平成25年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(岩崎友一君) 自由民主クラブの岩崎友一でございます。
 東日本大震災津波によりとうとい命を亡くされた方々に心から哀悼の意を表し、今なお不自由な生活を余儀なくされている多くの被災者の方々にお見舞いを申し上げます。また、いまだ多くの行方不明の方々が一日も早く御家族のもとに戻られますことを心からお祈り申し上げます。
 それでは、今回4回目の一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様に感謝申し上げ、昨年同様、一番の県政課題である東日本大震災津波からの復旧、復興について質問をさせていただきます。
 仮設住宅で仏になりたくない。1年前に仮設住宅で暮らす方に言われた言葉であります。私自身も仮設住宅で暮らす一人として、その言葉の重みをかみしめながら、また、プレハブゆえの夏の暑さや冬の寒さ、部屋の狭さや隣の部屋の騒音など、その不自由さを実感しながら、一日も早く仮設住宅から出て新しい住宅や災害公営住宅に入居してもらいたいとの思いを実現できるよう取り組んできたところでもあります。
 東日本大震災津波から間もなく2年、道路や防波堤の復旧や整備、瓦れきの処理、災害公営住宅の着工など復興への取り組みが進められている一方、住宅の再建場所や災害公営住宅の建設場所の確保を初め、復興計画の全体像や具体性が見えないなどの理由で復旧、復興の実感がない方々が多いのも事実であります。私自身、復興元年と位置づけた平成24年度を振り返ると、被災者の方々に復興の進捗を目に見える形でお示しできなかったことは非常に悔しいところではありますが、計画作成の段階から実行の段階へと大きく踏み出した年であったと思っています。また、そのことにより課題が細分化され、さらなるマンパワーの必要性も感じているところであります。
 そういったことから、復興加速年と位置づけた平成25年度は、細かく具体化されてきた課題を県や各市町村が共有しながら、その解決のためにどのように取り組んでいくのかということが大切になってくるわけですが、先日の知事の所信表明は具体性が全く欠け、復興を加速化させる県のトップの言葉としては非常に残念な思いであります。知事は、被災者の方々が復興の実感を持って安心して暮らしてもらうために、県として具体的に何をどのように進めていくのかを明確に伝えることが必要であります。
 そこで、復興元年と位置づけた平成24年度の取り組みをどのように評価しているのか、また、その評価を踏まえて、復興加速年と位置づけた平成25年度はどのような政策に重点を置き、予算にどのように生かしているか伺います。
 先日、新潟県柏崎、三条両市が震災瓦れきの本格受け入れと埋め立てを始めたことに対して、新潟県泉田知事から、健康被害を受ける人が出ると傷害、それによって亡くなれば傷害致死と言いたいが、わかっていてやったら殺人に近いという発言がありました。知事は、先日の飯澤議員の代表質問に対して、今回の新潟県知事の発言は国に一層の安全性の確保を求めているものと理解しており、現時点で特段の対応は考えていないと答弁しておりましたが、県民、特にも被災者を守るべき立場として、あのような暴言を許しておくのはいかがなものでしょうか。泉田知事の発言は、既に瓦れきの安全性が証明されているにもかかわらず、被災地の住民や瓦れきを受け入れている自治体及びその住民の方々に対してわざわざ不安をあおる発言であり、はっきりと遺憾の意を示すべきと思いますが、知事の見解を伺います。
 発災後、被災地域に暮らす私たちは、復旧、復興に向けて、県内陸部の方々を初め、日本全国、世界各国の方々から多大な御支援、御協力をいただいてきました。また、NPOやボランティア団体の方々にはさまざまな活動を行ってきていただいたところでありますが、復興の本旨は、被災者一人一人が安心して定住できる環境のもとで、みずからが稼いで生計を立てるという震災前の生活サイクルを取り戻すことにあります。そのためにも、NPOの活動を含め、これまでの生活のための物の支援から自立のための心の支援に活動の転換をしていただくことが必要であり、また、県としても自立を促すような施策を推進すべきだと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
 以下、復興に向けた具体的な課題について取り上げます。
 初めに、復興まちづくりの取り組みについて何点か伺います。
 県内のほとんどの地域で区画整理や高台移転について大臣同意がなされたものの、その実態はほとんど何も進んでいない状況であります。県内で一番先行して進んでいる野田村の高台移転の事例を見ると、埋蔵文化財の調査や保安林の解除の手続が簡素化されスムーズに行われるようになったようであり、今後は、土地の所有者や境界線がわからないために事業着手がおくれることが復興まちづくりを進める上で一番の課題となります。県として、この状況をどのように捉え、そこにはどのような課題があると認識しているのか、また、加速化させるためにどのような取り組みを行っていくのか伺います。
 次に、住宅再建に向けた支援についてでありますが、県が平成23年7月に実施した応急仮設住宅入居者意向調査の希望する居住形態では、持ち家の新たな購入が46%、公営住宅が20%となっております。また、県や市町村に求める住宅政策としては、持ち家の取得や再建に対する支援が最も多く64%、次いで住宅地の供給促進が45%と、持ち家取得のための支援を最優先とした意向でありました。私は、たとえ小さな家でも、庭や畑があり、お盆やお正月には家族や親戚みんなが集う、そして、そこにはたくさんの安らぎや笑顔がある、それがふるさととしての役割であり、そこに住む人々の生きがいであると思います。
 現在、国では、被災者生活再建支援制度において基礎支援金と加算支援金を合わせると300万円、県においては市町村と協力して被災者住宅再建支援事業を創設したほか、生活再建住宅支援事業や被災家屋等太陽光発電補助を合わせると助成額の最高額は280万円となります。そのほかに、市町村単独で連絡道の整備、水道工事、敷地造成、引っ越し経費などの支援を措置しているところではありますが、今、住宅を再建するか災害公営住宅に入居するか悩んでいる方々が一人でも多く住宅を再建できるよう背中を押すためにも、さらなる助成を充実させていかなければならないと思います。知事の考えと現段階における検討状況について伺います。
 次に、災害公営住宅の進捗状況についてでありますが、県は、県建設分について平成26年度内の災害公営住宅の完成を目指していることから、土地においては、買収以外の方法として定期借地権の設定、整備の促進を図るための手法として民間会社が建設した建物の買い取りや設計施工一括方式導入の方針を決め、鋭意進めていることと思いますが、定期借地権設定、民間会社が建設した建物の買い取り、設計施工一括発注方式の実績と見通しはどうなっているのか、また、平成26年度に全戸完成させるための取り組みとして今後どのような手法や手段を検討しているのか伺います。
 住宅再建や災害公営住宅は、これから先、恒久的に暮らす場所であり、地域のつながりやそこに住む方々の生きがいを生む場所として何よりも重要な意味を持ちます。避難所から仮設住宅に移る際、仮設住宅がいつ、どこに何戸建つのかわからない状態であり、また、避難所から早く出たいという思いから本来希望しない地域の仮設住宅に入居したという事例も多く、仮設団地内で新たなコミュニティが形成されている団地もあれば、今なおその形成に苦慮している団地もあります。住宅再建や災害公営住宅に入居する際は、そういったコミュニティの形成に十二分に配慮しなければならないわけです。住宅再建においては自力で再建することから、市町村ごとに再建場所のアンケートをとるなどその取り組みを進めていると思いますが、災害公営住宅は自力で再建する住宅ではなく、思いどおりになるものではないだけに、入居を希望する方々は日々不安を募らせているのが実態です。したがって、入居できる日を我慢強く待っている皆さんには、いつ、どこに何戸建設されるかといった全体像を示す必要があります。県には、被災者の目線で、そういった思いを持って取り組んでいただきたいと思いますが、県の見解とその取り組みについて伺います。
 次に、災害公営住宅のコミュニティの形成について伺います。
 釜石市においては、災害復興公営住宅入居者選定方法等検討会の意見等を生かし、仮設住宅などで親しくなった住民によるグループでの応募を認めるなど、コミュニティに配慮した募集方針を示しているところであります。一方、県管理分の災害公営住宅の募集について、県は、より多くの方に公平に入居していただく観点から1世帯ごとの抽せんにより入居者を選定することとしており、当面、グループでの募集は行わないとしております。公平性は必要なことではありますが、このような募集方針は、震災前のコミュニティを大切にしたい方、仮設団地において新たに形成されたコミュニティを大切にしたい方々への配慮に欠けたものであると言わざるを得ません。
 平成20年に内閣府がまとめた新潟県中越地震復旧・復興フォローアップ報告書を見ると、生活の再建や地域コミュニティの再建、また、その基礎となる住宅の再建に関しては速やかに達成する必要がある一方で、合理性だけで判断できない要素も多く、関係者の相互理解形成のための場を持つなど、被災者自身が納得のいく選択をしていくことが必要であるとの記載がされています。そういった過去の教訓も踏まえ、高齢者の孤立死という悲しい出来事を繰り返さないためにも、それぞれの市町村の募集方針と連動したものとなるよう、県管理分の入居募集の方針を変更していただきたいと思いますが、県の見解はいかがでしょうか。
 次に、労働力の確保対策と被災事業者の経営基盤強化について伺います。
 発災後、地元事業者が立ち上がるまでの間はとにかく雇用の確保が重要でありましたが、グループ補助金や被災中小企業施設・設備整備支援事業等を使い、徐々に再開する事業者がふえてきた現段階においては、有効求人倍率が示すように、求人を出しても応募がないといったことから、労働力の確保が大きな問題となっております。その原因としては、若者の人口流出により労働力そのものが少なくなってしまったことや雇用のミスマッチといったようなことが挙げられるかと思いますが、立ち上がった地元事業者からは、このままでは事業の継続が困難だといった声も出ているところであり、早急かつ的確な対策が求められます。県としてこの状況をどのように捉え、どのような対策を行っているのか、また、有効求人倍率が上昇し続ける状況において、今後どのような取り組みを行っていくのか伺います。
 この復旧、復興期間において、立ち上がった地元事業者は、事業を軌道に乗せることはもちろん、経営基盤を強化することも重要であります。現在、税制面でも優遇措置がとられているところではありますが、さらなる対策が求められております。
 そこで県では、事業を再開した被災事業者に対する支援内容をどのように分析し、今後どのような支援が必要になると考えているのかあわせて伺います。
 次に、応急仮設住宅について3点伺います。
 応急仮設住宅については供与期間が原則2年とされていますが、平成24年4月に厚生労働省から1年の延長が認められ、応急仮設住宅の建設時期やみなし仮設住宅の入居時期によって異なるものの、早いもので応急仮設住宅については平成26年4月、みなし仮設住宅については平成26年3月となっています。高台移転や区画整理にはなお数年の期間がかかるわけであり、また、現段階での災害公営住宅の整備状況によると、平成27年度以降の入居予定が1、404戸となっていることから、その期間内に全員が応急仮設住宅から出られない状況であり、入居期限のさらなる延長が求められているところでありますが、現在の検討状況について伺います。
 2点目は、空き部屋の利活用についてでありますが、厚生労働省は、宿泊施設の不足が指摘されている復興作業の工事関係者やボランティアらの利用ができるよう、被災県の判断で用途を変更できるようにする方針を決めたという報道がありました。このことは、労働力が不足している被災地の事業者にとっては、全国各地に働き手を募集し、採用した社員の住宅として活用できるのではないかと大きく期待を寄せるものであります。ぜひ積極的に活用してほしいと思いますが、県としての活用方針について伺います。
 3点目は、安全性について伺います。
 応急仮設住宅は、減価償却資産の耐用年数に関する省令にある別表第1で建物の範疇の簡易建物に該当することから、耐用年数は7年と定められております。建物自体の耐久性については、その基準に沿って建設しているわけですから問題ないと思いますが、今回は建設用地の確保が困難だったことから、田んぼや畑を急遽造成して建設しているところが大部分であります。したがって、住んでいる皆さんには、建物そのものというより地盤に対する不安があるようであり、また、実際に仮設住宅の床が傾いてきているという声も聞こえてきます。県では、今後、入居期間の延長を申請していく中で、地盤も含めてその安全性をどのように認識しているのか、また、どのように確保していくおつもりなのか伺います。
 次に、被災した県立病院の再建について伺います。
 県では、先月、県立大槌、山田、高田病院の再建に向けた住民との意見交換会を開催し、開院見通しや候補地、病床数の方針が提示されました。仮設診療所での診察が続く中で、地域住民にとっては一つの明るい話題となりました。今後、被災した3病院の再建方針は地域の意向を踏まえて本年度内に最終決定をするということですが、具体的な場所、着工、完成の時期、また、病床数や医療器械等の設備は被災前に比べてどのようになるのかお伺いします。
 また、継続的に運営していくためには医師や看護師の確保などが課題になってくると思われますが、現時点でどのような課題が想定され、どのように取り組んでいくつもりなのかあわせてお伺いします。
 次に、水産業の再生について伺います。
 がんばる漁業・養殖業復興支援事業は、操業の効率化を図る漁協もしくは共同化して養殖生産を行う漁協等に対して3年間、生産期間の長いものは5年間、減価償却費及び人件費を含めた必要経費全額を前払いで助成する制度であります。がんばる漁業では本年1月現在で3漁協が4件の漁業復興計画が認められ、がんばる養殖では12漁協34件の養殖復興計画が認められていると伺っています。今、本県水産業を再生するためには将来を見据えた取り組みや支援が必要であることから、本県での本事業の導入により具体的にどのような効果があったのか、また、取り組み上の課題はないか、あるとすればどのように解決していかなければならないと考えているのか伺います。
 また、水産業を将来にわたって発展させていくためには後継者の育成が必要です。昨年の一般質問でも取り上げたところでありますが、漁業者みずからが付加価値を高める取り組み、いわゆる6次産業化の取り組みを促進し、所得を高めることによって後継者の定着を図ることが重要であります。
 現在、県では、マーケットインの視点を一層取り入れることにより経営力を強化し競争力を高めていくとともに、新たな経営手法や他産業と連携したビジネスを生み出す6次産業化等への取り組みを支援する事業を実施しています。後継者を確保するためには、さらに早い時期から生産、加工、流通にわたる仕組みを学び、経営に生かしていくカリキュラムが必要と考えます。県立高田高校、宮古水産高校、久慈東高校では水産の学科や教科があり、水産食品製造、水産食品管理、水産流通が学べるようになっていますが、そのカリキュラムの内容と成果、課題について伺います。
 また、今後は、このようなカリキュラムを充実させ、アイデアあふれる若者たちが地域の6次産業化を牽引できるようにしていくことが必要と考えますが、県の見解はいかがでしょうか。
 次に、県営建設工事について伺います。
 東日本大震災津波の被災地では復旧、復興工事に使う建設資材が足りなくなり、価格がはね上がっているという状況であります。詳しく調べてみると、宮古地区の生コン価格は、平成24年9月に大震災発生前の135%、同様に釜石地区では117%と上昇していました。これは、不足する生コン用骨材を地元以外から求め始めることによるコスト上昇が大きな要因でありますが、需要サイドの価格よりも納期を優先させる場面が多く見られることによって値上げが急速に広まったとされております。
 知事部局における建設工事の応札状況を見ると、平成24年9月までは10%以下で推移していた取りやめ発生率は、10月に17%、11月に26%、12月に29%、1月に22%と高目に推移していることから、復旧、復興事業が計画的に進むのかどうか疑問に思えてきます。
 また、地元の事業者だけでは工事量をさばけなくなると、外から来た業者が仕事を多く受注し、地元事業者への効果は限定的となる心配があります。一時的に仕事が入って、しかも建設資材の高騰、労働力不足では、自立しようとしている地元事業者にとって態勢が整いにくいのは当然のことであります。
 このことについては既に予測されていたことであり、昨年の一般質問でも取り上げたところでありますが、そういった指摘が生かされなかったのはまことに残念であります。もちろん、復旧、復興のために急がなくてはならない工事については迅速に発注すべきでありますが、そうではないと判断される工事に関しては、中長期的な視点を持って発注すべきであります。そのことが建設資材の高騰を避け、安定的な確保につながるとともに、本県の建設業の安定的な発展に大きく寄与することになると考えますが、いかがでしょうか。不調になっている工事も含め、今後発注する工事について発注時期の見直しも必要かと思いますが、知事はどのような所感をお持ちなのかお伺いします。
 次に、土坂峠のトンネル化について伺います。
 土坂峠は、東日本大震災発災時、津波により寸断された国道45号の代替道路として、後方支援拠点である遠野市から大槌町、山田町への自衛隊や消防、警察、物資輸送など救急救援活動において重要な役割を担ったことは周知のとおりであります。救急救援活動において一翼を担った遠野市から宮古市に向かう立丸峠、宮古市から大槌町に向かう土坂峠は、幅員狭小の上、急カーブが連続し、大型車のすれ違いなどに困難をきわめたというのもまた事実でございます。今回、立丸峠が県の大規模事業評価専門委員会を経てトンネル化が決まったことは非常にうれしいことであり、災害時における緊急輸送道路としての機能が強化されることはもとより、今後、地域間の交流、連携の促進、産業振興、観光振興など地域経済の活性化に大きく寄与することと思います。
 しかしながら、その一翼を担ったもう一つの土坂峠のトンネル化はいまだ決まっておりません。あの未曾有の東日本大震災津波があったからトンネル化がされたというのは余りにも皮肉かもしれませんが、復興のシンボルとして必ずやトンネル化を実現していただきたいと思います。実現に向けた知事の思いと、現段階における検討状況をお伺いします。
 最後に、かつてない規模の復旧、復興を進めるに当たり、全国からの応援職員の方々に多大なる御尽力をいただいておりますことに心から感謝を申し上げ、また、引き続き御支援賜りますことをお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、被災者の安心を確保するための取り組みについてでありますが、県では、平成24年度を復興元年と位置づけ、復興計画に掲げる三つの原則に基づいて基盤復興に取り組んでまいりました。
 安全の確保については、復興交付金を活用した123地区の防災まちづくり事業に着手し、被災地のまちづくりが本格化しつつあるところです。
 暮らしの再建については、県と市町村が建設を予定している災害公営住宅のうち、約4割の事業に着手しました。
 なりわいの再生については、県内全ての産地魚市場が再開するとともに、被災事業所も、一部再開を含め、約8割が事業を再開するなど、産業の各分野がそれぞれ立ち上がってきているものと認識しております。
 このように、復興計画が掲げる安全、暮らし、なりわいの基盤復興が進展する一方で、いまだ応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされ、被災された多くの方々が復興の歩みを実感できない状況にあるということから、特に、被災者の住宅再建や復興まちづくりを重点的に促進し、復興を加速する必要があると考えているところであります。
 こうしたことから、平成25年度を復興加速年と位置づけ、被災者の方々に復興を実感していただき、復興実施計画が目指す基盤復興を実現していくために、まず、重点的に取り組みます暮らしの再建については、恒久的な住宅へ早期に住みかえできるよう、県が整備する災害公営住宅約2、800戸について平成26年度までの完成を目指すとともに、本県等の要望等を踏まえ、国が増額交付する震災復興特別交付税215億円を活用して、被災者の住宅再建の支援を充実強化させてまいります。
 安全の確保については、災害廃棄物の処理を平成26年3月までに完了させますほか、多重防災型まちづくりの前提となる津波防災施設の整備を進めます。
 そして、なりわいの再生では、平成25年度末までに約7、000隻の漁船や約2万台の養殖施設の整備を進めるほか、グループ補助による事業所の再開を促進するとともに、新たなまちづくりと連動した商店街の構築等によるにぎわい回復や、さんりく未来産業起業促進費による被災者の新たな事業の立ち上げを支援してまいります。
 こうした取り組みに加えまして、岩手の未来を見据え、中長期的な観点から、三陸創造プロジェクトとして国際リニアコライダーや海洋エネルギー実証試験場、いわゆる日本版EMECの本県誘致へ本格的に取り組むほか、洋野町沖で進める洋上ウインドファームの事業化に向けた取り組みを推進し、いのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造の実現に全力で取り組んでまいります。
 次に、災害廃棄物の広域処理についてでありますが、今回の新潟県知事の発言は、国に一層の安全性の確保を求めているものと理解しており、現時点で特段の対応は予定しておりません。
 次に、被災者の自立を促す支援についてでありますが、NPOやボランティア団体は、東日本大震災津波の発災以来、物資の支援はもとより、被災地の状況に応じて、応急仮設住宅での見守り活動や相談会の開催などによる心のケア、サロンの開催等によるコミュニティの形成など、被災地の復旧、復興に大きな役割を果たしています。最近では、こうしたNPO等が、国が創設した新しい公共支援事業や復興支援型地域社会雇用創造事業等を活用し、被災者の就業支援のための研修会の開催や、被災地での起業と雇用の創出にも取り組んでいただいています。
 県としても、新たに平成25年度当初予算案にさんりく未来産業起業促進費を計上し、起業家支援の実績があるNPO等との連携のもと、なりわいの再生に向けて、被災者による新たな事業の立ち上げを支援し、三陸の魅力ある産業の創出を図ることとしています。
 県としては、今後ともNPO等との連携を強化し、安定した雇用を生み出す産業の再生や新たな産業の創出等を促進し、被災者の方々が再び意欲と希望を持って自立していただけるよう取り組んでまいります。
 次に、復興まちづくりを加速化するための取り組みについてでありますが、復興まちづくり事業については、各市町村において、住民の合意形成や計画の策定、事業実施にかかわる許認可手続等が進展しつつありますが、その加速化に向けては、1、専門的な人材の確保、2、事業用地の取得に係る手続の抜本的な簡素化等が必要であると考えております。このため、まず、まちづくりや用地取得などの専門知識を有する人材の確保については、任期付職員の採用による被災市町村に対する職員派遣の拡充を行うとともに、国に対しては、全国の地方公共団体、国等の関係機関による継続した人的支援とその強化を要望しているところであります。
 また、事業用地の確保については、現行制度の枠内では限界がありますことから、国に対して、1、所有者不明土地を市町村管理で処分できる制度の創設、2、土地収用手続の迅速化などを要望しているところであります。これを受け、現在、国では、釜石市片岸海岸地区の防潮堤をモデルケースとして検討を進めているところであり、引き続き、国に対して、具体的かつ迅速な対応を要望してまいります。
 さらに、復興整備協議会等を通じて、市町村が行う事業用地に係る農地転用許可や保安林などの規制の解除、埋蔵文化財調査の支援等を行うとともに、今後本格化する工事段階におきましても、新たに設置した岩手県復旧復興工事施工確保対策連絡調整会議を活用し、復興まちづくり事業の加速化に努めてまいります。
 次に、住宅再建に向けた支援についてでありますが、県では、被災者の住宅再建を支援するため、今年度から住宅再建に際して、最大100万円を市町村と共同で補助する事業を創設するとともに、バリアフリー化や県産材の活用を行う場合の補助などを実施しております。
 また、今般、国においては、本県等からの要望を踏まえ、被災地域の住宅再建を促進するため、平成24年度補正予算の緊急経済対策として震災復興特別交付税を増額交付することとしており、これを受け、県としては、2月補正予算案において、本県への配分見込み額215億円の全額を沿岸市町村に配分することとしているところでありまして、今後、被災市町村がこの財源を有効に活用して、住宅再建支援の充実強化を図ることによって、住民の定着と復興まちづくりが加速されるものと考えております。
 次に、県営建設工事の発注についてでありますが、県では、東日本大震災津波からの復旧、復興に当たって、被災地域の安全確保や被災者の暮らしの再建を最優先として、復旧、復興工事の迅速な発注に取り組んできたところであります。こうした中で、昨年11月以降、20%を超える入札不調が発生しており、その中で多いものは小規模工事でありますが、海中工事では数億円規模の工事でも発生しています。これは、配置技術者や作業員の不足、建設資材の価格の上昇などに起因しているものと考えております。
 県としては、こうした状況を踏まえながら、復興JV制度の導入による技術者、技能者の確保や、資材価格の上昇に対応した適切な予定価格の設定などの多くの入札不調対策を講じてきたところであり、また、復興工事の施工に当たって生ずるさまざまな課題に対処するため、このほど施工確保対策連絡調整会議を設置したところであります。
 今後とも、一刻も早い被災地域の安全の確保や被災者の暮らしの再建のために関係機関や業界団体と連携し、津波防災施設等の多重防災型まちづくりや漁港などの産業基盤の整備、災害公営住宅など、最優先の復興工事を可能な限り迅速に進めていきたいと考えております。
 次に、土坂峠のトンネル化についてでありますが、東日本大震災津波において、国道340号及び主要地方道大槌小国線は、震災時の避難道路や、後方支援拠点であった遠野市から大槌町への緊急物資の輸送道路等として有効に機能しました。このことから、県では、復興計画の中で、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、国道340号を復興支援道路、大槌小国線を復興関連道路として位置づけ、交通隘路箇所の解消や防災対策、橋梁耐震化を進めることとしたところであります。
 国道340号立丸峠については、比較的交通量が多く、幹線道路網を構成し広域の交通を担う路線であることから、トンネルを含む抜本改良が喫緊の課題と考え、新規事業化したところであります。
 土坂峠のトンネル化については、険しい地形条件等を勘案すると長大なトンネルが必要となり、大きな事業費を要する見込みであることから、当面は、早期に整備効果が発現できる約1.1キロメートルの現道拡幅区間の整備とのり面防災対策を進め、通行の安全を確保し、トンネル化については、県全体の道路整備を進める中で、交通量の推移などを見きわめながら総合的に判断してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、災害公営住宅の進捗状況についてでありますが、建物の買い取りにつきましては、敷地提案型買い取り方式を試行的に宮古市の3地区で行っているところでありまして、現在、5社から8カ所について事前相談を受けております。今後は、事業者から提案書を提出していただいた上で、3月中に事業者の選定を行う予定であります。
 また、設計施工一括選定につきましては、現在、大船渡市綾里地区で事業者を公募中でありまして、既に4社から提案書が提出されております。今後、提案書を審査した上で、3月中に事業者の選定を行う予定であります。
 定期借地による用地確保につきましては、これまでのところ契約の実績はありませんが、敷地提案型買い取り方式の中で定期借地での提案も受け付けておりまして、現在、事前相談がありました8カ所のうち、1カ所が定期借地での提案となっております。
 平成25年度は、敷地提案型買い取り方式につきまして、今回の結果を踏まえ、必要な見直しを行った上で宮古市以外でも実施するほか、用地が確保できた箇所につきましては、原則として設計施工一括選定を実施しながら、平成26年度の全戸完成を目指して全力で取り組みます。
 次に、全体像についてでありますが、建設する地区、建設する時期、戸数などにつきましては、復旧・復興ロードマップによりお示ししているところであります。しかしながら、一部にその他地区といたしまして、どこに建設するのかがいまだ示されていないものが490戸分、全体で8.7%分ございます。これは、地権者との用地交渉がいまだ初期段階にあることや、被災者の希望どおりの場所に建設できるかどうか不明でありますことから、建設する地区をいまだ特定できないことによるものであります。
 県といたしましても、災害公営住宅の全体像をお示しすることが被災者の方々に希望や安心感を与えるとともに、早く完成した災害公営住宅に被災者が不要に集中することなく、ひいては地域コミュニティの保持に資するものと考えておりますので、市町村とも連携をいたしまして、できる限り早い時期に全ての戸数の見通しを立ててまいります。
 次に、コミュニティを大事にした入居についてでありますが、県では、より早く必要な戸数を供給することを重視し、市町村では、地域の個別のニーズを重視して災害公営住宅の整備を進めることとしており、地域コミュニティへの配慮が特に必要となる漁村集落等におきましては、市町村が、従前居住者を抽選によらず入居させることを考えているところです。
 また、県の災害公営住宅では、市町村間の移転者など、県下広域的に入居者を受け入れる必要がある一方で、地域コミュニティにも一定の配慮をし、管理します多くの戸数を当該市町村の被災者に割り当てる方針としています。
 地域コミュニティの維持につきまして最も重要なことは、災害公営住宅を被災者の方々が必要とする場所に必要な戸数を建設すること、その建設計画をできるだけ早期に明らかにすることだと考えておりまして、県といたしましては、そのような取り組みを通じて、地域コミュニティの形成を実現していきたいと考えております。
 なお、グループでの募集につきましては、釜石市や大槌町で実施する考えであると聞いておりますが、県では、比較的市街地に近い場所に建設することが多いことなどから応募倍率が高いことが予想されるため、当面は、グループ募集は行わないことといたしますが、今後、市町村と十分に相談しながら、県の募集方法につきましても検討してまいります。
 次に、応急仮設住宅の今後の安全確保についてでありますが、地盤につきましては、田畑を造成した場所でありましても、造成後1年半以上を経過しております。急激な沈下等は発生しにくい状況になっているものと考えております。
 今後、応急仮設住宅に生じるふぐあいとして想定されますものは、木ぐいが腐ることなどによりまして床の傾き等が考えられます。これがどこでどの程度進行するかにつきましては、土壌や湿気などの状況により異なりますので、個々の事例に対応する必要があると考えております。
 県といたしましては、定期的な点検を行いますとともに、応急仮設住宅に生ずるふぐあい等につきましては、入居者からの通報に応じて必要な補修を行うことにより、入居者の方々に御不便が生じることがないよう、責任を持って対応してまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、雇用のミスマッチの改善についてでありますが、沿岸地域においては、復興に取り組む企業の労働力確保が喫緊の課題と認識しており、そのため、新たな求職者の掘り起こしと求人条件の緩和など、求職者の求人企業への就職の意欲を高めることが必要と考えております。このことから、水産加工業など人手不足の企業に重点を置いた面接会を開催するほか、昨年12月には、再建した水産加工場で生き生きと働く従業員の姿を収録したDVDを作成して、ジョブカフェやハローワークで放映し、求職者に対し、就職への動機づけを行うなどの対策を講じてきているところでございます。
 今後、さらに工場見学会や面接会の積み重ねなどにより、求職者に対し就職に向けた意識啓発を行うほか、求人条件や生産工程の見直しなど、労働環境の改善に向けた企業の取り組みを支援するとともに、あわせて、復旧、復興に対応する業種に関する職業訓練を通じて人材の育成を図り、企業と求職者とのマッチングの促進に努めてまいります。
 次に、経営基盤強化のための支援についてでありますが、復興局が昨年8月に実施した被災事業所復興状況調査によりますと、現在抱えている課題として、売り上げの減少や利益率の低下、雇用・労働力の確保が困難と回答した事業所の割合が前回と比較して上昇しております。これは、事業所が施設、設備の整備を完了し事業を再開しても、売り上げが被災前の水準に回復しておらず、また、従業員も必要な人員を確保できていない状況にあるものと考えております。
 利益率の回復には一定の期間を要することから、税制面においては、本県独自の措置といたしまして、法人県民税の均等割を3事業年度分免除しているほか、産業再生特区における事業税、不動産取得税の免除を行うなどの負担の軽減を図っております。
 また、売り上げの回復のためには、販路の開拓や付加価値の高い魅力ある商品、サービスの開発が必要であり、商工団体などの支援機関と連携しながら、商談会の開催や専門家派遣による指導助言などにより支援するとともに、雇用の確保については、人材のマッチングや事業復興型雇用創出助成金の活用を促進するなど、今後も経営基盤強化に向けた取り組みを支援してまいります。
   〔理事高前田寿幸君登壇〕
〇理事(高前田寿幸君) まず、応急仮設住宅の入居期限の延長についてでございますが、みなし仮設住宅を含めた応急仮設住宅の供与期間は、災害救助法に基づき、原則2年間とされているところでございますが、その延長について国に要望した結果、昨年4月に、厚生労働省から1年間の延長が認められ、現時点での入居期限は、応急仮設住宅については平成26年4月、みなし仮設住宅については、平成26年3月までは延長されているところでございます。
 県といたしましても、被災者の方々の不安を解消するためには、土地区画整理事業など、面的整備による住宅再建や災害公営住宅の整備の進捗状況等を踏まえ、被災者が住宅を再建するまでの間、応急仮設住宅等の提供が必要であると考えており、これまで、国に対し、その延長について繰り返し要望してきたところでございますが、国は、住宅の復興状況や被災自治体の実情を十分に踏まえて柔軟に対応したいとの考え方を示し、現在、関係省庁間で検討中と伺っているところであり、早期に応急仮設住宅の供与期間の延長が実現するよう、引き続き国に強く要望してまいります。
 次に、応急仮設住宅の空き部屋の利活用についてでございますが、被災地の復興を推進するためには、復旧、復興事業を担う方々や事業所の再建に携わる方々の宿舎の確保が重要な課題の一つとなっておりますことから、県では、応急仮設住宅の空き住戸の活用を国に要望し、これまでに、市町村等への応援職員やボランティアの宿舎としての活用が認められてきたところでございます。
 応急仮設住宅は、建築基準法に基づく2年間の許可期間を超えて活用する際は、毎年、許可期間の延長が必要となりますほか、他用途へ活用するためには、災害救助法により建設した応急仮設住宅を用途廃止し、市町村等へ払い下げを行う必要がございますが、この場合、払い下げの無償化と、将来的に発生する解体撤去費の負担が課題となっております。このため、県としては、今後とも市町村からの要望も踏まえ、社会福祉施設等への応援職員のための宿舎としての活用や、市町村等が活用する場合の無償譲渡と、解体撤去費の国による負担等を引き続き国に要望し、応急仮設住宅の有効活用に努めてまいります。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) まず、被災した県立3病院の再建についてでありますが、立地場所につきましては、各市町から、大槌病院は、寺野地区のふれあい運動公園付近、山田病院は、織笠地区の3カ所、高田病院は、氷上山麓地区をそれぞれ候補地として推薦をいただいており、早期に病院建設が可能な場所であることを基本に、現在調整を進めているところでございます。
 病院建設の着工時期につきましては、市町における用地造成の終了後、速やかに建築工事に着手したいと考えており、建築工事期間は、1年から1年半程度見込んでいるところであります。
 また、病床規模につきましては、被災前の入院施設の利用状況などを勘案し、引き続き一定程度の病床を確保する必要があると考えており、医療器械等の設備につきましては、被災前と同様に、それぞれの病院の診療機能に応じて整備する予定であります。
 次に、医師や看護師の確保についてでありますが、県立病院の常勤医師数は依然として厳しい状況にあり、特に被災した県立病院を含めた地域病院の深刻な医師不足は、今後も続くものと予測されているところでありますが、引き続き、関係大学への医師の派遣要請や即戦力医師の招聘に努めるとともに、圏域の基幹病院や地元医師会等との連携を図りながら、必要な診療体制の確保に取り組んでまいります。
 また、看護師につきましては、再建後の入院機能の再開等に伴い増員が見込まれるところであり、必要な看護師の確保を図りながら、県立病院全体の職員の配置がえの中で対応してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) がんばる漁業・養殖復興支援事業についてでありますが、本事業は、震災により悪影響を受けた漁船漁業経営体の早期復興と、被災地における養殖業の早期再開や生産量の回復を目指すもので、県としては、事業計画の策定段階から地元漁業者や漁協と協議しながら、本事業の取り組みを支援してまいりました。
 現在、事業に参加する各漁業者グループ等は、がんばる漁業では、漁船の省エネ化や定置網漁業の操業の効率化、また、がんばる養殖では、共同作業、共同経営による経営の効率化や養殖規模拡大に取り組んでおります。この事業導入により、被災し漁業の再開が困難であった漁業者でも再開が可能となるほか、経営の効率化や規模拡大など、被災前からの課題についても、その解決に向けて取り組みは進められております。
 取り組み上の課題として、がんばる養殖においては、これまで共同経営の経験のない漁業者のグループ化に向けた合意形成が事業実施の大きなポイントとなることから、国や県漁連等と連携しながら、地域の事情に応じてきめ細やかな助言指導に努め、養殖業の早期再開、生産量の回復を支援してまいります。
 また、平成25年度から、各漁協ごとに、漁業者みずからが地域の漁業の将来像を描く地域再生営漁計画の策定を進めることとしており、このような取り組みもあわせて、将来を見据えた本県水産業の再生に取り組んでいく考えです。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 6次産業化の取り組みについてでありますが、県立高校の水産系学科では、水産食品製造、水産食品管理、水産流通及び栽培漁業、課題研究等の科目において、水産食品の製造、品質管理、食品マーケティング等、6次産業化に必要となる基礎的な知識と技能を習得させております。
 これまでの成果といたしまして、高田高校では、間引きホタテとウニの缶詰の開発、宮古水産高校では、商品価値が低いとされてきたサケの中骨やスジメの商品化、久慈東高校では、イカと農産物である短角牛を原料としたイカ短バーグの開発などが行われております。
 今後の課題といたしましては、このような成果を漁家の経営に生かしていくための学習内容を充実させる必要があると考えております。
 平成25年度入学生から、年次進行で実施される新学習指導要領では、食品製造、食品管理、資源増殖などの新しい科目により、他産業との連携や経営に関する学習内容の強化が図られております。
 今後とも、各学校における生徒や地域の実情に応じたカリキュラム充実のための指導助言を行い、アイデアあふれる若者たちが、地域の6次産業化を牽引できるよう努めてまいりたいと考えております。
〇24番(岩崎友一君) 答弁ありがとうございました。
 何点か質問させていただきたいんですが、まず1点目、新潟県の泉田知事の発言について、代表質問の答弁で知事はこんなことを言っていました。
 全国知事会は、広域処理促進の決議や提言を行っており、各都道府県知事にはその必要性について共同理解をいただいているものと。そういった認識のもとで、今回、新潟県知事の発言があったということは全くそういった認識になっていないということであって、それを黙っているというのはやはりおかしいと思いますよ。特にも、被災地で、ちょっと言葉は適切じゃないですけれども、瓦れきと一緒に今も生活している我々からすると侮辱されたかのような表現なんですね。やはりこういったことを一国一城のあるじである知事が許すというのはおかしいと思いますし、また、知事はふだん被災者に寄り添うと言っていますけれども、これは全然被災者の立場に立って考えてくれていないんじゃないかというふうに思うんです。知事、その辺どのように考えているのかお聞きしたいと思います。
 それと、橋本商工労働観光部長にお聞きしますけれども、労働力の確保対策についてでありますが、県としては面接会を開催したり、また、水産加工場で働いている人たちのDVDをジョブカフェやハローワークでも流したとかいろいろ活動をやっていると思うんですが、全然解決される様子がないんですね。日に日に有効求人倍率も上がっていっておりますし、立ち上げたはいいけれども、本当にこれを被災地で継続できる、できないといった深刻な問題になっているわけでありまして、こういった取り組みを幾らやっても、ただただやっているというだけで解決しなければ意味がないわけでありますけれども、その辺も踏まえて、今後、具体的に今以上の取り組みをしていかなければならないと思うところでありますが、橋本商工労働観光部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 まず、2点お願いします。
〇知事(達増拓也君) 新潟県知事は、災害廃棄物の広域処理そのものには反対をしていないと理解しております。国の基準に対して納得できる説明を国から受けていないということが本質だと理解しております。
 一方で、三条市長、柏崎市長は、当該、御指摘いただいた新潟県知事の発言に対しては抗議等の特段の対応をすることなく、粛々と岩手県からの災害廃棄物を受け入れ、広域処理を進めてくださるというところであり、その三条市、柏崎市が広域処理を進めてくださっていることに対して、被災地の状況を理解いただいているということで、一日も早く災害廃棄物の処理を進めるということで被災地、被災者に寄り添ってまいりたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 沿岸部における雇用のミスマッチの改善に向けた取り組みということでございます。
 県といたしましては、先ほど御答弁申し上げました求職者側に対する働きかけと、それから求人側の企業の双方に対して、それぞれ考えられる手だてを講じながら、今、ミスマッチの解消に努めているということでございますが、加えまして、それだけではなかなか解決することが困難な状況ということにつきましても率直にその点については受けとめておりまして、昨年、沿岸で事業を営んでおられる地域のリーダー4名の方々をコーディネーターという形で委嘱させていただいております。そして、そういった方々から定期的に報告をいただき、あるいは一緒に私どもと意見交換をしながら、事業者サイドとしてのどういう手だてを講ずることが従業員の確保につながるのかというようなことについても今、真剣に話し合いを行っているところでございまして、そういった第一線で苦慮されている方々の声もしっかりと受けとめ、一緒に考えながら、さまざまな工夫をし、従業員の確保に向けた取り組みというものについてさらに積極的に取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。
〇24番(岩崎友一君) まず、泉田発言についてでありますが、知事の答弁が全く理解できなかったんですけれども、この柏崎、三条両市には受け入れていただいて本当にありがたくて頭の上がらない思いなんですが、そういった首長もやはりいろいろな思いがあると思いますよ。簡単に言えば、同じ新潟県として味方に後ろから鉄砲で撃たれているようなものですから、そういったものも考えなければならないと思いますし、何よりも、知事の答弁で、こう言ったかどうかあれですけれども、国の説明が足りないとかそういった表現もありましたが、だったら知事が説明すればいいと思うんですよ。何か国の説明が足りない云々というと我関せずという感じがして、今回問題になっているのは大槌の瓦れきでありまして、岩手の瓦れきですから、何かはたから見て、国がどうのこうの、新潟県知事がどうのこうのじゃなくて、しっかりと県のトップとして言うことを言わないというのはおかしいと思いますので、もう一度知事の答弁を求めたいと思います。知事の率直な思いも含めて答弁をいただきたいと思います。
 労働力の確保の部分、橋本商工労働観光部長から答弁がありましたけれども、本当に見事に震災後から右肩上がりなんですね。一時的には平行になったり下がったりはするんですが、長い目でこの2年間を見るとずっと上がってきている状況なので、本気で立ち上がった地元事業者に対する労働力の確保に取り組んでいただきたいと思います。
 知事にその1点、答弁を求めたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 泉田新潟県知事の、放射性物質、2011年3月11日、それに伴う原発事故以降の発言については私も基本的にフォローしているんですけれども、それ以前の新潟県に存在する原発の中での基準と違うじゃないかというところが事の本質であり、なぜ新潟県の原発の中での基準はそれまでああだったのか、そこを説明してほしいというところから始まっておりますので、そこはやはり国のほうからきちんと説明してもらわなければならないのだと思っております。
 それから、三条市、柏崎市とは、岩手県、それぞれ担当がさまざまなレベルでやりとりをしながら、ともに日本の国難の中で、大津波災害瓦れきが生じた岩手の被災地を少しでも手伝いたいという思いの中でやってくださっているところであり、それぞれの市当局との間で、県当局としても理解をしながら、共通した対応を新潟県知事の御指摘の発言についてはしているというふうに理解いただければと思います。
〇24番(岩崎友一君) 知事、質問を変えます。
 質問を変えますけれども、我々としては、一県民としても、こうやって新潟県知事に侮辱されたような発言をされまして、本県のトップである知事に県民の一人として守っていただきたい。そういったことを考えた場合にも知事はそういった答弁になるのかどうか最後にお尋ねします。
〇知事(達増拓也君) 私からは、先ほど御説明させていただいたとおりです。
〇議長(佐々木博君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時12分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 名須川   晋 君
6  番 後 藤   完 君
7  番 佐々木 朋 和 君
8  番 佐々木   努 君
9  番 軽 石 義 則 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 岩 渕   誠 君
18  番 郷右近   浩 君
19  番 喜 多 正 敏 君
20  番 高 橋 但 馬 君
21  番 小 野   共 君
22  番 高 橋   元 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 関 根 敏 伸 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 高 橋 昌 造 君
31  番 五日市   王 君
32  番 小田島 峰 雄 君
33  番 大 宮 惇 幸 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 佐々木   博 君
43  番 田 村   誠 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(2名)
12  番 福 井 せいじ 君
47  番 千 葉   伝 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時27分 再開
〇議長(佐々木博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。軽石義則君。
   〔9番軽石義則君登壇〕(拍手)

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