体は出生率が高いんだと言っていますが、使っている図表の説明文の中にはもう一つあって、その中には、地方においてしっかりとした雇用を確保することが人口移動を抑制するためには必要、必須条件だというふうにも書いています。知事はその文には触れていませんが、そういう図表を使っているということもございます。したがって、雇用環境、就業構造についてのアプローチという問題は、私は、県にとっても非常に重要だと。そのときに何ができるかということなのですが、その際に一番大きなものは、知事自身が雇用者であるところの県職員のワーキングプアと呼ばれるような非正規職員の数を例えば減らしていくだとか、待遇を上げるとか。何でもやると言っているわけですから、そういうところにまずは取っかかりをつけていくということが必要なのではないでしょうか。知事のお考えはどうでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 今、お手元にある私の講演録でも冨山和彦さんのことを紹介していると思いますが、その講演自体、県内の主に企業人向けの講演でありますが、冨山和彦さんが言っているローカル経済―L経済は、グローバル経済―G経済と違って、コストカット、低賃金にすればするほどいいというような改革ではなくて、むしろ賃金はできるだけ上げていく、環境のいい労働条件の中でちゃんと働いて、稼いで、ふるさとで食べていけるようにする、それがローカル経済の肝だということで、私は、その冨山和彦さんに、県内の銀行等金融機関のトップの皆さんに集まっていただいたところでその話をしていただき、これは、国に要望するというよりも県内の企業に働きかけて、岩手の中でそういう経済を目指していくということが重要ではないかと思います。もちろん、労働局もすごい力になりますから、国のほうにも働きかけはいたします。そういう民間経済と相まって、県のほうの職員のそういった賃金や雇用条件等についても改善を図っていきたいと思います。
〇23番(久保孝喜君) かつて何回かこの問題を取り上げて、いわゆる官製ワーキングプアの解消ということを県みずからがやらないと、民間にだけ呼びかけたって、県もやっているのではないかと。県職員の3人に1人は非正規だろうと言われる実態をそのままにしておいて、今のお話はなかなか納得できる話ではもちろんないと思うんです。そのためには、しっかりとした目標値を設定したり、年次計画をつくるなりして具体的に進めていただきたい。このことはこれからもしっかりと見ていきたいと思いますので、お言葉どおりになるかどうか、ぜひよろしくお願いいたします。
この問題の最後にお聞きしますが、人口減少問題に関しての話の中で、庁内体制の強化を図るという文言がございますが、その具体的な方策は何でしょうか、お答えをお願いします。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 庁内体制の強化についてであります。
来年度は、今回おつくりしました報告案に盛り込んだ施策を着実にまず推進する。それから、国のほうからは、地方版人口ビジョンや総合戦略の策定を求められています。こうした作業がございます。このため、各部局や広域振興局にふるさと振興監―総括課長級のポストでございますが―を配置いたしまして、県の総力を挙げて取り組む体制を整備することとしております。
具体的には、各部局の人口減少対策の企画や進捗管理を初め部局横断的な取り組みの連絡調整を担いまして、庁内の連絡強化による相乗効果の発揮も目指しております。また、広域振興局にもふるさと振興監を置きまして、市町村の窓口として、協働体制や支援の強化を図っていく体制にしてございます。
〇23番(久保孝喜君) 3点目のJR山田線の復旧と三陸鉄道への移管問題、県内ローカル線問題についてお伺いしたいと思います。
既にJR東日本との間で基本合意書が交わされて、3月7日の着工は県民がこぞって待ち望んでいたことだろうと思いますし、ここに至るまで4年間の月日、そして具体的な移管問題が提起されてから丸1年経過しているわけです。この4年間の中で、結果的に三陸鉄道への移管を県も沿線自治体も受け入れたということになったわけですが、この間のJRの側の変化というのがあったと私は思います。現に、あの震災直後には、責任を持って全線を復旧させると言明したJR東日本の社長もいたわけですから、その後にJRの側の経営姿勢というものが微妙に変化していき、復旧からBRTの提案に移ったり、そして、最後は三陸鉄道への移管という話まで出てきたということなわけです。
この復旧に向けたこれまでのJR東日本の姿勢の変化をどのように受けとめて対応してきたのか。この1年間、大変苦労されてJR東日本との交渉に当たってこられたと思いますけれども、その交渉の眼目は一体何だったのかということを整理してお答えいただきたいと思います。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) お尋ねの件でございます。JR東日本は、この1年間、JR山田線の復旧につきまして、将来に向けて利用者の確保に懸念を示し、持続的な鉄道の運行が困難であるということから、南北リアス線との一体運営による経営の効率化等の観点で、三陸鉄道による運営を提案してきたものでございます。
県といたしましては、沿線4市町の一日も早い鉄道復旧を求める意向を受けまして、沿線市町を初めとする沿岸市町村―三陸鉄道の構成市町村でございますが―及び三陸鉄道と連携しながら、県が窓口となり、この1年間、JR東日本と協議を進めてきたところでございます。
〇23番(久保孝喜君) 私は、この問題は、次の質問にもなるんですが、岩手県だけの問題では決してないと。JR東日本という国内にあっては最大の鉄道事業者が、今回の震災があって、なおかつ、みずからの収益を念頭に置いた対応をしているということの意味、しかも、JR東日本にとっては、この山田線の前に、初めて岩泉線の廃線という事態もあったわけです、この4年間の中には。そういうことも含めて、今回の三陸鉄道への移管というのは、ある意味で、JR東日本にとってはこれからの経営にとって新たなオプションを手に入れてしまったということにもなるという思いが私はあるわけです。したがって、単に岩手県だけの問題ではないというのは、まさにそういう意味で、これから先の日本の国内の鉄道事業全体にとっても非常に大きな曲り角を今迎えているのだとも私は思うわけです。
そこで知事にお伺いしたいわけですが、こうしたJR東日本側の経営姿勢の変化ということもあわせて、この4年間、この経緯をトップとしてどのように見てきたのか、その点についてお話をいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 山田線については、沿線市町が被災地の復旧、復興に向けて一日も早い鉄道復旧を求めていること、また、山田線と分断されている南北リアス線を一体的に運行することによって経営面や運行面における一定のメリットもあることから、沿線市町等と協議を重ねて、JR東日本から提案のあった三陸鉄道による運営を受け入れることとしたところであります。なお、今回のケースは、三陸鉄道が山田線を挟んで存在していたからこそ成立した、あくまで特殊な事例と認識しております。
これまでの交渉経緯を経て、JR東日本が、来る3月7日に山田線の復旧工事に着工することになったことは、被災地の復旧、復興に向けた大きな前進であると受けとめております。また、今後の山田線の復旧に向け、何よりも地元自治体によるまちづくりと、持続的な運行を図っていくための利用促進を進める姿勢が重要であると認識しております。
〇23番(久保孝喜君) 特殊な事例とおっしゃいますが、岩手にとっては大船渡線の問題もあるわけです。大船渡線については、もう既に1年以上ですか、復興調整会議が開かれていないという事態もございます。確かに、三陸鉄道の線路に挟まれていたから、そういう意味では特殊かもしれないけれども、しかも、そのことによって三陸鉄道の運営が今まで以上にある意味では効果を発揮するかもしれない。しかし、一方で、この三陸鉄道自身が仙台圏と線路で結ばれないという現実も今危惧されているわけです。観光の側面から言っても、このつながらない線路、岩手県沿岸だけを走る線路というその限定的なリスクというのは、私は、これからも消えてなくなることはないとも思うわけで、特殊な事例といって、これから先のJR東日本の動向は安心できないものだとも私は思うわけです。
そこで、その姿勢にかかわって、知事に、ちょっと突然なんですが、駅構内などでJR東日本が観光ポスターなどを張り出しています。その中に岩手県の地図があって、その中に路線図が書かれてある。その路線図の中で、例えば宮古から釜石の間の山田線に関してJR東日本がどのように表記しているか、知事はごらんになったことがあるでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 残念ながら思い出せません。
〇23番(久保孝喜君) 私も実は最近それを見てびっくりしてしまったんですが、あの山田線について、通常であれば、被災によって運休中とかという表記が当たり前だと思うんですけれども、何と書いてあるか。現在運転を見合わせております。私は、ここにJR東日本の側の姿勢がある意味象徴的にあらわれていると思うんです。そこでいろいろ見ておりましたら、JR東日本の決算の説明資料の中にも、現在運転見合わせ区間という表が出ているわけです。その中にも、当然ながら山田線宮古―釜石間が表記されている、こういうことなんです。運転を見合わせているというのは、何かちょっと支障があって、ちょっとお待ちくださいという程度の話ですよ、一般的には。この4年間、一切復旧工事をしてこなった線区を、運転を見合わせております。これは、私は被災地及び被災者に対する極めて失礼な態度だと思うんですが、知事、御感想はいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 運休とかという、正規に路線を使わない状態にしている、制度的にもうここは使われていないという言い方ではなくて、見合わせている、本来、JR東日本の責任のもとにJR東日本が運行して、JR東日本の路線としてやらなければならない山田線という意味であれば、それは一つ、JR東日本が公共交通に対して責任を果たしている姿勢ともとれるかと、今聞いていて思いました。
〇23番(久保孝喜君) 大変特殊な感覚なのだろうなと思います。私は、これを見て腹が立ってしようがなかったのです。運転を見合わせていると言いながら、つまり自分たちは経営はしません、三陸鉄道でどうぞやってくださいと言ってきた経過があるからこそ、この問題は、姿勢を示すという意味では非常に大きな問題を示しているなと私は思ったところで、お聞きしたわけです。
そこで、こうした三陸鉄道への移管までの経過を考えると、現在、県内にあるローカル線においても、つまり収益の上がらない線区に関しては、何か、自然災害を含めて勃発するトラブルを契機として、あの岩泉線のように、またぞろ沿線の自治体や何かに、私の感覚から言えば、路線を切り捨て、丸投げですが、そういう事態になりかねないという危険性、そういう危機感を持たなければいけない。現在、担当課も含めて、ローカル線の沿線自治体ではさまざまな動きが始まっていますから、それはそれとして、県のそこに対する支援のありようというのは大変重要だと思うんですが、その点についてはどうでしょうか。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 御案内のありました県内のローカル線でございます。やはり沿線の人口の減少やモータリゼーションの進行を背景に利用者の減少が続いているところがございます。私どもとしますと、鉄道事業者のみならず、沿線地域においても、利用者の維持、確保に向けた取り組みといったものを行って、地域全体で鉄道を支えていくことが重要ではないかと考えております。
こうしたことから、県におきましては、利用者の少ない県内ローカル線につきまして、沿線市町村における推進組織の立ち上げを行っております。現在、花輪線、北上線におきまして、それぞれ利用促進協議会を立ち上げておりますし、シンポジウムの開催や、こういった取り組みを支援してきたところでありまして、引き続き、沿線住民の意識啓発や利用促進に向けた取り組み、これも当初予算に少し計上してございますが、そうしたものを使ってやっていきたいと思います。
〇23番(久保孝喜君) そこで、今回合意した基本合意の内容にちょっと立ち入ってお話をしたいわけですが、どうしても私はこの基本合意の内容について承服しかねる部分がございます。それは、例の30億円の話なんですが、金額の多寡ではなくて、この30億円の説明が移管協力金となっている。JR東日本にしてみれば、協力してやるという話なのか。三陸鉄道は協力をいただいて経営を引き受けるのか。この移管協力金という文言が、今回の、あるいはこれから先のJR東日本の経営姿勢とも相まって、私は重要なポイントだと見たのですが、なぜ、これが、移管協力金ではなくて移管負担金ではいけなかったのか。むしろ、提案してきた側が負担をさせていただきますと。したがって、ぜひ運営をお願いしますというのが筋なのではないでしょうか。筋論を言ってもしようがないのですが、どのようにこれは交渉したのでしょうか。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 移管協力金、その取り扱いでございます。この中身は、御存じでしょうが、運行再開後に要します赤字想定額の補填であるとか運賃差額の補填、そういったものを総合的に含んで交渉したわけでございますが、いわゆる一時金の提供をもって終了する関係ではなくて、私どもは、三陸鉄道の移管時においても、まだJR東日本の支援が必要と考えております。そうした意味で、JR東日本が引き続き支援を行っていく、あるいは行ってほしいという願いも込めまして、協力金という名前とさせていただきました。
〇23番(久保孝喜君) その心情は大変よくわかるのです。金の切れ目が縁の切れ目みたいに、一時金的にやるという意味での負担金だと、これは問題だというのはそのとおりでしょう。しかし、要は、このいわば紳士協定みたいな、前提として、移管することについては将来にわたって協力、協働関係を持ちましょうよとうたえば済む話でしょう。少なくとも、この30億円については、金額を区切っているということも含めて、私は、負担金的性格があるのだということを、まず相手方も了解してもらうということが筋なのだろうなと思うわけです。
さて、そこで、その30億円ですが、当初、5億円の赤字補填金という話が出て、1年間の交渉の経過の中で、この30億円という数字が出されてきた。私たちがそれをよしとするかどうかは、この30億円なるものの根拠があるのかということなんですが、いまだに、議会での質疑の中でも、この30億円の根拠が明確ではない。恐らく沿線自治体にとっても、これは、将来にわたる云々かんぬんという形で、多分、詳しくも説明されていないのではないかと思うのですが、30億円の根拠について明示できるでしょうか。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 御案内のとおり、これはJR東日本との交渉でスタートしたものでございます。当初は5億円という提示がございました。これは、私ども県が窓口になりまして、沿線市町や三陸鉄道の意向を踏まえまして、JR東日本と全力で交渉を行った結果でございます。
その中身として、地元からは、とにかく赤字、地元負担を極力減らすということが眼目でございまして、赤字想定額の補填であるとか、あるいは運賃差額の補填、このほか災害時、施設設備更新時の費用負担、こういったものを総合的に勘案して、いろいろ交渉を経た結果、この数字に落ちついたということでございまして、どの額がどうだという積み重ねの結果で出した数字ではございません。
〇23番(久保孝喜君) 今の答弁にあるように、30億円の根拠が明示できない。しかも、それによって移管された後の三陸鉄道の経営がリスクを最小化できるという根拠もない。したがって、我々議員としては、そうした動き、その協定が果たして正しいのか、不十分なのか、それとも過大なのか、その評価すらできない、こういうことになります。根拠が明示できない数字を、何とか、交渉の結果だから認めてくれと言った結果としての基本協定になってしまっているわけでして、いつかの段階で、この30億円がどういう中身を具体的に持って積み上げられたものなのであるかということは、ぜひ後日、後々しっかり明示をしていただきたいというのがまず一つ。
それから、もう一つは、この30億円なるものが、その根拠がなければ当然難しいわけですが、沿線市町村も含めた具体の配分をどうするのかということ、それらは、恐らくですが、これから先のさまざまな協議の中で確定していくことになるのだろうと思いますが、そうした配分への考え方がもし今の時点であれば、お示しいただきたい。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 今、30億円の内訳の考え方、赤字想定額の補填あるいは運賃差額の補填、災害時、施設、設備更新時の費用負担、この三つが中身でございます。
この額の充当については、全く使途というのは決まってございません。今後、関係市町村、特に沿線の4市町ということになりますが、そこの利用者の負担増を回避する観点に立ちまして、関係市町村、三陸鉄道、そして県を交えまして協働して、検討していくという運びになっております。
〇23番(久保孝喜君) 私は、答弁にあったように、30億円で全てが終わってJR東日本との関係性が切れるということではないのだということを、ぜひともしっかりと明示できるためにも、これから先それを担保できるためにも、今後の交渉にも十分注意を払っていただきたいと思いますし、我々も、そのことをぜひ見続けていきたいと思うわけです。
若干戻りますが、こうしたJR東日本側の姿勢というものが一番問題点だったわけですが、JR東日本の決算資料を見ていましたら、地震、津波によって被災を受けたJR東日本が、既に保険金の受け取りをしているということが出てまいりまして、その総額、これまでの総額は338億8、400万円であると説明書きにございます。
こうしたJR東日本の側の、これは、これから先の復旧の原資にももちろんなっていくんでしょうし、まだまだ手のつかない大船渡線を含めて、いろいろな形でこれは経営の内部で費消されていくわけでしょうけれども、そうしたことを含めて考えると、JR東日本側の説明責任、5億円がなぜ30億円になったかも含めて、あるいは7日から復旧するというその復旧工事の工程表が全くまだ出ていないということなど、何か一部の報道ではさまざまなことが言われておりますが、この復旧のこれからについて、この際、県民に説明できることがあれば説明をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 確かに、一部報道でJR東日本が提示したスケジュール表が報道されたところでございますが、私ども、あくまでもあれはJR東日本側が出したたたき台と受けとめております。実は、まだまだ地元市町、それから、特に復興のスピード、それから工程、段取りと非常に微妙にかかわっておりまして、私ども、これは大変な調整作業が必要になってくると思います。ですので、あくまでもこの山田線の復旧というのは復興とイコールということではございませんので、まさに地元市町とあうんの呼吸で進めていかなければならない。
あれはあくまでもたたき台の一つでございます。これから沿線市町と、あるいは三陸鉄道を交えまして、その進め方について十分協議してまいりたいと思っております。
〇23番(久保孝喜君) 今、大変微妙な問題だということと、それから、難しい課題だということがわかるわけです。そうであればあるほど、最後の質問になりますが、その三陸鉄道への移管にかかわって、これが移管を受ける側である三陸鉄道の側に、全ての移管事務を含めたそういう能力、余裕というものがあるのかどうかというのが大変気になるわけですし、これまでの歴史を振り返っても、並行在来線の問題を含めて、やっぱり県が一定の組織を持って事に当たってきたという経過があるわけですが、今回のこの三陸鉄道への移管に向けた、特にも復旧から移管に至るまでの厳しい、そして大変膨大な事務を含めた支援策として、態勢構築を県として何か考える必要があるのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 御案内のとおり、確かに、今後、山田線の復旧に向けまして、まず、先ほど御案内のありました移管協力金の使途や配分、それから、関係市町村の補助、負担ルール、それから、運賃の激変緩和措置の方法、そしてもう一つ、技術的な問題として、鉄道施設に対する技術的な受け渡しなり使用法アドバイス、こういったものがございます。また、山田線運営引き受け後の三陸鉄道のあり方など、実は、今後やることも大変山積してございます。
今後、そういったことに対応して、とりあえず県の体制でございますが、担当職員を来年度増員することにしておりまして、連絡体制を強化して当たりたい。それから、今後、御案内のとおり、確かに三陸鉄道におきましても、受け入れ態勢に向けましての準備というものも必要になってくると考えております。いずれ、万全の準備をして臨んでまいりたいと考えております。
〇23番(久保孝喜君) 三セク会社である三陸鉄道が、県との連携の中でこの三陸鉄道への移管という大事業を滞りなく進めていくために、私は、県の内部に専担組織なるものが絶対必要になると思っておりますので、今のお話の延長に、具体的な組織機構というものをつくるべきだということを、まず申し上げておきたいと思います。
次の問題に移ります。県立高校の今後についてでございます。
若干はしょりますが、先般示されました、これまでの県立高等学校教育の在り方検討委員会の報告などを含めて、新年度、具体的にこれを整備計画に引き上げていく作業が待っているわけでしょうが、その検討委員会において、特にも焦点となっております小規模校の扱いについては、これは県民が注視するところだと思いますが、立地市町村では、小規模校に対するかなりの就学支援というものを行っているわけですね。この就学支援について、県立高等学校教育の在り方検討委員会ではどのような議論が交わされたのかということを、まずお聞きしたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 県立高等学校教育の在り方検討委員会での立地市町村の小規模校への就学支援で、どういう議論が行われたかということでございますけれども、小規模校等におきましては、教育振興会等を通じまして、地元市町村などから高校生への通学でございますとか給食の支援をいただいているなど、金銭的な支援のほかにも、さまざまな方策によりまして協力をいただいているというような事例がございます。
県立高等学校教育の在り方検討委員会におきましては、こうした市町村の支援につきまして、小規模校は地元と連携することで、そのよさが強調され、よりよい方向に持っていくことが可能であって、地元市町村の具体的なかかわりを前提として検討していくことも必要といった多くの発言等がございました。
また、一方では、近隣の高校間での生徒の奪い合いになることも懸念されるというようなことで、安易に地域振興の観点から地元市町村との連携、協力を盛り込むことは慎重に考えるべきではないかというような意見でございますとか、市町村における支援も、同一市町村内に複数の高校がある場合には、一つの高校だけに金銭的な支援をするということに公平の観点から問題があるのではないかというような発言もなされたところでございます。
こうした意見等をも踏まえまして、県立高等学校教育の在り方検討委員会の中で協議した結果、県立高等学校教育の在り方検討委員会の報告書におきましては、特色ある小規模校の運営の観点からも地元市町村との連携、協力が重要となってくるというような記述がなされたと承知いたしております。
〇23番(久保孝喜君) 私も議事録を読ませていただきまして、そのやりとりを見ておりますと、県教育委員会の側が、具体的な市町村などの県立高校就学生に対する支援がどの程度、どこまで徹底されて、徹底というか、どこまでやられているのかという具体の数字を持っていないのではないかと見えたわけなんですが、今までこうした調査をきちんとしたことがあるんでしょうか、その点、お聞きしたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) その実態を把握しているかということでございますけれども、これまで、高校からの聞き取りをもとにいたしまして、就学支援の主要な取り組みにつきましては可能な限り把握していると思っておりますけれども、市町村から生徒等への直接の支援のほかに、各校の教育振興会でございますとか同窓会を通じた支援もございまして、全ての支援策を網羅できているかというような部分については、把握できていないものも一部にはあろうかと思っております。
今後の高等学校教育の基本的方向の改訂後におきましては、新たな高等学校再編計画の策定を進める中で、それぞれの地域におきまして意見交換なども行うことといたしておりまして、そのような場をも通じまして具体的な実情を把握することと、それから、市町村における就学支援施策の内容の詳細について改めて調査を行った上で、地元市町村との連携、協力のあり方について具体的な協議、検討をさせていただきたいと考えております。
〇23番(久保孝喜君) 一口で就学支援と言っても、通学に対する支援から給食に関する支援、あるいは部活動や英検受験料の助成とか奨学金というようなところまで、かなり幅広く、しかもこれが、ほとんどのケース、小規模校にいわゆる小規模自治体が行っている支援なわけですね。平場のいわば大きな学校には、こうしたことはほとんどないとは言いませんけれども、その実例はそういう小規模校。つまり、今議論している小規模校のあり方を考える上で、御答弁があったように、そういう財政もままならない小規模自治体が、県立学校の生徒に就学支援を財政支出しなければならないという環境の中で立地されていると。これは、どう考えても、もう既に義務教育と言ってもいいぐらいの環境がある高校教育の中では、県政全体にとっても非常に大きな課題だと私は思いますよ。
その上で、これから先、連携のあり方ということを言っていますが、これには、先ほど御説明があったように、支援をいただくことがいいのかどうかも含めて、その支援のあり方をどう受けとめるかという考え方も含めて、かなり複雑な検討というものが私は必要なのではないかと思いますが、この先のまさに検討の中身として、教育長は何を期待しているのでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 具体的な検討につきましてはこれからということでございます。そして、その前提といたしまして、現在、市町村におきましては、小規模校に対しましてさまざまな支援が行われているということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
これは、市町村に対して、いわば義務的に要請しているというようなことではございませんで、その地域自体が、まさに我々の学校だ、地域の学校だというような強い受けとめ方をしていただいて、主体的な判断のもとにやっていただいている。
そういう中でそういう支援が成り立っているということでございまして、そういう中で学校を盛り上げているという岩手の特性もございますので、そういうことについても含めて、さまざまな議論をさせていただきたいと思っております。
〇23番(久保孝喜君) まさに小規模自治体が小規模高校の存立にかかわって、そこに通う生徒さんたちを支援するという心情は、本当に泣けるほどにわかる話なわけです。私も小規模校、山間地の自治体で生まれ育ったものですからよくわかるんですが、そういうことも含めて、これから先の焦点は、まさに統廃合を含めた具体の整備計画の話になっていくわけですが、望ましい学校規模というものが示されました。4学級から6学級という形でですね。
そこには、ただしと、原則としてそうなんだけれども、小規模校の必要性への配慮という言葉も報告の中では併記されることになりましたが、今後の整備計画においては、今お話のあったような岩手的な、あるいは心情あふれるそうした就学支援をしている学校を、ある意味では、言葉は悪いんですが、切り刻まなければならないという現実をやがて新年度に迎えるわけですね。
その検討においては、具体的に、例えば統廃合などの判断基準というものをどのように考えるかということ、これからの検討だということなんでしょうが、その方向性、考え方についての今の御判断をお聞きしたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) まさに今、議員おっしゃったとおりでございまして、これからの議論ということでございますけれども、ちなみに前計画のものをちょっと申し上げたいと思います。
前計画でございます県立高等学校新整備計画におきまして、統廃合の基準を具体的に定めていたというような経緯がございます。
そして、その考え方でございますけれども、中学生の進路選択に当たりまして、学校、学科の配置は極めて重要だということで、一定の基準をお示しすることによりまして、再編時期等がある程度予測可能になるというようなことでございますとか、極端に生徒が減少した場合には、集団の中で経験を重ねることが非常に困難になるというようなことなどから、統廃合等の判断基準が必要というような考え方に基づくものでございました。
それで、新たな高校再編計画を来年度に検討することになりますけれども、その具体的な検討は今後行うということですが、さまざまな創意工夫に取り組んだとしても、同様の事情が生じると。これは残念なことですけれども、仮にそういう場合も我々は想定しなければならないというように考えておりまして、何らかの判断基準を設定する必要性についても検討する必要があるのではないかと考えております。
〇23番(久保孝喜君) 今の段階で明確なことを求めてもしようがないわけですし、これからの検討に注目していきたいわけですが、学校規模と同じように学級定員の話も県立高等学校教育の在り方検討委員会ではかなり議論が交わされているようです。最終的には、地域の状況も踏まえ、さまざまな視点からの検討と記述されておりますが、学級定員については、この、さまざまな視点あるいは地域の状況を踏まえというのは、どういう意味なのか、そこも含めて御説明いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 学級定員のこの標準につきましては、いわゆる高校標準法によりまして40人と定められておりまして、本県でも40人を1学級の定員としているところでございますが、沿岸県北地域でございますとか中山間地域を中心に、少子化などに伴う定員割れによりまして、事実上は、実質的に少人数学級となっている現状もございます。
一方では、今後の県立高等学校教育の在り方検討委員会のブロック別懇談会等におきまして、少人数学級での運営を求める意見も寄せられたというようなことがございます。
しかしながら、学級定員を40人以下とするとした場合には、新たな教職員の配置の手だてが必要となりますし、今後、こうした点でございますとか、それから、小中学校における少人数学級の動きがどうなるかというようなこともございます。それから、人口減少社会への対応というような視点等も十分に考慮しながら、地域の意見もさらにお聞きした上で、新たな高校再編計画策定の中で、学級定員数のあり方について検討を進めていきたいと考えております。
〇23番(久保孝喜君) おっしゃるとおり、40人の定員を35人にする、これは、全県全てやる必要はないと私は思います。むしろ福島県がやっているように、小規模校に関して、例えば1クラス35人というような、ある種の二重基準を導入するというのも一つの方法としてあると思うんですね。そのことによって、例えば今は2学級だけれども、3学級になるかもしれないという現実が生まれてくるわけです。そうなればなるほど、いわゆる皆さんが言っている、一定のクラスがあることが生徒の成長にとって大変重要だという観点に沿うことにもなっていくということも含めて、福島県の現実についてもお尋ねしたのですが、なかなか要領を得ないということもあります。
これからの学級定員のあり方については、47都道府県の中で似たようなことでみんな悩んでいるんだと思うのです。特にも岩手県と同じような境遇のところについては、ぜひ具体的な調査をすべきだ、実例を挙げて、その検討の素材にすべきだと。現状では、福島県のことですらなかなかはっきり伝わってこないということもありますので、ぜひ、その調査について要請をしたいのですが、いかがでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 他県の状況等をよく見てということでございますけれども、これからの検討に当たりましては、まさに実情に即した検討が必要だと思っています。そういう中では、先進例等をベンチマーキングするという視点も大事だと思っておりますので、ただいまの御提言も十分踏まえまして、対応を検討させていただきたいと思います。
〇23番(久保孝喜君) それでは、最後の質問に移りたいと思います。最後は、復興実施計画第2期の諸課題についてということで、広範な課題を本来は質疑をしたかったのでありますが、きょうは時間の都合で、いわゆる情報発信に関してのみお尋ねしたいと思います。
これまでも、さまざまな機会に議会において、私は、復興の状況についての情報発信のあり方について質問もし提言もしてきたつもりでございます。
最初に、平成24年2月に災害対応の検証報告書というものが出されましたけれども、これ自体もいろいろ問題があると指摘をいたしましたが、ここで示された問題点や課題については、今現在、どんな形で防災の観点の事業に生かされているのかを含めて、これの概略をまずお示しいただきたいと思います。
〇総務部長(小田島智弥君) 災害対応検証報告書に示された課題への対応についてでございますが、県では、平成23年度以降、毎年度、地域防災計画の見直しに取り組んできたところでございまして、これまでに、最大クラスの津波を想定した避難計画の策定や避難場所等の見直し、防災拠点への非常用電源設備の整備や住民への情報伝達手段の多様化、さらには、市町村の行政機能が喪失した場合の支援体制の構築など、多岐にわたる項目を反映させてきたところでございます。
また、こうした県地域防災計画の見直しに加えまして、広域防災拠点配置計画や災害時業務継続計画あるいは災害時受援応援計画などの策定、市町村避難所運営マニュアル作成モデルの策定や衛星携帯電話の無償貸与による市町村防災体制の支援強化など、検証結果を踏まえまして、本県独自に災害対応力の向上にも取り組んできたところでございます。
〇23番(久保孝喜君) きょうは時間がないので詳細には踏み込めませんけれども、この検証報告が示した内容、それから、この検証報告にはまだまだ盛り込まれていなかった検証というものも私はあると思っていまして、これから、4年を迎えて復興が本格化するというこの年度、あるいは来年度を含めて、私は、第2段階目の検証というものが必ず必要になるとも思っております。それは、単に防災だけではなくて、復興全体の検証ということも含めたことに手をかける必要があるということを思っていることを、まず指摘をしておきたいと思います。
次に、いわて復興ウォッチャー調査についてお尋ねする予定でしたが、これは、既にやられていますので割愛させていただきたいと思います。
3点目ですが、毎月出されている復興実施計画における主な取り組みの進捗状況という冊子の情報発信について、これまでも指摘をしてきたんですが、知事の言うところの本格復興邁進年ということの意味からしても、これまで、県の実施計画に基づいての進捗率が毎月のように出されている。年に何回かにわたって全体の復興の状況についての報告書が別に出てくるというふうにして、必ずしも、この復興状況を多くの人々あるいは全国の注目をしている方々に、わかりやすく効率的に伝えられているかという点で言うと、私は極めて不十分だと思います。
そういう不十分さを考えると、新年度においては、ぜひこの復興実施計画における主な取り組みの進捗状況の中に、本格復興をうたっているわけですから、実施計画の進捗だけではなくて、そこも含め、震災前と今の状況の比較ということを加えていくことが、全国から注視をされる復興の現状というところにストレートにマッチすると思うんですが、それがなぜできていないのか。他県では、既にそういう表示の仕方、発信の仕方をしているわけですが、その点について改訂をする必要はないのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
〇復興局長(中村一郎君) この問題については、昨年来、議員からもいろいろ御提案をいただいて、何点か見直しもしてまいりました。今、議員からお話がありました震災前と今の復興状況を比較した出し方もできないのかというお話もございましたが、今の御提言も踏まえて、今後、新年度にどういった進捗のお示しの仕方がいいのかどうか、これについては十分検討させていただきたいと思います。
〇23番(久保孝喜君) 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時14分 散 会

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