平成26年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成26年10月22日(水)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 高  橋  勝  重
議事管理担当課長 渡  辺  謙  一
主任主査 清  川     勝
主任主査 村  上     聡
主任主査 藤  澤  壮  仁
主査 藤  枝     修
主査 田  内  慎  也
主査 菊  地  友  和
1説明員
農林水産部長 小 原 敏 文
理事 立 花 良 孝
副部長兼
農林水産企画室長 浅 沼 康 揮
農政担当技監 工 藤 昌 男
農村整備担当技監
兼農村計画課
総括課長 伊 藤 千 一
林務担当技監 佐 藤 順 一
水産担当技監 大 村 益 男
競馬改革推進室長 高 橋 宏 弥
技術参事兼水産
振興課総括課長 五日市 周 三
理事心得 熊 谷 正 和
農林水産企画室
特命参事 黒 田 敏 彦
農林水産企画室
企画課長 藤 代 克 彦
農林水産企画室
管理課長 瀧 澤 信 一
団体指導課
総括課長 高 橋   勉
指導検査課長 高 橋   毅
流通課総括課長 上 田 幹 也
農業振興課
総括課長 高 橋   渉
担い手対策課長 千 葉 和 彦
農業普及技術課
総括課長 前 田 一 人
農村建設課
総括課長 伊 藤 栄 悦
農産園芸課
総括課長 下 村   功
水田農業課長 星 野 圭 樹
畜産課総括課長 小 岩 一 幸
振興・衛生課長 千 葉   伸
林業振興課
総括課長 菊 池   透
森林整備課
総括課長 阿 部 義 樹
整備課長 漆 原 隆 一
森林保全課
総括課長 伊 藤 節 夫
漁業調整課長 山 口 浩 史
漁港漁村課
総括課長 佐々木 敏 裕
競馬改革推進監 千 葉 義 郎
競馬改革推進室
特命参事 多 田   繁

会計管理者 菅 原 和 弘
出納指導監 田 中 耕 平

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 菊 池   寛
監査第一課
総括課長 佐 藤 和 彦
監査第二課
総括課長 豊 岡 直 人

財政課総括課長 五月女 有 良
〇岩崎友一委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、及び議案第37号から議案第39号までの以上18件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇小原農林水産部長 平成25年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、農林水産部所管の事務事業に係る主な取り組み、成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げます。
 平成25年度は、復興加速年の位置づけのもと、第1期復興実施計画に基づき、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築や、漁港等の整備、地域特性を生かした生産性、収益性の高い農業の実現、地域の木材を活用する加工体制等の再生などのほか、粗飼料生産基盤や原木シイタケ産地の再生、県産農林水産物の風評被害対策などの放射性物質影響対策に取り組みました。
 また、本県農林水産業の持続的な発展に向け、復興の取り組みと軌を一にしたいわて県民計画の第2期アクションプランに基づき、未来を拓く経営体の育成や、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立、農林水産物の高付加価値化、販路拡大などに取り組みました。
 具体的な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、東日本大震災津波からの復旧、復興についてでありますが、水産業関係については、補助事業による新規登録漁船数や養殖施設の整備数は、第1期復興実施計画に掲げる目標の約9割の進捗となったほか、漁港等は、被災した県管理及び市町村管理の計108漁港のうち106漁港で復旧工事に着手し、県管理8漁港、市町村管理28漁港の計36漁港で工事が完了しています。
 また、農林業関係については、当面復旧が可能な被災農地450ヘクタールのうち264ヘクタールの復旧や大規模園芸施設の整備、合板工場等21施設のうち20施設での復旧が完了しています。
 放射性物質影響対策については、牧草地除染の対象約1万3、000ヘクタールのうち約1万ヘクタールの除染を実施したほか、原木シイタケの生産再開に向けた原木、ほだ木の処理、落葉層除去等のほだ場環境の整備の支援などに取り組んだところであり、今月7日には、花巻市、北上市、山田町の出荷制限が一部解除されたところであります。
 次に、いわて県民計画の第2期アクションプランに係る取り組み、成果についてでありますが、農林水産業の未来を拓く経営体の育成については、全市町村での地域農業マスタープランの作成、実践支援や新規就農者の確保、育成、搬出間伐等を実践する地域牽引型林業経営体の能力向上などに取り組み、年間目標の200名を超える新規就農者を確保するとともに、施業が集約化された森林面積は着実に増加しました。
 また、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立については、地域主体の園芸産地づくりや市場ニーズに対応した県オリジナル品種、優良種雄牛の開発、木材加工施設の整備などに取り組み、彼岸向けリンドウ品種を育成したほか、県産材供給量が増加しています。
 また、農林水産物の高付加価値化と販路の拡大については、生産者が行う加工、販売などの6次産業化への支援や国内外における販路拡大などに取り組み、6次産業化による販売額や農林水産物の輸出額は順調に推移、回復しています。
 次に、今後の取り組み方針についてでありますが、まず、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けては、引き続き、漁港や海岸保全施設等の復旧、整備、被災農地と周辺農地の一体的な圃場整備による農地の利用集積を行うとともに、地域再生営漁計画の作成、実践支援を通じた地域漁業の再生を担う経営体の確保、育成、高度衛生品質管理の地域づくりなどを進めるほか、放射性物質の影響対策として、牧草地除染の年度内完了や原木シイタケ産地の再生、風評被害対策などに取り組んでまいります。
 さらに、本県農林水産業の振興に向けては、国の新たな農業・農村政策も踏まえつつ、地域農業マスタープランの実践支援による地域の中心となる経営体の育成や農地中間管理事業による農地の集積、集約化、今般の米価下落に対応した生産、販売対策に取り組むとともに、木質バイオマスや県産材の活用促進による森林、林業の再生、6次産業化の取り組み拡大による農林水産物の高付加価値化や販路の拡大などに重点的に取り組んでまいります。
 以上、当部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げました。
 続きまして、当部関係の平成25年度の決算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計についてでありますが、平成25年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページの11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費のうち当部が所管するもの、並びに4項農林水産施設災害復旧費を合わせまして2、808億9、612万円余であります。
 これに対する支出済額は1、401億5、676万円余となり、前年度に比較して、金額で87億1、540万円余、率にして6.6%の増となっております。
 また、翌年度繰越額は、東日本大震災津波被害からの復旧、復興に向けた事業等について、計画調整や設計、工法の検討等に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の964億7、643万円余、及び建設資材等の調達が遅延したことなどによる事故繰越の106億1、024万円余を合わせまして1、070億8、668万円余となっております。
 次に、決算の内容につきまして、便宜、お手元に配付しております平成25年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、予算科目ごとに主な内容について簡潔に御説明申し上げますので、御了承願いたいと存じます。
 歳入歳出決算事項別明細書の236ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費等の管理運営や国土調査等に要した経費であります。2目農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金等の制度資金の貸し付けを行う金融機関に対し利子補給等を行ったものであります。238ページをお開き願います。3目農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営等に要した経費であります。4目農業振興費の主なものは、中山間地域等の農業者等に対する交付金や農業関連共同利用施設等の震災被害からの復旧への補助に要した経費であります。240ページをお開き願います。5目農作物対策費の主なものは、鳥獣被害防止対策や乾燥調製施設等共同利用施設の整備への補助に要した経費であります。242ページをお開き願います。6目畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営等に要した経費であります。7目北上奥羽山系開発費は、北上・奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還等に要した経費であります。8目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査等に要した経費であります。244ページをお開き願います。9目農業協同組合指導費及び10目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に要した経費であります。11目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究等に要した経費であります。246ページをお開き願います。12目農業大学校費は、同校の管理運営等に要した経費であります。
 248ページをお開き願います。次に、2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費等であります。2目畜産振興費は、生産性の高い畜産経営体を育成するため、家畜の飼養管理技術の指導及び改良増殖を初め、生産から流通、消費に至る総合的な畜産経営対策等に要した経費であります。250ページをお開き願います。3目草地対策費は、草地の基盤整備や畜舎等の整備への補助等に要した経費であります。4目家畜保健衛生費は、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染性疾病の検査等に要した経費であります。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
 252ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費の主なものは、農地関係職員の人件費等であります。2目土地改良費のうち、当部関係は、水田の大区画化や排水条件の改良を行う圃場整備、農業水利施設の老朽化に伴う機能保全計画の策定及び補修、更新、農村環境の保全、農道の整備など、農業の生産基盤と農村の生活環境基盤の総合的な整備等に要した経費であります。次に、少し飛びまして、256ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等の自然災害を未然に防止するための防災ダム、農業水利施設、防潮堤などの整備、改修等に要した経費であります。4目農地調整費の主なものは、農地中間管理機構の平成26年度事業の財源となる基金の積み立て等に要した経費であります。
 258ページをお開き願います。4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費等の管理運営や県有林事業特別会計への繰出金等であります。2目林業振興指導費の主なものは、いわての森林づくり県民税を財源としたいわての森林づくり基金の造成や、木材の加工、流通施設の整備、及び高性能林業機械の導入などへの補助に要した経費であります。260ページをお開き願います。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要した経費であります。262ページをお開き願います。4目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の整備への補助等に要した経費であります。5目林道費は、林業生産基盤の整備と山村地域の生活環境の改善を図るための林道整備等に要した経費であります。264ページをお開き願います。6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備等に要した経費であります。266ページをお開き願います。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究等に要した経費であります。
 次に、5項水産業費であります。1目水産業総務費の主なものは、水産関係職員の人件費等の管理運営や水産科学館の管理運営等に要した経費であります。268ページをお開き願います。2目水産業振興費の主なものは、サケ・マス資源の増大を図るためのサケ稚魚等の放流支援や栽培漁業の推進のためのアワビ等の放流種苗生産等に要した経費であります。270ページをお開き願います。3目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合の検査、指導監督に要した経費や漁業近代化資金等の貸し付けを行う金融機関に対し利子補給等を行ったものであります。4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整に要した経費であります。6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や老朽化した漁業取締船はやちねの代船建造のために要した経費などであります。272ページをお開き願います。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究や、老朽化した漁業指導調査船北上丸の代船建造のために要した経費であります。274ページをお開き願います。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であります。9目漁港管理費は、県管理漁港の施設の維持管理等に要した経費であります。10目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、漁村環境の整備等を重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備等に要した経費であります。
 次に、大きく飛びまして、340ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費であります。1目庁公舎等災害復旧費のうち当部関係は、備考欄下三つの事業で、震災により被災した農業研究センター南部園芸研究室並びに水産技術センター、同種市研究室、同大船渡研究室及び大雨により被災した林業技術センターの復旧に要した経費であります。
 次に、342ページをお開き願います。4項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、震災及び大雨などにより被害を受けた農地、農業用施設、海岸保全施設の復旧に要した経費であります。2目林道災害復旧費は、震災及び大雨などにより被害を受けた林道の復旧に要した経費であります。344ページをお開き願います。3目治山災害復旧費は、震災及び大雨などにより被害を受けた治山施設の復旧に要した経費であります。4目水産業用施設等災害復旧費は、震災により被災した漁船、定置網、さけ・ます種苗生産施設及び水産業共同利用施設等の復旧への補助等に要した経費であります。5目漁業用施設災害復旧費は、震災などにより被害を受けた漁業用施設の復旧に要した経費であります。346ページをお開き願います。6目漁港災害復旧費は、震災などにより被害を受けた漁港及び海岸保全施設の復旧に要した経費であります。7目水産養殖施設災害復旧費は、震災により被災した養殖施設の復旧への補助に要した経費であります。
 以上で一般会計の説明を終わります。
 続いて、特別会計について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成25年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、決算書の30ページをお開き願います。
 農業改良資金等特別会計の予算現額は2億743万円余であります。これに対する収入済額は2億1、377万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等であります。次に、支出済額は7、424万円余で、円滑な就農を促進するため、新規就農者に就農支援資金を無利子で貸し付けたもの、及び平成22年度の農業改良資金貸付事業終了に伴い、回収した償還金に係る国庫補助金の返還と一般会計への繰り出しを行ったものであります。
 32ページをお開き願います。県有林事業特別会計の予算現額は41億495万円余であります。これに対する収入済額は39億494万円余で、一般会計からの繰入金等であります。次に、支出済額は36億8、726万円余で、県行造林、模範林、公営林の維持管理、保育等に要した経費であります。
 なお、翌年度繰越額は、計画調整に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の4億786万円余であります。
 34ページをお開き願います。林業改善資金特別会計の予算現額は12億73万円余であります。これに対する収入済額は12億1、330万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等であります。支出済額は6億2、320万円余で、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し、林業・木材産業改善資金を無利子で貸し付けたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資の一部を金融機関に対し預託したものであります。
 36ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計でありますが、予算現額は8億4、970万円余であります。これに対する収入済額は8億5、216万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等であります。支出済額は26万円余で、貸し付け及び償還事務費であります。
 以上で決算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇岩崎友一委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせのとおり、決算の審査であることを踏まえ、当該年度の決算に関する質疑とすること、質疑事項が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、ほかの委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として、短時間かつ簡潔に行うことを基本とすることについて御協力をお願いいたします。
 また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び執行部の答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇樋下正信委員 ただいま委員長から早々にお話がありましたので、少し時間を気にしながら質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、早速質問させていただきたいと思います。
 最初に、県の農林水産業の6次産業化推進の事業について、この販売額の推移についてまずお知らせをお願いしたいと思います。
〇上田流通課総括課長 6次産業化に係る販売額でございます。
 平成22年度は131億円、平成23年度136億円、平成24年度は143億円でございまして、平成25年度、これはまだ概算でございますが148億円となる見込みでございまして、順調に伸びているといった状況でございます。
〇樋下正信委員 順調に伸びているということで、大変うれしいことだと思っております。
 小さい話ですけれども、私の地域でもこの6次産業化に取り組んでいる方々がおりまして、少しずつではあると思いますけれども、伸びてきているものと思っております。その陰には、さまざまな形で県の方々が経営相談とか生産者団体などに寄り添って事業展開の支援に取り組んできたものがあらわれてきているものと評価するものでございます。
 これは質疑要旨を出していなかったんですけれども、この6次産業化の延べの企業件数、新しく参入している方々だと思いますけれども、この辺の数字についてもお知らせ願えればと思います。
〇上田流通課総括課長 企業数のお尋ねでございますが、6次産業化の総合調査によります事業体数でございます。その数でございますが、平成24年度では、本県の場合には1、470件、70事業体でもって6次産業化の事業が展開されていると承知しております。
〇樋下正信委員 次に、この6次産業化につきましてネットワーク活動推進事業費というのがありますけれども、このことについて、どういうネットワークといいますか活動をしているのかお知らせをお願いしたいと思います。
〇上田流通課総括課長 当該事業についてのお尋ねでございます。
 当該事業でございますが、国の6次産業化ネットワーク活動交付金を活用させていただきまして、県と岩手県中小企業団体中央会の共同設置でございますけれども、いわて6次産業支援センターを運営しております。そこにおきまして、6次産業化に取り組みます生産者の活動をワンストップでサポートしているものでございます。
 具体的な活動内容につきまして申し上げますと、まず、6次産業化に関する人材育成の研修、それから、6次産業化に取り組みます生産者、さまざまな事業体がございますので、そこの交流会の開催、あるいは、根本の法律になりますが、―略称でございます―6次産業化・地産地消法に基づきます総合化事業計画のそういったような事業体に対する策定の支援など、各事業体におきましてそれぞれ経営の発展段階がございます。それに応じましてきめ細かな支援を行っているところでございます。
〇樋下正信委員 いずれ、この6次産業化につきましては新しい分野だと思いますけれども、さまざまな形で、また、さまざまな分野で活用されていくものと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、米価の下落対策についてお聞きしたいと思います。
 本会議とか総括でも質疑はされておったところでございますけれども、私も米生産者として、大した規模ではないんですけれども、田んぼをやっている一人としてお聞きしたいと思います。
 米の概算金は過去最低となり、今後、米価の下落が懸念され、米づくりをめぐる環境は一層厳しさを増しております。生産者が将来に希望が持てない状況である米価の下落は、全国的に米の需給緩和の状態が続いていることが大きな原因の一つとされていると思いますが、生産対策はもとより、県産米の有利的な販売、消費拡大をもっともっと進めていく必要があると思います。私自身も3食しっかりと米を食べるように努めているつもりではありますけれども、これについて、県の対応についてお伺いします。
〇上田流通課総括課長 委員からお話ございましたとおり、米をめぐる状況は大変厳しい環境にございます。その中にありまして、県では、農業団体等と連携いたしまして、今年度内に新たないわて純情米生産・販売戦略を策定いたしまして、この戦略に基づいて、生産、販売両面から取り組んでいくこととしております。
 お尋ねがございました販売促進あるいは消費拡大対策といたしましては、主なものを申し上げますと、中食、外食事業者の新規の開拓、それから、さまざまな機会を捉えまして、県産米の品質のよさ、おいしさのPRを進めてまいり、さらに、関係団体あるいは機関が一丸となりまして、全県的な米の消費拡大運動を進めていくなど、生産者の方々が意欲を持って稲作経営を行っていくことができますよう、県産米の有利販売あるいは消費拡大に向けた取り組みを展開していくこととしておるところでございます。
〇樋下正信委員 ぜひ、さまざまな形で、できることは進めていただきたいと思います。
 10月19日の岩手日報に出たんですけれども、県が経営者に対しての調査を行ったという記事がございまして、その中で自由回答というところがありまして、経営者の方々からアンケートをとったようでございます。ナラシ対策ですけれども、本来であれば来年の5月、6月あたりに交付されるものを前倒しでお願いしたいという回答があったようでございます。そしてもう一つは、県は、県の農協グループと連携し、米の価格の下落に対しての緊急的な対策資金を創設して、それが今月下旬あたりから貸し付けが始まるというような記事がございまして、この辺のことについてもコメントがあればお願いしたいと思いますし、いずれ、できることを何でも取り入れて対応していただきたいと思いますが、部長からコメントをいただければと思います。
〇小原農林水産部長 県のほうで農家のアンケートをとったところでございます。今、委員からもお話がありましたけれども、農家においては、予想を超える米価の下落ということで、将来にわたっての不安の声なり、あるいは、特にも当面の資金繰りについての意見等が寄せられたところでございます。それに対しまして、今定例会におきまして、緊急対策資金を創設いたしまして経営安定対策を支援するとしたところでございますが、これにとどまらず、農家の方々が将来を見据えて安心して取り組めるような形、これについては引き続き実施してまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 いずれ、先ほども言いましたけれども、考えられることを総動員して対応していただくようにお願い申し上げます。
 次に、県内の農村地域に農村公園というのがあるわけでございますが、その公園が何カ所ぐらいあるか、まずお知らせ願いたいと思います。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 農村公園ということでございます。
 農業農村整備事業では、農村地域の方々に潤いと安らぎを与える農村公園を、昭和48年度以降、県営事業で55カ所、それから団体営事業で141カ所、合わせて196カ所整備しております。
〇樋下正信委員 随分たくさんあるんですね。盛岡には何カ所ぐらいあるかわかりませんけれども、現在もその整備は進められて、例えば新しくまたここにつくるというような計画とか、そういう状況はどうなっているんでしょうか。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 農業農村整備事業で設置いたしました農村公園につきましては、先ほど昭和48年度以降と申し上げましたが、平成20年以前までにその整備が進められておりまして、最近整備しております地区は1地区と承知しております。
 なお、市町村が実施しております整備事業につきましては把握しておりませんので、御了承いただきたいと思います。
〇樋下正信委員 何を聞きたかったかというと、我々の地域も農村地域なんですけれども、健康志向ということで、今、皆さんの中にもウオーキングしている方もいらっしゃるかと思います。農村地域にはそういう公園とか公衆用トイレがないものですから、まちに住んでいる方々は、いろいろなコンビニとか公衆用トイレがあるかもしれませんけれども、そういうものにも活用できるのではないかということからお聞きしたわけでございます。ぜひ、できるものであれば土地を整備して、上物は市町村でということであればその辺を、事業そのものは終わっているというようなお話の中でもあるわけでございますが、進めてもらえるのであれば考えていただきたいということでございます。それについて何かあれば。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 トイレの整備事例といたしまして、遠野市の綾織地区におきまして、圃場整備事業で生み出した非農用地に、別途、事業を導入してトイレを整備した、これは平成10年度でございます。また、花巻市の三郎地区におきまして、環境整備事業により、ため池の周辺整備とあわせてトイレを整備した事例、これは平成9年度でございますが、そういったものがございます。
 委員からお話がありました公衆トイレということでありますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律というものがございまして、その中で、その設置及び維持管理は市町村が行うこととされております。このため、トイレの整備につきましても、市町村との調整を踏まえることがまず第一だと思っておりますが、その上で、事業の導入を希望する地区におかれましては、その事業の要件ですとか、あるいは費用対効果、さらには施設の管理方法などについて個別に検討していただく必要があると思っております。
〇樋下正信委員 私自身も、ウオーキングしておりますと自然現象ということで、田んぼでやるわけにはなかなかいかないというような部分もあります。余りいい光景ではないと思いますので、考えられる形の中で進められるのであればお願いしたいと思います。
 次に、基礎的バイオテクノロジー研究についてですけれども、これの課題について、平成25年度は何件あったのか、まずはお知らせ願いたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 この事業につきましては、バイオテクノロジーに関する基礎研究を生物工学研究センターに委託するという中身でございまして、大きな課題とすれば、平成25年度については、米で今、成果が出ております、DNA情報を活用した農産物の育種技術の部分、それから、花などの革新的品種の開発等に取り組んでいるところでございますし、さらに、最近、イサダに肥満防止効果がある成分が見つかったというような成果もありますので、分野でいえば五つの分野を研究委託しているという状況にございます。
〇樋下正信委員 資源循環型社会の構築に貢献する技術の開発、バイオマス、これは平成25年度はなかったんでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 この課題につきまして、一応平成24年度で研究課題としては終了ということになってございます。
〇樋下正信委員 何か商品化までいったという話も聞いたことがあるんですけれども。
〇前田農業普及技術課総括課長 バイオエタノールの精製生産技術を、平成20年度から平成24年度までの5年間、生物工学研究センターで稲わらを材料としてエタノールを生産するという技術に取り組んできたところでございます。その成果とすれば、稲わらに含まれるセルロースという繊維質を分解する新たな酵素を発見したというような成果を出してございまして、この酵素を使いまして、実験室内のレベルではございますけれども、こうした技術で稲わらからエタノールを精製する、製造が可能になったというところまで成果としては出しているところでございます。
〇樋下正信委員 費用対効果というのも出てくるんでしょうけれども、おととしあたりですか、例えばアメリカでは大豆とか麦で、生産物が高騰したというような話もありましたけれども、そういうふうな話もありますし、ブラジルではサトウキビ、沖縄でもつくっていたんでしょうか、いずれサトウキビからもつくれる。そして、ドイツではジャガイモなどからもつくっているようでございます。本県では稲わらからということでございまして、ぜひその先に向けてまた、直接この試験場での話ではないかもしれませんけれども、それを広くPRしながら、費用対効果という部分も出てくると思いますけれども、石油もいつまでも無限にあるわけではないものですから、こういうふうなところにも目を向けていくべきではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後でございますけれども、農地・水保全管理支払交付金についてお伺いします。
 この交付金による啓発看板の設置状況について、県内各地でこの交付金を使って水田や水路などの保全活動が展開されております。私の住む地元でも、地域の方々にPRということで、農村環境の保全意識を向上させるために、地域の農業の歴史などを描いた看板を、市で管理しているあぜ道、そういうところに設置しています。この啓発看板の取り組みは非常にいいことだと思っておりますが、県内における取り組み状況、どのくらいあるか、わかればお知らせをお願いしたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地・水保全管理支払公金の活動の一環として行われる農村環境保全に関する地域住民への理解醸成や意識啓発を目的とした看板の設置でございますけれども、県内の設置総数については詳細を把握してございませんが、盛岡市の上鹿妻第二地区環境保全会を初め、県内の16市町村において少なくとも100基以上が設置されていると認識してございます。
〇樋下正信委員 ありがとうございます、私の地元の名前も出していただきましたが。
 ところで、いいことなんですが、この占用料というんですか、借地代を払ってほしいというようなことが市から来たということを地元の関係者から言われまして、県にもお願いした経緯がございますけれども、占用料について、その減免などの扱いがなされるべきと私自身は考えますけれども、市町村への指導をどのようにしているのか、最後にお聞きして終わりたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 農業、農村が有する多面的機能などを地域住民に周知、啓発することを目的として農地・水保全管理支払交付金によって設置された看板につきましては、公益性を有するものと考えてございます。市町村における占用料金の徴収については、それぞれの関係条例等に基づいて行われているものと承知してございますけれども、条例によっては公益性が認められた場合の減免規定等があるものもございますので、県としましては、市町村の農政担当部局を通じまして、まず、活動組織に対して、看板の占用申請の際に、設置目的あるいは内容を明確に伝えるように指導させていただくとともに、管理の担当部局に対しまして、看板の公益性について理解が得られるように説明をしていきたいと考えてございます。
〇小田島峰雄委員 私は、本県の畜産業の振興、1点だけお伺いいたします。
 まず、通告いたしております順番がちょっと変わりますので、よろしくお願い申し上げます。
 平成25年度の畜産業費の総体の決算額が76億8、900万円余、そのうち、畜産振興費を見ますと51億6、300万円余であります。平成23年度に大きくこの予算が膨れ上がっておりますけれども、恐らく東日本大震災関連の予算を含んでいるためと思われますけれども、まず最初に、この震災関連分を除いた正味の従前からの畜産振興費の決算額はいかほどになっているのかお尋ねいたします。
〇小岩畜産課総括課長 平成23年度以降の震災関連予算を除きました決算額についてでありますけれども、平成23年度が4億8、400万円、平成24年度は4億700万円、平成25年度は3億9、500万円となってございます。
 本県といたしましては、これに加えまして、自給飼料基盤の整備などを行います畜産公共事業、繁殖雌牛への増頭支援など広範な畜産振興対策を行います農畜産業振興機構事業などを加えまして、一体的に畜産振興に取り組んでいるところでございます。
〇小田島峰雄委員 いただいた資料の中に平成21年度からの分もございますけれども、平成21年度が4億9、100万円余、平成22年度が3億2、600万円余、そして、ただいまお答えいただきました平成23年度以降の決算額の推移もお答えいただいたとおりでございます。従前の畜産振興費自体は、多少の増減はありますものの、余りふえていない、こういうふうにお見受けいたしました。
 そういう中でお尋ねしてまいります。
 御案内のとおり、繁殖牛、肥育牛とも飼養頭数が年を追って減少いたしております。平成21年度、繁殖牛の飼養頭数が5万2、500頭、飼育牛頭数が5万9、700頭、それに対しまして、決算年度であります平成25年度は繁殖牛が4万6、900頭、肥育牛が4万3、900頭と、急激に目に見える形で頭数が落ちております。また、それに伴いまして、肥育農家、繁殖農家も急激に減っております。現在は繁殖農家戸数が5、230戸、肥育農家が420戸と。特に肥育農家に至っては、平成21年度は770戸ございましたから、もう半分程度まで減っている、こういう状況でございます。
 こういう中で、さまざまな施策は講じてこられたと存じますけれども、こうした現状、畜産業を取り巻く環境をどう捉えて、これからどう振興を図っていくお考えかお聞きいたします。
〇小岩畜産課総括課長 ただいま御指摘のありましたとおり、まず、繁殖経営にありましては飼養戸数、頭数とも年々減少してきておりまして、このことに関しましては、やはり生産基盤の強化を図っていかなければいけないと考えております。
 一方、肥育経営でありますけれども、委員御指摘のとおり戸数は減少してきておりますけれども、頭数を見ますと、平成24年度の4万3、100頭から平成25年度には4万3、900頭まで増加してきておりまして、肥育経営におきましては、より一層の規模拡大を進める必要があると考えております。
 こうしたことから、まず、繁殖経営におきましては、先ほど申しましたとおり、生産基盤を強化していくために、優良繁殖素牛の導入ですとか規模拡大をサポートいたしますキャトルセンター及び低コスト牛舎の整備をこれからも支援してまいりたいと考えておりますし、さらには、公共牧場とキャトルセンターの一体的活用を促進しながら、飼養頭数の増加や規模の拡大を図ってまいりたいと考えております。
 また、肥育経営についてでありますけれども、御案内のとおり、肥育素牛価格あるいは飼料費の高騰の影響で経営が逼迫する状況にございます。こうしたことから、いわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業による肥育素牛の導入支援に加えまして、新たに、肥育経営が繁殖部門を導入して一貫経営化する、これは肥育素牛が高騰した場合でも同じ価格で肥育素牛を導入するということになるんですけれども、このような一貫経営モデルの実証も現在進めておりまして、こうした取り組みによりまして、県内の肉用牛の生産拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 今、基本的には規模拡大をするのだと。コストの低減をしながらその振興を図っているというお話でございましたけれども、なかなか規模拡大というのは、言うはやすし行うはかたしであります。
 今、全国に冠たる畜産県岩手、飼養頭数でいけば全国5位というふうにもお聞きいたしておりますけれども、あと10年後の姿を想像できますでしょうか。これから具体的にお尋ねいたしますけれども、10年たてば、急激に繁殖農家も肥育農家もほとんど厳しい状況に立ち至る、私はそう考えております。そういう中で、抜本的にてこ入れ、支援策を講じてまいりませんと、畜産県の名が泣くと思います。先ほど申し上げましたように、予算額もそうふえているわけでもございません。
 具体的にお聞きいたします。
 近年、肥育の素牛価格が高騰いたしております。いただいた資料によりますと、平成21年度が36万円余であったものが、平成25年度決算では50万5、000円。お聞きしますと、平成26年度―本年度は60万円を超す素牛も極めて多い、こういうことでございます。そういう中にありまして、肥育素牛は平成21年度からほとんど平均価格が変わっておりません。平成25年度が99万3、000円、ざっと丸めて申し上げますと100万円。肥育素牛が現在は60万円を前後する非常に高い価格で推移いたしております。飼養コストがございますから、これも丸めて申し上げますと、飼養コストが40万円強。そうしますと、平均価格から見ますと、手元に残るお金がゼロかマイナス、こういうふうになってしまうわけであります。私のこの認識が誤っているのであれば御指摘いただきたいと思いますが、そういう中で、肥育農家は悲鳴を上げております。生活ができないと。ますます廃業する方が出てまいります。
 次に、繁殖農家を見ます。極めて今、高価格で推移いたしておりますから経営は順調に見えるわけではありますけれども、繁殖農家を取り巻く環境は、課長も御案内のとおり、高齢化であります。ほとんどは70歳代でございましょう。そういう中で、この後もお聞きしますけれども、いわゆる子取り農家で、死亡牛の大半がぬれ子なんです。それが今回の、この後お聞きします東北油化問題で、処理費が非常に高騰しておると。こういう中で、高齢化とそうしたコスト高で、恐らく繁殖農家も急激に減っていくのではないか、そういうふうに私は見通しを立てているわけであります。
 そこで、現在、肥育農家、あるいは、ついでにお聞きしますが、繁殖農家に対する具体的な支援策をお聞きいたします。
〇小岩畜産課総括課長 まず、肥育農家の置かれております状況についてでありますけれども、まさしく委員御指摘のとおり、非常に厳しい状況にあると認識してございます。しかしながら、一方では、先ほどお話しいたしましたとおり、規模拡大を進めておる経営体もあらわれてきておりますので、こうした取り組みを支援してまいりたいと考えております。具体的には、先ほども申しましたが、肥育素牛価格が高いということを考えまして、肥育経営に新たに繁殖部門を導入していただくという一貫経営化を推進いたしますとともに、価格安定対策であります肉用牛肥育経営安定特別対策事業を有効に活用しながら肥育経営を支援してまいりたいと考えております。
 また、繁殖経営ですけれども、委員御指摘のとおり、特にも県南地域の小規模の繁殖農家の廃業が目立っていると感じております。一方、30代、40代の若手後継者が40頭規模、50頭規模に規模を拡大しているケースも多々、今、出てきておりますので、そうした方々に支援を集中するようなことをしながら生産基盤の強化を図ってまいりたいということで考えております。
〇小田島峰雄委員 課長と私の認識がちょっと異なっております。今、規模拡大をする農家もふえてきている、こういうふうにお答えになられましたし、また、話の中にありました、経営体内一貫でありますとか地域内一貫の話もございました。昔から、この経営体内一貫とか地域内一貫は叫ばれてきたのでありますけれども、なかなか実を結ばない。それだけこれは難しいんです。
 一例を申し上げますと、花巻でも、具体的に言えば東和でも、経営体内一貫、地域内一貫をうんと推奨した時期がございますが、どうなるか。子とりをすれば高く売れますから、前沢でそっくり買っていって、前沢牛として全国に出ていくということであります。なかなか言うはやすしでございまして、方向としてはいいかとは思いますけれども、それを具体的に、経営体内一貫なり地域内一貫を進める手だてがなければいけないということであります。
 また、規模拡大しようにも、先ほど私が申し上げましたように、次の素牛を購入する資力もなくなってしまうような農家が、規模拡大できるのかという問題でございます。
 私は暗い話ばっかり申し上げるようで恐縮でありますけれども、非常に今、廃業を考えている農家が少なからずおられます。それでも、ここだけの話、廃業できる人はいいんですよ。廃業したくても廃業できない人がいっぱいいらっしゃるということです。背中にいっぱい背負っていますから。そういうことも御勘案の上に施策を講じていかないと、本当に岩手県から畜産農家がなくなると御指摘を申し上げたいと存じます。
 これについてのお考えがあればお聞きをいたしますが、そういう中で発生いたしました東北油化の問題。決算と関係ないと言われますから―違う、関係ある。重大な問題だから、ここでこうやって言わなきゃいけないんですが、今回の破産に伴う諸問題、いろいろ分析をされておられるかと思いますけれども、この破産申請に伴う影響と対策についてお聞きをいたしたい。
〇千葉振興・衛生課長 東北油化株式会社及び東北化製事業協同組合は、10月16日に破産手続開始の決定がなされたところでございます。これに伴い、県南及び沿岸広域振興局管内並びに矢巾町、紫波町における死亡牛の処理については、県外での処理が必要となるため、畜産農家の運搬費の負担がふえるなどの影響が生じたところでございます。
 一方、それ以外の県北地域で発生する死亡牛につきましては、これまでも県外業者で処理されておりましたことから、影響はございません。
 現在、死亡牛の処理につきましては、運搬業者が、畜産農家から死亡牛を収集し、家畜衛生保健所でBSE検査等を実施いたしまして、その後、県外業者に運搬、処理しているところでございます。
〇岩崎友一委員長 影響。
〇千葉振興・衛生課長(続) 影響についてでございますけれども、このことに伴いまして、従来と比べまして、最大で24カ月以上の牛では1頭当たり2万20円、24カ月未満につきましては、1万7、820円の負担がふえております。
〇小田島峰雄委員 では、対策はこの後で聞きますからいいです。
 今、具体的な金額を挙げて、これだけ負担がふえているというお答えがございました。本当にそうなんですか。1万円やそこらの負担なんですか。もう一度確認のためにお聞きいたします。
〇千葉振興・衛生課長 この金額につきましては、業者等からの聞き取りによりまして試算したものでございます。
〇小田島峰雄委員 この負担の主な内容というのは、輸送コストですか。
〇千葉振興・衛生課長 そのとおりでございます。
〇小田島峰雄委員 先日、全農の皆さん方と会う機会がございまして、この問題を憂慮されておられました。そのときに、トラック満載にいたしまして、1頭当たり6万円かかるというお話でございました。県北の場合には、今、影響がないというお話でございました。県南のほうは、今まで江刺にみんな直接搬入しておりますからそういう問題は生じなかったんですが、群馬に搬送しておりますので、それだけのコスト負担は生じているんだというお話がございました。そっちのほうのコストはどうお聞きでございましょうか。それとも、違うんだというなら、その違う根拠をちょっとお示しいただきたい。
〇千葉振興・衛生課長 ただいまの御質問ですけれども、運搬費は今のように増嵩しておりますけれども、群馬県のほうでは処理費を取らないということでございまして、そのような価格となっております。
〇小田島峰雄委員 後で記録を見ますけれども、今お話をされたコスト高、負担の額について、一応、再度確認をいただきたいと思います。
 そこで、先ほども申し上げましたように、県南におきましては、直接、処理場に搬送しておりましたので、コストの問題は余り生じなかった。今度は群馬県まで持っていくために、相応のコスト負担をしなければいけない。それに対する対策もさっきお聞きしたんですけれども、お答えがなかったのでもう一度お聞きします。
〇千葉振興・衛生課長 ただいまの御質問ですけれども、畜産農家に死亡牛が滞留することはなくなっておりますけれども、畜産農家の輸送費の負担が増していることは課題として認識しております。このため、現在の県北地域の処理体制、すなわち、地域保管施設を整備し、効率的な収集、運搬による畜産農家の負担軽減を図っている例も踏まえながら、県南地域にも同様の体制整備を進める必要があると考えております。
 また、BSE検査を行う施設として、県南地域に家畜保冷保管施設の整備が必要と考えております。
 なお、運搬費の支援のあり方につきましては、今後、関係市町村、団体等との協議を進めていくこととしております。
〇小田島峰雄委員 お答えがありましたように、これから運搬費に対する支援も検討されていくと。それからまた、県南にも施設整備をして、ストックヤードみたいなものでございましょうか、それを整備していくというお考えが示されました。1カ所当たり幾らかかって、大体県南をカバーするために何カ所ぐらい整備をお考えなのかお聞きします。
〇千葉振興・衛生課長 県北の事例を見ますと、10年前の整備ではございますけれども、1カ所当たり3、000万円から4、000万円かかっております。設置箇所数につきましては、飼養頭数を鑑みますと、県南地域にも4カ所程度は必要ではないかと考えております。
〇小田島峰雄委員 わかりました。一歩前進でありますけれども、病気で言えば対症療法でありまして、基本的に、この間、環境生活部の部局審査におきましても、例えば、畜産残渣については、花巻の業者で処理をする。また、死亡牛の処理については、先ほど来お話がありましたように群馬県に運ぶ。そしてまた、花巻の業者にあっては、今、県に対して産業廃棄物処理業の免許申請を行っていると。こういう動きがあるということを小岩総括課長は御存じですか。
〇小岩畜産課総括課長 私どもといたしまして、事前情報を知っているかということでありましたけれども、資源循環推進課のほうでこの法律を持っておりますけれども、そちらからそのような情報は聞いております。
〇小田島峰雄委員 環境生活部の審査の際にもちょっと気になりましたけれども、こういう事案が発生したときに、関係部局間の連携、情報の共有、対策の共同検討、こういった組織間の連携というのはあるんでしょうか。
〇小岩畜産課総括課長 これまで例えば水質汚濁防止法ですとか、化製場法あるいは廃掃法でいろいろな指導をされるという段にありましては、そのような情報は我々にも入ってきております。そういう動きにつきましては、情報提供はあります。
〇小田島峰雄委員 私が申し上げているのは、関係部局間でちゃんと協議して対策を講じているのかということをお聞きしたのでございます。
 私から言わせますと、それが極めてうまくいっていないと感じます。県内の畜産業を非常に左右する重大問題が出来したわけでございまして、即刻、例えばプロジェクトチームをつくるなりして対策を講じていかないと、大きな問題に発展をするという観点から申し上げているわけであります。そう御認識されて、特にも課長、大きな目で見れば、岩手県の畜産振興、あなたがチーフになって関係部局に働きかけてやるべき事案ですよ。そういう御認識をきちっと持ってやらなければいけないと思います。
 時間ですから最後にしますが、そこで、今、死亡牛を群馬県に運ぶ、畜産残渣は花巻で処理する、そういう形になっておりまして、これから保冷保管施設を整備するにしても、このままの状態でいいという問題ではないと思うのでありますが、畜産廃棄物の抜本的な体制を構築しないと、ひいては畜産業の衰退につながってしまうということで、例えばでありますけれども、新たな施設を建設するお考えがあるのかどうか、また、この問題に対してどう対処していくのか、小原部長にお聞きをいたします。
〇小原農林水産部長 まず、関係部局との連携でございますけれども、一応職員間でのやりとりはしてございましたけれども、ただいまの御指摘を踏まえまして、より一層の連携を密にしてまいることは、今後、徹底してまいります。
 この対策でございますけれども、先ほど課長から答弁させていただきましたが、環境生活部からの内々の連絡を受けまして、10月3日に行政処分がなされたわけでございますが、その2日前、10月1日に各農業協同組合の畜産酪農担当部長会議において、万が一、行政処分がなされた場合の対策ということについて周知をしてまいりました。10月3日の処分が出されたと同時に、県としましては、関係団体、市町村等に対して、今後の処理についてリーフレットを作成して、速やかに農家に周知徹底を図るようにお願いしたところでございます。一部には連絡系統の流れから、なかなか伝わらなかったという御批判も頂戴してございます。いずれ、その時点では改善命令ということでしたので、業者のほうでしっかりと施設等を改善していただくものと思ってございましたが、その後、10月10日に事業を停止し、16日にはもう破産手続の開始が決定されたという状況を見ますと、東北油化が今の施設での事業というのはもう期待できないであろうと。なおかつ、今ある施設を立て直すにしてもかなりの費用等がかかります。そういったようなことから、先ほど御説明申し上げましたが、県北施設のスキームに倣って、地域単位で、地域での保管施設をまずつくっていただきたいと思っていますし、県は県として、県南地域に家畜保冷保管施設をつくらなければならないだろうと思っております。
 あとは、それ以降の話でございますけれども、企業誘致というお話もございましたが、これは企業を県が直接つくるなり新たな企業ということでございましたけれども、まず県が直接そういったような施設を設置するというのは他県でもございません。あとは、民間の場合は経営的な判断等があろうかと思います。本県は御指摘のとおり畜産県でございますので、こういう化製場というのは畜産振興上、重要かつ不可欠な施設だと思ってございます。そのためには、県内で発生した死亡牛というのも県内で処理することが望ましいことも、そのとおりでございます。
 今後に向けまして、関係団体や市町村等の意見を聞きながら、検討してまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 時間のかかる話でもございましょうけれども、ぜひ、早急に対策を講じていただきたいと要望いたしまして終わります。
〇郷右近浩委員 るる質問があったんですけれども、私の質問自体、取り下げたいと思いますし、その中で1点だけ確認させていただければと思います。東北油化の部分だけの確認をさせていただきたい。
 今、小田島委員からお話がありました。その中で、県として、例えば施設をつくる考えがないかといった質問が最後にありましたけれども、私も最終的には、もう、そこの部分もぜひ考慮に入れていかなければいけないと思っております。といいますのも、他県には例がないと先ほど部長おっしゃいましたけれども、岩手には、岩畜とさまざまな振興を一緒になってやってきたという歴史もあります。だとすると、県単独でなくても、例えば全農と一緒になって、今度の処理業に一緒に対処していくという考え方もあっていいんじゃないかと思っております。ですので、その点も含め、部長から答弁をいただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 県が化製場を設置してはいかがかという御質問かと思います。現在、東北では、青森と岩手に民間の化製場があると。そしてあとは、もう一つ、この前の環境生活部からの情報では、今現在、太田油脂が事前協議を行っているやにも聞いております。ただ、それに死亡牛が入っているかどうかは今現在確認中だと。いずれ、それらの状況をも踏まえながら、今後どのような処理体制が望ましいかというのは、関係団体などと協議してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 先ほど民間の方の融資というか、そうしたものも含めてという話もありましたけれども、しかしながら、今回もにおいであったり、またさらに、この問題というのは、東北油化の部分は私も市議会議員時代からいろいろずっと聞いてきた話であります。どこまでやればいいのか、全体さまざまな問題が出る中で、そうすると、新しく建てるにしても、今度立地場所であったりいろんな問題があると思います。そこに誘致企業がぱんと入ってこられるような状況ではないと思いますので、だとしたら、岩手の畜産をよく知っている、一緒になって進めている県と、そして全農であったりという形での組み合わせで進めていくという考え方というのは、私は決して悪いものではないと思いますが、課長から答弁を聞いて終わりたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 先ほど部長からお話をしましたとおり、我々といたしましては、どういうあり方がいいのかにつきまして、関係団体とか市町村などの意見も承りながら進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 私もこの問題について質問を予定しておりましたので、関連で質問させていただきたいと思っております。
 ただいまいろいろ県のほうといたしましても、4カ所の保冷保管施設等を整備するという答弁がありました。これだけで家畜農家の人たち、今、納得するわけにはいきませんので、結局、今後、この4カ所の一時収集場所の保冷に関してしっかりと調査、いつごろをめどにこういう施設を整備するのかというところまでお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇小岩畜産課総括課長 先ほど県北地域の事例をお話しいたしましたけれども、県北地域におきましては、関係市町村そして農協が、へい獣処理協議会というものをつくりまして、施設の設置、そして現在も運営を行っております。私どもといたしましては、そのようなやり方が非常によろしいのではないかと考えておりまして、近々、市町村等とそのようなお話し合いを進めようとしてございます。
 いずれ、地域の保管庫につきましては、まずは地域の方々みずから設置して運営していただきたいと考えておりますけれども、そのほかに、県といたしましては、県南地域にBSEの検査を目的とするものですけれども、家畜保管庫をつくりながら、それらを一体的に組み合わせて、残念ながら死んでしまった牛の適正な処理を進めてまいりたいと。
 また、先ほど来申しておりますけれども、そのような地域保管庫を設置することによりまして、運搬が効率的に行われることになりまして、結果として、畜産農家の負担が減ることになります。県北の事例がそうなっておりますけれども、いずれ、関係市町村、農協と話し合いを進めながら、今、いついつということはお話はできないんですけれども、早々にそのようなお話し合いをしてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 1カ所の保管庫をつくるのに3、000万円から4、000万円という話もありました。4カ所となるとそれなりの金額になるわけです。ところが、これをみずから設置してという答弁がありましたけれども、そして運営すると。運営はいいでしょうけれども、それくらいの金額のものを、例えばそれぞれの4カ所の地域の中で話し合って、県はそれに対して、例えばしっかりと助成をするとか、そういう考え方を持っているわけですか。やはり大きな金額ですよね。それを畜産農家で負担するわけにもいかないでしょう、多分。今の厳しい状況の中で、小田島委員のいろんな話を聞いていても、大変な事態の中で、特にも死亡牛というのは、肥育農家に多いのではないかと私は思っているんです。私は繁殖農家ですけれども。そういう中において、みずから運営にかかわることはまずよろしいんですけれども、その設置に向けて、県はどのように協議をしようとしているのかお伺いいたします。
〇小岩畜産課総括課長 ただいま委員御指摘のとおり、当時の設置費を見ましても3、000万円程度ということで、確かに少ない金額ではないと考えております。いずれ、どういう形でそれを設置していくのかにつきましては、まずは関係市町村、農協等と集まりまして、いろんな御意見をお伺いしながら対応してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 関連ですので余り長く聞けないんですけれども、例えば今後協議を進めていく中で、時間的というんですか、これは早急に進めなければならないものだろうと思うんですけれども、例えば協議の中でいつごろをめどにするとかという、そういう期限的なものは考えていらっしゃるのか。
 本来ならば、私は、最後に質問された、岩手県でこういう施設をきっちり持つべきだと。これが畜産振興県の、一番の、最大の課題ではないかと思っているところでもあるわけでありまして、そこになかなか多額の予算がかかりますので無理としても、今後はやはりそういう調査、そういう形を岩手県でもきちんとつくるんだと。他県を当てにしないという形が大事ですし、他県からもし断られてしまったらどうなるか、そのことだって考えていかなければならないんじゃないかと思うわけでありまして、その辺のところを、今後、調査とかいろいろな対策をとってほしいと思います。
 御答弁お願いいたします。先ほどの期限について。
〇小岩畜産課総括課長 期限についてということでございます。
 まず私どもは、早々にしなければいけないこと、そしてその次に、並行してしなければいけないことという、2段階で考えております。
 まずは、現に県外に牛を搬出するということで、畜産農家への負担が高まっていることに対しまして対応しなければいけないということで、まずはこの話し合いを進めたいと思っております。その上で、地域保管庫の設置について、ちょっとまだ、今、期限というのは明確に申し上げられませんけれども、いずれ、早い時期にそれがなるような形で協議を進めてまいりたいと考えております。
〇小原農林水産部長 若干補足させていただきますけれども、まず、今緊急にと申しますのは、今現在、非常に運搬費がかかっているということで、これについて、いずれ来週早々、関係市町との協議の場を持つことにしておりまして、その場で運搬費等の支援のスキームについて協議予定でございますが、あわせて、いわゆる地域保管施設、これが現在、県北地域におきましては、構成員である市町村なり農協が建設主体となって国の補助を導入して設置しております。したがって、今回も国の補助を入れることができないかなどについて、今調査を進めているところでございまして、これらの話し合いもいずれ早急に。ただ、いつまでにとなりますと、今度は相手方もありますから、こちらとすれば、早急にテーブルに乗せて早目に結論を出したいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 そのことを結局12月定例会に、例えば運搬費等は補正で出てくるということも考えられますか。
〇小原農林水産部長 これにつきましては、まだ時期なりは明言できませんけれども、既に財政当局と協議してございます。
〇名須川晋委員 1点だけ、申しわけございません。
 県北に保管庫があるということですが、具体的に何カ所で、どこにあるのかということ、あと、県南の4カ所というのは、どういうイメージをされているのかについてお伺いします。
〇小岩畜産課総括課長 まず、県北におけます地域保管庫の場所ですけれども5カ所ございまして、八幡平市、葛巻町、雫石町、二戸市、宮古市の5カ所となっております。それぞれ大体10頭規模ぐらいの保冷保管施設になってございます。
 次に、県南地域におきまして、どういうところにつくればいいのかという話ですけれども、私どもといたしましては、例えばエリアを見ますと、県北のエリアどりを参考にいたしますと、例えば遠野地域、花巻地域、奥州金ケ崎地域、一関地域のあたりが、全地域をカバーするのではないかと考えておりますけれども、それにつきましても、今後市町村等との協議を重ねながら、それは決まっていくものだと考えております。
〇渡辺幸貫委員 今、3、000万円、4、000万円の話がありました。ところが、これからつくるときには恐らくもっとかかるんですよね。5、000万円や何ぼ。ただ、今必要ですよ。間もなく。今は寒いからいいけれども、4月、5月になったら暖かくなりますから、それまでに冷蔵車か何か、とりあえずポンコツでも何でもいいけれども、電源さえとれれば冷蔵ができますから、そういうものをとりあえずやりますとか、一概に今、市町村や協議会をつくってやるといっても、でかい金額では誰も取りつけない。国だって予算がないんだから。だから、とりあえず、そういうものを今までやった経過も私も知っていますので、冷蔵車をよく利用されたらいいですよ。これが1点。これを一つ提案したいと思う。
 それともう一つは、先ほど郷右近委員から、全農や行政がやったらどうかという、それに皆さんも何となく畜産県だからいいんじゃないかというムードがありますけれども、現実には、65%になんなんとする中身は、皮であったりコンソメのようにスープをつくるものであったり、肥料になるものであったり餌になるものであったり、ドックフードになるものであったり、全てそれらはルートが日本国内ではきちっと決まっているんですよ。この業者さんはこの業者さんと。新たな人がその業界の中に入り込む、ましてや、我々の行政のようなところが入り込むというのは、全く不可能だと私は思っています。その辺の認識を岩手県としてお待ちなのかどうかだけははっきりさせたほうがいいと思います。お願いします。
〇小岩畜産課総括課長 まず、最初から保冷保管施設を設置するのではなくて、例えば冷蔵車等の活用などのお話がありました。まさしくありがたい御意見ですので、そういうことにつきましても検討していきたいと考えております。
 2番目のことにつきましては、今委員御指摘のとおり、これらを考えながら進めてまいりたいと思います。
〇及川幸子委員 関連が4名続いて、何を質問したらいいのかと思いますけれども、私からも東北油化の破産問題について取り上げてみたいと思いますが、これは今までの関連の質疑を聞いておりますと、ちょっとのんびりしているのではないかと私は思います。きのうの時点で、奥州市の市議会で、全員協議会ということで話し合いがなされました。その内容については御存じなのでしょうか。
〇小岩畜産課総括課長 大変申しわけございませんが、承知いたしておりません。
〇及川幸子委員 やっぱりその辺のところから乖離が始まっていると思うんですよ。これほど地元で大きな問題です。そして県内の畜産農家ということを考えると、今にも廃業したいという業者がいるのに、ちょっとのんびりしているのではないかと思います。
 奥州市議会では、市と県の協議の中で、今の牛70頭についても処理していきたいと言っているんですけれども、知らないわけはないでしょう。部長、どうなんですか。
〇小原農林水産部長 市のほうから、昨日の状況について県への連絡というのはありませんですけれども、県としては、これらについて一部マスコミにも報道されましたので、まずマスコミ情報などを通じて、奥州市において厳しい状況にあるということは承知しております。
〇及川幸子委員 残念です。奥州市のほうでも、県と協議すると発表しているんですから、すぐさま電話をして、これはこうだ、ああだと言わないと、大変畜産農家の方々は心配していると思います。
 私も初めは八戸市のほうに運んで処理できるかと思ったら、八戸市はできなくて、群馬県ということをまたお聞きしたんですが、八戸市での処理は全然だめなんですか。
〇小岩畜産課総括課長 御案内のとおり、県内での処理ができなくなった今、処理ができる施設を有しておりますのは八戸市と前橋市になります。青森につきましては、産業廃棄物であります死亡牛を搬入する場合には事前協議が必要となりまして、これにつきましては、既に県北地域の死亡牛は青森に行っておりますので事前協議はなっておりますけれども、年間1、400トンという限度量がありまして、今般、例えば県南の死亡牛を青森に運ぼうとする場合はこれを超えてしまいますので、改めて協議をする必要が出てきます。この協議に大体1カ月程度かかるということでありました。
 一方、群馬県のほうは、この協議は必要ありませんので、県外牛を群馬県の業者が了承すれば搬入できるという状況にありました。
 あと、もう一点ですけれども、先ほどもお話をいたしました。やはり我々は畜産農家の負担をなるべく減らしたいということもございまして、どれぐらいかかるかも協議いたしました。そうしますと、群馬県のほうは、距離的に遠くはなりますけれども、先ほど千葉振興・衛生課長が申したとおり、群馬県の場合は処理経費が発生しないということがございまして、負担もほぼ同額であったということもございまして、私どもとしましては、畜産農家の牛舎に死亡牛が滞留することは絶対あってはならないということで、即、流すことができる群馬県のほうにお願いしたということであります。
〇及川幸子委員 処理料がかからないということで、負担がほとんど変わらない。それで、とにかく早急にこれは進めていただかないとだめだと思います。
 それから、このことについて農家の方々と時々意見交換をなさっているんですか。
〇小岩畜産課総括課長 例えば一昨日になりますが、金ケ崎町の畜産農家の方々と私ども県の機関でのこれに係るいろいろな会議なども行っておりまして、こういう場を通じて、農家等の意見につきましては承っているところであります。
〇及川幸子委員 大変なことだと思いますけれども、引き続き、とにかく夜を徹してでも、何とかこの解決に向けてやっていただきたいと思います。
 それから次の質問に移ります。
 耕作放棄地についてですが、県内の耕作放棄地、もう耕作できなくなったという部分について、どういう状態なのかお聞きします。
〇高橋農業振興課総括課長 本県の耕作放棄地の面積でございますが、市町村が平成24年度に実施した調査によりますと、ササ等の繁茂や原野化等によりまして、作物の栽培が不可能な農地、いわゆる荒廃農地でございますが6、143ヘクタールで、耕地面積の約4%となってございます。
〇及川幸子委員 新しい農政が改革されて、農家にとっては本当にダメージだと思います。この県議会の中で自民党も所属しておりますが、自民党すら、多分大きな意見をお持ちじゃないかと思います。
 そこでお伺いするんですが、高齢になってこれから農業は続けられないんだと、私、絶対思います。こんなに米が下がって。その中において、高齢化になって農業ができなくなったという方々が実際いらっしゃいました。そして、太陽光発電にかえようということで申請したんですが、実はこれが第1種農地であり無理だと言われたんですが、第1種農地なので無理なことはわかりますけれども、これらのことに対する対応はどのようにお考えでしょうか。
〇高橋農業振興課総括課長 第1種農地につきましては、農地法によりまして、生産性の高い農業を実現していくために、確保、保全することとなってございます。例えば、面的な農地に、真ん中にぼつっと施設が置かれるということになりますと、いわゆる効率的な作業ができないということになりますので、やはり原則、転用許可が認められない農地となってございます。
 この第1種農地において太陽光発電施設を設置するためには、本年5月に施行されてございますが、通称農山漁村再生可能エネルギー法、これに基づきまして、市町村が基本計画を作成し、その市町村が施設整備者の計画を認定するなどした場合に、荒廃している第1種農地への設置が可能となります。
 県では、この制度が適切に実施されますよう、市町村や農業委員会などに対して助言等を行ってまいります。
〇及川幸子委員 これは86歳ぐらいの夫婦、やっぱり絶対できないですよね。その周りも耕作放棄地になっているということで、第1種農地というのはわかるんですけれども、やっぱりその辺のところを考えてあげないと、絶対だめだと思うんですよ。机上ではわかるんですけれども、私でもわかるんですけれども、それほど年をとった方々はわかるでしょうか。
〇高橋農業振興課総括課長 本当に今後高齢化が進んで、同じようなケースが出てくるかと考えてございます。こういうときこそ、本年度新たにスタートいたしました農地中間管理事業を有効に活用しまして、農業公社に置いている農地のアドバイザーであるとか、現場におります市町村農業委員会等を通じて、借り受け希望者が多数出てございますので、それらに引き継ぐ、そういう形をとって有効に活用できよう、また、その賃料がその方々に入るよう、そういう努力をしてまいりたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 ぜひ相談に乗っていただいて、いい方向に進めていただきたいと思います。
 今お話の中で、農業委員会というのも半減する予定のようであります。農業委員会も、なかなか委員会自体も機能しなくなるのではないかと大変危惧しております。
 次に移ります。県産米の普及、消費拡大についてちょっと樋下委員が触れましたけれども、私からも、県産米の消費が落ち込む中、県産米の消費拡大に向けた取り組みをお伺いしたいと思います。
〇上田流通課総括課長 県産米の消費拡大に関してのお尋ねでございます。
 県では、これまで、関係の機関、団体と連携をいたしまして、業務需要など新たな販路の開拓、あるいは消費者の方々へのPR、それから子供たちは大事でございますので食育の支援、あるいは米粉もございます。そういった加工品の開発支援、それなどを通じまして県産米の消費拡大を進めてまいったところでございます。
 委員から御指摘もございました。米の消費減少、特に今回の概算金、それから予想されます米価の下落など、米を取り巻くあるいは米づくりを取り巻く環境、大変厳しさを増すだろうと存じております。
 今後も、県産米が県民の皆さんにまず支持をいただきまして、広く御利用、食べていただけるように、県産米の消費拡大、あるいは需要の喚起を求めていく県民運動をぜひとも広く展開させていただきたいということで、既にさまざまな面で取り組みを進めてまいったところでございます。この運動を広く県民の皆様にアピールをさせていただいて、その浸透、定着を図り、オール岩手で岩手の米づくりを応援するという、そういった機運を盛り上げまして、ぜひ米の消費拡大を進めてまいる、成果を出したいと考えております。
〇岩崎友一委員長 答弁は簡潔にお願いします。
〇及川幸子委員 今の答弁の中にありましたが、子供たちへの食育の支援ということですが、私、大変気になりました。学校においてはパン食を大変喜びますけれども、学校給食で米をどの程度使っているのか。それからコンビニですね。若い人たちが大変足を運びます。おにぎり、どこのお米だかわからないですけれども、岩手県産米以外です。新潟の部分だとかほかの部分ですね、あります。そういうのを簡単に買い求めておりますが、コンビニ、学校支援など、そういう普及啓発はどうやっていらっしゃるのかお伺いいたします。
〇上田流通課総括課長 まず、給食に関してのお尋ねでございますが、県内小中学校の週での米飯の回数でございますが、3.7日というデータがございます。これは全国平均が3.3日と承知しておりまして、恐らく全国トップクラスの回数だろうと見ております。
 ちょっと古いデータでございますが、数年前にはたしか全国第6位というデータがございましたけれども、そういった状況は恐らく変わっていないものと考えております。
 コンビニでの食事をとるとかというお話がございました。確かにいろんな面で問題があると聞いております。こういった件につきましては、県教育委員会と連携をさせていただきながら、子供の食育という観点からの指導もあわせて、県産米の消費拡大もあわせて、取り組みを進めてまいりたいと存じます。
〇及川幸子委員 全国で1位であろうと、まあ、当たり前のことじゃないかと思うんですけれども、どうぞ岩手県産米をどんどん広めていただきますようにお願いをいたします。
 それから最後の問題ですが、担い手の育成についてです。これは耕作放棄地にもかかわることなんですけれども、若者の農業離れが進む中、農業に希望を持って営農したいという若者の育成はどうされたのかお伺いいたします。
〇前田農業普及技術課総括課長 担い手の育成についてでございます。先ほどもお話がありましたように、米価下落の状況であるとか、いろいろと農業を取り巻く状況が厳しい中で農業離れというお話もございましたが、新規就農者が減ってくるのではないかという懸念も持ちながら対策を進めているところですが、近年、平成20年度以降につきましては、毎年の目標であります200人を確保してきている状況で就農者数が推移してございますし、その中でも、特に最近の傾向として、若い就農者がふえる傾向がございます。県としては、こういった意欲ある希望を持って就農しようとする、若い就農者の経営発展に向けて重点的に支援しているところでございまして、具体的には、農業改良普及センターが主催します青年農業者企業家塾において、若い意欲を持った経営者、就農者が、夢や希望を実現するために具体的なビジネス計画を作成、実践するところを支援したり、あるいは担い手の育成基金事業を活用した若者グループによる主体的な課題解決に向けた取り組みを支援したり、こういったところでさらなる意欲高揚の中で経営発展を支援しているところでございます。
〇及川幸子委員 毎年200人を確保しているということで、大体予想どおりかなと思うんですけれども、それはどのくらいの規模で、収益はどのくらいかちょっとお聞かせいただきたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 就農時の規模につきましては、全く農外から参入される方と、あるいは農家後継者がUターンで親の経営に戻ってくる場合とあって、規模的にはさまざまございますのでその把握は難しいのですが、我々として、就農後の経営発展がどうなっているかというところを、今年度、農業改良普及センターを通じて調べたものがございます。その結果、直接所得というところに反映するものではないのですが、過去10年間に就農した方々が1、995人ほどいらっしゃいまして、この方々のうち認定農業者に、いわゆる経営を発展させている方について見れば、1、995人のうちの443人、パーセンテージにすれば23%というところになってございまして、我々が今後重点的にさらに力を入れていかなければならない部分は、就農後の経営発展、十分な所得確保に至るまでの支援をきめ細かくしていくことがさらに求められるものと考えてございます。
〇及川幸子委員 若い人で多く経営なさっている方、どのくらいの規模でやっていらっしゃいますか。町でいいです。
〇前田農業普及技術課総括課長 さまざまございますが、特に就農後、経営をうまく発展させてきている事例で、しかも農外から入ってきている、ハードルが高い方が農業に参入した、そういう方で、二、三年のうちに売り上げが700万円なり800万円なりを達成して収益性を上げている新規参入者もいらっしゃいます。
 全体の所得なり規模ということになると、また詳細なデータは今持っていないんでございますけれども、新規就農者の当面の所得目標である250万円というものを達成している方というのは、さらに先ほどの23%よりも低い状況にあると、ことしの調査で把握しているところでございます。
〇及川幸子委員 そうしますと、私は思うんですが、多い人で100町か200町なさっているでしょう、若い人で。
〇前田農業普及技術課総括課長 全体に新規参入者、特に農外から参入される方は、施設園芸とか、面積は小さくても集約的な経営を志向する傾向がございます。今、委員おっしゃいましたそういう大規模な経営というのは、なかなか新規就農者が数年間のうちにたどり着くような規模ではないので、ちょっと今把握している中では、それほど多くいるとは私どもちょっと把握してはございません。
〇岩崎友一委員長 答弁は簡潔にお願いします。
〇及川幸子委員 最後です。私が何でこういう質問をしたかといいますと、耕作放棄地です。高齢者になって田んぼを離すという、そういう方々の田んぼを引き受けて若い人たちがやるかどうかということで、ちょっと面積を聞いたんです。そのことはわからないでしょう。どの地区にどういう若い人が田んぼを求めているかという情報はないでしょう。
〇前田農業普及技術課総括課長 個別の事例について把握しているかというと、ちょっと十分でございませんが、そういう方々については、例えば集落営農組織に、法人であれば雇用就農という形で入り、地域の大部分の水田を管理するというオペレーター的な役割もしながら、一部経営参画という方もいらっしゃると思いますが、そういう方が大規模な経営に、集落営農の中で中心的な役割を果たしている、そういうケースではないかと。あるいは、親がそもそも大規模な方ということではないかと考えてございます。
〇佐々木努委員 私も質問を予定していましたが、関連で済ませたいと思いますので、手短に質問させていただきます。
 県産米の消費拡大についてでありますけれども、先ほど来、県当局から今後の取り組みについて説明がありました。昨年までの取り組みとして資料をいただいておりまして、県としてはいわて純情米需要拡大推進協議会、これは部長が会長になっておられますね。全農とか中央会、さまざまな団体で構成している協議会で消費拡大を進めてきたということで、その内容を見ますと、幼稚園児に対しておにぎり教室を開催したり、それから、県内児童を対象とした御飯食の啓発ということで、スポーツ大会でおにぎりとチラシを配る等々行われているようですが、私、県として、今米農家が大変な時期に、対策として行う事業としてはいささか寂しいものじゃないかなと思いました、この資料を見て。その点について部長、去年1年間のあるいはそれ以前の取り組みも含めて、この協議会の取り組みがどうだったのか、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
〇小原農林水産部長 これまでの取り組みについて、先ほど委員のほうから御紹介がありました。どちらかといいますと、子供のころから米になれ親しんでいただくと、これが米離れを防ぐことの有効な手だてではないかと。小さいころから、最近パンなり何なりにどちらかというと親しんでいると。もっと米を食べることの習慣というものに重きを置くとともに、あとはPR効果を狙った形で、今までの御飯食の啓発なりおにぎり教室なりといったようなイベントをやってきてございます。
 現在の厳しい中、こういう取り組みでよいのかという御指摘もいただきました。これについては今までも答弁していましたけれども、今回、来年2月に新しい戦略を策定することとしておりますので、今までの効果の検証を踏まえながら、消費拡大に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 中途半端な対策ではなく、力を入れてぜひやっていただきたいと思います。
 それから、これも質問に出ました学校給食への県産米拡大の取り組みなんですけれども、平成25年度は3.7食ということで、その前は3.6食、だんだんふえてきていることは非常にいいことだと思いますが、他県では、全部、毎食米飯に切りかえているという取り組みも出てきています。さまざまな問題があるとは思うんですけれども、私は、給食は全て米飯にすべきではないかとずっと以前から思っておりまして、給食というのは、子供が年間食べる回数の約6分の1、6分の5は家で食べているわけです。家でパンを食べればいいのであって、やはり日本人の主食である米は、ぜひ給食で全て賄うという考え方でいかないと、子供のときにしっかりと御飯を食べることの大事さ、それを教えなければ、将来もきっと子供が大人になっても米は食べてくれないんじゃないかと思いますが、そういうことを積極的に学校現場に働きかけていくというお考えはないでしょうか。
〇上田流通課総括課長 ただいま委員から米飯給食をもっと広めてはという御提言がございました。学校給食でございますとさまざまな要素がございます。子供の栄養バランスとか、そういったもので各栄養教諭が工夫しながら献立等をつくっていると承知しております。その中で米、特に地元の米の文化とかに親しんでいただくという面からも、子供にとってもいい面が多分にあろうかと思います。私ども、先ほど申し上げましたが、栄養教諭の研修会等で、さまざま私どもお話をさせていただき、利用拡大を働きかける機会がございますので、そこで委員の御提言を大いに参考にさせていただいて、お話し合い、働きかけをさせていただきたいと存じます。
〇岩崎友一委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時0分 休 憩
午後1時2分 再開
〇高橋但馬副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、審査を予定している部局について、延べ21人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇軽石義則委員 それでは、大きく2点について質問させていただきます。
 1点目は、事項別明細書の237ページ、国土調査事業費についてであります。
 平成25年度の実施市町村の内訳、また、岩手県の調査の状況、終了面積、県全体の割合など、あとはどのような実施主体でやられているのか。民間委託も含めてあるのかどうか。
 また、この調査に際しましては、土地所有者が現地の立ち会いをしない場合は、後に境界の確認を所有者負担でしなければならないということにもなっているようでありますけれども、それらの状況はどのようになっているかお示し願いたいと思います。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 国土調査事業の実施市町村についてでありますが、平成25年度は、内陸部で盛岡市ほか6市町、沿岸部におきましては宮古市ほか4市町村、合わせて12市町村で実施しておるところでございます。平成25年度末までに地籍調査が終了した面積は9、399平方キロメートルでございまして、その進捗率は約84%となってございます。
 また、筆界未定ということだと思いますが、筆界未定の状況につきまして、平成25年度に国土調査の成果を認証した9市町村21地区の中では総筆数4、260筆のうち18筆が筆界未定となっておりまして、その割合は0.42%でございます。
 それから、国土調査事業につきましては、国土調査法によりまして市町村が実施するとなっておりますので、事業実施主体は市町村になりますが、その業務の一部を遂行する場合に民間等への業務委託が行われているということでございます。
〇軽石義則委員 それら進められている状況、84%でありますけれども、これから、残っている部分もかなり厳しい条件のもとに進めなければならないところがあるのではないかと思っております。その事業を進める上では、決算を見ますと指導等事務費などという支出もありますけれども、その具体的内訳はどのようなものでしょうか。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 指導等事務費といいますのは、県が市町村の指導や検査を行うために支出するものでありますが、平成25年度は事務費の総額が160万円余でございます。その主な使い道は、市町村が実施いたしました調査の検査などを行うための旅費として84万円余、あるいは、市町村職員を対象とした研修会の資料印刷などのための需用費として53万円余となっております。
〇軽石義則委員 県全体の進め方などについては先ほどもありましたし、具体的に検査等もしっかりやられているということだと思いますけれども、岩手県全体が終了するめどというのはどのように考えているのか、今後の計画の進め方などを含めて、あるものをお示し願いたいと思います。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 本県の地籍調査は、先ほど御説明したとおり平成25年度末までに進捗率が84%となっておりまして、これは、全国で第6位、東北では第3位となっております。県全体としての進捗率は全国の中でも上位にあると認識しておりますが、地域によってばらつきがあるという事実もございます。
 全ての調査が終わる時期ということで申し上げますと、平成25年度1年間での調査面積が38平方キロメートルでございました。残っております面積が1、807平方キロメートルでございますので、割り戻しますと47年を要することになります。これらにつきまして、地域によって県内でも進捗にばらつきがございます。特に沿岸部は内陸部に比べておくれているということで、重点的に進捗を図る必要があると考えております。県では、市町村が設定した目標をもとに平成25年11月に岩手県地籍調査中期実行計画を策定しておりまして、その計画に基づいて着実に推進していきたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 市町村が実施主体ということでありますし、今、残されているところも課題が多くあったものということは認識しているんですけれども、具体的に、これから進めなければならない市町村からの要望などはどのようなものが出されておるのか。また、県と市町村が、それらの要望や課題の把握のためにどのような連携をとられているのかお示し願いたいと思います。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 国土調査事業に関する市町村からの要望といたしましては、予算の確保が一番大きな課題とされております。国土調査事業費は、平成17年度から県予算枠の関係で市町村の要望に見合う予算が確保できなかったことから、国への要望のほか、県に対しても市町村から予算確保を要望されてきておりますが、平成23年度の予算から、通常分に加えまして、津波の浸水被害を受けた地域や復興関連事業の実施区域におきましては、調査費用の負担が特別交付税で全額措置される、実負担なしで調査ができるという震災対応分を充当することが可能となりましたので、それ以降につきましては市町村の要望どおり県予算を確保してきておりますが、この震災対応分の継続を沿岸部の市町村から要望されております。
 こういった取り組みを進める上で、県と市町村の連携でございますけれども、東北6県の調査実施市町村とともに、東北ブロック国土調査推進連絡協議会というものがございまして、その一員に県も構成員として入っておりますが、その構成員の一人として、毎年、国に対する要請活動を行ってきております。
 地籍調査を進めるに当たって、先ほど申しました震災対応分の予算の継続あるいは市町村の人員体制の確保が大きな課題であると認識しておりますので、平成28年度以降の東日本大震災復興特別会計によります予算措置の継続や、国直轄調査の拡大によります市町村負担の軽減などにつきまして、国土交通省、さらには財務省に要望することにしております。
〇軽石義則委員 先ほど地籍調査業務の民間委託のお話をお聞きしておりましたけれども、今後、47年後が終了めどということになればかなり気の遠くなるような話ですので、そういう地籍調査をするには民間のお力もかなりおかりしたほうがさらに短時間でできるのではないかと思いますけれども、それらの部分についてはどのようにお考えでしょうか。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 市町村が行います国土調査の業務について、マンパワー、体制の強化といったものが課題になっているのはお話ししたとおりでありますが、それを補うために、国が制度として設けております、地籍調査に精通したアドバイザーの派遣ですとか、あるいは、委員からお話がありました民間委託などについても、この場合は民間団体といたしまして全国国土調査会というのがありますが、そういった団体への業務の一部委託といったものを県内の市町村でも進めておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、民間法人への委託といたしましては、平成26年度は奥州市が1筆地調査を委託しておりますし、今後、年度の後半になりますけれども、現在進めております地籍調査の成果に基づいて、その検定を関係団体に委託するということで宮古市など3市町が予定していると承知しております。
〇軽石義則委員 そういう外部、民間の力もおかりした上でしっかりとその調査を進めることによって、今、進められている復興、そして、これからの県土の利用を含めて貴重な資料になることは間違いないと思っておりますので、ぜひそのところをしっかり対応していただきたいと思います。国に対する要望のお話は先ほどございましたけれども、これまでも要望を出されてきていると思いますけれども、それらの要望に対して国の反応はどのようなものがあるでしょうか。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 本県の地籍調査の状況につきましては、所管しております国土交通省でも十分把握されておるところでありますが、被災地域の復興を最優先として先に進めなければいけないといった中で、国土調査が実施されているところとそうでないところではその進捗に差が出ているということではありますが、国土調査を進めることは有効であるという中で、本県の地籍調査を計画的かつ着実に進めていくことについての御理解はいただいておると思っておりますし、引き続き、そういった地域の実情をお伝えしながら、予算の確保あるいは体制の強化について国に提案していきたいと思っております。
〇軽石義則委員 ぜひ引き続きそれらに対応していただきたいと思いますし、そういう業務を民間の、これまでやられてきた民間以外にもさらに専門的な知識を持って対応できるところがあるとすれば、その幅を広げることも含めて対応していただくようにお願いしたいと思いますし、さらに民間の窓口を広げるというところについての考えは今持っておられるんでしょうか。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 この地籍調査の業務そのものは市町村が実施主体でございますので、実施主体であります市町村の意向なども確認しながら、そういった民間の活用といったものについても検討していきたいと思います。
〇軽石義則委員 ぜひともそのことを含めてさらに進めることをお願いして次の質問に移ります。
 事項別明細書の239ページ、経営力強化支援事業についてでありますけれども、具体的にどのような普及活動、支援をしながらの普及活動だと思いますが、経営力強化ということでありますので、その内容についてお示し願いたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 この普及活動についてでございますが、農業改良普及センターは、地域のニーズに的確に対応できる体制とするため、農業地域の特性に応じて県内9カ所に普及センターを設置してございます。その中で、担い手経営体の育成であるとか産地づくりなど、地域の重要な課題の解決に向けまして、さらに柔軟にプロジェクトチームも編成しながら、現場に密着し、農家のニーズに応えた支援活動を展開しているところでございます。
〇軽石義則委員 プロジェクトチームなども編成してニーズに応えているということでありますけれども、その活動の中で課題等があると思いますけれども、それらについてはどのように把握されているのでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 普及活動において、各地域にどのような課題があり、どういう方向に支援、誘導していくかということについては、一定の普及員自身の能力を高めていく必要がございますので、まずは、特に若手普及員、経験の浅い普及員の指導力強化、能力強化といったことに努めながら、センター全体としての普及の指導力強化、向上を図っていくことが当面の課題と認識してございます。
〇軽石義則委員 若手普及員の研修も実際にやられているようであります。受講者は延べ132名にも上っておりますけれども、これは、9カ所のセンターに均等にそれぞれ配置されているものなのか、地域ごとに濃淡があるものなのか、この活動状況を含めて、研修の成果をどのように把握されているのでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 この若手普及員を対象とした研修につきましては、県としてそういう普及員の育成計画がございまして、それに基づいて経験年数に応じた研修を組み立てております。ということで、経験年数に応じた普及員それぞれを対象とした幾つかの研修が設定されてございますので、農業改良普及センターごとに参加人数が違うということではなく、全県的にそういう年代の普及員を対象として実施しているものでございます。
 若手の普及員を、こういった集合研修のほか、先輩普及員とともにOJT研修を通じまして必要な指導力を身につけるということを現場での活動を通じてやっているところでございまして、そういった活動の中で、先輩と一緒に、普及の指針であります普及指導計画に基づいて、若手なりの、今まで身につけた力を発揮しながら地域のニーズに応えた普及活動を展開している、それが成果と考えてございます。
〇高橋但馬副委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
〇軽石義則委員 農業全体が高齢化している状況でありますので、年齢的にはどのぐらいの幅の方を若手普及員と県は指して研修されているのかお尋ねしたいと思いますし、そうすれば普及員の平均年齢も大体わかると思いますけれども、どのような年齢構成になっているのでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 いわゆる若手普及員と言う場合には、新採用で入所してから普及員の資格を取得するまでの間、3年、4年、5年ぐらいのところを若手といった形でOJT研修をしているところでございます。
 現在の普及員の年齢構成等、平均年齢でいえば若干最近上がってくる傾向がございまして、現在は平均で43歳ということで、中堅からベテランが厚くなっているという構造になってございます。
〇軽石義則委員 農業従事者の平均からいけば43歳は若手に入るのではないかと思いますけれども、この皆さんがこれからの岩手の農業をしっかりと支えていく、基盤をつくっていくのだろうと思いますけれども、今後、先ほども少しお話がありましたけれども、それらの課題をどう克服しながら取り組みをしていくのか、お考えがあればお示しいただきたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 農業改良普及センター、普及員にとっての仕事は、地域が求める当面の課題を速やかに解決していくことでございますので、いずれ、こうした課題を速やかに解決するための能力を身につける、資質向上を図っていく、その中で市町村なり農協なり地域の関係者と連携した地域協働という形で効率的な支援活動を展開してまいる、そういう方向で進めていきたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 そのためには、やはり人材育成に必要なのは、岩手でいえば県立農業高等学校とか農業大学校とかの中からそういう人材をその教育機関の中でも育成していく必要があるのではないかと思いますけれども、それらについてはどうお考えでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 農業大学校の学生が卒業して、そういう関係機関に就職しながら指導者的な活動をしている方も多いところでございますので、そういったことも含めて、技術だけではなく、専門的な指導力的なところも高めるというカリキュラムも組みながら取り組んでございます。
〇軽石義則委員 ぜひそういうことも含めて今後も対応していただいて、やはり経営力が強化されることは大事なことだと思いますし、これだけに限らず、いろいろな総合的な政策も必要だと思います。これらをきちっと今後も対応していくんだという、部長から今、考えていることがあればお聞きして終わります。
〇小原農林水産部長 やはり本県の農業、農村の振興を図っていくためには、まさに現地の農業者と密着した普及員の役割というのは非常に大きいと思ってございます。また、こちらから言うのもあれですが、頼られているといった面も多分にあると思ってございます。
 したがいまして、本県の農業技術、経営管理の振興には普及員の資質向上は重要と認識しておりますので、その資質向上に向けた研修なり、それらについてはしっかりとやってまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 原発事故による草地の除染についてお伺いいたします。
 畜産農家に大きな影響を与えたと思っております。そこで、平成25年度、民地草地、それから公営牧場等の除染の進捗状況と、平成26年度、事業完了の予定のはずでございますが、その見通しについてお伺いいたします。
 また、公営牧場等で放牧開始がされたところ、また、今後、放牧可能となる地域と面積等についてもお伺いいたします。
〇小岩畜産課総括課長 牧草地の除染についてでありますけれども、対象面積1万3、350ヘクタールに対しまして、平成26年3月末で約1万ヘクタールで除染が終了してございまして、その進捗率は75%となっております。
 また、利用自粛となりました公共牧場が23牧場発生いたしましたが、耕起不能箇所の約2、500ヘクタールを除きました対象面積1、650ヘクタールに対しまして平成26年3月末で約1、150ヘクタールが終了いたしまして、その進捗率は約70%となっております。
 なお、本年9月末現在の除染面積についてでありますけれども、これは民地草地、公共牧場合わせた面積ですけれども1万2、300ヘクタールとなっておりまして、その進捗率は92%となっておりまして、残りの約1、000ヘクタールにつきましても年度内の完了に向けて作業を進めているところであります。
 また、現在、放射性物質の影響を受けまして牛の放牧ですとか採草に支障を来しております公共牧場は、先ほど申したとおり23牧場ございます。これにつきましては、平成25年度までの除染作業によりまして、県南地域の8牧場550ヘクタールで放牧が再開されております。また、10牧場600ヘクタールで採草を再開しておりまして、合わせて18牧場で利用再開しているところであります。
 なお、残り5牧場につきましては、来年からの利用自粛解除に向けまして、除染ですとか継続的な牧草検査に取り組んでいるところであります。
〇工藤勝子委員 結局、畜産農家において夏山放牧というのは非常に大きかったわけですよね。ですから、草地の面積も少なくて済んだわけです。外国から餌が入ってきているわけですけれども、最初は頭数に応じて餌が配付になりました。ところが、今度は草地面積に応じて牧草が配付になったんですね。そういう関係で、やっぱり小さな畜産農家とか、それから夏山をやっていた人とかは高齢化によってやめた人たちが多く、先ほどの畜産振興に大きな影響を与えたのではないかと思っているところであります。
 ところで、悪条件で除染が不可能な地域もございましたが、放射性物質の濃度の検査はされているわけですね、お伺いいたします。
〇小岩畜産課総括課長 ただいま御指摘ありました耕起不能や耕起困難により除染ができない牧草地は約3、400ヘクタールございます。この圃場につきましては、国の通知に基づきまして、今年度から牧草検査を継続的に実施いたしまして、暫定許容値以下であることが確認された圃場につきまして利用自粛を解除しております。
 8月末現在になりますけれども、検査実施面積は約300ヘクタールで、そのうち暫定許容値及び酪農家における基準値を超過いたしましたのは30ヘクタール弱で、率にいたしまして9.4%です。残りの約280ヘクタール、91%につきましては利用自粛を解除しております。また、残りの約3、100ヘクタールにつきましても、現在、検査を実施しておるところです。
〇工藤勝子委員 セシウムというのは、例えば134というのは2年ぐらいで半減するということもありますし、137というのは20年間あるというようなことなんですけれども、かなり減少しているのではないかと思っておりまして、引き続きこういう検査というのはしっかりやっていただければいいのではないかと思っているところでもあります。
 そこで、この除染作業に使われた大型農機具があったわけですが、このリース代金、毎年支払っているということですけれども、どれくらいになってきているのかということ。それから、今後の活用方法、これは農機具屋だという話でありますけれども、例えば、農家の人たちが引き続きこういうものを欲しいといった場合の対策はどうなっているのかお聞きいたします。
〇小岩畜産課総括課長 除染作業で使用しました農機具についてでありますけれども、牧草地再生対策事業の事業実施主体であります岩手県農業公社におきましては、除染作業を促進するために機械のリースをしてございます。これは、リース会社と契約した形でリースをしております。平成25年度は、作業機を94台リースしております。これは、トラクターに加えまして、ロータリーですとかブームスプレーヤー、播種機、鎮圧機全て込みですけれども94台リースしておりまして、約7億2、000万円のリース料となってございます。これにつきましては、全て東電賠償請求により支払われる見込みとなってございます。
 なお、作業機につきましては、リース契約ということもございますので、契約期間を満了した後はリース会社に返却される予定となっております。
〇工藤勝子委員 東電からの補償になるという話でありますけれども、終了した時点で東電に全て請求されているのか、現時点でも東電にしっかりと請求されているのか、その辺のところをお伺いいたします。
〇藤代農林水産企画室企画課長 東電への賠償請求の関係でございますけれども、牧草地利用自粛事業に関係する県が負担した経費につきましては、年度、年度に区切りまして東京電力に賠償請求をしてございます。これまで、平成23年度及び平成24年度に要した経費については東京電力から賠償支払いが行われているところでございまして、平成25年度に要した経費については、賠償請求し、現在、書類等の確認作業が行われているところでございます。
〇工藤勝子委員 しっかりと請求して、県で負担した分をちゃんと補償してもらうようにお願いしたいと思っているところであります。
 次に、放射性物質で汚染された稲わらとか牧草対策について、県南の市町村ではかなり頭を抱えている一つの大きな問題でもあります。また、焼却施設でそれぞれ一般ごみとともに焼却している部分もございます。
 そこで、現在、稲わら、牧草の汚染された量はどのくらい残されているのかお伺いいたします。それから、焼却された部分の量についてもお伺いしたいと思っております。
 まとめて聞きます。
 今、牧草をペレット化して試験焼却もされているわけでありますが、これに関して、非常に水分が多くてペレット化は難しいとか、そういう課題もあるわけですが、焼却に向けたペレット化にする課題、そして、ペレット化して焼却する部分のいろいろな課題についてお伺いいたします。
〇小岩畜産課総括課長 汚染稲わら等の在庫量ですけれども、汚染稲わらにつきましては、18市町村で約600トン発生いたしまして、8月末現在で約200トンが焼却などにより処理されまして、残り約400トンが6市町村で保管されております。
 また、汚染牧草ですけれども、24市町村で約2万トン発生いたしまして、稲わらと同様に、約9、000トンが処理されまして、残りの約1万1、000トンが14市町村で保管されております。
 次に、焼却施設で一般ごみ等とともに焼却された量でありますけれども、8月末現在、汚染稲わらは、約600トンの発生量に対しまして約69トンが焼却されておりまして、汚染牧草につきましては約3、600トン焼却されたと聞いております。
 次に、牧草のペレット化でありますけれども、委員御指摘のとおり、ペレット化は、牧草等を焼却するまでに長時間を要し、この間、牧草等が腐敗して環境問題に及ぶ懸念がありまして、これに対応するため、安定的に保管しようということで取り組んでいるものでございます。保管牧草は、生産者ごとに水分量が異なるため、ペレット化に必要な牧草の予備乾燥に要する時間が一定しないことなどが課題として挙げられております。このことから、県単事業などを活用いたしまして強制乾燥装置などを導入いたしまして、関係市町と連携しながら乾燥の処理の加速化を行っているところであります。
〇工藤勝子委員 それでは、現在の一時保管状況と今後の安全性についてお伺いいたしますけれども、例えばラップのし直し等も行われているのではないかと思っておりますけれども、その保管されている稲わらなり牧草について、草地と同じようにセシウムの濃度の検査をされていますか、お伺いいたします。
〇小岩畜産課総括課長 まず、稲わら等の保管状況につきましては、稲わら等を保有しております15市町のうち11市町が農家等の負担を軽減するために県単事業などを活用しながらパイプハウスなどによる隔離保管を実施しておりまして、残り4市町につきましても、誤って家畜に給与されることのないよう、シートによる被覆及びカラースプレーなどによる着色により牧場内で区分管理するなど、安全な保管については市町と一緒になって取り組んでいるところであります。
 なお、今、御指摘のあったとおり、焼却等の処理の長期化に伴いまして腐敗による環境汚染問題の発生が懸念されるということですので、処理等が長期化する市町を対象にいたしまして、ペレット化やラップによる再こん包等の中長期的保管対策については、これまでも支援してまいりましたし、今後とも、市町村等の要望に応じまして、できる限り対処していきたいと考えております。
 また、今、保存してあるロール等のセシウム濃度を測定しているのかということでございますけれども、これにつきましては、定期的に測定等は行ってはおりませんが、例えば焼却等をする場合には一個一個そのロールの濃度を測定いたしまして、それに見合った形の一般ごみの量を決めまして、焼却灰が一定以上にならないような形での処理を進めておりまして、そういう意味では、一個一個濃度等も測定しながら処理を進めているということであります。
〇工藤勝子委員 先ほど話しましたように、草地は自然界にあるものですので、流されたりとかいろいろな形の中でセシウムとかいろいろな部分が減少しているんでしょうけれども、ラップしているとか、そういう部分に関しても多分減っているんじゃないかと思うんです。134でしたか、減っているんじゃないかと思うんですけれども、そういう関係の中で、もうちょっと量的に各市のほうで燃やすことはできないのか。そのセシウムが減っている調査もされていますか。一つ一つ燃やすときに調査しているという話の中で、結局、そういうセシウムの濃度が減少しているということを県のほうでも把握されていますか。
〇小岩畜産課総括課長 汚染牧草の焼却等につきましては各市町村が取り組んでおりますけれども、これにつきましては環境省の農林業系廃棄物の処理加速化事業を使いまして取り組んでおりまして、この部分では、濃度を測定しながら、先ほど申しましたとおり一般ごみの量を決めて焼却していると聞いておりまして、委員御指摘のとおり、134だったでしょうか、半減期が2年程度ですので、当然、濃度は減少しているものと思われます。そういうことを考えますと、当然、焼却量等についてふやすことは可能ではないかと考えておりますけれども、各市町村が焼却に取り組むときに始められましたとおり、まずはそういうことを周辺住民の方にも御説明しながら、御理解を得て取り組む必要があるのではないかと。これにつきましては環境生活部のほうで指導していると聞いておりますけれども、そういうふうな取り組みを進めることができれば焼却量の増加はできるのではないかと考えております。
〇工藤勝子委員 それでは、次に移りたいと思っております。畜産振興についてはいろいろ質問がございましたので、ちょっと省いてまいりたいと思っております。
 その中で、今後、岩手県の畜産を振興していく上で、畜産県としてやはり担い手を育成することが非常に大事ではないかと思っております。そういう中において、新規でもいいんですけれども、こういう畜産農家、畜産一本でやっている農家というのは少ないと思いますけれども、就農された担い手がどのくらいいらっしゃるのかお聞きいたします。
 それから、今、非常に農業というのは、米もそうですけれども、米価下落を受けて、また、今回のような畜産の関係の処理の問題も含めまして、非常にピンチになってきていると思っております。
 そこで県として、岩手県の農業、そして畜産振興に向けて、このピンチをチャンスに変える、そういう大きなプロジェクトを起こす必要があるのではないかと私は思っているところであります。そういう中において、うし年だったと思いますけれども、たしかMOW MOWプロジェクトというのを起こしたと思っています。プロジェクトですから、5年とか10年とか長いスパンで、牛に対して、畜産に対していろいろな事業を展開していくんだろうと思ったら、何か1年で、うし年で終わってしまったようなことがあるわけでありますけれども、これをもう一度復活して、この時代だからこそ、そういう担い手の育成も含め、原発事故でいろいろ大変な思いをした部分も含めて、ぜひチャンスに変える、もう一度そういうプロジェクトみたいなものを起こして、それぞれの部局が横断的に、岩手の農業をどうするんだ、畜産をどうしようか、園芸作物も入ってもいいですけれども、そういうものを復活させながらやってほしいと思うんですけれども、所感がありましたらお聞きいたします。
〇前田農業普及技術課総括課長 まず、畜産農家における担い手の状況でございます。
 新規就農者数で見ますと、平成21年度から平成25年度までの過去5年間で見ますと、畜産経営体全体が減っている中ではありますけれども、規模の大きい畜産経営体の後継者が多いとは思うんですが、大きい経営体を中心として、毎年40人程度の新規就農者は安定的に確保されているところでございます。ただ、平成23年度の震災の年には30人程度に落ち込んではおりますが、それ以外は40人ということ。
 また、特徴といたしまして、野菜とか他部門に比べて、畜産の後継者は40歳未満の若い農業者、新規就農者の割合が一番高いという傾向にございます。
〇浅沼副部長兼農林水産企画室長 ピンチをチャンスにということで、MOWMOWプロジェクトを引き合いに提案がございました。プロジェクトをやってはどうかという御提案があったと思っております。当時、MOWMOWプロジェクトに携わった人間としても、いろいろ御提案がありましたので、今回、米の消費拡大につきましても、全庁的な取り組み、さらには県民運動に広げていこうという取り組みも検討を始めているところでございます。畜産につきましても、そういう視点、さらに、ほかの品目につきましてもそういう視点を持って、どこまでできるかは、関係団体、関係機関、市町村、いろいろな関係者がいると思いますので、そういった方々の御意見を少し丁寧に聞きながら、いろいろどのような対応ができるか検討していきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 ぜひ検討して、ピンチをチャンスに変えるような、そういう大きな対策が出てくることを期待したいと思っております。
 40人程度が就農されていると。ほかの作物から比べれば畜産は多いということであります。では、この人たちを、一堂に集めなくてもいいでしょうけれども、例えば広域振興局ごとでもいいでしょうけれども、この人たちの情報交換会というのは開催されておりますか。
〇小岩畜産課総括課長 私どもといたしましてもこのような若い後継者の情報交換の場が必要だと考えておりまして、今年度8月に、県下の若手の畜産の繁殖、肥育の経営者に集まっていただきまして、それぞれの優良事例の取り組みの発表会ですとか、あるいは意見交換等を実施し、非常に有意義であったと感じておりまして、このことにつきましては、今後とも続けていきたい。要は、県内でのネットワーク化を図っていきたい、情報交換の場ですね。そういうことを我々といたしましてもどんどん進めてまいりたいと思っておりますし、また、今後、検討しておりますのは、女性の畜産経営者につきましてもそのようなネットワーク化ができないかということで、そうした取り組みについても現在、検討を進めているところであります。
〇工藤勝子委員 ぜひよろしくお願いしたいと思っております。そういう若手の人たちが集まって、いろいろ日ごろの苦労を分かち合ったり、そして技術のいろいろな向上を図ったり、そして悩み等も話し合う、そういう場というのはかなり必要だろうと思っておりまして、ぜひ進めてほしいと思っております。年1回と言わずに何回か開いて行っていただければ、まだまだ元気が出てくるんじゃないかと思っているところであります。
 農地転用については1点だけお聞きいたします。
 今、非常に県でも、国もそうですけれども、再生可能エネルギーの推進をしていらっしゃるところでありますけれども、ちょっとここに来て足かせになった部分もありますが、その中で、太陽光、メガソーラー等で農地転用された許可申請とか面積はどのくらいあるのかお聞きいたします。
〇高橋農業振興課総括課長 再生可能エネルギー発電施設に係ります転用許可件数と面積についてでございますけれども、平成25年度は34件で19.8ヘクタール、本年度の平成26年度は、10月15日までで34件、13.6ヘクタールとなってございます。
〇工藤勝子委員 何をどうするかというと、先ほど及川幸子委員からもありましたけれども、結局、優良農地をやはり岩手県は農業県としてしっかりと守っていただきたいというのが私の願いでもあります。そういう面について、非常に今後、1等農地も再生可能エネルギー促進何とかというのでどんどんつぶされていくこと自体、私は危機感を持っているところでありまして、優良農地だからこそ担い手が借りられる部分だってあるだろうと思っておりますので、その辺のところを考慮しながら今後進めていただければと思うところであります。
〇佐々木順一委員 米の下落問題に特化してお尋ねいたします。
 米の生産農家に対する所得向上の成果と問題点、昨年度で結構でありますので、お示し願います。
〇下村農産園芸課総括課長 米農家の所得向上策についてでございますが、平成25年度の生産対策として食味や品質の向上等に取り組みまして、その結果、御案内かと思いますが、県南ひとめぼれが食味ランキング特Aを19回獲得したところでございます。また、1等米比率につきましても96%ということで、全国第2位の高い品質を確保したという状況でございまして、さらに、各地域におきましては、低コストに向けた行動計画を策定して、その実践を通じながらモデル経営体でのコスト低減にも着実に取り組んできているというように考えてございます。
 今後の課題でございますけれども、先ほど来議論になっております米の消費の減少ですとか在庫の増加など、取り巻く環境が非常に厳しい状況にありますことから、なお一層県産米の消費拡大や評価向上の取り組みを進めるとともに、コスト低減の地域への波及というものにも取り組む必要があると考えてございます。
〇佐々木順一委員 それにもかかわらず、平成26年産米の概算金は60キログラム当たり8、400円と公表されました。つきましては、過去5年間の概算金の状況と60キログラム当たりの米の直接支払交付金の推移をお示し願います。
〇下村農産園芸課総括課長 過去5年間の概算金の状況と直接支払交付金を加えた収入額等の推移についてでございますが、過去5年間、ひとめぼれ60キログラム当たりの概算金につきまして、平成21年産につきましては1万2、300円、平成22年産は8、700円、平成23年産が1万500円、平成24年産が1万2、500円、平成25年産が1万1、200円となってございます。
 また、この概算金に直接支払交付金を加えました収入額といたしまして、平成21年産は60キログラム当たり1万2、300円、平成22年産は約1万320円、平成23年産が約1万2、150円、平成24年産は約1万4、110円、平成25年産におきましては約1万2、860円となってございます。
〇佐々木順一委員 いずれにしろ驚くべき数字でありますが、先般の喜多議員の一般質問に対しまして、県は、作付規模が5ヘクタール以上の場合は生産費を上回る、こう答弁されております。ついては、その根拠をまずお尋ねいたします。
 また、5ヘクタール未満の経営体の数、さらには、10アール当たり、あるいは5ヘクタール当たりの生産費の額についてもお尋ねいたします。
〇星野水田農業課長 まず、収入額が生産費を上回る経営規模についてでございます。
 平成26年産米の価格が概算金と同程度の下落の場合、10アール当たりの販売金額にナラシ円滑化対策の補填額と、さらに米の直接支払交付金を加えた収入額は約9万3、500円ということになります。一方、10アール当たりの生産費でございますが、国が公表しております最新の平成24年産の統計によりますと、5ヘクタール以上の規模で8万5、295円となってございます。このことから、5ヘクタール以上の規模であれば収入額が生産費を上回るということでございます。
 5ヘクタール未満の経営体の割合でございますが、こちらのほうは、ちょっとデータが古いんですが2010年の世界農林業センサスがございまして、これで5ヘクタール未満の経営体数は4万806経営体となってございます。割合は97%になります。ほとんどという感じでございます。
 生産費は、まず、10アール当たりの生産費でございますが、同じ統計資料で、平均的なところは、1.3ヘクタールの規模ですと12万855円になってございます。5ヘクタールにつきましては、先ほどお話ししたとおり8万5、295円となります。15ヘクタール以上になりますと7万9、667円になってございます。
〇佐々木順一委員 それでは、この収入減少額について聞きます。
 これもやっぱり一般質問の中で、ナラシ対策などの補填額と直接支払交付金を加えると10アール当たり9万3、000円と答弁されております。これは平成26年産米の標準の収入見込み額と思いますが、これを60キログラムベースに置きかえると標準収入額はどの程度になるのか、また、収入減少額は幾らになるのか具体的に詳しくお伺いいたします。
〇星野水田農業課長 60キログラム当たりの収入見込み額につきましては、10アール当たりが9万3、500円ですので、約1万円ということになります。計算する際の収入減少額は、60キログラム当たり2、800円の下落を条件にしております。
〇佐々木順一委員 それでは、この収入減少額について聞きますが、これはナラシ補填金と特別措置の補填金に分かれております。しかも、ナラシ補填金は、国費が3、それから農業拠出金が1という割合になっております。加えて、10%の水準と20%の水準の二通りがあります。ついては、60キログラムベースでナラシ補填金と特別措置補填金はどのような金額になるのか、10%、20%水準もあわせてお示し願います。
〇星野水田農業課長 ナラシ対策及びナラシ円滑化対策の補填金についてでございますけれども、平成26年産米の補填金の金額につきましては、国が5月に標準的収入額というのを決めておるんですけれども、最終的に平成26年産の収入額との差額の9割ということになりますので、現時点ではちょっと不明というのが実態です。
 仮に平成26年産米の価格が概算金と同程度とした場合、20%の収入減少に備えて加入している方の補填額は60キログラム当たりで約2、200円になります。10%の収入減少に備えて加入している方は約1、200円になります。ナラシ円滑化対策に加入している方は約800円と試算されます。
〇佐々木順一委員 それでは、米価下落対策補填対象者は、全県で見た場合、どう見込んでおられるのか、10アール以上の販売農家という前提でお聞きいたします。米の直接支払交付金対象者の数とナラシ加入者、あるいはナラシ特別対象者の作付面積とその割合をお示しいただきたいと思います。
〇星野水田農業課長 まず、県内の10アール以上の経営体数ですけれども、こちらは先ほどお話ししました2010年農林業センサスで4万1、701件になってございます。これをベースにしますと、国の公表では、まず最初に加入申請件数ですけれども、米の直接支払交付金が3万6、890件になっております。ナラシ対策につきましては2、070件になっています。ナラシ円滑化対策は3万4、778件になっています。これを加入面積と加入率で説明しますと、米の直接支払交付金が4万8、146ヘクタールで94%になります。ナラシ対策は2万65ヘクタールで、比率は39%、ナラシ円滑化対策は2万8、082ヘクタールで55%となっております。
〇佐々木順一委員 今のは、55%の方が60キログラム当たり大体1万円、こういうことになりますね。
 いずれにしろ目を覆いたくなるような数字でありますが、これと並行して、先日、県は、農業改良普及センターを通じまして、県内68経営体から聞き取り調査を行ったと報道されております。この調査結果を詳細にお示し願いたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 この調査の内容につきましては、まずは今般の概算金の下落が経営に及ぼす影響、それから当面の資金繰り、そして今後の営農意向について聞き取り調査したものでございます。
 その結果、概要でございますが、何らかの影響があると回答したものが84%ございます。そして、その影響の主な内容としましては、本年度分の買掛金あるいは未払い金の支払いができないが57%、次いで、次年度分の資材費、人件費の手当てができないが46%、予定していた施設、機械の導入ができないが43%となってございます。当面の資金繰りにつきましては、預貯金の取り崩しで対応が50%、次いで、資金の借り入れで対応が24%となってございます。
 また、今後の営農意向につきましては、主食用米を縮小するという方が18%ございました。一方で、飼料用米を拡大するという方が32%ございまして、全体的には、大規模経営体を中心に、飼料用米へシフトしようかというような意向が見てとれるところでございます。
〇佐々木順一委員 今の調査の内容と、それから、順次お尋ねしてまいりましたが、米の収入の状況について数字をお聞きして感じるのは、まさに目を覆いたくなるような収入の数字であります。また、調査結果では、いわば農家の悲痛な叫びが聞こえてくる、こんな受けとめ方をしたところであります。
 政府は、農家所得の倍増という旗印を掲げておりますが、実態は、農家所得の半減、こう言わざるを得ないのではないかと思います。加えて、来年10月からは現段階では消費税が10%になると。こういうことになりますと、まさに農家は座して死を待つよりほかない、こんな状況ではないかと思います。
 このような危機感を受けまして、農協中央会は、先日、岩手県議会に意見書を提出しました。内容は、緊急対策として、米の需給と価格の安定対策の構築、すなわち、豊作、凶作等による米の需給変動を補正する仕組みを構築すると同時に、平成26年産米の出来秋に向けて、政府主導による過剰米の主食用市場からの隔離、それからもう一つは、米価変動に対応した経営安定対策の構築、すなわちセーフティーネットを早期に構築すること、この二つを請願として岩手県議会に提出し、我々はそれを可決して政府に提出したわけでありますが、現段階で、この二つの項目について政府はどう対応するつもりなのかお聞かせいただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 まず、国の動向でございますけれども、前段の需給緩和につきましては、今の段階では、国においては、まだ今年度の作柄の推移を見守る必要があるといったような話でございまして、そしてナラシ対策の加入というものを、今現在、国では回答してございます。
 もう一つの万全なセーフティーネットの構築の件に関しましては、これは国で収入保険制度を今検討しておりまして、平成29年に関連法案の提出を予定しているということが、今現在、こちらで把握している国の状況でございます。
〇佐々木順一委員 それでは、過剰米の主食用米を市場から隔離なんていうのは、ほとんどやる気がないということだと受けとめました。これの対策をとらないと、まさにふん詰まりを起こすわけでありまして、では、既存の制度でまず対応すると。あと収入保険ですか、そういうものをやるということのようでありますが、部長に聞きますが、先ほどの数字と、それから県がやった調査を踏まえて、今後、岩手県の農政、特に米問題について何をやらなければならないのか、あるいは、農家は国や県に何を求めているのか、それも含めて、今後の取り組み方針についてお聞かせいただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 まず、経営体の聞き取りの結果でございますけれども、やはり予想を超える米価の下落ということで、影響が深刻という回答が多いと。県内農家は意欲を持ちつつも、将来への不安というものは感じるところでございます。やはり何よりも、これも経営なわけでございますので、将来を見通すことができる安定した制度、その中でみずから経営を立てていける、こういうことが必要であろうと考えてございます。
 今回の米価下落でございますが、原因はやはり全国的な需給緩和が大きいと捉えておりまして、したがいまして、過剰米の処理については、国に対して必要な対策というものをこれからも継続して求めていきたいと思いますし、あわせて、万全なセーフティーネットの構築、これについても求めてまいりたいと考えております。
 一方、今度は県でございますが、経営対策と生産対策、それと米の消費、販売対策、この三つの柱で取り組んでいかなければならないということで、まず当面、短期の融資はこの前議会でお認めいただきましてスタートしたところですが、次は、米の消費拡大について早急に取り組むこととしてございまして、それに伴う県民運動を展開していこうということで、現在、準備を進めてございます。
 また、あとは生産、販売対策でございますけれども、消費者、実需者に支持されるような産地となるように、そういう仕組みを持ったいわて純情米の生産、販売戦略を来年早々に策定したいと考えておりまして、それに基づいて、岩手県として、米の主産地としての地位を強固なものになるよう努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木順一委員 今、部長の答弁を拝聴しまして、どうも認識が産業政策という視点が主だったかなと、こう私は印象を受けたところであります。
 確かに農林水産業といえども、商工業とかサービス業と同じように、産業政策、産業的視点で対応することは私も否定はしません。そのとおりであると思います。ただ、ここで大事なのは、今、国のほうで地方創生ということで新たな拠点都市とかそれから小さな拠点とか、いわば選択と集中で、人、物、金をそこに集めて新しいまちづくりをしましょうと、この方向にあるわけです。
 一方において、農業政策は、特に水田とか畑を中心とする中山間地帯の農業者も含めて地域社会を形成しているわけでありますし、コミュニティを形成しているわけでありますから、これは産業政策と同時に地域政策でもあると。この視点を失っては、今の産業政策のみで突っ走ってしまうと、これは間違いなく、TPP交渉の締結を前提にした市場原理の農政、そこに加担することになるわけでありますから、そうなると、地域社会とか農村社会は崩壊するわけです。よって、これからの岩手県の農政は国の農政と一線を画すと、そういう認識を持って、地域政策それから産業政策の両立を図るような取り組みが、あるいは視点といいますか、それが必要ではないかと思いますが、もう一度、部長の御見解をお聞きいたします。
〇小原農林水産部長 先ほどの答弁は、確かに経営面の答弁が主でございました。委員御指摘のとおり、岩手の農林水産業、これは8割を中山間地域が占める本県におきましては、まさにそれが地域を守っているという役割が非常に大きいものがあると思っております。そしてまた、今後の岩手県の人口減少対策、これを考える場合にも、そこの地域地域で農林水産業をしっかりと守っていくと、人材の育成確保という面も非常に大切と思ってございます。
 まず米に関しましては、供給過剰という面での価格というものが主な原因でありましたので先ほどのような答弁になりましたけれども、広く農林水産業の振興の観点からは、その地域振興の視点、これは忘れずにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木順一委員 それでは最後に、米価下落緊急対策資金貸付金、これは平成22年もやっておりますが、平成22年は12月議会で通りまして3月の末で終わっております。この当時は、戸別所得補償制度もあったしそれから出口対策もあったから、こういう短い期間で結果としてよかったわけでありますが、今回は事情が違うわけであります。もう7、500円の交付金しかないわけでありまして、あとナラシしかないわけでありますから、しかも、この前通った貸付金は来年の7月までです。であるので、当然、農林水産部でも考えていると思いますが、これはやっぱり切れ目のない貸付金制度をやることが必要だろうし、そういう安心感を農家に与えることも一つ大事な事柄ではないかと思います。よって、来年の7月で切れるわけでありますが、この切れ目のない融資制度ということを農林水産部では頭の中にあるのかどうか。あるとすれば、そういう作業を来年の一般会計当初予算の予算要求からやっていかなければならないわけでありますので、この点の私の指摘についてどういうお考えなのか、これを聞いて終わります。
〇高橋団体指導課総括課長 今回の緊急資金でございますけれども、県内の稲作農家の米概算金の大幅な引き下げによりまして、資金繰りなどに不安を感じて、稲作を続けようという気持ちが折れてしまうということが懸念されたところでありまして、それらの不安を払拭するために、まずは資金繰りについて安心してもらうということが重要と考えて、いち早くつなぎ資金の創設に取り組んだところでございます。
 当該資金につきましては、国の経営所得安定対策交付金が農業者に支払われるまでのつなぎ資金ということで、来年の7月までとしたところでございます。
 農業者が借り入れる際の返済財源に、支払われる交付金のほかにも、収入の確実な農業収入ですとか給与収入などの農外収入も充てるということで、交付金に限らずお貸しするという限度額を設定したところでございます。それらによって返済が行われると考えているものでございますけれども、既存の資金の中に、比較的長期の借りかえに利用できる無利子ですとか、低利の資金も用意されているところであります。そのような資金を組み合わせながら、委員のお話になっているような切れ目のない融資が続けられるように努力していくつもりでございますし、いずれにしましても、今月からの開始の資金でありますので、利用される方々の声、また、現場の意見などもしっかりと聞きながら、必要な対応を検討していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、牧草地の除染について伺いたいと思います。
 先ほど工藤勝子委員の質問の中で、現在の牧草地の除染の進捗状況については明らかになりました。残り8%も年度内で終了することができる見込みであるという話だったと思いますが、一方で、その後の放射線の検査について、1万3、350ヘクタール中、平成26年度の8月現在で8、291ヘクタールの圃場で検査が終了しておりますが、295ヘクタールで再除染ということでございました。今後の残っている検査をしていない圃場についての検査、再除染、また、まだ除染を行っていないもののこの後の検査、再除染のタイムスケジュールについてどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 除染の進捗状況につきましては先ほどお話をしたところでありますけれども、いずれにいたしましても、除染として残っております約1、000ヘクタールにつきましては、年度内の完了に向けて作業を進めたいと思っておりますし、暫定許容値及び酪農家における基準値を超過いたしました295ヘクタールの圃場につきましては、現在、岩手県牧草地除染プロジェクトチームが、圃場ごとに超過要因の検証を行った上で、平成25年度までに100ヘクタールの除染を完了しておりまして、残りにつきましては、これは県南の圃場が主でありまして、現在も除染を進めておりまして、年度内の完了に向けて取り組んでまいりたいということで考えております。
 また、検査につきましても、順次進めながら、なるべく多くの圃場の解除に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 また、除染をした後、放射性物質が基準値以下でありましても、今、まき直しを行っている実態があるとお聞きしております。この牧草地のまき直しの実施面積が、平成25年度で1、306ヘクタール、また、平成26年度でも436ヘクタールが発生しているということでありますけれども、その原因と対策がどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 まき直しが生じておるということでございますけれども、このまき直しですけれども、その7割強に当たる面積につきましては、除染開始間もない平成24年度の除染作業によって発生しております。原因といたしましては、除染前の除草剤散布が適正に行われなかったことや、除染後の草地管理の不徹底による雑草の繁茂、また、暑熱や寒冷による種子の死滅などが考えられます。
 まき直しなどの対策についてでありますけれども、これまで、平成24年12月に策定いたしました岩手県牧草地除染マニュアルに基づきまして、県の農業公社と広域振興局などが圃場ごとに状況を確認した上で、生産者の意向もお聞きしながら、公社の直営作業でありますとか農家への委託作業などを通じまして対応しておりまして、今後につきましても、適切に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 いずれ、農家には責任のない部分で、もともと除染をしなければそのようなまき直しも起こらなかったと思います。この点について種代でありますとか工賃でありますとか、その点についての農家の手出しはないようになっているのか伺いたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 畜産農家の手出しはないのかということでございますけれども、当然、これにつきましてはいろいろ原因を調査しながら行っておりまして、農家等の手出しがないような形で対応してまいりたいと思っておりまして、そのように対応してございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひ情報を徹底して、そのような手出しがないように進めていただきたいと思っております。
 そして、今後の代替飼料の対策でございます。これまでの御説明では、本年度中に牧草地の除染は完了する、また、検査についてもできるだけ早期に進めていきたいということでありましたが、再除染が起こったりまたまき直しがあったりと、私はまだまだこの点について不安定ではあると思っております。
 また、農家の中には、代替飼料の継続について、長く牧草地から餌をとっていなかったということもあって、この時期に代替飼料の終了と同時に断念をする方も出てくるのではないかと、地域では不安が広がっております。そういったことも含めて、再除染やまき直しの進捗に配慮した代替飼料の対策も継続の方向で考えていかなければいけないのではないかと思っておりますけれども、この点についてどのように検討しているのか伺いたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 再除染ですとかまき直しとなった圃場について代替飼料はどうなっていくのかということでございますけれども、原則、牧草の利用自粛が継続されている状態であると認識しておりまして、こうした場合は、代替飼料は引き続き供給されますということで、農業団体からは聞いております。
 今後も農業団体と連携しながら、牧草の利用自粛解除と代替飼料の供給に問題が生じないよう、丁寧な対応をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いをしたいと思います。
 農林系放射性廃棄物の処理については、先ほど工藤勝子委員の御質問がありましたので割愛をさせていただいて、死亡牛対策について伺いたいと思います。
 午前中の議論で多くの委員の皆様から質問がございました。その中で、まず県としては、県南の畜産農家が群馬までの輸送コストがかかるということで、まずは早急に運搬費の補助を考えていると。その中で、今後、市、JAの運営で、地域に保管施設を4カ所ぐらいを整備していくということと、また、BSE家畜保冷保管施設を活用して行っていきたいと。その中で、その後に抜本的な対策をとっていきたいということであったと認識をしております。
 その中で、各畜産農家には、リーフレットを配布して対応をお知らせしているという話がございましたけれども、現状、コスト面もありますが、実務として大変なことにもなっているのか気になるところであります。今、産廃業者に持っていっていただいていると思うんですが、農家個別でそのような対応をしているのか、もしくは、JAでありますとか市町村でありますとか取りまとめをしてやっているのか、ある程度頭数を合わせて持っていっているのか、その辺について現状をお話しいただければと思います。
〇小岩畜産課総括課長 現在における死亡牛の流れについてでありますけれども、農協を通じまして、畜産農家には収集運搬業者を御紹介しておりまして、畜産農家が個々に連絡をすれば牛舎まで牛をとりに来まして、それが県外に流れるようになってございますので、畜産農家にとりましては、運搬経費等のかかり増しは生じますけれども、特別な事務等の負担はないようになってございます。
〇城内愛彦委員 私からは3点お伺いしますが、端的にお伺いしたいと思います。
 鹿の被害状況についてであります。平成25年の実績として、被害の件数と金額はどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 鹿の被害についてでございますが、市町村と連携した捕獲ですとか、防止柵の設置等によりまして被害の防止に取り組んでまいったところでございますが、平成25年度の農作物被害は、被害面積が894ヘクタール、被害金額は約2億9、000万円となっております。
〇城内愛彦委員 この話題が取り上げられてから大分たつわけですが、その数字はいまだふえてきているのかと感じておるところであります。
 そこで、今後の対策についてお伺いしたいと思います。駆除頭数もあわせてですが、その駆除にかかる経費はどれぐらいかかっているのかお伺いします。
〇千葉担い手対策課長 平成25年度の捕獲につきましては、狩猟ですとか市町村が実施いたします有害捕獲、それから、農林水産部が実施してございます緊急捕獲等によりまして、前年度の捕獲実績の2倍以上となります9、600頭余となっております。
 当部で実施してございます緊急捕獲等の事業費につきましては、1、500万円余となってございます。
〇城内愛彦委員 最近新聞をよく見ると、JR山田線にひかれて山田線がとまるという話がよく載っています。本当にそこらじゅうに鹿がいると思うんですよ。頭数も平成25年度実績で9、600頭は捕獲、駆除したということでありますが、そのベースになる数字がわからないのではなかなか難しいのかなと思うんですが、どれぐらい県内にいるかという数字はこちらで押さえていますか。
〇千葉担い手対策課長 県内に生息する鹿の全体の頭数につきましては、当部では把握はしてございません。
〇城内愛彦委員 ぜひ、その辺もしっかりと環境生活部のほうとタイアップしながら連携をして、数をしっかり押さえて計画を立てて駆除していかないと、減っていかないと思うんです。そういうことをしていかないと、これはますますかかる経費がかさんでいくと思いますので、ぜひこの対策を考えてほしいと思います。
 一方で、先ほど来お話が出ています放射性物質の件で、なかなか処理が難しい。以前はウインナーにしたりとか、6次産業化を考えてやっていくという話があったんですが、ここに来て、それもできないということであります。処理の状況というのはどうなっているか、わかっている範囲でお知らせください。
〇千葉担い手対策課長 放射性物質による影響がございまして、熊肉でございますれば平成24年9月10日から、鹿肉につきましては平成24年7月25日から、本県の全域を対象といたしまして、出荷制限の指示が出されております。
 今まで狩猟それから有害捕獲をやってございましたが、それらの捕獲につきましては、その場での埋設、あるいは焼却施設ということで処理をしていると聞いてございます。
〇高橋農業振興課総括課長 その活用、その解除に向けてという質問がございましたのでお話し申し上げますが、出荷制限を解除していくためには、11月から解禁される狩猟の前に、県内で捕獲されたニホンジカに含まれる放射性物質の調査を行いまして、それを県のホームページや狩猟会組織を通じて使用者に対して調査結果を提供することとしてございます。
〇城内愛彦委員 ぜひ早く解除されることを私は望んでおるんですけれども、そこで、猟友会の方々に多分に駆除のお願いをしていると思うんですが、猟友会の所管は環境生活部のほうですね。
 では、次に移ります。熊の被害状況についてお伺いしたいと思いますが、最近、鹿にかかって熊のことは余り聞かなくなった、薄れてきたような気がするんですけれども、状況についてお伺いしたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 ツキノワグマの被害についてでございますが、平成25年度の農作物被害は、被害面積が59ヘクタール、被害金額で約5、500万円となってございます。
〇城内愛彦委員 この捕獲頭数というのはどのようになっているでしょうか。対策として、結構電気牧柵を回してはいるんですが、それでもまだ被害が出ているということでありますが、駆除頭数と今後の傾向、対策があったらお願いします。
〇千葉担い手対策課長 ツキノワグマの捕獲頭数でございますが、市町村の有害捕獲それから狩猟ということで取り組んでございまして、平成25年度の捕獲頭数は278頭という状況でございます。
 今後におきましては、引き続き、これまで実施してまいりました国庫補助を活用いたしました侵入防止柵の設置、それから被害防止対策技術の実証と普及、これは各現地のほうでやってございますが、そういったことなど、被害の低減に向けた取り組みを推進していくとともに、人的被害も大分見られておりますので、これに対しましては農業者の方々にも注意喚起を図っていきたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 ぜひ、これもしっかりと対応していただきたいと思います。
 3点目についてお伺いします。イノシシのことは6月の一般質問でお伺いしました。エリアは拡大をしているのか。頭数、被害状況も含めて、どれぐらいというのは当局であるのか。あわせて、ハクビシンなんかはどうでしょうか。
〇千葉担い手対策課長 イノシシの被害の状況でございますが、平成25年度の農作物被害でございますが、面積は9ヘクタールということでございます。被害のエリアの拡大につきましては、平成22年度に一関市で最初に目撃されてから、それ以来、北上市、平泉町、それから一関市の3市町に拡大をしている状況ということでございます。
〇城内愛彦委員 イノシシも北上してきていますので、どこかで早く食いとめてほしいと思うんです。それもしっかりとした対策をしていかないと、なかなか後手に回る。イノシシも繁殖能力が大きいそうでありますので、その対応方お願いしたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 ハクビシンの被害状況でございますけれども、平成24年の被害額でございますが、1、723万円という状況になってございます。
〇城内愛彦委員 午前中のお話の中で、岩手県の主要産業である畜産業の牛が8万頭弱なそうですけれども、猟友会の方々に言わせると、それを上回るくらい鹿がいるんではないかという話をしています。ぜひ、今のうちに芽を絶たないと、大変なことになるというのが予測されます。毎回こういう話をしなくても済むようにお願いをしたいと思いますが、部長、いかがでしょうか。
〇小原農林水産部長 鹿、ハクビシン、さらにはイノシシなどの野生鳥獣による農作物被害、依然として被害額が大きいということはまさに委員御指摘のとおりで、拡大傾向にあるということも当部としても認識してございます。これにつきましては、農林水産部においてもこれは被害が拡大しているわけでございますので、環境生活部とも今まで以上に連携し、市町村、関係機関と連携しながらしっかりと対策をとってまいります。
〇岩渕誠委員 まず最初に、2項の畜産業費に関連してお伺いいたします。
 非常に繁殖、肥育の厳しい経営状況につきましては、午前中の質疑でも明らかになったところでございます。それを踏まえて質問してまいりたいと思います。
 ちょっと順番を変えて聞きます。まず初めに、いわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業についてお伺いをいたします。
 これは、大変現場からは期待をされた事業だったと思っております。平成25年度、これはもともとは県有種雄牛の優良選抜に向けてというのが主目的だったと思いますけれども、これを拝見しますと、ちょっと予算の執行率が低いかと思います。執行率とその低い理由についてお示しをいただきたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 ただいまお話がありましたいわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業の執行率の件でございますけれども、これは前年度からの事業でありますけれども、執行率は4割弱となっております。
 この原因ですけれども、ただいま委員からお話がありましたとおり、この事業は県有種雄牛の利用促進をいたしまして、地域内一貫生産を進めようという目的で創設されたものでありまして、大きく二つのメニューがあります。
 一つは、県有種雄牛産子の生産を進めるために、人工授精料の一部を補助するものでありまして、若い新規に選抜されました8種雄牛を指定いたしまして取り組んでまいりました。
 また、二つ目ですけれども、同じく県有種雄牛産子を肥育素牛として導入する場合に、その導入の一部補助をするものでありまして、繰り返しになりますけれども、この取り組みで、県有種雄牛の利用促進をさせようということでありました。新規に選抜された種雄牛ですけれども、若いということもあり、なかなかまだ利用実績がないという実態がございまして、8種雄牛の中で、徐々に肥育実績が明らかになりつつある種雄牛につきましては、計画どおりの状況にはなったのですが、それ以外の牛については、残念ながら、人工授精あとは肥育素牛の導入等もなかなか進まなかったということが原因となっております。
 これを踏まえまして、今年度もこの事業は継続しており、利用実績の少なかった地域等もございますけれども、こういった地域を対象といたしまして、生産者ですとか人工授精師が出席いたします講習会、研修会等を活用いたしまして、県有種雄牛のPRを含めながら利用実績を上げようとしておりますし、平成29年9月に宮城県で第11回全国和牛能力共進会が開催されますけれども、県下の育種組合と相談しながら、これに出品する種雄牛を選抜しておりまして、今年度は、これらの種雄牛につきまして人工授精料の一部ですとか肥育素牛導入の一部補助をすることとしてございます。
 現在、今年度の話にはなりますが、集計途中ではありますけれども、人工授精の一部補助につきましては、前年度計画どおりの実績であった種雄牛につきましてはそのとおり今進んでおりますし、それ以外につきましても、この11月から本格的に全国和牛能力共進会に向けまして人工授精が開始されますので、利用実績は上がるものと考えておりますし、肥育素牛の導入補助につきましても、これらの対象種雄牛の市場上場が増加してまいりましたので、これらにつきましても利用が拡大するものと見込んでおります。
〇岩渕誠委員 この事業は、事業目的としては大変意義のあるものだと私は理解をしておりますが、現場での事業に対しての認識というのは、肥育の経営環境が悪い中で売れるような種があれば、それに対して素牛の導入の補助がありますからやりたいと。ところが、現状ではなかなかいいものが、まあ、あるんですけれども、従前の実績にあるものに比べるとちょっとリスクがあるということであります。
 もう一つ言うと、この事業というのは、繁殖農家にもいい、それから肥育農家にもいいということなんですけれども、市場を回っていますと、繁殖農家は、一概にこういうことを言うんです。いや、今、うちは繁殖の取引価格が非常に高いからいいんだけれども、この価格が続くと、肥育農家は潰れるよねと。肥育農家が潰れると、いずれ我々の繁殖農家の取引価格が下がるし大変だよねと、こういう話をするわけであります。
 これは何が言いたいかというと、私が県議になったときは、実は繁殖の素牛が安過ぎてマル金を出せという話が政策課題だった。今は、繁殖農家も心配するぐらい、肥育の環境が物すごく悪いわけですね。そうすると、どっちにもいいような事業というのは必要なんだけれども、もう少し肥育の環境改善のために何か政策的に寄っていかないと、フォーカスしないと、これは単純に乗り切れないと私は認識を持っているんですが、部長、いかがですか。
〇小原農林水産部長 本県の畜産振興は、今まではどちらかというと繁殖肥育、これがいわば整理せずといいますか、トータルな面で見て対策を講じてきたという面がなきにしもあらずだったと思ってございます。
 畜産振興を図っておりますが、トータルとして、肉牛の飼養頭数が減少してきていると。規模拡大を言ってきたんですけれども、依然として規模も全国で最下位グループにあるといったような状況にございます。
 コストの面につきましては、これはその時々のさまざまな影響があるわけですけれども、先ほどの事業についても、ある意味、周知が足りなかった面もあろうかとは思いますが、その辺の実態をもう少し、行政のほうもしっかりときめ細かな対策、支援を講じてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 いずれ、皆さんの考える高邁な政策理念と現場の実態というのがちょっと急速に別れてきていると。そして、今、てこ入れをしなければならないというところがありますから、きょうは財政課総括課長も聞いていますけれども、それはしっかりそこにフォーカスをして財政措置をしないと、これは全体が崩れてしまう。繁殖と肥育、畜産というのは非常に微妙なバランスの上に立っていますから、そこでどこにフォーカスをするかということで効果が変わってくるということを申し上げたいと思います。
 肥育環境についてきょうはやりますけれども、具体にお聞きしますが、平成25年度、東京食肉市場における県産牛の取引価格については、どのような推移をしていますか。それと、他県と比べてどうなっていますか。
〇上田流通課総括課長 東京食肉市場におけます本県の牛の取引価格でございます。去勢牛1頭当たりの価格でお話し申し上げますと、平成25年度、平均で1頭当たり99万3、000円でございました。これは、平成23年度が76万4、000円、平成24年度が88万9、000円ということでございまして、平成25年度までのところは上昇基調ということでございます。
 さらに、全体との比較で申し上げますと、市場での全体の取引価格の比較でございますが、平成23年全体では75万7、000円、平成24年度が86万4、000円、平成25年度が95万6、000円ということで、いずれも本県の取引価格が全体の平均を上回る、そういった価格での取引となっているものでございます。
〇岩渕誠委員 今、肥育の生産現場では、とにかく景気が悪いですから、1頭当たりの目方をふやして、平均価格がとれなくても、グロスで何とか100万円を維持しようというような牛づくりになっていますし、それにあわせた牛のかけ合わせになっているんです。そういう中で99万円というのは、実は成果があったと思います。しかしながら、ここからが問題で、今年度に入って急速に下がっています。その中身と、なぜ下がっているのか、分析をしたものがあればお示しください。
〇上田流通課総括課長 委員から御指摘がございました平成26年度、本年度に入っての価格の推移についてまず御説明を申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、平成25年度平均で1頭当たり99万3、000円でございましたが、平成26年度4月では97万3、000円、平成26年度5月では94万9、000円、6月では95万1、000円、7月93万5、000円、8月に入りまして93万6、000円ということで、価格は低下基調にございます。
 これについての分析はどうかというお尋ねでございます。これについては、詳細は今の時点では分析が難しいのでございますが、考え得るのは、出荷者が変わって上物率が変わったためではないかと言われております。
 上物率平均で見てみますと、上物率と申しますのがいわゆる4等級、5等級という、非常に品質の高い牛のものでございますが、これが4月の段階では、このデータでいきますと上物率が低下しておりまして、そういったことが価格に反映したものではないかと推測はされるものでございます。
 詳細について、市場の状況等を全農を通じて聞いてみましたところ、9月に入りまして本県の単価は非常に上昇基調に入ったということを聞いておりますので、詳細部分で今の段階では難しいのですが、その推移については今後注視してまいらなければならないと考えておりました。
〇岩渕誠委員 実は今課長がおっしゃったことは、かなり深刻に受けとめなければならない課題だと思っております。
 牛肉の取引というのは、通常、夏前に焼肉需要がありますから伸びます。それから、12月前に暮れの需要がありますから伸びます。ところが、岩手県はことしに入って全く反対なんです。しかも、主要な産地の中ではこんなに下がっているのは岩手だけなんです。これは相当、肉質に関して高い評価を得てきた岩手の生産者にとっては、かなり現場ではショックが広がっているんです。これは今までのつくり方で果たしていいのかというような指摘も出ていますし、それは急速に消費者の嗜好が変わってきていますから、そういった部分もあろうかと思います。これは指摘にとどめますが、一番農家が心配をしているのは、こういったところもあるんじゃないかというのは、実はブランド対策であります。いわて牛というブランドがあります。これは何等級以上ですか。
〇上田流通課総括課長 現在、いわて牛に関しましては3等級以上でございます。
〇岩渕誠委員 つまり、上物より下のところまでブランド牛にしているわけです。一方、宮城県は仙台牛ということで、各地にあった銘柄を一つにしました。これはA5だけですね。そして、今、価格はどうなっていますか。
〇上田流通課総括課長 お話がございました仙台牛でございますが、A5のみを仙台牛として取り扱っているところでございます。(岩渕誠委員「同じくB5ね」と呼ぶ)B5もです。A5、B5でございます。失礼をいたしました。
 これに対しましての本県の場合の比較になりますのが、いわて牛の場合は3以上でございますが、5以上のところはA5、B5を五つ星と名前をつけまして、そういったブランド化なりを図ってまいったところでありますが、委員の御指摘の仙台牛との比較ということになりますと、この五つ星との比較になろうかと存じます。それによりますと、枝肉単価等についても、遜色のない価格で推移をしているものと承知をしております。
〇岩渕誠委員 それは違いますよ。宮城の、これは去勢牛ですけれども、皆さんからいただいた資料で言うと、一番焼肉需要が高い6月は105万円、岩手県は95万円、10万円の差がついているんです。これは現場で何を言っているかというと、仙台牛というのはA5だけしか認められていませんから、だからみんな一生懸命つくるんです。いわて牛というのは、A3からいわて牛なんです。確かに今お話がちょっと出たけれども、いわて牛は五つ星というのをA5ランクにしていますけれども、余りこの効果は実際出ていないんです。生産現場から言うと、やっぱり高いものを目指して、さっきの上物率の話になりますけれども、相当上のところで頑張るからみんな引き上げられるんじゃないかと。今やっぱり本当に再生をしなければならないときに、従前の売り方でいいのか、ブランドの再構築をしなければならないのではないかということを、かなりこれは現場のほうでは指摘がされているんですが、この指摘について県はどのように考えていますか。
〇上田流通課総括課長 ここのブランド化に関しましては、最終的には、商標登録ということでいわて牛の範囲というものは決めさせていただいておりますけれども、そこに関しましては、いわて牛普及推進協議会をつくっておりますけれども、そこでブランド化の対象をどこにするということをまず決めて、それでもって対策を講じているというところでございます。
 今現在、私どももその協議会に構成員として加わっておりますけれども、このブランドを今のままでいいのかといった議論があるかどうかについては詳細把握しておりませんけれども、ぜひ、すぐに変えたいというお話は今のところ伺っておらないものでございます。ただ、ただいま委員から御指摘がありましたとおり、いろんな意味で今肥育牛の売買価格が下がっておりまして、上昇の要素はあるというお話は申し上げましたが、いろんな意味で肥育農家が厳しい状況にあるというのは御指摘のとおりでございます。
 そういった内容について、私ども申し上げましたとおり、この協議会で最終的に決定いたしますので、そこの場でもって、こういった意見もあったと、委員からの御指摘等もあったということは伝えて、そこでいろいろと皆さんの御意見を伺いたいと存じます。
〇岩渕誠委員 それは私の意見だけじゃなくて、相当真剣にブランド対策を考えないと、出口部分が頭打ちになっているわけです。隣の県と10万円も違うというのはえらい話なんです。そこはもう一回真剣に、どういう販売戦略を組むのか。必ずしもいいものだけが売れるという話ではないです。ないんだけれども、今上物率が下がっているということと、関連をして値段の推移が出ているとすれば、それはよっぽど深刻に考えないと、これは生産現場に直結する話ですから、これはぜひしっかりしていただきたいと思います。
 注文をつけるとすれば、ブランドというのは各農協ごとにブランドが乱立をしております。果たしてこの状況もいいのかどうかということについては、若手の畜産経営者は大変危惧をしているということはお伝えしたいと思います。
 次に移ります。米価対策であります。まとめて聞きます。
 これは畜産のところとも関連するんですが、主食用米以外のところに政府は力点を置いて米対策をやろうとしておりますが、平成25年産の飼料用米、ホールクロップサイレージの取り組み状況、それからあわせて、それに関連する施設整備がどのような状況になっているか。
 あわせて、私は米価対策というのは米の対策、先ほどからいろいろ出ていますけれども、それだけでは絶対に上がらないと。最終的には、畜産振興とセットでやらないと、米農家の安定対策にはならないというのが現状でありますが、その辺の米と畜産の連携による経済効果の認識について、これ三つあわせてお伺いします。
〇星野水田農業課長 飼料用米の取り組みでございますけれども、平成25年産につきましては、面積で1、600ヘクタールになってございます。平成26年産につきましては、畜産経営体と飼料メーカーとのマッチングを進めたところ400ヘクタールほどふえまして、2、000ヘクタールになってございます。ホールクロップサイレージにつきましては、地域の肉牛農家を中心として供給契約がなされておりまして、平成26年度では980ヘクタールまでふえております。
 機械とか施設の整備でございますけれども、今のところ間に合っているというか、生産量もこのとおりですので、今後さらなる拡大が必要になってくると考えてございますので、主食用米への混入防止対策とか、あとは数量増加に対応した乾燥、調製、保管施設の確保といったことが課題になってきます。
 専用施設の整備、ホールクロップサイレージですと専用施設とか専用機械とかそういったものの整備とか、あと農協が持っていますカントリーエレベーターとかライスセンターの既存施設の有効活用を支援していきたいと考えております。
〇工藤農政担当技監 米と畜産の連携という視点での御質問でございました。本県は、かねてから米、園芸、畜産、これを三本柱にして農業の振興を進めてきておるところでございます。その中で、耕種農家においては稲わらを活用し、そして堆肥を畜産農家から供給していただくと。そして畜産農家は稲わらを耕種農家から供給していただくという、耕種と畜産の連携というのは昔からやられてきております。
 一方で、国においては、今回の水田農業、あるいはこれまでの生産調整の取り組みにおいては耕畜連携を進めるということでの、そこに対する加算制度を設けるということをやられてきておりまして、本県においては、これをうまく活用しながら、水田農家と畜産農家が連携して牧草を供給する、あるいはそこの中での堆肥の交換をするということをかねてからやられてきております。今回の制度におきましても、飼料用米あるいはホールクロップサイレージにつきましては、畜産農家のニーズを把握しまして、そのマッチングをし、そして、言うなれば、そこの中で畜産農家と米農家が両方ともメリットを享受するという取り組みを推進してきておるところでございます。
 今後におきましても、こういう取り組みをしながら、水田農業をやっている方は交付金による所得を確保すると、畜産農家も、飼料用米とかホールクロップサイレージの粗飼料あるいは農耕飼料の部分を確保すると、そういう双方がメリットを享受するような形での推進をしてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬副委員長 答弁は簡潔にお願いします。
〇岩渕誠委員 残るのは、米対策の中で岩手県の場合は良食味米、主食用米をどうするかということだと思います。今、10年前と大きく変わったのは、昔は、良食味米の産地から米が売れて、中食米、外食米というのを何とかお願いするということだったんですが、ここ最近は反対です。まるっきり反対。主食用米、良食味米が最後まで残る。これをどうさばくんだというのが大きな課題なわけです。お荷物になっているとまでは言いませんけれども、そういうような状況が現実なわけです。ここを伸ばしていかないと価格の形成にもつながらない。
 そこでお聞きします。岩手県の場合は、特に系統が大手卸との取引で相当さばいておると思います。その取引の状況についてお示しをいただきたいと思います。
 それから、この県南産の良食味米については、かなり独自のブランド、岩手県南ひとめぼれというのを皆さんPRするんだけれども、現状では、本当にものが市場の最後まで行って、そのままブランドとして売られているかどうか。なんか、どっかと混ぜられてブレンド米の中に入っているというのが多いんですけれども、その実態についてはどのように分析しているかお示しください。
〇上田流通課総括課長 まず、大手卸の関係でございますが、全農岩手県本部からお聞きしたところですけれども、その取扱量のうち、大手卸上位6社でもって全体の8割を占めると、こういう状況でございます。
 それから、良食味米の状況でございます。ひとめぼれでまいりますと、そちらのほうでの扱いの割合が、量販店あるいはスーパーが6割、さらに外食、中食事業者というのが3割、その他米穀店などが1割となっているものでございます。
 さらには、他県産米等とブレンドされているのではないかというお話、御指摘がございましたが、そこについては残念ですが、承知をしておらないものでございます。
〇高橋但馬副委員長 世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇岩渕誠委員 それではまとめて聞きます。
 今の最後、わからないというところがありましたけれども、実際、買い付けに来た業者はそう言っているんです。それは地元が言っているんですよ。
 何を言いたいかというと、県南産ひとめぼれというのが最後の消費者に対しての訴求効果は非常に落ちているということなんです。むしろ、例えばプレミアムブランド米だとかメダカ米だとか、いろんな個別のちっちゃなブランド米がありますね。こういうのこそ実は取引量が広がっている。これは県からそこにも支援をいただいているんだけれども、私は大手卸も大変大事だと思います。そういう個別のところをきちんとやらないと、プライベートブランドみたいなところをきちんと県が応援しないと、これは評価につながらないと思っています。そこについてどうなのかということをお聞きしたいと思います。
 いろいろ質問したいんですが、最後に一つだけ。政府は、米の所得をふやすために生産費4割削減という目標を立てています。ところが、本当に4割ってできるんですかということなんです。今までも県では生産費の削減ということをやってきたと思いますけれども、その実績と、本当にやったって私は1割、2割が精いっぱいだと思います。特に中山間地においてこれは大変な話ですから、本当に4割できるのかどうか、県としての見解をお聞きして終わります。
〇上田流通課総括課長 まず、個別ブランド米についてのお尋ねでございました。この取り組みは県内各地で行われておりますが、付加価値を高めまして、例えば安定的な所得を確保するといった観点からも非常に大切な、重要な取り組みだと認識しております。
 県といたしましては、例えば商談会の開催、バイヤー招聘等をやることがございますけれども、そういった際には、お取り組みの生産者の方々にそこに御参加をいただきながら、そういった取り組みを支援してまいったところでございます。
〇工藤農政担当技監 米の生産費の関係でございますが、本県では、平成20年から生産費を2割削減するという目標を掲げながら、地域の行動計画あるいはモデル経営体を設定しながら取り組みを進めてまいりました。そういう経過の中におきまして、モデル経営体におきましては、2割の目標を達成した事例もございます。ただ、県全体として見れば、まだそれはなかなか達成が困難な状況でございまして、国におきますと、農業の競争力を強化するという視点から、今回4割削減ということを設定しておるわけですが、その中には、資材、流通面、そういう民間の方々の協力も得ながらやっていかなければならないと言っておりますので、現場から見ますと、こういう資材費の高どまりの中におきましては、民間のそういう資材を扱う業者、流通の関係業者、そういう方々の協力も得ながら、あるいは国の新しい技術開発を得ながら進めていかなければ、なかなか4割の達成は厳しいと考えておるところでございます。
〇高橋但馬副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後3時0分 休 憩
午後3時32分 再開
〇岩崎友一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、審査を予定している部局について、延べ15人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇神崎浩之委員 私は、飼料用米について、それから6次産業化について、2点質問いたします。
 米の概算金の下落に伴いまして、今後、飼料用米がふえていくのではないかということを頭に浮かべながら、稲作農家への支援でありますが、平成25年度の飼料用米作付面積という通告を出しておりましたけれども、先ほど、平成25年度については1、600ヘクタール、それから平成26年度については2、000ヘクタールという答弁がありました。そこで、平成27年度の作付面積でありますが、国の需給関係との関係で、今後どういうふうな流れで、そして、個人の農家についてはいつごろ相談があって決まっていくのかから質問したいと思います。
〇星野水田農業課長 平成27年産の生産数量目標の配分でございますけれども、国では、米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針を策定しておりまして、この方針に基づきまして配分されることになります。
 国から県に来るのが例年11月末になります。その後、市町村には12月中に配分することになります。そこから先は、市町村で、1月になるところもあるでしょうけれども、そういう流れで生産者のほうに面積が通知されることになっています。
〇神崎浩之委員 テレビ報道で見たんですが、北上の農家の方がことしは飼料用米に転換していてよかったという報道を見ました。そこで、主食用米との比較で、価格のメリット、収益性についてはどういうふうになっていたのかお伺いいたします。
〇星野水田農業課長 飼料用米の10アール当たりの収入額で説明いたしますけれども、国が9月15日に予想収量を発表しましたので、収量はその収量の559キログラムを使います。販売金額と、飼料用米ですと各種交付金が出ますので、それらを一切合財合わせた場合でお話ししますと、多収性専用品種を使用した場合は収入が約12万6、000円になります。主食用品種を使った場合には約11万4、000円になります。一方、主食用米自体ですと、販売額が今回の概算金と同じ場合は、10アール当たりの収入額は約8万6、000円という状況になってございます。
〇神崎浩之委員 そこで、米価下落に伴いまして、先ほどの答弁にもあったんですが、飼料用米への転換ということが予想されるわけであります。そこで、転換の課題といたしましてるる質問していきますが、まず、その割り当て面積の関係で、希望どおり作付できるのだろうかということがまず1点。
 それから、単収を上げるという関係で、岩手の専用品種というのはつぶみのり、つぶゆたかとかありますが、これは優秀なものなのか。できれば他県との比較で我が岩手の専用品種はどういう状況なのかということをお伺いしたいと思います。
〇星野水田農業課長 飼料用米の場合、作付に要件がございまして、種をまく前に畜産農家などの供給先と供給契約を結ばないといけないという仕組みになってございます。ですから、農家が個々で契約、あとは農家と農協が契約するとか、そういったことで供給先を確保した上で作付を行うことになっているということです。
 多収性専用品種の状況でございますが、本県にはオリジナル品種のつぶみのりとつぶゆたかがございまして、2、000ヘクタールのうちの6割が県の専用品種になってございます。東北各県では、それぞれ宮城県、秋田県、山形県、福島県にもオリジナル品種がございます。こちらのほう、ちょっと面積なり収量なりの詳しいことは把握してございませんが、国が開発しております、本県が適地と言われていますべこごのみとかふくひびきという品種があるんですが、こちらと収量性を比較すると、県オリジナル品種と同等と思ってございます。
 飼料用米の作付が希望どおりできるかというのは、配分があればそのとおりできますし、配分以上にも、転作の扱いになりますので、可能でございます。
〇神崎浩之委員 国の品種よりは優秀というふうに受け取りをいたしました。
 さて、その飼料用米の具体的な流通のプロセスですけれども、農協であったり、それから個人との契約であったり企業ということもあるんですが、その流通というのは、県内では契約がどういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。
〇星野水田農業課長 流通でございますけれども、飼料用米は、つくった農家から畜産農家または飼料会社と二つの方向に流れるわけですけれども、大きく分けまして四つのルートがございます。直接、稲作農家から畜産農家に行く場合が一つですし、あと、畜産農家には農協を経由していく方法もございますし、農協を経由して、畜産農家ではなく飼料会社に行くルートもございますし、農協ではちょっと扱えなくて、全農にお願いして飼料会社に行く、大体この四つの流れになってございます。
〇神崎浩之委員 農協経由ということもありました。それから、購入先ですが、飼料用米のニーズというのはどうなっているのかということであります。先ほど、2、000ヘクタール、今やっているということですけれども、それについて、今後、どのぐらいのキャパシティーがあるのかということ。それから、農業新聞で、全農が30万トンから60万トンに積極的にふやしていくというふうな記事があるわけですが、全農が60万トン、倍にふやしたいということでありますが、そうしますと、本県にはどのぐらいの配分があると想像されるでしょうか。
〇星野水田農業課長 平成26年産飼料用米についての需要量調査をした際、県内での需要量は2万6、000トンになってございました。これを単純に単収500キログラムで割りますと、大体5、000ヘクタール以上になります。
 あと、全農で取り組むと聞いているんですけれども、ちらっと聞いている分については、大体岩手県本部では3万トンから3万5、000トンくらいになるのではないかというふうに聞いております。
〇神崎浩之委員 そうすれば、ニーズに対しては十分応えられる数字かなと今、感じました。現在でも倍以上がまだ大丈夫だと。さらに、全農の関係で、合わせれば5万6、000トンから6万トンぐらいまで、随分余裕があるのかなというふうに安心したところであります。
 そこで、実際にこれから、今回の米価を受けて農家の方から飼料用米について相談があると思いますが、個人の農家とユーザーとのマッチングというのは大丈夫なのかと。現在、例えば飼料用米に変えたいという場合、どこに相談をしていけばいいのかというところをお伺いしたいと思います。
 それから、米価の下落を受けて、飼料用米への転換が多いのではないかと。アンケートのお話もあったわけですが、平成27年度については、農家の感触、それからユーザーの感触、それから飼料用米拡大の課題についてあわせてお伺いしたいと思います。
〇星野水田農業課長 飼料用米の作付につきましては、需要調査をやりまして、その結果、この地区でこの人がこのくらい欲しいという情報は地域に還元してございまして、地域のほうでマッチングということでお願いしております。それがなくて飼料用米をやりたいという方につきましては、まず農協に相談されるのがいいと思います。自分で見つけられれば別ですけれども。
 農家の感触ですけれども、ことしがこういう米価でございますので、8月から9月に農協を歩いていろいろ話を聞いてきたんですけれども、やっぱりこういう状況なので、来年、飼料用米がふえるんじゃないかというお答えの農協が多くございました。
 その課題となると、一気にどんとふえる可能性もございますので、そうすると保管場所の確保が問題になると見ております。今のところ農協の倉庫に保管されていますけれども、今後は、数量の増加に対応した施設の確保が問題になるのではないかということと、そのためには、農協が持っている乾燥調製施設の利用調整をうまくするように取り組んでいかなければいけないと考えております。
〇神崎浩之委員 最後に、部長に、米価の関係と、それから飼料用米、それに対する農家への支援について所感をお伺いしたいと思います。
〇小原農林水産部長 今回の米価下落に伴いまして、いずれ、国の制度をやはり最大限に活用することが必要ではないかと考えております。したがいまして、今後の米の需給動向、さらには飼料用米の需要調査に基づきまして、これまで以上に飼料用米への転換を進めることとしてございます。そのため、先ほど課題として挙げられていました施設の確保とか、あとはコンタミと言われておりますが、主食用米への混入防止、さらに、収量払いに対応した単収の向上、これらについて、その種子の確保とあわせてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 飼料用米への転換もいいわけですが、それが進んで、逆に主食用米をつくる人がいなくなって主食用米の単価が上がるということも将来あるのかどうかというのもあるんですけれども、いずれ、飼料用米でも、やっぱり純情米を売らなければならないし、ちょっと痛しかゆしのところもあるのかなというような思いもしております。
 次の質問でありますが、6次産業化の推進でありますが、午前中も若干触れられておりました。その中で、平成25年度の成果については148億円ということでありましたが、県の6次産業化の支援の取り組みについてと、それから、あわせて出ておりましたいわて6次産業支援センターについて、人的な体制と、それから場所についてお伺いしたいと思います。ダブらない範囲でお答えいただきたいと思います。
〇上田流通課総括課長 まず、6次産業化に関します県の取り組みでございますが、先ほど御質問の中にもございましたいわて6次産業支援センターを通じましての経営サポート、それから、食のプロフェッショナルチームアドバイザー、これは専門家を委嘱しておりますけれども、そのアドバイス、その他生産者等の6次産業の取り組みを支援する事業をさまざま展開してきたところでございます。
 それから、二つ目の御質問でございますが、いわて6次産業支援センターの体制、それから場所でございますが、場所につきましては、盛岡市肴町にございます。県中小企業団体中央会と合同で設置したものでございますが、その中央会と同じ場所にございます。人員体制でございますが、専任職員2名、それから兼任職員でございますが、いずれ常勤職員が3名、それから、先ほど申し上げました食のアドバイザー7名が配置されているところでございます。
〇神崎浩之委員 そこで、成果ですけれども、今までの成果でいいんですが、6次産業化の取り組みでうまくいっている例を具体的にお伺いしたいんです。例えば県南とか県北とか沿岸とか、特色があるのかどうか、具体例並びに全国での取り組み等があれば御紹介いただきたいと思います。
〇上田流通課総括課長 6次産業化でのそれぞれの取り組みでございます。
 地域ごとにというような御趣旨かと存じますが、それぞれ特徴がございます。地域での代表的な産品なり特色ある産品を活用しながらのさまざまな取り組みがございます。
 例えば県北地域でございますと、雑穀を用いましたシリアルの開発、販売とか、あるいは県南地域でございますと、加熱用トマトを使いましたピューレを開発いたしまして、ホテルあるいは料飲店に販売する。あるいは沿岸地域でございますと、タコやツブガイ、そういったものの加工品の開発をいたしまして、首都圏のレストランチェーンへ販売している、こういった取り組みが行われているところでございます。
 それから、全国での取り組みでございますが、幾つか挙げさせていただきますと、例えば農産物加工でございますと、高知県のある団体で特産のユズを使いましての加工生産、販売。あるいは、企業との直接の取引ということでございますと、群馬県で特産でございますコンニャクを使っての、非常に幅広い、そしてパイプの太い取引をやっている、そういったような事例がございます。
〇神崎浩之委員 6次産業化というのは、いろいろなところでいろいろな人が言って、いろいろなところでやらなければならないという意識があるんですけれども、声は進んでいるんですが、なかなか具体的に成果が出しづらいというような感じを持っております。
 さまざまな部署でさまざまな場面で、6次産業化については、実際、皆さんのほうで農家の方に支援しているようであります。例えば資金の貸し付けの折にも6次産業化のアドバイスをする場面がありますし、それから、基盤整備の計画策定の中でも6次産業化を進めていきましょうと、いろいろな場面で皆さんの部でも6次産業化を進めていると。いろいろな相談窓口とかいろいろな場所で言われるので、逆に支援が薄くなっているのではないかという気持ちを持っております。そこで、力強く縦走的に横断的にやっていただきたいと思いますし、県本庁、それから広域振興局があります。広域振興局からまた各農林関係のセンターがあるわけですけれども、どうもその場その場で言うことで、全体として力強く応援する場がないということを思っております。
 そこで、いわて6次産業支援センターが盛岡市にあるわけですが、まだまだ位置づけが弱いと思っておりますので、できればこういうセンターが各広域振興局単位でのアンテナ窓口を整備していくことによって加速がついていくのではないかと思いますけれども、その辺について、今後の対応についてもお伺いしたいと思います。
〇岩崎友一委員長 質疑は簡潔にお願いします。
〇上田流通課総括課長 さまざまな主体でのさまざまな取り組み、そういったものを集約しての分厚い手厚い支援が必要ではないかという御趣旨かと存じます。
 そういった問題意識はかなり前からあったようでございます。関係の団体、生産団体あるいは金融機関、それから商工団体、それから国、県の研究機関等で、本年2月でございますが、いわて6次産業化推進会議を新たに立ち上げたところでございます。この会議の場を通じまして、その他構成する機関によります情報共有あるいは6次産業化を進める上での方策の共有化等も行いまして、生産者のニーズにきめ細かく、それから的確に対応していく、こういったところの基盤整備を進めたところでございます。
 今後とも、こういった場面を活用しつつ、6次産業化の取り組みを支援してまいりたいと存じます。
〇久保孝喜委員 私は、中山間地域の課題についてお尋ねしたいと思います。
 きょうの議論でも、さまざまな大変厳しい農業全般にわたる情勢の中で、特にも、岩手の農業がこれから立ち行くのかという危機感のもとで質疑が交わされていると思います。そういう中にあって、先ほど部長の答弁にあったように、本県は中山間地8割を抱えるという、常套句みたいになってしまっていますが、この中山間という考え方がこれから先の県政運営にとっても非常に大きなウエートを占めるものだという認識の中で質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、今さらの話ですが、この中山間という言葉が、例えば、ほかには似たような言葉で条件不利地域とか、あるいは農山村という言い方もありますし山村地域という言い方もある。さまざま似たような言葉があるんですが、これらの言葉の定義や、あるいは県の使い方といいますか、表現の仕方としては今現在どういうふうに考えられているのかということをお尋ねしたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 まず、中山間地域からでございます。
 これは、食料・農業・農村基本法で、山間地など地勢等地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域とされてございます。山村、これは山村振興法で定められてございまして、特に林野面積の占める比率が高いところでございます。農山村でございますが、これは農村と山村を指しますけれども、農村についてはいろいろな捉え方がございまして、国の食料・農業・農村基本問題調査会におきましては、農林業による土地利用が大きな割合を占めて、人口密度が低く、豊かな自然環境等を有している地域という形になってございます。さらに、条件不利地域は、山村振興法など、いわゆる地域振興立法5法というのがございますが、これらで指定されている地域ということで、地勢等の地理的条件が悪いような地域のことを言ってございます。
 この使い分けでございますけれども、それぞれの法律に基づくところの事務でありますとか、おしなべて当部においては中山間地域という表現で、33市町村のうちの26市町村でこれらをこのように使わせていただいてございます。
〇久保孝喜委員 つまり、ここの使い分けの問題も含めて、岩手の農業をどういう言葉で表現していくのかというときに、極めて重要なポイントだと私は思っていましたものですからお聞きしたわけです。
 中山間地域ですが、県内において、今、市町村の数はお答えいただきましたが、面積や人口、農家の数や比率、これらについて、その推移も含めてまとめてお尋ねしますが、どのようになっているのか、概略で結構ですのでお答えいただきたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 直近の全てのデータがそろいますのが平成22年でございますので、まず、農林業センサスの調査結果ですが、中山間地の耕地面積でございます。平成22年、約12万3、000ヘクタールで、県内耕地面積の約8割を占めてございます。農家数は約6万2、000戸でございまして、約8割を占めてございます。人口は、国勢調査によるもの、同じく平成22年でございますが、約77万8、000人で約6割を占めてございます。
 動態につきましては、これは平成12年、平成22年対比、10年の対比でございますけれども、耕地面積が94.2%、農家戸数は83.9%、人口は91.8%となってございます。
〇久保孝喜委員 面積も農家数も8割と。こういうことで、冒頭の部長の8割の中山間地域という言葉になるんだと思います。
 そこで、そこから考えていくと、まさに岩手の農業というのが中山間地域の盛衰といいますか動向に大きく影響を与えますし、与えられる、こういう関係になっていると思います。今のさまざまな統計数値の中で、もし手元にあるのであれば、例えばこの中山間地域の中における販売農家の数と、それから非販売農家という観点で見た場合はどんな状況になっているのかということを教えていただきたい。さらには、もしわかるのであれば、離農の状況というのが数字としてあれば、あるいは、なければその状況をどのように捉えているかということもあわせてお尋ねしたいと思います。
〇高橋農業振興課総括課長 手元には、大変申しわけございません、販売農家なり離農という数字、データはございません。
〇久保孝喜委員 事前に言っておけばよかったんですが、うっかりして。
 この問題は、比較的、きょうの議論もそうですが、午前中の議論では、例えば畜産農家の問題で、農業政策あるいは県が具体的に行う施策が経営の観点でどうしても柱になっていくと。つまり農家経営をどうやって維持していくのかということに着目すれば、当然のことながら、現在の農政の基本的方向である例えば集約化の問題だったり、あるいは効率化の問題に走っていくことによって、結果的に、岩手の農業の歴史を考えたときのいわゆる家族農業という小規模農家、ここがだんだん政策的にはスポイルされていくということを生んではいないかという懸念、これが一番、中山間なんかでは特に大きな課題としてあると思いますが、その点についての認識はいかがでしょうか。
〇高橋農業振興課総括課長 家族経営をどのように捉えているかという質問だと思いますけれども、今、まさに農業産出額が減少してきているというのは、家族経営によってきた生産構造というものが、だんだん年齢が高齢化してきて、そしてそれが立ち行かなくなっている一つの現象のあらわれと捉えてございます。これを打破していくために、数年前に取り組んでございますのが中山間地も含めてやってございます地域農業マスタープランづくり、これを県下全域で進めてきたところでございます。
〇久保孝喜委員 ことしは家族農業年という国連の指定した年だそうですけれども、家族農業がもう一回見直されて、大規模化あるいは生産効率化一辺倒の農業から脱却しなければいけないというのが世界的なトレンドになりつつあるとも言われております。したがって、農政全体の中でそこにどれだけ焦点が当たっているのかなと、そこが私はこれから考える上で非常にポイントになってくるのかなと思います。
 中山間について言えば、最近、特に田園回帰という動きがすごく、はやりと言えばなんですけれども、一つの大きな流れになりつつあると言われております。特に3.11以降の動きの中では、田園回帰だとか定年帰農だとか、もう一度ふるさとへ帰ろうだとか、農に親しむ、そういう流れができつつあると思うんですが、そういう中で、岩手に移住してくる方々もそれなりに大変多くなっているという話をお聞きしますが、新規に就農しながら移住してくる方々の実態について、特に中山間における動向について、この間の経緯、推移も含めて、取り組みの実態もあわせてお尋ねしたいと思います。
〇前田農業普及技術課総括課長 新規就農者について、その中で、特にも県外から岩手に来て農業をして定着する、いわゆるIターンという方々についてでございます。
 これまで、いろいろ県外から人を呼び込むことも大事だということで、新規就農者の確保においては、首都圏での新農業人フェアとか相談会を開催しながら、あるいはふるさと回帰フェア等の場で就農情報を提供しながら、そういった方々を呼び込むという取り組みをしてきたところでございます。
 その結果、県外からIターンという形で就農された方については、その年によって数は変動があるんですけれども、おおむねで言えば、毎年、全県で10人ぐらいという状況は把握してございます。ただ、これを中山間地域に限定して何人というデータについては、現在持ち合わせてございません。申しわけございません。
〇久保孝喜委員 移住者の数というのは、一部新聞報道でも全国比較の表が出たりして数字が出ています。もちろんこれは農業のみならず全体の移住者ですから並べて比べることにはならないわけですが、私の生まれ在所にもIターンをして新たに農業を始めた方がいらっしゃるんですが、結果、どういうことがその集落で起きたかというと、販売農家として大規模にやることをそもそも目指していない。まさに自給自足的な、そして家族農業的な姿が、そのIターンの方々が集落の中で際立って光って見えるという現象が起きているわけです。結果、どういうことが起きたか。集落の中で、かつてあった郷土食をもう一回復活させようとか、あるいは、かつてあった農作業、結いの精神でみんなでやる共同作業が復活したりとか、そういうふうないい効果が非常に生まれているということが言われております。
 したがって、中山間、特にもIターンの方々のそうした発信力みたいなものをうまく活用して、そしてなおかつ岩手の特徴みたいなものをきちんと打ち出していけば、私は決して未来がないわけではないと思うんです。その意味では、市町村とどれだけタイアップしていくかということが実に重要なポイントだと思うんですが、そういうタイアップ事業についてはいかがでしょうか。
〇前田農業普及技術課総括課長 新規就農者の確保という部分でございますけれども、先ほど申しました首都圏での就農相談会等のほかに、いろいろ各市町村では、そういった方々を迎え入れるための家屋を紹介したり農地をあっせんしたり独自の支援を用意しているところもございますので、そういったところを県として新規就農に関するポータルサイトなどで全国に発信しているということがございます。
 また、そのほかに、さらに市町村が新規就農者のため、技術を身につけるための研修施設を設置しているところがございます。そういったところでの技術習得なり経営能力の向上といったところ、あるいは就農後の経営発展に向けた経営計画の策定支援とか、そういった形で農業改良普及センターが中心になって支援しているところがございます。
〇久保孝喜委員 この問題はもっと本格的に取り組む必要があると私は思っているんですけれども、先ほど紹介した報道による移住者の数でいえば、岩手は、2013年度170人ということになっています。一番多い県が鳥取県で3、270人。鳥取県と岩手県は比較的似たような環境にあると思うんですが、これだけの差がある。実は移住者全体で、農業というふうには特化していませんけれども、そういう違いもあるということを含めて、やるべきことはまだまだあるだろうと思うところです。
 そこで、中山間のそうした厳しい現状、しかし、光るそういう素材もあるという中で、岩手の人口問題というのがことしの議会の大きなテーマでもあったわけです。そう考えると、中山間に対する対応、特にも1次産業を所管する農林水産部が人口問題にどういうコミットをしていくかということは非常に大きな要素に私はなると思いますし、責任もあると思うんですが、先般、報告された中間報告に農林水産部としてはどういうことが反映されたと考えていらっしゃるんでしょうか、お示しください。
〇藤代農林水産企画室企画課長 今回の人口問題の中間報告でございますけれども、これにつきましては、人口の自然減への対応のほか、若年層の社会減への対応として、就職期の若者の流出防止とU・Iターンを中心とした産業振興施策、本県の魅力発信と移住支援を中心とした定住促進対策に分けて方向性が取りまとめられたものでございます。
 この中間報告におきまして、農林水産分野の具体の施策でございますけれども、これについては、今後、引き続き検討、議論していくというような取り扱いにされているところでございます。現段階におきましては、農林水産部においては主に定住促進分野の検討のほうに参加しておりまして、若者の定住、就業関連施策として、先ほど農業普及技術課総括課長からも申し上げました、例えば、県外での就農相談あるいは青年就農給付金の取り組みなどによるU・Iターン者への支援、こういった施策について紹介し、これらが今回の報告書の方向性の中に一部盛り込まれたところでございます。
〇久保孝喜委員 最後になりますけれども、この人口減少と農林水産部のさまざまな農業施策というのは、極めて強い影響力を持っているものだという認識がございます。先ほども一部質疑があったところですが、これまで、中山間地域の中の課題だけとってみても、先ほどの販売農家と非販売農家、それから、土地集約型の大きな規模で行う農業と小さな家族農業の維持という問題、全て全部兼ね合うわけですけれども、全く別物ではないにしても、中山間に焦点を当てた具体的な施策とか、あるいは非販売農家に焦点を当てた施策とか、そういうものがもっと前に打ち出されていいのではないか。それがIターンとか移住の問題にも非常に大きなインパクトを与えるのではないかという気がするわけです。農業が多面的機能を持っていると言われますが、その多面的機能の原点は、非販売農家も含めた農家の存在ということが当然のことながらあるわけで、そうすると、農業政策全体もそういうところにきちんと焦点を当てた分とのめり張りをきちんとつけて行わなければならないと思います。
 したがって、冒頭、部長から8割が中山間地域の本県にあってという、その言葉を名実ともに農政の中に生かしていくのだとすれば、中山間地域へ焦点を当てた施策展開というのが本来は岩手県の農業の大きな柱にならなければいけない、こういうことになるわけで、当然付随して発信力も持たなければならない、こういうことになると思います。
 そういう意味で、部長は、持続的発展とおっしゃいましたし、岩手の農業のありようというものについて、人口問題も含めてこれからどのようにしていこうとされているのか、最後にお尋ねしたいと思います。
〇小原農林水産部長 委員が御指摘のとおり、本県においては多くの農家が中山間地域で生産活動に携わっているという実態がございます。また、小規模農家も中山間地域において多いと。また、農業がそこの中山間地域を支えているといった実態がございます。したがいまして、小規模農家も参画した地域農業あるいはそのコミュニティの維持発展によりまして農業、農村の発展を進めていくということがいずれ重要であると捉えております。
 特にも中山間地域においては、後継者不足あるいは人口減少といったような問題も派生してきてございますので、中山間地域における農林業の振興というのはいずれ大きな課題であり、テーマであると捉えております。
 方向性としては、地域農業マスタープランでもって、今現在、新規就農者の確保、育成なり地域づくりについても定めておりますので、それらを基本に据えながらしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、米価暴落の影響と対策についてお聞きします。
 県の経営体聞き取り調査結果については、先ほど佐々木順一委員が取り上げました。買掛金、未払い金の支払いができないというのが57%、資材費、人件費の手当てができないというのが46%と、大変深刻な状況だと思います。それで、15ヘクタール規模の大規模農家、30ヘクタール規模の集落営農組織の具体的な減収はどう推計されるでしょうか。
〇星野水田農業課長 15ヘクタール規模の大規模農家につきましては、概算金で約390万円の減収、ナラシ対策で310万円ほど補填されると見込まれます。そうしますと、平成25年産米の収入額が1、570万円と計算されますので、約80万円減収するというふうな試算になります。これに、米の直接支払交付金が減ってございますので、これが約110万円減収になります。合わせて190万円の減収になると見ております。
 30ヘクタール規模になりますと、概算金の減収額が780万円です。ナラシ対策の補填額が620万円、直接支払交付金の減収額が約230万円になりますので、減収額は合わせて390万円になります。そもそも30ヘクタールになりますと収入額が3、500万円くらいになりますので、それから390万円減収になるという計算になります。
〇斉藤信委員 文字どおり、担い手農家、そして県が推進してきた集落営農組織が大打撃を受けるというのが今回の米の暴落だと思います。
 それで、県は、5ヘクタール以上は再生産価格を上回ると言っているんだけれども、私はその具体的な根拠がよくわからない。これは、国政のレベルで60キロ1万6、000円という生産費が出ているわけですよ。あなた方は1万3、000円ぐらいで試算しているんじゃないんですか。何でこういうずれが出るのか、そこを示してください。
〇星野水田農業課長 実際に生産費の場合には3種類ございまして、副産物価格を引いた生産費と、支払い利子とか支払い地代を加えたものと、あと、全算入の3種類ございます。県のほうで今、試算で使いましたのは、副産物価格を引いた生産費、言ってみれば一番低いところになるんですけれども、これが実際の現場で、言ってみればどのくらいお金がかかったかというのがわかりやすいという判断で副産物価格のほうの生産費を使っています。
〇斉藤信委員 私は国会の議事録を見たけれども、1万6、000円の生産費で議論されていますよ。1万6、000円の生産費だと、概算金がまず半分ですよ。私、とてもじゃないけれども……。じゃ、全算入の生産費でやったら、どこまでが生産費を上回るんですか。一番低いところで比較したってだめなんじゃないですか。私は農家の実感にも合わないと思いますよ。そもそも固定資産税だって払っているんだし、家族労賃だって、これも算入されていないんでしょう、そもそも。
〇星野水田農業課長 この生産費には家族労賃は入っております。
 全算入でやった場合の……(斉藤信委員「じいさん、ばあさんの労賃まで入っているの」と呼ぶ)
 労働費、入っています。(斉藤信委員「奥さん、ばあさんのも」と呼ぶ)国の平均の中には入っていますので。
〇岩崎友一委員長 答弁、先にどうぞ。
〔斉藤信委員「入っているの」と呼ぶ〕
〇星野水田農業課長(続) はい、入っています。
 実際に全算入の場合の規模になりますけれども、これはやっぱり10ヘクタールくらいの計算になります。
〇斉藤信委員 全算入1万6、000円という生産費で比較すれば、10ヘクタール以上でないと再生産費を上回らないということでしょう、収入が。私は、やっぱりきちんとこれは示す必要があると思いますよ。農家の実感だって、5ヘクタール以上は再生産費を上回るなんて言って、ああ、そうですかと思う人はいませんよ、今回の米価暴落は。
 それで、今、全算入だと10ヘクタール以上だという話がありましたから、そうでしょう。
 それで、ナラシ対策でかなり補填はされるんだけれども、このナラシ対策は、加入申請2、070件ですよ。そして、ナラシ円滑化対策が3万4、778件。ナラシ対策で加入面積は確かに39%を占めるんだけれども、ナラシ対策の件数で見たら何%になりますか。
〇星野水田農業課長 ナラシ対策の件数につきましては、全ての加入対象の方がはっきりしていないということなので、面積でしか押さえておりません。
〇斉藤信委員 いや、簡単なんですよ。ナラシ対策の件数と円滑化対策の件数を足して2、070件で割ればその比率はわかるんですよ。5.6%ですよ、件数でいけば。
 そして、あなた方が再生産費を上回ると最初言われた5ヘクタール以上というのは1、054経営体ですね。これは2.5%ですよ、販売農家の。10ヘクタール以上だったら、これは371件。これは経営体ですから集落営農も入るかもしれないけれども、こういう規模ですよね。だから、農家全体から見ると、圧倒的多数の農家が大変な減収を強いられると。再生産を賄えないと。この事態を私はリアルに見て県は対応すべきだと。
 2010年産米も大暴落でありました。このときの国、県の対策はどうだったのか。私は、今回はやっぱり過剰米の市場からの隔離が必要だし、安倍内閣がやった直接支払金の半減、さっきも言われたように、これが大きいんですよ。この撤回はやらないと今度の暴落対策にならないんじゃないかと思いますが、国の動向を含めて示してください。
〇下村農産園芸課総括課長 過去の2010年、前回の平成22年の下落のときかと思いますけれども、国におきましては、ちょうど戸別所得補償制度がスタートしたときで、その際には戸別所得補償での補填等があったものと考えております。県としましては、その際に農家の資金繰りに対する対応ということで緊急融資を実施してございますし、あわせて、その際に新たな米の生産、販売戦略を立てながら、低コストなり消費拡大、需要拡大の取り組みを進めるということで対応してきたところでございます。
 国の動向でございますけれども、本年―平成26年産米の米価下落につきましては、国では10月15日現在の作況を見て必要な対策を検討するとしておりまして、現在、過剰米対策等の対応についての国の情報はございません。
 県としましては、今回の米価の下落は全国的な需給の緩和によるものと考えておりまして、まず国による対策が必要ということで、北海道東北地方知事会等を通じて、国に対して過剰米の市場からの隔離等の要望をしてきているところでございます。また、県独自でも経営対策として先ほど来の米価下落緊急対策資金を措置したほか、今後、生産対策、消費拡大対策等、国の動向を見ながら必要な対策を講じていきたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 2010年産米は言われたように所得補償制度があって、本当にこれで救済されたと。今回は何もないと。直接支払金も半減だと。私は、だからこそ国に対しても、また、県も2010年産米以上の対策をとらないと米価暴落対策にならないのではないかと思います。これは部長にお聞きしましょう。
〇小原農林水産部長 今回の米価下落は、御指摘のとおり、米の直接支払交付金が半分にされたということで、これも踏まえまして非常に大きな影響を及ぼしてございます。これにつきましては、その交付金自体が他産業の従事者や他作物を生産する農業者に納得していただくことがなかなか困難ということで、減額して多面的機能支払いの創設に費用を回したという説明を国ではしてございます。
 しかしながら、農家への影響は非常に大きいと。現在、これにかわるものとして、国では、新たなセーフティネットの構築ということで収入保険制度を検討してございますので、まず、農業経営全体の収入に着目した収入保険制度の導入、これがどういうものなのか。それらの状況等を踏まえて、県としては、いずれ万全なセーフティネットの構築を引き続き求めていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 収入保険制度は2018年、2019年の話ですよ。今の暴落対策には全くならないわけだから、やっぱり根本的には、主食である米の需給に国が責任を放棄してしまったところに一番の根本問題があって、ヨーロッパなどは手厚い補償政策をしている。これは再生産を保障するということを原則にしているからなんですよ。私は、それを投げ捨てたことが極めて大きいと思います。
 次に、順番を変えて、流れからいって、認定農業者、集落営農の状況、推移と農地の集約についてお聞きします。
 認定農業者、集落営農組織のこの間の状況、推移はどうなっているでしょうか。
〇千葉担い手対策課長 認定農業者数でございますが、平成23年度末7、712経営体、平成24年度末7、444経営体、直近の平成25年度末は7、312経営体となってございます。
 集落営農組織数につきましては、平成23年度末421組織、平成24年度末415組織、直近の平成25年度末で415組織となってございます。
〇斉藤信委員 岩手県の農業を担うべき認定農業者が減少している。再編もあるかもしれませんが、集落営農組織も減少しているというのは極めて残念な事態です。
 そこで、今、担い手に対する農地の集約はどうなっているのか。
 今、農地中間管理機構の取り組みはどうなっているか。貸したいというものと借りたいというもの、この申請状況はどうなっているか示していただきたい。
〇千葉担い手対策課長 まず、農地の集積でございますが、最近ですと、ここ5年間、8万ヘクタールほどで推移してございます。
 それから、農地中間管理機構の取り組みについてでございますが、機構では、事業の初年度でございますので、まずは農業者等への周知徹底を図るため、県内各地域で事業説明会を開催するとともに、事業の円滑な実施を図るため、機構業務の市町村への委託、それから、県内各地域への農地コーディネーターの配置などの体制整備を行ってまいりました。さらに、先行いたしまして農地集積に取り組む地区において、地域の話し合いの促進等の支援を進めてまいったところでございます。
 また、8月1日から、県内33市町村49地域を対象にいたしまして、事業開始後、初めてとなります借り受け希望者の募集を始めたところでありまして、10月15日現在の応募状況でございますが、581経営体、延べ面積にいたしまして1万1、228ヘクタールの借り受け希望ということになってございます。
〔斉藤信委員「貸し手のほうはわからないの」と呼ぶ〕
〇千葉担い手対策課長 貸し手についてでございますけれども、9月末現在の件数でございますが、434件、445ヘクタールという状況でございます。
〇斉藤信委員 今の段階だとまだまだミスマッチで、今の米の暴落の中でどれだけ借り受けが進むかという不安もありますが、私は貸し手がもっとふえるんじゃないかと思っていたけれども、意外と面積的には少ないという感じがいたします。いずれにしても、担い手に対する集約は8万ヘクタールで推移していると言うけれども、リアリズムでいくと8万1、000ヘクタールから7万9、000ヘクタール台に減っていると言わなければならないと思います。
 次に、東日本大震災津波からの農地、農業の復興状況をお聞きします。
 農地の復旧状況、作付の状況はどうなっているでしょうか。
 被災地の農家の減少の実態、経営体の状況はどうなっているでしょうか。昨年の豪雨、台風災害からの農地の復旧と作付状況を含めて示していただきたい。
〇前田農業普及技術課総括課長 沿岸被災地域の農地の復旧状況と作付面積でございます。
 本年9月末時点で、復旧対象農地717ヘクタールのうち430ヘクタールの復旧が完了いたしました。そのうち368ヘクタールで水稲などの作物が作付されておりまして、復旧された農地への作付再開率は86%となってございます。
 経営体数についてでございます。
 被災地域の状況につきましては、高齢化で耕作を継続できない方々が担い手に農地を頼んだり、あるいは陸前高田市の小友なり大船渡市の吉浜とかに新たな集落営農組織ができ、そこに農地を全部集積するというような状況が進んできておりますので、経営体数で把握することは実態として余り適切でないというか、農地への作付状況というところで復旧状況を確認するのが妥当と考えているところでございます。
〇伊藤農村建設課総括課長 平成25年度豪雨、台風災害からの農地の復旧状況でございますけれども、被災した1、400ヘクタールのうち、平成26年9月末時点で98%に当たる1、373ヘクタールが復旧されているところでございます。残る27ヘクタールについては、河川工事との調整等のため、現在も復旧工事に取り組んでいるものでございますけれども、平成27年春の作付時期までに復旧する見込みとなってございます。
〇斉藤信委員 最後です。
 日豪EPAの合意内容と、県内農業、畜産への具体的な影響について、県は、この合意内容と、県内農業、畜産への影響をどういうふうに把握しているでしょうか。
〇藤代農林水産企画室企画課長 日豪EPAの合意内容と影響ということでございますけれども、日豪EPAにおきましては牛肉の関税率の引き下げなどが合意されたと承知してございます。この牛肉の関税率の引き下げにより、豪州産―オーストラリア産の牛肉と品質で競合いたします乳用種ですとか乳用廃用牛、こういった牛の価格の低下が懸念されるものでございまして、本県の肉用牛生産や酪農などへの影響を懸念しているところでございます。
 また、牛肉以外の品目につきましては、豪州産の輸入割合が少ない、あるいは県内で生産されていないという状況でございますので、大きな影響はないのではないかと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 すごく甘いんだと思いますよ。冷凍牛肉は38.5%から19.5%に削減されるわけです。そして冷凍牛肉も冷蔵牛肉も約10%前後、3年間で下がるんですよ。私は、これの影響が小さいなんていう話には絶対ならないと思います。まさにこの岩手の畜産の本当に成否がかかる―もう一つ乳製品の問題でも、ナチュラルチーズは4、000トンから2万トン。2万トンと言ったら、今、国内生産量に匹敵する規模なんです。今、国会でこの批准が議論されているけれども、私は本当に日豪EPAというのは、もうTPPのまさに第一段階というか、この日豪EPAをさらに拡大させてTPPというシナリオなんだと思います。これは国会決議に違反しているんじゃないですか。部長、そういうふうに重要5品目を除外すると、国会決議に違反したもので、これはとんでもないという、具体的な試算もすべきじゃないですか。
〇小原農林水産部長 牛肉の関税引き下げの影響につきましては、この影響額がまず15年ないし18年をかけて段階的に行われるというのが1点ございます。また、輸入量が一定量超過した場合は、いわゆるセーフガードが講じられるといったような状況から、国でも影響額等の試算をしてございません。このような状況で本県独自に試算することはなかなか難しいと捉えております。
 2点目の国会決議との整合性でございますが、この日豪EPA協定案については、国会に承認を求めることがこの10月10日に閣議決定されたと伺っております。したがいまして、国会決議との整合性につきましては、国会において判断されるものと考えております。
〇斉藤信委員 ちょっと畜産県岩手とすれば、危機感が少し足りない。確かにセーフガードがありますけれども、毎年セーフガードになっちゃうんですよ、どんどん。そうすると、形骸化しちゃうんですよ。もう3年間で10%下げるんですよ、一気に。私はそこをリアルに見てやる必要があるし、10月25日からTPPの交渉が始まります。そして、11月にはAPECの首脳会議も行われますが、事務レベル協議では、一部乳製品の関税撤廃を求める姿勢にアメリカは転じたと、こういう報道もあります。このTPPは、アメリカ自身が関税撤廃を譲らない。妥協しようと思えば、日本の全面的な譲歩、妥協しかないんですね。私は10月25日、さらにはAPECに向けて、東北、北海道の知事会でもやっぱりタイミングよく対応していくことが必要だと思うけれども、部長、いかがですか。
〇小原農林水産部長 TPP協定交渉につきましては、今週末、10月25日から27日に閣僚会合が行われると聞いてございます。いずれ、本県におきましては、このような交渉の動向については情報の把握に努めますとともに、全国知事会なり北海道東北地方知事会と連携しまして、国益にそぐわない交渉は行わないよう、さまざまな機会を捉え要請してきておりますし、今後も引き続き、要請してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 環境保全型農業の推進について1項目のみ質問させていただきます。
 これまでも環境保全型農業の取り組みの重要性についてはお話しさせていただきましたが、これまでの県での取り組みの状況と成果、そしてまた課題をどのように捉えているかお伺いいたします。
〇前田農業普及技術課総括課長 これまでの取り組みでございますが、まず、地球温暖化防止等に効果の高い技術の導入面積が、前年より1、027ヘクタールふえて2、576ヘクタールになってございますし、補給型施肥の導入に取り組む産地数で見ますと、前年より33産地増加し57産地となってございます。ただ、平成25年度目標に対して8割程度でございますので、さらに一層の取り組み拡大が必要だと考えてございます。
〇吉田敬子委員 平成25年度について、目標値の8割ということではあるんですが、私としては、平成23年度から次の年は3倍弱、そして平成25年度は4倍強ということで、大変積極的に取り組まれた成果かなと評価しているんですけれども、その中で、環境保全型農業に取り組んでいる、先ほど別の委員の答弁にもありましたとおり、新規で入られる方が毎年10名ほど県として把握されているという中で、私はそういった環境保全型農業に取り組む若者がふえてきていると認識しております。その中で、ぜひこういった取り組みやすい環境を県でもつくっていただきたいと思っているんですが、選択要件の中で、全国の共通の部分と地域特認の取り組みというところがあるんですが、平成25年の昨年から急に堆肥の施用の部分だけ大きく伸びたんですけれども、この部分については、取り組みが進んだ要因というのはどのように県として把握されているか、また、この地域特認という取り組みの状況について、県としての見解をお伺いいたします。
〇前田農業普及技術課総括課長 この堆肥の施用につきましては、環境保全型農業直接支援対策のメニューの一つでございまして、これが平成25年度から支援の対象になったということで、その中で、特に県内では水稲の特別栽培に取り組んできて、有機物の施用による土づくりにも積極的に取り組んできた地域、特にその中でも奥州市が多いのでございますが、こういったところが一気に取り組みを広げたということで、この取り組み面積がふえてきているところでございます。
 あと、地域特認というメニューにつきましては、全体の面積の中の54ヘクタールということで、非常に少ない面積にとどまっている状況にございますが、これはなかなか岩手の気象的な条件なりで取り組みづらい、あるいはかかり増し経費が、例えば全て早生栽培するにも毎年種をまかなければならないとか、そういうかかり増し経費に対しての補助ということで、余りメリット感がないので取り組みが少ない状況がございます。
 来年度に向けて、国に対しては、県として取り組みやすいメニューを提案しながら、特にも、そういう環境保全型農業に興味を持って入られる方が取り組みやすいようなメニューを提案し、県特認として認めてもらうように働きかけているところでございます。
〇吉田敬子委員 地域特認の部分で、他県の部分をちょっと拝見したら、滋賀県では炭の導入というものがあって、そういったものも認められているようなんですけれども、例えば岩手県は炭の生産量が日本一ということで、そういったものもこれで認められるのであれば、また新しい取り組みの一つに組み込めるんじゃないかと考えましたし、実際に私の知っている友人の中でも、こういった大規模な農業というよりも、特殊な農業に取り組んでいる若い世代がおりますので、そういった定住と就農促進のためにも、ぜひ積極的にこれからも取り組んでいただきたいです。
 あと、農業改良普及センターというところに実際相談に行くんですけれども、普及員の方から、相談をしてもたらい回しではないですけれども、うちではちょっとわからないということで、補助を受けたかったんだけれども結局諦めた方とかもいらっしゃるので、ぜひ普及員の資質の向上も含めて積極的に取り組んでいただきたいです。
 あともう一つ、住まいと一緒に相談できるような仕組みをつくっていただきたいと思うんですが、自分たちの畑だとか田んぼだけではなくて、住まいを見つけるのが大変だという新規の方が実際におりますので、定住促進と農業というところの部分を一緒に連携してぜひやっていただきたいと思いますが、最後にその件につきまして御所見をお伺いいたします。
〇前田農業普及技術課総括課長 まず、御提言のありました炭の活用とか、ただいま特認の検討の中で、他県の事例を広く各県オープンにしまして、それぞれ各県で取り入れられるものについてはどんどん取り入れてくださいというようなことでやっていますので、炭の導入が本県に直接適しているかどうかというのはちょっと勉強させていただきたいと思いますが、そういった取り組みやすいメニューの認定には引き続き努めてまいりたいと思います。
 普及センターに関しては、なかなか有機農業を初めとした技術指導がちょっとできていないという部分もございますので、制度の周知徹底も含めて、そういった取り組み、支援要望に対しては、積極的に対応するようにしてまいりたいと考えてございます。
 住まいについても、先ほど久保委員からのお話の中で、定住ということであれば、市町村の中でも住居まで含めた支援対策を用意しているところもありますので、そういったところとセットにしながら、可能なものはそういったところを紹介しながら進めてまいりたいと考えてございます。
〇高橋孝眞委員 通告をしておりました内容につきましては先ほど皆さん聞いておりますので、私は、先ほどの答弁の中でちょっと気になることがありましたので、確認をしましたので、少しお願いをしたいと思います。
 東北油化が今回倒産した関係で死亡牛を群馬県に持っていきますという内容だったんですが、先ほどの答弁では、運搬料しかかからないと。24カ月以上は2万20円ですか、それから未満については1万7、820円ですという話で、処理料金はかからないと答弁をされたと思っておりますけれども、私は畜産農家でありますけれども、よくわからなかったんですが、東北油化の処理料金につきましては、24カ月以上は1万5、750円、24カ月未満が1万500円、3カ月未満が6、300円ということで、これは運搬費用除きの処理料金であります。今回農協のほうから来ているのが、産業廃棄物処理業者ということで2カ所、運送業者を使ってやりますとどうかということですけれども、24カ月以上が3万2、420円ということ、それから未満が2万7、420円、このくらいかかりますと。その内訳は、群馬県の化成産業というところが最終処分地で、1頭当たりの処理料金が月額1万2、420円。運搬料金が24カ月以上が2万円で、未満が1万5、000円、最終的に先ほど言ったような料金になりますと。若干、運送業者によって違うようですけれども、先ほどの最終処分地であります群馬県の化成産業と交渉した上で料金はかからないと言ったのでしょうか。それとも、最新の情報でそうなっているのかについて伺いたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 ただいまの処理料金等のお話でございますけれども、私どもといたしまして、運送業者のほうから確認した金額でございますけれども、いずれ、その状況によりますと、群馬県の処理場におきましては処理料はかかりませんと。運賃のみはかかりますということで、そのような値段をお聞きしておりました。
〇高橋孝眞委員 かなり金額が違いますので、料金を取る、取らないというのは大きな問題ですので、早急に確認をしながら農家に示してほしい、農協に示してほしいと思います。
 もう一つですけれども、この料金がかかるということであれば、一時保管庫をつくりますとなるわけですが、例えば花巻につくりますと。私は北上ですけれども、北上から花巻までの料金がかかるわけです、運搬費が。そして、花巻から群馬県に持っていく分の運送費もかかります。それから、保管費用もかかります。直接持っていってもらえるのであれば、料金が同じだとすれば、二重に運搬費をかけるよりは、つくらないで直接持っていったほうがいい、搬入したほうがいいとなると私は思うので、その辺も十分考えていただければと思います。
 それから、畜産振興上からもこの問題は大きなことでありますので、県内で処理できるということも先ほど要望しておりましたけれども、私のほうからもお願いをしたいと思いますし、産業廃棄物ですので、かなり時間がかかると思うんです。そういうことを含めて、今のうちから検討しながら進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
〇岩崎友一委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員長 質疑がないようでありますので、第1部、農業関係の質疑をこれで終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後4時49分 休 憩
午後5時8分 再開
〇高橋但馬副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、第2部、林業、水産業関係について質疑はありませんか。
〇嵯峨壱朗委員 それでは質問させていただきます。
 アワビについてお尋ねします。震災でアワビの放流も滞ってとまっていたわけですが、小さいのは流されたとも言われていましたけれども、このアワビは、サケ、ウニと大変重要な漁家の収入源になっているわけですけれども、震災後のアワビの漁獲状況はどうなっているのか。また、アワビの資源の状況をどのように捉えているのかお尋ねしたいと思います。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 まず、震災後のアワビの漁獲状況と資源の状況についてでありますけれども、平成24年度の漁獲量は229トン、平成25年度は297トンでありまして、震災前の平成22年度とほぼ同じ水準になっております。ただ、一方で、県の水産技術センターの調査結果によりますと、震災津波によりまして、特に県の中部から南部にかけまして、今年度から漁獲対象となる平成22年に生まれました天然のアワビの稚貝が流失したということで、資源の減少が確認されております。また、震災以降、ほとんどアワビの種苗放流が行われていないということから、漁獲対象となるアワビ資源は、今後、数年間は低い状況で推移するものと捉えております。
〇嵯峨壱朗委員 去年あたりのアワビというのは、非常に大きかったですね。小さいのもあるんでしょうけれども。非常に大きいのがよく出回っていたと思って、私が食べたわけじゃないですけれども。そして種苗放流も十分行われなくて、天然の稚貝も少ないということになると、今課長おっしゃられたように、これから資源回復のおくれが懸念されます。種苗の生産施設の復旧が急がれてきたと思うんですけれども、そろそろ回復したとも聞いておりますが、震災後のアワビの資源回復に向けて、県ではどのような対策をとっているかお尋ねしたいと思います。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 アワビの種苗生産施設の復旧と資源回復に向けた県の対策についてでありますけれども、アワビの資源回復に向けましては、種苗生産、それから放流体制の早期の復旧が重要だと考えておりまして、平成23年度から岩手県栽培漁業協会が運営いたします種市と大船渡の県有施設、さらには、広田湾、重茂、田老町漁協の五つの施設の復旧を進めまして、平成26年3月までに完成をいたしたところでございます。そして、震災前と同規模のアワビの種苗生産、放流が可能になったところであります。
 各施設では、既にアワビの種苗生産が開始されておりまして、種苗放流を基本としたアワビの資源の早期回復に、関係者と一体となって取り組んでいきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの説明で、県央から県南の沿岸部のアワビの漁獲が懸念されるという話でしたけれども、こういった放流事業を通じながら、その懸念はいつごろ晴れるのか。つまり、予想ですけれども、どうなっていくと思っているのか。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 まず、種苗放流につきましては、平成23年、平成24年、平成25年の3年間は、ほとんど放流ができていないという状況があります。本年度から190万、200万近い放流、そして来年度から震災前と同等の放流ということを目指しております。
 あと、天然の貝につきましては、若干、今のところ資源が減っておりますが、いずれ、放流によりまして大体4年から5年後に大きくなって漁獲サイズに入ってまいりますので、やはりここ四、五年は少し少ない状況にとどまるのではないか。四、五年後から、漁獲が開始されるのではないかと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 それでは、若干時間がかかるということですけれども、自然の力に期待したいところであります。
 それで、そういった努力をしているにもかかわらず、報道等でもよく出ていましたけれども、震災後のアワビの大規模な密漁事件、これはせっかくの生産者も含めて、県もそうですけれども、努力しているのを無にしてしまう。その発生状況についてお尋ねしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 震災後、大規模な密漁事件が3件摘発されております。
 まず最初に、昨年8月24日に普代村から田野畑村の海域におきまして、アワビ約166キログラムを密漁しました北海道の密漁グループ10名が、釜石海上保安部に逮捕されまして、主犯格は、漁業調整規則違反等によりまして、懲役8カ月の実刑判決を受けております。
 次に、昨年10月5日に、宮古市地先の海域でアワビ310キログラムが密漁されまして、青森、岩手、宮城の3県にまたがる密漁グループ6名が、県漁業取締事務所と合同捜査をしました宮古警察署に逮捕されまして、主犯格は、本県で初めて漁業法の無許可操業の罰則が適用されたところであり、懲役1年2カ月の実刑判決を受けております。
 さらに、ことしになりまして8月25日に、釜石市唐丹町地先の海面で、アワビ約256キログラムを密漁した容疑で、北海道、岩手の密漁グループ4名を、県の漁業取締事務所と合同捜査いたしました釜石警察署が逮捕したところであり、現在、この事件につきましては捜査を続行中でございます。
〇嵯峨壱朗委員 大変巧妙になって、これだけの量ですと相当な金額が搾取されている感じがあるわけでありますけれども、こういった密漁に対応するために、県では取締船とかで対応しているわけですが、代船の建造事業費というのが計上されておったわけですけれども、その取締船の概要について、そしていつごろ、どうなっているとかも含めて示していただければと思います。
〇山口漁業調整課長 平成25年度、平成26年度に代船建造いたしましたのは、漁業取締船はやちねでございます。はやちねは、平成24年度に設計をいたしました。平成25年、平成26年にかけて建造しまして、先日、本年10月2日に竣工したところでございます。事業費は、建設費を含めまして7億509万4、000円、船質は軽合金製、総トン数は64トン、全長26.8メートル、先代のはやちねとほぼ同じ大きさででき上がっております。
 竣工したはやちねの特徴は、本県の漁業取締船としては初めての推進方式をとりまして、ウォータージェット方式を採用しております。計画最高速力47ノット、時速に直しますと約87キロメートルです。漁業取締船としては、国内最高クラスの高速の船となっております。
〇嵯峨壱朗委員 大変頼もしい限りでありますけれども、大規模密漁というのは暴力団が背景にあってとか、結構いろんな複雑な背景があるやにも聞いております。ぜひ警察とも連携しながら、きっちりと対処してもらいたい。せっかくの努力が無になりますので。
 こういった巧妙化する密漁を撲滅するためには、今言った代船の高速化とともに、警察と連携するとか、さまざまな対策を講じるべきと思うんです。そういった今後の県のアワビの密漁対策について、どのように取り組んでいくのかお尋ねしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 アワビの密漁につきましては非常に巧妙化しておりますので、高速漁業取締船によりまして、海上における抑止力を維持すると当時に、陸上におきまして監視力や捜査能力を維持向上することで、密漁者を浜や漁場から遠ざけて、密漁行為を諦めさせるということが重要と考えております。このため、県では、さきの検挙事案を例示とします研修会の実施などによりまして、漁業監視員の監視、通報体制の強化などを進めるとともに、漁業取締事務所への現職警察官の持続的な配置や、県警等捜査機関との情報共有などによりまして、捜査、取り締まり能力の維持向上も図りながら、漁業関係団体や漁業者と連携しまして、密漁対策の強化に取り組んでいきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 震災後、漁業者が浜から離れたところに住んだりとか、漁業者の密漁の監視とかが、なかなかこれまでのような形で対応し切れない状態になってきているんだろうと思っていました。ですから、ぜひこの高速船を利用しながら、この広い、長い海岸線ですので、できればさらにもう1そうとか、そういうことも前向きに考えていただければと、お願いを込めて終わります。何かあったら、一言あればお願いします。
〇小原農林水産部長 アワビの密漁でございますけれども、これは委員御指摘のとおり、漁業関係者や関係機関が一体となって取り組んできたものでございます。これは復興に水を差すものであり、あってはならないものでございます。
 今後とも、関係機関等と連携しまして、取り締まりの強化に取り組んでまいります。
〇伊藤勢至委員 発災後から今日まで、同じ課題であると思いまして質問させてもらいたいと思います。
 それは、被災地はほとんど漁業地帯でありますから、漁協の組合員の資格と漁業権の行使の問題についてであります。
 磯漁業をやっている方々の中で、大変気にしている方がいまだにいらっしゃると思っています。磯漁業といいますと、もちろんアワビ、ウニあるいはマツモ、ムールガイ、ツブガイなどなど、比較的小さな船で、いわゆる宮古弁で言う岸浜漁業です。そういうのをやっている方々が大変気にしていることがあります。
 発災後、いろんな方々が避難場所に避難をされました。そして、5月から応急仮設住宅の建設に着手して、そしてお盆ちょっと過ぎあたりから入居になったわけでありますけれども、漁業権の問題で、要綱の中に、各組合で違うのかもしれませんが、例えば年間何日かの操業をすること。それから、海から何キロメートル以内に居住することなどという規則がございまして、応急仮設住宅に入るについても、そこがひっかかって心配で、なかなか出られないという方がおられました。そういう中で、宮古漁協では、5月の末だったと思いますが、タイミングよく、当分の間、漁業権の問題は問わないということで文書を出していただきまして、私もそれは若干配布をいたしましたけれども、ようやくここに来て、災害復興住宅などもいよいよ建ち始めてまいりました。ただ、いまだに漁民の中には、そういったはっきりしたものをいま一度、組合長なりの判このついた公文書的なものをもらいたいという方もいらっしゃるようで、そういうちゅうちょ、戸惑いがあっては、新しいまちづくりを阻害していくのではないかということから、これはちょっとどうなっているのかを確認いたしたいと思います。
 今、漁協ごとにどういう対応をされているのでしょうか。オール岩手のことでありますのでお願いをします。
〇高橋団体指導課総括課長 漁協の組合員資格の件でございます。
 各漁協では、それぞれの定款の中で組合の地区を定めております。正組合員の要件の一つとして、組合の地区に住所を有していることという形で規定されているものです。被災された方で漁協の地区以外に居住することになってしまった場合の取り扱いにつきましては、震災後に国から通知が出てございます。
 その通知によりますと、震災によって一時的に組合の地区外に住んでいる場合でも、これまでどおり漁業を続ける意思がある場合には、組合の地区内に住んでいることとして差し支えないという形になってございまして、組合員資格を変更する必要はないということになっております。
 県でそれぞれの漁協を確認したところでございますけれども、県内の漁協におきましては、いずれも、組合の地区外に、仮設住宅等に住んでいるという組合員について、希望に反して組合員でなくなったという事例はないと聞いております。
〇伊藤勢至委員 今、水産庁からの通達といいますか、それがあったということでありますが、これには期限があるんですか。期限なしですか。エンドレスですか。
〇高橋団体指導課総括課長 期限が定められているものではありません。
〇伊藤勢至委員 それでは、県漁連なり各漁協を通じて多分行っているかと思いますが、どうもまだそれが行き渡たらないで、災害復興住宅等に移ることをちゅうちょされている方もいらっしゃるようでありますので、いま一度、底辺の皆さんにもそれが届くような方策を講じていただくようにお願いをしておきたいと思います。
〇山口漁業調整課長 漁業権を行使するには、組合員資格とともに、漁業調整規則に基づいて漁業権を行使する必要がございます。漁協の漁業権行使規則には、組合員の要件の地区を書いている行使規則もございますので、気をつける必要がございます。このため、県では、震災後の平成25年度の漁業権免許切りかえに当たりまして、地区外の仮設住宅等に組合員が入居し漁業権行使に支障がある場合につきましては、当該組合員の漁業権行使を認めることを行使規則に記載するように漁協に指導しておりました。このような記載を行った漁協は、実はそんなに多くはないんですけれども、この場合、行使規則に記載しなくても組合員の漁業権行使に支障がないと漁協が判断したと県では考えております。ただし、県に対しまして、組合員から、これから漁業権行使に関する相談があれば丁寧に対応していきたいと、相談してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 どうぞひとつよろしくお願いいたします。これは新しいまちづくりにもかかわってきますので、深層心理の中にわだかまりがないようにお取り組みをお願いしたいと思います。
 このたび漁業取締船はやちねがめでたく竣工いたしまして、11月19日竣工式が行われる。今、嵯峨委員も言いましたが、ようやく密漁船よりもスピードのある取締船が本県に配置になる、非常に喜ばしいことだと思います。でも、これは配置になった時点で終わったことです。次は岩鷲です。岩鷲って、岩手山の別称ですね。先にはやちね、低いほうが先になったわけですが、いずれ、岩手県の海岸線740キロメートルを考えますときに、1隻ではどうしても小回りがきかない、行き届かないと思いますので、はやちねが完成をした今、次なる岩鷲に向けての取り組みを始めてもらいたいと思うのでありますが、いかがですか。
〇山口漁業調整課長 岩鷲は、漁業取締事務所が所有します2隻のうちの漁業取締船の1隻でございます。この船の進水は平成9年7月でございまして、ことしで船齢が17年となります。もうすぐ代船を迎えるということで認識しております。
〇高橋団体指導課総括課長 先ほどの組合員資格の関係で追加で説明をさせていただきたいと思います。
 先ほど国のほうからの通知につきまして、一時的に地区外に居住した場合という表現になっているのが実際でございます。そこで、この一時的に地区外に居住しているという解釈につきましては、少なくとも仮設住宅はそのような扱いになっておりまして、これから復興住宅とかそのような形になったときに、どのような扱いになるかということにつきましては、国にも事務レベルで照会しているところですが、今の時点では明確な返事が来ていないところですので、いずれ、組合員の方々の不利益にならないような形で一生懸命取り組んでいきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 今おっしゃった応急仮設住宅を出て、さあ、どうしようかの選択肢の一つが、災害復興住宅に入るか、借家に入るか、自分で建てるかの三つなんです。ですから、そういう情報を早く伝えていただいて、少しでも早くまちづくりが進むようにとお願いをしておきたいと思います。
 次に、秋サケの問題と思ったんでありますが、今まだ早期群でありますので、大体ほとんど来上げた2月ごろにして、秋サケの問題については次の方に譲って進行に協力をしたいと思います。終わります。
〇軽石義則委員 短く1点やらせていただきたいと思います。森林組合育成強化対策事業費、259ページでございます。
 森林を育成していくためには、県の有効な資源でございますので、それをしっかり管理する森林組合は大切なものだと思っておりますけれども、森林組合に対する検査の具体的内容、健全な経営を目指すということで育成強化をされているようですが、現状はどのような状況になっているのかお示し願いたいと思います。
〇高橋団体指導課総括課長 森林組合に対する検査についてでございます。
 この事業につきましては、法に基づく森林組合の検査の経費と、あとは合併組合に対する経営安定のための貸付金の事業となっているもので、その一つの検査の部分についてでございますが、検査では、コンプライアンス体制の確立ですとか、あとは内部管理体制の充実強化、あとは財務の健全化及び経営改善計画等への取り組みなどを重点事項としまして、組合における会計ですとか、事務処理全般を対象に検査を実施しているところでございます。
〇軽石義則委員 検査をした上で、具体的な指導事項等があるかもしれませんけれども、それらは課題を含めてどのように把握をされているのか。また、貸付金の事業もされているということでありますけれども、貸付金を出す場合の基準等があれば、それを示していただきたいと思います。
〇高橋団体指導課総括課長 検査を通じた指導の内容についてでございます。
 検査結果の中の代表的なものを取り上げたいと思いますが、財務諸表の記載内容の誤りですとか、あとは未収金の債権評価など資産査定の方法ですとか、あとは事務処理における稟議やチェック体制などについて不備や誤りがあるということで、これらを適切に行うように指導しているところでございます。
 検査の実施後については、改善を要する事項について取りまとめを行いまして、検査書として組合に交付して、その改善状況について組合から文書で回答を求め、組合経営の改善に取り組んでいるという状況でございます。
 次に、貸付金の関係でございますが、この貸付金は合併した森林組合の経営安定のために貸し付けを行うものでございまして、平成25年1月に合併した奥州地方森林組合に対して、その負債整理等のために5、000万円の貸し付けを行っているものでございます。
〇軽石義則委員 そのような形で指導し、フォローもされていると思うんですけれども、そういう状況において、県内の組合は、現段階において健全に運営、経営されているのかどうかという部分についてはどうでしょうか。
〇高橋団体指導課総括課長 県内の森林組合の経営状況についてでございますが、平成25年度におきます県内森林組合の決算から経営状況を見ますと、20組合県内にございますが、当期剰余金を計上した組合、いわゆる黒字決算の組合でございますが、20組合中18組合、9割でございます。当期欠損金を計上した組合は2組合になるわけですけれども、平成24年度と比較しますと2組合減少してございます。
 また、繰越欠損金、いわゆる累積赤字を計上している組合は4組合という状況でございますが、平成24年度と比較しますと2、000万円ほど減少しておりまして、復興需要ですとか木材価格の上昇といった要因によりまして、経営の改善の方向にあると認識してございます。
〇軽石義則委員 経営も改善されてきているということでありますけれども、県としては、現状の組合は、目的また役割をしっかり果たしているという認識でよろしいんでしょうか。
〇高橋団体指導課総括課長 県内20組合の状況はさまざまではございますが、それぞれの組合の中で目的を果たしてやっていると考えてございます。
〇軽石義則委員 目的を果たしていただいていれば結構だと思いますけれども、しかし、森林組合と森林所有者との間に、大きな溝とは言いませんけれども、所有者がどのぐらいそのことをしっかり理解しているかという部分が必要だと思うんですが、その部分について、組合員を含めてどのような現状になっているか把握されていますか。
〇高橋団体指導課総括課長 森林組合の組合員が、組合員それぞれの関係で事業を行っているわけでございますけれども、組合員と組合それぞれがどのような状況にあるかというのは、ちょっとこちらのほうで個々には把握してございません。
〇軽石義則委員 それは組合が健全に経営されているかどうかは組合員自身が確認することであると思いますけれども、しかし、現状を見ますと、森林組合が今どういう状況になっているかということすら、また、自分が所有している山なり木なりをしっかり把握されているかと言えば、そうでない現実もあるのではないかと思いますけれども、その部分についてはどうでしょうか。
〇佐藤林務担当技監 確かに、多くの組合員の中には、自分の所有山林がどちらにあるかとか、そういったことも十分認識されていない方もいらっしゃると思いますけれども、私どもとすれば、今、森林経営計画ということで施業の集約化などを図っております。そういった中で、個々の所有者といろいろ顔を合わせて計画をつくり上げているわけですけれども、そういった取り組みを通じて、まず、森林所有者の皆さんに自己の山の状況とか場所とかを認識していただいて、これは森林組合とも一緒になって取り組んでいくわけですが、そういった取り組みを通じて、森林所有者の皆さんが、山に目を向けていただけるように頑張っていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 現状、確かに、所有者に対する説明会なり懇談会を市町村を通じて案内されているのも、私も組合員ですから認識はしておりますけれども、ただ、懇談会等を開催する日にちとか時間が、通常、仕事をしている人たちはなかなか集まれない案内になっているような気がするんですけれども、そういうところもしっかりと考えていただいた上で、所有者が認識できるようなこと、そして声をしっかり受けとめるというお話でしたけれども、であれば、多くの皆さんが参加できる機会、お話を聞く機会をしっかりつくるべきだと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
〇佐藤林務担当技監 引き続き、施業の集約化等を進めていく中で、今委員からお話のあったような意見も踏まえまして、しっかりと対応していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 岩手の貴重な財産ですし、これから大事なものと思って育てていかなければならない事業だと思っておりますので、そのことにしっかりと対応していただくことをお願いして終わります。
〇佐々木茂光委員 それでは最初に、震災からもう3年と7カ月がたって、先ほどもお話が出ていますけれども、皆それぞれ集団移転、それから災害公営住宅に行くということで、本当に海の地先にだんだん人影が少なくなってきているというのは、正直、ちょっと寂しい気持ちもあります。その中で、残されし漁民が黙々と磯に取り組んでいるわけであります。そういった状況の中で、復興に向けて、船舶それから漁場等の復興が今どの程度まで進んでいるのか、まず最初にお尋ねいたします。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 まず、漁船、漁場、養殖施設の復旧についてですが、今年の8月末現在、補助事業で整備いたしました漁船と被災を免れました漁船を合わせて、現在、稼働可能な漁船数は1万467隻でございまして、震災前の漁船登録数の73%まで回復しております。
 養殖施設につきましては、震災前の65%に当たる1万7、329台の整備が完了したところでございます。
〇佐々木茂光委員 すると、船を待っている方も当然いるわけでありますけれども、この残りの27%ということになりますか、その辺の数値のおくれをどのような形で取り戻していくのかということをちょっとお伺いします。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 漁船につきましては、現在、各漁業者の皆様からの要望に基づいて整備してまいっておりますが、その数字が今申しました1万467隻ということでありまして、震災前は1万5、000隻ほどございましたけれども、おおよそ希望した漁船は行き渡っているのではないかと感じております。
 というのは、1人で2隻、3隻持っておる方々もおられましたので、その方々も、全てではなくても、現状で対応できるものと考えております。
〇佐々木茂光委員 今聞いたのは、大体船がみんなそろっていると感じているものだから、まだ2割の船を待っている人たちがいるというのはちょっと問題があるのかなと思ったものだから聞きました。
 そうであるならば、建造する船数というのももう一回調整してみる、要するに、数値として出てくるということは、私たちもそうなんだけれども、まだおくれているのかと、どうしてもそうなってしまうんで、ほぼ皆さんに行き渡っているというのであれば、その辺は数字としてもっとはっきり出したほうがいいかと思います。
 また、あわせて、ここ震災からの水揚げ、生産量はどのように、大きなところでいいですのでお願いいたします。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 水揚げ量、生産量について、平成25年度、昨年度になりますが、県内産地魚市場の水揚げ量ですと10万8、000トンということで、震災前3カ年の平均と比較しますと64%になっております。また、昨年度、平成25年度の県内の養殖生産量では2万8、000トンということで、これも震災前3カ年と比較しますと59%になっております。
〇佐々木茂光委員 次に移りますけれども、生産量とか水揚げ、合わせて全体的に減っているというのは、当然作物だから、とれるときもあればとれないときもあるということもありますけれども、漁業の経営体というんですか、就労により、逆に漁業から津波でおかに上がった方々もいると思うんですが、ちなみに経営体の増減というのはどのように推移されておりますか。
〇山口漁業調整課長 漁業経営体の増減ですけれども、漁業センサスによりますと、震災前の平成20年の漁業経営体数は5、313経営体ありました。これに対しまして、平成25年度の漁業経営体数は3、865経営体となっており、27%の減少となっております。
〇佐々木茂光委員 そうしますと、約3割の方々が漁業から離れたということで、単純にそういう解釈でよろしいんでしょうか。
〇山口漁業調整課長 漁業就業者の方が大体そのくらい減っておりまして、ただ、高齢化によってかなり減少していると認識しております。
〇佐々木茂光委員 それでは次に入りたいと思います。
 今の経営体数が約3割減ったということは、それが生産力それから水揚げ高に当然影響していくものだと思うんですが、今取り組まれている担い手なり後継者等の取り組み状況等についてはどのようになっておりますか。
〇山口漁業調整課長 先ほど漁業経営体について御報告させていただきましたけれども、漁業就業者につきましては、平成20年度に9、948人おりましたけれども、平成25年度に6、462人まで減少しておりまして、その確保と育成が課題だと認識しております。
 ただ、新規就業者の数が平成25年度で31人と非常に少ない状況になっております。新規就業者の受け入れ支援体制を整えるということが必要だと認識しております。このため、今後、市町村単位で漁協や市町村及び県等が連携しまして、地区内外への就業情報の発信、就業希望者と漁業経営体のマッチング、就業希望者への漁業技術習得の支援、住宅のあっせんなど、受け入れ体制づくりを進めていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 確かに今まで漁業にかかわっていて、船も流された、家も流されたということから、おかに上がった方も私の周りには実際多くいます。私が思うところは、いつでも海に下がってこれるような環境を残しておくというのか、つくっておくというのか、そういう迎え入れる姿勢というのも必要かなと思うんです、取り組み方の。
 瓦れきの仕事に今ついている、結構若い方ですけれども、そういう瓦れきの仕事が、復興のそういう事業がある程度先が見えてくると、また海に来るんじゃないかと私たちもちょっと希望を持っているところもあるので、最後までそういう方々にも来れるような環境を残していただきたいと思います。
 あとは、このごろテレビなんかでよくそういうのを見かけるんですが、外部から、大学を終わって農業につく方がいたり、漁業にも入ってくる方もいるような話も聞いておりますので、その辺の方々に対する受け入れというんですか、やっぱり浜人だからいろいろ地先を守ってきたんだという思いも強いものがあるから、なかなか外部から来る人たちをすんなりと受け入れられない風潮がないわけでもないと思いますので、その辺も、ある程度規制するところはもちろん規制しながら、もう少し、何というんですか、いずれ、そういう環境もこれからつくっていってほしいと思います。
 なぜ後継者が来ない、育たないのかということをどのように今捉えておりますか。これは津波の影響で一気に後継者も何もみんな引けてしまったという大きなあれがあるんですが、今後、後継者等に対する取り組み方の考え方についてお示し願えればと思います。
〇山口漁業調整課長 震災前、岩手県の漁業経営体は非常に経営規模が小さいということで、なかなか後継者が後を継がないという状況がございましたので、新規就業者が入ってこられるような、例えばいきなり経営ということではなくて、雇いで入ってくるとか、受け入れる経営体を大きくしまして、就業できるような環境とか、あとは、漁協が自営で定置網を経営していますので、例えばそういうところに受け入れるとか、あと、ワカメ養殖等も経営している漁協もございますので、そういう仕組みを使って受け入れるような環境をつくっていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 それでは次に、春先漁業はいつもワカメ、コンブからスタート、春を切っていくんですが、そういった中で、ワカメそれからコンブ等の水揚げ、そしてまた生産状況はどうだったのかお尋ねいたします。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 ワカメ、コンブの水揚げ、生産状況についてでありますけれども、ワカメについては平成26年、この春の生産量は1万4、000トンで、震災前3カ年の平均と比較しますと65%になっております。また、生産金額は17億円で41%でございます。コンブにつきましては、平成26年の生産量7、000トンで59%、生産金額は9億円で57%となってございます。
〇佐々木茂光委員 去年は1万6、000トンでうまくそこそこの値段がとれたということで、ことしがそのぐらいの値段を期待できるかどうかというと、非常に価格に折り合わないところがあって、途中で生産調整に入った方々もいたということを聞いておるんですが、その辺の状況はどうだったんでしょうか。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 今年度、どうしても春先の水温が非常に低かったということで、成長が悪く、生産量が伸びなかったということがございますし、価格的には確かに震災前3カ年に比べまして非常に低い金額で推移いたしました。これは、大きく見ますと、ワカメの消費量そのものが全国的にも減少しておりますし、10年前に比べますとかなり減少している。大体消費量で7割弱ぐらいまで全国的には下がっているという状況もございます。そういう部分が影響しているものと考えております。
〇佐々木茂光委員 そういったところを分析していくと、南のほうに行くと、鳴門ワカメ、関西方面はそっちのほうを主に生産して食べている方がいると思うんですが、その辺、三陸ワカメと鳴門系のワカメとの生産の違いというのはわかりますか。
 というのは、全体に7割まで落ち込んでいると考えると、伸び代として、我々がこれから生産を続けていったときに、例えば全体に7割落ちて、こちらがそのうちの4割で南のほうが3割だったと。例えば、7割まで落ちたうち、こちらのほうが2割かもしれないですよね、向こうが5割持っていて。だから、それを生産に結びつけていくためには、やっぱりその辺の先が見えないと、結局、価格でみんな勝負をかけているわけですよね。途中で生産調整に入ってしまう人たちもあれば、最後まで、せっかくつくり上げたものだから何とか水揚げしようと取り組んでいる方々もいるわけです。その価格によって、いつもそういうもので末端の生産者というのは常に左右されるということですね。価格の保障がないから、当然それが生産力にも影響するし水揚げにも金額にも、当然自分たちの所得にも影響してくるということなんですね。
 だから、そういった面で、まさに岩手県では三陸ワカメが我が郷土岩手県のブランドだといううたい文句の中で売り上げを伸ばしていくためには、その価格の設定についても、仲買がいるのか問屋がいるのかは別にしても、そういった価格の安定化を図るような政策的なものを用いているかどうかまずお尋ねしたいと思います。
〇高橋但馬副委員長 簡潔にお願いします。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 直接的には県の漁業団体のほうでワカメの販売、その他に取り組んでいるわけですけれども、販売量そのものが低迷しているということで、さまざまな販売戦略といいますか販売対策といいますか売り込みといいますか、そういうふうなところに取り組んでいるということが一つございます。
 あとは、私ども県といたしましても、価格がやはり低いということは状況として押さえておりますので、これを何とか上げていくために、今、各漁協に対して、どういうふうな生産をして、あるいはどういう形態で販売しているかということを来年度に向けて調査をかけております。この調査に基づいて、今度は加工業者のほうにも調査をかけて、どういう製品がいいのか、あるいはどういう品質のワカメがいいのか、こういうところを押さえながら、県漁連などとも一緒になって価格の対応に努めていきたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 やっぱり価格の安定が復興というか、生産者の人たちにとっては一番の力になっておりますので、その辺の対策を含めてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますけれども、風評被害というのがまだ吹いておりまして、その辺の現状、取り組み等についてもひとつお願いしたいと思います。
 あとは、主力でありますカキの水揚げ、それから生産状況についてどうか、とりあえずお尋ねいたします。
〇上田流通課総括課長 水産物の風評被害についてのお尋ねでございます。
 やはり委員御指摘のとおり、定量的にいかほどが風評被害のはね返りで出たかということは、なかなかはかることは難しいのでございますが、風評被害はあると言われておりますし、そのように認識しておるところでございます。
 このため、水産物等も一つの中心の商品といたしまして、これまで首都圏で展開してきたものを今年度は関西圏にも拡大いたしまして、例えば生活情報誌―お子さんを持ったお母様方が読む雑誌でございますが、そちらへの県産食材の記事の掲載、あるいは、生産者の方々の大変一生懸命な姿とかをアピールしたいということでのそういったポスターをつくりまして、首都圏、関西圏で鉄道の中づり広告を出させていただく、あるいは、地元の、首都圏あるいは関西圏でございますが、料理人を対象とした産地見学会を開催いたします。あるいは商談会等も開催いたしました。そういったところに取り組んできております。こういうようなことを通じて消費者の信頼回復と販路回復あるいは拡大を図っているところでございます。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 まず、カキの生産状況でございます。
 平成25年度、むき身の生産量は179トン、殻つきカキは4、000個(後刻「400万個」と訂正)でありまして、震災前に比較しますと、むき身で28%、殻つきで17%となってございます。
〇佐々木茂光委員 実は、この間、築地に、3年もずっと揚げているものだからということで、市場に入って見てきました。こっちの三陸から行っているものは非常に引きがあるというのも実感してきました。ついこの間までは南のほうのカキに大分競り場も埋められていたんですけれども、大体うちのほうのカキを買ったというのはわかるんですね、不思議と。そういうところを楽しみに、競り人の方々ともいろいろ話を交えまして、やっぱりいいものに対しては、非常にみんなもやっと揚がってきたかなというような思いで待ち構えていたんだなということも感じてきました。本当はもっと高く買ってくださいよということで、でも、値段もことしもそこそこの相場で今、いっているようなので、非常に浜の人たちも活気がそういう面ではあるようであります。
 ただ、残念なことに、仕込むための種の単価が津波の次の年から3倍になっているということ。その辺、当局のほうでどのように今、現状をつかんでおられるのか。当然、仕込みに影響してくるので、それは1年で作物になるものではないので、少なくとも3年は沖に置いておかなければならないということで、その辺の対策等が何か今ありましたら。何で種が高いのか。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 まず、種苗がかなり高騰しているという状況でございます。
 現在、日本で一番生産量の多い広島県で、もともとは天然の種をとってそれを使っているわけですけれども、ことしは例年に比べまして必要量の二、三割しか確保できていないという状況がございます。そこで、岩手県が種苗を購入しております宮城県、これも天然で採苗しておるわけですけれども、ここから広島県が買っていっているということで、かなり種苗の数が減っている。それによって高騰しているということがございます。単価的にも、震災前は大体1連、一つの単位で七、八百円だったものが現在2、000円ほどになっていると聞いております。
〇佐々木茂光委員 ですから、やっぱりそういうところにもしっかり目を向けていくというんですか、仕込みによって、我々生産者の生産額、当然ものをつくる側の意欲にも大きく出ているんですよね。結局、三陸沿岸、それから宮城県側でつくった残りが全部ほとんど今までは広島県のほうに飛行機で行っていたというのは、私、津波前はそういう状況も知っていたので、だから、そこを何とか県も少し中に入りながら、単価に対する、色をつけろじゃないですけれども、何らかの調整に入っていただければと思うところでございます。その辺、これからの取り組み方をお願いしたいと思います。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 養殖をしておられる方々は、まずは3年後に向けて種苗の確保をしなければならないと思っておりますが、それぞれ聞いてみますと、今年度の種苗は、高い値段ではありますが確保はできているということは聞いております。
 今回、カキの養殖をしておられる方々は、ほとんどががんばる養殖復興支援事業の対象の中に入っておられます。種苗の生産経費は全体では7%ぐらいを占めていると聞いておりますが、そのほかに人件費とかそういうものを見ることができておりますので、全体の中では今年度についてはある程度見ていけるのかなというふうに思っております。
 ただ、これも未来永劫続くわけではございませんので、県としても、水産技術センターで地場採苗ができないのかというところで今、研究をしておりますし、広島県の不振を受けまして、例えば三重県とか兵庫県などでも地場採苗にある程度切りかえていくということも聞いておりますので、この辺のところで何とか、全体は補完できないにしても、多少でも危険分散を図っていくような体制を整えたいと思っております。
〇高橋但馬副委員長 質疑、答弁は簡潔にお願いします。
〇佐々木茂光委員 今々高くなったのがすぐ安くなるということは恐らくないと思うので、当面は農林水産部でも少しそういうところにも目を向けていていただきたいと思います。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 大変申しわけございません。先ほど、カキの水揚げのところで殻つきカキの生産量を4、000個と申し上げましたが、400万個の間違いでございました。大変申しわけございませんでした。
〇佐々木茂光委員 最後に、湾内、地先の瓦れきがまだ湾内に残っている箇所もあるということを指摘したいと思います。あとは、台風とかしけのときに入り江の奥のほうにあったものが出てきたりとか、それから海中にあったものが浮いてきたりというのをまだ見ることがありますので、それらに対する対応がどのようになっているのかお尋ねしたいと思います。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 まず、湾内、地先の瓦れきの処理についてでありますけれども、県ではこれまで、台風や低気圧による波浪等によって漁港などに瓦れきが流入した場合には、漁業活動に支障を来すものですから、その際には、関係漁協等と緊密に連携しながら流入瓦れきを適切に処理してきたところでございます。このことについては、今後とも、波浪等により瓦れきが漁港等に再流入した場合には、関係する市町村とか漁協と協力しながら、適時適切に撤去及び処理作業を進めていくこととしております。
 それから、海中に堆積している瓦れきの関係でございますけれども、これにつきましても、震災直後から国の補助事業を活用しまして航路や漁場等におきまして実施してきておりまして、これについては、平成23年度までに一応おおむね完了ということで考えております。
 今後も、海中に堆積している瓦れきが潮の流れや低気圧等による波浪の影響によりまして漁場等に流入し、漁業活動の支障になることが懸念されますので、今年度におきましても漁場における撤去、処理のための事業の予算を措置しておりまして、必要に応じて適時適切に瓦れき等の処理を実施していくこととしております。
〇佐々木茂光委員 最後まで適正な水深をとりあえず確保して、それは非常に大切な磯資源ということになりますので、そこまでよろしくお願いしたいと思います。
〇工藤大輔委員 最初に、素材生産量についてお伺いしたいと思います。
 平成25年度の素材生産量は137万立方メートルとなっておりますが、今、合板工場、あとはバイオマス関係の大型工場等の立地により新たに必要量が大幅にふえるということが見通せますが、その数量についてお伺いしたいということと、木材資源の有効利用が一層進むということで喜ばしい一方、課題も生じてくると思います。どのように認識しているのかお伺いします。
〇菊池林業振興課総括課長 委員お話しの木質バイオマス発電や合板工場などによりまして、新たな木材需要は、平成27年度で約24万立方メートルと考えております。新たな需要ということでございますので、山からいっぱい木が出るということで、いろいろ木材を製材品ですとか合板ですとかチップですとかバイオマス燃料ですとかに余すことなく活用するという利用が図られますから、そういった面では、本県の豊富な森林資源の循環利用の点からはいいものではないかと考えております。
〇工藤大輔委員 いいことばかり話をされましたけれども、課題として、一つに、製材業者等の話を聞けば、木材の流通形態がどうなるのか、また、仕入れをする原木単価がどのように推移するかということを非常に注視しているというような状況にあります。それぞれの事業体に安定的に木材の供給体制が整うことが本来望ましい姿だと思いますので、その辺についての見解と調整の方向についてお伺いしたいということと、あとは、一層利用促進を進めるということからすれば、間伐材の利用を促進するということも考えられます。これまでも間伐材の利用促進については、計画も用いながら順次、実績を残しながら進んできていると思いますが、今回の大型工場等の進出によってどのような変化になってくるのかどうか。
 また、もう一方の課題である再造林もなかなか進まない、平成22年度と変わらないというような状況にあろうと思いますが、この再造林について、山の管理も含めてどのような対応を一層講じなければならないのか、その手法についてお伺いします。
〇菊池林業振興課総括課長 間伐材も含めまして、県産材を安定的かつ継続的に供給する体制の整備がますます必要になっておりまして、重要と考えております。県といたしましては、これまで、国や県内の素材生産団体などと連携しまして県産材の安定供給のための会議の開催を行いましたし、国の補助事業等を活用しまして、高性能林業機械の導入や木材の仕分けや一時的な保管を行うストックポイント整備などの支援のほか、先ほど申し上げましたが、さまざまな用途に余すことなく活用するカスケード利用を促進するための効率的な木材生産システムの構築などに取り組んでおります。
〇阿部森林整備課総括課長 間伐材の利用の件でございます。
 平成25年度の県内民有林における間伐材の生産量をまず御報告いたしますが、18万1、000立方メートルとなっております。そのうち37%の6万6、000立方メートルが利用されている状況にございます。そして、この6万6、000立方メートルの約6割が製材用という形で利用されておりますし、残りの4割が製紙用のパルプチップなどの原材料という形で利用されているところでございます。
 今後、新たな需要にどのように対応していくかということでございますが、これまで利用されてこなかった間伐材につきまして、施業の集約化、あるいは路網の整備を進めまして、高性能機械等を活用した低コストで効率的な作業システムを構築し、新たな需要にも対応できる供給体制を整備していく必要があると考えております。
 あと、再造林対策についてでございます。
 県では、再造林を促進するために、森林整備事業におきまして、補助要件である最低植栽本数を引き下げ苗木経費の軽減を可能にするとともに、活着性と植えつけ効率が高いコンテナ苗というものがございますが、これを補助対象として追加したほか、主伐から植栽までの作業を連続して行う一体的施業の普及など、再造林に要する経費の低減に取り組んできたところでございます。
 今後とも、人工林資源の再生が着実に図られるように、関係団体と連携しながら再造林の低コスト化などに取り組んでいく考えでございます。
〇工藤大輔委員 震災等の影響もあってそれでもなかなか進まないというのが現状で、やはり林業関係者の話を聞いても、順調に伸びていくかどうかといったときに、なかなかコストがかかるんだという声のほうが非常に大きいと思います。さらなる研究を進めていただきながら、再造林も含めて適正な山の管理をしていただきたいと思います。
 そこで、本県の木材の蓄積量、年間成長量といいますか、どのぐらいなのかをお示ししていただきたいと思います。
〇阿部森林整備課総括課長 県内の森林の年間成長量についてでございますが、民有林と国有林を合わせまして、平成25年は約407万立方メートルとなっております。
〇工藤大輔委員 407万立方メートルということになると、先ほどの、新たに24万立方メートルが平成25年度の素材生産量に追加されても161万立方メートルですから、数字上は帳尻が合うということだと思います。また、県内には針葉樹が圧倒的に多いですので、針葉樹と比べても恐らく間に合う量なんだろうと思いますので、余力はあるということで、より一層の利用促進に努めていただきたいと思いますし、広葉樹も守っていかなければならない大切な資源ですので、その辺もよろしくお願いしたいと思います。
 次に、県営の公共工事における木材の利用実績についてお伺いしたいんですが、昨日いただいた資料で、第3期計画分のところの公共施設と公共工事の利用実績の数字が、私、計算しても、第3期計画の実績のここに載っている数字と合わないんですけれども、その確認を先にしていただきたいと思います。
 その間に、次の項目の松くい虫の関係をお伺いしたいと思います。
 平成25年度の被害状況について、積雪や高温等ということもあって被害も拡大したと思いますが、その状況についてお伺いしたいと思いますし、今日まで対策を講じてきましたが、その効果はどのように出ているのかどうかお示しください。
〇漆原整備課長 松くい虫被害の状況についてでありますが、平成25年度の松くい虫被害は4万4、000立方メートルと、前年度に比べ4%の増加となりました。また、平成25年度に住田町、雫石町、滝沢市、九戸村、宮古市で初めて被害が確認され、被害市町村は18市町村となっております。
 次に、対策の効果についてでありますが、被害先端地域では、被害の北上を阻止するため、被害木の早期発見、被害木の徹底駆除に取り組んできたところでありますし、被害が蔓延している地域では、史跡、名勝等の公益性の高い松林を中心に、薬剤散布等による予防措置や感染源の駆除を実施するとともに、松林を松以外の樹種に置きかえる樹種転換を進めてきたところであります。
 こうした取り組みにより、一度被害が確認された釜石市、宮古市及び九戸村においては被害が定着しておらず、また、毛越寺や猊鼻渓など公益性の高い松林では、薬剤散布の予防措置により松林を主体とする景観が保全されるなど、効果があったものと考えているところであります。
〇菊池林業振興課総括課長 先ほど、数値の違いということで大変失礼しました。
 先ほど、工藤委員に資料提供させていただきましたのは、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進計画に基づきます実績の数字でございまして、今回、第4期が始まっておりますが、3期の取りまとめのときの途中結果数値を誤って最初にお渡ししておりまして、その後、お届けしました平成24年度実績の8、213立方メートル、平成25年度実績の4、687立方メートルが最終的な確定値でございます。
〇工藤大輔委員 先に数字を確認してほしいのでもう一度申し上げますが、平成22年の公共施設の数字が519立方メートル、平成23年は4万7、781立方メートル、平成24年は1、143立方メートル、平成25年は3、101立方メートルが確定だと。この資料が正しいですというふうにお伺いしました。これを単純に足すと5万2、465立方メートルになると思いますが、上の表では5万2、544立方メートルなんですよ。なので、その数字の計算がどうなのか。あわせて、公共工事も、平成22年、平成23年、平成24年、平成25年の合計が第3期計画の実績のところの数字と違うのではないかということで指摘したところでありますので、確認していただきたいと思います。
 松くい虫のほうに戻りたいと思いますが、県でもこれまで抵抗性アカマツの苗木の供給を進めていましたけれども、平成25年度は低調になっているようです。その要因は何なのかということと、松くい虫被害が拡大している中で、その供給するエリアなのか、あるいはどういった方針で、主体的にというか、限られて生産されるこの抵抗性アカマツ苗木を供給しようとしているのかお伺いします。
 また、被害が拡大しているにもかかわらず、被害木の駆除については約3、000立方メートル、計画から下回っているというのも実績値だと思いますが、その要因についてお示しください。
〇漆原整備課長 抵抗性アカマツ苗木についてでありますが、現在、県内において、将来的な松くい虫被害への懸念等からアカマツの造林が行われておらず、このため、抵抗性アカマツ苗木は県外にのみ供給されているところであります。
 県では、今後、県内の防潮林等への植栽が平成29年、平成30年の2カ年で14万本程度見込まれていることから、これに向けた抵抗性アカマツ苗木の供給体制を整備していくとともに、県内のアカマツ造林を希望する森林所有者に対し、確実に抵抗性苗木を供給してまいります。
 それから、駆除量の件についてでございますが、被害木の駆除については、当初、松くい虫等防除事業により、平成25年度、1万2、000立方メートルの駆除を計画しておりましたが、補助率が有利な森林整備加速化・林業再生基金事業等に振りかえて実施したことにより、松くい虫防除事業のみでありますと9、000立方メートル、合わせますと2万立方メートルほどの駆除を行ったところであります。
〇工藤大輔委員 今、抵抗性アカマツ苗木は県外に出しているという説明でしたよね。私、はっきりこれはわからなかったのでちょっとびっくりしたんですが、県内で生産している苗木が多く県外に出ているというのはどういうことかなと思うんです。何のために試験研究をしてきたのかなという思いと、あと、また、ここでも再造林が進んでいないということが示されてしまったと思うんです。せっかく研究し、そしてアカマツを守っていこう、そして抵抗性のものを開発したということが生かされないということは、非常に無駄というかもったいないというか、やはりもう一度これを考えながら、どう活用していくのか、そして、アカマツ被害を拡大させないための方法をもう一度、造林しやすい方法であったり、あとは使ってもらいやすい環境を早期に構築すべきだと思いますが、お伺いします。
〇阿部森林整備課総括課長 抵抗性アカマツ苗木が県外に出ているということでございますが、これは、実は震災の復興の関係で、宮城県の防潮林用に抵抗性の苗木が欲しいということで供給されたものでございます。そうした中で、県内では残念ながら、先ほど答弁させていただいたとおり、松くい虫被害への懸念等でなかなか造林が行われていないといった状況でございますが、やはりこの抵抗性アカマツ苗木の優位性を広くPRしながら再造林に努めてまいりたいと考えております。
〇菊池林業振興課総括課長 大変失礼しました。
 先ほど資料請求がありまして委員に差し上げまして、その後、大変恐縮ですが、数値の間違いがありまして、訂正を差し上げております。今のお話で、お手元にありますのはもしかすると古いほうの資料ではないかと思いますので、細かい数字のチェックになりますので、後刻、委員に御説明差し上げたいと思います。
〇工藤大輔委員 時間もなくなってきましたので、続けたいと思います。
 県営公共工事の利用実績が、震災の影響もあって第3期は大幅に県産木材が使用されたということですが、ただ、平成25年度の数字を見れば、公共工事はこれまでの10年間の中でも一番少ない数字となっております。担当課からすれば使ってくださいという形でお願いする立場が強いと思いますが、震災の影響、また、さらに私は、使っていい分野はもっとあるのではないかという思いを持っております。時間がないので、この件は指摘にし、次の機会に数字の確定も含めてお伺いしたいと思います。
 最後に、水産についてお伺いします。
 これまで、県境のラインの問題については、担当課の方々に非常に頑張っていただいて、青森県、岩手県、それと岩手県、宮城県のラインの解消について調整を進めていただきましたことは感謝したいと思います。
 そこでお伺いしますが、岩手、宮城両県における県境ラインの調整が進み協調操業が行われることとなりましたが、今後どのように進めるお考えでしょうか。また、その効果をどのように期待しているのかお伺いします。
 また、県内の市場に水揚げをしたい県外の漁船にももっと操業の許可を与えることが岩手県の水産業、市場の経営等に大きく寄与すると思いますが、与えるべきではないかと思いますが、今後の対応についてお伺いします。
〇山口漁業調整課長 岩手と宮城両県の県境の海域につきましては、過去に相互に管轄権を主張したために、平成6年度以降、お互いに許可を出し合う、いわゆる入会操業というのが途絶えております。このため、両県行政は、解決に向けまして漁業者間協議などを継続しまして、平成24年度に両県漁業許可証からお互いに主張していました境界線の表記を消去しまして、イサダ等を対象としました共同利用海域を設定しまして協調操業体制の確立に努めてまいりました。
 また、平成6年度以降途絶えていましたイカ釣り漁業の入会につきまして、ことし20年ぶりに相互入会を再開することといたしまして、今月末までに許可証の交付を行うというところまで来ております。
 両県漁船が相互に入会することによりまして、本県の魚市場への水揚げ増加につながるとともに、両県の漁業者が将来にわたりまして安心して操業できる環境が整えられると考えております。
 次に、許可枠の交付についてでございますけれども、県内の魚市場につきましては、水揚げ増強のために県外漁船の誘致に取り組んでおります。特にイカなどの水揚げ増強に当たっては、他県船への本県の許可枠の増加が一つの大きな効果的な手法であると認識しております。
 一方で、県外船への許可枠増加には、漁船の錯綜によります操業トラブルの防止や本県海域での操業ルールの維持などの観点から、本県漁業者、関係団体、関係漁業団体等との合意形成がまず必要であることから、今後とも、他県船の許可枠の要望を見きわめながら、関係漁業団体等との協議を行ってまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 シイタケ等特用林産振興対策事業費、原木シイタケのほだ場の落葉層の除去についてお話を伺いたいと思います。
 平成25年が7万5、000平米、平成26年9月30日現在で13万2、000平米と、全計画量の32.1%の完了ということでありますけれども、この事業は本年度末が完了の時期でありますが、この完了の見通しは立っているのか。また、計画量41万1、000平米に対しまして、生産者の希望の面積は確保できているのか伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 落葉層の除去でございますが、落葉層の除去は、出荷制限の解除に向けました必須の取り組みでありまして、関係市町、団体、生産者と連携して、平成26年度内に完了するよう進める考えでございます。
 なお、事業実施につきましては、関係市町が生産者の意向を十分に確認した上で行っておりますので、生産者の希望面積は確保されているものと認識しております。
〇佐々木朋和委員 これから雪の降ってくるところもありますので、ぜひとも完了に向けて進めていただきたいと思います。また、面積の確保については、生産者の現場のほうから、もともとほだ木1本に対してこのくらいの面積という割り当てがあったということで、現在は解消されているそうですが、その面積設定が少なかったのではないか、そのような意見もいただいているところでございます。ぜひ今後とも現場の意見を聞きながら事業の設定をしていただきたいと思います。
 次に、汚染乾燥シイタケ、また、汚染ほだ木の処理や保管対策について、現状はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 出荷制限等により販売できない干しシイタケは、平成26年8月末現在、約60トンが焼却処理されておりまして、現在のところ、系統団体の倉庫などに約100トンが一時保管されております。
 また、指標値を超過したほだ木は、平成26年8月末現在で約4、200トンが焼却処理されており、生産者のほだ場付近等に約2万4、000トンが一時保管されております。県では、これらの一時保管された干しシイタケやほだ木の最終処分が早期に進むよう関係市町に対して今後も要請するほか、シイタケの保管に要する経費につきましては、引き続き、原因者である東京電力に対して補償を求めていく考えでございます。
〇佐々木朋和委員 市町村に処理を要請するということでございましたが、なかなか地域によっては焼却まで至っていないところもあると思います。ぜひ、要請だけではなく、市町村と連携して行っていただきたいと思いますし、環境生活部とも連携して行っていただきたいと思います。
 次に、最近の報道で、新たに花巻市、北上市、山田町において出荷制限解除となった生産者が出てきたということで、大変明るいニュースだと思っております。今後の出荷制限解除の見込みはどのようになっているのか伺いたいと思いますし、出荷制限解除には、現物の生産物が基準値以下であることと同時に、チェックシートによる生産工程管理をしっかり行っていかなければならないところでございますが、その生産管理が現在どのように現場で行われているのか伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 まず、今後の出荷制限解除の見込みについてでございますが、出荷制限が指示されております13市町で、生産、出荷を希望する生産者は、シイタケが発生する段階、春と秋に出ますが、発生する段階で順次検査を実施し、検査結果をもとに、国と出荷制限の解除に向けて協議を行っていく考えであります。
 また、栽培管理チェックシートのお話でございますが、栽培管理チェックシートに基づく生産管理は、県内全ての生産者において必要な取り組みでありますので、今後も、現地の林業普及指導員を中心に、関係機関と連携し、説明会の開催や生産者の戸別訪問を行い、確実な取り組みを指導してまいります。
〇佐々木朋和委員 そのチェックシートでありますけれども、チェックシートでの管理と東電からの賠償の関係について、生産者の中には不安に思っている方も多いと聞いております。この生産管理を守った上で、それでも基準値を超えるシイタケが出てきてしまった場合、これが賠償の対象になるのか。国、東電とどのような協議を行っているのか伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 生産管理を実施した上で基準を超過した場合ということでございますが、国からは平成25年10月に通知が出されております。その内容でございますが、東京電力と調整したとして、栽培管理を実施してもなお食品の基準値を超過した場合は、その損害についても必要かつ合理的な範囲で賠償請求の対象とする、そのように明記されております。したがいまして、県では、国の通知に基づきまして、万が一基準値を超過した場合には、これまでと同様、速やかに賠償金が支払われるよう、系統団体と連携して東京電力に対応を求めていく考えでございます。
〇佐々木朋和委員 そのことについて、東電のほうは認めているんでしょうか。
〇菊池林業振興課総括課長 先ほどお話ししましたとおり、東京電力からも、必要かつ合理的な範囲で賠償請求に応じるというふうにお話を頂戴しております。
〇佐々木朋和委員 必要かつ合理的という文言が本当に当てはまるかというところで不安があるという声も伺っております。
 また、人工施設など、放射線を防除する取り組みについて賠償をもらうと、それについては基準を超えるシイタケが出てきたときに賠償の対象になるのかとか、そのような不安の声も出ております。これは、生産管理を行えば生産自粛が解除になる、出荷制限解除になると同時に、やはり生産管理を行っても放射性物質が出てきてしまったときには賠償になる、これが両方そろわないと再生産に向けて気持ちを切りかえていく生産者もなかなかふえていかないと思いますので、ぜひともこの点については、東電に改めて、この必要かつ合理的というところをしっかりと、生産者の方が不安にならないように生産者にも説明していただけるように言っていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、シイタケについてはこのように出荷制限解除も出てきているところでありますけれども、山菜や野生キノコの出荷制限解除については国とどのような協議を行っているのか伺いたいと思います。
〇菊池林業振興課総括課長 山菜や野生キノコの関係でございます。
 国の原子力災害対策本部では、山菜、野生キノコの出荷制限解除の条件としましては、野生のものは栽培のものと異なり管理が困難であることから、検査結果が安定して基準値を下回ることが確認できることが条件であるとされております。県では、出荷制限の対象となっております山菜や野生キノコにつきましては、平成25年度から放射性物質濃度の経年変化を調査している段階でございます。あわせて、解除に向けた具体的な検査方法などについて、現在、国と事前協議を進めております。
〇佐々木朋和委員 山菜、野生キノコについては、なかなか震災発災以来、具体的ないい兆しというのが見えていない状況であると思います。そのような中で、山菜、野生キノコというと、産直でおじいちゃん、おばあちゃんの楽しみで売っているみたいなイメージが強いと思うんですが、これをなりわいとしてやっている方も多くいますし、物によっては1、000万円規模で商売をやっている方もいると思います。ぜひともこの点についても県民の皆さんに見えるような取り組みをしていただきたいという思いをお伝えして終わりたいと思います。
〇城内愛彦委員 私からは、サケについてお伺いしたいと思います。サケ対策についてであります。
 平成25年度の種卵確保対策の内容と取り組み状況はどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 平成25年度の種卵確保対策についてでございます。
 平成23年、平成24年のサケの漁獲量は7、000トン台と震災前を大幅に下回りましたこと、また、平成25年度は震災年に放流された稚魚が一部帰ってくることから、卵をとるための採卵用の親魚の不足が非常に懸念されたところでございます。このため、県と関係団体が連携いたしまして、定置網で漁獲しましたサケの親魚を活用して卵をとるなど、全県的な種卵確保対策に取り組む体制を整えたところでございます。
 取り組みの結果といたしまして、一部の地域において定置網で漁獲したサケを親として活用したものの、大半は河川に遡上いたしましたサケを最大限利用することで必要な卵を確保いたしまして、目標としていた3億9、000万尾の稚魚を放流できたところでございます。
〇城内愛彦委員 次に、お伺いします。
 本年10月までの漁獲状況、サケはどうなっているか、また、今後の漁獲の見込みはどうなっているかということですが、ことしはちょうど震災の年のサケが帰ってくる年でありまして、しょっぱなは早期群の調子がよかったので、皆さん、このままいってくれればいいなという形で漁をされる方々は期待しておったんですが、ここに来て余り数字が伸びてこないようですが、その辺も含めてどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 サケ等の漁獲状況、今後の見通しについてでございます。
 10月10日現在の漁獲状況を見ますと、尾数で35万6、000尾、重量で1、046トン、ともに前年同期比の約140%となっております。今後の見込みといたしましては、震災のあった平成23年3月11日には、特に12月に入ってから採卵したサケの稚魚の大半がまだふ化場の飼育池の中にあって飼育中でございました。それと、それ以前に既に放流されていた稚魚も河川あるいは沿岸の近くで津波の影響を受けたことが考えられますので、今後、回帰する尾数は前年よりも大幅に減少する可能性が高いと捉えているところでございます。
〇城内愛彦委員 県のほうでも、今お話にあったとおり、低いほうが7、000トン台、高いほうが2万トン台の予想でありますけれども、ぜひ私は高いほうで来てくれればいいなと思っておるところであります。
 そこで、早期に施設の復旧はしてもらいました。冷蔵庫も立派なものが建って、いざこれから冷蔵庫に満タンになるように頑張ろうというやさきでありましたけれども、本年度のそういう状況の中にあって、種卵の確保はどのようになっていくか、その対応策。これは4年後のためにやる事業ですので、それをうまく組み合わせていかないと通常の漁獲につながらないという事業でありますので、やっぱり大事な事業だと思います。震災前から回帰率が悪かったという話がずっと出ていました。その対策も含めて、どういうことをやっているかをあわせてお伺いしたいと思います。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 まず、今年度の種卵の確保でございますが、震災の年に放流された稚魚が大きく主群となって帰ってまいります。その回帰尾数が大きく減少して、ふ化放流に向けた親魚の不足が非常に懸念されるところでございまして、平成25年度と同様に定置網で漁獲したサケを親魚として活用するほか、定置網の垣網の部分を短縮いたしまして、河川へ親魚が遡上するように促進することなどによりまして確実に種卵の確保をしていくこととしております。このため、県では、新たに親魚確保に必要な機器類の整備や定置網の垣網短縮に要する経費などについて、現在、支援することとしております。
 あわせて、各ふ化場では、健康な稚魚の育成を徹底することにしておりまして、これらの対策によりまして目標としている4億尾の稚魚放流の実現につなげて、将来にわたってサケ資源を維持していくようにしたいと考えております。
 それから、回帰率の低迷対策ということでございます。
 近年のサケの回帰率は、北海道から太平洋地域全体に共通した状況であります。地球温暖化の影響とか、あるいは大きな気候変動、太平洋の気候変動によるものと考えられておりますけれども、これまでの調査によりますと、放流してから、沿岸からオホーツク海に一旦入ります。そのオホーツク海に至るまでの稚魚の減耗が回帰率の低下の要因の一つだと考えられております。このため、県の水産技術センターにおきましては、関係機関との共同研究で、サケの稚魚の初期の生残と減耗の要因、これらの解明を今しているところでございます。
 そして、サケの稚魚の初期生残を高めるためには、何といっても健康な稚魚を育てて放流することが重要でありますので、私ども県といたしましても、関係者、関係機関と一緒になって、まずは整備されましたふ化場におきまして、一つ一つの飼育池ごとに適切な飼育管理、そして適切な時期、適切なサイズで放流することなどの徹底に取り組むこととしております。これらの取り組みを通じて、早期のサケ資源の回復を図っていきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 ことしの春先に宮古市の津軽石のふ化場を視察させていただきました。その際に説明を受けたんですけれども、今、サケの稚魚にバーコードを植えつけるというんですか、バーコードという表現をしていましたけれども、そういうことができるのか。また、そういう調査というのはどういうふうに反映させているのかも含めて、ちょっと詳しく、わかればお伺いしたいと思います。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 ただいまお話しになりました、耳の中に耳石というものがございます。その耳石に標識をつけるという試験研究をしているところでございます。温度を変えますと耳石に印がつきます。水温を変化させることによって一部黒くなったり、また、白くなったりとか、そういう色をつけることができます。これによって、例えば3本つければ岩手県のサケであるとか4本であれば北海道だとか、そういうふうな標識のつけ方で産地を区別することができるものでございます。
 ただ、やり始めてからまだ3年ぐらいですので、これから回帰してくるものの頭からその耳石を取り出して、これがどこの系統のものであるかというところは今後の調査に任せることになります。
〇城内愛彦委員 いずれ、本県の水産業を支える主力の魚種であります。ぜひこれはしっかりと、もとの数字に戻る、その上を行くぐらいの漁獲高になるように取り組んでいただきたいと思います。技監のほうから何かありましたら。
〇大村水産担当技監 サケは岩手県の魚にもなっておりますので、かつては7万トンもとれた時代もございます。そういった重要な魚でございますので、今後ともサケ資源をきっちり復活させていきたいと思っております。
〇高橋但馬副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後6時48分 休 憩
午後7時8分 再開
〇岩崎友一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇小西和子委員 事業別明細書261ページのいわての森林づくり県民税事業についてお伺いいたします。
 昨年度の実績についてお伺いします。
 いわての森林づくり県民税の税収、それから三つの事業がありますが、事業実績と、成果と課題についてお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税事業の実績についてでございます。
 まず平成25年度の税収は、7億7、200万円余となっております。
 次に、事業実績でございますが、いわて環境の森整備事業では、1、275ヘクタールの間伐を実施いたしました。また、県民参加の森林づくり促進事業につきましては、森林を守り育てる活動に27団体、延べ6、000人余りの県民の方々に参加いただいたほか、8市町村の公共施設等に県産材を使用したテーブルや木製遊具等を配置いたしました。いわて森のゼミナール推進事業では、小中学校22校の計601名の児童生徒を対象に森林学習会を行いましたほか、県内5地区で、森林づくり活動の指導者に対する研修会を実施したところです。
 成果と今後の課題でございますが、まず成果につきましては、いわて環境の森整備事業において、事業開始から平成25年度までの8年間では、ほぼ計画どおりの約1万1、900ヘクタールが整備され、森林環境の改善が図られたものと考えております。
 また、県内各地の住民団体やNPO団体が行う活動には、延べ179団体、3万6、000人が参加したほか、森林学習会等には延べ4、700人が参加するなど、学習機会の提供による森林、林業に関する理解醸成が進んでいるものと考えております。
 課題でございますが、第2期が終了いたします平成27年度末までに、いわて環境の森整備事業による整備目標の8、000ヘクタールを達成するため、引き続き、整備対象森林の確保と着実な森林整備が必要と考えております。
〇小西和子委員 いわての森林づくり県民税事業評価委員会でも提案があったと聞いておりますけれども、県民税で手入れをするとこうなるのだと、手入れをしない林はこのような形になるのだという、比較できる展示林を道路沿いにつくって、実際に見てもらうというのが説得力があると考えます。ホームページやパンフレットだけではなくて、ラジオとかテレビとか、メディアを活用して広報してみてはいかがでしょうか。
 次に移ります。県民参加の森林づくり促進事業についてですけれども、平成22年度との比較から昨年度の事業実績をどのように分析しているか伺います。
 まとめてお伺いします。
 今年度の実態と、事業を推進するための取り組みと課題についてもあわせてお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 まず平成25年度の県民参加の森林づくり促進事業の平成22年度との比較等でございます。
 平成25年度の事業実績は、実施団体35団体、6、157人の参加でございます。これに対して平成22年度は、実施団体35団体、参加人数7、704人となっており、実施団体数は変わりませんが、参加人数は1、547人の減となっております。参加人数は減となっておりますが、これは、東日本大震災津波の発災を踏まえ、平成27年度(後刻「平成23年度」と訂正)に事業を休止し、平成24年度から復活いたしました。平成24年度は5、058人にとどまっておりましたが、平成25年度は事業再開から2年目となり人数がふえまして、森林環境学習に対する機運が再び高まってきているものと考えております。
 次に、事業を推進するための取り組みと課題でございます。
 当事業は、住民等による森林整備等の森林を守り育てる活動や、森林への関心を高めるための森林を学び生かす活動など、県民みずからが、地域で主体的に取り組む活動等に支援しているところでございます。
 これまで、森林や林業にかかわりの薄い皆様方を含め、幅広く森林、林業に関心を寄せていただくことが課題と考えており、今後は、新たな団体等による実施が図られるよう、事業の周知、PRを積極的に行ってまいります。
 先ほど参加人数のところですが、私、事業休止を平成27年度と申し上げましたが、平成23年度でございます。失礼しました。
〇小西和子委員 新たな参加団体もふえるように取り組みをお願いいたします。
 それでは次に、いわての森林づくり県民税の認知度、これが課題だと私は捉えております。第2期は来年度で終了します。第3期に向け、常任委員会や事業評価委員会で協議をしていると聞いております。
 いわての森林づくり県民税の認知度は、平成22年の調査では4割程度、特にも、若い女性の認知度が低いと記憶しております。
 昨年度の認知度を高めるための取り組みと課題、それから、次年度までの認知度の目標を7割としておりますけれども、今後の取り組みと課題についてお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 認知度向上のためのこれまでの取り組みでございますが、これまでも県のホームページや、イベントを活用した事業の実施や成果の周知のほか、地域の皆様方が主体となって行う活動の支援に当たっては、このような事業を実施していますよ、県民税を活用した事業でありますよということを参加者に周知しております。また、公共スペースへ木製品の整備をするに当たりましては、県民税を活用したということを表示してPRに努めております。
 認知度向上のためには、森林、林業にかかわりの薄い方々―女性の方々と先ほどお話がありましたが―薄い方々へのPRが必要と考えておりますので、平成26年度は、いわての森林づくり普及啓発事業により、テレビやラジオ、新聞広告等の媒体によるPR活動に加えまして、フォーラムの開催など、広く県民の皆様に県民税の周知に取り組んでいきたいと考えております。
 なお、県民税に関する認知度の現状、目標7割というお話を御紹介いただきました。現在の認知度の現状を検証するために、平成26年度、今年度には、平成22年度に実施したものと同様のアンケート調査を行い、現在の認知度を含め、県民の皆様方の御意見を伺うこととしております。
〇小西和子委員 ぜひ、ゆるキャラのかんばつくんにも活躍していただきまして、テレビ等で何度も何度も出演してもらうとかしたらいいんじゃないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 事業評価委員会では、ほかの県ではこれだけきちっとやっているところはないと自負をしているとの御発言もあります。しっかり検証して、よりよい事業として第3期につないでいただくように要望いたします。
 では、最後に、木炭の振興について、ここもまとめて質問させていただきます。
 昨年度の木炭生産量と技術の伝承の取り組み、成果と課題についてまずお伺いします。
 それから、木炭の原料である広葉樹林をふやす取り組みと課題、現在の状況についてもお願いします。
 木炭の情報発信の取り組み、成果、課題。
 最後に、木炭に係る今年度の事業内容をまとめてお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 まず木炭生産量でございますが、平成25年度の木炭生産量は、林野庁速報値で3、575トン、全国に占める割合は約3割と、全国1位の生産量でございます。
 また、技術伝承の取り組み等でございますが、これまで岩手県木炭協会と連携いたしまして、製炭技術の普及指導を行う製炭技士15名を養成したところでございます。平成25年度は、木炭品評会の開催を通じた技術研さんなど、製炭技術の伝承、向上に取り組んできたところでございます。
 これらの取り組みによりまして、全国での生産量が減少している状況におきましても本県は木炭生産量を維持しておりますし、価格も上昇しているところでございます。
 成果と課題のところでございますが、一方、生産者の高齢化や後継者不足が進行しておりまして、高品質な木炭生産技術の継承と、担い手育成に向けた一層の取り組みが必要と考えております。
 次に、広葉樹林をふやす取り組みということでございます。本県は、全国的にも広葉樹資源に恵まれております。その資源を背景として、これまで木炭の生産振興に取り組んできたところでございます。
 一方、木炭の原料としては、利用適期を過ぎた天然広葉樹林が増加しております。森林整備事業を活用しまして、コナラの新規植林を行うほか、天然林を伐採し、残された根株からの新しい芽の発生により世代の交代を促す、いわゆる更新伐等を進めているところでございます。
 次に、木炭の情報発信の取り組みということでございます。県では、これまで、県北地方の木炭生産者で組織します北いわて木炭産業振興協議会や県北の市町村が構成員となっております日本一の炭の里づくり構想推進協議会と連携しまして、燃料問屋や大手焼き鳥チェーン店等への売り込みを行ってきました。
 また、岩手県木炭協会では、首都圏で開催されるアウトドアイベントや、県内で開催されます産業祭りなどに出展し、炭火焼きの実演や試食など、県産木炭のPRに努めているところでございます。
 こうした取り組みにより、インターネットや口コミなどを通じまして、県産木炭の品質の高さに対する消費者の理解が進んでおり、今後も、さらに多くの消費者から評価していただけるよう、団体などと連携して一層の情報発信に努めていく考えでございます。
 最後に、木炭に係る平成26年度の事業内容でございますが、県では、これまで、需要者ニーズに基づく販売展開を図るため、県北地方の北いわて木炭産業振興協議会が実施します大口需要者に対する聞き取り調査や、レジャー用少量包装商品の試作などの取り組みに対して、指導、助言を行ってきております。
 今年度は、この試作した商品のアンケート調査を実施したところでありまして、その結果をもとに、今後の商品化に向けた検討を行うこととしております。
 また、岩手県木炭協会では、これまで、岩手木炭の高い品質を維持するため、県内各地で製炭の技術指導などを行っており、今年度におきましても、全国からの需要の増加に応える生産体制を構築するため、生産者に対し、炭窯の設置、製炭、品質管理の技術指導などに取り組んでいるところでございます。
〇小西和子委員 木炭生産日本一ではありますけれども、採算性の低さが大きな問題だと私は捉えております。これが後継者不足にもつながっているのかと思っておりますが、南部鉄器の製造など県内産業とも強いつながりがある木炭であります。今後の木炭の振興についての支援を強く要望して終わります。
〇斉藤信委員 漁業の復興状況についてお聞きをします。幾つか質問がありましたから、形を変えてお聞きをします。
 稼働漁船数は1万467隻で、これは震災前と比べて73.2%、養殖施設の整備状況は1万7、329台で、これは65.4%ということでした。これは漁業者の実態にほぼ合った状況だということでしょうか。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 漁船につきましては、ほぼ漁業者のほうに行き渡っていると考えております。
 養殖施設につきましては、これも漁業者の皆さんがこれだけの施設が欲しいということで整備をさせていただいている数字でございます。
〇斉藤信委員 そうなれば、約3割から3割5分ぐらい、漁業者が減ったということになるんでしょう。これはこれで新しい課題だと私は思います。
 魚市場の水揚げも生産量で63.9%、生産額は87.3%ということで、生産量から見るとまだ6割台ちょっとということで、この現状についてどう受けとめていますか。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 平成25年度の水揚げ量そのものはかなり少なくなっておりますが、この要因といたしましては、まずサンマが非常に昨年少なかったと。平成24年度は3万トンであったのに対して、例えば平成25年度は2万5、000トンぐらいであったと、大幅に減少しております。こういうところが大きく影響していると考えております。
〇斉藤信委員 それで、ワカメ、コンブですけれども、ワカメは生産量が65.1%で、生産額が40.8%。コンブは生産量が58.9%で、生産額が57.2%ということで、生産量も戻っていないけれども、それ以上に生産額が落ち込んでいると。私、これでは、再生産がおぼつかない状況になっているのではないかと思いますが、ワカメ、コンブの対策を示してください。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 まず、生産量そのものの減少につきましては、特にワカメにつきましては、ことしの春先の水温の低下等が大きく影響いたしまして、減産したものと見ております。
 県漁連のほうから、当初、どれくらい生産できるのかということを聞いておりましたが、今の施設数であれば、震災前には戻らないにしても、ある程度、それに近い数量は戻るものと言っておりましたので、通常年であればそれくらいには生産が戻っていくのかなと。
 コンブについても、若干生産者そのものが減少しておりますので、ここも減少するのではないかとは見ておりますが、金額が減っておるのは、ワカメにつきましては単価が低迷しておると。これにつきましても、単価アップの方向に向けて、何とか生産者の方々の意向やら加工業者の考え方などをこれから聞いて対応してまいりたいと思っておりますし、コンブの単価につきましては、ここでは全体の金額が57%に落ちておりますが、震災前のほぼ97%の単価でございます。
〇斉藤信委員 秋サケの状況については、震災後の漁獲量、漁獲高を示してください。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 10月10日までの漁獲状況を今押えておりますが、昨年度の漁獲状況が712トン、これに対しまして今年度の漁獲量は1、046トン、147%となってございます。(「平成23年度、平成24年度、よく聞いて」と呼ぶ者あり)
 失礼いたしました。震災後の漁獲状況でございます。平成23年度が7、000トン、平成24年度が7、000トン、そして昨年度、平成25年度が1万4、000トンでございます。
〇斉藤信委員 答弁漏れがあるけれども、いいでしょう。
 わかりました。それと復興の問題では、漁港、防波堤の整備状況はどうなっているでしょうか。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 漁港、防波堤の整備状況についてですけれども、平成26年9月末までに、潮位にかかわらず陸揚げが可能な漁港は99漁港と、被災漁港数の9割を超える復旧状況となっておりまして、37漁港では復旧が完了しております。
 また、漁港の防波堤につきましては、漁船の安全な係留のために本格的な復旧工事に着手してきておりまして、55漁港で完了しております。
 今後とも、市町村や漁協等と緊密に連携しながら、平成27年度までに漁港施設の復旧完了を目指し、引き続き、漁港や防波堤の復旧、整備を推進してまいります。
〇斉藤信委員 水産加工業の復興状況はどうなっていますか。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 平成26年8月1日時点での被災事業所復興状況調査によりますと、水産加工業では、被災事業所の8割が事業を再開または一部再開しているところでございます。6割の事業所が、ほぼ震災前の状況に復旧したと回答されております。
〇斉藤信委員 まだまだ復興の途上だと思うので、担い手の確保や、そして水産加工業と漁業は一体だと思うので、この復興のためにさらに取り組んでいただきたい。
 次に、小型漁船漁業の実態と振興策についてお聞きをします。
 県内の小型漁船漁業の実態はどうなっているでしょうか。漁業者そして小型漁船漁業の生産額、生産量、生活実態はどう把握していますか。
〇山口漁業調整課長 小型漁船漁業の実態についてでございますが、漁業センサスによりますと、小型漁船漁業の経営体数ですが、震災前の平成20年に2、519経営体が、平成25年に2、087経営体になっております。
 小型漁船漁業のみの生産につきましては、データがございませんので把握しておりません。
 生活実態につきましても、そういうデータがございませんので、県としては把握しておりません。
〇斉藤信委員 漁船漁業主体の経営体の漁業所得水準というのをあなたから資料をもらって、平成22年を100とすれば、平成25年は74ということじゃないですか。答弁漏れだったんじゃないですか。まじめにやってください、まじめに。
〇山口漁業調整課長 申しわけありません。所得水準につきましては、国の調査によりまして、被災地の3県全体の数値は出ております。それを見ますと、今委員の御指摘のとおり、平成22年を100とした場合に、平成23年が55、平成24年が62、平成25年が74となっておりまして、ただ、本県の小型漁船経営体のみに特化した調査というのは、残念ながら行われておりませんでした。
〇斉藤信委員 ちゃんと通告して、資料ももらっているんだから、ちゃんと資料の性質を述べればいいのです。
 それで、小型漁船漁業の方々も漁船の確保に借金もして、そして生産量が減少して大変な状況の中で、私は岩手の漁業を支えていると思うけれども、この小型漁船漁業の県の振興策はどうなっていますか。
〇山口漁業調整課長 振興策についてでございますが、基本的に漁船漁業は天然資源を利用する産業であるということですので、その振興には、まず秩序ある操業ができる漁場を確保することが必要であります。県は、漁業調整、漁業許可の発行、漁業権免許の事務を適正に行うこと、そして漁業取り締まりによりまして漁業秩序を維持していくことが重要と考えています。
 また、小型漁船漁業は経営規模が小さくて、水揚げや魚価も不安定であります。資源管理・経営安定対策事業や漁業セーフティネット構築事業の導入を促進しまして、小型漁船漁業の経営の安定化を促進していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 9月30日に小型漁船漁業の方々が、サケの刺し網漁の許可を求めた申請を行っています。11月には第2次の申請も行おうとしているようでありますけれども、この小型漁船漁業者の許可申請に対して県はどう検討し、対応しようとしていますか。
〇山口漁業調整課長 御指摘のとおり、9月30日に、県内の漁業者38名から県に対しまして、固定式底刺し網漁業に係る漁業許可の内容変更申請の提出がございました。本変更申請は、許可証の制限または条件というところの禁止事項の変更に係る初めてのケースでございますので、現在、慎重に申請内容を審査しているところでございます。
〇斉藤信委員 これは海区漁業調整規則にもかかわるんだけれども、これは知事に対する許可申請ですから、県としてどう申請を受けとめ、そして海区漁業調整委員会での議論となるのか、それとも、それ以前にさまざまな利害調整にかかわりますから、漁業者間の話し合いや協議みたいなものが行われるのか、そのプロセスを今の段階で示してください。
〇山口漁業調整課長 申請は、県知事許可に係る変更申請でございますので、県知事の判断をいずれ行います。ただ、今回、一部の申請者の申請につきまして、書類の添付不足がございまして、それの補正を相手方に求めている、相談をしている最中でございます。それを待って申請の受理を行い、決定を下したいと思います。
〇斉藤信委員 そうすると、知事の判断でこれに対応するということですか。海区漁業調整規則の見直しというのが必要になってきますね。それは県が判断した上で、海区漁業調整委員会に提案するということなんですか。
〇山口漁業調整課長 県の判断というのは、申請内容についてよいか悪いかを判断させていただくということでございます。海区漁業調整委員会に求めるということではなくて、県の判断でやります。
〇斉藤信委員 わかりました。
 小型漁船漁業というのは1トンから20トン、これは漁船の8割を占めるんです。文字どおり、岩手の漁業を支えている、そういう人たちが大変今借金を抱えて船を確保し、しかし、魚がとれないと。特にこの時期、とる魚種がないというので大変苦しんでいるんです。私、小型漁船漁業をどういうふうに振興させるかという、これは県自身が一緒になって考えるべき問題だと思います。先ほど山口課長は、秩序ある操業と言っているけれども、秩序ある操業で規制されているわけです。借金したけれども、借金を返す当てもないと。私は一緒になって、小型漁船漁業はどうやったら成り立つのか、そのことをあなたたち自身が一緒になって考えなかったら、この問題は本当の意味で解決しないんだと思いますけれども、いかがですか。
〇山口漁業調整課長 小型漁船漁業の振興につきましては、県の重要な課題だと思っております。まずは経営安定等、対策を進めていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 中身のない答弁だったけれども、漁民の方々はこういうことも言っているわけですね。
 隣の宮城、青森では、サケを固定刺し網でとれるんだと。県境ですから、隣ではとられて岩手県内ではとれないということに、本当に矛盾と苦痛を感じているわけです。
 そしてもう一つ、宮城県と岩手県の違いを示してほしいんだけれども、宮城県は岩手よりサケの回帰率がいいじゃないかと。これは固定刺し網で宮城県の場合には―例えばこれは平成22年、平成25年で示してほしいんだけれども、漁獲量が幾らで、そのうち刺し網でどのぐらいとっているのか、サケの回帰率はどうなのか、岩手と比べてどうなっているのか、このことを示してくれませんか。
〇山口漁業調整課長 まず、岩手と宮城のサケの漁獲でございますけれども、平成22年、岩手県の漁獲尾数でございますけれども、約500万尾が岩手県に帰ってきております。また、そのうち、定置で470万尾余を漁獲しております。一方、宮城県は165万尾余を漁獲しておりまして、そのうち約100万尾余を定置で確保し、刺し網で約53万尾を確保しております。
 平成25年になりますと、漁獲尾数で、岩手県で合計470万尾余でございまして、そのうち435万尾余を定置網で漁獲しております。一方、宮城県につきましては、220万尾余を合計で漁獲しまして、定置網で162万尾余、刺し網で55万尾余を確保しております。
 宮城県の回帰率はちょっと把握しておりませんが、岩手県では約1.3%程度となっております。
〇斉藤信委員 今、単純に比較すると、岩手県は、平成22年は507万尾、そして平成25年が476万尾に若干減ったと。宮城県は165万尾が221万尾にふえているんですね。そのうち、55万尾は刺し網でとっていると。岩手の場合は定置が主力だということがあるけれども、宮城は、ある意味でいけば刺し網でとってもサケはふえているんじゃないかと。刺し網でとれば減るということにならないのではないかと、こういうデータになるわけですが、そういう検討はしていますか。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 漁法別に、どういう漁法にすればどういう資源への影響があるかという検討は、現在しておりません。
〇斉藤信委員 漁民の切実な願いに応えるためには、漁民が感じている疑問や意見にしっかり耳を傾けて、科学的にきちんと答えていくと。合理的なものについては受けとめていくと、私はそのことが大事だと思いますよ。大変難しい問題ではあるけれども、本当に私は岩手県の漁業を支えているこういう方々の経営が成り立ってこそ、岩手の漁業も水産加工業もうまくいくわけだから、そういう取り組みをきちっと県としてやっていただきたい。
 最後です。県産材の活用状況、木質バイオマスの取り組みについて。
 県産材活用100%というのが実績報告書であるんだけれども、県産材はどこにどのように使われているか。
 あと、木質バイオマス、この間チップボイラーがことしはかなり普及したという報道もありました。木質バイオマスの取り組みはどういうふうに進んでいるのか、今後の見通しを含めて示してください。
〇菊池林業振興課総括課長 まず、県産材でございます。公共事業や民間事業で使われておりますが、公共事業におきましては、例えば住田町や紫波町の役場庁舎など、地域の木材を活用した建築物が注目を集めており、県営施設でも、花巻農業高等学校の校舎ですとか、農業研究センターの南部園芸研究室の庁舎などで活用されております。
 木質バイオマスでございますが、取り組みにつきまして申し上げますと、平成25年度でありますと、木質バイオマス発電施設や木質燃料ボイラーですとか、燃料生産施設の整備を支援しております。また、利用拡大ということでございまして、整備を検討しております事業体が多いわけでございますが、木質バイオマスコーディネーターという名前で、学識経験者や高い技術を持った方々をお願いしまして、技術指導に行っていただいて大変好評を得ております。また、燃料の安定供給が大事でございますので、合意形成のために、材がここからここに出るというのをきちんと把握してコントロールしないとうまくいきませんので、そのための会議などを県として主催して対応してございます。
〇斉藤信委員 これで最後の最後です。
 災害公営住宅も1、100戸程度木造でつくられるんです。ところが、例えば大槌も頑張っているんだけれども、ミサワホームとか大手なんですね。これは県産材の活用になっているのか。今後1、100戸というとかなりの数です。もう一つは、被災者の住宅再建もこれから8、000の規模で、うまくいけば、私はそういう県産材の供給能力、供給体制はあるのか、このことを最後に聞いて終わります。
〇菊池林業振興課総括課長 委員おっしゃるとおり、公共施設、災害公営住宅、復興住宅などで、大分木材の利用が今後進みます。私も現場にいろいろ足を運びますが、岩手県には、例えばプレカット工場ですとか合板工場の大きな工場もございますので、根太を見たり柱を見たりするとマークがしてあるんですが、思いのほかと言ったらあれですが、使われております。大手のハウスメーカーが入っておるわけですが、要するに、大手のハウスメーカーがどことやりとりをして材を確保するかということで、岩手県は森林、林業県でありますから、材の出し手であるわけで、当然、岩手県でハウスメーカーが建てるときも、岩手の材を使わざるを得ないというわけではないんですが、やりとりがありますけれども、岩手の材をちゃんとカウントして設計なり施工なりをしておると聞いております。
〇五日市技術参事兼水産振興課総括課長 先ほどは申しわけございません。答弁漏れがございました。
 サケの震災前の漁獲量でございますが、平成20年度が2万4、000トン、平成21年度が2万5、000トン、平成22年度が1万7、000トンでございます。失礼いたしました。
〇吉田敬子委員 重複した部分は割愛しながら、またまとめて質問させていただきます。
 治山事業、地すべり防止事業についてお伺いいたします。これまでの取り組みでどのくらいの成果があるのか。
 去年は岩手県だと8月、9月、大雨災害があったり、全国的にも自然災害が多数発生しておりますが、この事業によって山地災害防止機能が確保された集落数はどのくらいなのか。実際、目標値が設定されているんですけれども、本来、県として危険だと認識している箇所は、私はもうちょっと多くあるのではないかと思っているんですが、その件に関してもお伺いいたします。
〇伊藤森林保全課総括課長 いわて県民計画におきます平成23年度から平成26年度までの計画目標は259地区となっておりますが、平成25年度までの工事実績は146地区となったところでございます。
 また、平成25年度における計画目標58地区に対しまして40地区(後刻「45地区」と訂正)の実績であったということから、県民計画における達成度はCとなったところでございますが、これにつきましては、平成25年7月から9月に県内陸南部を中心に発生いたしました大雨や台風災害への対応など、計画した13地区が平成26年度へ繰り越しになったことによるものでございます。
 山地災害防止機能が確保された集落についてでございますが、林野庁が定める要領に基づき判定された区域において必要な治山施設が完成したことにより、下流域で山地災害防止機能が確保された集落のことを山地災害防止機能が確保された集落と言っておりまして、国の治山事業の推進の指標となっているものでございます。
 本県の山地災害防止機能の確保が必要な集落数は県全体で3、833区域あり、このうち、平成25年度までに事業が完了した932区域に加え、これまで1、147区域に着手しており、着手率は約54%となっているものでございます。
〇吉田敬子委員 まだ着手率54%ということで、本当に最近自然災害が多いですが、私はこの治山事業、地すべり防止事業というのは本当に大事なものだと思っておりますので、引き続き、積極的に取り組んでいくことを要望いたします。
 次に参ります。再造林事業についてお伺いいたしますが、先ほど工藤大輔委員からありましたので割愛いたします。ただ一つ、県産材だとか間伐材の活用というのがどんどん進んでいて、積極的にやっていただいているのは大変評価しますが、再造林が一緒についていかないと、どんどん切っていくだけで、何も残らないような状況にいつかまたなってしまわないように、この再造林低コスト化を県で進めているんですが、もっと積極的に再造林が同時進行でできるようにぜひ強くお願いしたいと思います。
 再造林と路網開設整備というのが、これから森林、林業施策で、岩手県で大事だと思っているんですけれども、その路網整備の重要性については、森林、林業施策の中で県としてはどのように位置づけているのかお伺いいたします。
 あわせて、民有林と国有林が混ざっているところだと、一緒に路網整備をしたほうが、コストも減りますし有効だということを文書でも読みました。あと、議員連盟で飛騨高山に勉強で行った際にも、同じように、民有林、国有林の森林共同施業団地というのを推進していまして、実際岩手県でも、今紫波町初め八幡平市、二戸市の各地域で8カ所と私は認識しているんですが、その効果を県ではどのように認識しているかお伺いいたします。
〇阿部森林整備課総括課長 路網整備への認識でございます。路網整備は、森林施業を効果的に行うためには、最も重要な生産基盤であると考えております。市町村森林整備計画で定められた路網整備等推進区域というのがございます。こういったところを中心に、重点的に整備をしていく考えでございます。
 また、森林共同施業団地についてでございますが、国有林に隣接する民有林において、国有林と一体となった森林共同施業団地を設定することによりまして、まず、効率的な路網の整備ができる、あとは、森林施業の低コスト化が図られると、そして、そこから計画的、安定的な木材供給ができると、そういったような効果が期待できると認識しております。
 県といたしましては、引き続き、民国連携による森林共同施業団地の設定を支援してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ぜひ再造林等を含め、この路網整備を、私も民有林と国有林を一緒にやっていくことで、低コスト化、効率化が図られると思いますので、紫波町でやっているようなところをモデルとして、全県で広がるような取り組みをお願いしたいと思います。
 最後に、いわての森林づくり県民税についてお伺いいたしますが、先ほど小西委員から質疑がありました。その中で、新たな団体の参加をこれからも図っていきたい、認知度を上げていきたいということでした。私も実際に、平成18年から始めてもう8年間やっている中で、認知度が相当低いと思っております。県民税、1人1、000円いただいているのは全国でも大きい額になっていて、他県は400円とか500円という環境税、森林税があるんですが、1、000円いただいているということを県民の皆さんに認知してもらうことで、もっと森林整備も、県の皆さんも後押しされて頑張っていただけると思いますので、その部分をもっと積極的にやっていただきたいと思っているんですが、その事業評価委員会からは、具体的にどのような意見が出ているかお伺いいたします。
〇菊池林業振興課総括課長 認識度アップということで、評価委員会からどのような意見かということでございます。
 評価委員会の中でも、認知度割合が低いのではないかと、県民税を知っている人はなかなか周りにいませんよという話が実はあります。先ほど小西委員のお話もありましたが、前回の県民アンケート、平成22年にやったときは、知っていますという方が4割でありました。なかなか厳しい数字で、委員お話のとおり、1人1、000円いただいておりまして、これは最高額、都道府県では1、200円というところがありまして、岩手県は2番目に高いわけであります。せっかくいただいておるんですから、そこら辺をちゃんとみんなにわかっていただいて、さらにそれを力として森林づくりの普及ですとか、そういったものに県民の方々のパワーをいただくという意味でも、普及啓発、認知度アップに取り組みたいと思っておりまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、テレビですとかラジオですとか、そういった情報発信に今後取り組むこととしております。
〇吉田敬子委員 ぜひ、これから県民の方一人一人の認知度を上げることが大事だと思っています。あともう一つ、県民参加の部分の事業の工夫の仕方というのがもう少しあるのかなと思っておりまして、例えば長野県でも森林税を取っているんですが、事業評価委員会のほかに県民会議を年三、四回やっていまして、これは県民の皆さんが参加できるものですし、地域会議が年間で10カ所、盛岡だけではなく沿岸、県北、県南に歩いてちゃんと森林税がどうやって使われているかという発表会をやっていますし、そういったものを取り入れていくのも大事かなと思っております。
 また、先週、平泉町で、世界遺産平泉から始める、里山を、地域みんなで再生していく森林プロジェクトというのに参加したんですが、平泉町も、平泉の森というのを再生していきたいというお話を伺いまして、市町村とは言わないんですけれども、各地域でモデル的な森というのを設定すると、多分、県民の皆さんがもっと参画しやすいものになるのかなと。浄法寺の森もつくっていきたいという話も、実際、漆をやっている方々に言われましたので、そういったところに県民税が使われると、もっと目に見えて県民の皆さんにわかるような事業になるかと思いますので、ぜひ、いわての森林づくり県民税はもっと工夫をしていただきたいと思っておりますが、最後に、部長の答弁をいただいて終わりたいと思います。
〇小原農林水産部長 森林づくり県民税、これは貴重な税金としていただいている以上、県民に対する、また逆に説明責任もあろうかと思っております。その意味では、周知、事業効果を高める意味で、これについては今後さらに努めてまいりたいと思っています。
 さらに、県民参加の件でございますが、これも多くの県民が自主的に参加するということで、県民を挙げて取り組むという意識醸成にもつながるものと考えております。これらにつきましては、事業の拡大、推進については、今の御提言を踏まえまして、さらに検討させていただきたいと存じます。
〇伊藤森林保全課総括課長 先ほどの説明で訂正させていただきます。
 平成25年度における計画目標58地区に対しまして、先ほど40地区の実績と申し上げましたが、正しくは45地区でございます。訂正いたします。
〇岩崎友一委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 農林水産部の皆さんはお疲れさまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後7時57分 散 会

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