平成26年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成26年3月6日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長     小 原 敏 文
  議事調査課
  総括課長     高 橋 勝 重
  議事管理担当課長 鈴 木 文 彦
  主任主査     佐々木   誠
  主任主査     清 川   勝
  主任主査     村 上   聡
  主任主査     藤 澤 壮 仁
  主査       引屋敷   努
  主査       藤 枝   修
1説明員
  知事       達 増 拓 也
  副知事      千 葉 茂 樹

  秘書広報室長   水 野 和 彦
  秘書広報室副室長
  兼首席調査監   保   和 衛

  総務部長     小田島 智 弥
  総務部副部長
  兼総務室長    杉 村   孝
  人事課総括課長  大 槻 英 毅
  参事兼
  財政課総括課長  佐 藤   博
  税務課総括課長  小 向   哲

  政策地域部長   中 村 一 郎
  政策地域部副部長
  兼政策推進室長兼
  首席ILC推進監 大 平   尚
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長  紺 野 由 夫
  政策監      菊 池   哲
  市町村課総括課長 五月女 有 良

  環境生活企画室
  企画課長     工 藤 啓一郎

  保健福祉企画室
  企画課長     伊 藤 信 一

  商工労働観光部長 橋 本 良 隆

  商工企画室
  企画課長     木 村   久
  商工企画室
  管理課長     千 葉 義 郎

  農林水産企画室
  企画課長     藤 代 克 彦

  県土整備企画室
  企画課長     佐 藤 隆 浩

  理事兼
  復興局副局長   佐々木 和 延
  復興局総務企画課
  総括課長     森   達 也
  教育企画室
  企画課長     蛇 口 秀 人
〇小原議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、佐々木大和委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 佐々木大和委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員佐々木大和君委員長席に着く〕
〇佐々木大和年長委員 ただいま紹介のありました佐々木大和でございます。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に、樋下正信君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました樋下正信君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました樋下正信君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました樋下正信君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 樋下委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長樋下正信君委員長席に着く〕
〇樋下正信委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました樋下正信でございます。
 御推挙いただき大変光栄に存じております。委員各位の御協力をいただいて職責を全うしてまいりたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇樋下正信委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇樋下正信委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇樋下正信委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に、岩渕誠君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました岩渕誠君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇樋下正信委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました岩渕誠君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました岩渕誠君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 岩渕誠副委員長、御挨拶をお願いします。
〇岩渕誠副委員長 ただいまは副委員長に選任いただきまして、まことにありがとうございます。
 委員長を補佐いたしまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇樋下正信委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案67件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、10日、12日から14日まで、17日から19日までは、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案67件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、19日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、8日目の農林水産部の審査については、世話人会の申し合わせに基づき、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇樋下正信委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第2号から議案第22号まで、議案第36号から議案第44号まで、議案第46号から議案第57号まで、議案第62号、議案第63号、議案第67号、議案第68号、議案第70号から議案第77号まで、議案第79号、議案第82号、議案第84号、議案第86号から議案第94号まで、及び議案第166号の以上67件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇小田島総務部長 平成26年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明を申し上げます。
 この平成26年度当初予算は、第2期復興実施計画に掲げる参画、つながり、持続性の視点を重視した本格復興の着実な推進のための予算として編成したものであり、また、いわて県民計画第2期アクションプラン推進のため、地域資源を活用した地域づくりや若者と女性の活躍支援など、復興の先を見据えた取り組みのほか、国の経済対策関連予算を活用した平成25年度2月補正予算と一体的に県内経済の活性化を図ろうとするものであります。
 それでは、予算の概要について説明を申し上げます。
 お手元の議案その2の1ページをお開き願いたいと思います。
 議案第2号平成26年度岩手県一般会計予算であります。
 第1条は、歳入歳出の総額を1兆167億4、964万円と定めるものでありますが、これを前年度当初予算と比較いたしますと11.7%の減となるものです。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。便宜、予算に関する説明書、厚い冊子でございますが、この1ページをお開きいただきたいと思います。
 一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入までであり、その総額は4、217億4、100万円余で、前年度当初予算と比べると22%の減となっています。これは、主に災害廃棄物処理の完了に伴う市町村からの受託事業収入の減によるものであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は5、950億700万円余で、前年度当初予算と比べて2.6%の減となっておりますが、これは、主に国庫支出金や地方交付税の減によるものであります。
 この結果、歳入に占める自主財源の割合は41.5%と、前年度から5.5ポイントの減、一方、依存財源の割合は58.5%となっております。
 次に、歳入の内容について説明申し上げます。4ページをお開きいただきたいと思います。
 まず、1款県税1項県民税は392億2、100万円で、前年度比1.5%の増となっておりますが、これは、1目の個人県民税について、給与を中心とした所得の伸びにより増収が見込まれることなどによるものでございます。
 2項事業税は189億1、600万円で、6.7%の増となっておりますが、これは、復旧、復興工事等により、建設業を中心に法人事業税の増収が見込まれることなどによるものでございます。
 次に、6ページの3項地方消費税は119億8、500万円、2.9%の減を見込んでおります。
 4項不動産取得税は25億3、100万円で、13.5%の増を見込んでおります。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税は15億7、900万円で、4.6%の減、6項ゴルフ場利用税は3億800万円で、0.7%の増を見込んでおります。
 10ページの7項自動車取得税は13億9、400万円で、43.7%の減、8項軽油引取税は174億5、900万円で、1.7%の増と見込んでおります。
 次に、12ページの9項自動車税は、定期課税台数の増加などを考慮して174億6、300万円で、0.9%の増と見込んでおります。
 10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、700万円を計上しております。
 次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により3、000万円を計上、12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案し9、800万円を計上しております。
 16ページの13項は旧法による税で、200万円を計上しております。
 以上、県税の合計額は1、110億300万円で、前年度当初予算に比べ9億9、400万円、0.9%の増となるものであります。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金は288億200万円で、12.2%の増となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は212億5、700万円、19ページの2項地方揮発油譲与税は39億300万円、20ページの3項石油ガス譲与税は2億1、700万円、21ページの4項地方道路譲与税は100万円、22ページの5項航空機燃料譲与税は700万円をそれぞれ計上しております。
 23ページの4款地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための特例交付金でございまして2億6、700万円を見込んでおります。
 次に、24ページの5款地方交付税は、国の地方財政対策の内容等を総合的に勘案して推計を行いまして2、863億335万円余と、前年度当初予算に比べ69億3、432万円余、2.4%の減で計上しております。
 25ページの6款交通安全対策特別交付金は4億5、774万円余を見込んでおります。
 次に、26ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり4億6、417万円、27ページから28ページまでの2項負担金は、民生費などの受益者負担金、市町村負担金等を計上しており27億2、248万円となっております。
 29ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、30ページの4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、31ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、県営住宅使用料などであります。これら使用料の総額は、33ページ最下段の計の欄26億3、146万円余で、前年度に比べ8.4%の増となっております。
 次に、34ページの2項手数料でありますが、その主なものは、37ページの7目土木手数料の建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許に係る手数料などでありまして、合計は、38ページ計欄の22億3、112万円余で、前年度に比べ5.2%の増となっております。
 次に、39ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では生活保護や災害救助など、5目教育費負担金では、41ページの小中学校教職員の人件費に係るものや公立高等学校授業料不徴収交付金など、6目災害復旧費負担金では、漁港災害復旧事業、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、42ページの計欄1、267億9、024万円余で、前年度より5.4%の減となっております。
 次に、43ページ、2項国庫補助金でありますが、これは、震災復旧、復興事業に係る補助金などでありまして、その総額は、53ページまで進んでいただきまして735億3、105万円余で、2.6%の減となっております。
 次に、54ページに参りまして、3項委託金でありますが、その総額は、56ページまで進んでいただきまして24億5、423万円余で、参議院議員選挙執行経費の減などにより27.3%の減となっております。
 57ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は2億8、613万円余を計上、58ページから59ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでありまして4億6、832万円余を計上しております。
 60ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など5、611万余を見込んでおります。
 次に、61ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は2億6、749万円余であります。
 62ページ、2項基金繰入金は、緊急雇用創出事業臨時特例基金や東日本大震災復興交付金基金などの基金を活用するため1、175億3、696万円余を計上しております。
 なお、2月補正予算を踏まえた平成25年度末の財源対策として活用可能な基金の残高は、平成25年度2月補正で給与減額による人件費の削減分として財政調整基金に積み戻しを行ったことなどから、財政調整基金は約302億600万円、県債管理基金は約400億9、800万円、地域振興基金が約38億5、700万円、合計で約741億6、100万円と見込んでおります。
 63ページに参りまして、13款繰越金は、整理科目であります。
 64ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は1億3、916万円余を計上しております。
 65ページの2項預金利子は、金利動向等の見込みから1億5、237万円余を計上しており、66ページ、3項公営企業貸付金元利収入は114億7、333万円余を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金が主なものであります。
 67ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、合計額は、68ページの計欄1、289億4、598万円余となっております。
 69ページ、5項受託事業収入は、次の70ページの計欄のとおり、総額は12億1、750万円で、災害廃棄物緊急処理の市町村からの受託が大幅な減となっているものであります。
 次に、71ページ、6項収益事業収入は宝くじ収益34億9、332万円余を、72ページの7項利子割精算金収入は632万円余を見込んでおります。
 73ページ、8項雑入の総額は、76ページまで進んでいただきまして98億4、455万円余と見込んでおります。
 次に、77ページ、15款県債でありますが、その総額は、79ページの計欄のとおり798億1、916万円余であり、前年度に比較して24億3、100万円、3.0%の減となっております。
 この結果、県債の現在高見込みでありますが、一旦293ページまで進んでいただきまして、前年度末現在高見込み額が平成25年度末、当該年度末現在高見込み額が平成26年度末となりますが、294ページの計欄をごらんいただきまして、平成25年度末は1兆4、345億4、800万円余、平成26年度末では、計欄の右端になりますが1兆4、009億6、200万円余の残高になると見込んでおります。
 なお、294ページの計欄の下に、県債管理基金への積立金及びこれを調整した実質的な県債の現在高見込み額をお示ししております。
 以上で歳入についての説明を終わります。
 次に、歳出でありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に説明を申し上げます。
 款別歳出については説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて申し上げます。
 お手元の予算に関する資料で御説明したいと思います。恐れ入りますが、予算に関する資料の3ページをお開きいただきたいと思います。平成26年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
 平成26年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、1人件費につきましては1.4%の減となっておりまして、職員給の減等を見込んでおります。2物件費は、消費税率改定による影響などを見込み2.1%の増で計上しております。4ページに参りまして、5補助費等は、災害廃棄物処理促進事業費補助の減などにより11.3%の減となっております。6普通建設事業費は、復興道路の整備などの復興事業の増額により23.2%の増となっております。一方、7災害復旧事業費は、災害廃棄物緊急処理支援事業の皆減などにより52.8%の大幅な減で計上いたしております。5ページに参りまして、8公債費でありますが、過去に発行した県債の償還額が増加することにより4%の増となっております。9積立金は、災害廃棄物処理基金積立金の皆減などにより88.1%の減となっております。11貸付金は、被災した中小企業者に対する金融支援などを引き続き措置したことにより1.7%の増となっております。
 平成26年度岩手県一般会計予算の概要は以上のとおりでございます。特別会計につきましては、所管部局において説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。よろしくお願いいたします。
〇樋下正信委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うこととなっております。
 質疑時間につきましては、まず、自由民主クラブが42分、次に、いわて県民クラブが36分、次に、希望・みらいフォーラムが33分、次に、民主党が24分、次に、社民党が15分、次に、日本共産党が12分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員、無所属清水恭一委員の順に、それぞれ9分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あすの正午までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いします。
 これより総括質疑に入ります。嵯峨壱朗委員。
   〔嵯峨壱朗委員質問者席に着く〕
〇嵯峨壱朗委員 初めて最初に総括質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 きのうの知事の記者会見の内容をお伺いして、私も、この後で質問しますけれども、知事の方便というのかな、あれを聞いていて、社会的存在なのかなと思ったところでしたけれども、まあ、それはそれとして、知事演述等によると、平成26年度の予算は、基盤復興期間に続いて第2期復興実施計画の初年度と位置づけて本格復興推進予算と名づけております。
 第1期実施計画の取り組みの期末目標に対する達成率81.3%ということで、おおむね達成はできたということの前提に基づいているということの質疑が一般質問等であったわけです。それで、その指標と評価についてはいろいろと議論があったところですけれども、それを踏まえての予算編成ということのようであります。
 私からしますと、被災地の現状は、瓦れき処理が終わったにすぎず、復旧すらまだ進んでいないというのが実感であります。もちろん地域によってさまざまばらつきがあるわけでありますけれども、全体的に見るとそういう気がしております。
 第2期復興計画では本格復興を目指すとして、今年度予算を本格復興推進予算と呼ぶとしておりますけれども、この本格復興というのはどういう意味なんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
 また、参画、つながり、持続性の視点によって具体的にどのような取り組みを進めようとしているのか、お尋ねしたいと思います。
〇達増知事 第2期復興実施計画の考え方に示してありますとおり、この期間の全体の取り組み方向として、被災者一人一人が安心して生活を営むことができ、将来にわたって持続可能な地域社会の構築を目指すこととしており、これを本格復興と呼んでいるものであります。
 この中で、これまでの基盤復興の取り組みの成果を土台とし、地域の住民が主役となって、地域の社会経済活動の基盤となる復興まちづくり、被災者の生活の安定と住宅再建、水産業を初めとした地域産業の再生に取り組むこととしております。
 次に、参画、つながり、持続性の視点についてでありますが、これは、計画全体を進めるに当たって重視する視点でありますが、特に関係の深い事業としては、まず、参画については、男女共同参画の視点からの防災、復興をテーマとしたワークショップ等の開催、若者グループが企画、実行する地域の課題解決や元気創出活動などの取り組みに対する助成などにより、若者、女性を初めとした地域住民の幅広い参画による復興の取り組みを促進していくものです。
 つながりについては、市町村、関係機関、NPO等と連携した応急仮設住宅等での住民相互のコミュニケーションの維持や生活の質の向上、地域コミュニティ継続のための支援などにより、多様な主体が連携して活動する相乗効果による復興の取り組みを加速していくものです。
 持続性については、水産物の漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生品質管理サプライチェーンの構築によるブランド化の推進、専門家によるきめ細かな経営支援や資金支援等による被災地域の事業者の経営再建や地域資源の発掘、活用等による起業の促進などによって、地域社会の持続性を目指した取り組みを推進していくものです。
〇嵯峨壱朗委員 ありがとうございます。というか、説明がちょっと速過ぎるのではないですか。私は聞き取れなかったんですね。もう少しゆっくり読んでもらえば助かります。よろしくお願いします。
 続きまして、今定例会での知事の演述の中で、知事は、多様な主体と連携、協働により復興を推進していくと述べておりますけれども、この多様な主体とはどのような意味なのでしょうか。また、多様な主体との連携、協働として、どういう取り組みを進めていこうとしているのか具体的にお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 復興の実現に向けては、被災者の方々を初め、県民全体の地元の底力と日本全国、さらに世界に広がるさまざまなつながりの力を原動力に、力強い復興を推し進めていくことが重要であります。
 多様な主体とは、県民を初め、県内外、各分野の関係団体、企業、NPO、高等教育機関、行政、専門家、ボランティアなど、復興の力となるあらゆる主体を指すものであります。
 特に、これからの本格復興を進めていくに当たっては、被災者の暮らしの再建や、なりわいの再生の取り組みにおいて、被災者個々の状況に応じたきめ細かな支援を行うためには、これらの方々との連携、協働が欠かせないと考えておりまして、計画全体を進めるに当たって重視する視点の一つとして、つながりを掲げているところであります。
 特に関係の深い事業としては、いわて三陸復興のかけ橋推進事業において、復興支援ポータルサイトを活用して、被災地からの支援要請と企業等の支援提案とのマッチングを促進するとともに、首都圏における説明会等の開催により、復興支援に関心のある企業や復興支援団体等との情報共有や連携の強化などを図ってまいります。
 また、いわてつながり強化事業では、復興支援で岩手に赴任した自治体職員などの岩手ファン同士のつながりと交流を維持強化するために、スマートフォン向けのアプリを活用して情報発信や交流の支援の充実を図ってまいります。
 さらに、復興への取り組み等に対する理解や継続的な支援、参画の促進を図ることを目的に、県内外で復興フォーラムを開催して、本県の復興状況や課題などの情報発信を継続的に行い、県内外のNPO、大学関係者、地方公共団体等、多様な主体との持続的な連携を図ってまいります。
〇嵯峨壱朗委員 ありがとうございます。この多くの多様な主体ですけれども、特に、知事としては、重要視している主体というのをどういうふうに考えているかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 一つは、復興のために必要であれば、もうこれはありとあらゆる主体、誰でも、何でも、今までなかったようなタイプのもの等も含めて、つまり我々が今の時点では予想していないようなものも含めて、もうどんどん入っていって被災者お一人お一人の復興の助けになってくれればと思っておりますが、若者と女性というところが今現在、復興の非常に大きな力になってくださっていますし、また、これをさらに県としても後押ししておくことで、復興全体をより実りあるものとして、復興の成功に結びつけることができるのではないかと考えています。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました。ありがとうございます。
 それでは次に移りますが、本県の復興局は、平成23年6月10日に復興にかかわる施策の総合的な企画及び調整を分掌事務として発足したが、所期の機能を十分果たしているのかというよりも、所期の機能を十分果たしたのかもしれませんが、今現在どうかということなんですけれども。復興計画推進の司令塔として、各部局の統括とプランニング機能が付与され、また、特に横断的または新たな視点での対応が必要となる分野について先端で所管することとされておりましたけれども、現在ではどのような方針でその業務を進めているのかお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 県の復興局の役割、あり方についてでございますけれども、現在、復興局の設置の状況あるいはミッションについては、今、委員からお話がございましたので、繰り返しになりますのでそこはちょっと省略させていただきますが、御案内のとおり、復興局設置後、まず取り組みますのが、県政各分野における復興計画を策定するということをスタートといたしまして、被災者の生活再建を初めといたしますいわゆる横断的な課題につきまして、市町村と連携しながらさまざまな検討を重ねた上で、国に対しての要望などもやってきたところでございます。
 具体的には、応急仮設住宅への入居者の支援、あるいは民間賃貸住宅借り上げによりますみなし仮設住宅の手当てとか、あるいは部局横断の復興特区プロジェクトチームを創設いたしまして、復興特区計画の策定とか特区の認定作業に取り組んでまいったところでございます。現在におきましては、委員も御案内でございますが、事業用地確保のための特例制度の創設の提案などについて重点的に取り組んでいるところでございます。
 いずれ、この復興局につきましては、現在、第2期復興実施計画の策定作業を進めているところでございまして、これらの作業とあわせ、先ほど申しましたようなさまざまな国への要望、あるいはそういうものを含めて県全体の復興に取り組む司令塔の役割を果たしておりますし、これからも果たしていくべきものと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 この復興局のあり方については、国の復興庁も含めてなのでしょうけれども、実際の現場の部局との調整も含めて結構難しいかなと思って見ていました。3年になろうとしておりますけれども、恐らく役割が大分変わってきていると思うんですよ。私がこう見ていると、その時々で課題が解決され、また新しいものが出てきてというのを繰り返してきている。
 それで、今現在になってくると課題というのはかなり絞られてきているのではないかと思っている。用地の問題も含めてですけれども。そうなった場合に、むしろ、今、復興局に配置されている優秀な職員の皆様方をそれぞれの現場に戻して、その現場での対応を強化したほうがいいのではないかという気がしているのですけれども、そういった考えはどうでしょうか。
〇千葉副知事 まず、今、委員からお話がございましたいわゆる現場体制の強化、これは、基本的にこれまでもやってきておりますし、近々、来年度の定期人事異動もございますが、それに向けてもその辺の配置をしていく必要があろうかと考えております。
 ただ、やはり一つ、例えばでございますが、国のいわゆる復興関係の財政支援のスキームが、平成27年度までしかまだ固まっていないということで、平成28年以降どうするか、これについてもさまざま本会議でも御議論があったところでございますが、こういうことにつきましては、やはり県として、いわゆる総体、国の事業、市町村事業も含めまして、一つ全体の事業費を見込んで国に対して要望していく必要があるのではないかということで、そういうことも御答弁しておりますし、そういう国に対してのマクロの取り組みということも含めて進めていく課題も多かろうと思っております。
 したがいまして、そういう面に対応できるスタッフ等は、復興局にきちんと置く必要があろうかと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 そうなんでしょうが、そういった機能はもちろん統括的に必要かと思いますけれども、現場のニーズは具体的になってきているので、もちろん現状でも強化しているのでしょうし一生懸命やっているのでしょうが、配分をそういうふうにして、今後そういったことも考えていったほうがいいのではないかと。問題そのものの質が変わってきていると思うんですね。だから、復興局のあり方も恐らく変わってくるんだと思うんですよ。どうですか。
〇達増知事 現場重視の体制の構築ということでありますけれども、本格復興における着実な事業の推進や復興のステージの変化に伴って生じる諸課題の解決のためには、現場重視の体制が重要と認識しております。
 これまでも、沿岸広域振興局と県北広域振興局に現地復興本部を置いて復興の推進に当たり、沿岸広域振興局においては、関係市町村等を含めた復興連絡会議を開催するなどしております。
 また、これから本格復興の期間を迎えるに当たって、沿岸広域振興局と県北広域振興局のそれぞれ局長を本部長とする現地復興推進本部に、新たに外部の関係機関を加えて現地復興推進本部会議を開催するなどして、エリアごとの課題の解決等のほか、両エリアにまたがる広域的な課題についても情報共有を通して解決に当たるなど、現地の復興推進体制の強化を図ることとしております。
 また、本庁から現地に出向く体制として、現地市町村からの許認可等関連手続の迅速化を図るための復興事業円滑化チームを設置するとともに、現地の課題を総合的に把握するために、現地において復興本部員会議を開催するなど、現場の声を重視しながら現場での復興推進に努めてきたところであります。
 今後とも、現場主義に基づいて、現場におけるさまざまな主体と連携、協力しながら本格復興を推進してまいります。
〇嵯峨壱朗委員 現場を重視してぜひそういうふうにしていただきたいと思うし、復興局のあり方を含めて、やはりその時々の課題に応じて柔軟に見直しを進めながらやっていったほうがいいかと思うので、その辺は指摘させていただきたいと思います。
 それでは、先ほど知事が、多様な主体の中で、特に若者、女性を支援しながら復旧、復興に向けていきたいという話がございましたけれども、また、知事演述等でも、知事が今言われたとおり、女性や若者、特にこの女性、若者というのは漠然としているのですが、どのような方々というか、どういった方々を想定しているのかということをお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 具体的には、まず、本県全地域の若者、女性ということで、特に若者については、余り対象者を限定する必要はないとも考えているのですけれども、まず、30代ぐらいまでの若者の活躍を期待しているところであります。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました。30代ですね、はい。
 また、なぜ今、若者、女性を特に今年度になって重点的に、特に今年度の予算で出てきたなという気がしておりますけれども、これまでの説明でもあらかたわかるのですが、改めて、なぜそういった女性、若者に焦点を当てた施策を重点化して進めようとしているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 東日本大震災津波の直後やその後の復興の中で、若者や女性が地域づくり、まちづくりなどに大きな力を発揮しています。また、県が行った青年に対する意識調査によりますと、震災前に比べて社会貢献に対する意識が増加しています。また、その増加の割合は、男性よりも女性のほうが大きいという結果にもなっています。
 このような状況を踏まえて、本格復興を迎えるに当たって、若者や女性の地域活動への参画や、また、就職や起業、NPO、ボランティア活動などを通じた社会への参画等を一層支援することで、復興を成功させ、希望郷いわてを実現させたいということです。
〇嵯峨壱朗委員 若者、女性に焦点を当てる、この点については、私も、ぜひそういう形で支援していただければと思います。
 ただ、一つ気になったのは、演述等を見ていても、お年寄りはどうなのかなと思ってですね。そういった視点がなかなかないんですね。間違いなく団塊の世代を中心に、一定の時期までは高齢化がどんどん進んでいって、一定の時期からまた少なくなっていくんでしょうけれども、ちょっとそういう感じがしたんですが、あえて外したわけでもないでしょうけれども、どうですか、高齢者に対する思いというものは。
〇達増知事 特に復興のプロセスの中で被災地の皆さんとやりとりをしていますと、この若い人たちの活躍や、また、女性が地域で活躍しているということに対して、高齢者の皆さんもそれを非常に喜び、歓迎し、また、地域の将来、地域が持続的に人口の流出とか人口の減とか、そういうことで地域がなくなってしまわないようにするために、若い人たちや女性に対する高齢者の皆さんの期待も非常に高い。そういう意味で、若者や女性が活躍するということは、高齢者の皆さんも大いに望んでいることではないかと思っています。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました。お年寄りも元気になるという意味で、若者、女性ということなんですね。はい。そうなることを祈っているし、そうしなければだめでしょうね。わかりました。
 それで、先ほどもちょっと触れましたけれども、政策評価、事務事業評価、昨年の新聞等の調査等の件、被災地住民の皆さんとの復旧、復興に対する実感との違いが大きくあるのではないかということがよく指摘されてまいりました。一般質問でもそういうことがありましたけれども、この評価制度というのは十分に機能しているのでしょうかという気がしております。先ほど申し上げましたけれども、81.3%。これは、一定の基準を設けてやっているわけですけれども、それと被災住民との感覚が違うということは、評価の基準に若干ずれがあるというか、本来の実感をそこではかれないようなものになっているのではないかという気がしているのですけれども、この評価制度は十分機能しているのか、また、あわせて、知事はどのようにこういったずれ等を実感しているのか、評価制度についても御認識をお願いしたいと思います。
〇達増知事 本県の政策評価でございますけれども、これは、政策等の評価に関する条例に基づいて、県民の視点に立って成果を重視する行政運営の実現を図ることを目的に実施しているものであります。そして、政策評価と事務事業評価、その結果を踏まえて翌年度の重点的な取り組みの方向性を決定し、予算編成に取り組み、事業の選択と集中、事務事業の効率化に結びつけているものであります。
 このように政策評価等の結果は、翌年度の具体的な取り組みや事務事業の見直しなどに適切に反映されているものと認識しております。平成26年度当初予算におきましても、今年度の事務事業評価結果を踏まえまして56の事業について縮減または休止、廃止とするとともに、継続事業においても事務の効率化等を徹底することによって、全体としては一般財源で67億2、500万円を節減しております。
 なお、成果指標が事業効果の実感と結びついていないのではないかという御指摘については、例えば、効果の発現が確認しにくいソフト事業における指標設定などにおいて一層の改善が必要と認識しておりまして、今後においても、事業内容に応じた成果測定指標の設定に努めるなど、政策評価等によるPDCAサイクルをより確実に機能させて、いわて県民計画の着実な推進に全力で取り組んでまいります。
〇嵯峨壱朗委員 逐次、指標等も見直ししていくということですから、それは、ぜひそうしていただきたいと思います。
 それで、どうでしょうか、この81.3%おおむね達成したという評価、達成率とは別に、知事はどう思っていますかね。この今回の第1期の3年までの基盤整備期間での、その知事自身の認識をちょっとお尋ねしたいんですけれども。
〇達増知事 まず、県の行政を進めていくに当たって、御指摘いただいたようなこの指標の達成の数字、それをきちんと踏まえながら、さらに必要な変えるべきところは変え、ふやすべきところはふやし、また、削減すべきところは削減していくといったことをきちっとやっていかなければならないと思っております。
 また、復興の進捗状況、その進み方の印象といったことについて言えば、例えば久慈市については、報道によれば、久慈市長のインタビューだったと思いますけれども、平成26年度においてほぼ復興は完了するというような、そういった地域もあれば、陸前高田市の場合には、ようやく面的整備の造成工事が始まり、また、高田高校の校舎の建設もこれから、そして、高田病院もこれからの本格復興期間の中で取り組まれていくということで、要は、突き詰めますと、被災者イコール復興者お一人お一人の安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生といったことを、寄り添いながらきちっと進めていくことだと思っております。そうした体制を県が市町村や国と一緒につくり、さまざまな主体とも力を合わせ、そして、現場本位で、被災者本位で進めていくということは、まずできているかなと。
 ただ、改良の余地は多々あると思いますので、そこはよりよいものにしていきながら、よりよい復興を本格復興としていきたいと思っています。
〇嵯峨壱朗委員 なぜこういうことを聞くかというと、基盤復興期間、そして、今年度の本格復興というか、言葉にしてしまうと、もう基盤は復興したのかなというふうに何となく思ってしまうと。今言われたとおり、被災地の状況によっては、基盤復興がかなりの程度進んでいるところもあるし、そうじゃないところもあるので、その言葉に惑わされているわけではないんでしょうけれども、本格復興すべきなんですが、やはり基盤復興で、基盤がまだ復興していない地域も明確にあるということを前提に、意識してやっているとは思うんですが、言葉についつい惑わされてしまうような気がしているんです。そうじゃないと思いますけれども、一言。
〇達増知事 基盤復興期間の中で大変大きい事業だったのは瓦れきの処理、これは、陸前高田市も含めて、まず最初の3年間で終わらせるということのめどが立っているわけでありますし、その基盤復興期間において必要なことに関してはかなりの程度進んでいるかと思っておりますけれども、御指摘のとおり、地域による違いというのは、これは大きいので、どこか特定の地域がもう完了したということで、全てがそうと誤解しないように気をつけなければならないと思います。
〇嵯峨壱朗委員 ありがとうございます。じゃ、次に移らせていただきます。ぜひそういった形でやってもらえればいいと思います。
 ILC誘致の推進についてお尋ねしたいと思います。
 一般質問の中で多くの議員の皆さんが取り上げておりました。飯澤匡議員の質問を受けての答弁の中で、知事は、現時点では、政府のILC日本誘致の方針は決定しておらず、実現の道筋や国との役割分担が明確になっていないという答弁がございました。
 国内候補地決定といっても、ILC立地評価会議による国内候補地の絞り込みであると私は見ていますけれども、この状況をどのように受けとめればいいのかということをお尋ねしたいと思います。
〇中村政策地域部長 昨年8月のILC立地評価会議による国内候補地の一本化後に、ILCの国際推進組織でありますリニアコライダーコラボレーションが北上サイトを視察いたしました。その責任者の方が、北上サイトに限ってILCの詳細設計を行う方針を示されてございます。このように、世界の研究者の間におきましては、北上サイトが、事実上世界唯一の建設候補地として認知をされていると理解してございます。
 また、実地評価会議の一本化後、日本経済団体連合会など経済3団体におきましても、ILCの実現に前向きな姿勢を示すなど、北上サイトを前提といたしましたILCの実現についての機運も高まってございます。
 一方、政府におきましては、研究者等の意見も参考にしながら、日本学術会議から指摘されました課題につきまして具体的な検討を進めるため、平成26年度予算でILCの調査、検討に要する経費を措置するとともに、文部科学省の中に設置された副大臣が座長となりました省内タスクフォースにおいて具体的な検討が進められているという状況でございますので、一日も早い政府の方針を我々としては期待しているという状況でございます。
〇嵯峨壱朗委員 東京オリンピックが決まったわけですけれども、国を挙げてこの開催準備などを進めているわけでありますが、今言われたとおり、国が正式にILCの誘致を決めているわけではないので、まだまだ予断を許さない状況かと私は思っております。もちろん、国もそうですけれども、今年度予算もついているし、県としてもさまざまな分野でILCを受け入れるための環境整備に取り組んでいる。これ自体は私は大変重要なことだと思っております。
 そうした中で、本来の国をどうやって動かすか、国家事業にしていくかということにも力を注ぐ必要があるかと私は思っているんですけれども、今後、国へどのように働きかけていくのかをお尋ねしたいと思います。
〇中村政策地域部長 政府が日本誘致に動き出すということが、このILC建設の実現に向けて大きく踏み出すことにつながることになりますことから、国への働きかけについては非常に重要な問題であるということでこれまでも取り組みを進めてまいりましたけれども、今後におきましても、平成26年度の早い時期に政府への要望活動を行うことで、現在、東北ILC推進協議会と調整を進めておりますほか、北海道東北地方知事会などとも連携した要望活動でありますとか、経済界等への働きかけについても引き続き取り組むなど、さまざまな機会を捉えて、要望活動については精力的に実施してまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひそうしていただきたいと思うし、国を動かすという場合には、多分、岩手県だけで動いていると、岩手のためにとか―東北のほかの県もそうですけれども、今言われたとおり、連携し合っていくべきだと思うし、東北だけではなくてほかの都道府県も含めて、例えば九州とかも、とにかく日本に持ってきましょうと運動していったほうが、もしかしたら日本として国を動かすといった力になるんじゃないかという気もしております。研究者も、仮に日本でやる場合には、北上が世界の中でも最もいいとまで言われているわけですから、とにかく持ってくるように働きかけるということが必要じゃないかと思うんですけれども、これは知事にお尋ねします。
 ほかの、例えば九州も含めて、そういった日本全体的なILCの動きとまで行くかどうかあれですけれども、そういうふうにやっていかないと、岩手の利だけをと言われる。そうではないんだけれども、そういうふうにとられないようにしなければと思うんですけれども、その点、どうでしょうか。
〇達増知事 ちょっと前に、NHK教育テレビのTVシンポジウムという1時間番組で、国際リニアコライダーについてのシンポジウムが放送されたのを見たんですけれども、あの有名な池上彰さんが司会で、出てくるのは専門家中の専門家、リン・エバンスさんと東京大学の村山先生、そして山崎直子宇宙飛行士も登場し、非常にオールジャパン的な中でシンポジウムが開かれて、あれを見れば、日本国民誰もが日本に国際リニアコライダーが必要なんだということを確信するような番組だったと私は思っていまして、日本として日本に国際リニアコライダーが必要で、国際リニアコライダーの建設が日本の国際化、日本の科学研究を新しい次元に引き上げる、日本の理系教育を全く新しい次元に引き上げる、そういう効果が日本全体にあるんだということを我々も努力して広めていかなければならないと思います。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました。ぜひそういった形で輪を広げて、ウイングを広げて、政府のほうにも強く働きかけていっていただきたいと思います。
 次に移ります。三陸鉄道への経営支援についてお尋ねしたいと思います。
 これもいろんなところでいろんな方々が議論していたわけですけれども、JR山田線の復旧と一緒に三陸鉄道へ経営を移管するという提案をされております動きについて、この山田線については、原則的にJRが復旧すべきだと私も思っております。ただ、具体的にそういった提案がなされた中で、移管を受け入れた場合に、持続的な経営に耐えられるかどうかというのがやはり心配なわけです。
 一方、昨年はあまちゃん等で全国的に三陸鉄道そのものも注目を集めているわけですし、三陸沿岸もそうなんですけれども、この4月には全線復旧の予定ということで、いいニュースが続いているわけですけれども、震災前後で三陸鉄道の経営の状況はどう推移しているのか、どう見ているのかお尋ねしたいと思いますし、三陸鉄道に対して、現在、県と沿線市町村ではどのような負担や支援を行っているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇中村政策地域部長 三陸鉄道の経営状況についてでございますが、旅客数につきましては、震災前の平成21年度が89万6、000人、震災後の平成24年度につきましては38万9、000人ということで、平成21年度に比べまして43%にとどまってございます。また、これに係る旅客収入でございますが、平成21年度が3億4、300万円、平成24年度が1億5、800万円と、平成21年度に比べて46%と大幅に減少してございます。これは、震災の影響によりまして、南リアス線が全線及び北リアス線が田野畑駅から小本駅間が運休していたことが大きな原因と考えてございます。
 また、経常損失につきましては、平成21年度が1億3、500万円、平成24年度が1億3、800万円、そして、最終損益でございますが、平成21年度が2、200万円、平成24年度は2、300万円の黒字をそれぞれ確保はしてございますが、これは、県と関係市町村が設備維持等に係る費用について補助いたしまして、また、平成24年度につきましては、震災の影響によって生じた赤字を補填するといったような支援をした結果でございます。
 また、県と市町村による三陸鉄道への支援について、平成24年度においては総額で1億9、500万円の支援を行っております。
 内訳につきましては、設備投資に対する補助が800万円、設備維持に対する補助が1億2、300万円、震災の影響による前年度赤字補填額が4、400万円、利用促進に係る負担金が2、000万円といったような状況でございます。
〇嵯峨壱朗委員 JRの提案ですけれども、これを受け入れるかどうかというのはまた別の問題だと思うんですけれども、三陸鉄道の存在というんですか、私がいつも思っているのは、負担が重くなるという自治体の話もわかるんですけれども、実は私は、この存在そのものが生み出している効果というものも多大なものがあると思っているんです。仮にないとしたらどうなんだろうかと思うと、数字にあらわれない大きな効果というんでしょうか、経済効果も含めてですけれども、そういったものというのは、岩手県全体にとってもそうだと思うんですけれども、現在の県とか、また地域への経済効果とか、そういったものをどういったように捉えているかお尋ねしたいと思います。
〇中村政策地域部長 これは平成20年度に試算したものでございますが、三陸鉄道に乗車していただいた県外の観光客による経済波及効果といったものを試算してございますが、その額については約13億9、000万円という金額がその時点で試算されてございます。
 単純に運賃の収支のみであれば会社としては赤字になっているという状況もございますけれども、観光客が沿岸地域に来ていただいて三陸鉄道に乗車していただくということで、地元でいろいろ宿泊し、また、お土産を買っていただくといったような波及効果もございますので、会社の単なる黒字赤字といったような部分を大きく上回る金額も実際には地元への波及効果としてあるのではないかと我々としては考えてございます。特にも、今年度はあまちゃんといったような影響もございますので、久慈駅―田野畑駅間におきましては、観光団体が昨年の4月から12月末までの前年同期比では82%増ということで、大幅に増加している状況も見られます。
 一方で、この三陸鉄道は、地元の方々にとって通学でありますとか通院といったような重要な足になっているということもございますし、また、震災後は、この三陸鉄道が復興の象徴ということで被災地にも非常に大きな勇気でありますとか希望を与えたというような側面もございますので、我々としては非常に重要な、いわゆる地域の宝と言ってもいいものではないかと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 私もそう思っております。あまちゃん効果はともかく、皮肉なことなんですけれども、この大震災を通じて三陸沿岸というものは、ちょっと変な言い方ですけれども、全国に、宮古があるんだ、大槌があるんだとか陸前高田があるんだということが広まったわけです。これは、恐らくあまちゃんがなくても、これからいろんな形で多く人が訪れてくるのではないかと思っております。ですから、山田線のJRの提案も含めてですけれども、そういった観点も含めてどうするかということを考えていただきたいと思います。そういうことだけ指摘しておきたいと思います。
 次に、地域医療の充実についてお尋ねしたいと思います。
 医師確保の見通しですけれども、今後の見通しと、平成26年度はどのような対策を講じているのかお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 医師確保の見通しと対策についてでありますけれども、平成20年度以降の全国的な医学部定員増の中で、本県の岩手医科大学の入学定員も平成19年度に比較いたしまして50名増の130名ということになっておりまして、現在、地元大学で学んだ医学生の県内定着も期待されるほか、この定員増とあわせまして、平成20年度以降、奨学金貸付枠を大幅に拡充し、医師養成の取り組みを進めているという現状にございます。これらの養成医師が、平成28年度以降、医療機関に本格的に配置されてくることから、県内の医療機関におきましては、段階的にではありますが、医師の充足状況の改善が図られていくものと考えているところでございます。
 県では、御案内のとおり、医師確保対策アクションプランに基づく取り組み、あるいは即戦力医師の招聘にも引き続き取り組んでいくこととしております。きょうの新聞にも出ておりましたが、沢内病院で3人目のドクターが一応見通しがついたという報道もございまして、私も個人的にもちょっとほっとしたところでございますけれども、なかなか現実は厳しい面もございます。
 平成26年度は、これまでの取り組みに加えまして、奨学金養成医師を地域の医療機関に適切に配置していくために、本年度実施した関係機関の有識者の検討結果を踏まえまして、養成医師を、基本的なルールのもとに、どのようなローテーションで行って医師不足の病院に配置していくかという配置の仕組みの構築を進めてきております。この構築をより具体的に進めてまいりますこと、あるいは中小規模の医療機関の勤務におきましてはいわゆる総合医的な役割が求められてまいりますので、総合診療スキル習得のための研修プログラムの作成とか、そういう面についてもあわせて取り組んでまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 なかなか難しいのでしょうけれども、地道に取り組むしかないと思っております。
 次に、県内の地域ごとの産科医の状況はどうなっているのか、県立病院等の病院や開業医の現況をお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 地域ごとの産科医の状況についてでございますが、県では、特に産科医あるいは小児科医の不足というのが医療課題の中でも一番大きいウエートを占めている問題でございます。この産科医あるいは小児科医の不足などの限られた医療資源の中、医療機関の機能分担と連携の中で、安全・安心な出産環境を確保するということが必要でございまして、現在、県内を四つの周産期医療圏に設定しております。平成25年4月1日現在の県の調査でございますが、4圏域をそれぞれ申し上げますと、盛岡・宮古圏域では、分娩を取り扱っている病院が4カ所で医師数は常勤換算で44.15人、診療所は11カ所で、医師数は12名となっております。岩手中部・胆江・両磐圏域でございますが、ここは病院が4カ所で医師数は12.75人、診療所は11カ所で医師数は13.1人、気仙・釜石圏域は、病院が2カ所で医師数は7人、分娩を取り扱っている診療所はないところでございます。久慈・二戸圏域では、病院が2カ所で医師数は5人、診療所が2カ所で医師数は3人となっている現状にございます。
〇嵯峨壱朗委員 圏域ごとに聞くとそうなんでしょう。私の調べたところによると、病院についてはちょっとわからない。県立病院の配置については、平成18年までは久慈、二戸に2名ずつ、そして、平成20年から久慈1名、二戸4名という体制になっています。分娩の件数を見ますと、どんどん減っていますからそうなんでしょうけれども、平成19年までは久慈で332名あったんですけれども、一昨年の平成24年、91名まで減っています。そして、今年度の平成25年度は74名になっています。二戸は415名ということで、当然、二戸のほうに配置されているからなのでしょうけれども。
 一方、出生率を見ますと、久慈保健医療圏のほうが7.0で、二戸保健医療圏は6.1なんです。もっと深刻なのが死産率で、久慈保健医療圏で見ると36.2、二戸保健医療圏が21.8で、差が出ています。そして、出生数は、久慈保健医療圏が426、二戸保健医療圏が359という数字を見て、この医師配置というのをどのように考えているかお聞かせ願いたいと思います。
〇千葉副知事 産科医療体制の状況についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、県内の産科関係等の医療施設あるいはドクターが少ないという前提に、現在、どうすればその中で体制を構築していけるかということで、まずもって四つの周産期医療圏を設定しまして、それぞれに病院を地域周産期母子医療センターということに指定して、分娩リスクに応じた医療提供体制の確保を図っているところでございます。
 御指摘の久慈・二戸地域についてでございますけれども、まずもって、県立久慈病院を周産期母子医療センターに認定しておりますが、平成22年度に周産期医療圏を設定する際の調査で、出生や分娩件数の動向のほか、中リスク分娩の対応につきましては久慈病院から二戸病院に搬送が行われ、逆に、症状が安定した新生児については二戸病院から久慈病院に搬送が行われているという状況、あるいは二戸病院に青森県から一定数の患者が流入している受療動向なども見られましたことから、県の外部委員で構成しています周産期医療審議会での御検討をいただきまして、二戸地域とともに久慈・二戸周産期医療圏の設定及び平成23年度から両病院を県北地域周産期母子医療センターとして位置づけ、機能分担と連携ということで一体的な診療体制に取り組んでいるという状況でございます。
 実際の配置については、医療局のほうの対応もございますが、いろいろとそういう中で、何とか圏域の中で対応していきたいということで、今、進めているものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 一般質問の中で清水恭一議員もこのことに触れておりましたけれども、今、私が指摘したとおりだとすれば、出生者数が、二戸保健医療圏が359に対して、426で久慈保健医療圏のほうが多いんです。そして、久慈病院の分娩数というのは91名です。一番多いときは、10年ぐらい前ですけれども、四百五十数名という状況です。そして、死産率が36と21、これだけ違うんですよ。これは、なぜそうだと思いますか。
〇千葉副知事 残念な死産の関係についてでありますが、これは、母体の状況あるいは胎児の異常とかさまざまな原因があるのではないかと考えておりますが、その減少に向けましては、周産期医療体制の提供体制―繰り返し申し上げておりますが、それをきちんと確保、整備していくこと、あるいは妊婦健診など母子保健による取り組みの強化も必要でありますことから、妊婦健診等の受診勧奨とか、そういうトータルの中で取り組んでいく必要があろうかと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 僕が言いたいのは、現にこういった事実があるわけです。ということは、リスク分娩の場合には、状況によっては、二戸病院まで久慈から運ぶのに相当時間がかかるんです。その間に亡くなったという話を私はよく聞きます。場合によっては母子一緒です。配置にやっぱり私は疑問があるんです。出生率もはるかに高い。二戸病院のほうがはるかに交通の便はいいじゃないですか。違いますか。どう思いますか、一人の人として見た場合。
〇千葉副知事 今、委員がおっしゃっていることは基本的に全て事実だと思っております。私も保健福祉部長をさせていただきましたので、現実としては個別の一つの病院等で全てを賄い切れないということで、複数の病院で対応していただくような取り組みもしていただいているところでございます。例えば岩手中部圏域でも、中部病院と済生会病院でそれまで全く連携がなかったのですが、両病院の院長の御理解もいただいて、二つの病院で分担していただくという形での体制強化もその時点でやらせていただいたこともございます。
 いずれ、どの病院に何名ということになりますと、これは医療局の問題もございますが、ドクターのスキル、経験値等を踏まえて、派遣講座のほうの考え方などもあり、そういうものを踏まえて、今、このような状況になっているのではないかと思っております。できるだけ多くのドクターがそれなりに近いところで対応していけるのが一番望ましいわけでございますが、現時点では、そういうような状況を踏まえて、このような体制になっているものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 体制になっているものというか、私が何でこうやって医療局じゃないところで聞いているかというと、県として、公的医療のあり方としてどう捉えているかということ。しかも、沿岸部というのは、そうでなくてもどんどん人口減少しているわけです。今、こういったリスク分娩が恐らく増加しているかと思うんですが、そういった中で対応し切れないような病院があるところで住めないじゃないですか。どう見ても、立地的に見たら違いませんか。遠いところに置いたほうがよくないですか。
 それで、これは余り言わないけれども、この事実を前にして、さて、どう思うかというのは極めて重要なことだと私は思うんです。医者の状況もあるかもしれませんけれども、これを県政としてどう考えるかというのは、深刻ですよ、本当に死産率が倍ぐらい違うんです。だから、今の答弁でいくと、私から一口で言うと、人ごとっぽいかな。私が今こうやって述べた事実を知事はどう思いますか、答弁を聞いた感想をお聞かせ願いたいと思います。
〇達増知事 県民の健康、そして命を守るに当たり県立病院が果たす役割は大変大きなものがあります。そして、県立病院のネットワークの中で、いかに県民の健康、命を守るか。その中で新しい命が生まれてくる周産期医療、母子保健ということは大変大事な分野であって、そこのところにもきちんと対応する体制をとっていかなければならないと思います。
 医療局においては、来年度からの5年間の新しい経営計画を立てたところであり、まず、これをしっかり実行していく中で、県も医療局と力を合わせて県民の健康と命を守っていくよう努めていきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 これ以上はあれですけれども、いずれ、そういった実態があるということを踏まえて、本当に必要なところにどうするかということで医療体制というものを考えていただきたいと思います。これはまた継続的にあれですけれども、強く要望したいと思います。
 次に移ります。河道掘削についてですけれども、河道掘削は私も9月にしましたし、今回も岩崎議員から質問がございました。それで、知事答弁によると、今回の河道掘削の維持管理費として前年度の6.8%増、8億2、000万円を計上したということでありました。なぜ河道掘削を強く主張するかというと、堤防を高くするのも、河道を原状に復帰させるのも同じ効果を持つわけです。津波で川を遡上してくる海水をどう吸収するかもそれによって―だから、河道掘削というものをすることが、そして事業費も少なくて済むんじゃないかと思っているんですけれども、8億2、000万円余というこの事業費の中で、河道掘削を行う事業費はどの程度あるのかお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 河道掘削についてでございますけれども、土砂の堆積によりまして部分的に流下能力が低下しているような河川につきましては、当初予算案に計上しております河川の維持管理に要する経費、現在、総額で8億2、000万円余計上はしているところでございます。
 この中には、一部草刈りとかそういうものも含まれておりますが、緊急性がある河道掘削は必要に応じて随時やっていくということで、特にその中で枠を設けているというものではございません。あくまでも緊急性があるものから、できるだけ優先的に進めていくということで執行は考えております。
 また、御案内のとおり、抜本的な河川改修を行う経費として約50億円、具体的には49億6、000万円計上してございますが、周辺の土地利用状況や経済性も勘案しながら、川幅の拡幅などとあわせて、こちらの事業でも河道掘削を行うこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 これは、国もハード事業には金は出すけれども、河道掘削はハード事業という位置づけじゃないようです。ですから、国は出してこない。出てないです。これも問題だと私は思っています。いわゆる災害を未然に防ぐ、少しでも被害を小さくするという意味では、防災という視点で行う河川改修については、ぜひとも国に強い財政措置を求めていくべきと考えますけれども、知事の認識をお尋ねします。
〇達増知事 これまでも、災害を防止するための抜本的な河川改修を進めるに当たっては、国の財源措置を受けられる交付金制度の活用を基本としているところであり、また、河道の堆積土砂対策については、県単独費のほかに災害復旧事業や災害対策等緊急事業推進費など国の補助制度を可能な限り活用しているところであります。
 県としましては、引き続き、再度災害防止や予防的な治水対策、適切な維持管理のために必要な予算の確保について国へ要望を行ってまいります。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ要望していっていただきたいと思いますし、私どもも要望したいと思います。
 それで、防災という観点から見ると、国の姿勢はもっと柔軟にやるべきだと思うんですけれども、私は、むしろ、そんなに多くの予算がかかるのかわからないんですが、緊急性ということを知事は申されておりましたけれども、緊急性を、誰が緊急度が高いと判断するのかは別問題として、明らかに盛り上がっているところがあるんです。そういうものについては計画的に河川全体をぜひ調査してもらいたい。県が管理しているというか、大きいところでいいんです。そして、ここはやはり必要なんじゃないかといったところをきっちり把握して、県が場合によっては単独でもやったほうが、その後のコスト等を考えれば、はるかに安く済むことがあるんじゃないかと思うんですけれども、この点についてどのようにお考えかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 現在も、国の交付要件等に満たない箇所で緊急性を要する場合などには、県単独費によって河道掘削等必要な治水対策を行っているところでありますが、洪水から県民の生命、財産を守るとともに県土の保全を図るということは極めて重要な施策でありますので、今後とも、治水対策予算の確保や一層の拡充について引き続き国へ提言を行っていくとともに、県としても必要な予算の確保に努めてまいります。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、毎回聞いておりますけれども、サケのことでお尋ねしたいと思います。
 今年度の漁は、サケは3歳魚が、当然、震災の年に放流した分ですから、極めて少なかったと聞いております。ことしの漁の中で4歳魚が少ないということは、全体的に量が少なくなってくると、放流するための稚魚を確保するのが困難になるのではないかという気が私はしているんです。
 前から指摘もされていると思うんですけれども、こういった、言うまでもなく重要な魚種でありますので、これについて、サケが低調と見込まれている中ですけれども、サケふ化放流事業の根幹である種卵の確保をどのように進めていくかお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 秋サケの資源回復に向けた取り組みについてでございますけれども、本県沿岸に今年回帰した秋サケでございますが、これは、今お話がございましたけれども、例年どおり放流できなかった震災年の稚魚が主群となるということが予想されておりまして、これまで以上に親魚の不足が懸念されるところでございます。このため、確実に種卵を確保し、資源の回復を図っていくことは極めて重要なものと認識しているところでございます。
 このため、県と関係団体でいろいろ協議を重ねてまいっているところでございまして、種卵が不足するような場合には、定置網で捕獲したサケの採卵適期までの蓄養、あるいは定置網のいわゆる垣網を短縮することによりますサケの河川遡上の促進、あるいはふ化場ごとによりますよりきめ細やかな種卵確保の進捗管理などさまざまな取り組みを行うということで考えております。関係団体と連携しまして、来春の目標としております4億尾の稚魚放流の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 サケの種卵の確保については、この設備は県の対応によってかなり早期にやってもらったというのがあって、それについては今年度もちゃんと確保していますので安心しているわけですけれども、ことし、小さい河川も含めて、サケが結構上がってきたんです。とりようがなくてとらないんだけれども、死骸が浮いているとか。だから、人間が放流しているものとは別に、もしかしたら自然でどうこうというのがスイッチオンして、ことしいっぱい出てくるかどうかわかりません。そういうこともあるのかなと思ったりしながら、そういった淡い期待を持っておりますけれども、いずれ、ぜひしっかりと定置網の方々とも協議しながら、確保に努めていただきたいと思います。
 次に移ります。山田町の災害復興支援事業等検証委員会についてであります。これは、きのうの知事の検証委員会報告についての記者会見での発言等もございましたけれども、その前に通告しておりましたので、それについてまずお尋ねしたいと思います。
 山田町の災害復興支援事業等検証委員会の設置については、昨年12月の決算特別委員会の場でも議論されたところであります。県議会の全議員の注目のもとで検証が進められてきたものと思っておりますけれども、今回の報告書を、常任委員会という限られた議員での説明にとどめようとしたのはなぜでしょうか、その趣旨をお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 山田町災害復興支援事業等検証委員会報告書の議会への説明についてでありますけれども、今定例会に提案し、昨日可決されました平成25年度一般会計補正予算のうち、緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金の中に、山田町災害復興支援事業に係る平成23年度分の山田町からの補助金返還金1億6、700万円余が含まれているということから、本議案が付託された商工文教委員会において報告することが適当といたします所管部局の判断を了承したものでございます。
 この件につきましては、本来であれば、通例の議案等説明会の際に御説明を申し上げるところでございますけれども、報告書の作成に時間を要したということで、その場での説明ができなかったということで、議会に対する配意について欠けたものがあったと考えておりまして、まことに申しわけなく思っております。この場をおかりいたしまして委員各位におわび申し上げたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 設置するということについては特別委員会で発言しておりました。ですから、本当であれば、今、副知事が言われたとおり、全員の場で説明して、その検証結果についての議論をすべきだったと今でも思っております。それで、ぜひ全議員に示していただきたいということも申し述べておきます。
 検証委員会の構成についてですけれども、これについて、私も常任委員会を一部傍聴させていただきましたが、この検証委員会は、8名で構成されているうち6名が県職員であって、外部委員は2名にすぎないということ、そしてまた、委員長、副委員長も職員から選任されていて、外部のチェックを仰ぐといった客観的な視点が非常に薄いと当初から言われておりました。
 改めてですけれども、常任委員会でも議論があったのかもしれませんが、なぜこういった委員の構成にしたのか、その考え方をお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 検証委員会の委員の構成についてでありますが、まずもって、この検証委員会は、当該委員会の設置要綱の趣旨にございますように、補助事業者としての県の対応を検証するとともに、当該検証に基づく課題の抽出と事業の適切な執行管理のあり方の検討を行うということをミッションとしての委員会でございまして、対応していただいたところでございます。
 このため、委員につきましては、緊急雇用創出事業を所管する商工労働観光部の職員2名のほか庁内関係部局の職員4名、具体的には行政品質などを所掌する人事課、法令解釈などを所掌する法務学事課、市町村に対する指導、助言を所掌する市町村課等の4名の職員と、さきの特別委員会でこれも御議論があったと思いますが、学識経験者の導入ということで、学識経験者お二方を外部委員として委嘱したものでございます。
 検証委員会の作業につきまして、私も報告書を読んでおりますけれども、実際に行われました補助事業の執行を、いわば追体験していくような手法でもって検証していくという作業が行われましたので、県の職員につきましては、先ほども申しました法務、財務、会計などの分野で実務に精通した職員を選任したものと認識しております。また、外部の方については、経営学あるいは行政学を専攻している学識経験者の方を外部委員としてお願いしておりまして、それぞれの委員の知見をもとに、会議は全て公開の上、議論していただいたものが報告書になったものと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 同様の事案と言っていいのかあれですけれども、森のトレーのときには総務部人事課が中心になってこの検証委員会をやった。実際の事業は、林務というんですか、農林水産部でやったわけですけれども、今回は、事業そのものを所管している部局の副部長が検証委員長です。これで本当に客観的な審査ができるのでしょうか、できるとお思いでしょうか。そして、この構成でいいと誰が決めたのでしょうか。
〇千葉副知事 まず、今回の検証内容が、県の対応を検証するということでありまして、その有効射程が、あくまでも補助事業者としての県がどうだったかということを検証するということが一義的にございましたので、当該部局が中心になって対応したものと理解しております。
 それにつきましては、私もさきの決算特別委員会の議事録も拝見しておりますが、そこでの議論も踏まえて、このような対応をしたと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 検証委員会は誰が設置するんですか、したんでしょうか。
〇橋本商工労働観光部長 本事案に係る検証委員会の設置につきましては、当職において、これまでの県議会における議論等も踏まえながら検証委員会を設置し、県の手続、さらには補助事業の執行管理のあり方について検証するということとしたものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 この検証委員会というのは当職ということですけれども、商工労働観光部長の責任とか云々というレベルではなくて、県全体として、これが原因となって決算不認定まで行ったわけでしょう。部長はそうやって言っていますけれども、そうじゃないと私は思っていますけれども、本当にそうなんですか。部長が責任を持ってこの検証委員会を設置してやった。それだったら、むしろおかしいですよね。所管している部の部長がそれを設置して、その事業の検証をする。できるわけがないと私は思います。本当にそうなんですか。部長が責任を持ってこの検証委員会を設置したんですか。それではいけないんじゃないですか。
〇橋本商工労働観光部長 検証委員会の設置に当たりましては、県庁内部における前例等も参考にしながら、県の工事の積算誤り等に関する検証を行った際の事例等も参考にして、当職において検証委員会の設置をしたものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 積算誤りのときの検証とこれは全然違うでしょう。これをもって、例えば自治体からも返還をされている。今回、予算化されているわけですけれども、決算の不認定の最大の理由になった事案です。それを、測量云々のそれと一緒にできますか。副知事、どうですか、私がこうやって議論しているのは。今の部長の―どちらでもいいです。一連のこの議論についてどう思うかお聞かせ願いたいと思います。
〇千葉副知事 この委員会の設置につきましては、12月2日という段階でありまして、まさに、御案内のとおり、決算特別委員会等の開催された12月議会の中でこの設置について言明したものと考えているところでございます。
 また、森のトレーの話もございましたが、森のトレーにつきましては、御案内のとおり、県においても相当多額な金額を国に対して返還するという極めて異例な事案でございました。今回の事案について、決して軽微だとは申しませんが、ただ、現時点で捉えておりますのは、県の補助事業者としての指導がどうだったのかということがなされたものと考えておりますので、このような委員会で対応したものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 森のトレーの話は委員会のあり方の構成のことで引用しただけの話なんですけれども、それはそれとして、これは復興にかかわっての予算です。極めて重大なわけです。補助事業者としてのという話ですけれども、私からすると、県全体としての課題だという認識がないのではないかと思っています。どうですか、知事。県全体としての課題であるというか、問題だったという認識はございますか、どうですか。
〇達増知事 ございます。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました。そうですよね。だとすればですけれども、例えば先ほど言われた商工労働観光部長がこういう検討委員会をつくったとかというレベルではなく、もっと外部委員も入れて全庁的に対応すべきだったんじゃないですか。どうですか。今、知事がそうだという認識だとすれば、そう思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
〇千葉副知事 まずもって、この事案について、今、知事から申し上げたとおり、重要な事案であったということの認識は、そのとおり私も持っております。しかしながら、今回、いわゆる県の有効射程と申しますか、どこまでこの事案について遡及していけるのかということにつきまして、山田町での対応、あるいは山田町からNPOにどのような対応があったのかというところまでは、なかなか私どもとしては承知しかねるところもございます。したがいまして、当然、県議会におかれましても参考人招致等も行われたものと承知しておりますけれども、私どもといたしましては、少なくとも県の対応においてどうだったかということを、まず、そこはきちんとしておかなければならないということで取り組んだということで、それについては、この報告書を読みましたが、実務的な話も多々書き込まれておりますが、非常に丁寧に、私が先ほど、いわゆる追体験型の手法と申しましたが、そういう手法で取り組んできたと考えておるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 県の対応のあり方の検証ということですけれども、それで済むのかなと思って聞いておりました。この構成の検証委員会で十分な検証がなされたと言えるのかどうか、知事の所感をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 委員会は計6回開催され、現地調査も行ったと聞いております。委員の皆さんがそれぞれの知見をもとに公開の場で議論した結果を報告書として取りまとめたものであって、委員会の所期の目的は達成されたものと受けとめております。
〇嵯峨壱朗委員 私は前から気になっていたんですけれども、この後、聞きますけれども、知事は選挙で選ばれた政治家、県民の代表です。県民の代表であると同時に県庁の職員を束ねる長でもあるわけです。私は思うんですけれども、我々も実は、この結果で、あんたらも議決したんだろうと、県民からは一味同心に見られたんです。知事も、副知事も、私も、例えば城内委員も。だから言っているわけです。人間誰でも誤りもあるし、間違ったこともするでしょう。だから、行政の側で、これってちょっと変じゃないかと思ったら、それを、副知事でも誰でもきっちり指摘して、直せ、ちゃんと対応しろと言うのが知事じゃないですか。県民代表として選ばれている知事、これを、どう見たってこれだけ問題になっているということは、しかも、委員会の外部の人たちも、この検証結果について極めて不満な話をしていました、やり方も含めて。私は、知事としての立場とすれば、むしろ、何でこういう結果になったんだ、もっときっちりやれということを言うべきだと思う。そういう視点で見るべきだと思うんです。違いますか、どうですか、そういった視点で。
〇達増知事 私も、この報告書を商工労働観光部長から受け取りまして、それで読んでいたわけでありますけれども、引用されている地方自治法、また、この前提になっている補助金適正化法との関係をきちっと理解しながら読まなければということで、時間をかけて読んでいたわけでありますけれども、地方自治法における国、県、市町村の役割分担はもとより、補助金適正化法における国民の貴重な税金等をもとにしている財源であるから、これをきちっと使わなければならないということと、一方で、市町村が行う事業について、国や県が過剰に介入してはならないというバランスの中でこの仕組みがあって、それは全国全ての都道府県がそういうことをやっていて、その中でこのような事案が発生してしまったということで、委員の皆さんには、地方自治法の趣旨、財政適正化法の趣旨を踏まえながら、また、特に財政適正化法との関係で、実務上、実態として補助金事業というものがどのように行われているかというのをつまびらかにし、かつ他県とも比較した上でこういう報告書が書かれていて、かなりきちっとした報告書をつくっていただいたと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 きのうの知事記者会見でいうと、読んでいる途中だということでした。正直だなと思っているんですけれども、部長が、知事が読んでいると思ってやったんでしょうけれども、読んでもいないものを常任委員会にかけて、これが最終報告書ですよ、どうぞこれについて議論してくださいと、それってありですか。どうなんでしょう。私は素朴に疑問に思ったんですけれども。誰に聞いたらいいかわからないけれども。
〇達増知事 きのうの記者会見の時点では、補助金適正化法の一番の大詰めである24条のところまでまだ読んでなくて、そことの比較で報告書を読んでなかったんですけれども、その後、適正化法の24条を読むと、まさに県が過剰な介入を市町村にしてはならないということを報告書の冒頭のところから明記してあり、かつ、報告書全編を貫く基調として、市町村の自立性を尊重する補助金の事業でなければならないということが書かれているということが、それは、私の個人的な勉強としては今はわかっているということでありますけれども、そういうきちっとしたものが商工労働観光部長の責任において作成されて、議員の皆様にも供されたということは、それは適正に行われたことだと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 適正化法の話はそのとおりでしょう、それはそれで。ただし、今問われているのは、次にかかるので聞きますけれども、2月4日に大雪りばぁねっと。の岡田代表理事が業務上横領の容疑で逮捕されているわけです。県の補助金が不正に使われて刑事事件に発展するという状況に至ったわけです。これを前提に、検証委員会がどうこうというレベルではなくて、こういった状態に県がかかわった事業で至ったということについての知事の所感をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 逮捕ということで刑事事件に至ったことに対する所感ということでありますけれども、被疑者である元NPO代表理事らに対しては、私は当初から、謝罪して全てを明らかにして、そして町から受け取った委託料を返すべきということを言ってきたわけでありましたけれども、それが果たされないまま、山田町の検証においても当該NPO関係者は全然協力的でなく、全てを明らかにするということをしないまま来たわけでありますけれども、逮捕によりまして、警察本部長もさきの一般質問の答弁で答えていますけれども、事件の全容解明に向けて捜査を推進するということで、ぜひ全容解明ということで、最初の段階からだまそうと思って接近してきたのか、あるいは最初はだますつもりは一切なく、まじめに被災地のためにやろうとしていたんだけれども、どこか途中の時点からそれが変わったのかといったようなことなど、私も大変疑問に思っているわけでありますけれども、いずれ、警察において事件の全容解明に取り組まれていることでありますので、その推移を見守りながら、要請があれば、県としても捜査に全面的に協力したいと考えています。
〇嵯峨壱朗委員 今のもそうですけれども、この間の平成24年度決算が不認定になったわけですけれども、この原因になっているんです。勝手にしたと思っているんでしょうけれども、それが原因になっているということ自体が非常に重要なわけです。ですから、刑事事件になって、もちろん、今の段階ではその内容についてどうこうとはもう言う立場でもないんですけれども、ただ、こうなったことについては、やはり現場の職員、知事の部下がやっていることについての流れなわけです。とても当事者意識があるとは思えないんです。どうなんですか。これを知事はどう思っていますか。
〇達増知事 補助事業というものは国民の貴重な税金を財源としている、それをきちっと適正に執行しなければならないという意味では、国のチェック、県のチェック、そういった体制が求められると同時に、財源として自由に市町村がそれを使っていくという市町村の自立性も尊重しなければならないということが同じ法律の中に明記される中で、いかに二つの要請を実現するかということで、法令としても、そして制度運用としても構築され、日本全体としてそれが行われている。そうした中でああいう事案が発生したということは、これは重く受けとめているわけでありまして、県としては、事業の適切な執行管理のあり方についてしっかり検討して、報告書にあるように、その仕組みを整理して、事業の適切な執行を確保するということに責任を果たしていかなければならないと考えています。
〇嵯峨壱朗委員 政治姿勢についてもかかわるんですけれども、知事は行政の長であると同時に県民に選ばれた政治家でもあると私は思っているんです。知事は政治家ではないみたいな話を最近していますけれども、その立場というのは、あくまで県民の代表として、副知事以下の行政マンが当たり前にやることは当たり前なわけです。でも、もしかしたら、これだけの多くの数ですから、こういう結果が出ると思わなかったけれどもこうなったということについてとか、悪意はあると思わないけれども、そういったことについて、長である以上、もっと責任を持って、ここを直したらいいんじゃないかとか、検証委員会がどうこうじゃなくて、どう見たって対応がおかしいとみんな言っているんじゃないですか。それを県民と同じ立場になって指摘すべきだと私は思う、職員の皆さんに。これ、ちょっとどうなっているの、本当にこの検証委員会のあり方でいいのかとか、私は、そういうことを知事の役割に求めたい。どうですか。
〇達増知事 この検証については尊重するに値すると思っておりまして、まず、緊急雇用創出事業ということについては、その事業を所管する商工労働観光部において、報告書にも言われているとおりに、仕組みの整理ということをこれから行っていかなければならないと思っておりますし、一方、補助金等の事務処理適正化全体については総務部にも関与させて、商工労働観光部のみならず、県全体としてきちっと取り組んでいきたいと思います。
〇樋下正信委員長 嵯峨壱朗委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 嵯峨壱朗委員、御了承願います。
   午後0時0分 休 憩
午後1時1分 再開
〇樋下正信委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの質疑のところでちょっと1点だけ確認したい。答えがなかったのもあるんですけれども、検証委員会の報告を常任委員会にかけて議論した。それで、その後に、次の日の記者会見で知事が、まだ読んでいないということでしたけれども、そういった知事がまだ確認していないものを常任委員会に諮って、審議したということでいいんですね。
〇橋本商工労働観光部長 検証委員会の報告書が私のほうに提出があったのは、3月3日の本会議終了後でございました。したがいまして、夕刻かなり過ぎておりまして、その後、直ちにその報告書とともに、知事にそれをお届けしたわけでございますが、時間的にはかなり遅くなったということがございますし、翌日にはすぐ常任委員会が予定されていたというような経緯もございまして、そういう形になったものでございます。
 そういう報告書の提出の時期となったのは、検証委員のほうから、かなりぎりぎりまで修正意見を求めるというようなやりとりがございまして、最終的に取りまとまったのが3日の部分で、私に届いたのが本会議終了後ということという経緯があることを御理解いただきたいと思います。
〇達増知事 私は記者会見で、今、読んでいるところだと述べたのであって、読んでいないとは言っていません。今、読んでいるところだという私の発言に対し、知事、読んでいないという見出しをつけるかどうかは、それは新聞の編集権の範囲ではあるんでしょうけれども、いかがなものかと私は思います。
 なお、議員の皆さんに渡している報告書の概要については、私も、それは受け取って、そこは報告書を読む前に読んで、その概要に沿った形の報告書を議員の皆さんに提出することについては、これはいいという認識でおりました。
〇嵯峨壱朗委員 これについては、これぐらいにしておきます。
 それでは、次に移ります。知事の政治姿勢ということですけれども、社会的存在としての知事、知事は、1月20日の記者会見で、社会的存在としての知事のスタンスというのを軸にしながらさまざまなことに取り組むと答えております。社会的存在としての知事とは、どういう趣旨なのでしょうか。
 また、同日の記者会見で、選挙というのは最大の政治的イベント。ただ、政治活動、政治行動、政治的発言というのは自由だと思っていると答える一方で、今は政治的なことは考えないようにしているとも答えております。政治的なこと、政治活動ということをどのように捉えているのか、あわせてお尋ねいたします。
〇達増知事 社会的存在というのは、政治的でないという意味で申し上げておりまして、また、政治的なこと、政治活動ということについては、法令上明示されている選挙活動や政党活動を中心にイメージしております。
〇嵯峨壱朗委員 知事にとっては、社会的存在としての知事と政治的存在としての知事とどちらに重きがあるんですか。政治的存在だと思っているのでしょうか。
〇達増知事 これは繰り返し申し上げていることでありますけれども、去年の参院選が終わって以来、政治活動については控えておりまして、そういう政治的な存在としての動きをなるべくしないようにしているところです。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの知事の答弁によると、選挙活動、政党活動をしていないということが、政治的な活動をしていないという意味の理解でいいんでしょうか。
〇達増知事 そのとおりでありますけれども、それは、今まで議会において、私が特定政党に所属している、特定政党に偏っている、あるいは選挙で特定政党の候補を応援したというような指摘をずっと受けてきたことを踏まえ、そういうことを今しないようにしているということであります。
〇嵯峨壱朗委員 そういう指摘がされたというよりも、知事は、不偏不党でなかったことってこれまでありましたか。
〇達増知事 行政の執行については、これはもう不偏不党、何党の党員であれ、岩手県民であれば、それはひとしく県民が受ける扱いは行政としてやるようにしておりましたし、また、一方で、政治活動については、これは自由で、行政において不偏不党、公正中立に行う、これは総理大臣だってそうで、行政はあくまで不偏不党、公正中立に行わなければならない。しかし、選挙の応援であるとか政治活動も、これは自由にできる、それは知事においても、基本的にはそうだと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 知事は政治家ですか、どうでしょうか。
〇達増知事 今、私は、余り政治家ということにはこだわらず、むしろ社会的な存在として、あまちゃんということを軸にしながら岩手を一つにまとめていく、また、そもそも復興ということで、岩手が一つにまとまりやすいように配慮して行動するということをしているわけです。
〇嵯峨壱朗委員 あまちゃんは結構なことですね。それはそれとして、ただ、私は、政治家であると―知事はやっぱり政治家ですよね。選挙で選ばれている。政党に属していないにしろ、無所属であろうが何であろうが、政治家であるというその1点は、社会的存在という規定とは全く別で、政治家であるということの認識には変わりがないと思うんですが、どうでしょうか。
〇達増知事 繰り返しますけれども、特にこの復興ということで岩手全体が一つにまとまっていく必要がある今の局面において、私は、政治色を出し過ぎることがその妨げにならぬようにと、今、配慮して行動しなければならない時期と思ってそうしているところであります。
〇嵯峨壱朗委員 それはそのとおり、それはわかりますよ、わかりましたので。ただし、知事は政治家でしょう。政治家じゃないですか。じゃ、何なんだろう。選挙で選ばれている、別に政党的じゃなくても何でもいいけれども、政治家じゃないですか。(「答えがわかって聞いてんだろう。政治屋じゃないか」と呼ぶ者あり)政治家―うるさいな。うるさい、失礼だぞ。撤回しろ。(「だめだ……」と呼ぶ者あり)うるさい、おかしいというの。まあ、いいや。
   〔「委員長、ちゃんとやれ」と呼ぶ者あり〕
〇樋下正信委員長 はい。
〇嵯峨壱朗委員(続) そして―何が政治屋だって。不適切だろう、それ。
 政治家ですよね。選挙で選ばれている以上、別に政治的である、政党的であるとかなんとかというのではなくて、あくまで政治家は政治家じゃないですか。知事という役職って政治家じゃないですか。
〇達増知事 過去において、岩手県議会において、政治家であることが、この行政の公平性とか不偏性を妨げるものではないということを幾度も幾度も申し上げてまいりましたけれども、むしろ、この政治性、政治家性を強調はもちろん、にじませることもまた、岩手を一つにまとめることに今のような局面では少しでもマイナスにならないようにと配慮して、今はそういうことは出さないようにしているということであります。
〇嵯峨壱朗委員 これはもうやめますけれども、ぜひ、一つにまとめてやっていっていただきたいと思います。
 それでもう一つ、知事のこの間の、卒業式が3月1日、各高校であったわけですけれども、そのときに私も2カ所に出たんですが、知事のメッセージが読まれました。10年ぐらい出ていますけれども、初めてだったんですが、その経緯について、経過について説明していただきたい。また、何校にメッセージが送られたのでしょうか。そして、誰の指示でこのメッセージが出されたのでしょうか。これまでにこのようなメッセージを出したことがあるのでしょうかについてお尋ねいたします。
〇達増知事 今年度の卒業生は、東日本大震災津波発災直後に入学した生徒たちであり、被災地にとってはもちろん、それ以外の地域においても、さまざまな困難や不自由を受けとめながら高校生活を全うした、そういう卒業生に感謝、そして励ましの気持ちを贈りたいという思いは、多くの県民が共有するものではないかと。その思いを形にすべく、あのようなメッセージを送ったものであります。
 そして、メッセージの送付先は、全ての県立高校63校、特別支援学校13校、また、私立高校や盛岡市立高校にも送られているものと承知しております。
 なお、その発出の指示についてでありますけれども、先ほど申し上げました趣旨を県教育委員会に伝えて、教育委員会が対応したものであります。
 それから、県立高校卒業式におけるメッセージ発出の前例についてでありますが、平成22年度と平成23年度に、リーマンショック直後で就職が困難な状況の中で卒業する高校生を応援するメッセージを知事の名前で贈ったことがあります。
〇嵯峨壱朗委員 メッセージとか電報とかが送られてくることは多々あるようですけれども、これを読むという判断は、また違うと思うんですね。大概、廊下に張ってあるとか、来ていましたとなっているような気がするのですけれども、改めて、このメッセージは誰の指示で出されて、この読むという各学校の判断はどういった形でなされたのか、わかるのであれば教えていただきたい。
〇達増知事 現場の対応は教育委員会において対応したと理解しておりますけれども、趣旨として、今回卒業する高校生については、岩手県民みんなが褒めてあげたい、また感謝をしたいと思っているだろうからという、私のそういう趣旨を踏まえた対応を教育委員会において行ったと理解しております。
〇嵯峨壱朗委員 私も実は2回聞いたんだけれども、長いなと思いました。そして、それと同時に、去年の卒業生も、高校1年生という立場で、もしくは中学校1年生の立場で震災を経験しているわけです。それで、おととしの卒業生も2年生の立場で経験したわけです。そういう意味で言うと、新しく1年生になったからどうこうでなく、震災を経験しているというのはみんな一緒じゃないですか。なぜ特別、今回そうなんでしょうか。
〇達増知事 私が直接赴きまして、みずからメッセージを読み上げた高田高校が特徴的なわけでありますけれども、高校の入学試験の直後に東日本大震災が発生し、発災直後、高校の合格発表というところからおくれる中で合格発表、あのとき高田高校の合格発表で高校生が、合格したら、ふるさとのために、復興のために尽くしたいと思いますと言ったことが、広く被災地はもちろん県民全体に勇気を、元気を与えたと思っております。
 そして、県が設置し、教育委員会が管理する県立高校において、そこから3年間、学業を修めて、今回卒業ということで、そのことを岩手県民全体として褒めて、そして感謝するということが必要と考えたものです。
〇嵯峨壱朗委員 教育委員会がどこまで関知しているのかというのは、これは答えられるんでしょうか。わかりますか。通告はしたのですけれども、お聞かせ願えればと思います。
 それと、やはり趣旨とか思いはわかりましたけれども、5分間に及ぶメッセージが唐突に入ってきたんですね。僕もちょっと違和感を持ったんだけれども、そういう違和感を持った保護者の話も多数私は聞いています。なぜここで知事のメッセージが入ってくるんだろうと。知事の思いとは別に、そういった違和感を持った保護者がいたということについては、どのように認識しているかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 保護者の方初め、関係者の認識については、一部繰り返しになりますが、今年度の卒業生は、東日本大震災津波発災直後に入学した生徒たちで、そして、被災地はもちろん、それ以外の地域においても、さまざまな困難や不自由を受けとめて高校生活を全うした、そういう卒業生に、感謝と、そして励ましの気持ちを贈りたいというのは多くの県民の思いではないか、それを形にすることが必要ではないかという趣旨で行ったものですので、御理解をいただきたいと思います。
   〔嵯峨壱朗委員「教育委員会が関知しているんでしょうかと。通告しているからね」と呼ぶ〕
〇達増知事(続) 先ほど申し上げましたように、私の趣旨を踏まえて、教育委員会において対応したものと理解しております。
〇嵯峨壱朗委員 誤解されるのも不本意なんでしょうけれども、そういった保護者があったということだけは指摘しておきたいと思います。
 私の質問をこれで終わらせていただき、残りは佐々木茂光委員にしていただきます。よろしくお願いします。
〇樋下正信委員長 次に、佐々木茂光委員。
   〔佐々木茂光委員質問者席に着く〕
〇佐々木茂光委員 私から、残り時間でございますけれども、津付ダムの中止方針に対する質疑に入らせていただきます。
 昨年8月、県当局は、県営津付ダムの建設中止の方針を示し、現在、岩手県大規模事業評価委員会において慎重な審議が続けられております。
 県営津付ダムは、昭和56年4月に国庫補助による実施計画調査ダムとしての採択を受け、以来約40年の長きにわたり、先祖伝来の土地を提供した地権者を含む流域住民、県、関係市町が一体となって建設促進に向け取り組んできた歴史を有しております。
 建設中止の方針は、これまで幾度となく洪水被害に悩まされてきた気仙川流域住民にとっては、まさに寝耳に水でございます。これまでの歴史を振り返ったとき、憂慮にたえないのであります。
 この間、気仙川の抜本的な改修は見送られてきた経緯もあります。それも全てダム建設が前提にあったにほかならないのであります。それが一転、ダム建設は中止し、代替案として河川改修による治水安全度を確保するとの説明では、全く整合性が図られていない、気仙川流域住民に対し不誠実であると言わざるを得ないのであります。
 県当局の大規模事業評価委員会に提出した資料の中に、ダムを中止した場合の懸念として、想定される浸水被害の範囲に大きな違いはないものの、ダムによる洪水調節機能がなくなることで、浸水深が深くなり被害が拡大するとの内容が示されております。これでは、河川改修がダム建設中止の代替策となり得ず、気仙川流域住民の安全・安心が担保されたとは言いがたく、県当局の姿勢に対し、気仙川流域住民は、いまだ憤りを感じているのであります。
 津付ダムの建設を含む気仙川の治水対策が費用対効果のみの視点で議論されていることに対しても、住民は大変な不信感を抱いております。40年来の取り組みに対し、今さらながら費用対効果の視点だけで論じられるべきものでないと考えますが、いかがなものかお伺いいたします。
 以上のことから、気仙川の抜本的な治水対策を進める上で、洪水調節機能を有する県営津付ダムの建設は必要不可欠と思われるが、知事の御所見を伺うものであります。
〇達増知事 津付ダム建設事業についてでありますが、平成12年度に事業に着手し、これまで、地元の御理解と御協力をいただきながら進めてまいりました。しかしながら、東日本大震災津波によりまして陸前高田市市街地が甚大な被害を受けて、下流域の状況が大きく変わったことから、気仙川全体の治水計画の見直しが必要となったところでございます。
 東日本大震災津波によって被災した気仙川下流域では、復旧、復興に向けた新たなまちづくりが進められ、堤防のかさ上げが可能となるなど、河川改修の手法の選択肢がふえたものであります。
 このような状況の変化を踏まえ治水計画を見直した結果、河口部の河道掘削にかえて堤防かさ上げをすることにより、気仙川全体として、ダムと河川改修の組み合わせの手法と比較して、河川改修単独による治水対策が経済性で優位となったところであります。
 ダム事業の継続は困難となりましたが、昨年7月豪雨においても住田町の一部で浸水被害が発生するなど、気仙川における治水対策の必要性は変わるものではなく、手法は異なりますものの、現時点で最も合理性のある河川改修によって浸水被害の防止を早期に図ることが重要であると認識しており、地元の理解を得られるよう努めてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 知事は、今、大変立派なことを申されましたけれども、この取り組みに対しては約40年の歴史があるわけですね。それで、過去に、陸前高田市が、今、津波の被害を受けて、そのように下流域は変わったと申されますが、実際は、住田町の方々は、そういった面で何の被害もないわけであります。本来、その上流域に建設が予定されていたことが、今、この期に及んで中止するというのは、私は非常にいかがなものかと思います。住田町の住民の生命、財産を、本来ならばそれで守ろう、守ろうという中で―あと50秒しかありませんけれども―進めてきた中で、この期に及んでそれを見直しするというのは、まさに住民に対する説明はどのようにつけられていくのか、まずお尋ねいたします。
〇達増知事 ダムの建設というのは大変大きな問題で、大規模な土地利用の変更を強いられる方々も出てくるわけでありまして、かつ、長い時間をかけてそういったことに取り組んでいた地元の皆さんに対しては、きちっとした説明が行われなければならず、今、大規模事業の検証の委員会においても、地元に対する説明ということをきちんと行うべきとなっていると理解しておりまして、それに従って県としても対応していきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 政策的な判断に私情を挟む余地はございませんが、岩手県として、土地の提供をお願いした町としても、地権者に対しても納得のいく説明がなければならないと考えております。それについて県はどのように考えているのかお尋ねします。
 また、知事みずから地域に足を運ばれ、地域住民の声にしっかりと耳を傾けた上で、決して中止ありきという姿勢ではなく、また、費用対効果といった視点だけではなく、まさに県民の生命、財産を守る上での最善の策は何かという視点から県営津付ダムの是非というものを判断いただきたいと思うのでありますが、御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 津付ダムについては、調査に着手してから約40年をかけて、水没地権者の協力を得るなどしながら進めてきていたわけでありまして、この40年来の地元の苦労や要望活動を思えば、建設の継続を望む意見があるのは当然のことと思います。
 津付ダム建設の中止を今、諮問しているわけでありますけれども、これは非常に重いものと受けとめておりまして、今後とも、地元や水没地権者の皆さんの気持ちに寄り添いながら、必要な説明を引き続き行い、理解が得られるよう努めてまいりたいと思います。
〇樋下正信委員長 次に、高橋昌造委員。
   〔高橋昌造委員質問者席に着く〕
〇高橋昌造委員 それでは、いわて県民クラブの皆さんの御配慮により質問をさせていただきます。
 まず、明るい話題として、ソチで開催されました冬季オリンピックで、本県選手の永井秀昭選手、そして苫米地美智子選手が世界を相手に活躍されましたことは、県民に勇気と大きな感動を与えられたわけでございます。また、あすから開幕される冬季パラリンピックでは、被災地でもあります山田町出身の阿部友里香選手がクロスカントリースキー、そしてバイアスロン競技に、そして、岩手大学出身の狩野亮選手がアルペンスキーに出場されるということで、思う存分の戦いを通して大活躍されますことを県民の皆さんとともに楽しみにしております。
 それでは、通告に従い、順次、かつ簡潔にお伺いいたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、平成26年度の当初予算は、過去最高でありました昨年度を約1、350億円下回る1兆167億円で、先日、議会提案された平成25年度の経済対策分347億円を加えた予算は1兆514億円となります。
 知事は、この平成26年度の当初予算を本格復興推進予算としましたが、本格復興推進に向けた施策や取り組みを通して、この難局をどのように乗り越えられるのかお伺いします。
 また、地域資源を生かした地域づくりを通して、本県の成長と発展に向けた戦略的な取り組みをどのように進められるのかお伺いします。
〇達増知事 県は、これまで、復興計画の安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づいて、災害廃棄物処理や海岸保全施設の復旧、整備など基盤復興の取り組みを推進してまいりました。第1期復興実施計画全体では指標の8割以上が順調に推移するなど、本格復興に向けた基盤づくりを進めてきたところであります。
 県としては、一日も早くもとの生活に戻ることを願う被災者の皆様の思いに応えるために、今般策定する第2期復興実施計画に基づいて、多重防災型まちづくりや災害公営住宅の早期完成、漁業と水産加工業の一体的な振興などを推進して、地域の方々が安心して暮らし、生き生きと仕事に励むことができる持続可能な地域社会の構築を目指し、本格復興に向けた取り組みを力強く進めてまいります。
 また、地域資源を発掘し、磨き上げ、内外に発信するという地域づくりの取り組みは、域外から外貨を取り込み、域内の経済循環を高めることにつながるものであり、今後、さらに強化していく必要があると考えます。
 このため、これまで進めてきた農林水産業や食産業、観光産業など地域の特性と資源を活用した地域資源型の産業振興に今後一層取り組んでいくとともに、ILC建設や海洋再生可能エネルギー実証フィールドの整備など、未来を見据えた先進的な取り組みも並行して進めることによって、本県の持続的な発展を目指してまいります。
〇高橋昌造委員 それでは次に、平成26年度の重点施策に、若者、女性をキーワードとして、若者女性協働推進室を設置してさまざまな施策を講ずるとのことですが、この組織の体制と目的、設置の意義、そして、若者、女性に視点を置いたプロジェクトの計画性、継続性、そして実現性をどのように担保し具現化してまいるのか、お伺いします。
〇千葉副知事 若者、女性施策についてでございますけれども、東日本大震災津波からの復旧、復興に多くの若者や女性がさまざまな形で力を発揮されておりまして、こうした力を今後の地域活性化や経済の発展につなげるため、環境生活部に副部長級の室長をトップといたします新たな部内室を設置いたしまして、全庁の関係部局と連携し、総合的な施策の展開を図っていきたいと考えております。
 若者施策につきましては、本年度、若者支援プロジェクトの取り組み方針を策定したところでありまして、来年度は、青少年育成プランの改定にも当たる時期でございまして、若者の活躍支援施策を新たに盛り込みたいと考えているところでございます。
 また、女性施策につきましては、既にいわて男女共同参画プランを定めているところでございますけれども、これらに基づきまして、それぞれ計画的、継続的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 これらの施策によりまして、若者や女性の地域活動への参画や就職、起業、NPO、ボランティア活動など、あらゆる分野において個性と能力を発揮することができる社会づくりを進めまして、若者、女性の活動促進を図っていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 そこで、今後、この部局連携、また横断的にどのような事務事業に具体的に取り組んでまいるのか、もう一度お伺いいたします。
〇千葉副知事 部局横断的な取り組みについてでございますけれども、若者施策につきましては、県の取り組み内容を政策パッケージ化いたしまして、平成26年度の全庁的な取り組みとして、107事業で構成いたします若者支援プロジェクトを部局横断的に推進していきたいと考えております。例えば、具体的には、いわて若者会議の継続開催や地域における若者ネットづくりなどに取り組んでいきたいと思っております。
 また、それらの事業のほかに、さまざまなアイデアを庁内で募集していくということで、ことしつくりました若手ゼミを活用していきたいと考えております。
 また、女性施策に関しましては、先ほど申しました男女共同参画プランに基づきまして、ワーク・ライフ・バランス推進のための環境づくりや政策、方針決定過程への女性の参画拡大など、これまで取り組んでまいりましたものに加え、今後国が推進しようとしております官民におけます女性登用拡大などにおきまして、部局連携して取り組んでいきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは次に、若者や女性が躍動することのできる社会の構築を今定例会で打ち出したわけですが、若者や女性が安心して働き、生活を営んでいく環境が必要だと思いますが、現在県で行っております若年者、そして中高年、高齢者、障がい者の雇用就業支援や女性再就職支援を通して、安定的な雇用の確保についての知事の御所見をまずお伺いいたします。
〇達増知事 今後の本格的な復興を進め、岩手の未来を切り開いていくためには、特に若者と女性の活用が必要であります。若者と女性の活躍の場を広げるためには、雇用の面からの支援が必要であり、これらの安定的な雇用の確保が課題となっています。
 このため、県では、平成26年度の経済雇用対策の取り組み方針において、経営支援や企業誘致の産業振興施策等による長期安定的な雇用の創出、拡大、若年者、障がい者など特に支援が必要な人に対する就業支援、被災地における人材の確保、就業支援の三つを雇用対策の柱と位置づけて取り組んでまいります。
 また、職業訓練の機会を提供し、女性の再就職を支援するなどによって安定的な雇用を確保し、復興とその先にある希望郷いわてをより確かなものとしてまいります。
〇高橋昌造委員 それで、特にも若者の雇用、就業環境を安定させることで本県の成長と発展が現実のものになってくると思います。具体的に、若者の正規雇用の促進策はどうなっているのか、また、あわせて正規雇用、非正規雇用の実態についてお伺いします。
〇橋本商工労働観光部長 若年者雇用についてでありますが、県では、事業復興型雇用創出事業の活用や経済団体への要請活動を行うとともに、ジョブカフェによるキャリアカウンセリング等の就職支援、さらに、職業訓練の実施による職業能力開発の機会の提供のほか、キャリアアップ助成などを行っている岩手労働局とも連携いたしまして、若者の正規雇用の促進に取り組んでいるところであります。
 また、正規雇用、非正規雇用の実態につきましては、平成24年就業構造基本調査によりますと、本県における20代の正規雇用割合は62.0%と、前回調査の平成19年と比較いたしまして2.5ポイント低下しております。
 正規雇用の拡大は、平成26年度の経済、雇用対策の取り組み方針における柱の一つとしており、引き続き着実に取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員 いずれ若年者の雇用の質を高めることが大変大切だと思いますので、どうか今後ともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、女性の再就職支援についてです。
 女性は、結婚、出産後に仕事に復帰したい考えがあるものの、育児やブランクによるスキル不足に対する不安など、女性の再就職に対するサポートが必要だと思いますが、本県においてどのような支援策が行われているのか、また、これまでに再就職のための総合的な支援プログラムなど、実態がどうなっているか、あわせてお伺いいたします。
〇橋本商工労働観光部長 女性の再就職支援についてでありますが、県は、女性の再就職を支援するため、女性限定の訓練のほか、介護、一般事務、情報などの訓練を職業訓練法人等に委託し、就業に必要な知識、技術の習得を支援しており、再就職希望者を含め年間1、000名以上の女性が受講しております。
 また、ジョブカフェ等に就業支援員を配置いたしまして、年間約3、000件の女性からの就職相談に対応しておりますほか、関係機関と連携し情報提供を行っております。
 再就職を希望する女性の中には、子育て中の方、長いブランクがある方などさまざまな方がおりまして、一人一人の状況を踏まえたきめ細かな支援が必要と考えております。
 このため、職業訓練や相談対応などの女性本人への支援のほか、女性が働きやすい職場づくりに取り組む企業を国の助成制度や表彰制度を活用して支援するとともに、面接会などのマッチング支援やセミナー等の開催による意識啓発、保育所整備などの子育て支援環境の整備など、総合的な支援策を国と緊密に連携して推進しているところでございます。
〇高橋昌造委員 女性の再就職支援対策は雇用問題の最重要課題であり、また喫緊の課題でもありますので、いずれしっかりと支援策を講じていただきたいと思います。
 それでは次に、県内には本県ならでは、また、本県からの発信と頑張っている数多くの中小企業があります。そこに、意欲のある若者と頑張っている中小企業をマッチングさせることにより双方にメリットがあるものと思われますが、本県では、雇用機会の創出や職業能力の開発、向上など、効果的な施策をどのように講じてまいっておるのかお伺いいたします。
〇橋本商工労働観光部長 若者と中小企業のマッチングについてでありますが、マッチングの機会を創出するため、ジョブカフェいわてが、若手社員の活躍を企業情報発信サイトで紹介して中小企業の魅力を伝えるほか、インターンシップ支援や面接会を開催しまして、企業関係者が技能講習会の開催を支援して、若者と中小企業との接点づくりを進めますとともに、来年度は、中小企業向けに採用力強化や定着支援などのセミナーの充実を図ることとしております。
 また、若者の職業能力の開発につきましては、県立職業能力開発施設におきまして、中小企業が求めるものづくり人材を養成するとともに、岩手県職業能力開発協会において、若年者技能競技会の開催や、ものづくりマイスターによる実技指導等を行っており、こうした取り組みを通じまして若者の職業能力の向上を図ってまいります。
〇高橋昌造委員 それでは次に、本県では、平成24年3月に岩手県知的財産活用促進プランを策定いたしたわけですが、この知的財産の効率的かつ効果的な活用促進による県内経済の復興と活性化を目指すとしておりますが、中でも中小企業の競争力強化についての支援はどうなっているのか、また、現在の取り組みをどのように支援し成果につなげていくのか、あわせてお伺いいたします。
〇橋本商工労働観光部長 知的財産権についてでありますが、中小企業の多くは、知的財産に関する取り組みが大企業に比べておくれている傾向にあることから、情報やノウハウの不足などの課題を解決するとともに、経営者の意識向上などが必要と認識しております。
 こうしたことから、県では、岩手県知財総合支援窓口での個別相談を初め、知的財産権セミナーや発明無料相談会の開催等による知的財産権の保護や活用への啓発、企業が行う商標、意匠の海外出願、特許を活用した新製品の試作開発や商談会の出展への支援などに取り組んでおります。
 このような取り組みによりまして、ものづくり企業では、大学等との共同研究による自動車や電子部品等の高性能化、低コスト化に資する特許技術の開発で経済産業大臣表彰、漁業協同組合においては、わかめを地域団体商標として権利化し、ブランド価値の向上が評価され、特許庁長官表彰を受賞するなど、具体的な成果につながっているところであります。
 今後におきましても、知的財産権の保護や活用等を一層促進いたしまして、本県産業の競争力の確保や高付加価値化につなげてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは次に、平泉の世界文化遺産登録やILC、また、三陸ジオパーク等、PRするものはたくさんあると思いますが、ハードの魅力ばかりじゃなくソフトの魅力、本県には地元食文化の魅力があるわけですが、これをいかに発信、普及するかで観光産業の振興に一役買うのではないかと考えますが、観光資源の開発に戦略的にどのように取り組んでまいるのか、お伺いいたします。
〇橋本商工労働観光部長 観光振興についてでありますけれども、誘客の拡大を図るためには、各地域において、それぞれの特色を生かした選ばれる観光地づくりを進めることが重要であり、その中で本県の多彩な食や特色ある食文化は、欠かすことができない要素であると考えております。
 このため県内各地の特色ある食材や食文化を活用した御当地メニューの開発や誘客イベントの開催など、食をテーマとした地域の魅力づくりに向けた取り組みを積極的に支援しているほか、官民一体となったオール岩手の体制で取り組む観光キャンペーンなどにおきまして、食の魅力を前面に打ち出しながら、各種の宣伝誘客活動を積極的に展開しているところであります。
 本定例会に提案しております、みちのく岩手観光立県第2期基本計画におきましても、郷土料理やご当地グルメの活用などによる食の魅力を生かした観光の促進を掲げておりまして、今後とも、本県独自の食文化を切り口とした旅行商品の造成や、花巻べつばらフェアや、全国ご当地もちサミットなどの食のイベントと連動した誘客の促進に取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員 それでは次に、米政策の見直しにより国の直接的な関与がなくなった場合、果たして需給調整が確実に行われるのか懸念されておるわけでございます。また、国民の主食である米の需給調整については国がしっかり責任を持つべきではないかと思いますが、県は、このことについてどのようにお考えなのか、また、米が過剰生産された場合、価格の下落が懸念され、特にも担い手農家への打撃が大きいと思いますが、県は、国の新たな農業農村政策について、今後どのように対応してまいるお考えなのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 新農業政策についてでありますけれども、米の需給調整につきまして、国は、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律に定めておりますとおり、主要な食糧であります米につきましては、その需給と価格の安定を図る責務を有しているものと理解しております。県といたしましては、今後におきましても、国は、その役割を適切に果たしていただけるものと考えているところでございます。
 また、米政策の見直しに当たって、国は、需給に応じた生産の推進のための環境整備を進めるとしておりますが、農業者からは、将来の米の需給状況や米価の動向に不安や懸念が示されているところでございます。県におきましては、関係機関、団体と構成いたします岩手県元気な地域農業推進本部を先般創設いたしましたが、経営所得安定対策等につきまして取り組みのあり方等の検討を進め、今後、米の規模拡大のほか、園芸作物の導入などについても推進してまいる考えでございます。
〇高橋昌造委員 それで、いろいろ今お答えをいただいたわけですが、いずれ国の農業農村政策については、県ももう少ししっかりこの状況を把握しながら対応していただきたいと思います。
 それでは次に、飼料用米等について、取引価格の上昇が見込めない中で、栽培管理の徹底や乾燥、調整、保管等の体制整備、検査機関等による数量確認が義務づけられるなど、生産コストの増加が懸念されるわけですが、県では、この飼料用米等の所得アップに向けて、どのような対策を講じてまいるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 飼料用米等の所得アップに向けた対策についてでございますけれども、今般の経営所得安定対策の見直しによりまして、飼料用米に対する水田活用の直接支払交付金に数量払いが導入されたことによりまして、従来以上の交付金を受け取るためには、主食用米以上の単収が必要となるという状況にございます。
 県といたしましては、本県で開発いたしました多収性専用品種、つぶゆたか、つぶみのりの導入や、あるいは多収栽培実証圃を設置しておりますが、その実証圃を活用いたしました技術指導の徹底、あるいは農業団体と連携した多収コンクールの開催など、さまざまな取り組みを通じまして飼料用米の単収向上につなげていきたいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 飼料用米については農家も非常に期待しておるわけですが、ただ、その期待のくらいではないということを、これは徹底していただきたいと思います。
 それでは次に、国の農政の大転換が打ち出され、強い農業をつくり上げるためには、水田のフル活用や担い手への農地利用集積が必要とされております。こうした中、水田を有効利用し、農家所得を向上させるために、簡易な整備として暗渠排水を計画的に実施し、転作麦の収量増やトマトなど園芸作物の品質向上など、大きな効果を上げている例もあります。
 このように農家経営を改善し、強い農業を実現するためには、生産基盤の整備が重要であり、また、担い手が借りたい、借りやすいと思えるような条件整備がなされなければ、農地利用集積は進めにくいことは明らかであります。
 今後、農地利用集積を加速化していくためには、簡易な整備をも含めた生産基盤整備を進めていくことを検討すべきではないかと思うんですが、このことについて、県はどのようなお考えかお伺いいたします。
〇千葉副知事 農地利用集積を進めるための生産基盤整備についてでございますけれども、効率的、安定的な農業経営を構築していくためには、担い手への農地利用集積を通じた低コスト生産が肝要でございまして、特に水田整備がおくれております本県におきましては、生産基盤となります農地の整備を重点的に進めていく必要があるものと認識しております。
 このため、平場地域におきましては、水田の大区画化を進めますとともに、中山間地域におきましては、急勾配等の地形条件を勘案しましたきめ細やかな整備手法を導入いたしますとともに、矢巾町を初め北上川沿いの1次整備済みの農地におきましては、暗渠排水や畦畔除去といった簡易な整備によります圃場整備のレベルアップなど、地域の実情に応じた生産基盤の整備を進めていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 それでは次に、代表質問、一般質問などでもあったんですが、本県の水稲主力品種ひとめぼれは、いずれ、いもち病に弱いとか倒伏しやすいなどの弱点もあるわけですが、県では、これらの弱点を全て克服したスーパーひとめぼれの開発を進めているということをお聞きしておりますが、この品種開発の進捗状況はどうなっているのか。
 また、山形県では、つや姫デビューの3年前からブランド化戦略を進めて、全国的なブランド品種に育て上げているわけですが、期待の新品種スーパーひとめぼれの生産、販売戦略についてどのようにお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 水稲の品種開発についてでございますが、本県オリジナル水稲品種のゆめさんさとかけはしがデビューしてから20年がたったところでございます。その間、いろいろな品種開発を進めてきているところでございますが、委員が現在お尋ねの水稲の新品種開発の進捗状況につきましては、岩手生物工学研究センターが、食味に関する遺伝子のほか、いもち病抵抗性や倒伏しにくい遺伝子を特定いたしまして、本年度は、県農業研究センターが、これらの遺伝子を持つ優良系統を選抜し、平成26年度、来年度におきましては、選抜した優良系統のうちから、コシヒカリを超える良食味品種を目指して絞り込みをしていく状況となっております。
 また、生産販売戦略につきましては、今申し上げました良食味品種を本県の米生産地としての存在感を高める品種として、おおむね3年後の販売開始に向けまして、今も御指摘ございましたように、ある程度、3年程度の準備が必要だろうということでございますので、おおむね3年後の販売開始に向けまして、平成26年度から、栽培地域や取り組み面積あるいは品質基準、売り込み方法などについて、生産者団体や流通関係者と検討を進め、生産、販売を通じた戦略を構築したいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 それでお伺いいたしますが、今までのスーパーひとめぼれの品種開発に、いつから、また、どういう体制で取り組んでおられるのか。また、この品種改良に要した経費がどのぐらいになるのか、もしおわかりなのであればお伺いいたします。
〇千葉副知事 水稲の品種開発の体制及び経費についてでありますけれども、産地間競争を勝ち抜くための新たなブランド米の育成を目的といたしまして、平成21年度に、コシヒカリを超える良食味品種を開発することを決断いたしまして、そのための体制として、先ほど申し上げました生物工学研究センターに4人、農業研究センターには、開発を開始いたしました平成21年度から2名増員しまして、平成25年度からは6人の研究員を配置して取り組んでいるところでございます。
 また、品種改良に要した研究費は、これまでの5カ年で、県予算の約1億5、000万円に加えまして、国の競争的資金でございます約3億8、000万円の研究費を獲得し、合わせて約5億3、000万円の予算で進めているところでございます。
〇高橋昌造委員 こんなに人なり、お金、そして時間をかけて、ようやく3年後かと。いずれ副知事、あなたが、私が責任を持ってやりますと言うと、水稲関係者はもうこぞって応援いたします。いずれ、これはのんびりした対応じゃなく、もうTPPの問題または新しい農業農村政策の問題もあるわけです。都道府県格差なんかが当然出てきますので、ぜひしっかりやっていただきたいと思うところでございます。
 それでは次に、本県におけるリンドウの栽培面積は全国一ですが、残念ながら、近年、栽培面積が減少傾向にあると。この背景としては生産者の高齢化もあると思いますが、有利販売を可能とする新品種開発のおくれや種子の供給の不安定さもあるのではないかと思っております。全国一のリンドウ産地を維持、発展させるためにも、品種開発のスピードアップや種子の供給体制の強化などが必要ではないかと思いますが、県は、このことについてどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 リンドウの品種開発についてでありますけれども、県のオリジナル品種の開発につきましては、7月から10月まで継続的に出荷できるよう18品種を開発いたしまして、現在は、既存品種更新のための開発を進めております。今年度は、秋彼岸向けの2品種を開発したところでございます。来年度には、最も需要の多い8月の盆向け品種の後継品種を開発することとしておりまして、引き続き、市場ニーズを踏まえた品種開発に取り組んでいきたいと考えております。
 また、種子の供給につきましては、より安定的な種子供給のための冷凍保存による種子備蓄を始めておりますが、今後は、種子生産量増大のための栽培管理方法の改善や種子備蓄の増量を図るなど、種子の供給体制の強化に取り組んでまいりたいと思っております。
〇高橋昌造委員 いずれ、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それでは次に、露地栽培原木シイタケは、昨年4月に盛岡市の出荷制限が全国で初めて解除されたものの、いまだ13の市町で出荷制限が継続されております。また、出荷可能な地域でも、風評被害によりシイタケの価格が下落したまま推移しております。これでは生産者の生産意欲は上がらず、産地再生も非常に難しいと思いますが、シイタケ産地の再生に向けて、今後どのように取り組んでいくお考えなのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 シイタケ産地の再生についてでありますけれども、出荷制限解除に向けて、これまで進めてまいりました指標値を超えたほだ木の処理とほだ場の環境整備の完了を急ぎますとともに、ほだ木や生産物の放射性物質濃度検査の実施や新たに植菌されましたほだ木の管理の徹底など、出荷制限の早期解除に全力で取り組んでいきたいと考えております。
 また、産地の再生に向けまして、施設栽培転換希望の生産者に対する簡易ハウスの導入支援を継続いたしますとともに、新たに国の補助事業を活用いたしまして、シイタケ原木や菌床用資材の導入等を支援することなどによりまして、生産者の生産意欲の喚起を図っていきたいと考えております。
 加えて、本県の安全・安心への取り組みのPRや生産者と取扱商社との交流会の開催など、消費者の信頼回復や販路の拡大、取引価格の回復に取り組みまして、シイタケ産地の再生を目指したいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 このことについては、今年度のこの補正予算、そして、来年度の当初予算にも予算措置がされましたことは、林産関係者にとりましては、特にもこの特養林産ですね、非常に朗報であると思います。このことについては、もう本当に感謝申し上げる次第であります。
 それでは次に、本県において、ことしの4月には宮古市で5、800キロワットの木質バイオマス発電所が本格稼働となるほか、一戸町にも同等の計画が進んでおると聞いております。必要となる燃料は、発電出力5、000キロワットクラスでは10万立米にも及ぶと聞いておりますが、これは本県の木材生産量の約1割に相当するものです。
 このように、木質バイオマス発電は大量の燃料を使用するため、燃料を安定的かつ継続的に供給することが大変重要であるわけでございますが、県は、木質バイオマス発電の燃料の安定供給について、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 木質バイオマス発電施設への燃料供給についてでありますけれども、木質バイオマス発電所の立地におきましては、その燃料需要が周辺地域の森林資源量に見合ったもので、将来にわたりまして供給可能であることが必要でございます。その上で、未利用間伐材等の有効活用などにより、地域林業振興や森林資源循環に貢献することが望ましいと考えているところでございます。
 このため、県におきましては、立地の構想段階から、事業規模や周辺の資源量等について発電事業者や林業関係者等に技術的助言を行いますとともに、燃料供給につきましては、両者が合意形成できるよう支援してまいっているところでございます。
 今後とも、地域の森林資源の利用と再生が両立できますよう、事業関係者への技術的助言や燃料供給のための調整のほか、本県に合った未利用間伐材や林地残材の効率的な収集、運搬方法の実証調査などに取り組みまして、木質バイオマス発電への安定的な燃料供給を図っていく考え方でございます。
〇高橋昌造委員 いずれ、岩手は森林県であって林業県ではないとよく言われるわけですが、この木質バイオマス発電を通して、何としても林業県と言われるような取り組みをしっかりやっていただきたいと思います。
 それでは、この東日本大震災津波を初め、昨年は大雨洪水災害が頻発して、地域防災力の重要性が増大している一方、少子高齢化の進展等により、地域における防災活動の担い手を十分に確保することが困難になってきております。
 このため、国では昨年12月、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律を制定したところであり、この法律に基づき、女性や若者等の幅広い層への入団促進、消防団の装備の充実などを推進すると聞いております。
 災害発災時において消防団が果たす役割は特にも大きいものがあると考えますが、県では、消防団の現状をどのように捉え、今後の充実に向けた取り組みをどのように推し進めていくのかお伺いします。
 また、この法律では、消防学校における消防団の訓練、教育の充実も図ることとされておりますが、現在地に移転後40年を経過した消防学校の整備についてどのようにお考えなのか。さらには、女性の消防職員、団員が増加する傾向にある中で、消防学校での教育、訓練環境の整備も必要になってくると思われますが、今後どのように対応してまいるのか、あわせてお伺いいたします。
〇小田島総務部長 まず、消防団の現状と今後の充実に向けた取り組みについてでありますが、平成25年4月1日現在の本県の消防団員数は2万2、524人であり、前年から1.7%減少するなど減少傾向が続いており、団員の平均年齢も上昇しております。また、被雇用者団員の割合が高まったことにより、日中の消火活動など地域防災力の低下が危惧されるところであり、消防団員の確保と消防団活動の充実が大きな課題と考えています。
 また、東日本大震災津波では多くの消防団員が活動中に犠牲になられたことから、本県においては、消防団の活動時の安全対策を確立した上で、入団促進や活動の活性化を図っていく必要があると考えております。このため、関係機関と連携し、消防団活動の安全対策の確立に向けた市町村の支援に取り組むとともに、今般制定されました法律の趣旨を踏まえ、消防団への加入促進や消防団員の処遇の改善、装備、訓練の充実等の施策を着実に推進し、消防団の充実、強化を図ってまいります。
 次に、消防学校の整備についてでありますが、消防学校は、現在策定を進めております広域防災拠点配置計画において、広域支援拠点の一施設として、支援部隊等の現場活動や災害医療活動の支援、広域医療搬送拠点等の役割を担うと想定されているところでございます。同計画は、原則として既存施設を活用して配置することとされているところでありますけれども、消防学校の施設につきましては、御指摘のとおり、老朽化が進んでいる状況にございます。消防学校としての教育訓練機能とともに、このような機能も十分果たすことができるよう、今後、施設、設備の整備のあり方について検討してまいります。
 また、女性消防職員、消防団員の学習環境や生活環境の充実については、これまでも女子寮を設置するなどしてきたところであり、今年度は、初任教育に7名の女性の入校者があったことから、専用の学習スペースの確保や浴室の設置等を行ったところでございます。平成26年度におきましても、女性の入校者に対する実技訓練や日常の生活指導等にきめ細やかに対応するため、女性消防吏員を消防教官として配置する予定であり、今後とも女性の入校者の状況を踏まえながら、学習環境や生活環境の充実に努めてまいります。
〇高橋昌造委員 次に、防災ヘリコプター更新整備について以前お伺いした際、県は、更新時期や新たな機体の仕様等を今後検討していくとの答弁でありました。平成26年度当初予算には防災ヘリコプター更新整備費が計上されておりますが、防災ヘリコプターの更新スケジュール等についてどのような見通しを持っておられるのか、また、更新に当たり充実させる点など、更新の基本的な考え方について、あわせてお伺いいたします。
〇小田島総務部長 防災ヘリコプターの更新整備についてでありますが、本県の防災ヘリコプターひめかみは、平成8年度の導入以来、運航期間が長期にわたり、老朽化が進んでおりますことから、平成26年度当初予算において更新整備費用を予算計上するとともに、現在、次期防災ヘリコプターが必要とする性能、装備品等の仕様を取りまとめているところでございます。
 更新スケジュールにつきましては、平成26年度に発注し、平成27年度の納入、訓練等を経て、平成28年度から運航する予定としております。
 また、更新に当たっての基本的な考え方でありますが、広い面積や森林、山岳地帯を多く有する本県の地理的条件を考慮いたしますとともに、林野火災など火災防御活動等のほか大災害時における救助活動など、本県防災ヘリコプターの主要任務を安全かつ効果的に遂行できる性能、装備等を充実させたいと考えております。
〇高橋昌造委員 次に、昨年、県内で頻発した大雨、洪水災害では、市町村によっては情報収集や情報共有等の体制に課題があったと聞いております。県としては、災害対応の課題をどのように捉え、今年度の地域防災計画の見直しの際にどのように反映してまいるのか。
 そしてまた、県防災会議への女性委員の登用の状況がどうなっているのか。計画の見直しに当たり、女性の視点からの対策がどのようになっているのかもあわせてお伺いいたします。
〇小田島総務部長 まず、岩手県地域防災計画の見直しについてでありますが、御指摘のとおり、昨年の大雨、洪水災害に際しましては、多くの市町村において、災害に対応できる十分な体制が構築できていないことや、避難勧告等を行うための判断基準が未作成であったことなどが課題と認識してございます。また、県といたしましても、災害情報の収集、分析や関係機関との調整等に課題があったと考えています。
 こうした県、市町村双方の課題を踏まえ、今年度の県地域防災計画の修正におきましては、被災市町村に対し、広域振興局職員を現地連絡員として派遣すること、県の災害対応組織として新たに災害特別警戒本部を設置すること、市町村において避難勧告等の具体的な発令基準を作成することなどを規定し、県として、市町村の災害対応をサポートするとともに、災害拡大期等における県の対応体制の拡充を図りたいと考えております。
 こうした事項を盛り込んだ修正案につきましては、3月28日開催予定の県防災会議に諮るとともに、市町村に対しましては、県計画を踏まえた市町村地域防災計画の修正など、防災体制を充実させるように働きかけてまいります。
 次に、県防災会議への女性の登用等についてでありますが、女性委員の登用状況は、現在のところ、委員総数65名中6名となっており、その割合は9.2%となっております。
 また、女性の視点からの対策についてでありますが、県では、女性も防災、復興の主体的な担い手と位置づけ、これまでの地域防災計画の修正において、自主防災組織や消防団、復興計画作成検討組織等への女性の参画を求めるなど防災施策等に女性の意見が反映されるよう規定したほか、災害時の物資調達や避難所運営に当たり女性に配慮することなどを規定したところでございます。
 こうした地域防災計画の規定を踏まえ、具体的なマニュアル等の作成に当たっては、女性の視点を反映した内容となるように今後とも取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員 次に、県は平成32年度を目標として再生可能エネルギーの導入量を約1、157メガワットとし、再生可能エネルギーによる電力自給率を35%としております。この目標達成に向けて、今年度から部局連携による戦略的再生可能エネルギー推進事業を実施しておりますが、その成果と課題、さらには導入の進捗状況をお示し願います。
〇千葉副知事 戦略的再生可能エネルギー推進事業についてでありますけれども、これまでの成果といたしましては、太陽光発電や各地域での特色ある取り組みをテーマとしたセミナーを県内各地で開催したことによりまして、普及啓発や導入の機運が高まってきておりまして、市民協働による太陽光発電所や農業用水利施設を活用した小水力発電など、地域に根差した取り組みが推進されてきているところでございます。
 今後、大規模発電などが期待されます風力や地熱などの有望地点での開発や、地域に根差した取り組みをさらに促進していく必要がありますことから、事業者との意見交換も進めながら、本年度内に完成予定としております導入支援マップやポータルサイトなども活用し、目標達成に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。
 また、導入状況につきましては、年度途中でございますので、平成24年度末の実績となりますが、住宅への太陽光発電の導入が進んだことによりまして、前年度に比べ19メガワット増の510メガワットとなっているところでございます。
〇高橋昌造委員 次に、廃棄物処理におけるエネルギーを有効に活用することも再生可能エネルギーの有効活用につながるものだと考えますが、県内のごみ焼却施設における発電の状況はどうなっているのか具体的にお示し願います。
 また、焼却施設等における排熱等の未利用エネルギーの有効活用についてどのようにお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 廃棄物処理におけるエネルギーの有効活用についてでありますけれども、県内で稼働中のごみ焼却施設は16施設ございまして、このうち4施設で、焼却に伴い発生する熱エネルギーが発電に利用されているところでございます。これら4施設での年間発生熱量約135万ギガジュールのうち、発電に利用されておりますのはその約11%でございまして、発電能力の合計は7、210キロワットとなっているところでございます。
 また、発電を行っております施設を含む県内14施設におきましては、焼却に伴い発生する熱エネルギーを入浴設備やプール等の温水として利用しているところでございます。
 ごみ焼却施設におきます未利用エネルギーの有効活用につきましては、本県におきましても積極的に取り組んでいく必要があると考えたところでございまして、それぞれの施設規模に応じて、発電や温水利用など多面的に活用できるよう支援してまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 いずれ、今、県内ではごみの広域計画があるわけでございますので、その中でもしっかり取り組んでいただくように、ぜひお願いをいたしたいと思います。
 次に、本県の地熱発電は我が国の先駆的な事業として取り組んできた歴史があるわけでございます。源泉の高温熱を使った発電のこれまでの実績を踏まえ、豊富な温泉地の利点を生かし、温泉熱を活用した中低温の地熱発電設備を導入し、電力の地産地消を図るお考えはないのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 地熱発電についてでありますけれども、全国初の地熱発電所が本県に立地しているなど、全国的にも優位な地熱資源が本県の特徴の一つと考えているところでございます。
 近年、従来の地熱発電よりも低い温度の温泉熱を活用した取り組みが全国的に活発化してきておりまして、本県におきましても、網張温泉の温泉の余剰熱を利用した地熱発電の導入の検討や、松川地熱発電所からの熱水を活用したホテル等の温泉やハウス栽培などの取り組みが進められているところでございます。
 本県には、御案内のとおり、多くの温泉地がありますことから、温泉熱資源が有効に活用されていきますよう、全国の取り組み事例なども紹介しながら、エネルギーの地産地消を推進したいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 次に、肝炎対策については、肝炎ウイルスの検査受検とあわせて検査で陽性と判定された患者に対する受診勧奨等のフォローアップが重要と考えますが、県としてのこれまでの取り組みについてお伺いするとともに、また、国において難病の患者に対する医療等に関する法律案が閣議決定され、通常国会に提出されると聞いておりますが、現在想定されております新たな医療費助成制度における対象疾患数や対象患者数はどのぐらいになる見込みなのか、また、法律の施行に伴う新たな医療費助成制度の内容はどのようになるのか、あわせてお伺いします。
 さらに、新たな法律の制定を前に、多くの難病患者、家族の皆さんの期待が高まる中で、県としては、難病患者を支える仕組みづくりなどの対応を今後どのようにしてまいるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、ウイルス性肝炎患者への対応についてでございますけれども、肝炎ウイルス検査で陽性と判定されました方全てが必ずしも医療機関への適切な受診を行っていないという報告もございますことから、まずは陽性者に対する受診勧奨等の働きかけが極めて重要だと思っているところでございます。
 このため、県におきましては、平成23年度から市町村の保健師、医療機関の看護師等を対象に、肝炎検査後の医療機関への受診勧奨等の働きかけを行います地域肝疾患アドバイザーの養成を行ってきておりまして、これまでに96名の方が養成研修を受講しておられます。
 また、今年度新たに、肝炎患者に対しまして継続的な治療の支援を行いますために、ウイルス性肝炎の病態や治療方法、肝炎医療費助成制度及び肝疾患診療ネットワーク医療機関の情報などを記載いたしました肝炎患者支援手帳を製作したところでございます。今後、この手帳を活用した地域肝疾患アドバイザーによるウイルス性肝炎患者への支援を進めてまいりたいと考えております。
 あわせまして、難病患者への対応についてでございますけれども、新たな医療費助成制度におけます対象疾患数は、現在の56疾患から約300疾患に拡大されまして、想定されます対象患者数は、現在の9、090人から、極めて粗い試算ではございますが、約1万8、000人になるものと見込んでいるところでございます。およそ倍ということでございます。
 新たな制度の主な内容は、医療費の一部負担割合が3割から2割に軽減されまして、自己負担限度額は1カ月に受診した全ての医療機関等の負担額を合算した上で適用する。また、助成の対象は重症者でありますけれども、特例として、医療費が継続して高額となる軽症者も助成対象とするなどということが挙げられているところでございます。
 次に、難病患者を支える仕組みづくりなどについてでございますけれども、難病患者に対する良質かつ適切な医療を提供するため、新たに、難病患者データの登録を行う指定医の指定や、診断や治療に多くの診療科が携わる必要がある難病に対応いたします新難病医療拠点病院などの指定を行いますほか、地域におけます難病患者への適切な支援を行いますため、現在も活躍していただいておりますが、難病相談支援センターの相談体制の充実や保健所への難病対策地域協議会を設置するなど検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 次に、認知症対策についてお伺いしますが、市町村認知症施策総合推進事業は、県内では、現在、3市町のみが取り組んでおられると聞いておりますが、このようなすぐれた取り組みについては県内全域に広げていくべきではないかと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇千葉副知事 認知症対策についてでございますけれども、今御案内の市町村認知症施策総合推進事業は、認知症の方やその家族が、状況に応じて必要な医療や介護のサービスが受けられるよう関係機関とのつなぎ、あるいは連絡調整の支援などを行います認知症地域支援推進員の配置などを主な内容とした事業でございまして、今御案内のとおり、本県では矢巾町、奥州市、洋野町の3市町で取り組まれているところでございます。
 昨年9月に開催いたしました市町村課長会議におきまして、実施市町から、事業を実施する中で自然に医療と介護の連携ができたなどとの評価も示されたところでございまして、これらを踏まえまして、県といたしましては、現在、未実施市町村への取り組みの働きかけを強化しているところでございます。その結果、来年度は新たに5市町が進めることになりまして、合計8市町で取り組みが進むものと考えております。
 県といたしましては、今後も当該事業の取り組み事例や効果などの情報提供に努めまして、未実施市町村への事業実施を促してまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 いずれ、認知症は大きな社会問題でもあるわけでございますので、今後しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、今回の介護保険制度の見直しの一つとして、制度創設以来1割に維持されていた利用者の自己負担割合が、一定以上の所得者については2割に引き上げることも検討されているようですが、本県ではどのぐらいの方がその影響を受けることになるのか、また、急激な負担増に対応できるのかあわせてお伺いするとともに、また、県内には、地域内で空き家となっている既存住宅を改修して有料老人ホームなどにする、いわゆる必要な在宅サービス等を提供する仕組みにより事業展開されている事例もあるわけでございます。このように、空き家など既存施設を有効に活用した介護施設等の整備について、県としてどのような支援をしていくお考えなのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 介護保険の負担見直し等についてでございますけれども、今回の利用者負担の引き上げは、国におきまして、介護保険料の上昇を可能な限り抑えつつ、制度の持続可能性を高めるため、相対的に負担能力のある一定以上の所得のある方の負担割合を1割から2割とするというものと承知しております。現在検討されております基準、すなわち被保険者の上位20%に該当いたします合計所得金額160万円以上の者、すなわち年金収入280万円以上の者を本県に照らし合わせますと、本県の第1号被保険者の約13%、約4万9、000人の方が該当すると試算されているところでございます。
 なお、利用者が1カ月に支払った利用料が一定の上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻しされます高額介護サービス費が設けられておりまして、見直しの対象となります利用者全員の負担が必ず2倍になるというものではございませんので、今回の見直しにつきましては、利用者において対応いただける範囲と国のほうの説明は受けているところでございます。
 また、委員御指摘のとおり、空き家等の既存施設を活用した介護施設等を整備することは、資源の有効活用の観点から重要だと考えておりまして、県におきましては、これまで、介護サービス施設整備等臨時特例基金等を活用いたしまして、県立病院の空き病床や廃校の空き教室などを活用いたしまして、認知症グループホームあるいは小規模特養など、計8カ所の地域密着型施設の整備に対して助成を行ってきたところでございます。
 現在の当該基金によります事業は平成26年度までとなっておりまして、また、現在、基金の残高が極めて少なくなってきておりますので、今後の支援が困難な状況となってきております。この同種の基金の創設につきまして国に要望する等、必要な支援が継続できるよう努めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 ぜひ、空き家の利活用を策の一環として国にも強く要望していただきたいと思います。
 少子高齢化社会の進展により、医療、介護、福祉などの各分野が連携することにより多機能なサービスを提供する取り組みを推進していくことが今求められておるわけでございます。県央地区にあります医療・福祉多機能施設では、このような考え方をさらに推し進め、一つの施設の中に診療所、介護施設、保育所を整備し、個々の施設が相互に連携しながら、子供や高齢者、そして地域の皆さんが必要とするサービスを提供しております。
 今後、このような医療、介護、福祉が連携した取り組みを県内各地に広げていくことが重要だと思いますが、県として、今後どのように推進していくお考えなのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 医療、介護、福祉の連携の推進についてでございますけれども、県におきましては、いわて県民計画におきまして、子供から高齢者まで、また、病気や障がい等の有無にかかわらず、それぞれの力を生かして、ともに助け合いながらいきいきと暮らすことができる共に生きるいわての実現を掲げているところでございまして、これは、いわゆるソーシャルインクルージョンの理念に基づいているところでございますが、委員御指摘のとおり、医療や介護、福祉の各分野が連携した取り組みを一層推進していく必要があろうと考えております。
 このような連携の推進に当たりましては、地域包括ケアシステムの取り組みや、今後、市町村が策定いたします子ども・子育て支援事業計画等、市町村の計画や構想との調和を図りながら進めていくことが重要であると考えております。
 県といたしましては、委員御紹介の医療・福祉多機能施設を含めまして、地域住民一人一人のニーズに応じたサービスが提供できる連携の取り組みをさまざまな機会を通じて市町村や関係者等に広く紹介し、普及を図っていきたいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 昨年、知事もこの医療・福祉多機能施設の視察をなされたようでございますが、医療、介護、福祉の連携のあり方について視察をして、これからの考え方も含めて御所見をお伺いいたしたいと思います。
〇達増知事 視察した医療・福祉多機能施設では、地域包括支援センターを中心に、医療、介護、生活支援の関係者や地域の住民、ボランティアを交えたネットワークをつくって、認知症になっても地域で安心して暮らし続けることができる地域を目指して取り組んでいるということ、また、地域の拠点として各事業所の特徴を生かして、子育てから医療、介護まで多岐にわたるサービスを一体的に提供する取り組みを行っていて、今後、各市町村が取り組む地域包括ケアシステム構築に向けた先進的な取り組みと認識したところであります。
〇高橋昌造委員 次に、新しい県立療育センターの移転改築整備に向けた取り組みが進められておるようでございますが、開所時期について、基本設計、実施設計の手続の関係からおくれる可能性もあると聞いており、移転改築整備に向けた今後のスケジュールはどのようになる見通しなのかお示し願います。
〇千葉副知事 療育センターの移転整備等についてでございますけれども、超重症児等の受け入れなど障がい児の新たなニーズに対応する機能の強化を図りますため、整備基本計画を平成25年1月に策定いたしまして、当該計画に基づきまして基本設計、実施設計に着手しているところでございます。
 設計業務の発注に当たりましては、すぐれた企画力、技術力等を有する最適な設計者を選定するため、その発注方法や要件等について、関係部局間の検討を経て、昨年11月19日から公募型プロポーザルに係る手続を開始し、今般、2月28日付で最優秀者を特定して委託契約を締結したところでございます。
 なお、この療育センターと盛岡となん支援学校を同一敷地内に一体的に整備することとしましたことから、両施設に係る基本設計、実施設計の業務委託を一体発注したため、WTO政府調達協定の適用対象契約となりまして、所定の手続に時間を要したところでございます。
 今後のスケジュールにつきましては、設計期間に1年程度、工事施工期間を2年6カ月程度と見込んでおりまして、開所時期はおおむね平成29年度中を予定しているところでございますが、関係機関や委託業者等と綿密な調整を図りながら、移転改築整備に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 いずれ、関係者の皆さん方が非常に待望しております療育センターでございますので、1日でも前倒しできるように取り組んでいただきたいと思います。
 また、県立療育センターの整備とあわせて、今、お答えの中にもございました盛岡となん支援学校も一体的に整備されるということなんですが、盛岡となん支援学校の児童生徒の多くが療育センターとのかかわりを持っていることから、両施設が隣接している環境で引き続き支援が受けられることは大変望ましいことと考えます。
 今回、両施設を一体整備することによりどのような効果を期待されておるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 県立療育センターと盛岡となん支援学校を一体的に整備する効果についてでございますけれども、現在、盛岡となん支援学校に在籍しておられます児童生徒のうち、重度障がいや重複障がいのある約8割の方が療育センターで機能訓練や医療の提供を受けておられます。
 両施設を一体的に整備することは、建物を接続することによりまして児童生徒や職員の移動が容易になり、利便性の向上につながりますほか、研修室の整備等により、障がい児支援にかかわります職員のスキルアップのための合同研修や情報交換のできる環境も整いまして、さまざまな障がいのある児童生徒一人一人に応じました医療、福祉、教育の機能が一体となった支援体制の強化が図られるものと考えているところでございます。
 また、体育館等の両施設の一部を共有化いたしまして、障がいのある未就学児童やその保護者と児童生徒との交流の場を創出することによりまして相互理解が深まり、合同イベント等共同した活動が可能となりますほか、その活動を通じた情報発信によりまして、地域における施設の役割、連携等について住民から理解を得ることも期待しているところでございます。
〇高橋昌造委員 それから、本県では重症心身障がい児・者の受け入れ可能な医療機関が限られておるところでございます。また、在宅の支援体制の構築も課題になっておるわけでございますが、県内の重症心身障がい児・者や家族の皆さんが希望する地域において安心して過ごすことのできる社会を実現するために、障がい児療育の拠点である県立療育センターの果たす役割は今後ますます重要になると考えますが、今回の移転改築整備によって重症心身障がい児・者に対する支援をどのように充実していくのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 移転改築整備によります重症心身障がい児・者への支援の充実についてでございますけれども、療育センターの移転改築に当たりましては、重症心身障がい児・者や保護者等のニーズに対応いたしまして、病床の再編や診療科の増設により受け入れ態勢を整備いたしますほか、通所定員枠の拡大や相談支援対応職員の増員などにより在宅支援機能の充実強化を図ることとしております。
 また、広い県土を有しております本県におきまして、限られた医療機関で対応しておりますが、県内の関係医療機関等との連携によります全県をカバーした入所支援体制の整備や、在宅者を地域で支える体制づくりの推進が現在課題となっておりますことから、このような状況を踏まえまして、療育センターが中核となる重症心身障がい児・者支援ネットワークの構築を目指しております。現在、各支援機関の具体的な役割、分担などについて検討しているところでございます。
〇高橋昌造委員 それでは、少子化問題についてでございますが、今、国を上回るスピードで進む本県の少子高齢化は、産業振興や社会保障など多方面に影響を及ぼすことが懸念されております。中でも少子化問題は、知事が掲げる本県の将来を担う若者、女性が主役とならなければ解決できない問題でありますが、この問題に対する知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 本県では、出生数、0歳から14歳の年少人口ともに減少するといったように少子化が進んでおり、また、将来的にも全体人口が減少して、母親となる若い世代の女性人口が減少すると予測されております。少子化傾向が継続していくと見込まれているわけであります。
 このため、県としましては、家庭や子育てに夢をもち、安心して子どもを生み育てられる環境の整備に取り組むことが重要と考えて、具体的には、産後メンタルヘルスケアや乳児家庭全戸訪問などの親と子の健康づくりの充実や、子育てと仕事の両立に向けた保育サービスの充実などに取り組んでいるところであります。
 また、少子化や人口減少は、地域の社会経済を発展させていく上で重要な課題の一つであり、今後、岩手の未来を切り開いていくためには、若者の地域活動への参画や、起業や就職、NPO、ボランティア活動などを通じた社会への参画等を支援するとともに、若者、女性の視点も取り入れて、結婚、妊娠、出産、育児の切れ目のない総合的な少子化対策を推進してまいります。
〇高橋昌造委員 昨年の9月定例会において岩手県子ども・子育て会議条例が制定されたわけでございますが、その中で、平成26年度末までに岩手県子ども・子育て支援事業支援計画を策定するとのことですが、まず、計画策定に当たっての基本的なお考えをお伺いするとともに、また、6月定例議会において、保育所入所待機児童を解消するための保育士確保対策が予算化されたところですが、来年度に向けての保育士の人材確保はどのように進められているのか、あわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 岩手県子ども・子育て支援事業支援計画についてでありますけれども、本計画は、平成24年8月に新たに制定されました子ども・子育て支援法に基づきまして、教育、保育及び地域子ども・子育て支援事業の提供体制の確保等の円滑な実施に関する計画として定めるものでございます。
 この計画策定に当たっての基本的な考え方でありますけれども、保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本認識のもとに、社会のあらゆる分野における全ての構成員がおのおのの役割を果たすことにより相互に協力していかなければならないという同法の基本理念及び国が定めております基本方針におけます子ども・子育て支援の意義に関する事項を踏まえるとともに、本県におきましては、若者、女性が果たす役割の視点も取り入れて計画を策定したいと考えているところでございます。
 また、来年度に向けた保育士の人材確保についてでございますが、まず、今年度は、保育士の人材確保のため、岩手県保育士・保育所支援センターを岩手県社会福祉協議会福祉人材センター内に昨年10月に設置いたしまして、潜在保育士の掘り起こしやマッチング支援、保育士や保育所に対する相談支援、研修会の開催などを実施したところでございます。
 年度途中の開設でございましたので、就職まで結びついております実績は現時点ではまだ多いものではございませんけれども、求人、求職ともに一定程度登録がございましたので、例年登録がふえます年度末に向けて就職に結びつくことを強く期待しているところでございます。
 また、保育士の処遇改善を図るため、保育士等処遇改善臨時特例事業によりまして、保育士の処遇改善に取り組む25市町村、215保育所に資金を交付したところでございます。さらに、昨年11月には、岩手労働局、ハローワーク盛岡、保育団体、保育士養成校、保育士・保育所支援センターをメンバーといたします保育士確保対策連絡会議を開催するなど、保育士確保に向けまして関係機関の連携強化に努めております。
 来年度は、今年度の取り組みを引き続き実施いたしますほか、新たに、保育士不足等の解消に向け、保育士資格取得を目指す者に対しまして資格取得に要する経費の一部を補助する事業を実施するなど、保育士の人材確保に一層取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 次に、県内の児童虐待相談件数が増加している現状を踏まえ児童虐待防止アクションプランを定め、さまざまな施策が講じられておるわけでございますが、依然として児童虐待相談件数は増加傾向とのことです。
 県内の児童相談所では、関係機関との連携のもと家庭訪問を行い、家族に対する指導など身近に寄り添った対応をなされておるわけですが、虐待の実態を把握するために体制強化が重要だと思いますが、その取り組み状況がどうなっているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 児童相談所の体制強化についてでありますけれども、県内3カ所にございます児童相談所におきましては、従来の地区別の担当制に加えまして、虐待対応に専門的、機動的に対応できる虐待対応専門チームを整備いたしまして、虐待相談や児童の安全確保、保護者対応等の一連の対応に取り組んでいるところでございます。
 また、相談件数の増加や相談内容の複雑多様化に対応いたしますため職員の増員も図ってきたところでございます。特に、児童福祉士につきましては、虐待通告時の児童の安全確認の義務化など虐待対応の強化が図られました平成19年度から順次増員を図り、現在は28名となっているところでございます。
 職員の資質向上も重要な課題でございまして、虐待対応研修等の受講に加えまして、定期的に弁護士や精神科医師からの助言を受けながら、職員の知識、能力の向上を図っております。また、平成24年度からは警察と合同で、訓練用の家屋を利用いたしました立入調査や臨検、捜索の実技訓練を開始するなど、現場における対応力の強化にも力を入れているところでございます。児童相談所は、虐待の相談対応や市町村等関係機関への専門的見地からの支援等、虐待対応の中核となる機関でありますことから、今後におきましても必要な体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 次に、昨年12月に防災・減災等に資する国土強靭化基本法が国会で成立しました。国では国土強靭化基本計画を定め、地方自治体や民間との連携を図り、強靭な国土をつくるとしております。
 そこで、県が管理しております道路、橋梁やトンネル等のインフラの老朽対策が必要な施設の現状と課題、そして、老朽対策に今後どのように取り組んでまいるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 インフラの老朽化対策が必要な施設の現状と課題についてでありますけれども、県管理施設のうち、現時点で建設後50年を経過しておりますトンネルは154カ所のうち12カ所で8%、橋梁は約2、700橋のうち約480橋で18%となっておりまして、20年後の平成45年度におきましては、トンネルが約45%、橋梁が約65%に達するなど、施設の高齢化が大幅に進展する見込みとなっております。
 これまで、いわて県民計画第2期アクションプランにおきまして維持管理計画に基づく適切な維持管理の推進を掲げ、橋梁や県営住宅の分野では、限られた予算の中で計画的な維持、修繕を行います長寿命化計画を策定し、取り組んできたところでございます。
 一方で、今後高齢化する施設が増大していきますことや、震災からの復旧、復興に県が全力を挙げて取り組んでいる現状におきましては、財源やマンパワーの確保が極めて大きな課題と認識しております。
 国において昨年11月にインフラ長寿命化基本計画を決定し、国と地方公共団体が一体となりましてインフラの戦略的な維持管理、更新を推進することとしたところでございまして、県におきましても、このような国の動きと対応しつつ適切な維持管理を推進していくために、必要な技術的、財政的支援につきまして国に強く働きかけていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 いずれ、インフラの老朽化対策にはしっかり取り組んでいかなければ、安全と危険は背中合わせでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 また、県内では、都市計画決定されたにもかかわらず長期間未着手のままの道路が少なからずあるのではないかと思います。その実態はどうなっているのか、また、計画を阻害する要因と今後の見通しについてお伺いいたします。
〇千葉副知事 都市計画決定されましたいわゆる長期未着手道路についてでございますが、県内の都市計画道路570路線、約1、172キロメートルのうち、計画決定後20年以上経過した未着手の都市計画道路の延長は約343キロメートルとなっております。このような状況は、産業構造の変化や市街地拡大の抑制傾向、厳しい財政状況などが要因となっているものと認識しております。長期未着手により、地権者等に対しまして長期間にわたり規制をかけることとなりますことから、県におきましては、平成21年度に、見直しを行う際の基本的な考え方や方向性を示しました都市計画道路見直しマニュアルを作成いたしまして、市町村では住民に対する説明責任を果たしながら、将来の都市像に沿った計画となっているか等の観点からの見直しが進められていると考えております。
 これまでに盛岡市、花巻市及び平泉町の3市町において都市計画道路の廃止、変更を実施したところであり、今後も市町村と連携しながら必要な見直しを進めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 今のことについては、都市計画決定されているところではいろいろな問題があるわけでございますので、今後しっかり対応していただきたいと思います。
 それで、昨年の7月から9月にかけての大雨、洪水災害は、これまでに経験のないような局地的な豪雨に見舞われ、県央部の岩崎川、太田川、雫石川、松川などにおいては河川が氾濫し、住宅地や農地などに大きな被害をもたらしたわけでございます。
 そこでお伺いしますが、いまだに河川改修事業が導入されていない区間なども含めた本県の治水対策は今後どのようなお考えで行われるのか、また、水位周知河川や土砂災害警戒区域の指定等のソフト対策を推進するとしておりますが、現状と見直しの計画をお示し願います。
〇千葉副知事 本県の治水対策についてでありますけれども、現在、県におきまして改修事業に着手している河川は、紫波町の滝名川を初め16河川18カ所でございまして、平成24年度末までの河川整備率は48.4%となっております。
 河川改修に当たりましては、近年、洪水により被害実績がある区間や資産の集中している箇所、今後、資産の増大が見込まれる箇所、区画整理事業等他事業との関連がある区間などについて、現在、優先的に進めております。
 このような考え方を基本にしながら、昨年、洪水被害のありました岩崎川などにおきましても、災害復旧事業による早期の復旧とあわせ再度災害防止のための計画的な改修に努めていくこととしております。
 ソフト対策といたしまして、水位周知河川の指定につきましては、これまで19河川20区間において行ってきたところでございますが、今後も、浸水被害実績や市町村の意見を踏まえまして順次指定してまいります。
 なお、昨年浸水被害を受けました一関市の砂鉄川や盛岡市の松川などについても今年度内に指定を行うこととしております。
 また、土砂災害警戒区域の指定につきましては、被災履歴があります箇所や保全人家が多い箇所、公共施設がある箇所などを優先的に進めておりまして、土砂災害危険箇所1万4、348カ所に対し3、004カ所、21%となっているところでございます。引き続き関係市町村と連携し、地域の合意形成を図りながら区域指定を推進していきたいと考えております。
 洪水や土砂災害から県民の生命、財産を守りますとともに県土の保全を図ることは極めて重要な施策でございますので、今後とも必要な予算の確保に努めながら、ハードとソフトを組み合わせた効果的な対策に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 そこでお伺いいたしますが、実は、昨年8月9日の被害状況を踏まえ、岩崎川の大規模事業評価地域を1、440メートルばかり延伸していただきました。本当にこれはありがとうございました。さらにその上流約1、200メートルも大変な状況下にあります。ぜひ災害防止事業に取り組んでいただきたいと思いますが、そのお考えがあるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 岩崎川上流の災害防止についてでありますけれども、昨年8月9日の豪雨によります災害対応として、岩崎川の河川改修事業の区間を延伸したところでございますが、その上流部におきましても河岸決壊等の被害があったところでございます。今回の豪雨で、これらの区間において河道に流入いたしました立木とか土砂につきましては、被災直後から地域住民の方々と現地確認を行いながら、昨年12月までに撤去を完了したところでございます。また、決壊した河岸につきましては、災害復旧事業により今年の12月末までに復旧することとしたところでございます。
 今後、当該上流区間における測量調査も行い、再度災害防止の対策を検討し、地域住民の皆様にお示ししてまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、平成28年、2巡目の国民体育大会が本県で開催されるわけでございますが、全国障害者スポーツ大会に加え冬季の国体も正式に開催決定するなど、県民総参加で全国から来県する皆さんをおもてなしする必要があると思います。また、これは本県の東日本大震災津波からの復興をなし遂げていく姿を全国に向けて発信するビッグチャンスでもあると思います。このチャンスをどのようにアピールしていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 岩手国体が全国でも21年ぶりの完全国体となって、また、同じ年に開催されるリオデジャネイロのオリンピック、パラリンピック、さらには、その4年後の東京での開催と相まって、東日本大震災津波の被災地域で初めて開催される両大会は全国からの注目度もさらに高まり、本県の姿を全国に強く発信する絶好の機会という思いを一層強くしております。
 このため、開会式や閉会式におきましては、郷土芸能やダンスなどの集団演技、岩手の魅力を伝える映像やメッセージの放映など、岩手らしさを全面に出した演出によって、復興支援に対する感謝の気持ちと、復興に向かって力強く前進する岩手の姿をアピールする式典にしたいと考えております。
 また、県内の各地域におきまして、花いっぱい運動、きれいなまちづくり運動の展開、岩手の多彩な農林水産物や郷土料理を取り入れた選手への食事の提供、自分たちのまちの魅力や歴史、文化、特産品などのPR、さらには、手づくりののぼり旗による全国の選手への応援など、地域が一体となった心を込めたおもてなしで全国の皆様をお迎えし、岩手のすばらしさを感じていただき、またリピーターとして本県を訪れていただけるよう地域の魅力発信に努めてまいります。
 2016年の大会が、地域の資源を掘り起こし、磨き上げ、その魅力を高める契機となるように、また、復興のシンボルとして大きな力となって復興をなし遂げていく岩手の姿を全国に発信することができるよう、県民の皆さん、市町村、企業、団体の皆さんとともに県民総参加で取り組んでいきたいと思います。
〇高橋昌造委員 そしてまた、昨年の東京国体においては、本県選手団の目覚ましい活躍によって、天皇杯が平成23年度の39位から23位に、皇后杯が40位から27位へと成績が上がっており、近年のスーパーキッズ等の選手強化による結果があらわれていると思われます。このような全国大会の成績は、県民に対する勇気や喜びをもたらすものであり、復興に取り組む県民の活力になるものと思われます。
 国体開催の有無にかかわらず、スポーツ振興は特にも選手強化策に取り組む必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 昨年の東京国体での特に高校生など若い世代の活躍を初めとした本県選手団の躍進や、さきのソチオリンピックでの本県出身選手の活躍など、スポーツの分野でのすばらしい活躍が県民の皆さんを大いに勇気づけているところであります。また、ソチパラリンピックに出場する阿部友里香選手は、東日本大震災津波を経験するなど、さまざまな困難を並々ならぬ努力と多くの支えで乗り越えて世界に臨みます。その姿は、必ずや被災地そして県民に勇気と感動を与えるものと確信しております。このように、被災者の方々や、また県民の皆さんに希望と活力を与えてくれるというように、復興においてもスポーツの力というものは非常に大きいものと考えております。
 来る希望郷いわて国体に向けた重点的な選手強化の取り組みを初め、オリンピックなど世界の舞台で活躍するアスリートの輩出を目指したジュニア世代からの早期の発掘、育成、そしてスポーツ医・科学に基づくサポートの実施など、引き続き、本県の競技力向上、スポーツ振興に取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員 知事は岩手県体育協会の会長でもあるわけでございます。今後も競技力向上のために、また、競技スポーツの振興のためにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、最後に知事にお願いがあります。
 東日本大震災津波からの復興を本格的に進めるために、また、いわて県民計画の着実な推進を図るために、議会と執行部はお互いの立場、いわゆる権能を尊重しながら、よく言われます車の両輪のごとく進めていくことが大切だと思います。また、工藤勝子議員の代表質問のお答えの中に、行政の長としての知事が行政執行に当たり不偏不党、公正中立であるという答弁がありましたように、県民はもちろんのこと、議会と一体となって心ある県政運営をさらに推し進めていくための知事の熱き思いをお伺いし、私の質問を終わります。
 そして、引き続き、及川あつし委員にバトンタッチいたしますので、よろしくお願いいたします。
〇達増知事 東日本大震災津波の発災以降、県議会議員の皆様におかれても積極的に被災地に入り、被災者の皆様に向き合い、課題を掘り起こして県議会で取り上げ、復興の推進に大いに力を発揮していただいていると思います。このような議会からの御意見や御指摘を真剣に受けとめ、県としてのさまざまな策を打ち出してきたことが、国や他県に先駆けた独自の政策の展開にも結びついてきたものと考えております。
 知事、県執行部、そして県議会議員の皆様がそれぞれこの広い岩手にしっかりと向き合い、県民と深く交わりながら、復興を初めとする県政課題に真摯に取り組むことによって、県民一人一人が希望を持つことができる岩手の実現が必ずやなし遂げられると考えております。今度とも、知事、県執行部と県議会がそれぞれの力を十分に発揮して、ともに県民本位の自治を実現することができるよう頑張ってまいりましょう。ありがとうございます。
〇樋下正信委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
 及川あつし委員、御了承ください。
   午後2時58分 休 憩
午後5時45分 再開
〇樋下正信委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 休憩中に世話人から、商工労働観光部長は、出席要求した趣旨を踏まえ、山田町災害復興支援事業に関する質問についてのみ答弁するべきとの申し出が世話人会にあり、先ほど、世話人会を開き、協議いたしましたので、その結果を御報告いたします。
 商工労働観光部長については、昨日の議会運営委員会で追加で出席要求した趣旨を踏まえ、また、今後、商工労働観光部関係の質疑を予定している各委員の意向に従い、当職において指名することといたしますので、御報告いたします。
 なお、休憩時間が延長したことについて、おわび申し上げます。済みませんでした。
 質疑を続行いたします。及川あつし委員。
   〔及川あつし委員質問者席に着く〕
〇及川あつし委員 我が会派の残余の時間で質問させていただきます。
 橋本部長に、最初に2点伺います。
 いわゆる山田町災害復興支援事業等検証委員会の検証結果の報告について、議会に対する説明責任についてどのようにお考えか、再度答弁してください。
〇橋本商工労働観光部長 検証結果に対する議会への説明でございますけれども、今定例会に提案させていただき、昨日、可決していただきました平成25年度一般会計補正予算のうち、緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金の中に、山田町災害復興支援事業に係る平成23年度分の山田町からの補助金返還金1億6、749万円余を含んでおりましたことから、本議案が付託された商工文教委員会において報告することが適当と判断し、常任委員会において御説明させていただいたところでございます。
 また、報告書につきましては、一昨日の常任委員会の当日の朝になったわけですけれども、全議員に配付させていただいたところでありまして、議会に対する配慮が欠けた点もあったと考えておりまして、今後、議会からの要請に従って誠実に対応してまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 橋本部長の発言が報道されております。議会への説明は果たした。常任委員会の質疑の中で桐田副部長は、全員に説明する予定はない、こういう発言がありますけれども、今の答弁とどう違うんでしょうか。もう一度説明してください。
〇橋本商工労働観光部長 常任委員会におきまして、私の答弁の中では、必要に応じて、今後、議会の意向を踏まえて対応させていただく旨の答弁をさせていただいているところでございますので、そのように現在考えているところでございます。
〇及川あつし委員 きちっと我々の要請に基づいて説明はするわけですね。もっと言えば、予算委員会があるわけだから、説明責任はあるんですよ。何で全員に説明する予定はないとか議会への説明は果たしたなんて言うか、その時点で私はちょっと疑問に思ったので、今、見解をただしたところです。
 2点目は、同じく常任委員会で、光栄にも私の名前を引用していただいて、検証委員会の検証体制についての質疑の中で、あたかも私が決算特別委員会の中で了解をしたからこういうスタートをしたというような答弁がありましたけれども、私は、決算特別委員会の議事録を精査して、橋本部長の答弁はそれでいいのかということで商工労働観光部に申し入れしておきましたけれども、この私が了解したとはどういう意味ですか。もう一度説明してください。
〇橋本商工労働観光部長 一昨日の商工文教委員会における私の答弁についてでございますが、その質疑の中で、今後このような検証委員会を設置する場合に、構成員等もこのままでよいとは思わないとの議会側の要請に対しきちんと応えるべきであるという趣旨の御質問をいただき、私から、検証委員会の委員の構成について、決算特別委員会において委員から御質問いただき、県としての考えを御説明した経緯があり、それで御了解をいただいてスタートしたと捉えているという趣旨の答弁をいたしました。
 まず、その経緯について御説明させていただきますと、さきの決算特別委員会において、委員から、第三者委員会を立ち上げるべきではないかという御質問に対して、庁内の職員6名と外部の学識経験者2名の合計8名で検証委員会を構成することを御説明した上で、学識経験者を外部から委員に委嘱することで、こういった外部の意見も反映させることができるものと考えているという答弁をさせていただいたところでございます。それに対して委員からは、外部の方を2名入れるということで、第三者委員会的な側面もあるのかもしれないという趣旨の御発言をいただいたと記憶しております。
 一昨日の常任委員会における私の発言は、そうしたやりとりの中で、一定の御理解を得られたものと解釈をさせていただいていたということをお答えしたかったものでございます。その発言の中で、了解をいただいたという発言は、一定の御理解をいただいたと言うべきであったものであり、及川委員初め、委員各位に誤解を与えてしまい、言葉足らずであったものと思っております。
 このような私の発言が誤解を招くこととなりまして、委員各位に対しまして御迷惑をおかけいたしましたことに対し、おわび申し上げ、訂正をさせていただきたいと思います。
〇及川あつし委員 訂正とおわびがあったので、まあ了としますが、その後が大事だったんですよ。私が当時申し上げたかったのは、あくまで内部検証のための検証組織にならないように、重大事案であるので、しっかりどのような検証が行われているか見ていきます。人選の段階からしっかりやっていただきたいと私は言っているんです。何でここを読まないで、つまみ食いにして、私が了承したような発言をしたのかというのは非常に不愉快でありますので、改めてこの場で抗議をしておきたいと思います。
 なお、私が決算特別委員会で発言した日と、いわゆる検証委員会の要領を作成した日、日付をもう一回言ってください、この場で。
〇橋本商工労働観光部長 記憶によりますと、決算特別委員会では11月29日、それから、検証委員会の設置をいたしましたのは12月2日でございます。
〇及川あつし委員 つまり、11月29日の決算特別委員会で概要だけ我々は報告を受けて、白光のときよりは、外部委員も入れるし公表するから、まあその部分については多とするけれども、内部検証組織に終わらないようにしてくださいねと言って、2日に皆さんが要領を出して委員とかを発表したので、私が了承できるわけないじゃないですか。そもそもそこから認識がおかしいと思うんだけれども、そういう検証の仕方が、私は、根本姿勢として非常に疑問に思うということで今伺っているわけですけれども、再度認識を伺います。
〇橋本商工労働観光部長 検証委員会の人選等につきましては、決算特別委員会等の議論を踏まえながら、しっかりとした体制で発足させたいという思いのもとに、しっかりとした人選を行ったと考えているところでございます。
〇及川あつし委員 この件については、そもそも今回の検証報告書の中身について、本当にこれでいいのかなという認識があるので、その派生の議論として、検証組織がどうだったのかという議論だと思うんですね。ですから、私は、そこの議論も大事だけれども、さかのぼって、そもそも検証組織を商工労働観光部に置いたこの判断、ここから入っていかなければいけないと思うんです。そこについては、知事とか副知事については、どういう判断で検証組織を商工労働観光部の中に置いて、外部委員の任命権を橋本部長に置いて、そして、検証委員会の委員長を副部長にするというような格好をとったのか、そこのフレームワークについて、もう一度考え方をお聞かせください。
〇橋本商工労働観光部長 検証委員会設置までの経緯について振り返って御説明申し上げますと、決算特別委員会の前に開催されました常任委員会におきまして質疑がございまして、県として検証すべきではないかという質問に対し、私も、県としての説明責任も果たしていくという観点から、あるいは事案の重大性からしても、内部検証を行っていく方向で検討しますというお答えをし、その後の決算特別委員会において、常任委員会における発言について確認を求められ、そこで私から、検証委員会を設置し、しっかりと検証を進めていきますと答えた経緯があります。
 そういう議論を踏まえて、それとあわせて、直近における県庁内部におけるさまざまな事案が起きた際の検証委員会の設置体制等も参考にし、あわせて、先ほど申し上げましたように、決算特別委員会での御議論も踏まえながら、人選等構成について、私のほうで速やかに検証委員会を立ち上げて、2月定例会にはしっかりとした報告ができるようにしたいということで進めてきたものでございます。
〇及川あつし委員 知事に伺います。
 今の橋本部長の説明の内容を達増知事は了解してここまで進んできたという認識でいいですか。
〇達増知事 そのとおりです。
〇及川あつし委員 そうであれば、いわゆる記者会見での発言、嵯峨委員とのやりとりでもありましたけれども、読んでいないというのは、読んでいる途中だという話だと思うんですが、つまり、これは第三者委員会にお預けして、出てきた報告書を知事が読んで、報告する、しないじゃなくて、いわゆる県としてこれは検証したわけですよね。県として検証した結果を、最終報告案はおくれたかもしれないけれども、途中報告を求めるなり、どういう形で今後、議会とか県民に説明するのかということを、やっぱり知事は、岩手県知事として把握しておくべきだと思うわけです。
 ですから、記者会見において、まだ全部きちっと読んでいないんだけれどもというところに我々は違和感を持つし、知事がきちっと読んでいないにもかかわらず、常任委員会で報告してしまったのかと。しかも、この常任委員会の報告でもう事足れりのような部長の発言があるから、おやおや、おかしいのではないかというので質問しているんですよ。そういう我々の観点から質問している件について、再度、知事の認識を伺いたいと思います。
〇達増知事 記者会見においては、報告書の内容についてのコメントを求められ、それに対して、それはきちんと読み終わった段階でコメントするほうがいいという趣旨のやりとりを記者とやったと記憶しております。やはり今回のこの事案は、国、県、市町村補助事業と間接補助事業、その補助事業の執行に当たっての適正さというものを検証するということで、非常に専門的、技術的な、細かい、具体的な突っ込んだ作業が必要になり、それは、行政側にあっても、また、外部の方にあっても専門性の高い検証が求められるわけで、その専門性の高い担当部局においてやるということで、私としても、今はもうそういった補助金適正化法等の趣旨も、改めて法律を読み直して、その趣旨にもかなった県として尊重すべき報告書が出たと思っております。
〇及川あつし委員 その経緯で今回説明して、きょうに至るその過程で、知事として、もう少しこうやっておけばよかったなという反省点はないですか。
〇達増知事 そういう県として尊重すべき内容の報告書が担当部局から議会のほうにお渡しされたことについては、よかったと思っておりますけれども、ただ、議会と執行部の間で、さまざまな情報のやりとりでありますとか、議会での取り扱いの仕方については、執行部側で言えば、総務部財政課の担当レベルでのさまざまな調整に始まり、いざというときには、私と県議会議長との間でさまざま話をする局面もあるでしょう。いろいろなやり方で調整をし、議員の皆さんが、きちっと議会の権能を全うできるようなやり方でそれはやられなければならないわけですけれども、今回は、先ほどから答弁しているように、改めてこの場に商工労働観光部長を呼んでというようなことになったことについては、遺憾であるということは、そのとおりだと思います。
〇及川あつし委員 論点はまだたくさんあるので部局審査等でまたお話ししたいと思うわけですが、私は、結果として、検証報告書については、多くの報道等の批判もあるように、納得できない点が多々あります。これについては今後の議論で深めていきますけれども、再度検証等をする必要性については、今のところないと思っていますか。必要があれば再度検証する必要があると思っていますか。その点について、認識を知事に伺いたいと思います。
〇達増知事 この報告書において、県においても、補助事業の仕組みの整理ということをきちっとし、今後に役立てていかなければならないということで、先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、商工労働観光部のみならず、総務部もきちっと入って、いわば全庁的にきちっと対策を講じていくということをしなければならないと思っております。
〇及川あつし委員 1回確認しますが、報告書の中で、市町村に対して、去年の3月13日付で、受託者への適切な指導、監督を随時行うとともに、年に2回以上の中間検査を実施することという通知をしていますけれども、平成25年度、この通知に基づいた中間検査がどれぐらい行われているか、状況を把握していますか。部長。
〇橋本商工労働観光部長 本通知に基づいて、今年度、通知以降、それに基づく形で中間的な指導等について行っているものと理解しております。
〇樋下正信委員長 どの程度やっているかと。
〇橋本商工労働観光部長(続) 今、手元に具体の実施状況等についての資料がございませんので、その部分については正確な答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、趣旨にのっとって―失礼いたしました。今年度の状況、11月末の実施状況については82%という状況になっております。
〇及川あつし委員 未実施の18%に対してどういう指導をしましたか。
〇橋本商工労働観光部長 未実施のところにつきましては、指導は行っていないわけですので、その部分については、今後、限られた日数しか年度内の部分はございませんけれども、適切に照会等しながら、あるいは現地の広域振興局とも連携をとりながら、しっかりとした体制をとって対応してまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 重大事案が発生して、皆さんは通知を出した。実施されているかどうか確認して82%。残りの18%についてどうなっているか確認しないということは、結局、通知だけ出して、事実上、再発防止のためにきちっとした手続を十分踏んでいないと私は思うんですけれども、その点について再度伺いたいと思います。
〇橋本商工労働観光部長 100%の実施になっていないということについての理由とかそういったものは、何らかの理由があるものと、今、その具体の部分についてはお答えできかねる部分がありますので、御了承いただきたいと思います。
〇及川あつし委員 了承できませんので、改めてまた、機会を見て質問させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
〇樋下正信委員長 お諮りいたします。6時も過ぎましたので、続く総括質疑は、明日行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶあり〕
〇樋下正信委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時7分 散 会

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