平成26年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成26年10月14日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 杉  村     孝
議事調査課
総括課長 高  橋  勝  重
議事管理担当課長 渡  辺  謙  一
主任主査 清  川     勝
主任主査 村  上     聡
主任主査 藤  澤  壮  仁
主査 藤  枝     修
主査 田  内  慎  也
主査 菊  地  友  和
1説明員
知事 達  増  拓  也
副知事 千  葉  茂  樹
会計管理者 菅  原  和  弘
出納指導監 田  中  耕  平

秘書広報室長 東大野 潤 一

総務部長 小田島 智 弥
総務部副部長兼
総務室長 佐 藤   博
財政課総括課長 五月女 有 良

政策地域部長 齋 藤 淳 夫
政策地域部副部長
兼政策推進室長 大 平   尚
政策地域部副部長
兼地域振興室長 菊 池   哲

環境生活企画室
企画課長 工 藤 啓一郎

保健福祉企画室
企画課長 伊 藤 信 一

商工企画室
企画課長 永 井 榮 一
商工企画室
管理課長 高 橋 雅 彦

農林水産企画室
企画課長 藤 代 克 彦

県土整備企画室
企画課長 佐 藤 隆 浩

復興局長 中 村 一 郎
復興局副局長 大 友 宏 司

国体・障がい者
スポーツ大会局
総務課総括課長 小 友 善 衛

経営管理課
総括課長 小 原   勝

教育企画室
企画課長 蛇 口 秀 人

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 菊 池   寛
監査第一課
総括課長 佐 藤 和 彦
監査第二課
総括課長 豊 岡 直 人

財政課総括課長 五月女 有 良
〇杉村議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、佐々木大和委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 佐々木大和委員、どうぞ委員長席に御移動をお願いいたします。
〔年長委員佐々木大和君委員長席に着く〕
〇佐々木大和年長委員 ただいま御紹介されました佐々木大和であります。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、直ちに決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長の互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法については、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に岩崎友一君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した岩崎友一君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました岩崎友一君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました岩崎友一君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 岩崎友一委員長、委員長席にお着き願います。
〔決算特別委員長岩崎友一君委員長席に着く〕
〇岩崎友一委員長 ただいま委員各位の御推挙により、決算特別委員長に御指名いただきまして、大変光栄に存じております。
 委員各位の御協力によって責務を全うしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に高橋但馬君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した高橋但馬君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました高橋但馬君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました高橋但馬君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 高橋但馬副委員長、御挨拶をお願いします。
〇高橋但馬副委員長 ただいま副委員長に選出いただきましてまことにありがとうございます。
 委員長を補佐しまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇岩崎友一委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案3件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から17日まで、及び20日から23日までの7日間は、会計管理者及び関係部長等の出席を求め質疑を行うこととし、決算15件及び議案3件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月23日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、7日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、及び議案第37号から議案第39号までの以上18件を一括議題といたします。
 これより会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇菅原会計管理者 それでは、私から平成25年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に平成25年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしてございます。
 まず、決算の概況につきまして、便宜、平成25年度歳入歳出決算説明書に基づき御説明させていただきます。
 それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。歳入歳出決算説明書は、厚さ3ミリ程度の背表紙が印字されておりますものでございます。第1平成25年度歳入歳出決算の概況、1決算の状況についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る取り組みを重点的に進めるとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進するために編成された平成25年度歳入歳出予算に係る決算の状況は、次のとおりであります。
 まず、平成25年度一般会計当初予算は、いわて復興加速予算として1兆1、517億237万円が措置され、前年度の当初予算に比べまして333億7、281万円、3%の増となっております。
 また、この当初予算に、6月補正予算以降において、国の経済対策や台風、大雨被害等へ対応するための経費が措置された一方、災害廃棄物処理費用の精査などにより、410億8、799万円の減額補正が行われたところでございます。これに前年度からの繰越額2、390億5、836万円を加えた結果、最終予算額は1兆3、496億7、274万円となり、前年度に比べますと883億7、808万円、6.1%の減となったものであります。
 次に、この予算に対する決算についてでありますが、歳入につきましては、恐れ入りますが、46ページ及び47ページをお開き願います。第2表一般会計歳入決算状況の表の合計欄をごらん願います。
 まず、平成25年度の収入済額(A)は1兆1、580億2、385万円余で、前年度と比べますと、表の右側(A)-(B)の欄でございますが、592億1、453万円余、4.9%減少し、収入率は、予算現額に対して85.8%、調定額に対して97.9%となっております。
 なお、収入未済額は247億3、408万円余で、前年度に比べまして24億4、355万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは諸収入でございます。
 次に、歳出についてでありますが、少し飛びまして、54ページ及び55ページをお開き願います。第7表一般会計歳出決算状況の表の合計欄をごらん願います。
 平成25年度の支出済額(A)は1兆584億1、382万円余で、前年度に比べまして487億9、272万円、4.4%減少し、執行率は、予算現額に対して78.4%となっております。また、翌年度繰越額は2、193億9、433万円余で、前年度に比べまして196億6、403万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは災害復旧費であります。
 なお、不用額は718億6、458万円余で、前年度に比べまして199億2、132万円余減少しております。
 次に、実質収支の状況についてでありますが、少し戻っていただきまして、44ページ及び45ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、上の段の一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入決算額は1兆1、580億2、385万円余、歳出決算額は1兆584億1、382万円余であり、歳入歳出差引額(A)は996億1、003万円余となったものであります。
 また、歳入歳出差引額(A)から翌年度へ繰り越すべき財源(B)734億4、974万円余を差し引いた実質収支額(C)は261億6、029万円余の黒字となっております。
 次に、一般会計の決算の特色についてでありますが、いま一度1ページをお開き願います。1ページにお戻りを願います。中段の2決算の特色をごらん願います。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、地方交付税、国庫支出金、繰入金等の減少により、前年度を592億1、454万円、4.9%下回り、歳出におきましては、総務費、民生費、労働費等の減少により、前年度を487億9、272万円、4.4%下回ったものであります。
 第2には、自主財源が増加したことであります。県税が前年度に比べ17億690万円、1.6%増加したほか、諸収入、繰越金等が増加したことにより、自主財源が前年度に比べ212億6、479万円、4%増加しております。このため、歳入総額に占める自主財源の構成割合は48.2%となり、前年度に比べ4.1ポイント増加しております。
 第3には、投資的経費が増加したことであります。投資的経費は、本格的な復旧に着手した漁港施設等に係る災害復旧事業費の増加により、前年度に比べ498億4、039万円、17.5%増加しております。これにより、歳出総額に占める投資的経費の構成割合は31.7%と、前年度に比べ5.9ポイント増加し、義務的経費の29.4%を上回ったものであります。
 第4には、衛生費が大幅に増加したことであります。衛生費は、災害廃棄物緊急処理支援事業費の増加により、前年度に比べ254億4、176万円、31.2%と大幅に増加し、決算額は1、070億4、440万円となっております。
 第5には、県債発行額、県債残高がともに減少したことであります。県債発行額は土木債の減などにより、前年度に比べ38億2、422万円、4.2%減少しております。また、平成25年度末の県債残高は1兆4、265億1、893万円となり、前年度に比べ201億7、795万円、1.4%減少しております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。少し飛びまして、35ページをお開き願います。第3特別会計の決算状況をごらん願います。中ほどの特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入総額は2、570億825万円余であり、前年度に比べまして134億576万円余の増となりましたが、その主なものは、公債管理特別会計の増などであります。また、歳出総額は2、480億8、167万円余であり、前年度に比べまして133億4、386万円余の増となりましたが、その主なものは、公債管理特別会計の増などであります。
 なお、実質収支は、各会計とも黒字または収支均衡となっております。
 以上で決算の概要説明とさせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることになっております
 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでございます。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。
〇岩崎友一委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、自由民主クラブが29分、次に、いわて県民クラブが23分、次に、希望・みらいフォーラムが23分、次に、民主党が17分、次に、社民党が11分、次に、日本共産党が9分、次に、一山会が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途とすることにしたいと思いますので、御協力をお願いします。
 これより総括質疑に入ります。工藤勝子委員。
〔工藤勝子委員質問者席に着く〕
〇工藤勝子委員 自由民主クラブの工藤勝子でございます。会派を代表いたしまして総括質疑を行いますので、よろしくお願いいたします。
 質問に入ります前に、広島市において発生した8月の豪雨土砂災害、また、御嶽山の突然の噴火によって、また、台風18号によってお亡くなりになられました皆様にお悔やみを申し上げますとともに、今進行中でありますけれども、台風19号の被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。
 それでは、平成25年度決算審議が始まるわけですが、まず、知事にお伺いいたします。
 達増知事が就任されて7年が経過いたします。その間、岩手・宮城内陸地震、岩手北部地震、そして未曾有の東日本大震災が発生し、その後も大雪、大雨、台風被害など自然災害が多く、知事にとりましても非常に苦しい、厳しい、心身ともに心労の連続であったと思います。その中で、県職員は、復旧、復興に向けて日夜努力するとともに、政策の立案や事業実施、県民サービス等に対して奮闘されておりますが、知事は、職員をどう評価されていらっしゃるのでしょうか。また、どう指導力を発揮されているのかお伺いいたします。
〇達増知事 東日本大震災津波を初め、近年、多発している自然災害からの復旧、復興のほか、いわて県民計画に基づく各般の取り組みに対してさまざまな創意と工夫を積み重ねながら、懸命に対応してきていると認識しています。特にも、東日本大震災津波からの復旧、復興に関しては、職員の尽力により、被災地の復興は順調に、着実に進んでおり、県組織全体の底力が高まってきているものと考えております。
 次に、指導力の発揮についてでありますが、最近では、復興とはふるさとを消滅させないことであり、住みたい、働きたい、帰りたいと思える地域づくりを進め、人口減少に歯どめをかける必要があるという認識のもと、人口問題対策本部を立ち上げ、全庁を挙げて検討を進めているところであります。
 こうしたミッションを庁議や部課長研修、また職員との意見交換の場などさまざまな機会を通じて職員と共有し、一体となって遂行することによって、復興とその先にある希望郷いわてを、より確かなものとしていきたいと思います。
〇工藤勝子委員 そういう中で、職員の方々も、一生懸命知事が底力を発揮しているという形で評価されていると思っておりますが、その中で、知事独自の指導力を発揮されながら、職員の方々の健康管理も含めて、今後ともまだまだ復興がございますので、進まなければなりませんので、ぜひ、大きな指導力を発揮していただきたいと御期待をしているところでもあります。
 政府も県も、若者と女性が活躍できる社会の構築を目指しているわけでございますが、今後、県における女性の職員への期待、また、部長、課長等における登用のあり方についてお伺いいたします。
〇達増知事 県職員には、男女を問わず、職務遂行能力や政策形成能力等が求められますことから、職員育成ビジョンに基づいて各種の研修を実施するとともに、多様な業務を経験させ、職員の育成を行ってきたところであります。こうした取り組みと女性職員採用数の増加も相まって、女性の管理監督者が着実に増加してきています。
 今後においても、業績と意欲、能力等を評価し、そして適材適所の考え方で、管理監督者への女性の登用を図ってまいります。
〇工藤勝子委員 知事に所感を求めますけれども、県の職場というのは、働きやすい環境になっているんでしょうか。その辺のところをお伺いいたします。
 議員会館から見ると、かなり夜遅くまで電気がついている状況が見えます。そういう環境の中で、今後、県の職員の方々、女性の職員にも子育てや介護にかかわる人たちもあると思うんですけれども、そういう職員の環境をどう今後考えていこうとしているのか、所感をお伺いいたします。
〇達増知事 総じて県職員の職場環境は、ほかのいろいろな職場と比べても、大変恵まれているほうだとは思いますけれども、しかし、ミッションの高さ、あるいは御質問いただいた災害対応等の過酷さ、そうしたことから、非常に職務環境も厳しくなることもございます。また、公務のチームとして働いていく中で、お互いに対する尊敬と理解というものをそれぞれがしっかり持っていないと、問題が発生したりすることもあると。そういう意味では、常に職場をよくするようにしていく努力というものをお互いがすることが必要で、私も含めまして、県職員一同、職場の働きやすさというものをそれぞれが工夫、努力しながら、県民にきちんと応える仕事をしていくようにしてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 県の職場というのは、県内各企業とは違うわけですけれども、モデルにならなければならないのではないかと思っております。ミッションの高さという意味はちょっと私も理解できないんですけれども、職員は緊張感を持って、また、プレッシャーの中で大きな仕事をされているのではないかと思っております。
 知事が就任されて7回目の決算審議となります。6年間で4回の決算不認定となり、ここ2年連続の不認定でもあります。不認定には法的拘束力はありませんが、県の予算執行に対し、県民の厳しい視線が、県にもまた議会にも向けられていると思っております。不適切事務処理問題で二度の不認定、その後も花泉診療センター、緊急雇用創出事業によるNPO大雪りばぁねっと。等の問題が続き、改善が見られておりません。議会が提出した決議においても進展が見られませんし、今年度も、DIOジャパンに関連するコールセンターの問題も発生しております。知事のリーダーシップに疑問を感じざるを得ませんが、どのように受けとめているのかお伺いいたします。
〇達増知事 ミッションの高さということがわかりにくいということで、大変失礼をいたしました。県民を守るという、守るべき県民の一人一人のかけがえのなさ、それが県としてのミッションの高さにつながっているという意味で申し上げたものであります。
 県政の推進に当たりましては、決算の不認定に関連して議会で指摘された各事案の内容等を踏まえ、事務処理の適正化等に努めております。
 今年度においては、補助、委託事業の適正執行を図るための組織体制を新たに整備するとともに、内部管理体制の強化や事務処理マニュアルの策定を行うなど、再発防止の徹底に取り組んでまいりました。
 また、DIOジャパンの事案につきましても影響を最小限にとどめるよう、離職者の再就職支援などに全力を挙げているところであります。
 今後とも、議会での御指摘を真摯に受けとめながら、県民から信頼される県政運営に努めてまいります。
〇工藤勝子委員 ぜひ、今度の平成25年度の決算は認定になるように、今後の部局の審査におきましては、それぞれがしっかりと答弁をしていただくように、私のほうからも提案しておきたいと思っております。
 先般の知事定例記者会見におきまして、知事は、決算の認定というのは、数字の正確さを認定していただくと話されておりますが、数字の正確さは当たり前のことであります。数字に間違いがあったらとんでもないことであります。議会の決算審議をどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
〇達増知事 さきの会見では、決算書の適正さということについて言及したものでありまして、あわせて、決算を研究や仕事に生かされ、生活にも役立つものとしてオール岩手で力を合わせてつくり、県民にお示しするのが決算の目的ということも述べたところであります。
 会見でも述べましたけれども、平成25年度決算は、監査委員にもきちんと審査いただき、内容的にも問題ないとされたものでありますので、ぜひ議会においても認定いただきたいという趣旨で申し上げたものでありますので、御理解いただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 こういう発言に対して疑問を感じざるを得ないわけでありますけれども、数字もさることながら、計画された復興事業や希望郷いわての事業がどう進捗され、完了しているのか等、チェック機能の役割を果たしていくことが、私たち議員の仕事だと思っておりますし、県民の声を県政に反映させる、また、市町村との連携などいろいろと議員としての仕事が、役割があると思っておりますが、議員の役割を知事はどう思っているのか、所感をお伺いいたします。
〇達増知事 議員お一人お一人、それぞれの信念に基づいて議会での活動をされているものと思いますし、また、政党会派それぞれによって、議員がどのような仕事をしていくべきかということについては、それぞれ自由に活動されていると認識しております。知事の立場から、そのような議員の皆さん全てに当てはまるような、議員かくあるべしということを言うのはおこがましいと思っておりますので、地方自治法の規定にある県議会議員の役割をしっかり果たし県民の負託に応えるよう、それぞれが自由に活動されることが期待されていると思います。
〇工藤勝子委員 私たち議員も、しっかりと県政のいろんな課題に目を向けながら、こういう決算審議にしっかりと数字的にも事業的にも目を向けながら、私たちも提案をしていかなければならないと思っているところであります。
 平成25年度は復興加速年と位置づけ、復旧、復興に取り組んできたものと思いますが、決算額を見た場合、歳入歳出とも、平成24年度決算を下回っている現状であります。これは、復旧、復興におくれが生じることによるものなのか、減少となっている要因をお伺いいたします。
〇小田島総務部長 平成25年度の決算についてでありますけれども、平成25年度決算は、歳入が前年度比592億円の減、歳出が前年度比488億円の減となっているところでございます。
 この主な要因ですが、平成24年度に限り措置された住宅再建のための基金造成事業の減によりまして、歳入歳出ともに430億円の減となったこと。それから2点目でありますが、平成25年度において、国家公務員に準じた給与削減を実施したことにより人件費が減となり、あわせて、普通交付税等が減となったことなどによるものでございます。
 なお、復旧、復興にかかわる普通建設事業費と災害復旧事業費の決算額の合計は2、586億円となっておりまして、前年度比636億円の増となっているところでございます。
〇工藤勝子委員 一般会計における平成26年度の繰越額、これが震災分においては1、779億円、通常分においては415億円、合わせて2、194億円と多額の繰り越しとなっておりますが、その要因をどのように分析されているのかお伺いいたします。
〇小田島総務部長 この通常分とそれから震災分の繰り越しの要因でございますが、通常分で申し上げますと、明許繰越が374億円、それから事故繰越が41億円で、合計が415億円となってございます。これは、地域連携道路整備ですとかさまざまな要因で、まちづくりの計画との調整に時間を要したこと等がございます。
 それから震災分でございますが、明許繰越で1、550億円、それから事故繰越で229億円となってございまして、合計が1、779億円となっているところでございます。
 この要因でございますが、計画調整に不測の日数を要したこと、それから、建設資材の調達等に遅延があるというようなことでございまして、総じて申し上げますと、市町村の復興まちづくり計画との調整に時間を要したこと、あるいは資機材の高騰、労働者不足に伴う入札不調などにより工事着手まで時間を要したこと、あるいは資材の確保に時間を要したこと等でございます。
〇工藤勝子委員 それでは、一番の問題は、いろいろまちづくりに時間を要したということでありますけれども、例えば建設資材の高騰だとか労務者の不足とかいろいろ挙げられておりますけれども、今後、この資材の関係について、県としてはどのように見ていらっしゃるのか。
 また、事故繰越をしても、なお予算執行ができなかった事業もあるんだろうと思っておりますが、平成23年度また平成24年度に予算化し、平成25年度に繰り越された事業のうち、平成25年度中の完了が困難なことから再予算化された事業費はどの程度あるのでしょうか。再予算化の額、再予算化した事業はどのようなものがあるのかお伺いいたします。
 また、再予算化に当たり、国庫補助金は確実に措置されているのかお伺いいたします。
〇小田島総務部長 再予算化についてでございますが、平成23年度または平成24年度に予算化をし、平成25年度に繰り越された事業のうち、完了が困難なため再予算化された事業費は、漁港災害復旧事業で100億円、中小企業等復旧・復興支援事業費で33億円、木材加工流通施設等復旧対策事業費で31億円など、計5事業、188億円程度となってございます。
 再予算化に当たりましては、全ての事業において国庫補助金が確実に措置されているところでございます。
〇工藤勝子委員 今後も、震災関係でこういう形で繰り越していく額がまだまだあるのではないかと思われますが、しっかりと国のほうにお話をされて、この国庫補助金が確保されるようにお願いしておくべきではないかと思います。
 先般公表されました中期財政見通しでは、収支ギャップに対する今後の歳入確保の取り組みとして、県税徴収の強化や未利用資産の売却などが挙げられております。平成25年度の県税徴収率は97.64%と、前年度より0.17ポイント上昇しているとのことでございますが、徴収強化に向けた今後の具体的な方策をお伺いいたします。
 また、県は、どの程度の未利用資産を保有し、今後、売却も含め、どのように利活用されようとしているのかお伺いいたします。
〇小田島総務部長 歳入確保につきまして2点お尋ねがございました。
 まず、第1点の県税の徴収強化等による歳入の確保でございます。県税の収入未済額は、平成23年度以降縮減を続けているところでございます。未済額の約7割を占める個人県民税につきましては、岩手県地方税特別滞納整理機構による活動や広域振興局と市町村が連携を強化し、さらなる未済額の縮減に努めてまいります。
 また、個人県民税以外につきましても、納期内納付率の向上を図るため、滞納者の事情を十分把握するとともに、悪質な事案に対しては滞納処分を強化するなど、歳入確保に努めてまいります。
 次に、2点目のお尋ねでございます未利用資産の活用についてでございますが、平成25年度の未利用資産の売却実績は、総額で29件、7億8、000万円余となってございます。
 売却が見込める未利用資産ということで申し上げますと、平成26年3月末現在の台帳価格で試算をしますと、土地は64件、550ヘクタール、50億円程度、建物は33件、20億円程度となっているところでございます。
 これらの未利用資産につきましては、平成23年2月に策定をいたしました県有未利用資産等活用・処分方針に基づきまして、まず、県が利用することが適当な資産については、全庁的に情報共有し有効活用を図るということ。それから2点目として、県が利用する予定のない資産については、地域振興の観点から、地元市町村による活用や民間等への売却等の処分を積極的に推進すること。それから3点目として、貸し付け中の財産については、原則として、貸付先に対して売却等の処分を進めてまいるということでございます。
〇工藤勝子委員 遠野市もそうですけれども、例えば旧家畜保健衛生所跡とか一等地にあるわけですね。なかなか管理も行き届きませんで、草も生い茂ったみたいな状況にあります。また、遠野高校情報ビジネス校もそのままであります。そういうところが至るところにあるのではないか。土地とすれば29件という話でございますけれども、今後、こういう未利用資産の関係をもう少し利活用できるというんですか、売却するところはしっかりとするような形で進めていかなければならないのではないかと思っているところでもあります。
 知事に、若干この件について所感を伺いたいと思います。
 一層厳しい財政運営を強いられていると思われますが、復旧、復興やいわて県民計画の実現に向け、どのような影響があると考えていらっしゃるのか、知事の認識をお伺いいたします。
〇達増知事 本県の財政運営は、社会保障関係費の増加や過去の経済対策等に伴う公債費負担などによって、今後も厳しい状況が続くと見込まれます。
 一方、東日本大震災津波からの復旧、復興事業については、これは最優先で取り組み、県民一人一人が希望を持って確かな未来を描くことができる復興を進めているところであります。
 これら復旧、復興事業につきましては、復興交付金や震災復興特別交付税など、国の財政支援措置によって県の財政負担を抑えつつ実施することができておりまして、引き続き、財政支援の継続を要請しつつ、早期復興に向けて全力で取り組んでまいります。
 また、復旧、復興以外の事業についても、あらゆる手法によって歳入の確保に取り組むとともに、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めることなどによって、財政の健全化を図りながら、希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進してまいります。
〇工藤勝子委員 県民一人一人が夢と希望を持って今後生きていけるような、県として希望郷いわてというものにつなげたいということでございますけれども、なかなかいろんな部分で、夢と希望が消えそうな今の現状ではないかと思っているところであります。そういう観点から、東日本大震災からの復興状況についてお尋ねしてまいります。
 東日本大震災津波の発生から3年7カ月が過ぎました。復興元年から復旧、復興に向けてスタートし、平成25年度は復興加速年、それから平成26年度からは本格復興期間とし、着実に復興は進捗されていると私は思っておりますし、県もそのように話されておりますが、今もって、約1万1、000世帯、2万4、000人が応急仮設住宅で不便な生活をされているなど、復興を実感できない人も多いのではないかと思っております。
 知事が特に力を入れて取り組んできた成果と、復興に対する県民の評価をどう捉えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 復興の成果といたしましては、東日本大震災津波からの一日も早い復興の実現のために、県政史上かつてない規模の事業に取り組んできております。これまで、災害廃棄物の処理を終了し、海岸保全施設の約8割、災害公営住宅の約4割で着工したほか、三陸鉄道の全線運行再開、漁業協同組合を核とした漁船や養殖施設の一括整備、グループ補助金を活用した事業所の早期再開など復興を進めてきております。
 一方、復興に関する意識調査では、依然として、多くの県民の皆さんが十分に復興の実感を得られていない状況にあります。これは、応急仮設住宅等での生活が長期化する中、防潮堤の復旧整備、災害公営住宅の整備、さらには、復興まちづくりと合わせた商店街や公共施設等の再建などが、復興を実感できる程度までは進捗していないことが主な要因と認識しております。
〇工藤勝子委員 平成27年度までの5年間の集中復興期間の復興財源フレームを25兆円程度と見直されたものの、平成28年度以降の復興財源フレームは示されておりません。今後の復興財源確保に向けて、知事は、国に対して、何を重点的に提案し、どう行動し、本格復興に持っていこうとしているのかお伺いいたします。
 また、平成28年度以降の復興財源は、資材の高騰や労務単価の引き上げなどを反映して予算規模を見直した場合、復興財源はどのくらいの予算規模になると試算されているのかお伺いいたします。
〇達増知事 本格復興を進める上で、復興財源の確保が最重要課題の一つであると認識をしておりまして、これまでも、集中復興期間の延長と復興財源スキームの早期提示について、国に対して要望を重ねてきたところであります。
 今後、本格復興の推進によりさまざまな事業が進んでいく中で、復興が完了するまでの間、復興交付金や震災復興特別交付税などの特例的な財政措置をこれまでと同様に継続し、新たな地方負担が生じることのないように、あらゆる機会を捉え、市町村や他県とも連携しながら、引き続き国に強く要望してまいります。
 また、復興事業費については、平成28年度以降におきまして約1.7兆円が必要と見込んでいるところであります。また、これに資材費の上昇や労務単価の引き上げなどを加味した場合に、さらに0.2兆円程度の上積みが必要と見込まれます。
〇工藤勝子委員 ぜひ、地方の負担が起きないように、国に対してしっかりと要望し、知事には、先頭に立って要望活動をして、平成28年度以降の財源も確保できるように御努力をお願い申し上げたいと思っております。
 平成28年度までを本格復興期間、平成30年度までを復興期間として取り組んでいる中でありますが、各分野における人材、マンパワーの不足や資材不足、入札不調や事故繰越事業等で計画どおりに復興が完了するのか、また、おくれが生じるのか、どのように把握され、対策を講じようとしているのかお伺いいたします。
〇達増知事 被災地での人手不足は、復興の重要課題の一つでありますので、関係機関と連携して、企業見学会や面接会の開催など人材確保の支援に取り組んでいます。
 復旧、復興工事についても、資機材の高騰のほか、型枠工や鉄筋工を初めとした作業員の不足が要因の一つと思われる入札不調が増加傾向にあります。
 今後、第2期である本格復興期間において、工事のピークを迎える海岸保全施設の復旧整備や災害公営住宅の整備などを推進する上で、用地の確保、資機材の高騰や作業員の不足などの要因が事業の進捗に影響を及ぼすことが懸念されます。このため、改正復興特区法の活用による迅速な用地確保、入札不調工事の速やかな再入札や随意契約への移行、国、県、市町村や業界団体を構成員とします連絡調整会議を通じた資材の調整や工事情報の共有、そして、国の復興加速化会議で示された工事確実実施プログラムの実行などにより、復興事業を加速してまいります。
〇工藤勝子委員 本格復興が計画どおり進捗していくためには、職員の確保が大変重要であると思っております。平成25年度、正規職員は108人、任期付職員は171人、他県応援職員は163人、再任用職員は44人、合計で486人となりましたが、なお不足とされる人数は105人となっております。平成26年度は72人不足と、少しよくなってきているとの情報でありますが、今後の職員の確保の見通しについてお伺いいたします。
 また、今後の知事部局の職員数をどのように見込んでいるのかお伺いいたします。
〇小田島総務部長 職員の確保についてでございますが、委員御指摘のとおり、本格復興を着実に進めていくためには、復興事業を担うマンパワーの確保が重要でございまして、平成26年度において80人程度増員したところでございますが、なお、職員数に不足が生じているところでございます。このため、復興関連公共事業のピークを迎える来年度に向けまして、正規職員は今年度よりさらに採用数をふやし160人程度、また、任期付職員は、市町村への派遣職員を含め60人程度を採用して対応する予定としてございます。このほか、退職職員の再任用や他県応援職員の受け入れ等、あらゆる手段を講じてマンパワーの確保に努めてまいります。
 また、今後の知事部局職員数につきましては、本格復興の推進に加え、希望郷いわて国体・いわて大会の開催も控えておりますことから、さらなるマンパワーの確保が必要と考えておりまして、多様な方策による人的資源の確保を図りながら、万全の体制を確保するように努めてまいります。
〇工藤勝子委員 復興の途上にありますし、来年度はさらにいろいろな建設事業でピークを迎えるということであります。まだまだ他県からの応援をお願いしていく必要があるのではないかと思っているところであります。
 他県においては、震災に対する思いがもう風化し始めてきているのではないかと思っているところでございます。そういう懸念が考えられます。知事は、今後、どのように全国に発信し、職員を確保していくつもりなのかお伺いいたします。
〇達増知事 東日本大震災津波発災以降、被災地の復興が着実に進んできたのは、県職員の努力に加えて、他の都道府県等から派遣された応援職員の尽力が非常に大きいものであります。震災からの本格復興推進に向けて、マンパワーの需要はピークを迎えていますことから、必要な人員を確保するために、全国知事会議を初め、国の復興推進委員会や、また、政府への予算提言、要望、さらには復興大臣との面会の場など、あらゆる機会を捉えて復興状況を説明し御理解いただくとともに、復興のための人的支援を要請してきております。
 震災の記憶を風化させず、継続的な支援を実現するために、全国各地において復興支援への感謝と復興状況の報告を行うなど、さまざまな手段によって被災地の暮らしや現状、直面している課題、さらには復興に向けた被災者の皆さんの思いをしっかりと発信し、人材確保に努めてまいります。
〇工藤勝子委員 被災地において、商工業の復旧、復興や新規誘致企業による人材、雇用の確保は、大きな課題であると思っております。有効求人倍率も1.05倍と高く、企業における雇用確保の状況と、県内における外国人労働者の就労実態と課題についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 企業の雇用確保の状況と県内における外国人労働者の就労実態と課題についてでありますが、まず、企業の雇用確保の状況についてでございますが、県内の平成26年8月現在の有効求人倍率は16カ月連続で1倍台を超えておりまして、特に沿岸地域では1.29倍と高い水準が続いております。
 また、平成26年第2回被災事業所復興状況調査によりますと、特に建設業や水産加工業の業種におきまして、労働者の確保が難しい状況になってきていると思っております。
 先ほど知事からも一部御答弁申し上げましたが、この人手不足に関しましては、県、市町村、国と連携いたしまして、さまざまな取り組みをさらにしていく必要があると考えております。
 次に、外国人労働者についてでございますが、県が把握しておりますのは県全体の数値でございますので、その数値でお答え申し上げますが、平成25年10月末現在で、県内に2、492人就業しておられまして、うち外国人技能実習生が1、390人となっております。
 この実習生につきましては、特に収穫作業等で労働力が必要となる園芸産地や、あるいは人手不足となっております被災地の水産加工業において安定的に確保することが課題と考えております。このため、県といたしましては、水産加工業を対象といたしまして、構造改革特区の活用によります外国人技能実習生の受け入れ枠の拡大について検討を進めているところでございます。
 国におきましては、平成27年度中の施行を目途に、外国人技能実習制度を見直すとしておりますが、県としては、被災地等の労働力不足の解消に一定の効果が発揮されるよう、国の法改正の動向を把握し要望を行うなど、対応していきたいと考えております。
 また、受け入れ窓口となります監理団体の他県での不適切な管理監督によりまして、本県の一部地域におきまして実習生の入国が大幅におくれ、農業生産活動等への影響が大きく懸念された事案も発生したところでございます。
 県といたしましては、適切な技能実習が行われ、技能実習生の受け入れ拡大や有効な活用につながっていくよう、関係団体や受け入れ企業と連携いたしまして取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 復旧、復興の中で大きな課題の一つになっているのが、JR山田線の復興ではないかと思っているところであります。宮古―釜石間55.4キロメートル、この進捗率がゼロであります。JR東日本が自社で復旧させた上で、第三セクターの三陸鉄道と沿岸市町村に無償譲渡する案が提案されておりました。これが平成26年1月末の発表でもございました。一般質問でも議論されたでしょうし、常任委員会でも話し合われたと思っておりますが、今後の運営費や安全性の確保など多くの課題を検討されてきていると思っております。その後、進展が見られないことに対して、知事は、JR東日本に対して、また、沿線4市町に対してアクションを起こしていくべきではないでしょうか。復旧、復興をさせようとするのかお伺いいたします。
〇達増知事 JR東日本から山田線の三陸鉄道による運営の提案を受けて、これまで県が窓口となって、沿線4市町、三陸鉄道の意向を踏まえながら、JR東日本と協議を行ってきております。
 また、先般、JR山田線復旧に係る沿岸市町村首長会議を開催して、山田線の三陸鉄道による運営を鉄道復旧に向けた有力な選択肢として、JR東日本との詰めの協議を加速していくことについて関係市町村間で意思統一を図り、現在、この対応方針に沿ってJR東日本と条件面の詰めの協議を行っているところであります。
 今後も引き続き、沿線市町等と意思疎通を図り、連携しながら、JR東日本との協議を加速させるとともに、国に対しても強く働きかけ、一日も早く山田線が鉄道復旧されるようしっかりと取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 詰めの協議という話がありましたけれども、詰めの協議はもう最終段階に入ってきているのでしょうか、まだまだ時間を要するのでしょうか、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 本来、三陸鉄道がそうであったように、JR山田線の当該区間は復旧していておかしくないわけでありまして、そういう意味では、今そうなっていないということは、これはもう一日も早く鉄路を復旧してもらわなければならないわけでありますけれども、一方、当該区間は、踏切の数でありますとか線路の性質でありますとか、三陸鉄道が今まで運行したことがないような鉄路であります。また、山田町、大槌町においては、三陸鉄道は30年歴史がありますけれども、直接かかわったことはないという中で、関係者の意向を踏まえながら、そして地元に過重な負担が及ぶことがないように、公正な結論を出すべく、現在、鋭意努めているところでございます。
〇工藤勝子委員 国との協議も進めなければならないとありましたが、国の認識はどう捉えておりますか。
〇達増知事 国に対して強く働きかけるというのは、JR東日本というのは国の監督のもとにある大きな会社でありますから、発災直後からJR東日本による鉄路復旧を速やかに行うように、また、JR東日本がさまざま資金面で難しいことがあれば、それは復興支援ということで国においてJR東日本を支援するようにということをずっと国に対して要望し続けておりまして、そのスタンスは今もそのとおりであります。
〇工藤勝子委員 なかなか難しい問題でありますけれども、私は、2016年岩手国体を開催すると知事が発表したときに、この山田線が国体に合わせて復旧できたらどんなにすばらしいだろうなと。いろいろな人を搬送というんですか運送というんですか、人が移動するに際しても非常に便利じゃないかと思っていたんですけれども、今となっては無理だと考えていらっしゃいますか、知事。
〇達増知事 むしろ、ことし4月に三陸鉄道の全線運行再開と同時にJR山田線当該区間も運行を再開し、鉄路が完全につながって鉄道車両が自由自在に沿岸地方を回って歩くようにすべきであったわけでありまして、とにかく一日も早くということだと思います。
〇工藤勝子委員 そういう面も含めてまだできるのではないかという希望を持っているわけでありまして、強力にJRに知事から働きかけてほしい。国にもですけれども、そういうお願いをしたいと思っております。
 昨年度、決算不認定となったことに対しまして、山田町が委託したNPO法人大雪りばぁねっと。問題がございました。今、裁判や会計検査によって事業の使途に対して洗い出されているところでもございますが、これを受けとめて、責任は全て委託した山田町にあると思っているのでしょうか。また、検証委員会のその後の対応はどのようになっているのでしょうかお伺いいたします。
〇達増知事 大雪りばぁねっと。問題に関しては、現在、裁判や、また会計検査によって事実関係のより客観的な形での究明が行われておりまして、県では、裁判の推移を注視し、また、会計検査に協力する形で対応しております。
 県としては、検証委員会の提言を踏まえて、事業の適切な執行を確保し、再発防止を図ることが重要と考えておりまして、今年度当初から内部管理体制の強化や補助、委託事業の留意事項の徹底等を図っているところであります。加えて、補助金の事務手続などについて、法規的な観点から、より明確にするための検討なども進めたいと考えております。
 また、議会の決議に具体的に対応しなければならないとの考えのもと、外部の方に検証委員会における検証結果の内容について所見をいただくような方法も一つの選択肢ではないかと考えて検討を進めているところであります。
〇工藤勝子委員 飯澤匡議員の一般質問の中で、検証委員会を知事は今後立ち上げて検証内容を検討すると。その辺のところがよく理解できないのでございますけれども、まだまだ検討されるのか、いつごろをめどとして、検証委員の人数や、それからいつごろまでにそういう対応をされるのかということをしっかり公表すべきではないかと思いますが、知事はどう考えておりますでしょうか。
〇達増知事 今、現実的に、議会の決議に対応するための一つの選択肢として、外部の方に検証委員会における検証結果の内容について所見をいただくということを検討しておりまして、これも相手があることでありますので、発表、報告できるような段階に進んだら発表、報告できるようにしてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 今、会計検査に協力していると。裁判も係属中であるという答弁でございますけれども、多分裁判はここで終わらないのではないかと思います。結局、今度は仙台高裁とか、おくれれば最高裁まで行く可能性がある。そうすると、長い時間かかるわけです。その推移をずっと検証しないまま見守っていくのでしょうか。そういうことも予想されるわけで、最初の質問で言いましたけれども、そういう中で議会の決議というものを重く受けとめて、今後、この検証委員会をいち早く立ち上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県の検証委員会の提言を踏まえて、既に事業の適切な執行を確保し、また、再発防止を図るための手を今年度当初からさまざま打っているところでありますし、さらに、先ほど補助金の事務手続などについて、法規的な観点から、より明確にするための検討なども進めたいと申し上げましたが、県においては内部規則である補助金交付規則で補助事業に関する事項を規定しているわけでありますけれども、国においては法律である補助金適正化法で規定している。それに当たるものが条例上存在しないということが一つ大きな課題であると分析しておりまして、補助金の交付手続等について、補助金適正化法に倣う形で条例を制定するということを、この検証委員会の提言を踏まえて考えているところでございまして、そうした再発防止の徹底、事業の適切な執行の確保という行政の責任を果たしていくことに関して御理解いただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 やはりその検証をしっかり進めなければまた同じようなことを繰り返すのではないかと私は思っているんです。ですから、早くこういうことをやはり県としていち早く立ち上げて、やるべきものはちゃんとやるということが必要ではないかと思います。だから、認定していただくには、こういう対応をしっかりしていただかなければならないということを最初に申し上げたつもりであります。
 震災に伴う緊急雇用創出事業費の総額はどれくらいの予算となり、うち、実際の事業執行額はどれくらいになったのでしょうか。
 また、県民が雇用に対して不安を持たないよう、今回のコールセンターのような問題が発生しないようにしていくことが必要でありますが、緊急雇用創出事業を活用する場合、特にどのような点に留意することが必要と考えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 緊急雇用創出事業臨時特例交付金のうち、震災等緊急雇用対応事業分として国から総額363億7、000万円が交付され、基金に積み立てたところであります。震災後の平成23年度から平成25年度までの合計で、震災等緊急雇用対応事業の事業費実績は260億7、283万円で、延べ1、722事業を実施し、延べ1万8、943人の新規雇用を創出してきたところであります。
 事業実施に当たりましては、進捗管理を確実に実施することや、これまで事業実績がない企業や団体については確認や検査をより詳細に行うことなどが必要であると認識しておりまして、本年3月、留意事項として通知し、徹底を図ったところであります。
〇工藤勝子委員 今になってみると、知事とDIOジャパンの社長との対談もありました。最初から3年間の緊急雇用創出事業費を活用できる期限ということを考えながら事業を始めたのではないかと私は考えておりますが、知事はこの辺のところをどう思っているでしょうか。
〇達増知事 今、DIOジャパン側が当初どういう考え方でいたのかという質問だったと理解いたしますけれども、震災等緊急雇用対応事業の趣旨に沿うことはもちろんでありますけれども、さらに、地元の雇用に対する要望に応えるため、引き続き事業を継続すべきであったと考えます。
〇工藤勝子委員 わかったようでわからないんですけれども、やはり一番の被害者は雇用された人たちではないかと思っております。研修を受けて、継続して働ける、そういう職場になるだろうと期待していたのだろうと思います。また、こういう事業がありますので設置しませんかと県から受けた市、町も被害者の一人ではないかと思っているところでありますが、県は、被害を受けてしまったという認識はあるのでしょうか。
〇達増知事 被害という言葉の法律的に詰めた意味でお尋ねなのか、それによっていろいろ認識も変わり得ると思うんですけれども、今、これは他の事案と異なりまして、そもそもの事業の監督主体である厚生労働省が各市町村に対して直接指示を出して状況を調査しているところであり、県もそれに協力しているところであります。市町村、県、国が協力してこの調査を行う中で、DIOジャパンが今後していかなければならないことが明らかになっていくと思います。
〇工藤勝子委員 私は法律的なことは全然わかりません。被害が法律的なのか何とかという話ですけれども、その辺のところの認識がよくわからないわけでありますけれども、結局、やはり今後、しっかりとここで被害を受けた雇用された人たちを支えていかなければならないのではないかと思っているところでございます。奥州市では継続されるようでありますけれども、そのほかはまだ問題になっているところでもございます。雇用を守るために、県は、どのような手段を今後講じようとしているのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 既に洋野町ですとか一関市でありますとか、DIOジャパン以外の主体に経営が移っているというか、別の会社がコールセンター業務をその土地でやっているところもございますし、そういった例と同様に、奥州市もそうですけれども、県も関係市町村と力を合わせて、別の企業がコールセンターを立ち上げるということに対して支援し、議会でも関係の予算を提案しているところでございますので(後刻「平成27年度当初予算に盛り込む予定」と訂正)、議会の御理解、御協力を得ながら、雇用された人たちの仕事をきちっと確保していくよう努めさせていただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 知事は一般質問の中で国に対する制度の改正という話をされておりますが、何をどう制度の改正という意味を含めてお話しされたのかお伺いいたします。
〇達増知事 答弁の言葉を今ここで正確に持ち合わせておりませんけれども、要は、DIOジャパン本社においてさまざま不適切な経理が行われた場合、今の制度でありますと、何かあれば、補助事業、事業主体である市町村が当該会社の調査をするということで、今も調査しているわけですけれども、本社における実態というのはなかなか市町村限りで調べられるものではありませんので、そういったことにも対応できるような工夫を国に求めたいという趣旨で述べたものであります。
〇工藤勝子委員 いろいろな形の中で、被害をこうむった、また、市、町も大変な思いをされているのではないかと思っております。その辺のところを、県として紹介した立場上、しっかりといろいろな形の中で、連携をとるなり、市、町を支えていただかなければならないのではないかと思っているところであります。
 人口減少問題についてお伺いいたします。
 日本創成会議による人口減少問題が提起されました。岩手県においては、27市町村が20歳から39歳の女性人口が2010年から30年間で5割以上減る自治体である消滅可能性都市に該当すると推計されました。
 人口減少問題は、知事就任以来、知事演述の中で取り上げ、所得、雇用、人口減少、医療、これを四つの危機と述べられておりました。希望郷いわてを掲げ、解決に向けて取り組んでこられたと思いますが、歯どめがかかるところまでいくような抜本的な事業はなかったと思われます。知事は、当初からこの人口減少に目を当ててきたのではないかと思っております。今回の日本創成会議の発表をどのように受けとめられたのかお伺いいたします。
〇達増知事 日本創成会議の提言の前提となっている将来推計人口は、地方から大都市圏への若者を中心とした人口流出が2005年から2010年までの傾向で今後も続く推計となっております。これは、本県の場合、その期間は社会減が大きかった時期と重なっておりまして、この推計の将来の人口減少はやや強めに算出されていると考えます。
 我が国の人口は既に減少局面を迎えており、東京への過度の一極集中の是正や、若者や女性が暮らしやすい社会経済システムの構築等に向けて、国を挙げて改革に取り組むべきものと考えておりますが、今般、日本創成会議が公表した提言を一つの契機として、国として本格的に地方の人口減少や超高齢化の課題に取り組み始め、まち・ひと・しごと創生本部が設置されたということは評価できると考えております。
〇工藤勝子委員 知事が本部長となりまして本格的に取り組むものと期待しておりますが、第4回の会議の中で中間報告もございました。知事は、岩手の危機でもあります人口減少問題に今後どのような方向性を示していくつもりなのかお伺いいたします。
〇達増知事 人口減少問題については、本県の人口の場合、自然減、社会減の二つが相まって減少が続いており、その背景には、晩婚化、未婚化の進行や過度の東京一極集中など、さまざまな要因があります。県の人口問題対策本部では、早急かつ重点的に取り組まなければならない事項として、本県の人口減少の大きな要因となっている出生率の低迷や若年層の人口流出対策を中心に、施策の方向性を中間報告としてまとめました。今後、この報告をもとに、国に対して提言を行い、人口減少に対する抜本的な対策を求めていくとともに、市町村や、また、民間の方々などから御意見を伺った上、総合的な施策について年度内に取りまとめて来年度予算に積極的に反映してまいります。
〇工藤勝子委員 全国各自治体での大きな課題であると思っておりますけれども、幅も広く、奥も深く、産業、雇用、医療、福祉、教育など、総合的な取り組み、中長期的な課題であることから、岩手県独自の事業を起こすべきと思いますが、知事の所感をお伺いいたします。
〇達増知事 岩手県におきましては、合計特殊出生率が全国平均を上回ってはいますが、依然として低い水準でありますこと、また、首都圏、仙台圏への人口流出が続いていることなどによって人口減少に歯どめがかかっていないところがございます。
 対策本部としましては、本県の出生率の低迷と進学や就職期の人口流出について、早急かつ重点的に取り組まなければならない事項として、先般、中間報告を取りまとめました。この報告をたたき台にして、今後、市町村や民間の方々から幅広く意見を伺って総合的な施策を検討してまいります。
 人口減少に対しては、引き続き県の総力を挙げて取り組むことによって、若者や女性を初め、多くの県民が住みたい、働きたい、帰りたいと思える岩手をつくっていきたいと思います。
〇工藤勝子委員 いわて復興インデックス報告書第11回によりますと、沿岸部での人口の社会増減は9、903人の減少となっております。そのうち男性が3、934人、女性が5、969人であり、男性よりも女性の減が約2、000人も多い現状であります。なぜ女性がこんなにも多く減少しているのでしょうか。また、沿岸部以外の状況はどうでしょうか。この減少に対して、知事はどのようなことを認識し、対策をとろうとしているのか。若い女性が住まなければ、結局、少子化にもまだまだ歯どめがかからないわけでありますので、どう考えているでしょうか。
〇達増知事 委員御指摘の復興インデックスは、大震災津波以降の社会減を累計で捉えたものでありまして、これを年単位で見ますと、沿岸部の女性の社会減は平成22年に897人、そして震災があった平成23年に3、206人となり、平成25年には950人となっています。そして、男性の社会減は、平成22年に488人、平成23年に2、483人、平成25年に412人となっていまして、女性の社会減が男性よりも多くなっています。震災直後の数カ月間は、住居や就業等の問題もあって多くの女性が地域を離れられましたが、その後は毎年3月に集中していますので、若い女性を中心に、進学や就職に伴って域外に移動していると考えられます。内陸部でも、女性の社会減は男性より多い傾向となっています。
 若年女性の人口流出を抑制することは重要な課題であります。このため、中間報告におきましても、女性が働きやすい職場の整備など、若年女性の社会減対策を進めていくこととしています。さらに、沿岸部における本格復興の取り組みを力強く進め、また、地域資源を発掘し、磨き上げて付加価値を高める取り組みなど、若者や女性の活躍を促進する取り組みを積極的に推進することで若年女性の社会減を食いとめてまいります。
〇工藤勝子委員 ぜひ取り組んでいただきたいと思っております。
 時間もありませんので、進ませていただきます。
 農林水産省が発表いたしました2013年農林水産物、食品の輸出額は5、500億円、前年比22.4%増となっております。国は、2020年までに年間輸出額を1兆円にすることを目指しております。特にも水産物は2012年の1、700億円から3、500億円に、米関係は、日本酒も含めて130億円から600億円という計画であります。
 岩手県は、豊かな海、三陸海岸のワカメ等の水産物が豊富であり、内陸においては安全・安心でおいしいお米や果物などが生産される中で、輸出拡大に期待が寄せられていると思っております。知事は、米国等を訪問し、トップセールスの一役を担っていると思いますが、農林水産物輸出の成果をどのように捉えているのでしょうか。国の方針とともに、岩手としてのブランドを売り込むために必要な対策は何であるかお示しください。
〇達増知事 海外で県産農林水産物のトップセールスを行うことは、直接的な販売効果に加えまして、県産農林水産物の認知度やブランド力の向上、新たなネットワークの構築など、販路拡大の基盤づくりにつながるものであります。平成25年度におきましては、アメリカ・ロサンゼルスで県産牛肉などのトップセールスを行いまして、これを契機として、平成24年度に250キログラムであったアメリカ向け牛肉輸出量は約6トンへと増加いたしました。また、フェアを行った現地スーパーは米などの取引が継続しておりまして、今年度もフェアの開催が予定されています。
 また、海外市場における県産農林水産物のブランド化に向けては、安全・安心で高品質な県産農林水産物の魅力を発信し、現地の実需者や消費者から高い信頼と評価を勝ち取っていくことが重要であります。このため、トップセールス等を通じて培われた人的なネットワークも活用しながら、海外実需者を招聘しての産地見学会や商談会の開催、現地量販店等でのフェアなどを通じたプロモーション活動を展開し、県産農林水産物のブランド力の一層の向上に取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 米価の下落等も受けて、今後、農家は何に期待するかというと、国内の需要が減少する中で、やはり海外戦略に大きな期待が寄せられているのではないかと思っておりまして、ぜひ知事のトップセールスを生かしてほしいと思っております。
 国体についてお伺いいたします。
 希望郷いわて国体の開催は、震災復興のシンボルと位置づけ、復興した姿を見てもらい、多くの支援や協力をいただいた全国の皆さんへ感謝する機会でもあると思っております。冬季本大会、障害者スポーツ大会と、完全国体の開催に向けて県民が心を一つにし、復興の中にあって財源も人材確保も厳しい中であります。県は、費用面や人的負担がかからないように工夫するとありますが、知事がイメージしている希望郷いわて国体とは何でしょうか。費用面も人的面の負担もかけない工夫についてお尋ねいたします。
〇達増知事 希望郷いわて国体開催年である平成28年は、本格復興期間の最終年度に当たります。東日本大震災津波からの復興が進む被災地の姿を多くの皆様に見ていただくとともに、本県が持つすばらしいおもてなしの心や豊かな地域資源を知っていただき、県内外の方々とのつながりを強くする絶好の機会と捉えています。また、同じ年に開催されますリオデジャネイロオリンピック、パラリンピックとあわせて、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会で刻まれたスポーツの感動が、復興支援への感謝の気持ちとともに、4年後の東京オリンピック、パラリンピックへと受け継がれていくことで、全国はもとより、世界に岩手の今が発信されるといった重要な意味を持つものであります。
 復興を最優先として取り組み、限られた財源や人員体制という状況ではありますものの、県民一人一人はもとより、企業、団体など全ての方々の参画のもと、オール岩手で準備を進めることで、復興のシンボルとしての両大会を成し遂げて、大震災からの復興と、その先にある希望郷いわての実現につなげていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 岩手における完全国体は、復興のほうが最優先課題とされております。開催まで、財源確保、国、公益財団法人日本体育協会等の今後の財源の見通しと、民間からの協賛金の状況、運営に係る人材確保の状況をお伺いいたします。
〇達増知事 国体、全国障害者スポーツ大会の開催に係る運営費や施設整備に対して、国や日本体育協会、日本スポーツ振興センター等から合わせて10億円程度の補助金等が見込まれています。民間からの支援については、募金と企業協賛を合わせて10億円を最終目標に取り組んでいますが、今年度末の目標額4億3、000万円に対して、9月末時点での実績は、募金約1億3、300万円、企業協賛が約1億4、800万円、合わせて約2億8、000万円となっておりまして、さらなる上積みに向けて取り組みを強化してまいります。そのほかの財源の多くは一般財源によることとなります。かつ、これは支出が開催年である平成28年に集中しますので、基金を計画的に積み立てております。今後とも、国や日本体育協会などに財政支援の拡充を要請するなど、財源の確保に努めてまいります。
 また、運営に係る人員体制については、例えば国体の本大会におきましては1、000人を超える県職員を動員して実施本部を設置し、総合開会式などでの輸送交通、受付、会場整理等の業務に当たりますほか、約2、000人のボランティアの御協力をいただくこととしています。今後とも、県民の皆さんとともに力を合わせ、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功を目指してまいります。
〇工藤勝子委員 運営費の確保ですけれども、なかなか予想以上に民間からの集まりが不足しているのではないか、そういう実感がございます。2年後になってきているわけであります。そういう中において、今後、民間に対する協力をどのように働きかけていくつもりでしょうか。
〇達増知事 今、担当のところがいわば営業マンとして回って直接お願いしたりしているわけでありますけれども、人間同士のことでありますので、一層心に響くようにしていってもらいたいと思っています。
〇工藤勝子委員 今、民間企業もそうそう財布の中身がいいという状況でもないだろうと思っております。景気対策もまだこちらまで来ていない状況もあるわけです。そういう中において、厳しいとは思いますけれども、やはりここも大事だろうと思いますので、人間関係ではなくて、しっかりと企業に働きかけて、特に大口のほうに知事みずからが出かけていってお願いするというようなことは考えませんか。
〇達増知事 景気がよくなってくればいいので、アベノミクスの効果が地方に及び、地方創生、まち・ひと・しごと創生がうまくいくことも強く願うわけでございますけれども、私もまた国体に取り組む県職員の一人でございますので、私も含めて、オール県の体制でしっかり財源を確保してまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 次に、ワールドカップについてお伺いいたします。
 一般質問において小野共議員が質問されました。大震災によって、まちづくりの復興の課題や人口減少問題など、活性化を図れない面がいっぱいあるのではないかと思っております。でも、将来を担う子供たちに、3大国祭スポーツイベントと言われるラグビーのワールドカップを誘致し、夢と希望と感動、そして勇気を与えることができると思っております。そしてまた、震災からの復興にも結びつくことができると期待しているものでもあります。
 そういう中において、釜石市とともに知事が先頭に立ってリーダーシップを発揮すべきと思いますが、いかがでしょうか。明快に県が誘致するという方向に動いているのでしょうかお伺いいたします。
〇達増知事 ラグビーワールドカップが東日本大震災津波の被災地である釜石市において開催されれば、全世界からいただいた支援への感謝を伝えるとともに、復興の姿を発信することができる機会になるものであります。
 一方、釜石市も県も復興の途上にあって、こうした大規模な大会を開催するには財政面や人的体制面などで極めて厳しい状況にございます。したがいまして、誘致に当たっては、地元釜石市や、また、沿岸市町村を初め県民の方々の御理解に加えまして、国、スポーツ振興団体など関係機関の全面的な支援が前提になると考えております。現在、釜石市では今月末の立候補に向けて準備を進めていまして、市とともに関係機関に対する必要な働きかけを行うなど、県として支援してまいります。
〇工藤勝子委員 沿岸地域には県のスポーツ施設がありません。そういう中で、今後、このワールドカップに対して、メーングラウンドを県営施設として設置する考えはないでしょうか、知事にその点をお伺いいたします。管理運営しながら、スポーツを通して人口交流の拡大や各種スポーツイベントの開催など、ワールドカップ後の活用も考えていくことが、非常に沿岸に勇気と、そういう形の中で復興にも結びつくことと思いますが、どう考えていますかお伺いいたします。
〇達増知事 現在、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組んでいる中で、県営の新たな大規模施設の整備は難しいと考えております。
 ワールドカップ誘致に向けた施設整備については釜石市において取り進めているところでありまして、県としては、その実現に向け、必要な支援について検討していくこととしております。
〇工藤勝子委員 結局は、いろいろなメーンスタジアムを釜石市が今後、管理運営していくというのはかなり厳しいのではないかと思っているんです。ですから、思い切って県が管理運営するような県営の施設、そういうことは考えませんかという質問でしたので、もう一度お願いいたします。
〇達増知事 スポーツの力というのは大変大きなものであって、スポーツの力を復興の力へということは、東日本大震災発災直後から、アスリートの皆さんが被災地を訪問されたり、また、被災地の子供が体育、スポーツをやる機会を支援いただいたり、そして、今度のいわて国体、いわて大会、また、東京オリンピック、パラリンピック、そういう流れがあって、そういう中に、このラグビーワールドカップも、スポーツの力が復興の力になることを、県としてもそういうふうにしなければならない、していきたいと思っているわけでありますが、これは同時に、それが復興の妨げになってはならないということでもございまして、そこはやはり全国のラグビー関係者の皆さんや、また、国のスポーツ関係の皆さんに思い切った支援をしていただくということがそもそものこの趣旨にかなうことなのではないかと考えております。
 また、沿岸における県の体育施設といたしましては、県立陸前高田野外活動センターを復旧させていくことが県の務めと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひ誘致をして、県内全体が元気になるような方向に県も動いてほしい、そのように思っているところであります。
 私も農業者の一人でありますので、米価格の下落について若干質問させていただきたいと思っております。
 県内の米づくり農家を初め、法人組織、営農組合、担い手農業者全体と地域経済に与える影響は大変大きく、米ショックとしか言いようがありません。そういう中において、収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策に加入されているのは9割というような話もございましたけれども、差額の90%を補填する収入減少影響緩和対策加入率は38%とも公表されております。つなぎ資金も補正で通ったところでもございますが、借りたお金は、農家の人たちは返さなければならない。そして、平成22年度のときも、思ったように活用できなかった、そういうこともあるわけであります。
 そういう中において、この収穫の最盛期の中で、農家の人たちの中から、個人でやっている人たちは、借りた農地を返す、こういうことが出てきております。米をつくればつくるだけ今後は赤字になっていくのではないかという声が聞こえてきております。
 そういう中において、集落営農組織、そういう法人に与える影響をどのように考えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 米は、生産者や産出額ともに多い本県農業の柱であり、平成26年産米の価格の下落は、生産者のみならず地域経済に及ぼす影響も大きく、極めて深刻な問題であります。
 県では、米価下落が経営に及ぼす影響を把握するため、農家及び集落営農組織を対象とした緊急調査を9月中旬に実施いたしました。その結果、買掛金、未払い金の支払いができない、資材費、人件費の手当てができない、当初計画していた機械、施設等の導入ができないなどの回答が多くあり、特に集落営農組織では構成員への利益の分配ができないという回答が約4割(後刻「6割」と訂正)ございました。このことから、集落営農組織では、ナラシ対策等の交付金が交付されるまでの間、組織の運営が厳しい状況にあると認識しております。
 このため、県では、つなぎ資金として米価下落緊急対策資金を創設するとともに、金融機関に対する既貸付金の償還猶予等の要請や相談窓口の設置などの経営対策を講じたほか、国に対し、過剰米の市場からの隔離、経営所得安定対策の十分な予算確保や交付時期の前倒し等について緊急要望を行ったところであり、今後においても、集落営農組織や生産者が安心して米づくりが行えるよう必要な対策等を講じてまいります。
〇工藤勝子委員 岩手の将来の農業の姿について、希望郷いわての推進をしているわけでありますけれども、岩手の将来の農業の姿というものをどう想像されて農業政策を進めようとされているのかお伺いいたします。
〇達増知事 農業は、食品産業、流通業等の他産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、本県の地域経済を支える基幹産業の一つとして持続的に発展を図っていくとともに、食料供給基地としての役割をしっかり果たしていくことが重要と考えております。
 国では、農業の競争力の強化を図ることとして昨年12月に農林水産業・地域の活力創造プランを決定し、経営安定対策などを見直すとともに、農業の担い手を明確化して農地の集積を進める農地中間管理事業などの新たな施策を本年度からスタートしたところであります。
 本県では多くの農家が中山間地域で生産活動をしており、小規模農家が多い実態にありますことから、国のこの新たな施策に加えて、本県独自に、小規模農家も参画した園芸産地づくりや、6次産業化など地域農業全体の展開方向を明確にした地域農業マスタープランを県内全域で作成し、その実践活動を支援してきたところであります。
 今後においても、各地域のマスタープランの実現に向けて、国の事業なども有効に活用しながら、農地集積による生産の効率化、園芸団地や集落営農による園芸作物の産地化、地域特産物等の高付加価値化などの取り組みを促進し、農業者が意欲と希望を持って生産活動にいそしむことができる農業を構築してまいります。
〇工藤勝子委員 今、米生産者の中で、来年の米の作付をどうするか、こういう大きな課題を抱えているわけであります。種もみの注文もあるわけであります。そういう中において、今後、担い手として頑張っている若者並びに認定農業者に対して、やはりここは岩手県として、夢と希望を持って将来的に食料供給県とする岩手を目標にしてどういう支援策をされるのかお伺いいたします。
〇達増知事 本県農業を持続的に発展させていくためには、農業に意欲を持って取り組み、地域をリードできる若い農業経営者を確保、育成していくことが重要であります。今般の米価下落を初めとする農産物価格の低迷や資材価格の高どまりなど厳しい環境の中にあって、若い農業経営者の一層の経営能力向上や柔軟な発想による行動力が期待されています。このため、県では、農業改良普及センターが開催します青年農業者企業家塾において、若い農業経営者の夢や希望を実現するためのビジネス計画の作成、実践を支援するとともに、担い手育成基金事業を活用した、若者グループによる課題解決に向けた研究活動や、岩手大学と連携したアグリフロンティアスクールによる、より高度な経営管理能力や革新的なマーケティング力の習得などを支援してきたところであります。
 今後におきましては、こうした取り組みに加え、若い農業経営者のアイデアや能力を十分発揮できるよう、他産業などの幅広い人材も含めたネットワーク化などを誘導しながら、新たな流通、販売チャンネルの開拓や経営の多角化などを支援してまいります。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりますけれども、鳥獣被害、とりわけ鹿対策についてお伺いいたします。
 鹿捕獲実績が発表されまして、9、619頭、昨年の2倍以上と報告されました。そういう中におきまして、被害に遭った農家の全ての被害額を総計すれば、まだまだ被害額はふえる、そのように思っているところでもございます。生息数の適正化を踏まえて、7、700頭とした平成26年度の根拠についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 鹿の捕獲目標数についてでございますけれども、県では、平成25年11月に第4次シカ保護管理計画を策定いたしまして、農林業被害等の低減に向けました捕獲の強化に重点を置いた管理施策に取り組んでいるところでございます。
 鹿の捕獲目標につきましては、平成25年3月に実施いたしました五葉山周辺地域におけます推定生息数調査の結果―この時点では約1万1、100頭と推定したところでございますが、その結果をもとにいたしまして、有識者の意見を伺い、短期間に個体数を低減するための年間捕獲目標として設定したところでございます。
〇工藤勝子委員 早池峰山周辺で一斉捕獲を行いました。1、118頭捕獲しております。そういう中で、高山植物が失われるのが目の前に迫っているわけですが、捕獲期間を延長する考えはないでしょうかお伺いいたします。
〇千葉副知事 狩猟期間の延長についてでございますけれども、今、申し上げました保護管理計画に基づきまして、農林業被害等の低減に向けました捕獲の強化に重点を置いた管理施策の一環といたしまして鹿の狩猟規制の緩和を実施しているところでございます。昨年度は、1日1人当たりの捕獲頭数の制限を撤廃いたしました。また、狩猟期間の終期を2月末日から3月末日まで延長し、今年度におきましては、狩猟期間の始期を11月15日から11月1日に早めまして、さらに狩猟期間を延長する予定でございます。
 この狩猟期間の延長についてでございますけれども、今年度の鹿の狩猟期間は、これまでの最長となります11月1日から3月末日までの5カ月間でございますけれども、山野への行楽客の入り込み、あるいは樹木の落葉の状況などを勘案した場合、狩猟の安全確保の観点から申し上げますと、今年度以上のさらなる狩猟期間の延長は困難なものがあるのではないかと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 最後になります。
 鹿など野生鳥獣は、市町村の区域がありません。ここから遠野だから入られないなんていうことはございません。そういう中において、市町村と連携強化、広域振興局として広域行政で取り組むことが必要になってくると思っております。そういう点についてお伺いいたしますし、知事は、野生鳥獣被害の現状をどのように受けとめているのかお伺いいたします。
〇達増知事 先ほど、工藤勝子委員の集落営農組織への米価下落の影響についての質問に対する答弁の中で、集落営農組織の緊急調査への回答で、構成員への利益の分配ができないとの回答が約4割あったと述べましたが、これは約6割でございます。おわび申し上げ、修正させていただきたいと思います。
 そして、鳥獣被害対策の市町村への権限移譲等についてでありますが、捕獲目標の設定や狩猟期間の延長の根拠となる特定鳥獣保護管理計画については、広範な行動圏を有する野生鳥獣の計画的な管理を進めるため、その策定権限は知事が有することとされており、各市町村が独自に計画を定める枠組みとはなっていないのでありますが、近年、農林業被害に対応した有害捕獲など市町村の役割が増大していますことから、地域の実情に応じた鳥獣被害対策の取り組みを支援するため、市町村の意向を確認しながら、野生鳥獣の捕獲許可権限の移譲を進めているところであります。
 また、対策の推進に当たりましては、委員御指摘のとおり、広域振興局を中心とした市町村の連携が欠かせないものでありまして、引き続き、鳥獣被害対策に関する連絡会議を開催するなど、関係市町村の連携による取り組みを促しながら鳥獣被害対策に取り組んでまいります。
 そして、野生鳥獣被害の現状についてでありますが、近年、鹿を初めとする野生鳥獣による農林業被害等の増加によって人と野生鳥獣との共生の推進に支障が生じていることに危機感を持ち、累次、特定鳥獣保護管理計画を策定するなど、野生鳥獣の生息状況の変化に即した施策を進めてきたところであります。
 今後とも、特に農林業被害が著しい鹿について、県による捕獲圧の強化など個体数調整を行うとともに、捕獲の担い手となる狩猟者の育成、確保に努め、野生鳥獣の適切な管理を進めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。(拍手)
〇岩崎友一委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時53分 休 憩
午後1時2分 再開
〇岩崎友一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇達増知事 先ほどの工藤勝子委員のDIO関連コールセンターの離職者への支援策の御質問について、この議会でも関連の提案をしているので、議会の御理解、御協力をいただきながら仕事をきちっと確保していきたいと答弁しましたが、正しくは、必要な予算については平成27年度当初予算案に盛り込む予定でありますので、訂正しておわび申し上げます。
〇小田島総務部長 先ほどの工藤勝子委員の繰越事業に係る再予算化の質問に対する答弁におきまして、資材高騰への対策についての御質問に対する答弁に漏れがございましたので、御答弁申し上げます。
 資材高騰への対策についてでありますが、これまでも実勢価格を反映した設計単価の改定や、遠隔地からの資材調達に要する輸送費の変更といった公示価格等の適切な算定に取り組んできたところであります。
 今後とも、必要に応じてさまざまな対策を講じることとし、工事におくれが生じないように取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
〇岩崎友一委員長 それでは、質疑を続行いたします。次に、佐々木博委員。
〔佐々木博委員質問者席に着く〕
〇佐々木博委員 それでは、いわて県民クラブを代表して総括質疑を行いますが、午前の工藤勝子委員との質疑のやりとりを聞いていまして、まるで私のゴルフのようだなと思いました。それは何かというと、なかなか芯に当たっていないんですね。抽象的じゃない、具体的な答弁をお願いしたいと思います。具体的に伺いますので、具体的な答弁をお願いいたします。
 それでは最初に、平成25年度で終わりました第1期復興実施計画の達成状況について伺います。
〇中村復興局長 平成25年度までの第1期におきましては、応急仮設住宅の整備や災害廃棄物の処理などの緊急的な取り組みを重点的に進めるとともに、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づく本格的な復興に向けた復興基盤の構築のための施策を実施してまいりました。
 その結果、各構成事業の第1期末目標に対する進捗を見ますと、全体として、605指標中、482指標が進捗率80%以上の指標でございます。構成率で申し上げますと79.7%という状況になってございます。
 一方、実質的におくれが生じたものにつきましては47指標、7.8%という状況になっており、これにつきましては、まちづくり計画との調整や用地の確保のおくれなどの理由により、防潮堤など海岸保全施設の復旧整備や港湾機能の復旧、災害公営住宅の整備などにおいておくれが生じたものでございます。
〇佐々木博委員 続いて、今年度で終わりますいわて県民計画の第2期アクションプランの進捗状況並びに本年度末の達成見通しについて伺います。
〇齋藤政策地域部長 いわて県民計画の第2期アクションプランに掲げる平成25年度の目標に対する各指標の達成状況でございます。
 みんなで目指す姿指標は、おおむね達成以上、すなわち、達成度80%以上の割合が73.3%となっております。一方、県の取り組み状況である具体的推進方策指標は、おおむね達成以上が79.2%となっております。また、平成26年度の最終目標に対して75%以上の進捗率になっている指標は、みんなで目指す姿では54.7%、具体的推進方策では60.3%となっております。
 本年度末の状況につきましては、現時点でこれを見通すことは困難でございます。残り半年の間、事業実施に全力で取り組んで、可能な限り目標達成に努めてまいります。
〇佐々木博委員 第1期復興実施計画では、目標に対する進捗率が80%以上の指標が79.7%、第2期アクションプランにおいても、目指す姿指標のおおむね達成以上の割合は73.3%、具体的な推進方策指標のおおむね達成以上の割合は79.2%です。数字としては非常に高い数字じゃないかと思うんですが、いわて復興レポート2014などを見るまでもなく、被災地の状況あるいは県民生活の実感からすると、この評価は甘いのではないかと思われます。所感を伺いたい。また、その要因をどう考えているか、あわせて伺いたい。
〇達増知事 いわて県民計画第2期アクションプランに掲げる指標は、7割超がおおむね達成以上の達成状況となっています。これらの指標には、県民生活にとって身近で密接にかかわるものから、かかわりが薄いものまで、さまざまなものがあるところであります。
 今議会にお配りしている主要施策の成果に関する説明書においては、アクションプラン全体の達成度をはかるため、全ての指標を取りまとめて評価しているものであります。
 一方、県民の実感やニーズを的確に把握するために、アクションプランの項目に沿って県民意識調査も実施しており、その結果等も踏まえ、政策評価レポートとして取りまとめるとともに、翌年度の施策に反映させております。
 また、第1期復興実施計画における施策体系・事業の進捗は、進捗率80%以上の指標が全体の約8割となっていますが、一方で、復興に関する県民意識調査の結果などを見ますと、被災地の方々が十分に復興の実感を得られていない状況となっています。これは、応急仮設住宅での生活が長期化する中で、防潮堤の復旧整備、災害公営住宅の整備、さらには、復興まちづくりと合わせた商店街や公共施設等の再建などが、復興を実感できる程度までは進捗していないことが主な要因と認識しております。
 このような調査結果もしっかりと受けとめて、これまで以上に復興を実感していただけるよう、本格復興に向けた取り組みを強力に推進してまいります。
〇佐々木博委員 今もお話があったとおりですけれども、ここが政策評価の難しいところだと思うんですが、基本的にさまざまな指標があるわけですけれども、全部同じ価値として、それのうちの何十%が評価された、達成されたといった評価ですね。しかしながら、県民の実感からしますと、それぞれの指標には順番があるんですね。非常に重いもの、あるいは身近なもの、あるいはそうじゃないもの。例えばこれを、一つの指標は5倍で評価するだとか、一つの指標は3倍で評価するだとか、そういった指標の評価の仕方というのは大変難しいものがあろうとは思いますが、しかしながら、全てを一緒にしてそれで評価をするというやり方ですと、どうしても県民の実感とかけ離れた評価になってしまうんじゃないでしょうか。もう一度、御意見を伺いたいと思います。
〇齋藤政策地域部長 まさに御指摘の問題はあるかと思います。ただ、委員からも御質問があったとおり、例えばウエートをつけるとか、これは大変難しい技術でございます。したがいまして、今後の課題といたしまして、優先度の高いものを選んで高いものだけを評価していくとか、そういった工夫をちょっと今後考えてみたいと思います。
〇佐々木博委員 ひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 次に、平成25年度決算について伺いたいと思います。
 前年度より減少したとはいえ、繰越明許費が187事業、1、923億円余、事故繰越が53事業、270億円余、また、不用額も718億円余と非常に多額であります。その要因についてはさまざま言われてよく理解しておりますけれども、年度内の消化に向けてどのような対策が講じられてきたかお伺いします。
〇小田島総務部長 予算の年度内の執行に向けた対策についてでありますけれども、要因の一つになっております入札不調の対策といたしましては、工事発注ロットの拡大や遠隔地からの資材調達に要する輸送費の計上に加えまして、被災地の施工実態を踏まえた歩掛の適用、及び間接工事費の割り増しや労働者宿舎建設費用の計上などを実施したところでございます。さらには、資材の確保につきましても、施工確保対策に係る庁内の連絡調整会議において、資材需要の見通しの情報共有や業界団体に対する生コンの優先供給の要請を行うとともに、沿岸地域の連絡調整会議に各発注機関、建設業者、資材供給業者等による資材調整作業部会を設置し、資材の需給状況の情報共有や各種の調整を実施するなどの対策を講じてきたところでございます。
〇佐々木博委員 よく言われます資材の高騰だとか、あるいは人の不足だとか、そういった要因が絡み合っているわけですけれども、業界とのさまざまな話し合いも行われているようでありますが、その話し合いの踏み込みが少し足りないのじゃないかと実は私は思います。
 私も幾つかの業界の顧問なんかも仰せつかっておりまして、例えば年に一度総会とかありますね。そうすると、終わった後懇親会もやります。国の機関の方々は、結構懇親会なんかも残ってくれるんですが、押しなべて、県の方々は懇親会になると帰られる方が多い。やはりもう少しそういった席で突っ込んだ話をするべきじゃないでしょうか。
 例えば一つの話として、今、業界も人手不足でありますけれども、余り公共工事はやりたくないという声が強いんです。そのうちの一つは、建設業法の関係がありますけれども、専任の技術者を張りつけられますね。一つの現場に張りつけられる。そうすると、今人手不足ですから、むしろ民間だったら二つか三つをかけ持ちできるけれども、公共事業はそういった拘束もさせられて、そこがやっぱり一つのネックになっているとか、本当にそういった場で本音で話し合えば、さまざまなほかの問題も出てまいります。どうも県はそういった点では、何といいますか、業界とのつき合い方といいますか、かみしもを着た場だけじゃない場も必要だと私は思うんですが、その辺どうなんですか。県でとめているわけじゃないと思うんですけれども、どうなっているんでしょうか。
〇小田島総務部長 業界の方々と意見交換をし、生の声をお聞きすると、本音ベースでのお話をお聞きするということは、非常に大切なことだと考えております。今年度について申し上げますと、9月1日から22日までの8日間の間で、各地域ごとに建設業の地域懇談会というのを開催したところでございます。そこでもさまざまな意見は承っておりまして、そういう御意見を業務に生かしたいと考えてございますが、御提案のありました方法なども検討しながらといいますか、受けとめながら、できるだけ生のお話をお聞きしながら、施策に生かしていきたいと考えております。
〇佐々木博委員 不用額のうち、約50億円は復興交付金が充当されたものであります。復興交付金基金の積立額を見ると、本年度9月補正で残高を積み立てておりまして、362億円あります。この制度については、継続を求めていくことはもちろんですが、今のところは平成27年度限りとなっております。来年度中に使い切ることが必要だと思いますが、見通しを伺いたいと思います。
〇達増知事 復興事業の主要な財源として、これまでに県として1、130億円余、市町村においては4、346億円余の復興交付金の配分を受け、これを財源に基金を造成し、毎年度、それを取り崩しながら復興事業の実施に充てております。
 復興交付金は、今のところ平成27年度までの制度とされていますことから、事業の進捗を図るよう努めているところでありますが、土地区画整理事業等、一部事業箇所においては平成28年度以降の完了が見込まれるものもありまして、財源確保が必要でありますことから、これまでも市町村とともに、政府に対し、復興交付金事業の確実な予算措置を訴えてきたところであります。
 今後とも、5年間の集中復興期間の延長とあわせて復興交付金制度を継続し、復興が完了するまでの間の所要の財源が確実に確保されるよう、引き続き政府に強く働きかけてまいります。
〇佐々木博委員 次に、県財政について伺います。
 持続的発展には県財政の健全性が不可欠なわけですが、本県では、実質公債費比率が昨年度決算において18.6%となったことから起債許可団体となり、公債費の負担適正化計画が作成されております。また、本年9月には、本県の中期財政見通しが公表されましたが、その内容は大変厳しいものがあります。
 中期財政見通しでは、震災分については、平成28年度以降も現在の財政支援措置が継続することを前提としておりますが、仮に財政支援措置が縮小、廃止された場合、収支ギャップ及び県債発行額が大幅に増加する可能性が大とされております。国の集中復興期間終了後も約1兆7、000億円必要と見込まれておりますが、今でも予算の消化が困難な状況で、今後、東京オリンピックが近づくことなどにより、一層、予算の消化が困難と判断されるのではないか。そして、それを理由として、大幅な減額にならないかと懸念されるわけでありますが、財政支援の見通しについて伺います。
〇達増知事 これまで、集中復興期間の延長と復興財源スキームの早期提示について他県とも連携を図りながら国に対して要望を重ねてきておりますが、国からは、集中復興期間後であっても、真に必要な財源は確保する旨の方向性は示されているところではございます。
 復興に当たって、さまざまな要因により予算執行面での課題が生じておりまして、こうした被災地の実情を丁寧に説明して、国民的な理解を得ながら、国に対してあらゆる機会を捉えて、これまでと同様の財政支援措置の継続を強く要望してまいります。
〇佐々木博委員 次に、長期的な見通しですが、本県では、平成14年度から平成25年度までの累計で、臨財債の交付額が4、923億円となっておりますが、償還分として交付税措置された累計額と、実際に償還された累計額は幾らで、その差額は幾らになっているかお示し願いたい。
〇小田島総務部長 臨時財政対策債に係る交付税措置の関係の差でございますが、平成14年度から平成25年度までの臨時財政対策債の償還分としての交付税措置の累計額は1、067億円、臨時財政対策債の実際の償還の累計額は765億円となっておりまして、交付税措置の累計額が302億円上回っている状況にございます。
〇佐々木博委員 本来であれば、臨財債への償還に使うべき302億円を他の用途に使っていたということですね。当然、そうなりますと、使った分はほかの財源で補完していかなければならないということになります。県では、この財源の償還に備えて積み立てていくと、以前、私が総務委員会で質問したときに答弁をいただいておりますが、中期財政見通しでは、積み立てどころか、平成28年度末には、基金残高がわずか25億円になる見通しであります。これでは、県財政は持続的に維持できず、希望郷いわてと言いますが、希望も見えなくなると言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。
〇小田島総務部長 今、委員御指摘の点でございますが、まず、こうした差が生じている状況の要因でございますけれども、本県におきましては、厳しい財政状況から、総務省の同意を得て、交付税算定における償還期間よりも長い期間での借り入れを行っているところでございまして、これについての差額が生じることは、制度上、許容されているところでございます。
 御指摘にありましたとおり、財政運営への影響を考慮する必要がございまして、近年では、交付税算定における償還期間に合わせた借り入れをまず行っていること、それから、財源対策基金への積み立ても行ってきているところでございますが、御指摘がありましたとおり、中期財政見通しの中では厳しい状況になってきております。
 いずれ、歳出についての見直しあるいは歳入確保の努力等も行いまして、償還に備えた財源対策基金の確保、こういうことに努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 総務省の同意を得てやっているとは言っても、不足になった分の財源を足してくれるわけじゃないのですから、いずれ将来、その分を持ち出ししなければいけないという事実に変わりはないわけです。しかも、平成25年度、72億円ぐらい他に使っていますね。これは、これからますます右肩上がりでいく時代だったら許されるかもしれませんよ。これから人口が減っていく、財政規模もちっちゃくなっていく、1人当たりの負担もだんだんふえていく、そういった中にあって、将来にこういったツケを回すようなやり方というのは、私は非常によろしくないと思いますが、いかがでしょうか。
〇小田島総務部長 いずれ、大変厳しい状況、財政環境の中で行っているものでございまして、そういうことがありつつも、将来にツケを回すようなことのないように、我々、歳入の確保そして歳出の削減に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 今も厳しいですけれども、これをやっていけば将来もっと厳しくなるのです。ぜひ、これはやめなければいけないと思います。
 それからあわせて伺いますが、今まで我が国の長期金利はずっと低下してまいりました。ですから、借りかえ等により、県財政にいわゆる金利ボーナスというものがあったと思います。しかしながら、いずれ金利は必ず上昇いたします。そこで、県財政に与える影響も大きいのではないかと思いますが、このシミュレーションができているのかどうか伺います。
〇小田島総務部長 金利上昇による県財政への影響、シミュレーションでございますが、公債費負担適正化計画、それから中期財政見通しにおける公債費の推計におきましては、日本銀行が目標といたします物価上昇率を参考に、一定の金利上昇リスクを加えた推計を行っているところでございます。
〇佐々木博委員 一定というのは、具体的に何%ですか。
〇小田島総務部長 まず、0.5%ずつ基準年から足してまいりまして、2%のところで平準化するということで推計をいたしております。
〇佐々木博委員 私は金利が上がるときは、多分もっと激しく上がっていくんじゃないかなと思いますが、いずれ、シミュレーションされているということについてはわかりました。
 代表監査委員に伺いたいと思います。
 交付税措置された臨財債の償還分の財源の一部が他の用途に費消されているわけですが、残念ながら、決算資料にはこういったことは出てまいりません。代表監査委員は、この事実は御承知だったでしょうか、どうだったでしょうか。
〇吉田監査委員 県財政に係る所感でございますけれども、まず、臨時財政対策債、これの……(佐々木博委員「知っているかどうかだけです」と呼ぶ)はい、存じ上げております。
〇佐々木博委員 それは、財政当局からの説明があったということでございますか。
〇吉田監査委員 本年4月以降、担当部署に係る一連の監査手続等を通じて存じ上げております。
〇佐々木博委員 こういった償還分の一部先食い、将来の金利上昇、それから大変厳しい中期財政の見通しなど、本県の財政状況についてどのような所感をお持ちかお伺いしたいと思います。
〇吉田監査委員 財政状況につきましては、委員御指摘のとおり、幾つかの懸念材料が存在しているということで、これまでにも増して厳しい財政運営を強いられることが予想されますことから、決算審査意見書におきましても大きく2点、1点目として、限られた財源を重点的かつ効率的に活用するとともに、経済性、有効性の観点にも十分留意の上、適時適切な行財政運営に努めていただきたいこと。2点目として、中長期的には、公債費負担適正化計画の着実な実施により、県債残高の縮減、実質公債費比率の改善を図るなど、健全かつ計画的な財政運営のもとに施策が展開されるよう、強く望むことを記載したところでございます。
〇佐々木博委員 平成27年度当初予算編成について伺いますが、来年度の方針が公表されたわけですけれども、公共事業費や政策推進費が本年度当初予算の10分の9以内という方針が示されております。当然、今の財政状況を見ればやむを得ないわけでありますが、しかしながら一方では、例えば建設業界なんかは、ずっと公共事業が削減されてきたために、かなりのリストラをやって今に至っております。そして、今、復興需要はありますけれども、人をふやしても、恐らくまた将来仕事がなくなるだろうということで、なるべく若手の採用を控えて、それで一遍退職した人の再雇用だとか、そういったもので対応している部分が非常にあるわけですね。これが今、一つの事業が順調に進展しない大きな要因となっておりますが、こういった予算あるいはこれからの財政見通しを示されますと、そういった傾向がますます強まるのではないかと危惧されますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 先般公表した来年度の予算編成方針においては、復旧、復興に係る事業に最優先で取り組むこととし、震災分に係る事業には上限を設けることなく、必要な予算を要求できることとしております。
 震災分以外の通常分の公共事業等の要求に当たっては、本県の厳しい財政状況や国の概算要求基準等を踏まえて一定の上限を設定したところでありますが、一方で、公共事業について、国の動向等を踏まえ、必要に応じて追加措置を講じることとするなど、配慮したところであります。
 地域産業における建設業の重要性は認識しておりまして、厳しい財政状況ではありますが、地域経済の活性化などにも十分留意しながら、今後とも適切に対応してまいります。
〇佐々木博委員 時間がなくなりますので飛ばしながらいきたいと思いますが、財政の建て直しの一つとして、いわゆる未利用資産の売却が挙げられております。県の財産調書等を見ますと、そんなにいい資産がもう余りないんじゃないかと見ていますけれども、そういった中で、まだ加賀野には売却可能な土地があります。既に2カ所売却しているんですが、これが地元で非常に評判がよろしくない。御案内のとおりであります。
 県有地を売るのに今普通に売ったら、例えばマンション屋さんが買うと言ったら、容積率いっぱいに建てることを前提にして買いますよ。だけれども、それが結局高くなったりして地元の反発を招いているわけでしょう。今までも県の土地は地域と友好を保ってきたわけだし、それから、普通の人に言わせますと、大体県なんか固定資産税も払っていない土地じゃないかと。それを民間と同じように売るのは間違っているんじゃないかと、そういった意見もあります。私は売却するなとは言いませんが、やはり地域との調和のとれた売り方というものを考えるべきだ。例えば高さの規制をして、その分安くなるにしても、地元に余りいざこざを起こさないような、そういった売却というものが求められるのではないかと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇小田島総務部長 お話のありました旧加賀野公舎跡地の売却も含めた県有地の売却に当たりましては、近隣の方々への配慮は非常に大切なことだと考えております。このため、市街地にあります大規模な県有地を一般競争入札により売却する場合には、地元の町内会等を通じて地域住民に県の売却意向を伝えるとともに、地域住民の意向を十分に把握し、配慮しながら行っているところでございます。
 旧加賀野公舎跡地売却に当たりましては、地元市町村での利用があるかどうかという観点から盛岡市に利用見込みを確認したところ、それが利用希望がなかったことから、一般競争入札で売却をいたしたところでございます。
 地域住民の方々に対しましては、当該地域が都市計画法上の1種地域であるということから、売却後、マンション用地を含む住宅地として利用される見込みのあることを、町内会を通じ説明をしたところでございます。
 高さ制限につきましては、その地域において、建築協定を締結する意向があるか確認をしたところでございますが、それは難しいということであったために、高さ制限をかけずに売却したものでございますけれども、当該土地につきましては、地域住民の方々からさまざまな要望をいただいておりますことから、盛岡市と連携して、できるだけ可能な限り、地域住民の方々が住みやすいまちづくりに向けて、今、県も取り組んでいるところでございます。
〇佐々木博委員 いずれ、これから売却するときには、その辺にも十分配慮してやっていただきたいと思います。
 次に、入札について伺いますが、平成25年度の県営建設工事に係る入札不調の発生件数とその割合について伺います。あわせて、年度途中ではありますが、今年度の発生件数とその割合についても伺います。
〇小田島総務部長 平成25年度の県営建設工事の入札不調の発生件数とその割合についてでありますが、平成25年度におきましては、発注工事件数1、386件のうち、297件が応札者がいないなどの理由によりまして入札不調となっており、その割合は21%となっております。
 また、今年度におきましては、9月末までの発注工事件数は、695件中142件が入札不調となっており、発生件数は20%となっております。
〇佐々木博委員 県営建設工事には、相変わらず入札不調が多いということなわけでありますが、入札は県営建設工事だけではありません。それ以外にも、例えば庁舎等管理業務委託について言えば、清掃だとか警備だとか、あるいは設備の保守管理等があります。これらについては最低制限価格が設けられておらず、ダンピングも相当あると伺っておりますが、実態についてお伺いします。
〇小田島総務部長 庁舎等管理業務委託に係る入札についてでございますが、県庁舎及び各地区合同庁舎の庁舎管理業務における平成24年から平成26年までの過去3年間の平均落札率は、清掃業務で76.7%、警備業務で81.6%、消火設備点検等の設備点検業務で85.6%でありまして、全体では81.3%となっておりますが、個別に見た場合には、かなり低い落札率での落札の例も見受けられるところでございます。
〇佐々木博委員 その個別のひどい例を挙げてください。
〇小田島総務部長 私どものほうで県庁舎、それから合同庁舎等の落札について、過去3カ年の平均落札率で見た場合、例えば清掃業務で申しますと……(佐々木博委員「平均じゃなくて、ひどいやつだ」と呼ぶ)はい。宮古地区で31.5%という例がございます。
〇佐々木博委員 例えば総務部管財課、県庁舎の自動火災報知設備等保守点検業務は23%ですよ、平成26年3月。同じ平成26年3月、県立総合教育センターの防災設備保守点検業務は14.6%ですよ。実態がわかっていますか。
〇小田島総務部長 今、清掃、警備それから設備点検業務等の全体について見た数字をお答えしたわけでございますが、個々に見ますと、委員御指摘のとおり、かなり低い実態にあると承知してございます。
〇佐々木博委員 知事、14%とか23%というのがまともな入札だと思いますか。
〇達増知事 私は、基本的には個別の案件には立ち入らないようにしているんですけれども、一般論として何かビジネスモデルのイノベーション、それで少人数で働く人にそれなりの給料等待遇をきちっと確保し、また、サービスがきちっと安全や衛生やそうした基準を満たして、そして低価格で入札できれば、それにこしたことはないと思いますけれども、むしろ、そうでないかどうかというところを、一般論ですけれども、きちっと見ていく必要があるかなと思います。
〇佐々木博委員 イノベーションは全然関係ないんです。いいですか。清掃や警備というのは労働集約型で、かつ、労働者が常時配置される業務なんですよ。積算のほとんどというのは人件費です。イノベーションは関係ありません。
 また、消防防災保守管理などの保守点検に係る業種も、積算の大半は人件費です。労働集約型の業務で、しかも、県の管理する建物の消防施設の保守や点検は、施設を利用する県民の命や安全に直結するものと言えるんですよ。
 今、県では、公契約条例の制定準備を進めていますね。そして、その中で労働者の最低賃金を入れるとか入れないとか議論していますけれども、もとになる契約がこんな十何%なんていう契約でやっていて、それは公契約条例の対象にならないかもしれないけれども、いずれ一緒ですよ。県の工事が、仕事が。それで例えば県民所得の向上なんということが言えるんですか。こんなことを放置していることが、本当にいろんなことに私は影響していると思います。
 最低制限価格をぜひ導入すべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
〇達増知事 最低制限価格制度は、一定の基準価格を下回る入札参加者を排除することによって、品質の確保及び労働環境の改善に一定の成果を上げるものであり、また、労働者の適正な労働条件の確保を図る上でも、有効な手段の一つであると認識しております。
 本県の現状を見た場合に、適正な入札競争が行われ、業務も適正に執行されていると考えておりますが、個別に見た場合に、かなり低い落札率での例も見受けられます。こうしたことから、落札状況などを注視しつつ、公正な競争環境の確保を図るため、最低制限価格制度の導入等も含めて、さまざまな方策を検討していかなければと思います。
〇佐々木博委員 知事、そういうのがいっぱいありますから、よく実態を調べていただいて、ぜひ一歩前進、前に向けて進んでいただきたいと思います。
 次に、本県経済の概況と産業の振興について伺います。
 平成23年度、平成24年度と、国が2年連続で名目マイナス成長だったにもかかわらず、平成24年度は、本県経済は、製造業が自動車産業を中心に増加したことや運送業が増加したことなどによって、名目では前年度比4.8%増と2年連続、実質でも前年度比4.7%増と、3年連続のプラスとなりました。また、1人当たりの県民所得も、平成24年度は前年度比5.7%増の250万5、000円と3年連続増加、所得水準も前年度と比較して4.3ポイント上昇して91.0となりました。大変喜ぶべきことでありますが、あの東日本大震災津波があった直後の平成23年度も含めて、本県経済が順調に進展している要因をどう分析しているか伺います。
〇齋藤政策地域部長 委員御指摘のとおり、県内総生産が増加した主な要因としましては、やはり沿岸地域においては復旧、復興需要がメーンでございます。平成23年度は建設業、それから平成24年度は主に運輸業、特にコンクリートとかそういう土石を運ぶ運輸業、そして窯業、土石製品の製造業が増加したということが大きな原因でございますし、また、御質問の中にありましたが、内陸におきましては、自動車関連産業が大変大きな貢献をしております。これは、これまでの本県が取り組んできた産業振興の効果があらわれてきたと考えております。
〇佐々木博委員 次に、教育旅行の誘致について伺います。
 本会議で高橋但馬議員も質問しましたが、教育旅行の誘致は、被災地の観光の振興にも大きく貢献し得ると思っております。札幌では、本年度から中学生の修学旅行で飛行機の利用を解禁して、行き先を道内、東北、関東に限定したと聞いております。したがって、本県を選択してもらえる機会が広がったわけですが、本県から北海道への修学旅行生が少ないことがネックになるのではないかと、実は旅行関連業者からそういった声が寄せられております。
 そこで、本県を訪れる修学旅行生の地域別の割合を伺います。あわせて、本県の修学旅行生の訪問先についても伺います。
 教育旅行をふやすには、お互いに行き来するという関係を築くことも有効と思われますが、あわせて、それについての所見も伺います。
〇千葉副知事 教育旅行の誘致等についてでございますけれども、まず、平成25年に本県を訪れました教育旅行客の地方別入り込み割合につきましては、東北が55.5%、北海道が22.5%、関東が16.2%等となっております。
 また、委員からお示しのございました中学校の状況につきましては、北海道が47.0%、東北が31.5%、関東が19.9%となっております。
 次に、平成25年度におきます本県の公立中学校及び特別支援学校の高等部を含む県立学校の教育旅行先の状況についてでございますが、関東が60.1%、関西が33.7%、沖縄が2.5%となっているところでございます。このうち、公立中学校の状況等につきましては、関東が95.3%、沖縄が2.3%、北海道が1.8%となっているところでございます。
 この教育旅行先につきましては、基本的には、各学校が教育的効果を勘案し、保護者等の御意見を伺いながら決定しているところでございますが、さきの一般質問でも一部御答弁申し上げましたけれども、大阪府と県立花北青雲高校生徒との交流などの実績なども既にあり、教育的意義からも双方向の交流を築くことが有効と考えられますことから、商工労働観光部と教育委員会の連携を図らせながら、今後とも、教育旅行の誘致等に努めていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木博委員 今、平成25年度の数でしたけれども、震災前は北海道へは多分もっともっと多かったと思います。我々のころはほとんど北海道だったんです。どこに行ったか覚えていないで、枕投げしたことぐらいしか覚えていないんですけれども、いずれ、北海道が非常に多かった。いつのころからか東京がふえているんですが、北海道の人の話を聞いても、お互いに行ったり来たりの交流関係は大切だと思います。ぜひ、これは検討していただきたいと思います。
 次に、七十七銀行の経済成長率の将来推計調査の結果について伺います。
 本年の7月に七十七銀行から、宮城県・東北各県の経済成長率の将来推計調査の結果が公表されましたが、その内容についてお示しいただきたいと思います。
〇齋藤政策地域部長 この調査は、特に東北各県のこれまでの成長過程を分析したものでございます。一つは、2000年から2010年までの10年間、もう一つは、1980年から2010年までの30年間のそれぞれの平均経済成長率、この2ケースを設定いたしまして経済成長率を推計したものです。
 このうち、2000年から2010年までの平均経済成長率を用いまして、東北6県の2040年までの経済成長率を推計したケースは、山形県が2040年までプラス成長、宮城県と福島県が2030年までプラス成長となる一方、北東北3県では、2020年以降マイナス成長となっております。本県の場合は、特に2020年から2030年がマイナス1.93%、2030年から2040年までがマイナス2.57%で、東北では最も低い経済成長率となりました。
 なお、ただいま紹介したケースのみが、先般、新聞報道されたところでございます。
〇佐々木博委員 これが出て、私は日経の東北版で見たんですけれども、本県が東北で最低の経済マイナス成長だという記事が出てました。それでこの調査結果を読んでみたんですが、私は、個人的には、北東北3県で本県が一番ポテンシャルがあると思っているんです。にもかかわらず、そういう結果が出たものですからびっくりして調査結果を読んでみた。読んでみたんだけれども、能力がないものですからよくわかりませんでした。
 そこで伺いたいんですが、知事はこれを読まれましたか。
〇達増知事 今回御質問いただいたのをきっかけに読みました。
〇佐々木博委員 それでは、内容をどのように分析されていますか。それから、その所感についても伺いたいと思います。
〇達増知事 先ほど政策地域部長が答弁しましたように、2000年から2010年までの10年間、もう一つは1980年から2010年までの30年間、それぞれの平均を用いて経済成長率を推計ということで、岩手の場合、西暦2000年台といいますのは、もう世紀が変わったあたりからどんどん経済が悪化し、人口流出もどんどん悪化し、かなりひどい状況でございました。また、それにリーマンショックも重なって、それがそのまま2030年、2040年まで自動延長ということになると、まさにこの推計どおりの数字になると思うんですけれども、しかし、実態としましては、2000年台当初の経済指標、また、人口流出の悪化に対しては危機を希望に変えるということで、県でも、体制を強化して、地域の底力を引き出すような手を打ち、また、リーマンショックについても、これは国の麻生内閣、鳩山内閣それぞれのリーマンショック対策と相まって、県の努力もあってかなり上向きの勢いが出てきたところ、震災復興への取り組みも重なって、平成23年、平成24年、そして平成25年についても、岩手の経済成長率は高い数字になってきておりますので、むしろ最近のトレンドのほうを延長していけば、岩手の経済の将来というのは、かなり希望が持てるのではないかと考えます。
〇佐々木博委員 今、知事おっしゃったとおり、ケース1、ケース2というのがあって、一つはトレンド重視のもの、もう一つは、長期的に安定的に見たものです。マスコミがみんな書いたのは、トレンド重視のほうです。それはなぜかというと、トレンド重視のほうが多分実態に合っているから、したがって、ケース1を重視して書いたというのが実態だと思います。
 いずれ、問題は、私は絶対ポテンシャルは少なくとも北東北3県の中で一番あると思っていますので、こういったデータもあるわけですから、これもやはり一つの勉強材料として取り組んでいくということが大切だと思います。そういった点でよろしくお願いしたいと思います。
 次に、飛ばしながらやりますけれども、再生可能エネルギーについて伺います。
 さきの本会議での質問に、県の分はわからないという答弁がありましたが、その後報道によりますと、経済産業省による6月末現在で、本県の再生可能エネルギーの設備認定件数は1万3、361件で、認定量は128万7、000キロワット、うち太陽光は5、907件で、119万2、000キロワットに上るとされ、東北電力岩手支店によると、8月末現在で47万1、000キロワット分が契約、残りの70万キロワット分の太陽光発電の事業計画に影響が出るということが報じられております。
 私が申し上げたいのは、県も再生可能エネルギーについての岩手県地球温暖化対策実行計画というものを策定して取り組んでいるわけでありますけれども、今回のこの措置によって、かなり大幅に影響が出るんじゃないかと思われるわけですが、そのことについてのお考えを伺いたいと思います。
〇千葉副知事 まず、我が県では、再生可能エネルギーの導入について非常に重点的に取り組んでいるわけでございまして、平成25年度末までの再生可能エネルギーの導入量の累計は、約568メガワットとなっております。また、今年度も既に6月末までに約22メガワットが導入ということで、今後とも、さまざまな太陽光発電あるいは風力発電等の導入計画があるところでございます。
 なお、先日の報道によりますと、10月7日の参議院予算特別委員会で、経済産業大臣が、東北電力管内での系統接続申し込みに対する回答が保留されているものが24件との説明もあったということでございますが、その設備容量等については公表されておりません。
 私どもとしては、現在の状況を非常に危機感を持って取り組む必要があると考えております。いずれ、現在の全国的な接続申し込みに対する電力会社の回答の一時保留の対応については、できるだけ早く改善を図っていただきたいということで、これにつきましては、国あるいは電力会社それぞれに対して、さまざまな要望をしていく必要があろうかと考えているところでございます。
〇佐々木博委員 10月11日付の岩手日報でこの数字が載っていたんですけれども、これは確認していませんか。
〇千葉副知事 済みません、ちょっとまだ見ておりませんでした。
〇佐々木博委員 いずれこのFIT―固定価格買取制度の矛盾が出たと思うんです。認定してもらった段階のその時点での価格でいけるということで、もうみんな認定を申し込んでしまって、まだ実際には、例えば太陽光パネルが下がるまで待とうとか、手をつけていない業者なんかもいっぱいいるわけです。非常にそういった点では矛盾が出ているわけでありますが、私は太陽光に集中し過ぎていることが問題だと思うんです。それで、地熱だとかバイオマスだとか、あるいは風力、これはアセスの問題とかいろいろ時間がかかるんですね。しかしながら、再生可能エネルギー全体の中での余り極端じゃない、適正な配分というものがあると思いますし、そういったものを県としても強力に国に訴えていくべきではないかと思いますが、御所見はいかがでしょうか。
〇達増知事 固定価格買取制度は、再生可能エネルギーの拡大に向けて導入されたものであり、今回の接続申し込みに対する回答の一時保留によって発電事業者等に与えた影響や全国的な電力の需給バランスを踏まえ、国が責任を持って、その制度設計を見直すべきものと考えます。
 県としては、地球温暖化対策実行計画に掲げるエネルギー種別ごとの目標の達成を目指して、全国的にも賦存量が優位にある風力と地熱のさらなる活用に向けた取り組みを展開しているところであります。
 将来にわたって豊かさを実感できる環境と共生した持続可能な地域社会を構築するためには、地域資源である再生可能エネルギーを有効活用することが重要でありますので、本県としても、国において現在進められている電力システム改革やエネルギーミックスの検討の中で、再生可能エネルギーの最大限の活用に向けた施策が展開されるよう、要望を継続してまいります。
〇佐々木博委員 時間がないので簡単にしか触れられませんが、大雪りばぁねっと。の問題ですけれども、顧問弁護士の見解を理由に議会の決議に応えていないわけですけれど、顧問弁護士というのはあくまでも県側の立場の人ですから、客観的な立場じゃないですよ。客観的な立場の法律家の見解は求めたことありますか。
〇達増知事 山田町NPO問題が県の事業にかかわるものでありましたことから、県の顧問弁護士に確認したところでございます。
〇佐々木博委員 第三者の検証を求めたのと一緒で、こういった問題も議会に出すなら、第三者の法律家の見解というものも求めて、それから出してくださいよ。一方的過ぎますよ。
 それから、この弁護士が言っている話も、本当に言っているかどうかわかりませんが、これはどこかで聞いたことがある話だと思ったら、国会の衆議院と参議院にある国政調査権が時々地方権とぶつかるときがあるんだ。そういった場合に、こういうことをやっちゃいけないというのは憲法の教科書に書いてあるけれども、今回なんか事例が全く違うんだから、全然、本当にあさっての話ですよ。そうは思いませんか。
〇達増知事 裁判や会計検査院による検査が継続している中、新たに検証委員会を設置して、一定の結論を導き出すような検証を進めることは状況的にも困難であり、また、その結果が明らかになっていない中で、そうした行為は差し控えるべきと考えております。
 このため、外部の方に、検証委員会における検証結果の内容について所見をいただくというような方法も、議会の決議に具体に対応するための一つの選択肢ではないかと考えて検討しているところでございます。
〇佐々木博委員 知事、あなた、今、原稿読みながら言ったけれども、本当にそう思っていますか。やっぱりこれはちょっと事例が違いますよ。何もぶつかることないんだから。答弁は要りません。
 時間がないですから、次にDIOジャパンについて伺います。
 DIOジャパンのリース契約ですけれども、1年でリース契約を終了させて、そして無償で物件を取得しているという例がかなりありますね。これは違法じゃないと言われているけれども、もともとリースというのは、高額で一回に購入できないから、あるいは税制上有利だとか、そういったことで用いられる例が多いわけですけれども、このDIOの場合は、初めから逸脱してやっていたんじゃないか、脱法的にやっていたんじゃないか、そう思っていたんですが、そしたら先日の商工文教委員会で、まさにそれを認める資料が出てまいりました。
 まず、先に伺いますけれども、この什器一式とかコールセンターの業務用機器とは具体的に何ですか。
〇千葉副知事 コールセンターリース物件の什器一式の内容は、机、いす、プリンター等の備品類でありまして、業務機器等は電話交換機、パソコン、サーバー等のネットワーク機器等が一般的なものでございます。
〇佐々木博委員 それらは、1年たったら減価償却ゼロになるようなものですか。
〇千葉副知事 税制上の取り扱いといたしましては、耐用年数が5年ないし8年のものが多く、お尋ねのとおり、1年で償却されるリース物件はほとんどなかったと考えております。
〇佐々木博委員 これにあるとおり、これは二戸のコールセンターですけれども、7カ月で、そして無償譲渡の特約がついていますね。基本的に、これは7カ月の月賦の売買契約と一緒じゃないですか。
〇千葉副知事 ちょっと法的にどうコメントしていいか、今直ちに出ないんですが、当然、そのような御疑念があるものと考えております。
〇佐々木博委員 県はこれをわかっていたんですか。
〇千葉副知事 このリース物件の関係でございますけれども、リース終了後に無償で借り手に所有権を譲渡する特記のあるリース契約というものにつきましては、平成24年度については、国で何らそれについて制限を設けておりませんでした。それでこれにつきましては、これも一部御説明しているのではないかと思いますが、平成25年4月に、県は、市町からの連絡によりまして、このような契約実態があるということで、国に対し平成25年4月に照会いたしまして、平成25年5月13日付で、国のほうから、そのようなリース契約は認めないということで、制度運用の変更がなされたというものと考えております。
〇佐々木博委員 あわせて伺いますが、DIOの国体の寄附金、これを返却する指示を出したのはどなたですか。そして、いつ出されて、いつ実際に返却されましたか。
〇千葉副知事 DIOジャパンからの寄附金の返還についてでございますが、これにつきましては6月定例会におきまして、県といたしましては、DIOジャパンに係る問題の推移を注視しながら対応していくというように御答弁申し上げた次第でございます。
 7月15日に公表されました厚生労働省調査の中間報告におきまして、給与の支払い遅延が確認されるとともに、事業により生じた利益の取り扱いが適切でない場合は、補助金の返還も含め対処するということの報告がなされましたことから、この状況を勘案いたしまして、7月18日、国体・障がい者スポーツ大会局におきまして、知事と協議の上、DIOジャパンへ寄附金を返還することを決定したものでございます。
 その返還に当たりましては、7月24日に、国体・障がい者スポーツ大会局が商工労働観光部に依頼し、同部から、寄附金を返還したい旨をDIOジャパンに電話で伝達したところでございます。
 また、同日、いわて国体・大会実行委員会の事務局長名で、寄附金を返還したいので受け入れ口座を知らせてほしい旨の文書も発送したところでございます。その後、7月30日に、DIOジャパンから、受け入れ口座を記載した文書を受領しましたことから、翌日の31日、銀行の窓口業務の開始後、口座に振り込み手続を行ったものでございます。
〇佐々木博委員 7月31日というのは、DIOジャパンと連絡がつかなくなった日ですよね。そうですね。確認します。
〇千葉副知事 はい、そのとおりでございます。
〇佐々木博委員 一般に今どういった状況になっているかわかりませんが、今、DIOジャパンと連絡はつくんですか。
〇千葉副知事 DIOジャパンとの関係でございますけれども、8月に3人の弁護士から、DIOジャパン及び関連会社に関して、法的整理を含む一切の事項を受任している旨、県に連絡があったところでございます。同社の代理人でございます弁護士からは、10月末までに法的整理を含む今後の対応について判断するとの考えを明らかにしているところでございます。
〇佐々木博委員 結局100万円、どさくさ紛れのときに返してしまえば、生きた金として使われない可能性がありますね。きちんと一つの整理がついて、それから返却するんであれば、あるいは支払われなかった賃金だとか有用に使われるかもしれませんが、そういった点では、返還した時期が非常に私はまずかったと思いますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 これにつきましては、いろいろ諸般の事実が7月31日という日に集約されたものと考えております。
〇佐々木博委員 本会議で、グループ補助金を使った店舗併用住宅の住宅ローンがなかなか借りられないという話がありました。確かに困った問題ですけれども、一方で、防災集団移転促進事業なんかでつくった土地についても住宅ローンが借りられないという問題があって、この間の経緯について、復興局長、御存じでしょうか。
〇中村復興局長 ただいま委員からお話がありました件でございますが、防災集団移転促進事業等により造成した宅地を市町村が被災者に売却する際の土地売買契約書に買い戻し特約の記載がある場合には、委員御指摘のとおり、被災者が住宅ローンの融資を受けられないケースがあり得ると承知してございます。この問題につきましては、7月にそういう情報をいただき、各市町村に状況を確認するとともに、住宅金融支援機構や複数の金融機関に確認したところでございます。
 融資を受けられるようにするためには、住宅金融支援機構の場合、買い戻し特約を登記しないか、登記しても、市町村が支援機構と債権保全の調整手続に関する覚書を交わすという二つの方法がございます。県では、8月と9月の会議の際に市町村の担当者にこのことに関する情報提供を行い、また、復興庁からも詳しく説明をいただいてございます。その際、各市町村に聞いたところ、被災者が住宅ローンの融資を受けられるよう、買い戻し特約を登記しないか、または支援機構との覚書を交わすなどにより対応する予定ということを確認してございます。
〇佐々木博委員 登記をしても覚書を交わせば住宅支援機構とはローンが組めますけれども、民間の金融機関はだめなんですよ。ですから、基本的には特約を結んでも登記をしない方法が一番いいし、宮城県は全部そういう指示を出していますよ。岩手県もそうするべきだと思います。
 私は不思議でしようがないんですが、これ、8月8日に説明したんですよね。そのときに借りられないという指摘があったと。下のほうに、まだそういった融資を受けられないとの事例は発生してないとのことだがと書いているんですけれども、私は、融資を受けられない事例があったからそのことを指摘したんですよ。何でこういう記載になっているんでしょうか。
〇中村復興局長 個別にそれぞれの市町村に確認したところでございますが、今、委員からお話があった事例も含めて、今後また市町村から再度詳しい実情も含めて確認し、適正に対処してまいりたいと考えてございます。
〇佐々木博委員 時間がないので最後にしますけれども、山田の問題だとかDIOの問題も含めまして、今のローンの問題もそうだけれども、県は、補助事業者とかそういうことではなく、私は、もっともっと積極的にかかわるべきじゃないかと思います。平常時でなくてまだ非常時で、いっぱい応援職員もいただいている段階で、平常時の論理じゃだめですよ。もっともっと積極的に復興でも何でも市町村行政にいいことについてはかかわって、自主性を尊重することと、いいことをこうやってやってくれと指示を出すことは全く別個な問題だと思いますので、ぜひそういった対応をしていただきたい。
 以上で終わります。(拍手)
〇岩崎友一委員長 次に、岩渕誠委員。
〔岩渕誠委員質問者席に着く〕
〇岩渕誠委員 希望・みらいフォーラムの岩渕誠でございます。
 会派を代表して、平成25年度決算を踏まえながら、達増知事の県政運営全般にわたって総括的に質問いたします。
 まず、個別具体の課題を取り上げます前に、達増知事に伺います。
 岩手県議会の決算審査におきましては、ここ2年間、決算不認定となっております。県では、昨年度の結果を受け、その後の予算編成やその執行に当たっても十分留意されていることと承知しております。そもそも岩手県議会が決算審査の時期を従前より早めて実施しているのは、予算の効率的執行の観点から、いわゆるPDCAサイクルを強化することを目的にしており、この点で決算審査での議論の質が行政運営の質に係ることは自明の理であります。
 そこでお尋ねいたしますが、結果としては不認定でありました昨年度の決算審査を踏まえて、県としてどのような改善点を見出し、その後の県政運営においてどのような執行がなされているのか、また、現時点での評価についてお示しください。
〇達増知事 決算の不認定に関連して議会で指摘された各事案の内容等を踏まえまして、事務処理の改善等に努めてきたところでございます。
 具体的には、今年度において、補助、委託事業の適正執行を図るため、組織体制を新たに整備して内部管理体制を強化するとともに、新たに全庁的な基本共通マニュアルを策定し、さまざまな機会を捉えて適正な事務処理の周知徹底を行うなど、再発防止に取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みにより、着実な復興に向けて、これまで以上に有効かつ適正な予算執行が図られているものと受けとめているところであります。
〇岩渕誠委員 昨年度の決算不認定の大きな要因は、山田町の緊急雇用創出事業に係る問題だったと認識しています。御承知のとおり、問題を起こした当該NPO大雪りばぁねっと。の代表を初めとした関係者が逮捕、起訴され、これまで判決が出された全ての事件について有罪となっております。この点で、NPO大雪りばぁねっと。は、過去の補助金にかかわる多くの問題とは性質を異にしている、極めて悪質だと考えます。一般行政事務、とりわけ震災時において、極めて確信的な悪意を持ったやからが、当初から、もしくは相当初期の段階で震災関連予算をつけ狙っていたとすれば、行政における指導監督というのは限界がおのずからあるのであり、したがって、基本的には司法当局による摘発と、法と正義に基づく処罰は最大の再発防止策ということになります。
 主犯格の代表に対する公判は続いておりますけれども、これまで明らかになった、あるいは裁判所から認定された範囲や、その犯罪の過程を踏まえ、知事として、有罪判決そのものに対しての所感と、判決を踏まえ、県として改めて対処すべき問題があるとすれば何かを伺います。
〇達増知事 現在も一連の裁判が係属しておりますので、裁判の内容に関するコメントは差し控えたいと思いますが、被告になっている関係者には、今からでも洗いざらい説明し、そして謝罪することを望みます。
 県としては、年度当初から内部管理体制を強化するなど、新たな仕組みを取り入れて再発防止に努めてきたところでありますが、これまで事業の実績がない企業や団体については特に留意する必要があると考えており、事業遂行能力や活動実績を確認するとともに、適切な指導監督や検査を実施することなどにより、引き続き適切な事業執行の確保に向けて取り組んでまいります。
 また、補助金の事務手続などについて、法規的な観点から、より明確にするための検討、補助金適正化法に倣う形で条例を制定することなどの検討も進めたいと考えております。
〇岩渕誠委員 今お話のありました、先ほども工藤勝子委員の質問に対して、補助金適正化法に準ずる、いわゆる県単独の補助金事業について、市町村の関与の部分、あるいは、いわゆる間接補助者としての責任というものについてもきちんとやると。これは市町村からは相当な懸念も出されるかと思いますけれども、そこをあえてやるということでございますので、その中身については期待したいと思います。
 それでは、平成25年度決算、行政運営の中身を踏まえた質問に入りたいと思います。
 最初に、東日本大震災津波からの復興関連でお尋ねいたします。
 安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生という岩手県の復興計画の三つの大原則がありますけれども、それを進めることに関しましては、やっぱり根本には土地収用の問題が横たわっておったわけでありました。これについては、県当局も昨年度、弁護士会との研究を重ねた上で、国に対して制度改正を要求したところであります。政府は、残念ながら改正の必要性を認めてはおりませんでしたが、新年度に入りまして、幸い超党派により議員立法という形で、おおむね県が求めた形で改正されました。大きな成果と評価するとともに、これまでの関係者の御努力に感謝するものでありますし、あわせて、国会の見識にも敬意を表したいと思います。
 問題は、この法律改正を受けて、どこまで復興の速度を速められるかということですが、切望していた法改正によって、復興の加速に現段階でどうその成果があらわれてきているのか、また、今後どこまで期待できるのかということについてお示しいただきたいと思います。
〇中村復興局長 改正復興特区法の施行によりまして土地収用手続の迅速化が図られ、緊急使用制度の活用による早期着工が可能となりましたほか、防災集団移転促進事業等での50戸未満の小規模集団住宅につきましても新たに収用対象となったところでございます。県では、庁内の部局横断組織でございます用地取得特例制度活用会議を設置し、県事業の推進、市町村事業に対する裁決申請のための実務支援を行ってございます。
 現段階における成果といたしましては、県事業については、先週、契約議案の議決をいただきました釜石市の片岸地先海岸災害復旧工事において、収用裁決申請済みの案件について緊急使用の活用も検討してきたところでございますが、今般、県収用委員会による改正法の趣旨を踏まえた迅速な裁決を受け、予定どおりの着工が可能となったところでございます。
 また、市町村事業につきましては、収用裁決申請の意向のある市町村に対して、国と県が共同で申請に向けた準備や書類作成等の具体的な実務支援を行っているところでありますが、その中には、土地収用法に基づく周知措置などの事前の法手続を進めた結果、任意交渉での膠着状態が打開され、相手方から契約の意向が示された事例もございます。
 今後、多くの事業での土地収用制度の活用が見込まれることから、改正法による緊急使用制度の適時申請を初め、各種手続の円滑な活用が図られるよう、国、県、市町村が一層の連携強化を図りながら取り組みを進めていくことにより復興の加速化が期待できるものと考えてございます。
〇岩渕誠委員 次に、暮らしの観点でお伺いいたします。
 私は県境に住んでおりますので、岩手県と宮城県の比較をよく住民の皆さんからされます。時には宮城県のほうから岩手県のこれを教えてくれというのがあるんですけれども、圧倒的に宮城県のほうから相談とか問い合わせが多いのは岩手県の暮らしの再建に関することでありまして、とりわけ被災者に対する医療費の窓口負担とか介護保険、障がい福祉サービス利用者負担の免除についてはどういうふうにしているんだということを聞かれます。相当評価しているということです。
 これについては、さきの一般質問でも小野共議員の質問に対して継続という方針が示されましたので詳しくは取り上げませんけれども、これは、何といっても財政的には持ち出しになるものでございます。小規模自治体にとっては、今後、なかなかこれは厳しいという声も本音では聞こえてくるところであります。サービスを利用する側も適切な受診を考えた行動をとらないと、みずから支援の継続を困難にするということもよく理解してもらわなければならないと思います。この点は医療崩壊の論理とよく似ているんですけれども、これに限らず、利用者負担の免除等の非常時の支援については、特に住民との相互理解というのが必要だと思います。そうでないと、給付の部分でのわなにはまるということもあります。このあたりをどのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。
〇中村復興局長 東日本大震災に係る医療費の一部負担金等免除のような非常時の支援につきましては、将来的に自立につながるよう、市町村や関係機関と連携し、被災者のニーズを把握しながら、被災者に寄り添った支援を行うように取り扱うことが必要であると考えてございます。
 県や市町村では、限られた財源の中で、必要性や緊急性、公平性などを総合的に勘案し、支援施策を実施しているところであり、委員御指摘のとおり、住民の皆さんにも支援の趣旨や財政状況等も御理解いただきながら、支援施策をより効果的、効率的に活用していただくよう努めてまいります。
〇岩渕誠委員 やはりサービスを受けっ放しということではなく、そのサービスの裏側にあるものをしっかり理解してもらうことが大切なことだと思います。
 次に行きますけれども、被災者は、早く応急仮設住宅を出て住宅再建したいというのが一番の願いだと思います。しかし、国の被災者住宅再建支援事業費が最大300万円ということは全く足りないのが実情でありますが、この制度に関しては、拡充を県としても国に要望してきたわけですが、実質ゼロ回答だと。このため、県では、全国で唯一、持ち家再建に係る費用を市町村と共同で独自加算をしておりますし、これとは別に、震災特別交付金についても、県の留保分を極力少なくして市町村に回すということをしております。これが市町村独自の住宅再建支援策の原資になっていると私は理解しております。震災特区の留保については、市町村の取り分と県をどうするかというので内部でかなり議論があったとお聞きしておりますが、最終的に基礎自治体を支援するという方向で話がまとまったということで、よかったと思います。
 現在、県独自の住宅補修や再建に係る支援金の受給状況では、地震の直接的被害が多かった一関市が最大の執行額となっているんですが、これから高台移転等が本格化しますと、当然、沿岸部でも効果を発揮してくるものと思っております。
 そこでお伺いいたしますけれども、現在までの住宅再建に係る加算支援金の受給状況はどうなっているでしょうか。また、そこから見える課題についてどう捉えているかお伺いいたします。
〇中村復興局長 本年8月末現在、基礎支援金を受給いたしました2万3、186世帯のうち、37%に当たる8、570世帯が加算支援金を受給いたしまして住宅再建を行ってございます。このうち、造成等の面整備を行う必要のない内陸部においては、約7割の方が加算支援金を受給し、住宅再建を行ってございます。
 再建方法別に見ますと、建設、購入に係る加算支援金の支給につきましては、内陸部が46%であるのに対し沿岸部では20%にとどまっておりまして、住宅用地の確保に時間を要していることが課題となってございます。今後、防災集団移転促進事業などの面整備の進捗に伴いまして、沿岸部において新築に係る支給が増加していくものと考えてございます。
〇岩渕誠委員 いずれ制度の拡充については、引き続き国に対しても要望していただきたいと思います。
 この住宅再建には支援金以外の資金的な裏づけが必要でありますけれども、それらも当然地元の産業再生と雇用が不可分の関係にあることは言うまでもありません。
 そこで、被災地の産業と雇用の再生について認識をお尋ねします。
 各種データを見てもおわかりのとおり、全体では人手不足を基調としながらも、被災地では建設関連を中心とする短期雇用と、水産業などの地域特性を生かした基幹産業とか、あるいは一般事務職などの常用雇用と、そこの明暗というのははっきりと分かれている状況だと思っております。瓦れきの処理などでの緊急雇用が昨年度いっぱいで終了したものの、期待されたほど短期雇用から常用雇用へ、基幹産業へというシフトは進んでいないのが実態ではないかと思うんですが、どのように分析し、今後、どう対処するおつもりなのかお伺いいたしたいと思います。
〇中村復興局長 瓦れき処理に従事していた方々のその後の就職動向につきましては、正確な数字は把握してございませんけれども、瓦れきの業務を請け負った建設業で引き続き働いている方が多くいるほか、水産加工業を含む製造業やサービス業など、多様な業種に就職していると伺ってございます。また、瓦れき処理従事者の中には高齢者の方も多くいましたことから、新たな就職をしていない方もいるものと推測されてございます。
 建設業への就職が多くなった要因につきましては、離職者にとってそれまでの経験を生かせる業種であること、また、建設業は、人手不足の中で求人の正社員割合を高めていることなどが要因として考えられます。
 また、水産加工業につきましては、瓦れき処理の従事者の就職が多くはなく、依然として人手不足が続いてございます。県では、これまでイメージアップやマッチング支援などを行ってきたほか、8月には岩手労働局と連携いたしまして、業界団体に対しまして雇用管理改善の要請を行うなど、企業の魅力ある職場づくりを支援してまいりました。今後も、企業見学会や面接会などによるマッチングの促進、地域外から人材を確保するU・Iターンの促進など、引き続き労働力の確保に努めてまいります。
〇岩渕誠委員 今お話があったとおり、建設業という震災復興という非常時の枠の中で事業を進められる業種がある一方で、水産業や製造業、これは既に震災があったということを離れて、日本の中で、あるいは世界の中で平時の戦いを余儀なくされている産業と混在しているのが実態だと思いまして、これは政策的に非常にハンドリングが難しくなっていると思いますが、そうした中で期待されているのが新産業の創出だと思います。県の復興計画に盛り込まれた三陸創造プロジェクトがそれに当たると思います。この中に世界的な三つの研究拠点構想が盛り込まれていますけれども、これは本当に実現していただきたい。
 しかし、現状はというと、その幾つかについて、私は大変危惧しております。例えば、国際リニアコライダー計画、ILCですけれども、確かに国内候補地としては一本化された。国費での調査予算もついたところですが、今年度発足したILCに関する有識者会議の議論を漏れ聞きますと、なかなか道のりは厳しいのではないかと。私も、できればここで行け行けと、1歩前、2歩前の政策をやれと言いたいところですが、どうもそうじゃないぞと。雰囲気が変わってきたぞというふうに思います。ILCの研究成果そのものに対する学術的疑問が出てきています。それからもう一つは、国際的な経費負担と経済波及効果についてという社会的側面からの疑問が相次いで提示されていまして、その有識者会議は、建設促進派と言われる学者の人たちもいるんですが、かなり守勢に回っているというのが実態ではないかと思っております。もっとも、学術的側面から否定的発言をした主は、国内の学術的研究予算の総枠の中からILCに予算が回されるということを前提にしているようでありますし、そもそも情報共有が可能な環境下で、世界から日本に研究者が集う理由があるのかという非常にネガティブな議論が散見されることは非常に残念であります。
 しかし、もっと残念なことにそういった意識を持っている人たちがこのILCの方針を決めていくというのもまた事実でありまして、これは本当に私は心配しております。県として、この専門家会議の様子をどう分析しているのかお尋ねしたいと思います。また、あわせて、状況打破のためにどうするつもりなのかお示しいただきたいと思います。
 県内にとどまっているILCの理解をもう少し広げてやっていただかなければならないということで、復興支援で派遣していただいている自治体にもそういう理解を深めようという動きも出ているとお聞きしますけれども、こういった点についてもお答え願います。
 また、三陸創造プロジェクトには海洋フィールドでの再生可能エネルギー研究の実施も含まれておりまして、昨年度、岩手県は、釜石沖を日本版EMECの実証フィールドとして応募いたしました。その後の動きも気になるところですが、現在の進捗状況と今後の取り組みについてお知らせいただきたいと思います。
〇齋藤政策地域部長 まず、ILCについてであります。
 御案内のとおり、文部科学省は、ことし5月に有識者会議を設置いたしまして、その下に二つの部会を置き、幅広い分野の専門家による議論がなされているところであります。これらの会議につきましては、県職員が毎回傍聴しております。これまで、ILCにより期待される成果やCERNでの研究との関連、建設コストの妥当性などについて、技術的、専門的な観点から活発な議論が行われたと了知しております。
 県といたしましては、有識者会議では来年度までに一定の結論を出すとしていることから、引き続き議論を注視するとともに、資料提供の要請などがあれば積極的に対応してまいることとしております。
 また、ILCの実現に向けては、国内の機運醸成を図ることが重要であることから、復興支援で来県された方々へのILC計画の周知や、首都圏でのシンポジウム開催などについて、引き続き東北ILC推進協議会などの関係団体と連携しながら取り組んでまいります。
 次に、日本版EMECについてであります。
 県では、本年2月、国の海洋エネルギー実証フィールドの公募に対しまして、洋上風力や波力のエネルギーポテンシャルを有し、関連する港湾インフラや産業群が充実している釜石沖を候補海域とする応募提案書を提出いたしました。本年7月15日、国は、応募のあった7県11海域のうち、実証機が既に設置または設置が決まっている長崎県などの4県6海域を選定したところであります。本県の提案は、公募の要件に適合すると認められたものの、直ちに実証機を設置する段階にまで至っていないことから、今後、具体的な設置計画が確定した段階で選定される運びとなっております。
 釜石における海洋エネルギー技術開発の実証研究は、新産業の創出や地域振興につながるものであることから、県といたしまして、地元関係者と連携しながら、企業等の誘致や東京大学等と地元企業による研究開発プロジェクトの導入に鋭意取り組んでいるところでございます。
〇岩渕誠委員 県庁職員が傍聴している部会というのは二つの部会のうちの一つの部会でありまして、それでもかなりやってもらえていますけれども、非公開の部会のほうはもっとひどい議論になっていると私は聞いております。首都圏での開催、ILC、国民的合意をどうするかという部分からいうと、これは可及的速やかにやる必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
〇齋藤政策地域部長 御指摘のとおり、いずれ我々の願い、それから東北の願いということで、これは東北全体の取り組みとして旺盛な要望活動を行っています。いずれ、この願いをまず届けること。東北が一致してこの導入に向けて取り組んでいる、そういう気持ちを示しながらやっていくと。これはやはり地元の熱意を伝えることがまず一番大切だと思っております。また、情報につきましても常時とりまして、その情勢に応じて機敏に対応してまいりたいと思っています。
〇岩渕誠委員 これは、地元の熱意もさることながら、研究の価値、それによって日本にもたらされる利益という部分をきちんとやっていただきたいと思います。
 海洋フィールドの部分に関連していいますと、再生可能エネルギーの問題があると思います。県内自給率は、平成32年度に倍の35%にするという計画がございます。しかし、今のところ率としては0.5%自給率が上がったにすぎない。このままでは目標に達成するか非常に懸念しております。太陽光発電の計画自体大変多いことは先ほども御指摘があったところですが、非常にハードルが高くなってきている。この際、目標達成のために、政策的により一層アクセルを踏むべきと考えますが、達成の見通しと、さらなる上乗せがあるのかどうかお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 再生可能エネルギーによります電力自給率の目標達成の見通しについてでございますけれども、まず、目標達成に向けましては、着実に導入量を拡大していくことが重要でございまして、これまでも市町村と連携いたしまして、太陽光発電の候補地のマッチングのほか、エネルギー種別ごとのセミナー開催によります普及啓発、あるいはポータルサイトでの導入支援マップなど支援情報の一元的な情報発信など、さまざまな取り組みをしてきたところでございます。
 このような取り組みもございまして、太陽光発電などの導入量はほぼ目標値に達する一方、本県が全国的に優位にございます風力発電あるいは地熱発電につきましては民間事業者によります新たな開発を一層促進する必要がありまして、県としても重点的に取り組むこととしております。
 その問題、課題については、先ほど一部御意見を賜ったところでございます。具体的には、風力発電につきましては、本年度策定いたします風力発電導入構想において、県内の導入候補地や開発規模などを示しまして、事業者の誘致を図り、導入に努めていく考えでございまして、また、地熱発電につきましても、温泉発電などの地域に根差した取り組みの掘り起こしを進めますとともに、国の資源調査の結果なども活用し、開発を促進していきたいと思っております。
 先ほども議論がございましたが、電力の一時回答保留の問題、あるいは固定価格買取制度の見直しの議論等があるということ、今さまざまな状況があることは承知しておりますが、県といたしましては、今後とも市町村と連携しまして、電力自給率の目標達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、この計画は向こう10年を見通した上で策定しておりますので、現在4年目でございますが、恐れ入りますが達成の見通しについてはなかなかお示しできる段階ではございませんので、御了解を賜りたいと思います。
〇岩渕誠委員 次に行きます。
 復興の具体的施策の中で、県が非常に大切にしてきたのは、コミュニティの維持、再生だと思います。私はこれを大変評価しておりますし、これまでの岩手県政においては、コミュニティを重視するという哲学は一貫してきたものと思っております。しかしながら、最近の地方自治に関する議論の方向性は、これを否定しかねないものと私は警戒しております。
 増田寛也さんという人―どこかの知事の経験者だそうですが、そのチームがまとめた極点社会、地方消滅というリポートがあります。これは、岩手県の目指してきた政策の積み重ねを無にする可能性のあるもので、一体どこの知事をしてきた人の言い分かと思う方も多いのではないかと思います。
 私も直接その増田レポートを御本人の口からお聞きする機会がありました。御承知と思いますけれども、ポイントは、東京を中心とする大都市圏への若者、特に女性の流出を捉えて、地方では消滅する自治体が出てくると警鐘を鳴らしていること。それから、人口のブラックホールと言われる出生率の低い大都市圏への流入は人口減少のさらなる加速を生み出すということ。この指摘については百歩譲ってよしとしても、問題は結論部分にあると思っております。それは、人口減少への反転として、広域ブロック単位の地方中核都市に資源と政策を集中的に投入することが必要と言っております。いわば、地方から首都圏への人口流出を食いとめるために、中核都市にダムの役割を期待しているということなんですが、中核都市というのは、東北でいうと仙台、岩手県だと、せいぜい盛岡クラスの人口30万人規模の都市のことであります。増田氏は、過疎地帯からここに資源投入することを撤退戦とまで表現しております。この結論は極めて短絡的であり、さらに問題なのは、これを財政問題や行政効率と結びつけて、政府の地方創生論の柱になっているということだと私は思っております。
 中核都市の機能に期待するというのは、かつての地方拠点都市構想の焼き直しとも言えるもので、既に結果は明らかと言わざるを得ないのですが、まずこの点について知事の認識を伺います。
〇達増知事 日本創成会議の提言は、若者に魅力ある地域拠点都市を創出するというものであり、地方の中核都市が大都市圏への人口流出の一定の歯どめとなり得る面もあるものと考えますが、一方、委員御指摘のとおり、中核都市にのみ財源や施策を集中するだけでは地方が元気になるための根本的な対策にはならないものと認識しております。
 中核都市以外の市町村においては、一関市と平泉町で行われている定住自立圏の取り組みや、新たな広域連携の制度である連携協約の活用など、自治体の規模や地域の実情に応じて、近隣の市町村と柔軟に連携することによって活力ある地域社会を形成していくことが必要と考えております。
〇岩渕誠委員 今の地方創生の議論を見ておりますと、地方の文化も日本人らしさをつくってきたもの、そして、最もこれから人口減少に対して復元力のあるのは実はコミュニティであるということがどこかに行ってしまっている、消えてしまっているのではないかと思っております。
 増田レポートでは女性人口の減少率が全国最悪とされた群馬県南牧村、ここは実は3年間で14世帯26人が移住しているそうでありますし、岩手でも、震災以降、多くの若者が被災地に入って根づいているケースも数多くある、こういったところを見ていないのではないかと思います。こうした実態にふたをして震災前の人口特性をそのまま単純に当てはめたのが増田レポートだと私は思っておりますし、もうちょっとコミュニティの力を信用してもいいのではないかと思っております。
 そもそも、中核都市がさらに小さい都市からの受け皿になって人口減少を食いとめるとありますけれども、出生率は東京よりはましかもしれないけれども、小さな自治体に比べると低いのですから、これは前提がおかしいと。出生率の高い地域に学ぶ姿、その地域に暮らせる環境をつくるのが本当で、全く逆さまの理論だと。もっと言えば、ミニ東京を地方につくるだけで、農山漁村の切り捨て、被災地の復興に水を差すと言わざるを得ないと私は思います。岩手県では、昨年度、復興分野、福祉分野を含めてコミュニティ支援のために3億2、000万円余りを予算措置しております。むしろこれを充実させて、今の地方創生論に対抗していくべきと思います。
 増田さんが知事のときと知事が終わった後では、税財源の地方移譲への考え方が非常に後ろ向きになったと考えているんですが、例えば復興の過程の中で、地方の実情に合った予算措置や制度設計を地方に任せてもらえれば復興はもっと前に進んだのではないか。少なくとも住民の理解度は深まったのではないかと私は思っております。復興の過程で試されているのはまさに地方の力だと思うのですが、地方創生においては、コミュニティ支援の充実、地方の実情に沿った施策、財源確保が重要だと考えますが、知事はこうした点についてどのようにお考えですか。
〇達増知事 コミュニティは、住民同士の見守りや助け合い、伝統芸能の継承、地域の運動会等の各種交流事業など、多様な役割を果たしています。そして、コミュニティ活動は、地域において住民が安全・安心に暮らし、地域文化やすぐれた自然など多様な豊かさを享受していく上で欠かせないものであります。そういう意味で、岩手という県はコミュニティでできている、また、日本という国もコミュニティでできているのだと思います。
 県はこれまでも、草の根コミュニティ再生支援事業やさんりく基金を活用した事業などによって地域づくりの担い手育成などを進めてきたところでありますが、今後においても、コミュニティの取り組みを支援し、強化する施策を進めていきます。
 今後、こうした地域の実情に沿った施策を積極的に展開していくためにも、自由度が高く安定した財源の十分な確保が必要と考えておりまして、県としても、国のまち・ひと・しごと創生本部に対して、機会あるごとに強く働きかけてまいります。
〇岩渕誠委員 いずれ岩手県として、今の地方創生論、評価すべきところは評価すべきでいいんですけれども、コミュニティをどうするか、コミュニティの復元力をどうするかということは、やはり大きな声で政策提言をしていっていただきたいと思います。
 内陸の震災での課題を取り上げたいと思います。
 さまざま放射性廃棄物、除染の問題などあるんですが、きょうは1点、シイタケの問題についてお尋ねします。
 東電の賠償請求に対する支払いはある程度進捗しておりますけれども、肝心の生産再開は35%にとどまっておりまして、半数以上が残念なことに廃業の判断をいたしました。さまざまな要因はありますけれども、最大のものは価格の下落であります。震災前と比べると、県産シイタケの取引価格は、これは平均ですが、昨年度28.9%です。これでは再開したくてもできない、経営的に成り立たないからやめざるを得ないというのが実態です。全国平均も震災前の6割にとどまっていて、これは風評被害だけではなく、構造的な課題があります。県として、生産再開への支援の強化と価格回復についてどのようにお考えなのかお示しください。
〇千葉副知事 シイタケの生産支援についてでありますが、県ではこれまで、シイタケの生産再開に向けまして、ほだ場環境の整備や、放射性物質の影響を受けにくい簡易ハウスの導入、経営資金の貸し付け、原木購入費用に対する支援、出荷制限解除に必要となる生産過程の管理指導などに取り組んできたところでございます。
 また、価格の回復には、県産シイタケの品質の高さなどの魅力、安全・安心を消費者に伝えることが重要でありますことから、これまで生産者団体等が行っておりますPR活動への支援や首都圏の地下鉄への中づり広告の掲示、県内の学校給食へのPRなどに取り組んできたところでございます。
 シイタケの市場価格につきましては、震災後の出荷につきまして、今、委員から御指摘がございましたが、平成25年は3割を下回る水準で低迷しておりました。ことしに入りまして、取扱商社の商品確保が進みまして、約4割を超える水準まで戻ってきたところでございます。今後も、量販店で行います対面販売や取扱商社への働きかけなど、さらなる価格回復に向けて全力で取り組みますとともに、一日も早い出荷制限の解除に向けまして、本県のシイタケ産業の再生に努めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 岩手県独自の出荷制限の再開という問題もあるんですが、非常に大きいのはやっぱり価格低迷だと。これは、実は、初め静観していた九州の産地のほうもようやく相当まずいということがわかってきまして、動き始めております。ぜひ九州とも連携をしていっていただきたいと思います。
 それでは、ここからは震災復興から離れてお聞きしたいと思います。
 昨年度は豪雨災害が相次いだ年でもありました。特にも河川の氾濫、内水被害が深刻で、補正対応も行っているところですが、現在の回復の進捗状況はどうなっているでしょうか。
〇千葉副知事 昨年度の豪雨災害対応に係る進捗状況についてでございますけれども、昨年7月から9月にかけまして、3回の記録的豪雨によりまして県内の各河川で家屋や農地の浸水被害が発生したところでございます。
 公共土木施設に係ります災害復旧事業につきましては、県及び市町村管理施設合わせて1、291カ所、その査定決定額は145億円余となっているところでございます。本年8月末までの状況でございますが、882カ所、68.3%を発注いたしまして、うち351カ所の復旧工事が完成したところでございます。
 また、具体的に若干申し上げますと、氾濫被害防止として、一関の砂鉄川におきましては、災害対策等緊急事業推進費を活用し、屈曲部の是正や必要な流下能力の確保のため、現在、河道掘削工事を実施しており、年度内の完了を予定しております。
 岩崎川におきましては、現在、河道掘削及び護岸工事を実施しておりますほか、昨年、事業区間を延伸した上流部におきまして、今年度から床上浸水対策特別緊急事業を導入いたしまして護岸や橋梁の詳細設計などを進めており、年度内に岩崎川橋のかけかえ工事の発注を予定しております。
 雫石川につきましては、昨年度に河川等災害関連事業を導入しておりまして、現在は用地交渉や仮設道路工事などに着手しておりまして、年度内に護岸工事に着手する予定としているところでございます。
 さらに、他の河川におきましても、背後地の土地利用等を勘案しつつ、優先順位の高いところから、大雨により堆積いたしました土砂の撤去や河道内の樹木伐採に順次着手しているところでございます。いずれ、非常に今回、箇所数も多く、さまざまな被害を受けておりますので、できるだけ迅速にこの対策を進めていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 昨年の河川災害もそうですけれども、最近は、本流部の問題よりも支川に当たる県管理、市町村管理の部分での問題が大きくなっていると認識しています。例えば、北上川下流部というのは、ダムも含めて、遊水地事業も含めてかなり国の整備が進んでいるんですが、その影響が支川に出ていることは御承知いただいていると思いますが、国はこうしたところは全く知らんぷりで、平成14年度にたった1枚の通知をもって、管理区分によってあなたたちがちゃんとやりなさいと投げました。これは、確かに管理河川に区分はあるんですけれども、川ですから、一体整備をしないと治水対策の意味をなしません。しかし、国はなかなか財政措置も含めて踏み込んでこない。自分で整備したところがよければいいという姿勢なんですが、この辺、やはり県として強く積極的関与を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
〇千葉副知事 昨年度の大雨豪雨もそうですが、近年、記録的な豪雨が頻発しておりまして、洪水と同様に内水等におけます浸水被害から県民の生命、財産を守ることが極めて重要な施策となってきております。県といたしましても、支川処理や内水排除等に関する治水対策について、国及び関係する市町村と連携して必要な取り組みを現在進めておるところでございます。同じような課題を抱えております他の地方自治体とも連携し、情報の共有や研究を進めながら、全国知事会を通じて、国のより積極的な関与について要請したいと考えております。
〇岩渕誠委員 次に、公的医療体制の構築についてお尋ねします。
 達増県政1期目の最大の課題の一つは、医療崩壊の危機をきっかけとした県立病院の再編など、医療体制の構築であったと思っております。原因は医師不足と公的病院の収支悪化であり、それぞれ時に傷つきながらも議論してきた結果としてその改革の成果が気になるところであります。県として、県立病院改革をどう評価しているのか伺います。
〇達増知事 県立病院改革についてでありますが、地域医療の確保については、これまでも県政の重要課題と位置づけて取り組んできたところであり、県立病院においては、平成21年度から平成25年度を計画期間とする経営計画に県立病院間の役割分担の明確化と特色ある医療の提供などの基本方向を掲げ、各保健医療圏の状況を踏まえた病床規模の適正化を図ってきたほか、医師の招聘活動や業務負担の軽減、専門資格職員の育成など、医師確保、人材育成に向けた取り組みを推進してきたところであります。
 また、県では、県民総参加型の地域医療体制づくりを進めてきたところでありますが、県立病院においても、地域懇談会の開催などを通じて、地域との連携、協働による病院運営に努めており、県民の受診行動にも変化があらわれています。
 こうした取り組みに加え、収益の確保と費用の効率的な執行などの取り組みの推進により、ここ数年、収支も改善基調にあるなど、これまでの県立病院改革の取り組みには一定の評価をしているところであります。
〇岩渕誠委員 確かに収支の部分では大変改善の傾向が見られることは評価したいと思います。しかし、私は、依然として医療崩壊の危機は去ったわけではない。特にも医師確保と病院間の役割分担に関する県民意識という点では特にそうだと思います。
 医師確保については、職務環境の改善というのが非常に関連しております。私も以前、残業時間について決算特別委員会の場でお聞きしたことがあるんですが、問題となっていた残業時間、あるいは医師の退職傾向に歯どめがかかったのかどうか、まずここについてお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 県立病院の医師の残業等の状況についてでありますが、医師の超過勤務時間は、平成19年度の調査では月平均約54時間でございましたが、平成25年度は月平均約52時間と減少傾向にあります。
 その内訳を見ますと、100時間以上の超過勤務を行っております医師の割合は平成19年度の調査では12.3%でございましたが、平成25年度は8.0%となっておりまして、4.3ポイント減少してきております。
 また、医局人事及び定年退職者を除きます開業や民間病院への転職等による医師の退職者数は、前経営計画期間中の平成21年度から平成25年度までは年間平均27人であり、それ以前の5カ年の年間平均32人と比較しますと5人の減少となっております。
〇岩渕誠委員 残業時間については52時間程度ということで、極端な残業をする人の割合は減ってきているということ、これは評価されるべき点だと思いますが、ただ、やはり相当数の残業時間を特に基幹病院はやっているという傾向は依然続いていると思います。それはひとえにお医者さんが足りないというところに帰結するわけでありますが、その中で、非常に切り札的にやったのが、医大のいわゆる地域枠だったと思います。昨年度初めてその卒業生が出た年でもありました。全員が国家試験に合格したと伺っておりますが、今後の県内出身者の医師育成の見通しについてお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 今後の県内出身者の医師養成の見通しについてでございますが、岩手医科大学の入学定員の臨時増に対応するため、平成20年度に創設いたしましたいわゆる地域枠の医師修学資金につきましては、県内出身者を対象にこれまで100名に貸与しており、第1期の10名については、今年度から2カ年の初期臨床研修についているところでございます。
 また、県と市町村の共同制度でございます市町村医師養成修学資金及び医療局の医師奨学資金も拡充しました結果、先ほどの地域枠と合わせた三つの制度の募集枠は55名に、貸与実績は全体で308名となっており、今後、県内の公的医療機関の医師の充足は進む見込みでございます。
 具体的には、地域枠養成医師が初期研修を修了する平成28年度から順次配置が進んでまいりまして、これは非常に長期的な試算ではございますけれども、平成40年度には厚生労働省の必要医師数実態調査によります本県の必要医師数であります293名に達し、長期的には医師不足解消に向かっていく見通しでございます。しかしながら、短期的には、ここ数年を初め、まだまだ十分な配置はできない厳しい状況が続くものと考えております。
 いずれ、養成医師の地域の医療機関への円滑な配置につきまして、その育成支援が重要でございますことから、県では、今年度から医師支援調整監として専任医師を配置したところでございまして、今後、医育機関等と連携いたしまして、総合診療能力の習得や、あるいは専門資格の取得等のキャリア形成の支援を行っていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 昨年度の合格者10人のうち、実は2人は県外で初期研修をしております。この医大の地域枠については、初めは県がなかなか試験にかかわれなかった。それが2年目からかかわった。それから、所得制限もかけたということで、普通の人がお医者さんになりたいというところには応えていっていただきたいと思います。
 最後に、農政問題について哲学を伺います。
 米の概算金の下落による影響は、この議会でも最大のテーマの一つであります。下落にはさまざまな原因がありますが、私は、根本的には、国が米の価格について市場マーケットに丸投げし、国内農政のかなめの作物について責任を放棄したことに大きな要因があるものと思っております。豊作貧乏ではなく、政策貧乏だと思っております。
 国は、米農家に対しては、主食用米以外、特にも家畜用の生産に転換することを政策的に掲げていますが、これは人間の本来の営みに反している。人の口に入る米をつくるより牛や豚の口に入る米をつくるほうが経営的に価値があるという政策は間違っていると私は思います。経営的にはいいかもしれませんけれども、少なくともそれを国が過度に推奨するのは大きなしっぺ返しを食らうと思っております。
 土地を集約して経営を大規模化すると言っておりますけれども、これはTPPを見越して、地域営農から大規模資本が入るようにやっているという絵が見えております。地域創生と言うなら、地方の農林漁業を元気にする、それで暮らしていけるという仕組みのほうが肝心ではないかと思いますが、岩手県のこれからの農政のあり方について知事の所感を伺います。
〇達増知事 農政のあり方ということでありますけれども、農業は、食品産業、流通業等、他の産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、本県の地域経済を支える基幹産業の一つとして、持続的に発展していくことが重要であります。また、本県では、多くの農家が中山間地域で生産活動に携わり、農業が地域社会そのものを支えているという実態もあります。小規模農家も参画した地域農業、コミュニティの維持発展によって農業、農村の活性化を図っていくことが重要と考えております。
 先般、東日本大震災津波からの復興に取り組んでいる陸前高田市小友地区において生産者の方々と懇談をしましたが、地域の約300戸の農家がまとまって今後の農業の方向を意思決定し、農地集積を進め、効率的な水田農業を再開させている取り組みを伺ったところであります。このような地域主体の取り組みが進むように、地域農業を支える意欲と希望を持つ担い手の育成を図るとともに、地域づくりに懸命に取り組んでいる小規模農家においても、地域に根差して、暮らしもよくなっていくような農業政策を進めていきたいと考えます。
〇岩渕誠委員 終わります。(拍手)
〇岩崎友一委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時54分 休 憩
午後3時17分 再開
〇岩崎友一委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、佐々木朋和委員。
〔佐々木朋和委員質問者席に着く〕
〇佐々木朋和委員 民主党の佐々木朋和でございます。
 会派を代表して質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、震災復興、なりわいの再生について伺います。
 平成25年度は、復興加速予算を掲げておりました。被災地の復興を加速化させ、本格復興へとつなげていくには、なりわいの再生について、被災中小企業の支援など、きめ細やかな対応が必要であったと思われます。
 そこで質問いたしますが、主要施策の成果に関する説明書によると、円滑な資金繰り支援については、CやDの達成度にとどまっている事業が多く見られ、中小企業経営安定化資金貸付金や地域産業活性化企業設備貸与資金貸付金など、復興計画関連事業も同様の状況であります。
 このような中、被災した中小企業の復旧、復興に向け、資金繰りの上で問題はなかったのか。被災した中小企業の資金繰りに対し、県はどのような対応を行っていたのか伺います。
〇中村復興局長 被災中小企業の復旧、復興を支援するため、グループ補助金の交付や二重債務対策として債権買い取りを行うとともに、県の制度融資として、長期、低利の中小企業東日本大震災復興資金を創設し、貸し付けを行ってきたところでございます。
 制度融資の一部については達成度が低いものがございますが、全体の融資実績は、震災前を上回る水準で推移をしております。これは、中小企業東日本大震災復興資金が直接被災した企業のみならず、間接的に影響を受けた事業者も対象としたことにより、既存の制度融資にかわって広く利用されたためと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 続いて、中小企業等への再建支援についても伺いたいと思います。
 被災地域商業復興支援事業費や中小企業高度化資金の震災分など、被災企業向けの事業がCやDの達成度であります。これら被災企業向けの事業の達成度が低い原因をどのように分析しているのか。また、今後どのように対応していくのか伺います。
〇中村復興局長 被災地域商業復興支援事業につきましては、グループ補助金の申請予定グループ等に対しましてアドバイザーを派遣し、商店街整備計画の策定を支援する事業であり、中小企業高度化資金の震災分は、グループ補助金の補助事業者の自己負担分に対しまして、国、県が協調して行う無利子の融資制度でございます。これらは、ともにグループ補助金の申請や交付決定の動きと連動しており、被災地の区画整理事業のおくれなどにより、当初の想定に比べ補助金の活用が少なかったことから、達成度が低くなったものでございます。
 今後は、被災地の区画整理事業の進捗に伴い、これらのアドバイザー派遣事業や中小企業高度化資金へのニーズがふえることが予想されることから、引き続き、被災企業の事業再建を支援してまいります。
〇佐々木朋和委員 もう一つ質問させていただきたいと思いますが、先日の報道で、被災事業者の復旧率は上がっているものの、震災前の売り上げに戻った事業者は半分にも満たないとの報道がありました。県では、この状況をどのように分析して対策をとっていくのか伺います。
〇中村復興局長 8月に実施いたしました被災事業所復興状況調査によりますと、事業の再開率は、一部再開も含めて76.2%となっている一方、売り上げ等の状況につきましては、震災前と同程度または上回っている事業所が47.2%にとどまってございます。
 業種別では、建設業が復興需要等により好調である一方、水産加工業では、震災で失った販路の回復や人手不足、卸売、小売業では、本設店舗への移行のおくれや商圏の変化に伴う顧客の減少により、業績の回復が進んでございません。こうしたことから、水産加工業につきましては、商談会や大手量販店と連携をしたフェアの開催による販路開拓支援、企業見学会や面接会など企業と求職者とのマッチングに加え、U・Iターンの促進による人材確保を一層強化してまいります。
 卸売、小売業につきましては、本設店舗への円滑な移行や新たな商店街の構築に向けて、計画段階からフォローアップまで、各段階に応じた助言や指導を行っており、こうした取り組みを進めることで被災事業所の早期復興を支援してまいります。
〇佐々木朋和委員 分析また今後の対応を聞かせていただきましたが、私は、震災発生当初、県の震災関連の補助事業について、内陸も含めて、被災地においてそのような事業の内容が十分に伝わり切っていなかったということを今思い出しております。そのことについて、県の事業者の個別具体的な実態把握というのをどうやって体制をとっていくのかというのが、今後の体制づくりにおいて重要であると思っております。
 と申しますのは、別な角度から申しますと、これも最近の報道でありましたが、ILC関連の事業に参入していく興味のある事業者の方が83%に上っているという反面、その実態については、情報不足でわからないという方が多かったと思っております。
 後ほど触れますけれども、中小企業振興条例の先進地においては、行政マンが事業者を1軒1軒回って実態の把握に努めているという例がございまして、そこから情報の発信のパイプをつくったりですとか、また、施策につなげていくという動きをしております。この情報をとるのが関係団体なのか、市町村なのか、また県なのかというのは議論があると思うんですけれども、ぜひとも、これから震災復興に向けて、また、県の新たな産業の集積に向けては、そのような個別の実態把握も進めていただきたいと思います。
 次の質問に移りたいと思いますが、地域に根差した水産業の再生について伺いたいと思います。
 被災地における地域に根差した産業の中で、水産業は重要な地位を占めております。その再生に当たっては、漁業の経営体の育成が課題の一つであります。
 主要施策の成果に関する説明書によりますと、地域再生営漁計画推進事業費の達成度がD評価となっております。漁協を核とする漁業、養殖業を構築する上で重要な事業の一つと考えられますが、達成度が低い要因をどのように分析し、今後どのように対応していくのか伺います。
〇中村復興局長 地域漁業の再生のため、漁業者みずからが復興に向けた計画を策定し、実行していくということが重要でございまして、このため、県におきましては、全24漁協において、地域漁業の将来像とその実現に向けた行程を明らかにした地域再生営漁計画の策定を支援しているところでございます。
 平成25年度につきましては、7漁協での計画策定を目指してございましたが、漁協が被災した漁船や養殖施設の整備など、喫緊の多くの補助事業の執行に追われたことなどから、策定につきましては3漁協にとどまったものでございます。現在、市町村と連携をいたしました支援等を強化、継続しておりまして、今年度中には、残る21漁協全ての計画策定を目指してございます。
〇佐々木朋和委員 被災地の水産業の再生には、経営体の育成に加えて、高付加価値化に向けた6次産業化も不可欠と認識しております。漁業における6次産業化に向け、県はどのような取り組みを行い、どのような実績を得ているのか。また、新たに6次産業を立ち上げるならば、初めから世界のマーケットを意識した商品開発などをしていくべきと思いますが、指導体制はどのようになっているのか伺います。
〇中村復興局長 漁業の再生に向けましては、委員から今お話がございましたように、水産物の加工、販売など、6次産業化の推進により、漁業者等の所得向上を図っていくことが重要でございます。これまで、いわて農林水産業6次産業化沿岸復興支援事業などの事業を展開し、6次産業化の取り組みを積極的に支援してまいりました。
 このような取り組みを通じまして、漁業者による地元水産物等の首都圏飲食店への直接販売や、インターネットを活用した通信販売、漁業者と加工販売事業者が連携した新商品開発など、漁業における6次産業化の取り組みは着実に進展をしてございます。
 また、水産物の販路の回復、開拓を図っていく上で、国内はもとより、海外マーケットをも視野に入れた新たな商品開発や販売戦略も必要とされることから、本年6月に国が任命をしました商品開発や販路開拓の専門家である復興水産販路回復アドバイザーによる個別指導や、いわて6次産業化支援センターによる経営サポート、流通販売の専門家である食のプロフェッショナルチームアドバイザーの助言など、漁業者等への支援体制を整えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 それでは、中小企業振興条例について伺いたいと思います。
 今まで質問をさせていただいたとおり、被災事業者の業績アップ、食品加工を通じての高付加価値化などの取り組みについては、事業者の経営力アップや、市町村、県、関係団体のバックアップに加えて県民の協力も必須と考えられ、その大きな力となるのが、知事が制定の方針を打ち出した中小企業振興条例であると期待しております。
 他県においては、中小企業者に農業者や水産業者も含め、その経営能力を磨くことにより、6次産業化に大きな成果を出している事例もございます。また、本条例が実効性のあるものにするためには、主体者である事業者や関係団体を条例づくりの段階から巻き込み、主体性を持って条例の趣旨実現に取り組んでもらえる環境をつくる必要があると思いますが、知事の思い、今後の進め方を伺います。
〇達増知事 県では、商工業や中小企業の振興を図り、震災からの本格復興や、人口減少問題に対応できる県内経済の実現を目指した条例の制定に向けて検討を進めておりまして、これまでに、中小企業者や商工団体等の関係機関を対象としてヒアリングやアンケートを行い、幅広く御意見を伺ってきたところであります。
 今後におきましても、中小企業者や商工団体等の方々による意見交換会やパブリックコメントを実施するなど、中小企業の自主的な取り組みを促進し、関係機関等の参画や県民の皆様の理解、協力が得られる条例となるよう、検討を進めていきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 今、御答弁で、中小企業者にも意見を聞いてというお話を伺いました。ただ、私は、この条例をもっと実効性のあるものにしていくためには、意見を聞く以上に、もっと巻き込みを考えてやっていただきたいと思うところであります。特にも、中小企業振興条例の先進地においては、市町村が中心になってやっているところが多くて、そこが主体的に事業者を回ったりということでつながりをつくっているという事例が見受けられます。そのような中で、本県においては、市町村レベルで中小企業振興条例をやっているところ、やっていないところがありまして、その中で、県がどのようにしてリーダーシップを発揮していくのかというところが、この県の中小企業振興条例が実効性のあるものになるかどうかという試金石になるのではないかと思っているところでございます。知事においては、ぜひともその点も踏まえて、制定に向けて環境づくりをしていただきたいと思います。
 次に、風評被害、震災の記憶の風化を踏まえたみちのく岩手観光立県第2期基本計画のアクションプランへの落とし込みについて伺いたいと思います。
 放射性物質による風評被害は、沿岸だけでなく、内陸にも今なお継続して影響がございます。また、震災の記憶の風化の声も聞かれ、観光面で不利な状況が続いているものと思料されます。
 みちのく岩手観光立県第2期基本計画において、平成30年度の目標として、観光入り込み客数が1、640万人、宿泊客数が700万人、外国人宿泊客は、震災前からの倍増の16万人を掲げております。県では、岩手の観光が震災前に戻りつつあると評価されていますが、それは、平泉の世界遺産登録やデスティネーションキャンペーン、あまちゃん効果などの契機によって押し上げられたものであり、今後新たな目標達成のためには、大型キャンペーンに頼らなくても集客していける地力をつけることが重要だと思います。そのためには、みちのく岩手観光立県第2期基本計画において掲げている日本一のおもてなしや、観光において地場産業がより使われるような観光を総合産業として確立させるための取り組みをアクションプランの指標に盛り込んで、基本計画に掲げるあるべき姿を実現していくべきと思いますが、御所見を伺います。
〇達増知事 観光は、観光施設を初め、運輸業、宿泊業、飲食、物販、製造業、さらには1次産業に至るまで、幅広い産業と密接に関係している総合産業であり、みちのく岩手観光立県基本条例においても、観光産業を総合産業として、つくり育てていくことを基本理念としています。
 本年3月に策定した第2期基本計画では、10年後に実現すべき姿を展望しつつ、計画期間を5カ年と定め、本県が有する多彩な観光資源を磨き上げ、県内全体の地域経済の活性化を図ることなどを目指す姿として掲げております。
 この目指す姿を実現するため、地域資源を生かした魅力的な観光地づくりなど五つの施策を定め、その中で、観光の総合産業化を進めるため、6次産業化やICT利活用などの取り組みを盛り込むとともに、短期的または中長期的といった実施時期についても明記しているところでございます。
 観光を総合産業として育てていくに当たりましては、第2期基本計画に盛り込んだ関連事業について指標を設定し、評価を踏まえつつ、着実に実施しながら、計画に掲げる目指す姿の実現に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 そのように総合産業を目指していくというのであれば、私は、推進をする観光課のあり方についてもお考えいただければと思っているところでございます。
 今、岩手の観光を見ていますと、いわて花巻空港は県土整備部、また、世界遺産、スポーツツーリズムは教育委員会、グリーンツーリズム、6次産業化は農林水産部、また、これからは、人口減少について、定住化といった取り組みが観光に含まれてくるのではと思っております。そういった中で、いろんな部局にまたがる観光という問題について、商工労働観光部の中での観光課という位置づけでいいのか。この点については、この第2期アクションプランを進めていく上でも、どうなのかという思いがあります。
 知事に、もう一度この件について御所見をいただきたいと思います。
〇達増知事 観光が幅広い産業と密接に関係している総合産業であり、委員御指摘のとおり、スポーツでありますとか、さまざまな私が先ほど述べた分野以外にもつながるものだと思います。そういう意味で、全庁的な取り組みが求められるものであると思っておりまして、まずは商工労働観光部観光課がその司令塔といいますか、あるいはお世話係といいますか、いずれ、観光というものが持っているポテンシャルを最大限活用するための目配りを観光課がするとともに、全庁挙げて、これは医療とか警察とかも関係するわけでありますから、教育もそうですし、知事部局以外も巻き込みながら観光に取り組んでまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 では、次の話題に移りたいと思いますが、農業施策について伺いたいと思います。
 現在、国においては、午前中も議論がありましたとおり、担い手への農地利用の集積、集約化を促進するための農地中間管理機構を第一歩として、農業の成長産業化を実現するため、農業改革を進めております。
 主要施策の成果に関する説明書によりますと、耕作放棄地の解消面積は順調に推移しているものの、認定農業者などへの農地集積の過去の達成度は、いずれもD評価となっております。達成度が低い原因は何か、原因を踏まえての今後の対策は何か伺いたいと思います。
〇千葉副知事 認定農業者等への農地集積についてでありますが、県では、これまで、農地保有合理化事業などによりまして、農地の売買や貸借を促進し、地域の担い手であります認定農業者等への農地の利用集積を支援してきたところでございます。しかしながら、高齢化に伴う経営規模縮小による再認定の見送りや、法人への参加によります認定の取り下げ、再認定前の離農などによりまして認定農業者数が減少したことから、農地集積面積はおおむね横ばいで推移しておりまして、委員御指摘の評価となったところであります。
 今後におきましては、地域農業マスタープランに位置づけられました地域の中心となる経営体のうち、認定農業者になっていない経営体が約2、000経営体ございますことから、こうした経営体を認定農業者に誘導しますとともに、本年度からスタートいたしました農地中間管理事業を有効に活用し、農地集積の促進を図っていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 次の質問に移りたいと思いますが、午前中の話の中で、知事には、岩手の将来の農業像というのをおっしゃっていただきました。国際競争力や高付加価値化を目指すということでありましたが、現実を見てみれば、本県においては、依然、放射性物質の風評被害や実害の影響が大きく、肉用牛の飼育頭数の減少や干しシイタケの生産数の減、市場価格を見ても、高付加価値化を目指した担い手が農業に参入しづらい環境にあると思われます。そのような状況下で、県では、特にも放射性物質の影響が大きい肉用牛、干しシイタケの産地再生策に、どのようにして取り組んでいくのか伺います。
〇千葉副知事 肉用牛、干しシイタケの産地再生策についてでありますけれども、肉用牛の飼養頭数の減少につきましては、担い手の高齢化、後継者不足など、震災以前からの構造的な課題の顕在化と大規模法人の倒産、撤退が主な要因となっておりまして、加えて、委員御指摘のとおり、放射性物質の影響が加速化するものと考えているところでございます。
 こうしたことから、飼育頭数の増加に向けまして、牧草地の除染に加えまして、規模拡大を志向する農家におきます低コスト牛舎等の整備や優良繁殖素牛の導入を支援いたしますとともに、キャトルセンターの整備や外部支援組織の育成などにより、生産基盤の強化を図ってまいります。
 次に、干しシイタケの産地再生につきましては、まずは出荷制限の早期解除に向けたほだ場環境の整備や生産過程での管理の徹底に加えまして、生産者への資金の貸し付けや、放射性物質の影響を受けにくい簡易ハウスの導入、新たなほだ木造成などに対する支援に継続して取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、出荷前検査の確実な実施、首都圏の量販店で行います対面販売などを通じて消費者の信頼確保に努め、産地の再生に取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 そのような中で、外に向けて売っていくと同時に、県内での消費を拡大していくということも重要であると思いますけれども、6月の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、県内の供給体制の強化について、特にも給食への使用について伺いたいと思います。
 財政が市町村においては厳しい中、入札による給食業者の選定が行われて、コストカットのために県産食材が使われにくい環境も生じていると聞いております。
 人口減少が叫ばれる中で、子供たちに故郷の食材に親しみを持ってもらうことは、食育や地域愛の醸成にも通じ、将来、地域に残ってもらうきっかけづくりにもなると考えます。
 このような意味からも、県は、給食の県産食材の供給体制の強化について一歩踏み込んだ施策を行うべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
〇達増知事 学校給食における県産食材の利用については、地産地消の推進のみならず、子供たちが地域の伝統的な食文化について理解を深めるという、食育の観点からも極めて重要であります。このため、栄養教諭等を対象とした研修会において、学校給食への県産食材の利用促進を働きかけるとともに、いわて食財の日、岩手とり肉の日、鮭の日等の取り組みを呼びかけるほか、産直を活用した県産食材を安定的に供給する仕組みづくりを支援してきたところであります。
 こうした取り組みによって、学校給食における平成24年度の県産食材の利用率は重量ベースで47%となり、第2期アクションプランに掲げる給食全体の利用率目標値が45%であることから、一定の成果があったものと受けとめております。
 今後とも、学校給食における供給体制の充実強化に向け、地域が一体となった食材の品目、数量、規格等の調整や、安定供給が可能な食材を活用した献立の開発等の取り組みを積極的に支援してまいります。
〇佐々木朋和委員 私は、いろいろな施策をしていただいているというのは十分承知をしているんですけれども、もう少し県にメッセージ性を強く出していただいて、岩手県がそのような地産地消に、子供たちの給食に取り組んでいるんだと、大きな情報発信をしていただきたいという思いで質問をさせていただきました。御検討をお願いしたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、一つ飛ばして、在宅医療について伺いたいと思います。
 国では、在宅医療を全国一律で進めようとしておりますが、本県では、在宅医療を進める施策についてCやDの評価が散見され、在宅を支える医療、また、介護人材の不足も顕著であり、老人福祉施設の箇所、整備床数もD評価となっております。
 県土の広い本県においては、在宅医療はなじみにくいのではないかとの不安の声も根強くあり、また、東日本大震災津波により、人口減少や高齢化などの課題が以前にも増して顕在化している現在の岩手にあって、本県に合った在宅医療の姿を県ではどのように描いているのか、また、どのように実現させていくのか伺います。
〇達増知事 高齢化を背景として、急性期の医療機関からの退院支援や、在宅における急変時の対応やみとりなど、住みなれた地域で適切な在宅医療が受けられる体制が求められています。県土が広く、医師不足や地域偏在が課題となっている本県においては、地域の医療を担う病院等を中核とする体制や複数の開業医がグループで取り組む体制など、地域がその実情に応じて適切な役割分担と連携により、在宅医療を提供する仕組みを構築していくことが必要であります。
 こうした体制の構築には市町村の役割が極めて大きいことから、県では、市町村が主導的な役割を果たすことができるよう、医療、介護の連携拠点の整備等を支援していますが、平成25年度においては連携拠点が2カ所にとどまっており、より一層の取り組みが求められています。
 県では、今後、市町村ごとの在宅医療の必要量を盛り込んだ地域医療ビジョンを策定することとしておりまして、その策定段階から、市町村や医療従事者とも情報を共有しながら、在宅医療への意識づけや、介護事業所を含めた連携体制の構築を全県的に進めてまいります。
〇佐々木朋和委員 次に、ゲリラ豪雨などの異常気象への対応について伺いたいと思います。
 地域防災計画の修正などについてでありますが、平成25年度は本県をゲリラ豪雨が襲い、私の地元も水害に遭いました。
 ことし3月の予算特別委員会において、ゲリラ豪雨の頻発を前提に防災対策を講じるべきではないかとの私の質問に対して、昨年度の大雨災害を踏まえ、地域防災計画の修正や体制の見直しを図る旨の答弁をいただいておりますが、現在の状況はどうなっているのか伺います。
〇小田島総務部長 地域防災計画の修正等についてでございますが、県の地域防災計画につきましては、市町村における災害対応体制等が不十分であったこと、県としての災害情報の収集や分析、関係機関との調整等に課題があったことなど、昨年の大雨災害への対応における課題を踏まえ、本年3月に修正を行ったところでございます。
 この修正では、被災市町村に対し、広域振興局職員を現地連絡員として派遣すること、県の災害対応組織として新たに災害特別警戒本部を設置すること、市町村において避難勧告等の具体的な発令基準を作成すること、市町村が行う避難勧告等の判断に対し県等が助言することなどを新たに規定し、県として、市町村の災害対応を支援する体制を構築するとともに、被害が拡大するおそれがある場合等における県の対応体制の充実を図ったところでございます。
〇佐々木朋和委員 一つ質問を飛ばしまして、公共事業の入札不調について伺いたいと思います。
 先ほど来議論もあるところでございますが、マンパワー、資材不足により、復興事業がおくれるということはやはりあってはならないことでありますけれども、また、それと同様に、昨年の水害、洪水被害から1年たってもその地域が修繕をされないということは、地域住民にとっては大きな不安でありますし、また、災害について、災害に遭っただけでもそこに住むのをどうしようかというときに、それがまた1年たっても直らないというところでありますと、やはり人口減少にもつながっていく話だと思っております。そういった中、今後も入札不調がふえる心配がありますが、県は、現状をどのように理解をして対策を打っていくのか伺いたいと思います。
〇小田島総務部長 公共事業の入札不調についてでありますが、平成26年度の9月末までの入札不調の割合は20%となっており、前年同期の16%を上回るペースで進んでおります。その要因といたしましては、設計単価と実勢単価との乖離や、技術者、労務者の確保や資材調達が困難であることなどが挙げられているところであります。また、国、県、市町村における復旧、復興工事の本格化に加えて、昨年度に発生した大雨等による災害復旧工事の急増なども、入札不調が増加した要因の一つと考えております。
 このため、県といたしましては、入札不調への対応として、入札参加資格において施工実績要件を付さないことや、沿岸地域の地域要件の拡大などを図ってきたほか、労務単価の機動的な見直しや、被災地以外からの労働者確保に要する追加費用や宿舎建設費用の計上、資材費の高騰に応じたスライド条項の適用拡大など、さまざまな対策を行っているところであります。しかしながら、依然として入札不調の発生率が高い状況にありますことから、ことしに入ってからも、県外建設企業の参入に配慮した入札要件の緩和、労働者や資材確保のための施工準備期間の設定、復興係数による工事費の補正など、さらなる対策を進めているところであり、今後におきましても、国、関係市町村、業界団体と情報交換、連携を密にし、これまでの対策を推し進めながら、できるところから必要な対策をとっていく考えであります。
〇佐々木朋和委員 これは切実な問題でありますので、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
 時間がないので、細かい部分は部局審査でまたやりたいと思います。
 次に、教育について伺いたいと思います。
 教育内容については全国一律の縛りがありますが、国際リニアコライダー計画誘致を目指す本県にとって、数学、英語の学力向上が重要と考えられ、また、人口減少対策の面においても、教育を充実させることは効果的と考えております。
 世界に羽ばたく人材育成とともに、地域社会を担う人材育成の両方が求められ、さらに教育委員会制度の見直しも議論されている中、今後、首長が教育施策について方針を打ち出すことも出てくると思いますが、岩手の教育の方向性をどう考えているのか、知事が思う岩手の教育について伺います。
〇達増知事 本県教育の目指す姿は、いわて県民計画における人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向けて、学校教育を初め、県民生活それぞれのライフステージにおいて県民一人一人が生き生きと学び、文化芸術やスポーツ活動などに親しみ、このような活動が県内に広く展開する姿であると認識しております。
 特に、さまざまな分野で急速に進みつつあるグローバル化社会に対応するため、岩手と世界をつなぎ、自立と共生の担い手となるグローバル人材を育成することや、人口減少問題に直面している県内のそれぞれの地域において、これからの岩手を担う人材を育成することは、学校教育においても極めて重要な視点と捉えています。
 来年4月に始まる教育委員会制度改革は、知事と教育委員会とが、これまで以上に連携を深める好機でありますことから、新たに設置する総合教育会議の場等を活用した議論などを通じて、本県の一層の教育振興に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 震災復興を進める上でも、介護の分野また建設の分野、多方面において人材不足、いかにして岩手の子供たちにキャリア教育を行っていくかということが重要な課題であると思っております。そういった意味では、この教育委員会制度改革において、知事部局が教育についていろんな意見を出していけるということは、私はいい方向に行ってほしいと思っておりますので、ぜひとも発信をしていただきたいと思います。
 次に、大雪りばぁねっと。について伺いたいと思います。
 県議会において議論がなされた後に、法人代表の横領罪の逮捕、立件がありました。議会の議論の中では、県当局は、第三者委員会による再検証は行わず、捜査や裁判の行方を当面見守ることが妥当との判断も含め、適切に対応してきたとの見解のようでありますが、平成23年度、平成24年度決算の不認定に加えて、法人代表の逮捕、立件、また、今回の議題である平成25年度決算で大雪りばぁねっと。に続く緊急雇用創出事業の問題が議論されている現状においても、これまでの県当局の見解は変わりがないのか伺いたいと思います。
〇達増知事 県といたしましては、検証委員会の提言を踏まえて、事業の適切な執行を確保し、再発防止を図ることが重要と考えておりまして、今年度当初から内部管理体制の強化や、補助、委託事業の留意事項の徹底など、新たな仕組みを取り入れて対応しているところであります。
 加えて、補助金の事務手続などについて法規的な観点から、より明確にするための検討なども進めたいと考えております。
 現在、裁判や会計検査により、事実関係のより客観的な形での究明が行われており、県では、裁判の推移を注視するとともに、会計検査に協力する形で対応しております。
 また、議会の決議がなされ、それに具体に対応しなければならないとの考えのもと、外部の方に、検証委員会における検証結果の内容について所見をいただくような方法も一つの選択肢ではないかと考えて、検討を進めているところであります。
〇佐々木朋和委員 時間がないのでDIOジャパンについて伺いたいと思いますが、事業実施主体の信用性について伺いたいと思います。
 DIOジャパンについて、緊急雇用創出事業の認定の段階で、実施主体の信用性について疑いはなかったのか、また、途中で危うさを感じなかったのか伺います。
〇千葉副知事 県におきましては、平成23年9月、DIOジャパンから、東北地区にコールセンターの開設を検討したいという打診を受けまして、信用調査を行った上で、各市町村に進出情報を提供したところでございます。その後、立地市町は、緊急雇用創出事業について公募し、同社が受託者に選定されたところであります。
 なお、DIOジャパンは、平成25年3月、経済産業省の平成24年度おもてなし経営企業にも選出され、また、平成25年4月、独立行政法人中小企業基盤整備機構が組成する東日本大震災中小企業復興支援ファンドからの出資も受けたところでございます。そのようなことで、一定の信用を持った上で対応したのではないかと考えているところでございます。
 その間、この緊急雇用創出事業の事業期間中であります平成25年1月から同年3月の間に、県に対して、コールセンター会社の関係者と思われる方から、4件の情報が寄せられたところでございます。
 その内容は、退職時の会社側の発言、研修内容への疑問と不満、ハラスメント、業務日誌の書きかえ等に関するものであり、これらの情報の中で、緊急雇用創出事業の取り扱い上改善を要すると思われる内容については、関係市町を通じて、事実確認と当該企業への指導等を行い、その他の内容については県が直接指導したところでございます。
〇佐々木朋和委員 次に、撤退の意図についてお聞きしたいと思いますが、DIOジャパンは、緊急雇用創出事業の終了とともに、初めから撤退を考えていたのか。撤退の意図について、県はどのように感じているか伺いたいと思います。
〇千葉副知事 DIOジャパンの本県への進出につきましては、当時、宿泊施設予約代行コールセンター業務の拡大に伴い、復興支援を兼ね、東北地区に1、000席規模のコールセンターを設置するということでございました。その後、DIOジャパン関連子会社が、平成24年4月から同年11月までに7事業所で緊急雇用創出事業を受託し、事業終了時期は平成25年3月から同年10月までとなっております。
 同事業終了後から閉鎖までの期間は、最も短いところで、釜石コールセンターの8カ月、最も長いところで、盛岡コールセンターの17カ月となっております。
 DIOジャパンでは、本年6月に、平成25年秋に発生したホテル食品偽装問題等により急激に売り上げが減少し、当初の計画が達成できなかったと公表しており、県としては、このような急激な経営悪化に伴う資金不足により、閉鎖に至ったのではないかと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 最初の質問で、信用性、危うさを感じなかったのかとお伺いしましたけれども、DIOジャパンは県内全市町村に声をかけて、経営戦略もなく進出に同意した各市町を拠点に選んだとの話もお聞きをしておりますが、県はDIOジャパンの進出の実態をどう捉えていたのか伺いたいと思います。
〇千葉副知事 私どもといたしましては、先ほどの答弁と一部重複いたしますが、平成23年9月に、DIOジャパンから、東北地区にコールセンターの開設を検討したいとの打診を受けたところでございます。県では、信用調査を行った上で各市町村に信用情報〔後刻「進出情報」と訂正〕を提供し、立地を希望する市町村と連携して各候補地を提案いたしましたところ、同社からの要望により、7市町で事業所が開設されたというのが実態と考えております。
〇佐々木朋和委員 では、角度を変えて、離職者に対する支援について伺いたいと思いますが、実際に被害を受けた離職者の支援について、県ではどのような対応をしてきたのか。給与未払い時期のつなぎ融資などの対策も考えられたと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇千葉副知事 離職者に対する支援についてでありますが、離職者への影響を最小限にとどめるため、できるだけ早く再就職につながる支援を行うことが重要と考えまして、関係市町と連絡して新たなコールセンター企業の立地に取り組み、雇用の場の確保を図ってきたところであります。
 また、国、関係市町と連携いたしまして、離職者説明会を開催するなど、離職に伴う雇用保険の手続や県労働者等生活安定支援基金などの利用可能な制度の紹介等も行ってきたところでございます。
 さらには、これらの国と連携した取り組みを進める中で、国の未払賃金立替払制度がいち早く本県において適用されることとなったものと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 コールセンターを引き継ぐ事業者を探すということも重要ですが、私は順番からすれば、先に離職者の給与未払いで大変困っているところを、県はまず先にケアをするべきではなかったかと思っているところでございます。
 最後、このように緊急雇用創出事業において、このような事件が続くということで、制度上の問題点や運用上の問題点がなかったのか、最後にお聞きをして終わりたいと思います。
〇千葉副知事 これまでの、今議会の御議論の中でも一部出ておりますが、今回、例えばでございますが、今いろいろと一部所得隠しをしているのではないか等の調査も進められているわけでございますが、国の補助制度における制度設計の中で、県あるいは市町村がその事業を実施した場合に、本社の情報についてどこまで把握し得るかということについては非常に問題があろうかと思っております。
 平たく申しますと、いわゆる本社レベルでさまざまなそういうことが、仮にでございますが考えられたとするならば、非常に国の制度自体を相当分析して、どういうところにいわゆる制度的な弱いところがあるかとか、そういうところを多分研究することもあり得るのではないかと。そうしますと、なかなか情報として全般を押さえていない実施主体である市町村あるいはそれを所管しています県としても、全体の情報についてはなかなか把握し切れないということで、先ほど一つ申しましたが、例えば例のリース制度の問題で、国に対して県から申し上げて、翌年度から通知で制度改正になったところもございます。そういう意味で、いわゆる国の補助事業で委託をする場合に、これもちょっと繰り返しになって恐縮ですが、特に今回県外からの全く今までおつき合いのなかった企業、団体とのおつき合いの仕方を含めて、あるいはこの制度の運用の仕方も含めて、言い方がおかしいですが、県レベルでもいろいろとこれから対応策も考えていかなければならないですし、あと、県、市町村で対応できないところについては、国の制度設計の中でどういうふうにその辺の対応もしていただけるか、これもお願いしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
〔「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇及川あつし委員 議事進行で委員長に取り計らいをお願いします。
 ただいまの質疑の中で、DIOジャパンの関係で副知事からの答弁がございましたが、平成23年度の段階で、市町村にDIOジャパンの事業を紹介するに当たって、信用情報も含めて提供したということでございますが、当委員会に、当時県が調べた信用情報について、ぜひ提供していただきたいと思います。
 なお、その中に、その時点の前に、直営で運営していたコールセンターで、2カ月余りで閉鎖したところもあると思うのですが、そういう信用情報が含まれていたかどうかについても、委員長の取り計らいで、商工労働観光部審査の前に、当委員会に資料提供されるようにお願いをしたいと思います。
 2点目は、これもただいまの副知事の答弁中、DIOジャパンがいわゆる撤退をしようとしている理由の中で、DIOジャパンが一方的にホームページに掲載した、いわゆる食品偽装問題があって急激に売り上げが落ちたからという言い回しがございましたが、それはDIOジャパンの一方的な言い分をただ答弁で述べただけだと思うのですが、経過を委員長のもとで後刻確認してほしいのですが、これまでの答弁でも明らかにされているように、DIOジャパンの事業については、当初、楽天の業務にかかわる事業だということで話が持ち込まれ、各市町村にも紹介し、事業展開をされ、しかし、最終的には、今、副知事の答弁にあった食品偽装の関係で売り上げが落ちたという答弁があったわけですが、そこの事実関係についても精査の上、資料提供をされるようにお取り計らいをお願いします。
〇岩崎友一委員長 執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉副知事 済みません。今、及川委員の議事進行にかかわる話で、ちょっと私の答弁で一部誤りがありましたので、おわびして修正いたします。
 信用調査を行った上で各市町村に信用情報を提供したと私が言ってしまったようでございまして、正しくは、進出情報を提供してでございましたので、おわびして訂正申し上げます。
 これにつきましては、済みません、佐々木委員にもおわび申し上げます。
〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇及川あつし委員 信用と進出って、全然違う話だと思うんですね。ただ、信用調査はしたという答弁があったと思うので、その信用調査をしたときの情報についてどのようなものであったか、委員会に報告するようにお取り計らいをお願いします。
〇岩崎友一委員長 それでは、後日世話人会を開きまして対応を決定させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、久保孝喜委員。
〔久保孝喜委員質問者席に着く〕
〇久保孝喜委員 社民党の久保孝喜でございます。
 まずは、知事にお尋ねをしたいと思いますが、今議会、本会議での一般質問も含めて、本日の総括質疑も、県政と市町村との関係ということが大変大きなテーマにクローズアップされてきたのではないかと私は思っております。
 復興にしろあるいは各種の事業にしろ、県行政と市町村がまさに協働、パートナーシップの理念のもとで一緒に進めていかなければならない、しかし、その途中でさまざまな事案が発生していると、こういうことだろうと思っておりますが、知事としても、市町村との関係においてはこれまでもさまざま意を用い、意を尽くして取り組んでこられたと思いますが、まずはそのみずからの県政運営における自己評価、この切り口においての自己評価をお尋ねいたします。
〇達増知事 復興は、市町村、県、国が一体となって被災地、被災者に寄り添うものでなければならないということを発災当初から私は申し上げておりまして、また、私が復興関係で現地に足を運んだ際には、できるだけ市町村長と面談することとしているほか、現場を預かる広域振興局におきましても、市町村と密接に連携、意見交換をしながら施策の展開を図っておりまして、これは、被災地以外の岩手全体についてそのとおりでございます。
 特に被災地の復興に当たりましては、沿岸市町村復興期成同盟会と連携して、被災者の声を肌で感じている市町村長の皆さんの意見も踏まえながら、用地取得の迅速化のための制度改革の国への働きかけ、応急仮設住宅に関する行政財産の目的外使用の弾力的運用、被災者の住宅再建を支援する本県独自の加算措置など、県事業のみならず、市町村事業の推進にも効果の高い先導的な施策を推進してまいりました。
 今後におきましても、引き続き市町村との対話と連携を図り、信頼関係を一層高めて、市町村と一体となった復興と県政の推進に取り組んでいきたいと思います。
〇久保孝喜委員 そこで、これまでの県政運営の中で、私は、知事のさまざまな施策の方向性などを含めた発信力ということを大きなテーマとしてやるべきだと再三申し上げてまいりました。今、首長を含めた市町村との密接な連携ということを申されましたが、知事自身が市町村の首長と直接面談を、例えば昨年度、何回行ったんでしょうか、お答えいただきます。
〇達増知事 本年度は現在まで19回でありますが、昨年度は計15回でございます。
〇久保孝喜委員 昨年度15回の面談のうち、いわゆる地域課題全般、行政課題についてトータルでお会いしたというのが15回のうちの5回、残る10回のうちの半分である5回は、いわゆる表敬訪問に類する就任挨拶等の面談でした。あるいは、さらに残る5回は、個別の例えば風水害などの対策などの陳情要請等の面談、これが5回。したがって、今言われている市町村との関係性において、お互いに意見交換をしたり、あるいは腹合わせをするという意味での首長同士の面談というのは1年間にたった5回。しかも、その時間はそれぞれおよそ15分。1回だけ40分というのがあるんですが、それを加えても、トータルで1年間115分しかないんですよ。2時間弱。これが首長における市町村との関係性をより緊密にする態度なんでしょうか、お答えください。
〇達増知事 就任挨拶でも、市政、県政全般に市町村政、県政全般にかかわるようなやりとりもあったと記憶しておりますし、また、大雨洪水被害関係など、その時々の最重要課題についてのやりとりというのは、大いに意義のあることだと思っております。
 県と市町村においては、あらゆる政策分野において日ごろから事務レベルの密なやりとり、調整が行われているわけでありますけれども、時宜を捉え、トップ同士でそうした流れを確認したり、あるいはそうした中で取り組んでいないようなことを発見したりするようなことは意義あることだと思っておりまして、私も出張で県の施設に行く場合にも、そのときに市町村長に会えないかどうか、会えれば、会えるよう日程調整するようにしておりますし、また、市町村長におかれても、盛岡で何か用事があるということで、知事訪問するという時間をつくってどんどん私のほうにアポとりというんですか、面談を提案してこられる市町村長もいらっしゃいまして、ただ、そういう中で、昨年度の15回というのは少ないと私も思いましたので、今年度は現在までに19回面談を重ねておりますし、そうした努力をさらにしていきたいと思っております。
〇久保孝喜委員 昨年の復興加速年と銘打った事業執行が行われている中でたった15回、しかも2時間に満たない首長との面談というのは、いかにもこれは県政の発信力という、あるいはトップマネジメントという観点でも問題があると思うんですが、秘書広報室長、どうでしょうか。
〇東大野秘書広報室長 ただいま知事が申し上げましたとおり、我々も首長方との面談機会をできる限り調整するということで、各部局にも要請して設けるように努力しております。
〇久保孝喜委員 知事は、本会議での飯澤匡議員の質問に対しても、被災地首長と直接会って信頼構築に努めていると、こう答弁されております。今年度はいささか昨年よりは違って、回数も時間も多くなっているようですけれども、そうしたことが、私は、市町村との関係においては非常に重要だということをまず申し上げおきたいと思います。
 次に、そのことと深くかかわるわけですが、今県行政では、先ほど来お話のあったDIOジャパンの問題にしろあるいは大雪りばぁねっと。の問題にしろ、同じ復興事業の中の緊急雇用創出事業の中で発生した事案、事件と言ってもいい状態になっているわけですが、さらにJR山田線の問題は、直接的に市町村と県政というよりは、県が主導して市町村と腹を合わせていかなければならないという意味でも、県政にとって非常に大きな共通の背景を持った事案だと思っているんですが、その辺の認識についてはいかがでしょうか。
〇齋藤政策地域部長 県政と市町村の関係についてでございます。今さらながらでございますが、平成12年の地方分権一括法の施行によりまして、県と市町村は対等な関係になったということでございます。
 市町村は、どちらかというと住民生活に密着した事務を担い、県は、広域的な産業振興、社会資本整備など市町村を補完する役割を担うという役割分担を行って今日に至っております。ただし、一部の補助事業につきましては、国から県、県から市町村への補助金の流れというものは残ってございます。御案内の緊急雇用創出事業もそうでございますが、県は、法令や要綱、要領に沿って補助事業が適正に実施されるよう、市町村に対し指導、助言を行う立場にございます。
 また、一方で、県と市町村の共通の課題に対しましては、県は、市町村の意向を十分に把握しつつ、市町村と対等のパートナーとしての認識を持って市町村と協議を行い、合意形成を図り、国や関係機関との協議、調整の窓口として課題解決に当たる、こういう二つの状況がございまして、このようなそれぞれの状況に応じて県としては対応していかなければならないと考えております。
〇久保孝喜委員 そういう具体的な事業執行の上での心構えが、それでは何ゆえ今、問題とされているような事案が起きることになるのだろうかという疑問は依然として残ったままでございますが、その上でお聞きします。例えばJR山田線の問題では、本来、市町村長あるいは市町村との意思疎通とか腹合わせということを何より急がなければならなかった1月末のJR東日本からの提案から6カ月間、首長会議も開かれないまま、方向性が定まらないまま時間が経過してしまったということは市町村との関係においても非常によくない事例だったのではないかと思うのですが、知事はいかがでしょうか。
〇達増知事 それぞれの関係、市、町、三陸鉄道、県、また一方にはJR東日本がある中で、それぞれ違う歴史があり、違うさまざまな財政事情や被災の状況、また、被災後の計画、そして、その中での鉄道とのかかわり、さまざまある中で、まず、一つになってJR東日本ときちっと内容のある交渉ができるようになったということは、かなりのやりとりとそれぞれの意思決定があってのことでありまして、そこのところは、まずやるべきことはきちっとやれているというふうに思います。
〇久保孝喜委員 新聞報道でも、この6カ月後に行われた首長会議をめぐってさまざまな見解などが述べられております。沿線の市町村からも、いわば方向性が定まらない中ですり寄った感じになった、いわゆる有力な選択肢というその方向性についても疑問が投げかけられたりしているわけです。今、重大な折衝中であって、なおかつ合意のスキームがまだ見えてこない中で、首長の発信力にかかわる話なんですが、先般、知事は、山田線について、3年後くらいには鉄道も完全復旧しているというふうに発言しているという報道がありましたが、事実でしょうか。
〇達増知事 ちょっと、ぱっと思い出せません。
〇久保孝喜委員 知事自身が主宰している復興塾の報道の中で、3年後くらいには鉄道も完全復旧していると展望を語ったという報道があるんですよ。これは、今のJR東日本との折衝のさなか、しかもその復興塾にはJR東日本の支社長までおいでいただいたそうですが、そういう中で発言された、この3年という年限を区切った言い方はどういう根拠があったのでしょうか。
〇達増知事 たしか山田町から来ていた塾生の方が、3年後には、鉄路復旧している姿、そういうものを知事からもはっきり発言してほしいというような私に対する質問というか意見というかがあり、基本的にそういう現地の人の気持ちに寄り添うような形で進めていきたいし、まず今はしっかりJR東日本と交渉していきたいというようなことを述べたと記憶しております。
〇久保孝喜委員 知事いわく、クリエーティブな交渉中である、こういう話です。しかし、事務方、担当部局も含めて、これは先般、委員会で確認しているんですが、仮に着工したとして、復旧までの工期は今のところ見通せないということが事務方としての答弁でした。なおかつ、三陸鉄道同様に3年後ぐらいですかと水を向けても、そんなことは今の段階では言えません、こういう話でした。しかし、県政トップである知事が、公的かどうかは別にして3年という年限を区切って発言をしたことについては、それなりの根拠と、ただのリップサービスでは済まない話だと私は思うんですが、いかがですか。
〇達増知事 3年という数字はその山田町の方が出した数字でありまして、私が出した数字ではありません。基本的に、地元の皆さんの思い、特に被災者イコール復興者の皆さんの思いに寄り添いながら、この山田線、宮古―釜石間の鉄路復旧を進めていきたいと思います。
〇久保孝喜委員 それでは、そういう報道に対してはしかるべく対応すべきだと思いますので、この点は指摘しておきたいと思います。
 沿線首長にとっては、三陸鉄道への移管というJR東日本の提案は、これまでも答弁あったように、三陸鉄道にかかわってこなかった自治体にとっての新たなる財政負担の問題も含めて、非常に身につまされるというか、切実な問題になっていると。三陸鉄道への移管が有力な選択肢だと言った途端に三陸鉄道への移管ありきの議論になっていないかという不安も出ている。あるいは知事が、真偽はわかりませんが3年と言ったことも含めて、これは予定調和的に動いているのではないかという見方も出ている。今後の展望についてお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 私は、鉄路復旧と、今、御指摘の発言において、三陸鉄道が経営する形で、それありきで発言したものではありません。
〇久保孝喜委員 具体のこれまでの議論を重ねて、これからさらに決算審査の中でも議論を交わしていきたいと思います。
 次に、人口減少問題の対応についてお尋ねいたしますが、知事は就任以来、この人口問題について危機認識を再三示してまいりました。結果、この約8年にわたる県政運営の中で、どういう成果や、あるいは施策として結実してきたのかお示しいただきたい。
〇達増知事 本県の人口は、平成11年以降、社会減と自然減の二つが相まって減少が続いてきたところであります。このため、いわて県民計画アクションプランでは、人口の社会減を減らすことを政策推進目標の一つに掲げ、これまで、ものづくり産業の集積や観光業、農林水産業などの振興による雇用の場の確保、定住、交流の促進などに取り組んでまいりました。こうした取り組みによる本県の有効求人倍率の改善とともに、人口の社会減は平成19年の6、881人から平成25年の2、226人に6年連続で縮小してきました。また、人口の自然減については、アクションプランにおける子育て環境に関する個別政策の中で、合計特殊出生率を維持することを目標として掲げました。具体の施策としては、基金を活用した未婚男女の出会いの場の創出や特定不妊治療費の助成、保育所の整備等に対する支援などに取り組んでまいりました。こうした取り組みにより、合計特殊出生率は平成25年に1.46と、平成19年の1.39を上回っているものであります。
 しかしながら、依然として本県の人口は減少を続けているところであり、定住や少子化対策、子育て支援などの施策について、全庁を挙げて取り組みを強化していくため、今年度、人口問題対策本部を設置して、先般、中間報告を行ったところであります。
 今後、この報告をたたき台に県内各層から意見をいただき、人口減少に対する施策を総合的に取りまとめていきたいと思います。
〇久保孝喜委員 人口問題対策本部や、あるいは市町村との連絡会議をつくったりして取り組みを進めていることは承知いたしておりますが、この問題で、今、焦点となっている議論のポイントは何なのかをお示しいただきたい。
〇齋藤政策地域部長 人口問題対策本部は、先般、出生率の低迷や若年層の人口流出対策など、県として早急かつ重点的に取り組まなければならない事項について、施策の方向性等を中間報告として取りまとめたところであります。今後、この報告をもとに国に対して提言を行っていくとともに、市町村や民間の方々から幅広く意見をいただくこととしております。
 人口問題対策本部といたしましては、国のまち・ひと・しごと創生本部の動向も注視しながら、農林水産分野や、さらなる女性の社会進出施策、地域を担う人材育成施策など、さらに検討分野を拡大し、年度内にも総合的な施策を取りまとめていくこととしております。
 また、市町村との連絡会議につきましては、これまで、人口問題に関する情報共有や各市町村における少子化や人口流出に対する取り組みなどについて意見交換を行ったところであります。連絡会議については、今後も必要に応じ開催いたしまして、県の人口施策や予算に関する説明を行うとともに、市町村に対しましても人口減少対策の施策の展開を呼びかけていくこととしております。会議におきまして市町村からいただいた意見等について、県の人口施策の中に反映させていくなど、人口問題に対して、今まで以上に県、市町村が協働して取り組んでまいることとしております。
〇久保孝喜委員 先般、ある新聞社が県内の市町村長にアンケートを行って、さまざま達増県政に対する評価を試みた報道がございました。その中で、少子高齢化、人口減少対策では、達増県政に対する評価という点では、評価する側12人、評価しない側13人という結果が出ましたが、知事は、この数字をどのように受けとめるでしょうか。あるいは、担当部長は、この背景として何が考えられるとお考えでしょぅか。
〇達増知事 お一人お一人さまざまな理由で回答しており、例えば、人口流出から流入にしなければならない、まだそこに至っていないので満足できないという思いもあるでしょうし、それぞれさまざまな理由でそれぞれそういう回答をされたのだと思います。
〇齋藤政策地域部長 私も知事と同じでございます。
〇久保孝喜委員 対策本部と市町村との連絡会議は、まさにそのさまざまが何であるかを明らかにするためにやるんでしょう。違うんですか。それはわかりませんよ、そんなことはさまざまですと言ったら会議にも対策にもならないんじゃないですかということを言いたいんですが、どうでしょうか。
〇達増知事 当該新聞の回答ぶりそのものは、県と市町村の会議の議題にはならないものと思います。
〇久保孝喜委員 そんなことを聞いてないですよ。そのことをどう受けとめるかと。県政トップとして、あなた自身がそういう評価があることをどう受けとめてこの人口問題に取り組むかということを聞いているわけですよ。
〇達増知事 マスコミの調査については、どういった質問内容であったかとか、あるいは一人一人がどういう思いで回答したのかわかりませんので、それを直接的に何か施策に取り入れることはできないと思っておりますけれども、要は、復興というのはふるさとを消滅させないことですけれども、人口減少対策、地方創生として求められていることが、まさにふるさとを消滅させないこと。岩手県は、日本の他の地域と比べても、市町村、県、国が一体となって、ふるさとを消滅させないということについて3年半しっかり取り組んできた実績があり、この経験をもとにしながら、人口減少問題、そして地方創生についても、岩手において、市町村、県、そしてそこに国も巻き込んで、力を合わせて取り組んでいけば希望が持てるようになると考えています。
〇久保孝喜委員 大変御立派な答弁ですけれども、そういうことがシンプルに例えば市町村長のアンケートでこういうふうに出たことについて、虚心坦懐という言葉がありますけれども、そういうふうにして受けとめるぐらいの余裕がないと、今のようなある意味ひとりよがりの発信にしか私はなっていかないと思います。
 そこでお尋ねしますが、人口問題対策本部の本部長として、その本部が結成されて以降、例えば市町村との関係では何を具体的に行ってきたかお答えいただきたい。
〇達増知事 市町村との連絡会議については担当部長から答弁させます。
〇齋藤政策地域部長 この7月に市町村の副市町村長たちを集めまして連絡会議を開催し、私どもと情報交換させていただきました。それから、10月、間もなくでございますが、各振興局単位に市町村の担当者を集めて、我々の中間報告をたたき台に意見交換をすることとしております。また、今後、そういった意見を集めまして、また民間の意見も集めますので、再度、県の予算が調った段階でまた情報の共有を図りたいと考えております。
〇久保孝喜委員 それでは部長にお尋ねしますが、この市町村連絡会議が発足する段階で、県の対策本部長である知事はなぜ出席しないんですか。
〇齋藤政策地域部長 私どもとしましては、副首長たちが相手でございます。もともと政策地域部が主催する会議と相乗りでやった関係もございます。その場合は副知事以下の出席だったと記憶してございますので、知事の出席はなかったということでございます。
〇久保孝喜委員 それでは、この人口減少をテーマに四つの広域振興局でどんな動きがあるかお聞きしたいんですが、例えば県南広域振興局では、先般、管内の首長が集まって人口減少問題をテーマにした首長会議を開催したという報道がありました。そこに県の本部長として行ってお話をするという機会はどうしてつくれなかったんでしょうか。
〇達増知事 県と市町村の意見交換会、昨年度の終わりに開催したところでは人口減少問題をテーマにしたところであり、私も出席し、全ての市町村長たちが基本的に集まってそういうやりとりをしております。また、それとは別に、市町村長同士で話し合いをしたいということであればそういう機会も持たれるでしょう。
 また、一方、私は、ことし19回、個別の面談もやっているとさっきありましたけれども、特に日本創成会議のレポートが出てからは、市町村長たちに会うたびに、これはそういう個別会談以外でも、大会の控室でありますとか、あるいは来賓席で並んでいるところでありますとか、とにかく市町村長たちに会うたびに、この人口問題について、消滅自治体というレッテルを張られているけれども、消滅はさせない、消滅しないように一緒に頑張りましょうと。そして、過去、岩手県では、例えば1995年には人口流出が329人しかなかった。経済、雇用情勢次第では人口流出はゼロに近いようにできるのだから一緒に頑張ろうということをずっと一緒に言い続けているところでありまして、そういう知事と市町村長の人口減少対策を一緒にやっていこうという機運は高まっていると思っております。
〇久保孝喜委員 きょうテーマにしたのは県政と市町村ということだったわけですけれども、その中でも、特にやっぱり首長同士がもっと虚心坦懐に、直接会って具体的な話を積み上げていくというような具体的な事例をもっと重ねていくべきだと、ことしは多少多くなっていますが。そういうことがない限り、信頼関係の構築というのは絵にかいたもちにしかならないということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、例えば首長が集まっているときに、人口問題対策本部の本部長なんですから、そういう場に出て、首長と一堂に会してその問題を議論しましたという発信が、何より私は県政全体あるいは県民に対しても大きなアピールになると。そういう機会を捉まえてぜひ動いていただきたい、そのことを指摘して終わりたいと思います。
 終わります。(拍手)
〇岩崎友一委員長 お諮りいたします。予定の午後5時までにはまだ若干時間がございますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後4時37分 散 会

前へ 次へ