平成25年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(神崎浩之君) 自由民主クラブの神崎浩之です。
 本日、最後の登壇者でございます。一問一答でございますのでゴールは決まっております。あと、69分おつき合いをいただきたいと思います。
 県議会議員となりまして2回目の一般質問の機会をいただきました。先輩それから同僚議員に感謝を申し上げ、岩手が幸せになれるよう、そのためには、津波被害も放射能被害からも再生できますようにと願いまして、知事に対し、世界のことから日本のこと、岩手のこと、個別には障がい者、不登校の児童生徒のことについてただしてまいります。
 県議会の一般質問の場というのは、個人としては1年に1回くらいあるかどうか、議員活動の節目の集大成の機会であると認識しております。県政全般にわたる発言の場であり、議員は、日々の調査活動から、住民の皆様の重大な関心事を直接知事に質問し、知事から直接説明を、そして考えを聞く機会であります。県の執行部も責任の持てる答弁をするため、万全の準備を整える、意義は大きいものと感じております。
 今回の質問に際しては、農林水産省それから陸前高田市、大船渡市に足を運んで、地域の声からの質問であります。知事には、明快な答弁をお願いいたします。
 質問は大きく八つの項目であります。
 それでは、一つ目の自公政権における知事の政治姿勢についてであります。
 まず、アルジェリアの件について。
 1月16日、アルジェリアにおいて8カ国、合わせて37名が死亡。うち、日本人10名が亡くなるという痛ましい事件がありました。その中のお一人は、一関工業高等専門学校を卒業されました岩手にもゆかりのある方でした。心から哀悼の気持ちをあらわします。
 そもそも、この遠く離れたアルジェリアでの日本からのプラント建設は、実は1969年から、昭和44年ぐらいから行っており、私は1961年生まれでありますので、ほとんど私が生まれたあたりから遠い地で活躍をされたんだなと思っております。
 アルジェリアの日本人に対する評価は、現地でエンジニアを雇いそして教育していたため、現地での信頼は厚かったと言われております。日の丸を背負い、企業戦士として世界で活躍され、日本人の誇りであると思っております。日本政府は、この人質の生命を尊重した救出活動優先と要請をいたしましたが、テロリストとの交渉はしないというアルジェリア政府の強硬な対応によりまして、多くの犠牲者が出ました。
 知事は、国会議員に当選する前には外交官というお立場にありました。政府のこの出来事における一連の対応について、外交官経験者としてどのようなお考えを持っているか、達増知事自身の率直な御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、今の政府・与党に対する知事のスタンスであります。
 達増知事は、多くの県民の認識として、小沢一郎代議士との関係が深く、したがって、今の政府・与党とは距離を置いてきたと感じていると思われます。
 昨年末、政界の構図が大きく変わったことを受けて、岩手県130万人の命と1万5、000平方キロメートルの県土の財産を守る立場として、政府・与党に対しどのようなスタンスに立って県政運営を行うか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、大きな三つ目といたしまして、知事演述から4項目をお聞きいたします。
 一つ目は、日本の再生ということで、2月定例会開会日に、知事の平成25年度の県政の運営方針となる知事演述をお聞きいたしました。率直な感想といたしましては、余りにも総花的で具体性に欠け、言葉ばかりが先行し、復興加速予算と命名した割には実現性は乏しく、また、理解しづらい表現を多用され、実に大上段に立った姿勢もあったと感じられました。少し言葉が過ぎているかもしれませんが、以下、具体的にお聞きいたします。
 知事演述の冒頭において、復興を通じて、日本のあるべき姿を岩手において実現し、日本の再生に貢献することができればと思いますとしております。
 日本の再生に貢献とは、随分、大上段に構えた表現であると感じましたが、この日本の再生というからには、今の日本には足りない何かがあるとの認識が前提であると考えられますが、知事は、この今の日本には何が足りないと考え、そして知事が考える日本のあるべき姿とは何なのか、また、日本の再生に貢献するという大それたことが本当に可能であるのか、知事の御所見を伺います。
 続きまして、日本再生の先駆けと大上段に構えていらっしゃいますが、今回の大震災は余りにも大きな被害であったため、その復興への考え方は、これは国も行政も住民も、誰もが単なるもとどおりにする復旧ではなく、以前よりもっとよくする復興だと声高に宣言をしておりました。しかし、現場の市長や役所の職員に聞けば、学校や公民館の建てかえなどの社会資本の再建に欠かせない国庫補助の対象は、現状の復帰が基本となっております。このままでは、以前よりよいものどころか、原状復帰以下になるのではないか心配だと、市長や職員、住民の皆さんから言われてまいりました。そんな悲痛な叫びを聞いた後に、知事は演述で、岩手の復興を日本再生の先駆けと題して、岩手での取り組みが日本全体の問題解決にもつながっていく、また、新たな発想のもと、世界に誇る新しい地域の創造を目指す取り組みについて、具体化を図ってまいりますと話されておりました。
 まず、知事は、このような被災地の現場での実情をどのように認識しているか、お尋ねいたします。その上で、知事が言う新たな発想、それから世界に誇る新しい地域の創造とは、具体的にどのようなことを想定しているのか、そこから何をもって日本再生の先駆けを実現できると考えていらっしゃるのか、御所見を伺います。
 次に、産業廃棄物の広域処理について、知事演述では、平成26年3月末の処理期限に向けて、可能な限り復興資材などに再生利用を図りながら、県内や広域での処理を着実に推進するとしておりました。
 喫緊の課題である災害廃棄物をめぐり、先ごろ新潟県知事の発言について、岩手県知事としてどう受けとめているかの代表質問の答弁で、国に対し、災害廃棄物処理の安全性の確保を国の責任に求めていたものというような答弁がありまして、まるで新潟県知事を擁護するような、被災地の大槌町の傷ついた立場ではなく、新潟県知事の立場に立った発言と、私は恐ろしい印象を持ったのであります。
 先ほど岩崎議員とのやりとりも聞いておりましたが、再度確認させていただきますが、岩手県知事としてどっちの立場に立っているのか。新潟県知事の立場、それから岩手県の立場に立っているのか、確認をさせていただきます。
 最後に、知事演述の四つ目でありますが、平泉の日の制定について。
 知事は、演述のむすびとして、今岩手で行われている取り組みは、人と人との共生、人と自然との共生という理念のもと、戦乱により荒廃したふるさとの復興をなし遂げた平泉精神に相通じるものではないでしょうかと結んでおりました。
 現在、一関地方において、一関商工会議所が旗を振りまして、県南の商工会、盛岡の商工会に働きかけ、この一連の復興への取り組みを加速させるためにも、平泉の日を制定しようという機運が生まれております。趣旨は同じように思われますが、この平泉の日制定について知事の御所見を伺ってまいります。
 続きまして、大きい三つ目の知事の道州制の考え方についてお聞きいたします。
 ちょっと前までは、特に増田知事の時代は、道州制という言葉をよく耳にいたしました。最近は、日本中が大震災や原発対応、TPP、外交、防衛などさまざまな課題が山積みであったこともあり、ここ最近、道州制は聞かなくなったのであります。しかし、昨年からまた動き出してきた感があります。
 自民党が昨年9月に道州制基本法案をまとめ、今、提出の準備に動いているようであります。私は、現段階で道州制は疑問に思っているのでありますが、自民党に問い合わせたところ、基本法は、道州制を導入するためのものではなく、道州制とはどういうものか、メリットは何か、デメリットは何かを、国民会議を設置し議論していただくための基本法案であるとの説明でありました。県として、道州制のメリット、デメリットについてどう考えているのか、過去における県のスタンスも含め、当局の御所見をお伺いいたします。あわせて、道州制に関する達増知事自身のスタンスについてもお聞きいたします。
 次に、大きい質問の四つ目であります。
 復興課題への対応ということで、大震災復興特例という言葉を知事は使っておりました。知事演述では、国には、対症療法的な措置ではなく、日本全体の将来を見据えた国家プロジェクトそして復興に取り組み、その中で地方がより自由に使える財源措置、行政手続を抜本的に簡素化する大震災復興特例とも言える施策を講じることが望まれますとおっしゃっております。自由に使える財源や行政手続の抜本的な簡素化として、具体的にどのようなものが考えられ、また、実際に具現化しそうなものがあるのか、当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、被災地への職員派遣の確保の心配と派遣職員の環境整備についてであります。
 知事演述では、復興まちづくりに向けた事業が本格化する中、技術職員の不足は明らかであり、総務省の派遣スキーム等に基づき職員派遣要請を継続し、職員が安心して業務に取り組めるよう環境整備やケアにも努めますとあります。
 私は、ここ12月、1月、2月と大船渡市、陸前高田市を訪問しております。その中で、高台移転や駅周辺部のかさ上げでは、新たなまちづくりの絵は書けていましたが、移転する被災者にも、また受け入れる土地所有者にも、一人一人の交渉はこれからだとの説明を受けてまいりました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 津波で家を失い、その土地がかさ上げの対象となる方の場合、実際、かさ上げが完成した場合、その後はそこに住むのか、また、かさ上げをされても心配でさらに高台に移るのかといった、本人の意思はまだ確認していない段階とのことでありました。今後、さらに土地の金額等の具体的なことが明らかになるにつけ、交渉はより複雑、困難になることが懸念されるところであります。改めて、膨大な時間とエネルギー、つまり、人が必要であると感じました。
 また、県内、県外から派遣をいただいている職員は、大変な御労苦があると推察をしております。私も心理の専門家として、ことしになって県外からの職員派遣について、復興大臣や副大臣、復興局長に対してお願いをしたところでありますが、受け入れの環境整備についても、送り出し側の派遣にもやはりちょっとひねりを入れてと提言をしております。
 市町村が求める人材は本当に確保されるのかにつきましては、同僚議員の答弁を受けて、答弁は要りません。私は、受け入れのための環境整備についてにつき、どのような対応状況か、応援職員の当局の御所見をお伺いいたします。
 三つ目として、JR大船渡線の復興についてであります。
 大船渡線の復興は、高齢者、学生、交通弱者、それから観光の対応のみならず、大船渡市や陸前高田市のまちづくりのデザインにも大いに関係し、また、国道45号とあわせ、かさ上げによる防災面でも、また、南リアス線の復興もめどが立ち、我が三陸鉄道の応援のためにもこれは必要不可欠だと考えております。知事が、積極的にJRや政府に働きかけてきたことを具体的にお聞きし、現在の状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 続きまして、大きな5点として農政課題への対応であります。
 農業農村基盤整備予算に対する質問であります。
 日本の食料供給基地岩手、米どころ岩手と声高に言っておりますが、農地の基盤整備は東北の中でも大きくおくれており、これは前政権でこの基盤整備の予算が大きく削減されたことが一因ではないかと思っております。
 私は、1月に農林水産省に出向き、昨年から2年連続でこの農業基盤整備の予算の増額を要望してきているわけなんですが、今回、平成25年度の農林水産省の公共事業について要望してまいったところ、担当者からは、農業農村整備予算は、緊急経済対策補正予算と平成25年度予算と合わせ、昨年対比140%増の実に4割増しで予算を組んだということであります。政権交代前の民主政権では、3分の1近くまで減らされた基盤整備の予算でありますが、平成21年度の自公政権時を超える規模に戻したと、実に力強い言葉を得てまいりました。
 そこで知事にお伺いいたしますが、このことについて知事は把握していらっしゃるか。また、どういう感想を持っていらっしゃるか。
 次に、平成25年度の農地整備における県予算の状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 国が4割も増額したということは、本県平成25年度予算においても、当然、同程度の規模の増額が行われていると考えられます。平成21年度以降のこれまでの状況も含め、岩手県の平成25年度の農地整備の予算の状況はどうなっているか。また、こうした国の大幅な予算増を受けているわけなんですが、本県の農業基盤整備について、課題をどう捉え、今後どういう方針で取り組むのか、当局の御所見をお伺いいたします。
 次に六つ目として、高齢社会2030年問題の対応についてお聞きいたします。
 これからの高齢社会の大きな課題として、いわゆる団塊の世代があと10年で75歳の後期高齢者に入っていくという事実があります。私は、これを2030年問題と表現しておりますが、これから挙げる数字は、単に高齢者がふえるという数字ではなく、2030年における15年後の全国の死亡者の数であります。どこの場所で死ぬか、今後のみとりの場というのをどうするのか、これは重大なことであります。
 15年後、2030年というのは、私は今51歳なのでありますが、いよいよ福祉の神崎も65歳の高齢者―第1号被保険者となり、退職間近な部長では、さらに75歳の高齢者に達します。これは、亡くなる方が大幅にふえるということであります。これからあっという間の10年、15年の間に、何人の死亡者の数が増になっているのかということであります。そして、私も含め、皆さんどこの場所で息を引き取るのかということを非常に心配しております。今は、がんでも寝たきりでも、人生の最期は、その多くの方が病院でみとられております。これからの10年はそうはいかず、病院や老人ホームで最期を迎えるのは絶望的という数字であります。
 皆さん、最近、お身内、知人をどこでみとられましたでしょうか。ほとんどが病院ではないかと思っておりますが、そういうような状況ではないようであります。
 ある全国的な推計では、15年後には160万人が亡くなるということであります。病院のベッドでは160万人のうち89万人、介護施設では9万人、在宅では20万人、それ以外の47万人は、一体どこでみとられるのかということであります。病院の入院ベッドは医師不足もありふえず、では、老人ホームをふやせば毎月の介護保険料の増大につながり、老人ホームが倍になったとしてもわずかな数であります。施設が倍になれば、毎月の介護保険料も上がるということもありまして、このような2030年問題、160万人のうち47万人がどこでみとられるかという大きな課題を持っております。県としてどのような対応をしようとしているのか、この問題に対する御所見をお伺いいたします。
 大きい七つ目として、障がい者福祉についてであります。
 よく農業は、猫の目行政と言われるくらい制度がころころ変わり、現場を混乱させます。福祉にあっては、障がい者福祉がそうであります。従来の身体障害者福祉法から平成15年に支援費制度が創設され、わずか3年で、平成18年、障害者自立支援法がスタートし、そして、ことし平成25年に新たな法律の施行、たった10年間に3回も制度が変わっております。この新たな法律の施行に際し、いまだ現場の福祉施設や県、市町村の行政、そして何よりも利用者が戸惑っているところでありまして、今でも障害者自立支援法が定着しているとは言えない状況の中にあって、さらに障害者自立支援法を改正し、障害者総合支援法にかえたということであります。対象に難病が加えられた、それから知的障がい者、精神障がい者に配慮というプラスはあるのでありますが、さらに現場の混乱が懸念されるところでありますが、岩手県において、この新法施行への対応は大丈夫と言えるのか、本県の状況についてお伺いをいたします。
 また、私は、今回の津波大震災の犠牲者は、健常者の死亡者に対して、障がい者が倍の数であったと議会で取り上げたところであります。そういう状況の中、今年度設置されましたいわて障がい福祉復興支援センターであります。来年度も引き続き事業を継続すると聞いておりますが、復興の予算がついたとはいえ、ソフト事業に4億円もの予算でありました。事業費の不適正支出等の不祥事やさまざまな問題があると仄聞するわけでございますが、この事業には、国民の皆様からいただいた復興予算が充てられるということであります。
 事業継続に当たって、今年度の成果と課題をどう捉え、また、それを踏まえ、来年度以降はどのように取り組もうとしているのか、当局の所見をお伺いいたします。
 最後に、いじめ、不登校の児童生徒への対応についてお伺いをいたします。
 教育委員会では、スクールカウンセラー等の派遣、専門機関を活用した取り組みも大事でありますが、子供たちにとって、お客さんのようにたまに学校で会うような形で入っても、子供たちにとってはどうなのかというような疑問もあります。基本はやはり担任の教師であり、毎日子供と接する担任の先生が子供たちと真剣に向き合い、信頼関係を持ち、対応するのが一番であると考えております。
 私は、福祉の経験から、専門機関なるものが出てくると、もともとの担当者が無責任になり、その結果、みんなが無責任になり、どこにでも相談ができるんですよと言いながらも、本人や家族が宙ぶらりんになっている、そういう残念な状況をよく経験いたします。やはり基本は、毎日会う、毎日接する担任の先生の人格、考え、これが一番重要だと思っております。そして、また、残念ながら、私の想像では、今の社会環境においては、担任や学校側がどれほど努力しても、いじめや不登校を根絶することは不可能ではないかというような感じもいたしております。
 そこで、いじめや不登校の児童生徒の行き場所、居場所が必要になってくるものと考えます。あえて受け皿とは表現しないのでありますが、もとより、こうした行き場所、居場所づくりは県レベルの話ではなくて、国の対応、文部科学省によらなければならないのでありますが、学校に行けない児童もいますし、一方、行きたくても行けない児童生徒もいるのであります。そもそも学校に行けない場合については別の対応が必要と考えられますが、行きたいけれども行けないというのは実に残念で、もったいない状況であります。
 私は、教室以外であれば行ける、学校が変われば行けるといった相談を現実に抱えておりますが、このことを踏まえ、ハード、ソフト両方の整備が必要ではないかと考えます。その相談の中には、特別支援学校に移り、学業を継続したいとの希望も寄せられております。本来の特別支援学校の果たす役割とは違った使い方となってしまうという課題もありますが、行きたいという気持ちがあるわけであります。こうした状況を踏まえ、特別支援学校における対応のほか、既存の施設等を活用した新たな対応も必要と考えますが、当局の所見を伺いたいと思います。基本は、親身になってくれる教員が欲しいというふうに思っております。
 以上、この場からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。
   〔10番神崎浩之君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 神崎浩之議員の御質問にお答え申し上げます。
 初めに、アルジェリアにおける事件についてでありますが、まず、事件により亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族や関係の皆様にお悔やみを申し上げます。一関工業高等専門学校卒業生の伊藤文博様を初め10名ものとうとい命が奪われたことはまことに残念であります。
 日本政府の対応につきましては、詳細な事実関係を承知しない中で簡単にコメントはできないと考えますが、結果は極めて残念なものでありますので、事件発生の要因や対応について検証を深める必要があると考えます。
 次に、政府・与党に対するスタンスについてでありますが、市町村、県、国が一体となって、行政がフルセットで被災地、被災者に寄り添う、そういう復興を進めなければならないということを東日本大震災津波の発生以来一貫して申し上げてまいりましたが、このような考えはどのような政党による政権に対しても変わることはないものでありまして、現政権においても、安倍総理や根本復興大臣とこのことを直接確認し合っているところであります。
 次に、日本の再生についてでありますが、知事就任以来、内需拡大型の構造改革によって、強い地方経済に支えられた強い日本経済を実現し、それぞれの地方が地域資源を活用して、その地方らしい豊かさを実現していく姿を日本のあるべき姿として主張してきたところであります。
 今、被災地においては、三陸の海の恵みや農林産物のほか、豊富に賦存する再生可能エネルギー、観光資源、ものづくりの技術などの地域資源を活用し、その地域の文化や伝統に根差した生活の再建やなりわいの再生が進んでおり、日本のあるべき姿に向かっているという手応えを感じております。岩手において復興を力強く進めることが日本のあるべき姿を実現するということになり、また、岩手で再生、再建された社会、経済の力が日本の再生に貢献していくものと考えております。
 次に、復興の実態認識と日本再生の先駆けの実現についてでありますが、復興の現場では、道路、河川、海岸堤防などの原状復旧に加えて、復興道路等の整備、区画整理等によるかさ上げや高台移転による新たなまちづくり、再生可能エネルギーの導入など、単なる原状復旧にとどまらない、より安全で暮らしやすい地域の実現を目指した取り組みを進めています。また、平成25年度においては、これらの取り組みに加え、国際リニアコライダーの誘致、海洋エネルギーに関する国際的研究拠点の構築、自立・分散型エネルギー供給体制の構築など、新たな発想のもと、世界に誇る新しい地域の創造に向けた取り組みを推進していくこととしております。このような取り組みを通じて、岩手のあるべき未来に追いつく復興と、その先にある希望郷いわての実現に向けて進んでいくことが新しい地域の創造につながり、日本再生の先駆けになるものと考えております。
 次に、災害廃棄物の広域処理についてでありますが、今回の新潟県知事の発言は国に一層の安全性の確保を求めているものと理解しており、現時点では特段の対応は予定してございません。
 次に、平泉の日についてでありますが、平泉町と地元商工会議所が中心となり、県内の自治体や商工関係団体等に対して、平泉の日(仮称)を実現させる会を設立すべく積極的な呼びかけを行っていると承知しております。平泉の日の制定については、世界遺産平泉をより多くの人々に知っていただくとともに、県民が平泉の価値や理念を改めて見詰め直す契機となることから、このような取り組みは有意義であると考えており、全県的な取り組みに発展することを期待しています。
 県としても、この動向を見守りつつ、幅広く関係者の意見も伺うなどして引き続き検討を進めるとともに、平泉の価値や理念を国内外に広め、定着させるための取り組みを着実に推進してまいります。
 次に、道州制についてでありますが、道州制については、国と地方の役割分担を再構築することにより、地方分権型の地方自治への転換や広域的課題を解決するための視点から議論されることには意義がありますが、住民自治や道州のガバナンスなどの観点から検討されるべき課題も多く、今後幅広く議論していくことが必要と考えております。
 東日本大震災津波からの復興に最優先で取り組む本県といたしましては、現段階では、引き続き住民自治や地方分権を進める中で、地域の主体性を発揮した復興の取り組みを着実に積み重ねていくことが重要と考えております。
 次に、農業農村整備関係予算についてでありますが、農業農村整備事業は、農地や農業水利施設など農業生産基盤の整備とともに、農道や集落排水施設など農村生活環境の整備を通じて、安心・安全な食料の安定生産や、緑豊かで心安らぐ農村生活を支えています。このため、機会あるごとに国に対して水田整備のおくれや農業水利施設の老朽化の進行など本県の実情を訴え、必要な予算の確保に努めてまいりました。
 こうした中、国の関係予算が増額されることは本県にとって喜ばしいことであり、県としても農家の要望にできるだけ応えられるよう、農業、農村の基盤づくりに取り組んでいく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) まず、道州制についてでありますが、道州制についてはこれまで何度か議論されてきたところでありますが、その導入のメリットとしては、国と地方の役割の見直しによる地方分権改革の推進や広域的課題への総合的な取り組みが可能となることなどが考えられ、一方で、住民の一体感やアイデンティティーの喪失、道州政府が住民から遠くなることによる自治の形骸化などがデメリットとして考えられるところであります。
 県としては、制度や組織のあり方についての議論のみが先行し、住民の一体感や、住民がエリア全体を見て意思決定できるかといった住民自治の観点からの議論が深められていないことを懸念してきたところであります。本県では、制度論にとらわれることなく、県民の暮らしや仕事をよりよくするために必要な事項や、道州制のメリットとされている広域的な産業政策などを着実に進める視点に立ち、従来から北東北3県とさまざまな広域連携を進めてきているものでございます。東日本大震災津波からの早期復興を目指している現状にあっては、先ほど知事から申し上げましたように、主体的に考え行動する地域の底力と広域連携などのつながりの力による復興への取り組みを着実に積み重ねていくことが重要と考えております。
 次に、派遣職員の受け入れの環境整備についてでありますが、派遣職員の受け入れに当たりましては、市町村において、専用宿舎の建設や民間アパートの借り上げによる利便性向上や通勤負担軽減、定期的な派遣元への帰省旅費の支給などの環境整備に努めているほか、心のケアにつきましても、医療関係機関等の支援を受けながら取り組みを行ってきたところでございます。
 県におきましても、市町村のみに任せることなく、各市町村の取り組みについての情報提供や、派遣職員との面談を行い聞き取り内容を市町村に伝え、環境改善を促しているところであります。今後もこれらの取り組みを継続するほか、帰省旅費の充実など心のケアのための財源確保について国に要望を行うなど、派遣職員が安心して業務に取り組めるよう市町村を支援してまいります。
 次に、JR大船渡線の復興についてでありますが、当面の公共交通を確保するため、仮復旧として3月2日からBRTが運行される予定となっていますが、沿線市では最終的に鉄道の早期復旧を求めており、市街地のかさ上げや形成に合わせ、鉄道敷のかさ上げやルート変更など、駅を中心としたまちづくりを進めております。県といたしましては、沿線市の意向を最大限尊重し、また、JR線と三陸鉄道がつながることによってさまざまな相乗効果を発揮することができることから、鉄道の早期復旧が必要と考えております。
 鉄道の復旧に関し、JR東日本は、津波からの安全の確保、まちづくりとの整合性、費用負担等が課題との認識を示しており、復興調整会議などでJR東日本や関係機関との協議を実施するとともに、知事が先頭に立ち、県単独要望のほか、沿線市町村や宮城県、福島県と合同してJR東日本や国に対し要望を実施してきましたが、被災状況が大きく、未解決な課題があることから、現在、JR東日本からは鉄道復旧の方針は明言されておりません。今後も、これらの課題を解決すべく、JR東日本や関係機関との協議をこれまで以上に加速させ、沿線市町村等と連携し、国及びJR東日本に引き続き強く要望を実施していくことにより鉄道の早期復旧に努めてまいります。
   〔理事高前田寿幸君登壇〕
〇理事(高前田寿幸君) 復興に関連した、自由に使える財源の確保や行政手続の簡素化についてでございます。
 まず、財源についてでございますが、大震災からの復旧、復興事業の財源措置として創設されました復興交付金につきましては、需要対象の拡大や必要な事業費の一括交付などの柔軟な制度運用を求めるとともに、震災復興特別交付税につきましては、地域の多様なニーズに対応するための増額措置を国に要望してきたところでございます。
 その結果、これまでに、復興交付金につきましては、市町村のまちづくりに附帯するハード、ソフト事業を支援する効果促進事業の一括配分が措置され、使途が拡大されたほか、今般の国の補正予算におきまして、被災地域の住宅再建を促進するための震災復興特別交付税の増額が措置されたところでございます。
 一方で、なりわいの再生のための産業振興策の充実を図るとともに、被災地の実情に応じてきめ細かに復興をなし遂げていくためには、被災地が創意工夫できる自由度の高い財源が必要であり、今後とも、国に対し、復興交付金の柔軟な運用や震災復興特別交付税の増額を引き続き要望してまいります。
 また、行政手続の簡素化についてでございますが、復旧、復興事業を加速させていくためには、所有者不明や相続未処理などの課題を解決し、事業用地を迅速かつ円滑に確保することが必要であり、これまでも機会を捉えて国に対し土地収用手続等の行政手続の抜本的な簡素化などを要望してきたところでございます。国におきましては、関係省庁による連絡会を設置し、対応策を検討しているところでございますが、行政手続の抜本的な簡素化を早期に実現するため、引き続き国に対し強く要望してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 農業農村整備関係の県予算の状況と今後の取り組み方針についてでありますが、本県の農業農村整備関係予算は、当初予算で、平成21年度は226億円、平成22年度は190億円、当初予算が骨格予算であった平成23年度は9月現計予算で200億円、平成24年度は213億円で推移し、平成25年度は、平成24年度補正で取り組む経済対策分も含めて255億円を計上しております。
 本県の農地や農業水利施設は、整備のおくれや施設の老朽化等の課題がありますが、事業効果を十分に発揮していくためには、水田の大区画化や農地の利用集積による低コスト生産の実現に加え、暗渠排水などによる水田の排水改良を通じた転作作物の収量、品質の向上、さらには、水利施設の補修、更新による農業用水の安定供給などに特に留意していくことが重要と考えております。
 今後におきましては、引き続き沿岸部の復旧、復興を優先課題としつつ、内陸部では事業の重点化や建設コストの縮減などに努め、継続事業の加速化を図るとともに、土地改良区等との連携を強化し、新規事業の計画的な採択にも取り組んでいく考えであります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、高齢社会2030年問題への対応についてでありますが、国におきましては、今後の高齢者ケアのニーズの増大などを踏まえ、昨年2月の社会保障・税一体改革大綱において、住みなれた地域で安心して生活できる地域包括ケアシステムを2025年までに構築することとしたところであります。県におきましても、昨年3月に策定したいわていきいきプランにおいて地域包括ケアシステムの実現を重要施策として位置づけ、今後、サービスの提供主体である市町村が同システムを構築するための取り組みの工程表を示すなど、必要な支援をしていくこととしています。
 この地域包括ケアシステムの構築に当たっては、議員御指摘のとおり、施設や自宅以外の住まいの整備が肝要でありますことから、高齢者のニーズに応じたサービスつき高齢者向け住宅など多様な住まいの確保に向けてその整備支援を行うとともに、要介護度の高い方など家庭や地域での生活や介護が困難な方については、今後も必要な施設を確保していくなど、安心な地域づくりを進めてまいります。
 次に、障害者総合支援法の施行に向けた準備についてでありますが、同法の本年4月から施行される主な改正点は、障がい者の範囲に難病患者等が追加されることであり、国は、当面の措置として、現在、市町村が難病患者に行っているホームヘルプサービス等の対象者である130疾患の方について制度を施行することとし、本年1月に政令を公布したところであります。
 県では、これまで、説明会の開催等により、市町村や障がい福祉サービス事業者に対し施行までに必要な準備や障がい程度区分認定に当たっての留意事項等について説明するとともに、各種会議、研修会等を活用して難病関係団体等に対し制度の周知を図ってきたところであり、4月からの福祉サービスの円滑な提供に向けて今後とも取り組んでまいります。
 また、地域生活支援事業の拡充など、この4月から施行される事業や、平成26年4月から施行される重度訪問介護の対象拡大、ケアホームのグループホームへの一元化などにつきましても、できるだけ早く情報収集を行いながら、市町村や事業者、関係団体と連携し、この改正法が適正かつ円滑に実施されるように取り組んでまいります。
 次に、いわて障がい福祉復興支援センターについてでありますが、本センターは、被災地の障がい者が必要な障がい福祉サービスが受けられるよう、障がい福祉サービス事業所への支援を主な目的として設置しているものであります。本年度は、事業所が抱えている課題を把握するための訪問調査や事業所支援アドバイザーの派遣、さらには、事業所を対象とした研修等の実施や被災障がい者の訪問調査により実態把握に取り組んでまいりました。その取り組みの成果といたしましては、事業所支援アドバイザーの助言による事業所の経営基盤の改善、強化や、施設職員を対象とした援助技術向上研修などにより施設の人材育成が図られるとともに、今年度内には被災障がい者の実態を踏まえた障がい者災害対応のてびきを策定することとしております。
 今後、対応すべき課題としては、震災による居住環境の変化に伴い、相談支援や移動支援を初めとした障がい福祉サービスへのニーズが高まっており、特に沿岸圏域においては被災の影響が著しく、圏域ごとのきめ細やかな支援が必要であることや、障がい者災害対応のてびきの普及による防災への取り組みが必要であると認識しており、障がい福祉復興支援センターを継続設置するとともに、市町村や地域自立支援協議会と連携し、障がい者が安心して障がい福祉サービスを受けることができるように努めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) いじめ、不登校の児童生徒への対応についてでございますが、特別支援学校は、障がいによる学習上または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識、技能を授けることを目的として教育に当たっているところではございますが、不登校等に関する教育相談が寄せられる事例等もございます。このような場合に、特別支援学校での対応が必要と判断されたときには特別支援学校で学んでいただいている、そういう実態でございます。
 次に、既存の施設等を活用した対応についてでありますが、小中学校では、市町村教育委員会において、学校以外の市町村施設等を活用した適応指導教室が設置されており、学習支援等を行いながら、学校に復帰することを目的とした指導、支援が行われております。高等学校については、出席日数等が単位取得の条件となっておりますことから小中学校と同様の対応は難しいところもございますが、各学校においても、不登校生徒への学習支援や学校復帰に向けた家庭訪問など、さまざまな支援に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、児童生徒一人一人と教職員との信頼関係の構築に努めますとともに、きめ細やかに対応するため、市町村教育委員会や関係機関、団体とのより一層の連携に努めてまいりたいと考えております。
〇10番(神崎浩之君) 本県から外務副大臣が誕生いたしました。知事は、外務省OBとして、本県出身の外務副大臣の誕生についてどう思っているか、また、外務の先輩として、新副大臣に助言等があればお願いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 過去、環境大臣も務められた鈴木外務副大臣の誕生というのは、外務副大臣は、過去にも高村副大臣、大臣経験者が副大臣を務めたことがあると記憶しておりますけれども、非常に重厚な体制で日本を代表していくという意味で、いい布陣を安倍総理は決められたのではないかと思います。
 勝海舟の言葉ですけれども、外交は誠の一字と。決して専門のトレーニングとか、あるいは語学とか、そういったことが外交で物を言うわけではなく、生の人間としての人間力が外交で最後の決め手になると思いますので、活躍を期待いたします。
〇10番(神崎浩之君) 誠の一字ということで、やはり元外交官、見識の高い御意見をいただいたと思っております。
 それから、政府・与党との関係でありますが、代表質問で渡辺議員の答弁の中に、安倍政権は、意欲を感じ、財源を確保し、スピード感を感じているというふうな答弁がありました。党籍のあった民主党政権時代の政府と知事の距離と、今の政府と知事との距離は同じなのか、近いのか遠いのかお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 今まで6年ほど知事をやる中、党籍を有する、あるいは応援をする政党が日本の国政の政権についていたこと、そうでなかったこと、それぞれ何年かずつあるわけでありますけれども、知事と、そして国の政府との関係、行政の長同士の関係というのはいずれにせよ変わりはないと思っておりますし、そのように対応してきたつもりであります。
〇10番(神崎浩之君) また、代表質問の答弁で、知事は、国を動かし、予算を確保するというような答弁もありました。今の政権と知事は何かつてがあるのかというふうな思いもあるんですが、実はけさ、つてという字をワープロで変換しましたら、自民党県連の千葉伝幹事長の伝というのが出てまいりまして、こういうつてを活用するのもいい方法ではないかと思っております。答弁は要りません。
 続きまして、日本の再生の先駆けということで、新たな発想、世界に誇る新しい地域の創造で、平成25年度はILCに力を入れるということでありました。昨日の新聞で、このILCの誘致に向けた国会議員の超党派の議員連盟の役員人事が書いてありました。知事はごらんになったでしょうか。
 その中で、この超党派の国会議員の議員連盟の副会長には自民党の鈴木俊一氏、それから民主党の階氏、平野氏が幹事として役員構成に入っているというような内容が出ておりました。
 そこで、九州に比べて内容的にはいいんだけれども、政治的には弱いと言われていたこの関係でありますけれども、この頼みの会長である自民党の河村衆議院議員は、昨年12月に一関に来た折に、東北の復興のためにILCの予算化をいたしますとみんなの前で言ったことがあります。きのうの役員人事を見ましても、これは岩手を念頭に置いた議連の人事ではないかと評価できると思いますが、知事、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 国会議員の皆さんの間で決められたことでありますので、さまざまな理由を勘案した上で判断して決められたものと思います。
〇10番(神崎浩之君) そのILC誘致の復旧効果を広く沿岸地域に広めていくためにも、若林県土整備部長にお聞きしますが、一関市と陸前高田市を結ぶ笹野田トンネルの整備は、ILCの普及に向けて必要だと思っております。12月議会の同僚議員の答弁ではにべもない答弁でありましたが、私は、道路に強い国会議員や国土交通省の方からも、復興に絡めてやりますということを言われておりますが、再度、若林県土整備部長、この笹野田トンネルの最新情報なり県の今後の方針についてお伺いいたします。
〇県土整備部長(若林治男君) 笹野田峠につきましては、昭和49年から平成元年、約6.5キロ、69億円ほどを投じて整備をして、現在の道路サービスは一定程度確保されているかなと考えております。
 さらなる当該区画の整備につきましては、地域間交流の促進それから冬季交通の安全性の向上、これについては有効であると認識しておりますけれども、いかんせん、険しい地形状況等を勘案すると長大トンネルになる、多額の事業費を要するということで、これまで、今後の交通量の推移等を見ながら検討していくという回答をしておりました。ここに来て、ILCという立地に当たっては、広域的な道路ネットワークの構築が重要であると考えております。誘致の進捗状況に応じて、新幹線駅それから高速道路へのアクセス道路のあり方、具体的なまちづくり、周辺施設計画との整合を図りながら検討をする必要はあると考えております。
〇10番(神崎浩之君) 災害廃棄物の関係で、新潟県知事との関係なんですが、先ほど壇上でもお話ししたんですが、知事はどっちの立場なのかということだけもう一度確認させてください。岩手県の立場なのか、新潟県知事の立場なのか、確認させてください。
〇知事(達増拓也君) 私は岩手県民に対して責任を負う立場であります。そして、沿岸被災地の皆さんには、三条市、柏崎市、また今回問題にはなっていないですけれども、同じ新潟県の長岡市が震災廃棄物の受け入れをしてくれるんだということを御理解いただきたいと思いますし、また、新潟県内でさまざま議論があるとすれば、それは新潟県の中で、新潟県民の皆さんが責任を持って議論をされると思いますので、岩手県民は岩手県民として、それを見守るということで対応をいただければと思います。
〇10番(神崎浩之君) 平泉の日については引き続きお願いしたいと思います。
 次に、被災地への職員派遣の環境でありますが、私は1人ずつの派遣ではだめだと思っているんです。他県からひとりぼっちで行くということがだめではないかなと思っております。同じところから2人、3人、組で、愚痴をこぼせる相手と一緒に来るような体制が望ましいのではないかと思います。もともと一生懸命な職員が来るわけでありまして、一生懸命やってもなかなか進まないという中で、心が疲弊しているということであるのではないかと思っております。被災者でもある職員と一緒に仕事をするということは、なかなか共有できるものもない場合が多いし、やっぱり飲み会をやっても空気が違うわけなんですね。そんな中で、気候的にも暖かいところから来て、雪なんかと生活したことがないような方が、この自然豊かな土地に来て、寒くて道路が凍っていたり車が凍っていたりとか、そういう中で、なれない雪の道を長距離の通勤、進まない仕事、言葉も違和感があるというようなことで、1人ではなく2人、3人体制、そういうことを私は国のほうにも提案してまいりましたので、ぜひ、県のほうでも御検討いただきたいと思っております。答弁は要りません。
 それから、被災地の職員派遣についてちょっと心配なことがありまして、知事演述の中に、ページで言えば9ページなんですが、知事が、被災地の良好な治安の確保に向けて、警察官の緊急増員を継続するとともに云々というふうなくだりがありまして、私、これを見たときに、被災地というのは治安が悪いのかなという印象を、何か問題があるのかなと受けとめたんです、初日のときに。こういう表現は、全国、世界に不要な心配をあおるのではないかと思うわけなんですが、知事の発言が風評被害を起こして、何だかあの岩手県というのは、危ねがら行がねほいいんでねがみたいなことを、それから観光にも影響するんではないかと心配をしたわけなんですが、知事、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 被災地の治安の確保についてでありますが、警察官を緊急増員してパトロール機能の強化などを推進しているところであります。そして、大船渡、釜石、宮古警察署管内の刑法犯認知件数は、昨年、これを震災のあった平成23年と比較すれば増加はしているんですが、その前の平成22年と比較すれば減少しているということで、治安が悪くなったという認識は持っておりません。
〇10番(神崎浩之君) そういう実態であると思われます。しかし、私でさえこれを見ると、何か治安が悪いのかなと誤解をしてしまうこともありますので、気をつけていただきたいと。お互いに気をつけたいなと思っております。
 それから、JR大船渡線についてでありますが、今現在、気仙沼まで通っているわけでありまして、気仙沼から陸前高田、大船渡が課題となっております。そこで、大船渡線でありますので、今のままだと気仙沼線なんですね。ということで、ぜひ陸前高田、大船渡までつなげて、名実ともに大船渡線─気仙沼線にならないように努力していただきたいと思います。答弁は要りません。
 それから、基盤整備つきましては、着実にそしてさらに予算を県ではつけていたということであります。
 そこで、農政課題の中で農家の所得でありますが、農家の戸別所得補償制度について今後どうなっていくかということで、これは民主党政権がつくったわけでありますが、残念ながら評判がよくて、あれだけは守れよと私も言われているわけなんですが、農家戸別所得補償については、平成25年度は名前を変えるが継続すると聞いております。平成26年度以降についてはどういう動きになるのか、お尋ねをいたします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 農業者戸別所得補償制度についてでございますが、平成25年度、議員おっしゃったとおり、経営所得安定対策として、従前とほぼ同様の内容で継続されることとなっておりますが、平成26年度以降につきましては、本年1月に農林水産省の中に設置されました攻めの農林水産業推進本部、ここで制度の検討を開始してございますが、国は、現段階で新たな制度の取りまとめ時期は明らかにしてございません。
〇10番(神崎浩之君) 次に、高齢社会2030年問題でありますが、先ほどの答弁では、施設をふやしていくという話もありました。私が相談を受けている中で、老人ホームに入れない方がいるんですね。透析の患者さんなんですが、法律的に何も問題はないんですが、やはりこの方々がなかなか施設のほうで受け入れていただけないということであります。資料には、県内で、高齢者で2、000人ぐらいが透析を今受けているということでありまして、そういう方が年をとったときに、老老介護で老人ホームに入れないというような現状であるということなんですが、この点について部長はどういうふうにお考えを持っていらっしゃるのかお願いします。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 県が把握している範囲内で回答させていただきたいと思いますが、特別養護老人ホームの2割程度が、人工透析患者の受け入れ実績があると認識をしてございます。多数の施設におきまして受け入れ実績がない状況にございますが、その理由といたしましては、利用者の通院への付き添い等の通院負担が大きいということや、合併症等による医学的管理の必要度が高い方が多く、対応が難しいと考えている施設が多いということと伺っているところでございます。
 人工透析患者の受け入れにつきましては、患者の状況あるいは施設側の人員体制の問題もありまして、一律に判断することは難しいと考えておりますが、施設側がサービス提供困難と判断した場合には、代替措置として適切な病院や診療所等を紹介するなど、適切な対応が講じられるように指導していきたいと考えております。
〇10番(神崎浩之君) 最後の教育委員会に対する再質問でありますが、今、フリースクールという制度がありまして、不登校の子供が通う非学校的な施設ということで、文部科学省も、全国に5万人いると言われる不登校となっている高校生を支援するために、フリースクールも学校外施設などとして出席扱いをすることを認める方針を固めたということで、小中学校は既に実施していることもあるんですが、フリースクールはなかなか難しい課題もあると思いますが、この件について、行きたくてもその学校には行けない子供たちの居場所ということで、どういうふうに考えているのかお伺いいたします。
〇教育長(菅野洋樹君) フリースクール、いろんな多義的な意味に用いられていますが、今議員おっしゃったようなことが、どうも我が国では一般的に言われているようでございます。本県においては、実は、私どもとしてそういった施設の存在というのは承知していないんですが、隣県の宮城県においては、NPO法人が運営するフリースクールとして、いわゆる不登校のお子さん、それから発達障がい等の多様な事情を抱えているお子さんのための学習サポート、それから野外体験活動を行っていらっしゃる施設がおありになると。この中で、子供たちの自己肯定感や意欲の回復を図られる取り組みを行っていらっしゃって、その原籍校─原籍校と言ったら言葉が悪いんですが、その学校といろいろ連携して、校長の判断で出席扱いとされているという事例を承知してございます。したがいまして、そういったことも私どもとして勉強させていただきながら、いろいろ多様な取り組み、子供たちにとってよりよい取り組みがなされることが私どもとしても必要だろうと感じております。
〇10番(神崎浩之君) アルジェリアで邦人が亡くなりました。昨今はエジプトで、これは事故でありますがやはり亡くなっております。山形県では26日に、豪雪により多数の住宅に被害が出て、災害救助法が適用されたということもあります。本県でも、旧沢内村が豪雪で大変だという課題も出ているようであります。
 今後とも、議員の皆さんと、それから当局の皆さんと、県内の課題それから復興の課題について汗をかいてまいりたいということを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 以上をもって神崎浩之君の一般質問を終わります。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時23分 散 会
第9回岩手県議会定例会会議録(第5号)

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