平成25年2月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(関根敏伸君) 希望・みらいフォーラムの関根敏伸でございます。昨年の2月議会に引き続き、復興を中心に順次質問をいたします。
 間もなく震災から2年を迎えようとしております。大災害は、10年、20年を先取りする形で、その時代や地域が抱えるゆがみをあらわにすると言われております。阪神・淡路大震災では少子高齢化が、新潟中越地震では山村の限界集落の問題が顕在化いたしました。そして、今回の東日本大震災津波では人口減少と人口移動、経済や医療の地域間格差、そして原発を中心に進めてられてきたエネルギー政策のゆがみ、これらが今、表面化しております。
 3年3カ月ぶりの政権交代により発足した安倍政権下では、総額19兆円の復興予算枠を外すなど、前政権下での反省も踏まえた取り組みが行われております。省庁縦割りの弊害から取次機関との指摘を受けてきた復興庁について、国では権限や組織の見直しに言及しており、福島県では福島再生総局が誕生するなどの動きも見えております。
 新年度の被災市町村の職員派遣要請数はことしより134名ふえ、455名となっており、県は、全国知事会等を通じて、県派遣予定の88名を除く367名の要請を行っておりますが、現状では92名の人材が不足する見通しが示されております。県は、OBの任期つき採用を含め約4、400名体制で新年度をスタートさせ、被災市町村を応援する予定としておりますが、一方、国では公務員ОBなどを採用し、被災自治体に派遣する仕組みを検討するとしておりますが、いまだ具体のものにはなっておりません。
 そこで伺いますが、県としては、不足が見込まれる職員の確保に対し、どのように対応されようとしているのでしょうか。
 新年度、県は、総務省の復興支援員制度を利用したいわて復興応援隊を増員、釜石市や山田町を初めNPOや社会福祉法人などに派遣し、観光振興や農水産加工品の商品開発などの業務を進める予定であり、さらに、いわて未来づくり機構が取り組む人材育成事業では、民間人材を釜石市と大船渡市に派遣し、復興計画の推進をサポートする計画との報道もあります。これら復興応援団や民間事業などのさまざまな事業の活用によって、トータル的に県全体の復興へのマンパワーを充実させる必要があると考えますが、全体として統一的な取り組みをお示しください。
 さらに、今後の事業量の増大や公共事業の増加見通しとあわせ復興事業の進捗にマイナス面も懸念されますが、事業の円滑化に向けて、国、市町村とどのように情報共有しながら進めていくのか伺います。
 次に、昨年に引き続き人口問題について伺います。
 達増知事が知事に就任した2007年の県の人口の社会減は7、000人を超えておりました。知事がこのことに強い危機感を持ち、人口流出を最大の政策の柱に据えたことは御承知のとおりであり、2012年には、未曽有の震災があったにもかかわらず、県の人口の社会減は2、385人と12年ぶりに3、000人を切っております。これは、知事を先頭に人口減少問題に真正面に取り組んだ県執行部を初めとする関係者の皆様の努力の成果であると考えます。しかし、依然として県の人口の社会減は存在し、震災後は沿岸部から内陸部への人口移動の問題もあり、人口動態は不透明のままであります。
 昨年末に復興局が実施した県外及び内陸地区へ移住している被災者へのアンケート調査では、現在の移住先にこのまま定住したいという人の割合が、県外で33.9%、内陸地区で33.5%となっております。北上市や盛岡市が独自に行った調査でも同様の傾向が見られたと聞いており、沿岸部の人口動向に今まで以上に注視した取り組みが必要になってまいります。
 一方、県の人口動向は国の経済対策とも密接に関連しており、経済対策で積極財政を行った小渕自自連立内閣時の動向は1、000人から2、000人台と横ばいであったものが、小泉構造改革時代には大きく5、000人台にまで悪化してきた事実がそのことを裏づけております。
 そのような意味では、デフレ脱却と経済再生を政策の一丁目一番地に据えた安倍内閣は積極財政にかじを切っており、財政規律の問題や地域主権に逆行する補助金を中心としたお金の配分方法には異論はあるものの、方向性については支持をしたいと考えます。
 人口の社会減は全国共通の課題ではありますが、被災地宮城県では6、069人の転入超過となり、また、四国の香川県でも16年ぶりに188人の転入超過となっているとの報道もされているところであります。
 そこで知事に伺いますが、沿岸部の人口減少傾向に一定の歯どめがかかりつつあるなど、県の人口問題が新たな局面を迎えつつある中、知事就任後の人口の社会減に取り組んできた今までの取り組みにどのような評価を持っているのか。あわせて、今後の震災復興に向けて大きな鍵になる県全体の人口の社会減への取り組みと、県域間における人口移動問題について、国の経済対策と県の施策を効率的に連動しながら、どのように取り組んでいくのかを伺います。
 住宅政策について伺います。
 岩手県の本年1月末における生活再建支援金の支給状況を見ると、基礎支援金支給件数に対して加算支援金を支給した割合は24.9%にとどまっており、宮城県の53.0%、福島県の53.5%を大きく下回り、また、災害復興住宅融資の申し込みも、12月末で宮城県の5、053件、福島県の1、582件に比較し、岩手県は622件と少なさが際立っております。県では、国の岩手復興局との連携でまちづくり・住宅再建推進本部を新設するなどの対応を始めておりますが、住宅再建がおくれていることへの認識と県の対応策、今後の見通しを伺います。
 恒久住宅の再建については市町村がそれぞれの支援策を打ち出しております。釜石市や大槌町などが住宅建設に対して100万円から150万円の補助制度を設けるなどとしているほか、水道管の設置費用や利子補給の上乗せ補助を提示する市町村も出ているようであります。平時での自治体間の適正な競争は行政サービスの向上と効率化のために必要と考えますが、震災復興時にあっては弊害もあるのではと懸念するものであります。住宅再建施策は、そのまま被災者の方々の定住に直結することから、社会減への大きな危機感は自治体が共通に持っているものと推測されます。しかし、独自制度の創設については、財政力の違いや土地確保の問題などにより、つくりたくてもつくれない自治体もあると思われ、このことが被災地間の復興格差や人口移動につながり、長期的な被災地のまちづくりへの影響が懸念されます。
 国では、今まで住宅再建の支援対象外となっていた被災者を対象に、震災復興特別交付税1、000億円を計上、県と被災市町村が制度設計を行い、住宅再建支援の充実を図ることとしております。
 そこで伺いますが、県では、県内の市町村独自の支援策のばらつきに対し、どのような所感を持っているのでしょうか。復興格差、人口移動などが懸念される中、国の新たな支援策などを活用し、県として一定の公平性に配慮した施策を打ち出す必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、岩手の保健、医療、福祉について全般的にお伺いいたします。
 まず、救急搬送体制について伺います。
 県内の救急医療体制を支える大きな柱になっているのは、言うまでもなく救急車による救急搬送体制です。しかし、一方で救急車の不要不急の利用が消防機関や救急医療機関に過大な負担をかけている実態も明らかになり、県では、平成20年度から、県民みんなで支える岩手の地域医療推進運動を展開、救急車の適切な利用を促すための啓発運動に取り組んでおります。県内の救急搬送人員数は平成19年度には4万1、000人を超えておりましたが、運動展開後は一旦減少傾向に転じたものの、再び増加傾向を示していると聞いております。しかし、ここで重要なことは、数の増減だけではなく、救急車の利用実態が運動前と運動後にどのように変化しているのか、冷静に分析することにあると考えます。
 山形県においては、平成22年、救急車の出動を電話で依頼した当時の山形大学の学生が死亡した事案で、山形地方裁判所において訴訟が係属されております。これを受け、山形県の救急業務高度化推進協議会が、市消防本部の119番受信、出動システムが適正かどうか検証を始める予定としており、公的組織による専門的な検証に大きな関心が寄せられております。
 そこで伺いますが、県としては、県民運動展開後の救急車による搬送実態の現状をどのように捉えているのでしょうか。県内各消防署等における救急車の出動状況の現状も踏まえ、医療資源が乏しい本県にあって、安易な利用を抑制しつつ、真に救急対応が必要な患者への対応が図られる状況になっているのか、御認識をお伺いいたします。
 さらに、救命率の向上に向け、消防機関と医療機関の連携強化による迅速かつ適切な受け入れ態勢構築、救急車内における救急救命士の役割等が非常に大きなものになると思われますが、現在の受け入れ態勢の状況、救急救命士等の活動の現状や今後の充実強化に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、ドクターヘリの状況についてお伺いいたします。
 群馬、茨城、栃木の北関東3県の広域連携の状況を見る機会があり、岩手県の今後の効果的な運航システムの構築に向け、大きな示唆になるものと感じてまいりました。3県の担当者からのお話を総括いたしますと、ヘリ導入効果を高め、救命率の向上と、その後の後遺症の軽減を実現するには、一定のキャンセル率を見込んだ上での早期要請、早期離陸、早期接触の三つの要素が外せないということであります。ドクターヘリの先行事例では、導入直後、通信司令員が出動の判断に迷い、出動を抑制するケースが多く見られたと聞いており、その反省を踏まえた統一的で県内各地区のばらつきのない運用と対応が必要であります。
 そこで伺いますが、ドクターヘリの出動要請基準と運用等がどのように行われているのでしょうか。また、現時点において各地区消防本部ごとのドクターヘリの運航要請、キャンセル率、ランデブーポイントの確保の状況などを評価し、課題と対応策があれば伺います。
 現在、青森県、秋田県、岩手県における連携の動きが加速し、早期の運航開始、半年後を目途とした正式協定の見通しが示されております。さきの調査からは、広域連携をよりよいものにしていくためには、県域の壁、行政の縦割りを超えた柔軟な連携、運航体制を進める必要があるとの指摘を受けてまいりました。現在までの運用方法等の話し合いの状況と、他県例などを参考にした、より柔軟で救命率の向上に資する取り組みへの考え方をお示しください。
 ドクターヘリの弱点として挙げられておりますのが有視界飛行であるため、夜間や悪天候時の運航が制限されるということであり、雪国県岩手にあっては、冬場の運航において出動制限がふえることも懸念されます。熊本県では、ドクターヘリと防災ヘリの連携と役割分担を明確にし、現場救急をドクターヘリが、重篤患者の病院間搬送を防災ヘリが担う熊本型による救命率向上を目指しており、また、ドクターヘリが対応できない夜間と早朝は防災ヘリが対応する2機併用の仕組みをつくり、24時間のサービス提供を模索している自治体もあると聞いております。
 県は、策定を進める次期保健医療計画においても、ドクターヘリ、防災ヘリ、県警ヘリの円滑な運航体制の構築を掲げております。三つのヘリは、装備も目的も搭乗態勢も異なるヘリではありますが、それぞれの長所を生かし、欠点を補い合いながら、よりよい体制構築を模索する必要があると考えます。県の取り組み状況と課題解決策をお示しください。
 続いて、県の保健、医療、福祉連携体制について伺います。
 常任委員会調査で熊本県の山鹿市へお邪魔し、地域包括ケアシステムの取り組みと、NPOの運営による小規模多機能ホームを見る機会がありました。この事業所では、小規模多機能型居宅介護事業を中心に、通所介護事業、認知症などの福祉相談事業を初め障がい福祉サービス事業、子供の一時預かりや学童施設の機能、地域の方々が緊急用に利用できる部屋の確保など、多方面にまたがる事業を展開しながら、住民の交流サロンとしての位置づけも担い、お年寄りと子供たち、障がいを持った人たちと地域の方々が、一つの拠点を中心に、各種のサービス提供を受けながら地域コミュニティの構築を図るという地域福祉の理念を具現化したものとなっておりました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 この事業自体は市の主体によるものでありますが、その理念と体制構築には県が大きくかかわっております。
 熊本県では、福祉という縦割りの制度の運用にとどまらず、制度の縦割りを地域に即した利用者の視点から、介護保険などの公的なフォーマルサービスにかかわらず、インフォーマルサービスを組み合わせ、必要と思われるサービスを生み出し、補い、福祉の総合化と、福祉とまちづくりの融合を図ることが必要との観点から、熊本発の福祉モデルを創造するとしており、先ほどのドクターヘリとあわせ、県としての独自性が顕著であります。
 震災によって山田、大槌、高田の県立3病院を初め本県の医療や福祉関連施設は甚大な被害を受け、県では、地域医療再生臨時特例交付金などを活用しながら施設の復旧に取り組んでおります。また、高齢者を中心にさまざまな問題が顕在化している中、新年度に向け、復興住宅ライフサポート事業を初め健康維持増進や健康相談支援事業、福祉コミュニティ復興支援事業、障がい福祉サービス復興支援事業など、高齢者や障がいを持った人たちなどへの事業を一体的に進めようとしており、方向性に賛同いたしますが、今後は、さらに被災地の人口状況と高齢化率の上昇など、経験したことのない環境下で、医療とも連携した福祉体制をつくっていく必要に迫られていると感じます。
 そこで伺いますが、医療局は先ごろ、県立3病院の再建方針案を示しましたが、3病院の再建においては、今後の医療圏のさまざまな医療環境を考慮した上で、介護、福祉への連携と、民間力の活用も視野にした整備方針が必要ではないかと考えるものでありますが、整備方針と今後の整備スケジュールをお示しください。
 さらに、県は、今後の沿岸被災地の保健、医療、福祉の再構築に向けて、新たなまちづくりや今後始まる医療や介護施設等の復旧と連動し、高齢者、障がい者、子供たちを総合的に支援しながら、あわせて子育てや農業等の産業分野との連携も深めながら、地域一体となった創造的な岩手型地域包括ケアモデルの構築を目指すべきと考えますが、サービス提供主体の育成策も含め、知事の所感をお伺いいたします。
 続いて、岩手県の医療政策を進める上で欠くことのできない岩手医科大学との連携強化について伺います。
 岩手医科大学附属病院の移転整備については、昨年12月、矢巾地区に1、000床規模の新病院を整備するとともに、内丸地区には歯科医療センターを併設した(仮称)内丸メディカルセンターを整備することとし、それぞれ平成30年度内の開院を目指すことが表明されております。また、県では、療育センターの移転改築整備の予定地として同附属病院の移転敷地内とすることを決定したところであり、これらの整備計画の着実な推進に期待するところであります。
 岩手医科大学は、開学以来、本県においては、唯一、地域医療に密着した私立医科大学としての地位を確立し、近年においては、矢巾キャンパスへの薬学部の開設、医学部及び歯学部の基礎講座と共同研究部門を移転し、名実ともに屈指の医療系総合大学として歩み続けているところであります。
 この間、本県医療政策と密接に連携し、三次救急に対応する高度救命救急センターや循環器医療センター、総合周産期母子医療センター等の主要施設の整備が進み、さきのドクターヘリ事業の主体となるとともに、国の緊急医師確保対策等に呼応し、医学部の定員が引き上げられ、現在、入学定員は125名を数えております。これらに係る施設整備、運営費補助、奨学金の貸与等、県の財政措置も多額になっておりますが、本県地域医療の確保に大きな使命と責任を担っていただいており、県民の期待も大変大きなものがあります。
 全国では、例えば山形県が、国立大学法人山形大学医学部と相互の緊密な連携と協定により、県の地域医療の向上に寄与していくことを目的として、地域医療に係る連携協力に関する協定を締結したなどの取り組みも聞こえております。
 そこで伺いますが、まず、今後の附属病院移転整備に対し、県はどのような支援を考えているのか、現時点での検討状況をお示しください。
 また、本県においても、今後、岩手医科大学との間において、本県地域医療の確保を図るため、本県からの財政支援等に対し、同大学による県内医師の養成、配置等の貢献を具体的な内容とする協定を締結することや、建学の精神として、地域医療の発展と医療、福祉、教育の充実を掲げる同大学がみずから地域貢献方針を定め、公表するよう県から働きかけることなどが求められるのではないかと考えるものであります。県民の地域医療再生の願いに対し、具体的なビジョンや取り組みをあらわすものとしてぜひ実現すべきものと考えますが、知事のお考えを伺います。
 昨年に続いて再生可能エネルギーについて伺います。
 県では、岩手県地球温暖化対策実行計画において、再生可能エネルギーによる電力利用量を2020年度までの10年間で現在の2.4倍とする目標を定め、公共や民間の防災拠点施設等への導入を促進する再生可能エネルギーの地産地消、大規模発電施設の立地促進や関連産業との連携を進める再生可能エネルギーの事業化と産業連携などの施策を推進しております。メガソーラーを中心に大規模発電施設の立地計画や、企業局による風力や太陽光発電計画などの報道を耳にすることにより、比較的順調に計画が進んでいるのではとの印象を受けておりますが、現在までの基金事業による防災活動拠点等への導入状況と大規模発電の立地状況について、進捗状況と再生エネルギーによる発電可能量を示すとともに、全体的な評価をお示しください。
 岩手県の平成22年度における電力自給量は24.6%となっております。同じ東北において、青森県と山形県との比較を見ると、それぞれ105.0%、63.0%となっており、いずれも本県を大きく上回っております。その他の県での数値は公表されていないようでありますが、原発立地県である福島県と宮城県においては高い自給率であることが想像できます。岩手県は、東北の中にあって電力の輸入超過県としての側面を持っていることになり、これは、いわば原発立地と裏腹の面もあったと言えます。
 しかしながら、福島原発の事故後、これらの状況が一変する可能性が出てまいりました。福島県では、県内原発の全基廃炉を求め、国の電源立地地域対策交付金を辞退するとともに、東京電力に対す核燃料税の課税を行わないなど、財政面からも脱原発の意思を明確にしております。そして、昨年3月、原子力に依存しない安全・安心で持続的に発展可能な社会づくりと、誇りあるふるさとの再生の実現を理念とした福島県再生可能エネルギービジョンを作成、2020年に1次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を40.2%、2030年には63.7%にし、2040年度を目途に県内のエネルギー需要量の100%以上を再生可能エネルギーで生み出すという目標を掲げております。
 岩手県の再生可能エネルギーの推定利用可能量は全国で第2位と相当のポテンシャルを持っており、今後、調査が行われる洋野町での洋上風力発電の可能性や、発送電分離や送電網整備に対する新たな取り組みが広がれば、さらなる電力供給と自給力の向上が期待できるものと思われます。
 そこで知事に伺いますが、本計画の完全達成による原発に頼らない安全・安心の電力供給県としての位置づけを確固たるものとし、日本のエネルギー政策の大転換をリードすべく、強いメッセージを発信してください。
 県の目標を確実に達成していくためには、県組織を含めたさまざまな推進体制を構築するとともに、県民、住民協働による新しい組織の参入なども促し、電力の地産地消とともに経済と雇用の地産地消を実現する必要があると感じます。
 福島県では、再生可能エネルギー推進センターの設置とともに、発電事業への参入を目指す民間企業や住民団体で構成する事業ネットを発足させるとしており、全国にも市民参加型の電力事業があちこちで芽吹いております。
 現政権は脱原発政策の見直しを明言しており、電力各社による電力料金の値上げ申請も伴い、原発に頼らない安全・安心の電力政策への転換の流れが失速することが懸念されます。国民や経済界等に対する理解をさらに広げていくためには、再生可能エネルギーの供給体制を素早く確実に構築し、実例を積み上げていくことが最も確実な方法であると考え、創造的復興をなし得る過程で、岩手県の役割は大きなものがあると思われます。県の今後の推進体制の構築と、市民、県民を巻き込んだ事業化への取り組みに対するお考えをお示しください。
 最後に、私からもILC誘致について質問いたします。ILC誘致への取り組みは、昭和60年代から始まった大型放射光施設の誘致からと言われておりますから、30年にわたる歴史があることになりますが、国内候補地一本化に向け、その取り組みがいよいよ正念場を迎えております。
 県議会の新産業創出調査特別委員会ではILCに関する集中的な調査を行っており、先月にはつくば市の高エネルギー加速器研究機構─KEKを訪問いたしました。一連の調査では、研究者の方々のILC計画に対する並々ならぬ思いと、岩手県と北上山地への期待の高さも随所からうかがい知ることができ、大きな成果がありました。
 一方、技術的評価の中心になる地質調査を含む適地性については、より広範で、十分かつ詳細な調査による理論的裏づけを詰めていく必要があること、東北誘致の復興の象徴の意味づけを具体的に数値化して示すこと、また、研究者たちの住環境の整備と、コンパクトで集約型のまちづくりを目に見える形で提案することなど、岩手県や東北が今後取り組んでいかなくてはならない課題の指摘も受けてまいりました。
 候補地一本化に向けた具体の工程はいまだ見えにくい状況にはありますが、残された時間で、想定される技術的、経済的、政策的な評価に対してしっかりとした対策を講じる必要があると強く感じておりますが、県は、これらの指摘を含め、現時点での国内一本化に向けた課題をどのように整理し、対応をとっていく予定なのか伺います。
 ILC建設には8、000億円以上の建設コストとともに毎年の維持管理費、施設のメンテナンス経費などが長期間にわたって必要となってきます。昨年12月に国際共同設計チームが提出した設計書は、今後修正を経て、6月につくられる最終版にはコストの章が加えられる予定と聞いており、ILC誘致には、施設整備の性能の質の向上とあわせコスト削減努力が求められ、今後、その部分が候補地決定の大きな要素になってくると予想されます。
 KEKの山本ILC計画推進室長からは、施設の建設とメンテナンスの部分において東北の地場企業の参入に期待する声が寄せられ、技術力の高さによる性能の維持を前提に、地元参入率の向上によるコスト削減の可能性を示すことができればとした上で、KEKとしてはさまざまな協力体制をしいていく準備があることにも言及され、大きなヒントをいただいたような気がいたしました。
 県としても、県内及び東北全体の産業界との連携強化を図り、建設からメンテナンスを含めた参入可能性を早期に検討し、一本化決定までに具体の対応をとっていく必要があると考えますが、県のお考えをお聞かせください。
 最後に知事に伺います。誘致実現に向けた力強いメッセージと意気込みを伺うとともに、そこに全力で取り組んでいくための県庁内外の人材確保、組織体制や予算を含んだ充実強化の必要性への所見を頂戴したいと思います。
 あわせて、東北全体のプロジェクトであるとの認識を共有するための東北、北海道、新潟県を含んだ一体的な取り組みがどのようになっているのでしょうか。知事が先頭に立って、予算面も含め、東北全体の事業としての位置づけをより強いものにしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少問題についてでありますが、私が知事に就任した当時、本県においては、地域経済の低迷等により、若年層を中心に社会減が1年間で6、000人を超える状況にございました。これを危機として捉え、就任直後に策定したいわて希望創造プランにおいて、人口転出への歯どめを重点目標の一つに掲げ、ものづくり産業の集積促進や観光業、農林水産業などの振興による雇用の場の確保、定住、交流の促進などの取り組みを進めてまいりました。
 本県の人口の社会減は平成20年から5年連続で減ってきており、こうした取り組みが一定の成果を上げてきたものと考えております。
 人口の社会減を減らすことは、第2期アクションプランにおいても政策推進目標の一つに掲げているところであり、今般、政府が決定した日本経済再生に向けた緊急経済対策の柱になっている成長による富の創出や暮らしの安心・地域活性化に関連する事業も積極的に導入しながら、地域産業の振興による就業機会の創出を図るとともに、安心して子供を産み育てられる環境の整備等に引き続き取り組んでまいります。
 次に、被災地における地域包括ケアシステムの構築についてですが、高齢化が進む本県においては、地域で安心して生活していくことができる地域包括ケアシステムの構築が重要であると認識しており、特に、新たなまちづくりに取り組む沿岸市町村について重点的に支援していく必要があります。
 このため、現在策定中の次期岩手県保健医療計画では、地域住民の参画のもと、関係機関の連携と協働により市町村が地域包括ケアのまちづくりに取り組めるよう、その方向性、方策等を示しながら必要な支援をしていくこととしております。
 また、今後の災害公営住宅への移行に当たり、新たなコミュニティにおける高齢者や障がい者等の見守りや相談支援、住民の交流などが行える体制の整備を図るとともに、全県を対象に小規模多機能居宅介護などの育成、参入促進や生きがいづくりの支援を行うなど、多様な岩手型の地域包括ケアシステムの構築に向けて取り組んでまいります。
 次に、岩手医科大学の地域貢献についてでありますが、岩手医科大学は、本県唯一の医療系総合大学であり、これまで、高度専門医療の提供に加え、地域における医療機能を人材面において厚く支援し、本県の病院ネットワークの中核として地域医療に重要な役割を発揮してきております。
 しかしながら、深刻な医師不足により、医師の地域偏在、診療科偏在が大きな課題となっていますことから、岩手医科大学が、本県地域医療の確保に向けて、より重要な役割を果たすことが県民から期待されているものと認識いたします。
 現在、医師確保に向けて、岩手医科大学を初めとした医療関係者により、奨学金による養成医師の配置調整を行うための仕組みや運営体制の構築などを検討しているところでありますが、さらに、岩手医科大学において、みずからも県内医師の確保を図るため、地域医療支援センターの医師派遣機能を強化するとともに、県立病院等の公的医療機関への勤務医師数などについて目標を定め、全学が一丸となって邁進していくことを期待するところであり、県としても、同大学とのパートナーシップのもと、その実現を働きかけていきたいと思います。
 次に、エネルギー政策についてでありますが、大震災津波以降の原子力発電に対する問題意識の深まりや再生可能エネルギーに対する意識の高まりを踏まえ、県では、エネルギーの地産地消による電力自給率の向上や、災害にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制の構築に積極的に取り組んでいます。
 再生可能エネルギーの導入に当たっては、県民一人一人の取り組みが重要でありますことから、今後、市町村、事業者、県民等と連携を一層強化しながら、県民運動的な取り組みを展開し、電力自給率を10年間で倍増としていくことで、再生可能エネルギーが震災復興や環境王国いわてのシンボルの一つとなるよう、積極的に推進してまいります。
 次に、ILC誘致実現の意気込みについてでありますが、国内候補地の一本化が間近となっております。県の組織体制について、平成25年度は、現在兼務となっているILC推進監の専任化や全庁的なワーキンググループの設置などにより、その強化を図るとともに、県内のみならず、全国的な機運を盛り上げるべく、関係する有識者や大学等の研究者などとの連携をさらに強め、政府にも働きかけるなど、万全を期していきたいと考えております。
 次に、東北、北海道、新潟県を含んだ一体的な取り組みについてでありますが、新潟県や北海道も含めた一体的な活動の推進については、私みずから、これまでも北海道東北地方知事会など、機会を捉えて、直接各県等の知事に協力と参画を呼びかけてまいりました。
 東北ILC推進協議会が昨年策定したILCを核とした東北の将来ビジョンは、ILCが、新潟県を含めた東北全域に波及効果をもたらすことを明らかにしております。同協議会と連携し、普及啓発DVDを活用したPRや東北各県での講演会の開催等により、さらに浸透を図っていきたいと考えております。
 知事演述でも述べました未来に追いつく復興というのは、岩手、東北が、国際プロジェクトの舞台として広く世界とつながる地域になるということでもあります。地域を大きく世界に開くことになるILCは、そのための不可欠なプロジェクトであるという意気込みのもと、活動を進めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) まず、復興に係るマンパワーの確保についてでございますが、県におきましては、職員の採用増や任期つき職員の採用、他県からの応援職員受け入れ等によりまして新年度の体制整備に取り組んでおりますが、想定する知事部局約4、400人の体制に対し、現時点で見込みが立っている職員数は4、340人程度となっております。このうち、応援派遣職員は今年度並みの150人程度の応諾という段階にとどまっております。
 また、被災市町村につきましては、専門技術職を増加する必要があり、来年度の派遣職員要請数でございますが、議員御指摘のとおり、455人に上っておりますが、現時点の応諾数は約8割の360人程度にとどまっております。
 新年度を間近に控えておりますが、引き続き、被災市町村を含めた県全体の復興体制の充実に向けまして、全国知事会、市長会、町村会等を通じた応援職員の派遣要請を行い上積みを図りますほか、復興庁の支援によります国職員OBや民間企業職員等を受け入れられないか、その調整を図るといったこと、また、任期つき職員及び再任用職員の活用など職員確保の取り組みに努めてまいります。加えまして、いわて復興応援隊の増員等によりまして、民間の力も活用しながら、あらゆる手段を講じまして復興人材の確保の取り組みを進めてまいります。
 次に、救急車による搬送実態についてでございます。
 平成23年中─暦年の23年でございますが─に、本県で救急搬送した傷病者等、これは4万3、535人ほどいらっしゃいますが、傷病程度別に見ますと、入院加療を必要としない軽症者が42.2%、1万8、357人、中等症の方が39.2%、1万7、073人、重症者が15.2%、6、629人といった内訳になっておりまして、救急搬送に限れば、県民運動の展開によりまして、搬送者数や軽症者の割合が顕著に減少するには至っておりません。
 真に救急対応が必要な傷病者への対応が図られているかどうかということにつきましては、データからは一概に判断できませんが、本県におきましては、救急搬送されました傷病者等に占める重症者と中等症者の割合が54.4%となっておりまして、全国の48.0%と比較して高い値を示しておりますことから、各消防本部におきまして、適正な救急搬送に努めていると受けとめております。
 次に、傷病者の受け入れ体制についてでございますが、本県におきましては、消防、医療、行政の関係機関で構成いたします県及び地域単位の協議会を設置し、関係機関の連携のもとに、傷病者の搬送及び受け入れの実施基準や救急業務のプロトコール─応急処置の手順を定めたものでございますが、こういったものの作成、普及、運用を通じまして、傷病者の適切な受け入れ体制の構築を図っているところでございます。
 この結果、平成23年中に救急搬送されました重症以上の傷病者につきまして、照会回数3回以内で医療機関が受け入れた割合は、本県では99.2%という数値になっておりまして、全国の96.1%に比較して極めて高い値となっております。おおむね円滑な傷病者の受け入れが行われているものと認識しております。
 救急救命士等によります救急活動の現状と充実強化に向けた取り組みについてでございますが、医療機関との連携により、医師の具体的指示のもとでの気管挿管及び薬剤─アドレナリンでございますが、この投与ができる救急救命士は毎年数十人単位で増加を続けておりまして、救急現場や搬送中の傷病者に対して、より高度な応急処置を施せる体制が一般化しつつあるところと受けとめております。
 救急救命士を初めとして救急隊員が行うことのできる応急処置の範囲は拡大する傾向にございますが、技能習得や現場における実際の運用に当たりましては、医療機関の協力が重要と認識しております。このため、県としましては、協議会の場の活用などを通じまして、消防機関と医療機関との連携の強化に努め、救急活動の充実、高度化に取り組んでいく考えであります。
   〔理事高前田寿幸君登壇〕
〇理事(高前田寿幸君) 復興事業の円滑化に向けた国及び市町村との情報共有についてでございますが、被災地の復興まちづくりにつきましては、平成25年度に土地区画整理事業などの面的整備事業の着工がピークを迎えると見込まれるなど、今後、沿岸市町村では、まちづくりや海岸等の大規模工事が本格化いたしますことから、これまで以上に国、県、市町村の連携が重要となっております。
 このため、これまでも国と県及び市町村との意見交換会や岩手復興局が定期的に関係省庁及び県を構成員として開催しております連絡会議等の場を通じ、復興事業に関する情報共有を図るとともに、国、県、市町村、業界団体による復旧・復興工事情報連絡会を開催し、建設資材の需給状況の情報共有と円滑な調達に努めてきたところでございます。
 また、さらなる事業量の増加に伴い、被災地で課題となっております専門的な技術者や労働者の確保、さらには、建設発生土の土量調整など、新たな課題への対応も必要となってまいりますことから、先般、岩手県復旧復興工事施工確保対策連絡調整会議を設置するとともに、平成25年度には、新たに沿岸各地域に施工確保対策連絡調整会議を設置いたしまして、これらの課題解決に向け、関係機関や業界団体と連携を強化し、復興まちづくりを加速させてまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、住宅確保政策の状況についてでありますけれども、被災者生活再建支援金のうち、基礎支援金に対します加算支援金支給件数の割合や災害復興融資の申し込み件数が宮城県、福島県に比べて小さくなっている要因につきましては、大きく二つあると考えております。
 一つは、宮城県や福島県では、相当数の住宅が地震動のみによって被災しているということで、その多くは現地での建てかえや補修が可能であり、比較的早期の再建が始まっているということであります。
 それから、二つ目に、本県の沿岸被災地は、後背地に住宅再建が可能となる平地が宮城県、福島県に比べて少ないことが挙げられます。
 これらのことから、民間による住宅の自力再建につきましては、進捗に差が生じておりますけれども、一方の住宅再建のための防災集団移転促進事業等につきましては、宮城県、福島県との進捗の差はないものと考えております。
 県といたしましては、被災者生活再建支援金への追加措置として被災者住宅再建支援事業を行うなど、今後とも、住宅再建を希望される被災者の方々を支援するとともに、高台移転等による移転を加速するなど、宅地の供給促進に努めてまいります。
 次に、住宅再建の支援策についてでありますが、県では、被災者の方々が県内で住宅再建をすることを支援するための独自の取り組みといたしまして、被災者住宅再建支援事業や生活再建住宅支援事業を県内統一的に行ってまいりました。これに加えて、多くの市町村においては、市町村内での定住促進を狙いといたしまして、それぞれが抱える地域の実情や個別の課題に応じて独自の支援策を行っております。
 今般、国におきまして、震災復興特別交付税を増額交付することとしており、本県の配分額として215億円が見込まれております。県では、その全額を対象市町村に配分する予定でありますので、被災市町村が、この財源を有効に活用して、住宅再建支援の充実強化を図ることにより、住民の定着と復興まちづくりが加速されるものと期待いたしております。
 今後とも、県と市町村で連携を深めつつ、また、それぞれの求められている役割に応じながら、被災者の方々が一日でも早く安心して暮らすことができるよう、住宅復興に取り組んでまいります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、ドクターヘリの出動要請基準と運用等についてでありますが、本県のドクターヘリ運航要領では、消防隊員が、救急現場等において傷病者の状況を確認し、生命の危険が切迫しているか、その可能性が疑われる、重症患者であって、搬送に長時間を要することが予想されるなど4項目の基準に該当すると判断したとき、ドクターヘリの出動を要請することができるとしております。
 また、119番通報に、人が突然倒れた、呼びかけても応答がないなどのキーワードが含まれる場合には、現場出動前でも速やかに出動要請を行うこととし、迅速な要請の実現に努めております。
 県といたしましても、運航開始前の説明会や訓練運航等を通じ、消防機関に周知を図るとともに、仮に要請後に傷病者の詳細な状況が判明し、キャンセルとなった場合でも、出動を要請した者の責任は一切問わないとしてきたところであり、今後とも引き続き、早期要請、早期治療開始が図られるように運用してまいります。
 次に、ドクターヘリの評価、課題、対応策についてでありますが、昨年5月の運航開始から約9カ月間における各消防機関からの要請回数は、少ないところは1回、多いところで80回、キャンセル率は0%から28%となっており、要請の習熟度合いによって、地域における運航状況に差が生じている可能性があります。
 また、現時点での県内におけるランデブーポイントは570カ所となっておりますが、消防本部地区ごとに比較すると12カ所から80カ所と開きがあり、さらに、冬期間は積雪等の影響で使用できない場合もあることが課題と認識いたしております。
 今後は、ヘリを運航する岩手医科大学と連携し、要請実績の少ない地域における事例研修の実施等により、必要な要請が適切に行われるよう働きかけるとともに、市町村等と協力して、ランデブーポイントのさらなる確保や冬期間における除雪体制の強化に努めてまいります。
 次に、ドクターヘリの広域連携への取り組みについてでありますが、昨年7月に、北東北3県のドクターヘリ所管課、基地病院、運航会社によるドクターヘリ及び救急医療連携に係る北東北3県会議を開催し、議員御指摘の北関東3県でも取り入れられている相互乗り入れ方式での広域連携実施について、基本的な合意に至ったところであります。
 その後、11月には、試験的に連携運航を開始するための3県担当部長による覚書を締結し、現在、その内容を具体化し、消防等関係機関に周知するための運航マニュアルの作成を進めているところであります。
 新年度早期の開始を予定している試験運航に当たっては、他県のヘリを要請できる基準として、北関東3県でも規定されている重複要請時、多数傷病者の発生時に加え、気象条件により自県ドクターヘリが出動できないときを加える予定であり、特に県境地域における救急医療体制の向上につながるように取り組んでまいります。
 次に、ドクターヘリ、防災ヘリ、県警ヘリの運航体制構築についてでありますが、ドクターヘリは、騒音や砂じん等、周囲に与える影響が比較的少なく、救急現場における早期治療開始に適している一方、防災ヘリと比べて機体が小型であることから、風雨や降雪等の影響を受けやすくなっております。
 現在、消防機関に対しては、救急現場への出動事案についてはドクターヘリを、また、比較的症状が安定している患者の病院間搬送や県外医療機関への搬送については防災ヘリを要請するよう原則的な考え方を示しており、さらに、遭難事故等については、防災ヘリを核としつつ、事案の状況に応じて、県警ヘリも含めた3者の連携が有効と考えているところであります。
 今後、県内のヘリ搬送要請はさらに増加が見込まれますが、防災ヘリや県警ヘリの持つ特性を踏まえ、現在の連携体制の検証も行いながら、引き続きドクターヘリ運航調整委員会等の場を通じて、連携強化を図ってまいります。
 次に、岩手医科大学附属病院の移転整備に対する県の支援についてでありますが、岩手医科大学による矢巾町への総合移転整備については、これまでに薬学部の新設に対応した支援を行い、また、今年度は、災害時における医療提供体制を強化するとともに、医療人材の確保を図るための拠点となる災害時地域医療支援教育センターの整備に対する支援を進めております。
 また、同大学附属病院は、高度な医療を提供する県内唯一の特定機能病院であり、今後、その移転整備に対応し、小児、周産期、救急部門の一体化と機能拡充を図り、効率的かつ安定した高度医療を提供する(仮称)統合医療センターや災害時の電力確保を図るためのエネルギーセンターの整備に対し、地域医療再生等臨時特例基金を活用した支援を行う考えであるほか、医療施設耐震化臨時特例基金を活用した支援を計画しており、その具体化について、同大学と協議、調整を進めているところであります。
 なお、今後の協議におきましては、同大学による本県地域医療への貢献について求めてまいります。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) 被災した県立3病院の再建についてでありますが、被災した県立3病院が立地する地域は、いずれも高齢化率が高く、高齢者を中心とした地域医療を提供する必要があることから、引き続き一定程度の病床を確保するとともに、他の医療機関や介護施設等との適切な役割分担と連携を図っていくことが肝要と考えております。
 また、地域病院の深刻な医師不足の中で、医師への過重な負担を少しでも軽減する必要もあると考えております。
 こうした考え方のもとに、今年度内を目途に、病院の立地場所や規模、機能の整備方針を決定するとともに、来年度、基本実施設計に着手するなど、早期開院に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 再生可能エネルギーについてでありますが、再生可能エネルギー設備導入等推進基金を活用した防災拠点等への導入は、平成27年度までに、計548施設で太陽光発電等を設置する計画であり、現時点で118施設について補助金の交付申請を受けているところであります。
 大規模発電については、太陽光発電では18カ所で計45.8メガワット、風力発電では2カ所で計45.3メガワット、地熱発電では1カ所で7メガワットの計画が進められており、このほかにも事業化に向けた動きが活発化しております。
 さらには、住宅、事業所への太陽光発電の設置なども進み、現時点で合わせて168メガワットの導入が見込まれており、これは平成32年度までの10年間の新規導入目標675メガワットの約25%に相当しており、順調に導入が進んでいるものと考えております。
 次に、県の今後の推進体制の構築と事業化の取り組みについてでありますが、県では、再生可能エネルギーに関する施策の総合的な推進を図るため、知事を本部長とする再生可能エネルギー推進本部を設置し、市町村等とも連携しながら、積極的な導入に努めております。
 また、産業、運輸、地域活動団体などで構成される温暖化防止いわて県民会議では、省エネ・創エネ推進宣言を採択し、各主体が一体となった取り組みを進めております。こうした取り組みの結果、県内企業によるメガソーラーの導入のほか、紫波町や野田村における市民出資による太陽光発電の設置事業など、地域に根差した動きが活発化してきております。来年度は、新たに詳細な適地情報マップの作成や各種セミナーの開催、地球温暖化防止活動推進センターにおける情報発信の強化などを通じて、市町村、県民、事業者との連携を一層推進し、県民一人一人の意識に根差した取り組みを強化してまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) ILCの国内候補地一本化に向けた課題についてでありますが、国内の研究者グループが設置いたしましたILC立地評価会議では、候補地の一本化を進めるに当たり、地質などの技術的、工学的観点による評価と、研究環境、まちづくりなどの経済的な観点による評価を行い、その後、政策的判断に委ねると聞いております。このため、まず、技術的、工学的観点による評価におきましては高い評価を得ることが重要であることから、作業の主体となっております東北大学を積極的にサポートし、道路や電力網などのインフラに関するデータの収集、整理を行っているほか、特に評価の重要なポイントとなる地質面において優位性を示せるよう、今後、必要な調査を行うこととしております。
 また、経済的な観点による評価につきましては、どのように国際的な研究圏域を形成していくことができるのか、その道筋を示すことが重要であることから、東北ILC推進協議会等と連携し、国際的なまちづくりのグランドデザインを策定し、ILC立地評価会議に提案したいと考えております。
 次に、産業界との連携についてでありますが、東北ILC推進協議会が策定したILCを核とした東北の将来ビジョンによれば、新潟県を含む東北地方における加速器関連産業の規模は約9.7兆円と推計しており、ILCがもたらす技術革新によるイノベーション効果で関連産業の裾野がさらに拡大していくことが期待されるほか、ILCの建設に必要な資材や機器類等の調達、運用開始後の周辺施設を含めたメンテナンスなどに伴う需要も多額になることが想定されることから、地元企業の参入の可能性は十分にあると考えております。
 建設候補地の地元や県内経済界においてもこのことは十分認識しており、例えば一関市では、今年度、民間企業を対象として、産業技術とのつながりをテーマにしたセミナーを6回開催しているほか、岩手県国際リニアコライダー推進協議会でも本年1月に高エネルギー加速器研究機構を視察し、加速器の製造技術等について調査をするなど、ILC関連分野への参入について機運が生まれてきております。
 県といたしましても、今後、高エネルギー加速器研究機構や東北大学等と産業界との橋渡しを行いながら、ILCの建設段階から地元企業がかかわっていくための方策を検討してまいります。
〇28番(関根敏伸君) 御答弁どうもありがとうございました。何点か再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、ドクターヘリの状況についてであります。要請の状況、キャンセル率、ランデブーポイントの確保の状況、相当地域間の隔たりがあるという認識を今初めて聞きまして、若干危惧しております。先ほど対応策等を示されたわけでありますけれども、私どもが視察に行って伺ったのは、要請をためらう地区と、しっかりとした素早い判断ができる地区とでは、住民の命に直結するということをやはり強く言われてまいりまして、この辺の部分の認識をもっと強くしながら、キャンセルに対しての対応はちゃんととっているというお話ではございましたけれども、いま一度、その辺の推進体制をしっかりとっていく必要があるのだろうと思います。まだまだ運航を開始したばかりでございますけれども、これについてのさらに強い対応についてのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
 それから、広域連携のことでございまして、北関東3県の例にはない気象条件による運航というものが、一つ、岩手県と青森県、秋田県との連携の中では実現できそうだという方向性があったわけでありますが、やはりここでも県域の壁、行政の壁という中で、特に岩手の県北あたりにしてみれば、青森県から来ていただいたほうが、時間的な面とかいろんな面でもはるかに短くて済むわけでありますから、救命率の向上ということから考えていけば、青森県、秋田県、岩手県というくくりではなくて、北東北の広域連携という形で運航体制をしいていくといった、やはりもっともっと踏み込んだ対応が必要なのではないかと考えております。御所見をお伺いしたいと思います。
 あわせて、防災ヘリと県警ヘリの連携強化ということに関してもお話を伺っております。きょうの新聞では、宮城県もドクターヘリを導入されるということで、宮城県の知事は、どうしても天候に左右されるドクターヘリに余り必要性を認識していなかったようでありますが、それが踏み込んだ形でそういった方向性を目指しているということでございます。ただ、やはりその弱点を知り尽くした上での知事の考えだったんだと思うんですけれども、天候に左右されがちなドクターヘリを、いかに防災ヘリと県警ヘリが連携して、夜間と早朝も含めて出動態勢がきっちりとれるような体制をさらに踏み込んでいく必要があろうかと思っております。この3点についてお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
 それから、保健、医療、福祉体制でございます。知事からは、しっかり対応をとっていく、支援をしていくというお話がございました。復興促進委員会でしたか、国のほうからも、産業再生とともに被災地は地域包括ケアをしっかりと再構築していく必要があるということが提言される予定だと聞いております。その辺の認識は強いものがあろうかと思いますが、県立病院が再建されるわけであります。今までの御答弁と同じ答弁だったわけでありますが、もちろん、医療局は県立病院としての再建を、ベッドとか診療体制をどうとっていくかという機能的な形を考えながら進めるのだろうと思いますが、私が聞きたかったのは、医療と保健と福祉を一体的に、県立病院の再建を契機として施設的にも進めていくことができないだろうかという意味づけの中でお聞きをさせていただきました。
 沿岸の大きな問題は、住宅確保に関しても土地だと思います。県立病院の再建についても、土地の確保というものは、住宅の土地確保とうまく調和をとっていかないと大変なことになるのだろうと思っておりますので、であれば、土地の有効利用という観点からも、病院と福祉施設であったり、さまざまな交流サロン的なものであったり、あるいは子育て支援であったり、そういったものを総合的に、多角的にできるような施設として県立病院の再建を、その方向性も視野に入れていただいて、再建方針等をこれから詰めていく必要があるのではないかという意味でお尋ねしたところでありますので、そういった部分について、今の予定ですと、2016年あるいは2017年の開院予定ということでありますから、整備方針等を煮詰める時間というのはそんなに多くないと思いますが、そういったところも含めて、やはり土地利用ということも含め、さまざまな地域包括ケアの新しい形として、具現化するものとして、施設整備についてのお考えをもう一度お伺いさせていただきたいと思っております。
 それから、岩手医科大学との連携につきましては、本当に私は必要だと思っております。私どもも岩手医科大学の関係者にお話を伺う機会とか岩手医科大学の歴史を学ばせていただく機会もありまして、本当に岩手にとって、地域医療にとってなくてはならない病院だなと理解をしておりますが、あわせて、大学側からは県に対してのさまざまな支援という要求もやはりいただいております。ですから、私は、岩手医科大学と岩手の地域医療とのかかわり方をより明確に、総合的に県民にも見えやすい形で、財政的な支援のあり方もしっかり明示した上で、それぞれの役割分担をもう一度明確にしていっていただきたいという意味で、協定というものも一つの方向性なのではないのかと考えております。知事からは、ぜひ実現していきたいという旨の答弁もありましたし、これからは特に医師確保という面で、山形県の場合は、要するに、地域医療に従事される先生方の専門医に対しての志向というものを、山形大学の医学部の医局を使って、キャリアパスを有効に連携させながら、地域医療に従事しながら専門医としての資格を取得していくといった形の協定になっているようでありますけれども、そういった形でしっかりとした取り組みが岩手医科大学との中でできていけば、地域医療に従事していこうという先生方もこれからどんどんふえてくるのではないかと考えるものでありまして、その辺についての御所見もお伺いさせていただきたいと思っております。
 それから、再生可能エネルギーにつきましては、太陽光、風力、地熱を合わせますと168メガワットということでございました。675メガワット、2.4倍ということは、それだけ2020年までにふやさなければならないということですから、そういった意味では、2020年まであと七、八年あるわけでありますから、25%というのは一定の進捗率だと思っております。
 これはしっかり取り組んでいただきたいんですが、私が申し上げたかったのは、さらに踏み込んで、再生可能エネルギーというものへの取り組みを、計画は計画として、上方修正をするぐらいの意気込みでこれに取り組んでいただきたいという意味で、これを聞かせていただいたわけであります。そういった意味合いにおいては、推進体制も、市民とか県民を巻き込んで、より強いものにしていく必要があろうかと思っておりますし、基金事業の状況につきましても一定の進捗はあるのだろうと思いますが、もし、例えば民間の防災施設にもっと導入が進むような検討方向であるとか、いろんなものが加味されるのであれば、さらに再生可能エネルギーの電力供給が進む、こういった可能性があるのであれば、それに対してのさらに強い取り組み方法を、ぜひ、意欲とあわせて示していただきたいと思って質問させていただいたわけでありますので、この点についてのさらなる御所見をお伺いしたいと思います。
 以上でございます。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 5点お尋ねがありました。ドクターヘリについて3点ございました。
 まず、ドクターヘリの運航実績等を見れば、各消防機関からの要請回数、キャンセル率にかなり差が生じているということでございまして、これらについて、習熟の度合いによってかなり違うということがありますので、消防機関への習熟についての研修ですとか、あるいは訓練ですとか、そういうものを徹底していく必要があると思いまして、今後、そういう反省を踏まえて、弱いところについては十分な活用が図られるように、そういう形で進めていきたいと考えております。
 それから、県域を越えた広域連携の関係でございます。特に青森と岩手の県境のような地域では、いわゆる自県ヘリの原則ということよりは、むしろ、例えば八戸市から来たほうが近いという距離的な事情はおありだと考えております。現在、自県優先の原則をして考えておりますのは、基地病院からの距離的あるいは地理的な問題という観点からは、確かに議員御指摘のとおりでありますけれども、受け入れ医療機関の態勢、あるいは消防機関との連携体制などさまざまな要素を総合的に判断して、まずは自県ヘリの要請、その上で他県ヘリの要請による補完という整理をさせていただいているところでございます。
 いずれ、この点については、まず試験運航を実施しながら、その試験運航の結果を検証した上で、どういうやり方が望ましいかを本運航に向けて検討してまいりたいと考えております。
 それから、防災ヘリあるいは県警ヘリ等との運航態勢の構築の関係で、先ほど御答弁を差し上げましたとおり、ドクターヘリが風雨や降雪の影響を受けやすい小型のヘリであるというようなことから、安定して運航ができるようなものとして防災ヘリなどの活用をするというような一応の現在の区分けをいたしているところでございます。これを、さらに運航実績を積み重ねた上で、どういう形にしていけばよりよい調整ができるのかということは、検証を重ねつつ、全体とすれば、関係者が入る岩手県ドクターヘリ運航調整委員会がございますので、そういう中で、いろいろ検証結果も出しながら検討してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、保健、医療、福祉のあり方の中で、地域包括ケアを構築するに当たっての県立病院の位置づけというようなお尋ねがございました。それで、今回、県立病院を再建するということで議案に出して予算的なものをいただいておるわけですが、その地域包括ケアは、やはり医療と介護の連携を行っていくことが基本になるものと考えておりますので、地域包括ケアの中にどういう形で県立病院が位置づけられていくのか、地域病院としての役割というものについてさらに位置づけを明確にしながら、建設について我々のほうとしても進めてまいりたいと考えております。
 それから、五つ目であります岩手医科大学との関係でございます。さまざまな形で岩手医科大学との連携をしつつ、高度な医療を担っているということから、いろんな補助なり支援を行っているところでありまして、それに対して岩手医科大学のほうに求めるものとして、医師の確保というものをきっちり求めていくということを知事から御答弁を申し上げたとおりでございまして、そのあり方の一つとして、山形県では協定書という形態をとっていると。
 本県においてどういう形で求めていくかということについて、今、協定書というものを決めているものではありませんが、今後、岩手医科大学とのいろいろなやりとりの中で、そういうことも視野に入れながら検討していきたいと考えております。
〇医療局長(遠藤達雄君) 県立病院の再建に当たって、介護、福祉を含めまして連携体制ということのお尋ねと理解いたしました。今現在、検討しておりますのは、いわゆる再建後の基本的なあり方、機能のところを検討しておりまして、議員御指摘のとおり、被災地域は高齢者が非常に多いといった実態もございます。そういう意味では、先ほど保健福祉部長のほうからお話がありましたような地域包括ケア的な考え方の中でどう位置づけていくかというのが重要な課題だというのは認識しております。
 今後、基本的なところを定めた後、いわゆる連携とかそういったソフト面のものにつきましては、また地元市町なりの考えを伺ったりといった形で、具体的な連携というものについては、今後検討してまいりたいと考えております。
 なお、物理的と申しましょうか、本来は福祉施設と一体的なまちづくりと連動した整備というものが必要になろうかと思いますけれども、この辺はまた、地元市町の考え方もございますので、基本的にはソフト面での連携ということについて、いろいろ検討してまいりたいと考えております。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 再生可能エネルギーに対するさらなる取り組みということについてでございますが、固定価格買取制度の導入が追い風となっておりまして、現時点では順調に大規模発電施設が立地しているという状況でございます。
 加えて、先ほども答弁申し上げましたが、当初、県外資本による設置というものが多かったわけでございますが、市町村等を通じて県との意識の共有を図っていった結果、最近では県内企業の取り組みが非常にふえております。加えて、地域地域での取り組みということで、例えば住田町では地域の方々が小水力発電に取り組むというような、本当に地域に根差したような取り組みも行われ始めております。そういった動向を踏まえながら、さらに市町村あるいは団体、県民、そういった方々としっかり連携を強化しながら、県民一丸となって取り組むという体制づくりを進めてまいりたいと思っております。
 また、導入目標についてでございますが、現在、国のほうでもエネルギー基本計画というものを策定することになってございます。これは、夏以降という話がございますが、その中で再生可能エネルギーの導入目標といったものが国のほうから示されると聞いておりますので、そういった動きも踏まえながら、導入目標をどうするかということにつきましては検討していきたいと考えております。
 また、民間の防災拠点への設置のお話がございました。民間の防災拠点は、市町村の防災計画に基づく例えば病院でありますとか、福祉施設でありますとか、そういった施設を指すわけでございますが、これについては、残念ながら現時点では導入が余り進んでいないという状況でございます。その理由でございますが、これは制度設計に由来するものでございまして、特定市町村につきましては2分の1補助、それ以外は3分の1補助、ただし、補助を受けた場合は固定価格買取制度による売電はできないとされてございまして、その結果、むしろ固定価格買取制度を活用したほうがトータルではメリットが大きいという逆転現象が実は発生するということがございまして、申請件数が少ないという状況になってございます。
 県では、国に対しまして固定価格買取制度での買い取りを要望しておりますが、なかなか実現しないという状況がございますので、そういったケースの場合にありましても、県のほうから、低利融資制度を活用できるような仕組みをつくる、加えて利子補給も行うということで、補助制度と固定価格買取制度の両面から民間の防災拠点施設への整備が進むよう、現在進めているところでございます。
   日程第2 議案第46号平成24年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第48 報告第4号岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認に関する報告についてまで
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第2、議案第46号から日程第48、報告第4号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。加藤総務部長。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) ただいま議題とされました各案件について説明申し上げます。
 議案第46号は、平成24年度岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。
 これは、国の緊急経済対策に呼応し、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活性化を推進するとともに、国の経済対策予備費を活用するほか、事業費の確定等に伴う所要の補正を行うものであり、経済対策対応分として1、145億円余の増額、経済対策以外分として1、631億円余の減額、合わせて485億1、100万円余の減額補正をするものであります。
 補正の主なものは、東日本大震災復興交付金基金積立金504億9、200万円余、東日本大震災津波復興基金市町村交付金215億円、地域医療再生等臨時特例基金積立金65億1、000万円余、強い林業・木材産業構築緊急対策事業費補助32億7、200万円余、道路環境改善事業費36億9、200万円余、中小企業等復旧・復興支援事業費176億9、400万円余等であります。
 次に、繰越明許費の追加は、中小企業等復旧・復興支援事業費補助外201事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようするものであります。
 次に、債務負担行為の追加及び変更は、直轄地すべり防止事業費負担金外13件を新たに追加するとともに、8件について限度額の変更を行おうとするものであります。また、地方債の追加及び変更は、国体関連競技施設整備事業を新たに追加するとともに、10件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第47号から議案第60号までは、平成24年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計外10特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画の変更等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第61号から議案第63号までの3件は、建設事業等に要する経費の一部負担及びその変更に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第64号から議案第70号までと、議案第89号から議案第91号までの10件は条例議案でございますが、これらは、消費者行政活性化基金条例外9条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。
 議案第71号から議案第82号までと、議案第84号から議案第88号までの17件は、建設工事の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第83号は、財産の処分に関し議決を求めようとするものであります。
 報告第4号は、岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認について報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時8分 散 会
第9回岩手県議会定例会会議録(第4号)

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