平成25年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成25年10月15日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    小 原 敏 文
  議事調査課
  総括課長    高 橋 勝 重
  議事管理担当課長 鈴 木 文 彦
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    清 川   勝
  主任主査    村 上   聡
  主任主査    藤 澤 壮 仁
  主査    引屋敷   努
  主査    藤 枝   修
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    千 葉 茂 樹
  会計管理者    熊 谷 俊 巳
  出納指導監    田 中 耕 平

  秘書広報室長   水 野 和 彦

  総務部長    小田島 智 弥
  総務部副部長兼
  総務室長    杉 村   孝
  参事兼財政課
  総括課長    佐 藤   博

  政策地域部長   中 村 一 郎
  政策地域部副部長
  兼政策推進室長
  兼首席ILC推進監 大 平   尚
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長
  兼復興局参事   紺 野 由 夫

  環境生活企画室
  企画課長    工 藤 啓一郎

  保健福祉企画室
  企画課長    伊 藤 信 一

  商工企画室
  企画課長    木 村   久

  農林水産企画室
  企画課長    藤 代 克 彦

  県土整備企画室
  企画課長    佐 藤 隆 浩

  理事兼復興局
  副局長    佐々木 和 延
  復興局副局長   岩 間   隆
  復興局総務企画課
  総括課長    森   達 也

  国体・障がい者
  スポーツ大会局
  総務課総括課長  小 友 善 衛

  経営管理課
  総括課長    熊 谷 泰 樹

  教育企画室
  企画課長     蛇 口 秀 人

  監査委員     伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 門 口 正 雄
  監査第一課
  総括課長    佐 藤 和 彦
  監査第二課
  総括課長    豊 岡 直 人
〇小原議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、佐々木大和委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 佐々木大和委員、どうぞ委員長席に御着席願います。
   〔年長委員佐々木大和君委員長席に着く〕
〇佐々木大和年長委員 ただいま紹介されました佐々木大和であります。よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に工藤勝子さんを指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した工藤勝子さんを決算特別委員会の委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました工藤勝子さんが決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました工藤勝子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 工藤勝子委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子委員長 ただいま委員各位の御推挙により、決算特別委員長を御指名いただいて大変光栄に思っているところでございます。
 大変ふなれでございますので、委員各位の御協力によって責務を全うしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法により行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に佐々木努君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した佐々木努君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐々木努君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました佐々木努君が委員会室におられますので、本席から当選の告知を行います。
 佐々木努副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇佐々木努副委員長 ただいまは、選出をいただきましてまことにありがとうございました。
 工藤委員長をしっかりと補佐し、会の円滑な運営に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇工藤勝子委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案3件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事及び関係部局長等の出席を求め、総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から18日まで、21日から24日までの7日間は、会計管理者及び関係部局長等の説明を求め、質疑を行うこととし、決算15件及び議案3件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月24日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、7日目の農林水産部の審査につきましては、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 認定第1号から認定第15号まで、並びに議案第39号から議案第41号の以上18件を一括議題といたします。
 これより会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇熊谷会計管理者 それでは、私から平成24年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に平成24年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料といたしまして歳入歳出決算説明書をお配りしております。
 決算の概況につきましては、便宜、この平成24年度歳入歳出決算説明書に基づきまして御説明させていただきたいと存じます。
 それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開きいただきたいと存じます。第1平成24年度歳入歳出決算の概況、1決算の状況についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る取り組みを重点的に進めるとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進するために編成された平成24年度歳入歳出予算に係る決算の状況は、次のとおりであります。
 まず、平成24年度一般会計当初予算は、いわて復興元年予算といたしまして1兆1、183億2、955万円が措置され、義務的経費を中心とした骨格予算であった前年度の当初予算に比べまして4、367億3、079万円、64.1%の増となり、当初予算としては過去最大規模となっております。
 また、この当初予算に、東日本大震災津波に係ります災害救助経費や経済対策関連としての公共事業費の追加、国の交付金を活用した基金の積み増しなどによりまして418億2、472万円の増額補正が行われたところでございます。これに前年度からの繰越額2、778億9、654万円を加えた結果、最終予算額は1兆4、380億5、082万円となりまして、前年度に比べますと1、424億265万円、9%の減となったものでございます。
 次に、歳入についてでございますが、46ページ、47ページをお開きいただきたいと存じます。第2表一般会計歳入決算状況をごらんいただきたいと存じます。
 まず、収入済額でございますが、46ページの中ほどにございます収入済額(A)の欄でございます。収入済額は1兆2、172億3、879万円(後刻「1兆2、172億3、839万円」と訂正)余で、前年度に比べますと1、315億8、756万円余、9.8%減少し、予算現額に対して84.6%、調定額に対して98.2%の収入率となっております。
 なお、収入未済額は222億9、053万円で、前年度に比べまして17億99万円余増加しておりますが、この収入未済額の主なものは諸収入でございます。
 次に、歳出についてでございますが、少し飛びまして、54ページ及び55ページをお開きいただきたいと存じます。第7表一般会計歳出決算状況をごらんいただきたいと存じます。
 支出済額、54ページの(A)の欄でございますが、1兆1、072億654万円余で、前年度に比べまして1、467億6、728万円余、11.7%減少し、予算現額に対する支出済額の割合、対予算執行率でございますが、これが77%となっております。また、翌年度繰越額は2、390億5、836万円余で、前年度に比べまして388億3、817万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは災害復旧費であります。
 なお、不用額は917億8、591万円で、前年度に比べまして432億281万円余増加しております。
 次に、実質収支の状況についてでありますが、少し戻っていただきまして、44ページ、45ページをお開きいただきたいと存じます。
 第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、上のほうでございますが、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入決算額は1兆2、172億3、839万円余、歳出決算額は1兆1、072億654万円余であり、歳入歳出差引額は1、100億3、185万円余となったものであります。
 また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越すべき財源815億4、323万円余を差し引いた実質収支額は284億8、861万円余の黒字となっております。
 恐縮ですが、また1ページに戻っていただきたいと存じます。次に、一般会計の決算の特色についてでありますが、1ページ中段、2決算の特色をごらんいただきたいと存じます。
 第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、国庫支出金、地方交付税、寄附金等の減少によりまして、前年度を1、315億8、756万円、9.8%下回り、歳出におきましては、民生費、総務費、労働費等の減少によりまして、前年度を1、467億6、728万円、11.7%下回ったものであります。
 第2には、実質収支額が増加したことであります。実質収支額が増加した要因といたしましては、厳しい財政環境のもと、県税等の歳入の確保、歳出のより効率的な執行に努めたこと、また、東日本大震災津波対応として計上いたしました災害復旧費等において不用額が生じたものであります。このような要因によりまして、実質収支は284億8、862万円の黒字となりまして、前年度に比べ145億4、346万円、104.3%増加しております。
 第3には、自主財源が増加し、その構成割合が高まったことであります。県税が前年度に比べ113億3、965万円、11.6%増加したほか、繰越金、繰入金、諸収入等が増加したことにより、自主財源が前年度に比べ1、123億4、006万円、26.5%増加しております。このため、歳入総額に占める自主財源の構成割合は44.1%となりまして、前年度に比べ12.6ポイント増加しております。
 第4には、災害復旧費の増に伴い投資的経費が大幅に増加したことであります。災害復旧費は、震災により大きな被害を受けた水産業施設や中小企業等の復旧、復興支援費用の増加によりまして、前年度に比べ607億803万円、111.8%と大幅に増加しております。この結果、投資的経費は、普通建設事業費が減少したものの、補助事業費などの災害復旧事業費が増加したことによりまして、前年度に比べ343億6、387万円、13.7%増加しております。このため、歳出総額に占める投資的経費の構成割合は25.8%と前年度に比べまして5.8ポイント増加しております。
 続きまして、2ページをごらんいただきたいと存じます。第5には、基金からの繰入金が増加したことであります。東日本大震災復興交付金基金等の震災復興関連基金や緊急雇用創出事業臨時特例基金等、国の緊急経済対策として造成された各種基金を財源とする事業の推進に伴いまして、基金からの繰り入れを行ったことなどによりまして、基金繰入金は1、153億3、239万円となりまして、前年度に比べ373億9、195万円、48%増加しております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。少し飛びまして、35ページをお開きいただきたいと存じます。第3特別会計の決算状況をごらんいただきたいと存じます。特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
 中ほどの表でございます、母子寡婦福祉資金特別会計など11特別会計の歳入総額は2、436億249万円余であり、前年度に比べまして100億717万円余の増となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計の増、港湾整備事業特別会計の増などであります。また、歳出総額でございますが2、347億3、781万円余であり、前年度に比べまして115億5、308万円余の増となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計の増などであります。
 なお、実質収支は、各会計とも黒字または収支均衡となっております。
 以上で決算の概要を終わらせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでございます。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。
〇工藤勝子委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、自由民主クラブが31分、次に、いわて県民クラブが25分、次に、希望・みらいフォーラムが23分、次に、民主党が17分、次に、社民党が11分、次に、日本共産党が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員、無所属清水恭一委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途とすることにしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。岩崎友一委員。
   〔岩崎友一委員質問者席に着く〕
〇岩崎友一委員 自民クラブの岩崎友一です。(「マイクが入っていない」と呼ぶ者あり)
〇工藤勝子委員長 それでは、皆様、委員の方々、しばらくお待ちいただきたいと思います。
 暫時休憩いたします。
   午前10時27分 休 憩
午前10時37分 再開
〇工藤勝子委員長 大変お待たせいたしました。これより再開いたします。
 もう一度やり直しますので。
 これより総括質疑に入ります。岩崎友一委員。
   〔岩崎友一委員質問者席に着く〕
〇岩崎友一委員 改めて、自由民主クラブの岩崎友一です。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。よろしくお願いします。
 まず、平成24年度決算を踏まえた財政運営についてお伺いしたいと思います。
 平成24年度の一般会計における歳入の決算額は1兆2、172億円余、歳出の決算額は1兆1、072億円余と、平成23年度決算からは歳入、歳出とも減少しているものの、現在の県の財政規模は、震災前と比較して相当大きな額で推移をしていることになります。
 一方で、多額の繰り越しや不用額も生じており、平成24年度決算の結果、本県も全国道府県で7番目の公債費負担適正化計画の策定団体となったことを考えれば、復旧、復興事業に全力を傾けていくにしても、財政規律にも留意をしながら適切な予算を編成して執行していく必要があると思います。
 平成24年度の決算や平成25年度の予算の執行状況をどのように捉えて、来年度の予算編成にはどのような考えで当たっていくのか、まずは、その方針をお示し願いたいと思います。
〇達増知事 第1期復興実施計画が目指した復興の基盤構築はおおむね達成されるものと見込んでおり、本格復興を目指していく来年度は、第2期復興実施計画の初年度に当たることから、その着実な推進に取り組んでまいります。
 こうした中、平成26年度予算は、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る事業については優先的に実施するとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成する考えであり、希望郷いわての実現に向けた取り組みの中でも、特にILC実現に向けた取り組みや国体の成功に向けた取り組みなど、六つのテーマを掲げるなど、施策の重点化を図っていく考えであります。
〇岩崎友一委員 平成24年度と25年度の執行状況で、復興関係以外の施策等について、どのようにお考えになっているのかもお伺いしたいと思います。
〇達増知事 平成24年度の決算と平成25年度の予算執行に関し、復興以外についてのお尋ねがあったと思います。基本的に、いわて県民計画に基づきまして、希望郷いわての実現に向けてしっかりと取り組んだところでございます。
〇岩崎友一委員 もうちょっと具体的な説明が欲しかったんですが、次に行きます。
 今、知事の言葉からも、現在、第2期の復興実施計画の策定作業の途中であるかと思いますけれども、復旧、復興事業の主要な財源である復興交付金の対象は基幹事業の5省庁40事業であり、被災地の実情を踏まえれば、今後、さまざまな関連事業も出てくるものと思われます。
 一方、国では、平成27年度までの間、25兆円の財源の確保を約束しており、県の財政状況が厳しくなっている中で、関連事業にも十分な財源を確保していくように働きかけていく必要もあると思いますが、どのように財源確保を図っていくのかお伺いします。
 特にも、県ではこれまで、地方が創意工夫を発揮して事業を実施することができるよう、柔軟に使える財政の措置を要望してきているところであると思いますけれども、現在どのような状況になっているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 震災復旧復興関連事業の財源確保についてでありますけれども、復興財源の主な財源でございます復興交付金は、通常、事業の進捗に応じて配分されておりまして、これまでに6回にわたり、県事業、市町村事業合わせて4、600億円余が交付決定されております。現在、第7回目の交付金事業計画を提出し、359億円余の交付を求めているところでございます。
 今後、復興事業の進展によりさまざまな事業に対応したさらなる配分が必要となりますことから、復興が完了するまでの間、確実に財源措置がなされるよう、引き続き、国に対して強く要望しているところでございます。
 次に、柔軟に使える財源の措置状況についてでありますけれども、復興交付金の対象事業が、御案内のとおり、基幹事業の5省40事業及びこれに伴います効果促進事業に限定されておりますことから、例えばでございますが、広域的な観光などの産業振興にかかわる事業が十分に展開できない状況となっております。
 このため、基幹事業の対象の拡大などの柔軟な制度運用を引き続き求めてまいりますほか、例えば、昨年度でございますと、地域の多様なニーズに応え得る取り崩し型復興基金の交付税による増額措置などを国に要望いたしました結果、平成24年度の国の補正予算におきまして、被災地域の住宅再建を促進するため、震災復興特別交付税の増額などが措置されたところでございます。
 今後、さらに復興が本格化する中で、なりわいの再生のための産業振興施策の充実など、被災地の実情に応じましたきめ細やかな復興施策を展開していくためには、被災地のニーズに迅速、的確に応えていける自由度の高い財源措置がさらに重要になってくると思っておりますので、効果促進事業の活用に当たりまして事実上の事前協議が行われておりますが、これの廃止など、復興交付金の柔軟な運用あるいは震災復興特別交付税のさらなる増額などにつきまして、今後とも国に対し、引き続き強く要望してまいります。
〇岩崎友一委員 今の答弁の中で効果促進事業は、やはり国のほうでも予算の枠はとっていると。ただ、正直、各市町村からも若干、査定が厳しいといった部分があるんですが、やっぱり効果促進に限っても、国のほうにその必要性、復興の過程において必要な事業であるというのをしっかり理解してもらうように、資料の作成といいますか、そういった訴えが必要になってくると思うんですが、その辺は、何回も同じことばかり要望しているわけじゃないと思うんですけれども、しっかりとそういうものを理解してもらうような取り組みというのはなされておりますでしょうか。
〇千葉副知事 今、お話がございました点につきましては、かなり市町村の副市町村長等を初め、さまざまな方からも御提言いただいております。私どもも、復興庁の担当セクション等とも十分その点について協議を行っておりますし、できるだけ県あるいは市町村のそういう意向に沿った形での配分がなされるよう努めてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 ぜひよろしくお願いします。これから、かなりその効果促進事業を使っていきたいという自治体がふえてくると思います。ですので、そういった意味において、県としてもしっかりと支えていただきながら、どんどん採択されるような形でお願いしたいと思います。
 次に、不用となった事業についてお伺いしたいと思いますが、平成24年度決算のうち、復興関係予算における繰越額が1、940億円で、不用額は633億円とのことであります。特にも多量の不用額が生じている事業では、水産関係のものが多く見られるところでありますけれども、これらの事業で漁港機能復旧事業、共同利用漁船等復旧支援対策事業費、漁港災害復旧事業費、この辺、不用額が多いわけでありますが、これらの事業の平成24年度の実績、執行率をお伺いしたいと思います。
 そして、あわせて、この3事業の繰越額と不用額、そしてその原因について具体的にお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 水産関係復旧事業の実績等についてでありますが、まず、漁港機能復旧事業費につきましては、平成24年度末までに、地盤沈下した県管理の29漁港で用地かさ上げに着手するなど、決算額は10億100万円、繰越額は58億6、800万円、不用額が67億8、000万円となっておりまして、その不用額発生の主な理由は、岸壁のかさ上げ工事など他の関連事業との調整に時間を要したことによるものでございます。
 次に、共同利用漁船等復旧支援対策事業費につきましては、漁船5、439そうの取得、修繕を支援するなど、決算額は222億7、500万円、繰越額は89億5、400万円、不用額は11億500万円となっておりまして、不用額の主な理由は、一部事業主体が事業実施を見送ったことによるものでございます。
 また、漁港災害復旧事業費につきましては、県管理の31漁港全てで防波堤や岸壁等の本格復旧工事に着手するなど、決算額は57億8、800万円、繰越額は467億2、100万円、不用額が225億8、000万円(後刻「252億8、000万円」と訂正)となっておりまして、不用額発生の主な理由は、まちづくり計画との調整に時間を有したことや、入札不調により事業の執行ができなかったことなどによるものでございます。
 これらの事業につきましては、平成25年度において改めて予算化しておりまして、関係機関、関係市町村と緊密に連携しながら、復旧、復興に支障が生じないよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 わかりました。今もかなりの不用額が生じているということで、今、入札の不調等々の説明もございましたけれども、その入札不調あるいは用地取得の難航、計画調整、そういった問題で繰越明許費として繰り越した予算が次の年度でも執行できなかった場合、次の次の年度に事故繰越となっているケースも出ている状況かと思います。県としても、被災地の実情や課題を訴えながら、事業が延長になっても確実に予算を確保していく必要があると思います。
 そこでちょっとお伺いしたいのが、通常であれば、不用となった事業について国の補助金は国に返還する、そういったものが基本かと思いますけれども、繰り越しをして、それでも不用となった震災復興事業の国の予算についてはどういった手続になるのか、その後もしっかりと予算が確保されるのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
〇小田島総務部長 不用となった事業の予算の確保についてでありますけれども、通常、事業の財源として交付を受けた国庫支出金につきましては、その事業が執行できずに不用になった額に応じて国に返還する仕組みになっていると、これは委員御指摘のとおりでございます。
 その場合、まず、東日本大震災復興交付金の対象事業についてでありますが、これにつきましては、国からの復興交付金の交付を受けまして、一旦、県の基金に積み立てられ、事業執行に合わせて取り崩して財源とする仕組みとなっています。この交付金の対象事業が不用となった場合に、その額に応じて復興交付金がまた県の基金に積み戻され、翌年度の予算に再計上するなど、県で所要の予算措置が講じられております。
 基金の残余金の国への返還時期というのは、復興交付金事業が全て完了したとき、これは、平成27年度末を予定されておりますけれども、その時期まで返還等の手続は不要だ、それ以前は不要だという扱いになっております。
 それから、この復興交付金事業以外の復旧、復興事業につきましては、これは、基本的に通常の場合と同様の扱いになってございまして、不用となった額等については国に返還するということでありますけれども、随時、事業の進捗状況などを国と協議しながら、再度予算措置をされるように協議しておりまして、国からの財源確保がされているものという状況になっているところでございます。
〇岩崎友一委員 そうすると、整理しますと、復興交付金に関しては、基金に積んでいるので、使い切れなかった分に関しても、そのまま基金に置いて、県で、行政上は予算を組めばそのまま執行できる、それ以外の事業に関しては、一度国にお金を返還して、再度予算をつけてもらわなければならないといった理解でよろしいでしょうか。
 復興交付金以外もかなりあると思います。先ほどの漁業関係の不用額も復興交付金以外の部分に入るかと思いますけれども、来年度に向けてしっかり確保されるのかどうか、その手応えを含めて、今どんな感じなんでしょうか。
〇小田島総務部長 いずれ、国のほうと今協議をいろいろ進めておりますけれども、国のほうでは、全体といたしましては、再度の予算措置については確保するような形で協議を進めているところでございます。
 なお、制度的な問題については、これも確実な形で予算措置をするようなことについて、あわせて仕組みの改善等については行っているところであります。
〇岩崎友一委員 さっきの漁業もそうですし、やっぱりまだ事業が終わっていないものでありますから、予算化されなければ事業が進まないわけでありますので、しっかりとお願いしたいと思います。
 次に、東日本大震災津波からの復旧、復興についてお伺いしたいと思います。
 東日本大震災津波からの復興の本質は、被災された方々が、みずから稼いで、給料を得て、生計を立てるというサイクルを取り戻すこと、いわゆる自立であり、市町村においても同様であり、そのためにはしっかりと自主財源を確保することが求められていると思います。
 大震災の被災市町村では、大震災発災前から人口減少、そして少子高齢化が県内の内陸部よりも進んでおり、これまでも非常に厳しい財政状況を強いられてきましたが、大震災を受けて、人口減少に拍車がかかり、さらなる財政力の低下が危惧されるところであります。
 幾ら社会資本を整備しても、自治体として存続できなくなるようでは本末転倒でありますし、復興をなし遂げた後も、自治体として持続して運営していくためには、しっかりと自主財源を確保しなければならないと思っております。
 これから第2次復興実施計画を策定していく中で、県としてもこういった視点を持つことが必要であるかと思いますが、知事の所感をお伺いします。
〇達増知事 被災市町村の復興のためには、復興まちづくりと一体的に暮らしの再建となりわいの再生を進め、被災者の皆さん一人一人が、安心して日々の生活を営むことができるようにしていくことが重要であり、それによって、将来にわたって持続可能な地域社会をいま一度構築していくことが必要であると認識しております。
 これまで、県は、被災地域の一日も早い復興に向けて、復興計画に掲げた三つの原則に基づき、安全で安心な防災都市、地域づくりを進めるとともに、被災された方々の住環境の整備や雇用の確保、本県沿岸部の基幹産業の一つである水産業を初めとする産業再生など、復興の基盤づくりを被災市町村と連携しながら集中的に推進してまいりました。
 こうした取り組みを踏まえつつ、本格的な復興に向けて、来年度を初年度とする第2期復興実施計画においては、重視すべき三つの視点に持続性ということを参画、つながりとともに掲げ、復興事業を展開する方向で調整をしております。
 特に、被災地域の復興を図るため、人口の社会減への対応や交流人口の拡大を図り、地域の活性化を促すことによって、将来に向けて持続可能な自立した自治体となるように、被災市町村と一体となって地域資源の発掘や創出、活用を促進し、地域産業の再生を図るとともに、地域を担う人材の育成、確保などを重点的に進めてまいります。
〇岩崎友一委員 シンプルに聞きますと、知事の中にも、かなり人口減少が続いている被災市町村にあって、やはり財政が苦しくなっていると。将来を見据えた上で、しっかりと持続、持続というイメージはもともと持たれていたという解釈でよろしいですか。
〇達増知事 岩手の沿岸地方の豊かな自然、また、この風光明媚な景色、そして世界三大漁場の一つの三陸漁場を抱えていて、また、昔から工業と結びついた地下資源も開発されてきましたし、最近では、コネクター産業のような簡単で持ち運びがしやすいような先端産業の立地も進んでいると。
 観光に関しては、景色ということだけではなくて、地域の資源を活用した農林水産業の6次産業化でありますとか、また、文化活動等も盛んでありますし、そういった三陸沿岸のポテンシャルを考えれば、今いる人口が食べていけるのはもちろん、それ以上の人口をも養っていけるだけの潜在力が、この岩手の沿岸にはあると思っております。
 ミスマッチ等々でなかなかそこがうまくいかない、また、せっかく豊かな資源があるのに、全国的なデフレの中で、魚価が低く抑えられたりとか、せっかくの宝物のようなものが、高く売れずに所得につながらないといったこともあったわけでありまして、全国にきちっと一定の経済成長をしてもらわなければならないわけでありますが、その中で、岩手の沿岸というものが、持続的な、この発展という言葉、高度成長みたいな発展とは違うんですけれども、英語で言うとデベロップメント、その中で一人一人の自己実現が図られていくような、そういう意味での発展というものは可能だし、しなければならないと思っています。
〇岩崎友一委員 ちょっと難しいんですけれども、済みません、きょう、実際に市町村の財政という部分をしっかりと直視していきたいと思いますので、次の質問を聞きますけれども、やっぱり市町村の自主財源の基幹的な税として約9割を占めているのが住民税と固定資産税であります。その回復を図っていかなければならないと思うんですが、沿岸12市町村の地方税の決算状況を見ますと、震災前の平成22年度は12市町村合計で240億600万円、震災後、平成23年度は190億6、800万円と大きく落ち込んだ後、平成24年度、210億5、400万円まで回復しましたけれども、震災前の平成22年度と比較すると約30億円、12.3%の減収ということになっております。
 特にも市街地が甚大な被害を受けた陸前高田市、大槌町、山田町では30から40%の減収となっている状況でありますけれども、被災した沿岸12市町村の税収の現状について、知事はどのような認識を持っているのか、また、こういった状況を打破するために、どういった方針のもとで、具体的にどういった政策を持って取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 震災直後の平成23年度は、被災者の住民税や固定資産税を課税免除したことから大きく減収となりましたが、平成24年度は、建設業の業績改善等により法人住民税が震災前の水準にまで戻るなど、回復の兆しが見られるところであります。
 しかし、固定資産税の課税免除の継続や人口流出による個人住民税の減収など、市町村税全体を震災前の水準まで回復させるには課題も多いと認識しています。
 県としては、まず、財源の確保という意味での当面の措置としては、課税免除による減収分の全額が国費で補填される震災復興特別交付税の継続を国に対し強く要請するなど、市町村の財源の確保に全力を尽くしてまいります。
 また、今後、復興に取り組む中で、法人住民税の増というような、これは県税もそうなんですが、事業関係、企業関係の税収については、沿岸各市町村でふえているということもありますので、そのような経済の回復を、まだ震災前の水準には戻っていない個人の所得や、また個人の資産の増大につなげていくことができるように、一日も早い住宅の再建や産業振興等による雇用の場の確保などに努めながら、税収全体の回復の実現を目指していきたいと思います。
〇岩崎友一委員 ありがとうございます。
 今の答弁の中で、本当に市町村が苦しい状況で、ちょっとこれ、住民税の分を個人住民税と法人住民税と分けて考えたいと思うんですけれども、個人市町村民税に関してはかなり落ち込んでいると。法人税に関しては、震災前よりもかなり伸びている自治体が多いというような決算でありましたけれども、私は、法人税がこんなに大きく震災前より伸びているのは、単なる復興需要、もともとかなり苦しい中で、企業経営も苦しかった、それが、復興需要という中でどんどん仕事が出てきているということが法人税のふえている原因であって、これが今後も長く続いていくということはもうないと思っているんです。ですので、知事が、ふえているという話がありましたけれども、その辺の認識がちょっと私と違うのかなと思うんですが、その辺、どのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 震災前を上回るお金の流れが岩手県の沿岸の中にできているということはあり、そのふえたお金が、そのままできるだけこの地域の中で使われて、例えば建設関係で得られた収入が、地元で物を買ったり、物を食べたり、飲んだりというようなことで、さらにその関係のサービス業でありますとか、それで得られた所得がまた地元の中でという、地元の中での循環の度合いが高まれば高まるほど、復興特需的なお金の流れも、それは地域の力になっていくわけで、個人の所得や個人の資産につながると。
 ですから、そういったことを、民間でさまざま努力をされている方々が被災地にいらっしゃるわけでありますけれども、行政の側も、これは市町村の実態をきちっと踏まえながら、県、そして国のほうとも力を合わせて、せっかくふえているお金が、地域の中でできるだけ再循環、再々循環していくような仕掛けをつくっていかなければならないと思っております。
〇岩崎友一委員 では、その仕掛けについて、今、頭の中に具体的なものはありますでしょうか。
〇達増知事 これは、はっきり言って、市町村における個人の関係の税収がまだまだ低い水準にあるというのは、今回、岩崎委員の質問を受けて改めて認識を深めたところであります。
 そういう意味で、まず、とりあえずエリアとしての沿岸の中でお金の量をふやそう、なりわいの再生を果たそうということで県も走ってきたわけでありますけれども、それが、被災者一人一人の個人の所得や資産に比較すれば、なりわいの再生のほうはかなりの勢いがついてきているけれども、個人の生活についてはまだまだこれからというのが、私としても、岩崎委員の質問によって、今回、この定例会で認識を深めたところでありますので、答弁作成の段階で、それぞれの担当に、改めてそういう仕掛けをつくっていこうという指示は出したところでありますが、ぜひ地元の皆さんのアイデアや志も生かしながら、県としても具体的なものをつくっていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 やっぱりどうしても、被災地の会社関係でも、景気がいいのは今だけだという、仕事があるのは今だけで、やっぱり将来に対しては大きな不安を抱えながら、例えば建設業にしても、10年後どうしていけばいいんだというような大きな不安も抱えている状況であります。
 そういった観点から、私は一般質問でも、建設業の県営建設工事の発注に関しても平準化、必要な部分は早急にやる、急がなくていい部分に関しては、平準化を図りながら、地元の事業者がしっかり受注できるような仕組みをというような話をしてきたわけでありますけれども、ぜひ、復興需要が終わって、再開した事業者がばたばた倒れないように、今、知事から答弁をもらいましたが、しっかりとした具体の政策をもって示していただきたいと思います。
 一応、私は相当気になっているので、固定資産税の部分も参考までに言っておきますけれども、固定資産税も、震災前の平成22年比で、陸前高田市でマイナス49.5%、大槌町でマイナス54.4%、山田町でマイナス39.9%と、やっぱり甚大な被害を受けたところが半分近くしか固定資産税の税収もないといった状況でありますから、参考までにちょっと話をさせていただきたいと思います。
 それで、市町村の負担という点で災害公営住宅について触れたいと思いますけれども、県内では、現段階で約6、100戸の災害公営住宅の建設が予定されているところであります。内訳は、県の建設分が2、900戸、市町村建設分が3、200戸ということでありますけれども、県の建設分の約半数であります1、400戸は、建設後、市町村に譲渡し、管理も移管するということになっていると思います。
 発災後、高齢化率が高くなっている被災地において、亡くなられたりして入居率が低下していくといった懸念もあるわけでありますけれども、県から市町村に譲渡することなどが、将来的に市町村の財政負担にならないのかどうかお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 災害公営住宅の市町村負担についてでありますけれども、災害公営住宅の整備に当たりましては、市町村の業務負担を軽減するため、市町村が管理するべき災害公営住宅の一部でございます1、439戸を県が建設し、市町村に譲渡するということになってございます。
 この災害公営住宅の建設に要する費用につきましては、おおむね8分の7が国庫補助の対象となりまして、また、家賃収入につきましても、一定期間、市場の家賃との差額が国庫補助等により補填されるなど、国による手厚い支援がありますことから、災害公営住宅の建設から廃止まで、全体の収支をある程度シミュレーションしてみた場合でございますが、一定の空き家が発生いたしましたとしても、地方公共団体、市町村の財政を圧迫するまでには至らないものと考えているところでございます。
〇岩崎友一委員 わかりました。
 その公営住宅の件で、被災市町村では、今、応援職員を受け入れるなど、ぎりぎりの職員体制で業務をしている状況であるのは周知のとおりであるかと思います。県から移管された災害公営住宅の管理、これが市町村の業務の面でも負担にならないのか懸念されるところですけれども、いかがなものでしょうか。
〇千葉副知事 今、委員からお話がありましたような懸念もあるところでございますから、当然、各市町村と個々の団地等につきまして、どのような対応をしていくか十分検討しなければならないと思います。基本的には、市町村が直営で管理するということではないかとは思いますが、こういう状況でございますので、例えば、市町村が特定のところに委託をして管理させるとか、いろいろなそういうような民間のマンパワーの活用なども含めながら検討して、適正な住宅の管理をしていく必要があるものと考えております。
 いずれ、各市町村で事情が違うと思いますので、それを十分お聞きしながら対応したいと考えております。
〇岩崎友一委員 わかりました。
 次に行きます。次は、住まいの再建支援についてお伺いします。
 宅地整備に係る事業の進捗状況は、ことしの9月末現在で、防災集団移転促進事業が計画の53地区中、住宅建築が一部可能な地区が3地区、土地区画整理事業で住宅建設ができるようになるのは平成26年とされています。また、漁業集落防災機能強化事業では、計画40地区中4地区で一部の住宅建設が可能になるということであります。なかなか住宅の再建、そして公営住宅への入居というめどが立たずに、応急仮設住宅での暮らしも長期化しております。
 私が聞いている中では、中越地震のころ、旧山古志村の村長を務めまして、9月30日まで岩手県在住の復興大臣政務官を務めていました長島忠美先生からも聞いていましたけれども、長島先生は一番最後に仮設住宅を出られた――そのときが発災から3年3カ月だったわけでありますけれども、自分が3年3カ月入って、精神的にも、体力的にもかなりもう限界であったというような話を聞いております。
 今、社会資本のロードマップも非常におくれている状況で、仮設住宅にももう2年以上入っています。3年3カ月以上も入るという可能性が非常に高いわけでありますけれども、まずは、こういった状況について、知事の思いですか、どう思っているのか、率直にお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 被災者の方々の生活再建のために、できるだけ早く次の恒久的な住まいに移っていただかなければならないと考えております。そのためにも、災害公営住宅の整備とあわせ、持ち家の整備促進についても、その加速化に努めていかなければならないと考えております。
 一方で、応急仮設住宅での生活が長期化する中で、これまで、追いだき機能の追加、街灯設置などさまざまな居住環境の改善を行ってきたところでありますが、今後とも、市町村社会福祉協議会の生活支援相談員や、応急仮設住宅の集会所に常駐している仮設住宅支援員等の戸別訪問によって、被災者一人一人の生活実態や必要な支援内容を積極的に把握し、市町村ごとに、個別具体的な課題等を関係機関と共有しつつ、県としても支援の充実に努めていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 知事から答弁をもらいましたけれども、実際、私が平成23年7月に入りましたから、今、2年3カ月になろうとしていますか、支援云々といろいろ言いますけれども、やっぱり住んでいるだけで苦痛なわけです。狭いし、夏は暑いし、冬は寒いし。ごく一部の人はいいという方がいるにはいるんですけれども、大多数の人は、とにかく早く出たいということを思っていますので、支援云々よりも、そういった思いを酌んでいただいて、応急仮設住宅を最初に出ると――応急ですから、5年も住んで応急という日本語も変だと思いますので、ぜひ、そういった大前提から、とにかく一日も早く出るということで進めていただきたいと思います。
 また、そういった中においても、現実として、長らくこれからも住まなければならないということがありますので、やっぱり体や心に与える疲労というのも、これまで以上、どんどんたまってくるものであると思います。県として、今後どういったケアを行っていくのかを、これまでの取り組みと比較してお答えいただきたいと思います。
〇佐々木理事兼復興局副局長 応急仮設住宅の見回りについてでございますが、応急仮設住宅での生活が長期化する中、被災者一人一人の生活実態、心や身体の健康状況、生活再建に向けた悩み事などをしっかりと把握し、関係機関による適切な支援につなげていくことが、今後、より一層重要になってくるものと考えてございます。
 このような中で、これまでは、市町村社会福祉協議会の生活支援相談員により、月一、二回、定期的に見守り訪問を実施してまいりましたが、昨年11月から重点見守り世帯を指定しまして、ひとり暮らしの高齢者世帯や心のケアが必要な世帯など、見守りの強化が必要と認められる世帯の訪問頻度を高めまして、支援体制の強化を図ってまいりました。今後とも、これらの取り組みを通じまして必要な支援内容の適切な把握に努めて、市町村、関係団体と連携しまして、被災者一人一人に寄り添いまして、きめ細かな支援をしていきたいと考えています。
〇岩崎友一委員 わかりました。いろいろあるんですが、時間もあるので、次に行きます。
 次に、持ち家の再建支援についてお伺いしたいと思います。
 私は、先般の一般質問でも言いましたけれども、たとえ小さな家であっても、そこには庭や畑があって、花や野菜を育てられる環境、そして、お盆やお正月には家族や親戚が集って、そこから笑顔が生まれる環境、それがやっぱり持ち家を再建したいと思っている方々の生きがいであり、地元へ定住するための条件でもあると思っております。
 応急仮設住宅を出た後の恒久住宅としては大きく二つの選択肢があって、持ち家再建と災害公営住宅への入居というものがあると思いますが、今申し述べた理由や、固定資産税の確保といった市町村の財政的な側面からも、持ち家再建に重きを置いた制度、政策が求められると思いますけれども、まず、知事にその辺のお考えをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 災害公営住宅のほうは、住宅を自力で確保することが困難な被災者の皆さんに提供される公的な住宅ということでありますので、東日本大震災津波によって住宅を失った方々におかれては、持ち家等による住宅確保ができることが望ましいと考えています。
 県としては、被災者住宅再建支援事業等により被災者の住宅再建を支援しておりますし、また、高台移転、低地のかさ上げといった面的整備を急いでいかなければと思います。
〇岩崎友一委員 自分もそこにこだわりがありまして、持ち家再建と公営住宅への入居というのが一緒くたにされるのが実は嫌でして、やっぱり持ち家を建てたいのがかなりの意見であります。ただ、それが、区画整理や高台移転、防災集団移転促進事業のおくれから諦めている方もいるし、住宅再建費用がやっぱり足りないということで諦めている方々もいるのが現状で、持ち家再建にまず重きを置いていただきたいという思いが強いわけでありますけれども、持ち家再建に係る支援制度の利用状況についてお伺いしたいんですが、この持ち家再建への支援策については、市町村では、震災復興特別交付税を活用して独自の支援策も拡充しているところでありまして、国においても、被災者生活再建支援制度、県と市町村の被災者住宅再建支援事業、災害復興住宅新築支援事業等があるかと思いますけれども、これらの平成24年度の決算を含めた現在の利用状況をお示し願いたいと思います。
〇佐々木理事兼復興局副局長 被災者住宅再建支援事業につきましては、岩手県住宅復興の基本方針における復興期間の最終年度である平成28年度までを実施期間としておりまして、一方、ことし8月に公表しました社会資本の復旧、復興ロードマップにおいては、土地……。
 失礼しました。ちょっとお待ちください。
 国の制度であります被災者生活再建支援制度におきましては、平成25年8月末現在におきまして、6、872世帯に対しまして96億570万円余の加算支援金が支給されております。うち、建設、購入につきましては、3、372世帯に対して65億5、900万円が支給されております。
 次に、住宅再建に際しまして、県と市町村が共同で補助します被災者住宅再建支援事業では、平成24年度におきましては、1、703世帯に対して16億6、190万円余を支給しまして、うち、県では3分の2に当たる11億690万円余を負担したところでございます。平成25年8月末累計では、2、232世帯に対して27億920万円余を支給しております。
 また、住宅再建に当たりましては、バリアフリー化や県産材の活用を支援する生活再建住宅支援事業の復興住宅新築に対する補助では、平成24年度におきましては、464戸に対し2億8、260万円余を支給したところでございまして、平成25年7月末累計では、735戸に対し4億5、490万円余を支給しているところでございます。
〇岩崎友一委員 今、御答弁いただいたとおり、まだ、なかなかその利用率が低い。まちづくりがおくれていますから、それは当たり前でありますけれども、国の被災者生活再建支援制度は、その申請期限を平成30年4月10日まで延長されたと。これは、一般質問の理事の答弁でも、必要性があるから国に要望して、その結果、平成30年までの延長が認められたということでありましたけれども、県の制度をあわせて延長すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 また、市町村が震災復興特別交付税の追加分を活用して、ちょっとでも支援策を上積みしている状況でありますけれども、県として、現在の支援制度を拡充する考えはないのかお伺いしたいと思います。
〇佐々木理事兼復興局副局長 当初予定どおりになかなか進んでいないという現況を見ますと、復興住宅の支援制度については平成30年以降も当然必要になるだろうということで、期間の延長については要望してまいりたいと思います。
 それから、震災復興特別交付税につきましては、地方財政措置で、従前の補助と違う形で、県、市町村に措置されてございますので、住宅も含めまして、さまざまな震災需要に市町村が自由に対応できるように、あるいは県も市町村を支援できるようにということで、これまでは住宅再建の充実ということを柱に、全額市町村に交付してきたわけですけれども、それの拡充を総務省に対して相当強く求めて、さまざまな生活の自立のために、住宅再建のために活用できる財源を充実させていきたい、要望していきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 私の説明の趣旨が伝わっていなかったようで、国の被災者生活再建支援制度は平成30年4月10日まで延長されたと。県の制度もありますよね。例の100万円、1世帯75万円といった制度、あとは利子補給とかバリアフリーの分ですね、県が独自に設けている制度の期限というのは、今はどうなっていますか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 今現在は、平成30年までということですので、この延長を求めてまいりたいということです。
〇岩崎友一委員 国じゃなくて、国はもう決まりましたね、平成30年と。県独自の制度の期限はどうなっていますか、今は。
〇佐々木理事兼復興局副局長 県については、平成30年度という国の期限に合わせる以上に、さらに実態を踏まえて、当然、延長していくという考え方であります。
〇岩崎友一委員 なかなか私の質問の意味が伝わっていないようで、まず、現在、県の制度の期限はどうなっていますか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 平成28年度までということになっています。
〇岩崎友一委員 県としても、100万円のものもあれば、バリアフリー云々、利子補給もあって、それぞればらばらなんです。ただ複数年じゃないんです。単年度ごとに延長している形になります。私が言いたいのは、国に対して、平成30年まで延長してもらったのは、延長する必要性があるから要請して、認めてもらったと。これは、やっぱり持ち家再建しようとしている方々も安心するんですけれども、だったら、県もその必要性を理解しているわけでありますから、複数年で期限の延長をすべきと思いますけれども、知事、いかがですか。
〇達増知事 各市町村の補助事業とセットでやっているものが多いので、今、市町村の意向確認をしているという段階ですので、段取りをきちっとやりながら、被災地のニーズに応えていくということになります。
〇岩崎友一委員 今、市町村とやりとりしていますか。どうですか。理事、今、市町村とやりとりしている最中ですか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 市町村からの要望を承っている最中でございます。
〇岩崎友一委員 その要望を承っているのは、どういった形で会話をして、どういった要望を承っているのか、具体的に説明をお願いします。
〇佐々木理事兼復興局副局長 市町村とは、地方整備協議会とか、さまざまな復興計画の変更期間とか協議する場でお聞きするほかに、私どもも頻繁に各市町村にお邪魔していますので、そのときに、首長を初めさまざまな形で意見を承っているということでございます。
〇岩崎友一委員 まあ、やってないということだと思います。私が思うのは、平成30年まで延長された、持ち家再建したい方々も安心するんですよね。国の制度はオーケーだと。ただ、県単に関してはまだ不透明ということで、それは、被災市町村がその必要性というのを一番理解していると思うし、県も理解していると思うので、県のほうから逆に、国のものは平成30年までになっていますね、県の制度に関しても平成30年まで、まずは合わせて延長したいんだけれども、市町村はどうですかという聞き方をしていけば変わってくると思うんですけれども、どう思いますか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 委員がおっしゃるとおり、こちらのほうから働きかけと申しますか、いろいろ積極的に市町村の対応についてお聞きしてまいりたいと思います。
〇岩崎友一委員 しっかりお願いします。やっているようで、やっていないようであれなんですけれども、しっかり丁寧に考えていけば、何というんですか、被災された方々がどうしたらいいのかということを逆算していけば、やっぱり早目にこうしなきゃならない、これは急がなくてもいいと、いろいろ出てくると思うので、そういった被災された方の視点でしっかり物事を考えていただきたいと思います。
 時間がないので、次に行きます。
 次に、消費税率の改定によって、被災された方々の持ち家再建に負担がかからないようにするために、国のほうで住まいの復興給付金制度が創設されていると思います。具体的な給付金制度の内容をお示しいただきたいのが1点。
 そしてまた、生活再建に取り組んでいる被災者の方々にとっては非常に重要な情報であるかと思います。しっかり周知していく必要があると思いますが、県ではどのように周知を図っていくのかお伺いします。
〇佐々木理事兼復興局副局長 消費税改定に伴う住宅建設の給付金制度についてでありますが、他の物品、サービスと同様に、来年4月1日以降に引き渡される住宅には8%の消費税が適用されるということになりますが、経過措置として、ことし9月30日までに契約締結されたものについては5%の消費税が適用されることとなっております。
 また、消費税増税の負担軽減に係る国の措置として、すまい給付金及び住宅関連の減税が全国的に行われ、さらに東日本大震災津波で被災された方々につきまして、標準的な消費税の負担増加に対応し得る措置として講じられた住まいの復興給付金も利用できることとされております。消費税の増税に関することや負担軽減の措置につきましては、国において、パンフレットの作成、配布を行うとともに、岩手県の沿岸市町村も含めた全国各地で説明会を行っております。
 県におきましても、住宅再建相談会及び住まいの展示相談会のセミナー等で情報提供するとともに、被災者からの個別相談で説明を行っております。
〇岩崎友一委員 わかりました。この周知方法に関して、いろいろセミナーという話がありましたけれども、そういったセミナーとかで説明する機会というのはどのぐらいあって、どのぐらいの方々に説明しているのかわかりますか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 基本的には市町村広報を使いながら、あとは仮設住宅ごとに、訪問支援員の方を使って、いろいろそういう周知に努めております。
〇岩崎友一委員 わかりました。それはしっかり仮設住宅の訪問支援員の方に頼んで、仮設住宅を1軒1軒、ポスティングしているという解釈でよろしいですか。それはぜひお願いします。
 周知方法は、今までも、社会資本のロードマップもそうでしたけれども、あれも、もともとつくったのは私はいいと思っているんです。ただ、つくるだけつくって、議会には更新ごとにどんどん出しているし、インターネット上でも更新していると思うんですが、やっぱりお年寄りの方々はインターネットを見ないですし、それで周知していると言われても、ちょっと違うと思いますので、今みたいな、しっかりポスティングしているという話でしたので、周知の方法というものにはしっかりこだわってやってほしいと思います。
 次に行きます。災害公営住宅についてお尋ねします。
 県では、災害公営住宅の早期整備を進めるために、設計・施工一括選定方式や敷地提案型買い取り方式を採用して整備を行っているところでありますけれども、それぞれの方式について、平成24年度の実績と、現時点でどのような進捗状況にあるのかお伺いします。
〇千葉副知事 災害公営住宅の整備方式についてでございますけれども、まず、直接建設方式につきましては、設計に着手したものが19団地1、409戸、うち、工事に着手したものが10団地669戸、うち、完成したものが2団地42戸で、今後、4団地316戸について、この方式により整備を進める予定でございます。
 次に、設計・施工一括発注方式につきましては、事業者を選定し、事業に着手したものが5団地220戸で、今後、4団地139戸について、この発注方式により整備する予定でございます。
 また、敷地提案型買い取り方式につきましては、事業者を選定し、事業に着手したものが3団地100戸で、今後、84戸について、この発注方式により整備する予定でございます。
〇岩崎友一委員 了解しました。現段階で災害公営住宅をどこに何戸建てるというのと、あと、業者というのは全て決まったんですか。
〇千葉副知事 まだ、全てが決まっているという状況ではございません。
〇岩崎友一委員 こういった方式にこだわるのもあれなんですが、進めるのが目的ですから、もし、こういったあれでそぐわないのであれば、私は前から言っていましたけれども、借地権の提案もしましたけれども、いろんな選択肢の中でお考えをいただきたいと思います。
 次に行きます。
 災害公営住宅入居時の課題についてということでお尋ねしますが、避難所から応急仮設住宅へ入居が始まったときにさまざまな問題が生じました。その一つはペットです。連れて入居する場合のルール等でありますけれども、今現在も、また、応急仮設住宅から災害公営住宅に入るときに、このペットの取り扱いに関してなかなかまとまらずに、いろんなクレームというかを私もよく聞くんですけれども、応急仮設住宅に入るときに問題になったことが、災害公営住宅に入るときにも問題になるというのはやっぱり想定できる範囲かと思いますけれども、その辺の問題意識とかノウハウがしっかり引き継がれていないような気がするんですけれども、どうなんでしょうか。
〇千葉副知事 災害公営住宅入居時の課題ということになるのだと思いますけれども、まず、ペットの飼育につきましては、応急仮設住宅でペットを飼いたいという要望が多かったことを踏まえまして、災害公営住宅におきましては、市町村が希望する場合には、一部の団地や住棟でペットの飼育を認める予定でございます。
 また、そのほかにも応急仮設住宅で課題となったことを踏まえまして、例えばですが、全戸に追いだき機能つきの給湯器を設置すること、床や界壁について高い遮音性を確保すること、高い断熱性を確保すること、手すりの設置や段差の解消などバリアフリー化を図ることなど、今現在、そういうところまでは検討を進めております。さらに、今後、必要な課題につきまして検討して、対応を考えていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 現段階で検討しているというのは、災害公営住宅も順次入居が始まっていますから、遅いと思うんですけれども、副知事、どう思いますか。
〇千葉副知事 今、例示で申し上げましたことについては対応を行っているところであり、その他の課題につきましては、今後、いろいろと検討していきたいということでございます。
〇岩崎友一委員 対応を行っているところでありと、別に何か変わらないような気がするんですが、前々からそういった問題が発生することがわかりますから、とにかく前に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、被災地の企業再建についてお伺いしたいと思います。
 被災地の企業再建に一番貢献しますグループ補助金についてでありますけれども、平成24年度を含めて、これまでの採択状況と決算額、繰り越しの状況、また、現在の採択に向けた県の取り組みの状況をお伺いします。
〇千葉副知事 グループ補助金の採択状況等についてでございますけれども、平成24年度まで6回の公募を行い、95グループ、1、159者に対しまして753億円余を交付決定しておりまして、決算額は、平成23年度は161億円余、平成24年度は259億円余となっております。平成24年度までに交付決定いたしました1、159者のうち、732者が平成25年度も引き続き事業を実施しており、その繰越額は320億円余となっているところでございます。
 今年度は、79億円の予算を計上しておりまして、8月に、5グループ、26者に対して10億円余を交付決定しておりまして、9月に行いました公募については、現在審査を行っているところでございます。また、12月にも3回目の公募を行うこととしているところでございます。
 公募に当たりましては、沿岸各地におきまして、申請を予定していますグループを対象とした個別相談会を開催しておりますほか、グループの計画策定を支援するための専門家の派遣なども行っておりまして、より多くの事業者が事業再開できるように支援してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 今、答弁にもありました、採択はかなりの事業者がしてもらっているんですが、なかなかまちづくりができない中で、使えていないというのが現状だと思いますけれども、しょっちゅう、いつまで使えるのとか、いつ切れるのと聞くんですが、グループ補助金の延長期限について今はどうなっているのか、今後の県の方針について伺います。
〇千葉副知事 グループ補助金の事業実施期限の取り扱いについてでございますけれども、今お話のとおり、既に採択された事業者の中には、土地利用の関係等から本格的な復旧に着手できず、年度内に事業が完了できない事業者もおられますことから、県としては、これらの事業者が複数年度にわたって復旧事業を実施できるよう、国に対して柔軟な対応を要望しているところであり、国において、関係省庁間でいろんな協議が行われているものと伺っております。
〇岩崎友一委員 これが、再建する、しないのかなめでもありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、雇用対策についてお伺いしたいと思います。
 これまでも一般質問等々で言ってきましたが、被災地においては雇用のミスマッチがずっと続いている状況で、高い有効求人倍率を示しているところでありますけれども、県として、具体的な雇用対策は今どういったものを行っているのか、その成果も含めてお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 震災復興のための雇用対策についてでございますけれども、県におきましては、震災後、緊急雇用創出事業などによりまして雇用の創出に取り組んでまいっておりますが、今、御案内のとおり、平成24年度末には有効求人倍率は1倍を超え、雇用情勢は着実に改善してきているところではないかと考えております。このため、短期つなぎ雇用の緊急雇用創出事業は縮小する方向で進めておりまして、今年度で雇用期間が満了する方などに対しましては、民間への移行をきめ細かに支援していくこととしております。一方、厚生労働省は、平成26年度概算要求で緊急雇用創出事業の期限延長を制度要求しているところでございまして、県といたしましては、事業規模は縮小していく方向にあるものの、被災者支援のために必要な事業の確保はしてまいりたいと考えているところでございます。
 また、民間への雇用に移行するため事業復興型雇用創出事業を活用しておりまして、長期、安定的な雇用を確保するほか、特に建設業や水産加工業などにおきます人手不足につきましては、先ほど御指摘もございましたような、そのマッチングの関係等がございますので、職業訓練あるいは就職面接会の実施など、さまざまな取り組みを積極的にしていきたいと考えております。
 この問題につきましては、地元の自治体、市町村やハローワークと連携して、これまでの取り組みをさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇岩崎友一委員 これまでの取り組みをさらに進めてまいりたいと。全然進歩していないので、このまま続けてもちょっとどうかと思うんですが、建設業、水産加工場の人手不足はずっと言われている話だと思うんです。それは、知事もがんばろう!岩手で聞いていると思いますし、そういった声がここ何年も解決しないままあるので、新たな取り組みが必要になるかと思います。副知事、どうですか。このままではよくないと思うんですけれども。
〇千葉副知事 マッチングの話は非常に大きい話だと思っております。一つの取り組みだけで全て解決できるとは思いませんので、さまざまな取り組みを複合的に行うことで、できるだけその効果を高めていくということかと思っております。
 職業訓練の取り組みにつきましても、その訓練の中で、現在、例えばオペレーション関係の訓練とか、あるいは重機関係の運転の職業訓練とか、さまざまなものも、その地域の状況に応じながら取り組んでおるところでございますし、水産加工業関係への企業見学会、面接会というのは今もやっておりますが、さらにそれを回数を重ねるとか、いろいろ手厚く対応していく必要はあると思っております。
〇岩崎友一委員 企業見学会とかの開催はこれまでもしたと言いますけれども、実績はどうですか。そういうものをやって、本当に結びついているのか、どれだけ結びついているのかと私は疑問なわけです。水産加工場の雇用主からしても、ちょっと違うんじゃないかという声もありまして、抜本的にこの問題を解決しなければ、働く場所がないということは、内陸に出ていったり、また、被災地を離れる原因にも直結するわけでありますけれども、この問題は本当に大きいと思いますけれども、知事、このミスマッチの問題はどう思っていますか。
〇達増知事 これは、さっきの税で見て、事業関係の復旧が先行し、個人の生活、個人の所得や資産の形成というのが後からおくれているということと関係していると思っているんですけれども、できれば、それぞれの市町村に住んでいる人たちが、今、求職されている職についていけば、企業が先行しているお金がふえているというのがそのまま収入になって、そこに住む人たちに流れていくわけですから、基本的に、今そこにいる人たちに、そこでの求人にできるだけ応えてほしいというのがあるわけですけれども、一方で、外から人に来てもらうということについてもさまざま検討しておりまして、外国人については、外国人研修生の枠をふやすかどうかということを地元の企業で相談したけれども、それは今ある枠の中でいいんじゃないかという話になっていると聞いていますけれども、外から来る人たちについては、住宅問題、泊まるところがない、住むところがないというところが、今、ネックになっているわけで、ただ、そこを本格的にやっていきますと、今、ミスマッチで就職せず、求職段階にある地域の人たちと、外から来て働いてもらう人たちの住居や仕事をどう優先させていくかというのは、その地元のまちづくりのビジョンとすり合わせながら進めていかなければならないことなので、そこを丁寧にやっているところであります。
〇岩崎友一委員 私が聞きたかったのは、率直に、このミスマッチに関して本気で取り組んでいかなきゃないという思いが強いんです。本当に解決しないですから、ここ1年、2年、ずっと高いままで。ですから、県として、これまでの方針でやるというのは、私はおかしいと思うんです。全然解決していないので、プラスアルファで何かしっかりとした対策をもってやらないと、いつまでも解決しない問題であると思いますから、これはぜひよろしくお願いしたいと思います。
 時間がないので、次に行きます。
 飛びまして、JR山田線の復旧対策に行きたいと思うんですけれども、大震災によって、沿岸を縦断する線路、駅舎、橋梁が大きな被害を受けまして、そのうち、第三セクターで経営されている三陸鉄道に関しては、国等の支援を受け、来年春における全線復旧を目指して進められているということで、本当に喜ばしい限りであります。
 一方で、JR山田線に関して、平行線のままで、この先行きが不透明な部分が多いわけでありますけれども、JR山田線の復旧に対する県の基本的考え方を改めて伺いたいのと、現段階で復旧に向けて何が課題になっているのかお伺いします。
〇中村政策地域部長 山田線につきましては、地域における重要な足であると認識しております。地域における観光振興でありますとか地域振興などの社会的な基盤になっているということで、三陸沿岸の復興を下支えする重要な路線であると考えております。また、山田線が三陸鉄道と一つにつながるということで、さまざまな面での相乗効果も期待できるということで、山田線につきましても早期復旧が必要であるという考え方でございます。
 現在、JR東日本は、山田線の復旧につきましては、これまで、津波からの安全性の確保でありますとか鉄道の復旧とまちづくりとの整合性、復旧費用の負担が課題という考え方を示してございましたけれども、一部未調整のものもございますが、課題はおおむね絞られてきているのではないかと考えております。
 また、JR東日本のほうから要請がありました地元での利用促進ということにつきましても、本年5月に利用促進検討会議を立ち上げまして、現在、利用促進の検討を進めている段階でございます。
 県といたしましては、沿線市町と連携しながら、未調整の課題の解決を促進するとともに利用促進の検討をさらに加速させまして、JR東日本に対し、できるだけ早期に鉄道復旧をするように、引き続き求めてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 今、御答弁で利用促進策という言葉がありました。9月24日に三陸ジオパークが日本ジオパークに正式認定の決定を受けたということで、利用促進策という中での一つ大きな武器になるかと思うんですけれども、三陸ジオパークの認定を受けて、ちょっと早いかもしれないですけれども、経済効果というのはどのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
〇中村政策地域部長 このジオパークの取り組みによる経済効果を金額的に算出するというところは難しい面がございますけれども、この構想を推進することによりまして、観光の振興でありますとか交流人口の拡大といったものにつなげまして、一人でも多くの方々に三陸地域を訪れていただき、地元を初め本県経済への波及効果につなげていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 利用促進策として、重ねてになりますが、大きな武器だと思いますので、そういったものもフルに活用しながら、ぜひ、JR東日本と交渉していただいて、具体的な復旧方針の明示をいただければと思っております。
 次に行きます。次は災害関連死の審査についてお伺いしたいと思います。
 先般の一般質問の中で日弁連によるアンケート調査の分析に対する答弁がありました。本県の取り扱いとしまして、震災から死亡までの経過期間を審査基準として採用せず、全ての申し出を受け入れるということの取り扱いは大いに評価できるわけでありますけれども、一方で、佐々木理事の答弁に、多数の継続審査ケースがあることで延べ件数が増大したため、1件当たりの審査時間が短く算出されたという答弁もありました。これは、基本的に、継続案件だと1件1件十分時間をかけてしっかり審査すべきものと思いますけれども、いかが思いますでしょうか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 日弁連のアンケート結果におきましては、1件当たりの審査時間が他県の審査に比較して短いとされておりますが、このアンケートでは、審査会における延べ審査時間を延べ審査件数で割ったものを1件当たりの審査時間としてございます。本県のように、多数の継続審査ケースを含む場合、全体の延べ件数が増大しますので、1件当たりの審査時間が短く示されることとなるものでございまして、日弁連におきましても、実態と少なからず乖離した結果になっている可能性も否定できないとしてございます。
 本県の審査会の審査に当たりましては、市町村が行った事前の調査とあわせまして、初診日や療養中の診断書、診療報酬明細書、看護記録など、審査資料による事実関係を明らかにする過程で十分時間を費やしまして、専門的見地から審査を行ってございます。
 また、審査資料につきましては、委員に事前に送付いたしまして、各委員、各自十分時間をかけて検討の上、審査会に臨んでいただいているほか、審査会におきましては、新規案件と判断の難しいケースにつきましては特に時間をかけて審査しております。さらに、必要に応じて何度でも継続審査として、必要な調査を追加実施いたしまして、次回以降の審査会に再諮問しているなど、十分な審査が図られるよう配慮してございます。
〇岩崎友一委員 もしかしたら私の解釈が間違っていたかもしれないですけれども、あの答弁を聞いた段階では、審査のケースが多いがゆえに1件当たりの審査時間が短くなったと解釈していたんですが、そうではないという意味ですか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 延べ審査時間を延べ審査件数で割ったものを、今回、日弁連のほうでは1件当たりということにしてございますが、本県のように多数の継続審査ケースを含む場合は全体の延べ件数が非常に増大するということで、アンケート上、1件当たりの審査時間が短くされていると。実態としてはじっくりとやってございます。
〇岩崎友一委員 じっくりと審査をいろいろしたということでありますけれども、では、認定率の低さに関しては、何で低いのか説明を願います。
〇佐々木理事兼復興局副局長 認定率は必ずしも低いと本県では思ってございません。
〇千葉副知事 認定率について、今、形式的な算出方法がそのような形になっているということで、今、佐々木理事のほうから御説明したところでございますが、これまで報道されている認定率につきまして、私どものほうでは、先ほど高く評価いただきましたが、全ての申し出を受け入れるという形で審査しております。これにつきまして、一部、県のほうでもホームページに報道に対しての見解を載せておりますが、他の自治体におきましては、直接は確認しておりませんが、発災から6カ月以内というところで、事実上、その期間を、制限しているとは言いませんが、そこで審査基準を絞っているということも報道でされているところでございます。したがいまして、受け入れている数等からいいまして、受け入れている件数が多くなっておりますことから、認定率が低いというお話になっておりますけれども、例えばでございますが、各継続審査ケースを除いて、具体的にその認定率を算出しますと62.6%ということで、他県ではこれが7割ぐらいじゃないかという話もありますが、それで6割程度となっております。仮にですが、さらにその中を絞り込みまして、いわゆる経過期間6カ月以内ということで算出しますと、本県の認定率は82.2%ということで、これは他県の認定率に比べて著しく低いものではないと考えているところでございます。そのことを、今、佐々木理事が総括的に申しましたので、補足させていただきます。
〇岩崎友一委員 時間がないのでこの件は終わりますけれども、ただ、先ほど佐々木理事が答えた、低いと思っていませんというのはすごい発言だと思いますから、余りにも認識のずれというのは大問題と思います。ただただしゃべればいいという問題でなく、しっかり事実を受けとめて、考えて答弁してもらわないと、そんな適当なことをやられたらたまったものじゃないですから、理事、しっかり、よろしくお願いします。あとは部局別でやります。
 最後に、国民健康保険の一部負担金免除についてお伺いしたいと思います。この件に関しては嵯峨壱朗議員の一般質問でもありました。一般質問では、市町村の意向を伺いながら検討中という答弁でありましたけれども、その後、市町村の意向は確認できたのか、そしてまた、県としての検討の状況をお伺いします。
〇達増知事 平成26年1月以降における一部負担金等の免除措置について、県から市町村等に対して、その意向を確認したところ、国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険及び障がい福祉サービスについて、全ての市町村等において、国及び県から現行どおりの財政支援があれば継続するとの回答をいただきました。
 県としては、多くの被災者がいまだ応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされ、健康面や経済面の不安を抱えており、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要がありますことから、平成26年1月以降についても、これまでと同様、県内統一した財政支援を継続してまいりたいと考えます。
 財政支援の期間については、当面、平成26年12月までの1年間延長とし、その後の対応については、改めて判断したいと考えております。
〇岩崎友一委員 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇工藤勝子委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時0分 休 憩
午後1時2分 再開
〇工藤勝子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉副知事 先ほどの岩崎委員に対する答弁でございますけれども、水産関係復旧事業の実績等についてでございますが、そのうち漁港災害復旧事業費の不用額を、私、答弁で225億8、000万円と申し上げましたが、正確には252億8、000万円でございましたので、訂正して、おわび申し上げます。失礼いたしました。
〇熊谷会計管理者 先ほどの平成24年度の歳入歳出決算の概要の中で、歳入歳出決算説明書の46ページでございますが、収入済額の数字を、私、1兆2、172億3、879万円と申し上げたようでございまして、正確には1兆2、172億3、839万円でございますので、訂正をお願いしたいと思います。まことに申しわけございません。
〇工藤勝子委員長 それでは、質疑を続行いたします。
 次に、飯澤匡委員。
   〔飯澤匡委員質問者席に着く〕
〇飯澤匡委員 いわて県民クラブの飯澤匡でございます。恐らく決算特別委員会、予算特別委員会、今任期最後の総括質疑になると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、大項目1番について。東日本大震災の対応についてお伺いします。
 最初の岩崎友一委員の質問は、非常に被災地の心情に沿ったすばらしい質問で、心から敬意を表したいと思います。
 私は、主に政策の方向性であるとか、決算審議でございますので、その点について重点を置いてお聞きしたいと思います。
 平成24年度予算編成は、東日本大震災対応のため、当初予算として史上最大の規模でございました。平成23年度が発災の初年度でありましたので、走り立ての体制で震災対応と補正予算措置を余儀なくされましたが、その実績と反省を踏まえて、平成24年度は、年度当初から県としての震災対応の体制を整備した予算と言えます。したがって、今後、平成25年度、26年度にもこの県の体制については、初年度である平成24年度決算を審査する、その重要性は大変高いものと私も考えます。また、達増県政が6年を経過し、残り2年という時期にも当たることから、県政全般における政策判断や事業選択、その内容についても言及させていただきたいと思います。
 達増県政となって以来、決算特別委員会における審査ではいろいろな問題が提起されてまいりました。不正経理問題、昨年は白光の民間移管の問題についても、参考人招致を経て大変な議論がありました。その結果、あまつさえ、決算が不認定になったということも、昨年のみならず3回もございました。私は、県政史上例を見ない異常事態とも言えると思います。
 まず、質問の第1は、昨年度、平成24年度はこれまでの決算不認定を経て、県は、どのような教訓を得て予算の執行と事業の推進展開を図られたのか、知事に伺います。
〇達増知事 これまでの決算不認定の際に、県議会からいただきました指摘や意見を踏まえ、予算の執行に当たっては、適正な事務処理に十分留意しながら、県議会や県民の皆様の信頼に応えられる行政を推進していくよう努めてまいりました。
 また、施策の推進に当たっては、東日本大震災津波からの復旧、復興を最優先に、限られた財源の最適配分を図るため、全ての事務事業を精査し予算編成を行ったところであり、希望郷いわての実現を目指し、重点的、優先的に取り組む施策をアクションプランとして定め、施策の着実な推進を図っているところであります。
〇飯澤匡委員 それでは、2番目の質問に移ります。県庁内の震災対応については、平成23年度の比較で、平成24年度は具体的に庁内の震災対応の体制整備にどのように留意され、実行されたのでしょうか。また、その効果はどのように評価されるのか、知事にお伺いします。
〇達増知事 平成24年度においては、震災からの復旧、復興を迅速かつ強力に推進する体制の整備を主眼に、復興道路の整備に向けた用地事務、災害復旧事業など緊急かつ重要な課題に人的資源を重点配置するとともに、復旧、復興業務の進捗に応じた組織体制の見直しを図りました。
 具体的には、災害復旧業務を着実に推進するために、用地事務を担う一般事務職や災害復旧事業等を担う土木技術職を増員しました。
 また、沿岸、県北広域振興局に、市町村復興計画の推進支援や被災者相談支援などを行う復興推進課を設置し、市町村のまちづくり支援等を行う復興まちづくり課長等の職を設けました。
 また、本庁においては、漁港関係施設や海岸保全施設の早期復旧に向け、漁港漁村課に漁港担当課長及び海岸担当課長の職を設け、災害廃棄物対策を強化するため廃棄物特別対策室を設置しました。
 これにより、第1期復興実施計画の進捗状況については、まちづくり事業など一部におくれがありますが、全体として8割以上が順調に推移しているものと認識しておりますが、いわて復興ウォッチャー調査結果によりますと、多くの方が、いまだ復興の歩みを十分実感できていない状況にもございますので、現在、一部事業の目標を上方修正するなど、復興の加速化を図っているところであります。
〇飯澤匡委員 県の職員は、平成24年度、また25年度も現場にかなりの増員をされて、その対応を図られてきたと思っております。職員の方々は、現場の声を聞きますと、大変一生懸命やっているようでございまして、心から敬意を表したいと思います。
 そこで、平成24年度決算について監査委員にお伺いしたいと思います。
 監査意見書についてですが、監査意見書によれば、このような意見が具されております。事務体制の不備について詳細に言及されておりますが、具体的に何が欠けていたのであったのか、その点を、問題点を指摘していただきたいと思います。
〇伊藤監査委員 事務体制についてでございますが、決算審査意見書では、個別意見として、内部管理体制の強化などについて意見を述べたところでございます。平成24年度決算監査の特徴としては、指摘件数が前年度と比較して増加していること、それから、2年連続して同一の指摘を受けた機関が複数生じていること、指摘件数が多数にわたる機関が増加したことといったことが挙げられるところでございます。
 この要因として、これらの機関では、組織内でのチェック体制が十分に機能していないことや復興の加速化等に伴い業務量が増加している中で、財務諸規程等の理解不足のままに事務を進めているなどの現況があるものと認識しております。
 このため、決算審査意見書において、管理監督者のリーダーシップのもと、内部チェック体制の強化に努めるとともに、事務事業の簡素効率化のほか、職員研修の充実など、一層の職員の資質向上に努めるよう意見を述べているところでございます。
〇飯澤匡委員 ちょっと問題点を指摘したいと思うんですが、前年度より件数がふえたと。そしてまた、前年度と同じような内容の不備な体制があった。
 監査意見書には、こういうことも書いてあります。会計事務の基本的事項の誤り――基本的事項ですね、誤りを見逃したものなど、そしてまた、組織内でのチェック体制が十分に機能していないという指摘がございます。また、後段、答弁がありましたように、収入や支出、契約などにおいて事務のおくれや誤りが多く見受けられたと。この背景には内部管理体制上の問題がある、また、財務諸規程等に十分な理解が得られないまま事務を進めている現況があると申されております。
 監査委員にもう一回お伺いしますが、不正経理問題という大きな問題がありました。この部分から教訓を得た体制だと言えるでしょうか、お伺いします。
〇伊藤監査委員 体制についての所感でございますが、いわゆる預け金など不適切な事務処理問題が平成20年に発覚しまして、県においては、これまで、決裁権限の明確化、発注担当者と検収員の分離、各機関における会計事務自己点検の実施など、内部管理体制の強化に取り組んできたところでございます。
 これら体制面の強化により、多くの機関では適正な事務が執行されているものの、監査結果における指摘事項の中には、ただいま委員の御質問にありましたとおり、決裁段階での自主的なチェックや四半期ごとの会計事務自己点検などの内部管理体制が十分に機能していなかったものなどの事例も見受けられたところでございます。
 このことから、いま一度、県民の視点、立場から事務を見詰め直し、チェック機能の強化等、内部管理体制の強化に努める必要があると考えているところです。
 なお、不正経理問題から見た現在の体制については、未然防止対策は確立されているものの、内部チェック体制が形骸化することがないよう進行管理や確認を十分に行う必要があるものと考えております。要は、そういう体制、器はできているけれども、そこに魂がまだすっかり入っていないというか、そのとおりやられていないところがある、そういうところで指摘が発生している、そういう認識です。
〇飯澤匡委員 ただいまはすばらしい指摘でありました。私は、これから施策運営、また体制についても、その点について中心にお聞きしたいと思っているところでございます。
 ただいまの監査委員からの内部管理体制上の問題はかなり重大な指摘だと思いますが、これは副知事にお伺いしますけれども、その組織上の問題、内部管理体制の問題について、どのように課題認識をしているかお伺いします。
〇千葉副知事 ただいまの監査委員の所感についての私どものこれからの対応等も含めてでございますけれども、まず、近年、この会計事務あるいは入札事務に関しましては、情報システム化が進みまして、逆に知識、経験あるいはスキルにたけましたベテラン職員が退職などによりまして少なくなってきているということから、若手職員にとりまして、基本的な知識、スキルが身につきにくくなっている部分があるのではないかと認識しております。
 また、こうした中で、昨年度は、契約事務における積算誤り事案が発生したところでもありまして、これらに対しましては、体制面での問題として、年度途中で特命課長の職を設置するとか、あるいは関係部局で事務処理フローの見直しを図るなどの対応もしたところでございます。
 しかしながら、今後、会計処理あるいは入札事務を初めとするこの事務処理のさらなる適正化を図っていくためには、これら事務処理スキルあるいはマニュアル等を含めまして、確実に今の中堅世代、若い世代に伝承していくことが重要であると認識しておりまして、さまざまな各部局で行っている職場研修にも、当然そういうようなものをこれから付加するとか、あるいは人事課が行っております集合研修の中にも体系的にそのような研修内容を取り込むとか、さまざまな方策を進めていく必要があるものと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 その中身、内容については、また別の視点でお伺いしたいと思います。
 次の質問に移ります。財政問題について伺います。
 平成24年度決算に基づく健全化判断比率において、実質公債費比率が18%以上となり、地方債の発行に総務大臣の許可が必要となるとともに、公債費負担適正化計画の策定が必要となりました。償還のピークは平成26年度20.7%、27年度21.6%で最大となる見通しとしておりますが、平成28年度も21.7%の見込みであり、財政の硬直化はこれからも免れないと思います。
 まず、知事にお伺いしますが、公債費比率の上昇による本県財政への影響について、知事の分析を求めます。
〇達増知事 実質公債費比率の上昇による本県財政への影響でありますが、公債費は、平成26年度から27年度にかけて1、300億円台に達する見込みであり、それに伴い、平成28年度まで実質公債費比率は上昇する見通しです。
 公債費の増は、義務的経費の上昇となって財政の硬直性が高まる要因となります。その影響として、政策的な経費に充てる財源が減少することとなりますが、こうした公債費の増に備えて、県債管理基金に積み立てを行っており、平成26年度から27年度にかけて増となる公債費には県債管理基金を取り崩して対応して、政策的経費の財源を確保することとしています。
〇飯澤匡委員 この指標は3年間の平均を求めるものでありますが、実質、ことしで18%を超えるというのは初めての事象だったわけですが、これまでどのような検討をなされてきたのでしょうか、お伺いします。
〇小田島総務部長 この公債費の比率につきましては、その原因がかなり長期的な、例えばバブル経済の崩壊に対応するため、国とともに道路や河川などの公共投資を中心とした経済対策を行ってきたことや、財源対策債を継続的に発行してきたこと、あるいは、さまざまなインフラ整備を行ってきたことということで、長期にわたる公債費の発行と、それに伴う償還に充ててきたわけでございますが、それについて徐々に上がってきているという状況は、我々も承知してございまして、それらについてかなり厳しい状況にあるという認識はいたしてきたところでございます。
 そういうことにも対応し、例えば、国庫で後で地方交付税で財源的な裏がとれるような、そういう有利な起債を活用するとか、こういうことに対応できるような手を打ってきたところでございますが、いかんせん、そういう多額に発行した県債について残高がふえてきた状況にございましたので、それらに対応するために、昨年度あたりから、そういう厳しい状況にあるということで、議会にもお話をしつつ、また、さまざまな財政の見直しなども行ってきたところでございます。
〇飯澤匡委員 ちょっと順番を変えますが、それでは、計上された繰越明許費と不用額について、どのように分析されているのかお伺いします。
〇小田島総務部長 御質問の趣旨は、平成25年度への繰越額と不用額についてと理解いたしますが、よろしいでしょうか。
 まず、平成25年度の繰越額についてでございますけれども、一般会計ベースで繰越明許費繰り越しが192事業、1、552億1、400万円余、それから、事故繰越が50事業、838億4、300万円余で、これを前年度と比較いたしますと、事業数で21事業の増、金額で388億3、800万円余の減となっているところでございます。
 それから、不用額につきましては、一般会計ベースで917億8、600万円となっているところでございます。
〇飯澤匡委員 額でなくて、どのようになったのかという内容を聞きたかったわけですが、まあ、いいです。
 それでは、次の質問ですが、来年度から消費税の8%導入というのが既に見通せるわけでございますが、先ほど本県財政の問題点、公債費比率等についてお伺いしたわけですが、今後、政府の地方財政対策等も消費税の導入によって、また、東日本大震災という非常に多額の財政出動がなされているわけですが、本県に係る中期財政見通しの策定状況はどのようになっていますか、お知らせ願います。
〇小田島総務部長 消費税8%による影響、あるいはそういうことを加味した中期財政見通しの策定状況についてのお尋ねでございます。
 10月1日に消費税増税が決定したところでございますが、現段階では、社会保障制度の改革あるいは地方への財政措置が示されていないということで、その本県に与える影響等については明らかになっているものではございません。
 年末に策定される来年度の地方財政計画とあわせて示されるものと見込んでいるところでございますが、そうしたことから、中期財政見通しの策定に重要な地方財政対策の内容が現時点で不明でございますので策定には至っていないところでございますが、今後、国の動きを注視いたしながら、予算編成、そして中期財政見通しの策定作業に対応していく考えでございます。
〇飯澤匡委員 今後とも、歳入部分、また交付税、臨時財政対策債など、依存財源がなければ立ち行かない本県財政の状況であることは間違いないわけでございます。一方、地方政府という言葉が出てきて、財政の独立についても、本県でもやはり考慮に入れて財政運営をしなければならない点と、また、一方で、被災地復興のため、短期間での社会資本整備も必要とされると。
 投資が先なのか財政規律を重んじるのか、この判断については、中長期的にも、その判断というものが後々の中期財政見通しにも影響が出るのだろうと私は思っておりますが、このような地域経営観点から、国からの多額の財政出動と本県の財政規律に関して、どのように、どちらを選択するかと言ったほうがいいかもしれませんけれども、知事の基本的な考え方、方針についてお伺いします。
〇達増知事 委員御指摘のとおり、本県の財政運営における財源は、国庫支出金や地方交付税などの依存財源に頼らざるを得ず、県民の暮らしの安定や地域経済の下支えなど、一定の行政サービスを提供するためには、国からの財源は欠かすことはできないものであります。
 特に、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る事業については、国の支援を最大限活用して最優先で取り組んでいるところであります。
 こうした状況の中で、地域経営を進めていく上で、県民のさまざまなニーズを把握し、県民生活の向上、地域の活性化など、オール岩手の振興につながっていくよう、国からの財源の活用を図るとともに、さらなる歳入確保や徹底した歳出の見直しなど、不断の行財政改革を進めながら、規律ある財政運営を行っていくことが不可欠であると認識しております。
〇飯澤匡委員 前回の決算特別委員会でも知事にお伺いしたんですが、今は非常時であります。非常時の中で、これから財政運営、また財政計画を立てるにあって、今必要なもの、ぜひこの部分は設備投資しなければならない。ただ、この部分は少し我慢をしながらやっていかなければならないという意思を、やっぱりその計画の中にも知事の意思というものが反映された中であれば、いろいろな面で我慢するところは我慢するというような意思も働くのではないかと思うんです。
 ただいまの答弁は事務方の大変優秀な答弁であったわけですが、私は、知事が、この震災に当たってのこの中期財政計画、見通しというものを、知事本人の言葉でちょっとお伺いしたいと思います。
〇達増知事 まず、復興に必要なことは、これはもう、去年、おととし、国の予算措置が決まる前に前倒しで県議会のほうに補正予算をお願いしたように、裏づけがなくても、必要な事業は、復興のためにはやっていかなければならないということが基本にあると思っておりまして、まずは復興最優先。
 しかしながら、財政規律ということ、これも、特に中長期的な視野の中では大事なことでありますので、歳入の確保、歳出の見直しを徹底しながら、規律ある財政運営を行っていくと考えております。
〇飯澤匡委員 かなりの安全運転な答弁だと思います。
 次の質問に移ります。予算の執行体制について伺います。
 復興予算については、編成と執行において、現復興局が持っている予算編成と執行、それから、このたび財政課という形で新たに県庁内では大きな司令塔ができたと思っておりますが、この二元体制と言われている今、これからのあり方について、どのような認識と、それから、財政課となってから、政策推進と財政課のかかわり、これについては、これからの方向性というのは大変重要だと思うわけですが、その知事の認識をお伺いします。
〇達増知事 復興局の設置の目的は、災害からの復興に係る施策の総合的な企画及び調整を分掌しているものであります。
 また、震災からの復興に向けた施策を全庁で一体的かつ迅速に推進するために、知事を本部長とする復興本部体制を整備しており、今後も全庁的に政策の推進に当たってまいります。
 一方、復興局が復興に向けた施策を調整したものについて、総務部は、全庁的な視点から政策の判断と財源調整を行っているものでありまして、復興局と総務部が連携をしながら一体的に推進しております。
〇飯澤匡委員 今後の方向性についてお伺いします。政策推進と財政課のかかわりについて。
〇達増知事 今申し上げましたように、復興局が復興に向けた施策を調整したものについて、総務部が全庁的な視点から政策の判断と財源調整を行う。さらに、その上には知事を本部長とする復興本部体制があるということで、この体制で連携しながら、一体的に事業を推進してまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 それでは、質問を少し抜きながらやりますので、御留意願います。
 冒頭の質問で職員の被災地への増員体制についてお伺いしました。震災後、増大する業務量に対する具体的な対応策、職員のモチベーション向上、人材育成について、どういう知事のアクションがあったのか、その実績と認識を伺います。
〇達増知事 復興業務の増大に対応するためには、復興事業を担うマンパワーの確保が重要でありますので、全国知事会や国に対する働きかけを行い、平成24年度には、他県応援職員139人の受け入れ、任期付職員88人の採用等により、平成23年度比で202人の職員増員を行うなどの体制整備を図りました。
 こうしたマンパワーの確保を推進するとともに、昨年7月には、部課長研修において、復興業務を進めるに当たっての知事の考えを全職員に伝える機会があったほか、年初めや年度初めにおける知事訓示等を通じて、被災者に寄り添って復興を加速するというミッションの共有を図るなど、職員のモチベーション向上と人材育成に努めております。
 また、他県からの応援職員の紹介や復興の進捗状況等を盛り込んだ広報誌の作成や、各部局が自主的に行う研修などを通じて、職員の自発的なモチベーション向上も図られてきております。
 こうしたことに加えまして、被災地を初め、厳しい環境で勤務する職員のメンタルヘルス事業の拡充を通じ心身の健康維持に努めておりますが、さらに職員の住環境の改善などにも意を配っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 それでは、予算の無駄遣いのチェック体制はどうなっているのでしょうか、お伺いします。
〇小田島総務部長 予算執行のチェック体制でございますが、歳出予算につきましては、最も経済的かつ効率的、効果的に使用するように努めていることとされているところでございまして、その執行に当たりましては、一定額以上の案件について、予算規則上の支出負担行為における総務部長あるいは財政課長への合い議及び会計規則上の出納機関への合い議を行うこととしておりまして、そこで算出根拠等の内容をチェックしております。
 なお、合い議の際には、予算編成後の事情も踏まえて、積算の手法や制度の詳細についても議論しているほか、いわゆる使い切り予算などが発生しないように、効率的な予算執行にも配慮しているところでございます。
〇飯澤匡委員 先日、新聞報道で、県社会福祉協議会に委託した事業、復興予算について報道がありました。この点について無駄遣いはなかったのか、県の認識を問います。
〇千葉副知事 県が県社会福祉協議会に委託いたしました障がい者福祉サービス復興支援事業についてでありますが、本事業は、障がい者に対するサービスが円滑に提供できる体制整備のための事業所支援等を目的として、県内9圏域に復興支援センターを設置し、被災事業者等が復興期において安定した運営ができるようにするために、事業実施したところであります。
 具体的事業内容については、障がい福祉サービス事業所が抱えている課題に対応するため、専門的知識を有するアドバイザーを派遣し、経営基盤の改善、強化を図るとともに、事業所職員の援助技術向上等を支援する研修を行い、人材育成に努めましたほか、県独自の取り組みといたしまして、障がい者の実態調査や障がい者関係団体の意見を踏まえながら、障がい者の災害時の安全避難に資するための災害対応のてびきの作成などを行ったところでございまして、事業目的に沿って執行されたことを所定の手続で完了確認いたしております。
 なお、一部報道で、この事業につきまして復興予算浪費との記事があったところでございますけれども、県民に誤解を与えるような内容が多数含まれておりますことから、早急に県の見解を整理し、速やかに公表したいと考えております。
〇飯澤匡委員 瑕疵はなかったと。この国の事業に沿って執行されたという認識ですね。
〇千葉副知事 そのように考えております。
〇飯澤匡委員 それでは、ちょっと具体的に聞きますが、2012年度予算――平成24年度予算で4億3、100万円の予算がついたのですが、結局使い切れずに1億200万円を返金しているとされております。
 また、いわて復興支援センターについても、この機能不全については本会議や常任委員会でも指摘をされているところでございます。この返金をしている内容について、どのような認識かお伺いします。
〇千葉副知事 今、返金という金額については、済みません、手元にございませんので、ちょっと申し上げますけれども、この事業は、本来的に平成23年度の12月補正で当初は措置させていただいたところでございます。
 当初、平成23年度中に県の中核となりますセンターと、あと四つのブランチのセンターを整備するということで予算措置を講じていただいたところでございますが、実際に人の確保等に取り組んだところ、お願いしていた団体等からの派遣等について、なかなか困難だというようなお話もちょうだいいたしまして、結局、平成23年度中には、その中核となるセンターのみが設置されまして、ブランチにつきましては平成24年度のほうに延ばすということで、2月で減額させていただいて、その分については平成24年度の予算で対応させたという状況にございます。
〇飯澤匡委員 では、ちょっと新聞報道に従って聞きますが、1万6、000人の障害者手帳保持者に対して、その聞き取り調査についても1、000人程度にとどまると。それから、市町村や外部団体との著しい連携の不足が指摘されております。この点についてはいかがでしょうか。
〇千葉副知事 この県の調査におきまして、県が仕様書において対象といたしましたのは、沿岸被災地におきまして応急仮設住宅等に住んでいる障がい者の方を基本に調査するということで、報道にございますような手帳交付者全体を調査するという話は当初から出ていないところでございます。
 基本とすると申しましたのは、そこまでを仕様内容としてお示ししまして、この種福祉施策については全てそうでございますけれども、市町村あるいは障がい者団体とも議論を交わして、どのような調査をやることが一番望ましいかということで最終的に確認しながら進めたわけですが、平成24年の6月段階で、いずれ在宅、具体的には、応急仮設住宅等にお住まいの重度の障がい者を対象に進めるという形で決定して行われたものでございます。
 新聞報道によりますと、障害者手帳関係を持っている全員をやるという議論で一貫しておりまして、その辺につきましては、ちょっと私どもが取り進めてきた仕事の内容とは大幅に異なりますので、その辺については特に申し上げておきたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 事業者向けのチラシを19万部刷ったそうです。それから、本来であれば事業所向けの事業であるはずなのに、一般向けで配布したとされておりますが、これではほとんど意味がなかったのではないかという指摘がありますが、それについてはどのような見解ですか。
〇千葉副知事 その件につきましては、これまでも県議会で御意見も賜ったところでございますが、私ども、特に事業所とかの方々に対する周知であれば、そのようなチラシについてまで必要かということについては、確かにそのような御指摘もごもっともだと思っております。
 しかしながら、今回のこのチラシにつきましては、非常に具体的に、なかなか対象が直ちに特定できないという問題もございます。また、一応県事業の委託でございますけれども、あくまでも県が行う調査だということも広く地域の方々にわかっていただきたい。ともすれば、このような調査がたくさん沿岸にございまして、いろいろな調査が多いということで課題になっていたところがございましたので、あくまでも県が行う調査、ただ、県が直接じゃなくて、岩手県社会福祉協議会に委託して行う調査ということを地域の方々にもわかっていただきたいということで、本来であれば市町村の広報等も使って行うべきだったかもしれませんが、ただ、タイミング的に合わないとかいろいろな問題がございまして、このような方法もとらせていただいたと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 そのどちらが主体的というか、それは問題ではなくて、障がい者の方々にとって有効な事業であるかということが一番の問題であります。結果として、私は、新聞報道が100%正しいかどうかというのもこれから明らかにされると思いますけれども、結果として、障がい者を軽んじた道義的責任というのは免れないと思うんですが、その点についてはどのような見解ですか。
〇千葉副知事 今、委員のおっしゃる軽んじたという意味について、私もちょっと100%理解しているかどうかあれでございますけれども、私どもといたしましては、そもそもこの調査を単独でやりたかったというのは、当初、御説明いたしましたとおり、これは本来、国の補助事業の中では基本的にやるべきことが二つございまして、それに加えて、各県でもし希望があればやっていいという事業の中でこの調査もやったわけです。
 これは、本来、事業所支援がメーンの国の補助事業の中で、事業所支援をするのはいいんですが、ただ、具体的に障がい者の方々のニーズが本当にどこにあるんだということをきちんと把握するためには、事業者側からのアプローチだけではなくて、直接障がい者の方々にもアプローチして、具体的なニーズを把握する必要があるのではないかということで、県独自でこの調査も行ったところでございまして、決してそういう意味で、私どもの立場として、軽んずるという意味で行ったものではございませんので、そこだけは御了解いただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 ちょっとすとんと落ちない部分がありますが、時間がありませんので、この点について指摘だけにとどめておきますが、いずれ復興予算を最大限活用したかどうかという点については、やはり疑問が残るということは指摘をしておきたいと思います。
 項目に上げておりませんでしたが、NPO法人大雪りばぁねっと。についてもお伺いします。
 さきの常任委員会で1億6、000万円余、これは平成25年度分でありますが、これも適用外として山田町に返還要求をする旨の報告がありました。県の指導、監督責任はいかに問われるか、いつまで検証作業を行うか、この点については、我々議会としても非常に関心を持っていかなければならないと思っております。
 質問はしませんけれども、沿岸局が直接当たっていた復命書の報告書などについても、本当に県が山田町と一体となって被災地支援に当たっていたかどうか、その姿勢には甚だ問題点が多いと思っております。これは、県が被災市町村との連携を知る上で非常にその典型例となるのではないかと思いますが、その点についての所感だけを求めたいと思います。
〇千葉副知事 いずれ、今おっしゃったとおり、県と市町村の連携というのは最優先のお話でありまして、この事案についてどうだったかということ、あるいは県と山田町との関係がどうだったのかということについては、この、特に平成23年度について、いろいろと私どもとしても、市町村に対してさらなるアプローチが必要だったのではないか、あるいは山田町からも、県に対して必要なニーズの意思表示があってもよかったのかもしれません。いずれその点については、我々、十分考えていく必要があろうかと思っております。
〇飯澤匡委員 この二つの事案に対する県の対応が適切なものであったかどうか、知事の見解を求めます。
〇達増知事 まずは、それぞれの段階で、それぞれ全く違うものではあるんですけれども、法の理念と制度の趣旨に従って対応したと思っております。
 問題が発覚した後、きちっと状況を把握しながら、関係者と連携をとりながら、鋭意、問題の解決に努めているところと認識しております。
〇飯澤匡委員 震災以降、知事部局の不祥事件数がほぼ倍になっております。内容も極めて質の悪いものが散見されます。知事は、この点についてどのような分析をなされておるかお伺いします。
〇達増知事 不祥事は、これはもう震災ある、なし等にかかわらず、公務員としてはあってはならないことでありますので、個々の職員の資質向上に努めながら、また、組織としての体制充実も図ってまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 6月定例会で人件費の削減、これは一義的に国の一方的な措置でありましたけれども、県は、やはり職員のモチベーション向上に立って、さまざまな情報の提供や、それから、県が今進むべき方向等についてしっかりとアナウンスすべきだったろう、私はこう思っております。
 私は、知事がこれからやろうとしている復興塾というものより、庁内の人材育成、この点についてもっと力を入れるべきだと考えますが、どのような考えですか。
〇達増知事 まず、県職員は、それぞれ入庁したときに、代表の者が誓約を知事に対してしているわけでありまして、日本国憲法以下、法令に従って地方公務員として恥ずかしくないようなことをすると県庁に入った時点でも誓っているわけでありますので、まず、そのとおりやってほしいと思っております。
 そして、不適切事務処理問題を契機に、県職員から意見を上げてもらう機会を設けて、岩手県職員憲章を策定しました。県民本位、能力向上、明朗快活、法令遵守、地域意識、この五つの信条について、あれだけのことがあって、それを踏まえてこういう憲章をつくって、しっかりやっていこうと誓い合ったわけですから、私も含めて、頑張っていこうと改めて職員には言いたいと思います。
〇飯澤匡委員 私の質問趣旨は、その職員憲章は、法的にはあるかもしれませんが、要は、人を動かすわけですから、動かす情熱であるとかミッションであるとか、それはしっかりやるべきではなかったのかというような指摘であります。
 上野副知事退官後、県の組織というのは、今、副知事1人体制になって大変な事務量だと思うんですが、この副知事人事の現状、経過、今の状況がどうなっているか教えていただきたいと思います。
〇達増知事 副知事を含めた幹部職員の選任に当たりましては、適材適所の発想で適切な人選をするよう最大限努力したいと考え、対処しておりまして、個別具体的な人事の準備段階等についての答弁は、差し控えさせていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 上野副知事が任命されるときに、知事から直接電話をいただいて、県の重要案件に鑑み、体制整備が大変だ。したがって、この人事案についても賛成をいただきたいという直接的なお電話がありました。
 今の状況は、これから中期の段階に入っていくに当たり、国との関係、今こそ副知事、国からのそういう助力というものが必要かと思うんですが、ただいまの答弁で、本当に今の岩手県政が、この東日本大震災に向かってやっていけるのでしょうか、その点について再度お伺いします。
〇達増知事 これは、副知事、また幹部のみならず県の人事については、個別具体的な途中経過をつまびらかにすることは差し控えさせていただきたいということはそのとおりでございますので、御理解をいただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 私の質問の趣旨は、要は、全庁的にしっかりとこの震災対応できる体制になっていくのかどうかという、その点に力点を置いて聞いているのでありまして、そういう非常に事務的な答弁というのは、非常にしっくりいかない部分がございます。
 現在の状況、この不祥事案件等が出てくる要因についても、私はしっかりと分析をすべきであろうと。私の見立ては、知事が、復興計画というものを今回、2期目の選挙でこれをマニフェストがわりに立てたのですが、どうも県職員に対して、その理念であるとか、数値目標は立てなくてもいいんですが、こういう方向性で持っていくんだというようなメニューは出したけれども、さっき監査委員がおっしゃったように、スピリットの部分がどうも見えてこない。私は、そこに大きな要因があるのではないかと思うんですが、これが、なかなか効果が上がってこない県政運営上の一つの要因だろうと私は思っているんですが、その認識について知事にお伺いしたいと思います。
〇達増知事 この県の復興計画でありますけれども、策定に当たりましては、県として復興委員会委員をお願いした県内各界の皆さんに、知恵を絞り、また、真剣な議論をしていただいたところではありますけれども、そのたたき台を準備した県職員たちは、取りまとめに当たった担当部局はもとより、それぞれの具体的な復興計画事業、数え方にもよりますけれども、200とか300に上る事業のその一つ一つについて、被災地の実態を踏まえて、全身全霊、絞り出すような形で県職員が必死につくった計画だと思っておりまして、これをみんなで力を合わせて推進していくということに関し、県職員のモチベーションということについて、その制定過程との関係で、特段の問題はあると考えていないところであります。
〇飯澤匡委員 この一連の質問の中で、どうも趣旨を酌み取っていただけないのか、そこら辺がかなり不満ではありますが、現状がそういうことだろうと思っております。
 それでは次、産業振興と育成策について伺います。
 人口流出の歯どめ策としては、産業振興策は不可欠であります。震災後も振興局体制が主体となり施策を展開してまいりました。特に達増県政からは、広域振興局体制が整備されて、広域振興局長という権限もかなり強化されてきたとされておりますが、この被災地の産業復興と新産業の育成、特に後段の新産業の育成について、どのような自己評価をされるのかお伺いします。
〇達増知事 被災地域の産業復興については、仮設店舗整備促進やグループ補助によるハード整備支援から二重債務の買収や有利な制度融資などのソフト支援など、商工業者への総合的な支援を行っております。また、基幹産業である水産加工業に対するトヨタ生産方式によるカイゼンの導入促進や、また、経済同友会の支援も得ながら、起業家育成支援など、単なる復旧にとどまらないさらなる復興を目指した支援をさまざま行っているところであります。
 新産業の育成の取り組みとしては、釜石市の企業を中心としたコバルト合金関連のプロジェクトについて、震災後についても継続して取り組んでおりまして、国内商標登録の実施や製品化が行われております。
 また、震災後に国際研究交流拠点プロジェクトの一環として、三陸海域を再生可能エネルギーの実証フィールドとする取り組みについても進めておりまして、こうした新たな産業の育成、創出に引き続き取り組んでまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 先ほど岩崎委員とのやりとりの中で、産業の育成と雇用について知事の見解が述べられました。私は、あの内陸と被災地沿岸との産業連携というのは不可欠だと思います。その意味づけが、復興道路建設、また促進策にも密接に関係してくると思います。
 県南広域振興局が設立されたときに、これは、旧関東自動車を主体にした自動車産業をてこ入れするんだという明確な目標がありました。現在、宮城県にも新しい工場ができて、トヨタ自動車東日本という会社が設立されております。宮城県との綱引きの中で、どうも岩手県が埋没しているのではないかという懸念と、それから、これからのトヨタ自動車東日本に対してどのような連携策をとるのか。また、前に東芝のフラッシュメモリーの工場が誘致されるのではないかというようなニュースがありましたけれども、これについてのフォローアップ、進捗状況についてはどのようになっているのか、知事に伺います。
〇達増知事 トヨタ自動車東日本との連携強化策については、岩手県自動車関連産業振興アクションプランに基づいて、組織的な連携強化を図るために、ことし4月、専担組織を設置して、担当窓口を明確化し、継続的な信頼関係強化と綿密な情報交換を進めています。
 同社の東北現調化センターによる自動車部品の分解展示商談会を通じた取引拡大や、トヨタ東日本学園への従業員派遣による人材育成など、県内企業の育成支援につながる取り組みを進めているところであります。
 次に、東芝工場誘致についてでありますけれども、東芝においては、四日市工場での次世代NANDフラッシュメモリーの生産に向けた第5製造棟が半分完成し、残り半分についても、ことし8月に着工したところであります。
 本県北上市への工場建設については、着工時期は未定とされていますが、県としては、四日市工場の次を見据えて、インフラ整備、行政手続等の準備を引き続き進め、早期の着工に向けて、東芝と定期的に情報交換を行い、要請を続けているところであります。
〇飯澤匡委員 東芝については、知事は、誰か特定に下命をして、その状況等を探っているというような状況は、現在ありますでしょうか。
〇達増知事 これはもう私自身もさまざま接触しておりますし、また、それぞれの担当のレベルでさまざま接触をしているところであります。
〇飯澤匡委員 これはなかなか物になっていないんですが、その原因は何だと思いますか。
〇達増知事 国際的な半導体市況の情勢だと思います。
〇飯澤匡委員 そのような解釈でございますか。まあ、それはそれで、そういう判断だということで皆さんにも明らかになったと思います。
 それで、先ほど来、沿岸地域の雇用について、ミスマッチという言葉がありました。私は、これから、やはり県の産業育成策、特に新産業については、広域的な観点で、再生エネルギーであるとかというものにもっともっと主体的にかかわっていく必要があると考えております。
 個別的には、再生エネルギーについては、きょうは多分時間がないから触れられませんが、各市町村ごとにさまざまな取り組みがされていて、ニュースでも報道されていますが、それを系統的にまとめていって、将来的には、研究施設であるとか、それから、若い人たちが、やはりこういう新しい産業が我々のふるさとにできるんだ、そういう誇りであるとか自信であるとか、そういうものが地元にさらに夢を託して、知事の言う希望というものに結びつくと思っているんです。
 しかし、岩崎委員とのやりとりの中で、非常に地域に限定的なお金の流れであるとか、そういう答弁を聞いて、私は、県のやることというのはもっとダイナミックにやるべきであると思うし、それから、せっかく三陸創造プロジェクトというものを立ち上げてやっているわけですから、これはもっと戦略的に行う必要があると思うんですが、これがなかなかできていないというのが、私はそういう分析をしております。その点についてどのような所感か、それから、あと残り2年の任期の中で、どのように人を動かし、組織を動かすのか、知事のお考えをお聞きします。
〇達増知事 沿岸広域、さらに津波被災地ということでの広い地域の中での産業振興について、さまざま御質問をいただいたと思います。
 まず、復興という観点からは、沿岸被災地で働きたい、そして、地元で生活していきたいという人たちが、しっかりその希望が実現するようにしていくことが重要でありますし、一方で、豊かな地域資源を掘り起こし、磨き上げ、それを地域の産業の活性化、地域振興につなげていくことが重要であります。
 また、全国的なこの復興への取り組みの中でも、再生可能エネルギーということについては、かなり力が入れられているところであり、近々、私も東京のほうで海洋関係の再生可能エネルギーの現状と展望について英語で講演する機会がございますけれども、釜石市を初め、岩手県のほうにもさまざま外国からの研究者や、またオールジャパンの技術関係者もいらしていただいて、そうした発展の方向性について、地元の皆さんとのすり合わせもしているところだと思います。
 あくまで一人一人の自己実現ということから目をそらさないようにしつつ、全国的、国際的な新しい産業の動きも随時、岩手県沿岸につなげていくように努める、そして、それを個人プレーとかということではなくて、きちんと岩手県の組織として進めていきたいと思います。
〇飯澤匡委員 問題は具体策だと思うんですね。それがなかなか見えてこないというのが、沿岸地域のジレンマであったり、若い人たちが、どうしても生活の糧を求めて他の地域に行かなければならない、そういう要因の一つにもなっていると思います。
 岩手県として、今こそ、逆に、こういう災害があったからこそ、新しい視点で21世紀の部分について、もっと画期的な、夢を描くようなそれを具体化していくという方策をやっていかなければだめだと私は思います。やっています、やっていますじゃなくて、こうやります、ああやりますというような力強いメッセージをこれからは発していかなければだめだと思っております。
 次に、シイタケ産業の再生についてお伺いします。風評被害の現状認識と対応策について伺います。
 岩手産地の復活、再生を今後どのように描いていくのか、方針を示していただきたいと思います。
〇千葉副知事 シイタケ産業の風評被害の現状認識と対策についてでございますけれども、まず、風評被害の現状につきましては、生シイタケは、ことしの8月の市場価格では、おおむね原発事故前の水準に回復しておりますが、干しシイタケは、一部の業者は原発事故前の価格での取引に応じているものの、市場価格は、現在、原発事故前の2割台の水準で低迷しておりまして、風評被害が続いているものと認識しております。
 このため、県といたしましては、生活情報誌等を活用した安全性確保の取り組みや生産に取り組む真摯な生産者の姿の発信、首都圏の料理人等を招いての産地見学会や商談会の開催、また、生産者団体等が消費者に直接PRする取り組みの支援など風評被害対策を進めているところでございまして、加えて、今月下旬には干しシイタケの専門商社を招いての産地交流会を予定しているところでございます。このようなさまざまな取り組みを通じまして、安全・安心に対する岩手の姿勢をアピールし、県産シイタケに対する信頼を取り戻していきたいと考えております。
 続きまして、シイタケ産地の復活再生についてでございますが、産地の再生に向けましては、まずもって出荷制限の解除と、安全・安心なシイタケを生産、出荷するための原木取得から検査までの生産物の生産の全ての過程での安全管理の徹底に加え、簡易ハウス等、新たな栽培方法等の導入の支援など、生産者の生産再開への意欲を喚起することが極めて重要であると考えております。
 出荷制限の解除に向けましては、生産過程での安全管理や出荷時点での検査とあわせ、地域の状況に応じまして、ほとんどの生産者が食品の基準値やほだ木の指標値を超過している地域では、汚染ほだ木の処理とほだ場環境の整備を徹底すること、また、基準値や指標値を超過しない生産者と超過する生産者が混在する地域では、継続した検査による汚染ほだ木の徹底した排除と、落葉層の除去や泥のはね返り防止資材の敷設によりますほだ場環境の整備などを行うことによりまして、できるだけ早く出荷再開できるよう、国と協議を重ねてまいります。
 現在、関係機関、団体と一体となりまして、汚染ほだ木の処理やほだ場環境の整備、生産過程の安全管理の徹底、新たな栽培方法の導入などを進めておりまして、これらの取り組みを進めることで生産者の意欲を喚起し、産地の再生を図っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 この風評被害対策は生半可な対応ではなかなか難しいと思います。これは行政だけでも難しいと思うんですが、いずれ、強力なメッセージを発信しながらアクションを起こしていただきたい。県南地域については、まだ出荷制限もかかっている状況ですし、ただ、これは県南地域だけの問題じゃなくて岩手県産全体の問題――これは全国的にも価格はかなり下落していますので、他の地域の生産地との連携も必要かと思います。これをしっかりやっていただきたいと思います。
 時間が大分なくなってきましたので、次に、地域医療政策について、大項目の2番目について、ちょっと質問を飛ばしますので、留意してお答え願います。
 昨年の医療局決算不認定を受けて、地域医療政策に関してどのような対応策をとったのか示していただきたい。
 それから、この部分の最後の質問ですが、宮城県知事が安倍首相に、東北に新たな医科大学の創設を求めたアクションについて、この評価を知事に求めたいと思います。
〇千葉副知事 私からは、地域医療政策の対応策についてお答えさせていただきたいと思いますが、昨年の医療局決算不認定につきましては、県としてもこれを重く受けとめておりまして、地域医療の確保に向けた取り組みを推進しているところでありますが、現下におけます医師不足など医療をめぐる厳しい環境の中、地域住民の意向も踏まえた形で地域医療を支えていくためには、病院や診療所のそれぞれの持っております特徴や機能を十分に生かせるように、二次保健医療圏内での相互の連携の促進等、ネットワーク化が極めて重要であると考えております。
 このような認識のもと、県におきましては、本年3月に、本県におけます医療機関のネットワーク化や医療と介護の連携など、平成29年度までの医療政策の方向性を定めました保健医療計画を策定したところでございまして、また、医療局におきましても、この計画を踏まえまして、今年度、岩手県立病院等の経営計画(仮称)の策定を進めているところであります。
 今後、これらの計画に基づいた取り組みが地域医療体制の確保に寄与できるよう、市町村、医療関係団体等と連携を図りながら、引き続き医師や看護職員などの医療従事者の確保に努めてまいりますほか、地域連携クリティカルパスの導入などによる医療機関のネットワーク化や、医療と介護が連携した地域包括ケア体制の構築などを進めていく必要があるものと考えております。
 また、本定例会におきまして地域医療確保対策特別委員会から調査結果について報告されておりまして、その中にございます意見、提言、要望等を十分配慮して、地域医療の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇達増知事 村井宮城県知事による医学部新設を求めるアクションについてですが、東北地方の深刻な医師不足の解消を目指す村井宮城県知事の強い思いには敬意を表するものであります。
 医学部新設に当たりましては、中長期的には医師養成数の増加が期待される一方で、短期的には、大学教員の確保のため、指導力のある地域病院の若手、中堅の勤務医が引き抜かれることによる医師不足の助長を懸念する声もありますことから、下村文部科学大臣が10月8日の記者会見において、医学部新設に当たっての課題として示しているように、卒業生が東北地方の医師不足病院に定着することや、また、東北地方の医療人材の引き抜きにならない体制などの条件整備について、関係者間で十分に議論が尽くされる必要があると考えております。
〇飯澤匡委員 私は、アクションを起こした、問題提起をしたというのは非常に敬意を表すべきものだと思っております。アクションを起こすから、その対応について、また具体的な戦略が出てくる。何もしなければ何も起きないということであります。
 それで、新聞報道等、岩手県の担当者の方々はかなり否定的なコメントを出しておるんですが、これは、一概に慎重を飛び越して、かなりこのダメージが懸念されるというようなことが、言葉がひとり歩きをしますと、本県はどのような姿勢なんだというのが問われると思うんですが、これのこれからの対応について、知事自身は真にどういう対応をしていくのか。まず、先ほど述べられた文部科学大臣のお話も含めて、県としての姿勢がこれから問われると思うんですが、それに対して即答を求められた場合は、どのようにお答えになりますか。
〇達増知事 医師の育成は、スタートして成果が出るまでに10年近くかかるもので、平成20年から始めてきた岩手医科大学の定数増による岩手の医師増というのが、平成28年になって現場で活動できる勤務医の増という形になって、3年後にようやく実を結ぶという中で、せっかくお医者さんとして勤務医になれるような人が、さっき言ったように、新しい医学部の先生になって、県立病院で働かないことになってしまってはという問題意識を持っている人が岩手県内には多いのかと思いますので、先ほども申し上げましたように、関係者間で十分に議論が尽くされて、主目的は医師不足の解消ということだと思いますので、それが実現できるように、宮城県とも協力していきたいと思います。
〇飯澤匡委員 ですから、やはり文部科学大臣から求められるんですね、岩手県はどうなんだと。協力できますかというような形でポジティブなお話があったら、知事はやっぱり、関係者間と協議してその上で進めますと言いますか。それじゃ、なかなか迫力が出てこないと思うんですけど。
〇達増知事 岩手にとってこの医師不足の問題というのは、ある意味、最大の課題でありまして、岩手における対策がおろそかになるようなことがあっては、百年に禍根を残すと思いますので、これはやはり慎重に答えさせていただかなければならないと思っております。
〇飯澤匡委員 まあ、見解の相違かと思います。私自身は、いろんな意味でその突破口を見出していくというのが、被災地における今の基本的な姿勢なのではないかと思っているわけです。この件については、またさらに議論を深めてまいりたいと思います。
 最後に、国際リニアコライダーについてですが、今度の10月17日に、LCCのメンバーであるリン・エバンス氏を初め、北上高地を視察するということで、知事も合流して懇談を深めるというような記事もありました。まだ九州では経済界のほうでなかなか納得していない部分があるんですが、リン・エバンス氏もこの立地については関与してきたわけですから、ある程度の強いメッセージが出るように、いろいろな意味で働きかけが必要かと思うんですが、知事はどのように懇談の方向性をする予定なのか、お伺いしたいと思います。
〇達増知事 まず、やらなければならないことは地元として何でもやる覚悟だということはどこかで発言したと記憶しておりますけれども、海外からの研究者の皆さんが快適で安全・安心に暮らしていける環境の整備、具体的には、建設地周辺の道路、上下水道等のインフラの整備や、中央キャンパスを中心とするまちづくり、家族、子弟の受け入れ態勢、医療提供体制などが重要ですので、こうしたことを、今、県庁内のワーキンググループでも検討していますし、関係市や地域住民の皆さんや関係団体とも連携しながら取り組んでいくということを伝えたいと思います。
〇飯澤匡委員 ILCについては科学という切り口が今まで主でしたが、私は、既存の農林業の底上げ、それに付加価値をつけることにも県はもう少し意を注いでほしいと思うんですが、産業振興策、ILCに連携してどのような施策を展開していくつもりなのか、所感を求めて、質問を終わります。
〇達増知事 ILCが建設された場合に、国際科学研究都市が形成されて、多くの外国人研究者やその家族等が居住することになりますが、岩手の豊かな自然環境、農林漁業者との交流、そして安全で、安心でおいしい農林水産物が高く評価されて、その評価が、研究者の皆さんを通じて世界に発信されるようにしていく必要があると思います。
 このようなことから、欧米人の皆さんが好む農林水産物でありますとか、そのような視点から加工品の海外への展開の可能性ということも大きく開かれると思われるわけでありまして、ILCの実現を見据えながら、1次産業における振興施策についても、関係団体等と連携した取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇工藤勝子委員長 次に、郷右近浩委員。
   〔郷右近浩委員質問者席に着く〕
〇郷右近浩委員 希望・みらいフォーラムの郷右近浩でございます。本日は、会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、復旧、復興事業の進捗についてお伺いしてまいりたいと思います。
 平成24年度の決算は、歳入が1兆2、172億円余、歳出が1兆1、072億円余で、決算規模は平成23年度より下回ったものの、復旧、復興事業の実施により、平成23年度に引き続き1兆円を超える大規模な決算となっております。しかしながら、実質収支を見ると、284億円の多額の黒字、繰越額については2、390億円という決算であり、この数字は、予算計上どおりに事業が進捗していないあらわれとも考えられます。特にも震災に係る復旧、復興事業は、被災者が一日も早い事業の完成を期待しているものでありますが、最終予算7、116億円、決算額4、544億円、次年度繰り越し1、939億円、不用額633億円という執行状況の中、復旧、復興事業は復興実施計画どおりに進んでいるのか、県はどのように評価しているのか、まずお伺いいたします。
〇佐々木理事兼復興局副局長 復旧、復興事業の進捗状況についてでありますが、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則のもとで、平成25年度までの第1期復興実施計画期間においては、緊急的な取り組みとともに本格的な復興に向けた基盤づくりを集中的に展開しており、復興実施計画の進捗状況については、まちづくり事業など一部におくれがあるものの、全体として約8割以上が順調に推移していると考えております。
 その一方で、平成24年度においては、入札不調や用地取得の難航による工事着手のおくれなどによる繰り越しや、防潮堤の整備とその背後のまちづくり事業との調整等のため、年度内に事業着手できなかったことなどによる不用額が発生しているところでございます。
 このため、県といたしましては、事業に必要な人材の確保や、事業用地の円滑かつ迅速な確保などにより、復旧、復興事業の早期着工を目指すとともに、被災地の多様なニーズに着実に対応が可能な自由度の高い財源措置を図ることにより、一日も早い復興を実現してまいりたいと考えてございます。
〇郷右近浩委員 御答弁いただきましてありがとうございます。ただ、しかしながら、次年度繰り越し1、939億円、さらには不用額の633億円というこの数字は、本当に復興を待ち望んでいる、これまでの生活に戻りたい、そうした願いを抱いている県民にとっては、やはりちょっと考えづらい。これだけの繰り越しがあるのであれば、何でもっと進まないのだろうと単純に思う、そのような数字であると私自身は思っております。
 しかしながら、現状では繰り越しであったり、また不用というような形での処理ができておりますが、今後、復興についての財源の確保について、私自身、非常に危惧を持っている。そうした点から、今後の復興についての費用と財源の確保の点についてお伺いさせていただきたいと思います。
 まず、政府予算につきましては、民主党政権下で示された平成27年度までの復旧集中期間の財源フレーム19兆円を、政権交代後には25兆円に拡大し、予算ベースでの事業費は今年度までに総額20兆8、000億円が措置されております。ある程度の予算措置と財源確保はなされているように一見見えるのでありますけれども、しかしながら、その実は、内容を精査していくと、極めて不十分であるのではないかと感じるものであります。
 まず、政府の示した集中復興期間の終了までの2年間に確実に見込まれる事業費は国全体で2兆7、000億円に上るとしておりますが、御案内のとおり、資材費の高騰などに起因して事業が膨らむことが予想されておりますし、そもそも平成26年度、27年度に見込まれる2兆7、000億円という数字自体も最低限に見積もったものであります。25兆円の財源フレームから見ても、現在余裕があるのは1兆5、000億円程度に過ぎず、心もとないのが現状ではないでしょうか。
 ここでのさらなる問題は、国が示した財源フレームはあくまで平成27年度までのものであり、岩手県が目指す復興期間とずれが生じていること。特にも、本格復興期から発展期にかけての財源フレームが示されていないことであります。にもかかわらず、政府・与党が復興特別法人税の前倒し廃止を検討していることは、復興に背を向けたものとしか映らないものであります。そもそも復興財源は、国民みんなで後押しするという日本人の持つ支え合い、助け合いの精神に立脚したもので、消費税増税の対応策の中で、その存廃を決めることは極めて違和感があるところであります。復興予算の目的外流用と同時に、国民から怒りの声が上がってくるのは当然のことであると考えます。
 そこででございますが、財源確保について、平成25年度の税収入を見れば、復興特別法人税は9、142億円と、復興税の総枠10兆5、000億円の相当の割合を占める財源であり、平成28年度以降の財源フレームが不透明であることとあわせて、県としては財源の見通しをきちんと示すように国に迫るべきと考えますが、見解をお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 復旧、復興事業に要する財源の確保についてでありますけれども、集中復興期間の復興事業の財源の一部を構成いたしております復興特別法人税が、仮に1年前倒しで廃止される場合にあっては、それに見合う財源が確実に確保される必要があるものと考えております。政府においては、復興特別法人税にかわる復興財源の確保や、被災地の方々の十分な理解を得ること等を前提に年内に結論を出すこととしておりますから、今後の動向を注視していきたいと考えております。
 また、平成28年度以降の復興財源フレームについては現段階で明らかになっていないところでございますけれども、国の復興の基本方針においては、事業の進捗等を踏まえて、復旧、復興事業の規模の見込みと財源について見直しを行った上で、施策のあり方を定めるとの方針が示されているところでございます。
 県といたしましては、東日本大震災津波からの復興のために被災地で必要とされる予算が確実に措置されることが必要という観点から、国に対しまして、集中復興期間後の復興財源フレームについて早期に示すよう求めますとともに、本県の復興が終了するまでの間の復興交付金等の確実な予算措置、地方負担分に対する財源措置の充実、確保、被災者の実情に応じて活用できる自由度の高い地方財源の確保など、復興財源の確保について、引き続き強く要望してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ぜひお願いしたいと思います。
 ところで、予算の中でも、新たに創設した14の震災関連基金は比較的自由度の高いものとして復興事業、特にもソフト事業には有意義なものと認識しております。先ほど、副知事のほうから御答弁がありましたとおり、自由に使えると。まさにそうしたものであると認識しているものであります。しかしながら、この基金も、国の設計上、集中復興期間の最終年度である平成27年度には枯渇するものが多いと考えております。緊急雇用対策関連の基金などを初め、本年度には枯渇も見込まれる基金は、極めて復興に有益な事業の原資となっておりまして、国の震災復興特別交付税による積み増しがないと、今後の事業に支障が出るものと感じておりますが、各種基金の実績と今後の見通し、課題についてお示しいただきたいと思います。
〇小田島総務部長 復興関連基金の平成24年度の実績についてでありますが、東日本大震災津波復興基金270億円、緊急雇用創出事業臨時特例基金215億円を初め、復興関連と分類される14基金から754億円を活用した結果、平成24年度末の残高が2、110億円となっているところでございます。平成25年度予算におきましては、これら基金から855億円の活用を見込んでいるところでありますほか、平成26年度以降におきましても、毎年度一定額の活用を見込んでございます。
 基金についての課題についてでありますが、これらの復興関連基金は、委員御指摘のとおり、その多くが終期の設定がなされてございまして、財源に限りがあるということもございます。
 県といたしましては、基金の終期や残高に配慮しつつ計画的な活用に努めてまいりますほか、所管の省庁に対し、基金の設置期限の延長を要望しているところでございまして、今後とも、引き続き必要な予算が確保できるように国に要望してまいります。
〇郷右近浩委員 今後ともというか、今、御答弁いただいた中では、現状で、これに対してどのような手を打っているのか。こうした結果というのは、震災からの復興が長期間に及ぶと、現状においては、非常にわかりやすいというか、もう、はなから火を見るより明らかな状況であったと私自身は捉えているわけですけれども、そうした中で、これまでどのような形で国に対して働きかけてきたか、この点についてお示しいただきたいと思います。
〇小田島総務部長 さまざまな機会を通じて要望しているところでございますけれども、特に平成25年度末に設置期限が終了する基金は五つございます。例えば、災害廃棄物処理基金ですとか消費者行政活性化基金を初めまして、平成25年度末に設置期限が終了する五つの基金につきましては、平成25年度で処理が完了する災害廃棄物処理基金を除き、所管の省庁に対して、基金の設置期限の延長を要望しているところでありまして、全ての基金について、平成26年度の概算要求において要求がなされているという状況にございます。
〇郷右近浩委員 ぜひ、これからも強く求めていっていただきたいと思います。
 それでは、先に進めさせていただきたいと思います。
 従来の発想を変えた制度をいろいろ考えられないかということを私自身は思っているわけですけれども、東日本大震災の発災以来、岩手県に予算措置された額は、平成24年度の2月議会までで1兆2、707億円、平成25年度の2次補正までで1兆8、000億円に上っておりますけれども、当然、復興事業の進捗状況を踏まえれば、相当の上積みが必要になってくることは容易に想像できます。
 しかし、これまで県は復興全体に必要な予算額は示してまいりませんでした。政府の財源フレームを明らかにさせる意味からも、それぞれの復興期間に合わせて必要な予算の推計を明確にすべきときに来ていると思います。現在明らかにされているものとすれば、県の復興基本計画に基づく事業等については、本県全体の復興費用を8兆円と試算しており、これをもとに精査を進めることで、ある程度の見通しがつくものと考えております。もちろん、この8兆円の試算には、国の制度に基づかないものもあることから、現在の国の復興予算の使い勝手の悪さやさまざまな縛りを見ると、このままでは政府の決めた枠の中での復興を余儀なくされると危惧しております。ぜひ、県としての予算総額の見通しを明確にし、その上で必要な財源確保を国に迫ることが必要であり、また、地域の求める故郷の再生、被災者と被災地の思いを形にできる復興を進めるためにも、自由度の高い補助金制度の創設など、従来の発想を変えた財政システムを構築しなければ復興は遠のくと思いますが、知事の御見解をお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 県では、被災当初、被害の状況や、阪神・淡路大震災の例を参考にして、粗い試算ではありますが、国、県、市町村を含む本県全体として復興費用を8兆円と試算いたしました。国においては、本年1月、平成27年度までの集中復興期間の財源を見直して25兆円程度を確保するとしたところでありますが、その中における本県関係の国の事業費総額は明らかになっておらず、さらに、いまだ平成28年度以降も含む復興全体にわたる国の財源フレームは示されておりません。こうしたことから、現時点で、国、市町村を含めた全体費用を試算することが困難でありますが、復興に要する必要額の全体を明らかにして国に求めていくということは有効と考えており、今後、研究してまいります。
 また、現在の復興交付金制度は災害からの復旧を基本としていますので、地域の実情に即した復興を目指す事業に対応できる柔軟なものとはなっておりません。このため、真に被災者に寄り添い、被災地のニーズに的確に応えるためには、地方みずからの判断と責任により執行できる財政システムの構築など、自由度の高い財源確保が必要と認識しております。
 これまでも、復興交付金の事業対象の拡大や柔軟な制度運用、地域の多様なニーズに対応し得る取り崩し型復興基金の増額措置などを国に要望した結果、被災地域の住宅再建を促進するため、新たに震災復興特別交付税が措置されたりいたしました。
 今後、復興が本格化する中で、被災地の実情に応じたきめ細かな復興施策を展開していくためには、被災地が創意工夫できる自由度の高い財源措置がさらに重要となっていきますので、国に対し、既存の補助金等の枠組みにとらわれない復興交付金の柔軟な運用や、震災復興特別交付税のさらなる増額を引き続き要望してまいります。
〇郷右近浩委員 どうもありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。
 そこでなんですが、もちろん財源の確保は大事なわけでありますし、そのことについては本当に危惧するものでありますけれども、さらに、財源の問題については、岩手県にとどまらず被災各県の共通した懸念だと私自身は認識しております。
 震災から間もなく節目の3年を迎えるこの際、被災3県が一つのまとまりとして一緒になって国に対して政策提言を強力に進めるべきと考えますが、そのためにも、被災自治体がこのような問題について協議し、そして発信する、被災3県知事を中心としたサミット等を開いていくことも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 今回の大震災津波は、本県のみならず、宮城県、福島県など広範な地域に未曾有の被害をもたらし、今後の復興に向けた復興財源や制度の見直し、マンパワーの確保などのさまざまな課題を克服していく上で、本県を含めた被災県などが連携した取り組みを進めていくことが必要と考えております。
 このため、北海道、東北6県と新潟県の各道県知事によって構成される北海道東北地方知事会において、昨年度、東日本大震災からの復興に向けてをテーマに意見交換を行い、知事会として、東日本大震災からの復興、災害に強い国づくりに向けた提言を決議し、国に対して提言を行いました。今年度の北海道東北地方知事会においても、同趣旨の提言を行う準備を進めております。また、被災3県に青森県を加えた4県で定期的に復興担当部長会議を開催し、復興の状況や推進上の課題等について意見交換してきております。これを契機に、被災県共同での国への要望や首都圏での復興フォーラムの開催など、被災県が連携した取り組みを進めております。
 委員御指摘の被災県知事を中心としたサミットの開催の検討も含めまして、引き続き、被災県などが連携した復興の取り組みを積極的に進めていきたいと思います。
〇郷右近浩委員 これまでも、確かに知事会等でさまざまな働きかけを同一歩調で行っているというのはもちろん知っておりました。しかしながら、やはりなかなか住民の目に見えないというか、県民そして国民の目に、そうした働きかけというのが見えないというのも現状であると思います。そうしたときに、例えば被災3県であったり、さらには、それ以外の知事も含めながら、被災地においてサミット等をやっていくということは、県民であり被災者の皆様方が、この地域を知事がどのようにしていこうか、そして、それぞれの被災地の、みんなが考えてくれている、そうした思いを持つことにつながると思いますので、ぜひとも、何とか御検討をしていただきたいと思います。
 次に、県の財政運営についてお伺いしてまいります。
 先ほど来は国の部分の話をさせていただきましたけれども、県の財政運営についてでございます。先ほども述べておりましたけれども、国が示した復旧、復興に係る財源フレームは、あくまで平成27年度までのものでありまして、岩手県が目指す復興期間とずれが生じております。復興を推進する上でも、岩手県の財政運営が極めて重要になってくると思っております。平成24年度末に財源対策を目的とする基金残高が、財政調整基金229億円、県債管理基金433億円、地域振興基金38億円となっておりますけれども、この基金残高全額が県の裁量で執行できるものか、実質的な基金残高はどの程度になっているのかお伺いしたいと思います。
〇小田島総務部長 御指摘の財源対策を目的とする基金残高についてでございますが、平成24年度末で、3基金合計で701億円ございます。この3基金のうち、県債管理基金につきましては、このうち39億円を満期一括償還債の償還財源として積み立てておりますことから、この部分を除きますと662億円、これが3基金の県の裁量で執行可能な基金でございます。
 これら財源対策基金につきましては、平成25年度も165億円の取り崩しに加えまして9月補正で法定積み立てを行うことによりまして、今年度末におきましては、県の裁量で執行可能な基金の残高は640億円となる見込みでございます。
 今後におけるこれら基金の活用に当たりましては、長期的な健全財政に留意しながら、将来においてそれぞれの目的に沿った効果的な活用が図られるように努めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 先ほども飯澤匡委員の質疑の中で、公債費が増大する平成26年度から27年度までには公債管理基金を充てる、そしてしのいでいくといったような御答弁があったと理解しております。しかしながら、そうした中で、この金額が果たして適正なのかどうか。
 先日、公債費の負担適正化計画が策定されましたけれども、平成31年度まで実質公債費比率が18%以上という状態が続く見通しとなっており、平成31年度までの間には、県の復興実施計画の完了が平成30年度まで、そして、国体が平成28年度となっており、県の大型事業が計画されております。
 そうした中で、基金も厳しい、さらには県債の発行も平成25年度程度の維持または抑制という中で、対応可能なのかどうか。そうした観点から、中期財政見通しはどうなっているのかお伺いさせていただきたいと思います。
〇小田島総務部長 公債費負担適正化計画におきましては、まず、現在、東日本大震災津波からの復旧、復興に全力を尽くしているわけでございますが、この県の負担分につきましては、これは県債の発行によるのではございませんで、震災復興特別交付税により財源が措置されることを前提としているものでございます。今回の公債費負担適正化計画により、県債の発行について平成25年度規模で維持または抑制した場合であっても、支障が生じないものと考えているところでございます。
 なお、国におきまして、平成28年度以降の復興財源について明らかにしていないところではありますけれども、県の掲げる復興計画期間であります平成30年度まで国による支援が継続されるように、引き続き要望していく必要があると認識してございます。そういう厳しい状況の中で、こうした要望をまず続けていきたいと考えております。
 それから、平成28年に開催を予定しております第71回国民体育大会につきましては、開催年度に必要となります所要額に備えまして運営基金を計画的に積み立てておりまして、平成24年度残高は38億円余となっているところでございます。今後も、毎年度の財政状況を見ながら基金への積み立てを行うなど、国体等の実施に向けて備えてまいりたいと考えております。
 3点目に、中期財政見通しのお話がございましたので御答弁申し上げたいと思いますが、先ほども御答弁差し上げましたとおりでございますが、来年4月の消費税の引き上げに伴うさまざまな対応、それから、現在、財政制度等審議会で議論されております地方交付税の別枠加算などに係る地方財政措置が不明でございまして、そうした財政状況を踏まえまして、今後、策定作業に入ってまいりたいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 何とかなるというか、一応、ちゃんと備えはしていきながらということでは理解いたしました。
 しかしながら、この厳しい財政状況の中、これから国体、また、県民の期待のかかるILCの建設等の事業が本当に対応可能なのかどうか。本県の財政状況をどのように認識して、今後、どのような財政運営を行っていくのか、知事にお伺いしたいと思います。
〇達増知事 東日本大震災津波からの復旧、復興に今後多額の経費を要することに加えまして、公債費が平成26年度から27年度にかけて1、300億円台に達するなど義務的経費の割合が高まる中で、自主財源に乏しい本県が、県民の暮らしの安定や地域経済の下支えなど一定の行政サービスを継続的に提供していくためには、さらなる歳入確保や徹底した歳出の見直しなど不断の行財政改革を進めるとともに、国における適切な地方財政対策により財源を確保しながら、規律ある財政運営を行っていくことが不可欠であります。
 今後の予算編成においては、委員御指摘の岩手国体やILCなど、県民のニーズに沿った事業について十分配慮しながら、地域の活性化に向けた施策の企画立案を行っていくことが必要と考えておりまして、このため、これまで以上に施策の一層の選択と集中に努め、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を図ってまいります。
〇郷右近浩委員 時間があれなので、進めてまいります。
 次に、広域振興局の評価についてお伺いしたいと思います。
 私は、平成22年度からの4広域振興局体制は、四国4県に匹敵するこの岩手県において、積極的に地域の課題解決や推進を事業化することで、地域の実情に合った行政を行うことができるものと考え、さらに推進していくべきものと捉えておりますけれども、3年目となった平成24年度の広域振興局体制をどのように評価しているのかお伺いさせていただきたいと思います。
〇達増知事 4広域振興局体制は、市町村中心の行政システムの確立、産業振興による地域経済の強化を主眼とし、限られた行財政資源を戦略的に集約、再分配し、各広域振興圏で効果的かつ効率的な施策が展開できる体制として整備したものであります。
 4広域振興局体制移行後においては、各広域振興局長の強いリーダーシップのもと、商工、観光、食産業等の分野において広域的な連携組織が新たに構築され、よりダイナミックで効果的な事業が展開されるなど、地域の特色やニーズを踏まえた施策が行われるようになってまいりました。
 また、東日本大震災津波への対応では、人的資源などについて組織のスケールメリットを生かした一元的な調整が行われましたほか、内陸部の広域振興局から沿岸部の広域振興局や市町村へ迅速な人的支援や物資の供給が可能になるなど、タイムリーな支援を行うことができたと考えております。
 今後も、各広域振興局長のリーダーシップのもと、総合力、機動力を発揮した地域経営を一層強化し、市町村や地域住民の皆さんと連携しながら、各圏域の目指す将来像の実現に向けて取り組んでいく必要があると認識しております。
〇郷右近浩委員 今の御答弁で大体わかったつもりでありますけれども、しかしながら、今の答弁の中にもありましたとおり、答弁を聞いて私がさらに思いますのは、まだまだ広域振興局は窓口業務というか、県の出先機関的な雰囲気ではないかと逆に捉えさせていただいております。といいますのは、ちょっと順序を変えますけれども、県南広域振興局におきまして、平成24年度は首席ILC推進監を兼務する副局長を配置し、誘致のためのさまざまな対応を行ってきたと私自身は認識しております。本年度につきましては、ILC推進担当はすべて本庁での対応になっているなど、これから、建設実現までには、むしろ地域の受け入れ態勢の構築やらアピールとか、そうしたことをやらなければならない。そうした中にあっては、私自身は、むしろ県南広域振興局にILC推進担当部局を、例えば室に格上げするのか、しないのかはともかくとしても、そうしたものを県南広域振興局に置くということのほうが、地元との調整を図りながら、レスポンスよく施策を推進していけるというような思いがあるわけですけれども、そうした中で、私は、4広域振興局体制は今の状態ではちょっと形骸化しており、予算も含めた権限等も含めて全て強化していくべきではないかと感ずるわけでありますが、その点について御答弁いただきたいと思います。
〇中村政策地域部長 県南広域振興局へのILC推進担当の移設といったようなお話を、今頂戴いたしました。現在、県庁内に県南広域振興局を含めて四つのワーキンググループを設置いたしまして、受け入れ準備のための調査、研究を進めるとともに、県南広域振興局を中心とした周辺自治体との情報交換会も定期的に開催して、情報共有に努めてございます。
 今後、ILCの実現に向けては、宮城県でありますとか東北ILC推進協議会等の関係団体と一体的に要望活動等いろんな活動を行なわなければならないという側面、それから、文部科学省が行う調査、検討業務につきましても全面的に県として協力するといったような側面もございますことから、本庁の機能の充実が必要であると考えてございます。
 一方、県南広域振興局におきましても、副局長による出前授業を実施しておりますほか、セミナーへの講師派遣でありますとか、のぼり、ポスター、看板の設置など普及啓発活動につきましても積極的に対応していただいてございます。そういった地域での機運の醸成でありますとか受け入れ環境の整備といったようなことにつきましては、県南広域振興局でも積極的に行っていただいておりますので、本庁の機能の充実とあわせて、県南広域振興局におけるILC推進体制のあり方につきましても、今後検討してまいりたいと思っております。
 それから、広域振興局の権限強化のお話も最後に頂戴いたしました。先ほど知事からもお答えを申し上げましたけれども、現在、各広域振興局におきましては、局長のリーダーシップのもと、地域ニーズを踏まえた特色ある取り組みが行われているのではないかと我々としては考えております。
 具体的には、局長の独自の判断で対処できます地域経営推進費の運用でありますとか、圏域全体の振興を図る一定規模以上の戦略的な事業につきましては、局長が直接予算要求できます広域振興事業といったような活用も行われてございます。
 いずれ、全県的な政策立案、調整でありますとか国との調整等の業務につきましては、引き続き本庁が担っていかなければならない部分といったものはありますことから、今後とも、現場で対応したほうが適当と考えられる業務、権限等につきましては、広域振興局への移管につきまして積極的に検討してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 わかりましたけれども、私自身は、この4広域振興局体制になるといったときに、目指すものは、四国4県に匹敵するこの広い岩手について、やはり現場で、住民の方々の意見であったり、そこでのそれぞれの産業であったり、そうしたものに近いところでいろんな施策を考え、そしてそれを打っていくということで、本当にスピーディーに対応が可能になるのではないかと、そうした期待を持っているものでありましたし、今現在も持っております。ですので、私が感じるだけなのかもしれませんけれども、今の状況だと、出先機関にしかどうも見えない。今現在の広域振興予算一つとっても、それぞれがそれなりにいろいろ考えてやれる動きというのは出てきたとは認識しておりますけれども、しかしながら、全体論としたときに、やはり本庁に判断を仰がなければいけない、常に本庁で全部それを仕切っているといったような感というのは私自身は拭えないものでありますので、それぞれ現場に近いところでやれるようなことも、ぜひとも今後とも考えていただければと要望したいと思います。
 次に、リニアコライダー――ILCの推進担当というのは、たまたまこの部分ということで今はお話しさせていただいたわけでありますけれども、ILCについてお伺いさせていただきたいと思います。
 先日も県内におきまして、吉岡先生、そして増田寛也前知事が講演会を行っております。その中で、教育や病院、そしてコミュニティづくりであったりというさまざまな課題を投げかけておりました。この件につきましては、これまでもこの議会におきましても、平成24年度の際にも、そうしたことをちゃんと検討していくべきではないかといったような話というのはあったと感じておりますし、その中で、まずは誘致だといったような県の体制であったのではないかと私自身は感じておりました。ただ、そうした中では、今、岩手もワーキンググループをつくって対応しているということでありますけれども、順次準備していかなければいけない時期にもう既に来ているのではないかと思っております。
 欧米の科学者の方々も日本での建設を期待されているとされておりますし、まさにその実現が、政府が誘致表明を行うか否かにかかっております。その中で我々ができる準備というのは限られた中で、そうした自分たちの準備を整えるということこそが、まずは本題なのではないかと思っております。この正念場ともいうような時期を迎えまして、今後、県は国に対してどのような働きかけを行っていくのかとあわせて、今後のワーキンググループの進捗、どのように進めていくのかお示しいただければと思います。
〇中村政策地域部長 今後の国への働きかけという御質問でございました。国では、日本学術会議が指摘いたしました事項に対する調査、検討に着手するため、文部科学副大臣を座長といたします省内タスクフォースのもとに、有識者からなります作業部会を設置する方針であると伺ってございます。
 ILCの実現を目指す上で、このような国の取り組みは必要なステップであると考えておりまして、県といたしましては、今後想定されます文部科学省の調査、検討作業に必要な資料提供などに全面的に協力するということと、東北ILC推進協議会や北海道東北地方知事会など関係機関と一体となりまして、政府や超党派国会議員連盟、さらには中央経済界などへの働きかけを強めてまいりたいと考えております。
 それから、庁内に設置いたしましたワーキンググループのお尋ねでございます。これについては、地元として受け入れ準備のためのしっかりした調査、検討を我々としても行っていく必要があるということで、四つの部会を設けまして、場合によってはいろんな有識者からのヒアリング等も含めて具体的に準備いたしまして、国に対して必要な資料提供を行えるように進めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 次に進みます。国体についてお伺いさせていただきたいと思います。
 先日、東京国体の開会式が行われまして、私もスポーツ振興議連の視察団として出席してまいりましたが、2020年オリンピック開催地としての決定直後であり、これまでの国体ではなかったような華やかな演出でありました。
 知事は、本県での国体を新しい岩手型国体としてどのようなコンセプトで実施するのか、さらには、復興のシンボルとなる国体としてどのような国体を想定しているのかお答えいただきたいと思います。
〇達増知事 まず、国体の開催コンセプトについてでありますが、希望郷いわて国体は、東日本大震災津波からの復興を最優先課題として取り組んでいる中での開催となり、復興のシンボルとして、復興の力となる国体を目指し、県民との協働を基本に、県民の総力を結集して開催することとしております。
 これまでの国体は、県、市町村といった行政が主体となって準備を進め、開催しているところでありますが、本県では、先催県の前例にとらわれることなく、できるだけ多くの県民の皆様、企業、団体の皆様の主体的な参画をいただきたいと考えております。
 具体的には、観光分野では、観光協会などによる観光案内所の設置やガイドブックの作成など、民間で行うことが可能あるいは適当な業務については引受先を募集するなど、県民の皆様の創意工夫をいただきながらオール岩手で開催の準備を進め、本番の大会に臨んでいきたいと思います。
 また、県内の各地域で、子供たちやお年寄りの方まで、世代を超えた多くの県民の皆さんが参加して、花いっぱい運動や町の清掃、地域の魅力発信など幅広く県民運動を展開することによって、県を挙げて全国の皆様を心のこもった温かいおもてなしでお迎えし、復興に向かって力強く前進する本県の姿を見ていただくとともに、多くの御支援、御協力に対する感謝の気持ちを十分に伝えていきたいと考えております。
 そして、復興のシンボルとなる国体についてでありますが、東日本大震災津波の発災後、これまで、トップアスリートを初め多くのスポーツ関係者の皆様がたびたび県内の被災地域を訪れて、スポーツを通して県民に元気や希望をいただいており、改めてスポーツの持つ力を感じています。
 平成28年の希望郷いわて国体での全国から訪れる選手の皆さんの熱い戦いと、本県選手団の活躍する姿が、県内各地で復興に取り組んでいる方々に大きな感動を届けるとともに、夢や希望を持って前に進んでいくための大きな力、励みになることを願っています。
 また、大震災津波からの復興に全力で取り組んでいる状況の中で、我が国最大のスポーツの祭典である国体を、県民の総力を結集して、岩手の底力、パワーを最大限に発揮してなし遂げることにより、地域の一体感や、活力、元気を生み出し、大震災津波からの復興、そして復興の先にある希望郷いわての実現につなげていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員長 郷右近浩委員の質疑の途中でございますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
 郷右近浩委員、御了承願います。
   午後2時56分 休 憩
午後3時17分 再開
〇工藤勝子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇郷右近浩委員 休憩前は、知事より、国体のコンセプト、そして、どのような国体を想定しているかということでお答えいただいたところでありましたが、ところでなんですけれども、この開催経費について、この開会式、施設整備費、運営費がどの程度の見込みになるのか、障害者スポーツ大会、そして、今度、冬季大会を開催するということを先日、知事が明言された中で、どのぐらいの経費になるかお伺いしたいと思います。
 あわせて、その財源の確保の見込みについてお伺いしたいと思います。先ほどは、運営資金を平成24年で38億円ほど積み立てるといったようなお話がありましたけれども、この財源確保の見込みが立っているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 国体や全国障害者スポーツ大会の開催経費についてでありますけれども、まず、国体の本大会におきましては、昨年、先催県の例をもとにいたしまして、約113億円と試算したところでございます。
 今後、総合開会式などの式典関係、宿泊の手配、輸送、交通の確保など、開催運営の詳細を詰めていく中で、開催経費につきましてもより精査していくことになりますけれども、不確定要素も多分にありますが、現時点では100億円程度と見込んでいるところでございます。
 また、先催県の例では、全国障害者スポーツ大会に係る開催経費は約20億円、国体の冬季大会については約11億円を見込んでいるところであります。
 次に、財源確保の見込みについてでございますが、現時点で見込まれております主な財源は、国体と全国障害者スポーツ大会の開催に係ります運営費の補助等といたしまして、国や日本体育協会、日本スポーツ振興センターから7億円余、競技施設の施設整備に対する交付金等として国から3億3、000万円余の財源が見込まれ、また、両大会に係ります募金、企業協賛については、それぞれ5億円、計10億円を目標としているところでございます。
 その他の財源につきましては一般財源によることになりますが、先ほど総務部長から御答弁申し上げましたとおり、開催年に集中しないよう、基金に計画的に積み立てていく必要があるものと考えております。
 さらに、財源を確保するため、国や日本体育協会に対しまして、開催経費について主催者として応分の負担をするよう財政支援について要望を行っておりますほか、施設整備に当たりましては、日本スポーツ振興センターが行いますスポーツ振興くじ助成金や競輪やオートレースの振興等を目的といたしました公益財団法人でありますJKAが行う公益事業振興補助事業等を活用し、県及び市町村における負担の軽減を図っていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 何か、私にとっては、この運営資金の平成24年38億円の積み立てというのが、果たしてちょうどいいものなのかどうかといったようなところでは、ちょっと不安はありますけれども、しかし、この岩手県の財政が今本当に大変だといったような中で、ぜひともこちらのほうは計画的に進めていただくようにお願いしたいと思います。
 そこでなんですけれども、岩手県のこの国体の中で、私自身が非常に面食らっているところでもあるのですが、この企業からであったり街頭募金であったりといったような方針を立てられて進められていると認識しております。その中で、企業からの募金についてはある程度進んでいるようなんですけれども、街頭での募金活動も行うといったような、そうした話もあったと思いますが、余り見かけないのではないかと。これ自体は、特にお金をそこで生み出すというよりは、啓発的な意味合いが恐らく強いのではないかと思うんですけれども、寄附金であり協賛金の募集につきましては、計画どおりに進んでいるのか、今後どのように進めていくのか、お示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 募金、企業協賛等についてでございますけれども、募金、企業協賛につきましては、県民、企業、団体等との協働の取り組みの一つとして、それぞれ5億円を目標に取り組んでいるところでございます。
 ことしの8月末現在、募金は、平成25年度までの目標額1億5、000万円に対しまして、件数で3、100件、募金総額約1億300万円、企業協賛は、目標額7、000万円に対しまして、件数で17件、総額で約2、000万円の御協力をそれぞれいただいているところでございますが、さらなる御協力をお願いしていかなければならないと認識してございます。
 現在、大口の募金、企業協賛をお願いしたい企業、団体への訪問要請を県内を中心に行っておりますが、8月1日に準備委員会から実行委員会に組織が改まったことから、一層取り組みを強化していく必要があるものと考えております。
 今後は、年内をめどに訪問要請を一巡させるとともに、決算時期等のタイミングで再要請するなど、積極的に働きかけを行っていくこととしておりますし、また、県内企業の新たな依頼先の掘り起こしを進めますとともに、本県にゆかりのある県外企業にも要請を拡大していきたいと考えております。
 なお、今、御提言ございました街頭での募金等につきましては、今後、計画的にその取り組みについて検討を進めることとしております。
〇郷右近浩委員 先に進ませていただきたいと思います。それでは、公共土木施設のアセットマネジメントについてお伺いさせていただきたいと思います。
 国では、昨年の中央道笹子トンネル事故の発生を受けまして、ことしをメンテナンス元年と位置づけて、社会資本の老朽化対策に本格的に取り組んでいるところであります。本県においては、国に先駆けて、いわて県民計画第2期アクションプランにおいて、社会資本の維持管理として、平成21年度より24年度までに順次計画を策定し、取り組んでいることは評価すべきものと考えておりますが、国の現状と本県のアセットマネジメントへの取り組みはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
 また、あわせてお伺いしたいと思います。橋梁のアセットマネジメントの見直しにつきましては、橋梁の建設当時と現在とでは設計基準が変わっているといったような部分もあると思います。そうした中で、補修等を行っていく上でどのように配慮しているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 アセットマネジメントに対する国の現状と本県の取り組みについてでございますが、国では、社会資本の老朽化が進む中で、国民の命を守る観点から、社会資本の戦略的な維持管理、更新を着実に進めるため、ことし1月21日に国土交通大臣を座長とする社会資本の老朽化対策会議を設置いたしましたほか、6月11日には、政府全体の政策を継続、発展させることを目的といたしまして、社会資本の老朽化対策に関する関係府省庁副大臣級会議を設置したところでございます。
 今後、国としてのインフラ長寿命化基本計画を取りまとめ、これに基づき、国、自治体レベルの全分野にわたりますインフラ長寿命化計画を策定する予定と伺っているところでございます。
 県におきましては、第2期アクションプランの政策項目の中での具体的な取り組み内容といたしまして、維持管理計画に基づく適切な維持管理の推進を掲げておりまして、橋梁や県営住宅などの分野において、限られた予算の中で計画的な維持、修繕を行う長寿命化計画を策定し、アセットマネジメントに取り組んでいるところでございます。
 次に、橋梁のアセットマネジメントの見直しに関連しまして、新しい設計基準への対応についてでございますけれども、県管理の道路橋では、アセットマネジメントの考え方を導入いたしまして、点検によって将来にわたり損傷状態を予想することにより、ライフサイクルコストが最小となるような補修時期の設定など、効率的な維持管理に努めております。
 具体には、橋梁長寿命化修繕計画を策定し、計画的に実施しておりますが、この補修では、現行機能の維持を基本としているところでございます。
 一方、委員御指摘のとおり、道路橋の技術基準につきましては、国において、橋梁技術の進歩等に対応して逐次整備され、また、兵庫県南部地震を初めとする近年の地震に対応しまして、耐震性の向上等の見直しが行われているところでございます。
 こうした中、補修におきましては、最新の基準に基づく塗装材料を用いるなど、可能な範囲で最新の基準を適用しながら、橋梁の長寿命化に努めております。
 また、橋梁の耐震化等、構造そのものにかかわるような新しい基準の対応につきましては、本格的な改良となりますことから、補修とは別に落橋防止装置の設置などの耐震補強工事として、緊急輸送道路や復興道路等を優先して実施しているところでございます。
〇郷右近浩委員 そうした中でありますけれども、先日の豪雨災害であり、台風等、そして、そんなようなアセットマネジメントの策定後の災害等を踏まえまして、やはり見直しをかけていかなければいけない、そのように私自身も思うわけでございますが、それとあわせまして、市町村管理分の公共土木施設の維持管理、更新について、市町村には専門職員が少なく対応が困難であるということも聞いておりますが、県としてどのように考えておりますか。
 また、さらには、東日本大震災津波等により短期間に多くの社会資本が復旧、整備されていくところでありますが、これらのアセットマネジメントへの取り組みはどのようにしていくのかお伺いします。
〇千葉副知事 まず、自然災害に対応する見直しについてでございますが、橋梁のアセットマネジメントにおきましては、5年ごとに橋梁の定期点検を行い、損傷度を把握し、その状況に応じて橋梁長寿命化修繕計画を見直すこととしております。
 また、今般のように、豪雨や台風等が発生した場合には、速やかに現地調査を行い、損傷を受けた橋梁については、災害復旧事業等で復旧することにより、その工事内容を履歴に取り込み、長寿命化修繕計画を見直してまいります。
 今後も、橋梁のアセットマネジメントについては、適切に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、市町村管理の公共土木施設の維持管理、更新の現状についてでありますが、県では、道路や下水道などの分野におきまして、市町村職員を対象といたしました維持管理に関する研修会を開催しておりますほか、アンケート調査等により、市町村が抱えております課題の把握に努めているところでございます。
 市町村では、今、委員からも御指摘ございましたが、社会資本の点検に要する財源や職員の不足等が課題として挙げられておりまして、これらの状況を踏まえ、まず、国におきましては、ことし7月に老朽化対策等に係る自治体からの支援相談窓口を設置いたしましたほか、都道府県道や市町村道を構成する施設のうち、大規模なトンネルや橋梁など国土交通大臣が定める施設等について、国が代行して改築、修繕を可能とする道路法の一部改正をことし9月に施行したところであります。
 県といたしましては、これまで地方の社会資本整備や維持管理に必要な財源確保について国に要望してまいったところでございますが、今後とも、市町村と連携して、さらなる支援措置を国に求めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、東日本大震災津波等からの社会資本の復旧、整備後のアセットマネジメントへの取り組みについてでございますが、県では、水門や防潮堤等の海岸保全施設の復旧、整備や災害公営住宅の建設、まちづくりと一体となった道路整備などに現在取り組んでいるところでありまして、今後、多くの社会資本の維持管理が必要になるものと認識しているところでございます。
 これらの施設につきましては、将来の維持管理費が軽減されるよう配慮しながら整備を進めているところでございます。
 今後のアセットマネジメントにつきましては、復旧、整備の進捗を見ながら、策定済みの長寿命化計画の見直しなどを行い、適切な維持管理、更新に努めていきたいと考えております。特に、沿岸市町村におきましては、県と同様な状況が見込まれますことから、必要に応じて技術的な支援も含めて行っていきたいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 ありがとうございました。時間がないので次に進みます。県立病院についてお伺いさせていただきます。
 昨年度の決算特別委員会の際にも私自身質問しておりましたが、県立病院等事業会計における消費税負担額の影響は、平成24年度決算数字で、地方消費税分の一般会計補填分や診療報酬補填分を差し引いて、推計上ではありますけれども3億7、148万円ほどとなっており、今後、消費税が8%や10%になった場合はどのくらいになるのか、試算をお示しいただきたいと思います。
 また、そのこと自体は恐らくふえていくという中で非常に大変な負担だと思いますが、その負担により県立病院等事業会計の収支見込みはどのようになるのか、あわせてお願いしたいと思います。
〇千葉副知事 県立病院の消費税増税の影響についてでありますが、平成24年度県立病院等事業会計決算におきましては、消費税負担額が18億円余発生しており、これに対しまして、一般会計からの地方消費税相当分の繰り入れが3億円余、過去の消費税に対応した診療報酬の引き上げ等によって補填されたと推計する額が11億円余でありまして、最終的には3億円余の負担が生じているものと推計しております。
 消費税率の引き上げに伴う補填措置については、現時点では不明でございまして、その影響額について正確にお示しすることは困難でございますが、仮に新たな補填措置がないものとして、平成24年度の決算数値をもとに試算いたしますと、最終的な消費税負担額は、消費税率5%において今申し上げましたように3億円余となっておりますものが、消費税率8%の場合は約7億円増加して10億円余、10%の場合には約11億円増加して15億円余となる見込みであると医療局から説明を受けております。
 県立病院等事業会計の収支見込みへの影響についてでありますが、現在策定中の次期経営計画におけます収支見込みにつきましては、消費税率の引き上げ分は全額、診療報酬等で補填するよう、国に対し要望しているところでありまして、その影響はないものとして一応算定しているものと説明を受けております。
 それによりますと、平成26年度は、地方公営企業会計基準の見直しに伴いまして計上が義務化されます退職給付引当金の一括計上等によりまして254億円余の赤字が発生するものの、平成27年度以降は、毎年度10億円台の黒字を計上できるものと見込んでいるところでございます。
 仮に、消費税率の引き上げ分が診療報酬等で補填されない場合は、その分が減益になるなど、収支に与える影響が大きいことがありますので、次期診療報酬改定の状況を注視していく必要があるものと考えております。
〇郷右近浩委員 平成24年度決算において13億円の利益が出て、累積欠損金が若干縮減されたといったような決算報告になっております。そうした中ででありますが、この10億円であったり15億円となった場合、県立病院に対して非常に負担となると思うわけでありますが、この消費税の引き上げに伴う県立病院等の負担等に対して、県は国に対してどのような働きかけを行うか、また改めてお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 国に対する働きかけについてでございますが、本年6月の平成26年度政府予算要望におきまして、仮に消費税率が引き上げられた場合は、増加する消費税負担額について、診療報酬の引き上げにより確実に補填するとともに、今後、現行の制度で推移した場合、医療機関の損税負担が増し、医療提供体制を維持していくことが困難になりますことから、医療に係る消費税制の見直しや手厚い支援を図るよう要望したところであります。
 また、全国自治体病院開設者協議会及び全国自治体病院協議会におきましては、消費税率の引き上げにより医療機関の損税負担が倍増し、医療提供体制を維持することが困難になることから、医療に係る消費税制の取り扱いについて抜本的な改革を図るよう、本年5月に、総務省及び厚生労働省に対しまして要望しているところでございまして、また、本年11月にも、改めて国に要望する予定であると承知しております。
〇郷右近浩委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 では次に、そうした医療を支えるという中では、やはり病院自体も魅力あるものにしていかなければいけない、そのような観点でお伺いさせていただきたいと思います。
 病院整備につきましては、岩手県立病院の新しい経営計画に基づいて行っておりまして、この計画も本年度が最終年度であります。現在、平成26年度を初年度とする次期経営計画の策定作業を進めていると認識しておりますが、中部病院、磐井病院などが地域の中核病院として整備される一方で、胆沢病院等は、産科が医師の確保が困難として休診、縮小、一戸病院では、小児科が常勤医不在により休診、釜石病院では、神経内科が非常勤診療に縮小されるなど、病院によって医師、診療科の偏在も出てきたと感じております。
 県立病院の理念、意義からすれば診療科の偏在は早急に解消すべきであることと考えますが、医師不足の現状を多少理解するとするならば、現在のそれぞれの県立病院の持っている能力を最大限生かし、病院の特色等も伸ばしていくべきであり、例えば、腹腔鏡手術を3名の技術認定医が日常的に行っている胆沢病院であれば、ダヴィンチと呼ばれるような内視鏡手術支援ロボット等の導入を考えてもよいのではないかと考えるものであります。
 県立病院の使命には、すぐれた先端医療を県民に提供することも含まれていると私は考えるとともに、そうした先端医療を行っていくことが、医学生なり、医師に対して魅力をつくっていくものと考えられますが、県のお考えをお伺いいたします。
〇千葉副知事 内視鏡手術支援ロボットの導入についてでございますが、まず、県立病院におけます医療器械の整備につきましては、必要性、緊急性、経済性の観点から総合的に判断して整備しているところでございまして、先進的な医療器械でございます、今、委員から御紹介ありました内視鏡手術支援ロボットの導入につきましても、現在、医療局の医療用設備整備調査委員会において検討中であるものと承知しております。
 その中の議論といたしましては、医療の質の向上等の観点からは当該医療器械の有用性について認識されておりますものの、現在の診療報酬では、対象となる手術が1項目のみでありますことから、費用対効果の見通しが厳しく、限られた医療器械整備予算の中で、他の医療器械との優先性を精査する必要があるというような議論がされているものと承知しているところでございます。今後の診療報酬改定の動向を見据えながら、さらに検討を加えていくものと医療局から聞いております。
 ただ、その場合、現在、このロボットの導入について非常に意欲的でございます胆沢病院の先生方の話も承知しておりますので、その際、優先的に考えられていくものではないかと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇工藤勝子委員長 続きまして、小野共委員。
   〔小野共委員質問者席に着く〕
〇小野共委員 17分という時間をいただきました。総括の質疑をさせていただきます。
 まず、県におきましては、この平成24年度を復興元年と位置づけております。平成24年度の当初予算編成の執行部当局の考えの中でも、東日本大震災の復旧、復興に最優先に取り組むとしているところであります。平成24年度の普通会計の決算の歳出は1兆1、118億円というものでございまして、そのうち震災関連費用が4、544億円ほど、予算全体の4割ほどの予算が震災対応分として使われることになったわけでございますが、予算、そして行政のこれに対する県民の意識であります。
 この3月に行われました復興に関する意識調査というものがあったわけでございますが、県全体の復旧、復興の実感、進捗状況につきまして、おくれている、あるいはややおくれていると答えた県民の皆様が、アンケートを受けた方々の7割ということになっておりました。これに対する、まず知事の率直な感想と、平成24年度の決算に対する総括を聞かせていただきたいと思います。
〇達増知事 県では、平成24年度を復興元年と位置づけて、前年度に引き続き大規模な予算を組み、復興計画に掲げる三つの原則に基づく取り組みを進めてまいりました。防災集団移転促進事業などの面的整備事業が、想定されるほぼ全ての復興まちづくり事業計画地区で事業化されましたほか、県と市町村が建設を予定する災害公営住宅の約4割の事業に着手し、また、被災事業所も、一部再開を含め約8割の事業所で事業が再開しているところであります。
 被災者の皆さんはもとより、県民全体が復興のために立ち上がり、かつてない地元の底力が発揮され、国内外からいただいたさまざまな御支援などのつながりの力と相まって、復興に向けた取り組みが着実に進められてきたことに対し、改めて感謝と敬意を表したいと思います。
 一方、本年3月に行われた復興に関する意識調査によりますと、県全体の復旧、復興の実感について、約7割の県民が、ややおくれている、またはおくれていると感じていると回答しています。
 これは、恒久的な住まいへの移転や防潮堤の整備などにおいて、住民との合意形成や事業用地の確保に時間を要したため事業着手におくれが見られたことにより、被災者の期待に比べ、事業の進捗が十分に見える形で進んでおらず、復興の歩みが実感できないことなども背景となっているものと考えられます。
 このように、当初予定した事業の進捗におくれが見られ、平成24年度決算については、多くの繰り越し及び不用額が生じましたが、第1期復興実施計画における平成24年度目標に対する進捗状況は約8割に達しており、本格復興に向けての基盤づくりを進めることができたと認識しているところであります。
〇小野共委員 県民の7割ほどの皆様がおくれている、ややおくれていると感じていると。私は、この原因は、やっぱり実際におくれているからなんだろうと思います。行政の施策のさまざまなものの中で、教育あるいは医療、福祉、雇用、産業、経済政策、さまざまなものがあるんだろうと思いますけれども、これの総合的なものが、結果として、アンケートにはおくれている、ややおくれているというものにあらわれ、これが、私は直接的あるいは間接的に沿岸部の人口の減少につながっていくんだろうと思っておるところでございます。
 さまざまな数値もあるでしょうけれども、まず、アンケートの結果を真摯に受けとめて、施策を展開していただきたいと思っておるところでございます。
 次に、実質公債費比率の悪化についてお伺いいたしますが、平成24年度の実質公債費比率18.6%ということで起債許可団体となりました。今回、公債費の適正化計画というものをつくったわけでありますが、市場の県債に対する評価の低下を含め、具体的に、岩手県が起債許可団体となったことによってどのようなデメリットが出てくると考えられるのか、これを聞かせていただきたいのと、あと、バブル景気の崩壊以降、景気対策としての意味もありまして発行しておりました地方債の償還の時期が、来年度、再来年度、平成26年度と27年度にピークを迎え、つまり、今後、実質公債費比率の悪化がさらに予想されるということになるわけでございますが、実質公債費比率の3年間の平均が18%を切るのは、公債費の適正化計画によりますと平成32年度ということになっておりますが、適正化計画に記されておりますが、これに対する今後の対応策、そして、今後の県債発行の判断基準を聞かせてください。
〇小田島総務部長 公債費負担適正化計画に関して2点お尋ねがございました。まず、この策定によるデメリットでありますけれども、地方債の発行に当たりましては、今般、総務大臣への協議から許可へという手続に変わったわけでありますが、手続に違いはありますものの、協議、許可、いずれの場合においても、起債が認められる基準は同一でございます。県債発行上の支障があるものとは考えていないところでございます。
 この計画を策定したことによります県債の評価、下がるのではないかというような御懸念がございました。調達コストは市場環境により変動いたしますことから、正確に見通すことは困難でございますけれども、近年、許可団体となった他の自治体の例を見ますと、許可団体になる前となった後においての県債の調達利率に変動は見られないことから、本県においても、計画策定によるデメリットはないものと考えてございまして、主な借り入れ先の金融機関に対しましても計画の説明等を行っておりまして、理解をいただくように努めているところでございます。
 それから、2点目でございます。平成32年度までの計画ですけれども、これに対する今後の対応策と県債発行の判断基準というお尋ねでございます。
 御指摘のとおり、公債費は平成26年度から27年度にかけてピークを迎える見込みでございますが、本県では、公債費の増嵩に備えまして県債管理基金への積み立てを行っており、増加する公債費に対しては、基本的に県債管理基金の取り崩しにより対応することとしておりますほか、歳入の確保あるいはさまざまな行財政改革によりまして財源の確保に努めてまいります。
 それから、今後の県債発行につきましては、公債費負担適正化計画におきまして、当面、平成25年度の発行規模程度を維持または抑制していくこととしておりますことから、具体的な県債の発行の額につきましては、政策の優先度に応じて、交付税措置のある起債の活用を図りながら、毎年度の予算編成において判断していくことといたしているところでございます。
〇小野共委員 去年の決算特別委員会の中でも何人かの委員の皆様から、実質公債費比率の減少と申しますか、下がっているというような指摘がありました。今、答弁を聞きます限り、県債の調達の利率が高くなることはないという答弁でありましたので安心しておるところでございますが、今後の対応策でございますけれども、やはり財政の健全化に努めていくことに尽きるのだろうと思っておるところでございます。
 この9月定例会の一般質問の中で質問されていらっしゃった方がおりました。対応策として人件費の削減も考えておるといったような答弁が当局からありましたが、心配されるのは――嵯峨議員が質問されたそうでございますが――やはり財政健全化の中で震災対応がおろそかにされるのではないかといったようなことが当然心配されるわけでございます。予算も含めてですね。
 その中で、今まで問題となっておりましたマンパワーの不足、人員と人件費の話でございますが、これが果たして大丈夫なんだろうかということが当然懸念されるわけでございます。これにつきまして、当局といたしましてどのように考えているのか、それを聞かせてください。
〇小田島総務部長 職員数の削減等についてのお尋ねでございますが、まず、東日本大震災津波からの復旧、復興に伴いまして、大幅な定員増が現在のところ見込めないことから、全国の都道府県からの職員派遣あるいは退職職員の再雇用、任期付職員の採用などによりまして、災害復旧を担う職員の確保をいたしているところございます。
 震災復興に影響が及ぶような、いわゆる人員削減ということについては、これは決して行ってはいけないと考えておりまして、そこのところは十分留意をしてまいりたいと考えているところでございます。
 職員数につきましては、いわゆる復興関係については別枠で考えてございまして、それを除きますと、平成25年4月では3、900名余になってございますが、これは、今までそういう努力をしてきたということで、今後、さらにどんどん切り込みを入れていくというようなことで今の時点で考えているものではございません。
〇小野共委員 いずれにいたしましても、震災対応あるいは復旧、復興関連の施策に支障のあることのないように、それを申し述べておきたいと思います。復興最優先ということでよろしくお願いいたしたいと思います。
 山田線の話でございます。昨年6月の公共交通確保会議におきましてBRT案がJRから出されてまいりました。昨年6月の段階では、宮古−釜石間、17%ほどでBRT案は専用道を提案してきたものでありますが、今回の提案では、この9月の提案では、46%ほどに専用道の割合をふやしてJRから提案されてきたものでございます。
 去年6月の提案に対しても今回の提案に対しても沿岸4首長は反対しておりまして、御存じのとおりでありますが、JRのほうは、BRT案をもう提案することはないと、2回目にこのコメントを発表いたしております。恐らく、私は3度目のJRからのBRTの提案は、今度こそないだろうと考えております。
 今後の、そしてそれから続く長い硬直状態というものは、沿岸自治体のまちづくりに対して大きく影響するんだろうと。もう既に沿岸自治体のまちづくり、山田線ですので、4自治体のまちづくりの中には既に入っておりますものですから、これが、JRとの硬直状態が長く続けば続く限り、恐らくまちづくりのほうもおくれていくんだろうと思っておるところでございます。
 今後、JRと交渉する上で、今度は、私は、県を含め沿線4首長のほうから、4市町から、費用の問題を含めて、恐らく最も大きい心配事は費用負担のことなんでしょうから、鉄路復旧の問題に関してはある程度のめどが立ったと。210億円の、例の70億円の話ですね。それで、復旧した後の赤字をどのように処理するのかといったようなことが、次の大きな話なんだろうと思っております。
 これに対して、やはり沿岸の自治体から、あるいは県から何らかの対応策あるいは妥協案というものを出さないと、恐らく次の会議は開けない、あるいは会議になっていかないのだろうと思うところでありますが、これについて現在の見解を聞かせていただきたいのと、今後の見通し、それをどのように認識しているのかを聞かせてください。
〇中村政策地域部長 山田線復旧の御質問でございます。委員お話のとおり、いろいろこれまでJRが課題として上げてきてございました、例えば津波からの安全性の確保でありますとか、鉄道復旧とまちづくりとの整合性、それから復旧費用の問題等につきましては、駅の移設など一部に未調整の事項も残ってはございますけれども、おおむね絞られてきているのではないかと考えております。
 委員からお話がありましたが、現在、恐らくJRは、仮に復旧、再開した後に、その鉄道経営が、本当に持続的な経営ができるのかどうかというところを一番懸念されていると我々も交渉の中で認識してございます。
 その一つとしては、今、地元では、再開後の利用促進について地元としてもより主体的にかかわっていくということで、具体的な方策については、利用促進検討会議といったようなものを立ち上げて、それぞれの市町が主体的にどういったことができるのかといったことを今、具体的に詰めてございます。こういったところをできるだけ早急に詰めまして、JR側に提示をしながら、最終的には、我々としては、これはJRの責任で復旧していただくものであろうと考えておりますので、そういった決断を求めてまいりたいと考えてございます。
 その時期というお話もございました。これについては、当然まちづくりへの影響もありますので、我々としては、できるだけ早期に復旧していただきたいということは、これまでも申し上げておりましたし、今後もそういったスタンスで要望活動等を行っていきたいとは思いますが、具体的に今、例えば何月までといったような時期を申し上げることは、申しわけございませんけれども、できない状況でございます。
〇小野共委員 わかりました。いずれにせよ、被災自治体のほうとも十分に連絡、情報交換をとりながら、問題を一つ一つ解決して、あくまでも鉄路復旧に向けて進んでいっていただきたいと思うところでございます。
 続きまして、災害公営住宅の入居についてお伺いしたいんですが、現在、計画では、市町村、そして県営で公営住宅を平成28年度までに6、086戸完成させる予定でございます。これは、ことしの4月の公表のロードマップまで県内の公営住宅の全体戸数でありますが5、972戸というものでございました。そして、現在は平成28年度末ということでございますが、ことしの4月公表のロードマップまでは平成27年度末というものであり、まず、この完成時期がおくれることとなった理由、さまざまなものがあるでしょうけれども、それをどのように認識しておるのか、そして、戸数が400戸ほどですかふえておりますが、そのふえた原因を聞かせていただきたいと思います。
〇千葉副知事 災害公営住宅の完成時期のおくれと戸数増加の要因についてでありますけれども、ことし4月に公表したものと比較いたしまして、現在の復旧、復興ロードマップで完成時期がおくれているものの主な要因といたしましては、用地の確保が難航している団地があること、資機材、労働者の不足が生じていること、土地区画整理事業等の大規模造成区域内での整備となった団地があること等の要因が挙げられるのではないかと思っております。
 また、戸数が増加した要因についてでございますが、各市町村において行っております被災者の意向調査が進みまして、調査の精度が高まってきたこと、あるいは回答を保留しておられた被災者の意向が固まりつつあることなどによるものと考えてございます。
〇小野共委員 済みません、私、数字を間違えましたね。5、600戸だった前回の計画の話をしておりました。5、600戸から6、086戸で400戸ほどふえておりましたので、その原因を聞いたわけでございます。答弁は、今の答弁でしたので結構です。
 結局、やはり自力再建か、あるいは賃貸にするかと迷っておった被災者の皆様が、さまざまな問題が明らかになってくるにつれて、あるいは自力再建の補助が十分ではないという判断をした被災者の皆様が、結局のところ、賃貸の災害公営住宅に入ると判断したんだろうと思っておるところでございます。
 それで、災害公営住宅の払い下げの方針について少しお伺いしたいんですが、当初から災害公営住宅、県営の集合住宅にしても戸建ての住宅にしても、市営あるいは町営の住宅にしても、払い下げがどうのこうのと払い下げの話がありました。譲渡禁止期間と絡めて、その譲渡禁止期間は木造戸建てが5年ですか、そういったものを含めて、公営住宅の払い下げの方針というものをどのようにお考えか。
 自力再建が減って、賃貸の災害公営住宅に移っている方々が多いということが事実としてありますと、当然払い下げの問題というものが出てくると思うんですね。そのあたりの県の方針を聞かせていただきたいと思います。
〇佐々木理事兼復興局副局長 県営住宅の場合は、原則、集合住宅でございまして、払い下げは余り予定されておりません。市町村営住宅の場合は、戸建てでありまして、これについては、将来、市町村営住宅とするよりは、払い下げたほうがよかろうという判断が働いて、原則、市町村営住宅については払い下げを相当考慮しておりますが、県営住宅については、おおむね集合住宅が原則なので、払い下げを考えていないということでございます。
〇小野共委員 現時点で、それでは、戸建ての市町村営の公営住宅を払い下げするという方針を明らかにしている自治体をちょっと聞かせてください。
〇佐々木理事兼復興局副局長 申しわけありませんが、その資料を手元に持ち合わせていないので、後でお知らせしたいと思います。
〇小野共委員 それでは、そこで懸念されるのが、当然、生活再建支援金の加算金の200万円という話になってくるんだろうと思いますけれども、戸建ての災害公営住宅を賃貸されている被災者の方にそれを払い下げする場合に、その生活再建支援金の加算金の利用というのは可能ですか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 可能です。
〇小野共委員 確かに制度上は可能だということになるんでしょうが、それで、具体的にその問題を考えますと、平成28年度に最後の市町村営の災害公営住宅が完了すると。それで、平成28年度に完成した戸建ての住宅に入って、譲渡禁止期間は、木造は5年になりますよね。そうすると終わるのが平成33年ですか。そうすると、生活再建支援金の加算金の申請期間はもう終わっていますよね。その生活再建支援金の加算金の申し出の期間は平成30年までですか。申請の期間がですね。この問題をどう考えますか。
〇佐々木理事兼復興局副局長 これは、先ほどの岩崎委員への答弁とも関連しますけれども、いずれ現行の復旧状況の中では、さらに平成30年度以降も延びるということが相当予定されますので、国の制度についても引き延ばしを要望してまいりますし、県と市町村の加算金についても、これは、できる限り全力を尽くして予算措置して支援していく方向で進めたいと考えております。
〇小野共委員 その方向で検討をお願いしたいと思います。
 あと、災害公営住宅に関しまして、災害公営住宅の場所と戸数、基本的に事前の被災者の皆さんへのアンケートに基づいて決定されているものと認識しております。仮設住宅にしてもそうでありますが、基本的に、仮設あるいは災害公営住宅にしても、まちの中心部にある仮設住宅の希望者が多くて、ほかの、いわゆるまちの周りにある災害住宅の人気が低いという傾向にあります。これは、やはりまちの中心部の仮設あるいは災害公営住宅のほうが便利だということなんだろうと思います。子供の学校がありますし、病院あるいは買い物ができて、仕事場に近いというものが理由なんだろうと思います。
 自治体の災害公営住宅の場所の決定については、そもそも阪神・淡路大震災以降、県でも市でもコミュニティの維持というものが重要視されてきました。私は、当然これはわかるのですが、コミュニティの維持だけではなくて、暮らしやすさ、あるいは便利さにより配慮し、もっと具体的に言えば、これから人気が集中するであろうまちの中心部の災害公営住宅の数をもっとふやすべきなのではないかと思っておるところでございます。
 便利さ、あるいは生活のしやすさということに関しまして、災害公営住宅の場所についてどのように考えているか、それを聞かせていただきたいと思います。
〇千葉副知事 まず、コミュニティ場所についてでありますけれども、基本的にはでございますが、これまで被災者の意向調査結果あるいは市町村の意向を踏まえた上で、必要とされる地域に必要とされる戸数を建設するよう努めるというのが基本原則でやってまいっているところでございます。しかし、今、委員からも御指摘ありますけれども、やはり中心市街地など利便性の高い場所にあっては十分な用地が確保できない場合もございまして、入居を希望される方が多数となった場合に、全ての方にお応えできない可能性もあるところでございます。
 今、視点としておっしゃいました生活のしやすさ、便利性についての配慮という点についてでございますけれども、これは一般的な話になって恐縮でございますが、例えば土地区画整理事業等の区域内に整備されます災害公営住宅につきましては、そのまちづくりの全体計画の中で、それなりの利便性というものは確保されていくのではないかと考えております。
 また、単独で用地を確保しております災害公営住宅につきましても、漁村集落等で建設されるものを除きまして、市街地内または近接する場所で建設するようにしていると考えております。また、必要に応じて商業施設等を併設することも考えておりまして、陸前高田市の高田地区等においては、その具体的な計画も出ているところでございます。
〇小野共委員 特に県の沿岸地域は、被災地でもありますけれども、過去に長い時間をかけまして郡部からまちの中心部、どの自治体もそうでありますけれども、その人口がありました。これは、やはり便利だから、生活しやすいというものが大きな理由なんだろうと思います。
 この震災を機に、そういった人口の移動が私は加速するんだろうと思います。この便利さでありますとか生活のしやすさというものを考慮して場所を考えないと、私は、それぞれの自治体の若い世代の皆様の人口の市外への流出あるいは県外への流出というのは、直接的あるいは間接的にかかわってくるんだろうと思っておるところでございますが、その場所について十分配慮していただきたいと思います。
 最後に、済みません、時間がなくなってしまいました。被災地の土地の値上がりについて当局の認識をお聞きしたいと思いますが、先日、国土交通省から発表された全国の基準地価であります。平成24年度比上昇率全国10位以内に我が県の7カ所が入っておりました。大ケ口あるいは釜石の平田などでございますが、被災しなかったところの土地の価格と被災した土地の価格が、やはりかなり大きい開きを見せておるところでございます。
 県として、被災した土地の値上がりに対してどのような認識でいるのか、そして、どのような対策をとる方針でいるのか、それを聞かせてください。
〇千葉副知事 被災地の土地の値上がりに対する認識及び対応についてでございますけれども、県では、被災地におけます地価動向を把握するため、沿岸南部6市町の19地点について、四半期ごとに短期地価動向調査を行っているところでございます。
 直近の7月1日現在の調査結果におきましては、震災前の平成22年7月と比較した年間変動率は、住宅地でプラス2.6%、商業地でマイナス1.5%となっておりまして、震災後に大きく下落いたしました地価が、移転需要や復興需要の増加によりまして、震災前の価格水準に回復する動きが見られているところだと思っております。
 また、同調査結果におきましては、現時点で、法人による土地の買い占めや短期転売など、投機目的による悪質な取引は確認されていないところでございます。
 今後、広範囲かつ恒常的に地価が上昇し、また、買い占め等の投機的な動きが見受けられた場合におきましては、国土利用計画法に基づく所要の手続を踏まえ、監視区域の指定を検討したいと考えているところでございます。
 当面、引き続き、四半期ごとに短期地価動向調査を行いまして、被災地の地価動向を注視してまいりますとともに、土地を購入しようとする方が適切に判断できるよう、沿岸市町村や岩手県宅地建物取引業協会等の関係機関とも連携し、被災者の皆様に土地の取引価格に関する情報を詳細、正確にお伝えしていきたいと考えているところでございます。
〇小野共委員 終わります。(拍手)
〇工藤勝子委員長 次に、久保孝喜委員。
   〔久保孝喜委員質問者席に着く〕
〇久保孝喜委員 社民党の久保孝喜でございます。
 先ほど来質疑がございますが、被災者生活再建支援について、まずはお尋ねいたします。
 議会にも制度の改善などの要望が届いているところでございますが、国に対する拡充要望と、そして、県の現在の制度において改善を図るべきだと考えられている点をどのように整理されているのか、その認識をまずはお伺いしたいと思います。
〇達増知事 被災者生活再建支援制度全般に関する総論的な意見という御趣旨かと思いましたけれども、被災地の仮設住宅で生活している皆さんの次への恒久的な住宅という中で、大変重要な制度でありますので、この県議会9月定例会中も、多くの質問、また答弁にございますように、被災者の方々が一日も早く自力で持ち家を持つことができるような支援の拡充ということを国にも求めておりますし、県、市町村、力を合わせて進めていきたいと考えております。
〇久保孝喜委員 具体的にこの点だという形で示していただければなおよかったと思うんですが、いずれにしても、この住宅再建にかかわっては、支援制度を拡充することと同時に、建築する際の具体的な住宅の価格そのものをいかに安くしていくかということも一方では重要なポイントだろうと思っておりますが、資材高騰、人手不足あるいは消費税の増税前の駆け込み需要など建築コストを引き上げる要素は多分にあるわけですが、そういう状況の中で、住宅価格の低減に向けた方策を県はどのように考えているでしょうか。
〇達増知事 住宅価格の低減についてでありますが、県としては、被災された方々が家を建てようとする際の選択肢が広がることが、市場における住宅価格の低減につながるものと考えており、低廉な住宅に関する情報や住宅生産者の情報の提供を行っております。
 具体的には、住宅生産者に対し被災者向けの住宅モデルプランを募集し、応募があった34提案について本年4月に公表いたしました。その中で価格が1、000万円前後の低廉戸建て住宅部門についても6提案がありまして、住宅再建相談会等の場で被災者の方々に情報提供を行っています。
 また、住宅生産者を探している被災者の方々には、地域型復興住宅推進協議会に属する工務店等を紹介しています。
 さらに、これまで3回実施した住まいの展示相談会では、出展した住宅生産者の競争を促すことができたものと考えております。
〇久保孝喜委員 住宅価格の低減の問題は、実はかなり本質的な支援策にもつながる話だと思っております。県の建築士協会の皆さん方の資料によりますと、震災前と震災後の住宅価格の沿岸市町村での価格変動の割合というのは、建築単価で言うと坪大体四、五万円高くなっている、こういう認識があるようでございます。例えば、今、災害公営住宅などで言われている20坪程度の家ですと、建築費コストは、結果的に100万円ほど上がっているということになるわけですね。そうすると、県が独自に上乗せの助成として決めた100万円というのも、実は被災者の負担軽減ということにはもちろんなっていますが、その資材高騰なんかの社会情勢の変化の分をいわば出しているにすぎないということに事実上なってしまう。そういう点からいっても、この住宅価格の低減というのは非常に重要だと思っております。
 そこで、災害公営住宅についてですが、先ほど来、質疑の中でもあったように、県が主に建てている集合住宅、中でも、平成24年度は野田村に木造の戸建ての住宅も県として建築いたしました。やがてこれは市町村管理になる、こういうことなわけですが、こうした木造の災害公営住宅を県がやっている分については、建築費の水準というものをどのように考えてつくられたのか、そして、将来こうした市町村の分も含めて建築費の低減ということに対してどのような対策をとっていくのか、この点をお示しいただきたい。
〇千葉副知事 木造の災害公営住宅についてでございますけれども、県が建設いたしました野田村の8戸につきましては、本体工事で1戸当たり1、511万円となっております。民間の住宅の建築費については、規模や仕様により異なるため一概には比較できないわけでございますけれども、平成24年度の住宅着工統計によりますと、岩手県内の一戸建て持ち家の平均工事費は2、084万円となっているところでございます。
 災害公営住宅につきましては、住宅困窮者のための住宅のセーフティーネットであるという趣旨に鑑みまして、基本的な設備や仕様としておりますほか、設計時に建築費を抑える工夫も行っております。
 例えばでございますが、単純な形状として施工を容易にすること、大きな部屋をなくし、はり材を大きくしないこと、柱やなげしなどを見せる和室をなくし、大工の手間のかかる工事を減らすことなど、そういう工夫も行っているところでございます。
〇久保孝喜委員 県が建てた野田村の災害公営住宅ですが、その仕様など細かい点はよくわかりませんけれども、普通、例えば一般に住宅を取得するなりする場合でも、坪単価というのを大体比較の基準にするわけです。ちなみに、県が建てた野田村の2地区があるわけですが、一つは、2軒長屋式木造平屋建て23坪で、これが坪単価65万7、000円、もう一つが20.5坪で68万4、000円。先ほど答弁にもちょっとありましたが、一般的な、標準的な住まいという点でいろんな資料があって、同様に比較はできないわけですけれども、しかし、例えば災害の関係で、東北の住まい再生というこのパンフレットの中には、標準的な建築の場合の実例がシミュレーションされているんです。その際にとっている坪単価は49万5、000円、それから、国土交通省が全国の県別の平均工事費というのを出していますが、これによれば岩手県の平均の坪単価は50万円台、住宅金融支援機構――旧住宅金融公庫ですが、ここが長期固定金利ローンの平均の坪単価が、岩手県の場合、坪54万円です。そうすると、災害公営住宅というのは、先ほど来話があったように、やがて市町村管理になって、そして、やがて払い下げになるかもしれないという住宅なわけです。それを県が建築するということについては、65万円とか68万円という坪単価が、果たして標準的な工事単価だと言えるのでしょうか。なぜこんなに高いのかという疑問にはどうお答えするでしょうか。
〇千葉副知事 野田村の坪単価、工事単価のほうが高いという要因につきましては、例えば、仕様の中で、台所とか風呂などの工事費のかかる部分については、全体面積の大小にかかわらず工事を行うことが必要でございますので、他の全体の面積の中で割高になっていくということはあろうかと思っております。
 また、災害公営住宅につきましては、次世代省エネルギー基準に適合するなど、一定の住宅性能も確保するというようなことが必要でございますので、それらの性能を有しない民間住宅よりも単価が高くなるということもあろうかと思っております。
〇久保孝喜委員 今の答弁を聞いても、それにしても高いと。例えば長屋形式ですから、一戸建てよりは当然のことながら坪単価は下がるはずなんですが、そうでもない。しかも、県が推奨しているといわれる地域型復興住宅には10の建築プランが載っております。それを見ても、この地域型復興住宅として推奨している木造平屋建ての例えばモデルプランでいくと、一番高いものでも坪55万円です。一番安いものでは41万1、000円。ちなみに、この41万1、000円というのは高床構造水害対応の家、木造平屋大屋根式というものです。したがって、県の工事単価がこれほど高いということの説明には、私はちょっと今の答弁では納得がいかないんです。
 なおかつ、ほとんどの市町村で建てている木造の災害公営住宅に復興調査特別委員会でも行きました。見ました。大概、買い取りという形で市町村が取得するということなんですが、この取得をする際の21坪1、400万円と聞いた例があるんです。これなんかは片流れ屋根で、この値段なんです。結局、県の建てているものと坪単価はほぼ一緒なんです。県の坪単価が市町村の建築する災害公営住宅の単価にいわば横並びしているという事態が実は現実としてあるということですから、当然、これは市町村が所有し、あるいは管理する、やがて払い下げになるであろう単価との関係で、非常に大きな問題になるのではないかと。
 ちなみに、市町村の中では、払い下げを見越して具体的なマニュアルを出しているところもあるわけです。大槌町のマニュアルによれば、当然ながら、建築単価から始まって計算がされていくわけです。そして、5年後、建築単価に大体0.7を掛ける、その上で計算されていく、こういう図式で説明をされています。
 さらに、先ほどの質疑で、払い下げする際に、その支援金も延長になるという話ですが、例えばこの大槌町のガイドブックによれば、払い下げの時点では現在の支援制度は一切使えないと明記しているんです。そうすると、県が、国への要望を含めて、これは延長させるんだという見解は持っていても、まだ具体の市町村段階ではこういう形で発信されているという現実があるわけです。建築単価の問題、情報発信の問題、この点はどう考えるでしょうか。
〇千葉副知事 今、委員御指摘のように、ある程度モデル的な理念系の話と、実際に今動いている具体のリアル系といいますか、そこの間で非常に乖離があるのではないかということは、今のお話を承りましても理解するところでございます。御指摘の事実もあろうかと思います。
 ただ、先ほど申しましたような考え方、あるいは災害公営住宅につきましても、将来的に確実に購入していただくということが今時点ではまだ保証されておらないということも一部ございます。したがいまして、将来に向かって公営住宅であることを前提に建てておかなければならないということもありますので、その分についてのコスト増というものをどのように評価するかということもあるのかと思っております。
〇久保孝喜委員 知事にお伺いしたいんですが、こういう住宅再建にかかわっては、結局、先ほど来の指摘もございますが、地域の定住化をどうやって図っていくかという観点が、その背景になきゃならないということです。そうすると、この住宅の価格の問題にしても、あるいはそれに対する支援のあり方にしても、実は、定住化に向けてどういう姿勢を県が持っていくのかというところが根っこになければならないと思うんです。現に沿岸の市町村の中では独自の支援金をかなり厚目にして、家を持ってくださいと。持った上で、ここに住み続けてくださいという話になっているわけです。そういう観点からすると、今やりとりをした県の住宅の標準の単価から比べればめちゃくちゃ高い、そういう設定そのものが、実はそういう背景にある定住化の阻害要因にもなりかねないということを私は思うわけですが、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 先ほど来、副知事から説明しております野田村の県の災害公営住宅と県内の一戸建て持ち家の価格、工事費の比較についてでありますけれども、野田村の県の公営住宅は1戸1、500万円で、岩手県内の一戸建て持ち家の平均工事費が2、000万円ということで、1戸当たりの価格は災害公営住宅のほうが安いと。ただし、この災害公営住宅の平均の面積は、県内の一戸建て持ち家の平均の半分ぐらいの面積で、面積は半分だけれども、工事費は2、000万円に対して大体1、500万円ということなので、ですから、単価という面積当たりの価格は県営の災害公営住宅のほうが高いんですが、コンパクトな土地を探して、そのコンパクトな土地の中にコンパクトに建てるというような必要性もあるのだと思いますけれども、単純に面積当たりの価格で普通の一軒家より安くはならないわけですが、ただ、1戸当たりの価格は安いわけでありまして、これは2、000万円の家を建てるよりも1、500万円が、下取りというのでしょうか、転売される場合には2、000万円よりははるかに安いのでありましょうから、そこは安く取得できると聞いておりました。
〇久保孝喜委員 この問題だけで終わってしまいそうなんですが、例えば県平均といった場合、ハウスメーカー大手9社とか11社とか言われますが、そういうハウスメーカーのいわゆる標準建築費などは、坪単価は今、77万円を超えているそうです。その77万円には、太陽光発電だとか、蓄電池だとか、そういういわゆるオプション的な附帯設備がセットになっているから、そういう値段なのだというわけです。この分がおよそ坪単価上は10万円から15万円ぐらいだと言われているんだそうです。それからしても、実はめちゃくちゃ高いんです。どう考えても、67万円とか68万円とかという単価は、まだまだ低減できる余地もあれば、低減できるという実際の現場のそういう姿が、今、県内にもあるわけですから、そこに向かってやっていくということが、いわば住宅政策、そして定住化政策というところにつながって、極めて重要だということを申し上げたいわけなんです。その点、もう一回御答弁いただきたいと思います。
〇千葉副知事 先ほどから例示に出ております野田村の住宅については、かなり先行的にスタートした意味もございます。ただ、それだと、今、委員から御指摘のあるような形で、実際の民間ベースでの整備状況だとか、あるいは市町村の考え方等も踏まえた場合に、今後どのような形で整備していくのが望ましいのか、その辺は検討する必要もあろうかと思っております。
 先ほどお話がございましたように、最終的にはやはり地域に定住していただく、住んでいただくということを念頭に住宅政策を考えていく必要があると思っておりますので、その辺の視点から改めて考えてみたいと思います。
〇久保孝喜委員 この後、復興まちづくりの問題と公債費負担適正化計画についてもやる予定だったんですが、時間がなかったので、これは部局審査に回したいと思います。
 結局、言いたいのは、復興まちづくりでもそうなんですが、県の役割ということと具体の復興事業ということが、今まで表明されている姿勢が、その具体の事業の中に生かされているのか、貫徹されているのか、ここの点においては、今、実に大きな差が生まれているのではないかという警鐘を私は鳴らしたいわけです。その意味で、具体的な例がこの建築単価の問題だったと受けとめて、今後とも奮闘していただきたいと思います。
 終わります。(拍手)
〇工藤勝子委員長 お諮りいたします。予定は午後5時まででありますけれども、まだ、若干時間がありますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うことにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 ちょっと情報がありますので、しばらくお待ちください。
 御承知のことと存じますが、あす10月16日、台風が本県に接近する予報が出ております。その対応について、この後、世話人会で協議したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時33分 散 会

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