平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(佐々木順一君) 希望・みらいフォーラムの佐々木順一でございます。
初めに、政府の地方創生と人口減少対策に係る諸問題についてお伺いいたします。
地方振興に係る取り組みは、これまで国、地方を問わず何度となく取り上げられてまいりましたが、最初は、1970年代の大都市部の知事たちが唱えた地方の時代という地域主義を主張する政治的メッセージだったと思います。本県においては、昭和54年に初当選された中村知事が唱えた地方主導型の県政が最初でありますが、いずれも中央集権に対する地方からの反論であったことは論をまたないところであります。
以降、政府レベルにおいても、大平内閣の田園都市構想、あるいは竹下内閣のふるさと創生資金事業を初め、歴代内閣は、その都度、地域活性化、地域再生、地方分権、あるいは、直近では地域主権等々、名称を変えながらも地方重視の政策を展開してまいりましたが、いずれの取り組みも残念ながら中途半端な状態で終わっており、結果として残されたものは、国と地方の財政の悪化と自治体の疲弊感のみであります。
今日、さまざまな要因により地域社会が崩壊の危機に瀕している今だからこそ、過去をしっかりと振り返り、これまでの取り組みの検証を行い、教訓とすべき事項などから真剣に学ぶ必要があると思います。特にも、成功事例から学ぶのではなく、失敗事例から学ぶという謙虚さが何よりも求められると思いますが、知事は、これまでの国の地方振興策をどう総括されているのかお伺いいたします。
引き続きお伺いいたしますが、政府の地方創生の骨子は、人口減少の歯どめや活力ある社会を維持するため、数値目標を盛り込んだ総合戦略を定めたことや、政府の総合戦略を参考に、都道府県に対しても数値目標の設定を含め総合戦略の策定を義務づけるとともに、策定検討期間を平成27年度末までに限定、財政支援も評価される計画に対しては手厚く保障することなどでありますが、株価を維持するための成長戦略に組み込まれた感のある今回の地方創生は、目的達成のための手段という色彩が強く、極めて遺憾な取り組みと言わざるを得ません。
具体例を申し上げますと、例えば、余りにも検討時間が短いこと、地方の立案を中央が審査する事前申請方式であること、地域事情に関する適切な判断が中央政府において下せるのか甚だ疑問が残ること、財源措置についても、本来であれば地方の創意工夫を最大限発揮させるため一括交付金とすべきところでありますが、地方が立案した計画を政府が評価した上で交付する仕組みになっていることなど、上から目線の地方創生であることは否めず、我々が一貫して主張してまいりました国と地方は対等という地方分権の理念にも逆行する取り組みであります。
また、地方にミニ東京をつくるおそれがある連携中枢都市圏構想やコンパクトシティーも対応を間違えば周辺地域の利便性の低下やさらなる人口減少をもたらすことになり、結局、都市全体の人口減少の負のスパイラルに陥る可能性があります。さらに、国土交通省の中山間地域における小さな拠点構想も、ふるさとの存続を否定するおそれが多分にあります。加えて、文部科学省は、小中学校の学校区の範囲をこれまでの距離基準にスクールバス利用を前提に通学1時間以内を加えましたが、これも地域文化の継承やコミュニティの拠点を失うことは明白であり、中山間地域を多く抱える本県としては歓迎できるものではないと思います。これらは、専ら財源、施策、人を集約させることを目的としており、こうした誘導策は、自治の精神を無視した効率重視の近視眼的な取り組みであると指摘せざるを得ません。
今申し上げました事例は、日本全体の人口の維持を目的とした日本創成会議による自治体消滅を踏まえた取り組みであると推察いたしますが、そもそも日本創成会議の人口減少社会が自治体消滅を招くという論理展開は、極論すればいつかは日本の人口がゼロになると言っていることと同じであり、自治体消滅論を前提とした今回の国の地方創生を目的とした政策体系は極めて問題であります。
また、新たな地方をつくり出すという印象の強い地方創生という用語を選択したことも問題であります。恐らく、ふるさとがなくなってもよいと考えている県民は一人もいないと思いますが、そうであるとするならば、今のコミュニティ、現在の自治体をどうすれば将来も維持できるのかということを発想の出発点とすべきであり、名称も、地方創生ではなく地方再生とすべきであります。
さまざま問題点を指摘してまいりましたけれども、各般にわたる政府の地方創生に対する知事の率直な御見解を御披瀝願います。
この際、教育長にお伺いいたしますが、小中学校の学校区の範囲に通学1時間以内が追加されたことは、文教政策と地域政策の両分野においてさまざまな影響を及ぼすことが予想されます。現在、小規模校の取り扱いは県民の関心事の一つにもなっておりますので、本県におけるこの基準の取り扱いについてお尋ねいたします。
次に、県の取り組みについてお伺いいたします。
県においては、昨年6月に人口問題対策本部を設置し、さまざまな取り組みに着手されておりますが、人口減少などに伴う地方再生は、これまで停滞してきた地域のありようを変えることになるとともに、実を結ぶまでには20年から30年という気の遠くなるような時間を要することから、人口減少に立ち向かう視点と課題の整理を踏まえた当面の対策とともに、中長期に及ぶ指針や概要計画の策定が求められるところであります。
そのためにも、例えば、自治体やコミュニティのあり方を踏まえた岩手の将来像をどう描くのか、地域ごと、課題ごとの当面の目標値を含め最終的な努力目標をどう定めるのか、あるいは、人口の自然減、社会減に具体的にどう立ち向かうのか、そのための手段をどうするのか、また、産業振興や就業の場の確保をどう進めるのか、さらには、政府が示している地方創生の取り組みへの対応をどうするのかなどを具体的に整理するとともに、これをわかりやすく県民に説明し人々のやる気を喚起するとともに、各分野における人材の育成にも意を用いる必要があります。特にも、政府方針の問題点については、県としても改善、再考を求めつつも、国の財源や制度を活用しながら、あらゆる施策と財源を総動員し、岩手ならではの地方再生と人口減少対策に冷静に取り組む必要があります。
一方、知事は、震災復興に取り組むに当たり、その基本姿勢を、ふるさとを消滅させない、あるいは宮城県の集約重視とも言える中央・民間主導型の復興とは対照的に地域合意重視のなりわい型の復興に置いて各般にわたる政策を進められておりますが、私は、この見識は、人口減少対策と本県ならではの地方再生対応への先取り的な着手として評価するものであります。
人口減少社会の中にあって、市町村の行政機能は徐々に低下を余儀なくされますが、人口減に歯どめをかけ現在の基礎自治体を将来も維持するとなると、残る手段は市町村の広域連携の道しかないと思いますが、先ほどの指摘事項を含め、知事はどのように市町村を支援していこうとしているのかお尋ねいたします。
また、本県における人口減少問題への対応については、さきに公表された人口問題に関する報告の中に総合的な対策の必要性が述べられております。中でも、人口の社会減対策の柱として、首都圏などの都市部に居住する方々の本県への関心を高め、移住を支援していくことは重要な施策の一つであると考えます。
加えて、発災後、都市部の若者が被災地支援に訪れ、そのまま定住するなど、若者が都市部から地方へ回帰する傾向が強まっているという指摘もあります。
ついては、移住、定住施策の総合的な推進に関する基本的な考え方と、平成27年度には、いかなる施策を展開されようとしているのかお伺いいたします。
この項目の最後に、いわてをまるごと売り込む体制の構築についてお伺いいたします。
さきに公表された平成27年度の組織・職員体制の概要によると、ふるさとの再生、発展に向けた体制整備として、いわてをまるごと売り込む体制の構築が盛り込まれております。人口減少に立ち向かうためには、本県のそれぞれの地域において、一人一人の暮らしやなりわいに寄り添った取り組みを進めることが重要であり、特にも、なりわい面において、地域での安定的、持続的な経済基盤を構築していくためには、製造業や農林水産業、観光業などで岩手を積極的に売り込み、外貨を獲得し、得られた所得を生産、流通、販売、消費を通じて域内で循環させる必要があります。
ついては、いわてをまるごと売り込む体制の構築とは、具体的にどういうもので、何をしようとするものなのか、その内容についてお伺いをいたします。
次に、震災復興についてお伺いいたします。
県においては、第1期基盤復興期間の取り組みの成果を土台として、第2期復興実施計画に基づき本格復興の取り組みを推進しているところでありますが、本格復興期間の中間年に当たる平成27年度の県の一般会計当初予算の総額は、前年度当初比約900億円増の約1.1兆円、うち震災対応分は、前年度当初比約700億円増の約4、500億円と、総額、震災対応分ともに、震災瓦れき処理を除く予算額としては過去最大規模となっております。
震災から間もなく4年が経過しようとしていますが、これまでの復興の現状認識と本格復興邁進年の取り組みをどのように進めていかれるのか。復興事業が新たな重要局面に入ることから、改めて知事の決意をお伺いいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
次に、応急仮設住宅の集約についてお伺いいたします。
今後、災害公営住宅の建設や自宅建設などにより、恒久住宅への入居が進めば応急仮設住宅に空き住戸が増加し、応急仮設団地内のコミュニティや入居されている方々への見守り、防犯上の安全確保などの問題が生じるものと考えられます。
また、応急仮設住宅は、学校のグラウンドや被災された方々が所有する民有地にも建設されており、子供たちのためにも、市町村のまちづくり計画の推進及び地権者本人の再建のためにも、応急仮設住宅の集約が必要であると思われますが、この課題にどのように対応されるのかお伺いいたします。
次に、被災事業所の人材確保の取り組みへの支援についてお伺いいたします。
被災した事業所は、事業を再開したものの、復興需要による求人が多く、沿岸のハローワークの有効求人倍率は、1を超える状態が2年以上続いております。これに、被災により人口の社会減なども重なり、地元での人材確保が一層困難な状況が続いております。このため、事業者は、内陸部や首都圏など、地域外からの人材確保にも努めているところでありますが、一方では、民間アパートも被災して物件が少なくなっていることなどから、外から人材を受け入れる際の住居の確保が大きな問題になってきております。このような被災地の状況は、なりわいの再生を進める上でも大きな課題となっており、住居の確保など受け入れ環境の整備を急ぎ進める必要があると考えますが、県は、どのように認識し対応しようとしているのかお伺いをいたします。
次に、TPP交渉と農協改革についてお伺いいたします。
初めに、TPP交渉についてでありますが、現在進められているTPP交渉では、その交渉過程の中で、政府・与党が聖域として掲げた農林水産分野の重要5品目の死守ラインが、大幅な関税引き下げなどが懸念される状況の中で、その後、報道によれば、5項目、586品目、いわゆるタリフラインが一つの選択肢として検討されていることが明らかになる一方、去る2月19日の衆議院予算委員会では、TPP担当大臣が、重要品目にも国内対策が必要となるような関税の削減などを含め対応を検討していることを示唆するなど、目標が後退に次ぐ後退を余儀なくされている感があります。
加えて、守秘義務を盾に情報開示が全くなされていないなど、問題だらけの取り組みにもかかわらず、先般、首相は、国会において、いよいよ出口が見えてきた。早期の交渉妥結を目指すと述べるなど、最終局面にあるとの認識を示しましたが、国民を蚊帳の外に置いた進め方は極めて遺憾であります。
交渉妥結後は、国会、特にも衆議院に舞台は移りますが、TPP交渉参加につきましては、知事は、機会あるごとに反対の意思表示をされてまいりましたけれども、妥協内容が県民の利益に反するものと認められる場合、協定の批准阻止に向け、あらゆる行動をとる用意があるのかお伺いいたします。
次に、TPP参加の地ならしとも言える農協改革についてお伺いいたします。
首相は、施政方針演説の中で、強い農業をつくるための改革、農家の所得をふやすための改革として、農協改革など三つの改革断行を表明いたしましたが、農家不在のまま進められた改革に対し、批判や不満の声がそこはかとなく上がっております。
例えば、組織改革は、あくまでも手段であって目的ではない。最大の目標である農業所得の向上と農業の活性化に、これらの改革がどう結びつくのか理解できない。強い農業の具体像が見えない。農協の解体ではないか。TPP批判封じではないか。国際競争力、国内競争力を備えた農産物を取り扱う農家は国内においてはほんの一つまみであり、ほとんどの農家は小規模、中規模農家であり、こうした多様な農家が地域を支えているにもかかわらず、これでは地域解体促進策ではないかなどなど、農業の現場から聞こえてくる声は、不安と批判が交差したものばかりであります。
本来、農協改革は、農協そのものが戦後の統制経済の一環として国主導で誕生したという経緯があるとはいえ、組合員の自発的意思に基づく自主的な改革を基本とすべきであります。そもそも、民間の協同組合の自治権に、政治権力が力ずくで介入することが許されてよいものなんでしょうか。また、全中及び農協の存在が、農家所得の低迷、担い手不足、農業生産額の減少、耕作放棄地の拡大などの現在の我が国の農業危機を招いた主たる要因となっているのでしょうか。この手法が認められるとなると、およそ組合と言われる存在、例えば、労働組合、森林、漁業組合、生協しかり、信用金庫しかりでありますが、時の政治権力によって、国民の利益に沿わない存在であると一方的に認定されれば、組合員の意思とは関係なく、解体を含め差配されることになります。
ついては、知事にお伺いいたしますが、まず、今日の農業危機を招いた原因は、全中や農協にあると認識されているのか。民間と組合を同列に置いて論ずるべきではないと思いますが、政治と協同組合の関係はどうあるべきと考えておられるのか。また、今回の農協改革が実行された場合、本県の農業への影響をどう捉えているのかお伺いいたします。
また、本県においては、大規模な専業農家のみならず、多様な農家が地域の農業を支えている実態の中において、担い手農家をどう育成し、逆に小規模農家をどう守っていくのかを含め、岩手型農業のあり方についてお伺いいたします。
次に、米の生産販売戦略についてお伺いいたします。
国では、平成26年産から、米の直接支払交付金などの経営所得安定対策を見直し実施しているところであり、加えて、平成30年産からは、行政による生産数量目標の配分廃止を行うこととしております。しかしながら、平成25年産米の在庫が過剰であったことから、平成26年産の米価は大幅に下落したところであり、主食用米の需給は今後も緩和基調が続く懸念があるため、米農家の経営安定が重要な課題となっているところであります。
本県では、平成28年度に、あきたこまちの代替品種として岩手107号が、平成29年度には、全国トップの食味を目指す岩手118号のデビューが予定されており、県民や生産者から大いに期待されているところですが、一方において、今後ますます新品種を中心とした米の産地間競争の激化が予想されるところでもあります。また、過去においても類似の取り組みを展開されてきましたが、例えば、最先端の消費者を中心としたきめ細かな市場調査が徹底できなかったことなどから、十分な成果を上げずに事業を終えた経緯もあります。例えば、かけはし、ゆめさんさなど、過去の県オリジナル品種の取り組みが挙げられますが、これまでの反省も踏まえ、県と農業団体では、2月に、平成29年度を目標としたいわての美味しいお米生産・販売戦略を策定し、生産者を初め、関係者が一丸となって米産地の確立に取り組んでいくと承知しております。
米価の下落やコスト高などで、苦しい経営にあえぐ農家の不安が高まりを見せ、加えて、米政策が過去に例のない厳しい中にあって、この戦略の中では、全国の消費者や実需者から長く愛され続けるお米の産地を目指す姿と位置づけておりますが、当面の目標は、きのうの一般質問で明らかになりましたが、最終目標をそれではどう定め、具体的にどのような実務的な取り組みを進めていくのか。これまでのいきさつから、失敗は許されないと思いますので、過去の轍は踏まないという覚悟のほども含めてお伺いをいたします。
次に、国民健康保険についてお伺いいたします。
国民健康保険は、他の医療保険制度と比較し、被保険者の年齢構成が高いことから医療費水準も高く、また、無職や非正規労働者などの加入が多く所得水準が低いことから、全国的に厳しい財政運営を余儀なくされており、構造的な赤字体質に陥っていると言われております。
先般、厚生労働省により、全国の市町村が運営する国保の平成25年度財政状況が取りまとめられ、全体での実質赤字額は前年度より85億円増の3、139億円、また、赤字保険者の割合は半数を超えたと公表されたところであります。
このような状況の中、国においては、医療保険制度改革の一環として、国庫の財政基盤を安定させ効率的な事業運営を確保するため、財政運営の責任主体を市町村から都道府県に移行することとされ、関連法案を今国会に提出すると報じられております。本県でも、各市町村においては、財政状況は依然として厳しく、国保運営に苦慮されているものとお聞きしておりますが、県内市町村における平成25年度の国保の財政状況についてお伺いをいたします。
また、国保制度の見直しについては、一昨年12月に成立したプログラム法に基づき、国と地方とが協議を行い、財政上の構造問題の分析とその解決に向けた方策や、都道府県と市町村の役割分担のあり方についてこれまで幾度にもわたり議論されてきたと承知しておりますが、これまで一律に市町村が担ってきた国保運営が、今後、都道府県化されることにより財政上の構造問題は解決されるのか、また、県と市町村との具体的な役割分担はどうなるのかなど、国保の都道府県化をめぐる課題についてお伺いをいたします。
次に、介護保険制度の改正についてお伺いいたします。
後期高齢者人口は、介護保険制度が施行された平成12年当時、全国で900万人、10年後の平成22年には約1、400万人となり、団塊の世代が後期高齢者となる平成37年には2、179万人と、2、000万人を突破し、人口の18.1%を占め、以降、平成42年をピークに減少に転じるものの、割合は上昇を続けるものと見込まれております。
また、全国平均を上回って高齢化が進む本県においては、平成37年には約23万4、000人、人口の20.6%を占め、以降、全国と同様に推移するものと見込まれております。こうした中、できる限り住みなれた地域で最期まで自分らしい生活を送りながら老いていきたいというのが多くの人々に共通する願いであり、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住みなれた地域で、安心して生活を継続し人生の最期を迎えることができる環境の整備が喫緊の課題となっております。
このため、国では、地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保の推進を目的として、昨年6月、医療介護確保総合推進法を制定し、介護保険制度も大規模な改正が行われたところであります。
ついては、今回の制度改正により、市町村が主体となって在宅医療と介護の連携や認知症施策、生活支援サービスの充実など、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを来年度から本格化することとされておりますが、県内市町村が的確に対応できるのか、その対応状況と課題についてお伺いをいたします。
引き続きお伺いいたします。
県内のどこに住んでいても必要なサービスが受けられる、安心して生活ができる地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの構築に向けて、市町村の支援を担う県の役割は重要であります。県としてどのように支援していくのかお伺いをいたします。
次に、介護人材の確保対策についてお伺いをいたします。
国は平成27年度政府予算案において、介護事業者に支払われる介護報酬を全体で2.27%引き下げることを決定いたしました。この下げ幅は、過去最大であった平成18年度のマイナス2.4%以来の引き下げとなっております。国では、介護保険を引き下げるかわりに、介護職員を対象とする処遇改善加算を拡充することにより、1人当たり平均で月額1万2、000円の賃金アップが図られると説明しておりますが、実際に賃金に反映されるかは不明であります。また、介護事業所には、この加算の対象にならない職種の職員も多数おり、事業所の総収入が減少すれば、こうした職員の賃金や事業所の安定的な運営、そしてサービス提供にも悪影響が及ぶことが懸念されます。
本県の高齢化は、全国平均を上回るペースで進行しており、介護サービスの充実は喫緊の課題となっておりますが、事業所では、求人を出しても人材を集めることができない状況にもあります。そうした中で、現場の実態に逆行するような政策がとられることに憂慮の念を禁じ得ないものでもあります。
ついては、県では、こうした介護現場の実態をどう認識し、国に対し働きかけを行ってきたのでしょうか。そしてまた、平成27年度においては、県として、具体的にどのような取り組みを行うことにより、介護人材不足という状況に対応しようとしているのかお伺いをいたします。
最後に、三陸ジオパークの教育分野での推進についてお伺いをいたします。
三陸ジオパークの推進は、観光、産業、教育などの多くの分野にまたがる活動を展開し、持続可能な地域振興を図る重要な取り組みであり、沿岸被災地における創造的な復興のシンボルの一つでもあります。現在、被災地の復旧、復興が進む中で、将来の本県を担う人材育成の観点から、教育面での活用、具体的には、自分の住んでいる地域のよさ、すばらしさを学習し、誇りと愛着を持って郷土を認識する取り組みは極めて重要であると考えるものであります。
ついては、三陸ジオパークの取り組みの中で、本県の未来を支える子供たちに対する教育面での取り組みに当たって、どのような考え方を持って進められようとしているのかお伺いをいたします。
以上で一般質問を終わります。お静かにお聞きいただきましたことに心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、国のこれまでの地方振興策についてでありますが、昭和30年代以降の高度経済成長に伴い、本県を初め、地方から大都市に向けて若者を中心に大きな人口移動が起こり、大都市において過密化が発生する一方で、地方においては、過疎化が進行してきたところであります。この間、国においては、こうした大都市と地方の不均衡を是正するために、昭和37年の全国総合開発計画から平成10年の21世紀の国土のグランドデザインに至るまで、五つの総合開発計画を策定し、国土の均衡ある発展等を目指した取り組みが進められてきたところではありますが、依然として、東京一極集中などの課題は解消されていないところであります。我が国が将来にわたって安定的に発展していくためには、地方が活性化し、大都市への人口流出を食いとめることが必要であります。国においては、地方を重視した経済財政政策を強力に推進するなど、実効性のある施策を求めたいと考えます。
次に、政府の地方創生に対する見解についてでありますが、昨年末、国が策定した総合戦略では、東京一極集中の流れに歯どめをかけるための地方移住の推進や企業の地方拠点強化、企業等における地方採用、就労の拡大、地方大学の活性化などに取り組むとしているところであります。また、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるため、若者雇用対策の推進や子ども子育て支援の充実、ワーク・ライフ・バランスの推進などに取り組むとしているところであります。
こうした国の取り組みとあわせて、地方における人口減少に対する取り組みを支援するため、新たな交付金を創設したほか、平成27年度地方財政計画において、1兆円のまち・ひと・しごと創生事業費を確保することとするなど、一定の評価をしているところであります。
国に対しましては、今後、今般の総合戦略で掲げた施策の確実な実行に加えて、地方を重視した経済財政政策の実施を強く求めたいと思います。
次に、本県の地方再生の取り組みについてでありますが、人口減少社会においては、経済規模の縮小による税収の減など、今後、市町村によっては、単独で行政サービスの水準を維持していくことが困難となる場合も想定されます。こうした市町村がそれぞれの状況に応じて、合併や市町村間の連携あるいは県との連携など、さまざまな選択肢の中から最も適した方法を自主的に選択しながら、基礎自治体としての役割を果たしていくことが重要であると考えております。
一方、東日本大震災以降、県や内陸市町村が沿岸市町村を積極的に支援するなど新しい連携も先行的に行われてきておりまして、このような自治体間の連携の取り組みは、復興にとどまらず、人口減少等から生ずる課題に対応するためにも有効であると考えております。
県といたしましては、震災復興における連携の状況や、現在進みつつある定住自立圏の取り組みを参考としながら個別市町村と意見交換を進めておりまして、今後、持続可能な行政サービス提供体制のあり方について検討を進めてまいります。
次に、復興の現状認識と本格復興邁進年の取り組みについてでありますが、これまで、一日も早い復興の実現のため、県政史上かつてない規模の事業に取り組んできております。災害廃棄物の処理を終了し、海岸保全施設の約9割、災害公営住宅の約6割で着工、三陸鉄道の全線運行再開、漁業協同組合を核とした漁船や養殖施設の一括整備やグループ補助金を活用した事業所の早期再開など、復興を着実に進めてまいります。
平成27年度も復興を県政の基軸とし、地元の底力とさまざまなつながりの力を原動力としながら、災害廃棄物処理関連予算を除く予算額といたしましては過去最大の予算を編成したところでありまして、復興道路や災害公営住宅の整備、被災者の見守りやコミュニティ形成支援、復興まちづくりと一体となった中小企業や商店街の再生などを進めてまいります。
さらには、国際的海洋エネルギー研究拠点の構築などによる新たな産業の育成、津波復興祈念公園や震災津波伝承施設の整備を初めとする震災津波伝承まちづくりなどにより、新しい三陸の創造につながる三陸創造プロジェクトの具体化を進めてまいります。
今後におきましても、市町村、県そして国が一体となり、被災地すなわち復興地、被災者すなわち復興者に寄り添い、復興が着実に進むよう、県民の皆さんとともに全力で取り組んでまいります。
次に、TPP協定交渉についてでありますが、TPP協定は、本県の基幹産業である農林水産業はもちろん、投資、医療、労働など、県民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されております。このため、国は、交渉に当たって国民に対する十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くした上で慎重に判断するべきであり、地域経済や国民生活に影響が生じると見込まれる場合には、交渉からの撤退も含めて、断固たる姿勢で臨む必要があると考えております。
こういう考え方に立ちまして、これまでも国に対し繰り返し要請をしてきたところでありまして、今年度においても、政府予算提言、要望や北海道、東北6県での要請など、計5回の要請活動を行ってきたところであります。
今後におきましても、交渉の動向を注視しながら、衆参両院農林水産委員会における決議を遵守するように、あらゆる機会を捉えて国に強く要請してまいります。
次に、農協改革の本県への影響についてでありますが、農業従事者の減少や集落機能の低下など、農業、農村をめぐるさまざまな課題がある中で、各農協は、中央会の助言、指導のもとに経営の健全化を図り、農家への営農指導を初め、農産物の共同販売や生産、生活物資の共同購入、貯金や貸し付け、共済、福祉サービスなど、それぞれの地域の実情に応じて必要なサービスを総合的に提供することで、地域農業の振興そして農村地域の社会生活全般を支える重要な役割を果たしてきています。
今般、国が進めている農協改革については、現在、法案の骨格が示された段階であり今後の推移を見守る必要がありますが、本来、協同組合は、組合員の相互扶助の精神に基づく自律、自助の独立した組織であり、中山間地域等の条件不利地域を多く抱える本県にあっては、こうした地域で農業や地域づくりに懸命に取り組んでいる農家においても、地域に根差して、暮らしもよくなっていくような改革としなければなりません。
今後、国会への関連法案の提出が予定されていますけれども、これまで農協が果たしてきた役割や当事者である農業者、関係団体など、現場の意見、地域の実情をしっかりと踏まえながら、改革の目的としている農業者の所得向上と農業、農村の活性化につながるように進めてほしいと考えているところでございます。
次に、いわて型農業のあり方についてでありますが、本県の農業は、地域経済を支える基幹産業の一つとして持続的に発展を図るとともに、農業が地域社会そのものを支えているということから、小規模農家も参画した地域農業の維持、発展を図っていくことが重要であります。
このため、県では、地域農業全体の展開方向を明確にした本県独自の地域農業マスタープランを基本に据え、担い手農家の育成については、農地の集積、集約化などによる経営規模の拡大や機械、施設の導入による効率的な生産体制の整備を支援し、小規模農家については、園芸作物の導入拡大や地域の多彩な資源を生かした農産加工などの取り組みを促進しています。
今後におきましても、こうした取り組みを促進し、意欲と希望を持って農業経営に取り組む担い手の育成を図り、小規模農家も、地域に根差して、暮らしもよくなっていくような農業の実現に向けて取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) まず、応急仮設住宅の集約についてでありますが、県といたしましては、各市町村において、被災者の皆さんの住宅再建の意向や災害公営住宅の整備状況及び市町村のまちづくりの進捗を踏まえ、入居されている方々に応急仮設住宅の集約について丁寧に説明をし、理解を得ながら計画的に行っていくことが必要であると考えております。
このため、市町村に対し被災された方々の住宅再建の意向把握の徹底と応急仮設住宅の集約化計画の策定を要請するとともに、応急仮設住宅の集約を行う場合には、入居している被災者の移転費用について市町村を通じて補助する経費を平成27年度当初予算案に計上しております。
次に、被災事業所の人材確保のための取り組みについてでありますが、本県の有効求人倍率は20カ月連続で1倍を超え、平成26年12月は1.17倍と震災後の最高値を更新するなど、人材不足が深刻な状況となっております。
こうしたことから、地域内からの人材確保とあわせ、県外からのU・Iターンを促進するため、U・Iターンフェアの開催や企業の求人情報の発信支援などにより地域外からの人材確保に取り組んでおります。さらに、沿岸の基幹産業であります水産加工業の早期復興を支援するため、水産加工事業者が新たに人材を確保する際に必要な宿舎の整備や民間アパート等の借り上げ費用を市町村と協調して補助することにより地域外からの人材確保を支援してまいります。
〔政策地域部長齋藤淳夫君登壇〕
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) まず、移住・定住施策の推進についてでありますが、本県が持つ魅力を広く発信し、交流人口の拡大を図りながら岩手ならではの移住施策を推進することは、人口の社会減を食いとめる施策として重要であると認識しております。
このため、官民協働による定住・交流施策の促進に向けて、いわて定住・交流促進連絡協議会の体制を拡充するとともに、移住希望者のニーズに応じたきめ細かな取り組みを進めていくことが必要であります。
本県では、これまで、定住交流サポートセンターや県外事務所に移住者向け相談窓口を設けたほか、首都圏での移住イベントに出展し、本県への移住に関する各種情報提供や移住相談に応じてきたところであります。平成27年度においては、これらの取り組みを一層強化、拡充するとともに、新たに、移住や交流人口拡大のための企画や調整を行う定住・交流促進コーディネーターを配置するほか、ふるさと回帰支援センターへの常設のブース設置や、県と市町村との共同による移住フェアを開催し、情報発信の強化及び相談体制の拡充を図ることとしております。
次に、いわてを丸ごと売り込む体制の構築についてでありますが、人口減少に対応し、ふるさとの振興を進めていく上で、地域において持続的な経済基盤を構築することが必要であり、そのためには、本県の商工業や農林水産業、観光業などさまざまな分野の多様な資源や県産品を県外、国外に向かって、個別的にではなく、戦略的、総合的に売り込んでいくことが重要であります。特に、来年度、県オリジナルの良食味米の平成29年度の市場供給に向けたいわての美味しいお米生産・販売戦略をスタートさせるほか、7月の宮城県、石巻市等と共同でのミラノ国際博覧会への出展、さらに、台湾との国際観光交流の一層の活発化など、平成27年度には対外的な経済交流が活発に行われる予定であります。
こうしたことから、県産品の販路拡大や観光客の増加等に向けた部局横断的な取り組みを戦略的に推進するため、副知事を本部長とした推進本部を平成27年度に設置することとし、現在、具体的な検討を進めているところであります。この推進本部を核とし、県産品の販路拡大や観光客の増加などに向けて各分野の対外的売り込み活動情報を共有し、部局横断的な取り組みを推進するための体制整備を行い、効果的、積極的に岩手を丸ごと売り込む取り組みを進めていく考えでございます。
次に、三陸ジオパークの教育分野での推進についてであります。
ジオパークの活動は、住民みずからが地域の宝を再発見し、磨き上げ、その魅力を発信することにより地域づくりの推進や交流人口の拡大を図ろうとするものです。
このため、地形や地質などはもとより、地域の歴史、文化などを幅広く学ぶことができるジオパークを教育分野で活用することは、地域資源の新たな発見や再認識につながるといった効果が期待でき、子供たちの郷土愛を醸成していく上で重要な取り組みと認識しております。
これまで、三陸ジオパーク推進協議会を中心に、県教育委員会及び市町村教育委員会と連携して、教員向け研修会や教材用副読本の作成のほか、現地観察を取り入れたジオパーク授業を今年度6回実施し、生きた教材で生徒が主体的に学習できたなどの評価を得ております。
今後、ジオパーク活動が震災の教訓を次世代に継承する上で意義深い取り組みであることから、県としては、三陸ジオパーク推進協議会を通じて、たろう観光ホテルなどの震災遺構を取り入れた防災学習の推進や、ジオパーク授業の拡充など教育分野における活動にも注力してまいりたいと考えております。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) 米の生産販売戦略についてでありますが、国における米政策の転換や米価下落など、米を取り巻く環境が厳しさを増す中で、本県における向こう3年間の米づくりの方向性を明らかにするため、今般、いわての美味しいお米生産・販売戦略を策定したところであります。
戦略におきましては、コシヒカリを超える良食味米として開発を進めております岩手118号をフラッグシップとして、県産米全体の評価と知名度の向上を図るなど、消費者や実需者のニーズに的確に対応することとしており、長く愛され続ける全国トップクラスの米産地の形成を目指してまいります。
このため、生産面においては、岩手118号について、栽培適地の設定や栽培者の特定、生産者が主体となった栽培方法の徹底などにより全国最高水準の品質、食味を確保しますとともに、岩手107号のあきたこまちからの計画的な転換、ひとめぼれの食味向上技術の定着などに取り組み、また、販売面におきましては、岩手118号、岩手107号のネーミングやデザインの作成、話題性を高めるプロモーションの展開、食味関連成分などおいしさの見える化や、消費者や実需者に対する直接アピールによる産地と県産米のイメージアップなどに取り組むこととしております。これらの取り組みを、新たに設置します県産米戦略室が中心となり、生産者や消費者、農業団体等が一丸となった推進体制を構築し、目標の達成に向け強力に展開してまいります。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、県内市町村の国保の財政状況についてでありますが、平成25年度の決算では実質赤字額は約6億7、000万円となっており、前年度から約7億6、000万円減少しているものの、21保険者で赤字を計上するなど、依然として厳しい状況にあります。
なお、実質赤字額が前年度から減少したことについては、平成25年度から行われている岩手、宮城、福島の被災3県に対する国の追加財政支援策、約10億4、000万円の影響であり、この追加財政支援策がなければ、前年度と比べ、実質赤字額は逆に約2億8、000万円増加することとなります。
次に、国保の都道府県化をめぐる課題についてでありますが、昨年1月から国と地方による国保基盤強化協議会において議論を重ねた結果、平成30年度から都道府県が市町村とともに国保の運営を担う改革案が了承されたところであります。
都道府県では、移管の条件として財政上の構造問題の解決が前提との主張をしてきましたが、改革案では、これまでの主張に照らし十分とは言えないながらも、毎年約3、400億円の財政支援等による財政基盤の強化策が示されたほか、将来にわたり国保の持続可能性を担保するための検討を加え、必要な措置を講ずるものとされました。また、役割分担では、都道府県は財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保等、国保運営の中心的な役割を担うこととされ、県内統一的な国保運営指針の策定、市町村ごとの分賦金決定、標準保険料率の設定などを行い、市町村は、保険料の賦課徴収、資格管理、保険給付、保健事業など、地域におけるきめ細かい事業を引き続き担うこととされたところです。
新制度への円滑な移行に向けては、具体的な制度設計や保険料負担の平準化などの残された課題の解決について引き続き国と地方で協議することとされており、県としては、今後も全国知事会を通じて提言を行うとともに、市町村と連携を図りながら準備を進めてまいります。
次に、地域包括ケアシステムの構築に向けた市町村の対応状況と課題についてでありますが、介護保険制度改正に伴い、平成30年4月までに実施が必要な事業について、平成27年度には、在宅医療と介護の連携推進は県内24の市町村等保険者のうち16保険者、認知症への早期対応の促進など認知症施策の推進は10保険者、生活支援サービスの充実強化のための体制整備は11保険者が実施を予定しております。また、従来の介護予防事業と予防給付のうちの訪問介護と通所介護については、平成29年4月までに新しい介護予防・日常生活支援総合事業への移行が必要であり、平成27年度には2保険者が移行を予定しています。
市町村等保険者における主な課題でございますが、在宅医療、介護連携の推進に向けた医師会等との連携強化、認知症の初期段階での支援を集中的に行うチームの中核を担う認知症サポート医の確保、生活支援サービスを行う多様な担い手の養成等を担う生活支援コーディネーターの確保などが挙げられます。
次に、県の支援についてでありますが、県では、今年度、市町村長のリーダーシップによる取り組みが推進されるようトップセミナーを開催したほか、市町村、郡市医師会や介護関係団体との意見交換を行うなど、地域包括ケアシステムの重要性について関係者間の認識の共有に努めてきました。
平成27年度は、市町村等保険者における主な課題に対応するため、県では、医療、介護などの関係団体等で構成する地域包括ケアシステム構築に係る連絡会議を新たに設置し、推進方策の検討や連携強化を図るとともに、医療、介護連携のための市町村と医師会等関係団体との調整、認知症サポート医の養成や認知症初期集中支援チームの設置、運営に関する研修、生活支援コーディネーターの養成研修などを実施してまいります。さらに、県内外における地域包括ケアに係る先進的な取り組み事例の紹介を行うとともに、市町村を訪問し、地域課題に対応した具体的な助言を行うなど、平成30年4月までに必要な事業についてその円滑な実施を支援してまいります。
次に、介護人材の確保対策についてでありますが、県では、介護人材が不足している現状から、介護人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しており、平成26年6月に行った平成27年度の政府予算提言・要望においては、介護保険制度の円滑な運営のための制度改善等の一つとして、介護従事者全般に対する処遇改善を図るため、適切な水準の介護報酬を設定するよう制度要望を行いました。また、岩手県高齢者福祉協議会等の関係団体との意見交換を随時実施するとともに、さらに現場の実態把握を行うため、現在、介護事業所を対象にアンケート調査を行っており、その中では、人材確保には介護現場のイメージ向上や労働環境の改善が求められていることなど、さまざま意見をいただいております。
そうした現場の声も踏まえ、平成27年度には、新たな取り組みとして、介護の仕事の魅力を発信するためのテレビ番組によるPR事業を行うほか、県内各地にキャリア支援員を配置し、新規人材の確保や潜在有資格者の掘り起こしを行うとともに、単独での取り組みが困難な小規模事業所を対象にした合同面接会や職員のスキルアップのためのセミナー、経営者の意識改革を促し、労働環境改善の機運醸成を目的とするセミナーの開催などを予定しております。また、働きながら介護福祉士などの資格取得を支援する取り組みや、被災地における介護事業所の住環境整備や就労支援金支給への支援を継続して行っていきます。
介護人材不足への対応は、県のみならず、事業者、関係機関、団体、市町村等それぞれの取り組みが重要であり、国、県、関係団体及び養成施設で構成される岩手県介護労働懇談会などを通じて、関係機関等と連携しながら介護人材の確保、定着に努めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 小中学校の学校区の基準についてでありますが、学校区は、政令により、小学校はおおむね4キロメートル以内、中学校はおおむね6キロメートル以内という通学距離の基準が定められております。しかしながら、児童生徒の実際の通学状況を見ますと、スクールバスや路線バスなど多様な交通機関が通学に活用されていることから、本年1月に文部科学省が示した公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引におきましては、政令で定める通学距離に加えて、おおむね1時間以内という通学時間の基準が新たに示されたところでございます。
また、学校の配置に当たりましては、適切な交通手段が確保でき、かつ遠距離通学や長時間通学によるデメリットを一定程度解消できる見通しが立つことを前提といたしまして、設置者である市町村が、地域の実情や児童生徒の実態に応じて総合的に判断することが必要とされております。
県教育委員会といたしましては、児童生徒の減少が進んできた中で、学校の活性化や教育水準の維持向上などを図る観点から、学校統合も一つの選択肢とは考えますが、学校配置の見直しを具体的に検討する場合におきましては、通学距離や通学時間も含め、児童生徒の教育条件の改善の視点を中心に据えるとともに、学校が地域コミュニティの中核的な機能を有している場合も多いことから、市町村教育委員会に対して、保護者や地域の十分な理解と協力のもとに丁寧に進めるよう助言しているところでございます。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時24分 休 憩
出席議員(44名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
26  番 五日市   王 君
28  番 工 藤 大 輔 君
29  番 嵯 峨 壱 朗 君
30  番 工 藤 勝 子 君
31  番 工 藤 勝 博 君
32  番 高 橋 昌 造 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
27  番 喜 多 正 敏 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時48分 再 開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。高橋孝眞君。
〔17番高橋孝眞君登壇〕(拍手)

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