平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇28番(佐々木順一君) 自由・県民会議の佐々木順一でございます。
 前段省略、直ちに一般質問に入ります。
 なお、答弁につきましては、明確かつ簡潔な御答弁を御期待申し上げる次第でございます。
 初めに、政治の土台とも言える選挙関係について、知事に何点かお伺いいたします。
 主権在民と民主政治を標榜する現代社会において、選挙制度こそ、政治のありようを決定づける大事な要素でもあります。
 前世紀の思想家が残した大衆の反逆によれば、民主政治は、その形式や発達の程度とは無関係に、一つの取るに足らない技術的な細目、すなわち選挙制度によってその健全さが左右されると唱えており、同時に、もし選挙制度が適切で現実に合致していれば何もかもうまくいくことになり、もしそうでなければ、一般政策など他のことが幾ら理想的に運んだとしても、何もかもだめになると指摘しております。このことは、制度全般を含む選挙というものが正当であればあるほど、政治がより健全に運営されるということを雄弁に物語っているものと理解するものであります。
 一方、統一地方選挙は、その都度制定される地方公共団体の議員及び長の選挙期日などの特例に関する法律によって、昭和22年以来、一貫して全国一律に執行されてきております。これは選挙の円滑な執行や経費の節減、さらには国民の地方選挙に対する関心を高めるなどの趣旨により行われてきているものでありますが、最近における投票率の低下を見るまでもなく、その意義は確実に失われてきております。しかも、管理基調の公職選挙法に加え、統一という位置づけそのものが、まさに中央集権的であり、加えて立法措置を国に委ねていること自体、地方自治の本旨の精神に逆行するものではないでしょうか。
 知事は過般の演述でも、経済的にも精神的にも自立する非常に強固な自治体の実現に全身全霊で取り組む決意を表明されると同時に、霞が関基準の安易な受け入れが招いた財政規律の緩みなどの問題点を掲げながら、中央依存体質からの脱却を殊のほか強調されておりましたが、政治、選挙、行政はすべて連動するものであることから、地方政府の代表を選ぶ仕組みを住民の手に取り戻すことについても、県政の一般政策同様、自立の旗を掲げる思想の延長線上に位置づける必要があると考えますが、率直な御所見をお伺いいたします。
 引き続きお伺いいたしますが、知事は選挙直後の記者会見で、みずからの選挙活動を振り返り、県内を2巡したが、政策を知ってもらう機会に限界があった、現行法は政策論争をかえって規制しており、制度改正のきっかけにしたいと、技術的問題点を指摘されたとお聞きしております。
 また、過般の選挙では、マニフェスト、いわゆる政策綱領を採用されましたが、私はこの試みは、公約をおろそかにしてきた日本的政治風土に甘んじてきた政治関係者への警鐘でもあると思っております。ついては、リスクを冒しながらあえてマニフェストを採用されたねらいと現行の選挙制度にどのような問題点があるのか、また、御自身が描く望ましい選挙制度のあり方について御披瀝願います。
 関連しお伺いいたしますが、本県の場合、知事選挙と県議会議員選挙は同日選挙として執行されております。しかしながら、この方法は時として必要以上の人間関係に重きを置いた相乗り効果を誘発するなど、選挙の意義を非常にわかりづらいものにしており、ひいては緊張関係を掲げる議会審議のあり方にも微妙な影を投げかけることにもなると思います。また、選挙結果も、同時選挙特有のいわゆるバブル得票数となるなど、民意が正しく反映されているとは言いがたいところもあり、結果として、二元代表制の機能を損なうおそれも出てくるものと思います。
 したがいまして、独立した議事機関、そしてまた執行機関であるとするならば、それぞれ分離し選挙を執行すべきものと考えますが、いかがでしょうか。制度の改正など難しい点はあると思いますが、いずれ認識をお伺いしたいと思います。
 次に、いわゆるマニフェストの進行管理についてお伺いいたします。
 知事が選挙で唱えたマニフェストは、最終的には行政事務の取り扱い上、各部局の施策、事業などに振り分けられることになっていることから、県民の視点に立つと達成状況などは把握しにくいものになっております。
 このようなことから、知事が掲げてこられたわかりやすい県政の一環として、マニフェストの構成要件と言われる財政捻出方法、工程表、達成目標値、優先順位などを行政事務上の政策評価とは別に原型のまま進行管理し、年度ごとにその達成状況を県民に公表するような取り組みがあってしかるべきと考えるものであります。ついては、かかる取り組みを事務方に指示すべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
 次に、統治機構のあり方といわゆる三位一体改革への対応についてお伺いいたします。
 初めに、統治機構についてでありますが、先般知事は、衆議院憲法調査会の統治機構のあり方に関する調査小委員会に参考人として出席され、みずからの考えを開陳されたとお聞きしております。また、究極の自治の姿として、一国多制度を念頭に置かれているとも伺っております。
 思うに、これは全国一律で、しかも極めて窮屈な今の自治法を緩やかなものに改正し、例えば、統治機構は現体制の大統領制あるいは議院内閣制、また総会制その他の仕組みもあるかもしれませんが、いずれその選択を各自治体に委ねることによって、名実ともに個性ある自治体を全国に花開かせることをイメージされているものと拝察いたしております。ついては、御自身が描いておられる地方自治の統治機構のあるべき姿について御見解を賜りたいと思いますし、憲法調査会の質疑を通じまして、地方自治の現状と将来に対する国家への認識の度合い、あるいは地方制度改革の必要性に対する理解度などというものはいかばかりのものがあったのでしょうか、率直な印象をお伺いいたします。
 引き続きまして、三位一体改革についてお伺いいたします。
 そもそも地方分権の推進は、所信表明でも触れられておりましたが、細川内閣当時における第3次行革審の最終答申を源流とし、以降10年間余りにわたり国を挙げて順次所要の措置が講じられてきたところであります。したがいまして、今回の三位一体改革の中身についても、当然のことながら、国及び地方の確認事項であったにもかかわらず、総じて先送りとなったことは極めて遺憾であり、理解に苦しむところであります。ついては、何が原因でこのような中身のない結果に終わってしまったのでしょうか、永田町及び霞が関の体質を知り尽くしている知事の御見解をお伺いいたします。
 関連し、お伺いいたしますが、三位一体改革の本質が、構造改革の一つ、すなわち機能不全に陥っている古いシステムを打破し、真の豊かさを実感できる新しい社会システムの構築にあるとするならば、また、納税者などが営む家庭の集合体が最小自治であって、その地域自治の集合体がいわゆる地方自治であり、その集合体が国家であるとするならば、私は、永田町及び霞が関関係者は、一部の既得権益にこだわった財政重視の発想から、納税者たる国民生活と地域の最小コミュニティに視点を置いた分権優先の発想に一刻も早く転換され、改革プログラムを直ちに決定し、実行に移し、加速させるべきであり、この地方分権改革こそ、財務省などが心配する財政再建に貢献する最良の道筋であると考えるものであります。
 知事も、全国知事会を初め、本年4月下旬に立ち上げられました地域自立戦略会議などを中心に、再三、地方の立場から国などに強力に提言されてきていると承知しております。ついては、御自身が描いておられる理想的かつ具体的な改革内容について御披瀝いただきたいと思います。
 次に、自立した地域社会形成に向けた行財政構造改革プログラム全般について何点かお伺いいたします。
 初めに、知事にお伺いいたしますが、行財政構造改革プログラムは、財政再建的色彩を基調に、緊縮財政、事業縮小などの方向づけが減少面的中心を占めていることから、とらえ方によっては県政全般の活力を萎縮させるような印象を与えております。このような受けとめ方を放置することは混乱を招くことになることから、この上は、例えば雇用問題については県民が安心できるような常用雇用創出へのプロセスや達成目標値を、また、公共事業の30%削減問題については、霞が関基準といわゆるローカルスタンダードとの対比を示すなど、一連のプログラムが県民に自信と展望を与えるものであるとの道筋をわかりやすく説明されるなど、誤解や不安解消に努めるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、総務部長に、県出資等法人の抜本改革についてお伺いいたします。
 県では、専門家による第三者機関、すわなち県出資等法人改革推進会議を設置し、厳しく見直す考えとお聞きしておりますが、なぜ第三者機関でなければならないのか、その理由をお伺いいたします。
 また、見直しの考え方についてお伺いいたしますが、例えば、一たんすべてを廃止し、必要なものは存続させるような考え方を採用されるのでしょうか。いずれにしろ、基本的な考え方についてお伺いいたします。
 さらに、人事についてお伺いいたしますが、いわゆる附属機関などの人選は執行者側の裁量であり、議会の同意は不必要でありますけれども、人事によって物事が方向づけられることは世のならいであります。ついては、参考までにどのような選考基準で人選されたのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、県の附属機関の整理問題についてお伺いいたします。
 過般知事は、審議会の安易な設置を批判され、廃止を含めて検討することを表明されました。地方自治法が定める附属機関の規定はいわゆる任意規定であることから、機関の多用を奨励しているものでないことは自明であります。しかしながら、最近、矢継ぎ早に設置されております一連の見直し検討機関は、すべて要綱によって設置されており、現状としては、附属機関から要綱設置の機関に置きかえられただけとの印象を与えております。
 いずれにしろ、執行機関には関係法令に基づきみずからの責任と判断において誠実に事務を管理し執行する義務が課せられており、しかも問題解決にスピードが求められ、一方において説明責任が要求され、さらには住民の意見を把握する手段としてパブリックコメント制度などがある今日、安易な機関の設置は極力回避すべきものと思いますが、どのような基準に基づき整理されようとしているのか、お伺いいたします。
 また、参考までに、条例、規則による組織を設置する場合、どのような考えに基づきふるい分けられるのでしょうか、それぞれの判断基準についてお伺いいたします。
 次に、県行政推進のための指針のあり方の再構築と政策推進枠200億円の2点について、端的にお伺いいたします。
 まず、県行政推進のための指針のあり方の再構築についてでありますが、現在県では100に近いさまざまな計画がありますけれども、見直しに当たっての考え方としては、社会経済情勢などを踏まえながらも、基本的には計画の本数を縮減しながら、知事が選挙で示した政策綱領に沿って行われるべきものと思います。
 また、体系的には、県民が信任したマニフェストを中心に七つの重点施策が存在し、それを部門別計画が支えるというイメージが妥当であると思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、選挙の関係上、知事の政策綱領の有効性は基本的に4年であることから、県の長期計画との整合性も求められると思います。ついては、どのような考え方に立って見直しに着手されるのかお伺いいたします。
 次に、新たな政策推進枠200億円についてお伺いいたします。
 この投資対象は、環境、雇用、福祉、教育などが領域事例として列挙されておりますが、農林水産業を中心とした伝統的産業分野は対象外となっております。私は、本県の産業構造にかんがみると、1次・2次産業に活力を与えること、特にも農林水産業が活性化することによって、初めてサービス産業が有効に営まれるものと考えるものであります。いわば、ものづくりの活力と余力なくしてサービス産業の進展はあり得ないということになりますが、県政運営の全般的取り組みを見ると、ややもするとものづくり産業振興への力の入れぐあいが迫力に欠けるとの感を覚えるものであります。1次・2次産業全体が疲弊している今日、何らかの措置を講ずる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 以上2点について御見解を賜りたいと思います。
 次に、米政策について農林水産部長にお伺いいたします。
 昨年末以来、県では、国の米政策改革大綱に基づく法整備に先立ちまして、周到な準備期間や水田農業改革大綱などを定め、運動推進要綱に基づき各般にわたる取り組みを精力的に行っていると承知しております。
 既に体制づくりの一環として、各種協議会の設置、あるいは集落ビジョン策定の支援などに着手されていると伺っておりますが、かかる改革が日本農業全般の将来を左右し、さらには瑞穂という精神文化のあり方にまで関係する壮大な実験にもかかわらず、政府の個別具体の方針が明確ではなく、内容によっては現実離れしているところもあることから、関係者への説明も理解を深めにくい状況にあるものと思っております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 例えば、担い手経営安定対策における認定農業者と集落型経営体の面積要件や経理の一元化などの問題は、厳しい内容となっており、農業者からは要件緩和を求める声が高まってきております。また、保険方式を基本に検討されてきた経営所得安定対策についても、国会の附帯決議に見られるように、幅広い視点からの見直しが求められております。さらに、過剰米対策の素案も、米生産者から見ると生産意欲を失わせるような内容にもなっております。ついては、このような問題点をどう克服し、農業者の理解を取りつけ、ビジョンの策定に取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、食育についてお伺いいたします。
 最近、政府においては食育の全国展開を打ち出しましたが、県の政策形成プロジェクトの評価結果では、食育の推進事業がどういうわけか不採択となっております。ついては、その理由をお伺いいたします。
 私は、食の大事さを含め、食からさまざまな事柄を五感を通じて学ぶということは、人間にとって最も大事なことであると思っております。特にも、小学校の低学年までに体験した食習慣は、その人の人生の食行動を左右するとも言われております。このようなことから、飽食の中で暮らす今の社会と我が国の食料自給の脆弱さにかんがみ、食のかけがえのなさを幼少時代から体で学ぶ環境を整備することは、食料供給基地を標榜してきた県政の重要なテーマであると思います。ついては、食育事業の復活に取り組まれる用意があるのかどうかお伺いいたします。
 次に、雇用対策について、総合雇用対策局長及び教育長にお伺いいたします。
 全国に先駆け、知事直轄の専従組織のもとに行政主導で雇用対策に取り組まれることは、国民の働く義務を含め、勤労観の醸成や県政の活力を維持するためにも、これからの展開に期待を寄せるものでありますが、問題は、離職者が雇用創出計画で示されている一連の体系的施策事業の中から、職業能力を身につけ、しかもその習得した能力を安定的かつ持続的に発揮できるような雇用の創出までを視野に入れた、連動性のある施策になり得るかどうかによって評価が定まるものと思います。
 しかしながら、国の雇用創出特別基金の使い道が最低1カ月、最高でも1年とする決まりの中では、3万人超に上る雇用創出計画を達成することは容易なことではないと思っております。ついては、この規定を取り除くことが求められると思いますが、今後の対応についてお伺いいたします。
 また、臨時雇用から常用雇用の確保に至る流動策について、具体的事例に基づくわかりやすい御説明をいただきたいと思います。
 次に、フリーター対策についてお伺いいたしますが、フリーターの増加は、若者の職業能力開発の機会を奪うなど、地域経済の競争力の低下を招くとともに、フリーターがもたらす低所得などは、未婚、晩婚化に拍車をかけ、少子化を一層深刻なものにすることになり、結果として、県政の活力、ひいては国力の衰弱をもたらすことになります。
 フリーターの解消には教育段階からの対応が必要不可欠であると思いますので、勤労観の醸成にどう取り組まれるのか、教育長のお考えをお伺いいたします。
 引き続きまして、教育長に、教職員の不祥事、それから民間学校長の登用についてお伺いいたします。
 初めに、一連の教職員の不祥事についてでありますが、教育委員会では、学校長の酒気帯び運転による現行犯逮捕を契機に、再発防止の一環として処分基準の厳罰化を明確に打ち出しましたが、現場を預かる教職員の中からは、士気の低下を懸念する声が上がっているとお聞きしております。恐らくこのような発言はほんの一部であると思いますが、子供たちに遵法精神を初め、勧善懲悪や社会正義を説かなければならない立場の教師が、平然と士気の低下を唱えることは一体どういうことなのでしょうか。
 加えて、厳罰化の施行の直前にも類似の不祥事が発生しております。まさに使命感、当事者感覚の欠如そのものであり、ここに聖職者きわまれりとの感を抱くものであります。もはや厳罰化の施行を挟んで起きた二つの不祥事は、個人の問題の範疇をはるかに超え、教育全般の信用失墜のみならず、社会全体の規範の低下に一層拍車をかけることにもなりかねない問題をはらんでおります。
 関係者は事の重大さを厳しく認識されるとともに、信頼回復に向けたあらゆる取り組みを強く求めるものでありますが、今回の不祥事によって、厳罰化などの対症療法では阻止できない根深い問題が存在することを図らずも印象づけたことになると思います。ついては、たび重なる不祥事の原因がどこにあるとお考えなのでしょうか。採用段階におけるさまざまな検証も含め、今後の改善策についてお伺いいたします。
 次に、県立学校長への民間人の登用についてでありますが、本県教育界にはすぐれた教育者が数多くいるにもかかわらず、あえて登用に踏み切った要因及び期待する効果と目的、さらには選考基準についてお伺いいたします。
 また、本年3月の広島県尾道市の悲劇やその背景を調査した同教育委員会の最終報告、さらには、文部科学省が開いた民間人校長の声を聞く懇談会などから貴重な教訓が得られているところでありますが、帰着するところは、相互理解に基づく使命感の共有から生まれる学校文化と企業文化の融合にあると思います。
 ついては、新しい教育文化を創造するため、一連の貴重な教訓から何を学び、どのような本県独自の措置を講じられるのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、三陸海岸と早池峰山の環境保全について、環境生活部長にお伺いいたします。
 過般、三陸海岸と早池峰山が世界自然遺産登録の候補地の一つに選ばれたことから、県でも、関係機関に要望を行うなど、努力をされたとお聞きしております。結果として最終選考から外れたことはまことに残念ではありますが、国内外の評価に耐え得る、誇るべき自然が本県に存在することが周知されたことや、県民が改めてこれを確認されたことは、大きな財産であると思っております。
 ついては、三陸海岸における松くい虫の被害や早池峰山における盗掘や登山規制の問題などが一般化しておりますけれども、今回の評価を契機に、今後何に力点を置いて両地域の保全対策の強化に取り組まれるお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、21世紀政治臨調への参加の意図についてお伺いいたします。
 この組織の前身は、いわゆる民間政治臨調であり、これまで我が国の政治改革のオピニオンリーダーとして世論を喚起し、数多くの役割を果たされてきたものと承知しております。しかしながら、現下の政治全般を見渡してみますと、政治と金の問題などに象徴されるように、実体政治はモラルハザードそのものであり、国民の信頼を失いつつあります。このことは、先日公表されましたマスコミの調査、すなわち一連の政治改革に対し、大方の国民がその成果に厳しい評価を下していることからもうかがえると思います。
 このような中にあって、10年前の6月18日を意識されたかどうかはともかく、歴史的に極めて意味のある日に、知事は21世紀政治臨調のメンバーに御就任されたと伺っております。ついては、現在の国及び地方の政治全般についてどのような危機感を持たれているのか、また、目指すべき政治システムをどう描いておられるのか、そして、みずからの構想を実効あらしめるために、今後この組織の中でどのような行動をとられるのかを含め、参加の意図についてお伺いいたします。
 特に、先ほど吉田議員の御答弁に際し、脱政党を掲げているとお聞きいたしました。我が国は政党政治に基づく議院内閣制を採用しております。したがって、政党政治の定着についても一つの柱に掲げ、そしてまた、その政党政治の定着に向けて御努力される必要性があると思いますが、御見解を賜りたいと思います。
 最後に、議会と言論の関係についてお伺いさせていただき、質問を終わりたいと思います。
 過般、知事はマスク問題に関連し、表情が見えない、すべてをさらけ出すべきだと視覚的問題を強調されたとお聞きしております。私も人間の顔の表情、呼吸などを観察することは、相手を理解するための大事な判断材料の一つであると思っております。しかしながら、言論の格闘の場と言われる議会にとって、その生命線は、言うまでもなく理性に基づいた論理的な言葉であり、極端な話、言論以外の表現というものは必要ないものと思っております。
 例えば、私が何らかの原因により視力を失ったと仮定いたします。この場合、自分は相手の表情を心の中で視認することになり、視覚に訴える手段は効力を失うことになります。したがいまして、ポスターの掲示等もあることから、選挙及び政治マターとしては、視覚というものはある程度必要であると思いますが、議会にとっては絶対条件ではないと考えるものでありますが、いかがでしょうか。
 いずれにしろ、議会に参画する者すべてが心がけなければならないことは、主義主張が相入れない場合でも、相手の言論を保障することであり、一連の議会規則も、基本的には議場内の言論を守るためにあるものと思っております。
 ついては、知事は視覚的判断の必要性を強調されたようでありますが、これは一般的な政治選挙またとしての御見解なのでしょうか、あるいは議会の論戦まで含めた御見解なのでしょうか。いずれにしろ、主権在民の敷衍的価値観に基づく議会制民主主義の根幹にかかわる問題でありますので、その真意について御確認させていただきます。
 簡潔で明快な御答弁を心から御期待を申し上げ、以上をもちまして私の一般質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   

〇議長(藤原良信君)  本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
    〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君)  佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方政府の代表を選ぶ仕組みについてお尋ねがあったのですが、この地方政府、その代表は私ですから、都道府県で言えば知事選挙ですが、知事選挙ですとか、それから議場の議員の皆さん方を選ぶ選挙のやり方、これは、本来は地方それぞれで自由に決めていいのではないかというのが私の考え方でございます。市町村は市町村で自由に決めてもいいだろう。もっと地方のそれぞれの代表でそこをどういうふうにつかさどるかということですから、ありようはもっと地方政府あるいは議会のありようももっと自由でいいと思いますし、なおさらその代表である人間の決め方も自由であっていいのではないか。
 細かな話ですけれども、選挙方法、どことどこの県に行けば今のようにホームページは禁止されているということですが、岩手県に来ればホームページで自由に政策論争ができるように、選挙方法が自由であるということもいいだろうと思いますし、それから男女共同参画の中で、場合によってはコーター制を導入するなどということも、それぞれの自治体の考え方いろいろあっていいのではないかと、アメリカが何もいいという、連邦制ですから仕組みは全然違いますが、あれは憲法で人種差別だけはいかぬと決めてあって、あとはそれぞれの州で選挙方法は自由ということになっていますが、我が国の地方政府の代表についても、それぞれの考え方で代表を決めるという考え方に私は賛意を表したいと思います。
 それから、マニフェストの関係で何点かお尋ねあったのですが、この採用のねらいですけれども、言葉は私もマニフェストという言葉をあえて使う必要もないと思います。公約でいいと思うのですが、ただ、抽象的な、前回のものはまさしくそういう公約でしたが、私もそのことを恥じるわけでありますが、耳ざわりのいい、あれもこれもということを羅列するのではなくて、やはり具体的に期限とか財源をはっきりと明示した上で、それを県民に示すということが重要ではないか。そういうことによって本当にそれが当選した暁には、そのことを実現するために全力を尽くすということが、今こそ必要ではないかと思ってこれをお示ししたわけであります。
 ともすれば従来のものは、政党が示したものは政党の考え方を示したのだと思いますが、個々人のそういう公約というのは候補者個人の公約のような形になって、今やはり県民や国民が本当に欲しいのは政権として何をするのか、内閣は何をするのかということをはっきりと知ることだろうと思うので、まさしくこういうマニフェストのようなものを政党がはっきりとお示しをして、その上で本当の政策論争の選挙の上に多数を占めた政党が内閣を構成して、それを確実に実行していくという姿が望ましいのではないか。そのことにまた流れをつけるというのもちょっとおこがましいのですが、そういうことにつながっていけばということで、また私も地方自治体の首長の立場でありますが、こういうものに踏み切ったところでございます。
 実際にやってみまして、選挙制度のいろいろ問題点があっただろうというお話でありましたが、確かに大変制約が大きくて、特に地方自治体の首長の知事あるいは市町村長の場合には、現実には我が国ではほとんど全員が無所属候補であるわけでありますが、無所属候補でありますと政党と違いまして、さらにこうした政策を示す手段というのは限られている。選挙戦が始まりますとポスターですとか、枚数制限のある御承知のとおりのはがきなどに限られますし、政見放送も5分30秒で、それから新聞広告も限られたスペースですので、本当に言いたいことを必要な人たちに伝えられないということがございまして、このことについてはやはり公職選挙法をしっかりと変えて、それで政策論争が可能となるような形にぜひ変えていただきたい。これは事あるごとに強く国の方にも訴えていきたいと思っております。
 それから、あるべき選挙制度の仕組みですが、これはしたがって今言ったようなことになりますけれども、政策論争が可能となるようなものということで、少なくとも候補者が自分の公約を有権者に正確に伝えるために、冊子を配布したり、また、手っ取り早い方法ではインターネットのホームページにいろいろ掲載するということが考えられますが、せめてこの程度のことは今やろうと思えばすぐできることだと思いますので、すぐにでも選挙制度の改正を期待したいと思っております。
 それから、もう一点、知事選挙と県議会議員選挙の分離についてお話しあったので、このことは、私は余り今までも意識していなかったので、今お尋ねがあったのですが、にわかに考え方まとまりませんけれども、今お話の中では、緊張関係とか、執行部の長と議会との人間関係とか独立性のような話をしておりましたけれども、東北のほかの県はみんな分離になっているんですよね。うちの県だけ一緒だということなんですが、こういうことを言うと申しわけないのですが、ほかの県で、じゃ選挙が分離されているので今言ったようなことが維持されているかということを見ると、どうもそうでもないような気もするので――これはちょっと言い過ぎかもしれません――だから、ここで知事選挙と県議会選挙が一緒だからということでは必ずしもないのではないか。選挙費用の問題等もあるので、選挙の投票率などの関心の高まり方はいろいろまたあるのだろうと思いますけれども、今お話しありましたけれども、この点はもう少し私も勉強してみたいと思います。
 それから、マニフェストの進行管理ですけれども、これは確かに私もマニフェストに掲げたことは県の中で十分議論して、その上で県の政策として取り組むということで、今、内部でもいろいろやっております。今度の行財政構造改革プランの中にもそのことを入れるべくやっておりますけれども、そして県の政策とした上ではやはりきちっとしたその達成状況のフォローが必要でありますので、今、事務方の方にもそのことを言って、それでわかりやすく毎年、毎年その成果について評価し公表するということにしていきたい。今どういうふうにしていったらいいのかというのは中で検討してございますけれども、そういうことにつなげていきたいと思っております。
 それから、次のお尋ねは統治機構のあり方についてお話しあったのですけれども、私が考えている地方自治の統治機構のあるべき姿ということですが、まず大事なことは、いわゆる補完性の原理に立つということ、すなわち、住民に最も身近な基礎的自治体である市町村がおおよそのことを担うということで、その市町村でどうしても処理できないものは県が担って、そして全国的な視点あるいは国際的な観点で行うべきのみ国が担う、こういう構成にしていくということが大事だ。それから、もう一つは、いわゆる自己決定、自己責任の原点に立ち返ってこうした制度設計をしていく。そうした今の考え方で国、それから地方、さらには地方の中の都道府県と市町村の役割分担を明確にしていく、このことが大事ではないかと思っております。こういう統治機構に近づけていくべきと思います。
 さらに言いますと、連邦制のようなもっとそれぞれの地方が独立性の強い自治体にするという考え方がありますが、連邦制までいくとこれは現在の現行憲法が許容している範囲を超えるのではないかと私は思っておりまして、そうしますとこれは改憲の議論につながると、その憲法改正の議論まですると大変地方自治のところだけではなくて全体のことにかかわってきますので、そこまで統治機構の議論を今広げる必要はないと思うので、少なくとも今現行憲法下で92条に地方自治の本旨という条文があって、その後に数字をごく簡単な規定しかないのですけれども、そのところはそのままにしておきながら、やはり法律の方でそこを充実させて、あるいは現行の法律を改正して、少なくとも地方の統治機構については、全国一律の制度ではなくて、いわゆる一国多制度のようなもの、選挙制度もその中の一つになるわけですが、それぞれの地域が多様な選択肢の中から、地域の個性や特質に応じて選択できるようなそういう仕組みに持っていくべきではないかと考えております。そのときの原則が補完性の原理とか自己決定、自己責任の原理で貫くべきと思います。
 それから、2月に憲法調査会で都道府県制のあり方について参考人として意図を述べてきたわけですが、そのときの印象についてお尋ねありましたけれども、出席された議員の皆様方はそれぞれ見識を持っておられまして大変よく勉強しておられて、それでいろいろ私の方にも御質問いただきました。大変よく深く地方自治の現状とか将来を理解しておられたと思います。ただ、全体として見ますと、先般の三位一体改革の経過を見ましても、やはり国会の中でもこうした地方制度改革については熱意に大分温度差が現実問題としてあるのではないか。憲法調査会の中で統治機構のあり方に携わっておられる皆様方は大変熱心だという印象を私、確かに持ったのですが、先般の三位一体の改革の中では逆方向の動きも随分ありましたし、全体としては大変温度差があって、まだまだ我々も努力していかなければいけないと思っております。
 それから、その三位一体改革の関係でございますが、何で中身のない結果に終わったのだろうかということと、それからこれから私がどういう行動をとるのかということですが、ああいう形になったのは、さっきも少し御指摘ありましたが、やっぱり既得権益を守ろうとする関係省庁、官僚と、それから関係する団体ですとか、俗に言う族議員とかいうことの一体化ということを言われていますけれども、特に関係省庁、官僚の抵抗が大変強くて、そこが既得権益の牙城となった、それを突き崩せていない。私も関係省庁を随分いろいろ回りましたけれども、みんな割とゆったりと平然としていましたから、この程度だったら大丈夫だろうと思っていたのだと思います。暮れの予算編成のときだなと、勝負はそのときだと思っていたのでしょうけれども、そんなことが一つあろうと思います。
 それから、二つ目は、これは我々の努力不足だと思うのですが、国民世論がやっぱりまだまだ盛り上がっていない。国と地方の単なる財源配分の問題、分捕り合戦のように思えて、やっぱり生活の質がそのことによってどれだけ変わってくるのかということを十分に伝え切れていない。議会の方でも決議までしていただいていろいろ御努力はしていただいているのですが、やっぱり全体として見るとそういったところについての国民世論全体の盛り上がりがまだ不十分である。このあたりが原因だろうと思うので、これからの行動としてはそういう国民世論を喚起していく働きかけが大変大事だと思っております。
 その中で、理想的かつ具体的な改革内容、三位一体改革、どういうふうにしていったらいいのかということですが、幾つか視点がありますけれども、まず税源移譲についてはできるだけ基幹税を中心として、しかも地域的に偏在がないような中身にしていく必要がありますので、所得税とそれから消費税、これを中心に地方に移譲していくように持っていくということが大事で、一部言われている酒税などは大変税源に偏在がございますし、法人税もやっぱり偏在があるので、今言ったようなところが大事かと思います。
 それから、補助金については、やはり地方に移してもコスト削減できるものと、それからそうでないものとがいろいろあって、国の関与がどれだけ強いのか、国がどれだけ義務づけるかというそこにかかわってくる話なので、国の義務づけをできるだけなくすということ、ここがポイントだろうと思います。そのことにこれから国の方でも努力していただきたいと思いますし、そこをぜひ努力してなくしていただきたいと思います。
 交付税については、この間の三位一体改革の中で余り触れられていませんでしたけれども、やはりいろいろ問題点を抱えていますので、まず交付団体の数が極めて多いというのは尋常な姿じゃありませんから、交付団体の数をもっと減らすということ、それから起債で財源手当てをして元利償還金を交付税で面倒見ますよというような制度が随分最近多くなってきましたが、そういう政策誘導的な部分を外して本来の財源保障機能や、それから財源調整機能を中心とした制度に変えていかなければならないのではないか。
 そんなことが挙げられますし、全体として見れば20兆円に上る国庫補助負担金のうち今回の見直しの対象となったのはとりあえず4兆円ということで、しかもなおかつ公共事業も含めた4兆円なんですが、これはやはり総額20兆円全体を聖域なく見直しをしていく。それで、地方に移せるものは全部移していくということが必要だと考えております。もちろんこの際には地方側の相当な行革の努力だとか、歳出削減の努力も必要となりますので、ただ単に国にこうせい、ああせいということだけでなくて、我々の努力もしっかりと行っていきたいと思います。
 それから、そのこととの関連で、この行財政構造改革の一連のプログラムがもっと見えるようなものに、県民にわかりやすいもの、財政縮小的な色彩をもっと払拭する必要があるのではないかという話で、それはそのとおりだろうと思います。ローカルスタンダードのようなそういう地方での基準が我々の方でできることになれば、かなりお金も少なくて同じようなものが同じような効果が得られるといったようなこともありますし、この行財政構造改革、単なる歳出の一律削減で収支の均衡を図ろうとするものではなくて、自立した地域社会を実現していくためのものということでございますので、今御懸念があったようなことについては、私どもも心して十分なわかりやすい説明に心がけていきたいと思います。
 それから、この行財政構造改革プログラムとの関係で、県の長期計画なりいろいろな部門別計画との関係についてお話しございましたが、この行財政構造改革の関係で、私が掲げたマニフェストがその中に取り入れられるということになるわけですが、そうした過程の中でマニフェストに掲げた政策については、当然県の政策として取り入れますけれども、それと県の長期計画との関係を整理する必要があります。これについては今、中でいろいろ議論している最中でございまして、この行財政改革プログラムができ上がる段階までにそこをよく整理をして、それでこれから非常に長い計画期間の長期計画が県として必要かどうか、その策定のあり方までも含めて見直しをしていきたい。その中で部門別計画をこれからどういうふうにとらえていきたいのかということを、わかりやすく皆さん方にお示しをしたいと思っています。もう少し中の議論が必要なので、きょうのところはその程度にさせていただければと思います。
 それから、政策推進枠で200億円の投資対象が雇用とか環境、教育などに限られていて、どうも農林水産業といったそういう部門への力の入れぐあいが弱いという印象を持たれたようでございまして、こういう印象をお持ちになられたとしたら、私も率直に反省しなければいけないと思っております。本県の場合には1次産業の元気が出ないとやはり県全体の元気が出てこないと私も思っておりまして、ああいう政策推進枠200億円を対象に投じていきますというその背景には、一方で建設業の構造転換を強く迫っているという現実があるわけですが、建設業の構造転換をスムーズに行っていく上でも、そうした場合の雇用の受け皿として1次産業の活力の発揮ということを大いに期待をしているわけでございますし、やはり1次産業がしっかりと元気が出る、それは本来の農業での水田営農ということのみならず、例えば最近いろいろ出てきております産直あるいは農家レストランなどで1.5次産業的な、いわゆるその関連業のところも含めて全体としていろいろな工夫が出てくることが、こういう構造転換を成功させることになりますし、また、そのことが雇用環境などにも随分いい影響を与えていくものですから、とにかく1次産業も含めた産業支援策をその200億円の中で当然取り入れていきたいと思いますし、また、生産者の皆さん方にも不安がないように、そういったことはきちっと説明していきたいと思っております。
 それから、21世紀臨調の関係で幾つか御質問ございましたけれども、今の国及び地方の政治全般についてはどのような問題意識を私が持っているかということでございましたが、あそこで唱えている一つ脱中央集権ということがあるわけですけれども、やはり中央集権システムを抜本的に見直して、国も地方も従来の発想を大胆に転換していく必要があるだろう。そのためにはやはり最後は政治が責任を持って決めるシステム、選挙で選ばれた人間が最後は責任をとって決めるシステムに変えていかなければいかぬ。そのことがこの21世紀臨調にまた課された大きな使命だろうと思っております。選挙で選ばれていない官僚がいろいろそういうところを最後まで取り仕切るということは非常に無責任になりますので、こういうことがしかし、今まで、特に国の政府の場合には往々にして起こりがちであったわけなので、そこも含めて全体を変えていかなければならない。そこに大きな意味があると思います。
 そのときに、先ほど御質問で吉田議員のときに申し上げたのは、早口だったのでちょっと聞き取りにくかったのかもしれませんが、脱政党というふうなことを言っていましたが、脱政党ではなくて逆のあれで脱無党派でございます。脱中央集権、それから脱官僚、それからもう一つは脱無党派と、私も実際には先般の選挙のときに純粋無所属のような形で戦ったわけで、そのことについてはまたいろいろこの議会でも議論があるのかもしれませんが、やはりそういったことが最終的に本当に幸せな姿かどうか、先般も記者会見のときにそういった御質問ありましたけれども、本当に望ましい姿ではないだろうと私も思っておりまして、脱無党派、そしてきちっと最後は国政の場が、政党が責任を持って、議院内閣制となっているわけですから、国会の場で多数を占めている政党が内閣を構成して、そこで責任ある政治を行っていくということが本来の姿だろうと思うわけです。ですから、そういう意味で脱無党派ということもここで掲げているということでございます。なお、もちろん私どもが入っている、知事が入っているというのはそういった三つの大きなスローガンのようなものございますが、その中では特に脱中央集権、そこに一番力を入れてそれで活動をこれからも展開していきたいということでございます。
 脱中央集権ということで、今何人かの知事が入っているわけですけれども、言論界、それから学界、経済界、そして労働界と、この21世紀臨調の構成メンバーが非常に多様なメンバーになっておりますので、先ほどの御質問のところで、三位一体改革が何であんなふうな格好になって中途半端に終わったのだろうというところで申し上げたとおり、やはり国民世論の喚起ということにおいてまだ力が及ばないところが随分あったのではないかということがございますので、こういった21世紀臨調の場も大いに使って、それで脱中央集権についての世論をもっともっと喚起をしていく、もっと力をつけていきたいと思っております。
 最後に、覆面の問題について御質問があったのですけれども、これは今お話しの御質問のときには、選挙活動の一連のそういう場での話なのか、あるいは議会での論戦という場も含めての話かということですが、私自身は発言したとき特にそういう使い分けというか意識は余りしていませんので、私が発言したことでありますから、議会での論戦の材料には当然なり得るということも含めて申し上げていることでございまして、ここに御本人おられますけれども、申し上げた趣旨は、これから政治の道をスタートされる方で、前途有為なそういう政治家の道を歩かれる方なので、政治家になりますと、私自身もそれまでの公務員をやっていた時代とは全く違いまして、いろんなことをやっぱり外に出していかなければならない。むしろきついことでもすべてを出していくということが必要なので、それは御本人の考え方だろうと思いますけれども、表情についても何についても、マスクというのは大体覆面というよりもどっちかというと、普通日本語で訳すと仮面と訳される場合の方が通常ではないかと思うのですが、やっぱり表情を隠しているということでございますので、隠すというよりも、日常生活も含めてできるだけいろいろなことをさらけ出すと、さらけ出さなければいけない立場になるということから、やはりそういう方向にぜひ進んでいただければというようなことで話をしたものでございます。
 議場での決め方は議員の方で決められる話なのでそれはそういうことでしょうが、政治家全体としてのありようとして申し上げたわけですが、その中で先ほどそういう視覚的な問題を随分強調したのではないかという話があったのですが、例えばよく記者の方などもおっしゃいますけれども、私が記者会見などでいろいろ申し上げたときに、それについては声色というんですか、私の答弁の様子だとか、それから苦渋の表情とかそういうのを見て本人全体を判断するというようなことを言っておりますし、私はその中で政治家の中で表情というのも大変重要な要素ではないかとも思うわけであります。もちろんそれだけでなくて声のトーンだとか、そういうことも全体判断して有権者の皆さん方は決めるのだろうと思いますので、視覚的な問題だけでないわけでありますけれども、そういう視覚的な問題も当然重要なことで、政治家としての見識の問題にかかわってくるのではないかと思っております。
 今の私の考え方はそういうことでございますが、あえて議会での論戦も含めての話かということでございましたけれども、特に意識してそこを使い分けて申し上げているわけではないということを申し上げておきたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係する部局長から答弁させます。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君)  まず、県出資等法人の改革についての御質問でございます。県出資等法人の改革、見直しにつきましては、これまで簡素で効率的な執行体制の構築あるいはその類似団体との役割分担、そういった視点に立って統廃合等に取り組んできたわけでございますが、今回は法人のその業務内容の検証ということはもちろんでございますが、官民の役割分担あるいは県の関与のあり方など、多様な観点からの見直しを行いまして、その結果、政策推進上の使命を終えたもの、あるいは事業を民間に移した方が合理的なもの、そういったものにつきましては、法人の解散、出資の引き揚げあるいはその業務の移管を進めるなど、その聖域を設けることなく、また、従来の枠組みにとらわれることなく見直しをしていきたいと考えているものでございます。そのため、より踏み込んだ調査審議を集中的に行い、なおかつ、客観的かつ専門的な指導・助言を踏まえて抜本的な見直しの方針を策定したい。そういうことから第三者委員会を設置したということでございます。
 委員の選考に当たりましても、そのような考え方から、その法人の経営状況の判断のみならず、県関与の妥当性あるいは法人の業務の将来性の判断、法律上の諸問題にも対応するため、会計、法律、会社経営あるいは学術等の分野の専門家の中で、民間の効率的な運営の視点に立って指導・提言等を行っていただけるような方々を選定するように留意したところでございます。
 次に、附属機関の整理あるいはその設置基準等についてでございます。執行機関の諮問に応じて意見を述べる審議会など附属機関でございますが、これは専門的知識の導入あるいはその公平の確保、利害調整、各種行政の総合調整を目指し設置をされてきているものでございまして、こうした審議会等につきましては、法律に基づくもの、条例に基づくもののほかに、法律に根拠を有しないもの、例えば国におきましても国家行政法に基づいて設置するもの、閣議決定によるもの、あるいは大臣の私的機関と言われるものなど、さまざまありまして区分は明確でないということでございまして、名称も審議会、懇談会、委員会さまざまございます。この基準につきまして県におきましては、全庁的な施策・政策の立案に関する事務、各部局の政策・施策の立案執行に関する事務、法の適用等において公正を期するもの、そういったものなどに関して、一時的ではなく恒常的に、かつ制度的仕組みとして学識経験者、専門家、住民などの意見を聞く必要があるものにつきましては、地方自治法第138条の4第3項の附属機関として条例による設置をするということでございます。
 これに対しまして、各部局の特定課題、特定施策につきまして、例えば一時的に弁護士、公認会計士など専門的分野の助言・指導を受けたいものでありますとか、あるいは関係者の意見交換、意見集約の場を設けるもの、こういったものにつきましては各部の抱えている課題の状況を踏まえて、柔軟かつ機動に対応するということが必要でございますので、各部局におけるそれぞれの判断に基づいて協議会、懇談会、委員会等の名称で任意に定める要綱、要領等により設置をしているということでございます。
 続きまして、その整理につきましては、この附属機関につきましては、住民の意見の反映あるいは専門的知識の活用等では大きな役割を果たしている一方で、やはり行政責任の不明確化、行政運営の非効率さというのも指摘されているわけでございまして、県では平成12年2月でございますが、審議会の附属機関の運営の簡素効率化、そして審議会の活性化を図るために、審議会等の設置・運営に関する指針を定めまして、この中で審議会等の統廃合の基準を設けております。社会情勢等の変化により設置の必要性が低下したと判断されるもの、過去3年間において開催実績がないもの、会議の内容が著しく形式的になっているもの、こういった基準を設けまして、この基準に合致する審議会につきましては廃止を検討することとしてきているわけでございます。
  この指針策定後の審議会等の設置、統廃合等の状況は、その後、新設が12、廃止されたものが22というような状況でございますが、この指針の統廃合の基準につきましては、主として審議会の開催実績と運営面での視点によってきたわけでございまして、現在策定中の行財政構造改革プログラムにおきまして、それらの視点のほかに、意思決定プロセスの改善及び事務の見直しの一環としまして、個々の審議会につきましても、そもそも本当に必要なのか、あるいは他の方法に変えることができないかといった根本から見直しをするための基準を設けて、一層の統廃合を進めることといたしているものでございます。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君)  食育推進プロジェクトの不採択の理由ですが、このプロジェクトは、食に関する教育活動を推進するため、県内小中学校、高等学校における食の安全・安心に関連した取り組み状況と、児童生徒、保護者、教職員を対象とした意識調査を行い、食生活に関する現状と課題を明確にするとともに、教育委員会としての施策の方向性を確立し、具体的な事業創出を目指すものであり、知事以下三役と各部局長で構成する政策評価・推進会議に提案されたものですが、その事業内容について、別途提案された食の安全安心推進プロジェクトの一分野として位置づけて一体的に行った方がよいのではないかとか、あるいは、施策の方向性やねらいが明確でない調査では果たして効果が上がるのかなどといった意見があり、評価の結果、不採択となったものであります。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君)  米政策についてでありますが、今回の米政策改革の中には幾つかのポイントがあると思っておりますが、最も大きな改正点は、米の生産調整の実施について、農業者の主体的な経営判断によることとされたところであります。
 しかし、現在、米の需給が緩和している中で、全国で米づくりが拡大されれば、おのずと米価が暴落し大変な米流通の混乱を招くことが容易に予想されますし、まさに我が国稲作の将来を揺るがすことになりかねませんので、かかる事態は絶対に避けなければならないものと考えております。
 こうしたことから、国が実施いたします諸対策につきましては、生産調整を実施した農業者だけを対象とすることとされているわけでございますが、この生産調整の実効性を確保するためには、何よりも十分な予算が確保される必要があり、このことが米政策改革の全体に通ずる最大の課題であると思っております。
 また、その他の個々の問題といたしましては、議員からも御指摘ありましたが、担い手経営安定対策につきましては、非常にハードルが高くて条件が厳しいということで、対象となる担い手がごく一部に限られるのではないかということで、面積要件を緩和していただく必要があると思っております。
 それから、産地づくり推進交付金につきましては、地域の実情に即し、農業者がみずからの発想と戦略で水田農業の産地づくりに取り組むことができる自由度の高い要件にしていただく必要があると思っております。
 それから、米価下落影響緩和対策、担い手経営安定対策におきましては、補てん内容を充実するため、国の負担割合について十分検討していただく必要があると思っているところであります。
 さらには、国の支援によります過剰米処理対策の融資単価が適切な水準である必要があると思っているところでございまして、こういった問題点が挙げられるところでございます。
 県といたしましては、こういう考えのもとに、個別事案の改善も含めまして、十分な予算の確保につきまして、先般国に施策提案をしたところであります。
 いずれにいたしましても、今回の米政策は、過去にもオイルショックでありますとか、UR合意、大冷害、いろいろ困難な事態に遭遇したこともあるわけでございますが、それにまさるとも劣らない大きな変革でありまして、将来に誤りのないようにしていかなければならないものと考えております。このために、農業者の方々がそれぞれの地域における水田農業の実態をしっかりと把握した上で、集落の将来について真剣に話し合っていただき、目標と戦略を持って取り組んでいただく必要がありますので、現在、集落水田農業ビジョンの作成に向けた準備をお願いしているところであります。
 なお、国の方針が見えないということでありますが、国におきましては、具体的な対策内容につきましては、概算要求の時期を待たずに、できるだけ早期に明らかにすることを検討していると伺っておりましたので、そうした内容を踏まえてビジョンの作成をしていただきたいと思っております。
   〔総合雇用対策局長上村俊一君登壇〕

〇総合雇用対策局長(上村俊一君)  国の雇用創出特別基金についてでありますけれども、この基金事業につきましては、短期的あるいは臨時的措置として、可能な限り多くの離職者を雇用するというねらいがございます。
 県の総合雇用対策におきましては、この国、県の基金事業により全体では9、600人の雇用を見込んでおりまして、そのため全力を尽くしているところであります。
 一方、この事業によりまして雇用された方々をいかに常用雇用につなげていくかが大事でありますから、国の基金を見ますと、平たい言葉で言いますと、使い勝手がよくないということをよく聞きます。事業主体であります市町村等からも、例えば雇用期間や人件費の割合の要件を緩和してほしいとか、あるいは継続的な雇用に結びつく事業に活用させてほしいとか、あるいは、そもそも地域における雇用創出のための対策事業に活用させてほしいといったことを要望されております。こういった声も今後さらに聞きながら、この基金においても常用雇用に結びつくような制度の見直しについて、国に対しても要望してまいりたいと考えております。
 次に、臨時雇用から常用雇用への確保に至る誘導策について、具体的事例に基づき説明されたいということでございますけれども、基金事業で臨時雇用から常用雇用につながった事例といたしましては、まず、国の基金事業でありますけれども、これは類似した例はたくさんありますが、都市公園の樹木の剪定事業に臨時雇用された3名のうち2名が、委託先の企業に常用雇用されたケースが一つあります。それから、IT講習会の講師補助として臨時雇用された5名のうち、委託先の企業に4名が正式に雇用されたケース、あるいは県の基金事業におきましては、コールセンターにおけるオペレーターの人材養成を実施しまして、その修了者の45名のうち12名が常用雇用になったといったケースがございます。
 これらの常用雇用につながった事例を見ますと、いずれも本人の技能あるいは勤務態度が高く評価されたもので、企業が求める人材に合致した、マッチングしたといったことから常用雇用につながっていると考えております。要は、こういった職業能力をアップするような、ステップアップするような機会がもっとあれば、さらに常用雇用につながっていくのではないかといったことから、県の基金ではこの辺はカバーできますが、国の基金においてもこういったことができれば、さらに常用雇用につながるのではないかといったことから、こういったことについても、国に使い勝手のいいように働きかけながら、一人でも多くの常用雇用に結びつけていきたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君)  三陸海岸と早池峰山の保全対策についてでございますけれども、このたび、全国の数ある地域の中から三陸海岸と早池峰山が世界自然遺産の国内候補の検討対象地域19カ所の中に入ったわけでございまして、これは学術的に見まして高い評価を得た証拠であります。岩手県が世界に誇るべき自然遺産であると認識してございます。
 今後、一層この保全を期してまいるわけでございますが、今までの保全対策に加えまして、さらに利用者一人一人が、自然の重要性を認識し、一定のマナーを守るということが重要であると認識してございます。このようなことから、早池峰山では、例えば携帯トイレの普及などの利用者のマナー向上対策、あるいは希少野生動植物監視員の配置等による高山植物保護対策などに努める、それから、三陸海岸におきましては、利用者のマナー向上や環境美化活動に努めていくというようなことをしてまいりたいと思うわけでございますが、加えて、このようなすぐれた自然が岩手にあるということをより多くの人にアピールして、今後の世界自然遺産の選定に向けた機運を醸成していくことが必要ではなかろうかと考えているものでございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君)  まず、食育事業の復活についてでありますが、県内の各学校におきましては、これまでも地域の特色ある食材を用いた給食や地元の農林水産業の体験学習、農業高校における幼児や小中学生への農場の開放など、生徒や地域の実態に合わせ、食育に関係する多様な学習活動を展開してきております。
 食育の一層の充実を図るためには、このような各学校等における取り組みを踏まえ、食の安全・安心とのかかわりの中で、食育をより実践的に行っていくための方策を詰めていくことが重要であると考えております。
 したがいまして、このような観点から、今後において環境生活部など関係部局との連携を図りながら、児童生徒の望ましい食生活や食習慣の確立も含めた岩手ならではの食育について検討、調査してまいりたいと考えております。
 次に、フリーターについてでありますが、いわゆるフリーターを志向する生徒については、文部科学省の検討結果によれば、職業意識の希薄化など、職業観・勤労観の未熟さやフリーター志向を容認する保護者の養育態度などがその一因ではないかとの指摘があります。
 また、これらいわゆるフリーターは、就業職種といいますか、形態が限定されている、本人の専門的な知識あるいは技術の習得には余り役立たないのではないかという指摘もなされております。
 現在、こういうことを踏まえまして、学校教育の現場におきましては、児童生徒の発達段階に応じまして、中学校では職場体験や職場訪問、高等学校では各界で活躍する社会人の講師を招聘した講演会、インターンシップや職場見学の実施などにより、生徒が将来主体的に進路を選択できるような進路指導の充実を図っているところであります。
 加えまして、県教育委員会におきましては、今年度から新たに県の機関におきましてインターンシップを実施することにいたしております。また、高校生の就業体験機会の拡大を図るとともに、就職希望者全員とその保護者の方を対象とした職業観・勤労観育成講座を、高校生キャリアアップ事業の一環として実施することにいたしております。生徒の勤労観・職業観の理解、育成を一層充実させていくことにいたしております。
 次に、教職員の不祥事についてでありますが、昨年末以来、飲酒運転による人身事故などの重大な不祥事が相次いで発生していることは、まことに遺憾に思っております。
 この不祥事発生の原因についてでございますが、不祥事を起こした教職員においては、教育公務員に求められる倫理観と人権意識、あるいはみずからの行動が児童生徒とか保護者、学校、地域に与える影響の度合いについて自覚と責任が欠けているということ、各学校等における教職員への日常の指導や、教職員が相互に牽制し合うなどの一体となった取り組みを進めてきたつもりではありましたが、これが十分ではなかったこと、教育委員会と学校現場、学校現場における校長と一般教員、学校と保護者・地域との間の連携、連絡の体制が十分なされていなかった、風通しがよくなかったことなどにあるものと考えております。
 飲酒運転等の不祥事防止対策として、未然にこれを防止するために、これまでさまざまな対策を講じてまいりました。また、昨年6月には、体罰、わいせつ、セクハラ等に対する懲戒処分等の基準を制定・公表したほか、また、本年6月16日には、飲酒運転を行った職員に対する懲戒処分をより一層厳正に行うとともに、職員のさらなる自覚を促すべく、飲酒運転を未然に防止することを目的として懲戒処分の基準を制定・公表したところでございますが、議員から御指摘ありましたとおり、この基準を制定・公表した矢先の6月19日に、県立高等学校の教諭が、盛岡市内で酒気帯び運転で検挙されるところとなりました。
 不祥事の未然防止についてこれまでさまざまな取り組みを行ってきたにもかかわらず、飲酒運転の不祥事が後を絶たないということは、その対策が一人一人の教職員に徹底されていなかった、響いていなかったと言わざるを得ず、大変深刻に受けとめているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、今後の対策として、各学校等においては、学校全体の問題として組織一体となった防止対策に取り組むことと、その一方では、直接面談するような教職員一人一人の状況に応じた個別指導というものを徹底する必要があると感じております。
 また、教員の採用・育成の段階において、初任者研修を初めとする研修において、教職員としての倫理観と人権意識の徹底を図るとともに、採用段階においては、採用試験の面接委員への民間人の起用に加え、より一層人物重視の選考を行うため、今年度から、一次試験において面接試験を導入するという取り組みを行うことにいたしております。
 また、私自身も直接学校に出向いて、相次ぐ不祥事への対策等につきまして現場の教職員と直接意見を交換するような場を設定していきたいと考えております。
 これまで以上の徹底した取り組みを通じて、教職員としての使命感の高揚、教職員の意識改革を図りまして、教職員の服務規律の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立学校長への民間人登用についてでありますが、登用に踏み切ったその要因ということでございますが、本県が推進いたしております特色ある学校づくり、開かれた学校づくり、これをより一層進めるためには、校長自身のリーダーシップ、従来の教育の現場の考え方にはとらわれない柔軟な発想や企画力、あるいは、ただいま申し上げたような強力なリーダーシップが求められているわけでございます。
 もとより、現職の校長あるいは教頭といった管理監督の立場にある者のマネジメント能力の向上は、これを徹底して図る一方で、このような資質を持つすぐれた者を校長として確保していくためには、学校現場とは異なった経験を蓄積した人材を登用していくという、現場に新しい風といいますか新しい血を入れることは大変意義があるのではないかという観点から、今回踏み切ったものでございます。
 期待する効果といいますのは、裏腹の関係にございますけれども、従来の学校現場にはなかったような柔軟な発想、実社会での経験、組織経営の手腕などが学校経営に生かされるのではないか、そして、顧客を意識した学校経営、あるいは説明責任の徹底が図られるのではないかと、数多くの期待があるわけでございます。
 選考基準につきましては、広く外に人材を求めるという観点から、これの全国公募を行い、そして、これまでの経験や実績に基づきまして、組織経営能力あるいは教育に対する情熱や意欲、それから、生徒、保護者、地域住民、教職員からももちろん信頼され親しまれるような教育者としての資質が備わっているかなども重要視して、選考したいと考えております。
 それから最後に、広島県の状況等から学ぶべきこと、あるいはその教訓を生かしながら、どのような本県独自の措置を講じられるのかということでございますが、広島県教育委員会の最終報告書等からの状況を拝見いたしまして、校長として登用するにつきましては、事前に校長の職務内容、あるいは学校現場の実態について十分に認識してもらう必要がある、あるいは教育委員会が適切にサポートをしていく必要がある、それから、受け入れる側の教職員の理解と協力が必要だというようなことが、教訓として挙げられております。
 これらの教訓を踏まえまして、本県におきましても、受験者に対して事前の説明会を開催する……。

〇議長(藤原良信君)  答弁中でございますが、簡潔にお願い申し上げたいと思います。

〇教育長(佐藤勝君)( 続) はい。
 それから、学校現場での実務を中心とした事前研修を十分に行う。これは、予定といたしましては、5カ月程度を予定してはどうかと今考えております。それから、支援体制として、教頭の複数配置等、校長を支えるスタッフに配慮すること。そしてもう一つは、受け入れる学校現場の教職員の理解と協力が十分に得られるよう配慮することなどが、考えられる措置として現在検討中でございます。
 いずれ、民間人校長の導入は本県にとって初めての試みということになります。幅広く、かつまた慎重に検討を重ねながら、しっかりとした準備を進めて、導入の目的が達成されるように努めてまいりたいと考えております。
   

〇議長(藤原良信君)  以上をもちまして本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時54分 散 会


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