平成25年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(高田一郎君) 日本共産党を代表して、議案第23号、議案第24号、議案第40号に対し、請願陳情受理番号第60号、受理番号第65号については不採択に、受理番号第67号は一部不採択に対して反対討論を行います。
 議案第23号、議案第40号は、県職員、教職員の管理職の給与の特別調整額を削減する条例であります。
 これまで県職員の皆さんは、通常の仕事に加えて、東日本大震災での復旧、復興で超過勤務を強いられる中で、残業代も満額に支払われない中で献身的に業務に取り組んできました。
 今回の特別調整額、いわゆる管理職手当は昨年に続くものでありますが、職員ごとの年間削減額は、部長級で39万円、副部長級では28万円、総括課長級では13万円となり、その削減される総額は1億3、000万円にもなるものであります。
 今国会には、地方公務員の給与を国家公務員並みに削減するために、地方交付税の削減まで提案されています。民間とそして公務員の賃下げの連鎖による所得の減少を断つことが大事であり、賃下げは地域経済へのマイナス波及効果を招きデフレ不況を拡大するものであります。東日本大震災で献身的に取り組まれている県職員の皆さんの勤労意欲を後退させるものであり、賛成することはできません。
 議案第24号は、県職員の退職手当を大幅に削減する条例であります。
 今回の条例による退職者1人当たりの削減額は、平成25年度末退職者で282万円、平成26年度末では400万円にも上り、その削減総額は、平成25年度で18億6、000万円、平成26年度では25億8、000万円となります。県職員の給与削減は、この間14年間連続となり、既に年間平均で118万円を超える削減がされております。こうした中での退職手当の大幅削減は、老後の生活とそして人生設計に甚大な影響を与えるものであります。
 請願第60号は、生活保護基準の引き下げを行わないよう求める請願であります。
 政府は、新年度予算で生活保護費の大幅削減を打ち出し、毎月の生活費である生活扶助費を3年間で段階的に670億円、期末一時金を含めますと740億円も引き下げを行おうとしております。
 第1に、生活保護世帯の96%に影響を与えるものであり、生活保護制度を根本から否定するものであります。
 生活保護制度は、憲法第25条の生活権の保障の理念に基づき、国が生活に困窮する全ての国民に対して、その困窮度に応じて必要な保護を行い、最低生活を保障するとともに、その自立の保障を目的にしております。ところが、この間の老齢加算の廃止や扶助費の引き下げによって食費を切り詰めなければならない、あるいは葬儀に参加できない中で何を節約していいかわからない、こんな声すら出ています。
 今回の扶助費の算定は、生活保護世帯よりも収入が低い世帯も含まれる一般低所得世帯と比較して算定され、最大で1割削減、子育て世帯において月2万円もの引き下げとなるものであります。生活保護受給者の生活実態から見て、人間らしい生活と言えず、生活保護法を根底から脅かすものであります。
 第2に、政府は、適正化に向けた見直しを行うとして、就労指導、調査権限と監視の拡大、扶養の強要などで受給抑制をするなど、旧生活保護法に逆戻りさせようとしております。現在でも、自家用車があるから、あるいは大震災の義援金などの理由で申請拒否や却下、打ち切りが行われております。
 生活保護が受給できる資格がある中で、受給できる捕捉率は我が国は2割と言われており、先進国では8割から9割になっております。さらなる適正化は、生活保護を利用できず、孤独死や餓死などにつながるものではないでしょうか。
 生活保護世帯の増大は、年金削減や社会保障費の負担増による生活の悪化、非正規雇用など、不安定雇用の拡大と大企業のリストラなどによる貧困問題の深刻化であります。必要な人が受給できる制度への改善とともに、早く抜け出せるような改善こそが今求められております。
 第3に、生活保護の削減は、減額分のゾーンにあった受給者は生活保護が打ち切られるとともに、各種制度に大きな影響を与え、国民生活全体を悪化させるものであります。住民税の非課税限度額は、保護基準を勘案して定めています。しかも、医療費の一部負担減免、介護及び障がい者サービス、国民年金保険料免除、保育所保育料、就学援助など、各種制度も生活保護基準見直しで新たな負担や減免停止が行われ、最低賃金の引き下げも懸念をされます。
 生活保護基準はナショナルミニマムのかなめとしての役割を果たしており、国民生活全体を悪化させるものであります。
 請願陳情第65号、住民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能を充実する請願は、道州制や国の出先機関の廃止などによる地方分権改革ではなくて、一層の公務・公共体制の充実を求める請願であります。
 政府が進める地域主権改革は、国の出先機関の原則廃止、道州制の導入、義務付け・枠付けの見直しなどの検討を行っており、これを具体化するために地方分権改革推進本部を今月立ち上げました。
 小さな政府、公務員の総人件費2割削減、国の出先機関の廃止などの議論は、消費税増税を初めとした国民負担の露払いにさせようとする狙いにあります。
 道州制は、軍事、外交、司法などに限定し、憲法にうたわれた社会保障、教育など、基本的な権利を守る国の責任を投げ捨てるものであり、この方向は小泉構造改革路線で衰退した地方を一層疲弊させるものでしかありません。被災者の生活再建、なりわいの再生にとっても公務労働の役割が大きくなっており、出先機関と被災自治体が連携することが大変大事になっています。
 大規模な自然災害が起きている中で、国民の命を守り、暮らしの安全を保障する国の責任と役割を発揮する必要があります。今、政府が進める地方分権改革は、これに逆行するものではないでしょうか。
 住民自治を後退させ、地方自治を一層衰退させるような道州制や分権改革ではなくて、小規模市町村を含む身近な市町村行政を維持、強化するとともに、規模の大きな自治体では行政区や旧市町村の自治機能を持つ機構にする、そして何よりも削減をされた地方交付税の回復など、真に地方分権にふさわしいものにすべきであります。
 最後に、請願陳情第67号、最低賃金の引き上げに関する請願であります。
 委員会審査では、最低賃金の引き上げ、最低賃金を根絶するための労働基準監督官を増員して監督行政の強化など5項目が採択され、全国一律最低賃金の確立、最低賃金の労働者委員の公正な選出、最低賃金が年1、800時間の労働をもって生活保護基準を下回らない水準にするなど、5項目が不採択とされました。
 最低賃金の引き上げ改善は、内需を喚起してデフレ不況を克服する最も重要な施策であります。1995年と2011年との対比した賃金の国際水準比較では、欧米は134%から186%と年々引き上げられているにもかかわらず、我が国は89%と異常な国になっています。先進国でも我が国だけが賃下げという世界の流れに逆行するだけに、最低賃金の引き上げを確実に実現するためにも、全ての項目こその採択が必要であります。
 以上が反対する理由であります。御清聴ありがとうございました。
〇議長(佐々木博君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第67号2013年度最低賃金引き上げに関する請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第67号2013年度最低賃金引き上げに関する請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第62号及び受理番号第64号を一括して採決いたします。
 各請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第62号及び受理番号第64号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第63号被災地の早期復旧・復興のための必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第63号被災地の早期復旧・復興のための必要な地方財政の確立と事業執行体制の安定的な確保を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第24号職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、議案第24号職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第60号及び受理番号第65号を一括して採決いたします。
 各請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第60号及び受理番号第65号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第23号及び議案第40号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、議案第23号及び議案第40号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第68号及び受理番号第69号を一括して採決いたします。
 各請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第68号及び受理番号第69号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第21号、議案第22号、議案第29号から議案第34号まで、議案第36号、議案第39号、議案第41号から議案第45号まで、議案第89号、議案第91号、発議案第6号及び議案第93号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立全員であります。よって、議案第21号、議案第22号、議案第29号から議案第34号まで、議案第36号、議案第39号、議案第41号から議案第45号まで、議案第89号、議案第91号、発議案第6号及び議案第93号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第25 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第25、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
各委員会の閉会中の継続審査及び継続調査事件
1 継続審査
 総務委員会
  請願陳情受理番号第66号 被災ローンの法整備を求める請願
 環境福祉委員会
  請願陳情受理番号第61号 県立高田病院の充実を求める請願
 県土整備委員会
  請願陳情受理番号第57号 主要地方道紫波江繋線のうち自然保護指定地域の区間を遊歩道とすることについての請願
2 継続調査
 総務委員会   ・沿岸地域の鉄道の復旧について
         ・広域防災拠点構想について
 環境福祉委員会 ・地方公営企業の会計制度の見直しについて
 商工文教委員会 ・自動車産業振興施策について
 農林水産委員会 ・農林水産業の復旧・復興への取組状況について
 県土整備委員会 ・災害公営住宅の業者選定について
〇議長(佐々木博君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、各委員長からお手元に配付いたしてあるとおり、それぞれ申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木博君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   日程第26 議案第1号平成25年度岩手県一般会計予算から日程第53 議案第90号岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部を改正する条例まで
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第26、議案第1号から日程第53、議案第90号までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。高橋予算特別委員長。
   〔予算特別委員長高橋元君登壇〕

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