平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇32番(吉田昭彦君) 自由・県民会議の吉田昭彦でございます。
 改選後初めての本定例会におきまして、一般質問の機会を与えていただいた先輩・同僚議員の皆様方に心から感謝を申し上げる次第であります。
 まずもって、圧倒的な勝利で3選を果たされました増田知事に、心からお祝いを申し上げる次第であります。
 それでは、順次質問いたしますので、積極的な答弁をお願い申し上げます。
 初めに、知事の政治姿勢と3期目の県政運営についてお伺いいたします。
 まず、増田知事は、これまで2期8年間県政を担当してこられ、その間、県政懇談会、特定課題懇談会を積極的に開催してこられたほか、出前授業を企画され、みずから各地に赴いたり、さらには、田植え、稲刈りの体験等を通じて、ひざを交えて多くの県民の話に耳を傾け、対話を重ねてこられました。
 また、改革派知事連合、21世紀臨調への参加など、県内外で多角的、多面的な活動を精力的にこなされ、まさにリーダーにふさわしい行動力に改めて敬意を表するものであります。
 広大な県土を有する本県は、各地域がそれぞれの地理的、歴史的、経済的条件等を背景として、固有の地域性を持っております。知事は、機会あるごとに県内各地を訪問され、視察、調査、面談しておられるわけでありますが、各地の地域性にどのような感想を持っておられるでしょうか。
 また、その中には経済的格差も現実のものとして存在をしておるわけでありますが、これまで2期8年間にわたり県土の均衡ある発展に力を注がれてきた県政運営の成果として、地域間の格差は解消されたのでありましょうか。知事御自身どのように認識しておられるのか、自己評価も踏まえてお答え願いたいと存じます。
 次に、さきの統一地方選で注目を浴びましたマニフェストについてでありますが、増田知事はみずからのマニフェストの中で、公共事業を2年間で30%削減、サービス関連産業での1万5、000人の雇用創出などを掲げておられます。知事は、公共事業削減による本県経済への影響をどのように試算しておられるのでしょうか。また、雇用創出のため実施する新分野、サービス産業の創業・起業への支援、成長分野の企業誘致とは具体的にどのようなものを指しておられるのかお尋ねいたします。
 次に、総合計画の進捗状況についてお伺いいたします。
 県行政運営の最高の指針である県総合計画は、逼迫する県財政、公共事業の削減の影響などにより、当初の見通しに大幅な狂いが生じているのではないかと考えられるわけでありますが、現在までの事業の進捗はどのような状況になっておられるのか、また、今後の財政見通しを考慮し、現計画を見直すお考えがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、北東北3県連携についてお伺いいたします。
 北東北3県の連携は、環境問題への対応、観光物産施策などで一定の評価ができるものでありますが、道州制への対応などを含めて、今後の連携のあり方をどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、増田知事も全国の改革派知事とともに参加している新しい日本をつくる国民会議、いわゆる21世紀臨調についてでありますが、21世紀臨調の知事メンバーは、去る6月18日、三位一体改革の実現に向けての緊急声明を発表されました。我が岩手県議会におきましても、6月19日臨時会において、税源移譲等による地方税財源の充実強化を基本とする三位一体改革の実現についての意見書を可決し、翌6月20日、藤原議長が関係省庁に持参して、片山総務大臣には直接意見書を提出するなど、積極的な態度表明を行ったところであります。
 そこで伺いますが、知事は、地方分権改革に係る地方税財源の移譲と国庫補助金、地方交付税の見直しの三位一体改革についてどのように評価をされ、今後どのような形で国にアクションを起こしていくお考えなのでしょうか。
 また、知事は本議会初日の演述において、地方の自主性、自立性を困難にしている構造的な問題に真っ正面から向き合い、国に対しその改革を求めるとしていますが、どのようなことを求めるという考えなのか、改めてお伺いいたします。
 さらに、知事が参画する21世紀臨調としては何を目指しているのか、御所見をお聞かせ願います。
 次に、政策評価制度についてお尋ねいたします。
 厳しさを増す県財政の現状を踏まえると、費用対効果の観点から、施策の厳選や優先順位の精査は当然のことであり、この制度は今後も堅持することが必要と考えるものであります。政策評価のシステムは、県総合計画の施策や主要事業を対象に、その必要性、効果性、優先度などを評価・点検し、それを踏まえて施策や事業の見直しを行い、重点施策を編み出し、新年度当初予算に反映させるのがねらいとなっているものと考えられるものであります。
 そこでお伺いいたしますが、地域によって行政分野の間で事業優先度が異なる場合が考えられます。例えば、地域によっては道路より河川改修、あるいは河川改修より保育所の整備が必要性、緊急度が高いといったようなものであります。その場合、事業の優先度はどのように判断されるのでしょうか。
 また、地域の実情については地方振興局長が把握していると思われるのですが、地方振興局長の意見はどういう形で政策評価に反映されているのでありましょうか。
 私は、県みずからが政策評価を行うのではなく、NPO法人に委ねる方法も積極的に導入すべきであると考えるものでありますが、この点について県当局はいかがお考えでありましょうか。
 次に、地方分権と広域連携の推進についてお伺いいたします。
 私は、地方分権とは国のあり方の構造改革、すなわち中央集権による全国一律の制度によるのではなく、地域住民の視点による、地域のための権利の保障と責任ある実行を意味するのであり、基本的な地方公共団体である市町村が住民の方々と十分に意見交換をしながら、それぞれの選択と負担に基づきまして実行していくことが重要と考えるものであります。
 市町村合併は少子・高齢化の状況及び財政難、経済の先行きなどの社会的要因のほか、そこに住む人々の行動範囲や価値観といった人間の意識の変化が一定の指向性を持って高まりを見せたとき、地域の課題を克服するための一つの選択肢にすぎず、合併それ自体が目的ではないと考えるのであります。
 そこでお尋ねいたします。市町村合併については、地方振興局長による市町村長の意向調査を集約したと聞いておりますが、県としてこれまで市町村に対し行ってきた岩手県広域行政推進指針に始まる各種の指導結果を、どう評価しておられるのでありましょうか。また、今後市町村合併をどのように推進していこうとしておられるのか、お伺いいたします。
 また、今後とも独自で地域づくりに臨む選択をした市町村は、徹底した歳出の削減と自主財源の確保に迫られることが予想されます。自主財源の確保策として、例えば、県内の市町村は広大な森林を保有しており、人口は少なくても国土保全や自然環境保護、水資源涵養、二酸化炭素の吸収源として大きな役割を果たしていることを国にもっと認識を深めてもらい、このことを評価する新たな財源手当ての制度化を強く提案できないものでありましょうか。県の考え方を承りたいと思います。
 次に、地震・津波防災対策についてお伺いいたします。
 去る5月26日に発生しました三陸南地震では、本県全体で約119億円の被害がありました。今回は幸いにも津波はなかったのでありますが、近い将来、宮城県沖を震源とする巨大地震、大津波の発生が予想され、特にも、国の地震調査委員会の発表によりますと、2030年末までに98%の確率で発生すると予想されております。これまで県、市町村では防災体制を強化し、広域救援体制を構築してまいりました。消防、警察など関係機関との連携による防災訓練もたびたび実施され、訓練を通じて県民の防災意識の向上を図ってきたところであります。
 そこでお伺いしますが、このたびの三陸南地震では、電話・携帯電話の通話制限によって情報連絡体制が機能しなかったことが教訓となりましたが、このことも含め、市町村関係機関との連携、職員の連絡体制など、現在の地震・津波防災対策の問題点について点検はされたのでありましょうか。点検結果と今後の改善点についてお聞かせ願います。
 県では本年度、津波防災対策等を強化するため、沿岸全域を対象とした津波浸水予測図を作成することとし、6月補正で予算措置すると聞いておりますが、私自身、これまでいろいろな機会に提起してきたものであり、ぜひとも早期に実現されることを願っておったものでございます。このことによって沿岸住民の防災意識の高揚と地震発生の際の避難の迅速化に寄与するものと考えられますが、県では、この津波浸水予測図を避難計画、防災計画にどのような形で反映させようと考えておられるのか、お伺いいたします。
 また、私は沿岸9市町村で設置しております潮位観測計の情報ネットワーク化を提言してきましたが、情報の迅速、的確な伝達のためにも、県の支援により実現を急ぐ必要があると思われますが、どのようにお考えでしょうか。
 あわせて、避難告知を今以上に迅速化する必要があると考えますが、いかがでありましょうか。
 さらに、今回の地震において、学校、体育館等の公共施設の耐震性の問題が明らかになり、耐震度の点検、チェックが必要になりましたが、防潮堤の耐震度、耐力度の点検を強化すべきと考えますが、いかがでありましょうか。
 次に、環境首都実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 限りある自然環境の中で、自然そのものの滅失や自然の浄化能力を超える汚染が相次ぎ、資源の枯渇など、自然の再生を妨げる危機的状況が全地球的規模で起こっております。私たちは日々の暮らしを環境との共生の視点で見直し、未来に向けて安心して暮らしていける社会づくりに取り組むことが求められております。
 県では、温室効果ガスの排出量を2010年に国の削減率を上回る8%削減達成を目標に掲げたほか、日常の生活スタイルを見直すいわて環境家計簿運動や一般ごみの県民1人1日当たりの排出量を約800グラムに抑える運動を展開しておられます。
 また、北東北3県で取り組んだ産廃税、県外産廃搬入事前協議条例、並びに本県単独でも循環型地域社会の形成に関する条例を制定するなど、その取り組みは全国的にも高く評価されているところであります。
 そこでお伺いします。温室効果ガスの排出抑制にはバイオマスの利活用が重要と考えられますが、木材、生ごみ、家畜排せつ物など、生物由来の有機性資源の利活用促進に県ではどのように取り組んでおられるのでしょうか。また、今後の取り組みについてはどのような計画になっているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
 また、環境首都を標榜する本県でありますが、現在、公共施設、民間施設を含めたISO認証取得の状況をお示しください。また、認証の取得促進にどのように取り組んでおられるのかお伺いいたします。
 また、一昨年9月に開催されました第5回北海道・北東北知事サミットにおいて、水と緑を守る条例の整備への取り組みと税制研究が4道県合意事項とされましたが、人と自然が共生する循環型地域社会を形成するため、森や川、海などにかかわる環境の保全等に関する条例を各道県の特性に応じ整備するよう取り組むこととされ、その目的達成のために必要な諸施策の財源確保の見地から、新税の創設の可能性について共同研究することとされておりますが、これらの検討はどのように進めておられるのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、気仙及び釜石地域におけるシカ、カモシカによる農林業被害についてでありますが、これらの被害は、生産者の生産意欲を阻害するほどの状況にまで広がっており、適正生息数に向けての対策の強化が望まれております。
 そこでお伺いしますが、特別天然記念物のカモシカの特定鳥獣保護管理計画の策定作業は、現在どのような段階になっているのかお示しいただきたいと思います。
 次に、少子・高齢化時代に対応する保健・医療・福祉施策についてお尋ねいたします。
 まず、保健・医療についてでありますが、地域の医療機関の機能分担と連携については、円滑な医療供給体制を整備するために必要であり、医師確保とあわせ、各医療圏における地域医療ネットワークによる各病院の役割分担といった体制づくりが急務となっております。
 ところで、東北・北海道地区においては、特に医療供給体制の整備の基本となるべき医師確保が困難な状況が続いているとのことですが、国民等しく医療の恩恵にあずかる機会の均等を図るためには、地元出身医師の養成が必要であり、そのための方策として、自治医大及び東北管内の医学系大学において、東北地方出身者の入学枠を特別に設定するなどの手だては考えられないものでしょうか。医師確保を国家的課題として国に対策を求める必要があるのではないかと思うのでありますが、県当局のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 次に、幼保一元化についてお尋ねいたします。
 幼保一元化は、就学前の幼児教育の基本的な課題として議論されてきた問題でありますが、その背景には、文部科学省と厚生労働省の二元行政の問題があると思われます。幼稚園に関しては幼稚園教育要領があり、保育所には保育所保育指針が基本指針として存在しております。幼保一元化は、幼稚園就園年齢の3歳から就学までの教育と保育は一つの施設で同じ原理に基づいて行われるべきであり、同年齢の幼児に対して差別のない教育を保障すべきであるとの考え方を具現しようとするものであります。
 地方分権研究会においても、地域によっては幼稚園と保育所はほとんど均質化していると指摘されております。県としても幼保一元化に取り組むべきと考えるものでありますが、対市町村や国との関係も考慮し、県としてはどのように対応すべきとお考えでありましょうか、お伺いします。
 次に、農林水産業の振興についてお尋ねいたします。
 まず、農業問題についてでありますが、農業農村を取り巻く環境は、農業の担い手の減少、耕作放棄地の増加とあわせて、経済のグローバル化による輸入農産物の増加などにより農業経営は厳しさを増す一方であります。
 一方で、地域の基幹産業として、また環境の世紀を迎えた今日では、農地の多面的機能を果たす役割が評価されるなど、農業の持つ重要性は依然として大きいものがあります。食料自給率の低下は日本の農林漁業の衰退の問題だけでなく、日本の食文化や日本人の健康までも脅かしているのであります。
 また、輸入農産物の急増に伴い、食料の生産供給のあり方についての関心が高まり、食料は、外国産よりも高くても、少しでも生産コストを引き下げながら、安全・安心なものを国内でつくった方がよいとの意見も高まっております。このような要請があっても、就業人口が減少し高齢化が一段と進む生産現場は、その要請にこたえることが困難な状況にあるのであります。一定のコスト低減の取り組みや多面的機能維持のために、個々の農家の努力だけではおのずと限界があり、集落ぐるみの取り組みが必要となっております。
 農業農村基本計画では、消費者や都市部などの食の連携と交流の理念のもとアグリビジネスの構築を掲げているのでありますが、アグリビジネス振興の基本は、農業農村と食品製造業、農産物加工などの第2次産業と産直農家レストランなどの第3次産業との連携が必要と考えられます。このような連携が実現して初めて、地域の農業農村資源を生かしながら多面的な生産販売と地域の連携が図られ、地域全体の所得向上と活性化につながっていくのであります。
 特にも、沿岸部の農業を維持発展させるためには、認定農業者の育成とあわせ、集落営農組織などの農業経営組織を育成し、効率的な生産体制を育成することが急務であります。このためには、市町村、農協、県が一体となって支援体制を確立する施策がぜひとも必要と考えられますが、県はいかなる支援策をお考えであるかお聞かせいただきたいと思います。
 次に、林業問題についてお尋ねいたします。
 県では、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部を設置し、木材の利用促進と多面的機能の維持・増進の施策を検討しておられますが、私はこのことを高く評価するものであります。
 そこでお伺いしますが、県産材の利用推進組織として平成10年度に組織されたもっと・WOOD・県産材推進連絡会議によるこれまでの事業推進の成果と、今後さらにどのようにして木材需要を喚起していこうとお考えなのか、お尋ねいたします。
 次に、山村を取り巻く状況についてでありますが、山村から労働力が流出し、高齢化が進み、間伐などの適正な管理が十分にできないため森林の荒廃が進んでいることは、自然資源の滅失であり、心が痛む問題でございます。木材価格は景気低迷を続けており、作業員の人件費さえ賄えない状況では、間伐が計画どおり進まず、風雪に耐えられない貧弱な森林がふえ、見るに耐えない現実があります。
 森林は国土の保全、水資源の涵養、地球温暖化の原因である二酸化炭素の吸収、貯蔵など公益的機能を持っており、その機能を高度に発揮させるためには、流域ごとに公有林と民有林の一体的な整備と管理が不可欠と考えられます。森林の多面的な機能が言われながらも、間伐対策等の既存の制度では山林の管理は徹底されず、荒廃が進む心配があることから、緊急雇用対策事業として集中的に山林の保全管理の事業を行うなど、新たな環境保全を軸とした森林整備を新しい事業として創出し、山での雇用を増加させ、山村の活性化を図ることが可能と考えるものであります。
 景気の低迷による雇用状況の悪化は深刻であり、冷え込んだ景気を回復させるためには内需の拡大が重要と考えられます。そのためにも雇用の創出に最大限の努力が望まれるところであり、山村での森林整備事業を通じた雇用創出策についての県当局の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、山林作業への就業支援を行う担い手育成対策の事業を推進する必要があると思うのでありますが、いかがでありましょうか。
 次に、水産業の振興についてお尋ねいたします。
 本県の養殖漁業は、カキ、ワカメ、ホタテと中央市場でも高い評価を得ているところであります。輸入海産物との関係では厳しい状態に置かれていたワカメも、最近は、安全で品質がよい三陸産、特にも本県産の評価は高まっており、市場での評価も安定し、漁家経営の安定につながっております。
 今問題になっておりますのはカキ殻の処理であります。むき身カキの生産者にとっては頭を悩ます大きな問題となっているのであります。カキ殻の再利用法の研究も含め、県としての支援策を含めた対策について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 観光に対する志向が、遊び、学び、体験、保養、いやしなど多様化しており、本県の豊かな自然や伝統文化、郷土料理などを総合的に活用し、農山漁村の魅力を満喫できる体験・滞在型のグリーンツーリズムやブルーツーリズムの積極的な推進が期待されるところであります。
 そこでお伺いしますが、本県の観光を農林水産業との結びつきを図ることによってアグリビジネス、地産地消運動の展開と連動し、加えて北東北3県との連携、宮城県との県際連携のネットワーク化も期待されるものでありますが、県の具体的な推進策はどのようになっているのでしょうか。また、今後の観光振興施策についていかなる戦略をお持ちなのでしょうか、お聞かせ願います。
 次に、津付ダムの建設促進についてお伺いいたします。
 治水対策は気仙川総合開発の根幹をなすものであり、抜本的な治水対策とあわせて、気仙川流水の正常な機能の維持のためには津付ダムの建設が必要な事業であることは、昨年7月の洪水時の気仙川の状態から見ても明白なものであります。
 また、高速交通との対応など、地域振興の総合施策としての役割と地権者の早期の生活の安定を図るためにも、ダム建設に向けての諸施策の促進は流域地域住民が等しく待ち望んでいるものであります。現在の津付ダム建設事業の進捗状況と事業着工までの今後の見通しについてお尋ねいたします。
 次に、治安対策についてお尋ねいたします。
 犯罪の広域化、国際化、組織化、多様化により、県際、県境に位置する地域の治安対策については、密度の濃い警察体制が求められていると考えられますが、県南県境地域における宮城県警との連携・協力体制はどのようになっているのでありましょうか。
 また、県境の治安維持、密漁対策、犯罪捜査の迅速化の観点から、人員増等の体制強化を図る対策があってしかるべきと考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
 次に、教育に関する諸課題についてお尋ねいたします。
  現在では定着した感のある学校週5日制の趣旨は、児童生徒にゆとりの中で多くの体験をさせ、生きる力を身につけさせることにあり、多くの知識とさまざまな体験が両輪となって円滑に回転して初めて効果が期待されるものであります。また、5日制実施の背景には、知識の量ではなく、みずから判断し主体的に生きていく力をはぐくむという学力観と、家庭の教育力を回復したいというねらいがあり、学校、社会、家庭のそれぞれの教育機能の回復等、分担の必要性を再認識する意義が見出せるのであります。
 そこで、お伺いします。学校週5日制の導入によって、土曜日、日曜日の過ごし方など地域によって特徴的な取り組みが見られるのでしょうか。また、県として今後推進すべき取り組みについてお考えをお聞かせ願います。
 ところで、本県の児童生徒の学力水準はどのように評価されておられるのでありましょうか。週5日制導入後、学力向上対策との関連で変わったのかについて把握しておられるのでありましょうか。
 次に、少人数学級指導の評価をどのように分析されているのでしょうか。また、少人数指導について今後どのように取り組むお考えなのでありましょうか。
 次に、学校給食での地元農林水産物の利用は、安心で安全な食の提供、地域と密着した地産地消の広がり、地元の農林水産業の関心の高まりなど、多くの食育が期待されるところでありますが、県としての現在の取り組みと今後の方針についてお尋ねいたします。
 以上で私の質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君)  吉田昭彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地域間格差ということについて冒頭御質問ございましたけれども、私は、生活の豊かさですとか質というのは、多様な尺度でこれを判断されなければいけないと思っております。前世紀の20世紀というのは経済的な価値観というのが大変重んじられて、あるいは偏重されて、そういう尺度でシカ物事を見なかったと、そこで役に立たないと判断されたものはどんどん切り捨てられていったと、そういう世紀であったと思うのですが、今はそれだけでなくて、もっと多様な尺度で生活の質、豊かさを、時間のゆとリーダーとか、それから空間の持つ安らぎだとか、いろいろな尺度で判断をされるようになってきた。
 そういう中で、この岩手県というのも21世紀におけるフロントランナーとして、これは20世紀の価値観を持つ人間から見れば周回おくれと言われるかもしれませんけれども、我々はそういう21世紀の多様な価値観の中では、まさしくフロントランナーとなり得る地域だと、また、そういうことに誇りを持ってしっかりと地域づくりに進んでいくべきではないかと思うわけであります。国全体から見れば岩手県というのはそういう地域でありますし、また、この県内の中で県北や沿岸地域というのは、まさしく同じようにこの21世紀の中で、そういう県の中でもさらにフロントの地域と、エリアとして大きな発展性、可能性を秘めた地域であると思っております。気候的にはやませがたびたび襲いますし、それから交通の便も大変悪いというところがまだまだありますけれども、しかし、県民の生活水準というのは全般的には向上してきている、数値的にもそういうふうになってきております。
 その中でやはり気になる部分もありまして、県道の改良率などは、県道についてはそういった地域もかなり上がってきておりますが、下水道の普及率がまだ低いものですから水洗化率などが低かったり、それからお医者さんの関係などは内陸部とは明らかに格差があるといったようなことがあります。最近は、あとよく苦情を聞きますのは携帯電話、これについても不感地域が大変広いということがあって、地域間の格差というのはこの岩手県内の中を見ても、まだまだ解消されず残ってきている。このことについて、やはり生活の水準が向上するように一つ一つつぶしていく必要があると思っております。地域の特色を消さないように、金太郎あめにならないように地域の特色を最大限生かすということで地域づくりというのをやっていくべきだと思いますが、しかし、その中で今申し上げましたような、本当に生活の根幹にかかわるような部分については格差をなくすべく最大の努力をしていくべきである。従来にも増して県政の重要課題であると思います。
 今、地域をいろいろ見ておりますと、各地域でNPOのようなものが育ってきて、地域資源を活用した特色ある地域づくりが各地域で以前にも増して大いに展開をされてきているような時代になってきているということを、歩いておりまして肌で実感をするわけでありますが、これからなおさらそうした意欲ある取り組みですとか、自発的にそういったことに向かっていこうとするそういう団体、NGOなどについて積極的にさまざま取り組みを支援していきたいと考えております。
 それから、次のお尋ねは、私が選挙のとき申し上げました公共事業の削減の関係で、2年間で30%削減した場合、本県経済へどういうふうに影響が出てくるのかというお尋ねでございますが、平成14年度の当初予算の公共事業費、これは数字では1、831億円でありますが、この中から用地費分を除いたもの、経済効果をはかるので用地費分を除きますと、これが1、684億円になります。この1、684億円を30%削るといたしますと、この数字が、30%相当分が505億円ということになります。
 この505億円を削減した場合にどういう影響が出るだろうかということを推計するわけですが、平成10年の岩手県産業連関表を使って県内への経済効果というものを試算いたしますと、この505億円を削減するということですのでこれが直接効果になりますが、それに加えましていわゆる建設用建設資材への需要の減少を通じて、ほかの産業の生産に及ぼす間接波及効果、これがマイナスで214億円程度、それから雇用者所得の減少に伴って家計消費支出が減ってきますので、この部分について推計をいたしますと119億円のマイナスということになります。この間接波及効果の方、214億円と119億円を足しますと333億円ということですので、直接効果分が505億円プラスこの333億円、合わせて838億円がこうした削減による経済効果と、505億円を削減することの約1.66倍に相当いたしますけれども、これが県内生産額の減少につながっていくと推計をされます。
 なお、この影響額を県民経済計算の平成12年度の県内産出額、これは県内全産業の生産額の総額でございますけれども、これとの比較で見てみますと、平成12年度の県内産出額が8兆8、200億円ということになっていますので、その中の0.95%、影響額としては0.95%に相当するということになろうかと思います。そのことの関係もありますので、新しい分野のサービス産業の創業・起業への支援をしたり、それから成長分野の企業誘致を図ってそして雇用の問題を解決するというふうに私の方で申し上げたわけですが、これに伴って具体的な内容はどういうものかというお尋ねがございました。
 大きく分けて三つあると思っておりまして、新分野のサービス産業の創業・起業支援については、いわて起業家大学ですとか起業家大学院をこのところずっと8年ほど開催をしてまいりましたが、そういったところでの成果によるソフトウエア開発や設計・デザイン、リサイクルショップなど多様な分野での創業ベンチャーへの重点的な支援を行う。それから、成長分野の企業誘致についてですが、これは、今県内で一番の成長分野は自動車関連産業ですが、そうした自動車関連産業を中心とした製造業のほか、これは4月に4社ほどまた新たに立地をいたしましたけれども、こういったもののほかコールセンターなどの情報関連業や流通関連業、それから環境関連業、海外展開がいろいろなものづくりの分野で今、急速に進んでおりますけれども、その中でも今後とも国内立地が期待できるようなそういう業態を中心としたところ、こうしたいわゆる成長分野の企業誘致。それから、三つ目が、地域の特色を生かした雇用創出ということで、いわゆるコミュニティ・ビジネスのようなものでございますが、産直施設や農家レストラン、あるいは老人介護などの福祉、そういった分野で市町村と連携しながら、建設業などから生ずる離職者の雇用の受け皿となる仕組みをつくっていきたい。こんなことで私はマニフェストの方に記述をしたものでございます。今申し上げましたようなことを念頭に置いているものでございます。
 それから、今現在進められております県の総合計画の進捗状況などについてお尋ねがございましたが、今の総合計画は前期の段階でございます。平成11年から17年までが前期7カ年、それから平成22年までが残り後期5カ年ということになっておりますが、今現在は前期の段階でございますけれども、計画に掲げております343の主要な事業について、まだ平成13年度末現在の数字シカなくて、今14年度末、すなわちことしの15年3月現在の数字を取りまとめ中ですが、恐縮ですが1年前の数字になりますが、13年度末、すなわち平成14年3月末現在で事業着手数が343のうち325事業で、約95%の着手率。それから、投入した事業費でございますが、平成11年度から13年度までに約1兆6、500億円余で、全体事業費に対して39%の割合ということになっております。
 したがって、平成11年度から12、13と、この3カ年までの間の進捗状況については、この段階ではおおむね順調という評価ができるわけでありますが、その後、最近のさまざまな環境の変化ということがあって、先般お示しをした行財政構造改革プログラム骨子の中で示したように、平成15年度から18年度までの4年間で約1、750億円の歳入歳出ギャップが見込まれるということがありますので、この影響がこれから相当出てくるであろう。公共事業中心に総合計画の事業目標の進捗への影響は避けられないと見ております。特に後期段階においては、目標と相当の乖離が生ずることが予測をされますので、総合計画自体の中にもいわゆる見直し条項というものがございまして、計画の着実な推進に努めながらも、計画を硬直的なものとせず、その時点、時点で最良と考えられる方策を選択し、柔軟に課題に対応するとともに、必要に応じて計画の見直しを行いたいと考えている。こういうことを書いてあるわけでございますが、今回の後期段階については、今言ったように大変大きな乖離が生ずる可能性がございますので、総合計画について、そのあり方も含めて十分な議論をして見直しをしていきたいと、今こんな考えでおります。
 それから、北東北3県連携についてお尋ねがございましたが、この成果については、随分いい成果が出てきていると、最近でも県外事務所を合同化して大阪、それから名古屋も合同化しました。今アンテナショップを大阪につくろうと思って3県で場所の選定に入っておりますけれども、年度内にこれも開設したいと思いますし、それからシンガポール事務所も、これは北海道も入れてですが4道県でやりたいと思っています。それから、産業廃棄物税制も北東北3県で成立をいたしましたし、県境を越えて広域的に取り組むことによって、より効果が発揮できる分野で、これからもこうした連携を着実に積み重ねて、まずとにかく県民の皆さんにその成果を具体的に示していくことが大事だと、これを引き続きいろいろな分野でやっていきたいと思っております。
 それから、今後の広域連携についてですが、こうした行政レベルの連携からやはり一歩進めていく必要があるだろう。民間レベルでの連携を広範囲でやっていきたいと思っていまして、住民やNPO、それから民間企業などによる検討組織も設置をして、これからの北東北のグランドデザインなど望ましい広域連携についてその場で幅広く議論をするとともに、北東北交流連携フェスタなど民間団体による交流・連携活動というのはございますので、そういったものを積極的に支援していきたい。やはり広範囲の地に足のついた取り組みが基本であろうと思いますので、こうした分野にまで広げて活動を促進していきたいと思っております。
 それから、道州制を含めた今後の連携のあり方なんですが、道州制、それから都道府県制のあり方、これはこの議会でも御質問などがあろうかと思いますが、こうしたことについては、我が国の統治機構を変革する国家的な課題であり、しかもなお、このことについても十分な問題意識を持っていく必要があるだろうと思いますので、これからも積極的に問題提起をしていきたいと思っておりますし、特にこの統治機構については、制度設計に当たっていろいろな選択肢の中から、地方、地方で自由に選択できるようなそういう仕組みが望ましいのではないか。やはり統治機構を変えるというのは大きな問題でありますので、十分住民と議論する必要がありますし、それにしても国が定型的に形で当てはめておくということではなくて、非常に多様な選択肢というのは用意しておくべきではないか、こんなことを思っておるところでございます。
 それから、三位一体の改革について、どういう評価をしているかということでございまして、先般、三位一体の改革が骨太の方針2003の中に入れられた、閣議決定されたということで、中を読んでみますと税源移譲ということが入っている。それから、あと基幹税の充実を基本としたということがあるので、これは私も小泉総理のところにほかの3人の知事と行って、今の地方の自治がこうなっているということを直接お話したりといったこともありましたし、そんなことも含めてこういうことが実現したのかなと思っていますし、一定の前進はあったと考えております。しかし、これが一定の前進があったということで喜ぶべきものではなくて、一歩前進、二歩後退のようなことになりかねないそういう要素も中に含んでおりますから、公共事業も含めておおむね4兆円ということから見ると、額としても非常に少ない。全体が20兆円あるわけですから、その中で、当初はどうも公共事業を除くと言っていたようですが、最終的には公共事業を含むとなっていますけれども、それにしては4兆円というのはいかにも少ない額でありますし、それから税源移譲額や移譲する税目が未定と、基幹税とだけは書いてありますが、そういうところが未定である。それから、交付税改革については縮減の方向だけが提示されただけで具体的な内容が入っていない。要はかなりの部分が先送りということになっていますので、この点が大変残念というか、結局そんなことかという気がしてならないわけであります。
 具体的な内容は、結局のところは毎年度の政府予算編成にゆだねられるということになっていて、あのころ私も何度か霞が関とかあちらの方、それから経済財政諮問会議の委員の人たちとかに会っていろいろ様子を探ったり、それから意見を申し上げてきたのですが、結局政府の中でも各省庁はほとんど慌てていないというか、大体落ちつき先を予測していて、勝負はもっと先だと思っていたということが肌で感じられました。いずれにしても、まだ、一歩前進だというようなことで評価する段階にもなっていない、スタートラインに立ったというぐらいに考えておいた方がいいのではないかという気がしております。
 それで、これからのことですが、当然このことをよく注視をして、具体的に三位一体改革が進むようにしていかなければならないと思うのですが、そのときに我々も受け身だけではいけないと思いますので、地方の側としても改革の具体的内容を示していく必要があります。このことについて県としてもいろいろ調査・検討して、その成果を持って国に対して積極的に提言を行っていきたい。もっと具体的に補助金の具体的な項目や、これを出すとまた各省からうんと嫌みを言ってくると思いますけれども、しかし、やっぱり出していかなければいかぬだろうと思いますので、こういう項目や税源移譲すべき税目ですとか、そんなことも含めてこちらの方から具体的な提言をしていく。そして、やはり広く国民全体の理解と支持を得ることが大事だと思いますので、そうしたことにつなげていきたいと思っております。
 それから、知事演述の中でこういった地方分権のことについて、地方の自主性、自立性を困難にしている構造的な問題に真正面から向き合う、こういうふうに申し上げたわけですが、これは昨日も申し上げましたけれども、中央省庁の意向が優先されるといったような、中央省庁が財源を握っている問題や、それから画一化された国の基準、いわゆる霞が関スタンダードの受け売りですとか、主に借金による身の丈を越えた事業の実施とか、いろいろなここに至る原因があったと思います。
 これを解決していくために今後やるべきこととして私は四つぐらいがあると思っておりまして、一つ目は、今申し上げました税財源の移譲を初めとした本当の意味での三位一体改革をしっかりと進めていくということ。当然その中では我々もさまざまな改革に汗をかくと、地方自治体としても努力をしていかなければなりませんが、こうした三位一体改革をしっかりと進めていくということ。それから、二つ目は、地方の自立を妨げている国の規制や基準をとにかく撤廃をする。義務教育にしても保育所の設置にしても何にしても、本当に昔からの基準でがんじがらめになっていますが、この基準を撤廃する。それから、三つ目は、さらにまた、大幅な権限の移譲が必要だろうと思います。とりあえずのものがなされているわけですが、もっともっと生活にいろいろかかわるところで大幅な権限の移譲が必要だろう。それから、四つ目は、余り今まで言われておりませんでしたけれども、私はぜひこれが必要だろうと思うのは、やはり霞が関の官僚の数を減らさないと、中央省庁をもっと小ぶりにしないと、そういった国の権限というのは地方には絶対移らない。それがそのままであればまた新しい仕事を考え出すわけでありますので、その係の数だけ補助金が小分けにされているといったことがあるので、これは大きく言えば公務員改革のような話ですけれども、この部分に手をつけないと国の仕事は相変わらずそのまま残るだろうと思います。こういった今申し上げましたような四つ、特に最後の点などは大変重要な点だと思いますが、こうしたことを強く国に求めて、いわゆる脱中央集権ということを実現に結びつけていきたいと思っております。
 それから、最後に、私が参画しておりますいわゆる21世紀臨調と言われるもので、これは何を目指しているのかということなんですが、これは随分広範囲な人たちが入っている集まりで、前身は民間政治臨調と言われているものが以前あって、政治改革などに取り組んできて、住友の亀井さんが会長でやっておられたのですが、それが亀井さんが亡くなられて活動を停止しておったのですが、今回新たに衣がえをして発足する。そこで国の形や政治の仕組み、暮らしの再構築を目指すということで、わかりやすく言うと、標語としては脱中央集権、それから脱官僚、脱無党派と、こういう三つを掲げているわけであります。私は自治体の首長の立場で入っていて、この中で特に、先ほどの三位一体改革が大変重要だと思いますので、それはまさしくここで言う脱中央集権ということだろうと思いますが、特にこの脱中央集権ということに力点を置いて活動していきたい。
 今までは志を同じくする知事などが集まって、そのとき、そのときでいろいろなテーマを研究して提言などをしてまいりましたけれども、やはりそれだけですとなかなかまた国全体の中で広がりを持たない。この21世紀臨調の中で学界や経済界、あるいは連合を初めとする労働界の人たちもみんな入っていますし、それからマスコミ、言論界の人たちなども非常に多く入っている組織でございますので、そういった人たちに対して脱中央集権なり三位一体改革の必要性などを幅広い人たちに訴えかけていくということが、大きな国民運動につながっていくだろうと思いますので、私はその中でこうした地方分権改革を推進するという立場で活動を展開していきたい。そして、多くのそういった多様な人たちの賛同を得るような活動をしていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長の方から答弁をさせます。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君)  地域における事業優先度の判断についてでありますが、現在、各地域でさまざまな事業が実施されておりますが、その多くは、県全体の政策評価の結果を踏まえ、本庁各部局において事業の採択がなされているところでございます。本年度からはすべての地方振興局におきまして施策の評価を実施することとしております。したがいまして、その結果を地域における分野を超えた事業の重点化の判断材料として今後は活用していきたいものと考えているところでございます。
 次に、市町村合併についてでありますが、これまでの取り組みといたしましては、御案内のとおり平成12年に、広域行政推進指針を策定いたしまして、市町村の合併パターンを含む広域行政の方向性を示したところであります。以来、指針の説明会あるいはシンポジウムの開催などによりまして、市町村合併の機運の醸成に努めてまいりました。平成13年11月には大船渡市と三陸町の合併が実現したところでもあります。さらに、14年8月には、市町村合併支援プランを策定いたしまして、合併市町村のまちづくり、あるいは合併後の地域の将来像に関する調査研究など、合併に向けた取り組みを積極的に支援してまいりました。
 さらに、合併等に関する市町村の意向調査を、昨年12月からことし1月にかけて、また、統一地方選の終了後5月から6月の初めにかけて、この2回実施したところであります。ほぼ全市町村におきまして住民懇談会等が実施されておりまして、県内における市町村のあり方に関する論議が活発化しているところであります。
 また、既に県内2地域におきまして任意協議会が設置されておりますほか、県内各地で具体的な動きが顕著になってきておりまして、これまでの指導の効果があらわれてきたものと思っておりますが、特例法の期限等を考慮いたしますと、地域においてより具体的な論議が必要であるとも認識しているところであります。今後とも、可能な限り特例法期限のうちに自主的な合併が実現するよう、地方振興局を中心としながら市町村の取り組みを積極的に支援してまいりたいと思っております。
 具体的には、今6月議会に提案してございます合併市町村自立支援交付金を追加するなど、県合併支援プランの拡充にまず努めてまいりたいと思っておりますし、また、第27次地方制度調査会など国の動き等について積極的に情報提供、広報を展開し、シンポジウム等も実施してまいりたいと思っております。また、みずからの意向をまだ明らかにしていない市町村に対しましては、早期の表明を促すなど、住民の皆さんとの議論が一層深まるよう助言してまいりたいと思っているところであります。
 次に、市町村の自主財源の確保策についてでありますが、市町村税を初めとする自主財源の充実強化は、市町村が自主的、自立的な行財政運営を行う上で必要不可欠なものであります。森林に着目した財源手当てといたしましては、地方交付税の中で、森林面積等によって財政需要が割り増し算定されておりますほか、森林を初め、農山漁村地域が持つ水資源涵養機能、あるいは自然環境の保持機能等に着目した国土保全対策経費が平成10年度から基準財政需要額に算入されております。
 一方、先ごろ閣議決定されました、いわゆる骨太の方針第3弾におきまして、自主財源であります地方税の充実確保方針が打ち出されましたが、その反面、地方交付税の財源保障機能は縮小するとされております。本県のような税源に乏しい市町村が独自の地域づくりに臨む選択をした場合、その財政運営は現状にも増して厳しくなるものと考えております。県といたしましては、三位一体の動向等を十分に注視しながら、市町村の意見あるいは財政運営の状況等を踏まえて、今後とも必要な助言を行っていきたいと考えているところであります。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君)  まず、政策評価への地方振興局長の意見の反映についてでございますが、現在、各部局が実施する政策評価におきましては、施策や事業の必要性、有効性などを判断するに当たって、市町村、団体、地域住民の方々がそれらの施策や事業について、どのような御意見や御要望があるのか、 また、それらについて地方振興局がどのように考えているかを、地方振興局から適宜情報を収集した上で評価を行い、その結果を県の総合評価に反映させております。
 このように、各部局単位では地方振興局の考え方は政策評価に反映されておりますが、各地域における施策や事業の必要性、優先度を総合的な見地から考えていくということが今後ますます求められてまいりますので、地域の実情に精通している地方振興局長の意見を、政策評価に反映させていく仕組みを検討してまいります。
 次に、政策評価をNPO法人に委ねることについてでありますが、本県の政策評価システムについては、より透明性、実効性、客観性の高い評価制度となることを目指しまして、現在、条例化の検討を進めておりますが、この中では、学識経験者で構成する第三者委員会を設置し、県が行う政策評価の内容について専門的な立場から御審議していただくことを考えております。
 政策評価については、県がみずから行う評価だけでなく、例えばNPOなどに評価をいただくことが、生活者の視点に立った政策を推進していく上で必要と考えておりまして、今後、専門的立場から御審議をいただく第三者委員会との関係を整理しながら、その具体的な方法について検討してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君)  地震・津波防災対策についてのお尋ねでございます。
 まず、三陸南地震対策の点検結果、そして改善点でございます。
 今回の地震によります災害対策本部の設置、運営を通じて明らかになりました通信連絡面での課題、あるいは職員の対応状況での課題を検討するために、本庁各部、あるいは地方振興局に加えまして、市町村に対しても調査を行い、問題点、対応策を取りまとめております。
 主なものを申し上げますと、まず、通信、連絡でございますが、被災現場と合同庁舎との連絡が、電話ふくそうにより通信できなかったということがございます。災害時の優先携帯電話の配分割り当ての増、あるいは公衆電話の確保というものを通信事業者に要請したところでございます。
 また、被害状況の取りまとめ、集計に時間がかかったということもございまして、報告様式の電子化等により迅速化を図ってまいりたいと考えております。
 また、職員の参集につきまして、震度6弱は全職員参集となります2号非常配備体制でありますが、これを知っている職員が67%、自主参集制度を知っていた職員が57%にとどまったということがございまして、配備基準あるいは自主参集制度についての周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 また、職員個々の業務分担などにも非効率な面もありましたので、効率的な体制のあり方、運用を検討し、明確にしてまいりたいと考えております。
 そして、県民向けの情報提供でございますが、五つの市町村の震度情報が設備理由から発表されていないということがございまして、その解消を国の関係機関に要望しているところでございます。
 また、ホームページによる災害状況の情報提供が有効であるということが確認されておりますので、さらに充実を図っていきたいと考えておりますし、さらに、ケーブルテレビなどのホームページ以外での情報提供の手段というものにつきましても、検討してまいりたいと考えております。
 さらに、情報連絡系統、報告様式など地域防災計画の変更を要するもの、参集基準の見直しなど災害対策本部規程の修正を要するものというものもございますので、現在検討を行っております。
 なお、三陸南地震の発生を契機といたしまして、今後予想されます宮城県沖地震対策について、宮城県との連絡を一層密にしていきたいと考えております。
 それから、津波浸水予測図の避難計画、防災計画への反映でございます。
 県では、今年度策定を予定しております津波浸水予測図の結果、そして平成14年3月に消防庁から示されております津波対策推進マニュアルを踏まえまして、今年度中に、市町村が策定すべき津波避難計画に係る指針というものを策定することといたしておりまして、津波浸水予測図とこの指針の二つを市町村に示す予定としております。
 市町村におきましては、津波浸水予測図に避難所あるいは避難経路を付記いたしまして、津波防災マップとして住民に配布、防災意識の高揚を図ることといたしております。
 さらに、県が指針を市町村に示すことによりまして、来年度以降、市町村におきましては、市町村全体の津波避難計画や町内会あるいは自治会単位の地域ごとの津波避難計画というものを、住民の参画を得て策定するとともに、必要に応じまして地域防災計画の修正を行うとなっております。
 県といたしましても、津波浸水予測図の結果が、市町村の津波防災マップあるいは避難計画に的確に反映されるように支援してまいりたいと考えております。
 次に、潮位観測計のネットワーク化でございます。
 津波避難対策検討委員会の報告書の中で、津波情報の迅速な把握と共有化を図るために、市町村が設置しております津波観測機器のネットワーク化の必要性というものも提言されております。波高計、監視カメラ等のネットワーク化につきましては、県としても取り組んでまいりたいと考えております。
 しかしながら、こうした津波の観測機器は、市町村によりましてシステム、精度、設置時期も異なっておりまして、ネットワーク化を図るため、接続に当たっての技術的な課題を解決する必要もございます。
 また、より効果的なネットワークといたすためには、宮城県も含めた広域化が必要ではないかということも考えております。既に宮城県とは、必要性を認識し共同で取り組む方向で協議をいたしておりますので、これらの課題も含めて、実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、避難勧告の迅速化でございます。
 津波予報は、津波が発生するおそれがある場合に、通常、地震が発生してから約3分後に気象庁から発表されるものでございます。今回は、気象庁において津波なしと判断をいたしたために、津波予報の発表が行われずに、地震発生12分後に発表した地震情報時に、若干の海面変動があるかもしれませんが被害の心配はありませんという情報が発表されたわけでございます。
 しかしながら、強い地震のために津波の来襲を懸念した沿岸の市町村からは、この間、気象庁から何ら津波情報が発表されていないということで不安であったというような声も聞いておりますし、また、若干の海面変動があるかもしれませんが、被害の心配はないというような言葉は、津波があるのかないのかよくわからないというような声も聞いております。
 県といたしましては、このような事態を憂慮いたしまして、今後は、いわゆる安全情報としての津波の有無だけでも迅速に発表するよう、盛岡地方気象台に要請しているところでございます。
 そして、新税創設に係ります北海道・北東北の共同研究の状況というお尋ねがございました。
 森や川、海などに関します環境の保全のために実施する諸施策の財源確保の見地から、法定外税に関する共同研究を行うということで北海道・北東北で協議会を設置いたしたところでありまして、協議会におきまして、他県における水源涵養税の検討事例から、税の目的、課税対象、そして税収についての課題、そういったものの抽出をして、分析を行ったところであります。各道県において新たな税制度の具体的な検討が行われる場合の基本的な認識、検討を進める際の留意点について取りまとめを行ったものでございます。
 新税創設に当たっての基本的な認識といたしましては、施策そのものの必要性について十分検討を加えた上で、必要がある場合に具体的な税制度を検討すべきものといたしまして、検討すべき事項といたしまして、住民負担の必要性を明確にすること、どの程度の負担を求めるかを明らかにすること、そして、適切な手続を経て住民の理解を得ることを必要といたしたという認識を共通にしたところでございます。
 各道県の今後の環境保全の動向を踏まえつつ、協議会で引き続き情報交換を行い検討するということで合意をしているところでございますが、県におきましては、先般発表いたしました行財政構造改革プログラム骨子の中で、自主財源確保に向けました具体的な取り組みとして、必要とされる新たな税制を導入するということを明記いたしております。
 今後、森や川、海といった環境の保全のために実施いたします諸施策についての議論を踏まえまして、さらにその受益と負担の関係を明確にして、必要となる新税の制度設計について検討してまいりたいと考えているところでございます。
   〔県土整備部長猪股純君登壇〕

〇県土整備部長(猪股純君)  防潮堤の耐震度、耐力度の点検についてでございますが、本県では、平成7年に発生しました阪神・淡路大震災を契機にいたしまして、海岸保全施設の耐震度点検を実施しておりまして、その結果、修繕が必要な箇所については工事を実施してきております。
 また、本年5月の三陸南地震の際にも緊急点検を実施しておりまして、その結果、防潮堤の一部にクラックや目地の開きなどが発見されておりまして、これらについては、災害復旧事業、また修繕工事等で修復を行うこととしております。
 今後でございますが、引き続き日常的なパトロール、また定期点検を実施するとともに、あわせて地震時における緊急点検を確実に実施していきたいと思っております。
 なお、国においては、施設の老朽化判定などを内容としますマニュアル、海岸保全施設の維持管理マニュアルというものが近々策定されると伺っておりますが、このマニュアルの策定を受けまして、県としても防潮堤の適切な維持管理に努めていきたいと考えております。
 それと、津付ダムの進捗状況でございますが、平成14年度までの事業の進捗率は8.8%であります。主にダム本体の概略設計、また付替道路の調査設計等を行いまして、移転を伴う関係地権者の用地補償調査などについては、おおむね終了しているところであります。
 利水につきましては、陸前高田市への意向確認を行っていたところでありますが、本年の5月に工業用水の参加を取りやめるという旨の回答をいただいたところでございます。これを受けまして、県としては、地域の広域的な利水の必要性についてもう一度確認することにしておりますけれども、現状では、多目的ダムから治水ダムになる可能性が大きいと考えております。
 今後の事業見通しでありますが、現在、環境影響評価条例に基づく手続を進めておりまして、治水ダムということになりますと、これと並行してダム計画全般について見直し作業を進めることとなりまして、平成16年の公共事業評価委員会に諮ることになります。この評価委員会の意見を受けまして、県としての本事業の進め方というのを決定したいと考えております。
   〔農林水産部長佐々木正勝君登壇〕

〇農林水産部長(佐々木正勝君)  バイオマスの利活用についてでありますが、県におきましては、平成14年1月に岩手県木質バイオマス資源活用計画を策定し、産学官の連携組織であります岩手・木質バイオマス研究会による調査・研究活動を支援いたしますとともに、公共施設等へのペレットストーブやチップボイラーなどの導入などにより、木質バイオマスの利用を促進してきたところであります。
 また、家畜排せつ物や生ごみを利用したメタン発酵処理施設の整備を促進しているところでございます。
 さらに、平成15年度、今年度におきましては、6月補正予算案に計上させていただいておりますが、関係部局が連携したいわて木質バイオマスエネルギー利用拡大プロジェクトとして、バイオマス利用の機運を高めるため、来年1月に本県で木質バイオマスサミットを開催することとしておりますし、それから、これは住田町でございますが、木質ペレット製造施設整備への助成をすることにしております。
 さらには、公共施設へのペレットストーブの導入をさらに拡大いたしますとともに、葛巻町で今整備を進めております畜産バイオマス利用施設を地域全体で高度利用するため、施設の副次的に出てまいります産物を肥料等として利用する、そういう調査・実証事業への助成等を実施することにしておりまして、バイオマスの利活用を積極的に促進することといたしております。
 県といたしましては、今年度新たに木質バイオマスエネルギーに関する利用促進プランを作成することにしておりまして、部局連携のもとに、本県の豊富なバイオマス資源の積極的な利活用に取り組みますことによりまして、循環型社会の形成、あるいは農林水産業の振興、地域の活性化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、沿岸地域農業の振興と集落営農組織の育成についてでありますが、まず、沿岸地域の農業振興に対する考え方でございますが、こうした地域は、冬春期の温暖な気象条件を最大限に活用した収益性の高い農業の確立ということが基本になると思いますし、さらには、新たな特産品の開発や観光拠点等を活用した多様な流通販売を推進することだと認識しております。また、沿岸地域は個別の大規模経営体の育成は難しい状況にありますので、個別経営を補完し、組織的に集落の農地を集約する集落営農組織を育成していくことだと考えております。
 こうした農業振興を図るためには、農業者の方々がみずからの集落について、農産物の生産、あるいは付加価値を高める加工への取り組み、さらには、集落営農の組織化をどうするか、そういったことに徹底した話し合いを行っていただきまして、将来の農業の姿を集落ビジョンとして作成していただく必要があると思っております。そうしたことを踏まえまして、関係機関・団体一丸となって、育成のための施策を重点的・集中的に実施してまいりたいと思っております。
 県といたしましては、6月補正予算に計上させていただいておりますが、集落の転作の集積支援、あるいは地域振興作物の作付拡大、団地化といったことに対する支援事業といたしまして、集落水田農業ビジョン実践支援事業というものを新たに計上させていただいておりますし、それから、農業法人が行う実践研修の受け入れに要する助成事業についても、新たに予算措置をさせていただいております。
 それから、いわて農業担い手支援総合対策事業で、これは県単事業でございますが、これまでは生産機械施設を対象にした事業でございましたが、これからはアグリビジネス等の導入拡大、あるいは経営の高度化を図る必要があるというようなことで、こういう加工面でのメニューも追加しております。
 こうした事業を活用していただきまして、諸集落の創意工夫を凝らした意欲的な取り組みをお願いしたいと思っております。
 次に、県産材の利用拡大についてでありますが、まず、もっと・WOOD・県産材推進連絡会議の成果についてでありますが、この会議につきましては、平成10年度に庁内の推進組織として設置し、公共施設あるいは公共工事への木材利用の推進に努めてきたところでありますが、その結果、公共施設の木造化、あるいは治山・林道、河川などの公共工事、さらには、木材チップの暗渠疎水材としての新たな利用など、一定の成果を上げ得たものと考えております。
 しかしながら、林業生産活動がかつてないほど停滞している状況において、より一層木材の利用推進に取り組む必要があると考えております。
 このため、とりわけ公共施設あるいは公共工事において、県が率先して県産材の利用を推進することが重要でありますので、先般、6月10日に、これまでのもっと・WOOD・県産材推進連絡会議を発展的に改組し、副知事を本部長とする岩手県公共施設・公共工事木材利用推進本部を設置したところでございまして、この本部におきましては、数値目標などを定めた公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定することとしているところでございます。
 また、県産材の利用促進を図るためには、こうした県の取り組みとあわせまして、県民を初めとする関係者の理解と協力を得ることが不可欠でありますので、地域で生産される木材を、森林所有者から大工・工務店、消費者までのネットワークをつくって、顔の見える木の家づくりを進めるための環境整備を進めるというような取り組みをしているところでございます。
 それから、これも6月補正予算で新たに実施する事業でございますが、県産材を利用して建設された住宅に対する新たな助成措置を講ずることにしたところでございます。
 それから、県内で伐採された木材を加工したことを証明する県産材認証制度についても、検討を進めたいと思っておりました。
 こうした一連の取り組みを通じまして、県産材の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
 次に、山村の活性化と林業担い手対策についてでありますが、新たな雇用の創出と担い手の育成・確保による山村の活性化が重要な課題になっておりますことから、県といたしましては、まず、新たな雇用の創出に向けましては、一つには、地域雇用創出特別基金事業を活用した県有林の刈り払い等の実施、さらには、国の補助事業を活用した木材加工施設の整備、公益保全森林整備総合対策事業による森林整備、森林整備地域活動支援交付金による民有林整備に対しまして支援をしているところでございます。
 また、今年度におきましては、新たに6月補正予算に計上させていただいておりますが、緑の産業再生プロジェクトの中で、木材加工事業体への間伐材の安定供給の促進による、新たな雇用の創出を図る事業に取り組むこととしております。
 また先般、5月でございますけれども、岩手労働局を初めとする関係機関・団体を構成員とする岩手県農林水産業雇用促進連絡会議を設置して、雇用創出のための条件整備を図ることとしているところでございます。
 また、担い手対策につきましては、林業労働対策基金を活用し、地域林業の中核となる担い手の育成研修、あるいは新規就業者を採用した事業体への支援などを実施して、担い手の育成・確保に努めているところであります。
 今年度におきましては、新たに国の緑の雇用担い手育成対策事業を活用した本格的な森林就業者育成のための技能研修を実施いたしますとともに、本県を初めとする8県で形成しております緑の雇用推進県連合による国への提言活動も実施いたしまして、担い手の育成・確保を図ることとしております。
 今後とも、林業の川上から川下まで一体となった新たな雇用の創出と担い手の育成・確保に努め、森林・林業の持続的かつ健全な発展と山村の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、カキ殻の処理についてでありますが、県内では気仙地域を中心として年間約6、000トンのカキ殻が発生しておりまして、生産者にとってその処理が問題になっているところでございます。
 県といたしましては、資源の有効利用の観点から、再資源化が最も適切な処理方法と考えまして、これまで市町村、漁業協同組合、関係業者と連携し、平成13年度には緑化基盤材として、平成14年度には道路の路盤材として、また牧場のぬかるみ防止材の利用試験に取り組み、一定のめどが立ったと思っております。
 さらに、平成15年度からは、土壌改良資材等への利用試験に取り組んでいるところであります。既に一部で再資源化に取り組んでおりますが、その利用量は年間で200トン程度となっているところでございます。
 今後、再資源化の普及・拡大を図りますためには、引き続き利用試験を進めてまいる必要があると思っておりますが、まずもって漁業関係者に、カキ殻は適正に処理を行えば有用資源であるという認識を持っていただく必要があると思っております。さらに、生産者側において、カキ殻の脱塩、用途に応じた大きさへの破砕、付着物の除去などの利用者のニーズに対応した処理ができる体制をつくっていただく必要もあると思っております。その上で、市町村、農林水産業者及び関係団体と連携して、利用者のニーズを把握し、生産者と利用者による再資源化に向けた仕組みをつくることが一番大きな課題だと思っております。
 県といたしましては、このような取り組みを促進するために、先導的なモデル地区を選定いたしまして、生産者が自発的に実践されるよう重点的に指導いたしますとともに、生産者から要望があれば、破砕機等の機器整備への支援についても検討してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君)  まず、ISO認証取得についてでございますけれども、本年3月末現在で県内のISO14001の認証登録数は、前年末より42件増加いたしまして175件となっております。民間企業等がこのうち158件でございまして、順調に増加しております。
 認証取得促進のために、県におきましても各種研修会の実施や県のグリーン購入基本方針におきまして、この認証の取得を考慮事項の一つとして位置づけることによりまして支援を実施しているところでございます。
 今後は、ISO14001の認証取得の普及啓発を引き続き行いますとともに、認証取得の範囲を中小企業等にも広めていくことにいたしまして、ISOを補完いたしまして、ISOよりも取得なり運用が容易なローカル認証制度でございますIES(いわて環境マネジメントシステム・スタンダード)の普及啓発についても支援をしていきたいと考えております。
 次に、ふるさとの森と川と海を守るという趣旨の条例についてでございますけれども、現在検討しておりますこの条例の方向性でございますが、これは、森と川と海の保全及び創造に関する施策の基本的な方向について定めまして、これら一体的な施策を計画的に推進することによりまして、本県の豊かな水と緑を次世代に引き継ぐことを目的といたします施策推進型の条例にしたいと考えてございます。
 具体的には、流域におけます環境保全上健全な水循環を図るという観点から、森林の有する多面的機能や河川あるいは海の有します水質浄化の機能、これらが発揮されるような整備や管理、あるいは良好な水質の保全なり、水質汚濁の未然防止等、健全な水循環の確保を図るために、森、川、海の一連性を持った施策の基本的な方向を示していきたいと考えてございます。
 施策の推進に当たりましては、県民、あるいは事業者の皆さん、それから行政、それぞれ各主体の協働によりまして取り組んでいきたいし、上流地域と下流地域の連携が促進される仕組みづくりを考えていきたいと思ってございます。
 条例の名称でございますけれども、これは青森県、秋田県と合わせるというようなことで、例えば、岩手県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例というような方向にしたいということで、今検討をしてございます。
 スケジュールでございますが、ことしの5月に条例の骨子の素案 、たたき台を作成いたしましてパブリックコメントを実施いたしました。あわせまして、市町村や関係団体の意見を紹介いたしまして、この結果、現在35件の意見が寄せられているところでございます。これらの意見も参考にさせていただきまして、県庁内に水と緑推進プロジェクトチームというのをつくりまして、現在、条例案を検討しているところでございますけれども、作業を急ぎまして、できれば9月議会にこの条例案を御提案したいという目標で現在作業をしているところでございます。
 次に、カモシカ対策についてでございますけれども、これにつきましては、保護管理対策と被害対策との両面から適正な対策を講じる必要があると考えてございまして、カモシカに係る特定鳥獣保護管理計画の策定を取り進めるということにしてございます。本年度でございますけれども、本年度は特定鳥獣モニタリング調査事業を行うということで、具体的には保護管理対策の基本方向や生息状況調査を実施いたしたい。この生息状況調査等の結果をもとにいたしまして、来年度――16年度に特定鳥獣保護管理計画を策定したい。策定に当たりましては県の環境審議会の御審議をお願いいたしまして、来年度計画を策定したいと考えているところでございます。

〇議長(藤原良信君)  答弁者に申し上げます。答弁につきましては簡潔明瞭にお願いをしたいと思います。
   〔保健福祉部長長山洋君登壇〕

〇保健福祉部長(長山洋君)  まず、医学系大学への入学枠の設定についてであります。国立大学においては、特定の地域の入学枠を設けるということは、教育の機会均等などの考え方から難しいと聞いております。このため県といたしまして、東北地区における大学医学部の入学定員そのものの増について、国の方に積極的に働きかけております。このことにつきましては、北海道・東北6県議会議長会議でも本県から提出されたものを採択いただいているということでございます。自治医科大学につきましては、養成枠が通常各県2名ということになっておりますが、これをさらに1名ふやしてほしいということで継続的にお願いをしておりまして、その結果、年度によっては3名養成されるなど御配慮いただきまして、本県出身の医師養成数は全国的にも4番目に多いという状況になっております。また、昨年度から実施しております岩手県医療局医師養成事業として、岩手医科大学の入学定員の中に、岩手県内出身の入学枠を5人ほど確保していただいておりまして、今後その拡充に努めてまいりたいと思っております。
 今後、実効性のある医師確保対策として、来年度から医師の臨床研修必修化というのが始まりますので、各保健医療圏ごとに研修医の受け入れ態勢の確保に向けた取り組みを進めてまいりたいと思っております。さらに、岩手県出身者で県外の医学部に入学する人が毎年30人から40人ほどおられます。こうした卒業生や県外で勤務する医師に対しまして、県内市町村、医療機関ともども連携をしまして、岩手県内で就業するよう働きかけに努めてまいりたいと思っております。
 次に、幼保一元化についてでございます。市町村あるいは都市部、農村部など保育時間や保育内容、対象年齢など保育ニーズが多様化してきておりまして、既存の仕組みだけでは対応が困難な状況となっております。一方、保護者や関係者の中には幼児期における人間形成という側面から、保育所と幼稚園それぞれの制度を維持すべきであるという声もございます。こうした中で国の方でも動きがございます。総合規制改革会議や地方分権改革推進会議等、あるいは構造改革特区において、さまざまな規制緩和の動きがございます。
 今後の取り組みとしまして、利用者や関係団体などの意向を把握し、子供と保護者の双方の視点に立って、地域の実情に応じた保育や教育を受ける機会の充実について検討が必要でございまして、現在、本県もメンバーに加わっております地方分権研究会において、第3の選択肢として幼保一元化施設について検討が進められております。この地方分権研究会の検討の推移を見守りながら、当面は、施設の共用あるいは合同保育など、現行の制度の弾力的な運用により、対応してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小原富彦君登壇〕

〇商工労働観光部長(小原富彦君)  観光振興についてでありますが、農林水産業との連携については、これまで県内各地域のグリーンツーリズム協議会や観光協会などと連携し、農林漁業の体験メニューの充実やインストラクターの育成等受け入れ態勢の整備に努めてきた結果、14年度の農家などの民泊利用者数が前年度の倍の5万2、000人になるなど、連携は成果を上げつつあると考えております。今年度も農林漁業サイドと連携して、一体となってグリーンツーリズムなど体験型観光の取り組みを進めてまいります。
 また、北東北3県の連携についてでありますが、北東北3県では連携して首都圏への情報発信を初め、合同化しました県外事務所を中心に、それぞれの地域で活発な観光、物産のPRを展開しております。本年度はこれまでの3県連携の活動成果を踏まえ、新たな北東北文化観光振興アクションプランを策定予定であり、本県といたしましては、体験滞在型観光やあるいは広域観光ルートの設定など、北東北の広域観光振興につながるような連携方策を提案したいと考えております。
 それから、宮城県との県際連携についてでありますが、これまで岩手・宮城県際連絡会議、これを中心に情報交換あるいは物産観光展の開催などを通じて連携を強めてきたところでありますが、本年度からは、この5月に設立されました黄金エリア観光推進連絡協議会、ここにおいてJR東日本と連携した誘客宣伝などに取り組むこととしておりまして、これらの動きが一層広がりを見せるよう支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、今後の観光振興施策の展開についてでありますが、近年、観光は、スローライフ、本物志向などがキーワードになっておりまして、グリーンツーリズムあるいは地産地消運動、あるいは産直販売、アグリビジネスなど地域に根差したさまざまな活動、あるいは取り組みと観光施策を連動させることがますます重要になっております。本年度は主として時間的、経済的に余裕のあります中高年齢層を対象に、ゆったり・ぬくもり感のある旅の提供を企画することとしておりまして、観光関係者だけでなく、地産地消運動や産直活動に携わる方々や農林漁業に直接従事している方々からもアイデアをいただきたいと考えております。観光は総合産業と言われるとおり、幅広い分野と連携し、さまざまな手法で取り組むことによって相乗効果が生まれ、振興が図られるものでありまして、今後とも各分野、各方面と連携協調して観光振興につながる施策に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君)  完全学校週5日制についてでありますが、まずその特徴的な取り組みを幾つか挙げますと、例えば水沢市では、みずさわ子どもセンターなど市内3カ所で子供の居場所として開放する。そして、子供たちのさまざまな活動や交流の促進を図った事例、それから大迫町では、環境保全クラブを組織いたしまして、自然観察や水質調査、酸性雨の研究などに取り組んだ事例、それから陸前高田市では、スポーツ活動や子供たちの放課後の運動に指導者を派遣する制度を新たにスタートさせた事例などがあります。
 県といたしましては、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割を十分に果たせるよう、地域と学校のかけ橋となる地域教育推進員の小・中学校への配置とか、国が設置いたしております子ども夢基金の活用への支援など、市町村やボランティア団体等の意欲あるさまざまな活動を積極的に支援していく考えであります。
 次に、本県の学力の水準についてでありますが、完全学校週5日制実施前と後を比較するような資料につきましては、現在のところございませんけれども、県の教育委員会におきましては、昨年10月に、小学校5年生と中学校2年生の全児童生徒を対象に、学習定着度状況調査を実施いたしました。この結果につきましては、既に県民の皆さんに公表したところでありますが、本調査の結果では、すべての児童生徒が身につけておくべき基礎・基本を内容として出題をいたしまして、正答率80%台後半を一つの目安にいたしまして実施したところ、小学校5年生におきましては76%、中学校2年生におきましては65%でありまして、全体として、その定着状況は必ずしも満足できる状況ではない結果が出ております。
 このような状況を踏まえまして、県の教育委員会では効果的な指導例を紹介した事後指導の手引を全教員に配付いたしまして、指導の改善を図るように各学校を指導してきたわけでございますが、この学力向上につきましては、今年度――平成15年度の最重要課題として取り組むことにいたしておりまして、今年度は学習定着度状況調査の実施対象を小学校3年生から中学校3年生までの全児童生徒を対象に拡充強化いたしまして、経年比較できるようにするとともに、児童生徒のつまずきをよりきめ細かく把握できるようにいたしまして、各学校における指導の改善を不断に進め、児童生徒の基礎・基本の確実な定着に向けて努めてまいりたいと考えております。
 次に、少人数指導の評価の分析と今後の取り組みについてでありますが、本県の独自の少人数指導も2年目を迎えました。各学校におきましては、その実施に当たってそれぞれ実態に応じてさまざまな工夫を凝らして行われております。その効果も出てきておりまして、取り組みが充実してきている実態にあると認識いたしております。また、学校公開などを通したより効果的な指導方法の実践交流、教科や単元に応じた柔軟な集団分け、授業における複数の教員による指導など、年ごとに少人数指導のよさが広まってきているという状況にあります。
 今後におきましては、この取り組みの効果や課題を十分に検証し、一層個に応じたきめ細かな指導ができるように、県単措置によるすこやかサポートについて言えば、年次的に他の学年にも拡大するなどの本県独自の改善を加えながら、少人数指導の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 それから、最後になりますが、学校給食での地元農林水産物の利用による食育についてでございますが、学校給食に地域の産物、県産食材を食材として導入すること、あるいは郷土食を取り入れること、これによりまして地域の食文化のよさを理解したり、生産労働のとうとさを学んだり、また、食事を大切にしたりする態度や心、これを育てることにつながるものと考えております。
 このようなことから、県の教育委員会におきましては、いわて地産地消推進機構の構成団体として、また、産直施設あるいは地元の農業団体等との関係団体との連携を深めながら、市町村教育委員会に地元産の食材の利用促進を働きかけまして、これまでの主な取り組みといたしましては、ナンブコムギを用いた小学校給食用のパンの供給、それからすべて県内産のものを利用している学校給食用の米や牛乳、そして秋サケ等の利用拡大など、地域ごとの食材の旬にこだわった県産食材を強く意識した献立の導入といったような取り組みを積極的に行うことによりまして、本県の学校給食における県産食材利用率は、平成11年度が30%でありましたものが、平成14年度におきましては47.6%と大きく上昇を見たところであります。
 今後の取り組みといたしましては、食に関する指導におきましては、もちろん学校給食のみならず、関連教科やあるいは総合的な学習の時間等教育活動全体で行われております。この観点からも、今後におきましては、家庭、地域との連携が一層強く求められる状況になっております。したがいまして、学校、家庭、地域が一体となった取り組みの充実強化が図られるように、市町村教育委員会を指導してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長熊崎義純君登壇〕

〇警察本部長(熊崎義純君)  宮城県境における治安対策ということでございますが、まず広域的な犯罪の対応という面につきましては、広域緊急配備等に関する協定というものを隣接県と締結しておりまして、県境付近で重要事件が発生した場合の検問がスムーズに行われるようにとか、こういった趣旨の協定を結んでおります。このほか隣接県あるいは東北6県規模での広域事件捜査訓練といったものを頻繁に実施しておるところでございます。
 それからまた、宮城県境におきましては、当県側が三つの警察署、それから宮城県側が四つの警察署がございますけれども、こうした隣接警察署と毎年定期的に連絡会議等を開催しておりまして、緊急事件発生時の対応でありますとか、事件・事故に関する情報交換等を実施しており、広域配備による犯罪検挙などで成果を上げているところでございます。
 それから次に、県境地域における警察体制の構築ということでございますけれども、その警察の体制につきましては、犯罪や事故の発生状況などの治安実態を勘案しまして、全県的な視野で体制を構築しているところでございますが、県境地域につきましては、その特質を考慮しまして体制の強化を図っているところでございます。
 こうした中で、現在検討を進めておりますことは、県南の沿岸海域における対策といたしまして、密入国でありますとか、県境を越えた組織的な密漁事案といったものに対応するために、釜石に配備しております警備船さんりくを大船渡署への移管ということを検討しておりまして、現在作業を進めておるところでございます。
 今後とも、県境地域の治安対策の重要性ということを認識いたしまして、実態に即した体制の確立に努め、治安維持に当たっていく所存でございます。

〇32番(吉田昭彦君)  大分時間経過をいたしましたが、丁寧な御答弁ありがとうございました。もう少し時間をちょうだいしてどうしても確認をしなければならない事項がございますので、若干時間をいただきたいと思います。
 第1点は、先ほど地震の関係で耐震、耐力度の御答弁をいただきましたが、学校、体育館、これは安全な教育環境という面で大変関心のあるところなわけですが、今回の地震でも相当の被害を受けたというふうに報道、あるいはいろんな調査で承知をいたしておるわけでありますが、この耐震の補強工事を必要とする学校、体育館等の施設をどのように当局は把握をされておるか。また、これの補強対策についてどのような対策を考えておられるか、第1点お伺いしたいと思います。
 それから、幼保一元化に関連いたしまして先ほど保健福祉部長から、現行制度の弾力的運用で対処してまいりたいという御答弁をいただいたわけでありますが、我が選挙区の住田町において、まさに幼児教育、それから保育指針、それぞれに基づいて幼保一元化が実態的に行われております。それで、1歳から3歳までは保育指針に基づき、また、4歳、5歳は幼稚園教育要領に基づいて、それぞれ一つの施設で一体的に行われております。ただ、その際に給食が厚生労働省局長通達で、その施設内で調理したものでないと供給してはいけないという通達があるようでございます。平成10年からは外部に委託するのはよろしいとなっておるようでありますが、しかし、施設内で調理をしなければならない。そういうことになって、運営をする方では何とか学校給食センターとの連携によって供給できるような体制に持っていけないものかということで苦慮しておるようでありますが、これはまさに現行制度の弾力的運用でもって、学校給食センターとの連携によって給食を保育適用児にも供給できるようなことを国に対して働きかけて、弾力的運用ができるようにすべきではないかと思いますが、もう一度部長の御答弁をいただきたいと思います。
 それから、もう一点でありますが、津付ダムの建設に関連をいたしまして、陸前高田市は、先ほど御答弁がありましたように、工業用水の利水参加については、精査をしたところ参加をしないということに決定をいたしました。しかし、津付ダムの建設計画そのものは、工業用水分は0.5%です。全体の総貯水容量の0.5%ですので、実際は治水ダムとしての性格の強い、絶対的な割合は治水ダムであるというふうに位置づけてよろしいのではないかと思うわけでありますが、そこで、気仙川流域のいわゆる洪水被害の状況を見ますと、過去10年来に2年から3年に一度洪水被害が出ております。そういうことでぜひとも治水上は必要な事業でございますので、そういう観点で今後とも進めていただかなければならないと思うわけであります。
 そこで、環境対策との関連で、漁業者から一部不安の旨の提起がされておるわけでありますが、しかし、御案内のように環境アセスメーント調査を実施しておりますし、そのことを踏まえて自信を持って積極的に漁業者の理解を得るための作業をして、あるいは説明をし、理解をしていただきたいと思うわけであります。そこで、今後ともそのような考えのもとに積極的に進めていただきたいわけでありますが、当局のお考えをもう一度部長からお答えいただければと思うわけであります。よろしくお願いいたします。

〇保健福祉部長(長山洋君)  ただいまの調理の関係でございますが、これは保育所で安全、衛生面ということに重視をしまして、きめ細かな対応ということが必要だということで、児童福祉施設の最低基準というもので調理室の設置が義務づけられているということでございます。特にもアレルギーであるとかアトピーであるとかへの配慮、あるいは乳児保育等、調乳や離乳食、あるいは長時間保育する延長保育など多様な給食サービスというものが必要になってまいりますので、そういう意味で調理室の設置ということで義務づけられているのではないかと思っております。ただ、地方分権改革推進会議等におきまして、調理室の設置の義務づけの見直しというものが提唱されております。国の方でも学校の余裕教室に保育所を設置する場合など限定的ではありますが、安全性が確保される場合には、調理室を共同利用するということも認める方向も示されているようでございます。いずれ、ただいま御提言ありました内容につきましては国と少し相談しながら、対応について考えてまいりたいと思っております。

〇県土整備部長(猪股純君)  津付ダムの漁業への影響につきましては、沿岸域に建設されたダムではこれまで影響は確認されておりませんし、また、津付ダムではダム下流で大きな支川が合流しておりまして影響は少ないものと考えておるところでありますけれども、一部の漁業協同組合において津付ダムが漁業に影響を与えるのではないかというようなことで、総会で建設反対の意見が採択されたと伺っておりまして、これらの漁業者の方々の不安を解消するために、今後さらに河川とか海域における水質の検討を行いまして、その結果を関係団体に説明したいと考えております。津付ダムにつきましては、地元住田町、また陸前高田市からも気仙川の治水対策として建設の促進を強く要望されておりまして、県としても地元への説明や意見交換を行うなど、誠意ある対応を図っていきたいと思っております。

〇教育長(佐藤勝君)  学校、体育館など公共建築物の耐震補強工事が必要なものはどれほどあるかというお尋ねでございますが、県立学校についてまず申し上げますと、昭和56年以前に建築されました県立高等学校、これは一定規模以上の校舎103棟ございますが、それから地域防災計画上、緊急避難所に指定されている体育館であるとか、特殊教育諸学校の校舎、屋内運動場、寄宿舎、これら全部あわせますと180棟ありまして、そのうち111棟を平成7年度から逐次計画的に耐震診断を実施しております。その結果、改修を要するものは69棟ございまして、そのうち24棟については改修済みということになっております。しかしながら、ただいま申し上げましたとおり、今なお未改修の校舎などが45棟、それから5年以内に統廃合等を予定しているもの、これを除きますと耐震診断の未実施の校舎等が34棟となっております。これらにつきましては、文教施設という性格上からも、 改修または耐震診断を早急にやるべきものと考えております。そこで、耐震診断が未実施の校舎等につきましては、これは既に計画をつくっておりますけれども、平成15年度から17年度にかけての耐震診断3カ年計画を着実に実施する、それから、老朽校舎の改築、耐震の補強が必要な学校につきましても、今年度中に整備計画を策定したい。そして、その計画に基づいて、可能な限り早期に事業を進めていくことにしたいと考えております。
 また、公立の小中学校の耐震診断結果、それから補強対策でございますが、平成14年5月の調査によりますと、小中学校の昭和56年以前の建物が1、181棟ございまして、そのうち診断を実施しているのは93棟、さらに、改修を要するものが42棟となっております。耐震診断の未実施棟数が1、088棟ということで診断実施率が大変低いわけでございますが、各市町村におきましては、平成15年度から17年度までの3カ年以内に耐震診断を実施する計画を策定いたしておりまして、5年以内に統廃合等を予定している203棟を除きまして、885棟全棟を耐震診断することにいたしております。
 県としましては、各市町村におきまして耐震診断がこの計画どおり着実に実施されるように、その結果、改修等が必要と判断された建物につきましては、改築及び耐震補強の国庫補助制度がございますので、これを積極的に活用して、学校施設の耐震化を図っていくように指導・助言してまいりたいと考えております。

〇議長(藤原良信君)  次に、柳村岩見君。
   〔23番柳村岩見君登壇〕(拍手)


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