平成25年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党を代表して、議案第13号2013年度岩手県立病院等事業会計予算に反対の討論を行います。
 被災した県立病院はもとより、県立病院の医師、看護師、医療関係者の県民の命と健康を守る献身的な取り組みに、心から敬意を表するものであります。
 また、来年度予算には、被災した県立高田病院、大槌病院、山田病院の用地取得費及び基本実施設計料等の再建整備の予算が14億7、000万円余、県立大東病院の増改築の予算が7億6、000万円余盛り込まれたことは、地域住民と医療関係者の切実な願いに応えるものとして評価するものであります。しかしながら、被災した県立病院の再建整備に当たって見直すべき問題と看護師等の厳しい労働条件など、改善を求めるべき課題が少なくありません。
 県立病院等事業会計予算に反対する第1の理由は、県立高田病院の再建整備の基本方針が、地域住民の願いにも医療関係者の努力にも背を向けるものとなっていることであります。
 県医療局は、高田病院の整備に係る基本的な考え方についてで、救急機能については診療時間内の一次救急を基本とし、診療時間外の救急については大船渡病院等で対応しますとしています。しかし、県立高田病院は仮設病院の現状で二次救急まで対応しています。地域住民も医療関係者も、二次救急まで対応することを当然の課題と考えています。仮設病院の現状でも実施している救急機能を本格的に再建整備した病院で対応しないということでは、何のための再建か、誰のための再建かが問われるものであります。また、救急に対応する高田病院を目指してこそ必要な医師の確保ができるのではないでしょうか。
 救急を全て県立大船渡病院に委ねることは、逆に大船渡病院の負担をふやすことにもなりかねません。県立高田病院の再建整備の基本方針については、仮設病院での実績、地域住民の要望と医療関係者の意向と努力を踏まえて見直すべきであります。
 第2の理由は、基幹病院とともに、地域病院の医師確保にも全力で取り組むべきだということであります。
 現在、県、市町村等による医師確保のための奨学生は226人で、年間55名の奨学生枠を今後も活用するなら平成28年度以降から本格的に医師確保が可能となり、9年後の平成34年度には、国で実施した必要医師数293名を超える300名余の医師が養成される見込みであります。基幹病院とともに地域病院の医師確保に全力で取り組むべきであります。
 第3の理由は、看護師の労働条件の抜本的な改善を図るべきだということであります。
 予算特別委員会の審議でも指摘したように、県立中央病院では、看護師不足から朝5時からの早出勤務、朝7時から仕事をしても昼休みもとれない、いつ医療事故が起きてもおかしくない、いつでもやめる覚悟で働いているという状況であります。看護師の大幅な増員で、安全・安心の医療の確保、働きがいのある労働条件の改善を図るべきであります。ところが、県医療局は、今年度、152名が退職予定にもかかわらず、来年度の採用見込みは142名と10名も削減する計画であります。152名の退職者のうち、実に76名、50%が定年前の普通退職者であります。
 県立中央病院の看護師の年次休暇取得は年間わずか5.7日で、14日以上休みもとれずにただ働きの状態となっております。中央病院全体では約2億円余のただ働き状態であります。中央病院の看護師については14名の増員の答弁がありましたが、4-4の夜勤体制が確保されるようにすべきであります。
 第4に、消費税の10%大増税が県立病院の存立にかかわる大問題であり、消費税増税を許さないあらゆる取り組みを行うべきだということであります。
 これまでの県立病院における消費税の手当てされない負担額は139億7、700万円に及びます。これは、県立病院の累積赤字205億円の68%であります。消費税の負担が県立病院の赤字の最大の原因となっています。もし消費税が8%に増税されるなら、負担額は年間10億円、10%増税なら15億円となることが示されました。消費税の大増税は、県民の暮らしはもとより、県立病院と地域医療を守る上でも許されない悪政であります。知事、医療局長を先頭に、全国自治体病院協議会、医師会等とも協力をして消費税の大増税の中止を求めるべきであります。
 また、安倍首相は、3月15日、TPP交渉への参加を表明しました。TPPは、日米共同声明でも明記されているように、全ての品目を対象とした関税の撤廃とともに、あらゆる非関税障壁の撤廃を目指すものであります。アメリカには公的医療保険がなく、混合診療の解禁とともに薬価の引き上げが求められかねません。事実上、国民皆保険制度が崩されかねないのがTPPであります。弱肉強食のアメリカのルールの押しつけ、一部の多国籍企業が自由にぼろもうけできる仕組みをつくろうとするTPP交渉への参加は、県立病院と地域医療を守る立場からも絶対に許されないものであります。こうした実態と問題点を知事と医療局長は県民に積極的に明らかにすべきであります。また、強力に政府に申し入れることを求めるものであります。
 以上申し上げ、2013年度岩手県立病院等事業会計予算に反対の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第13号平成25年度岩手県立病院等事業会計予算を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、議案第13号平成25年度岩手県立病院等事業会計予算は委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第12号まで、議案第14号から議案第20号まで、議案第25号から議案第28号まで、議案第35号、議案第37号、議案第38号及び議案第90号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第12号まで、議案第14号から議案第20号まで、議案第25号から議案第28号まで、議案第35号、議案第37号、議案第38号及び議案第90号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第54 発議案第8号被災地の早期復旧・復興のために必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める意見書
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第54、発議案第8号被災地の早期復旧・復興のために必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。五日市総務委員長。
   〔総務委員長五日市王君登壇〕
〇総務委員長(五日市王君) 発議案第8号被災地の早期復旧・復興のために必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める意見書につきまして、総務委員会及び商工文教委員会提案でありますので、総務委員長であります私から提案理由の説明を行います。
 本定例会において、請願陳情受理番号第63号被災地の早期復旧・復興のための必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める請願が総務委員会に付託され、また、請願陳情受理番号第64号被災地の早期復旧・復興のための必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める請願が商工文教委員会に付託され、それぞれ採択と決定したことに伴い、意見書を提案するものであります。
 その趣旨を御説明いたしますと、東日本大震災津波がもたらした甚大な被害は、今なお爪跡深く、依然として厳しい状況が続いております。県では、本年度を復興元年と位置づけ、さまざまな復興事業を実施しておりますが、専門技術職を初めとする職員の不足が深刻となっており、復興事業の執行に影響を及ぼすことが強く懸念される状況にあります。
 このような中、来年度政府当初予算案では、地方公務員給与の削減を前提とした地方交付税の減額が盛り込まれており、政府は、平成25年度における地方公務員の給与について、国家公務員の給与減額に準じて必要な措置を講ずるよう要請しております。こうした政府の要請は、地方自治の本旨に反するばかりか、被災地における職員確保に影響を及ぼすことや、地域経済の活性化にはつながらない懸念もあり、復興の加速、デフレ脱却を目指す政府の方針とも矛盾するものであります。
 以上のことから、本意見書案においては、国において、大震災津波からの復興に必要な財源の持続的確保に加え、地域経済の再生のためにも、地方交付税を地方の固有財源として確実に保障することなど、4項目の実現を国に要望しようとするものであります。
 議員各位の御理解と御賛同を賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。
〇議長(佐々木博君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております発議案第8号被災地の早期復旧・復興のために必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める意見書は、委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたします。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第8号被災地の早期復旧・復興のために必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、発議案第8号被災地の早期復旧・復興のために必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
   日程第55 発議案第9号最低賃金改正等に関する意見書及び日程第56 発議案第10号平成25年度岩手県最低賃金改正等に関する意見書
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第55、発議案第9号及び日程第56、発議案第10号を一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。熊谷商工文教委員長。
   〔商工文教委員長熊谷泉君登壇〕
〇商工文教委員長(熊谷泉君) 発議案第9号及び発議案第10号につきまして、商工文教委員会提案でありますので、委員長であります私から提案理由の説明を行います。
 発議案第9号最低賃金改正等に関する意見書及び発議案第10号平成25年度岩手県最低賃金改正等に関する意見書でありますが、これらの発議案は、今期定例会において、請願陳情受理番号第62号平成25年度岩手地方最低賃金改正等についての請願及び請願陳情受理番号第67号2013年度最低賃金引き上げに関する請願が商工文教委員会に付託され、受理番号第62号については採択と決定し、受理番号第67号については一部採択と決定したことに伴い、意見書を提案するものであります。
 その趣旨を御説明いたしますと、本県では、東日本大震災津波からの復旧、復興に懸命に取り組んでいるところでありますが、一定水準の賃金の保障を初めとした雇用環境が確保されなければ、被災者の生活再建も地域の復興も進まないところであります。このような中、政府においては、平成20年の成長力底上げ戦略推進円卓会議において、最低賃金の中長期的な引き上げに向けた基本方向について合意し、また、平成22年の雇用戦略対話第4回会合において数値目標を初めて示しましたが、あるべき水準への引き上げができていない現状にあります。
 最低賃金制度を有効に機能させるためには、賃金水準の大幅な引き上げや中小企業の生産力向上が極めて重要な課題であります。また、本県の地域別最低賃金は、県内勤労者の有効なセーフティネットとして十分に機能しているとは言えない状況であり、事業所に対する指導監督の強化及び最低賃金制度の履行確保についても重要な課題であります。
 以上のことから、これらの意見書案において、最低賃金の引き上げや中小企業に対する支援の拡充等を実現するため、国や関係機関に要望しようとするものであります。
 議員各位の御理解と御賛同を賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。
〇議長(佐々木博君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております各案件は、委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたします。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第9号及び発議案第10号を一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、発議案第9号及び発議案第10号は、原案のとおり可決されました。
   日程第57 発議案第11号一括交付金制度廃止に反対する意見書
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第57、発議案第11号一括交付金制度廃止に反対する意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。高橋但馬君。
   〔20番高橋但馬君登壇〕

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