平成25年12月定例会 第13回岩手県議会定例会 会議録

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〇26番(工藤大輔君) 希望・みらいフォーラムの工藤大輔でございます。
 認定第1号平成24年度岩手県一般会計歳入歳出決算について、さきの委員長報告に反対の立場から討論を行います。
 平成24年度一般会計歳入歳出予算は、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る事業を最優先に取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる諸施策を着実に推進するために編成されたいわて復興元年予算であります。最終予算額は、過去最大規模であった前年度に次ぐ1兆4、380億5、082万円余で編成され、歳入決算額が1兆2、172億3、839万円余、歳出決算額は1兆1、072億654万円余でありました。
 今なお非常時にある被災地にあっては、復旧、復興にかける国、県、市町村を大きなよりどころとし、生活の再建や地域経済の再生、防災機能の強化など創造的復興を目指した施策に期待を寄せております。
 震災関連事業では、被災地の安全確保対策として、三陸鉄道災害復旧事業費補助23億5、900万円余等により、三陸鉄道南リアス線が4月3日に盛―吉浜間での運行が再開されました。クウェート国からの震災支援による資金で購入された新型車両が運行されるなど、来年4月に予定されている釜石までの全線運行の再開が待たれています。
 暮らしの再建対策として、被災者住宅再建支援事業費補助により1、703世帯が、生活再建住宅支援事業において、被災住宅補修、宅地復旧、復興住宅新築工事などに合計4、993件の支援が行われ、住環境の整備が進みました。
 なりわいの再生においては、共同利用漁船等復旧支援対策事業で5、439隻が漁業を再開し、水産業経営基盤復旧事業費では6、157台の養殖施設が復旧しました。中小企業等復旧・復興支援事業、いわゆるグループ補助金において、95グループ、1、159者に支援が行われるとともに、中小企業被災資産復旧事業費補助や修繕費補助等の事業により、中小零細企業の事業基盤の再生が進もうとしています。ほかにも復興道路等の整備促進や、漁港や荷さばき場の整備、防災機能を高める防潮堤や避難機能をあわせた施設整備、再生可能エネルギーの導入促進など、多くの課題を抱えながらも着実に事業が進んでおります。
 これらは、国との連携をもとにしながら財源をしっかり確保し、スピード感を持って膨大な事業を執行していくため、今なお不足しているマンパワーの中で、職員が2倍、3倍の業務をこなしながら奮闘し、国や全国からの応援をいただきながら、県民とともに取り組んだ成果であります。
 決算審査の中では、県が社会福祉法人岩手県社会福祉協議会に委託した障がい福祉サービス復興支援事業に関し、事業の効果や事業実施に係る運営上の課題について多くの指摘がありました。
 また、県の補助を受け、山田町が特定非営利活動法人大雪りばぁねっと。に委託した緊急雇用創出事業に関し、同法人の不正な経理や効果不明な事業に多額な費用を消費したこと、さらに御蔵の湯建設に当たって補助制度を超えた違法な建築運営が行われ、結果として事業が打ち切られる事案が発生したことは極めて遺憾であります。
 この問題の本質は、一連の事業の第一の当事者であるNPO法人の事業運営にあり、その手法の解明と責任の所在を明らかにすることが何よりも求められます。
 事業費7億9、141万円余のほとんどを使い切り、140名近くにも上る被災町民に雇用への切実な不安を招いたことは許されるものではありません。補助金を悪用した重大な責任は、今後、司法の場で厳しく追及される状況にありますが、適切な委託管理を行うべき立場にあったのは山田町であります。
  委託相手の身元の確認や過去の事業実績をもとにした当事業の遂行能力の適否の判断において、町の体制が不十分なままだったとはいえ、全幅の信頼を置き、チェック機能が働かないまま事業委託を行い続けたことも要因の一つと言えます。その中で、県は適正な助言をしてきたのか、完了確認など県の直接のかかわりの中で、落ち度や反省すべき点がなかったかが多く問われました。
 それらのことを重く鑑み、附帯意見案には、県の一連の対応について、さきに示された第三者を含めた検証委員会で十分な検証を行い、議会と県民に対する説明責任を果たされたい。また、市町村の主体性を尊重しつつ、県はその事業目的が確実に達成されるよう最大限の注意を払い、必要な支援を行うことを求める。さらに、本事案においては、被災市町村の復旧、復興を支援する中で、山田町の実情に応じた県の対応が不十分であったと言わざるを得ない。県はこのことを反省し、今後、市町村と十分に連携を図りながら施策を進めることによって、県民、市町村からの信頼が回復することを強く望む等の意見を盛り込んだところであります。
 県の行政責任が、NPO法人や山田町を超えるものでない中にあって、決算認定における県議会の判断には、事業全体を広く見渡し、評価すべきは評価し、正すべきは正すとの視点が必要であります。未曽有の大災害からの復興や県政推進にかかわる多くの熱意と努力を評価することを決して忘れてはなりません。そのことも否定したと受け取れる不認定という判断が適当かどうか、いま一度考え直すべきではないでしょうか。
 ここは、県議会として、県行政に必要な意見を付し、議会の総意として真摯に受けとめ、しっかりと対応させていくことが我々の務めでもあり、オール岩手で一日も早い復興と県勢発展を望む県民にとっても、県議会の平成24年度決算認定に当たっての考えが伝わるものと考えます。
 最後に、東日本大震災津波から1、000日を経過した今、あの当時の思いを新たにし、多くの困難に直面する被災地と被災住民の願いに全精力をもって一丸となってともに取り組み、乗り越える組織として、県議会と県当局がここにあるとの判断がこれからも示されることを強く望み、反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、樋下正信君。
   〔41番樋下正信君登壇〕

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